第12回今後の障害者雇用促進制度の在り方に関する研究会(議事録)

日時

平成30年6月22日(金)13:00~15:30

場所

厚生労働省 省議室(9階)

議事

 
 
○阿部座長 それでは、ただいまから、第12回「今後の障害者雇用促進制度の在り方に関する研究会」を開催したいと思います。
本日は、漆原委員、塩野委員が御欠席です。
早速ですが、議事に入りたいと思います。
本日の進め方ですが、まず、資料1の前半部分である「中小企業における障害者雇用の推進」について、事務局から説明をお願いします。その後、意見交換の時間をとらせていただきます。次いで、事務局から資料1の後半部分である「その他、制度の在り方について」を説明していただいて、意見交換の時間とさせていただきたいと思います。
それでは、事務局から資料1の前半部分につきまして、説明をお願いいたします。
○障害者雇用対策課課長補佐 事務局でございます。よろしくお願いいたします。
本日は、「中小企業における障害者雇用の推進」について前半は御議論いただきたいと思っております。これまで御議論いただいておりました障害者雇用の質の向上についても、その中でそれぞれ中小企業の障害者雇用促進対策に当たるようなものがございましたけれども、加えてこれまで論点に上がっていないものを中心に、本日は御議論いただければというものでございます。
まず、4ページをお開きください。4ページでは、中小企業における障害者雇用に関してこれまでのヒアリングで出されたものということで、特にこれまで議論に上がっていないものを中心に論点を挙げております。
大きく3つに分けておりますが、1つ目としては、中小企業における障害者雇用の推進ということで、1つ目、例えば、雇用の質に対する考え方が人それぞれ異なる中で、障害者の方についてもいろいろな取り組みをしている場合には、それを公的に評価することはどうかであるとか、2つ目も同様ですが、雇用率に関係ない50人以下の企業で地域に密着して障害者雇用に積極的に取り組んでいる企業に対しても何らかの評価や、具体的な支援メニューを設け、地域社会の担い手としての評価を公にしていく必要があるのではないかというもの。3つ目については、こちらも同様の話にかかわるものでございますけれども、中小企業の場合には、就業を希望する障害者とのマッチングが困難なケースも見られるので、公共事業入札時の加点評価や税の減免措置など、企業の事業活動上のインセンティブ措置を拡充することで意欲を喚起することも考えられるのではないか。また、ここには書いておりませんけれども、そういったインセンティブを拡充する上での要件として、まさにそういった公的に評価するというものがあってもいいのではないかという御議論もあったと承知しております。加えて4点目ですが、障害者雇用のノウハウがある親会社が、中小の子会社などに対して、配置型ジョブコーチの派遣であるとか企業内セミナーの開催を提案して、障害者雇用に取り組める環境づくりを支援する仕組みはどうか。すなわち親会社であるとか障害者雇用のノウハウを持っている会社が、中小企業あるいは子会社に対してそういったノウハウを移転していくということだと捉えております。5番目ですが、零細企業といってもここの場合、雇用率のカウントということであれば50人以上ということなので、そこをどう捉えるかというのはありますが、御発言をそのまま引っ張るならば、零細企業の場合、単独での雇用については中小企業よりも負担が大きいので、複数の零細企業での雇用を合わせてカウントできる仕組みを工夫するとよいのではないかということです。
加えて、障害者雇用納付金については、その対象は障害者雇用率の義務のある事業主まで拡大すべきではないか。あるいは納付金が障害者雇用に当たり事業主間の経済的負担を調整することを目的としているのであれば、1人当たりの納付金の額を引き上げる必要があると思われる。あるいは調整金・報奨金について、納付金財政の支出のうち、調整金が占める割合が非常に高いことを踏まえ、また、企業に対するさらなるインセンティブを付与する意味からも、調整金を一律に支給するのではなくて、法定雇用率を超えて雇用されている障害者数の割合に応じて支給額にめり張りをつけてはどうか。あるいは中小企業における障害者雇用がさらに進むよう、報奨金や調整金の額を増額することも検討すべきではないかというような御議論があったと思っております。
全体としては、まさに認証のような仕組み、あるいは公的に評価する仕組みをどう考えるかということと、納付金・調整金の中で中小企業に対する負担あるいは支援をどういった形で考えていくかということだと捉えております。
1点目として公的な評価というのがございましたが、5ページは労働関係のその他の認証制度の事例を挙げております。事例としては、このほかにも幾つかありますけれども、ここでは例えばということで、若者雇用促進法に基づいて、若者の採用・育成に積極的な中小企業を認定するものとしてのユースエールマークであるとか、2つ目の安全衛生優良企業については、労働者の安全や健康を確保するための対策に取り組んでいるところを厚生労働省が認定するというもの。えるぼし認定については、女性活躍推進法に基づいて、行動計画の策定・届け出を行った会社のうち、女性の活躍に関する取り組みの実施状況が優良な会社を、これは星の数によって評価が変わるということですけれども、1段階目、2段階目、3段階目ということでそれぞれ評価するもの。あとは健康経営銘柄ということで、これは国ではなくて東京証券取引所が中心となって行っておりますが、経産省とそちらの間で連携して、上場企業について健康に取り組んでいる会社を紹介することを通じて、そういった取り組みを促進することを目指すというものであります。
上の3点は厚労省が行っていますけれども、それぞれ物によって付随的なメリットも、ハローワークでの重点的なPRができるであるとか自社のマークに使えるというものに加えて、助成金の加算、日本政策金融公庫による低利融資であるとか公共調達における加算評価など、さまざまなものがある場合もあるということでございます。
6ページ目でございますけれども、それぞれ認定の方法についてということでございます。当然、今回、障害者雇用についてということであれば、これともちろん同じものということではありませんが、考え方はそれぞれあるということでして、例えばユースエールであれば、ここで掲げているような基準を全て満たしていることを求めているというものでございますし、安全衛生優良企業であれば、必要項目と総合評価項目に分けた上で、例えば[1]の第1と第2については、それぞれ全てを満たしていることを求めているわけですが、追加的な取り組みについては、総合点の中で全体として6割以上であるとか、総合が8割以上であることをもって評価するということで、まさに取り組みとして全てを求めるというよりは、それぞれの会社に合った取り組みをしていることを評価する仕組みになっているというものでございます。また、えるぼし認定については、もともとえるぼし自体が3段階の評価に分かれているので、5つの項目のうちの幾つを満たしているかによって星の数が変わってくるというものであります。したがって、認証といっても全てのものを満たしていることをもって認証するものもあれば、それぞれ段階に応じて認めるとか、あるいは総合的に評価するようなことをそれぞれやっているというものでございます。
「中小企業に対する障害者雇用施策について」ということでは、まさに今、論点に上がっている公的な認定の仕組みのようなものもございますが、7ページでは既存のものと、あるいはこれまで研究会で御議論いただいたものを一旦整理しているものでございます。7ページの上は現状既に行っているものでございまして、例えば、こちらは今年度から行っているものですけれども、雇用ゼロ企業などに対する企業向けのチーム支援ということで、障害者の雇用経験であるとか雇用ノウハウが不足している会社、あるいは全く雇用したことのない会社に対して、ハローワークの職員がアウトリーチをしまして、実際に会社のニーズに合わせた支援計画を作成して、関係支援機関等とも連携しながら、準備段階から採用後の定着までを一貫して支援していくというものでございます。
あわせて、こうした取り組みの前提として、例えば実習を受け入れていただいた会社に対する謝金の仕組みであるとか、障害者の方がどういう働き方をされるのか、あるいはどういった能力を持っているのか、なかなか想像がつかない会社もある中で、例えばバス見学みたいなものを組んだりとか、さまざまな形で、いわゆる雇用前の準備も含めて、現状、ハローワークにおいては支援をしているということでございます。
障害者雇用人材ネットワーク事業は、独立行政法人で行っているものですけれども、事業主が雇用する障害者に対してどういった配慮を行えばいいかということがわからない場合などを含めまして、障害者雇用に知見のある企業OBなどの紹介・派遣等を行うものでございます。
加えて、ジョブコーチ支援でありますとか、あるいは報奨金ということで、これは4%または6人となっていますが、実質上、今は100人以下ですので、6人を超えてということになりますが、6人を超えて障害者の方を雇用している場合には、その超えている部分については月額2万1,000円が支給されるという仕組みも用意されております。
そのほか、一部助成金においては、中小事業主に対しては支給額を増額するような仕組みも大企業との差においては設けているところでございます。
加えて、これまで研究会において意見が出されているものとして、必ずしも中小企業支援として銘打っているものだけではないですけれども、例えば1つ目の週20時間未満勤務の障害者の方への対応ということに関して申し上げれば、これは議論としては、精神障害の方であるとか重度の身体障害の方のように、体力面だったりストレス、さまざまな事情によって20時間以上働くことが難しいけれども、短時間であれば働けるという方の選択肢をふやしていくということでお示しした議論であります。他方で、中小企業支援という観点から申し上げれば、なかなか20時間以上あるいは30時間以上の仕事を直ちに切り出したり、あるいは用意することが難しいという声もある中で、場合によっては週20時間未満からの障害者雇用というものも進めていった場合にメリットを受けることができるという意味においては、例えば中小企業においてフルタイムの仕事を現状切り出すことが難しいところへの対応というものもあるのではないかとか、2つ目の認証制度は、今、御説明したとおりで、まさにそういった会社を公的に評価する中で、そういった中小企業の取引等を円滑にしていくようなものもあると思います。あるいは在宅就業支援制度の見直しについて、こちらも障害者雇用を全くやっていない、いわゆる雇用ゼロ企業においても活用できるようにしたらどうかであるとか、施設外就労等を受け入れた場合に評価を上積みすることによって、中小企業においても、こうした発注等も含めて障害者雇用促進制度における納付金・調整金の仕組みの中で経済的なメリットを受けやすくするという観点もあるのではないかと思っているものでございます。
このあたりが、これまで議論いただいていることも含めてということでございます。
加えて、納付金・調整金についても幾つか論点が出されておりますので、中小企業に関連して、納付金制度についてということで御説明したいと思います。
8ページは、現状の仕組みについて御説明しているものですけれども、雇用率未達成企業のうちの100人を超えている会社から納付金を徴収しまして、雇用率を達成している会社に対して調整金・報奨金を支給するとともに、各種の助成金を支給するというものでございます。現状未達成の会社からは、100人を超えている会社ですから、すなわち100.5人以上の会社からは月額5万円というのがルールですが、暫定措置で、平成31年度までは100人から200人の規模の会社については月額4万円ということになっております。
そういった形で集められた納付金財政を原資にしまして、達成している会社に対して月額2万7,000円を支給しているものは調整金です。100人を上回っている会社が調整金の支給対象ですが、100人以下の場合であっても、6人を超えて障害者の方を雇用されている場合であれば超過1人当たり月額2万1,000円ということで、7人目以降について支給されることがあるというものでございます。加えて助成金を支給しております。
そうした中で、障害者雇用納付金制度の適用範囲の変遷について見ていきますと、9ページでございますが、障害者雇用納付金制度については、法律上は原則としては全ての雇用義務のある事業主に対して適用されるということになっているものでございますが、一方で、企業の負担能力の観点から、法施行時においては当分の間、300人以下の企業については、法定雇用率は適用しつつも、障害者雇用納付金の対象からは外すということにされていたものでございます。その後、平成22年、27年と2度にわたりまして、300人超であった対象企業について、200人超、100人超ということで、それぞれ適用範囲を拡大してきているのが現状の障害者雇用納付金制度の適用範囲でございます。
10ページでございますが、題名は「他国における調整金制度」となっていますが、納付金・調整金制度については、フランスとかドイツはそれぞれ雇用率の対象と納付金の対象はイコールであるということになっておりますので、フランスであれば、従業員20名以上の事業所ごとに納付金の義務が課せられることになりますし、ドイツで申し上げれば、従業員20人以上の企業ごとに納付金が対象になるというものでございます。
ちなみに、調整金という仕組みはフランス、ドイツには設けられておりませんので、そういったものはないということでございます。
今、御説明した9ページの適用範囲を拡大していく中で、11ページをごらんいただきますと、納付金の対象拡大によって雇用状況にどういった影響を及ぼしているかということでございます。左側の実雇用率の推移について見ていただきますと、緑色の200人から300人のところが平成22年を境にして納付金の対象になっているわけですけれども、平成20年以降、急激に300人から200人の範囲の企業においては納付金の対象が拡大される中において、実雇用率が引き上げられているということがございます。23年においては、短時間労働者をカウントに入れるということがあって全体として実雇用率が計算上下がっているものでございますが、その後も300人超の会社については実雇用率が急激に引き上がっている状況が見てとれるかと思います。
一方で、100人から200人の企業においては、27年を境にしまして納付金の対象になっておりますが、赤いグラフを見ていただきますと、まさに27年に向けて、100人から200人の企業においても障害者雇用の実雇用率が引き上げられていることが見てとれるかと思っております。他方で、56人から100人の企業においては、20年の時点では100人から300人の企業よりも実雇用率が若干ではございますが高かったわけですが、その後、伸び率が停滞して、今に至っているということでございます。
右側の達成企業割合も同様でして、22年を境にしまして、200人から300人の企業においては、やはりこちらも見ていただければおわかりになりますように、急激に達成企業割合がふえているというものでございます。また、27年においても、100人から200人の企業の赤いグラフを見ていただきますと、達成企業割合が急激にふえているということでございますが、100人未満の企業においては、やはりこちらも20年以前においては100人から300人のところよりもむしろ高かったわけですが、現状ではむしろ停滞した状態のままとどまっているという状況でございます。
一方で、12ページを見ていただきますと、56人から100人の会社については、もちろん全体として実雇用率はほかの100から200人、あるいは200から300人に比べると若干低くなっているわけでございますが、全体としての達成企業割合は、パーセンテージで申し上げればそれほど大きく変わるわけではございません。まさにここで申し上げているのは、常用労働者100人以下の企業においてどういった状況になっているかということでございますが、新しい2.2%において出した数字はございませんので、数字と実際の調査時点が若干ずれている部分がございますけれども、例えば下のほうの表を見ていただきますと、調査時点、29年時点での法定雇用率2%で推計といいますか、見た場合で申し上げると、29年6月1日時点で、50人から100人以下の会社で法定雇用率を達成している会社は全体の46.5%であったということでございます。そのうち一定割合の会社については過不足がゼロということでございますから、これは納付金・調整金の対象にはならないわけでございますけれども、右側にあります赤線で囲まれている25.7%、こちらについては、一部報奨金の対象になっている会社がございますけれども、全体としては超過分があるということで、仮にこれが100人超の企業であれば調整金の対象になるわけですが、100人以下の会社であるということで、納付金の対象にならない関係上、こちらは調整金の対象にもなっていないということです。
ざっくり申し上げれば、1万社弱の企業において、障害者雇用率を上回って障害者雇用しているわけですが、100人以下であるがゆえに、調整金は支払われていないという状況にあるわけでございます。他方で未達成の約53%の企業においては、未達成であるものの、納付金の義務になっていないということで、納付金を払う必要はないことになっているということでございまして、全体として申し上げれば、若干報奨金を差し引く必要がございますが、約4分の1の会社については調整金の対象にならないということが課題として言えるのではないかと思っております。
13ページですけれども、そうしたものを踏まえまして、これまで出された論点も踏まえながら見ていきますと、大きく3つ論点があるのではないかと思っております。
1つ目ですが、中小企業における障害者雇用を推進する観点からは、障害者の働きやすい環境を整備する中小企業の認証制度を創設し、企業PRでの活用であるとか、各種支援策の要件としていくことなどによって、障害者雇用に取り組んでいる企業、ここでいえば中小企業の活動への後押しを進めていくことが考えられるのではないかというもの。
加えて、これまでに議論されていた週20時間未満勤務の障害者の方への対応であるとか在宅就業障害者支援制度の見直しなどについては、フルタイムでの障害者雇用が困難であったりハードルが高いと感じている中小企業にとっても、障害者雇用や就労への取り組みが進めやすくなる側面もあるのではないかという意味において、中小企業に対する取り組みとしても見ることができるのではないかというものです。
3つ目については、こうした取り組みを進めていくとともに、あわせて、上のページにもありますけれども、100人以下の企業のうち法定雇用義務を超えて障害者を雇用する企業が全体の4分の1を占めている中で、これらの企業については、障害者雇用に伴う経済的負担を継続的に調整する仕組みが設けられていないわけですけれども、中小企業における障害者雇用を進めるためには、先ほど申し上げた取り組みに加えまして、100人超の企業と同様に、障害者雇用の取り組みに対する支援を継続的に実施する仕組みが求められているのではないかというものでございます。
具体的には、現状100人以下の企業に対する調整金の支給及び納付金の納付についても検討を進めることが考えられるのではないかということと、その際には、対象企業としては、特に平成25年以降法定雇用義務の対象となっている50人以上の規模の企業に限定して考えていくことが考えられるのではないかというものでございます。
以上でございます。
○阿部座長 ありがとうございました。
それでは、意見交換に移りたいと思います。
事務局の説明につきまして、御質問、御意見があれば御発言いただきたいのですが、毎回お願いしていることではございますが、必ず挙手をしていただいて、その後、お名前を名乗ってから御発言いただきたいと思います。
それでは、どなたでも結構です。
栗原委員、お願いします。
○栗原委員 栗原でございます。
まず、13ページの論点のところから雇用率の関係で、今までの100.5名以上を今度は50名以上にという話があります。そこで調整金が出るという話もあるのですが、現在、調整金というのは、変な言い方をすると青天井だと思うのですね。今、100.5名以上のところは、人数が多ければ多いだけ当然出ていくわけですね。何かで聞いた話でいくと、かなり高額な金額が出ている事業者さんもあると伺っているので、その辺、上限か何かができないものかなと。また、中小の場合は下がれば当然調整金をいただける対象になるわけで、それはそれで私はいいと思うのですよ。ただ、上のほうは今まで決められていないものですから、その辺がどうなのかなと。これは私だけの考えかもわからないのですが、そういうことを考えております。
それと、20時間の短時間労働なのですが、精神の場合、20時間以下だから定着率がよくなるかというと、どうなのだろうなと。精神の場合、定着は非常に難しいものですから、時間をただ短くしただけで本当に定着率が上がるのかどうかというのもちょっと疑問な点がございます。ですから、その辺もほかの方法で、ある程度の期間雇用できれば、それに対してもう少し何かインセンティブを与えるようなことをやったほうが、時間よりも効果があるのではないかなという感じがしています。いかがでしょうか。
○阿部座長 ありがとうございました。
栗原委員の最初の意見のほうですけれども、これは後半でかかわってきますので、そのときにまた御議論したいと思います。
もう一つの短時間の件ですけれども、御意見としては、ある程度の定着が図られた後のことを考えることが大事であって、そのためのインセンティブみたいなものを政策的にどう準備していくかという議論をするべきだというような御意見でよろしいですか。
○栗原委員 結構です。
○阿部座長 わかりました。ありがとうございます。
事務局から何かございますか。特にいいですか。
ほかにいかがでしょうか。
では、久保委員、お願いします。
○久保委員 育成会連合会の久保でございます。
ヒアリングのほうでも御意見が出ていますので、書かれているのですけれども、50人以下の企業とか、もっと言えばそこよりも少ない企業は、なかなか今の時代ですから一般の方の入社される方がどうしても少ないと聞いております。特にビルメンテをやっているところなどは、人手が全然足りないということをよく聞きます。今、ビルメンテをやっておられるところなどは、外国人労働者をよく雇用しておられるのですけれども、ちょっと語弊があると申しわけないのですが、外国人労働者の方は、チームリーダーみたいな方がいないと休憩してしまうというのがよくあるので困ってしまうというような話もよく聞くのです。
そういう意味では、障害者を雇用されているビルメンテのところは、障害者のほうがちゃんと働いてくれると。汚れていなかったらお掃除しないということもあるけれども、障害者の方は、ここを毎日ちゃんと来たら拭くのですよとか、履くのですよとか言うと、ちゃんと磨き上げるというような形で働いてくれるということも聞きますので、中小企業とか、または50人以下の零細企業というのですか。そういうところがもう少し雇いやすくするような仕組みがあるといいのになと思っています。
○阿部座長 ありがとうございました。
確かに久保委員がおっしゃるとおり、今は人手不足で、障害者の活用ができる場は広がる可能性があるので、そういったところにどうやって橋渡しをしていくかが大事だという御意見でよろしいですかね。ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。
では、志賀委員、お願いします。
○志賀委員 志賀です。
13ページの最後のほうに、対象企業100人以下の問題で50人以上の規模でと書かれておりますが、数字の問題ですけれども、2%のときの義務の対象が50人ということですが、2.2、2.3に上がると当然母数の問題で下がっていくのが、ここが50人と書いてあるのか、その都度義務というふうになるのかという細かい確認ですけれども、よろしくお願いします。
○阿部座長 では、御質問ですので、お願いします。
○障害者雇用対策課課長補佐 事務局でございます。
もちろん、それも含めての御議論の場ではあるのですが、趣旨としては、これまでの歴史的な経緯からすれば、法定雇用率が上がる都度、同じように下がっていくということではないのかなということと、一方で、50人ぐらいの規模感であれば、むしろ超えている会社の割合も一定程度になるという意味において、50人以上ぐらいであると、まさに調整金のメリットを受ける会社も多いという意味において、そういった対象にしていくことが考えられるのではないかという意味で申し上げていて、法定雇用率と必ずしも連動しているという意味ではないという理解です。
○阿部座長 長谷川委員、どうぞ。
○長谷川委員 福島大学の長谷川です。
今の点とも重なると思うのですが、13ページに書いてある最後の提案の納付金の対象となる事業主の規模を小さくしていくというのは、あり得る方法なのかなと思っています。御説明の中でもありましたけれども、今の制度ですと、100人以下の企業でたくさん障害者を雇用しているにもかかわらず、調整金の対象ではなくて報奨金のほうの対象ですので、なかなか報奨金が得られない。6人以上雇用しないと得られないという事業主がいることを考えると、頑張っている中小企業にちゃんと対応していくというのは重要だと思います。
他方で、障害者を雇用できるようになってたくさん雇えているところは、それでよいと思うのですが、これまで雇用してこなかった中小企業にとって、より障害者雇用は難しいのかなという気もします。やはりどこに就職するかとなったときに、大きい企業のほうが望まれる傾向は障害者に限らずあると思いますので、そういったときに、先ほどもおっしゃっていましたけれども、認証制度も一つの方法だと思いますが、それに加えて何かもう少し後押しできるような制度ができればいいのになと思って、具体的な考えがあるわけではないのですけれども、何かあるといいなと思いました。
もう一つですが、志賀委員もおっしゃっていましたけれども、50人にするかどうかのところで、どうするかは議論すればいいと思うのですが、何人にするにしても、結局、納付金の対象にならない事業主が出てくると思うのですが、そのときに4%とか6人という今の基準をどうするのかというのもここで議論するのでしょうか。そこはもう少し下げたほうがいいのかなと思っています。
以上です。
○阿部座長 わかりました。ありがとうございます。
工藤委員、どうぞ。
○工藤委員 日盲連の工藤です。
多分、私もよくわからないで発言しているようなところが自分の中でもあるのですが、今の100人以下、もしくは50人以下とか、その辺のところ、本来であればもらえるはずなのにもらえないのが4分の1くらいとありますね。そうすると、先ほどたしか100人のところでは6人以上雇用しないと、ということがありましたけれども、その基準をもっとぐっと下げてあげる必要があるのではないかと思っております。
以上です。
○阿部座長 工藤委員がおっしゃったような本来というのは、今、制度的には本来ではないので。というのは、つまり、納付金制度のもとでの調整金は出ていないという意味で、本来は出ていない。
○工藤委員 なくて当然なのですね。それはわかります。それを出るように、もっと基準を緩和してということです。
○阿部座長 それと報奨金の話はまた別の話で、多分、長谷川委員の御趣旨は、50人でもし切ったとすると、それより小さくても雇用率の対象になっている企業に対して、報奨金制度を残す場合に、その6人という基準がいいのかどうかを議論すべきではないかという御提案だと思っています。
ちょっと複雑ですけれども、多分、50人以下で、45.5人でしたか。そこで6人というのは相当厳しいだろうなということだと思うのです。だから、そこをどこに置くかというのは、また別途検討すべきではないかという御議論だと思うのです。今だと50人以上だから6人という数字で納得しているのだろうと思うのですけれども、50人未満で45.5人以上、49人のところの6人というのは重たいのではないかという長谷川委員の御示唆だと思うのです。長々と済みません。
それはどこにおさめていいかというのは、なかなかわかりにくいところかもしれませんが、そのあたりで御提案があれば、御提案いただいてもいいかもしれません。
長谷川委員、どうぞ。
○長谷川委員 福島大の長谷川です。
質問なのですけれども、今、報奨金の対象になっているのは、100人以下の企業全部ですね。ただ、6人以上雇わなければいけないので、従業員が6人とかだったら絶対に対象にはならないと思うのですけれども、7人いて7人全員障害者ですとなったら、7人目の人は報奨金の対象になるのですね。なので、45.5とかには関係なくということですね。
○障害者雇用対策課課長補佐 そうです。現状というか、報奨金自体は45.5という下限とは関係なくということになりますので、そこはそれ以下もということになります。
ただ、そういう意味で申し上げると、感覚的にという意味では、確かにより小規模のところになるので、要件を緩和してしかるべきなのではないかという議論はあるのだと思いますが、やはりもともと義務との関係において調整金というものが支給されていて、一方で報奨金自体は附則でもともと設けられている仕組みでありますし、今回何人に下がるかどうかということに関係なく、もともと40人の会社は今でも6人雇わなければ出ないということですから、そこは今回、納付金・調整金の義務が仮に下がったことによって、それ以下のところが何か変わるわけではないので、感覚的にはおっしゃることはよくわかりますし、議論としては当然あってもいいと思うのですけれども、整理としてはいろいろな考え方があるのかなと思っています。
○阿部座長 済みません。私も混乱させました。失礼いたしました。
志賀委員、どうぞ。
○志賀委員 横浜やまびこの里の志賀です。
お願いになるのですが、100人以下ということになると、やはり会社の数が非常に大きくて、平成29年度で見ると、多分、未達成企業は全部で5万社まではないのですかね。でも、4万社のうち未達成が半分ちょっとだから、きっと2万社ぐらいということで、未達成企業全体の中でも50人から100人のところが会社数からすると半分近くになるということですね。
○障害者雇用対策課課長補佐 どの規模感でも割合はそれほど大きく変わるわけでは。
○志賀委員 割合ではなくて会社数。会社数が結局それだけたくさんあるということなので、いわゆる指導対象というか、こういった対象になる会社数は数が非常に多いということだと思うのです。というのは間違いないですよね。
それを考えると、先ほどお話しいただいた実習の奨励とか、バスツアーとか、あるいは何度も出ています在宅就労の制度とか、そういった障害のある人との仕事の関係でつながりができる機会はすごく大切なのだと思うのですけれども、これだけたくさんあることを考えると、お金直接であるかどうかは別として、企業内での実習制度であったりとか、そういったものでもう少し簡便なものができたほうが、障害者とのつながりが非常に疎遠な会社のところまで2万社の中に届けなくてはならないということで、もう少し今までのところを積極的に何かないと、なかなか難しいかなというのが印象でした。
以上です。
○阿部座長 ありがとうございます。
これは多分、長谷川委員が先ほどおっしゃったことと関連すると思いますが、単に調整金・納付金制度を入れてインセンティブを与えるだけではなくて、ゼロ企業に対してもっと幅広い手当てをすることですね。多分、事務局のこのペーパーで行くと、大企業の配置型ジョブコーチを関連会社へ派遣したり、あるいはそういったいろいろなやり方をして、ゼロ企業をなくす取り組みをしていくべきだということだと思うのですが、現状でも雇用率の対象になっている企業は、調整金・納付金制度が入る、入らないにかかわらず、本来であれば雇用率達成を目指す必要があるわけですね。
ただ、これを機にさらにいろいろな仕組みを整えて、障害者雇用率を達成できるようないろいろな情報提供をしたり、あるいは実際のやり方をジョブコーチが教えに入ったりすることが必要だろうということで、御意見として承りたいと思います。ありがとうございます。
ほかはいかがでしょうか。
では、本條委員。
○本條委員 みんなねっとの本條です。
主として納付金を財源にしているわけですから、統一されたシステムが必要だとは思いますが、やはり大企業と中小・零細とは経営基盤も全然違うわけでありますので、一度制度設計を見直していただいて、規模別に納付金の金額、さらには全体としての雇用率はそのままいくとしましても、そこに何らかの差をつけることも必要ではないかと思います。実質的には現在でも45.5人以上雇用しないといけないわけでありますけれども、納付金は100人以上になっているわけですね。そういうところを工夫して、これからさらに雇用率は上がっていく可能性が強いわけです。義務としては残っているとしても、納付金で一律に100人ということではなく、何人まではそれについては免除される、それからパーセンテージで工夫をしていくとか、そういうことも考えていったらいいのではないかと思います。つまり、例えば大企業においては納付金を現在の5万円よりもう少し上げるとか、何人以下のところは5万円より下げるとか、制度上非常に整合性がとれていないと思いますけれども、そういう工夫もあってしかるべきではないかと思っております。
もう一点ですけれども、ヒアリングで出された中小企業における最初の○の5つ目のポツに、複数の零細企業での雇用をカウントできる仕組みを工夫するとよいのではないか。私もこの意見に賛成であって、現在のところ、雇用契約でありますから、こういうことはできないわけでありますけれども、何かそういう方策はないものかと考えております。
以上です。
○阿部座長 ありがとうございました。
工藤委員、どうぞ。
○工藤委員 今のことで教えてほしいのですが、零細企業の場合に複数の企業が協同組合みたいな形で、要するに零細企業が複数寄せ集まって、その雇用の数を合算して、それで雇用率をということなのでしょうか。
○阿部座長 工藤委員、それは本條委員への質問でよろしいですか。
○工藤委員 というか、事務局の説明の中に、零細企業のところで先ほど聞いていて、それがどういう意味なのかなということを気にしていたのです。そうしたら、ちょうど本條委員が今、多分それに関連する質問というか御意見だったので。
○阿部座長 わかりました。
これはヒアリングで出た意見でありまして、ヒアリングの際に、零細企業の場合は単独での雇用については中小企業よりも負担が大きいので、複数の零細企業での雇用をカウントできる仕組みを工夫するとよいのではないかということで、具体はまだはっきりと事務局で何か持っているわけではないのですよね。だから、例えばそういった協同組合方式でできるのであればという御意見があれば、それは御意見として承りたいと思います。
○工藤委員 そういう意味ですか。わかりました。
○阿部座長 どうぞ。
○栗原委員 栗原です。
認証制度の件なのですが、先ほどかなりの認証制度がありますということで、私も勉強不足で、こういうものがあるのだなと思ったのですが、ユースエールとかえるぼし、何か余り我々中小と縁がないような制度だなと思いながら見ていたのですが、これは中小でもかなりとられている企業があるのでしょうか。大企業さんは当然とられていると思うのですが、それなりのスタッフもいらっしゃるし、組織でとられるのだろうと思いますが、中小でこういう認証制度にチャレンジして取るところはどのぐらいあるのかなと。また、取ったということで中小がインセンティブを持てるのかなというのが1つ。
また、これはお願いになるかもしれないのですが、先ほど中小が障害者を採りやすい制度を検討するという話を冒頭で言われていましたよね。言われていませんでしたか。私の聞き間違いかな。中小が採りやすい制度。
○阿部座長 採りやすいというか、障害者雇用を促進している中小企業の認証制度。
○栗原委員 そうですね。それで、中小が採るには、例えば今、経営状況がちょっと悪いとだめだとか、いろいろハードルが高い部分があるのです。ですから、長く雇用をしている企業さんが、これはすばらしい企業が幾らでもあると思うのですが、ちょっとしたことでそういう企業が対象にならないということがあるので、できれば経過だとかも踏まえて、中小の場合はハードルを少し下げていただければなと、これはお願いでございます。
○阿部座長 ありがとうございます。
それでは、最初のほうに御質問がありました。中小企業は既存の認証制度をどれぐらいとっているのかということと、認証制度をとったことによってどのようなメリットがあったのかという御質問だったと思いますが、お願いいたします。
○障害者雇用対策課課長補佐 お答えします。事務局でございます。
どのぐらいとっているのかという意味では、5ページの、例えば中小企業に限定しているということで申し上げれば、一番上のユースエールというのは若者の話ですけれども、これは209社ということで記載があります。これは平成29年6月時点ということで昨年度の数字になりますが、制度ができたのが28年ですから、約1年半でこれぐらいになっているということでございます。
具体的にどういったメリットがあったのかというのは、まさにどういうメリットをこの認定の中にそれぞれ組み込むかということとも連動してくるわけでございますけれども、ここに書いてあるような形でそれぞれメリットがあるということだと思います。
あと、まさにどういった形で広げていくかというのは、広げ方というのもあると思いますけれども、厚労省において過去にもそういう認証みたいなものに取り組んだこともあると思いますけれども、そういったものがなかなか続いていかない中において、継続的にやっていくことで広げていくということもありますし、それは当然、事業主団体を含め、各団体の御協力を得ながら、そういった企業の取り組みを認証制度なども含めてどう広めていくかということともかかわってくる問題かと思っております。
○阿部座長 よろしいでしょうか。
工藤委員、どうぞ。
○工藤委員 日盲連の工藤です。
先ほど座長から、零細企業の場合、もし協同組合方式とかそういうことがあったら御提案をということだったので、今ふと考えてみると、視覚障害者の、これは一人親方と言っていいのかもしれませんけれども、本当に中小企業、零細もいいところで、1人、2人であん摩・はり・きゅうの自営ですね。今、それが非常に厳しい状況にあって、でも、この前のハローワークの就職状況を見ると、そうは言いつつも視覚障害者の就職状況は、24年から29年3月末を調べてみたら、何千人とあったのが今度は2,000人に減っていまして、なおかつ就職者の過半数があん摩・はり・きゅうなのです。専門的・技術的職業。これはハローワークが取り組んだ就職者の件数なのですけれども、これは自営開業しているあはきに依存しているということをあらわしていると思うのです。そういう意味では、自営開業している視覚障害者のあん摩マッサージ指圧師だとか、それらも含めて共同で、零細の自営業者が、協同組合がいいのか、そういう組合のようなもの、何か団体のようなものをつくって、それを全体として雇用率のことだとか、雇用制度の中で少しリンクしていけるのかなと思いましたので、自営開業している人たちも今のところにぜひ含んでいただいて、検討していただければと思います。
以上です。
○阿部座長 ここで問題にしているのは雇用の話なので、自営業者が雇用をするケースであれば理解できるのですが、どういう構造をお考えになっているのか今の御説明ではよくわからなかったのですけれども、例えば自営業者の方が障害者を雇用するという話なのか、それとも自営業者が集まった組合に対する助成みたいなことを考えたのか、ちょっとそこが私は理解できなかったのです。
○工藤委員 協同組合だとか大きな母体が個々の自営をやっている人たちを、いわば一人親方だと思うのです。いろいろな働き方があるわけで、その人たちが、多分、視覚障害者のあん摩・はり・きゅうの実態、将来的に見ていくと非常に厳しくて、それに依存せざるを得ないという現実はあるのですけれども、今、それを援助する手だてがないわけです。ですから、協同組合が個々の自営業者を雇用するとして、そこに雇用されるというふうにみなすことができれば、雇用関係ということで解釈もできないのかなという意味です。
○阿部座長 工藤委員がおっしゃったことは私なりに理解しましたが、それは多分、ここの議論というよりは、会社形態だとか、そちらがどうなっているかという話かなという気がしました。協同組合とかをおつくりになって、協同組合というか会社組織にして、その会社組織の中でお一人お一人をお雇いになって、一つの企業体にして、それで認証してもらうとか、そういう話かなと思ったのですけれども、それはそのようにおやりになればいいのかなと。今現在でも不可能ではないような気がします。ちょっと、こればかり議論していてもしようがないので、済みません。
というよりは、むしろ、通常のと言うと変ですけれども、既存の零細企業が集まって何かできないかということがヒアリングでは出てきた話だと思うのです。
ほかにはいかがでしょうか。
加賀委員、どうぞ。
○加賀委員 障害者の立場からなのですけれども、本当に中小企業の方々がとにかく障害者の面倒を見ようという形でたくさんやっていただいているのですが、まだまだ、それこそ報奨金や調整金がもらえるうちは障害者を使ってやるけれども、それが終わると首にするようなことがあったり、大きな会社ならまだいいのですけれども、本当に中小企業の小さな会社のところは特にそういうことがあるのです。3年たったらどうにも間に合わないから何か理由をつけてやめさせて、また新しい人を入れて報奨金をもらうとか、そのような企業が現にあるのです。うちの地元では、私が障害者団体の役で知的障害の子たちを全面、全て障害者を雇用して仕事をしていますけれども、報奨金に対しては、我々は真面目に障害者ばかり使っているから報奨金はたくさん欲しいなと思いますけれども、よその会社ではそういう形をとっているところもあるものですから、やはり障害者が就職することは本当に難しいし、手足が悪いほうはまだいいのだけれども、知的障害の子の仕事というのはなかなかなくて、今は知的の子も扱っておりますけれども、大変だなと思います。
そういうことで、本当に障害者のためにこうやってお考えいただいていることは、私にとってはありがたいことだと思っております。済みません。
○阿部座長 多分、加賀委員の御意見としては、こういった報奨金が悪用されたりしないようにしてほしいという御要望かなとお聞きしましたけれども、よろしいでしょうか。ありがとうございます。
その他、いかがですか。
全体的な印象としては、障害者雇用調整金・報奨金を100人以下に落としていくということは、一部免除ですとか、いろいろな仕組みはあるとしても、一定程度必要なことではないかと。ただ、それだけではなくて、その他のいろいろな取り組みも含めて、特に中小企業の障害者雇用を促進していくことが必要だというのが皆様の御意見かなと思っております。さらに、認証制度も一定程度効果があるようなことを御議論いただいたのではないかと思います。
それでは、後でまた御意見がありましたら戻るとして、資料の後半部分につきまして御説明いただいて、後半部分も含めて議論をしたいと思います。
事務局から、資料1の後半部分について御説明をお願いします。
○障害者雇用対策課課長補佐 事務局でございます。
後半、14ページから論点3「その他、制度の在り方について」ということで、前半と分けていたものですから若干混乱をしてしまったかもしれませんが、後半を御説明したいと思います。制度のあり方につきましては、今週と次回も含めて御議論いただきたい点がございますが、今回は前半の中小企業の納付金・調整金にあわせて、調整金の関係に絞って制度のあり方を御議論いただきたいということで資料を用意しております。
それでは、16ページをごらんいただきたいと思います。前半でも障害者雇用納付金あるいは調整金・報奨金についてそれぞれ幾つか論点を挙げていますので、再掲のものが多いですが、改めて御説明申し上げますと、障害者雇用納付金については、最初のポツとしては、雇用率未達成の際の納付金額を大幅に増額してはどうかとか、あるいは先ほども御意見で出たことと連動するのかもしれませんが、事業規模によって基準を設けてはどうかとか、大企業には適正な規模を求めるべきだということ。障害者雇用納付金について、再掲ですけれども、100名以上ではなくて義務と同水準に拡大すべきではないか。納付金が、障害者雇用に当たって事業主間の経済的負担を調整することを目的としているのであれば、金額を引き上げる必要があるのではないかというような意見がありました。
調整金・報奨金については、就労継続支援A型事業所、これは福祉サービスにおける雇用のタイプですけれども、それについては障害福祉報酬と労働政策の双方から支援措置が講じられているが、その利用者については通常の一般雇用とは異なっていることから調整金・報奨金の対象から除外することが考えられるのではないかとか、納付金財政の支出のうちの調整金が占める割合が非常に高いことを踏まえ、企業に対するさらなるインセンティブを付与する観点からも、調整金を一律に支給するのではなく、法定雇用率を超えて雇用されている障害者数の割合に応じて支給額にめり張りをつけてはどうか。あるいは厳しい経営環境に置かれている中小企業における障害者雇用がさらに進むよう、報奨金、調整金の額を増額することも検討すべきではないかという御議論をいただいているところでございます。
17ページ以降を御説明申し上げますが、17ページは会社の規模別の納付金と調整金のそれぞれの納付額の割合、あるいは調整金における支給の割合を整理しているものです。ただ、1点だけ御留意いただきたいのは、数字として適切にといいますか、比較対象になり得るために、現状、200人以下の会社は納付金の額が4万円ですけれども、これは再来年には5万円になりますし、ほかの水準が全部5万円で納付いただいているということもございますので、100.5から200人のところについても、この割合を計算する上では5万円ということで納付金を設定して計算しています。その1点だけは、若干数字を調整していることを御承知おきいただければと思っております。
全体を見ていただきますと、1つ目の○にありますけれども、障害者雇用納付金と調整金について、従業員規模が1,000人以下の企業については、100から200、200から300、300から500、500から1,000ということでそれぞれ細かく分けておりますけれども、そのいずれの規模についても、いわゆる規模別の納付金の納付額と調整金の支給額の割合に大きな差は生じていないという形になっております。大体、納めている会社に対して4割から5割ぐらいの会社が調整金を支給されるという割合になっていまして、そこはある意味では、先ほど御議論いただいている100人以下についても、50人から100人ということであれば、ほぼ同水準ということになるかと思っております。
他方で、他の規模に比べまして、1,000人を超えている規模については調整金の支給を受ける割合が非常に多くなっていて、構造的に申し上げれば、1,000人以下で障害者を雇用していない会社の納付金が1,000人超の大企業の障害者を雇用している企業に対する調整金を支える構図になっているというのが現状の全体像としては言えるのではないかと思っております。
18ページ、19ページは2つ連続する資料でございます。見ていただきますと、これは若干わかりづらいといいますか、複雑な資料であるのですが、趣旨としましては、1つ目の134億円、84億円で合計218億円となっているところで御説明しますと、これは20人以上と20人未満、19人までで整理していますが、左側の134億円というのは、調整金をもらっている会社のうち超過人数が19人以下の会社。超過人数が1人であるとか、2人であるとか、比較的超過人数が小規模の会社に対して払われているお金が全体の約6割の134億円であるということ。他方で、超過人数が20人以上、20人あるいは20.5人、21人ということで相当数の方を超過して雇用している会社に対して払われている調整金の額が84億円で、全体の4割ということでございます。
そのうちの点線で囲まれている超過20人以上の分、54億円というのは何かと申し上げますと、いわゆる1階、2階、3階、4階と見ていきますと、実際には、例えば23人雇っている会社であっても当然、20人分までで払われているお金と、20人以上分といいますか、21人から残り3人分について払われているお金があるわけです。この20人以上超過している会社に払われている調整金のうち、84億円のうちの54億円ですから、その中で見れば6割以上ということになりますが、それについてはさらに20人を超えている雇用分について払われているお金であるということです。全体で申し上げれば、218億円分の54億円については、20人以上超過して調整金をもらっている会社のうちの、さらに20人目以降についてもらっているお金ということで、かなり集中的に一部の会社に払われているというのが調整金の、20人を集中と捉えるかどうかはそれぞれ見方があるかもしれませんが、そういう形になっているというものでございます。
その下、50人以上超過する企業については、もちろん20人から見れば縮小するわけですが、それでも全体の12%が超過50人以上の分ということで、50人以上超過して雇用している会社のうちのさらにその50人目以降といいますか、50人目、51人目に対して払われているお金が27億円あるということでございます。
これ全体で見ますと大体こういった形になりますが、大企業に限定して見ますと、これは法定雇用率という仕組み上、ごく自然と言えば自然でありますが、全体72億円の調整金のうちの46億円は20人以上超過する企業への支給であって、かつ超過20人以上の分が30億円になっているということで、全体と比較しますと大分集中している様子が見てとれるというものでございます。これを50人以上ということにしますと、全体72億円のうちの14億円で、約2割が50人以上超過する企業のうちのさらに50人目以降について支給されている額ということでございまして、全体としても集中はしているわけですが、大企業については全体の中でも集中している様子が見られるということでございます。
19ページの上2つは、中小企業ということで300人以下に限定していますが、これはある意味、大企業の関係とは裏表というものでございますから、全体として見れば中小企業については、これはごく自然な部分もあるかもしれませんが、20人以上、あるいは50人以上ということで集中して支給されている額は、大企業に比べると非常に少なくなっているということでございます。
ただ、この中で限定的に中小企業のうちの社会福祉法人ということで見ていきますと、集中する度合いは大企業と同じになるということでして、例えば中小企業であってかつ社会福祉法人に払われている調整金ということで申し上げれば30億円になるわけですが、そのうちの54%が20人以上超過する法人に支給されているということで、かつ、そのうちの11億円は超過20人分以上について払われているということでございます。
これは50人以上についても大企業と同様の集中の程度が見られるというものでございまして、社会福祉法人ということで、もちろん介護施設等を行っていらっしゃるということもあるわけですから、全体としてすべての傾向に合致するわけではございませんが、多くの場合においては就労継続支援A型事業所を運営されている場合に、利用者である方が一方では雇用者であるということで、利用者かつ雇用者ということで調整金が支払われているケースが一定割合を占めているのだろうと捉えているものでございます。
他方で、20ページ、21ページをごらんいただきますと、これは16ページで論点としてお示しされているということで我々のほうでも資料を用意しておりますが、障害福祉報酬と労働政策の双方から支援措置が講じられているということで、趣旨としてはこういうことであろうと思いますが、就労継続支援A型事業所の経営状況について申し上げれば、法人単位ではもっと多い場合もあると思いますが、1事業所における平均利用者数が18人ということで、大体平均で考えますと、20ページ右下にありますとおり、A型事業所が受け取る基本報酬としては約240万円が想定される。全体として年額約3,000万円弱が、A型事業所に福祉報酬のほうから支払われているというものでございます。
21ページは、実績をもとに単純な割り算を行っていきますと、やはり同様の額が出まして、月額で一番右下は200万円となっております。報酬額ということで83億円が支払われていますが、83億円を4,000事業所で割りますと約200万円ということで、年間2,400万円になりますので、想定されている額と同程度の額が実際にアベレージで払われているということかと思います。
先ほど既に出されている論点としては、まさにこういった障害福祉報酬のほうから約3,000万円が支払われている中で、調整金等の仕組みまでを入れることについてどうかという御議論だと思っております。
最後に22ページですけれども、こちらは5年に1度、納付金と調整金の額を算出するときにハローワークのほうで各事業書にアンケートをとっているものについて、より分析といいますか、より数字を並べていくとどうなるかというものでございます。これはあくまでも1事業所において何人雇っているかということですので、会社において何人雇っているかということとは必ずしも合致しないケースがございますけれども、1人目から3人目については約5万円が必要であるということで、まさにこれを基準として5万円という納付金の額が設定されているわけですが、その後、4人から13人、14人から23人ということで、上下ばらつきはございますけれども、人数が多くなればなるほど、全体としては1人当たりに必要な額が逓減していく傾向にあります。この額自体は、サンプル数も限定されていますので、あくまでも参考指標として見ていただく必要があると思いますが、いずれにしましても、1人から2人、3人ぐらい、あるいは10人程度のところと比べまして、相当数雇用している場合には1人当たりの費用は低減するということが言えると捉えております。
23ページですが、そういった御意見を踏まえて我々のほうで論点を幾つか整理しておりますので、こういったものも踏まえながら御議論いただければというものでございます。
○の1つ目としましては、障害者雇用調整金については、社会連帯の名のもと、障害者雇用に係る設備整備等の特別な費用負担を社会全体で調整するという目的を超える支給となっている部分もあるのではないかというところが、今、示されたデータから言えるのではないかと思っております。特別費用調査の結果においても、基本的には、より多くの障害者を雇用する場合の追加的費用は逓減していくことを前提にした議論をすることが考えられるのではないかというのが1つ目です。
2つ目ですが、大企業の場合には障害者を雇用する前提である経営基盤が既に比較的安定していることなどから、一定人数分を上限とすることが考えられるのではないか。また、就労継続支援A型事業所については、障害福祉サービスの報酬として運営費を投入されていることなどを踏まえると、調整金を全額支給することとしている現行のルールについて、どのように評価すべきと考えるか。
最後、これらの大企業等に支給されていた調整金の原資を活用して、週20時間未満勤務の障害者の方、あるいは在宅就労・施設就労に対する発注の促進を含め、中小企業における障害者雇用の促進のための環境整備等を着実に進めていくための財源に充てていくことによって、障害者雇用ゼロ企業を減少させるなど、障害者とともに働くことが当たり前の社会にしていくための取り組みを一層進めていくことが考えられるのではないかということで論点をお示ししております。
事務局からは以上でございます。
○阿部座長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明に関連して、御質問、御意見がございましたら、御発言ください。
栗原委員、どうぞ。
○栗原委員 栗原です。
ただいまのお話の中で、やはりA型がかなり俎上に上がっているということで、そのことにつきましてお話をさせていただきたい。
A型については、確かに福祉関係と一般の労働関係両方からいただくというのは問題があるなという感じがいたします。それと、もちろん納付金はないと思います。あと、調整金もあまり該当する事業所さんはないのではないかと思うのですが、報奨金については、ちゃんとした一般の事業所と同じような形態で運営をされているところは対象にしてもいいのかなと。ただ、それ以外のところにつきましては、4,000社というのはどの程度の中身かわかりませんけれども、一般企業と同じような運営をされていないところについては、やはり報奨金というのは出すべきではないと思っております。
以上です。
○阿部座長 ありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。
長谷川委員、どうぞ。
○長谷川委員 福島大学の長谷川です。
今、栗原委員がおっしゃったように、A型の中でも支給対象とすべきA型も確かに一部であるのかなと思っています。ただ、最初に厚労省のほうから御説明がありましたように、障害者総合支援法のほうからもかなり給付が出ていますので、それとの調整は必ずしないといけないのかなと私も思っています。
ただ、栗原委員がおっしゃったような一般の企業と同じような形で経営しているA型なのか、そうでないA型なのかというのは、そんなに簡単に見分けがつくようなものなのでしょうか。そこが私は実態がわからなくて、どうなのでしょう。御存じでしたら教えてください。
○栗原委員 栗原です。
例えば、自分の親会社があり、そこの子会社でA型があるところは、品物の流れというのはある程度決まりますね。あと、例えば全然何も自分のところで生産していない、ただ受注を待っているだけとか、そのような流れに乗っていないというのですか。事業形態がなかなか危ういというのですかね。基盤がしっかりしていないところについては、助成金を頼りにやっているというようなイメージしか私は持てないのです。ですから、子会社でなければいけないというのではなくて、ちゃんとしたルートから仕事を得て、それをこなしているような事業所については、それは私は補助金の対象にしてもいいのかなと思います。いうことで、わかるかわからないかというのは、それはわかるのではないかなという気が私はするのですけれどもね。
○阿部座長 長谷川委員、どうぞ。
○長谷川委員 ありがとうございます。福島大の長谷川です。
おっしゃったところはわかるのですが、他方で、親会社があって、経営基盤もしっかりしているのであれば、お金は要らないのではないかと。助成金というか、報奨金とかの対象でなくてもよいのではないか。特に大企業とかが後ろにいるようなA型事業所に、果たしてこういう形でお金を入れることが必要なのかというのは、またちょっとそこも議論すべきところなのかなとは感じました。
ただ、原則に立ち返れば、雇用形態であることに対し、納付金とか調整金が払われるのだったら、おっしゃりたいこともよくわかるのですが、そこには素直にそのとおりですねと言えないもやもやがあります。すみません。
以上です。
○阿部座長 栗原委員がおっしゃったことはそのとおりなのかもしれないけれども、長谷川委員がおっしゃったような問題点もありますし、また、区別するのは難しいだろうというのと、あと、多分実際にこれを運用することになると、行政側としても的確に運営していくのはかなり難しそうだなという気は、お話を聞いていて個人的には思いました。それはやってみないとわからないというのはあるかもしれませんが、どこまでをいい事例で、どこまでが対象にならない例だというのを厳密に区別することになると難しいかもしれないなと思いましたけれども、そこをどのように線引きするかという工夫が必要かなと思いました。ありがとうございます。
その他。
栗原委員、どうぞ。
○栗原委員 言い漏らしましたけれども、あともう一つ、やはり働く時間もあると思うのです。例えば、A型ですと6時間ですね。6時間フルに働くのか、または4時間なのか、3時間なのか、2時間なのか。それは時間でもある程度判断ができるのではないかと思っています。
○阿部座長 ありがとうございます。今みたいな時間とかそういうのだと、非常にわかりやすいとは思いますけれどもね。失礼しました。
その他、いかがでしょうか。今、A型事業所の話がありましたけれども、先ほど青天井の話もありましたので、そのあたり、もしあれば。
工藤委員が何か先ほどおっしゃりたかったかもしれませんので、では、工藤委員、お願いします。
○工藤委員 その前に、やはりA型については、大量解雇の新聞報道なども結構あったりしますので、現状のままでいいとは私も思わないです。最初、就労継続A型とか、就労移行支援とかができたときに、これはいいなと思ったのです。本来、福祉の延長ということで、福祉法人とかそういうところが運営して、もともと障害者のことを何とかしようというところで設立された法人が、就労移行、就労継続というふうに運営していく。そういう形で広がっていくのかなと思っていたら、何年かして、例えば、私は千葉のほうに住んでいますけれども、就労継続Aというところ、民間企業、要するに営利を追求するところのほうの比率が7割とかで、本来福祉サイドから出発したところが逆転してしまっているのです。そういうところで、やはり助成金の切れ目が縁の切れ目みたいな感じがあったりとか、ちょっとだけでも顔を出してほしいとか、本当に働いているのかなという疑問も確かにあります。ですから、もし雇用のほうからの報奨金などが断たれたら経営が行き詰まってしまうということであれば、基本的にはもう少し福祉のほうでカバーすべきことかなと思いました。
それから、調整金です。青天井というイメージは、私は、例えば、障害者に対するコスト、費用の計算で1人5万円ということですね。それが人数が多くなるにしたがって逓減していくということですので、大企業だとかたくさん雇用しているところは調整金が一律2万7,000円ということですね。その金額についても逓減していくような仕組みがあってもいいのかなと思いました。
以上です。
○阿部座長 ありがとうございました。
ほかにいかがですか。
では、志賀委員、久保委員の順番でお願いします。志賀委員、どうぞ。
○志賀委員 志賀です。
A型の話が出ましたので、長年、障害者の就労支援に携わっている立場から少しお願いといいますか、要望がございます。もちろん、A型自体で生産性、あるいは雇用されていてもしっかりとした雇用管理がされていないとかいろいろな話題が出ていて、最近、退出するA型事業所も大分出てきたということで、その辺の問題は適切にやっていかなくてはならないと思うのですが、障害者自立支援法ができる前に、重い障害の方も含めて日中の場に38万人ぐらいしか利用されていなかったのが、既に60数万人、12年間の間に倍ぐらいにふえているということで、A型の役割もそれなりに就労支援の中にはあると思うのです。特に障害福祉のほうでは会計の問題、短時間に対する報酬の減額等が最近打たれたばかりで、それに対する影響もこれから出てくるなというところで、今、現実的には、調整金・報奨金等をプラスして熱心にA型をやられている事業所があるのも実態だと思いますし、それは以前からやっていたもので、急激にというのはなかなか難しい。本来の筋としては両方というのは確かにそのとおりだと思うのですが、これにつきましては、雇用のこちらだけではなくて、障害福祉のほうと実際の運用のほうを少し詰めて検討していただければなと思っております。
以上です。
○阿部座長 ありがとうございました。
では、久保委員、お願いします。
○久保委員 育成会の久保でございます。
今、志賀委員のおっしゃったことと同じような意見を持っておりまして、確かにA型で20人ぐらいのキャパの建物であるのに、短時間でオーケーとなりますと、午前と午後に人とごろっと入れかえて40人を見ている。そして、3年ほどたつとやめざるを得ないように持っていくというような株式会社、民間企業からのA型事業所もありますので、そういうところは私たちも問題だという話をしておりまして、厚労省の障害福祉のほうで今、見直しをしながら、きゅっと締めるようなことをしていただいていますので、少し様子を見ていきたいなと思います。一生懸命真面目にやってくれているA型事業所もたくさんありますので、そういうところに余り大きな影響がないようにしていただきたいなと思っております。
もう一つは、調整金とかそういう部分ですけれども、全体の仕組みをもっと見直してみたらどうかと思っていまして、今のままでどんどんいって、持続可能なのかしらということをちらっと考えています。全体をよく見て、仕組みを少しずつ調整していくことが必要ではないかなと、どうしたらいいかというのはよくわからないのですけれども、そのように考えています。ありがとうございます。
○阿部座長 ありがとうございました。
ほかに。
では、本條委員、どうぞ。
○本條委員 本條でございます。
2点あります。1点は、A型事業所についてであります。確かにそういう問題もありましょうが、1つ誤解があるように思います。訓練等給付というのはあくまでも利用料に対する補助金なのです。ですから、施設としては、利用者からいただいた対価に対するサービスを提供しなければいけないのであって、それはB型事業所、あるいは就労移行支援事業所においても、むしろA型は少ないと思います。その金額でやっておられるわけでありますから。もちろんその金額がどうかということは、ここで議論するということもいいのですが、やはり障害保健福祉とよく打ち合わせをして、本当にその訓練等給付が妥当なのかどうか、それを検討すべきではないかと思っております。
もう一点は17ページでありますけれども、これを見ますと、1,000人を超える企業から納付金は15%、障害者雇用調整金を給付するほうは31%になっております。もちろんこれは制度上、そのようになっているわけでありますけれども、大企業は経営基盤も強いわけでありますから、もう少し御負担していただいて、その手法をどのようにしていくか、私に適切な知恵があるわけではありませんけれども、上限を設けるとか、あるいは納付金、調整金の額を調節するとかして、できるだけ頑張って障害者を雇用している中小企業の方に手厚く行き渡るように工夫が必要ではないかと、先ほどはそういう意見だったわけであります。
○阿部座長 ありがとうございます。
では、栗原委員、どうぞ。
○栗原委員 最初に私が言った内容と同じような話が出てきたのですが、今のお話のように、やはり調整金というのはある程度で上限を決めたほうがいいのではないかなと。雇用している障害者の人数でやるという手も一つあると思うのですが、そこである程度とめていただいて、その分を今お話しのように中小のほうに回していただければ、私はそちらのほうがいいのではないかと思っております。
ですから、先ほど冒頭で青天井と言いましたけれども、このままでいくと、億単位のお金をいただいている企業さんもいらっしゃるわけで、人数に応じてそれがふえていくというのも、こういう方法はいかがなものなのかなという感じがしているものですから、そのようなお話をさせていただきました。
以上です。
○阿部座長 多分、工藤委員、本條委員、栗原委員、その他の委員もおっしゃったかもしれませんが、お話を聞いていると、調整金については2つあるかなと思っていまして、工藤委員や本條委員がおっしゃるように、人数あるいは企業規模に応じて調整金の額を変えていくことが一つ考えられるかなということです。
もう一つは、栗原委員のように、ある人数で上限を決めてしまって、それ以上は何人雇っても調整金は人数に応じては支給しないというやり方もある。例えば、18ページ、19ページなどを見ると、人数の多い一部の企業に調整金が多く支給されているという現状を考えると、頭数である程度切ってしまって、そこで支給するというやり方もあるかなと思うのです。
いずれにしても、多分、皆さんがおっしゃっているのは、一部の大企業よりもというか、中小企業により調整金を使っていただくことで、中小企業の障害者雇用を促すべきだろうということでいいのかなと思っていますが、方策としては、調整金の額を人数に応じて変えていくやり方とか、一方で頭数で上限を切ってしまうやり方があるということかと思います。
それから、A型事業所については、いろいろと御意見がありました。福祉と雇用といったところで、そこでどのようにA型事業所の報酬というか、A型事業所が経営していくかといったところでいろいろと議論すべき点はあるのかなというのは、本條委員が言われたところでございます。また、さらにA型事業所で2つに類型化できるかどうかわかりませんが、一生懸命やっているところと、必ずしもそうではないところと2つあって、いいところにはもっともっと伸ばしていったほうがいいのだけれども、そうではないところで特に調整金や報奨金をどうするかということを考える必要があるというような御議論だったかと思います。
久保委員がおっしゃるとおり、栗原委員もおっしゃっていましたが、時間で区切るというのも、いい、悪いを識別する一つかもしれませんが、実際のところ、本当にそれだけでうまく切り分けることができるかというとなかなか難しいところもあります。ただ、いずれにしても、皆さんの御意見は、いいところはどんどん伸ばすべきだし、そうではないところはできれば労働市場から退出してもらったほうがいいというような御意見かなと思っております。これは加賀委員が先ほど言ったことと関連するかもしれません。
その他、全体を通してでも結構ですが、前半部分、後半部分を含めて、もし御議論しておきたいところがあれば御意見を頂戴したいと思います。本日、全般的には中小企業における障害者雇用の促進ということですので、きょう出てこなかった論点についても、もしあれば御発言いただいても結構かと思います。
栗原委員、どうぞ。
○栗原委員 栗原です。
A型、A型といろいろお話ししましたけれども、私は、A型というのは必要論者なのです。ただ、A型で何を必要とするかというと、やはり一般企業で雇用している、ある程度年数を働いて年齢を重ねた人の受け皿にもA型を使っていただきたい。再度訓練して、ほかの位置づけでA型を私は必要としている。
それと、A型で働けるというか、一般企業で十分働ける人を、どこかの理事長さんが囲い込みというようなことをおっしゃっていましたけれども、それをやったのではA型としては意味がないと私は思っていますので、必要ですけれども、流れの中のA型というのは今の形態が違うなということで、実際は必要であると私は思っています。
○阿部座長 ありがとうございました。
加賀委員、どうぞ。
○加賀委員 今、A型は必要であるということを言われましたけれども、A型を卒業したのを私たちは雇用していますが、A型はもう少ししっかりやらなければだめだね。私に言わせると、A型だったら表へ出てきて普通の企業と一緒にやるのだという勢いを持ってくればいいけれども、私に言わせれば、まだまだ甘いですね。
それから、中小企業の方々が自分のところの会社の下請みたいなA型をつくって、自分のところの仕事をやらせていて、調子が悪くなると就労の雇用をやめてしまって、福祉雇用のB型にしてしまうような形をとっているものですから、A型とかB型という認可をおろすのをもう少し厳しくしておろしていただけるといいのではないかと思うのです。金のある会社がいいように障害者を雇用して、A型、B型を勝手につくって、A型で費用がおかしくなると、A型をやめてすぐB型に変わってしまう。そういうのは目に見えて現実にありますので、障害者を利用した雇用の仕方があるものですから、この許可をおろすのにもう少し厳しく許可をおろしてあげるといいのではないかと思います。
以上です。
○阿部座長 ありがとうございました。
ほかにはいかがでしょうか。特によろしいですか。
多分、論点はざっと議論したかと思いますが、もし皆様からこれ以上御意見がないということであれば、本日は終了としたいと思います。
本日、委員の皆様からいただいた御意見については、事務局で適宜取りまとめていただいて、今後の議論に反映させていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
また、本日の議論につきまして、事後的に生じた質問あるいは御意見等がございましたら、事務局に御連絡をいただければと思います。
それでは、次回の日程について、事務局から説明をお願いします。
○障害者雇用対策課課長補佐 事務局でございます。
次回、第13回につきましては、来週29日金曜日午前10時から、厚生労働省専用第21会議室、17階において開催する予定でございます。よろしくお願いいたします。
○阿部座長 ありがとうございました。
本日もお忙しい中をお集まりいただきまして、ありがとうございました。それでは、これをもちまして、本日の研究会は終了させていただきます。