第1回がんとの共生のあり方に関する検討会(議事録)

健康局がん・疾病対策課

日時

平成31年3月13日(水) 17:00~19:00

場所

厚生労働省 9階 省議室

議題

(1)緩和ケアの質の向上策
(2)多様なニーズを踏まえた相談支援及び情報提供の質の向上策
(3)その他

議事

 

○事務局 定刻となりましたので、ただいまより、第1回「がんとの共生のあり方に関する検討会」を開催します。
構成員の皆様方におかれましては、お忙しい中、お集まりいただきまして、まことにありがとうございます。
事務局を務めます、健康局がん疾病対策課の久保田です。どうぞよろしくお願いします。
検討会の開催に当たり、健康局長の宇都宮より御挨拶を申し上げます。
○健康局長 健康局長の宇都宮でございます。よろしくお願いいたします。
本日は年度末の大変お忙しいところ、お集まりいただきまして、まことにありがとうございます。また、日ごろより構成員の皆様方にはがん対策の推進に向けて御尽力、御協力いただいておりますこと、この場をおかりしまして厚く御礼申し上げます。
さて、御存じのように、昨年の3月にがん対策推進基本計画が策定されましたけれども、大きく3本の柱が立てられました。その中の一本としてがんとの共生というものが初めて柱として立てられたということでございます。
厚生労働省としましては、早速、今年度から緩和ケア研修会の開催指針に基づいた緩和ケア研修を行ったり、あるいは相談支援、情報提供の体制の充実。これはがん診療連携拠点病院等の整備指針を改正して、そういった体制の整備を行ったり、また、がん患者の仕事と治療の両立支援モデル事業を行ったりしているところでございます。
また、来年度につきましては、地域における相談支援体制。そういう窓口についての実態調査を行うことを予算案として新規に出して、今、国会で御議論いただいているところでございます。
実はせんだって、昨年ですけれども、あるシンポジウムに呼ばれまして、がんに負けない社会というタイトルだったのですが、がんに勝つとか負けるとかではなくて、がんを抱えながらちゃんと社会生活できる、普通に生きていける社会を目指していくということではないかという議論になった記憶がございます。
ぜひ、本日は忌憚のない御意見を交わしていただいて、がんとの共生に向けて何をなすべきか。そういったことについて、ぜひさまざまな御意見を賜ればと思います。ぜひよろしくお願いいたします。
○事務局 本日、健康局長の宇都宮は、公務のため、ここで退室させていただきます。
続きまして、構成員の皆様方の御紹介をさせていただきます。資料1の裏面に構成員名簿を載せておりますので、所属はこちらを参照ください。
事務局の右手より御紹介させていただきます。まず、加藤雅志構成員です。
加藤裕久構成員です。
木澤義之構成員です。
岸田徹構成員です。
志真泰夫構成員です。
鈴木美穂構成員です。
高山智子構成員です。
西田俊朗構成員です。
羽鳥裕構成員です。
前田英武構成員です。
なお、川本利恵子構成員、木庭愛構成員は本日御欠席です。
また、本日は参考人として、日本サイコオンコロジー学会代議員小川朝生先生にお越しいただいております。
事務局の紹介は手元の座席表にてかえさせていただきます。
では、資料の確認をさせていただきます。
議事次第。
座席表。
資料1「『がんとの共生のあり方に関する検討会』開催要綱」。
資料2「がんとの共生のあり方に関する検討会について」。
資料3「緩和ケアの質の向上策」。
資料4「緩和ケア提供体制に関する実地調査マニュアル・チェックリスト(案)」。
資料5「がん専門相談員の育成と相談支援の質の向上に向けた取組について」。
資料6「がん専門相談員の研修とがん相談支援に関する活動状況について(高山構成員提出資料)」。
資料7「地域における相談支援について」。
資料8「がん総合相談に携わる者に対する研修事業の実施について(小川参考人提出資料)」。
また、参考資料1から参考資料4で資料に添付しておりますが、参考資料4のうち、調査冊子につきましては、構成員には机上に配付し、傍聴の皆様は参考資料4の最後にホームページアドレス、QRコードを載せておりますので、こちらより御確認ください。
また、構成員のみの資料として、机上資料1「緩和ケア専門外来について(志真構成員提出資料)」。机上資料2「緩和ケア外来の課題と問題点について(木澤構成員提出資料)」を準備しております。
以上、資料の過不足等がございましたら、事務局にお申し出ください。
報道の皆様におかれましては、ここでカメラ撮りは終了とさせていただきますので、御協力をよろしくお願いします。
続きまして、議論に先立ちまして、開催要綱に基づき座長の選任をさせていただきたいと思います。どなたか、座長について御意見はありますでしょうか。
羽鳥構成員、お願いします。
○羽鳥構成員 日本医師会の羽鳥です。
がんセンター中央病院の院長であり、相談支援、就労など見識のある西田先生を推薦したいと思います。いかがでしょうか。
(拍手起こる)
○事務局 ありがとうございます。
ただいま西田構成員の御推薦がありました。西田構成員に本検討会の座長をお願いしたいと思いますが、ただいまの拍手をもってよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○事務局 ありがとうございます。
それでは、これからの進行については、西田座長にお願いします。西田座長は座長席に御移動ください。
(西田座長、座長席に移動)
○西田座長 国立がんセンター中央病院の西田でございます。御指名でございますので、座長として進行を行っていきたいと思います。
早速でございますけれども、先ほど事務局のほうから御紹介がありましたし、また、宇都宮局長からもありましたように、このがんとの共生、がんとともに生きるということは非常に重要なことであると思うのですが、この検討会のオーバービューといいますか、全体像を把握するために、事務局のほうから資料1及び資料2を参照しながら概略を御説明いただこうかなと思います。よろしいでしょうか。
○事務局 ありがとうございます。事務局でございます。
お手元に資料1と資料2、参考資料1と参考資料2をお願いします。資料1が本検討会の開催要綱になり、資料2がその概要についてまとめたものになります。
では、資料2をもとに説明させていただきます。
資料2のスライド2枚目をごらんください。宇都宮からも説明がありましたが、昨年3月に閣議決定されましたがん対策推進基本計画では、がんとの共生について、予防、医療とともに3本柱の一つに掲げて推進しております。本検討会におきましては、基本計画に定めるがんとの共生のあり方について御議論いただくこととしております。
基本計画につきましては、参考資料1を御参照ください。
スライドの3枚目は、がんとの共生の各分野における取り組みの概要になっておりますので、御参照ください。
続きまして、スライドの4枚目をごらんください。こちらはがん対策基本法のもとに設置されているがん対策推進協議会の今後の進め方について記載しております。がん対策推進協議会は現在、中間評価の指標の議論を行っており、そのほかの計画も踏まえながら、今後、基本計画の中間評価を行うこととしております。中間評価の指標案につきましては、参考資料2を御参照ください。
スライドの5枚目です。本検討会はがん対策推進協議会と連携しながら、がんとの共生に関する議論を進めていくこととしておりますが、2019年度末から2020年度初めにがん対策推進協議会の中間評価の議論に資する意見の取りまとめを行い、協議会に意見を提出することとしております。その後、第4期の基本計画の策定に資する議論を行っていくこととしております。
スライドの6枚目になります。こちらは主な検討内容を示しております。基本計画に記載されている緩和ケアの質の向上策や相談支援・情報提供の質の向上策がありますが、加えて就労支援やライフステージに応じたがん対策など、がんとの共生に掲げられている必要な事項について検討していきたいと考えております。
スライドの7枚目をお願いします。こちらにつきましては、本日の論点(案)をまとめておりますが、こちらについては各議題のテーマに沿って御説明させていただきます。
事務局からは以上となります。
○西田座長 ありがとうございました。
タイムスケジュールを含めて、大体のオーバービューを御説明いただいたと思いますけれども、特に先ほどのスライド4ですか。2ページ目の下のほうのところにありますように、中間評価報告書を公表することになっていますので、こういうことを意識していただきながら、参考資料2になりますが、これからの議論をしてまいりたいと思います。
本日の議論の中心的な議題は、そこの一番最後のスライドに「本日の論点(案)」のところにまとめていただいていますので、こういった順番で話を進めていきたいと思います。
では、引き続き、本日の論点の一番最初にあります緩和ケアの質の向上、特にがん診療連携拠点病院に関する緩和ケアの実地調査について及び緩和ケア外来のあり方について、資料が既に用意されていますので、事務局のほうからまずは御説明をいただいて議論を進めてまいりたいと思います。よろしいでしょうか。
○事務局 事務局でございます。資料3と資料4をお手元に御準備ください。緩和ケアの質の向上策について御説明をさせていただきます。
スライドの2枚目から13枚目までは、国が取り組む緩和ケアの背策の概要を示しております。
まず、スライドの2枚目になります。緩和ケアの質については、がんとの共生の中の一つに盛り込まれ、推進していくこととしております。
スライドの3枚目、4枚目をお願いします。こちらはがん対策推進基本計画の中で緩和ケアについて、真ん中の列の「取り組むべき施策」として記載されている事項について、右列の「具体的な推進方法」について整理を行っています。
スライドの5枚目をお願いします。こちらは緩和ケアの質の向上に向けた戦略について示しております。国・厚生労働省、国立がん研究センター、医療機関等、学術団体等は表の上の「調査や研究等」から得られた結果を、下の「質の向上に向けた取組」につなげていき、互いの成果を還元しながら患者・家族の苦痛の経験につなげていくこととしております。
それでは、その表の中の一番左の列の「国・厚生労働省」の取り組みの概要をスライド6枚目から13枚目にまとめておりますので、そちらについて御説明させていただきます。
スライド6枚目は患者体験調査の内容になっており、また、スライド7枚目につきましては加藤構成員を中心に進めていただいております遺族調査の概要になります。これらの調査によって、がん患者・家族の方の療養生活や医療の実態把握を現在進めているところでございます。
スライド8枚目をごらんください。こちらは緩和ケアチーム実地研修の概要になります。この研修については「目的」にありますように、診療機能の高い緩和ケアチームが、他病院の緩和ケアチームを受け入れて、実地研修を行うことで、緩和ケアの質の向上を図っております。
スライド9枚目をお願いします。こちらは新しい緩和ケア研修会の概要について説明しております。「2 目的」にありますように、基本的な緩和ケアについて正しく理解し、知識や技術などを習得し、緩和ケアが診断のときから、適切に提供されることを目的としており、木澤構成員を中心とした日本緩和医療学会にEラーニングのコンテンツの作成などを委託しております。
スライド10枚目、11枚目におきましては、西田座長を中心に取りまとめていただきました、拠点病院の指定要件の見直しについて、緩和ケアに関する項目を抜粋したものになりますので、御参照ください。
また、スライド12枚目、13枚目におきましては、がん対策推進総合研究事業あるいは革新的がん医療実用化研究事業に採択されている、がんとの共生に関する研究について取りまとめたものになります。
スライド14枚目になります。ここからは緩和ケアの質の向上を目指した拠点病院等に対する緩和ケアの実地調査について御説明させていただきます。この実地調査につきましては、本日の検討会で意見をお取りまとめいただければと考えております。
スライド15枚目をお願いします。基本計画におきましては、下の枠の【取り組むべき施策】に記載されていますように、実地調査等を定期的かつ継続的に実施し、評価結果に基づき、緩和ケアの質の向上策の立案に努めるとしております。
スライド16枚目、17枚目につきましては、実地調査を緩和ケアの質の向上策として位置付けております。
スライド18枚目をごらんください。緩和ケアの実地調査につきましては、緩和ケア推進検討会のもと、緩和ケアの実地調査に関するワーキンググループを設置し、2013年から2015年までに合計15病院の実地調査を実施し、得られた課題や解決に向けた提案を参考資料3の報告書や緩和ケア推進検討会の報告書に取りまとめ、施策の中に活用してまいりました。また、国のみならず都道府県においても同様の調査を活用していることについても報告を受けています。
スライド19枚目をごらんください。こちらは緩和ケアの質の向上を目指した評価について、同様の取り組みを整理したものになります。
中央の拠点病院同士のピアレビューにつきましては、加藤構成員を中心にがんセンターで進めていただいております。こちらのピアレビューや第三者評価につきましては、拠点病院の整備指針にも位置づけられており、現在推進しているところでございます。
また、左の列の国や都道府県が行う実地調査につきましては、利点としまして整備指針への準拠や都道府県事業に関する相談ができること、現場の課題をがん対策に活用できることなどが挙げられておりますが、その一方、病院数などの違いから、実施の頻度が異なる可能性などが課題とされています。
スライド20枚目をごらんください。こちらは実地調査に基づく効果的ながん対策の推進について、その概要をまとめたものになります。
調査の目的は、拠点病院等への指定要件に関する理解の促進や病院の課題整理、また、得られた課題とその解決策を、都道府県や国のがん対策に活用していくこととしております。
具体的な調査方法につきましては、厚生労働省が策定したマニュアルに基づいて、都道府県のがん対策担当と外部有識者によって構成された調査班により実施していくこととしております。
調査対象病院としては、診療実績が少ない病院などを想定しております。
今後の予定としましては、本日の議論を踏まえまして、2019年度にパイロット調査、2020年度以降に全国実施に向けた検討を行っていきます。
資料4をごらんください。こちらにつきましては、具体的な調査方法あるいは確認すべきポイントについては、このマニュアル(案)と、ページ後半のチェックリストに従い確認していくことと検討しております。本日は、資料3のスライド20枚目及び資料4につきまして御意見をいただいた上で取りまとめをお願いしたいと思っております。
続きまして、再度、資料3にお戻りください。スライド21枚目をお願いします。スライド21枚目以降は緩和ケア外来のあり方について示しております。
スライド22枚目にありますように、患者体験調査、予備的な遺族調査の結果からも、がん患者の方が体や気持ちのつらさを抱えており、迅速かつ適切なケアが提供されることが求められております。
スライド23枚目をごらんください。緩和ケアにつきましては、緩和ケアチーム、緩和ケア病棟、在宅緩和ケアにおける連携を進めておりますが、その中でも緩和ケアの外来についても、そのあり方が求められているところでございます。
スライド24枚目をごらんください。拠点病院等の指定要件につきましては、緩和ケア外来につきまして、専門的な緩和ケアを提供する定期的な外来と定めており、都道府県拠点あるいは拠点病院(高度型)については緩和ケアセンターの中に緩和ケア外来を位置づけています。
スライド25枚目をごらんください。こちらは拠点病院等における緩和ケア外来の実績、役割及び課題をまとめているものになります。
緩和ケア外来につきましては、右の役割の一例に挙げられますように、専門的な緩和ケアを提供する場所としての難治性苦痛や複雑な合併症等への対応などが挙げられますが、平成28年の拠点病院における新規診療症例件数の平均は1病院当たり61件でしたが、107施設におきましては10件以下という現状です。
緩和ケア外来のあり方に関する課題として、質の評価やカウント方法の問題などを挙げております。
また、スライド26枚目にありますように、緩和ケア外来を運用する緩和ケアチームにつきましても、病院間の取り組みの格差などがこれまで指摘されているところでございます。
続きまして、スライド27枚目から29枚目におきましては、緩和ケア外来の取り組みにおける先進的な好事例を示しております。
27枚目は、木澤構成員が所属されている神戸大学医学部附属病院での取り組みになりますが、外来治療と並行した緩和ケアが提供できることを目指しており、直接診療や依頼に即応できる体制などを特徴としております。また、右のイメージにありますように、相談支援部門との有機的な連携体制を構築されております。
28枚目になります。こちらは愛知県がんセンター中央病院になりますが、増加する緩和ケアニーズに柔軟かつ即応できる外来を目指し、院内・院外との連携体制の起点となり、幅広い症状への対応とフリーアクセスの両方を実現しております。
29枚目になります。こちらは飯塚病院の例になりますが、心不全の緩和ケアの提供体制になります。こちらにつきましては、連携する病院に医師の派遣を行い、地域の診療の中で緩和ケア外来を提供する体制を構築しております。
緩和ケア外来におきましては、本日中の取りまとめではなく、幅広く御意見を伺えればと思っております。
事務局からは以上になります。
○西田座長 ありがとうございました。
2つありまして、緩和ケアの実地調査をやるか、やらないか。やるとすれば、どういうふうにやるかということと、もう一つは緩和ケア外来のあり方はどうあるべきかという議論の2つあると思うのですけれども、議論を分けていきたいと思いますので、最初に緩和ケアの実地調査について参考資料を参考にしながら、まず皆さん方の意見をお聞きし、少しまとまったところで、その次の緩和ケア外来のあり方についての御意見を伺いたいと思います。
資料4の実地調査マニュアル、あるいは後ろのほうにチェックリストがついていますが、結構詳細に書いてあると思うのですけれども、その辺も見ながら先生方の御意見を順番に伺えたらありがたいと思いますが、加藤構成員、いかがでしょうか。
○加藤(雅)構成員 ありがとうございます。
先ほど事務局のほうからも御紹介いただきましたが、国立がん研究センターがん対策情報センターのほうで病院間、病院同士のピアレビューの支援をさせていただいております。資料3の19枚目のほうを見ていただくと、事務局のほうでよくまとめてくださっているのですが、真ん中の列にある「ピアレビュー」という部分について支援をしております。
ここで明確に説明しないといけないことは、国とか行政、都道府県が行ういわゆる実地調査と、病院間で行うピアレビューは確実に違うものだということです。そこを区別せずに一緒に議論してしまうと本当に混乱してしまうので、これらは違うものであるということは大前提として意識して話をしていかないといけないと思います。
私たちが支援しているピアレビューに関しては、あくまでも病院がそれぞれお互いに訪問するということでやっていくものです。同じ医療現場で患者さんを診ている、臨床でいろいろな苦労をしている者同士が相互に訪問するということでのメリットがたくさんあります。実際の現場で困っていることをお互い共有できる。さらに、実際にその場に行って、そこで起きている困りごとを解決できるのがメリットです。そういった部分をしっかりと支援することはとても意義がある一方で、どうしてもお互いサポーティブにといいますか、支持的になっていくので、できていないところを、こんな言い方はよくないのですけれども、監査的にやっていくのは非常に難しいというのがこのピアレビューでの相互訪問になります。
ただ、やはり拠点病院制度のことを考えますと、そういったやられていないところを誰かがちゃんとチェックしなければいけないというのも重要な課題であると思いますので、ただ、それを医療現場の人にやらせるのはまず不可能な話でございますので、そこのあたりは都道府県庁が頑張ってもらいたいかなと思っています。そして、もし可能であるのであれば、この2つ、ピアレビューと県中心の実地調査をしっかり分けた上で、両方が並列で動くのが望ましいと思います。並列か、片方だけなのか、それぞれの県の事情によるかもしれませんが、やはりこの実地調査はないとがん対策の拠点病院の整備が進まない部分があると思いますので、私としてはこういった取組は大事にしたほうがいいのではないかと考えております。
以上です。
○西田座長 ありがとうございました。
ピアレビューというものはお互いのベストプラクティスを交換して、互いに質を上げようという部分があるということ、実際にそれがきちんと均一化するといいますか、均てん化するためには、ある程度、監査も必要であるという意見として伺いました。
そのほか、御意見はありますか。
志真構成員、どうぞ。
○志真構成員 3つほど意見がございます。
1つは、この実地調査を、今、加藤構成員が言われたように、ピアレビューとしっかり分けてやるということは賛成であります。それは非常に重要なことであります。
1つは、スライドの20枚目のところにあります「調査対象病院」で「拠点病院等の中で、診療実績が少ない、経過措置が含まれる病院等を優先的に調査」となっておるのですが、何となく、そうすると受ける病院は言葉が適当かどうかわからないのですが、懲罰的といいますか、訪問していろいろ指摘されるという恐れを持つのではないかと思うのです。
ですから、私の意見としては、まず直近でやる必要があるとすれば、都道府県の拠点病院にしっかり調査に入って、そしてそれぞれの都道府県の職員の方も、それから、加わる有識者の方も、こういう実地調査について、トレーニングといいますか、そういうものを受けて、それから地域の拠点病院に広げていくというやり方をされたほうがいいのではないかというのが1点目です。
2点目は、このマニュアルを読みますと、施設内訪問というものが書かれていまして、かなり広範囲、一般病棟、相談支援センター、がんサロン等、緩和ケアにかかわる部署も訪問しというふうに書かれていて、この実地調査がどの範囲で何を見ようとしているのかというところが、やはり実地調査の狙いということをしっかり施設側に伝えるためにも、ここら辺のところは整理して、緩和ケアの提供体制を見るということで絞られたほうがいいのではないかというのが2つ目です。
3つ目は、調査終了後の報告が都道府県のがん対策協議会緩和ケア部会等へ報告というふうになっているのですが、当該の施設への報告がこの文章からは読み取れない感じがいたします。問題は、当該の施設にしっかり、こういう問題点があります、あるいはこういういい点がありますということをお伝えすることが、まず第1であって、それを都道府県と国に提出するというレポートの流れをつくったほうがいいのではないかと思います。
やはり何か悪いところだけを見に来るのではないかというような受け取られ方をするよりは、いいところはいいとしっかり評価をして、そしてこういう改善点がありますというふうに指摘するのがオーディットといいますか、監査のあり方であると思いますので、その3点を申し上げました。
○西田座長 重要な御指摘、ありがとうございます。
ちょっと横道にそれてしまうのですけれども、私どもは病院機能評価のバージョン3を受けたのですが、まだ今年度から始まったところなので、やはり調査員の方々はなれていないところがある。ですから、やはり実地調査になれておくことは非常に重要で、一体どういう姿が、この緩和ケアの提供のあり方に必要なのかというのを、いい病院からまず見て見るべき所になれるのは非常に重要ではないかと思います。
それから、先ほどおっしゃいました懲罰的にならないというのは非常に重要ですし、フィードバックをすることも大事なことではないかと思いますので、ぜひ、その辺は考えていただければありがたいと思います。
あと、私、気になるのは、これは都道府県にみんな投げるのですけれども、都道府県の方のワークロードがある程度大丈夫かというのでちょっと気になるところなのです。
木澤構成員、どうぞ。
○木澤構成員 木澤でございます。1点確認です。
これは実地調査なので、ピアレビューと違うことは理解しているのですけれども、ピアレビューの事業は何らかの形で行われる、継続されるという理解でよろしいのでしょうか。そこのところだけ、まず確認させていただきたいのです。
○西田座長 1つは事務局から、1つは加藤先生から、両方御意見をいただけますでしょうか。
○事務局 事務局でございます。御意見ありがとうございます。
まず、ピアレビューと第三者評価につきましては、既に拠点病院の整備指針の指定要件の中に含まれておりますので、これはピアレビューや第三者評価なども同時に御活用いただきながら進めていただければと考えております。
○加藤(雅)構成員 ありがとうございます。
ピアレビューに関しては、私たちは支援と言いましたけれども、全ての47都道府県を事細やかに見ているわけではなく、実際に取り組もうとやろうとしているところを始めることができるよう支援しています。ピアレビューについては、現場が有用性を感じることができればしっかりと継続されていくことになると思うのです。そういう有用なピアレビューを現場の皆さんに実感してもらえれば、必ずしも自主的でなかったとしても、ある程度やっていけるのではないかと思います。
ただし、病院間のピアレビューについては、現在の所、拠点病院制度では望ましい一つの取り組みとして書かれていますので、私の考えとしては、都道府県ごとの自主性を重んじられていく部分がしばらくはあるのだと思っています。一斉に47都道府県でピアレビューが強制的に始まるというものではなくて、こういったものはすごくいい取り組みなので、うちの県でもやってみようという形で始まるものであり、そのような県では実地調査と並列して動いていくのではないかと私は思っています。
○西田座長 どうぞ。
○木澤構成員 意見ですけれども、私も全47都道府県でピアレビューが行われているわけではないということを前提にお話ししたいと思うのですが、やはりこれはこのような実地調査とピアレビューが双方行われて初めて価値が出てくるかなと思うのです。やはりお互い学び合うところは非常に大きくて、実際、どういうふうに改善したらいいかがよくわからないということが現実にありますので、ぜひピアレビューと実地調査も、片方しかやらないのであったら、実地調査にピアレビューの要素を例えば入れるであるとか、例えばほかの都道府県の方がオブザーバーで参加して学んで、意見も言えるであるとか、あとは同じ都道府県内の緩和ケアチームのメンバーを必ず調査員として入れて意見を言ってもらうなど、ピアレビューの要素を入れるとより、この実地調査が実りあるものになるのではないかと思います。
もし余裕があれば、志真構成員がおっしゃったとおり、両方並列でやられるのがいいとは思うのですけれども、そこのところをどのように展開したらいいのか、迷うところです。
ありがとうございます。
○西田座長 御意見ありがとうございます。
多分、二つはちょっと目的が微妙に違うと思いますので、今、非常に病院毎のダイバーシティー、つまりそれぞれ施設のレベルが大分違うという時には、やはり実地調査というものが一番有効ではないか。ピアレビューというものは、お互いやる気、自分達自身をインプルーブしていこうという気がある施設にとっては非常にいいと思います。それを起こすようなエビデンスを加藤構成員の班研究等で出していただいて、各施設がやらないといけないという感覚になってくればいいなと思っています。その前に、まずは今、各施設自分達がどの程度のレベルにあるかという、全体を把握するためには実地調査というものは、ある程度、必要なのではないかと思いますけれども、皆さん方、御意見はありますか。
どうぞ。
○高山構成員 高山です。先ほどの都道府県の負荷はというところがちょっと気になって、質問させてください。
この実地調査は、内容としてはすごくいいものであると思うのですが、やはりいろんなところを回っておりますと、都道府県のがん対策主管課の対応をしているところが一人もいないような県もありまして、その中でこの緩和の中の実地調査にかける労力は、都道府県ももちろんですし、これを見ていますと、厚労省さんのほうも結構負荷がかかってくるのではないかと思って拝見していました。
それで、やはり一回見ただけではなくて、その後、改善がどうなのかということでは、1カ所についても1回で終わらないようなやりとりが必要となると、どのぐらいの数、各都道府県で1つ以上とか、そのぐらい、何か範囲とか頻度ですとか、ボリュームはどのぐらいで考えられているのかを教えていただけますでしょうか。
○西田座長 事務局のほうから何か答えはありますか。
○事務局 ありがとうございます。
各都道府県によって、この負荷についても恐らく異なることが想定されますので、どの程度の実施の頻度が必要か、あるいはどの程度の重点的な対応が必要か、またパイロット調査の中でそこら辺の課題をきっちりと判明していけるようにしていきたいと思います。
○西田座長 ありがとうございます。
これは実際に都道府県によって、やはり確かに温度差が大分ありますし、人的なリソースも大分違うと思いますので、パイロット調査の中でどれぐら使えるかというのは明確にしたほうがいいと思います。
大体多くの意見が出てきたと思いますが、こういうチェックリスト、細かいところまで入れていただいていますけれども、やるということ自体は皆さん方アグリーでよろしいでしょうか。
(「はい」と声あり)
○西田座長 では、そういう形で進めます。
それで、細かいところや、どこまで求めるかというのは、パイロット研究の中でチェックし、もう一回見直すということも考慮いただければ非常にありがたいと思います。よろしいでしょうか。
それでは、もう一つの、一緒に御説明があった緩和ケア外来のあり方。これも結構重要な問題であると思うので、こちらのほうに議論を移していただきたいと思います。多分、机上資料等で御意見をぜひ言いたいとおっしゃっている構成員もいらっしゃると思うので、まず志真構成員からお願いできますでしょうか。
○志真構成員 まず、事務局から提供されました資料の中のスライドの23番目の図がございます。「求められる地域連携の取り組み」という図で、この緩和ケアチーム、緩和ケア病棟、在宅緩和ケアのちょうど真ん中、今「バックベッド」と書いてある、ここに「緩和ケア外来」が位置づけられる必要があるのではないか。
こういう形をとる専門的緩和ケアの提供の仕組みというものは、まだそれほどいろんな国でやられているわけではありませんので、この緩和ケア外来の役割を、ある意味、日本でこういった概念に基づきながら、つまり緩和ケアチーム、緩和ケア病棟、在宅緩和ケアをちょうど結節点、ハブ、そんなようなイメージで位置づけをしていく。そういう緩和ケア外来である必要があるのではないかと考えております。
きょう、私が机上資料として提出いたしましたのは、そういう考え方で、ホスピス緩和ケア協会という私が所属している協会で、会員の緩和ケア外来の現状を調査する必要があるということで、昨年の1月から2月にかけて調査をいたしました。全部説明すると時間がかかりますので、見ていただきたいのはスライドの5以下です。フォローアップ外来と緩和ケア病棟の有無。データを見ていくときに、どうも、緩和ケア病棟を併設している外来と、緩和ケア病棟のない外来は違いがありそうであるという感じがありまして、その目でいろんなデータを一応整理いたしました。まだ、これはデータ整理の途中で、2019年中には報告書を出す予定にしております。
例えば、外来初診までの平均待機期間というものは1週間未満というものがいずれも多いのですが、PCUありですとやはり3~4週間とか1カ月という待ちのところもあるのです。ちなみに、私どもの施設の外来は、つい最近まで3~4週間待ちでありました。今は1~2週間程度になってきておりますが、受診まで大分待たせる外来で、周りからいろいろ苦情も受けて、改善しております。
それから、外来初診時のがん診断時の患者の割合、治療中の患者の割合という帯グラフがございますが、これはちょっとわかりにくいと思うのですが、要するに1つの外来であなたの外来にがん診断時の人は何%ぐらいいますかという質問をしたのです。そうしますと、PCUありのところではがん診断時の患者の割合はゼロというところが極めて多いということであります。
それから、治療中の患者というものはやはりPCUなしの外来のほうが比較的多いのです。PCUありのところは治療中のちょっと少ないという印象であります。
そして、次のスライド7を見ていただくと、がん治療終了後の患者の割合が、これはPCUありの外来のほうが明らかに多い。PCUなしの場合にはがん治療後はむしろ少な目という印象でございます。
それから、緊急の外来受診の可否は、これがちょっと解釈が難しいところだったのですが、私の解釈を言いますと、初診患者で緊急で受診していいという外来はPCUなしのほうが多いのです。ところが、再診患者になりますと、PCUなしの外来は緊急で受診していいという外来が少なくなるのです。つまり、これはどう解釈するかといいますと、PCUなしのところでは最初の受診時に急に悪くなったりすることについては対応できるけれども、だんだん悪くなって、急に悪くなる、あるいは急変したりする場合にはちょっと対応しかねるという背景があるのではないかと、このグラフを見て解釈しております。なかなか、これをどう解釈するか、難しいのですが。
それから、1年間の外来患者の転機というものを見ますと、外来に継続してかかられているのはPCUなしのほうが多い。PCUありのほうはやはり入院される患者さんのほうが多いという状況であります。
あと、外来で可能な処置というものは、そんなにはっきりした違いがあるわけではありませんが、多少違う感じがいたします。例えば腎ろうカテーテルの交換ですとか、尿道カテーテルの交換ですとか、こういう処置的なものはやはりPCUありのほうがやる頻度は高いと思います。
まとめをしておりますが、どうも、PCUを併設している外来と併設していない外来では診療内容あるいは対象患者さんの時期といったことに違いがあるのではないか。それから、緊急時の対応についても、どうも違いがありそうである。可能な処置ということについても多少対応が違うという現時点でのまとめであります。
ですから、外来を今後考えていくときに、緩和ケアの専門外来というものはどういう構造を持っていて、どういう診療プロセスが必要で、そして、何をアウトカムとして見ていくのかということがやはり研究される必要があるのではないか。
それから、緩和ケア病棟の併設あり・なしということが外来の機能とかあり方に影響を与える可能性がある。まだ設置主体ごと、拠点病院、大学病院、一般病院、実は診療所もアンケート調査を一部とっております。それによって、機能に違いがあるかもしれない。これは、このアンケートからはまだわかりません。
そういったことを踏まえて、今後、外来のあり方というものを考えていく必要があるのではないかということで、緩和ケア外来の基準案というものを提示しましたが、これはまだ十分検討されたものではございません。かなり私案的なものでございますので、こういったものを今後つくっていく必要があるのではないかということであります。
以上です。
○西田座長 ありがとうございました。
確かにPCUがあるところとないところは微妙に違う。私自身の経験を見ても東病院と中央病院はやはり微妙に違いますので、そもそも来ている患者さんも違う可能性が非常に高いかなと思います。
もう一つ、岸田先生も御意見がありそうなので、ぜひよろしくお願いします。
○岸田構成員 岸田です。私は患者からのことを少しお話しさせていただければと思います。大きく3点お話できればと思っております。
1つ目は、緩和ケア外来に行く患者さんは歩行が少し難しい人であったり、いろいろな方がいらっしゃるかと思います。例えば、そのときにがん診療連携拠点病院が近くにあればいいのですが、交通の便で遠いところに行くときにそれが結構負担になっているといったことが実際あります。
そのために、では、負荷をかけずにどうやって行くかというと、タクシーで行くという形になるかと思います。すると、お金的な苦労ということもされていたりとか、体力的なところとか、いろいろそういったところもあげられますので、そういった解決策といったところは今後みんなで考えていければと思うのですけれども、やはり近いところでも緩和ケアができるところを病院が紹介するであったり、そういった連携も今後必要になってくるのではないかというところがあるかと思います。
2つ目に関しましては、これは診療までの待ち時間です。緩和ケア外来に行くとき、こちらに関しては、どちらかといいますと2つの診療科かかることが多いと思います。今の主治医の診療科と、緩和ケアは緩和ケアの科で。また2つ目にかかるといったところで、2つ分の診療の待ち時間がかかってしまうといったところで。本当に例えばなのですけれども、では、検査をするときにもCTを撮るときも、離れないで待っていてくださいという病院ところもあるということを伺っています。
そのときに、つらいけれども、ずっとここで待っていないといけないのか。いつ呼ばれるのかわからないという見えない負担。そういったところもそういった患者さんに関してはちょっと負荷がかかっているのではないかといったところで、ここを見えないストレスもあるのではないかと思っています。
3つ目に関しましては、これが一番、私が今回お伝えしたいことなのですが、緩和ケアは皆さん御存じのように、がんと宣告されたら、告知されたら緩和ケアが始まっていきますということがみんな御存じかと思います。ただ実際、主治医から緩和ケアについて、このときは説明がされるかどうかというのは主治医の判断だと思いますけれども、やはり痛みが出ている患者さんやちょっと苦しんでいる患者さんに対して主治医は余り説明をしていないのではないかということは思っています。
といいますのも、なぜなら、主治医が自分で、例えばオピオイド鎮痛薬であったりとか、ロキソニンのような薬であったりとか、いろいろなものを主治医が処方しているといったところで、そういうところで自分が緩和ケアが必要であると気づかない場合があるのではないかといったところが私の周りの患者さんを見ていて思っています。
今、患者さんの話を聞いたときにも、やはり「他の医師にかかることになるので主治医に緩和ケアの話をするのが悪い、気が引ける」と思ってしまうという患者さんもいらっしゃいます。ただ、今、診療が5分診療とかじゃないですか。なので、そういった中で時間をとってしまうことに対して患者が医師に対して、しっかり緩和について話すことが時間をとらせてしまって申しわけなく思うといったことも挙げられました。
これは私が思うには、セカンドオピニオンのときと似ているということを思いました。主治医と別の医師にかかるときに、やはり患者さんがそういった不安を持ってしまう。だから、そのときにこそ医療側からこういったものがあるという提案であったり、そういったものを初めのほうから、今、しているところが多いと信じたいのですけれども、実際はちょっと難しいところもあるかと思いますので、そういうところで初めからつなげる、もしくは話をするといったことをしてほしいということを思っています。
本当に実際に患者さんで緩和ケアに行ってから主治医の話を聞いたら、主治医が出さなかった薬に関しても緩和ケアでお話をしてくれた。それで、なぜこの薬を出さなかったのですかと主治医に聞いたら、主治医はちゃんとそういう説明もしてくれた。やはり患者さんにとっては選択肢が多いほうが自分の客観的な判断にもつながるかと思いますので、そういったところを心がけてほしいということを患者さんはおっしゃっていました。
そういったところで、私に関しては緩和ケア外来というものが結構、セカンドオピニオンの当時の問題と少し似ていると思いますので、こういったところの患者さんの負担軽減をこれから話し合っていければと思っています。
以上です。
○西田座長 患者サイドの意見、ありがとうございました。
木澤先生、どうぞ。
○木澤構成員 ありがとうございます。
机上資料2を見ていただきたいと思うのですが、志真構成員がおっしゃったように、緩和ケア外来の機能を大きく2つに分けますと、1つは今、岸田構成員がおっしゃったような早期からの緩和ケアの必要な患者さんに緩和ケアを提供するということで、もう一つがやはり地域の中で役割を果たす。例えば緩和ケア病棟に御紹介するとか、地域での終末期ケアを考えていくということが一つの役割としてあるわけです。
まず、早期からの緩和ケアのエビデンスを見ていただきたいのですけれども、私の机上資料2のスライド2からスライド4は早期緩和ケアのエビデンスなのですが、早期から専門緩和ケアサービスが介入することによってQOLが改善することが知られています。
資料3の右上のところに書いてあると思うのですけれども「symptoms」と書いてあるものが症状緩和なのですが、どんな介入をしているかといいますと、症状緩和以外には心理社会的サポートというものが非常に大きな役割を果たしていたり、あとは意思決定の支援や、治療の選択のお手伝いをしたりということも入っているということが書いてあると思います。
総じて言いますと、QOLが高くなるので、進行がんの患者さんには早期から積極的に緩和ケアを紹介するべきであるというふうにされていまして、スライド5に専門家パネルで作成された紹介基準を示しています。
しかしながら、先ほどの資料3のスライド25を見ていただくと、緩和ケア外来への依頼件数というものは平均61件であると書いてあると思うのですが、このようにあまり紹介はされていない実態がある。なぜかということなのですが、私が思っているのはちょっと自虐的ですけれども、専門家の実力不足であるというふうに私は認識しています。専門的緩和ケアサービスの質と量が足りていないという問題が決定的にあり、それが原因となって他の専門家から信頼されていないのではないかと思っています。
これは大きな問題で、私たちがやはりしっかり実力を兼ね備えていかないといけないだろうと思っています。つまり、信頼できる緩和ケア医が必ずしも存在しないということがあるのではないかということを考えており、その改善を図る必要があるだろうと思います。
それで、問題点というところに書いたのですけれども、一番の問題はやはり外来で依頼に即応できて質の高い緩和ケアを提供できることであると思うのですが、今、これが提供できているかどうかは、私は怪しいと思っています。ですから、これを早急に調査し、改善しないといけないだろう。提供できていないわけですから、ここの質の向上標準化を図るのがまず第一に必要な課題であろうと思っています。
2つ目がスライド7なのですけれども、今度はそれができたら、次は何を考えるかといいますと、地域全体で起こった緩和ケアを困った人にどう提供していくかということなので、それは緩和ケア病棟との連携、在宅との連携というところを次に考えるということになると思っています。
実際にはこの2つの課題は同時並行で進める必要があるとは思うのですけれども、やはりまずは自分の病院の外来の患者さんの必要な人の依頼に即応できることがミニマムに達成できないといけないだろうと私は考えています。
以上です。
○西田座長 ありがとうございます。
結構厳しい意見ではないかと思いますけれども、緩和ケアの専門医が本当に専門的にできる人はそうたくさんいないという意見をいただいたと思うのですが、この意見を含めて、ほかに緩和ケアの外来のあり方に関して御意見は。
加藤先生、お願いします。
○加藤(雅)構成員 今、志真構成員や木澤構成員のお話がありましたが、やはりがん治療病院での緩和ケア外来というものをちゃんと考えないといけない時期なのだろうと思います。
これまで緩和ケア病棟に併設された外来というものは長くあったわけですが、これからがん医療が外来を中心に行われていく時代となっていく中で緩和ケア外来は何を求められているのか。たとえば、ACPなどががん医療の中で当然のように外来で行われていくことが求められていく中で、緩和ケア外来は何を行うのか。外来という以上は医師が想定されているわけですが、緩和ケアは、もちろん医師だけではなく、看護師さんなどの多職種により提供されるものです。そういった多職種により外来で何ができるのか。外来の短い診察時間で主治医が診療せざるをえない中で、複雑な悩みを持つ患者を包括的にアセスメントし、また、これからの人生についていろいろと悩む方について、どのように支援をしていくのかという問題に対し、それが多分、緩和ケア外来の専門性の一つだと思うのですが、それをどういうメンバーでどういうことをしていくのかを考えていく必要があります。これについては、我が国においてモデルというものがまだまだないと思います。この辺についてはもちろん検討しなければいけませんし、私が今回推薦いただいたサイコオンコロジー学会、心のケアという部分もどのように組み入れていくのかということも非常に重要な課題なのではないかと思います。
ここで申し上げたいのは、がん治療病院での緩和ケア外来について、そこをしっかりと議論する必要があるのではないかと思っています。
○西田座長 木澤構成員、どうぞ。
○木澤構成員 1つだけいいですか。
今、加藤構成員に指摘いただいたのですが、きょうは来ていらっしゃらないですけれども、がん看護との連携というものが非常に大きな一つの知恵かなと思っているのと、もう一つは、これは日ごろから考えているのですが、緩和ケア医不足につける特効薬といいますか、すぐ効く薬はないと思うので、私が1つ提案したいのは、地域の実力のある診療所の緩和ケアをしていらっしゃる先生。そして、緩和ケア病棟の先生にぜひ力を貸していただいて、拠点病院の緩和ケアの外来機能の充実をしてもらいたいと心から思っています。実際、そういう取り組みをしている病院は幾つかあるのですけれども、専門医教育には時間がかかるのですぐに患者さんの今のニーズを満たすことができません。とにかく質をすぐ上げたいのだったら、すでにある緩和ケアの専門家の力を借りる仕組みを作ることを考えなければいけないのではないかと思っています。
以上です。
○西田座長 羽鳥構成員、どうぞ。
○羽鳥構成員 日本医師会の羽鳥です。
在宅医療については、日本医師会も真剣に取り組んでいます。在宅のがん患者さんに必要なことを緩和ケアのされている先生方には、地域がん拠点病院の先生方への指導をしていかなければいけないと思います。
1つは、やはり末期で通院できなくなったとか、がんは初期から疼痛の患者さんもいらっしゃいますし、それから、お薬そのものが飲めなくなって、注射とか貼り薬とか、いろいろな手法を使って除痛していかなければいけないこともありますし、麻薬、数が非常にふえてきているので、使い分けと同時に基本的な使い方も必要になってくるのだろうと思います。
あとは、終末期になればなるほど症状の変化が非常に大きいですし、在宅の場合は家族を含めた介護力の差がでてきます。とても恵まれた方と本当に1人で暮らしていらっしゃるような方もいらっしゃいますので、在宅医としては、ヘルパーさん、訪問看護リハビリテーション、地域医療支援病院との連携が重要です。その辺が難しいだろうと思います。
患者さんたちとの信頼関係をつくるまでに若干時間がかかるので、末期の患者さんとかですと非常に症状の変化が早いこともあるので、その辺が難しいと思います。
WHOの除痛ラダーのように緩和専門の先生方から在宅の先生にわかりやすい標準的なガイドをもう少し明示していただけるとありがたいです。
○西田座長 ありがとうございます。
確かに、医師会の先生方は非常に熱心に取り組んでおられる人もいらっしゃいますので、その辺のリソースをうまく病院のリソースとつなぎ合わせられたら非常に良いと思います。
前田構成員、どうぞ。
○前田構成員 都道府県拠点病院の中でがん相談支援センターと併せて連携室に所属していますので、実際にがん治療医のほうから当院の緩和ケア医へつなぐ場合も、外部へつなぐ場合もハブの機能を果たしている立場として意見を述べたいと思います。
先ほど木澤構成員のほうから緩和ケア医の努力の話が出ましたが、早期の緩和ケアの話が出たときに、患者さんにとって治療する中で緩和ケアの話が既に出てくることに心理的な抵抗も大きいので、かなり言葉を尽くして丁寧に伝える必要があります。「早期からの緩和ケアが良いと言われているので、あなたを緩和ケア医に紹介します」だけでは患者さんの不安をあおるだけで、結局適切な緩和ケアにつながらないのです。
がん治療医に対する緩和ケアの研修が行われていますが、もう少しロールプレーを取り入れて、具体的には患者さんに響く言葉で伝える訓練が必要ではないかというのが1点。
あと、看護師さんもそうですが、がん治療医は少ない診療時間の中で緩和ケアのことを十分に時間をとって話すことは実際に難しい現状もありますので、周辺の多職種がきちんとそこに関与することも必要ではないかと考えます。
以上です。
○西田座長 いろいろな意見をいただきましたが、確かに治療している先生が緩和ケアのあり方を十分に理解して、どういうふうに患者さんに緩和ケアと云うものを入れていくかというのも非常に重要なことだと思います。
どうぞ。
○鈴木構成員 鈴木です。
今の前田先生と似たようなことを言おうとしていたのですけれども、緩和ケアと聞いて患者側、社会側からして、まだまだ心理的ハードルが高いというのは本当に一つ問題だなと思っていまして、緩和ケアと言われたから、もう私は治る見込みがないのだと思い込んでしまう患者さんがいかに多いことか。いまだにそれは早期からの緩和ケアと言われて久しいですけれども、緩和ケアは治療がなくなった後にするものであるという印象が余りに強過ぎて、そこから緩和ケアと言われた瞬間から、自分が受けられる治療についての話が入ってこなくなってしまって、思考停止してしまった状態で泣きながら相談に来るということがいまだに全然なくなっていません。
そこは緩和ケアについて説明する先生方、主治医の先生の御尽力もそうだと思うのですけれども、やはり社会として緩和ケアを治療と同時にできる。早期から治る見込みがない人だけのためではなくて、いろんな痛みに我慢しなくていいのだということを社会としてより普及していかないと、緩和ケアに対するハードルが高いまま必要な患者さんがつながらないということがたくさん起きているのではないかと考えています。
○西田座長 ありがとうございます。いろいろな意見をいただきました。
こうやって考えてみますと、緩和ケアの講習会のあり方にも響いてくるかなと思いながら聞いていました。それと、その次の課題に関係しますけれども、相談支援に相談に行ったときの対応にも多分絡んでくるのではないか。この課題はいろんなところに絡んでいると思います。
今日は色々な意見を伺いました。木澤先生は緩和ケアを専門とする医師が必ずしもスペシャリティーを十分満たしている人が多くないということですね。木澤先生や志真先生のような先生ばかりではないということだと思いますけれども、そういった人もやはり今後つくっていかないといけませんし、また、医師だけでは無理だと思います。看護師であったり、薬剤師であったり、ソーシャルワーカーであったり、全体でやらないと難しいですし、どこの図でしたか~地域とうまくやっていく図がありましたけれども、スライドの23番目ですね。志真先生は、自分のところがバックベッドのところにあたるとおっしゃっていましたが、こことのコミュニケーション、協力というものも非常に重要な課題になるかなと思います。
実際に、私がまだ現場にいたころに、いかに早い持期に正しい情報を地域の先生方につなぐかということが、地域での緩和ケアをやっていく上では非常に重要だと地域の先生、医師会の先生から指摘されたこともございます。そういったところをうまく今後取り入れていかなければいけないと思います。
いただいた意見をもう少し咀嚼させていただきたいと思いますので、事務局のほうで少しこれを入れ込んでいただいて、もう一度、また改めて、年度が変わるかもわかりませんけれども、議論を深めていきたいと思います。
そういうことで、時間が少し限りがございますので、2番目の「多様なニーズを踏まえた相談支援及び情報提供の質の向上策」、特にマル1、マル2がございますけれども、がん専門相談員の育成と相談支援の質の向上に向けた取り組みということを中心に、これは最初、事務局から説明いただいた後、高山先生のほうから御紹介いただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
お願いします。
○事務局 事務局の小野でございます。資料5を御用意ください。「がん専門相談員の育成と相談支援の質の向上に向けた取組について」御説明いたします。
スライド2をごらんください。第3期がん対策推進基本計画においては、相談支援、情報提供もがんとの共生に位置づけ、施策を進めているところでございます。
スライド3をごらんください。現状・課題といたしまして、具体的にはこちらに抜粋いたしました内容が挙げられております。相談内容が多様化しており、人材の適切な配置や相談支援に携わる者に対するさらなる研修の必要性が指摘されています。
スライド4をごらんください。現状・課題を踏まえ、こちらに記載されている施策に取り組んでいくこととしております。「整備指針に盛り込む」とございます内容は、既にがん診療連携拠点病院等の指定要件に関するワーキンググループにて議論され、西田座長におまとめいただき、昨年7月に改正された新たな指定要件に反映しております。本検討会では、相談支援に携わる者の質を継続的に担保するための方策を検討していただき、また、多様化・複雑化する相談支援のニーズに対応できるような相談支援体制の構築について検討を進めていきたいと存じます。
スライド5をごらんください。全てのがん診療連携拠点病院等にはがん相談支援センターが設置されております。こちらはがん相談支援センターの概要でございます。
スライド6をごらんください。がん相談支援センターの設置は指定要件として定められており、マル1に記載のある研修を受講した者を専従・専任に配置することとしております。研修の状況につきましては、この後、高山構成員より御説明いただきます。
また、このたびの改正においては、マル7にございますように、都道府県拠点病院が実施する研修会を受講することが新たに定められました。
スライド7をごらんください。こちらはがん相談支援センターの業務内容について、指定要件より抜粋してございます。ス以降の内容につきましては、今回の改正で新たに追加されております。がんゲノムのような新たな医療についての相談やAYA世代の方の相談対応、生殖医療に関することなど、新たなニーズに関してもがん相談支援センターの相談員に求められるようになってまいりました。
スライド8をごらんください。こちらは小児がん拠点病院の相談支援センターの概要でございます。
スライド9をごらんください。小児がん拠点病院の相談支援センターにおいては、マル1の記載にある研修を修了した者を専任で1名配置しております。
スライド10をごらんください。業務として位置づけられておりますが、特に発育や療養上の相談、教育に関する相談など、成人とは違ったニーズにも対応しております。また、成人、小児と患者のおかれているライフステージが異なることから、教育に関すること、就労に関することなど、これまでそれぞれの相談支援センターの経験値も異なり、得意とする領域もございますので、AYA世代の方に関する支援につきましては、両相談支援センターで連携を図ることも求められております。
スライド11をごらんください。指定要件を踏まえたがん相談支援センターの役割です。相談員は患者さん・御家族の相談に対応しておりますが、治療・療養に関することだけを見るのではなく、働いている方であれば仕事の状況、また、学生であれば学校の状況なども踏まえ両立を支援しており、加えて経済的なことや育児中の方であるかどうか、介護をしているかなど、個々の状況に合わせた個別性の高い相談ニーズに対応することも求められております。
スライド12をごらんください。がん相談支援センターのまとめです。自院の患者や家族の相談だけではなく、他院からの相談、また、地域住民や他施設の医療・介護等の関係者からの相談にも対応しており、幅広い領域の相談に対応しておりますが、さらに信頼できる情報の提供が求められております。一方的な情報提供にとどまらず、その方に寄り添い、その方が解決できる支援を提供し、かつ中立の立場で相談に対応し、地域においてもネットワークを構築していくことが期待されております。
以降は、がん相談支援センターの状況についてまとめております。
スライド13をごらんください。相談件数は年々増加しております。施設数の増加もございますが、1施設当たりの平均相談件数も増加しており、各施設で相談件数が増えてきている状況です。平成28年度の現況報告によりますと、1日1施設当たり9.2件の相談に対応しております。
また、右下のグラフにあるように、相談件数のうち1割強は院外からの相談に対応している状況です。
一方で、左下のグラフですが、2カ月の相談件数が100に満たない施設があり、格差がある状況もございます。
スライド14をごらんください。がん相談支援センターは多岐にわたる相談に対応しております。がんの治療、症状など、医療に関する相談や転院、在宅医療などの療養先に関する相談、医療費や社会保障に関する相談が多い傾向がございます。
スライド15をごらんください。非常勤、兼任を含めますと、1施設当たり複数人の相談員を配置しております。平均6.7人配置されており、うち3.7人が指定要件に定められている研修を修了しています。配置する職種の規定は指定要件にはなく、さまざまな職種が配置されておりますが、多い職種は社会福祉士、精神保健福祉士と看護師となっており、配置の状況は資料のとおりです。
スライド16をごらんください。平成28年に実施された全国の情報提供・相談支援部会によるがん相談支援センターへのアンケートでは、相談の内容だけではなく、相談者の社会状況の変化や解決を支援するための制度体制の限界など、相談支援に当たりさまざまな困難が上がっております。多岐にわたる相談内容と多様なニーズに対応するためにはさまざまなスキルが必要とされております。
スライド17をごらんください。第2期がん対策推進基本計画の中間評価の結果ですが、がん相談支援センターの利用は7.7%であったと指摘されている一方で、利用した方の満足度は高い結果がございました。
スライド18をごらんください。ここからはがん対策推進基本計画の状況や全体像について御説明いたします。
基本計画に示されている取り組むべき施策を真ん中の枠にまとめております。右側は、そのことについて、どのように推進していくかということを記載してございます。厚生労働科学研究やがん相談支援部会の取り組み、各拠点病院等で進められております。特に赤枠で示している、質の継続を担保するための方策については、本検討会で検討する内容でございます。
スライド19をごらんください。先ほど説明いたしましたが、指定要件の見直しがございました。具体的には、このような変更がございます。がん相談支援センターで求められている業務は増えており、一方、利用率の低さなどの指摘もあることから、がん相談支援センターのみで自身の周知を図るのではなく、病院一体となって周知を図ること。外来初診時等に主治医等から患者に周知することが新たに記載されております。
スライド20をごらんください。緩和ケアの説明と重複となりますが、この調査では相談支援に関する内容についても調査項目がございます。
スライド21をごらんください。現在進めている研究の一覧です。相談支援に関する研究も推進されております。
スライド22をごらんください。相談支援の全体像ですが、国や都道府県、国立がん研究センター、拠点病院をはじめとする医療機関、学術団体、それぞれが研究や調査を進めており、また、研修やPDCAサイクルの活動などにも取り組むなど、相談支援の質の向上に向け取り組んでいる状況です。こちらを、互いの成果を還元できるように進めておりまして、がんになっても安心して尊厳を持って自分らしく生きることのできる地域共生社会の実現を目指しております。
現在、この資料にまとめましたような取り組みを進めておりますが、本日はこの後の高山構成員の御発表も踏まえ、相談員の質の向上に向け、人材育成や相談支援に関する取り組みについて、さらに推進すべきところ、改善すべきところについて、幅広く御意見をいただけますと幸いです。
事務局からは以上でございます。
○西田座長 幾つか問題があって、1つは相談支援センターに必ずしも多くの人(患者)がつながっていないという問題もあります。今回は相談支援センターの相談員に求められるニーズが多様化していて、1人で本当にカバーできるかという問題。それから、現在、医療というものは凄い速いスピードで年ごとにどんどん変化していきます。5年前にゲノム医療ができるなどと誰も思わなかったと思うのですけれども、今年度あるいは来年度からゲノム医療がもう始まるわけです。こういったことにも応えなければいけなくなったということで、相談支援センターの支援員とのリテラシーというのですか、情報や知識のアップデートといったところが非常に求められます。場合によっては専門分業といいますか、役割分担というものもある程度必要なのではないかとも思います。高山構成員がこれまでずっとそういった教育的なところをやられてきていましたので、研修や教育について、これまでのことを振り返りながら現状を含めて御説明いただきたいと思います。
では、よろしくお願いします。
○高山構成員 国立がん研究センターの高山です。ふだんはがん情報サービスの情報提供や、がん対策が始まってからの相談員研修に関して携わっております。
資料6をご覧ください。本日、(相談支援センターの研修の)全体の説明をさせていただく中で、詳細な情報も御用意させていただきました。それについてはスライドの右上に参考資料で番号をつけています。スライド15以降にその番号に沿った資料をつけておりますので、適宜あわせてご覧いただければと思います。
それでは、スライド3をご覧ください。現在、指定要件にかかわる研修として、相談員の基礎研修(1)(2)(3)を行っております。
当初(1)(2)については集合研修で集まっていただいて、600~700人の大きな会場で講義を提供するという形をとっておりましたが、現在はEラーニングの体制になっています。
整備指針では、平成20年では、専従・専任が1人以上配置すること。そして、平成26年の整備指針では具体的に基礎研修(1)(2)(3)を修了した者を配置することの要件が加えられております。
基礎研修(1)(2)に関しては現在、18講義提供しております。今回も質の観点から相談員の育成をどうするかということが課題として上げられておりますが、平成30年度から「相談対応の質の評価」ということで、今回も質の観点から相談員の育成をどうするかということが課題として上げられておりますが、そういったものの講義も加えております。
そして、Eラーニング化することによって受講生も大分ふえて、(現在は)年間900名ぐらい受講しております。
基礎研修(3)は、演習形式で2日間の研修を国立がん研究センターとして提供しております。年間約400~500名、うち3割程度が非拠点病院です。もともと指定要件ということで、拠点病院に申請する病院はこれをあらかじめ受けているということが条件になっておりますので、非拠点病院の割合は、いまだにと言っていいかわかりませんが、まだ高い割合を占めている状況がございます。
研修に関しての満足度は非常に高くて、役に立つということが当日の後のアンケート結果として得られている状況です。
その下、これも整備指針で定められている研修になります。指導者研修、各都道府県での研修開催状況についてです。
指導者研修は現在、3日間の研修で、地域に還元していただく研修ということを求めております。1人ではなかなか(地域への)還元が難しいということで、各県から3名の、違う病院から構成されたメンバーで参加する研修となっています。平成26年の整備指針で、都道府県拠点病院が研修をやることということで定められました。
しかし、今回の整備指針で追加になりましたが、都道府県拠点病院からは、地域拠点のほうで参加することということが書かれていなかったがために、開催してもなかなか人が集まらないという状況があったということを伺っておりました。
指導者研修についても昨今の情報の範囲が非常に広くなっていることを受けて、今年度からは「情報支援」の研修を加えた4日間の研修を予定しております。これについては、また後ほど説明をさせていただきます。
そして、各都道府県での研修開催状況です。資料マル6のほうに詳細を記載しておりますが、大体、どの都道府県でも研修は開催されているという状況があります。
また、なかなか(各県での)研修の開催自体が難しい場合もありますので、こちらから奨励しているのは、開催県以外の相談員の方の受け入れもお願いしておりまして、(全国で行われている)年間100研修余りのうち約3~4割の割合では外の県からの受け入れも可能という形となっております。
次にスライド5になりますが、先ほど西田座長のほうからも説明がありましたが、昨今求められる情報の量は非常に多くなっています。そして、新しい情報もどんどんふえているような状況があります。そして、こういった情報についていける人もいますが、なかなか情報についていけない方々の間を結ぶ役割としての相談員の力量も非常に求められているような状況です。
その情報のうちの一つ、診療ガイドラインというものも信頼できる非常に大事な情報であると思いますが、この1年半余りで医療者向けのガイドラインは70種類、倍ぐらいにふえています。患者向けも9種類あるという状況ですが、まだ相談支援センターではなかなか使い切れていないという状況がございます。調べるのに時間がかかったり、ガイドラインそのもののつくられ方が違うということもあり、横断的に見るには非常に時間がかかるということがあります。また、ここでももちろん、相談員のスキルを上げていく必要もあります。
そういうことで、スライド6になりますが、指定要件以外の研修ということで、我々、国立がん研究センターで提供している研修について御紹介いたします。
継続研修として、これは資料マル4のほうにございますが、現在、Eラーニングの講義(30~40講義)プラス指定要件では定めておりませんテストを一緒に設けております。これには新しい希少がんですとか、病気の子供を持った方ですとか、生殖医療。そういったものについての新しい研修も加えたような形としております。その次に当たりますのは、国立がん研究センターで認定制度として設けております認定がん専門相談員。そして、3つ目が認定がん相談支援センターというものなのですが、それぞれのEラーニングの講義、テストに加えて、それ以外の研修を受講していること。そして、質向上の取り組みをしていること。こういったものも加えるような形で、それを受講していることを承認する、確認するという作業をとったものを認定取得という形で設けております。
あと、資料マル4のほうにつけてございますアップデート研修ということで、名前がいろいろあって恐縮なのですが、がんゲノム医療あるいは患者申出療養というような、制度が変わって早く現場としては知りたい、知っていなくてはいけないという研修については、これもEラーニングで可能な限り、できるだけ早く提供できるようにということで提供しているような状況です。
スライド7に移ります。先ほども紹介しましたように、指定要件以外のものの研修になります。
相談対応の質を上げていくには、やはり自分の相談対応を知る、癖を知ることも含めてスキルを高めていく必要があるということで「相談対応の質保証を学ぶ」研修を1日の演習形式の研修で平成27年度から設けておりました。ただ、これは任意研修などの理由で参加者が少ないということで、今年度から国立がん研究センターから講師を派遣するという体制をとっており、今年度は13県に訪問しているという状況です。
そして「情報支援」に関する研修ですが、これは新しいトピック、がんゲノム医療もその最たる例ですけれども、トピックごとにだけではなくて、どんな新しい情報が来たとしても、それをどんなふうに信頼できるかどうか、見きわめる力ですとか、あと、先ほど申し上げましたように、診療ガイドラインの読み解く力といったものもつけるための研修としております。これも、任意研修ですが、任意研修ですとなかなか参加者が少ないということがございますので、来年度からこれは指導者研修の中に盛り込む予定です。
そして、次からは関連する質向上の大枠になるような取り組みに関してです。その一つが都道府県がん診療連携拠点病院連絡協議会のもとに設けている情報提供・相談支援部会です。もともと都道府県がん診療連携拠点病院連絡協議会は平成20年度から開始されていますが、その下に4つの部会があり、その一つとして設けられています。
何を行っているかといいますと、資料マル11に記載していますが、好事例の共有、現在、相談支援センターあるいは拠点病院でどういったことが課題となっているかの調査をする。あるいは計画が出されたり、整備指針が出されたりしたようなことに関しての提言書をまとめる。また部会としての、質を向上させるための活動の方向性を定める。そういったことを活動内容としております。
そして、部会として作成したPDCAサイクルのチェックリストの実施状況の調査結果がスライド9の右下にございますが、35都道府県で実施しているという状況でした。
この部会の中で調査をした結果の一つがスライド10にございます、多様な相談内容に対しての対応体制ということで伺ったアンケートになります。
がんゲノム医療、希少がん、生殖医療、AYA世代というふうに、今回、整備指針に新しく加えられたような内容が載っていますが、もちろん、相談員のスキル、知識も大事なのですが、それ以外に自施設での対応できる体制、あるいはそもそも病院の特性によって相談の件数そのものも違いますし、相談員が対応し切れないときの対応体制も大きく違っているという状況がございますので、こういったバックヤードとったサポート体制というものは非常に大事になってくるということがあるかと思います。
また、施設によって、やはり特性が違いますので、これに見合った役割分担のようなことも必要になってくるかと思います。
次に、スライド11以降はネットワークの取り組みに関してです。
そもそも患者さんは県境など関係ない、近い病院あるいは御家族のいる病院にも行きたい。そういったことがございますので、地域の、広域のネットワークづくりということで、近くの地域ブロックぐらいの単位で情報共有の場にするということを平成24年度から取り組みとして開始していました。現在は自主的に開催するところがふえてきている状況ですが、これが今、公立図書館との連携につながったりですとか、災害時の情報共有ということで、どういうサポートが必要かというのを全国レベルで情報共有するような取り組みにもつながっています。
スライド13、スライド14のあたりは、今後課題となることを少しまとめてございます。やはり相談支援センターは今、数名の体制では非常に対応し切れないほどの範囲ということになっています。連携を充実させて、院内との連携、対応できるものは院内のスタッフが対応できる、あるいは院外にもつなげていくような担い手、仲間をふやしていくということが必要でしょうし、あと、先ほど申し上げましたような、内容によっては集約化、役割分担といったものが必要かと思います。
あと、2つ目に挙げたのは、今後の研究の課題にはなってくるのかとは思いますが、対面、電話相談以外にも、現在、がん情報を見る方も7割がタブレット形式という形になっています。最近は電話もなかなか使わないという世代にもなってきていますので、チャット方式での相談対応もノウハウを蓄積していく必要があるのではないかと考えております。
以上です。
○西田座長 ありがとうございました。
国立がん研究センターが提供する研修で、1つでまとめると、スライド16、参考資料の中にこれだけたくさんの研修コースがあるのですけれども、上の2つだけが整備指針に入っていて、あとは本人たちのボランタリーで研修いただいている状況です。それに加えて、協議会の中で情報提供・相談支援部会での活動状況、さらには地域でのネットワークの活動について御説明いただきました。
非常に重要なことですが、相談支援センターの相談員の質を上げるには、多分、研修した後の満足度にも関連があるかなと思います。皆さん方から忌憚のない意見をいただければ幸いです。継続研修に関しては、1回だけ研修して終わりというのは、今の学会の認定医制度などを考えると、少し考えにくいと思いながら、聞いておりました。
前田構成員、何か意見はございますか。
○前田構成員 前田です。
相談を受ける技術、面接する技術、ノンバーバルな情報を読み取ったり、患者さんの感情に係わる人たちなのでそういったトレーニングも必要になってきます。これはなかなか一朝一夕でいかない部分がありますので、そういったスキルを持っている人たちが現場にちゃんと配置されて、継続して勤務されることが必要になってくると思います。
もう一点、新たな知識の習得というものがどんどん増えてきているのですが、これについては国立がん研究センターのほうからタイムリーにいろんな情報も発信されていますし、いろんな枠組みの中で研修の場は提供されているのですが、先ほどのお話にもあったように、研修参加がノルマにはなっていない部分があるので、思いがあるところしか出席をしていないところが課題です。
あと、例えばがんゲノムのことが取り上げられる中で、当院はゲノム拠点にはとなっていないけれども、がん相談支援センターにはがんゲノムの相談は待ったなしで来ます。なので、自院のバックアップの体制がないままで、不確かな情報の中で、患者さんの思いに添ったできる範囲の情報を発信することもあります。ゲノムという、4月からの診療報酬化に向けて、現にうちでもこの2週間ぐらいで10件以上の相談が来ているのですが、今、緩和ケアに入院していて、死を間近に見ている家族から、「ゲノム医療を提供して。今すぐ転院させてくれ」みたいな相談も来ます。なので、がんゲノムの知識だけではなくて、患者さんの置かれている状況理解であったり、緩和ケアの機能であったりということの説明も必要になってきます。横断的な情報を組み合わせて、その方に合わせた提供の仕方が必要になってきます。なので、年々求められるハードルは上がってきているのですが、その割には余りがん相談支援センターが評価されていない思いを持っていますので、きょうは皆さんにぜひサポーティブな感じでいて頂けるととてもありがたいと思っています。
○西田座長 ありがとうございます。
加藤構成員、2人いらっしゃるのですが、では、がんセンターの加藤先生から先にお願いします。
○加藤(雅)構成員 ありがとうございます。
先ほどの緩和ケアの話題と共通する部分もあるかと思うのですが、これだけがん相談の内容が多岐にわたってくると、やはり専門性をどうするかという部分の議論をせざるを得なくなると思うのです。当初は病院のもともといた看護師、ソーシャルワーカーが異動で配置されたところから始まったこともあり、がん相談に対応できる最低限の知識をまずは身につけていこうということで研修が始まったところもあったかもしれません。しかし、現状のようにゲノム医療を含めて専門的な知識を身につけないと対応困難な状況にだんだんとなってきた現状においては、一生涯をかけてそれをやるとまで言わなくてもよいかとは思いますが、相談支援を専門としてやる人材が求められ始めているのではないかと思うのです。
ただ、本当にそれが、がん拠点病院に全てに必要なのか。しかし、一部の病院ではもしかしたら、やはりそういう人材はいないといけないのかもしれないと思います。幅広く全拠点病院がやるべきことと、相談が集中してしまうような、かつ難しい相談がたくさん来るような病院で求められる人材の違いについては考えないといけない時期にもしかしたらなってきたのではないかと思います。
○西田座長 ありがとうございます。
専門性と、それから、専門の人がカバーする領域も大事ですね。一人の人が全てカバーするのは非常に難しいと思います。
もう一人の加藤構成員、何か御意見がございましたら、どうぞ。
○加藤(裕)構成員 今、お話をお伺いしていても、やはり多岐にわたり過ぎている、この専門性をどう対応するかとなると、自施設での患者さんへの対応となれば、その施設での対応をせざるを得ないと思うのですが、広く一般論で聞かれてくるケースも多々あると思うのです。そういうときには、やはり限られた施設だけではなくて、もう少し大きく捉えた拠点なりの連携したようなセンター化も必要になってくるのではないかなと思いました。
また、電話等での対応であれば、やはりよく銀行とかでもどこでも問い合わせすると、その関連はどちらですというふうにどんどん専門性に分岐されて対応者が出てくるというシステムになっていますので、そういうものも取り入れるとか、工夫をしていかないと多分、今後は難しいのかなと。
また、ソーシャルワーカーの方々が中心になっておりますけれども、そうではなくて、医療職で興味のある方とか、あるいは退職されてもそういうものにボランティアとしても貢献したいという方々も、専門性の高い方々にも協力を仰ぐとか、そういう手も使わざるを得ないのかなと思いました。
○西田座長 ありがとうございます。
もう一つ、患者サイドといいますか、視点として、医療者でない側からの御意見も伺いたいので、鈴木構成員、あるいは岸田構成員、何か。
鈴木構成員、どうぞ。
○鈴木構成員 本当に相談内容が多岐にわたる中で、すごく対応していただいているのですけれども、もしかしたらがん相談支援センターの役割は適材適所につなぐことにもっと特化するということがいいのかなと思います。
一方で、2カ月で相談件数が100件に満たない拠点病院が拠点病院のうち4分の1もあるということで、これは1日に平均すると、1日1~2件も来ていないところが4分の1というのは、やはりそこにつながっていない人たちもたくさんいるのだと感じます。
私、結構、地方の病院に講演とかに行くたびに見に行っているのですけれども、本当にそこの周りにいても一切、誰もいない会議室をがん相談支援センターととりあえず看板だけかけていますみたいなところをたくさん見てきて、そういうところの相談支援員さんたちはどうにかして来てもらおうといろいろメークアップセミナーとか就労セミナーとかをやってみたりして呼んで、それで数を数えてここに入れているような人たちもいることを考えると、結構、そこにつなげることがまだまだできていない病院もたくさんあるのではないかと思って、それは緩和ケアもそうですけれども、主治医がきちんと、そういう場所があるのだということを伝えてあげれば知る人たちが、私たちがん患者と家族の相談支援を豊洲でやっていますが、地方で自分の地域でそういう場所があるとも知らずにわざわざ東京まで来られている方がたくさんいらっしゃることを考えますと、そこの病院内の連携もますます強めていかないといけないのではないかと感じています。
また、会議室が本当に無機質で、また相談内容が決まっていないとなかなか行きづらいという声もたくさん聞いているので、そこがいかに生きやすい場所であるか。環境面もほとんど今まで考えられてこないで設計されているがん相談支援センターが多いように思いますけれども、患者が一人の人間としてここに行きたい、何でも相談したいと思える環境づくりみたいなところからも、今まで多分話し合われてきたことがなかなかなかったのではないかと思うので、その点もすごく、実は患者側にとっては大事なことなのではないかと考えています。
○西田座長 ありがとうございます。
アクセスのほうは、また別途議論しましょう。ここでは、まず質のことを考えていきましょう。
ただ単につなぐだけであれば、つながった先の相談が多くなると混乱するだけなので、ある程度、最初の相談支援センターで基本的なことは解決しなければいけない。それから、専門性のところはやはり専門のところにつなぐのが必要かなと。
岸田構成員、どうぞ。
○岸田構成員 アクセスの部分と質の部分でかぶるところがあるかと思うのですけれども、私はネットで患者さんのインタビュー発信をしていて、やはりそういったところで相談も受けることもあります。
そのときに、高山構成員が最後のほうでおっしゃっていましたが、今後、ほかの相談ツールといったところですね。今、がん相談に関しては現地にいくか、もしくは電話かであったりすると思います。ただ、本当に今後、今すぐは難しいかもしれませんが、例えばいじめとかの相談に関してはLINEで相談をするというようにしたときに、劇的に数が伸びて、救える命や悩みを救ってきたという実績があると思います。
なんなら、そういったいじめとか、ほかの相談のところのノウハウといったところも吸収して、今の50代とか40代とか、LINEとかフェイスブック等を普通に使う世代が次に60代以降になってきて、またがんの罹患率が徐々に高くなってくる世代になってくると思います。そのときに、すぐネットであったり、LINEであったり、コミュニケーションツールを使おうと思っても多分難しいかと思いますので、そういったところを今のうちから検討してほしいということ。
そして、それは相談するにしても多分、相談員側の技術といいますか、今までメール相談も結構難しかったように、そういったところの技術とかも必要になってくるかと思いますので、そういったところも見据えての研修といったところ。やはり、この指定要件に関してもAYA世代とか、そういったところも入ってきたと思います。そういった人たち、AYA世代、働き世代は日中はお仕事に出ていて、電話できるとしたらお昼休みや仕事後ぐらいしかないと思います。ただ、それでも難しい人たちはいっぱいいると思いますので、夜も相談をあけてくれるところもあるかと思いますけれども、それはごく一部だと思いますので、そういった人たちも簡単に相談できるように、そういったツールも含めて。ただ、そのツールを使用したときの相談員の対応体制も今後検討していくべきだと思っています。
○西田座長 ありがとうございます。
そのあたりも将来的には考えなければいけないと思っているので、テレメディスンというものは非常に重要かと思うのですけれども、これは情報セキュリティー等も絡んでくるので、少しこの辺は慎重に進めるのがいいのかなと思います。
そのほか、特にこういった相談支援の情報提供の質の向上のために、特に研修に関して御意見はございますか。
志真先生、何かございますか。
○志真構成員 研修というより、この高山構成員のスライドの28番目の公立図書館との連携という、非常にいい試みだと思います。やはり病院に地域の人が来て相談していいのだといっても、せいぜい1割ですね。それで、先ほどのデータを見ますと年々、割合が下がっている。あるいは母数がふえているから、多分、地域から来る人は余り変わらないのでしょうけれども、結果としてどんどん割合が減っている。
ただ、やはり地域に相談できるような場所にサポートするという、こういう公立図書館などと連携してやっていく試みをもっと広くするとアクセスはよくなりますし、日ごろのこういう情報の取り入れ方もよくなっていくのではないか。
実は私も参加したOPTIMという研究で「緩和ケアを知る100冊」というものをその地域の図書館に置いて活用したケースが幾つかありまして、山形の鶴岡では非常によく活用されたというケースもあります。ですから、やはりそういうところにも協力していくのは非常にいいのではないか。
それから、鈴木さんがやっておられるようなマギーズ東京とか、いろんな民間のそういう相談支援機能というのですか。それをサポートするような仕組みというのですか。それがぜひ必要だと思います。
もう一点は、先ほど加藤構成員が言ったのですが、そろそろ基本と専門とを分けたらどうかという、これはとても、確かにそういう発想はあるのですけれども、なかなか難しい。
それで多分、自然の流れとしてそうなっていくだろうと私は思うのですが、やはりその場合に何を専門性としていくのか、何を基本としていくのかというところがとても大事ではないかと思うのです。
ですから、ここは多分、教育研修の中で分けていくのが一番自然なのだろうと思います。そういった専門性を持った人材を育てていくのも、ある程度、今のこのタイミングで必要だと思いますし、そういう方たちに何か社会的に認められるような、ライセンスとまではいかなくても、そういうものをちゃんと提供していくことも考える必要があるのではないかと思います。
○西田座長 どうぞ。
○羽鳥構成員 日本医師会で生涯教育のほうを担当しているのでお伺いしたいのですけれども、ある意味でかかりつけ医も相談員になれる要素はあると思いますが、情報、学問が進歩しているので、学ぶ場がやはりかかりつけ医にとっても欲しい。
先ほどのEラーニングのお話がありましたけれども、これを日医の生涯教育の中のコースに入れることができないのではないか、医科向けとは違うのだということもあるかもしれませんけれども、これだけ70編のEラーニングのコースをつくっているのだったら、そしてテストもされているということだったら、このうちの、例えばここを見たら日本の生涯教育のコースにしてもらえないか。メーカーさんの協賛はほとんどなくなってしまうので、自分たちで勉強する場を確保していかなければいけないことがありますので、それにも活用できるような仕組みも考えていただけたらと思うのですが、将来的な話で構いません。
○西田座長 ありがとうございます。
議論し出したら切りがないと思いながら、今、聞いていました。ただ、非常に重要な御指摘で、1つは加藤構成員がおっしゃっていました、相談員にある程度専門性を持たせて、これをスペシャリティーとして将来対応していく人も幾つか特定の病院では必要になってくるだろうと思います。この領域では、総合職のようにぐるぐる回っていくだけでは、やはりまずいのではないかと思います。特に看護師さんはどうしてもローテーションしてしまいますけれども、ある程度、専門性を持ってやっていただくことも重要ではないかということが第1点です。
同じ専門性でも、やはりジェネラルに知識として持っておくべきことと、一人一人が私はこの分野に関しては詳しいですという専門性を持っていただく事も重要です。例えば私はゲノムに関して詳しいという専門性を、ある程度大きな拠点病院ではそういった相談員を育てていくこともやはり重要ではないかという御指摘をいただいたかなと思います。
それから、先ほど羽鳥構成員から御指摘がありましたように、今、医療は日進月歩です。5年前の知識で情報提供するわけにはいきませんので、やはり個々の相談員の継続的な研修はある程度mandatoryという形で、特にベーシックなところはmandatoryにしないといけないのではないかというように皆さん方の意見をお聞きしました。
それから、全ての拠点病院にみんな同じことを求めるのはなかなか厳しいと思いますので、ある程度、先ほど言いました専門的なところに関しては都道府県拠点病院とか、少し病院としては規模の大きいところ、中核という名前がつくところでもいいと思うのですが、そういったところにも分担してもらうということも考えなければいけない、というふうにお聞きしました。
また、これは後日の会議でも議論していきたいと思いますので、事務局のほうでまとめて、整理をいただきたいと思います。
それでは次の2のマル2の地域における相談支援のほうに移っていきたいと思います。ここは資料7と資料8について、資料7は事務局から御説明いただいて、資料8は小川参考人が来られているので、ピアサポートの話をしていただきます。
では、事務局のほうからまずはお願いします。
○事務局 事務局 小野でございます。お手元に資料7を御用意ください。「地域における相談支援について」御説明いたします。
スライド2をごらんください。がん対策推進基本計画における位置づけは先ほどの説明のとおりです。
スライド3をごらんください。地域における相談支援やピアサポートについては、具体的にはこちらに抜粋いたしました現状・課題が挙げられてございます。がん相談支援センター以外の場での相談が広がりを見せているものの、ピアサポーターの普及が進んでいないことが指摘されております。現状の課題を踏まえ、こちらに記載されている施策に取り組むこととしております。
この後、ピアサポーターの研修プログラムの改定や調査状況につきましては小川参考人より御説明いただきますが、本検討会では地域のさまざまな医療、福祉、行政窓口等との相談連携のあり方も含め、地域においてがん相談支援センターを効率的・効果的に活用するための方策や地域統括相談支援センターなど、地域における相談支援の提供体制について検討を進めたいと存じます。
スライド4をごらんください。都道府県に対する国庫補助といたしまして、都道府県健康対策推進事業がございます。そのメニューの一つとして、がんに関する総合的な相談等の実施に資する事業を実施しており、都道府県ではがん診療連携拠点病院以外の相談窓口の設置や患者団体の行う相談支援、また、ピアサポーターの養成なども実施しています。
スライド5をごらんください。具体的には地域統括相談支援センターの設置がございます。患者・家族らのがんに関するさまざまな相談について、ワンストップで支援を提供しております。全ての都道府県に設置されているわけではなく、一部の府県でございますが、京都府や石川県などの取り組み事例がございます。
スライド6をごらんください。この後、本年度実施しているがん総合相談に携わる者に関する研修事業につきましては小川参考人より御説明いただきますが、こちらはピアサポート研修に関する先行事業です。平成23~25年度に日本対がん協会へ委託し、ピアサポーターを養成するプログラム等を作成しております。
スライド7をごらんください。さらに、フォーラムの開催やテキストなどを広く公開してまいりました。
スライド8をごらんください。しかしながら、ピアサポートの普及が十分ではない、プログラム等が効果的に活用されておらず、ピアサポートの活動の普及が十分には進んでいないということなどが「がん対策に関する行政評価・監視結果に基づく勧告」で総務省より指摘されてございます。
これを踏まえまして、本年度よりがん総合相談に携わる者に対する研修事業を実施しております。プログラムが効果的に活用され、ピアサポート活動を普及させるためには、どのようなプログラムや研修のあり方がよいのか、検討し、プログラムの改定や研修会の見直しを行っております。
スライド9をごらんください。こちらは既存の事業でございますが、現在、国立がん研究センターへ委託し、加藤雅志構成員を中心に地域緩和ケアネットワーク構築事業を進めております。地域における関係機関等の連携・調整を行う連携調整員を育成しております。
こういった地域のネットワーク体制の中で、緩和ケアのみを担っているわけではありませんが、がん相談支援センターや地域統括相談支援センターの役割や連携のあり方について検討いただければと存じます。
スライド10をごらんください。地域には行政機関を含むさまざまな相談窓口があり、また、患者支援に携わるさまざまな職種がおります。地域と一口に申しましても、皆様の考える地域は規模や圏域など、さまざまあるかと思います。がん診療連携拠点病院をひとたび出ますと、がんだけに関する資源ではなくなりますので、地域統括相談支援センターの役割やがん相談支援センターなどの役割等を考えていかなくてはいけません。
特にこれまで周知してまいりましたが、がん相談支援センターをさらにどのようなところに、どのような周知をする必要があるのか。また、地域統括相談支援センターの設置を推進するに当たり、センターにはどのような期待される役割が考えられるのか、どのように機能すべきかについて御意見いただければ幸いです。
スライド10の下の円をごらんください。地域にはさまざまな、医療、福祉、行政窓口の体制がございます。赤で囲ってございますが、がん相談支援センター、がん診療連携拠点病院もこういった資源の一つでございます。こういったネットワークにおける連携のあり方も含め、地域においてがん相談支援センターを効率的・効果的に活用するための方策について幅広く御意見をいただければ幸いです。
また、上の円にはNPOはじめ公的機関以外の資源も多くあり、さまざまな資源の提供の可能性がありますので、地域における相談支援の提供体制についても幅広く御意見をいただければ幸いです。
事務局からは以上でございます。
○西田座長 ありがとうございました。
では、引き続き、小川参考人からお願いできますでしょうか。
○小川参考人 よろしくお願いいたします。日本サイコオンコロジー学会の小川です。
資料8に基づいて、この地域の相談支援の一つの一環ということで、ピアサポートの事業の現状について御紹介をさせていただきたいと思います。
まず今回、サイコオンコロジー学会が委託を受けました事業の内容につきましては、スライドの2枚目に掲げてございます。ピアサポーターに関する、主に研修プログラムの改訂、その現状、問題点の調査・分析をして、見直して、それに合わせて、地域統括相談支援センターや患者サロンの開催等に協力するピアサポーターの研修等を実施するということになっております。
ピアサポーター自身はかなり幅広い、これは医療機関とかにとどまらず、地域一般に行われるものなのですけれども、ここに書かれてありますのは、特にそういう医療機関にかかわるところ。少しそこは限定しつつ対応しているということが特徴になります。
めくっていただきまして、スライドの3枚目にはピアサポートの役割についてまとめておきました。ピアサポーターというものは幅広く言葉は出るのですけれども、では、どんなふうなことをしているのかを簡単にまとめておきます。
ピアサポートはよく相談員とか、相談との誤解が多いのですが、ピアサポート自身がこういうがん医療とか、あるいは慢性疾患に対しての中で行う役割は主に、このヘルス・リテラシーの向上で、その役割としては2つございます。1つは体験の共有ということで、御自身の体験を語ることをして、姿を示すということ。2つ目は情報提供の役割ということで、病院の利用の仕方とか、かなりリテラシーにも直結するようなもの、あるいは相談支援という中でも割合、生活に近いような情報提供が中心になります。こういうものと情緒的なサポートを一体となって提供するということがありますので、心理社会的支援のベーシックなものとして見ていただければと思います。
役割は少し、誤解が幾つかあるので、補足をさせていただきますと、よく相談支援というもので相談員みたいな感じで指示、助言のように思われるのですけれども、ベースは情報の提供ということで、特にこれは患者さん御自身の体験という、これは医療者が語り得ないものですので、それを御自身や語っていただく。そして、周りの人がそういうものを受けとめて、どう使うか。そこを効果的に語る。そういう語り部としての役割が中心になります。また、医療に関する情報には基本的には関与しないというのがルールになっております。
委託事業の現状に関しては、4枚目のところに簡単にまとめておきましたが、今、先行事業のテキストの見直しと、そして各都道府県で使っていただけるというのを目標に、構造化されたプログラムへの改訂というものを行っております。また、このあたり、これは総務省の行政評価でも出てきたのですけれども、行政とか、あるいは医療従事者が知らない誤解というものもありますので、こういう行政・医療従事者向けのプログラムを追加し、一緒に受けて、この辺の理解を進める。そういうところを一つトライアルで行っております。
今回は地域の相談支援の一環ということですので、5枚目のところに地域統括相談支援センターの概要の図を掲げさせていただきました。相談支援センターというと拠点病院の相談支援センターが圧倒的にイメージが強いのですけれども、実はもう一つ、地域統括相談支援センターがあり、これは地域の相談をワンストップで受けて、そして支援を提供するというものを趣旨に行われております。
こちらがそれぞれ、主に県の単位のベースで行われているという、サイズの問題はあるのですが、現状としては47都道府県のうち、この辺、県の対策として行われているものが14県ということになります。非常に定義としては曖昧で、イメージがつかみにくいのも、この地域統括相談支援センターの一つの課題なのかなと思うのですけれども、主に相談支援の場と捉えられていることが多くて、電話相談や対面相談の窓口として設置されていることが中心です。ただ一方で、こうなりますと、役割としてはがん診療連携拠点病院の相談支援センターと重なることもありまして、ここが混同の要因にもなっているかもしれません。
設置形式としては、主に設置されている県の現状を見ますと2つに分けることができて、都道府県の拠点病院の中に併設されているパターンというものと独立しているパターンとがあります。併設されている場合のほうは病院との医療連携というものはやりやすいのですが、院内の相談支援センターとの役割が非常に曖昧で、そこの線引きが難しい面があります。独立設置型は、この辺は明確なのですけれども、逆に医療機関とやや遠くて、行政の相談窓口というニュアンスが強くなっている面がございます。
今度は、それぞれの都道府県のピアサポートに関する取り組みの現状は以下のスライド7からスライド9と進めてまいります。
現在、取り組みを実施している県は、これは回答がなかった県も含めますが、全部で47都道府県中の35都道府県。養成を行っているのは29都道府県、フォローアップをしているのが23都道府県、実際に情報の管理・把握を行っている、かなりアフターケアがしっかりしている都道府県が13都道府県というのが現状です。
あわせて補足を入れておきますと、かなりの都道府県が他機関に委託をしているということがあって、多分、都道府県のマンパワーの問題もあるのかなと思いますが、実際の内容ですとか管理まで把握している都道府県はどうも少ないのではないかと考えられます。
この辺をちょっと細かく見る意味で、それぞれの都道府県が実施しているピアサポートの研修内容もスライド8にまとめておきました。
これは全部で29の都道府県から情報提供をいただいたのですけれども、見ていただくとわかりますように、割合、こちらは必須と思われる項目を挙げて、どれぐらいそれが含まれているのかを並べているのですが、例えば自分の経験を話すコミュニケーションとか、これがピアサポートの中心的な役割になるスキルなのですが、どうも21都道府県しか入っていなさそうとか、あるいはピアサポートとしての限界。このあたりが、やはりこういうボランタリーな相談支援の一つの、ほかにつなぐというのも重要な役割になるのですけれども、入っているのが23都道府県。スキルアップにつながるような、あるいは医療機関との連携で重要になる報告等について扱っているのは18都道府県にとどまるということで、かなり内容にばらつきがあるというのがうかがわれます。
そして、先ほど小野さんからも御紹介くださった、以前、対がん協会がつくられたテキスト等がどれぐらい使われているのかというのも9ページ目にまとめておきましたが、一部利用、利用せずというものが半々ぐらいで、その辺の理由としては委託先に任せているところがあって、余り都道府県がグリップされている感じはなさそうです。
その後のフォローアップもピアサポートの場合、重要になります。要するに、ピアサポートというものはそういうボランタリーで、しかも割合、そういう体験がフレッシュな中で支援を行うのが特徴なので、スキルアップというよりは、まずベーシックな約束をしっかり守った上で、続けていく中でいろいろなスキルアップ、あるいはいろいろ細かいフォローアップを行っていくのが重要になるのですけれども、こういうケーススタディーとかロールプレーとかのフォローアップをしている県は大体半分ぐらいにとどまっているとか、このあたりのフォロー体制もかなり現状としては厳しい面があるのかなと感じております。
この地域統括相談支援センターが都道府県拠点病院やがん患者団体等々、地域の連携のかなめとなるというものを少しイメージしたものがスライド11のところに図として上げております。
ワンストップの相談支援サービスというイメージがあったので相談支援窓口というふうに思われていた嫌いがあるのですけれども、こういう都道府県単位で動くときにはもう一つ、マネジメントという、県単位での例えばピアサポートの教育内容を整えるとか、後のスキルアップをどうしていくのか、あるいは登録をして拠点病院につなぐとか、そういうさまざまなマネジメントにつながる役割というものがあるのですが、そういうものを恐らく好事例として取り上げられる都道府県は実施している。
ただ、現実としては非常に数が少ないということがありますので、こういう体制をある意味、都道府県につくっていただく。マンパワーその他の問題はあるかもしれませんが、そこは今後、一つ重要になってくる、そういう地域への働きかけになるのかと思いました。
ピアサポートに関しての現状と課題は、スライド12に簡単にまとめておきました。
まず重要なのは、都道府県単位中心になりますけれども、マネジメントというものが現状、非常に少ないといいますか、余り光を浴びていない面がありますので、これをどういうふうにしていくのかというのはてこ入れの一つ大きな柱になるかと思います。例えば県単位での教育の内容の管理であるとか、あるいは支援体制、病院との調整とか、そういうフォローアップ等ということも重要になってくるかと思います。
特にピアサポートに関しては、病院側の一つ大きなバリアとして質の担保というものが繰り返し出てきているのですけれども、これに関してはこういうマネジメントをするマネジャーがいて、例えば同席をすれば、そのあたりのある意味で最低ラインのカバーができるとか、都道府県拠点病院の交渉の窓口としても、そういう点では資するのかと思います。
もう一つは、医療、行政への情報提供としては、同じく質の担保として、これはマネジメントで達成していく。これは最初のピアサポートというものは本当にある意味、ボランタリーということもありますので、参加するという点では必要最低限のルールという形にかなりとどまります。それよりも質を、あるいは医療との連携を安心するというところになると、これはマネジメントのほうになってきますので、これはフォローアップであるとか、コアとなる人に対してはより深いトレーニングを提供する、あるいは地域でいけば、そういうものを定期的に更新制度等を採用して、このあたりの最低限のルールを徹底するとか、こういう配慮、あるいはそういう制度づくりというものが必要になってくるのかと考えております。
現状に関しては以上のとおり、御報告させていただきました。ありがとうございます。
○西田座長 ありがとうございます。
全ての都道府県にあるわけではないのですけれども、地域統括相談支援センターについて御紹介いただいて、小川参考人には、特にその中でやられている、ピアサポートの現状、調査研究の結果をお話しいただきました。
地域との関係というものは非常に重要ですけれども、これを今、患者さんのサイドで患者サロンとしてやられている鈴木構成員を含めて、皆さん方の御意見を伺いたいと思います。
まず、鈴木構成員、何か追加でこれは言っておきたいということがあれば、ぜひどうぞ。
○鈴木構成員 先ほどの私が言いたかった、行きたい場所である必要がある環境を整える必要があるというのは、こちらのパートで言いたかったところでした。済みませんでした。
あと、ピアサポートについては、私は結構、ピアサポートで、やはりピアサポートをする本人は自分のがんのプロフェッショナルかもしれないけれども、そうではない人のプロフェッショナルではないというところにおいて、このルールが守り切れていないのか、傷ついたという話とかを結構聞いているので、やはり研修の必要性と、あと、ピアサポートが本当に有効なのかということ自体も含めて、きちんと調査する必要があるのではないかと思います。安易に広げることがいいのかどうかというのは結構危険なところがあるのではないかと見ていたところがありました。
なので、済みません、急に振られて、こんな意見しか言えずに申しわけありません。
○西田座長 患者サイドから意見をいただきました。
加藤構成員、どうぞ。
○加藤(雅)構成員 ありがとうございます。
今、地域統括相談支援センターについて、幅広く可能性を考えていくということでしたので、ピアサポーターの話題から少しずれてしまうかもしれませんが発言いたします。この地域統括相談支援センターの特色を考えたときには、やはり都道府県単位であること、また公的な立場である都道府県が主体であるということが大きな特徴だと思うのです。
そういった視点で考えると、がん診療連携拠点病院が苦手とするところの支援というものも何か可能性の一つとしてあり得ないかと思います。今、私のところで行っている取り組みとして、地域緩和ケア連携調整員の育成というものに取り組んでおります。地域連携に関しては全国で地域包括ケアシステムに基づいて市町村単位で医療・介護の連携を進めいております。一方で、がん医療は二次医療圏、県単位で進めていくところがあるため、どうしても市町村を超えたがん患者さんの情報の連携体制の整備というものがなかなか難しいところがあります。どうやってそういった連携をつくっていくのかということを考えていかないといけないのですが、拠点病院のほうにはなかなか地域の情報がない、連携する先のそれぞれの市町村の取り組みの細やかな情報がないという状況があります。そのことを考えると、こういった地域統括相談支援センターが都道府県内の各地域の情報を持って、拠点病院の相談支援センター、相談支援センターが地域連携の部門ではない場合は拠点病院の地域連携部門に対して、地域に関するいろいろな情報提供などをしたり、一緒に地域ネットワークをつくっていくプレーヤーの一人になったりするといいのではないかと思うのです。
がん患者さんの個別のコーディネーション機能を持つということではありません。個別のがん患者さんがどこで療養するのかについて調整するということではなくて、地域のネットワークづくりの重要なプレーヤーの一人になる可能性はあるのではないかと思います。私がここで言いたかったのは、せっかくの公的な場であること、また都道府県単位であるということを活用して、拠点病院の支援という視点で何かできないかということを検討していく余地があると思いました。
以上です。
○西田座長 岸田構成員、どうぞ。
○岸田構成員 ありがとうございます。
私も結構、数年前に全国の地域統括相談支援センターを数カ所回らせていただいたこともあって、やはり場所も大切だということを学びましたし、ただ、そのときと今ですごく状況も変わっているので、「こんな可能性がある」と私が思っていることを少しお話しさせていただきたいと思っています。
先ほど加藤構成員もおっしゃっていたように、やはりネットワークのハブとなるようなところで、私も地域の患者さんのハブにはなれるのではないかということは思っています。それが私が一番最後にお伝えしたいこととしては、これはがん教育のところにも携わってくるのではないかということです。
申し上げますと、地域のハブ、患者会のハブといったところに関しては、やはり病院の中で病院と患者会はなかなか、患者会が病院の中で結構いろいろやらせていただけることもあれば、患者会と病院が連携することが微妙なところの場合、ほかの場所、公民館とかで活動したりとか、いろんなところがあると思っています。そういうときに地域統括相談支援センターといったところと患者団体であったりとか、地域の患者団体とつながっている状態であるのが一番の肝だと思っています。
なので、ちゃんとハブとなってもらえるようなところをもっと構築していただけると、今、皆さん御存じのように、がん教育が始まっていくといったところで、もちろん、ピアサポートの内容の中でもしっかりとした知識の情報提供、患者さんの体験談の情報提供といったところも入っているので、ここがいい意味でがん教育と重複するところではないかなと私は思っています。
なので、そういったところに対しての地域統括相談支援センターがまとめてくださることで結構、安全の面と信頼の面といったところが広く担保できるのではないか。今、全国の、私が伺っているところでしか知りませんが、直接、行政から患者会に声がかかって、リストをつくってくださいとか、行政であったりとか、学校単位でやってもらえないかというところが多いかと思います。またそれが全国規模になってくると、質の担保といったところも正直できていないのではないかと思ってます。そのため、地域統括総合支援センターが質を担保できうる、ピアサポーターの方の体験談の共有、知識の情報提供が、子供たちや親御さんへ、その他のいろんな人たちに対しての情報提供の場になっていけるのではないかということを、現地の患者の方々の意見も伺っていて思いました。
○西田座長 ありがとうございます。
千葉県に地域統括相談支援センターがあるのかどうか、申しわけありません、私自身は現在知らないのですけれども、ちょうど地域と拠点病院の間におられる志真先生に御意見を伺えればうれしいと思うのです。
○志真構成員 今、加藤先生が、都道府県にこれを設置するというのが一つの位置づけとしては特徴であるとおっしゃったのですが、都道府県はこういうものを受けると大体、保健所に振るのです。それで、保健所が例えば地域の医師会とか医療機関とか、そういうものと相談して、こういうものを今度新しい事業として取り組むのだけれども、どうだろうかみたいな、相談になりますから、都道府県レベルでこういうセンターが持つ機能というものは非常に難しいと思うのです。
実は私がこの10年ぐらい在宅医療・介護連携拠点事業というものにずっと携わってきているのですが、正直言いまして、その中にがんの要素、あるいはがん医療とかがん対策をどういうふうに組み込んでいくかというのは非常に難しいと感じてきました。
しかし、御存じの方も御存じでない方もいると思いますが、通称OPTIM、地域緩和ケアの研究というものがございまして、この中でつくられたいろんなノウハウは、実は在宅医療・介護連携拠点事業の中でかなり生かされているのです。例えば顔の見える関係をどうやってつくっていくかとか、研修をどうやっていくかとかということはかなり、がんではないけれども、認知症とかそういうものを対象にしてのノウハウを扱える。ですから、この地域統括相談支援センターのあり方を例えば今、小川先生が言われたように、ピアサポート事業ということに、ある程度、特化して県がそういう場として使っていくというのであればあり得るかもしれない。
でも、それ以上の機能をこれに持たせたり、広げていこうと思うと、なかなか難しいのではないか。特に市町村レベルでは結局、あらゆるものが全部おりてくるのです。ですから、むしろ地域包括ケアシステムの中にがんの相談支援やがん対策をどう組み込んでいくのか。それと、どういうふうに統合・融合させていくのかというふうに考え方を、発想を変えたほうが私のこの10年の経験ではいいのかなと私のこの10年の経験では思います。
それで今、地域包括ケアではケア会議や事例検討会というものを中学校区ごとにやっているのです。これは全国でやっています。そういうところになかなかがんの事例を出せないのですよ。ですから、そういうところから始めていったほうがむしろ地域の中では受け入れられやすいですし、既存の枠組みが使えるのではないかと思います。
○西田座長 木澤構成員、どうぞ。
○木澤構成員 ありがとうございます。
私も実はがん相談支援センターの室長をしており、ピアサポーターの養成もしています。このプログラムを使ったピアサポーターの養成をやってきているのですが、養成したピアサポーターの統括機能を持つのは非常に重要なので、これはやはり何か枠組みをつくってやったほうがいいと個人的には思っています。今、私たちはがん診療連携拠点病院としてやっていて、県と共同してやっている形をとっているので、県全体で何か枠組みをつくっていかないと実際統括できない実態があるので、しっかりやっていくべきであると思っていますし、フォローアップもやっていかないと、先ほどおっしゃったとおり、危険なのです。質を担保していかなければいけないので、何らかの役割は必要であると思います。
これは難病相談支援センターが難病事業では県ごとに設置されているのですけれども、とても構造が似ていると思いました。つまり、ワンストップサービスを県ごとに提供していくというところが似ていますし、小川先生が御指摘のとおり、いわゆる拠点病院の相談支援センターとの異同が問題になるところもとても似ていて、私は実は茨城県にいたときには難病相談支援センターの事業をずっとしていまして、難しさを体験しました。
一番大変だったのは何かといいますと、事業なので、優秀な相談員がずっと継続的に雇用できない問題です。つまり、相談の質が維持できないのです。要は質の高い相談をしなければいけないのに、事業主体が不安定なので、継続的に実施できないのが最大の問題だと感じました。患者会に委託することもよくあると思うのですが、患者会も長年たつと患者会のパワーが弱くなったりすることも現実にあって、やはり何人かの有力な患者さんや家族の人のパワーに依存するところがあるので、お年を召したりとか、場合によっては亡くなられたりすることもあるので、そうなると、やはりそこも不安定ということで、ありようが非常に大きな問題かなと思います。
ただ、何らかの機能を行う組織を県に一つどんと持つのは非常に大切で、その業務の一つとしてピアサポートを置くのは非常に有効かなと感じました。
以上です。
○西田座長 ありがとうございます。
前田構成員、どうぞ。
○前田構成員 ピアサポートに関しては、患者団体さんであったり、個人の方から病院に申し出があったときに、先ほども話に出ました質の担保であったり、安全の確保というところで、最終的には人間と人間で、一緒にやれるとと思えば受け入れるケースもあるのですが、組織対組織で担保できるところがどこかにないと、やはり病院側としては受け入れづらいところがあると思います。なので、そういった意味でピアサポートの養成が一元化される。それがちゃんと都道府県の責任において、何が設置されるのは、この地域統括型相談支援センターに担わせるのがいいのかどうかはわかりませんが、どこかがそれをやるということは賛成だと思います。
あと、この地域統括相談支援センターにいわゆる県全体のハブ機能を持たせるという御意見に関しては、志真構成員がおっしゃった話と同じで、私は現場では難病相談も担当しておりまして、難病に関しては保健所単位で事業をやる中で、各保健所の協議会に参加するのですが、そこに来るケアマネさんや訪看さんに言わせると、行政は縦割りで難病、がん、認知症、肝炎を持ってくるけれども、結局、現場では皆さん同じ方が精いっぱい汗をかいている現状がありまして、「縦割りをやめましょう」というのはどこに行っても言われるのです。ですので、現在、高知県の中で私も動く中で、難病協議会という位置づけのもではあるけれど、そこで議論するのは難病だけにするのはやめようということです。例えば、うちであれば特定機能病院ですので、相談対応は難病もがんもHIVも肝炎もやっていますから、その担当者が地域ケア会議のほうに1人でも入っていって、どのケースであっても自分の持っている相談機能をそこで共有できるようにしていこうということで今、動いています。新しく統括する枠組みをつくるとまた混乱がふえるだけという気がするので、それよりはがん相談支援センターなりが地域に歩み寄れる活動の幅をがん相談支援センターの役割の中に盛り込まれていたらいいと思います。
ただ、そうすると仕事量がふえるので、また結局は人員の確保の話に戻ってくるのですが、地域が求めているのはそういう活動であるというふうに理解しています。
以上です。
○西田座長 ありがとうございます。
最後のほうに1人、羽鳥構成員は医師会の代表のような形で入っておられるので、地域を担当されている医師会としては、特に地域統括相談支援センターに関して何か御意見がございましたら、どうぞ。
○羽鳥構成員 前田先生がおっしゃったように、実は私も厚生労働省の中で難病の担当であって、がんの担当であって、心臓・循環器の担当であって、肝炎の担当であって、HIVの担当である。それをみんな1人でやらされているのですよ。ですから、末端の末端をやっているのと同じことだなとずっと聞いていました。
ただ、都道府県単位でこの事業をきちんとやっていくのは大事ですけれども、現実に実際の仕事をしているのは本当に患者さんと近い立場でやっている人たちなので、そうすると、これはやはりいろいろ意見はあると思いますが、1つの県にはやはり確立したものをつくってほしいとは思います。
ただ、どういう形でやるのがいいのか。先ほど言いましたように、厚生労働省の縦割りをまずやめてほしいということがあって、それを前提にして一つやっていただければと思います。
○西田座長 さまざまな意見を伺いました。
聞いていて、地域統括相談支援センターは、本当に残すのであれば、その役割、仕事というものは明確にしなければいけない。それは拠点病院の相談支援センターと同じであってはいけないと私自身は思いますので、残すとすれば、そこでの役割を明確にしなければいけないと思います。
それから、ピアサポートというものはうまくいけば、私は、これは非常にいいものであると思います。本人に、つまりサポートする側にとってもある意味、生きがいになっていいのではないかと思うのですけれども、一方で、先ほど鈴木構成員の御指摘にあったようなことも絶対ないわけではないので、やはりクオリティーは大事かなと思います。
逆に私は患者さんがこういった被害を受けるだけではなくて、ピアサポートをする人も逆に患者体験から変にフラッシュバックがあったりすると結局障害を受けたりする可能性もあると思いますので、やはりその辺の障害を守るという研修も必要なのではないかと私自身は思っています。
ここでは結論はなかなか出ないと思いますけれども、今、いただいた意見を少し事務局のほうで昇華していただいて、まとめて次回検討するときにもう少し絞った議論ができればいいなと思います。ありがとうございました。
最後のほうで、全体を通して皆さん方からもし御意見があれば伺いたいと思っているのですけれども、資料が1つあり、羽鳥構成員が、就労支援のことで資料を出されているので、少しご説明頂けますか。
○羽鳥構成員 皆さんのお手元に、この緑の日医総研ワーキングペーパー、日医総研というものは日本医師会のシンクタンクなのでありますけれども、後ろにいる上屋研究員がまとめたがん治療と就労の両立のための医師連携ということです。こちらの参考資料4のほうがわかりやすいかと思いますので、後でお時間があったら、冊子を読んでください。
第3期がん対策で盛り込まれた就労支援でありますけれども、臨床は治療が第一義で、就労との調整はなかなか難しい。特にがん診療の拠点病院などにおける主治医は恐らく、この就労支援のことをなかなか深くは理解してくださっていないと思います。それで、事業場における治療と職業生活の両立のためのガイドラインの解決というものがまだ進んでいないということであります。
そして、真ん中のパラグラフにありますように、いろいろな調査をしてみますと、回答率は高いとは言えませんが、36%、1,284名から回答をいただくと、やはり4分の1ぐらいの方はまだうまく相談につながっていないということがあります。
そこで、次のページにありますけれども、一つの問題点としては、これは前も別のところで指摘しましたが、労働行政は国の直轄。要するに、労働基準局というものは国が行っている。その一方で、保健医療行政は自治体。いわゆる基礎自治体が、都道府県、市町村がやっているという、この体制の違いがあるために、行政のほうの連携がなかなかうまくいっていないところがありまして、その辺が苦労しているところなのかもしれません。
そういうこともありまして、医師会では産業医を育てるということで、産業医の研修の中に両立支援ということが強くうたわれているので、それを活用してがんの就労支援に当たりたいと思っているのですけれども、がん拠点病院、がん専門で治療されている治療医の先生方が就労支援に対して余り深い理解がないところもあるので、その辺を支援センターとかいろいろなところでやっていただきたいと思います。
参考にありますように、健康局の予算がこうなっているのに比べて、労働基準局というものは非常に大きな予算を持っているということもあるので、がん拠点病院の先生にはこの辺を強く知っていただいて御協力をお願いしたいということであります。桁が2桁違うということで、大変なことなので、よろしくお願いしたいと思います。
○西田座長 御指摘ありがとうございます。
就労支援というものは重要なことで、特に労働人口が少しずつ少なくなっていく日本の現状としてはぜひこういう取り組みは進めていきたいと思います。この事業だけではなくて、実際に一番大事なのは病院の中にこれがちゃんと息づくことが大事と思います。
私自身が東病院にいたころに、最初は確かに担当医の就労支援に対する意識が低かったのですけれども、実際に研究をやり始めてみると結構意識が高まってきて、積極的に診断書を出しましょうかという医師も出てきたということもありますので、やはり認知度を上げておくのも大事ではないかと思います。
このことに関して、あるいは全体を通して、そのほか、構成員の皆様方から意見がございますでしょうか。よろしいでしょうか。
きょう、実地調査は、パイロットスタディーをやりながら、本当にチェックリストがこれで十分か、あるいは都道府県に負荷がかかり過ぎないかというのをチェックしてもらいながら、やっていこうということが決まりました。
あと、幾つかありましたが、多様なニーズを踏まえた相談支援、あるいは情報提供のあり方、相談支援の質のキープということに関しては皆さん方から意見をお聞きしました。年度が変わりますけれども、来年度以後のこの検討会の議論の中に据えつけていきたいと思います。
司会の不手際で予定の時間を30分ほどオーバーしてしまいましたけれども、皆さん方、意見がなければ事務局に一旦マイクを返したいと思います。事務局のほうから連絡事項があればよろしくお願いします。
○事務局 ありがとうございます。
済みません。1点だけ、事実の補足をさせてください。
本日、局長のほうから御説明させていただきました来年度の取り組みについては、街角で気軽に相談できる機関についてを実態把握調査を進めるということとしてしおりますので、今回の実地調査のパイロット調査とは別のものになりますので、お願いします。
次回の検討会につきましては、事務局より追って御連絡をさせていただきます。お忙しい中、恐縮ですが、日程の御調整のほうをよろしくお願いしたいと思います。
本日は長時間、いろいろありがとうございました。
○西田座長 皆さん方、ありがとうございました。ちょっと私の誤解もあったみたいなのです。でも、やるということは決まったので、前に一歩進んでいるかなと思います。
本日は御苦労さまでした。ありがとうございます。

照会先

健康局がん・疾病対策課

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