第27回がん検診のあり方に関する検討会(議事録)

健康局がん・疾病対策課

日時

平成31年3月12日(火)17:00~19:00

場所

厚生労働省 共用第8会議室(11階)

議題

(1)これまでの議論の整理
(2)各がん検診(胃がん・肺がん・大腸がん・子宮頸がん・乳がん検診)の検査項目等について
(3)その他

議事

 

○がん・疾病対策課長 座長、資料確認を先にさせていただいて、定時になったらそのまま開始ということでよろしいでしょうか。
では、先に資料確認を。
○事務局 初めに、資料の確認をさせていただきます。上から、
座席表
議事次第
資料1 これまでの議論の整理
資料2 新たな検査項目を対策型がん検診に導入するにあたっての基本的な考え方(案)
資料3 がん検診の検査項目等について
資料4 がん検診の利益(メリット)・不利益(デメリット)に関する説明について
参考資料1 「がん検診のあり方に関する検討会」構成員名簿
参考資料2 がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針
参考資料3 平成30年度市区町村におけるがん検診の実施状況調査
以上でございます。
資料に不足、落丁等がございましたら、事務局までお申し出ください。
それでは、定刻となりましたので、ただいまより、第27回「がん検診のあり方に関する検討会」を開催いたします。
構成員の皆様方におかれましては、お忙しい中、お集まりいただきまして、まことにありがとうございます。
初めに、本日の構成員の出欠状況でございますが、9名の構成員の皆様全員に御出席いただきました。ありがとうございます。
以上をもちまして、カメラをおさめていただきますよう、御協力のほどよろしくお願いいたします。
この後の進行は、大内座長にお願いいたします。
○大内座長 それでは、第27回の検討会を開催させていただきます。
本日の議題に入ります。議題の「(1)これまでの議論の整理」につきまして、事務局より説明をお願いいたします。
○事務局 事務局です。
お手元に資料1「これまでの議論の整理」を御用意ください。
前回、第26回の検討会におきまして、指針に基づかないがん種に対するがん検診、つまり、現在指針で推奨されている5つのがん種以外のがん種に対するがん検診のあり方について、また、がん検診の精度管理について御議論をいただきました。
スライド番号1は、前回の検討会で構成員の皆様からいただいた御意見を事務局で整理したものです。
上段の「指針に基づかないがん種に対するがん検診について」ですが、下線部に示すとおり、がん検診の受診者に対して、がん検診のメリットとデメリット、両方を説明することを指針に明記することが必要ではないかという御意見や、指針に基づかないがん種に対するがん検診を実施することは推奨されないことを指針に明記してはどうかといった御意見をいただきました。
続いて、下段の「がん検診の精度管理について」ですが、下線部に示すとおり、検診実施機関の質を担保するため、市区町村ががん検診事業を検診実施機関に委託する際は、仕様書の内容に基づいて検診実施機関を選定するとともに、検診終了後に仕様書の内容が遵守されたことを確認するよう、指針に明記してはどうかといった御意見をいただきました。
前回の検討会で御議論いただいた内容や指針改正の方向性については、構成員の皆様に大筋で合意いただいたものと認識しておりますが、ほかに何かございましたら、御意見をいただけますと幸いです。
資料1についての説明は以上です。
○大内座長 ただいま資料1に基づきましてこれまでの議論の整理、前回、第26回の本検討会における議論の整理がされております。指針に基づかないがん種に対するがん検診について6項目、こういった内容を次の指針の改定のときに明記するという件です。
精度管理につきましても、具体的な事項が記載されております。6.にアンダーラインがされていますように、仕様書の内容に基づいて検診実施機関を選定するとともに、検診終了後には仕様書の内容が遵守されたことを確認するよう、指針に明記してはどうかといった内容になっております。
前回、資料をごらんになったとおり、特にこの仕様書の遵守については、全国的なレベルを確認したところ10%程度しか守っていないことがわかりましたので、そういった観点から、この件について議論した上での整理になっているかと思います。本件も含めて、さらに追加すべき事項等がありましたら御意見をください。いかがでしょうか。おおむねよろしいでしょうか。
では、この案で進めたいと思います。
続きまして、議題の「(2)各がん検診(胃がん・肺がん・大腸がん・子宮頸がん・乳がん検診)の検査項目等について」、事務局より説明願います。
○事務局 事務局から資料2及び資料3について説明いたします。
資料2は、市町村が実施する対策型がん検診において、新しい検査項目を導入する場合に満たすことが必要であると考えられる項目を「疫学的な背景」「検査の有効性と安全性」「運用方法」「その他」という観点から、事務局で整理したものです。
なお、黒い●は従来のがん検診の基本条件以外で考慮すべき事項を整理、追加したものです。
I.からIX.に示すこれらの項目について、構成員の皆様から御意見をいただきたいと思います。
また、資料3は、資料2を議論するに当たっての基礎となる資料をまとめたものですので、資料2と3を照らし合わせながら御議論いただきたいと考えております。
なお、資料3の中には過去の検討会の資料にも含まれているスライドが幾つかあり、それについては、スライドの右上にその旨を記載しておりますので、御確認ください。
続いて資料3のスライド番号1をごらんください。第24回から26回の検討会で事務局から提示させていただいたもので、ここに示させていただいているがん検診の基本条件やメリット・デメリットに基づき、がん検診のあり方について御議論いただいております。
スライド番号2は、現在、国の指針で推奨されているがん検診の検査項目や対象年齢等を表に示したものです。
スライド番号3から16に、国の指針で推奨されているがん検診の検査項目に関するエビデンス及び現時点では指針に含まれていない検査項目に関する資料をお示しします。なお、スライド番号3、6、9、12、15は、各がん検診で実施されている検査のエビデンスを整理したものですが、過去の検討会資料と同じ内容ですので、説明については割愛させていただきます。
まず、胃がんについて、スライド番号4ですが、2014年にWHOの一機関である国際がん研究機関が、ヘリコバクター・ピロリ抗体検査及び胃がんの予防を目的とした集団除菌に関して報告書を公表しております。
その中で、「大規模な予防プログラムとして導入する前に、費用・実現可能性・除菌の対象とする集団の適切な選定・抗生剤による集団除菌の弊害といった重大な課題をまず解決しなければならない」と述べられております。
また、集団除菌の弊害に関する補足資料として、スライド番号5をお示しします。これはフィンランド全域で実施された観察研究です。Aのグラフに示すとおり、マクロライド系抗生剤に対する耐性菌が増加した影響で、同薬剤の使用量が1988年を境に減少しましたが、薬剤使用量が減少してから耐性菌の割合が減少するまでには、約5年の開きがあったことが、Bのグラフで明らかとなりました。
国際がん研究機関が指摘している集団除菌の弊害には、こういった実例が挙げられており、集団除菌を実施するに当たっては、ほかの感染症への影響も考える必要があると言えます。
続いて、子宮頸がんについて、スライド番号7に子宮頸がん検診におけるHPV検査の運用方法の例をお示しします。国の指針においては、細胞診検査が推奨されていますが、諸外国ではHPV検査を用いた子宮頸がん検診が導入されているところもあります。HPV検査を用いた子宮頸がん検診には、「HPV検査単独法」、「HPV検査陽性者に対する細胞診トリアージ法」、「細胞診とHPV検査の併用法」がありますが、国によって、その運用方法はさまざまです。
例えば、オーストラリアでは、HPV検査単独法が採用されていますが、イギリスでは、HPV検査陽性者に対する細胞診トリアージ法が採用されています。一方、アメリカでは、いずれの検査方法も推奨されており、本資料では細胞診とHPV検査の併用法について御紹介いたします。
このスライドの下に示すとおり、アメリカで実施されている細胞診とHPV検査の併用方法については、要精密検査と判定された場合のフローチャートがほかの検査方法と比べて複雑であることがわかります。このように、HPV検査を用いた子宮頸がん検診については、それぞれの国の実情に応じてさまざまな運用方法で実施されていることから、仮に我が国で導入する場合には、それぞれの検査のメリット・デメリットを整理した上で、どのような検査方法が適切か検討する必要があります。
スライド番号8「有効性評価に基づく子宮頸がん検診ガイドライン2018年版」ドラフトの抜粋をお示しします。
国立がん研究センターが作成したドラフトの段階では、HPV検査単独法、細胞診とHPV検査の併用法はいずれも推奨されているものの、その実施に当たっては、検診結果ごとのアルゴリズムの必要性が指摘されているところです。
続いて、肺がんについては、スライド番号10と11をごらんください。スライド番号10は、アメリカで実施されている肺がん検診における低線量CTについてですが、アメリカでは年間30箱の喫煙歴がある、現在喫煙している、あるいは禁煙歴が15年以内である55から80歳の者に対して、低線量CTを用いた年1回の肺がん検診が推奨されています。
一方、「15年以上喫煙していない者、寿命を大きく制限するような健康上の問題を抱えている者、あるいは健康上の問題により根治手術を受けられない、もしくは受けるつもりのない者に対しては、肺がん検診をやめるべきである」とされており、肺がん検診において低線量CT検査を実施する際は、対象者が一部の人に限定されていることがわかります。
また、スライド番号11に示すとおり、日本は世界的に見ても医療被曝の線量が高いことから、仮に低線量CT検査を対策型がん検診で実施した場合は、このスライドの一番下のグラフに、被曝線量が上乗せされることを念頭に置く必要があります。
続いて、乳がん検診について、スライド番号13、14に、現在AMEDで実施されている40歳代の女性を対象としたマンモグラフィーと超音波検査の併用方法に関する研究について御紹介いたします。
乳がん検診で科学的根拠があると示されているのはマンモグラフィーのみでありますが、若年層においてはマンモグラフィーの精度が低い傾向にあるといった背景があることから、40歳代を対象としたランダム化比較試験が実施されております。
スライド番号14に示すとおり、マンモグラフィーと超音波検査を併用した場合、マンモグラフィーのみと比較して、がん発見率や感度が有意に高くなることが、この研究によって世界で初めて明らかとなりました。
一方、超音波検査を併用した場合、偽陽性がふえ、特異度が下がることも明らかになりました。
続いて、大腸がん検診について、スライド番号16に大腸内視鏡検査における偶発症をお示しします。アメリカのコホート研究によりますと、検査に伴う偶発症が年齢とともに高くなることが明らかとなっていることから、検査を実施する際は、メリット・デメリットのバランスを踏まえて推奨する必要があると考えられます。
最後になりますが、スライド番号17に、現在、AMEDで実施されている研究の例をお示しいたします。これは現在進行中の研究であることから、本検討会で個別の研究について言及はいたしませんが、がん検診における新たな検査項目のあり方については、国内外のさまざまな知見を踏まえ、必要に応じて検討されるものと考えております。
資料3についての説明は以上です。
○大内座長 ただいま資料2及び資料3に基づきまして、各種がん検診の検査項目等についての説明がございました。
本日はこの資料2「新たな検査項目を対策型検診に導入するにあたっての基本的な考え方(案)」ということで、上段には、これまでのがん検診の基本条件ということで、国立がん研究センターがん情報サービスが従来から定めている項目が7点挙げられております。
次の○です。今後市町村が実施する対策型がん検診において、新しい検査項目を導入する場合、上記7つの基本条件を含めた、下記の項目を満たすことが必要ではないかというのが今回の論点になろうかと思います。
その中段以下に対策型がん検診の基本条件(案)、これが事務局の案でございまして、以下の案を含め、がん検診を受けるメリットがデメリットを上回ることということでA)、B)、C)、D)と整理されております。
それに伴いまして、資料3には最近の研究データも含めた各種がん検診の更新されたデータが付されていますし、最後の17番目のスライドには、AMEDの平成30年度革新的がん医療実用化研究事業におけるがん検診に関する研究のテーマも記載されております。
研究が進んでいく一方で、評価も進めていかなければいけないということと、このがん検診が第3期の基本計画の1つ目の柱になっておりますので、予防・検診ですね。このがん検診についてより具体的な対策あるいは早期に死亡率減少・低下に結びつくような観点から議論を進めるようにということが協議会から示されております。
ということで、このようにA)、B)、C)、D)にまとめられたと解釈しておりますが、この文言について、もう一度説明いただけますか。
○がん対策推進官 事務局でございます。
それぞれ、今、大内座長御指摘の点でございますけれども、今まで上のほうの7点でがん研究センターがん情報サービスでまとめていただいたものを精査させていただいたところ、I.は疫学的な背景として、どれだけがんになる方が多いか、それによって死亡の重大な原因となっているか。それは上のほうで言うと1.と全く同一のものでございます。
一方で、II.からV.に関して、その中で今まで当検討会においてはがんによる死亡の減少効果がその検査技術によって達せられることが明確に証明されていることというのを挙げてきたかと存じます。そして、その検査が安全であること、精度と申しますか、感度・特異度が一定程度確保されていることが研究で明らかにされている、といったことをII.III.IV.という形でまとめさせていただきました。当然見つかったがんに治療法があるものが前提であるということで、上のほうの6.については内包されるものと考えております。
一方で、これまでこの検討会で御議論いただく中で、V.からIX.にあるような考え方は、今まで明示されていなかったのではないかと考えまして、このように整理させていただいております。
例えばV.であれば、実際、今までメリット・デメリットの御議論をいただいておりましたが、どのような方々に、どのような受診間隔でやっていただいたらよいか。陰性となった場合に受診間隔はどうすればよいか、陽性となった場合にはどのような精密検査を受けていただいたらよいか、といったものがクリアになる必要があります。がん検診はやったままになってしまっては元も子もございませんので、そういった要素が要るのではないかという趣旨です。
VI.でございますが、こちらは検査の提供体制ということで、ある程度新しい技術でありましたら、それを担っていただく技師、ドクター、その他医療関係者の方がいなければ全国的に新しい技術をやっていくことが難しかろうと思いますので、そういったことをVI.として記載させていただきました。
また、前回御議論いただいた内容でもございますが、VII.にありますとおり、新しく検査を実施する際には、全国1,500以上の自治体でやっていただきますので、こういった形で精度管理を担保していただきたいというものは一定程度示させていただく必要があろうかと思っておりますので、VII.を記載しております。
「その他」、VIII.IX.でございますが、VIII.については市町村の対策型検診ということでございますので、公費、税金が投入されるものでございます。そこの住民の方には低い費用負担で検診を受けていただけることを想定しております。したがいまして、そういった税負担と実際にがん検診を受けられるといったことが、国民の方々の理解を得られるような対象者設定、最近の検診ではハイリスク型検診ということも言われておりますので、そこの一部の方しかメリットが受けられないといったことについてどう考えるか、国民の方の理解を得られるような設定が必要ではないかというのがVIII.の視点でございます。
また、IX.はメリット・デメリットの総合的な判断にもかかわってまいりますが、検査を導入するに際して、必ず検診はデメリットがある前提で、メリットとの比較考量により、これはメリットが大きいからやるのだと御判断をしていただくところですが、公衆衛生上または健康上の課題と書かせていただきましたが、そこのデメリットの部分が受容可能な範囲であるといったことを視点として取り入れていく必要があると思いまして、このような御提案をさせていただいた次第です。
○大内座長 ただいま対策型がん検診の基本条件(案)について説明がございました。本日はこの点に絞って議論を深めていきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
この案について、妥当か否かも含めて、あるいはほかに追記すべき点はないのかについて、構成員の皆様から御意見をいただきたいと思います。
祖父江構成員。
○祖父江構成員 どこから手をつけていいのか、雑駁な意見になってしまうかもしれませんけれども、これまでの上段に掲げている基本条件は、がん検診を行うための必要条件であって、これを満たしていれば運用もできるというわけではなく、十分条件ではないですね。実際に新たな検査を導入する場合には、事務局で用意した点を網羅する必要があるわけです。
その中で区別して考えるべきが、今までガイドラインというものを作成して、どういう項目を推奨するのかを証拠に基づいて判断する、こういう段階があります。そこで推奨されたものに関して、今度は予防指針に反映させて、実際に対策型検診として導入するというプロセスにいくわけです。
そこで、リコメンデーションがA)とかB)とか、推奨することになったらすぐに予防指針に含めるべきかというと、そこにはワンステップあると思います。そこの部分が「運用方法」のところに掲げているようなことであり、ガイドラインでカバーする領域は「疫学的な背景」「検査の有効性と安全性」、このあたりまでは推奨するしないという判断に基づくというか、そこに含まれる要素であって、そこで推奨された段階で、次に実際に対策型検診として導入する際に運用方法に掲げるような要素、これを埋めていく必要がある。ここの担い手が誰になるのかということは今まで余り明記されていなかった、認識されていなかったというのが整理が十分でなかった点で、そういうことを整理していただいたのは非常によい点だと思います。
例えば胃の内視鏡を前回導入した際にガイドラインで推奨しますといって、だからといってすぐに実施市町村でどう行って、予防指針の中にどう書き込むかが決まるわけではないですね。どのような標準方法でどのような手順で行うかというマニュアルをつくる必要がありますし、さらに精度管理をどのように運用するのかに関してもきちんと手順を記述する必要がありますね。そこに関してはガイドラインは十分な記述はしていないので、そこを記述するために研究ですとか、あるいはデモンストレーションとか、そういったものでマニュアルをきちんと作成していく手順が必要だと思います。そこのところを誰が担うのかをきちんと認識すべきだと思います。
さらに、そういうことが整備された段階で予防指針に入れるかどうかを検討するのがこのあり方検討会で、その他、国民から理解が得られるかとか、あるいは総合的なバランスがよいかを含めた検討を行って予防指針に書き込むことが必要であると。
ですから、今までガイドラインで推奨すれば即予防指針に対策型として導入というところを、そうではないというか、ワンクッションあって、そこのところを埋めないと実際の導入の際に非常に混乱を来すということを明記していただいたということなのだと思います。
感想としてはそういうことです。
○大内座長 祖父江構成員から具体的な中身についての解説的なポイントが指摘されました。これまでも本検討会あるいは各種がん検診の有効性評価に関する評価、ガイドラインといったものがありまして、それを受けて、この検討会においては特に対策型のがん検診の検査項目の見直しを図ってきたところであります。今後、新たな検査法が開発された場合の評価も含めてどのように対応していくかが今日の主な内容になります。
祖父江構成員からも指摘されたのですが、どの順番で議論すべきかで、大事な点からいきますと、まず上のA)の「疫学的な背景」で、このI.にあります「がんになる人が多く、また死亡の重大な原因であること」、これについて御意見はありますか。
中山構成員。
○中山構成員 「がんになる人が多く、また死亡の重大な原因であること」というのは「また」というのはアンドという意味で、患者さんの数が多く、かつ死亡が多いという意味合いですかね。今、推奨されている検診でも若干そうではないようになってきています。例えば子宮頸がん検診のように、もともとは死亡率もすごく高かったし、罹患率も高い。今も罹患率は高いけれども、死亡率は大分下がってきている疾患があるのはあるので、その辺は少しこの言葉だと外れてしまう部分はあります。大分考えたのですが、これをうまく満たすような言葉がほかに思い浮かばないこともあるので、ここの文言については悩ましいところです。
○大内座長 恐らく先生がおっしゃりたいのは、このがんになる人が多く、次の項目はアンド・オア(and/or)なのですね。
○中山構成員 そういう考え方もありかと思います。だから、死亡率だけが高くてという場合もあるとは思います。
○大内座長 皆さん、いかがですか。「また死亡の重大な原因であること」となると対象が絞られてしまうのではないかということなのですが、この「また」という言葉を改正すべきかどうか。「また」を取ることも可能かもしれませんね。
松田構成員、いかがですか。
○松田構成員 なかなか難しい問題なのですが、「また」を取ってしまうと、先ほど中山構成員が言われたアンドという意味合いになってしまうのではないですか。
○中山構成員 「あるいは」というか。
○松田構成員 アンドという考え方は合わないような気はしますけれどもね。「あるいは」が適切ですね。
○大内座長 羽鳥構成員。
○羽鳥構成員 私も例えば膵臓がんみたいに今は頻度が低いけれども、かかってしまったら死亡率は高いというものは、がんの数は今は多くはないけれども、ということになってしまうと、ここはアンド・オアのほうがいい気がします。それが一点です。
もう一つ、別のことでもいいですか。資料3の10、11のこと、肺がん検診、低線量CTの話ですけれども、今回のOECDのレポートで日本は検診は数や種類は多いが一貫性がない。禁煙とかアルコール、一次予防にしっかり取り組め、さらに検診の受診率を上げろと書かれているわけです。ここで書かれている低線量CTというのは杉並区のがん検診のことを踏まえて書かれているのだと思うのですけれども、スライドの11にあるような医療被曝の現状ということですが、別の検討会で放射線被曝のことをやっています。心カテをする医師は年間20ミリシーベルトをはるかに超えている方もいらっしゃる。患者さんにとってこの3.87というのは過剰に多いのかどうなのか。
もう一つ、低線量CTというのは1回の検査でどのぐらいの線量を浴びるのか。普通の医療機関か持っているCTでどのぐらいなのかという情報があったら教えていただきたいのです。
○中山構成員 CT検診学会の理事をしておりますのでお答えしますと、大体低線量CTというのは1ミリシーベルト以下ということになっていますので、今で言うと、3.87と書いてあるところに、さらに1追加される形になります。
○羽鳥構成員 わかりました。
では、この低線量CTをもし進めていくとすると、今、CTを持っている医療機関ではだめということですかね。
○中山構成員 ソフトウエア的にはできるのですけれども、関連学会の調査だとほとんど使われていないというか、非常に高い診療用の線量で撮影している施設が多く、被曝線量自体は3ミリシーベルトとか4ミリシーベルト、すさまじい量が当てられている状況だそうです。○大内座長 実態としては医療被曝の量は諸外国に比べて日本は高い現状はあるかと思います。
立ち返りまして、先ほどのA)のI.ですが。
井上構成員。
○井上構成員 アンド・オアにするのは全く大賛成なのですけれども、これは恐らく諸外国共通の認識としてこういう文言がうたわれているのではないかと思うのですが、参考までに、海外とか国際機関でどのようにここの部分は文章化されているといいますか、どのような記述になっているのですか。
○がん対策推進官 事務局でございます。
済みません。今すぐ確認できるものがないので、そこはきちんとお調べして、この会にフィードバックさせていただきたいと思います。
○井上構成員 仮にここが今のままであったとしても、アンド・オアのほうがもちろんふさわしいと思うのですけれども、これだけが全てを決めるわけではないので、これがあってもほかの条件の中でとんでもない検診は除外されていくわけなので、ここに関して網羅的な言い方で問題ないように思います。
○大内座長 では、意見としまして、この「また」というアンドですね。アンドのみと解釈されないような案として考える。
祖父江構成員、どうぞ。
○祖父江構成員 がん対策基本法の中の全体目標が第3期になって変わってしまいましたけれども、第2期までは75歳未満の死亡を避けることとなっていました。ですから、死亡といってもインマチュアデス、これを防ぐことを目標とするがん検診が適切であると思います。だから、そのインマチュアデスが多い重大ながんについては、がん検診を行うと。
○大内座長 文章としてどう足しますか。
○祖父江構成員 ですから、がん対策基本法の前の全体目標ですと75歳未満の死亡が大きなものということだと思います。
○大内座長 多分、その点は皆さん共通認識をされていると思うのです。がん対策基本法の中でくくられていますので。
文言として、私は一応提案としては、この「また」を削除してもいいのかなという気はしましたので、後でまた議論は戻るかもしれませんけれども、とりあえずその提案も可能かなと。中山構成員の意見も踏まえまして、検討課題にしたいと思います。よろしいでしょうか。
次に「検査の有効性と安全性」のII.なのですが、「そのがんによる死亡が確実に減少することが明らかである検査方法であること」と修正してください。これは今まで本検討会の具体的な評価ですね。がん検診に盛り込むときのハードルとしましては、死亡率減少効果、これを科学的根拠としております。ただし、この死亡率減少効果を証明するために、相当の年月を要します。数十年かかることもございますし、なかなか研究の成果をスピーディーに反映できないといったことも指摘されているところでありますが、この文言のままでよいのかどうかについてお伺いいたします。
井上構成員。
○井上構成員 むしろ伺いたいぐらいなのですけれども、要するに、死亡の代替指標を認めるか、存在するかということと、それを認めるかという2点にかかってくると思うのですけれども、その検診の評価の中でどういう現状にあるのかを中山構成員か祖父江構成員から教えていただきたいのですが。
○中山構成員 諸外国も全部死亡率減少効果で評価はされていますが、子宮頸がんなどの死亡率自体がすごく低くなってしまった場合には代替指標が用いられています。評価ランクを委員会などで決めて、一番確実なのは浸潤がんの罹患率減少効果。その次が上皮内がんの発見の増加であったり、繰り返し検診をやったら上皮内がんが減少していくといった指標にランクがつけられています。あと、ランクの上のほうのものだけで決めるのか、もう少し低いもので決めるのかというのは、国によって違うと思います。
大腸もかなり子宮頸がんと同じように自然歴がはっきりわかっているものなので、それに対しても浸潤がんの減少で評価するという考え方も昔から言われていますけれども、実際、それで評価された研究は今のところはなく、ほかの臓器は全て死亡率で評価されています。
○大内座長 この件は資料3の2ページ、現在の対策型がん検診の検査項目について、5大がん検診についてまとめられておりますが、全てがRCTによって死亡率減少効果を示されたわけではございません。例えば肺がん検診の胸部エックス線、喀たん細胞診については、これは症例対照研究の結果でありますし、胃がん検診についてもRCTではありません。
ですので、果たしてこのように死亡が確実に減少することが明らかである検査方法であることを絶対条件にするのかどうかは大変重要な観点です。長年この検討会に携わって、ここから一歩踏み出して新たな検査法についての開発研究をする中で、ある意味、死亡率減少を確実にもたらすであろう検査法についても一歩踏み込んで政策に取り入れることが重要ではないかと感じております。
実は3月8日、先週開催されております第9回今後のがん研究のあり方に関する有識者会議というものがございまして、これは「国のがん研究10か年戦略」の推進等に関する件で動いておられるようですが、その中間報告書的なところに、がん検診についての書き込みがございますので読ませていただきます。「これまで、がん検診については、死亡率の減少を主要評価項目として有効性が検証されてきたが、死亡率減少効果の検証には長い期間を要するため、新たな検診手法の実用化が遅れてしまうという課題がある。実用化を目指した研究を加速するため、死亡率減少効果の代替となる適切な指標の開発を推進すべきである」と指摘されているところでございます。
本検討会は独立しておりますので、皆さんの議論で成立しますが、ここで一歩踏み込んで、成果物についてはよりスピーディーに政策医療に反映できる形で進めるべきではないかということが、その検討も含めて御議論いただければと思いますが、いかがでしょうか。
祖父江構成員。
○祖父江構成員 スピーディーな指標が望ましいと。開発の段階ではそうかもしれませんが、一方で、スピーディーな指標は危険性を伴うわけで、確実に死亡減少効果につながらない場合もあります。過去に生存率を指標として導入したときに、死亡減少でなくむしろ過剰診断のために生存が高く示されて、検診発見例で症状発見例よりも生存率が高い、だから、導入しますということがあったわけです。ニューロブラストーマなどはそうです。ですから、過去の間違った導入という例があることを十分に認識した上で、スピーディーな指標は考えないといけない。
ですから、死亡の減少が必須ではないという言い回しがあったかもしれませんが、私は死亡の減少は必須であって、直接死亡を指標としないことは考えられますが、スピーディーな指標であっても、当然死亡減少につながると考えられる指標を採用するべきだと思います。
ですから、そのためには幾つかの条件があって、例えば新たな検診技法ですね。今まで別の検診技法で死亡減少が示されていない部位に対して新たに導入する場合はやはり慎重であるべきであり、既に死亡減少効果が示されている検診技法が存在する部位に対しては、それと比較して死亡減少ではない代替指標でその効果を推測することがあり得る場合に限って、早期にスピーディーな指標を使って導入することはあり得ると思います。
○大内座長 部分的に賛成ということかと思いますが、ただし、かなり厳しい臓器ごとの評価の仕方があるかと思います。先ほど、中山構成員からは、例えば子宮頸がん検診の場合の浸潤がん罹患率、大腸がん検診の中でも、いわゆる代替指標としては内視鏡による大腸腺腫ですね。これがサイズである程度評価が可能であろうと。10ミリ以上か以下で予後も大体わかってくる。
それから、進行中の乳がん検診における超音波併用検診の有効性評価ですが、そのセカンダリーエンドポイントは、累積進行乳がん罹患率の比較です。それは死亡率減少効果を見るまでに、乳がん検診を見る場合、マンモグラフィー検診がそうだったように30年以上を要します。ですので、あと20年ほどかかるかもしれませんので、その間どうするかも含めて、私が評価するわけではなくて第三者が評価するべきなのですが、これもプロトコルをつくるときには祖父江構成員たちと相当に練りました。代替指標として、サロゲートマーカーとして累積進行乳がん罹患率を設定したことは、10年以上前ですけれども、ございます。
そういったことは、相当に議論を重ねないとわかりませんけれども、これから上がってくるデータを読み取るときに、一定の目標がないといつまでたっても導入は無理ということになり、体制整備もできませんので、ある程度ここは踏み込むべきではないかというのが、長年かかわってきた私の率直な意見です。いかがでしょうか。
松田構成員。
○松田構成員 がん検診の有効性評価は基本的には死亡率減少効果、それはこれまで言われているとおり、それはそのままでいいのだと思います。その代替指標がもしあるとすると、先ほど中山構成員が言われたように、子宮頸がんの浸潤がんとか、大腸がんについても浸潤がんがそれになろうかと思いますが、恐らくそれ以上の指標はなかなかないと思います。原則はあくまで死亡率減少効果なのですが、それが証明されるまでの経過措置とすると浸潤がんを指標とすることも子宮頸がんと大腸がんについては、あり得るのではないかと考えます。
○大内座長 そこで、私から申し上げるのは大変はばかられるところなのですが、私も責任がございますので、ここで提案させていただきたいと思います。
私案としましては「死亡が確実に減少することが明らかであるか、または確実に見込まれる検査方法であること」。そこを「または」にするかですが、ここの部分は今、松田構成員や祖父江構成員が言われたような条件がたくさん入ってくると思うのです。各種がん検診で背景が違いますので、指標の定め方も違ってくると思います。
しかしながら、ここで一歩踏み込まないと、次の評価に結びつかない、導入も先延ばしになってしまう。一方では、対策型でやらなくても、任意型だけでやってしまうと、精度管理が不十分な現状も見受けられますことから、あえてここで提言させていただきます。
○羽鳥構成員 私も全く賛成で、いいと思います。ほかの例えば臨床研究法とか、国のいろいろな施策でリアルワールドでは活用など加速化が強調されてます。対策型検診は今の話だと10年、20年は新しいことを絶対に取り入れてはだめとなってしまう気もするので、死亡率の減少を見届けるまで入れられないということになると、やはりサロゲートマーカーをしっかりつくっていかないと検診にはなかなか取り入れられないと思います。トライして10年後、やったけれども、取り入れたけれども効果は疑問ということならば、その先はやめる。そういう選択肢も残しつつ、座長のおっしゃるような方法で進めていくのがいいのではないかと思います。
○大内座長 どうぞ。
○中山構成員 こういう評価を短期間でやって、何がしかの数字が出て、これは多分死亡率が減るだろうなと思ったとしても、それは利益の判断だけで不利益の判断はしていないことになります。一番検診の不利益で問題になってくるのは過剰診断の問題で、これからすごく精度がよろしそうなものが出てくるのですけれども、そうすると過剰診断という問題が出てくるのです。これは3年や4年、5年ぐらいでどれが過剰診断だったのかはさっぱりわからない。そこそこの年数がかかって、10年から15年かかって、こんなにたくさんがんが発見されるのはおかしい、過剰診断だろうと判断されるわけです。利益と不利益のメリットがデメリットを上回るという評価をするにはそれなりの年数が必要だと思います。
もちろん評価に30年と言われると現実的ではないと思いますが、代替指標を見つけて何でも短期間でやりましょうというのであれば、私は賛成できないと思います。
○大内座長 メリットがデメリットを上回ることについては全体にかかっております。この項目の上にありますので、基本要件に入っています。今、中山構成員のおっしゃるとおりで性急にやってはいけないというのは当然ですし、多くのRCTは20年、30年かけてやられるわけですけれども、恐らく10年から15年ぐらいでセカンダリーエンドポイントは出せると思います。30年とは言わずにせめて15年ぐらいで結論を出していただければ、できれば10年ぐらいで出していただければというのが私の気持ちにはあります。
ただ、死亡率をアウトカム、それだけでこれ以上は認めないのだということになるとなかなか踏み込めないので、そこを皆さんの意見を取り入れながら、改正をしてはいかがかというのが私の提案です。
せっかくですから、椎名構成員、いかがですか。
○椎名構成員 大変専門的な御議論で、私が判断できる内容かどうかわかりません。ただ、これだけいろいろな検査法が提案されて調査もなされている中で、全く可能性がないということではないと思うので、それはバランスなのだろうと思います。先ほどから構成員の先生方からお話がありましたように、その中でとり得るものはできればとっていきたいというのが、現場を預かる身としての感想でございます。
○大内座長 棟重構成員、お願いいたします。
○棟重構成員 1つだけ気になっているのは、死亡率以外の指標による検査で、効果が出ないとなったときにやめられるかどうかだと思います。任意型でも実施している検査項目を廃止するには理解が得にくいところがあります。対策型がん検診で、効果がないと判断され、やめるといったときに、それこそ国民の納得性ということで議論が出てくると思います。その辺の考え方を整理しておいたほうがいいと思います。
○大内座長 先例として、小児のニューロブラストーマの件が祖父江構成員から指摘されましたけれども、そのとおりでして相当な議論がありました。評価をした上で廃止に至ったわけですが、そのようなことは当然視野の中に入っているわけです。そういったことも含めた書き方、あるいは説明の仕方が必要かと思っております。
福田構成員、いかがでしょうか。
○福田構成員 非常に専門性の高い議論だと思います。私も最終的な目標としては当然死亡率の減少というのは理解しておりますが、一方で、これは発生した後の治療技術ではなくて予防的に早期に発見をしてやっていくという、要はエビデンスを得るのに長期的にかかるということですから、意思決定に関してはある程度それを推計できるような形でのものに基づいた導入もあり得るのではないかと思います。それをデータが出てくるたびに修正をしていって方針を変えるとかもあると思うので私は座長がご提案されたような「確実に見込まれる」といった表記には賛成であります。
○大内座長 事務局に確認させてください。先ほど御紹介しました今後のがん研究のあり方に関する有識者会議と連動するわけですが、がん対策基本法をもとに第3期のがん対策基本計画が進んでいるわけですけれども、これは研究のみではなくて、その研究の成果を施策に反映すると、がん対策基本法の基本条項に書いてある。国民のがん死亡率の減少に資することと書いてあるわけです。ですので、その入り口が研究であって、その評価はこの場ですね。それを導入するかどうかの大変重要なポイントに今あると思うのですが、これは避けて通れないと思うのです。
この有識者会議と本検討会も含めて、ある程度の意見は参考にすべきなのかどうか。有識者会議の件については考えなくていいのかどうかについて、お伺いします。
○がん対策推進官 確認ですけれども、座長御指摘の点は、有識者会議のここの記載の部分、「10か年戦略」の後半5カ年の推進の方向性をどの程度ここで尊重すべきかと理解でよろしいですか。
そういう意味では、がん対策全般は3期基本計画のもと統一的に動いていくものですので、ここの研究推進の方向と、その結果を受けて、本検討会でどうやって政策に落としていくかは、できれば連動していただきたいと思っております。
○大内座長 羽鳥構成員、いかがでしょうか。
○羽鳥構成員 私もそちらの委員会に参加しているので、ぜひ連動していただきたいと思います。というか、前向きに進めていただきたいと思います。
○大内座長 羽鳥構成員はこの有識者会議の構成員でもありますので、御存じかと思いますので、意見を求めました。
課長から御発言はありますか。
○がん・疾病対策課長 今、伺っていて、構成員の先生方の皆様の御意見は実はかみ合っていると思っています。まず研究開発ベースで取り組むということは当然進めなければ、次の一切新しいものが生まれないことになりますので、研究開発を進めると。ただ、一方でこれが日本全国で適用されることを考えると、それは相当慎重な判断をした上で、結果的に対策型がん検診の採用に当たっては、相当程度先ほど来御指摘いただいております実行可能性、フィージビリティーともあわせて導入すべきものになる。
その間をつなぐものとして、大内座長御提案のとおり、まず少なくともこの文言の中で減少することが明らかである、「また」にするのか、最後にただし書きにするのかという文章上のテクニックはあるかと思いますが、少なくとも読めるようにはしておく。その上で実際の導入に当たっては慎重な判断を重ねた上で導入に結びつけていくということで、私は実は構成員の先生方の皆様の意見はかみ合っているのだろうとは思っていました。
○大内座長 ハードルは高いと思うのです。各種がん検診の中でさらに議論を深めた上で、代替指標について議論しますとなった場合には、参考人として来ていただいて現状についてお話しいただくとか。
問題となるのは、その下にあるC)の「運用方法」なのですが、ここは新たに追加された項目でして、この検診を受けた後の運用方法も含めた精度管理そのものが入っています。検査提供体制ですね。
D)のほうには、ただいま全国的に導入可能かどうかということで、VIII.に「公費で実施されるため、受益と負担の観点から、国民の理解を得られるプログラムであること」という書き込みがあります。被曝のことはIX.にありますけれども、皆さんにお伺いしたいのは、この●のついた5点でございます。本日初めてお示ししておりますので、この点についても御議論いただければと思います。
どうぞ。
○中山構成員 1つ追加していただきたいと思っているところがあって、検査の安全性とかはB)のところでうたわれているわけなのですけれども、精密検査や治療は結構シビアな臓器もあります。例えば手術しても入院期間が3カ月ぐらいになってしまうのに、切ってみたら命に別状のないゆっくりとしたがんであって、入院期間だけがやたらに長かったという不利益を与える可能性もあります。「精密検査、治療の安全な方法が確立していること」という要件も一つ追加してはいかがかと思います。
○大内座長 今、中山先生がおっしゃったのは、「運用方法」のVI.の「検査」の後ですね。
○中山構成員 もう一個つけ加えるイメージです。
○大内座長 プラスにしましょうか。このVII.の後でしょうか。具体的に言えば精密検査、それから、治療について安全性が確保されているという文言でしょうか。
○中山構成員 はい。
○大内座長 事務局、いかがでしょうか。
○がん対策推進官 まさに御議論いただいて、我々の提案で足らざるものがあればということでございますので、引き続きほかにもございましたらいただけると幸いです。
○大内座長 中山構成員、今の件はこの「運用方法」のV.VI.VII.について、プラスアルファでよろしいのですね。
○中山構成員 そう思います。
○大内座長 10カ条になりますね。
ほかに御意見はありますか。今、「運用方法」について議論しております。
椎名構成員。
○椎名構成員 このV.なのですけれども、例えば資料7ページの子宮頸がんのところでフローチャートが示されておりますが、非常に運用方法が明確で単純でないと、例えば一番下の方法は現場ではできないと思うのです。台帳の管理がまず不可能ということで、ここの記載は非常に重要なのかなと改めて思いました。
○大内座長 多分イギリスとアメリカでは日本と医療保険制度の仕組みが違っていますね。その点について、祖父江構成員、今の懸念について御説明があれば。
○祖父江構成員 それを決めるには、デモンストレーションプログラムとか、パイロット的にやることが必要で、そこから上がってきたデータに基づいて整理していくプロセスが必要なのだと思います。ですから、有効性、安全性でもって推奨するという段階はいいのですけれども、そこからプラスして実際に導入する際にきちんとマニュアル的にプロセスを整理して、フローチャートを整理してというところを経ないと、実際の導入は難しいということなのだと思います。
○大内座長 椎名構成員の御意見というのは、このアルゴリズム、判断事由が難しいということですね。
○椎名構成員 こういう形が適切だとされても、現場には応用ができないと思うのです。ある意味シンプルなというか、それでいて確実な効果が得られるものと選んでいかないと、なかなか定着は難しいのかと思います。
○大内座長 新たな検診法を追加する場合には、その方法についても明記することになっておりますね。がん検診の指針を変えた場合には留意事項に記載することになりますので、そこで恐らく検討されていく。それも本検討会の所掌になると思います。ですので、現場で運用のしやすい方法で定めることになろうかと思います。
どうぞ。
○松田構成員 今、椎名構成員のおっしゃった点に関連するのですが、新たな検診方法が導入された場合は、先ほど祖父江構成員が言われたようにパイロットを行うとか、その前にどのように運用するのかマニュアルが必要ですね。そして、今、椎名構成員が指摘された子宮頸がん検診のHPVを併用した検診ですが、一番下のアメリカのようなアルゴリズムといったものが推奨されたとすると、私はこの間隔に応じて市や町が受診勧奨できるような体制をつくるべきだと前から思っているのです。決めた以上はです。
ですから、アルゴリズムは単純なほうがいいのかもしれませんが、これまでのデータなりを踏まえて、こういった間隔でやるべきだと決まれば、その間隔に応じた検診を今後行うべきだと。それは子宮頸がんだけではなくて、胃がんについても結果に応じた間隔は決まってくる可能性があろうかと思うのです。ですから、検診結果に応じた間隔で受診案内をする体制づくりを今後考えるべきなのではないかと。椎名構成員に反論するようですが、そのように思っています。
○大内座長 この件に関して、井上構成員、何か御意見はありますか。胃がんに関して。
○井上構成員 いろいろながんで、これから検診は全員に同じことを行う検診というよりは、むしろリスクを層別化してなるべくハイリスクな人に提供していく検診のスタイルに変わっていくと思われるのです。それも考えると、確かに市町村のほうでそれに当たっては国がある程度体制をサポートしなければいけないかもしれないけれども、例えば検診間隔はリスクが高い人と低い人で間隔がそれぞれ違ってテーラーメードみたいになってくるのはやむを得ないことだと思うのです。
ですので、ぜひとも市町村がこういう体制を、それぞれに見合った間隔とかをつくれる体制を持てるように国もサポートしていくような、もっと大きな意味での体制づくりも必要かなと思います。
○大内座長 今の検査の提供体制も含めた、フローチャートも含めた御議論を。
福田構成員。
○福田構成員 VI.の検査の提供体制のところですけれども、括弧内に検査に係る人材や医療機関の確保とか費用対効果の評価というものが入っています。私の印象ではこれは実施をする市町村等に求めるような要件で、そこで人材であったり医療機関がそろっていたりというイメージがあるのですが、費用対効果の評価はVIII.にあるような公費で実施する観点からは重要だと思うのですけれども、並列で入れるのは違和感があります。ここで言っている費用対効果の評価がどのレベルかわからないところはあるのですが、例えば一般に費用効果分析と我々が言っているような生存年数なりQALYをアウトカムとするような費用効果分析であれば市町村でやるのは難しい話で、これはむしろこの検討会なり国レベルの研究班等で集約をしてやっていくべきだと思います。
そういう意味からいうと、どちらかというと、先ほどの有効性の議論もありましたけれども、例えば有効性を出すのにRCTがゴールドスタンダードというのは理解しますが、一方でその結果を待たずに導入したいとか、あるいは実際に現場でやったときのリアルワールドエビデンスなどという言い方もしますけれども、実際のデータをもとに評価をしていくことも必要なのではないかと思います。つまり、実施するような自治体に求められるのは、費用対効果の評価というよりも、検査に係るデータをちゃんと蓄積することではないかと思います。この中に検診を受けた後の運用方法というのもありますので、その検診を受けている状況とか、その後、実際にがんが発生しているのかとか、そういうものに関するデータを蓄積していただくことのほうが私は重要なのではないかと思います。
さらに言うと、その上で、そのデータを国レベルで集約する仕組みをつくるべきだと思うのですが、いかがでしょうか。
○大内座長 検診データの全体的な評価ですね。費用対効果のみならず、実はがん登録法がございまして、それが具体的に動き出した。しかしながら、最近の個人情報保護に関する観点から、今後の新たながん登録システムを使った研究については事前のインフォームドコンセントが必要であるとか、いろいろな制限がかかっておりますので、なかなか市町村ごとにデータを積み上げていくことは不可能に近いと。ただし、都道府県においてはそのような体制をつくるべきではないかということもあるのですが、そこまで踏み込んでよろしいですか。
○福田構成員 いろいろな障害があるのでここに書くのかどうかは課題かもしれませんが、イメージとしては例えば特定健診・特定保健指導です。特定健診・特定保健指導については各保険者がやっているものは全国で集約ができていて、その成果の評価がNDBといったデータでできるわけですから、可能であれば、同様の仕組みを考えるべきではないかと思います。市町村であっても個票レベルのものと最終的ながん登録とリンクできるようなデータセットの構築を将来的には考えるべきだと思います。ただ、個人情報保護等は理解していますので、仕組みの工夫が必要だというのはわかります。
○大内座長 実はこれは大変重要な提案だと思いますけれども、検診データの集積を図るべきだと。その評価を可視化しなければ改善できませんので、今の福田構成員の御質問に対して、事務局からお答えはありますか。
○がん対策推進官 事務局でございます。
今、福田構成員御指摘のところの費用対効果は、おっしゃるとおりVIII.に入れるような形で事務局で整理させていただきますし、共通データセットみたいな話は、個人情報の同意とセットでどういう運用が適切かは検討する必要があると思いますので、引き続き検討させていただきたいと思います。
あと、VI.で福田構成員から検査に係るデータ管理の御指摘をいただきましたので、そちらはその形で修正をさせていただければと思っております。
○大内座長 今、「運用方法」について御議論を深めているところです。ほかに御意見はありますか。
どうぞ。
○中山構成員 細かいことなのですけれども、VII.の「精度管理の手法が確立されていること」なのですが、これは私のイメージとしては、胃の内視鏡検診を導入するときの運営委員会みたいなものをつくれる、つくるという感じかなと思うので、「体制が整備できること」という表現のほうがいいのかなと思うのです。
○大内座長 精度管理の手法が確立されていて、かつ、体制の整備。
○中山構成員 手法といいますと、もうチェックリストとかいろいろなものが5がんで共通でつくられていますので、そういうのを新しいがん検診につくることもそんなに難しいことではないのですけれども、現実上、世の中で発生する問題は体制整備のところなので、例えば実施する医師会とか市町村でそういう体制が整備できるのかという問題が実はすごく大きい。市や町に内視鏡医が一人しかいないのに、できませんというところも多々ありますから、そういうことも踏まえて体制のほうが重要ではないかと思うのです。
○大内座長 このVI.のところとかぶるのですね。ですから、これはVI.とVII.を逆転させたほうがよろしいかなと思うのです。精度管理の手法がまず確立されていて、次に体制整備になろうかと思うのですが、この点はまた整理させていただきたいと思います。きょう御意見をいただきまして、項目ごとの順番等についてはもう一度事務局と協議させていただきますが、よろしいでしょうか。少なくとも先ほど中山構成員からの提案であります精密検査及び治療の安全性についてはここに入れるということで御了解をいただいていますけれども、ほかにありましたらお願いします。
どうぞ。
○祖父江構成員 上の1.から7.でもそうなのですが、下のI.からIX.ですか。互いに排他的でない部分があると思うのです。上の1.から7.でも3.5.6.は2.に帰結するような要素であって、独立していないような気もします。同様に、下のB)の「検査の有効性と安全性」にあるIV.ですね。「検査の感度・特異度等がある程度高いことが、研究で明らかにされていること」というのは、とどのつまり、有効性と安全性にかかわることですから、これは別になくてもいいように思います。
「有効性と安全性」という言葉と「メリット・デメリット」がどういう関係にあるのかですね。こういう似たようで違う言葉は余り使わないほうがいいと思います。
○大内座長 恐らく前段の7項目に関して、もう既に存在している基本条件はあって、これを踏襲しているからこのようになっていると思うのです。完全に組みかえてもよろしいのでしょうけれども、事務局のほうでいかがでしょうか。
○がん対策推進官 大内座長、ありがとうございます。事務局でございます。
まさに御指摘いただいたとおりでして、7条件を出発点としたときにどういったものが今まで明示されていなかったのか、という視点で整理させていただきましたので、祖父江構成員御指摘のとおり、I.からIX.は排他的ではございませんし、その中で総合的にメリット・デメリットを判断する上で、この視点は欠けてはならぬだろうというものを重複も許した状態で列記させていただいている次第でございます。
ですので、これはきれいに整理するべきだという御指摘であれば、御意見を報告書に向けて整理させていただきたいと思いますので、その点も含め、御意見をいただけると幸いです。
○大内座長 祖父江先生、何か具体的な案がありましたら。
○祖父江構成員 私はきちんとこういう議論をした上で整理していくほうがよいかと思いますけれども。
○大内座長 議論した上で整理していくと。私も賛成なのですが、原案を固めていく作業が必要ですので、本日の議論をもとにまた事務局と調整して再提案するということでよろしいですか。議論が不十分な点があると思うので、その点についてまた御意見をお願いします。
○祖父江構成員 今回の議論だけで全部問題点を出し尽くしているわけではないですから、何回かこういうことは繰り返しやらないといけないと思いますけれども、さりとてそのまま残しておくのは非常に気持ちが悪いというか、議論が進まないというのですか。できるだけ成熟させていくほうに進めるほうがいいと思うのですが。
○大内座長 事務局にお伺いしますけれども、この資料2の中段以降、対策型がん検診の基本条件(案)は、前段の項は書き込まれないのですね。これを受けた形で新たな提案なのですね。
○がん対策推進官 今、御議論いただいているもので、報告書のイメージとしては、対策型がん検診の基本条件(案)と書いてあるものより下の部分を今後対策型検診を考える上での条件とし、上のものは廃止してこちらのほうに刷新をして、今後何か新しい技術が出てきた場合に参照する基準にさせていただきたいと考えております。
○大内座長 相当踏み込んだ提案です。
井上構成員。
○井上構成員 この位置づけがそもそもとして理解できていないのですけれども、例えばこの基本条件が報告書に示された場合に、今、すごく言葉の行間にある議論がかなりあると思うのですけれども、それはどこに書き込まれるのですか。これはまず出して、その説明は書き込まれるのでしょうか。
○大内座長 どうぞ。
○がん対策推進官 事務局でございます。
これは本日かなり御議論をいただいていますので、報告書の中でここの部分はこういう趣旨だというのは明示してしかるべきかと思っております。
○井上構成員 という質問をしたのは、今、議論したのがまたもとに戻って、指標を死亡率しか認めないかどうかにも踏み込むのですけれども、例えばそれ以外のもので確実に見込まれるような指標があって、それで証明されて、でも、期間的には死亡を証明するまでには間に合わないものが出てきた場合に、仮にここでそう書いてあるから、導入は場合によってされたとしても、そうやって導入したものに関しては、導入された後でも必ず死亡率減少効果できちんと検証をして、もし全く効果がなかった場合にはやめる可能性があることを示すことが重要と考えます。すなわち、今は一度始めるとやめられないというのが大変な問題になっているので、やめる可能性があるのだぞということをどこかにきちんと明記していただきたいと思ったのです。ここに入れ込もうとすると何となく入れ込めないような可能性もあると思ったので、ご質問させていただきました。
○大内座長 多分、新たな指針は通達の方式をとられるのだと思いますが、その留意事項ですね。これは事務局からお答えいただきたいのですが、参考資料2があって、その中で17ページから留意事項等がありますので、そういったところに詳しく書き込まれるものと考えておりますが、どのように考えていますか。
事務局から。
○がん対策推進官 ありがとうございます。事務局でございます。
参考資料2とついているのは、どういった形で実際にやっていただきたいか、今、座長御指摘の17ページ以降のものは具体的にがん検診をどういう方にどういった形で実施していただきたいかということでございます。
むしろ今、御議論いただいている基本条件は、このがん検診を取り扱う上での総論となってまいりますので、示し方については改めて御相談させていただきたいと思います。
○大内座長 イメージとして、この基本条件については詳しい説明がつくということでよろしいでしょうか。
ほかの構成員からも指摘がございました。仮に暫定的な導入があったとして、がんの死亡率が確実に減少することが明らかであるか、または確実に見込まれる検査方法とした場合であっても、導入された後であっても、ただし書きがあって条件が付されるということでよろしいですか。必ず評価を行うということですね。その上で、将来の廃止も検討に入るということが書けるかどうかわかりませんけれども、そのようなイメージですか。
○井上構成員 その条件がなければ、100%反対という先生方もいらっしゃるかもしれないけれども、万が一この死亡率という指標で見なかった場合に、最後、そこに立ち返ることができないので、そうではないもので導入した以上は必ずゴールドスタンダードである死亡率減少というところで評価するのが必須になってくると思います。
○大内座長 では、そのことを書き込めるような原案に持っていきたいと思います。よろしいでしょうか。
どうぞ。
○松田構成員 今の「運用方法」のVI.のところに、人材や医療機関の確保というのがあるのですが、前からお話ししているように、対象者に対する個別の受診勧奨というのが市や町にとってはとても不足しているので、それはぜひここに書き込んだほうがいいのかなと思います。いかがでしょうか。
○大内座長 個別の受診勧奨については、前回、第26回でもそういったデータがございましたし、チェックリストの中にも入ってはいるのですけれども、あえて書き込むかどうかですね。これはいかがですか。
○がん対策推進官 確認をさせていただきたいのですけれども、これはVI.の一連で「個別の受診勧奨ができる体制が整っていること」みたいなことを記載すべきということでしょうか。
○松田構成員 括弧の中の最初に追加するのでいいのかなと。それは最初の受診の勧奨もそうですし、精検受診勧奨も入っていますが、実はそのあたりが一番欠けている点なので、括弧の中で結構ですが、追加していただければと私は思いました。
○大内座長 椎名構成員、いかがですか。
○椎名構成員 重要なことだと思います。
○大内座長 この基本条件の中に組み込むかどうかについては検討させてください。
ほかにございますか。
○椎名構成員 資料1に関することなのですが、よろしいですか。資料1の議論の整理の中の5.についてなのですが、「指針に基づかないがん種に対するがん検診を実施することは推奨されないことを指針に明記する」というアンダーラインの部分です。参考資料3にあるように、指針に基づかないがん検診を実施している市町村が相当数ある、9割近いという結果でございました。この指針に基づかないがん検診を実施することが必ずしも適切ではないというのは、実際には多くの区市町村で共通に理解されていることだと思います。しかし、こういうことが実際には起きています。
実態として、区市町村のがん検診は数年で異動する事務職が中心になって運営されている場合が多くて、場合によっては保健師も加わっていなません。その中で、担当者から、委託先の医師会の先生方とがん検診の適正化について協議するのはとても難しいといった率直な意見をたびたび聞きます。都道府県ではそこを乗り越える工夫として研修なども実施していただいているのですけれども、都内の幾つかの区市において、地区医師会と学識経験者と一緒に精度管理の委員会をつくっているところがございます。こういう協議体を設置することで議論が進むというところがありますが、それを一つの町ですることは大変な負担です。そこで医療圏の中にある医療連携の仕組み、こういったものに倣って保健所などが核になって複数の市町村にそういった体制をつくると非常に効果があるのではないかと思っております。
指針の中にこ「指針に基づかないがん種に対するがん検診を実施することは推奨されない」ことが書き込まれる際には、ぜひとも都道府県にそういった取り組みのリーダーシップをとっていただきたい。これは意見というか、期待、要望でございます。
長くなりました。
○大内座長 ここに書き込むのではなくて、まとめの中で、例えば通達にも最後に各都道府県においては生活習慣病検診管理指導協議会を活性化させる等とありますので、前回第26回の検討会の資料でもあったように、協議会そのものが開催されていない自治体もあるようですので、そういったことのないようにとのことです。
また、椎名構成員の言われたことの中で重要な点は、現場で人材不足もありますし、コミュニティー単体としては大中小とあるわけですが、少人数のところではなかなかやりにくいのでまとめるような方向性もあっていいのではないかという御指摘ですね。
○椎名構成員 複数の市町村が意見交換をする中で、さまざまよい取り組みも学べますし、協議の方向性も定まってくると思いますので、ぜひともそのようにお願いできればと思います。
○大内座長 皆さん、ほかに御意見はございますか。
祖父江構成員。
○祖父江構成員 冒頭に申し上げましたように、こういう条件を列記して、その条件を確認するのは誰なのかということですね。今、ガイドラインでもって全てを確認するようなことが多少求められているようなところはあるかもしれませんが、それのためにガイドラインの作成が非常に滞るということがあると思います。
現に既に新しい検診技法が諸外国では検討されているにもかかわらず、我が国のガイドラインとしてはまだ更新されていないものが幾つかある。幾つか例示されていますけれども、更新のタイミングとしては、例えば大腸がんなどは2005年以来更新されていないという事態ですね。これはガイドライン作成のアクティビティーをこういう体制として必要としているのに、きちんとサポートしていないということだと思います。現在、代表的なガイドラインは国がんが担って作成していて、幾つかの学会も担っていますけれども、国がんにおけるそうしたガイドライン作成機能をもっと後押ししないと、ちっとも進まないところがあると思います。
ですから、まずは基本条件を確認する役割を切り分けるということと、ガイドラインに関してはきちんと機能を発揮できるような後押しをぜひとも厚労省が国がんに対して要請するとか、あるいはサポートするとか、ここのところを加速化しないと、実際にエビデンスが蓄積されていてもちっとも対策型の検診として導入されないことになりますから、そこのところをきちんと後押しすることが重要かと思います。
○大内座長 米国における「US Preventive Services Task Force」がガイドラインの見直しを適宜行っていますが、そのときにタスクフォースだけではなくて、例えばエビデンスレベルを確認するためのエビデンスプラクティスセンターというものが全国数カ所においてあって、それを更新する際には世界中のデータを確認しているというケースがございます。日本にはそういう仕組みがないのではないかということですね。
国立がん研究センターに移られた中山構成員、いかがでしょうか。
○中山構成員 おっしゃるとおりで、大変少ない予算と大変少ない人員で、各臓器から非常に切迫した意見をいただいていますけれども、こんな予算とこんな人員で何もできないというのが実情のところですので、ぜひ強いサポートをいただければと存じます。
○大内座長 では、課長から一言。
○がん・疾病対策課長 御指摘ありがとうございます。
もとより今回は、例えばきょう資料2で御提案差し上げたような対策型がん検診の基本条件(案)をある意味で全面見直しをして、これからどうするのかという根本的な議論をこのシリーズではお願いしているわけです。
その意味では、今まで御指摘いただいた点をどのような形で反映させていくのか。これが報告書の取りまとめの際にも改めて御議論いただいて、これは私どもといたしましては、当然ながら今、科学的根拠に基づく政策を行うというのが政府全体の考え方でもありますし、それに対して科学的根拠そのものをつくるにはどうすればよいかという御指摘ですので、取りまとめに向けてじっくりと御指摘いただき、我々もそれを受けとめるようにしたいと思っています。御指摘ありがとうございます。
その意味で、本当はきょうの資料3のスライド17でまとめたようなことも含めて、そのためにはまずベースになるのが国がんだとしたら、それに対してスライド17にあるような競争的研究資金のものはどういうやり方か、そこも含めてセットで議論の整理をしていくべきものだと思っております。
○大内座長 祖父江構成員。
○祖父江構成員 スライド17の話が出ましたので、私はこの革新的がん医療実用化研究事業におけるPOをさせていただいています。大体の中身はわかっているつもりですけれども、これは全てがん検診の新しい手法の開発にかかわる研究なのですね。そこに関しては、AMEDは非常にきちんとカバーしていると思います。
ただ、それだけで十分かというと、そうではなくて、先ほどの「運用方法」のところのマニュアルづくりあるいは精度管理手法の確立といったところをカバーするのは、開発型のものではなくて実装研究が必要になります。いわゆるインプリメンテーションスタディーとかですけれども、そういうものもAMEDのほうでカバーしていただくということがぜひとも必要だと私は思っています。
○大内座長 意見として、なかなかお答えしにくいところもあろうかと思いますが、多分皆様のお気持ちは同じだろうと思います。研究開発された後に検査項目が導入されたときの精度管理マニュアルとか実装するための体制づくりが必要だということだと思います。それから、定期的な見直し、どこがその任に当たるかが指摘されたところでございますので、これは継続して議論していきたいと思います。
ほかに御意見はありますか。
それでは、時間が残りましたらまた戻りますが、資料がもう1点ございます。項目としては議事の「(3)その他」になります。資料4も含めて事務局より説明願います。
○事務局 資料4について、事務局より説明いたします。
資料4は参考資料3「平成30年度 市区町村におけるがん検診の実施状況調査」に関する補足資料でありまして、本調査は昨年度に引き続き実施しているものです。昨年度の調査の結果については、前回の検討会の参考資料として公表しております。
調査項目については、これまでのものと大きく違いはありませんが、がん検診のメリット・デメリットに関する説明については受診者に対して説明をしている市区町村の割合が年々増加してきていることが明らかとなりましたので、資料4として御紹介させていただきました。
事務局からは以上です。
○大内座長 ただいま「(3)その他」でございますが、「がん検診の利益(メリット)・不利益(デメリット)に関する説明について」の実施状況の調査についての説明がございました。御意見はありますか。
祖父江構成員。
○祖父江構成員 説明しているというのは増加しているというのでいいのですけれども、では、受診者の方々は本当に理解しているのかというところですね。理解度に関しても調査してほしいところです。
○大内座長 これを理解されたかどうかのインフォームドコンセントの形になるのでしょうか。
○祖父江構成員 ですから、きちんと理解しているかどうか、クイズをするなり質問をするなりということで確認をするとか、サンプリングをしてそういうことをしたほうが、説明したからといって理解されているかどうかは全くわからないと思います。
○大内座長 では、その確認をとる方法について検討してください。
○祖父江構成員 ですから、こういうことをする前に、研究として理解されるような方法を開発することがまず重要で、それを普及すると。その確認が余りできていないのではないですか。
○大内座長 今の御意見、いかがでしょうか。
どうぞ。
○中山構成員 祖父江構成員のおっしゃるとおりで、こういう悪い情報は割と若い現役世代の方にはわかるのですけれども、特に高齢の方は、私たちが研究班でやったインタビュー調査などでは自分には決して起こらない、知識としては知っているけれども私は大丈夫と言われる方がほとんどで、御自分のリスクは否認される方も多いわけなので、その辺のところはちゃんとインプリメンテーションスタディーをやって、それから伝えるべきだろうと思います。今、こうやってやっているというのはあるのでしょうけれども、今後そういうものを開発して更新していく作業が必要であると私も思います。
○大内座長 不利益、デメリットについては、特に加齢とともに高齢者にそのパーセンテージが高いのですが、このデータを見ますと、特に高齢者やハイリスクと考えられる者に対して重点的に説明している割合は何らふえていないのですね。
今、祖父江構成員からは確認、チェックリストも必要ではないかということですが、そういったことも含めての改善の意見でございます。そのように受けとらせていただきます。
ほかに御意見はありますか。
「(3)その他」としまして、何かございますか。
時間がまだありますので、もう一度資料2に戻りまして、この中で言い尽くせなかった点等がございましたら、改めて皆さんから御意見をいただきたいと思います。もちろんこれがファイナルではございませんので、御意見のあったところについて修正を行った上で次回以降に提案することになろうかと思いますが、そのような解釈でよろしいでしょうか。
事務局からこの資料2の扱い方について、今後についてお願いいたします。
○がん対策推進官 御指摘ありがとうございます。
本当にきょうはいろいろ貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございます。この資料2は現時点でコンプリートというか、これで一切文言が動かないということは全くございません。今日、先生方からいただいた意見をもとに項目の順番、構成も含め、再度事務局で整理させていただいて、御提案をさせていただきたいと思います。また、報告書の整理にあたっては、その背景事情も含めて記載させていただきたいと思っております。
まずは来週までに御意見の追加があればいただきまして、その上で整理させていただきたいと思います。
○大内座長 これは3月中にまとめるわけではなく、継続ですので、今回は皆さんから意見をいただいた。追加事項あるいは踏み込むべき点等について整理させていただいて、改めて提案したいということになります。よろしいでしょうか。
どうぞ。
○祖父江構成員 ここで挙げられた基本条件を確認する場として、このあり方検討会も一つの機能を果たすべきだと思います。ある意味、ここは一番の総合判断をするところなので、この「その他」に書かれているようなところを担うイメージですが、その点でいきますと、国民の理解を得られるということを確認するのに、この構成員では不十分かなと思ったりします。ですから、がん対策推進協議会の中に患者さんの団体の代表の方がおられるように、受診者を代表するような方を入れるというのが構成員としては必要なのではないかと思ったりします。
○大内座長 ここは健康局長の諮問の検討会ですが、今の御意見は重要だと思っています。市町村事業として実施されていて、それを担っている方で現在は椎名構成員に入っていただいていますけれども、受診者の代表としての方は入っておりませんので、そういった観点は議論の余地があると思います。
ただ、これを決めるのはあくまでも局長、課長ですので、事務局にお願いします。
○がん対策推進官 この検討会にご参加いただく形はいろいろございます。実際に構成員として参加いただく形も、参考人として必要に応じてお呼びさせていただく形もございますので、この場で御議論に必要であれば、そのように手配させていただきたいと思っております。
○大内座長 そのほかに御意見はありますか。
それでは、本日の議論はこれまでといたします。
事務局から連絡事項をお願いします。
○がん対策推進官 本日は貴重な御議論をありがとうございました。
資料2については、引き続き御意見がありましたら、1週間程度を目安に事務局までお寄せいただけますと大変幸いです。2019年の報告書に向けて、これはさらに議論を深めてまいりたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
また、次回の検討会の詳細につきましては、調整の上、追って御連絡をさせていただきたく存じますので、よろしくお願いいたします。
事務局からは以上でございます。
○大内座長 それでは、本日の検討会をこれで終了したいと思います。
構成員の皆様におかれましては、まことにありがとうございました。

照会先

健康局がん・疾病対策課

代表 03-5253-1111(内線3826)