第9回今後のがん研究のあり方に関する有識者会議(議事録)

健康局がん・疾病対策課

日時

平成31年3月8日(金)14:00~16:00

場所

全国都市会館 3階 第2会議室
(東京都千代田区平河町2-4-2)

議題

(1)報告書(案)について
(2)その他

議事

 

○健康局がん対策推進官 それでは、定刻となりましたので、ただいまより第9回「今後のがん研究のあり方に関する有識者会議」を開催させていただきます。
構成員の皆様方におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして、まことにありがとうございます。
本日の出席状況でございますが、郡山構成員、神奈木構成員、南構成員から遅参の御連絡をいただいておりますとともに、宮園参考人も同様でございます。
そして、新延構成員から本日御欠席とのことですが、代理として、山本構成員代理に御出席をいただいております。
参考人及び事務局からの出席者については、座席表をもってかえさせていただきます。
続きまして、資料の確認でございます。
まず、座席表と議事次第、その後、資料1として今般の報告書の案、そして、参考資料1、机上に、構成員の方々におかれましては前回までの資料などを御用意させていただいております。
資料に不足、落丁等がございましたら、事務局までお申し出いただけますと幸いです。よろしいでしょうか。
それでは、以上をもちまして、撮影の終了をお願いしたいと思います。カメラをおさめていただきますよう御協力をお願いいたします。
では、以降の進行を中釜座長、よろしくお願いいたします。
○中釜座長 座長の中釜です。
それでは、早速ですが、議事に従って会議を進めたいと思います。
まず議題1「報告書(案)について」、議論したいと思いますので、事務局から説明をお願いいたします。
○健康局がん・疾病対策課課長補佐 事務局でございます。参考資料1をごらんください。
前回、前々回と、2ページ目にございます、柱の(1)から(8)と横断的事項について御議論をいただきました。この御議論を踏まえまして、資料1の報告書案を作成させていただいております。
資料1をごらんください。1ページおめくりいただきまして、目次をごらんいただきたいのですけれども、報告書の構成としましては1.として中間評価までの経緯、2.といたしまして戦略の後半期間に取り組むべき研究をまとめております。
(1)から(8)までの柱ごとの記載に加えまして、(9)として横断的事項をまとめてございます。
本日は、この報告書案について御議論いただければと思います。なお、御意見をいただく際でございますけれども、具体的な修文案を一緒に頂戴できますと幸いに存じます。
事務局からは以上となります。
○中釜座長 ありがとうございました。
それでは、今、説明がありました資料1について、議論を進めたいと思います。
まず「1.中間評価までの経緯」についてですが、こちらに関しては、事実関係でありますが、もし誤り等があれば御指摘をいただきたいと思いますが、御意見等はございますでしょうか。
天野構成員。
○天野構成員 ありがとうございます。
中間評価までの経緯ということに関連しての意見です。今、事務局から報告書の目次について、経緯と研究についての構成になっているという御説明をいただきましたが、この点についてでございます。経緯の後に、2.の部分において分野ごとの個別の今後推進すべき研究が示されているわけでございますが、報告書の体裁として、もちろんそれぞれの各論の研究は重要であることは重々承知しておりますが、報告書全体としてのまとめというか、総括というか、そういったパートが報告書にあってしかるべきではないかと感じましたので、この場で意見を述べさせていただきます。
○中釜座長 その点につきましては、この全体の構成でありますが、現時点で事務局から何かございますか。
○健康局がん・疾病対策課課長補佐 最後に3.の総括としてつけさせていただくようなイメージでよろしいでしょうか。
○天野構成員 はい。
○健康局がん・疾病対策課課長補佐 わかりました。
○中釜座長 ありがとうございます。
そのほか、御意見はございますでしょうか。よろしいですか。
またお気づきの点があれば、事務局へ御連絡ください。
それでは、本題に入りますが、めくっていただきまして3ページ目「2.戦略の後半期間に取り組むべき研究について」であります。ここは既にごらんのとおり、(1)から項目ごとに立てられておりますので、項目を区切りながら議論を進めていきたいと思います。
最初に3ページ目の2.のリード文と「(1)がんの本態解明に関する研究」、5ページ目の「(2)アンメットメディカルニーズに応える新規薬剤開発に関する研究」、この2つについて御意見をいただきたいと思います。よろしいでしょうか。
島田構成員。
○島田構成員 5ページ目でありますけれども、ポツの2行目であります。そこの2行目で「今後は、ゲノム解析やAI(artifitial intelligence)等の新たな科学技術等を用いつつ」という文章があって、ゲノム解析とかAIは非常に大切な分野だと思いますが、この分野におきましては、いろいろな機器開発の技術の高度化も必要だと思いますので、ここのところ、例えば最近ですと超偏極MRIのような新規の画像診断技術も開発されておりますので、「超偏極MRIのような新規の画像診断技術」という言葉も入れてもらえればありがたいと思います。
○中釜座長 御指摘ありがとうございました。そのような形で追記させていただきたいと思います。
そのほか、ございますでしょうか。
私から表記について、3ページ目のがんの本態解明の下から6行目あたりかな。「しかしながら、引き続き、統合的な解析や従来の手法とは異なる切り口で」と書いてあるのですけれども、「統合的な解析」という意味を少し明確にするといいのかなと思うのです。恐らくマルチオミックスを含めてということだと思うのですが、そのあたりをもし記載できるのであれば、より具体的に書いていただいたほうがいいかなと思いました。
ほかにございますか。
お願いいたします。
○三津家構成員 資料の6ページの上から2つ目のポツ、バスケット型臨床試験のところなのですが、「がん種によらず原因遺伝子に着目した研究も推進すべきである」と、文章がありますが、ここの部分は研究だけではなくて、併せて薬事承認の仕組みの整備というものがないと、最終的に薬が仕上がるというところに結びつかない。解決法として結びつけるためには、「がん種によらず原因遺伝子に注目した研究及び、例えばPMDAとの連携により薬事承認のルールの整備が必要と考えられる」など、文言を追記することをご検討頂きたいと存じます。
○中釜座長 重要な御指摘だと思うのですが、この点に関して、事務局、よろしいでしょうか。特に御意見はありますか。
○健康局がん・疾病対策課課長補佐 少し整備とか制度の話になってまいりますので、どのような書きぶりにするのかはまた御相談をさせてください。
○中釜座長 そのほか、ございますでしょうか。
お願いいたします。
○細井構成員 細井でございます。
4ページの一番下「これまでの研究開発の」というところで、小児・AYA世代のがんについても言及していただいていることは大変ありがたいのですけれども、ここでつけ加えるとして、「特に小児固形がんの中には自然退縮するものがあることが知られており、我が国では乳児期、マスクリーニングが行われ休止された経緯があり、休止後15年がたつことから疫学的変化について調査報告する義務があると考えられる」というような文言をつけ加えていただくわけにはいかないか検討いただければと思います。
○中釜座長 という御指摘ですが、少し具体的になり過ぎない形での記載が可能かどうかですが、いかがでしょうか。
○健康局がん対策推進官 事務局でございます。
今回の報告書の整理としまして、それぞれの領域でポツで示させていただいているところ、どういった研究を今後進めるべきかという形式で研究戦略の報告書としてまとめさせていただいていますので、今、細井構成員御指摘のところは、どちらかというと背景事情として記載しておいていただきたいという趣旨なのか、こういう研究を推進するべきだという御意見なのか、そこは明確にしていただけると我々もどのように盛り込むか考えられるのですが、お願いできますでしょうか。
○細井構成員 細井でございます。
このようなデータを保有しているのは世界的に見ても日本だけでありまして、ぜひこの研究を推進して、世界にその結果を発信する義務があると個人的には私は考えておりますので、研究推進というところで考えていただければと思います。
○中釜座長 最初の背景要因として、少しそういう文言も盛り込むことは可能でしょうかね。
○健康局がん対策推進官 事務局でございます。
背景のことであればそちらの形で記載させていただくことも検討させていただきますし、今、細井構成員はこういった研究、マスクリーニングの経緯も踏まえた研究ということでございますので、具体的などういう研究を推進すべきか、追って詳しくお伺いできればと思っております。
○中釜座長 そのほか、ございますか。
藤原構成員。
○藤原構成員 先ほどの製薬協さんからのコメントにも関連するのですけれども、アンメットメディカルニーズに応える新規薬剤はこれからたくさん入ってきますし、条件つき早期承認も本格化すると、薬事承認のみならず承認後の安全性の確保をどうするか。つまり、薬剤疫学的な研究あるいはファーマコビジランスをこれまでとは全然違ったスキームで考えないといけない。例えば条件つき早期承認制度の本格的導入に伴って、新たなファーマコビジランスあるいは薬剤疫学的研究を行うべきですとか、そういう文言は欲しいところです。
○中釜座長 ありがとうございます。
ほかに御意見はございますか。
私から少し細かい点を2~3御指摘させていただきます。4ページ目の下から2つ目のポツなのですけれども、確かにここは支持療法や緩和療法の開発に関して、新たな切り口の重要性を書いているのですが、どちらかというと本態解明というよりはアンメットメディカルニーズのところがふさわしいのかなと思うので、そちらに移動してはどうかということです。
2点目は5ページ目の(2)のアンメットメディカルニーズの前段の真ん中あたりですか。「しかしながら、遺伝子パネル検査等により新たな遺伝子変異が見つかる」、これはパネル検査だけで見つかるわけでもないので、遺伝子パネル検査等は省いて、新たな遺伝子変異が見つかってきている、それを踏まえて治療戦略、そのように書きかえてもいいかなと思いましたので、修文いただければと思います。
3点目、6ページ目の真ん中あたりのポツの3つ目ですね。免疫療法に関する記載なのですが「より有効と考えられる患者を絞り込み、無用な副作用を回避できる」というところに関して、免疫療法はかなり進んできているので、例えばこれからは免疫の疲弊であるとか、分子標的治療薬等との複合的な治療、そういうコンビネーションのようにより具体的に現状を踏まえた次のステップということがわかりやすいような形で書いたらと思いました。細かい点ですけれども、そのように修文をいただければと思います。
ほかにございますでしょうか。
三津家構成員。
○三津家構成員 6ページ目の上から1つ目のポツの部分、また先ほどと同じ(2)の項目に該当する内容です。ゲノム情報の利活用と研究を推進すべきという文章がございまして、これも研究という言葉を加えるかどうかは検討が必要ですが、申し上げたいのは、集約されたゲノム情報を国としてどうやって管理するか、という体制に係る内容を、これからC-CATの事業や研究が推進されるに際し、どこかに文言として明記すべきだと考えました。これは最後の「6.「基盤整備等」について」でもいいのかもしれません。ぴったりはまるゲノムの情報という文章のところはなかったもので、どこかに国としてのゲノム情報の管理に関する言葉を明記できるか御検討いただけたらと考えております。
○中釜座長 ありがとうございました。よろしいですね。
ほかに御意見はございますでしょうか。よろしいですか。
またもし振り返ってお気づきの点がありましたら、御指摘をいただければと思います。
続きまして、(3)(4)、ページ数にして6ページ、7ページ、8ページにわたりますが、「(3)患者に優しい新規医療技術開発に関する研究」「(4)新たな標準治療を創るための研究」、この2点について、御意見をいただければと思います。
天野構成員。
○天野構成員 ありがとうございます。
7ページの1ポツ目で重粒子線治療について触れられていまして、短期間での治療が可能であり、また、一方でコストの面での課題があるという記載があります。もちろんコストの面での課題があることは承知しておりますが、その上で、そもそも重粒子線治療のエビデンスの構築がいまだ途上にあると理解しております。特に保険適用がなされてからは一部の研究において研究の進捗がおくれていて、エビデンスの構築がおくれているものがあるかと思いますので、「至適治療の探索が必要である」であるとか、「最適な治療のエビデンスの構築に向けた研究を推進すべき」という一文が必要かと考えます。
私からは以上でございます。
○中釜座長 ありがとうございます。
その点について、島田構成員、特にコメントはありますか。
○島田構成員 保険収載された部位以外では進捗が遅れているの聞いてますので、それで結構だと思います。
○中釜座長 ありがとうございました。
堀田参考人。
○堀田参考人 これは重粒子線だけの問題なのか、陽子線はどうかということもあると思います。
○中釜座長 その点について、島田構成員。
○島田構成員 陽子線も今、研究が進んでいます。陽子線もデータベースのエビデンスの構築が少しおくれていると聞いてますので、陽子線もあわせてつけ加えるのがいいと思います。
○中釜座長 そうしますと、広く「重粒子線治療等の粒子線治療」という形になるのですかね。
○島田構成員 そうです。
○中釜座長 そういう形で修文いただければと思います。
ほかに御意見はございますでしょうか。
上田構成員。
○上田構成員 上田です。
7ページ目の2つ目のポツですね。こういう文言を入れるのはこの分野では初めてだと思うのです。この量子科学技術分野がどのようにがんの研究、治療に非常に肉薄してくるのかを少し皆さんにわかるような書きぶりをしないと、このままでは言葉だけで中身が全然浮かんでこないような気がするのですが、これはよろしいのでしょうか。その辺、もし説明していただける方がいれば、お願いします。
○中釜座長 この点については島田構成員、よろしいでしょうか。
○島田構成員 先生の御指摘のとおりで、急に出てきた言葉で申しわけありませんでした。量子科学技術というのは、いわゆる光とか電子、原子など、粒の性質と波の性質をあわせ持っている量子の振る舞いを科学して、それを応用する技術と定義されています。一般的には量子論を応用した技術としては、半導体とかレーザーとかがございます。今、使っているCTとかMRI、da Vinciの技術とか遠隔操作なども、そういう意味では量子科学技術を使った技術と考えられます。
さらに近年は、処理能力が従来のコンピューターと比べて1億倍にもなると言われる量子コンピューターの開発が非常にしのぎを削っているわけでありますけれども、その計算能力を使えば創薬におきましても早く短時間で有効な創薬を選び出すことができるとか、アト秒レーザーという技術も開発されていまして、光とか電子の動きを見ることができます。例えば放射線治療においての初期事象などを追うことができますので、そういう意味では、結果ではなくてプロセスを、フェムト秒とかアト秒という短い時間で何が起こっているのかを解析することによって、より有効な創薬、治療法の開発につながるのではないかと期待されている段階であります。
○中釜座長 そうしますと、その部分を少し短くわかりやすくここに書き込むとすると、どういう文章が適切ですか。
○島田構成員 事務局と相談させてください。
○中釜座長 わかりました。今のようなことがわかりやすいような形で、ここにいきなり量子科学技術と出てこないように、その意味が十分に伝わるような文章案としたいと思います。また後ほど事務局と御相談いただければと思います。
○健康局がん対策推進官 そういう意味では、ここに限らず専門用語は多数出てまいりますので、脚注をつけるような形で一般の方にも読みやすいように努めさせていただきたいと思います。
○中釜座長 わかりました。よろしくお願いいたします。
上田構成員。
○上田構成員 今のことは、私もこの量子科学技術という言葉を代表にして、ほかのところでも一般の方が読むと非常に難しくて、微小環境と言われても何の話かとか、いろいろあろうかと思うのです。上手に脚注をつけるなり、医学的に大事なことに関しては、単なる脚注でなくて少し解説的な脚注をつけてあげないと、この文章は我々だけが読むものではないものですから、ぜひしてください。
○中釜座長 重要な御指摘、ありがとうございます。
ほかによろしいですか。
細井構成員。
○細井構成員 細井でございます。
5ページの一番下のポツでございますが、次のページの最後のところにわたりまして「小児における薬剤開発を進める研究の支援を行う等の工夫をすべきである」と書いていただいておりますが、具体的な工夫といたしまして、小児がんやAYA世代のがん、希少がんの標準的治療の開発に必要な登録症例数を集めるには比較的長年月を要することから、長期にわたる継続的な支援が必要であるという文言を加えていただけないでしょうか。
○中釜座長 よろしいですか。
ほかにございますでしょうか。
堀田参考人。
○堀田参考人 細井構成員がおっしゃったことは、次のAYA世代と小児のところに少し出てくるので、そこで調整をしていただければと思います。
○中釜座長 そうですね。
ほかにございますでしょうか。
米田構成員。
○米田構成員 7ページの一番最初のほうに出てきます「その際、近年進歩してきている分子・細胞イメージングを活用した」という文章は、ここにあってもいいのかもしれないのですが、一番この言葉がしっくりしますのは、さかのぼりますけれども、4ページの「シングルセル解析やがん細胞を取り巻く微小環境の解析」の部分に、あったほうが研究という意味ではしっくりくる気がしますけれども、いかがでしょうか。
○中釜座長 今の御指摘は、7ページの一番最初のところですね。6ページの最後のポツのところで「ドラッグデリバリーに係る研究を推進すべき」、その後に「分子・細胞イメージング」のところで、この部分だけを先ほどの本態解明の部分に移したらどうか。
○米田構成員 そうしたほうがいいのではないかと思います。
○中釜座長 確かに本態解明につながる技術かと思うので、こちらのほうに移すのはいかがかと思いますが、よろしいですかね。
では、その形で修正したいと思います。
ほかに。
天野構成員。
○天野構成員 先ほどの細井構成員の御指摘に関連して、6ページの上から5行目の「小児における薬剤開発を進める研究の支援を行う等の工夫をすべきである」という記載がありますが、この一文の意味するところが、先ほどの細井構成員の御指摘を聞いていると、わかったようなわからないような記載になっていると感じました。先ほどの細井構成員の御指摘にあったように、研究費を入れることが必要であるとか、長期にわたって研究への支援が必要だということは、もちろんそれはそのとおりだと思うのですが、ここに記載のある工夫の意味するところは、私の理解では、海外においては成人の新規治療薬を開発する際に同時に小児の開発も義務づけているようなスキームもあると理解していて、そういった部分も含めた意味での工夫と解すべきかと私は読んでいたのですが、そのあたりはどのように考えればよろしいでしょうか。
○中釜座長 細井構成員、お願いいたします。
○細井構成員 そのお考えには賛成です。
○中釜座長 そうしますと、そのあたりが曖昧であるので、もう少しわかりやすく記載するとしたら、具体的な記載方法としては。
○細井構成員 そういう工夫と、海外においても小児がんの臨床試験は登録期間が6年、7年、そこからさらに3年の観察期間ということで、10年ぐらいをかけてやるのが通常でありますので、途中で財源が途切れてしまうと最後の結果が出せないということにもなりかねない。そういう意味での長期的な支援ということを申し上げました。
○中釜座長 今のご指摘には体制として組み込むということと基盤をしっかりするということ、それから、治療薬開発のときに成人と小児を分けて考えるということ等、少し複合的な要素が入ってきたと思います。工夫という表現でいろいろな意味を含むというニュアンスかなと思うのですが、そのあたりは、事務局、どうでしょうか。
○健康局がん・疾病対策課課長補佐 事務局でございます。
天野構成員に御指摘いただいた部分を実はこの文章に反映しているつもりで、日本語が悪くて、実際には成人における薬剤開発と同時に小児における薬剤開発を進める研究の支援と、先ほどの成人のところにこの「支援」という言葉が入っているので、今、おかしな文章になっているかと。どちらかというとイメージとしては、研究をする際に成人、20歳で区切るとかではなくて、もうちょっと下のAYA世代まで加えるとか、そのようなプロトコルの工夫も進めていくべきなのかという意味合いで書かせていただきました。
○中釜座長 細井構成員が指摘された継続的な支援に関しても、恐らく最後の横断的な部分、あるいはその中の基盤整備の中に何かそういう文言が入って、開発における継続的な支援が特に小児・AYA世代の患者さんの場合は必要かと思うので、そのあたりの文言がうまく入ればいいのかなと聞いて思いました。後ほどそのときにも議論いただければと思います。
○健康局がん・疾病対策課課長補佐 恐らく先ほどおっしゃったような(5)で書くということも一つの選択肢かなと思うのですけれども、そのあたりはまた御相談をさせていただければと思います。
○中釜座長 なるほど。
そのほかございますか。
私からまた細かい点なのですけれども、7ページ目の3つ目のポツのところですね。これはRIの内用療法の話で「例えば、アクチニウムなどの」というのは余りにも個別的過ぎるので、必要なのか疑問に思いました。代表的な例として挙げているのでしょうけれども「例えば、α線を放出する核種によるRI」、ここから始まっても特段問題ないのかなと思うのです。もし問題なければ。
島田構成員、何か御意見があれば。
○島田構成員 ありがとうございます。
α線核種につきましては、現在、福島県立医大とQSTでアスタチンによるMABGの開発をしています。また、2年前に前立腺がんの転移がんがアクチニウムを使った抗体試薬できれいに消えたというかなりのインパクトがある報告があったので、ここで例としてアクチニウムを入れました。アクチニウムに限らずα線の性質を利用している核種という意味では、中釜座長がおっしゃったように、アクチニウムを消してもいいかなとは思いますが、アクチニウムはかなりキーワードであることは間違いないとは思います。藤原先生もそうおっしゃってくださったので。
○藤原構成員 そう思います。
○中釜座長 そうですか。では、ここは残したほうがインパクトがあるということであれば残してもいいと思うのですが、いかがでしょうか。今後の展開をアクチニウム以外のα線粒子にも広げるという意味では縛られなくてもいいのかなと。2つ意見があるかと思うのですが。
堀田参考人。
○堀田参考人 堀田ですが、α線の作用を利用するということで言えば、BNCTもそうですね。BNCTは日本が進んでいる技術なので、そういったところも書き込んでおくとよいと思います。
○中釜座長 BNCTはまだ方法論として十分に確立されていないかと思うのですけれども、可能性のあるものとして広くα線によるがん治療と。
○堀田参考人 すでに、臨床での治験の準備中と聞いています。
○中釜座長 では、そのあたりも含めて記載いただければと思います。
ほかに御意見はございますか。よろしいですか。
では、また(3)(4)に関してお気づきの点がありましたら、後ほど御意見をいただければと思います。よろしいでしょうか。
次に移らせていただきます。(5)(6)であります。8ページ目、下のほうに「(5)ライフステージやがんの特性に着目した重点研究領域」、11ページ目「(6)がんの予防法や早期発見手法に関する研究」の2つであります。御意見がありましたら、よろしくお願いいたします。
お願いいたします。
○藤原構成員 藤原です。
10ページ、高齢者のがんに関する研究のところでございますけれども、現在の記載ぶりだと治療とかゲノムというところのみが記載されているのですが、今後のことを考えると、検診ですね。高齢者のがん検診はなかなかいろいろな問題があるところでございますので、検診に関する記載が欲しいと感じます。例えばどのような文章でと言われますと、加齢に伴ってがんが発生しやすくなるとか、認知症などのほかの疾患、合併疾患を持っている高齢者特有の事情を考慮して、社会学的な要因もさまざまありますから、社会学的な視点を取り入れながら、高齢者におけるがんの検診の研究を進めていくという文章を入れていただければと思います。
○中釜座長 ありがとうございます。
これは特に検診を含めた早期診断。
○藤原構成員 早期診断も検診に含めるのであれば「がん検診等」になりますけれども、その辺は皆さんの御意見を聞いてみたいと思います。
○中釜座長 今のは重要な御指摘かと思います。これから患者さんの高齢化が来る状況において、その対策は非常に重要だと思うので、そのところはより明確に藤原構成員の御指摘の点を踏まえて書き込んだほうがいいかなと思うのですけれども、よろしいでしょうか。
ほかに。
○堀田参考人 検診について少し認識を一致させておきたいのですけれども、いわゆる公衆衛生学的な意味での検診ですね。対策型検診、住民検診など、税金を投入して死亡率の減少効果を目的とするという意味での検診と、個人が自費で受ける、いわゆる任意型のがん検診とかドックとかという形のものとは性質が違います。今はどちらをおっしゃっているのかははっきりさせないと議論がしにくいと思います。
○中釜座長 藤原構成員、お願いいたします。
○藤原構成員 難しい問題で、高齢者は対策型検診なのか、任意の検診、どちらがいいのかというところに関して、余り私は調べたことがないのですけれども、そこも含めて、ここは方向性なので広目に書いておいて、実際に研究をする段階でAMEDさんとかでいろいろなデータを見ながら、どこにフォーカスを当てればいいのだろうというのをまとめていただければと思うのです。今は幅広のほうがいいかなと私は思います。
○中釜座長 考え方としては、恐らく一つには対策型の検診のあり方が論点で、もう一つが、それ以外のがんのスクリーニングに関してどう進めていくのかというところと思います。死亡率低減だけではなくて、あらゆるサロゲートマーカーの開発を含め、更には検診の対象を含めた論点、そういう議論としてあってもいいのかなと思いますけれども、そういう2つ分けて記載するのがいいのかなと思いました。
○堀田参考人 性質が違うことが前提にあって、両方とも言及する必要はあるのかもしれませんが、今まで我々が厚生労働省の指針に基づいて行っている全国の検診は対策型検診のことを言っています。ドック型の任意検診は個人の意思でもって自費でやるものでありますので、そこは余り今まで差し当たって規制とかいろいろなことがないところなのです。だけれども、世の中には本当にエビデンスがあるかどうかわからないようなマーカーを検診と称してやっているところがとても多いのですけれども、残念ながら、そこに余り議論が及んでいないので、そのことを問題にされるのであればまた別に論点はいろいろあるなと思います。
いずれにしても、高齢者に限らず、対策型のものと任意の検診が混在している。今の検診の受診率というのは、実は任意型の検診まで含んで受診率を計算している部分があるのですね。そこら辺がややこしいところだと思います。
○中釜座長 ありがとうございます。
少し整理をすると、早期診断を含めた検診のあり方に関しては、今のところ対策型、死亡率低減というところが一つの指標になっているかと思うのですが、今後の指標の持ち方を含めたより効果的な早期診断、検診の新しいモダリティーの開発も必要かと思います。それを位置づける意味でも、考え方をきちんと定義して進めていく必要があるというご指摘と思います。
○堀田参考人 特に高齢者の場合、例えばいきなり内視鏡をやるのかということになると、そうではなくて、もうちょっと違うやり方でスクリーニングをして、本当に疑わしい人だけそこからは診療行為として内視鏡検査を受ける、ということで整理できるのかもしれません。これは低侵襲な検診のあり方に含まれてくるかもしれません。
○中釜座長 少し整理が必要かと思いますが、同時に過剰診断の問題も当然出てくるので、早期診断、検診のところの記述は、今、御指摘の点を踏まえて少し丁寧に書き込んでみたいと思います。そのあたりは事務局から。
○健康局がん対策推進官 事実関係として12ページの下から2つ目のポツで、予防の部分でがん検診を書かせていただいていますが、これは堀田参考人御指摘の中で言えば対策型検診のことでございますので、その点は明記する形で整理させていただきたいと思います。ありがとうございます。
○中釜座長 そのほか、御意見は。
河野構成員、お願いいたします。
○河野構成員 10ページの高齢者のところですが、先ほども議論になったのですが、1ポツ目の「認知症」云々、最後に「引き続き、高齢者に最適な治療法」というところを、高齢者の手術というのは一つキーワードですので、治療法が手術とか薬物療法というキーワードをもし加えていただけたらと思います。
○中釜座長 今の点、よろしいですね。今の点に関しては、そういう修正をお願いしたいと思います。
ほかに。
細井構成員。
○細井構成員 10ページの一番上のポツですけれども、小児がんの晩期合併症について記載をいただいておりますが、小児がんの晩期合併症として最も深刻なのは妊孕性の喪失でございまして、その対策として妊孕性温存治療の研究の推進が必要であるという一文を入れていただけないでしょうか。
といいますのは、精子、卵子の凍結保存は実際に行われておりますけれども、女児に至っては、卵巣を凍結保存することによって女児が成人になった後に実子を得た例も出てきております。思春期前の男児においては、精巣を保存して、それを成熟した精子に分化、成熟させるという研究は行われておりますが、実用化はまだの状況でございまして、そういった研究も言及いただければと思います。
○中釜座長 今の御指摘の点は、別項目としてこのポツの中に書き込めますか。
お願いいたします。
○健康局がん・疾病対策課課長補佐 妊孕性の温存のところが、がん患者さんにおいてどういう状況になっているのかという形であれば、この研究の戦略の中に反映しやすいかとは思うのですけれども、一方で、がんに限らずという意味合いでの生殖機能のおっしゃっていただいたような技術となると、このがんの領域に限ったことになってくるのかという部分はございますので、どのような形で反映させるか、どこの部分に反映させるのかというのは御相談をさせていただけたらと思います。
○中釜座長 よろしくお願いします。
ほかにございますでしょうか。
上田構成員。
○上田構成員 上田です。
今と同じような論点になるかと思うのですけれども、9ページの1ポツですね。小児用の遺伝子パネルができていないからつくるというお話ですけれども、これはいわゆる代謝から、先天性の異常から、がんから、遺伝子異常の全部を含めたパネルをつくるなのか、成人のNCCパネル的な発想で、それでいいのか。あえてここのところを強調していらっしゃるけれども、例えば、今、一番小児で進んでいるのは白血病の遺伝子診断だと思うのですけれども、それはもう実地医療としてほとんどやっていると思うのですが、ここの意図しているところをもう少し説明していただけるとわかりやすくなるかと思います。
○中釜座長 事務局、お願いいたします。
○健康局がん対策推進官 事務局でございます。
今、御指摘の部分について、念頭に置いていましたのは造血器腫瘍に係る小児のがんのパネルを早く実装化に結びつける研究という意図で書いております。
○中釜座長 少し追加をすると、もう一つ、私の理解した範囲では、成人がんと違って小児がんの場合は、変異の遺伝子プロファイルや融合遺伝子が異なります。なので、成人と違ってDNAパネルだけでは不十分で、遺伝子の種類も変えたり、あるいは融合遺伝子が見つかりやすいようにRNAの解析を含む、さらには、治療薬開発も必要です。同時に診断も重要で、診断して治療の層別化に資することを視点に入れた、成人ではないパネルの構築がイメージされていると認識しています。そういう理解でよろしいですか。ですから、血液に限らず固形腫瘍も入ってくるのだろうと思います。
ほか、よろしいですか。
お願いいたします。
○羽鳥構成員 12ページ目の禁煙の話でありますけれども、上から2つ目のポツで「行動科学等の治験を活かし、個々人に行動変容を促し」ということでありますが、これももちろん大事なことでありますけれども、国として行政としての取り組みももうちょっと書き込んでもいいのではないでしょうか。将来の禁煙社会の実現、もちろん今回のオリンピックの開催場所については、あるいはまた法案も通ったわけではありますが、今後も引き続き禁煙社会を目指すとか、そこまで書き切ってもいいのではないかと思います。そういう意味では「過剰なアルコール摂取」とか、そういう言葉も必要ではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
○中釜座長 それらを含めて、生活習慣の中のよりリスク回避的なありようということだと思うのですけれども、それをうまく網羅的に示せるような表現に変えられればと思いますが。
○羽鳥構成員 行政とか国の取り組みの言葉が一つもないのが残念です。
○中釜座長 その点について、よろしいですか。必要な視点だと思いますので、そこも書き込んでいただければと思います。
ほかによろしいですか。特にございませんか。
それでは、予防、検診はかなり広い範囲を含むので、後にお気づきの点等がありましたら、また御指摘をいただければと思います。
続きまして、(7)(8)についていかがでしょうか。これは13ページになります。「(7)充実したサバイバーシップを実現する社会の構築をめざした研究および(8)がん対策の効果的な推進と評価に関する研究」となっております。御意見をいただければと思います。
鈴木構成員。
○鈴木構成員 まず、14ページの上から2つ目のポツなのですけれども、これはがんの治療と仕事の両立の点で、職場ごとだけではなくて、企業全体の理解を促進するための取り組みや研究も必要かなと。なので、企業への理解を促進する体制づくりとその研究みたいなものを入れていただけたらと思ったのと、文章の中で、ポツの2つ目の3行目「患者や、患者を取り巻く職場等の様々なステークホルダーが加わった形での研究体制を構築して研究を進める」となっているのですけれども、これは支援体制を構築してなのか、協力体制を構築してなのか、何らか日本語的にもうちょっといい言葉があるのではないかと思った、その2点が1つ目です。
そして、次はポツの3つ目なのですけれども、「がんが患者の精神心理面に与える影響の把握や、患者の精神心理的ケアが不十分である」となっていますが、「患者の精神心理的ケアの研究を推進する必要がある」としたほうがいいかなと。もしくは「不十分である」と書くのであれば、「がんの精神心理面に与える影響の把握の研究を進めるべきである」ということを一文加えていただけたらと考えました。
3点目、15ページ目の上から2つ目のポツなのですけれども、最後の一文「また、AYA世代のがん患者に適切に相談支援を提供するために、人材育成に関わる研究も進めるべきである」とありますが、AYA世代のがん患者に適切に相談支援を提供できる仕組み、体制づくりも進めていただく。人材育成だけでは足りないかなと考えておりまして「相談支援を提供できる体制づくりや人材育成に関する研究も進めるべきである」と加えていただけたら幸いです。
以上です。
○中釜座長 ありがとうございます。
今の3点、よろしいですかね。2点目のところは、最初の4ページの3つ目ですね。「患者の精神心理的ケアが不十分であり、その研究が重要である」等の書きぶりですかね。現状を踏まえてその解決という形の記載がよろしいかと思います。
その前の2つ目のポツの「研究体制を構築して研究を進める」、これはどうですかね。少し繰り返しが気になるので、「研究支援体制を構築して、より研究を進める」とか、そういう書きぶりは。
事務局、お願いいたします。
○健康局がん・疾病対策課課長補佐 事務局でございます。
今、御指摘いただいた体制の部分の文言でございますけれども、例えば「さまざまなステークホルダーが加わった形で研究を進めるとともに」というような形でいかがでしょうか。そのほうがすっきりと。
○鈴木構成員 それでいいと思います。
○健康局がん・疾病対策課課長補佐 申しわけございません。
○中釜座長 ありがとうございます。そのように変えさせていただきたいと思います。
ほか。
お願いいたします。
○羽鳥構成員 先ほどの御指摘の14ページ、2つ目のポツ、就労支援の話でありますけれども、これもまた行政の文句で申しわけないのですが、労働基準局はもちろん厚生労働省の労働の側ですね。都道府県に行くと就労支援でも地方に渡された分野の部分と労働基準局は国の事業で、余り仲がよくない、話が通じない。同じ厚生労働省の中であっても、労働の支援とかがんとの共生というのがなかなかうまく通じていないところもあります。
例えば労働基準局の予算は14億円あるのだそうですけれども、厚生労働省の健康局の予算はがんとの共生のところは3000万ちょっとしかないということもあって、もっと労働基準局とか、そちらのほうから金をとってくるとか、そういう仕組みを構成する。あるいは、もうちょっと話し合い、穏やかな言葉で言えばきちんと厚生労働省の中でも、お役人同士の中でも話し合って、就労支援とか、それを本気でやってほしいと思うので、その辺は検討していただきたいと思います。何か言葉として書き込めと言われると、こんなものしか書き込めないかもしれないと思いますけれども。
○中釜座長 今の御指摘を踏まえて、現時点で何か案はございますか。行政的なところの取り組みをしっかり書き込んでいただく。
○羽鳥構成員 例えばがん拠点病院などで、がん拠点病院にも就労支援の場があるわけですけれども、実際にアンケート調査などをすると、がんの主治医の先生もそういう場を通して就労支援に結びつけるというところまではなかなかいかないのですね。自分の病院の中にそういう担当課があるにもかかわらず、それを利用したことがあるのが4分の1ぐらいしかいないとか、そういうこともあるので、もうちょっと大きく告知するとか、そういうのをやっていただけたらと思います。
○中釜座長 事務局、お願いできますか。
○健康局がん対策推進官 非常に重要な御指摘、ありがとうございます。研究の報告としてどういう記載ぶりをさせていただくか、改めて御相談させていただきたいと思います。
○中釜座長 ありがとうございました。
ほかに。
○天野構成員 ありがとうございます。
細かい書きぶりの指摘で恐縮ですが、4点ございます。
1点目ですが、14ページの1ポツ目、緩和ケアについて、3行目に「医療現場の困難感や障害を解消する方策に関する研究」ということを書いていただいています。これももちろん重要ですが、これはいわゆる中間アウトカム的なもので、最終的なアウトカムは、患者が緩和ケアに正しく行き着くことや、正しく支援を受けられることが重要なので「医療現場の混乱や障害を解消し、患者が緩和ケアに行き着くことができる」といった感じの書きぶりに変えていただければというのが1点目です。
2点目が、2ポツ目になります。これも細かい指摘で恐縮ですが、2行目で「がんになっても辞めずに働くことができる社会の構築」となっていますが、この報告書は一般の方も含め、いろいろな方が読まれるので、念のための指摘ですが、この文章だけを読むと強制的なイメージを持たれてしまいかねないので「就労の継続を希望するがん患者ががんになってもやめずに働くことができる社会の構築」としていただければというのが2点目です。
3点目が、同じ14ページ目の5ポツ目で「がん患者を支える家族にも様々な悩みがあり」ということで、家族ケアについて触れていただいています。この文章にある家族という言葉の中にもしかしたら含まれるという意味で文章が書かれているかもしれませんが、御遺族についても、いわゆる遺族ケアが実際に医療現場で始まっており、御遺族も非常に深い精神的苦痛や悲嘆を抱えて暮らされている方がいるので、「家族や遺族にも様々な悩みがあり」ということであえて遺族についても書いていただいたほうがよいかと思いました。
4点目、15ページに移りまして、1ポツ目「小児がんにおいては」ということで、小児がんの晩期合併症について触れていただいていて、これはまさに書かれているとおりで、発達段階に応じたフォローアップが大切だというのもそのとおりなのですが、ただ、晩期合併症に関して申し上げると、小児がんだけではなくAYA世代であるとか、成人のがんにおいても長期生存が可能になっている中で晩期合併症を抱えている方々のフォローが必要になってきていますので、修正案としましては「小児がんにおいては」の前に「がんにおいては晩期合併症があり、治療後も長期にわたりフォローアップを必要とする場合があり、特に小児がんにおいては」という書きぶりに変えていただければというのはあります。
また、それにつけ加えてでございますが、小児がんのフォローアップに関して、この研究はとても重要なことなのですが、いまだそのフォローアップの体制が、長年の研究にかかわらず医療現場に実装されていないことを鑑みると、研究をただ継続するだけでは恐らく小児がんの患者さんや経験者の方に届かないと考えます。何が問題で届いていないのか、いろいろ問題はあるかと思うのですが、フォローアップ体制を検討するに当たって小児がん医療にかかわる医療者だけで検討してもなかなか届かないと思いますので、最後の一文に、実際にフォローアップの対象となる患者や家族の視点という部分に、いわゆる成人の診療科の方々とも連携し研究を進めていただきたいという趣旨の文章を何らかの形で加えていただければと思います。
私からは以上でございます。
○中釜座長 ありがとうございます。
御指摘はいずれも非常に極めて重要なポイントだと思いますが、よろしいでしょうか。
最後の指摘の晩期合併症のところで、文章を変えて「晩期合併症のための治療」の後に「特に小児がんにおいては」ということですが、対策がより不十分な領域として「小児がん・AYA世代がん」も入れておいたほうがいいかなと思ったのですが、よろしいですか。
ほかに御意見はございますでしょうか。
○細井構成員 細井です。
ただいまのとおり、小児がんのフォローアップ、AYA世代がんの教育、就労支援については、15ページに記載をいただいておりますが、14ページの一番上の緩和ケアについては、小児がん・AYA世代のがんについての記載がないように思います。小児がんの緩和ケアには成人、高齢者のがんと異なるニーズがございまして、医療、地域、行政、教育らが連携した対応が必要でございます。
また、終末期を自宅で過ごす小児がんの患者も最近ふえてきておりまして、結論としましては「小児がんの緩和ケアの実態調査を含む、小児がんの緩和ケアの標準化を目指した研究を推進する必要もある」というような一文を加えていただけませんでしょうか。
○中釜座長 成人のがんとは違った小児がんの緩和ケアのあり方ということでありますが、実態把握、それを踏まえた対策、重要な御指摘かと思いますので、よろしいでしょうか。
ほかに御意見はございますか。よろしいですか。
では、この部分につきましても、後ほどお気づきの点等がありましたら追加で御意見をいただければと思います。
続きまして、こちらは新しい論点としての「(9)各柱にまたがる「横断的事項」について」です。こちらについても御意見がありましたら、よろしくお願いいたします。
ポイントとしては、幾つかの項目に分けてあります。1番目が「シーズ探索」について、2番目が「がんゲノム医療に係る研究」、3番目が「免疫療法に係る研究」、4番目が「リキッドバイオプシーに係る研究」、5番目が「AI等新たな科学技術」、6番目が「基盤整備等」、大きく6つの項目に分けられていますが、順不同で構いませんので、よろしくお願いいたします。
私から1つ。このがんゲノム医療に関して、これからがんゲノム医療は国内で実装されていくわけですけれども、特に希少性の高いがん、あるいはコモンながん種でも希少、フラクションながんに関しては、国際的な視点も重要かなと思います。がんゲノム医療における国際的な視点を少し盛り込んだような書きぶりとして、例えば先ほど希少がん、難治がんのところに、アジア固有のがんに関して日本が患者さんの治療において世界をリードするということにおいてもグローバルな視点の記載がありました。それと連携を持たせる形でがんゲノム医療においても国際的なリーダーシップみたいなところの書きぶりがどこかに入ってくるといいのかなと思いましたので、検討していただけたらと思います。
ほかに。
三津家先生。
○三津家構成員 19ページの一番下「基盤整備等」のところです。まず、下から4行目のところ、以前、この会で2回目だったと思うのですけれども、データベースの継続性の必要性についてお話をしました。予算措置との関係の話もさせて頂いたので、このように非常に書きにくいのだろうと推測しております。個々の患者さんの継続的なデータベースを整備する取り組みと書かれているのですけれども、申し上げたかったのは、いわゆる種々散在するデータベースの継続性を持たせるように整備が必要という点でありまして、この点をダイレクトに読み取れるような文章の工夫をお願いしたいと思います。私も余りいい文章が浮かぶわけではないですけれども、私の発言の趣旨としては、そういうことで言ったということでございます。
もう一つの点でございますけれども、これも前回お話しいたしまして、構成員の先生方の御賛同が得られたかどうか私もよくわからなかったのですが、病理組織の日本の国内の研究組織をまたいだような利活用ということを発言したつもりでございます。もし御賛同が得られるようであれば、ちょうどこの箇所に「日本で樹立した細胞及び日本で収集された病理組織等については、国内の利活用が」というように一文を入れていただくことが可能かどうか考えていただけたらと思います。
○中釜座長 その点についてはよろしいですかね。
事務局、お願いいたします。
○健康局がん・疾病対策課課長補佐 今、三津家構成員に御指摘をいただいた病理組織のところですけれども、病理だけに限らず、血液とかいろいろ、サンプルという言葉でほかのところは使わせていただいているところはございますが、そのような表現でよろしいでしょうか。
○三津家構成員 結構です。
○中釜座長 ありがとうございます。
ほか、よろしいですか。
藤原構成員。
○藤原構成員 藤原です。
17ページの中盤から下あたりのゲノムシークエンスのところの研究の記載がまだ少し具体性に欠けると思いますので、これから非常に大事な分野でもありますので、もし書かれるとしたら臨床情報や検体、試料ですね。そういうもののデータベースをしっかり構築してもらって、次世代医療基盤法等が出てきますから、アカデミア、企業で情報共有して、そういうゲノムデータシークエンスに、さらにAIの技術も活用して創薬開発を目指すような研究という文をこの全ゲノムの下のあたりですね。全ゲノム検査等の研究を推進すべきというところの前にもう少し具体的な文言を入れていただければと思います。
○中釜座長 よろしいでしょうか。
関連して、先ほど私が指摘した国際的なところもこの部分に追記するといいのかなと思いました。国際的なデータ統合に関する記載もこの部分に少し書いていただくとか、データベースを構築してAI等を使った解析を促進する等、ここにもAIの文言が入るといいのかなと思いましたので、そこもあわせて御検討いただければと思います。
ほかに。
○天野構成員 ありがとうございます。
今の藤原構成員の指摘に関連して、特にこの文章にあるように「現行の治療では効果が乏しい難治性がん等を中心に、全ゲノムシークエンス検査等の研究を推進すべきである」ということに関して、今の御指摘のように、特に患者さんや臨床研究などのデータと突合させて、それをもとに患者さんの治療成績向上に資するような新規治療薬が届くことを私も期待していますので、そこはぜひ進めていただきたいと思うのです。
一方で、これは全ゲノムシークエンス検査に限らず、既にパネル検査においても同様の問題があると思うのですが、この会議の前に開催されたゲノムコンソーシアムの運営会議でも同様の指摘が複数の構成員から出ていましたが、特に全ゲノムシークエンス検査等を行うということになっていくと、いわゆる遺伝性疾患の患者や遺伝子変異陽性の未発症者の方々の社会的不利益からの擁護は重要な課題になってきます。海外においては、雇用分野や保健分野などにおける遺伝情報の取得やその不適切な取り扱いによって、患者や遺伝子変異陽性の未発症者が社会的不利益をこうむることがないような法規制が行われているところではございますが、日本ではその議論はあるものの、いまだ法規制に至っていない現状があります。そういった法規制などがない中で、このゲノム医療、全ゲノムシークエンス検査等を進めていくことについては、患者や遺伝子変異陽性の未発症者の社会的不利益からの擁護という観点からは危惧もあると感じますので、こういった検査を進めるのであれば、ぜひこの部分に「社会的不利益からの擁護を目的とした体制整備についても留意すべきである」などの文章を追記していただく必要があるように思います。
私からは以上でございます。
○中釜座長 ありがとうございます。
その点についてはぜひ追記をお願いしたいと思います。一方で、まだ全ゲノムは研究段階であり、社会実装する際において、御指摘のさまざまな論点についてきちんと整備を進めていくというところまで一気にできるわけではないので、余り前倒しの解釈にならないような形が良いかと思います。ただし、将来的には全ゲノムを使ったものを目指すわけですので。その際に十分に対応し得る社会構築、社会の体制を築いていく必要があるということが付記されればいいのかなと思いました。
ほかによろしいでしょうか。リキッドバイオプシーに関するなど、いろいろありますが、よろしいですか。AIの新たな技術革新についてですが、AIについて少し私のほうで気になったところは、19ページの上から5行目ですかね。「AIを利用したデータ解析については、AIが解析しやすいようにデータを収集する必要があることから」、このあたりは少し文章として具体性に欠ける印象があるので、例えばAIの基盤の情報となる臨床情報や病理画像等の情報等の標準化が非常に重要であるので、「標準化が必要となり、特にそれら標準化されたデータを使った国際的なデータ標準化を推進し、さらにそれに基づいたAIの解析。標準化されたデータ構築が非常に重要だ」という文言を一つ入れていただけるといいのかなと思いますので、よろしくお願いいたします。
ほかに。
まず、河野構成員。
○河野構成員 ありがとうございます。
今の19ページ、5.のAIの部分ですが、ウエアラブルとAIというと、手術ナビゲーションも重要な領域ですので、そのキーワードを入れていただきたいと思います。
○中釜座長 ありがとうございました。
神奈木構成員。
○神奈木構成員 このままでも別にいいと思うのですけれども、18ページの真ん中、4.の少し上にCAR-T細胞の部分が書いてあるのですが、コストが高いとか時間がかかるといった課題が残っているとされて「これらの課題を解決するため、iPS細胞の使用や新たな遺伝子改変技術の開発等により、製造に係るコストと時間を減らす技術開発も進めるべきである」と書いてあるのですけれども、そうなると、この課題を解決する方法はiPSと遺伝子改変技術というところに何となく限定されるような感じで、具体的なのはよいと思うのですけれども、もうちょっとほかにも方法はあるのではないかと思うので、和らげたらどうかと思いました。
○中釜座長 具体的にどういう修正をしますか。
○神奈木構成員 「開発等も視野に入れ」とか大したことではないですが。
○中釜座長 「iPS細胞の活用を含め、新たな遺伝子改変技術の開発等により」というのであれば、少しはいいですか。「iPS細胞の使用」ではなくて。
○神奈木構成員 何らか和らげたほうがよいような気がしました。(中釜先生の案でも良いし、「iPS細胞の活用を含め、新たな遺伝子改変技術や培養技術の開発等により」でも良いと思います。)
○中釜座長 事務局にお願いしてよろしいですか。
○健康局がん対策推進官 やわらかくする方法を考えさせていただきます。
○中釜座長 お願いいたします。
上田構成員。
○上田構成員 せっかく免疫のところに来ていますから、今のところのすぐ上ですね。この「腫瘍特異性を持たせた免疫療法の開発」という言葉は、これはスペシフィックに専門家が読むと、CAR-TとかTCRの変異遺伝子を使った、それで相手を特定してととるのか、後半、もう少しやわらかく「特異性を考慮した免疫」ぐらいしておいたほうが、中途半端なスペシフィシティーになっておかしいよう気がしますけれどもね。
○中釜座長 広く免疫療法の腫瘍特異性ということであれば、今の上田構成員の御指摘の「腫瘍特異性を考慮した」であれば、さまざまな特異性にかかわる技術が含まれるかと思うので、ぜひそのようにしていただきたいと思います。
そのほか、ございますでしょうか。
お願いいたします。
○羽鳥構成員 この横断的事項、あるいは「がん研究10か年戦略」の中間報告で述べるべきことかどうかわからないのですけれども、これからがん研究がますます盛んになってきて、効果の高いものかあるものが出てくると思うのです。一方で、費用対効果や、医療費を相当圧迫してくることも考えられるので、そういうことに対する配慮を、「10か年戦略」では述べるところでは難しいでしょうか。効果のあるがん治療が進むと膨大な費用が2倍、3倍、4倍かかってくると思うのですけれども、皆保険を継続できるのか。民間保険や混合診療とか、そういうことが必要ないのか。その辺の議論はここではしないということでよろしいのでしょうか。
○中釜座長 広く、例えば医療経済効果、医療技術評価に関する記載はここに入ってくるのかということですが、考え方をお示しいただければと思います。
事務局、お願いいたします。
○健康局がん・疾病対策課長 ありがとうございます。
もちろん、でき上がったものが医療経済的にというのもあるかとは思いますが、恐らく研究の対象、開発の対象の一つとして、高い薬がより普及するために、より廉価なものにするというのも含めると研究の分野に入ると思いますので、直接的に医療経済的にどうのこうのというよりは、広く研究の中の一つとしてより普及せしめるような研究開発をさらに進めていただくという読み方でできればと思っています。
○中釜座長 それは書き込むとすると、どの事項に書きますか。
○健康局がん・疾病対策課長 恐らく、今、申し上げたのは、どこか特定の領域というよりは全ての研究される方へ当てはまることだと思いますので、どこにどうというのは、もし全体の最終調整の中で、例えば先ほど天野構成員から御指摘いただいた総論的なまとめの部分がよいのか、それとも2つ目のポツのリード文のところがよいのか、そこは最終的にどういう書き方がよいのか、また改めて座長とも相談したいと思います。
○中釜座長 ありがとうございます。
ほかに御意見はございますでしょうか。よろしいですか。
それでは、ひとまず(9)についても議論を閉じたいと思いますが、もう一度振り返って、全体を通して改めてお気づきの点等がありましたら、御意見をいただければと思います。
上田構成員。
○上田構成員 先ほど言い忘れたのですけれども、6.の19ページの最後ですね。「日本で樹立した細胞株については、国内での利用が容易になるような体制を検討していく必要がある」、これは理研を中心にしたリソースセンターが、いわゆる細胞バンクを持っていると思うのです。要するに、そこに登録すれば細胞のコンタミなども調べて配布することになっているので、その体制の周知とか、そちらのほうが足りないのではないかと思うのです。逆に言うと、また新しいものをつくるよりは、そこを充実して利活用する方向のほうがいいのではないかと思うのです。1度、理研のリソースセンターと相談して、この文言を考えていただいたほうがいいのではないかと思いますけれどもね。
○中釜座長 御指摘ありがとうございます。
さまざまなバイオリソースの構築のあり方に通ずる御指摘だと思います。疾患特異的なところから広がって、それを全体としてどう日本としてグリップしながら、日本のリソースとして生かしていくかという御指摘ですので、そこのあたりは文章の中にどう溶け込むかは考えさせていただきたいと思います。
ほか、よろしいでしょうか。
私のほうから、予防のところで過剰診断とか、いろいろお話をさせていただいたのですけれども、例えば予防のところの13ページの上のほうのポツの最後に、先ほど堀田参考人からも御指摘がありましたが、検診に関してはこれから早期診断、特に早期診断が困難ゆえに難治になっているがんは非常に重要な課題です。一方で、早期診断技術の開発のときに、どうしても問題になるのは過剰診断であるとか、先ほどの医療技術の評価のあたりで、早期診断の果たす役割は大きいので、過剰診断を極力なくすような早期診断技術あるいは検診法の開発等について研究を推進すべきであるとか、その言葉は一つ入ってもいいのかなと思いました。検討をいただければと思います。
ほかにお気づきの点等、ございますか。
堀田参考人。
○堀田参考人 今のご意見に関連して、早期診断あるいはスクリーニングでがんが見つかったということは、確かにそれはがんが存在することがわかったとして、それが生存にどの程度影響するのかも含めて、本態解明研究をしっかりやってほしいと思います。
○中釜座長 重要な御指摘であり、今のところ、検診、早期診断に関しては、死亡率低減というところが一つの指標になっていますけれども、それにかわるような指標を生み出すような研究の推進ですが、どこかで書き込めるといいのかなと思います。
事務局、お願いいたします。
○健康局がん・疾病対策課課長補佐 今、堀田参考人に御指摘いただいたところでございますけれども、その前の12ページ、同じポツの中のところで、これは第7回の会議のときに構成員から御指摘いただいたところだったと思いますけれども、「生命予後に影響しないがんも発見される」というくだりから、先ほど御指摘いただいた「診断されたがんの予後を正確に予測する方法」という形で受けさせていただいているところでございますが、もう少し書きぶりを強くするようなイメージでしょうか。
○中釜座長 その点について、堀田参考人、いかがでしょうか。
○堀田参考人 そうですね。恐らくここに突っ込もうとすると、多数例での観察研究やあるいは本体解明研究として全ゲノムシークエンスの活用が必要かなと思います。
○中釜座長 わかりました。
先ほど天野構成員も御指摘されたゲノムの情報からゲノムによるリスクの層別化というのが恐らく今後課題になってくるかと思うのです。そういうところの視点を組み入れながら、今、堀田参考人の御指摘のところ、早期診断された病変のがん化へのプロセス防ぐことができる、あるいは予測できるようなものがほかのバイオマーカー等でできるように目指す、そういう書きぶりをどこかに書き込んでいくのかなと感じました。
○堀田参考人 通常ですと、がんが見つかった、では、それの悪性度はどうかと。それは病理組織学的に顔つきが悪い、あるいは遺伝子の変異がある。こういうことで大体予測はしているのですけれども、見つかった段階でなかなかそのがんの行く末を見極めることは予測しにくいですね。何らかの形で予後予測のエビデンスが出てくると、患者さんにこのがんは様子を見てもよいですね、ということをはっきり言えるのではないかと思います。
○中釜座長 そのあたりは広く大量のデータ、診療情報データあるいは病理・検査データと、それをAI技術等を使って予測するようなプログラム、そういうものの研究の促進とも兼ね合うのかなと思います。そのような要素が込められるような書きぶりをどこかで工夫していただければと思いますが、よろしいでしょうか。
ほかに。
どうぞ。
○堀田参考人 もうちょっとだけつけ加えると、早期診断では見つかったがんの性質や予後予測がないと過剰診断が問題の、その先に過剰治療があるのですね。要するに、しなくてもいいような治療をやって後遺症や合併症を引き起こすこともあり得るので、そこも含めて疾患のがんの進行を早期に予測できるマーカーが欲しいと思っています。
○中釜座長 堀田参考人の御指摘のように、早期診断し、さらに診断するだけではなくて、がん化へのプロセスを予測し、予防できるような視点が必要であり、それにより過剰治療につながらないというご指摘だろうと思いますので、そういう視点から書き込めればと思います。
ほかにございますか。
南構成員。
○南構成員 15ページです。先ほど天野構成員からもお話がありましたように、特に小児・AYA世代など含めて、成人でも、人生が長くなっているので、一生にわたるフォローアップがどのような病気であっても必要だということです。これはかねてから指摘がいろいろあるのですが、現実には提言などがあってもなかなか進んでいない。前回も申し上げたように、「成育医療」という考え方や、小児科学会の「移行期医療」のあり方の提言などもある。これは調べたら、2014年に行っているのです。ですから、こうしたことを確実なものとして頂きたい。がんだけではなくどんな病気でも1回患った病気を一生フォローしていけるような制度なり社会づくりを一言書いていただいて、それでがん以外のところでもそれをやっていただくということ、上田構成員が前回言われたパーソナルヘルスデータみたいなことに最終的にはなるのだと思いますけれども、そういうことに一言触れていただいたほうがよろしいかと思いました。
○中釜座長 御指摘ありがとうございます。
長期フォローアップを疾患横断的にできるような体制構築の重要性、これは恐らく天野構成員や細井構成員からも御指摘のあった点だと思います。今後がんゲノム医療を含めたフォローアップ体制をするときにどうしても情報が膨大化する中で、ひもづけができるような仕組みは非常に重要かと思いますので、ぜひどこかで書き込んでいただけたらと思います。
ほかによろしいですか。
どうぞ。
○山本代理人

本質的ではなくて申し訳ないですが、20ページの「6.「基盤事業等」について」の項目がわかりにくいと思いました。読んでみますと、4つの違うことが書かれているので、データベースの整備や利活用の開発について・・・、○○について、○○について、、、と、各段落の冒頭に何について記載しているのかを明示するとわかり易くなると思いましたので、推敲いただければと思います。
以上です。
○健康局がん・疾病対策課課長補佐 読みやすいように修正させていただきます。
○中釜座長 お願いいたします。
ほか、よろしいでしょうか。
細かいところで、今、気がついたのですが、6ページ目のアンメットメディカルニーズの2つ目のポツ、2行目に「バスケット型臨床試験のような、がん種によらず」と書いてあるのですが、これはバスケット型だけではなく、最近の臓器ごとのアンブレラとか、少しそこは特定しない書きぶりがいいかと思いますので、お願いいたします。
ほか、よろしいですか。
大きなところの御指摘、幾つもいただいたかと思いますが、全体を通してお気づきの点はありますか。
郡山構成員、お願いいたします。
○郡山構成員 おくれて大変申しわけなかったのですけれども、皆さんの御発言を聞いていなくてのコメントで申しわけないです。これはここに記載されていないというか、され忘れているようなことについても、今、申し述べてもよろしいのでしょうか。
○中釜座長 お願いいたします。
○郡山構成員 昨今の技術革新のもとで、新しい化学物質などが非常に多くなってきている中で、発がん性の可能性がある化学物質に対する研究というものの取り組みを、特に職業性のがんの分野については、働く世代のその後も長く生存される方々に対しての暴露が懸念される物質などの発がん性に関する研究も今後は重要で、新たな化学物質は指数関数的にふえておりますので、そういうものも特に注意すべきではないかと思います。
○中釜座長 予防に絡めて、あるいは本態解明に絡めて、がんの要因に関する研究の重要性という御指摘だと思います。そこは現在でも行われていると思うのですけれども、ぜひ書き込んでいただければと思います。
ほかによろしいですか。
どうぞ。
○三津家構成員 先ほど来、この先増大していく医療コストの問題は、国としても非常に大きな課題であるという御指摘の中で、8ページの一番最後のところでしょうか。課長からも御指摘があったような患者負担の軽減及び医療経済の観点からコストダウンに資する研究を推進すべきであるという、この一文にそういうところが入っているという御指摘がございました。もう一つ付け加えるならば、全体のコストを下げるという意味では、治療の奏功率をいかに上げるかという点もあると考えておりまして、コンパニオン診断やほかの方法があるのかもしれませんが、そういう概念がこの標準治療のところに入っていないのですが、いかに薬剤の奏功率を上げるかというのも、全体の社会コストで見れば非常に大きな観点ではないかと思っているのです。
○中釜座長 ありがとうございます。
奏功率を上げていくための工夫として、がんの個別化、層別化というところを本態解明に基づいて進めていくということだと思うので、そのあたりも書き込んでいただければと思います。
ほか、よろしいですか。
それから、既に議論されているかもしれませんけれども、先ほどのがんゲノム医療の議論のところです。ゲノム解析が進んでいて、重要なのはデータベースをセキュアな状況で構築し、そのデータをさまざまなアカデミアや製薬企業で利活用することによって、さらなる創薬開発研究を促進するという点にあると思います。そのあたりはどこかで議論があったと思うのですけれども、改めて確認をして書き込んでいただければと思います。
ほか、よろしいですか。
全体を通して非常に活発に議論いただき、まとめていただけたと思うのですけれども、全体の印象として、どうしてもさまざまな論点が出てきて、課題が総花的に挙げられている印象があります。冒頭の議論でありましたように、例えばこれまでの5年間を踏まえて現状を把握し、さらにこれまでの5年間の延長として強化すべきような課題、これまでの5年間を通して気づかなかった、あるいは少し強化が弱かった部分のさらなる新しい視点での取り組み、そのような分け方での記載が可能かどうか、そのあたりについて現状での事務局でのお考えを聞かせていただけますか。
○健康局がん・疾病対策課課長補佐 分けられるかどうか検討させていただきたいと思うのですけれども、実際のところは、特にAMEDで開発的な要素はやっていただいているところでございますが、いつも本当にPS・POの先生方の御指導のもと進めているところでございます。そうなってくると、もともとの戦略には書いてはいなかったけれども、実際には現場レベルでは少し進みつつある部分もありますので、そこはどう整理できるかも含めて、書けるかどうか検討させていただければと思います。
○中釜座長 そうすると、今後の5年間の中間報告の案に関して、次の5年間を目指すしっかりとしたモチベーションや方向性が明確になって良いと思いますので、検討をいただければと思います。
ほかにございますでしょうか。よろしいですか。
それでは、本日、いただいた先生方の御意見を踏まえて、報告書案を事務局に修正していただきます。報告書の取りまとめについては、座長に御一任いただければと思いますが、よろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○中釜座長 では、そのような形で進めさせていただきます。
最後に議題2「その他」について、事務局から何かありましたら、お願いします。
○健康局がん・疾病対策課長 事務局としては特にございません。もし構成員の先生方から特になければ、私から一言申し上げたいと思いますが、よろしいですか。
それでは、お礼を申し上げたいと思います。年明けから約1カ月半の3回にわたる集中的な議論を、本日座長一任の形でおまとめいただきまして、本当に心からお礼を申し上げたいと思います。
この「がん研究10か年戦略」が策定された5年前は、政府全体としてどういう政策をしていたかなということを改めて振り返ってみますと、5年前はちょうど消費税が8%な上がるタイミングで、社会保障と税の一体改革をどう進めるのか。そうした中で、当時の下村文部科学大臣、茂木経済産業大臣、田村厚生労働大臣、そして、そのときにはまだ内閣官房には健康・医療戦略室も設置されていない中で、現在のこの「10か年戦略」が策定されたわけです。
そう考えてみると、この5年間というのはさまざまな、私どもで言うと政府としての政策を説明させていただいてきたところですが、このがんに関する政策で言うと、がん研究と常に伴走しながら進めてきて、その伴走を進めてきた先には患者さん、医療現場の皆様、そして、熱心に研究に取り組んでくださる方々がいるのだということを、この間の議論で改めて痛感したところでございます。
これから先の5年を見据えますと、2024年ですから、我が国のいわゆる団塊の世代の方々が2024年の末までには全て後期高齢者になる世の中を迎えます。一層、がんに取り組む政策が求められているところでございますので、今まで以上に皆さんと力を合わせていく。そして、その先にあるのが1億2000万の国民のみならず世界にあると思っております。その未来の世界の方々に向けて、今後5年間進めていくべきだということを自覚するとともに、そのことをもっと具体的な政策として、このがん研究が進んでいくには、きょういただいた御意見を単に報告書としてまとめるだけではなく、また、政策立案の部分でも相談をしながら進めていくべきだということを考えております。
参考資料1のスライド1にありますとおり、きょういただいた御意見を含めて中釜先生と報告書をまとめていくわけですが、できれば4月までには公表、つまり平成のうちには公表したいと考えておりますので、このまとめていく過程で各構成員にもう一度これはこういう趣旨ですかとか、全体の並びはこれでおかしくないですかとか、めり張りはまだついていないので、どうすればめり張りがついた文章になりますかという御相談もさせていただく機会が多々あろうかと思いますので、まず、このまとめに向けて、もう1カ月半、おつき合いいただければと思います。どうもありがとうございました。
○中釜座長 それでは、本日の会議は以上で終了したいと思います。構成員の皆様には、活発な御意見、御発言、ありがとうございました。

照会先

健康局がん・疾病対策課

代表03-5253-1111(内線3826)