第2回がんゲノム医療推進コンソーシアム運営会議(議事録)

健康局がん・疾病対策課

日時

平成31年3月8日(金)10:00~12 :00

場所

全国都市会館 第2会議室
(東京都千代田区平河町2-4-2)

議題

(1)がんゲノム医療推進に向けた取組について
(2)その他

議事

 

○健康局がん・疾病対策課長 それでは、定刻となりましたので、ただいまより第2回「がんゲノム医療推進コンソーシアム運営会議」を開催いたします。
委員の皆様方におかれましては、年度末のお忙しい中をお集まりくださいまして、まことにありがとうございます。
事務局を務めさせていただきます、厚生労働省健康局がん・疾病対策課の佐々木と申します。どうぞきょうもよろしくお願いいたします。
本日、御出席いただいております構成員、また、事務局からの出席者につきましては、お手元の座席表をごらんください。なお、杉山将構成員、末松誠構成員からは御欠席の御連絡をいただいております。また、渡部構成員も5分、10分ほどおくれていらっしゃるとの御連絡をいただいております。
本日の議事進行は、中釜議長にお願いしたく存じますが、まず、お手元の資料を確認させていただきます。
座席表と議事次第、その次に資料1から資料4まで、資料2と資料3が枝番に分かれておりますので、御確認をいただきたいと思います。
資料4の次からは参考資料が1から4までございます。
資料に不足、落丁等がございましたら、会議中でも事務局にお手を挙げてお教えいただければと思います。
以上をもちまして撮影を終了し、カメラをおさめていただきたいと思います。御協力をお願いいたします。
それでは、以降の議事進行を中釜議長にお願いしたいと思います。
中釜先生、よろしくお願いいたします。
○中釜議長 中釜です。本日もよろしくお願いいたします。
それでは、早速議事に従って進めさせていただきたいと思います。
まず、議題1「がんゲノム医療推進に向けた取組」に移りたいと思います。
まず、資料1から資料3をそれぞれ説明いただき、その後、まとめて構成員から御意見や御指摘をお受けしたいと思います。
では、まず資料1を事務局より説明をお願いいたします。
○健康局がん・疾病対策課長 がん・疾病対策課の佐々木です。
お手元に資料1と、あわせて議事次第をもう一度御用意いただきたいと思います。
まず資料1は、現在の我が国のがんゲノム医療がどういう状況かということを、前回の会議でもお示しした資料とあわせてコンパクトにまとめた資料になっております。その上で、本日の前半の時間帯で御審議いただきたい点をスライドの2番から3番にかけてまとめております。4点、前半の時間帯で御審議いただきたいと思います。
まず、スライド2の「1.パネル検査の実用化」のところでは、右側にあります「進捗」のチェックマークの3つ目になります。
まずその下の1つ目のポツ、インフォームド・コンセント手順書案、これは隣にあります議事次第の資料リストに照らし合わせますと、資料3-2に対応いたします。これが1点目の御審議いただきたい事項です。
2点目は、その下の共通インフォームド・コンセントモデル文書案です。議事次第で申しますと、資料3-3にあります3種類のモデル文書を御審議いただきたいと思います。
3点目は、その下にありますエキスパートパネル(専門家会議)の標準化案でございます。議事次第のリストで申し上げますと、資料3-6になります。
スライド3、「4.さらなるがんゲノム医療の発展」の「進捗」のチェックマークの1つ目、C-CAT集積データ二次利活用ポリシーの骨子案とありますが、これは議事次第の資料リストで申し上げますと、資料2-2になります。これが4つ目の御審議いただきたい点でございます。
また、資料1、前のページに戻って恐縮でございますが、スライド2の「2.ゲノム情報等の集約」をごらんください。ここの下から3行目にありますとおり、臨床情報につきましても、本日の段階では検討途中の案を議事次第で申し上げますと資料2-1で御紹介いたします。がんゲノム医療を進める上では、質の高い臨床情報は質の高いゲノム情報とともに重要な双璧をなすデータになります。きょうは途中段階ではございますが、集積する臨床情報の案もお示ししておりますので、お時間があれば御審議いただく4点に加えて御意見をいただきたいと考えております。
それでは、資料1の残りの部分を御紹介したいと思います。前回の会議以降、進んだ部分を中心に御紹介いたします。
スライド5、これは現在国会で予算審議をいただいております、来年度4月からのがんゲノム医療関連の予算でございます。新しいのが下から2番目になりますが「がんゲノム医療拠点病院(新設)」とあります。これは関係経費から割り出すというか、もとになります箇所数で申し上げますと約30カ所、中核拠点病院が現在11カ所、連携病院が135カ所ありますが、約30カ所を想定して現在予算の審議をいただいているところでございます。予算成立後、速やかに指定要件に関する検討の議論を開始したいと考えております。
次の新しい情報ですが、スライド8をごらんください。連携病院に関してです。前回の会議ではまだ100カ所の段階でしたけれども、これは半年ごとに追加、または辞退を受け付けておりますが、昨年10月の段階で新たに35カ所が連携病院に加わりました。これにより47の都道府県全てに連携病院または中核拠点病院が整備されていることになっております。
次の新しい情報ですが、スライド11をごらんください。パネル検査に関する開発状況ですが、下のほうにあります薬事承認の状況でございます。NCCオンコパネルとFoundationOneが昨年12月に製造販売の承認を受けたところでございます。今後、これは保険との関係の議論が進むと思いますが、前回の会議でこのがんゲノム医療推進コンソーシアム運営会議が、例えば保険収載や保険財政との関係をどこまで議論するのかという御指摘がありました。
前回もお答えを差し上げたところですが、基本的には保険収載につきましては中医協で御議論いただくものでございます。あわせて、医療財政についても関連する審議会等がございますので、基本的にはそちらで御議論いただき、構成員の皆様方にはこのコンソーシアム運営会議では、がんゲノム医療を進める上でどうすれば質の高いゲノム情報、臨床情報が集まる仕組みをつくれるのか。また、集めた情報はどうすれば利活用が推進されるのか。さらには、患者さんにいかに例えば検査や薬といった成果を還元できるのか。こういった点を御議論いただきたい、御指導いただきたいと考えております。
スライド12、13は、資料としては新たなものですが、既にオープンになっている情報になります。パネル検査につきましては、スライド12にありますとおり、右側、パネル検査を行った結果、恐らく治療を受けられる患者さんの割合は10%から20%であろうという推計がなされております。スライド13に、その根拠の一つであります国立がん研究センター中央病院が中心となって行われたTOP-GEARのスタディーの結果として13.4%というものがあります。また、他の論文等からすると恐らく10%から20%程度であろうと推定がなされております。
最後、スライド15をごらんください。これは昨年11月に患者申出療養評価会議で御審議いただいたものですが、スライド15の下にありますとおり、患者申出療養で対応案のポツの1つ目、あらかじめ研究計画書を作成する等の議論がなされ、了承いただいたところでございます。
資料1につきましては以上です。どうぞよろしくお願いいたします。
○中釜議長 ありがとうございました。
続きまして、資料2をがんゲノム情報管理センター長の間野構成員よりお願いいたします。
○間野構成員 おはようございます。
資料2-1をごらんください。「がんゲノム情報管理センターの進捗状況」として、現在のがんゲノム情報管理センター、通称C-CATと呼んでいますが、C-CATの進捗を御報告させていただきます。
スライド2、C-CATはその役目として、日本で行われるゲノム医療の全体のデータを収集し、それを安全に利活用するためのセンターとしてつくられました。目的としては、1番として、日本全体のがんゲノム医療活動を支援すること。2番、そこで得られた情報を安全に保存、共有すること。そして、3番、そこで集めたデータを使って新しい開発研究を行うとともに、臨床試験・治験を促進すること。4番、来るべき全ゲノム解析のクリニカルシークエンスの可能性について、必要な技術開発を行い、人材育成を行うことがC-CATの役割とされております。
現況について御報告します。スライド3をごらんください。これは今まで目にした方もいらっしゃると思いますけれども、日本全体でのがんゲノム医療体制を図式化したものです。患者さんが中核拠点病院や連携病院を受診されて、ゲノム検査を受けると、検査会社にサンプルが送られて、検査報告書が戻ってまいります。一方、検査会社からは、後で説明します配列情報、シークエンサーから出た元データ等がC-CATに多くの場合はダイレクトに安全に送られてまいります。
一方、病院側からは電子カルテの特殊なシステムあるいはEDCシステムを使って、臨床情報をC-CATに送っていただきます。そして、C-CATにはゲノム情報と臨床情報がひもづいた、皆保険で行われますから、やがて何十万という数になると思うのですけれども、そういう巨大な実際の日本のがん患者さんのゲノム臨床情報の大きなデータベースができます。C-CATでは、下の矢印ですけれども、一人一人の検査データに基づいて、その患者さんのある変異は日本の保険収載薬に対応していますよ、あるいは保険のお薬はないけれどもこういう臨床試験に対応していますという臨床的意義づけを行ったC-CAT調査結果というものを中核拠点病院のエキスパートパネルにお返しします。日本のゲノム医療体制では中核拠点病院のエキスパートパネルで最終的な治療介入の方針が決定されますので、その活動を支援したいと考えています。
また、C-CATのデータを使う利活用の方法としては、右下の矢印になりますけれども、遺伝子変異がわかって、それでも薬にたどり着けなかった患者さんに、少しでも薬にたどり着ける可能性を最大化するためにさまざまな患者申出療養制度ですとか医師主導治験、あるいは場合によっては適応外の新しい仕組みをつくって、患者さんが薬にたどり着ける可能性を最大限にしたいと考えています。
3番目の利活用として、右側の矢印になるのですけれども、新たな治療・診断法の開発をしていただきたいと思います。私ども、これまで製薬協の皆様を初めとして、いろいろな検査会社、あるいは製薬会社様にアンケートをさせていただいたり、面談をさせていただいたりしていたのですけれども、やはり一番必要な情報は薬の反応性情報でした。薬が効いたか効かないかということ、また、重篤な副作用が出たかということも重要ということなので、その情報をできればC-CATで集めたいと考えています。
そのためには、臨床側の実際入力していただく医師やほかのメディカルのスタッフの負担をできるだけ軽減して、ミニマムな入力で最大限の情報を得たいと考えています。実際の入力の際に、検査発注の段階で入れる情報とか、エキスパートパネルのために入れる情報とか、その後のフォローアップ情報とか、入力の仕方を3段階に整理したり、あるいは電子カルテに送信システムを有機的に組み込んだり、さらには説明会などを通して、例えば薬の副作用はグレード3以上が出たときなどカルテの中に記載していただいて、後からCRCさんやがん登録実務者などがそのデータを拾いやすくして、データ入力の助けになるという極めてプラクティカルなことを考えていきたいと考えています。
スライド4、こうして集まってくる日本の皆保険のゲノムの情報を使ってどんなことができるのか書いてあります。1番目としては、もちろんがんゲノム医療の質の向上です。日本でどんな病院でどんなパネル検査を受けた患者さんでも同じ「C-CAT調査結果」という一定のクオリティーを担保した調査結果が中核拠点病院に返ってまいりますので、それによって患者さんの治療介入の方針の決定に役立つと考えます。
また、検査を受けた時点では適合する臨床試験がない患者さんでも、1年半後などに臨床試験が始まった場合には、後から通知を病院に送るシステムをつくりますので、その後のフォローアップも患者さんに対して行われていきます。
さらには、中核拠点病院や連携病院で情報を閲覧するデータポータルサイトもつくる予定です。
2番目として期待される効果としては、臨床試験・治験の促進による治療選択の拡充があると思います。これもすごく大きな役割だと考えます。パネル検査の結果等の情報集約を背景とした早期承認制度や患者申出療養制度等を通じて、これはもちろん関係省庁あるいは製薬会社様と共同で動いていく必要がありますけれども、薬剤到達性を向上したいと考えています。
また、こうして集まった日本人のがん患者さんのゲノム情報の大きなレジストリができますから、新規の臨床試験・治験などの立案もはるかに立案しやすい、可能な国になると考えます。また、このような国レベルでの患者のゲノム情報のレジストリがあれば、海外の製薬会社がアジアでは日本で臨床試験をやりたいと思ってくれるのではないかと思います。
3番目として、これも先ほど申し上げましたけれども、集めたデータを使って、ぜひ大学、研究所、企業などに開発研究をしていただきたいと思っています。日本で集めた、薬の有効性あるいは副作用の情報のついたゲノム情報を用いた、新しいバイオマーカーおよび標的、分子の発見をしてもらいたいと考えています。
また、将来的な可能性として、承認申請や市販後調査などへ活用する可能性もあると考えています。
4番目、最後としては、これは国のがん医療の施策決定に必要な極めて基盤的なゲノム情報になると思います。
スライド5をごらんください。これは専門的になりますけれども、集めるゲノムデータについて簡単に御紹介いたします。シークエンサー、DNA塩基配列決定装置から出るそのもののファイルは、一般にFASTQファイルと呼ばれています。それをヒトゲノムに当てた結果どこにそれぞれのリードがマップされるか、そういう情報もつけたものがBAMファイルになります。C-CATとしては、このFASTQファイルを検査会社から送っていただく予定です。
それから、FASTQファイルに加えて、最終的な遺伝子変異リストそのものであるVCFファイルと、検査会社の実際の検査報告書も送っていただく予定です。検査会社の検査報告書を送っていただくのは、VCFファイルから検査会社の報告書もつくっているので、遺伝子変異リストそのものは、検査会社の報告書もC-CAT調査結果も全く同じものになるはずなのですけれども、違った変異が出てきたりしないようにダブルチェックのためです。検査会社の報告書とC-CAT調査結果が全く同じ変異リストを出すようにしないと現場が混乱すると思いますので、両方送ってもらう予定です。C-CATでは、そのVCFファイルに対して、C-CATのデータベースを使って臨床試験、もしかしたら我々のほうが最新の臨床試験のデータベースを持っているかもしれないので、それをつけてC-CAT調査結果としてエキスパートパネルにお返しするようにしています。
では、何でもともとのFASTQファイルも送ってもらうのかということなのですが、ちょっと専門的になるのですけれども、VCFファイルはFASTQから計算するわけですが、現在、まだ技術が発展途上にありまして、変異をコールする代表的なソフトウエア3つを使って同じデータを解析しても、全く共通にコールされる変異はわずか2割から3割と非常に低いのですね。ですので、もともとのFASTQを送っておいていただければ、それを年に1回とか半年に1回、最新のテクノロジーで再解析することで、日本の信頼に足る公的なデータベースが常につくられていくことになります。
さらには、再解析によってもしも薬にひもづいた変異が患者さんに新たに見つかった場合には、それもやがてはその患者さんのもとへ、もしかしたらエキスパートパネルあるいは検査会社を通してかもしれませんが、返すことも考慮したいと思いますので、我々としては、もとのFASTQファイルを送っていただくことが日本にとって大事だと考えています。
スライド6、そのファイルがどういう形でつくられるか模式化していますけれども、後でごらんになってください。
スライド7、C-CATにつくっているゲノム医療用の知識データベース、CKDBと、がん患者さんのゲノム情報、臨床情報のデータベースの進捗状況で、一応今月末をもってとりあえずの完成を予定しております。
なお、スライド8ですけれども、今後情報集約に関して引き続き検討すべき課題としましては、情報集約に貢献してくださった検査会社や医療機関のインセンティブをどうするか。それから、利活用するに当たって、学術機関への廉価な提供も含めた費用負担のあり方等も検討していきたいと考えております。
私からは以上です。
○中釜議長 ありがとうございました。
続きまして、資料3を、がんゲノム医療中核拠点病院等連絡会議の議長である齊藤構成員よりお願いしたいと思います。
○齊藤構成員 資料3-1をごらんください。
スライド2が、がんゲノム医療中核拠点病院等連絡会議の構成状況であります。先日、2月25日に第2回目の連絡会議が開催されました。この第1回のがんゲノム医療推進コンソーシアム運営会議でお認めいただきましたように、右側にあります5つのワーキングを設置いたしまして、個別の案件について精力的に御議論いただいているところでございます。
本日は、このワーキングからの資料、御報告がございますので、連絡会議の事務局を務めておりまして、本会議に参考人として出席していただいております、吉田先生から御報告をいただきたいと思います。
○吉田参考人 それでは、お手元に資料3-1と資料3-2から3-6までを御用意いただきまして、行ったり来たりなのですが、3-1をベースにし、3-2から3-6の要点を見ていただくというふうに進めたいと思います。
今、齊藤先生から言われましたように、前回8月1日の運営会議では、ワーキング・グループごとに課題やロードマップなどを御報告したのですけれども、先週の2月25日に開かれた第2回がんゲノム医療中核拠点病院等連絡会議では、多くの意見、要望、宿題などが出されました。本日はワーキング・グループごとの進捗状況報告ではなく、このスライドの3枚目ですね。資料3-1の3枚目をめくっていただいて、このマル1からマル4の課題に沿って御報告したいと思います。これらはゲノム医療を実臨床において開始するためにまず必要となる患者さんへの説明、同意あるいは治療薬の選択に直結する事項であるためということになります。
スライドの4枚目、インフォームド・コンセント関係。これは最初の入り口になるわけですけれども、説明、同意、意思変更に関する文書やその手順について、全国でそろえるべきところはそろえるための案が取りまとめられました。
まず最初に、資料3-3の「がん遺伝子パネル検査に関する説明文書案」の御説明をしたいのですけれども、横に3-3を置いていただいて、実際にはこの3-1のスライドで要点を引き続き御説明いたします。
3-1、スライドの5枚目、こちらはAMEDの小杉班ががんゲノム医療も含めて、パネル検査も含めて提言を公開しております。その初版を参考にしつつ、最終的に複数の患者さんや厚労省の意見なども伺って、このモデル文書を作成しました。その結果、実臨床のために用いられる説明・同意文書として、通常の検査と同じように重要な点が見逃されないように、できるだけコンパクトにしています。
3つ目にありますように、このモデル文書は各ゲノム医療拠点で決定する赤字の部分と、全国共通に盛り込んでいただく青字の部分、その他があります。
それを順番に要点を御説明しますが、スライドの6枚目、まず、赤字の部分は各拠点で関係者が相談して決める部分となります。ここに書かれているように、どのパネル検査を使用するかによって異なる事項もありますし、エキスパートパネルなどで中核拠点病院と連携病院等の間で患者さんの情報の共有をされるのですけれども、その共有方針がエキスパートパネルごとにあると思いますので、それを書いていただくことになります。
もう一つ、パネル検査によっては、それを提供する会社が独自に検査データや臨床情報を収集して二次利用を図るものもあると聞いておりますので、それが下から2つ目の受注した検査会社が検査データを二次利用することの説明内容となります。これは今回の我が国のコンソーシアム構想とは独立して行われるものなのですけれども、患者さんの立場で考えるとまとめて説明を受けるほうがよいと思いますので、できるだけ同一の説明・同意文書に組み込んでいただくことを推奨しております。
スライドの7枚目、今度は青字の部分です。ここは全国共通部分で、個人情報保護法を初めとする各種法令事項も含めて関係各方面と調整した結果の文言ですので、説明文書に必ず盛り込んでもらう内容としています。具体的には、小さいのですけれども、まず、マル1は、C-CATにゲノムデータ、診療情報、カルテ番号、被保険者番号を登録し、本人及び他の患者さんのゲノム医療に役立つ可能性のある情報を得ること。
マル2は、その集めたデータの一部を研究開発のために、すなわち、いわゆる二次利活用のために海外を含む研究機関や企業に提供すること。その意思の撤回が患者さんからあった場合は、この撤回があった以降の利用は停止しますが、既に利用されたデータは削除できないことなどを説明しております。
マル3は、先ほど述べた検査会社が独自にデータを集めて二次利用とする場合に追加される赤字部分となります。
その下のスライドの8枚目は、必須があれば変更可ですが、冗長にならないようにとしている黒字の部分になります。
また、その下の青いポツに書いてありますように、このようにミニマム・エッセンシャルに絞った説明文書の補助資料として、動画や冊子、パンフレットを作成中です。そこには、ここに書かれているような説明文書では十分説明し切れなかった項目を含める予定であります。
スライドの9枚目、もう一度意思確認事項、患者さんに意思を確認する事項をここにまとめています。まず、御本人に関することは、二次的所見と言われる遺伝性腫瘍の原因変異などがわかる場合があるわけなのですが、その情報も知りたいかどうか。それから、その情報をさらに血縁者等に共有したいかどうか。その相手は具体的に誰か。こういったことも聞いておりますけれども、これらはこの意思をその場で決定しないと検査が始められないということではないというようにして、期限についても調整するようにしております。
C-CATにデータを提供するかどうか。これはまずプライマリーにはC-CAT調査結果、御本人の治療法の選択に資する情報を確保するために出していただく。これを提供するかどうか。
下は、今度はその集められたデータを、先ほど言いました、第三者による研究開発等に二次利用すること、それを同意するかどうかということになります。
それらの意思確認事項の手順を示したのが、資料3-2となります。資料3-2をごらんください。
まず、資料3-2、1ページ目、このインフォームド・コンセントの準備のところで、説明者と説明補助者について説明を定義しております。例えば説明補助者は研修を受けていただく必要があるわけですけれども、その例として「がんゲノム医療コーディネーター研修会」などを挙げておりますし、その下、(2)のところは、先ほど御説明しました説明補助資料、動画コンテンツについても情報を提供し、事前に見ていただいたり、あるいは持ち帰って見ていただく。こういうことも可能であることを説明するようにしております。
2ページ目、真ん中ぐらいの(2)では、がん遺伝子パネル検査の目的、どうしてこのパネル検査を提供しようとしているか。その下、(3)パネル検査の利点と限界、先ほども佐々木課長からありましたけれども、パネルによって違うと思うのですが、実際に治療に到達する可能性が何%くらいかを誠実に行い、過剰な期待が間違って抱かれないように留意する必要があるということ。先ほどのように、これもパネルによるのですけれども、遺伝性腫瘍に関する情報がわかるが、全ての遺伝性腫瘍の可能性について調べるわけではないので、遺伝性腫瘍の可能性はありませんという誤解を与えないように説明するなどが書かれております。
3ページ目、真ん中の(5)のところですが、先ほどのように、遺伝性腫瘍は二次的所見として見つかる可能性がありますけれども、これはここで意思決定が滞って本来の治療のための検査がおくれないように説明をするとか、遺伝カウンセリングのことであるとか、(6)では、例えばどのぐらいの日数で結果が返ってくるとか、先ほどの二次的所見を血縁者と共有してもいいという場合には、具体的にどなたに共有したいか、こういったことも書いております。
4ページ目、(8)にデータの取り扱いのことで、先ほどのC-CATへのデータ提供のことが書かれております。
これが資料3-2の説明となります。
続きまして、資料3-1に戻っていただきまして、スライドの10枚目、収集する臨床情報の項目のほうに進んでいただきます。
これは次のスライドの11枚目ですが、左側に病院内におけるゲノム医療の主な工程を書いております。右側は、それぞれの段階で必要な臨床情報で、先ほど間野先生からもありましたが、検査を横断するために必要な患者基本情報、それから、エキスパートパネルまでに症例のプレゼンテーションをするために必要な情報、それから、治療が開始されてからわかってくる治療応答性、副作用なども含めて出てくるということがあります。
それに基づいて、ワーキング・グループで議論してきた臨床情報の項目案がスライド12となります。これに対して、先ほども間野先生から言われましたけれども、正確な情報を入力していただくために、多忙な臨床現場に最大限の効率化を図る努力をすべきということで、間野先生が言われたとおり、右側にいつまでに入れればいいのかということや優先順位づけ、それから、カルテや院内がん登録情報からの自動転帰を可能にするようにしたり、あるいは入力補助者の育成・活用など、こういったことを事務局で検討を進めております。引き続き、ぜひ臨床現場の皆さんの御理解をいただき、正確で十分な欠損データが少ないデータを集めることに努力をしたいと思っております。
スライドの14枚目、エキスパートパネル関係となります。
こちらについては、まず次のスライドの15枚目をごらんください。これはエビデンスレベルと呼ばれているもので、同定された変異と薬剤との関係のエビデンスレベルを日本、米国等の学会の分類を参考にしながら、一番右に書いてあるエキスパートパネルワーキング・グループ案としてつくっております。
資料3-4をごらんください。横のA3の1枚となっている資料となります。これを見ていただきますと、右のほうに、エビデンスレベルに基づく対応例などが書いてありまして、例えば3学会のガイドラインで3A以上が、先ほどの冒頭、資料1の13枚目にありましたTOP-GEARの例では60%ぐらいの症例がこれに相当したとあります。こういったものが資料3-4、エビデンス分類案となります。
これを用いてつくる「C-CAT調査結果案」が資料3-5です。A4で青いところがついている資料になりますが、これの資料3-5の真ん中の下ぐらいにエビデンスレベルでCとかEとかと書いてあるのが、この薬剤と変異との組み合わせのエビデンスレベルで、その右側には薬剤の到達性、国内におけるアクセス状況が書かれていますし、2ページ目以降では、具体的にこの臨床試験の例というものがこのような形でリストされることになります。
資料3-6をごらんください。これが「エキスパートパネル標準化案」となります。これも下にページ数がついていますが、1番目には構成員、これは中核拠点病院の指定要件に基づいて決めておりますが、構成員であるとか、2ページ目を見ていただきますと、遺伝子異常の評価の具体的な手順であるとか、3ページ目については、どのようなエキスパートパネルの結果の報告の項目を行うべきかをエキスパートパネルワーキング・グループで決めております。これが標準化案となります。
スライドの16枚目、医薬品アクセス確保関連で、これも先ほどの佐々木課長からのお話がありましたものが、スライドの17枚目となります。このように11カ所のがんゲノム医療中核拠点病院はいずれも医療法に基づく臨床研究中核病院でして、未承認薬、適応外の高度な臨床研究実施能力も持っておりますので、こういった施設において早期に承認・導入をし、そして、C-CATを利用して、リアルワールドデータとしての承認後のモニタリングをした後、有効性、安全性が示されたら限定解除をしていくことになります。
その下の18枚目、第2のアクセス向上策のポイントとして、そのように承認自体を早期にすること以外に、マル1にありますように、治験自体あるいは先進医療自体を活性化する。それから、マル2にありますように、患者申出療養の仕組みを活用して、そういった治験、先進医療等に入れなかった患者さんに関しては、この患者申出療養のあらかじめの共通プロトコルをつくっておく。これも先ほど厚労省の資料1で佐々木課長から御説明があったとおりであります。適応外薬の種類も対象がん種も広く設定するバスケット/アンブレラ型臨床試験、これを企業の協力も得て準備していくことを構想しております。
最後、スライドの19枚目、以上、3つの段階あるいは方策をもう一回まとめますと、マル1が薬事承認の促進のスキームになりますし、マル2は治験や先進医療の推進と、それに参加できなかった方の場合の適応外薬のバスケット/アンブレラトライアルとなります。
マル3はさらにそれ以外の未承認薬、適応外使用のスキームとなり、例えば、具体的には医療法施行規則に基づき、特定機能病院が行う未承認薬、適応外薬を使用する場合などが考えられると思います。
しかし、これら3つを組み合わせても、先ほどの厚労省の資料1のTOP-GEARだと、40%ぐらいの方が3学会がん当たりの3B以下、つまり、薬がそもそもないということになりますので、これらの患者さんには基礎研究を含む新たな創薬が必要となりますので、ここにもC-CATのレポジトリデータの二次利活用が大いに期待されるところと考えております。
事務局からは以上です。
○中釜議長 ありがとうございました。
ただいま、主に資料1あるいは資料2-1、資料3-1を中心として、関連する資料の説明、状況の説明がありました。この説明を受けまして、先ほど冒頭に説明がありました事項のうち、本日の運営会議として御承認いただきたい事項について、改めて確認させていただきたいと思います。
最初の議事次第をごらんいただき整理させていただきますと、まず1点目が資料2-2、C-CATの集積データ二次利活用ポリシー骨子案。
2点目が資料3-2、インフォームド・コンセントの手順書案。
3点目が資料3-3、インフォームド・コンセントに関するモデル文書3点ですね。
4点目が資料3-6、エキスパートパネル標準化案。
この大きく4点について御審議いただくことになると思います。
また、資料3-1の12ページ、先ほど説明がありました臨床情報の収集項目案、それから、この17ページの治験薬アクセス確保ワーキング・グループ案については御承認いただくものではありませんが、御確認いただき、御意見いただければと思います。
これらの資料に関して、議論を始める前に参考資料4をごらんください。本日御欠席された末松構成員から事前に御意見をいただいておりますので、こちらについては事務局より説明をお願いいたします。
○健康局がん・疾病対策課長 がん・疾病対策課の佐々木です。
参考資料4にございますとおり、2点、末松構成員より御指摘をいただいております。1点目が新たな開発コンセプトの実装に向けた、開発側と審査側の意見交換ということでございます。
1段落目にありますとおり、後半の特に頻度の低い遺伝子変異に関する医薬品の開発が大きな課題だと。その下の行にあります、いわゆるアンブレラ/バスケット型の開発の取り組みを考えるときには、最初の項目の「このような」からの段落ですが、その一番右側の、開発側であるAMEDや製薬協などと、審査側であるPMDAや厚労省が意見交換を行うことが重要ではないかという御指摘が1点目です。
2点目が、C-CATにおけるデータシェアリング、データ提供のさらなる推進でございます。
資料2-2にあります二次利活用ポリシー骨子案の中に、がんゲノム医療中核拠点病院等のデータ提供側への二次データの提供をより積極的かつ効果的に行うよう明確に位置づけていただきたい、これは下から5行目から3行目にかけて、文章では御指摘いただいておりますが、そのような御指摘をいただいております。
さらに最終段落で、公費で立ち上げられることから、確実に「活用」が図られるデータベースとなるような運営を行っていただきたいという御指摘をいただいております。
1点、先ほどの齊藤構成員、吉田参考人の御説明に補足させてください。この後、御審議いただく資料2-2、資料3-2、資料3-3、資料3-6につきましては、ここの会議の下部部会であります連絡会議では御了承をいただいたものです。1点だけ説明文書案の中にもう少し不利益な内容を盛り込むべきではないかという御指摘が1名、委員長からいただいておりますが、基本的にはそれを踏まえて本日お示しした資料でございます。
先ほど、多くの意見をいただいたという御説明がありましたが、それは資料3-1の12ページ、先ほど中釜議長が臨床情報についてはきょうは了承いただくものではなく御意見をいただきたいという表現をなさいましたけれども、それがここの部分で、臨床情報について多くの意見をいただいて合意を得ることができなかったのできょうは経過報告にとどめたというものでございます。
繰り返しになりますが、資料2-2、資料3-2、資料3-3、資料3-6は、合意を得たものをきょうお諮りいただきたいという趣旨でございます。
補足を含めて、以上でございます。
○中釜議長 ありがとうございました。
それでは、構成員の皆様から資料に関する御質問がありましたら、お伺いしたいと思います。
お願いいたします。
○天野構成員 御説明ありがとうございました。
限られた期間とリソースでがんゲノム医療の推進に尽力されている医療者並びに関係者の方々に敬意を表しつつ、私から意見を申し上げたいと思います。
まず1点目でございますが、御提示いただいた資料のうち、資料3-3の「がん遺伝子パネル検査に関する説明文書案」について、患者の立場から意見を申し上げたいと思います。
こちらについて、赤字で記載されている部分が、各施設で記述の変更が可能な部分とお伺いしました。一方で、1ページ目の上の部分に書かれている「検査結果に基づいた治療を受けられるのは、10~20%に留まると想定されます。つまり、80~90%の患者さんはこの検査を受けても、検査の結果がご自身の治療に直接つながらない可能性があります」、この文は非常に重要だと考えております。自由診療で行われていたものも含めて、この部分の記述が不明確な説明文書等が散見されたと理解しております。パネル検査の限界については患者さんに十分御納得をいただいた上で、こういったパネル検査を受けていただくことが重要と考えますので、この部分は各医療機関の裁量に任せるのではなく、記載方法はもちろん一考の余地はあるかと思いますが、必ず記載すべき部分であると考えます。
また、4番で遺伝性腫瘍に関する説明が出てきていますが、恐らく一般の方や一般の患者さんにとってみると、遺伝子検査の理解がそもそもなかなか難しい部分があるわけです。説明の肝となる部分は、いわゆる体細胞変異の部分と生殖細胞変異の部分を明確に分けて、その違いを理解した上でこのパネル検査を受けていただき、二次的所見、偶発的所見として遺伝性腫瘍が判明する可能性があるのだという説明を明確にわかりやすく説明していただく必要があると考えますので、その部分についても可能であれば記載を検討いただければというのが1点目です。
2点目でございますが、お示しいただいた資料3-5の「C-CAT調査結果案」について意見を申し上げます。こちらはまさにいわゆる難治がんや希少がん、治療選択肢が限られた患者さんにとっては非常に有益なレポートになると考えますので、ぜひ推進していただきたいと考えているところですが、このパネル検査を受けた患者さんに対して、この結果が還元されることはもちろん重要ですが、例えばこのレポートの中では実施機関ということで、具体的な企業名や連絡先等が記載されています。これが実は患者さんにとって一番知りたい情報でありますので、この部分についてはC-CATの調査結果に示していただけるのは非常に重要だと考えます。
一方で、かねてよりお願いしているように、例えば企業治験等に関する情報公開、米国の「Clinical.gov」等に比較しますと、まだまだ課題が大変多いと感じておりまして、こういった企業治験における実施施設もいまだ必ずしも公開になっていません。以前、ある企業や業界団体の方に施設名を公開しない理由をお尋ねしたところ、公開すると直接医療機関や先生方に問い合わせがいって、先生方に御迷惑がかかるからという回答をいただきました。先生方の御迷惑も重要かもしれませんが、患者さんはもっと迷惑をこうむっていますので、企業に治験における実施施設の公開の部分については今後このレポートのみにならず、よりわかりやすい一元的な情報提供を行うとともに、特に遺伝子検査が行われる、パネル検査が行われるようになった中で、患者さんが治験に関して遺伝子変異に基づいた横断的な情報検索等ができるような体制整備をぜひ強力に推進していただきたいと考えます。
3点目でございますが、今回、御説明いただいた資料全体について患者の立場から意見を申し上げたいところがございます。患者説明のあり方についてです。がんゲノム医療中核拠点が指定されて、それぞれの中で先進医療等が実施されているわけでございますが、当然、今、この体制整備をしながらがんゲノム医療を推進しているということになりますので、患者説明の部分がまだまだ不足していると感じます。例えば実際に患者さんから伺った例ですが、この先進医療の枠組みでパネル検査を受けたところ、主治医から治療に結びつくような遺伝子変異が見出されなかったという口頭説明だけがなされて、レポートすら返ってこないといった事例があります。
あとは、いわゆる難治がんの患者さんがゲノム医療中核拠点病院で主治医に対して、自分はこのパネル検査を受けることができるのだろうかと質問したところ、受けられませんという一言の説明で終わってしまう。もちろん、それに対して、多忙な臨床現場で患者さんが納得するように主治医から説明いただくのは大変な労力がかかることですし、また、その患者さんは実はその後ゲノム医療中核拠点の相談支援センターにも行ったのですが、相談支援センターにおいても、主治医が無理だと言うのであれば無理なのでしょうと言われて、説明は終わってしまっている。そういう現状があるわけです。そうすると、患者さんとすれば、パネル検査についてどこに相談すればいいのかがわからず、相談するのが非常に困難だということがあります。
こういった患者に対する情報提供の部分は2階層あると思っていまして、一般的なゲノム医療に関する情報提供の部分と、このパネル検査を通じて実際にゲノム医療において、治療選択や新規の治療薬に結びつく可能性のある患者さんに対する専門的な情報提供の部分、2階層に分けて考える必要があると考えていまして、まず一般的な情報提供をしっかり行っていただくことで、ゲノム医療について理解いただく。その中で特にゲノム医療に結びつく可能性のある患者さんに対しては、より専門的な対応に確実に結びつくような体制整備、特に遺伝性腫瘍の方に対してはより濃密なケアが必要だと考えますので、そういったことをぜひお願いしたいと考えております。
私からは以上でございます。
○中釜議長 ありがとうございました。
いずれも重要な御指摘かと思います。特に最初の2つの点に関しては技術的なところで、情報の提供に関しては恐らくエビデンスレベルに応じて情報公開、提供ということは必要なステップかと考えます。
最後の患者説明のあり方についても、まさに御指摘のように、整備と推進を同時並行で進めている状況の中で、その部分がまだまだ追いついていない部分かもしれませんので、そこは十分に意識しながら、体制構築の際には十分に各拠点あるいは連携拠点病院においては意識しながら進めていく、充実させていく必要があると思います。
横倉構成員。
○横倉構成員 今、天野構成員がおっしゃった、相談したけれども十分な説明を受けられなかったという話ですが、がんゲノム医療について患者さんが相談する場所はどのように整備されているのですか。
○中釜議長 それについて。厚労省、お願いいたします。
○健康局がん・疾病対策課長 御指摘ありがとうございます。
がんゲノムという点というよりは、がん一般論としては、全国約400のがん診療連携拠点病院等がまずは一時的にワンストップ窓口的に受ける形になっております。その上で、より専門なことにつきましては、連携病院を含めた146のがんゲノムの関連病院につながる。この形を想定しております。
○中釜議長 よろしいでしょうか。
○横倉構成員 結局、患者さんはそれではまだ今のところ不十分だとおっしゃっているわけで、適切な相談窓口をつくってほしいということなのだと思います。
○天野構成員 現状、いわゆるゲノム医療中核拠点の相談支援センターでも対応がなかなか厳しいところがありますので、この部分は例えば相談支援センターが難しいのであれば臨床試験にかかわる専門的な相談対応をしているような窓口は別にあると理解していますので、そういった窓口を紹介いただくとか、今のリソースで対応可能な場合があるのであれば、そちらに確実につなげていただくことをぜひお願いしたいと思いますし、今、横倉先生御指摘のように、まだまだ相談支援体制が不足している部分もあるというのは患者からの実感でございます。ありがとうございます。
○中釜議長 南構成員。
○南構成員 今の説明体制についてですけれども、確かにまだまだ足りていないのが現状だと思います。そのために厚労省が日本臨床腫瘍学会に委託をしてキャンサーゲノムコーディネーターの育成を図っています。今までは学会が中心となっていましたが、これからはそれぞれのがんゲノム中核拠点病院において育成が始まります。学会から中核拠点病院に育成事業を移行し、さらに中核拠点病院においてがんを診療しているそれぞれの病院のスタッフを育成していくことも必要だと思います。何よりもキャンサーゲノムコーディネーターの育成を急ぐ必要があると思っています。
○中釜議長 非常に重要な御指摘で、恐らくそういう過程においては、146の中核連携拠点が果たす役割は非常に大きいのかなと。その中で、後で御審議いただきますが、パネル検査の説明文書に書かれている重要な項目をいかに中核拠点あるいはがん診療連携拠点の相談支援の中で対応できるのかというところをより具体化していく必要があるのかなと思います。そういう意味で、御審議いただく説明文書は非常に重要なコンテンツを含んでいるのかなと感じますので、後ほどその点についても御議論いただければと思います。
北川構成員。
○北川(雄)構成員 がんゲノム医療中核拠点病院会議の一員として、現場からの声としてコメントさせていただきます。最終合意に至っていないということでご説明のありました資料3-1の12ページの臨床情報収集項目案についてです。臨床情報とゲノム情報の蓄積が患者さんの治療選択の精緻化、二次利用による研究開発に結びついていくという観点では、詳細な臨床情報の収集が必要であることは理解しております。一方、先日のがんゲノム医療中核拠点病院会議でも、臨床情報登録における過大な現場負担が問題点として指摘されました。資料2-1、C-CATのあり方の中で、最後の8のスライドを用いて間野先生からもコメントしていただいたように、情報集積に貢献した検査会社や医療機関へのインセンティブも考慮すべきであると考えます。
冒頭、佐々木課長からもご説明されましたように、この会議体は診療報酬について議論する場ではなく、診療報酬については中医協で審議するべきであるということは理解していますが、ゲノム医療の社会実装において現場負担が過大であるために普及しない事態が起こらないようにご配慮いただきたいと思います。この点はすでにがん関連3学会、あるいは遺伝関連3学会とともに要望させていただいております。
コメントだけでございます。以上です。
○中釜議長 ありがとうございました。
松原構成員。
○松原構成員 私、きょう、初めて参加させていただくのですけれども、このがんゲノム医療は非常にすばらしいことで、私はぜひ日本でたくさんの方に受けていただきたいと考えております。その立場から、その普及に対してさおを差すようなことは将来的に起こってしまうと困るという立場から御発言させていただきます。お話ししたいのは2点でございます。一つは二次的所見、もう一つが先ほどお話がありましたけれども、不利益の点でございます。
まず、二次的所見について、資料3-2の3ページの上に「二次的所見に興味がある患者に対しては、どのような遺伝性腫瘍のどの程度のリスクになるのか」と書かれておりますが、二次的所見というのは遺伝性腫瘍に限ったことではないのですね。私が心配しておりますのは、先天性の遺伝病で、がん遺伝子にもともと生殖細胞系列に異常を持つ人、こういった方はがんを発生する確率は高いのですけれども、そういった方を二次的所見として見つけてしまう可能性ですね。これについて考えておく必要があるのだと思います。
もう少し具体的に言いますと、これは例ですけれども、ヌーナン症候群、コステロ症候群、CFC症候群、こういった病気は原因となっている遺伝子の中の代表的なものにHRAS、KRAS、BRAFといったがん遺伝子そのものがあります。このような遺伝子に生殖細胞系列の遺伝子変異を持っている方なのですね。しかも、その場所が、例えばHRASだと12番目のグリシンに異常を持つとか、がんの変異と全く重なるようところに異常を持っている方がいらっしゃるのです。こういった病気は非常に珍しい病気で診断が難しく、かなりの方が診断されないまま成人になっていることがわかってきております。
そういった方が、がんを発症したときにがん遺伝子の検査をすると、もともとの先天性の遺伝病を診断してしまうという二次的所見が起こってくる可能性があるのですね。ですから、そういう可能性について、どこかインフォームド・コンセントの中に触れておいたほうがいいのではないかと私は思います。もちろん、あまり書き過ぎて、そのために怖気付いてがんゲノムの診断を受けることをためらう人が出てきては困るのですけれども、ただ、逆に医療側を守るためには、どこかに二次的所見について書いておいたほうがいいのではないかと思います。
第2点は、不利益の問題でございます。これは遺伝情報に基づく差別のことでございます。日本では残念ながら遺伝情報に基づく差別を禁止する法律などはないので、守られない状態になっております。私が心配しておりますのは、過去に起こったこういう事例があることからでございます。約20年前、新生児マススクリーニングで疾患を発症する前に発見されたお子さんで、きちんとした治療を受けて何の問題もなく発達して学校にも通っている方が、当時の郵政省の簡易保険あるいは学資保険に入ろうとしたときに、加入を拒否されたり、あるいは一旦加入したのだけれども、新生児マススクリーニングで指摘されていたことを言わなかったために、告知義務違反で支払いを拒否された例がございました。これは当時新聞でも取り上げられまして、国会でも質問されております。そのときは、新生児マススクリーニング対象疾患に関して、簡易保険と学資保険は郵政省はちゃんと認めますというコメントは出たのですけれども、ほかの民間の保険会社は全く反応がなかったのですね。そういったことが今後がんで起こってくると、非常に流れにさおを差すことになると思いますので、現在の状態では不利益があると書くしかないと思うのですけれども、どこかに触れておいたほうがいいのではないかと思います。
以上、2点について、御考慮いただければと思います。
以上です。
○中釜議長 ありがとうございます。
2点目について、武藤構成員からお願いします。
○武藤構成員 武藤でございます。
ICワーキングの取りまとめをさせていただきました。今の松原構成員の2点目の件なのですけれども、現在、生命保険協会でガイドラインを作成されていると聞いています。私の口から申し上げるのも僭越ですが、きょう、議事録が残ると思いますので、はっきり言っておこうと思います。少なくとも、発症前遺伝学的検査を受けた事実は告知事項には当たらないので、加入時に告知する必要はありません。ただし、医師が遺伝カウンセリングをした場合は医師の診察歴として扱われるますので、「医師の診察を何日以上受けた」という欄で告知する対象にはなります。営業職員の方々は告知受領権がないので関係ないので注意しないといけません。こうした事項を知らずに不安に思っている方々は、医療従事者も含めて多いので、がんゲノム医療を求める方が躊躇されないようにすべきであるということは先生と全く同じ考えであります。
私からは以上です。
○中釜議長 ありがとうございました。
ほかに御意見はございますか。
宮野構成員。
○宮野構成員 宮野です。ヒトゲノム解析センターの者です。
患者さんのゲノムの情報は誰のものかということが議論はされておられると思うのですけれども、恐らく患者さんには明確に伝わるようになっていないのではないかと思われます。恐らく世界的にはゲノムの情報は患者さんのものであるという認識だと思うのですが、これは臨床検体も含めて、そこのところを明確にした上で先ほどの武藤先生の御回答にあるような説明を理論的にきちんとする必要があるのではないかと私は思っております。
そうしますと、では、ゲノムの情報をC-CATで預かっておくということ。これは費用がかかるわけですね。その分をどのようにするかということ。これも費用の点を議論しておく必要があるかと思います。私としては、それを全部国費で補うというやり方は、将来にわたって無理があるのではないかと思います。
先ほど、北川先生から出ておられました臨床情報の登録に関しても全く同じ状況であって、登録するのであれば別に保険点数をつけるということであればいいのかもしれませんけれども、それは国の負担がふえます。病院はそれで何とか回っていくということであれば、それは病院経営としてはいいかもしれませんけれども、国と病院と患者さんという三者がウイン・ウイン・ウインの関係になるというビジネスのモデルを構築して、そして、お金がスムーズに循環していくがんゲノム医療推進体制をつくっていく必要があるかと思います。
長くなりましたが、以上でございます。
○中釜議長 ありがとうございます。
最初の御指摘は、恐らく同意文書の中での書きぶりであるとか二次利用についての基本的なコンセプトの部分であろうと思うのですけれども、現状でどのように解釈されているのか。厚労省側の御意見をいただけますか。
では、間野構成員からお願いします。
○間野構成員 幾つも重要な御指摘、ありがとうございます。
国費でずっと見ていくことの現実性がどこまであるのかということは、私も全く同じ思いであります。最初のころは集まっているデータの数がそれほどないでしょうから、企業の側からしても魅力がそんなにないかもしれませんけれども、これは皆保険ですので、数はあっという間に多くなります。そうすると、そこでゲノム情報と臨床情報がひもづいて国単位で集めているという国は世界に他にありませんので、それは企業にとっても創薬の開発の上で極めて重要な情報となって利用していただけるようになるのではないかと思います。その際には、適正な必要を負担していただいて、使っていただくことが必要になると思いますし、それがひいてはC-CATとか日本のゲノム医療のデータを維持する原資になると思います。
その場合に、例えば先ほどもありましたが、もともとデータを提供してくださった医療機関などに対しては、無料と言っていいのか今はわかりませんけれども、無料にするとか、あるいは本当にデータ転送の実費だけにするとか、そういう設定は十分にリーズナブルなことだと思います。またあくまでプライベートセクターに対しては適正な費用をとっていくというのは必要な状況かと思います。
別件ですけれども、先ほど天野構成員からの御指摘で、C-CATの調査結果に臨床試験をやっている施設名を書いてあるのはいいことだと御指摘をくださってありがとうございました。今のC-CAT調査結果は、JAPICやjRCTというデータベースを入れ込んで、日本の臨床腫瘍医の先生方にそれをアップデートしてもらいながらつくっていっているのですけれども、現在、製薬会社様に対してC-CATのデータベースには直接具体的な施設の情報を入れていただけないかという交渉を始めていまして、それが入れましょうと言ってくださっているところもありますので、その面でも、このC-CAT調査結果がいいものになっていくのではないかと期待しています。
ただし、C-CATの調査結果はあくまでエキスパートパネルをサポートする資料ですので、これ自体は患者さんに直接返るものではないということは御承知おきください。
以上です。
○中釜議長 ありがとうございました。
渡部構成員。
○渡部構成員 間野先生からC-CATの4つの目的という中で、情報共有を安全にしようということで、非常に大事なテーマで、その中でもサイバーセキュリティーということはすごく高リスクだと思っています。中核拠点病院、拠点病院、C-CATで情報をやりとりするときのネットワーク、それなりに準備はされているのだと思うのですけれども、非常に情報のやりとりが広い範囲に及ぶということで、もともと日本は厚労省のガイドラインはありますけれども、非常に弱い部分なので、少しレベルを上げてアテンションされるべき問題ではないかと思っています。
特に今、ITシステムではなくて機器がやられる時代になっていて、例えばシークエンサーなどでもものすごくアタックをされる。総務省から、IoT機器はセキュリティー対策をしろと。2020年までに義務づけるとなっていますけれども、厚労省、総務省、経産省、皆さん、それぞれガイドラインを出されて、これは非常に先進的な情報共有のプロジェクトですので、少しいいモデルを日本全体でつくるといいのかなと思っています。
技術の中でも、今、ブロックチェーンとか新しい技術も出てきていますので、そういうのも一つの候補になると思います。それから、サイバーセキュリティーは100点はないので、必ず情報は漏れると思って、その対応をしておくということで、先ほど松原構成員からあったように、遺伝情報の差別の禁止だとか、そういったこともそういう観点から大事になってくるのではないかと思います。
以上でございます。
○中釜議長 その点について、葛西オブザーバーから一言いただけますか。
○葛西オブザーバー 何となくちょうどいいタイミングというか、データヘルス改革推進本部の葛西でございます。
1点、逆に各論めいた話なのですが、資料3-3の説明文書案の2ページ目を見ていただくと、私自身はおっと思ったのですが、7.のマル2です.第三者に情報提供する際に、がん登録を初め、医療・介護のさまざまなデータベースとの照合を行う可能性がありますよと。これはまさにデータヘルス改革推進本部の方針と全く同じ意見で、もちろんぜひそのような方向で行くべきだと思ったのですが、その後に今回の事業もそうなのですが、オプトインで情報を、まさに患者さんがまずデータを管理するという宮野先生が御指摘したことは非常に重要で、患者さんがまずデータを保有しているのですよという前提で運営が始まっていますので、意思を撤回された場合、それ以降の利用を停止するシステムは必ず必要になるわけです。これはかなり情報システムとしてはハードルが物すごく高くて、例えばオプトインの情報をいただいた後に、ほかのシステムでも解析がたくさん行われていますので、このオプトインの情報をどうやって連携して他の事業と情報共有していくか。かつ、ちゃんと削除されたかということも含めて確認をする仕組みは今後必ず必要になると思っております。それが1点目です。
もう一点目が、きょうの資料2-2、二次利活用のポリシー骨子案のほうなのですが、3ページ目に開示対象となるデータが性別・年齢・がん種・治療歴等ということで、これは実はほかの事業ではすごく議論されていまして、例えば顕名情報でデータを提供する際に匿名加工がどうやって必要になるかとかプライバシーの保護はどうやってやるのか。一応私はITの専門でございますので、実はK匿名化だけでは足りなくて、さらにいろいろなデータを連結してしまうと推定されてしまう可能性がありますと。こういったペネトレーションテストですね。擬似攻撃をしてみて、本当にこの情報提供でいいのかという安全管理が次に必要になるのではないかということも御指摘をしておきたいと思います。
今、直前にサイバーセキュリティーの話をいただきまして、私も常々言っております。もともと情報処理推進機構におりますので、サイバーセキュリティーはかなり大事なのですが、実は現状の医療関係のシステムインフラは、どちらかというと私が一番不安なのはランサムウエアみたいな身の代金攻撃みたいなものを受けたときに、全部のサービスがとまってしまう可能性があるか、もしくはお金を国が払う、身の代金を払うことになるのかみたいな、こういった攻撃に耐えられる状況にはまだ足りていないのではないかと思っています。
特に、専門的にはレピュテーション情報と言われる不正接続先情報の共有等が必ず必要になるのと、まさにIoTに関してはかなり巧妙な攻撃が、一部車も含めて、これはどこと言ってはいけないことになっているらしいので言わないのですが、車も含めて実際に攻撃が始まっています。そういった具体的な攻撃に対する対処をするような監視の品質を維持する仕組みが必ず必要になると。これは私はある意味、運営側にもおりますので、自戒の念を込めてお伝えしておきたいと思います。
○中釜議長 重要な御指摘、お二人からありがとうございました。
木下構成員。
○木下構成員 一連の今の議論に関係するが、今回データを共有することが重要な仕組みである。この先進的な仕組みをがんゲノムで成功させて発展させていくというのは、ぜひ進めていただきたい。
その際、データを出す側のインセンティブ及び使う側のインセンティブが重要であり、各人たちが受益者負担という形でウイン・ウインな関係をつくっていくと良い。例えば患者さんはデータを出して預けておくと、何年か経つと新しい解析結果が得られるというのもインセンティブになる。場合によっては、それ(後年度の解析)に対して費用負担を求めても良いと思われる。この仕組みを考える際に、2-2の文書が重要となる。つまり、きょう、短い時間の議論でどこまで詰められるのかというのはあると思うのですけれども、最終的にC-CATが集めたデータをどう使ってどういうメリットを利用者及びデータ提供者に出せるのかが明確になると、得られる利益に応じてデータ共有を進めることが可能になると思われる。例えば、先ほどの臨床情報を入れるときに手間がかかるから臨床情報の共有が難しいという議論があったが、そのコストを直接保険から払うというのも「利益」の一つとして考えられるし、そもそもC-CATにデータを預けたら得られるメリットが明確になれば、その利益に応じて率先してデータを入れる可能性もある。
その観点で2-2を拝見すると、C-CAT自身がどこまで何をやるのだろうかというのが不明瞭である。例えば、3ページの「C-CATの目的・役割」として、「がんゲノム診断の質の管理・向上」となっており、「データの標準化や収集・管理・セキュリティー」を意味すると思われるが、C-CAT自身がどこまで解析をやるかは不明瞭である。関連して、末松先生の参考資料4の2で「できる限りC-CATと同じ条件でデータに簡便にアクセスできる環境を整えることが重要である」とあり、私も賛同するところであるが、C-CATがどこまで解析研究を行うか、そして、その結果をどれくらい共有するのかというのが2-2に記載されると良いと思われる。例えば、CKDBの作成は重要だが、これは成果物としてシェアされるものなのだろうか、あるいはもうC-CATの中で閉じて利活用を進めるものなのだろうかということが記載されると良いと思われる。
これは、成果物の利活用、公表、論文発表にも関連するが、この点は、実際の実務に当たっている方のキャリアパスとも関係してくる問題である。言い換えると、その成果発表に制限があり、限定的な利用しかできないとなると、中にいる人のキャリアを阻害することになる。難しい問題であることは承知しているが、トータルパッケージとしてデータをどう利活用していくのかを議論を進めた上で、この2-2の完成度を上げて頂きたいと思う。
長くなって申しわけありません。
○中釜議長 いずれも重要な御指摘ですが、現時点で間野構成員からお答えいただけますか。
○間野構成員 御質問ありがとうございます。
まず、データを利用する場合には、幾つかのレベルで利用できることを想定していまして、例えば海外の製薬会社が日本で治験をした場合に、こういう遺伝子変異はどれぐらいの数の患者さんが日本にいるのかというメタデータをアクセスする権利はリーズナブルな値段でアクセスすることを想定しているのですけれども、実際のもとのFASTQとか臨床情報とかをつけた大きい解析の場合に、また別のプライスでという形を想定しています。
C-CAT自身が解析するということなのですけれども、それはうちのポリシーとして、C-CAT自身はC-CATが集めたデータで開発研究はしないと決めています。というのは、C-CATの解析を許してしまうと、C-CATが全てのアカデミアと全ての企業の最大のコンペティターになるわけで、それはちょっとCOIになるのではないかと。もちろん私もがんゲノムの専門家なので見てみたい気はするのですけれども、やはりそれをしたらいけないと思っていますので、C-CAT自身はあくまでデータをセキュアに集めて、それを皆さんに利活用していただくプラットフォームを提供する。それに加えて、CKDBを使って日本のゲノム医療を支援する組織と位置づけていまして、うちの中では解析はしないと考えております。
ただし、得られたデータを毎年新しいパイプラインで更新してデータベースを構築し直したり、国に対してがんゲノム白書みたいなものをレポートとして出したりということと、解析技術自体の研究はしますけれども、集めたデータを使って、そこで開発研究することはしないことを考えています。
○中釜議長 あと1点、現状で内部の人たちのキャリアパスに関しては、今後の課題ということですか。
○間野構成員 はい。でも、C-CAT自身は、さまざまなキャリアパスを新しく提供できると思います。CKDBはゲノム医療に関する人材育成にすごく役立つと思いますし、一方、集めたデータの解析手法に関してはまた違ったインフォマティクスの面での人材育成につながる。それはぜひ積極的にやっていきたいと思っています。
○中釜議長 お願いいたします。
○木下構成員 3-6についても一言だけ申し上げたい。資料3-6のマル6で「エキスパートパネルの目的」として、「構成員の中に次世代シークエンサーを用いたバイオインフォマティクスに関する十分な知識を有する専門家が1名以上含まれていること」と書かれている。この記載自身は学会としては非常にありがたいことで歓迎すべきだが、マル5にある同様の記述と括弧書きのところが異なっている点が問題である。つまり「専門家」というのが「査読済み論文で筆頭著者または責任著者に限る」というマル5に比べてマル6は共著者で良いという、この差は何か?それは恐らくキャリアパスと関係する話として、十分な専門性を持つという意味では共著だけでは良くないと思われるので、マル5と同じ記載にすることを御検討いただきたい。
○中釜議長 御指摘ありがとうございました。
その方向でよろしいですね。
ほかにいかがですか。
中山構成員。
○中山構成員 今、民間企業の研究開発の話が出ておりましたので、創薬研究をやっている企業の集まりの製薬協の立場からコメントをさせていただきたいと思います。
このゲノム医療の推進というのは、新薬創出にとっても重要だと思いますが、言うまでもなく、既存薬の活用にとっても重要になってきます。薬は全ての人に有効ではないわけであり、この先、ゲノム解析が進むことで有効率を上げる、また、副作用を減らすという両方で大きなプラスがあり、全体にとっては社会保障費トータルで大きな貢献ができる重要なポイントに来ていると思います。
そう考えたときに、社会保障下でゲノム情報を取得していくわけなので、このデータについては国が責任を持って管理するという基本的な立場を持っていただくことが大事だと思います。初期の段階で、経済的なメカニズムにより民間がデータを持ち出すというのは、少なくとも軌道に乗るまではよくないと思いますので、ぜひそのような方針で進めていただければと思います。
また、実際に創薬研究ということになりますと、先ほど間野先生もおっしゃいましたけれども、単にVCFのデータだけではなくて、その元となるFASTQ等の生データから解析するようなことをしないと創薬研究にならないと考えます。これをメンテナンスしながら時系列的にデータを解析するというのが実際の病態を捉える上で必須だと考えられ、そうなるとかなり大きな規模のデータをこれから管理していくことになります。そういった意味では、財源的にも人材面でも大きな投入をしていかないといけませんが、その結果は全国民が享受できるような大きな成果になるだろうと思っております。
その点で、特に重要だと思っていますのは、これはここを超えた話かもしれませんけれども、医療分野のIDを一刻も早く確立していただくことです。そうしないとせっかくのいいフレームができてもいずれどこかで破綻してしまうということにもなりかねません。また、同時に企業に利活用させることによって、この全体のシステムを資金的にも回していかないといけないと思うのですが、法律の面で個人情報保護法に抵触する可能性がありますので、これも含めて法整備等を進めていただきたいと思っております。そうすれば、企業も積極的にこの仕組みに参加して、利用料を支払いながら同時に新しいデータベースがふえていくという好循環に結びつくのではないかと思っております。
以上、コメントです。
○中釜議長 いずれも重要な御指摘ありがとうございました。特にC-CATの役割として、常に最新の解析データを提供するという点は木下先生が御指摘のインセンティブにつながることだと思います。C-CATとしての負荷が高いと思うのですけれども、重要な御指摘点かと思いました。
武藤構成員。
○武藤構成員 手短に2点ございます。
一つは、天野構成員から先ほど御指摘いただいた資料3-3にかかわることです。確率の記載ぶりなのですが、これはまさにこれを作成する過程で患者さんの立場の方々からいただいた御意見を採用させていただいたもので、非常に重要なことだと思っておりますので、なるべく反映していただく方向で周知されることが望ましいと思っております。
また、患者さん側の声を生かすという意味では、先ほどデータベースに入力する人たちのインセンティブの話に関連して、患者さんたちが自分たちのデータを提供することに関するインセンティブについて、ぜひ天野構成員にも御尽力いただいて、現実的に可能な範囲のことでどういったことが患者さんにとっても安心感につながるフィードバックになるのかというのは、ぜひ議論を深められたらと思っております。
2点目、先ほど間野構成員がおっしゃっていたC-CATで研究しないという話について確認したいのですが、C-CATでは情報提供審査会が審査しますよね。ですので、C-CATに所属する方々自身が自分で研究をしようと思ったときには、情報提供審査会に御自分で申請して研究するというスキームはあるという理解よろしいですよね。
○間野構成員 それはその方が例えばがんセンターのどこかの場所に属していて、そこのポジションで所定の手続きを経て研究をされるというのは構わないですけれども、C-CATの中ではそれをするのはだめです。
○武藤構成員 わかりました。データベースの中身を一番よくわかっている人が研究をすることもとても大事なことですので、C-CATの利益相反の話と、その方が研究者としてデータベースを熟知していい成果を出すのは別の話であることがわかるように周知すべきだと思います。
○中釜議長 ありがとうございます。
山口構成員。
○山口構成員 見方が変わりますけれども、先進医療の観点からコメントをしたいと思います。パネル検査が3つ走って、迅速に終わったものもあるので、大変結構だと思います。いろいろなフォーマットもきょう出された資料を見たらわかりますけれども、大変よろしいのですが、先月の先進医療の技術評価会議で報告が一つあって、パネル検査の参加施設で同意がちゃんととれていない、適正な形でとれていないということで監査に入ったわけです。監査をしてみると、その中で患者さんに渡すべきではない情報が検査会社に渡っている事例が出てきているのです。
それから、その後になってまた別の施設で同意がちゃんととれていない、適切ではないという事例がありました。たまたま2つ出てきましたけれども、調べると、もっとたくさんある可能性が出てきているわけです。これは非常に重大なことで問題だと思うのです。ぜひ135カ所のがんゲノム医療連携病院がありますが、このクオリティーをコントロールすることに少し努力していただきたい。
現在、11の中核拠点が今回もかなり一生懸命やっていただいて事なきを得たのです。将来的には30のがんゲノム医療拠点病院を整備することになっていますが、これを早急に進めていただきたい。というのは、11の中核拠点だけでは全てを監査したりコントロールするのが物すごく難しいと思うのです。ですから、そのためにも、ぜひ将来的にゲノム医療拠点病院の整備を早急にやっていただきたい。
つきましては、かなり重要な役目を果たすと思いますので、いろいろなスタッフの養成とか整備も必要なので、決まった時点に全部話すというのもいいのですけれども、おおよそこういう方向でこういう体制がないとこういうものになれませんよということをぜひ早目に考慮して体制を充実していただきたいと思います。
以上です。
○中釜議長 重要な御指摘だと思います。よろしいでしょうか。
では、北川構成員。
○北川(昌)構成員 病理学会の北川でございます。
データの二次利用に関してですが、検査会社を相手にしたときには、受注した検査会社がデータを二次利用するというのを、普通の二次利用とは別にインフォームド・コンセントでとっているように書かれているのですが、これは検査会社が使うデータというのは、C-CATに入る前のデータを使うという理解でよろしいのでしょうか。その臨床データがない部分は検査会社が使っていいと。
○吉田参考人 事務局からですけれども、実は具体的にはまだその条件を精査、ファイナルなものを聞いているわけではないのですが、私の理解、それから、その会社が例えばほかの国でやっていることを考えますと、検査会社が持っている報告書に書かれない元データ、それこそFASTQなどを含めて利用しようとしていると考えています。
○中釜議長 よろしいでしょうか。ほかに御意見はございますか。
天野構成員。
○天野構成員 先ほど武藤構成員から御指摘をいただいた点で、別の構成員からも御指摘をいただきましたが、患者さんに何が還元されるのかという部分がいまいち明確になっていない部分があって、先ほど宮野構成員から御指摘があったように、ゲノムデータは患者自身のデータであるのだけれども、何がどこまで還元される可能性があるのかというのが説明文書でよくわからない部分があります。
例えば、ざっくりとC-CATに集められるということはわかるのですが、その前の段階で、当然パネル検査を行って、企業に情報が行って、その情報もC-CATにどこまで返ってくるのかも必ずしも明確でない部分もあると思います。結局そうなると、患者さんとしては、何が自分に返ってくるのかがいまいち不明確な部分があるので、その部分を明らかにしていただく、可能な範囲で説明文書も記載していただくことが必要かと思いました。
私からは以上でございます。
○中釜議長 そのあたりはその情報のやりとりのときのどういう情報が出ていくのか出ていかないのか、その辺を含めて患者さんに十分理解いただいて、同意をいただくということだろうと思います。そういう理解でよろしいですか。
ほかにございますか。
葛西オブザーバー。
○葛西オブザーバー 二次利用の話とはかけ離れていて、全ゲノムに多少近いような形ではあるのですが、またシステムの観点なので、どちらかというと、キャリアパス上で、当然ですけれども、エキスパートの方を含めて育成するということと同時に、今、つくっているシステムと諸外国のがんゲノム解析を含めた知識の保有システムのあり方はだんだん違ってきているなと感じております。当然なのですけれども、一つは解析を含めたターンアラウンドタイムですね。例えばアラインメントの自然言語処理とか、当然CKDBのAIを使うとか、そういったシステム上のアップデートをかけてターンアラウンドタイムを速くする研究。これはC-CATでやるということではなくて、国全体を挙げてターンアラウンドタイムを上げるということの研究分野に対しても御協力をいただく必要があるのではないかと思っています。
意外と研究分野と実動部隊が、私は厚労省にもいるので自戒の念でもあるのですが、結構離れたことをやっていて、重複した研究が幾つも立っていたりするので、こういったことがないようにちゃんと方針を統一化する必要があるのではないかということが気になっています。
もう一個、データベースの保有なのですけれども、解析系と今回知識管理系みたいなものと情報共有系みたいなものに大別されます。それぞれ実はデータベースの方式は全く違っていて、行指向のデータベースだったり、列指向だったり、NoSQLみたいな行動を使わないデータベースとか、いろいろなタイプのデータベースの方式を利用すべきなのですが、比較的開発ベンダーさんを含めて、日本のITの開発者の発想が固定されていることが往々にしてあります。なので、多様な技術を採用して研究することが今後求められるのではないか、そういうことがないと発展していかないのではないかという危惧を感じております。
○中釜議長 ありがとうございます。
最初の部分に関しては、今後別の場での議論になるかと理解しますが、十分にそのあたりを意識しておくべきかと思います。データのさらなる研究への活用、TATの短縮など、新たなソフトの開発ですかね。
後半の部分に関しては、データベースの構築上、重要なコンセプトだと思うのですけれども、この点に関して間野構成員、現時点では。
○間野構成員 CKDBのデータベースと患者さん情報のデータベースと、もう一個別にデータ提供環境のデータベースが3つあることはそのとおりで、3つ目のデータベースに関しては、なかなか海外の企業も入れて構築していかないと、現実的には難しいかもしれません。現在、まさに検討しているところです。
○中釜議長 ありがとうございました。
ほかに御意見はございますか。
武藤構成員。
○武藤構成員 たびたび済みません。武藤です。
先ほど中山構成員が御指摘になった法整備の件で一言つけ加えたいです。資料3-3の説明文書の7番には「がん登録」と一言入っています。しかし、実際には、がん登録のデータと照合させていただく手続きは、現在のがん登録法が求めている要件ではとても現実的でなく、恐らく実施できません。ですので、いろいろな法整備を考えるときに、がん登録法についても検討していただきたいというお願いをしたいと思います。
以上です。
○中釜議長 ありがとうございました。
ほかに御意見はございますでしょうか。
非常に活発な御意見、コメントをありがとうございました。それでは、冒頭に申しました本日の主に4つの案件についての審議に入りたいと思うのですが、まずこの議事に従って、最初の案件、資料2-2「C-CAT集積データ二次利活用ポリシー骨子案」、これの審議に入りたいと思います。
内容的にはもうお目通しいただいているかと思うのですが、本ポリシーの目的、それから、先ほど木下構成員からC-CAT自体の目的、許容、アクセス範囲、そのあたりの明確化、それから、メリット、インセンティブとしての記載、データ二次利用に関する点、そのあたりの修正は少し必要かと思いますが、基本的なところはこの流れの中で大きな疑義はなかったと思います。この資料2に関する二次利活用ポリシーについて、御承認をいただけますでしょうか。よろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○中釜議長 では、特に反対意見はございませんので、細かい修文に関しては議長預かりとさせていただき、承認とさせていただきたいと思います。
続きまして、資料3-2「インフォームド・コンセント手順書案」、資料3-3のインフォームド・コンセントに関するモデル文書、これは3点あります。特にこの3-3に関しては、先ほど来、患者さんに対する利益、不利益に関してはきちんと明示をすべき点、遺伝性のものに関するもう少しわかりやすい明確な記述、そういうものに関しては少し修正します。それから、登録を含めた法の整備に関するところも可能な修文があればと思いますが、基本的に大きなこの3-2、3-3のコンセプトなどを含めて御承認いただけますでしょうか。よろしいですか。
(「異議なし」と声あり)
○中釜議長 ありがとうございます。では、細かな点については議長預かりとさせていただきたいと思います。
続きまして、資料3-6「エキスパートパネル標準化案」についてです。これも先ほど御指摘がありました構成員リストのマル5とマル6の書きぶり、ここは統一感のあるようにしたいと思います。それ以外に余り大きな御指摘はなかったと思うのですが、この3-6に関して御承認いただけますでしょうか。よろしいですか。
(「異議なし」と声あり)
○中釜議長 ありがとうございます。それでは、この資料3-6の内容も承認とさせていただきます。
そのほか、これまでの進捗に関して、資料1から3の説明の中で、全体を通して御質問、御意見のある方は改めてお願いしたいと思いますが、追加での御発言はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、少し時間は押していますが、資料4に移りたいと思います。
これ以降は構成員の皆様に幅広く御議論いただきまして、今後の方向性について合意をしたいと思いますが、資料4について、これは全体を一括して御議論したいと思いますので、説明をお願いいたします。
○健康局がん・疾病対策課長 がん・疾病対策課の佐々木でございます。
資料4ですが、先ほど4点御承認をいただいた内容の議論の際に、もし漏れがあれば念のためと思って用意した資料でございます。
本コンソーシアム運営会議は最も大所高所から我が国のがんゲノム医療をどう推進していくべきかを御議論いただく場と認識しております。その上で、今、直面している5つの論点をあえてピックアップしたという整理でございます。
スライド2、5つのうちの1点目は、エキスパートパネル(専門家会議)でございます。恐らく、今後ゲノム医療を進める上で律速段階になるのは、この専門家会議、中核拠点病院、恐らく今後は拠点病院に整備される専門家会議、エキスパートパネルがどれだけ迅速に議論をし、そして、各病院にレポートを返せるかという状況だと思います。
それに対して、どう質を担保していくのか、また、先ほども御指摘いただきましたけれども、どのような形で質の確保を図っていくのか。このことをあえて論点化したわけです。
2つ目は、その下のマル2であります。これはアンダーラインにありますとおり、パネル検査をコンパニオン検査として用いるということが薬事承認上はできます。ただ、一方で、1点目の論点に関連しますが、エキスパートパネルの能力、議論いただく件数を考えますと、おのずと限界があります。
スライド18をごらんください。先ほど、今回スライドとして作成するのは初めてだと申し上げましたが、このスライドの真ん中の左にあるとおり、基本的には先進医療で行った際のパネル検査のことを考えますと、適応となるのは標準治療後の患者さんとなります。ですので、本来、ここのパネル検査は流れからすると治療のその後ろに来て、その上での薬物療法というスライドにするのが適当かもしれません。
一方で、繰り返しになりますが、コンパニオン診断的に薬機法上は可能という状況ですので、運用上、このパネル検査を行った際に、このプロファイリング結果をエキスパートパネル(専門家会議)にかけることになるので、そこをどう整理するのか、それを御議論いただきたいと思って論点として挙げました。
次のスライド3をごらんください。「ゲノム情報等の集約」に関してです。これも先ほど来、御議論いただきましたし、中山構成員からも生データが国内に残るような集積の集約の仕方、これを検討すべきだ、立法も含めて検討すべきだという御指摘をいただきました。加えて、さらにこの点について御意見等がございましたら、御指摘をいただきたいと考えております。
その次の3番ですけれども、パネル検査に限らず、今後さまざまな遺伝子検査が進んでいくわけなのですが、それに基づいて患者さんに返っていく例えば治験等を推進するための課題、方策等があれば御指導いただきたいと思って論点として立てております。
最後、4番の「さらなるがんゲノム医療の発展」に関してでございます。これはスライドの一番後ろをごらんください。スライド24になりますけれども、ここにありますとおり、私どもとしてはパネル検査と全ゲノム検査は両輪として今後進めていくべきものと考えております。つまり、実臨床の場面ではパネル検査により、より同じコストであれば正確性の高いパネル検査が臨床の現場では行われるべき。一方で、次の検査や薬を開発していくことを考えると全ゲノム検査、もしかしたら過渡期的には全エクソーム検査の時代が入るかもしれませんが、全ゲノム検査を研究開発のためには早急に着手すべきと考えております。
この両輪となるパネル検査、全ゲノム検査、この全ゲノム検査につきまして、今後どのような形で進めていけばよいのか、この点についても御意見をいただきたいと思って、論点として立てております。
以上でございます。
○中釜議長 ありがとうございました。
今、事務局から、がんゲノム医療推進にかかわる論点、課題についての大きく4つのポイントについて説明がありました。いずれもがんゲノム医療を推進する上における基本的な考え方で、これに基づいて今、C-CAT等の体制整備が行われ、拠点の整備が行われているという理解です。改めまして挙げた4点がさらに重要であるということでありますが、この論点4つについて御意見をお願いします。
まず、北川構成員。
○北川(雄)構成員 まず、遺伝子パネル検査の実用化に関しての実情についてお伺いいたします。現在11のがんゲノム医療中核拠点病院とこれから30程度認定される拠点病院でエキスパートパネルが実働していくわけですが、厚生労働省として、どのぐらいの症例がエキスパートパネルで検討されると想定されているのかということをお尋ねしたく存じます。
○中釜議長 事務局、お願いします。
○健康局がん・疾病対策課長 手短にお答えします。昨年の末に調べたところ、11病院で恐らく年間4,000~5,000件が現実的な数字であろうというお答えをいただいております。
○北川(雄)構成員 そうしますと、初年度はその程度の数に恐らく絞られるだろうと考えてよろしいですか。
○中釜議長 お願いします。
○健康局がん・疾病対策課長 先ほど、山口構成員からも御指摘をいただいた拠点病院を早急に整備すべしということがありましたので、この拠点病院の約30がどのタイミングで入ってくるかによって、もう少しは上乗せできるかと思います。
○北川(雄)構成員 これから認定される拠点病院と11の中核拠点病院の機能の差についてはどのようにお考えでしょうか?
○健康局がん・疾病対策課長 指定要件の詳細はこの後御議論いただくことになりますが、概念としての整理は、臨床につきましてはエキスパートパネル(専門家会議)も含めて拠点病院では完結できる。一方で、中核拠点病院については、それに加えて研究開発ですとか人材育成をお願いする。こういったすみ分けを考えております。
○北川(雄)構成員 わかりました。
○中釜議長 横倉構成員、お願いします。
○横倉構成員 この遺伝子パネル検査がいよいよ保険適用になるということで、これは多くの国民にとって非常に大きな福音になります。それだけ期待も高いと思います。だからこそ、これから先の運用に当たっては、やはり患者さんのがんゲノムの検査の結果が確実に国内に集積されるよう、先ほど中釜議長がおっしゃっていたようなことや、医療機関では正確な臨床情報の登録に加えてエキスパートパネルでの一人一人の患者さんに即した結果説明といった質の確保を今後どう考えていくかということが重要だと思います。
また、がんゲノム医療というのは個人情報として機微性が高いわけでありますので、正確な情報発信が必要であるということであろうと思いますし、また、患者さんに寄り添っているかかりつけ医への情報提供をどう考えていくかが重要だと思いますので、その点も含めてよろしくお願いをしたいと思っています。
○中釜議長 重要な御指摘ありがとうございました。
南構成員、お願いいたします。
○南構成員 今、国民の期待が高まっているというのは、まさしくそのとおりだと思います。その期待を裏切らないためにも、エキスパートパネルの質の担保は非常に重要であると思います。保険適用になって一斉にがんの患者さんが検査を受けられますと、とても年間5,000件ではおさまらないはずです。それが一斉にエキスパートパネルに殺到しますと、どうしても質が落ちてしまいますので、本当に必要な人にまずエキスパートパネルのリソースを提供し、体制が整ったところで順次対象を広げていくべきと考えます。そのためにはどういったプロセスがいいのかという点は、今後ワーキング等で検討していくのが良いと思っています。拠点病院が追加されますが、恐らく拠点病院のエキスパートパネルの試行錯誤で始まるものと思われますのでどのように質を担保するのか議論する必要があります。今までの中核拠点病院の状況を見ていても、当初のパネルでのディスカッションと最近のディスカッションとでは大分変わってきていると聞いていますので、順次拡大していくという考え方でいくべきで、保険適応になったから一斉にゴーというよりも、どういう形で進めていくのがいいのか少しワーキングで議論してもらったほうがよろしいかと考えています。
○中釜議長 ありがとうございます。
1点確認ですが、エキスパートパネルが当面4,000~5,000ということは、実際には解析を受けた患者さんの中でエキスパートパネルに係る患者さんの数を大体そのぐらいと想定しているということですね。その過程において、今、南構成員が御指摘のように、質の高い検査結果と、それを踏まえたエキスパートパネルへどのように登録をするのか、そのプロセスの全体を含めたクオリティーコントロールが非常に重要かという御指摘かと思いますので、よろしくお願いいたします。
天野構成員。
○天野構成員 ありがとうございます。
今の南構成員の御指摘に関連して1点、ほかに2点申し上げます。
まず1点目ですけれども、今の御指摘は非常に重要だと思います。一方で、患者さんサイドから見ると、なぜ初回治療から受けられないのかという疑問が出てきてしまう部分があると思っています。また、患者さんの中では、パネル検査を受ければ機械的に治療選択に結びつく結果が返ってくると理解されている方が非常に多くて、きょうの議論にもあるように、エキスパートパネルの専門家会議が必須であり、エキスパートパネルでの議論がいわばがんゲノム医療の肝であり、同時にボトルネックでもあることも明らかになったと思います。患者さんががんゲノム医療に対して過剰な期待を抱かないようにしつつ、現状ではいわゆる再発・難治の患者さんに確実にこのがんゲノム医療の恩恵が行き渡るように、適切なアナウンスをぜひお願いしたいというのが1点目でございます。
2点目でございますが、これは今後のゲノム医療の発展に関してという部分に関してでございますが、現状、再発・難治の患者さん、特に進行期の固形がんの患者さんを対象にパネル検査が行われているわけですが、いわゆるバスケットトライアル等を用いたとしても、いまだ対象になっていない希少がんの患者さんであるとか、あとは造血器腫瘍についてはまだまだ立ちおくれている部分があると思いますので、その部分については、ぜひ今後強力に推進していただきたいと考えています。
最後、3点目になりますが、今後、がんゲノム医療ではいわゆる全ゲノム解析等が推進されていく方向性にあると思っておりまして、当然、研究の段階から中長期的には臨床段階へという話になってくると思います。海外では、御承知のとおり、国内より大幅に先に進んでいる状況があるわけで、日本国内の患者さんにゲノム医療の利益が確実に還元されるには、全ゲノム解析等を進めていく方向性は避けられないと思っています。
一方で、患者さんに関する個人情報の保護であるとか、同意の確実な取得は当然しっかり行っていただきたいですし、何よりも先ほど構成員からも御指摘がありましたが、社会環境の整備という部分で、いわゆる米国における遺伝子差別禁止法、GINA法的なものであるとか、英国におけるABI協定のようなものが、国内では未整備という段階で、パネル検査に加えさらに全ゲノム検査も進むとなってしまいますと、社会環境の整備は全く追いつかないまま遺伝子パネル検査や全ゲノム検査が進んでいってしまうという可能性を非常に危惧しておりますので、その部分の法的な整備を早急に進めていただきたいと考えております。
私も所属する全国がん患者団体連合会のほうから昨年12月に厚生労働大臣並びに副大臣に、ゲノム医療の適切な推進並びに患者等の社会的不利益からの擁護を目的とする法規制を求める要望書を提出しておりますので、ぜひ御検討いただきたいと思っております。
私からは以上でございます。
○中釜議長 ありがとうございました。
事務局から挙げた4つの論点について適切な御指摘かと思います。御指摘の点を踏まえながら、慎重かつ治験も促進する形、いろいろな形で積極的に取り組んでいただきたいと思います。拠点病院間の連携、拠点病院の果たす役割、患者さんへの情報提供あるいは相談支援などの体制も急ピッチで整えていき、患者さんにとって不利益のない、あるいは十分に情報が行き届く体制を国全体として、拠点全体として取り組んでいく必要があると思います。同時に、がんゲノムリテラシーというものもきちんと普及させていく体制も必要と感じました。ありがとうございました。
木下構成員。
○木下構成員 2点ほど。1つ目は、先ほどから議論があるようにエキスパートパネルの質が物すごく重要だというのは論をまたないと思う。そうしたときに、先ほど標準化案ということで、構成員というのがリストとして出たが、その中の一部は医師のように質が担保された国家資格となっている。一方、資格が学会認定なのか、まだ十分な質の担保が難しいレベルのものも存在している。
始める最初の取り組みとしてこのリストは十分に考えられた非常にいいリストである。一方、がんゲノム医療は5年とかでやめる事業ではないので、中長期でやることを念頭に人材育成とリンクさせ、構成員リストに入れるようなものを、国家資格とすることを省庁で考えて頂きたい。その国家資格を取るということが、医療に係わる情報系人材のキャリアパスとなるモデルができると良いと思う。
もう一つは、全ゲノム解析。これも研究としてはやるべきであり、先ほどの説明では研究としてということなので賛同するが、全ゲノム解析と言っても、ショートリードシークエンサーによる変異解析から、長鎖シークエンサーで構造多型を見るなど、様々なやり方がある。方法によりコストが変わってくるので、全ゲノム解析に関しては、切り出して大きな議論をやるべき分野かと思われる。幅広い議論をして推進していただきたい。
○中釜議長 いずれも重要な御指摘かと思います。
また、エキスパートパネルの質の担保においては、C-CATから戻ってくる共通フォーマットのレポートを共有しながら各拠点のエキスパートパネルの共通化あるいは質の向上を図ることが必要なのかなと思います。ありがとうございました。
○宮野構成員 細かいことなのですが、FFPEのサンプルでやるときというのは、現場から私は見ているだけですが、そのクオリティーが非常に違う。だから、肺専門の病理医が肺の中から取ってやる場合、乳がんの場合、腎がん、膵がん、それぞれ専門の人がやった場合は非常にきれいに取れるけれども、そうではなくてやったような場合は物すごくギャップがあるという現実もあるので、単なるシークエンスの情報だけでなく、そのシークエンスをする背景にある情報も、この文章はこれでよろしいかと思いますが、標準化の中に入れていけるようにしていただけたらと思っております。非常に当たり前のことを申しただけのことです。
○中釜議長 ありがとうございます。極めて重要な御指摘だろうと思います。
北川構成員。
○北川(昌)構成員 病理学会の北川ですけれども、病理のお話が出てきましたので、一応病理学会ではFFPの適切な標本をつくるためのガイドラインをつくっておりますし、分子病理専門医という新しい専門医をつくって、そういうところに精通した方、まだ100人ぐらいしかいませんけれども、そういう方を連携病院に行かれるようなシステムをつくっていこうと考えております。
以上です。
○中釜議長 ありがとうございます。
松原構成員。
○松原構成員 先ほど、全ゲノムのことはお話に出ましたけれども、サイエンティフィックには全ゲノム解析というのは一番すぐれたがんゲノム異常の検出法であることは疑いないと思います。なぜそれができないかというと、一つは解析の実際の体制、それから、もう一つはコストだと思います。今、この全ゲノムをやるための機器あるいは試薬は全部海外のメーカーのものを使っておりますし、恐らく日本は世界で一番高いお金をそのメーカーに払っていると思います。これは各分野でばらばらに検査をしているからだと思うのです。
例えば、このがんの分野と難病領域を全く分けた状態で予算もおりているし解析している。ですから、例えて言えば、いま手元にあるこの鉛筆を買うのに1本ずつみんなコンビニに行って買いに行っているのと同じで、これは箱でみんなで買って分ければもっと安く手に入るのです。ですから、日本全体として領域を超えて全ゲノムを安く提供する体制をぜひつくっていただきたいと思います。そういったことがさらなるがんゲノム医療あるいはほかの難病領域の研究にも資すると思います。
難病領域では今、全ゲノムは高いのでエクソームでやっていますけれども、世界の潮流は全部全ゲノムになっているのです。ですから、私たちはもう仕方なく海外の韓国とか中国に検体を出そうとするのですけれども、でも、国やAMEDとしてはそれはやめてくれとおっしゃるので、とても困っているのです。ですから、ぜひ日本で全ての領域が参加できる全ゲノム解析体制をぜひつくっていただく。そういったことも検討していただければと思います。
以上です。
○中釜議長 ありがとうございます。
宮野構成員。
○宮野構成員 今、シークエンスのコストのことが出ましたが、私、某次世代シークエンサーを出している会社の日本の責任者の方と先日話をいたしました。確かに日本の市場では高い価格で出さざるを得ない。しかし、日本が国家のプロジェクトとしてゲノムのシークエンスを大量にやるのであれば、例えばイギリスのゲノミクス・イングランドのレベルのような格好でやるのであれば、大幅に下げる。これは具体的には日本の代理店で扱ったとして半額以下、もしくはそれ以下ということです。
実際に、私がわずか48検体のホールゲノムのシークエンス、カバレッジ40ですが、国内の会社で国内でシークエンスして、NovaSeqを使っていますが、それで出した場合、1検体当たり15万円弱でした。これは2社で入札をしましたが、もう一社も数千円の違いだけでした。そうしますと、ジャームラインと両方合わせて15万円プラス12万円ぐらいの価格で1検体分が現在できる状況です。これは一研究室がやっているレベルでのディスカウントですが、これが半分以下になるということは想定内に入れてよいかと思っております。
もう一つ、データ解析のコストですが、現在、いわゆる普通の計算ノードにGPUを入れたノードで計算をすると、私ども、昨年、実際に実験をやってみましたが、1検体当たりのホールゲノムのシークエンスの解析が1時間かかりません。ですから、ジャームラインと合わせて2時間です。その計算機はどれぐらいの費用かといいますと、1500万円です。それが例えば10台ありますと、1年間で処理できる検体数は2万4000ホールゲノムという格好になります。1.5億円でそれぐらいのことができる状況で、時間スケールは現在そのようになっております。
一方で、ストレージのほうも極端に下がっておりますので、1検体当たり1万円のストレージコストとなっております。
○中釜議長 重要な情報、ありがとうございました。
1点、私から。本日の論点の中で、パネルの実用化においてエキスパートパネルの質の担保やデータの集約性の必要などが、いろいろ議論されたのですが、データの集約において、論点1.のマル2にあるところ、ここは非常に重要かと思うのです。この点について、少し事務局から説明いただけますか。内容については、ここに書いてあるとおりだと思うのですが、コンパニオン検査として使う場合に同時にプロファイルのデータが来る。そうしたときに、このプロファイリングの検査の位置づけをどうするかは非常に重要だと思います。ここは少しディスカッションしたほうがいいかと思うのですが、いかがですか。
○健康局がん・疾病対策課がん対策推進官 事務局でございます。
資料4の12ページを御参照いただけると幸いでございます。まず、こちらは今、議長御指摘の問題意識でございますが、3学会の合同ガイダンスを出していただいておりますところであります。遺伝子パネル検査について、12ページの上の図のように、現時点では標準治療後に用いることが適切ということをガイダンスのほうで記載していただいております。しかしながら、現在、薬事承認を得た製品の中には、コンパニオン検査としても用いることが可能な検査が出てきている次第であります。
その場合、実務的には下の図のように、標準治療の前に実施することが可能な状態でございます。
一方で、ガイダンスとの整合性に鑑みれば、こういった下の図のような使い方については、先進医療などの枠組みで実施を検討すべきものではないかと事務局としては考えている次第です。
もう一点、パネル検査が今後広く日本で使われるようになった場合のことでございますが、現状では、コンパニオン検査として下の図のようにコンパニオン診断目的で使った場合であっても、プロファイリングの検査の部分、一連の数百の遺伝子の異常のありなしの結果が一体となって返却されることが想定されております。こちらのコンソーシアム会議でも、プロファイリングの検査結果についてはエキスパートパネルで適切に評価をすべきだということをご議論いただいておりますので、エキスパートパネルの対応能力の限界といったものも踏まえますと、この下の図のような取り扱いが適正かどうか、こういったことを御議論、御意見をいただきたいと考えている次第でございます。
事務局からは以上でございます。
○中釜議長 ありがとうございました。
加えて、国民全体の医療として進めるときにデータを集積していくことが非常に重要です。本日議論のあった創薬開発の促進、それがひいては患者さん、企業、いろいろな参加協力者にインセンティブがあるという意味でも非常に重要なポイントかと思うのです。その点を踏まえたプロファイルの診療プロセスにおける位置づけについて御議論、御意見をいただければと思います。
南構成員。
○南構成員 今の点、先ほどの議論とも通じると思うのですが、承認をされたパネル検査の中にはコンパニオン診断としての部分とプロファイリングの部分と、2つの全く異なった性質のデータが出てくるものがあります。それを同時に現場に返しますと、プロファイリングの部分を利用しようと思ったら、エキスパートパネルをかけないといけない。そのエキスパートパネルが今、まさにパンクしようとしています。コンパニオン診断として使う段階の患者さんは、まだプロファイリングの部分はすぐに必要でない場合がほとんどだと思いますので、これを同時に返すのは果たしていかがなものかと私は個人的には思います。
かといって、データはもうあるのにそれを患者さんに還元しないのも問題です。時間をずらして返すという方策がもしとれれば、それが私はいいのではないかと思います。具体的には、コンパニオン診断としての部分のデータをまず返して、コンパニオン診断に基づいた標準治療を行っていただく。標準治療を終えた後で、先ほど来、議論に出ています治験、その他の治療を行いたい方には、さらにプロファイリングのデータをお返しする。その際には、既に検査会社にあるプロファイリングのデータを改めて伝票1枚でお返しするというようなシステムがとれれば現場は混乱せずに済むのではないかと私は思いますが、いかがでしょうか。
○中釜議長 ありがとうございます。
その場合に、C-CATへのデータのデポジットのタイミングはプロファイルの段階でデポジットするのですか。
○南構成員 そうなると思います。
○中釜議長 ほかに御意見はございますか。
北川構成員。
○北川(雄)構成員 現時点ではという条件つきだと思うのですけれども、現在の日本の体制、エキスパートパネルのキャパシティーということを考えると、まずは標準治療を行った後の南先生がおっしゃったようなところでプロファイリングを行うのが適正である。これは現時点で私ども3学会で構成しておりますガイダンスのポリシーでもあります。
その後、今、御指摘のあったようなコンパニオン検査としても認可されたようなもののデータが、逆に例えば海外でこれが別の研究の形で利用されて、一方で私どもの日本のC-CATには還元されないとなりますと、またこれも大きな問題になりますので、その仕組みは南先生がおっしゃったような、患者さんにとっても不利益にならずにかつ保険診療上、あるいは我々の医療体制上、可能な形で整理していく必要があると思います。
以上です。
○中釜議長 ありがとうございました。
現状でのエキスパートパネルのキャパシティーを考えた場合での現実的な対応、加えてデータデポジットをきちんと担保するような仕組みの確保は非常に重要な2つの論点かと思います。ぜひそこをきちんと進めるような形で、将来的には後段のような形の体制がよりわかりやすいのかと思いますけれども、そういう形をぜひ国として強力に進めていければと期待したいところです。
ほかにいかがですか。
宮野構成員。
○宮野構成員 同じことを繰り返すようですが、ゲノムの情報、これをどこの情報をどのように解釈するか。それに対してここは保険適用しましょう、ここは先進医療のほうでカバーしましょうという情報がベースにあって、それをどう解釈していくかにコストを乗っけていくということが重要です。コンパニオン診断をやって20万円近く払って、そして、さらに何十万円かパネルで払って、それを保険でカバーして国の負担をふやすという方向は、私は適切ではないと思っています。また、逆に、パネル解析をしたあとは、その一部をコンパニオン診断にすればよいと思います。
○中釜議長 ありがとうございます。
ほかに御意見はございますでしょうか。
葛西オブザーバー、お願いします。
○葛西オブザーバー データ提供の話なのですけれども、実態で言うと、治験であったり、治験関係のデータベースもそうですし、実際の治験の現場でもそうなのですけれども、我々データヘルス改革推進本部としては、比較的リアルワールドデータ寄りにいろいろなデータを組み合わせて活用していきたいという話を多々受けたりもしますし、そうあるべきだとは思うのですが、実際には、実はシステム間のアプリケーションインターフェースとか、データのインターフェースは、今は全く検討されていない状態です。
なので、安易にデータを提供できるから、データセットだけばんと渡せばそれでいいですよねということでは多分ないはずなので、他の基盤で、我々、データ解析基盤なども別のサービスでも複数開発しているので、そういったところの技術的なインターフェースの議論をする場を技術者に与えない限りはずっとできないと思いますので、これは結構重要な課題ではないかと。データ提供できるよねというだけの議論はもう一歩踏み込まないとまずいかなと思います。
もう一個、全ゲノムに関してもそうなのですけれども、実は私自身はそういう医療現場にいるわけではないので、横目で見ていると、何かパネルのがんゲノム治療の先に全ゲノムがあるような印象の会話が多いのですが、システムとしては全く違うシステムを使っていまして、もちろん両方推進するべきだと私は思っておりますし、臨床の現場で質があるのはパネルですねと。一方、希少であったり、血液、神経みたいながんの治療は全ゲノムに向かっていくのだろうと思うのですが、全ゲノムを推進する際も、今、日本はシステム開発現場が全然追いついていないです。単純にまず追いつかせるためには、クラウドであるとか、クラウドサービスを使うということはほぼ前提になってくるはずなのです。その前提に対するガイドラインを示していくであるとか、具体的に、クラウドですと、例えばファンクションと言われる自動処理技術がかなり重要になってきますけれども、そういったことを会話するテクノロジーに特化したような議論の場はどこかに設置しないとまずいのではないかと思います。
あと、アメリカのように全ゲノム拠点を別に置くのか、イギリスみたいに他の企業と連携しながら、多額の解析費用がかかるような企業のようですけれども、そういったところと提携しながらやるのかというのは、ビジネスモデル的に慎重にしないと、単純にお金がどんどんかかってくるのだろうなと。それは洗練されたビジネスモデルを構築することが前提で進めるということが、ITと解析現場とデータの流通現場が全部一体にならないとそう簡単にできないと思っているので、そこにぜひチャレンジをしていく必要があるのではないかと思っている次第でございます。
以上です。
○中釜議長 重要な御指摘、ありがとうございました。
木下構成員。
○木下構成員 関連して、解析の基盤をクラウドが前提になる方向に今後進むことは賛成であるが、日本のアメリカと違う事情として、アメリカは国内に強いクラウドベンダーがあり自国の中にデータを持ったままクラウド化が容易にできるのですが、それに対して日本の場合はそんなに強いクラウドベンダーが国内の企業としてはいないので、この点には留意すべきである。
合わせて、先ほどの松原先生の鉛筆1本1ダースの議論と、宮野先生の計算コスト低下の話は密接にリンクするが、全ゲノムの解析コストには、試薬だけではなくて、下流の計算コストも1ダース買いをすれば安くなる点は共有頂きたい。
例えば今、医科研にもありますし、東北にもありますし、遺伝研にもありますし、C-CATも今度立ち上がるであろう、それなりの計算インフラがある中で、それが独立に調達されていることのコストの問題はどこかでぜひ議論していただきたいと思います。
○中釜議長 ありがとうございました。
松原構成員。
○松原構成員 パネル検査と全ゲノムのことでお話が出たのですけれども、私はやはりパネル検査は中途半端な検査だと思っています。がんの専門家の前でこういうことを言うのはあれなのですけれども、結局全ゲノムの中から抜粋した部分がパネル検査になっているわけですね。これは手間とかコストの問題だけだと私は考えています。
なぜそう考えるのかというと、これもまた新生児マススクリーニングのお話になりますけれども、今二十数種類の先天性疾患を日本で生まれる全ての新生児でスクリーニングしています。昔は数疾患しかスクリーニングしていなかったのです。それぞれの疾患を個別に検査していました。そのうちにタンデムマススクリーニングという多くの代謝産物を一斉に全部調べられる機械が出てきて、当初はすごく高い機械だったのですけれども、そちらのコストがどんどん安くなってきたので、いまはほぼ全てタンデムマスで調べて結果を出すということになり、個別の検査は今はなくなってしまいました。見つかる病気の中には実は見つけてしまうとちょっと困るような病気もあるのですけれども、それは実は結果は返していないのですね。ですから、特定のものだけ見えるようなマスキングをかけた上で二十数疾患をスクリーニングする状況になってきています。
このように一斉に全部一つのプラットフォームでできるようになると、基本的にはコストはどんどん下がっていくのですね。ですから、現時点ではまだ全ゲノムを置きかえる時点ではないですけれども、いずれはそういう方向になるということを見据えて、体制はつくっていったほうがいいのではないかと私は考えております。
○中釜議長 重要な御指摘、ありがとうございます。
日本においてがんゲノム情報に基づいたがん医療の最適化がまさに医療現場で実現しようとしており、そのためにいろいろなところでの質が担保された体制が整えられつつあります。それは皆さんに御議論いただいたように、将来的ながんゲノム医療の発展系としての全ゲノムの可能性、そこへのより積極的なアプローチのための国家的な体制整備の基盤、インフラの盤石性、そういうものも含めた情報のセキュリティーということを考えていく必要があると思います。近未来の新たながんゲノム医療の展開に向けた重要なテーマであるという御指摘かと思いました。ありがとうございました。
ほか、いかがでしょうか。
間野構成員。
○間野構成員 全ゲノム解析に関して積極的に御意見をいただいているので、私もそれに少しつけ加えたいのですけれども、御存じのように、諸外国では非常に大規模な特にがんを中心とした全ゲノム解析が進んでいます。イギリスでは500万人の全ゲノム解析という国民の何割を全ゲノムするのかというプロジェクトまで立ち上がっていると聞いています。
そういう中にあって、日本がこれから全ゲノム解析をがんでやることの意義を考えますと、C-CATで臨床情報を収集するシステム、プラットフォームが国としてあるというのが最大の強みだと思うのです。普通に胃がんを5万人とか膵臓がんを1万人という解析をしているというのではなくて、その人はどういうお薬を使って何が効かなかったかという情報と一緒に、あるいはどういう重篤な副作用が出たかという情報と一緒に全ゲノム解析できる国は日本だけなので、ぜひC-CATの臨床情報収集プラットフォームの上で全ゲノム解析をすることで、日本が世界に勝てるゲノムプロジェクトが立ち上がるのではないかと思います。
しかも、もう少し発展して考えると、そこで臨床情報収集、電カルシステムの組み込みとかがあるわけですから、別にがんに限らず、例えば10万人やれば糖尿病の人もいるし、高血圧の方もいるし、集めるデータの中にヘモグロビンA1c値を入れれば糖尿病の全ゲノム解析ができるわけですね。というふうにして、がんをプロジェクトとしてやるのだけれども、臨床情報を集めることができるから、必ずしもがんだけに限らないさまざまな疾患のゲノムプロジェクトが同時にできる。そこでオールジャパンで解析できるということが現実のものとなるのではないかと思っています。
○中釜議長 ありがとうございました。
武藤構成員、よろしいですか。
○武藤構成員 話をかえてしまって大丈夫ですか。
先ほど、天野構成員がおっしゃっていた社会環境整備の件は全く同感で、きょうの論点4つというのは、どれもすごく大事なのですけれども、それも社会環境整備があって成り立つことです。厚生労働省で2016年にゲノム医療の実用化推進タスクフォースの取りまとめのなかで、ゲノム医療全体の倫理・法・社会の問題を一回洗い出していると思います。そこでの論点整理の結果を横目に見ながらこの話を一緒にしたほうがいいと思いました。さらに、それから既に数年経過していて、状況も変わってきているので、ぜひ論点のアップデートをしながら、この議論を詰めていただきたいと思っております。
2点目なのですけれども、これから始まるこのパネル検査でどれぐらいの方々が受けられるかという情報を、いろいろな方々が関心を持っておられます。先日、自由診療のクリニックさんからお問い合わせをいただいて、横倉構成員の前で恐縮なのですけれども、うちはもっと簡単に安く実施する予定だが、それは法的に何か問題がありますかねというご質問をいただきました。保険では見てもらえなくても、自由診療ではアクセスできるという宣伝が始まってしまうと、患者さんは混乱し、御迷惑がかかります。ぜひ啓発していっていただきたいと思います。
以上です。
○中釜議長 とても重要な御指摘、ありがとうございました。
ほか、よろしいでしょうか。
では、最後に葛西オブザーバー。
○葛西オブザーバー 最後なのですね。クラウドみたいな話をすると何か外資寄りの人みたいに思われるのですが、そんなことは全くなくて、私自身は実は倫理とも非常に密接に絡むのですけれども、国内の患者の情報が海外に行くのは不適切だと思っています。それはまさに情報共有系のインフラとしてせっかく間野先生のところでつくられたものがあるわけですから、それはぜひ活用していくのが合理的だろうなと。
一方、解析系に関してクラウドを使うことは必要ではあるのですが、これはまずベンダーの話とデータセンターの話は別でございまして、海外ベンダーであっても国内のデータセンターに必ず置くことを仮想的にちゃんと確認する仕組みがございます。つまり、ちゃんと運用面で国内でやってくださいねということを前提に海外のものも使えるでしょうし、もちろん国内のものも使える。いわゆる外資対国内とかガラパゴス的な議論も不要ですし、ちゃんと実運用面で考えなければいけない。
私が悩むのはデータをオプトインでやることが多いので、そこが一番難しくて、どこに我々のゲノムの情報が行っているのか、さっぱり国内だろうが、海外だろうが、どこだろうが全くわからないというこの追跡性をどうやって担保するのかなというのが私自身は今後の大きな課題だと思って、終わりらしいので、終わりにしたいと思います。
○中釜議長 とても重要な論点だと思いますので、この点については引き続き議論していただきたいと思います。
最後と申しましたが、ほかに御意見はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
この最後の議題に関しては、4つの論点に関してさまざまな御意見をいただきました。これについては御意見を踏まえまして、事務局のほうで取りまとめさせていただきたいと思います。
その他、事務局より連絡事項等がありましたら、お願いいたします。
○健康局がん・疾病対策課長 本日は御議論をいただき、ありがとうございました。
先ほど中釜議長がおっしゃったとおり、いただいた御意見をもとにして、改めて整理をしてさらに進めていきたいと思います。
次回の日程につきましては、適切なタイミングで当然ながら行いたいと考えておりますので、追って日程調整の上、御連絡したいと思っております。
以上でございます。
○中釜議長 本日は本当に活発な御議論をありがとうございました。
以上をもちまして、運営会議を終了したいと思います。
委員の皆様には、スムーズな議事進行に御協力をいただき、まことにありがとうございました。

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健康局がん・疾病対策課

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