照会先

医薬・生活衛生局総務課国際薬事規制室

室長:
安田 尚之(4223)
専門官:
高梨 文人(4224)

(代表電話) 03(5253)1111

(直通電話) 03(3595)2431

報道関係者各位

APECが日本のPMDAを医療機器分野の研修センターにパイロット認定

~アジア太平洋地域の医療機器規制調和を推進~

 2019年2月28日~3月1日、サンティアゴ(チリ)において、APEC(アジア太平洋経済協力)のLSIF RHSC*(ライフサイエンスイノベーションフォーラム 規制調和執行委員会)会合が開催されました。
 *: Asia Pacific Economic Cooperation, Life Science Innovation Forum, Regulatory Harmonization Steering Committee

 APEC LSIF RHSC (以下、「APEC」)は、これまで主に医薬品に関する分野の規制調和活動に取り組んできましたが、「医療機器」の分野についても本格的に活動を開始するべく、日本、米国、韓国の規制当局と産業界を中心とする活動体制の構築を進めてきました。

 今回会合では、医療機器分野の活動体制の確立に合意するとともに、日本のPMDAのアジア医薬品・医療機器トレーニングセンターの実績を踏まえ、APECが日本のPMDAを医療機器分野の優良研修センター(APEC Training Centers of Excellence for Regulatory Science: CoE)にパイロット認定しました

 今後、PMDAは、本年11月頃に医療機器規制に関するパイロットCoE研修を開催し、その結果を踏まえ、2020年前半のAPEC会合で正式なCoE認定を取得することを目指します。PMDAは、CoE研修を通じてIMDRF(国際医療機器規制当局フォーラム)等の国際的なガイドラインの普及を促進し、アジア太平洋地域の医療機器規制調和の推進に一層貢献していきます。

(参考1)APEC LSIF RHSCについて
 RHSCは、アジア太平洋の21の国と地域から構成されるAPECの経済協力枠組みの一つとして、域内の医薬品・医療機器規制調和の推進を目的として設置された組織です。APEC地域の主要な規制当局、産業界等が参加し、日本と米国が共同議長を務めています。
 RHSCは、規制調和活動の対象分野や研修実施事項を設定するとともに、域内の優れた知見を有する規制当局やアカデミアを優良研修センター(CoE)に認定して他の規制当局等を対象とする研修を実施させることで、規制調和を進めています。日本では、PMDAがこれまで「国際共同治験/GCP査察」・「医薬品安全性監視」の2分野で正式なCoE認定を受け、アジア医薬品・医療機器トレーニングセンターで両分野の研修を実施しています。(下表)

(表)RHSCの活動分野とそのリード国、CoEの一覧(2019年3月1日時点)
分野名 リード国 CoE
国際共同治験/GCP査察 日本、タイ ・PMDA(日本)
・北京大学(中国)
・Duke-NUS医科大学(シンガポール)
・ハーバード大学Brigham and Women's 病院(米国)
医薬品安全性監視 韓国 ・PMDA(日本)
・韓国医薬品安全機関(KIDS)(韓国)
・北京大学(中国)※
バイオテクノロジー製品 韓国 ・ノースイースタン大学(米国)
・ソウル国立大学(韓国)※
・Duke-NUS医科大学(シンガポール)※
先端治療 シンガポール ・ノースイースタン大学(米国)※
・Duke-NUS医科大学(シンガポール)※
優良登録管理 台湾、日本 ・RAPS Taiwan支部、Taiwan FDA(台湾)
Thai FDA(タイ)※
世界的な医薬品安定供給 米国 ・米国薬局方(USP)(米国)
・テネシーHSC大学(米国)
・テイラーズ大学(マレーシア)※
医療機器 日本、米国、韓国
 
サブリード:
(一社)日本画像医療システム工業会(JIRA)、米国先進医療技術工業会(AdvaMed)
・国立医療機器安全機関(NIDS)(韓国)※
PMDA(日本)
・サウスカリフォルニア大学(米国)
・ノースイースタン大学(米国)※
※のCoEはパイロット段階、下線のCoEは今回会合でパイロットCoEとして認定
 
(参考2)医療機器分野の活動体制
 医療機器分野の活動体制は上記の表の構成で、リード国(日本、米国、韓国の規制当局)は、分野全体の方針や研修実施事項の設定と、サブリードとCoEが適切に活動していることの監督に責任を持つ。サブリード(JIRA、AdvaMed)は、各国の規制の差異(ギャップ)の実態を踏まえて、重点的に取り組むべき課題をリード国に提案したり、CoEの研修計画に助言を与えたりする。各CoEは、リード国の定めた方針に基づき、サブリードの助言を踏まえて研修を実施する。
 研修実施事項は、1. 市販前承認/認証手続きの効率化・標準化、2. QMSの国際標準の活用、QMS調査結果の相互活用、3. 市販後安全性監視システムの改善を、GHTF, IMDRF等の国際標準に基づいて進めることを各国に促す内容となっている。