第2回 「眼の水晶体の被ばく限度の見直し等に関する検討会」議事録

日時

平成31年2月6日(水)18:00~20:00

場所

厚生労働省 共用第8会議室(11階)

議題

(1)眼の水晶体の等価線量限度について
(2)その他

議事

  
○永井座長 定刻になりましたので、ただ今から「眼の水晶体の被ばく限度の見直し等に関する検討会」を開催いたします。委員の皆様にはお忙しい中、お集まりいただきましてありがとうございます。初めに、前回ご欠席だった委員をご紹介いたします。電気事業連合会原子力部長の渥美委員でございます。
○渥美参集者 渥美でございます。よろしくお願いいたします。
○永井座長 ありがとうございます。本日の出席状況でありますが、日本循環器学会の池田参考人と日本医学放射線学会の吉川参考人が欠席であります。カメラの撮影はここまでとさせていただきます。では議事に入ります前に事務局から資料の確認をお願いいたします。
○川越放射線室長補佐 お手元に資料を配付しておりますのでそれをご覧ください。まず議事次第がございます。次に資料1 本日の論点について、資料2 眼の水晶体の等価線量の測定について、資料3 欅田委員提出資料「眼の水晶体の等価線量分布(業種別)」、資料4 渥美委員提出資料「東京電力福島第一原子力発電所廃炉作業における自主的な取組と取組結果」、資料5 欅田委員提出資料「眼の水晶体の等価線量分布(医療分野)」、資料6 富田委員提出資料「医療分野における放射線防護と被ばく低減効果」、資料7 欅田委員提出資料「医療分野における被ばく実態と被ばく低減効果」、資料8 欅田委員提出資料「眼の水晶体の等価線量限度を意見具申どおりに見直す際の留意事項」でございます。
○永井座長 よろしいでしょうか。資料の不足等あればお申し出ください。それでは本日の議題に入ります。本日は眼の水晶体の等価線量限度についてご議論いただきます。まず本日の論点につきまして、事務局の資料をご説明お願いいたします。
○川越放射線室長補佐 資料1をご覧ください。本日の論点についてということで1ページめくっていただくと、眼の水晶体の放射線防護の在り方について(意見具申)[抜粋]とありまして、これは放射線審議会の意見具申の内容の抜粋でございます。その中の5.1.新たな水晶体等価線量限度の取り入れということで、赤字で書いてございます、水晶体の等価線量限度を5年間の平均で20mSv/年かついずれの1年においても50mSvを超えないこととすることが適当である、とされております。青色の部分は次回以降議論していただきたいということで印をつけております。3ページをご覧ください。前回の検討会でお示しした主な検討事項のうち、主な検討事項の1つ目の限度と書いてあるところが今回の議論いただく箇所でございます。5ページをご覧ください。本日の検討事項に関する論点として以下の3つを設定させていただきます。1つ目が意見具申に示された新たな眼の水晶体の等価線量限度を超える可能性が高い分野について、2つ目が意見具申に示された新たな眼の水晶体の等価線量限度への対応可能性について、3つ目が意見具申どおり新たな眼の水晶体の等価線量限度を見直すことについて、以上でございます。続いて資料2ですけれども、事務局の鍋田から内容をご説明させていただきます。
○鍋田放射線室企画係長 厚生労働省の電離放射線労働者健康対策室の企画係長、鍋田と申します。資料2、眼の水晶体の等価線量の測定についてということで1枚めくっていただきまして、こちらのリーフレットにつきましてはこれから各委員の先生方からお示しになられます事項の前提としてご理解いただきたい部分でございます。リーフレット最上部の、医療保健業に従事する皆さまへという形でお示ししてございますけれども、放射線をよく多く取り扱われる医療保健業の皆様に、今後、厚生労働省として周知を図ってまいりたいと考えております。線量測定は適切な方法で実施してくださいということで、電離則第8条3項に定める測定の方法を明示してございますけれども、こちらは実効線量のみならず眼の水晶体の等価線量についても現行法令ではこれらのケースに沿って測定しているものでございます。ケース1均等被ばくの場合、放射線測定器が1個必要です。装着位置としましては男性等の場合は胸部、一定の女性の場合には腹部のいずれか一か所で測定します。ただし、ケース2 不均等被ばくの場合、放射線測定器2個以上が必要です。追加の装着位置としましては、ケース1の装着位置に加えまして体幹部及び末端部のそれぞれについて最も多く放射線にさらされるおそれのある部位に装着することが必要です。医療現場では防護エプロンに覆われていない襟元ですとか、X線透視下で行う手首だとかが該当してまいります。裏手にまいりまして、放射線測定以外の法定事項も守ってくださいということで被ばく低減ですとか、被ばくの限度の遵守、管理区域の設定、線量の測定結果等の取扱いについてリーフレットで周知を図ってまいりたいと考えております。以上です。
○永井座長 はい、ありがとうございました。ただ今のご説明に何かご質問、ご意見等ございませんでしょうか。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。また後程ご発言いただければと思います。本日はまず意見具申に示された新たな眼の水晶体の等価線量限度を超える可能性が高い分野での対応可能性についてご検討いただくことになっております。それでは、業種別の眼の水晶体の等価線量分布について、欅田委員。
○欅田参集者 資料の方、前所属という形で前回年末に出席させていただいた時は国立保健医療科学院に所属しておりましたけれども、1月から大学の方に戻りましたので前所属というような形で書かせていただいております。また、いくつか私の方からの提示資料という形になっていますけれども、現在、研究班の方で代表させていただいておりまして、その結果の報告というふうな位置づけになりますので複数出させていただいているところです。それでは、資料3に基づいて本日の論点ということで、対応を取るにあたって、どういったところが高くなりやすいのかということで、まずは大きく業種別に見た時の資料でございます。めくっていただいて2ページ目をお願いいたします。これから先の資料に関しましては上にマルポチで大きく書かれているところ、これが基本的なまとめという形になってくるところで、その背景というのが下に書かれております。現在、先ほど鍋田さんの方から話がありましたような測定に関しまして、国内では長瀬ランダウエアさん、あるいは千代田テクノルさんが一般事業所等でほとんどのものを測定いただいているのが実態でありますけれども、そのデータに関しては左側の、水色のバックグラウンドで書かれているところのデータがそこから出していただいているデータになります。それから、オレンジのところは、東京電力の福島原発事故の廃炉作業にあたる人たちの分について、右端の緑の部分は放射線影響協会の方でまとめていただいている原子力事業従事者、また、除染作業の人たちの情報になってきます。これで、それぞれの眼の水晶体の等価線量に関して年間20mSv以下あるいはそれから上のグレードとして見ていただいた時にやはり、一般事業所の方に関しましては対策をきっちり取られているところがほとんどということで、現行の年150mSvを超えるようなところがほとんどないですけれども、医療におきましては150mSvを超える人たちが6名いるといった実態。今度改正される方向にある20mSvで見た場合には一般医療におきましては2,221人がこの対象になってくるというふうな状況にあります。どのように測られているかと言いますと、先ほど紹介あったのと同様に通常の胸部、あるいは腹部で測られたもの、また不均等被ばくがある時には防護エプロンの覆われていない襟元で測ったものということで眼鏡とかマスク等の遮蔽効果を考慮していない状態での線量になってきます。その他で高くなってくるところとしてはオレンジで書かれています廃炉作業のところになりまして、年20mSvを超える人たちが315名いるというふうな状態になってきます。ただ、従事者絶対数としましては一般医療がやっぱり36万人強ということで分母が大きいところですので、絶対数としては一般医療のところが多くなってきて、20mSvを超える方が2,221名であり、だいたい0.6%くらい、廃炉作業の方はやはり作業の特殊性がありますので比率として見ると2.26%ということで絶対値は315名ということですけれども、比率は廃炉作業の方が高いというふうな状況にあります。他の作業に比べましてやはりどうしても高い分野となりますと一般医療、また廃炉作業にあたる人たちが高くなってくるというふうな状況、業種別としての状況についてまずご報告させていただきます。以上です。
○永井座長 はい、ありがとうございます。ここまでのところでご質問いかがでしょうか。はい、どうぞ、横山委員。
○横山参集者 追加というか、意見具申の方の内容といたしましても、報告書の中に3章といたしまして、こちらの平成28年度になりますけれども一般医療、それから一般産業、それから1F原子力、除染作業のデータというのが載っておりまして、この中で意見具申の検討会、審議会、検討会の中でも医療それから、一般医療と1Fの廃炉作業者というのが線量の20mSvを超える可能性のある人が多い分野であるというようなまとめ方をさせていただいております。
○永井座長 はい、ありがとうございます。いかがでしょうか。この一般医療の方が防護眼鏡を装着したとしたらどのくらいになるのでしょうか。
○欅田参集者 そのあたりに関しましてはこの後の資料の方でまた追加、ご説明していきたいと思います。
○永井座長 はい。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。この一般医療と東京電力福島第一原子力発電所の廃炉作業では、新たな限度を超える可能性が高いと、まずここをお互いに認識しておきたいと思いますがよろしいでしょうか。それでは東京電力福島第一原子力発電所の廃炉作業における自主的な取組とその取組結果について、渥美委員からご説明をお願いいたします。
○渥美参集者 はい。電気事業連合会原子力部の渥美でございます。資料4に基づきまして東京電力福島第一原子力発電所廃炉作業における自主的な取組と取組結果についてご報告させていただきます。ページをおめくりいただきまして2ページ目でございます。こちらに実質的な取組について簡単に概要をお示ししています。左の方に文章で書いておりますけれども、国内外でいろいろな動向があるということを東京電力の方でも認識しておりまして、福島第一原子力発電所の作業員の安全性の向上のために、法令の改正前から自主的な取組をしております。実際どのような取組をしているのかというのがその下の水色の矢印の下に書かれている、四角に囲まれている部分でございまして、その自主的な管理値といたしまして眼の水晶体の等価線量限度を2018年の4月から年あたり50mSvというふうに設定をしておりまして、来年度の、今度の4月からは5年平均で20mSv/年というところを自主的な目標にしていこうと考えております。実際の管理方法でございますけれども、こちらの右側の水色の四角で囲んであるところでございますが、今までは眼の水晶体の等価線量は胸部または、女性の場合は腹部の位置で測定した値を使用しておりましたけれども、こちらにつきまして眼の水晶体の等価線量が年次で15mSvを超えた場合には、あるいはまた実際にβ線が主体のエリアというのがございまして、いろいろと話題になっている廃液タンクでございますけれども、こちらのストロンチウムの影響がございましてβ線が非常に強いというところで、そういうような作業をする場合には全面マスクの内側に積算線量計を追加して着用しているという状況にございます。実際の着用状況が左下の方にございますけれども、従来の既存の線量計を実際の全面マスクに着用した姿が右側の写真になりますけれども、額の部分というか、眼の上の部分に従来の線量計をくっつけることによって測定しようという取組を進めております。ちなみに右側の下の方に参考として実際どのような形で眼の水晶体の等価線量をもった作業員の数が変化しているかということをお示ししているのが右下ということになります。実際にβ線が主体でございますので、全面マスクをしていると遮蔽効果というのが考えられますというところで、3ページ目にその検証結果をお示ししています。こちらは2018年の4月の検証結果というところでございますけれども、実際に2017年度に眼の水晶体の等価線量が50mSv/年を超えたこちらのタンクの減容とか、保管の作業における取組を実際に検証した結果でございます。左側がAPDによる暫定値というところで、胸で測ったものでございますけれども、こちらは月当たり平均で5.1mSvということで、年平均にしますと60mSvぐらいにあたるということでございますが、全面マスクの内側で測った、遮蔽効果がある程度考えられるようなところで測定した値としては平均で月当たり0.8mSvというところで、こちら年にしますと約10mSvにあたるかなというふうに考えておりまして、全面マスクをつけておりますと遮蔽効果によって線量が70~95%くらい減っているというような実態がございます。下の方に結論を書いてございますけれども、β線主体の作業であれば、2017年度、先ほどお示しした数字でございます、実際に何人もいるような状況でございましたが、2017年度で眼の水晶体の等価線量50mSvを超える作業においても全面マスクの遮蔽効果を考えると2018、2019年ともに、自主管理値をクリアできるのではないかなというふうに考えております。実際に4ページ目になりますけれども、最初のところに書かせていただいておりますけれども、2011年の3月に事故がございましたが、この当時から全面マスクというものは装着した状態で作業をしておりまして、実際の遮蔽効果を考えますと、報告させていただいている眼の水晶体の線量の実態は、遮蔽されていたので報告した値よりも低値であったのではないかというふうに東京電力の方では考えております。2018年度からはこちらが先ほどご説明した管理方法を使ってやっておりましたところを、実際に眼の水晶体の部分で等価線量の測定値というところで50mSvを超えた者は、前年ですと8名いたところが0名というふうになっておりますし、20mSvを超えていた者も144名から4名に減少しているというところで、実際にこういうようなところの取組をして測っていくと、実態としてはこれくらいの数字なのではないかというふうに東京電力の方では考えております。ご報告は以上でございます。
○永井座長 はい、ありがとうございます。それではご質問、ご意見をお願いします。
○横山参集者 よろしいですか。
○永井座長 はい。
○横山参集者 ちょっと追加、補足ですけれども、原子力規制庁の平成29年度、30年度の放射線安全規制研究戦略的推進事業というもので、眼の水晶体の実態調査というのが重点研究となっておりまして、我々の班でも2017年度に、防護マスクの中に線量計を着けていただいて実際に従事者の方の測定をさせていただいて、β線の被ばくをする方々ということになりますけれども。それからファントム実験も併せてさせていただきまして、同じような結果が得られているというところでございます。
○永井座長 はい。いかがでしょうか。これは作業環境とか仕事の内容が変わったということではなくて、シールドマスクの効果であるということでよろしいのでしょうか。
○渥美参集者 そのように考えております。作業は具体的に言えば細かいところ、違うことがあるかと思いますけれども、これだけの人数のデータなので平均すればそのように考えていいと思っております。
○永井座長 いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
○細野参集者 一点だけ。
○永井座長 はい。
○細野参集者 質問させていただきます。細野でございます。このお示しいただいた作業員の線量につきまして、70μmと1cmとを比較されたデータをお持ちでしょうか。
○渥美参集者 これは大きい方の値を使っていると思います。
○佐藤主査(渥美参集者随行者) 東京電力の佐藤と申します。データはありますけれども実際70μmと1cmで比較をして大きい方を配慮しているという形になっております。
○細野参集者 ありがとうございます。今後参考になるかと思いまして。
○永井座長 はい。
○富田参集者 富田です。この作業ではβ線主体ということで、β線でありますとこの防護に関しては遮蔽可能というのは理解できますが、これはγ線の作業に関しても担保しているという考えでよろしいでしょうか。
○渥美参集者 実際測られている値はγ線も併せた形の数字だと思っておりますので、たまたまタンクのエリアだとβ線がもちろん主体ですけれども、当然周囲にはいろんな環境があって、γ線ももちろん存在していて、γ線はもちろん遮蔽効果は少ないのですが、ドミナントなのはβ線だと考えておりましてγ線も含めた上でこの数字になっているというふうに判断しております。
○富田参集者 ありがとうございました。
○横山参集者 すみません。
○永井座長 はい、どうぞ。
○横山参集者 それに追加なのですけれども、先ほど申し上げました安全研究の中では、γ線の高い場という所でも頭に線量計を着けていただきまして、東電の方々も、1Fの方々も実際に着けていらっしゃると思うのですけれども、そこで着けていただいて、ほぼ均等の被ばくを、ただ遮蔽ベスト等を着用する場合がありますので、その時には遮蔽ベストの外でも測定されておりますので、外側の線量で担保できるかなというようなところでございます。
○永井座長 他によろしいでしょうか。そういたしますと、廃炉作業におきましては新たな線量限度への対応は可能であると、その見込みであるということでよろしいでしょうか。
○渥美参集者 はい。そのように考えております。
○永井座長 では、この点ご了解いただければと思います。それでは、医療分野の検討にまいります。医療分野の眼の水晶体の等価線量分布について、欅田委員からご説明お願いいたします。
○欅田参集者 はい。それでは資料5に基づいてご説明させていただきます。先ほど述べましたように高くなる分野が一般医療と廃炉作業ということで、廃炉作業に関しては今ご報告いただいたところで、一般医療の方について見ていきます。一般医療とは言いましてもやっぱり診療科ごとで施術内容は異なってくる、また医療に従事する人たちも医師、あるいは診療放射線技師、看護師と大きく対象となるような人たちでもそういった職種がありますのでそれぞれについてどのような状況かについてまとめてあります。2ページをご覧ください。こちらには循環器内科、消化器内科、消化器外科で下に年20mSv、水晶体の等価線量として超える人たちが、高い割合のところを赤で括っているような状態です。基本的には、対象としましたのは全国17か所の国立病院機構に関連するような病院の方々の、医師としては2,207名の方を対象とした調査結果からのデータになってきます。その場合、循環器内科で20mSvを超える人たちが20~50mSvで15.1%、50mSvを超える人で0.3%ということで、絶対数として従事している人が318人と循環器内科領域が多いわけですけれども、その中で15.4%の人が20mSvを超えているというような状態でありました。消化器内科の方もやはり2,207名の中の300名と、絶対数、割合の高い領域になってきますけれども、その中で11%の方が20mSvを超えるような状態になってくる。その他では消化器外科、放射線診断科、あるいは整形外科といったような領域が比較的高くなってくるというような状況になります。循環器の方はいわゆる心筋梗塞等でカテーテル検査が行われるようなもの、また消化器の方ではERCPといって、内視鏡を使って胆管膵を造影したりするような施術の時が多くなってくるのではないかなというふうに思われます。また、ミエログラフィーとかそういったものでも高くなってくるということで放射線診断、整形外科領域とかのところが高いものが、それと脳神経外科ですね、そういったところが高くなり得るというような状況かと思います。医師について言えば、結論、上にマルで書いてありますけれども今言ったようなところで20mSv/年を超える割合が高いと、中には50mSvを現行では超えている方も若干名いるというような状況でありました。次、3ページを見ていただきますと、今度は看護師において、同様な分野についてどうなのかということを見ていきますと、対象絶対数が同様の病院機関で943名の看護師さんの方のデータとしてまとめられているところですけれども、内視鏡に関しましては対象絶対数が14名の中のデータということで、数は少ないのですけれどもこちらの方々が非常に高い割合になってくるということで50%の人が20mSv/年を超えているというのがこの中では出ているところがありました。また、外来検査の人たちが0.9%超えていると、こちらが423名という非常に大きな対象者ですけれども、内視鏡に携わる看護師においては一定程度が眼の水晶体の等価線量として年間50mSvを超える人がいる可能性があるというような状態です。この人たちに対する対応としてどうなのかということに関しましてはまた後程の資料の方でご紹介させていただきます。引き続き4ページをご覧ください。診療放射線技師の人たちはどうなのかということですけど、技師さんたちはやっぱり非常に放射線というものを詳しく知っておりますし、むしろ管理に携わっている人たちが多くおられるわけでして、そうすると10mSvを超える方々が全然いないというようなことで、技師さんたちの管理は非常に良好な状態になっています。ちなみに技師さんたちの場合は母数が6,413名ということで非常に大きな数値で調査いただいているところですけれども、技師さんの方ではそういうふうな状況になっているということでした。以上、医療分野におきましても診療科ごと、あるいは職種別での大きな区分としては今のような状況でありました。以上です。
○永井座長 はい。ありがとうございます。ご質問いかがでしょうか。
○永井座長 はい。
○山口参集者 17病院がどのような特徴の病院かを教えていただきたいと思います。
○欅田参集者 先ほど言いましたように、各ページの下の方に書いていますけれど、国立病院機構に入っているようなところですので比較的、総合病院として機能しているようなところの人たちに参加いただいているというようなところです。
○山口参集者 国立病院もいろいろあると思うのですが、大規模で都市部にあるような病院というイメージでよろしいのですか。
○欅田参集者 全国に一応分布しているところから参加いただいて全部集計されているというような状況です。
○山口参集者 ありがとうございました。
○永井座長 はい、どうぞ。
○三上参考人 整形外科学会の三上でございますけれども、2ページの表で、一番左のところに均等被ばく管理で整形外科とございまして、不均等被ばく管理のところでもまた整形外科というのが出ているのですけれども、これはいったいどういうことかちょっとお教えいただけるとありがたいのですけれども。
○欅田参集者 基本的に先ほど述べましたように、不均等被ばくしている人たちの分はそれぞれ襟元や、手指の方に線量計を着けて測っていただいているのですけれども、それの分が右側、大半の方は不均等被ばく管理という形でまとめているところです。それを必要としていないで測っていた整形外科の領域が均等被ばくとして左のところに一列にまとめられているところです。具体的にそこがどういう行為になっているかということに関してまでは把握していないところです。
○三上参考人 ちょっとよくわからないのですけれども、均等被ばく管理の整形外科医は着けていないのですか。
○欅田参集者 不均等被ばくが予想される者については複数個着けていますので、一個しか着けていないという人たちが一番左にいる。
○三上参考人 均等被ばく管理は1個しか着けていないのですね。わかりました。
○永井座長 他にいかがでしょうか。今、検査で被ばくするということでしたけれども、実際は治療しているのですね。検査というか造影しながら、血管の詰まったところ、あるいは胆道の詰まったところを広げたり、ステントを丁寧に置くのに時間がかかるわけですね。あとは循環器ですと、不整脈の治療、アブレーションという治療がありますね。これも非常にデリケートな作業をするために被ばく量が多くなるということがありますが。いかがでしょうか。そういたしますと、医療分野におきましては循環器内科、消化器内科、放射線診断科、整形外科、脳神経外科の医師、また、内視鏡、外来に携わる看護師さんが眼の水晶体の被ばく量が高いということだということです。この辺も共通認識でもっておきたいと思います。よろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは新たな被ばく限度への医療分野の対応につきまして、お二方からご説明をいただきます。続けてご説明をいただいた後にまとめて質問をお受けしたいと思います。では最初に、医療分野における放射線防護と被ばく低減効果について富田委員、お願いいたします。
○富田参集者 富田でございます。それではさっそく1枚めくっていただいて、①としまして放射線防護の種類と課題ということで全体を、ちょっとタイトなスライドで申し訳ございませんが、防護の方法というのをいろいろと挙げさせていただきました。上に行けば行くほど優先度というようなイメージではありますが、上の方は放射線防護の3原則、距離、遮蔽、時間というところが大きく関わってくるところです。赤枠のところは特に今回のテーマであります眼の水晶体の防護にはどのような防護方法が想定されるかというところを挙げさせていただいております。防護眼鏡の使用、それから、使用にあたっての制限となり得る課題事項というのが防護の種類の横に簡単に記載してありますので併せて見ていただければと思います。眼鏡の使用、これから眼鏡を使用するとどれくらいの防護効果があるかというのも資料についてお示しいたします。それから防護板、防護エプロン、これは遮蔽というよりは適切な介助者、あるいは術者の立ち位置、防護具の適正な使用ということで、全般的に散乱線の分布を理解して、十分な知識があれば防護が的確に行えるというようなところなので、ここはまさに、現場の医師あるいは看護師、診療放射線技師が共有して対応すれば非常に効果が上がるというふうに考えております。それから、下のところに関しましては、特に今回IVRということで、前の資料でも被ばくが非常に多いということで提示されておりました。実際の撮影手技に関するものに付随するものになります。例えばこの撮影フレームレート、これに関しては撮影する時に1秒間に何曝射するか、これは通常の映画と同じでして、パラパラ漫画と同様に細かくすればするほどきれいに鮮明に、滑らかに見えるのですけれども、これを必要最低限に抑えるようなフレームレートをできるだけ低くするということでX線のトータル線量を防げるというような、技術的な話がその下に列挙されております。それからX線の画像に関しましてはX線を照射する量、多ければ多いほど画質が良くなる方向になります。しかしながらある程度の照射量で飽和します。その飽和するところ、それが我々は適正というところで被ばく線量の低減というよりは適正化というところで、画質と線量の関係から導き出してというところがあります。それから、先ほど説明しました透視ですが、X線透視に関しても低パルスレートを使うと相対的に下がりますし、X線の線質、散乱線の分布の線質も変えるというところもありまして、これには、付加フィルタを使うと。それから、これは主に医師の先生方の手技でありますがX線管をなるべく患者さんから離していただくと散乱線が少なくなる。また、I.I.と書いてありますが、これは検出面というふうに考えていただければと思います。今はフラットパネルディテクタもございますので、この検出面をできるだけ患者さんに近づけていただいた手技が必要と。拡大すればするほど視野が狭まります、これに関してもX線を多く必要とされるような状況になりますので、ここにも適宜ですね、手技に応じて、必要に応じてなるべく拡大撮影は最小限にすると。それから、小さな体に関しては、散乱線、そのグリッドという散乱線除去のフィルタ、これは画質を良くするためのものなのですが、これを取り外してその体型、患者さんの体型に合ったデバイスを使うと。もちろん必要な照射範囲に、照射野といって、これはX線管からX線が出るのも現場では絞りと言いまして、縦横斜めで絞れますのでその範囲ですね、小さくするとか、そのカメラの検出器のサイズを小さくすれば当たる面積が小さくなりますので、それによって散乱線を減らすといったようなことが想定されます。続いてのページですが、今申し上げたとおりですね、診療放射線技師は現在もICRPの勧告に基づきまして、現場において装置の適正化というのはそれぞれのところで行っているのが現状でございます。しかしながら医師あるいは看護師さんも含めて全員がこの被ばく防護に関して現場で知識が共有できているというところに関しては少し疑問のあるところでもありますので、教育訓練も含めて一緒にこの法改正であるところで言うとそこも少し考えていただいた方がいいのかなというところで1枚追加させていただいております。続いて一枚めくっていただいて4ページになります。これはですね、眼の水晶体、DOSIRISという線量測定器があるのですが、これと先ほどご案内があるよう、首の襟元につけると、線量計をつけるということで、この2つの線量計、DOSIRISの場合は3mm線量当量ということで計測していますけど、この2つの測定値がどれくらい違うのかということでファントム実験しております。これは今回の学術大会の発表演題の中の1つですけれども、ガラスバッジに対してDOSIRISが2.2mSvというところで、1.16倍程度、ほぼ同等と考えていいかなというような結果が出ています。この前の検討の、厚労省の検討委員会での資料でも同じような結果が出ているので、妥当性のあるようなところではないかなと思っています。それから頸部にガラスバッジを装着する場合は、これは1cmまたは70μm線量当量ということで、いずれか高い方なので、ここら辺の整合性を見ていただいても頸部、襟元のガラスバッジを見ても完全に一致はしないのですけれども、ある程度整合性があるというふうに考えていいかなと思っております。次のページ、5ページ目を見ていただければと思いますが、こちらは先ほど欅田先生の方からご説明がありましたERCPの手技を想定したファントム実験です。これは測定条件としては、だいたい一般的に病院で使われているオーバーチューブ、オーバーチューブというのは天板の上側、術者の頭の方、上方部から下に向かってX線を照射するというようなタイプであります。この装置でこの散乱線分布を調べてみたところ、この下の散乱線分布図、右左とありますが、介助者、それから術者の位置、高さになるのですが、赤いところが非常に散乱線が多いということでちょうど介助の方の水晶体の部分に非常に多く分布しているのがわかります。従いまして背の低い術者とかいろんなところで寝台の高さを上下するような時、あるいは患者さんに寄り添っている看護師さんの位置によっては非常に高線量になるというのが想定されます。先ほど看護師さん、内視鏡の看護師さんが20mSv/年を超えていたというような報告がありましたが、ここにいるだけでかなり多く散乱線を浴びているのではないかと想定がつきます。そこで防護眼鏡を使いどれくらい遮蔽できるのかというのがその右側の図になります。3つグラフがございまして横軸、一番上の大きな方ですね、横軸が線量になります。放射線の線量。縦軸が散乱線の量というふうに見ていただいて、黄色が防護眼鏡なしでの散乱線量になります。線量が増えれば増えるほど防護眼鏡なしですと直線的に散乱線量が増えていきますが、防護眼鏡をすることによってある程度散乱線量を抑えられているということで、この式からおおよそ求めますと70%程度の遮蔽効果があるというふうに実験結果では出ております。その下、左側が管電圧と言いまして、管電圧というのは被写体が厚いものに関してはX線の管電圧を変えると透過力と考えてもらっていいのですけれども、X線の強度になります。それが強くなれば強くなるほど散乱線というのも多くなります。しかしながら防護眼鏡をするとある程度抑えられるということで、管電圧が高くても、高ければ高いほど効果も大きくなるというふうに考えてもいいと思います。それからこの右側は距離と書いてありますが、これはX線源から、散乱体からの距離というところでいくと、距離が離れれば離れるほど元々の散乱線は減っていくということですが、近いところに関して、50cmのところで防護眼鏡をするとかなりの削減ということになるということが示してあります。続きまして6ページ目です。今度はPCIですが、実際のCアームでバイプレーン、後で説明しますけれども、管球と検出器が2つ、正面方向と側面方向つがいになっているもので撮影し、これもファントム実験をしております。測定条件はいろんな角度、その下に撮影条件と書いてありますが、Front、Late、Front、Lateということで5方向、それからCアーム角度、RAO、LAO、RAO、CAUDAL、CRANIALなどいろいろ書いてありますが、これは後でちょっと説明しますけど、通常の循環器領域の中で診断カテーテル、それから治療をするためアンギュレーションというものがあるのですけれども、代表な角度のものとして入射線量が10Gyになるまで1分ごとにいろんなこのアンギュレーションを変えて測定しています。右側が結果になりますがだいたいアベレージしますと、これも防護眼鏡が70%ぐらい遮蔽できているということで結果がでております。1枚めくっていただきまして、右側がCアームの概略図になっておりまして、側面、寝台に対して頭側に振るとCRANIAL、足側がCAUDAL、右前はRAO、左前に振るとLAOといったような感じでこの2つの管球が、左の下のような形でほぼ直角というか垂直に配置しておりまして正側両方画像が同時に撮れるというような装置が今多く使われておりますのでこれで測定しているということになります。遮蔽率の計算は左の上の図の形の計算の式になります。参考にしていただければと思っております。続きまして、同じく今度はPCIを、循環器領域を想定しました。今度は防護板の遮蔽率というところを、ファントム実験しております。測定条件について、先ほどはバイプレーンという2つつがいのものでしたが、シングルプレーン、これ1つのCアームの形ですけれども、1つのものになります。それのアクリルのファントム、これを散乱体とみまして以下の条件で設定しております。測定点は右の図ですけれども、側面から見たのと上面から見たのと、寝台に対して下から上にX線が出ていましてアクリルが散乱体、これ患者さんと見立てております。線源から50cm、1m、1m50cmということでA、B、C、高さは床面から150cm、おおよその水晶体がある高さで想定しております。測定結果が左のところになっていますが、測定点B、線源は1mくらい離れた術者が立つであろうところに関して41%、それから防護板、測定点Bですね、透視に関しては41.8%、それから撮影に関しては33.3%というような形で結果が出ているのですが、もう1枚おめくりいただけますでしょうか。現状で、防護眼鏡は換算しないで防護板だけを考えた時、これも仮定としまして検査の平均透視時間20分、PCIにおける撮影回数30回かなり多い数字になるかもしれません。ちょっと多めに想定しておりまして、これで計算しますと左の推定、下段ですね、防護板なしと防護板ありになっていますが、だいたい1.5倍くらいの件数がこなせるというようなところで、非常に簡易的な計算値ですが、これぐらいの遮蔽効果があると。プラス防護眼鏡をつけていただければかなりの遮蔽効果が考えられます。次、10ページ目です。防護板の遮蔽の効果ということで撮影室を上から見た図になります。赤の真ん中辺りの中心のところが線源になりますが、この等高線みたいな感じの、色で示してありますが、この線源から近ければ近いほど線量は高い、散乱線の分布は高いというふうに見ていただければいいと思います。一番中心に近いところというのは青ですね、青が1,500μSv/hという数値になっております。この防護板を用いることによって、放射線は防護板を回り込むように散乱すると書いてありますが、これは皆さんちょっと想像していただきたいのですが、放射線は電磁波でありまして光と同じような性質をもってございます。従いまして、暗い部屋に電球が光っていたとして、その電球の手前に、例えば衝立を立てました、その衝立の後ろでもほんのりと明るくなっているのが想像できるかと思います。そういうところで、防護板を立てた後ろに関しては光が遮蔽される。しかしながら光は回り込んでほんのりと明るくなるというようなイメージで、回り込む。しかしながら防護板を使えば、非常にこの散乱線というのは少なくなるというのが実際の結果になります。今回の実験では、線源からちょっと離れたところに防護板が置いていまして、それからA点、B点、C点というところで、防護板を動かさない状態での測定になりますので、実際は、防護板と一緒に術者も動いていただいて、術者を防護板の真後ろで水晶体が入るようなところで、防護板を立てればさらに多くの被ばく低減効果があるのではないかというふうに考えています。今回我々の出した、私の病院で実際に測定した値を出しておりますが、これは大雑把と言いますか、現状ラフな形での防護というところでどれくらい効果があるかというところの参考資料として提示させていただいております。まとめが書いてありますのでご覧いただければと思いますが、特に最適化が必要だというのは言うまでもございませんが、防護板を使用しない場合と使用した場合、等価線量を考えても先ほどお示ししたようにほぼ変わらないというような結果が出ております。それから、被写体からの散乱線はベッドから40~50cmの高さで最大なので、介助者の方の意識づけが非常に必要と思います。眼鏡の遮蔽率はだいたい70%くらいでありました。術者を想定する防護板の遮蔽率は、かなりラフですけれども透視撮影時に42、33%程度の低減がありました。それから、それを使うことによって1.5倍くらいの検査がさらにできるであろうということ、防護板を使用しましても、その散乱線の分布の状態を把握した上で防護に臨むということが非常に重要ということで資料としてつけさせていただいております。以上になります。
○永井座長 はい、ありがとうございました。続いて医療分野における被ばく実態と被ばく低減効果について、欅田委員からご説明お願いいたします。
○欅田参集者 資料7の方をご覧ください。富田委員の方から主にファントムを用いた、ファントムというのは人体を模したマネキンですけれど、それを用いた実験的な評価をいろいろご報告いただきました。実際医療従事者の方々がどんな状況なのかということについて実測したデータを基にしてご紹介していきたいと思います。ただ、なかなかこういった領域、まだ測り始めたばかりですのでそんな分母が大きいようなデータというのはどこも持っていないというような、国内外で見てもないような状態ですので、サンプル数として比較的小さいものもありますけれどもご了承ください。まず2ページですけれども、眼の水晶体の被ばく線量が最近、経年的に見た場合どのような状況なのかということで、これは特定機能病院Aと一般病院B、それぞれ病床数700とか150くらいの規模の病院の従事者の医師、看護師、診療放射線技師の線量分布を見ているわけですけれども、下にグラフがあります。青で示しているのは全員の眼の水晶体の平均値の経年的な変化をとっています。赤で示しているのは被ばく線量を検出した方の分だけをとっています。さらに右側にもう1つ別のグラフを作っていますけれど、これは毎年の中で上位3名になるような線量の高い方のみについてプロットした動向でございます。そうするといずれの指標を見ても経年的に被ばく線量というのが上がってきているというのが見て取れるかと思います。一方で、特定の人におきましては、検出したのみの左側の赤のプロットに対して右側の3名、上位3名の方の平均値というのが、縦軸のスケールで見てもらってわかりますように10倍くらいになる。急激にその数値が上がっているということで、医療技術の革新の中でそういう特殊な技能を持った人たちの中の線量というのがずいぶん高くなってきつつあるというのが見て取れるかと思います。個別のデータに関しましては、右の方の表をご覧いただければ。次、資料の3ページですけれども、特にそういった中で、先ほども出てきていますように、循環器領域の方々の被ばくが高くなり得るわけですけれども、この人たちに関しまして、15名のドクターについて、DOSIRISという眼の水晶体を測るための線量計と、不均等被ばくとして従来のガラスバッジを頸部につけた時、それぞれの線量の比較を行っております。下にグラフを示していますけれども、左右の眼の周辺に着けていただいておりますのでDOSIRIS右側、左側ということで、それぞれスケール、青が右側、左側が赤というような状態で、その右の3本のセットはガラス線量計の方で測って1cm線量当量、70μm線量当量、または大きい方を採用した時の数値という形になっています。そうするとピンクで示しました術者の左側が常に高いような状態になっていますけれど、これは右側に写真が出ています。こういった循環器系の施術をする時には左側に管球、線源がありまして、術者がその右側に立つということで、どうしても左側からの線量が高くなって、左眼の方が高くなってくる。赤で囲ってありますけれども、基本的にはその管球と術者の間には防護板というのを挟んで、線量を抑えるような形で作業が進められるようになっていますけれども、その中でもこのような状態、この方々は今防護眼鏡がない状態でこの防護板だけでの状態ですけれど、そうするとDOSIRISで測った左側が2.3mSv/月といったような形で、年間20mSvを目指すとなると12で割るとだいたい月1.7mSvとなるわけです。それを左眼の方は超える状態になってくるというようなことがわかります。上にまとめを書いてありますけれども、防護眼鏡を用いていない場合には左眼が高くなって年20mSvを超え得る状況が循環器医療領域にはありますよということがこの情報になっております。次、4ページをご覧ください。4ページの方は同様にして、今度はその施術している時の補助されている看護師さんたちの場合はどうなのかということで、看護師さんも同様にして測っていただいているところで、DOSIRISと頸部のガラスバッジを使って測っていただいています。そうすると、左側にグラフがありますけれども、半分左側でのDOSIRIS、あるいはガラスバッジの1cm線量当量、あるいは70μm線量当量が出されていますけれども、それぞれ変わりがない、左と右と変わりがないといったような状態になっています。看護師さんたちは、右の方に施術の写真がありますけれども、青いコートを着た術者の人たちから少し離れたところで、衝立の防護板があってその後ろに控えておられて、必要に応じて近くに入ってくることがあり得るわけです。こういった中で測っている状態におきましては先ほどの年間20mSvに相当する月1.7mSvを超えるような状態ではない、また線源から離れているものですから左側と右側での差異もないといったようなのが看護師さんたちのデータになっているところであります。次、5ページを見ていただいて、看護師さんたちに関してDOSIRISと頸部バッジ、ここの写真でどういうふうに着けているのか示していますけれど、右側にマネキンに包帯のように頭のところに巻いているような形に見えるのがDOSIRISという水晶体の線量計、眼尻のところに線量計がくるような位置になっています。もう1つは襟元のところに線量計を着けていますけれど、これは不均等被ばくの時にこの頸部にこういった線量計、ガラスバッジを着けて測っているというふうな状態になってきます。看護師さんたちでありますと、先ほど言いましたように線源からの距離も離れているものですからDOSIRISと頸部の線量計の値というのはほとんど変わりがないくらいになっているというような状態が下の棒グラフになってきます。次、6ページを見ていただいて、6ページの方は先に示しました循環器の方のIVRの施術する医師の方なのですけれども、その医師の人たちに防護眼鏡をかけて、その防護眼鏡の外側と内側にそれぞれDOSIRISを着けていただいて線量を評価しますというような形になります。そうするとグラフで書いてあるのはX軸が防護眼鏡の内側の値、縦軸が防護眼鏡の外側のデータになります。ですから横軸、X軸の方は防護効果が反映されたような数値になってきますけれども、その結果としましては、遮蔽効果として約60%になってくるというような数値です。先ほどの富田さんの数値よりは若干低いかもしれませんけれども遮蔽率がだいたいそれくらいになってくる。ちなみにここで使われている防護眼鏡は、鉛の厚さとして0.07mm相当といったようなもので、なかなかやっぱりこういう物をつけてくださいとなると重たい、防護率の高い物で重たい物になってくると作業効率が悪いと言った話があるのですけれども、これは42gくらいの軽い物というふうに伺っているところです。そういったものを組み合わせて評価していったときにどうなのかということで7ページになっていきます。測定部位の変更とさらにいろんな防護効果を組み合わせた時の効果ということになってきますけれども、現在多くのところで行われておりますのは襟元だけで不均等被ばくを評価する、エプロンの外側に着けてということで下に棒グラフがあります。一番右側のところで、ネックバッジという形で頸部のバッジだけで線量評価をしているというような状態が今の多くの状態かと思います。真ん中がDOSIRIS、眼の近傍にDOSIRISでの線量を直接測った時、ただしこの時には防護眼鏡をつけていない状態で測った、ノーシールドというような形になっています。さらに防護眼鏡をつけて、その内側での評価というのが一番左になってということで、それぞれ対応をとっていきますと低く抑えられているというふうなことで、頸部での評価というのは術者、線源に近いところであるとどうしても過大評価になってくるのでDOSIRISで測った方が約36%、緑の枠で書いていますけれども測定位置を適正化することによって36%くらい低い数値になってくる。さらにそこから防護眼鏡をつけると半減してくるというような形で襟元の数値に比べるとDOSIRISの内側の被ばく線量では68%くらい抑制された数値になってくるというようなものであります。次、8ページをご覧ください。さきほどは循環器系での施術の話でしたけれども、その他の一例としましてはCT撮影する時にやはりいろいろな病態の患者さんがおられますので、中に一緒に入って介助を必要とするというふうなことがあります。この介助のイメージ図が左側に書いてありますけれども、頭部を手で固定して、頭を揺らすとやっぱり画像がきれいに撮れませんので、頭部を手で固定するといったような場合、あるいは呼吸機能が落ちている時のアンビューといったようなバッグを使って呼吸補助をする、そうするとガントレー、CTの照射装置の、線源のすぐ近くで補助が必要になってくるわけですけれども、そういった人たちに関して、サンプル数50名の方について防護眼鏡の左右、それと防護眼鏡の内側、外側それぞれに蛍光ガラス線量計を着けていただいて評価したデータが右のそれぞれのグラフになってきます。箱ひげ図ということで、箱の中の横棒が見えているところが中央値、小さい方から順番に並べた時の真ん中になってくる数値になりますけれども、その中央値で評価していますが、中央値だとアンビューのバック操作をしている人たちが高くなってくる。それぞれ4つグラフがありますけれども、左側は防護眼鏡のない状態、右側は防護眼鏡をつけた状態になってきます。アンビューの上にごみのように点が見えますけれども、これはアンビュー操作している補助者の中で最大になった人が1回あたり1.51mGyの被ばくがあったというような状態になります。この人たちが眼鏡をつけると右のようなシフトした状態になってきて、縦軸のスケールがマックスで2mGyだったのが0.6mGyということでずいぶん抑制されている状態ですけれども、最大値でもアンビューのバック介助している人たちで0.64mGy/1回あたりの操作というような数値になっています。全体としては線量が約49%抑制されているというふうな数値になっていました。右側に関しても同様な見方になってきますけれども、やはりアンビュー操作されている方が比較的高いことがあり得る状態で、右眼に関しましても防護眼鏡をかけることによって43%くらい抑制されています。全体として、被ばくの低減率としては45%くらいであったというのが上のまとめのところに書いています。次に9ページをご覧ください。さらに線源のところを防護板で遮蔽するような、線源そのものの対応、先ほど富田委員の方からいろいろ照射装置の方の対応をとっていく、最適化を図っていくという事例をご報告いただきましたけれども、そういったものにも関連するところですが、通常であれば内視鏡室でERCP、さっきあったような施術をする時に下の写真のAのような形の器具のもとで操作が行われるわけですね。この上の照射装置を鉛の防護カーテンでくるんでしまって散乱線が広がらないようにしてあげましょうというのがBの写真になってきます。Bの写真で奥の方にモニターがついた機械がありますけれども、これが内視鏡の機械になってくるところで、このベッドのサイドにドクターが立って施術をしながら、また奥の、その内視鏡の機器の隣くらいに看護師さん、補助の人がついたりして操作が行われていくというのが通常のパターンかと思われます。こういったところで実際どの程度の線量になってくるのかということを、1年間にわたって、右側に書いていますけれど、防護カーテンなしというこのAのようなパターン、それと防護カーテンをつけたBのようなパターンで1年間にわたって線量評価が行われております。看護師さん4名の方について、対応した患者さんとしては防護カーテンなしの状態で147例くらいの施術に対して、防護カーテンありの方で144例の施術に対して実施、測定されているものですけれども、その結果いずれの看護師さんたちのデータも線量は下がっていますよというふうなことが見て取れるわけです。41%から最大で77%くらい線量低減があります。77%というのはナースの2番という方、赤で囲ってありますけれど、29.8mSvから7mSvということで77%くらい低減されている。他の人も見ますと41%から77%くらいになる。ドクターの方、ここに数値書いていませんけれど、ドクターの方に関しましては年間で12.9mSvくらいだったのが防護カーテンつけて4.6mSvということで、こちらも64%くらい低減が認められているというふうなことで、こういう線源を防護する対応をとることによっても非常に下げることができますよと。ただ、この防護カーテンが鉛の厚さとして0.125mm相当くらいで6kgくらいあるそうなのです。そういったもので管球を振ったりするとかいうふうな時の対応を含めて最適化したようなものを今後も考えていく必要があるのかなというようなところも出てくるかと思います。10ページですけれども、先ほど技師さんたちのいろいろな働きかけというふうな事例もご報告がありましたけれども、実際その放射線防護の管理をどのように進めていったらいいのかということで、なかなか医療現場におきましては実は線量評価そのものがきちんと、一般業種と比べてされてないところも多いというのが実態でありました。そういったことについて、対象の医師数が6名と少ないですけれどもその6名、診療科で外科、泌尿器科、脊髄・脊椎領域の人たちで64例の症例の方に対応した時にちゃんと保護具をつけたり、いろいろ線量計をつけたり対応をとっていたかというふうなことを聞いているのですが、保護具を使用しなかったという方の、質問して意見を聞くと単純に使用忘れしたというのが青の56%、面倒だからというのが25%、合わせて約80%の人が保護具を着用していない状況になっている。それはやはりきちんと管理、最低限ちゃんと測定するような管理をしていかないといけないよねということで、診療放射線技師が声掛けをするというふうな対応をとっていったところ、きちんと全員が線量計を装着して、保護眼鏡もつけていくようになっていったというようなことで、それの実態が下に、棒グラフに示されています。こういう声掛けするような診療放射線技師の人に関わっていただいて管理をきちんとするような状況でなかった時には、線量計の着用はそもそも37%と非常に低かった状態で、防護眼鏡は全然つけてなかったというようなものがそれぞれ100%対応できるようになったと、数は非常に少ないですけれどもこういった形で具体的に動かしていくということを実施していかないとなかなか医療の場というのは今まで疎かになっていたところがあるのかなというふうに思われるところです。11ページ、最後、まとめになってきますけれども、眼の水晶体の等価線量というのは経年的に増加している、特にそういった中でも特殊な技術をもったような人たち、高い被ばくになり得る人たちというのは全体に比べると10倍くらいの平均線量になってきていて、上昇も早いような状況が見受けられる。循環器疾患に対応するような医師のところにおいては、防護眼鏡を用いていない場合には、管球との位置の関係で左側が高くなってきて、年間20mSvを目指すということになりますけれども、そういった状況において月1.7mSvを超える、線源との間に防護板を用いてもその線量を超え得るところが眼鏡を用いてないとあり得ますよというような数値が示されていたところであります。一方、看護師さんの方に関してましては、循環器領域の看護師さんに関しては、さっきの衝立の後ろでというような形で比較的控えている状態になってくるので距離がありますから、線量超える方がいないし、左右の差というのもないような状態、頸部と眼の近傍の線量もほとんど同等であるというような数値が見て取れたところであります。防護眼鏡を着用するとその内側と外側で防護効果はどうなのかというと、だいたい遮蔽率として約60%であったというふうなところであります。循環器領域の医師について防護眼鏡を用いた測定を行いますと、頸部で測った値に対して被ばく線量率というのは約70%低減された数値として評価されていたというところがあります。CT介助者におきまして、CTの場合は介助ということでいろいろ多様な操作が入ってきたり、管球との位置も微妙にいろいろ変わってきたりするところがありますので、単に低減率という形で見ると数値は少ないですけれども45%くらいであったというところであります。すみません、次のポチはもう1つ上のポチと重なった文章が入っていますのでパスしていただいて、最後ですけれども、診療放射線技師の声掛けといったようなことでみんなが管理していかないといけないよという文化を作っていくということがそもそも求められて、それをきちんとやることによって少人数ですけれども達成できているところもあるというようなデータをお示しさせていただきました。以上であります。
○永井座長 はい、ありがとうございました。それではご質問、ご意見等いただきたいと思います。
○漆原参集者 はい。
○永井座長 どうぞ。
○漆原参集者 ご説明ありがとうございました。資料6と資料7にある防護眼鏡についてですが、お二人の説明の中では遮蔽率が60%と70%という違いがあったかと思います。2016年にこうした放射線の保護具のJIS規格であるJIS T 61331が誕生しておりますが、今回使用された保護具や防護眼鏡については、その基準をクリアした製品を使っているのか確認させてください。また、これは事務局への質問になるのかもしれませんが、仮にこうした防護具を使用するということを決めた後に、JIS規格以上の防護具の使用を求めるようなガイドラインを出すことも可能かについて、もしわかっていればお願いいたします。
○富田参集者 富田です。眼鏡に関してはもちろんクリアしたものを使っております。0.07mmということで、鉛当量のものを使用しています。多分、欅田先生と僕との間で若干その誤差というかですね、数値の違いがありましたのは、これはX線の散乱線を測る上で線源との角度、それから線量計を置く、眼のところへ置くことについても、直線に置くのか、ちょっとずれているだけでも方向依存性というか、設備が若干異なるというのも想定されます。そういう誤差があるのではないかなというふうに思っております。それから、私のところはアンギュレーションもいろいろ変えて、実際の従事者の先生で測定されていますが、我々のところもいろいろな角度で測っておりますので、その辺のアンギュレーションで、線源からの、散乱の分布というのがそれぞれ違うので一様に眼鏡の後ろで測っていても横からとか、そういうところで少し、若干誤差が出たのではないかなというふうに思います。
○欅田参集者 基本的に全く同意見でして、物理的に算数で割り出しできるような数値に全部収まるかというとそういうわけにはいかないで、やはり操作によっていろいろと変わってきますから、その辺の違いで逆に言えばずいぶん似たような数値になっているのかなというぐらいのところだと思います。
○富田参集者 データとしてなんですけれども、着用する方法、あるいは正しく眼鏡を着用して、眼鏡を着用していたら真横から入ってくるものであれば、例えばもう眼鏡の形が、横もこう覆うような形の方が多分良いと思いますから、そういったところでいろんな立ち位置を想定したところで現場で眼鏡の形状、それから顔を向ける方向でも全く水晶体に入る線量が違いますのでそういうところも考慮する必要があるかというふうに思います。
○永井座長 はい、どうぞ。
○松本参集者 いろんな防護をすれば、また防護眼鏡をすればある程度線量が減らせるということは確かにわかりました。それでも、60%くらい遮蔽できるとしても50mSvを超える方が出てくることを考えて、もう1つ、それから、PCIの件数ですけれども非常に多い病院だとやはり500例を超えるような病院も全国に何十箇所も多分あると思います。1人でどのくらいやってらっしゃるか僕はちょっとよくわかりませんけれども、ここに書いてある年に200件を超えるような方というのはどの位いらっしゃるのでしょうか。ちょっとそれをお聞きしたいと思います。
○富田参集者 当院ではローテーションでIVRに従事しているので年間200件を超えるような先生はおりませんが、例えば循環器専門の病院であったり、あるいはIVR専門の先生ですと、200件超える可能性というのは十分あろうかと思います。私のところの、この200件というのも防護板で言うと少し離れたところで測ったり、あるいは撮影する時間ですか、上手な先生というのは手技も非常に早くなりまして、透視の時間も、例えばベテランの先生になればなるほど短くなるというか、そういう傾向もございますので一概に件数だけでこれが達成できるかどうかというのはちょっと難しいところはあります。
○松本参集 そうすると、先ほど表に出ていた手技等をきちんとして、種々の防護も併せてやればこの辺はもうちょっとさらに防護できるだろうということなのでしょうか。
○富田参集者 現場の診療放射線技師からすると三位一体ではないのですけれども、診療放射線の先生もおっしゃっていましたけれど、診療放射線技師主体となって先生と一緒に、例えば防護板の位置をこういうふうに変えてくださいとか、そういったところで協力すれば、実際測定しないとわかりませんけれども、ファントム実験上はある程度いけるのではないかなと考えております。特に防護板の位置に関しては、離れれば離れるほど回り込みがありますし、散乱線はなかなか完全に遮断するのは難しいのですけれど、真後ろにこう構えているとすれば、構えているという言い方はおかしいかもしれませんが、直接散乱線が飛んでくるようなところというのは低くなるので、そういった使い方というのも含めてだと思います。それから、今我々が検討していたのは0.07mmの鉛当量の、欅田先生もおっしゃっておりました、軽いと言われている眼鏡なのですね。循環器の先生、長くプロテクターを着た上で、大汗かきながら手技をするので、できれば軽いもの、それから眉間のあたりに当たる時、汗が付着したりして、そういうのを考えると軽いものが良いということで、実はこれ0.1mmという製品も実際に市販されておりまして、0.1mmの鉛当量、それにするとさらに防護力も上がるので、例えば件数の多い先生に関しては喚起するという方法も、今回は提示しておりませんが補足としてご承知おきいただければと思います。
○永井座長 腕が良くなると検査の時間は短くなるのですけれど、腕が良くなると難しい症例にチャレンジするのですね。何時間もかかるような冠動脈の閉塞病変に挑戦することになり、職業被ばくも増えることになります。この辺のトップランナーについてどう考えるか、あるいは救急救命の時どうするか、また追って議論したいと思いますが。他にご発言いかがでしょうか。
○川越放射線室長補佐 先ほどの漆原委員からのご質問の中で、防護眼鏡に関する規格の話がございましたので、法令上の現状をお答えいたします。電離放射線障害防止規則においては、放射線の外部被ばくの防護のための個人用保護具についてのきまりが、直接は規定にはございません。全体として被ばく限度を定めています。それ以内に収まるようにするということになっております。そういった意味で、そういったものを推奨していくかどうかなどにつきましてはこの検討会の中でご議論があれば参考にさせていただきたいと思います。
○永井座長 よろしいでしょうか。そういたしますと、今のところをまとめますと、防護眼鏡の遮断率、だいたい60%は確保できるだろうと。また防護板の遮蔽率が約40%程度見込めるという話だったかと思います。それから、大事なのは声掛けでしょうか。比較的簡単な方法で被ばく防護の動機づけを促すことができるということだったかと思います。もう1つは医療被ばくの最適化、これは患者さんの被ばくを減らすということが職業被ばくの低減に結び付くということだったかと思います。そういう意味で前回から話が出ております、教育とか研修の問題が非常に重要であるということかと思います。これらにつきましても今後議論をさらに深めたいと思います。よろしいでしょうか。
○横山参集者 よろしいですか。
○永井座長 はい、どうぞ。
○横山参集者 審議会の方での議論においても技師会の方、それから放射線技術学会、それから、委員でありました細野先生のところで、厚労省の研究班で実際に防護眼鏡の研究をされていました赤羽先生、それから今のお話の中にもありました千田先生からご意見を伺う、ヒアリングをさせていただきました。結果として同じようなご意見をいただきました。防護眼鏡をすればいいというものでもないというのも赤羽先生からしっかりと、その教育というか、考えてやってくださいと。先ほどの防護眼鏡の規格というお話にも話が及んだのですけれども、やはりそういうものに関しては規制に定めるというよりはガイドライン等で定めるべきものなのではないかというような議論にもいたりました。以上です。
○永井座長 はい、ありがとうございます。それでは次に、眼の水晶体の等価線量限度を意見具申どおりに見直す際の留意事項について、これも欅田委員からご説明をお願いいたします。
○欅田参集者 はい。まず2ページの方をご覧ください。実際、眼の水晶体の等価線量分布、先ほどのように業種別でお示ししていますけれども、先ほど富田委員の方から紹介しましたように、防護眼鏡をかけてその遮蔽率が約60%というような状態になりますけれども、今までの放射線量計のサービスで測られている部分というのは、基本的に遮蔽効果を考慮していなかった部分の数値になります。それで年50mSvを超える方々が一般医療で369名とかいるということでしたけれども、この人たちで60%遮蔽率があったとしてもまだ年間20mSvを超える可能性になってくるということで、そういう対象者がかなりおられるということになってきます。それで、先ほど議論もありましたようにいろいろ組み合わせて対応をとっていくことが求められることになります。実際問題そういった対応をとっていった場合に、労働安全衛生法では事業者責任としてやっていかないといけない、罰則、ペナルティも入るというところの法律の下で規制されていくわけですけれども、その時に実際、リソースを整えていくのにはどの程度の費用がかかるのか、非常にざっくりしたものですけれども、3ページのところにちょっと算出させていただいております。2ページの方でお示ししました一般医療の中で20mSvを超える方が2,221名といった状態ですけれども、この人たちを全て対象として測定していくとなった時に、実際、測定、あるいは防護眼鏡を着用してもらうとなった時に、防護眼鏡の初期の購入費用としては、現在、代表的なもので平均したら5万円くらいということですのでそれに2,221人掛け合わせると120百万円くらいの初期投資が必要になってくるというような状況になる。また、すでに不均等被ばくで、襟元で測られているようなものもありますけれども、正確に、この超えるようなところの人たちに関しては特に眼の水晶体を直接測っていく、近傍で測っていくということが求められますけれども、そういったような状況になってきますと、月当たりの測定費用が2,000円くらいで1年間、12か月かけて2,221名というふうなことになるとそれで54百万円くらい費用がかかってくる。こういった費用の中でどのように対応を考えていったらいいのかということを今後検討していく必要があるかなというふうに思われるところです。ちなみに20mSvを超える人をということで2,221名を対象集団としましたけれども、今まで諸外国で検討されているものでしたらIAEAのTECDOCなんかの方であれば測定管理対象とするのは年間5mSv以上にしましょうとか言われていますし、現在フランスなんかでは年間15mSv以上を対象としようかといったようなところで段階的な対応を提示、すでにされていたりするところもありますので、そういったことを考慮しながら考えていかないといけないのかなと、そういう議論の基礎資料になるところとして、非常にざっくりとした数値ですけれども提示しているところです。以上です。
○永井座長 はい、ありがとうございました。それではご質問をお願いします。いかがでしょうか。よろしければ学会から参考人としておいでの先生方、何かご意見ありましたらご発言をお願いいたします。いかがでしょうか。はい、どうぞ。
○天野講師(池田参考人代理) 日本循環器学会の方から来ていますけれど、先ほどご意見があったように、やはりちゃんと測定器を着けていないとかですね、眼鏡を装着していなかったりというところもあるのでその辺とか、放射線機器のフレームレートとかいろいろ変えることでだいぶ防護はできると思います。その辺も現場で意識してやっていきたいと思っています。
○永井座長 はい、どうぞ。
○持田参考人 日本消化器病学会です。IVR関係では防御を行っているようですが、内視鏡関連では防御するといった意識が高くないようです。防護眼鏡のない病院が多く、自分で購入している医師もいるのが実態のようです。内視鏡室でも防御態勢をとることに関して、学会からも啓発していかなければいけないと考えています。
○三上参考人 よろしいでしょうか。日本整形外科学会でございますけれども、最後に出ました費用の件なのですが、この法律が施行されてですね、一気に規制がかかると要するに眼鏡を購入したり、測定費用ですね、これが病院なりどこかに一気に負荷がかかるということになりますので、皆さんご承知の通り、かなり病院、今般厳しい財政状況にあります。ですからそこの中の配慮をいただけると非常にありがたいなというのがおそらく医師、病院側の立場でございます。
○永井座長 いかがでしょうか。
○赤羽参考人 よろしいでしょうか。
○永井座長 はい、どうぞ。
○赤羽参考人 医療被ばく研究情報ネットワーク、J-RIMEから来ております赤羽と申します。これらのデータは非常に、今後の水晶体の防護を考える上で重要なデータだと思います。非常に多くのデータがまとめられていて、概要は示されていると思いますが、100%含まれていない部分があるかと思います。例えば、含まれていないごく一部の方々で高い線量の被ばくをしている術者がいることも考えられますので、そういったところはどのように捉えていったらいいかというのが1つあるかと思います。もう1つは実際に線量を評価する場合、現在世界的に見ても、まだこういうふうにすればきちんと線量が測れるというスタンダードがきちんと確立されていない状況かと思います。様々な線量計が開発されて、いろいろ試行錯誤されている状況の中、どのような測定法が国内においては適しているかということを考えていくことも必要かと思います。これは実際の現場だけではなくて、線量計測定サービスをするメーカーも含めていろいろ考えていく必要がある問題かと思います。
○細野参集者 今、赤羽先生からのご意見もありましたけれども、どう対応していくかということで、今回の資料で経費を一部推計していただきました。非常に大事な推計だと思います。いろんなことを対応していこうと思いますと、おそらくかなり大きな費用がかかるというのも現実だと思いまして、例えばですね、防護眼鏡ですとか、防護板をどう使うかというのを各医療施設でご検討される時に、細かな線量測定ですとか、ノウハウの蓄積というのが必要になってくると思いますし、また、非常に大きなことを申しますと、そもそもX線透視の機械1台ですね、これ、やはり古い機械だとどうしても線量が大きくなっているというのは、これもう如何ともしがたい事実でございまして、最新の機械ですと、例えばフレームレート、先ほどからお話されたように、調整できましたりとか、実際の出てきた画像をデジタル加工して非常に鮮明にしたりとかという線量低減のメカニズムが搭載されておりまして、これはよろしいのですけども、古い機械だとそういうものはないということは、どうしても線量が高くなる。ということはですね、装置自体変えなきゃいけないみたいなそんな話が出てくる可能性がございますよね。ということで、かなり大きなプロジェクトになるということはやはり認識して進めなければいけないと。ただこういうのは金銭だけの問題ではなくて、目標点に到達するためにやはりコンセンサスを積み上げて、やはり皆さんが納得した上で進めれば、非常に円滑に、また科学的データに基づいて進められるのではないかと思います。そしてまた費用につきまして許容されるのではないかと思いますので、やはり規制以外のいろんなことも包括的にパッケージとして考えながら進めていくのも、今日、今までの議論の中で明らかになったことではないかと思う次第です。以上でございます。
○欅田参集者 いいですか。
○永井座長 はい。
○欅田参集者 今お話しいただいたことにも関連します。先ほど永井座長の方からもお話しありましたけれども、術者の防護というだけでなくて、やはり日本の場合医療被ばくが非常に諸外国に比べて高いわけですけれども、そういったノウハウを蓄積していくということの中で、やはり患者さんの方の線量を低減していって、トータルとして医療の質を上げていくという面でもやはりこういった議論が必要で、質の高いものを作っていく必要があるのかなというふうに思います。
○永井座長 医療被ばくの問題は昔、私も苦労しました。10年ほど前に循環器学会でマニュアル的なガイドラインを作りました。そこに、考え方からいろんな物理的なことまで含めて、基本をできるだけ絵でわかるように書いています。少し内容が古くなった面もありますけれども、是非多くの学会で参考にしていただき、それぞれの学会に適した医療被ばく低減のための装置の扱い方であるとか、検査の仕方を徹底して工夫するとともに、教育、研修しないといけないと思うのですね。その上で今度は、進歩した部分について、トップランナーたちの職業被ばくをどうコントロールするかという問題に向かっていただきたいと思います。例えば、事業管理者だけでは把握できない被ばくもあるわけです。有名な術者は外国にも行って引っ張りだこです。スターのような術者もいるわけです。そうした医師の職業被ばくの管理を今後どうするかという議論もしていく必要があろうかと思います。しかしまず、基本的な機器の扱い方、放射線装置の扱い方、技術、いろいろとできることがあるのではないかと思います。急激に進歩した領域ですと、そうしたガイドラインとかマニュアルが追いついていないのではと思います。そのあたりも是非、各学会でお考えいただければと思いますが。
○椎葉安全衛生部長 先生。
○永井座長 どうぞ。
○稲木医政局地域医療計画課長補佐 医政局地域医療計画課でございます。先ほどから話題に上っております医療被ばくにつきましては、別途、こちらの地域医療計画課の方で行っております医療放射線適正管理の検討会というものの中で、医療被ばくの適正化に関しましては議論が進んで、一昨年来進んでいるところでございまして、それの検討会の議論を踏まえまして、医療被ばくに関しましてはその適正管理を、安全管理、医療安全という観点から省令事項として定めるということを決めておりまして、現在パブリックコメント中でございます。その中で、医療法の中で、医療被ばくの方については医療安全の観点から議論すべきということで入れておりますので、また別途、職業被ばくの部分についてはこの検討会の場で、研修の在り方等含めてご議論いただければと思います。こちらとしましては医療被ばくの適正化の部分と職業被ばくの適正化の部分についてはバッティングしないというふうに認識しておりますので、職業被ばくにつきましてはこの検討会の場で改めて議論していただければというふうに医政局としては考えております。
○永井座長 いかがでしょうか。はい、富田委員。
○富田参集者 我々診療放射線技師は、現場で働くにおいて放射線の勉強をずっとしてきました。ですから防護の仕方、それから取扱い方、もちろん装置の特性も十分理解しておりますので、是非現場で、ご相談いただけるような形を作っていただければ、我々の実力がさらに現場の患者さんにも、医療従事者にとっても非常に良い方向に行くのではないかなというふうに思っております。普通の診療放射線技師さんとか、できる診療放射線技師さんとか全然違いはありませんので、皆さん一様にある一定のレベル以上の知識、それから放射線に対する取扱い方は承知しておりますので、そういうところでうまく利用するというか、協力していただければ被ばく、術者被ばくをどういうふうに考えるかというところは非常に力を発揮できるかなと思います。
○永井座長 いかがでしょうか。はい、どうぞ。
○吉住原子力規制庁放射線防護企画課企画官 原子力規制庁放射線防護企画課でございます。先ほどガイドラインの重要性について言及いただきましたけれども、放射線審議会が出しております意見具申の中でもガイドラインによる利用者の支援については触れられておりまして、また関係行政機関も関係学会等におけるガイドライン等の策定及び防護策の検討について支援することを期待するというふうにされていることを受けまして、現在、当課で事務局をしております放射線安全規制研究戦略的推進事業の中で、来年度の重点テーマとしてこうした放射線防護に関するガイドラインを関連学会と連携して作っていただくというような研究を今、公募をちょうどしているところでございます。これが採択されましたら、来年度に関連学会と協力してガイドラインを作成していきたいと考えておりますので、それを是非、各学会等を通じて現場で使っていただければというふうに思っております。
○永井座長 実際、循環器学会でガイドラインを作ってから、循環器領域での医療被ばくというのは減ったように思います。一定の効果はあると思います。いかがでしょうか。そうしますと、この医療分野における新たな被ばく限度に対する対応は一定程度というか、全部とは申しませんが、ある程度は可能であるということ、それを今後、この見直しを受け入れ可能であるというとりまとめと言いますか、認識にしたいと思います。ただ、いろいろな問題があります。医療が高度化した時に救命措置の被ばくのこともありますし、難しい技術に挑戦すれば合併症も起こります。合併症が起こった時に被ばく量の限度があるから対応しないというわけにはいかないわけです。そうしたいろいろな状況の中でどういうふうに対応すべきか、特に高度医療、合併症、救命、こうしたところはさらに今後検討したいと思います。委員の皆様もお気づきのところがありましたら是非、事務局にお寄せいただきたいと思います。いかがでしょうか。何かお気づきの点で、この際問題提起をしておきたいことがおありでしたらご発言をお願いしたいと思います。事務局からも何かこういう点についてどうかというご提案がありましたらご発言いただきたいと思いますが。あるいは各学会の参考人の委員の先生方、よろしいでしょうか。そういたしますと、本日いくつか重要なご指摘をいただきましたので、続きの議論につきましてはこの次回以降の会合で行いたいと思います。では事務局から予定等についてご説明をお願いいたします。
○川越放射線室長補佐 次回の予定でございますが、第3回、また事務局から調整をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。また本日の議事録につきましては、各委員の方々にご確認をいただいた上で公開をいたしますのでご承知おき願います。以上です。
○永井座長 はい、ありがとうございました。それでは本日の検討会、これで終了いたします。どうもありがとうございました。