2018年12月14日 第150回労働政策審議会労働条件分科会 議事録

労働基準局労働条件政策課

日時

平成30年12月14日(金) 14:00~16:00

場所

AP新橋 Dルーム

出席者

【公益代表委員】
    荒木委員、川田委員、水島委員、守島委員、両角委員
【労働者代表委員】
    川野委員、柴田委員、中川委員、八野委員、村上委員、弥久末委員、世永委員
【使用者代表委員】
    秋田委員、早乙女委員、佐久間委員、佐藤委員、杉山委員、松永委員、輪島委員
【事務局】
    坂口労働基準局長、田中審議官、富田総務課長、黒澤労働条件政策課長、石垣監督課長、久知良計画課長
    中嶋調査官、竹野企画官

議題

(1)「労働基準法施行規則及び労働安全衛生規則の一部を改正する省令案要綱」等について(諮問)
(2)その他

議事

 

○荒木会長 それでは、定刻前ですが、出席予定の委員はおそろいですので、ただいまより、第150回「労働政策審議会労働条件分科会」を開催いたします。
本日の委員の出欠状況ですが、御欠席の委員としまして、公益代表の安藤至大委員、黒田祥子委員、平野光俊委員、労働者代表の櫻田あすか委員、使用者代表の齋藤貴久委員と承っております。
議題に入る前に、事務局より定足数について報告をお願いします。
○労働条件政策課企画官 定足数について御報告いたします。労働政策審議会令第9条により、委員全体の3分の2以上の出席、または公労使各側委員の3分の1以上の出席が必要とされておりますが、定足数は満たされておりますことを御報告申し上げます。
○荒木会長 それでは、カメラ撮りはここまででお願いします。
本日の議題に入りたいと思います。本日の議題は「『労働基準法施行規則及び労働安全衛生規則の一部を改正する省令案要綱』等について(諮問)」です。
これまでの議論を踏まえて、厚生労働大臣から省令案要綱等が諮問されております。内容について、事務局から説明をお願いします。
○労働条件政策課企画官 事務局でございます。
本日は、資料を2種類御用意してございます。資料No.1「労働基準法施行規則及び安全衛生規則の一部を改正する省令案要綱」、それから、資料No.2といたしまして、「労働基準法第41条の2第1項の規定により同項第1号の業務に従事する労働者の適正な労働条件の確保を図るための指針案」でございます。これらにつきましては、分科会でこれまでにいただきました御意見を踏まえて事務局において省令案要綱、それから指針案という形で作成させていただき、本日づけで労働政策審議会宛て諮問をさせていただくというものでございます。
それから、恐縮ですが、参考資料No.1~No.3についても、簡単に補足を申し上げたいと思います。参考資料No.~No.3につきましては、これは、前回11月14日の労働条件分科会の配付資料No.1~No.3につきまして、本日諮問させていただきました案の内容に合わせて赤字で修正をしたものでございます。このうち、参考資料No.1、No.2、青と緑とございますけれども、これらに示しております内容につきましては、全て省令案の要綱、それから、指針案のほうにより詳細な形で盛り込まれているということでございますので、この参考資料No.1と参考資料No.2につきましては、いわば概要資料ということで、前回からの修正点を大まかに把握するための参考として、適宜、御参照いただければというようなことでございます。
それから、参考資料No.3につきましては、これは、前回お示しした指針案のイメージに見え消しで修正をしたものでございます。これを溶け込みの形にいたしましたのが、本体資料のNo.2、指針案として諮問させていただいたものになるということでございます。
したがいまして、本日は、省令案要綱につきましては、本体資料No.1に沿って御説明を申し上げます。それから、指針案につきましては、前回からの変更点を中心に、参考資料No.3を使って御説明を申し上げたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは、省令案の要綱について御説明を申し上げます。資料No.1を御参照いただければと思います。要綱の中身につきましては、2枚おめくりいただきまして、縦書きの一頁と書いてある部分からでございますので、こちらで御説明を申し上げます。
「労働基準法施行規則及び労働安全衛生規則の一部を改正する省令案要綱」ということで、まず第一として、「労働基準法施行規則の一部改正」でございます。
一、労使委員会の「決議の届出」でございますけれども、この届出につきましては、様式によりまして、所轄労働基準監督署長にしなければならないとしてございます。
それから、二、本人同意の取得の方法でございますけれども、次に掲げる事項を明らかにした書面に労働者の署名を受け、当該書面の交付を受ける方法。括弧書きといたしまして「(当該労働者が希望した場合にあっては、当該書面に記載すべき事項を記録した電磁的記録の提供を受ける方法)」とすることとしてございます。この括弧書きにつきましては、署名した書面をPDFで読み込むというような御議論がございましたので、これを表したものでございます。
明らかにする事項として、(一)~(三)までございます。まず(一)労働者が新労基法第四十一条の二第一項の同意をした場合には、同項の規定が適用されることとなる旨。これは高度プロフェッショナル制度が適用される旨ということでございます。それから、二頁に行っていただきまして、(二)同意の対象となる期間、それから、(三)同意の対象となる期間中に支払われると見込まれる賃金の額、これらの明示をするということでございます。
それから、三「対象業務」でございます。対象業務につきましては、次に掲げる業務ということで、括弧書きで、「(当該業務に従事する時間に関し使用者から具体的な指示を受けて行うものを除く)」ということで、この使用者からの具体的な指示といたしまして、さらに、括弧書きで説明を加えておりますけれども、「(業務量に比して著しく短い期限の設定その他の実質的に当該業務に従事する時間に関する指示と認められるものを含む。)」と、こういったような指示を受けて行うものは対象外であるということを、まず省令の柱書きに書くということでございます。
それから、限定列挙をする業務につきましては、(一)~(五)まで5つ記載をしてございます。まず(一)金融工学等の知識を用いて行う金融商品の開発の業務。それから、(二)は、これまでディーリングの業務という形で御議論をいただいてきたものでございますが、書き下してございます。資産運用(指図を含む。)の業務または有価証券の売買その他の取引の業務のうち、投資判断に基づく資産運用の業務、投資判断に基づく資産運用として行う有価証券の売買その他の取引の業務または投資判断に基づき自己の計算において行う有価証券の売買その他の取引の業務ということで、いわゆるファンドマネジャー、トレーダー、ディーラーという形でお示しをしておりましたけれども、これがここの(二)ということになります。それから、(三)アナリストの業務でございますけれども、有価証券市場における相場等の動向または有価証券の価値等の分析、評価またはこれに基づく投資に関する助言の業務ということでございます。
三頁をお願いいたします。
(四)コンサルタントの業務でございます。顧客の事業の運営に関する重要な事項についての調査または分析及びこれに基づく当該事項に関する考案または助言の業務ということでございます。それから、(五)新たな技術、商品または役務の研究開発の業務ということで、これは、従前、研究開発に係る業務という形でお示しをしておりましたけれども、より直接的な表現ということで、研究開発の業務と記載をしてございます。
それから、四、職務の合意の方法。これは対象労働者の要件になりますけれども、職務の合意の方法でございます。その方法につきましては、使用者が、次に掲げる事項を明らかにした書面に労働者の署名を受け、当該書面の交付を受ける方法。括弧書きは、先ほどと同様に、「(当該労働者が希望した場合にあっては、当該書面に記載すべき事項を記録した電磁的記録の提供を受ける方法)」ということで、読み込んでPDFというようなことでございます。明らかにする事項といたしましては3つございまして。(一)で業務の内容、(二)で責任の程度、(三)は、これまで「求められる水準」と簡潔に記載しておりましたけれども、「職務において求められる成果その他の職務を遂行するに当たって求められる水準」というふうに、少し書き下してございます。
それから、五「年収要件」でございます。まず1。基準年間平均給与額でございますけれども、厚生労働省において作成する毎月勤労統計における毎月決まって支給する給与の額の1月分から12月分までの各月分の合計額とするということでございます。それから、2、年収要件の水準でございますけれども、厚生労働省令で定める額は、1075万円とすることとしてございます。
それから、六「健康管理時間」でございます。まず1。これは労使委員会の決議によりまして、健康管理時間から除くことができる時間でございますけれども、その厚生労働省令で定める労働時間以外の時間は、休憩時間その他対象労働者が労働していない時間とするとしてございます。
それから、2。健康管理時間の把握の方法でございます。この方法につきましては、タイムカードによる記録、パーソナルコンピュータ等の電子計算機の使用時間の記録等の客観的な方法とすること。ただし、事業場外において労働した場合であって、やむを得ない理由があるときは自己申告によることができるとしてございます。
それから、七「選択的措置」でございます。これは4つの措置のうちから1つ選択をするというものでございます。まず1、新労基法第四十一条の二第一項第五号イ。これはインターバルと深夜業の回数の制限ということでございますけれども、インターバルの時間数につきましては11時間以上とする。それから、2ですけれども、深夜業の回数につきましては、1カ月に4回以内とするということでございます。それから、3、これは健康管理時間数の上限を定めるものでございますけれども、その時間数につきましては、1週間当たりの健康管理時間が40時間を超えた場合における、その超えた時間について、1カ月当たり100時間、それから、3カ月当たり240時間とするというようなことでございます。
それから、4は健康診断の要件の部分でございます。健康診断の要件につきましては、1週間当たりの健康管理時間が40時間を超えた場合におけるその超えた時間が1カ月当たり80時間を超えたことまたは対象労働者からの申出があったこととしてございます。
それから、5、健康診断の項目でございます。労働安全衛生法に基づく定期健康診断の項目であって、脳・心臓疾患との関連が認められるもの及び当該対象労働者の勤務の状況、疲労の蓄積の状況その他心身の状況の確認とするとしてございます。
八「健康管理時間の状況に応じた健康及び福祉を確保するための措置」ということで、法律の第四十一条の二第一項第六号に基づき、決議で定める健康福祉確保措置ということでございます。これは、メニューをここに記載しておりまして、この中から選択をするというようなことでございます。
(一)につきましては、五号の4つの選択的措置のうち、同号の規定により使用者が講ずるものとして同項の決議をした措置以外のものということで、五号で決議をした措置以外に3つ残りますけれども、そのうちのどれかということでございます。
それから、(二)~(六)までにつきましては、企画裁量の指針のメニューを参考に書いてございます。(二)は医師による面接指導、(三)は代償休日または特別な休暇の付与、(四)は相談窓口の設置、(五)は適切な部署への配置転換、(六)は保健指導ということで、こうした(一)~(六)までのメニューの中から選んでいただくというようなことでございます。
それから、九「その他の決議事項」でございます。
(一)につきましては、決議の有効期間の定め及び当該決議は再度同項の決議をしない限り更新されない旨ということでありまして、これは自動更新しないというようなことをこれまで御議論いただいておりましたけれども、その自動更新しないということをこの「再度同項の決議をしない限り更新されない」という表現をしてございます。
それから、(二)委員会の開催頻度及び開催時期。
それから、七頁に行っていただきまして、(三)常時50人未満の労働者を使用する事業場である場合には、労働者の健康管理等を行うのに必要な知識を有する医師を選任すること。
それから、(四)は記録の保存の部分でございます。イ~チまでに掲げる事項に関する労働者ごとの記録、それから、リに掲げる事項に関する記録を、決議の有効期間中、それから、決議の有効期間の満了も3年間保存することということで、イ~チまでにつきましては、同意・その撤回、職務の内容、賃金の額、健康管理時間の状況といったように、決議で定める事項を列挙してございます。それから、リに掲げる事項については、小規模事業所での医師の選任の記録というようなことでございます。
それから、八頁をお願いいたします。
十の「報告」の部分でございます。これは実施状況の定期報告ということでございます。これにつきましては、決議が行われた日から起算して6カ月以内ごとに、様式により、所轄労働基準監督署長にしなければならないということでございます。
それから、2につきましては、報告の内容でございますけれども、健康管理時間の状況、休日確保措置の実施状況、選択的措置として講じた措置の実施状況及び健康・福祉確保措置として講じた措置の実施状況について行うとしてございます。
それから、十一「労使委員会」でございます。労使委員会の要件等につきましては、労働基準法第三十八条の四第一項。これは企画業務型裁量労働制の労使委員会の規定でございますけれども、その委員会の要件等に準じて定めることとしてございます。
九頁をお願いいたします。
第二といたしまして、「労働安全衛生規則の一部改正」でございます。
まず一、労働安全衛生法第六十六条の八の四第一項に規定する面接指導。これは高度プロフェッショナル制度に係る面接指導でございますけれども、それに係る事項について、産業医の職務及び産業医に対し情報提供する事項として追加をするということでございます。
それから、二は面接指導の要件でございますけれども、1週間当たりの健康管理時間が40時間を超えた場合におけるその超えた時間について、一月当たり100時間とする。
それから、三の面接指導の実施方法等につきましては、新安衛法第六十六条の八の二第一項に規定する面接指導。これは研究開発業務に係る面接指導でございますけれども、その実施方法等に準じて定めるということでございます。
それから、四は努力義務の部分でございますけれども、面接指導の義務の対象となる労働者以外の労働者から申出があった場合には、当該面接指導を行うよう努めなければならないとするものでございます。
第三「その他」といたしまして、施行期日。この省令は、平成31年4月1日から施行する。それから、最後、その他所要の規定の整備を行うとしてございます。
省令案の要綱につきましての説明は以上でございます。
引き続きまして、指針案について御説明を申し上げたいと思います。参考資料No.3、見え消し版の横書きのものをお開きいただきますようお願いいたします。先ほど申し上げましたとおり、11月14日に配付をいたしました資料の見え消し版でございまして、これの溶け込み版が本日諮問させていただいているものになります。こちらに沿って、前回からの変更点を中心に御説明を申し上げたいと思います。
まず、第1の「趣旨」でございます。ここは高プロの対象業務に従事する労働者の適正な労働条件の確保を図るため、使用者・労働者・労使委員会の委員が留意すべき事項等を定めるということが書いてございますけれども、2パラに一文を追加をしてございまして、
「法第41条の2第1項の決議をする委員は、当該決議の内容がこの指針に適合したものとなるようにしなければならない」ということで、この指針の性格を明確にしてございます。
それから、第2「本人同意」の部分でございます。ここにつきましては、1にありますとおり、「本人同意を得るに当たっての時期、方法等の手続きをあらかじめ具体的に明らかにすることが適当」といったことが書いてございますけれども、この「適当であることに留意することが必要である」というような言い回しを全体的にしておりますが、簡潔に「適当である」と、言い切るような形に修正をしてございます。
同様の修正は、以下全体的に行っておりますので、逐一の説明は省略をさせていただきたいと思います。
それから、第2の2でございます。「本人同意を得るに当たって、使用者は、労働者本人にあらかじめ次に掲げる事項を書面で明示することが適当である」ということで、ここで「書面で」ということの明確化を改めてしてございます。
同じく、2の(4)の部分でございます。明示する事項として「本人同意をしなかった場合の配置及び処遇」が列挙されておりますけれども、これに加えまして、「本人同意をしなかったことに対する不利益取扱いは行ってはならないものである」ということを明確化いたしまして、こうしたことを明示して、本人同意を取得していただきたいということにしてございます。
それから、同じページの3でございます。ここは本人同意の対象となる期間につきまして、長くとも1年間とし、当該期間が終了するごとに、必要に応じ適用される評価制度、それから、これに対応する賃金制度等について見直しを行った上で、改めて本人同意を得ることが適当であるということを記載してございます。
その後に、一文を追加しておりまして、「なお、これらの見直しを行う場合には、使用者は、労使委員会に対し事前にその内容について説明することが適当である」としてございます。要は、本人と使用者の間だけではなくて、労使委員会に対してもしっかり情報提供をせよというようなことで記載をしてございます。
それから、5番でございますが、高プロの対象とすることで、賃金の額が、対象となる前の賃金の額から減ることにならないようにすることが必要ということで、ここは「留意」という言葉を消して、表現を強めているという修正を行っております。
続きまして、「第3 労使委員会が決議する法第41条の2第1項各号に掲げる事項」ということで、ここから第1号から第10号までの決議事項についての留意事項等が記載されている部分でございます。
まず、1の(1)のイの(イ)は、「当該業務に従事する時間に関し使用者から具体的な指示を受けて行うものではない」というところの説明が書いてございますけれども、下に、「また、」書き以降を追加をしてございます。「また、実質的に業務に従事する時間に関する指示と認められる指示についても、『具体的な指示』に含まれるものである」ということでございまして、これは、前回、例えば「黙示の指示」みたいなものがあるのではないかといったような御指摘がございまして、そういったものでも、実質的に業務に従事する時間に関する指示と認められるものであれば、ここで言うところの「具体的な指示」に含まれるということを明確化しているものでございます。
それから、3ページに行っていただきまして、(ロ)は、限定列挙する5業務についての説明が記載されているものでございます。恐縮ですが、前回は、ここの対象業務の部分を指針案イメージには反映をしておりませんので、真っ赤になっておりますけれども、基本的には、本日お配りしている参考資料No.2、緑色のものがございますけれども、ここに記載をされている内容が落とし込まれているということで御理解をいただければと思います。主に、変更点を中心に御説明をさせていただきます。3ページにつきましては、従前、御議論いただいた内容でございます。
4ページに行っていただきまして、中ほど、5「新たな技術、商品または役務の研究開発の業務」の部分でございます。「新たな技術の研究開発、新たな技術を導入して行う管理方法の構築、新素材や新型モデル・サービスの研究開発等の業務をいい」という、この前半部分につきましては、これまで御議論いただいた内容でございますけれども、その後に少し書き加えてございまして、「専門的、科学的な知識、技術を有する者によって、新たな知見を得ることまたは技術的改善を通じて新たな価値を生み出すことを目的として行われるものをいう」ということで、研究開発業務の性格を記載してございます。
それから、その下、(2)「留意事項」のイをハに修正している部分でございます。これは、(2)のイを(1)のハに修正をしているということでございます。書いてある内容といたしましては、対象業務に該当しない業務を労使委員会において対象業務として決議をしたとしても、高度プロフェッショナル制度の効果は生じないとしている部分でございますけれども、これは、解釈としての事項でございますので、留意事項ではなくて、具体的に明らかにする事項ということで、(2)から(1)に、場所を整理し直しているというような修正でございます。
それから、5ページをお願いいたします。対象業務の(2)の「留意事項」として、ロの部分で、対象業務となり得る業務の例、それから、対象業務となり得ない業務の例を列挙をしている部分でございます。これも、基本的には、本日お配りしている参考資料No.2の今まで御議論いただいた内容を落とし込んでいるものでございますけれども、一部追加・修正等を行っておりますので、そこを御説明申し上げます。
まず、(イ)金融商品の開発の業務の2「対象業務となり得ない業務の例」の3ポツでございます。「商品名の変更や既存の商品の組合せのみをもって行う金融商品の開発の業務」ということで、これは、従前、「商品名の変更のみをもって行う金融商品の開発業務」だけが書いてございましたけれども、ここでは、「既存の商品の組合せ」も追加をしてございます。
それから、6ページに行っていただきまして、ディーリング業務の2「対象業務となり得ない業務の例」の2ポツ目でございます。「ファンドマネジャー、トレーダー、ディーラーの指示を受けて行う業務」としてございますけれども、ここは、従前、「ファンドマネジャー、トレーダー、ディーラーの補助の業務」というような書き方をしておりましたけれども、少しわかりにくいのではないかということもございますので、「指示を受けて行う業務」に修正をしてございます。
それから、その4つ下、「使用者から指示された取引額・取引量を処理するためには取引を継続し続けなければならない業務」ということで、ここも、従前、「取引量」のほうだけ書いてございましたけれども、「取引額」についても同様だろうということで、記載をしてございます。
それから、その下、「金融以外の事業を営む会社における自社資産の管理、運用の業務」ということで、金融以外のメーカー等におきましても、自社資産の管理の業務はございますけれども、そういったものはここで言うところのディーリング業務には該当しないのだということで、記載をしてございます。
それから、(ハ)アナリストの業務でございます。1「対象業務となり得る業務の例」ということで、これは、従前の資料には、アナリストの対象となり得る業務の例を記載をしてございませんでしたので、ここで追記をしてございます。「特定の業界の中長期的な企業価値予測について調査分析を行い、その結果に基づき、推奨銘柄について投資判断に資するレポートを作成する業務」ということでございます。
それから、(ニ)コンサルタントの業務でございます。2の「対象業務となり得ない業務の例」の一番下でございます。「サプライヤーが代理店に対して行う助言または指導の業務」ということでございます。これは、前回の分科会で、保険会社の営業担当者が代理店に対して業務改革案を示すというようなことはどうなのかといったような御議論がございましたので、そういったものは対象業務とはなり得ないものとして、ここで、「サプライヤーが代理店に対して行う助言または指導の業務」という形で記載をしてございます。
それから、7ページをお願いいたします。(ホ)「新たな技術、商品または役務の研究開発の業務」の1「対象業務となり得る業務の例」の2ポツ目でございます。「製薬企業において行う新薬の上市に向けた承認申請のための候補物質の探索や合成、絞り込みの業務」ということで、ここは、従前、「絞り込み」だけ記載をしておりましたけれども、探索や合成も対象になるということで、追加をしてございます。
それから、その下2つのポツを新たに追加をしてございまして、「既存の技術等を組み合わせて応用することによって新たな価値を生み出す研究開発の業務」、それから、「特許等の取得につながり得る研究開発の業務」を追加をしてございます。
それから、2「対象業務となり得ない業務の例」の3ポツ目「既存の技術等の単なる組合せにとどまり、新たな価値を生み出すものではない業務」を追加をしております。
それから、下から5つは全て、新たに追加をしている部分でございまして、「専門的、科学的な知識、技術がなくても行い得る既存の生産工程の維持・改善の業務」「完成品の検査や品質管理を行う業務」「研究開発に関する権利取得に係る事務のみを行う業務」「生産工程に従事する者に対する既知の技術の指導の業務」「上席の研究員の指示に基づく実験材料の調達や実験準備の業務」といったことで、これらが対象業務となり得ないということで、追加をしてございます。
それから、同じ7ページのハの部分でございます。2パラ目で「また、」以下の部分でございますが、「使用者は、労働者の上司に対し、業務に従事する時間に関し具体的な指示を行うことはできないこと等高度プロフェッショナル制度の内容に関し必要な管理者教育を行うことが必要である」と記載してございます。これは、前回の御議論で、具体的な指示を行うことができないことだけではなくて、高プロ制度の内容についても管理者教育が必要ではないかというようなことがございましたので、書き加えてございます。
それから、8ページをお願いいたします。第2号に規定する事項関係ということで、ここは、対象労働者の要件に関する内容でございます。中ほど、(ロ)の2パラの部分で、「したがって、労働者の勤務成績、成果等に応じて支払われる賞与や業績給等、その支給額があらかじめ確定されていないものは含まれない」ということでございますけれども、これも、前回の御議論の中で、成果に応じて減る賃金が含まれないのだということを明確化する必要があろうということで、ここで、「、成果」を書き加えてございます。
それから、9ページをお願いいたします。(2)のロの「例えば、」以下の部分でございます。「例えば、当該範囲を一定の職務経験年数や資格を有する労働者に限ることを決議で定めることや、」の後につけ加えてございますけれども、「則第34条の2第6項」これが1075万円ということで、本日、省令案要綱に記載をしてございますけれども、そこに定める額よりも高い額を年収要件として決議で定めることも可能であるということで、これは1075万円という水準はございますけれども、各事業所で労使で話し合っていただいて、それよりも高い額を決議で定めることも可能であるということを明確化しているものでございます。
それから、3、第3号については、健康管理時間の関係でございまして、健康管理時間を把握する方法等について記載をしている部分でございます。おめくりいただきまして、10ページをお願いいたします。ここの(2)のイをニにしている部分で、これは(2)のイを、(1)のニにしているということでございますけれども、健康管理時間の把握について、日々の記録をするとか、1か月当たりの時間数の合計を把握することを記載しておりますが、これも留意事項というよりは「明らかにする事項」ということで、先ほどと同じように、(2)ではなくて(1)に場所の整理をし直したというような修正でございます。
それから、続きまして、11ページをお願いいたします。4の第4号に規定する事項関係。これは休日確保の関係でございます。(1)のロにつきまして、104日以上の休日について、対象労働者に与えることができないことが確定した時点から、制度の法律上の効果は生じない。それから、休日の起算日は、制度の適用の開始日となると書いてある部分がございます。これにつきましても、先ほどと同じように、留意事項というよりは解釈として具体的に明らかにする事項ということでありますので、(2)から(1)に場所を整理し直しているというものでございます。
それから、5、第5号の関係。「選択的措置」の関係でございますけれども、ここについては内容に変更はございません。文言の整理を行っているということでございます。
12ページをお願いいたします。第6号に規定する事項関係でございまして。これは健康管理時間の状況に応じた「健康・福祉確保措置」でございます。ここの(1)のロの部分でございます。使用者は対象労働者について安全配慮義務を免れるものではないということでございますけれども、これも解釈として明らかにする事項ということになりますので、(2)の「留意事項」から(1)のほうに場所を整理し直しているということでございます。
それから、第7号関係。これは「同意の撤回」の関係でございます。13ページをお願いいたします。(2)のイをハに修正をしている部分でございますけれども、これは、本人同意の撤回を申し出た労働者については、その時点から高プロ制度の効果は生じないということでございますけれども、これも解釈ということで、(2)ではなくて、(1)に場所の整理をし直したというようなことでございます。
それから、(2)の「留意事項」でございますが、これは、本人同意を撤回した場合の撤回後の配置及び処遇またはその決定方法について、あらかじめ決議で定めておくということを記載した上で、その後の、配置及び処遇またはその決定方法については、使用者が意図的に制度の要件を満たさなかった場合には適用されないよう定めることが適当というようなことが書いてございました。これについては、使用者が意図的に制度の要件を満たさなかった場合だけではないのではないかといったようなことがございまして、その後に、「本人同意の撤回に当たらない場合には適用されないように定めることが適当」ということで、つけ加えてございます。あくまで、あらかじめ定めておくのは同意を撤回した場合の配置及び処遇またはその決定方法だというようなことで、明確化をしてございます。
それから、第8号。これは「苦情処理措置」の関係でございますけれども、ここも文言の整理のみということで、内容に変更はございません。
それから、14ページでございます。第9号、同意をしなかった場合の不利益取扱いの禁止の関係でございますけれども、ここも内容面にわたる修正はございません。
それから、第10号、「その他の決議事項」の関係でございますけれども、こちらにつきましても、赤字は多く入ってございますけれども、基本的には、定義規定の置き方とか、そういった文言の整理でございますので、ここについても内容に変更はございません。
それから、11「その他法第41条の2第1項の決議に関する事項」で、ここは、評価制度、賃金制度の内容について、労使委員会に対し十分に説明することが適当といったようなことが書いてございますけれども、ここも文言の整理ということで、特に修正はございません。
それから、第4、労使委員会の要件についてでございます。労使委員会の設置に先立つ話し合いということで、(1)で労使委員会を設置する前に十分に話し合っていただくというようなことが書いてございますけれども、15ページの一番下、「特に、」から始まる部分でございます。「特に、同号に規定する労働者の過半数で組織する労働組合がない場合において、使用者は、過半数代表者が必要な手続を円滑に実施できるよう十分に話し合い、必要な配慮を行うことが適当である」と書き加えてございます。過半数組合がある場合につきましては、それなりに話し合いをしっかりやっていただくことが期待をできるものでございますけれども、過半数組合がない場合については、使用者が少し配慮をしてあげることが必要なのではないかというようなことでございまして、「必要な配慮を行うことが適当である」ということで書き分けてございます。
それから、16ページの2、労使委員会の運営規程に関する事項でございます。(2)の部分でございますが、定足数に関する事項について記載をしてございます。下のほうで、「労使を代表する委員それぞれについて一定割合または一定数以上の出席を必要とし、これらを満たさない場合には議決できないことを定めることが適当」ということでありまして、定足数を満たさない場合には議決できないことを明確化しておくことが適当であるということで、記述を追加しているものでございます。
それから、同じページの3の情報の開示ということで、労使委員会に対して使用者が情報の開示をせよという部分でございますけれども、17ページに行っていただきまして、(3)の2パラを追加をしてございます。「使用者が開示すべき情報の範囲を定めるに当たっては、健康管理時間の状況や休日確保措置の実施状況に関し使用者が開示すべき情報の範囲について、対象労働者全体の平均値だけでなく、その分布を示すなど対象労働者の個別の状況が明らかになるものとすることが適当である」ということで、平均値だけ情報提供を受けても、その調査・審議はなかなかしにくいということでございまして、個別の状況が明らかになるようにというようなことで記載をしてございます。
それから、4の「労使委員会と労働組合等との関係」につきましては、文言の整理ということで、内容に変更はございません。
以上、少し長くなりましたけれども、説明は以上でございます。
御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○荒木会長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明につきまして、御質問・御意見等があれば、よろしくお願いします。
八野委員。
○八野委員 ありがとうございます。
この間、この労働条件分科会において、省令案・指針案の審議をしてまいりました。その中では、参議院の附帯決議や国会の議論、現場の意見をもとに審議を続けてきました。今回示された省令・指針案は、労働側の委員として指摘をしてきた、さまざまな意見が取り入れられたものであると認識をしております。本日の分科会の中では、労側からは、残る懸念点や確認事項について、意見表明または質問等をさせていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
以上でございます。
○荒木会長 ありがとうございました。
それでは、引き続き、御意見等はありますか。
柴田委員。
○柴田委員 ありがとうございます。柴田でございます。
たびたび年収要件についてでございますが、省令要綱に具体的な額としまして1075万円と記載をされております。2015年の建議をまとめる労働条件分科会での議論の経過は当然承知をしておりますが、国会での議論も踏まえて、1075万円は低いのではないかということは、労働側として、これまでも申し上げてきたところでございます。対象労側者の年収につきましては、真に使用者に対して強い交渉力を持つ高度専門職にふさわしい水準が確保されるべきだと、改めて申し上げたいと思います。
年収が高ければ労働時間規制を外すということには、決して合理性はないと考えておりますが、少なくともパートタイム労働者を除外した算定基準に基づく額を考えるべきであります。
また、グローバル競争が激化している中で、例えば、IT、デジタル人材では、2000万円とか3000万円という報酬を出す時代になってきております。交渉力のある高度なプロフェッショナル人材の比較対象は、国内基準ではなく、グローバル基準で見ることがふさわしいということも申し上げておきたいと思います。
○荒木会長 ありがとうございました。
ほかにはいかがでしょうか。
八野委員。
○八野委員 先ほど説明がありました参考資料No.3です。1ページ目の第1「趣旨」は、ここにも書いてあるように、労使委員会の委員が留意すべき事項等を定めたものであると認識しています。
今回、労使委員会の委員は「当該決議の内容がこの指針に適合したものになるようにしなければならない」との記載が追記されております。これは労側としてはすごく重く受けとめておりますが、事務局として、ここを追記したことについての認識等があれば教えていただきたいと思います。
以上でございます。
○荒木会長 それでは、事務局からお願いします。
○労働条件政策課長 2点ございますが、1点目の柴田委員の年収の部分でございます。これまでの経過ということで改めて申し上げさせていただくということでございますが、平成26年の閣議決定「日本再興戦略」改訂2014におきまして、少なくとも年収1000万円以上と明記されまして、その後、平成27年の当分科会の建議におきまして、「1075万円を参考」と明記されたという経緯がございます。そして、その法案要綱に関して議論をされました際に、この1075万円という議論があったことを前提といたしまして、それをどのように法律上担保するのかということで、パートタイム労働者も含まれます毎月勤労統計のデータが示された上で、その3倍を相当程度上回る額ということが法文に明記されて立法されてきたと、そのような経緯であるということでございます。
それから、2点目、八野委員から御指摘がございました、この2行の追加でございます。この2行につきましては、先般も御指摘いただきましたことも踏まえまして、決議の内容がこの指針に適合したものとなるようにしなければならないということでございます。その趣旨でございますが、今回諮問しておりますこの指針につきましては、法律の第41条の2第5項にも規定されておりますとおり、行政官庁による助言・指導の対象となるものとして定められているというものでございます。
したがいまして、こちらのこの指針に関しましては、こちらに2行書いてございます。これは法律の第4項のほうに書いておる内容でございますけれども、委員は決議の内容がこの指針に適合したものとなるようにしていただくと。これに関しまして、行政官庁におきましては、助言・指導を行っていくというようなものでございます。
この場のこれまでの議論も踏まえまして、指針案が充実したものとなるように、さまざまな御意見を頂戴してまいりました。今後、この制度が運用されていくに当たりましては、この指針が広く参照されまして、こちらの指針を踏まえた上で運用されていくことを期待をしておるというところでございます。
○荒木会長 よろしゅうございましょうか。
柴田委員。
○柴田委員 当然、経過は承知の上での発言をさせていただいたということでございます。「真に使用者に対して強い交渉力のある高度な専門職労働者にふさわしい処遇が保障される水準となるよう、労働政策審議会において真摯かつ丁寧な議論を行うこと」ということが、国会でも議論されましたので、その水準にふさわしい数字ではないということを、改めて申し上げておきたいと思います。
○荒木会長 ほかにはいかがでしょうか。
輪島委員。
○輪島委員 ありがとうございます。
年収要件の御発言がありましたので、使用者側もコメントだけしておきたいと思います。高度プロフェッショナル制度、高度に専門性を持った、それにふさわしい処遇ということでございますけれども、これは労側も含め、そして、こちらにおります使用者側も含めて、先ほど来、話がありますように、2015年の法制化の議論、それから、今年、2018年の法制、法律の議論も含めて、労働条件分科会における共通認識ということで、法律として国会に出されたと理解をしているところでございます。
そういう認識のもとに今ありますものですから、先ほど、経過の御説明がありましたけれども、1075万になったということで、これは10月から議論が始まっておりますけれども、その際にも申し上げた、この数字が出発点だと考えているということでございます。
それから、これも前々回申し上げましたけれども、企業によって賃金水準は異なると考えておりまして。今回の指針では、先ほど御説明がありましたように、1075万円を上回る水準、それで決議しても可能だということも明記をされているということでございまして。使用者側としましては、この高度プロフェッショナル制度は社内ではどちらかというと目指す方向性、そういうふうなことをして、社内でそういうふうな高度プロフェッショナル制度の対象となることを憧れるといいますか目指すような、そういうように育てていきたいと。年収要件としても、2000万円とか3000万円になるような、そういうような育て方、そういうようなことが大事だと思っているところでございます。統計も前々回御披露がありまして、1075万以上の年収の人、役員を含めても相当少ない、頭数としては少ないと理解をしておりまして、最低ラインとしての1075万円を担保して、それを上回る水準については、対象業務の内容、賃金水準など、企業の実態を踏まえて、これから労使で話をしていく、決議をされていくと、そういうふうにされていくのが自然なのではないかと考えているところでございます。
私からは以上です。
○荒木会長 ありがとうございました。
ほかにはいかがでしょうか。
川田委員。
○川田委員 ありがとうございます。
今、年収要件のことが議論に挙がっておりましたので、この間、審議の過程でさまざまな委員の御意見を伺いながら考えたことを述べたいと思います。
今回のここまでの御発言にもありましたが、年収要件の意義としては、高度専門職にふさわしい処遇が確保されることが、高度プロフェッショナル制度のような制度を設ける上では非常に重要であり、そういう意味で重要な要件ということは間違いないということであろうと思います。
その上で、さらに、少し考えてみますと、以前、この分科会の中で私が意見として述べたことでもありますが、高度プロフェッショナル制度は労働時間規制の単なる適用除外というよりは、一定の高度な専門性を有して、これを生かして働く人について、原則的な労働時間規制と異なる特別な規制をする、あるいは、別な言い方をすれば先ほど述べたような働き方に合った形で規制を組みかえるという形で、働き過ぎを防止する措置を設けながら、その一方で、原則的な労働時間規制は適用除外するという性格の制度と見るべきではないかと思っています。
このような見方のもとでは、制度の適用の要件については、一面では、一般的な規制と異なる形の規制をすることの必要性とか適切性が認められるか、他方で、一般的な規制の適用はしなくても労働者の保護に欠けることはないかというようなことを、さまざまな角度から多角的に見ながら要件を設定していくべきものだと考えられ、年収要件も重要ではありますが、その中の1つとして、他の要件もあわせて、全体として見ていく必要があるものだろうと思います。
そういう中で、先ほど来出てきております具体的な水準につきましては、1つは、私はこの分科会の委員になってからそれほど年数がたっていなくて、以前の状況に必ずしも詳しくはないところはありますが、この分科会の中でも、まさにそのような他の要件との調整の中で、今挙がっている内容が決まってきていることがあるのではないかと理解しております。
また、経緯の話は別に考えるとしても、その場合には、どうしても水準の話は程度の問題で、何らかの理論に基づいて適切な水準を導き出すことが難しい面はあるわけですが、先ほど述べたような要件全体、あるいは更に広げて制度上の仕組み全体の中での位置づけを考えていくという観点からいたしますと、高度プロフェッショナル制度は単純な労働時間規制の適用除外ではなく、例えば、休日確保措置があるとか、健康確保措置のように制度の適用者に合った形での働き過ぎの防止の措置を実施するであるとか、あるいは、本人が同意した者に適用される制度であって、同意しないことによる不利益取扱いの禁止あるいは自由に同意の撤回をすることが保障されるといったことが制度化されているものとなっています。このような制度全体の仕組みを考えると、私の個人的な意見としては、現在出ている1075万円という数字は妥当なものと言ってよいのではないかと考えます。
以上です。
○荒木会長 ありがとうございました。
ほかに、御意見はいかがでしょうか。
守島委員、どうぞ。
○守島委員 ありがとうございます。
私も、川田先生が言われたことと基本的には同意をするのですけれども、この制度はある意味では日本の労働史の中で記録に残るような革命的な制度であろうと思っています。そういう意味で言うと、確かに、労働時間の規制を外していくということですけれども、先ほど川田委員も言われたように、同時に、さまざまな労働者保護の考え方も入っている。例えば、休日確保の措置とか、健康確保の措置とか、そういうものが入っているという前提で、そういう意味では革命的なのだけれども、多少慎重に進めていこうということも十分あるように思います。そういうふうな制度の全体性を考えると、やはり川田委員が言われたように、1075万円は妥当な線であろうというように私も考えます。
と申しますのは、もう一つの大きな理由は、先ほど輪島委員が言われましたけれども、これはあくまでも出発点であって、この後、労使の現場での交渉もしくはこの法自体の見直し等を通じて、さらに進めていくのか、問題があったから変えていくのかということはいろいろありますでしょうけれども、変更していく可能性は十分ある、そういうふうな仕組みであろうと思います。ですから、この時点でいろいろな形の労働者保護の仕組みを入れつつ、1075万円は、パートの賃金が入っていることも考えた上でも、私も妥当ではないかなと考えております。
○荒木会長 では、八野委員。
○八野委員 今回の高度プロフェッショナル制度というのは、労働側としてはさまざまな懸念を持っているわけですが、先ほど申し上げましたように、附帯決議の文言等もかなり入れていただいているものだという認識でおります。ですから、総合的にいろいろな角度から見ていかなければ、労働者の健康確保ができないだろうと思っています。
今の御意見の中の、1075万円をスタートとしてという認識ですが、スタートということになると、下方へ行く場合と上方へ行く場合があると思います。これは労使の中での話し合いということになりますが、これだけの専門性を持つ高度なプロフェッショナルの労働者について、先ほども使用者側から、「育てていく」または「目標としていく」というようなご発言が出てきたことを踏まえると、これをスタートとして上方へ行くことを考え、それが高度な仕事とリンクしてくるという捉え方でよろしいのでしょうか。
○守島委員 上方に行くかどうかというのは、多分、労働需要の状況にも多少依存するところはあるとは思いますけれども、基本的には、使用者側の委員も言われたように、上げていくという、より高いところを高度プロフェッショナルというふうに日本社会では見ていくのだと、そういうふうな方向性で行くということで、私も理解はしております。
○荒木会長 よろしいですか。
では、村上委員。
○村上委員 別の点です。指針案の参考資料No.3の1ページの第2の「本人同意」のところです。2ですけれども、本人同意を得るに当たって、使用者は、労働者本人にあらかじめ書面で明示することが適当であるとなっております。これは当然のことだとは思うのですが、この「あらかじめ」という言葉は、当然、労働者が本当に同意するかどうかということを判断するのに十分な時間を確保し、その上で明示するということなのだと理解をしておりますので、周知に当たっても、そのような点はぜひ明らかにしていただきたいと思っております。
また、2ページの「本人同意」の5です。これも確認ですが、労働者を高度プロフェッショナル制度の対象とすることで、その賃金の額が対象となる前の賃金の額から減ることにならないようにするということですけれども、この「対象となる前の賃金の額」は、その対象となる前の基本給ということではなくて、時間外や深夜の手当ても含めて得ていた収入という理解でよいでしょうか。
以上です。
○荒木会長 それでは、今の点について事務局からお願いします。
○労働条件政策課長 村上委員から2点いただきました。
まず1点目、第2のあらかじめ明示をするというところでありますが、ここは御指摘の趣旨のとおりでありまして、こういったことを明示をされた上で、それで、同意をするかどうかを判断するということでございます。この「本人の同意」といったものは、この制度の大変重要なところでございますので、この同意を得るに当たっての手続が適正に行われていきますように、周知に当たって努めてまいりたいと考えてございます。
それから、同じ項目の5番の賃金が減ることにならないようにというところでありますが、こちらにつきましても、前の賃金といったものは、例えば割増賃金など、そういったものも含めて払われていた賃金の額、そこから減らないようにという趣旨でございます。
○荒木会長 ほかにはいかがでしょうか。
中川委員。
○中川委員 質問と確認と意見を、一点ずつさせていただきたいと思います。
まず、参考資料No.3の第3で、「時間に関し使用者から具体的な指示」とありますけれども、具体的な指示にならない場合というのは、どういう時間軸、タイムスパンで考えたらいいのか、どういうイメージなのかということを質問させてください。
その下に「具体的な指示」として例示されている1、2、3、4を、日や時間単位のタイムスパンで考えているということはないとは思いますけれども、1週間なのか、1カ月なのか、1年なのか、その点をどういうイメージで考えたらいいのかというのが質問であります。
もう一点、この「具体的な指示」については、第3の(1)のイの(イ)に、「対象業務は働く時間帯の選択や時間配分について自らが決定できる広範な裁量が労働者に認められている業務でなければならない」とありますけれども、附帯決議の23号には、労基署が制度の適用可否を確認し、必要な監督指導を行うこと、とありますので、対象業務に該当するか否かということも、労基署がしっかり見ていくという理解でよいのか、こちらは確認でございます。
最後に、対象業務の研究開発の部分について、意見でございます。研究開発とは何かという観点で、いろいろな業種・業態を見ていくと、研究と開発では全く違う業務であるということもありますし、研究開発と商品開発という言い方をするところもあります。「研究開発」とひとくくりにしても、いろいろな意味合いがありますので、今後、施行していくに当たっては、この点を整理して、周知等を行っていただくようにお願いいたします。
以上、3点でございます。
○荒木会長 それでは、質問もありましたので、事務局からお願いします。
○労働条件政策課長 ただいま中川委員からいただいた点でございます。
まず1点目、時間に関する指示のタイムスパンのイメージということでございますが、御指摘いただきましたように、例えば、2ページの一番下のほうの1で言えば、出勤時間、始業・終業時間と、これはかなり具体的な時間のことを言ってございます。一方、2になりますと、この業務量の要求や納期・期限ということになりますので、時間よりはちょっと長い形になってくると。一方、3ページの頭の3になりますと、これは特定の日時ということになります。4は日々のということでございます。
こういったことを踏まえての御質問であると思ってございますが、(イ)にございますように、裁量を失わせるようなものは認められない、対象業務に入らないということでございますので、もちろん具体的に何時とかいつというような指示は認められないものでございますが、こういった納期・期限の設定といったところからいけば、具体的にどういった業務が対象になるのかといったところによりましても、どこまでが裁量を失わせるようなことになるかというのは、個別に見ていく必要はあるわけでございますが、少なくとも具体的な時間というものを言っている場合のみがここに当たるというものではございません。それは、この間もそのような御議論があって、業務量に比して著しく短い期限といったようなこともございます。具体的には、それぞれに見ていく必要がございますけれども、そのようなスパンにおいてきちんと裁量を失わせるようなものであってはならないという観点から見ていくべきものであろうと考えてございます。
2点目でありますが、今の点と重なる部分でございます。この「具体的な指示を受けて行うものを除く」は省令に明記をされてございまして、対象業務のところに書いてございます。したがいまして、具体的な指示を受けて行うものはそもそも対象業務には入らないということになります。そういたしますと、ここに入らないようなものが入るかのように運用をされていくことになりますと、法律上適切に実行されていないということになりますので、法律を施行する、履行を担保する労働基準監督署において、法令の施行の問題として指導・監督等をしていく対象になっていくというものでございますので、この点に関して、相談・申告、そういったものがあった場合なども含めまして、労働基準監督署において適切にその運用を確保していくものであると考えてございます。
最後1点、研究開発の部分についても御指摘をいただきました。施行に当たりましては、この制度がその本来の趣旨に沿って正しく運用されますように、わかりやすい周知を心がけていきたいと考えてございます。
○荒木会長 よろしいでしょうか。
ほかにはいかがでしょうか。
佐久間委員。
○佐久間委員 佐久間でございます。
事務局の方々、この指針の取りまとめ本当にありがとうございます。
修正をいただいた中で、参考資料No.3の6ページの一番下の行になります。「サプライヤーが代理店に対して行う助言または指導の業務」が追加されております。これの読み方というか、御趣旨のほうは、例えば保険会社と損害保険会社が、自分の傘下と言っていいかわかりませんけれども、代理店に対して行う、そういう助言などをいみすることを明確にしておきたいということだと思います。それで、「サプライヤーが代理店に対して行う」ということで、ちょっと広く見ている感じがあると思うのですけれども、この記載だけだと、そもそも助言だけだとこの類型の部分ですね。この業務にはそもそも当たらない。つまり、分析とか調査も入らなければいけないわけですから、そこを明確にここに示されたというものだと思うのですけれども、それについての確認をお願いしたいと考えます。
あと、この読み方ですけれども、「サプライヤー」と言うと、通常は小売業者にとってはメーカーであり、そして、卸売業者がサプライヤーということになると思います。自社製品を供給するのがサプライヤーであるわけですけれども、例えば、サプライヤーがコンサル会社に頼んで、その担当者が高度プロフェッショナル精度の対象となった者が、自分の製品を扱う代理店に対して調査・分析、そして、助言等を行った場合、この関連するとなると、サプライヤーにとっては代理店も一つの顧客になる可能性があるものですから、その辺の判断がちょっと読みにくいと考えます。ですから、高プロについて今後、パンフレットとかを作成していく中で、できれば、明確に、わかりやすくしていただくのがよいと考えます。
以上でございます。
○荒木会長 事務局からお願いします。
○労働条件政策課長 佐久間委員からいただいた点でございます。まず、助言または指導とありますが、そもそも助言だけだと、このコンサルティングのところには当たらないですよねという御指摘は、まさにそのとおりでございまして、まず、そもそもがこの(ニ)に関しましては、重要な事項についての調査・分析を行いまして、それに基づいて考案・助言を行っていくということでございます。
一方、ここの趣旨は、冒頭の説明の中でもございましたように、これまで、前回であったと思いますけれども、例えば保険などでございますけれども、代理店に対して行うものを念頭に置いているというところでございますが、まさに、助言だけであれば、確かにそもそも当たらないということではございます。
一方、2点目のところでございますが、そのように代理店の場合をここでは書いておるわけでございますが、できる限りわかりやすい周知の中で明確にということでございますので、その点に関しましても、わかりやすい周知を行っていきたいと考えてございます。
○荒木会長 よろしいですか。
ほかにはいかがでしょうか。
世永委員。
○世永委員 ありがとうございます。
第3号の健康管理時間の関係です。9ページのロに記載されている、健康管理時間の自己申告に関しましては、指摘した内容を記載していただいたと受けとめています。
その上で、10ページ、1と2について、念のため確認させてください。ここで書かれていることは、単に直行・直帰によりシステムに入れない場合、それと、単にパソコンを持ち歩いていない場合ではなく、直行・直帰、かつ、セキュリティ上の理由、例えば会社のパソコンでなければ会社のシステムに入れないが、そのパソコンを持ち歩いていなかった場合等、極めて限定的な場面が想定されているという認識でいいのかということが1つ。
2つ目として、同様に3の海外出張時の関係も、Wi-Fi環境やセキュリティ等からログイン、ログオフが常時できない等、特殊な環境の場合に限るという理解でよろしいか、2点について確認をさせてください。
以上です。ありがとうございました。
○荒木会長 事務局からお願いします。
○労働条件政策課長 世永委員の御指摘の点でございます。この10ページ、まず1、2のところでございます。ここに関しましては、これまでも御議論があったところでございまして、ここでお示しをしておりますのは、それらの議論も踏まえまして、すなわち、ただ単に直行・直帰であれば、この例外ということになる、あるいは、事業場外であれば、直ちに例外であるというようなものではなく、その場合であっても、システムへのログイン、ログオフ等ができるのであれば、そちらであくまでも客観的にという意味でございます。
一方、今のセキュリティ等の御指摘もございまして、現実に考えますと、セキュリティの問題等もありますので、事業場外におきましては、なかなかシステムに実際にアクセスするのは難しい場合ももちろんあろうとは思いますが、いずれにしても、そういったログイン、ログオフ等ができないというところまで含めまして見た上で、そのような場合にはこの例外のところに該当をしていくという考え方、これはこれまでの議論を踏まえているものでございます。
一方、3も同様でございまして、海外出張であるから、すなわち客観的に判断できないというわけではございませんで、あくまでもそういったセキュリティ等の問題も踏まえまして、ログイン、ログオフ等が常時できない状況にあるという場合においては、ここに該当するというものでございます。
○荒木会長 よろしいでしょうか。
ほかにはいかがでしょうか。
弥久末委員。
○弥久末委員 どうもありがとうございます。
同様に、健康管理時間のところで確認させていただきたいと思います。10ページのニの「健康管理時間を把握するに当たっては、」というところです。「複数の日についてまとめて把握する場合であっても、」とありますが、長期間まとめて申告をさせるようなことが常態化をしてしまうということであれば、趣旨にそぐわないと思っています。そういう認識でよいのか、見解を確認させていただきたいと思います。
また、10ページ、(2)の「留意事項」のロであります。対象労働者から求めがあれば、当該労働者に対して、健康管理時間の開示を行うという記載がありますけれども、健康確保の観点からは、労働者から求めがなくても、使用者から労働者に対して、健康管理時間を常時開示しておくことが望ましいと思われます。周知に当たっては、こういった考え方、やり方も含めて推奨をしていただきたいと思います。
また、4、5、6のところもあわせて確認させていただきたいと思います。11ページの第4号、11ページ以降の第5号、第6号の関係でありますが、それぞれの措置と高度プロフェッショナル制度との適用の関係について、改めて確認をさせていただきたいと思います。
また、先ほど議論がありましたが、働き過ぎを防止する、健康をきちんと確保していくためには、5号、6号については、選択的な措置について複数選ぶことが望ましいと思っております。これについての御見解をいただきたいと思います。
以上です。
○荒木会長 それでは、事務局からお願いします。
○労働条件政策課長 弥久末委員からいただいた点でございます。
まず、健康管理時間のところに関しまして、この「複数の日についてまとめて把握する」というのが常態化することは趣旨にそぐわないという点でございます。この「複数の日についてまとめて把握する場合」として、例えば幾つか想定されるものとしては、ある程度の幅のある期間の出張等をして、報告が毎日は必ずしもできないような状況等もあろうかと思っておりまして、そういった場合を念頭に置いているものでございますが、この健康管理時間は、まさに健康管理の基本となる時間でありますし、特に、1カ月当たりということで面接指導、その他さまざまなところにも関係をしていくわけでございますので、そういった趣旨を踏まえて、適切にきちんと把握をされていく必要があると思ってございますので、この点は、周知に当たっても注意をしてまいりたいと考えてございます。
同様に、健康管理時間、この状況がその御本人の働き過ぎを防止するという観点からも、その御本人に御認識いただいて、そして、御本人としても適切に自らの健康管理、休んでいただくことも含めて考えるきっかけとなる、そういった意義もあろうかと思いますので、この点もあわせて、周知に当たっては工夫をしてまいりたいと考えてございます。
3点目、この5号、6号、健康を確保する複数の措置でございますが、これは法律上はそれぞれ1つは少なくとも決めていただくことになるわけでありますが、もちろんそれを上回って複数取り組んでいただくことも考えられるわけでございまして、例えば、この指針におきましても、12ページの上のロでございますが、例えば、対象業務が複数ある場合といったものは、そういった業務の性質に応じて、業務ごとにその措置を選んでいくというようなことでありますとか、あるいは、その1つ上にございますけれども、対象となる労働者の意見を聴いて選んでいくというようなこともございますので、そういった中で、この複数措置が講じられていくこともあろうかと思います。
また、見方を変えて申し上げれば、今回、この高度プロフェッショナル制度に関しましては、今の健康管理時間、それから、選択的なもの、これも5号、6号とございます。さらには、休日の確保もございますし、さらには、安全衛生法によります面接指導等もございますので、そういった意味でも基本的な設計としても、複数の重層的な健康確保措置が講じられていると、そういった中で、今申し上げましたような、業務の実態に応じて、さらに、この労使委員会の中で選ばれ、決議されていくというものであると考えてございます。
○荒木会長 よろしいでしょうか。
ほかにはいかがでしょうか。
川田委員。
○川田委員 ありがとうございます。
先ほど述べた点以外で、今回お示しいただいた要綱及び指針案の内容そのものにかかわるというよりは、仮に、このような内容で決まった場合に、それを運用していく際の、あるいは今後将来的に制度を見直す際の考え方についての意見ないしはコメントというような性格のもので、3点述べたいと思います。
1つは健康管理時間に関するものであり、資料の要綱においては四頁、指針案では参考資料No.3で言いますと、9~10ページの辺りにかけての内容ということになります。この健康管理時間という時間の基本的な趣旨として、先ほど、別なところで意見として述べたように、基本的には、高プロの制度は高度な専門性を生かして働くような労働者について、通常の労働時間規制とは違うのだけれども、働き過ぎ防止については一定の歯どめをかけるという、そういう性格の制度であり、健康管理時間は歯どめの重要な内容の1つであるという、そういう位置づけになるものだと考えております。
そういう観点からいたしますと、健康管理時間の概念そのもの、また、労使委員会の決議に基づいて「健康管理時間から除く時間」という時間概念も制度の中に出てきますが、これらについては、労働基準法上の原則的な労働時間の概念についての考え方がベースになることは間違いないとは思いますが、限界的なところまで、それと同じような考え方を余り徹底し過ぎると、通常の労働時間規制の適用は除外するがそれとは異なる形で働きすぎに歯止めをかけるという制度の趣旨から離れてしまうところがあるのではないかということを意見ないしはコメントとして指摘をしておきたいと思います。
それから、2点目と3点目は「選択的措置」についてです。要綱案におきましては、四~五頁、指針案におきましては、参考資料No.3の11~12ページあたりのところに関することです。選択的健康確保措置としては、4つの中から1つを選択するということになっているわけですが、これらは、先ほど述べたような制度の適用対象者に対する働き過ぎ防止の措置という観点からは、通常の労働時間規制とは違うけれども、労働からの解放を何らかの形で一定程度保障する制度という性格を持つものと理解すべきなのだろうと考えています。
そういう観点からいたしますと、勤務間インターバルとか深夜業の制限、あるいは、健康管理時間の上限、連続休日の確保といったものは、まさに、そういう労働からの解放を保障するような基準になっているわけですが、一方で、臨時の健康診断については、必ずしもそこが制度上明確になっていないように思われます。ただ、これについても基本的には、具体的な状況、要するに健康状態に問題がありそうだということがわかった状況において、労働からの解放が保障されるような制度として運用されるべきものであると考えるべきではないかと思っております。
そこで具体的には、参考資料No.3で言いますと、12ページの上のほうのハで、この選択的健康確保措置についての記載がありますが、この最後のところに出てくる「当該医師の意見を勘案した適切な措置等」は、その具体的な状況に応じて、例えば業務量の軽減を図る等の労働からの解放を確保する措置を含むことが徹底されるような運用をすべきではないかということを意見として述べたいと思います。
それから最後、3点目も「選択的健康確保措置」についてです。前回の分科会で安藤委員がおっしゃったように、4つ制度を用意して、具体的な個々の事業場の状況等に応じて労使委員会の決議で選択していただくという制度設計になっていることは、これらがそれぞれ一定程度使われるようなものであることが、制度の趣旨からすると、そうあるべきということになるのだろうと思います。
そのような観点から、例えば制度導入後、しばらく運用してみて、4つ選択肢があるけれども、その中の特定のものがほとんど選択されないとか、あるいは、逆に、特定のものに選択が集中してしまうというような状況があった場合には、それに応じて、本来の趣旨に合うような形で選択的健康確保措置の具体的な内容を見直すことも必要になってくるのではないかということを、意見として述べたいと思います。
以上です。
○荒木会長 ありがとうございました。
意見ということでしたけれども、事務局からいかがですか。
○労働条件政策課長 川田委員から御指摘いただいた点に関してでございます。1点目の健康管理時間でございますが、これは確かに御指摘いただいておりますように、法制上の仕組みといたしまして、実際の実労働時間とは、また、違うものとなってございまして、言うならば、実労働時間数は必ず全て含んだ上で、対象労働者の健康確保のための措置を的確に講ずるための基礎となる時間として把握をされていくというようなものでございます。
そういった意味では、実労働時間とは必ずしもイコールではないわけでございますが、しかしながら、健康管理のために大変重要なものでございますので、この客観的な把握も、また、求めているところでございますので、そういった趣旨も踏まえて御理解をいただきながら、運用されるようにしてまいりたいと考えてございます。
それから、2点目のところの臨時の健康診断、まさに御指摘をいただいたとおりであると考えてございまして、その健康診断の結果として、適切な事後措置が講じられていくことがまさに肝でございますので、この点に関しましても、運用に当たりまして留意をしてまいりたいと考えてございます。
最後に3点目のところでございますが、選択的措置といったものが有効に機能していくのかどうかというのも、今後、この運用をしていく中において一つ注意をしていく点として、念頭に置いてまいりたいと考えてございます。
○荒木会長 よろしいですか。
ほかにはいかがでしょうか。
ほかに特に御指摘がないということでありましたら、きょうのところは以上ということでよろしいでしょうか。
それでは、本日は省令案要綱等に対して、さまざまな御意見をいただいたところであります。本日の議論を受けまして、次回は取りまとめに向けて、引き続き、議論をして。
○川野委員 「その他」のほうで数点ございます。
○荒木会長 そうですか。
どうぞ、川野委員。
○川野委員 「その他」の項で数点ございます。
既に、厚労省から、「働き方改革~一億総活躍社会の実現に向けて」というリーフレットが、インターネットからダウンロードできるようになっており、もしかすると、各企業にも配布されているのかもしれませんが、そのことについて若干意見・要望を申し上げたいと思います。
このリーフレットの中に高度プロフェッショナル制度について記載がされています。これは、今後、省令・指針ができて、具体的なこの運用に関わる部分がより詳細にわたって決められることになるわけでございますが、その前に配布・閲覧できる状況にある記載の内容に、数点若干気にかかることがございます。
と申しますのは、高度プロフェッショナル制度を新設しますという記載があって、先ほど来、議論にありますように、高度プロフェッショナル制度は、36協定、時間外・休日労働に加えて、深夜の割増賃金の適用も除外になる。時間の管理が適さない本人たちが求めた際に、その制度が活用できるというものでございます。
この別紙の7ページ、7に、高度プロフェッショナル制度について記載がされておりますが、一目でそうしたことがわかるようなものになっていないと思います。
また、対象業務の記載があるのですが、対象業務は、この間議論してきた限定的な対象業務であるにもかかわらず、最後に挙がっている5つの業務のあとに「など」という言葉がついていて、限定ではないような記載になっています。我々は、この間、そのことについて十分な議論を重ねてきたわけでございますが、「など」という言葉があると、それ以外にも対象になるものがあるかのごとく読み取ることもできますので、そうした記載には問題があります。労政審では、この5つの対象業務以外を対象にするという議論をすることもないわけでございますので、そこは早急に改める必要があるのだろうと思います。
リーフレットの中に、職務を明確に定める「職務記述書」の記載がございます。この間、労働条件分科会でも、職務記述書のことについて議論をしてきましたけれども、明確にこの場に出てきたものがあるわけではありません。職務記述書の記載をするということであるならば、施行に当たってどのような職務記述書をイメージされていて、どうあるのかということをしっかりわかるようにすべきであろうと思っています。そういうことも含めて、今回、省令・指針案を取りまとめる手続を進めている中において、修正補強されたものがより正しく周知、配布または閲覧、ダウンロードできるような形に整えるべきだろうと思っておりますので、事務局の見解をお聞かせいただければと思います。
○荒木会長 事務局からお願いします。
○労働条件政策課長 川野委員から御指摘をいただいた点でございます。
ただいま、川野委員から御指摘をいただいておりますパンフレットは、先の通常国会におきまして、法律が成立をした直後に、その時点でその内容を、働き方改革全体に関してお知らせをするというようなパンフレットであったわけでございます。
したがいまして、本日もこの制度の詳細を御議論をいただいているところでありますので、あくまで、この作成をした段階までの内容でございまして、そういった点では、まだ詳細が決まっていなかった点もあるということでございます。
例えば、対象業務に関して、最後に「など」と書いてございますのは、平成27年の建議におきまして、「研究開発など」となっておりましたので、その建議を踏まえての内容となっていたところでございます。ただ、実際には、本日も御議論をいただいておりますように、この方向性としては、「など」といったものはなく、5つに限定をされているというところでございます。
先ほどの職務記述書の点も含めまして、当然ながら、この省令・指針ができ上がった後におきましては、また、わかりやすいパンフレットを改めて作成をしていくことになりますので、御指摘をいただいた点も踏まえまして、わかりやすい御理解をいただけるようなものをつくってまいりたいと考えてございます。
○荒木会長 よろしいでしょうか。
ほかに、何か御意見はありましょうか。
よろしいですか。
それでは、本日いただいた御意見を踏まえて、次回は取りまとめに向けて、引き続き、議論したいと考えております。
最後に、次回の日程等について、事務局から説明をお願いします。
○労働条件政策課企画官 次回の労働条件分科会の日程・場所につきましては、調整の上、追って、お知らせいたします。
○荒木会長 それでは、以上をもちまして、第150回「労働政策審議会労働条件分科会」は終了といたします。
なお、議事録の署名につきましては、労働者代表の村上委員、使用者代表の松永委員にお願いをいたします。
本日は、どうもお忙しい中、ありがとうございました。