2018年11月14日 第149回労働政策審議会労働条件分科会 議事録

労働基準局労働条件政策課

日時

平成30年11月14日(水) 13:00~15:00

場所

厚生労働省専用第15会議室 中央合同庁舎5号館12階

出席者

【公益代表委員】
    荒木委員、安藤委員、川田委員、両角委員
【労働者代表委員】
    川野委員、柴田委員、中川委員、八野委員、村上委員、世永委員
【使用者代表委員】
    齋藤委員、佐久間委員、杉山委員、松永委員、輪島委員
【事務局】
    坂口労働基準局長、田中審議官、富田総務課長、黒澤労働条件政策課長、石垣監督課長、久知良計画課長
    中嶋調査官、竹野企画官

議題


(1)「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」について
(2)その他

議事

 

○荒木会長 それでは、定刻になりましたので、ただいまから、第149回「労働政策審議会労働条件分科会」を開催いたします。
本日の委員の出席状況ですが、御欠席の委員としまして、公益代表の黒田祥子委員、平野光俊委員、水島郁子委員、守島基博委員、労働者代表の櫻田あすか委員、弥久末顕委員、使用者代表の秋田進委員、早乙女浩美委員、佐藤晴子委員と承っております。
なお、公益代表の安藤委員は、所用のため途中で退席される予定と伺っております。
本日の議題に入る前に、事務局より定足数について報告をお願いします。
○労働条件政策課企画官 定足数について御報告いたします。労働政策審議会令第9条により、委員全体の3分の2以上の出席、または公労使各側委員の3分の1以上の出席が必要とされておりますが、定足数は満たされておりますことを御報告申し上げます。
○荒木会長 それでは、カメラ撮りはここまででお願いいたします。
本日の議題に入ります。お手元の議事次第に沿って進めてまいります。本日の議題は「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律について」です。
まず、事務局から、資料について説明をお願いします。
○労働条件政策課企画官 事務局でございます。
本日の資料は3種類ございます。資料No.1、No.2、それぞれ横置きの資料でございますけれども、これらについては前回10月31日の労働条件分科会での配付資料を一部修正したものでございます。
資料No.3、縦置きの資料でございますけれども、こちらは「労働基準法第41条の2第1項の規定により同項第1号の業務に従事する労働者の適正な労働条件の確保を図るための指針案(イメージ)」ということで、資料No.1で御議論いただいておりました指針案について、文章編ということでイメージとしてお示ししているものでございます。
恐縮ですが、資料No.1とNo.3について先に御説明をさせていただければと思います。
それでは、資料No.1をお願いいたします。先ほど申し上げましたとおり、前回配付した資料につきまして、前回の分科会で御議論いただいたことを踏まえ修正しております。修正部分を赤字にしておりますので、その赤字の部分を中心にごらんいただければと思います。
2ページ、労使委員会の要件等ということでございまして、指針で定める事項でございます。まず2つ目のポツにありますが、委員の指名に当たり、対象労働者及びその上司を含めることを検討することということについては、前回これはちょっとどうかという御議論がございましたので、この部分は削除しております。
その下、指名する過半数代表者は適正に選出されている必要があること、過半数代表者が適正に選出されていない場合、労側委員に監督または管理の地位にある者が指名されている場合は決議は無効となること、労使各側1名、計2名で構成される委員会は不可であること、こういったことを指針で盛り込んではどうかということでございます。
3ページ、労使委員会の決議事項で、決議事項の1つ目の対象業務ということでございますけれども、指針で定める事項の3つ目のポツの「時間に関し使用者から具体的な指示を受けて行うもの」の解釈ということでございますが、対象業務は働く時間帯の選択や時間配分についてみずからが決定できる広範な裁量が労働者に認められている業務でなければならないこと。その具体例といたしまして、出勤時間の指定等ということを明らかにしてはどうかということでございます。
その下のポツですけれども、決議をする対象業務は、部署が所掌する業務全体ではなく、対象となる労働者に従事させることとする業務をいうということでございます。
4ページ、決議事項2、対象労働者の範囲でございます。指針で定める事項といたしまして、2つ目のポツ、対象業務に常態として従事していることが原則であるということの後に、対象業務以外の業務にも常態として従事している者は対象労働者とはならないということでございます。
その下「職務が明確に定められていること」の解釈といたしまして、業務の内容・範囲が具体的なものであること、その次、使用者の一方的な指示により業務を追加することはできないこと。一部削除しておりますのは、表現を明確化したということでございます。それから、働き方の裁量を奪うような成果や業務量を求めるものではないこと、求められる水準は客観的なものであること。
その下のポツですけれども、職務を変更する場合には再度合意が必要であるということの後に、再度合意をする場合であっても職務の変更は対象業務の範囲内でしか行えないことと記載しております。
その次、年収要件の解釈の部分の一番下のところですけれども、支給額が減少することが見込まれる手当は含まれないということを明確化してはどうかということでございます。
一番下のポツですけれども、対象業務ごとに必要となる職務経験年数、資格等の要件、これについては労使で話し合っていただいて、決議で定めることができると例示したいということでございます。
5ページ、決議事項3、健康管理時間の把握ということでございます。指針で定める事項の1ポツ目、健康管理時間の把握方法を決議で明らかにするとございますけれども、健康管理時間から除く時間についても明らかにしていただきたいということでございます。
その下、健康管理時間の把握等に当たっての留意事項ということでございますけれども、事業場外でやむを得ず自己申告によることができる場合の例として、顧客先に直行直帰し、社内システムにログイン「しない」場合ではなくて、「できない」場合と限定的であることを明確化してございます。
それから、日々の時間が記録されていること、1カ月当たりの時間数の合計が集約されていること、こうした記録方法とすることを決議で定めることが適当であることということでございます。
6ページ、決議事項4、休日の確保でございます。指針で定める事項の1ポツ目、取得の手続を決議で明らかにすることの中に、取得の状況を使用者に明らかにすることが望ましいということ、それから、疲労の蓄積を防止する観点から長期間の連続勤務とならないよう休日を適切に取得することが重要ということを明確化してはどうかということでございます。
一番下のポツですが、年間104日以上、かつ4週間を通じ4日以上の休日、これを確保していただかなければいけませんけれども、その起算日については、制度の適用の開始日であるということでございます。
8ページ、決議事項7の下の部分、同意の撤回のところでございます。指針で定める事項で、前回は申し出窓口という表現を用いておりましたけれども、これをより内容を具体的にするということで、撤回の申し出先となる部署、担当者、申し出の方法等の手続を決議で明らかにすることということで記載してございます。
ここで、一番下に同意を撤回した場合における処遇またはその定め方とありますが、これとの関連で、前回の分科会で村上委員から、高度プロフェッショナル制度の適用が制度の期間の途中で外れた場合の労働者の処遇はどうなるのかという点につきまして、幾つかケースを挙げて御質問いただいたわけでございます。基本的な考え方を申し上げますと、使用者の法違反によりまして高度プロフェッショナル制度の適用がなくなったときには、労働時間規制につきましては通常のものが適用されることになる。労働契約の内容につきましては、両者の合意によらなければ変更されることはないということでありまして、賃金の支払い内容については変更されないことになると考えてございます。
9ページ、決議事項8、苦情の処理の措置ということでございますが、これは先ほどの同意の撤回と同じように申し出窓口という言葉をやめまして、苦情の申し出先となる部署、担当者等の手続を決議で明らかにする、人事担当者以外の者を申し出の担当者とするなど、申し出しやすい仕組みとするというように明確化してございます。
10ページ、決議事項10、その他厚生労働省令で定める事項ということでございます。まず指針の1点目、決議の有効期間でございますが、1年とすることが望ましいとしております。2点目、委員会の開催頻度及び開催時期は、少なくとも6カ月以内ごとに1回、定期報告を行う時期とするということにしてございます。
11ページ、決議の労働基準監督署への届け出ということでございますけれども、これは省令で定める事項になりますが、過半数代表者が適正に選出されていない場合、それから、労側委員に監督または管理の地位にある者が指名されている場合は決議は無効となるということを、留意事項として様式に記載してはどうかということでございます。
13ページ、制度導入後の実施状況の報告ということでございますけれども、これも省令で定める事項ですが、一番下、様式において「同意をした者の数」「同意を撤回した者の数」を記入する欄を設けるということにしてございますけれども、これについて報告の対象期間、6カ月以内ごとの数字を御報告していただくということでございます。
資料No.1については、以上でございます。
引き続きまして、資料No.3、縦置きの指針のイメージをごらんいただければと思います。詳細の説明は省略をさせていただきますけれども、資料No.1との対応関係と指針の構成、そのあたりについて簡単に御説明させていただければと思います。
この指針案ですけれども、4部構成となっておりまして、第1、第2、第3、第4という形で記載してございます。まず第1ですけれども、「趣旨」といたしまして、高度プロフェッショナル制度において、対象業務に従事する労働者の適正な労働条件の確保を図るため、具体的に明らかにする必要がある事項、それから、使用者や労働者が留意すべき事項といったものを定める趣旨であるということを第1に掲げてございます。
第2につきましては「本人同意」ということでございまして、これは資料No.1の12ページに対応する部分でございます。資料No.1の12ページに記載してある内容が、ここの第2の本人同意のところに順次記載されているということでございます。
2ページ、第3は「労使委員会が決議する法第41条の2第1項各号に掲げる事項」ということでございまして、これは労使委員会が決議する事項が、法律の第1号から第10号まで10項目ございますけれども、これが順次1から10まで記載されているということでございます。資料No.1で言うところの3ページ目以降に記載されている内容がここに盛り込まれているということでございます。
2ページ、下から5行目のところに矢印で「資料No.2」と書いてあるところ、これは3ページにもございますけれども、これにつきましては、今、対象業務について資料No.2で御議論いただいている途中でございまして、まだこちらの指針のイメージの中には盛り込んでございません。ただ、最終的に指針としてお出しする際には、資料No.2の対象業務に関する留意事項等々につきましても、こちらの指針の中に織り込んで、最終的には仕上げていきたいと考えてございます。
10ページ、第4で「法第41条の2第1項に規定する労使委員会の要件等労使委員会に関する事項」ということでございまして、これは労使委員会の要件に関する留意事項をここに記載してございまして、資料No.1の2ページの内容がここに記載されているということでございます。
指針のイメージにつきまして、文言の精査等は引き続き行っていくということでございますけれども、大体こういった内容のことが記載されるのだということのイメージを持って御議論いただければと思います。
事務局からの説明は以上でございます。
○荒木会長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明について、御意見、御質問等があれば、よろしくお願いいたします。
柴田委員。
○柴田委員 柴田でございます。
説明のところと少し違うのですけれども、年収要件について改めて申し上げたいと思います。なぜ申し上げるかといいますと、附帯決議に、水準について丁寧な議論を行うこととありましたので、これに基づいて少し確認も含めて質問させていただきたいと思います。
前回、使用者側の委員から、こういった人材にはグローバルな引き抜きがあるのだという話がございまして、私もそのとおりだと思っております。高度プロフェッショナル制度は、まさにこういう人が対象となる制度かなと思っておりますが、そういった場合の金融部門等におけるスペシャリストの年収はどれぐらいのイメージがあるのかということを、少しお聞かせ願えればと思っておりますし、少なくとも1,075万円というのは少ないのではないかと私自身は思っております。
また、第120回のこの分科会で、高度な職業能力を有する者についての企業ヒアリングの結果のペーパーにおいて、製薬関係の研究開発で1000万円以上層の平均年収は1200万円とありまして、そういうことからしても、1,075万円という水準が妥当かどうかというのは、再考すべき余地があるのではないかと思っております。
また、前回の事務局の答弁では、この1,075万円というのは後づけの根拠としてつくられたということでございましたので、そういった意味からも、冒頭申し上げた附帯決議に基づいた真摯かつ丁寧な論議を行う必要があると思っております。
こういったことからしても、前回、前々回も申し上げましたとおり、少なくともパートタイム労働者を含まない算定水準がベースになるべきなのではないかと考えておりますので、御見解をお願いしたいと思います。
以上です。
○荒木会長 時間の関係もありますので、幾つか御意見をいただいて、まとめて事務局からお答えいただきたいと思います。
ほかにはいかがでしょうか。
村上委員。
○村上委員 前回質問したことに対して、先ほど、年の途中で制度から外れた場合の取り扱いについて基本的な考え方はお答えいただいたのですけれども、まだお答えいただけていないかなと思っている部分が1つございます。それは事業主が医師の面接指導で、医師からこの人はもう適用から外したほうがいいという助言を受けて外した場合とか、今回労使委員会の決議で当該労働者を制度から外すことを決議することができることというのを指針で書かれるということですけれども、その決議に基づいて当該労働者が制度から外れる場合は、通常の労働時間規制に戻る。そこはわかるのですけれども、その際の当初合意していた処遇の問題はどうなるのか。あらかじめ考え方を示しておいたほうが後々のためにもよいのではないかと思っておりますので、御見解をいただければと思っております。
また、それに関連いたしまして、例えば月の半ばで制度を撤回したとか、あるいは適用から外れた場合に、安全衛生法上の医師の面接指導のカウントを、高プロを適用されている間は健康管理時間でやっていて、月の半ばからは通常の労働時間規制の対象になるということであれば通常の労働時間でカウントするということなのですが、これはどのようにするのか。同じようなものだと思って、あわせて一緒に面接指導の労働時間をカウントしていくのかということについても御見解をお聞かせいただければと思っております。
もう一点ですけれども、年の途中で撤回して適用を外れた場合、法定年次有給休暇のカウントの仕方は、どこからやっていくのかということとか、104日とか4週4休の休日との関係などはどのように整理するのかということについても、御見解を教えていただければと思います。
以上です。
○荒木会長 それでは、かなり質問事項もありましたので、今の2つの問いについて、事務局よりお願いいたします。
○労働条件政策課長 ただいま御質問いただいた点でございます。
まず1点目の柴田委員の1075万円でございます。この点に関しましては、前回の分科会でも御説明申し上げたところではございますが、この間の経緯といたしまして、平成26年の閣議決定「日本再興戦略」改訂2014というものでございますが、そこにおいて、少なくとも年収1000万円以上と明記をされまして、その後、平成27年の当分科会の建議におきまして1075万円を参考と明記されたという経緯があるわけでございます。
その水準が高いかどうかといった点でございますけれども、もちろん1075万円、これは業務の種類にかかわらず、この最低のラインとなる数字でございますが、例えば国税庁におきまして、民間給与実態調査というものがございます。これによりますと、年収1000万円を超える方の割合といったものが役員を含めまして4.4%で、この役員を除きますと全体の3%となってございます。
しかしながら、この3%の中にも、いわゆる管理監督者が含まれてございまして、この数字は除くことができません。また、ここで言う1000万円には、今回この年収要件においては、額が下がってしまうもの、これは含まれず、額が確実に払われるもののみとしてございますが、この国税庁の統計によりますと1000万円、これはいわゆる成果給など結果的に支払われたものも含まれているという数字でございます。
そのように考えますと、一つとして1075万円という建議でいただいていたもの、あるいはそのような統計データなどから行きましても、相当年収としては高い水準ということは客観的には言えるのではなかろうかと思う次第でございます。
また、パートタイムに関して、これも前回の分科会でございましたが、平成27年の建議の際にパートタイム労働者も含まれる統計の数字を御紹介した上で、最終的にその3倍を相当程度上回る額というような考え方で今回の法律が立法されてきているというようなところでございます。
村上委員からの御指摘でございました、医師の面接指導の結果適用から外れる、あるいは例えば決議で長時間になっている方については制度から外れるというようなルールになっていた場合に、それに基づいて外れる場合に関しましても先ほどと基本的な考え方は同様でございまして、労働契約に関しましては、当事者の合意によって変わるものでございますので、これによって待遇が変わるものではないと考えてございます。
月の半ばで外れた場合の面接指導との関係でございますが、ここは基本的には高度プロフェッショナル制度の場合におきましては健康管理時間、一般の場合は労働時間でございますので、それらを通算していくというようなことが基本的な考え方であろうと思います。このあたりは解釈などで示してまいりたいと考えてございます。
最後に、年の途中で外れた場合の年休のカウントということでございますが、年次有給休暇に関しましては、高度プロフェッショナル制度の対象労働者も適用されますので、年次有給休暇はいわゆる基準日におきまして付与されるということになりますので、この高度プロフェッショナル制度であれ、一般の労働時間制度であれ、年次有給休暇、これは継続勤務していることに変わりはございませんので、その基準日から従前どおり取り扱われていくということでございます。
また、休日に関しましては、高度プロフェッショナル制度は104日の休日、いわゆる絶対休日というものでございますが、制度から外れました場合には、これは労働基準法35条の適用がございますので、その後におきましては労働基準法35条が遵守される形で休日がとられていくということであると考えてございます。
○荒木会長 よろしゅうございますか。
それでは、ほかの点、いかがでございましょうか。
輪島委員。
○輪島委員 ありがとうございます。
年収の関係で、使用者側ということだったので、コメントをつけておきたいと思います。高度プロフェッショナル制度、ずっと繰り返し申し上げてきたように、高い専門性を持って時間ではなく成果で評価できる選択肢を用意する新しい制度と考えているところでございます。海外のエグゼンプションの制度とも全く違うものだと考えて、1075万円を想定した年収要件、これはいわゆる高度プロフェッショナル制度ということの趣旨、つまり、高い専門性と高いある意味では交渉能力が備わっているというようなことで設けられたと考えているところでございます。なので、この水準が出発点としてはベストなものだと考えております。
むしろ、それ以上を目指すという意味合いでは、高プロ制度を導入して、それを契機として、社内としては例えば年収だけではないのかもしれませんが、2000万とか3000万の年収を目指す。そのような専門職としてどんどんふやしていく契機というようなことにもなればいいのではないか。むしろそのようにポジティブに活用していくという考え方を持っているということだけ申し上げておきたいと思います。
以上です。
○荒木会長 ほかにはいかがでしょうか。
八野委員。
○八野委員 今の年収要件のところなのですが、先ほど柴田委員が言ったことも、2014年の11月の労働条件分科会で出た資料で見ております。このときは高度な職業能力を有する者ということでの企業ヒアリングの結果ということになっておりました。
何が言いたいかといいますと、きょうの議論にもなると思うのですが、資料No.2の高度プロフェッショナル制度の対象業務については、その当時よりもかなり絞り込まれた内容、職務になってきている。それを踏まえて考えると、1075万円という額は、年収要件としてどうなのであろうか。その年収要件は、成果や業績を含まない、固定部分のところが最低限1,075万円ということだと指針にも後で記載が出ておりますけれども、そのように見たときに、現在、対象業務として議論している職務内容と年収の下支えの関係は適切なのかという検証が必要なのではないかと思います。意見として申し上げます。
○荒木会長 ほかにはいかがでしょうか。
川野委員。
○川野委員 対象業務、資料No.2にかかわる部分でございますけれども、5ページの(4)コンサルタント業務にかかわる意見と質問ということになりますが、一くくりにコンサルタント業務といっても、非常に広い印象を受けるわけでございまして、例示によれば、経営戦略に直結する改革案を提案し、その実現に向けてアドバイス、支援をしていく業務ということになっておりますが、あくまでも会社横断的な事業に対するものであって、個々の事業に対する調査、分析、考案とか助言は含まないという理解でよいのかというのが1点目でございます。
加えて、コンサルタント業務は、括弧囲みの中に(事業・業務の企画運営に関する高度な考案又は助言の業務)という記載がありまして、省令で示す中身といたしまして、顧客の事業の運営に関する重要な事項について調査分析及びこれに基づく当該事業に関する考案または助言の業務がこれにあたるということになっていますが、高度なという部分がどこに入っているのかがわかりづらい。高度なということをより明確にする必要があるのではないかと考えます。
例えば会社横断的に経営戦略に直結するものだとして、中小企業や何かに特化した事業体に対してコンサルする場合においては、いわゆる経営コンサルタントだけでなく、ウエブサイト改善コンサルタントとか、会計コンサル、人事コンサルといったような幅広いものが重要な事項になってしまうのではないかということがイメージされるわけでございますので、高度の内容についてもっと書き下して、どのような場合に当てはまらないのかを明確にすべきではないかと思っております。
また、その際、第120回の労働条件分科会の高度な職業能力を有する者に係る企業ヒアリング結果において、情報通信のコンサルタント業務について、「世界共通の職務定義書により、職種、職務内容を明確化」とあるわけですが、今回の制度適用対象者はグローバル企業で世界共通の職務定義書がある場合に限るという理解でよいのかという質問でございます。
また、最後に、例えば保険代理店がございます。保険代理店に対して親会社というか、保険会社の営業担当者が代理店の経営戦略に直結するような業務改革案を示しているということが日常的にあると思うのですが、このような業務はこれまでの議論から言うと当然対象外という理解でよろしいのかという3点の質問と意見です。よろしくお願いいたします。
○荒木会長 ありがとうございました。
私の不手際で、現在は資料No.1とNo.3について御意見を承っておりますけれども、今の点は後ほどまた議論させていただきたいと存じます。
資料No.1とNo.3について、ほかに御意見はございましょうか。
八野委員。
○八野委員 資料No.1とNo.3は関係はしているということで見ていきたいと思うのですけれども、資料No.3の指針のほうについてです。
第1の趣旨のところに、委員会の決議が同項各号に掲げる事項について具体的に明らかにする必要があると認められる事項、次のところで労使委員会の委員が留意すべき事項と出ているのですが、これは指針全体を見ていきますと、「留意」または「適当」「望ましい」という表現が出てくるわけです。この辺のところが、どう分類されていて、どう整理されているのかを、確認のために、まずお伺いしたいと思います。
○荒木会長 それでは、全体にかかわりますので、今の点について事務局からお願いします。
○労働条件政策課長 八野委員の指針の点でございますが、わかりやすいところで行きますと、例えば2ページをごらんいただきますと、2ページの第3の1で(1)とあって、具体的に明らかにする事項とございます。一方、(2)で留意事項とございます。今般のこの指針に関しましては、これは高度プロフェッショナル制度に関します法律の十分におきまして、企画業務型裁量労働制に関する指針の根拠規定を準用いたしております。その規定に基づきまして、大臣が定めるものでございます。
基本的な構成としましては、そちらとも同様でございまして、今ごらんいただいたところで御説明をしますと、明らかにする事項というところに関しましては、法律の条文、法制度の解釈となる部分を書いてございまして、この明らかにする事項というところに該当しないというようなことになりますと、その仕組みはこの法律に抵触する違法なものであるということになるものでございます。
一方、(2)の留意事項、ここが指針の中心的な内容となるわけでございますが、これはこの決議をしていただくに当たりまして、労使委員会の委員の皆様に留意いただきたい事項などが書いておるというところでございます。
なお、この留意事項といったものが、この指針において定める基本でございますが、その中に一部留意とまでは言えなくても望ましいのではないかと思われるものが、一部この留意事項という分類の中に入ってきているという整理でございます。
○荒木会長 八野委員。
○八野委員 ありがとうございます。
そうすると、留意事項のところに入っているもの、または留意事項ではなくて留意することが必要であると書いてあるところ、または、適当であることに留意する必要があるというような文言があるのですが、そこは法的な義務にはならないということになるのでしょうか。
○労働条件政策課長 今、御指摘いただきましたように、この留意事項のところに関しては、義務ということにはなりません。しかしながら、この法律の条文におきましても、この労使委員会の決議をする委員は決議の内容がこの指針に適合したものとなるようにしなければならないとされてございまして、決して義務あるいはそれをしなければ無効といったものではございませんが、できる限りこの指針を参照いただいて、お取り組みをいただくべきものであると考えてございます。
○八野委員 後で労側の委員からも、それぞれの項目のところで出てくる意見があると思うのですけれども、適当であるとか留意するということのままでいいのかどうなのかということについては、どこで線を引くかというところにもなるかと思うのですが、それについて議論を、少しここでの意見交換を行っておいたほうがいいのではないかと思っております。
また、5月18日の厚労委員会において、加藤大臣が、高プロ制度に関連して、監督指導の質の向上あるいは量的な拡充、これらを含めてしっかりと取り組んでいきたいと思いますと答弁しておりますし、附帯決議の23には、高度プロフェッショナル制度を導入する全ての事業所に対して、労働基準監督署が立入調査を行い、法の趣旨に基づき適用の可否をきめ細かく確認し、必要な監督指導を行うこととある。それらを見たときに、先ほど言われた、留意する、または適当である、または留意事項と書いてあるものの監督指導というのはどういう取り扱いになるのか、この場で確認させていただければと思います。
○荒木会長 事務局からお願いします。
○労働条件政策課長 ただいま御指摘いただきましたように、今回、本日のこの参考資料でおつけしてございますが、参議院の附帯決議の23番におきましても、全ての事業場に対して立入調査を行うということ、そして、きめ細かく確認し、必要な監督指導を行うということにしてございます。もとより監督指導のあり方に関しましては、引き続きこの制度化をされていくものと並行して検討していく事項ではございますが、基本的な考え方として、当然ながら法違反といったものが起きないようなきちんとしたチェックをしていくということがございます。
一方、この留意事項に関しましては、先ほどのように、それが法的な義務となるものではございませんけれども、まさにこういった分科会の議論も踏まえて定められていくものでございますので、私どもとしては、できる限りそれを参照していただきたい。そのようなことから、必要な助言なり指導なりを行っていくということが基本になると考えてございます。
○荒木会長 八野委員。
○八野委員 例えばということで言わせていただきますと、資料No.3の2ページ目の上の5でございますが、「使用者は、労働者を高度プロフェッショナル制度の対象とすることで、賃金額が対象となる前の賃金の額から減ることにならないように留意することが必要である」と、ここでは記載されています。これは一例ということで、意見として述べさせていただきたいと思いますが、そういうことであれば、前の賃金の額から減ることにならないようにすること、と記載すべきなのではないかと思います。それぞれの項目の中でこういうものがあるかと思いますので、意見として述べさせていただきたいと思います。
以上です。
○荒木会長 ありがとうございました。
ほかにはいかがでしょうか。
佐久間委員。
○佐久間委員 資料No.1の4ページの手当の関係について、右側の指針で定める事項のところの支給額が変動することが見込まれる手当は含まないという表記があります。この指針案のイメージ、これは今回か、次回以降、さらに議論を行うこととなるかと思いますが、支給額が変動することの意味合いによって、今の年収要件が1075万ということで進められていますけれども、手当を入れることによって最低限の額を満たすのか、又は満たさないかというのも重要になると思います。そこの中で労働基準監督署に年2回、6カ月ごとに報告をしていく際に、労働基準監督署の方でこの手当は入るか否かという点までご指摘いただけるものなのか。
また、実際に例えば家族手当、この例示がいいのかわかりませんけれども、その手当は各社各様で、変動がある、変動がないということは出てくると思いますので、なかなか固有名詞としては出しにくいのですが、この指針の中で支給額が変動するという意味合いのものを明記していただくと、こういう手当が変動する手当に当たるのだということがわかりやすいかなと思います。その観点のものがもし入るのであれば、また、私たちが中小企業、組合なりに支援していくときに、どういうものが実際には含まれないのだということが指摘しやすいということがありますので、お願いできたらと思います。
○荒木会長 ありがとうございます。
ほかにはいかがでしょうか。
柴田委員。
○柴田委員 今の佐久間委員のところと少しかぶるので、私から申し上げたいと思います。
今の手当の関係ですけれども、例えば扶養する人数によって家族手当が変わるとか、転居すると金額が変わるような通勤手当といったものは、期間中に変動する可能性があるため算入されないという理解でいいのかということをまず確認したいと思います。
○荒木会長 では、事務局からお願いします。
○労働条件政策課長 ただいま佐久間委員と柴田委員から御指摘があった点でございますが、基本的に手当の名称にはかかわらないものでございまして、本日もお示ししておりますように、支給額があらかじめ確定されていなければいけないと。また、支給額の変動がふえる分には問題がない場合もあろうかと思いますが、より厳密に言うならば、まずは減ることが考えられるような場合といったものはこれは入らないと考えてございます。例えば家族の状況あるいは通勤の経路、居住地、そういったものによって金額が減る可能性があるというものは入らないと思います。
そのような意味では、支給額が確定されている、あるいはふえる可能性はあるとしても、最低保障額といったものがあるといった場合には、最低保障額までであるということでございます。
○荒木会長 よろしゅうございますか。
中川委員。
○中川委員 よろしくお願いします。
私から2点あります。資料No.3の2ページ目の第3のイの(イ)では、当該業務に従事する時間に関し使用者から具体的な指示を受けて行うものではないことということで明記されていますけれども、我々の立場から言うと、この「具体的な」というのは削除すべきではないかと考えています。
なぜかと申し上げますと、必ずしも具体的な指示でなくても、例えば黙示の指示であったとしても、例示されているような、裁量を失わせる指示となる場合も想定されるので、「具体的な」というのは削除すべきではないかというのが一点です。
もう一点は、先ほど八野委員から申し上げたことと同じような中身で一点ということになりますけれども、同様に資料No.3の3ページ目のハの一番下「管理者教育を行うことが適当であることに留意することが必要である」と、かなり文章的にいろいろな語句が入っているのですけれども、簡潔に「行うことが必要である」と記載すべきではないか。
なぜかと申しますと、No.1の資料を見ても、管理者教育を行うことと素案にも書かれておりますし、また、現実、例えば裁量労働制を導入している外資系企業では、上司、管理者が外国人というケースが相当多いのです。そういった場合、そもそも従来の労使慣行とか、日本の労働法制に精通されている方がなかなかいません。そういったことを含めて考えると、管理者教育というのは相当重要ではないかというのがあります。意見として申し上げたいと思います。
以上です。
○荒木会長 八野委員。
○八野委員 今のところに関連して、ちょうど資料No.3の3ページに管理者教育ということが出ておりましたので、ここの3行のところなのですが、今、中川委員からもあったように、いろいろな上司が出てきているということで、今の裁量労働制においても、使用者は裁量労働制のことについてよく知っている。ただし、労働者の上司が裁量労働制についてよく理解していないために、少しトラブルが起きているという事例があります。
そういう意味で見たときに、今回の高度プロフェッショナル制度の適用は、一つの所属だとか職務ということではなくて、そこの中にいる一人ということになるので、例えばAさん、Bさん、Cさんがいたときに、Bさんが高度プロフェッショナル制度の対象ですよということになる。そういうことをきちんと上司が理解していかなくてはいけない。
それと同時に、業務に従事する時間に関して具体的な指示を行うことはできないこと等を教育するのではなくて、高度プロフェッショナル制度全体について必要な管理者教育を行うことが望まれる。今の企画型裁量労働制とか専門型裁量労働制でもそういうことができていないところがあるので、特にここについてはそれを要望したいと思っております。
上司が外国人である場合のことも聞いてまいりました。自分の出身国の労働慣習と日本の労働慣習が違う、労働法も違うというところで、その上司も労働法に関するマネジメントに非常に困っている。そこは英語版であったり、その国に合わせたもので労働協約をつくったものを見せたりだとか、そのようにはしているということなのですが、そういうことを勘案しても、ここは丁寧にやっていく必要があるのではないかと思われます。
以上です。
○荒木会長 ほかにはいかがでしょうか。
世永委員。
○世永委員 ありがとうございます。
指針の1ページの本人同意のところで発言させていただきます。附帯決議の27号においては、本人同意の手続の適正な運用が重要であることから、提供されるべき情報や書面で確認方法を含め、本人同意に係る手続の要件等について、指針において明確に規定するとなっております。これを踏まえた上で、同意の際に、1ページにあります、高度プロフェッショナル制度の概要の(1)から(5)ということで、今、非常に重要な中身が記載されています。労働側はこれまでも、これらの情報を書面で示すように求めてきましたけれども、その旨が記載されていないため、改めて指針に追加すべきと考えております。特に運用面で、本人同意を私はしないよといった場合の不利益の取り扱いの禁止を徹底する必要性等について、現場から意見が上がっているということもあわせて発言させていただきます。
以上です。
○荒木会長 ほかにはいかがでしょうか。
柴田委員。
○柴田委員 ありがとうございます。
冒頭の年収要件につきましては、先ほど八野委員からもありましたけれども、ぜひ、対象業務と年収との関係性の検証をお願いしたいということをまず申し上げたいと思います。
それと、対象労働者の関係でございますが、衆議院の厚労委員会で加藤大臣も、求められる成果を満たさなくとも払われる賃金が減るわけではないと御答弁されておりまして、その記載について、ぜひ指針に盛り込んでいただきたいとお願いしたいと思います。
もう一つ、健康管理時間でございますが、これにつきましては、附帯決議にも、適正な管理、記録、保存のあり方や労働者等の求めに応じて開示する手続などを指針で明確に示すとされておりますけれども、資料No.3の5ページ、これも先ほど八野委員からもありました留意事項というところの言葉遣いですが、適当であることに留意することが必要とありますが、それぞれ「必要である」という形に変えていいのではないかと思っております。
以上です。
○荒木会長 安藤委員。
○安藤委員 安藤でございます。
本日途中退席させていただきますので、1点だけコメントさせていただきます。
今回、赤字にはなっておりませんが、資料No.1の7ページの決議事項5、選択的健康確保措置について、以前から心配に思っていることがあるので発言させていただきます。
まず、次のいずれかの措置を選択するということなのですが、これは1点である必要はなく、少なくとも1点だという理解が正しいと考えております。
また、特に大事なのが、右側の指針で定める事項にあるように、必要に応じて業務ごとに異なる措置、その業務、その業務において、ふさわしい健康確保措置が選ばれることだと考えております。
そして、年収要件とか、いろいろな論点がありますが、私は一番大事なのはこの健康確保だと考えておりますので、ぜひ御検討いただきたいと思いますのは、この省令で定める事項の1つ目である勤務間インターバルの時間について、これを11時間以上とするとしていますが、これは本当に望ましいのか。個人的にはインターバルというのは、健康管理の視点からかなり重要なのではないかと考えているわけですけれども、11時間という今のルールのもとで、果たしてこの4つの選択肢の中でどのくらい選ばれるのかという点で疑問を持っております。
これは私の勘ぐり過ぎかもしれませんが、恐らく私が労働者側の立場だったら、9時間や10時間よりも11時間、長いほうがいいと考えてしまうかもしれない。しかし、私がもし企業経営者だったら、4つの選択肢があるし、例えばうちは健康診断をやるので、インターバル規制については11時間でも構わないというような不幸なすれ違いがあると非常にもったいないかなと考えております。
どうすれば実際に選ばれやすい仕組みになるのかを本来は考えるべきではないか。これは4つ選択肢がある中で、高プロという制度を利用する企業が4の健康診断のみを選んでいるという状況になり、1から3までは実際には利用されない「空振りのルール」となってしまうと、制度設計としては余りうまくないものだと思うのです。職種ごと、また会社ごとに適度にいろいろ選ばれるようなものになっていないと、複数選択にする意味がないと考えております。この点に関しては、今回実際に始まるまで期間が限られていますので、細かい制度設計はどこまでできるかというのは、難しい点もあるかもしれません。
また、労使の皆様から、これまで余りこの点について意見がなかったようにも感じておりますが、そうであるのであれば、実際にこれが運用された後になっても定期的にどの企業においてどういう健康確保措置が採用され、それがどう運用されているのか、事後的な検証をしっかりしていただいて、この省令であったり指針で定める事項、どうすればより健康確保措置が実効性を持つのか、事後的な検証で結構ですので、これを検討していただく必要があるのではないかと感じております。
以上、コメントです。
○荒木会長 ありがとうございます。
事務局からお願いいたします。
○労働条件政策課長 ただいまいただいた点でございます。手短に申し上げます。
まず、中川委員からいただきました対象業務に関しての具体的な指示という点でございますが、これは資料1の3ページの左側で、省令で定める事項のところでございますが、これはこれまでも御議論いただきましたように、具体的な指示のみではなくて、この括弧書きにおきまして、実質的にそのような指示と認められるものも含むというようなことで省令で書くことにしてございます。具体的な指示のみに限られるような書きぶりにならないように、そこは指針ももう一度よくチェックしたいと考えてございます。
管理者教育が大変重要であるという点、ここは中川委員と八野委員からもございまして、教育すべき中身などに関しまして、さらにこの指針に書き込んでいくべきものがあれば、また検討、御相談をしてまいりたいと思ってございます。
一方、いわゆる留意事項であるのか、必ずやる義務なのかという点に関しましては、基本的な考え方としましては、法律の解釈として条文から、法律から読み取れる解釈においては、これは義務ということにもなりますが、なかなか指針でそれを必ずやらなければいけないというような義務を創設するのは、この指針の性格から言って難しいのかなと考えてございます。
一方、御指摘いただいているように、適切であることに留意というようにみんな同じように書いてある点に関しては、例えばここは特に重要であるとか、幾つか表現をもう少し分けてもよいのではないかということはあろうかと思います。そのような点に関しましても御相談しながら検討したいと考えてございます。
それから、本人同意の書面で説明という点も、少し検討の余地があろうかと思ってございます。
対象業務の年収に関しましては、恐縮ながら、なかなかこの対象業務がどのようにセットし、かつ導入されていくかというところもございますので、業務ごとの年収というデータがないわけではございますが、先ほど申し上げましたようなデータなどをもとに御議論をいただきたいと考えておるところでございます。
また、これは確実に支払われる賃金でございますので、この成果が思ったほどでなかったとしても、高プロの期間においてそれが減額されることはないということでございます。
安藤委員からございました、この11時間という部分でございますが、この間、この分科会では11時間で御議論をいただいておりましたが、一方で、そこに柔軟性があるほうがかえって導入されるのではないかという視点なのかと思いますが、私どもとしては11時間で御提案しつつ、もし労使から御意見があればそこをまた何か考えるということかと思ってございます。
以上でございます。
○荒木会長 ありがとうございました。
ほかにはいかがでしょうか。
八野委員。
○八野委員 今のお答えに対してということなのですが、確かに指針で書ける範囲というものがあるのかもしれませんが、我々労側がこだわっているのは、まずこれが新しい制度であるということが一点。非常に複雑になっているという点が一点。
労側としては、労働時間に関する規制が適用除外になるという初めての制度であるということなので、そういう中では、留意することだけではなく、きちんとすべきであることをなるべく明確にしていくことが重要であって、労使委員会の中で協議をする場合でも、厚生労働省の明確な考え方を踏まえた上で、では、自分たちのところをどうするのだということを考えていくということだと思っています。ですので、そういったところにこだわった意見が出てきていると御理解いただきたいと思います。
○荒木会長 ほかにはいかがでしょうか。
輪島委員。
○輪島委員 ありがとうございます。
先ほどの監督署の全数調査ですけれども、監督課のほうで今どのような段取りというか、イメージをお持ちなのかだけお伺いができればと思います。
○荒木会長 事務局からいかがですか。
○監督課長 監督課でございます。
現在、制度もこのようにつくられて、まさに御議論いただいている最中でございますので、こういったものの要件がどのようになるかなども見ながら、どういった視点を持って監督していくかというところも含めて、大変恐縮ですが、現在検討中という状況でございます。
○荒木会長 輪島委員。
○輪島委員 若干お願いになりますが、高度プロフェッショナル制度についての担当者、監督署ごとなのか、労働局ごとなのかよくわかりませんが、企業はかなり問い合わせが行くのではないかと思いますので、高プロについて相談できるラインみたいなものを明確に決めていただいて、企業の対応についても遺漏なきようにお願いしたいと思います。
○荒木会長 御要望として承りました。
ほかにはいかがでしょうか。
川野委員。
○川野委員 先ほど、留意すべきという表現については工夫される旨説明がございましたので、加えて、労使委員会の要件等についても、表現について若干訂正、補強をいただきたい旨、補足しておきたいと思います。
資料No.3の10ページに労使委員会のことが書かれておりますけれども、労使1名ずつの2名で構成する委員会については認められない旨、資料No.1では記載いただいていますが、これは留意事項になっておりますので、そこはもう認められないと記載することが必要であると思っています。
また、11ページの(2)に運営規程を記載いただいているのですが、そこに、労使委員会の一定の出席者があることが適当であることに留意ということが記載されております。ここは、特に5分の4で決議するものについて、労使のどちらか1名のみしか出席していない場合には、議決すべきではない旨を記載する補強が必要ではないかと思っておりますので、そこについての御検討をいただきたい。
11ページ、その下の3の(2)のところに、情報開示について、プライバシーを保護することは重要とは考えますものの、個々の労働者の状況について開示されることが非常に重要でありまして、例えば健康管理時間や休日の取得状況などについては、制度適用対象者の平均値の開示では規定を満たさない。もっと言いますと、個々の労働者の状況としなければならない旨を記載すべきと考えます。それによって初めて労使委員会から医師や労働基準監督署への、個々の労働者の状況の情報提供ないし報告になると考えておりますので、そうした点についても御検討をお願いできないかと思います。
以上です。
○荒木会長 ほかにはいかがでしょうか。
世永委員。
○世永委員 今、川野委員から労使委員会の関係で発言でありましたので、続けて9ページの(2)の労使委員会の開催頻度について、私から1点発言させていただきます。
労使委員会の開催頻度について、少なくとも6カ月に1回の開催が適当であることに委員は留意するとなっておりますけれども、前回の議論を踏まえれば「6カ月に1回の開催が必要である」と記載するべきと考えますので、発言させていただきます。
以上です。
○荒木会長 村上委員。
○村上委員 資料No.3の指針のイメージの8ページの7、これは7号なので同意の撤回の部分でありますが、ここに関連して4点申し上げたいと思います。
一つが、(2)のロの最後の部分ですが、撤回後の処遇についてあらかじめ決めておくということの後に、意図的に制度の要件を満たさなかった場合は、そういったものは適用されないように定めることが適当であるということは書いてあるのですけれども、先ほどのお答えとの関係で言えば、この表現では少し狭いのではないかと思っております。
つまり、合意がなければ処遇の問題については従前の同意したものを変更できないということであれば、意図的に要件を満たさなかった場合には限られないので、ここは狭いのではないかと思っております。どんな表現にするのかは案があるわけではありませんけれども、ここは少し御検討いただきたいと思います。先ほどのお答えがわかるようなことを書いていただく必要があるのではないかと思っております。また、それにあわせまして、使用者側から解除できないのだということを、ここではないのかもしれませんけれども、どこかに入れておいていただくほうが後々のトラブルは少ないのではないかと思います。それが1点目です。
2点目は、これは国会での御答弁でもあったのですが、ただ、当たり前だから書いていないということなのかもしれませんけれども、同意の撤回というのは特に予告期間はなくて、意思表示の時点で有効になるというような御答弁はあったのですが、労使委員会の指針にそういうものを入れておいたほうがよいのではないかということで、意見として申し上げます。
3点目は、8ページの7の(1)のほうのロ、撤回した労働者をそのことを理由として不利益に取り扱ってはならないという部分の内容なのですが、これは高プロ適用時よりも年収を引き下げるという場合は、不利益取り扱いになるという理解でよいのかということを質問させていただきます。
最後に、指針の中身とは直接関係ないのですが、疑問がございまして、何らかの理由で本人が撤回ではなくて、使用者が例えば健康管理時間をきちんと把握していなかったとか、休暇をとらせていなかった場合に高プロ制度から外れるというときに、その場合は、労基法第32条に基づいて賃金などの清算も行った上で、再度高プロ制度を適用したいということになる場合には、どのような手続を踏むのか。もう一度労使委員会で決議し直して本人の同意をとり直して適用させることになるのか。一回外れるのだけれども、その外れた労働者はしばらく適用してはいけないという話なのか、そうではなくて、もう一度手続をやり直せば対象にすることができるということなのか。
また、そういう場合に、うっかり健康管理時間を把握していませんでしたというようなことがあるかもしれませんけれども、そうではなくて、法律で決められたことをきちんとやっていないということを繰り返すような使用者の場合、これについては労基法第32条に戻りますということだけではなくて、監督指導が必要ではないかと思っているのですが、このような事業者に対してはどのように対応するのかについて、現時点のお考えがあればお聞かせいただければと思います。
○荒木会長 それでは、たくさん出ましたので、事務局からお願いします。
○労働条件政策課長 今、各委員からいただきました意見、まず指針における書きぶりに関しましては、また改めて検討させていただきまして、御相談申し上げたいと思います。
それに関して、先ほど義務づけになるものは法律の解釈から導かれるものにどうしても限定をされるということを申し上げましたが、その一方で、書き方の工夫の余地はあろうかと思います。また、この指針が実効性を持つためには、先ほど来申し上げております、この労使委員会の委員は指針に適合したものとなるようにしなければならないと法律に規定もございますので、そういったものもよく御案内しながら周知を図っていくこともあろうかと思った次第でございますので、検討させていただきたいと存じます。
村上委員からございましたが、途中で外れて再度適用されるといった場合におきましては、これは改めて本人との同意の手続というものが必要になると考えてございます。
それから、仮に不適切な運用が企業において繰り返されていた場合でありますが、一般論として申し上げれば、労働基準監督署における監督指導におきましては、きちんと是正を求め、それをきちんと報告させ、確認するといったことをしていると承知してございますので、繰り返し、そのようなことがまずは行われないようにきちんと監督指導していくということだと考えてございます。
○荒木会長 よろしゅうございますか。
村上委員。
○村上委員 今のお答えの部分なのですが、労基法第41条の2に定めている義務を満たしていなければ、労基法第32条の違反をしていたことになるということかと思います。そういう事業者の場合においても、まずは法律に適合することをやってくださいということを助言なり指導されていくということが今の労働基準監督行政だと思っておりますが、ただ、何回も同じようなことを繰り返している事業者に対するサンクションとしては、何かもう少し強いものはないのかというのが質問の意図であります。
○労働条件政策課長 いずれにいたしましても、適切な履行確保のための監督指導のあり方、こちらに関しても検討を深めてまいりたいと考えてございます。
○荒木会長 それでは、もし資料No.1、資料No.3についてさらになければ、次の議題に移りたいのですが。
輪島委員。
○輪島委員 お帰りになってしまいましたけれども、安藤先生が御提起をされたインターバルの時間についてどうするのかというのを、話をするのかしないのかというところですが、安藤先生が御出席でなかったときに、労使でインターバルの点は議論があったように思うのですけれども、その点、事務局で整理されるのか、考えを述べたほうがいいのか、どうするべきかを御指示いただければと。
○労働条件政策課長 今、輪島委員からございましたように、これまでのこの場の御議論といたしましては、11時間ということで議論が進んでいたかとは思いますが、安藤委員から、またそのような新たな視点もございましたので、そういった視点を取り入れるのかどうか。もし取り入れることも考えてよいのではないかという御議論があればまた検討したいと思いますし、そうではなく、あくまでも11時間でよいという方向であればその方向で考えていきたいと考えてございます。
○荒木会長 三者構成の審議会の場ですので、御意見があればおっしゃっていただいて結構だと思っております。
村上委員。
○村上委員 安藤先生の御提案について、もう少し、私どもとしては相談していきたいと思っておりますが、御指摘の趣旨はおっしゃるとおりだと思っておりまして、11時間だとか、あるいは深夜業の回数も4回というと、1を選択する企業が本当にあるのかという疑問はあるところであります。
ただ、一方で、望ましいインターバルの時間ということで言えば11時間あけることが望ましいということがありまして、私どもとして、前回は11時間ということでよいのではないかと考えておりましたけれども、本日の御提案については少し持ち帰って検討したいと思っております。
○荒木会長 輪島委員。
○輪島委員 私どもは前回申し上げたとおりということで、基本的に高度プロフェッショナル制度というのは新しい制度でありますので、その中で安藤先生御指摘のとおり、やはり健康確保は一番大事だと思っておりますので、高度プロフェッショナル制度におけるインターバル制度は11時間である、それが適切ではないかと思っているところです。
私どもは以上です。
○荒木会長 インターバル制度は一般の労働者は努力義務ということで、今後また議論となると思いますけれども、高プロの場合には選択肢の一つということで、そこがどのように健康確保に実効的に意義があるのかは、実際に使われて検証できる状況になることが大変大事なことで、安藤委員もそういう趣旨での御提案だったとお聞ききしました。今後も検討すべき重要な論点の指摘であったと受けとめております。
ほかにはいかがでしょうか。
よろしければ、もう一つ議題がありまして、次は資料No.2についての説明がございます。
事務局からお願いします。
○労働条件政策課企画官 事務局でございます。
資料No.2「高度プロフェッショナル制度の対象業務(素案)」ということで、横置きの資料をごらんいただけばと思います。こちらも先ほどの資料No.1と同じように、前回の御議論を踏まえ前回の資料の一部修正を行っておりまして、修正部分を赤字にしてございます。1ページ目は変更ございません。
2ページ、(1)金融商品の開発業務というところでございます。左側、対象になり得ると考えられる業務に例示を追加しておりまして、資産運用会社が行う新興国企業の株式を中心とする富裕層向け商品(ファンド)の開発といったようなことが考えられるだろうということでございます。
右側、対象にならないと考えられる業務でございますけれども、前回金融サービスという言葉はわかりにくいという御指摘がございましたので、金融商品の販売、提供、運用に関する企画立案または構築の業務というように書きかえてございます。
次、金融商品の売買の業務と資産運用の業務につきましては、これは(2)の金融商品のディーリング業務で御議論いただくということでございますし、その次、市場動向の分析の業務につきましても、これは(3)のアナリストの業務で御議論いただくということでございますので、ここではちょっとわかりにくいということで、削除してございます。
3ページ、(2)金融商品のディーリング業務でございます。右側、対象にならないと考えられる業務といたしまして、個人顧客に対する預金、保険、投資信託等の販売・勧誘の業務というところを追加してございます。
4ページ、(3)アナリストの業務でございますが、対象にならないと考えられる業務、これも先ほどの(1)と同じように、ポートフォリオを構築または管理する業務というのは、(2)の金融商品のディーリング業務で御議論いただくものということでございますので、ここも削除してございます。
5ページ、(4)コンサルタントの業務ということでございます。まず左側、対象になり得ると考えられる業務のところで、赤字で追加しております「企業の事業運営についての調査、分析を行い」というところは、コンサルタントの業務については調査、分析を行った上で考案、助言をしていただくということですので、そこを明確化する観点でつけ加えております。
例示といたしまして、コンサルティングファームが行う顧客の海外事業展開に関する戦略企画の考案、こういったものが考えられるのではないかということでございます。
その下、米印ですけれども、先ほどの調査、分析のところに少し説明を加えている部分でございますが、顧客の事業の運営に関する重要な事項について行うものであるということでございまして、顧客から調査、分析を行うために必要な内部情報の提供を受けた上で、例えば経営状態、経営環境、財務状態、事業運営上の問題点、生産効率、製品や原材料に係る市場の動向等について調査、分析することが必要ということで、情報提供を受けた上で調査、分析をするということを明確化してございます。
右側、対象にならないと考えられる業務というところで、ポツの一番下のところは、商品・サービスの営業・販売として行う業務ということで、コンサルティングを営業・販売として行うようなものがございますけれども、こういったものは対象にならないと考えられるものでございます。
米印でございますが、時間に関して具体的な指示を受けるものは対象外ということでありまして、上席の指示であるとかシフトに拘束をされて、働く時間帯の選択や時間配分に裁量が認められない形態でチームのメンバーとして行う業務、こういったものは時間に関する指示を使用者から受けているということで、対象業務にはならないということでございます。
6ページ、(5)研究開発業務でございます。左側、対象になり得ると考えられる業務につきましては、研究開発でございますので、研究という言葉を入れているのと、例示としてメーカーが行う要素技術の研究、製薬企業が行う新薬の上市に向けた承認申請のための候補物質の絞り込みといったことを入れてございます。
右側、対象にならないと考えられる業務でございますけれども、ポツの一番下は他社システムの単なる導入にとどまり、導入に当たりみずからの研究開発による技術的改善を伴わない業務。
それから、米印といたしまして、対象業務は部署が所掌する業務全体ではなく、対象となる労働者に従事させる業務ということでございますので、部署の名称が「研究開発部」であったとしても、その部署において行われる業務の全てが対象業務ではないということで記載してございます。
説明は以上でございます。
○荒木会長 それでは、ただいまの御説明について、既に川野委員から関連する質問も出ておりますけれども、そのほかにも御意見、御質問があればお願いします。
八野委員。
○八野委員 ありがとうございます。
まず確認なのですが、資料No.1の3ページ、対象業務ということで、省令で定める事項のところに対象業務について限定列挙すると書かれております。そうすると、資料No.2の対象業務の素案ですけれども、例えば2ページで言うと、省令に書かれるのは上の「金融工学等の知識を」云々、それから、例えば研究開発で言えば「新たな技術、商品又は役務の研究開発に係る業務」というものが省令に入って、下のくくってあるところが指針になるという理解でよろしいでしょうか。
○労働条件政策課長 ただいま御指摘のございましたように、このかぎで書いておりますところが省令の内容になりまして、なり得るもの、ならないと考えられるもの、これらが指針の内容として考えてございます。
○八野委員 そのようになってくると、附帯決議でもあったような、明確に限定列挙して、この業務を明確にするということは、指針で書かれているところをさらに明確にしていくという理解でよろしいでしょうか。
○労働条件政策課長 今回の緑色の資料で、(1)から(5)までございまして、それらの意味するところに関して、この指針の例といったもので、より明確にしていきたいと考えておるものでございます。
○八野委員 ありがとうございます。
そういう整理の上で、全体として具体的な業務が、既存の企画業務型もしくは専門業務型の裁量労働制の対象業務と、範囲が重なっている部分がかなりあります。そういうことで見ていくと、例えば研究開発のところで言えば、専門業務型裁量労働制と、高度プロフェッショナル制度が重なるというのは、本当にいいのか。まず、そう思います。
そういう観点からは、今回赤字で加筆をしていただいているのですけれども、コンサルタント業務と研究開発業務というのは、まだ漠然として広過ぎるのではないか。この後、労側からも意見があると思いますけれども、附帯決議の20号の記載にある、本制度の対象が高度な専門職であり、使用者に対して強い交渉力を持つものでなければならないということを踏まえていくと、このままの記載であれば、コンサルタント業務と研究開発というのは、本当に高度プロフェッショナルに対応するのだろうか。少し乱暴な言い方をしたら、対象業務から外してもいいのではないかと思うわけであります。
これは先ほども言いましたように、労働時間等に関する規制の適用除外となる業務ということになりますから、かなり絞り込んだものが必要であり、それを指針の中でやっていくということもあるかと思いますけれども、そのように思います。その辺、意見と御質問ということで、あわせてさせていただきたいと思います。
○荒木会長 事務局からお願いします。
○労働条件政策課長 ただいまの八野委員の点でございます。
高度プロフェッショナル制度に関しましては、もちろん手続、効果なども裁量労働制とも異なってございます。また、先ほど業務の部分でも省令事項でもございましたが、指示を受けて行うものもそもそも対象業務から除くということをしてございますので、やはり全体として見たときに、この制度は新たな制度であると考えてございます。
一方、この指針の部分に関しましては、今回もかなり赤い字が目立ってございますが、前回までの御議論も踏まえて記述しておるところでございますが、引き続きこの場で御議論をいただきまして、この指針の内容を充実したものにしてまいりたいと考えてございます。
○荒木会長 八野委員。
○八野委員 それでは、(5)の研究開発業務に関して、少しお話をさせていただきたいと思いますが、医薬品の研究開発職ということで言うと、薬の物質を合成したり、開発研究を行う創薬の部門、また、それを錠剤や注射液の形にする製剤部門、それが副作用や発がん性がないかどうかを調べる薬理部門、安全性部門という、この4つぐらいに分かれるということで聞いております。ここがいわゆる医薬の中における研究開発という部署になるわけです。ですから、この省令で書いてある部分は、今の部門が全部対象になる。
そこを見てみますと、ほとんどの方が裁量労働制で働かれている。その中で研究をやられている方、またはプロジェクトリーダーとしてやられている方、その部門の中での専門性を高める方、または横断的にプロジェクトリーダーとしてやる方がいらっしゃると聞いております。ですから、ある意味、ここのところは、全てと言うとちょっとオーバーになりますが、ほとんどの方が裁量労働制で働かれているということになっていきます。
そう見ていったときに、では、ここの中で今言われている高度な専門知識云々という高度プロフェッショナル制度の趣旨に沿って言うと、よく使用者側の方たちがいわゆるグローバルな戦いの中における高度な専門職と言う人材は、ここで言う創薬部門の本当の一部の方で新薬の芽を見つける、そういう方が高度プロフェッショナルではないかと捉えているということでございます。
そうすると、今、対象となり得ると考えられる業務で書かれているものだけでは、かなり幅広であり、今の段階では、対象業務として限定され明確になっているとは言いがたい状況になっているということをお伝えしておきたいと思います。ですので、そこのところについてしっかりと明確にしていくことが重要なのではないか。
それと、指針にも書いてありましたけれども、職種や職場で高度プロフェッショナルではなくて、その中の誰々というものでないとこれは運用できないのではないかと思いますので、意見として言わせていただきたいと思います。
○荒木会長 ありがとうございました。
中川委員。
○中川委員 研究開発部のところと関連して、数点申し上げたいと思います。
まず、6ページの左です。ここに研究ということが入ったり、要素技術ということを、前回の議論を踏まえて入れていただいたというところで言うと、よくはなったかなと考えています。
ただ、少し右側を見ていただくと、対象にならない業務に技術的改善を伴わない業務というのが2つ書かれていますけれども、製造業なりサービスなり、そういったいろいろな業種で技術的な仕事をしている人で、こういう業務は実際にあるのかという疑問がそもそもあります。技術的改善を伴わない業務は、ほぼないのではないかと思っておりまして、この表現は考えるべきではないかというのが一点。
また、左に戻りまして、新たな技術の研究とございますけれども、新たなという言葉について言うと、既存の商品の組みかえなり組み合わせ技術みたいなところもその対象になって、業務の見直しレベルまで入ってしまう可能性もありますので、そういった意味では、新たなという言葉を、例えば次世代技術とか、そういった既存の製品の技術の延長上にないといった趣旨の表現で定義すべきではないかと考えております。
もう一点、業務のところに関して言うと、特許を取得するということであったりとか、博士号取得者による研究であったりとか、そういった要件もイメージとして書き込まないと、何でもかんでも入ってしまうのではないか。そういったことも考えられるのではないかと思います。
最後に、裁量労働制との違いというのは先ほど説明はいただきましたが、今回、省令、指針を決めるに当たって、相当裁量労働制のところは参考にしていると思いますけれども、裁量労働を今、見てみましても、開発部門では、現実問題、例えば個人個人の職務等級が昇級、昇格する必要要件になっているような会社は結構多いのです。裁量労働制にすることが、賃金が上がる、昇格するという要件になっている、そういった運用になっているという話もよく聞くのです。高プロもそのようにならないかという懸念もありまして、そのようにならないための方策も必要ではないかと思いますので、意見として言わせていただきたいと思います。
以上です。
○荒木会長 輪島委員。
○輪島委員 ありがとうございます。
八野委員とか、皆さん、労働側の委員は弁舌が爽やかで、説得力があって、聞きほれてしまうのですけれども、八野委員が前回もそうでしたが、研究開発業務もコンサルタントも広過ぎるとおっしゃるのですが、きょうの最初に事務局からの答弁がありましたように、1075万円だということにすれば、そもそも対象は3%という中で、さらに管理監督者等を除けば対象になる人が本当にどれだけいるのかというようなところで、高度な働き方をしているということで新しい制度だということをもう一度申し上げておきたいと。
なので、広過ぎる、誰でも対象になるという理解ではなくて、企業の中ではほんの一握りの大きな付加価値を出してもらいたい人に対してこういう働き方をしてもらいたいのだということではないかと思っております。
私どももそれなりに企業の現状では裁量労働制やいろいろな制度で対応しているというようなところから、今度、高度プロフェッショナル制度が入ったときにどのように考えるのかということで御意見を聞いていたりなどしております。その点だけ少し御紹介させていただくと、これはある化学メーカーですけれども、働いている研究開発者の方からは、思考が途切れることなく、いわゆる乗っているときというような表現でしたが、乗っているときに仕事を続けていきたいというような希望はよく聞くと。
ただし、深夜業については、極力健康管理の関係からストップをかけていると。研究分野によっては合成反応、それがスタートしてから何十時間もかかることがあって、それをつきっきりでやりたいという要望とか、反応が出たときに、すぐに次の工程に入る必要があるということで、それが深夜に現象が起きるということも仮にあったとすれば、こういう制度はそこに意味があるのかなと。
開発本部において、これはセクションの名前かと思いますけれども、海外の法人と臨床の進捗状況の確認ということでテレビ会議とかさまざまな会議を行う。時差があるときに、日本時間を中心にやれるかというとなかなかそういうわけにもいかないので、実態としては欧州の時間とかアメリカの時間に合わせるということから、日本時間の夜10時から始めて、終わるのが5時間後ということもあると。先ほどのとおりですけれども、できるだけ深夜業を避けるように指導はしているけれども、時差の関係でやむを得ないことも多いと。
高度プロフェッショナル制度の導入については、先ほど柴田委員からも御指摘があったように、製薬メーカーであれば結構この要件をクリアしているのかもしれませんが、ただし、会社としては、現時点ではそんなに積極的に活用できるかなということも一方では考えている。ただ、研究者のほうから、現在の裁量の環境でさらに自由に働きたいという希望もある。特に実質的な現場からはそのようなニーズもあるので、そのようなことであれば前向きに検討をしていく必要があるのではないかというような声を聞いているところであります。
その点、私どもとしては、ポジティブに活用していくというような観点で、この高プロ制度を積極的に活用できる環境を整えていきたいと考えているところでございます。
以上です。
○荒木会長 八野委員。
○八野委員 今の点については、対象人数が年収要件から見て非常に少ない人数であるという指摘ですが、私たちは対象者の人数を言っているのではありません。ここは今、対象業務をどのようにしていくのか、さらにそれを具体的にしていったときにどうしていけばいいのか、これをここで議論するべきである。ですから、先ほど言ったように、例えば医薬の部門で言えば、先ほどの4部門が研究開発となっていて、その中で高度プロフェッショナルに適した職務、または対象労働者はどのような人なのか、それを指針の中で明らかにしようという議論を、この場でしているはずです。
その現状については、私も聞いてきました。今、研究開発にいる人も、日本、アメリカ、イギリスと、会議をやらなくてはいけない。それも同時でやる。アメリカ時間に合わせる。だから、その時間というところをなるべく日本時間に合わせてもらいたいのだけれども、どうしても深夜になるというようなことであるだとか、研究開発をやっている人たちは、例えば新薬がもう見つかりそうなところまで来れば、そこに熱中して働くという話は聞いています。しかし、論点はそういうことではないのではないか。高度プロフェッショナル制度の中の対象業務をどうするのか、附帯決議の中でも、具体的に明示していくべきだということを言われていることに対して、我々はここで議論しているのですから、きちんと論点を合わせていきたいと思っております。
以上です。
○荒木会長 松永委員。
○松永委員 ありがとうございます。
今、おっしゃったことはごもっともだと思っています。対象業務に関しては、具体的に書き込むといっても恐らくいろいろな業種、例えば研究開発であればいろいろな研究開発の対象物があって、全てを具体的に書くことはできないと思っていて、私が思っているのは軸となる考え方というか、キーワードというか、そういうものは必要かなと。その上で、例えばこういう業務というようなことはあるのではないかと思っています。
軸となる考え方とかというのは、新しい技術とか高いレベルのものであるとか、先ほどどなたかがおっしゃっていましたが、既存のものであっても、組み合わせとか、そういうものがすごく新しい発想であるとか、そういうのも十分に研究開発の対象になるのではないかと思っています。
最終的には、これは労使委員会できちんと確認することになりますので、具体的な書き方もある程度のところでおのずと限界はあって、では、どのように個々の企業の労使でそれを確認していくのかということになるのではないかとは考えています。
先ほど来、ありましたように、実際に働いている従業員からすると、優秀な人材もそうなのですけれども、時間にとらわれない働き方を望む声はあるのはあります。せっかくの大きな転換点で、風穴をあける大きな第一歩だと思っていますので、対象人数が対象業務になじまないかどうかはいろいろな考え方があると思うのですけれども、想定される人数の幅は我々としてはそこは意識した上で、その中での議論は必要なのではないかとは考えています。
○荒木会長 ほかにはいかがでしょうか。
中川委員。
○中川委員 もう一度、松永委員にお聞きしたいのですけれども、風穴をあけるというのは何に風穴をあけるということか御説明をお願いします。
○松永委員 労働時間の管理ということで言いますと、今回の高度プロフェッショナルは深夜も含めて、従来の労働時間の管理ということで言うと、より仕事の中身を意識した働き方を求める、プロフェッショナルとしての働き方を求めるということで言うと、大きな一つの転換点だと我々のほうとしては考えているという意味でございます。
○荒木会長 ほかにはいかがでしょうか。
佐久間委員。
○佐久間委員 まず、こちらの資料No.2のコンサルタント業務の関係なのですけれども、ここでは対象とならないと考える業務の中で、調査をしなければいけない、そして、分析をする、そして、調査、分析はやらないけれども、助言だけを行うという表記になっています。
調査、分析と、助言の3つが3点セットでそろえば、対象になると読めるのですが、その場合、表記のところで、当該事項に関する考案または助言の業務。このようなコンサルタントであると、例えばお客様の企業に対して調査をしました、分析をしました、この考案というのがどこまで入るのかというのもあるのですけれども、報告書にまとめる、それを口頭で伝える、または報告書で伝えるという業務があるとしたら、この3つがそろわないとコンサルタント業務の対象にはならない。
それをまとめたものを、お客様に対して幾らですよと販売していくという形になると、この商品・サービス、営業・販売と一体で行う業務は対象となるのか否か。要は、営業だけ行うのはだめですよと。依頼を受けた調査、分析をして、助言を含めて報告書などを提示して営業を行う、それを売っていくということは一連の流れなので、このコンサルタント業務に入るのかなと考えています。
中小の事業者で人数が少ないなかでコンサルタント業などを営まれているところは結構あると思うのですけれども、ほとんど従業員というよりは、一人でお客様の情報をもらって、そして、報告書をまとめてあげる、または助言をするという形を採っています。チームになっていくかどうかももちろん重要な観点だと思うのですけれども、一人でまとめた場合はどうしても営業まで一体となってやって、売上げがどれだけあったということが出るものですから、この一連の中で助言だけをやらない、報告書の取りまとめをやらないという区分けをするのか、わかりにくい。ここでは調査、分析、助言、または報告書を取りまとめる、また、それをノウハウとして売っていくというところまではやらないと、コンサルタント業務にならないのかという形が疑問点というか、そこまでぐらい認めていかないと、なかなかコンサルタント業務も対象にならないのではないかと思います。
次のページに研究開発業務があります。今、焦点になっているところですけれども、私などは、中小企業庁の中小企業施策などを担当させていただいていると、この新たな技術、商品、または役務の研究開発というのが、中小企業新事業活動促進法がありまして、そこで経営革新という言葉がありました。中小企業施策の中には、従来から事業の転換とか、新分野進出という言葉もあるのですけれども、経営革新ということになると、それは新たな技術とか新商品などを生んでいくときに、補助金などを受けるときにもどこの分野に出ていくかが重要なところなのです。そうすると、それが細分類の対象になる。違う分野に行ければ、それが大分類ではなくて細分類程度でも助成を受けられる可能性があるということで、非常にこういうものは受け入れやすいものだと考えます。細分類を対象とする新技術、新商品開発を対象とすることは、中小企業にとっても受入れやすいと思っています。
今回もここを読むと、新たな技術、商品、役務の研究開発とちょっと違う分野に行けてもという形に読めるというのは、高プロ自体の仕組みとしては導入がなかなか、中小では対象が少ないのではないかと思うのですけれども、余り狭過ぎてしまってもせっかくの制度の導入に前向きにということもできないと思います。また、本当に新分野進出、全然今までの会社でノウハウがない、技術がない、ほかのことをやらなければいけないとなるとかなりハードルが高い形になってしまいますので、その辺の見極めも話し合っていかなければいけないのではないかと思います。
私とすれば事業を少し変えるという形でも、細分類の分野の進出、研究開発を行うという形でもできれば、本当は一番、中小企業施策に合致したものになるのかなと思います。もちろんここは労働関係の施策ですので、大きな新技術をかなり転換しなければいけないものなのか、そこは議論が必要なのではないかと思っています。
以上です。
○荒木会長 ありがとうございました。
ほかにはいかがでしょうか。
村上委員。
○村上委員 (2)と(3)の金融商品のディーリング業務とアナリストの業務についてです。私もこの分野に詳しいわけではありませんので、関係の方から御意見をいただいてきましたけれども、まず、金融商品のディーリング業務の対象になり得ると考えられる業務の部分で質問です。今お答えいただかなくても、後日でも構いませんけれども、1つ目と2つ目のポツで、投資判断に基づく資産運用の業務というのと、2つ目の投資判断に基づく資産運用として行う有価証券の売買その他の取引の業務というものの違いがよくわからないという御意見をいただいております。後者は前者に含まれるのではないかということもありますので、そのあたりは少しはっきりさせていただいたほうがよいのではないかということであります。
その隣の対象にならないと考えられる業務なのですが、まず上のほうのファンドマネジャー、トレーダー、ディーラーの業務の補助の業務というのがありますけれども、補助の範囲はどういうものなのかがよくわからないという御質問もいただいております。
その下のほうに※印でトレーダー、ディーラーの業務であっても、こういったものは対象外ということを書いていただいておりますが、そのうちの終日取引を継続し続けなければならない業務というものがありますけれども、それについては、終日か否かにかかわりなく、取引量が決められているようなものも対象外とすべきではないかということが意見としてございます。
4ページ、(3)のアナリストの業務でありますが、これは確認なのですけれども、アナリストとは省令でも書いていませんし、対象になると考えられる業務とか、対象にならないと考えられる業務の中にも書いていないので、どういったことになっていくのかということはありますけれども、実際に金融関係の中では人事ローテーションの中で、ある期間、アナリストという職名を名乗る部署に配置されることもあるということなのです。ただ、そのアナリストの業務だけやっているわけではなくて、ほかのいろいろなこともやりながらアナリストもやるということなのですが、そういった場合については、これは対象にならないと理解してよいのかということがもう一点の質問です。
先ほどの5ページのコンサルタントの業務に関しまして、佐久間委員から営業も入れるべきという御意見がありましたけれども、逆に営業を入れてしまうと、自社製品の売り込みのために調査、分析、考案して、こういうものを買ったほうがいいですよということをやることまで入ってしまい、これはコンサルタントの業務から逸脱していると思っておりまして、その部分については入れるべきではないと考えております。
それから、松永委員から先ほどの風穴をあけるという御意見だったのですが、その意味合いを先ほど御説明されたところを伺いますと、深夜業の話であったかと思いますが、日本の労働法制で別に深夜業は一部の年少労働者を除いて禁止しているわけでもございませんし、裁量労働制においても別に深夜業をさせてはならないということもございませんので、そういった深夜業を禁止しているわけではないという前提で物事を考えていただきたいと思っております。
以上です。
○荒木会長 それでは、たくさん御意見もありましたし、中には御質問もあり、先ほど川野委員からの質問もございましたので、事務局より適宜お答えいただければと思います。
○労働条件政策課長 今、各委員から御質問をいただいた点でございます。
コンサルに関しましては、先ほど前半で川野委員からも御指摘をいただいておりますが、今回もごらんいただいておりますように、かなり赤い字でこのあたりの限定をしてきているというところでございます。したがいまして、個々の委員の方への御説明といいますか、やや全体をまとめまして、このコンサルタントの考え方をいま一度申し上げさせていただきます。
この赤字を今回入れておりますが、言葉をかえて言うならば、まさに高度プロフェッショナル制度の対象となるコンサルタントの業務といいますものは、左側に書いてございますように、顧客企業から必要な内部情報の提供を受ける。そして、その事業運営の重要事項についての調査、分析を行う。そして、その分析に基づいて重要事項についての考案、助言を行うということでございます。
したがいまして、例えば自社の商品を販売しようということを目的として、特段のこの調査、分析等も行わないというようなことになりますと、さすがにこれはコンサルタントということにはならないと考えられるわけでございまして、このコンサルタントとしてのふさわしいイメージをより明らかにしたいというようなことで、このような赤字で書いてきているというところでございます。
先ほどの1つ前、アナリストは村上委員のところでございましたが、アナリストの業務とそれ以外の業務をやっている場合でありますが、あくまで高度プロフェッショナル制度は対象業務といったものがこのように省令で限定列挙されて、その中から決議で定められたもののみでありますので、それと違う業務も常に行うことになっているということであれば、それは制度の適用は認められないというようなことになります。
全体を通じまして、軸となる考え方、キーワードとなるようなもの、そのあたりをよく整理してはどうかという御指摘もいただいております。実は今回、米印で特にコンサルタントなどで書いているのもまさにそうでございまして、個別の例示を超えまして、さらに解釈となるところを書かせていただいたものでございます。引き続き、例えば研究開発などにつきましても、同様の深掘りをまた皆様とも御相談しながら進めてまいりたいと考えてございます。
なお、最後に研究開発に関して申し上げますと、今回、右下のところに米印をつけてございまして、部署全体ではなくて対象者が行う業務であるということにしているわけでございまして、研究開発部門であるからといってもちろん全員が対象になるわけではなく、あくまでも対象となる業務をやる人であり、かつこの制度の適用を望む方のみであるということは、重ねて申し上げたいと思います。
○荒木会長 ほかに何か御意見、御質問等はございましょうか。
輪島委員。
○輪島委員 ありがとうございます。
10月から高度プロフェッショナル制度の議論が始まったとき、冒頭に申し上げた点を再度繰り返しということでございますが、我が国を取り巻く経営環境は大分変わっていると。国際競争力の激化、デジタライゼーション、AIなどの新技術を利用した新しい企業の参入とか、人口減少に伴う国内市場の縮小、これまでにない大きな変化に見舞われているという理解でございます。
こうした中で、企業がこの環境変化に対応するためには、イノベーティブな企業を一層追求していく。この1点に尽きると考えておりまして、そのためには最先端の研究者、または今度高度プロフェッショナル制度の対象になる方々に非常に御活躍いただいて、高度専門職がその持てる能力を最大限発揮できるような環境を整えていきたいと考えているところで、まさに新しい制度の創出でありますので、そういう観点で風穴と申し上げたので、その点について、小さい言葉に、ワーディングにこだわらずに議論していただきたいと思っているところでございます。
以上です。
○荒木会長 八野委員。
○八野委員 別にそれにお答えするということではないのですけれども、今の企業が動いている環境というのが、労働者にとっても、大きなさまざまな影響を与えていることは確かです。そういうものを見たときに、先ほど使用者側からは、これは1075万円だから非常に少ない人数なのだと言われました。では、少ない人数の中で、今、言われたような改革ができるのか。今のグローバルな時代の中で、市場または人口、または競争の激化、グローバルなところで戦う企業が、これだけではできない。
風穴をあけているというのは、労働側から言えば、労働時間の規制の風穴をあけている、そういう制度であると考えています。今、過労死、過労自殺が減っているか。過重労働がどうなっているのか。裁量労働制の中で過労死も事例として出てきている。そのような中でこの制度を入れるに当たって、私たちはこの対象になる労働者の健康を確保しなくてはいけない、命を守らなければいけない。そういう観点から我々は言っているわけであって、最初のところへ戻って言えば、労働側の意見は建議で出てきたものとそれほど変わっていない。
それと同時に、いまだに、この制度は本当に必要があるのかという世間の声も出ていることは確かである。その中で法律が決まり、省令、指針の中でどうやって進めていこうかということを労働側もしっかりと議論している。そこを理解していただきたい。
別にこの議論に乗らないというわけではなくて、この制度をよりよく、または労使委員会の中できちんと話ができる、または同意した労働者が健康を壊さないように働けるということを前提として議論しているということを改めて言わせていただき、労働側の意見とさせていただきたいと思います。
以上です。
○荒木会長 ほかに御意見はございますか。
それでは、ほぼ定刻となりましたので、本日のところは以上とさせていただきたいと思います。
次回の日程等について、事務局からお願いします。
○労働条件政策課企画官 次回の労働条件分科会の日程、場所につきましては、調整の上、追ってお知らせいたします。
○荒木会長 それでは、これをもちまして、第149回の労働条件分科会は終了といたします。
なお、議事録の署名につきましては、労働者代表の八野委員、使用者代表の杉山委員にお願いをいたします。
本日はお忙しい中、どうもありがとうございました。