2018年10月31日 第148回労働政策審議会労働条件分科会 議事録

労働基準局労働条件政策課

日時

平成30年10月31日(水)15:00~17:00

場所

中央労働委員会講堂

出席者

【公益代表委員】
   荒木委員、川田委員、平野委員、水島委員、守島委員
【労働者代表委員】
   川野委員、櫻田委員、柴田委員、中川委員、八野委員、村上委員、弥久末委員、世永委員
【使用者代表委員】
   齋藤委員、早乙女委員、佐久間委員、杉山委員、松永委員、輪島委員
【事務局】
   坂口労働基準局長、田中審議官、富田総務課長、黒澤労働条件政策課長、石垣監督課長、久知良計画課長
   中嶋調査官、竹野企画官

議題

(1)「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」について
(2)その他

議事

 

○荒木会長 それでは、ほぼ定刻ですので、ただいまから、第148回「労働政策審議会労働条件分科会」を開催いたします。
本日の委員の出席状況ですけれども、御欠席の委員としまして、公益代表の安藤至大委員、黒田祥子委員、両角道代委員、使用者代表の秋田進委員、佐藤晴子委員と承っております。
本日の議題に入る前に、事務局から定足数の報告をお願いします。
○労働条件政策課企画官 定足数について御報告いたします。労働政策審議会令第9条により、委員全体の3分の2以上の出席、または公労使各側委員の3分の1以上の出席が必要とされておりますが、定足数は満たされておりますことを御報告申し上げます。
○荒木会長 それでは、カメラ撮りはここまでということでお願いいたします。
本日の議題に入りますが、お手元の議事次第に沿って進めてまいります。本日の議題は「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律について」です。
まず、事務局から、資料1について説明をしてもらいます。
○労働条件政策課企画官 事務局でございます。
本日の資料は2種類ございます。まず、資料1について御説明いたします。
前回、10月15日の分科会におきましては、高度プロフェッショナル制度に関し、省令で定める事項の素案をお示しして御議論をいただきました。その際、省令事項と指針事項が一覧となっている資料を示すべきとの御指摘があったことから、これらの事項を制度の導入手続順にまとめたものを資料1として作成しているものでございます。
資料1に移ります。1ページ目は制度の導入フローで、左側にステップ1からステップ5まで記載してございます。まず、労使委員会を設置する。それから、決議をする。決議を労働基準監督署に届け出る。対象労働者の同意を書面で得る。対象労働者を対象業務につかせるということでございます。制度導入後の対応といたしましては、監督署のほうに定期報告をしていただく。要件に該当する方には面接指導を行っていただくといったことがございます。
資料の2ページをお願いいたします。まず「ステップ1 『労使委員会』を設置する」ということでございます。上の枠に書いておりますのは法律上の要件でございまして、委員の半数については、過半数組合が指名すること等々が規定されてございます。下に行きまして、左側が省令で定める事項の素案、右側が指針で定める事項の素案という構成になっております。
左側の省令で定める事項の素案でございますが、前回の資料では企画業務型裁量労働制に係る規定を準用するというようにしていた部分でございますけれども、書き下しますとこうなるということで、委員の指名は、監督または管理の地位にある者以外の者について行わなければならない。使用者は、委員会の開催の都度、議事録を作成し、3年間保存しなければならない等々といったことが規定されるということでございます。
右側に参りまして、指針で定める事項の素案でございます。まず、1点目といたしまして、労使委員会の設置に先立ち、設置日程、手順等について話し合い、定めておく。2点目といたしまして、委員の指名に当たり、対象労働者及びその上司を含めることを検討する。3点目、運営規程を定めるに当たり、委員会の開催、決議方法等に関することを規定する。4点目、労使委員会に対して、対象労働者に適用される評価制度・賃金制度、対象業務の具体的内容、健康確保措置の実施状況、苦情処理状況などを開示する。最後に、労使委員会と労働組合等との関係ということで、労働組合の団体交渉権を制約するものではないということでございまして、下の※にありますけれども、企画業務型裁量労働制の省令、指針の規定内容に準じて定めるということでございます。
3ページは「ステップ2 労使委員会で決議をする」ということで、決議事項にここから入ってまいります。左側、省令で定める事項の素案については、前回お示しした資料から若干修正している部分がございます。対象業務について、業務に従事する時間に関して使用者から具体的な指示を受けて行うものを除くということですけれども、括弧内におきまして、業務量に比して著しく短い期限の設定、その他実質的に当該業務に従事する時間に関する指示と認められるものを含むということにしております。前回の御議論におきましては、この「著しく短い期限の設定」という部分が限定し過ぎではないか。無理なノルマを1週間で課されるといったこともあるという御指摘がございまして、相対的に著しく短い期限の設定がだめだということを明確化するために、「業務量に比して」という文言を書き足してございます。
右側の指針で定める事項の素案でございます。まず、1点目は対象業務の具体的範囲を決議で明らかにする。対象業務以外の業務を決議しても効果は生じない。それから、業務に従事する時間に関し、具体的な指示を受けて行うものの解釈と具体例、限定列挙する業務に該当する例としない例、業務に従事する時間に関し具体的な指示を行うことはできないことなど必要な管理者教育を行うこと。こういったことを指針で定めたいと考えてございます。
4ページは「決議事項2:対象労働者の範囲」でございます。これも左側、省令で定める事項の素案は前回から修正している部分でございます。職務の合意の方法につきまして、電磁的方法を認めるのかとか、あるいは職務以外も書面に記載するべきであるといったような御指摘がございました。そこで、考え方を整理いたしまして、以下の内容を書面にて明らかにした上で、合意を得ることとするといたしまして、業務の内容、責任の程度、求められる水準。この3つを書面にて明らかにした上で、この書面に労働者が署名するという整理としてはどうかということでございます。これにつきましては、労働者が希望した場合には、署名した書面をPDFで読み込んで電子メールで送付することも可能とするということでございます。
それから、左下の年収要件の部分でございます。2ポツ目の基準年間平均給与額の3倍の額を相当程度上回る水準とはどういうことなのかということで、これも前回の分科会の場で御議論いただいた点でございます。これについて、平成27年当時の当分科会におきましても議論がございまして、それを若干紹介させていただければと思いますけれども、事務局からは、3倍にも4倍にも張りついていない状態をあらわすものということを説明した上で、相当程度という言葉につきましては、労働基準法の体系の中で3割程度の距離感をあらわすといった説明をしてございます。したがって、基準年間平均給与額の3.3倍、3.4倍といった水準になるということで、3倍をした額をそこから1.3倍、1.4倍にするということではなくて、3倍する前の額の3.3倍、3.4倍というようなことでございます。
もう一点、パート労働者を含めるのがいいのかどうかといった御議論もございました。これも当時の分科会で3倍という水準をお示しした際に、毎月勤労統計の決まって支給する給与、これが平均26万円余。その12カ月分掛ける3倍で約937万円になるということを御説明しておりまして、これはパート労働者を含めた水準であるということで、そのことを前提に3倍という数字を御議論いただいたということでございます。
右側に行っていただきまして、指針で定める事項の素案でございます。まず、対象労働者の範囲を決議で明らかにする。対象業務に常態として従事していることが原則である。それから、職務が明確に定められていることの解釈といたしまして、使用者の一方的な指示により業務を追加することができる内容を定めることはできない。職務を変更する場合には再度合意が必要であること。最後、年収要件の解釈で、ここも前回、御議論があった部分でございますけれども、名称のいかんにかかわらず、あらかじめ具体的な額をもって支払われることが約束され、支払われることが確実に見込まれる賃金である。支給額があらかじめ確定されていない賃金は含まれない。賞与や業績給において最低保障額が定められている場合には、その最低保障額は含まれるということで解釈を示してはどうかということでございます。
5ページは「決議事項3:健康管理時間の把握」でございます。左側の省令で定める事項につきましては、前回から変更はございません。右側の指針で定める事項の素案でございますけれども、まず、当該事業場における健康管理時間の把握方法を決議で明らかにする。健康管理時間の把握、管理、記録、保存に当たっての留意事項ということで、ここも前回、御議論がございましたが、健康管理時間から除く時間として決議できるのは、除く時間の内容・性質であって時間数ではない。事業場外でやむを得ず自己申告によることができるということでございますが、この場合の例といたしまして、顧客先に直行直帰し、社内システムにログインしない場合などでございます。それから、労働者の求めに応じて健康管理時間を開示することが適当であるということで、これは附帯決議を踏まえたものでございます。労働者の勤務状況を把握する際に労働者の健康状態を把握することを決議に含めることが望ましいということでございます。
資料の6ページをお願いいたします。「決議事項4:休日の確保」ということで、これは省令委任事項がありませんので、指針で定める事項のみとなってございます。取得の手続を決議で明らかにすることということで、確実に取得されるよう労働者本人が年間を通じた取得予定を策定して使用者に伝えることが望ましい。疲労の蓄積を防止する観点から適切に取得することが重要である。その旨が使用者や労使委員会によりあらかじめ労働者本人に周知されることが望ましいということでございます。休日を与えることができないと確定した時点から制度の適用は認められないということでございます。
7ページは「決議事項5:選択的健康確保措置」でございます。省令で定める事項につきましては、前回から変更はございません。指針で定める事項でございますけれども、まず、いずれの措置を講ずるかを決議で明らかにする。決議に当たり、対象となり得る労働者の意見を聞くことが適当である。必要に応じ、業務ごとに異なる措置とする。臨時の健康診断を実施する場合における確実な受診でありますとか、必要な事後措置の実施を図る。こういったことを規定していきたいということでございます。
ここも前回、御議論がございました点がありまして、「就業規則その他これに準ずるもので定めるところにより」というふうにこの選択的措置はなってございます。その趣旨について、前回の分科会で御議論があったところでございますけれども、これも平成27年当時の分科会でも議論がございまして、趣旨としては、決議して明確に定めていただいた上で、あわせて就業規則その他これに準ずるもので定めるということによりまして、確実な履行をお願いする趣旨である。「その他これに準ずるもの」とは何かということがございましたけれども、この部分については、労働者が10人未満の場合は就業規則の作成がないために規定しているということで、そういった説明が当時の分科会でもなされているということでございます。
8ページをお願いいたします。「決議事項6:健康管理時間の状況に応じた健康確保措置」でございます。省令で定める事項については、前回から変更はございません。指針で定める事項でございますけれども、まず、いずれの措置を講ずるかを決議で明らかにする。健康管理時間が長時間に及んでいる場合など、一定の条件のもとで労働者を制度から外すことを決議することができるということでございます。
「決議事項7:同意の撤回」でございますが、これは省令がございませんので、指針で定める事項だけでございます。まず、申し出窓口等の手続を決議で明らかにする。同意の撤回を求めた労働者は制度から外れる。同意を撤回した方に対する不利益取り扱いの禁止。同意を撤回した場合における処遇またはその定め方ということでございます。
資料の9ページは「決議事項8:苦情処理措置」でございます。これは企画業務型裁量労働制の指針と同様のことを定めていきたいと考えてございまして、まず、申し出窓口等の手続を決議で明らかにする。人事担当者以外の者を窓口とするなど、申し出がしやすい仕組みとする。取り扱う苦情の範囲には評価制度や賃金制度等に関する事項も含む。既に設置されている苦情処理制度を利用する場合にはその旨を周知するとともに、その制度が高度プロフェッショナル制度についても機能するよう配慮するといったことでございます。
「決議事項9:不利益取扱いの禁止」でございますけれども、これも指針で定める事項だけですが、配置及び処遇について、同意をしなかった労働者をそのことを理由として不利益に取り扱うものであってはならないといったことでございます。
10ページは「決議事項10:その他厚生労働省令で定める事項」、決議をする事項でございます。左側につきましては、前回から変更はございません。右側の指針で定める事項でございますけれども、まず、決議の有効期間に関する事項でございまして、※で記載しておりますが、企画業務型裁量労働制の決議の有効期間につきましては、通達において3年以内とすることが望ましいとしているところでございます。
2点目、決議に定めることが適当である事項といたしまして、決議時点では予見し得なかった事情の変化に対応して決議の変更等のための調査審議を行うこと、把握した労働者の健康状態に応じて制度適用について必要な見直しを行うといったことでございます。
3点目、決議に先立ち、使用者は、評価制度及び賃金制度について、労使委員会に対し十分に説明することが適当である。
4点目、時間に関して具体的な指示を行わないことをもって、安全配慮義務を免れるものではないといったことでございます。
資料11ページは「ステップ3 決議を労働基準監督署に届け出る」でございますけれども、この部分につきましては、前回から変更はございませんので省略させていただきます。
12ページをお願いいたします。「ステップ4 対象労働者の同意を書面で得る」ということでございまして、ここも前回の分科会で大分御議論いただいた点でございます。まず、省令で定める事項は前回から変更してございまして、以下の内容を書面にて明らかにした上で、同意を得るということでありまして、制度が適用される旨、少なくとも支払われる賃金の額、同意の対象となる期間といった事項を書面にて明らかにしていただいた上で、その書面に労働者が署名をする。これは先ほどの職務の合意と同じように、労働者が希望した場合には、書面をPDFで読み込んでメールで送ることも可能とするということでございます。
指針で定める事項でございます。1点目は、本人同意を得るに当たっての時期、方法等の手続を明らかにする。本人同意を得るに当たっての労働者への明示事項ということで、括弧の中のようなことをしっかり明示した上で、本人同意を得ていただきたいということでありまして、制度の概要、決議の内容、同意した場合の賃金・評価制度、同意しなかった場合の配置と処遇、同意の撤回ができること、同意の撤回に対する不利益取り扱いを行ってはならない。こういったことを事前に明示した上で、同意を得ていただきたいというようなことでございます。
3点目、本人同意について、短期の労働契約の労働者にあっては更新ごと、無期または1年以上の労働契約の労働者にあっては1年ごとに確認・更新が行われるべきであるということでありまして、これは附帯決議を踏まえたものでございます。それから、制度を適用する期間を1カ月未満とすることは適当でない。制度の対象となることによって賃金が減らないようにする。使用者が一方的に解除できないということでございます。
これも前回に御議論いただいたところで、決議の監督署への届け出の際に、本人同意が適正に行われているかどうかをしっかり監督署において確認するといったことが附帯決議のほうに盛り込まれておりまして、具体的にどのように確認するのかといった御指摘がございました。これにつきまして、今回、書面で明示する事項をお示ししているということでございますので、同意を得るに当たって、こうした事項を明示するということをしっかり確認できるよう、チェックボックスのようなものを想定してございますけれども、そういった欄を設けることを考えているということでございます。
資料の13ページでございますが「ステップ5 対象労働者を対象業務につかせる」「実施状況を労働基準監督署に定期報告する」ということで、これは6カ月以内ごとに報告をするということでございますが、省令で定める事項は前回と同様ですので省略をさせていただきます。
資料14ページ、「医師による面接指導」の要件でございますけれども、この部分についても省令で定める事項は前回お示ししたものと同内容でございますので、省略させていただきます。
資料の15ページ以降は参考資料ということでおつけしているものでございますけれども、健康確保措置について、少し構造が複雑であるので、整理を試みたものでございます。(1)から(3)、決議事項3から決議事項5までについては、これは措置を講じていることが制度の導入要件になります。
おめくりいただきまして、16ページをお願いいたします。健康管理時間の状況に応じた健康確保措置、決議事項6でございますけれども、これは先ほどの決議事項3から5とは異なりまして、適正に決議されていることが制度の導入要件ということになります。したがって、措置を講じていない場合の効果でございますけれども、決議事項3から決議事項5については措置を講じていることが要件でありまして、実際にこれらの措置を講じていない場合には、適用除外の効果は生じないということになります。それから、(4)の決議事項6のほうですが、措置の未実施については行政指導の対象になるということでございます。
資料1の説明は以上でございます。
○荒木会長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明につきまして、御質問、御意見等があればお願いいたします。
世永委員。
○世永委員 ありがとうございます。ステップ1の労使委員会の設置について発言させていただきます。2ページにあります指針で定める事項の素案の2つ目のポツ、委員の指名に当たり、対象労働者及びその上司を含めることを検討することについてです。労働側としましては、対象労働者となり得る労働者の意見を聞くことについてはよいことだと思いますが、委員会で評価制度や賃金制度等の具体的な内容を決めていくということについて、対象労働者を委員として選出することは求めていないということについて、発言をさせていただきます。
2番目としまして、省令で定める事項の素案の一番上のポツ、委員の指名は、監督または管理の地位にある者以外の者について行わなければならないということについて御質問します。この名宛て人は委員を指名する過半数労働組合、過半数代表者ということで理解してよろしいでしょうか。
以上です。
○荒木会長 きょうはいろいろと御意見が出るかもしれませんので、幾つか御意見をいただいて、まとめて事務局から質問も含めてお答えいただくことにしたいと思います。今の点は後ほどお答えいただきますけれども、輪島委員。
○輪島委員 ありがとうございます。資料1でございますけれども、前回、全体のイメージがなかなかつかみにくいということをお話しさせていただいて、そのことがわかるような資料ということでお願いさせていただきましたが、そういう意味で、ステップ1からステップ6ごとに、どのようなものがどのようになっていて、省令でどうするのか、指針でどうするのかということがイメージできるような資料をつくっていただいたということについて、まずもって感謝したいと思っております。ありがとうございました。
そのことを踏まえまして、まず、ステップ1の労使委員会のところでございますが、2ページの一番下にありますように、基本的には企画業務型裁量労働制に係る省令及び指針の規定内容に準じてということで、特段の異論がないと考えているところでございます。
もう一つ、対象労働者の範囲のところでございます。4ページです。ここも基本的にはこれまでの御議論、つまり、建議を踏まえた、または附帯決議を踏まえた内容だと私どもとしては承知しておるところでございますけれども、省令で定められている事項を完備することが職務記述書には求められているというように承知しているところでございますが、この様式ないし記入例というような、イメージのようなものを御提示いただいて、労使が理解しやすい内容について努めていただくということで、資料をさらに御提示いただければと思っているところでございます。
私からは以上です。
○荒木会長 ありがとうございます。
ほかに、特に質問があれば。弥久末委員。
○弥久末委員 要望でもよろしいでしょうか。ありがとうございます。
労使委員会のところが冒頭にありますので、その開催の関係に関して要望を申し上げたいと思います。ちょっと飛ぶのですけれども、10ページの委員会の開催頻度及び開催時期ということが省令で定める事項(素案)の2に記載されています。開催頻度につきましては、13ページに飛びますが、労使委員会による決議が行われた日から起算して6カ月以内ごとに、所定の様式により、労働基準監督署に報告を行うということになっています。ですので、先ほどの開催頻度の2でありますが、これに準拠して、少なくとも6カ月以内ごとに開催することが求められるといったことを指針に明記するべきではないかと思います。1点要望です。
以上です。
○荒木会長 ほかに質問はございますか。
川野委員。
○川野委員 ステップ1の労使委員会の設置についてでございます。労使委員会が記載のとおり大変重要な役割を担う、そうした立場になるわけでございますけれども、労使委員会の委員が適切に選出されるということが重要になるかと思います。現行の企画業務型裁量労働制に係る規定準用、2ページの下に記載があるわけでございますけれども、本日、資料の配付はいただいていませんが、附帯決議の15号と16号には、適正な運用についての記載がされていると記憶しています。
過半数労働組合がない場合には、民主的な手続で選出された過半数代表者により委員の半数が指名されなければならないこと、加えて、過半数代表者が民主的な手続で選出されていなければ労使委員会の決議も無効であるということについて、指針に明記すべきではないかと考えるところでございます。例えばコンサルタント会社等々があるかと思いますが、使用者1人に対して数名のコンサルタントがいる、そうしたコンサルタント会社はあるのだろうと思います。その場合に労使の代表が1名ずつとなるのは望ましくないと考えていますし、厚生労働省の企画業務型裁量労働制の解釈例規やパンフレット等には、労使各1名や2名からなるものは労使委員会として認められないという明記もされています。
これを指針にも明記すべきだと考えておりますし、また、5分の4の議決が必要なのであればこそ、原則的には労使各5名程度、5名ずつが大変わかりやすいのではないかと考えています。企画業務型裁量労働制の労使委員会についても、委員の複数選出の指針について明記すべきではないかと考えているところでございますので、よろしくお願いいたします。
○荒木会長 ありがとうございました。
それでは、佐久間委員。
○佐久間委員 ありがとうございます。私からは質問をお願いしたいのですけれども、まず、2ページの指針で定める事項のところで、委員の指名に当たり、「対象労働者及びその上司を含める。」の記載があります。先ほどもご質問があったところだと思うのですが、ここでは上司が記載されており、省令で定める事項では、ポツの最初のところに、委員の指名は、監督または管理の地位にある者以外の者について行わなければならないとありまして、この上司が管理監督者に当たる場合もあり、重複するのではないかと思います。その辺の違いを教えていただきたいのがまずは1点でございます。
それから、4ページ目なのですけれども、指針で定める事項のポツの4つ目ですが、これも企画業務型の裁量労働の形の準用というか、類似として持ってきていると思うのですが、職務を変更する場合には再度合意が必要であること。こちらは労使だけではなく、労使委員会の合意が必要になってくるのか。そちらも教えていただきたいと思っています。
あとは7ページにインターバルの関係があります。ここでは11時間以上という形になっているのですけれども、11時間というのが基本的にここで認められれば、高プロ関係は11時間だということで、まあ適当でないかと思うのですが、高プロ制度対象以外の労働者に対して、インターバルを考慮した場合の時間と、異なっていいのかということが気になるものですから、そちらのほうも教えていただければと思います。
もう一点なのですが、休日の関係も、ちゃんととれたかどうかということを管理しなければいけないと思います。労働者の合意というのが先にあって、休日もちゃんととらないと、これは契約がなくなる。無効だという形で読めるものですから、その場合、休日の予定をあらかじめ定義しておかなければいけないのではないかと考えます。その辺の違いと、あとは13ページで、6カ月ごとに撤回をする場合の関係なのですが、報告事項がどうしても6カ月ごとにという形になると、撤回と届け出のタイミングがわかりにくい。撤回はすぐに届ける形のものなのか。その辺を教えていただければと思っております。
○荒木会長 ありがとうございました。
5名の方から御質問、御意見等をいただきましたので、まとめて事務局からお答えをお願いします。
○労働条件政策課長 今、御質問をいただいた点でございます。まず、2ページ目で委員の指名は、監督または管理の地位にある者以外の者について行わなければならないということでありますが、これは先ほど御指摘をいただきましたように、過半数組合あるいは過半数代表者が、その委員を指名するに際しての事項でございます。
その次、2点目でございますが、職務記述書についてのイメージで資料をさらにというところでございます。今般、職務記述書に関しましては、業務の内容、責任の程度、求められる水準とこの3つが必要的な記載事項であるとしたところでございます。私ども事務局の考えといたしましては、これを何かきちんとしたフォーマットが決まった様式まで定めるといったところまでは考えてはございませんが、しかし、それぞれどのように書くのがよいのかといった御指摘だろうと思いますので、今後、わかりやすい例を示すように準備をしてまいりたいと考えてございます。
3点目でございます。労使委員会の開催頻度あるいは開催時期についてでございました。御指摘の中でもございましたように、例えば現在、企画業務型裁量労働制の労使委員会に関しましては、開催頻度等に関しましては特段決議事項とはされてございませんが、その運用の通達におきまして、決議をする段階で1回、6カ月ごとの定期報告の前後に1回ということで、1年に2回は少なくとも開催されるものであるというような考え方が通達で示されておるというところでございます。
今回は特に国会の御議論におきましても、この高度プロフェッショナル制度が適切に運用されていくためには、その運用の状況が労使委員会できちんとチェックされていく必要がある。そういった御議論があったと承知してございますので、今回、決議事項で御提案をしているものでございます。今、申し上げましたように少なくとも年2回、これは開催をされるものだろうと考えてございまして、そのような方向で進めてまいりたいと考えておるところでございます。
それから、全体の4点目、労使委員会の人数に関してでございます。労使1名ずつは望ましくないという御指摘でございますが、まさにこの労使委員会といったもの、この決議を労使協定とは別にこのような仕組みを設けているという趣旨は、すなわち労使それぞれ1名ずつの代表による協定ではなく、複数の者の合議によりまして決定をしていただくというのがその趣旨でございます。したがいまして、労使それぞれ1名ずつのいわゆる2名で構成されるような委員会は、ここで言っております委員会には該当しないものとして、そのような考え方を示してまいりたいと考えてございます。なお、5分の4以上の決議ということに関しまして、労使各5名という御指摘もございましたが、ここに関しましては、この5分の4というものは、5人いて4人というような割り当てた言い方ではございません。例えばもし委員が4人であれば、4人全員であればいいのですけれども、4人のうち1人が反対したら、今度は4分の3になりまして、そうすると、5分の4は満たさないので4人の委員会のときは3人ではだめだと。そのような判断の基準の数字でございますので、1名・1名は適切ではないと考えてございますが、5名いなければいけないというものではないと考えてございます。
全体の大きい5点目、上司と管理監督者というところでございますが、委員の指名に当たりまして、先ほどのように過半数労働組合あるいは過半数代表者が選ぶ、指名する場合については、この管理監督者以外にするということでございますので、したがって、管理監督者について委員にしていただくということは適当ではないと考えてございます。なお、この対象労働者及びその上司を含めることを検討することという趣旨でございますが、やはり労使委員会の決議におきましては、実際にその制度で働くあるいは働くこととなる労働者の方の意見が反映される。さらには、その労務管理に当たります上司といったもの、いわゆる実態としての当事者に近い方を委員にしていただくという趣旨でございまして、そのような趣旨であわせて御議論いただければと考えておるところでございます。
それから、インターバル規制11時間は、この資料の素案でお示ししておりますのは、今回の高度プロフェッショナル制度に関してでございまして、したがいまして、ほかの労働者がいる場合に、高プロに関して11時間であるからほかの労働者も11時間でなければいけないといったものではございません。そもそもこのインターバル制度に関しましては、設定改善法におきましても努力義務となっておりますが、その時間数に関して規制がされているものではございませんので、何時間がふさわしいかということにつきましては、対象となる労働者の働き方などに応じまして、例えば同じ事業場の中であっても違った時間が適用されるグループがいる。そのようなことも当然許容されるものと。いずれにしても、そこも労使のお話合いで決められるべきものであると考えてございます。
休日の確保が重要であるという点に関しましては、まさに御指摘のとおりでございます。本日の資料の6ページで、休日の確保というところがございます。その指針の素案にもございますが、確実に取得されるように労働者本人が取得予定を策定して使用者に伝える。取得の手続を決議しておくようなことをこの指針で定めてはどうかということでございます。すなわち休日をとっていただくとともに、休日がきちんととれているということが使用者のほうでも確認がされるようにしていただいて、その義務の履行を確保したいという趣旨でございます。
最後に、6カ月ごととした場合に、撤回があった場合はその都度かということでございますが、これはあくまでも6カ月ごとでございますので、直近6カ月の間において撤回があった数などを御報告いただければ足りると考えてございます。
○荒木会長 輪島委員、どうぞ。
○輪島委員 ありがとうございます。勤務間インターバル制度について使用者側としてお願いを申し上げておきたいと思っております。
今の課長の御説明のとおり、高度プロフェッショナル労働制におけるインターバル制度、そこは11時間というのは、基本的にそれは是であると思っているところです。一方で、過労死大綱が先般閣議決定されておりますが、その中ではインターバル制度の導入の目標が10%となっているところでございます。過労死を防ぐというようなことについて、やはりきちんと睡眠時間を確保するという観点から、インターバル制度は非常に大切な制度だと思っていて、インターバル制度を世の中に普及させていくということは、別途大変重要な点だと。それについての目標は10%であるというようなことも大変重要な目標だと思っておりまして、とにかくインターバル制度を普及させていくという観点から、インターバル制度は11時間なのだというようなことではなくて、幅の広い、労使で工夫をしたインターバル制度を導入していくというような機運といいますか、そのようなことも一方で御指導いただいて、3年後にまた過労死大綱の見直しがございますので、10%の目標に近づけるように、クリアするように、私どもとしても努力をしてまいりたいと思いますので、ぜひ、これは労使、政府におかれましても強く御支援をいただきたいと思っているところでございます。
以上です。
○荒木会長 八野委員。
○八野委員 ありがとうございます。インターバルのところはまた後ほど議論していく必要があると思うのですが、過労死のことを言われましたが、インターバルは過労死・過労自殺を防止する、そういうことが二度と起きてはいけないという意味で、過労死等防止のための対策に関する大綱に入っていると思いますので、今回の高度プロフェッショナルとはちょっと違う次元での議論なのかなと思います。
まず、意見を言いたいのは、2ページの、労使委員会の要件についてです。指針で定める事項の記載が、委員の指名に当たり、対象労働者及びその上司を含めることを「検討すること」となっているのですが、対象労働者が労使委員会に入るということについて、労働側としては疑問だということです。というのは、この労使委員会の中で、1ページ目の1から10の項目を労使委員会の中での決議で決めていく。その中で、同意を得る事項の中でも決議の内容であるとか、同意した場合の賃金・評価制度であるとか、あとは同意の撤回ができますよとか、同意の撤回のときはどうなりますよということを、この労使委員会の中で決めていく。
まだ対象業務も決まっていないわけですから、労使委員会に入る労働者は、対象労働者ではなく、対象になると思われる労働者ですが、対象になると思われる労働者が入ってしまって、さまざまな議論に参加したときに、この制度を受け入れられませんと実際に言えるのか。労使委員会が責任を持ってこの1から10までの項目を決め、それを対象と思われる労働者と話をし、それで、制度の適用を希望するかどうかを聴くという進め方をするべきなのではないかと思います。
例えば7ページで、選択的健康確保措置の指針で定める事項のところに、決議にあたって、対象となり得る労働者の意見を聴くことが適当であるということが明記されています。こういう事前の意見聴取というのはいいと思うのですが、労使委員会に入れるということについては、ちょっと適切ではないと思っております。
それと、上司というのも入っております。高度プロフェッショナル制度というのは、部署ごとに制度を入れるのですか。それとも、対象業務や対象労働者の範囲を決めた上で、対象労働者を絞るということで制度を入れていくのですか。後者であるならば、あらかじめ決まった上司というのは発生するのでしょうか。これは質問です。
以上です。
○荒木会長 今の質問の点については、事務局、いかがでしょうか。
○労働条件政策課長 まず、先ほどの1点目、輪島委員のインターバルに関しましては、その普及促進に向けて取り組んでまいりたいと考えてございます。
ただいまの八野委員の点でございますが、まず、対象労働者あるいはそれになり得る者が入ることが疑問というところと上司でございます。今回御提案をしております趣旨は、先ほど申し上げましたように、実際に当事者となっている方の意向が反映されたほうがよいのではないかということではございましたが、一方で、本人の真の同意を担保するために、いわば途中までかかわった以上同意したくなくなっても引くことができなくなってしまうという実務上の問題だと思いますので、この点に関しましては、改めて御相談しながら検討をしたいと思ってございます。
なお、上司に関しましては、これはあくまでもその業務につく本人の、個人の同意によって入るものでございますので、どこかの部署が丸ごと自動的に入っていくというようなものではございません。そういった意味で、この上司といったものもやや誤解を招くところがあれば、あわせて御相談しながら少し見直しを検討したいと考えてございます。
○荒木会長 先ほど佐久間委員の質問の中で、4ページの職務内容が変更された場合、改めて合意が必要だけれども、それと決議との関係も御質問なさったでしょうか。
その点についてはいかがでしょうか。
○労働条件政策課調査官 申し上げます。これは職務を見直す際でございますが、個別に同意をとるということでございますので、労使委員会の決議に立ち戻ってそこからやり直すというようなことではなくて、個別に当事者間でよく話し合っていただいて、決めていただくということを想定しているものでございます。
○荒木会長 それでは、今までのお答えについて、さらに何か御質問があれば伺いますけれども、いかがですか。今までのやりとりの中での質問がなければ、その他の点に移りますけれども、よろしいですか。
佐久間委員。
○佐久間委員 職務の関係の合意なのですけれども、後でまた議論が出てくると思うのですが、職務というのは、例えばディーリングの関係とか、それから、コンサルの関係とか、大きな枠としての職務ということですか。それとも、業務の中の職務という考え方なのでしょうか。それを変更するということを言っているのかを教えていただければと思います。
○労働条件政策課長 これは法律上、そこの事業場において採用します対象業務と、個々の方が従事いたします職務、これは別なものになってございまして、先ほど申し上げましたのは対象業務の範囲内であることを当然の前提、決議の範囲内であることを当然の前提としまして、その中で一人一人がどういったことをやるかという職務記述書、それに関して対象業務の範囲内でもし合意し直すのであれば、その合意をし直すことは可能である。ただ、それはあくまで対象業務の範囲内でございますので、決議そのものを見直さなければいけないというものではないという趣旨でございます。
○荒木会長 それでは、ほかにはいかがでしょうか。
八野委員。
○八野委員 ちょっと明らかにしたいのですが、業務とは何ですか。それと、職務とは何を指すのでしょうか。
○労働条件政策課長 まず、職務の御説明から入りますと、職務は、言葉の意味といたしましては、業務の内容と責任の程度といったことになります。そういたしますと、まず、概念としては、対象となる業務、これは後ほど御議論いただきます緑のほうにあります5つのものがございますが、その対象業務というものがございまして、その中で具体的にその方御本人が何をやるのかということ。そういった意味では、対象業務よりも狭い部分に一部なると思いますが、その本人がやる業務の内容と、それに伴う責任の程度。これが職務ということになります。対象業務のほうが広くて、個人個人の職務はその中で具体的にどれをやるかというようなより狭いものでございます。
○荒木会長 八野委員。
○八野委員 この対象労働者の範囲という中には、こちらの省令で書かれているように、職務の合意と年収要件があるということになってきますと、一つで言うと、対象労働者の範囲を変更するというふうにも読み取れるというように見たときに、そういう意味では、再度労使委員会で合意を得るということが必要なのだと認識してよろしいのでしょうか。
○労働条件政策課長 先ほど申し上げたところでございますが、個人個人の職務がその対象業務の範囲内で一部変更されるということであれば、直ちに決議された業務を変更するまでの必要はないと考えてございます。ただ、ここも例えばの話でございますが、そこの事業場の労使委員会の決議で、あらかじめ職務といったものが入る段階で決めておいて、それはその後、変更されることなく1年間やるのだと、仮にそのようなルールで決議をされていた場合に関しては、そういった場合にはもう一度、それは決議に反するから、決議から見直すというようなこともあるかもしれません。
一般的な話といたしましては、法律上認められている業務の中で決議をいただく。その範囲内で、個人がどこまでやるかというより狭い範囲がこの職務の合意になりますので、ここが許される対象業務、決議の範囲内で若干範囲が合意によって変わるということがありましても、直ちに決議そのものを見直さなければいけないということにはならないものと考えてございます。
○荒木会長 ほかにはいかがでしょうか。
ほかの論点でも結構ですけれども、八野委員。
○八野委員 済みません。違う観点で、3ページの対象業務について、省令で定める事項の書き方では、括弧のところを除いて、対象業務に従事する時間に関し使用者から具体的な指示を受けて行う者を除くこととするというようになっておりますが、これは労働者に労働時間の裁量権があると捉えてよろしいのでしょうか。
○荒木会長 事務局からお願いします。
○労働条件政策課長 そのような趣旨でございます。
○八野委員 ありがとうございます。これについては、例えば国会においての安倍総理の答弁の中でも、高度プロフェッショナル制度についてはその対象業務に関し、働く時間の選択や時間の配分は労働者がみずから決定するものであることを省令で示すということを言われておりましたが、ずっと資料を見ていきましても、労働者に労働時間に対する裁量権があるという旨がどこにも書かれていないのです。これはきちんと記載する必要があるのではないかということでございます。
次に、同じ箇所ですが、業務に従事する時間に関し使用者から具体的な指示を受けて行うものを除くという部分については、具体的な指示に限るべきではないと思います。というのは、附帯決議の21の中で、使用者は、始業・終業時間、深夜・休日労働など、労働時間にかかわる働き方についての業務命令・指示などは行ってはならないというようになっておりますので、働き方に関する具体的な業務命令、指示はできないということになると思います。やはりそういう働き方についての業務命令や指示についての書き方は、附帯決議の意図に合わせてきちんと表現をすべきではないかと思います。
要するに、使用者は始業・終業や深夜労働など、労働時間にかかわる働き方について業務命令、指示などを行ってはならないというようなこと、または実際自由な働き方、裁量を奪うような成果または業務量の要求、納期・期限設定などを行ってはならないというようなことも言われておりますので、その辺をもう少し明確に省令の中に定める必要があると思っております。
以上です。
○荒木会長 事務局、どうぞ。
○労働条件政策課長 ただいまの点でございます。まず、私ども政府として、いただいております附帯決議に関しましては重く受けとめまして、その全てに関しまして誠実に取り組んでいくという姿勢であるということを申し上げておきます。その上で、国会におきましても、働き方の選択あるいは時間配分、これは労働者がみずから決定するものであるという御議論がされておりまして、先ほど委員がおっしゃったような附帯決議につながっている。
私どもは、まず、考え方としましては、まさに附帯決議を法令的な用語とするために、今回、この素案をお示ししている。考え方としてはそのようなものでございます。今、2点御指摘があったと思いますが、1つは労働者の自由であると、裁量があるということをそちら側から書くべきではないかという御指摘であると思います。実は、労働者に裁量があるとした場合であってもなお、いわばそれを妨げる行為が使用者からあると、それによって自由がなくなりますので、そうしますと、我々は労働基準法という刑罰法規の中で、労働者の自由を確保する、守るためにはどうするかというと、自由を妨げる行為を排除と言いますと言葉はよくないのですが、自由を妨げる行為をさせないようにする必要があるのではないか。そのようなことから、使用者がそのような指示をするのはだめであるということを業務そのものに正面から書こうと。どちらのベクトルから書くか、まずはその考え方であります。
2点目でございますが、例えば納期や成果というところは、まさにおっしゃるとおりでございまして、ここでは業務量に比して著しく短い期限の設定とございますが、具体的な指示の後の括弧書きを読んでいただきますと、これで時間に関する指示と認められるものを含むと。つまり、具体的にいつまでと言わなかったとしても、とても処理できないような業務量を与えて、事実上もう時間がないというようなことになってしまう。そういったものに関しても、まさに具体的な指示があったのと同様に、本人の裁量を奪うものであって、よって対象業務としては認められないというふうにしたいと考えてございます。
したがいまして、私どもとしては、附帯決議を踏まえて考えたいということ。それから、先ほどのようなベクトルで書いてあるという趣旨、具体的な、明示的な指示がなくてもこの括弧書きをつけております意図は、明示的なものがなくても実際の業務量、求める成果、そういったものから裁量がないと認められるものも対象業務からは除外するということにしたいということでございます。
ただ、いずれにいたしましても、こういった点に関しましてはなかなか省令の限られた、いわば法文上には書き切れないところがございますので、ただいまの御指摘も踏まえまして、今回の法定の指針のほうにそのあたりの解釈を書くことも含めまして、検討させていただきたいと存じます。
○荒木会長 ほかにはいかがでしょうか。
川野委員。
○川野委員 関連して、業務に従事する時間に関して使用者から具体的な指示を受けて行うものを除くということに関してですが、高プロ適用労働者に対して、ここに書いてあることを例示として言えば、9時に出勤しろとか、いつまでに報告をしろといった指示があった場合、それは高プロ適用労働者から直ちに外れて、その時点から労基法の32条に戻るという理解でよろしいですか。
○荒木会長 事務局からお願いします。
○労働条件政策課調査官 まさに今、御指摘がございましたように、始業時間でありますとか、あるいはあしたまでにこれを仕上げるべき、きょうは残業して対応しろとか、始業時間とか残業命令等、そういった形で時間に関する具体の指示が行われる場合、これにつきましては、提案申し上げております省令のところでそういったものを除くと。対象業務から除くのだというような書き方をしているところがポイントだと思っておりまして、そのような対象業務から外れるというようなことであれば、高度プロフェッショナル制度の効果が生じないということで、御指摘がありましたとおり、その場合には原則としての32条が適用になっていく。こういう流れになるというものでございます。
○荒木会長 ほかにはいかがでしょうか。
柴田委員。
○柴田委員 ありがとうございます。前回に引き続いて年収要件で申しわけございませんが、改めて質問させていただきたいと思います。附帯決議22号に、年収要件について、真に使用者に対して強い交渉力のある高度な専門職労働者にふさわしい処遇が保障される水準となるよう、労働政策審議会において真摯かつ丁寧な議論を行うこととされております。
ということは、3年前の当分科会においての議論を踏まえての国会における附帯決議ということからすれば、当然1075万円という案について、その妥当性を問うて、再度この場で審議する必要性があると思いますが、その点についてまずは伺いたいと思います。
○労働条件政策課長 この1075万円に関しましては、事務局から冒頭に御説明をした中におきまして、ちょっと触れましたように、平成27年に法律案要綱に関して御議論をいただいた中におきましてデータを示した上で、この1,075を参考にというようなことでございます。もちろん参考にということであって、そこで確定をしたものではないわけではございますが、一方、1,075という議論があったことを前提に、それをどのように法律上担保するのかということで、基準年間平均給与額の3倍を相当程度超えるというようなことでしたので、今回の立法の経緯に当たりましては、この1,075といったものが意識された上での条文がつくられて、国会で成立をしたものであると認識してございます。
○柴田委員 恐らくそういう前提で、国会で議論されて1,075万円というたてつけになっていると思うのですけれども、その上で、真摯かつ丁寧な議論を行うことというようにされているのだと私は認識しております。前回も申し上げましたし、先ほどの御説明でも、毎月決まって支給する給与にパートタイム労働者も含まれているとおっしゃったと思いますが、今後は定年後再雇用も含めて、パートタイム労働者が増加するということもございますので、変動要素が多いものは取り除くべきなのではないかと考えます。また、そうしてパートタイム労働者が増えたとしても、それが高プロ適用労働者の交渉力と関係があるということにはなりませんので、パートタイム労働者を除いて算定根拠を示し、水準を確立するべきだと考えております。いかがでしょうか。よろしくお願いします。
○労働条件政策課長 ただいまの点でございますが、先ほどのように、3倍を相当程度上回るといいますものは、当時もパートタイム労働者の数字も含まれた上で、その金額があらかじめわかった上で、それを1,075といった水準を担保するために、3倍を相当程度上回るというようなことで書かれているものでございます。したがいまして、データそのものにパートタイムが含まれている、含まれていないといいますよりも、もともと高プロに関して1,075というような数字が念頭にあって、この分科会でも御議論をいただいていて、それを担保するために、そのような規定がつくられているというところでございます。
一方、この数字に関しましては、毎月勤労統計調査で出るものでございますので、もちろん年によって若干変動するということはあると考えてございます。これに関しましては、3倍を相当程度上回るということで、ある程度幅を持って書かれておりますので、例えばそれが少し変わったからといって、何か自動的にスライドをするというようなものではないと思っておりまして、仮に今回お決めいただいた年収に関して変更をするということであれば、それは改めてこのような形で、労働条件分科会を開いて御議論をいただいた上で変えるというものであると考えてございます。
したがいまして、何かパートタイム労働者が含まれている、あるいはその数字が前後することで予期せぬような数字が変わってしまうのではないかといったことではないと考えておるわけでございます。
○荒木会長 ほかにはいかがでしょうか。
中川委員、どうぞ。
○中川委員 ありがとうございます。同じく4ページ目の職務記述書に係る「3求められる水準(成果)」に関して、先ほど輪島委員のほうからも御意見がありましたけれども、これについては、なかなかイメージしづらいので、具体的なイメージを教えていただきたいというのが1点。
また、今回、時間と成果がリンクしない働き方ということですので、ここでいう水準(成果)は、定量的なものではなくて、定性的なものになるというような理解でいいかということが1点。
もう一点、例えば仮に水準(成果)を満たさなかったときにどうなるのか。そのことを理由に支払われるべき賃金を減額するということはないということも指針に示すべきではないでしょうか。ここについてよろしくお願いします。
以上です。
○労働条件政策課長 今の後者のほうでありますが、今回の年収要件に入る金額、これは確定をしたものでございますので、業績、成果、成績によってそれが払われなくなる、減額されるといったものは対象にはなりませんので、まず、後段の点に関しての御懸念はないというところでございます。
一方、職務記述書の求められる水準でございますが、一般的に職務記述書といった場合には、業務の内容、責任の程度、さらにはどの程度の成果といったものが最低書かれていくものであると考えてございますが、この職務記述書の趣旨といたしまして、いわゆる業務のボリュームコントロールを職務記述書でしていく。これは平成27年のこの分科会でもそういった議論があったわけでございます。すなわち職務の範囲をあらかじめ明確にすることによりまして、その後、仕事が追加されていくことを防ごうということ。そして、当然ながら、希望する方のみがこの制度に入る。それも担保しようということでございます。
したがいまして、求められる水準に関しましては、そこは客観的なものがあくまでも考えられるものでございまして、先ほどのように、大変多量なものに関しまして、何か時間をかけてやるようなものが数量的に書かれるといったものでは基本的にはないと考えてございます。ただ、いずれにいたしましても、このあたりのイメージに関しましては、先ほども輪島委員からも御指摘をいただいておりますので、引き続き御議論いただきますように、私どもも検討を詰めてまた御相談してまいりたいと考えてございます。
○荒木会長 それでは、資料がもう一つございまして、そちらも議論いただきたいと思いますので、一旦資料1についてはこのぐらいにしまして、その後、必要があれば戻ってきたいと思います。
村上委員。
○村上委員 済みません。前回の資料について、途中までしか質疑ができていなかったという認識でおりますので、本日の資料1についてはまだまだ確認させていただきたいことが労働側としては多々ございまして、今回はやらないとすると、次回ということになるのでしょうか。今回、まだまだ確認したいことはあるのですが。
○荒木会長 そうですか。では、もうしばらく資料1について議論を続けるということにいたしましょう。
幾つかまとめて御指摘をいただいて、それで必要があれば事務局に対応いただくということにしたいと思います。
村上委員。
○村上委員 5ページの健康管理時間の把握の部分で、指針で定める事項の2つ目です。健康管理時間の把握、管理、記録、保存に当たっての留意事項ということを書いていただいておりますが、それについて確認です。健康管理時間の記録の方法については、国会でも議論がございまして、6月14日に労働基準局長からお答えいただいていますが、健康管理時間の記録の様式は任意だけれども、少なくとも日々の健康管理時間が記載されているとともに、医師による面接指導等の要否等を確認するため、1カ月の合計時間が集計されている必要がある。複数月をまとめた時間とすることは認められない。こうした記録方法とすべきことについて指針に規定する。また、労使委員会の決議においても記録によることを定めさせることを想定している、という答弁がありまして、こういったことも指針に明記されることを確認しておきたいということです。
○荒木会長 幾つかほかに御指摘はございますか。
それでは、八野委員。
○八野委員 ちょうど今、健康管理時間のところですので、健康管理時間の把握について、国会の厚労委員会の質疑の中で、加藤大臣が、高度プロフェッショナル制度においては使用者が健康管理時間を把握する措置を講ずることを要件としており、これを実施していない場合には、実施していない時点までさかのぼって制度は無効になるというように答弁をされているのです。この答弁の意味するところなのですが、適用労働者が何人かいらっしゃった場合、その中で一人でも健康管理時間を何らかの形で把握していないということになれば、事業場内の高プロの制度がその時点で無効となるのか、その対象者だけが無効になるのか。きちんと守られていなかった場合どうなのかというところが余り出ていないのですけれども、その辺についてもお伺いしたいと思います。
○荒木会長 ほかの点はいかがですか。
世永委員。
○世永委員 ありがとうございます。ページは戻りますが、4ページの指針で定める事項の素案について御質問と意見があります。
2つ目のポツ、対象労働者は対象業務に常態として従事していることが原則であることとは、どのようなことなのかということについて御質問したい。あわせて、原則からは例外を想起されるということで、例外事項として何でもかんでも業務に入るようでは、我々としては高度プロフェッショナルとは言えないと思っています。考え方についてしっかりと指針に明記すべきではないかということについて発言させていただきます。
以上です。
○荒木会長 ほかにはいかがですか。
弥久末委員。
○弥久末委員 ありがとうございます。今、世永委員の指摘にありましたが、同じ4ページであります。言葉の解釈のところを少し教えていただきたいものが1点あります。指針のポツの3つ目でありますけれども、括弧内です。使用者の一方的な指示により業務を追加することができる内容を定めることはできないこととあります。この言葉の意味なのですけれども、使用者の一方的な指示により業務を追加できないということと同義なのか、または違うのか。このあたりを教えていただきたいと思います。言葉として非常に理解しづらい言い回しになっておりますので、そこについての整理と解釈を教えていただきたいと思います。
また、意見ということで1点ございます。業務に関して明確に定められていることということでありますが、これは業務の追加がないことはもちろん、業務の内容と範囲が具体的に確定しているということであろうかと思います。そのことも具体的に指針に明記することが必要であると理解しているところであります。
以上です。
○荒木会長 ほかにはいかがでしょうか。
櫻田委員。
○櫻田委員 ありがとうございます。先ほど健康管理時間の把握のところで少し意見がありましたので、私もそこで意見をしたいのですけれども、5ページの指針で定める事項の2つ目のポツになりますが、事業場外でやむを得ず自己申告によることができる場合の例として、顧客先に直行直帰し社内システムにログインしない場合等とあるのです。直行直帰ということであっても、例えばノートパソコンなどを持ち歩いていたり、今はタブレット、スマホ、いろいろな機器を持ち歩いていますので、そういったもので、インターネット環境に接続できるところであれば、社内システムにログインするということも可能なのではないかと思います。そういったこともありますので、単に直行直帰するということではなくて、社内システムにアクセスできないとすれば、セキュリティー上の理由でということになるのかと思いますので、極めて限定的なケースということでここには例示をするべきではないかと思います。
以上でございます。
○荒木会長 ほかにはいかがですか。
柴田委員。
○柴田委員 済みません。6ページの休日の確保についてでございます。年間104日の起算日でございますが、当然制度適用開始時だと思いますけれども、そのことを指針で示すべきではないかということが1つ。また、国会の議論でもたびたびありましたけれども、4週のうち始めや終わりに4日連続で休んで、残りは連続勤務ということで、こういう働き方をすると、当然疲労の蓄積が懸念されると思っております。複数月連続で4日休んで残りの期間は連続勤務を続け、疲労の蓄積が認められて心身の健康を損なう事態が発生した場合ですが、その働き方自体は労働者の裁量だということであっても、使用者として過重労働に対する安全配慮義務は免れないという理解でいいのか、事務局に伺いたいと思います。
○荒木会長 ほかにはよろしゅうございましょうか。
村上委員。
○村上委員 まだあるのですが、少し長くなりそうなのですが、よろしいでしょうか。
○荒木会長 相当たくさんの質問も出ましたので、一旦ここで事務局からお答えいただいて、その後、さらにあるようであれば、どのように扱うか考えたいと思います。事務局からお願いします。
○労働条件政策課長 まず、村上委員からございました健康管理時間に関しましては、委員がおっしゃったとおりでございまして、そのようなものでございます。
2点目、八野委員からございました、一人でもというところでございますが、基本的には対象となる労働者ごとに判断をいたしますので、まずはその人でございます。ただ、もちろん監督指導に行った場合に、他の労働者も確認したところ、他の労働者もそのようにきちんとされていなかったということであれば、結果としてそのほかの労働者も無効になっていく。ただ、基本としては、まず、その人に関してどうかというところでございます。
3点目、世永委員でございます。常態としてということでございますが、常に従事する業務としてはこの対象業務であるという意味でございます。もちろん対象業務に付随しまして、何か事務作業をやるということはどんな場合でもございますが、それは置いておきまして、この常に従事する業務そのものとしては、対象業務のみである。したがいまして、対象業務以外の業務もその人の業務として定められていて、日々行っているというようなことで、対象とそれ以外とが両方まじって日々両方やっているというような場合には、制度の対象にはならないものと考えてございます。
4点目、弥久末委員でございますが、職務が明確に定められているという趣旨は、まさに先ほどのようにこのボリュームコントロールという観点からも明確でなければいけないということでございますので、この趣旨に関しましても指針などの中において明らかになるように作業を進めてまいりたいと考えてございます。
5点目、櫻田委員でございますが、やむを得ず自己申告というところ、5ページでございます。おっしゃっている趣旨はまさにそうでございまして、直行直帰をする場合が全て例外だと言っているわけではございません。ここも直行直帰しログインしない場合とは書いてあるのですが、読み方がややわかりにくいかもしれません。いずれにしましても、直行直帰イコール例外ということではなくて、あくまでもそういったことができない場合でございますので、誤解のないような指針の記載の作業を進めてまいりたいと考えてございます。
6点目、柴田委員でございますが、4週を通じて4日、これはまさに制度の開始時点からでなければおかしな話になりますので、制度の開始時点からでございまして、その旨も明らかにしてまいりたいと考えてございます。
それから、連続勤務が起きるのではないかという点でございますが、実は、ここもまた指針でよりわかりやすくと思ってございますが、6ページ目で疲労の蓄積を防止する観点から適切に取得することが重要であることと書いてございます。こういった中にはそのように、まさに余り無理な連続が続かないように、適切に休んでいただくという気持ちを込めているわけでございますので、このあたりもよりわかりやすい指針の記述となるように作業を進めてまいりたいと思います。なお、安全配慮義務に関しましては、これは当然に高度プロフェッショナル制度でありましても使用者の義務であると考えてございます。
○荒木会長 それでは、一旦資料1については以上といたしまして、さらに必要があれば議論するということにしたいと思います。資料2について議論して、また時間があれば続けるということにいたしたいと思います。
それでは、資料2について、事務局より説明してください。
○労働条件政策課企画官 それでは、資料ナンバー2について御説明いたします。緑色の横置きの資料でございます。「高度プロフェッショナル制度の対象業務(素案)」でありまして、前回お示しした資料の中では、各号で限定列挙する対象業務については次回以降御議論ということで整理させていただいておりましたが、その対象業務の素案に関する資料でございます。
資料の1ページでございますけれども、「1.対象業務の要件等」というところで、前提が3つほど書いてございます。まず、1点目といたしまして、高度の専門的知識等を必要とし、その性質上従事した時間と従事して得た成果との関連性が通常高くないと認められる業務。これは法定の要件でございます。
2でございますが、使用者は始業・就業時間や深夜・休日労働など労働時間にかかわる働き方についての業務命令、指示などを行ってはならない。実際の自由な働き方の裁量を奪うような成果や業務量の要求、期限の設定などを行ってはならないということで、御議論がございましたけれども、参議院の附帯決議のほうで盛り込まれていることでございまして、※にございますが、省令におきまして、業務に従事する時間に関し使用者から具体的な指示を受けて行うものを除くということを規定したいと考えてございます。
それから、3は当該事業場における労使委員会が決議した業務であることということで、これも法定の要件でございます。
資料2ページは「2.対象業務(素案)」でございまして、まずは平成27年の労働政策審議会の建議におきまして5つの業務が示されております。これらの5つの業務について、対象とすることが考えられるということで御議論いただければと考えてございます。
まず、「(1)金融商品の開発業務」でございますけれども、これについては金融工学等の知識を用いて行う金融商品の開発の業務ということで、左側に対象になり得ると考えられる業務、右側に対象にならないと考えられる業務ということで整理をしております。
対象になり得ると考えられる業務でございますけれども、金融取引のリスクを減らしてより効率的に利益を得るため、金融工学のほか、統計学、数学、経済学等の知識をもって確率モデル等の作成、更新を行い、これによるシミュレーションの実施、その結果の検証等の技法を駆使した新たな金融商品の開発の業務ということでございます。
右側は対象にならないと考えられる業務でございますけれども、1点目には金融サービスの企画立案または構築の業務、2点目は金融商品の売買の業務、資産運用の業務ということで、これは次に出てまいりますけれども、金融商品のディーリング業務に該当する場合があり得ると考えてございます。市場動向分析の業務、これはアナリストの業務に該当する場合があり得ます。それから、保険商品または共済の開発に際してアクチュアリーが通常行う業務、商品名の変更のみをもって行う金融商品の開発の業務、専らデータの入力・整理を行う業務は対象にならないということでございます。
3ページは「(2)金融商品のディーリング業務」でございます。これにつきましては、資産運用の業務、有価証券の売買その他の取引の業務から範囲を限定したいと考えてございます。
左側、対象になり得ると考えられる業務ですけれども、1点目は投資判断に基づく資産運用、指図を含みますが、その業務ということで、資産運用会社等におけるファンドマネジャーの業務が念頭にございます。2点目は投資判断に基づく資産運用として行う有価証券の売買その他の取引の業務ということでございまして、資産運用会社等におけるトレーダーの業務を念頭に置いております。それから、証券会社等におけるディーラーの業務で、これは自社の資金で株式や債券などを売買する業務ということでございます。
右側、対象にならないと考えられる業務でございますけれども、有価証券の売買その他の取引の業務のうち、投資判断を伴わない顧客からの注文の取次の業務。2点目は左側の対象になり得る業務の補助の業務。3点目は金融機関の窓口の業務でございます。※に書いてございますけれども、トレーダーやディーラーの業務であっても、業務に従事する時間に関して使用者から具体的な指示を受けて行うものは対象外だというふうに整理してはどうかということでございまして、市場が開いている時間はそこに張りつくように使用者から指示をされ、実際に張りついていなければならないような業務、指示された取引量をこなすためには終日取引を継続し続けなければならない。そういった業務は、実質的に時間に関する指示を使用者から受けているのだろうということで、対象業務にはならないと整理してはどうかということでございます。
4ページをお願いいたします。「(3)アナリストの業務(企業・市場等の高度な分析業務)」とございます。これについては、有価証券市場における相場等の動向または有価証券の価値等の分析、評価またはこれに基づく投資に関する助言の業務ということでございまして、対象になり得ると考えられる業務といたしましては、有価証券等に関する高度の専門知識と分析技術を応用して分析し、分析の結果を踏まえて評価を行い、分析または評価結果に基づいて運用担当者等に対して有価証券の投資に関する助言を行う業務ということでございます。
対象にならないと考えられる業務でございますけれども、ポートフォリオを構築または管理する業務。これは先ほどのディーリング業務に該当する場合があり得るということでございます。一定の時間を設定して行う相談業務、専ら分析のためのデータ入力・整理を行う業務ということでございます。
5ページ、「(4)コンサルタントの業務(事業・業務の企画運営に関する高度な考案又は助言の業務)」というように建議で示されてございます。これについては、顧客の事業の運営に関する重要な事項についての調査または分析及びこれに基づく当該事項に関する考案または助言の業務ということでありまして、対象になり得ると考えられる業務といたしましては、企業に対して事業・業務の再編、人事等社内制度の改革など経営戦略に直結する業務改革案などを提案し、その実現に向けてアドバイスや支援をしていく業務ということでございます。
対象にならないと考えられる業務でございますけれども、調査、分析のみを行う業務、調査、分析を行わず、助言のみを行う業務、専ら時間配分を顧客の都合に合わせざるを得ない相談業務、個人顧客を対象とする助言の業務ということでございます。
最後は「(5)研究開発業務」でございます。新たな技術、商品または役務の研究開発に係る業務ということでございまして、対象になり得ると考えられるものは、新たな技術の開発、新たな技術を導入して行う管理方法の構築、新素材や新型モデル・サービスの開発等の業務ということです。
対象にならないと考えられる業務でございますけれども、作業工程、作業手順等の日々のスケジュールが使用者からの指示により定められ、そのスケジュールに従わなければならない業務、既存の商品やサービスにとどまり、技術的改善を伴わない業務といったものは対象にならないということで考えてございます。
説明は以上でございます。
○荒木会長 それでは、ただいまの資料2の説明について、御意見、御質問等があればお願いいたします。
川野委員。
○川野委員 会長にちょっとお願いというか、もう一度確認でございますけれども、今ほど資料2の説明をいただきましたが、先ほどの資料1の決議事項の内容が多岐にわたっておりまして、労働側委員においては、決議のところについていろいろ質問したい内容がまだ残っておりまして、このまま対象業務の議論に入っていくのがいいのか。我々としては、対象業務に入る前に手続における決議事項についてのやりとりをもう少しさせていただきたいと思っておりますが、この辺はどう進めるべきかと思っております。
○荒木会長 そうですか。制度の枠組みを先に確認したいということでしょうか。
事務局、いかがでしょうか。
○労働条件政策課長 丁寧な議論を進めたいと考えてございますので、資料1のほうで引き続き進めていただければと存じます。
○荒木会長 それでは、資料1のほうをさらに続けて、後で、その次に資料2に移るということにしたいと考えます。
では、資料1について、さらに御意見等があればお願いいたします。
○川野委員 決議事項10にかかわるところでございますけれども、附帯決議の29号の中に、本人同意については対象労働者としての要件充足を適正に確認するためにも、短期の有期契約労働者においては労働契約の更新ごと、無期または1年以上の労働契約においては1年ごとに合意内容の確認・更新が行われるべきと記載がございます。合意内容を見直すことで、決議の見直しも想定されることを踏まえれば、有効期間は合意内容の確認・更新と合わせて1年とすべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。
○荒木会長 これも幾つか論点を提起いただいて、まとめてお答えいただくようにしたいと思いますので、ほかに御意見はございますか。
村上委員。
○村上委員 本日、お答えいただけないかもしれないので、その際には次回でも結構なのですけれども、今回の制度は全く新しい制度でありますので、そのときの契約関係はどうなっていくのかが不明瞭なところがあるので、確認をしたいと思っております。本制度は労使委員会の決議と適用労働者の同意が必要だということですけれども、その上で、使用者からの撤回や解除はできないということは国会の中でも明らかにしていただいているところでありまして、契約が解除されない以上、もとの契約に従って賃金の支払い義務は残っているという答弁もいただいているところであります。そこは明らかになっているのですが、それ以外、期間の途中で制度の適用から外れる場合は幾つか想定されまして、その際の効果を、どのように考えていけばいいのか、道筋を確認したいと思っております。幾つかケースを申し上げますが、事務局と法律の専門家の先生にぜひ御見解を伺えればと思っております。
1つは、求められる成果を1年たたずに3カ月や6カ月で達成してしまった、やるべきことをやってしまったというような場合に、使用者が、もういいやということで、例えば一方的に解除はできないのだけれども、故意に健康管理時間の把握を怠るなどした場合に、高プロの適用ではなくなるのかということと、その場合、年間で1200万円支払いますと言っていた最初の合意はどうなるのかということが1点です。
2点目は、故意にではないのだけれども法違反があって、決議で定めていたことをやらなかった。例えば年間104日の休暇もそうですし、健康管理時間もそうですけれども、そういったことがあって無効になった場合に、適用労働者の処遇はどうなっていくのか。これも初めの合意はどうなるのかということであります。
3つ目は、これも国会で御答弁いただいていますが、医師の面接指導の結果、医師から高プロの働き方をやめさせるべきという意見が出されて、事業主がその必要があると認めて、その労働者を高プロの制度から外すといった場合に、適用労働者の処遇はどうなるのかということであります。
あと2つあるのですけれども、今回の御提案の中でも、健康管理時間が長時間に及んでいるため、当該労働者を制度から外すと決議することができると書いてありますが、それを踏まえて、当該労働者が制度から外れることになった場合に処遇はどうなるのかということ。
最後は、先ほど8ページにありましたように、指針で定める事項にあるように、労働者から同意を撤回した場合で、事前に何も定めていない場合に、当該労働者の処遇はどうなっていくのかということについて、理論的な整理の仕方を御教示いただければと思っております。
以上です。
○荒木会長 ほかの点はいかがでしょうか。
櫻田委員、お願いします。
○櫻田委員 ありがとうございます。私も同意の撤回のところで少し確認させていただきたい点等がございます。同意の撤回で高度プロフェッショナル制度の対象になった場合に、制度の適用が始まった後、例えば妊娠・出産とか、育児、介護等も考えられると思いますし、今は病気の治療をしながら両立されているというような方もいらっしゃいますし、途中で病気になって治療が必要になるという場合も想定されると思うのですけれども、そういう場合にも労働者のほうから、使用者側からではなくて本人のほうからだけ高プロの適用が撤回されるという理解でよろしいのかということです。
あと、産前休暇、育児休業、介護休業を取得しようとする場合のことですけれども、その扱いといいますか、本人の判断で、高度プロフェッショナル制度の適用を撤回して、休業等を取得するというような理解でよろしいのかということを確認させていただきたいということ。
もう一点ありまして、8ページの同意の撤回のところの指針で定める事項の1つ目のポツですけれども、申し出窓口等ということで、窓口ということがありますが、これはどのようなイメージなのかということをお伺いしたいと思います。あと、撤回について、どのようなフローで手続が進むのが適当であるのかといったことを指針においても示していくべきではないかと思いますので、その点も申し上げたいと思います。
以上でございます。
○荒木会長 ほかにはいかがでしょうか。
弥久末委員。
○弥久末委員 どうもありがとうございます。12ページの、同意を書面で得るというところでございます。省令で定める事項(素案)でありますが、制度が適用される旨というものが1にございます。考え方の確認でありますけれども、この制度というところの考え方なのですが、これについては、どのような業務を行っていくのか、また、業務指示を行わないということや、どのような健康福祉確保措置があるのか、さらには、どのようなときに制度の適用から外れるのか、といった非常に重要なポイントについて、きちんと明示され、説明されるということで理解してよろしいのかということが1点です。また、そうした非常に多くの内容について理解、確認をするということになりますので、こういったものについても書面できちんと行われることになるのだということについて確認をさせていただきたいと思います。
それと、先ほど確認させていただきました4ページの指針のポツの3番目です。使用者の一方的な指示により等々というところの文言なのですが、ここの解釈と整理について、再度確認をさせていただきたいと思います。先ほど答弁がいただけなかったものですから、お願いできればと思います。
以上です。
○荒木会長 ほかにはいかがでしょうか。
世永委員。
○世永委員 ありがとうございます。ステップ5、13ページからになります。制度導入後の対応で、実施状況を労働基準監督署に定期報告することについて発言させていただきます。健康確保措置の実効性を確認するためには、省令で定める事項(素案)の記載に、報告内容について書かれています。適用労働者ごとにどのような仕事に従事し、どのような健康確保措置を実施していたかなどを報告する必要があるのではないかということが第1点です。
2つ目として、参議院の附帯決議の24号には、医師による面接指導の的確な実施等を通じ、労働者の健康が確保されるよう取り組むこととあります。医師が適切に面接指導を行うに当たっては、使用者から医師に対して当該労働者の職務内容とか作業環境、さらには健康管理時間数等の情報を適用するべきと考えております。その旨も省令できちんと規定するべきではないかということについて発言させていただきます。
以上です。
○荒木会長 ほかにはいかがでしょうか。よろしゅうございますか。
それでは、事務局のほうからお答えください。
○労働条件政策課長 まず、1点目の川野委員の有効期間のところでございますが、有効期間は決議事項でございますが、ここを何年にするかということに関しましては、労使委員会で決めていただくということでございます。したがって、1年ごとに決議を見直すことにするということで1年にしていただいても、それはもちろん構わないものである。ただ、そこを何年にするかといったところに関しましては、やや議論もあろうかと思います。すなわち必ず1年にすべきなのか、1年が望ましいということにするのかというところはあろうかとは思ってございます。いずれにいたしましても、決議が適切なタームにおいて見直されるべきであるという御趣旨であると承りますので、そのようなことで詳細を詰めてまいりたいと考えてございます。
2点目の村上委員に関しましては、多岐にわたってございまして、また次回でもというお言葉もいただいておりますので、改めて整理をいたしまして御報告をさせていただきたいと存じます。
3点目、櫻田委員でございます。同意の撤回に関しましてはもちろんできるわけでございますが、例えば育児休業などであれば、それは法律上当然とれるものでございますので、同意の撤回と考えるのか、あるいは高プロは高プロであるのですが、そこは休業をとって労務が提供されないというだけの取り扱いでもよろしいのではないかとは思ってございますが、いずれにしましても、高プロであるからといって産前産後休業がとれないとか育児休業がとれないとか、病気の治療に行けないとか、そのようなことはもちろんないし、あってはならないと考えております。
撤回の申出窓口に関しましては、典型的には例えば大きな会社であって人事部等があればそこの窓口を決めていただくということでもいいですし、より申出がしやすいようなところを決めることもあろうかと思いますが、いずれにしましても、撤回をするに当たってあらかじめ決まっておりませんと、どのように撤回すればいいのか、あるいは撤回自体が抑止されてもいけませんので、そこをそれぞれの会社の実情に応じまして、申出がしやすいところを決めていただきたいという御趣旨でございます。
4点目、弥久末委員でございますが、12ページでございます。制度が適用されるに当たりましては、右側の指針の素案の2番目のポツでございますが、本人同意を得るに当たっての労働者への明示事項ということで、賃金・評価制度、処遇、不利益取り扱いを行ってはならないなどと書いてございます。委員がおっしゃいましたように、そこの事業場におきます高度プロフェッショナル制度の取り扱いに関しまして明示をされた上で、左側のように書面で同意をとって、署名していただくというものである。その旨を指針で明記していきたいと考えてございます。
世永委員からの13ページの報告のさせ方の部分でございますが、ここに関しましては、報告をさせる様式なども考えていきたいと思ってございますが、いずれにしても、法制度が適切に運用されているということがきちんと確認することができる。もちろんその報告プラス労働基準監督署におきます監督・指導をあわせてでございますが、きちんと履行されていることが確認できるような仕組みとしてまいりたいと考えてございます。労働安全衛生法の面接指導に関しましては、事業者から産業医に対しまして必要な情報を提供することが、これは既に労働安全衛生法にも書かれてございますので、これは新たなルールといいますよりも、そういったことがきちんと行われるということを担保してまいりたいと考えてございます。
恐縮ですが、弥久末委員、4ページの御質問を私が聞き漏らしておりまして、もう一度お願いできますでしょうか。
○弥久末委員 たびたび済みません。4ページなのですが、指針で定める事項の上から3つのポツです。特に括弧書きの意味合いなのですが、使用者の一方的な指示により等々と書かれているところは、非常にわかりにくいといいますか、ぱっと見て理解が進まないような文章になっているものがあります。ここについて、この文言の意味は、使用者の一方的な指示により業務を追加できないということに尽きるのかなとも理解しています。ですので、そういう理解であれば、そういう文章に変更していただくということも考えていただければと思っています。
以上です。
○労働条件政策課長 恐縮でございます。まさに御指摘のとおりの趣旨でございますので、わかりやすい表現を検討したいと存じます。
○荒木会長 それでは、ほかに資料1についてございますか。
八野委員。
○八野委員 ちょっと確認なのですが、先ほど川野委員が御質問した決議の有効期間に関する事項ということで、これは今、労使の中で話し合ってということでお答えをいただいたのですが、これと対象者の同意というところの12ページです。指針に定める事項で、本人の同意については短期の労働契約の労働者にあっては更新ごと、無期または1年以上の労働契約の労働者にあっては1年ごとに確認・更新が行われるべきであるというようになっています。決議と同意の関係で、それ以外の労働者でも1年ごとに確認・更新が行われるべきであると、先ほど意見を述べたと思うのですが、この辺はどのように捉えればよろしいのですか。
○労働条件政策課長 ただいま御指摘の点でございますが、例えば決議が1年であったとしても、一人一人の同意が全て年度当初とは限らないわけでございまして、例えば年度途中から向こう1年ということもあろうかと思います。そういった場合、仮にですが、その年度当初、例えば4月にこの先1年間であった決議が、1年たった段階で見直されて、もう我が社では高プロ制度はやらないというようなことになりますと、その段階で、例えば個別に同意していた方も、その決議以降はこの高度プロフェッショナル制度は適用できないというようなことになります。
一方、その時期がずれていたとしましても、例えば決議は毎年4月で見直すといたしまして、途中から、例えば外から大変優秀な労働者の方を雇い入れた。その方は1年だと。そのサイクルがずれたといたしましても、そこが切れ目なくきちんと決議がまた新たにされていくということであれば、働くことはできるわけでございますので、ここは完全にリンクするものではないというものでございます。
○荒木会長 ほかに資料1について御発言はございますか。よろしいでしょうか。
それでは、資料1については以上といたしまして、資料2について先ほど説明がありました。これについて、御質問、御意見があればお願いいたします。
川野委員。
○川野委員 ありがとうございます。先ほど説明いただきました対象業務については、この間、建議をまとめるまでに金融商品の開発業務、金融商品のディーリング業務、アナリストの業務、コンサルタントの業務、研究開発業務等の例示がされた一つ一つの業務について、深い議論がなされぬまま例示に至ったような印象を持っております。
具体的な議論がないままに具体的な対象業務が報道されたりしています。そういう中において労働側は、この分科会でしっかりと議論を深めていきたいと考えているわけでございまして、今回、提示いただいている対象業務の具体例を見ても、一読すると時間とその成果にかかわりのない業務ではないような印象を受ける部分もございます。労働側はこの点を中心に、対象業務全体について、いろいろな角度から質していきたいと思っておりますことを表明したいと思います。
○荒木会長 ほかにはいかがでしょうか。
中川委員。
○中川委員 済みません。先ほど川野委員が言った観点ですけれども、1点、5つの業務に対してそれぞれ言いたいことはあるのですが、私のほうからは研究開発業務について、一言で言いますと、相当これは範囲が広いなという印象を受けます。そういった意味で言うと、私は製造業出身ですけれども、製造業の技術畑の人はこれに全員入るのではないかと思います。1年目、2年目の人は指示されて動くというところもあるのですけれども、ほぼ全員入るのではないかということで、相当広いのではないかという印象を受けています。
例えば、自動車などで言うと、新しいをモデル開発するのに3年、4年かかります。相当システム化されていますので、3~4年という期間は長いですけれども、月ごとにイベントとか評価会とか、技術評価会とかが設定されていますから、自由度は相当ないですし、特に設計業務などは工数管理されていますので、自動車の開発業務はほぼ対象外なのかなというようなところもあるので、そういったところも確認させていただければと思います。
仮に自動車業界などでも、例えば空飛ぶ車のコンセプトを考えろといったことがあれば、ひょっとしたら入るかもしれないし、開発よりも研究で、将来のための要素技術を研究しろとかいったものは入るかもしれないのですけれども、いずれにしても、もう少し対象となり得る業務のところに、例えば将来のための要素技術であったり、あとは世の中にないもの、イノベーションを起こすものとか、決して組み合わせ技術ではないとか、そういったところは追加すべきではないかと考えていますので、よろしくお願いします。
もう一点、前回も、1年目、2年目の人は対象とすべきではないと私は申し上げましたけれども、やはり学校なりでそういった研究をしていても、就職してすぐその専門性が発揮できるか。それで交渉力を持って会社と対峙できるか、使用者側と対峙できるかというところもございます。そういった観点もありますので、やはり年数の要件は必要ではないか。また、場合によっては、高度な専門性を担保するための資格なり、そういった要件も必要ではないかと考えています。2点目は意見でございます。
以上です。
○荒木会長 ほかにはいかがでしょうか。
櫻田委員、どうぞ。
○櫻田委員 ありがとうございます。対象となる業務ということで、御提示いただいたわけですけれども、対象業務の要件としては、従事した時間と従事して得た成果との関連性が通常高くないと認められる業務であることということですが、今、対象業務として出されています(1)から(3)まで、金融商品の開発業務、金融商品のディーリング業務、アナリストの業務、こういったことに共通して、ある種の例えばひらめきとかセンスとか、そういったことを要する業務であったとしても、通常の基本的な業務の流れとしては、企画を行って、それに基づいて作成をしたり、検証をしたり、調査、分析することが必要になってくると思いますので、時間を長く働けば得られる成果は多くなるのではないかと考えます。そのため、多くは時間と従事して得た成果との関連性が通常高くないとは言えないのではないかと感じましたので、意見として申し上げたいと思います。
以上です。
○荒木会長 ほかにはいかがでしょうか。
それでは、輪島委員。
○輪島委員 ありがとうございます。今、金融のところで御指摘がありましたので、対象業務を5つ示されているということでございますが、特に(1)(2)(3)は金融関係のものでございますので、その点で、私どもの基本的な考え方でございます。やはりグローバルな視点、観点から、より柔軟な時間構成ということが必要なのではないか。特に日本は、金融関係の高度な職種がそういう意味ではかなり今後、東南アジア諸国に流出してしまうのではないかというような懸念を持っているわけでございます。いわゆる東京を金融センターとして位置づける。そのような役割が相対的に低下をしてしまうとか、いわゆる地盤沈下をしてしまうというようなことに対して、非常に懸念を持っている。心配しているというようなことでございます。
それから、最近の新しい金融の業界における仕事、フィンテックとか、そのような新しい仕事における金融業務の変化の度合いの流れといいますか、進展とか高度化とか、そのような言葉なのかもしれませんが、金融関連の職種というのは非常に流動的で、さらに拡大をしていくというような認識を持っているということでございます。その点で、まさに高度なプロフェッショナル、高度な専門性を生かして、その性質上、従事した時間と従事していた成果とが、関連性がない仕事の代表的な例として、3つは考えられるのではないかというのが私どもの考え方でございます。与えられた仕事を単にこなすということではなくて、みずから主体的に取り組むべき業務が、この3つの業務の中では多いのではないかと思っておりますし、また、そうした業務につく、働いている方の観点からも、もちろん健康管理措置は大変重要で、最大限に配慮しなければならないと思っておりますけれども、そういう観点に配慮しつつ、このような3つの業務、特に金融の業務は大変重要だと考えているということだけ先に申し上げておきたいと思います。
○荒木会長 八野委員。
○八野委員 今のことは意見として私どもも聞いておきたいと思いますが、自分が思うには、それはビジネス上の金融のビジネス戦略であって、高度プロフェッショナルとどこまで結びつくのかはちょっと疑問であるということは、意見として述べさせていただきたいと思います。
まず、対象業務という形で、ここで明記されていて、事例が出てきているということなのですが、先ほども言いましたが、この業務というのは何を意味しているものかを明確に示すべきなのではないか。どうしても、ここで金融商品開発業務だとか、金融商品のディーリングまたはアナリスト、コンサル、研究開発というように、そちらのほうが先行してきたために、こういうところで定める業務が何なのかというのが明確ではない。これはある意味、ここに例示されている業務を縮小することもできれば、逆に言ったら業務というものがきちんとしていなければ拡大する可能性もあるというようなことで見ていただきたいと思います。
というのは、ここでの業務というのは、従事した時間と従事した成果との関連性が高くない、または高度な知識を必要という、そこのある意味で抽象的な法文の中から、この例示をしてきたというところがあると思います。そういう意味で、例えば労働時間と成果で決められている業務とは何ですかと。普通、一般に働かれている方も、今は職務給であるとか、さまざま能力給であるとか、そういう形でやっていますので、ある意味で従事した時間と成果の関連性ではなく報酬をもらっている。ある程度の目標を提示したところの成果によって評価をされている。時間との関連というのは余りないわけですね。時間給を指しているわけではないと思いますので、そういう意味からも、この業務とはどういうものを、もう少し具体的に提示をし、それでこういう例示がありますよというようになってこなくてはいけないのではないかと思います。
それと、先ほど中川委員が言いましたけれども、私も研究開発のことは一部聞いてまいりましたが、ほとんどの人たちがこの対象に入ってしまいますよと言われました。今、素材産業で研究開発業務についている人たちは、全員が対象業務に当てはまるというようなことも聞いておりますので、より具体的な提示が必要なのではないかと思います。
以上です。
○荒木会長 ほかにはいかがでしょうか。
村上委員。
○村上委員 2ページの金融商品の開発業務に関して3点質問です。対象にならないと考えられる業務として、金融サービスと金融商品とありますけれども、この違いは何でしょうか。それから、※で、金融商品のディーリング業務に該当する場合があるということになっていますが、この(1)と(2)の境目はどのようになっているのかということがよくわかりません。
その真ん中から下のほうに、保険商品または共済の開発に関してアクチュアリーが通常行う業務は入りませんということであれば、保険分野の商品開発の中では対象となり得ると考えられる業務はないという認識でよいかということについて確認をしたいと思います。
○荒木会長 それでは、今まで出ました御意見、御質問等について、事務局からお願いします。
○労働条件政策課長 まず、冒頭に川野委員から御意見がございました。私どももこの業務に関しましては、労働条件分科会におきまして丁寧な充実した御議論をいただきたいと考えてございますので、そのような姿勢で取り組んでまいりたいと考えてございます。
その上で、中川委員からございました研究開発の部分でございます。実は、中川委員からも御指摘をいただきましたように、研究開発と一口に言った場合でありましても、やはり作業工程などが決まっている場合があるだろうと受けとめてございまして、5ページの対象にならないと考えられる業務の1つ目のポツでございます。スケジュールが使用者からの指示によって定められていて、そのスケジュールに従わなければならないというものを除いておりますのは、まさに中川委員のような問題意識を持ちまして、私ども事務局のほうで書いているというところでございます。
この点に関しましては、2番目のポツで、技術的な改善を伴わない業務は対象にならないと。すなわち新技術、新商品等の研究開発とは呼べないだろうと、この2つの組み合わせによりまして、そういったものを除外していきたいと考えておるわけでございます。
また、中川委員から御意見がございました、例えば学卒1年目、2年目がどうかというような点でございます。考え方として、事務局の考えを申し上げますと、やはり研究者に限りませんが、こういった高度な専門職の方は、大学で研究等にそれまで従事されていたとしましても、相当高度な知見のある方はいらっしゃるのではなかろうかと思っておりまして、そういった方を一律にこの制度が使えなくなるようにしてしまうというのもよろしくないのではないかと考えてございます。ただ、会社で採用する場合におきましては、それぞれの会社は働き方を本人に任せ、相当な金額の年収を約束するということになりますので、例えばそれぞれの会社において決議をする場合に、この業務に関しては職務経験がないと我が社では無理だろうということで、決議の中で年数を縛っていく、あるいはこちらの業務は新卒でも能力があればいいけれどもさすがにこちらは無理だということで要件を設定していく。それはもちろんその現場の労使の決議において可能であると思ってございます。
したがいまして、一律に新卒を対象にしないということは余り適切ではないと考えておりますが、今のような考え方のもとで決議をしていくということも可能であると思いますし、もしそういった御意見であれば、そういった考え方をまた指針の中で明らかにしていくということもあるのではないかと考えてございます。
3点目、櫻田委員からございました、そういった関連性の部分でございますが、ここは八野委員からあった点とも本質的につながる部分でございまして、今回の緑色の資料の1ページ目をあえてつけておりますのは、今回の私ども事務局の案は、27年の建議で書かれております5つの業務を出発点といいますか、それを限定し、さらに絞り込んで限定列挙していこうというような姿勢によって考えているものでございます。1にありますように、高度の専門的知識、そして、時間と成果との関連性が通常高くないという切り口、それから、これは国会で議論され附帯決議をいただいております、2にございます本人の裁量という、まさにこの2つの切り口から絞っていく必要があると考えているわけでございます。
そのような考え方から、2ページ以降は27年の建議でいただいた5つのものを出発点にはしておりますが、それをそのまま採用するということではなく、この2つの観点からさらに絞り込んでいく作業を事務局として、素案とさせていただいた。そのような観点から引き続きこの業務に関しまして、その妥当性の御議論を頂戴したいと思っているわけでございます。
それから、村上委員からございました2ページ目の部分でございますが、右側の1ポツの金融サービス、これは言葉を変えますと、新たな商品を開発するというわけではありません。マーケティングでありますとか売り方、営業のことを念頭に置いてございました。ただ、確かにイメージがしにくかったかと思いますので、ちょっと表現を検討させていただきたいと思っております。
2番目のポツにおきまして、売買、資産運用、これがディーリングに該当する場合があると。これも実は、金融商品の開発といった場合に、金融商品の売買や資産運用は入らないということをまずは申し上げたくて、2番目を書いたわけでありますが、ただ、資産運用になりますと、商品開発ではなくて、ディーリングのほうに該当する場合もあると思いましたものですから、ちょっと※をつけたわけでございます。むしろわかりにくいという御指摘かと思いますので、このあたりをよく整理したいと考えてございます。
アクチュアリーに関しましては、これはあくまで商品開発そのものではなく、もちろん専門職ではございますが、あくまでその一部分に関しまして知見を活用されているということでございまして、除いているというものでございますので、保険商品や共済が全てこの新商品の開発に当たらないという意味ではございませんで、ここではあくまでアクチュアリーが行うその一部分を、この理数の知識を用いて行っているという、そこだけでは商品開発とまでは言えないのではないかというような趣旨でございます。
○荒木会長 それでは、定刻になりました。働き方改革の中での議論ですので、延長はしたくないのですけれども、輪島委員、簡潔にお願いします。
○輪島委員 ありがとうございます。分科会長にお願いです。資料ナンバー1でございますけれども、これについては一渡り議論が済んだという理解でよろしいのでしょうか。それで今、資料2のほうに進んでいるのか、労働側のほうでまだいろいろ質問があるというようなことであれば、資料1については文書で提出をしていただくとか、何か工夫をしていただいて、議論を進めていただきたいと思っているところです。
以上です。
○荒木会長 村上委員。
○村上委員 今の点に関してですが、先ほどの御質問に対する回答はぜひ口頭で、次回、いただきたいと思っておりますし、その御回答の内容によっては再度確認したいこともございますので、その点はよろしくお願いいたします。
それ以外のことについては、恐らく具体的な指針の案などが示されたときにまた御意見を申し上げるということになろうかと思います。
以上です。
○荒木会長 そのように取り扱いたいと思います。
それでは、本日は以上といたしまして、次回の日程について事務局よりお願いします。
○労働条件政策課企画官 次回の労働条件分科会の日程・場所につきましては、調整の上、追ってお知らせいたします。
○荒木会長 それでは、以上を持ちまして、第148回「労働条件分科会」を終了いたします。
なお、議事録の署名につきましては、労働者代表の中川委員、使用者代表の早乙女委員にお願いをいたします。
本日は以上といたします。ありがとうございました。