第1回妊産婦に対する保健・医療体制の在り方に関する検討会 議事録

日時

平成31年2月15日(金)17:00~18:52

 

場所

ベルサール神田 ホール

議題

  1. 検討会の立ち上げについて
  2. 妊産婦の保健・医療に関する現状について(自由討議)
  3. 妊産婦に対する調査について
  4. 検討会の進め方について
     

議事

 

○宮崎課長 それでは、定刻になりましたので、ただいまから、第1回「妊産婦に対する保健・医療体制の在り方に関する検討会」を開催させていただきます。
本日は大変お忙しい中御参集いただき、まことにありがとうございます。
本検討会は、医政局、子ども家庭局、保険局の3局連携で開催する検討会でございます。
本日、今、申しわけございませんけれども、保険局長、子ども家庭局藤原審議官につきましては、国会用務等のためおくれての出席となっております。
開催に当たりまして、山本審議官から一言御挨拶を申し上げます。
○山本審議官 大臣官房審議官の山本でございます。本日は、樽見保険局長が国会用務のため若干おくれて出席をさせていただく都合上、私がかわりまして、開催に当たりまして御挨拶をさせていただきたいと思います。
本日は「妊産婦に対する保健・医療体制の在り方に関する検討会」に御参加くださいまして、ありがとうございます。妊産婦に対しましては、これまで妊婦健診に対する地方交付税措置でありますとか、産婦健診の費用の助成などの支援策をはじめ、周産期医療体制の整備、ハイリスク妊産婦に対する診療の充実などに取り組んできたところでございます。また、医療保険者からは、出産育児一時金の給付が行われているところでございます。
そのような中で、現在、高齢出産の増加に伴う健康管理の重要性が増しているといったようなことや、通常よりも慎重な対応が求められる妊産婦の診療に必ずしも積極的ではない医療機関が存在しているといったことなど、妊産婦に対する保健・医療体制についてはまだ課題が残っていると考えてございます。
平成30年度診療報酬改定で新設されました妊婦加算も、こうした課題に応えるものとして考えられたものでございましたけれども、これが契機となりまして、妊産婦に対する保健・医療体制の在り方について、改めてしっかりと御議論をいただくことになりました。
この検討会におきましては、妊産婦に関する医療提供体制の充実や健康管理の推進を含めた妊産婦に対する保健・医療体制のあり方について幅広く御議論をお願いしたいと思っているところでございますが、何よりも妊産婦やその御家族が安心できる医療や保健のあり方という視点が大切だと考えております。
構成員の皆様の忌憚のない御意見をお願い申し上げまして、簡単ではございますが、御挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
○宮崎課長 続きまして、本日の会議の構成員の皆様の御紹介でございます。お手元の資料に構成員の皆様の名簿をつけさせていただいております。本来であれば、ここでお一人お一人御紹介をさせていただくべきところでございますけれども、後ほど資料説明の後に皆様方から自己紹介と御意見をいただく時間をとらせていただきたいと考えておりますので、そのように取り計らわせていただければと思います。よろしくお願いいたします。
次に、本日の出欠でございます。本日は全構成員の皆様に御出席いただいております。
次に、座長の選出に移らせていただきます。本検討会の開催に先立ちまして、あらかじめ各構成員の皆様に御相談をさせていただきました。御相談させていただきました結果を踏まえまして、五十嵐構成員に座長をお願いいたしたいと思いますけれども、いかがでございましょうか。
(拍 手)
○宮崎課長 ありがとうございます。
それでは、五十嵐構成員に座長をお願いいたします。五十嵐構成員におかれましては、座長席にお移りいただければと思います。
(五十嵐構成員、座長席へ移動)
○宮崎課長 今後の議事運営につきましては、五十嵐座長にお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○五十嵐座長 それでは、座長を務めさせていただきます。私は、国立成育医療研究センターの五十嵐と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
大変重要な検討会であり、妊産婦に対する保健・医療体制のあり方をここで皆さんと討議する機会をいただきまして、大変光栄に存じます。
先ほど審議官からお話がありましたように、わが国では妊娠や出産に対してさまざまな施策がとられています。世界に誇るべき施策もあります。しかしながら、不十分な点、改善しなければいけない点もあると思います。
そうした状況の中で、わが国には「健やか親子21」という国民運動計画がございます。関連する団体・関係者が子育てや妊娠・出産を援助しようということで頑張っております。しかしながら、国民運動計画では思ったとおりにはいかないという状況があります。
それから、昨年12月8日には成育基本法が可決されました。胎児から、つまり妊娠・出産から若年成人に至るまでの医療・保健を改善していこうという理念法です。これも子育てあるいは妊娠・出産に対して足りないところを、国を挙げて支援していこうという考え方に基づくものだと思っております。先生方の御指導をぜひともいただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
まず、座長代理を決めさせていただきたいと思いますけれども、よろしいでしょうか。中井構成員にお願いをしたいと思います。いかがでしょうか。
(拍 手)
○五十嵐座長 では、中井先生、どうぞよろしくお願いいたします。こちらの席にお移りいただきたいと思います。
(中井構成員、座長代理席へ移動)
○五十嵐座長 先生、一言御挨拶をお願いいたします。
○中井座長代理 日本医科大学の中井と申します。産婦人科医でございます。
今、五十嵐座長仰せのとおり、非常に重要な会議と心得て、きょうは伺いましたので、よろしくお願いしたいと思います。
○五十嵐座長 それでは、議事に入りますので、ここでカメラは御退室をお願いいたします。
(カメラ退室)
○五十嵐座長 では、早速ですが、事務局から資料の御説明をお願いいたします。
○吉川課長補佐 事務局の保険局医療課でございます。
まず、資料1と資料2に関して御説明をさせていただければと思います。資料2はかなりボリュームが多くなっておりますので、構成員の先生方の御議論の時間をしっかり確保するために、少し駆け足で説明させていただければと存じます。
資料1「妊産婦に対する保健・医療体制の在り方に関する検討会 開催要綱」をお開きいただければと思います。
まず、背景でございますけれども、先ほど山本審議官から御説明さしあげたものと重複する部分もございますが、これまで妊産婦に対してさまざまな支援策が講じられてきたところでございます。
また、医療提供体制に関しましても、周産期医療体制の整備などの充実が図られてきたところでございます。
一方、妊産婦の診療について、通常よりも慎重な対応や、胎児や乳児への配慮が必要であることなどから診療に積極的でない医療機関が存在するといった指摘がございました。このため、妊産婦自身の負担にも配慮しつつ、妊産婦が安心できる医療提供体制をさらに充実していくことが求められております。
また、近年、出産年齢の上昇傾向などにあって、高齢出産の場合には特に健康管理が留意される必要があるなど、妊産婦のニーズに応じた細やかな支援がより重要となってきております。
こうしたことから、今般、妊産婦が安心できる医療提供体制の充実や健康管理の推進を含めた妊産婦に対する保健・医療体制のあり方について、検討会を開催することといたしました。
なお、妊産婦に対する診療報酬上の評価のあり方については、本検討会の取りまとめを踏まえ、中央社会保険医療協議会において必要な検討を行うこととしたいと考えております。また、そのほかのものに関しては、それ以外のところで引き続き必要な対応などを行っていくものと考えております。
2.の検討事項でございますけれども、(1)から(4)までございます。
(1)は妊産婦の保健・医療に関する現状とニーズの把握について。
(2)に関しては、安心できる医療提供体制の充実について。具体的には、診療において求められる医学的な配慮のあり方、診療に係る医師への研修等のあり方、地域における産婦人科とその他の診療科との連携のあり方などの議論を想定しております。
(3)に関しましては、妊産婦の健康管理の推進について。こちらは健康管理に関する相談・支援のあり方などの議論を考えております。
(4)妊産婦に対する保健医療体制に関連する事項についてというところで、特に妊産婦に係る医療機関とほかの関係機関との連携のあり方等を検討事項としたいと考えております。
次のページでございますけれども、構成員に関しまして、座長は先ほど五十嵐座長を選任していただいたところでございます。そのほか、座長が必要に応じて、構成員以外の者の出席を求めることも可能としております。
運営に関しましては、別に会議において申し合わせた場合を除き、公開とする。
また、検討会は、医政局長、子ども家庭局長及び保険局長の3局で開催するものでございまして、庶務に関しましては、医政局地域医療計画課及び子ども家庭局母子保健課の協力を得て、保険局総務課において処理をすることとしたいとしております。
この要綱に定めるもののほかに関しては、会議において定めることとしたいというところでございます。
3枚目の別紙には、16名、本日全員御参加いただいている構成員の先生方のお名前と御所属をお示ししているところでございます。
続きまして、資料2「妊産婦にかかる保健・医療の現状と関連施策」に関して御説明をさせていただきたいと思います。右下にページ番号をお示ししておりますので、そちらの方を言及しながら御説明させていただきます。
2ページ目以降、まず「妊産婦にかかる保健について」でございます。
3ページ目をごらんください。妊産婦死亡率・乳児死亡率に関しましては、戦後急速に改善し、現在、世界有数の低率国となっているというところは、御案内のとおりかと思います。
4ページ目、少子化でございますけれども、平成29年の出生数は94万6060人で、過去最少。合計特殊出生率に関しましては平成17年に1.26を底として、その後、やや持ち直しの傾向が見られるといった状況でございます。
5ページ目でございます。現在、晩婚化に伴い、お子さんを産まれる母親の平均年齢が上昇傾向にあることをお示ししたグラフでございます。
6ページ目、低出生体重児が出生数総数に占める割合で、近年9%強の数字を推移しているところでございます。
続きまして、7ページ目と8ページ目に関しましては、実際に妊婦さんなどに関して、結婚や出産を取り巻く状況、あるいは妊娠などの不安に関する状況についてお示ししたものでございます。
7ページ目に関しては、地域の中での子供を通じたつき合いというものが、2003年、2014年の経年変化でパーセンテージが下がっているデータなどが示されているところでございます。
8ページ目、妊産婦のうち、妊娠・出産・産後の期間に不安や負担を抱えている方が8割から9割程度いるといったデータでございまして、右側のグラフに関しては、そういった不安を解消するために必要なサービスとして、例えば自分の体のトラブルへの助言、子供の発育・発達のチェック、日帰りで休息・利用できる場などが求められているというところが示されております。
続きまして、9ページ目、母子保健法の概要でございます。こちらは目的としまして、母性並びに乳児及び幼児の健康の保持及び増進を図るために、母子保健に関する原理を明らかにするとともに、母性並びに乳児及び幼児に対する保健指導、健康診査、医療その他の措置を講じ、もって国民保健の向上に寄与することを目的とするというところを記載しております。
主な規定として、保健指導、あるいは健康診査などが示されています。
10ページ目、近年の母子保健行政の歩みであります。2009年からのものをお示ししておりますけれども、先ほど五十嵐座長がお話しされていらっしゃいましたが、昨年、成育基本法が成立されたところでございます。
続きまして、11ページ目、「健やか親子21」、こちらは関係者が一体となって推進する母子保健の国民運動計画でございますけれども、現在、第2次計画の中でございまして、こちらは2015年度から2024年度までを予定している計画でございます。
12ページ目以降に関しては、妊娠・出産等に係る支援体制の概要です。
まず、12ページ目は大まかなタイムスケールに沿った表をお示ししております。妊娠・出産、乳児・幼児に関しまして、例えば健康診査、保健師等の訪問事業が市町村によって行われているところでございます。妊娠期に関しては、妊娠の届け出、母子健康手帳の交付から、妊婦健診、産婦健診、産後のケアの事業など、さまざまな支援が行われているところでございます。
また、妊娠・出産・子育てに関する相談窓口も設けられておりまして、子育て世代包括支援センターを初め、後ほど御説明さしあげるようなさまざまな相談窓口などが設けられているところでございます。
続きまして、13ページ目、母子健康手帳、いわゆる母子手帳に関してです。市町村が妊娠の届け出をした方に交付するものでございまして、妊娠、出産及び育児に関する一貫した健康記録であるとともに、乳幼児の保護者に対する育児に関する指導書となっております。
14ページ目、妊婦健康診査に関してです。母子保健法第13条に根拠を置いておりまして、妊娠の初期から分娩まで定期的にこうした健康診査を行っているといった形で、公費負担の現状に関しては、現在、全ての市区町村で14回以上実施されているといった現状でございます。
15ページ目、こちらは妊婦健康診査に関しての規準を告示で示したものでございます。実施時期及び回数、審査の内容、あるいは市町村の責務などに関して具体的に示しているところでございます。
16ページ目、出産の時期で出産育児一時金というものに関しての資料でございます。健康保険法等に基づいて、保険給付として健康保険や国民健康保険などの被保険者またはその被扶養者が出産したときに、出産に要する経済的負担の軽減のために一定の金額が支給される制度でございます。平成27年1月移行、原則42万円という金額になっているところでございます。
17ページ目、産後の産婦健康診査事業に関しての御説明でございます。産後、例えば鬱の予防、あるいは新生児の虐待予防等を図る観点から、産後2週間あるいは産後1カ月などの出産後間もない時期の産婦さんに対しての健康診査の重要性が指摘されているところでございます。平成29年度から、こうした産婦健康診査、産婦健診の費用を助成することとして事業が開始されているところです。
地域における全ての産婦さんを対象に、産婦健康診査2回分に係る費用について助成の事業が行われているところでございます。
18ページ目、産前・産後サポート事業でございます。こちらに関しては、妊娠・出産や子育てに関する悩み等について、助産師等の専門家または子育て経験者などの相談しやすい話し相手等による相談支援を行い、家族や地域での妊産婦等の孤立感の解消を図ることを目的としたものでございまして、実施方法として、例えばアウトリーチ(パートナー)型、デイサービス(参加)型というものがあるところになります。
続きまして、19ページ目、産後ケア事業に関してですけれども、こちらは退院直後の母子に対しての心身ケア、育児のサポート等を行うというものでございまして、宿泊型、デイサービス型、アウトリーチ型などが行われているところになります。
20ページ目、子育て世代包括支援センターの全国展開という資料でございます。母子保健サービスと子育て支援サービスを一体的に提供できることを目的に設立されているセンターでございまして、現在、2020年度末までに全国展開を目指すこととしております。
21ページ目、女性健康支援センター事業でございます。ライフステージに応じた身体的・精神的な悩みに対する相談指導、あるいは相談員の研修等を実施して、生涯を通じて女性の健康の保持増進を図ることを目的とした事業でございます。こちらの実施主体に関しては、都道府県、指定都市、中核市などで行われているものになります。
22ページ目、マタニティマークの資料でございまして、こうした取組を通じて、妊産婦さんに優しい環境づくりの推進を行っているところでございます。
23ページ目以降、続きまして、医療に関しての資料となります。
周産期医療の体制に関して、24ページ目でございます。現在、都道府県において地域の実情に応じた周産期医療体制の整備が行われておりまして、分娩のリスクに応じて総合周産期母子医療センター、地域周産期母子医療センター、それ以外の医療機関などで周産期医療の体制が地域ごとに整備されているところでございます。
25ページ目に関しては、出生数と分娩の取扱機関ですけれども、出生数は減少しており、分娩を取り扱う医療機関も減少しているところでございます。平成29年度ですと、分娩取扱医療機関は2,273となっております。
26ページ目、総合周産期母子医療センター、地域周産期母子医療センターの推移でございますけれども、こちらは平成29年度までに全都道府県に配置をされている状況でございます。
27ページ目、妊産婦死亡者数の推移に関しては、現在、年約30から40例という数まで減少している状況でございます。
28ページ目、診療科別医師数でありますけれども、一時期減少傾向にあった産婦人科におきましても、増加傾向に転じているというデータでございます。
29ページ目、医師の労働時間でございますけれども、診療科別に見た場合、週当たりの労働時間が60時間以上は、産婦人科では約53%と半数程度のデータとなっております。
30ページ目が、15歳から49歳女性人口当たりの産婦人科の医師数でございます。こうしたデータによりますと、都道府県間で約2倍の格差があるといったことが見てとれるかと思います。
31ページ目及び32ページ目に関しましては、平成28年に閣議決定された「ニッポン一億総活躍プラン」のフォローアップの資料でございまして、施策概要というところに、地域において分娩を取り扱う施設の確保などの充実を図るという文言がございまして、32ページ目に施策の進捗状況の文言がございます。こちらは後ほど御説明さしあげるものになります。
33ページ目、各都道府県で策定される医療計画における周産期医療に関しての追加の見直しのポイントで、平成30年9月時点での資料でございます。ポイントとしましては、周産期医療体制整備計画を医療計画に一本化すること、あるいは災害時小児周産期リエゾンの養成、無産科2次医療圏の解消に向けた対策の記載などをポイントとして挙げております。
34ページ目以降のスライドに関しては、こちらの医療計画の施策実施のための予算事業などについての御説明でございます。
34ページ目に関しては、医療提供体制推進事業費補助金という形で、医療計画制度の実効性を確保するためのものに、周産期医療施設等の経常的な経費及び設備整備費などに関して補助を行うための補助金でございます。
35ページ目に関しては、地域の分娩取扱施設の整備のための事業の説明の資料。
36ページ目に関しては、地域の参加医療を担う産科医の確保事業のための御説明でございます。
37ページ目、地域医療介護総合確保基金の資料でございます。効率的かつ質の高い医療提供体制の構築あるいは地域包括ケアシステムの構築、そういったものを目的としまして、この基金に関しましては5つの対象事業が設定されております。そのうちの1つ、4番目でございますけれども、医療従事者の確保に関する事業というものが設定されておりまして、その中で産科医等の処遇を改善しその確保を図るための財政支援が設定されているものでございます。
38ページ目、39ページ目は医師の臨床研修の資料でございます。医師の卒後2年間の臨床研修において、理念としましては、一般的な診療において頻繁にかかわる負傷または疾病に適切に対応できるように基本的な診療能力を身につけることとしております。
39ページ目でございますけれども、必修診療科のプログラムの話でございます。平成32年度から研修プログラムにおきまして、産婦人科が4週間必修とすることを予定しておりまして、この研修の中では、妊娠・出産、産科疾患や婦人科疾患、思春期や更年期における医学的対応などを含む一般診療において頻繁に遭遇する女性の健康問題への対応等を研修するといったことになっております。
40ページ目は妊娠と薬情報センター、2005年に設立されたものでございまして、国立成育医療研究センターに設置されております。妊婦や胎児に対する服薬の影響に関する相談対応や情報収集を行っているものでございます。
41ページ目、センター内に添付文書の改訂案を検討するためのワーキンググループが設置されておりまして、これまでの集積情報の整理などを行って、授乳婦さんあるいは妊産婦さんに対しての投与に関する情報の添付文書への反映に向けた事業が平成28年度から開始されているところでございます。
42ページ目以降、診療報酬の資料でございます。
43ページ目、これは平成18年度ですので約13年前のものでございますけれども、平成18年度からハイリスク分娩管理加算というものが新設されております。例えば糖尿病の合併の妊産婦や妊娠高血圧の妊産婦さんに対しての分娩管理の加算、あるいは共同で管理を行ったときの管理料というものが設定されております。
それ以後は、このハイリスクの妊産婦さんを対象に、対象の拡大、評価の充実といったものが経年的に行われてきたことを資料でお示ししております。
少し飛びまして、52ページをご覧ください。こちらは平成30年度診療報酬改定の資料でございますけれども、28年度までは、入院に関してハイリスクの妊産婦さんに対しての加算などが設けられてきたところですが、30年度におきましては、妊婦加算の新設あるいは精神疾患合併の妊産婦に関しての外来の評価などが設けられたことを示しています。
53ページ目、54ページ目、55ページ目は、妊婦加算に関しての資料でございます。妊婦加算に関しては、初診料あるいは再診料、外来診療料の加算として設けられました。趣旨としましては、妊婦さんの外来診療については、妊娠の継続や胎児に配慮した適切な診療を評価する観点から、そういったものを評価することが重要であるといった議論を踏まえ、妊婦加算が新設されました。
54ページ目でございますけれども、議論の背景・経緯ですが、そうした妊婦さんの外来診療に関して一定の配慮が必要であることから、診療に積極的な医療機関が存在していたこと、あるいは産婦人科医会、産科婦人科学会などからの御要望をいただいた、そういったことを踏まえて30年度改定において新設されたものでございます。
ただ、創設後、十分な説明がないまま妊婦加算が算定された事例、あるいはコンタクトレンズの処方など、妊婦でない患者と同様の診療を行う場合に妊婦加算が算定された事例など、加算の趣旨に反するような事例の指摘があったところでございます。
その後、与党などにおいても議論が行われまして、55ページ目、こうしたことを踏まえまして、昨年12月、根本厚生労働大臣の発言でございますけれども、妊婦加算が目指すものは依然として重要である一方で、それを実現する手段として、妊婦加算という仕組みが必要であったかどうかあらためて考えてみる必要があり、医療関係者の皆様には申しわけありませんが、妊婦加算については一旦凍結するという判断がなされました。また、妊婦の方に対する診療のあり方について、有識者も含めて御議論いただいた上で、妊婦加算のあり方について改めて中医協で議論していただくことを考えておりますというところでございまして、結果としまして、本年1月1日から妊婦加算が凍結、また、妊婦の方に対しての診療のあり方、あるいは保健に対してのあり方、そういったことを御議論いただくために、本日の検討会を開催させていただいたところでございます。
56ページ目以降に関しては、そのほかの30年度改定での診療報酬の資料でございます。
長くなりましたが、以上でございます。
○五十嵐座長 御説明ありがとうございました。
きょうは第1回目の会合ですので、事務局からの御説明をいただき、それを踏まえまして、妊産婦の保健・医療に関しまして、構成員の方々から自由に御発言をいただきたいと考えております。お一人ずつ、名簿順で、自己紹介も兼ねて御意見を3分程度でいただきたいと思います。
早速ですが、青木構成員からお願いいたします。
○青木構成員 さいたま市保健福祉局の青木でございます。専門は公衆衛生の医師でございまして、さいたま市では、母子保健行政の中心組織である保健所長をやりました後に、現在は地域医療でありますとか地域包括ケアを担当する理事を務めております。せっかくでございますので、さいたま市の状況なども若干紹介させていただこうと思います。
さいたま市は、人口が昨年9月に130万人を突破いたしまして、120万人を超えたのが11年前でございましたので、毎年1万人近いペースで人口が増加をしてきているという状況でございます。ただ、その中身を見てみますと、出生は1万人でございますけれども、死亡も最近ではほぼ1万人になっておりまして、自然増はほぼゼロとなっており、人口増のほとんどが1万人の社会増です。具体的には年6万人が転入をし、5万人が転出をしており、転入の多くは40歳未満の若年の世代だということが特徴的だろうと思います。
そうした中で、保健活動でございますけれども、先ほど御説明がありましたように、妊産婦へのさまざまな支援制度のスタートは妊娠の届け出ということになります。その後、一連の健診、訪問活動といったことにつながっていくわけでございまして、そうした活動の積み重ねが、効果的な母子保健活動につながっていくということであろうと思います。
本市では、毎年1万人を超える出生者数に加えまして、他の自治体から転入してくる妊産婦、また子供たちと、基本的な情報は母子健康手帳に記載をされるわけですけれども、新たに個人と個人の顔の見える関係をつくっていかなければならないというところに、なかなかの難しさがございます。これは本市に限らず、都市部の自治体にとっても同様の状況だろうと思いますし、また、最近の児童虐待事例なども、こうした複数の自治体を移動する住民の方たちにどう対応するかということが非常に重要であるということの証左というふうに考えております。
私は今回、ここに参加させていただきまして、さいたま市の抱えている問題、また地方自治体の抱えている問題、さまざまございますけれども、せっかくの機会でございますので、いろいろ紹介をしながら、よりよい制度づくりができればと考えております。よろしくお願いを申し上げます。
○五十嵐座長 ありがとうございました。
続きまして、石井構成員からお願いいたします。
○石井構成員 初めまして。一般社団法人知ろう小児医療守ろう子ども達の会の代表補佐をしております石井と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
私たちの会は、会員はほとんどいわゆる普通の子育て中のお母さん、お父さんでして、会の中では、子育てしていく中で特に子供の病気のことというのは出産を迎えるまでほとんど知識がないので、みんな不安な中で子育てに向かっているのですけれども、その中で少しでも、自分たちがまず安心できるように子供の病気について知ろうというところをスタートにしておりまして、知識を自分の中で蓄えていく中で、結果として、例えば不要な受診が減ったりですとか、そういった意味で医療現場のほうも今までの負担が少しでも軽くなったらいいなということを目指してやっております。
ちょっと個人的なお話もさせていただきますと、私は5回出産を経験しておりまして、2回目、3回目になるとなれるかなと思ったのですけれども、やはり初めてと同じように全然違う不安なこととか、全然わからないことが次から次へと出てきて、どの妊婦さん、お母さん、お父さん、絶対不安なのだなというのは実感としてあるのですね。その中で、国の制度だったりいろいろな行政の施設だったり、そういうのは変わっていっているのですけれども、それがなかなかわからない、知らないという部分があって、そこが不安につながっているのだなというのはすごく実感としてあるので、普通のお母さん、お父さんたちが、簡単に知識が身について、かつ納得できるようなものが望ましいのではないかというのはすごく実感としてあります。
ですので、そういう視点で今回の検討会でもお力になれたらなと思っております。よろしくお願いします。
○五十嵐座長 ありがとうございました。
続きまして、井上構成員、お願いします。
○井上構成員 初めまして。浜松医科大学地域家庭医療学講座の井上真智子と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
私は、地域のプライマリ・ケア医療機関で活躍できるプライマリ・ケア医、総合診療医の育成を行っております。私自身も一番初めに産婦人科医を3年間研修しまして、その後、総合診療、プライマリ・ケアを目指しまして、実際には東京の足立区の診療所で長く勤めさせていただきました。その後、プライマリ・ケアの教育が非常に重要であるということで、現在、大学で勤めております。
プライマリ・ケアといいますのは、身近で何でも相談できる。そして、継続的に患者と医師の関係、また患者と医療機関との関係を持ちながら、包括的なケアを提供するということを目指しております。ですので、女性の患者さんが来られた場合に、必ず月経のこと、避妊のこと、これからの妊娠希望のこと、そういったことをお伺いして、患者様がこれからもし妊娠をしたいということでありましたら、プレコンセプションケアの提供を行うことを目指してやっております。
また、妊娠中の患者様がコモンプロブレムで来られることも非常に多くございますので、風邪ですとか便秘ですとか、妊娠中によくある問題に対して、妊娠中であるということを考慮しながらきちんとした診療ができるように、取り組んでおります。
産後のメンタルヘルスのことも課題になっておりますけれども、産後の患者さん、生まれたばかりの赤ちゃんを抱えて大変な中、御自分の健康管理が非常に困難になりがちです。ですので、産後の方の授乳の相談ですとかメンタルヘルスの問題、また、赤ちゃんの診察も当然行います。赤ちゃんにあるコモンプロブレム、皮膚の問題ですとか便秘のことなど含め、赤ちゃんのケアも同時に行い、お母さんと赤ちゃんをサポートしていくということを行っております。
私たちは日本プライマリ・ケア連合学会というところで、プライマリ・ケア医と産婦人科の先生方と一緒になって、そういった教育に取り組んでまいりましたので、今回、なかなか妊産婦さんのケアに積極的でない医療機関もあるというお話でございましたが、このような観点でお役に立てることがございましたらと思っております。どうぞ御指導のほどよろしくお願いいたします。
○五十嵐座長 ありがとうございました。
続いて、井本構成員、お願いいたします。
○井本構成員 皆さん、初めまして。日本看護協会の井本と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
日本看護協会は、皆様も御存じのとおり、保健師、助産師、看護師、准看護師の代表となる専門団体でございます。その中で、私は、周産期関連の事業を所掌しております。
妊産婦に対する保健・医療は、地域医療機関を通じて生活の場で提供されます。産前・産後を通して保健師、助産師、看護師は各場面で医療のみならず、保健指導や育児支援にかかわっている身近な専門職だと考えております。その立場から、この検討会に対して考えていることをお話しさせていただきたいと思います。
先ほど事務局からのプレゼンテーションもございましたが、妊産婦は妊娠期から育児期まで、大小さまざまな不安を抱えていらっしゃいます。また、スライドにもありましたように、妊娠・出産年齢の高年齢化等によりハイリスク妊産婦がふえておりまして、その内容や課題は変化しており、より丁寧なかかわりが必要だと思っています。
このような背景の中で、妊産婦が安心できる保健・医療体制を進めるためには、生活の場、医療の場、双方において正確な知識を持ちながら、妊娠初期から育児期まで伴走してくれる、そういった人材や体制が必要だと考えております。
看護職の実情も少しお話しさせていただきますと、地域の場で妊産婦を支援している行政保健師も、先ほどもありましたが、分娩施設の状況により、例えば産んだ施設と自分の地域が少し異なるなど、以前よりは連携がとりにくい状況があったり、あと、妊産婦が抱える問題にタイムリーに対応するためには人材が不足している状況も起こっております。また、病院においては、産科混合病棟が増加して、妊産婦に十分なケアを提供できる状況がなかったり、感染などの管理上の課題が報告されたりもしております。
このような中で、この検討会では、皆様、構成員の各お立場において課題を共有しながら、地域医療機関との連携、そして産科・他科との連携等の検討ができることを期待しております。そして、充実した体制につながる具体策を検討させていただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○五十嵐座長 ありがとうございました。
続きまして、鈴木構成員からお願いします。
○鈴木構成員 初めまして。日本産婦人科医会から推薦で、東京の葛飾赤十字産院の副院長を務めております鈴木俊治と申します。産婦人科医でございます。
日本産婦人科医会の常務理事の先生方が、私のほかに中井先生、平川先生とお二人いらっしゃって、末席に加えていただきまして、本日は本当に光栄に思っております。
私のいます葛飾赤十字産院は、葛飾区にあるわけなのですが、先ほど産婦人科医がふえているというお話がありましたけれども、実はこの数年で葛飾区だけでも分娩をやめて外来診療だけのクリニックになったところが4つあります。ですから、産婦人科の産科医療施設というのは減少しているのが実情であると思っております。そういった中で、特に妊産婦さんは、やはり夜間とか、特に地方などにおきましては、かかりつけの産婦人科施設までたどり着くのに時間がかかっているというのが多くなっているのが実情だと思っております。
妊娠関連のトラブルにつきましては、産科施設にかからざるを得ないわけなのですけれども、妊産婦さんというのはただでさえ大きいおなかを抱えて、行動が制限されて、そしてまた、特に小さい新生児を抱えているお母さんたちにおきましては、何かあったときに可能な限り自宅近くの施設でかわりに診てもらえるような、そういった環境が整えられると安心して育児や妊娠生活を送れると思っております。
今、新生児を抱えるとありましたけれども、最初は妊婦加算でしたが、きょうは妊産婦に対するというふうに産婦さんも入れていただきまして、実際に妊婦さんも断られるのですけれども、授乳婦さんにおきましても母乳への影響を考えて断られる褥婦さんが多いというのが実情でございますので、今回の検討対象に入れていただきましたことに関しましては、非常にうれしく思っております。
一方、いろいろな合併症に対しまして、妊娠中だからと産婦人科医に受診されても、総合病院でなければお手上げというか、何もできないということが多々あるのは実感として感じております。また、ひどい感染症などの妊婦さんにおきましては、妊産婦さんが多く待っているところに来られますと、パンデミックを起こしたり、胎児感染などもございますので、そういったことに関しましては、専門の施設で妊産婦産だからというふうに断らずに診てもらえるということが整えられたらと思っております。
今回、いろいろな分野の方々と一緒に、こういったことにつきまして共有できることは非常に貴重な機会だと考えますし、また、こういう施設につなげるという病診連携や病病連携以外に、診診連携といいますか、そういったところにおきまして新しい連携体制のモデルがここで考えられたらと思っています。今回はよろしくお願いいたします。
○五十嵐座長 ありがとうございました。
続きまして、髙松構成員からお願いします。
○髙松構成員 皆さん、初めまして。日本薬剤師会の髙松と申します。
私は、薬剤師として薬局勤務と病院の勤務、両方とも経験しております。薬剤師の業務というのはかなり幅広くございまして、保健の部分から薬物治療までかかわってくるわけですが、恐らく今回に関しましては、地域のいろいろな問題等々が多くあると思いますので、地域の薬局のあり方としての視点でお話ししたいと思います。
薬局に来られる方というのは、やはり何か病気を持っていらっしゃる。その中で、薬局に来られたとき、女性であれば妊娠されているかどうかを確認した上で薬物治療を妊婦さんに適正に行えるかどうか。そのあたりのチェックをするべき役割だと思っております。
例えば、産婦人科にかかっていらっしゃる方であれば、ある程度そのあたりの状況はわかるのですが、それ以外の科にかかった方々に関しましては、ドクターが妊娠中であることを理解しているかどうかのチェック、そして、その薬自体が妊娠中でも使えるかどうか。その辺のところは薬局だけの情報ですと不十分な部分がありますので、五十嵐先生の成育医療センターで発信されているような情報や、あとは海外での妊産婦さんへの薬物治療のデータ等を駆使しながら、完全に使用不可というものはチェックをかけます。それ以外に関しましては、妊娠の時期等々によっても使えるもの、使えないものがございますので、そのあたりをしっかりチェックして、あとはやはり薬を使うことに対する不安の部分。これに関しては、私たち薬剤師だけで完全に拭うことはできない点もありますので、最終的には産婦人科の先生方に情報提供して御相談してくださいねというようなかかわりもあると思います。
地域にあるということは、妊娠されて、その後出産されて、授乳、育児、子育てにつながってくるわけですが、薬局がいつもそこにあり、同じ薬剤師がずっと継続して係る。そういうところは、その後の育児のところまで全部つながってくるところだと思います。その継続性というのが地域の中では重要ではないかと思っております。
今回、さまざまな皆さん方のお話を伺いながら、薬剤師として妊娠から出産の時期に関して、改めてどのようにかかわればいいのかなと考えて、いろいろ御意見させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○五十嵐座長 ありがとうございました。
続きまして、戸矢崎構成員、お願いいたします。
○戸矢崎構成員 初めまして。全国保健師長会の戸矢崎悦子と申します。よろしくお願いいたします。
私は現在、横浜市南区福祉保健センターのこども家庭支援課長で、保健師でございます。保健分野の現場で今感じていることと、留意していることを自己紹介も含めて御紹介させていただければと思います。
福祉事務所と保健センターが一体となって、区民に直接サービスとか相談をしている部門になります。なので、幅広く、保育所の入所の関係もございます。あとは母子保健、子育て支援、児童虐待の対応、トータルで福祉、保健、子育てというような分野を一括して行っている部署でございます。
母子保健の部分でもございますが、子育て世代包括支援センターの機能を2年前からモデル的に取り組み、異動者も含め母子健康手帳の交付は全数面接行っております。
その中で、先ほど統計データにもございましたが、35歳以上の高齢出産の方が今は3人の1人となっております。お母さんの体力、心身ということもあるのですが、家族背景的な点も気にかけております。というのは、産後に、子育てのサポートをしてくれる人がいるかいないかというところが重要です。お母様自体が高齢になるということは、祖父母も高齢になっているということで、サポートが受けられない状況も想定されます。なので、産後についてもイメージができるようサービスの提供の説明をするようにしております。(来所者の傾向として)妊娠期から産後のことも含めてトータルで支援をしなければいけない方がふえてきているかなと思っています。
もう一つ、生活実態の把握とともに、時代に即したかかわりというところでは、就労している女性の方が非常にふえています。横浜市でも、子ども・子育ての制度の事業計画を立てる上で昨年、ニーズ調査を行いました。実際に今、パート就労も含めて約6割の方が共働きということになっています。母子健康手帳をとりに来た時点で保育所の情報を知りたい。保育に関する相談ニーズが非常に高くなってきています。
母子健康手帳の交付のとき、全数の面接でそれぞれの背景踏まえながら御相談に対応することと、子育て世代包括支援センターでは、いつでも相談ができる場所だということをきちんと伝えるというところに気をつけております。
あと、就労されている方が増えているので、平日の日中に後日お電話とかもなかなか通じなかったりということが実態としてあります。そのため、継続支援の必要な方については、妊婦健診など出産病院に御協力いただきながらその人にアプローチをする上で、妊娠中から医療機関との協力・連携では非常にその後の支援を左右されているなと実感しております。
こちらの検討会の御意見などもぜひ参考にさせていただきまして、また、地方自治体の窓口、保健分野のほうも充実させていただければと思っておりますので、今後ともよろしくお願いいたします。
私からは以上でございます。
○五十嵐座長 ありがとうございました。
続きまして、中井座長代理からお願いします。
○中井座長代理 先ほども挨拶しました日本医大の中井でございますが、私は、日本産科婦人科学会の職責できょうは参加させていただいております。
もちろん皆さん専門家で御承知と思いますけれども、よく誤解されるのが、高齢化する妊婦さんはいろいろ合併症を持つということになりますが、御理解いただきたいのは、合併症というのは我々の中で2つに分かれているのです。一つは産科合併症。これは先ほども厚労省の方の御説明にあったようなハイリスク妊娠、あるいは分娩管理加算というところでカバーされているような疾患を持っている産科合併症。
もう一つあるのが、私たちは偶発合併症と言います。これは別に妊娠していなくてもかかる病気なのですね。ぜんそくであっても、高血圧であっても、何でもいいのですけれども、そういった疾患になりますと、なかなか産婦人科単科の診療ではおさまらないというのが問題で、実は昨年の妊婦加算はそうしたことを支援していただける仕組みだということで、これは一定の成果が上がるのではないかと期待しておったのですけれども、今回はそれを抜本から、仕組みからまた検討していただけるということで、大変ありがたく思っておりますが、そういったすみ分けがあるということを御理解いただいた上で議論が進んでいけばと思っております。よろしくお願いしたいと思います。
○五十嵐座長 ありがとうございました。
続きまして、中島構成員、お願いいたします。
○中島構成員 読売新聞医療部の中島久美子と申します。どうぞよろしくお願い申し上げます。
私は、産休とか育休も挟んではおりますが、15年ほど医療の専門部署で取材を続けております。その中で当初から周産期医療や母子保健という分野の取材はさせていただいておりました。きょう最初のプレゼンテーションでも、日本の妊産婦死亡率・乳児死亡率などの指標をいただいて、本当に改善していて、海外諸国と比べても誇れる現状だと思います。
一方で、それでもまだまだ防ぎ得る病気ですとか、障害ですとか、また、命というのはあるのではないかという認識を持っています。
といいますのも、これまで本当に多くのお母様たちから語りというか、取材をさせていただいて、もし知っていれば防げたかもしれないというようなお言葉をたくさんいただいているということがあります。手短に言うと、例えばよく知られている葉酸について御存じなく妊娠されて二分脊椎のお子さんを産んだお母さんですとか、あと、今流行していますけれども、もちろん社会的な集団免疫は大事ですが、風疹についてもワクチン接種等を確認せずに妊娠してCRSのお子さんをお産みになったお母さんもいらっしゃいます。また、元気にお生まれになっても、一つ一つの成長、日々の成長をとても喜んで子育てに当たっていらしても、その成長がまた新たな事故を生むというリスクを本当は認識しなくてはいけないのですけれども、そういうところの情報がなくてお子さんが大やけどをしてしまって、何度も手術を繰り返しているというお母さんなどもたくさんいらっしゃいます。
そういう方のお声を、もちろんちゃんと伺った上で伝えるというのはメディアのとても大きな役割だと思うのです。同じようなお母さんを減らしたいという皆さんの思いもありますし。一方で、こういうことは、きょうお集まりの皆さんの医療とか保健の中の、保健指導とかそういう言葉になるのかもしれませんけれども、そういう中でも、いつ、どのタイミングで、誰が、お母さん、妊婦さんも含めてどのような情報を提供するかということもとても大事な課題だと感じております。
今回の検討会については、先ほど何人か触れていらっしゃいましたけれども、そもそも妊婦加算の凍結から、もっと幅広く全体的な課題を考えてみましょうということで始まったと伺っていますが、検討会の背景のところにもあったように、妊産婦さんの負担に配慮しながらという議論はとても大事だと思っています。今回の妊婦加算の急な凍結に関しても、やはり妊婦さんの自己負担がふえることへの周知とか御理解をいただくことが不十分だったということが一因であると私は捉えています。この点で、例えば既に一部の自治体で、診療報酬ではなくて、妊産婦さんの医療費の助成制度等を持っているところもあると聞いておりますので、そうした背景も踏まえた議論が必要かと思っています。
最後に1点、鈴木先生もおっしゃっていましたけれども、妊婦加算から始まったといっても、今回は産婦さんも検討の対象に入っているということは、私はとても大事なことだと思っています。といいますのも、産後のお母さんというのは本当に大変です。お母さんとしての役割だけではなくて、先ほどの就労もそうですし、地域の仕事とかいろいろなことがありまして、自分の健康は後回しになっているのが実情です。なので、例えば妊娠中に妊娠糖尿病とわかっても、その後、産後フォローの受診がなかなかできずに、そのまま妊娠したり、また、糖尿病になってしまったりという方も少なからずいらっしゃると伺っています。あと、例えば妊娠をきっかけにせっかく喫煙をやめられたお母さんも、産後、御家族が吸っているとか育児のストレス等、さまざまな状況から再喫煙に至ってしまう。頑張っているねとか、そういう継続的な支援がないまま、せっかくやめたのに再喫煙に至ってしまうというようなケースもよく聞いています。
もう1点、がん検診も、子宮頚がん検診診等すごく大事な世代だと思うのですけれども、妊婦健診で受けたのが最後という方も結構いらっしゃいます。そういう意味でも、産後のケアはメンタルのところが今かなり注目されていますが、それだけではなくて、やはりお母さんというよりも、長期的な女性としての生涯の健康を考えるという意味でも、この産後ケアの充実ということも非常に重要なことだと思いますので、議論の中で皆さんの御意見も伺いながら考えることが大事かなと思っています。どうぞよろしくお願い申し上げます。
○五十嵐座長 ありがとうございました。
続きまして、中西構成員、お願いいたします。
○中西構成員 たまごクラブの中西と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
私、マタニティ向けの雑誌のほうで20年以上かかわらせていただいているのですけれども、妊婦さんの健診というのですごく印象に残っていることとしては、20年前は妊婦健診、定期健診は毎回受けて当たり前と認識していたのですけれども、15年ぐらい前のことだと思うのですが、検診費を浮かすために受けないで、いきなり駆け込み出産してしまうみたいなことがニュースで騒がれたりしたと思うのです。それを聞いて、そんな人もいるのだとすごく驚きまして、いろいろな事情があるとは思うのですけれども、そんな危ないことをしてはいけないなということで、妊婦健診は大事だよということをうちの雑誌でも特にその後、よく言うようにはしているのですが、そういったふうに、妊婦さんはいろいろな人がいるのだなということをいつも思っております。
妊婦健診については、その後、助成もすごく手厚くなったと思っているのですが、妊婦さんがこの20年の間にどんどん変わったこととしては、高齢化もそうですし、就労化も先ほどお話がありましたようにそうですけれども、不妊治療を受ける妊婦さんがとてもふえているというか、今、多分、18人に1人ぐらい、不妊治療を受けた後に体外受精によって赤ちゃんを産むことができたみたいな感じになっているのかなと思うのです。つまり、妊娠する前にかなりのお金を既に負担してしまっている人がかなりいるということ。
そして、去年11月にベネッセのほうで2,000人ほどインターネットのアンケート調査をした結果、子育て世代、うちの読者世代の貯蓄額なのですが、100万円未満というのが15%いるというのが一番トップボックスみたいな形で、赤ちゃんがこれから生まれるのに大丈夫なのみたいな人がかなりいるのですね。一方で、1000万円以上貯金していますという方が9%以上いたりして、格差が結構激しくなっているのだなと思っております。
そういったすごくいろいろな人がいる中で、大事な制度とかをどう受けとめてもらえるかということを話し合えたらいいと思って参加させていただきました。どうぞよろしくお願いいたします。
○五十嵐座長 ありがとうございました。
続きまして、野口構成員、お願いいたします。
○野口構成員 こんにちは。初めまして。早稲田大学政治経済学術院の野口といいます。私の専門は、医療経済学、あるいはデータを分析して政策に資するようなエビデンスを作成するというのが私の研究面での仕事です。実は、もう今、皆さんから非常にこの検討会のきっかけともなった妊婦加算のお話がありましたけれども、中央社会保険医療協議会というところで公益委員を務めております。
先ほどからるる御説明があったように、妊婦加算の政策目的は、妊婦さんあるいは胎児、子供の健康と生命を守るために妊婦さんに対して提供される医療の質の向上あるいは質の担保ということを目指していたわけです。加算というのはもう御存じのように、日本の医療サービス市場は、いわゆる市場メカニズムによらずに公的に、つまり公定価格として政府が決めるという形になっているわけです。そのような場面で加算とはどういうことかというと、医療機関が提供するサービスに対する報酬ですね。言い方を変えれば、質を担保するために必要なコストに見合う報酬として加算というものがあるという考え方だと思います。
今回、妊婦加算という名前もどうかと思うのですけれども、妊婦加算に対して非常に大きな社会的な批判が、世論が批判に転じたのには2つ理由があると思っていて、医療経済学の立場からいうと、やはり医療、こういった妊婦さんにかかわるサービスだけではなくて医療サービスというのは、非常に我々患者から見ると、患者は医療に対しては素人なので、自分の体の状態すらわからないし、自分にとって何が最適なサービスかというのを患者は判別できないのですね。その患者さんにかわって誰がそれを決めてくれるか。例えば我々は日々いろいろな消費財を消費して生きているわけですけれども、要するにその消費財というのを、普通は我々自身が何を消費して、何を買うかを決めているわけですけれども、医療サービスに関しては、我々は決めることができないわけです。そのときに誰が代理人となって決めてくれるかというと医療の専門家なわけですね。
そこで、これは経済額で言うところの本人イコール患者、代理人、私にかわって何を消費すべきか決めてくれる人。本人・代理人モデルというのが経済学である、その典型的な事例なのですけれども、そのために、いわゆるサービスの質がわからない。患者から見ると、このサービスが果たして自分にとって最善かどうかわからない。そこに皆さんが先ほどからおっしゃっている、妊婦さんのみならず患者の負担がつきまとう。だから、医療サービスは非常に特殊な財である。普通に我々が消費する財とは違う。これが一つ大きな原因だった。
もう一つのポイントは、先ほどから皆さんがおっしゃっているように、どうしても自分たちの提供するサービスの質を上げるためにはコストがかかるわけですね。ただでは上がりません。提供するサービスの質がよい、特殊なケアが必要であるということは、それだけ人もコストもかかるわけですから、それに対する手当てをしなければいけない。ただ、そのコストを誰が支払うのかという議論が十分ではなかった。今回の場合は、それを患者本人、つまり消費者の負担として加算をつけてしまった。そこが非常に問題だったかなと思います。
もう一つのポイントを言わせていただくと、今回、もし妊婦さん自身に対する窓口負担を公費で支出した場合を換算すると、厚生労働省の試算で大体10億円と言われているのですね。その10億円規模の支出でもって医療機関側の行動がどう変容するのか。あるいは医療機関側のサービスの質が10億円規模で本当に向上するのか。日本の医療費というのは40兆を超えていますから、そのうちの10億円規模でどのぐらい質が変わるのかというのを検証する非常にいい機会だったのですけれども、残念ながら凍結されたことによって、その検証の機会を失ったということは非常に残念だと思っています。
ですので、私は今回この検討会に参加させていただいて、皆さんからいろいろなことを学ばせていただきたいと思っていますけれども、ポイントは、誰が負担すべきか。あるいは医療サービスのそういったちょっと特殊な質を考えながら制度設計していくということが非常に大事だと思っております。
以上です。どうもありがとうございました。
○五十嵐座長 ありがとうございました。
続きまして、平川構成員、お願いします。
○平川構成員 日本医師会の常任理事を務めております平川俊夫と申します。よろしくお願いします。私は、福岡市でお産中心の産婦人科の有床診療所で診療を行っております。その立場から申し上げたいと思います。
御案内がありましたとおり少子化、そして出産年齢の高齢化が進んでおりまして、お産は少なくなっているとはいえ、非常にリスクの高い妊娠・出産がふえてきております。あわせて、これもお話がありましたように、高度な不妊治療をお受けになって妊娠していらっしゃる、そういう方々もふえておりますので、妊娠中にさまざまな合併症を起こしていく割合がふえてきていると思います。そういう意味で、産科医療というのは大変難しさを増していると思います。
これに対して我々は、限られた医療資源の中でこの困難さに立ち向かうために、やはり分娩をハイリスク、リスクの高い分娩と、そしてローリスク、それほどリスクは高くない分娩とに分けまして、ハイリスクは非常に高度な医療設備を持ったセンターで受け、ローリスクは地域の病院や診療所で受けるといった分担をして、この体制を整えていっているわけでございます。
ところが、妊娠・出産の特性といたしまして、初めからこれがロー、ハイときれいに分かれていればいいのですが、ローリスクとみなされていた妊娠・出産が急にハイリスクに転換するということがしばしばありまして、そのためにローリスクからハイリスクへのセンター、あるいはそれをまた戻す。そういった連携をいかに構築するかという点で非常に困難さがあるわけでございます。
また、産婦人科の医師の数の問題でございますけれども、先ほど少しふえているという御案内がありましたが、わずかな増加にとどまっておりまして、依然、診療の場では、産婦人科医師不足を強く感じております。
御案内がありましたけれども、病院の常勤医師の調査がありましたが、産婦人科に至っては半数以上の常勤医師が週20時間以上の残業をしている。年に1,000時間ぐらいになりましょうか。そういった残業をしながら懸命に周産期医療を支えているという点で、やはり診療の困難さがあろうかと思います。そういう中で、志高く産科医療を支えるという医師が懸命に頑張っているというところだと思います。
診療しておりますと、妊婦さんのさまざまな病気を診る際に、妊婦さんは産婦人科をかかりつけ医として捉えておられますので、妊婦さんは必ず産婦人科の門をたたいてこられます。これは夜間であっても時間を問わずいらっしゃいます。ほかの科であれば、さまざまな休日・夜間診療体制のもとで対応することができますけれども、産科医療に関しては、やはりかかりつけ医が責任を持っておりますので、そのかかりつけ医にいらっしゃるということが基本になっておりますので、現在の休日・夜間診療体制では対応できないというところが大きいと思います。そういった特殊性があろうかと思います。
また、他科の先生方がなかなか、ともすれば診療に少しちゅうちょされるという話もありましたけれども、妊婦さんの特性として胎児がおられる、もしくは授乳している新生児がおられますので、妊婦さんの薬の使い方がわからない、自信がないということ。それから、病院に産科を併設していないので、産科がないので対応できないといってお断りになるといったことがしばしばあると思います。
また、昨今非常に重要視されていることとして、一つは医療安全の問題があります。これは産科医療補償制度という制度の発達とともに、脳性麻痺に対してどのようにこれを防ぐのか、減らしていくのかというさまざまな対応が提唱される中で、その提言に応じて人員を増員したり、あるいは医療安全のための設備投資をしたりということが産科の現場では常にありますので、そういったことに対応していくような人的あるいは設備的な投資も必要になってくるわけでございます。
もう一つは、メンタルヘルスの問題が先ほどありましたけれども、妊娠・出産を通じてメンタルヘルスのケアの重要性が強調されておりますので、それに対応するためには、育児がちょっと難しそうだと、そういった困難さを感じさせるような妊婦さんを早く見つけて、そして行政や精神科、小児科といったいろいろな部門、関係機関と連絡をとりながら医療を進めていかなければいけないというのは、そのような現状があろうかと思います。
私は、今回の妊婦加算のことで、組み立て自体は既にある6歳未満の乳幼児加算と同じ組み立てでつくられたにもかかわらず、妊婦加算という点で非常に国民目線ではいかがなものかという御批判があったということを強く、その理由をこういった場で検討していく必要があろうかと思います。
私は、やはり情報の連携といいますか、その問題が一つあるのではないかと思います。産科と他科とのさまざまな情報連携のあり方、あるいは産科の中にあっても高次施設と診療所との情報連携のあり方、あるいは産科と行政とのあり方、そして、国民の皆さんとの間の情報共有のあり方。そういった情報共有のあり方について考えていくことが大変重要かなと思っております。
以上でございます。
○五十嵐座長 ありがとうございました。
続きまして、福本構成員からお願いいたします。
○福本構成員 私は、公衆衛生医師として市の保健部の部長とあわせて保健所長を兼務しており、3年目となります。このような貴重な機会を頂戴しまして、大変ありがとうございます。
私の参りました下関市は、人口が約26.4万人、保健所を設置している中核市で、下関市の市域と2次医療圏を所管する保健所、また郡市の医師会がちょうど1対1対1になっているのが特徴でございます。
平成29年の出生数は1,641人、里帰り出産を含めた分娩数は約2,000件でございます。出産を取り扱う市内の産婦人科医療機関数は10年前には9施設あったものの、現在では7施設に減少しております。
本市における母子保健施策といたしましては、横浜市さんやさいたま市さんと同様に、妊婦及び乳幼児に対する健康診査、予防接種、乳児家庭全戸訪問等の家庭訪問、母子保健に関する教育や相談などを行っております。
1市3町が合併してできた市ですので、市内8カ所に保健センターを設置しております。これまでは市役所本庁でのみ担っていた子育て世代包括支援センターの機能の一部を昨年より保健センターでもできるようにして、より身近な場所における母子健康手帳の交付や交付時の全数面接、産後ケア事業などにより、妊娠期から子育て期までの切れ目のない支援に力を入れているところでございます。
このような保健・医療行政の実務を担っている立場から、現場で負担となっている課題について3点ほど述べさせていただきます。
まず1点目は、平川構成員からも先ほどありましたが、医療のうち精神科、産婦人科、行政の連携に関することでございます。近年、精神科疾患を抱える妊婦さんが増加し、妊娠中の管理に困難を有するケースが増加しているという実感がございます。本市での年間分娩件数は2,000件と申しましたが、その大半は良好に経過を過ごされ、通常の医療・保健サービスを利用されておりますが、約15%の方に手厚い支援が必要となっております。そのうちメンタル面で問題を抱えるケースが最も多く、うち4割を占めているという状況でございます。
精神疾患を抱える方が妊娠されますと、処方の変更や薬の自己中断などにより症状が悪化、ひどいときには入院治療等が必要になるケースもございます。産婦人科医と精神科医が連携して対応することが期待されるところであり、事務局の説明にもございました、診療報酬でも配慮はなされておりますが、なかなか算定されていない。要は、臨床現場ではなかなかうまく運用できていないように思われます。
こういったケースに行政といたしましては、産婦人科とは連携しながら個別訪問等の対応ができておりますが、精神科医療機関との連携で効果的な取り組みができていないという反省がございます。妊娠・出産期の精神ケアに積極的に取り組んでいただける精神科医療機関が乏しいという地域の医療資源の制約はございますが、精神的な側面の支援に関するより効果的な連携の仕組みが求められていると考えます。
2つ目は、医療・保健にとどまらない社会的なリスクを多重に抱えるケースへの対応のあり方でございます。先ほど困難事例のうちの4割は精神疾患関連と申し上げましたが、残り6割はさまざまな社会的リスクのため、産みづらさを感じていらっしゃる方です。望まない妊娠、若年出産、未婚、経済的困窮、ステップファミリー、DVを受けている、既に子供に虐待行為をしている世帯、子供に障害児がいる世帯などが挙げられます。多くの場合、これらの問題を複合的に抱えておられることから、支援は容易ではございません。
母子手帳の取得に来られる方の場合には、保健センターでの交付時に社会状況、生活背景をインテークできますので、その後の家庭訪問で対応することは可能です。しかしながら、妊娠届をしない、医療機関をそもそも受診しないといったケースは、医療機関や行政でも把握することはできません。最悪の場合、遺棄事件等で初めて顕在化するということになります。そこまで行かなくとも、自宅出産や赤ちゃんポストに預けるなどの事例は下関でも年数例ございます。
こういった支援が必要でありながら、みずから保健・医療サービスにつながろうとしない、そもそもつながることができない、仮につながったとしても支援をうまく受けられない、受けとめられない妊産婦をどのように把握して、支援の輪を形成していくのか。現場では常に悩みながら試行錯誤を重ねております。
妊娠・出産という人の営みにおける肉体的、精神的な部分の問題、医学的側面については、保健・医療制度はかなり充実してきていると思いますが、その一方で、健康の社会決定要因に係る支援についてはまだまだ検討の余地があるのではないでしょうか。石井構成員のような取り組みと縁がない人、中西構成員のつくられているような雑誌を手にとろうとしないような人にどのような支援ができるかということでございます。
教育の現場では、医療的ケア児という言葉がありますけれども、私どもは社会的ケア妊産婦ですね。保健・医療サービスの充実を図ることは確かに重要ではありますが、同時に社会的リスクへの対応についてもきちんと目配せをしなければ、健康格差は拡大することとなります。
最後に、起こりつつある課題として近年実感しているものとして、外国人妊婦に対する対応のあり方でございます。外国人就労や留学が近年拡大しております。要は、妊娠・出産する若い世代が地域に定住するということでございますので、今後ますます外国人妊婦が増加することが予想されます。言語コミュニケーションが十分に図れないことなどにより、医療機関の受診時や行政での窓口手続、保健師の訪問活動等の際、多量の時間と労力、技術が必要となっており、現場ではこの対応が非常にストレスになっているように見受けられます。今のうちから何らかの対策を検討しておくべきではないでしょうか。
まとめますと、妊娠・出産に係る医学的リスクだけではなく、社会的リスクにも配慮した議論が本検討会で行われていくことを期待しております。ぜひ次回以降、厚生労働省のほうから社会的なリスクのある妊産婦、社会的ケア妊産婦に対する支援の取り組みについても資料をお出しいただけないでしょうか。どうぞよろしくお願いいたします。
○五十嵐座長 ありがとうございました。
続きまして、牧野構成員、お願いいたします。
○牧野構成員 日本歯科医師会の副会長をしております牧野でございます。
妊婦加算が批判を浴びたころに、初め、コンタクトレンズの処方など妊婦でない患者と同様の診療を行うものについていかがかというものが、いつの間にか、眼科はリスクが少ないから算定は要らないのではないかという論調に変わりつつあったとき、私どもはちょっと違和感を覚えました。眼科にもそういうリスクがあるのではないかと。
といいますのは、私ども歯科の点数表には、妊婦加算というのは今回ございませんでした。しかし、決してリスクがないわけではございませんで、多くのリスクを抱えております。最近では歯周病と早産、歯周病と低体重児出産という関係などのレポートも出つつございます。先ほどから、妊娠から出産までという言葉がよくございますが、私どもは、妊娠したときがスタートではなくて、こういうことから考えますと、妊娠前というか普通の生活をしていらっしゃるころから、妊娠したときにはこういうリスクがあるからということで日々の診療に励んでいるつもりでございます。
しかし、そう申しましても、妊娠して初めて健診を受ける方もいらっしゃるわけで、そういうときに妊婦教室でありますとか産婦教室というところでリスクをお伝えするわけでありますが、昨今、市町村の予算で健診はするけれども、教室が廃止されたり、歯科に関することは医科の先生方が最後の二、三分のところで、きっちり歯を磨きましょうねぐらいしか言ってもらえない。一緒にされてしまうというような地域の温度差がございます。そのような現状とかリスクにつきまして、ここで発言をしたいと思いますし、皆様方のいろいろな御意見を聞いて、日々の今後の診療に生かしていきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○五十嵐座長 ありがとうございました。
では、最後に、松本構成員からお願いいたします。
○松本構成員 健康保険組合連合会の参与をやっております松本義幸と申します。
健康保険組合とは、皆さん方、保険証でいろいろ医療機関にかかりますけれども、大企業、あるいは同じような業種が共同して設立するもので、現在1,400ほどございます。被保険者が1700万人、その被扶養者が1300万人で、約3000万人の方を対象としております。その各健康保険組合に対する情報提供を行ったり、いろいろな意見を聞いて行政や各関係団体に伝えるというのが現在の仕事であります。
保険者は健やかな、元気な子供を産んでほしいということについて非常に関心がございますし、授かるように支援をしているところでございます。具体的には、妊娠したときに妊娠中の心得を説いた冊子を配布する、あるいは妊婦教室や産婦教室への参加費用を補助している健康保険組合もございます。
さらに、事務局の資料の紹介でございましたけれども、出産育児一時金というのは健康保険法で定められた制度でございます。平川構成員がおっしゃったように、出産に伴う脳性麻痺についていかに救うかというところで、産科医療補償制度というのができました。その掛金が必要だということで、各健康保険組合が出産育児一時金に上乗せして掛金をお支払いしているため、健康保険組合としても、出産あるいは育児等については非常に関心を持っているところでございます。
今回こういう検討会が設置されるきっかけとなりました妊婦加算でありますけれども、妊産婦の診療につきましては、通常より慎重な対応や、胎児や乳児への配慮が必要であるということは保険者として十分承知しておりますし、そのような趣旨で創設された妊婦加算の意義は十分理解するところでございます。
しかしながら、その算定要件に、患者あるいは妊婦さんの視点がちょっと足りなかったのではないかという感じがしております。マスコミで報道されましたし、この資料でも説明がございましたけれども、妊婦加算の趣旨を十分理解していない医療機関があって、今回のように凍結に至ったことは、保険者としても非常に残念に思っております。保険者、健康保険組合を代表してこの場で議論させていただいて、よりよい仕組みにするように力になれればと思っています。
また、今回のことでつくづく思いましたのは、指導するというのは目に見えないものですから、患者さんが医療現場で本当に指導を受けたかどうかよくわからないところがあります。産科の先生と他科の先生方が共同して、配慮した点・内容がわかるような、チェック欄がある説明書を作成して患者に渡すと、そういう点に注意しなければいけないのかということで指導を受ける患者も理解や納得が得られると思います。
特に最近、手術を受ける際や、あるいは検査などでも非常に難しい説明を聞いた上で、患者は同意をしてくださいと言われます。あそこまで詳しく言う必要はありませんが、ポイントをついた説明書のようなものをつくっていただく。そうしないと、実際に指導する先生方も一々指導内容を紙に書いて渡すというのも大変ですし、そういうものができればいいなという気がいたします。
また、保険者の役割として、被保険者教育あるいは被扶養者教育も大事でございます。今回のことについても、きょう説明がありましたとおり妊娠・出産にかかわるいろいろな制度、仕組みがあるのはよくわかりましたが、そういう仕組みがどうなっているかというのはまだよくわかっていない被保険者、被扶養者が多くいるので、それをわかりやすく教育するのが保険者としての役割ですが、いかんせん健保組合には医療関係の人はほとんどおりません。私は四十数年前に医学部を卒業して、衛生行政、公衆衛生に携わってきて、縁あって7年前から医療費の支払い側のところにおりますけれども、実際に1,400ある健康保険組合の中で医療関係者がいるところは数えるほどしかありません。そのような健康保険組合が被保険者教育をやる際に、行政あるいは専門家の人たちが協力してわかりやすい資料を作成していただき、各健保組合から被保険者に教育していただく必要があると思います。
私の個人的なことになりますけれども、子供を4人授かり、孫も5人授かりました。いろいろ産後の鬱の話とかがありましたが、子供は元気に育って、孫も授かりまして、今だから言えるけどといって家内に言われたのは、子供が2人目だったか3人目のときに、私も忙しくてなかなか家に帰らないときがあって、周りに助けてくれる人もいなくて、よっぽど死のうかと思ったこともあると。たまたまテレビや新聞で報道されているようなことがなかっただけで、自分は幸せだったと言いますけれども、それぐらいつらいことがあったということでありますし、実際に御近所の方からそういう相談を受けたこともあります。あるいは薬を飲んでいいものかどうかとか、サプリメントはどんなものだろうかとか。日ごろの食事のことでも相談を受けることがあります。
また、子供が孫を授かりましたけれども、例に漏れず結婚が遅くて高齢出産で、かつ低出生体重児で保育器の中に1カ月間入るとか、いろいろなことを見ております。私は幸いにして医学部を卒業したので一応知識だけはあるのですけれども、そうでない被保険者あるいは被扶養者の方は非常に不安であろうなと。そういう方について、きちんと相談できるような仕組みなり何なりは、今回、妊婦加算以外にも制度が必要だろうということを感じております。
今回、こういう検討会に加えていただきましたので、少しでも多くの国民あるいは被保険者の方々がよかったというような制度になるように尽力したいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○五十嵐座長 どうもありがとうございました。
さすが多方面からの構成員の先生方がおいでになりましたので、本当に多方面にわたる重要な御指摘をいただくことができました。ありがとうございました。
特にこの検討会では、単に妊婦加算のお話をするだけではなくて、人間はバイオ・サイコ・ソーシャルな存在なわけですけれども、そのような3つの観点からしっかり保健・医療体制について皆さんのお知恵を拝借したいと考えた次第であります。きょういただいた意見を踏まえまして、次回以降、議論を深めたいと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。
続きまして、事務局から、妊産婦の医療や健康管理等に関する調査の実施についての案、それから、検討会の進め方についての案の資料が用意されております。御説明をお願いいたします。
○吉川課長補佐 事務局の保険局医療課です。
資料3「妊産婦の医療や健康管理等に関する調査の実施について(案)」をごらんください。妊産婦さんに関しての医療・保健、健康管理等の現状やニーズについての十分なデータが不足していることから、こうした調査を実施してはどうかという形で御提案をさせていただきます。
調査の目的としましては、本調査は、妊産婦に対する保健・医療体制に係る現状とニーズを把握し、当検討会における議論に資するデータを収集・分析することを目的として実施したいと考えております。
調査の客体ですけれども、分娩取扱医療機関、全体ですと平成29年度で2,273施設あるわけですが、約500施設を今回対象として、病院・診療所の別等により層化抽出し、1週間程度の調査期間中に、マル1、妊婦健康診査(36週以降)のために受診した妊婦さん、マル2、入院中の褥婦さん、マル3、産後健診(産後2週間や1カ月等)で受診した褥婦さんを対象として、行うこととしてはどうかと考えております。
調査内容としましては、(1)妊娠・出産歴や基礎疾患の有無等の基本属性や、妊娠中の医療機関の受診状況について。(2)妊娠中・産後の診療で十分配慮されていると感じた経験、あるいは配慮が不十分と感じた経験。また、診療で特に配慮が必要と考える事項。(3)に関しては、妊娠中・産後の健康管理で留意している事項、また、健康管理に関して受けている支援等の事項等について調査を行うことを考えております。
スケジュールですけれども、かなりタイトなスケジュールを想定しておりまして、年度が変わる前までに調査を一定程度行う必要があると考えており、2月下旬から3月上旬にかけて調査票の作成、対象施設等の設定というふうに考えております。
調査票の作成に関しましては、本日この後御議論いただくものを踏まえまして、作成を行うことを考えております。
3月中旬に調査の実施、こちらはオンラインによる回答入力を想定しております。この間、本来ならば調査票を作成した時点で改めて検討会の構成員の方々に御確認いただく形がよろしいかと考えているのですけれども、スケジュールがかなりタイトなため、検討会の場で構成員の方々に御確認いただくことはスケジュール上難しいのではないかと考えております。3月下旬で調査の集計・分析を行いまして、4月以降、検討会にて結果を報告することを考えております。
引き続きまして、資料4「検討会の進め方について(案)」をごらんいただければと思います。こちらは今後の検討会の進め方についての御提案でございます。
本日、第1回の内容は、フリーディスカッションを中心に検討会の背景や検討事項、あるいは妊産婦の保健・医療に関する現状、妊産婦に対する調査、これは先ほど御説明さしあげた資料3のものでございます。また、今後の進め方について御議論をいただくこととしております。
この後、月に1回程度開催し、構成員の皆様方から妊産婦の保健・医療に関するプレゼンテーションを実施していただき、また、必要に応じて、本日さまざまな御意見もいただいておりますけれども、そうしたものに応じて検討会の構成員以外の有識者からヒアリングを実施してはどうかと考えております。
また、4月以降の予定でございますけれども、妊産婦への調査の結果を報告いたします。
こうした議論を踏まえまして、本年5月から6月に検討会の取りまとめをしてはどうかと考えております。
最後に※で書いておりますけれども、妊産婦に対する診療報酬上の評価のあり方については、検討会の取りまとめを踏まえ、中医協で必要な検討を行う。また、そのほかの事項に関して、中医協以外のところで必要な検討などを行うということも視野に入れております。
説明は以上でございます。
○五十嵐座長 どうもありがとうございました。
それでは、2つ御説明いただきましたので、まず、妊産婦に対するこれから行おうとしている調査について、まだ具体的なものがきょうは出ていないのですけれども、御質問あるいは御意見がありましたら、お願いいたします。
○中井座長代理 中井です。
ちょっと質問なのですけれども、これはこの書きぶりだと、対象は妊婦さんそのものなのですか。
○吉川課長補佐 妊婦さん、あるいは褥婦さんを対象に調査を実施し、妊産婦さんのニーズを把握することを想定しております。
○中井座長代理 そうすると、例えばウエブ上でやるとしても、ピックアップする場合は施設に対して、そこにいる妊産婦さんに声をかけてくださいというお願いをするということでしょうか。
○吉川課長補佐 具体的な方法に関しては、まだ確定しているわけではございませんけれども、今、構成員がおっしゃっていただいたようなものをイメージしております。
一つ想定しているものとしましては、医療機関に調査の御協力の紙をお送りして、その医療機関で妊産婦さんに対して紙を配布していただく。その紙には、例えばウエブの場所を書いてあって、そこにアクセスしていただいて、回答入力をしていただくということが一つの方法としてはあるかと思っておりますが、現在確定しているわけではございません。
○中井座長代理 こういうアンケートをよくやるのですけれども、どうしても妊産婦さんを対象にすると、例えば自分の分娩週数がちゃんと書けなかったり、疾病についての理解がすごく低かったりして、このニーズを把握するデータをどこに反映するかによるのでしょうけれども、何か政策上の例えばお金を計算する際のものに使うとかいう場合には、ちょっと不都合が生じる可能性があるのではないかという懸念があったので質問しました。
○吉川課長補佐 ありがとうございます。
妊産婦さん御自身に聞くことによるメリットと、デメリットのようなものが両側面あるということかと思います。そういったことも配慮しながら、調査票の案に関して検討させていただければと思います。
○五十嵐座長 ほかはいかがでしょうか。どうぞ。
○牧野構成員 牧野でございます。
今、まだ決まっていないということなのでしょうけれども、どのようなことをこのアンケートといいますか、データをとるのかというのは、先ほど聞いていると、検討会の場で議論はできないけれども、せめて構成員にどのようなものができたのかと、どのような内容のデータをとるのだということはお知らせいただいたほうが、皆さん方からの意見が出るのではないかと思うのですが。
○森光課長 おっしゃるとおり、どういう調査をするかというところ。ここでいただきました、例えばどういう質問項目をとったほうがいいのではないかとか、こういう聞き方がいいのではないかとか、御示唆いただいたものを私どもでまとめて調査をしたいと思っております。時間の都合上、最終確認というのは難しいところがありますけれども、いただいたものをできるだけ反映した形で調査をしたいと思っています。
調査をしたのと同時か、それぐらいのときに構成員の先生方には、このような形で今、調査をスタートしていますよということは御説明させていただきたいと思っております。
○五十嵐座長 少なくともできた調査票に関しては、構成員の先生方に直前に見ていただくということはするわけですね。
○森光課長 直前というか、ウエブで見ていただきたいと。
○五十嵐座長 ウエブ上で。検討会を開くことはないかもしれないけれども、各構成員の方の目を通していただくということですね。それに対しても、意見や質問等を受けるということですね。ただ、時間的に制限があるということですね。
○森光課長 はい。済みません。
○五十嵐座長 そのほかいかがでしょうか。どうぞ。
○松本構成員 妊産婦に関することで、やはり当事者の意見を聞くという点は非常に大事だと思いますので、調査を実施することは賛成です。
ただ、気になっているのは、やはり時間的なことがあって、ウエブを使っておやりになるということですが、ウエブのヘビーユーザーとそうでない方がいらっしゃって、回答した方がヘビーユーザーで、本当はそうでない方々の意見も聞きたいのだけれども、それをどう拾っていくか。あるいは拾えないかもしれない。だから、回答が上がってきたものをどう評価するかということについては、十分そこに意を用いて解析しないといけないだろうというのが1点。
もう一点は、ウエブの調査はどこかの業者に委託されると思いますけれども、誰が回答したかということがわかりますので、そのセキュリティーはきちんとやっておかないと、どこか一例でも漏れると全体の信用性にかかわりますし、特にウエブを使った調査については瞬時に広がりますので、十分意を用いていただきたいと思います。以上です。
○中井座長代理 済みません。もう一点だけ。調査になるとだんだん熱くなってくるのですけれども、対象施設の選び方で全くポピュレーションが変わりますから、周産期センターだけ選べばハイリスクの人だけが集まるわけですし、1次診療所が多くなればと。だから、日本中の分布と同じような感じで選んでいただかないといけない。
それから、回答者がその施設に本来は何人いるのかというのを施設に聞かないとだめですね。ここに書かれた1、2、3の条件を満たす人が、その1週間の間に本当は何人いたと。そのうちの何人が答えているというのが、バイアスを減らす唯一の作戦になるのですけれども、そうすると、やはり診療機関にも負担を強いる調査になるということです。
だから、2次的に患者さんに聞くというのは難しいのですよ。厚労省が直接医療機関を通さずに聞くのならいいのですけれども、そこのところをぜひ御検討いただいてから出さないと、データの正確性が失われるのではないかと思います。
○森光課長 ありがとうございました。
その点につきまして、特におっしゃられた対象施設の選定の話ですね。それはお知恵をかりながらやりたいと思っています。
○中井座長代理 対象施設ごとの回答率が必要なのですよ。
○森光課長 そこのところについても、対象施設の方にどれぐらい御協力いただけるか、ちょっと私も心配しているところですけれども、御意見を伺いながらやりたいと思っています。
○五十嵐座長 産婦人科医会や学会の協力がないとできないですね。きょうは関係されている学会・医会の代表が構成員の中にいらっしゃいますので、後でお願いすることになるのではないかと思います。
そのほかいかがでしょうか。
○鈴木構成員 調査のバイアスにつきましては、いろいろとディスカッションがあると思うのですけれども、とりあえず内容につきまして、受診状況の結果としての調査内容だと思うのですけれども、断られたときの状況とか、断られた回数とか、あとは医療施設におきましてもどのような形で断らざるを得なかったとかそういったことがわかっていかないと今後の検討にはつながらないと思いますので、そういったことも含めて調査のほうをお願いしたいと思っています。
○五十嵐座長 ほかはいかがですか。どうぞ。
○福本構成員 調査客体の社会・経済的な状況、背景については、どの程度の情報を入れていただくことを想定されていますでしょうか。
○吉川課長補佐 ありがとうございます。
過去のメンタルヘルスの調査などを見ますと、例えば家族の構成であるとか、あるいはお子さんが今まで何人生まれていらっしゃるのかとか、御年齢であるとか、そういったものを調査していましたので、そういったものも参考にしながら調査項目をつくりたいと思っております。
○五十嵐座長 今のお話は、御家族の収入などについても伺うということですか。
○福本構成員 要は、社会的リスクの程度によって、本人の受けとめ方だとか、答え方に大分バイアスもかかるだろうと想定されますので、そういったことをなるべくなくすことができるのであれば、御検討いただければなと思います。
○五十嵐座長 野口構成員、どうぞ。
○野口構成員 福本先生と全く同じことを指摘しようとしていて、教育水準であるとか家計所得、例えばそういったことをお聞きすると、どういった属性の人がインターネットで御興味を持つのか。いわゆる選択バイアスがかかるわけですね。興味のある人ほど答えますので、そういったバイアスを緩和する意味でも、最低限、家計所得と教育水準は聞くべきだと思います。
○五十嵐座長 ありがとうございます。
イメージとしては、スマホで回答できるような感じですか。
○森光課長 スマホ等で回答できるような仕組みをつくりたいと思っております。
○五十嵐座長 回答に時間がかかるようなものだとだめですね。簡潔にできるようなものでないと協力してもらえませんので、そのような配慮も必要かもしれません。
そのほかいかがでしょうか。どうぞ。
○井本構成員 意見ですけれども、調査内容の3点目に関連するかもしれませんが、保健・医療体制にかかわる現状とニーズ、体制にかかわるということなので、妊産婦が疑問や不安に対してどのような場所で情報を得ているか。相談者や内容、相談方法等も少し加味していただければと思いましたのと、36週以降の妊婦さんを対象にということになっておりますが、受診状況を見ておりますと、36週あたりからは結構妊婦さんも受診時に忙しい気持ち、あと、出産前で結構いろいろな気持ちがあるので、回収率等、これから検討されるのだとは思いますが、妊娠後期も少し幅があってもいいのかなと考えました。
あと、妊娠後期になりますと、妊娠初期の非常に不安が強い時期のことは、かなり意図的に聞かないと、妊娠後期のことに回答結果が比較的偏ると思いますので、ニーズということでしたら、その点も加味していただくといいのかなと思っております。
以上でございます。
○五十嵐座長 ありがとうございます。
どうぞ。
○中島構成員 中島です。1点確認と1点質問です。
今回、分娩施設経由ということなので、産後健診、産後1カ月、それ以降の産婦さんの調査は難しいということでしょうか。
○吉川課長補佐 今回、限られた時間の中で行うことを考えますと、医療機関での産後健診を対象に考えております。ですので、1カ月を超えた産婦さんですと、今回の調査設計でご意見を伺うことは難しいのではないかと思っています。
その一方で、今回、さまざまな構成員の方々にもご参画いただいておりますので、そうした構成員の方々からの御意見、プレゼンテーションも伺いながら、この調査の内容も補足的に御議論に使っていただきながら、議論を深めていただくのがよろしいのではないかと考えております。
○中島構成員 では、産後1カ月以降というのは、この調査では難しいということですね。
もう一点、細かなことは申し上げないのですが、妊婦さん御本人に伺うということなので、ぜひ妊娠中の、また産後の医療機関の受診状況の中で、今お通いの、健診と分娩施設は別かもしれませんけれども、御自宅からそこまでの距離。別に何キロとかではなくて、手段は何でもいいのですが、何分ぐらいかかるかということと、ほかの診療科等を受診なさったことをもし記入されるのであれば、そこは恐らくもうちょっと近かったりということもあると思いますので、それぞれ、煩雑になると答えにくいというところもあるかもしれませんけれども、何科を受診したか、そこは御自宅からざっくりでもいいので何分ぐらいの場所かというのは、ぜひ聞いてみるといいかなと思っております。
○五十嵐座長 そのほかいかがですか。どうぞ。
○青木構成員 中身ではないのですけれども、実際にこれを調べるときのタイミングとして、妊婦健康診査でありますとか産後健診といったような行政上の施策のタイミングを利用してということになろうと思いますので、恐らく、実際にやったときに自治体や保健所等に問い合わせ等がもしかするとあるかもしれないので、あらかじめ都道府県だとか市町村等については、どういう経路をとったほうがいいのかわからないですけれども、こういうものをやるよというのはお伝えいただいたほうが混乱がないのではないかと考えます。
また、時間がないということですけれども、3番目の特に制度的なことなども入っている可能性もありますので、自治体のほうに意見を聞くようなこともしていただくと、時間が非常に限られているということなので、なかなか収拾がつかなくなるという面もあるのかもしれませんが、その結果について非常に役立つものになるのではないかと思います。
○五十嵐座長 まだまだあるかもしれませんけれども、そろそろ時間も押しておりますので、きょう御出席いただいている構成員の先生方は、来週中ぐらいに事務局のほうに、こういうことを聞いていただきたいとか具体的な内容を提示していただきたいと思いますので、この土日をかけてちょっと頭を使っていただいて、申しわけないですけれども、ぜひ御協力をいただきたいと思います。よろしいでしょうか。ぜひ御協力をお願いしたいと思います。
もう一つ、これからの検討会の進め方ですけれども、何か御質問、御意見等はございますか。きょうは簡単なドラフトしか出ていないのですけれども、月1回ぐらいはこの検討会を開くという方針ですね。何かございますか。よろしいですか。それで本当に5月、6月に取りまとめができるといいのですけれども、場合によっては月2回ぐらいやらなければいけないということになるかもしれません。御協力いただきたいと思います。
それでは、きょういただきました御意見を踏まえまして、調査票の案をつくっていただきたいと思います。
まだわからないですけれども、二、三週間ぐらいの間にはできるのですね。そして、構成員の先生方に一度は見ていただくということですね。ということで、それもできたらすぐに返事をいただかないと時間的制限がありますので、メールで御依頼が行きましたら、すぐに返答していただきたいと思います。
スケジュールの関係もありますので、最終的な調査票については、事務局と私のほうで取りまとめをさせていただきまして、皆さんに御提示をするということにしたいと思いますけれども、それでよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○五十嵐座長 ありがとうございます。
それから、事務局から提案された進め方につきまして、次回以降、検討会を開催いたしますけれども、何か御要望等がありましたら、これも事務局のほうに御連絡いただきたいと思います。
それでは、きょうはここまでにしたいと思いますので、次回の開催について、事務局から説明をお願いいたします。
○宮崎課長 ありがとうございます。
また、調査票に関しての御協力もお願いすることになります。御負担をおかけいたしますけれども、どうぞよろしくお願いいたします。
次回の開催につきましては、また改めまして、先生方の御予定などを伺った上で、事務局から皆様のほうに御連絡をさせていただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○五十嵐座長 それでは、以上をもちまして、第1回の検討会を終了したいと思います。御協力ありがとうございました。