技能実習評価試験の整備に関する専門家会議(第26回) 議事要旨

                               人材開発統括官海外人材育成担当参事官室
 
○日時 平成30年11月12日(月)10:00~11:15

○場所 厚生労働省 専用第12会議室

○出席者
  大迫委員、岡本委員、岡野委員、椎根委員、高野委員、冨高委員
  厚生労働省人材開発統括官海外人材育成担当参事官室、外務省領事局外国人課
  外国人技能実習機構、公益財団法人国際研修協力機構
  (そう菜製造業関係)一般社団法人日本惣菜協会、農林水産省
 
○議題
  1 そう菜製造業職種の3号整備について
 
○議事
  1 そう菜製造業職種の3号整備について
  ○ 第24回専門家会議における指摘事項への対応について、日本惣菜協会より概ね以下のとおり説明が
   あった。
  ・ 審査基準の必須業務において、1号実習、2号実習の調理作業で、「蒸す等」の「等」を使用するのは
   適切でないとの指摘を踏まえ、「等」を外し「複数の調理を組み合わせて行うことも可能とする」とした。
  ・ 審査基準の必須業務において、3号実習生には、衛生管理作業における指導が含まれているが、
   調理作業の指導も含めることとしてはどうかとの指摘を踏まえ、3号技能実習の必須業務欄の調理作業に
   おいて、加熱調理・非加熱調理それぞれに調理指導を追記した。
  ・ 試験基準の上級の学科試験に関する記載内容に、3号実習で行うHACCPシステムに基づく基準逸脱是正
   措置作業に関する知識の習得を明示すべきであるとの指摘を踏まえ、試験基準の上級学科試験「2.そう菜
   加工作業の工程」にHACCPに基づく是正措置についての記載を追記した。
  ・ 初級、専門級の加熱調理の実技試験の作業内容(調理方法)について受検を申し込んだ受検生に個別に
   知らせるという現行の取扱いでは、受検の申込み時期に応じて有利・不利が生じるのではないかとの指摘
   を踏まえ、初級、専門級の実技試験の調理方法については、試験実施の2~3週間前に受験者に対して
   試験問題を一斉に伝えることとする。
  ・ 3号の実習内容は、1号、2号に追加するだけの高度な技術といえるのか、特に、基準逸脱是正措置作業
   について、どこが専門的なのか説明が必要との指摘を踏まえ、配布資料のとおり整理を行った。惣菜の原材料
   は、生鮮品を多く扱うため工業製品のような斉一性が無く、原料規格基準の範囲であっても、形や厚み等に
   バラツキがあるため、標準作業書通りに作業を行っても、品質管理基準を逸脱する場合があり、是正マニュ
   アルに示された措置の範囲の中から、品質管理基準を満たし、かつ、生産性等も考慮した是正方法を選択する
   高度な技能が必要となる。
  ・ 上級の実技試験について、是正マニュアルが提示されているのであれば、そのマニュアルに示された範囲で
   作業をすればよいことになってしまうため、問題の難易度が低いのではないかとの指摘や、上級の加熱調理の
   実技試験について、是正措置が出来るかを問われることになるが、同措置の実施には経験等が必要となるの
   で、実習生が受入企業で実習した調理方法で受検できるように、調理作業を選択制にすべきではないか、
   仮に、選択制の試験とした場合には、難易度が低くなることが懸念されるが、専門性を試験でどうやって担保
   するのかとの指摘を踏まえ、配布資料のとおり整理を行った。実習生は、標準作業書に基づき調理作業を
   行い、是正措置を行う必要があるかを判断し、是正措置については、生産性を考慮して選択できたか、試験
   時間内に温度・濃度、色・食味等の品質管理基準を満たす調整ができたかを問われることになるため、問題の
   難易度は高いと考えている。また、是正措置作業を行うには実習で身につけた経験等が必要となることから、
   加熱調理作業の実技試験は実習した調理方法を選択できるようにする。なお、選択制にしても、上記のような
   難易度の高い是正措置を行うことが求められるため、専門性を試験で担保することは可能である。
  ・ 上級の実技試験について、大量製造用調理機械・器具等を使用するのではなく、一般の調理機械・器具等
   を用いて作業を行うことになるが、実習生の技能を確認することが出来るのかとの指摘を踏まえ、大量製造用
   調理機械・器具等を使用して製品を安定的に製造するには、条件(加熱する温度、時間等)を機械に設定した
   場合、途中で変更することが不可能となっているため、一般の調理機械・器具等を用いて試験を行う場合も、
   途中で条件変更することを認めないこととする。これにより、大量製造用調理機械・器具等を使用する場合と
   同様の状況下で、温度・濃度や色・食味等の品質管理基準を満たす調整ができたかを問うことが可能となり、
   実習生の技能を確認することが可能となる。
  ・ 上級の実技試験の採点基準について、是正措置が出来るか否かで実技試験の合否が決まってしまう配点
   ではなく、材料の前処理における問題点、油の温度と品質の関係、調理時間と品質の関係などを理解した上
   で操作しているかどうかについて、細かく配点するようにしてはどうかとの指摘を踏まえ、どのような方法で
   是正措置を実施したのかというプロセスごとに試験監督者が加点方式で評価するように、配点を見直す。
  ・ 3号実習では、安全衛生について「指導ができること」まで求められるが、試験においてはどのように対応
   するのかとの指摘を踏まえ、実技試験の判断等試験において、正しく指導できるかを判断することとする。
 
  〇 同団体からの説明に対し、概ね以下のような質疑があった。
  委員)試験監督者の評価に個人差が出てしまわないように、実技試験の作業のプロセスごとに具体的な評価基準
    を示すべきではないか。基準の作成に当たっては、最初に試験監督者が集まって評価をしてみて、評価に
    バラツキが無いか確認を行うこととしてはどうか。また、試験監督者として任命する前に、適正に評価が
    行える力量について確認する手続きを整えるべき。
  説明者)試験監督者によって差が出ないよう、試験監督者用の採点マニュアルを作成しており、同マニュアルを
    もとに力量評価の判定を行うとともに、年に複数回の合同研修を実施している。上級についても、検討
    したい。
  委員)実技試験の採点について是正措置の評価の中に色・食味とあるが、特に食味に関しては、試験監督者の
    個人的評価となりがちで、評価にばらつきが出るのではないか。
  説明者)是正措置の評価の色・食味の評価については、特に道具や機械を使わずに、見た目や食感・味を評価
    する官能評価とする。試験監督者用のマニュアルについて、検討したい。
  委員)実技試験の採点基準について、加点方式で各項目が複数選択されるものとランク方式でいずれかの項目
    が選択されるものが同じABC表記となっており、試験監督者が採点時に誤解を生じやすい。表記方法を
    見直すべきではないか。
  説明者)御指摘について対応したい。
  委員)HACCPシステムに基づく基準逸脱是正措置は、プロセスが重視されるべきである。しかし、現在の
    採点基準ではプロセスを正しく理解して作業できたかどうかについて採点に反映されないことから、プロ
    セスが評価できるように更に細分化した方がよいのではないか。また、現在の採点基準では、是正措置の
    設定が偶然うまくいった受検者も採点が高くなり不適切ではないか。さらに、試験監督者の感覚でバラツキ
    がでないようマニュアルを作成すべき。
  説明者)御指摘について対応したい。
  委員)実技試験について、同一の調理作業においても、実技試験のパターンは複数用意し、ランダムに出題す
    べきではないか。
  説明者)御指摘について検討したい。
  委員)試験基準(実技試験)の「2.調理作業」の「(2)非加熱調理」において、「2)調理に応じて大量製造用
    調理機械・器具等の取り扱いができること。」とあるが、実際の試験では大型の調理機器を取り扱わない
    ので、「~の取り扱いに対応できること」のように文言訂正が必要ではないか。
  説明者)御指摘について対応したい。
  委員)大型の調理機器であれば当然知っておくべき技術的な知識で実技試験では評価できない部分
    (例えば、是正措置を行なっても、機械・機器の故障による改善がされない場合の判断対応)を学科試験等
    の問題に入れるべきではないか。
  説明者)御指摘について検討したい。
  委員)試験基準(学科試験)の「4.そう菜加工作業による製造製品」の「(1)加熱調理による製造」の揚げ物の
    例として記載されている「(かき揚げ、天ぷら・・)」については、どちらも天ぷらなので、
    「(から揚げ、天ぷら・・)」と記載する方が良いのではないか。
  説明者)御指摘について対応したい。
 
 〇 検討の結果、そう菜製造業職種(そう菜加工作業)については、次回以降、引き続き議論が行われることと
  なった。
 
(以上)