第12回労働政策審議会人材開発分科会 議事録

人材開発総務担当参事官室

日時

平成31年1月24日(木)10:00~12:00

場所

厚生労働省専用第15会議室(12階)

議題

1 職業能力開発促進法施行規則の一部を改正する省令案要綱について(諮問)
2 雇用保険法第六十条の二第一項に規定する厚生労働大臣が指定する教育訓練の指定基準等の一部を改正する告示案要綱について(諮問)
3 平成31年度予算案概要について
4 その他

議事

 
○小杉分科会長 皆様、おはようございます。定刻少し前でございますが、出席委員の方がおそろいですので、始めさせていただきます。
定足数に達しております。ただいまから、第12回「労働政策審議会人材開発分科会」を開催いたします。
本日は、お忙しい中、お集まりいただきまして、ありがとうございます。
本日も引き続きですけれども、ペーパーレスの会議となりますので、よろしくお願いします。何か不具合が生じましたら、手を挙げてお知らせください。
まず、当分科会に所属されます委員の交代がございましたので報告いたします。
労働者側委員、高田委員にかわりまして、全国自動車産業労働組合総連合会の脇坂委員です。
最新の委員名簿につきましては、参考資料1としてタブレットの中にございます。
本日の出欠状況でございますけれども、労働者側、小倉委員、使用者側、美野川委員が御欠席となっております。
まず、議事に入ります前に事務局から発言がございます。
 
○吉本人材開発統括官 人材開発統括官の吉本でございます。御審議に入る前でございますが、一言、私から申し上げたいと思います。
毎月勤労統計調査のことでございます。この統計につきましては、常に正確性が求められる政府統計におきまして、全数調査すべきところを抽出調査し、しかも、抽出調査したものを復元しないといった取り扱いが平成16年から行われていたということで、まことに遺憾だと考えておりますし、関係の皆様方に御迷惑をおかけしたことを深くお詫び申し上げたいと思います。
厚生労働省では、本事案によって雇用保険の給付額などが本来より少なくなってしまっていた方に追加給付を行うために、平成31年度予算案を去る18日に変更したところでございます。この後の私どもの議題になっております人材開発統括官部門の所管の予算については、変更はございませんけれども、厚生労働省全体といたしまして、国民の皆様はもとより、労働者の方、事業主の方、皆様に御迷惑をおかけしていることについて改めてお詫び申し上げます。また、こうした事態を二度と起こさないように省を挙げて取り組んでまいりたいと考えておりますので、そのことについて一言申し上げさせていただきました。引き続き、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 
○小杉分科会長 では、議事に移ります。
まず、職業能力開発促進法施行規則の一部を改正する省令案要綱についてです。内容について、事務局から説明をお願いいたします。
 
○相本人材開発政策担当参事官 人材開発政策担当参事官の相本でございます。
まず、職業能力開発促進法施行規則の一部を改正する省令案に関しまして、資料1に基づいて御説明を申し上げます。
まず、資料1-1につきましては、今回の改正に係る諮問文及び省令案の要綱となってございます。説明につきましては、資料1-2に基づきまして御説明をさせていただきます。
今回の改正の背景ですけれども、全国のポリテクセンターなどの公共職業能力開発施設が行う職業訓練に関しては、雇用保険の被保険者、それから被保険者であった者などを対象とする能力開発事業として位置づけられているものでございます。
一方で、職業能力開発促進法には、公共職業能力開発施設などにおきまして、業務の遂行に支障のない範囲であれば、個人事業主、家内労働者、外国人留学生等であっても職業訓練に準ずる訓練を実施してもよい旨を定めており、具体的な法律の第92条にこういう規定が設けられているところです。
一方で、職業訓練に準ずる訓練の実施のための手続に関しては、この下位規則である職業能力開発促進法施行規則、省令には具体的に何らかの規定が設けられていないという状況です。
このことに関連して、今般、神奈川県より外国人の留学生を県立の職業能力開発短期大学校に受け入れて訓練を行う場合に幾つかの問題があるのではないかという提起がなされたところです。具体的には、専門課程の高度職業訓練の職業資格が得られないこと。修了時の技能照査の受験資格がなく、技能士補になれないこと。技能検定の受検資格である経験年数が緩和されないこと。このような疑義があるのではないかという提起が国家戦略特区制度の枠組みのもとでなされたところです。
このような提案をいただいたことを踏まえ、私ども厚生労働省として、この運用について検討を行い、昨年11月16日に開催された国家戦略特区ワーキンググループにおいて、資料1-3につけております「神奈川県の提案への考え方」に記載してありますとおり、疑義を解消するための関係規則の改正を検討する旨を表明したところです。
この省令改正案については、このような経緯を踏まえ、公共職業能力開発施設の長などが職業訓練に準ずる訓練を行う際の手続を明確にするべく、所要の改正を行うものです。
具体的な改正内容について、資料の下のほうに記載しております。これに基づいて御説明申し上げます。
まず、改正内容としては、外国人留学生等を対象とする技能照査に関して、公共職業能力開発施設の長等は、職業訓練に準ずる訓練を受ける者に対して技能照査を行うことができること。また、この技能照査に合格した者は技能士補と称することができることを明確にする内容でございます。
続きまして、修了証書の交付に関し、外国人留学生等が、職業訓練又は指導員訓練に係る訓練期間及び訓練時間に従い職業訓練等の内容を習得し、修了の要件を満たしていると認められる場合には、公共職業能力開発施設の長等は、当該外国人留学生等に対して修了証書を交付することができることを明確にする点です。
また、修了証書を交付された者が技能検定を受ける場合に、当該者が修了した職業訓練等の訓練課程に応じて、それぞれの訓練課程を修了した者に適用される規則上の技能検定の受検資格及び技能検定試験の免除に係る規定が適用されることを明確にしております。
スケジュールですけれども、この省令改正案については、本分科会で御承認いただければ、本年3月中に公布し、本年4月1日に施行していくことを予定したいと考えております。
私からの説明については以上になります。よろしく御審議のほどお願いいたします。
 
○小杉分科会長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明につきまして、皆様から御質問、御意見を伺いたいと思います。いかがでございましょうか。荘司委員、どうぞ。
 
○荘司委員 質問を幾つかと、それを受けて意見も述べたいと思います。まず、今回の省令の改正によって影響が及ぶ範囲なのですが、外国人留学生に訓練を行う場合について疑義が示されたということが改正の経緯としてありますけれども、資料1-2に準ずる訓練の対象として記載があります、個人事業主や家内労働者なども対象者に含まれるかどうかということが一つ。
もう一つ、公共職業能力開発施設として職業能力開発短期大学校が明記されているのですけれども、それ以外の施設も含まれるのかどうかということをお尋ねしたいと思います。
 
○小杉分科会長 事務局、どうぞ。
 
○相本人材開発政策担当参事官 1点目の御質問でございます。今回の省令改正の適用範囲ですけれども、これにつきましては、職業能力開発促進法第92条に規定する範囲ということで、御質問にありましたとおり、外国人留学生のほか、個人事業主、家内労働者も含めた範囲が対象になるということです。
2点目の公共職業能力開発施設に関しましては、国のポリテクカレッジ、ポリテクセンター等に加え、都道府県が設置する公共職業能力開発施設も対象になるということです。
 
○小杉分科会長 荘司委員、どうぞ。
 
○荘司委員 今のお答えを受けてなのですけれども、準ずる訓練を受けたということで、そういった方々に通常の訓練を受講された場合と同等のいろいろな資格などを与えるということ自体に特段の異論はないのですが、その一方で、外国人の方々の受け入れということに関しましては、受講者本人がどこまで日本語を理解しているのかという点は重要です。せっかく来て訓練を受けるにしても、どうしても日本語能力の問題が壁となって、せっかく教えても十分な訓練習得ができないということが非常に懸念されるという声が現場の方からも上がっているというところは一つ述べておきたいと思います。
もう一つ、留学生の中で起こっている問題として、留学生として入国をしていながら、実態としては就労が目的という方も中にはいるということが指摘されております。今回の公共職業能力開発施設の受け入れに関する改正ということで、外国人の方々の受け入れが広がることが見込まれますけれども、そういった不適切な事例が拡大しないように御留意をいただければと思います。以上です。
 
○小杉分科会長 ありがとうございます。ほかに御意見、御質問はございますでしょうか。早川委員、どうぞ。
 
○早川委員 発言させていただきます。
今回、外国人留学生等について、既に規定があるところを整備するという趣旨と理解させていただくのですけれども、2つ質問があります。
現在、「留学」の在留資格で日本に在留している人を想定しているとすれば、どのようなイメージなのかということです。例えば、日本語学校に行きつつ、ポリテクカレッジの短期大学校などで同時に受講するということを想定しておられるのかという点が1つ。
2つ目は、資料で挙げられている平成30年の厚生労働省参事官の事務連絡の通達を見ますと、修了後に「技術・人文知識・国際業務」という在留資格での在留を認めていく方向が書かれています。これと今年4月に始まる「特定技能」との技能レベルのバランスという点において、これはこの分科会の問題ではなく、入管行政の話なのですが、厚生労働省としては、こういった育成される人材をどういうところに位置づけて訓練されていくのか、もし見解がおありでしたら、教えていただきたいと思います。
 
○小杉分科会長 事務局、どうぞ。
 
○相本人材開発政策担当参事官 まず、1番目の御質問ですけれども、今回、既に外国人留学生であっても公共職業能力開発施設に関しては受け入れが可能であり、その手続に関する部分を整備するということですけれども、いずれにいたしましても、公共職業能力開発施設においては、従来から、これは外国人だけということではなくて日本人も含めてですけれども、訓練の受講希望者を対象に試験等を行い、その語学能力も含めて、訓練を受けることができると認められる方を対象に訓練を行うこととしているところです。
したがいまして、留学生の方が公共職業能力開発施設で訓練を希望される場合には、日本語能力におきましても、訓練を受けることが十分可能だと認められることを前提に、公共職業能力開発施設の長がその受け入れを判断するということになるかと考えておりますので、例えば施設で訓練を受けながら同時に日本語を勉強されるというケースもあり得るのかもしれませんけれども、いずれにしても訓練を受ける段階において、最低限の語学能力はあるということを前提として受け入れられることになると考えております。
2点目の在留資格に関しての通知の件ですが、これは、大学あるいは短期大学に該当するような学位を取得した場合には、技術・人文知識・国際業務に関する在留資格が得られることになっておりますけれども、公共職業能力開発施設等において留学生が訓練を受けた場合にこれと同等の扱いになるのかどうかが不明確であったということでありまして、法務省と協議の上、このような留学生であっても、技術・人文知識・国際業務の在留資格の対象になることを通知上明確にしたものでございます。
 
○小杉分科会長 よろしいですか。
 
○早川委員 御説明ありがとうございます。
その30年の通知の当時は、今年から受け入れが始まるとされる「特定技能」の在留資格はまだなかったわけですから、ポリテクカレッジの短期大学校ですと2年という職業訓練のレベル、すなわち技能士補を取得できるレベルというものと、在留資格「技術・人文知識・国際業務」で求められる専門性のレベルとの関係でいささか懸念があります。特に短期大学校ですと製造業に関係する訓練科が非常に多いので、製造業において投入されていく人材になるという点において、本日この分科会で議論すべき問題ではないのですけれども、厚生労働省が所轄する労働市場における外国人人材のマッピングといいますか、その中でどのように位置づけていかれるのかについては、本日ではなくて、将来的に位置づけが必要なのではないかと思われます。
そこで、今回の整備に当たって業務の遂行に支障のない範囲という限定が入っているのですけれども、ここを一体どうするか。現在、かなり幅広い訓練科がありますので、いずれそこは外国人の受入れが進む中で、どこに位置づけていくのかという考え方が施策としては必要ではないかと思われます。
 
○小杉分科会長 事務局、どうぞ。
 
○山田審議官 今、特定技能はまさに4月の施行に向けていろいろなものを整備して、まだ試験の内容も、技能実習から移行する分についてはともかく、新しい試験制度も模索中のところでありますが、今、お話のありました件に関して言えば、先ほど参事官から説明があったとおり、日本人と全く同じ条件で試験を受けるので、日本語能力が相当ない人は事実上、入校すること自体かなり困難ではあります。
ただ、特定技能だとか、10年前と比べたら日本で働いている外国人が2倍になる中で、今、言われたような、その一端を担う人材開発行政としてどう位置づけていくかということは、我々としても非常に意識しなければいけないところだと思いますので、そこは心してこれからの対応を考えていきたいと思います。
 
○小杉分科会長 ほかにございますでしょうか。大久保委員。
 
○大久保委員 今の御質問とも若干つながるところがあるのですけれども、この準ずる訓練を外国人留学生に提供するということに関してなのですが、これは国家戦略特区で特例的に起こったことなのでしょうか。それとも、そのほかの地域においても外国人留学生に準ずる訓練を提供しているケースがあるということでしょうか。
外国人留学生に関しては、卒業後に日本での就職を希望する人たちが多いにもかかわらず、実際には希望者の半分程度しか就職が実現していないという実態があり、卒業後の就業やビザの問題に関して検討が別途進んでいるところだと思うのですが、人材開発の視点で、外国人留学生がこういう訓練を受けることによって、日本での就業可能性を高めるというような施策上の意図も含んだ話なのかということをお聞きします。
 
○山田審議官 最初の質問については、きっかけは特区からスタートしていますけれども、一般的な政策として展開するということで話をしていますので、提起された神奈川に限定した話にはなりません。全体としての話ということになります。
あと、留学生がそのまま就職するに当たっての在留資格の問題について、これは事前に御関心事項としてお伺いしたのですが、まだ法務省から正式に回答いただいていないので、またそこはそこでお知らせしますけれども、その問題とこの問題は全く無関係の問題ではないので、そこは我々としてもある意味、広い意味での留学生としての枠組みの一端として、卒業後の問題をどう考えていくかということについては、法務省ともよく話をして、検討していかなければいけないと思っています。
 
○大久保委員 ということは、今回の省令改正だけではなくて、もう少し外国人留学生の訓練の問題については検討する、進めていく可能性があるという理解でよろしいでしょうか。
 
○山田審議官 そうですね。留学生全体の問題としてどういう形になるのかというのは、よくよく法務省とも調整しつつ、それとある意味、共通の課題を抱えているという認識を持っております。
 
○大久保委員 よろしくお願いします。
 
○小杉分科会長 ほかにございますか。よろしいでしょうか。幾つか疑義も出ましたので。
それでは、当分科会といたしましては、諮問されました職業能力開発促進法施行規則の一部を改正する省令案要綱につきましては、おおむね妥当と認める旨、私から労働政策審議会会長宛てに御報告申し上げたいと思いますが、よろしゅうございますか。
 
(「はい」と声あり)
 
○小杉分科会長 ありがとうございます。
それでは、事務局から報告文案の配付をお願いします。
 
(報告文案配付)
 
○小杉分科会長 それでは、お手元に配付されました報告文案により、労働政策審議会会長宛て報告することとしてよろしいでしょうか。
 
(「はい」と声あり)
 
○小杉分科会長 ありがとうございます。それでは、そのように報告させていただきます。ほかにないようでしたら、この審議はここまでといたします。
続きまして、議題2、雇用保険法第六十条の二第一項に規定する厚生労働大臣が指定する教育訓練の指定基準等の一部を改正する告示案要綱についてです。
内容について、事務局から説明をお願いいたします。
 
○伊藤若年者・キャリア形成支援担当参事官 若年者・キャリア形成支援担当参事官でございます。
議題2に関しまして、資料2-1から2-3、また、適宜参考資料3を御参照いただいて、御説明申し上げたいと思います。
資料2-1でございます。雇用保険法第六十条の二第一項に規定する厚労大臣が指定する教育訓練、いわゆる教育訓練給付対象講座でございます。その指定基準の一部を改正する告示案、諮問文及び別添の告示案要綱でございます。これを説明いたしました資料2-2に基づいて、主に御説明を申し上げたいと思います。お開きいただけますでしょうか。
1ページお進みいただきまして、特定一般教育訓練給付の対象となる講座の考え方。まず初めに、上の囲みの部分で、雇用保険部会も含めましてのこの間の審議の経過について、改めて御報告を申し上げたいと思います。
この間、第9回から第11回、3回にわたる本分科会におきまして、人づくり革命基本構想に基づく一般教育訓練給付の対象講座のコンセプト、また、これを反映した指定基準の考え方等について精力的に御審議をいただき、前回までにおおむねの取りまとめ、確認に至ったところです。これを前提といたしまして、昨年11月から12月にかけて労政審職業安定分科会雇用保険部会におきまして、2回にわたり、同給付金制度側の設計について御審議をいただき、雇用保険法施行規則、省令案についての諮問答申に至ったという経過でございます。
本日はこれを受け、一般教育訓練給付の拡充、後ほど御説明いたしますように、今回、特定一般教育訓練ということで改めて御説明申し上げるものでございますけれども、その指定基準を定める告示改正案をお諮りするということでございます。基本的には、前回お示しいたしました指定基準、また、対象講座の考え方を雇用保険部会で審議がなされた給付制度を前提に告示の形式に落とし込んだものということで御理解いただければと思います。
それでは、囲みの下の部分で、雇用保険部会によりまして整理をされました給付制度の設計も含めて御説明を申し上げたいと思います。
まず1点目は名称でございます。これまでは一般教育訓練給付の拡充という一般的な御説明を申し上げてきたところでございますけれども、雇用保険法施行規則によりまして、教育訓練としてはここにございます特定一般教育訓練、給付としては特定一般教育訓練給付ということで、まず名称が確定をしたものでございます。
次に、その基本コンセプトでございます。その下の囲み、人づくり革命基本構想ではITスキルなどキャリアアップ効果の高い講座というふうに示され、この間の本分科会における審議を通じまして、括弧書きの部分でございます。即効性あるキャリア形成、社会的ニーズが高く、特に就職実現・キャリアアップとの結びつきの強さを客観的に評価できる教育訓練ということで御整理をいただいたところでございます。
この考え方を雇用保険部会でも確認いただいた上で、省令上は簡明な規定が必要であるということで、今、申し上げました考え方を、その上のゴチックでございますけれども、速やかな再就職及び早期のキャリア形成に資する教育訓練ということで、雇用保険法施行規則上規定をすることになったということでございます。
3点目、給付率等に関しまして、もともと基本構想におきましてキャリアアップ効果の高い講座を対象に給付率、現行2割から4割に倍増というところまでは示されていたところでございます。雇用保険部会の審議を通じ、給付率について4割ということを確認いただくとともに、上限額について、現行の一般教育訓練は左にございますように2割、上限年間10万でございますけれども、上限額についてもその2倍ということで、本給付について上限年間20万円ということでの給付制度設計が確定をされているということでございます。
今、申し上げましたコンセプト、給付率等に対応する特定一般教育訓練の具体的な対象課程類型でございます。本分科会におけるこの間の審議を通じまして、先ほど来申し上げておりますコンセプトにふさわしいということを客観的に評価し得る教育訓練の固まりということで、ここにございますA、業務独占・名称独占・必置資格の養成課程等、また、これ以外の養成課程が存在をしない公的職業訓練の試験合格目標講座。Bとして、IT資格取得目標講座、ITSSレベル2以上でございます。Cといたしまして、ITLSに基づくいわゆる新iパス試験合格目標講座。さらに、Dといたしまして、文科省が新たに創設をいたします文科大臣が認定をする大学・専修学校の60時間以上の短時間のプログラム、この4つの課程類型について、本制度の趣旨を踏まえ、想定していないものがここに入ってこないようにという観点も含め、現行の専門実践と同様にいわゆるポジティブリスト方式によって規定をさせていただきたい。これは前回まで申し上げてきたことと全く同様の内容でございます。
また、こうした課程類型に属する講座のうち、個々の適格性に関しましては、これも専門実践と同様に試験受験率・合格率、また、就職・在職率に関しまして、厳格な実績、パフォーマンス基準によってその質を確認する必要があるということで、この間、御審議をいただいたとおり、専門、特定一般、横串の形になっておりますけれども、受験率80%以上、合格率、当該資格全国平均以上、就職・在職率80%以上というパフォーマンス基準を共通的に設定させていただきたいということでございます。
また、この間の本分科会における審議を通じ、こうした講座受講が確実に受講受給者のキャリアアップにつながるという観点から、現在、専門実践において要件化しておりますいわゆる訓練前キャリコンによる受講の意思、就職実現・キャリアアップ可能性の確認ということを、本分科会で要件化すべきではないかということで方向性をおまとめいただいたことでございます。この点については、給付の要件にかかわる事項でございますので、雇用保険部会におきましても、この点について改めて御審議をいただき、訓練前キャリコンを要件化することがふさわしいということで確認をされたということで、本資料上、要件化ということで改めて書かせていただいているということでございます。
ただいま申し上げました特定一般教育訓練給付、給付制度側の制度設計を踏まえての特定一般教育訓練に係る課程類型、また、講座レベルの基準の考え方を具体的な告示、指定基準に落とし込んだもの、これが次のページでございます。こちらのほうをお開きいただけますでしょうか。現状でも専門、一般については、一つの大臣告示の中で指定基準を定めているという構造でございます。したがいまして、今回の告示改正に関しましても、この教育訓練給付対象講座指定基準の中に、今ほど申し上げたような観点での特定一般教育訓練の指定基準の固まりを追加するという告示の改正形式でございます。
内容的には、前のページの資料で申し上げたこととのほぼ繰り返しでございますが、改めて、まず、課程類型ごとの指定基準、実績ということで、公的職業資格等の短期の養成課程及びそれ以外の公的職業資格の取得目標講座で、先ほど申し上げました一定の講座レベル基準を満たすもの。Bといたしまして、IT資格取得目標講座、レベルとしてはITSSレベル2以上でございます。このうち一定の講座レベル基準を満たすもの。Cといたしまして、ITLSに基づく新iパス試験合格目標講座のうち一定の基準を満たすもの。さらに、Dといたしまして、文科大臣が認定をする大学・専修学校の短時間のプログラムのうち一定の基準を満たすもの。
今、申し上げた内容について一部補足をする資料がございますが、資料を行ったり来たりすると、皆様方、資料を確認しにくいかと思いますので、補足事項については後ほど参考資料のほうでまとめて報告させていただきます。
さらに、今、申し上げました課程類型ごとの訓練の期間、時間の下限についての考え方でございます。これも前回までの本分科会の審議によりまして、この特定一般教育訓練の趣旨を生かし、対象講座のバラエティーを確保するという観点、また、在職中の方々の物理的・時間的制約のもとで現実的に受講機会が確保しやすいような環境整備が必要等々の考え方から、この特定一般教育訓練について、時間数の下限等の要件については、現行の一般教育訓練と同等の考え方の設定がふさわしいのではないかということで御確認をいただいたところでございます。
それを踏まえまして、2の通学制の部分にございますように、訓練期間1カ月以上1年以内、かつ、訓練時間50時間以上。これは今の一般教育訓練の指定基準と同等の考え方でございます。これを今回の特定一般についてもゼネラルルールとして当てはめつつ、2つの例外、これも考え方としては今の一般の考え方と同等と考えておりますけれども、設定をしたい。1つには、今、申し上げましたAの一部でございます。養成課程に関しましては、それぞれの資格制度の中で養成課程の時間数その他の要件が定められているということで、これに関しましては、一律の時間の下限を適用しないという考え方でございます。
また、C、新iパス試験合格目標講座については、後ほど別途の資料で補足をいたしますけれども、このたび経産省、またIPAから、本試験合格目標講座のモデルカリキュラムが公表されておりまして、この時間数が30時間となっております。したがいまして、こうした合理的な時間数を超えた50時間等の基準を設定した場合に、むしろ冗長な時間設定のプログラムにつながりかねないということで、C、新iパス試験合格目標講座に関しましては、30時間以上という要件設定にさせていただきたいということでございます。
下の第二のその他については、いわば入念的な規定でございます。新iパス試験に関しましては、後ほど別資料でも補足をいたしますけれども、本年度末までは新たなITLSで言うところの2級に相当する試験を実施する。新年度、31年4月以降に関しましては、ITLS1級に相当する、よりハイレベルの能力評価を行う試験に一本化するという考え方でございますので、Cの講座についてもおのずとITLS1級相当ということになるわけでございますけれども、紛れが発生しないようにということで、告示上も31年4月以降、実施をされる試験合格を目標とする課程適用ということを規定としておきたいということでございます。
適用日については、全体として今後の告示改正、これに基づく申請受け付け、審査等に要する期間等を勘案し、いわば最短コースということで31年10月1日適用という考え方でございますが、念のために今後の具体的なスケジュールの考え方、予定についても、次のスライドで御説明を申し上げます。
厚労省側のスケジュールといたしましては、本日1月24日が分科会での諮問でございます。その上で2月上中旬に指定基準告示の改正、その他所要の統括官定めの改正等を行った上で、これはおおむね例年のスケジュールでございますけれども、4月から5月にかけまして特定一般教育訓練の指定講座の受け付けを行い、所要の調査・審査を行った上で、開講おおむね2カ月前という考え方のもとで7月下旬、遅くとも8月上旬までに指定・不指定の決定を行い、指定を受けた講座の開講が10月1日以降ということでございます。
他省庁の制度との関連性についても若干補足を申し上げたいと思います。
大学・専修学校の短時間のプログラムに関しましては、現行、学校教育法施行規則で履修証明プログラム、いわゆるサーティフィケート、120時間以上という要件設定になっておりますけれども、まずこれを60時間以上という時間下限基準を改正する、これが先行して行われます。それを前提とした上で、この間、御説明申し上げてまいります大学、専修学校の60時間以上、短時間のプログラムの認定手続が文科省においてスタートするものでございます。この認定を受けたプログラムの開講時期は、先ほど申し上げました、私どものほうの指定適用時期と同様、31年10月からを予定しているということでございます。
したがいまして、この第1期の私どもの指定に関しましては、明確な祖型プログラムがあるものに限って実績等を評価した上での指定がなされるということでございます。
また、経産省における新iパス試験でございます。後ほど参考資料で補足をいたしますように、昨年末までにITLSのフレームワークについて経産省、IPAから公表に至ったところでございます。これに基づきまして、新iパス試験実施準備がさらに加速をするとともに、この合格を目標とする講座の開講準備も順次進められていくということでございます。
新iパス試験に関しましては、新年度4月から実施をされる計画でございます。前回も申し上げましたように、新iパス試験合格目標講座の適用に当たりましては、当然のことながら、他の講座と同様に目標とする資格の合格率等のクライテリアを設定しないと具体的な適用ができないということでございます。
したがいまして、31年4月以降の一定のまとまりのある試験の実施状況、また、その中で把握をされた合格率等に関しまして、31年7月ないし8月時点で私ども厚労省事務局において、経産省からの報告を受け、確認、整理をした上で、改めて本分科会に御報告を申し上げた上で、この部分についての実質適用開始ということで考えておりますので、この部分については実質的には先ほど申し上げました31年10月には間に合わないということで、32年4月からの適用を念頭に置いているということでございます。
次の資料2-3に関しましては、前回までの本分科会で頂戴した主な御意見について、前回の分科会において分科会長から御指示をいただき、私ども事務局の責任で整理をした上で、昨年11月の労政審雇用保険部会に提出をされている資料でございます。この間、御審議をいただいたポイントといたしまして、一般教育訓練給付の拡充に係る対象講座のコンセプト、これにかかわる財源論等々の御議論。また、2といたしまして、具体の対象となり得る各講座類型に関しまして、自己啓発に対する支援の強化が必要といった点を御確認いただきつつ、どのような講座類型がふさわしいのかということを御議論いただき、それが今回お諮りしている指定基準案にも反映をされている。さらに、3といたしまして、この対象講座の客観的な評価方法を確立する必要がある。適用開始後も就職等のキャリアアップの成果についての検証の仕組みが必要であるといった指定基準案に直結している部分、あるいはその前提となるような考え方について、このような形で整理をさせていただいているということを改めて確認いただければと思っております。
最後に、別のファイルでございます、参考資料3を少しだけお開きいただければと思います。基本的には参考資料3、この間の本分科会におきまして、私ども事務局のほうから提示をしてまいりました現行一般の実績、関連諸制度、それぞれの対象課程類型を具体的にイメージいただくための資料について、改めて編集をしたものでございます。
前回の議論を踏まえて一部追加をしている資料がございます。随分ページが飛ぶ形になるのですけれども、51ページ、52ページでございます。前回の審議の中で、今回の課程類型でいいますとBに対応する情報通信技術に関する資格取得目標講座についての具体的な対象の特定の仕方について、お尋ねをいただいたところでございます。大きな資料を圧縮して、字が見にくくて大変恐縮でございますけれども、その際も御説明申し上げたように、私ども、経産省、IPAと連携した公的団体、スキル標準ユーザー協会が整備をし、毎年1回以上メンテナンスを行っておりますITSSキャリアフレーム、分野ごとにレベル1からレベル4までの対応資格について、資格の改廃などにあわせてこのようなマッピングを行っているものでございます。こうした客観的な資料に基づきまして、専門実践、また、特定一般の対象資格の確認を行っていきたいということでございます。
また数ページ飛びまして、59ページ以下でございます。先ほど課程類型Cの中で御説明申し上げましたように、この間、基本的な考え方としては繰り返し御説明をしてまいりましたITLSについて、この59ページ以下の資料にございますように、昨年末、ITLSフレームワーク、一般的にはシラバスと言われるようなものでございます。それから、先ほど時間数下限要件の関係で御紹介いたしましたモデルカリキュラム、これが取りまとめられ、公表に至ったということでございます。
この間、御説明申し上げてまいりましたように、その次の61ページにございますITLSの2段階、このうちの1級、各領域に関する知識を横断的に活用し、実務の場面でリーダーシップを発揮できる技術・知識を確認するためのフレームワーク、また、資格試験でございます。そのフレームワーク、いわゆるシラバス、また、モデルカリキュラム、それぞれ現物は大変大部なものでございますけれども、イメージ、構造だけ御確認いただければということで62ページ、また、63ページに先ほども御紹介いたしました30時間モデルカリキュラムの全体像を資料として御提示しているところでございます。
この参考資料の最後のページには、前回も御報告を申し上げました新iパス試験合格目標講座、また、文科大臣が認定をする大学・専修学校の短時間のプログラムについて、それぞれの性格を踏まえた追加的な指定基準、また、先ほども少し触れましたような制度適用前後の検証プロセスの考え方、これは前回御提示したものと、ワーディングだけ特定一般ということで書きかえをしておりますけれども同様でございまして、当然のことながらここに示されているような適用前後の検証については、今後も分科会長とも御相談申し上げる中で計画的に行っていきたいという考え方でございます。
以上、申し上げました内容を踏まえた上での資料2-1の告示案要綱及びこれに係る諮問文でございます。
何とぞ審議のほどよろしくお願いを申し上げます。
 
○小杉分科会長 ありがとうございました。
それでは、皆様からただいまの説明につきまして、御質問、御意見を伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。小松委員、どうぞ。
 
○小松委員 幾つか意見という形で申し上げたいと思います。
資料2-3のこれまでの人材開発分科会の意見をまとめていただいた内容に重なるところもあるかもしれませんが、今回、4割給付となる特定一般教育訓練対象講座というのは、やはり社会情勢に合わせて見直す時期も必要ではないかと考えます。加えて、給付率が4割に拡充されることで、対象講座については生徒の受講者増加が見込めると思いますので、教育事業者においては、講座履修者の増加が目的で終わらないように、効果の検証は引き続きお願いしたいと思います。
一方、効果という面から、IT企業以外では、中小企業では業種にかかわらず、今後、IT分野への投資は必須となってまいります。商工会議所などでもAIやIoT講座が増加していますけれども、社内にSEなど専門の社員を採用していくということは、こういった分野はかなり革新が早いので逆に難しくて、むしろ外注したほうが効率的な面もあります。
また、設備やインフラに関しては外注せざるを得ません。今回、ITの講座への給付率が上がることで、専門実践教育訓練の橋渡しとなることや、将来的に業界のサービスの充実や価格についてもパフォーマンスが向上するということをぜひ期待したいと思っています。以上です。
 
○小杉分科会長 ありがとうございました。ほかにございますか。村上委員、どうぞ。
 
○村上委員 ありがとうございます。
今回、特定一般教育訓練ということで、こういったAからDまでの講座を指定するということです。この間、職業能力開発であるとか教育訓練のあり方としては、公共職業訓練と企業による訓練、それから学校教育段階での訓練であるとか、労働者の自己啓発、それらの組み合わせで役割分担していくことが必要だということで意見を述べてまいりましたし、そのような議論をしてきたと思っております。
そうした中で、今回の特定一般教育訓練として給付率を4割にする講座を指定するということは、雇用保険制度の中での教育訓練給付として実施することから、それにふさわしい訓練効果、先ほどの御指摘にも重なりますが、きちんとした訓練効果が求められるということだと思っております。その観点から要望や懸念などを申し上げてきたところであります。
その要望の中身についてはもう繰り返し申し上げませんけれども、今回、特にCの新たなITパスポートであるとか、Dの文科省の短時間のプログラムについては、先ほども御説明がございましたが、対象講座の制度がまだスタートしていない状況で、これから新たに開始されるというものも含まれております。今後、必要な検証や確認をきっちりやっていただきたいということをお願いいたします。そうしたことを前提に、今回の告示案については了承したいと考えております。以上です。
 
○小杉分科会長 ありがとうございます。いずれも効果の検証が大事というお話だと思います。どうぞ。
 
○遠藤委員 IT分野の人材育成は、労使の立場が異なっても、どうやって進めていくのか、喫緊の課題になっています。そういう意味で言えば、今回なかなか実績がないというところで御懸念の部分もあろうかと思いますけれども、これは先ほど御説明がありましたように適宜検証し、あるべき方向に修正していくことで理解したい。遅れないように、ただでさえ1周おくれで、下手すると2周遅れなどという声も聞こえてきていますので、決してそのようなことを追認することにならないように、ぜひ進めていただければと思います。
 
○小杉分科会長 ありがとうございます。大久保委員、どうぞ。
 
○大久保委員 特定一般教育訓練に関しては、この審議会の場でも時間をかけて議論してきたことでありますし、この場で案としてつくられたものが最終段階を迎えて、その案のとおり実現しようとしているのは大変喜ばしいことだと思います。
就職実現とかキャリアアップとの結びつきの強い講座を指定する。給付率も4割に上げるということで、働いている人々にとって魅力的な制度に映ってくれたらいいなと思うのですけれども、一方で、調査の結果にもありましたとおり、仕事が忙しくて自己啓発に取り組む余裕がないと言っている労働者も大変多い中で、どのぐらいの人たちが実際にこの訓練制度を活用していただけるか。講座の質的な効果の問題の懸念と同時に、実際にどのぐらいの人たちが活用するかという量的なインパクトの問題は若干心配もあるわけです。
これは質問なのですけれども、特定一般教育訓練の制度をつくったときに実際にどのぐらいの方々に御利用いただけると見込んでおられるのか、あるいはどのぐらいの人たちが活用できればこの施策は機能している、あるいは活きていると言えるのか。その辺についてのお考えを聞いてみたいと思います。
 
○小杉分科会長 事務局、どうぞ。
 
○伊藤若年者・キャリア形成支援担当参事官 初めに、各委員から特定一般教育訓練の対象講座の基本的な考え方について改めて重要な点を御指摘いただきましたので、その点についての事務局の基本認識を申し上げ、その後、今の御質問についてお答え申し上げたいと思っております。
この間の特定一般教育訓練給付の目的、コンセプトについて、本日の資料に示しておりますように、受講受給者本人の就職・キャリアアップの即効性、プラス、人材確保あるいは生産性向上への寄与という観点についても多くの委員から御指摘をいただいたものと認識しております。今回の対象課程類型でいいますと、BやCなどが特にそれとのかかわりが深いということになってくるかと思います。
現行の新iパスについて、シラバス、詳細の説明はしておりませんけれども、当然、今日的にそれぞれの事業運営の中で求められております。例えばクラウドであったりとか、あるいはロボティック・プロセス・オートメーションであったりとか、こうした最新、また生産性向上に資するような技術の概要、ビジネス場面での導入事例、その留意点、こういった内容もこの講習あるいは資格の中に含まれている。
今後の社会情勢、また技術変化の中で、こうした内容についてもおのずと進化をしていく部分があろうと思っております。この間、特に他省所管の制度について、教育訓練給付制度に位置づけるに当たっては、厚労省としてのイニシアチブということを多くの委員から御指摘いただいたところでございます。今後、適用後も、私ども厚労省として、経産省、文科省を初めとする関係省庁・機関と十分連携を図り、また、この教育訓練給付制度の目的ということを常に明確化しながら、それにふさわしい講座の設定、また受講の促進がなされるよう引き続き対応するとともに、大きな動きがある際には、当然のことながら、この分科会にしっかり御報告をしていきたいと考えているところでございます。
次に、大久保委員から、特定一般についての受講受給者、規模感ということで具体的なお尋ねがあったところでございます。私ども、この特定一般対象講座について、きょうは基本的には要件という観点で説明申し上げているわけでございますけれども、現在、一般の教育訓練の中で対象となっております資格のうち、きょう申し上げました業務独占、名称独占、必置、これに該当するものがいかほどあるのか。それを前提とした場合に、現行の一般教育訓練の対象講座数、30年10月時点で1万1000余りという状況でございますが、当然、厳格なパフォーマンス基準でそこから絞り込まれる。そこに課程類型C、Dというものが順次つけ加わっていくという構造でございますけれども、どの程度の講座が対象になるのかについての見込みを常に検討しながら、本分科会でも御説明、お諮りしているところでございます。
その上で、直接お尋ねがございました受講受給者に関して申し上げますと、例えば来年度どれだけ出てくるのかといったことで考えた場合には、今、申し上げましたような講座がバリエーション、また具体的な数としてどれだけ出てくるのかといった観点、また、それぞれに対する受講受給のニーズ、プラス、実際の給付の出方といたしましては、当然のことながら本制度については修了後、申請がなされて給付ということで、タイミング等についても非常に複雑な要因によって各年度の受講受給者数が決まってくるという構造でございまして、きょう御説明申し上げております特定一般に関し、例えば、31年10月適用で、31年度後半どれほど出てくるのかということについて、今の時点で明確な見込みを立てる十分な材料がそろっていないというのが率直なところでございます。
ただ、その上でということで申し上げますと、現行の一般教育訓練給付に関しましては、年度という意味では29年度が最新の実績でございますけれども、約10万人という実績になっております。専門実践に関しましては、この間の本分科会での審議を経て課程類型、講座の幅も広がる中で、制度開始から、これも平成29年度までということで申し上げますと3万人弱の方が受講受給をしているという状況でございます。
それぞれの制度の厳格性等を考えた場合には、中期的には今申し上げました一般の10万程度、あるいは専門の3万程度、その中間的な規模感ということで出てくることが一般的には見込まれるのかなと考えているところでございますけれども、私どもといたしましては、そういう客観的な見込みということプラス、この間御指摘いただいておりますようなそれぞれの制度の意義・目的ということを踏まえまして、本日の審議を踏まえた上で、教育訓練プロバイダー団体であったりとか、業界団体であったりとか、こうしたこの制度にかかわるさまざまなステークホルダーの方々に今回の制度の意味づけと具体的な要件、手続を丁寧にしっかり御説明申し上げ、中期的には専門と同様にキャリアアップの具体的な事例情報なども積極的に発信をしながら、まずは講座開講、また受講受給の積極的な促進を促し、節目節目でその状況について御報告申し上げる中での意味づけについて、分科会委員の皆様からの御指摘を踏まえた多角的な検証を進めていきたい、そのように考えているところでございます。
 
○小杉分科会長 ありがとうございます。よろしいですか。
 
○大久保委員 一般教育訓練と専門実践教育訓練を整備した上で、今回、特定一般教育訓練をつくりました。私たちは大丈夫ですけれども、一般の人たちにはほとんど理解の限界を超えている可能性も十分にあるわけで、相当丁寧に普及促進をやっていただきたいと思いますし、質的な部分でこの講座が効果を発揮しているかということと同時に、どのぐらいの受講者が一般教育訓練のときに比べてふえているのか。そういう点はしっかりフォローしていただきたいともに、能力開発基本調査もございますので、そういう調査とも連動した中で、自己啓発の状況についてしっかりと見ていただきたいなと思います。
 
○小杉分科会長 ほかにはよろしゅうございますか。橋本委員、どうぞ。
 
○橋本委員 特定一般教育訓練給付について、新しい制度で、また非常に複雑なところ、参考資料3で詳しい資料も作成してくださいまして、大分理解が進んだと思っています。
そこで思ったのですけれども、国家資格の養成課程については、特定一般教育訓練給付の要件を満たさないものが2割の一般に残るという整理がされていまして、厳しい特定の一般給付の受験率や合格率、在職率等の要件を満たさなくても、一般教育訓練給付の要件を満たせば2割の給付が得られることになります。厳しい要件を満たさなければ2割のベースのほうが残るという整理は、今までの一般教育訓練給付と専門実践教育訓練給付との関係では、それぞれの講座の時間数や内容が違いますので、問題にならなかったのではないかと思います。
そうなると、同じ資格取得を目的とする講座で時間数もほとんど同じだけれども、ある講座は2割、ある講座は4割ということがあり得ると思うのですが、これは私の感覚では、受講者の立場から見ると、こちらの学校に行けば2割だけれども、あちらの学校に行けば4割というのは、うまく説明ができないような気もしましたので、将来の課題といいますか、ほとんど同じ内容と時間数の講座で、2割の一般教育訓練給付の対象となる講座と4割の特定一般教育訓練給付の対象となる講座に分かれることがどのくらいあるのか等々、ぜひ今後の経過を見ていきたいと思っています。よろしくお願いします。
 
○小杉分科会長 事務局、どうぞ。
 
○伊藤若年者・キャリア形成支援担当参事官 まず、制度設計の考え方といたしましては、現行の専門と一般、また、今回の新しい特定一般と一般、双方とも同じ属性の講座で、専門の基準を満たすものは最大7割給付、それを満たさないけれども一般の要件を満たすものは2割という考え方です。また、今回の特定一般についても、今ほど委員から御指摘がございましたように、同じ類型のものでもそのパフォーマンスによって4割と2割のものに分かれてくる構造になっている。これは全く御指摘のとおりでございます。
先ほどの大久保委員の御指摘にもございましたように、これまでもかなり複雑だったのですが、さらに複雑になるということで、今、御指摘いただいた点も含めて、より丁寧な説明をプロバイダー側、受講受給側、企業その他関係者にしっかり行っていく必要があると思っております。このことの私どもなりの意味づけといたしましては、修了の資格取得とのかかわりでの効果が一緒だったとしても、教育訓練給付制度の中では、就職キャリアアップ実現可能性がより高いものは、より手厚く支援をする。そこまでいかないものは、それなりの支援をする。ある種のメッセージと申しますか、教育訓練プロバイダー側にこの教育訓練給付制度の積極的な活用を計画されているのであれば、できる限り満たし得る講座の種類によって4割なのか、あるいは最大7割なのか、そこの適用が受けられるように試験合格率等のパフォーマンスを上げていく努力を促すという効果もあるのかなと私どもとして考えているところでございまして、そうした点も含め、また、制度の複雑性について誤解を与えない両方の観点からしっかり説明を進めていきたい。また、同じ類型のものが各制度でどのようにあらわれているのかという傾向についても、ある程度状況をまとめられるような段階になった時点では、他の観点も含めて、この分科会でも御報告をしたいと考えております。
 
○小杉分科会長 ほかにございますでしょうか。
ないようでしたら、当分科会といたしましては、諮問されました雇用保険法第六十条の二第一項に規定する厚生労働大臣が指定する教育訓練の指定基準等の一部を改正する告示案要綱につきまして、おおむね妥当と認める旨を私から労働政策審議会会長宛てに御報告申し上げたいと思いますが、よろしいでしょうか。
 
(「はい」と声あり)
 
○小杉分科会長 ありがとうございます。
それでは、事務局から報告文案の配付をお願いいたします。
 
(報告文案配付)
 
○小杉分科会長 それでは、お手元に配付されました報告文案により、労働政策審議会会長宛て報告することとしてよろしいでしょうか。
 
(「はい」と声あり)
 
○小杉分科会長 ありがとうございます。それでは、そのように報告させていただきます。
ほかにないようでしたら、この議題についても、ここまでといたします。
遠藤委員、どうぞ。
 
○遠藤委員 答申文の中身を変えてくださいという意見ではなくて、1つだけ申し上げたく思います。審議会の構成は御説明するまでもなく三者構成であり、それぞれ立場が違うわけですから、御意見の中身も違って当然だと思います。そういう中で審議会で議論を重ねて一定の集約を図っていくこと、それが求められているし、期待されていると思います。今回の教育訓練の拡充に向けてどういう議論がなされてきたのかということを改めて思い返したときに、先ほど大久保委員からございましたように、大変丁寧な議論が繰り返されたと思います。また、資料のつくり方についても大変工夫されたものが出てきていると思います。
そういう状況下にあっても、なお、「妥当である」ではなく、「おおむね妥当である」ということを連続して答申することに対しては、私自身としては違和感を大変覚えておりますので、一言意見を申し上げさせていただきました。
 
○小杉分科会長 ありがとうございます。村上委員、どうぞ。
 
○村上委員 使用者側から御意見ありましたので、1点だけ申し上げておきたいと思います。
労働政策審議会という中で三者構成の審議会が大変重要だということは、私どもとしても十分認識しているところであります。その観点から、議論を尽くして一定の方向を出していくことが重要だということは、言うまでもなく理解をして参加しているところです。
今回の一般教育訓練の拡充、特定教育訓練の拡充について、丁寧な議論を行ってきていただいたことであるとか、議論はかなり尽くしてきたということ自体は御指摘のとおりであります。しかし、もともとの議論の発端といいますか、給付率を4割に拡充するということ自体が初めに結論としてあって、そこでどうしていくのかという議論が行われたことであるとか、あるいは、最後に申し上げましたけれども、CとかDの部分についてはまだ十分検証していただかなくてはいけないという部分もありますので、今回の内容全部が、全く何も問題ないということではないということで、答申にはおおむねということをつけていただきたいと御要望申し上げているところであります。議論を尽くしていないということを言っているわけでは必ずしもございませんので、その点だけはぜひ御理解いただきたいと思っております。
 
○小杉分科会長 遠藤委員、どうぞ。
 
○遠藤委員 先ほど申し上げなかったのですが、議論を尽くした上で、現時点で御提示できる対応についても一定の方向性が出ていると思います。自分たちの意見が通っていない、懸念点がまだ完全に払拭されていないということだけをもって「おおむね」をつけていくことを繰り返されることに、私どもとしては納得できないと申し上げているのです。
 
○小杉分科会長 もう一回どうぞ。
 
○村上委員 この分科会に限らず、ほかの分科会や部会におきましても、答申文について、妥当にするのか、おおむね妥当にするのかということはさまざまな議論があるところです。中には使用者側の御意見の中で、妥当だというのはとても容認できないですとか、御意見がつくという場合もないことはないと理解しております。
繰り返しになりますけれども、十分議論はしてきたということと、懸念点についても現段階でできることは十分措置されていると思っております。ぎりぎりまでできることはされていると思っておりますけれども、ただ、議論の出発点の部分で懸念点があるということ自体を否定されてしまうと、これからそうした場合に真面目に議論をしていく事が難しくなるというところもございますので、その点は御理解をいただきたいと思っております。
御主張は御主張として理解はしております。ただ、こちらの主張についても、そういうことなのだということはぜひ御理解をいただきたいと思っております。
以上です。
 
○小杉分科会長 もう一度、どうぞ。ここまでとしたいと思います。
 
○遠藤委員 もう余り進行を妨げるといけないので、申し上げたいのは、ずっと議論の根底にあるのは、人材をどう育成していくか、育てていくかという大変重要なテーマであります。ゆえに改正していこう、見直していこうということであれば、「妥当である」という形の答申を出して、むしろ、その後も含めてどうバックアップしていくのかが重要だと思います。
それから、給付の問題については、ここで決定する話ではないので、雇用保険部会での議論をこの分科会に持ってきて、ここでの中身について「おおむね」を付けて答申するということについては、やはり何度御意見を伺っても納得できるところがないということです。
 
○小杉分科会長 議論は尽きないかと思いますけれども、今回はここまでとさせていただきます。それぞれお互いに何を言いたいのか理解してはいらっしゃると思うのですが、ここでまた改めて公にすることも意味があったのではないかと思います。
それでは、次の議題です。平成31年度予算案の概要についてです。内容について、事務局から説明をお願いいたします。
 
○青山人材開発総務担当参事官 総務担当参事官でございます。
資料3に基づきまして、御説明させていただきます。予算につきましては、9月のこの分科会におきまして概算要求の概要を御説明いたしました。その後、要求作業を行い、政府として決定された31年度予算案がありますが、その中の人材開発統括官部門の部分につきまして、概要を御説明させていただきます。
資料3の1ページ、総括表をごらんください。金額で言いまして、一番下の欄ですけれども、平成31年度予算案は総額2573億円となりまして、対前年度50億円の増額でございます。
内容としましては、内訳でございますが、一般会計は131億円で、対前年度1.4億円の増です。主な増要因は、外国人技能実習機構の運営に要する経費について、技能実習に関する実地検査や相談援助などの体制強化などによるものです。
なお、囲みでありますが、今、言いました外国人技能実習機構の運営に要する経費のうち、新しい日本のための優先課題推進枠として、ここでは推進枠という表現で書かれていますけれども、そのうち1.5億円が計上されているというものでございます。
労働保険特別会計につきましては、労災勘定は予算案26億円で、対前年度11億円の増でございます。主な増要因は、障害者職業能力開発機構の老朽化による特別修繕経費などの増でございます。
雇用勘定は予算案2416億円で、対前年度38億円の増額となっております。主な増要因は、人材開発支援助成金についてリカレント教育の拡充などのための予定人員などの増によるものでございます。
それでは、内容について御説明いたします。2ページは飛ばしていただきまして、縦置きの3ページの概要から御説明いたします。この人材開発統括官予算は3本の柱でまとめさせていただいております。1本目の柱が、働き方改革による生産性向上の推進ということでございまして、34億円でございます。
そのうち1、第4次産業革命に対応した人材育成・人材投資の抜本拡充では、全国の職業能力開発促進センター等に設置している生産性向上人材育成支援センターにおいて、企業のニーズに応じたオーダーメード型の在職者訓練や人材育成の相談対応などの支援を実施する経費や、中小企業や製造現場などで働く人向けの基礎的ITリテラシー習得のための職業訓練コースを開発するなどの経費となっております。
4ページをお開きください。第2の大きな柱は、人づくり革命の推進に向けまして、人材投資の強化や女性、高齢者、障害者等の多様な人材の活躍推進でございます。2191億円を計上しております。
このうち1がリカレント教育の拡充でございまして、(1)が本日も含め本部会で御議論いただいていました一般教育訓練給付について、キャリアアップ効果が高い講座を対象に給付率の引き上げをするとか、専門実践教育訓練給付についての講座の追加等でございまして、予算は雇用保険を所管する安定局で計上しているものでございます。
(3)は、ハロートレーニングにおきまして、国家資格の取得などにより正社員就職を実現する長期訓練の充実を図ること。
(4)ですが、リカレント教育のさらなる拡充を図るために、事業主によるeラーニングを活用した教育訓練を人材開発支援助成金の対象に追加する等の経費でございます。
5ページに移っていただきまして、(1)が長期の訓練強化制度を導入して一定期間以上の休暇取得実績が生じた事業主に対して人材開発支援助成金による支援を実施することや、(2)のさまざまな人材育成ニーズに対応して、最新かつ実践的な知識・技術の習得に資する訓練プログラムの開発・実証を行うこと。さらに、ちょっと飛ばして(4)ですが、人事・経理等のホワイトカラー職種の職業能力診断ツールの開発に向けた調査・研究の経費を計上しております。
6ページに移っていただきまして、(5)職業能力の見える化を推進するために、職業能力に係るニーズや、技術・技能に係る評価の賃金への反映状況などについての調査。
(6)は企業のマネジメント能力を引き上げるための総合的なモデルカリキュラムの開発、訓練の実施の経費でございます。
次に3でございますが、技能を尊重する機運の醸成として、(1)(2)にありますとおり、2023年技能五輪国際大会の日本・愛知県への招致に向けまして、ことし8月の開催地選挙で選出されるために、PR資料等の作成、選手強化などのための経費でございます。
7ページ目に移っていただきまして、一部飛びますが、6の若者・就職氷河期世代に対する就労支援等でございます。(1)が学卒全員正社員就職実現に向けまして、大学などとの連携強化によって支援対象者の確実な把握を行い、特別支援チームなどを活用した就職実現のための一貫した支援の評価。(2)のいわゆる就職氷河期に就職時期を迎えた不安定就労者などに対する支援として、職業訓練の実施、助成金の支給、ハローワークにおける職業相談等を実施する。さらに、後段でございますが、そうした就職氷河期世代などの無業者を対象に、地域若者サポートステーションの就労支援と自治体などの不支援をワンストップ型で継続的な提供を可能とする体制の整備などの経費を計上しております。
8ページに移っていただきまして、今言いました、若者無業者等の自立支援ということで地域サポートステーションの経費の計上でございます。先ほどと一部重複しますので、省略させていただきます。
ちょっと飛びまして、最後の9ページでございます。外国人材受け入れの環境整備等の推進が第3の大きな柱でございます。65億円を計上しております。そのうち1の外国人技能実習に関する実地検査や相談援助等の体制強化は、冒頭で申しましたとおり増額で計上しておりまして、監理団体・実習実施者が大幅に増加する中、また、昨年12月に成立し、ことし4月に施行される改正入管法による新たな在留資格については、技能実習2号も就労者も同じになることも踏まえて、この技能実習制度の適正な運用を図るために、監理団体・実習実施者に対する実地検査、技能実習生に対する相談援助などを実施する体制を強化するために必要な経費を計上するものでございます。
多少駆け足になりましたが、以上が人材開発統括官部門の平成31年度予算案の内容となりますので、御審議よろしくお願いいたします。
以上です。
 
○小杉分科会長 ありがとうございます。
それでは、ただいまの説明につきまして、皆様から御質問、御意見等をお伺いしたいと思います。いかがでございましょうか。松井委員、どうぞ。
 
○松井委員 御説明ありがとうございます。
質問なのですけれども、4ページの一番下に記載のあるeラーニングを活用した助成金、並びに次の5ページの最初にあります長期の教育訓練休暇制度の助成金について、いずれも500億円という非常に大きな予算がついているのですけれども、特に長期の教育訓練休暇制度については、どういう制度設計をするか、労使で実際に制度化できるのかどうか非常に関心があるところなのです。実際にどのような要件で助成金を設計していくのか、いつからスタートするのかについて少し教えていただきたいのと、可能であれば、制度設計に当たって労使の意見を反映することも必要ではないかと思うのですが、そうしたことについて御見解があればお聞かせいただきたいのですが。
 
○小杉分科会長 事務局、お願いいたします。
 
○金尾企業内人材開発支援室長 お答えいたします。
まず、予算でございますけれども、500億円強につきましては、人開金全体の予算額を計上しております。その中の一部経費としてeラーニングと長期教育訓練休暇制度に対する助成分が入っておりますので、500億円が全部こちらの金額に当たるということではございませんので、最初に御説明させていただきます。
その上で、eラーニングと長期教育訓練休暇の制度について、どういった形で考えているかということでございますけれども、こちらの制度につきましては、3月末までに行う省令改正事項になりますので、その中身については次回分科会でまた改めて御説明したいと思っておりますが、今のところ、我々が考えている方向性としましては、基本的には一定期間程度、有給・無給により長期休暇の制度を会社として設置していただいて、実際に休暇をとられた場合に、会社の制度改正に伴う事務経費及び休業した者の賃金補填分をお支払いするという形で考えております。
ただ、実際にどういう制度設計でどれぐらい出てくるかというのは、今、予算上では1万人程度という形で31年度は想定しておりますけれども、そこにつきましては当然、次回の分科会までに改めて事前に御説明をしたいと思っております。
 
○小杉分科会長 ほかにございますでしょうか。大久保委員、どうぞ。
 
○大久保委員 前回、概算要求のときにもお聞きしたことを改めて時間がたったのでもう一回お聞きしたいと思うのですけれども、高齢者のところです。未来投資会議の中では高齢者のワードも出てきていますが、高齢者の就業機会の確保というような観点なので、定年をまたいだ中で職業寿命を延ばしていくための教育訓練とか学び直しという観点は出てきていないのですけれども、一つのテーマとして、やはり追いかけるべきテーマなのかなと思っております。
あと、未来投資会議の中では就職氷河期世代、現在40代後半になっている人たちについては、キャリア的支援の問題も出ていると思いますので、ミドルシニアの人たち向けの能力開発、職業訓練のところについての施策はどうなっているかということを、ぜひあればお話をお聞きしたいと思います。
 
○小杉分科会長 事務局、お願いします。
 
○吉本人材開発統括官 これまでも何度も御指摘をいただいております点なので、私どもとしてどんな考えかということを申し上げたいと思いますが、確かに今、御説明した中には、明示的には入れておりませんけれども、御指摘がありましたように未来投資会議の中でも高齢者雇用の問題、そして就職氷河期の問題、これらは重要なテーマの一つになっていますので、私どもも関係の部局と一緒に、我がほうとしてできることがないかということで取り組んでいかなければいけない課題だと思っています。
まず、就職氷河期のほうは、一部予算には盛り込んでおりますけれども、今までやってきたいろいろなリソース、サポステであったり、あるいは若者ハローワークであったりというのはあるのですけれども、かなり年齢が高齢に至っている人もいるし、年齢層によって多分問題だとかの所在が違っているということもあろうかと思いますので、そのあたりでどのような手を打つ必要があるのか。そういったことをもうちょっときめ細かく考えていかなければいけなということがあるかと思います。
あと、高齢者雇用につきましても、これまで高齢者を明確なターゲットにして職業能力開発というのは余りやってきたことがない分野だと思うのですが、一方で、当然のことながら訓練の機会、コンテンツであったり、それをサポートするキャリコンであったり、能力評価であったり、そういう横断的にカバーできる基盤というのはかなりできておりますので、1つはそれらをどううまく組み合わせて、きちんとニーズを酌み取りながらですけれども、それに対応するように組み立てていけるのか。もちろん、今までのコンテンツ、基盤と言われているようなものでは補え切れないものがあるとすれば、どう付加していくか。そういったことを考えなければいけないなと、内部でもいろいろ検討しなければいけないと思っているところであります。
大久保委員のみならず、今までいろいろ御意見いただいておりますので、ぜひこの後もいろいろな機会を通じて御知見をいただいて、私たちとしてもじっくり考えていきたいと認識しておりますので、とりあえず私から申し上げたいと思います。
 
○山田審議官 同じ話なのですけれども、未来投資会議も最初は安定局中心に、未来投資会議の大きなテーマは高齢者雇用で安定局中心にまとめようという形で最初はスタートしたのですが、能力開発のほうもむしろ積極的にコミットしていこうということで、今、事業的なもの、制度的なもので何ができるのかということで検討しております。最終的な形がどうなるかわかりませんけれども、人材開発分野として存在感ある形で未来投資会議にも乗っかっていこうという意気込みでやっております。
 
○大久保委員 ありがとうございました。
やはり若年者と高齢者では能力開発とか職業訓練で求められるコンテンツは違いがありますので、若年向けのコンテンツをそのまま高齢者に適用するというのは余り効率的ではないところがある。そこを一回考えていただきたいということです。
もう一つは、ジョブカードをうまく生かせないかというのはずっと思いとしてありまして、これも含めて御検討いただけるといいなと思っております。
 
○小杉分科会長 ありがとうございます。ほかに御意見、御質問をどうぞ。
 
○三村委員 これから外国人人材に依存することが多くなると思います。その場合、いわゆる労働力を補充するという意味だけではなくて、外国人労働者一人一人が我が国でどのようなキャリア形成をし、私たちの国を建てていく一つのパワーとして与していくかということも想定しますと、第3の1に書いてあります「相談援助等を実施する外国人技能実習機構の体制を強化」の内容が問われてくると思います。第2の2の(3)に「キャリアコンサルティングの質の向上」がありますが、キャリアコンサルタントの業務の中でこうした外国人労働者への対策をどのように立てているかというのをお伺いしたいです。もう一方で、外国人労働者を多く受け入れている国の施策の中で、その国の言語の習得を、本人の努力だけに依存するのではなくて、国自体が言語を習得する機関などの機会を設けて、日本語の習得を推進するということも重要なポイントかと思いますので、二点についてお伺いしたいと思います。
 
○小杉分科会長 では、キャリコン関係ですか。
 
○松瀨キャリア形成支援室長 お答えいたします。
キャリアコンサルタントを外国人政策の中でどう活用するかということなのですけれども、キャリアコンサルタント制度を外国人材に対してどう適用していくのかというお問い合わせは結構受けております。生活支援の相談窓口など、どのように活用していくかということは、今後、検討していかなくてはいけないと考えておりまして、引き続きの課題としていきたいと思っております。
 
○小杉分科会長 青山さん、お願いします。
 
○青山人材開発総務担当参事官 キャリコンも含めて、今の初めの三村委員の御指摘で、外国人に対する能力、キャリア形成というものの支援全般の話でございますが、もちろん我が国で労働者として働いていただく場合には、キャリア形成支援等の支援策も射程には入りますが、他方で、例えば在留資格上の特定技能とかいう制約というのがありますので、それとの兼ね合いも見ながら、やれることを人開行政としても講じていくということが基本スタンスかと思います。貴重な御意見をいただきましたので、ちゃんと考えていきたいと思います。
 
○小杉分科会長 ありがとうございます。日本語教育のこともお聞きしますか。
 
○三村委員 もしお考えがあれば。
 
○小杉分科会長 お考えがあればということなのですが。
 
○三村委員 なければ結構です。
 
○青山人材開発総務担当参事官 日本語教育につきましては、ちょっとそれは済みません。人材開発、職業能力の開発向上というものとなかなか捉え切れない、それ以前の部分でございますので、当局というよりは職業安定局も含めて、あと、政府全体で取り組む部分かと思いますので、なかなかこの人開ではお答え切れないのが正直なところですので、御指摘を受けとめたいと思います。
ただ、職業訓練におきましては、定住外国人に対する日本語に配慮した取り組みなどはしておりまして、職業能力開発向上をする中で、日本語にもちゃんと目を配りながらやるというところはきちんと考えていきたいと思います。
 
○三村委員 よろしくお願いします。
 
○小杉分科会長 ありがとうございました。お待たせしました。遠藤委員、どうぞ。
 
○遠藤委員 先ほど労側から御質問のあった長期の教育訓練休暇制度については、過去どのくらいの実績があるか、正確な数字は頭の中には残っていないのですが、余り活用されていないと理解しています。
そういった中で、例えばヨーロッパの一部でとられているように、勤続年数がある程度になったら6カ月や1年の休暇が取得できる、そういう制度を日本の中に入れていくことを目指すのであれば、これはまだ遠い先かなと。そう考えたときに、同じような政策効果が見込まれるもので、何があるのか。例えば留学制度で大学に留学する。海外留学する。あるいは研究機関に出向する。そこでちゃんと学んで、身につけてくることでも政策効果としては教育訓練に近いものもあり得ると思います。今後、予算措置して、実績も上げていこうということであれば、その政策効果を踏まえてある程度類似のものをどこまで包含していくのか、現実的な着地点を見出していくことも必要ではないかと思います。
○小杉分科会長 ありがとうございます。こうした意見を受けとめていただければと思います。ほかにございますでしょうか。早川委員、どうぞ。
 
○早川委員 私も第3の外国人材受け入れの環境整備の推進のところで一言申し上げさせていただきます。
先ほどと同じ話なのですけれども、新しく「特定技能」という在留資格ができて、本年4月1日から施行されるという流れの中で、昨年末に閣議決定された基本方針と特定産業分野14分野に関する分野別の運用方針、それに伴っての運用要領が出ています。その中で、業所管省庁中心に法務大臣、厚生労働大臣なども入りつつ、分野別運用方針が決められたのだとは思うのですけれども、海外で実施する技能試験について、各業所管省庁のほうで整備を推進されていくようですが、技能実習2号からの試験免除で移行する方とかを考えると、少なくとも技能実習がカバーしている職種に関しては、これまでのように技能検定、あるいは技能検定とある意味水準を同じとする技能試験をやってきたわけですので、新たな制度の中で各業所管省庁が独自につくるものがそれらと余りに乖離していた場合に、やはり少し問題が生じる可能性があるのではないかと思われます。ぜひ、運用方針の中でも厚生労働大臣の意見が反映される形になっていますので、そういった角度から、ここの予算の中に将来的に、新たな在留資格対応の厚生労働省としての外国人受け入れの環境整備の中での職業訓練といった形での施策ができるように備えていただければと思います。意見として申し上げます。
 
○小杉分科会長 なかなか難しい意見です。
 
○山田審議官 ちょっと一言。まだ正直言いまして、4月の施行に至るまで、きょうも法務委員会の閉会中審査をやっていますけれども、法務省が今、鋭意細かいところを詰めております。全体としては、厚生労働省としては安定局の外国人雇用対策課が対応していて、ただ、今、御指摘のところは、まさにここの人材開発分野とリンクするところで、基本方針の中にも多分書いてあったと思いますけれども、全体として厚生労働省が協力するということだけではなくて、試験のところについては特記されておりますので、そこは必要な協力を法務省、業所管省庁に対して協力していくことになろうと思います。
ただ、おそらくソフト面での支援ということになるとは思いますが、我々も外国人受け入れの問題なので、無関係の問題と意識しておるわけではなくて、どういう形で関与していくのかというのは考えていきたいと思います。
実際のところ、今、技能実習から移行がスタート段階では多いことになると思いますけれども、今、御指摘されたようなことはまさに人材開発分野と関連するところでありますので、心して対応したいと思います。
 
○小杉分科会長 よろしいですか。技能実習制度はきちんと技能を習得するということでやってきておりますので、ぜひそのレベル感等も今後のものとうまく接続していただければと思います。ほかにございませんか。村上委員、どうぞ。
 
○村上委員 特にお答えは要らないのですが、今、早川委員が御指摘された技能レベルの問題については、職業安定分科会の雇用対策基本問題部会で外国人雇用管理指針の見直しを行っておりますけれども、その中でも公益委員、また労側からも指摘させていただいたところです。技能レベルをどのように設定していくのかということは、すぐれて職業能力開発行政、労働行政の関与すべき問題ではないかという指摘はさせていただいておりまして、先ほどお答えがありましたけれども、ぜひその方向で積極的に関与いただきたいと思っております。
 
○小杉分科会長 ほかにございませんでしょうか。
よろしければ、この議題についても、ここまでとさせていただきます。
次に、その他として事務局から報告が1つございます。経済政策の方向性に関する中間整理について、事務局から説明をお願いいたします。どうぞ。
 
○青山人材開発総務担当参事官 その他としまして1つ報告事項がございます。資料4-1をまずごらんください。政府におきましては、次期成長戦略の策定に向けた議論をしておりまして、その動向を御報告いたします。
昨年10月より政府の未来投資会議での議論が再開されていまして、10月22日の会議で根本厚生労働大臣からプレゼンを行いました。その資料の一部が4-1でございます。この中では、団塊ジュニア世代が高齢者となる2040年を見据えて、誰もがより長く元気に活躍できる社会の実現を目指すということで、幾つかの柱での施策の方向性をプレゼンしておりますが、そのうち、初めの多様な就労と社会参加の取り組みの中で人材開発が関係する施策としまして、赤で囲っておりますように、就職氷河期世代の就職支援、職業的自立の強化の項目を入れて打ち出しております。
資料4-2のほうに移っていただきたいと思います。そういうプレゼンなども経たこの審議の結果、中間的なものでございますが、11月26日には未来投資会議とかそのほかの会議との合同会議として、経済政策の方向性に関する中間整理を取りまとめました。
この中で、内容はいろいろあるのですが、7ページをごらんください。前の6ページから「全世代型社会保障への改革」という項目になっていて、7ページが高齢者雇用に関するお話なのですが、そこと、あと、7ページの下のほうの「中途採用拡大・新卒一括採用の見直し」という項目で労働関係部分がまとめられております。
人材開発施策につきましては、順番が逆になりましたが、先ほどプレゼンでも御説明しました就職氷河期世代への支援ということが、8ページの2行目に就職氷河期世代の非正規労働者に対する就職支援・職業的自立促進の取り組みの強化とあります。実は、高齢者雇用につきましても、戻って恐縮ですが、7ページの○2の見出しの前上にある段落、環境整備のところで幾つかの取り組みが書かれている中で、高齢者を想定したキャリア形成支援、リカレント教育の推進という取り組みも入れておりまして、引き続き、この会議でも議論を行われ、夏に向けて積極的な政策を打ち出していくこととしたいと思っております。
以上でございます。
 
○小杉分科会長 ありがとうございました。山田さん、どうぞ。
 
○山田審議官 今、資料4-1で殊さら就職氷河期の話だけ赤で囲ってありますけれども、これの議論をしているとき、割と就職氷河期の議論がすごく盛んだったのでこういう形にしておりますが、実際はこれの上の高齢者雇用・就業機会の確保というのも半分は人開の仕事だと思っております。先ほど大久保委員が言われたジョブカードの高齢者とか中高年齢者向けへの展開ということも含めて、この上の高齢者雇用・就業機会の確保というのも人開のミッションだと思っております。
ただ、ここで出したタイミングのところは、ちょうど就職氷河期が非常に政府部内で話題になっていたので、殊さら強調してありますが、この中だとその2つのものが人材開発に大きく絡むという話だと思っております。
 
○小杉分科会長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明につきまして、御質問、御意見をお伺いしたいと思います。
上野委員、どうぞ。
 
○上野委員 1点要望を申し上げたいと思っております。
就職氷河期世代の支援についてですけれども、これまでも就職氷河期世代への支援の重要性につきましては、本分科会で労働側からも意見を申し上げてきました。未来投資会議におきましても、この部分については厚生労働省としてぜひ積極的な関与をお願いしたいと思っております。
以上でございます。
 
○小杉分科会長 ありがとうございます。ほかに。山田さん、どうぞ。
 
○山田審議官 就職氷河期の問題については、我々もややもすれば今、就職氷河期の一番上のゾーンが40歳代後半に突入したということを強調していましたけれども、ただ、実際の就職氷河期の中のボリュームゾーンがどこにあるかということも意識して議論はしていきたいと思います。ざっくり就職氷河期という言葉がフレーズ的に非常にはまってしまって、それが40代後半まで来たということへの危機感は非常に高いのですけれども、実際は就職氷河期の中でもボリュームについては、今、47歳のゾーンが一番大きいわけでは必ずしもないので、そういったことも意識しつつ、彼ら彼女らに対する対応をどのようにしていくのかということを考えていきたいと思っています。
 
○小杉分科会長 ありがとうございます。
それは私がいつも言っていることなのです。40代の先頭というよりはもうちょっと後、40代の前半層、あるいは今まだ30代の後半にかかっているあたりのところまでが一番厳しかった世代だと思います。ほかにございますでしょうか。
ないようでしたら、この議題もここまでとさせていただきます。以上で議題はおしまいですが、委員の皆様から何かほかにございますか。ないようでしたら、本日の議論は以上といたします。
次回、第13回の日程につきましては、3月25日月曜日の15時からと予定されておりますので、よろしくお願いします。
また、きょうの議事録の署名委員ですけれども、労働者側は荘司委員、使用者側は河本委員、よろしくお願いいたします。
では、本日はこれで終了いたします。どうも御協力ありがとうございました。