第117回社会保障審議会医療保険部会 議事録

日時

平成31年1月17日(木)13:00~15:00

 

場所

全国都市会館

議題

  1. 1.平成31年度予算案(保険局関係)の主な事項について(報告)
  2. 2.新経済・財政再生計画 改革工程表2018について(報告)
  3. 3.医療保険制度の適正かつ効率的な運営を図るための健康保険法等の一部を改正する法律案(仮称)について
  4. 4.その他

議事

 

○遠藤部会長 それでは、定刻になりましたので、ただいまより第117回「医療保険部会」を開催したいと思います。
委員の皆様におかれましては、大変お忙しい中、お集まりをいただきましてどうもありがとうございます。
まず、本日の委員の出欠状況について申し上げます。
本日は岩村委員、岡崎委員、尾崎委員、原委員、望月委員より御欠席の御連絡をいただいております。
続きまして、欠席委員のかわりに出席される方についてお諮りをいたします。
岡崎委員の代理として村岡参考人、尾崎委員の代理として家保参考人、原委員の代理として中野参考人の出席について御承認いただければと思いますけれども、よろしゅうございますか。
(「異議なし」と声あり)
○遠藤部会長 ありがとうございます。
それでは、議事に入らせていただきます。
本日の議題は、まず報告事項といたしまして「平成31年度予算案(保険局関係)の主な事項」及び「新経済・財政再生計画 改革工程表2018」、また、審議事項といたしまして「医療保険制度の適正かつ効率的な運営を図るための健康保険法等の一部を改正する法律案(仮称)について」ということになっております。
それでは、初めに「平成31年度予算案(保険局関係)の主な事項」を議題といたします。
それでは、事務局から資料の説明をお願いします。
○鹿沼課長 資料1に基づきまして、御説明させていただきます。「平成31年度予算案(保険局関係)の主な事項」でございます。
1ページ目、各医療保険制度などに対する医療費国庫負担ということで、11兆6692億円、対前年度比で1.6%の増という形で予算を計上しております。特に来年度のポイントといたしまして、消費税率引き上げに伴う診療報酬、薬価等の改正ということで、診療報酬については、消費税の引き上げに伴いまして0.41%の増、また、薬価については、実勢価に応じた見直しと、あわせて消費税率の引き上げに伴う改定ということで三角0.51%、材料価格についてはプラス0.03%の増になっております。
また(2)国民健康保険への財政支援でございますが、対前年度比で250億円程度の増加ということで2604億円を計上しております。保険料の軽減対象となる低所得者層に応じた保険者への財政支援の拡充ですとか、保険者努力支援制度等を引き続き実施するために必要な経費を確保しております。
(3)被用者保険への財政支援でございますが、来年度につきましては、新規事項といたしまして、2番、健康保険組合連合会と連携しつつ、財政基盤の強化が必要と考えられる健康保険組合に対し、新たな相談・助言体制を構築するとともに、健康保険組合の行う財政健全化に向けた取り組みを支援するということで、18億円の予算を計上させていただいております。
2ページ目、医療分野のイノベーションの推進等ということで、まず(1)の1番でございます。後ほど説明させていただきますが、2020年度からの本格運用を目指すということで、医療保険のオンライン資格確認等システムの導入等について、システム開発のために必要な経費を確保するということで、今年度の44億円から、システム開発ということで318億円の予算を計上させていただいております。
また、データヘルスの分析関連サービスの構築に向けた整備ということで2億円の予算を計上しております。こちらにつきましては、NDBのデータと介護DBのデータの連結の関係で、先般、報告書のほうをおまとめいただきまして、そこでいろいろな課題の御指摘もいただきました。そういった課題を踏まえて今年度の12億円の予算について、一部執行をとめておりまして、そのとめたものを来年度に入れる形で、表面上は10億円の減になっておりますが、そうした検討会でいただいた報告を踏まえて見直しを行っているところでございます。
また、2ページ目の一番下のところで、消費税率引き上げとあわせて行う社会保障の充実ということで、先ほどのオンライン資格確認、こちらを円滑に進めるための経費といたしまして、医療ICT化促進基金ということで、300億円の基金を計上しております。
3ページ目、特に(2)の2番ですが、これも後ほど御説明させていただきますが、高齢者の保健事業と介護予防の市町村における一体的な実施といったものを進めていくために、先行的な取り組みへの支援ということで、来年度は6.1億円の予算を計上させていただいております。
以下、4ページ目につきましては、基本的には昨年度と同じような形で予算を計上しております。
また、参考資料1の6ページ目で、75歳以上の高齢者の医療保険料の軽減特例の見直しということで、法律上、低所得の方々に対しては2割、5割、7割の軽減を行っておりまして、これを予算上、さらに2割または1.5割、要するに、9割軽減、8.5割軽減ということでやっておりますが、こちらにつきまして、平成28年の社会保障制度改革推進本部の決定にありますように、均等割の軽減特例の見直しについては、低所得者に対する介護保険料軽減の拡充ですとか年金生活者支援給付金の支給とあわせて実施することとするということで、9割軽減の部分については来年10月から本則である7割軽減に戻すということで、また、8.5割軽減の部分については、こちらのところは年金の給付金がない方が多いので、もう1年おくらせて32年の10月から本則に戻すという形で見直しを行うこととしております。
予算関連については以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
それでは、報告事項ということでございますけれども、御意見、御質問等があれば承りたいと思います。いかがでございましょう。
佐野委員、お願いいたします。
○佐野委員 ありがとうございます。
今回、今、御説明がありましたように、来年度予算案においては、保険者機能強化支援ということで新たに措置をいただきまして感謝申し上げますけれども、ただ、概算要求から見ると減額になっております。また、残念ながら、今回の予算措置では健保組合の財政健全化にはまだまだほど遠いという印象を持っております。そういう意味で、拠出金負担を義務的経費の5割以内に抑えるためにも、翌年度以降、さらなる拡充をお願いしたいと思います。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
ほかに御意見、御質問はいかがでしょう。
村岡参考人、どうぞ。
○村岡参考人 ありがとうございます。
市町村の立場で、75歳以上の高齢者の軽減特例の見直しの件に関して、少し御意見を申し上げさせていただきたいと思います。
この件に関しましては、2年前の28年の当部会でも議論をされてきたところですけれども、今回、市町村の現場から申しますと、予算編成の過程である意味唐突感が否めないということはございますが、本年の10月からこの軽減特例の見直しを図っていくといった際に、現場で事務を行っていくのは市町村になりますので、市町村にとって負担の増加につながらないような措置はぜひとっていただきたい。
この部会の中でも、特に被保険者の皆さんに対する説明については十分事前に説明をして、後期高齢者医療制度発足のときのような混乱が生じないようにという意見も出てきておりますので、そういった点においては十分国において配慮していただきたいと思っています。
あわせて、10月からということでの実施でございますので、市町村の現場においてシステム等の対応が本当に十分できるのかどうかという不安もございます。もともと9割軽減と8.5割軽減ということで制度を導入しておりますので、改めて本則に戻すといっても、そのシステム改修の期間であったり、年間の通年保険料で算定して被保険者の皆さんには通知することにしておりますので、その通知の仕方をどのようにしていくのかも非常に大きな課題であろうと考えております。厚生労働省においては、できるだけ早く市町村の現場、また、広域連合の現場にしっかりと制度の詳細について説明をしていただきたいと考えています。
あわせて質問にもなりますけれども、この8.5割軽減については広域連合の判断に任せるという新聞報道もされておりましたが、先ほどの説明では1年間見直しはおくらせるという話なのですが、もともと国の制度で発足をしておりますので、各広域連合の判断に委ねるというのは本来的には望ましい姿ではないだろうと。被保険者の皆さんに対するきちんとした説明を行うためにも、国の制度として統一的な対応を図っていくことが基本にならなくてはならないと思いますので、その点の現時点での考えがありましたら、お答えをいただければと思っています。
8.5割軽減と9割軽減の制度の見直しをしたときに、被保険者の皆さんにとっては、本則の7割に戻したときと8.5割ということで逆転現象も生じてまいりますので、そういう点も含めて特に被保険者の皆さんに対して説明をする市町村の現場で混乱を生じないように、その点についても十分国のほうで被保険者の皆さんに対する周知徹底ということをお願いしたいと思います。
あわせて、システム改修の件についても申し上げましたけれども、システム改修に必要な広域連合の負担であったり、市町村のほうでの対応については、費用についても国のほうで負担していただきたいということを要望して、質問と要望とさせていただきます。
○遠藤部会長 貴重な御意見、ありがとうございます。
事務局、コメントをお願いいたします。
○込山課長 恐れ入ります。高齢者医療課長でございます。
ただいま御意見と御質問を頂戴いたしました。軽減特例の見直しにつきましては、先ほど総務課長からも御説明申し上げたとおりでございまして、ことしの10月から本則に戻させていただくという扱いにさせていただきます。
周知広報等の件でございます。予算編成の中でのいろいろな議論の結果でございますけれども、年末にまず広域連合の幹事会の皆様に当省にお集まりいただきまして、今回の改正の考え方や今後の実務上の手続等々について御説明申し上げました。そういったことを踏まえまして、ことしに入りまして早速事務連絡を発出させていただきまして、都道府県さんを通じて各市町村さんに伝えることができるように、また、広域連合にもその内容をお伝えさせていただいたところでございます。今後もさらに被保険者の方に対する周知広報等については、相当気を使ってやる必要がございますので、その点については皆様の御意見も頂戴しながらきちんと対応していきたいと思います。
8.5割軽減についてのお尋ねでございましたが、参考資料1の6ページにもございますとおり、本則上、ことしの10月から7割軽減に戻しますが、ただし、年金生活者支援給付金等のない低所得者の方であるということを鑑みまして、1年間8.5割軽減と本則との差を補塡するという扱いになっていますので、こちらは結果的に引き続き8.5割軽減を適用していただくという形で全ての広域連合さんにお願いしたいと考えてございます。
以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
村岡参考人、よろしゅうございますか。
ほかにございますか。
では、松原委員、それから、樋口委員の順でお願いします。
○松原委員 年金収入が少ない方に対しての軽減措置ですので、きちんと丁寧に説明しないと政治問題になりかねませんので十分そこに注意していただいて、最終的に戻すというのはわかりますけれども、段階的にゆっくりと戻されたほうがいいのではないかと思います。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
お待たせしました。樋口委員、どうぞ。
○樋口委員 ありがとうございます。
保険制度である以上、低所得者であっても一定の負担をするというのは、高齢者といえども当然のことと思っております。ただし、低所得者にとっては一般にほんのわずかと思われるものも大きな負担になりますのと、情報が届かないうちにいつの間にかこうなってしまったと思うことは負担感が大きいと思います。例えば、きのう、私のところに、これは介護保険料ですが、これからのあなたの介護保険料は幾らですよという改定の通知が参りました。9割軽減だった方の新しい負担に関してはどういう形で御通知が行くのでしょうか。できるだけ納得がいくように周知をよろしくお願いしたいと思います。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。
事務局、関連してコメントをお願いします。
○込山課長 恐れ入ります。高齢者医療課長でございます。
先ほどの御説明と重ねて恐縮でございますけれども、引き続き広域連合さんの御意見、市町村さんの御意見も踏まえ、どういった形で被保険者の方にきちんと情報が伝わるのか、これは考えていきたいと思います。また、こういった準備については早急に進めてまいりたいと思います。よろしくお願いいたします。
○遠藤部会長 よろしくお願いします。
ほかに何かございますか。よろしゅうございますか。
ありがとうございます。それでは、この件についてはこれぐらいにさせていただきたいと思います。
次に「新経済・財政再生計画 改革工程表2018について」、これを議題といたします。
事務局から資料の説明をお願いします。
○鹿沼課長 資料2をお開きいただけたらと思います。
2ページ目のところから、社会保障分野の関係でございます。2ページ目からしばらく続いているところにつきましては、取り組みごとに今回KPIというものを定めておりまして、第1階層というのは、例えば行政としてこれだけサービスを広げていきます、これだけいろいろなことをやっていきますという目標設定でございます。第2階層については、そういったサービスを広げていくことによってどういった成果が生まれてくるのか。そういったところを中心とした目標設定でございます。それが最終的には大きな政策目標につながってくる。こういう構造でKPIの設定を今回されております。
大変恐縮ですが、しばらくめくっていただきまして、本文のほうに移らせていただきます。20ページ目までこのKPIのものが続いていますので、20ページ目までおめくりいただいて、その次のページに予防・健康づくりの推進というところが出てきますので、そちらまでお願いできればと思います。
予防・健康づくりの推進のところから本文が始まりまして、「取組事項」のところには骨太の方針で書かれている内容、また「実施年度」のところで改革工程表ということで、2019年度、2020年度、2021年度に何をするかということがそれぞれ規定をされております。医療保険関係、いろいろなところにありますが、主なもの、特に論点になったものですとか、この医療保険部会でもよく御議論された話を中心に説明をさせていただきます。
右下の番号で5ページと書かれているところまでお進みいただけたらと思います。5ページ目につきましては、予防・健康づくりに頑張った人が報われるような制度を整備するという骨太の方針に従いまして、2019年度におきまして保険者機能を強化するとともに、保険者インセンティブ制度の加減算双方向での評価指標による財政的インセンティブ及び最近よく言われていますナッジの活用などにより、予防・健康づくりに頑張った者が報われる仕組みを整備という形で、2019年、そういった仕組みを整備するということで書かせていただいております。
6ページ目、6番のところには、先ほどもお話ししました介護予防と生活習慣病の疾病予防・重症化予防、こういったものを市町村が一体的に実施する仕組みの検討ということで、2019年度はまず先行的な取り組みを支援していく。2020年度には、後期高齢者医療制度の特別調整交付金といったものを活用して本格展開を実施するというようなことを書かせていただいております。
12ページ目につきましては、15番に医療機関と保険者・民間事業者等が連携した医学的管理と運動・栄養等のプログラムを一体的に提供する仕組みの検討ということを2019年度に検討すると書かれておりますし、また、17番のところ、保険者インセンティブの一層の活用ということで、保険者インセンティブ制度の加減算双方向での評価指標による財政的インセンティブの一層の活用、戦略的な情報発信などによる後押しにより、先進・優良事例の横展開を促進する。また、効率的・効果的なデータヘルスの普及に向け、評価指標や保健事業の標準化を検討する。こういったことが書かれております。
続きまして、23ページ目でございます。国民健康保険の財政の関係で、法定外繰り入れの解消といったことが骨太の方針の中に書かれております。この関係で2019年度につきましては、法定外繰り入れ等の解消期限や公費の活用等解消に向けた実効的・具体的な手段が盛り込まれた計画の策定を着実に推進するとともに、当該計画の策定状況・内容の公表を実施する。あわせて、2020年度以降の保険者努力支援制度において、市町村の取り組み状況を丁寧に反映しつつ、都道府県のかかわりを促進する観点も含め、加減算双方向での評価指標による財政的インセンティブの一層の活用を検討する。
こうしたことが2019年度に規定されておりまして、さらに2020年度につきましては、そういった2019年度のいろいろやった状況を踏まえながら、こういった計画の策定・実行を推進するとともに、国保都道府県単位化後の法定外繰り入れ等の状況を速やかに把握し、国保財政の健全化に向け、受益と負担のバランス等を踏まえつつ、地方団体等と協議し、その結果に基づき、より実効性のあるさらなる措置を講じていくということです。2019年度に行った状況を踏まえながら、さらに必要があれば2020年度以降も法定外繰り入れの解消に向けてさまざまなことを検討していく。その際には地方団体とよく相談しながらやっていくということが書かれております。
続きまして、24ページ目でございます。こちらにつきましては、まず一番上のところが地域独自の診療報酬の関係、また、31番のところについては、i、iiとありますが、多剤投与の適正化という関係があります。
35ページ目、国保の普通調整交付金についての見直しの検討ということでございます。2019年度のところで、骨太2020の取りまとめに向けて、普通調整交付金の配分について、所得調整機能の観点や加入者の性・年齢で調整した標準的な医療費を基準とする観点から、引き続き地方公共団体等と議論を継続していくことがこちらでも書かれております。
37ページ目、費用対効果の本格実施に向けた検討が46番の項目で書かれておりますし、また、その次の38ページ目につきましては、全品目の薬価改定の話が書いております。既に何度もお話をした話と同じでございますが、2019年度は消費税率引き上げに伴う薬価改定の実施を行うと。また、2020年度においては、2018年度から2020年度までの市場実勢価格の推移、薬価差の状況、医薬品卸・医療機関・薬局等の経営への影響等を把握した上で、2021年度における薬価改定の対象範囲について、2020年中にこれらを総合的に勘案して、具体的な範囲を設定すると。2021年度は最初の毎年薬価改定の実施ということが規定されております。
また、43ページ目以降につきましては、医療保険部会でも何度も御議論いただいた話が書かれております。給付と負担の見直しの関係であります。52番につきましては、所得のみならず資産の保有状況を適切に評価しつつ、「能力」に応じた負担の検討という話でございます。2019年度の項目のところですが、高齢者医療制度について、マイナンバーの導入等の金融資産の把握に向けた取り組みを踏まえつつ、医療保険・介護保険制度における負担への金融資産等の保有状況の反映のあり方について、早期に改革が具体化されるよう関係審議会等において検討ということです。それ以降のものもみんな同じなのですが、一つのターニングポイントとして、骨太2020に向けて検討を進めていく。骨太2020においてどういう書き方をしていくのか。また、項目によっては、それ以降も引き続き検討というものもございますので、2020以降も点線になっているという形でございます。
53番も改革工程表のところは2020年以降は同じなのですが、内容的に言いますと、後期高齢者の窓口負担についての話ですが、世代間の公平性や制度の持続性確保の観点から、後期高齢者の窓口負担のあり方について、団塊世代が後期高齢者入りするまでに早期に改革が具体化されるよう関係審議会等において検討とされておりますし、また、54番は薬剤の自己負担の話ですが、薬剤自己負担の引き上げについて、諸外国の薬剤自己負担の仕組み(薬剤の種類に応じた保険償還率や一定額までの全額自己負担など)といったことも参考としつつ、市販品や医療用医薬品との間の価格のバランス等の観点から、引き続き関係審議会において検討し、その結果に基づき必要な措置を講ずるとされております。
また、55番は外来受診時等の定額負担の関係ですが、こちらも2019年のところに書かれていますように、諸外国の例やかかりつけ機能のあり方を踏まえつつ、病院・診療所の機能分化・機能連携等を推進する観点から、大病院受診時の定額負担に係る対象範囲の拡大を初めとした外来受診時等の定額負担の導入・活用について、早期に改革が具体化されるよう関係審議会等において検討とされております。
また、56番は見える化の関係ですが、こちらは支え手の中核を担う勤労世代が減少しその負担能力が低下する中で、改革に関する国民的理解を形成する観点から保険給付率と患者負担率のバランス等を定期的に見える化しつつ、診療報酬とともに保険料・公費負担、患者負担について、早期に改革が具体化されるよう関係審議会等において総合的な対応を検討とされております。
また、次のページに進みまして、60番のところですが、「現役並み所得」の判断基準の見直しの検討のところでございます。年金受給者の就労が増加する中、税制において行われた諸控除の見直しも踏まえつつ、医療・介護における「現役並み所得」の判断基準の見直しについて、現役との均衡の観点から、早期に改革が具体化されるよう関係審議会等において検討とされております。
61番は費用対効果の関係の話ですが、医薬品や医療技術の保険収載の判断等に当たり費用対効果や財政影響などの経済性評価を活用し、保険対象外の医薬品等に係る保険外併用療養を柔軟に活用・拡大することについて、早期に改革が具体化されるよう関係審議会等において検討とされているところでございます。
46ページ以降につきましては、再生計画の改革工程表の全44項目、今までのものについての着実な推進ということで書かれております。基本的には今の給付と負担の見直しのところが大きな項目でございますし、また、その他、幾つかのところに医療保険関係は書かれているということでございます。
以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
それでは、御意見、御質問等があれば承りたいと思いますが、いかがでしょうか。
藤井委員、どうぞ。
○藤井委員 ありがとうございます。
改革工程表につきましては、予防・健康づくりや医療・福祉サービス改革の分野でデータヘルス改革のような新規項目が多数盛り込まれたことは評価に値すると考えておりまして、ぜひとも着実に取り組みを進めていただきたいと思います。
一方では、後期高齢者の窓口負担の見直しをはじめ、負担を伴う改革項目が先送りされてしまったことは大変残念でございます。給付と負担の見直しについては、社会保障制度をめぐる将来不安を払拭するために具体的な検討スケジュールを示した上で、早期に議論を開始すべきだと思います。あるいは、薬価改定につきましては原料の海外メーカーのシフトなど、見えづらいところでの信頼性低下も懸念されますので、ぜひ行き過ぎた薬価の引き下げについては十分に注意をお願いしたいと思います。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
ほかにいかがでございましょう。
安藤委員、佐野委員の順番でお願いします。
○安藤委員 ありがとうございます。
まず、資料2の43ページから45ページにかけまして、給付と負担の見直しに関する工程表が示されております。その中で医療関係が全て骨太の方針2020に向けて検討するということにされておりますが、医療保険部会で何ら議論することもなく、このような形で議論が先送りにされたことについては、非常に残念に思っております。
皆様も御存じのとおり、2022年には団塊の世代の方が後期高齢者になり始めるなど、今後医療需要がますます増大していくことが予想されております。医療保険の負担と給付の見直しは、待ったなしの課題であると考えております。
特に、先ほど藤井委員からもお話がありました後期高齢者の自己負担2割への引き上げや薬剤の自己負担の見直しなど、改革工程表に掲げられた項目について、医療保険部会において早急に議論を進めていただければと思います。
また、昨年5月にこの部会でお示しさせていただいたのですけれども、医療保険制度改革に関する被用者保険関係5団体の意見書も出させていただきました。その中に、持続可能な医療保険制度を構築していくに当たっては、現役世代の拠出金負担の軽減や、医療機能の分化、連携による医療の効率化や医療の地域間格差の是正、そして、人生の最終段階における医療のあり方の見直しなど、検討すべき課題が山積しております。この改革工程表の中にもそれらも一部含まれておるのですが、それらの中に含まれていないものもございますので、しっかりと適切な場で議論がされることを改めて強くお願いしたいと思います。
もう一つ、国民皆保険制度の持続可能性を高めるために、さまざまな角度から今回掲げられました改革工程表の中の全てが実際に具体的に実施されないと意味がないと思いますので、そこの部分で我々医療保険者ができることにつきましては、我々医療保険者もしっかりとやっていきたいと思いますので、今後ともよろしくお願いします。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
それでは、佐野委員、お待たせしました。
○佐野委員 ありがとうございます。
安藤委員とかぶるところもございますが、やはり給付と負担の見直しの関連項目については、主な項目の検討スケジュールに骨太2020との記載が入っております。一方で、我々健保連が従来から主張してきた部分でありますが、高齢者の窓口負担の問題については、この資料の43ページにもございますように、団塊の世代が後期高齢者入りするまでにと書かれております。団塊の世代が後期高齢者入りするのは2022年からでありますので、その前に改革の道筋、これをつけるべきであると思います。今、もう2019年ですので、たった3年しかないということになりますし、そう考えると、スケジュール的には大変厳しいと言わざるを得ません。この問題の緊急度の高さを認識した上で、早期に実現するように取り組むべきだということを改めて申し上げておきたいと思います。
45ページの項番60の「現役並み所得」の判断基準の見直し、これは今回、改革工程表に新たに入った項目だと思います。判断基準の見直し自体については賛成でございますが、以前も申し上げましたように、現行制度の中で言いますと、後期高齢者の現役並み所得者に対しては公費が投入されておりません。したがって、現役並み所得者が増えると、現役世代の負担が増えるということになります。そういう意味で、現役並み所得者の給付に対しても公費負担を行うことは不可欠だと考えます。現状、介護保険制度においては公費が投入されていることとの兼ね合いも含めて、ぜひお願いをしたいと思います。
もう一点、前に戻りますが、23ページです。国保財政の健全化に向けての取り組みでございます。現在、国保に対しては毎年3400億円が投入されていますが、その公費の半分は後期高齢者の全面総報酬割に伴う国費負担の軽減によって生じた財源となっております。この財源を有効活用するのは当然でございますが、保険料収納率の改善とか保険料率の見直しによって赤字を解消することによって、この法定外一般会計繰り入れを計画的かつ確実に解消すべきと考えます。少なくとも新工程表にこれが入ったことについては評価をしたいと思います。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
それでは、南部委員、松原委員の順番でお願いいたします。
○南部委員 ありがとうございます。
私のほうからも給付と負担の見直しについて、質問と御意見を申し上げます。
まず、質問でございますが、各項目についてそれぞれ検討するという記載がありまして、この検討に向けた調査・分析もあわせて必要かと思います。具体的にいつごろ議論を開始するかというスケジュール感をお教えいただきたいというのが一つです。
その上で、給付と負担の見直しについては、国民一人一人の生活に直結するものであると考えております。調査・分析は丁寧かつ正確に実施していただく必要があると考えますし、また、議論は十分な時間的余裕を持って早期から論点の整理、または調査設計を行っていくべきと考えておりますので、しっかりと対応をお願いしたいと思います。
以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
それでは、事務局、お答えをお願いします。
○鹿沼課長 検討の時期につきましては、それぞれの項目の表現で違いは出てくると思いますが、特に給付と負担の見直しにつきましては、2020年度の骨太を意識しながら2019年度に検討していくことになろうかと思いますので、関係審議会ということでこういった医療保険部会も含め、来年度いろいろ御議論をいただきたいと思っております。また、私ども事務局といたしましても、そういった検討ができるように資料をきっちり整えたいと思っております。
1点だけ、委員提出資料ということで、きょう、望月先生が御欠席されていますが、資料2及び資料3の関係で提出されておりますので、御紹介をさせていただきます。
以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
それでは、松原委員、お待たせいたしました。
○松原委員 これを見ますと、これまで議論し尽くして、一応結果が出てきたものもかなりあるように思います。これはもう十分議論しているところでありますので、ただ、新しい資料が出て、何か新しい知見が出たというのであれば十分それについて議論しなければならないと思いますが、一定の結果が出たものがかなり入っているのではないかと思います。
もう一点、国民皆保険制度は持続可能なとおっしゃるわけですけれども、国民が安心して国を信頼できる制度でなければ安かろう悪かろう、あるいは負担をいっぱいして、それでも十分な医療が受けられないようなものをつくってはいけません。そこのところを十分踏まえて議論していただきたいと思います。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
ほかにいかがでございましょう。
兼子委員、どうぞ。
○兼子委員 今も松原先生から前にも議論していたということですけれども、高齢者の負担の問題なのですが、所得の点で言いますと、この20年間、ようやく20年前に近づきつつあると。これは全世帯も同じような傾向かと思いますけれども、ただ、一つ大きく変わってきている問題で言いますと、高齢者世帯の中で、ひとり暮らしの世帯がたしか2割を超えていると思います。それから、高齢者夫婦のみの世帯を入れると5割を超えているわけですね。ですから、生活形態によって単純に所得金額だけでははかれない負担があるということと、年収200万以下の高齢者が大変多いわけです。
前にも発言しましたけれども、その場合、何が削られていくのか。医療費の我慢をする、あるいはつき合いを制限する。これから高齢化社会が進んでいくわけですけれども、そういったつき合いが減っていくということは、情報から切り離される、孤立化といった問題が出てきますので、私は逆の形でむしろ社会的なリスクは大きくなると思います。こういった窓口負担ということではなくて、医療の負担全体をどうしていくのか。前回も発言しましたけれども、例えば国民健康保険、その担い手が全く変わっているわけですね。かつては農林漁業従事者あるいは自営業者が主でしたが、それが今はその数はかなり減り、非正規雇用者が増えているわけですので、そういう意味で保険料の負担のあり方全体を見直す時期に私は来ているのだと思います。
もう一点触れさせていただきますと、例えば国保にしろ、基本的には医療費の負担は所得水準によって定額になっていますけれども、こういった社会保障の関係、公的な社会保障の負担について言えば、これはもう強制加入で税と大きく変わらない問題なわけですね。ですから、ある意味では上限についても定額で金額で縛るのではなくて、率で保険料を負担するとか、そういうことをやっていかないと根本的な財源の問題の解決にならないのではないかと思います。
そのような点で、特にこの負担の問題、あるいは私は余り知識はないのですけれども、資産の問題ですね。この辺については、ある意味では現状としては相続税等が緩くなっていることに大きな問題があるように思うのですけれども、本来ならば相続税で補足すべきことが、さまざまな制度の中でその資産をどう見ていくのかというやり方が本当にいいのかどうか。ここは本当に主観的な私の感覚ということで発言させていただきました。
以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
ほかに何かありますか。よろしゅうございますか。
ありがとうございました。御意見が特段ないということで、本議題についてはこれぐらいにさせていただきます。
次に「医療保険制度の適正かつ効率的な運営を図るための健康保険法等の一部を改正する法律案(仮称)について」、これを議題といたします。
事務局から関連の資料の説明をお願いします。
○鹿沼課長 私どものほうで、次期通常国会に法律案を出そうと思っているものでございます。
1ページに全体の概要が書かれておりますが、今、部会長からもお話がありましたとおり、医療保険制度の適正かつ効率的運営を図るための健康保険法等の一部を改正する法律案ということでございます。内容的には幾つかの事項が入っておりまして、一つはオンラインの資格確認の関係、もう一つはNDB、介護DB等の連結解析の関係、3つ目が高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施の関係、4つ目が最近外国人の話がいろいろ言われていますが、被扶養者等の要件の見直しの関係、5つ目が審査支払機関といったものの機能の強化の関係、主にこの点が今回の改正の内容になります。
2ページ目以降、それぞれについての資料をつけさせていただいております。2ページ目、オンラインの資格確認の導入の関係でございます。被保険者の資格の確認につきまして、マイナンバーカードですとか、また、保険証といったもので資格確認をしていこうと。あわせまして、保険証につきましては、今、被保険者記号・番号については世帯単位になっておりますが、これを個人単位にしていくということでオンラインでの資格確認を可能としていこうと思っております。
また、こういったことを支援していくために、医療機関のほうでシステム整備ですとか、また、カードリーダーとかといったものが必要になっていきますので、これは次の3ページ目にも書かれておりますが、医療情報化支援基金をトータルで300億円ほどつくりまして、そのお金で医療機関等の支援をしていきたいと思っております。
こういったオンラインによる資格照会が進むことによりまして、支払基金・国保中央会におきまして、資格情報、履歴管理、資格確認の導入が行われ、期待される効果といたしまして、資格の過誤請求等の削減ですとか事務コストの削減、こういったものが図られるのではないかということを考えております。
また、被保険者記号・番号について個人単位化していくということで、そういったことから、よりプライバシーの保護を強化していこうということで、被保険者記号・番号の告知を要求することを制限する。2ページ目の資料の真ん中ぐらいのところに告知要求制限の内容ということで、基礎年金番号とか個人番号にも同様の措置がございますが、健康保険事業とこれに関連する事務以外に、被保険者記号・番号の告知を要求することを制限する。また、健康保険事業とこれに関連する事務以外で、業として、被保険者記号・番号の告知を要求する、またはデータベースを構成することを制限するということで、これらに違反した場合については、最終的には罰則が設けられるといった規定を法律上位置づけようと思っております。
また、3ページ目がこういったオンライン資格確認を支援するための基金の創設の関係でございます。先ほど予算のところでも説明させていただきましたが、31年度予算案ということで300億円を計上しておりまして、オンラインの資格確認の導入に向けて保険医療機関ですとか薬局での初期導入経費を補助する。また、電子カルテの標準化に向けた医療機関の電子カルテシステム等の導入の初期導入経費も補助する。こういったことで300億円を計上しております。実際の事務につきましては、支払基金さんにもお願いしまして、医療機関から申請いただき交付するという形で考えております。
4ページ目、NDB、介護DBの連結解析の関係でございます。医療保険部会におきましても何度か議論もいただきましたし、また、報告書の説明をさせていただきましたが、連結解析を今後進めていこうと思っておりまして、また、その連携解析したデータについて、第三者提供についてもきちんとし、こういった有用性のある情報が公益的に活用されるようにしていこうと思っております。こういった第三者への情報を提供できることを法律上明確化するということが、一つ法律事項でございますし、また、そういった第三者に提供するということになれば、提供された方々がきちんとその情報を適切に管理していただくことが大事になってまいりますので、4ページ目の(2)にありますように、情報の提供を受けた者に対し、安全管理等の義務を法律上課す。また、特定の個人を識別する目的で他の情報との照合を行うことを禁止するといった規定を設けて、それに違反した場合は罰則等についても課すことになります。
また、(3)にありますように、こういった情報の提供を受ける者から、実費相当の手数料を徴収するですとか、国民保健の向上のための重要な研究等については、この手数料を減免することができる。そういった手数料の規定についても法律上位置づけることとしております。
あわせまして、NDBと介護DB、いずれも匿名の情報なのですが、DPCデータベースにつきましても匿名の情報でございまして、こういったものもNDB、介護DBと同じように連結していこうということで、同じような規定も置かせていただいております。
5ページ目、NDB、介護DB、また、DPCのデータベースのそれぞれの概要について参考としてつけさせていただいております。
6ページ目から、高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施ということで、6ページ目の資料につきましては、この部会でも何度か御説明をさせていただいておりますので、説明は省略させていただきますが、私ども、保健事業と介護予防の一体的な実施ということで、ここに書かれているような事業の展開をしていきたいと思っております。
そういったことを進めるために、7ページ目が今回の法律事項を中心に書かせていただいております。市町村における高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施を進めるという観点で、国におきましては、保健事業の指針において一体的実施の方向性を明示する。これが法律事項でございます。あわせまして、特別調整交付金の交付とか、先進事例に係る支援、こういったものについてもしっかりやっていきたいと思っています。
また、広域連合におきましては、広域計画というものを策定することになっておりますが、その中に広域連合と市町村の連携内容を規定していただくというように考えております。また、データヘルス計画に事業の方向性を整理とか、専門職の人件費等の費用交付ということをお願いしたいと思っております。
また、法律事項で、広域連合は市町村に対して、こういった事業を委託することができるというのを法律上規定しておりますし、また、その委託を受けた市町村におきましては、一体的実施に係る事業の基本的な報酬を作成すること、市町村が介護の地域支援事業・国保の保健事業との一体的な取り組みを実施すること、広域連合に被保険者の医療情報等の提供を求めることができる。こういったことを法律的に規定しようと思っております。
さらに、国保中央会さん、国保連合会さんのほうには、データ分析手法の研修・支援、実施状況等の分析・評価といったことを行っていただきまして、データ面でこういった事業の実施に向けて必要な援助を行っていただければと思っております。また、こういった事業を行うに当たっては、全て行政で行うだけでなくて、事業の一部を民間機関に委託することができると。この資料の右下のところにありますが、そういったことも法律上位置づけようと思っております。
一体的実施については以上でございます。
8ページ目からが、被扶養者等の要件の見直しについてでございます。課題のところにありますが、グローバル化が進展する中で、医療保険に関しまして、生活の拠点が日本にない、日本に一度も来たことのない方が健康保険の給付を受けることができるといった問題が指摘されております。また、本来加入資格を有しない外国人が、不正な在留資格により、国保に加入し給付を受けている可能性がある。こうした課題が指摘されております。
こうした課題を踏まえ、その対応方針といたしまして、まず、被扶養者認定においては、国内居住要件を設けようと思っております。健康保険の被扶養者の認定において原則として国内に居住しているということで、被扶養者の要件に日本に住所を有する者であることを追加しようと思っております。
また、たまたま日本に住所がないだけで、本来日本にずっといらっしゃる。それが、ある時期、外国に行っていらっしゃるというケースもありますので、例えば留学生のケースが考えられますが、留学生、その他日本に住所を有しない者のうち、日本に生活の基礎があると認められる者についても、例外的に要件を満たすこととするということで、こうした方については被扶養者から外さないという形で考えております。
もう一つポイントになりますのは、これはあくまで内外無差別でございますので、日本人におきましても、外国人におきましても、同様の規定を適用するという考え方で考えております。
市町村における調査対象の明確化ということで、日本人を含む国保被保険者の資格管理等の観点から、市町村が関係者に報告を求めること等ができる対象として、被保険者の資格の得喪に関する情報を追加し、市町村における調査対象として明確化するということを行うことで、市町村のこういった調査対象権限を強化していこうと思っております。
9ページ目は参考でございますけれども、あくまで今回法律事項ということではございませんが、いろいろ外国人材の受け入れに絡めて医療保険関連で言われていることについての対策でございます。
1番が、社会保険への加入の促進ということで、2番目のポツにありますが、法務省さんにおきまして、保険料を一定程度滞納した者からの在留期間更新許可申請といったものを不許可とする等の対策を講じるという話がございます。
また、2番でございますが、在留資格の本来活動を行っていない可能性があると。こうした考えられる場合には市町村が地方入国管理局に通知する枠組みについて、今までやってきたことに加えて通知対象を拡大するということで、厚労省と法務省サイドの連携枠組みの強化を図っていきたいと思っています。
また、出産育児一時金等につきましても、請求に必要となる書類について統一化を図るとともに、審査をより厳格化していこうと考えておりますし、また、他人の保険証を使って成り済ましになっているのではないかという指摘もありますので、そういった成り済まし対策として、医療機関が必要と判断する場合には、被保険者証とともに本人確認書類の提示を求めることができるよう、必要な対応を行う。こうしたことを進めているところでございます。
10ページ目、6番ですが、審査支払機関の機能の強化ということであります。規制改革実施計画、昨年6月に閣議決定されたものですが、その中で支払基金の関係で、支部の最大限の集約化・統合化の実現を前提に集約化のあり方を検証し、それを踏まえた法案提出を行うとされております。
こうしたことを受けまして、私どもとしては、今回の支払基金の改正ということで、今まで支部長が担っていた権限を本部に集約して、本部によるガバナンスを強化していきたいと。また、現行法上、支部の都道府県必置規定、つまり各都道府県ごとに支部が置かれていますが、そういった支部について廃止をしていきたいと思っています。一方で、本部の事務執行機関として審査事務局を設置し、審査委員会につきましては、これまで同様、各都道府県ごとに審査委員会を置いて、その審査委員会のフォローをこの審査事務局において行っていただこうと思っております。
また、職員によるレセプト事務点検業務といったことにつきましては、今まで各都道府県単位の支部で行われていたものを、全国10カ所程度の審査事務センター、こういったところに順次集約していき、支部ごとにいろいろ違っているのではないかと。そういったことをなくし、審査結果の不合理な差異の解消に向けた取り組みを加速化していきたいと思っております。こういったことにつきまして、それぞれ現行から見直し後の姿ということでポンチ絵が下のほうに描かれておりますので、御参照いただけたらと思います。
また、11ページ目のところに、審査支払機関の機能の強化で、今、お話ししたこと以外のことを幾つか法律上改正をしようと思っております。一つは、いわば当たり前のことかもしれませんが、非常に古い法律でもありまして、余り理念規定などはきちんと整備されておらないところがありますので、基金の業務運営に関する理念規定というものを創設していきたいと思っております。
また、支払基金におきまして、レセプトとか特定健診等の情報といったものもたくさん持っておりますので、国民の保険医療の向上及び福祉の増進に資する情報の収集、整理及び分析等に関する業務を追加していきたいと思っております。
また、手数料につきましては、これまではレセプトの枚数を基準に設定することになっておりましたが、一つ一つのレセプトによりまして、大分手間暇が違う部分もございます。そういったことを踏まえまして、レセプトの枚数や審査内容等を勘案し設定することができるという形に変更しようと思っています。
また、審査委員の委嘱に関する事項につきましては、診療担当者代表、保険者代表、学識者経験者代表、この三者同数という規定がございましたが、実務上、学識者経験者はなかなか集まらないとか、いろいろ問題も言われておりますので、基本的に診療担当者代表と保険者代表のみ同数とするように見直しを図っていきたいと思っております。
12ページ目、国民健康保険法の改正で国保連合会の改正内容が書かれています。基本的には先ほど言いました支払基金の改正内容とパラレルのような形になっておりますので、後で御参照いただけたらと思っております。
以下、13ページ目には、参考といたしまして診療報酬の請求から審査支払までの流れ、また、14ページ目には、支払基金と国保団体連合会、この概要についてそれぞれ参考資料をつけさせていただいております。
15ページ目に、その他として、少し細かい話で恐縮ですが、総務省さんからあっせんを受けた内容がございまして、そういったことを今回法律上、見直しをしようと思っております。具体的に言いますと、未適用事業所が遡及して社会保険に加入するといった場合なのですけれども、適用されたことによって、事業主さん、また、被保険者の方々については、時効が2年ですから、2年にさかのぼって保険料をお支払いいただくことになります。
一方で、被保険者の方々はその間は被用者保険ではなくて国保のほうに入られていることになりますが、その国保については保険料をお返しするということになります。ただ、国保のほうと被用者保険のほうで、時効自体は2年なのですが、そこの期間の取り扱いは若干違いがございまして、被用者保険についてはこの下のポンチ絵みたいなものがありますが、2年分きっちり保険料をお支払いいただく。
一方、国民健康保険については、これはあくまで例えばということですが、29年の8月1日に資格喪失届が出された場合は、そこから2年前の27年の8月10日までになるのですが、27年度の保険料というのが、通常、自治体では6月30日が第1期の納期になっておりまして、その翌日の7月1日、この時点が2年よりもさかのぼってしまうと、27年度の保険料が丸々お返しできない状況になっています。どういうことかといいますと、この場合で言えば、要するに、結論から言えば、27年度の保険料について、被用者保険のほうでは保険料をお支払いいただき、国保のほうではお返しできないという形で、保険料を二重に払ってしまうということになっております。
こういったことの見直しをしようということで対応のところに書かれていますが、被保険者の責めに帰することができない事由によって健康保険法等との適用関係の調整を要することが後に判明した場合、保険料の二重払いが生じないよう、当該年度の最初の保険料納期の翌日から2年経過した後であっても、国民保険料を減額する賦課決定をすることができることとするということで、こういった二重払いを解消していきたいというものでございます。
以上、今回私どもが考えている法律の全体的な概要でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
法律の改正案についての御紹介でありますけれども、中には本部会でも随分議論されてきたこともありますが、物によっては余り議論されていない事項もあったかと思います。いろいろと御質問、御意見はあるかと思いますので、いかがでございましょうか。
それでは、遠藤委員、佐野委員、安藤委員の順番で、まずこちら側からお願いします。
○遠藤委員 ありがとうございます。
まず、今回のオンラインのところでのお話ですけれども、病院関係ではオンライン請求が進んでおりますが、診療所等ではまだ充分にできておらず、零細な医療機関においてはなかなか進んでいない中で、このポンチ絵の中で保険証または個人番号カードで受診するという形で書かれているのですけれども、病院は別として、診療所ですとどこがそれに対応しているのかどうかはなかなかわかりにくいところもありますし、患者さんが迷われる。受けるほうも対応できていないところがカードで来られてもそれはできないということもありますので、混乱のないように進めていただきたいという点が一つです。
高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施というのは、当然こういった事業をされることには大賛成でございますけれども、もともとそれぞれの国民の方々の健康は高齢になってから問題になるわけではないので、当然のこととして乳幼児から高齢者まで一貫した健康の管理、それぞれのライフステージに応じて適切なサービスがなされることが重要だと思っております。ただ、実際には乳幼児の健診、または学校健診、その後の成人健診を含めて、所管が異なったり、また、省庁が異なったり、法のたてつけが異なるということで、ばらばらになってつながっていないということは前回御意見として申し上げたのですけれども、そういったことは法的にまたは制度的に本来行政の対応でできる部分ではないかと。そういったことをやった上で、こういった高齢者の部分の対応を進めることがより効果的ではないかと思いますので、ライフステージに応じた生涯を扱うようなデータの連携をお願いしたいということがございます。
その後の最後の支払機関の機能強化のところで、既に発表されているとは思うのですけれども、事務的なところを統合することは結構だと思うのですが、審査会は現状で都道府県に置かれることが決まっているのですけれども、都道府県の審査会が最終決定を出すということでよろしいのだと思っていますが、それは確認したいと思います。屋上屋を重ねることがないようにということでお願いしたい。また医療においては信頼関係が大変重要であり、医療機関にとっても、この三者構成の審査会が都道府県に置かれていることが大きな信頼の元となっている。というのは、医療行為というのはそれぞれさまざまな条件があって個々の事例で異なってくる部分がかなりあるし、都道府県の審査会というのは割と都道府県の医療状況を把握しているという中で三者構成の適切な判断、またスムーズな運営ということが信頼を受けているということで、よろしくお願いしたいと思います。
追加で最後のところで、その他の説明の中で遡及した問題が出てきますけれども、これは保険者と被保険者だけの問題ではなくて、医療機関では当然遡及されますと、受診時確認した保険証は無効になるわけなので、非常にトラブルのもとで、実際にこれで返戻なり、場合によると新たな保険者がわからなくて請求できないまま宙に浮くということもありますので、この辺は適切に対応していただきたいと思います。
以上です。
○遠藤部会長 それでは、審査体制について御質問がありました。それに関連して、ほかの御発言のコメントがあればまたおっしゃっていただければと思いますけれども、いかがでございましょう。
事務局、どうぞ。
○原田推進官 医療保険制度改革推進官でございます。
今、遠藤委員から、審査委員会の審査の決定については今後どうなるのかという御質問がありましたが、今回、審査委員会については地域医療の特性等を踏まえ、47都道府県に置くということにしております。審査の決定についても現行は各都道府県の審査委員会で決定しておりますが、今後についても同様の形で、各都道府県の審査委員会において決定していただくことを考えております。
以上です。
○遠藤部会長 遠藤秀樹委員、よろしいですか。
それでは、お待たせしました。佐野委員、どうぞ。
○佐野委員 ありがとうございます。
3点ほどコメントしたいと思います。まず1点目は、資料2ページのオンライン資格確認のところでございますが、今回、マイナンバーカードの活用を明確に打ち出したことについては評価をしたいと思います。もちろん、マイナンバーカードの普及を図っていかなければいけないというのは当然だと思います。その上で、この資料の中にありますプライバシー保護の観点から健康保険事業とこれに関連する事務以外に、被保険者記号・番号の告知を要求することを制限するとございますけれども、これ自体に異論はないのですが、現実問題としては既に医療保険の資格確認以外に、例えば運転免許証ですとかパスポートに準じた形でもって、本人確認書類として相当幅広く用いられているという現状があると思います。したがって、そういった状況も踏まえて周知等をぜひお願いしたいと思います。
2点目は、8ページの被扶養者等の要件の見直しのところですけれども、被扶養認定においては、従来から我々健保組合としても大変課題であった部分でございますので、今回国内居住要件、これを設定することについては基本的に賛成でございます。ただ、例外的な取り扱いを省令で定めるとありますが、実態も踏まえてぜひ丁寧に検討いただきたいと思います。
一方で、従来から積み残しになっているという部分で言いますと、任意継続制度等々といった課題もございます。今回、こういった見直しは入っていないのですが、早期に検討を進めていただきたいと思います。
3点目は10ページの審査支払機関の機能の強化です。この支払基金の見直しについても我々健保連が今まで要望してきた項目が相当入っておりますので、評価をさせていただきたいと思います。そういう意味で、今回の改革によって支払基金の効率化をはじめとする機能強化、これが図られることに期待したいと思います。
また、その上で、ここにもありますが、データ分析等における新しい業務ですとか、手数料設定方法の見直し、こういったものにもつなげていってほしいと思います。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
では、お待たせしました。安藤委員、どうぞ。
○安藤委員 ありがとうございます。
私からも数点コメントさせていただきたいと思います。
まず、オンライン資格確認の導入につきまして、前回のこの部会におきまして、法的な整備を要するものではないかと思われる2点について意見を述べさせていただきました。1点目はオンライン資格確認など、医療のICT化等に関する関係者の協力規定の整備についてということで申し上げさせていただいたのですが、資料3の2ページ(1)の2番のとおり、法案に盛り込んでいただきまして、感謝申し上げたいと思います。協会としてはしっかりと対応させていただきたいと思っております。
2点目なのですが、審査支払機関での資格確認の結果、受診日時点で資格喪失していたことが判明した場合であっても、新しい資格情報がない場合については、旧保険者に請求をするという運用に関する法的な整備についてでございます。この点につきましては、御検討いただいたのかどうかということ、そして、その結果、法案に盛り込むことができないという結論に至ったのかどうかにつきまして、まず質問をさせていただきたいと思います。
○遠藤部会長 事務局、どうぞ。
○原田推進官 医療保険制度改革推進官でございます。
前回の部会におきまして、安藤委員より、新しい資格情報がない場合について審査支払機関が旧保険者に請求するという運用について、法的に整備することを検討してもらいたいという御意見をいただきました。それを踏まえまして、我々のほうでも鋭意検討を進めてまいりましたが、以下の点から課題が多く、今回は法的根拠を整備することは難しいのではないかと考えております。
その理由につきまして御説明いたしますと、まず1点目ですが、健康保険法自体、基本的には正しく運用されていることを前提に規定を整備しております。こうした中で、今回のような、そもそも請求先が間違いであるといった正しい運用がなされていない状態を前提にして規定を設けることは、現行の法体系の中では難しいのではないかということがあげられます。
また、審査支払機関からの請求先の変更を法令で規定する点については、実際は審査支払機関と保険者の関係は法律上の関係ではなくて、民法上の委託関係で定められており、請求先の変更は本質的には委託関係の中で整理すべき話でありますので、それを法令上位置づけるのは、なかなか難しいのではないかということです。
最後に、この審査支払は本来保険者がやることになっており、それを委託できると規定されている中で、先ほど申し上げたように審査支払機関とは民法上の委託関係で審査支払が行われているものでございます。一方、保険者の委託関係がない場合にどうなるのかというと、医療機関は直接保険者に請求する形になるわけですけれども、そうなった場合、医療機関は、例えば今でも受診日が被保険者証の回収後であるなど医療機関に瑕疵があるのではないかと想定される場合には、保険者から医療機関に返戻して、それで医療機関が過誤払いの調整をことが実務上行われているのですが、今の議論は医療機関で全く瑕疵がない、すなわち医療機関が正しい保険証を確認して請求している場合についても、保険者に支払いの義務づけを法令上で整備する話ですが、そもそもそれは当然の話であり義務づける必要性があるのかという点も課題としてあるのではないかと考えております。
以上のような考えで、今回、法律に盛り込むことはしなかったということでございます。
○遠藤部会長 安藤委員、どうぞ。
○安藤委員 御検討いただいたことにつきまして、本当にありがとうございます。
ただ、法案に盛り込むことができなかったということで、我々もこれからどういう対応をしようかとは考える必要があるのですけれども、我々としては何の根拠もなく保険者が支払う理由はなく、それで事業主とか加入者のほうから御理解も得られないだろうということは、その問題については余り変わらないので、引き続き厚生労働省さんといたしましては、また何らかの担保ができるような形の御検討をいただければとは思います。よろしくお願いします。
もう一点、被扶養者要件の見直し等についてなのですけれども、昨年5月のこの部会におきまして、外国人の方の医療保険の適用について御意見を申し述べさせていただきました。今回の資料3の10ページのとおり、被扶養者要件の見直しなどを法案に盛り込んでいただきましたことにつきましては、感謝したいと思います。
その上で、来年の4月1日施行ということになるのですけれども、施行までの間に既存の加入者が国内居住要件を満たしているのかどうかを確認して、満たしていない方については被扶養者資格の喪失の手続をする必要がございます。施行までに向けた準備がかなり出てくると思いますので、ここの部分につきましては、できるだけ早目に御検討いただいて、準備の時間をいただければと思っております。これはお願いでございます。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
事務局、何かコメントはありますか。
○原田推進官 オンライン資格確認の関係については、我々としても、全体的な事務フローがどうなるのかということは明らかにしていかなければいけないと思っていますし、その中でどういうことができるのかも考えてさせていただきたいと思います。
以上です。
○安藤委員 ありがとうございました。
○遠藤部会長 よろしいですか。
それでは、今度はこちら側へ行かせていただきます。
横尾委員、堀委員、南部委員の順番でお願いします。
横尾委員、どうぞ。
○横尾委員 ありがとうございます。横尾です。
6点意見があります。一つはオンライン資格確認です。これは画期的な新しいスタートだと前から認識をしているところです。マイナンバーの活用としても非常に意味があります。この先にはおそらくマイナンバーフル活用の社会が未来に予測されていると思います。他国もそうであるように、ぜひ将来のAI、ICT、IoTを活用する時代はどうあるべきかを見据えながら、今回のキックオフをうまくできるように頑張っていただきたいと思っていますし、我々も協力すべきはしていきたいと思っています。
2点目はNDB関係です。この国ではまだ人生のライフステージに合わせた健康データが必ずしも一気通貫で本人とリンクされていない状況が続いているので、かねてより改善すべきと思っています。私どもはその小さな取り組みとして、乳幼児医療、学校保健医療、その他に関して横につなげるような事業を行うべきだと実験的にしているのですが、国においても、個人においても、生まれてから天寿全うするまでの自分が受けた健康診査等に関するデータは自分でも確認ができるとか、それを医療とか健康指導に活用できるように、将来を想定して、そのことが可能になるようなリンクをしていくということをぜひお願いしたいと思っています。これは国で音頭を取ってやってもらったほうが早く解決できると思います。
また、そのことによって大変大きなメリットがあると思っています。具体的には、地方公共団体でこのデータを活用できるようにしてほしいということです。メリットは二つ。一つはビッグデータとして匿名で結構ですので、活用することで、住民の方の、国民健康保険のみならずその他の健保に入っていらっしゃる方々の健康状況もわかりますので、行政として責任のある保健指導や健康戦略をつくることができるという意味があります。
もう一つは、例えば保健指導を個々にやる場合、データがはっきりしますので、こういうことであなたは数値が悪いのでこう改善すべきと、個別指導が有効にできます。ぜひそういったためにもNDBのよりよい活用ができるような状況を見据えてやってほしいというのが2点目です。
3点目は支払基金制度ですね。これは13ページにも作業のフロー図が出ています。これを見ると、支払基金も国民健康保険も両方とも同じようなことをやっているわけですね。今回は支払基金のほうの改善強化をしていくような御説明をいただいたのですけれども、将来に向けて国民健康保険も合わせて、日本国としてこういった同じレセプトから同じような作業をするのであれば、より合理的な方法をどうするのか、そのことによって社会的なコストを落として効果を高めて、みんなで健康のデータをシェアしてやっていくにはどうするのか、そういったことをぜひ見据えた議論をやっていただきたいと思っています。
なぜならば、第4次産業革命という世界経済会議のレポートが出ていますが、これから2050年に向けてさまざまなことが実装できる可能性のある技術がどんどん出てきています。AIとIoTがもっともっと活用されるようになると思います。そうすると、事務的な判断等については、かなりAIを使ってやるようになると思うのですね。以前もお話ししたかもしれませんが、例えば医療でも緑内障の検査は何十万という過去データから数分で判断ができて、疑似の方はドクターにかかればより早く見つかるということがあります。事務的にもそういう検査を生かしてやっていく時代だと思いますので、そういったことを将来に想定していくと2つの保健連携ネットワーク、審査機関はもっともっと合理的にできるのではないかということを、ぜひ今後も引き続き厚労省で検討し、御指導をいただければと思っています。
15ページ、その他のところでございます。先ほど国民健康保険と健康保険の二重支払いの件が問題だということが出ていました。7の項目です。お話を聞いていて思ったのですけれども、だったらもうプログラミング化して、ソリューションを考えて道筋を立てて迅速に実行するということをつくっていただいて、表現は粗いですけれども、手計算でなくて自動的に峻別して、そのときにちゃんとカバーできるようにしていけば、もっともっと迅速、的確にできると思います。そのことを想定されていると思いますので、ぜひそれを実行していただきたいと思っているところでございます。
その他に関してなのですけれども、諸般の給付があるのですね。例えば、かつての子ども手当とか子供の医療に関すること、今度は幼児期の教育に関する給付などがあります。政府が行う給付については、マイナンバーカードを持っている御家庭や人に対しては行うということを明確にしていただければ、一気にマイナンバーカードの普及は進むと思うのです。ぜひそういった方針を立てられていくべきではないかと思っています。
あわせて、そのときに口座番号登録を徹底してやっていけば、基礎自治体や関係団体における事務ももっと簡素化されるはずと思っています。膨大なコストと手間がかかっていますので、そういったことを真剣に考えていただいて、官邸に提案するか関係省庁で共有するかも含めてしていただくと、マイナンバーカードのよりよい普及とこういった一連の改革でサービスが向上していくことにつながると思います。諸般の給付についてはマイナンバーカードとリンクすることを聖域化せず踏み込んで考えていただく必要があるのではないかと思うのです。省庁のほうから言いにくいだろうからこちらから申し上げていますので、ぜひそういったことを考えていただくと、よりよい行政の改革と改善、イノベーションになっていくと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
この最後の辺はいかがですか。可能性はありますか。
○遠藤部会長 事務局、何かコメントはございますか。
○鹿沼課長 マイナンバーカードにつきまして、かなりお金をかけてやっていて、現在普及が必ずしも十分ではない状況だと思っております。私どものほうは医療保険証を今回こういった形で医療保険の関係で制度の見直しをやろうと思っていますし、その他、いろいろなことで何ができるかということは考えていきたいと思います。
また、総務省さんやマイナンバー室のほうでも、この普及促進に向けて何ができるか非常に一生懸命議論を戦わせているところでございまして、そういった中で、私どもとして提案できることは当然提案していきたいと思っています。実務といいますか、例えばこういうものをやるに当たっては、マイナンバーカードの更新などの手続とか、そういったもろもろについて簡単にやっていただいたほうができるのではないかとか、いろいろなことが実務で出てくると思います。そういったことについても私どもは使いやすいような制度になるように提案していきたいと思っています。
○横尾委員 補足ですけれども、細かいところというよりも大きいところで、マイナンバーカードを所有している御家庭や個人に対しては給付すると政府で決めていただければ、皆さんカードを作ると思うのです。ぜひそういった判断が必要ではないかいう問題提起です。
もう一つ大事なことを忘れていました。高齢者保健事業と介護予防のことです。この委員会でも何遍も議論いただいた図表が今回も出ていますので、ぜひここに示されているようなリンクをお願いしたいところです。後期高齢者医療のことを考えましても、ことし中学1~2年生になっているお子さんのインターネット上の推測値ですけれども、将来の平均余命は幾らかというと、皆さん御存じですか。100歳なのです。大概の人が100年生きるということがもう目の前に来ているわけでございまして、そうすると、この介護予防と保健事業の充実というのは極めて重要ですので、ぜひここに書かれているフレームワークをきちんとできるようにしていただきたいし、また、我々関係の広域連合も連携をいたしますし、前回もお話ししましたサポートもしていきたいと思います。市町村でも保健師さんたちを中心に、この健康寿命ということは非常に強く認識しておりますので、ぜひ今後とも積極的に前に進めていただきたいと思っています。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
堀委員、お待たせしました。
○堀委員 今回の改正案の中に、8ページにありますが、国籍を問わず生じる従来からの課題ではあったと思うのですが、被扶養認定における国内居住要件が入ったことは評価できると思っております。
ただ、私も以前グローバル化と医療保険の関係について問題を指摘させていただいたことがあったかと思うのですが、恐らくグローバル化はより大きな問題ですので、今回のような改正だけではなくて、医療供給体制であるとか、あるいは支える人材であるとか、もっと総合的に検討する必要があると思います。
参考資料もついておりましたし、いろいろ与党等でも検討されているのかと思うのですが、ここで私が1点だけ確認させていただきたいのは、外国人材の活用と社会保障の適用というところでは、諸外国でもさまざまな経験があると思うのですが、厚生労働省ではそのような情報を収集したり、整理などをされたのでしょうか。ひょっとするとこれからされるのかもしれませんが、現段階でされているのかどうかをお聞かせいただけますか。
○遠藤部会長 事務局、コメントをお願いします。
○鹿沼課長 当然ながら、私どもは医療保険の例えば被扶養の今回のことにつきましても、諸外国、先進国についていろいろ調査をいたしまして、大体ほかの国におきましても国外にいる被扶養の方について認定していることは余り見られないことも踏まえて、こういった改正をしていくということでございます。
○堀委員 ありがとうございます。
国籍を問わず公平な負担と給付というのは非常に重要なことだと思いますので、諸外国の例も含めて検討していただければと思います。
あと一点、実態調査が既に行われているのかと思うのですが、今後、調査結果等は速やかに一般公開される予定はあるのでしょうか。
○遠藤部会長 事務局、どうぞ。
○野村課長 国民健康保険課長でございます。
実態調査といいますと、国民健康保険への加入状況ということで調査をいたしました。実際に3000万人前後の国保の被保険者のうちの99万人が外国人の方であるといったことであるとか、給付費が全体で幾らかかっていて、その中で外国人被保険者の方が幾らかというのはにわかに数字を思い出せないのですけれども、調査した結果については昨年末に与党に報告したりとかということで情報を出しておりますので、次回以降、何かの形で御提供申し上げられるように考えたいと思います。
○遠藤部会長 ありがとうございます。いいですか。
それでは、お待たせしました。南部委員、どうぞ。
○南部委員 ありがとうございます。
数点ございます。まず1つ目がオンライン資格確認でございまして、この間、個人単位の被保険者番号の活用に当たって、国民が安心して番号が利用できるように法的ルールをかけるべきという主張をしてまいりまして、その点を反映していただいたことに感謝申し上げます。
その上で一つ懸念がございまして、例えば処方箋薬局と日用品の売り場が併設されている大規模な商業施設等がございます。そこにおいても、この告知要求制限の活用が必要かと考えますので、そういった点も含めて引き続き検討をお願いしたいと思います。
2つ目、NDBの関係でございます。情報の提供に際して申請内容の適否を審議会で個別に審議するということでございますが、この個別案件の検討のための審議会は当然クローズで実施するのはありかと考えますが、その個別案件を審議するに当たっての審議の基準であったり手数料などはオープンの場で明確にし、そして、審議の結果などは当部会に結果報告をしていただくようにお願いしたいと思います。公平性と国民の納得性を担保すべきだと考えております。
次に、高齢者の保健事業と介護保険の一体的実施についてです。保健事業との一体的実施を市町村が行う際には、事業の一部を民間に委託することができるというように法に書くということでございますが、その前提としては、やはり市町村は実施の状況の把握、検証はもちろん責任を持って主体的に取り組むことが重要であること。この点についても法整備にあたって明文化いていただけたらと思っておりますので、これについても御検討をお願いしたいと思います。
あわせて、事業にかかわる費用はもちろん、そして、専門的な人材を継続的に確保することについては、国、広域連合がしっかりとバックアップする必要があると考えております。ぜひ制度の実効性を高めていただきたいと考えております。
次に、被用者要件の見直しでございます。社会保険の給付に関して不適切な利用や不公平な適用認定が存在するということ、これは早急に正していく必要はあると思います。これについては賛成の立場でございます。ただし、厚生労働省が行ってまいりました
在留外国人の国民健康保険の給付状況等に関する調査においては、不適正とする蓋然性はほぼ認められなかったことが通知で明記されております。したがって、外国人イコール不適正利用というイメージ、レッテルにならないように十分に御留意をいただくよう御要望申し上げます。
その上で、このスライド9の参考の成り済まし対策について、医療機関が必要と判断する場合には、被保険者証とともに本人の確認書類の提示を求めるとありますが、個人の先入観によって窓口の対応が異なることになれば、これ自体が差別ともなりかねませんので、実務については慎重な対応をしていただきたいと思っております。加えて、社会保険の適用範囲の拡大の観点から、適用逃れが起きないような指導を十分にしていただきたいと思っております。
そして、次でございますが、審査支払機関の機能強化でございます。実務見直しについて、職員によるレセプトの点検作業を10カ所に集約されることによって、運営体制の大幅な変更が考えられます。職員のキャリアアップの仕組みはもちろんのこと、配置転換などについてもスムーズな移行ができるよう十分に職員の意見を聞き、サービスの低下を来すことのないように慎重に対応をしていただきたいと考えております。
また、これは最後になります。国保連合会の業務規定の創設について、新たに業務規定法制化することとなっております。これによって現状の業務に支障を来さないように十分に配慮をお願いしたいと考えております。
また、法整備に当たっては、当該の職場との十分な意見交換を行っていただき、現場に混乱を来さないような作業を進めていただきたいということを強く要望しておきます。
以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
ほかにございますか。
それでは、池端委員、秋山委員、まず先にお願いします。
○池端委員 ありがとうございます。
4点ほどあります。まず、3ページのオンラインと電子カルテの普及についての予算案に関して、特に電子カルテに関して、この標準化に向けた医療機関の電子カルテ導入の支援ということは非常にありがたいかと思います。ただ、一方で、この電子カルテの標準化ですが、もう既に導入されている電子カルテはかなりいろいろなメーカーが出している。そこをコアの部分で共有している部分もあるし、全く独自で出しているものもある。それを標準化するのは相当なエネルギーがかかるし、費用もかかると思うので、それをこの300億という予算の中でどこまで普及できるのかちょっと不安な点もあるので、そういうメーカー、ベンダーに対するアプローチもあわせてしなければいけないのではないかと気になることがあります。
一方で、これはイニシャルコストですので、できれば特に中小規模、電子カルテ導入は診療所も含めてかなりコストがかかるものなので、そのランニングに関しても何らかの形で、例えば医療課長はいらっしゃいませんけれども、診療報酬で一定の期間加算するとか、ランニングコストについても見ていただく形でできるだけ早く導入を進めるようなものも必要かということで、意見として言わせていただきます。
2番目ですが、保健予防と介護予防の一体化ということ、これは私自身もかかわっている部分で非常にやっていただきたいことだと思いますけれども、私もよくこういう事業にかかわって感じるのは、一体化と言いながら結局それぞれひもづけの予算があって、特に現状の予算、介護保険からの予算と医療保険からの予算、医療のほうの予算を考えると、かなり差があったと思うのです。それをそれぞれひもづけはそのままにして一体的にしようと思うとなかなか難しいのではないか。これは法的にどれだけ難しいのかわかりませんけれども、その予算づけもある程度市町村の自由度を高く、自由に使えるような一体化した予算運営ができるようなことがあるとさらに進むのではないかと感じましたので、これも意見として言わせていただきます。
もう一点ですが、この一体化の事業の中で、国保中央会のデータ分析手法の研修・支援ということがあります。これも非常に大事なポイントだと思いますので、こういう予防事業にしても、アウトカムをどう見るかということが非常に大事で、そのためにもデータ化が非常に大事だということは、御指摘のとおりだと思います。
一方で、これと関連して、先ほどのNDBと介護データ、DPCデータを一体化しようという中に、前もこの場所で意見を言わせていただきましたけれども、KDBは匿名化ができていないということで一体化は難しいということを聞いてはいますが、特に予防事業あるいは在宅医療とか介護の連携とか、そういうところのアウトカムを出すには、どうしてもこれは市町村ベースでKDBデータを使ったデータが必要になっていきます。これがなかなか市町村独自でやろうとすると相当のエネルギーがかかってしまうということがあって、できれば次の段階で、国としてあるいは中央会さんとしてそれを匿名化した上で連携できるようなシステムを考えていただけるといいのではないかということがあって、これについて何か進捗状況があればお聞きしたいと思います。
最後、支払基金の機能強化に関しては、先ほど遠藤委員もおっしゃったように、事務的に都道府県ごとに多少ばらつきがあることをそろえることは非常に大事なことだと思いますが、一方で、これも遠藤委員がおっしゃったように、地域でそれぞれの問題、特に現場の意見を吸い上げながら審査を本当に地域に合ったやり方でやってきたというこれまでの歴史もあります。そういう声が今度集約化することによって届かなくなってしまうことのないように、何らかの形でそういう声も丁寧に拾い上げながら審査を標準化していくシステムは残していただきたいというので、これは要望として意見を言わせていただきます。
以上です。
○遠藤部会長 事務局へのお尋ねがあったという理解でよろしいですか。
では、事務局、コメントをお願いいたします。
○南川室長 医療技術情報推進室の南川と申します。
最初にお尋ねがあった電子カルテの標準化に向けた医療機関の電子カルテシステム等の導入支援のことについてですが、本項目につきましては、2020年度を目指して厚生労働省として全国的な保険医療情報ネットワークというものを構築するに当たって、医療情報連携をより一層加速していく必要があるということで、今回のような項目を設けさせていただいております。
委員に御指摘いただいたどのような形で交付をしていくことがより情報連携を進めていくに当たってよいかというのは、今後検討してまいりたいと思っております。
以上です。
○野村課長 国保データベースの関係でございますけれども、今回、ナショナルデータベースと介護データベースの連携ということが書いてあります。一方で、各市町村で国保の関係の医療の中身であるとか、あるいは特定健診を初めとする保健事業のターゲットの方、対象となる方の抽出の際に国保データベースを活用するとか、あるいはデータヘルス計画をつくる際に国保データベースを活用するということ自体は既に動きとしてはアクションを起こしていただいています。
そういったことも踏まえて、今回、12ページですけれども、審査支払機関の機能の強化の中でデータ分析に関する業務の追加という中で、市町村が行う保健事業の実施状況の分析・評価といったことを国保連の業務として明記するということで、まずは国保データベースのシステムの活用を念頭に置いた規定を設けることにして、このデータベースをいかに今後さらに活用していくのか、まずは検討していきたいと考えております。
○遠藤部会長 池端委員、どうぞ。
○池端委員 ありがとうございます。
それに関して、私も別の在宅医療・介護連携事業のほうのヒアリングの中で、各市町村でKDBを使ってデータ化をして、そして、アウトカムに生かしているということをいただいたのですけれども、実際にどうですかといったら非常に大変だと。では、このやっていることをほかの市町村ですぐできるかというとなかなかできないという声が幾つかの市町村から挙がってきていて、できれば国として、全体として、そういうデータベース化を支援することも考えていただかないと、市町村独自でやりますよといってもなかなか難しいのだということがあったので、ぜひそれも進めていただければと思います。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
秋山委員、お待たせしました。
○秋山委員 ありがとうございます。
私からもNDBと介護DBの連結解析等について御質問を2点させていただければと思います。
医療・介護のデータの活用につきましては、国民の健康管理のためにも、また、社会保障給付費の適正化の観点からも重要だと考えていますけれども、そうした中で訪問看護のレセプト請求については、介護のほうでは既に電子化されて、介護DBにも格納されているわけですが、医療保険分の訪問看護のレセプト請求についてはいまだに紙ベースでして、NDBにもデータが格納されていない状況が続いています。
昨年の4月の医療保険部会におきましても、電子化を進めることについては前向きの御認識ということでお伺いしておりますし、既に具体的な検討作業に入られているとは聞いていますけれども、今回の資料3の流れにどのように沿っていくのか、その進捗、めどについてお伺いしたいということが一点。
今回、この資料3を拝見しますと、電子化というよりもむしろ一気にオンライン化をしたほうが、NDB、介護DBの連結解析を進める上での基盤整備にも資すると思いますし、また、訪問看護ステーションあるいは支払審査機関の事務的な効率化を図る上でも非常に有益かと思いますので、訪問看護のレセプト請求のオンライン化も早急に実現すべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。
○遠藤部会長 では、事務局、コメントをお願いします。
○宮崎課長 訪問看護ステーションの請求のオンライン化に向けた検討というのは、御案内のように私どもは課題だと考えておりまして、それに向けての検討を関係者の方の御意見も伺いながら進めているところでございます。幾つか課題もございまして、まだ簡単に来年度すぐにできるという状況ではございませんけれども、全体の医療保険事務の効率化という観点でその方向に進むことは非常に重要なことだと思っております。また、地域包括ケアの推進などを考えますと、訪問看護ステーションの役割も非常に大きいことは認識しておりますので、御指摘のようなオンライン化に向けた方向について、早期に実現できるような方向で引き続き検討してまいりたいと考えています。
その先には、このNDBと介護DBの連結ですとか、あるいは御質問の中にはありませんでしたけれども、今回のテーマでございます1番のオンライン資格確認とか、全体としての動きの中にそれをさらにどうつなげていくかということが課題になってくると思います。
○遠藤部会長 秋山委員、よろしいですか。
○秋山委員 ぜひともよろしくお願いいたします。
○遠藤部会長 では、こちら側で、樋口委員、どうぞ。
○樋口委員 ありがとうございます。
今の世でございますから、ICT化もコンピューター化も当然のことと思って伺っておりましたけれども、では、そういう世の中に高齢者、特に後期高齢者は何を期待されるのだろうか、あるいはどういう影響があるのか、ちょっと心配になりましたので質問させていただきます。
例えばマイナンバーにしても、老いというのは恐ろしいもので、私は少し前にマイナンバーをきちんと暗記したつもりでいました。今、思い出そうと思ったら全く思い出せません。マイナンバーはマイナンバーなのか、行政のユアナンバーなのか。マイナンバーは幾つまでがマイナンバーで、65か75か、ぼけたら誰かが管理するのだと思いますけれども、このようなコンピューター化していくという動きは私は当然のことだと思っております。
それから、私は今、隣席の原委員の代理の出席の方にいろいろ教わりながらやっておりますけれども、自宅におきましても全くこの世界で私は何も不自由しておりません。家庭的には子供がやりますし、仕事的にはNPOの事務局と助手がやっております。しかし、やがて弱ってまいります。そういうときに、例えばスウェーデンではサービスへの申し込みなども、パソコンから申し込む人と電話で申し込む人ではサービスに到達する日にちが1日、2日おくれると言われて、そうかと。そうしてみたら、この間ホテルを申し込みましたら、パソコンで申し込んだら幾らか安いのですね。感心してしまいました。人手が要らないから当然のことだと思います。
そういうときに、我々年をとっている特に後期高齢者。大体団塊の世代を境にパソコンの所有率は本当に階段状に差がございます。だから、あとせいぜい10年か15年のことだと思いますけれども、まさにこのパソコンについていき切れない高齢者たちは、この世の中を、みんながやってくれるマイナンバーは行政ナンバーねと思って暮らしていいのか、あるいはそのナンバーぐらい記憶せい、行政のある程度のアクセスはパソコンなり携帯などを使って自分でせいということを期待されるのか。こういう行政の中で期待される後期高齢者像というものがあったら教えていただきたいです。
以上です。
○遠藤部会長 これは聞いてもなかなかいろいろとあるかと思いますので、そういう問題提起をいただいたと。
○樋口委員 つまり、影響があるのかどうかということです。
○遠藤部会長 高齢者の必ずしもこの種の情報利用になれていない方々がふえてくることが、この政策との間で何がしかの齟齬が生ずるかどうかということだと思います。よろしくお願いします。
○鹿沼課長 非常に難しい御質問をいただきましたが、今回のオンライン資格確認につきましても、こういったことを進めることによって行政のコストという意味でもプラスの点はございますし、また、そういった特定健診のデータなどについても、もう少し後になりますが、マイナポータルを通じて御本人が見られるとか、いろいろなプラスの点はございます。一方で、マイナンバーカードがないと医療機関を受けられないというわけには、これもなかなか不便でございますので、そういったことも踏まえまして、保険証についても今までどおり使えるような形でやっていきたいと思っております。いろいろな方がいらっしゃいますので、それに応じてちゃんと医療保険サービスを受けられるような形で進めていきたいと思っています。
以上でございます。
○樋口委員 ありがとうございました。
○遠藤部会長 よろしいですか。
では、まず中野参考人、お願いします。
○中野参考人 国保中央会でございます。
まず池端委員、KDBに御声援ありがとうございます。我々も問題意識として持っていまして、操作の研修ですとか、具体的な活用方法ですね。これについては市町村の担当者の方、都道府県の担当者の方に積極的にこれから研修等をやっていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
本題に入らせていただきます。何点かございますが、2ページのオンライン資格確認でございます。まず質問をさせていただきます。このオンライン確認システムにつきましては、支払基金と我々中央会が運営主体となることで検討が進められているところでございますが、今後市町村の保険者等が円滑に我々中央会に個人の特定健診データ等を提供できるようにするためには、法令による規定を設けることが必要と考えておりますが、お考えがあれば教えていただきたいと思います。
○遠藤部会長 事務局、よろしいですか。
○宮崎課長 オンライン資格確認にかかわる法令上の整理についての御質問だと思います。現在は条文の整理を最終的に行っており、法制局等と調整しているところでございますが、これまでのこうした個人情報保護法上の取り扱いを同種の業務等でどのように行っているかとか、そうした法律上の整理も踏まえながら、最終的な整理をつけていくという段階でございます。
現時点で申し上げますと、オンライン資格確認についての法的な規定として考えておりますのは、この資料の2ページ等にございますような、被保険者番号を個人単位化するに関してのプライバシー保護の観点からの種々の規定の整備ですとか、あるいはそれに対する支援をするための基金の創設等の規定を入れることを考えております。そうしたものを中心として、所要の規定の整備を予定しているところでございます。最終的なところは最初に申し上げましたように、きょうの御指摘の点も踏まえて検討していく段階ではございますけれども、現時点で言いますと、ここの2ページ、3ページ等に書かれておりますような規定を中心に規定することを考えているということでございます。
○遠藤部会長 中野参考人、どうぞ。
○中野参考人 それでは、またオンライン資格確認で、次は要望でございます。市町村国保が円滑に参画していくためには、市町村国保が果たすべき役割を明確化した上で、今後の具体的な進め方、コスト等について、市町村、国保連合会に対して十分時間的な余裕を持って御説明いただき、合意形成を図っていただくことが必要と考えておりますので、よろしくお願いいたします。
ちょっと飛びますが、12ページの審査支払機関の機能強化について御要望させていただきます。先ほど、南部委員からも御意見がありましたが、新たに創設する国保連合会の業務規定でございますが、診療報酬の審査支払業務を初めとする基幹業務が規定されることになります。国保連合会は審査支払業務のほかにも都道府県、それから、市町村から幅広い業務を受託しております。業務規定の創設により、これらの実施に影響を及ぼすことがないように十分に御配慮いただきたいと思います。
最後に質問です。6ページでございますが、高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施についてでございます。高齢者の保健事業と介護予防を一体的に実施するに当たりまして、市町村等の国保部門、介護保険部門、後期高齢者医療の各部門が相互にデータ提供、利用が可能となるよう法的整備が必要であると考えております。この点についてお考えがあれば教えていただきたいと思います。
○遠藤部会長 事務局、お願いいたします。
○込山課長 高齢者医療課長でございます。
御質問ありがとうございます。御指摘のとおり、情報連携に資するような形での法的な整備を行う予定で考えております。具体的には広域連合さんと市町村さん間での情報の連携であったり、また、さらには市町村内でも介護部局、高齢者部局、そして、国保部局、そこは情報の壁なく連携できるような形を法的に整備したいと思っています。よろしくお願いします。
○遠藤部会長 よろしいですか。
ほかに議題3について御発言をされていない方を優先したいと思います。
それでは、森委員、松原委員の順番で行きましょう。
森委員、どうぞ。
○森委員 ありがとうございます。
まずは3ページ目の医療情報化支援基金のところで質問なのですけれども、この中の31年度の対象事業なのですが、2番の電子カルテの標準化に向けた医療機関の電子カルテシステム等導入支援なのですが、先ほど地域医療連携ネットワークという話がありましたが、これに薬局は対象となるのでしょうか。薬局ですと調剤情報になると思うのですが、まずは質問です。
○遠藤部会長 事務局、お願いします。
○南川室長 3ページにありますとおり、これについては電子カルテシステム等を導入する医療機関ということでございますので、薬局は含まれないと考えています。
○森委員 では、これは意見というかお願いになると思うのですけれども、地域医療連携ネットワークの中で情報を共有するということになりますと、当然薬局での調剤情報も重要になり、薬局間だけではなく医療機関と薬局でも情報を共有することになります。そうした中、今、薬局でもIT化を進めていますけれども、調剤情報の標準化も必要になってくると思います。なるべく早い時期に標準化をどうするのか、どう連携するのかを含めて検討いただいて、きちんと連携ができるようにお願いしたいと思います。
もう一点、先ほど南部委員がオンライン資格確認のところで御意見があって、聞き取りにくかったのですが、薬局に関連するところだったのでもう一度教えていただければと思います。
○遠藤部会長 では、南部委員、恐縮ですが、よろしくお願いします。
○南部委員 ありがとうございます。
私が申し上げたかったのは、処方箋薬局と日用品売り場が併設されております商業施設等がどういった扱いになるかということの御意見でした。もしもこうした施設で被保険者番号にひもづく情報が適切に扱われないとすれば、告知要求制限の範囲を再検討するべきではないかという意見でございます。
以上でございます。
○遠藤部会長 森委員、いかがでしょうか。
○森委員 わかりました。
薬局は薬局として許可をとった業務の中で、こういうことを行うことになるという理解です。これは事務局にお答えいただいたほうがいいと思います。
○遠藤部会長 事務局、何か補足があればお願いします。
○宮崎課長 2ページの被保険者記号・番号の個人単位化に伴う告知要求制限に関する御質問でございますけれども、御指摘のありましたようないろいろな業態で、薬局とショッピングセンターみたいなものが併設しているような場合で、個人単位化された番号をショッピングセンターのほうの顧客管理に使うようなことはできるのかということだと思います。それはここに書いてありますように、健康保険事業とこれに関連する事務以外に使っていけないということですので、そうした顧客管理には使えないということですし、そこは業態として、委員からも御指摘もありましたように、業の管理として分けてありますので使えないということでございます。
一方で、きょうの御質疑の中にもございましたけれども、実際に日常生活の中で使われている部分で不便をこうむらないようにどうするのかというところはあろうかと思います。例えば年金番号では、基礎年金番号の使用に当たっても本人確認に一部使った上で番号の部分はマスキングしてもらうとか、いろいろな実態を考えた取り扱いをしていると聞いておりますので、この告知要求制限につきましては、そういった前例も踏まえながら、現場の混乱のないように整理をしていくことが必要だろうと考えております。
以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
お待たせしました。松原委員、お願いします。
○松原委員 今の2ページの問題なのですけれども、要するに、医療を行って、請求業務において健康保険を使うわけです。そういった業務と関係ないものについては使うべきでないと思いますので、よろしくお願いします。
10ページですが、ここのところで絵が出ているわけですけれども、この審査支払機関を適正化して、IT化して、効率よく、それが国民にとってよいことであるようにということで、随分この2~3年議論した結果であります。その結果として法改正に至るわけでありますけれども、何度も申し上げますが、この3番のところにある地域医療の特性を十分に踏まえていただかないと、個人もさまざまでございますし、地域においても都道府県、市町村において、例えば医療機関へのアクセスの距離も、また密度も違いますので、そういったことに十分配慮していただいた上でこういった決定に至ったということを重く受けとめたいと思います。万が一これを変えることがあるようでしたら、また十分にここで議論させていただきたいと思うところであります。
13ページ目でございますが、コンピューターによるチェックというのは簡単に見えますけれども、先ほど申しましたように、国保も本当にばらばらであります。体重の問題や年齢の問題だけでなくさまざまな医療の体系がございますので、通知や告示で対応できないからこそ審査委員会がございます。したがって、これである医療を検討して、その医療が適切でないと判断したときには、不利益処分をするときにはぜひ審査委員会を重く受けとめていただいて判断していただきたいと思うところであります。
また、15ページ目であります。これは先ほど医療機関がどうなのかという話がございましたが、これは法律がなくてももともと民法で瑕疵がなくてそれを提示されて正当な業務を行っていることについてでございますので、これはそれを出した患者さんと保険医療機関ではなく保険者の間で十分議論していただいて、精算していただきたいと思います。そうしなければ、出された保健所がもし正当なものだと判断していて、後でひっくり返されますと、大変信頼性を失うことでございますので、よくよくお考えいただきたいと思います。
最後に2番に戻るのですが、横尾委員から、あのように全体で、とにかく世界中でというお話をいただきましたけれども、私は何度も申し上げていますが、世界の中でマイナンバー、国民番号を医療に使っている先進国はエストニアとアイスランドだけだったと記憶しています。アイスランドは24万人の国で、エストニアはソ連邦から独立した小さな国であります。特にそういったことをして効率よくしなければ生き残れないというのもわかりますが、アイスランドでは国民の遺伝子情報を経済界が行き詰まったときに企業に売り飛ばしたという前歴がございます。そんなことも含めますと、先進国の中で健康情報を国民番号にしているところはなく、ほかのところも全部分離していますので、個人に対しての遺伝子情報も含めた病歴を含めたものに対しては子供や孫にまで影響することでありますので、金融機関のお金が幾らあるかという話と全く次元が違いますので、むしろマイナンバーは私の個人的な意見とすれば、銀行に行くときに持っていくぐらいの普及をされるのは結構ですけれども、医療機関はちょっと御遠慮いただきたい。非常に危ないものであると思います。
また、マイナンバーとこれについての健康保険の業務についてはそれを保持されるわけでありますので、決して漏れることのないように、未来永劫それが守れるように、私ども医療機関、医師は、刑法上そういったものを漏らすことにおいて刑罰が規定されております。そのようにきつく国が決定しているのは、それだけ個人情報の中で健康情報は重たいということでございますので、御理解賜りたいと思います。
私ども、ITをとにかく進めることにおいて反対ではありません。むしろやるべきだと思っていますが、国民にとって不幸なことになるような結果にならないように注意しながら、そこのところを十分判断しながら進めてまいりたいと思っているところでございます。よろしくお願いいたします。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
まだ御発言をされていらっしゃらない方、いかがですか。
藤井委員、どうぞ。
○藤井委員 直近のお話なのですが、近隣の国が医薬品の個人輸入を、課税はするけれども、解禁するというニュースがございまして、実は業界も混乱しているところでございます。これはOTC製品だけだったらまだわかる気がするのですが、どうも医療用医薬品も含めてオーケーだという話もございました。これはかなり大手の通販業者などが動いているものですから、我々からすると、当該国の国民がどのような購買行動を起こすのかが読めないのです。この辺は我々の想像を超えた動きになっていることを想定して、日本の保険制度が不利益を被ることのないよう、政府におかれましても動向を注視していただきたいと思います。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
ほかにございませんか。
菅原委員、どうぞ。
○菅原委員 手短に1点だけなのですけれども、このNDB、介護DBの連結の解析等については、本当にいい動きだと高く評価しております。一方で、これは医療保険部会マターを超えることを承知の上で1件だけ申し上げたいのですけれども、例えばこの解析がさまざまな医療計画や地域医療構想の作成等に利用されることを前提といたしますと、貧困層の医療あるいは介護の需給状況、具体的に言いますと、生活保護の方々の医療や介護の状況は非常に深刻だということも言われておりますし、財政上にも大きい影響を与えます。医療提供体制を考える上でも非常に大事な問題だと考えております。中長期的にはそういった医療扶助や介護扶助の状況もわかるようなデータとこれらのデータベースの連結も考えていくべきではないかと考えております。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
ほかにはよろしゅうございますか。ありがとうございます。
それでは、ちょうど予定した時刻になりました。非常に積極的な御意見、どうもありがとうございました。事務局におかれましては、多様な御意見が出ましたので、これらを踏まえまして、所要の手続を進めていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは、時間になりましたので、本日はこれまでとさせていただきます。
次回の開催日につきましては、追って事務局より御連絡があると思います。
本日は本当に御多忙の中、積極的な御意見をいただきまして、どうもありがとうございました。