2019年1月11日 第13回新型インフルエンザ対策に関する小委員会 議事録

健康局結核感染症課新型インフルエンザ対策推進室

日時

平成31年1月11日(金)14:00~16:00

場所

厚生労働省 共用第8会議室(11階)
(東京都千代田区霞が関1-2-2)

議題

(1)新型インフルエンザ等における住民接種 接種要領について
(2)医療体制においての情報提供・共有の強化について
(3)抗インフルエンザウイルス薬の今後の備蓄方針について
(4)プレパンデミックワクチンの今後の備蓄方針等について
(5)「スペインインフルエンザから100年」に向けた啓発事業について(報告)

議事

 
○福井新型インフルエンザ対策推進室室長補佐 それでは、時間となりましたので、ただいまから第13回「新型インフルエンザ対策に関する小委員会」を開催いたします。
 本日の出席状況は、委員13名のうち12名の委員の先生方に御出席いただいております。山﨑先生は少しおくれて御出席ということで、御連絡を承っております。
 以上によりまして、会議が成立しますことを御報告いたします。
 なお、参考人として、医療・医薬品作業班5名の委員の方にも御出席いただいております。
 開会に当たりまして、三宅結核感染症課長から御挨拶を申し上げます。
○三宅結核感染症課長 三宅でございます。本日はよろしくお願いいたします。非常に寒い中、霞が関まで足を運んでいただき、本当にありがとうございます。
 本日は、「新型インフルエンザ対策に関する小委員会」ということで、いろいろな感染症、アウトブレイクがある中で、非常に珍しい事前準備型の対策ができる数少ない行政が、この新型インフルエンザ対策でございます。忙しさに紛れないようにしながら、我々も少しずつですが、進めております。本日、幾つかの議題がございます。先生方にぜひともいろいろ御議論いただきまして、来る日に備えてしっかりと準備を進めたいと思いますので、御協力のほどよろしくお願いいたします。
○福井新型インフルエンザ対策推進室室長補佐 続きまして、事務局の人事異動がございましたので、御紹介させていただきます。
 結核感染症課新型インフルエンザ対策推進室長 丹藤です。
○丹藤新型インフルエンザ対策推進室長 丹藤でございます。よろしくお願いいたします。
○福井新型インフルエンザ対策推進室室長補佐 続きまして、結核感染症課併任で健康課予防接種室室長補佐 賀登です。
○賀登健康課予防接種室長補佐 賀登でございます。よろしくお願いいたします。
○福井新型インフルエンザ対策推進室室長補佐 最後に私となりますが、結核感染症課新型インフルエンザ対策推進室室長補佐の福井でございます。よろしくお願いいたします。
 それでは、ここからは岡部委員長に進行をお願いいたします。
○岡部委員長 どうも、こんにちは。
 今、課長もおっしゃったように、大変寒い中、また年の初めですけれども、お集まりいただいて、ありがとうございました。「新型インフルエンザ対策に関する小委員会」ということで開催したいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 いつもどおりですけれども、まず事務局のほうから審議参加に関する遵守事項からお願いします。
○福井新型インフルエンザ対策推進室室長補佐 審議参加について御報告します。
 本日、御出席された委員の方々の過去3年度における関連企業からの寄付金・契約金などの受け取り状況について申告をしていただきました。
 委員の皆様の申告の内容につきましては、タブレットのほうに配付させていただいておりますので、御確認いただければと思います。
 事務局で申告内容を確認しましたが、審議や議決に不参加となる基準に該当はございませんでした。
 以上でございます。
○岡部委員長 どうもありがとうございました。
 それから、今日委員のほかに5名、参考人という形でおいでいただいております。お忙しい中、ありがとうございました。ぜひ活発な議論に参加していただければと思いますので、御自分の担当のところ以外でも、どうぞ御意見をおっしゃっていただければと思います。よろしくお願いいたします。
 それでは、配付資料の確認からお願いします。
○福井新型インフルエンザ対策推進室室長補佐 それでは、配付資料の確認になります。
 議事次第、委員名簿、座席図のほか、資料1から参考資料7-3まで配付させていただいております。議事次第に書かれている配付資料の一覧と照らして、不足の資料がございましたら事務局にお申しつけください。
○岡部委員長 よろしいですね。ここにあれば大体あると思いますけれども、もし外れていたらおっしゃってください。
 それでは、あと、カメラ撮りですか。
○福井新型インフルエンザ対策推進室室長補佐 それでは、申し訳ございませんが、冒頭のカメラ撮りにつきましては、ここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。
 以上です。
(カメラ撮影終了)
○岡部委員長 どうもありがとうございました。
 それでは、議題は「新型インフルエンザ等における住民接種 接種要領について」「医療体制においての情報提供・共有の強化について」「抗インフルエンザ薬の今後の備蓄方針について」「プレパンデミックワクチンの今後の備蓄方針等について」「「スペインインフルエンザから100年」に向けた啓発事業」。公衆衛生とか下のワーキンググループのほうで既に話し合っているので、御存知の先生方も多いと思いますけれども、これについて本日は小委員会で検討するということになりますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、まず議題1「新型インフルエンザ等における住民接種 接種要領」に入りたいと思います。これを事務局のほうから御説明をお願いします。
○竹下新型インフルエンザ対策推進室室長補佐 それでは、「新型インフルエンザ等における住民接種 接種要領について」説明させていただきたいと思います。
 資料1番をごらんいただければと思います。
 1ページめくりますと住民接種についてということで、全体の説明がされております。
 実施主体は、市町村で、市町村は、国・都道府県の協力を得ながら、未発生期から接種体制の構築を図ります。
 また、接種順位については、以下の4群、医学的ハイリスク、小児、成人・若年者、高齢者に分類し、基本的対処方針等諮問委委員会に諮った上で、政府対策本部で決定する。これは、実際発生したときの新型インフルエンザの病気の性質をもって決定することになっております。
 また、接種体制については、原則として集団的接種により接種を実施する。また、接種会場は、保健所・保健センター・体育館などの公的施設の活用等により確保していただくことと、地域医師会等の協力を得て、医師や看護師等の医療従事者を確保するということが住民接種にかかわる全体のフレームになっております。
 次のページですけれども、住民接種に関するこれまでの経緯でございます。
 平成21年にH1N1の新型インフルエンザが発生して、それを受けて、翌年、総括会議報告書が出ております。それにあわせて、予防接種法の改正や新型インフルエンザ等対策特別措置法が施行されております。その特別措置法を踏まえた上で、政府行動計画・ガイドラインが策定され、そういう状況の中で、実際に市町村のほうで住民接種をやる上で、さらに必要なものは何なのかということで、研究班のほうから平成26年3月に市町村のための新型インフルエンザ等住民接種に関する集団的予防接種のための手引き(暫定版)、27年5月に、同じく発生時における住民接種体制構築に関する手引き(暫定版)の策定が行われております。
 以上を受けまして、都道府県行動計画・市町村行動計画を策定いただき、市町村におけるマニュアルを策定し、具体的に実際にシミュレーションをしていただいていたというのが現状と考えております。
 次のページを見ていただきたいのですけれども、市町村のための新型インフルエンザ等住民接種に関する集団的予防接種のための手引き(暫定版)について簡単にまとめております。
 これは、厚生労働科学研究の研究報告の一環として作成されておりまして、実際、市町村が住民接種の実施主体として定めることを受けて、市町村において速やかに集団的予防接種の体制を実施できるように検討されたものとなっております。背景としましては、昨今、定期接種で集団的予防接種がほとんど行われていないという状況を踏まえて、実際に集団的予防接種をやる上で、どういうことが必要かということが検討されたものとなっております。
 なお、この手引きは「臨時接種」をイメージして取りまとめられているということになっております。
 また、構成に関しましては、住民接種の進め方に従って、「政府行動計画・ガイドライン記載事項」「基本的考え方」「取組みの具体例」「根拠法令等」を示し、市町村が行う住民接種の体制に関する準備に資する構成としております。
 また、この内容自体がガイドラインを補完する位置づけになっておりまして、以下のような経緯で検討された後に厚生労働省のホームページに掲載して公表され、現在に至っております。
 もう一つの手引き、住民接種体制構築に関する手引きのほうが次のページの概要で示されております。これも同じく研究班で作成されております。
 手引きの概要の3つ目の○になりますけれども、新型インフルエンザ等発生時の住民接種を円滑に実施するため、各市町村におけるマニュアル作成やシミュレーション実施の参考となることを目的としており、各市町村における住民接種体制の構築を規定するものではないとなっております。
 特措法制定後、改定された事項を含め、新型インフルエンザワクチン、予防接種体制についての概要も整理しております。
 実施主体の市町村のうち、大規模市(川崎市、神戸市)、また中規模市として相模原市、小規模市として鈴鹿市、武蔵村山市をモデル市として実際に作成されたものが掲載されたものになっております。こちらのほうも、以下の検討状況を踏まえた上で、厚生労働省のホームページ「住民接種のページ」に公表されて、現在に至っております。
 以上の手引きの暫定版の概要2つを受けた上で、実際、今回、住民接種の接種要領というものを作成させていただきたいと考えておりまして、その案について、まとめさせていただいたのが次のページになります。
 概要としましては、まず背景として、新型インフルエンザ等対策特別措置法及び政府行動計画において、市町村が住民接種の実施主体として定められたことを受け、市町村において速やかに住民接種の体制を構築し実施できるよう、接種のための要領を作成することとしております。
 内容としましては、「実施計画の策定」「流通」「実施方法」を示し、市町村が行う住民接種体制に関する準備に資するように構成されております。
 なお、平成25年に策定された「新型インフルエンザ等対策ガイドライン」を補完するものと考えております。なお、本接種要領は、主に緊急事態宣言に基づき実施される「臨時接種」において使用されることを想定して取りまとめているものになります。
 経緯としましては、先ほど説明した内容を後ろのほうでまとめさせていただいております。
 今後の予定としましては、12月に公衆衛生対策作業班を実施し、今回、小委員会で検討いただいております。今回の検討を受けた形で、1月から2月のあたりで感染症部会のほうで御審議いただき、その審議内容を受けて、3月中に厚生労働省ホームページに公表、通知したいと考えております。
 実際の接種要領に関する論点というのが次のページになります。これは、平成30年度末にパンデミックワクチンの製造体制が整備される目処が立ってきておりまして、3事業所からの具体的な製造スケジュールが示されております。このような状況の中で、国として、市町村の接種体制を構築していただくために示す住民接種体制実施要領を作成するために必要な情報が整ったと考えており、昨年の第2回公衆衛生対策作業班でまとめさせていただいた内容が、この資料になります。
 その中で、課題としては主に4つの大きい枠がありまして、パンデミックワクチンの確保の観点から、また接種対象者のこと、あと、流通体制のことと予約のことという課題がございますが、その内容の中で、現時点で接種要領を作成する上で決めておかなければいけない論点というのは、一番右のところに書いてあります今後の方向性というものになっております。
 今回、その論点の中で、それぞれ各論で詰めさせていただきたい内容を青枠のほうで囲っております。
 論点1としましては、製法・規格が異なるワクチンの運用方法を示すということ。
 2つ目としましては、居住地域以外の接種について、市町村間の接種方法を検討するということ。
 3つ目としましては、3つの事業所でワクチンを製造することになっていますが、これは同時でないことを前提とした接種計画を立てる必要性があるということ。また、接種に必要な時間及び人員、被接種者の人数の算出等について検証し、効率的な接種体制を検討するということに関連しまして、論点➂、➃、➄という形でまとめさせていただいております。
 次のページですけれども、実際の接種要領(案)における主な項目立てになっております。目的及び本実施要領の位置付けをまず記載させていただき、総論についてまとめさせていただいております。その後、各論についてまとめており、実施主体の担当業務やワクチン接種の優先接種対象者及び接種開始時期の話。また、契約及び実施計画の策定のことや、住民接種の場所及びワクチンの供給及び流通、保管のこと。また、費用負担、接種対象者への周知方法、予診票のこと。また、接種の実施方法のことや、その他接種に係る留意事項というものをまとめております。
 次のページになりますが、各論としまして、まず論点1に入りたいと思います。異なる種類のワクチンを用いた複数回接種ということでございますが、複数回接種を行う場合、実際に新型インフルエンザのワクチンに関しては2回接種を想定されておりますので、異なる種類のワクチンの場合に、どのように取り扱うのがいいかということです。
 下の破線で囲われている内容になりますが、ワクチンの内容については、製造販売業者ごとに、ワクチンの製造方法、アジュバントの有無等の違いがございます。
 また、現時点では、異なる種類のワクチンを複数回接種した場合の有効性・安全性等については確認されていないことが現状でございます。
 そのようなことを受けまして、提案としましては、ワクチンの種類によって、製造方法等の違いがあるため、複数回接種する場合には、原則として、同一種類のワクチンで実施することとしたいと考えております。また、例外として、異なる種類のワクチンでも有効性・安全性等が認められた場合には、複数回接種の際に、異なる種類のワクチンを接種することも可能とすることとしたいと思います。
 この有効性・安全性等としておりますのは、有効性・安全性が示されるだけではなく、その流通や供給等の観点から特定のものが不足するということも想定されますので、そういったことも踏まえた上で、こういった形で記載させていただいております。
 続きまして、論点2になります。居住地域以外での接種についてということですが、住民接種の対象者については、区域内に居住する者を原則とする一方で、例外として市町村長が認める者として、単身赴任者等を例示することとしてはどうかということを論点として挙げさせていただきます。
 基本的には、住民接種の対象者は、市町村が主体なので、市町村の区域内に居住する者を原則と考えております。市町村に所在する医療機関に勤務する医療従事者及び入院患者に対しても接種する場合が考えられるとなっておりますが、それ以外にも、その他市町村長が認める者ということで、単身赴任者や大学生等で住民票を異動せず、住民基本台帳に登録がないところで実施する者に関しても、ワクチンの供給状況や接種の進捗状況、接種を行う医療従事者の確保状況、居住の状況、公衆衛生的な観点など、幾つかの項目を検討した上で、当該市町村の判断で対象とする場合もあり得るとさせていただきたいと考えております。
 個別の事情に応じて都度検討し、市町村長の判断で対象者に含め、その場合には、接種に係る費用は接種する市町村が支弁するとさせていただきたいと考えております。
 ただ、希望する場合には、住民基本台帳に記載された者以外の接種に当たっては、事前に当該市町村に接種を希望する旨の申請が必要としたいと考えております。これは、もちろん大学生や単身赴任者等は、住民票を異動するということが原則と考えておりますが、異動されない方に関しても、ある程度配慮いただくことを考えているということで、こういう形で文章にさせていただいております。
 続きまして、接種会場における実施計画の策定、論点3になります。どういった実施計画を立てていただければいいかということです。実施計画の策定に当たっては、接種会場における受付場所、待合場所等を含めて作成するとともに、実施計画には対応人数等の実施体制や、ワクチンの保管体制等を記載することを求めてはどうかと考えております。
 具体的には、下の一番上の○に赤字で書いてあるようなことだけではなくて、実際に人員としては、医師や看護師の具体的な配置場所を書いていただくことを考えています。
 また、実施計画には、1時間当たりの対応人数や開設予定時間を記載いただきたいと考えております。これは、手引きのほうでもある程度数は示されておりますが、各自治体や接種の体制によって多少前後すると考えておりますので、各自治体でその数字自体は担当するところと検討していただき、具体的な数を記載いただくのがよろしいかと考えております。
 また、ワクチンの搬入方法及び保管を行う体制については、品質を維持できるような体制も含めて具体的に明示していただきたいと考えております。
 続きまして、論点4に関しましては、保護者の同伴についてということになります。ワクチンの接種を行う際の保護者の同伴については、平成21年の新型インフルエンザ(A/H1N1)ワクチン接種において以下のように実施し、特段の混乱は見られなかったため、同様の対応としてはどうかと考えております。
 具体的に言いますと、16歳未満の者のうち、中学生に相当する年齢の者が接種を受ける場合には、その保護者が当該ワクチンの接種に係る安全性等を十分に理解し同意することにより、その保護者の同伴がなくとも接種を受けられるものとするとしたいと考えております。
 なお、その場合は、当該接種対象者が持参した予診票上の自署欄に、当該接種対象者の保護者の署名があることを確認した上で接種を行うこととしたいと考えております。
 また、接種に当たっては、接種対象者本人が予防接種不適当者又は予防接種要注意者か否かを確認するため、予診票に記載されている質問事項に関する本人への問診等を通じ、診察等を実施した上で、必要に応じて保護者に確認するなどして接種への不適用要件の事実関係等を確認するための予診に努めることとしたいと考えております。
 続きまして、ワクチンの流通スキームになります。通常の予防接種体制と異なるため、新型インフルエンザワクチンの流通スキームを策定する必要性があると考えております。
 これは、全国民分のワクチンを短期間で接種する必要があり、集団的接種を含めた対応が求められること。また、都道府県の流通調整をもとに、販売業者・卸売販売業者を通じて、接種会場に納入される。また、3事業者のどの種類のワクチンでも、接種できるように流通体制を構築する必要性がある。
これはどういうことかというと、3つのワクチンの事業者がありますが、必ずしも同時にできるわけではございませんので、そのうち1つしかできないとか、1つだけが先行する場合でも接種ができるように、どの事業者ができた場合でも、それが万遍なく流通できるようにしていただきたいと考えております。
 また、ワクチンの安全な保管を考慮した体制が求められるということで考えております。
 そのことに関してのスキームが、次のページになります。事項に関しましては、この後の2ページでまとめてありますが、前回の第2回公衆衛生作業班でも説明させていただいたように、事前に市区町村のほうから各接種グループの人数を登録されていたものを、市区町村は都道府県、都道府県は厚生労働省のほうに登録いただいて、その数字をもとに、実際発生したときに、これはあくまでもワクチンがまだ非常に足りないというときのシチュエーションではございますが、ワクチンを全国にその数をもとに按分して配分していくということを、厚生労働省のほうは都道府県及び販売業者のほうに報告する形になっています。
 販売業者のほうは卸業者に納品するのですけれども、卸業者に関しましては、都道府県のほうが事前に都道府県卸組合のほうと、都道府県協力卸物流センター(仮称)と書いてありますが、ある程度規模が大きく保管できるようなところと事前に契約または約束していただいて、そこから、さらに卸業者のほうに納品していただき、そこから実際の会場に納品していただくことを考えております。この卸業者に関しましては、同じ都道府県内にないこともあると思いますので、それは通常の物流のときに使っているような近隣の物流センター等も含めて契約できるということと、必ずしも1つとは限らないで、複数のところと契約していただいても大丈夫と考えております。
 以上、資料1について説明させていただきました。
○岡部委員長 どうもありがとうございました。
 幾つか論点というか、御意見をもう一回いただかなければいけないところもあるのですけれども、全体を通じて何か御意見あるいは御質問がありますでしょうか。全体というのは、この新型インフルエンザ等住民接種の接種要領(案)です。必ずしも完璧なものではないと思いますけれども、いろいろなことを推測しながらつくらなければいけないところもあるので、なかなか大変だと思うのと、特定の人が一生懸命やっても、いろいろな人の協力をいただかないと、あるいはいろいろな分野の方々の協力が要ることですが。
 でも、それにしても、まず目安になるものがないと困るというのが、自治体や何かから多くの要望が出ていたこともあって、この接種要領に至ったと思いますけれども、全体としてはよろしいでしょうか。
 どうぞ、大石先生。
○大石委員 確認ですが、6ページの住民接種に係る接種要領作成における今後の論点のテーブルの今後の方向性の一番下のところですが、特に、3事業者のワクチンが同時でないことを前提とした。多分、ここは供給が同時でないという意味ですね。先ほどの解説の中でもあった。
○竹下新型インフルエンザ対策推進室室長補佐 そのようなことで考えております。
○大石委員 その供給がされた時点で、承認されたワクチンの効果と安全性の情報が事前にわかっているという理解でよろしいですね。
○竹下新型インフルエンザ対策推進室室長補佐 今、3事業者でつくるということが国のほうで決まっておりまして、実際に発生したときには、亜型にはよるのですけれども、その亜型をもとにプロトタイプワクチンの承認のプロセスに基づいて、審査を受けた上で有効だと考えられた場合に限って、それが使用できる形になっていきますので、そのプロセスを経て使われるものと理解しております。
○大石委員 ありがとうございました。
○岡部委員長 どうぞ、中里委員。
○中里委員 きょうの審議の流れですけれども、先ほど資料1の説明がございましたが、参考資料2の未定稿について、これから説明があるのか、それとも、参考資料2の未定稿についての意見もここで述べるべきなのか、どちらなのでしょうか。
○竹下新型インフルエンザ対策推進室室長補佐 ここで一緒に述べていただければと思います。
○岡部委員長 続いて、どうぞ。
○中里委員 それでは、参考資料2にかかわってくるのですが、まず接種に必要な副反応のときの必要備品についてです。これは大都市では同日内に複数会場で接種される場合もあるでしょうから、このように多数会場で実施する場合、自治体で準備が負担になることもあるようですので、その場合は財政的な御支援・御検討をよろしくお願いいたします。
 もう一点、資器材に関してですが、これもパンデミック時に市町村が直接資器材を調達するということは、場合によっては不足や偏在を招く可能性もありますので、サプライチェーンなどへの御指導をよろしくお願いしたいと思っています。
 3点目、ワクチンの保管に関しても、通常と少し流れが変わってくる場合もあるかと思いますので、医機法などの課題がないのか、そのあたりについても御検討いただき、お示しいただければ幸いでございます。
 以上です。
○岡部委員長 その他の資材というのは、ワクチンの液だけじゃなくて、例えばシリンジとか、そういうことですか。
○中里委員 そのとおりです。
○岡部委員長 今までの委員会だと、資材についてはそれぞれの自治体が確保すると。ただ、それについて偏在があるといけないから、そのときは国のほうから何らかのことを言ってほしいということですね。それから、副反応が。
○中里委員 副反応の資器材も市町村で準備しておくようにということが書かれておりますけれども、1カ所であれば市町村の準備もそれほど負担にならないと思うのですが、大都市部では、住民のニーズに合わせて、たくさんの会場で同日に接種をする場合もあるでしょうから、そういった場合の副反応に対応する資器材の準備というのが自治体の負担になることもあり得るので、という意味での発言でございます。
○岡部委員長 その財政的な援助も含めて要望するということでしょうか。厚労省のほうから何か御意見ありますか。すぐには答えにくいと思いますが。
○丹藤新型インフルエンザ対策推進室長 御意見、承りましたので、しっかり検討してまいります。
○岡部委員長 どうぞ、川名委員。
○川名委員 確認ですが、複数回接種する場合の、1回目に接種したものがどこのメーカーのものなのかは、すぐわかるようになるのでしょうか。
○竹下新型インフルエンザ対策推進室室長補佐 接種の記録に関しましては、確かに文書のようなもので保管するということが、もし発生したときにはそれが一番わかりやすいものと考えていますが、それ以外の方法でもできるかどうかということに関しましては、今後、さらに検討していきたいと考えております。
○岡部委員長 坂元委員、どうぞ。
○坂元委員 川崎市の坂元です。
 勤務など市町村間の異動に伴う接種は、当然起こるかと思います。特に関東圏の場合、東京都内で働いている方が多いので、東京都の負担がもしかすると大変かなと思う部分もあります。そこで、仮の話ですけれども、川崎市民で都内に勤めて、都内の会社で集団接種をするといった場合に、それは東京都が認めた場合に東京都が費用弁償するという形も考えられますが、 東京都が認めない場合も当然あるかと思うのです。問題はその際の情報です。
 接種受けた人の集計をどうやってやるかという問題が1つ出てくると思います。東京都で受けた場合、川崎市民であれば東京都が川崎市に通知するのか、御本人が東京都内で受けたことを通知するのか。市町村としては最終的に何人受けたというデータをとらなければいけないので、その辺のあり方を検討していただけたらなと思うのが1点。
 それから、再度の確認ですが、この予防接種は定期予防接種と同じように、いわゆる接種した自治体に、接種費用のおおむね9割程度を国が補助するという流れは基本的には変わらないということですね。そうすると、仮に川崎市の市民が東京都の勤め先で受けた場合に、東京都が受けた実数を国に出せば、その9割程度が東京都に補助されることになるのか、その辺の確認だけをもう一度したいと思います。
 以上です。
○竹下新型インフルエンザ対策推進室室長補佐 今の接種要領のことに関しましては、参考資料1の一番最後のページに記載がございますが、費用負担の話をそこでまとめてございます。
 緊急事態宣言が行われている場合は、特別措置法第46条に基づく内容になっておりまして、自己負担はなくて、費用負担に関しましては国が2分の1、都道府県が4分の1で市町村が4分の1という形で考えております。
○岡部委員長 先生のおっしゃる9割というのとは、ちょっと違うと思います。
○坂元委員 そうすると、市町村分に対しては補助がなくて、最初から、それは市町村が出すという形の理解でいいわけですね。最初からそういう分担で、仮に市町村が出した分の補助が来るという考え方ではないという形でよろしいですね。つまり、予算の流れはそうですけれども、定期接種の一部と法律的にみなした場合に、国の制度では市町村が負担した分の9割は地方交付税で見ますという流れなので、これは市町村が負担した分に関しては適用されないという理解でよろしいですね。
○岡部委員長 もし、そこのところ、もうちょっと根拠が要るようでしたら、後でのお答えとして、ちょっととっておいてください。ただし、予算的には自治体同士としてはかなり問題になるところだと思います。
 はい。
○山岸参与 基本的には、実施する主体、例えば、今回の場合は市町村が、支弁するということは事実ですけれども、国は予防接種の実施その他新型インフルエンザ等対策緊急事態に対処するために、地方公共団体が支弁する費用に対し、必要な財政上の措置を講じるものとする。当該の条項が、新型インフルエンザ等緊急事態に対処するための国の財政上の措置ということで、新型インフルエンザ等の特措法第70条に書かれています。具体的にどれぐらいの額とか、どれぐらいの割合といったことは別になると思いますけれども、それぞれの状況に合わせて財政上の措置が検討される余地はあるのかなと考えています。
 ただ、具体的に何割とか、事前に決まっているものかどうかというのは、ここではちょっと申し上げられません。
○岡部委員長 どうぞ。
○矢内参考人 済みません、先ほどの坂元委員の質問に関連してですけれども、先ほどのお話で、都内で働いている方についてという対象の確認がございましたけれども、この資料1の9ページの私の読み取りは、あくまで区市町村内に住民票はないけれども、居住している方と考えているのですけれども、違うのでしょうか。
○竹下新型インフルエンザ対策推進室室長補佐 基本的にはそのように考えています。
○矢内参考人 この点について関連ということではございませんけれども、単身赴任者や大学生等、住民票を異動せず、住民基本台帳に登録がない市町村となると、これは都内の区市町村に非常に偏りがある場合が考えられます。こうなってきますと、その区市町村の負担が非常に大きくなるということも考えられます。
 ですので、これは要望ですけれども、まず1点目は、事前の申請によって対象者を決定することができるとされていますけれども、事前の申請についても非常に煩雑な事務手続が必要になってくるかと思います。実際にそこに住んでいるかどうかの確認、あるいは住民票がどこにあるかの確認等、非常に煩雑な手続が必要となってくると思いますので、できるだけ事務手続が負担にならないような形をぜひ考えていただかなくてはいけないと思います。
 また、その対象者が事前に申請することについても、それぞれの区市町村が周知を行うことになるかと思いますけれども、その場合についても、周知については国全体を含めて取り組みが進むように、ぜひ御検討いただきたいということ。
 実際には、居住地というか、住民票があるところで受けていただくのが原則だと思いますけれども、公衆衛生上の観点から必要だということであれば、各区市町村に理解を求めなくてはいけませんので、その点について、国のほうで十分な情報提供、周知を行っていただきたいとともに、財政的な負担が過度になることがないように、そういった場合の費用の支弁について、国のほうでぜひ負担していただくようにお願いいたします。
○竹下新型インフルエンザ対策推進室室長補佐 検討したいと思います。
○岡部委員長 お金の話になってくると、実際、かなり難しい。実際難しいというのは、今の段階で御返事できないと思いますが、かなり強い要望だと思いますので、事務局は検討をよろしくお願いします。
 どうぞ。
○矢内参考人 済みません、もう一点だけ。あわせてワクチンの確保ということについてもお願いしたいのと、もう一点確認ですけれども、この予防接種について健康被害が発生した場合の健康被害の事務の取り扱いについては、これまでの御説明どおり、住民票がある自治体が担当するということでよろしいでしょうか。
○竹下新型インフルエンザ対策推進室室長補佐 現時点では、そのような形で考えております。
○岡部委員長 よろしいですね。
 では、押谷委員、どうぞ。
○押谷委員 1点目、ちょっと細かいことですけれども、資料1の8ページ目の一番下の例外としてというところで「異なる種類のワクチンでも有効性・安全性等が認められた場合には」と書いてあるのですけれども、中段の枠で囲ってある部分は、「異なる種類のワクチンを複数回接種した場合の有効性・安全性等は確認されていない」ということなので、この下も、正しくは「異なる種類のワクチンを複数回接種した場合に」ということだと思います。このままだと、それぞれのワクチンが有効で安全であればいいという形になって、違うワクチンを接種した場合の有効性・安全性と読めないような気がするので、そこは修正されたほうがいいのではないかと思いますけれども、それが1点目。
○竹下新型インフルエンザ対策推進室室長補佐 承知いたしました。
○押谷委員 もう一点は、これは多分、行動計画か何かに書かれていて、すぐに変えられる話ではないと思いますけれども、資料の1ページ目ですけれども、接種順位を4群に分けていて、これはどういう経緯でこうなったのか、私もよく覚えていないところがあるのですが。この分け方そのものが本当に適切なのかどうかというところは、もう一度きちんと議論する必要があるのかなと思います。
 具体的に言うと、小児としてだけ分類されていますが、一般的に考えられているのは、5歳未満の小児は、ここで言う医学的ハイリスクとして整理されているというのは、インフルエンザでよく言われることだと思いますし、そういう意味で、医学的ハイリスクとして、高齢者は優先的にと考えているので、通常の季節性インフルエンザですけれども、ここで高齢者も医学的ハイリスクに入れてもいいのかなという気がしますし、小児ということで、かなり広い年齢層の小児を一緒にして考えているというのは、もう一回考えたほうがいいのかなと。
 もう一つ考えなければいけないことというのは、2009年のとき、アメリカはそうしましたけれども、小児及び若年者、25歳だったか、詳しく覚えていないですが、そういう人たちが感染拡大の大きなドライビングフォースになっているということで、アメリカはその年齢層の優先順位を高く設定したと思うのですけれども、そういう考え方もあるので、成人・若年者はまた別途になっているあたりも、いろいろな考え方が生じてきて、こういう分け方では必ずしもうまく説明できないというか、こういう考え方では優先順位が決められないこともあり得るので、その辺は今後の検討課題かなと思います。
○岡部委員長 接種順位はいろいろなところで議論もあって、必ずしも固定化した概念ではなくて、今の例としての接種順位が出ているけれども、先生おっしゃるように、場合によっては成年層のほうが重症度は高いということもあるわけで、その場合は、もちろん柔軟に判断することがあり得るということが了解されていれば、今のところいいのではないかと思いますけれども。もちろんそういう議論が必要だと思います。
 小児も、多分15歳以下を小児と読んでいるのではないかと思いますけれども、本当のハイリスクは、おっしゃるように低年齢層になる可能性もあるし、その辺も、実際のときに当たっては、かなり決断しなければいけない部分だろうと思っていますけれども、そんな考え方でよろしいでしょうか。
 では、最後に丸井委員。最後にというのは、後でこの案をちゃんと言わなければいけないので。
○丸井委員 この接種要領自体ではないのですけれども、今までの議論も含めて、想定として、新規発生があって、製造なり何なりを続けていって、実際に実施に至るまでの期間というのを大体どれぐらいで想定していらっしゃるか。それによって、個々の作業に与えられた時間が変わってくると思います。
 例えば、先ほど事前に登録するとか、あるいは予診票を持参するという話がありましたが、そのためには予診票を配布しなければならないとか、そういう時間配分全体を考えて、個々の作業に与えられた時間が決まってくると思いますので、この接種要領に書く必要はないですが、想定としてどれぐらいの期間でこの作業をすると考えていらっしゃるかというのは大事なのではないかと思いましたので、もし何か想定がおありでしたら。
○竹下新型インフルエンザ対策推進室室長補佐 基本的には、パンデミックが発生してからワクチン株が入手されるまで1カ月ぐらいが想定されています。これは、もちろん前後する可能性は十分ある期間ではございますが、そこからワクチン株が作成されたりということに関して、また1カ月から1カ月半ぐらい。それから、実際にその株が製造販売業者に入って、それから製造開始してとなったときに、そこから数えて6カ月で全国民分ができるとなります。ただ、全国民分ができる前に、でき始めの段階から製造できるということを考えると、そこから3カ月前後から市場にワクチンが入ってくる可能性が出てくると思います。
 ただ、そこには動物実験の期間とか承認の話とかも入ってきますので、そのときに出てくるワクチンの製品の状況とかによって前後する数字と考えています。
○丸井委員 そうすると、今のお話のように、実際に接種がある時点でざっと始まるというよりは、五月雨式に重点的な地域と、今度は地域の問題があると思いますが、どこから始めるかということで、ある時点から始まるというよりは、だらだら始まると想定しておいたほうがよいということですね。
○竹下新型インフルエンザ対策推進室室長補佐 現時点では、ガイドラインや行動計画のほうでは、全国で均てんというか、全国一律に開始するための準備をするという形に、ワクチンに関してはなっております。もちろん、これまでも各委員の先生方から、例えば発生している地域から重点的にやったほうがいいのではないかといった意見等があるのは、私たちも承知しておりますが、現時点ではそういった形が明記されておりますので、それを前提に計画を立てていただくことになると思います。
○岡部委員長 それでは、全体の議論は今いただいたところですけれども、幾つか論点として挙げておいていただいているところ、今、既に議論に入っていると思いますけれども、ちょっと確認だけをしておきたいと思います。
 最初、押谷先生からもあった、異なる種類のワクチンを用いた、2つのワクチンを使えるかどうかというところですけれども、これはどのワクチンでもそうですけれども、基本的にはスタートしたワクチンで完結するというのが原則だけれども、足りないとか来ないという場合のことも含めて、例えば全2回分をフルに扱えないということが起きたときにどうするかということです。基本的には同一だけれども、例外として異なる種類のワクチンの有効性・安全性が認められる。これが押谷先生のおっしゃった、それぞれの有効性・安全性じゃなくて、2つ混ぜたときのということですね。A社を使って1回目、B社を使って2回目ということは、基本的には避けてほしい。
 それについては、nの数も問題ですし、余り多数は無理だけれども、一定の有効性・安全性が認められた場合には異なることもできる。それがどのぐらいのn数かというのをここで出すのはなかなか難しいと思うのですけれども、ことに安全性のほうが問題だと思います。今の点についての御了承はいただいたということでいいですか。押谷先生、さっきの問題はいいですか。
 それから、居住地以外での接種も、今、費用の点も。
○小田切委員 ちょっとよろしいですか。
○岡部委員長 どうぞ。
○小田切委員 流通のスキームのところにもあると思いますけれども、基本的に同じ会社のワクチンは同じ地域に行くということでしょうか。もしくは、ある地域には複数の会社のものが混在しているという状況だけれども、2回受けるときに同じ種類をやる場合には同じ病院に行かないといけないという整理はできているのでしょうか。
○岡部委員長 流通のほうでやりましょうか。流通のところで確かめることにして、居住地以外での接種は、費用の問題もありましたけれども、基本は住所が登録されているところ、住民票があるところですけれども、ここにその他市町村長が認める者ということにして出ているわけですけれども、幾つか要望はありましたけれども、これもこの書き方で基本的にはいいでしょうか。
 どうぞ、大石委員。
○大石委員 基本的な接種の仕方で、同一種類のワクチンで複数回接種ということになるというのが原則だと思うのですけれども、ワクチンの抗原、そしてアジュバントの有無・種類といったものがあるので、免疫原性も変わってくるし、副反応も変わってくるだろうと思われるのです。その3つのワクチンがあって、事前の承認審査のデータがある程度わかって比較されたときに、これは原則として患者さんがそのワクチンを選べるのかというのと、そういうワクチンの安全性と免疫原性の差があるときに、1つのワクチンに集中しがちになるのではないかという懸念もあるのではないかと思うのですけれども、その辺はどのように考えておられますか。
○竹下新型インフルエンザ対策推進室室長補佐 今、大石先生からいただいた意見も、今までいただいた意見と考えております。
 まず、例えば複数を選べるようになるとした場合に、そもそもそれを。
○大石委員 そういう意味じゃなくて、3つのうち、私はこのワクチンを選択したいということがあり得るのですか。
○竹下新型インフルエンザ対策推進室室長補佐 選べるということを国民の方が希望した場合、それに自治体のほうでつくっていただく接種計画とか、そういったものが対応できるところまでのものになるのかどうかというところもあると考えております。例えば、3つの中から選ぶというものを全てコントロールしていくとなると、事前予約制とか、そういったものを確実にやっていかなければいけなくなってきますし、現実的に短い期間で全ての対象者に打つということを両方並立してできるのかということも踏まえた上で、現実的なところとして、ある程度有効性を承認されているものであれば、基本的にはこれでお願いしますとするのか。
 それとも、先生方のほうから絶対に選べるようにしなければならないというのであれば、逆にそういった方向で計画を立てていただく必要性があると思いますが、それが現実的なのかどうかということも含めて、むしろ御意見をいただきたいと考えております。
○岡部委員長 小田切委員。
○小田切委員 今のことに関連してですけれども、ワクチンの種類を選択する主体はどちらにあるかということです。病院側にあるのか、受ける側にあるのか、この辺の整理はどうなっていますか。
○岡部委員長 私の意見ですけれども、これは緊急事態にやるもので、平常時にコンビニに行けば10種類のものがあって、どれでもいいという選択ができる状態とは全然違うと思います。ですから、そこを国のほうは腹を括って決めなければいけないわけです。しかも都道府県全部に、それぞれ3つあるいはプラスアルファのメーカーのワクチンが公平に行くというのは無理なので、そうなると、北海道地区はA、青森がB、九州はCということも可能性はあり得る。あと、生産の状況によっても違うし、しばしば小田切先生がおっしゃっているように、3社、4社が全部検定として通るかどうかもわからないわけですね。
 どうぞ、大石委員。
○大石委員 私は岡部委員長がおっしゃるとおりだと思うので、大きくは3つのワクチン製剤の免疫原性、安全性がほぼ容認できるレベルのものであり、大きな差がないというのが一つのシナリオですが、免疫原性、安全性に大きく違いがあって、3社のうち2社しか選択できないということもあり得ると思います。そういった条件の中で、A、B、Cの3ワクチンはほぼ同等であるという理解であれば、緊急事態ですので、国が決めた方針で接種ということを国民にも納得してもらうというのが、一番整理のつく方法かなと思います。
 一方、さっき言いました同等でないという場合には、またそれなりのシナリオを考えておかないといけないのではないかと思います。
○岡部委員長 どうぞ、坂元委員。では、これを最後に。
○坂元委員 実際にワクチンを選べるかどうかというのは、自治体としてかなり難しいのではないかと思います。どういうワクチンが、いつ、どういうふうに入ってくるかはわからないということと、事前登録制といっても、仮に集団でやる場合、恐らく市民の方に自治体が通知を出して、あなたはこの会場でいつ接種するということになって、そこの会場の中でワクチンを3種類用意していますから、好きなものを選んでくださいというのは絶対あり得ない話かなと私は思います。
 それで、もう一つは、もしそうであれば、事前にワクチンは選べませんという形で、事前のインフォームドコンセント、自治体が市民の方に案内を出すときにその辺もしっかり書いておく必要はあると思います。選べないなら嫌だという人は御遠慮願うしか、この場合は方法がないのではないかと思います。
○岡部委員長 この件、課題もいっぱいありますけれども、今、坂元委員がおっしゃったような、全部を潤沢に選ぶということは非常に難しいということは、これからのコミュニケーションとして十分必要じゃないかと思います。
 谷口委員。
○谷口委員 ありがとうございます。
 今の件は、H5とか、最悪のシナリオを想定した計画なので、今のような議論でよろしいかと思いますし、例えばH3N2vとかH2N2とかが来たら、多分、各メーカーは同じようなワクチンをつくっていただけるので、こういった議論はそのときに役に立つのではないかと思ってお伺いししておりました。
 それと関係ないのですけれども、論点2のほうですね。居住地以外の接種を受けて、それをまた居住地に報告するとか、いろいろなことが出てくると思うのですけれども、ガイドラインの案のほうには、できるだけ電子的な予防接種台帳をつくるようにというのが書いてございまして、ここでイムナイゼーションレジストリ(National Immunization Registry)というものをこの機会にきちんと国として考えていただけると、川崎市で打ったら三重県で見えるとしていただけるとありがたいなという希望だけ述べさせていただきます。
○岡部委員長 そこが本当に一番強いところで、事前登録といっても、紙でやるわけにはなかなかいかないし、電子的にないと混乱必至だと思います。特に住民も入れかわったりするし。これについては、いろいろな予算の話も出てくる中で、レジストリについてはぜひ何とかしていっていただければ。基本じゃないかと思いますので、この辺も要望の中に入れさせていただきたいと思います。
 ちょっと話を進めたいのですけれども、今のは基本的には住民登録のあるところだけれども、幾つかの市町村が認める者というところで、例外はある。ただし、登録についてはさらに工夫が必要であるというところだと思います。
 次の論点3のほうが接種会場における実施計画の策定ですけれども、これについては何か議論がありますでしょうか。もっともなことが書いてあると思うのですが。
 保護者の同伴の要件は論点4ですけれども、これも従来どおりなので、同様のやり方でいいのではないかと思いますが、何か御意見があれば。よろしいですか。
 次は、なかなか問題点もあると思うのですけれども、流通スキームの策定について、一つの案がここに出ておりますけれども、これについてはいかがでしょうか。
 どうぞ。
○矢内参考人 流通スキームのところですけれども、まず1点、都道府県の役割が幾つか書かれているのですけれども、1つには、決定した接種会場別のワクチン配分量を区市町村にというお話がありますけれども、各区市町村の配分量を都道府県が全て決定することは、実際問題として非常に難しいと思います。
 ですので、こちらのほうはある程度都道府県の実情に応じた、裁量がきく形で含みを持たせたような表現をしていただかないと、全て都道府県が接種会場別のワクチン量を決定して区市町村に通知するといっても、事務手続上あるいは区市町村の納得といったことも含めて難しいので、例えば東京都の場合であれば、区市町村のほうに決めていただいた量を東京都が配るという形にしたいと考えますので、ぜひそういったことを工夫していただければと思います。
 あと、ワクチンの流通スキームの中で、物流センター等を設置して都道府県がそちらのほうと契約というお話になっていますけれども、卸業者さんと都道府県が、日ごろ余りおつき合いのない中で御協力をあらかじめとっていくというのも難しい部分もございますので、卸業者さんと都道府県が円滑に話ができるように、国のほうもぜひ業者のほうとお話しをしていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
○岡部委員長 ありがとうございました。
 どうぞ。
○竹下新型インフルエンザ対策推進室室長補佐 今、いただきました都道府県から市区町村の接種会場にというところですけれども、これは都道府県と市区町村の中での情報として、例えば都道府県のほうから各市区町村の量を配分して、そこから各市区町村が接種会場に配分するという形も、もちろん一つの方法として考えたものと御理解いただければと思います。
○岡部委員長 事前の準備として大変だと思うのです。特に卸の方の協力を得なければいけないというのもあるので、地域の一つの事前準備としては、こういった話し合いも進めていただければと思います。
 流通スキーム、いろいろな応用もやらなければいけないところだと思うのですが、総論的なところといいますか、その辺では、今は一応これでよろしいですか。
 どうぞ、最後に。
○小田切委員 先ほどもちょっと申し上げましたけれども、この3業者のどのワクチンも接種できるように、そういう体制を組んだ場合には、違う種類が混在しているという状況で、先ほどの選ぶという整理にも関係してきますけれども、これをどういうふうにやっていくかということです。だから、例えば同じ東京都で何種類もある。それをどういうふうに整理するかということだと思いますけれどもね。
○岡部委員長 どうぞ。
○竹下新型インフルエンザ対策推進室室長補佐 対応としては2つの方法があると考えておりまして、結局、3つのどこの事業者の分でも展開できるようにしていただきたいということなので、どのワクチンも展開できるようになっていると思います。ただ、都道府県全体を1つにするほうがいいのか、それとも3つともある程度の量がある場合は、同じように配分していくほうがいいとするのかという意味で、そこに関してはそのときの供給の状況とかを含めて決めることになると思うのです。
 各自治体とかの計画を立てていく中で、例えば3つが入ってしまうと全くマネジメントができないから1つにしてほしいとなってくるのか、それとも3つあっても、例えば同じ都道府県とか市町村の中で接種会場を分ける形で対応できるので、そういうほうが望ましいとするのかというのは、それぞれの自治体とかの接種計画の内容がある程度上がってくるところで、改めて議論いただいたほうがよろしいのではないかと考えております。
○岡部委員長 そこは、こういうモデルを導入した場合にどういうことができるか、できないかということが次に残された課題になってくると思います。少なくとも全部自由にはできないので、卸の業者の中でも、ふだんAメーカーしか取り扱っていないけれども、地域の分布状況からいったらB社を取り扱わなければいけないかもしれない。そういったことも含めて、地域で話していただくようにしなければいけないかと思います。
 では、坂元委員、最後にお願いします。
○坂元委員 今、矢内参考人がおっしゃったこと、もっともだと思います。この論点5のところに、市町村は、都道府県の広域流通に協力することというぐらいの一文を入れておかないと思います。市町村の中には都道府県に丸投げみたいなところが出てくるので、あなたたち市町村もしっかり協力するのですよという一文はしっかり入れておいたほうがよいと思います。都道府県だけがやるということではなくて、もちろん市町村がしっかり調査して都道府県に必要量を上げてという協力体制がないと、これはできないと思うので、その一文は入れておいたほうがいいと思います。
○竹下新型インフルエンザ対策推進室室長補佐 承知いたしました。住民接種の接種主体が市町村だったので、それは当然できているものという前提で記載していたのですけれども、その一文があったほうがいいということであれば記載させていただきたいと思います。
○岡部委員長 ありがとうございました。
 資料1に大分時間を費やしてしまったので、次に進みたいと思いますけれども、議題2です。資料2「医療体制においての情報提供・共有の強化」の説明をお願いします。
○竹下新型インフルエンザ対策推進室室長補佐 それでは、資料2について説明させていただきます。「医療体制においての情報提供・共有の強化」ということで説明させていただきます。
 まず、医療体制と情報提供・共有の経緯に関しまして、国の方針としまして、行動計画及びガイドラインにおいて、まず国のほうでは、1つ目の●の星のところになりますけれども、医療体制について、国及び都道府県は未発生期から医療体制の整備に努め、そのフォローアップを行うこととし、さらに、新型インフルエンザ等患者の国内初発例を確認してから地域発生早期までは、新型インフルエンザ等患者は病状の程度にかかわらず、感染症法第26条で準用する第19条又は第46条の規定に基づく入院措置等の対象となるため、都道府県等は新型インフルエンザ等患者の入院可能病床数を事前に把握する必要性があるとしております。
 また、情報提供・共有の観点からも、国及び地方公共団体は、平時から情報提供に努めることということが明記されております。
 そのような状況の中で、医療体制の整備と調査の現状に関して説明させていただきます。
 (2)の1つ目の●ですけれども、国のほうでは、平成20年10月に、都道府県が確保した新型インフルエンザの患者の入院医療を提供する医療機関において、必要な病床及び医療資器材等について、あらかじめ整備し、医療体制の強化を図ることを目的として、「新型インフルエンザ患者入院医療機関設備整備事業費補助金」制度を開始しております。
 また、報告調査としましては、平成21年に「新型インフルエンザ患者の入院診療を行う医療機関の受入可能病床数の報告について」を発出して、都道府県に対し入院可能病床数の報告を要請し、毎年、この調査を継続して行っているというのが現状でございます。
 次のページですけれども、その他になります。医療体制に関しましては、これまでも内閣官房の新型インフルエンザ等対策有識者会議において、地域の医療体制の整備について、国民の理解を得るための情報公表の重要性、必要性についても触れられております。
 そのような現状の中で、医療体制においての情報提供と共有の強化について、今回、2つの提案させていただきたいと考えております。
 上記の経緯を受けて、「新型インフルエンザ患者入院医療機関」の情報公表に関し、以下のとおり提案させていただきます。
 提案の1つ目としましては、「新型インフルエンザ患者入院医療機関」の情報を厚生労働省ホームページにまとめて掲載するとしたいと考えております。
 医療施設は、全ての調査結果を都道府県に提示し、都道府県から国に情報共有するとともに、公表に関しては、施設ごとに状況が異なるため、施設ごとにホームページの公表の可否を判断していただいて、その情報をもとに都道府県に提示していただきます。その情報について厚生労働省のホームページにまとめて掲載してはどうかと考えております。
 理由としましては、入院医療機関については、年に一度の調査が既に実施されていまして、都道府県から国へ医療施設情報が提示されているため、情報収集の手段は確保されております。
 また、30年度の入院医療機関調査結果では、全ての都道府県で一定程度の入院医療機関が確保されております。そのため、今後、国民に平時から一元的な情報提供・共有を行うことにより、発生時に国民が迅速かつ適切に診断、治療を受けることが可能となると考えております。
 留意事項としましては、「新型インフルエンザ患者入院医療機関」調査結果の記載を統一するため、公表の目的を再度都道府県に通知して説明したいと考えております。
 また、ホームページの情報公表については、平成31年度の調査後に掲載することとしたいと考えております。
 提案の2つ目としましては、コールセンター、帰国者・接触者相談センター、帰国者・接触者外来も同ホームページで掲載し、情報公開したいと考えております。
 今後、コールセンター、帰国者・接触者相談センター及び帰国者・接触者外来も同ホームページで掲載し、情報公表を目指すこととしてはどうかとしております。
 理由としましては、発生時に国民からの相談に応じるコールセンター、症状がある際に帰国者や接触者の相談に応じる帰国者・接触者相談センター及び新型インフルエンザの疑いがある際に診療を行う帰国者・接触者外来も同ホームページで情報共有が必要と考えているからということになっております。
 留意事項としましては、コールセンターと帰国者・接触者相談センターは、新型インフルエンザ等が発生した段階で設置するため、発生後に掲載するという形での記載にしたいと思っております。
 また、帰国者・接触者外来について、現在、調査対象としておらず、集約的な情報がないため、平成31年度の調査に追加し、同時に掲載を目指したいと考えております。
 具体的なイメージに関しましては、参考資料3のほうに記載しております。6ページ目から7ページ目、8ページ目、9ページ目、10ページ目、11ページ目、12ページ目までに具体的なイメージとして掲載しております。
○岡部委員長 ありがとうございました。
 こういうときの説明だったり、いろいろなところでの情報提供というのは非常に難しいところもあると思いますが、ここで議論しなければいけないのは、医療体制に関する情報提供を強化するというところがあって、提案として2つ出ているわけですけれども、これも提案1のほうで、特に新型インフルエンザ患者入院医療機関の情報をホームページにあらかじめ出すのが全体的にはいいという、前の委員会でも話があったと思うのですけれども、一部の自治体は、ここについて早く公表すると実際には混乱するのではないかという意見があったりするのですけれども、この辺はいかがでしょうか。
 どうぞ。
○矢内参考人 医療機関の公表についてですけれども、コールセンターの公表まではやむを得ない。もちろんそこにかけていただくわけですから、これについては十分な周知が必要かと思います。ただ、東京都もほかの自治体もそうだと思いますけれども、コールセンターで受診が必要、検査が必要と判断した方については、ここで言えば帰国者・接触者外来というところに行くことになりますけれども、ここが公表されることによって、コールセンターを介さずにこちらのほうに患者さんが殺到してしまう。結果として非常に混乱が生じる、あるいは真に受診が必要な方の受診がおくれてしまうといった問題も出てくるという観点から、医療機関については、ここの部分の公表については難しいのではないか。
 また、こういった形で公表することによって、混乱を避ける、あるいは感染症患者が非常に多数殺到する病院であるという観点から、医療機関としての指定を辞退するところもあるのではないかといった危惧も示されておりますので、ここの部分の公表については、ぜひ慎重に行っていただきたいと東京都としては考えております。
 よろしくお願いいたします。
○岡部委員長 実際の現場として、釜萢先生あるいは参考人の先生方に御意見を伺いたいところですけれど。
○釜萢委員 今、御指摘がありました面も十分承知しておりますが、流行の状態がどのステージにあるのかによって大分違いますから、そのところを考慮しなければならないと思います。
 それから、今回のこの指針でも、医療機関が公表したくないという場合にはしない形がとれるようになっているので、それは医療機関の判断にかなり任せられるところでありますので、一律に出さないというよりは、出せるものについてはあらかじめ平時に出しておく。急に混乱を来すときに出すと大騒ぎになる可能性がありますから、平時から出しておいて、体制をそれぞれの医療機関がしっかりとっておくということで、とてもそこまでの体制がとれないというところは、収容等の協力は全面的にやるけれども、公表はしたくないという選択があってもよいかなと思いますので、一律に出さないというよりは、平時に出しておくほうが私はいいのではないかと感じております。
○岡部委員長 時間的には、多分一瞬の出来事で、最初の段階の入院だと思います。ガイドラインや何かにも、ある一定の患者数がふえてきた場合には、通常の医療に関しては通常の医療機関でやっていただく。入院医療機関でベッドを持っているところは、重症患者についての対応をしていただくという仕分けが出てきているので、そこも徹底しておいていただかないと、軽症者も含めて、いつまでたっても国立国際医療センターに外来がずっと並んでいるというのは余り考えたくないので、そういうことは診療のためにも避けていただきたいということが必要だと思うのですが、実際の患者さんを受け入れる病院側としてはどうですか。馳参考人あるいは倭先生、どうぞ。
○馳参考人 第1種指定医療機関、第2種指定医療機関、特定の指定医療機関という名称は、既にホームページに記載されているので、新型インフルエンザの対応病院、入院医療機関として平時から掲示すること自体にはそれほど抵抗はないのですが、有事のときに電話がたくさんかかってくると、我々の病院の現状を考えても回線があっという間にパンクしてしまうということが想定されます。そういった混乱が起こらないように、住民に対する適切な情報提供が必要なのかなと思います。
 あとは、私たちの病院は公表するという判断をすると思いますが、各施設ごとに公表の可否を自由に判断してもらうことになると、公表すると判断した病院に患者が集中してしまうということになりかねないように思います。従って、ホームページに掲示することになるのであれば、どうしても公表は困るという意見の病院は別として、基本的には公平に公表する方針の方が良いのかなと思いました。
○岡部委員長 福田先生。
○福田参考人 危機管理という観点から言いますと、発生した後のクライシスコミュニケーションとかクライシスマネジメントを有効にするためには、事前のリスクコミュニケーションというものの社会教育が万全になっていることが前提になりますので、この大方針というのはすばらしい方針で、このようにあるべきだと思います。
 かつ、医療体制とか病院の公表以外にも、ものすごい数の、大量の情報の社会教育が必要になってくるだろうと思います。例えば、事前登録制とか複数回とか接種会場がどこになるのかといった社会教育というのは、事前に時間をかけてじっくりやっていかないと、浸透していくにはなかなか時間がかかると思いますので、病院の問題、公表のことで、それ以外の社会教育にブレーキがかかるようなことがないように進めていく必要があるかと思います。
 そのときに1つ感じましたのは、先ほどの流通スキームというのは事後のクライシスマネジメントの体制だと思うのですけれども、それ以前にリスクマネジメント、リスクコミュニケーションの段階で、厚労省や都道府県といったところが、計画の作成支援ということがまず第1段階にあると思いますけれども、この計画の作成支援のスキームというのも、ああいうわかりやすいモデルが必要になってくると思いますし、それができたら、その後、社会教育のリスクコミュニケーションができますので、厚労省や都道府県や市町村のレベルというのは同じように発生してきて、そこにもスキーム、モデル図みたいなものが必要になってくる。
 それがないと、どこからどこまで県がやるべきなのか、どこからどこまでが市町村がやるべきなのかということの組み立てというのが非常に複雑でわかりづらい部分があるかと思いますので、それも含めた社会教育といいますか、事前に徹底して実施していただけるとありがたいなと思いました。
 以上です。
○岡部委員長 ありがとうございました。
 それでは、加藤先生か倭先生。
○倭参考人 倭ですけれども、我々のように指定医療機関ということで判明しているところは患者さんもホームページを見られていると思いますけれども、それ以外のところもありますので、今、東京都の先生のお話もありましたけれども、各都道府県レベルでの新型インフルエンザの会でそこのところを詰めた上で、都道府県の実情を踏まえて対応をどうするかということを確認していただいて、厚労省でまとめるほうがいいのではないかと私は個人的には思います。
○岡部委員長 加藤参考人。
○加藤参考人 私も、入院医療機関が公開を選択できるということですし、事前にある程度情報を出しておくということは非常に重要なことだと思います。ただ、「新型インフルエンザ患者入院医療機関」という名称だけ見ると、流行期間全てを通じて、ここだけが対応するようなイメージを与えかねないので、それは国民の方が理解できるように、事前に準備をして、流行初期に頑張る医療機関ですというところが十分伝わらないと、ちょっと支障があるのかなと思います。ホームページの見せ方といいましょうか、そういうところもぜひ検討していただければと思います。
○岡部委員長 ありがとうございました。
 あと、川名先生も何か。
○川名委員 対応できる医療機関については、できる限り公表しておいたほうが良いと思います。そこに殺到するという心配もあるかもしれませんが、恐らくほとんどの人たちは、熱が出たら最寄りの医療機関を受診するのであって、行動計画どおりにはなかなかいかないだろうと思いますので、そういう意味も含めて、できるだけ早目にいろいろな情報は開示しておいたほうが良いと私は思います。
○岡部委員長 ありがとうございました。
 一応、基本的には開示だけれども、矢内参考人が心配されていたような、医療機関によっても差がある可能性があるということと、同時に、議論としては余り出ていませんでしたけれども、この提案2のほうの、ほかの主体的なことについても、ほぼ同時に公開していかないと混乱するだろうということにまとめられるのではないかと思います。
 それから、こういうことをやった結果としての社会教育といいますか、アナウンスもあわせてやっていかないと、ここに殺到しないようにという、やってもなかなかうまくいかないのが実際のアウトブレイクのときですけれども、指標はこういうところにあるというところは、できるだけあらかじめ備えとしてやっていただければということでよろしいでしょうか。
 どうぞ、最後に。
○福田参考人 済みません、もう一点だけ。社会教育、情報提供というのは非常に重要なテーマであります。しかし、最後の目標というのは住民に伝わるかどうかということでありますので、住民に伝えるのにホームページだけを検討されているわけではないと思いますけれども、見に来た人しか見られないという部分があります。当然、インターネット等は、今、広く使われておりますけれども、高齢者等では使えない人も多いということもあり、そして、若者は今、ほとんどパソコンを使わなくなっていて、学生もスマホしか使わない。
 スマホでも見られる、タブレットでも見られるホームページ。かつ、高齢者等であれば、特に地方であれば、自治体の回覧板とか、もしくはコミュニティFMとか、ケーブルテレビのケーブルチャンネルの中で地元のチャンネルがありますので、そういうところのコンテンツの提供みたいなものを、なるべくマルチメディアな体制で、どうやって住民まで届くプッシュができるかというところを、予算措置の問題はあるかと思いますけれども、御検討いただければと思います。
 よろしくお願いいたします。
○岡部委員長 ありがとうございました。
 それでは、少し先に進めたいと思いますけれども、次は議題3「抗インフルエンザウイルス薬の今後の備蓄方針について」に移したいと思います。御説明お願いします。
○竹下新型インフルエンザ対策推進室室長補佐 それでは、資料3をごらんいただければと思います。「抗インフルエンザウイルス薬の今後の備蓄方針について」、説明させていただきます。
 備蓄の現状に関しましては、国の備蓄方針ということで、政府行動計画・ガイドラインのほうで示されております。
 (1)の1つ目の●の星の下線部に当たりますが、現時点では、国と都道府県は、最新の諸外国における備蓄状況や医学的な知見等を踏まえ、全り患者(被害想定において全人口の25%がり患すると想定)の治療、その他の医療対応に必要な量ということで、4500万人分を目標として抗インフルエンザウイルス薬を備蓄しております。
 また、備蓄薬剤の種類に関しましては、国は抗インフルエンザウイルス耐性株の検出状況、臨床現場での使用状況等を踏まえ、今後備蓄薬を追加・更新する際には、他の薬剤の備蓄割合を検討するとともに多様化を図るということが示されております。
 国は、最新の諸外国の備蓄方法の事例等の情報を収集し、これらを参考に、効率的かつ合理的な抗インフルエンザウイルス薬の備蓄方法について検討するということが示されております。
 また、実際に発生して使うときの流通の方針ですけれども、発生したときの流通に関しましては、まず最初に使うものは、市場に流通しているものです。こちらのほうが一定量以下になった時点で、都道府県が備蓄している抗インフルエンザ薬を卸業者を通じて供給し、さらに都道府県からの補充要請に応じて、国の備蓄薬を卸業者を通じて放出するという順番で放出することが決まっております。
 現在の備蓄状況に関しましては、(2)に示されているとおり、これらの種類のものが備蓄対象として製剤として備蓄保管を行っております。
 今後の備蓄方針に関しましては、平成27年度の新型インフルエンザ等対策有識者会議において、今後、技術的なことも含めて効率的かつ安定的な備蓄のあり方について検討するということが言われております。
 また、昨今の状況としまして、平成30年2月にゾフルーザが薬事承認され、翌月の3月14日から薬価収載のもとに販売が開始されております。
 また、6月にオセルタミビルの後発医薬品が薬事承認され、薬価収載のもと販売が開始されたということが昨今の状況でございます。
 こういった状況を踏まえた上で、2つ提案させていただきたいと考えております。
 まず、1つ目は、効率的かつ安定的な備蓄のあり方として、抗インフルエンザウイルス薬の備蓄方法に原薬備蓄を追加してはどうかということを提案させていただきたいと思います。
 理由としましては、備蓄を開始した平成17年当初は、抗インフルエンザウイルス薬の製造工場が国内には存在しなかったが、現在では、国内に製造工場があり、安定的な製造体制が確保されているという状況になっております。
 また、製剤備蓄は個別に梱包等しておりますが、原薬備蓄はタンクの状態で保管できるため、備蓄のために必要な保管場所の面積が削減され、備蓄保管費用の削減が期待されるということがございます。
 ただ、原薬を備蓄するということで、条件及び留意事項等について皆様に御審議いただきたいと考えております。
 パンデミック発生時の備蓄薬の放出順位は、市場流通、都道府県備蓄、国備蓄の順番なので、国備蓄についてはパンデミック発生から3カ月程度で製剤できることを条件とし、多様な備蓄としてはどうかと考えております。
 上記の備蓄薬の放出順位を踏まえて、原薬備蓄は現時点で国備蓄のみとしたいと考えております。
 この3カ月というものは、参考資料4の8ページ目になるのですが、過去のインフルエンザの定点あたりの報告数というエピカーブがありますけれども、その状況から、次のページ、2009年の非常に多かったときの流行曲線ですけれども、そのときに一番少なかったときからピークを迎えるまでの期間で、3カ月であれば最大数に至る手前のところで原薬のものが全て製剤化されるということもございますので、比較的安全な期間と考えて3カ月という形で設定させていただきました。
 もう一つの提案は、バロキサビルの備蓄に関しましては、直ちに備蓄することはせず、臨床現場における使用状況を踏まえた上で引き続き検討することとしてはどうかということになっております。
 理由としましては、抗インフルエンザウイルス薬は、医療現場において既に複数種類が用意されております。
 また、既存の備蓄薬における対応として、臨床現場での使用状況を鑑み、薬事承認後から一定程度の期間が経過した後に備蓄を開始しております。
 バロキサビルは、国内工場において製造されており、パンデミック発生時も製造が可能であるということがあります。
 また、バロキサビルに関しましては、今シーズンより、多くの医療機関で本格的に使用される見込みです。実際の使用状況及び関係学会の臨床上の位置づけを踏まえ、今後の備蓄の要否を検討したほうがいいと考えております。
 このことに関しては、参考資料の12ページに、これまでの抗インフルエンザ薬の薬事承認から備蓄までの期間が記載されております。ファビピラビルに関しましては、市場流通がなかったということもございまして、約3年ということになっておりますが、それ以外のものに関しましては5年間で、5年間の経過を置いた後に備蓄開始されています。
 また、関係学会でのバロキサビルの臨床の位置づけというのが13ページ目になります。日本感染症学会及び日本小児科学会での記載、また日本小児感染症学会では関連する記載がないという状況で、そういった関連学会での記載内容等を踏まえますと、現時点ではまだ備蓄はしないで、引き続き検討という形で考えたいと考えております。
 以上になります。
○岡部委員長 ありがとうございました。
 抗インフルエンザウイルス薬が幾つかある中の備蓄という点について、提案もありましたけれども、全体で何か御意見、御質問がありましたら。
 どうぞ、谷口委員。
○谷口委員 原薬備蓄というのは、1990年代後半から2000年にかけて世界各国でやっていたわけですけれども、あのときの議論は、まず安価である。もう一つ、当時言われていたのは、オセルタミビルホスフェートしかなかったのですけれども、あれは科学的に極めて安定であって、半永久的に原薬材料が備蓄できるという議論があって世界各国がやっていたと思うのですけれども、今回のこの原薬備蓄は製剤備蓄に比べて極めて安価である、あるいは期限が長いとか。国民の血税を使ってやるわけですから、そういった検討はどこまでされているのかというのを教えていただければ。
○竹下新型インフルエンザ対策推進室室長補佐 もし原薬備蓄をする場合には、実際の入札等の値段の安いほうを選ぶということは、当然検討することになると思います。
 安定性に関しましては、薬事の承認の中で決められた範囲内での安定期間ということになりますので、その期間を踏まえた上での、例えば年当たりの費用がどれぐらいになるかということも含めて、全体の値段を考慮することになると考えております。それを踏まえると、現時点で得ている情報としましては、より安くなることが考えられるということで、今回提案させていただいております。
○岡部委員長 原薬備蓄についてはいかがでしょうか。よろしいですか。
 どうぞ、大石委員。
○大石委員 オセルタミビルのジェネリック品が出ているというのを知らなかったのですけれども、こういったものも原薬備蓄の対象になるのですか。
○竹下新型インフルエンザ対策推進室室長補佐 基本的には、原薬になるかどうかということも含めてですけれども、まずは製薬会社で、原薬で販売してくれるところがあるかどうかというところを打診してみないといけないということが1つございます。あと、実際に同じ薬効のものであれば、それは値段などである程度選択していくことになると考えております。
○大石委員 ありがとうございました。
○岡部委員長 これは、明日から原薬備蓄をやるというのではなくて、原薬備蓄の方針を立てるので、それについてメーカー側も検討してほしいという気持ちが込められているということでいいですか。
 それでは、原薬のほうはいいとして、もう一つ、バロキキサビルに関してですね。その前のファビピラビルは流通していないということと、緊急用の製造ということで終わっているわけですけれども、バロキサビル(ゾフルーザ)はかなり使われているようですけれども、いろいろなところの意見もあり、直ちにということではないということですけれども、これについてはいかがでしょうか。
 どうぞ、押谷委員。
○押谷委員 直ちにということでないということはいいと思いますが、ここに書かれている臨床現場による使用状況等を踏まえた上でというだけでいいのかということは考えるべきかなと思います。これまで市場に出回っていた抗インフルエンザ薬というのは、ノイラミニダーゼ阻害薬だったわけですね。そうでないものが出てきたということで、基本的に考えなければいけないことというのは、バロキサビルに関してもそうですが、現行の抗インフルエンザ薬に関して、明確にあるエビデンスというのは有熱期間が短くなるということしかないです。最新のエビデンスでは、十数時間しか短くならないと言われていて、それしか明確なエビデンスはないのです。
 特に、より病原性の高い新型インフルエンザが発生したときに、国民は有熱期間が十数時間短くなることを期待して、この薬を飲むわけではないと思うのです。しかも、これだけの税金を使って備蓄しているというのも、有熱期間が十数時間短くなることを期待してやっているわけではないと思います。何を期待しているかというと、重症化を少しでも下げる、死ななくなるということだと思いますが、そこに関するエビデンスが非常に乏しいというのが現状で、2009年のオブザベーショナル・スタディーで幾つかそういうものが出ていて、イギリスではかなりきちんとしたレビューも出ていて、ある程度は効くだろうと言っているけれども、どの程度効くのかというのは実際のところはよくわからない。
 実際に、日本では複数の抗インフルエンザ薬が非常に多く使われていて、季節性インフルエンザに関する重症度をどれだけ下げられるかというエビデンスが出てくるとすると、日本しかないですね。この新規の薬に関しても、出てくる場所としては日本しかないわけです。それをきちんと出していくということが、まず必要で、このバロキサビルを備蓄するかどうかということも、そのエビデンスがどうなるかというところによると思います。もしかすると、ノイラミニダーゼ阻害薬とバロキサビルを併用するというのも、重症例に投与するという意味でオプションとしてはあるかもしれない。
 そういったことも含めて、本当にこういった薬が重症化した人たちにどれだけ効くのか、重症化阻止にどれだけ効果があるのかというエビデンスをまず出すことが必要で、市場でどれだけ流通しているかということが最優先ではないような気が私はするのですが。
○岡部委員長 ここに一文加えてもいいと思いますけれども、臨床現場での使用状況というのは、効果・安全性あるいは重症化予防も含めてということだと思います。押谷先生がおっしゃるように、その辺は明確にしていったほうがいと思います。
 どうぞ、倭先生。
○倭委員 倭ですけれども、私は今の意見に賛成で、皆さん御存じかと思いますけれども、今始まった、世界各国で重症のインフルエンザに対するゾフルーザの治験というのは、ラピアクタとかタミフルあるいはリレンザにゾフルーザをプラスアルファして、あるいはゾフルーザをプラスアルファせず、そのままかという二重盲検比較試験です。対象患者は例えば重症の肺炎とか、肺炎まで行かなくても酸素需要があるとかで、それに対する治験が今、ちょうど始まったところかと思います。日本も参加していますので、その結果を見て、重症のインフルエンザに対してエビデンスがしっかり出るかどうかということがはっきりわかると思いますので、それを確認して再度検討するという形でいいのかなと思います。
○岡部委員長 ありがとうございました。
 ノイラミニダーゼ阻害剤のときの重症化、あるいはあのときは倍量といったこともあったのですけれども、そのときのレビューをしたと思いますけれども、谷口先生、そのときのことも踏まえた意見がありますか。その次、小田切先生。
○谷口委員 先ほどのお話にあったように、CDCは2009年の日本のデータも引用していましたけれども、重症化の予防効果があるということをよく言われていましたが、記述的なデータに基づいており、確かに疫学的な明確なエビデンスとしてあるかと言われると、押谷先生が言われるとおりです。ただ、今さらケースコントロールができるかという話もありますけれども、おっしゃるようにそういったことはやっていかねばならないと思います。倍量、倍期間投与というのは、標準投与法とほとんど効果が変わらないというこれまでのデータですから、そういったことも考えて、今おっしゃったように考えていくべきだろうと思います。
○岡部委員長 ありがとうございました。
 小田切委員。
○小田切委員 もう一つのファクターは、バロキサビルを使ってどれぐらいの耐性が出てくるかという頻度です。今、アベイラブルなデータというのは、恐らく臨床試験のときのデータしかないと思うのだけれども、かなり使われてくるようになると、さらに詳細な耐性株が出る頻度とかも出てくると思います。それも踏まえて、この備蓄の戦略というのはもう少し慎重にやるべきかなと思います。
○岡部委員長 ほかには。どうぞ、矢内参考人。
○矢内参考人 教えていただきたいのですけれども、ジェネリックの取り扱い。今のところオセルタミビルのジェネリックですけれども、これは今後どうなっていくのかについて教えていただけますか。
○竹下新型インフルエンザ対策推進室室長補佐 取り扱いというのは、この備蓄をしていくかどうかということですね。現時点では、有効期限のこともありますので、そういったことも全部考慮した上で、同等品のものがある場合、どういうふうに考えていくかというのは、まさに金額的なことを考えた上で検討していくべきものと考えています。なので、選択肢としてはもちろん入ってくるものと考えています。
○岡部委員長 ほかにはよろしいでしょうか。
 特に、ワクチンが出回ってくる前はこれに頼らざるを得ないところもあるのですが、エビデンスが十分でないところは、一生懸命エビデンスを得るためのそのほかの臨床研究や市販後調査に期待したいところですし、押谷委員を初め、ほかの方々もおっしゃっているように、きちんとしたエビデンスを求めていかないといけないというところが、このバロキサビルに関する議論だと思います。
 それから、原薬備蓄に関しては、そういう考え方でスタートするので、実際、原薬にした場合に、その可能性・価格等々も含めて、ぜひ調査を続けていっていただきたいと思いますが、そういうことでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○岡部委員長 ありがとうございます。
 それでは、議題4「プレパンデミックワクチンの今後の備蓄方針等について」ということで、これも御説明お願いします。
○竹下新型インフルエンザ対策推進室室長補佐 それでは、資料4について説明させていただきます。
 「プレパンデミックワクチンの今後の備蓄方針等について」ということで、備蓄の経緯について説明させていただきたいと思います。
 国の備蓄方針としましては、プレパンデミックワクチンは新型インフルエンザ等特別措置法に基づき、行動計画・ガイドラインを作成しておりまして、新型インフルエンザが発生した際に、国の責任の下、地方公共団体、医療機関等の関係機関や、国民の協力を得て、可能な限り速やかにプレパンデミックワクチンやパンデミックワクチンの接種を行うこととして、国のほうでプレパンデミックワクチンの原薬の製造・備蓄を進めております。
 このような中で、参考資料5を先に見ていただきたいのですけれども、平成26年の第18回新型インフルエンザ専門家会議という、この小委員会の前身の会議のときに決められた内容ですけれども、今は細胞培養でつくっているものを備蓄しておりますが、この当時は鶏卵でH5N1のワクチンを製造していました。
 後ろのページを見ていただきたいのですけれども、そのときに決められたものの一つに既存の備蓄及び新規備蓄分の原液について、より長く備蓄を継続するための検討を行うということで、製造業者等と相談しながら以下の点について検討を行う。有効期限の延長、これは経時的な力価試験の実施や抗原量の増加等。また、細胞培養法による製造を行いましょうということが当時決められた内容になっています。
 そのことを受けて、資料4に戻っていただきたいのですけれども、(2)鶏卵培養法の有効期限の延長ということを実施しておりました。2つ目のポツのところですけれども、平成26年のH5N1に対するプレパンデミックワクチンの備蓄戦略の中で、既存備蓄及び新規備蓄分の原液について、有効期限の延長を検討しました。
 以上を受けて、平成26年度に一般財団法人化学及血清療法研究所(現KMバイオロジクス株式会社)が製造し、国が備蓄している鶏卵培養法によるH5N1に対するプレパンデミックワクチンの原液について、有効期限を延長するための試験を実施し、45カ月まで延長しております。さらなる延長について試験を行っているというのが現状でございます。
 そして、今後の鶏卵培養法の有効期限の延長試験に関しての考え方について、今回提案させていただきたいと考えております。
 平成30年6月5日感染症部会において、平成31年度に有効期限が切れるプレパンデミックワクチンに関しましては、前回、先生方にも御議論いただいたように、H7N9、Guangdong株に決定されたということがあります。
 また、現時点でKMバイオロジクス社、北里第一三ワクチン共株式会社、武田薬品工業において細胞培養法の製造体制の整備が進められており、H5N1に対するワクチンは、3社とも細胞培養法で製造できるように既に薬事承認がとられている状況でございます。
 そのようなことを踏まえた上で、H5N1プレパンデミックワクチンは、既に細胞培養法で製造が可能となったことから、鶏卵培養法による有効期間の延長試験に関しましては終了してはどうかということを提案させていただきたいと考えております。
 以上になります。
○岡部委員長 ありがとうございました。
 これについては、小田切委員あるいは信澤委員からも御意見をいただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
 信澤先生。
○信澤委員 今、御説明いただきましたように、パンデミックワクチンは既に細胞培養法で製造することが決まっていますし、プレパンデミックワクチンも、その練習のために細胞培養法でつくることが決められていますので、鶏卵培養ワクチンの期間の延長が可能かどうかに関しては、この時点で終了してもよろしいのではないかと思います。
○岡部委員長 小田切先生も。
○小田切委員 この提案には、基本的には賛成です。ただし、絶対に卵に戻る可能性はもうないという前提だと思います。卵に戻る可能性は絶対にないですよという前提であればいいと思いますけれどもね。
○岡部委員長 製造法その他の承認は、そのままとってあるのですね。だから、もし卵のほうがいいということが出てくれば、また復活できるということのほうがいいのか、あるいは先生はそういうことは一切なしにして、卵なしのほうが考えやすいということでしょうか。
○小田切委員 卵の可能性は完全に捨ててしまうということでしょうか。
○岡部委員長 事務局のほうは何か御意見ありますか。
○竹下新型インフルエンザ対策推進室室長補佐 この件に関しましては、卵を延長するかどうかというだけのことに関しての提案になっております。基本的には細胞培養法での製造を考えておりますが、実際発生したときに卵の使用の可能性というものに関して、100%ないということではないと考えています。
○岡部委員長 つまり、卵の製造法を承認も含めて全部引き揚げてくださいという意見ではなくて、とりあえず有効期限は延長する。ただ、小田切委員おっしゃっているように、見通しとしては卵でワクチンをつくるという方法がしゅっとしぼんでいくということだろうと思います。そういう考えでよろしいですか。信澤先生も何か。
○信澤委員 鶏卵でパンデミックワクチンをつくるとしても、現段階ではH5N1しかつくれないのですね。
○岡部委員長 プレパンデミックについて。
○信澤委員 いや、パンデミックについて。そうだとすると、H5N1でもしパンデミックが起きたときには、鶏卵のパンデミックワクチンをつくるということは必要だと思うのですけれども、そのときにつくればいいのであって、延長期間云々には関係ないので、プレパンとしての鶏卵ワクチンの試験というのは必要ないと思います。
○岡部委員長 あとは、H5N1の可能性も含めてということになります。
 ほかに御意見がありましたら、どうぞお願いします。
 どうぞ。
○信澤委員 あと、パンデミックがH5で起きれば、変な言い方ですけれども、鶏卵か細胞を選べるのですけれども、それ以外の亜型で起きたときには細胞しか使えないという現状は、多少不安は感じます。
○岡部委員長 どうぞ。
○押谷委員 今の件ですけれども、そうすると、例えばH2N2とかでも鶏卵ではつくれないということになるのですか。
○信澤委員 今の製造承認のままではつくれないことになっています。
○岡部委員長 H2N2は製造承認もないわけですか。
○信澤委員 パンデミックワクチンとしてはつくれるのですか。
○竹下新型インフルエンザ対策推進室室長補佐 季節型のインフルエンザという中におさまるものに関しては、季節型インフルエンザとして製造できるのですけれども、全く違う亜型のものに関しては難しいと思います。
○信澤委員 パンデミックが同じH2で起きたとしても、前のアジアかぜがそのまま出てくるのであればいいのですけれども、違うH2型で起きたときには、最初、亜型は同じでも、抗原性の点から多分新型という言い方をすると考えると、その辺はうまくやって、パンデミックワクチンではなく、季節性ワクチンとしてパンデミックワクチンをつくるという逃げ道を考えないと、細胞でうまくいかなかったときの保障ができない。
○岡部委員長 明確な回答が出にくいところがあるのかもしれないので、これは課題として、H2N2が出てきた場合にどうするかということは、どこかでしっかり決めておくか、あるいは調べておいたほうがいいと思います。
 山岸参与、何かありますか。
○山岸健康局参与 そちらのアジュバントが入った全粒子型のワクチンが、今、生物学的製剤基準に残っていると思うのですけれども、そのほうが亜型が異なるものも対応できるかということを確認しまして、お伝えするようにさせていただきたいと思います。
○岡部委員長 幾つか証拠を求めて、次回のときにでも教えていただければと思います。
 それでは、全体としては、組織培養法で可能になっているということで、鶏卵でのプレパンデミックワクチンの有効期間の延長というものについては、これ以上延長ということはやらないということでコンセンサスが得られたということでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○岡部委員長 ありがとうございます。
 もう一つは、報告事項になるのではないかと思いますが、「「スペインインフルエンザから100年」に向けた啓発事業」ということで、お願いします。
○竹下新型インフルエンザ対策推進室室長補佐 資料5「「スペインインフルエンザから100年」に向けた啓発事業について」ということで報告させていただきます。
 新型インフルエンザは10年から40年の間隔で発生しており、1918年のスペインインフルエンザから繰り返し発生しています。2009年には新型インフルエンザAということで、昨年はスペインインフルエンザから100年、ことしは2009年の新型インフルエンザから10年という節目の時期でございました。
 そういったことを踏まえまして、国民向けの情報の充実ということを考えておりまして、内閣府の政府広報オンラインのほうに記載されている新型インフルエンザの内容を、内閣官房新型インフルエンザ等対策室と連携して、昨年の11月8日に新しくしております。
 主な変更の内容としましては、当時の状況をもう忘れてしまっている方も思い出せるような形と、受診の手順のときに、帰国者・接種者相談センターに電話するといったこととか、やっていただきたいこともなるべく埋めていくような形の記載でまとめたものになっております。
 また、医療従事者向けの提供等も昨年10月に実施いたしました。
 今後もこのような形で情報提供に努めてまいりたいと考えております。
○岡部委員長 ありがとうございました。
 例えば、自治体で新型インフルエンザ対策の体制づくりとか準備を少しずつ始めているところもあれば、担当者が全然変わってしまって、2009年のことを経験していない人たちばかりといったところも出てきたり、時々こういう思い出しをやったり。あるいは、先ほどから話が出ているように、一般の方にどの程度思い出していただけるか。余り怖がらせてもいけないので、その辺をどうやっていったらいいのか、まさにリスクコミュニケーションにかかわってくると思いますが、最後に丸井委員、山﨑委員、この辺について何か御意見がありましたら。全体の今日のようなことをどうやって伝えていくかということについても御意見いただければ。
 どうぞ。
○丸井委員 この前の流行のときにも、リスクコミュニケーションが一番大事だったという反省があったと思いますし、先ほどもお話ありましたけれども、いざ起きてからの話じゃなく、日常的にいつ来てもいいように備えられるような体制をつくっていく。それがリスクコミュニケーションの基本だと思いますので、こういった形だけでなくて、新型インフルエンザももちろんそうですけれども、それ以外の感染症に関しても、平時からリスクコミュニケーションを行っていくというのが全くの基本であると思いますし、それは何度でも思い出しておくべきだろうと思います。
○岡部委員長 ありがとうございました。
 山﨑委員、どうぞ。
○山﨑委員 同じような内容になりますけれども、2009年のときの流行を忘れないようにするという意味でも、例えば子供を含めて、いろいろな感染症、どのように対応すればいいのか、どんなふうに起き得るのか、どのような感染源で起きるのかということを身近なゲームのような形で平時から学んでおくということを社会教育として広めていくというのも一つの方法かと思っています。
○岡部委員長 ありがとうございました。
 福田参考人も、今まで御発言いただいていますけれども、もしありましたら。
○福田参考人 今の御意見も非常に参考になると思います。一方的にプッシュしても、関心のない人は本当にスルーしてしまいますので、教育現場もしくは自治体の自治会の中で、こういった新型インフルエンザ等が発生した場合にどういう対応が必要なのか、住民は何をしたらいいのかということを、イベントも大事ですけれども、ギグと言ったりしますけれども、ゲーム等を通じて、そういったものを構築して、ロールプレイングしていく中から、訓練にもなるし、社会教育にもなるというあり方も今後必要になってくるのかなという気もいたしますし、こういう啓蒙活動というのはリスクコミュニケーションの基本であると思いますので、より強化していただけたらありがたいなと思います。
○岡部委員長 丸井委員、どうぞ。
○丸井委員 今の2つの御発言で思い出したのですが、もう10年近く前になるかもしれませんけれども、厚生科研で感染症も含めてカードゲームを私たちが開発しました。トランプのような感じでカードを合わせるとか、どういう症状がそろうか、対策として何をするのがよいのかというカードゲームを工夫したり。
 あるいは今、ロールプレイゲームというお話がありましたが、それぞれの立場になって、例えば患者さんなり、子供を持つ親が開業医の先生の立場になったときにどういう判断をするかという意思決定ゲームですね。例えば、市区町村の長であったり、県の意思決定をする方がどうするのか。自分の立場だけでなく、ゲーム上でそういう立場を入れかえて、いろいろ遊びながらやっていくというゲームを開発して、日本公衆衛生協会からたしかワンセット500円で出ておりまして、そういったものも何らかのときに参考にしていただいて、より効果のあるようなゲームをさらに考えていただけたらいいなと思っております。
○岡部委員長 ありがとうございました。思いつきですけれども、どこかに委託してゲームパンデミック対策とか、そんなものがあるといいかもしれません。
 全体に何か。どうぞ。
○竹下新型インフルエンザ対策推進室室長補佐 今日一番最初の議題1で坂元先生から御質問いただいた、住民接種の地方交付税措置についてというところで、回答をちょっと追加させていただきたいと思います。この地方交付税に関しましては、特別交付税措置対象として、既に今まで整理されておりますので、そういった形で対応させていただきたいと考えております。
○岡部委員長 ありがとうございます。
 ほかに全体で何かありますでしょうか。もしなければ、時間もちょうどいいので、今日の議論はこれでおしまいにしたいと思います。
 それでは、事務局のほうから次回、その他のアナウンスが何かありましたら、お願いします。
○福井新型インフルエンザ対策推進室室長補佐 日程につきましては、また改めて御連絡させていただきたいと思います。
 事務局からは以上となります。
○岡部委員長 課長、何かありますか。
○三宅結核感染症課長 業務上は特にないのですけれども、実は岡部先生、本日が最後の委員長ということで、次回の日程もあれですけれども、任期により本日が最後になると聞いております。本日も本当に安定感のある委員長を務めていただきまして、まとめていただき、本当にありがとうございました。
 この小委員会は、平成27年4月21日に第1回を開催しておりまして、今回で第13回となります。岡部委員長には、この第1回目から委員長として重責を担っていただいております。多い年には、年に5回も開催した時期もございますし、内容に関しましても、公衆衛生対策、ワクチン、医療、医薬品と、社会情勢の変化やテクノロジーの発展、医療体制の強化に伴いまして、新型インフルエンザ対策を強化するためにさまざまな検討を行っていただいたところでございます。
 それに当たりまして、多くの先生方から御教示いただきながら、この小委員会を実施していったわけですけれども、特に委員長である岡部先生の御教示、御協力、リーダーシップなしには、このような会は一つずつ解決することはできなかっただろうと思っております。
 最後に、先生に一言いただきたいと思いますけれども、この小委員会の開催に当たり、本当にありがとうございました。(拍手)
○岡部委員長 自覚症状が本人にはなかったので、今伺って私もびっくりしたのですけれども、本当にありがとうございました。これから肩の荷をおろすような感じで外野にあって見ていきたいと思います。
 一番最初に課長がおっしゃったのですが、こういう事前準備型の対応は、ほかのものではなかなかなくて、私はパンデミックの2009年のときも、感染症で初めてあらかじめ準備するというのが大切だなというのを実感できました。ぜひ先生方あるいは厚労省の担当の方におかれても、前もってやっておくと結構いいことがあるのではないかと思いますのでよろしくお願いいたします。
 余り準備をそろえると、本物が来てしまうといけないということもありますけれども、新型インフルエンザ「等」対策とあるように、必ずしも新型インフルエンザだけに特化した対策ではないと思いますので、以前にも申し上げましたけれども、これまでのエボラのときとかMERSあるいは鳥インフルのほかのときにもいろいろな応用ができたと思いますので、ぜひいい準備にしていただければと思います。それこそ外から拝見して、うまくいくことを見守っていきたいと思います。
 本当に長い間、どうもありがとうございました。(拍手)
 それでは、これにて終了ということで、ありがとうございました。