2018年11月22日 平成30年度第9回 厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会 議事録

○日時 平成30年11月22日(木)14:00~16:00
○場所 厚生労働省講堂(東京都千代田区霞が関1-2-2)
○議題
1.適切な製造・流通・販売の確保の仕組み
2.薬局・薬剤師のあり方、医薬分業のあり方
3.その他

議事

○鳥井総務課長 それでは、定刻になりましたので、ただいまから平成30年度第9回「厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会」を開催いたします。
傍聴の皆様にお知らせいたします。傍聴に当たりましては、既に御案内しております注意事項をお守りくださるようお願いいたします。
委員の皆様には、御多忙の折、お集まりいただき、御礼を申し上げます。
21名中19名から御出席のお返事をいただいておりますが、阿真先生が少しおくれられているようです。そのほか、花井委員、村島委員から御欠席の連絡をいただいております。
本日は、参考人として、薬事食品衛生審議会薬事分科会血液事業部会の部会長代理であり、国立感染症研究所血液安全性研究部部長である浜口功参考人に御出席いただいております。
続きまして、本日の配付資料の確認をいたします。
資料につきましては、ペーパーレス化を実施しております。タブレット端末の使用方法につきましては、お手元の説明書をごらんいただき、御不明な点等がございましたら、職員に随時お声がけください。タブレットには、本年度実施した制度部会資料や参考法令も格納しておりますので、必要に応じ、御参照いただければと思います。
本日の資料でございますが、資料1、2、3と参考資料1、2の5種類を配付いたしております。
不足等がございましたら、お申し出ください。
なお、委員の皆様には紙資料も机上配付しております。お好きなほうでごらんいただければと思います。
間もなく議事に入りますので、冒頭のカメラ等の撮影はここまでとさせていただきます。
(カメラ退室)
○鳥井総務課長 それでは、以後の進行は森田部会長にお願いいたします。
○森田部会長 皆様、こんにちは。
早速ですが、議題のほうに入りたいと思います。
まず、議題1でございまして、事務局から資料1について御説明をお願いいたします。
○磯部監視指導・麻薬対策課長 それでは、私のほうから説明をさせていただきたいと思います。
資料1の1ページの「1.課徴金制度の導入」でございます。タブレットのほうでいきますと、資料1のほうをごらんいただきたいと思います。
まず、2ページをごらんいただきたいと思います。「現状と課題」という形で書かせていただいておりますが、本件に関しましては、この制度部会におきましては、6月7日の第3回医薬品医療機器制度部会におきまして、特に違法行為によって得られた経済的利得の徴収という問題についてどう考えていくのかという御議論をいただいたところでございますけれども、それについてまず、2ページでまとめさせていただいております。
ごらんいただきますと、最初の○で虚偽・誇大広告や、未承認の医薬品等の広告・販売等の薬機法違反事例が散見され、違反事例も減少していないという状況にございます。
また、これらの薬機法違反の中には、製造販売業の業許可を持たない事業者により行われる事例も多く、そのような事例に関しましては、現在薬機法で規定しております許可の取り消しや、業務停止命令といった行政処分を行うことができない、また、その抑止効果が働きにくいという状況があると認識しております。
先ほど申し上げました薬機法違反に関しまして、経済的利得を主たる目的として行われていると考えられるものもございまして、特に虚偽・誇大広告の事例などにつきまして、経済的利得を徴収すべきとの指摘もいただいているところでございます。
また、最後の○でありますが、欧米におきましては、違法行為によって得られた経済的利得を徴収することができる罰則、行政処分が存在しておりまして、こういった高額な経済的利得に対して、我が国として抑止効果が働いていないのではないかという御意見もいただいているところでございます。
3ページは、6月7日に御議論いただいたときの主な意見をまとめさせていただいておりますので、ごらんいただきたいと思います。
4ページをごらんいただきたいと思います。「検討の方向性 マル1」と書いてございます。
薬機法の違反行為のうち、経済的利得を主たる目的とするものと考えられる類型の行為では、先ほど申し上げたように、薬機法上の業許可を持たない事業者が主体になることが多く、また、その場合に現行の行政処分によっては抑止効果が機能しにくい。また、現行の罰金の制度によりましても抑止効果が機能しにくいと考えられるものに対しまして、経済的利得に対する是正措置を設けることで、違法行為の抑止を図るようなことを検討するべきではないか。他法令も参考にいたしまして、現在あります課徴金制度というものを導入すべきではないかという御提案でございます。
課徴金制度というものにつきましては、なかなかなじみがない方もたくさんおられると思いますので、どのような制度なのかということに関しまして、若干先を行って8ページに飛んでいただけますでしょうか。「参考2:課徴金制度とは」ということで、どういうものかについて記載させていただいております。
もともと独占禁止法などから始まっており、違法に得た利益を行政的に剥奪することを意図したものでありますが、現在は、違反者が得た不当な利得の剥奪を直接の目的とするものではなく、違反行為の摘発に伴う不利益を増大させて、経済的誘因を減少させ、また違反行為の予防効果を強化することを目的とする措置と位置づけられてございます。
現在の我が国の法令においては4法に採用されておりまして、独占禁止法、金融商品取引法、公認会計士法、景品表示法で導入されております。一番最近導入されましたのが景品表示法で、平成28年導入ということでございます。
対象になる行為は、先ほど申し上げた、不当な金銭的利得を直接的な目的とした経済犯ということでございますが、特に景品表示法が入りまして、広告規制というものも対象にされて、広がりを見せているところでございます。
また、この制度の特徴といたしまして、行政における裁量権ということで4ポツに記載させていただいてございますけれども、これまでの4法では、この違反があった場合に関しまして「納付することを命じなければならない」と定められており、これについては羈束行為ということで、違反事実が認められた場合には、法令に定められたとおりの課徴金納付を命じなければならないということで、これを義務的賦課制度と申し上げておるわけでございます。
公認会計士法の事例を申し上げますと、違反行為が認定される場合であっても、一定の要件を満たすときには、課徴金納付命令を行わないことができるものとされておりまして、ここに書いてございますような一定の行政処分がなされており、その影響が比較的軽微である場合などが除外ということで、法律上明記されているものもございます。
続きまして、9ページもごらんいただきまして、景品表示法におきましては措置命令というものがございまして、特に違反広告に関しまして、その行為を差しとめて、それを訂正させるということについて規定されております。それについて御紹介させていただいております。
また、10ページをごらんいただきたいと思います。他法令の課徴金制度のポイントを入れさせていただいております。項目としては4つございまして、目的、課徴金納付命令の対象、算定方法、算定率といったことを詰めていく必要があるわけでございます。
我々としては、目的もさることながら、どういった違反行為に関しまして、課徴金納付命令の対象にすべきなのか。また、算定方法として、特に記載がございますけれども、算定率や、景品表示法でいきますと、課徴金が150万円未満は除外と書いてございますけれども、こういったものをどう考えていくのかということも検討課題でございます。
こういったことを前提にいたしまして、また4ページに戻っていただきたいと思います。2番目の○をごらんいただきたいと思います。
私どもの提案といたしましては、前回の御議論もいただきました内容も踏まえて、対象となる違反行為につきましては、この議論の発端になりました広告違反66条、68条の関係。それから、違反広告とあわせて行われることが多い未承認の医薬品等の販売、授与等の禁止、14条関係、55条2項関係を考えてはどうかということでございます。
3番目の○といたしまして、現行の他法での制度が、義務的賦課制度が前提ということでございますけれども、特に、先ほど申し上げた業許可を持たない事業者に対して、現行の薬機法の行政処分が十分な効果を発揮しにくいということもございまして、取り締まりを実効的に行うために、他の行政処分が機能している場合等には、課徴金納付命令を行わないことができるものとする除外規定も検討してはどうかということで提案させていただいております。
続いて、5ページをごらんいただきたいと思います。課徴金の額の算定に関しまして、景品表示法が大きな参考になりますけれども、違法行為の対象となった製品の売上額に一定の算定率を乗じる算定方式を採用してはどうかということ。また、それに関しましては、対象となる医薬品、医療機器の業種の利益率ということも勘案して定めてはどうかということでございます。
また、納付命令の実施主体に関しましては、現在の薬機法の製造販売業者あるいは製造業者に関します行政処分に関しましては、国と都道府県の双方が権限を持っているという事情も勘案いたしまして、国と都道府県の双方で権限を付与してはどうかということでございます。
また、先ほど景品表示法の事例で申し上げましたけれども、違反広告による誤情報の影響を可能な限り抑止して、自治体等によります効果的な是正を行う観点から、訂正広告等を命じる措置命令というものも考えてはどうかということで入れさせていただいております。
以上が提案でございます。また、参考で、先ほどから14条、55条など、関係の条文を申し上げましたので、資料の6ページと7ページにその旨の記載がございます。御参考いただければと思います。
私の説明は以上でございます。
○森田部会長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの事務局の説明を受けまして、御議論をいただきたいと思います。御質問、御意見等ございましたら、どうぞ御発言をお願いいたします。
山口委員、どうぞ。
○山口委員 山口でございます。
これまで罰金を適用されてきて一定額ということで、それぐらいの額で済むのならというような、やり得みたいなことになっていたのではないかと思っています。
今回、課徴金で一定割合ということになると、かなり足かせになるのではないかと思いますので、私はこの制度の導入には賛成したいと思っています。
それから、訂正広告です。やはり誤った広告を出した以上は、きちんとわかりやすく訂正するということも必要だと思いますので、そのところもぜひ進めていただきたいと思っております。
以上です。
○森田部会長 ありがとうございました。御意見と思います。
ほかに御発言はいかがでしょうか。
伊藤委員、どうぞ。
○伊藤委員 私も「検討の方向性マル1」「検討の方向性マル2」に全面的に賛成です。
特に景品表示法のような類似法ができておりますので、それにのっとって、景品ではだめで、医薬品では許容されるといった、制度の不備がないよう、整合性のある形で法律化できるように御検討いただきたいと思っております。
以上です。
○森田部会長 ありがとうございます。
ほかにいかがですか。特にございませんか。
中川委員、どうぞ。
○中川委員 3ページの3つ目の○ですけれども、これは私の意見ですが、違法なデータによって売り上げを伸ばし、その不当利益を社会に戻すという仕組みをぜひ考えてほしいと言いましたけれども、その一部は、医療費に戻すという仕組みであるべきだというのは今でも思っていまして、これは単純に国庫に戻すということではなくて、医療費ですから、公費、保険料、一部負担という構成になっているので、できませんという冷たい一言で終わらせないで、何らかの仕組み、何らかの形で医療に戻して使うのだという仕組みを検討してもらえませんか。
○森田部会長 それでは、これにつきましてはどうぞ。
○磯部監視指導・麻薬対策課長 ありがとうございます。
私も今の中川委員の意見はよく理解をしているつもりでございます。まさしく、今回の問題の契機になりました高血圧治療薬に関しましては、保険診療で使われた薬ということもありまして、ほかの委員会などでもこういった意見が非常に強かったものと私は理解してございます。
現状の他法におきましては、国庫に戻すという形になってございます。現実に、中川委員のお話のとおり、それを制度的に仕組もうとすると、国庫に戻す際に、どういうふうにそれを法律上規定するかということになりますので、その点は非常にハードルが高いものと思っておりますけれども、先生のそういった御意見に関しましては、しっかり受けとめたいと思ってございます。
○森田部会長 どうぞ。
○中川委員 お答えは、しっかり受けとめたいと思っているということなのですね。よくわかってくれて、しっかり受けとめたいということは、何もしないということではないですか。そういう答弁は不要です。
総務課長、どうですか。
○鳥井総務課長 医療費に返すということになりますと、そこは例えば保険者に返すのかみたいなたくさんの論点がありますので、なかなかハードルは高いとは思いますけれども、一度考えさせていただきたいと思います。
○中川委員 医療費に戻すということであれば、保険財政の面からいっても、公費からいっても、一定の納得感は出るのではないか。丸々国庫に戻すというのはそもそも変です。
磯部課長、非常によく理解できるのだったら、少しは動いていただけますね。
○磯部監視指導・麻薬対策課長 よく勉強させていただきたいと思います。
○森田部会長 もうこの件はよろしいですね。
ほかにいかがでしょうか。特にございませんか。
今の論点もそうかもしれませんけれども、御専門の山本委員、何か見解はございますか。
○山本委員 制度の全般に関しては、御提案いただいた線で、それほど現行法令との関係でいっても無理はないのではないかと私は感じております。
今の点に関しましては、以前にも申し上げましたけれども、景表法改正のときにも強い議論があり、その審議会のメンバーとしては、それは景品表示法の場合ですから、消費者に還元をする形で考えてもらいたいということがあり、また、事務局のほうもそういう思いはあったと思いますけれども、なかなか現実の制度として、それをしなくてはいけないとは言えないものですから、現実にはなかなか難しい。
ただ、この種の法令の改正をするときには、特に法令の所管省庁ないし関係者は、常にそのように声を上げているということがございます。
○森田部会長 法律の専門家の見解だと思います。
ほかにいかがでしょうか。
それでは、この課徴金制度についての議論はこれでよろしゅうございますね。
ありがとうございました。
それでは、続きまして、議題2に入ります。事務局から資料2についての御説明をお願いいたします。
○鳥井総務課長 総務課長でございます。お手元の資料2の「薬局・薬剤師のあり方、医薬分業のあり方(その3)」をごらんください。
まず「オンラインによる服薬指導」について御説明申し上げます。
2ページ目をごらんください。本年9月の第6回制度部会においては、オンラインによる服薬指導は薬剤師の対人業務を推進するための方策の一つとして、ICT技術の活用等による業務効率化の観点、国家戦略特区での実証事業及びオンライン診療の状況等を踏まえて、どのように位置づけるべきかという論点を提示しておりまして、これに関しましては、これまで本部会で、そこにありますように、まずは特区の実証を踏まえてから検討を実施すべき、あるいは、オンライン指導は対面を補完するものとして検討すべき、供給体制の観点も重要といった御意見をいただいております。
3ページ目をごらんください。これまでの経緯をまとめております。
服薬指導と診療は密接に関連するものですから、まず、診療についての経緯でございます。医師法第20条におきまして、無診察診療が禁じられているという中で、平成9年に出された通知におきまして、離島、僻地等の患者に対しては対面診療と適切に組み合わせられるときは、遠隔診療が可能と示されております。
これに対して、服薬指導につきましては、右下の米印に書いておりますけれども、平成25年の法改正のときに対面による服薬指導が法律により義務づけられております。
具体的には、御面倒ですが10ページに条文がありますので、そちらをお開き願いたいと思います。
先ほどの医師法の第20条は下に書いてござまして、これの具体的なあり方として通知が定められていたということでございますが、薬機法の場合には第9条の3、上のほうに医師等から交付された処方箋により調剤された薬剤の条文がございますが、薬局開設者は、薬剤を販売、授与する場合、薬剤師に対面により情報提供、服薬指導を行わせなければならないとされております。
3ページにお戻りください。この条文によりまして、対面による服薬指導が義務づけられることになったわけでございますけれども、平成28年に国家戦略特区法を改正いたしまして、オンラインによる服薬指導を実証的に実施するということになりました。この国家戦略特区では離島、僻地等を主な対象として想定して運用しております。
このような中で、診療につきまして、本年3月に「オンライン診療の適切な実施に関する指針」が整備されました。この指針では、患者の居宅等で実施できることが定められております。
現在、服薬指導について、このような状況も踏まえてどうするかということが課題となっております。
4ページ目では、特区が今、どういう状況にあるかということを御説明させていただきます。
愛知県、兵庫県養父市、福岡市において、現在実施計画が認定されて、本年6月以降に実際に事業が始まっております。
11月現在、5カ月たちましたけれども、登録薬局数が21件、患者数が6名となっております。これは下のほうに書いてございます。
5ページ目をごらんください。ここで特区における遠隔服薬指導とオンライン診療の要件を比較表にまとめております。
特区における遠隔服薬指導につきましては、一番下の米印にありますように、遠隔診療を受けた患者を対象とした上で、表に戻りますけれども、患者の居住地については離島・過疎地などと限定をかけております。
ただ、患者の疾患の種類ですとか、かかりつけ機能との関係からは特段の制限は設けていないところでございます。ここは実証でやるということになっております。
他方、本年3月のオンライン診療ガイドラインにおきましては、患者の居住地や疾患等については、制限ということではございませんけれども、例えば急変時には速やかに対面診療に切りかえるべきとか、慢性疾患に対して行うことが適当であるとか、初回は原則対面診療であり、オンラインは補完的な位置づけであるということが定められております。
「検討の方向性」でございますが、6ページ目でございます。まず、マル1のところですが、現行では先ほど言いましたように、特区を例外といたしまして、対面による服薬指導等が法律で義務づけられているところでございますが、近年の遠隔診療の状況も踏まえますと、対面でなくても、テレビ電話等を用いることによって適切な服薬指導が行われると考えられる場合については、法令上、対面の服薬指導義務の例外を設けることとしてはどうかと考えております。
この例外の具体的内容でございますけれども、マル2にありますように、オンライン診療ガイドラインで規定された要件を参考にしつつ、特区の実証を踏まえまして、適切なルールを整備することとしてはどうかと考えております。
その具体的な内容といたしましては、括弧書きに書いてありますように、例えば対面の補完や緊急対応、服薬計画に関するものなどが考えられます。そのために、今後専門家により検討を行うこととしてはどうかと考えております。
最後にマル3でございますが、診療でも、省令や指針で同様のことを書いておりますけれども、調剤の一部や服薬指導を行う場所については、患者の療養の場が多様化している現状を踏まえまして、職場等を含めた場所とする扱いとしてはどうか。これにより、診療と整合性をとるということが可能になるということで、そのような扱いをしてはどうかという方向性を提示させていただいております。
なお、留意事項に記載しておりますとおり、今回は薬機法上、テレビ電話等により適切な服薬指導が可能かどうかという議論でございまして、医療保険等における取り扱いにつきましては、その適用を認めるか否かも含めまして、別途検討が必要でございます。これは診療も同様でございます。
以上、事務局のこの件に関しての考えを説明させていただきました。
○安川薬事企画官 続きまして、7ページ目をごらんください。こちらは前回御提案をさせていただいたものの続きになりますけれども、薬剤師、薬局に関する制度見直しに関しまして、どういった効果があるかとか、法的な効果といったころを整理させていただいております。
まず「検討の方向性(前回の続き)」と書いているところですけれども、薬剤師の職能発揮のために実施すべき事項・薬局開設者の遵守事項ということで、1つ目の矢印でございますけれども、以下についてということで、服用期間を通じての必要な服薬状況の把握や、薬学的知見に基づく指導を実施することといったことにつきまして、薬剤師の実施すべき事項として法律に規定するとともに、薬局の開設者に対しても、その薬局に従事する薬剤師に実施させるべき事項として法律に規定ということで、前回検討の方向性を示させてもらったところです。
具体的なところで、括弧書きにありますけれども、薬剤師の義務として薬剤師法に、薬局開設者の義務として医薬品医療機器等法に当該規定を新設といったことを考えております。
また、2つ目の矢印は新しく今回提案させていただきましたけれども、上記により把握した内容を含む、患者の服薬状況等の情報や実施した指導等の内容等につきましては、薬剤師が調剤録に記録することを義務づける。そういったこともあわせて法律に規定してはどうかということで提案させてもらっています。
同様に、薬剤師の義務としては薬剤師法、薬局開設者の義務としては医薬品医療機器等法に当該規定を新設するということでございます。
「想定される効果」といたしまして、1つ目の○、薬剤師・薬局が服用期間を通じて、必要な服薬状況の把握等を実施すべきことが明確になるということ。
2つ目の〇で、薬剤師が患者の服薬状況等の情報や実施した指導等の内容を記録した調剤録を活用して、継続的に対応することが可能になる、ということが効果かと考えております。
「法的効果」ということで、まず、1つ目の〇、これは薬局開設者の遵守事項共通のことでありますけれども、今回こういったことを新たに規定して、こういったことに違反するようなことがあった場合、自治体は立入検査の実施あるいは違反等の内容を踏まえまして、必要に応じて、改善命令、業務停止等の一連の行為が可能になるというところが医薬品医療機器等法における効果でございます。
また、調剤録の記録につきましても、現在も調剤録の規定がございますけれども、薬剤師法で違反するものとして対応することが可能になるというところでございます。
次に、8ページ目は薬局の機能のところでございますけれども、薬局の機能の明確化ということで、特定の機能を有する薬局を法令上明確にする。そして、患者の選択に資するように当該機能を有する薬局であることの名称の表示を可能とするということで、前回提案させていただいたところです。こちらのほうは医薬品医療機器等法に当該規定を新設するということです。
それにより想定される効果は、患者が当該機能を有する薬局を選択することが可能となるということと、地域の医療計画において、薬局の機能を踏まえた医薬品等の提供体制の検討が可能になる、ということがあろうかと思います。
「法的効果」といたしましては、薬局開設者が、上記の特定の機能に関する要件を満たさずに、当該名称を表示しているときには、自治体は立入検査の実施や、必要に応じて当該機能の表示に関する改善命令とか、そういったものの承認取消しが可能になると考えております。
説明は以上でございます。
○森田部会長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの事務局の説明につきまして、この議題2について御議論をいただきたいと思います。
どうぞ御意見、御発言をお願いいたします。
乾委員が先に挙がっています。どうぞ。
○乾委員 乾です。まず、オンライン服薬指導のところでございますけれども、検討の方向性について、具体的な内容については専門家より検討するということは理解を示すところであります。ただ、この検討の方向性について、基本的な考え方といいますか、意見を3点ほど述べさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
ここに書いてありますけれども、医療はやはり対面診療が原則であり、調剤においても、薬剤師による服薬指導や情報提供は対面が原則であることは言うまでもないことです。対面とオンラインでは、得られる情報の内容も量も差があることから、オンラインは対面を補完するものという位置づけとして考える必要があります。
したがって、対面義務の例外としてオンライン服薬指導を実施可能とするのであれば、もう既に策定、公表されているオンライン診療ガイドラインの考え方を踏まえるとともに、現行法で規定されている対面原則を形骸化させることがないように、適切かつ厳格に運用するためのルールづくりが不可欠であると考えます。
また、医薬品は原則対面で交付され、必要な情報提供や薬学的視点から指導されることが安全で安心な薬物治療には不可欠であります。
何よりも、服薬指導を担当する薬剤師がみずからの処方箋に基づく調剤にかかわっていない調剤薬に関して、服薬指導だけを担当するとか、バーチャルな薬局で医薬品を供給、調剤するとか、そのようなことは安全で安心な薬物治療の継続はもとより、患者の安全を危うくするおそれが考えられます。オンライン服薬指導を可とする場合であっても、薬剤師の立場からは患者への調剤薬の交付に関しても、十分な検討とルールが必要だと考えております。
要するに、オンライン服薬指導には、物、医薬品の供給が伴うわけでございますので、その提供について、届かないでは済まされないわけですし、品質の確保、保証が大前提となるわけです。温度、湿度管理を初め、流通経路の環境条件を保証できなければなりせんし、また、医療用麻薬等、規制の強い医薬品の交付もあります。
医薬品卸ではPIC/Sガイドラインに従った対応が求められており、調剤、服薬指導を行った薬局から患者宅等への供給についても郵送等するということがもしあるのであれば、当然同様と考えるところでございます。
また、2点目でございますけれども、オンライン服薬指導の対象となる患者像については慢性期のケースが基本であると考えます。急性期のケースでは考えにくいのではないでしょうか。
オンライン服薬指導の位置づけが、対面を補完するものであることを考えれば、患者さんと薬剤師が初対面という関係の場合は、オンライン服薬指導が当然できないと考えます。すなわち、実際に調剤を行った薬局の薬剤師であって、かつ、その患者さんのことをきちんと把握している薬剤師、その患者がかかりつけとしている薬局の薬剤師が対応するものと考えます。
また、オンライン服薬指導は、単に患者が希望したからといって必ず対応しなければならないというものではないと考えております。オンライン服薬指導の実施の可否は、調剤した薬剤について責任を担う患者さんのことを理解、把握している薬剤師が判断するものであるという以外には考えられないのではないでしょうか。
留意事項にもありますけれども「検討の方向性」のマル3の服薬指導の場所についてでございます。現在、薬剤師による服薬指導の実施場所は、薬局または患者の居宅等に限定されています。そのため、オンライン服薬指導の検討に当たって、その場所として、職場等を含めた場所とすることが提案されておりますけれども、一口に職場と言っても、職種や職業などによって、その環境や解釈はさまざまであります。
大事なことは、対象となる患者のプライバシーが確保されているかどうかであって、例えば職場の会議室などのようなプライバシーが保護できるようなところであればあるのかもわかりませんけれども、ほかの人に指導内容が聞こえてしまうような環境は認めるべきではないと考えております。
そのようなことを考えれば、服薬指導の場所については、極めて限定的な範囲とすることが必要であり、慎重に検討すべきであると考えております。
薬剤師がオンライン服薬指導を行うに際して、対面で行うのと同様、安心してしっかり仕事ができるような環境または制度にしていただきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
以上です。
○森田部会長 ありがとうございます。
伊藤委員、手を挙げていらっしゃいましたので、お願いします。
○伊藤委員 私も6ページに書かれております検討の方向性に賛成です。
理由としては、第一に、患者さんにとってのメリットが大きいことであると思います。オンラインのほうが、いつどのような指導があったか、履歴や具体的な内容の情報も残る仕組みとなります。その意味で、対面で言われたことを覚えない、覚えられないという状況よりは、むしろ本人の状況を適切に履歴に残して、継続的、一元的な指導ができるという意味で、患者さんに利便性があるものと思います。
患者側では、薬をとりに行けない病状の患者さんもいらっしゃいますし、あるいは、薬をとりに行ける家族がいない患者さんもいらっしゃいます。薬局側では、薬を届けにくい、対面を必ずしも必要としない状況もありますので、そういったところで、少なくともオンライン服薬指導だけでも継続的にできるという環境は、患者さんにとって非常にメリットがあることと思います。薬剤師の職能発揮という意味でも、「対面」にとらわれるあまり、僻地でも離島でもいかなければならない状況は非常に非効率だと思います。
、薬局の場合は、現状では出向くインセンティブが医療ほどには十分に料金化されていないという状況があります。今回のように制度的に診療と服薬の足並みを少しでも揃えいくことによって相乗的にうまくいくのではないかと思います。
2点目のメリットとしては、先ほど申し上げましたように、現状、オンライン診療においてできていることと、服薬指導でできていることにかなりそごがある。それによって双方の足を引っ張っている部分があるのではないかと思います。服薬指導のほうが、診療以上にオンライン化しやすい面もあるとおもわれます。
先ほど乾委員もおっしゃいましたけれども、オンライン診療のガイドラインに沿った形で、できる限り相乗効果の高い形でオンラインの服薬指導を、当たり前のものとしていくことが今回の薬機法の改正においても、一つの目玉になるかと思います。
もちろん、オンラインだからと言って、薬局が架空の患者や架空の指導をつくったりしてはいけないわけですので、もちろんその制度設計はきちんとしないといけないと思いますけれども、原則論として、こちらの方向性に賛成いたします。
以上です。
○森田部会長 山口委員が挙げていらっしゃいますね。
○山口委員 私はむしろICTということありきで進めていくべきではないと思っています。毎回ここで議論があるように、薬局で対面であっても薬剤師が十分に情報提供できていない、患者対応できていない現状があるにもかかわらず、オンライン診療が始まったから同じように勧めていいということは、議論としては時期尚早ではないかと思っています。
私はオンライン診療のガイドイランを策定する検討会の委員も務めていまして、かなり慎重な議論がたくさんありました。そういう中でようやく始まったということを考えますと、まずは薬局の基本的なあり方がしっかりとあって、もしこのオンラインを進めていくとしても、かなり限定的にしていただきたい。
国家戦略特区を見ましても、たった6名の患者さんにしかまだ実際に行われていないということを考えますと、前提に進めるだけの例になっていないと思います。もし今以上に進めるとしたら、かなり限定的に、それをしっかりと守ってもらえるようなあり方がないと、私はだめではないかと思っています。
次の薬剤師・薬局に関する制度見直しの考え方、7ページのところですけれども、今回、法的効果ということが実際にあるのだということを明確に示していただいたことで、薬機法の中に位置づけることによって、きちんとやらなければ罰則もあるのだということが明確になるということは、私は今までやっていなかったことをやっていただくきっかけになるのではないかと思っています。
ただ、検討の方向性の中に、服用期間を通じてきちんと指導をするということと、もう一つ、薬学的知見に基づく指導をした結果を医療機関に提供するということが前回あったと思うのですが、今回それが抜けているのはどうしてなのかということを事務局に確認したいと思います。
前回、中川委員が、こういうことを法律に書くと、また報酬につながるのだとおっしゃっていて、その後の意見が私は言えなかったのですけれども、これがきちんと法的な義務になるということは、やって当たり前ということだと思います。やって当たり前のことが点数化されるのはおかしいのではないかと思いますので、ぜひそれは、そういう方向性にならないようにしながら、法律の改正をしていただきたいと思っております。
以上です。
○森田部会長 ありがとうございます。
中川委員、どうぞ。
○中川委員 山口委員の御意見に全面的に賛成です。その上で、伊藤委員の意見に全面的に反対です。
オンライン服薬指導はあくまでも対面の補完です。医療というものをどのように考えているのか。一言一言の発言が信じられない。
例えば、今回の30年度の診療報酬改定で、中医協の審議において、オンライン診療にどれだけ時間をかけて慎重に議論を尽くして、ほんの少し対面の補完という道を開きました。それでもその要件は、慎重に慎重にというのを一貫しているのです。オンラインのほうが記録が残るとか、効率的だとか、動けない患者さんにとってとか、メリットばかり言うけれども、そのようなことは全くない。
そもそも、山口委員もおっしゃったように、特区での実績を踏まえてということだったのに、まだ6例の患者さんしかいないのにどのように踏まえたのですか。
事務局、お答えを。
○鳥井総務課長 御指摘のように、まだ現時点で患者さん6名でございますので、この6名のケースで、これがいいとか悪いとかというところまで事例が積み上がっていないと考えておりますので、今回はオンライン診療の状況を踏まえて、必要なところについては例外的に認めてはどうかということで提案させていただいております。
○中川委員 それでは、今回の薬機法を改正するというのは、極めて限定的にということなのですね。その範囲内という改正なのですね。
○鳥井総務課長 したがいまして、現段階で一から議論するというよりは、オンライン診療ガイドライン等を踏まえた限定的な例外をつくるということを提案したいと考えております。
○中川委員 6ページの「検討の方向性」のマル1ですけれども、乾委員が、かかりつけ薬剤師のいる薬局がちゃんととおっしゃいましたが、そうではなくて、かかりつけ薬剤師に限定しなければだめです。かかりつけ薬剤師の薬局のどの薬剤師でもいいというものではない。ぜひそのことを明記してください。
よろしいですか。
○鳥井総務課長 御意見も踏まえまして、今後の検討において、その点については検討させていただきたいと思います。
○中川委員 わかりました。
○森田部会長 よろしいですか。
○中川委員 はい。
○森田部会長 それでは、本田委員、どうぞ。
○本田委員 6ページの「検討の方向性」の今の御議論のところですけれども、どういうふうに言ったらいいかあれなのですけれども、私はできるところは検討していくと。全てを一気にやることの問題点は先ほどから山口委員も中川委員もおっしゃっていましたけれども、例えば、私もそうでしたけれども、10年間ずっと同じお薬を飲んでいる。これからの社会、病気を抱えていても働いて活動してという人がふえていくという社会の中では、もう少し可能な人を見出して、こういうケースならばできるのではないかということを前向きに検討するということについて、私は賛成です。なので、皆さんと言っていることは同じかもしれませんけれども、ルールをきっちりつくっているということをしていただければと思っています。
○森田部会長 中川委員、どうぞ。
○中川委員 それと、慢性疾患の患者という例示がありますけれども、慢性疾患であれば何でもいいというものではないということをまず確認したい。
例えば、その患者さんにとってみたら、ほかの疾患の治療のために、他から抗菌剤だとかステロイドだとか、医療用麻薬だとか、取り扱う方に暴露の危険もあるような、いわゆる抗がん剤であるとか、重篤な副作用を持つ医薬品とか、いろいろなものがあるのです。そういう場合はオンライン服薬指導の対象ではないといったルールづくりが必要だと思います。
ぜひそれも検討してください。
○森田部会長 お願いいたします。
○鳥井総務課長 診療の場合におきましても、必ずしもガイドラインに限らず、診療報酬での手当も含めまして、同様の検討がされていると考えておりますので、最終的にはそのような姿になるものと考えております。
○森田部会長 伊藤委員、どうぞ。
○伊藤委員 先ほどの言葉がとがり過ぎていたようであれば申しわけないのですけれども、私も、本田先生がおっしゃったように、できることからやっていくべきではないかと思います。
法律上のルールで言いますと、ここにも出ておりますように、現在、「対面により」とか、「購入したときに」と限定して書かれているために、すでに、時代おくれ、手遅れ、になっているのではないかと危惧しています。つまり、大事なのは、単に形式的に、「対面したとき」に説明するとか、「購入したとき」に説明するということではなくて、患者さんのために、事実上の一元的、継続的な管理をするためには、どういうあり方がよいかという点だと思います。
その観点から、離島や過疎地でどうしても物理的に一元的、継続的なことができにくいような場合にやっていくという特区での実施例を踏まえ、そもそもがあまりにも範囲を限定されていますので、徐々に適用を拡大していくということがまず必要です。ただ、現状の薬機法の「対面により」ですとか、「購入したとき」にとか、「譲り受けたとき」にという、とにかくものの移動ありき、というところが余りにも時代遅れではないかと思います。
例はそれますけれども、類似の具体例を挙げますと、京都大学の先生で、子供の健診の履歴を生まれたときから、小学校も含めて一元化したデータベース化を進めていらっしゃる先生がいらっしゃいます。その方がおっしゃっていたのは、入学前までは母子保健法で厚労省が健診を規定していて、小学校に入ると学校保健安全法の中で、小学校においてその健診の記録をとることとされていますが、今、文科省の学校保健安全法の中では、「健診記録は学校から持ち出してはいけない」と書かれています。保管庫に鍵をかけて施錠して、非常時以外は絶対に持ち出せないと書かれてしまっているために、データベースをつなげるためには、研究者がわざわざ離島に行って、小学校でデータを書き写して、データベース化をしなければならない。つまり、法律で厳重に管理する規定を設けることはもちろんです。勝手に情報を持ち出さないことや、プライバシーを維持することはもちろん大事ですけれども、学校外に記録を持ち出すことができない、と法律で一言書かれてしまっているがために、より個人にとって利便性が高いはずのサービスが提供できない。これは制度の欠陥ではないかと思います。
私が申し上げているオンライン服薬指導というものも、まさにそういった観点のものです。ここに一言あるがゆえに釘が刺さって、にっちもさっちも有用なサービスが動かないということであってはいけないと思います。つまり、先ほど申し上げましたが、薬局がオンライン服薬指導を行うに当たり、架空の患者をつくって、架空な算定をしてはいけませんので、そういった実態は厳重に管理することは当然としても、それを行うにあたって「対面により」ですとか、「譲り受けたとき」にということをあえて書き込む必要はないのではないかというのが意見でございます。
つまり、現在特区でやっている状況を継続的に把握することはもちろんエビデンスベースとして大事ですけれども、法律的な議論、法改正に必要な項目として5年に一度の法改正の機会を逃して、今後5年間、法律が変わらないといのは、手遅れではないかとおもいます。このような規定がくさびのように縛りをかけていることは、これからの時代の医療のあり方を逆に阻害してしまう部分があるのではないかと危惧しております。
以上です。
○森田部会長 ありがとうございました。
中川委員、どうぞ。
○中川委員 伊藤委員とは議論がかみ合わないですね。データベース化することとオンライン服薬指導と、何が関係あるのですか。
医療の現場というのは、例えばこの薬機法の対面原則だとか、医療に関する法律は議論を尽くした上で一言一言つくっているのです。時代おくれとか、簡単にそういう一言で済ますものでは全くないと思っています。
これでやめておきます。
○伊藤委員 済みません。データベースというのが行き過ぎたかもしれませんが、私が考えているのは、一元的、継続的な指導のためにかかりつけ薬剤師の方が履歴を残す、ないしは残しやすい環境であると思います。
○森田部会長 ほかの方、御意見はいかかでしょうか。
山口委員、どうぞ。
○山口委員 先ほど質問したことに答えていただきたいのです。
○森田部会長 お願いします。
○安川薬事企画官 事務局です。山口委員の質問に関しまして、7ページ目でございます。前回の続きということで御説明さしあげましたけれども、今回、説明の資料の中では、服用期間を通じての指導を実施するということでありますけれども、もちろん、それに合わせて、そういった情報を医師ないし薬剤師にも必要に応じて情報提供するという規定につきまして、前回の提案の中でも、薬局開設者の遵守事項とするということを提案させていただいています。ですから、効果としては同様に、薬局開設者はちゃんとそういうように薬剤師にやってもらうように取り組まなければいけないということで、同様の対応ができるということになろうかと思います。
○山口委員 ということは、前回の項目はまだ生きていると受けとめてよろしいですか。
○安川薬事企画官 もちろん、そうでございます。前回の項目が生きたまま効果を列挙したのですけれども、説明不足で済みません。
○山口委員 今回の資料2は抜けているだけで、書いていないだけだということですか。
○安川薬事企画官 ちょっと見ていただいたほうがいいかもしれませんけれども、過去の部会資料の中で、第8回の資料2でございます。
資料2の14ページ目で、薬剤師の職能発揮の関係の御提案をさせていただいています。
こちらの提案の中で、検討の方向性とございますけれども、その2つ目の○のところで、薬剤師が情報提供すること自体は、法令上の努力義務とするということ。努力義務なので、こういったことをやっていただくということ。これは当然、前回の提案がそのまま生きているということでございます。
あと、15枚目のところで、そういったことも含めて、開設者の遵守事項とするという話がございますので、それとセットで、今回こういった御提案をさせていただいているところでございます。
全体的にはまた、こういった法的なところを整理する際に検討したいと思っております。
○山口委員 わかりました。ありがとうございます。
○森田部会長 ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。
どうぞ。
○中川委員 スライドの7ページです。これを言うのも4~5回目のような気がしますが、薬剤師が医薬品を交付した患者の様子が気になるのは医療人として当たり前のことです。
自然発生的に患者の服薬状況を確認するとしても、これは法律に書き込むような内容ではないのではないかと本当に思います。
例えば、医師法に、医師は患者さんの経過を見なければならないと書くのと同じなのです。書かなければできないというのは、本当に薬剤師さんにとっても侮辱ではないですか。そういう気がします。そこまで薬剤師さんというのは、やるべきことをやっていないのかなという思いがします。
ここまで来たら、私は書くのは認めますが、次期診療報酬改定で、山口委員もおっしゃったように、やるべきことをやって褒められて評価するなどということは絶対にないように、これには書けないでしょうが、皆さんで保険局に伝えてください。局長以下、総務課長、ぜひお願いします。
以上です。
○森田部会長 乾委員、どうぞ。
○乾委員 中川委員、本当に薬剤師の思いといいますか、誇りを言っていただきましてどうもありがとうございます。
本当に私もそうだと前回も申したと思いますけれども、調剤のことはこういう文書に、患者に対して情報提供や服薬指導についての内容というものが、今まで記録というものが明確化されておりませんでしたので、そういうところは明確化して、より適切で患者の安全、安心な医薬品の提供につながるのではないかと考えます。
もう一点、法的効果についても記載されておりますけれども、残念ながら現状の薬局が今、全てできているわけではありません。十分な経過措置等、慎重に進めていただきたい。
前向きに進めていきたいというのは意見でございますけれども、慎重に進めていただきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
○森田部会長 事務局、よろしいですか。
○鳥井総務課長 この場における検討というものは、関係局に対しましても、議事録も含めまして情報提供させていただきたいと思います。
今後の検討というものは、それを踏まえてなされるものだと考えております。
○森田部会長 それでは、今の点につきまして余り異論がないということでよろしいでしょうか。
ほかにいかがでしょうか。
特に御意見がないようでしたら、次の議題に移りたいと思いますが、よろしいでしょうか。
ありがとうございました。
それでは、議題3の「その他」、血液法改正のことに入りたいと思います。
血液法の改正につきましての報告案件でございます。
関連して、本日は血液事業部会の濱口部会長代理に参考人としてお越しいただいており、御発言の意向を伺っておりますので、まず、濱口参考人から御発言をいただきまして、その後、事務局から資料3につきまして説明をお願いいたします。
よろしくお願いいたします。
○濱口参考人 よろしくお願いします。血液事業部会の部会長代理をしております濱口と申します。本日は部会長の半田先生が出席できませんので、私のほうから、この部会において検討しております血液法改正の検討状況につきまして簡単に御報告いたしまして、その後、事務局から詳細な報告をお願いしたいと思います。
私のほうからは、この血液事業部会や血液法について、簡単にその背景についてお話ししたいと思います。
血液事業部会というのは、薬事・食品衛生審議会薬事分科会に設置されました部会で、輸血にかかわる臨床医、感染症の専門家、学識経験者、患者代表などで構成されています。
部会の所掌といたしましては、血液製剤の供給、安全性の確保及び適正使用の推進に関しまして、これらに必要な調査、審議を行っております。
本日の議題であります血液法の改正につきましては、5年前に改正されたものですが、その際に5年後の見直し規定が設けられております。
本年4月24日開催の血液事業部会におきまして、情勢の変化を踏まえて法改正の検討を行うとの提案を事務局から受けました。
これまでに、血液事業部会3回、それから、この血液事業部会の中に設置されております運営委員会で2回議論を行いました。その結果につきまして、本日、資料3の中で改正につきまして検討しておりまして、合意をしております。
それでは、事務局から詳細な御報告をお願いいたします。
○石川血液対策課長 血液対策課長でございます。よろしくお願いいたします。
それでは、資料3をごらんいただければと思います。
2ページ目の2つの○の下でございますけれども、血液法改正の主な論点は(1)から(3)まで3点ございまして、このテーマのマル1、マル2というのは制度部会でのテーマに合わせて記載させていただいております。
詳細につきましてはスライド3から御説明させていただきますので、ごらんください。
まず、論点の1点目、科学技術の発展を踏まえた採血等の制限の見直しでございます。図とあわせてごらんいただければと思いますけれども、現行の血液法では血液製剤や医薬品の製造以外の目的での採血を禁止しております。一部特区法の特例で、医薬品の研究開発における試験に用いるものといたしまして、血液由来iPS細胞から製造した特定研究用具の製造を認めております。
今後は医薬品の製造そのものではなくて、こうした血液由来のiPS細胞を創薬段階で活用するといった事例もふえてくるということが想定されておりますし、また、このほか医学的検査の精度管理等に必要な試薬等もございますので、この際、例えば医療の質または保健衛生の向上のための採血ということで認めることとしたいと考えております。
具体的には省令で規定することを予定しております。
続きまして、スライドの4をごらんください。テーマのマル2、複数の採血事業者を想定した採血のあり方についてですが、こちらは採血業の業許可基準の整備をしたいということでございます。
現在、採血業の許可を受けている事業者は、日本赤十字社1者のみでございますけれども、血液製剤の安定供給、血液供給体制の効率性、透明性確保の観点から、複数事業者による供給体制の必要性が指摘されてきたところでございます。
右下の緑の円の中をごらんいただきますと、現行の血液法では不許可の基準として、例えばそちらのマル1ですと、血液製剤の供給が既に需要を満たしているときや、マル3の営利目的で採血をしようとするときといったような、不許可にできる場合が規定されておりますけれども、積極的な許可要件が明示されておりません。
そこで今回、右に記載しておりますような許可基準について、事前に法律上明確化することを考えております。
許可基準としましては、このマル1からマル3、これは現行でも既に実施されて守られていることでございますけれども、事業者が複数となった場合の要件といたしましては、例えばマル4で、同じ献血者の方の採血履歴を、もう一つの採血事業者の分まで確認する必要性があるのではないかといったこと。こうしたマル4、マル5といったことも要件として追加が必要になるのではないかと考えております。
続きまして、スライド5をごらんください。こちらは採血事業者のガバナンス強化のための措置についてでございます。
これまで採血業につきましては、採血業そのものは医業としての規制を受けておりますし、また、採血事業者は日本赤十字社1者のみということもあり、これまで重大な血液法違反の事例はございません。また、新規参入の事業者につきましても、非営利で非常に数も限定されるといった採血業特有の事情も踏まえまして、現時点では新たな行政措置の追加は検討しておりませんが、一方で採血事業者には献血者、ドナーの方の健康保護という非常に重要な役割がございますので、以下、マル1、マル2の2つの措置を新たに検討しております。
1つ目ですけれども、現行では実は採血業は採血所ごとに許可を出して規制しておりますが、実際には新たな参入業者も含めまして、1つの事業者が複数の採血所を運営するといった形態になっておりますので、今回、事業者としての適格性の確認ですとか、採血所の管理を統一的に、適切に実施してもらうといったことからも、事業者単位の規制へと見直しをしたいと考えております。
その際に、マル2でございますけれども、実際に採血の現場である採血所の管理につきましては、業務を管理する管理者、責任者というものの責務を明確化いたしまして、新たに法律上に規定をしたいと考えております。
なお、こちらはあくまでも採血事業者としての規制でございまして、日赤等には製造販売業者として薬機法上の規制もかかっておりますので、そうしたところにつきましては右側に書いてあります薬機法の規制がかかるといったことになります。
最後にスライド6につきましては、都道府県の推進計画等の整理や、その他所要の改正をあわせて行いたいと考えております。
今後、年内に運営委員会、血液事業部会が予定されておりますので、そちらで最終的な方向性の取りまとめをお願いしたいと思っております。
説明は以上です。
○森田部会長 ありがとうございました。
これは当部会のことに関連しているということで、報告をしていただいたわけでございますけれども、ただいまの御報告につきまして、御意見、御質問等、御発言があればお願いいたします。
三村委員、どうぞ。
○三村委員 今回の改正につきまして、最後に5ページのところで御説明いただきましたように、それぞれの採血所単位であったものを事業者単位にするという大きな改正でありますし、私は方向性としては非常にいいと思っております。
もう一つ、血液業務を管理する責任者、管理者についても法律で規定する。これも大変いい話だと思います。
当然のことながら、そうしますと都道府県単位で需給の計画とか、いろいろな形で積み上げていらっしゃるのですけれども、それをもう少し広域化する形の中で、柔軟な体制をつくっていただく。厚労省と血液採血事業者との連携の中で運営していただくとありがたいと思います。
最後にもう一つなのですが、血液事業というのは献血が前提であり、そういった人たちの気持ちといいますか、善意が前提であるということがありますので、いろいろなことを改正される上におきましても、献血事業そのものの基盤が揺るがないように、そういった形で御注意いただけばいいのではないかと思っております。
以上です。
○森田部会長 よろしいですか。ありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。
平井委員、どうぞ。
○平井委員 平井です。今回新たな採血業者の参入ということを法律で決められるということですけれども、スライドの4枚目に、今までは不許可の条件だけが示されていましたが、これからは許可の基準を明記されています。ここには割と簡単に5項目だけ書いてありますが、ドナーの健康維持とか、そういったことも含めて、もっと詳しいものが発表されるということになるわけでしょうか。
○石川血液対策課長 当然、これは法律にこういうものを位置づけるということで、詳細は省令もありますし、あとは通知等でも定めていきたいと思っております。
○平井委員 ということは、具体的なところは省令に細かく書かれるということでございますね。
○石川血液対策課長 それは内容によりますけれども、また今後検討させていただきます。
○平井委員 あと、私も日赤に奉職しまして、採血の計画は各都道府県ごとで行われているのを拝見しますと、外から見た感じで、日赤の事業本部と各都道府県の間で十分意思統一ができていないようなところもたまに見られるのです。
そういうところもきちんと整合性がとれるようにということは、法律に書くことではないかもしれないのですけれども、同時に御指導いただければと思っております。
○森田部会長 よろしいでしょうか。
○石川血液対策課長 はい。
○森田部会長 ありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。
それでは、予定していた時間より少し早いのですけれども、本日はこれくらいで終了していただきたいと思います。よろしいでしょうか。この講堂で会議をやるときは、寒くなると早く終わるのです。
それでは、本日の議論はこの辺までとさせていただきます。
9月の会合でいたしました整理を踏まえまして、10月以降、3回にわたりまして幾つかの個別の論点について議論してまいりましたが、本日で一応、個別の論点について議論を行うのは最後とさせていただきたいと思います。
次回からは取りまとめ案について議論したいと思いますので、それにつきまして、また引き続き建設的な御議論をお願いいたしたいと思います。
それでは、最後に事務局のほうからお願いいたします。
○鳥井総務課長 次回、第10回の当部会の日程でございますが、12月14日の10時からを予定いたしております。よろしくお願いいたします。
○森田部会長 それでは、本日はどうもありがとうございました。これで閉会といたします。