第2回建築物の解体・改修等における石綿ばく露防止対策等検討会及び第2回ワーキンググループ合同会合 議事録

労働基準局安全衛生部化学物質対策課

日時

平成30年12月5日(水)10:00~12:00

場所

中央合同庁舎5号館 共用第6会議室
(東京都千代田区霞が関1-2-2)

議題

  1. 1.建築物の解体・改修等における石綿ばく露防止対策等について
  2. 2.その他

議事

○小林中央労働衛生専門官 本日は大変お忙しい中、御参集いただきまして誠にありがとうございます。定刻になりましたので、ただいまより第2回建築物の解体・改修等における石綿ばく露防止対策等検討会及び第2回のワーキンググループを開催いたします。
 委員の出席状況ですが、本日御参集をお願いしました委員の皆様全員に御出席を頂いております。
 まず初めに、本日の会議の開催に当たり、安全衛生部長の椎葉から御挨拶申し上げます。
○椎葉安全衛生部長 おはようございます。安全衛生部長の椎葉です。本日は師走の大変お忙しい中、この石綿ばく露防止対策等検討会にお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。また、日頃から厚生労働行政、安全衛生行政の推進に、御指導、御協力を頂きまして、この場をお借りしまして御礼を申し上げます。
 さて、石綿使用建築物の解体工事の大幅な増加が見込まれるとともに、石綿含有の事前調査等が適切に実施されていない事例が散見されているところです。こういった中で厚労省では、本年4月から開始いたしました「第13次労働災害防止計画」において、解体・改修工事における石綿による健康障害防止対策の強化を検討し、推進するということなどとしているところです。解体・改修工事に従事する労働者に、将来石綿による健康障害が生じないようにするため、御参集の皆様の各専門分野の知見、御経験を合わせて、必要な対策を検討いただき、必要な施策について御提言を頂くということをお願い申し上げたいと思います。よろしくお願いいたします。
○小林中央労働衛生専門官 続きまして、本日初めて御出席をお願いしておりますワーキンググループの委員の4名の方を御紹介させていただきます。委員名簿につきましては、資料1の4ページにあります。名簿順で御紹介をさせていただきます。まず、亀元委員です。小島委員です。小西委員です。外山委員です。また、7月9日の検討会以降に事務局で異動がありました。一部、ワーキンググループの委員には重ねての御紹介になりますが、改めてご案内いたします。まず、安全衛生部長の椎葉です。化学物質対策課長の塚本です。化学物質課長補佐の中村です。本検討会及びワーキンググループにつきましては、豊澤委員に座長をお願いしております。以下の議事進行は豊澤座長にお願い申し上げます。
○豊澤座長 皆様おはようございます。まず議事に入る前に、事務局から資料の確認をお願いします。
○小林中央労働衛生専門官 厚生労働省はペーパーレス化を推進しておりまして、本日はペーパーレスの形での開催です。委員の皆様方には、厚生労働省からタブレットをお配りしております。操作方法について簡単に御紹介いたします。スマートフォンと同じような方法でスクロール、指で動かしていただいたり、2本指で広げたり縮めたりすることができます。資料を開いていただきますと左上に戻るのボタンが出ますので、ほかの資料を御覧いただきたいときは、まず左上の戻るのボタンを押していただくことになります。表示をされていないときは、最上部又は最下部をタップしますと、最上部のほうに戻るというボタンが出てきますので、そのように御操作いただきたいと思います。それから、右上の外側に電源ボタンがあるのですが、押してしまいますと電源が落ちてしまいますので、右上には触れないようにお願いいたします。また、スマートフォンと同様で、縦横と画面をひっくり返しますと、縦横に切り変わります。
 資料につきましては、電子ファイル名の冒頭に0、1、2、3、4と数字を振ってあります。上から議事次第、資料1から4まで、また、全部の資料の結合版のPDFも入れております。また、参考資料1から9までと、前回の7月9日の検討会、7月31日のワーキンググループの資料もタブレットの中に入れておりますので、適宜御参照いただけたらと思います。以上になります。
○豊澤座長 ありがとうございます。
 それでは、前回、前々回と本委員会、ワーキンググループでの皆様の御意見を基に、大分方向性が定まりつつあるのですが、今回の合同会議という形にした趣旨について、事務局から説明をお願いします。
○小林中央労働衛生専門官 前回7月9日に第1回検討会、7月31日にワーキンググループで論点案をお示しをしまして御議論いただいました。そうしたところ、議論が多岐にわたっていまして、整理が必要という御意見などを頂いたところです。こうした御意見を受けまして、本日は既にこれまで提示している論点だけでなく、全体が見える形にしまして、論点だけでなく、現状と課題も分かる形で改めて整理をさせていただきました。
委員の皆様方には、論点を前半の事前調査と、後半のそれ以外と分けて進めていくと御説明をしておりましたが、全体をまとめて御議論いただきたいと考えております。特に、ワーキンググループの先生の皆様方には、検討事項に応じて、前半と後半でご出席をお願いする委員の方をそれぞれ別にするというお話をしておりましたが、前半と後半は分けませんので、今後のワーキンググループについても全員の御出席をご案内していきたいと考えています。本日こうした全体像をお示しして、また論点、対策の方向性などを後ほど資料で御説明させていただきますので、委員の皆様方には、御確認、御議論を進めていただきたいと考えております。一部進め方の変更を伴いますので、今回合同開催ということで御説明をさせていただきました。
○豊澤座長 ありがとうございました。それでは、本日の議事に入ります。まず、(1)の石綿ばく露防止対策等についてです。資料2について事務局から説明をお願いします。資料については、皆様には事前送付していると聞いておりますので、要点を簡潔に御説明いただければと思います。
○小林中央労働衛生専門官 それでは、資料2をお開きください。皆様方より、前回7月に頂いた主な御意見をまとめております。「2.意見の概要」として、1つ目は届出の関係、2つ目は事前調査全般、2ページ目にまいりまして、事前調査者の要件、4つ目として発注者・住民などの対策、5つ目は法令遵守の実行性の確保について、最後のページにその他ということで議論をまとめております。特に、先ほど御紹介したとおり、その他の所ですが、議論の対象が詳細過ぎるのではないか、それから、対象が多岐にわたっていてポイントを絞る必要があるのではないかといった御意見を頂きまして、今回改めて、後ほど説明する資料の形で整理をさせていただいたということです。
○豊澤座長 ありがとうございました。これについて何か御意見ございますでしょうか。
○亀元委員 前回の事前調査制度の話、資料2の2ページ目です。図面の残っていない建物もあるため、調査結果として、一律に図面まで求めるのは困難であるという御意見があったと思うのですけれども、実際問題、この調査した結果を図面にして、実際工事する人たちに渡すということは、調査のメインの話になるので、アスベスト建材をサンプリングした場所だけではなくて、その同一建材がどこにあったのか、どこからどこまでの範囲にアスベスト建材が施工されていたのかということを示す必要があると思うのです。それがないと、調査をやった意味がなくなってしまうと思うのです。だから、図面がなかろうが、少しそこは手書きでも作って清書して、きちんとした形でやるということがすごく大事な話なので、この話は調査そのものをある意味目的を欠いてしまうようなことになると思うのですが。
○豊澤座長 この辺は、このワーキングの資料というのは、こういう意見があったという、あったことを整理しているということで、必ずしもこの方向でいくというわけではないのですよね。
○亀元委員 そうなのですか。
○小林中央労働衛生専門官 はい。今回御意見いただいているものを並べているということで、今後どうしていくかは、資料3、資料4のときに、また御意見を頂けたらと思っております。
○亀元委員 分かりました。
○豊澤座長 ありがとうございます。そのほかございますか。それでは、ほかにお気付きの点がございましたら、後日事務局まで御連絡をお願いしたいと思います。
 次に移りたいと思います。冒頭に事務局から御説明のあったとおり、今回の論点の全体像をまとめていただいております。資料3の説明をまずお願いしたいと思います。
○小林中央労働衛生専門官 まず、資料の説明に入る前に、前回からの御進捗ということで、検討会を7月9日に実施いただきまして、具体的な御議論はワーキングで御意見いただいております。ワーキングについては7月31日に開催をしまして、7月9日に検討会に提示した論点については、引き続きワーキンググループで検討中であります。今回は、前回提示している事前調査の論点も含めて、全体を載せております。
 資料3ですが、左から現行の規制、真ん中が現状と課題、右側が論点案ということでお示しをしております。現行の規制の概要ですが、作業開始前は、調査や計画や届出についてです。それから作業上の措置は、作業中の様々な措置についてです。管理的対策は、主任者や特別教育、健康診断といった分類で整理をさせていただいております。
 真ん中の現状と課題です。作業開始前の措置ですが、前回の再掲が多分に含まれています。1点目として、作業開始前の調査が不十分で必要な措置を取らずに解体が行われる事例が多数見られるということで、原因としましては、改めて整理をし、1点目として知識不足があるのではないか、2点目として調査を法令上どこまで行うかということが明確ではないのではないか、3点目として調査結果が適切に共有されていないのではないかということで整理をしています。
 作業開始前の措置の2点目、今回の審議の論点ですが、石綿の分析を行う方について、十分な能力がない方も見られるのではないか。3点目として、調査者、分析者が十分確保できておらず、今後のニーズの拡大への対応が必要ではないかということで整理をしています。
続きまして、右側、作業開始前の措置の論点案ですが、1点目として、調査者、分析者については、それぞれ講習受講などの一定の要件を義務付けてはどうか、必要な能力を有した方が調査分析を行うことで、適正化を図ってはどうかということを考えております。2点目として、調査の方法(範囲)を明確にしてはどうか、3点目として、現場にも調査結果の記録の備付けというのを法令上義務付けてはどうかということで、現場に備え付けることで、解体を行う作業者が建材の場所を具体的に確認してはどうかと考えております。
 真ん中の現状と課題に戻りまして、2番目の作業上の措置です。1点目の対策が不十分という点は、今回新たにお示しをしている論点になります。1点目がいわゆるレベル3の現場、隔離を行わない現場ですが、こうした所でも石綿が高濃度で発散した事例が見られるということで、原因としましては、例えば破砕で生じた粉状の石綿が再飛散したり、湿潤化が十分でないということ等が原因ではないかということで提示をしております。
 2点目として、いわゆるレベル1、2の現場ですが、こうした所でも漏洩事例が散見されるということが課題かと考えています。
 3点目、全く対策を取らないということで、上の再掲になりますが、必要な措置を講じずに解体が行われる事例が散見されるということで、原因としましては、解体してしまいますと、事後に調査をしたかどうかとか、対策を実施したかということが確認が難しいというような特徴があろうと考えています。それから、労働基準監督署が現場を網羅的に把握するような仕組みがないということが原因と考えております。
 右側の作業上の措置の論点です。1点目は、いわゆるレベル3の現場ですが、粉状の石綿の再飛散を防止するための清掃作業でありますとか、湿潤化の作業など、実施の徹底が必要なのではないか。2点目として、いわゆるレベル1、2の現場ですが、漏洩防止措置の指導の充実などが必要ではないかということで、こうした論点でよいか御議論いただきたいと思っています。
 真ん中の管理対策です。年間の解体件数は80㎡以上で20万件、解体業者は現状で4万社程度ございます。こうした中で、労働基準監督署の指導等の結果を見ますと、主任者の選任の違反や石綿健診の違反といった基本的対策の違反も一部見られるということです。
 右側にいきまして、論点案の3点目、事業者に対する指導等ですが、こちらの半分は前回の再掲になっています。1点目として、調査結果について記録すべき項目や保存期間を明確にしてはどうか、作業計画に基づく作業の実施状況、どの労働者が作業に従事したか、記録を義務付けてはどうかということで考えております。
 目的は1個目の※にありますように、事後に確認できないということが1つ問題だと考えておりますので、記録を義務付けることで、これを適正化するということです。※の2点目として、店社が各現場で、石綿作業状況に応じた管理的対策を講じられるような仕組み、具体的には、健康診断ですと常時作業に従事する方が対象になりますが、現場ごとの記録も義務付けることで、誰が常時従事していたか分かるようにするということが必要ではないかということです。
 2点目は前回の再掲ですが、石綿なしの場合も含めて、一定の解体・改修工事に届出を義務付けてはどうかということで、そうした情報に基づいて、店社又は現場に対する指導が行えるようにするということです。
 ※の1点目にあるように、行政での把握がなかなか難しいということが原因ですので、把握できる範囲を広げるということで、指導すべき事業者を特定しまして、店社又は現場に指導を行って、指導効果を高めてはどうか。既存の建設リサイクル法などの届出範囲との整合性に留意してはどうかということで提示をしております。
 3点目は新規の論点です。前回、法令の実行性などの御意見もありましたが、例えば違反を繰り返すような事業者などの公表制度を検討してはどうかということです。
 4点目ですが、事業者に対する指導に当たっては、引き続き環境省をはじめ、地方公共団体との連携が重要ではないかということで考えております。以上になります。
○豊澤座長 ありがとうございました。主な論点を図にまとめていただいたということですが、具体的な議論は、この後、区分ごとに行っていきたいと思います。この時点で何か御意見、お気付きの点ございますでしょうか。もしなければ議論に入りたいと思います。
 本日は合同開催ということでもありますので、まずは、事務局に整理していただいた論点案について、方向性として問題ないかの確認を中心に御議論いただきたいと思います。各論点の具体的な御意見はもちろん頂ければと思いますけれども、詳細な議論は今後のワーキンググループでの議論にも委ねたいと思いますので、その点について御了解を頂きたいと思います。具体的な論点は、資料4でⅠからⅣに区分しております。それぞれ順に議論していきたいと思います。まず、資料4のⅠについて事務局から御説明をお願いしたいと思います。
○小林中央労働衛生専門官 それでは、資料4の1ページから御説明をいたします座長からも御説明いただいておりますが、今回は検討会との合同ということで、前回ワーキングでお示ししているような詳細までは、今回の資料には記載しておりません。本日は、もちろん御意見も頂けたらと思っておりますが、詳細な御議論については、1月以降も引き続きワーキングで御議論をお願いしたいと思っております。
 まず、Ⅰの作業開始前の措置ということで区分をしておりまして、これは資料3の分類と合わせております。1点目が前回の再掲になりますが、石綿の事前調査ということで分類をしております。これまで、事前調査については、厚生労働省におきましていろいろと施策を講じてまいりました。一方で、総務省勧告などでもいろいろなことが指摘をされているということになります。
 端的に御紹介をしますと、まず2ページを御覧ください。2ページの真ん中以降からの総務省勧告の抜粋ということで、事例を載せております。特に、現状と課題ということで、表の中の2個目に調査が不十分となっている要因ということで、こちらの枠内に書いております。1点目として、川崎市が立入調査をした結果、把握漏れが多数あるということで、川崎市によりますと、これは事業者の知見不足に起因するものが多いという要因が挙げられております。
 2点目以降が、総務省が調べた分類になりますが、総務省が調べた52件のうち32件において、設計図書の確認や外側からの目視のみでは確認できない箇所に係る事前調査が不十分であったということによって、含有建材を把握していなかった事例ということが見られております。
 次の事例ですが、52件中10件で見られているということで、発注者から受注した事業者に対する含有建材の使用状況に関する不適切な説明によって、事業者が適切に調査を行わなかったというものが確認されております。
 4点目として、工事関係者間で事前調査結果に関する情報等が適切に共有されずに、適切な飛散処置が講じられないまま工事が進められたものというのが、52件中7件確認をされております。
 3ページの論点案につきましては、前回の再掲ですので簡単に御紹介をいたします。5)にありますが、①、事前調査の方法(範囲)を一層明確にしてはどうかと考えております。②、今後石綿の解体工事が増加するということも念頭におきまして、調査者が確実に育成・確保されるように具体的な要件を明確にすることと、それから、講習制度等を整備することが必要ではないか。③、石綿がなしの場合も含めて、一定の解体・改修工事については届出を求めることとしてはどうか。こちらのほうは、2番のほうでまた詳しく御議論いただきたいと思っております。④、事前調査の結果の概要については掲示を義務付けておりますが、現場で労働者が詳細な情報を把握して、具体的に建材の場所を確認できるように、現場に調査結果自体の備付けを求めてはどうかということで考えております。②につきまして、詳細な議論としては、参考にありますように、3省共管の制度など始まっておりますので、こうしたことの活用を検討してはどうかということで、前回提示させていただいております。
 続きまして、2番の石綿含有分析です。石綿含有分析につきましては、事前調査の一環で、石綿の使用の有無が不明だった場合は分析をするということで義務付けておりますが、法令上の分析者の要件というのはお示ししておりません。現状と課題の2)ですが、こうした中で、石綿の分析を行っている方の中に十分な基礎知識のない方が散見されるなど、必ずしも能力を有している方が分析を行っていないのではないかということも懸念されるということです。論点案としまして3)になりますが、こうしたことを踏まえて、石綿含有建材の使用建築物の解体が今後も増加するということを念頭において、適切な能力を有する分析者が着実に育成確保されるように、分析者の具体的な要件等を明確にすること、それから、能力取得のための講習制度等を整備することが必要ではないかということで、御議論いただきたいと思っております。以上になります。
○豊澤座長 ありがとうございます。それでは、全体の方向性について、これでよいかという視点で御意見を頂ければと思います。今、事務局から御説明のあった5)の③と④については次の議論にも入っておりますので、特に、5)の①②と石綿含有分析の3)の論点案、この辺について御議論いただければと思います。よろしくお願いいたします。
○外山委員 全体に関わる部分で、少し異なる視点というか、その観点から少しお話をしたいです。私は現場をたくさん見ているのですが、特にレベル1の現場ですごく違和感を感じるのは、現場で環境測定なり濃度を測ることを、誰も行っていないわけです。石綿則でも大防法でも義務付けがないということで誰も監視をしていないというか、濃度が分からない。したがって、作業者も自分がやっている作業で、どのぐらいリスクがあるのかということを知り得ない状況にあります。
 それが1つの問題点で、作業環境測定法という法律があって測定義務があるわけですけれども、石綿も測定対象ですが、半年以上継続する現場でしか測定義務がないので、したがって解体の現場というのは測定の対象ではないわけです。また、化学物質のリスクアセスメントというのが、一昨年の2016年から義務化されているわけですけれども、石綿は禁止物質なので対象になっていないわけです。640物質も定めているのですけれども、石綿という発がん物質でかなり危険性が高いですし、現場の労働者が接触をしたりとかばく露する機会が極めて多くてリスクは高いものの、化学物質のリスクアセスメントからも外されているという状況です。つまりどういうことかというと、例えば居酒屋の店員さんとか、エチルアルコールを取り扱う人たちはリスクアセスメントをしなくてはいけないのですけれども、除去の現場、アスベストの除去という極めて危険性の高い現場では、リスクアセスメントの義務がない状態になっているというところがやはり大きな問題点で、ここを何とか変えていかないといけないのかなと思っています。
 英国では、現場ではレベル1の除去に関しては常に監視です。常に誰かが濃度を測っていて、現場で顕微鏡を持ち込んで、すぐに結果が出て対策を取るということが行われているということですので、やはりこういったことが必要なのかなと思います。現場でのリスクアセスメントが、20世紀の後半ぐらいから日本も含めて世界中で効果があるということで進められてきているわけですけれども、なぜか石綿則だけがそこから外されているという感じがしますので、是非ここは現場でのリスクアセスメントを進めるということ。少なくとも化学物質のリスクアセスメントの対象にした上で、現場でのリスクアセスメントを進めるということ、そういう観点が必要なのかなと思っています。
 日本には、私も作業環境測定士で労働衛生コンサルタントですけれども、そういう資格制度がありますので、そういった制度を活用することも可能でしょうし、やはり使いやすい、分かりやすいガイドラインを示すなりして、現場でのリスクを小さくしていくことが必要だと思います。石綿の除去の現場ですと、皆さん電動ファン付きの呼吸用保護具を使っていて、かなり性能は良いもので、確かにこれで守られるという意見もあるのですけれども、やはり保護具というのは最後の手段です。労働安全衛生の原則としては最後の手段なので、できるだけ使わないほうがいいですし、濃度を下げてできるだけ保護具を軽くするというか、そういうものに変えるということも可能です。そもそも現場での濃度が分からなければ、保護具を選ぶことさえできないわけですので、そういった労働安全衛生の原則に戻ってリスクアセスメントをした上で、現場の濃度を下げて労働者のリスクを減らしていくという観点が必要なのかと思います。以上です。
○豊澤座長 大変貴重な意見で、これは全体に関わる意見ですね。今の論点の中でより大きな観点でおっしゃっているのだと思います。そのほかはいかがですか。
○亀元委員 今の外山さんの話は、ちょっと大きな話というふうに思うのですけれども、先ほど小林さんが読まれた調査が不十分となっている要因の中の一番最後の文ですが、工事関係者間で事前調査結果に関する情報等が適切に共有されず、適切なアスベスト飛散ばく露防止措置が講じられていないと。これは現場で非常に多く起きている現状で、結局は、せっかく作った調査報告書が元請さんの所で止まっているのです。行って説明して御施主さんにも説明するのですけれども、解体業者さんのほうに行っていなくて、レベル3建材をたたき割って飛散させている状況です。
 それというのは、外山さんが今言ったようなリスクについて、解体業者さんのほうで全く考えていらっしゃらない。彼たちはレベル3建材なので、飛散しないからマスクもしないでたたき割ってもよいという感じでいらっしゃるケースが非常に多いので、そういった危ないということがあるのだから調査結果をきちんと引き渡して、ここはレベル3建材ですので適切な湿潤か手ばらしをしてくださいという流れを受け入れる体制を、測定も含めて考えていかないと、報告書はどこかに置かれて、実際の工事は飛散だらけという状況が起きてしまうというのが現場で多いと思います。
 それと、これは私が先ほどの話でも言ったのですけれども、調査結果というのはアスベスト建材の範囲まで、ここからここまでがアスベスト含有建材だという範囲まで示した図面を、御施主さんと工事業者さんにきちんと渡さないと対策はできないと思います。全部の建材を100パーセント最終分析するわけにはいかないので、2階のここが含有だったら3階のこの建材も含有のはずだから、ここもアスベスト含有建材という図面をきちんと書いて渡さないと、調査地点だけの報告書だと、2階だけ対策をして3階は対策をしないという現状が起きてしまうのです。とにかく図示して渡すということをしないと、せっかく調査した結果が工事会社さんに伝わらないという状況になるので、ここはやはり徹底するべきだと思います。
○豊澤座長 そのほか、この論点に対して御意見はございますか。
○本橋委員 本橋です。外山さんの意見はある程度違った見方としていいのですが、今言っているのでいうと、外山さんが言っていたのはセキュリティゾーンの入口とか、周辺で負圧除じん装置というか集じん排気装置の出口でなくて、作業場所の中で取るということですね。
○外山委員 中も含めてです。
○本橋委員 除去最中に。
○外山委員 除去中に取るということです。これは英国では普通に行われていることです。常に行われていますので。
○本橋委員 作業中に測定すると、やはり工法やタイミングによってすごく飛散しますよね。
○外山委員 当然します。
○本橋委員 それを常時把握するということですか。
○外山委員 つまり、作業者が知るということが重要で、この作業のときはこういう濃度が出ていると。もう少し改善したら、濃度が減らせるかもしれないという発想です。
○本橋委員 基本的には、作業場所の中はアスベストが飛散していて、そういう場合には隔離して、すなわち負圧にして外には出ないようにして、作業者はきちんと呼吸用保護具等で防護するのですが、それでも濃度も知りたいということですか。
○外山委員 労働安全衛生上の原則としては、やはり濃度をできるだけ下げるということが基本ですから。
○本橋委員 工事における防護対策は濃度ではなく工事仕様規定でやっているのですけれどね、散水するとか、いろいろな環境をきちんと隔離するとかやっているのですけれども、それ以上に濃度を測るとしたら作業の段階によって時間が圧倒的に違いますよね。
○外山委員 それぞれの作業について違います。
○本橋委員 除去の真っ最中だったら、ちょっと採取しただけでフィルターが真っ黒になりますよね。
○外山委員 もちろん、真っ黒というか、それは加減をすればいいわけで、技術者がやればいい話ですから可能です。
○本橋委員 分かりました。そういうことだったら合意が得られるならそれで進めてもらえばいいと思うのですけれども、亀元委員に聞いたのは、今言ったように調査報告書を置くのは大事なのですが、基本的に図面といっても、平面図と立面図だけでは絶対にアスベストの在りかは分からないので、仕上げ表を書いて、細かい所で言えば地下のほうまで書かなければいけないのです。現実はそうなのかもしれないのですけれども、姫野委員も別の委員会で言っていたのですが、基本的にアスベストの工事を発注するときには、解体のときにアスベストがどのぐらいあるかというのが把握されていることが普通です。本当は事前調査でそれを全部調べて、その上で公示価格の積算ができるので、それから発注すべきなのです。
 公的な所というのは当然それをやるべきですけれども、それをやらなければ、入札したときに相見積もりを取っているだけで、予定価格が積算できてないのだから適正な価格で行われるかどうかというのは分からないわけです。ですから、今言っている中でもそういうふうに書いてあるのです。事前調査をきちんとやって契約して、それで事前調査の結果を見て現場によって積算する、一方、工事を受注した施工者は事前に施工調査をして施工計画を立てる、きちんと確認をして、場合によっては事前調査で書いてありますけれども、部分的に取り残しているというか、解体工事のときにはここのところはちょっと調べられなかったということがあるわけです。それは調べてというように、今でもなっているわけですよ。マニュアルにも書いてあるので、これをどのように徹底するかというのはあるのですけれども、確かそのように書いてあるので。
○亀元委員 書いてあります。厚労省の徹底マニュアルの48ページに、平面図をきちんと書くというふうに書いてあります。それと、調査していない所はどこだということを図面に示すと。私が言いたいのは、どのようにコミュニケーションするかということです。御施主さんと又は工事会社さんとどのようにコミュニケーションするか、そのときに図面というのは非常に重要なものだと思っています。ここの部分についてはまだ調査していません、破壊調査をしないと駄目だということも含めて、コミュニケーションするための図面を作っておかないと話にならないと思います。
○本橋委員 だから、それを具体的な例として書くということですよね。
○亀元委員 そうですね、それがない報告書が非常に多いですし、調査地点だけの報告書というのが非常に多いです、サンプリング地点だけのが。
○本橋委員 私、今の亀元さんの意見に賛成なのですけれども、マニュアルをもうちょっと充実させて、そこまで書くということが多分大事ですよね。
○亀元委員 そうですね、今年度3月の厚労省の徹底マニュアルの中で、初めて目次項目まで出されたので、あれを徹底してやるべきだと思います。
○豊澤座長 分かりました。ちょっと議論が細かいところに入り込んでいるようなので、一応ここで皆さんの御了解を取りたいのは、事前調査の方法を一層明確にするのと、事前調査の具体的な要件等を明確にするとともに、能力習得のための講習制度等を整備することが必要ではないかと。これら論点がこの方向でよろしいかどうかというところを、まず皆さんの了解を得て、その後、細かな議論にも入っていきたいと思います。
○外山委員 それに関連すると、講習だけではやはり不十分で、資格というところがポイントだと思っているのです。公的にきちんと資格制度を作るということです。前回の委員会の中で、木造はそれほど難しくないので資格がなくてもいいのではないかというような話もありましたけれども、難しいか難しくないかではなくて、資格をきちんと決めて責任を決めるということです。当然、間違えたらペナルティがあることを定めるということが重要なのであって、単に講習会をやればいいということではないと思います。資格要件を決めて、賞罰をきちんと決めておくことが重要だと思います。
○豊澤座長 そのほかはございますか。
○姫野委員 今、本橋委員が一部言ったことなのですが、総務省の勧告の中に「事業者の見識不足に起因するもの」という項目があります。これは、石綿調査は施工者がすればよいと誤解している人がいるのです。地方公共団体ですが、入札時にこういう項目があります。落札者は「工事着手前に石綿調査を行い、あった場合は適切な処理を行い、指定された工期に落札した金額で解体してください」、こういう項目が入っています。地方公共団体の仕事で実際にあります。そうするとどうなるか。落札した会社は調査をして、そうすると石綿があるわけです。
これはある例なのですが、煙突がありました、煙突の調査をしたらカポスタックがありました。さあ困った、工期は間に合わない、予算はない、黙ってやってしまえ、これが現状です。だから、事前調査も大きく2つ、発注者側がする事前調査、施工者がする施工調査、これを法律ではっきり分けるということが必要であると思います。今だったら、地方自治体がやっていること自体は全然違法ではないわけです。施工する前にきちんと調べなさいという法律を守っているわけですよ。だけれども、実際には石綿の調査をせずに発注するわけですから、正しく総務省の事業者の見識不足に該当するわけです。こういうことが散見されるので、官がそれだったら民はやってしまえです。分からないうちに終わらせてしまえ、こういう現状がありますので、何とかやってほしいのです。この辺を改善するか、あるいは通達などで各地方自治体の事業者の見識を改めていただきたい。よろしくお願いいたします。
○豊澤座長 貴重な御意見をありがとうございます。そのほかはございますか。
○出野委員 解体業連合の出野と申します。そもそも論というか総論的な話で申し訳ないのですけれども、この中に解体業者が4万社と十把一絡げになって、こういう表現があちらこちらにあります。知識不足とか、あるいは認識不足とか、皆さん方の御議論の中にきちんとやっていないと、適当にやっていると、こういう発言がたくさんありますが、そもそも誰がプレイヤーなのだと、誰が解体しているのだと、御認識をきちんとしていただいているのかどうかちょっと疑問に思いましたので、発言をさせていただきたいと思います。
例えば、解体工事があると。これは、新築と解体は全く分離をして発注をして、解体工事単独で発注をして、それを施工、解体工事をするのは解体工事の許可業者がやる、イコールという現状があれば非常にやりやすいのだけれども、現状は全く違うということを御認識いただきたいと思います。
 まず、解体工事というのは、昔は一括、新築と解体、あるいはその後、解体だけ分離をするとかいろいろ紆余曲折ありましたけれども、流れとしては解体工事の分離発注という流れになっていました。ところが、現状はまた新築解体の一括発注という流れになりつつあります。理由は長くなるので申し上げませんけれども、そういう現状があるということです。
 それからプレイヤー、誰が解体をしているか。現状は大きく分けると3階建て、細かく言うと4階建てになっています。例えば相互的な企画調整指導が必要、すなわち新築解体の建て替え工事については建築業者がやりなさいということで、建築業者が解体をやっています。それを御認識いただいているのかどうか非常に不安に思っております。
 土木工作物の解体もそうです。そういう総合的な企画調整指導が必要な土木工作物の解体は土木業者がやっています。それ以外の総合的な企画調整指導が必要でない解体工事は、解体工事業の許可業者がやっています。正式には来年の6月1日からですけれども、現在はとび土工の許可を持った会社が解体をやっています。これが2階分です。
 もう1つ、500万円未満の工事については建設業の許可は要りません。解体工事は500万円未満の工事が結構多くて、戸建ての住宅はほとんどそうです。これは建設業の許可は持っていません。ただ、建リ法で登録が必要ということになっていますので、登録はしています。どのぐらい業者の数があるかというと、現在、登録業者が約1万社強です。解体工事の許可を取っている会社は3万社ちょっとぐらいです。来年6月までには恐らく4万社ぐらいになるでしょう。そこからこの4万社が多分出てきたのではなかろうかと思います。あと、建築工事業や土木工事業の許可を持っている会社が10万社以上あります。建設業界では一番多い部類です。そういう業者もあります。
 解体を除いて26業種の専門工事業というのがあるのですけれども、専門工事業の方も全部解体をやっています。例えば、電気工事業の方は電気設備の解体をやっていて、管工事業の方は管工事の解体をやっているということで、広い意味で建設業者は全員解体をやっているのです。講習会をやるなり、あるいはPR、広報活動をやるのだったら闇夜の鉄砲にならないように、そういう御認識を持ってきちんと照準を定めてやっていただかないと、何をやっているか分からないということです。
 実際、登録業者とか専門工事業者で地方の方は恐らく石綿則を知らない、事前調査とは何だという感じだと思うのです。石綿ぐらいは知っているかもしれませんけれども、そういうレベルも、私が確認したわけではないですが、個人的な感想として多分あるであろうという現状です。それを念頭に置きながらいろいろな施策を考えていただかないと、上すべりの議論になってしまいます。根元のほうは全部なくなってしまうと、砂上の楼閣ということになりかねないということで、そもそも論、総論的な話で申し訳ないですけれども、最初に申し上げておきたいと思います。以上です。
○豊澤座長 そのほか、この論点についていかがですか。
○亀元委員 今のそもそも論の話、実効性を上げるという話の中で非常に大事な話があります。日本には、アスベスト除去工事全体を見る専門家が、なかなかいないという状況になっています。海外、アメリカとかイギリスですと、プロジェクトモニターとかアナリストという人たちが、どういう工事をするのかを、工事の場所から工事をやっている間に監視したり、ある意味指導をしたりするサポート役がずっといるわけです。それは、アスベストを飛散させない、また周辺に漏らさない、ばく露させない又は作業員にばく露させないという、先ほど外山さんが言ったような人たちも含めてですけれども、そういう誰か全体を見ている人がいないと、なかなか実効性が立たないと思います。
 解体業者さんも、すごく優秀な解体業者さんもいらっしゃいますし、御存じだと思いますけれども、除去会社さんは解体業者さんの下に付いたり、又は元請さん、ゼネコンさんが除去会社さんと解体業者さんを別々に発注されたりとかします。除去会社さんと定義されるのは、普通はレベル1又は煙突等の対応をされるレベル2の所ですけれども、レベル2の中でも配管保温材とかケイカルの2種とか、またレベル3というのは解体屋さんが入ってきます。レベル2の所はグローバッグをして、いろいろパイプを鋏で切って下ろすということをしますけれども、場合によってはグローバッグだけをやったものを間違って落としてしまったり、そこに飛散させたりとかするわけです。そういったときに、すぐ対応ができないような状況があります。
 言いたいのはそういったところについて、正に先ほどおっしゃったように、誰がどのように対応するかということが、現場の中でコントロールできない状況が非常に多くて、そういったことが飛散につながっている現状があるので、それを労基の人が立入りして指導するというようにしたとしても、全体がもう見えていないような状況がある。そこを補強するような仕組みが、非常に重要になってくるのではないかと思います。そうでないと、今回はいっぱい良い提案を、厚労省さんのほうで論点を整理されていると思うのですけれども、実効性を上げるものというのがもう1つ、労基の人が立入りするにせよ、何かの仕組みがないと、誰にどういう形で現場で対応していったらいいのか、そういったことがちょっと見えないところが残っているなと思います。私の提案としては、そういったプロジェクトモニターとかアナリストのような、全体を管理するような人を育てていくことも検討していったほうがよいのではないかという気がいたします。
○豊澤座長 議論が尽きないようなのですけれども、この論点1の全体の方向性として問題ないということでしたら、より詳細な議論については、引き続き1月以降のワーキンググループで御議論いただきたいと思いますけれども、それでよろしいでしょうか。
○亀元委員 もう1つだけいいですか。私は分析のほうも専門なので、分析のことについて一言言わせていただきたいのです。いろいろな良い制度があったとしても、画竜点睛のところの最後のところを締めるということで、非常に重要だと思いまして、分析業界というのはいろいろな不祥事があると思うのですけれども、データを捏造する文化というのがやはり非常に多くあります。今、エアモニの結果とかそういったことについて、飛散させていない結果を出す業者さんがどんどん選ばれるという現状があるので、罰則については分析の業者さんを、もちろん技能試験とか技術レベルもいろいろ重要なのですけれども、一番根本的なところ、正確なデータを出さない所を罰するような仕組み、又は濃度計量証明事業とか作業環境測定事業の免許を剥奪するぐらいのところまでいかないかもしれないですが、そこをやらないと、現場は本当に飛散させていないという結果だけが出ていて、実際はそういった状況なのです。
 実は私、最近新しい社員を雇ったのですけれども、彼の元の会社では、高いデータが出た場合は上司が数字をいじってお客さんに報告するということをやっていたそうです。それも最近までやっていたと。私の会社へ来て、初めて高いデータでもきちんと出すのですねというふうに言われました。だから、そういったことが起きているということを認識してもらって、そこをきちんとやらないと、正しいデータが出ない限りは改善も何もできないのです。そこはしっかり入れてほしいと思います。
○豊澤座長 分かりました。
○笠井委員 時間のないところ申し訳ありませんが、1点だけお願いいたします。全建の笠井です。今回の制度を考えていくうえでの大枠の話が出ていたので一言申し添えたいのですが、日本の建設業では、元請会社(ゼネコン)に課せられている法律上の責任は、ヨーロッパのそれとはかなり違うというのが私の認識です。ヨーロッパでは、独立した職業としてのアーキテクト(建築士)がいて、建物などの施工を行うゼネコン(施工を専らとする会社)や専門工事会社が、それぞれ完全に独立した形態で存在します。従いまして、調査者にしろ、あるいは石綿除去の会社にしろ、それぞれが法律上の責任を負った独立した形で成立し得ると思いますが、今の日本の建設業の形態からいうと、ほとんどの場合最終的には、元請会社が法律上の元請責任を負うことになります。外山委員や姫野委員のおっしゃることは、私は非常によく分かるのですけれども、調査者や除去工事等の専門工事会社に義務や責任、あるいはライセンス制の考え方を導入するには、日本の建設業界の仕組みや法的責任のあり方をもっと明確にするなど根本的なところを何とかしていかないと、結局は全部元請会社を頭にした集団の話となり、独立性や中立性を求める話とズレが生じます。今は事前調査も大防法では元請に義務を課しています。つまり、元請会社が受注して始めて事前調査をすることになるので、石綿除去等の工事に必要な工事費が、しっかりと積算し見積りをする前に、工事の入札をせざるを得ない可能性が潜在しています。こういう実態を踏まえたうえで、議論がなされないと実のある制度や規制にはならないのではないかと考えています。
○豊澤座長 その辺は後のほうの議論でもありますので、まずは1つ目の論点でこの方向でよろしいかどうか。より詳細な議論はワーキンググループにお任せしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
○中丸委員 すみません、1つだけいいですか。基本的にこの方針で良いと思います。1点だけ付け加えていただきたいと思ったのは、出野委員からも話があったのですけれども、調査する人について、調査義務を負う方を決める中で一緒に決めていただきたいなと、それが必要だと思います。原則は、大枠はこれで進めていただいていいと私は思っています。
○豊澤座長 その辺はワーキンググループで詰めていきたいと思います。
○本橋委員 分析者についてです。今言ったことに関係するのですけれども、分析者がサンプリングに行くか、サンプリングしたのを送るかというのはあると思うのですが、そこのところを、分析者と併せてどうするかというのも、是非この中で、ワーキングのほうで議論していただきたいというところです。
○豊澤座長 それでは、よろしいですか。いろいろ意見が出ましたので、事務局は次回までに本日の御意見を整理していただければと思います。
続いて、資料4のⅡについて御説明をお願いいたします。
○小林中央労働衛生専門官 続きまして、資料4の5ページから、Ⅱの事業者に対する指導等について御説明させていただきます。事前にお送りしてるので、簡単に要点のみをお話させていただきます。
 早速ですが、論点案の3)になります。4)で記録の話をしていますが、4)で記録を義務付けるということで、主に解体業者の現場だけではなく、店社、事務所にも指導を行うと。店社への指導結果その他の状況から、問題のおそれのある業者に現場にも指導を行っていくということが必要ではないかということで、うまく組み合せて指導を行ってはどうかということです。2点目として、石綿に関して違反を繰り返すような業者の公表などを行うということで、対策の強化を図ってはどうかということです。
 4)は記録関係になります。要点としては、1点目、2点目とありますが、1点目として事前調査結果の記録。2点目として作業計画に基づく作業状況、それから誰が従事したかという労働者の氏名の記録について、これを保存期間を定めてはどうかということで、今、保存している記録だけではなく、解体現場ごとに記録を保存させてはどうかということです。
 5)については、店社の指導のほかに現場への指導ということで、届出の話になります。上記の店社指導を行うほかに、現場への立入りによって解体前に事前調査結果などを確認すること、それから解体の作業中に、事前調査結果に応じた対策を実施しているか否かを立入りで確認できるようにするということで、解体の工事前に工事に関する一定の情報を記載した簡易な届出を提出することを求めてはどうかということです。届出と言いますか、報告や通知と言ったほうがなじむかもしれませんが、そうした内容になっています。
 6)は前回も御議論を頂いておりますが、作業届を計画届に統合してはどうかということで、レベル1~2については計画届に一元化してはどうかということになります。
 7)、届出の内容について、届出を徹底する意味などから、情報の取扱いには留意しつつ、積極的に公開するようなことが望ましいのではないかということで、御議論していただけたらと思っています。以上です。
○豊澤座長 ありがとうございます。ただいま御説明いただいた論点について、全体の骨格、方向性としてこれでよいかという点を中心に御意見を頂ければと思います。よろしくお願いいたします。
○田久委員 先ほどの4)の記録の所では、従事労働者ではなく建設工事従事者にしていただいたほうが、いわゆるそこで働く人全てという意味合いが、新しい法案もできていることですので。労働者と言うと、例えば一人親方さんや中小事業主等が入って従事した場合に、はじかれてしまう可能性があるかなという気になっています。そこはそういった観点は、あらゆるところで入れていただきたいと思っています。
○豊澤座長 はい、ありがとうございます。そのほかございますか。よろしいですか。全体の方向性として問題がないようでしたら、より詳細な議論については、引き続き1月のワーキンググループで御議論いただきたいと思います。事務局では、1つの御意見がありましたので、その辺を取りまとめていただければと思います。
 それでは、資料4のⅢとⅣですね。Ⅲはそれほど長くないので、ⅢとⅣを取りまとめて事務局から御説明いただければと思います。
○小林中央労働衛生専門官 続きまして、資料4の7ページから、Ⅲの作業上の措置について御説明いたします。いわゆるレベル3の現場が1番ということになります。現状と課題として、レベル3現場については湿潤化や呼吸用保護具の着用などを義務付けるということなど、その他措置を求めています。
 2)、そうした中で近年の測定では、いわゆるレベル3の現場において床面に堆積した粉じんの再飛散や不十分な湿潤化などが原因で、高濃度で石綿が発散した事例が確認されるということです。
論点案としては、3)ですが、こうしたことを踏まえて、例えば再飛散を防止するための清掃作業や湿潤化の作業などの実施の徹底などが必要ではないかということで、御議論いただきたいと思っています。
 続きまして、2番いわゆるレベル1~2の隔離を行う現場になります。現状と課題として、1)ですが、御案内のとおりレベル1~2の隔離現場については様々な措置を義務付けています。
 2)ですが、しかしながら依然として、監督署の指導結果などを見ますと、一定の石綿則の隔離関係の違反も見られます。それから、実際の隔離現場で漏洩事例も散見されるなどの状況にあります。8ページの最初の枠囲みの中ですが、前回、隔離関係は平成26年6月に改正、施行していますが、厚生労働省や環境省などの測定を行った31現場中7現場で隔離空間外で石綿が検出されています。こちらについては、前室付近で石綿を検出しています。平成26年6月以降に、自治体さんが測定を行った現場で、ちょっと母数が分かりませんが、そのうち9現場において隔離空間外で石綿が検出されています。内訳としては、集じん・排気装置の外側が4現場と、敷地境界での検出が5現場ということで、漏洩箇所は整理確認をしていますが、そういう結果となっています。
 3)は、また別の案件ですが、いわゆるレベル1~2の除去作業において、石綿を取り残したまま隔離を解く事例も見られるということです。
論点案としては、4)ですが、こうしたことから漏洩を防止するために、隔離・漏洩防止措置の徹底が必要ではないかということで、具体的に御議論いただきたいと考えています。2段落目については、先ほどの再掲ですが、作業届を計画届に一元化して強化を図ってはどうかということです。3段落目ですが、計画届に変更する場合には、併せて望ましい計画届の参画者の要件について示して、措置の徹底を図ってはどうかということで考えています。
 5)になりますが、いわゆる吹付け材などレベル1~2の隔離除去の際の取り残しを防止するために、事業者が、一定の知見を有する方を活用して取り残しの有無を確認するよう求めることは必要ないかということで、御議論いただきたいと考えています。
続きまして、9ページ、Ⅳその他です。1点目が7月9日の検討会でも御議論いただきました吹付け材のみなし規定の適用です。論点案の3)ですが、吹付け材についてもばく露防止措置などの水準をもちろん維持した上で、石綿含有の分析を行わずにみなして、対策を構じることを可能としてはどうかと考えています。
 2番の建築用仕上塗材です。まず、現状と課題です。石綿則6条などで規定する「吹き付けられた石綿等」という法令上の区分がありますが、平成17年の石綿則制定の当初の通知では、吹付け石綿、ロックウール、バーミキュライト、パーライトの吹付け材が含まれると示していますが、これら以外の仕上塗材についても吹き付けられているものは、「吹き付けられた石綿等」だということで、石綿則6条の隔離等の措置又は同等の措置の適用が現状あるということになります。
 また吹き付けられていない仕上塗材については、同条の適用はありませんが、吹き付けられているものかどうかということにかかわらず、こうした仕上塗材の除去に当たっては、ほかの「吹き付けられた石綿等」とは飛散の状況が異なる事例も把握されています。
論点案としては、こうしたバーミキュライト、パーライト以外の仕上塗材については、吹き付けられたものか否かにかかわらず、「吹き付けられた石綿等」の飛散状況とは異なる事例もあり、また作業方法なども異なりますが、そうした仕上塗材のばく露防止措置等について別に整理することとしてはどうかと考えています。
 3番のその他ですが、石綿ばく露防止対策の推進に当たりましては、引き続き環境省さんなどとも連携して、例えばマニュアルを統合するなどの整合性の確保、連携が必要ではないかと考えています。
 参考資料の補足を少しいたします。参考資料5を御覧ください。こちらに仕上塗材の除去作業での石綿の繊維の状況を示しています。№1から№8が普通のRCなどの壁面からの除去ということです。№9、№10がドリルで穿孔する作業、№11、№12、№13はいわゆる戸建ての木造住宅ですが、モルタルごと除去するという作業になっています。
 上から壁面からの除去ですが、ディスクグラインダーケレンで集じん装置なしでやった場合は石綿繊維が200本程度飛んでいる状況が見られました。それから集じん装置あり・なしの超高圧水洗で40本台から70本台、50本台というふうに見られています。剥離剤併用の手工具ケレン、超音波ケレンでは、石綿繊維はかなり少ないという状況が見られています。
 続いて、9、10の壁面の穿孔ですが、アンカー機器による穿孔作業や、その後の穴の掃除などの作業で、粉じんの飛散については見られていますが、石綿繊維については確認ができていません。戸建ての住宅の関係で、壁を一旦倒して平ノミで仕上塗材の所をクラックを入れつつ、バールで防水紙からモルタル、ラス網部分を剥離する作業です。いわゆる在来工法で、内部から順にスギ板、防水紙、ラス網、モルタル、その上に仕上塗材という層になっている所の作業ですが、個人サンプラーで総繊維数を確認されていますが、石綿繊維については検出されていません。
 すみません、御案内が前後しましたが、※の1点目にありますように、№1については隔離養生内での定点です。№2から№13、残りの全部ですが、こちらは個人サンプラーの測定結果ということになります。以上です。
○豊澤座長 ありがとうございます。ただいまの御説明いただいた資料4のⅢとⅣの論点について、全体の骨格、方向性として、これでよいかという点を中心に御意見を頂ければと思います。よろしくお願いいたします。
○亀元委員 レベル3についてのことで、レベル1の除去工事中のモニタリングと関連して話したいと思います。最近、自治体の条例等で、レベル1の除去工事中にセキュリティゾーンの前室の入口、除じん機の排出口という所で、モニタリングをするケースが非常に多くなっているのですけれども、そういう中で除じん機やレベル1の工事場から発生するものが、セキュリティゾーンの入口の所に出てくるのではなく、バックグラウンドで行われているレベル3の解体の影響で、セキュリティゾーンの入口の値が上がってしまうという事例が非常に多く見られます。
 工事は、レベル1の除去工事と解体工事が同時に行われているのです。例えば、レベル1の除去工事はクリソタイルの入っているアスベストを除去しているのだけれども、前室の所へ出てくるのは、アモサイトの値が出てくる。アモサイトの含有建材というものは、ちょっと離れた所でやられているケイカル板の除去の工事から影響しているように思われる。そういったケースというのが、非常に多くなっています。
 これは解体現場ではいいのですけれども、実際、改修工事現場にいながらにして様々な工事をやるのですけれども、レベル3の建材の工事をきちっとやらないことによって、いろいろな所でばく露してしまう。室内でビルなどでは、上の階やほかの階まで影響してしまうような状況が起きるのではないかということを、非常に懸念しています。
 ですから、極端な例ですけれども、そういったレベル3については、やはりきちっと対策の方法を整備するべきだという気がします。最低限でも、ビル内においてはやはり養生を、海外でやられているように、養生しなければいけないのではないかという気もします、使用中のビル内においては。最近、レベル1の監視現場で、隣でやられているレベル3の工事の影響を受けた分析結果が非常に多く出てくるので、そういったことを意識していかなければいけないという気がします。
○豊澤座長 ありがとうございます。
○小林中央労働衛生専門官 事務局から簡単にお答えをします。輻輳して様々な業者の労働者が働かれる場所で労働者の保護というのも重要だと思います。一方で、今、御指摘を頂いた点のうち、ビルでほかに労働者以外の方もいるという点については、厚生労働省としては、関係省庁との規制の整合性を図りながら検討に努めていくということなると思っています。
○豊澤座長 是非よろしくお願いいたします。
○外山委員 隔離以外のレベル3の建材の除去に関してですけれども、現状で湿潤化ということが義務付けられています。ただ、それも困難な場合はしなくてもいいということが書かれていて、ここに破砕の原則禁止というものが石綿則に入らないのかということを、是非検討していただきたいと思います。
 やはり、安易に破砕してしまっているという状況がかなり見られますので、それは是非、法律の中にきちんと入れるということが必要ではないのかなと思います。ただ、やはり例外というか、湿潤化も困難な場合はしなくていいですし、破砕も全部破砕せずに除去するというのは難しい場合もあります。そうなってくると、この場合にはどうするのかということで現場は非常に困りますから、やはりガイドラインというかマニュアル的なものが必要になるのかなと思います。
 実際に例えば、波板スレートの大きな倉庫や何かを解体するときに、足場を組んで破砕をせずに湿潤化しながら除去すると、大体5倍ぐらい費用が掛かると聞いています。そういったものを、やはり所有者なりに求めることはかなり負担が大きくなりますので、財政面といった支援も必要ではないかと思います。ですから、レベル3に関しては、法律の強化ということも大事ですが、全体的にきちんと守れる仕組みをつくっていくということが必要ではないのかなと思います。
 あとは隔離を行うレベル1~2の隔離内の作業です。これも8ページの5)に完了検査のことが書かれていますけれども、亀元委員が言われた全体を監視するという仕組みが必要ですので、これだけではやはり不十分で、濃度測定も含めて全体を管理するような、リスクアセスメントも含めて進めるような、そういう仕組みが必要ではないのかと思います。以上です。
○豊澤座長 ありがとうございます。
○姫野委員 すみません。今、外山さんが言われた発言ですが、実際に皆さんがいらっしゃるこの部屋の天井を見てください。岩綿吸音板の場合は、施工的にボードを張って、のりで岩綿吸音板を上のボードに張り付けていますよね。しかも、それにタッカーを打っているのです、ホチキスの親玉を。そうすると、実際には破砕しかできないのです。それでこれを分離してしなさいと、あるマニュアルに書いているのですが、分離すると岩綿吸音板がぼろぼろになって落ちてくるのです。逆に飛散を助長しているのです。
 だからこういう場合は、もうあっさりと養生を掛けて、負圧養生までは必要ないと思いますが、それと集じん排気装置を併用するなど、そういった現実的な、要するに解体屋さんが作業できるような仕組みを作っていただきたいと思っています。
 ただ、一概に破砕が悪い、破砕が悪いと言うのではなく、破砕しかできない材料もあるということは覚えていてください。
○本橋委員 姫野さんの意見に加えてですけれども、今、言ったように湿潤化するか破砕しないようにとは書いてあるのですけれども、これは具体的に波板スレートが張ってある、フックボルトで固定されているときは、割らないように取るのは大変なのですが、いろいろな工法が出ています。湿潤化しても滑りやすくなって危ない、接着の場合温めれば取れる場合もあります。天井の吸音板の場合ですと石膏ボードで張り付けてあるから、そこをどう処分するかなど、具体的な例が、厚生労働省だけだと無理で、建築工事の内容を踏まえたうえで、具体的なマニュアルを示してあげないと分からないのです。ワーキングには酷なのですが、精神論とは別に具体的にこうやったほうがいいよと、先ほど姫野さんが言ったようなことを書けたら、そのほうが非常に便利なのです。実効的です。それが、方法の提示もないままに、ただ徹底せよと言っても無理なので、是非ワーキングにそういうところを充実させていただけるといいなと思います。
○豊澤座長 ありがとうございます。
○浅見委員 Ⅲの1ですけれども、この辺り本文を読んでちょっと意外だったのが、解体時の飛散のことが明確に書いていないのです。その後の二次飛散のことはあるのですけれども、それが意外な感じがしました。
 今も話に出ましたけれども、やはりレベル3で湿潤化とありますが、表面はかなり化粧している板、あるいはタイルを張っている板とになると、実際には湿潤化は意味がない。そういうことも含めて、やはりいろいろと話が出ましたけれども、マニュアルの中でこういうときはという事例を幾つか挙げていくようなことが必要ではないかと思っています。
 ちょっと飛んでしまいますが、4)の辺りですけれども、この届出に関しては大防法の届出と全く一緒の条件ということであれば、むしろ各事業者はほぼ同じ内容で出していますので、特にこれに関しては、環境省と整合していれば問題はないのかなと思います。以上です。
○豊澤座長 ありがとうございます。
○米谷委員 レベル3に関してですけれども、先ほど亀元さんがおっしゃったことは、よく理解できます。特に例示をされたアモサイトを含んでいるケイカル板については、飛散性が高いことを経験上認識しています。
 ここで1点、お願いをしたいのが、レベル3全体についての飛散性を、ケイカル板を代表にして考えることは、避けていただいたほうがいいのかなと。アモサイトを含んでいる建材とクリソタイルを含んでいる建材とでは、飛散性の度合いが相当に違うように感じています。その辺りをしっかりと検証した上で、それぞれの建材の種類ごとに合った対応をということで考えていくところが重要かと思います。以上です。
○豊澤座長 ありがとうございます。
○小西委員 今の御意見にちょっと反論するようなことになのかもしれませんけれども、実は建材ごとの飛散性というのは、これからきちんとデータを集積していかないと分からない部分も出てくると思うのです。ですから基本的には、外壁についても、それからレベル3についても、本来であれば隔離が前提だということが必要なのだろうと思います。ただし、その内容、工法などによって適用除外をすると。まず最初は、アスベストが含まれている場合はレベルで分けるのではなく全て隔離をするべきではないかと。今、お話があったように、こういう工法で、あるいはこういう建材で、こういう処理をしたのであれば、そこの所は適用除外をしますよとか、それに係る措置をちゃんとするという形にしていったほうがいいのではないかということを、是非議論していただきたいと思います。
○姫野委員 最後になるかもしれませんけれども、レベル3が飛散しないという言葉ですが、これはやめてほしいのです。通常のレベル3が飛散しないと、どこが言い始めたことかは私は知りませんが、これでみんな誤解しているのです。ですからレベル3建材でも、アスベストは飛散しますよというような言い方に切り替えてほしいのです。レベル3は飛散しないのでしょうと、一般の消費者や作業員、オーナーは思っていますので、是非この辺のPRをよろしくお願いいたします。
○田久委員 今、言われたことは、僕もそのように思っています。とにかく働いている人たちも含めて、レベル3建材が飛ばないというか、そういう危険性について学んでいるかどうかというのが、まず疑問も含めてあるので、そういったところもきちんと学習なりさせていくことも同時にやっていくことが必要です。それから、先ほど言われたように、住民や発注者も含めた周知、ここは同時にやらなければ、一方で強化したとしても理解を得られないで、どうしてもお客さん優先に行動してしまうなど、全ての人たち、解体業者の方が言われたように、建設で働いている人だったら、解体、改修をする際も石綿を飛散させる可能性は十分にあるので、そういった部分では働く人たちも、全てこういった部分のきちっとした教育、また周知も含めたところはやっていくということです。
 そして、レベル3建材が飛ばないというか、言われたとおりレベル3建材は飛ぶという前提の下に、いろいろな適用除外をしていくような形が、まず理想ではないのかなと思います。どこを守るのかというところが、全然なっていないですよね。働いている人と周りの住民、環境省もそうだと思いますが、そこを守っていくということであれば、その人たちについて飛散させず防止をしていくために検討していると思うので、まず危険があるのであれば、そういうところをしていくべきではないかという前提で議論をしていただければと思っています。
○豊澤座長 どうもありがとうございます。議論は尽きないですけれども。
○外山委員 最後にちょっと。論点にない点なのですけれども、やはり日本の労働安全衛生の法は、罰則の適用が極めて少ないと思っています。英国とまた比較しますけれども、英国だと年間100億円以上の罰金が課せられています。多分、日本はその1,000分の1ぐらいではないかと思うのですけれども。ですので、罰則の強化ということと同時に、やはり罰則をきちんと適用するするということについて、是非、検討を。法改正とは少し離れるかもしないのですけれども、労働安全衛生法全体の問題かもしれないのですけれども、そこを是非、御検討いただけたらと思います。
○豊澤座長 かなり大きな話ですね。議論は尽きないと思いますけれども、皆さんの御意見は一応この論点に沿って、それをもっと実行性を上げるべきだという視点の御意見が多かったと思います。今回の全体の方向性として問題ないようでしたら、より詳細な議論については、引き続き1月のワーキンググループで御議論いただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。事務局は、本日、委員の皆さんから貴重な御意見が出ましたので、次回までにそれを整理していただければと思います。
続いて、議事の(2)その他について、何かありますでしょうか。
○小林中央労働衛生専門官 先ほど頂いた御意見ですが、本日確認いただきまして、また議論を整理をして、次回以降のワーキングで検討を深めていきたいと思っています。頂いた御意見の中で、例えば労働者以外などのことや罰則、そういったことをまた整理をさせていただきますが、議論の枠から外れるものについては、今後の検討課題ということで整理させていただきたいと考えています。
次回の検討会ですが、改めて日程調整をさせていただきます。また、ワーキンググループについては、1月8日、2月19日を予定しています。その後については、また日程調整をさせていただきますので、引き続きよろしくお願いいたします。
○豊澤座長 ありがとうございます。それでは一応、本日の議論は終了しましたので、事務局にお返ししたいと思います。
○小林中央労働衛生専門官 本日は前回の資料を一部の委員にお配りをしていますが、そちらの紙の資料については机の上に置いていただければ、次回またお配りさせていただきます。
○塚本化学物質対策課長 最後ですが、一言御挨拶をさせていただきたいと思います。本日は、長時間にわたる非常に御熱心な御審議、誠にありがとうございました。御承知のとおり、建築物の解体等における石綿ばく露防止対策の充実、これは非常に重要な課題であると考えており、本日頂きました御意見を基に更なる検討を進めていただければと考えております。本日は長時間にわたりありがとうございました。
 なお、本日の議事録ですが、各委員に御確認を頂いた後、公開させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。以上です。
○豊澤座長 それでは、以上で第2回の検討会と第2回のワーキンググループを閉会したいと思います。どうもありがとうございました。