第1回精神障害者等の就労パスポート作成に関する検討会(議事録)

日時

平成30年12月25日(火) 15:00~17:00

場所

厚生労働省 専用第12会議室(15階)

議事


○地域就労支援室長補佐 ただいまから、第1回「精神障害者等の就労パスポート作成に関する検討会」を開催いたします。
参集者の皆様方には、本日、御多忙のところ、御参集いただきありがとうございます。座長が選出されるまでの間、事務局で司会を務めさせていただきますので、よろしくお願いいたします。それでは、まず、検討会の開催に当たりまして、障害者雇用対策課長より御挨拶申し上げます。
○障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長の松下でございます。
本日は、年末のお忙しい中、皆様方にはこの「精神障害者等の就労パスポート作成に関する検討会」に御参集いただきまして、誠にありがとうございました。
精神障害の方の企業における雇用者数につきましては、御承知のとおり、大幅に増加している状況にございます。他方で、他の障害種別と比べましても、精神障害の方の定着率等々、職場定着に困難を抱えるケースが多い状況も見られているところでございます。
また、こうした状況の中で、昨年1年間、「今後の障害者雇用促進制度の在り方に関する研究会」を開催させていただきまして、今年の7月30日でございますが、その研究会の報告書が取りまとめられているところでございます。
この研究会報告書の中身については、いろいろ他方面の論点、課題について提言がされているところでございますが、この検討会に関連するものといたしまして、その報告書の中におきまして、障害者本人の障害理解や支援機関同士での情報連携を進めるとともに、事業主による採用選考時での本人理解や就職後の職場環境整備を促すために、就労に向けた情報共有フォーマット「就労パスポート」を整備し、雇い入れ時などにおける利活用の促進を図る必要があるということで、その研究会の報告書の中でも提言がされているところでございます。
本日は、こうした研究会の報告書の提言を踏まえまして、この検討会を開催させていただいたところでございます。この検討会におきましては、今、報告書の中でもありましたように、就労パスポートの内容であったり、活用方法などについて御検討いただければと考えているところでございます。
今後、精神障害のある方の支援の充実に向けまして、この就労パスポートの作成を通じて対応を進めていきたいと考えておりますので、皆様方におかれましては、この検討会におきまして、忌憚のない御意見をいただきますようお願いを申し上げまして、簡単ですけれども、挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
○地域就労支援室長補佐 それでは、本日は第1回目ということですので、各参集者の方々と事務局のメンバーを紹介させていただきます。
参集者の皆様方につきましては、名簿の順に沿って御紹介させていただきます。
埼玉県立大学保健医療福祉学部教授の朝日様でございます。
松戸公共職業安定所専門援助部門統括職業指導官の宇佐見様が委員となっておりますが、本日は欠席となっております。
全国精神保健福祉会連合会事務局長の小幡様でございます。
日本労働組合総連合会雇用対策局の柿島様でございます。
九州産業大学人間科学部教授の倉知様でございます。
株式会社大協製作所代表取締役会長の栗原様でございます。
全日本自治団体労働組合総合政治政策局社会福祉局長の佐保様でございます。
法政大学現代福祉学部教授の眞保様でございます。
障害者就業・生活支援センターワーキング・トライセンター長の清家様でございます。
ダンウェイ株式会社代表取締役社長の高橋様でございます。
田園調布学園大学人間福祉学部教授の中川様でございます。
株式会社良品計画の成澤様でございます。
東京障害者職業センター多摩支所長の吉岡様でございます。
次に、事務局を紹介させていただきます。
先ほど御挨拶を申し上げました、障害者雇用対策課長の松下でございます。
雇用開発企画課長の河野でございます。
障害者雇用促進研究官の榧野でございます。
障害者雇用専門官の鈴木でございます。
それから、私が地域就労支援室長補佐の根本と申します。よろしくお願いいたします。
続きまして、本検討会の開催要綱について御説明をさせていただきます。資料1の開催要綱を御覧いただければと存じます。
まず、この検討会の開催の趣旨・目的ということでございますが、先ほど松下から御挨拶の中でも申し上げましたけれども、精神障害者の方の雇用数が大幅にふえている一方で、職場定着には困難を抱えるケースが多く見られているところでございます。
そういった中で、ことしの7月30日に取りまとめられました「今後の障害者雇用促進制度の在り方に関する研究会」の報告書の中で、就労パスポートの整備・普及ということが記載されたところでございます。
この検討会におきましては、就労パスポートの記載項目、様式、それから、就労パスポートを支援機関、事業主の方に使っていただくに当たりまして、活用のガイドラインというものを定めていきたいと考えておりますが、それについて御検討いただくということで考えております。
検討会の運営でございますけれども、検討会は、厚生労働省職業安定局雇用開発部障害者雇用対策課長が、有識者の参集を求め、開催する。座長は、参集者の互選により選出することとしております。また、座長が必要あると認めるときは、関係者の参加を求めることができるとしております。
検討会の議事については、別に検討会において申し合わせた場合を除き、公開とする。検討会の庶務につきましては、地域就労支援室において行うとしております。
参集者の皆様方は、先ほど御紹介させていただいたとおりでございます。
平成30年12月から開始いたしまして、1年弱程度の期間を予定しているところです。
次に、今、御説明いたしました要綱に従いまして、座長を参集者の方の互選により選出するということで、座長の選任に入らせていただきたいと存じます。座長の選出につきまして、どなたか御推薦がございましたら、お願いしたいと思います。
○倉知委員 はい。
○地域就労支援室長補佐 倉知様。
○倉知委員 座長は、日本職業リハビリテーション学会の会長でもあり、職業リハビリテーションの見識が非常に広い朝日委員が適切かと思います。
○地域就労支援室長補佐 ありがとうございます。ただいま、倉知委員より朝日委員を座長にという御推薦がございましたが、皆様、いかがでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○地域就労支援室長補佐 異論がございませんようですので、本検討会の座長を朝日委員にお願い申し上げたいと思います。
○朝日座長 どうぞよろしくお願いいたします。
○地域就労支援室長補佐 それでは、朝日先生、これからの議事進行について、よろしくお願いいたします。
○朝日座長 ただいま座長に御推薦いただきました朝日でございます。改めて、どうぞよろしくお願いしたいと思います。広い見識があるかどうかはわからないのですけれども、皆様方と知恵を絞って、このテーマに迫ってまいりたいと思いますので、御協力方、よろしくお願いしたいと思います。
それでは、時間も限られておりますので、早速ではございますが、本日の議題に入りたいと思います。
議題2になりますけれども「今後の検討会の進め方について」を事務局から御説明いただきたいと思います。早速、お願いしたいと思います。
○地域就労支援室長 地域就労支援室長の田中でございます。私のほうから議題2の「今後の検討会の進め方について」を御説明いたします。
資料2を御覧いただきたいと思います。こちらで今後のスケジュールをお示ししているところでございます。
本日は、就労パスポートの趣旨や活用イメージ、記載項目などについて意見交換をいただくことになっております。
第2回につきましては、来年2月ごろに、就労パスポートの記載項目などにつきまして、本日いただきます御意見に基づく改訂案についてと、就労パスポートの活用の仕方についてのガイドラインを別途、作成しようと思っておりますが、それについて意見交換をしたいと考えております。
第3回につきましては、年度を明けまして5月ごろに、第2回に意見交換をいたしました就労パスポートの活用の仕方に関します活用ガイドラインについて、第2回での御意見に基づく改訂案についての意見交換と、31年度の取り組みについてということで御議論をいただきたいと考えております。
一旦、こちらで試行版をつくった後、6~8月におきましては、幾つかの協力機関にお願いいたしまして、就労パスポートを試行して、事業主や支援機関の方々から使い勝手などについての意見をお聞きして、それを集約いたしたいと思っております。
その後、9~10月にかけて再度、こちらの検討会を開催いたしまして、試行での意見に基づきました改訂を検討して、完成版を決定したいと考えております。
なお、その後につきましては、各労働局でこの就労パスポートのワークショップなどを開く講師を育成いたしました後、障害者就業・生活支援センターなどの就労支援機関向けのワークショップを実施するとともに、事業主向けのセミナーを実施するということで周知を図ってまいりたいと考えております。
以上でございます。
○朝日座長 どうもありがとうございました。
ただいまの説明につきまして、議題3・4にもかかわってくる部分もあろうかと思いますが、この段階で議題2に限りまして、今後のスケジュールについて何か御質問や御意見等はございますでしょうか。
倉知委員さん、お願いします。
○倉知委員 6~8月の意見集約は、本人からはやらないのですか。そういう当事者、利用者からもされたらどうかと思ったのですが。
○地域就労支援室長 利用者の方にも御意見を伺うことを検討してまいりたいと思います。ありがとうございます。
○朝日座長 どうもありがとうございました。支援機関等の中に利用者の方を含むことを検討していただくということだと思います。
ほかはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
今の御指摘の部分も就労パスポートの内容のあり方にかかわってくるところも多いかと思いますので、さらに先に進めさせていただいてよろしいでしょうか。
そうしましたら、タイトなスケジュールでありますけれども、年度をまたぎまして、本検討会で検討していく道筋を御提示いただいたということで確認させていただきます。
それでは、議題3・4でございますが、その後、御説明いただきまして、きょう御参加の皆様から意見交換をきちんとやっていきたいと思いますので、通して御説明をいただきまして、その後、適宜、まとめて御質問いただくという進め方でよろしいでしょうか。
それでは、議題3の「既存ツールの概要」と議題4の「就労パスポートの記載項目と指標について」の資料の御説明を事務局から続けてお願いしたいと思います。
○地域就労支援室長 続きまして、御説明させていただきたいと思います。資料3の「既存ツールの概要」を御覧いただきたいと思います。
私どもは、今回の就労パスポートの案を作成するに当たりまして、既存のツールをいろいろと参考にしているところでございまして、まずはそちらの既存ツールについて御紹介したいと思います。
こちらに、既存ツールといたしまして、私たちが参考にいたしました5つの種類のツールを挙げております。
まず「ナビゲーションブック」でございますけれども、これは発達障害者向けのツールとしましてJEEDが開発したもので、障害者の方自身の特徴でありますとか、セールスポイント、障害特性などをまとめまして、事業主や支援機関の方に説明する際に活用するツールでございます。支援者によるアセスメントなどを通じて、障害者御本人が主体的に作成するもので、自由記述が多くなっているものでございます。
次の「地域就労支援における情報の取得と活用のガイドブック」につきましては、地域の就労支援機関の方々の情報共有のためのツールとして、これもJEEDが開発いたしました。共通様式としては共通様式1~6とたくさんあるのですけれども、ここでは様式2で本人、家族、職場、地域の支援機関が持つ必要のある共通認識を整理するということで参考にさせていただいております。
次に「就労移行支援のためのチェックリスト」でございますが、こちらは就職を考える前の段階になるとは思いますけれども、就労移行支援事業者の方が、その利用者について支援すべき事項を明らかにするためのツールとして作成されたものでございます。「必須チェック項目」ですとか「参考チェック項目」というものがございまして、それぞれの項目を「大体できる」とか「できる」というような段階的にチェックをしていくものでございまして、就労準備のためのさまざまな項目が入っているチェックリストでございます。
次に「幕張ストレス・疲労アセスメントシート」でございますが、こちらはストレス、疲労に焦点を当てまして、その対処方法を検討するためのツールでございます。
5つ目は「職業相談補助シート」で、ハローワークを訪れる求職者の方に対しまして、円滑な職業相談と支援計画の策定に資することを目的としまして開発されたツールでございます。皆さんに行っていただきます求職登録に加えまして、自己理解の状況ですとか、通院・服薬の安定度、支援体制の状況などを記入・整理できるツールとなっております。
これらの5つのツールを参考にさせていただきまして、次の3ページでございますけれども、それぞれツールの中の「体調管理面」「対人対応・コミュニケーション面」「作業遂行面」ということで、それぞれ項目を抜き出して参考にさせていただきました。
まず、3ページの「体調管理面」でございます。今、御説明しました5つの名称のツールでそれぞれ体調管理面について記載された項目がこちらにあるようなものでございます。この中で共通して入っているようなものにつきまして、参考にさせていただいております。
体調管理面につきましては、服薬ですとか通院、体調不良時の対処など、日常生活に関することですとか、あるいはストレス場面への対処などについて項目としては挙げられているものが多くなっております。
4ページは「対人対応・コミュニケーション面」の既存ツールにあります項目でございまして、御覧いただきますように、対人面の特徴、挨拶ですとか言葉遣い、話の聞き取り、相手の気持ちや考えの理解や、チームワークの状況ですとか協調性ですとか、そういったことについての項目が共通して記載されているので、そこを参考にさせていただいております。
次に、5ページは「作業遂行面」ということでございます。指示についての理解ですとか、作業に対する集中力ですとか、どんな作業が好きかなど、作業面の特徴でありますとか、働く場での行動・態度などについての項目を参考にさせていただいているところでございます。
最後の6ページは「労働条件に関する希望」ということでございます。これは就労移行支援のためのチェックリスト以外のところで、ここにありますように、就職時の希望条件ですとか、どんな仕事がしたいかなど、仕事の希望に関する事項などが項目として挙げられております。
これらの項目について、参考にさせていただいているところです。
続きまして、資料4をお開きいただきたいと思います。「就労パスポートの趣旨、目的、特長」について、現段階で私どもの案として考えているものについて御説明させていただきます。
2ページは「就労パスポートの趣旨、目的等」ということでございます。
まず、就労パスポートの趣旨、目的で、○のところに3つございます。
就労に向けた情報共有フォーマットを整備することによりまして、1つ目としましては、精神障害者などの御本人の自らの障害への理解を進めること。2つ目といたしまして、支援機関同士での情報連携などを進めること。3つ目といたしまして、事業主の方によります採用選考時の本人理解や就職後の職場環境整備を促すこと。この3つを趣旨、目的として考えております。
実際の作成・管理方法でございますけれども、精神障害者などの御本人が自らの希望に基づきまして、支援機関からの支援を受けながら作成して、必要に応じて支援機関による内容の確認を受けるものと考えております。管理方法につきましては、御本人が管理して、御本人の希望に基づいて提示するということで考えております。
次に活用方法でございますけれども、3点考えておりまして、主なものの1つ目としましては、雇い入れ時に御本人の職業上の特徴や配慮が必要な事項を伝えるということ。2つ目といたしまして、複数の支援機関を利用する際に御本人の特徴を伝えること。3つ目といたしまして、就職後の状況の確認に活用いたしまして、職場定着に向けて必要な支援を把握することという3つを主な活用方法として考えているところでございます。
次に、3ページの「就労パスポートの特長」でございます。
先ほど御説明しました既存の支援ツールを参考にしながら、就労パスポートの様式といたしましては、1と2にあります2点を特に重視して作成いたしました。
1つ目の特長でございますが「就職・職場定着に関するものに特化した項目とした」ということでございます。いろいろと職業準備段階のものとしての項目もこれらの既存の支援ツールにあったわけですけれども、今回は事業主の方が雇い入れ時などに、障害のある方に対しまして必要な配慮、環境整備、職場定着に向けた支援体制などを知ることができるように、特に就職と職場定着に役立つ項目に特化して掲載しております。また、身近で一緒に働く方にも本人へのかかわり方について理解いただけますように、この後、御説明しますが、作業遂行面の項目につきましては仕事の流れ、PDCAに沿って項目を設定しております。
次に2点目の特長ですが「“指標”を設定した」ということでございまして、一人の障害のある方を、誰が見てもできるだけ同じ状態像をイメージできるようにということで、可能な限り各項目に具体的な指標を文章で設定しております。人によってはどの指標にも該当しないということもあるので、自由に記述できる欄も設定しているところでございます。また、指標のうち、「こういったことがあればできる」ですとか、「こういったことならばできる」といったように、職場に依頼したい配慮は、合理的配慮の具体例も参考として設定しております。
以上、資料4でございます。
引き続き、いよいよ精神障害のある方等の就労パスポートの本体の様式案、まさにたたき台ということでございますが、御説明してまいりたいと思います。こちらのお手元には紙ベースでお配りしているものもございますので、御覧いただければと思います。
まず、就労パスポートを開いていただきまして、最初のページには氏名と最終更新日、障害名を書いていただくことにしておりまして、その後、具体的な記載項目としては、1ページ目につきましては、職務経験とセールスポイントと体調管理を記載するような形にしております。
職務経験につきましては、受障前のものも含みまして、これまで企業や福祉サービス事業所などで従事した職務や期間を記入していただくように想定しております。
その次に、セールスポイントということで「対人対応・コミュニケーション面」と「作業遂行面」に分けまして、その方のセールスポイントを自由記述で書いていただくようにしております。この「対人対応・コミュニケーション面」「作業遂行面」のより詳しいところは、後に出てきます指標でも確認できるようになっております。
3番目が、体調管理ということでございます。ここにありますように「ストレス・疲労」「体調に応じた業務量や作業内容・方法等の調整」「通院の有無、頻度」「服薬の自己管理」ということで、それぞれ自分の特徴について書いていただき、四角があるところにつきましては、該当するものにチェックをしていただくことになっております。
「ストレス・疲労」につきましては、ストレスを感じやすい状況・場面ですとか、サインですとか、対処方法を書いていただくようにしているところでございます。そのほかの欄につきましては、それぞれ該当するものにチェックをいただき、具体的内容を書く欄には書いていただくというふうにしております。
次のページでございますが、4番、5番ということで、対人対応・コミュニケーション面と作業遂行面を記載するようにしております。
まず、対人対応・コミュニケーション面でございますけれども「会話、意思表示」、それから「相手の気持ちや考えの理解・推察」「協調性」の3つに分けておりまして、それぞれ自分の特徴として該当するものの四角にチェックをしていただくことにしております。
5番目の作業遂行面は、先ほど申しましたように、PDCAの順番にしておりますけれども、まず最初は「作業指示」ということで、指示内容や指示系統の理解について、それぞれ御自分の特徴を該当するものにチェックをしていただくようになっておりまして、あわせまして、御自身で対処していることについても自由記載をしていただくような形にしております。
次に「Plan」ということで、段取りですとか優先順位づけ、変化への対応についての自分の特徴についてチェックということで、作業開始時の段取り、優先順位づけですとか、作業途中での変化への対応などについてチェックをしていただくようになっております。
次のページをお開きいただきまして、次は「Do」ということで、作業の実行面でございます。正確性、作業速度、集中力、持続性など、また、作業に伴う確認、他者との共同作業などにつきまして、自分の特徴として該当するものにチェックをしていただくようになっております。
最後に「Check & Act」ということで「結果の評価、向上・改善に向けた目標の設定と実行」ということでチェックをいただく。こういった流れで作業遂行面の部分について項目を作成しております。
最後のページで、6といたしまして、労働条件に関する希望というところでございます。これにつきまして、職種、作業内容、勤務時間、作業環境、休憩のとり方、通勤など、御自身で記載いただく部分とチェックをしていただく部分に分かれておりまして、特にハローワークで求職登録をする際にも書いていただく事項も含まれておりますけれども、さらに詳しく御自身の労働条件に関する希望というものをあらわしていただけるような形にしております。
以上、説明をさせていただきました。
○朝日座長 どうもありがとうございました。具体的なたたき台も含めて御説明いただいたところでございます。
これから、委員の皆様方からそれぞれのお立場や御経験を踏まえて多面的な御意見を頂戴したいと思うのですけれども、一応、今の御説明に対して、意見を含めないで単純な質問があれば、ここで確認をして伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。
どうぞ。では、栗原委員さん、お願いします。
○栗原委員 栗原です。
単純な質問ということでお伺いしたいのですが、この就労パスポートの案は非常にすばらしいと思います。御本人がこれを書くということで非常にいいと思うのですが、先ほど室長さんがおっしゃった既存ツールの中で服薬のお話をされていましたけれども、それらはこの中には入らないのでしょうか。
○朝日座長 服薬に関する項目について、御質問でございます。
○地域就労支援室長 服薬につきましては、資料5の最初、職務経験、セールスポイントが書いてあるページをお開きいただきたいと思うのですが、「3 体調管理」の一番下のところに「服薬の自己管理」ということで、これは服薬がある場合に記載いただくようにしております。「決められたとおり服薬」と、「時々飲み忘れる」といった場合には飲み忘れないように取り組んでいることを具体的に書いていただく形で案を作成しております。
○朝日座長 栗原委員さん、よろしいでしょうか。
○栗原委員 はい。
○朝日座長 では、項目としてはたたき台の中に含まれている。それをどのように表現したりというのは、これからの御意見を伺って、さらに深めていく。こんな感じでよろしいでしょうか。
どうぞ。
○栗原委員 これは必ず書く項目になっているのでしょうか。ここにはもちろん書いてあるのですが、もしここに書かれていないようなことがあった場合、配慮はどうすればよろしいのでしょうか。
○地域就労支援室長 そのあたりは私どもも手探りでたたき台をつくらせていただきましたので、どのようにもっといい形にしたらいいかというのは、ぜひ御意見を伺いたいと思っております。よろしくお願いいたします。
○朝日座長 ありがとうございます。ほかに質問の部分ではよろしいでしょうか。
それでは、場合によっては、御意見いただく中に質問の要素も含めて投げかけていただければと思いますので、一応、御説明に対する質問の部分についてはここまでとさせていただきまして、早速、御意見を頂戴したいと思います。
それで、きょうは初回でもございますので、それぞれの自己紹介というか、このいただいたテーマにかかわる事項でも結構でございますので、そのあたりを少し含めながら、残りの時間を有効に活用してまいりたいと思っております。
それでは、どの部分からでも結構でございますが、いかがでしょうか。
では、小幡委員さん、お願いします。
○小幡委員 全国精神保健福祉会連合会、精神障害の方の家族会の団体の事務局長をしております小幡です。
過去には相談支援や障害者就業・生活支援センターの経験も少しありますけれども、当事者目線でこのたたき台を見ていったときに、本人が作成にかかわって支援者と一緒につくっていくということのたてつけの案になっているかと思うのです。しかし、実際のところ、今回の就労パスポートの特長の中にもありましたけれども、事業主さんが雇い入れ時にどう定着させていくのかというような合理的配慮も含めたところも要素として入っている。逆に言うと、そちらの要素が強くて、若干、印象としては、評価票だったり管理票のように見えてしまうような表現ぶりがありますので、ここをいかにちゃんと本人視点に立ったところからのエピソードが反映するか、例えば今までの就労体験ですとか、精神障害者の方で言えば、発症、再発を繰り返しているという状況が仮にあるとすれば、それはルーチン化したものであるのか、その時々のストレス要因というのもさまざまあるかと思います。ここの中で項目を増やしていけばいくほど、逆にそこにとらわれてしまって、本来の困り事を見失ってしまうような要素はないか。なので、できれば自由記載を増やしていってもらうことのほうが重要ではないかと思っています。
先ほど栗原委員のほうからもありました服薬については、いろいろ検討していく、慎重に判断することが求められるかとは思うのですが、基本的には服薬をしているかどうかということよりは、服薬ができなくなっていく生活環境だったり、労働環境がどういうところに発生するのかという部分を押さえておかないと、飲んでいるから大丈夫とか、飲んでいないから危険という話ではないかと思います。
そういった視点をどのように盛り込んでいっていただくのかというふうに見たときに、そこが困難だとは思うのですけれども、できれば自由記載型を主にして、ここに書かれているようなことは、それを作成していくときのヒントというか、事例みたいなことにして、相談者と本人がちゃんと今までの積み上げで書けるようにする。
もう一つは、ハローワークに初見で来られて、そこから作成するという方はまた特別の手だては必要になってくるかと思うのです。そのときのガイドとして、こういった項目があることのほうが望ましいのではないかという印象を受けたところです。
なので、今後の議論のところで、まとめていただいているこの原案を基本的に固めるというよりは、柔軟に意見を皆さんからもお聞きした上で、とらわれるところはとらわれて、変えられるところは変えていくという視点で御議論いただいたほうがいいかなと思っています。
服薬については、ここは本人の方に何人か聞いて、ここも分かれるところでありますけれども、比較的、服薬がありなしというよりは、通院をしていれば基本的には服薬されていることが前提になってくるということもあるので、あえて聞く必要があるのかという意見も聞いてきておりますので、その辺も含めて御検討いただければと感じております。
以上です。
○朝日座長 どうも、皮切りにありがとうございました。
これはいちいち事務局から御説明いただくとか、その点についての御意見という形ではなく、まずは委員の皆様方から一巡は少なくとも伺いたいということで、的確にまとめていただきましてありがとうございました。
では、こんな感じでいきたいと思いますが、どちらからでも結構でございます。
中川委員さん、お願いします。
○中川委員 これは各論から入っていってしまっている感じがするので、そもそも論のところで、まず、これは精神障害者の方の職場定着を促進するという大枠があるわけですね。定着を促進するためにいろいろな仕掛けがあって、その仕掛けの一つが就労パスポートだという趣旨からちゃんと丁寧に書くべきではないかと思います。
そうしないと、これがあれば定着が進むなんて甘過ぎるというか、私ははっきり言ってこれに余り期待はしていないものですから、ごく一部だというところを書いていただきたいと思います。
あと、これはもう一度確認しておきたいのですが、この就労パスポートの所持者は本人ということでよろしいのですね。
○地域就労支援室長 はい。
○中川委員 ですから、それを見せる見せないは本人の自由であるし、これを使用する使用しないも本人の自由であると。
それから、見せる場合は、例えば企業で、これは当然、コピーみたいなものをとるわけですけれども、そうなってくると、その情報管理の問題も出てくると思います。どこまで本人の情報を共有していいかという問題もあります。いわゆる事業長だけなのか、職場のスタッフにも共有してよろしいのかという問題もありますし、これは個人情報ですので、ちゃんと管理をしないと非常にまずい気がいたします。
あと就労定着というのは、本人側の条件と職場環境とサポート要員の3つで成功が決まるわけです。ちょっとサポート要員が欠けていて、どちらかというと、こういう職場環境の初期設定をすればうまくいくみたいなイメージがあるわけです。知的障害、身体障害と精障障害との違いは、就労してからのサポートが一番定着に影響があるのですが、そこがすっぽり抜けている。初期設定すればうまくいくというのはちょっと違うと思います。
それから、精神障害の一番の特徴は、障害の出方、あり方というのは環境との相互作用が非常に強いわけです。これはICFの考え方はもともとそうですが、特に精神障害はそういう傾向が強くて、例えばある場所の訓練機関でこういう評価が得られたということで、これをつけざるを得ないわけですけれども、それが次の場面でそのまま障害となってあらわれるかどうかというのは全く別問題です。ですから、その現場でつけなければ本当は意味がない。
そこら辺の悩ましい問題がありまして、これはバージョンアップしていかないと余り意味がないと思うのです。最初の評価が就職してからもずっとまかり通るようでは、企業は逆に間違った見方をしてしまうという問題もあるかなと思います。
また使用の仕方ですが、これはカスタマイズして使うことはできないのか、このとおりに使わなければいけないのか。全部埋めなくても部分的な使用も可能かとか、そういう使い方の問題もあるかと思います。
あとは、評価のところで情報量が多過ぎますね。今、ハローワークは、医療機関しか繋がっていないという方が結構使っているわけです。そうなってくると記載が難しい。これはデイケアとか、もしかしたらB型でも全部埋めるのは難しいと思うのです。それこそ障害者職業センターでも行き評価しないと、これは全部埋められないということで、もし支援者がいなかったら、自分でなかなか書けないだろうと、そんな気がいたしました。記載が詳細過ぎるという問題もあるかなと思います。
あとは、今、JEEDで検討している情報共有シートというものがございますね。あれはいわゆる就職してからエクセルみたいなものでバージョンアップして、本人と主治医と企業と支援者で共有するわけですが、それも今後、流布していく可能性が十分あって、もし同じような時期に使われると、企業は就労パスポートと情報共有シートがごっちゃになってくると思うのです。そこら辺の整合性とかすみ分けは考えておかないと、企業にとっては「ツールが2つあるよ」というようなことになってきますので、そこら辺も御検討いただきたいと思います。
済みません。長くなりました。
○朝日座長 ありがとうございました。
基本論の確認もありましたので、現時点のたたき台は、精神障害のある方などが、御本人が作成し、御本人が保管し、御本人が必要に応じて提示する。これが今の基本線でございます。
もちろん、意見の中では、それに対してまたいろいろな考え方があるかもしれませんけれども、たたき台の基本線としては、今、確認していただいた点をベースにしていきたいと思います。
多様なキーワードもたくさん出していただいた感じがいたしますけれども、ほかの委員の皆様方からいかがでしょうか。
では、清家委員さんがちょっと早かったようですので。
○清家委員 障害者就業・生活支援センターワーキング・トライの清家です。よろしくお願いします。
今、中川先生がおっしゃったことに大分重なっていくかと思うのですけれども、私もこれを最初に確認させていただいたときに、本当に誰のためのものなのだろうというところがまず一番大きくありまして、本人のいろいろ書いている情報がひとり歩きしないのかというところは、この後のガイドラインにも触れてくることなのではないかと思いました。
私もいろいろな方とかかわっていく中で、初めにアセスメントをして見立てをしたものと、就職してからのものがかなり変わってしまうことがあるので、この就労パスポートをつくる上では、更新できるような形でないとまずいのではないかと思いました。
もう一つ、支援機関を記入する欄がありません。どこの機関とどんな相談をしているのかとか、その中で仕事を継続していく上では、どことやりとりを一番していかなければいけないのか、本人がどう考えているのかを書く欄がないと思います。
また、以前、送っていただいた資料と、今回の資料では作成と管理方法というところで、趣旨と目的の中の2番のところが文言が変わっているのだなと思って見ていました。もし、どの支援機関ともつながっていない方がハローワーク等に行って、就労パスポートがないと紹介は厳しいとか、もしくは企業に応募をしたときに、企業側から就労パスポートを提示しなさいといったことになってしまったら、これは大変なことになる。そんなことを思いながら確認しました。
以上です。
○朝日座長 ありがとうございます。
倉知委員さんの後、栗原委員さん、お願いします。
○倉知委員 倉知です。よろしくお願いします。
私も、これは本人が必要に応じて使うとしたら、パスポートという名称はちょっと合わないと思っています。パスポートというのは身分証明で絶対必要なものですから、むしろ、これの内容的には自己紹介かなという思いがあって、就労自己紹介書みたいな形で活用されたらどうかという思いはあります。
趣旨のところも活用方法も、誰が使うのかというところがいろいろな読み方ができてしまうので、本人の活用方法という形で書き込んだら、よりわかりやすいのではないかという気がします。これは支援機関でもあり、企業でもあり、いろいろな活用方法になっているので、本人がどのように活用できるのかという形でされたらわかりやすいのではないかと思います。
あと、内容でもよろしいでしょうか。
○朝日座長 はい。
○倉知委員 1つが、先ほど何度か服薬のことが出ておりますが「決められたとおり服薬」というのはどうかなと思っていて、むしろ自己管理できるかどうかだけ確認されたらどうかと私は思いました。
対人対応・コミュニケーション面の「会話、意思表示」の3番目「自分から積極的に話すことができる」というのは非常にわかりづらくて、むしろ「仕事に必要な会話は自分からできる」というふうにされたらわかりやすいのかなと思いました。
それと「協調性」というのは非常に書きにくいので、これは要らないのではないか。自分では協調性については多分書けないのではないか。マイナスなことは絶対書けないのではないかと思います。
以上、細かい点と全体のことについて少しコメントさせていただきました。
○朝日座長 ありがとうございました。趣旨、性格づけから名称の問題まで御発言をいただいたところであります。
それでは、栗原委員さん、先ほど手を挙げていらっしゃいましたので、お願いします。
○栗原委員 栗原です。
今回の就労パスポートというのは、要は就労に向けてのパスポートということで認識しているのですけれども、それであれば、企業としてはこれは非常にいいものだと思うのです。
先ほど薬というお話を私はしましたけれども、なぜそういうことを言ったかといいますと、てんかんの方が会社で食事をして薬を飲んで、その後現場で寝てしまったのです。それでけがをしたという事例があります。ですから、それがわかっていれば休ませることができるのに、そういう情報が何も会社に入っていないというのは非常に問題があるから、服薬については、できれば開示をしていただいたほうがいいということで私は先ほどお話ししたのです。
あと、この就労パスポートだけで済ませるのはもったいない。できれば、障害者手帳とこの就労パスポートを一緒に使うという二重手間ではなくて、どちらでも使えるようにしていただければ、これはなおさらいいのではないか。というのは、精神障害のある方は、障害者手帳をとりづらい、とりに行きたくない。そのかわり、就労パスポートを持っているのだったら代行できるというふうにしていただければ、企業としては法定雇用率のカウント上も非常にいい。就労パスポートだけを持ってこられても、障害者手帳を持っていないとなかなか企業として受け入れがたい部分もあるのではないか。
大分先に進んでしまいましたけれども、そういうような思いがありまして、先ほど来のお話をさせていただいています。
以上です。
○朝日座長 この就労パスポートの性格づけなり、根拠をどうするかということにもかかわってくるところなので、一概にその御意見に対応というのは難しいかもしれませんけれども、企業のお立場で、将来に向けての要望事項ということで御発言いただいたと思いました。
それでは、ほかの委員さんからいかがでしょうか。
では、高橋委員さん、お願いします。
○高橋委員 ダンウェイの高橋です。よろしくお願いします。
私どもは、障害のある方の就労支援、お子さんのキャリア教育支援から大人の就労支援・雇用マッチング・雇用決定後の企業さんへのフォローアップなども行っています。また、自社でも精神障害の方も含めた採用も行っております。日々、多くの精神障害の方も含めて就労支援を行っている会社です。
まず、この就労パスポートは精神障害のある方を対象に想定している一方、表記は精神障害者「等」としており、非常に幅広い対象になっています。例えば、精神障害者の背景にも様々あり、具体的には、精神障害であり二次的な障害があるという方である場合や、知的障害であり精神障害である場合、発達障害であり精神障害であるという場合などがあります。従いまして、ツールを使うための合理的配慮という点においては、非常にターゲットが絞りにくいところがあるかもしれませんが、本人が書く場合に非常に難しいツールになっているというのが第一印象です。
加えて、就労パスポートの全対象者に合わせることは難しいのかもしれませんが、このフォーマットは、自由に書くことが得意な方もいますけれども、逆に言えば、書ける人の利用を前提としたフォーマットになっていると考えます。従いまして、改善の必要がとてもあるのではないかと思っております。
また、本人が書くという点から、本パスポートは就労や定着支援を目的とするためのものではありますが、本人が日常生活の中で就労をどう捉え、将来「働きたい」と願い、それを非常に動機づけるものがあるからこそ、より働く意欲に繋がると考えます。従いまして、本人の願い、働く意思、動機といった項目が一番上にあってほしいと思っております。
併せて、基本的にこのツールを活用して、さまざまな方たちが本人を真ん中に、本人の願いを実現するために統一的にサポートしていくという考え方は非常に良いものであるとは思っています。しかし、本人が書く際には、先ほどの前提を整理した上でやらないと、なかなか本人の意思を正しく書けないし、もともと書けない方も出てきてしまうのではないかと考えます。そういう場合のサポートのあり方はしっかりと検討し、具体的な対象者をイメージしてフォーマットをつくる必要があると思います。
また、本人が書く以外に、例えば書きにくいときに、行政の方などがサポートに入っている場合の他、後見人の方が書くということも非常に大事なのではないかと思っています。
フォーマットについて申しあげると、就労パスポートの特長として「具体的な指標を設定」とありましたけれども、フォーマットに記載の表現ぶりでも概念の整理が非常に困難になってしまっている箇所が多々あると思います。
「具体的」が意味するものには、例えば、「5 作業遂行面」で「複数の」というのはいくつが複数なのだとか、「4 対人対応・コミュニケーション面」で「その場に応じた」というのは何をもって「その場に応じた」と言うのかというのは、どう解釈するのでしょうか。最初の御説明で複数のツールをまとめているとのことであり、支援者によって解釈が変わってしまうツールもあると思いますが、それとまた同じようになってしまうのではないかと考えます。
従いまして、できる限り具体的に、連携機関同士で違う解釈や概念理解になった場合にもわかるように、非常に難しいところではあるかもしれませんが、より具体的に実施することで系統的になり、より有効なツールになるのではないかと思っております。
以上です。
○朝日座長 どうもありがとうございます。
この書きぶりについても、先ほどカスタマイズという話がありましたけれども、より多くの方が使うという点では今後、さらに表現方法や、もともと用いられる事柄や項目のあらわし方もあわせて検討していく必要があるのかなという御意見だったと思います。
では、成澤委員さんの後、吉岡委員さんの順番でお願いします。
○成澤委員 良品計画の成澤です。
当社では2009年から精神障害の方を採用しまして、現在300名近くの方が全国の店舗に働いております。そんな中で約9年たち、私もずっとそこから携わっているのですが、こういった就労パスポートを今回作成するというお話をお伺いして、企業も本当にさまざまな中小企業から大企業まである中で、精神障害の方が働くに当たっては、やはりこうしたツールというものがあるとすごくありがたいと思います。私たちの会社自体も、本部自体では1万人ほどおりますけれども、一つ一つの店舗からすると本当に小さな集合体の中で、こうした就労パスポートがあることによって、より障害者の方と理解し得る部分が出てくるので、就労パスポートの内容を今、皆さんがいろいろ御意見をされていると思うのですが、そういった中身をもっと精査していけば、そしてカスタマイズしていけば、様々な企業にとっては一つのツールとして使いやすいものになると思っています。
特に、お話もほかの方からも出たように、企業にとっては採用時の入り口はもちろん大事ですけれども、そこよりもどちらかといったら定着、採用した後、どこまで本当に御本人たちが自分の目標を持って長く続けていかれるか。そして、どうやってステップアップをしていくのかとか、そういったいろんな場面がこの先として出てきます。その中で、この就労パスポートが一部分の採用の入り口だけではなくて、せっかくこうした良い就労パスポートを皆さんでつくっていくのであれば、そこを適切に更新して、いろんな場面に使えるようなものに活用できるような様式がさらにできると良いかなと思っています。
例えば、入社して最初のときと時間が経ってからでは、この用紙に書かれたことが本当に変わってきます。働くことによって、できなかったことができるようになった人を、この私も数年間見ていて、本当に大きく成長している方がいらっしゃいます。例えばコミュニケーションの項目に、できない、苦手というところがあるかもしれませんが、やはり一緒に仲間と働くことによってすごく成長している人もいますので、常にこれを更新という意味で、就労パスポート案に最終の更新日と記載してくださっておりますけれども、そこにありますように、更新を常にしていく。最初に書いたもので終わってしまうと、この人はこういう人だというふうに固定観念ができ、マニュアルが形骸化してしまう場合もありますので、これを更新する意味で良いものにしていくことができるのかなと思っております。
あと、細かい中身についてなのですが、ちょっと気になったところがあります。もちろん、これは御本人が書いて、御本人が会社に提示するか、しないか、管理をしていくかというところはまだ具体的にはされていないようですけれども、もし御本人の同意を得られましたら、しっかり会社のほうでも管理していくのはそんなに難しいことではないと思います。むしろこの就労パスポートがあることによって、それを有効活用すれば御本人とのコミュニケーションや面接、例えば当社でも評価を行っていますが、評価のたびに、「こういったところができるようになりました」というように更新したものがずっと引き継がれていく。当社には特に店長が2年ごとに替わっていったりしますので、そういった意味ではツールとしても使えるということがあると思います。
特に内容で少し気になった点が、作業遂行面で評価段階が何々できるということだけで書かれているのですけれども、やはりこれはできるか、できないかという2つに1つではなくて、例えばその事項がよく当てはまるのか、やや当てはまるのか、余り当てはまらないのか、全く当てはまらないのか。そういうふうに幾つかの選択肢があったほうが本人も書きやすいと思います。本人はちょっと不安だけれども、できるにしたほうが、すごく印象がよければということで書いてしまうかもしれませんので、詳細がわかりやすいように、そうした評価段階を幾つか設けたほうが良いということが一つ気になりました。
それから、やはり会社で使用することになると、長く勤務されている方は困ったときにどこに相談するかとか、就労支援機関というところが定着するポイントとなっていますので、この就労パスポートにも就労支援機関の名前を記載すべきと思います。それから、困ったときに今まで自分はどういうふうにそこを乗り越えてきたのかというところがしっかり見えたほうが良いのではないかと思います。
あと、もう一つ、細かくて申しわけないのですけれども、会話とか意思表示の項目の中で、職場での相談、休憩中の雑談と電話応対、接客が一くくりになっていますが、そういったところを記載されるのであれば、これは社内の対応と社外と大きく差がありますし、当社のように接客がある会社ですと、ここの相談事項は仕事とプライベートは違うと思いますので、そこは分けてもらったらよいかなと思います。 以上となります。
○朝日座長 ありがとうございました。
それでは、吉岡委員さん、お願いいたします。
○吉岡委員 東京障害者職業センター多摩支所の吉岡と申します。
私どもは日ごろより、就労を希望される障害者の方に対する職業相談、職業評価、それから、ジョブコーチの派遣等の支援を行っているところであります。
今回、事務局が作成された「既存ツールの項目」ということで幾つか紹介されているものの中で、私どもの機構で作成したものでは、例えば「ナビゲーションブック」などにつきましては、実際の活用としては、発達障害等を有する御本人の障害特性を、ナビゲーションブックをつくる過程を通じて、より理解を深めてもらうことを目的としています。その際重要なのは、障害特性や配慮事項等の記載内容自体の完成度までは、まずは問わないということです。まずは、その作成プロセスを通じて、自らの障害特性についてしっかり認識してもらうことを目的としておりますので、今回、こういった情報共有シートのかたちで読まれることが前提になった場合は、現在私どもの利用目的とは一義的にやや異なる状況があるため、注意が必要かなとは思います。
それから、「幕張ストレス・疲労アセスメントシート」というものがありますけれども、こちらは、精神障害者や高次脳機能障害者の職場のストレスや疲労を把握し対処方法を検討するものでありますが、先ほども事務局案の就労パスポートは「情報量が多いのかな」という御意見もあったと思いますが、この「幕張ストレス・疲労アセスメントシート」についても、最初、やはりそういう御意見がありました。今、改訂第3版になっていますけれども、改訂を重ねる過程の中で「作成に人的・時間的コストがかかる」というご意見があり、少し簡略化を検討した経緯があって、最終的に現在第3版をリリースしているという経緯がありますので、こういった情報の多さ、妥当な量などについては、使いやすさにも直結しますので検討いただく必要があるのかなと思います。
あと、ざっと拝見させていただきまして、事務局案には1から6までの項目で構成されているかと思いますけれども、最初の採用面接時の情報としては、「1 職務経験」、「2 セールスポイント」、「3 体調管理」とありますが、この1~3の項目に加えて、採用時点の合理的配慮の具体的な記載事項ということでは「6 労働条件に関する希望」が該当しますので、この1、2、3、6を採用時にまずは事業所側と共有することは、例えば模擬的就労場面のような実際の作業場面を持っていない就労支援機関においても、おおむね作成が可能なのかなと感じております。
逆に「4 対人対応・コミュニケーション面」、「5 作業遂行面」ですが、4と5については、採用後の職場環境やご本人を取り巻く職場の人的環境等を考慮した上で記載することで、職場の具体的な合理的配慮事項に関して、より精度が高まるのではないかと思いますので、4、5については、むしろ採用後に事業主とご本人とで合理的配慮に関するコミュニケーションを通じて記載されるほうが、活用すべき情報の精度は高まるものかなと思います。
ですので、就労パスポートについては、少し場面に応じて段階的に活用するといったことも有効だろうと思っております。このことは事務局にて作成いただいています「就労パスポートの趣旨、目的等」「3.活用方法」において、「雇い入れ時にご本人の職業上の特徴や配慮の必要を伝える」や、「就職後の状況の確認に活用し、職場定着に向けて必要な支援を把握する」に述べられている等、採用時及び採用後の活用を想定されていますので、事務局の趣旨とも一致しているかなと思います。
以上です。
○朝日座長 どうもありがとうございました。既存のツールとの、実践現場でのすみ分けの観点からも御発言いただけたのだと思います。
ほかの委員さん、いかがでしょうか。
では、佐保委員さん、柿島委員さんの順番でお願いします。
○佐保委員 自治労の佐保です。自治労では社会福祉全般を私は担当しているのですが、もともとは市役所の職員で、市役所の現場で福祉をやっていた者であります。
今まで皆さん方の御意見を聞いていて、何となく考えていたことは他の方々が言ってしまわれたなという気持ちを持っていますが、最初に就労パスポートと聞いたときに、自分たちの持っているパスポートのあのサイズを思い出して、そのパスポートのようなサイズのものを使ってやっていくのかと思っていましたが、様式案はA4で何か届け出書のようなイメージを受けたのが正直なところです。
やはり、この就労パスポート作成の趣旨がどこにあるのか。いろんな共通ツールとして御活用されることはわかっていますけれども、あくまでも主体は御本人です。御本人を中心にして使っていくものといったところを、しっかり徹底したほうがいいのかなと思っていますし、表紙の裏にでも趣旨なり目的なりをちゃんと明記して、それを使う側と共有する側の皆さんがそこを共有するといったふうにしたほうがいいのではないかなと思っています。
それから、やはり職場の中で働きながら、この就労パスポートに書かれていること、書いていることが変わってくる、変化するということも当然あると思いますので、それぞれ御本人と話しながら変えていくという、更新の必要性は必ずあると思います。
それから、作成を義務化しない。これがないと雇用に影響するとか、そういったことがないようにしていかないと、これがないからといって不利になるといったことは御本人にとって不利益になりますので、これは避けていかないといけないのかなと思っています。
あとは情報管理ということで、先ほどお話しにありました、この管理をどうするかというところです。その反面、職場の皆さん方もわかっておかないといけないことを探っていくことも必要ですので、そこの情報の出し入れはどうするかということも大事です。あと、もちろん、就職した際は職場定着を図っていくのですけれども、残念ながら職場に定着されなかった場合に、この就労パスポートがどう返却されるかとか、その情報がどう処分されるかといったところについても、ガイドラインでしっかり明記すべきではないかと思っております。
最後に1つですが、この就労パスポートをつくっていくとき、また、モニタリングしながら御本人の意見を聞いていくという手段もあると思うのですが、何がしか、その都度でもいいかなと思っているのですが、御本人さん方がどういうふうにこれを捉まえるかといったところも、いきなりモニタリングに出すのではなく、事前に少し御意見をお聞きしながらやっていったほうがいいのではないかなと思いました。
以上です。
○朝日座長 ありがとうございます。
では、柿島委員さん、お願いします。
○柿島委員 ありがとうございます。柿島でございます。今、皆様の御意見を伺っていて、何点か思った点がありましたので、発言させていただきます。
まず、既存のツールが既に複数ある状態でこの就労パスポートを新たに作成するということなのですけれども、皆様から活用の目的についていろいろと御意見があったところでございますが、既存のツールと並行して使っていくのであれば、その中で特に就労パスポートの役割をどうしていくのかというところは明確にするとより議論が進んでいくのかなと思いました。また、既存のツールとある程度、役割分担などもあってもいいのかなと思いました。
また、健康情報といいますか、情報の取り扱いについてもいろいろと御意見があったかと思うのですけれども、私は連合の雇用対策局というところにおりまして、安全衛生などもこちらの局で担当しているのですが、労働者全般の健康情報をどのように取り扱っていくかということについて、厚労省の別の課の所管になりますが、検討が別途進められており、今、手引きなどの作成が検討されている途上であると認識しております。例えば服薬などですとか、そういった点はこうしたところでまとめられている考え方も参考にできるのではないかと思いました。
○朝日座長 どうもありがとうございました。
眞保先生、よろしいでしょうか。
○眞保委員 ありがとうございます。法政大学の眞保です。
私、障害者雇用の研究をしている立場と、実は17年前でしょうか、当時は無認可の作業所だったのですけれども、それが通所授産になり、現在はB型事業所とグループホーム、それから、就労移行支援をさせていただいている法人とずっと活動させていただいております。
そうした立場でこちらに呼んでいただけたのだと思うのですけれども、今、お話をお伺いしまして、やはり定着という言葉一つとっても、期間をどのように捉えるか。そこも実はさまざまなのだなということを感じました。
定着というと、採用後の職場適応のことを言っているというふうに思うのですが、実は採用時点のマッチングによって、その後の定着は大きく変わってくるので、この定着ということをどこまで広げて、この就労パスポートに盛り込んでいくのか。就労後のプロセスで事業主の方が定着の支援、職場適応のための支援にずっと使っていく。それも一つの考え方だなと先ほどお伺いしていて思いました。そうすると多分、障害者の方が仮に転職などをされる場合にももう一回、その就労パスポートを自分が練り直すときにも使いやすいのかなと思う反面、そこまで時間的スパンを延ばす就労パスポートにすると、いろいろな委員の方々が御指摘されたように、書く場所が非常に多くなったりするということがあります。
現場で実際、これは大学生ですけれども、大学生が就職する際に「エントリーシート」を、ほとんど自由記述なのですが、これを書くのに学生たちが相当苦労していますので、これを書くということは非常に負担にもなりますから、お話を聞いていると、まず位置づけ、どこで利用するのか、何のために利用するのか。もちろん、御本人主体ということは当然あるわけですけれども、私の理解では、御本人主体で、これはまず就職の入り口、事業主の方にわかっていただくためのものというのが非常に大きいと思うのです。今、そこの理解がないためになかなか就職が進まないということがあるので、入り口にフォーカスすることも一つあるのかなと。
定着、職場適応に関しては、各企業さんがそれぞれの労務管理の中でそれぞれ工夫してなさっている。既にいろいろな方法で私もかかわっているところもなさっている。それもありますので、その辺を、利用する時間的スパンをどのようにするのかというのも非常に重要なのかなと思います。
それから、お話を伺っていて、この就労パスポートのフォーマットというよりも、むしろガイドラインをどのように作成して、それを使っていく。研修をするようですけれども、そこのところの議論をむしろ深めたほうがいいのかなと感じました。
以上です。
○朝日座長 どうもありがとうございました。
これで自己紹介的な要素も含めて各委員の皆様方から御発言いただいたということでよろしいでしょうか。
その上で、せっかくでございますので、さらに他の委員さんの御発言なども踏まえて補足をしていただきたいと思うのですが、ちょっとだけ、座長としてまとめる力はありませんけれども、皆さんの御発言に共有するものを簡単に整理しておきたいと思います。
やはり1つは、誰のための、何のための就労パスポートなのか。これをきちんと明確にして記述し、それを伝えていく必要があるのではないかというところでは委員の皆様方に共通しているベースだと拝聴しておったところであります。
そもそも、先ほど御紹介がありましたように、今後の障害者雇用促進制度のあり方に関する研究会で、精神障害などの定着の課題を持っていらっしゃる方への取り組みとして就労パスポートなるものが提示されたわけでありますけれども、その際にはやはり定着の鍵として、障害のある方御自身が自分のことを知り、それを周囲の人たちも共有し、定着に向けた一つのきっかけにしていく。それがこの就労パスポートの背景にあるのかなということを改めて皆様方の御発言からも感じ取ることができました。
ただ、定着というものが一職場への定着なのか、その方にとっての就労生活への定着なのか。このあたりの性格づけも、もしかすると就労パスポートの性格づけや方向性に絡んでくる要因なのかもしれないということを感じました。
あとは、それぞれのお立場の意見で大変キーワードが豊富に出された印象なのですけれども、例えば柔軟性であったり、更新性であったり、活用性であったり、選択性であったり、共有性であったり、容易性であったり、こういった言葉にあらわされるような内容が皆さんの御発言の中で期待されているのかなと。こういうことを感じ取ったところでございます。
さらに最後、眞保委員さんの御発言にもありましたし、やはりガイドラインでそのあたりをどうやって規定していくか。そして、それを多分、サポートの要員というものは非常に大きな感じとしても御発言いただいておりましたので、支援者がこの制度をどういうふうに理解して、御本人が、精神障害のある方が作成し、そして保持し、保管し、必要に応じて提示する。このプロセスに支援者がどうコミットしていくかということもまた重要な要素として皆さんの御発言の中に共有していたものとして感じ取ったところでございます。
それでは、この整理がいいかどうか、わかりませんけれども、その上で、もうしばらくお時間がありますので、御発言をさらに続けていただきまして、必要に応じて事務局から、きょうの段階での受けとめ方などについてお話をいただければと思います。
では、小幡委員さん、お願いします。
○小幡委員 全国精神保健福祉会連合会の小幡です。
基本的に、やはり本人主体で作成し、活用していくといったときに、これが使われなければ意味がないということになると思うので、ぜひ、この委員の構成員には御本人、当事者の方から実際には直接お聞きすることが私たち委員もあったほうがいいのかなと思います。そういった場なりヒアリングということをぜひ実施していただかないといけないと感じます。
もう一つは、これは話が飛躍してしまうかもしれませんけれども、とりわけ精神障害者の方の場合には就労したときにクローズドで入ってこられる方たちがいらっしゃるといったときにも、実は職場に入ってから類型の事案がいろいろ出たときに少し一助になって、このガイドラインなり、この取り組みの視点が生かされることも想定して考えていくということも背景にあってもいいのかなと。
ただ、今、話の中では大分間口が広がっておりますので、それを含めることは今回はないだろうと思っているのですけれども、いずれにしても、先ほど吉岡委員もおっしゃっておりましたし、ほかの方も言っていましたが、項目を絞って、本当に多くてもA4判1枚表裏ぐらいで済むぐらいの情報量にしないと、とても活用できるものにはできないでしょうし、情報管理という点からも心配だと思っております。
いずれにしても、当事者の方の実際の感覚というものを抜きにして話をしてしまっていると結局活用されないとか、後であのときに入れておけばということを掘り下げて、また振り出しに戻るみたいなことがないように設計していただければと思います。
以上です。
○朝日座長 ありがとうございます。
さらにいかがでしょうか。
では、倉知委員さん、お願いします。
○倉知委員 倉知です。
そういう流れ、今までの趣旨の話でいきますと、ここにある趣旨・目的のところで2番目のところ、支援機関同士での情報連携等を進めるというのはどうも違和感があって、これは支援機関同士で情報のやりとりをしてしまうのかとか、そういうものが私の中に浮かんできてしまうのですけれども、もし、この意図を説明していただけるのであれば理解を深めたいと思います。
以上です。
○朝日座長 では、ここは質問的な内容ですので、もし、よろしければ支援機関同士での共有の部分のイメージをお話しいただけますでしょうか。
○地域就労支援室長 ハローワークでのチーム支援というものを皆様もお聞きになったことがあると思うのですけれども、一人の方の就職を支援する際に、ハローワークも含め、いろんな支援機関の方がチームで支援をするということはよく行われていると思うのです。その際に、情報共有をより効率的にといいますか、できるだけ効果の高いといいますか、「その方がこういう方です」というものを皆さんがいろいろとたくさんの方を支援する中で一番効率的に情報共有ができるやり方ということで共有フォーマットがあれば、その方の情報を支援機関同士でできるだけ効率よく、かつ中身としても精度が高い情報を共有できる仕組みをつくるために、この就労パスポートが役に立つのではないかというのが基本的な考えなのです。
○朝日座長 どうぞ。
○倉知委員 ありがとうございます。
そうなると、支援機関同士で情報を共有するというのは、本人が管理できなくなることにつながっていくのかなと。もし、そういうものであれば、本人が支援機関に適切に情報を提供できるとか、そういうところに趣旨があるならばわかるのですけれども、支援機関同士で情報を勝手に共有していくのは本人が管理することにならないのかなというのがあるので、ここはちょっとそぐわないかなというのを私は感じました。
○朝日座長 さらに御説明よろしいですか。
○地域就労支援室長 確かに、御本人不在ということではなく、必ず御本人が入ってということは、そこは本当にそうだと思いますので、済みません、私の説明が足らず恐縮でございます。
○朝日座長 ありがとうございます。
今の繰り返しになりますけれども、御本人が承知の上で、必要な支援機関が結果的にそれらを共有するということを効率的といいますか、効果的な支援機関連携を進めていくためのツールにも使いたい。こういう理解ですね。本人がいないときに、本人抜きにその情報だけが知らないところで情報共有されるのがどうかということだと思います。その点、確認できたということで、倉知委員さん、よろしいですか。
○倉知委員 はい。
○朝日座長 ほかはいかがでしょうか。
栗原委員さん、どうぞ。
○栗原委員 栗原です。
皆さんの御意見、内容、本当にごもっともな部分、たくさんあります。先ほどの小幡さんでしたか、内容を絞るというご意見、私も同意見で多いより少ないほうがというのは、やはり精神障害の方は十人十色、百人百色で、要は多分、同じ記載があったとしても、同じではないと思うのです。ですから、皆、おのおの個性もあり、その方々を定着に向けて指導していくのが企業の中でのノウハウになってくると思っています。
ですから、それに細かいものをいっぱい書かれても、それが有効に使えるのかと私も思っていました。ですから、先ほども出たのですが、雇用してから、後から実はと就労パスポートを見せられるのもちょっと困るのですけれども、それはやはり最初に出していただく。それでお互いに共通認識のもとに判断して、お互いによければ雇用に結びつく。これはあくまで就労に向けてのパスポートと私は思っていますので、そういう使い方ができれば一番いいのではないかと思っています。
○朝日座長 ありがとうございます。
では、中川委員さん、お願いします。
○中川委員 就労パスポートを企業に提出する時期のイメージなのですが、採用前か、採用後かでこれは随分違ってくると思います。もちろん、これは義務ではなくて、本人の選択の自由があるわけですけれども、もし、これを企業に採用時に持っていくということが慣例として行われ、そのほうが採用されやすいという話になってくると、これは義務に近い形になっていきますね。しかも、これは評価の信頼性という問題も出てきまして、もし、これを採用時に持っていって面接を行うみたいになると、この4番目の対人対応・コミュニケーション面、それから、5番目の作業遂行面。これは当然、よく書くのは当たり前で、信頼性が保たれなくなってしまうというのが一つあるかと思います。
あとは自己評価と他者評価という問題があって、もちろん、十分に支援者と協議をしながらつけるのがベストだと思いますが、例えばそういう支援者がいない方もたくさんいらっしゃいますね。精神障害の特徴の一つとして、正当な自己評価がなかなか難しいといったところがあって、高過ぎたり低過ぎたりということが極端なのです。そこら辺の信頼性の問題を危惧いたします。
以上です。
○朝日座長 ありがとうございます。
さらにいかがでしょうか。
では、高橋委員さん、お願いします。
○高橋委員 今の中川委員のご発言に関連して、マッチングのところも私どももやっていますので、直接、企業さんとのやりとりを通した定着や採用における非常にキーになってくるような点も踏まえて追加の意見を申し上げます。
そもそも、この自己理解というところも踏まえての、この就労パスポートの中で自分の特徴を本人が書くときに、これは活用イメージというところになるかと思いますが、例えば障害のある方でも、なくても、仮に「5 作業遂行面」で、自分が理解しやすい方法について口頭説明がいいとか、見本の提示がいいとか、ここに書いてある内容が、自分はこれが一番得意だということを自分自身が認識することは非常に難しいと思います。
「4 対人対応・コミュニケーション面」も、本人が相当、御自身を客観視して書くように見える項目が多々あります。従って、運用の中で、本人の納得のもと、アセスメントのようなものが必要なのではないかと思います。実際、体験をして、やはりこれについて自分は口頭説明が一番いいとか、見本やマニュアルを見せてもらった方が一番納得できるということを運用の中でやっていかないと、到底難しくて書けない内容になっていると思います。
従いまして、これはガイドラインや活用の仕方での対応かもしれませんが、本人が希望されて、体験してアセスメントを行うことを幾つかの項目に関してはセットにしてやらないと非常にチェックが難しい項目が結構並んでいると思います。これは誰でも難しいと思うハードルが高いチェック項目になっていると思います。アセスメントとセットで項目を設けることがよいかと思います。
○朝日座長 ありがとうございます。
成澤委員さん、お願いします。
○成澤委員 ただ今の議論の引き続きのところなのですけれども、企業として、これを採用前に、例えば面接のときにいただくならば、やはり皆さん、多分良いことしか記載しないと思います。みんなできるにマルをされると、本当に企業としてもどれを信用していいのかわかりませんし、私たちの面接でもいつも気をつけているところが、何でもできますというほうがかえって本当かというふうに、もちろん疑ってはいけないですし、できる人はもちろんいますが、そういった意味ではこれを出すことによってかえって企業の誤解を招いてしまうようであれば、せっかく良いものをつくろうとしている状況では活用の仕方とか提示の仕方を、いつのタイミングなのかというのは議論すべきだと思います。
やはり当社でも実際に入社が決まってから、情報共有シートのように、その人のプロフィールシートを障害者の方と就労支援機関の方にお願いして書いてもらっているものがあります。やはりそれは、就職が決まってから何でも自由に、決まったからこそ言える。だからこそ、こういうところを配慮してほしいとか、事細かに書いてくれるので、そういった意味で、この就労パスポートがその後に使われるもののほうが企業にとっては役に立つのかなとは思います。
○朝日座長 ありがとうございます。
では、眞保委員さん、お願いします。
○眞保委員 法政大学の眞保です。
もう一つだけ、ここの議論で出てきていないところがあるのかなと思っていて、それは、こちらにいらっしゃる方は、例えば家族会の方であったり、あるいはたくさん、既に障害者を雇用されていたり、そうした支援のベテランの方であったりということで、非常に精神障害の方に対して御理解がある方が集まっていらっしゃると思うのです。
一方で、これから考えていかなければならないのは、精神障害の方が地域の例えば中小企業だったり、大企業だったり、そうした、まだ雇用されていない企業さんに理解されて雇用が進むということが起きてこないと地方では、東京と地方は全く状況が違います。私、地方でそれをやっていたので、地方ですと本当に、まず理解していただいて、それで採用ということのハードルが非常に高くて、それを進めていかないと、地方はまだ500床等の精神科の病院もある中で、本当の雇用は進んでいかないと思うのです。
そう考えていきますと、まず採用時点のところで本当にまだ最初の一歩の段階だという企業さんもいることも視野に入れておかなければいけないと思うのです。そうすると、やはり企業さんが欲しい情報というと、何か障害者の方のことを考えていないように聞こえるかもしれませんけれども、就職が進むことが御本人のため、御本人の理解が進むということを考えますと、その視点はやはり外せないのかなという気がしています。
○朝日座長 ありがとうございます。
倉知委員さん、どうぞ。
○倉知委員 先ほどの成澤委員のことにちょっと引き継いで、関連してよろしいでしょうか。倉知です。
これは自分で作成して、自分で活用するということは、内容的には自分が責任を持つということだと思うのです。だから、客観性というよりは本人自身が自分のことを今、こういうふうに考えているのだと捉えざるを得ないのではないかと思うのです。つまり、何でもできると書いてしまうと必要な配慮が受けられないのだということはこういうところで学んでいくのかなと私は思っていて、そこは客観性は期待するものではなくて、本人がこう理解しているということを受けとめて、本人が必要な配慮はこういうものなのだ。だから、できる配慮をしよう。それで、本人がちゃんと書いてくれなかったからうまく配慮ができなかったということは致し方ないのではないかと私は思っています。それ以上のことを求めていったら、本人が自分で作成すること自体ができなくなるのではないかと思います。
以上です。
○朝日座長 眞保委員さん、どうぞ。
○眞保委員 本当に今、倉知先生のことで言おうとしていたことを思い出したのですけれども、やはりどこの場面で書くかということが最初、実は中川先生がおっしゃったのですが、それが非常に重要で、地方の企業さんが最初の一歩というときには必ず実習といいますか、インターンシップをして採用されることが多いと思います。私どもの大学生も今、5日間のインターンシップというものが普通になってきているので、マッチングを考えますと、その職場で実際働いてみてというのが御本人さんにとっても企業さんにとっても多分いいのだと思うのです。合わないところですと、まず仕事が合わなければだめですし、仕事が合っても環境が合わなければだめなので、やはり現場で書くという視点もすごく必要なのではないかと思っています。
○朝日座長 ありがとうございます。
各方面から、先ほど誰のための、何のためのという整理をしましたけれども、それに加えて、いつ使うのか、どんな状況で使うのか。その文脈といいますか、場面においての使い方と、それに合わせてカスタマイズしていくのであれば、そのためのガイドラインが重要になってくる。こういう御意見が先ほど来、出ている気がいたします。
ほかにはいかがでしょうか。
清家委員さん、お願いします。
○清家委員 皆さんの話を聞いていて、私自身が今、混乱しています。実は、支援者の立場として、当事者の方を企業に送り出すときには、もう既にこういった就労パスポートではないのですけれども、本人のプロフィール票とか紹介状を作成しお渡ししています。こういった事細かではないのですが、それをもう少し大まかにして盛り込んだものです。御本人と相談しながら、つくっているのです。これまで自分たちが作成していたものとこの就労パスポートがどうなっていくのかというのが、済みません、今、話を聞いていてなかなかまとまりません。
○朝日座長 ありがとうございます。
多面的な投げかけがあったので、そもそものこの就労パスポートのターゲットといいますか、そこをどこかで確認していく必要があろうかと私も思います。
それで、入り口から出口まで、その人の就労生活を全部、この就労パスポート一本で、どんなアトラクションでもこれでいけるということではなくて、どうやら、どこかにフォーカスして、もともと定着というところにフォーカスポイントがあるので、もちろん、場面によっては就職のときから使いたい方もいらっしゃるかもしれませんし、いや、それは既にいろいろな既存のチェックリストやアセスメント、あるいは紹介書や自分の自己紹介書とか、もろもろの中で企業さんと御相談の上で就労が決まっていく方もいらっしゃるでしょうし、そういう意味でこの就労パスポートの狙いどころといいますか、フォーカスするところをもう一度改めて確認していくほうがより効果的な作成につながっていくのかなと私も皆様の御発言を聞いて感じました。
そのあたりについて、事務局としてはどうでしょうか。
○地域就労支援室長 きょういろいろと構成員の皆様の御意見を伺いまして、やはり私どもだけで考えていたたたき台などをつくりましたけれども、なかなか気づいていなかった視点などをいろいろと御教示いただいたかと思っております。
きょうも何度か出ておりますが、誰のための、何のためのツールかということで、御本人が支援機関と相談しながら書いていただくツールというものがあるのですけれども、ただ、これも採用されます企業の方にとっても、精神障害の方の雇用を進めていくために役に立つツールでもあってほしいというのがありますので、そういった御本人が自己理解を深めて、就職して、職場定着を、安心して働けるようになるためのツールというものとともに、企業の方が精神障害の方を雇用することについて慣れていない企業でも抵抗感をなくして、お互いに安心して働き、安心して雇用できるようなツールということで、企業の方にとっても役に立つツールにしていきたいというのがありますので、そのあたりは本日御意見いただいたことを踏まえながら、もう一度考えていきたいと思ったところでございます。
あと、今回、先ほど座長からも御指摘いただきましたけれども、柔軟であることとか、また、更新が可能なものにすることといった、それから、カスタマイズができるようにするか、しないかといった御意見もありましたので、このツールは必ず、このまま使ってくださいというがちがちなものではなくて、ある程度の柔軟性も考えていったほうがいいのかなというのは、今、どういうふうにというものはないのですが、いろいろな立場の方がいろんな場面で使うということは変わらないので、これだけというようにあまりがちがちに最初から考えないほうがいいのかもしれないというのもきょう御意見を伺って思ったところであります。
○朝日座長 ありがとうございます。
それでは、どういう状況でというところは、きょうはあまり限局的に考えなくて、御意見も含めて、この使い勝手について、さらに事務局で検討を重ねていただく。こういうことでよろしいでしょうか。
ほかにはよろしいでしょうか。
では、小幡委員さん、お願いします。
○小幡委員 確認の意味もありますけれども、精神障害者等の中の「等」の部分の、例えば発達障害であるとか、その辺の議論については、きょうはあまり深められていない部分もありますし、共通事項でまとめられてクリアできることもあるかと思うのですが、この「等」の部分の扱いのイメージをもう少し共有したいというのがひとつ。
それから、先ほど障害者就業・生活支援センターの話や支援機関、相談機関の話がありました。この連携は、実は雇用された後の定着ということも見据えていくと、雇用主と雇用された当事者とのクローズになってしまうような関係ではなくて、そこに必ず支援機関が今、普通に入っていくのだというのを、先ほど地方の企業なども含めて、どれだけ理解できているかというところをちゃんと喚起していくことにもなっていったほうが、企業さんが全部抱え込む、本人が全部発信していかなければいけないという誤解を招かないポイントにもなっていくかと思います。その点を確認していきたいと思いました。
以上です。
○朝日座長 ありがとうございました。
では、最初の確認点、先ほど委員さんの御発言の中にも当然といいますか、発達障害や、あるいはいろんな状態の障害がある方を含んでいる。こういうことを何となく前提としてきたことはありますけれども、いま一度、「精神障害者等」の考え方について、事務局から説明をお願いしたいと思います。
○地域就労支援室長 この「等」につきましては、精神障害のある方に加えまして、先ほどお話がありましたように、発達障害の方ですとか、あるいは高次脳機能障害の方ですとかをイメージしておりますが、それ以外の方はこの就労パスポートの対象者ではありませんということも考えておりませんので、中心的な対象者層としては精神障害や発達障害の方、高次脳機能障害のある方ということで考えておりますけれども、この就労パスポートを使うことによって、その方の就職や職場定着に役立つということになれば使っていただけるということで考えていったらどうかと考えております。
○朝日座長 ありがとうございます。
2番目の確認点も、先ほど来、ほかの委員さんの御発言にもあったと思いますけれども、特に初めて精神障害者等を採用される企業主さんにとって、そういう知見・経験がないと、例えば今の様式の案にもありますように、イヤーマフ、パーティションで、何でイヤーマフなのかというところから説明が必要な方もいらっしゃるかもしれませんし、そもそも支援機関が入って、定着を支えていく可能性が今の就労支援の中では重要だということも最初に、初見でわかるようなことも場面に応じて必要なのかもしれない。こういうふうに私からもお願いしておきたいと思います。
それでは、ほかにいかがでしょうか。
初回で非常にたくさんのキーワードと方向性についていただきまして、事務局でぜひ、それを受けとめていただきまして、次に改訂案といいますか、きょうのたたき台をブラッシュアップして御提案していただきたいと思っております。
ほかにもあるかもしれませんけれども、そろそろ終わりの時間も見えてきましたので、次回以降の日程等について、事務局からお願いしたいと思います。
○地域就労支援室長補佐 次回の開催は2月を予定しております。
委員の皆様方には、またメール等で日程調整をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○朝日座長 それでは、再度、日程については御連絡いただくということで皆様方、よろしいでしょうか。
用意された議事につきましては以上とさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
長時間にわたりまして、御発言、御議論いただきましてありがとうございました。以上をもちまして、本日の検討会を終了させていただきたいと思います。
どうもありがとうございました。