医道審議会歯科医師分科会歯科医師臨床研修部会(平成30年度第4回)議事録

担当:医政局歯科保健課 歯科医師臨床研修専門官 山口 聖士

日時

平成30年12月14日(金)14:00~16:00

場所

一般財団法人 日本航空協会 航空会館 201会議室 (港区新橋一丁目18番1号)

出席者

委員(五十音順、敬称略)

議事録

○藤本歯科保健課課長補佐 定刻より少し時間が早いですが、ただいまより医道審議会歯科医師分科会歯科医師臨床研修部会平成30年度(第4回)を開催いたします。委員の皆様におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして、ありがとうございます。本日はオブザーバーとして文部科学省高等教育局医学教育課より、荒木企画官に御出席いただいております。また本日は田上委員、薬師寺委員から御欠席の連絡を頂戴しております。本日の審議会につきましては公開となっておりますが、カメラ撮りにつきましてはここまでといたします。
 続いて、配布資料の確認をよろしくお願いします。お手元のタブレット端末のフォルダー内に議事次第、座席表、委員名簿、資料1、参考資料1、2、参考資料3-1~3-3、参考資料4、委員提出資料1、2を格納しております。不足やタブレット端末の動作不良等がありましたら、お知らせいただければと思います。
 それでは、進行を一戸部会長にお任せいたします。よろしくお願いいたします。
○一戸座長 本日は寒いところお集まりいただきまして、ありがとうございます。第4回の医道審議会の歯科医師臨床研修部会を始めます。時間も限られていることですので、早速議事に移ります。今年の7月に先生方にお集まりいただき、今年度第1回の医道審議会歯科医師臨床研修部会を行いました。その中で御議論いただいた歯科医師臨床研修制度の改正につきまして、本日は引き続きの御議論をお願いしたいと考えております。
 まず資料1、歯科医師臨床研修制度の次期制度改正に向けた論点について、事務局から御説明をお願いいたします。
○山口歯科医師臨床研修専門官 では、歯科医師臨床研修制度の次期制度改正に向けた論点について、今回資料1にまとめましたので説明いたします。右下に、スライド番号を付けております。スライド2を御覧ください。歯科医師臨床研修制度のこれまでの主な改正内容をまとめたものです。今年度、本部会の第1回目にも示しておりますので、内容の説明は割愛いたします。今回は第1回部会で頂いた様々な御意見を、この4つの点に分けて事務局でまとめましたので、まず説明し、最後に見直しに向けた論点を示します。
 まず1.研修内容について示しますので、スライド4を御覧ください。第1回部会で頂いた主な御意見です。研修歯科医のモチベーションの維持、将来の目標設定に資する内容、基本的な診断や治療ができるような内容、到達目標への目標とする具体的な診療技術に関する記載、訪問歯科診療、多職種連携、全身管理に関する研修、地域包括ケアシステムに関する研修が必要という御意見等を頂きました。
 スライド5は、歯科医師の卒前・卒後教育に関する近年の改訂・改正の時期について示しています。歯科医師臨床研修制度については平成26年度に見直しが行われていますが、歯学教育モデル・コア・カリキュラム、歯科医師国家試験出題基準は、平成28年度に最新の見直しが行われたところです。スライド6を御覧ください。歯学教育モデル・コア・カリキュラム、歯科医師国家試験出題基準、歯科医師臨床研修の到達目標を比較すると、歯学教育モデル・コア・カリキュラムや歯科医師国家試験出題基準において近年求められる内容として、プロフェショナリズムやチーム医療が含まれていますが、歯科医師臨床研修の到達目標のねらいには含まれておりません。スライド7を御覧ください。一方、これからのあるべき歯科保健医療の提供体制については、昨年12月に「歯科医師の資質向上等に関する検討会」の中間報告として、「歯科保健医療ビジョン」が出され、地域包括ケアシステムにおける歯科医療機関間の役割分担や、多職種連携の必要性などが示されています。報告書の詳細は参考資料2にありますので、後ほど御覧ください。
 スライド8は、歯科医師臨床研修の到達目標の「基本習熟コース」、「基本習得コース」について示しております。到達目標の全文は参考資料4-3にあります。目標設定において地域包括システムや、チーム医療の推進の観点は含まれておりません。また「基本習熟コース」、「基本習得コース」ともに各項目の目標を定めており、具体的な習得すべき技術は記載されていません。
 スライド9は、臨床研修施設を選んだ理由を示しております。「経験できる患者数が多い」が約52%で最も多く、次いで「症例内容が幅広い」、「卒業大学のプログラムである」が約40%でした。スライド10は、研修プログラムの症例内容等の参照状況と実施状況について示しております。研修プログラムを選択する際に、研修プログラムや目標症例数を参照した人は、半数以下でした。一方、プログラムの実施状況については「記載以上」、「記載どおり」であった者、目標症例数が「すべて達成」、「ほぼすべて達成」であった者が約8割であり、研修プログラムや目標症例数のとおり実施されている施設が多くなっております。スライド11は、全身管理等に関する研修の実施状況を示しています。見学も含めた研修の実施者の割合です。平成29年度修了者においては、全身管理に関する研修が約9割、入院患者に関する研修が約8割、訪問歯科診療は約6割が実施しておりました。また訪問歯科診療については、ここ3年間で増加しております。一方で、いずれの研修も実施していない人は、約3%でした。
 次に、2.臨床研修施設についてお示しします。スライド13は、第1回部会の臨床研修施設に関する主な御意見です。歯科大学への一極集中に関する問題、病院歯科での研修の減少の問題、過疎地域や歯科大学のない都道府県での研修の問題などに関する御意見を頂きました。
 スライド14は、平成30年度の単独型・管理型臨床研修施設の募集定員を都道府県別にお示ししたものです。50名以上の都道県は歯科大学がある所であり、歯科大学のない府県の募集定員は、京都と兵庫を除き20名以下になっております。スライド15は、平成30年度の都道府県別のマッチ者の状況です。棒グラフがマッチ者数、折線がマッチ率になっております。マッチ率の全国平均は、対募集定員で82.2%でした。マッチ率には地域差がありますが、募集定員が少ないと1人の影響が大きくなるため、募集定員が少ない地域でマッチ率が低くなっています。スライド16は、臨床研修施設種別のマッチ率の年次推移をお示ししています。水色は歯科大学病院、歯科大学附属の診療所の平均マッチ率で、平成30年度は約86%。一方、オレンジ色の歯科大学病院・診療所以外の臨床研修施設の平均マッチ率は、平成30年度で約68%になっており、低下傾向にあります。
 スライド17は、直近3年間の研修先の状況です。卒業大学の病院・診療所が約6割で最も多いです。大学以外の臨床研修施設は約12%で、うち病院歯科が約7%、診療所は約5%です。スライド18は、病院歯科の研修歯科医の受入状況として、単独型・管理型臨床研修施設数をお示ししています。水色の棒グラフの病院歯科の単独型・管理型臨床研修施設数は、平成30年度は147施設で、近年増加傾向です。一方赤の斜線の棒グラフで示している研修歯科医の受入れがない施設も増加しており、平成30年度は約3割に当たる40施設ありました。さらに、これらの施設のうち、マッチ者がいた施設数を赤色でお示ししております。平成30年度では、受入れがなかった40施設のうち16施設はマッチ者がいた施設となっており、4割を占めております。スライド19は、診療所の研修歯科医の受入状況です。緑色で示している診療所の単独型・管理型臨床研修施設数は、平成30年度は56施設となり増加していますが、病院歯科の施設数より少ない状況です。赤の斜線で示している研修歯科医の受入れがない施設は、平成30年度では9施設で全体の約16%であり、受入れのなかった施設のうちマッチ者がいた施設は2施設でした。
 スライド20、21を併せて御覧ください。歯科医師国家試験不合格等により、研修予定者を受け入れることができなくなった施設に対して、歯科大学病院・診療所での研修予定者を異動させることができる特例の取扱いについて示した事務連絡の抜粋をお示ししており、スライド20の内容を図で示したものがスライド21になっております。スライド20の下段に示している平成25年1月4日厚生労働省医政局歯科保健課事務連絡「歯科医師臨床研修予定者の受入れに対する対応について」の別添の要件を満たした場合には、研修予定者のマッチ後の移動が可能となっております。具体的には、まず①受入施設(研修予定者をマッチ施設から受け入れて臨床研修を開始する施設)の要件として、(1)当該受入施設における全プログラムの募集定員総数が5名以下、(2)異動候補である研修予定者の希望順位表登録を行っていることが必要です。次に②マッチ施設(歯科マッチングにより、研修予定者が当初マッチした施設)は、歯科大学附属病院であることが必要です。最後に、③研修予定者(歯科医師臨床研修を受けようとする者)の要件としては、(1)受入施設の希望順位表登録を行っている、(2)マッチ施設から受入施設へ異動する意思があることが必要です。これらの要件が全てそろったときに、研修予定者の異動、受入れが可能となります。
 スライド22は、参考として歯科関係の標榜科がある病院数の年次推移をお示ししております。スライド23は、都道府県別の単独型・管理型臨床研修施設の病院歯科の状況です。色の薄い棒グラフは、都道府県ごとの大学病院を除いた歯科を標榜する病院数で、濃い青の棒グラフは単独型又は管理型臨床研修施設になっている病院歯科の施設数です。東京、愛知、大阪、兵庫以外は10施設未満であり、1施設もない県が14県あります。スライド24は、協力型臨床研修施設と研修協力施設になっている病院歯科(大学病院及び単独型・管理型臨床研修施設を除く)の施設数です。いずれも10施設以下であり、どちらもない県が茨城、栃木、三重、奈良、高知の5県です。スライド25については、左側の常勤歯科医師数の分布を御覧ください。常勤歯科医師数が1名である施設が約4割を占めております。
 最後は、3.指導体制、その他についてです。スライド27は、第1回部会での指導体制に関する主な御意見です。研修管理委員会に出席しない指導歯科医の問題、指導歯科医講習会の受講や指導歯科医の更新制度に関する御意見を頂きました。スライド28は、その他の御意見です。キャリアパスの問題、医科で導入された基礎研究枠の検討、研修期間の問題や数十年後を見据えた思い切った制度改正が必要ではないか等の御意見を頂きました。
 スライド29は、現行の指導歯科医の要件です。指導歯科医は、指導歯科医講習会の受講1回と、臨床経験年数の要件がありますが、更新制にはなっておりません。スライド30は、指導歯科医講習会の開催指針の抜粋です。歯科医師臨床研修制度が必修化された平成16年に作成され、その後見直しは行われていません。スライド31は、一戸部会長を研究代表者とする厚生労働科学研究の報告書のデータです。現行の指導歯科医講習会の開催指針に含まれていないテーマのうち、必要と思われる項目について、地域包括ケアシステム、在宅歯科診療、メンタルケア、要介護高齢者への対応などが多くなっております。
 以上、本部会の第1回の議論を踏まえ、スライド32に歯科医師臨床研修制度改正に関する論点について、事務局がまとめた案をお示しします。1.研修内容については、到達目標の見直しとして、卒前・卒後の一貫性、研修歯科医の将来の目標設定(キャリア形成)に資する、基礎的な診療技術の習得が可能、地域包括ケアシステムの中で活躍できる歯科医師の養成、臨床研修施設の特徴を反映した到達目標、これらの観点、及び基礎研究枠も含む多様なニーズへの対応に関する論点。2.臨床研修施設については、歯科大学における研修体制の在り方、病院歯科や診療所における臨床研修の拡大に関する論点。3.指導体制については、更新制の必要性の検討も含む指導歯科医の要件、指導歯科医講習会の在り方に関する論点を挙げました。これらの論点について、具体的な改正内容をワーキンググループで検討することとしてはどうかと考えております。
 最後のスライド33は、平成33年度の制度改正に向けたスケジュール(案)です。今後これらの1~3の各論点について、ワーキンググループ3回程度で検討し、来年7月頃に臨床研修部会に御報告したいと考えております。部会での御議論を踏まえ、再度ワーキンググループで検討を行ったのち、秋頃に部会に最終案を御報告する予定です。その後、意見の取りまとめを行い、平成32年3月までに改正省令・改正通知の発出・周知を行う予定です。事務局からの説明は以上です。
○一戸座長 ありがとうございました。後ほど、今の資料1を踏まえて先生方にいろいろと御意見を頂戴したいと思います。現時点で今の資料の説明について何か御確認等ございましたらお願いしたいと思います。今の時点では特段よろしいでしょうか。ありがとうございました。
 今日は、先ほど藤本さんから田上委員、薬師寺委員が御欠席との御説明を頂きました。このお二方から、今の資料1について御意見を頂いていますので、それについて御紹介をお願いします。
○山口歯科医師臨床研修専門官 委員提出資料に本日御欠席の委員の御意見を出していただいております。
 委員提出資料1、田上委員提出資料を御覧ください。田上委員より、第1回部会の御意見にもありましたが、先を見据えた思い切った改正を行ったほうがよいのではないでしょうか。また、訪問歯科診療は地域の医療機関を中心に行われているため、大学病院が訪問診療を主体的に行うことが難しい場合もあると思われます。その場合は、訪問歯科診療に関する研修は、協力型臨床研修施設(又は研修協力施設)において行われることになるため、研修内容を十分に把握できない可能性があります。今後、訪問歯科診療や多職種連携、地域包括ケアシステムなどの研修を推進する場合は、単独型・管理型臨床研修施設が協力型臨床研修施設(又は研修協力施設)での研修内容を把握するとともに、地域の行政機関や関係団体との連携も必要になってくると思われます、との御意見を頂いております。
 続きまして委員提出資料2、薬師寺委員提出資料を御覧ください。薬師寺委員より、1.研修内容について、施設ごとの到達目標が画一的です。しかし、実際には歯科大学病院と病院歯科では、研修の内容、特長に大きな違いがあると考えられます。到達目標について、例えば歯科大学と医科大学・病院歯科で分けるなど、細分化するのはいかがでしょうか。医学部附属病院と急性期病院の歯科は同じでよいと思われますが、歯学部・歯科大学の附属病院とは診療内容が大きく異なり、到達目標を変えることにより、研修医に研修内容をより理解できやすくすることが必要ではないでしょうか。2.臨床研修施設について、地方の病院歯科ではホームページで募集等努力しているのにもかかわらず、近畿では各病院歯科が近畿厚生局主催の研修医説明会に参加し、さらに兵庫県では病院歯科が単独で説明会を開いていますが、マッチング希望者がいない。また、マッチしても国家試験の不合格で結果的に受入れなしとなってしまう施設が多いです。平成28年度改正で単独型・管理型臨床研修施設の指定取消しの要件に3年以上受入れなしが追加されました。また、最近は学生のうちから強い目的意識を持って病院歯科を希望する人が多くなっていると感じる中で、研修からの撤退の危機にさらされている病院歯科は多いと感じています。指定取消しの要件を、3年以上受入れなしから、「3年以上募集した実績がなし」に緩和することにより、急性期病院歯科の研修施設撤退が防げるのではないでしょうかとの御意見を頂いております。以上です。
○一戸座長 ありがとうございました、田上委員と薬師寺委員から御意見を頂戴しました。こういうことも踏まえて、先ほどの資料1に戻っていただきまして、最終的には資料1の32ページ、歯科医師臨床研修制度改正に関する論点(案)と今後の対応ということで、事務局にこのようにまとめていただきました。ここに至る前に、今日の資料1を見ながら、あるいは前回の記録はここに入っていましたか、ここには入っていなかったですか。
○山口歯科医師臨床研修専門官 参考資料1が前回説明した資料1になります。
○一戸座長 いやいや、前回の議事録みたいなものは皆さんに配ったのでしたっけ。
○山口歯科医師臨床研修専門官 すみません、この中には用意しておりません。事前にメールではお知らせさせて頂いております。
○一戸座長 委員の皆様には。
○山口歯科医師臨床研修専門官 はい。
○西原委員 12月11日付けで頂いた。
○一戸座長 そちらのほうもお目通しいただいていると思いますが、それを思い出しながらでも結構ですので。まず最初は大雑把でも結構です、資料1に関連して御意見を頂ければと思います。いかがでしょうか。漠然とし過ぎていますかね。
○丹沢委員 口火を切りましょうか。皆さんから、すごく良い御意見を頂いているとは思うのですが、1年間を標準とした卒後の初期研修にどこまで求めるのかということと、今現在の研修で実際にどこまでできているのかという問題が1つあります。例えば、年寄りの歯がすごく残ってきてどうのこうのと言うけれども、年寄りの歯周病とかを考えてみると、若い人の歯周病みたいに細菌学的なアプローチや感染症としてのアプローチだけでは無理で、一本一本の歯が噛んだら抜けてしまうようなぐらいひどい場合もある。それを例えば削って入れて、補綴的にしっかりと連結しなければいけない、暫間固定では駄目だというぐらいの人たちも多数いるわけです。だから、幾ら歯科医療がこれから変わっていくと言っても、やはり削って入れることがきちんとできないと、歯科医のアイデンティティーがないと思います。医者との連携の場合でも、歯科医のアイデンティティーはやはり歯科医療なのです、歯科医学であり。それができない人はただのやぶ医者になってしまうので、単なる医者の真似は駄目なのです。理解はできなければいけないのですが。
 だから、まず核になる部分が初期研修でどうあるべきか、どこまでやらせるか、どのようにやるかというところがきちんと担保されないと、連携の話というのはちょっと私はナンセンスかなと思います。だけど、実際に必要だからこうやって出てきているわけです。
 それから、歯科大学病院や診療所、病院歯科、あるいは医学部の附属病院などの歯科というように分けていろいろ言うと、多分これはすごくハードルが高い。やはり、研修医というのは地域で育てるものだという考え方で、それぞれの特徴のあるものを組み合わせてやっていきましょうということで、協力施設という考え方も出てきたわけです。そうやってマッチングしなかった病院歯科なども活用されていくわけで、やはり地域の今ある施設を活用していくことがものすごく大事です。
 ただ、その際に問題になることがあります。私共の話で申し訳ないのですが、実はうちで稲毛の東京歯科大学の診療所の研修医を来年引き受けます。病院としての研修をしていただくということで、協力施設として受けるのです。私も全然問題なくて、うちの科としても問題ないのですが、病院長や病院の執行部としては、やはり予算問題とかいろいろな人の労力を取られるとか、医学部の学生との研修期間が重なったらどうするのかなど、さまざまな問題が実際にはありました。今のままでは多分なかなか協力施設として引き受けられる病院はないのではないかと思います。難しいと思います。かなり好意的な所でないとできない。
 予算的な問題もどういうようにするか。これは、措置されるというのはなかなか難しいので、やはり配分だとか、いろいろなことも含めてですが。もしこれほど盛りだくさんのことをやろうと思ったら、そういう施設を作らざるを得ないと思うので、そういうものをどういうようにしていくのか、あるいはどういうように御理解いただくのか。予算措置ができないのであれば、病院長宛てに、厚生労働省のほうから御協力を要請するぐらいのことは依頼して頂かないと、多分なかなか難しいです。実際に私共の施設でもこれは説得するのがすごく大変だったのです。うちでもそうなので、いろいろな所で問題が起きると思います。
 これらは全部、実現できればいいと思うのですが、限られた期間でいろいろなものに手を出して、一番核になるところに到達できなかったら、初期研修としての意味がなくなってしまうわけです。その辺のところをよろしく御勘案いただければと私は思います。以上です。
○一戸座長 ありがとうございました。丹沢委員からおっしゃっていただいたのは、1つは本当のミニマムリクワイアメントというか、コアになる研修はどうあるべきかということ、それからたった1つの施設で全てのSBOなり何なりを満たすことは多分無理なので、幾つかの施設で特色を持って研修をする仕組みを考えたほうがいいのではないかということを御指摘いただいたかと思います。千葉歯科医療センターの事例も挙げていただきましたが、現実にそういうことだろうと思います。
 その辺、コアとなる研修の明確化という意味では前回、小林委員からも随分といろいろ御意見を頂きました。何か、今のことに関連してでも頂ければと思います。
○小林委員 丹沢委員のおっしゃるとおりだと私も思っております。やはり、歯科医としての最低限の技術と知識を持った上での、在宅診療や地域包括ケアだと思っております。現実的に考えますと協力型等でそういう部分の補填をしていくときに、今後は予算的な問題も考慮していかなければならないと思います。
 先ほどちょっと気になったのですが、これまで臨床研修制度を進めてきましたが、実際に研修を終えられた研修歯科医がどの程度到達目標に達しているのかは、現実的に評価されていないのが現状です。多分、経過観察的な形で評価していることが多いと思います。そういう意味ではしっかりとした評価を行い修了していかないと、基本的に技術というのは身に付かないと思います。修了時の評価をある意味、厳密化しないと目標に到達しないように感じています。
 前回もお話しましたけれども、昔は在学中に病院実習を終わって、ある程度の技術と知識を持った上で国家試験受けていましたから、スタートラインがちょっと違うと思います。国家試験を終わった後、いかに研修医の気持ちをそこに向けるかということも含めて、実際に研修を終えられた研修医の方がどれぐらいの技術を持っているのかを具体的に見極めておかないと、研修制度の改定を行う上で、現状把握が不十分で話を進めるのはちょっと気になりました。
○一戸座長 ありがとうございます、まずは卒業の時点でどのぐらいということも気になるということですね。
○小林委員 一応、国家試験があるので、知識的にはある程度到達していても、技術的な部分は評価されないのではないかと思うのです。
○一戸座長 字面上は「国家試験は知識と技能を評価する」と書いてあるので、それはそれとしても、臨床実習修了時の態度・技能試験、態度・技能評価というものをやりましょうということは今御存じのようにトライアルが始まっていて、再来年からでしたか、正式に実施しましょうということは行われています。ただ、やはり、それで評価をされて合格したからといって、では、実際に歯科医師になったときに現場で働けるかというのはなかなか難しいところがあります。ただ、これはそういう臨床実習修了時の評価があろうがなかろうが、昔から同じことだと思うので、初心者は最初は大変だということではないのかなとも思います。
 同じく、鴨志田委員から基本的な、コアとなる研修の明確化とか、先ほど丹沢委員からも御指摘いただきましたが、それに関連して何か御意見ありますでしょうか。
○鴨志田委員 今のお話を聞いていて感じたのですが、結局ミニマムリクワイアメントをどうするか。それについてそれぞれ価値感や優先順位がいろいろある。1年間でやれることは大体限度があるわけですから、そこのところをどうするか。そのときに全部均一、同じリクワイアメント、同じタイプでやるのか。もしかしたら今までのお話を聞いていると、外科タイプであるとか幾つかタイプを少し分けるのか、というのが問題になろうかという感じもしました。
 先ほど、1つの施設で全部はできないというお話があったのですが、それについてはいわゆる地域完結型で行うと。そちらの方向で、歯科医師臨床研修は研修協力施設や協力型であるなどというものを一応試行はしてきたのですが、まだその辺の役割分担をしてやっていくところが少し弱いような気がしております。
 修了者の評価についてはよく分からないのですが、どうなのでしょうか、平成32年からトライアルというお話も今伺ったので、それはそれでおやりいただくと。
 先ほどの話に戻ると、ミニマムリクワイアメントの中に、私の立場で言えば、社会的な、地域医療的な要素をもう少し入れていただきたい。それは以前にも発言しましたが、厚生労働省の動き、採用している政策を見ると、どうしても健康日本21であるとか、地域完結型や包括ケアを推進する必要があるし、昨日ちょうど地元県歯で会議をやったのですが、今は特定保健指導に歯科医師が参加が可能であるということもあります。そのような要素も研修の段階でイニシエーションしてもらいたい、全然関係なくずっといってしまうのもいかがかなという感じを持っております。以上です。
○一戸座長 ありがとうございました、いろいろ御意見を頂きました。これに対して、羽村委員と西村委員からも送り出す側の立場も踏まえて、それから先ほどの議論もいろいろ踏まえていただいて何か御意見を頂ければと思います。羽村委員、よろしくお願いします。
○羽村委員 スライド32で研修内容、それから臨床研修施設や指導体制ということで案をまとめていますので、それに沿って意見を言わせていただければと思います。
 まず到達目標の見直しについては、到達目標自体が今まではアウトカム評価ではなくてプロセス評価ですから、それを突然アウトカム評価にするというのは非常に難しいのではないかと思います。というのは、臨床研修施設が均一化していない状態で、ゴールだけ先に決めてしまうというのはどうなのかなと、ちょっと懸念を持っています。だからこそ、薬師寺先生の御意見のように施設によって変えろということになっているのだと思います。しかし、逆に言えば、ミニマムリクワイアメントをそれぞれ異なるものにするというのはどうなのかなと。歯科医として最低限必要なことが、それほど施設によって違うのですかということになってしまうので、私は余り施設によって変えるというのは賛成できません。
 送り出す側として、送り出す側の人たちが均一かどうかというのは、もう国家試験。それから2020年度からだと思うのですが臨床実習後の技能評価、態度評価というものが今度できます。態度評価はプロセス評価になりますけれども、技能評価はアウトカム評価になりますので、これについてはある程度、担保できるかなというようには思います。大学間の均一化というのも今進んでいると思いますから、出るほうとして均一なものが臨床研修ではバラバラになるというのは、先ほど言ったように余り好ましくないのかなとは思います。
 その中で今、特に求められているというのは地域でのということになりますから、田上委員がおっしゃられたように、地域での研修というのは絶対必要だと思います。しかし、その評価者についてはなかなか難しさというものが出てきますから、指導体制に関わるところですけれども、指導医についてはやはり何年かに1度、きちんと再教育をしなければいけないのではないかと思います。
 研修施設については、現状で歯科大学がほぼ研修を受け入れている現実があって、今回のデータを見ても、まだまだほかの施設で受け入れるというのは難しい状況です。しかし、これを何とかしないと、ほぼ歯科大学で受け入れるなどということになってしまいます。特に、歯科診療所の臨床研修を受けるためにはどうしたらいいかというのを、もう少ししっかりやっていかないと、現状では増えているとはいっても56か所ということですから、桁が1桁違うのかなというような感じもします。全国でそれこそ歯科診療施設が今6万件、7万件ぐらいあるのですかね、その中で56件というのは無きに等しいということです。複数の歯科医がいる診療所が3割とか4割、もっと少ないですか、その中で少なくとも半分ぐらいは受け入れてくれれば、桁数としてはもう一桁多くなるということになりますので。そのためにどうしたらいいかという方略はありませんが。病院歯科も大事ですが、やはり一次医療の場でというのはとても大切なことだというように思っています。とりとめのない話になってしまいました。
 もう一点、大学としては、研修内容の見直しの中で多様なニーズへの対応、ここに基礎研究枠の検討が入っていますが、これは是非とも、医科で入っているように歯科でも入れていただければと思います。やはり、どうしても基礎のほうが向いているという卒業生もおります。何とか卒業はできましたけれども、その後ずっと臨床を続けるというのは厳しいのではないかという子たちもいる。その才能を持っていながらそこで埋もれてしまう子がいるのも事実ですので、これは是非とも検討して入れていっていただければと思います。
 今のところは以上です。また、まとまれば意見します。
○一戸座長 ありがとうございました。やはりミニマムリクワイアメントをしっかり身に付けていただかないといけない。それから地域医療についてもしっかり研修してほしい。また、今の基礎研究枠のようなことも是非やってもらうチャンスを与えたい、あるいはやってもらいたい。どんどんどんどん求めるものが多くなって、なかなか実のある形でアウトカムを得るというのが難しい。一方では昨今、研修歯科医の労働についても労基署が非常にうるさく自己研修をなかなか認めてくれず、大変な思いをしている施設が多いと思います。私もたくさんのことをやってもらいたいと思って、いろいろなことを経験してもらいたいと思うのですが、一方ではそういう得てして総花的になりやすいかなというところがある。その辺、先生、何か1つでも2つでもこうするとブレイクスルーが得られそうだというアイディアみたいなものはありますか。
○羽村委員 労働基準は守らなければいけないというのは重々承知しているのですけれども、例えば受験生が8時間しか勉強してはいけませんというわけはないですよね。だから、肉体労働と知的労働をちょっと変えてもらいたいなというのはありますね。やはり、この時間になったら終わりというのは、大きな声でここでは言えないことなのかもしれないですが、殊に医療者にとってはちょっと考えなければいけないといいますか、我々の経験からしても一生続けるうちの最初の何年かぐらいは時間を気にせず、働いて勉強しなさいというのがあってもいいような気がします。ただ、それがいろいろ問題を起こしているというのも重々承知はしています。
 ミニマムリクワイアメントについてはミニマムですから、それほど広げる必要はないと私は思っています。プラスアルファとして、それぞれ特徴のある診療室に特徴ある診療をしていただければ、それはそれでいいと思います。余り大きく広げる必要は逆になくて、先ほど丹沢委員がおっしゃってくださった削って詰める、歯の形と機能、口の中の形と機能をきちんと元に戻す、若しくは何とかリハビリをして食事ができるようにする、若しくはお話がきちんとできるようにするという、例えばそのための方略が少し入っていればそれで十分かなと。そのためには地域でのサポートも必要でしょうし、いろいろな人の手助けも必要ですから、地域での連携・多職種連携というのは出てきますというところで、それほど広げて深くというのは必要ないと実は思っています。ですから、一戸座長が御心配しているような余り広げるというのは、私も賛成はしていません。ミニマムはミニマムですから、マキシマムにする必要は絶対ないと思います。
○一戸座長 これに関連してなのですが、丹沢委員のように、こういうことをよく理解していただいていて、例えば削って詰める、入れ歯を入れるみたいなことが、やはり歯科医師としてミニマムである。まず、そこをきっちり身に付けた上でのアドバンス・コースであるべきであろうということを理解していただいている病院、歯科あるいは医学部口腔外科であればいいのですが、うちは口腔外科だけみたいな施設になってしまうと、そこにマッチした人はミニマムリクワイアメントをどうやって満たすのかという話も出てくるかと思います。その辺、丹沢委員、ごめんなさい、突然振って。
○丹沢委員 実は、私の所は口腔外科だと皆さん思われていて、実際がんなど、有明のがん研より口腔がんはずっと多く、年間70件ぐらい手術をやっています。ですが、うちは歯科なのです、保険標榜は総合病院の歯科なので、患者さんが口のことで御相談があると、粘膜疾患もそうですが、虫歯であろうと何であろうと、入れ歯であろうと全部やるのです。だから、自分が1週間で25人から40人ぐらいGPをやっています。しかし、一般的には、この間の外科学会で口腔外科の教授やいろいろな先生に会うと、もうそろそろ私みたいに退職が近い人が多くて、今更GPはできないし、就職口がなくてという話が実際にあるようなのが事実なのです。病院歯科の診療領域、専門性というのが施設により異なり、場合によると問題となります。
 病院歯科の活用の仕方というのが、アンダーグラデュエイトについても、それからこの研修についても生涯研修についても、そこが管理型になろうと何になろうと、その辺のところをうまく組み合わせて地域でやっていくという考え方をしないといけない。個人の歯科医さんがやっている管理型の研修も、それから病院歯科の管理型の研修も、歯科大学の管理型の研修も全部お互いにさらけ出して、自分の所はこれが得意でこれが不十分だというものを出して、みんなでやればいいわけです。
 ちょっと先ほど言い忘れたので、実は指導者講習について、今やっている講習の仕方は、2回、3回受けたらもうその後繰り返しても身にはならないと思います。いつも医師の人たちを見ていて思うのですが、例えば小児科の先生が小児が好きで、かわいがっていて、本当にいい小児科の先生なのだけれども、例えば白血病などで長く闘病を一緒にやっていると発達心理学とか教育心理学とか、そういうものが必要になってくる、しかしそういうものを勉強している小児科医がいない。医者や歯医者というのは労務管理だとか教育心理学など、どうも基本的な勉強が足りないのです。そういうものを個人的に学んでいる先生も多数いらっしゃると思います。そういう手引きみたいなものを少し教わるとか。あるレベルまで行くと計画の立て方などの訓練を受けたわけですから、その先の話はそういう話なのかなと思います。そのようなことを思っています。
○一戸座長 例えば研修管理委員会の中でミニ・レクチャーみたいなものを取り入れていって、いろいろなことを継続的に勉強していただくというのが大事かなと私も思います。
 遅くなりました、西原委員から御意見を頂戴します。
○西原委員 一戸座長から大学としてというお話がありましたので、実は、今回、事前に山口専門官から電話で説明を受けて、その後、議事録を読んで、更に、三田のときの資料1を見直して共通して言えるのは、歯科大学を出た学生は、歯科医師として歯科医院勤務が51%、開業等を考えているのが42.6%。このような10年後の予想がアンケート調査で出ています。その比率は別として、歯科医師が93.6%でほぼ地域の歯科医師です。
 前提として10年前にこの研修医制度が出来たのでしょうか、更に、今、考えるときに、この数字を押さえなければいけないとしたならば、先ほど来出てきているミニマムリクワイアメントは、当然、ベースに置かなければいけないのだろうと思います。ただし、大学の歯学部教育において、それぞれの大学がモデル・コア・カリキュラムで課せられているのは、当初は60と言っていて、今70%と。私は学長として残りの30%は自由度が与えられていると考えて、本学の大学の特徴として、29大学の中で唯一のパブリックスクールであるということから、北九州市であり福岡県であり、我々が貢献できることは何かと考えながら教育を展開しています。悔しい思いをするのは、そういう異色の歯科医師免許を持った人間が多く出てきても働く場所がない。
 一方で、厚生労働省が働き方ビジョン検討会をやっていますが、歯科医師勤務医にしかなれないような状況がずっと続くのかどうか。これは歯科保健制度の下で、歯科医師が生業を立てているわけですから仕方ないにしても、2025年に地域包括ケアが始まろうというときに、そのような人材を受け入れられるようなシステムになるのかどうか。下手をすると、このままいくと医者を軸として看護師とその辺りのメディカルチームがほぼ席巻して、歯科医師並びに歯科衛生士のオーラルヘルスチームがどれだけ入れるのかということ。これは歯科医師会もそうでしょうし、歯科医学会もそうでしょうし、2025年なので7年後です。
 我々は6年間教育をしており、今、羽村委員がおっしゃったようにコンピテンスアンド……、うちはアウトカム基盤型に変えてコンピテンシーを明確に提示して、求める学生もパブリックスクールという形で求めています。
 そうしたときに、歯科界が働き口をある程度考えていかないといけない時期なのだということが、まず、前提であります。そこを踏まえて考えると、例えば、ミニマムリクワイアメントは、今の研修システムで教えるのにどれくらい掛かるのか。それは、期間もそうですし、やり方もそうです、ワーキンググループでそういう実数を出していただき、残りの3か月はそれぞれの施設、今、大学や病院施設が多いというお話ですが、まず、うちの病院はこういうことを30%以外でやりますということを作っていかないといけない。研修医になるときに選ぶ項目が、経験できる患者が多い、症例内容が幅広い、いわんや、雑用が少ないと、こういうような調査項目で上げていくと、これは歯科医療に関するもの以外のファクターで研修医が動いていると思わざるを得ないのです。
 そうすると、医科はどうかと言うと、私よりも丹沢委員のほうがよく御存じだと思いますが、やはり、自分の医者としての行き道を考えて選んでいくポピュレーションは、歯学生よりも医学生のほうが多いようなイメージがあります。では、なぜ歯学生は描ききれないかと言うと、究極は歯科医師として地域でしか働けない。
 申し上げると、このワーキンググループは実際的なことを考えるのでしょうけれど、もう少し大きく、丹沢委員のように病院でされている先生とか何人かの先生が、将来、ビジョン検討会の中で発言できるような場を展開したら、田口課長、変化は出てくるのでしょうか。あのビジョン検討会も、意外と今を原点に置いて考えている感が無きにしも非ずなので、その辺りと大きくリンクしてくる問題ではないかという思いがあるので、すみません、振ってしまいました。いかがでしょうか。言い方を変えると、今回までのお話は、6年間の教育、国家試験、研修医の御説明は山口専門官からあったのですが、では、それを貫いて新しい人材が出てきたときの受皿作りを少し考える時期にきているということを、例えば、このグループが国側に対して求めるというときに、一緒に考えていくような攻略は何かあるのでしょうか。漠然として更に質問型になって失礼なのですが、お考えはいかがでしょうか。
○田口歯科保健課長 基本的に、この臨床研修部会は、臨床研修の制度等に限ってやっていただく形です。32枚目のスライドにも書いておりますが、卒前と卒後の一貫性という形です。併せて、今、西原委員がおっしゃったように、歯科医師の資質の向上の関係の検討会ももう1つ別の所で動いています。そこは卒前や卒後に限っておらず、生涯を通じてどのような形で歯科医師をきちんと養成していくかという形になっています。そういう中で、もう1つの資質の検討会で、ここの部会の中で出てきたいろいろな意見を紹介させていただき、そちらできちんと総合的な歯科医師の在り方を話す機会は、当然あってもいいと思います。そこは、別々に考えるのではなくてトータルとして考える必要があると思います。
○西原委員 たまたま両方の構成員を仰せ付かっているので、そこが気になっていたのです。私たちは、この1回と2回の間に実質的な審査を行っています。あれを行っていていつも思うのは、先ほど、田上委員が画一的だとか、要するに、画一的ですよね。ですから、そういう意味で、ここで認定することにも最終的には反映してくるのでしょうから、少し変わりゆく姿をイメージするというのは、正に、田上委員が言った先を見据えたということなのだろうと思い、先ほど御説明を受けました。
 もう一点は、各29大学は工夫しないと生き残れなくなってきています。18歳人口がガコッと減る3年後、5年後にどのように生き残るかというのは、私、理事長、学長として非常に頭を悩ませているところです。私立、国立、公立を問わず、歯学の応募者が減っていくのを前提で考えて、29大学が知恵を出さなければいけない。これは厚労省、文部科学省、歯学の教育だけではなく、チームプレーとして歯学がやっていかなければいけない問題だということが、一戸座長に対するお答えになるのかと思っています。
○一戸座長 ありがとうございました。大変鋭い御指摘を頂きました。今の西原委員の御意見について、先生方から何かございますか。
○小林委員 確かに、西原先生がおっしゃるように、今、歯科医師の将来設計が見えていないのは事実だと思います。日本歯科医師会や学会連合で、いわゆる専門医制を準備している所ですが、西原委員も御存じのように、専門医制がどのようになるかは今後の課題だと思います。これから社会の需要に対応した歯科医師を作っていくためにはどういう専門医が必要かということも、今、議論しているところだと思います。
 本日の資質向上に関する検討会の資料にもありますが、こういう漠然としたものではなくて、もう少し具体的にどういう所に人員を配置したらいいかというものが、検討されつつあると思いますので、それを踏まえた上でキャリアパスを示してあげれば、将来設計はおのずと見えてくるのではないかと思います。
 私たちの世代は、卒後病院で勤務医をして開業してそのまま人生を送ってきましたが、そういう人生設計とはこれからは変わってくるということが、まだ理解されていないと思います。ですから、そういうことも今後の資質向上に関する検討会で示されるのか、何らかの形で示していけばいいと思います。そうすることで、私たちがやっている臨床研修の到達目標をもう少し明確に示してあげることが必要かと思いました。
 卒前・卒後教育のことも含めると、スライド8に到達目標が出ています。実際にこの形でいいのかということを見直したほうがいいかと思います。各論に入ってしまいますが、例えば、医療面接は、卒前の大学の病院実習で十分できるのではないかと思うところがあります。ですから、これは卒前に回していただいて、実際に高頻度治療、予防・治療基本技術、総合治療計画、応急処置を基本習熟コースでしっかり行い、また、最近、医療安全・感染予防が必要ですので、これを入れていただいく、それ以外は全部基本習得コースに回す形でもいいのではないかと思いますので、この辺りを見直してみて、到達するスキルを明確にするということが大事ではないかと思います。
 その辺を示してあげると、その後のオプションの部分、在宅などの部分がどういう構成かということをプログラムの特色として示していけば、研修医の方も自分の将来像が少し見えてくるのではないかと思いました。
○一戸座長 個別の話で申し訳ありません。今の到達目標に限って言えば、8ページの到達目標は平成18年からずっと変わらず維持されているものなので、これは変えたほうがよかろうということで、この間の厚労科研で少し考え直したところです。参考資料4の表1に新しい到達目標としてこういうものを入れてはどうだろうかということで、例示が幾つかあります。こういうものは、もしこの後のワーキングができれば、そこで検討できればと思っています。ありがとうございました。
 ほかに何かございますか。
○西原委員 今のお話について、私、一戸研究班に加わっていて感じたことは、項目は出せたのですが、どのような加重を掛けるかというのをですね、是非、使っていただきたいですよね。そういう気がします。
○一戸座長 やはり、まだプロセスベースであり、ここはアウトカムにはなっていないと思います。
○羽村委員 その後のそれぞれの研修医の可能性を残すためにも、私は臨床研修はプロセスベースでよろしいかと。その後、自立という言い方は変ですが、独り立ちしたときには結果を求められるわけですから、自分で開拓と言うと変ですけれど、きちんと自分で目標設定していけるような歯科医を作るというほうがいいかと思います。しつこいようですが、私は研修医はプロセスベースでいいと常々思っています。
○一戸座長 ありがとうございました。歯科医師臨床研修が実際に行われるようになってから、基本は形成評価という考え方で今までやってきたわけです。一方では、先ほどの、ある程度はアウトカムの評価もしたほうがいいのではないかという御意見があることも事実なので、その辺りは兼ね合いだと思いますが、これは、是非、検討していただければと思います。
 ほかに何かございますか。
○小林委員 羽村委員、例えば、今の学生の教育課程はどうなのでしょうか。いわゆる、ゆとり教育できている方は、自分でしっかり目標を決められるかということについて物足りなく感じるのです。文科省を批判している訳ではないのですが、うまく引っ張ってあげるとすごく伸びるのですが、そうではない学生、自分から飛び立って行くような、力のある学生は少なく感じるのです。私たちの頃は結構ハングリーだったので、自分たちで目標を決めてやっていましたが、今の学生を見ているとそう感じるのですけれど、差はないのでしょうか。
○羽村委員 不適切な言葉があれば議事録から排除していただきたいと思います。例えば、私どもの大学の入学者の9割は私立高校出身で、公立高校はほとんどおりません。では、中学まで戻ると、これもほぼ私立なのです。そうなると、ゆとり教育は基本的に公立の小中学校ですから、余り関係ないということが1つです。逆に言えば、私立で至れり尽くせりで育ってきた子たちが、私どもの大学に入ってきているという事実があります。ですので、単にゆとりだからうんぬんというのは当てはまらないかと思います。
 逆に、ゆとり教育で育った子だとするならば、物怖じしませんので、そういう点では、我々が学生時代に持っていなかった資質を持っていると思います。どこでも堂々と言いますか、やるとなると非常にチャレンジャーになっていくということはあります。教員たちのほうが、それを解き放つことができるかということです。なぜかと言うと良い子ですので、我々がやるなと言ったら本当にやらないのです。そういう点では、私立、公立、国立の差はあるかもしれないのですが、これは一戸座長にもお話していただければいいと思いますが、恐らく、どこの私立歯科大学でも同じだと思います。
 ある意味では至れり尽くせりで、中高一貫教育の私立で育ってきて非常に大事に育てられている子たちがいる。そのときに、ある意味では人の顔も見る子たちですから、こちらが心底自由にしていいと言わない限りなかなか自由にしないので、自分の目標設定とかを言わないし、おくびにも出さない、という子たちが増えているような気がいたします。ただ、それがゆとり教育なのかどうかは分かりません。しかし、現実問題として、本学の学生たちが本当にゆとり教育できましたかと言うと、先ほど言ったようにそうではないと感じています。私自身は、私立の中高一貫校であれば、ほぼゆとり教育とは関係ない教育をされていると思っています。余り一まとめにされないほうがいいかと思います。これは、全ての子供と言いますか、今の子たちの年代の特徴だと捉えたほうがいいような気がします。
○小林委員 そうであれば、なおさら明確な目標を決めてあげたほうが伸びるのではないでしょうか。
○羽村委員 このプロセスをやりなさいと言って後は見守ることで、非常に才能を開ける子たちが多いと思っていますし、信じております。
○小林委員 分かりました。
○一戸座長 どうでしょうか。多分に個人に依存するところは大きいのではないでしょうか。私立大学と国立大学に入ってくる学生でも、大分、気質が違うと思いますし、そこは余りまとめてこういうものだとは言えないかという気がします。
○鴨志田委員 先ほどの西原委員のお話で少し考えました。多様な生き方は思い付かない、歯科医師が96%は普通の開業医で、勤務か開業する以外には空想と言うか思い付かないのですが、開業医の中でも、どこに重点があると言うか、少し頑張ってやるかというのはいろいろあると思います。
 例えば、今までの到達目標には余り入っておらず大雑把になっているのですが、学校歯科医で頑張って検診して問題解決をしようとしている先生もいるし、訪問診療として在宅や施設に行って超高齢化社会の現実を何とかしようという先生、それから、私が先ほど少し言いましたが、今度は特定保健指導にも手を付けて、神奈川県に2、3人いるのですが、実際その特定保健指導を行う施設になり管理栄養士を雇い特定保健指導を始めているという先生もいらっしゃいます。開業医の中でも、そういう種類、違いが出てきているので、そういうことを後押しするような制度設計ができないかという気がしています。
 今だと、付録でやっているの、それはよかったね程度です。そうではなくて、今の社会はそのように動いているので、そういうことをやること自体は経験のために大事だし、そこで何人かはそちらの方向を頑張ってやっていくかもしれないし、歯科医師の中にもそういう人は人材としてどうしても必要なので、何かそういう制度になると有り難い。もちろん、歯科医師会でもそれなりにボランティアで頑張って研修会をやって勉強して、種々雑多な研修会がありますから、そういう中で勉強してみるとか、私は歯科医師会をやっていますから、そういう要素が入ると大変有り難いという感じを持っています。何かそういう要素が入ると大変有り難い。先生が言った、多様性になるのか、キャリアのひとつになるのか分かりませんが、そういう感じがいたしました。以上です。
○西原委員 今、鴨志田委員がおっしゃった点について、やはり地域で活躍されている先生には特徴があります。我々が6年間の教育を行い、研修医は病院長の下でセンターの運営でやっているわけですが、附属病院での方向性と言うのでしょうか、まず、ポリシーを明確にしていったときに、今、うちはDEMCOPやDEMCABという言葉で、全身疾患が分かるような歯科医師を育成しようということで、北九州市と5地区の歯科医師会とが連携協定を結びリカレント教育を行っています。そうすると、そこに見えている先生方でも、すごく秀でた方と興味本意で来てくださっている方がおります。その経験をしていくと、もしこの先生が大学で教えてくれたら、非常に我々は助かるという経験をしました。
 正直に申し上げて、これまでは、歯科医師会の先生方、あるいは同窓会の先生方で、自分はうまいのだとおっしゃる方がたくさんいるのですが、実質、我々はどのように評価していいのか分からない状況でした。今、歯科医師会も生涯研修制度をしっかり組んでいらっしゃる中で、そういうものを見える化して情報開示して我々が活用できるようになれば、各大学の特色に従って、今、鴨志田委員がおっしゃったような先生方を入れていく、そうすることで、田上委員が訪問歯科ができないので大学がきちんと診なければいけないとおっしゃっているのですが、そうではなくて、しっかりやっている方に来てもらうという逆転の発想が、鴨志田委員の発想かと伺いました。
 これまで以上に連携が求められる時代になってきたし、小林委員、歯科医師会も変わってきているのですよね。そのように理解していいのですよね。私もそういう気がしています。
○一戸座長 ほかに何かございますか。
○羽村委員 少ししつこいようですが、ゆとり世代について。私は私の地区で長年教育委員をやっています。
○一戸座長 御自宅の。
○羽村委員 はい。小学校、中学校の子供たちを見ています。ゆとり教育は、確かに、学校教育の中でゆとりがある反面、その分地域での活動が多くなっているのです。もちろん、それは地域差があるので、全ての地域で同じようにやっているというわけではありませんが、私どもの地域の場合、その分、子供たちが学校でできないことを外でやっているということがあります。例えば、私どもの地域は外国人の子供たちも多いので、横田基地が近いので横田基地の中の子たちと交流とか。ですから、地域によって差はありますが、どこの地域でも子供たちにプラスアルファ、いわゆる、読み書きそろばんではなくて、そのほかのところで経験させるということは、すごく行っていたと思います。
 ゆとり教育は、確かに筆記のテストの点数は低いように捉えられるかもしれないのですが、その分、いろいろな経験をしている、多様性のある子たちがいるという評価もできるかと思いますので、しつこいようですが、一元的にゆとり世代だからどうかというのは控えたほうがいいかと思います。
○丹沢委員 すごく本質的で大事な話がずっとありました。今日、これらの論点についての具体的な内容をワーキンググループで検討することとしてはどうか、という提案に持っていくためには、今、言われたような背景で、研修内容、臨床研修施設、指導体制について、どういうことをワーキンググループで練るべきかということを決めなければいけないのですね。
○一戸座長 ある程度そのことを御提言いただいて、ワーキンググループで検討するということで委員の皆様にお認めいただければ、そのように。
○丹沢委員 内容の項目や目標が、今日の一番の目標ですよね。
○一戸座長 そのようにしているかと思います。
○丹沢委員 分かりました。すごく本質的な話なのですが、それを反映させるにはどのようにしたらいいか考えてみます。
○羽村委員 研修内容の到達目標の見直しについて、卒前・卒後の一貫性はとても大事なのですが、一番臨床に近いところの到達目標を立てられるのは臨床研修だと思っています。そうすると、臨床研修から逆に卒前の教育にも影響を与えられるような手立ては、何か得られないかということがあります。実際に、西原委員もおっしゃってくださった、94%ほどが一次医療の場にいるわけですから、その一次医療に向かって卒前教育は本当にできているのかということを投げ掛けてもいいかと思います。
○一戸座長 今回はタイミングが遅くなってしまったのですが、できれば、コアカリ、国試の出題基準と同時に、ここも併せて検討できればよかったのです。
○羽村委員 そうなのですよね。おっしゃるとおり同じときに。せっかくコアカリと国家試験の出題基準があったので、今回は5年に1回ということですが、その次のときに短くてもいいですから一緒に。
○一戸座長 何かね。
○羽村委員 はい、できないかということは提案したいと思います。
○一戸座長 ありがとうございました。ほかに何かございますか。
○小林委員 項目についてはこれでいいと思います。
○丹沢委員 西原委員のお話とかそういう話もあったので、少しお話します。今年、私は結構講演に呼ばれて、少し明るい話がなければいけないので、歯科医師の第3の業態という話をしています。今まで、自分のオフィスに患者が来てくれて削ったり入れたりしています。それから、訪問で施設や病院、在宅へ行きやっています。では、これから何が必要なのかというと、財政諮問会議や厚生労働省から出されている課題としては、成育への貢献や疾病予防、重症化予防、介護、フレイル対策ということがあります。実は、こういうものは病院やいろいろな施設にあります。削って入れるばかりではなくて、そういう所へ行って、歯科医としての専門技術や知識に基づいた診断をして、管理計画や治療計画を医者と一緒に作ってあげるというような仕事が第3の業態としてあります。年を取って手が動かなくなったり、息子と一緒に診療所で働いていて、診療方針案等でもめているのだったら、そういう所へ行き少し口と頭で稼いだらどうですかという話をしています。
 そうすると、介護、フレイル予防に関しては、歯科口腔機能、摂食嚥下、栄養摂取のところは、保健でもかなり強化されて歯科医に期待されているところです。単に、摂食嚥下の訓練と言っていますが、実際には、球麻痺や偽性球麻痺も、全然診断もしないで事故寸前のことをやっている人がたくさんいるのです。だから、やはり本番の病院に来ていただき診断とかそういう場を見てもらう。それから、フレイルがすごく多くなるので、本当はフレイルの方が歯科医の一番の対象なのです。そういうことを意識して、そういう環境でどういう人たちと接触し、協力してやればいいのだという経験をしてもらうという、フレイル対策とかそういうものを入れてもいいのかと思います。それは経験としてやればいいことなので、できなくていいのですから。
 それから、一番大事なところは成育への貢献です。子供の生活習慣の形成やリスク症例の早期把握とか、家庭によって、まだまだとんでもないカリエスが散在している子供も実際にはいるので、小児歯科やそういう所に行かないとなかなか会えない、そういう患者に会わせることを経験させ、親への教育が大事だということを経験させる。それから健康診断の場があります。一応、政府の会議で課題が大きく3つ与えられていると思うので、それに応えられるようなことを経験するというのも、入れたらいいのではないかと思います。
 そうすると、余り今までの研修にぐちゃぐちゃ付け加えなくても、将来像が見えるように思います。余りいじると、ろくなことがないような気がします。地域でみんなで組み合わせていい研修をやりましょうという申合せさえできれば、それほどいじらないほうがいいと思います。
○一戸座長 たった1年なので、余り何でもかんでも欲張ってもうまくいかないということも見えていますから。最初に戻りますが、やはり、最初に丹沢委員から御指摘いただいたように、ミニマムリクワイアメントをしっかりやるということと、そのほかの、ある意味アドバンスなのかもしれないのですが、これからの時代を踏まえて地域包括ケアとか、地域医療の中で歯科医師がどのように働いていけるのか、彼らが最低限どういう知識や簡単な技術を身に付けていけば、そういう所で役に立つことができるのかみたいなことは、考えておかないといけないのかと思います。
○丹沢委員 内容はそれでいいと思います。臨床研修施設について私が思うのは、結構うまく地域で組み合わせてやっている所があると思うのです。そういう事例が提示できて、そういう充実が自分の所の1か所での充実ではなくて、組み合わせて充実していきましょうという方針を立てれば、それほど無理なくいけるのではないかと思います。
 指導体制については、先ほど言ったような要件を、更新制が必要だということを検討していただかなければいけません。必ず更新に必要だということでなくても、指導者としての講習会は充実したほうがいいと思うので、在り方の所には、是非、指導体制を構築するなどの方法論は今までみんな訓練されてきているので、もっと大きな目で、管理体制など、そういったことをひも解いてもらえるだけで、大分、見方が変わると思います。昔の医局とかで起きていることとか、今、病院で起きていることは、医者が労務管理とかを全く知らないから起きていることなので、きちんと勉強すればいいのだと思います。
○一戸座長 ありがとうございました。
○西原委員 今、丹沢委員に具体的な事例からお話いただきました。私も大学教育を変えていく中で、先ほどパブリックスクールと申し上げましたが、今回の資料で歯科保健医療ビジョンの策定ということで、山口専門官から皆さんも御存じのようにということで、御説明がありました。かかりつけ歯科医があり、役割分担があり、医科歯科連携があり、多職種連携があり、要は、健康長寿、あるいは、いろいろセンターと絡み合う。
 本学は北九州市で地方の高齢政令都市№1ということで、歯科保健医療の中で都市型の展開をやりたいと思っています。そうすると、29大学で各地域の特殊性があり、都市部の、東京は東京、関西は関西、さらには地方の鹿児島、長崎、北海道、そこの大学が自分の学部教育から研修教育まで組み上げるのに、イメージしやすいような項目を、今、丹沢委員が言っていらしたように、ワーキンググループがイメージして作っていくと、大学教育もおのずと変わってくるような気がします。すごくいい提案をされたのではないかと思います。
○一戸座長 ありがとうございました。ほかに何かございますか。
○小林委員 今、臨床研修施設の話が出たので追加です。このデータを見ましたら病院歯科において常勤が1人しかいないという所が多い状況がみられます。一方、協力型施設をもっと増やしたほうがいいと思うのですが、常勤が2名という縛りが現状あるため、その辺りがバリエーションに富んだ臨床研修をする上では足かせになっているような気がします。例えば病院歯科で常勤が1人いて、専門性のある方が、常勤換算で1人分に該当する何人か来ていれば常勤として数えるなど、そういう形で少しある程度規制を緩和していただいたほうがいいのかと思います。もちろん常勤換算で来る方というのを、専門医の資格を持っている歯科医が勤務しているとかそういうことにすれば、いわゆる地域に密着したような医療を体験できるような協力型施設が増えるのではないかと思いますので、その辺りを是非検討していただきたいと思います。
○一戸座長 ありがとうございます。大変重要なところだと思います。今のルールの中ではなかなか難しいのかもしれません。そこがちょっとでも変えられると、病院歯科みたいな所でも研修のチャンスがすごく増えるかなという気がします。病院歯科はやはり、例えば丹沢先生の所の医局員がたくさんいて、研修歯科医が1増え。
○丹沢委員 その1人増えると全然違うので、……。
○一戸座長 多少1ぐらい減っても大丈夫だという所と、研修歯科医をちゃんと働き手として意識して、ですから国家試験でいなくなったりすると困るみたいな所もあるので、1人の医長という所でも研修がもしできるような何らかの仕組みが考えられれば、それはそれでまた、いいのかなとも思います。この辺はいろいろと法的なこともあるでしょうから、いろいろ議論していただかなければいけないのだろうと思います。
 ほかにいかがでしょうか。今日の資料1の32ページの研修内容、あるいは臨床研修施設、指導体制と、これらの大枠については、こんなことをワーキンググループで検討していただくと、大きなところはよろしいですか。
○羽村委員 もうよろしいのですけれども、ただ、読み違えてほしくないというのが、その到達目標の見直しの、「臨床研修施設の特徴を反映した到達目標」という所で、ミニマムリクワイアメント自体が施設によって違うということではありませんというように、きちんと理解してもらいたいなと思うのです。ちょうど一戸座長に示していただいた資料4の中にあるように、必ずやらなければいけないことが50%~70%であって、残りの50%~30%ぐらいですか、それは対応制にしてくださいというところですので、それを間違えないようにワーキンググループで議論してもらえればと。それが施設によって違いますと言ってしまうと、私は研修制度自体がちょっと崩れていってしまうのではないかと思いますので、それは読み違えないようにと思います。
○一戸座長 それは、是非そのように皆さんに考えていただき、基本的にはコアカリと同じ考え方というようにしていただければと思います。
○羽村委員 おっしゃるとおりですね。
○一戸座長 ほかにはいかがでしょうか。実際にはワーキンググループで検討していただくにせよ、いろいろなうまくいっている事例等もワーキングの中で御紹介いただいて、あるいは直接来ていただいて、そういう御意見を聞きながらやるのがいいのかなとも思います。それはワーキングのほうでまた考えていただくことかもしれませんが。ほかはいかがでしょうか。鴨志田先生、何か。
○鴨志田委員 いや、特にありません。
○一戸座長 小林先生も語り尽くしましたか。
○小林委員 今の更新制の問題については歯科医師の更新制のこともありますので非常にデリケートかもしれませんが、指導歯科医は何らかの研修を受けていただくということは絶対必要だと思います。内容については丹沢委員がおっしゃるようないろいろな多方面の医学的知識等が必要だと思います。一方、カリキュラムプランニングとかそういうものは、指導研修会で習っているのですが、実際の教育に対するストラテジーというか教え方みたいな部分の講習はありません。そういう部分は加えたほうが良いと思います。
○一戸座長 丹沢先生はほかに何か。
○丹沢委員 項目が挙がっているのですけれども、余りその項目に限って話をすると少しややこしくなって、また狭小化してぶつかり合ってしまうと思うのです。だから大きく指導体制としての連携の在り方はどういうのがいいですよという話とか、それからこの到達目標については、1年たったときに、出られたときに、最低限できることはこんなことで、こんなことはできるようにしましょうというような内容。それからこんなところも見せてあげられたらいいですよねとか、体験させてあげられたらいいですねという、そのぐらいの捉え方でゆったりと構えてもいいと思うのです。ただ、ミニマムのところはやらせてあげたい、どこまでできるようになるか分からないけれども。それで数値目標も入ったわけですから、全部のことではなくても、最低限この項目は是非実現してくださいというのが、お願いがあってもいいような気がします。
○一戸座長 やはりワーキンググループでも議論の中では個別に具体的な話が出てしまうと思うのですが、ただ、ゴールは将来役立つ歯科医師というためにどうしたらいいのか、少し大括りな部分の考え方も踏まえてやっていただくということだと思います。
○丹沢委員 今日の議題には関係ないのですが、研修でうまく大学と病院歯科が連携できるようになると、アンダーグラデュエイトとの教育に病院歯科が役に立てるようになるので、それがすごく大きな時代がくると思うので、是非うまくやってほしいと思うのです。
○一戸座長 臨床研修と直接的ではないのですが、歯科専門医機構で、先ほど小林先生もおっしゃっていました、新しい専門医の制度を考えていく中で、言葉はどういう名前になるのか分かりませんが、地域の先生方がやっていくような総合的なカリキュラムというか、そういう中でも臨床研修の更に延長というか、臨床研修とうまくリンクしながら研修ができるような専門医の仕組みを考えないといけないと思っています、そちらの仕事をしているので。その辺も横目で見ながら、やっていっていただければいいかなと思います。西原先生何かありますか。
○西原委員 前回の三田のときの資料に戻って恐縮ですけれども、あのときも分からないままだったので解決したいのが、山口専門官の説明で結構ですけれども、最後の「総合的な診療能力を持つ歯科医師のシームレスな養成」というのがありますよね。
○一戸座長 三田のときの資料ですか、参考資料1の。
○西原委員 はい、そうです。三田のときの、今日の参考資料1の一番最後です。1年以上というのに関しては、あのとき議論しましたよね。私が2年目の原資をどうするかとかいうお話をして、ここの所で「一回目歯科医籍登録」と「二回目歯科医籍登録」と踏み込んで書いてあるのですが、山口専門官、これはどういうイメージでしょうか。
○山口歯科医師臨床研修専門官 すみません、やや誤解を生じるような表現だったかもしれないのですけれども、こちらは臨床研修を修了したとき、研修修了者からの申請に応じて、歯科医籍に臨床研修を修了したという登録をしているという意味です。あくまでこちらの事務的な記載です。少しその辺り説明不足だったかもしれません。
○西原委員 というのは、歯科医籍と歯科医師免許とはおのずと違うのと、厚生労働省の考え方としてこれは書かないほうが、仮に表に出ることはないにしても、資料として何となく不適切かなと私は感じているので、御検討願えたほうがいいかと思っています。
○山口歯科医師臨床研修専門官 御指摘ありがとうございます。
○一戸座長 羽村先生、何かありましたら。
○羽村委員 先ほどからさんざん話しているとおりですが、あともう一点言えるとしたら、臨床研修施設についての所で、何としても歯科診療所における臨床研修、ここを増やさないと一次医療の場での教育という、一次の場で必要な歯科医の教育から離れていってしまう、それはいけないと思いますので、そこを何とかしないといけないと思うのです。というのは、田上先生からの御意見もありましたけれども、地域での活動、確かに本学でもそういう拠点を作りましたけれども、例えば病院歯科とか大学病院では、例えば学校歯科医、警察医等々、保健所との協力等は全くできない、やらないしできない状況なのです。それはもう一次医療の場でしかできませんし、その地域地域によって特性があると。自分の住む地域で、将来自分が地域医療の中で、また地域の人々の健康、幸せを守るその職種の1人としてどうするかということを考えさせるためにも、やはり一次医療の先生方の協力、それからこの歯科診療所の活用は絶対必要だと思いますので、この辺は何としても充実してもらいたいと思います。私はそのための方略も何も今は持っていないのですけれども、このワーキンググループで方向性を出してもらいたいと思います。
 いつも私は鴨志田先生のお話を非常に興味深く、また参考にしていますので、是非とも鴨志田先生から御意見を頂ければと思います。すみません、司会を取ってしまって。
○一戸座長 先ほど小林委員から御指摘のあった病院歯科もそうですし、地域の先生方でも、研修がやりやすくなるようなことを考えられるといいのかと、それは確かにそう思います。それが充実して初めて、その役割分担というのも効率よくできるのかなというところもあるので。ありがとうございます。ほかに先生方から何かありますでしょうか。
○羽村委員 鴨志田委員の御意見を。
○鴨志田委員 先ほど西原委員のお話に少し刺激されてお話したつもりなのですが、今7万何千人いる開業医のうち、85%が勤務医ないし開設者というのが日本の歯科医療の現場なわけですよね。ただし、社会が段々変化している、それから疾病構造も変化していますから、二昔前に我々が習ったような、う蝕と歯周病の処置のみという率が段々下がってきて、今は高齢者、丹沢委員が先ほど御指摘になった成育医療と子供たちの口腔機能の不全であるとか。
 昨日たまたま日本歯科医師会の8020推進財団の30周年記念で、飯島勝矢先生がオーラルフレイルのお話をされて、そのようなわけで歯科医師会ではそのオーラルフレイルを取り上げて、これを何とか進めようというので今一生懸命にやっているのです。そういう切り替え、変化をしていかないといけないと考えます。もちろんベースとなるう蝕と歯周病の、あるいは欠損なりの疾病の医療、三次予防になると思うのですが、二次予防、三次予防はすごく大事だと思うのですが、それとは別に新しい概念のオーラルフレイルなり、成育医療とかそういうことをやっていかないといけないということを、できれば研修医のうちに少し経験や実践をしていただいて、将来自分が本当に腑に落ちてそっちをやるのだというような若い先生が増えてこないと。ずうっとこのままう蝕と歯周病でいくのかどうかというのは、その10年後ないし、最近2040年というのが厚労省で出ていますよね、少し心配がある。国民のためを考えたらベーシックなことをやる、今までどおりのことをやる歯科医師も必要だけれども、そうではない一次予防に少し寄ったようなことをやる、フレイルもきちんとやる、成育医療、子供の機能不全も考える、学校歯科でも活躍する、そういう歯科医師をつくっていかないと社会のニーズに応えられないのではないかと私は常々思っています。それなりに歯科医師会で一生懸命養成しようと思っているのですが、今ままでどおりしてきた、一旦完成していますから、そういう先生たちを変えるのはなかなか難しいのです。神奈川県で歯科医師会に3,900人いますから、中には変化や理解が早い会員がいて、1ないし2%は少し賛成してくれて、少しずつ動いているのですが、研修医のうちに少し経験だけでも、あるいはそういう社会、そういう世界があるということだけでも経験していただけると大変有り難いといつも感じています。更には制度に反映していただけると大変有り難いと考えています。
○羽村委員 実はもう6年前になりますけれども、私どもの大学で地域の連携と在宅医療の拠点を小金井に作ったのですが、そのときは完全に高齢者がターゲットで作ったのですが、いざ蓋を開けてみると、医療ケア児、子供たちの需要がすごくあった。それまで私は病院長で小児歯科をいかに小さくしようか、どれだけ小児科を縮小していこうかと考えていたのが、一気に考え方が変わって、逆に成育医療、特に在宅の医療ケア児をどれだけ診られる歯科医を作らなければいけないかという観点も非常に出てきて、今の拠点は高齢者の部分と子供たちの部分とはっきり分かれているというと変ですけれども、そちらも非常に大事な部分、場所になっています。丹沢先生がおっしゃるように、成育医療というのがどうしても子供たちの虫歯がなくなってくると忘れがちなのですが、実はそこも一次医療の先生方に、何とかカバーしていただかないといけないところです。厚労の先生方は御存じだと思いますけれども、多摩地区の小児ネットは、子供たちのケアの中核は開業されている先生たち、その先生たちに何とかその子供たちを見てほしいというところで動いていますから、そういうのもこれからのことを考えると、在宅の高齢者のところにどうしてもフォーカスは行くのですが、それだけではないところがあることを、ワーキンググループでうまく反映させていただければと思います。
○一戸座長 そのことも含めて、今日の資料の7ページの歯科保健医療ビジョンというので、いろいろなことを考えていかないといけないということです。厚労省が考えて提示したこういう姿に対応できる若い研修歯科医を育て、世に出していかなければいけない、そのための下地作りということですから。
○丹沢委員 夢が持てないと、これは教育なので、若い人に夢を持ってもらって。
○一戸座長 そんなことを考えていただきながら、ワーキングで検討していただきたいと思います。今日、32ページには事前の第1回の会議のときにいろいろ頂いた御意見をまとめていただきました。今日また更に御意見を頂きましたので、そこも整理させていただいて、こういうことを基本にしながら制度改正に向けて、このワーキングで検討していただいたものを、また来年の7月ぐらいの部会に持ってきていただき、ここでまた先生方の御意見を頂く形で進めるということでよろしいでしょうか。ありがとうございます。では、基本路線はそのような形で進めさせていただきたいと思います。
 ワーキングが動いている間、直接先生方からということはないのですが、何かあればまた私に耳打ちしていただければ、事務局にこういう御意見もありましたとまた言えると思いますので、よろしくお願いします。
 それからワーキングのメンバーについては、事務局と相談をさせていただきたいと思いますので、御一任いただければと思います。よろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは、まだ予定の時間より多少早いですが、今日の議論はここまでにさせていただき、後は事務局から連絡事項等ありましたらお願いします。
○藤本歯科保健課課長補佐 本日は御議論いただきありがとうございました。次回の会議の日程につきましては、未定につき後日改めて日程調整をさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。以上です。
○一戸座長 今日の臨床研修部会はこれで終わります。どうもありがとうございました。