第26回がん検診のあり方に関する検討会(議事録)

健康局がん・疾病対策課

日時

平成30年12月20日(木)16:00~18:00

場所

厚生労働省 省議室(9階)

議題

(1) これまでの議論の整理と今後の議論の進め方について
(2) がん検診の精度管理等について
(3) その他

議事

 

○事務局 定刻となりましたので、ただいまより、第26回「がん検診のあり方に関する検討会」を開催いたします。
 構成員の皆様方におかれましては、お忙しい中、お集まりいただきまして、まことにありがとうございます。
 初めに、本日の構成員の出欠状況でございますが、福田構成員より御欠席の御連絡を受けております。また、中山構成員より、遅れて御到着との連絡を受けております。
 続いて、資料の確認をさせていただきます。上から、
 座席表
 議事次第
 資料1 これまでの議論の整理と今後の議論の進め方(案)
 資料2 がん検診の種類について
 資料3 がん検診の精度管理について
 参考資料1 「がん検診のあり方に関する検討会」構成員名簿
 参考資料2 がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針
 参考資料3 事業評価のためのチェックリスト
 参考資料4 仕様書に明記すべき必要最低限の精度管理項目
 参考資料5 平成29年度市区町村におけるがん検診の実施状況調査
以上でございます。
 資料に不足、落丁等がございましたら、事務局までお申し出ください。
 以上をもちまして、カメラをおさめていただきますよう、御協力のほどよろしくお願いいたします。
 この後の進行は、大内座長にお願いいたします。
○大内座長 では、第26回「がん検診のあり方に関する検討会」を開催いたします。
 本日の議題でございますが、3点ございます。初めに、議題の「(1)これまでの議論の整理と今後の議論の進め方について」につきまして、まず事務局より説明をお願いします。
○事務局 お手元に資料1「これまでの議論の整理と今後の議論の進め方(案)」を御用意ください。
 スライド番号は、第24回、第25回の検討会で事務局から提示させていただいたものですが、ここに示されている「がん検診の基本条件」や「メリット・デメリット」に基づき、がん検診のあり方について御議論いただきました。
 続いて、スライド番号2及び3に、第24回・第25回の検討会における議論の整理をお示しします。
 スライド番号2には、がん検診のメリット・デメリット等に関する総論的な御意見を、スライド番号3には指針で推奨されている5つのがん検診それぞれのメリット・デメリット等についての議論を整理いたしました。
 これまで、指針の改正を見据えてこのような議論を続けてきたところですが、がん検診のあり方については、スライド番号4に示すとおり、未来投資会議等においても成長戦略の方向性として、疾病の早期発見に向けた取り組みの強化が挙げられており、今後、これまでの本検討会での議論に加え、さまざまな角度からがん検診のあり方について検討することが求められております。
 こうしたことから、スライド番号5の「がん検診に係る論点の整理(案)」に示すとおり、がん検診の対象者についての議論に加え、がん検診の種類や精度管理等についても検討を行い、指針全体の見直しを見据えた総合的な議論をしてはどうかと考えております。
 参考として、スライド番号6に「各論点の現状」をお示ししておりますので、これらの現状を踏まえ、今回の検討会からがん検診の種類や精度管理のあり方について御議論いただきたいと思います。
 最後に、スライド番号7に「今後の議論の進め方(案)」をお示しいたしました。
 スライドの下の方にある議論の取りまとめや、2019年度以降の指針の見直しの時期については、第24回で事務局が提示したスケジュール案と変更ございませんが、検討事項にがん検診の種類や精度管理等が加わった点がこれまでとの違いでございます。
 なお、がん検診の種類や精度管理に関しては、資料2以降で具体的に説明させていただきます。
 資料1についての説明は以上です。
○大内座長 ただいま資料1に基づきまして、これまでの議論の整理、主に本年度、平成30年度に行われてきました第24回・第25回の議論の整理について記載されております。
 それで、今後の議論の進め方については案が示されておりまして、5番目で今回、第26回からは加えてがん検診の種類、それから、精度管理等についての実施体制について議論を深めるということで、最後の7ページには進め方の案も示されておりますが、このスケジュール案でよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○大内座長 では、このように進めさせていただきます。
 次の議題の資料をごらんください。議題の「(2)がん検診の精度管理等について」ですが、まず事務局より説明をお願いいたします。
○事務局 事務局から資料2について説明いたします。
 なお、資料2の中には、過去の検討会の資料にも含まれているスライドが幾つかあり、これについてはスライドの右上にその旨を記載しておりますので、御確認ください。
 初めに、スライド番号1をごらんください。このスライドに示すとおり、がん検診は市町村が実施する「対策型検診」と、職域や人間ドック等で実施される「任意型検診」に大別されますが、今回の検討会では対策型検診のあり方について御意見をいただきたいと思います。
 続いて、スライド番号2にがん対策推進基本計画の抜粋をお示しいたします。基本計画においては、がん検診の取り組むべき施策として「都道府県は、指針に示される5つのがんについて、指針に基づかない方法でがん検診を行っている市町村の現状を把握し、必要な働きかけを行うこと、生活習慣病検診等管理指導協議会の一層の活用を図ることなど、がん検診の実施方法の改善や精度管理の向上に向けた取組を検討する。また、市町村は、指針に基づいたがん検診の実施及び精度管理の向上に取り組む」とされており、今後、基本計画に基づいて、本検討会でも御議論いただきたいと思います。
 続いて、スライド番号3には指針で示されている5つのがん検診の概要を、また、それらの前提となるエビデンスについてはスライド番号4~7にまとめております。
 また、スライド番号8にはアメリカにおけるがん検診の推奨のあり方が示されておりますが、特に甲状腺がんや卵巣がんについては全ての年齢層において推奨「D」と位置づけられています。
 スライド番号9には、胃がん、肺がん、大腸がん、子宮頸がん、乳がん以外のがん種に対するがん検診の実施状況をお示しいたします。この5つのがん種以外のがん検診の中でも特に諸外国では推奨Dに位置づけられている卵巣がん検診における超音波検査や、甲状腺がん検診における超音波検査については、「平成29年度市区町村におけるがん検診の実施状況調査」を見てみますと、それぞれ87、31市町村で実施されております。また、エビデンスが確立されていないPET検査や腫瘍マーカー検査もそれぞれ17、16市町村で実施されております。
 なお、本調査のそのほかの調査結果については、参考資料にもございますので、必要に応じてごらんください。
 続いて、スライド番号10~12には卵巣がん検診、甲状腺がん検診、PET検査や腫瘍マーカー検査を実施している市町村の一覧をお示しいたします。これらの集計結果は、先ほどお示ししました「平成29年度市区町村におけるがん検診の実施状況調査」に基づくものですが、調査時に市町村に対して市町村名の公表に同意するかどうかを確認しております。そのため、今回は市町村名を公表することについての同意が得られた市町村のみを公表することといたしました。
 最後に、スライド番号13をごらんください。
 「平成29年度市区町村におけるがん検診の実施状況調査」の集計結果によれば、指針に定められていないがん種に対するがん検診を実施している市町村は全体の86.5%、1,730市町村中1,496となっています。
 指針に定められていないがん検診については、当該検診を受けることによる合併症や過剰診断等の不利益が利益を上回る可能性があります。
 こうしたことから、本検討会において、指針に定められていないがん種に対するがん検診のあり方について議論し、指針の見直しを見据えた御意見をいただきたいと考えております。
 資料2についての説明は以上です。
○大内座長 ただいま、がん検診の種類についての資料2の中で現状についての説明がございました。
 13ページにありますように、指針に定められていないがん種についてのがんについて、方向性が記載されております。本検討会において、この指針から外れているがん種への検診のあり方について議論してはどうかということでございます。
 その前段の「当該検診を受けることによる合併症や過剰診断等の不利益が利益を上回る可能性がある」という文言そのものは本年、平成30年3月に公表されていますがん対策基本計画に記載されている内容そのものでございます。
 では、皆様から御意見をいただきたいと思います。いかがでしょうか。
 祖父江構成員、どうぞ。
○祖父江構成員 最初なので、総論的なことかと思いますけれども、御指摘のように、がん検診を行うことは利益だけではなくて不利益をもたらす。これが大前提だと思います。ですから、利益・不利益バランスが、利益が不利益を上回ることを確認されているものに限って対策型検診として行う。この原則を守る限りにおいては、やはり利益・不利益バランスがきちんと示されていないものに関して、行わないということをきちんと示すことが重要だと思います。
 今回は資料として、指針に基づかない検診を実施している市町村名がずらずらと出ているわけで、相当、厚労省の方々も決意を持ってこれをつくられたのかと思いますけれども、こういうことを名指しで、指摘された市町村のほうも、このことをきちんと理解して、検診を行うことがイコールサービスではないということです。きちんと証拠に基づいた検診を、精度を高く保って行うということに労力を集中することが必要だと思います。
 このことをどうやって推進していくかに関しては、厚労省からこういう指針を出すこととともに、やはり都道府県レベルで県のほうから各市町村に対して実態を把握した上で、こういう指針に基づかないような検診を行っている市町村に対しては、行わない方向での指導をするということが必要かと思います。
 現に私、今、中山先生にかわって大阪府でがん検診の部会の部会長になりまして、そのような通知を各市町村のほうに出す。特にPSAを用いた前立腺がん検診、それから、ここには書いていませんけれども、エコー単独による乳がん検診等も指針に基づかないということで、行うことは差し控えてほしいということを通知で出しております。
○大内座長 ただいま、祖父江構成員から大変貴重な御意見をいただきました。
 指針に基づかないがん検診については、不利益が利益を上回る可能性があるという観点です。このことについては、やはり推奨しないことを定める必要があるのではないかということと理解しております。
 やはり国のほうから一定の方向性を示して、できればがん検診の指針にも記載するような方向性がまずは必要ではないかということですが、いかがでしょうか。
 羽鳥構成員、どうぞ。
○羽鳥構成員 祖父江先生のおっしゃることに、文字としてあらわすときには誤解を受けないようにしていただけるならば同意いたします。
 それから、不利益があるということを中山先生が日本医師会で説明されたときに、例えば前立腺がんを例に説明されたときに、症状が出て発見されてからでも遅くはない、検診としては不適切であるなどの説明をしていただくなど、注意していただけたらと思います。中山先生のスライドは大変わかりやすかったかと思いますので、それを利用していただけたらと思います。
 質問なのですけれども、今回、東京のある病院で、ある検診が3年見落としされてしまった。肺がんの検診で、理事長先生がヘリカルCTでなければ早期発見はできないと記者会見で述べていますが、国のこのスライド6の表では判定は「I」ということになっていると思うのですが、厚生労働省からきちんとした反論は理事長発言に対しては出なかったように思うのですけれども、その点、いかがなのでしょうか。
○大内座長 ただいまの御質問は、肺がん検診における低線量CT。これが対策型検診ではないということをまず確認させていただきます。○羽鳥構成員 でも、あの事例は東京都の区の対策型検診ですね。
○大内座長 では、事務局、よろしくお願いします。
○がん対策推進官 失礼します。がん対策推進官です。
 羽鳥先生の御指摘のとおり、記者会見があったやには伺っているのですが、その内容について、私ども厚生労働省として申し入れ等々をいただいている状況ではございませんので、その点は反論と申しましょうか、そのような状態ではないと理解をしております。
 それで今、羽鳥先生、6ページのスライドを御指摘いただきましたとおり、このがん検診の検討会でこちらの有効性評価のガイドラインに基づいて、現時点でこの胸部X線及び喀痰細胞診を国内のがん検診として推奨するということを御議論いただいておりますので、現時点の我々の方針はこれに沿って進めたいと考えております。
○大内座長 ほかに御意見はありますか。
 では、椎名構成員、どうぞ。
○椎名構成員 このスライドの中の10番、11番のあたりでございますけれども、指針に基づかないこういった検診を実際に実施しているところが全国的に見るとかなり高い割合といいながら、地域的には相当偏りがあるように見えます。これは公表に同意されたという条件はあるところではございますが、やはりがん検診については非常に住民の方ですとか議会の関心が高くて、近隣の地域でやっている別の検診をぜひとも導入してほしいという御意見がたびたび出るところです。そういったことで、乗りおくれてはいけないといった意見が強く働いて指針外の検診を開始する方向に動くということもあると思います。
 そういったことが、ある意味、地域的に固まっている理由の一つかなとも思いますけれども、こういった指針外のものを実施している市町村名がはっきりと示されることは、より適切ながん検診の実施に向けて、改めて見直す、検討するというきっかけに非常になるものだと思います。今回、このお示しいただいた平成28年度の実施状況調査ということでございますけれども、ぜひ継続して、こういったものを把握して公表を続けていただければと考えます。
 以上でございます。
○大内座長 ただいま、この調査に回答された市区町村名が出ていますけれども、こういったことは、例えば精度管理のためのチェックリストの中で、都道府県版、それから、市区町村版とありまして、具体的に都道府県が市区町村を指導するということになっているので、この制度を守っていただければ多分見えてくることだと思います。
 ただ、それを今、踏み込みたいのは、推奨されていない検診を明確に示して、指針等に書き込むかどうかということでお話しいただければと思います。よろしいでしょうか。
 では、井上構成員、どうぞ。
○井上構成員 まさに今、同じスライドについて、ちょっとコメントをさせていただこうと思ったのですけれども、地域で見てみますと、そもそも名前まではっきり出していいという御判断の上で出されているのは、市町村それぞれが自覚しないで、当然いいと思って、この検診を進めているのではないかと思うのです。
 先ほどから話が出ていますように、指針にネガティブなものをやらない、すなわちエビデンスに基づかないような検診をやらないということが明記されていないので、恐らく都道府県としてはそこについて強調することもできませんし、そうすると、その地域あるいは都道府県によっては、医療関係者の中で検診を対策型ではなくても積極的に進めていこうとする人が先導するような地域が出てくれば、当然、それに乗せられて、自覚もなく取り入れていってしまうという状況が目に見えてくるのです。
 やはり最終的な結論からすると、指針にきちんと書き込んでいくことが、都道府県がはっきりと指導できる根拠にもなりますし、それによって、こういう指針に基づかない検診がなされていく例は減っていくのではないかと私は思います。
○大内座長 ほかに御意見はありますか。
 では、棟重構成員、どうぞ。
○棟重構成員 その関連で、参考資料5の3ページ目なのですけれども、今あるように、不利益があることに関して、ちゃんと説明することが大事だという認識の中で、3ページ目の2.の2検診の不利益に関して、説明していない市町村が4割もあるということはやはり課題ではないのかというところがあります。
 それに加えて、こちらの資料の10ページから12ページまで、指針に基づかないがん検診を実施している市町村と不利益を説明していない市町村とのクロス集計をされているのか、こちらに挙げられている市町村の説明状況はどうなっているのか、わかれば教えていただきたい。
 つまり、不利益があることに対して説明することで、指針を書くだけではなくて、不利益についても回避できるのではないのかという問題意識です。
○大内座長 では、事務局、よろしくお願いします。
○がん対策推進官 事務局でございます。御指摘ありがとうございます。
 参考資料3の2にある説明していない部分と、今回、資料2で示させていただいた自治体とのクロス集計は、残念ながら現在はしておりません。これは単純に集計したものを今回、事実関係としてお示しさせていただいたものであります。
○棟重構成員 それは調査の内容としてはできるものなのですか。
○大内座長 中山先生、どうですか。振って申しわけないのですが、そういうクロス集計は可能ですか。
○中山構成員 やろうと思ったらできるかと思いますが、ちょっとそれはデータを、細かいところを見ないとできません。
○棟重構成員 わかりました。無理にとは言いませんけれども、やはりそこにも問題があるのかなというのが懸念としてありますので、ちゃんと説明をするということを徹底していただくことが大事だと思います。
○大内座長 説明がされていないという実態もわかったと思います。この点についても改善すべく、やはり指針への反映が必要かという御意見ですね。
 では、松田構成員、お願いします。
○松田構成員 指針にのっとらない検診を行ってはいけない。それは先生方の御指摘のとおりだと思います。
 ただ、今日、もう一つ問題があると思ったのは、指針に基づいて行われている5つのがん検診で、指針外の年齢を対象にしているということだと思います。参考資料5の6で、これは平成28年度に行われたがん検診に対する調査なので、胃がん検診に関して言いますと、対象年齢は50歳以上、検診の方法は内視鏡もしくはX線です。ただし、40歳代についてもX線は行っても構わないという年だったので、40代が入ってくるのかなと思います。一方で、肺がんや大腸がんや乳がん検診で指針外の対象年齢となると、恐らく30代がかなり入っているということを示しているのだろうと思います。それも先ほど祖父江構成員が言われたように、不利益が利益を上回る可能性があるという観点から、指針外の年齢を対象にするのは好ましくないということをもっと認識しなければならないと思います。
 もう一つ、事務局にお伺いしたいのですが、今後の検討会では年齢の上限が議論になると思います。既にそれを独自に決めて行っている、例えば重点的に受診勧奨すべき年齢の上限はこの程度だと決めてやっている市区町村があるのか、ないのか。おわかりになれば教えていただけますか。
○がん対策推進官 事務局でございます。
 今、松田先生御指摘の点なのですけれども、ここで集計したのは、まさにアンケートとして聞かせていただいたもの、そのものの素集計でございますので、指針に基づいているか否かという意味で、今までメリット・デメリットで御議論いただいていた年齢上限に関するものは残念ながらとれないというふうに認識をしております。
○大内座長 では、羽鳥構成員、どうぞ。
○羽鳥構成員 先ほどの資料2の10~12ページでありますけれども、この指針に基づかない検診。私はもともと神奈川県医師会でがん対策の理事をしていたのですが、神奈川県のがん対策のときに指針に基づかない検診を行う市町村の一覧がずらっと出てくるのです。そうすると、肺のヘリカルCT、全大腸内視鏡、口腔がん検診、PSA検診などがでています。ここにでているのは公表してもいいという市町村ですが、公表しては困るという市町村も入れると、この5倍も6倍もあるのではないかと思うのですが、厚労省では公表はしないけれども、実数は捉えているという解釈でよろしいのでしょうか。
○がん対策推進官 事務局でございます。
 まさに羽鳥先生御指摘のとおり、数としては入っております。そういう意味では、参考資料5の2ページ目のところでして、2の公表に市町村名つきの結果に同意したか否かということですので、例えば資料2の12枚目のスライドであれば、PET検査を実施している市町村が17となっておりますが、実数は17で、済みません、今、数えておりませんが、ここの中が仮に足りなかったとしたら、名前として同意しなかったということでございます。事実関係として、数は全部含まれているということです。
○大内座長 データは入っている。しかし、公表に応じなかった市区町村については、これは1%ですけれども、名前は出ていないということです。
 ほかにいかがでしょうか。
 中山構成員、どうぞ。
○中山構成員 私はエビデンスをつくったり、ガイドラインをつくったりする立場なのですけれども、エビデンスというものがほとんどなかった時代は全部、何となく自治体でやられた検診を後ろ向きに評価する時代だったのですけれども、今は前向きにRandomized Controlled Trialを日本でやられるような状況になってきているので、もし指針に基づかない検診をやるのであれば、これは事業ではなく研究である。そういう位置づけで、それ以外のものは認めないとか、そういう割り切り方でいいかなと思います。
 それはガイドラインのほうで7~8年前からそういうふうに提示をしていて、やるからには研究として、結果、論文として出せるような体制でやってくださいということを出しているのですけれども、なかなかその体制になっていなくて、何となくやっているのが実情だから、それはいつまでやってもしようがないので、打ち切る形なのかなと思います。
○大内座長 今の点、重要な御意見なのですが、科学的根拠に基づいた推奨レベルといった場合に、A、B、C、Dがあるのですが、先生の御意見、今の件は、Iの件ですね。
○中山構成員 そうです。Iになるようなものはちゃんと国の研究費なりなんなりできちんとした研究体制で臨んでやるのであって、何となくやっている指針に基づかない検診でデータが出るのか、出ないのか、わからない状態でやるのはやはりやめたほうがいいと思います。
○大内座長 Dについてはいかがですか。やはり書き込むべきとお考えですか。
○中山構成員 D自体に分類されているものがほとんどないとは思うので、もしそれが今後出てくるようであれば、やはりDはやめるべきだと思っています。
○大内座長 いえ、実はDの例がここにもあって、先ほど事務局が説明されましたように、この資料2の8ページです。例えばUS Preventive Services Task ForceでDとされている中で甲状腺がん、卵巣がん等、具体に実施されているということがある。そういったことを踏まえた上で、この13ページにあるように、本検討会において議論しますか。
○中山構成員 いや、ここのスライド8にあるのは、US Preventive Services Task Forceでアメリカが出した指針なので、そこの一部だけ使っているとか一部は使わないというのはちょっと議論がややこしいと思いますので、少なくとも日本のガイドラインでIになっているとか、そういうものに関してはそういう位置づけですし、もちろん、評価もされていないし、海外でもDとされているものはやめるべきだと思います。そんな感じでいいのではないかと思います。
○大内座長 今、私のほうから追加させていただきましたのは、根拠のないがん検診方法について、推奨しないことを指針に盛り込むとした場合、そのコンセンサスが得られた場合にどういう記載内容にするかということで踏み込んだお話ということに捉えていただきたいと思います。
 ほかに御意見はありますでしょうか。
 皆様から御意見をいただいたのですが、この指針に基づかない検診を推奨しないことを指針に記載することについて、御了解いただけますか。
(首肯する委員あり)
○大内座長 では、そのように進めさせていただきます。
 今後、指針改正の具体案についても、また改めて御意見をいただくことになります。このような方向でいってほしい、例えば先ほど、年齢について御意見もありましたが、それは国が定めているがん検診種類の中に年齢も書いてありますので、そこから逸脱している点については書き込めるのだろうと思います。それでよろしいですか。
○松田構成員 はい。それで結構です。
○祖父江構成員 年齢と2年に1回というところとかの間隔です。
○大内座長 事務局のほうに今の件についてお戻ししますが、そのような方向で進めることは可能ですか。
○がん対策推進官 はい。いただいた御意見をもとに、どのような指針の改正をするかは、具体的には事務局で検討させていただいて、御議論いただけるようにしたいと思っております。
 その他、例えばIはきちんとした研究体制でやるべきだといった御意見もいただいていますので、そういった御意見も踏まえたいと思っております。ほかにこういったことは盛り込んでおくべきということがあれば、今でも結構ですし、その後、事務局にお寄せいただいても結構ですので、お願いできれば幸いです。
○大内座長 どうぞ。
○羽鳥構成員 そういう意味ではあれば、市町村の中で公表してもよいというところしか出ていないけれども、ぼかしてでもいいから、この度には、公表したくない市町村がいくつぐらいあるので、実態が明らかになるようなイメージを出していただきたい。何分の1が公表してもいいからこのような表であるが、実数のイメージだとちょっと違うのではないかと思います。
 実際、公表してもいいというところは人口規模の小さい町村ですね。神奈川県だと政令市がやっているような場合もあるので、そうすると、これは全部ひっくり返ってしまうぐらいのデータ数になってしまうので、それも含めて検討していただきたいと思います。
○大内座長 そのことについては、多分御理解されていると思います。
 よろしいでしょうか。
 それでは、一旦、この議論について終了します。続きまして、資料3について、事務局から説明をお願いします。
○事務局 事務局から資料3について説明いたします。
 初めに、スライド番号1に示すとおり、がん検診の精度管理については、指針において「がん検診の事業評価を行うに当たっては、『事業評価のためのチェックリスト』等により実施状況を把握するとともに、がん検診受診率、要精検率、精検受診率等の『プロセス指標』に基づく評価を行うことが不可欠である」とされています。
 続いて、スライド番号2に「事業評価のためのチェックリスト」の概要を示します。チェックリストには都道府県用、市区町村用、検診実施機関用の3種類があり、対策型がん検診を実施する際に確認する項目が定められています。
 チェックリストの詳細は参考資料をごらんいただきたいと思いますが、例えば市区町村用チェックリストにおいては、要精検率や精密検査結果の集計や検診実施機関の質の担保などの項目を満たすこと等が求められています。
 また、検診実施機関用チェックリストにおいては、受診者への説明やプロセス指標の把握や画像の読影体制等の精度管理についての項目を満たすことが求められています。
 都道府県用チェックリストにおいては、プロセス指標の把握や事業評価の結果に基づく指導・助言などについての項目を満たすことが求められています。
 続いて、スライド番号3に各がん検診のプロセス指標の許容値や目標値をお示しいたします。
 スライド番号4~8には、都道府県ごとのがん種別プロセス指標の現状をお示しします。
 例えばスライド番号4にあります胃がん検診については精密検査受診率の全国平均値が81.7%、要精検率については平均が7.6%、がん発見率については0.12%、陽性反応的中度の平均値については1.54%とされています。
 5枚目のスライドになりますが、肺がん検診における精密検査受診率の全国平均は83.5%、要精検率は1.65%、がん発見率は0.05%、陽性反応的中度は2.76%。
 また、6枚目のスライドに移りますが、大腸がん検診における精密検査受診率の全国平均値は70.08%、要精検率は6.94%、がん発見率は0.22%、陽性反応的中度は3.15%でございます。
 続いて、スライド番号7の子宮頸がん検診における精密検査受診率の全国平均値は74.4%、要精検率の平均値は2.07%、がん発見率の平均値が0.04%、陽性反応的中度は1.86%であります。
 また、スライド番号8の乳がん検診における精密検査受診率の全国平均値は88.26%、要精検率は7.19%、がん発見率は0.33%、陽性反応的中度は4.58%であります。
 プロセス指標の中には、多くの都道府県において許容値を満たしている項目もあることから、今後、プロセス指標の見直しに向けた作業が進められていくことと思います。
 続いて、スライド番号9に精度管理体制の全体像をお示しいたします。
 市町村が検診実施機関に委託し実施する対策型がん検診においては、チェックリストの遵守率やプロセス指標値などの精度管理指標を都道府県が評価し、必要に応じて改善策などの助言を行うこととされています。
 次に、スライド番号10をごらんください。都道府県におけるがん検診の精度管理体制については、指針において、がんに関する部会が設置されていることとされています。
 国立がん研究センターの調査によりますと、多くの都道府県において、がんの部会が開催されている一方で、一部のがんの部会のみ開催した、あるいはいずれのがん部会も開催していないと回答した都道府県もあることがわかっており、都道府県のより一層の取り組みが求められるところであります。
 また、市町村の精度管理体制については、スライド番号11~14をごらんください。
 がん検診の精度管理を行うに当たっては受診率を集計することも必要であると考えますが、現状では基本的なデータである受診率を算定することができていない市町村もあることがわかっています。特に胃がん検診、子宮頸がん検診、乳がん検診においては、スライド番号11に示すとおり、2年連続受診者数を集計していなければ、受診率を算出することができませんが、それを把握していないため、受診率が算出できていない市町村があり、胃がん検診では190市町村、子宮頸がん検診では86市町村、乳がん検診では90市町村あります。
 続いて、スライド番号15~17でありますが、市区町村のチェックリストにある項目の中でも、検診実施機関への委託、また、プロセス指標値等の把握に関するデータをお示しいたします。これらのスライドは、国立がん研究センター作成の「全国がん検診実施状況データブック2017」をもとに事務局が作成したものであります。
 スライド番号15ですが、読影体制の整備やプロセス指標の把握など、仕様書の内容に基づかずに検診実施機関を選定している市町村があること。また、検診終了後に、仕様書の内容が遵守されたことを確認している市町村の割合が少ないという現状があります。
 また、スライド番号16では、特に個別検診において、検診実施機関ごとに要精検率・精密検査受診率・がん発見率等のデータを集計していない市町村が多いことも明らかになっています。
 さらに、スライド番号17ですが、検診実施機関ごとのプロセス指標値を集計・フィードバックしていない市町村が多いこと。また、精度管理に課題のある検診実施機関に対して、改善策をフィードバックしていない市町村が多いということもわかりました。
 最後のスライドをごらんください。
 指針において「事業評価のためのチェックリスト」に基づきがん検診を実施するよう、記載されているところであります。
 チェックリスト項目のうち、がん検診の対象者数の把握や精密検査結果の把握などについては、多くの市町村で実施されています。その一方で、市町村が検診実施機関へがん検診を委託する際に、国が示す基準を満たさずに選定している市町村があることや、検診実施機関ごとのプロセス指標を集計していないため、検診実施機関の質が確認できていない市町村もあります。こうしたことから、本検討会において、がん検診の精度管理を向上させるための方策について議論し、指針の見直しを見据えた御意見をいただきたいと考えております。
 資料3についての説明は以上です。
○大内座長 ただいま説明がございましたが、がん検診の精度管理は大変重要でして、これが担保されなければ死亡率の減少にはつながらないのは明白であります。
 それで、実態調査も含めてデータを今回出していただきました。第1点は、このプロセス指標、3ページ目に5つのがん検診の精検受診率等の許容値等が定められていますが、これは今から10年以上前、平成20年3月からの報告書にのっとって、今、行われているわけですけれども、それから10年以上たっていまして、少しデータの更新が必要ではないかというのが第1点です。いわゆる見直し作業を進める必要についてです。
 さらに重要な点は、後半のほうで説明されました精度管理体制の全体像ということで、これも平成19年ぐらいにまとめた体制像なのですが、実際にはこれを守っていないところが数多くある。例えば、具体的な市町村名まで出ていますけれども、これを統括するべく、都道府県には生活習慣病検診等管理指導協議会が設置されていると思いますが、そこでの活動実績等がよく見えない。結果的に、例えば直近では2年連続の受診者数を把握していなければ受診率のカウントはできない。胃がん、子宮頸がん、乳がんについて、データが出てこない市町村も見られる。それで、それ以降のテーブルは、胃がんにおいては190、10%強。子宮頸がん、乳がんにおいては86と90と、これも5%強あります。
 もっと大変なのは、検診実施機関の質の担保のための、いわゆる仕様書について、守られていないのではないかということがこれで見えます。仕様書に基づいて選定したかどうかがスライド番号15の左側で、その後、遵守されたかどうかを確認したかどうかというのが右側で、これは20%ぐらいしかないのです。
 あとは、プロセス指標の実態をきちんと見ているかどうかを集計していない市町村が多いということで、半分ぐらいが見ていない。
 さらに、質を担保するためのフィードバックについては、スライド番号17にありますように、かなり低いです。10%以下、5%という、ほとんど守られていない実態でございます。それを精度管理ということで進めなければ質の担保はできないのではないかということでございます。
 追加でございましたが、皆様から御意見をいただいた上で、今、事務局から示されましたように、本検討会において、このがん検診の精度管理を向上させるための方策について、幅広く御意見をいただきたいと思います。いかがでしょうか。
 では、祖父江構成員、どうぞ。
○祖父江構成員 精度管理を行うに当たっての指標となるものが、1つは仕組みとか体制とかを確認するためのチェックリストとか、あるいはそれに関連する仕様書というものです。もう一つは実際に行われた検診の結果から導き出すプロセス指標で、この2本立てで行うというのは既に指針に書かれているわけですけれども、こういった精度管理指標をどの単位で計測するかという大前提は、その単位がその中で同一の精度管理の精度の状態にあることが考えられると思います。
 その適切な単位は市町村ではなくて、検診機関というものがやはり同一の精度を持っている一つの集団であると考えられますので、こういった精度管理を進めていくに当たって、やはり適当な単位は検診実施機関であって、市町村ではないと考えられます。ですから、今回、検診実施機関を単位としたチェックリストの遵守率ですとか、プロセス指標の値ですとか、こういったものをきちんと計算するのは非常に重要なことで、それを市町村が行うよりは、市町村は実施主体であるので、評価者として余り適切ではなく、むしろ都道府県がそういう評価者として重要な任務を担うという形のほうが適切ではないかと思います。
 ですから、複数のことを言ってしまいましたけれども、こういう精度管理指標に関して、どの単位を適切にするかということに関しては、やはり検診実施機関が適切な単位であると思います。
○大内座長 祖父江構成員からは多分9枚目で、精度管理をきちんと把握するため、あるいは指導監督するというのは検診実施機関のほうにデータを、その評価をした上で戻さなければいけないのではないか。それを行うべきは市町村よりも都道府県ではないのかということでございますが、いかがでしょうか。事務局のほうから御意見はありますか。
○がん対策推進官 事務局でございます。ありがとうございます。
 まさに9ページ目の精度管理の全体像をうまくワークさせるようにと、市町村自体は実施機関であるので、都道府県の、そこに書いてある生活習慣病検診等管理指導協議会で適切な精度管理を検診機関の単位でやって、それをきちんとフィードバックすべきだという御意見だと理解をいたしました。
○大内座長 お手元に参考資料3がございますが、その中で事業評価のためのチェックリスト、がん検診ですけれども、その中で各種がん検診が書いてあって、最初のほうは市区町村用なのですが、ずっとめくっていただいて、30ページからが都道府県用のものがございます。最初に、今、言いました生活習慣病検診等管理指導協議会の組織運営の中で、一定のことは記載されております。ただ、ここには(2)のところです。「広域的見地から医師会、検診実施機関、精密検査機関等と調整を行っているか」にとどまっております。
 ただ、具体的な項目はその下に全部書いてあって、これをフィードバックしようと思えばできるのだろうと思っています。多分、若干の改正が必要かどうかも含めて今の議論を、祖父江構成員から言われたことを実施してはどうかと、私もそのように思います。
 現場できちんとした体制を組んでいるところはいいのですが、そうでないところが多々あるということですので、いかがでしょうか。この点について、御意見はありますか。
 中山構成員、どうぞ。
○中山構成員 プロセス指標の話からいきますと、スライド番号3の表のものはかなり古いものなので、今、厚労科研の高橋班のほうで更新作業をしていますので、多分、3月ぐらいには発表できる状態にはなるのかなと思っていますけれども、もともと、このプロセス指標をつくったときは都道府県別に順番に並べて決めたところがあって、都道府県レベルで見るべきレベルのものを市町村に無理矢理適用して、見ようとしているのですが、当時は市区町村でプロセス指標もまともに出ていなかったのですけれども、まあまあ出るような状態になったのですが、やはり大きな市区町村になると、特に検診機関ごとにいいところと悪いところが出てくるような場合が見受けられていますので、さらに小さな単位で見ようかという話になっています。
 今、プロセス指標のカットオフ値の見直しの中で、そうやってどんどん見る単位を小さくしていった場合に、例えば50人しか受診しない検診実施機関で発見率を見てもどうしようもないので、最低限見るとしたら、このぐらいの大きさはどうかという例というような、そういうルールづくりも一緒にやっていますので、多分、それは3月ぐらいにはお話しできるのかと思っています。
○大内座長 一旦、議論をプロセス指標の改定作業について、今、御意見がありましたので、先ほど事務局のほうからデータを示されまして、4~5ページで各種がん検診です。それで、許容値が右側にありますけれども、これは平成20年のときの許容値でして、左側の全国平均が、口頭で述べられた数値がここには記載されておりませんで、ちなみに今、調べてみたのですが、3ページに戻って、例えば胃がん検診の許容値、精検受診率で、今、81.73。肺がんは83.51、大腸がんは70.08、子宮頸がんは74.40、乳がんは88.26になります。
 それから、下からいきますが、要精検率(許容値)で、胃がんが7.61、肺がんが1.65、大腸がんが6.94、子宮頸がんが2.07、乳がんが7.19。
 がん発見率が、胃がん0.12、肺がん0.05、大腸がん0.22、子宮頸がん0.04、乳がん0.33。
 したがって、陽性反応的中度が今の2項目で変わりますので、胃がん1.54、肺がん2.76、大腸がん3.15、子宮頸がんのみ下がっているのですが、1.86、乳がんに至っては4.58まで上がっています。それが実態です。
 多分、今、中山構成員が言われたのは、国立がん研究センターの統計のほうでもこれをまとめていて、市町村ごとに小さな単位で示しても、がん発見率とかはカウントできないので、ある一定の規模で出せるような形で更新します。その更新作業に入っていて、来年3月ごろには使えるでしょうということでした。
 ちなみに、宮城県では10年以上前からこの作業をやっていまして、受診者数1,000名とか2,000名以上では必ず、この指標を使って、A、B、C、Dの評価をしています。検診実施機関ごとにも最近出していますけれども、そういったことが可能になっていくと思っています。
 ですので、ようやくこういった数値が見えてきたのと、それから時代の変遷で、10年もたちますといろいろ変わりますので、子宮頸がんのみが今、下がったのですが、それは多分、年齢階級、対象者の問題だと思いますので、各がん検診ともに、例えば陽性反応的中度が上昇していますので、そういった見直しはぜひ進めるべきだと思いますが、その点はよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○大内座長 では、このことは一定の合意を得たということで、次に体制についてですけれども、御意見をいただけますか。
 では、羽鳥構成員、どうぞ。
○羽鳥構成員 この生活習慣病検診等管理指導協議会。この名前が非常にわかりにくくて、実は私も地域で出ていたのですけれども、例えば高血圧、糖尿病とか、そういう話は一切なくて、まさにがん検診のことが中心の協議会ですので、わかりやすい名称にしてはいかがでしょうか。 それから、その次の10ページ目で、部会の開催状況。もう県名が出てしまっているからいいのでしょうけれども、例えば兵庫県は無回答が過去に2度もあって、出てきたときは一回も開催していないところもあるので、きっと何か厚労省は反応されるのでしょうけれども、どういうふうにするのか。少なくとも、ここに名前が出てきたところに対しては何かアクションを近々起こされると考えてよろしいでしょうか。
○がん対策推進官 事務局でございます。
 今回、10枚目のスライドを示させていただいたのは、今、これで都道府県がどうこうというよりは、我々が指針で書いていない部分はございますので、現状認識という形で共有させていただきたいというのが1点です。
 それを踏まえて、やはり指針に書いて、どのようなアクションを今後とっていくかというのはまさに、この検討会で御議論・御意見をいただきたいものと考えております。
○大内座長 羽鳥構成員が御指摘のものは、実はがん検診の指針の最後のほうに資料があったと思うのですけれども、参考資料2の最後のところに、各都道府県における生活習慣病検診等管理指導協議会という長い名前がついていたはずなのです。だから、こういったところから書き直さなければいけないのですが、今、厚労省のほうもまずはこういったデータを確認された上で今後どう進めるか。
 そうなると、この指針の別紙もありまして、そこにも書き込めるかどうかということになりますけれども、具体的にはそういう理解でよろしいのでしょうか。これは事務局にお尋ねします。
○事務局 座長、済みません。もう一度お願いいたします。
○大内座長 これは見当たらないかな。
 この参考資料2「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針」の中で、例えば3ページの「(2)実施体制」の3です。この中ほどに「生活習慣病検診等管理指導協議会が設置され」という文言が入っているので、これは結構重いのです。文言も結局、これは多分、健康増進法か何かの法律のもとに書かれていると思うのですが。
○羽鳥構成員 実態をあらわすほうがいいのかなと思っただけで、趣旨はよくわかります。
○大内座長 事務局から何か。
○がん対策推進官 事務局でございます。
 名前の件については、検討させていただきたいと存じます。
○大内座長 では、戻りますが、この精度管理を向上させるための方策について、御意見をいただきたいと思います。
 中山構成員、どうぞ。
○中山構成員 先ほど羽鳥構成員のほうから少しお話があった、東京都である見落とし事件があったというケースのことがあったのですけれども、それは具体的には仕様書には専門医が読影すると書いてあったものをその検診実施機関が勝手に逸脱した結果、複数の見落とし例が発生したケースで、このときにそこの自治体は、議会から、なぜ仕様書を満たしているか確認しなかったのかということを責められた。それに対して、首長が責任をとったという経緯があったという事件です。
 やはり都道府県をあちこち見ていきますと、そもそも仕様書さえ結んでいないというのがいまだに大量にありまして、参考資料4のほうに仕様書に明記すべき必要最低限の精度管理項目ということで、これはがん検診のあり方に関する検討会が随分前につくったものなのですけれども、いまだにこういうものを全く使っていなくて、随意契約のままであるところが多々見られます。市町村用チェックリストの項目ではありますが、やはりそういう選定を、市町村が検診機関を選定する際に、こういう仕様書を結ぶことと、それのとおりに行われているかどうかをちゃんと確認することをちゃんと指針に書き込むようなことが必要ではないかと思います。[A1] ○大内座長 検診実施機関の質を担保するためにも、こういった仕様書を遵守すること。これを指針にも記載する必要があるのではないかということですが、いかがでしょうか。
 松田構成員、どうぞ。
○松田構成員 中山構成員御指摘のとおりだと思います。これまでにもお話ししましたが、福井県では私どもの検診機関が市町から全てのがん検診を委託されて行っております。これまではいわゆる随契という形だったのですが、今は完全に仕様書に基づいて行っています。私どもがチェックリストをどの程度満たしているかについては全て、先ほどの生活習慣病検診等管理指導協議会で公表されています。
 我どもが満たしていない項目については、徐々に改善して来ました。残念ながら未だに満たしていない項目は何かというと、胃がん検診の読影における日本消化器がん検診学会認定医という資格の問題と、肺がん検診の読影医の問題です。医師会に読影をお願いしますと、呼吸器内科や放射線科の専門医の先生方だけではなかなか読影ができません。その2つだけが満たせなかったのです。その他については、全て私たちはチェックリストを満たしているという形で行っております。地域保健・健康増進事業報告に関するデータ提供も全て私どもが行っています。
 ですから、先ほど市や町からのフィードバック云々とありましたが、私どもが全てデータ提供しているので、なかなか市や町からはフィードバックはないのですが、県からはこういった形で私どもの成績が公表されています。仕様書に基づいてがん検診が行われることは極めて重要なことです。今後、全ての市や町で満たされるべきだと思います。
○大内座長 ということは、指針の改定にも反映するということでよろしいですか。
○松田構成員 そのとおりだと思います。
○大内座長 この点、精度向上に関しまして、ほかに御意見はありますか。
○祖父江構成員 仕様書でなくてもいいですか。
○大内座長 どうぞ。
○祖父江構成員 今、中山構成員が、検診実施機関別に見ていくと、だんだん細かくなっていくという話がありましたが、一部の検診機関は複数の市町村を委託していたりしますので、必ずしもそうではなくて、検診機関ごとにやることで数がむしろふえる可能性もあります。そういうことをきちんとやるためには、実は市町村が精度管理指標のプロセス指標を計算するということでなく、都道府県レベルでやるというのもあるのです。
 大阪府は、実は精度管理センターというものを府が持っていて、市町村の受診者の個人単位のデータを府が集めて、府のほうでそういうプロセス指標の計算をしています。そういう体制を組むと、今、言ったようなことが非常にやりやすくなります。
 一方で、確かに細かいといいますか、小さい規模で行っている検診機関もあるとは思います。そのような形態はむしろ望ましくないわけです。プロセス指標の計算ができないような体制で行う検診機関はよくないわけです。それは精度管理をきちんとできていないということです。適切な、最低の受診者数を確保できない検診機関は適切ではないということを言ったほうが私はいいと思うのです。
 以上です。
○大内座長 その適切な数は何名ですか。
○祖父江構成員 ですから、乳がん検診などですと、オーストラリアなどですと数千とか数万とかといった形の件数です。そういったものが読影医単位とか、あるいは検診機関単位とかで決められていますけれども、日本がどの程度の最低読影枚数とか最低検診実施数とかということが適切か。また検討は必要だと思います。
○大内座長 貴重な御意見だと思います。
 実は宮城県でもそれは10年以上前からやっていまして、各市区町村の受診者数で1,000名を超えている場合にはいわゆる許容値を当てはめて、それを下回っている市町村に対しては指導も行っているという実態もございますので、やろうと思えばできます。ただ、どこで線引きをするか等について、中山構成員、いかがでしょうか。
○中山構成員 ですから、アメリカみたいにマンモグラフィーを撮る専門のセンターみたいなところに人が集まって、5,000とか1万とか受診する環境はそれでいいと思うのですけれども、日本の場合、今、進んでいるのは個別検診で、各医療機関に50人来たり100人来たりというのを区なり市でざっと集めてという形になるので、そこをどうするかというところだったのです。
 物すごく少ないところは確かにあって、そこが精度管理もおぼつかないだろうというのはわかるのですが、では、少ないからカットしますか。それで非常に余裕があって、受診者数が多い大きなところだけでやりますかというのは、ちょっと医師会の先生方も含めて議論が必要なところかなとは思います。
○大内座長 この議論はまた継続したいと思いますけれども、いわゆる仕様書のみではなくて、検診の質の担保をするための方策をどこまで踏み込むか。具体的な作業を進めてよろしいでしょうか。
 これはよろしいですね。
(首肯する委員あり)
○大内座長 では、細かいことについては多分、先ほど中山構成員も言われましたように、国立がん研究センターのほうでも、このプロセス指標の更新作業もされているということとあわせまして、適正な、例えば検診実施機関がどの程度の受診者数で、どのようなデータを持って、それがこのプロセス指標に合うのか、合わないのか。そういったものも含めて出していただくと本検討会でも議論が深まると思いますので、中山構成員、その点はお願いできますでしょうか。
○中山構成員 はい。できると思います。
○大内座長 では、そのような進め方でよろしいですか。
 どうぞ。
○祖父江構成員 この3ページ目のプロセス指標で、許容値、目標値が出ているのですけれども、この対象年齢が40~74歳なのです。受診率などを計算する対象年齢が40~69歳になっていて、これはちょっと微妙に違うのです。府のほうの集計をするときに非常に困ったりするので、できるだけ合わせてほしいと思います。
○大内座長 統計的には可能ですね。5歳階級で収集しているはずですから、できますね。
○事務局 はい。
○大内座長 ほかに御意見はございますか。精度管理について、いかがでしょうか。
 18ページに記載されております、この5項目ですが、最後のところです。がん検診の精度管理を向上させるための方策について議論を今、重ねているところです。それで、引き続き議論していきたいと思いますが、本日、ここまではどうしても発言しておきたい方がおられましたら、どうぞ。
 どうぞ。
○羽鳥構成員 検診実施機関ごとのプロセス指標で、例えば先ほど検診数、読影する数が1,000件ぐらいはないと精度が保てないということだと思うのですが、一つの医療機関では、月間10とか20ぐらいの医療機関が集まって、その区か市の全体の読影数は1,000を超える場合は許されると考えてよろしいでしょうか。それとも、一つの検診機関で一定の症例数が集まらないようなところではやらないほうがいいというところまで書き込まれてしまうのでしょうか。
○大内座長 どうぞ。
○中山構成員 恐らく、例えばA市というところで一つのやり方、例えば医師会に全部集めて、クリニックを受診される方が50人であっても、それを全部持ち込んで、それで医師会の2人の先生が読影するという形だったら、50の医療機関、100の医療機関、1,000の医療機関をことごとく見ても余り意味がなくて、それは医師会単位で見たらいいと思うのですけれども、医師会の中でもそういうやり方をやっているところと、また全然、別のやり方で、自施設だけで読影をしていたりするようなところがあって、自施設だけやっているところで物すごい数、数千人受診しているとかというところがあるのだったら、そこは正直、ブラックボックス化してしまっていて、医師会の中でやっているものとは全く別の検診が行われている。だから、医師会とは別の検診団体みたいに見えますので、その場合はやはり比べてみてという形なのかなと思います。
○羽鳥構成員 わかりました。
 もう一つよろしいですか。
○大内座長 どうぞ。
○羽鳥構成員 まさにおっしゃるとおりだと思います。例えば自分のところの川崎市ですと、そういうやり方を市で、市の医師会で集めてやるのですけれども、例えば内視鏡検診ですと、データを今、USBで、あるいはCDに焼いて二重読影される内視鏡専門医の先生が二重読影をするやり方なのですけれども、肺がん検診の読影の場合は、教育的な側面から一次読影した専門医も二時読影会に集まって読影を行います。画像だけ送って二次読影を依頼するのが認められていないようなところもあるので、それを何か、ある意味で指針として出していただけるとありがたいです。
 要するに、一時読影の医師も勉強のためだから集まりなさいという形になって、それはよくわかるのですけれども、それがストレスになって、肺がん検診をおりてしまうとかという人もいるので、その辺、何か工夫があればと思います。
○大内座長 大変重要な御指摘だと思います。
 参考資料3の「事業評価のためのチェックリスト」の中で、9ページをお開きいただきたいのですが、例えば今、話題になっています肺がん検診ですけれども、9ページの「9.検診機関(医療機関)の質の担保」とありまして、ここに2で「市区町村が単独で実施できない項目については、関係機関(都道府県、検診機関、医師会等)と連携して行うこと」と書いてあります。これは、いわゆるクオリティーマネジメントも含めて、こういったことをどこかに記載することによって、クラスター解析みたいな形でも可能ですか。
○中山構成員 なかなか難しいと思いますけれども、データがちゃんとあるのであれば、そういうものもできるでしょうし、例えば4つぐらい市があって、市民はどこの市の検診を受けてもいいという総合契約をやっている場合もあるので、それはやろうと思ったら県なりで集めてデータ分析をしたりすることも可能だろうと思います。
○大内座長 そういうことも含めて検討させていただいてよろしいですか。
○羽鳥構成員 はい。
○大内座長 ほかに御意見等はございますか。
 祖父江構成員、どうぞ。
○祖父江構成員 さっき、年齢のことをちょっと言ったのですが、市町村の行っているがん検診の精度管理が、主にはデータとして地域保健・健康増進事業報告から出ていますね。その中での年齢区分が、特に精度管理をこの年齢層に対して行いますという意識では余りなく、5歳階級ごとに並んでいるような感じなのです。それで、市町村の担当の人に言わせると、ちょっと高齢の側の年齢区分が細か過ぎて書きにくいとかということもあったりするのです。
 精度管理を行う意味で地域保険事業報告を求めているということであれば、その精度管理を行う対象年齢はもう少し意識したようなデータの集め方をしたほうがいいような気がしました。ですから、この許容値とか目標値とかというものも、ある年齢層、恐らくきちんと管理すべきは40~69だと思うのですけれども、そこの年齢層に関してデータを集めます。また、許容値を定めますというふうにして、余り高齢のほうをきっちり管理するという体制はとり過ぎないほうがいいような気がします。
○大内座長 ただいまの祖父江構成員の御意見は、確かにがん対策推進基本計画の中で対象年齢、例えば死亡率減少効果を目標設定にした場合の年齢、69歳以下とか、そういったことが書き込まれているものとも符合するわけですので、国が求めています地域保健・健康増進事業報告の出し方にも工夫が必要ではないかという御指摘なのですが、いかがでしょうか。
 事務局のほうから何かありますか。
○がん対策推進官 御指摘のとおり、それを踏まえてやっていきたいと思います。
○大内座長 大変重要な点、御指摘ありがとうございました。
 ほかに御意見はありますか。
 それでは、がん検診の精度管理について、プロセス評価、それから、具体的な検診機関への指導体制。これを強化して、さらに質を高めるための方策について、一定の御議論をいただきました。
 本件については、次回以降もまた議論を重ねることになるかと思いますが、本日はこの辺でよろしいかと思います。
 では、最後に議題の「(3)その他」についてですが、何か御意見のある方はいらっしゃいますでしょうか。
 ないようですので、本日の議論はこれまでといたします。
 では、事務局からの連絡事項をお願いいたします。
○がん対策推進官 本日は御議論ありがとうございました。資料1のほうで今後、総合的に議論というふうに提示させていただきましたとおり、本日いただいた御意見・御議論の内容については、改めて取りまとめて、御議論・御確認をいただく機会をスケジュールのほうで示させていただいていますけれども、取りまとめ案の提示といった形で御用意をするようにさせていただきたいと考えております。
 次回の検討会の日程等、詳細につきましては、先生方と調整の上、御連絡をさせていただきたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○大内座長 それでは、本日の第26回の検討会をこれで終了したいと思います。
 構成員の皆様におかれましては、まことにありがとうございました。
 

照会先

健康局がん・疾病対策課

代表 03-5253-1111(内線3826)