技能実習評価試験の整備に関する専門家会議(第20回) 議事要旨


                              人材開発統括官海外人材育成担当参事官室

○日時 平成30年6月25日(月)10:00~12:20

○場所 厚生労働省専用第20会議室

○出席者
  大迫委員、岡本委員、岡野委員、椎根委員、高野委員、冨高委員
  厚生労働省人材開発統括官海外人材育成担当参事官室、法務省入国管理局入国在留課
  外務省領事局外国人課、外国人技能実習機構、公益財団法人国際研修協力機構
  (リネンサプライ関係)日本リネンサプライ協会、厚生労働省(生活衛生課)
  (空港グランドハンドリング関係)鴻池運輸株式会社、国土交通省
  (農産物漬物製造関係)全日本漬物協同組合連合会、農林水産省

○議題
 1 リネンサプライ職種の追加等について
 2 空港グランドハンドリング職種の追加等について
 3 農産物漬物製造業職種の追加等について

○議事
 1 リネンサプライ職種の追加等について
 ○リネンサプライ職種の追加について、日本リネンサプライ協会より概ね以下のとおり説明があった。
 ・リネンサプライ職種の2号対象職種への追加要望について、平成19年5月に中国の商業連合会等から3年の
  技能実習制度への強い要望を頂いた。日本側としては業界4団体が集まり技能等の移転を目指し職種追加
  の取組を進めてきた。
 ・リネンとは本来亜麻のことで、業界ではシーツ、包布、病衣等をリネンと呼んでいる。リネンサプライ業とは、
  繊維製品を洗濯し、これを貸与し、その使用後に回収して洗濯し、仕上げし、更にこれを貸与することを繰り返
  して行う事業を言う。
 ・リネンサプライの対象品として、ホテルリネンでは被洗物がシーツ、デュベカバー、包布、ピローケース等を
  指す。病院寝具では、シーツ、デュベカバー、包布、ピローケース、病衣、術衣、白衣等を指す。利用施設と
  して、ホテルリネンではホテル、旅館、レストラン等である。病院寝具では病院、診療所等である。
 ・リネンサプライ業とクリーニング業では、被洗物、汚れ、処理量、機械設備、使用溶剤等が異なる。
 ・平成28年度で、市場規模は6,045億円で、従業員数は17万3,327人である。国内の事業所数は4,320か所で、
  都道府県別に見ると東京、大阪、神奈川、愛知等で多い。
 ・ホテル、レストラン、病院等から回収し、入荷して来た品物は、人手によって、シーツ、ピローケース、浴衣等
  の品物の仕分けを行った後に、人手によって計量コンベアーに投入される。計量された品物は、例えばAという
  客先は1番の洗い方ということで人がセットして洗濯する。大体50~60種類のセットをしなければいけない。
  品物が連続洗濯機で洗われ、脱水され、乾燥され、コンベアーに乗って流れて来る。シーツを例にすると、
  投入機に投入されると機械のほうで広げ、ロール機でアイロンを掛ける、そして広がった状態で汚れがないか
  検品機が検品して畳む。畳み機で畳んだ後、スタッカー機で客先の所定の枚数にスタッキングされて、人手に
  よって検査をし、結束機で結束されて、最終的にホテルのほうに出荷される。
  普通のホテルは7品種と言っている、シーツ、デュベカバー、浴衣、ピローケース、フェイスタオル、バス
  タオル、バスマットがセット物なので、これらがそろっていないと1つの部屋がオープンできない。これらの
  生産管理がライン長としては難しい作業となる。
 ・ホテルリネンサプライでは衛生基準、病院寝具では認定基準がある。実習生を受け入れる施設は、これらの基準
  の認定を受けている工場がベストと考えている。基準の主な項目は、作業場所の作業区域が区分されている
  こと、区分されている作業区域が隔壁で固定されていることなどである。
 ・技能実習1号はシーツ、デュベカバー等を品質を維持して投入する作業、機械投入作業に使用する機械の始動
  操作・停止操作と非常停止操作の機械操作作業、機械清掃作業、機械メンテナンス作業である。2号は、効率的
  な投入作業、検品作業、結束・包装作業、機械操作作業、全ての機械にわたる始動操作・停止操作と非常停止
  操作の機械操作作業、機械清掃作業、機械メンテナンス作業、管理作業である。
 ・日本のリネンサプライ仕上げ作業の技能等は、衛生面、品質管理、5S、安全等に優れ、開発途上国等に対して
  優位性がある。開発途上国等においても、外注化が進み、リネンサプライ業が確立しつつあり、現地の人材育成
  の必要性が高まっている。

 ○同団体からの説明に対し、概ね以下のような質疑があった。
  委員)品物の投入から結束まで全て機械の作業であることを考えると、開発途上国等に移転すべき高い技能
    はどのようなものなのか。
  説明者)技能実習2号では、ライン長として、品物の水分と蒸気圧によって状況が変化していくことも考慮に
    入れて、リネンサプライの仕上げの一連の作業の進捗状況を見ていく必要がある。また、検品も、型くずれ
    がないか、しみがないかなどの機械では不可能なものは人の目で判別する必要があるので、多くの重要な
    技能がある。
  委員)検品のスキルを積むのに2年も修得期間が必要なのか。日本人の場合はどのくらいの期間で修得する
    のか。
  説明者)日本人管理者を養成する講習を行っているが、初級の方が習熟するには1、2年は十分に要して
    いる。
  委員)第2号技能実習を行うことで何が習得できるか再整理すべき。
  説明者)再整理させていただく。
  委員)衛生基準の認定を受ける際の審査方法は書類の審査だけか、実地の審査もあるのか。
  説明者)工場の実地調査もある。
  委員)技能実習の試験範囲には安全衛生も含まれるのか。
  説明者)含めたいと考えている。

 ○検討の結果、リネンサプライ職種(リネンサプライ仕上げ作業)については、次回以降、引き続き議論が行わ
 れることとなった。


 2 空港グランドハンドリング職種の追加等について
 ○空港グランドハンドリング職種の追加について、鴻池運輸株式会社より概ね以下のとおり説明があった。
 ・鴻池グループは、現在、東南アジアを中心に12か国、33の拠点で事業を展開している。鴻池運輸の空港関連
  グループは、航空貨物の取扱い、航空機への塔載、機内食・機内清掃・旅客カウンター業務等、グランドハン
  ドリング事業を幅広く行っている。関西国際空港をはじめ、羽田・成田・福岡・伊丹・神戸空港において、サー
  ビスを展開している。
 ・グランドハンドリング業務においては、国内の航空会社に加えて外国の航空会社からも業務を請け負い、
  サービスを展開している。
 ・実習生の受入予定先では、1号実習生、留学生を含め外国籍の方々を受け入れている。主にフィリピン、ベト
  ナム等のアジアからの方が多く、最近ではネパールやスリランカからの方も在籍している。
 ・職種追加の申請を予定している航空貨物取扱作業とは、上屋内にて輸出・輸入貨物の選定・仕分け・積み
  付け/解体・登録までの作業を指す。必要な技能は、航空保安、危険品貨物やULDについての理解、特殊貨物
  の取扱い、フォークリフトの運転がある。
 ・貨物の輸出、搬出の流れだが、トラックから運ばれてきた貨物をフォークリフトで上屋内へ搬入し、出荷伝票
  と受託した貨物の照合や受託貨物の検品確認をする。貨物の積み付けを行い、貨物にビニールやネットを
  かぶせるラッピングを行った後、貨物の重量や高さの計量を行う。計量が済んだ貨物は飛行機へ搭載され、
  目的地へ搬送される。輸入・搬入の流れは輸出・搬出の逆となる。
 ・1号の実習内容は、貨物選定確認・仕分作業では、出荷伝票の内容と搬入された貨物を照らし合わせ、個数や
  行先、外装のダメージを確認する。出荷伝票と一致しない場合や外装のダメージを発見した際には、責任者
  への報告が必要となる。貨物ラベル上の記載内容や危険物の理解が必要となる。荷役準備作業では、ULDの
  理解、ULDと非自走器材の点検方法を取得する。荷役作業では、積み付けされた一般貨物へのネットの
  掛け/外し作業、積付、解体補助作業を行う。
 ・2号の実習内容は、荷役準備作業では旅客機での作業、荷役作業では一般貨物に加えて危険物貨物についても、
  積付や解体、タイダウン・ラッピング等の固縛作業、計量時のシステム入力作業も行う。また、フォークリフト
  作業の導入として誘導作業や始業前点検を行う。さらに、2号の2年目には、実際にフォークリフトに乗り、
  スキットを所定の場所に移動させる作業も行う。
 ・3号の実習内容は、荷役準備作業、荷役作業では貨物専用機に塔載される大型貨物や特殊貨物も取り扱い、
  2号の間で取得したフォークリフトの知識と免許により実際にフォークリフトによる作業を行う。また、業務
  内容、進捗状況、時間の管理や指導も行う。
 ・次に、職種追加の申請を予定している客室清掃作業とは、飛行機内部のクリーニング及び飛行機に搭載する物品
  の補充作業を指す。必要な技能は、航空保安、関税法を理解した上での機用品の取扱い、航空会社ごとに異なる
  機材の知識、不備・交換品発見時の取扱いとなる。担当する飛行機の到着時間を把握し、機材ごとに決められた
  機用品や作業道具の準備を行う。飛行機が到着しお客様が飛行機から降りられた後に機内へ入り、客室、化粧
  室、ギャレー等の各担当エリアにて作業を開始する。各航空会社から飛行機の機種ごとに清掃作業の標準作業
  時間を指定される。鴻池グループでは、標準作業時間よりも短い時間で作業を完了させることとしている。日本
  の航空会社は、安全・品質とともに、飛行機の定時出発に注力している。機材の到着遅れが発生した場合は、
  次便の出発時刻に影響が出ないよう、短時間での作業が求められる。その際の人数配置や作業時間、進捗状況の
  管理も必要となる。
 ・1号の実習内容は、準備作業では、使用する素材・物品・機械・器具の使用方法を確認し、清掃作業の準備を
  行う。エコノミークラスの清掃作業では、座席、座席周辺の不備及び不審物の確認を行い、発見時は、便責任者
  への報告を行う。バキューム掛けは、床のバキューム掛けと作業を行ったエリアの最終点検を行う。ギャレー
  では、各機材の付属カートの把握や取扱い、ギャレー全般の清掃作業を行う。ラバトリーでは、エコノミー
  クラスのごみ処理、拭き作業、備品補充・交換を行う。
 ・2号の実習内容は、1号で既に行っているエコノミークラスの清掃作業、バキューム掛け、ラバトリー、
  ギャレー清掃作業では、清掃作業後の最終点検を行う。エコノミークラスの作業要領を踏まえ、上位・最上位
  クラスの清掃作業を行う。業務内容、時間の管理、報告・連絡・相談等の指導を行う。
 ・実習生のレベル分けの基準となった社内検定は、客室清掃作業について4段階のカテゴリーに分けそれぞれ技能
  試験を行っている。技能実習2号のレベルでは、業務全体を把握し指導もできるため、帰国後には現場の中核と
  なり、指導者として修得した技能を伝承可能となる。
 ・現在、フィリピンの航空会社や空港の定時運航率は、世界最低の水準となっているため、空港グランドハンド
  リング業務の技術・安全水準の向上が喫緊の課題となっている。
  今後、鴻池運輸は、マニラ空港でグランドハンドリング業務を行う会社と業務提携を結び、同事業への参入を
  予定している。また、今年8月末には、フィリピンの現地会社と新会社の設立を予定しており、業務の1つと
  して空港グランドハンドリングへの参入も検討しており、業務の中核となる人物や業務を管理できる人物が
  必要となる。さらに、空港関連グループでは、2014年8月、成田国際空港で、フィリピンにある子会社の社員
  に対し、1号技能実習での受入れを開始した。現在では、成田・羽田・関西空港で受入れを行っている。
  しかし、1年間の技能実習では、日本レベルの技能・品質を修得できず、技能が伝承できていない。
  2号移行対象職種に追加することにより、空港関連グループで2年以上の技能実習を行い、フィリピン国内の
  グランドハンドリング業務の技術・安全水準の向上に協力したい。
  今回、職種追加を申請する作業では、時間管理の項目を設けている。技能実習の日頃の業務から時間に対する
  意識付けを行い、指定された時間内で確実に作業を行う能力を身に付け、修得した技能を伝承することで、
  定時運航率の改善の一歩につながると考えている。

 ○ 同社からの説明に対し、概ね以下のような質疑があった。
  委員) 客室清掃作業の1号と2号の違いはどのようなものか。
  説明者)1号は通常の機内清掃業務全般ができる状態までであり、2号は、上位クラス等の清掃のほか、時間
    管理等の飛行機の清掃業務全般を管理する業務が加わっている。機内に乗り込んだときに、このメンバー
    で、この標準作業時間で、業務が終了できるか瞬時な判断が必要となる。
  委員)客室清掃作業の最終点検が適切かを実技試験の中で確認する項目を検討いただきたい。
  説明者)対応について検討する。
  委員)感染性の高い病気に罹患した乗客が機内にいた場合やあるいは突発的な事態が起こった場合に、2号実習
    生はその場で意思決定するのか。
  説明者)実習生ではなく、我々の作業責任者が判断する。
  委員)ANAグループの空港グランドハンドリング職種との違いは何か。
  事務局)鴻池運輸の空港グランドハンドリング職種では、実習生がフォークリフトの運転を行う。
  委員)貨物の取扱いは通関後か。
  説明者)輸出の場合は、通関が切れた貨物が入ってくる。輸入の場合は、まだ通関されていないものが入って
    きて、通関が終わったものを送り出す業務となる。
  委員)荷物の中に不審物があった場合に、税関とどのように連携を行うのか
  説明者)エアラインから税関に報告し、税関の指示を仰ぐ。
  委員)実習生が通関の担当者からサンプリングの方法等の指示を直接受けることはあるか。
  説明者)税関から航空会社に指示が行き、航空会社から我々の作業責任者にその指示が下りてくる。我々の作業
    責任者が実習生を含めた従業員にその指示を与える。
  委員)3号実習生は作業責任者のその業務を行うことが出来るか。
  説明者)行うことは出来ない。
  委員)3号実習生が母国に帰ると、作業責任者の業務を担うのではないか。技能実習ではその技能が習得でき
    ないのか。
  説明者)作業責任者の業務について、実習生がその判断を行うわけではないが、実習を行う中で理解して知って
    いただく。
  委員)不具合等があった場合に、実習生が判断しなければならない部分、上司に報告し指示を受けなければなら
    ない部分とを理解されているか試験の中で確認する項目を検討いただきたい。
  説明者)検討したい。

 ○検討の結果、空港グランドハンドリング職種(航空貨物取扱作業、客室清掃作業)については、厚生労働省、
 法務省において、大臣告示の改正案に係るパブリックコメントを実施し、その結果を踏まえ、審査基準案や技能
 実習評価試験案等について引き続き議論が行われることとなった。


 3 農産物漬物製造業職種の追加等について
 ○農産物漬物製造業職種について、全日本漬物協同組合連合会より概ね以下のとおり説明があった。
 ・漬物についての国内産業・業界の概況は、平成29年は台風等の自然災害があり原料不足のため若干減少している
  が、ここ4、5年は70万t程度の野菜・果実漬物の生産量となっている。
  時代の変遷に伴い製造する漬物の内容は変わってきており、平成29年はキムチや浅漬が20%前後で非常に人気
  のある漬物となっている。ただ、全体として10種類の分類の中で多数の製品があり、漬物の種類は非常に多い。
 ・平成28年は、出荷額が3,763億円であり、従業員数は2万5,000人弱となっている。従業員数は減少傾向だが
  出荷額は横ばいとなり、付加価値のある商品等を生産し出荷が落ちないようにしている。
 ・漬物製品の例だが、大きく分けて衛生管理上の分類を業界としては行っている。1つは包装後加熱殺菌しない
  漬物で、いわゆる浅漬やキムチ、梅漬・梅干、奈良漬等で、洗浄殺菌等の殺菌工程を重点的に行う。もう1つ
  は、包装後加熱殺菌する漬物で、福神漬、ラッキョウ、たくあん、味噌漬等である。
 ・職種追加の申請を予定している農産物漬物製造作業の定義だが、基本的には、農産物主原料を受入れ、切断、
  洗浄・殺菌、下漬け、その後に塩抜きして、調味液漬け込み等の本漬けをし、計量・包装作業を経て、加熱殺菌
  を必要とする品目は加熱殺菌を行い、異物検査等を経て製品出荷ができる状態に至るまでの一連の工程となる。
 ・包装後加熱殺菌しない漬物は、洗浄・殺菌の工程を非常に重要な衛生管理のポイントとし、重点的に殺菌等を
  行う。また、異物確認が重要な工程になる。包装後加熱殺菌する漬物は、基本的に、異物確認・検出、金属検出
  等、加熱殺菌・放冷等を行う。
 ・技能実習評価試験の専門級は、当連合会が実施している漬物製造管理士・技能評価試験という国内技能者向けの
  試験の3級程度相当と制度設計している。実習生に十分に指導できる体制を確保するため、同試験の2級以上
  の者が在籍する実習実施者であることを要件とする。
 ・国内試験の各級の受験資格等だが、1級はいわゆる上級の技能労働者が通常有する技術ということで7年以上の
  実務経験としている。2級は、いわゆる中級の技能労働者、製造等の課長、主任ぐらいの方が保有する技術と
  いうことで最低2年以上の実務経験としている。3級は、いわゆる初級の技能労働者、いわゆる製造業に従事
  する一般作業者が通常有する技術ということで、1年以上の実務経験としている。
 ・漬物製造業は1号実習、2号実習を想定しており、1号実習は、漬物原料の洗浄、選別・切断、下漬け・漬け
  込み、シール作業を行う。
  2号実習は、それらに加えて、漬物原料の洗浄、原料整形、殺菌・洗浄、漬け込み工程の準備・点検、調味液の
  配合等を行う。計量・充填も、計量法に基づく点検等がきちんとできるか、あるいは異物混入がないかの点検
  を行うことを求めている。また、検品、表示基準に基づく表示等の確認、加熱殺菌が必要なものは加熱殺菌作業
  である。

  これらに加えて、1号実習は一般衛生管理ができること、2号実習は一般衛生管理に加えてHACCPの考え方を
  取り入れた衛生管理ができることである。

 ・今回、試験実施機関として、全日本漬物協同組合(全漬連)を想定している。設立目的は協同組合であるため、
  自主的な経済活動を促進し、経済的地位の向上を図ることである。構成員は全国で36団体で、5ブロックに分か
  れて、36都府県の組合が会員となっている。全漬連は、毎年衛生管理月間を設けて講習会を実施する、アン
  ケートを取るなど衛生管理に積極的に取り組んできた。また、今般HACCPの制度化に向けて、全ての漬物事業
  者が実施可能な手引書を厚労省の検討会での確認を経て、3月に発行した。

 ・日本の漬物製造技能等は、いわゆる自家製造的なものからフィルム包装等による工場生産に移行し、進歩・高度
  化しており、開発途上国に対して優位性がある。また、アジア等で日本食レストランが増加している。さらに、
  アジア各国からの訪日旅行者の増加に伴い、日本の漬物需要も拡大しており、漬物製造における技術者育成の
  必要性が高まっている。アジア諸国においても、多種多様な漬物がある中、工場生産に移行しており、日本の
  製造技術や衛生管理に対するニーズが高まっている。


 ○同団体からの説明に対し、概ね以下のとおり質疑が行われた。
  委員)技能実習評価試験の専門級は国内検定の漬物製造管理士・技能評価試験の3級程度相当と制度設計される
    とのことだが、3級について、試験内容もシンプルであり、要件も実務経験が1年以上あれば問題なく、
    受験者の9割程度が合格している。実習生が3年かけて習得した技能を測る試験のレベルとして
    妥当なのか。

  説明者)専門級は国内検定の3級相当とすることとしているが、2号実習生が殺菌、衛生管理、計量・充填、
    下漬け・漬け込みを含めて総合的に実習していただくには、3年の期間を要すると考えている。

  委員)技能実習2号の計量・充填作業、加熱殺菌・冷却は手作業で行われるのか、機械で行われるのか。
  説明者)事業所数では手動が多いが、生産数では自動のほうが多い。
  委員)実習の現場で、殺菌、衛生管理等が手作業で行われていても、機械で行われていても、技能実習の試験
    では対応できるようにすべき、との指摘があった。

  説明者)対応について検討する。
  委員)国内検定の3級の試験内容を見ると、製品の品質に関する作業、いわゆる検査作業に関する項目がない
    が、母国に帰国して自分で漬物屋を始めようとか、従業員を雇って漬物製造業を始めようとするときに、
    大きな問題が起こるのではないか。

  説明者)実技試験の「漬物製造管理作業ができること」という項目が入っている。
  委員)国内検定の3級の実技試験の評価項目の中に、作業者が品質を理解して業務ができたかを見る項目が含
    まれているか、それに関する配点がどうなっているか。

  説明者)次回の専門家会議で、技能実習と国内検定3級の考え方を説明できるように整理したい。

○検討の結果、農産物漬物製造業職種(農産物漬物製造作業)については、厚生労働省、法務省において、省令の
改正案に係るパブリックコメントを実施し、その結果を踏まえ、審査基準案や技能実習評価試験案等について引き
続き議論が行われることとなった。


(以上)