第11回厚生科学審議会がん登録部会(議事録)

健康局がん・疾病対策課

日時

平成30年5月17日(木)13:00~16:00

場所

厚生労働省 専用第22会議室(18階)

議題

(1)「匿名化」について(報告)
(2)全国がん登録 情報の提供マニュアル別添について
(3)模擬審査1
(4)その他

議事

 

○事務局(安藤) 定刻となりましたので、ただいまより、第11回「厚生科学審議会がん登録部会」を開催いたします。
委員の皆様方におかれましては、お忙しい中、お集まりいただきまして、まことにありがとうございます。
健康局がん・疾病対策課、安藤でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
初めに、委員の出欠状況でございますが、本日は、坂元委員、杉山委員、永井委員、中西委員、平田委員、本田委員より御欠席の連絡をいただいております。また、山本委員より、遅れて御到着との連絡をいただいております。
本日のがん登録部会の委員定数24名に対しまして、現在出席委員が17名でございますので、議事運営に必要な定足数13名に達していることを御報告申し上げます。
本日は、3名の参考人に御出席をいただいております。
国立がん研究センターがん対策情報センターがん登録センターのセンター長、東尚弘参考人です。
○東参考人 東です。どうぞよろしくお願いします。
○事務局(安藤) 同じく、全国がん登録室室長、松田智大参考人です。
○松田参考人 松田と申します。よろしくお願いいたします。
同じく、全国がん登録分析室室長、柴田亜希子参考人です。
○柴田参考人 柴田でございます。よろしくお願いします。
○事務局(安藤) それでは、以降の進行は辻部会長、お願いいたします。
○辻部会長 それでは、皆さん、どうぞよろしくお願いいたします。
最初に、事務局から資料の確認をお願いします。
○事務局(安藤) それでは、資料の確認をさせていただきます。上から、
座席表
議事次第
資料1 全国がん登録における「匿名化」の考え方と情報提供に係る審査の流れ
資料2 全国がん登録 情報の提供マニュアル 別添 利用規約(仮称)(修正案)
資料3 全国がん登録 情報の提供マニュアル 別添 利用者の安全管理措置(仮称)(修正案)
資料4 全国がん登録 情報の提供マニュアル 別添 審査の方向性(仮称)(修正案)
資料5 模擬審査のポイント
資料6 模擬申請-1
資料7 模擬申請-2
資料8 模擬申請-3
資料9 模擬申請-4
参考資料1 厚生科学審議会がん登録部会委員名簿
また、委員の皆様の机上には、参考資料1~18をファイルにまとめてとじておりますので、御確認いただければと思います。
資料の不足、落丁等ございましたら、事務局までお申し出ください。
以上をもちまして撮影を終了し、カメラをおさめていただきますよう御協力をお願いいたします。
○辻部会長 資料に問題ございませんでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、議事に入りたいと思います。
議題1「匿名化」についてに入りたいと思います。
事務局から資料1の説明をお願いします。
○事務局(安藤) 事務局、安藤でございます。
お手元に資料1を御用意ください。「全国がん登録における『匿名化』の考え方と情報提供に係る審査の流れ」です。
スライド番号2ページ目。
背景ですけれども、がん登録等の推進に関する法律第2条第9項では、「匿名化」について以下のとおり規定されております。この法律において「匿名化」とは、がんに罹患した者に関する情報を当該がんに罹患した者の識別(他の情報との照合による識別を含む。第15条第1項及び第17条第1項において同じ。)ができないように加工することを言うとされております。
また、がん登録法第23条第1項において、厚生労働大臣の以下の権限及び事務は、国立がん研究センターに委任されており、具体的には、1つ目、全国がん登録情報の匿名化。2つ目、匿名化が行われた全国がん登録情報の提供でございます。
おめくりいただきまして、スライド番号3ページ目。
これにより、情報の提供に際しては、匿名化された全国がん登録情報である場合は国立がん研究センターの合議制の機関。匿名化が行われていない全国がん情報である場合はがん登録部会(全国がん登録情報の利用と提供に関する審査委員会)でそれぞれ審査を行うこととなっております。
これらを前提に、がん登録法の目的等も鑑み、情報の提供に係る運用を円滑に行うため、法における「匿名化」についての考え方を示すとともに、審査の流れを整理いたしました。
次、スライド番号4ページ目、こちらはもう皆様、御承知のとおりですけれども、審査の基本的な流れといたしまして、先ほど申し上げたとおり、窓口組織(国立がん研究センター)のほうで、提供依頼申出された情報の範囲が、匿名化された全国がん登録情報であると判断された場合には、国立がん研究センターの合議制の機関のほうで審査を行います。
一方で、窓口組織(国立がん研究センター)で提供依頼申出された情報の範囲が、匿名化されていない全国がん登録情報である場合には、厚生労働省に申請書が参りまして、がん登録部会の下の審査委員会で審査が行われるという基本的な流れがございます。
おめくりいただきまして、スライド番号5ページ目、全国がん登録における「匿名化」について、今回、考え方をこちらにお示しします。
全国がん登録においては、国立がん研究センターは、独立行政法人の一種である国立研究開発法人であることを踏まえまして、原則、独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律及び、独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(独立行政法人等非識別加工情報編)における「非識別加工」と同等の加工基準により、「匿名化」を行うこととさせていただきます。
ただし、がん登録法における匿名化がなされているかの判断が困難な場合は、匿名化が行われた情報か否かについて、がん登録部会の下の審査委員会の意見を聴くこととさせていただきたいと思います。
このがん登録法における匿名化がなされているかの判断が困難な場合といいますのは、こちらの括弧にお示ししておりますとおり、例えば、希少がんについて市町村別の研究をする場合等が考えられます。
こちらを踏まえまして、次の6ページで新しい審査の流れを御説明いたします。
がん登録法による匿名化がなされているかの判断が困難な場合の審査の流れといたしまして、まず、窓口組織(国立がん研究センター)のほうで、がん登録法の「匿名化」がなされているかの判断が困難な場合の申請を受けた場合には、一度、厚生労働省のほうに御相談いただきまして、がん登録部会の審査委員会のほうにかけさせていただきます。
審査委員会で、この申請につきまして匿名化された全国がん登録情報として提供の審査をすべきか、それとも、匿名化されていない全国がん登録情報として提供の審査をすべきかということを御判断いただきまして、その結果、匿名化された全国がん登録情報として提供の審査をすべきとなった場合には、その次に国立がん研究センターの合議制の機関のほうで審査いただくという流れとさせていただきたいと思います。
おめくりいただきまして、7ページ目です。以上を踏まえまして、がん登録部会の審査委員会と国立がん研究センターの合議制の機関における役割分担を表として整理させていただきました。
まず、上の表、がん登録部会の審査委員会では、もともとございます全国がん登録情報の提供を行おうとするときにおける審査。もう一つ、先ほど御説明しましたとおり、がん登録法の「匿名化」がなされているかの判断が困難な場合に、当該提供を行おうとするときにおける審査を「合議制の機関(国立がん研究センター)」で行うこととして良いかの審査を行っていただきたいと思います。
また、合議制の機関のほうでは、匿名化が行われた全国がん登録情報の提供を行おうとするときにおける審査を、行っていただきたいと思っております。
匿名化に関する説明は以上でございますけれども、1点、こちらの資料1の参考資料のスライド番号12ページ目をごらんください。全国がん登録情報の匿名化等に係る意見の聴取について、こちらに関しましては、皆様に第8回がん登録部会のときに合議制の機関を国立がん研究センターに設置することを御了承いただきました。また、そちらにおける規定内容の案についても、第9回、第10回で御議論いただきました。それを踏まえまして、今般、平成30年4月27日付で健康局長通知を国立がん研究センター宛てに送付しておりますので、御報告いたします。
通知の本文につきましては、委員の皆様方の机上ファイル、参考資料17のほうにとじておりますので、御参照いただければと思います。
事務局からは以上です。
○辻部会長 ありがとうございました。
ただいま御説明いただきました内容につきまして、報告ということですので、御質問等ありましたら御発言をお願いいたします。
特にございませんでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、この方向でお願いするということで、よろしくお願いします。
次に、議題2「全国がん登録 情報の提供マニュアル別添について」ということで、事務局、参考人の国立がん研究センター、松田室長より資料2、3、4の説明をお願いします。
○事務局(安藤) 事務局、安藤でございます。
まず、私のほうから、資料2について御説明させていただきます。この別添に関しましては、前回、第10回がん登録部会のほうで、皆様方からたくさんの御意見を頂戴したところでございます。こちらの御意見等を踏まえまして、修正しておりますので、本日、御説明させていただきます。資料2をお手元に御用意ください。
2ページ目をお開きください。大きな修正点に関しましては、赤字で今回、記載しておりますけれども、4番、利用の制限に関しまして、(1)の初め、「個人の同意、病院等の個別の了承がある場合又は《審議会等》等が特に認める」というところが赤字になっております。こちらはもとのほうでわかりにくい記載がございましたので、もう少しわかりやすくということで追記しているところでございます。内容的には大きな変更はございません。
次に、5番、作業委託のところです。赤字で横線を引いておりますけれども、こちらにつきまして、内容の意図が明確ではない記載になっていましたので、委託を受けた方の廃棄等のことについては、後ほどの安全管理措置のほうに回していただくことといたしまして、利用規約のほうでは削除させていただきました。
次、4ページ目をお開きください。8番の利用期間に関して、(2)のところの「期限内に」につきましては、文章のわかりやすさから、場所の変更をしております。
次、5ページ目をお開きください。11番、情報の処理の(1)のところ、横線にしておりますけれども、こちらは内容から12番の成果の公表のほうに移行させていただきました。後ほど、(6)のほうで御提示いたします。
次が、内容として大きく追記したところですけれども、12番、成果の公表に関しまして、利用者の方には、窓口組織のほうに公表する前に報告していただくようお願いする予定でございます。その際に、論文への公表予定の場合、また学会や研究会等への公表予定の場合には、公表のタイミングに少し特殊性がございますので、こちらの利用規約に記載を追記させていただいております。
まず、(2)、1.論文への公表予定の場合ですけれども、一度、投稿前に窓口組織に報告していただきます。そこで、必要な形で調整していただいた後、投稿していただきまして、投稿後の査読等によって、また投稿前に報告した公表内容に修正を要する場合には、その都度報告するとさせていただきました。
一方で、学会又は研究会等への公表予定の場合、学会又は研究会等の発表前に、抄録のほうを報告していただくとさせていただいております。こちらに関しましては、学会や研究会等で残りますものは抄録という基本的な考え方に基づいて、このようにさせていただきました。
次、6ページ目、お開きください。同じく12番の成果の公表の部分ですけれども、(5)、公表に係る期間の延長は最大1年間を限度とするとさせていただきましたが、どこから1年間かということが少し不明瞭でございましたので、追記させていただきました。
また、先ほど申し上げたとおり、(6)のほうには、もともとあった記載をこちらのほうに移動しておりますので、内容的には大きな変更はございません。
資料2に関しましては以上でございます。
○松田参考人 引き続き、資料3について松田のほうから御報告いたします。前回の部会で御意見いただきまして、修正した箇所、資料2と同様に、赤い部分が主な変更点ですので、そこを中心に御説明します。
まず、1ページ目、はじめにのところですが、ここは赤くなっていないのですけれども、太字で書いている部分、参考人の方から御指摘がありまして、推奨といったことをすると、全部守らなければいけないように聞こえてしまうということで、個人情報を扱う場合には、星をつけているものが必須で、そうでない場合、匿名化された情報の場合には、守らなくてよいというニュアンスをより強くいたしました。星がついているものは守らなくてよくて、星がないものは共通で守るという方針としております。
それで、赤い部分を中心に御説明いたします。
5ページの物理的安全管理対策の(11)、黒田委員のほうから御指摘があったと思います。表現がわかりにくいということですので、区画の施錠を二重にするというのが、イメージとしては、前室の部分と、実際にデータを利用する場所、その2段階の施錠が必要であるというのを、星印をつけて、表現を改めてここに設定いたしました。例えばフロアに入る入り口のところ、それから実際に個人情報を扱う部屋、その両方のドアに鍵がかかるというイメージです。
次のページ、6ページ目をごらんください。補足としまして、ここも表現がわかりにくかった部分を外に出しまして、匿名化された情報を利用する場合に気をつけなければならないこと。個別の独立した部屋を確保する必要はないけれども、例えば全国がん登録情報の匿名化されたものが入った媒体が盗難に遭うといった危険、リスクを減らすために、そういった場合でも、利用場所の出入口になるところを職員とか利用者がきちんと確認できるような配置、レイアウトにして、不正侵入を防止しましょうという補足に、匿名化データを扱う場合に気をつけることとして落としております。
それから、次の3番、技術的安全管理対策ですけれども、(1)の部分、これも表現が必ずネットワークを組んだシステムでデータを利用するように読めるということでしたので、スタンドアロンのもの、もしくは外部から隔絶されたネットワークを組んだシステム、いずれかで個人情報を扱うということを、表現を改めて規定しております。
それから、6番目、こちらも山本委員とか黒田委員とかの御指摘があったところです。パスワードの定期的変更についてですが、パスワードのみで2要素認証していない場合には、定期的に変更することをした上で、さらには以前設定したものの使い回しは避けるという部分を残した上で、2要素の認証を採用している場合には、必ずしもパスワードに定期的な変更を求めないという文章を追加いたしました。
それから、8ページ目をごらんください。これが利用の一部分ですね。利用に当たる作業の一部を外部に委託する場合には、外部受託者においても、本書の規定が遵守されるように契約時にきちんと説明するという文章を追記しております。
それから、11ページ目です。実際の運用の部分に入っておりまして、保管・廃棄の項目、(10)、それから補足の(3)が追記されております。以前は、廃棄においては外部委託を禁じて、利用者が必ず責任を持って廃棄するという規定になっておりましたけれども、利用者もしくは外部の業者で、必ず専門的な知識を有する者が廃棄を行うという表現に改めました。
それに伴って、【補足:廃棄について】の(3)を追記いたしまして、廃棄を外部に委託する場合には、統括利用責任者が外部受託者の【対策】(12)~(13)、廃棄に当たっては、専用のソフトを利用するとか、廃棄の作業記録、いつどこでやったといったことをきちんと管理してもらった上で確認することに努めるということで、廃棄について(3)というのを設けております。
最後ですけれども、12ページ目、利用者から窓口組織への問合せについての部分ですが、ここも表現が非常に不適切ということで、整理した上で、このような形に改めました。(3)、(4)で、文書、電話による窓口組織への個人情報の照会等は禁止するということになっております。(5)とあわせて、FAXでも禁止するということですので、利用者は、個人情報を口に出すような形での窓口組織への問合せというのは、全て禁止されている。一般的な問合せにつきましては、個人情報については、(3)については、移送に定められた文書を用いた方法で、個人情報については問合せをする。電話ですとかFAXによる個人情報の問合せは禁じておりまして、一般的な問合せであれば、電話とかこういったメディアを使って窓口組織に問合せすることができるという規定としております。
それから、(7)ですが、利用者が、例えばコホート研究の参加者にコンタクトをとるというのも禁じているような表現であると御指摘を受けましたので、患者や患者家族に対して、コホート研究の参加ですから、何か連絡をとる場合があると思いますけれども、情報の提供ということで、がん登録から得た情報に関して、何か教えたり、それに触れることを禁止するという表現に改めております。
以上です。
○事務局(安藤) 続きまして、資料4を御用意ください。
審査の方向性につきましては、ほとんど大きな変更はないのですけれども、2ページ目、ごらんください。(3)利用者の範囲に関しまして、2の部分ですけれども、一般の研究者の方は、全国がん登録情報又は都道府県がん情報の匿名化されていない情報を申請される場合には、法律に基づきまして相当数の実績が求められているところでございます。前回、こちらに関しまして、利用者のうち、誰にこの実績を求めるのかという御意見をいただいたところでございましたので、主語、「提供依頼申出者が」という一語を追記させていただきまして、提供依頼申出者に実績を求めることを明確にしました。
また、この「実績」が赤字になっていることに関しましては、前回、「公表経験」という表記をしておりましたが、こちらは法律に平仄を合わせているところでございます。
また、こちらの「実績」の具体的な内容に関しまして、さまざまな御意見があるかと思いますけれども、全国がん登録情報に関しましては、がん登録部会の審査委員会、都道府県がん情報に関しましては、各47都道府県の審議会のほうで、個別事例にあわせて実績を評価していただきたいと思いますので、その点、御留意ください。
審査の方向性の大きな修正点は以上です。
○辻部会長 ありがとうございました。
ただいま、資料2、資料3、資料4につきまして御説明いただきました。これについて御意見、御質問ございましたら、御発言をお願いいたします。
まず、天野委員、その後、家原委員、どうぞ。
○天野委員 御説明いただき、ありがとうございました。
1点質問でございます。資料3について、前回、私並びに中西委員からも指摘があった点について、再度確認でございますが、5ページになります。対策の(3)、USB等の可搬電子媒体についての取り扱いでございますが、いわゆる都道府県がん登録等に従事されていて、個人情報の取り扱いに十分熟達されている方であれば、そういうことはないかと思うのですが、必ずしもそうでない方がこういったUSB等の可搬電子媒体を取り扱う際に、可搬電子媒体を持ち出して、御自身で例えば自宅やほかの場所等で研究に活用するということがあり得るように読めるのですが、この部分についてはどのようにお考えなのかについて、改めて教えていただければと思います。
よろしくお願いいたします。
○松田参考人 御指摘ありがとうございます。
基本的には、利用場所として申請したところ以外で情報を扱ったり、外に持ち出すというのは想定しておりませんけれども、そういったことが十分でない場合があるということを考えて、そうしたメディアを外に出してはいけないですとか、明文化したほうがいいのではないかと私も思います。その点、考慮した上で修文したいと思います。
○辻部会長 家原委員。
○家原委員 ありがとうございます。
複数点あるのですが、まず資料2のほうをお願いします。2ページの5.作業委託の(1)の文章ですが、読んでいてわかりにくかったのですが、「提供依頼申出者は、提供された情報を用いた調査研究の全部を委託してはならないものとする」とありまして、その次に「調査研究の主要な部分を委託してはならないものとする」と、よく似た文章が2つ列挙されておりますので、これを1文にされてもいいのではないかと、ちょっとわかりにくかったもので気づきましたという点が1点と。
それから、6ページの12の(6)の赤字のところです。「成果の公表がすべて終了した後、3ヶ月以内に実績報告書」ということになっているのですが、論文が1回出たと仮定いたしまして、その後、レター等で何か意見を求められたりした場合、場合によっては3カ月を超す場合もあるのではないかと思ったのですが、そのあたりはいかがでしょうか。もう少し余裕を持たせてもいいのかなと思ったりもしたのですが。1本目の論文が出たら、もうそれでオーケーという考え方でよろしかったでしょうかという2点です。
続けて、もう一点お願いしてもよろしいですか。もう一点は、資料4の情報提供の審査の方向性に関する文書自体ですけれども、これは一番最初に御説明いただきました全国がん登録における匿名化の考え方ということで、資料1の合議制の機関で行う審査も、これにのっとって行うという考え方でよろしかったでしょうか。流れ図からしますと、匿名化されているかどうかだけで分かれておりますので、一番重要な調査研究の利用目的であるとか必要性ということが次の段階になっておりますので、全ての審査は資料4に基づいて行われるという考え方でよかったでしょうかという、以上3点でございます。
よろしくお願いします。
○辻部会長 どうぞ。
○事務局(安藤) どうもありがとうございます。
1点目に関しましては、検討させていただきます。
2点目ですけれども、申し出された時点で、予定されている公表が全て終了した後と考えておりますけれども、その点、少し不明瞭ということかなと思いますので、もう少し検討させていただきたいと思います。
3点目ですけれども、資料4の審査の方向性に関しましては、国立がん研究センターで行う審査についても、こちらに基づいてやっていただくと考えております。ただ、本日、資料1のほうでお示しした全国がん登録部会の下の審査委員会のほうで、匿名化の判断が困難な場合の審査につきましては、こちらが全てということではないと思いますので、その点については、改めて検討させていただきたいと思います。
以上です。
○辻部会長 黒田委員。
○黒田委員 済みません、質問させていただきます。全部で4点。
1つ目ですが、まず資料2の5ページ目、赤字になっております12の(2)の2ですが、「学会又は研究会等の発表前に、抄録を報告する」というところで、「これは残るので」という御発言があったかと思うのですが、昨今、国際会議等で学会のスライドを写真に撮って、それをSNS等に公表することを積極的に進めている学会がふえてきています。
特に、遺伝子系の学会では割とふえているというお話をお聞きしてございますので、もしくは、スライドについては後にシェアする、もしくはポスターについても後に公表するということをやっている学会がそれなりの数が出てきてございますので、もし残るということが観点なのであれば、スライド、ポスターについても取り扱いを御検討になったほうがいいのではないかというのが1点目の御質問というか、意見です。
2つ目は、今度は資料3の5ページ目の、赤字になっていた「前室と利用場所等、二重にする」というところです。前回も議論の対象で、私のほうから御意見を差し上げてというお話を松田先生からいただいたと思うのですけれども、そもそも、ここに二重の鍵をすることに意味があるのかと繰り返し思ってございます。鍵が1つであるのと、2つであるのと、それほど大きな違いがあろうかということは、ちょっと疑問に感じているところがございます。逆に、これをつけるがために利用できる利用者が相当大きく限られることが出てこないかということが、今、引っかかっているところです。この辺についての御見解をいただければと思います。
3点目は、6ページです。かなりテクニカルな話ですけれども、3の下の【対策】の中に書かれている(3)から(6)です。
例えば(3)ですと、「情報を取り扱うPC及びサーバは、OSのサインインパスワードの設定を行う」と書いてあるのですけれども、OSという文字列が必要なのかなということを思っています。PCのログインとOSのログインと説明がいろいろあると思うのですけれども、ここにOSが要るのだろうかというのを、ちょっと引っかかりながら見ていました。
同じように、(5)、(6)についても「OSのログイン」という言葉が出てくるのですが、これは「PC又はサーバは」でよいのではないかと考えます。特に、2要素認証を採用しているPCはありますけれども、2要素認証を採用しているOSはほとんど聞いたことがございませんので、多分、このあたりは書き方をちょっと調整されたほうがいいかなと思います。
もう一つは、テクニカルに、(3)は「サインイン」、(5)は「ログイン」と、言葉の統一ができていないので、このあたり、ちょっと整理していただいたほうがいいのではないかなと思いました。ここはかなりテクニカルな話です。
最後は、同じく資料3の8ページ目、赤字になってございます、4の(5)ですが、「外部の受託者においても、本書の規定が遵守されるよう、契約時に説明を行う」と書かれてございますけれども、そもそも委託契約にこれは記載されるべきことであろうと思いますので、「契約時に委託契約の中に記述させるとともに説明を行う」という形にされたほうがいいのではないかと思います。
私のほうは以上です。
○松田参考人 資料3の部分について御指摘ありがとうございます。
全て検討いたしますけれども、前室と部屋のところの二重のイメージ、先ほど御説明したとおりですが、利用場所での個人情報保護をきちんとするために、がん登録のこれまでの経験上、ほかの外部の方が完全に前室のところから立ち入れないような仕組みはなかなか難しくて、コミュニケーションをとるような外部からの方が来る場合に、最初の防波堤のような部分だけはあけて、そこでやりとりをして、完全に個人情報を扱っているところには入れないような、二重の仕組みというものを今までしてきたような背景でこういった文章を書いておりますけれども、御指摘の部分を考慮しまして検討いたしたいと思います。
残りの部分についても、御指摘どおり、内容を改める、もしくは何か表現を変える形で検討したいと思います。
○黒田委員 資料2の質問に対して。
○事務局(安藤) 資料2に関しましても、改めてそういった御指摘も踏まえて検討させていただきたいと思います。
○友岡委員 追い打ちをかけるようで恐縮ですが、資料2ですけれども、5ページの12の成果の公表です。先ほどの議論を伺いますと、公表の形式自体に関しては明確じゃないので、非常に多義的に私、これを拝見して思われる。なので、こういった場合、どうですかということで多分御議論が出てくると思うのですね。どの程度、そのあたりを明確にできるかということも少し検討材料にされたらどうかなと思いました。要するに、タイミングの問題とか出し方とか、そういったものは、特に医学系とか理系の研究者の方々は大変重要かなと思いますので、そのあたりを意識しながら文面をもう一度考えていただきたいなと思ったのが、ちょっと気づいた点です。
○辻部会長 大木委員、どうぞ。
○大木委員 大木です。
資料2の12の成果の公表についての質問というか、意見があります。この内容について、学会の抄録や投稿する論文の原文がもし英語だった場合、担当者にいきなりどんと英文が来られても困るかなと思いますので、簡単な和訳を添えるという、書き込むかどうかは別として、そういった配慮をいただけるといいかなと思いました。
以上です。
○事務局(安藤) いろいろ御指摘いただきまして、ありがとうございます。御意見を踏まえまして検討させていただきます。
○辻部会長 小俣委員。
○小俣委員 ありがとうございます。
小児の同意についての確認ですけれども、以前、部会のほうで小児の同意をどうするかということで、実際には人を対象とする医学系研究に関する倫理指針に基づいてというお話があったかと思います。この別添資料2、3、4の中で拝見しますと、最後の資料4で同意の取得というところがあって、そこに同意のことは書いてあるのですが、忘れられては困るので、小児の同意について、どこかに文言を残していただくなり、入れていただくということを御検討いただけないでしょうか。
よろしくお願いいたします。
○辻部会長 ほかに。
山中委員、どうぞ。
○山中委員 所長会の山中と申します。
資料4の2ページ目の実績というところについて確認というか、お願いいたします。先ほどの御説明ですと、個別の事例にあわせて審議していただきたいということでありました。通常、大学等の研究者の先生方であれば、当然、論文ということになるのでしょうけれども、私ども公衆衛生の行政にいる者とすれば、例えば政策に反映するための調査研究として、厚生労働科学研究ですとか、あるいはAMEDのほうに参加させていただくこともありますので、必ずしも論文という形ではなくて、報告書という形で成果をまとめさせていただいておりますので、そういったものもこの中に入れていただければ、こちらとしてもありがたいなと思っている次第です。その辺、いかがでしょうか。
○がん対策推進官 御指摘ありがとうございます。
そうしたものも含めて、恐らく実績の中に入ってくると考えています。ただ、それを一つ一つ示すのも、この内容の中では難しいと思っていますので、そういう意味で、いろいろな形で実績というものが読めるような書き方とさせていただいています。こうした申請者の実績につきましては、恐らくそれぞれの申請を審査する中で、個別のケースについて検討いただく内容になってくるだろうと思っています。
○辻部会長 ほかにどうですか。
亀井委員、どうぞ。
○亀井委員 今の成果の公表のところについて、一つ一つの個別の事例を示すのは難しいというお話でしたが、ここを読んで何を出せばよいのかというのは、出すほうには非常にわかりにくい記載になっていますので、こういったものの提出が必要だということがわかるような記載にしていただければと思います。先ほど和訳というのもありましたけれども、こういう場合にはこういうものが必要だということがわかるような形で、何か例示があるとよいと思います。
よろしくお願いします。
○がん対策推進官 検討させていただきます。ありがとうございます。
○友岡委員 その際に注意していただきたいのは、何のために公表する前に事前に知っておくべきかということをちょっと意識しながら限定するという方法も多分あるだろうから、余りにいっぱいここに書き込み過ぎると、もちろんそれに縛られることになりますので、そういった意味で、何でこれが事前に必要なのかという意識を持って、ちょっと御検討いただければなと思います。
○辻部会長 ありがとうございます。
ほかにどなたかいらっしゃいますか。よろしいでしょうか。
この後、模擬審査を行うわけですけれども、その中で御意見が出てきて、また戻ることも想定していますので、一度、ここで次の議題に移らせていただきたいと思います。議題3「模擬審査」に入りたいと思います。今回は、模擬審査を4課題つくってございます。
まず最初に、進め方等につきまして、事務局から御説明お願いします。
○事務局(安藤) 事務局、安藤でございます。
お手元に資料5を御用意ください。資料5の御説明に入る前に、今回の模擬審査について少し御説明させていただきたいと思います。
委員の皆様、御承知のとおり、実際に行われる今後の提供の審査に関しましては、原則非公開で行う予定でございます。ただし、今回の模擬審査に関しましては、公開で行うこととさせていただきます。また、議事録に関しましても、同様に公開とさせていただきます。
また、がん登録部会の審査委員会で扱うものは、主に本来、全国がん登録情報の匿名化されていない情報の提供でございますけれども、今回の模擬審査に関しましては、国立がん研究センターに置く合議制の機関ですとか、都道府県の審議会で扱うものにつきましても申請の中に入れております。今回は、窓口組織といたしましては、一括して国立がん研究センターのほうに形式の点検をしていただいておりますので、こちらにそろえております添付書類については、必要十分ということを既に確認済みでございます。
また、実際の研究者の方に申請書について作成していただいているのですけれども、全て架空の申請書であり、そのため実際の提供は行わないということは御留意ください。
また、提供について、応諾か不応諾かを審査委員会の意見としてまとめていただきたいと思います。
なお、追加資料や修正が必要な場合にも、今回の模擬審査では不応諾として意見をまとめていただきたいと思います。
今後の模擬審査の進行に関しましては、申請ごとに最初に事務局から資料の種類と申請書特有のポイントにつきまして、資料5を用いて説明させていただきます。進行については、辻部会長にお願いしております。
次に、資料5をごらんください。資料5に関しましては、先ほど御説明しました資料4の審査の方向性の大項目10項目を順番に並べておりまして、申請の種類に応じて、※のほうでポイントを示しております。こちらに関しましては、後ほど審査ごとに私のほうから御説明させていただきたいと思います。
事務局からは以上です。
○辻部会長 ありがとうございます。
それでは、ここから先は、実際の審査をイメージして、模擬審査ということで進行させていただきたいと思います。
では、模擬申請1につきまして、最初に事務局からポイントの説明をお願いします。
○事務局(安藤) 事務局、安藤でございます。
先ほどの資料5と資料6を御用意ください。
まず、資料6「模擬申請1」に関しましては、がん登録法第21条第8項の規程に基づく都道府県がん情報の申請でございます。
資料6のほうですけれども、最初に申請書。
右下に全ての通し番号が振ってありますが、右下8ページ目から研究計画書。
右下11ページ目からは同意書に値する説明文書。
右下16ページ目からは誓約書となっております。
こちらに関しましては、匿名化されていない情報の都道府県がん情報の申請に当たりますので、11ページ目からの説明文書の内容に関しては、こちらで御議論いただきたいと思います。
また、前回、第10回がん登録部会で、同意について、こちらの同意書には全国がん登録の説明と、がんに罹患した場合には当該調査研究を行う者が対象者の全国がん登録情報、または都道府県がん登録情報の提供を受けること、この2点を必ず記載していただきたいとお願いしておりますので、その点も踏まえて御検討いただければと思います。
また、利用者の範囲につきましては、通し番号の5ページ目、こちらは赤字で今回、追加項目とさせていただきましたが、マニュアルの申請書のほうに、そもそも過去の実績を記載していただく欄がございませんでしたので、今回、模擬申請に当たり、追加項目とさせていただいております。こちらの実績についても、同様に御検討いただければと思います。
また、1点、通し番号の3ページ目、ごらんください。4番の利用する情報の範囲のエ、生存確認情報のところですけれども、「要」のところに横線が入っているのですが、文字と横線の部分がかぶってしまっておりまして、実際「不要」ということになっております。
また、利用場所、利用する環境、保管場所及び管理方法に関しましては、匿名化されていない情報としてきちんと安全管理措置が守られているかも御検討いただければと思います。
事務局からは以上です。
○辻部会長 それでは、申請1の資料6の中身について確認していきたいと思います。
資料5「模擬審査のポイント」ということで、(1)から(10)まで書いてございますので、それに沿って項目ごとに一つ一つ確認していきたいと思います。
では、(1)調査研究の利用目的及び必要性ということですが、これはいかがでしょうか。2ページ目をごらんいただきますと、利用目的というものが青字で書いてありますけれども、いかがでしょうか。
どうぞ。
○丸山委員 これを審査するのであれば、倫理委員会の審査の類推で考えるのですけれども、申請者が説明に見えるのでしょうか。それとも文書だけ提出で審査するのでしょうか。それをまず教えていただければと思います。
○辻部会長 どうぞ。
○がん対策推進官 申請者本人の出席は、考えていません。この書類のみで検討することを考えております。
○丸山委員 説明はなく。
○がん対策推進官 はい。
○辻部会長 どうぞ。
○薄井委員 薄井です。
そうしますと、この委員会で審査する内容は、研究全体を審査するというと、研究の妥当性等々も含まれますので、既にどこかで審査されていて(倫理委員会を通っていて)、ここに出てくるのは、登録されたデータの受理が良いかどうかということを審査するという考え方でよろしいのでしょうか。研究全体のところになりますと、先生の御指摘のように、全てにわたって審査しなければいけないのかなという誤解を招くような気がしますけれども、確認です。
○辻部会長 基本的には、資料6の2ページ目の真ん中から下あたりをごらんいただきますと、倫理審査の進捗状況が書いてありまして、それは承認済、審査中、その他というところに○をつけていただくことになっているのですが、そして、倫理委員会の名称ですね。ほぼ全ての場合で承認済となっているものがここに上がってくるのではないかと想定しますけれども、事前相談の段階でそういった対応はあり得るのでしょうか。
○がん対策推進官 そういったところも含めて、まず窓口機関でのチェック、確認が入った上で、こうした審査委員会に上がってくるものと考えます。部会長のお考えのとおりでよろしいかと思います。
○薄井委員 そうしますと、利用目的の妥当性等々を考えると、それは既に倫理委員会を通っているので、担保されていると捉えない限り、申請者の出席もなく、難しいのではないかと思います。
○辻部会長 確かにおっしゃるとおりだと思います。ですので、この利用目的あたりはそういうものだなということで。
○薄井委員 よほど変であれば。
○辻部会長 よほど変であれば議論することになるでしょうけれどもね。これは、そういうことでスルーということでよろしいでしょうか。
黒田先生。
○黒田委員 今の議論ですけれども、倫理委員会で審査するときは、確かに倫理委員会で研究の妥当性を審査するわけですけれども、ここで審査するのは、がん登録法に照らしてデータを出してよいかを審査するわけですから、そこは観点がずれるはずなので。だから、倫理委員会を通っているからといって、そのまますっとアクセプトできるというものでは、きっとないと思いますので、そこは一度は見ておかないといけないのではないかなという印象を持つのですが、いかがでしょうか。
○辻部会長 先生、具体的にがん登録法に基づいてというときに何が変わってくるのでしょうか。
○黒田委員 ごめんなさい、僕も法律の文章をもう一回見直さないといけないなと思いながら、めくっていないのですけれども、法律の頭のところに利用目的はこういうものに限られるということをうたっているはずなので、その範囲の中におさまっているのかということをまず見ないといけないはずだと思うのですが。
○辻部会長 はい。
○友岡委員 今の点、先ほどの資料4の(1)のところで、「法の趣旨及び目的に沿ったものであること」と書いてありますね。でも、これは困ったことに、抽象的だから迷うなということですね。法律の読み方としては、我々の世界で1条を読むからなので、1条も中途半端に抽象的なのです。だから、個人情報の保護がちゃんと守られたような状態で当該研究が大丈夫かといった視点が、多分、この審査で必要なのかなというのは、一法律家の視点からちょっと御意見申し上げました。
○事務局(安藤) 事務局ですけれども、もちろんがんに係る調査研究であることというのは、この法律にきちんと書かれておりますので、倫理委員会を通ってきた研究の中でも、全国がん登録、また都道府県がん情報を提供するのに値するがんに係る調査研究かというところについては、利用目的のところで見ていただくものと思いますので、その点、ご理解いただければと思います。
○友岡委員 個人情報を目的外で利用するという表現があります。これは一般論ですけれども、その際には、必ずその個人情報のプライバシーの保護というものが当然重要なのですが、あとはそういった目的外、要するに、当初つくった個人情報とは違う形で利用する。これは、一般的に認められているのだけれども、極めて制限的ですね。その際、よく言われているのは、それが合理的な利用目的かということ。合理的とは何かというのは、これは困っているので、学者もいろいろと議論するわけですが、合理性はどういうふうに判断するかというのは、もちろんこういった分野の専門家の方々が考えるということになります。
とにかくここで議論すべきは、がん登録として、登録された個人情報の生かし方という、この点をより明確化するかは別といたしましても、法の趣旨に沿った形で考えるという際の一つの指標にしていただくことが重要かなと思いました。
○辻部会長 どうぞ。
○黒田委員 ですので、私、ぱっと総則を読んで、一番最後の一文に全て尽きるのだろうと思っているのですが、がん対策の一層の充実に資するかどうかというのが、この研究の結果を判断するための一文なのだろうなと理解いたします。その視点で見たときに、この研究がどうなのかというのが多分議論になるのだろうと理解したところです。
もう一つ、物すごくテクニカルな話なのですけれども、倫理委員会の名称はあるのですけれども、文章上、承認番号をとらなくていいのでしょうか。ちょっとそこが引っかかっていたのですが。
○辻部会長 わかりました。
まず、簡単なほうから。倫理委員会の名称で承認番号と年月日が必要だと思います。
あと、先ほどから出ています利用目的ですが、がん登録推進法の21条第3項で、以下の条件を満たした場合は調査研究に提供していいというのがありまして、1つが、当該がんに係る調査研究が、がん医療の質の向上等に資するものであること。2として、当該がんに係る調査研究を行う者が、がんに係る調査研究であってがん医療の質の向上等に資するものの実績を有すると書いてあります。ですから1つ目の条件と申請課題の利用目的とが沿っているかということになります。これは研究の目的そのものは書いてありますけれども、むしろ推進法との整合性において、どういった形でがん医療の質の向上等に資するかということを書いていただくということになるのでしょうかね。
どうぞ。
○友岡委員 今、先生がおっしゃった21条3項ですけれども、もともと法律全体は1条の目的から発しますから、そういった意味でちゃんと適合性がないと21条は読めないのですね。そういった意味では、21条3項1号をターゲットに当てられていますけれども、これだけじゃないよということは、ちょっと注意してほしいのと。ちゃんと整合性がとれるようになれば。だから、ターゲットの一つのあり方として、先生がおっしゃった点は理解できるということです。
○辻部会長 ありがとうございました。
天野さん、どうぞ。
○天野委員 念のため、確認でございます。もちろん、趣旨としては推進法との照らし合わせをその整合性について議論いただくということは重々理解しているのですが、私も複数の倫理委員会等にかかわっておりまして、他施設の倫理審査の結果等を見ることがありますが、施設間でかなり差があって、なぜこれが他施設の倫理審査を通ったのかというものがあるというのが率直なところでございますので、推進法の整合性もさることながら、その他の部分についても総合的に審議できる環境には整えていただきたいと願いますが、いかがでしょうか。
○辻部会長 はい。
○薄井委員 そのとおりですが、そうしますと、そういうところの専門家を個々の研究において参考人という形で招聘するとかでないと、きちんとした審査ができないのではないでしょうか。天野先生がおっしゃるように、倫理委員会がさまざまだというのはそのとおりだと思います。なので、倫理的に問題であるような研究をここでブロックするということになると、その趣旨でいいのかどうか、疑問に思います。
○辻部会長 これは私個人の考えですけれども、がん登録部会の審査委員会とういうものは、個々の所属施設の倫理委員会よりも優越した立場で研究の倫理性を検討する場ではないのではないと思います。実際のところ、倫理委員会は施設によりさまざまではありますが、基本的には厚生労働省・文部科学省等のガイドラインに沿って運営されているという前提ですので、そこまでの機能を我々が期待されているものではないなというのが私の考えですが、ほかの委員の皆さん、どうでしょうか。
丸山委員。
○丸山委員 倫理委員会とこちらの審査委員会は趣旨が違うのではないかと思います。倫理委員会のほうは、最近は不祥事があって、データの信頼性ということを表に出しますが、基本的には被験者保護、研究対象者保護のために、適正なあるいは公正な研究を確保するということであるのに対して、こちらのほうは患者本人の保護というのが大きいのではないかと思います。
それから、先ほどから少し話題になっている法の目的に照らして妥当かというところで、倫理委員会の審査目的とこちらの審査目的が違うので、二重にするかとか、私も倫理委員会をいろいろ見ていますが、それぞれいろいろなタイプのものがあり、そのあたりを危惧されるのはよくわかるのですけれども、こちらとしてはデータの本人の保護と利用目的の妥当性あたりを軸として考えるべきじゃないかと思うのですけれどもね。
○辻部会長 はい。
○友岡委員 個人情報の保護が何のためにありますかという視点に立った場合には、基本的に知られたくないですよ。なので、それを保護しますよ。これは、プライバシーの観点ですね。本来、研究の中身というよりも、これを保護するのがこの審査じゃないですかということですね。逆に言うと、当該研究に対して当該患者さんが提供された個人情報に関して、これだったら自分だと嫌だなというプライバシー性というのをどうしても保護しないといけない。
他方で、その研究は非常に有用ですというあんばいが、私は倫理の関係はやっていないからわかりませんけれども、先ほど丸山先生がおっしゃったように、本来、今回の審査はプライバシーの保護ということを考えないといけないのではないかというのが私の視点です。何度も申し上げています。
○辻部会長 黒田先生。
○黒田委員 僕も倫理審査委員会をやっているほうにいるので、お話を聞いていて思ったのですけれども、今やっているのは目的のところなので、情報の保護はこの後にやるとして、目的に関しては、法に基づく目的に沿っているのであれば、そこから先、倫理委員会の倫理性という話になってきたときには、そもそもこれはどうなのというレベルのものは、法の趣旨に多分沿わないのではないかという気が最初からしますので、それはよほどの状態だと思いますから、その観点を余り強く意識してやり過ぎないほうがいいのではないかなという気がいたします。
まずは、ここの役割がきちんと与えられているのは、さっき丸山先生がおっしゃったとおり、余りそこから逸脱するべきではないのではないかと思います。
○辻部会長 ありがとうございました。よろしいでしょうか。
どうぞ。
○柴田参考人 参考人の柴田でございます。
今、黒田先生、友岡先生がおっしゃっていただいた視点は本当に重要で、提供のマニュアルの本則の部分をつくってから、少し日がたってしまいましたので、皆様の記憶が少し落ちていらっしゃるかと思いますが、もともと倫理委員会の承認を必要とするかどうか、必須とするかどうかというところもこの場において議論させていただいておりまして、それは参考にするけれども、必須とはしない。それは、この場では研究の倫理性・妥当性は評価しないからということで整理させていただいたという認識でございます。
もう一つが、この利用目的において評価いただきたいことは、がん登録の情報は、本人の同意を得ないで、しかも第三者に提供するということの本人の同意も得ないで収集され、提供される情報でありますので、人に知られたくない権利というものをまず保障するということは本当に重要なことでございます。しかしながら、これを研究利用で保障しているということは、プライバシーが少し侵されるリスクと、この研究の目的のバランスを評価していただくための利用目的の評価だと思っておりますので、その点も御留意いただければと思います。
以上です。
○辻部会長 我々の記憶をよみがえらせていただいて有難うございます。そういうことで、利用目的、倫理審査について整理していただきました。よろしいでしょうか。
そうしていくと、この利用目的というのは、これは研究目的なので少し変えていかなければいけないということですね。こちらとしては、具体的な案を出す必要はありませんので、今、言ったような形で、法の趣旨あるいは公益性も含めて利用目的を書きかえてくださいというアドバイスになるかと思います。
次が同意の取得ですが、同意書の内容は適切かというのがあります。同意書は、説明文書が右下の通し番号で11ページからありまして、本研究の目的、研究代表者、調査方法、研究計画の開示、調査協力者にもたらされる利益と不利益、個人情報の保護、調査結果の公表、同意書の保管、任意の同意と同意の撤回ということがあって、その次、14ページに同意書。この同意書の内容は、データ提供の同意、がんデータベースの情報提供に関する同意、これまでの既往歴について提供しますということの同意ということと、15ページに同意の撤回書というものがありますが、これにつきまして皆さんから御意見いただければと思います。
天野委員。
○天野委員 ありがとうございます。
先ほどの議論を伺っていて、私が指摘する点がそもそも本日の模擬審査で許容されるのか、されないのか、ちょっとわからない中で申し上げる部分があることをお許しいただければと思います。1点目、がん登録に関わる本質的ではない指摘かもしれませんが、研究計画書も含めて、説明文書にも研究資金がどこから出ているのが明示されていないように感じましたので、利益相反等も含めて、そこは説明文書で書く必要があるのではないかということについて意見を申し上げたいと思います。
2点目でございますが、がん登録についての説明でございますが、説明文書を一読しますと、通し番号の12ページの中段あたりにざっくりと書かれているかと思いますが、この説明では、がん登録が何なのかというのを理解するのは一般の方にはかなり困難かと思いますので、場合によっては、図示等も含めてわかりやすく説明していただくことが必要ではないかというのが2点目になります。
3点目になりますが、今回、文章を書きくだし文で書いていただいているので、一般の方がもしかすると理解が困難ではないかと思うのが、どの時系列で、どのデータが使われ、取得されるのかという点について、こういった研究について十分御存じでない一般の方は理解が困難かと思いますので、場合によってはフローチャート等で、どういったデータがどの時系列で使われるのかということを示していただくのが、より適切ではないかと考えます。
4点目でございますが、同意と同意の撤回についてです。同意撤回時の送付先ということで研究室等の連絡先を書いていただいているのですが、そもそも研究について研究参加者の方が疑問等を感じた場合、どこに問い合わせをすればいいのかということが明示されていないということがあるかと思いますので、その点についても説明文書に明示していただくことを御検討いただければと思います。
私からは以上でございます。
○辻部会長 ありがとうございます。
どうぞ。
○松本委員 ありがとうございます。
今の天野委員の発言につながるのですけれども、私がもしこの研究の参加者で、この説明を受けただけだと、がん登録について全く理解できないと思います。そうなると、せっかくがん登録のデータを生かして、この研究に役立てようという本来の趣旨に賛同できない人がふえてしまうというのは、よくないことだと思います。これは、前回の検討会のときに私、申し上げたように思うのですが、全国がん登録とはこんなものですよというひな形を1枚つくって、それはどの研究も同じように添付するというほうが、よりわかりやすいのではないかと思われます。
たしか、そういうひな形はつくらないという整理になったかと聞いておりますけれども、これについては再考いただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。ほかの委員の皆様の御意見も、また伺いたいと思います。
以上です。
○辻部会長 小俣委員、どうぞ。
○小俣委員 天野委員と松本委員と同様の意見同じなのですけれども、患者の立場で見たときに、がん登録とは何かというのがわからないし、目の前で説明してもらっても、何を質問していいのかもわからないかなということがありますので、今、松本委員がおっしゃったように、何かチラシでも、小さいものでもいいと思いますけれども、がん登録とは何かということが誰にでもわかるようなツールが必要と思います。常に小児の話をしているのですが、若い患者でしたら、さらにわからないかなと思いますので、そういったものの作成というのはぜひ検討していただきたいと思います。
それから、これはひな形になるかもしれないということで、通し番号14ページの同意書ですが各項目に答えていくわけですね。言葉の問題かもしれないのですが、全部「私」と書いてあって、つけていくと、同意書というよりも誓約書みたいな感じがしてしまう。「私は」とか、要らないかもしれません。
あと、最後の「これまで、がんに罹患したことがあります」というのは、あったほうがいいのですか。実施施設の患者さんであれば要らないのか、今、闘病中だったら、ここに丸をしたくないとか、いろいろな思いが患者さんにはあるかもしれないので、同意書に丸をするときに心理的な負担があるのではないかと思いました。
以上です。
○辻部会長 どうぞ。
○黒田委員 今まで出ていた御意見の中で、説明文書については、私も以前したほうがいいのではないかと申し上げた。ないとわからないなというか、それを研究者に求めるのは無理だろうなと、これを見ながら思ったのが1つ。
2つ目は、これは模擬申出なので、つくられるのに随分苦労されている中での話ではあるのですけれども、ここで別に倫理審査するわけではないのですが、倫理指針に書かれている説明文書に書くべきことが網羅されていないという印象を受けたので、この文書だと説明文書としては不十分ですねという話にならざるを得ないかなという印象を持ちました。多分、これは模擬申出を一生懸命つくられたやつなので、対象が悪いのだと思うのですけれどもね。
3つ目が、先ほどお話しになっていた、同意書に「がんに罹患したことがあります」という記載項目があるのは非常に強い違和感を覚えたのと。
それから、連絡先のところについては、普通は教室だけではなくて、何がしか組織の窓口を書くのが一般的だろうと思っています。これは、それこそ倫理観の違いなのですが。というのは、一般の方にとって、同意撤回書を教室に送るのはかなり厳しいと思うので、ちょっと感情的なものがございますから、自分が診てもらっている先生のところに同意撤回書をいきなり送りつけるのはなかなかやりにくいという気がいたします。私どもの組織では別窓口を用意していますけれども、別窓口を普通はもう一つ用意して、そこで受けてもいいですよという形にされるのが一般的かなという気がするので。その審査という意味では、説明文書としては幾つか不十分なところがあろうという印象を受けた次第です。
○辻部会長 別窓口というのは。
○黒田委員 事務的な窓口を普通はセットして、私どもの組織の場合、京都大学の場合は、京都大学の事務部門に説明を受けるための窓口を、もう一つ必ずセットさせることになっています。つまり、事務の担当部署があって、研究室に直接問い合わせるのではなくて、事務の担当部署に対して問い合わせの受付をつくっているというつくりです。そうしないと、研究室に直接問い合わせるのは、基本、医師と患者の関係性を持っていらっしゃることが多いので、好ましくないだろうということで、もう一つ窓口をセットする形になっています。たしか、臨床研究中核病院か何かの要件じゃないかなという気がするのですけれども、もとの要求は何だったか、済みません、正確に覚えていないです。
○辻部会長 今のお話は、臨床研究としてはそうかもしれないですけれども、これは疫学研究で、研究対象者と研究者とが日ごろ会う関係ではないのです。
○黒田委員 なるほど。そうですね。それであっても、普通はセットしている印象があったので、教室に直接というのは余りないなという印象を受けたものですから。
○辻部会長 事務部門に誰かそういう担当者を置いたとして、その方がその大学で行われているありとあらゆる研究に精通しているのですか。
○黒田委員 精通はしていないですけれども、少なくとも受付窓口は別にある。文書を受け取るだけです。同意撤回書が送られてきて、それを受け取るのが基本的な役割ですから。
○辻部会長 説明に関しては。
○黒田委員 説明に関しても、お問い合わせがあったら一旦受けとめて、お返しするということをしていると思います。その場で回答できるなら回答しますけれども、一般的には回答できないはずなので、一度受けとめておいて、後で回答するという形態をとっていたと理解しています。
○辻部会長 はい。
○名越委員 これだけ、今、患者さん側の立場に立った意見というものが出ているわけですけれども、普通の施設の倫理委員会では患者さんを代表する専門家が同席していないことが多いので、同意書あるいは同意書の説明書に何を書くべきかを示すとか、あるいは説明書と同意書と同意撤回書のひな形をつくるべきじゃないかと思います。
でないと、各施設の倫理委員会を通っているとしても、ここに上がってきた段階で多くの問題点が指摘されてしまうと思うのですけれどもね。
○辻部会長 では。
○松本委員 今のひな形と相談窓口の件ですけれども、例えば大学病院の事務方の窓口を書かれても、患者はそこに電話するのもかなりハードルが高いのです。拠点病院でなくても患者相談窓口というのを多くの医療機関は設けていますから、そういったところをひな形には必ず入れるようにしておくとか、どこに相談できればいいか。患者にとってハードルにならないようなところをちゃんと想定するという指導というか、助言は必要ではないかなと思いました。
○辻部会長 先ほどの名越委員の御発言ですけれども、倫理委員会の中には、専門家だけでなくて一般市民は必ず入ることになっております。ですから、それほど研究者だけでやっているということではないです。
○名越委員 外部員の方は確かにいらっしゃいます。失礼いたしました。研究者のみではございません。
○辻部会長 どうぞ。
○羽鳥委員 僕も、このがんではなく、難病対策のほうもやっているのですけれども、難病でも同じような議論をしている最中です。先週、DIOVAN問題をきっかけにつくられNPO法人臨床研究委員会で臨床研究の妥当性を検討するJ-CLEARの研究会に出たのですけれども、諸外国と比べると研究の数が日本で激減し、論文発表も世界一流誌への投稿数も減っているということもあります。
もう一つ、公衆衛生に資するものについては、いわゆる個人情報を担保しなければいけませんけれども、そこを余り前面に押し出していくと、また、そこで研究意欲が失われてしまうということもあるので、その辺の落としどころがとても大事だと思うので、せっかくこのがん登録法ができて、がんの患者さんは一定のレベルで登録されている。さらに、それらのデータをもとに新薬の開発などを生み出そうとしている努力もあるので、それを阻害するような方向にならないようにしていただけたらと思います。御配慮いただきたいなと思います。
○辻部会長 どうぞ事務局。
○がん対策推進官 先ほどの羽鳥先生の御指摘もありました。研究によって同意書の形もさまざまあろうかと思います。同意書というのは、関係性が非常に強いものだと思います。というわけで、こちらのほうで同意書のひな形みたいなものをつくる予定は現時点ではないわけですけれども、全国がん登録の説明文書みたいなものは検討したいと思います。さまざまな形でリーフレットですとか、がん登録を普及啓発するための媒体も既にありますので、そういったものを参考にしながら、あってもいいのかなと思っています。
それから、同意書のひな形のほうに話が戻るわけですが、今回、模擬審査に出てきた同意書があるわけですけれども、同意書自体と、それにあわせて、きょう、先生方に御議論、御指摘いただく意見そのものが、これからがん登録に申請いただく研究者の先生方の指針になると思いますので、きょうの議論や次回の議論全般を含めて、参考となるようなものになろうかと思いますので、そういう点も踏まえて先生方の御意見をいただければ幸いでございます。
以上です。
○辻部会長 この同意書の問題、1つ難しいのは、既に倫理委員会も通して研究として始まっているものについて、今回、初めてがん登録の利用申請を出しましたというときは、その不備があるかもしれない同意書で既に動いてしまっているのですね。それをさかのぼってとり直すことはもちろん難しいですし。ですから、もう既に同意書ができている場合と、これから研究を始めようとしている場合とで分けて議論していただかないといけないかなと思います。
これから研究を始めようかなというときは、がん登録を使って研究しようかなというときについて、同意書でこういった要素が必要だという話は、先ほどの皆様からの御意見の中で、例えば研究費やCOIに関する記載は必要だなと思いますし、その点は次回までに整理してお出しできればと思っています。
ただ、もう既に同意書が作られて研究が進行しているものについては、いかんともしがたいと思います。これはどうしましょうか。私としては、一応倫理委員会を通しているということであれば、こちらから見て大きな問題がなければ、そこは認めるということにさせていただきたいと思いますけれども、それはいかがでしょうか。
丸山先生。
○丸山委員 今、たくさんの方から、この説明文書が不十分だという御意見があったのですが、私は最初のものについては、12ページの8行目から20何行目までの記載で説明が一応なされているのではないかということで、提供を認めていいという判断を用意して、本日、やってきたのですね。ですから、今も辻先生がおっしゃったように、既にこの説明文書で対象者がこの研究に参加なさって、これからデータ解析と。その際に、追跡のデータとして、これに基づいてがん登録から情報が提供できるか、できないかという判断であれば、要件は満たしているのではないかなと思うのですが。
余り具体的なところまで求めると、がん登録の仕組みも結構難しいですが、がん登録自体のパンフレットは、今も事務局からお話のあった、厚労省からも、あるいは国がんからも出されていて、余り長いと詳しくはなるのですけれども、私などは読むのが大変ということで、読んでもらえないという側面もあるのですね。だから、手ごろな長さというものも考えると、国がんで用意されているがん登録のパンフレットなどを添えて説明するということがなされれば、この12ページの記載で説明がなされているのではないかと考えます。
先ほど言いかけたことですが、余り正確なところまで説明せよと求めると、住民登録の移動を調査するあたりもかなりややこしい説明をしないといけないので、そのあたり、普通の参加者の方は関心がおありだろうかということを考えると、関心がある方については詳しい説明をする用意、あるいは資料を用意しておくことが必要だと思うのですが、普通の方については、これぐらいの説明がなされていればデータ提供を認めていいのではないかと考えるものです。
○辻部会長 ありがとうございました。
大木委員、どうぞ。
○大木委員 今回の模擬審査は、都道府県でこの作業をするに当たって、非常に参考になる、具体的に示していただいた内容だと思っています。なので、細かい点というよりは、流れや、こういったポイントについて、きょうの議論についてはまとめて、細かい文言とか研究にもそれぞれいろいろな事情があると思いますので、その辺については一言断って、提示していただくというのがいいかと。これで全部難しいというのは厳しい。この4つのパターンは、本当にすぐに出てくるパターンではないかなと思っていますので、まずはこれを共有して、こういう問題点が出たということをお知らせできるといいかと思いました。
○辻部会長 ありがとうございます。
どうぞ。
○黒田委員 もとに戻って、審査するというスタンスで見たときに、ここで審査すべきは、がん登録法に基づいてつくったデータベースを利用して、がんの罹患データを追いますよということがちゃんと説明文書に書かれているかということがポイントだと思うのですが、先ほど丸山先生がお話になった、小さな文字で書いてあるところでは、多分説明がわからない。文書を外に出すとしたときに、残る文書は、そこの下三角から始まる、「◎県がんデータベースを利用して」から始まってしまうので、これではがん登録法に基づいて集められたデータベースであることがわからない。
だから、文書の文字列のレベルのことになりますけれども、がん登録法に基づいて集められた○県のがんのデータベースを利用して、がんの罹患情報を調べますという、せめてその文章が入っていないと、少なくともここの部分はオーケーにならないという気がするのです。この下の小さな文字列がなくなる前提で物を考えています。
○辻部会長 下をなくせば、当然上も。当たり前。
○黒田委員 多分、そういう形になって、説明がわかりにくいから、先ほど事務局がお話になった添付のパンフレットをつけていますという一文がつけられて、そのレベルのことを判断することになるのかなと捉えた次第です。
○辻部会長 それでいいと思います。
祖父江先生、どうぞ。
○祖父江委員 同意の話とは別の話ですけれども、今回は匿名化していないがん登録データの提供ということなので、当然、個人情報と突合を前提とした利用形態ですね。情報の提供の仕方としては、突合のプロセスは全国がん登録の中で行うということでよろしいですか。ということは、申出者に対して提供するデータは、このコホートの中のがん罹患者のみを提供するということですか。その場合、突合のプロセスがきちんとうまくいくのかということに関してのチェックが、余りここの段階ではなされていないですけれども、それはどこか別のプロセスで行うのですか。
具体的に言うと、この人たちのコホートの中で、どのような個人情報を持っていて、コホート対象者の氏名、生年月日、性別、住所等が全国がん登録の個人情報ときちんとマッチするものであって、個人が特定できて、照合のプロセスがうまく行えるのかというチェックはどこでやるのですか。
○柴田参考人 国立がん研究センター、柴田でございます。
全国がん登録情報または都道府県がん情報の利用に係る、具体的には照合プロセスということにつきましては、実際の研究申出者との間の事前相談であったり、その手前であっても、これから整備していく予定である国立がん研究センターにおけるウェブサイト等で、実際の照合に必要な項目、照合のプロセス、どのような観点で照合して結果を返すのかということの情報は、これから提供していく予定でございます。ここで御説明することは、ちょっと詳細かと思いますので、控えさせていただきました。
○祖父江委員 ただ、研究者側が持っている個人情報が突合するのに十分なものでない場合は、研究として成り立たないということもありますね。現に、現住所等をきちんと管理していないコホートは幾つかあって、これは県単位だから、まだいいかもしれませんけれども、全国を対象とした場合に、氏名、性、生年月日だけで突合できるのかと言われたら、ちょっと不安なこともありますね。あるいは、仮名氏名しかないとか。個人情報の保有状況が制限されている場合に、研究として成り立つか成り立たないかということの確認も、ここでやったほうが僕はいいと思います。
○柴田参考人 そのような点につきましては、事前相談で窓口のところで終了しているかと思いますので、ここの審査のところまでは届いていないかと思います。その上で、今はここの模擬審査の土俵に上がっているとお考えいただければと思います。
○祖父江委員 ただ、実務者間だけでそれは解決する問題ですか。それを超えた問題があった場合には、こういう場で議論することもあり得るのではないかと思いますけれどもね。
○東参考人 参考人の東ですが、済みません、私はそういうことを事前に検討することはしていなかったのですけれども、個人的な意見として、参考までに少しお話しをさせていただきますと、例えば海外の事例でそういった登録情報を、特に死亡情報をアメリカなどでは提供するということをしておりますけれども、そこから出てくる情報というのは、研究者が提供した名前、生年月日、住所といった情報、アメリカの場合はソーシャル・セキュリティ・ナンバーというものがありますけれども、そのところで幾つマッチしたのかということまで、ある程度以上だったら提供する。それ以外だったら提供しない、
不完全なマッチはある程度の不完全なマッチで提供する、そのあとを判断するのは研究者でやってくださいということが行われています。我々のほうとしても、マッチしないものをこれではないかと、いいかげんに出すわけにはいかないと責任上、思いますので、そういったことを参考にしながら、まずは事前の相談の中で、これだけしか持っていない情報だったらわかりませんよとお話した上でで、申請を出すのか、出さないのかを考えていただいて、申請が出てきたら、事前にそういった不完全な情報で考えているけれどもよいかということを、この場でも審査いただきたいと思います。情報の完全性、不完全性その辺は、どの程度という問題になりますので、これはちょっと個別性が高いのではないかと考えます。
○祖父江委員 だけれども、そういう中でどんなやりとりをしたかというのを、この文章の中に情報として含めておいたほうがよくはないですか。
○辻部会長 どうぞ。
○がん対策推進官 その点もまた検討させていただきたいと思いますけれども、実務者同士の間で困る事例ですとか、検討が必要だと思った事例については、こうしたがん登録部会ですとか都道府県の審議会といった場で、議論する場を設けてご議論いただいた上で、方向性をこちらで示していくということがあってもいいかと思います。
○辻部会長 どうぞ。
○天野委員 済みません、重ねての指摘になるのですが、今回は模擬審査とはいえ、私も真剣に意見を申し上げているつもりでおりますが、先ほどから議論が出ている点でどうしても気になる点があって、あえて指摘させていただきます。
先ほど、委員からの御指摘の中で、そもそもこれは模擬審査の資料であるとはいえ、いわゆる指針において説明文書等に記載すべき内容が全て網羅されていないという指摘があったと思うのですね。それが、幾ら研究がすでに始まっているからとはいえ、指針にそもそも準拠していない説明文書が上がってきた場合、審査の場において、それは審査しないのだという整理にしてしまうのも一つの考え方ではあると思います。
ただ、そのことを是認したと受け取られかねないと思いますので、先ほどから繰り返し出ている議論となりますが、説明文書や同意文書のひな形を一字一句つくる必要はないかと思いますが、説明文書や同意文書等に最低限記載すべき項目等は示していただかないとまずいのではないかと考えますが、ぜひ御検討いただきたいと思います。
以上です。
○辻部会長 ですから、これから研究を始めるときは、そのような必要な項目を出すことは可能だと思いますけれども、既に行われている研究についてはそうならないわけで、2つを分けて考えたほうがいいのではないかという趣旨の発言を私はいたしましたけれども、いかがでしょうか。これから新しくやるものについては、天野委員に私も全く同感ですけれどもね。
○天野委員 その場合、例えば研究者の方が研究を実施していて、倫理委員会を通っている研究をとめろと言う権限はないと理解しておりますが、研究を始める際に、研究者の方があらかじめ厚労省等からその説明文書で説明すべき項目等が例示されていれば、少なくとも研究を立案する段階で、それを考慮して説明文書をつくるはずなので、最低限そういった項目ぐらいは出していただいてもいいのではないかと考えるという趣旨でございます。
○辻部会長 はい。
○松本委員 今の天野委員の意見に賛同いたします。もちろん、研究をとめるということは全くなくて、研究は進めていただきたいというのは私たち患者も同じ思いですけれども、一定程度、ちゃんと説明する資料というのは必要ですし、この場でそういうことは決めておいていただきたいと思います。
以上です。
○辻部会長 ですから、必要最低限、これは含めてほしいという項目を、次回お示しするということです。
天野委員。
○天野委員 そのとおりでございまして、項目をお示しいただければ十分かと思います。
○辻部会長 どうぞ。
○柴田参考人 参考人の柴田です。
前回、第10回において、事務局から同意文書に全国がん登録情報の提供を受けるに当たって、同意文書あるいは同意を取得すべき項目については、提示を既にされているという認識でございますが、そのことを踏まえて、この模擬審査の同意文書は作成されたかと思いますので、前回の項目立て、あるいは提示済みの内容では不十分であるということでしょうか。事務局から、ひな形とまではいかなくても、前回、御提示したものよりはもう少し詳しいものが必要そうであるというのが、きょう、この模擬審査を経ての結論と理解してよろしいでしょうか。
○黒田委員 済みません、黒田です。
先ほど私が申し上げたのは、前回お話が出たのは、説明文書の中で、全国がん登録のデータを使うのであれば、これは書きなさいという指示であって、説明文書そのものがどうあれということは説明していないはずです。説明文書がどうあれということは倫理指針に書かれているわけで、そこに従えばいい話ですから、先ほど天野先生がおっしゃったお話というのは、基本的には倫理委員会でもう通ってきているはずなので、それがそうでないものが出てきたとすると、そういうコメントをつけることまでしか、多分できないだろうと思いました。
それで、先ほど私がちょっと発言していたのは、前回の記憶では、たしか何を書かなければいけないかということで、全国がん登録で集められたデータを使うということ。それは、どんな範囲のデータを使うということを書きなさいということだったと記憶していますので、済みません、文書を読まずに記憶に頼って物を言っていますから、間違っている可能性があるのですけれども。なので、それから見たら、書かれている内容として一文だけ足りないかもしれませんねというのを先ほどコメントとして申し上げたのです。
多分、そういった形態の審査をやることになるのかなというので、審査に戻るとするならという発言をさっきさせていただいたのは、済みません、話の流れを折るような形でしゃべってしまったので、わけがわからなかったのですけれども、そういう趣旨で発言したつもりです。
だから、前回書かれているもので足りないという議論があるならば、柴田先生のおっしゃった話にするならば、今、ここでのコンセンサスとか皆さんの同意されている意見は、この7行では足りないということだとすると、それは何がしかのパンフレットとか、そういうものをつくることは、前回議論して、一度やらないというお話があったことがあるのですけれども、その1枚だけはつくらざるを得ないのではないかというのがコンセンサスなのかなと、私個人としては印象を受けています。
○有賀委員 有賀でございます。ありがとうございます。
ここまでの議論を聞き、審査のスタートラインにおいてどの程度のレベルまでを求めるかという話だと思いました。あと3つ模擬審査があると思いますが、この資料4を拝見しますと、全国がん登録情報提供の審査の方向性の1ページの上から6行目、「《審議会等》は、必要があると認める場合には、提供依頼申出者に対し、資料の追加・修正等を求めた上で」と書かれています。ここで言う“修正等”が、どこまでの何を指すのかが今の議論が焦点の一つだと思います。
模擬審査を通しながら、これがどの程度の修正を示しているのかについて、ある程度のコンセンサスが得られるとよいのではないかと感じました。
○辻部会長 最終的には、こちらのほうで、こういうことを修正しなさいという意見を付して採択とか、もう一回提出が必要とか、回答を出しますので、それはまた議論したいと思います。よろしくお願いします。
では、少し進んでよろしいでしょうか。この資料5のポイントで、(3)利用者の範囲ということがありますけれども、この辺はよろしいですか。全ての利用者分の表を追加するということで、これですと、教授1名と助教の人と大学院生、3名ということになっています。よろしいでしょうか。
利用する情報の範囲ということですが、診断年次が2016年で、地域は県で、がんの種類としては、がん種として多いがんと肥満関連がんだったと思いますけれども、このようながんの種類が書いてありますけれども、いかがでしょうか。
どうぞ。
○黒田委員 審査としてですけれども、生存確認情報が不要で来ているのですが、その後の研究計画書を見ると別のところで調べていらっしゃって、追跡調査で住民基本台帳を使って死亡・転出を調べるという研究計画になってございます。となると、これは過去の研究がどういうふうに研究されたかということに絡んで難しいところであるのですが、必要以上に患者さんのデータとか対象者のデータを調べるべきではないという視点から考えると、本当はがん登録に対して死亡の情報を要求して、住民基本台帳の調査をしないという形のほうが好ましいのではないかという気がするのですが、その辺は素人考えでしょうか。
○祖父江委員 それはちょっと違います。これは、がん患者さんの死亡情報だけではコホートにならないですね。だから、全身死亡が必要になるので、住民票照会が必要。
○黒田委員 わかりました。
○辻部会長 これは、がんになった人だけの情報しかないのですね。
ほかにどなたかございますか。どうぞ。
○薄井委員 薄井ですけれども、利用者の範囲というところですが、この研究計画書ですと、提供依頼申出者が3ページですけれども、利用者は助教の先生で、この先生の過去の業績は、5ページに書いてあります。これで業績を判断するのでしょうか。そうしますと、先ほどの業績が2つ以上でしたか。がんの研究に関与する実績があるかということを判断するとなると、この研究者への提供が妥当かどうかということを見るということでしょうか。
となると、先ほどの実績の評価についてよくわかりませんでしたが、これで提供は妥当と判断してよいかという質問なのでしょうか。となると、この内容でがんの疫学研究に実績があるかどうかというのが読み取れなません。これだけでは提供は不適切なのではないかと読めてしまうのですが、そういうことなのでしょうか。
○辻部会長 読み取れないというのは、どういうことですか。5ページの話ですね。
○薄井委員 実績は2つでしたか。実績というものの内容がはっきりしていないので、例えばピアレビューなジャーナルなのか、妥当なシンポジウム(シンポジウムはぴんからきりまでありますから) 、妥当なものなのかということまで、こちらで検討するということなのでしょうか。その辺のところをどのように解釈するかというのが多分求められているのかと思いますが。
○辻部会長 基本的には、これを見て、妥当かどうかということを判断するというのが我々の仕事です。
○薄井委員 そうしますと、ピアレビューのないジャーナルじゃないということになれば、妥当ではないのではないかという判断を出すことになるのでしょうか。
○辻部会長 おっしゃるとおり、そのときに議論していただこうかと思いましたけれども、ジャーナルですと、査読者がいるか、いないかということで変わりますね。ですから、査読者がいる雑誌に限ったほうがいいのではないかと私は思います。御議論いただきたいと思います。
○薄井委員 もっと言いますと、本来、提供を受ける人というのは、むしろ教授、指導教官であって、研究を進める方でももちろんいいのでしょうけれども、指導教官がなるべきではないかなと思ったものですから。○辻部会長 これは、教授というよりは依頼者の業績になるのではないですか。
○薄井委員 そうです。ですから、この依頼者の業績がこれでいいかどうかということもここでジャッジすることですね。わかりました。
○祖父江委員 物すごい細かいことですけれども、利用する情報の範囲で診断年次2016年と書いてありますね。研究計画書のほうには2016年から2020年までと書いてあるのです。恐らく利用するデータとしては2020年まで欲しいのではないかと思いますけれども、そうではないのですか。
○柴田参考人 個別の模擬の研究計画において、私はこれを事前点検したときには、2016年診断分の情報を2020年まで使いたいのだなという判断をしました。だから、16年診断分の提供を受けたものを2020年まで使うと理解しました。
○祖父江委員 前提として、今、利用可能なのが2016年までのデータということですか。そういう意味ですか。
○柴田参考人 はい。
○祖父江委員 では、しようがないですね。
○柴田参考人 ついでに発言させていただけますでしょうか。先ほどの薄井委員の御発言への補足になりますが、今回、私のほうで窓口の点検をこの模擬審査に対してもさせていただきました。窓口の点検は、あくまでも内容までは踏み込まず、形式の点検だけをするところでございますが、その際、実績を評価するための添付というものが、提供マニュアル、本則、またこちらの申出の様式例2-1のほうで漏れておることに気がつきました。ということで、提供依頼申出者の実績を証明する添付文書というものを提供マニュアルの本則、またはこちらの様式のほうに追加させていただきたいと考えております。
以上です。
○薄井委員 そうしますと、PIの人の実績だけということでしょうか。例えば、研究に携わる研究者全体の実績ではなくて、PIの実績を書くようにしましょうということでしょうか。ありがとうございます。
○辻部会長 それでは、利用する情報及び調査研究方法というのはいかがでしょうか。
利用期間は、先ほど御質問ありましたけれども、これでよろしいですか。
7の利用場所、利用する環境、保管場所及び管理方法ということですけれども、これはいかがでしょうか。
どうぞ。
○黒田委員 実は、この文章を見せていただいて、それが判断できないなと思いながら見ていました。利用場所に関しては、いろいろなことが書かれているのですけれども、具体的な構造がわからないので、この文章を読んだところで、そのとおりになっているかどうか、見る方法がないのですけれども、事務局チェックに任せるということなのか、この場面に判断できる図面のようなものが出てくるのか、どういう前提でお考えでいらっしゃいますか。
○辻部会長 どうぞ。
○がん対策推進官 この部分の記載の仕方については、また少し検討したいと思います。どういうふうに書いていくべきなのか、またおっしゃるとおり、保管する場所の図面だけではなくて、写真みたいなものがあるべきなのかもしれません。
また、後ほど、御議論の中でも出てきましたが、監査、実際こうしたデータを扱う場所について、そこに行ってみて、誰かが確認するということについても、NDBのデータ提供のほうではなされていますので、その監査の仕方をどうするのかということも含めて、これから整理して検討したいと思っています。
○辻部会長 ほかにどなたかございますか。よろしいでしょうか。
それでは、(8)調査研究成果の公表方法及び公表時期はよろしいですか。
それから、利用後の処置、裁断ということになっていますが、これもよろしいですか。
どうぞ。
○黒田委員 これも引っかかっていたところです。移送後のDVDは裁断でいいのですが、「コンピュータ内の情報及び中間生成物を物理削除」と書かれていて、この言葉の意味がわからないです。物理削除というのは、具体的に何を意味しているのでしょうか。コンピュータをたたき壊すという意味ですか。この書き方だとそうとしか読めないので、ちょっとおかしいなと捉えたのですけれどもね。ハードディスクを取り出して穴をあけるということを意味しているのですか。
○柴田参考人 参考人の柴田から当初の意図を申し上げます。確かに専門的な用語過ぎると思いますが、物理削除は、こちらの意図としては、単純な、パソコン上でごみ箱に入れるとか、ごみ箱を廃棄したら、それで一般の人は到達できない領域に行くことにはなるかと思いますけれども、そういうことではなくて、ハードウエア領域のところまで完全にクリアにするということを意味しています。もちろん、本質的なハードウエアの穴をあけるとか、たたき壊すということも含みます。
○黒田委員 わかりました。いわゆるセクターごと全部消し込むというやつですね。言葉の定義の問題だと思うのですけれども、これではちょっと読みにくいなと思いました。
○辻部会長 よろしいでしょうか。
では、その他ですけれども、追加項目、過去の実績ですが、このような形でよろしいかどうかということです。査読のあり、なしというのをどこかで聞くのですね。
○がん対策推進官 先ほど柴田先生からもあったように、この実績を証明するものを何かつけることで、それによって査読がある論文かどうかも確認できると思います。
○辻部会長 薄井先生、先ほど学会の発表についてコメントしていらっしゃいましたけれどもね。
○薄井委員 はい。学会はいろいろありますので、きちんと書いていただければ判断できると思いますけれども、例題ですから、この形で結構でございます。
○辻部会長 一般口演は認めますか。シンポジウムとか招待されたようなものは。
○薄井委員 私の感覚ですけれども、基本的には認めてよいのではないでしょうか。通常、学会は演題などは査読が入っているのではないかと思いますけれども、先生方が認めるというのであれば、異論はありません。
○辻部会長 いえ、先生の御発言は、シンポジウムも認めない。一般講演も認めない。
○薄井委員 いや、シンポジウムは学会であればいいと思いますけれどもね。
○辻部会長 一般口演は認めない。
○薄井委員 学会のレベルにもよると思います。それはケース・バイ・ケースになるかもしれません。
○辻部会長 基本的に全ての演題を通しているような学会の一般口演は認めない。
○薄井委員 先生、非常に難しいのですけれども、通常、がん関連であればきちんと審査が入ると思っているのですけれども、いかがですか。そうでもありませんか。ちゃんとチェックしますね。抄録の査読はしていますので、それであればよろしいのではないか。よほど変でなければ却下しないと思います。
○黒田委員 済みません、その議論のちょっと戻る話になるのですが、先ほどいただいた資料4の2ページで、もともとの条件というのが、「提供依頼申出者が、がんに関する集計又はがんに関する統計分析の調査研究の実績を2以上有する」という言葉だったと思うのですけれども、この実績は論文を意味するのでしょうか。それがよくわからなくて、調査研究を1件しかやっていなくても、そこで2本論文を書くことは当然可能なわけですし、逆に調査研究を行ったからといって、それが論文の形で発表されるとは限らないわけですから、ここに書かれるものが論文であるべきなのかというのは、非常に疑問です。
論文としての実績を問うならば、確かに査読の有無とか学会の性質が議論の対象になりますが、ここで議論するべきはそれではないのではないかという気がするのですけれども、事務局としてはどのようにお考えなのか、教えてください。
○がん対策推進官 まさにそこがケース・バイ・ケースの部分があると思います。研究の内容ですとか、同時にこれに対して携わられる研究者の先生方のレベルや内容も含めて、それぞれの個別の審査会の中で判断される内容だと思っています。
黒田先生の御指摘は、きょう、お示しした同意書の事例も含めて、これからほかの都道府県やがんセンターの審査会の中での議論のベースとなると思いますので、非常に重要な点だと思っています。
○辻部会長 あと、論文だけではなくて、例えば先ほど山中委員がおっしゃっていたみたいに、報告書ですね。行政としてやった報告書とか保健所長会でやったような共同の調査とがあろうかと思います。あるいは、研究費の報告書というのも含まれるのかなと思いますけれどもね。
どうぞ。
○家原委員 ありがとうございます。
今、過去の実績について御議論がありましたけれども、私自身としましては、学会の一般講演とか先ほどあった報告書とか、あらゆるものを広く含めてもいいのではないか。余り強く、ハイレベルにしてしまいますと、先ほどもありましたが、研究者自身の研究意欲が削がれたり、そういうアプライが少なくなってくるおそれもありますし、特に若手の先生方からの研究の申出が減る可能性もありますし、これをもって、かなりハイレベルでないといけないとか。
それから、1つの研究で2本の論文が出ることももちろんあると思うのですが、それで2と数えても、私、個人的にはいいと思いますし、比較的、それなりの実績を踏んでいらっしゃると捉えてもいいのではないかというのが私の意見でございます。
○辻部会長 私も、基本的には今の家原委員のお話に賛成ですが、まず、同じプロジェクトで2つ書くというのはよくある話なので、逆に複数のプロジェクトを同時に走らせるというのは相当ハードルが高い話になりますので、1つのプロジェクトでも2つ以上、論文なり発表なりがあれば、それはそれでいいのかなと思います。
1つだけ引っかかったのは、若い方がという話がありましたけれども、余り若い人が気楽にがん登録データを使うべきなのかなというと、そこそこのレベルの人がやっていただかないとどうなのかなという気が私はしますけれども、皆さん、いかがですか。そういった意味で、言いたいこととして、私は、学会発表に関しては、最近の傾向としては、一般講演は履歴書に業績としては余り書かない時代になってきていますので、学会講演は、一般講演は入れないで招待講演だけに限定するとか、それぐらいのレベルはあったほうがいいのかなと思います。
その一方で、研究者以外の行政の方々となると、先ほど言ったような報告書というものをもちろん入れて、そちらのほうの門戸は広げるというつもりはありますけれども、研究に関しては、それなりのハードルは少しあったほうがいいのかなと私は思いますけれども、いかがでしょうか。
祖父江先生、どう思いますか。
○祖父江委員 だけれども、そんなにレベルの高い業績をここで求めているわけではないですし、余り線を引くというより、ある程度のものがあればいいという、かなり寛容な態度のほうがいいような気がします。
○友岡委員 そういうものこそ、審査会で個々に判断すべきじゃないですか。事前にハードルということをきっちり決めて、それ以上のもの、それ以下のものと決めてしまうと、何のための推進かわからないわけですね。それだったら、先ほど言った資料4の2ページの赤字のところの実績に関して、もう少し具体的に書くべきですね。そうでないと心配になりますね。だから、書くのだったら、もちろんそれに従う。
だから、先生がおっしゃったように厳しくする。そういうスタンスだと、私としてはせっかくこういう制度をつくったのだからということなので、それは審査会で個々に判断していき、かつ事例がだんだん積み重ねられていくと、これはちょっとねというものとか、ここはちょっとポテンシャルがあるからという雰囲気がだんだんできてくるのかなと私は思います。キックオフの段階で余り決めてしまうと、こういったものは実験的な制度なのだから、それの実験を最初からやめてしまうということになると、せっかくの制度が空文化してしまうのはもったいないなというのが個人的な意見です。
○辻部会長 予定した時間を大分過ぎておりますので、この資料6についてはこれぐらいにして、この審査会として結論を出さなければいけないのですが、そのオプションとしては、応諾とするか、不応諾とするかということで、その意見を提出する。審査委員会として応諾印を提出するか、不応諾印を提出するかということで、不応諾の場合は、追加資料とか修正が必要だということで、今までの話を聞きますと、不応諾ということで皆さん、多分一致されると思います。
何々について修正が必要かということは、後で私がまとめさせていただくことにしていただいて、追加資料とか修正が必要なので、今回は審査委員会として不応諾という意見を提出するということで、まとめさせていただきたいと思います。
あと1時間しかないので、入り口でかなり議論したので、次は楽かなと願っていますけれども、模擬申請-2、お願いします。
○事務局(安藤) 事務局、安藤でございます。
次は、模擬申請-2を御説明いたしますので、資料7を御用意くださいませ。こちらに関しましては、法第21条第3項の規程に基づく全国がん登録情報の申請になります。こちらは、先ほどと同じように匿名化されていない情報ではございますけれども、法の施行日前に開始された研究でございます。
資料7についてですけれども、通し番号で一番最初の部分が申請書。
通し番号10ページからが研究計画書。
通し番号36ページからが全国がん登録情報提供に関する同意代替措置。
通し番号42ページからは誓約書となります。
今の資料の御説明の中にもありましたとおり、本研究は、法の施行日前に開始された研究でございますので、資料5の(2)の※「調査研究を行う者が講ずる同意代替措置に関する指針」に即した措置が講じられているかというところが一つのポイントかと思います。
もう一つ、(3)利用者の範囲に関しましては、先ほどの資料、模擬審査-1と同様に、実績についても御検討いただければと思います。
もう一点、(6)利用期間に関しまして、今回、通し番号の5ページ目の6番、利用期間をごらんいただきたいのですけれども、5年以上の利用期間の申請がございます。法律の中で、基本的に匿名化されていない情報の利用期間に関しましては、原則5年以内とされているところですけれども、研究の性質上、必要と考えられる場合には、5年以上15年以内で申請することができますので、こちらは7年間の利用期間にふさわしいかという点についても御検討いただければと思います。
事務局からは以上でございます。
○辻部会長 それでは、よろしくお願いいたします。
資料5のポイントに沿って伺っていきますけれども、調査研究の利用目的及び必要性ということですが、これは先ほどと同様で修正が必要ということでよろしいですね。
次の同意の取得ですが、調査研究を行う者が講ずる同意代替措置ということで、参考資料6が同意代替措置についての話になっておりますが、これに照らして適切かということですけれども、いかがでしょうか。
どうぞ。
○松本委員 この同意代替措置については、十分な情報が提供されていると思われます。これが必要なのかどうかということですが、問い合わせをしたいときの問い合わせ先のようなものは何か提示したほうがいいのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。ほかの委員の方の御意見も伺いたいと思います。
○辻部会長 松本委員の御質問は、がん登録とかこの研究に対して相談する窓口ということですか。
○松本委員 同意代替措置についての問い合わせ先について、何か明記したほうがよいのではないかと思うのですが、そのあたりはいかがでしょうか。同意代替措置であるから、そういった問い合わせは不要なのかどうかということも含めて、先生方の御意見を伺いたいと思います。患者としては、あったほうがいいように思うのですが。
○辻部会長 一方的な説明だけで理解できるとは限らないので、しかも、オプトアウトの機会をちゃんと提供しなければいけませんので、その辺の相談窓口は当然必要ですね。ですから、それが明記されていないので追加してくださいというコメントもあろうかと思います。

ほかに。
○黒田委員 松本先生がおっしゃったものは、この緑色の箱の部分がそれには当たらないのですか。緑色の箱に書いていらっしゃるのが、それなのかなと思ったのです。
○辻部会長 38ページ。
○黒田委員 それではないということですか。
○松本委員 これでわかると思いました。済みません、見落としておりました。ありがとうございました。
○辻部会長 どうぞ。
○丸山委員 私は、先ほどのものとは逆で、これについてはわからないところがたくさんあるのですけれども、要件として、第一と第二というものがありますね。まず、がん追跡情報を得ることについてインフォームド・コンセントが当初得られているかが第一ですね。19ページの下から7行目から下から3行目までの説明で、がん罹患について追跡するということで、第一については充足されていると思うのですが、第二について、少し形式的な要求をするかもしれないのですが、この指針自体、どういうふうに理解したらいいのかの確認も含めて教えていただければと思います。
第二の最初が適切な情報公開とあります。そして、(1)、(2)、(3)とあり、(1)が調査研究対象者の範囲ですけれども、これがどこに書かれているのだろうかというのを、審査の際に申請者をお呼びになるのかどうかで、呼ばれていたら尋ねようかと思って、そういう趣旨もあって最初にお伺いしたのですけれども、何となくは書かれているのですけれども、明確にこの項目に並べるような形では表記されていないのかなという感じなのですね。
このコホート研究に参加した方で登録が何年何月何日から何年何月何日までの人というものが通常、オプトアウト目的で情報公開する際に表示されるかと思うのですが、それが通しの36ページから38ページで読み取りなさいという書き方がなされているのですが不十分ではないかと思います。
それから、(2)として、全国がん登録情報等の利用目的。これの整理がいま一つ不十分で、これも研究計画の中の抜き書きから把握しなさいということですね。37ページから38ページの記述から把握しなさいということで、(1)、(2)と項目に応じて書かれていないというところ、今後はそうじゃなくて、項目に応じた記載を求めたほうが審査はやりやすくなるかなということを感じました。
それから、3番目として、全国がん登録情報等に係る個人情報の取扱いに関すること。これは、一般的なこととしては、がん登録に関する記述の39ページから40ページあたりに書かれているのですが、この指針で求められている趣旨が、提供してもらった後に研究者はどういうふうに扱うかという具体的な記載を求めているのか、それともがん登録の制度の中で個人情報はどういうふうに取り扱われているのか。後者であれば、39から40ページの説明で読み取りなさいと。ここはそんなに苦労なく読み取れますので、いいかなと思うのですが、研究者が提供を受けた後、どういうふうに取り扱うのかということであれば、書かれていないのではないかと思います。
それから、(4)、指針自体の概要を示せということですが、これもここを探したのですが、37ページの中ほどよりやや下ですね。上半分はどこかからのコピー、ペーストですが、中ほどから、「全国がん登録情報の利用目的、全国がん登録情報に係る個人情報の取扱、施行日後改めて本人同意を得ることのできない理由及び本指針の概要」。ここは、1から4までに対応したことがその後に書いていますよということですが、本指針の概要について、その後を見ても書かれていないのではないかと思うのです。そのあたり、もう少し個別に(1)から(4)を書いてほしいなという感じがいたしました。
それから、第二の二については、オプトアウトの機会を保障して、公開している。これは、先ほども少し話題になりました38ページの緑の表記の前後あたりを含めると、できているのではないか。要件は充足されていると思うのですけれども、第二の一の要件については、もう少し指針に対応する形での表記を研究者に求める。これは申請の際に求めることですから、将来にわたることで、してもいいのではないかと思います。
以上です。
○辻部会長 ありがとうございます。
ほかにございますか。よろしいですか。
では、(3)の利用者の範囲ですけれども、これはよろしいでしょうか。
それから、利用する情報の範囲ですが、2016年診断で全国。生存確認情報は必要ですか。これも結局、がんになった人以外の情報は入らないので。
○祖父江委員 がん患者さんのコホートみたいですよ。
○辻部会長 いや、これは症例対照研究とかコホート研究なので、がんじゃない人も対象に含まれています。
○祖父江委員 これは、がん患者さんだけじゃないのですか。
○辻部会長 がんセンターを初診した患者を対象にしておりまして、その中でがんと診断される人とがんでないと診断される人と、両方含まれます。
○祖父江委員 なるほど、不要と書かなくても。
○辻部会長 しかも、5ページを見ると、住民基本台帳で生死確認して云々とありますので、余り必要ないような気もしますけれどもね。さっきの模擬審査-1については、そういうロジックで不要となっていたのですけれどもね。
それから、(5)の利用する情報及び調査研究方法ですけれども、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
(7)利用する場所、利用する環境、保管場所及び管理方法ですが、これも黒田先生、先ほどと同じことですね。
○黒田委員 同じく読みにくいという印象を持ちました。先ほどよりは、論理的に整合性がとれているので、多分大丈夫だろうなという印象を受けるのですが、それでもわからない。先ほどは、論理的整合性が幾つか破綻しているところがあったので、本当に図を見ないと、書かれていることが正しいのか、単に書き方の表現の問題で論理的破綻が起こっているのかどうかわからなかったのですが、これが書かれている文章を見ているときには、論理的には一応成立しているように見えたのですけれども、これだけで判断するのは難しいという印象を持っています。
○辻部会長 どうぞ、山本先生。
○山本委員 黒田先生と同じ印象で、これだけ見ていても、なすべきことが網羅的になされているのかとか、そういったことが十分に判定できないというか、よほど詳しければできるのでしょうけれども、わかりにくいところがあると思います。
それから、記載の中にも、例えば6ページの最初の行に、「万一、担当範囲や手続きに違反している事実や兆候に気づいた場合には、速やかに是正している」とありますけれども、あったのか、なかったのかというのもセキュリティに関係する上では結構重要なことで、こういったことが起こる組織なのか、起こらない組織なのかというのも、書き方としてもう少し配慮しないといけない。
前の申請もそうですけれども、NDBの場合はどうしているかというと、最低限どこでもやらないといけないものはチェックリストにしているのです。全部チェックして、それ以外に独自の事情によって変わるところとか、あるいは追加の工夫をしているところは文書で記載していただいて、図はもちろんつけてもらって、それを見るのですけれども、意外とわかりにくいというか。
平面図はわかるのですけれども、立体がわからなくて、上があいているか、あいていないかとか、そういうことが余り丁寧に書かれていないことが多いので、もし図を求めるのであれば、パーティションで区切っているだけなのか、あるいは本当に天井までつながっているのかみたいなことまで書いてもらわないと、よくわからないということが出てくるだろうと思います。
○辻部会長 これについては、事務局でまた少し検討させていただきます。
○山本委員 どこでもチェックしなければいけない点はありますから、それはチェックリストにしたほうが多分早いと思います。
○辻部会長 わかりました。ありがとうございます。
ほかにどなたかいらっしゃいますか。よろしいですか。
では、8の調査研究成果の公表方法及び公表時期ですけれども、これはよろしいですか。どうぞ。
○山本委員 資料4の条件を満たすとしたら、多分これでいいと思うのですけれども、審査の要件としては、実際に公表するデータがまだないので、今の時点で詳細はわからないとしても、公表する際にどういう事項を公表するということがないと判定ができません。公表することはアウト・オブ・コントロールになる話ですから、そこから先は世の中を転々流通していくデータになります。その時点でもしもリスクが残っていると、我々審査する側の責任になると思うのです。
ですから、そういう意味では、もちろん実際に公表されるときにこれでいいかどうかというチェックは入るのでしょうけれども、そもそもだめなことを目標にしている申請というのも、NDBの場合は実はあります。それは、その時点でこういう公表をしてもらっては困りますということを言わないといけませんので、修正をお願いすることになります。どこの学会にどういう発表をするかとか論文を出すかということでは、それ自体は多くの人が知り得る状態にしなければならないという条件を満たしていると思うのですけれども、そもそもその目標である公表が妥当であるかどうかが、データを提供するときの判断になると思うのです。
それが研究計画の中から読み取れればいいのですけれども、例えば実際に表にするときに、本当に珍しい病気の1例がプロットされるとか、それに対してさまざまな附帯情報がつくみたいなことになると、余り好ましくない場合もあると思います。ですから、そこはどこの学会にどう出すというだけではなく、もう少し具体的に研究成果として、どういうテーブルを予定しているのかとか、そういったことがあったほうがいいのではないかと思います。
NDBの審査の場合は、全部それをつけてもらっているのです。論文にせよ、学会発表にせよ、こういう形式で発表することを予定しているということを記載していただいています。それがあったほうがわかりやすいというか、あらかじめ実際に研究を進めていただいて、本当にグラフやテーブルにして発表する、あるいはこれで投稿するという段階になって、これは公表基準を満たさないから公表していはいけないと、審査する側もつらいですし、研究者も困ると思うのです。
ですから、皆さん、研究するときには発表する発表のイメージとか論文のイメージを頭に置いて研究を進められるわけですから、そういう意味ではもう少し具体的な形式についての記載があるほうが判断しやすいかなという気がします。特に、こういった顕名情報を扱う場合は必要ではないかと思います。
○辻部会長 丸山委員。
○丸山委員 今の山本先生の御意見、確かにそのとおりだと思うのですが、資料7の研究については、大きなコホートで、いろいろなところでいろいろな形式で発表しようというものですので、このような研究については、そこを余り求めるのは難しいかなと。もう少し小さなと言ったら語弊があるのかもしれないですけれども、そういう研究であれば、先生のおっしゃること、確かにそのとおりだと思います。あるいは、このモデルを想定するとちょっと難しいかなということを感じました。
○辻部会長 柴田参考人。
○柴田参考人 柴田です。
窓口組織でこの模擬審査の作成に協力してくださった先生との事前相談で受けた意見として申し上げますと、このようなコホート研究の場合は、探索的に網羅的に解析していくということで、結果のテーブルということを事前に想定しにくいと提示することはしにくいということで、どのような統計解析をするかということだけであれば書けますということで、21ページにこのような統計解析を行って、その結果を発表するのですということで代表させるという形式を今回はとらせていただきました。
もし、これ以上のことをこのタイプの研究に事前提示を求めるのであれば、その例示をしていただく必要があるかなと思います。といいますのも、この模擬審査の内容だけが今後公開されていくことになって、これが研究者に対しての事前の研究計画書のモデルになっていきますので、こういうものがなければ通らないのだよというものが事前にお示しできるのであれば、それはここの場で御検討いただければと思います。
以上です。
○辻部会長 山本委員。
○山本委員 それであれば、これは不応諾になると思います。公表基準に関して何の記載もないわけですから、そこの部分にどれだけ配慮するかというのは、テーブルの形式にかかわらず書けるはずですので。そういう意味では、そこの記載をしていただかないと困るということになります。この統計処理をやったら全部発表していいのかというと、そうではないと思います。さまざまなテーブルを使うときに、本当に1人が特定できるような統計値が出てきますから、それを発表する必要も多分ないと思いますから、それに対して配慮するという一言が要るだろうと思います。
○辻部会長 ありがとうございます。
○黒田委員 先ほど御意見が出ているとおりですけれども、資料6のときも実は頭を抱えながら読んでいて、これも頭を抱えながら読んで、こっちのほうが難しいのですけれどもね。
先ほどの利用する情報の範囲という言葉が出てきますけれども、利用する情報の範囲は本来、研究目的から定まるはずなので、それを逆算して読んでいくと、資料6は何とか読み切れたのですが、資料7はコホートなので、こうなると無理だなという印象を持っています。これは、申請書の書き方の難しさだと思うのですけれども、資料6であるようなタイプの研究でも、それぞれの個別の項目がどうして必要なのかを書かないと、素人読みをするとどれが何を意味しているのかわからないので、情報の範囲を決めるのは難しいなと思いました。ここは、申請書の書かれ方というものが、先ほどに全部つながるのですけれども、ゴールであれ、発表から戻ってきて、全部つながってこないと読めないなという印象を持ちました。
資料7の趣旨とはちょっとずれてきますけれども、コホートになると、そこはどこまでと定め切れないはずなので、多分、その辺は申請の書き方で何を求めるかということによってくるのかなという印象を持った次第です。
済みません、意見になります。
○辻部会長 では、ほかにいかがでしょうか。
大分時間も迫っていますので、少し進めたいのですけれども、利用後の処置はよろしいですか。先ほどとほとんど同じなので、物理削除が言葉としてどうかということぐらいかなと思います。
過去の実績として、Journal of epidemiologyが出ています。アメリカの学会で発表しました。それから、厚生労働科学研究費補助金の報告書が書いてありますけれども、いかがでしょうか。大体、これで満たすという感じでよろしいでしょうか。はい。
そうしますと、全体を通して、この資料7の模擬申請として何か御意見いただけますでしょうか。
どうぞ。
○事務局(安藤) 事務局です。
(6)の利用期間について、お願いいたします。
○辻部会長 5年以上分析する必要があるということですね。先生、どうですか。基本、5年間ということですね。それを超す必要があるのかどうかということですね。
どうぞ。
○丸山委員 申請を認めた後、定期的な報告があるかないか、ちょっとよく思い出せないのですけれども、それがないのであれば、5年にしておいて、更新も可とするような扱いのほうが、一度に5年を超える期間を許可して、おやおやというよりも、定期的な更新を求めるほうがいいかなという感じもいたします。
○辻部会長 どうぞ。
○家原委員 この利用期間に関してですけれども、分析期間が終了するまでと記載されております。恐らく研究計画書のこの黒で塗り潰されているあたりの30ページからですが、こういった遺伝子の検査等に解析期間がかかるという理解なのかなと思いましたので、そういったコメントを一言書いていただければ許容するということではいかがでしょうか。この5ページの記載では、「分析期間が終了するまで」とのみ書いてあるので、具体的に「○○に時間がかかる」という注釈があれば許可という形ではいかがでしょうか。
○辻部会長 この問題はかなり難しいと思います。コホート研究なので、基本的にはずっと続く可能性があるわけです。そうすると、1回の申請で10年、20年も許可していいのか、あるいは先ほど丸山先生がおっしゃったみたいに、5年ごとにして更新していくのかという議論になるのかなと思いますけれども、いかがでしょうか。もともとは、5年が上限として定められているところですけれども、特にそれを超えて許すべきなのか、あるいは5年ごとに再審査という形のほうがいいのかということなのですけれどもね。
多分、5年を超えて許してしまうと、コホート研究は全てそのようになってしまうと思うのです。その辺がどうなのかなというところであります。
はい。
○友岡委員 ごめんなさい、文言でうるさく言うと、資料2の4ページの(2)の表現からすると、原則が(1)で5年ないしは15年経過して云々。審議会等では、必要と認められる場合のみ利用。
(2)で、(1)においてと書いてあるのですけれども、「期限を超えて情報を利用する必要が生じた場合は」ということで、限定的に書いていますね。そうすると、基本5年なのかな。期限を超えて情報を利用する必要が生じた場合ということで、申出文書を提出し、期限内に応諾を得るものとする。だから、こういったプロセスが入っているということは、例外的に延長するということだから、一義的には5年だというのがこの文章から読めるかなと思います。
○事務局(安藤) 事務局ですけれども、補足をさせてください。
今、資料2のほうで友岡委員から御指摘があった、こちらの4ページの期限に関しましては、作成した時点の意図としては、利用申請をした利用期間の期限でして、利用期間を5年を越えた場合についての想定といいますのは、この利用規約の2ページ目をごらんください。3.管理のところに(2)とありまして、利用期間が5年を超える場合にはということで、コホート研究の場合に、5年を超えた申請を認めた場合に、5年をめどとして利用状況を報告するということを想定して、もともと規約に入れているところでございます。その点も踏まえて先生方に御検討いただければと思います。
以上でございます。
○辻部会長 どうぞ。
○有賀委員 ありがとうございます。有賀でございます。
そもそもこの文章、何年になるのかがわかりません。情報の利用開始日から2025年12月31日では、開始日は不明ですので、例えば情報利用開始日から○年を経過した2025年12月何日というようにしていただかなければ、審査する側としては、これが何年を意味するのかがわからないと感じました。ですから、書き方の例を示すことが必要と思います。
○辻部会長 情報の利用開始日というのは、承認を受けて、全国がん登録だから、国立がん研究センターからマッチングしたデータをもらった日ということになるので、このペースでいくと2018年12月とか、そのぐらいのときになるのかなと思います。これは相手がある話なので特定できないので、多分2018年ぐらいの話だと思います。
はい。
○有賀委員 ファイルの中に入っております参考資料14「全国がん登録情報提供マニュアル」の10ページを拝見しますと、「20XX年○月○日まで又は提供を受けた日から5年を経過した年の12月31日までの期間の短い方」という書き方がされていますので、これに準じた申請書の書き方にするべきではないかと思います。
○辻部会長 了解しました。
先ほどの5年というのはどうでしょうか。先生、何かありますか。
○友岡委員 済みません、これは安藤さんに教えてほしいのだけれども、さっき、資料2の2ページの(2)で、「5年毎を目処として」というのは、これは5年更新制という文言としては一瞬読める。そういった意味では丸山説が一見正しいかなと思えたのだけれども、そのあたり、どういうふうな解釈でよろしいですか。それ次第で更新と決まってくるかと思ったのですが。
○事務局(安藤) もともと更新という形の考え方というのはしていませんで、最初の審査の時点で、この研究に利用期間は何年が、今回だったら7年が妥当かどうかというところを御判断いただいて、実際に7年必要でしょうとなったときに、先ほどの2ページ目の(2)があてはまるという考え方ですので、とりあえず5年で許可しておいて、5年後にまた再申請というのは、もともと想定していないと御理解いただければと思います。
○辻部会長 という点では、今回の申請は7年で妥当と考えてよろしいということですね。はい。
そうしますと、模擬申請-2に関しましては、利用目的のところが法律との整合性をとることと。それから、(7)の利用場所、利用する環境について、もう少し詳しい説明が必要ということで、それの修正を求めるということで、今回としては不応諾ということで、再審査という形でよろしいでしょうか。
○黒田委員 済みません、1点いいですか。研究計画書の中の通し番号20ページから始まる他研究への調査資料・生体試料の提供のところがコホート研究の場合、必ず出てくる話だと思うのですが、提供の仕方で、どこまで、どういうふうな形で提供するのか、これだけでは読めないというのをすごく強く感じました。
これは、顕名でお渡しして、コホートに入れる研究ですね。そうすると、顕名で入れたコホートから、その先、そのデータが顕名で出ていくのか、匿名で出ていくのかというところをきちんと示していただかないと、お渡ししていいかどうかの判断がそもそもできないという気がいたします。
ですので、この記載の仕方では、どういうふうな限定をして出すのかというのをちゃんと書いていただかないと、このまま顕名でお渡しして、さらにそのコホートから別の研究に出ていくようなことがあるのかないのかということは、この審査をするときにかなり重要な観点なので、それが書かれていないというのは、これはこのポイントで私は認めてはいけないのではないかなと思いながら、私はこの申請に関しては感じていました。
○辻部会長 わかりました。非常にいい御意見だと思います。特に、がん登録情報の個人情報保護という点では、かなり重要な点ですね。それもつけ加えるということでお願いします。
では、あと20分ですけれども、資料8と資料9と、1個しかできないと思うのですけれども、そうすると、東先生のお名前が書いてあるほうを先にやったほうがいいのかなと思います。事務局のほうで、ご希望はありますか。
○事務局(安藤) 資料9をお願いいたします。
○辻部会長 では、資料9をお願いします。まず、ポイントを御説明ください。
○事務局(安藤) 資料9のほうを御用意ください。模擬申請-4でして、今回、法第17条の規程に基づく匿名化された全国がん登録情報の申請になります。
今までやっていただいた模擬申請-1と模擬申請-2は、まず匿名化されていない情報であったことが、今回、1つ違うことと。
もう一つは、模擬申請-1と模擬申請-2に関しましては、一般の研究者の方が申請されているものです。ただ、今回のこちらに関しましては、一般の研究者ではなくて、法第17条、国のがん対策の企画立案に係る調査研究ということで申請をしていただいております。今まで申請者に関しましては、厚生太郎ですとか厚生花子とさせていただいておりますが、最もリアリティーある模擬審査にするために、今回、国立がん研究センターの先生方の御承諾をいただきまして、このように氏名をそのまま載せさせていただいております。
資料9に関しましては、最初のところが今までと同じように申請書になっております。
通し番号8ページ目からは、実際に予定している集計表について添付していただいております。
通し番号47ページに関しましては、誓約書。
最後に、通し番号49ページについては、実際に国のがん対策の企画立案に必要であるという必要性についての添付文書をつけていただいております。
また、委員の皆様の机上のファイルの中には、参考資料18で、厚生労働省から国立がん研究センターへ委託しているということがわかる書類を添付させていただいております。こちらに関しましては、委員の皆様に御参照いただければと思います。ですので、今回は、利用場所、利用する環境、保管場所及び管理方法に関しては、匿名化された情報の利用として適切か、そこが先ほどとの一番大きな違いかと思いますけれども、その点、ご参考いただけますと幸いです。
また、本日、東参考人、松田参考人、柴田参考人、いらっしゃいますけれども、本当の審査ですといらっしゃらないということは御理解いただきまして、今回はもともとの部会の議題もございまして、参考人として出席していただいているのであって、模擬審査のための御出席ではないということは御留意いただきたいと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。
○辻部会長 ということで、いかがでしょうか。調査研究の利用目的及び必要性ですけれども、これはこのような資料をつくるということですので、法律ともぴったり合っていますので、問題ないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
利用者の範囲、よろしいですか。
利用する情報の範囲、全局在・全形態ですね。生存確認は不要。性別、全年齢ということで、よろしいですね。
調査研究方法ですが、4ページに行きますと、全国がん登録情報を用いて、ICD10の3コード別、性別、5歳階級別ということで罹患率を算出する。年齢調整罹患率の算出方法ですね。その他、集計表にまとめるということになっていますが、いかがでしょうか。
利用期間は1年間ということになっております。
利用場所、利用する環境、どうぞ。
○黒田委員 あえて申し上げる感じですけれども、5ページのウに書かれている情報を取り扱うPCが何台かということは書かれているのですが、これの隔離状況、ネットワークにつながっていないとかいうこと。多分書いていないので、ネットワークにつながっていない、スタンドアロンだということなのだと思うのですけれども、隔離状況の記述は必要かなという気がいたしました。
○辻部会長 ほかはよろしいでしょうか。
8、公表方法及び公表予定時期。
それから、情報等の利用後の処置で、破壊、物理削除ですね。
9ページからは、具体的な集計表が網羅的に書かれています。よろしいでしょうか。
どうぞ。
○祖父江委員 これは、がんセンターが利用者として、今やっている集計をやる行為をここで認めてもらうということですね。集計表はかなり詳細に出ていますけれども、提供を受けたデータから、これをもうちょっと詳細に集計するとかモデファイすることは可能ですね。提示した集計表をちょっとでも変えたら、また申請し直すのか。これは、もうちょっと柔軟性というのがあってもよさそうだと思いますけれども、どの程度の変更があると、これは修正をここに求めるとか、そういうことをするのでしょうか。
○辻部会長 どうぞ。
○山本委員 NDBの例で言うと、公表形式の変更はよくある話なのですけれども、公表基準に全く触れないような変更の場合は、事務局で判断していただいて、一応、座長に報告はされます。公表基準に少しでも触れるようなことがあると、これは審査会で、修正ということで、もう一回審査することになっています。些細な、例えば表の縦横が違う程度の場合は基本的には事務的に終わっていると考えていただけたらいいと思います。ここもそれでいいのではないかと思いますけれどもね。
○辻部会長 どうぞ。
○事務局(安藤) 事務局でございます。
また資料2のほうをごらんいただきたいのですけれども、こちらの利用規約のほうで、申出文書等の変更、3ページ目、7番に今回の御意見に関係するところを記載しているのですけれども、基本的には成果の公表形式を大きく変更する場合については、きちんと窓口組織に申請していただいて、その後、審査委員会にかけるとか、そういったところまでを記載しているのですが、(1)の6番のように大きな修正の場合には審査委員会が必要です。
ただ、7番、その他、6以外の微細な修正を行う場合には、今、山本委員がおっしゃったように、NDBのように審査委員会での検討までは要らないけれども、座長といったところとの御相談でよしとするかどうかということができるように、この7番で読めるようにしておりますので、その点も含めて御検討いただければと思います。
以上です。
○辻部会長 ほか、よろしいですか。
大木委員、どうぞ。
○大木委員 この模擬審査ですけれども、同じようなことを都道府県でやることになると思います。それで、私の場合、栃木県ですけれども、栃木県の報告書をまとめるときにこれを参考にしたいなと思っています。
1点ですが、5ページ目の8番の調査研究成果の公表方法及び公表予定時期ですけれども、一番最初に来るのが報告書で、その次はホームページかなと思ったのですけれども、これはマスメディアに公表予定というものが載っているのですが、何か特別な扱いとかがあるのでしょうか。逆に、報告書やホームページは載せなくてもよろしいかなと思ったのですが。
○松田参考人 この部分、私が書いたのですが、公表という位置づけ、報告書等も含めて書くのかということで統一感が余りなかったので、こうなっておりまして、冊子とかウェブ上でということがもちろん先にあった上で、プレスリリースするということになると思います。ですので、何か特別な意図があって、こういう記載になっているわけではないです。
○辻部会長 羽鳥先生。
○羽鳥委員 がん研究センターこそが中心になってやっているわけですけれども、がん研究センターでの研究を審査する以上はC.O.Iの観点からも批判的な目を受けなければいけないのではないかと思います。例示された研究は本当に横断的な、最もスタンダードな研究でいいのですけれども、これからもっと機微に関する研究、希少がんなど日本中のデータが入ってくれば、そういうことがきっと意味のあるデータが出てくると思います。
一つの県では出てこないけれども、47都道府県を集めればこういうことができるというのが出てきたときにはより慎重にしなければいけないのではないかということを審査する委員会。その中にがんセンターの先生はもちろん入らないでしょうけれども、がんセンター以外の人が入るような仕組みをつくっていかないといけないのではないかなと思いますけれども、その辺はどうなのでしょうか。
○辻部会長 どうぞ。
○事務局(安藤) もし、今回の資料9のような申請書が来た場合には、匿名化された情報の提供の審査ですので、国立がん研究センターに置く合議制の機関でやっていただくことになります。
○羽鳥委員 これは全く問題ないと思います。もし、がん研究センターがほかの形式で出てきたときにはどうなのかなということで、これに関して文句を言っているわけではありません。
○事務局(安藤) 合議制の機関の審査委員のメンバーに関しましては、以前もがん登録部会で皆さんに御議論いただいた中で、そういった御懸念を頂き、基本的には半数以上はこちらのがん登録部会の委員の皆様にお願いするとし、ほかの委員の方についても厚労省と国立がん研究センターで相談していくとしました。また、規程内容には国立がん研究センターが申請したものについては、審査に国立がん研究センターの先生は入らないように留意点も入れております。
○羽鳥委員 そこで、がん研究センターの先生に相談するということがあると、みんなそんたくしてしまうでしょう。だから、そういうことがあってはいけないのではないかということを言っている。
○がん対策推進官 そこは、省として公正性の確保の観点から、しっかり検討してまいりたいと思います。
○辻部会長 そろそろ資料9について、まとめたいと思いますが、ほんの少しだけ修正が必要なところがあったわけですけれども、多分、これは微細な修正の範囲だと思いますので、これを修正してくださいということを勧告した上で応諾という意見を提出するということでよろしいでしょうか。それで、後に修正したものをもう一回出していただくということで、審査としてはこれで終了という形でよろしいでしょうか。そのようにしたいと思います。
あと、1つ残っていますけれども、時間も5分足らずですので、これは次回ということでよろしいでしょうか。はい。
済みません、最初だったので、時間がかかってしまいました。
それでは、一応、この模擬申請につきましては、1、2、4を終えたということで、以上とさせていただきたいと思います。事務局におかれましては、きょう、さまざまな貴重な御意見をいただきましたので、今後の手続、ひな形、その他について、お進めいただきたいと思います。
ここから部会の進行に戻りまして、議題4「その他」に入りたいと思います。議題2あるいは議題3を含めて、何か御意見がありますか。
お願いします。
○友岡委員 済みません、本当に簡単に。
模擬審査の今後、多分、次回になるかもしれませんが、模擬審査をしました。そうすると、これをどういう形でアウトプットするかということをちょっとお考えいただきたいかなと思いました。これだけ議論をやりました。私、半分以上は不合格審査かなと思っていたけれども、最後は合格した。よかったですね。だから、悪いところはどこかということをお示ししたほうが今後のためになるかと思うので、そういうアウトプットの仕方をちょっと御検討いただけたらなと思いました。
以上です。
○辻部会長 結局、今回の議論と次回で議論、あるいはそこで出てくる資料が公表されて、こういうふうに書けばいいねという話になると思いますので、それも含めて、きょうはかなり慎重な御議論をいただきましたけれども、そこを含めて、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
ほかにどなたか御意見ございますか。どうぞ。
○川本委員 模擬審査の1例目ですけれども、これは成人であり、自分で同意したことを示すことができる方になっておりますけれども、先ほどから意見が出ていたように、代諾者を必要とする若年者の例とか、今から認知症の方もふえてくると思いますので、そういう例の模擬審査が1点あるといいかなと思いましたので、よろしくお願いしたいと思います。
○辻部会長 よろしくお願いします。ありがとうございました。
ほかにどなたか。山本先生。
○山本委員 きょう、最後以外が不応諾になったと思いますけれども、不応諾というのは、もうだめという意味で、これで資料の修正等があれば継続して審査するという場合は、普通、継続審査にしておくほうが、不応諾と議事録で出てしまうと、もうかなりショッキングですから、不応諾は何をやってもだめ。何か修正を要求して、さらに審査する場合は継続審査でいいのではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
○辻部会長 先生、NDBのときはどういうふうな。
○山本委員 こういった場合は継続審査になります。本当に小修正の場合は条件つき採択、条件を満たせば採択すると。それから、採択はするのだけれども、気をつけてくれというときはコメントつき採択というのがあって、不応諾は二度と審査しません。
○辻部会長 その辺も含めて、次回までによろしくお願いします。
ほかにどなたかいらっしゃいますか。よろしいでしょうか。
それでは、本日の議論はここまでとしたいと思います。事務局におきましては、本日の議論を踏まえて、次回の部会に向けて必要な作業をお願いいたします。
ということで、最後に事務局から連絡事項をお願いします。
○がん対策推進官 本日はお忙しい中、活発なご議論ありがとうございました。沢山の御意見いただきましたので、事務局のほうでまとめて、次回に準備したいと思います。
また、次回開催につきましては、決まり次第、御連絡いたします。
それから、机上のファイルにつきましては、そのまま机上に置いてお帰りいただきたいと思います。
本日はどうもありがとうございました。
○辻部会長 それでは、本日の部会を終了いたします。委員の皆様方、長時間にわたり、どうもありがとうございました。
 

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