技能実習評価試験の整備に関する専門家会議(第22回) 議事要旨

                              人材開発統括官海外人材育成担当参事官室

〇日時 平成30年9月7日(金)15:00~17:20

〇場所 経済産業省別館1115号会議室(11階)

〇出席者
 大迫委員、岡本委員、岡野委員、椎根委員、高野委員、冨高委員
 厚生労働省人材開発統括官海外人材育成担当参事官室、法務省入国管理局入国在留課
 外務省領事局外国人課、外国人技能実習機構、公益財団法人国際研修協力機構
 (農産物漬物製造関係)全日本漬物協同組合連合会、農林水産省
 (社内検定型試験の試験実施結果報告関係)ANA成田エアポートサービス株式会社、国土交通省
 (リネンサプライ関係)日本リネンサプライ協会、厚生労働省(生活衛生課)

〇議題
 1 前回専門家会議での指摘事項への対応等について
 2 社内検定型試験の試験実施結果報告について
 3 リネンサプライ職種の追加等について

〇議事
 1 前回専門家会議での指摘事項への対応等について
 (1)空港グランドハンドリング職種の追加等について
  〇事務局より概ね以下のとおり説明があり、了承された。
  ・客室清掃作業の必須業務の「指導」に係る試験基準、試験問題等に「指導の仕方」を含めるようにすべきとの
   指摘については、試験基準の「指導に関する知識」に「指導方法に関する知識」を加えている。
  ・航空貨物取扱作業の必須業務の「管理作業」が拡大解釈されないように記載すべきとの指摘については、審査
   基準、試験基準の「管理作業」の下に「以下に示す作業に対する管理」を追記している。
 (2)農産物漬物製造業職種の追加等について
  〇 全日本漬物協同組合連合会より概ね以下のとおり説明があった。
  ・試験基準の学科試験で電気一般の知識を問うことが漬物製造に関して必要かとの指摘については、電気一般
   を問うことはやめ、特に水を多く使う漬物工場において濡れた手で電気機器を操作する場合の安全性の確保
   のために、アースの取付け等の安全確認に関する知識を問うこととする。
  ・試験基準の学科試験の項目については、漬物製造及び品質管理や漬物検査の項目においてQC工程図など
   専門的な用語を問うこととなっているが、実際の仕事の流れの中で何が重要なのかを見直すべきではないか、
   との指摘については、実習生が実際の作業中で重要なものを重点に学習していただき、それを試験の課題と
   して問うこととし、「6 漬物製造及びその品質管理」の内容の見直しを行った。
  ・実技試験の採点基準について、「原料の洗浄、切断作業」、「安全衛生」(専門級、初級)の試験課題に
   関する判定基準が曖昧ではないか、どの試験官でも理解し評価できるように採点基準を明確にすべきでは
   ないかとの指摘に関しては、これらの試験課題について「洗浄の方法」、「安全確認作業」を明確にするよう
   判定基準を修正した。「出荷検査」(専門級)について、製作等作業試験における製品の理化学検査だけで
   良いのかとの指摘に関しては、製作等作業試験では包装状態や内容量等の確認を行い、判断等試験では、
   抜き取った製品の官能検査、理化学検査等全般について問うように変更した。
  ・試験官の評価の平準化を業界としてどのように図りそれを徹底していくのかとの指摘については、試験実施
   機関として、試験委員の任命後、試験内容、判定基準等を明確にするマニュアルを作成するとともに、この
   マニュアルを説明するための技能水準調整会議等の中で十分に説明し平準化を図っていく。

  〇同団体からの説明に対し、概ね以下のような質疑があった。
   委員)「電気一般」はアースの問題など安全確認に関するものなので、安全衛生に移したらどうか。
   説明者)御指摘のように対応したい。
   委員)出荷検査作業や包装・シール作業等については、大手の食品会社、スーパー等に漬物を卸した際に
      受ける品質上のクレームの中から実習生が特に気を付けるべき項目を拾い出し、その中から試験監督
      者の審査のポイントを洗い出すと、実際に役立つものとなるではないか。
   説明者)対応について検討したい。
   委員)試験監督者によって評価が異なることがないように、試験に出題される代表的なものだけでも限度
      見本を用意しておくべき。
   説明者)対応について検討したい。
   委員)安全衛生について、学科は比較的多岐にわたる内容を触れている一方で、実技は包丁の取扱や管理
      だけとなっている。この考え方は、実技で安全配慮が必要なものは包丁であるために対象とするが、
      学科のほうではより幅広く試験する、ということでよいか。
   説明者)そのとおりである。
   委員)試験基準の学科の安全衛生において「詳細な知識」としている理由は何か。
   説明者)安全衛生は非常に重要で必ず身に付けていただかなければならない事項であるため、初級も専門級
      も「詳細な知識」としている。
   委員)実技試験で包丁の取扱等を取り上げる判断に当たり、事故例は把握しているのか。包丁を使用した際
      の事故の件数が多いことによるのか。
   説明者)工場で実際に発生している事故は滑って転ぶ、機械にぶつかるなどもあるが、試験で問うことが
      難しく、試験では包丁を使用するため、包丁の取扱いを取り上げることとした。
   委員)実技試験の判断等試験はどのように行うのか。
   説明者)写真や図を見て適正なものか判断する試験を行うこととしている。
 
 
 2 社内検定型試験の試験実施結果報告について
 〇社内検定型試験の試験実施結果報告について、ANA成田エアポートサービス株式会社より概ね以下のとおり
 説明があった。
 ・平成26年にANAホールディングス株式会社にミャンマー航空局より航空人材の育成の依頼を受けて、国際線を
  多く取り扱うANA成田エアポートサービス株式会社で実習生を受け入れるべく、技能実習制度の導入に向けて
  準備を開始した。平成29年7月に技能実習制度の2号移行対象職種として追加され、現在まで合計28名の実習
  生を受けている。同年10月、この28名の実習生に対し、技能実習2号移行のための初級の技能実習評価試験を
  実施した。
 ・評価試験の実施方法は、学科試験と実技試験を行い、技能実習1号の必須業務の内容から出題した。学科試験
  の方法について、問題はひらがな分ち書きしローマ字を併記し、出題は20問、全問真偽法(○×方式)にて実施
  し、正答の数を得点とする。 実技試験の方法については、試験官の日本語による口頭指示に基づき、その
  内容を正確に行えるかを評価する。持ち点は最初に100点あり、そこから1問間違えるごとに減点する方式で
  試験を実施する。
 ・試験の実施体制は、ANAマスターインストラクターという資格の保有者を基本的に試験監督者として選任して
  いる。ただし、普段、受験者を担当しているインストラクターからは選任しない。また、実技試験に関しては
  会場レイアウトを工夫し、受験者から見えないように係員を配置し、試験結果に不公平感が出ないように配慮
  している。
 ・評価試験の実施結果は、受験者28名全員合格となっている。実習生5名に対して指導者を1名配置し、年間を
  通してきめ細かな指導を行っている。また、日本語教育にかなり時間を多く取っている。こうしたことが高い
  合格率と高い得点の結果につながったと考えられる。さらに、ミャンマー政府側も最初の実習生ということで
  かなり優秀な人材を送り出していることに加え、ミャンマーの国民性から実習生が日本の例えば5S活動、作業
  改善の方法等を知りたいと活動に積極的に取り組んでいることも、今回の結果の一助と考えられる。
 ・今後、1期生に対し専門級の試験を予定しているが、その受験の得点率、今後に受け入れる実習生の実習実施
  状況等を見つつ、試験内容の難易度について再度検討し改善することを考えている。

 〇同社からの説明に対し、概ね以下のような質疑があった。
  委員)学科試験の問題は公表しているのか
  説明者)問題は公表していない。
  委員)試験問題は実習しないと回答できないものとすべきである。
  委員)試験に合格しても実務の中でトラブルの原因を作る人が出ないかについて、今後、確認していったら
    どうか。
     試験には合格しているにもかかわらず客からクレームを受けるような事態が今後出てくるのであれば、
    試験問題の中でどこが不十分だったかを見直していく必要がある。
 
 
 3 リネンサプライ職種の追加等について
 〇リネンサプライ職種の追加等について、日本リネンサプライ協会より概ね以下のとおり説明があった。
 ・技能実習計画の審査基準(案)の作業の定義は以下の3つである。リネンサプライ仕上げ作業とは、清潔に
  洗濯されたリネンを品種別にプレス又は乾燥の処理を施した後に畳み、検品、結束するまでの一連の作業
  を言う。リネンサプライ職種とは、日本標準産業分類の細分類「リネンサプライ業」を言う。リネンサプライ
  仕上げ作業を行う実習施設は、「衛生基準」等の認定を受けた施設における作業でなければならない。
  その理由は、実習生を受け入れるに当たり施設及び設備等の環境が整っていることが必要なためである。
 ・必須業務は3年間でライン長となるために必要とする業務を精査している。1号は機械投入作業、仕上げ作業
  に伴う機械操作作業、機械メンテナンス作業である。2号は機械投入作業で効率的な投入作業、検品作業、
  結束・包装作業である。また、機械メンテナンス作業として、仕上げ作業に使用する全ての機械について、
  異常を発見して原因の把握を行い、チョコ停であれば自らメンテナンスを行い、それ以外の機械の故障は
  工場長に報告し、対策の検討を行う。さらに、仕上げ作業ラインの管理・指導作業等である。
 ・関連業務・周辺業務について、関連業務は客先から回収したリネンの入荷・仕分け作業、洗濯作業等であり、
  周辺業務は清掃作業、他部署へのリネンの運搬作業等である。
 ・学科試験の試験基準(案)について、初級、専門級の試験項目は同一であるが、専門級は、仕上げ作業に関する
  知識で、「検品作業」、「結束・包装作業」を、機械メンテナンスに関する知識で、「異常発見、原因把握、
  一時的なトラブルによる機械停止の場合のメンテナンス等」を追加している。
 ・実技試験の試験基準(案)について、初級は、機械投入が主となり、リネンサプライ仕上げ作業として、
  「機械投入に使用する機械の判別」、「前処理作業」のほか、「機械投入作業」でシーツ、デュベカバー、
  タオルの初歩的な投入作業ができること。「安全衛生作業」は、作業の安全を確認して作業ができること。
  専門級は、リネンサプライ仕上げ作業の中で、「機械投入作業」をシーツの効率的な投入作業とするとともに、
  「検品作業」、「結束・包装作業」を追加し、また、「機械操作作業・機械メンテナンス作業」、「仕上げ
  ラインの管理・指導作業」をそれぞれ追加している。
 ・初級の実技試験の試験課題はリネンサプライの仕上げ作業に伴う機械投入作業等である。リネンサプライの
  仕上げ作業の基本的な業務を遂行するために必要な初歩的な技能を有することを確認するための試験として、
  製作等作業試験と判断等試験を行う。
 ・専門級の実技試験の試験課題は、リネンサプライの仕上げ作業に伴う機械投入作業、結束作業、機械メンテ
  ナンス作業及び検品作業等である。2号技能実習の目標であるライン長として、リネンサプライの仕上げ作業の
  業務を遂行するために必要な技能を有していることを確認するための試験として、製作等作業試験と判断等
  試験を行う試行試験(初級)は、1号実習生3人にお願いし、そのうち1人は学科試験が60点で不合格となり、
  残り2人は合格となった。試行試験(専門級)は、入社3年目の日本人3人にお願いし、3人全員が学科試験は
  96点、実技試験は100点で合格となった。
 ・試行試験を踏まえた対応等として、初級の学科試験において、問題の解答方法について誤った受検者がいたこと
  から、分かりやすい表現にすることとする。また、専門級の実技試験において受検者全員が100点となったが、
  今回の受検者が技能を十分に修得した者であったためと考えている。
 ・試験実施機関の体制は、会長の下に、事務局、リネンサプライ技能実習評価委員会、リネンサプライ技能実習
  評価試験委員会、試験監督者、補佐員を置き、実習生が修得した技能・技術及び知識について公正かつ客観的
  な評価を行う。
  〇同団体からの説明に対し、概ね以下のような質疑があった。
  委員)必須業務の機械投入作業について、2号は効率的で、1号は効率的とはなっていないが、効率的の明確な
    定義はあるのか。
  説明者)1分間に何枚以上投入しなければならないという定義はある。
  委員)間違っているものに○を付けなさいというのは、内容ではなく、日本語をきちんと注意深く理解できる
    かの試験となってしまっている。学科試験の解答方法について分かりやすくすべき。
  説明者)出題方法を再検討したい。
  委員)実技試験は実習で使用している同じ機械で受検できるようにすべき。
  説明者)出張方式で試験を行うこととしており、御指摘のように受検できるようにしたい。
  委員)機械が停止した場合に、工場長に連絡するのか、チョコ停として自分で復旧作業をするのかの見極めを
    実習生に対してどのように身に付けさせるのか。
  説明者)基本的にはOJTでチョコ停かどうかを理解していただく教育をしていく。そして、教わっていない
    トラブルについては、上司に報告するという取決めとする。
  委員)OJT期間中に勉強しなかった機械の不具合も考えられる。チョコ停とチョコ停以外の機械の故障の判断に
    ついて、どのように試験を行うのか検討していただきたい。
  説明者)対応について検討したい。
  委員)チョコ停という言葉は実習生全員が同じ意味で理解できるのか。
  説明者)理解できると考えている。
  委員)チョコ停は学術用語ではなく、そのまま使用することは適当でない。「軽微なメンテナンス等で回復
    可能な機械の停止トラブル」など、定義を考えたらどうか。
  説明者)対応について検討したい。
  委員)初級の実技試験の機械の判別作業とは、どのような試験になるのか。
  説明者)写真を見て何の機械か判断できるかの試験を行う。
  委員)製作等作業試験で機械投入作業を行うにもかかわらず、判断等試験で機械の判別を問う必要はない
    のではないか。
  説明者)対応について検討したい。
  委員)実技試験の機械投入作業で、初級がシーツ、デュベカバー、タオルのそれぞれで初歩的な投入作業が
    できることとなっており、専門級はシーツのみで効率的な投入作業ができることとなっている。専門級は、
    より難易度が高いリネンの種類で行うべきではないか。
  説明者)対応について検討したい。
  委員)機械投入作業で、初級のほうが投入するものがバラエティーに富んでいる。一方、専門級は、効率的な
    投入とされているが、枚数だけでなく正しく投入することも重要ではないか。
  説明者)初級は品質を重視し、専門級は品質プラス生産性を重視する。
  委員)品質や生産性が何を指しているか分かりづらい。
  委員)試験や評価の基準の中で明確にして、誰が試験監督者になっても受検者に不公平がないような対応を
    考えていただきたい。
  委員)機械投入作業で投入に失敗して不良品となった場合、再度きれいに投入すれば良品となるのか、不良品
    となったものの修復は相当大変なのか。
  説明者)一度不良品となったものを再度投入しても良品とすることは不可能であり、再度洗い直さなければなら
    ない。
  委員)機械投入作業の採点基準について、「何枚投入できたか」に加え、「正しく投入できるか」について評価
    できるように検討すべきである。
               例えば、受検者が2人いて、Aさんは急いで機械に10枚投入して2枚が不良品で8枚が良品となった。
    Bさんはゆっくりと機械に投入して8枚が完璧なものとなり2枚は手付かずで終了した。
               AさんとBさんではどちらの方が有能と言えるのか、この考え方に採点基準が比例するように検討して
    いただきたい。
  説明者)対応について検討したい。
 
 〇検討の結果、リネンサプライ職種(リネンサプライ仕上げ作業)については、次回以降、引き続き、議論が行わ
 れることになった。

(以上)