技能実習評価試験の整備に関する専門家会議(第23回) 議事要旨


                               人材開発統括官海外人材育成担当参事官室
 
〇日時 平成30年9月28日(金)10:00~11:00

〇場所 厚生労働省専用第12会議室

〇出席者
 大迫委員、岡本委員、岡野委員、椎根委員、高野委員、冨高委員
 厚生労働省人材開発統括官海外人材育成担当参事官室、法務省入国管理局入国在留課
 外務省領事局外国人課、外国人技能実習機構、公益財団法人国際研修協力機構
 (リネンサプライ関係)日本リネンサプライ協会、厚生労働省(生活衛生課)
 (病院等給食製造関係)公益社団法人日本メディカル給食協会、農林水産省
 
〇議題
 1  リネンサプライ職種の追加等について
 2  病院等給食製造職種の追加等について

〇議事
 1 リネンサプライ職種の追加等について
 〇第22回専門家会議における指摘事項への対応について、日本リネンサプライ協会より概ね以下のとおり説明が
 あった。
 ・「チョコ停」は学術用語ではなく不適当、「軽微なメンテナンス等で回復可能な機械の停止トラブル」等、
  定義を考えるべきとの指摘を踏まえ、「チョコ停」を「軽微なメンテナンス等で回復可能な機械の停止トラ
  ブル」とする。それに伴い、審査基準及び試験基準を修正する。
 ・チョコ停とそれ以外の機械の故障の判断について、どのように試験するのかとの指摘を踏まえ、専門級の実技
  試験(判断等試験)により出題することとする。
 ・初級の実技試験において、機械の判別(判断等試験)については問う必要はないのではないかとの指摘を踏ま
  え、機械の判別(判断等試験)を削除し、ピローケースの機械投入(製作等作業試験)を加えることとする。
 ・試行試験について、内容は理解していながら誤った解答が多かったことから、学科試験の解答方法を分かり
  やすくすべきとの指摘を踏まえ、他職種の技能実習評価試験の例を参考に、問に対して○又は×で解答すること
  とする。
 ・専門級の実技試験において、シーツの機械投入(製作等作業試験)については、より難易度が高いリネンの投入
  で行うべきではないかとの指摘を踏まえ、シーツより投入方法が複雑なデュベカバーの機械投入(製作等作業
  試験)に変更することとする。
 ・機械投入作業の採点基準について、「何枚投入できたか」に加え、「正しく投入できたか」についても評価
  できるように再検討すべき、また、検討に当たっては、計10枚のうち、時間内に8枚正しく投入でき、2枚投入
  できなかった者と、時間内に10枚投入したものの8枚正しく投入でき、2枚は不良品となった者はどちらが有能
  か考え方を整理し、この考え方に採点が比例するようにすべきとの指摘を踏まえ、機械投入作業の正確さに
  ついて、初級、専門級それぞれにおいて適切に評価できるよう、採点基準及び採点表を修正することとする。

 〇同団体からの説明に対し、概ね以下のような質疑があった。
  委員)機械投入作業の「正確」「不正確」について、試験監督者によって見解が統一されるよう、見本等による
     基準が必要となるが、何か対応は考えているのか。
  説明者)統一した審査基準を示すこととする。
  委員)同じ水準の評価が維持できることが重要であるので、見本等に沿って合格・不合格を判断する基準に
     ついて、試験監督者が交代しても引き継がれるよう、文章・写真や動画等にすることを含め仕組みの整備
     が必要。
  説明者)対応について検討する。
 
 〇検討の結果、リネンサプライ職種(リネンサプライ仕上げ作業)の追加について、了承された。
 
 
 2 病院等給食製造職種の追加等について
 〇病院等給食製造職種の追加等について、日本メディカル給食協会より概ね以下のとおり説明があった。
 ・国内産業・業界の概況については、外食産業市場の規模が約25.4兆円、そのうち集団給食市場の規模が
  約3.4兆円。集団給食の中で、病院・介護福祉施設に係る市場規模は約8000億円、これらに加え、委託せずに
  自施設で給食を製造している病院もかなりある。国内の給食施設数は、近年増加を続けており、2016年度には
  9万419施設、そのうち特定給食施設は5万350施設。特定給食施設は、特定・多数の者に対して継続的に食事
  を供給する施設のうち栄養管理が必要なものとして厚生労働省令で定めるものであり、継続的に1回100食以上
  又は1日250食以上の食事を供給する施設という定義になっている。その特定給食施設における病院等の割合
  は約54%である。病院等において製造する食品の例として、一般食、治療食がある。一般食としては、常食、
  軟食、流動食、その他、特に嚥下障害の方のためにミキサー食やきざみ食といったものがある。治療食として
  は、病気ごとに、例えば御飯の量でエネルギーの調整をしたり、主菜で塩分やたんぱくの調整をする食事が
  ある。
 ・当該職種の作業の定義については、医師等の指導に基づいて、食材原材料の下処理、調理加工、計量・盛付、
  殺菌処理等により、医学的な管理等を必要とする者の症状等に応じて食事を製造する作業である。当該作業は
  「大量調理施設衛生管理マニュアル」、「特定給食施設における栄養管理に関する指導及び支援について」
  (平成25年3月29日厚生労働省健康局がん対策・健康増進課長通知)等を適用したものである。
 ・実習の対象作業は下処理、調理、計量・盛付が主となり、これらの作業に加えて、栄養士等の指導に基づく症状
  等に応じた調理や衛生管理の作業を行う。
 ・実習生の調理間違い防止のための対応策として、栄養士等が作成する献立表や業務指示書について、実習生
  にも理解しやすいよう、症状等によって色を変える等の対応を行うとともに、ひらがな、ローマ字等、わかり
  やすく表記することも検討する。また、業務指示書、ペーパーだけでなく、朝礼、昼礼、ミーティングにおいて
  も、栄養士等から、当日・翌日の献立内容、特に治療食等について細かく注意点を伝達・指示する。さらに、
  栄養士等が実習生の調理や計量・盛付の作業中も進捗状況等の確認を行う。
 ・実習生の提供間違い防止のための対応策として、栄養士等がトレーにセットする食札について、実習生にも理解
  しやすいよう、ひらがなやローマ字による表記等も検討する。また、食札と計量・盛付の適合については栄養士
  等が最終確認を行うとともに、最終的な喫食者への提供は看護師等が行う。
 ・1号技能実習の内容・目標については、下処理作業、調理作業、栄養士等の指導に基づく症状等に応じた調理
  作業、計量作業及び盛付作業、製造環境の一般衛生管理作業ができることとする。
 ・2号技能実習の内容・目標については、1号の実習内容に加えて、調理作業において、品質管理基準に沿った
  温度管理作業及び調理状態の確認作業、また、栄養士等の指導に基づく症状等に応じた調理作業において、薬剤
  による禁止食品等に配慮した食事の調理作業及びアレルギーに配慮した食事の調理作業、HACCPの考え方を
  取り入れた衛生管理作業ができることとする。
 ・送出国の実習ニーズに関し、日本の病院等の給食製造の技能は、調理技術や栄養管理技術、衛生管理技術が
  高度化しており、開発途上国等に対して優位性がある。アジア諸国においては、現状、病院の給食における栄養
  管理、衛生管理は徹底されていないことに加え、今後、高齢化社会に突入し、医療・介護施設が増加する中で、
  栄養管理・衛生管理のもとで調理される給食のニーズは今以上に高まると考えられる。そのための人材育成の
  必要性も高まっており、日本での実習ニーズについて、ベトナム国及びカンボジア国からの要望書がある。
 ・試験実施機関は公益社団法人日本メディカル給食協会である。協会の目的は、病院・診療所・介護老人保健
  施設・特別養護老人ホーム等における治療の一環としての患者等への食の提供について、公益事業を通じて、
  その質の向上、安全安心及び時間、経理の効率化を図るとともに、病院等の食の提供の場における障がい者の
  雇用を促進することにより、国民医療の向上及び高齢者・障がい者福祉の増進に寄与するということである。
  構成する会社の数は、正会員が221社、賛助会員が45社となっている。

 〇同団体からの説明に対し、概ね以下のような質疑があった。
  委員)薬剤による禁止食品等に配慮した食事の調理作業とはどういうものか。
  説明者)例えば、血液をさらさらにするためのワーファリンという薬を服用されている方に納豆やグレープ
    フルーツをお出ししてはいけない、というようなことである。
  委員)分かりやすい表現に修正していただきたい。
  説明者)対応について検討する。
  委員)送出国の実習ニーズについて、送出国で高齢化が進むというデータに加えて、高齢化に伴って医療・福祉
    施設がどの程度増加し、給食に係る人材がどの程度不足するかといったデータを示せると分かりやすい。
  説明者)対応について検討する。
  委員)作業の安全確保、食品の衛生管理等、実習において習得すべき事項が何であるのかについて十分整理
    する必要がある。
  説明者)作業の安全確保、食品の衛生管理等、母国語によるマニュアルを整備していくためのチームを協会内に
    発足したところである。
  委員)献立表や業務指示書におけるアレルギーなどデリケートな部分は、ひらがなやローマ字だけでなく、技能
    実習生の母国語でも表記をするよう検討できないか。
  説明者)対応について検討する。
  委員)実習内容として「嚥下機能に応じた調理」や「栄養士等の指導に基づく、症状等に応じた調理」等とある
    が、その意味について指導しなければ、調理作業を行う実習生は、単にレシピどおりに行うということしか
    読み取れない。実習生には、一般的な給食とは異なる医療・福祉施設で製造する給食の特殊性や重要性
    について理解させるようにすべき。
  説明者)対応について検討する。
  委員)食札を見て計量・盛付することを実技試験とすることが考えられるが、食札に使用される色が施設に
    よって異なるのであれば、今後、同試験の実施に当たっては、どの施設の実習生にも共通した不公平と
    ならないような対策が必要。
  説明者)対応について検討する。
  事務局)病院等給食製造職種という名称については、どこまでの範囲の給食が対象となるのかが不明確である
    ため、医療・福祉施設給食製造職種という名称でパブリックコメントを行う必要がある。
 
 〇検討の結果、病院等給食製造職種(病院等給食製造作業)については、厚生労働省、法務省において、医療・
 福祉施設給食製造職種(医療・福祉施設給食製造作業)として、省令の改正案に係るパブリックコメントを実施
 し、その結果を踏まえ、審査基準案や技能実習評価試験案等について引き続き議論が行われることとなった。

(以上)