技能実習評価試験の整備に関する専門家会議(第25回) 議事要旨

                               人材開発統括官海外人材育成担当参事官室 

〇日時 平成30年10月29日(月)10:00~12:00

〇場所 厚生労働省 共用第5会議室

〇出席者
  大迫委員、岡本委員、岡野委員、椎根委員、下村委員、高野委員、冨高委員
  厚生労働省人材開発統括官海外人材育成担当参事官室、法務省入国管理局入国在留課
  外務省領事局外国人課、外国人技能実習機構、公益財団法人国際研修協力機構
  (医療・福祉施設給食製造関係)公益社団法人日本メディカル給食協会、農林水産省
  (カーペット製造関係)日本カーペット工業組合、経済産業省

〇議題
  1 医療・福祉施設給食製造職種の追加等について
  2 カーペット製造職種の3号整備について

〇議事
  1 医療・福祉施設給食製造職種の追加等について
  〇 医療・福祉施設給食製造職種の追加について、日本メディカル給食協会より概ね以下のとおり説明が
   あった。
  ・ 審査基準の作業の定義は、医師等の指導に基づいて、食材原材料の下処理、炊く、茹でる、揚げる、
   炒める、煮る、焼く、蒸す、合える(和える)等の調理加工、計量、盛付、及び殺菌処理等により、医学的
   な管理等を必要とする者の症状等に応じて、食事を製造する作業をいう。
  ・ 医療・福祉施設給食製造は、「大量調理施設衛生管理マニュアル」を適用又は趣旨を踏まえた衛生管理を
   行い、かつ「特定給食施設における栄養管理に関する指導及び支援について」(平成25年3月29日付け厚生
   労働省健康局がん対策・健康増進課長通知)及び当該通知に基づき都道府県等の定める指針等を適用したもの
   であるということで、(1)医学的な管理等を必要とする者に対する食事を継続的に1回100食以上又は1日
   250食以上提供する施設であり、医療施設又は福祉施設に設置される特定給食施設であることを原則とし、
   また、(2)加熱調理食品の加熱温度管理、標準作業書に従って、温度と時間の記録を行うこととしている。
  ・ 必須業務は、(1)下処理作業については、食材の選別、洗浄、消毒及び殺菌作業、食材の皮むき及び
   カット作業。(2)調理作業については、ⅰ)加熱調理は、1号では食材の準備作業、調理機械・器具等の
   準備・使用作業、調理及び加熱温度測定作業、2号ではこれに加えて、品質管理基準に沿った温度管理作業、
   調理状態確認作業を追加している。ⅱ)非加熱調理は、食材の計量作業、調理機械・器具等の準備・使用
   作業、調理状態確認作業となっている。(3)症状等に応じた栄養士等の指導に基づく調理作業については、
   1号では嚥下機能に応じた米飯の炊き分け、分粥食の調理作業、嚥下機能に応じた食品の刻み作業、2号では
   これに加えて、薬剤の影響等に配慮した食事の調理作業、アレルギーに配慮した食事の調理作業を追加して
   いる。(4)計量作業、盛付作業については、トレーへのセット作業、その他(5)製造環境の一般衛生管理
   作業については、1号では、施設、設備等、ネズミ及び昆虫対策作業、作業着、マスク、手袋、帽子、毛髪等
   の付着物点検作業、2号ではこれに加えて、HACCPの考え方を取り入れた衛生管理作業を追加している。
  ・ 学科試験の試験基準は、初級では、1.医療・福祉施設給食製造作業の意義、2.作業者の衛生に関する
   詳細な知識を有すること、3.作業の工程、4.機械・設備・器具工具等、5.作業における製造製品に
   関する初歩的な知識を有することとしている。専門級では、1に関する詳細な知識を有すること、3、4に
   関しては一般的な知識を有することとし、これに加えて、2に関して、HACCPの考え方を取り入れた衛生
   管理作業(加熱調理について品質管理基準に沿った温度管理)も含め詳細な知識を有すること、5に関して、
   治療食について一般的な知識を有することとしている。また、6.安全衛生に関しては初級、専門級ともに
   詳細な知識を有することとしている。
  ・ 実技試験の試験基準は、初級では、1.下処理作業、2.調理作業、3.症状等に応じた、栄養士等の指導
   に基づく調理作業、4.計量作業、盛付作業及びトレーへのセット作業、5.衛生管理、6.安全衛生に
   ついて問うこととしている。専門級では、これに加えて、2に関して、品質管理基準に沿った温度管理、調理
   状態確認、3に関して、薬剤の影響等に配慮した食事の調理、アレルギーに配慮した食事の調理、5に関し
   て、HACCPの考え方を取り入れた衛生管理作業も含め問うこととしている。
  ・ この実技試験の課題について、日本人従業員を受検者として試行試験を行った。実務経験が少ない従業員
   とはいえ、日本人で、かつ、専門学校等で学んだ知識を有していたことにより、初級、専門級ともに学科試験
   及び実技試験で高い点数につながったと考えられる。一方で、専門級の学科試験は受検者によっては難し
   かったという感想もあった。実際の試験までに外国人を対象に試行試験を再度行って、問題の日本語表現
   などを的確なものとすることを検討する。初級の実技試験に関しては、試行試験結果を踏まえ、鍋の大きさや
   火力によって調理する時間が大きく変わるため、大きさの指定やそれほど強くない火力でも標準時間内に
   作業が収まるよう調整することなどを検討する。専門級の実技試験に関しては、試行試験結果を踏まえ、
   受検者は工程を明記した作業マニュアルを読んだ上で、受検することとしたが、作業マニュアルにおける工程
   の記載を工夫して、より技能を測れるものとすることなどを検討する。
  ・ 前回、前々回の専門家会議でも指摘のあった送出国からのニーズについて、ベトナムの施設へのヒヤリング
   を行った結果、医療施設、福祉施設共に、給食製造のニーズが増加していることが分かった。

  〇 同団体からの説明に対し、概ね以下のような質疑があった。
   委員)学科試験の試験基準にある「初歩的な知識」と「一般的な知識」の線引きをどのようにするかなど、
     試験委員が交代しても試験水準を維持できるように、引継ぎの書類の作成など試験実施機関の内部に
     おける仕組みの整備を検討すべき。
   説明者)対応について検討する。
   委員)実習生が医療・福祉施設給食の意義等をしっかり理解できるように、また、実習施設によって身に付け
     られる技能に差が出ないよう、実習の手引のような統一的なテキストの作成を検討すべき。
   説明者)どの実習施設においても、実習生に対して指導を行う管理栄養士等を配置することとしているので、
     実習先や実習生向けのテキストを作成し、公開・普及できるように取り組んでいきたい。
   委員)採点基準に関して、実技試験の判定者が評価を統一的かつ適切に行うことができるように、チェック
     シート等の資料の整備をお願いしたい。
   説明者)対応について検討する。
   委員)そう菜製造や学校・事業所等の給食製造と何が違うかという医療・福祉施設給食の意義の部分を
     しっかり理解することが非常に重要であるため、その点は学科試験で問うようにすべき。
   説明者)学科試験でも医療・福祉施設給食の意義等について出題することを検討する。

  〇 検討の結果、医療・福祉施設給食製造職種(医療・福祉施設給食製造作業)の追加について了承された。


  2 カーペット製造職種の3号整備について
  〇 第16回専門家会議における指摘事項への対応について、日本カーペット工業組合より概ね以下のとおり
   説明があった。
  ・ 実技試験において、異常発生時の対処作業について製作等作業試験で全ての受検生に対し公平・平等に
   行うのは難しいのではないかという指摘を踏まえ、製作等作業試験ではなく、過去の異常事例のサンプルの
   写真を取り入れた判断等試験の問題を作成し、試験当日は不具合サンプルの写真と実物を持参し、すべて
   の受検者が写真を見て、また、不具合サンプルを触って異常の原因を把握し、正しい対処作業を回答する
   ものとした。
  ・ また、これに伴い、実技試験の採点基準、採点表を見直すべきであり、その際、製作等作業試験が十分に
   できていれば判断等試験が0点でも合格できることがないようにすべきとの指摘を踏まえ、製作等作業試験
   を80点、判断等試験を20点とし、製作等作業試験、判断等試験のいずれかの得点が40%未満の場合は
   不合格とした。
  ・ 学科試験の内容が上級と専門級でほとんど同じなので、再検討すべきとの指摘を踏まえ、審査基準の内容
   を踏まえて、上級学科試験の内容の見直しを行った。
  ・ また、これらの見直した試験問題で、日本人従業員を受検者として試行試験を実施した。タフテッドカー
   ペットの試行試験では、受検者全員が実務経験10年以上の者で行ったため、学科試験、実技試験ともに
   高得点となった。ニードルパンチカーペットの試行試験では、実技試験5年、2年、11年、10年、24年の
   者で行い、学科試験は高得点となったが、実技試験のうち作業試験は高い得点であったが、判断等試験は
   比較的難易度が高い結果となった。
  ・ 判断等試験の配点は、異常事例4事例を出題し、1事例5点として、異常を起こす原因の把握ができれば
   3点、対処法の判断ができれば2点とした。
 
  〇 同団体からの説明に対し、概ね以下のような質疑があった。
   委員)製作等作業試験のときに異常が発生した場合は、どのように対応するのか。
   説明者)異常が発生した場合は、試験を中断し、受検者は異常についての対処作業は行わない。
   委員)上級の試行試験の結果概要の報告があったが、当該結果を踏まえた改善点等について分かりやすく
     説明すべき。
   説明者)対応について検討する。
   委員)ニードルパンチカーペットと他の2つのカーペットとの製法の違いから、前者は2号から異常発生時の
     作業が審査基準及び試験基準に含まれているとのことだが、このような重要なポイントについては、試験
     問題作成者や試験監督者が十分理解した上で対応できるようにすべきであり、資料を作成して次回の
     専門家会議に示していただきたい。
   説明者)対応について検討する。
   委員)学科試験の専門級と上級の難易度の差を明確にすべき。その際、専門級、上級はどのような能力が
     求められるかの基準を示すとともに、それぞれ複数問題を作成して比較できるようにすべき。
   説明者)対応について検討する。
   委員)試験監督者について、選任の基準や手続きを整備するとともに、適正に評価が行える力量を確認する
     ための方法を組織として整えるべき。
   説明者)対応について検討する。
   委員)実技試験において試験監督者によって評価にバラツキが発生しないように、具体的な評価基準を用意
     しておくべき。また、最初に試験監督者が集まって評価をしてみて、試験監督者のレベルの平準化、評価
     のポイントの整理を行うべき。
   説明者)対応について検討する。
 
  〇 検討の結果、カーペット製造職種について、試験基準案や技能実習評価試験案に関し引き続き議論が
   行われることとなった。
 
(以上)