第9回 国立高度専門医療研究センターの今後の在り方検討会 議事録

日時

平成30年12月12日(水) 17:00~19:00

場所

航空会館 大ホール(7階)
 (東京都港区新橋1-18-1)

議題

国立高度専門医療研究センターの今後の在り方について(報告書案)

議事

 
○太田医療・研究開発独立行政法人管理室長補佐
 定刻となりましたので、ただいまより第9回「国立高度専門医療研究センターの今後の在り方検討会」を開催します。
 構成員の皆様におかれましては、大変お忙しい中お集まりいただきましてありがとうございます。
 本日の構成員の皆様の出欠状況を報告させていただきます。
 本日は、岡明構成員、中野貴司構成員、渡部眞也構成員から御欠席の御連絡をいただいております。
 なお、中山譲治構成員の代理として、国忠聡参考人に御出席をいただいております。
 また、相澤英孝構成員、釜萢敏構成員、本田麻由美構成員、山口育子構成員は、おくれて参加されるとの御連絡をいただいております。
 また、河村小百合構成員におかれましては、途中退席される旨の御連絡をいただいております。
 なお、総務課長の北波でございますが、公務のためおくれての参加となります。
 あわせて江浪医療イノベーション企画官におかれましては、急遽欠席となりますので、御容赦のほどお願いいたします。
 それでは、カメラの方はここで退室をお願いいたします。
 次に、議事に入ります前に、お手元の資料の確認をさせていただきます。
 お手元に議事次第、座席表のほか、資料1、資料2及び参考資料1~3、本日御欠席の渡部構成員より御提出いただいた意見書、前回までの会議資料及び議事録をお配りしております。また、別途、構成員限りの机上配付資料として2種類をお配りしております。
 なお、前回の議事録については未定稿となっておりますので、御留意のほどお願いいたします。
 不足がございましたら御連絡ください。
 以降の進行につきましては、永井座長にお願いいたします。

○永井座長
 それでは、議事に入ります。
 きょうは私が事務局に依頼して配付した資料がございます。それについて初め40分ほど御議論をいただき、その後で報告書案について検討、議論いただきたいと思います。
 私が提出させていただきましたのは、1つは資料1でございます。これはScopusという論文データベースがございまして、Cancerというキーワードで調べたときに日本の今の特にすぐれた研究センターであるがんセンターの位置づけ、あるいはほかの大学がどのようになさっているかということを調べたものであります。
 これを調べた背景に、機密資料なので非公表資料ということで構成員限りの机上配付がございます。これは私がナショナルセンターの評価委員長を務めております関係で、法人化されてからの英文の発表論文数と、各年に発表された論文がどのように引用されてきたか、その推移を折れ線グラフで表示したものであります。特にきょうは短期的にナショナルセンターをどういうあり方にするかということと、長期的にどうするかということを考えたときに、もう一度、ナショナルセンターの現在の国際的な位置づけを考える必要があるということで、こうした資料を提供させていただき、皆さんと議論をしたいということであります。
 まず机上配付資料1、構成員限りの1ページ目をごらんいただきますと、各ナショナルセンターで棒グラフ、英文の論文が大変伸びてきております。特にがんセンターにおいては2009年には年間500本だったのが、2017年には750本、また、引用回数も非常に大きく伸びています。ほかのナショセンの場合には、やはりがんセンターにはなかなか及びませんが、しかし、法人化以降、順調に論文の業績を伸ばしてきたということは言えるのではないかと思います。
 そういう点から、各ナショセンでも研究業績ではしばしばS評価あるいは研究の貢献度という意味で少なくともA評価が出ていたと思うのですが、これが国際的にどういう位置づけになっているか。それはそれぞれのナショセンだけの問題ではなくて、今、日本の科学技術政策、生命科学あるいは医科学の国際的な位置づけを調べる必要があるということで、私は今JSTのCRDSというところでフェローをしておりますので、そちらで調べてもらいました。それが配付されました資料1でございます。
 Scopusという論文データベースがございまして、そこでCancerというキーワードで検索した結果を表示しております。その推移を見ますと、これは1969~1978年という10年、なぜこの単位をとったかといいますと、ナショナルセンターが2009年に法人化されて現在に至っているということで、それに合わせて69~78年、79~88年と区切っています。
 これを見ますと、日本もなかなか頑張っているわけです。特に総論文数、2ページ目の折れ線グラフを見ますと日本は中国には抜かれましたが、いまだ3位の位置を占めています。
 3ページ目を見ますと日本の研究機関のランキングが出てきております。これは単に論文数ですので、別にこれが全てではありませんけれども、しかし、Cancerというキーワードで検索したときに、がんセンターあるいは有名大学がどのような位置づけ、あるいは日本全体としてどのくらいの数が上位にランクされるかということを示したものであります。
 この検索では160位までしか出てきません。160位以内にどのくらい日本の研究機関が入っているかということが重要なわけです。
 60年代から、あるいは70年代と言っていいと思うのですが、現在までCancerというキーワードの論文が11万件から138万件、約12倍ふえました。がんセンターは69年から78年の間に、これはがんセンターの病院と研究所を合わせた合計というのはそういう意味です。がんセンター合計として373件、それが2009年から18年、法人化後は5,162件ですから、やはり十数倍伸びた。世界の平均値に数の上では追いついている。
 ところが、これはがんセンターだけではないのですが、全ての大学、160位以内に入っている大学が、89年から98年をピークとして99年以降、激減しています。がんセンターもかつて14位だったのが15位、15位、26位。そして法人化後が76位。特に2009年から18年で日本の研究機関で160位に入っているのは、がんセンター含めてわずか3施設ということなわけです。ということは、平均並みについていって頑張ったのだけれども、世界のがん研究のトップ研究機関はもっと大きな変貌を遂げたということで、それが何によるのか私たちもよくわかりませんけれども、情報化とか国際化の流れの中で研究の手法が変わってきたのだろうと思います。
 そういう意味で、これからの日本の研究機関のあり方ということをより真剣に、また根本から見直す必要があるのではないかということが、今回のナショナルセンターのあり方検討会でもいろいろ議論されてまいりました。
 それを踏まえて短期的にはこの間、a案、b案、c案と出まして、c案の連絡機能を持つ施設をつくって、それでより有機的に、また、分野横断的に活動していただこうということに短期的にはなりましたけれども、長期的な議論がまだ十分に詰められていないのではないかという気がいたしました。
 あのときのa案は、横断的な機能を持つ組織を1つの法人として合計7法人で運営するという考え方。b案は、全てを1つの法人にしてしまうという考え方。c案は、現在の形を保ちつつ、横断的な機能を持たせる考え方。それが3つだったわけですが、本日、私からちょっと御議論いただきたいということで机上配付資料2、これは構成員限りとなっていますが、a案、b案、c案と全くかけ離れたわけではありませんけれども、もう一つこういう案もあり得るのではないかということで提示させていただいております。
 これは絵が先走りしてもいけませんので、構成員限りとしていただきたいと思うのですが、この案は研究所を1つの組織にして、しかも特別な法律に基づいた医療研究開発センター法人というものを1つつくり、病院はそれぞれ法人として独立する。そして、研究機能を持つアンブレラ的な研究開発センター法人が、病院運営組織を介して病院法人と連携しながら診療と研究をしていくという考え方であります。
 従来の研究開発法人、特定研究開発法人も独法通則法に基づいてつくられているようで、その場合には法人が法人を管理することはできないことになっています。しかしながら、私が考えたのは、これはまた別格の、特に医療、医学というのは病院と研究というのが表裏一体の関係にあるわけですので、研究所機能を持つ法人が病院法人を管理するという、法人が法人を管理するというあり方があってもよろしいのではないか。これは恐らく後でも御意見が出ると思いますが、特別な法律に基づく研究開発法人ということであります。
 そういう中で、病院はまずはしっかりした先端的な医療を行うとともに、経営責任を持ってしっかり運営していただくし、病院でできる研究は病院でやっていただく。しかし、大型の研究については、それぞれの名前を冠する研究開発センターと一緒に進めていく。特に兼任することも可能な体制にするのがよろしいと思いますし、特にこうした研究所を一本化するということは、これまで議論されております横断的な機能、特にインフォマティクスであるとか、バイオバンクであるとか、あるいは大型機器の拠点整備、そうした機能を持たせることができますし、必要であればまた新しい研究開発センターをつくることもできるだろうということで、こうした研究機能の推進と病院の運営というものを一応、別法人にはするけれども、一体となって運営していく必要があるのではないかと考えた次第です。
 また、企業との連携もこの研究所で臨床研究の人材育成も行いますし、知財管理も行うということで窓口を一本化していく。そういう一つの新しい日本の医療研究開発センターというものがあってよろしいのではないかということで、提案させていただきました。ただ、これはかなり難しい話だろうということは想像できますので、長期計画の中に加えて検討いただきたいということであります。
 おおよそおわかりいただけたでしょうか。また議論の中でいろいろと理解を深めたいと思いますが、この案について前回のa、b、c案に加えてd案ということで提示させていただいております。1法人化するというのがb案、今のままで横断的な組織をつくるというのがc案です。a案というのは横断的な組織を法人化するということでありますけれども、この場合は研究センターを中核にした横断的な、アンブレラ的な法人をもう一つつくるという考え方であります。
 この長期的なあり方というのは、私も気をつけて進めないといけないと思いますし、我々としてはぜひナショナルセンターがもっと活躍できるように、また、単に効率化で縮小するのではなくて、効率化しつつ、より大きく発展するような仕組みでないと中途半端な改革はすべきではないと思いますが、もしそうした特別の法律ができるのであれば、こうしたことも考慮してもよろしいのではないか。ただ、これは関係するいろいろな省庁とも連携が必要でしょうし、そうすぐに私もできるとは思っていませんけれども、でも長期計画の考え方の一つとして、これからも検討いただければということで提示させていただきました。
 私からの説明は以上でございますが、いかがでしょうか。

○門田構成員
 確かに新しいd案としてお示しいただきました。私は非常に賛成するところは多いのですが、病院運営組織という点々の枠がありますね。これの機能をどういうふうに考えて、そして、下のセンター病院とどういう関係になるのか、少しイメージを教えていただけますか。

○永井座長
 そうですね。法人として独立しても全くばらばらになってはいけませんし、共同で進めないといけない研究というのもありますし、運営についてもいろいろ相談に乗る必要があると思います。特に人材です。兼任する人たちもたくさんいると思いますので、そのあたりを開発センター全体の法人から各法人と意見調整、連絡調整をするということだと思います。そんな機能を持たせる必要があるのではないか。そうでありませんと、全くばらばらになって人事とか研究計画が遊離してもいけないだろうということなのですが、これは今後どういうふうに、もし本気でこれを進めるのであれば、いろいろ試行錯誤しながら考えないといけないと思います。

○門田構成員
 わかりました。調整云々とおっしゃられたのですが、運営という単語を使っておられるのですけれども、そういう意味からするともう少し破線を実線にできないのかなという感じと、そこをするのであれば、例えばその下のものが、今、座長苦労されながら法人のもとにまた法人がということもおっしゃられましたが、ここで法人格を残す必要があるのか。あるいは研究所と同じような形で病院運営組織というものの下に法人をつけようとつけまいとなのですが、無理をしなくてもこういう構造はできるのではないかという気もいたします。

○永井座長
 つまり1法人のもとに全てぶら下げる。私もそれはいろいろ議論しないとわからないところがありますが、直感的にはそれぞれ病院の事情とか運営とか経営ということがあって、そこはできるだけ病院として自立して運営していただきたいという意味で法人ということをしておりまして、もし病院が大赤字になったときには当然、研究費が影響を受けるわけです。そういうことはないようにしたいという意味で、経営の責任をしっかりするということ。
 また、病院の価値観と研究の価値観というのはかなり違いますので、両方する人もいてよし、病院の診療、臨床オンリーの人もいてよしということで、少しそれは各病院が責任を持つ。また、それぞれ地元の関連病院、大学病院とかいろいろなことがありますので、余り一元化するのがよろしいのかどうかというのは、私もまだしっかり考えられなかったということで、当面法人としてでもよろしいのではないかと思ったのです。

○祖父江座長代理
 いろいろな内容を含んだ非常に重要な御提案をしていただいたと思います。
 感想みたいなことでもいいですか。1つは先ほど論文数のランキングの160の機関の推移をおっしゃいましたけれども、その中で研究の手法が変化してきたということをおっしゃったと思うのですが、1998年までは160の中で日本から20ぐらい入り込んでいたのが、2009年から2018年までになると3つしか入らないということなのですが、これはやはり質的な変化が、1つは法人化して忙しくなったとか、やることがふえてしまったということが一般にはよく言われるのですが、私は別のことでちょっと調べたことがあるのですけれども、特に今世紀に入って、臨床研究の中ではビッグデータの解析というか、国際共同研究による非常に大規模な、治験でもゲノムでも病態研究でも1990年代までは1つの研究室で大体論文が出せていたのですけれども、非常にビッグコホートといいますか、ビッグレジストリといいますか、そういうものをベースにした国際共同研究というものが非常にふえてきているのです。
 例えば名古屋大学なんかを見ますと外国人が入っている国際研究というのが十数%しかないのです。ところが、アメリカの名古屋大学と連携を結んでいるところなんかは50とか70%ぐらい。ですからほとんど国際連携の中でビッグデータの解析をやっているという時代に入りつつあるのです。ところが、これをナショナルセンターに持ってくると、そういうことが実はほとんど行われていなくて、ナショナルセンターの中だけでやっているという現状があるのではないかいとう感じがしております。
 それを特に臨床研究の大規模研究について、いろいろな研究がありますから1人で個人でやってノーベル賞を取るという研究ももちろんあるのですが、創薬に結びつくとか、治験に結びつくとか、ゲノムの解析に結びつくという大規模研究を考えた場合には、それは非常に疾患の解決にとって重要だと思うのですけれども、やはりビッグデータの解析のパワーをもって世界に伍していくというのをやっていかないといけないのではないかと思います。
 そうすると、ばらばらで独立でそれぞれ共通のところも含めて独立でやっているという今の体制ですと、恐らくこの傾向はますます溝があいていくのではないかという感じがしております。私の個人的な感想としては。
 永井先生がおつくりになったセンターの改組案、第4案になりますけれども、これはよく見ると第3案と似ているところがあるのですが、私は非常に賛成です。先ほどおっしゃったようにインフォマティクスとか、バイオバンクとか、いろいろな横糸的な力が今後非常に強く要求される時代に既に入っているわけですけれども、なかなかそれが十分に発揮できていないのではないかというのは、構造的なところから来ているのではないかというのが感想であります。ですから、ぜひこれは研究所で特に横糸的なビッグサイエンスをやっていくという形をとれたらいいなと感じております。
 特に最近、おとといでしたか、脳卒中・循環器病対策基本法とか、成育についても対策基本法が通りました。ですからこういうナショセンの対応を扱っている疾患がオールジャパン的な扱いで今後やっていく体制が少しずつ整ってきているのではないかと感じます。そうすると、ますますそういう世界的なところに伍していくパワーが必要になってくると感じますので、この案は非常にいい案だと思っています。
 ただ、1つ気になっておりますのは、右のほうの法人がそれぞれ病院となっています。左がそれぞれの病院といいますか、現在の法人の名を冠した研究センターとなっていまして、いろいろ問題がここにあるのではないか、議論すべき問題があるのではないかと感じていまして、病院だけが取り残されると非常に規模の小さい法人になってしまうような感じもあるので、どの部分を共有化する研究型の法人として持っていくのか、あるいはどの部分を病院として残すのかという、そういう切り分け、議論があると思います。ほかにもいろいろあると思いますが、議論が出ると思いますので、その後で発言したいと思います。
 それから、第3案は連携の施設を下に置くという案だったと思うのです。とりあえずこれがいいのではないかという議論が先回、多かったと思うのですけれども、到達する未来の形というのがきちんと見えた形にしておいたほうが、それを目標にしてやるというか、やっているうちにだんだん消えてしまったなということがないように、きちんとこういう例えば特別法人を経た形を見せておくというのは非常に重要ではないかなと思っています

○永井座長
 ほかにいかがでしょうか。

○山口(俊)構成員
 まず座長の大胆な案に非常に感激しました。ただ、先ほどから議論がありますけれども、最初の議論の中ではナショナルセンターというのは病院と研究所が一体でいいんだという自慢がずっとあったと思うのです。ですからそういう形を伸ばそうということだったのに、ここでぽっと分けてしまって、連携が悪くなるだけで一体何が改革になるのだろうかという心配があるのではないかと思うのです。
 ただ、今お話を聞いていると、確かに病院は法人格のほうが動きやすくていいということは、全く現実的な御判断だと思いますし、それは賛成なのですけれども、だとしたら1対1の対応でなくなったとしたら、研究所は幾つかを1つにしてしまって、これを4つにするとか3つにするという踏み込んだ案にしないと、なかなか今までのをばらばらにしただけではないかという非難を浴びると思うのです。
 同じように、病院だってこれ全部が必要かどうかわからない。2つを1つにしてもいいところがあるのではないか。そういう形で出せば、この改革もかいがあるのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

○永井座長
 まずは現在の病院と研究所の関係をそれぞれ1対1で残しつつ、いずれそれは統廃合もあると思うのですが、多分新しいセンターが求められてくると思うのです。インフォマティクスセンターであったりゲノム解析センターであったり、あるいは感覚器疾患センターとか、そういうものをしていく中で、だんだん既存の研究センターも場合によっては建物をシェアするとか、そういうことが起こってくると思いますが、まず当面は余り一気にラディカルに変えるよりも、むしろこのほうが安心感というか、移行にはまずいいのかなという気がいたします。
 当然、病院と研究センターの関係というのはかなり重要ですので、それをこの病院運営組織という中でできるだけ人事交流あるいは兼任の容易化、そのほか共同研究とかいろいろなことができるようにする。簡単な研究、例えばいろいろな検査とか病院でできる研究はどんどん病院でしていけばいいと思うのですが、何よりも病院は財務的にきちんとしていただきたい。それが法人にする一つのポイントではないかと思います。
 花井構成員、どうぞ。

○花井構成員
 永井先生が出されて、すごいなと思うのですけれども、これについて、細かいことについては私も意見を言うほどのあれもないのですが、1つはもともとこの研究開発独法が成立するときのある種、外野からの議論の中で、単なる病院ではないのと。そこで、単なる病院ではありませんと。いわゆる研究開発独法なんだということで、病院ではなくて研究施設に位置づけたというところがあったと思うのです。
 ところが、一方でそれでも単なる病院ではないのみたいな、要するに研究独法として看板を上げたのだけれども、それによってもある種、厚生労働省としてはNCを守ったという経緯があったように思うのですが、その割には研究という部分が前面に出てこなかったという印象は否めません。
 中でも今回の永井先生の案で私が一番魅力的なのは、研究所メーンで構想する。やはりこれは研究開発独法だというところが新たにそれを前に押し出すというところが結構重要かなと思います。
 実際の話になってくると、病院の責任といいますか、もう既に巨大な実験をやっていまして国病機構という前例があって、あそこは政策医療の部分だけは税金で持ちましょう。通常の部分は全部いわゆる普通の病院経営を頑張ってねということで今やっているのですけれども、現状を見ていると都市部の急性期を中心に今の診療報酬の環境の中ではとても厳しいという状況になっていて、一部、臨床研究センターとかを持っているところがあるので、研究についての部分が言っていいのかどうかわかりませんが、うまく一体となっているから何とかそれで回すという、割と後ろ向きな形での病院と研究のファンドの融通のし合いということが構造としてあると思うので、病院部分を投げ出されてしまって研究所にいくと、病院は普通の病院経営ねということになってきたときに、病院を守る何かがないと厳しいなと一つ思いました。
 だから思考実験としては、例えば6NCの病院だけを独法機構の中に元NC病院管理部みたいなものをつくってやらせてみたら、それは同じことではないのとか、どう違うのという、その違いですよね。単に病院経営についてだけ言えば独法機構があるわけだから、そこに6つ投げ出してしまって、こちらの法人は研究所を主体としてそちらと連携すればいいではないかという絵も観念としては書けると思うのですが、それとは少し違うと思う。先ほど永井先生が独立性ということをおっしゃっていましたし、TRとか、リバースTRとかそういう話からすると、それは筋が違うのかもしれませんが、しかし、機能で考えると病院運営組織がやるお仕事は、独法機構の仕事とどこが違うのかという病院側の運営基盤の位置づけを考える必要があるかなと思いました。
 総じて研究独法というところが弱過ぎたせいで、今回も同じ病気を複数の病院で見て、それが非効率だみたいな、ある種、このNCについて単なる大きな病院とか専門病院みたいな視点が、今までの誤解とか政策的な整合性を損ねているのではないか。なので今回、研究所というのをもう少し輪郭を出すというのは非常にいい構想なので、細かいところはかなりいろいろなところで詰めがあると思いますけれども、研究独法らしくなかったというのは理研とか基盤研は研究だねとすぐわかるのですが、このNCは病院でしょうみたいなところかあって、そこの研究というところを組織として明確に出すというのはよいかなと。感想めいて申しわけないのですが、そういうふうに思いました。

○永井座長
 病院が放り出されているわけではなくて、実線で大きな研究開発センターの法人にぶら下がっているわけです。そこが普通の病院法人と違うところです。

○花井構成員
 いわゆる病院機構とは違う。

○永井座長
 そこはかなりタイトに連携していく。

○花井構成員
 研究で入ってくる外部資金が、研究所とは別に病院はどのように使えるかというテクニカルな問題もあるかと思いますけれども、これは本部が大体それを采配するというイメージですね。わかりました。ありがとうございます。

○近藤構成員
 基本的にこの構想には賛成です。私は臨床の現場からずっと仕事をしてきたわけですが、病院と研究所は表裏一体でやっていかなければならない。この構図によると、いかにもこの両者は分かれているように見えますが、実際、今、永井先生がおっしゃられたように、病院と研究所というのは一緒に仕事をすることを前提にした話だろうと私は理解しております。少なくとも研究でもリバーストランスレーショナルリサーチ、つまり臨床の現場から研究が発達していくというのはかなり大きな要素であり、これから、特にバイオなんかはそうだと思いますけれども、大事な仕組みであるので、研究所と病院との連携は今後ともより強くしていかなければいけないと思っているところです。
 ただ、研究所自身がばらばらであっては困る。従ってこの考えに基づいて研究所を1つの枠の中にしっかりはめていただいている。つまり研究所同士はインテグレーションしていかなければいけない。こういうことだろうと思います。これは非常に無駄な研究を重ねないように、お互いに一体となって研究してもらいたいと思うところです。
 そういうふうにいくと、それぞれの持っている病院がまた改めて違ったところの研究所とも組める仕組みがしっかり出てくるのかなと思っています。ただ、それだと従来のままだと思うところであるわけで、一つそれを統括する形で医療研究開発法人、こういう1つのセンターがしっかりできて、統合的に運営できるような仕組みが絶対に必要だと思います。今までだと各ナショセンがばらばらに動いている。やはり統合していかないと世界では通用しないです。ですからぜひこれはまず統合ありきなのですが、統合はバーチャルでいいのだと思うのですが、いろいろな物の考え方は統合していただきたい。判断の仕方、戦略的にも統合していただきたいなと思うところで、この図を使ってそれを具体的に実現できるような格好にしていただければいいのかなと思うところです。

○永井座長
 ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。

○河村構成員
 永井先生がお示しくださったd案を拝見させていただいて、今までずっとこの検討会で回を重ねて議論してきた6つのナショセンのいろいろな研究面での連携を進めるときに、こういう形で1つの案として中長期的に考えていくのが一番自然というか、そういう機能が発揮されやすいのではないかと感じました。
 組織のたてつけみたいなところで、私のような立場からちょっと意見を申し上げさせていただくと、確かに現在の独法の通則法ではこういうことは全く前提としていないのです。でも、今回のこの考え方というのは、とにかく何か新しいことをするために予算をもっとつけてとかそういう話ではなくて、全然逆で、いろいろ財政状況が限られている中で求心力を高めて研究の質を上げてということをやっていくときに、どういう体制が一番いいのかということでずっと議論が重ねられて、工夫されているということですので、そのことを強くいろいろ発信して、押し出していただければ、通則法の話になるともちろんほかの府省とか官邸とかといろいろ調整する必要は出てくると思うのですが、きっと理解が得られるのではないか。
 私は個人的には通則法を改正してもらって、独法の枠組みの中でこういう形の組織ができるようにしていただいたほうがいいのではないかと思います。確かに考え方としては、独法から出ていってしまう手もなくはないのです。ただ、出ていってしまうと特殊法人とか認可法人になって、いろいろな考え方はあると思うのですが、余りいい例はないのです。厚労省の方がいらっしゃるところで申し上げにくいのですが、年金機構とかありますよね。ちょっとがたがたで大変ですよね。それも独法ではないのです。あと先生方よく御存じでしょうけれども、沖縄に研究大学の大学院がありますね。あれも独法だったのがいろいろな事情があって出ていってしまって、沖縄の予算でも物すごい予算がついて、もうちょっと情報公開とかの面でいろいろ問題だなと私は思っていますが、そういう例もあって、出ていってしまうのは余りよくないというか、中で堂々とやっていただくのがいろいろな評価とかもかかりますし、透明性もありますし、国研になられてからもちゃんと勘定別にきちんと経理してやってこられたと思いますし、その枠組みでいったほうがいいのではないかなと。説得というか、考え方の動機というか、きちんと説明すれば必ずやほかの府省とか、関係するほかの政府の機関とかもきっと理解してくれるのではないかなと。ですから通則法を改正してもらうような形で、ぜひこういう形ができるようにされていったらいいかなと思います。
 ここで永井先生がお示しくださった案というのは、病院を6つそれぞれ別法人でということにされています。今の独立行政法人の制度からいくと、前は独法は2000年代初めにできたときは、どんな仕事をやっている独法でも全部1つの類型にはめていたのです。でもそれではおかしいということで、3年前ですけれども、2015年から3つの類型に分けようということになって、行政執行法人という国に近い印刷局みたいなところ、行政執行法人と中期目標管理法人と国立研究開発法人に分かれて、NCは国研になられた。ただ、国の病院は中期目標管理法人でやっていらっしゃるので、NHO、国立病院機構さんもそうですし、JCHOさんとかもそうですよね。ですからこういう形でいったときの各ナショセンさんの病院がどういうふうになるのかというのは、多分、政府のほかの部門の意見も聞かれたほうがいいでしょうし、今のたてつけからいくと多分、中期目標管理法人にするのが自然なのかなと。
 ここの病院運営組織で1つにまとめてしまうと、NHOとかのように各病院のいろいろ区分された病院ごとの勘定も出ていますが、中期目標としてNHO全体で百四十幾つの病院で収支相償という話になっていると思いますので、今回の案にある6病院というのは、そういう意味で統合してということにきっとならないと思いますので、だったら個々の中期目標管理法人として病院を存続させて、ただ、恐らくそういう形に仮になるとすると、今までこの検討会でも議論されてきたような各分野、がんならがん、それから、循環器なら循環器の疾患についての例えばそれぞれのセンター病院を中心として、全国への医療の均てん化をどう図るかとか、エキスパートの医療にかかわる方々をどう育成するかということについての目標も同時に立てられて、そこのところは各病院さんが担われてやっていかれる。それで研究所は研究所で、そちらで専念してやっていかれるという形で持っていくのが割と機能も発揮されやすく、検討会で議論されてきたような連携というのがうまく力が発揮されるのではないのかなと思います。
 以上です。

○永井座長
 ありがとうございます。
 そのときに研究開発法人がそうした中期目標管理法人を管理するというのが、一体となって運営するということは、今の独法通則法では多分難しいのです。

○河村構成員
 書いていないので、そういうことができるように改正してもらえばいいのではないかと思います。きちんと説明すれば、それが必要だという理解は私はきっと得られるのではないかと思います。

○永井座長
 大西構成員、どうぞ。

○大西構成員
 このいただいた座長の案は、法人を病院の法人と研究開発法人に分けて、それぞれが法人になっているということで、非常によく考えられた形になっていると感じました。つまり、病院の立場に立ってみますと、病院の経営をきちんとやっていくということ。それから、病院の経営もしくは診療の現場の中から上がってくる研究開発課題に対応していくということ。もう一つは、上部機関である研究開発センターから課題として投げられてくる研究開発に対しても何らかのデータを集積していく、さらに具体的な研究の実績を上げていくということで対応しなければいけないのですが、別々の法人になっていることでかえっていろいろな進捗の状況ですとか、目標の設定とか、それぞれが議論を闘わせながら透明性をもって管理や運営がなされていくことになると期待できます。そうした検討や議論を通じてそれぞれの課題があぶり出されてくるということに関しては、より一層効果があるのではないかと思います。そういう意味ではこの双方を法人とするたてつけといいますか、形というのが1つの課題へのソリューション作りのきっかけになるのではないかと思います。

○永井座長
 ほかにいかがでしょうか。末松構成員、どうぞ。

○末松構成員
 大西先生の御意見に極めて近いのですが、前のこの会議でも申し上げたのですけれども、2040年までのあと20年の間にさらに人口の年齢階層別の構造がもっと激しくこれから変わってくる。そのときに折しも循環器病対策ですとか成育の関連等の法整備ができたわけです。各センターの病院が急性期の特性を持っているところ、慢性期に近いところと様々です。また各センターそれぞれの地域を背負っています。一方で本当はナショナルセンターは全国の医療政策の決定に必要な情報をいろいろな技術を使って集約してもらわなければいけないので、やはり繰り返し申し上げるようにセンター病院のところは、各センターの個性が生きる形でこれから10年、20年活躍できる仕組みが望ましい。少なくとも私たちに残された猶予は、つまり21世紀型の人口動態に対応できるような仕組みをつくるのに10年以上もかけられない状態であって、集約して言うとセンター病院もそれぞれの個性を生かした形で競争したり、評価したりというやり方は非常に私はリアリティーがあるのではないかと思います。
 一方、研究所は、これは座長への質問でもあるのですが、きょうの資料の、医療機器産業連合会のほうから出てきた意見の紙にも書いてありますが、いわゆるチーフデジタルオフィサーとか、チーフインフォメーションオフィサーの機能を考えたときに、全体のどこにそういう機能が入るのか。先ほど近藤先生からもお話がありましたけれども、リバースTRをこの10年の間にプラットフォームをしっかりつくっていくというのは、厚労省としても、我々ファンディングエージェンシーとしても絶対的な急務だと思うのです。CIOやCDOという、病院のCIOとかはもちろんわかるのですが、そこは本当に横串で全体を統括する機能にならないと、なかなか厳しいのではないかと思うのですけれども、その辺は何かお考えがあるか教えていただきたい。

○永井座長
 これはセンターの本部に配属されるべきだと思います。

○末松構成員
 そうですね。そういうしっかりした横串が動くかどうか、人間の脊髄に当たるようなところなので重要です。また、NCの役割として、医療政策をこれからよりよいものにしたり、医療資源の配分評価をしたり、施策の決定をしたりというときで、ファクトデータを集積したりとか、例えば長寿研であれば今のところまだコホートのデータですが、オレンジレジストリーが結果として名古屋の周りは密度が高いけれども、全国の情報を把握するような仕組みには十分にはなっていなくて、既存のコホートと連携してどういうふうに認知症を解析していくかというようなこともナショセンはやるべきだと思うのです。その意味でCIO、CDOを置く場所はすごく重要で、これは恐らくきょう座長から出された案の一番上のほうにしっかり位置づけないとワークしないかなと思いました。

○永井座長
 おっしゃるとおりだと思います。
 ほかに御意見いかがですか。相澤構成員、どうぞ。

○相澤構成員
 座長から、中長期的課題として、組織が重要であるというご指摘がありました。短期的には難しいかもしれないけれども、中長期的課題として、組織改編を考えていただくことは非常に重要であると思います。

○永井座長
 ありがとうございます。
 どうぞ。

○祖父江座長代理
 今、末松先生がおっしゃったように、先ほども少し触れましたが、がんはがん対策基本法があります。循環器は今回、対策基本法があって、既に脳卒中学会なんかでは全国の各地域、相当な数ですけれども、センターをつくろうという動きが動き出しています。ですから、がんと同じように医療の均てん化とともに全国津々浦々のデータの前向きコホートというのは、これから非常な勢いで進んでくるだろうと思います。
 それから、成育も法制化されましたので、恐らく全国のいろいろなデータがここに集約される。そういうナショセンで解決したいと思っている疾患がそれぞれについて集約されてくるというのは、各ナショセンの各々の病院がまさにこの法人になって残っているということの意味ではないかなと感じました。
 一方では、先ほど来から話が出ていますが、世界に対抗していくために国際化も非常に大事なのですが、横糸的な解析パワーといいますか、非常にパワーが研究上、要るのだと思います。だからそれを研究所というところに、これの横糸的なものをどういうふうに決定して、この中に盛り込むかというのは非常に正念場ではないかなと思いますが、それが両方、今も御意見がございましたけれども、インテグレーションとそれぞれの特徴というのが非常に今の法律的な環境も含めてうまくいく気配を感じているというのが実情でございまして、恐らくこの形が私はアグリーしたいと思います。

○永井座長
 ありがとうございます。これで決めるということではなくて、こういうこともa、b、cに加えて案として検討いただきたいという位置づけでございます。
 ある意味では、c案の研究所にかかっている部分の範囲を少し上に上げたというのがd案になります。研究所全部を含むのがd案で、c案というのは研究所の機能の一部を横断支援組織にした。
 よろしいでしょうか。これは案として含めるということで御了解いただければと思います。その上でいよいよ今回の検討会の報告書案の審議に入りたいと思います。これは私もかなり手を入れておりますので、今の議論は必ずしも全部反映されておりませんが、まず事務局から御説明いただけますでしょうか。

○松永政策医療推進官
 資料2「国立高度専門医療研究センターの今後の在り方検討会報告書案」について御説明させていただきます。
 こちらは前回、第8回検討会でお示しさせていただきました報告書案につきまして、特に前回、新たに御議論をいただきました組織体制や構成員の皆様方からいただきました御意見等を踏まえ、座長と相談の上、加筆・修正をさせていただいたものでございます。
 なお、参考資料1が見え消し版となってございますので、参考としていただけましたら幸いです。
 それでは、主な修正箇所につきまして御説明させていただきます。
 まずおめくりいただきまして2ページ目、構成につきましては、項立ては前回同様9項目。加えて最後に別紙1~4として総務省政策評価・独立行政法人評価委員会からの勧告について、開催要項、構成員名簿、開催実績ということでおまとめさせていただいております。
 3ページ「1.はじめに」になりますが、こちらは冒頭、人口構造や疾病構造が急激に変化していることを踏まえ、NCのあり方を考えるべきであることや、国民的な医療課題への要請にNCが対応してきた歴史的経緯について。さらに5段落目以降で患者増の多様化、複雑化等の昨今の情勢に対応するためには、NCでなければ確保できない取り組みをさらなる連携と機能強化により実現する必要があること。研究開発力の低下が我が国全体の課題となっている中、NCの強い牽引力が期待されていることを追記しております。
 4ページ「2.NCが果たすべき役割について」でございますが、こちらは1に世界最高水準を目指すには、各NCの研究戦略としての打ち出しや到達点を設けるべきではないかという御意見を踏まえて修文しております。
 5ページ「3.研究開発の在り方について」。こちらは2段落目に運営費交付金が減少する中で、これまで以上に外部資金の獲得による環境整備が求められること。4段落目に大型機器を用いた研究拠点の構築、臨床研究にかかわる情報共有、人材育成、基盤整備等が必要であること。また、その具体についておめくりいただきまして7ページ目、2、3に追記を行ってございます。
 8ページ「イ.知的財産の活用について」でございますが、利益相反が生じることは当然であり、重要なのは適切な申告、管理、公開していくことであるという御指摘。
 次に5.財政面の強化につきましては、得られた研究費は一貫した方針に基づき、透明性を持って評価・配分するなど、効果的な運用にも取り組むべきという御指摘を踏まえて追記してございます。
 10ページ「6.情報発信・政策への活用の在り方について」。こちらは2段落目になりますが、NCが従前より行っている患者、市民参画の取り組みを充実させるべきという御意見を踏まえて追記。
 11ページ「8.NCの有機的・機能的連携に向けた組織体制について」でございますが、こちらは前回及び先ほどの御議論を踏まえ追記してございます。我が国全体の臨床研究力のさらなる向上に向けた取り組みが必要であり、NCが世界最高水準を目指すには資源、情報の集約が必要であり、それぞれの専門性を生かしつつ連携を有機的、機能的に行う横断的な研究推進組織が必要であること。
 具体的にはおめくりいただきまして12ページ目、新たなニーズに対応した研究開発機能を支援・強化。6NC連携で効果的な研究開発が期待される領域の取り組みを支援・強化。6NC全体として研究成果の実臨床への展開を支援・強化するための研究推進組織を構築すべきであること。さらに、そのあり方としましては前回、御議論いただきましたa~c案と、先ほどの机上配付資料2の座長案、すなわちd案の4案について検討したこと。いずれの場合におきましても、スピード感が重要であり、当面は6NC全体を通して疾患横断的な機能を速やかに構築すること。将来的なあり方につきましては、本検討会で検討された案を踏まえて、早急に結論を出す必要があること。一番下のパラグラフになりますが、このため、直ちに実施可能な内部組織体制の具体化に向けたNC間の協議を速やかに行い、次期中長期目標期間を見据えて2019年度には当面の組織体制の整備を完了。2020年度からの速やかな実現に向けて取り組むべきであること。
 13ページ目、さらに外部有識者の関与による定期的な業務遂行の状況の確認や、業務の優先順位づけ、具体的な目標の独立行政法人評価への反映と、国が適切にその評価を行うこと。各NCからデータ提供等をいただくには強力なリーダーシップが必要であり、当該組織が有効に機能できるよう国や各NCが必要な支援と検証に取り組む必要があること。将来的な組織のあり方につきましては、我が国全体における臨床研究の実施体制のあり方や財政基盤の強化に向けた方策を速やかに検討しつつ、新たな横断支援組織の検証をしつつ、本検討会の検討案を踏まえ、次期中長期目標期間の可能な限り早期に結論を出す必要があることとさせていただいております。
 「9.おわりに」になりますが、こちらは主に組織体制関係の追記に連動した修文を行ってございます。
 簡単にはなりますが、私からの説明は以上とさせていただきます。

○永井座長
 ありがとうございます。
 では、多少先ほどの議論を踏まえての話になりますが、御意見をいただきたいと思います。どうぞ。

○末松構成員
 この報告書案の「6.」にキーワードで、patient public involvementを入れていただいた点は評価します。一方、先ほどの前段の議論でナショセンがデータのマネジメントを統合的に行っていくということは重要なのは誰もが理解できることだと思うのですが、データの各論的なところの議論はこの会のミッションではないのかもしれないのですけれども、厚労省が所轄をしているナショナルデータベースのデータとか、NIHとか外からも相当注目されていて、もしデータを持っていかれてしまうと何が起こるのか。要するに貴重な財産で、国家の戦略にかかわる部分だと思うのです。日本でないとできない研究のリソースに十分なり得るだろうと思うのです。
 私が再三申し上げているハブ・アンド・スポークの一部でもあるのですが、こういう公共財に当たるナショナルデータベースのようなデータの利用のあり方とか、それをこの新しい研究開発法人の仕組みでどう考えていくのかという問題提起ぐらいは入れておいたほうがいいのではないかと思うのです。著名化しているから研究に使えるというところで、国として守っておかなければいけない部分があって、それをナショセンがお手本を示すための仕組みが十分でないような気もします。恐らく厚労省もぎりぎりの研究資源でデータを維持するだけでも精いっぱいで、解析をする側の機能も決して十分ではないような気がします。
 国立高度専門医療研究センターが、日本が自分たちで集めたデータ、患者さんたちのそういうデータをしっかりと利用することにより、患者さんに還元できる部分が相当あると思うので、ぜひ今後のあり方として盛り込んでいただきたい。民間がデータを使った場合に民間はその成果をもう一回、パブリックに返してもらう。解析した結果、得られた新しい知見を公にする。そのような流れはデータシェアリングの一部になるのですけれども、そのような展開があるべきと考えます。それは個々の大学が単独でやれることではないので、恐らくナショセンの病院から得られるデータに関して、どういうことがあるべき姿かということがどこかのパラグラフにしっかり書いておく必要があるのではないかと考えます。

○永井座長
 ありがとうございます。
 どうぞ。

○祖父江座長代理
 今の意見に全く賛成、同感でして、この会でも今まで日本のデータベース、いろいろな種類の、いろいろなパターンのものがあるのですが、非常に精緻なものが中にあって、外国の企業からのアクセスが多いのです。がんセンターなんかはそういうアクセスが特に多いのだそうでありますけれども、共同研究という形で申し込んでくる。それはどういう形をとるのかというのはまだ実はルールがつくられていなくて、今、末松先生おっしゃったように下手をすると国民全体でつくったデータ、税金も含めてですが、それが知らないうちに海外で流出して、そこで海外の創薬メーカーが創薬に使うというようなパラダイムが出てきてしまう可能性があって、これは余りまだ議論されていないと私も思います。
 先ほどの法制化も含めて、国民の非常に悉皆性を持った非常に精緻なデータが今後蓄積されてくる可能性があって、そのハブをやるのがナショセンになってくる可能性が非常に高いですので、そこをどう扱うのかという議論は避けて通れないのではないかと思います。できればオープンにして、みんなのために使っていただくというのがいいのですが、何かのルールをつくっておかないと非常に危ないことが起こる可能性は十分にあると思っています。

○相澤構成員
 今の御指摘に関して、5頁から、データの集積、共有という記載があります。そこの部分で、データのセキュリティーを含めた管理について、記載をしていただければ良いのではないかと思います。

○祖父江座長代理
 全く同感なのですが、ただ、今後、日本のデータベースとしてどういうふうに管理していくかという議論が、まだこれからだと思うのです。ですから、そこの形をどうするのかという議論をやりたいという言い方になるのかもしれません。

○永井座長
 山口構成員、どうぞ。

○山口(俊)構成員
 私は今の意見に余り同調できなくて、データを国が管理するといかにもよさそうですけれども、国がそこまで信頼できるかどうか。つまり政策のために利用されるのではないかという懸念を例えば学会団体は持っているわけです。例えば外科系の学会は専門医制度に絡んでクリニカルデータベースといって、シーズの極めて精緻なデータを持っています。ただ、それがまた学会のエゴのために使われるのはよろしくないので、そういうデータを公共の財産として一定のルールのもとに使うのはいいのですが、これを全てナショナルセンターがやるべきだというのは、私はちょっとおかしな意見ではないかなと思うのです。

○末松構成員
 ナショナルセンターが全てやるとは一度も申しておりません。それから、国がデータを管理するという言い方もしておりません。私が一番危惧するのは、データの国外への流出の問題です。そこに関して一定の取り決めが必要だというのは、この委員会のミッションではないかもしれないけれども、非常に重要な論点だと私は思います。
 その上で、そういう理解の上で新しい国立研究開発法人がお手本を示していくということは、これも非常に重要だろうと思います。国が管理するのがいいのか、取り決めを決めてデータが分散して管理されているものが国外に流出するとクリティカルなものが多いので、外国の研究機関やファンディングエージェンシーからいろいろな協定を結ぼうとか、データ共有をしようというアプローチは数少なくありません。例えばこれも卑近な例ですけれども、小学生の尿検査というものがありますね。あれは米国ではやっていないわけです。そのデータは日本のどこにあって、そして、どういう結果になっていて、なぜ日本は腎臓の病気の子供が透析まで行かないのかとか、先方は不思議に思っているわけです。そういうところにビジネスチャンスがあるのではないかといって、そこから先はビジネスの話になっていくわけです。そういう公的データの管理に危機感が非常にあるので申し上げているわけです。
 日本のR&Dのために利用できれば、それは何よりなのですけれども、一方でグローバル企業もたくさんあって、データの最低限必要なルールというのは今、医療研究開発センターの考え方と並行して、きちんとそういうものを考えようということが入っていたほうがよりいいのではないかということで、先ほど発言したということです。

○永井座長
 どうぞ。

○迫井審議官
 もし関連でほかの委員の方の御意見があれば、お聞きした後のほうがよろしいかと思いますが、きょうは最終回になり得ると思いますので、一定の事務局なりの受けとめはお話をしながら議論を進めていただいたほうがいいかなと思うのですが、末松構成員、祖父江座長代理、相澤構成員、山口構成員からいろいろ建設的な御指摘をいただいております。
 私どもの受けとめとしてまず1点は、こちらの場で御議論をいただくという部分が全くないという意味ではなくて、私どももそうなのですが、皆さん共通のご認識として、医療に関連する医療情報の共有の基盤をちゃんと国がしっかり整備していくべきだということは、かねてから指摘をされておりまして、この場ではないにしても、幾つかの場所で実際に議論し、検討し、そういったことを国がしっかりやっていくということは既に定まった方針でありまして、その構築に向けたさまざまな対応をしているところであります。まずそれが1点です。
 その上で、ナショセンにそれがどういうふうな関係があるのかというと、今のお話は私どもの受けとめとして大きく2つあって、1つはデータなり研究なり臨床なりをやっていくという現場としてのナショセンが、それをちゃんと踏まえた上でやっていくべきだよねという部分と、実際に国がそういった情報基盤を整備する上でナショナルセンターが、極端な例としては全部それをナショセンが担うべきだみたいなことはあり得るにしても、そんなことは皆さんおっしゃっていないということは確認されたと思いますので、一定の役割を果たす、あるいは範を示すというような幅のある中で、当然にこういった議論と連携、整合をとっていくべきだという御指摘と受けとめております。
 ですから、先ほど相澤構成員がおっしゃいましたが、書きぶりは最終的に座長が当然、御指導いただきながら私どものほうでも作業をさせていただくとして、具体的に申し上げますと5ページから6ページにかけて関連する記載がありますので、今いただいたような御意見を反映させていただくのが最終的な文案なのかなと事務局として受けとめております。

○永井座長
 今の件よろしいでしょうか。またこれは少し事務局とも。

○相澤構成員
 補足すると、情報は集めれば集めるほど狙われやすいという問題があります。ですから情報を集める場合には、データセキュリティーを考える必然的が出てきます。データを集めるということと、それを管理するということは表裏の関係があると思います。

○永井座長
 ありがとうございます。よろしいでしょうか。
 ほかにいかがでしょうか。本田構成員、どうぞ。

○本田構成員
 今の議論と全く違うところでもいいですか。NCに対する患者の期待という意味合いで意見しておきたいと思ったのは、4の医療提供のあり方のところと、6の情報発信・政策への活用のあり方というところで、書いている内容について異論は全然ないのですけれども、例えばまず1つ目は4の6行目、7行目あたりに「全ての国民が全人的、かつ、最適な医療を享受できるようなシステムの構築を目指し」ということで、最善の医療も提供するけれども、全員に提供できないし、やる役割というものを考えたときに、何でもかんでも最後まで見るというものでもないという、全国で最適なものがつくれる医療ができるようなシステムを構築していくことなんだということは、私はそうだと思うのですけれども、一般国民とか一般の患者となると私はというふうに当然なるもので、私もそう思ってしまうものであって、こういう役割なんだということを国民に理解してもらう努力というか、どこに入るのかがよくわからないのですけれども、そういうことをちゃんと情報提供していく。
 これがだから6の情報提供に入るのかよくわからないのですけれども、こういう役割をちゃんと国民にも理解してもらう。医療の治療法だとか研究成果だとか、そういうものだけではない、NCとは何なのかということを理解してもらうことも、一つ必要になってくるのではないか。患者の混乱ということを考えると、より強化されるとより期待が強まって、私も私も、最後まで何で見てくれないのみたいな不満につながらないのかなというのが、昔よりは理解されている方もふえているような気はしますけれども、ちょっと懸念として感じました。それが1つ。
 もう一つが10ページの6の5~6行目ですけれども、「NCは従前より臨床研究や疾患レジストリ構築等にあたって患者・市民参画の取組を行っており、このような先駆的取組を今後とも充実すべきである」ということ自体も、PPIの考え方を入れていただいたということで、患者参画のこともうたっていただいているのは私も大変賛成なのですけれども、本当のPPI、参画という言葉の意味合いが世の中的にわかってもらえるか。
 要するに患者は、言葉は悪いかもしれませんけれども、提供して使われるというだけではなくて、何かをやっていくということでは本当の参画であれば、英国やアメリカとかでやっているのは、ちゃんとそういうことに参画するための学習の機会だったり、提案する機会だったり、何かのシステムに対して意見を言う機会であったり、そういうものがあってこその参画だと思うのです。いろいろなレベルの参画があると思うのですけれども、そういう意味合いが読み取れるよう、参画という言葉はそういうことが入っているのだと思うのですが、なかなか日本ではそういうふうに読み取れないのではないかということを危惧して、何かしら言葉が足せないのかなという御提案に今できないですけれども、そこに患者側のいろいろな方々の思いとかを考えると、意見を持ちました。
 以上です。

○永井座長
 ありがとうございます。
 どうぞ。

○山口(育)構成員
 私も今、患者参画ということがさまざまなところで言われている中で、ここはさらっと書いてあるのですけれども、具体的に今どのようなことができていて、これからどのような分野に対して広めていかなければいけないのかということを少し充実させていただくと、意識というものが変わってくるのではないかと思いました。
 それに関連してなのですけれども、こういう報告書というのは国民に対して出されているものだと思ったときに、今の参画もそうなのですが、自分たちとは関係ないような話だと思ってしまうような報告書になると、読めなくなると思うのです。今回この報告書の中は結構片仮名が多くて、できれば幾つか欄外で注をつけていただくと、一般の方も読んでいいんだなというような意識に、こういうものがあるから読んでたらどうですかと私たちも言えるかなと思います。
 例えば6ページ、一番下の行のところでデータサイエンティストというのは何をする人なのか。あるいはバイオインフォマティシャンというのはどういうことをする人なのか。9ページに行きますと下から4行目のレギュラトリーサイエンスとか、11ページのフレイルというのは割と医療で使われるのですけれども、余り国民的な共通言語にまだなっていないと思いますし、同じ行にあるコホートというのも、疫学のことをわかっていない人にはコホートと言われても意味がわからないです。さらには12ページにデータプラットフォームという言葉があったり、末松構成員がいつもおっしゃっている13ページのハブ・アンド・スポーク機能というのもどういう機能なのか。こういったことを国民に本当に知らせていんだという姿勢を見せていただくことが、こういう報告書の中では重要ではないかと思いますので、少しここで追記していただけたらというのが希望でございます。

○永井座長
 今の点については、研究機関というのは何のためにあるかということにもかかわるわけです。研究するためというのはどういうことなのか。それは私の理解は市民、患者さんが自分の病気を理解し、自立的に判断、行動できる情報を提供する。私はそこが非常に重要な研究機関の機能、役割だと思いますから、ぜひそんな言葉を入れるということでいかがでしょうか。

○祖父江座長代理
 12ページの下のパラグラフから13ページの9ポツの初めのところに、今後の工程表というかタイムスケジュールのようなことがうたってあると思うのですが、これは結構重要だという感じがするのですけれども、12ページの下から13ページの上のところは、例えば当面の組織体制の整備を完了するのは19年度で、20年度から速やかな実現に向けて取り組むべきであるという、かなり当面の組織体制というのはどれを指して、どういうことを言っているのかがはっきりしないのですが、一応、年度ごとにこう行くという感じは出ていますね。
 ところが、下を見ますと将来的な組織のあり方、これは今、議論したところだと思うのですが、いろいろずっと書いてあって「次期中長期目標期間の可能な限り早期に結論を出す必要がある」という、可能な限り早期という非常に曖昧な言い方に変わってしまっているのですが、この辺の工程の実際のニュアンスというか、感覚というのはもう一回、御説明いただきたいなという感じと、後半の次期の中長期目標計画というのが、それに間に合うように変えていくというスタンスが非常に大事だという感じがしているのですけれども、その辺のところとの兼ね合いで工程表を実際に当面のものと、将来構想とどういう段取りでやろうとしておられるのかというのをもう一回、説明していただけるといいなと思いますが、いかがでしょうか。

○吉田医政局長
 御指摘ありがとうございます。
 私ども前回からこの文案をもとにいろいろ御議論いただいております。今、祖父江座長代理がおっしゃっていただいたところ、非常に私どもも重いところだと受けとめております。
 12ページから書かせていただいているのを若干訓詁学的に、私ども事務局としての頭の整理を申し上げれば、12ページの下から3分の1ぐらいのパラグラフにございますように、本日、座長から御提案いただきましたような案も含めて御議論をいただいた結果として、いずれの場合でもというパラグラフがございますけれども、当面は6NC全体を通じて疾患横断的な機能を速やかに構築するというのが、これまでの御議論の上での1つの方向性だと私ども受けとめておりまして、そういう意味では当面これに向けて我々この報告書をいただいた立場としては、全力を挙げるべしと思っております。
 その上できょう御提案いただきましたことも踏まえて、将来的なあり方についての御議論、御提案がございますので、それについては早急に結論を出すべく議論も並行して行う。もちろん、まずは行うべきことを行い、その実績を踏まえて検証するという文言もございますので、そこは我々としてはフィードバックをしながらやっていくということかと思います。
 その上で12ページの一番下にございますように、次期中長期目標期間が2021年度からという形になってございます。これが1つの次の節目の期間ということを考えた上で、祖父江座長代理がおっしゃったように、手前のほうほど比較的具体的に物が言え、先々については今回の取り組みを踏まえた上でのフィードバックという検証もありますので、13ページにおきましては2019年度あるいは2020年度というのは、具体的な刻みを持って出すべきことをこれまでの御議論を踏まえた形での表記をさせていただいていると事務局として受けとめておりますし、その先につきましては今、御指摘いただいた将来的という議論ですので、次期中長期目標期間、繰り返しになりますが、12ページの下にありますように2021年度からということなっておりますので、これをにらんでの話かと思います。
 ただ、なかなか悩ましいなとこれまでの御議論を伺いながら私どもとして思っておりますのは、12ページの一番下にありますように、次期中長期目標期間を見据えてということでの問題意識と、次期中長期目標期間の可能な限り早期にというのは、見据えてというのは、普通は手前のことでありましょうし、可能な限りということになれば、その期間の中においてということであろうと思います。私どもとしては、今回いただいた将来的な、あるいは中長期的な御提案も踏まえて、まずやるべきことをやりながら問題意識を持って、そして、その取り組みを検証しながら当面進めさせていただくということを、これまでいだいた先生方の御発言を落とさせていただいたということではありますが、それを踏まえて先生方のほうで御了解あるいは全体として取りまとめいただいて、事務局に投げていただけるのかどうかというところは御議論いただければと思います。

○祖父江座長代理
 最後の将来的な中長期目標期間の可能な限り早期にというのは、おっしゃることはよく理解できるのですが、ちょっと曖昧で、どこまでをどこまでにしているのかというのがわかりにくいのですが、余りそれ以上は具体的にならないということでしょうか。

○永井座長
 ここは私も3年をめどにと書いていたのです。ですから将来的な議論というのは、あと2年ちょっとあるわけですから、どうなのでしょう。中期計画が始まるまでに結論を出す。できるできないを含めてですね。どうでしょうか。

○吉田医政局長
 補足させていただきます。今、座長からも御発言がありましたけれども、率直に申し上げさせていただくと、今回、御提言いただいたものを我々、実務的に一つ一つ着実にやらせていただくことを前提にした上で、多少幅がないと、全て機械的にかちかちと起き得るものばかりではないのではないか。並行して検討しなければいけない課題についても、これまでの御議論の中から抽出して文言として書いていただいている部分もございますので、そういうものを議論して一つ一つ片づけながら物事を進めていくということを考えると、今、祖父江座長代理がおっしゃったように全部年次表みたいな形にできるのは、正直、我々事務方としては難しいと思っておりますが、何度もこの会議で御指摘いただいていますように、とにかくスピード感を持つんだというご指摘がございます。この研究開発の国際環境あるいは今の日本の現状から見て、なかなか時間をかけてやっている余裕はないのではないかという思いを、私どもとしては可能な限り早期にという表現に込めさせていただいている、また、そういう形での表現をいただいているということでありまして、なかなか正直、これ以上年次にというところまでの工程表は、これまでの御議論や我々事務方としての準備から言うと難しいかなと思います。

○永井座長
 ただ、できるできないは別として、次期中期計画の話が含まれているわけですので、結論は次期中期計画までに1回は出す。その上でさらに検討するということはあると思うし、そのくらいの区切りはあっていいように思うのです。というのまだ2年何カ月かあるわけですから、いかがでしょうか。

○近藤構成員
 要するにNCの改革は待ったなしではないですか。それでこれだけの会議が開かれて、これは本当に大事な会だろうと思っているわけですし、ここにおける結論というのは、それなりの明確な答えを出していかなければならないのかなと思っているところです。
 そういうわけで、少なくとも最低限の方向性はしっかり出してもらいたいと思います。その上で細事にわたる細かいことは決めていかなければいけないのだろうと思うので、例えばa、b、c、d案を見て、dというのは本当に苦肉の策だろうと思うのです。間違いなく。でもこれでも大変な進歩かなと思うところですけれども、本当は6NCを1法人化というのが筋かもしれないし、それができなかったら新たな法人をつくって、しかし、法人が法人をコントロールすることはできないという立場からするとdになったのだろうと思うのですが、極端な話をすると医政局の中に1つNCをちゃんとインテグレーションする課ができてもいいぐらいだと思うのです。それぐらいの意味が本当は必要かなと思うのです。

○迫井審議官
 この点は非常に重要な点であると思います。ここに幅があると局長が申し上げましたのは、例えば今、幾つか出ている案を1つとりましても、正直申し上げて立法府にお伺いを立てないとできないことが既に含まれております。
 そういった意味で、本日、報告書を出すに当たって、かちっと工程表があってというのが一番麗しいと思いますが、この場だけでは少なくとも決め切れないものが多々含まれておりまして、実際に作業を進めてみなければ先ほど御紹介いただいた独法の中の類型1つとっても、相当程度作業が必要ですし、見通しが必ずしも今の時点で開けているかどうかという部分も正直あります。そういった観点からしますと、可能な限り早期にというのは、私たち的には清水の舞台から飛び降りたつもりなのですが、可能な限り早期に、しかしながら、その時期についてかっちり工程表には書き切れない幅があって、その努力はさせていただきますという趣旨で書かせていただいている原案であります。
 もちろん、これをさらにもっと具体化しろというのは報告書の書きぶりとしては可能かもしれませんけれども、逆に言いますと今度は仮にも報告書でございますので、一定程度これを当然履行することが求められることになります。そうすると担保できていないことも多々含まれる、どの程度まで書くのかという話になりますもので、このあたりでいい塩梅にしていただけないかなというのが私どもの正直な気持ちであります。

○永井座長
 ただ、次中期目標期間中と書いてあると、少なくともこの2年半ではない。それは場合によっては幅があって、次期中期計画は今のまま、少しの改革があって、その次、次々期中期計画を見据えてというのはちょっと先過ぎると思うのです。いろいろな問題があるにしても、1回今期の間に何らかの結論を出してさらに検討なのか、あるいはそこで本当の結論にするか、そのくらいの姿勢はあってよろしいのではないでしょうか。

○迫井審議官
 私どもの認識は、そんなに違わないと思いますので、文言の修正の余地は十分あると思います。なぜかと申し上げますと、次期中長期の目標期間の可能な限り早期に結論を出すということなのですが、当然その期間に反映できるようなものは前倒しで当然やるべきだと思いますし、逆に言いますと、これが次々期を念頭に置いてこういう文言を置いているということでもないので、座長とよく相談させていただきたいと思いますが、ここの部分についてもう少しクラリファイする余地はあるのかなと思います。

○永井座長
 ぜひ。これを読むと今期中は結論を出さないと読めますので。

○迫井審議官
 あるいはむしろ可能な限り早期にとしてしまって、変に時期を書かないという方法もあっていいのではないかと思います。

○永井座長
 いずれにしても、早急に検討は始めるべきだろうと思うのです。いろいろ困難な問題があるのはわかっておりますので、また、拙速はいけない。中途半端な改革で我々が懸念するのは、効率化だけ求められてナショナルセンターが今、持っている力が衰えるようなことがあれば、それだったらしないほうがいいということはよく確認しておきたいと思います。やはり発展するということを前提に改革というのは行うべきだと。

○吉田医政局長
 今、座長からお話しいただきましたこと、あるいはそれに先立って委員から御発言いただいたことを踏まえた上でということかと思いますが、例えばでありますが、今、審議官から申し上げましたように、本検討会で検討された案も踏まえて、可能な限り早期に結論を出す必要があるという形にして、次期中長期目標期間云々というところではなく、できる限り早く出すという姿勢をもってして御指示をいただいたという形の文章ということであれば、多分、先生方の御意見と私ども事務局の思いの間にそごはないと思います。あとはまさに両方の間で共有認識されたように、いろいろな困難、いろいろな検討課題があるけれども、頑張りましょうということをもってして我々としても頑張らせていただきたいと思います。

○永井座長
 ほかにいかがでしょうか。どうぞ。

○神﨑構成員
 1つだけ、ちょうど今議論が出ている12ページのa、b、c、dのaですが、私たちのこの検討会で議論を尽くして、ようやくa、bの違いがわかるようになったと思いますが、このままだと報告書を見た方はaが何を意味しているのかわかりづらいと思いますので、もう少しつけ加えて書いた方がよろしいのではないでしょうか。

○永井座長
 そうですね。これは絵があったときの記載なのです。絵がないとなれば、もう少しそこを、これは記載の仕方で工夫できると思いますので、特にd案との違いですね。d案も1つ法人をつくるということになっていますので、ここは明確にしたほうがよろしいと思います。
 どうぞ。

○花井構成員
 先ほどの10ページの6の本田構成員の指摘のところなのですが、患者のいわゆる参加というものを書いていただいたのですが、確かにちょっとこの書きぶりでは何となくかわりにくいというところで、今、文章をいろいろ考えていたのですけれども、基本的にはエビデンスに基づく政策提言や政策立案の重要性はますます高まっている。そのため、NCが連携しながらデータベースやレジストリの整備に取り組み、我が国の医療政策の立案や評価・検証に資する情報の集積を推進するためには、NCに対する国民の理解が特に重要であるということを言い切って、そのためには、国民への正確な情報発信をこれまで以上に強化するとともに、臨床研究や疾患レジストリの構築等に当たって患者・市民の参画はさらに重要だと書き、その後に、これまでもNCは、このような患者参加型のレジストリ構築を行ってはきたけれども、今後こういったことをさらに充実すべきという文章にすればいいのではないかと思います。よろしくお願いします。
 ふえているのは、NCに対する理解という部分で、例を挙げると国立病院機構にはかつて臨床研究センターというのを幾つか長崎とか名古屋に持っていたわけです。そうすると患者は病院に研究所がくっついているというイメージです。ではNCはどうかというと、病院に研究所がくっついているということであれば、いわゆる病院機構の臨床研究センターとNCの研究所はそんなに患者の目から余り変わらなくも見えて、さきの議論で研究独法だというイメージからすると、まずは患者は別に自分がここにかかることは実験台になるとは思わないけれども、ここは研究施設であって、そこの病院にかかるという意識は結構大事かなと思います。それをやはりNCというのはここで先端的な研究をする病院なんだなということを今までなかったので、ここにそれを入れた上で情報提供をやり、そして具体的には今やっているように患者団体と連携してレジストリをつくるとか、共同研究スタイルでレジストリの運用を患者と相談しながらやるとかやっているわけですけれども、そういったことが重要ですよということをあわせて書くという構造にしていただきたいと思います。
 以上です。

○永井座長
 いかがでしょうか。どうぞ。

○神庭構成員
 細かいことなのですけれども、4ページのNCのミッション、大変きれいにまとまっていると思うのですが、4の我が国の医療水準の向上で、文章が「取り組んでいくという視点で取り組んでいくことが必要である」と、ちょっとリダンダントな感じがしますので、直せないかなと思いました。
 もう一点は、この後に1回出てくるのですが、医療の均てん化。これはがんの医療で非常にうまくいったわけですけれども、精神の領域ではまだまだ標準化すらできていないところで、地域によっては今、医療資源がないという事情もありますけれども、標準的な医療をどこでも国民が受けられるということが、我が国の医療水準の向上につながると思いますので、均てん化という言葉もここに入れていただけないかなと思います。

○永井座長
 よろしいでしょうか。ほかに御意見ございますでしょうか。また思いつかれましたらメール等で事務局にお寄せいただき、最終的に座長一任で文章の修正を行いたいと思いますが、御了解いただけますでしょうか。それでは、そのようにさせていただきます。
 ことしの春、初夏だったでしょうか。随分議論を重ねてまいりましたけれども、おかげさまで報告書をほぼ取りまとめることができました。構成員の皆様に厚く御礼を申し上げます。
 それでは、最後に医政局長から御挨拶をお願いいたします。

○吉田医政局長
 改めまして、お忙しい中、委員の皆様方、御熱心に御議論いただきありがとうございました。
 座長からお話がございましたように、この会はことし3月からということで、実は私の着任前から先生方には御議論をいただいておりましたし、私の着任後も大変申しわけないことに、ほかの公務とぶつかったりして出たり入ったりしておりましたが、この間、資料を読ませていただき、あるいは議事録を読ませていただき、また、事務局からどのような感じだったかというのを聞かせていただきながら、本日までまいりました。
 若干感想めいた形かもしれません。恐縮でございますが、この問題は非常に悩ましいなと事務局としても感じておりました。3つほどあるのですが、1つはきょうの御議論にもありましたように、そもそも我が国の今後の戦略的な研究開発をどう進めるかという非常に大きなテーマ、それもきょうの永井座長の資料にございましたように、グローバルな研究環境あるいはあえて言えばグローバルな競争環境の中でどのように進めるかというところから事説いて、それぞれの研究開発はどうあるべきか、その組織はどうあるべきかという議論と、今あるNCがそれぞれ持っている機能、活動あるいはポテンシャルというものからどういうふうに対応するかという、ある意味で対立はしませんが、それぞれの軸をないまぜて議論をしなければいけないというのが1つ。
 2つ目は、何度もここにございましたし、きょうも御議論がありましたけれども、医療政策としてある程度、先ほど来お話がありますようにがん対策の基本法であったり、循環器の基本法であったり、あるいは成育医療の基本法であったりという、政策体系がそれぞれできているのと、疾患横断的にこれからやらなければいけない。特にきょう出ていました情報あるいはデータというのをキーワードに切った場合にどうすべきかという、2つの切り口を考えなければいけない。
 3つ目に、機能と組織論というものを両方御議論いただいたということで、非常に私ども事務局としても頭の痛い、悩ましい3つの軸を委員の皆様方がそれぞれ視野広く、そして、それぞれのお立場、角度から御議論をいただいたものが、きょういただいたこの報告書にまとめていただいていると思います。
 テーマはNCの今後のあり方という形になってございますが、ここにいただいたものは個々のセンターのあり方、あるいはセンターの今後のあり方を超えて、我が国の戦略的な研究開発というのはどうあるべきかというところの御議論、あるいは問題意識を踏まえていただいた御提言だと思っておりますので、先ほど来、御議論いただき、また、報告書にも書いてございますように、スピード感を持って我々は実現しなければいけないと思いますし、そのためにはちょうどここに医政局の中で2つの課長がおりますけれども、NCをどう組織的に今後持っていくかという議論と、そもそもの研究開発環境をどうつくっていくかという両方の視点を持って取り組ませていただきたいと思います。
 いずれにいたしましても、今回いただきましたものの中に直ちにという部分と、中長期的にという課題あるいはその論点についても御提言あるいは御意見をいただいておりますので、双方それぞれについて私ども事務局から今度は医政局というふうに形を変えて取り組ませていただきたいと思います。
 今後ともそれぞれのお立場から御指導いただくことは多いと思いますし、また、私どももそれぞれまたいろいろとお知恵を借りに伺いたいと思っておりますので、引き続きよろしくお願い申し上げたいと思います。
 本当にここまでありがとうございました。

○永井座長
 どうもありがとうございました。
 それでは、本日の会議はこれで終了いたします。どうもありがとうございました。