第8回 国立高度専門医療研究センターの今後の在り方検討会 議事録

日時

平成30年11月15日(木) 16:00~18:00

場所

中央合同庁舎第5号館 専用第22会議室(18階)
 (東京都千代田区霞が関1-2-2)

議題

1.これまでのご意見を踏まえた組織の在り方について
2.国立高度専門医療研究センターの今後の在り方について(報告書案)

議事

○太田医療・研究開発独立行政法人管理室長補佐 
それでは、定刻でございますので、ただいまより第8回「国立高度専門医療研究センターの今後の在り方検討会」を開催します。
 構成員の皆様におかれましては、大変お忙しい中、お集まりいただきまして、まことにありがとうございます。
 本日の構成員の皆様の出欠状況を報告させていただきます。
 本日は相澤英孝構成員、近藤達也構成員、中野貴司構成員、本田麻由美構成員、山口育子構成員、山口俊晴構成員から御欠席の御連絡をいただいております。
 なお、医政局長の吉田でございますが、公務のためおくれて参ります。また、途中退席させていただきますので御容赦ください。
 また、伯野研究開発振興課長は、公務のため欠席させていただきます。
 それでは、カメラの方は退室をお願いいたします。
 次に、議事に入ります前に、お手元の資料の確認をさせていただきます。
 お手元に議事次第、座席表のほか資料1から資料2及び参考資料1から参考資料2、本日御欠席の山口育子構成員より御提出いただいた意見書、前回までの会議資料及び議事録をお配りしております。
 なお、議事次第におきまして、資料1の名称を「NCの横断的」としておりましたけれども、こちらは「有機的・機能的連携に向けた組織体制(案)について」ということで訂正させていただきます。申しわけありませんでした。
 なお、前回の議事録については未定稿となっておりますので、御留意ください。
 不足等がございましたら、御連絡願います。
 以降の進行につきましては、永井座長にお願いいたします。

○永井座長
 では、議事に入ります。
 最初に、事務局から資料1「NCの有機的・機能的連携に向けた組織体制(案)について」、御説明をお願いいたします。

○和田医療・研究開発独立行政法人管理室長
 事務局でございます。
 それでは、資料1について御説明させていただきます。こちらは前回の検討会でお示ししましたこれまでの御意見を踏まえた組織のあり方におきまして御指摘いただきました事項及び、NCが有機的・機能的に連携していくための方向性を事務局でおまとめさせていただいたものでございます。
 2ページ目、前回の主な御意見として、関係機関と双方向に連携する機能を持ちながら、がんならがんゲノム、成育なら小児難病といった各NCの個性が発揮できる機能的統合が必要。データ共有や知財管理などについては、各NCが利益を得られるよう、NC共通の横断的組織と外部の人間が評価する仕組みが必要でございまして、新たに法人をつくるのか、法人を統合するのか、内部組織とするのか、具体像を示して議論すべきとの御指摘がございました。
 これにつきましては、NCが持つ強みですとかスピード感を生かしつつ、さらなる有機的・機能的連携による疾患横断的な取り組みによりまして、新たなニーズに対応した研究開発機能、NC連携で効果的な研究開発が期待される領域の取り組み、NC全体として研究成果の実臨床への展開、これらを支援・強化するための研究支援機能を強化する組織体制が必要であるとの考えのもと、具体的には3ページ目、縦の資料につきまして、研究支援機能を強化する横断支援組織を大きく3つの組織形態として整理させていただきました。左から新たな7つ目の法人の設立、1法人へ統合、内部組織の強化と、このようにしております。
 縦の図におきましては、それぞれの組織のイメージを絵にしておりますので、御参照いただければと思っております。縦の図の詳細は、ごらんいただきまして、左2つは法改正が必要、7つ目の法人の新設に当たりましては、国が新たに資本金等を準備する必要がございます。また、7つ目の法人の新設についてでございますが、研究の横断支援のみでは機能しないのではないか。また、設立に係るコストが大きくかかるのではないかといった留意事項があるかと考えております。
 次に、1法人への統合でございますが、各疾患分野におけます現NCが果たしているネットワークの関係が希薄になるのではないか。また、統合に係るコストがかかってくるのではないかといった留意事項があるかと考えております。
 最後に、内部組織の強化でございますが、横断的な支援機能を発揮していく上で、所属法人の意向に左右されかねないのではないかといった留意事項があるかと考えております。コスト面では現行の形を生かした形になります。
 3類型の整理をさせていただいておりますが、いずれの形態につきましても、可及的速やかに検討を行いたいと考えております。
 資料1につきましては、説明は以上でございます。

○永井座長
 ありがとうございます。
 それでは、ただいまの御説明について御意見をいただきたいと思います。時間は50分ほどとってございます。御自由に御発言をお願いいたします。
 まず、花井構成員、どうぞ。

○花井構成員
 済みません。最初に発言させていただきますけれども、どの方式であっても基本的に期待される機能は同じなわけですね。どれをやってもうまくいくか、いかないかというのはわからない部分があるというところは悩ましいのですが、例えば1法人への統合は、いわゆる病院機構という事実上先行的社会実験をしているので大体想像がつくのですけれども、それでうまくいくかというと、うまくいくとは言いにくい部分もあって、いろいろ考えるのですが、まず実験的に一番コストのかからない方法で、機能は同じなので、その機能をできるように、果たすようにするということが重要かと思います。
 具体的には、もちろん理念的な問題とか、こうあるべきだということはあると思うのですけれども、結局どちらを向いて仕事をするかとか、スペシャリストたちが、本当のスペシャリストが本当に自由に動けるかとか、いろいろな組織上のマネージの問題が出てくるのですけれども、1つ言えることは、例えばまずはデータの方式を統一するとか、書式を統一するとか、要するに具体的な仕事をタスクとして付与して、その仕事をする上で共同するという形が望ましくて、大きな総論を合意するというのは、どんな場合でもそうなのですけれども難しくて、結局、それに対する時間とコストばかりかかって、アウトカムがないまま終わるというのは一番リスクが高いので、一番は今ある仕事ですね。具体的なタスクをたくさん決めて、それをする集団をつくって、さらにそのガバナンスの面では、各法人からいわゆる足引き合いとかが起こらないような、利害調整にコストがかからないようなお目つけというか、逆に言えば、そこにいる人たちは各法人に帰ってもそれなりのプレゼンスを確保できるというか、言うことを聞いてもらえるみたいな形で構想すれば、一番ローコストという最後の案でも可能ではないかと。
 それで進めていって、そのタスク自体が膨らんできて、結果を残すと、そこへ来て初めて、これは新しい法人にしていいのではないかとか、これなら統合できるのではないかとか、次のステージが見えるのであって、やはり何をするお仕事という極めて具体的なお仕事と、それができるだけの人と金をつけるということが重要かと。それを前提にするならば、最後の方式が進め方としては一番妥当かなと思います。
 問題は、それだけの予算と人を確保できるのですかということであって、そういう意味で言うと、1案、2案にかけるぐらいのレベルのお金をここにぽんと入れられるのであれば、コスト小になっていますけれども、小ではなくて、同じコストでこの形式でやればいいのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

○永井座長
 そのときの見直しというのか、先のことはどうなっていくのですか。今後のこと。これで一回、今回決めたとして、その後、どうしていったらいいか。

○花井構成員
 ここがうまくワークするかどうかということについては、何か検証する仕組みが必要で、これは昔から言っている話ですけれども、今後は統合の可能性もあり得るのですが、今やって絶対にうまくいくとは到底思えないです。図体ばかり大きくなって、結局的にコストの割には動かないという形になるので、将来的に将来像も見据えつつ、そこを評価する仕組みというのは必要だと思います。例えば、実際には実務をするにはいろいろなことが足かせになって進んでいないというところを、やはりちょっと上からの目線で、各法人目線ではなくて全体を見る目線で評価して、ちょっとこれは修正が必要というところはてこ入れができるような形の仕組みは入れておかないとだめかなと思います。

○永井座長
 神崎構成員、どうぞ。

○神崎構成員
 神崎でございます。
 これは質問とさせていただきたいのですけれども、先ほどの事務局の説明から可及的速やかにという文言を最後にいただいたと思うのですが、もし可及的速やかにということであると、法改正とか新たな組織を立ち上げるというのは、実際にどのくらい時間がかかるのかというところを確認しておく必要があるのではないかということで、その点を質問させていただければと思った次第です。答えがあるのかどうかわからないですけれども。

○永井座長
 これは第3期になるわけですか。新たな中期計画に合わせてということが前提になっているのだと思いますが、いかがでしょうか。

○樋口医療経営支援課長
 おっしゃるとおり、次の中長期計画に向けてということで考えているところでございます。

○永井座長
 それは再来年度ということでしょうか。

○樋口医療経営支援課長
 次の中長期計画は2021年度からでございます。それまでに組織の中身を詰めて、できるところからスタートさせて、2021年度から本格的に稼働できるようなイメージを考えております。
 先ほどの法改正した場合どのぐらいかというお話でございますけれども、当然国会との関係がございますので、今回仮に法改正の方向ということになれば、それから法案の草案づくりに入りますので、早くても再来年の常会という流れになりますので、2年程度は時間がかかってしまうということになろうかと思います。

○永井座長
 渡部構成員。

○渡部構成員
 3つの案の中で(b)と(c)というのがあって、(b)の案はコストがふえるだとか、新たな負担が生じるという非常にネガティブな評価をされていますけれども、やはり産業界の視点からすると違和感がある。例えば、いろいろな司令塔の機能というのは、新たに追加するのではなくて、むしろ6つのNCにあるものが一体になって、より効率的に機能するという形ですし、ですから、そういったメリットを生かしていけるというのが、産業界で言うと、いつも企業がやっている。企業と企業がホールディング会社をつくって規模の経済をつくっていこうとかいうことがあって、一体化するということに対してコスト面であったり、効果面であったり、非常にネガティブな評価をされていますけれども、やはりちょっと違和感があるなと思っています。
 医工連携だとか研究開発機能などを一体にするときに、全部を足すと人は足りているのだけれども、6つに分けると人手が足りないということを皆さんおっしゃっているわけで、そういうことを一体に運営していくと、むしろエフィシェントになるのではないかというのが感覚であります。ですから、恐らく(c)というのは非常に緩やかですけれども、効果も限定的だと。(c)というのは、ある姿ですけれども、難しいところがあると思いますけれども、よりよい姿になっていく可能性があると感じています。
 もう一つは、そのための時間軸というのですか。今、こういう御議論をしていて、あと1回、2回で結論を出すというときに、少し方向感を示す段階になったときには、その次の実行の仕方というのですか。工程表であったり、ある姿の中で検討を進めていくだとか、そこを少しこの先議論することが必要ではないかと思います。

○永井座長
 末松構成員、どうぞ。

○末松構成員
 前回だったでしょうか、あるいは前々回もそうだったかもしれませんが、門田先生から、そもそもなぜこういうことを考えなければいけないのかということで、そこにきちんとした理由と論理が必要だという御指摘があったと思うのです。私なりに考えて、そこを長々議論する時間はないのでしょうけれども、そこをはっきりさせておかないと、どれぐらいのスピード感で法人の構造と機能を変えていくかというのはそれで決まるので、1つの考え方として前回からそれをずっと考えていたのです。
 先生方は先刻御承知のことだと思うのですけれども、阪大の御出身だったでしょうか。医系技官の方で、日本の人口動態の過去のデータと未来がどうなるかというのを非常に詳細に調べたデータがあって、日本人の人口構造が、明治維新からちょうど今150年ですけれども、明治維新のときは50歳以下、なぜ50歳で切るかというのは余り理由がはっきりしないのですけれども、人生がもし100年だとすると真ん中で切ると、50歳以下の人が明治維新のときは85%、50歳以上の人が15%です。感染症を克服したり、国民皆保険の成果とかいろいろなことがあって、人口の構造がどんどん変わっていって、戦争とかはありましたけれども、それが2040年、2050年ぐらいになると、恐らく50歳以下が40%ぐらいで、多くの人たちは50歳以上になる。そこから先は定常状態になるという予測があります。
 そういうのを考えていくと、2018年は、今現在、どこに我々はいるかというと、グレート・トランジションと私自身は呼んでいるのですが、19世紀型の人口が21世紀型の人口に大きく変動する期間というのは、その予測によると1980年から2040年の間の60年間ぐらいにそれが起こる。何を申し上げたいかというと、ナショセンができたのは、19世紀型の人口で疾患構造を考えたりしてでき上がった仕組みですから、21世紀型のステディーステートになるまで我々はあと22年もあるという言い方と、22年しかないという言い方と両方できると思うのですが、そのときに疾患構造がどのように変わるかを今から考えて、ナショナルセンターのあり方を考えるべきだろうと。その議論があって初めて、法人の統合とかそういうものが本当に国民に裨益することになるのかどうかという議論は絶対に避けて通れないと思います。まずそれを申し上げておきたい。
 一方で、資料1別紙の(c)のところなのですが、6NC横断支援組織と書いてあるのですけれども、もし横串を刺すのであれば、これは横断支援組織というより研究支援組織にしてもらいたい。それは例えばゲノムの研究でも、個人の研究者ではどうすることもできないのだけれども、ナショセンが協力してしっかりした支援をした上で、非常に爆発的なインパクトのある研究ができる世の中にもうなってきているのだけれども、研究所の例えば大きな計算資源ですね。計算資源とは、コンピューターがどれぐらいエフィシェントに使えるかとかそういうことなのですけれども、それがどこのナショセンの研究所でもきちんと使えて、マネジメントもコストレスにできるような仕組みは今すぐ必要ではないかと。研究所の機能が統合できないようでは、病院はどうかというと、恐らく病院はもっと難しくて、急性期の対応をしなければいけない病院とそうでない病院というのが6ナショセンの中にあるので、まず我々は取っかかりとして、6ナショセンの力を合わせて研究機能を爆発的に推進するような横断組織というのは、やはりあってしかるべきではないかと思います。
 せっかく日本は遺伝背景がほかの国に比べて非常に均一な国で、ゲノムの情報を包括的に集積して、みんなでそれをシェアして解析していくということをやると、今までレアディジーズしかできなかったことが、恐らくコモンディジーズでいろいろな解析とか成果が出る期待もありますし、そこから新しい創薬のヒントが出たりとか、あるいは薬以外のインターベンションでどういうものが21世紀型の人口動態になるのに必要なのか。そういうことを本格的に考えていく必要があると思います。
 その上での意見なのですけれども、まず(c)からきちんとやるということと、事務的な横断組織云々ではなくて、爆発的な研究能力の活性化ができるような横断組織が、つくるならばやはりそこまでやらないといけないのかなと思いました。
 以上です。

○永井座長
 ありがとうございます。
 祖父江構成員、どうぞ。

○祖父江座長代理
 どうも今、いろいろな意見を出す段階みたいですので、ちょっと意見を申し上げますが、今、皆さんがおっしゃったことと重なるところもありますし、特に花井構成員の意見とかなり近い意見だと思います。結局、上のほうの2つは、どちらかというと箱をつくって、中を次に考えるという感じがちょっとしますね。今、非常に必要なのは、疾病構造が今後どう変わっていくかということは意見が出ましたけれども、私は、今の6ナショセンの対象としている疾病はまだ解決されていないと思います。例えばがんでも、神経でも、認知症でも、心不全を初めとする循環器も、まだきちんとした解決の方向がこの5年、10年はやるべきだという感じがしておりますので、何がここで重要かというと、これは花井構成員とよく似た話になりますが、ミッションを国民にわかる形で提示する。それをやるということをなりわいにする形をつくっていくという考え方が非常に重要だと思います。
 だから、例えば今まで議論が出ているところで言いますと、先ほど話がありましたゲノム、それから電子カルテの共有化、レジストリーコホートを進めていく、知財管理、これらを推し進める人材を世界から呼び寄せるというか、日本国内ではなかなか有能な人材がいない領域もありますし、非常に世界は速く進展しておりますので、例えば5年ぐらいのタームで非常にアウトスタンディングな人を呼んできて、そういう形を全体で整えるというようなミッションオリエンテッドな見える形というのが、国民にも理解しやすいし、非常に急速に変えていくというコンセプトにも近いのではないかと思います。
 そうすると、一番下に書いてあるのが手っ取り早いとは思うのですが、これは手っ取り早いからやるというのではなくて、今も議論がちょっとありましたように、そういうミッションを本当にやるためにはこういう形から入るのがいいのだという論理構築はやっていく必要があるだろうと思います。
 ですから、先ほどどなたかもおっしゃいましたけれども、規模感ですね。どれぐらいのお金をどういう形でこの支援組織に投入できるのか。どれぐらいの人材を投入できるか。あるいはそれぞれのところからどれぐらいの人を持ってこられるかというような、私は非常にビジュアルというか、構想というか、そういうものが見える形でやることが今回は非常に大事ではないか。しかも、ミッション性を帯びた形の見える形というのですかね。それがこの議論の1つの収束点だと思います。
 何をやるかということから、誰を選ぶか、どれぐらいの規模が必要なのかという演繹的な議論が非常に大事だと思います。ですから、具体化はもうちょっと時間をかけて別組織で議論する必要があると思いますが、それがうまくいくかどうか。私は5年から10年が勝負、少なくとも5年が勝負だと思いますが、そこを見ながら次の段階、次の構造をどう読んでいくのか。この組織のままでいいのかどうかという議論は継続的にやる必要があるだろうと思います。

○永井座長
 ありがとうございます。
 門田構成員、どうぞ。

○門田構成員
 前回の終わりごろに、各NCからの検討が入っていったことに対して私は批判的な表現をしましたが、NCということは、今、我が国において疾患がどうか、あるいは6つのものがどうかという話がありますけれども、我が国で研究ということになれば、NC以外にいろいろなところがあります。大学もあれば、研究所もありますし、また、病院といえば本当に国立病院から私的な病院から地方自治体病院とかいろいろなものがいっぱいあるわけです。そういう状況の中で、NCとは一体何なのだ。そういう大きな組織の中でNCのミッションは何なのだ。何を本来すべきものであるのかということを考えることは、最初、こういうことを検討するときにはこれが基本にないといけないのではないかという気がするのです。
 先ほど末松先生から話がありましたけれども、確かにそれぞれのNCのもとはといえば、非常に古くからずっと立ち上がってきたものが、どちらかというと古い時代にあった病気、ある疾患を何とかしなければいというようなことで起きてきたものから、それをだんだん膨らませてきたという歴史的経緯がある。これもよくわかるし、そのとおりだと思います。ですから、今のような形態になって、6NCということを中心に考えていく今のディスカッションの形式もひょっとしたらそうだったのかもわからない。
 だけれども、その6NCのそれぞれの持っている特色というと、部分的には非常に注目するところが出てきているし、あるいは内容自体が非常に幅広い。あるいはほかの機関との重複ということが出てきている。こういう全体の構想を今、考えながら、NCとは、我々は日本国内においてどう考えるのかということがなければ、そしてその次のステップのことを考えて、それを具体化するにはどうするかという考え方が必要だと思います。
 ですから、私は、NCというものは疾患、あるいは病気ということでスタートしたことは認めますが、でも、今から将来的に未来志向で考えるならば、今いろいろな組織がある中で、NCは何をすべきかということになっていくとするならば、それが仮にある疾患、ある臓器、ある何とかというふうになるかもわかりませんけれども、それより前にNCの大きな方向性があって、今とどれだけの乖離があるのか。そうすると、その方向に向かって進んでいくとして、時間的なことがある、金のこともあるかもわからない。それを克服しながら、あるスパンの先に目標とすべきところに近づいていくという構想が必要で、やはりそういうことからすれば、大きな目標というもの、大きく目指しているところを正確にしておく必要があるのではないかと思います。
 そういった意味では、一番下の(c)もいいでしょう。(a)はないと思いますけれども、(b)か(c)かという発想になりますが、大きく目指すところは何なのかと。そして、過渡期としては何をどうしてそれに近づいていくのかという考え方で攻めるべきではないかという意見です。

○永井座長
 それは段階を追って、さらに議論を続けようということでしょうか。

○門田構成員
 はい。ですけれども、今の段階で目指すものをもう少し明確にしておくべきだと。

○永井座長
 もともと6NCの在り方検討会ではなくて、NCの在り方検討会ということですね。それを踏まえて6NCをどうするかという議論だと思いますが、いかがでしょうか。
 大西構成員、どうぞ。

○大西構成員
 祖父江構成員がおっしゃったように、意見を出す段階ということなので少しだけコメントをさせていただきますけれども、(b)なり(c)なりの絵がありますが、この箱が持っている、または囲まれたものが持っている権限といいますか、意思決定の仕組み、または方針を決めていくプロセスみたいなものがここにはうまくあらわれていないのかなという気がいたします。
 今の議論も反映して思うのでございますけれども、やはり今後の研究開発の資源、研究開発の領域、もしくは資金とか人材を含めた戦略というものをどのように定めていって、どのように実行していくのかということがどう行われるのかということが、その箱の機能、または、組織が持っているシステムといいますか、意思決定の仕組みというものが反映されていないとなかなか議論になりにくいのかなと思います。この絵を見て思うことだけでいろいろ議論していくというのは、門田先生が言われたように、少し全体の方向性にはなかなか議論が行きにくいのかなという気がいたしました。

○永井座長
 そういう意味では、あり方は実は報告書のほうにかなり今回、記載されていますので、いかがでしょうか。報告書の説明をお伺いして、最後にもう一度この組織のことについて御議論いただくのがよろしいように思いますが。
 それでは、また今の議題に戻るとして、資料2の「国立高度専門医療研究センターの今後の在り方について(報告書案)」が用意されておりますので、こちらの説明と議論を今の議題1とあわせて進めたいと思います。よろしくお願いします。

○松永政策医療推進官
 事務局でございます。
 資料2の報告書案につきまして御説明させていただきます。こちらにつきましては、本検討会でのこれまでの御議論を踏まえ、9部構成で取りまとめを作成させていただいております。
 まず「1.はじめに」でございますが、こちらにつきましては、これまでの経緯についておまとめさせていただいております。世界に先駆けて少子・超高齢社会を迎えつつある我が国において、多様化・複雑化する患者像に対応できる医療の提供と先端的研究開発及び新産業創出が重要となっていること。そうした中、健康・医療戦略推進本部の設置や健康・医療戦略推進法の制定、AMEDの発足があったこと、さらに、ビッグデータの活用、ゲノム医療の実現、AI技術の応用が求められるなど、医療分野の研究開発をめぐる環境の変化があること。そうした変化に対応するため、NCのさらなる機能強化が求められていること。加えて、独立行政法人改革等に関する基本的な方針等で、NCの組織のあり方についても検討することとされていること。
 おめくりいただきまして、2ページ目、こうしたことを踏まえ、NCの果たすべき役割等について、本検討会において御議論いただき、その検討結果を報告書としておまとめさせていただくということでございます。
 次に「2.NCが果たすべき役割について」でございます。以降はこれまでいただきました御意見を論点ごとに整理する形式としております。
 まず、少子・超高齢社会やストレス増大等の現代社会の国民的課題を踏まえ、これまでの御議論を踏まえ、取り組みを進めていく視点を4つに整理させていただいております。すなわち世界最高水準の研究開発と医療を実現し、グローバルに対応していくという視点。
 2つ目、中長期的にビッグデータ、バイオバンク、レジストリの構築、有機的連結等を一層促進し、研究成果の最大化を目指していくという中長期的な視点。
 3つ目、多様化・複雑化する患者像に対応できるよう、NC間、関係機関と連携強化し、疾患横断的に対応していくという視点。
 4つ目、我が国の医療水準の向上を図るため、取り組みが不十分な分野に資源を集中させ、科学的根拠に基づいた医療の確立に取り組んでいくという視点、この4点に整理させていただいてございます。
 そのために、NCは、リアルワールド型のデータの疾患横断的な集積や、リバーストランスレーショナル・リサーチへの取り組みなど、病院機能をあわせ持つ強みを最大限に生かして、臨床と研究の両輪で取り組む必要があること。NCを取り巻く機関との関係においては、牽引しつつ、下支えをしながら、我が国全体で研究開発成果の最大化を目指すため、国内において利他的な「ハブ・アンド・スポーク機能」としての役割を担う必要があること。そのために、国はNCのさらなる機能強化に向けて必要な支援に取り組むべきであることとおまとめさせていただいております。
 次に「3.研究開発の在り方について」でございます。こちらは中長期的な視点に基づき、NCでなければ確保できない基盤的研究に取り組むべきということで、具体的に4点挙げさせていただいております。すなわち1点目、レジストリ、コホート研究等の研究基盤関係、2点目、国民の健康寿命の延伸や国民生活に影響の大きい疾患関係、3点目、難治性・希少性疾患関係、4点目、国の医療政策に対する提言や、医療の質の向上に必要な指標や科学的根拠に基づく医療の確立関係でございます。
 これらの取り組みを進めるためには、全NCにおけるデータ集積のための情報基盤の強化、知財管理や産学連携の強化、世界最高水準の研究開発に向けた国際化の推進、財政面への強化等の基盤的な取り組みが必要であるということでございます。その具体については、4ページ目、5ページ目におまとめしてございます。
 次に、5ページ目「4.医療提供の在り方について」でございます。NCは研究開発型の法人として臨床研究の基盤となる医療提供に取り組むという視点を前提に、全ての国民が全人的、かつ最適な医療を享受できるよう、みずから先進的な医療技術や治療法の開発と実践に取り組むという役割とともに、均てん化を推進するという2つの役割を担うべきということ。各専門領域における高度専門医療を提供するとともに、NC間で連携しながら、疾患横断的な取り組みを強化するべきであること。その上で、取り組みが不十分な分野に資源を集中させ、関係機関とともに取り組んでいくべきであるとおまとめしております。
 次に「5.人材育成の在り方について」でございます。NCは各専門領域の中心的機関として、その人材育成を行う必要性とともに、データサイエンティストやバイオインフォマティシャン、リサーチ・アドミニストレーター、分野横断的な研究能力を有する研究者、レギュラトリーサイエンスの推進者等の研究支援人材の育成と、その確保の必要性があること。さらには、関係機関との人事交流やNC間で連携して領域横断的な能力を有する医師の育成等の必要性があること等を記載してございます。
 さらに、7ページ目「6.情報発信・政策への活用の在り方について」でございます。エビデンスに基づく政策提言や政策立案の重要性がますます高まっており、NCが連携してデータベースやレジストリの整備、医療政策への立案や評価・検証に資する情報の集積、国民への正確な情報発信をこれまで以上に強化し、さらにわかりやすい発信というものを行っていくべきであるとしてございます。
 「7.各NCの当面の課題について」ということで、こちらにつきましては、6NCにこれまで個別具体的にいただきました課題につきまして、おまとめさせていただいております。
 「8.NCの有機的・機能的連携に向けた組織体制について」は、本日の検討会での御議論を踏まえて、次回お示しさせていただきます。
 最後に「9.おわりに」でございますが、我が国の医療分野の研究開発の現状は、我が国発のシーズの多くが他国で社会実装されるという厳しい状況にあり、体制整備や研究資源の確保に取り組み、国際競争力の向上を図ることが、より強く求められている状況であること。そのため、NCはハブ・アンド・スポークとして、我が国全体の研究開発成果の最大化を目指す必要があること。世界的な医療課題である疾患分野ごとに中心的な役割を担い続けるべきであること。そのような役割を果たすための新たな組織体制の必要性も含めた提言をしつつ、国がその必要な支援を行うべきとして、期待とともに結びとさせていただいております。
 続きまして、資料2(別紙)をごらんください。こちらにつきましては、総務省独立行政法人評価委員会からの勧告に対する検討結果につきまして、おまとめさせていただいてございます。
 「1.組織の在り方について」は、本日の御議論をもとにおまとめさせていただく予定ですが、そのほか「2.個別のNCに関する勧告について」「3.NC間で重複する疾患の役割の再整理について」「4.厚生労働省所管機関の役割の再整理」につきましては、特に前回御議論いただいたところでございますので、そちらをベースとして記載させていただいてございます。
 これらをもとに、取りまとめに向け、御議論いただけましたら幸いです。
 私からの説明は以上とさせていただきます。

○永井座長
 ありがとうございます。
 先ほどの議論の中でもNCのあり方、ミッションについて御発言がありましたけれども、いかがでしょうか。それを踏まえて今後どうあるべきかですが。まだ空欄の部分もございますけれども、全体を通じて御議論いただければと思います。
 門田先生、先ほどのミッションについて、いかがでしょうか。

○門田構成員
 私が考えるミッションとして、考えたいと思うのは、先ほども申しましたように、これは医学研究であり、あるいは医療であり、あるいは人材育成というような全体の全てのものを含んでいると。そして、我が国において大学があり、独法の研究機関があり、そのほかの機関がある。そして、医療に対して言えば、141の国立病院があるというようないろいろな状況がある中で、今回の文書を聞かせていただいて思うことは、連携という単語を非常にたくさん使っておられるのですが、連携ということは何を意味するのかということを考えてみたいのです。
 今、申し上げたように、例えばほかの大学がたくさんある中で人材育成をやっておられる。だから、東京大学がやっているのと慶應大学さんがやっていること、これを云々ということ、それは易しいことではないし、それぞれの特色があるし、伸ばしていくようなことで大いに結構だと思う。しかし、NCとして考えていったときに、人材育成というのは、大学は大学でやっている。ほかのところは云々という中で、NCが今必要とする欠けていること、どうしてもそういうものはできないようなところで、役割分担は何で、NCは自分たちで変わる。国の金としてやっていくために、国の方向性をしっかりと出していくということで自由に変えるべきだと思うし、変えなければならないだろうと思う。
 そうすると、その役割というのがおのずと決まってくるはずなのです。決まり切りはしないけれども、今の状態の中で何が必要か。単純に連携で逃げたらだめだと思うのです。人材育成については大学と、あるいはそのほかのところと、あるいは診療に対していえば大きくは同じ政策医療というふうに定款に書かれていますけれども、国立病院とナショセンの医療とどこがどう違うのか。そして、それで先ほど均てん化の話がありましたが、均てん化とは何を意味するのか。NCの均てん化はどうなのか。それと同じことを国としてやるとするなら国立病院があるではないか。それとの関係はどうなっているのか。どうあるべきなのだというあたりのことをやっていく。
 研究について言えば、研究のほうが比較的あるかもわかりませんけれども、研究もいろいろな機関がいろいろなことをやっている。今、同じように、AMEDならAMEDが手を挙げていろいろな申請を出して何とかという話もありますけれども、本来やるべきことは何なのか。NCの役割は何なのか。役割分担を明確にするというものがあって初めて役割が決まり、連携が決まってくる。そのあたりをファジーにしておいてディスカッションというのは難しいのではないか。ある程度方向性は見えているのだから、これを明確にすべきではないのかと思います。

○永井座長
 何か具体的にこうしたほうがいいという表現がありましたら、御指摘いただきたいのですが。

○門田構成員
 余りそう言われると困りますが、簡単な話、診療などがわかりやすいから言いますが、例えば私はがんセンターの理事をやっていたりしますので、がんセンターとがん研の理事とを同時にやっていたことがあって、ああいうのを見ると、違いは何なのだと。それから、本当に早期のものの治療をどこでするのか。がんについて言えば、拠点病院を全国に400以上もつくっていて、それはどこをどうしていく。わかりやすいところで言えば、そのあたりを明確にする必要があるのではないか。外でもできる、均てん化されてできるようになったことには手を出さないとか、もう少しめり張りをつけた方向性があってもいいのではないかという、例えばの例です。

○永井座長
 ほかに。
 岡構成員、どうぞ。

○岡構成員
 今のお話の直接の答えにはならないのかもしれないですけれども、今回、基本的な考え方の議論の中でデータ共有ということを強調されたことについては、例えば大学とかでは難しいデータ共有をナショセンがやってくれないかという期待ではないかと私個人は考えています。つまり、大学側の人間がそういうことを言ってはいけないのかもしれませんけれども、主任教授がかわってしまったら体制が変わるというような、そういった組織ですけれども、ナショセンが、例えばがんであり、例えば小児医療であり、難病であり、データセンターというようなものを構造として出してくれることによって、非常に安定した、例えばゲノムの情報であるとかそういうものが保障されて使っていかれる。そうでないと、産学連携というようなことも非常に難しいのではないかと思います。そういう強みがあるのはナショセンではないかという期待が、私などは大学にいる立場としては非常に感じるかなと思います。
 そういう点で、今回、皆さんがいろいろ話し合った中で、この考え方の中にデータ共有についてどう考えるかということが自然と湧き上がってきたのは、先ほどおっしゃった質問の一部の答えとして、データ共有などは多くはナショセンとかが旗振りとしてやっていただいて、かなりお金のかかることだと思います。しかも、特に難病などは同じデータを持っていても、どんどん知識が新しくなるにつれて、それこそ診断名だって変わっていくわけです。そういったような専門家がいるのはナショセンですので、そこが安定して、まずコアとなって管理をして、全国にどのようなネットワークを広げていくかということが今後大事になってくるのかなと思います。
 そういう意味で、今回、在り方検討会の中でこういう方向性が出てきたというのは、皆さんと共有するナショセンへの期待する機能ではないかと思っています。ですので、私自身はぜひ研究を推進する組織をつくっていただいて、そこにかなり専門家が必要ですので、そういったようなもの、既にナショセンにそれなりの方がいらっしゃると思うので、その方たちがどのように情報を共有できるのかということが非常に大事になってくるかなと思っています。

○永井座長
 恐らくそれはデータだけではないと思うのです。最近はデータシェアリングとか、データプラットフォームとか言いますが、さらに開発研究プラットフォームも私はナショセンに求められる1つの役割ではないかと思うのですが、末松先生、いかがでしょうか。

○末松構成員
 全くおっしゃるとおりだと思います。ナショセンの関係者の方がみんなそうだと言っているわけではないのですが、ナショナルセンターや特定の大学に情報を一方的に集めて、そこだけで研究をやるタイプのやり方というのはもう公費を使った研究ではなかなか厳しいのではないかと。もちろん、研究のプライオリティーは守るべきだと思うのですけれども、データのシェアをしてR&Dにつなげるプラットフォームをつくらないとデータを集める意味もないので、それが横串を刺した、先ほど私はあえて研究推進組織と言ったのですけれども、(c)のナショナルセンターでないとできないところはそこだと思うのです。大きなポピュレーションから特異的なものを見つけたり、大きなデータを大きいままで使ってどういうR&Dが必要なのかということを考える組織というのは、恐らく(c)のナショセンの研究推進組織というのがその役割を果たすべきではないかと思います。
 データを1カ所に集めるというのは昔のやり方で、今、これから恐らくやられようとしていることは、データをそれぞれのセンターが持っていて、お互いに中身がある程度わかっている。インデックシングがちゃんとできていて、どことどこのデータを集めれば何ができるのかということが、どこのナショセンでもそういうことがわかるような仕組みは、やってやれないことはないと思います。つまり、広域連携と分散統合というふうに私たちは言っているのですけれども、そういうデータのマネジメントの仕方が求められるだろう。ナショナルセンターがそういったもので横串がきちんと刺さって、その全体のデータを見ながらR&Dを考えたり、特異的なものを抽出したりしてR&Dに結びつけるという、どちらもできるようにしていくことが非常に重要なことではないかと思います。

○永井座長
 祖父江構成員、どうぞ。

○祖父江座長代理
 この報告書は、私は理念からいうと非常によく書けているというか、非常にわかりやすくまとめていただいているのかなと思います。これは今までここでずっと議論してきた内容を中心におまとめになったものではないかと理解していますが、どこかで思い当たるものがずっと散りばめられているという感じがします。
 私はこれは非常にいいと思いますが、実際は何かというと、では、これをどうやって実現するかというところが問われているのではないかと思います。もちろん、理念は順次アップレギュレートしていくというか、もっと高い理念をつくっていくことは今後も必要だと思うのですけれども、ここへ来てナショナルセンターが今のままではいけないのではないかという非常に大きなドライブフォースがあって、これは何かというと、こういうことを実際に実現していくにはどうしたらいいかということですね。
 1つの柱は、これはコホートレジストリのデータセンターということが言われていますが、例えば病態の解明、病因の解明、政策医療のための基盤を持つ、あるいは治療とか予防の実践をしていくということのためには、全国的な悉皆性のあるコホートレジストリを動かすことが必須ではないかと思います。
 欧米のいろいろな今の治験のセンターを私どもの領域でも見てみますと、そのもとは何かというと、治験センターの前はレジストリセンターだったのです。アメリカでも欧州でもそうですけれども、そこから発展して治験をやるという方向に動いているので、やはりビッグレジストリが非常にハイレベル。ハイレベルというところが非常に大事だと思うのですけれども、企業が利用できるクオリティーを持ったレベルのレジストリが存在するということが、今のようなミッションをやっていく上で非常に重要ではないかと思います。
 単にレジストリで患者さんを集めているだけだと、これは余り、役には立ちますけれども、創薬に向けてとなるとちょっと企業さんが寄ってこない形ですね。日本のレジストリはまだアメリカなどに比べるとクオリティーが十分ではないという議論はこの間も出ましたけれども、ですから、日本の企業はなかなかナショセンに寄りつかないという状態が実態としてはあるのではないかと。稀少疾患とかは特別な形で大学とやっているのですが、やはりアメリカのほうがコストも安いし、すぐに社会実装化ができるということでスピード感もあるということで、そちらのほうへどうしても乗ってしまうということがあるので、そこまでの構造を変える起爆剤にナショセンがなるのかどうかというところが問われているのではないかと私は思います。
 だから、例えば10年計画ぐらいで、世界をリードできる企業が寄ってくるナショセンにするという構造改革をやるというのが今回のミッションの非常に大きなものではないかと思います。

○永井座長
 中山構成員、どうぞ。

○中山構成員
 重複致しますが、最初にナショセンが縦にあって、それを横につなぐ関係のあり方という議論がされましたが、既に花井構成員も仰っていましたけれども、まずはタスクつまり目的が最初にあるべきだと思うのです。民間でもこういう問題は多くあり、しかもいつも思うのは、ミッションはよく書けていても到達点がないことです。ですから右向いて走るべきことは分かっていても、何メートル走るかが分かっていません。縦の目標をそれぞれ世界最高水準の研究開発と医療を実現するとしたとき、到達点のベンチマークとして、世界の最高水準はどこなのか、それには何が足りないのか、どれぐらいギャップがありそれぞれのナショセンとしてその専門分野でどこまで行くべきなのかを明確にするべきではないかと思うのです。
 それを行う上で、横のサポートが必要、例えば情報、データベースの作成ですとか解析のためのソフトが要るというのなら、それは横串でできます。ですから横のタスクもそこから発生してくると思います。
 ただ、単にそれだけではなく、それぞれのナショセンで十分にマネジメントができるような体制が整っているかという点は気になります。企業の場合はそれぞれ責任者がいて資源配分ができますが、そこがしっかりしていないと幾ら目標を立てても目標が実現できないということになってしまうので、その側面から、ぜひ、ナショセンがそれぞれもっと力が発揮できるようなマネジメントのシステムを持つべきではないかという印象を受けました。

○永井座長
 企業と違って、ナショセンの場合には運営費交付金が減っています。その中でどうするかということです。縦と横を同時に考えないとこの問題は解決できないように思うのですが、いかがでしょうか。
 渡部構成員。

○渡部構成員
 データシェアリングに皆さん非常に期待があると、これが大きな研究開発のベースになるということですけれども、実装するのは非常に難しい。これは単にデータを集めるだけではなくて、研究者のマインドセットが変わるだとか、ステークホルダーが非常に多いので、どう実装していくかというのは非常に大事だと思います。
 ただ、この分野はやはり日本がリードできるポテンシャルがあるということで、しっかり世界に戦えるものをつくっていこうということが皆さんのコンセンサスだと思います。ですから、とりあえずこれをやろうというアプローチだとなかなかできなくて、ある姿を目指したものを書いて、それに向けた検討をするということが大事だと思います。
 それから、リーダーシップもCIOだとか、チーフデジタルオフィサーだとか、データの質を上げるため、みんなからデータを出してもらうため、使う環境だとか、非常に強いリーダーシップが必要になってくると思うのです。ですから、とりあえずというよりも、少しあるべき姿を描いて、それをどのように進めるかという結論づけをすることが大事ではないかと思います。

○永井座長
 データベースを共有するかというより、はっきりデータシェアリングとかデータプラットフォーム、開発研究プラットフォームをナショセン挙げてつくるというぐらいのことを書いてもよいのではないかと思うのです。もう少し強目の表現をミッションとして掲げるということではないかと思うのです。データを共有しましょうという生易しい話ではないのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
 どうぞ。

○河村構成員
 今までの議論をいろいろ伺って、これまでの回の議論も伺っておりまして、きょうの報告書はそういうことがいろいろ反映してまとめられているなと感じました。ただ、連携という言葉が確かにたくさん出てくるのですけれども、きょうも御議論を伺っていると、連携について各先生方がお考えになっていることは少し違いがあるところもあるのかなという感じがして、そこをもう少し固めた上で、今後の方向性を考えていけるといいのかなと思います。
 連携をどう進めるか、データのところ、今、永井座長がおっしゃったような形で推し進めるとか、きょう末松先生がおっしゃったような研究機能を爆発的に推進させるようなとか、永井座長は前から求心力を高めてということもおっしゃっていたと思うのです。そういう連携をやっていこうとすると、先ほどの組織形態の話で考えると、確かに一番下にある(c)がとりあえずはやりやすそうな形ではあるのですが、これが最終形でいいのか。素朴に私なんかが見ていて思いますのは、6NC横断支援組織というのが書いてあって、点線で囲ってあるのですけれども、これはとりあえずは各ナショセンの方の併任というような形で動き始めるのだろうなという想像はつくのですが、どなたが引っ張るのかなと。6NCに目配りをして引っ張る方というのは、ここにはいらっしゃるのかな、それで回るのかなという気がします。
 ですから、実際のメンバーの方々は併任になるだろうと思うのですけれども、それぞれの所属のNCの事情とかいろいろなことをよくわかりつつも、全体としてどうやっていくのかということを引っ張る方というのが、この横断支援組織のやり方でできるのかしらというと、ちょっと心配な気がします。ですから、連携といってもすごく求心力のあるような、爆発的にぐっと機能を推進するなどということをするには、この形だと本当にやれるかどうか。
 ただ、(a)は確かに実現可能性がどうかなと思いますが、(b)にまで持っていくとかなり大きな組織改革になると思いますので、本当に連携の機能を強く出そうとするのであれば、こういう形を最終的には考えることも一つの形かなと思いますが、それを果たしてこの報告書の段階で盛り込むのか、それともとりあえずは(c)のような形でやって、やりながら考えることにするか、どちらかにするかということを考えないといけないのかなと思いました。
 以上です。

○永井座長
 どうぞ。

○神庭構成員
 私も連携のあり方はタスクオリエンテッドだと思うのです。タスクもそれぞれ異なるので、連携の仕方も恐らく異なると思います。レジストリのようにみんなが新しくつくっていこうというところは割とやりやすいと思うのですけれども、既にいろいろなナショセンで類似のことをそれぞれやっていて、そこにエキスパートがいて、自分の専門分野が確立している。このような既存のタスクの連携のほうが実は難しいのではないかと思うのです。それを本当に有機的な連携に変えていくためには、かなり強いリーダーシップも必要ですし、それがフェアに行われるかどうかということを監視する透明性が必要です。たとえば、外部委員、外部のモニター組織みたいなものもタスク毎に必要なのではないかと思います。

○永井座長
 ただ、新しい時代に向けて対応が求められています。例えば今、最先端の高速次世代シークエンサーなどを本当に各ナショセンが備えているのかという問題もあるのですね。ですから、それぞれにプロがいてよいのだけれども、それを共同で使うような研究拠点というものも必要になってくる。それぞれのナショセンで買えない時代が来てしまった。機器の大型化、あるいは高度な研究体制をどうつくるかということで、今、それぞれの人も研究施設も尊重されないといけないと思うのですが、これで次の時代に行けるのですかというのが問題意識なのです。いかがでしょうか。
 花井構成員。

○花井構成員
 先ほど門田先生の御指摘があったのですけれども、実は平成22年度、27年度になる前にナショセンがどう見られていたかというと、例えば国立国際でいえば、女子医大とどう違うのですかと。民間でいいじゃないですかと。要するに病院でしょうみたいな、そのようなことがあって、それで、いやいや、これは単なる病院ではございません、研究するところですよ、TRですよと、今はRTRみたいなことを言われていますけれども、それで27年度には通則法が変わって研究独法としてなっているのです。
 今回の報告書の書きぶりもそうなのですが、これまでもナショセンは十分果たしてきたけれども、さらなる期待がかかっているみたいな乗りで考えているのですが、やはりその時々で、ある種、存亡の機というか、要は民営化のいいのではないか、別にこんな税金を使う価値があるのかという評価にさらされていたと思うのです。それを22年、27年は乗り切ったのですけれども、今回こういう形になったときに、結局ナショセンでなければできないことがないならナショセンは要らないというせっぱ詰まった視点というのはあったけれども、何となく乗り切ってきて、どんどん運営費交付金が減らせる中、評価のほうは病院で黒字を出せみたいな話になると、先ほど永井先生がおっしゃったように、新しい機材を買うとかよりも、黒字にして独法評価を何とかとらなければいけないみたいな形で各6ナショセンがひいひいやっているというありさまになりつつあるわけです。
 そこで、私が1つ言いたいのは、繰り返しになりますけれども、先ほど末松構成員がおっしゃったように、研究なのだよと言ったのだけれども、その研究なのだよというところが、しかも研究であって、かつ、ナショセンがなければどうにもならないのだよというところが余り見えてこなかったし、それができていなかったということです。今回、その話が具体的な話として出ているという理解なので、やはりここでは書きぶりとしても、昨年の情勢を踏まえると、ますます大きくなっておりという書きぶりよりも、もはやナショセンにしかない、6NCしかできない、このこととこのことをやるために6NCがあるという未来志向を構想せねばならないぐらいの書きぶりで書いて、具体的なタスクまで落として、いわゆる工程表みたいなところまであれば、実は(c)のところで人が集まってきたら、あしたからお仕事、これをするというのが明らかにわかり切っているお仕事が実はあるということだと思うのです。
 だけれども、問題なのは、研究支援横串組織というのが最優先ラインで仕事をするように各ナショセンがそれを手伝えるかということと、この報告書で一番重要なのは、3ページの真ん中の3.の上あたりに「国はNCの更なる機能強化に向けて必要な支援に取り組むべきである」と書いてあって、これがないとどうにもならないわけです。その下にも「国はこれらを評価し、支えていくべきである」という言葉が入っていますけれども、国もこれに今、投資することはそんなに損な投資ではないということを、ここでちょっと多目に投資することは日本の将来に価値があるのだということを大きく打ち出したような報告書にして、仕切り直しをしたほうがいいのではないかと思うのです。書きぶりとしてですよ。
 22年、27年も結局、生き残らせるために研究ですよねとか言ったみたいな、そういうニュアンスがないでもなかった。ほかの病院と違いますよ、大学と違いますよと、何とか説明をつけて、独法として生き残ってきたというような感じもないではなかった。今回はそうであっては耐えられないということだと思うので、ぜひそこは最優先ラインで横串組織が動くように、いろいろなほかのことですね。例えば、ガバナンスなのですけれども、病院機構もそうなのですが、結局、人の動きが、事務レベルで言うと病院だと病院で事務部長が横に並べると異動するから、その組織の責任をとろうとしない。言っていいのかな。つまり、その組織をちゃんとしていこうという一蓮托生ではない人が事務のトップにいたりして、そうすると全体として幾ら院長クラスがガバナンスとして何とかしようとしても、そのとおりに動かないというものがあって、そういういわゆる旧来の国立時代のあしきものがもしNCに残っているとすると、最優先ラインが新しい時代に向けて仕事をあしたからかかわれて、最大のパフォーマンスを発揮できることを妨害するような何かがあれば、それは別の視点で注意深く取り除いていただくということも今回は必要ではないかと。
 つまり、国立時代の伝統というのはどこの組織も生きているのですね。そういったものが時代についていけないという部分もあるので、直接紙に書きにくいことなのですけれども、見ていてそれはわかるので、そういうところを丁寧に、本省のほうがどれだけできるか知りませんけれども、そういうことも含めて最優先ラインのお仕事ができるということを全体で支えるという視点で、もうちょっとこの報告書案を書いたほうがいい気がします。
 実はこれはよく書けているのです。バランスはすごくいい。よくこういう作文をするなと思って読んだのですけれども、やはりそこのところでスイッチを切りかえて、これをしないのだったら意味がないのだというようなせっぱ詰まり感が書かれてもいいかなと思いました。
 以上でございます。

○永井座長
 末松構成員。

○末松構成員
 繰り返しになりますけれども、永井先生が先ほどおっしゃった大型の設備もそうですし、あと、先ほどから申し上げている計算資源、ナショセンが機能的に研究推進を一体化しようというときにどこからでもアクセスできて、きちんとデータ処理とかデータの分析が一括してできるような仕組みはどうしても必要ではないかと思うのです。臨床データも含めてですけれども、データをただためるだけではなくて、レストレーションとアップデートが必要で、さらにサステーナビリティーが必要です。これを6ナショセンがばらばらにやっていたのでは、特定の大学単独ではできないような仕事ができるほとんど唯一の可能性がこの6ナショセンにあると思っていて、そこをばらばらにつくるのではなくて、今のテクノロジーであればそれを一元化したり集中化したりすることは、今からやればいろいろなアイデアが出せるのではないかと思うのです。
 その意味で、先ほどから申し上げているように、横断支援組織というよりは、研究を推進するためにどういうインフラが必要で、資源は限られているのでそれをプライオリタイズして、共通で使えるような基盤はやはり必要だと思います。
 あと、先ほど時間をどれぐらいかけてやるのだという話があって、5年とか10年という話がありましたが、直近の例で、私はどこかで発言したかもしれませんが、イギリスは今、形としては(b)の形ができつつあるわけです。UKRIというワンアンブレラでファンディングエージェンシーの仕組みのほうがそのようになっています。それを研究機関そのものでやろうということだと思います。
 申し上げたいのは、人材育成のところで、これもフィールドによって異なると思いますけれども、イギリスの例ではバイオメディカルリサーチセンターという大きなファンディングの仕組みをつくって、それを国内の30カ所の病院で10年間、途中の5年で1回中間評価があって、10年間で250人から300人ぐらいのPh.D.の方が、ELSIがわかって、データサイエンティストとして病院で働く。病院で雇用されている人を数百人という単位で育成して、そのうち何人かの人たちは病院で職を持っていて、有能さが認められて、他学、大学の教授職につく人もいるし、大学の教員だった人が病院でオン・ザ・ジョブで管理職を得て、テニュアにも持っていけるということが実際に起きています。お金は10年間しか続かないのですけれども、何でそれがテニュアのポジションにつながったかというと、それはファンディングの強制力。データシェアは確かにみんな大事だと言うのですけれども、どこもうまくいっていないですね。いっていないです。ファンディングのほうで強制力を働かせる。つまり、病院の中に、あるいは研究所の中にテニュアのポジションを幾つつくったら次の年はこういうふうにファンディングするという強制力を、我々はファンディング機関なので、そういうデザインは十分可能だろうと思います。
 ですから、ナショセンの組織論だけではなくて、公的資金をどのように人材育成に使うかというところで一定の強制力を持たせるような仕組みを、我々のほうはそれを考えていかないといけないだろうと考えています。
 同じことはデータシェアにも言えて、シェアをしない場合に、次の年のファンディングを減額したりということは既に一部のプログラムで我々は実行していることです。そのようなときに、この6ナショセンの横断支援組織というのがあって、そこが窓口で我々とどういうネゴシエーションをやっていくかということが非常にやりやすくなる。今は6ナショセンと個別に全部我々はそういうネゴシエーションというかマネジメントをやっているものですから、ぜひとも(c)の部分をやりつつ、新しいファンディングの仕組みで人材育成をやりながら、そのお金を使った研究所ないし病院は、5年後、10年後にこういうふうにポストをつくって、人材育成をするためのポジションを確保していくということを契約書の中にしっかり入れていくというところまでやっていく必要があるのではないかと考えています。

○永井座長
 釜萢構成員、それから大西構成員。

○釜萢構成員
 しばらく前に渡部構成員から(b)の案について、企業の立場からするとこういう形がむしろ自然だというような御発言がありましたが、これまでの国立病院からの移行、それから現在までのナショナルセンターの役割を見てみますと、ナショナルセンターは一つ一つが独立した法人で運営されてきたことのメリットのほうが非常に大きく感じられて、新たにまたこの上に法人本部をつくるというのは、むしろ現実的ではないと感じますので、そのことは一言申し上げておきたいと思います。
 また、大体皆さん(c)の形を想定しておられるように私自身もそうなのですけれども、その場合に、横断支援組織、末松先生が言われる研究推進組織というのが、ぜひミッションをどうするかというのは優先順位をつけて決めていって、それがきちんとうまくいっているかどうかを評価して、そのことについてしっかりと公開していくというような仕組みが求められると思うのですけれども、なかなかこれまで出ている議論では、それだけのことが新たな横断支援組織にできるのだろうかという疑問がございます。やはり本検討会としては、それがちゃんとできるような形での提言をまとめて、いろいろ御議論が出ましたが、確かにミッションをはっきりして、でも、それを決めていくのはどこで決めるのかというところがあるわけです。そして、それをちゃんと評価していくというようなところについて、もう少し国民の皆さんにわかりやすく整理をして、最終的な提言にまとめることができればなと思います。
 以上です。

○永井座長
 大西構成員。

○大西構成員
 今の御意見にもかかわる話なのですが、仮に(c)の6NC横断支援組織または研究推進組織というものができたとして、その状態になったとしても、各NCは、まず国立研究開発法人それぞれとして存在していますから、独法の評価の際にはそれぞれが単独でテーブルに乗っかってくるということになるのではないかと思います。そうしますと、例えば先ほど来議論が出ていますナショナルレジストリ、またコホート研究のプラットフォームを連携して作っていくという目標を掲げたとしても、それをどうやって計画に落とし込み、その進捗を管理し、評価をしていくのかというところが抜け落ちてしまうのではないかという心配があるのではないでしょうか。

○永井座長
 これはむしろ事務局に、今回のイメージ図でお描きになったときにその辺をどう実効性のある組織にされるか、アイデアをいただけますでしょうか。

○樋口医療経営支援課長
 まだ具体的にそこを詳しくは詰め切っていないところでもあるのですが、横断組織ということですから、6NC全体に係るということになりますので、年度計画、中長期計画もそうですけれども、それぞれ6NCが同様に掲げるべき話かなと思っておりまして、それを踏まえて評価の際も御評価いただくようなことで考えております。

○永井座長
 でも、研究開発を大きなスケールで行おうということですから、それぞれが出てきたものを後でまとめる話ではないのだと思うのです。そこが今、議論になっているのです。大きなプランニングを誰がするかと。それはどこまで管理あるいは指示できるかという、非常に今の議論は大きなスケールの話なのですが、いかがでしょうか。これはもちろん容易ではないと思うのですけれども、そういうビジョンを持って行わないといけないし、予算も必要になってきますね。
 どうぞ。

○祖父江座長代理
 私もまさに、もしこれが(c)の案でいくとすると、先ほどもちょっと触れさせていただきましたけれども、やはり見える形にしないと、変わったなという感じが出ないと活性化しないのではないかという感じがします。ですから、例えば6つのナショセンから兼任で人が来るだけだと、私はそれは成功しないのではないかと思います。
 ある規模の予算でどれだけの、先ほど来、話が出ているようなミッションを世界レベルでリードできる人をそろえるかというような、そういう視点がないと、外から見ていても、変わったなという感じをつくれないので、この規模感というのはどれぐらいの規模感か。お金の額で言うのはなかなか難しいですし、今の命令形の問題ももちろん一番大事なのですが、あるいはミッションをどうやって維持・発展させるかという構築の部分も非常に大事なのですが、やはり規模感というのは非常に重要な一つの要素だと思います。
 今、お金がないところでどうやってやるかという議論がずっと、評価をやっていますと一番の肝はそこですので、それを(c)が打ち破れるかどうかですね。それを打ち破れるとすると、ある程度のお金の投入も必要ではないかなという感じがするのですけれども、その辺はどのようにお考えなのか。

○和田医療・研究開発独立行政法人管理室長
 現在考えておりますのは、ちょっと金額的には難しいのですけれども、人員としては、データサイエンティストとかバイオインフォマティシャンですね。要するに、データを集積して解析する専門集団を設置する。あと、人材育成のための管理部門みたいなものを想定しておりまして、ある一定の人数は集めないといけないかなと考えておるところでございます。

○永井座長
 研究設備としてはどうなのでしょうか。例えば、先ほど話が出た次世代シークエンサーの最高機種ですね。こういうものを備えて、そこで一括してゲノムの解析をしようとか、あるいは、よくEBMと出ていますが、今はもう個別化医療なのですね。プレシジョンメディシンの時代です。そうするとあらゆる情報を統合していかないといけない。それはもう個々のセンターではできない時代になっているのではないかということなのですが、そういうことをここで全体を統括して推進していくだけの規模感がつくれるのか。それは予算と人と組織です。そこはいかがでしょうか。

○樋口医療経営支援課長
 一応、(c)の場合ですと内部組織ということでございますので、ソフト的な面で横串機能を持たせるというイメージで考えております。したがいまして、高額な機械について、既にあるものであれば、基本的に6NCのどこかで持っているものであればそれを活用させていただくということと、あとは先ほど申し上げました人材の確保については、予算がないと確保できない面もありますので、そこは最終形に向けてどれだけ予算を確保していくかということで財政当局と折衝していかないといけない話かと思っています。基本的に、機械のようなものは既存の機械も活用しながらやるべきかと思っているところでございます。

○永井座長
 どうぞ。

○田島構成員
 今のお話に絡むのですが、(c)の形態にしました場合に、6NC横断支援組織といいますのは法人格がありませんので、人を雇うことも財産を所有することもできないということだと思うのです。そうなりますと、そこに予算を投入するといいましても、既存のNCのどこかに配分して、そこからそれぞれ拠出し合ってやるという形で、どこかのNCが財産も所有するという形にしかならないスキームだと思いますので、こういう形でやる場合に、それぞれから代表が出て集まって相談して計画を立てて実践していくということにしましても、それぞれのNCはそれぞれのミッションを持っていて、全てが同じ国民目線で一つの目標に向かって本当にやっていけるのかどうか。
 それぞれのNCの守るべき利益というのもあるでしょうし、結局、そういう形で議論して、まとまらない結果になりはしないかというのが非常に危惧されます。これが一番形として取り組みやすいのでこれでやりましょうといったところで、何年かかってもアウトプットが出てこないということで、結局は本来あるべき(b)の姿でやり直しということが起きるのではないかという心配がございます。
 (b)の形であれば一つの法人になりますので、全体としてミッションをきちんと遂行するということもできると思うのですけれども、(c)という形になりますとなかなか難しい面がありますので、どうしてもこれでやるという場合には、本当にここの会議で具体的にあるべき姿、やるべきミッションを提示し、しかもそれの年限をきちんと決めて、工程表までつくるということにしませんと、なかなか実現しないような気がしております。

○永井座長
 迫井審議官、どうぞ。

○迫井審議官
 ある程度出口に近づいておりますので、事務局なりの受けとめをさせていただいた上で、少し論点を整理させていただくと、私なりの理解は、6NCそれぞれミッションがありますが、この6NCのあり方の議論はしつつも、そのミッション自体を大きく変更するというようなお話ではなかったように思います。
 一方で、6NC、特にそれぞれ疾患分野や一定の研究分野がある中で共通の課題、あるいはもっと強化すべき事項があるではないかということを今回、ある程度はまとめていただいたと承知しています。本日までの時点では、そこは一定の整理がいただけたように思うのですが、問題は、共通で求められている機能の強化の部分をどう実現するのかということが、今度、具体的な組織論とセットになったときに、なかなかオプションとしてはそれぞれ難しいねという話なのだろうと思います。
 そこで、これから半年も1年もかけて御議論いただくことはできませんので、私どものほうで今回、現実的な出口として考えられる組織のオプションとして御提示させていただいたのと、もう一つ、現にほぼ同じような御認識に至りつつあるわけですが、仮に(c)という提案をとるにしても、これで全てが解決できるということではなさそうだ、難しいよね、という御指摘をいただいております。私どもとして注意をしておきたいのは、中長期的な計画を持って法人、独法は運用することになりますので、次の計画期間との関係はもちろんありますが、まずできることはさせていただきたいという趣旨であります。
 逆に言うと、(c)はまずできることとしてそれなりにあると思いますので、そういったことを次の報告書をまとめる段階でもう少し具体的に書けという御指摘だろうと思いますので、それはやらせていただきたいと思っております。
 一方で、多くの方の御意見は、煎じ詰めると、研究開発リソースをいかにもっと獲得していけるのかというお話になってしまうということです。これは6NCに限らず臨床研究全体として、日本における臨床研究をどう進めていくのかとか、あるいは資源の獲得をどうしていくのかという少し6NCの幅を超えた議論も出てきているように思います。そのことは、いみじくもAMEDの末松理事長がおられますけれども、そもそもこの6NCにとどまらない大きな議論をもう少し整理する必要がありますし、もっと言えば大学とて病院を持ちつつ医学部もある、研究もある、同じような悩みを抱えているわけですので、そのあたりの整理はやはり改めてする必要があるのかなと感じますが、残念ながらこれはこちらの検討会のミッションを少し超えている部分もあります。事務局としては報告書をまとめる責任がありますので、出口に近いという状況を踏まえ、そのあたりの整理を少しさせていただきつつ、きょういただいた、このオプションを仮にとった場合についても、その先の工程なり限界なり課題なりをしっかり整理しろという御指摘については対応いたします。
 それから、新規にリソースをとるという話については、財政当局との折衝も含めてですけれども、そう簡単な話ではございませんし、この範疇で簡単にもっと資源を投入しろという話をいただいても、それはなかなか履行することは難しいので、そういう御指摘は御指摘として頂戴しつつも、現実的な課題と、さらにその先、本来私たちが背負うべき工程と少し分けて、いただいた御意見を踏まえて報告書を少し修正させていただくことでどうかと受けとめております。

○永井座長
 門田構成員。

○門田構成員
 プラクティカルに、迫井さんが言うようなことも考えられると思うのですけれども、私がずっと言い続けているのは、やはり最終目標として6NCではなしにNCのミッションは何かということから考えたときに、NCのミッションがいかに実践できるのかということが目的なはずなのです。だから、そういった意味で、私はやはり(b)が本来あるべき姿だと思っていますので、それに今、皆さんの意見を聞いても、今すぐはできないということになって(c)の意見が多いような気がいたしますので、やはり目指すところはどこにあるのかということを報告書の中に何かわかるように書いておいていただいて、そしてそこに、次は何とかというようなところまでしてねと。(c)が終わりだというような書き方は避けていただきたいというお願いをしたい。

○永井座長
 国から資金をいただくというだけではなくて、みずから求心力をつけて民間からの、あるいはいろいろな形で資金を獲得することが大事だと思うのです。そういう意味では今のナショセンはやはり物足りないということは認識せざるを得ない。ですから、そのためにどうしたらよいのかということではないかと思います。

○釜萢構成員
 今、門田先生から御指摘がありましたことに関連しまして、(b)の案で新たな法人を設立することに対して、国から非常に十分な拠出が見込めれば検討の価値があると思うのですけれども、現状においては、(b)の案を採用した場合には、6つあるナショナルセンターから上納金が吸い上げられて、そして上の法人を運営することにならざるを得ないと思うので、それであれば、むしろ(c)のほうがよいと私は考えるわけです。
 ただ、その場合において新たに横串の組織をつくったときに、そこで検討する意思決定とか、あるいは何に優先順位を立てるかというような具体的な道筋がまだ見えないので、迫井さんから今お話がありましたけれども、少なくともその整理については、そして定期的な進捗状況の評価をどうするかということについては、できれば報告書の中に何らかの記載が求められる、必要があるのではないかと思うわけです。
 以上です。

○門田構成員
 水かけ論をしたくはないのですけれども、先ほど渡部さんがおっしゃいましたけれども、実際問題、今は、6NCを1NCに変えた瞬間は難しいかもわからない。でも、将来的に効率化を図り、そして研究資金云々とずっと考えていけば、私は今の感覚は間違っていると思うのです。1つに持っていったほうが絶対に効率的に、安く上げられるというのはおかしいですけれども、効率性は高まるし、6NCのミッションを遂行していく上での実質的なものは、連携するよりもはるかにコミュニケーションがとれて、そういった意味からすると絶対に優位に立つのが(b)ではないかと思います。

○釜萢構成員
 ですから、それは理想的にそういう方向に行けばいいのですけれども、現実には、国からの拠出はどんどん交付金も減っている中で、新たな法人を仮に設立した場合に、その運営はほとんど6NCの現状の収入の中から運営せざるを得なくなるだろうと思うので、そこは難しいなという意見です。

○永井座長
 田島構成員。

○田島構成員
 (b)の案といいますのは、法人は1つしかありませんので、6NCから上納金を吸い上げるのではなくて、全てが1つの法人に予算がおりてくるという形ですね。今おっしゃった別法人をまたつくるということになれば、むしろ(a)になるということでございます。

○釜萢構成員
 ちょっと言葉が足りなかったかもしれませんが、今、田島先生からのお話しのとおりで、全体としての国からの交付金が1つの法人に与えられて、それを分けることになるわけですが、一番上の新たにつくる全体をホールディングカンパニーになるのでしょうか、その部分の運営費はその中から支払われるわけです。したがって、従来、6NCに交付されていた金額は減額されるという意味です。

○永井座長
 事務局、どうぞ。

○樋口医療経営支援課長
 一応御参考までに申し上げますが、(b)の場合でも(c)の場合でも、運営費交付金は今の財政事情からすると減っていく方向性には変わりございません。あと、一本化した場合は効率化減という予算上の仕組みとして、6つあるときよりももうちょっときつ目の削減が来るというのが一般的な流れでございます。

○花井構成員
 細かい話が出たので、迫井審議官から夢のない取りまとめをいただいたのですけれども、もし(c)案の場合は、そもそも今ある運営費交付金、各ナショセンによって金額は違うのですけれども、それと別に新しい組織と名前がついた運営費交付金がないと、各ところでお金が足りないわけだから、潜ってしまうわけですね。名前つきの運営費交付金は上乗せで使う形にならなければ、そもそも(c)案自体も実装不可能。
 つまり、あなたたちの6ナショセンにいるこの人を出してくださいねという人が寄り合い状態で集まるみたいな話であって、先ほど言ったスペシャリストがもしいるのであれば、その人たちはこちらに来てねという話はあるかもしれないですけれども、外部からもということになったり、多分外部から必要だと思うのですが、そのときの人件費なりコストは各ところに潜っていなければおかしいわけですね。そのときに名前がついた、これ用のお金ですよという運営費交付金なのだから、当然今までの運営費交付金の中に、減る方向といいつつも、横断組織としては純増分が見えていなければ不可能なのですけれども、審議官のお話は、それすら難しいという御指摘なのでしょうか。

○樋口医療経営支援課長
 枠の話は先ほどさせていただきまして、純増分がなければそういう形で各NCから集めてくるだけになりますけれども、ここは新たな横串機能を持つので、実は我々としては、この強化する分の交付金は増額したいという思いはございます。ただ、これは相手のある話ですので、この場で断定ができないという状況です。

○花井構成員
 だから、お願いなのですけれども、もちろんおっしゃるとおりなのですが、これが安い買い物だということを説得できるという、つまり、国として安い買い物だということをわかっていただかないと難しいと思うので、そこをどう打ち出せるかというのはあると思うのです。

○永井座長
 審議官、どうぞ。

○迫井審議官
 私が申し上げたかったのは2点で、こういう議論をするときにリソースが伸びるのだという前提で議論をしていただくのは基本的には避けていただきたいということを申し上げております。もちろん私たちは財政当局とも折衝し、予算の確保に汗はかきますが、それが得られるという前提で夢を書くのは簡単なので、それは控えていただけないかなということを申し上げたかった。
 それからもう一つ、こちらが大事なのですが、仮にこれを(c)という形でやったときに、これは現に門田先生から御意見をいただいているのですが、うまくいかない可能性がかなりありますよねという御指摘をいただいている。その上で、これでおしまいではないよね、次はこうするのだよねということを必ずセットでやってくれとおっしゃったので、それは私たちとしてはちゃんと考えたいと思います。

○永井座長
 その場合には工程表が必要になってきます。今後どのように見直しをしていくのか、いつごろまでにどこへ到達するかということはあわせて考えておかないと、今度、話を広げたときに、やはり難しいですねに終わってしまうことが懸念されます。その辺はどのように考えたらよろしいのですか。

○迫井審議官
 私どもとして少し考えなければいけないのは、6NCだけの話ではもうおさまっていないところがございます。
 研究開発の資源をどうやって確保するのかという少し広い枠組みで議論した上で、それで立ち返って6NCをどうしますかというふうにしないと、臨床研究中核病院のような機能もほかに持とうとしているわけですから、そういったことを考えるとオールジャパンの話になっておりますので、オールジャパンとして臨床研究をどう考えるのかということを含めて、少し私ども局内、省内で相談をさせていただくことも必要かと思います。安易に先延ばしにするなという永井座長のお話は非常に重く受けとめさせていただいた上で、そういったことも含めて少し考えさせていただけないかなと考えております。

○祖父江座長代理
 別の観点の話になってしまいますので、ちょっと途切れるかもしれませんが、私はこれは毎回申し上げているのですけれども、フィールド型でバイオ資源を悉皆性を持って全国的に集めていくというのが、世界的にも非常にいろいろなものをプロデュースしているという時代に入っていますね。そうすると、これを後押しすることとして、今これで成功しているのは、がんセンターががん対策基本法ですか。10年ちょっと前ぐらいにできて、その成果が今あらわれてきていると私は非常に思っているのです。悉皆性を持って、がんがフォローアップできていると思うのです。今回の議論とはちょっと違う、もう少しバイオリソースをどうやって集めていくかということにかかわる議論かもしれませんけれども、ナショセンが扱うような国として解決しようとしている疾患については、そのような後押しは国としてやってもいいのではないかと思うのです。
 この議論をし出すといつも、それはアカデミアの議論ではないですかということで、だめというか、そう言う人が必ず何人かおられるのですが、その辺はやはり厚労省としては、これは議員立法でやるそうですので、なかなかいつも最後のところでだめになってしまうのですけれども、私はこれは非常に重要な要素ではないかと思っているのです。この場とはかけ離れた議論かもしれませんが、もし何か御意見があればお願いしたいのです。

○迫井審議官
 横を見ても私ぐらいしかこれはお答えできないので、念のため申し上げておきますと、やはり個別の疾患対策の立法というのは、立法府のほうでいろいろな議論なり経緯なりを踏まえて国の取り組みとして、法律として制定されているわけです。繰り返しになってしまうかもしれませんが、特に国として、臨床研究をどうやって推進していくのかという枠組みをつくっていく、その中にナショセンも当然入っているわけですので、先ほど申し上げましたとおり、日本の臨床研究、それはさまざまな側面で創薬につながるようなもの、あるいは疾患対策としてさらに技術を伸ばしていくもの、そういったことも含めて拠点として位置づけているのは間違いないので、国の取り組みとして、少なくとも6NCはそれぞれのミッション、分野について現に国費を投入しているわけですから、そこは私どもの理解は明確です。
 ただ、それと、それから個々の疾患の対策としての制度整備、特に法的な根拠を持つような対策をどう位置づけるのかというのは、重なる部分ももちろんありますが、議論としては別ではないかと理解しております。

○末松構成員
 議論が沸騰してきたのですが、(b)しかあり得ないと、最終目標は(b)であってしかるべきだという御意見がありましたが、こういう集約の仕方をして、企業の場合にはうまくいくかもしれませんけれども、前々回の議事録でちょっと申し上げたかもしれませんが、病院の性格、急性期をばりばり扱っている病院とそうでない病院。つまりこの(b)という仕組みで個性が生きるのかと。
 それから、アメリカの例はアメリカの例で、アメリカではこうやっているから日本ではこうだという議論もありましたが、例えばNIHでどういうことが起きているかと申し上げると、これは私見ではありますけれども、27の研究所があって、病院が真ん中にあるわけです。彼らでも、あれだけの資源を投入したとしても、R&Dのほとんどの部分はやはりベンチャーのほうで起きていて、NIHの中の27の最後にできたのがNCATSという横串の組織なのですけれども、それ以外の26人の兄弟が、27人目の兄弟ができるときに、コリンズさんの前の方ですけれども、どれだけの大変なエネルギーをやったかと。
 横串が刺せているか。もうできてから4年ですけれども、それぞれの研究所の個性を殺すようなことは法人のトップはやっていない。法人のトップの仕事は、政府関係者から大統領がかわっても、どうやって一定以上の予算をつけてくるかというところにほとんどそのエネルギーが集中されているのが現状だと思います。
 病院機能を、法人本部を設置して、それぞれの個性を生かして本当に運営できるのかというのは、私は結構大きい問題ではないかなと。したがって、できるところから始めるというのは、(c)のナショセンの横断支援組織をつくって、そこでR&Dのプラットフォームをつくっていくというところだけでも相当のエネルギーがあって、先ほど事務局サイドから御指摘があったような限られた資源をどうやって生かすかというところで、工夫のやりようは幾らでもある。非常に大きな仕事だと思います。ガバナンスがきかないかもしれませんけれども、ナショセン全体に横断支援組織をつくるということは結構大きな仕事だということを申し上げたかったので、やることがすごくたくさんあると思います。
 それから、(c)から(b)へのトランジションをきちんと国民のニーズに応えたり、利益をR&Dからつくったりという形で、(b)へのトランジションが本当にプラスになるのかどうかということも含めて、きちんとした議論をやっていくことが非常に重要ではないかと思います。(b)はすごく縦割りに見えます。こういうガバナンスの強力な仕組みをつくったとき、プラスの部分もたくさんあると思いますけれども、弊害の部分が余り議論されていないように思いましたので、あえて申し上げました。

○永井座長
 門田構成員。

○門田構成員
 同じ現象を違う見方にすればそうなるのかもわかりませんけれども、実際問題、今、(b)のものが縦割りという発想よりも、(b)ということをすることによって初めて6NCをいろいろとモディファイすることができるし、内容を変えることができる。ところが、(c)の状態で6NCとして法人が残っている限り、それはなかなかできないということです。どちらがどうかということになるときには、縦割りではないかもわかりませんけれども、分断化が進行するのではないかなと私は思えるのです。
 そういった意味で、(b)ということのほうが将来的にいろいろな意味合いを持っても可能性を秘めているのだと思いますし、個人的には可能性だけではなしに、そうでなければ我々の目指すものはできないのではないかと思います。

○末松構成員
 私も全く同じ意見ですよ。同じ意見なのですけれども、(c)から(b)のトランジションや工程表をつくるときに、(b)のマイナスの部分が本当にあるのかないのかということはきちんと議論をしたほうがいいと申し上げたわけです。

○永井座長
 いかがでしょうか。やはりいろいろな意見がある。当面どうするかという話と、それから今後、どのように議論を重ねて、こういう可能性があるということを挙げておくのはよろしいのではないかと思うのです。
 どうぞ。

○神崎構成員
 瑣末なことなのですけれども、もしこのイメージ図で(c)とか(b)を載せられるのであれば、今まで議論が出たことを踏まえて感じていることなのですが、末松先生からお話があったように、多分、支援組織ではなくて横断研究推進組織という名称を使ったほうが恐らくいいだろうということ。
 それから、これまで下支えというような言葉で下のほうから囲ってあると思うのですけれども、多分、横串という表現もあるので、どうでもいいことかもしれないですが、この枠の位置はもう少し上のほうに上げていただいたほうが、余りにも支えているだけで、積極的に何かをする形に見えないので、もう少し上のほうに上げていただいたほうが今の議論とイメージが合うのかなと思いました。もしこの絵も報告書に載せられるのであれば、そうされたほうがいいかなという意見です。

○永井座長
 報告書には絵は出さないです。報告書というのは文章で書くものですから、下手に絵を描くとイメージが先行し過ぎてしまう。私はそれは望ましくないと思います。これは文章で書くべきだと思います。

○神崎構成員
 わかりました。それであればもう。

○永井座長
 どうぞ。

○門田構成員
 資料1の表のところですけれども、これはもう二度と使わないのかもしれませんが、ちょっとこの表のまとめ方で、定義、人事、経営云々と書かれているのですけれども、一番我々が大切な研究、医療、人材育成という本来のミッションのことを比べる図になっていないのですね。ですから、形式的な外形の話はあったにしろ、本当に大切なのはそういう見方をしたときにどうかというようなまとめ方をしていただいたほうが本来のディスカッションに使えるのではないかと思います。これからもし、次回でもされるのであれば、ぜひそういう工夫をしていただくようにお願いしたい。

○永井座長
 ほかにいかがでしょうか。
 ただ、もう次回は最後になりますので、ぜひ皆様方、まだ発言し足りないところがあれば。

○花井構成員
 (c)になるにせよ、次の中期計画か何かがあって、限られたリソースだということなので、これまで議論されたとおり、タスクとして5年後にはこれができているというところまで、ここで書くのか、書かないとしたら誰がそれを決めるのかみたいな議論はどうなのですか。結局、次善の策という形でこれを出すのかもしれないですけれども、明らかにこのくらいの、例えば運営費交付金が全く現状のままであって、それぞれのNCからよりすぐりを引っ張ってきて、ここのタスクフォースというか、ここのところに最優先ラインで君たちは仕事師だと、お仕事はこれだとしたときに、5年でここまではできるだろうと。それをするために各NCが支援すれば可能だというところはある程度踏みがないと、何となくうまくいくかな、いかないかなみたいなところで終わるのは、こちらとしても消化不良な感じなのですが、それは報告書に書くのですかね。それか、それはこういう形で決めるべきという形で書くのかというところは、次の議論、最終的にはそれを決めたほうがいいかなと思います。

○永井座長
 できたら案を少し事務局にお寄せいただけますか。いかがでしょうか。
 NCの連携というのはやはり気になるのですが、連携というからには6NCの連携なのか。NCの連携といっても、NCという概念は1つの概念ですね。1つのものが連携するということになってしまうのですが、この辺の書きぶり。6NCが連携するならわかるのですが、そこを含めての議論になると思うのです。

○樋口医療経営支援課長
 済みません。うまく伝わっていなかったのかもしれませんけれども、6全体で連携するケースもあれば、2つとか3つで連携するケースもあるということで、その場合はNC連携というような書き方をさせていただいています。

○永井座長
 それは6NCの中での連携ということですね。ただ、先ほどの(b)案になると6NCはなくなってしまうものですから、そこの書き方をどうするのか。あるいは両論併記的に書くのかですね。そこを最後に御議論いただきたいのですが。なかなかこれは当面どうするかということで、特に将来像ですね。当面はそんなに大きなことはできないのだろうと思うのですけれども、将来像としてこういう在り方検討会を、6年に1回、中期計画の終わりのころに1回開くだけで本当にそうした議論が煮詰まるのかという懸念もあるわけです。例えば、これは継続的に議論するというようなことを書けないのか、そこはいかがでしょうか。これが終わると次は6年後ということでしょうか。

○樋口医療経営支援課長
 特に年限というか周期は決まっておりませんので、その辺も含めて御意見をいただければ、それを報告書に書かせていただくような形になろうかと思います。

○永井座長
 はい。

○花井構成員
 例えば、これまでの6NCの評価があるわけではないですか。年度ごとの評価もあって、中期目標、中期計画に沿って年度目標を立てるわけですけれども、そうすると数値目標とかがあって、割といい評価をもらおうと思うとちょっと低目にしたり、そういうテクニックとかをいろいろ考えながらやってしまうわけでしょう。その中で、例えばある程度、年度計画の中で、これに関しては、今までの独法評価のあり方でやられることによって足を引っ張るみたいなことが思いつくのです。そのときに独法の評価のあり方についても、新しい6NCの機能を最大限発揮するためには、それにふさわしい評価のあり方も検討すべきであると書いてもいいのですか。それは僣越なのですか。

○祖父江座長代理
 私も全く同感で、1年ごとの評価でずっと来ていますので、先ほど5年、10年という話が出ましたけれども、長期にこれは5年後、10年後はどうなるのですかと質問しても、私も評価をずっとやらせていただいたのですが、ほとんど答えが出てこないのです。だから、去年と比べてどうかと。ここに全勢力を費やしているというのが今の評価の体制ですので、これはちょっと変えていかないと非常に今のことは実現しないのではないかという感じがします。

○樋口医療経営支援課長
 評価制度自体はこの場とは違う話になりますので、制度自体は別で、評価書の実際の年度の評価をどうするかというのは、横断組織をどう見るかというのはこの場での議論かもしれませんけれども、評価制度の枠組み自体は、独法通則法に基づく評価でございますので、この場での議論にはなじまない話だと思われます。

○永井座長
 そういう意味では、在り方検討をどのくらいの間隔で行うかということは重要だと思います。これまで6年に1回中期計画が終わる1~2年前に行うと、また時間がありません、ということになってくるのですね。永遠にそんな大きなアイデアは出てこないことになりますから、本当はやはり在り方検討会というのはもうちょっと中間期、3年目とかにしても開いてもよいのではないかという気がするのです。
 いかがでしょうか。よろしいでしょうか。大体時間になりましたので、いろいろな議論、御意見をいただきましたけれども、次回、最後になりますので、できるだけ御意見を寄せいただいて、できるだけ詰めたいと思いますが、皆様方のいろいろなお立場からの意見は貴重ですので、それを反映したいと思います。
 それでは、本日はここまでとさせていただきますが、事務局から連絡事項等をお願いいたします。

○太田医療・研究開発独立行政法人管理室長補佐
 次回の会議の日程につきましては、12月12日17時から開催を予定しております。場所は追って御連絡させていただきます。

○永井座長
 ありがとうございます。
 それでは、第8回在り方検討会を終了いたします。どうもありがとうございました。