2018年10月30日 指定難病患者データ及び小児慢性特定疾病児童等データの提供に関する有識者会議(第3回) 議事録

日時

平成30年10月30日(火)10:00~12:00

場所

TKP新橋カンファレンスセンターホール5B(5階)

議事

 
○山本座長 それでは、定刻少し前ですけれども、有識者の方がおそろいですので、ただいまから第3回「指定難病患者データ及び小児慢性特定疾病児童等データの提供に関する有識者会議」を開会いたします。
委員の皆様には大変お忙しい中、お集まりいただき、まことにありがとうございます。
それでは、事務局より本日の出席状況について御報告をお願いいたします。
○田中課長補佐 本日の出席状況について御報告させていただきます。本日は、委員の先生方、皆様に御参加いただいております。
また、本会議に初めて御出席の三谷構成員より、一言御挨拶をお願いできればと思います。よろしくお願いいたします。
○三谷構成員 獨協医大の三谷でございます。今回、大変申しわけございませんでしたが、初めての出席となりました。
私は、厚生労働科学研究費で特発性造血障害に関する調査研究班の研究代表者を務めさせていただいております。この難病データをどのように使っていくかということに非常に興味がございますので、先生方と一緒に考えていければなと思います。このような機会を与えていただきまして、ありがとうございました。
○田中課長補佐 カメラの撮影は、ここまでとさせていただきます。
それでは、以降の議事進行につきましては、山本座長にお願いいたします。
○山本座長 前回の会議同様、本日もペーパーレスで会議を行いますので、タブレットの使用方法がわからない場合は、適宜、事務局にお知らせください。
それでは、まず資料の確認をお願いいたします。
○田中課長補佐 タブレットのホルダー内の資料一覧をごらんください。
机上配付しております座席表、タブレット操作説明書のほか、タブレット内の本体資料として、議事次第
資料1-1 前回の会議における主な御意見
資料1-2 指定難病患者データベース及び小児慢性特定疾病児童等データベースの課題と対応について
資料1-3 OCR読み取りデータの正確性の担保について
資料1-4 指定難病・小児慢性特定疾病に関するオープンデータの公表について
資料2-1 ガイドライン(案)の主なポイント
資料2-2 指定難病患者データ及び小児慢性特定疾病児童等データの提供に関するガイドライン(案)
資料3-1 指定難病患者データベース及び小児慢性特定疾病児童等データベースにおける同意の見直しについて
資料3-2 指定難病(小児慢性特定疾病)に係る医療費助成申請における臨床調査個人票(医療意見書)の研究利用についての同意書(案)
参考資料1 (参考)「指定難病・小児慢性特定疾病情報の提供に関するガイドライン」の目次案(平成30年10月10日第2回指定難病患者データ及び小児慢性特定疾病児童等データの提供に関する有識者会議 資料抜粋)
参考資料2 レセプト情報・特定健診等情報の提供に関するガイドライン
を御用意しております。
本体資料をタップしても資料を閲覧できない場合は、その都度、挙手をお願いいたします。
○山本座長 どうもありがとうございました。
きょうは、資料を見るとなかなか中身が濃いですけれども、御議論のほどよろしくお願いいたします。
それでは、早速議事に入らせていただきたいと思います。「(1)前回の会議における主な御意見とその対応」ということで、事務局から資料の御説明をお願いいたします。
○田中課長補佐 それでは、前回の会議で委員の先生方よりいただきました御意見について、資料1-1にまとめさせていただいておりますので、説明させていただきます。
まず、「データベースの概要について」と「ガイドラインの方向性(案)について」の2つの項目でまとめさせていただきました。
「1.データベースの概要について」
過去のデータの研究利用について
申請件数が年に10件と少ないように思うが、何が原因か検討すべきではないか。
データベースの課題について
現状のデータの有用性やデータ利用のアクセス方法等、指摘のあった課題について一覧として示していただきたい。
データベースの今後の利活用の在り方について
データ利用の方法が必ずしも明確ではなく利用しにくい。
同意書について
データ登録が任意であることは、小慢DBの同意書上は記載されているが、難病DBの同意書では記載されていない。両者とも明示すべきではないか。
臨床研究等に際しての再同意の取得については、難病DBの同意書には記載されているが、小慢DBの同意書では記載されていないところ、現状の同意書に基づくと、小慢DBにおいてはデータを臨床研究に活用することは難しいのではないかという御意見をいただいております。
「2.ガイドラインの方向性(案)について」
公益性の考え方について
データを提供する者の選定に当たり基準となる「公益性」の定義が難しい。事務局案を提示していただきたい。
「公益性」の考え方についてはNDBでも議論しているところ。本DBだけではなく、厚生労働省全体として今後検討していくべきではないか。
「匿名化」の定義の明示について
本ガイドライン上で「匿名化」という表現を用いることについては異論無いが、個人情報保護法上の「匿名加工」と明確に区別するために、本DBにおける「匿名化」の定義をガイドラインに明示的に記載すべきではないか。
オープンデータについて
本DBにおいてもNDB同様にオープンデータとして利用することを検討してはどうかという御意見をいただきました。
これについて資料1-1としてまとめさせていただいております。
○山本座長 どうもありがとうございました。
前回の議論のまとめということですので、特に足りない点、あるいは趣旨と違うということがございましたら御発言いただければと思いますけれども、いかがでしょうか。大体、これでよろしゅうございますでしょうか。
それでは、引き続いて御意見への対応について、事務局から説明をお願いいたします。○田中課長補佐 今、御説明いたしました資料1-1にある御意見について事務局で整理させていただきましたものが資料1-2から1-4となりますので、順に御説明させていただきます。
まず、資料1-2をごらんください。「指定難病患者データベース及び小児慢性特定疾病児童等データベースの課題と対応について」になります。
御指摘いただきました過去の難病及び小児慢性特定疾病のデータベースの課題として、過去のデータベースのデータ利活用の件数が少ない点について以下の原因が考えられる。
臨個票のデータを自治体の事務担当者が入力しており、医学的な見地からの確認がされず、低い精度のデータが登録されていたという懸念や、自治体により入力状況に差があり、登録されるデータに偏りがあったため、データの信頼性の観点から研究利用へ結びつかなかった可能性がある。
データの利用方法について研究者に対して理解しやすい形で公表・周知されていなかった可能性がある。
経年での分析や臨床研究で活用できていなかったため、単年での疫学的な分析に限られていた。
これに対して、過去のデータベースの課題に対する現行のデータベースでの対応ということで、下記に記載させていただいております。
現行のデータベースでは、OCRによる読み込みを導入し、入力したデータについて、医学的な見地からその正確性を医師等が確認し、研究利用が可能となる精度を確保することとした。
ガイドラインの作成後、ホームページ等で利活用方法、研究成果について情報を発信し、広く研究者へ情報提供することを検討する。
同意書を見直すことで、経年での分析や臨床研究で活用できるように検討するとしております。下の2つの項目については、今後の対応ということとなっております。
続きまして、指定難病及び小児慢性特定疾病DBの現行の課題として、難病法施行後に構築されたデータベースをより良いものとするための議論を行う上で、今後検討が必要と考えられる課題と対応方針について、合同委員会等での御指摘を踏まえ、以下のとおり整理を行った。
また、本有識者会議において御議論いただきたい点に色づけをし、以下に示しております。
まず、悉皆性について、合同委員会での御指摘等では、データ登録は、申請を行い、かつデータ登録について同意した者が対象。申請の結果、助成を受けられない者もデータ登録者の対象となるため、対象疾患と診断された患者全員が登録されるわけではない。(医療費助成の申請を行わない者や他の制度により助成が行われている者の情報は登録されない。)
それから、情報の品質・内容につきましては、医療費助成に紐付いているため、本来の状態より重症とされる傾向が強くなる恐れがある。
上記「悉皆性」にあるような理由から、対象疾患と診断された患者全員が登録される仕組みとなっていないため、登録されているデータに偏りがある可能性がある。
重症度基準については、「適切な医学的管理の下で治療が行われている状態であって、直近6カ月で最も悪い状態を医師が判断することとする」と記載されており、受診日のデータや患者の現在の状態と必ずしも一致するデータではない可能性がある。
臨個票の研究に関する記載項目が多く、医師の負担が大きいため、最新のデータが記載されない恐れがある。
また、OCRで読み取りを行った際に、読み取れない場合や誤った読み取りが生じる可能性があるということがございます。
最初の悉皆性と、この情報の品質・内容については、今後の対応方針として、制度の説明や研究を行う上での留意事項について情報提供を行うことを検討したい。
また、公平かつ安定的な医療費助成を適正に行いつつ、研究への利活用に資するデータの収集を担保するため、今後の制度の議論の中で中長期的に検討させていただきたいと考えております。
OCRについては、読み取りの精度について確認の上、その情報を提供することにより対応を検討しつつ、更なる精度の向上については、今後の制度の議論の中で中長期的に検討させていただきたい。
この後、OCRの精度についての説明は、別途させていただきます。
それから、経年的な分析について。これは、指定難病患者DBについては現状の同意書では経年的な分析に用いることを明示しておらず、経年的な分析が困難となっております。
また、都道府県等ごとに受給者証番号が付与されるため、転居等の理由により番号が変更となった場合には、県をまたいで同一の患者から申請があった場合には突合ができないという現状がございます。
同意書の見直しに関しましては、対応方針の案の中で、今回、同意書の見直しにより対応を検討したいとさせていただいております。
また、県をまたいだ場合には突合ができないということについては、今後の制度の検討の中で中長期的に検討させていただくとしております。
また、利活用までの期間については、臨個票や医療意見書は自治体から紙で送付されており、また、データ入力に時間がかかるため、患者の同意を得てから当該データが利活用されるまでには、長くて2年ほどのタイムラグがあるというのが現状でございます。これについても、今後の制度の検討の中で中長期的に検討させていただきたいということで、対応方針をまとめております。
資料1-2については、以上になります。
続きまして、資料1-3「OCR読み取りデータの正確性の担保について」、簡単に御説明させていただきます。
現在、臨床調査個人票については、OCRにて読み取りを行うこととしているが、機械にて読み取るため、読み取りエラーが発生する可能性がある。一方、全件を目視で確認することは困難であるため、以下の方法で目視確認・訂正を行うとともに、項目ごとの読み取り精度を図ることとしたい。
データの正確性の担保の方法については、1 全ての疾病について、サンプリング数を1%に達するまで対象を抽出。この1%は、レセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)において、サンプリングデータとして外部提供する場合のサンプリング率の場合を参考に算出しております。
1でサンプリング数が100件に満たない疾病については、100件(全件数が100件以下の場合は全数を抽出)するとさせていただいております。この件数については、平成28年度末の対象疾病の受給者証所持者数の中間値を参考に算出いたしました。
1及び2で抽出した臨床調査個人票のデータについて、全項目を目視確認し、必要に応じて訂正するといったことで、OCR読み取りデータの正確性の担保について、させていただきたいということが資料1-3でございます。
続きまして、資料1-4「指定難病・小児慢性特定疾病に関するオープンデータの公表について」をお開きいただきたいと思います。
現在、難病等に関する統計については、統計法に基づく統計調査である衛生行政報告例において、このような統計表の公表を行っているところでございます。
こちらの中にかなり多くの情報が入ってございまして、さらに細かな情報を提供する場合には、今後の利活用の状況やニーズを踏まえて、オープンデータについては検討することとしたいとまとめさせていただきました。
以上、資料1-2から1-4までの御説明となります。
○山本座長 ありがとうございました。
ただいまの御説明に関しまして、御意見、御質問ございますでしょうか。
どうぞ。
○樋口構成員 素人の質問ですが。これから、まさにこういう難病であれ、小児慢性患者さんであれ、データ研究で一歩一歩進めていこうということで、要点だけ簡単に質問しますね。
康永さんとか山本先生に教えてもらいたいのですけれども、今のこの時代にOCRで、つまり、別の書類で、別の趣旨で集めたものを研究データにつくり変えるために、データをデジタル化しないといけないのだけれども、まずOCR読み取りで、できるだけ誤りがないようにするという方法しかないものですか。あるいは、医療や介護分野でもほかのデータベースが並んでありますね。今、介護であれ、何であれ。ほかのものは、こういうことをやっておられるのか、それともそっちのほうのデータはそういうことがなくて、いきなりパソコン上でぱっと入ってくるようなものに既になっているのか。だから、それはここのデータの特色ですよということなのか。
言っていて質問点がまとまっていないような気がしますが、大きく分けて2つ。ほかにこの段階では方法がないということなのかの確認をお願いしたいと思います。
○山本座長 今、厚生労働省がほかで運用しているデータベース、NDBとかDPCとか介護総合データベースとかは、もともと電子的な情報を対象にして収集している。だから、NDBなどはレセプトですけれども、手書きのレセプトはとっていない。捨てているのです。今、電子化率が99%を超えてきましたので、ほぼ悉皆的に集まっているということです。ですから、紙の情報時代からつくられたデータベースはほとんどないと考えていただいていいと思います。
このデータベースは、もともと紙で集めているデータベースですので、そもそも収集の方法をこれから中長期的に見直していかない限りは、当面はOCRで読むのか、人間が読んでパンチ入力するのか、そのどちらかの方法をとらないと結構難しいと思います。
世界的に見ると、例えば米国のメディケア・メディケイドのデータベースなどは、紙の時代でわざわざパンチ入力しているところからデータベースをつくっているのから始まっているのです。フランスでも、例えば公衆衛生上のデータベースも紙の情報をわざわざパンチしてつくっているところから始まっていますから、歴史的に見るとちょっと時代おくれのような感じはしますけれども、決してレアケースではないということになるだろうと思います。
康永さん、それでよろしいですか。
○康永構成員 ほぼ先生のおっしゃるとおりで、OCRがまだ残っているものもあることはあります。全部電子化するのが効率的ではあると思いますが、電子化を導入するにしても初期投資が必要です。
○田中課長補佐 いただいた御意見については、中長期的に検討させていただければと思っております。
○山本座長 三谷構成員。
○三谷構成員 あと、OCRの作業を私は見たことはないのですけれども、臨床調査個人票には、数字が書いてあるところと、分類にチェックがついているところと、最後に医師が1年間の治療とその効果を文章で書いてあるところがあると思いますけれども、読み取りの問題というのは、そもそも数字を認識するところから問題になり得るのですか。間違いが生じ得るということはないのでしょうか。
○平石主査 まず、生じ得る可能性につきましては、全ての項目で生じ得る可能性がございます。ただ、数字等につきましては、一般的に読み取り精度は普通の文字に比べれば高いものと考えておりますので、そこにつきましては、読み取った精度をもとに確認等させていただきたいと考えております。
○三谷構成員 あと、OCRで読み取るという精度の問題もあると思いますので、将来的には医師のコメントに書いてあるような内容に関しても、作文をするのではなく、クリックして選択式で、この患者さんはこの治療をして経過はこうということがある程度わかりやすい形で、文字を読まなくてもわかる形で残っていれば、精度のいい疫学研究ができるのかなとちょっと思いました。
○平石主査 ありがとうございます。
○山本座長 どうぞ。
○千葉構成員 今の点についてですけれども、指定難病のほうでも、いわゆる電子カルテをそのまま使って申請できるということは常に前から言われていて、実際に申請書を作成するわけですから、現時点では電カルのデータだけで申請ができないという問題があるので、なかなか難しい。ずっと検討事項とされてきていて、この正確なデータをとるという面もそうですが、指定難病側から言うと、申請する際の労力、医師が毎年、指定難病の患者さんの場合は100件以上も申請書を書かなければいけない。これを何とかしなければいけないという話はずっとあって、しかしながらというところが現状じゃないかと思います。
それから、1つ確認ですけれども、1-1の経年的な分析については、指定難病患者データベースについては、現状の同意書に明示しておらずとあるのですけれども、以前は本当に経年的な分析は不可能だったのですけれども、今はデータとしては蓄積されてきているという理解でいいのですね。ただ、同意書の問題でという理解ですね。
○田中課長補佐 さようでございます。経年的にデータは蓄積されております。ただ、同意書がそうなっていないので提供できないということ。それから、提供する必要がなかったので、経年的なデータベースの中で患者さんを結びつけるという作業は、現在のところはしていない状況でございます。
○千葉構成員 それと、もう一つ指摘がありました、以前は県によって提出する件数が全然違っていて、ある県は患者数ゼロということがあって、それこそデータにならなかったのですけれども、その点もほぼ解決されていると理解していいわけですね。
○田中課長補佐 正直申し上げて、自治体によって送付状況には、今も紙をデータベースの事業を委託している場所に御送付いただかないといけないので、送付状況にはばらつきがあるのですが、一方でそれを適正に送付していただくような予算の手当てなどをさせていただいておりまして、順次、各自治体からは送付が始まっているところでございます。
○山本座長 入力と送付だと、送付のほうが楽ですから、随分と改善されるだろうと思いますけれども、ほか、いかがでしょうか。
森構成員。
○森まどか構成員 済みません、ちょっと話が飛ぶのですが、私、この統計の中身をぜひ見てみたくて、おとといぐらいから、このオープンデータをいろいろ検索して、何が何人いるのかとぱっとわかるのかなと思ったのですけれども、ずっとヒットしなくて、済みません、探し方が悪いと思うのですけれどもね。例えば、難病のホームページが今あると思うのですが、病気ごとのところにリンクしていただけるとか、もうちょっと万人に見やすいようにしていただく工夫というのはあるのでしょうか。お願いしたい。
○平石主査 こちらの統計表でございますけれども、統計のe-Statというところがございまして、そちらのほうで衛生行政報告で検索していただくと見つかるかと思いますけれども、御指摘を踏まえまして、そこのお示しの仕方につきましては検討させていただければと思います。
○山本座長 森先生が難しいと言われているのですから、難しいと思いますので、よろしくお願いします。
ほか、いかがでしょうか。
どうぞ。
○加藤構成員 今のOCR読み取りの正確性の話ですが、まだOCR読み取りの実績というのはないわけですね。なので、私などはすごく誤った数字が入って、それが調査結果で出てしまうことを懸念します。だけれども、全部のデータをクリーニングしてからとなると、いつになるかわからないので、極端なことで、1と7が間違って入るということがあり得るわけです。
そうすると、正確性の担保は、何か本体部分へのフィードバックを強化するとか、できるかぎり品質担保に力を入れるような形の取り組みをしたほうがいいのかなと思いました。最初に検証と試行利用を同時に走らせてとか、品質担保も考えているからまずはオープンです、と言うのは、ちょっと怖い気がしました。1回データが出て、あとから間違っていた、ということになると、このデータの価値そのものに対して、言われのない疑念が発生する可能性があるので、少し気になった次第です。
以上です。
○山本座長 ありがとうございます。
ほか、いかがでしょうか。
どうぞ、五十嵐先生。
○五十嵐構成員 資料1-1の2 データベースの課題についてのリストアップというのは、先ほどお示しいただいたものがそれだと理解してよろしいですか。そうしますと、難病は確かに患者さんの状態よりも、少しは重たく示すという御指摘があったわけですけれども、もう一つ、小慢の場合は、医療費助成制度があるために、全ての患者さんが登録されているわけではないという限界もどこかに記載しておいていただくと、これはすぐどうなるというわけじゃないですけれども、現状として、そういう大きな問題があるということは認識していただきたいと思います。
○田中課長補佐 御指摘ありがとうございます。修正させていただきたいと思います。
○山本座長 ありがとうございます。
ほか、いかがでしょうか。
どうぞ。
○三谷構成員 過去の申請件数の件ですけれども、前回、1年間10件で少ないということで御指摘があったと思いますけれども、この10件というのは、厚労省の研究班の方がやる10件と理解してよろしいですか。
○田中課長補佐 さようでございます。前回の登録されたデータの活用については、厚労省の研究班の先生方が活用するということで要綱として定められておりますので、先生方が御活用した件数ということでございます。申請があったという認識です。成果として何か公表物が出たかというところは、10件ではないということは最初に御説明させていただきます。
○三谷構成員 ありがとうございます。
各研究班とも疫学の専門家が班員であることが求められていて、疫学研究を積極的にしてくださいという御案内だったと思うのですけれども、意外とやられていないなという現状に少し驚きました。
○山本座長 今、検討しているデータベースそのものではなくて、前のデータベースですから、今よりは問題が多いデータベースの話ですね。
ほか、いかがでしょうか。
当面はOCRの読み込みというのは避けられないといいますか、これでやるしかないと思いますけれども、これは資料1-3のOCR読み取りの正確性の担保の下のほうの3番で、1%を目視で確認して、間違いがあったら修正するというと、残りの99%は間違いがわからないわけですね。そうすると、単に訂正するだけではなくて、OCRはもとの原稿の品質によってかなり変わってくるわけですね。それが提出医療機関であるとか、記載の方法であるとか、何か類型的なものを出して、それの修正をしていかないと、全体としてなかなか改善していかないと思います。ですから、単に修正するだけじゃなくて、エラーの類型化をやっていかないといけないと思いますので、そこはちゃんと書いておいたほうがいいのではないかと思います。
最近、OCRは非常に精度が高くなってきていますけれども、間違いは起こりますし、どういうところが違うのかというのを類型化しておいて、実際に記入していただく。お忙しい先生方ですけれども、この点を注意してくださいみたいなことをお伝えすることは大事だと思います。
ほか、御説明に関しまして、よろしいですか。
どうぞ。
○五十嵐構成員 医師が自分でコンピューター上にデータを入れる場合に、誤ることも当然あります。どのくらいの頻度で間違うのかについて、データは、康永先生、あるのでしょうか。
○康永構成員 例えば、DPCデータは完全に電子化されているデータですけれども、明らかなヒューマンエラーレベルの間違いがあって、私、前立腺がんの患者さん、10万人のデータを調べました。前立腺がんですから、当然男性なわけですけれども、10万人中10人が女性と入力されていました。それぐらいの割合でヒューマンエラー、男性と入力しているつもりが女性ということはあり得ますけれども、それは論理的に誤りがわかりますので、論理的な誤りというのは完全に修正してしまいます。
ただ、例えば身長と体重が矛盾したデータが入力されている。身長と体重がひっくり返って入れてしまう。160cm、60kgのところを、60cm、160kgと書いている。それも修正可能ですけれども、物すごい外れ値があることがあります。身長250cmというと、恐らくそれは入力間違いだろうということで、そういう場合は欠損値にしてしまうとか、そういった統計的な処理方法とか、そういう異常値が発生するメカニズムから、それを修正する方法というのはいろいろあります。ただ、どうしてもわからないものはわからないので、最終的には入力されているものを信じるしかないというところがあります。
○五十嵐構成員 ありがとうございます。
○山本座長 ほか、いかがでしょうか。
どうぞ。
○森まどか構成員 入力したものが最終的に間違っている場合もあるし、読めないということもあると思います。その読めない原因としては、1つは、例えば手書きで汚くて判別がつかないということはあると思いますけれども、ICカードではないですが、印刷物のほうが。あれは、たしか難病は保険点数をとっていますね。書類を書くこと自体が医療保険の対象だったと思いますけれども、点数を変えるとか、そういうことをして、印刷物を誘導するということはできないかな。あるいは、電子入力でもいいのですけれども、そういう加点をつけるようなことも将来的にあり得ないかなというのがあるのと。
あと、難病の調査票そのものについても、入力とか数値とか、イエス・ノーじゃない形にできるだけ誘導するように、今後書類を作成するほうに。私たちも書類をつくると言われたときに、こういうまとめ方をすることを全く想定していなくて、とにかく締め切りが近いということを言われたので、まとめるほうの都合は余り考えていないと思いますので、そちらのほうも考えるような誘導を長期的にされるのはいかがかなと思います。
○山本座長 ありがとうございます。
ただ、難病は種類が多いですから、全部の様式を決めるのは大変ですね。がん登録は、今、がんセンターで開発したASPソフトといいますか、そのソフトウエアを各病院で院内がん登録に使えるシステムがあって、そのソフトで入力すると自動的に都道府県に行って、それからがん登録に行くという流れができていて、それなりに誤りのチェックとかもやっているのですけれども、これはまだがんだからというのがあって、難病・小慢になると非常にバラエティーがあって、1形式というのはなかなか難しいかもしれないですね。ただ、さすがに未来永劫、OCRというのもないと思いますから、長期的に何か考えていかないといけないですね。
ほか、いかがでしょうか。よろしゅうございますでしょうか。
それでは、次の議事に移りたいと思います。続いて、「(2)ガイドライン(案)について」ということで、ここではまず事務局からガイドライン(案)と、そのポイントについて御説明いただいて、その後、議論に入りたいと思います。
事務局より資料の説明をお願いいたします。
○田中課長補佐 前回の会議で委員の先生方よりいただいた御指摘等を踏まえ、事務局で資料2-2にありますガイドライン(案)を作成いたしました。難病や小児慢性特定疾病の希少性や特殊性を鑑み、NDBガイドラインと異なる点については黄色のマーカーにて色づけをしております。さらに、本ガイドラインにおいてポイントとなる点について、資料2-1にまとめておりますので、あわせて御説明させていただきます。
なお、参考資料1、2として、前回の目次案とNDBのガイドラインを添付させていただいておりますので、必要に応じて御参照いただければと思います。
まず、資料2-1「ガイドライン(案)の主なポイント」を御説明させていただきます。
前回の有識者会議において、ガイドライン(案)の作成の方向性として、まず指定難病患者データベース及び小児慢性特定疾病児童等データベースにおけるデータ提供に係るガイドラインについては、第1回有識者会議の議論を踏まえ、同じく医療情報の提供について規定している「レセプト情報・特定健診等情報の提供に関するガイドライン」をベースにする。
他方、第1回有識者会議で御指摘をいただいた用語の定義、提供先、利用目的及び利用方法、希少事例の公表、中間生成物の保存等については、難病・小慢の希少性・特殊性に鑑み、提案した対応方針案に沿う形で、ガイドラインに盛り込むとの方向性を事務局より御提示させていただき、御了承をいただいております。
このうち、「用語の定義」、「希少事例の公表」、「中間生成物の保存」については、前回の議論において御了承いただいた方向性に基づき、ガイドライン(案)に盛り込んでおります。
「提供先」及び「利用目的及び利用方法に応じた提供データ・審査基準等」に関しましては、前回の議論を踏まえ、次のように整理し、ガイドライン(案)に盛り込んでおります。
1枚おめくりいただきまして、「1.難病DB及び小慢DBのデータの提供先の範囲について」
まず、合同委員会のとりまとめにおいては、「その利用・提供先は、原則として、厚生労働省又は厚生労働省が補助を行う研究事業を実施する研究機関に限定すべきである。ただし、上記以外の者が実施する研究であって、その目的が難病の研究の推進に寄与すると考えられる場合は、(中略)審査において厳正に審査した上、情報の提供の可否を決定することが提供である。」としております。
前回の有識者会議において「原則として、提供先は厚生労働省又は厚生労働省が補助を行う研究事業を実施する研究機関とするが、難病・小児慢性特定疾病の研究を目的とした公益性の高い研究を行う者については、審査会で目的の妥当性・公益性を含めて審査の上、提供を行うこととしてはどうか。」としたところ、難病・小慢の研究における「公益性」の定義が難しいとの御意見をいただきました。
定義が不明確な以上、難病・小慢に関する研究の目的の公益性を客観的に評価することは困難であり、データ提供の可否を審査するに当たって、「目的の公益性」を審査基準とすることは困難と考えられる。
そのため、今後のデータ提供においては、現状の同意書ベースで提供可能な範囲として、厚生労働省又は厚生労働省が補助を行う研究事業を実施する者とし、その研究内容が難病の研究の推進に資するもの又は政策の立案に資するものと判断される場合に提供することとしてはどうか。
更なる提供先の拡大については、今後、当面の利活用の状況及び患者の御意見を踏まえつつ検討し、拡大する場合は同意書に明記することとしてはどうか。
と事務局から御提案させていただきます。
また、「2.利用目的・利用方法に応じた提供データ・審査基準等に係る整理」については、提供データの利用目的・利用方法に応じ、提供データ・審査基準等について、以下のとおり対応することとしてはどうか。
まず、提供データにより研究を行う場合の提供先ですが、厚生労働省、厚生労働省が補助を行う研究事業を実施する者。
提供時の同意は、同意書に基づいて取得。
提供データは、「匿名化」したデータ。
研究結果の公表時の同意取得は、原則不要。ただし、10未満になる集計単位を公表する場合は、患者への再同意の取得が必要。
提供に当たっての審査基準。まず、提供先が適切か否か。提供内容が難病の研究の推進に資するもの又は政策の立案に資するものになっているかどうか。ということでまとめております。
一方、臨床研究等の実施に関して患者に協力を求める場合は、患者が受診している指定医療機関等の情報を元に臨床研究等の実施に関して協力を求める場合を指しています。
提供先は、さきに御説明した場合と同じになっています。
提供時の同意は、主治医を介して再取得をする。
提供データは、再同意の取得に必要となる「指定医が診断を行った医療機関」等の情報。
研究結果公表時の同意取得は、情報提供の再同意取得の際、当該研究の結果の公表についても併せて同意を取得することとする。
提供に当たっての審査基準は、先ほど申し上げた提供データにより研究を行う場合に加え、他の方法にて代替不可か否かということを審査基準の中に追加しております。
また、参考として、用語の定義、希少事例の公表、中間生成物の保存に関する対応方針としては、以下のとおりガイドラインに盛り込んでおります。
用語の定義は、加工方法に関する誤解を避けるため、難病・小慢データベースにおける情報提供時の加工については、「匿名加工」「非識別加工」という表現を避けることとし、第1回の議論を踏まえ単に「匿名化」とする。
研究の成果の公表に当たっては、公表される研究の成果によって特定の個人又は医療機関等が第三者に識別されないようにするという原則に則り、NDB同様10未満になる集計単位が含まれていないものに限ることとする。
その上で、集計単位が10未満であっても、個別の同意の取得を行った場合には、公表を認めることとする。
中間生成物の保存については、データベースについては、登録時点での送付状況及び同意の撤回等の要因により、登録しているデータが変わる場合があるため、厚生労働省で中間生成物を保存することを検討するとさせていただいており、これに基づきガイドライン(案)に盛り込んでおります。
続きまして、ガイドライン(案)の御説明をさせていただきます。最初に御説明させていただいたとおり、このガイドライン(案)は、NDBのガイドラインをもとにしておりまして、今回、難病や小慢の要素をつけ加えた形のデータベースということで、特に追記したところについて御説明させていただきたいと思います。
まず、資料の2ページ、黄色のハイライトが入っているところですが、匿名化、厚生労働省が補助を行う研究事業についての用語をつけ加えております。
まず、匿名化は、本ガイドラインにおいて「匿名化」とは、研究及び政策立案に利用する情報は残した上で、氏名・住所等個人が直接特定される情報を削除することをいう。
厚生労働省が補助を行う研究事業とは、厚生労働科学研究費補助金、日本医療研究開発機構研究費等の公的研究費補助金等により行われる研究をいうと定義しております。
続きまして、3ページでございますが、臨床研究等の実施に関して患者に協力を求める際の再同意に提供する情報について、こちらに記載しております。
続きまして、6ページをごらんいただき、提供依頼申出者の範囲を規定しております。こちらは、難病等患者データの提供依頼申出者の範囲は、厚生労働省、厚生労働省が補助を行う研究事業を実施する者とする。提供に当たっては、有識者における審査会において厳正に審査した上で、その研究目的が難病の研究の推進又は政策立案に資するものであり、個人情報の安全管理のための措置等が適切に行われると判断できるものについて、提供を行うこととする。
なお、提供依頼申出に当たっては、提供依頼申出者が当該提供依頼をすること及び提供を依頼する難病等患者データを利用することを所属機関が承認していることを要件とする。また、上記の者以外で、上記の者からの委託を受けた者又は上記の者と共同して研究を行う者が提供依頼を申し出ることは認めず、原則として上記の者から提供依頼申出を行うこととする。とさせていただいております。
また、11ページでございますが、「提供依頼申出に対する審査」の「総則」といたしまして、難病等患者データの提供が可能となる場合は以下のとおりとする。
厚生労働省が利用する場合については、その所掌事務の範囲内で難病又は小児慢性特定疾病にかかる正確なエビデンスに基づく政策の立案のために利用する場合
厚生労働省が補助を行う研究事業を実施する者が利用する場合については、その利用が指定難病・小児慢性特定疾病の研究を目的としており、その研究成果を広く一般に公表することを目的としており、以下に該当する場合
・難病等患者データを分析することにより研究を行う場合
・臨床研究等の実施に関して患者に協力を求める場合とさせていただいております。
また、12ページでございますが、臨床研究等の実施に関して患者の協力を求める場合には、他の方法において代替不可であることをここで明示させていただいております。
続きまして、24ページでございますが、データの保存について記載しております。下段、「難病等患者データの利用後の措置等」という中で、厚生労働省は、将来、研究成果について再検証等が必要となることを想定し、提供した難病等患者データについて、申請者の申出に基づき、最長10年間、適切に記録を保存することとし、申請者からの当該データについて提供依頼申出があった際には、提供することとする。としております。
続きまして、25ページでございますが、公表について記載しております。
まず、上段のほうには、臨床研究等の実施に関して患者に協力を求めた場合には、当該研究結果の公表についても併せて同意を取得すること。
また、最小集計単位の原則として、患者等の数が原則として10未満になる集計単位について公表する場合、当該患者から公表について再同意が得られていることを原則とする。そのため、審査会は、提供依頼申出者の申出に基づき、当該公表の必要性について審査の上、再同意の取得に必要となる情報(例:指定医が診断を行った医療機関の情報)について、提供依頼申出者に対し提供することができる。としております。
以上がNDBのガイドラインに加えて、今回の我々のガイドラインで追記した部分でございます。先ほどポイントを御説明した部分については、全て反映させていただいております。
説明については以上になります。
○山本座長 どうもありがとうございます。
かなりの分量ではありますけれども、要領よく修正点だけを御説明いただいたと思いますけれども、御意見、御質問ございますでしょうか。
どうぞ。
○樋口構成員 私、もっと早く申し上げるべきことかと思って、しかし、ここに五十嵐先生とか、難病の患者さんと対応されておられる先生がおられるので、その人たちの考え方として、今回はとにかくこういうデータベースを利用する第一歩なので、まずは第一歩としては、これでいいだろうという御判断であれば、それに従うと言っても、初めから従っているようなものですけれどもね。
何を言いたいかというと、資料2-1、一番大きなポイントだと思いますけれども、提供先の範囲ですね。従来も年間10件ぐらいというのは、資料も違うものではあるけれども、極めて限られた範囲でしか研究調査の対象としてこなかった。今度、データベースを整備して、できるだけ広げようという話でここはやってきている。しかし、前回、それは私が申し上げたことではないのですが、どのデータベースでも審査をやりますね。どうぞ、どうぞというわけにはいかなくて、これはちゃんとした研究ですよという話で事前審査をする。
その審査のときの基準が公益性の高いものというのは、極めて抽象的で、基準としては働かないので、もう少し何とかしてくれないかという話があったわけですね。それで、それは何ともできない。何ともできないに決まっているのです。公益性の定義なんて、それはなかなかできないに決まっている。仕方がないので、それで困難なので、結局、範囲を制限することにしたように見えるわけです。厚生労働省が補助を行う研究事業あるいは厚生労働省本体が行う研究だけにして、さらに、中身として難病の研究の推進に資するか、あるいは政策の立案に資する。
これは、相当に広い定義なので、実際は限定しているのかどうか、何とも言えないけれども、誰がというのと、何をという両方、すごく限定しますよという話で、これで年間10件程度が11件になるのだろうか。本当は20件とか、さまざまな研究があって、それが切磋琢磨されて何とかというときに。これも山本先生がすぐ補足か訂正してくれると思いますけれども、ほかのデータベースでも有識者の審議会というものがあって、その中には公益性の判断という堂々とした言葉が入っているはずなのです。だから、実際にやっているのです。
普通に考えると、公益性の定義をやって、それを提供していますということには実はならなくて、余りいい例じゃなくて、全然反対のほうの例で申しわけないですけれども、アメリカの憲法をやっていると、わいせつとは一体何かという定義が難しいのです。定義はなくても見ればわかるというのが、アメリカの連邦最高裁の裁判官の言葉です。つまり、これはわいせつなものだというのがわかるというわけです。
しかし、定義するとなかなか難しいものなので、実際はどうやっているかというと、一件一件、公益性の判断を含めて、それぞれの審議会でやっていて、こういうものはちゃんと公益性が認められていますね。これは、ちょっと違うのではないですかと、はねられた例があるのかどうかわからないですけれども、そういうものを集積していくと、公益性判断というのは、今のところ、そのデータベースについてはという積み重ねこそが、そもそも研究のあり方みたいな感じがするのです。
しかも、変に抑制しない。でも、第一歩としては、ここからスタートしましょうということで、ここだけではないかもしれないですけれども、専門家のまさに研究しようとする方々がこれでいいとおっしゃるなら、それで私もこれ以上のことは言わないですけれども、公益性の定義ができないから、こんなふうに限定しましたというのは、論理が非常に狭いというか、方向性がちょっと違う。ほかの理由があって、まずここからと言うならともかく、定義が難しいから、これですという。
つまり、厚生労働省が補助を行うものではなくて、研究者がやってきて、難病の研究の推進か、そちらが行われる政策の立案に資するような研究をぜひともやりたい。それは、こういうチームをつくって、こういう形でやります。これを審査してくださいと言ったら、このままの案だと門前払いになるわけですから、そこまでの必要はないのではないかと思うのですけれども、それは審査会に入る人にいろいろな負担がかかってくるとは思うのですけれども、それは仕方がないのではないかというのが現時点の私の感想です。
○山本座長 ありがとうございます。
非常に大事な論点だと思いますけれども、御意見いかがでしょうか。
はい。
○千葉構成員 私、前回欠席でしたので、今回見させていただいたときに、同じような印象は非常に強く持ちました。定義はともかくとして、私自身としては、これは厚労省、AMED並びに文科省あるいは学会ですね。それで、学会も、前にいろいろな学会があるという話もありましたけれども、基本的にはそういうところでも利活用できるようにするというのが本来の筋ではないかと思います。ですから、そこについては、今は仕方がないのかもしれませんけれども、理想といいますか、目標としてはそこを設定して、今後考えていくべきであると思います。
それから、これはちょっと別ですけれども、各研究班からの申請が10件ぐらいということですけれども、現実には厚労省あるいは保健科学院のほうで、それなりにこのデータは利活用されていて、集積されていて、特に基礎的なデータ、患者数とか男女比とか年齢といったものは、不完全ではありますけれども、既にある意味公表されていて、それを各研究班の人たちが利用しているのは事実ですね。不完全といっても、それなりにデータとしては意義があるということですので、多くの人がある意味活用しているわけですけれども、そこも含めて、もうちょっと広げたほうがいいというのが、実際に活用する側から言うと、それが本音のところですね。
○山本座長 ありがとうございます。
ほか、いかがでしょうか。
どうぞ、五十嵐先生。
○五十嵐構成員 現状では、提示された様な制限がかけられるのは仕方ないことと思っています。データを集める方法に、現状では不十分なところがたくさんあります。ですから、しっかりとした体制を作ることが先決と考えています。難病の場合には、実際の重症度が重く記載されている嫌いがあるとの指摘がありました。それについて厚労省の研究班が近いうちに検証する予定と伺っております。それから、小慢に関しては、医療費助成の制度があるために、全例が登録されているわけではありません。こうした点をまずしっかり改善するために、今回のこの機会を利用してしっかりとした体制を組むということが必要ではないかと思います。
樋口先生や千葉先生が先ほど御指摘になったことも非常に重要です。データを文科省あるいはしかるべき学会に属している先生方も利用できるようにするということは、基本的には大事なのではないかと思います。ですから、今回、この場でそこまで検討するかどうか、私は一度皆さんで討議することが必要ではないかと思います。
データがしっかりした暁には、将来、企業も使わせてもらいたいと言ってくるかもしれません。難病や小慢のデータは臨床研究を行う際の基礎になります。そういう意味から、企業のデータ利用も国民のために最終的にはなると思います。こうした点も含めて、データを利用する対象範囲をどうするか、皆さんの御意見を聞くのがいいのではないかと思います。
○山本座長 ありがとうございます。
どうぞ。
○康永構成員 このデータの悉皆性が十分じゃないというお話があったと思いますけれども、悉皆性があるデータなどは世の中にほとんどないのであって、NDBぐらいで、ほかのデータは全然悉皆性がない。悉皆性がないからといって、このデータは余り価値がないかというと、全くそんなことはありません。確かに疾病の正確な有病率であったり、新規発生率というのを捉えるのは、悉皆性あるいは母集団代表性がないとできないので、その点についてはちょっと難しいかもしれませんが、それ以外に、例えば治療のプラクティスのパターンを分析したり、あるいはいろいろな治療の効果を判定したり、疾病の予後を推計したり、予測したりといった臨床研究というのは非常によくできると思います。
ですから、現状、そういった患者数の把握とか、疫学研究に少し偏っていたような印象がありますけれども、その役割は既にやってしまっていて、今後、利用者を広げて、もっと研究を進めるという段階に当たっては、疫学研究よりは、むしろ臨床研究をやっていく必要があると思います。そうなってくると、研究者の自由な発想がとても重要になってきて、いろいろな先生たちがいろいろなクリニカルクエスチョンを持ってきて、このデータを使っていろいろな臨床研究をする。
その意味では、むしろ厚生科研というよりは、研究者が自由な発想で研究費を申請して審査を受けるという文部科研の枠組みであったり、あるいはAMEDの枠組みであったり、そういったことにも広げていくのがふさわしいのではないかと思います。
○山本座長 ありがとうございます。
ほかの先生方、いかがでしょうか。
どうぞ。
○三谷構成員 このガイドラインを拝見して思いますのは、患者さんに同意をいただいて御協力をいただいて、これだけのものをつくろうということですが、実際に治療上の患者さんのメリットが出てくるのは随分先のことなのかなと思います。確かに言葉の問題もありますし、最初の第一歩の枠組みとしては、御提案されたとおりで仕方ないと思うのですけれども、最終的には新しい治療法が開発される、あるいは薬剤が開発されるという形で、患者さんにメリットが来るような形の運用が将来の目標であってほしいなと思います。五十嵐先生がおっしゃったように、すぐにということではないと思いますけれども、そういうことを視野に入れたものであってほしいなと思います。
○山本座長 ありがとうございます。
ほか、いかがでしょうか。
どうぞ、宇賀先生。
○宇賀構成員 公共性とか公益性というのは、実体的に定義するのは非常に難しいのですけれども、そのときにいわば補完的に用いられる方法として、手続的に公共性というのを担保する手法があります。つまり、有識者・専門家が集まって、そこでじっくりと審議をして、その結果得られたものについては、公共性とか公益性があるものとして判断していこうという考え方がかなり一般的にあります。
行政機関個人情報保護法とか独立行政法人等個人情報保護法の場合には、目的外利用・提供のところに規定はないのですけれども、日本の個人情報保護法制は非常に分権的な仕組みをとっていまして、都道府県・市区町村には、個人情報保護条例が100%あるのです。その個人情報保護条例を見ますと、ほとんどにおいて目的外利用・提供のところにバスケットクローズが置かれているのです。
それは何かというと、審議会条項と言われているのです。それぞれの自治体に個人情報保護に関する審議会なり審査会があります。そこに諮問して、最終的にそこで公益性があると判断されたものを、目的外利用・提供禁止原則の例外として認める規定が、幾つか列挙されている目的外利用・提供禁止原則の例外規定中の最後のバスケットクローズとして置かれているのです。最終的にはそういう方向も考えていく必要があるのかなと思います。
○山本座長 ありがとうございます。
○田中課長補佐 事務局からよろしいでしょうか。
取りまとめの合同委員会では、学会については御議論いただいたところでございます。非常に種類が多いので、学会については中長期的に検討すると。
一方で、指定難病に関しましては、現在、約90の政策研究班というものがございまして、全ての指定難病をカバーしていただいております。こちらが診断基準や重症度の見直しという作業をしていただいていて、その作業には、関連する学会の承認を得ることというのが原則としてあるのですね。なので、例えば先生のほうから発言があった重立った学会というのは、研究班と結びついていると。つまり、学会の先生方とお顔の見えるような関係は、全ての研究班及びその指定難病の関係する研究班には、それをミッションとして課しているところがございます。なので、学会と全く別のものということではないことを補足させていただきたい。
それから、取りまとめの中では、特に他省庁、文科省の御指摘が幾つかございましたが、についての議論というのは実はなかったので、今回、御意見いただきましたので、その点について事務局のほうで持ち帰らせていただき、宇賀先生のほうからもございましたが、どのような形で対応するかということについて、次回までに御提示させていただきたいと思います。
○山本座長 ありがとうございます。
たしかNDBも厚生労働省の補助とは限っていなかったと思います。公的補助と書いてあったような気がします。ですから、文科省もそうですし、例えば都道府県あるいは自治体等で特別の疾患の助成をしている場合に、自治体が補助金を出して研究するみたいなことも多分あり得ると思います。そのバックグラウンドデータとして、このデータベースが欲しいということも多分あり得るので、そこはちょっと広げておくほうが研究の幅が余り狭くならなくていいのではないでしょうか。
一方で、例えば難病もそうですし、小慢もそうですけれども、ほかのデータベースに比べると相当濃い臨床情報が入っていますし、小慢に関して言うと、遺伝子情報も入ってくる可能性が多分十分にあって、そういう意味では、NDBより慎重に進めないといけないデータベースであることは間違いないと思いますので、最初は若干様子を見ながらというのも多分やむを得ないことだろうと思います。
そういう意味では、先ほどの補助金の件も少し御検討いただいて、当然ながら、今、厚労省全体としてデータヘルス計画の中で、NDBと介護総合を結合して分析できるようにして、なおかつ提供範囲を少し拡大するみたいなことは検討されていますので、全体の中でまた見直していきたいということが多分いいのではないかと思います。
ほかに、ガイドライン(案)について、いかがでしょうか。よろしゅうございますか。
では、次回、きょういただいた御意見をもとに、修正案を事務局から御提示いただきたいと思います。
それでは、次の議事「(3)データ提供に係る同意の在り方の見直しについて」に関する議論に移ります。
事務局から、同意の見直しについて説明をお願いいたします。
○田中課長補佐 それでは、同意の見直しについて説明させていただきます。
まず、前提といたしまして、6月20日に開催されました第56回「厚生科学審議会疾病対策部会難病対策委員会」と第30回「社会保障審議会児童部会小児慢性特定疾患児への支援の在り方に関する専門委員会」、合同委員会と我々は呼んでおりますが、において取りまとめられた指定難病患者データベースと小児慢性特定疾病児童等データベースの利活用の在り方についての中では、本有識者会議において、同意の撤回方法、経年データの提供について検討することとされております。
また、前回の有識者会議において、指定難病と小児慢性特定疾病の同意書の異なる点について御指摘をいただきました。合同委員会での御指摘等を踏まえ、同意の撤回、経年データの提供について御議論いただき、さらに御指摘のあった任意性の担保や患者への再同意等についても御意見をいただきたいと思います。本有識者会議において取りまとめられました同意の見直し案については、次回合同委員会にて御提示させていただく予定としております。
それでは、資料について御説明させていただきます。
資料3-1をごらんください。「指定難病患者データベース及び小児慢性特定疾病児童等データベースにおける同意の見直しについて」。
まず、同意書の比較をさせていただいております。難病DBが左側、小慢が右側ということで、まず利用の範囲・提供先については、難病DBは、難病の研究を推進するため、本申請書に添付された診断書(臨床調査個人票)をデータベースに登録し、厚生労働省の研究事業等の基礎資料とする。小慢については、小児慢性特定疾病の児童等の健全育成に資する調査及び研究を推進するための基礎資料とさせていただいております。
任意性の担保については、難病DBには記載がございません。小慢には、同意については任意であり、同意されない場合についても医療費助成の可否に影響を及ぼすものではございませんとの記載があります。
また、臨床研究時の再同意の取得については、難病DBでは、臨床調査研究分野の研究で行われる臨床研究等の実施に関して協力を求める場合は、改めて、それぞれの研究者から主治医を介して説明が行われ、同意を得ることとされています。一方、小慢のDBについては、記載がありません。
経年データについては、難病DBに記載がなく、小慢DBでは、受給者番号等によって患者さんの経過(どのような治療を受けて、どうなったか等)を把握することはありますと記載しております。
また、研究結果の公表について、難病DBでは記載がなく、小慢DBでは、研究の成果は公表しますが、その際個人が特定されることはありませんと記載しております。
同意の撤回については、両DBとも現在のところ記載がありません。
このような2つのデータベースの同意書については違いがあるということを、まずお示しした上で、今後の同意書の見直しの方向性(案)について御説明させていただきます。
データベースの目的や利用範囲・提供先については、患者の誤解を招くことがないよう、より具体的に明記することが必要である。
そのため、目的を「指定難病及び小児慢性特定疾病に関する研究の推進及び政策の立案のため」とした上で、それに必要な関係者として、新たに、都道府県、政令指定都市及び中核市を提供可能な範囲として明記することとしてはどうかといたしました。先ほど山本先生のほうからも御発言がありましたが、がんなどの研究では、この政策の立案というのがデータベースの使用目的として明記されております。現在、取りまとめの中でも、厚生労働省又は厚生労働省が補助するとなっているのですが、厚生労働省は研究をするということは余りないのです。厚生労働省がこういったデータを使うのは、あくまで政策の立案というのが主な目的でございます。
一方、その文言が、現在の同意書では入っておりませんで、全て研究の推進となっているので、この政策の立案ということを明示して、より患者様にわかりやすい形で同意書を変えてはどうかということを事務局から御提案させていただきたいと思います。
現行の同意書の記載については、先ほど申し上げたように、それぞれの研究の基礎資料となっています。
現行の同意書に基づく取り扱いについては、利用範囲は指定難病及び小児慢性特定疾病に関する研究の推進及び政策の立案のための基礎資料。提供先は、厚生労働省と厚生労働省が補助を行う研究事業を実施する者。
これについて、利用範囲をまず明確化するということは、今、申し上げたとおり、政策の立案のための基礎資料と追加させていただきたいという点と、提供先については、この政策の立案のために、都道府県、政令指定都市及び中核市とさせていただきたいということです。提供先の拡大については、先ほどから御議論がございましたが、更なる提供先の拡大については、今後、当面の利活用の状況及び患者の御意見を踏まえつつ検討し、拡大する場合は同意書に明記することとしてはどうかとさせていただいております。
先ほど御意見いただいた点については検討させていただきますが、事務局としては、今回この形で御提示させていただきたい。
参考といたしまして、臨床調査個人票の研究利用についての同意の文言と、小児慢性特定疾病に係る医療費助成申請における医療意見書の研究利用についての同意書の文言を入れておりますので、適宜御参照いただきたいと思います。
続きまして、資料3-2に今の御提案に準じた形の同意書(案)を御提示させていただいております。これは、指定難病と小児慢性特定疾病、同じ同意書の書式で今後運用してまいりたいというひな形になっております。こちらのほうを御確認いただければと思います。全て先ほどございましたが、任意性の担保についても記載しております。また、同意の撤回等についても記載しているものになります。こちらの同意書の案についてもあわせて御議論いただければと思います。
資料については以上です。
○山本座長 ありがとうございます。
御意見、御質問がありましたら、どうぞよろしくお願いいたします。
どうぞ。
○森まどか構成員 先ほどの議論がわかっていなかったかもしれませんけれども、今の提供先というのは、公益性という言葉の意味等々で、もしも提供範囲が拡大したら、あの文言も変わり得るということでよろしいですか。
○田中課長補佐 先ほど御指摘のあった文部科学省とか、そういうことも提供先として入れることを検討した場合、その厚生労働省が補助を行うというところについては、若干変わる可能性がございます。
○山本座長 ほか、いかがでしょうか。
どうぞ。
○神里構成員 資料3-1の方向性については、全く異論がないのですけれども、資料3-2のほうで、それを具体的な形にしたときの案を拝見しますと、ちょっと違和感があります。恐らく、この同意の内容としては、1つには、データベース登録をさせてもらいますということ。そして、そのデータベースに登録された情報を研究者なり自治体なり国が使いますよという2つのことだと思うので、そこがわかるような形で書かれたほうがよいかと思います。
そして、この中の説明文章の上3行、「指定難病」から3行目の「います」のところまでに前提が書かれているのですけれども、この3行を入れるのであれば、私の考えとしては、こういった臨個票の医療意見書は申請時に提出していただくものだけれども、それは指定難病に関する研究の推進、政策の立案のために、とても重要だから、こういうデータベースを、例えばちょっと長くなってしまうけれども、法に基づく基本方針にのっとってデータベースをつくっていると思うので、入るのであれば、その背景を少し書いた上で、データベースに入れるということを進めています。
つきましては、データベースに入れること、そして、そこから先ほど議論になっている研究者の範囲というのもありますけれども、研究者にデータを配布していくことについて同意いただけますかという形にしていただいたほうが、趣旨がわかりやすいかなと思いました。
また、遺伝情報に関しても入れるのであれば、もしかしたら遺伝情報についても一言書いておかれたほうがよいのかなと感じました。
以上です。
○山本座長 ありがとうございます。
事務局から何かございますか。
○田中課長補佐 取りまとめの会で、もともとの同意書を余り大きく変えないで今回は見直すという大前提だったので、現行の同意書を少し参考にしながら書かせていただいておりまして、現行の同意書はいろいろ御意見があって、確かにわかりづらいということがありますので、御指摘いただいた点を勘案して、同意書の案について、また改めて御提示させていただきたいと思います。
○山本座長 どうぞ。
○三谷構成員 新しい同意書に関しまして、特に指定難病のほうも経年経過を追える形で同意をとっていただけるということで、今後はより質の高い情報が得られるのでありがたいかなと思います。
1点質問ですけれども、受給者番号等でひもづけをして、多分経過を追っていかれるということですが、小慢の患者様が例えば成人になられた場合には、指定難病に変わったりするのですか。
○田中課長補佐 小慢と難病患者様のデータベースの連結については、中長期的に議論したいと考えています。現状では、委託している場所も全く違いますし、このデータベースが連結できておりません。
一方で、例えば小慢対象の患者様でも、早い段階から指定難病に申請していらっしゃる方については、かなり小さなころからのデータが蓄積されているケースというのもないわけではないと聞いております。
○三谷構成員 とても大事なことだと思いますので、小慢に登録された患者様が長期的にどういう予後で、どういうQOLだったかということがぜひわかるような形にしていただけるといいと思いました。
ありがとうございます。
○山本座長 ありがとうございます。
これは、次回の合同委員会に出される予定ですね。そうすると、少なくとも大きな方針はここで合意しておくほうがいいですね。そういう意味では、今、ややわかりにくいという御意見と、もう一つは、先ほど議論いたしました、この同意書の文案で言うと、2ページ目の上から5行目ぐらいに3つポチがついていて、厚生労働省。それから、都道府県、指定都市、中核市はまあいいとして、真ん中の「厚生労働省の補助を行う研究事業を実施する者」を「公的機関の補助を行う」とするか、省庁だけに限るなら「政府の補助を行う」と書くかですね。これはまた事務局のほうで御検討いただいて、ここは整合性がとれるように。
全く私の個人的な感覚で、参考にしていただくといいのですけれども、厚生労働省だけというのは、どうもちょっと引っかかるところがある。少なくとも文科省まで入れておいていただけると、研究者の自主性が結構保障されるという気がしないでもないですから、そこは少し御検討いただければと思います。
あと、要件としては、継続して追跡できるということと、研究の在り方としてはそうですね。
もう一つは、同意の撤回が明確に書かれているということが、同意書である以上、撤回できないと多分意味がないので、そういう意味では、これで比較的余り抜けのない同意書になったかなという気はしますけれども、いかがでしょうか。
どうぞ、康永さん。
○康永構成員 「公的補助」と書くと、また「公的補助」の範囲はという議論が始まってしまいますので、例えば海外のファンドからもらったら、それは外国の政府だったりするわけで、それは公的補助金に入るかどうかという議論が始まってしまいますから、むしろ具体的に、医学系の研究者に係る補助金というと、厚労科研と文部科研とAMEDだけを書いてしまうのもありかなと。
○山本座長 いいのではないでしょうか。先ほど取り上げた自治体の補助というものが入らないなという気はしないではないですけれども、それは実際にそういう申請が来てから考えるというのも、1つ手だと思います。
バスケットクローズみたいにもう一つ何かをつけておくと、そのとき議論ができるということがありますね。ですから、「有識者会議で十分審議した上で適切と認められた」ということを1つ入れておくと、実際にそれが提供されることはほとんどないにしても、一々ルールを変えなくても、少なくともその例に関しては何とかなるということがありますね。
はい。
○森まどか構成員 先ほどから出ている有識者会議というのは、何かもう既に。
○山本座長 多分、これの延長だと思います。
○森まどか構成員 では、我々が召集されて、いいですかという話をするということですか。そういう実態を持つものをつくることも、今後の議論次第では可能ということですか。
○田中課長補佐 審査会を設置することというのは、取りまとめの会のほうで決まっておりまして、その審査会を設置する前のガイドラインとか審査会の運営方法について、この有識者会議で取りまとめをいただくというたてつけになっておりますので、次回には、その審査会について、皆様に運営方法を含めて御議論いただきたいと思っております。
合同委員会に御報告させていただくのは、次回、第4回有識者会議の後になりますので、今回いただいた御指摘を踏まえ、提供の範囲とか同意書の案などを、いただいた御意見をもとに事務局のほうで検討させていただいてまとめたいと思っておりますが、今の感じでは、文部科学省、厚生労働省、AMEDと具体的に記載するということと、何かあったときに有識者会議においてという文言をつけ加えるということでよろしいでしょうか。
○山本座長 どうぞ、加藤先生。
○加藤構成員 今の議論を追えていないかもしれないですが、今の資料の表になっているところ、2ページ目ですか、これの提供先で書かれているものと、この有識者会議の議論とは一体、という理解でいいのですか。この有識者会議で、例えばAMEDを追加したら、その瞬間、ここにもAMEDが入って、翌年、例えば自治体が入ったら、その瞬間、ここに自治体が入る。その都度リニューアルされるという理解ですか。
○田中課長補佐 まず、最終的には合同委員会に御提示するということが必要になりますが、この有識者会議の御意見として、こういうものを追加してはどうかということを合同委員会にお諮りさせていただく。そこで了承が得られれば、そういった形で反映していくという形になろうと思います。
○加藤構成員 わかりました。そうしたら、少しおくれて、ここの議論がこちらに上がってくるだろうということですね。その上で、今の議論で提供先が厚労省だけというのはという議論になっていて、公的な研究費という話があったと思うので、細かい話ですけれども、NDBのほうだと、あとAMEDとPMDAが入っています。それ以外には、いわゆる医療のサービスの質の向上等を目的に含む公益団体とか研究開発独法とかが、NDBのほうには利用者として含まれているものがあるのですが、今の議論の中で言うと、PMDAなどは追加しておいて、公益性の高い機関からの申し出ということで加えておかれてもよろしいかと思いました。
○山本座長 最後のところに入ればいいのではないでしょうか。当面、PMDAが難病とかをやるとは思えないので。
ほか、いかがでしょうか。
それでは、次回、もう一回見ていただいてから合同会議ということですね。わかりました。
どうぞ。
○宇賀構成員 同意書の文言のところで、個人情報についてのところですが、ぜひ修正してほしいという趣旨では必ずしもないのですが、「患者さんを特定できないように匿名化しており」という表現と「公表しますが、その際個人が特定されることはありません」と書かれています。匿名加工や非識別加工の場合は、確かに定義上は特定の個人が識別されないということが要件の一つになっているのですが、あれも絶対識別されないということではなくて、一般的な方法ではという了解なのですね。だから、あらゆる方法で特定の個人が識別されないということではないわけです。
今回の場合は、まして匿名加工でも非識別加工でもない匿名化ですね。ですから、全く個人が特定されないと言い切っていいのかなということが、ちょっと気にはなります。ただ、一般的には特定されないという言い方にした場合、過剰に萎縮してしまって同意が得にくくなるということが起こることを懸念されているのかなと思ったのです。ですから、その点はぜひ修正してくださいということではないのですけれども、そのあたりがちょっと気になるということは申し上げておきます。
○山本座長 ありがとうございます。おっしゃるとおりですね。その点も踏まえて、少し検討してください。
ほか、御意見いかがでしょうか。
○田中課長補佐 事務局から確認させていただきたいのですが、事務局から御提示させていただいた中に「政策の立案」というわかりやすい文言を入れるというのは、合同委員会の中で特に議論された内容ではないので、それについて御了承いただけるかというかことと。
厚労省、厚労省の補助を行うというところについての拡大は、今、御意見いただいたと思いますが、都道府県・指定都市・中核市については、今回どのようにお取り扱いをすればいいかということをちょっとまとめていただければと思います。
○山本座長 わかりました。
いかがでしょうか。政策の立案は、当然ですね。ですから、入れることに多分異存はないと思いますけれども、何か御意見ございますか。
あと、都道府県・指定都市・中核市。これは、その地域での指定難病、小児慢性特定疾病の補助とかをやっていますし、当然ながらこういったデータを要求する理由はわかりますね。中核市に限定したのは、中核市より小さいところはやらないということですか。
○田中課長補佐 小児慢性特定疾病は、既に中核市まで業務がおりておりまして、難病については中核市まではまだおりていないのですが、その点で業務がどこまでおりているかというところで違いがあるので、※で「中核市(小児慢性特定疾病のみ)」とさせていただいております。
○山本座長 わかりました。
この追加はよろしいでしょうか。一応、皆さん、これは合意ということでお願いいたします。
ほか、この同意に関して御意見ございますでしょうか。
どうぞ、樋口先生。
○樋口構成員 今、宇賀さんの話があったので、結局、最後、こういう新しいモデル同意書というものを提示することになりますね。そこの文言が最後、大事になったりするから。宇賀先生が気にしておられるのが同意書の中の何ページかというのが簡単に言えないのが。資料3-2の1ページの個人情報保護についてというところですか。そこの「患者さんを特定できないように匿名化して」おりというのが、厳密には言えないだろう。今、思いつきだけで言っても、余りいい案もないのですけれども、特定できないようにする趣旨で、「ために」とか。目的としては、そういう方向で考えているものですということです。
このままだと、できないほどの匿名化をしておりと読まれると、ちょっと厳密ではないねという話で、こちらの趣旨あるいは目的としてというのが入ればまあ許されるかもしれない。何だかずるい法律家の逃げみたいな、言葉尻で申し上げているようですみませんが。
もう一つだけ、これも同じなのですけれども、その次のページのところで、研究の成果を公表しますが、その際、個人が特定されることはありません。これも読み方で、研究の成果の中にはっきり個人を特定してなんてあり得ないのですけれども、そういうことはないですよという趣旨ですね。研究成果を公表する際ということですけれども、その結果として、誰か悪いやつが個人を特定して悪いことをすることなど絶対ありませんという話は、もちろんここには書いていないというので、これはこのまましかしようがないのではないかと思ったりします。
○山本座長 ありがとうございます。
なかなか表現が難しいですね。要するに、安全対策として匿名化しているだけの話なのですけれどもね。
ほか、御意見ございますでしょうか。よろしいでしょうか。
あと、先ほど遺伝子に特段触れるというお話があったように思うのですけれども、この点に関してはいかがですか。
○田中課長補佐 遺伝情報については、疾病ごとに入っているものと入っていないものがあるので、明確に全てにおいて入っているわけではないのです。どちらかというと、現時点では、臨床調査個人票には、遺伝の情報はまだ比較的少ない状況でございます。こういった文言を一部という形で入れることが適当かということだと思うのですけれども、そこについて御意見をいただければ。数としては、かなり少ないです。
○山本座長 わかりました。
私は、個人的には、遺伝子情報も遺伝子情報じゃない情報も同じだと思っていますので、どちらもそれなりに注意して扱わなければいけないことですから、特段、遺伝子情報が入っていることを言うことは、多分必要ないのではないかと思います。逆にそう言うと、そうでない場合がいいかげんになるというおそれもありますし、フェノタイプ、要するに表現型を見るだけで遺伝子がわかる病気もたくさんありますし、そういう意味では、遺伝子が入っているから大事だということは多分ないだろうと思いますけれども、いかがでしょうか。
よろしゅうございますか。そこは、もう少しわかりやすく、中で検討していただくことにさせていただきます。
ほかに御意見ございませんか。よろしゅうございますか。
それでは、きょういただいた御意見をもとに、もう一度案をお示しいただいて、それをこの有識者会議で見せていただいて、合同会議に上げるという手順で進めたいと思います。
本日の議題は以上になります。
最後に、事務局から何かございますでしょうか。
○田中課長補佐 次回第4回有識者会議の日程につきましては、決まり次第、御連絡をさせていただきます。
事務局からは以上になります。
委員の皆様におかれましては、御多忙のところ皆様に御出席をいただきまして、まことにありがとうございました。
○山本座長 それでは、これで第3回有識者会議は終了といたします。どうも御議論ありがとうございました。