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第2回 解雇無効時の金銭救済制度に係る法技術的論点に関する検討会(議事録)
日時
平成30年11月30日(金)15:00~17:00
場所
労働委員会会館 中央労働委員会612会議室(6階)
(東京都港区芝公園1-5-32)
(東京都港区芝公園1-5-32)
出席者(五十音順)
岩村正彦 東京大学法学部教授
垣内秀介 東京大学大学院法学政治学研究科教授
神吉知郁子 立教大学法学部准教授
小西康之 明治大学法学部教授
中窪裕也 一橋大学大学院法学研究科教授
議題
解雇無効時の金銭救済制度に係る法技術的論点について
議事
- ○岩村座長 それでは、ほぼ定刻でございますので、ただいまから第2回「解雇無効時の金銭救済制度に係る法技術的論点に関する検討会」を開催することにいたしたいと存じます。
委員の皆様方におかれましては、きょうも大変御多忙のところを御参集いただきまして、まことにありがとうございます。
本日の委員の出欠状況でございますけれども、鹿野菜穂子委員が御欠席ということでございます。
最初に、きょうの議題に入ります前に、前回検討会を開催してから事務局に異動があったということでございますので、事務局のほうから説明をいただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○坂本労働関係法課課長補佐 それでは、本年7月31日付の人事異動によりまして事務局に異動がございましたので、紹介をさせていただきます。
まず、労働基準局長の坂口でございますが、所用のため30分程度遅れて到着する予定でございます。
大臣官房審議官(労働条件政策、賃金担当)の田中でございます。
○田中審議官(労働条件政策、賃金担当) 田中でございます。よろしくお願いいたします。
○坂本労働関係法課課長補佐 総務課長の富田でございます。
○富田総務課長 富田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○坂本労働関係法課課長補佐 労働関係法課長の長良でございます。
○長良労働関係法課長 長良でございます。
○坂本労働関係法課課長補佐 労働関係法課調査官の五百籏頭でございます。
○五百籏頭労働関係法課調査官 五百籏頭でございます。
○坂本労働関係法課課長補佐 そして、申しおくれましたが、私、労働関係法課で課長補佐をしています坂本でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○岩村座長 ありがとうございました。
また、法務省からオブザーバーということで、法務省民事局の笹井朋昭参事官にも御参加いただくことになっております。
○笹井法務省民事局参事官 笹井でございます。よろしくお願いいたします。
○岩村座長 どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、最初に事務局のほうから、きょう配付いただいております資料の確認をいただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○坂本労働関係法課課長補佐 それでは、お配りしました資料の御確認をお願いします。本日は、資料2種類と参考資料2種類の計4種類をお配りしております。まず、資料1としましては、「今後の進め方について」という1枚紙でございます。資料2につきましては、A3の紙でありまして、「解雇無効時の金銭救済制度に係る主な法技術的論点シート」というものをお配りしております。それから参考資料が2種類ありまして、参考資料1が横置きのもので、「解雇無効時の金銭救済制度に係る主な法技術的論点について」、参考資料2が「検討事項に係る参考資料」ということになっております。その他、座席表をお配りしておりますので、不足などありましたら、事務局のほうにお申しつけいただければ幸いでございます。
○岩村座長 ありがとうございました。
資料のほうはよろしゅうございましょうか。
それでは、早速本日の議題に入りたいと存じます。お手元の議事次第にありますとおり、本日の議題は「解雇無効時の金銭救済制度に係る主な法技術的論点について」ということになっております。この後の進め方でございますが、事務局から提出いただいている資料の説明をいただきまして、その後、それらの資料を踏まえて先生方に御議論いただくという流れとさせていただきたいと考えております。
それでは、事務局から資料1の説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○坂本労働関係法課課長補佐 では、縦置きの資料1に基づきまして説明をさせていただきます。「今後の進め方について(案)」というタイトルでございまして、本日が第2回目の検討会ということになっております。第3回ですけれども、事務局としましては12月下旬ごろを予定しておりまして、本日この後、説明します資料2の論点に基づきまして御議論いただいた結果を踏まえて、解雇無効時の金銭救済制度に係る主な論点の整理ということを行いたいと考えております。第4回目は年明けの1月下旬ごろを予定しておりますが、12月下旬の第3回でお出しさせていただく予定の論点の整理に基づきまして、有識者の方からのヒアリングを実施したいと考えております。第5回目以降は、本制度につきましては、本年6月に閣議決定をされました未来投資戦略2018におきましても、可能な限り速やかに法技術的な論点について専門的検討を行うとされておりまして、特段検討の期限というのは定まっておりませんけれども、そうしたものも踏まえながら、引き続き精査を進めていければと考えております。
資料の説明は以上でございます。
○岩村座長 ただいま今後の進め方(案)ということで、資料1の御説明をいただいたわけでありますが、何か御意見あるいは御質問等ありましたら、お出しいただければと思いますが、いかがでございましょうか。よろしいでしょうか。
ありがとうございます。
それでは、今後の進め方については、このような形で進めていただくということにしたいと思います。
続きまして、資料2につきまして事務局から説明をいただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○坂本労働関係法課課長補佐 続いて、A3の横置きの資料2「解雇無効時の金銭救済制度に係る主な法技術的論点シート」というタイトルのものでございます。タイトルの下に「~透明かつ公正な労働紛争解決システム等のあり方に関する検討会報告書を踏まえ~」と記載させていただいておりますが、本技術的検討会の設置の前に、平成29年5月に、「システム検討会」と我々は呼んでおりますけれども、この検討会の報告書をまとめさせていただいております。本日は、そうしたシステム検討会の報告書も踏まえて、論点について御議論いただきたいと思っております。
まず、上のオレンジの枠囲みの部分として、検討の前提となる内容を記載させていただいております。1行目のところですが、本制度については、「無効解雇がなされた場合に、労働者の請求によって使用者が労働契約解消金を支払い、それによって労働契約が終了する仕組み」というものを念頭に置いて検討をしているところでございます。これによりまして、いわゆる事前型と呼ばれるような、使用者の請求によって解消金を支払うという制度ではなくて、事後型と呼ばれております、労働者の請求によって解消金を支払って、それによって契約が終了するという仕組みを前提にしております。
検討の際の基本的視点としまして2つ記載しておりますけれども、労働者保護の観点から、紛争解決に係る労働者の選択肢を増やすということが1点目、②としまして、迅速な紛争解決に向けた一回的解決。これは裁判上の争いになった場合に、基本的には一回の裁判で解決が可能な仕組みということを基本的視点としまして、制度設計をするということで記載をしております。
下の部分が具体的な論点ですが、資料の見方としまして、真ん中より上に記載しております少し色がついている部分につきましては、システム検討会の報告書とか、前回第1回の御議論を踏まえまして整理をさせていただいた部分となります。その下に青い枠で囲ってありまして①から⑬までの記載がある部分を、今回先生方に御議論いただきたい論点という形にしております。
左から順番に説明をさせていただきますと、一番左のところで本制度の対象となる解雇をどうするかという論点でございます。これは選択肢としましては、上のところで全ての解雇・雇止めを対象にする選択肢と、下のところで一定の解雇を対象から除くと。一定の解雇の例としましては、例えば労組法7条に規定されております労働組合の組合員であることを理由とする解雇ですとか、男女雇用機会均等法によります例えば性別を理由にする差別的解雇といったものを除くという選択肢がございます。
その下で、論点でございますが、仮に差別的解雇を対象から除いたとしても、一般的には使用者のほうが自ら差別的解雇を行ったということは可能性としては低いと思われますし、労働契約解消金の請求を行いたいという労働者の側から見ても、その場合には普通解雇だと主張することが想定されますので、一定の解雇を対象から除く実益はないのではないかという論点でございます。
その右にいきまして、権利発生の要件という論点でございます。こちらにつきましては、システム検討会における議論では、まず権利の法的性質というところに一義的には着目して、それに応じてその後の検討を進めていたところでございますが、ある意味権利の法的性質というものは、権利の要件とか内容とか、そういったものが固まった状態において少し検討できるところもあるのかなと思っておりますので、今回はシステム検討会の御議論も踏まえながら、そうした点から御議論をいただければと思っております。
考えられる要件としましては、システム検討会の報告書等におきましても(1)から(3)までの3点が挙げられております。1点目としては、解雇がなされていること。2点目としては、その解雇が無効であること。3点目としましては、労働契約解消金の請求が行われている。これは労働者による権利行使の意思表示が行われているという整理がされております。
その下にいきまして、意思表示の方法の例でございます。これは考えられるものを幾つか挙げております。一番上の特段の限定なしというところは、今回実体法において新たな権利を創設しますので、その原則的な考え方に基づけば特段制限をしないというのが1つ目のポツでございます。2つ目のところは、裁判外で一定の書面の行使に限って権利行使を認めるような方法。3点目としては、裁判の訴えの提起と労働審判に限って認めるような方法。一番下は裁判による訴えの提起によって認める方法を例として記載しております。
その関係で論点の部分ですが、②として、意思表示の方法として、例えば裁判外での行使がなされた場合に、先ほど権利発生要件のところでも説明しましたけれども、解雇が無効であるということが要件になっておりますので、その点について労使の自主的な合意による解決というものがどのようになされるのか。これは現在であっても例えば労使によって解雇が無効であるということが合意されることももちろんあると思います。一般的にはそこが労使の間で意見の隔たりが大きくなるところかと思いますので、それが裁判外において自主的に合意がなされるかというところをどのように考えるかという論点でございます。
「また」以下につきましては、そうした課題に対応するために、例えば意思表示の方法を裁判の訴えの提起とか労働審判の申し立てに限定をした場合には、第三者の関与が入りますので、より客観的な解決に導かれるというメリットもある一方で、これはシステム検討会でも御意見がありましたけれども、労働者の側から見たときに、権利行使の方法が制限されるということになりますので、そうした必要性とか相当性というものがあるかどうかというところを論点に入れております。
③の部分は、一旦請求をした後の意思表示の撤回の問題でありまして、一旦請求をした労働者が請求を撤回するということを認めるべきかどうか。これはシステム検討会のときには、請求権の法的性質を形成権。これは一般的には権利者の一方的意思表示によって法律関係が変動する権利とされておりますが、形成権と考えた場合には撤回が難しいのではないかという御議論もありましたけれども、例えば形成権であったとしても、撤回の根拠規定を置くという形で撤回を認めることができるのかどうかというところも御議論いただければと思っております。
最後に、意思表示の方法を、先ほど説明した4つの例がありますが、どのようにするのかによって、それとの関連性をどう考えるか。ここは参考のところに記載しておりますけれども、例えば現行の制度によりますと、裁判の訴えの取り下げであれば、判決が確定するまでは可能であると。ただ、相手方が本案について準備書面を提出した場合等については、相手方の同意が必要だということに民訴法上されております。
労働審判につきましては、労働審判の確定時までが取り下げができるということになっております。
仮に裁判外で一定の書面による請求という権利行使の方法を設けた場合には、これは実体法上、請求の撤回を可能とするような規定を置くということが考えられるのではないかと考えております。
真ん中のところに行きまして、解消金の性質等という論点でございます。その右側に※で書いておりますが、今回新たに検討していただきます労働契約解消金というものは、その支払いによって労働契約が終了するということが前提でございます。
(1)のところで、解消金の中身としてどのような構成要素が考えられるかというのを、システム検討会の報告書をもとにまとめております。2点、①②で挙げておりますが、1点目としては、職場復帰をせずに労働契約を終了させるかわりに受け取る「解消対応部分」。厳密に言いますと、括弧書きで書いてある慰謝料的な損害賠償部分というのは、少し分けて考えることももちろんできるわけでありますが、システム検討会のときには、慰謝料的な損害賠償部分を解消対応部分に含むという形で御議論をいただいております。
②としましては、バックペイということで、これは未払い賃金債権でございまして、民法536条第2項の規定に基づいて、使用者の責めに帰すべき事由によって、労働者側が労務提供できなかったという場合にも当然賃金債権は発生しますので、その債権を解消金に含むかどうかというところでございます。
システム検討会におきましては、A案、B案という2つの構成を御検討いただいております。A案につきましては、解消金につきましては解消対応部分のみという形でございます。青い点線で囲っております解消金の部分を支払えば労働契約が終了するという形でございます。解消金とは別の債権としまして、民法536条2項に基づくバックペイの債権を組み合わせるという考え方でございます。
B案につきましては、解消金の中に解消対応部分だけではなくて、バックペイに相当する部分というのも入れて、合わせて一つの債権にするという考え方でございます。この場合は、解消対応部分だけではなくて、その下のバックペイの部分も含めた全体を支払ったところによって労働契約が終了するという考え方でございます。
バックペイの発生期間につきましては、就労の意思がなくなったと認められる時期までバックペイは発生するという考え方でございますが、システム検討会のときには、就労の意思がなくなる時点として、金銭の請求時までか、又は金銭の支払い時までという2つの選択肢が掲げられております。
他の訴訟との関係でございますが、今回新しく解消金という制度をつくった場合に、現行既に認められております地位確認請求訴訟とか、解雇を不法行為とする損害賠償請求訴訟といったものとの関係をどのように考えるかという論点でございます。
今回事務局のほうでさらに追加的に御用意した論点がその下でありまして、④につきましては、そもそも解消金、今回新たにつくるものですので、その定義といったものをどのように考えるかという論点でございます。
⑤につきましては、システム検討会のときには解消対応部分の中に慰謝料的な損害賠償的部分を含めるということにしておりましたけれども、当然慰謝料的な損害賠償部分ということであれば、現行でも民法710条に基づいて債権としては発生しているものですので、それを解消対応部分に含めるということについてどのように考えるかという論点でございます。
⑥も同様でございますが、解消金といったものの中にバックペイを含めることについてどのように考えるかという論点でございます。
⑦の部分は、バックペイの発生期間のところでありまして、「実体法上」と書いてありますが、実体法というのは、一般的に言えば権利の内容や要件について定めている法律。例えば民法と民事訴訟法を例にとれば、民法が実体法に相当しておりまして、民事訴訟法が手続法ということになりますが、⑦の1文目につきましては、実体法の問題としてバックペイの発生期間。これは先ほど説明したとおり、現行では就労の意思が喪失するまでということですけれども、その期間についてどのように考えるか。「また」以下は少し訴訟法的な手続の面の話でありますが、実体法上発生したバックペイに対して、1回の訴訟手続において請求が認められる範囲をどのように考えるかという問題でございます。
御参考までに、現行の裁判実務によれば、例えば地位確認訴訟とバックペイ訴訟を併合提起するということが一般的にあるわけですが、その場合には、現行は判決確定時までのバックペイが訴訟手続上認められているのが今の実務かと思います。
⑧の部分で、解消金の請求と他の解雇に関する訴訟における訴訟物。訴訟物とは請求の内容である権利とされておりますが、それが異なると整理ができる場合には二重起訴には該当しませんので、併合提起をしたり、別途提起をするということも当然可能になるということであります。ただ、その場合にさまざまな訴訟の提起が可能になりますので、訴訟が錯綜する懸念というものをどのように考えるかという論点でございます。
「また」以下は、さらに応用的なところでありますが、例えば最初に地位確認請求訴訟を提起していて、途中から解消金の請求に訴えの変更をしたいと。これも今の民訴法に従えば、請求の基礎に変更がなければ、訴えの変更自体は可能なわけですけれども、それとの関係をどのように考えるかという論点でございます。
その右に行きまして、解消金の算定の部分でございます。ここにつきましては、システム検討会の報告書では解消金の性質を踏まえて、一定の考慮要素を含めて、具体的な金銭水準の基準、上限とか下限を設定することを検討してはどうかという御意見が出されております。
今回お示しした論点と重複しますので、論点のほうを御説明させていただきますと、⑨のところで金銭水準の基準を設定する場合に、例えば上限となる水準、下限となる水準、または算定の根拠の明示といったものが考えられますが、それぞれのメリットやデメリットをどのように考えるかという論点でございます。
⑩は、バックペイ、未払い賃金債権に関する論点でございます。1段落目のところで、左側の解消金の性質と、例えばA案のような構成をとった場合に、バックペイは解消金には含まれないという形でありますが、例えば解消金と一緒にバックペイを請求した場合に、バックペイにも限度額を設定するということになった場合は、既に民法536条2項で発生している未払い賃金債権というものに対するルールを修正するということになりますけれども、それに対して合理的説明というものができるのかどうか。
「また」以下は、左で言うところのB案のようなイメージでおりますが、例えば解消金の中にバックペイを含めて、解消金全体に対して上限を課す。そうすると、解消金としてのバックペイにつきましては当然上限がかかりますけれども、それを超過する部分が発生した場合には、別途バックペイの請求訴訟ということを提起することは否定されませんので、そういう可能性があることについて、どのように考えるかという論点でございます。
⑪番のところは、④のところに記載しました解消金の定義を踏まえますと、解消金を算定する際の考慮要素としてどのようなものが考えられるか。諸外国におきましては、既にこうした金銭救済制度というものがありますので、それとの比較においてどういった要素が考えられるかという論点でございます。
この点につきましては、参考資料2の53ページ、54ページをお開きいただければと思います。第1回のこの検討会でもお示ししている資料でありますが、53ページのところで諸外国におけるこうした仕組みにつきまして少し説明を入れております。例えばイギリスでありましたら、基礎裁定額と補償裁定額という2つのパーツに分かれておりますが、まず基礎裁定額のほうを見ますと、今回解消金に相当するものを算定するときには、勤続年数に週給を掛けまして、その後0.5から1.5、いわゆる調整率のようなものを掛けております。※1のところを見ますと、調整率につきましては、年齢によって差を設ける形になっておりまして、21歳以下の場合は0.5、22~40歳は1.0、41歳以上は1.5という形の設定をしております。ただし書きで、勤続年数に算入できるのは最大で20年ということで、ここで上限を入れているような形になります。
※3のところで、こうした計算式をベースにしながら、例えば使用者の側が原職復帰命令などの審判を履行しない場合には付加的な裁定額というものを加算したり、逆に解雇原因について労働者側に帰責性がある場合には、この額を減額するといったような仕組みを入れております。
その下のフランスの場合は表形式になっておりまして、勤続年数に応じて賠償金の下限、上限。これは月給に対して何月分かということかと思いますけれども、それが決まってくるということになっております。
左側の表を見ますと、賠償金の下限の部分につきましては(4)のところに記載がありますが、従業員が11人未満の企業については少し額を引き下げるという形で、企業規模によって差を設けるという仕組みにしております。
その下のドイツにつきましては、年齢と勤続年数によって賃金の何カ月分という形になるような仕組みになっております。
その次の54ページでさらに細かい内容を載せておりますが、ドイツの部分につきましては、一番左下のところで、裁判官の裁量により決定されるということを建前としつつ、先ほどの算定式を用いて算定をして、そうしたものを目安としながら、最終的な金額を設定していくという形の仕組みになっております。
本体の資料2のほうにお戻りいただきまして、先ほど⑪まで御説明しております。
続いて、⑫のところは金銭水準の関係で労使合意の取り扱いをどのようにするかという論点でございます。1文目のところは事前の労使合意の取り扱いですけれども、仮に金銭水準の基準といったものを定めた場合に、企業の実情に応じた柔軟な対応を可能とする方法として、事前に労使の合意によってその基準とは違う別段の定めをすることが考えられますが、そのメリット、デメリットといったものをどのように考えるか。
「また」以下は、少し事後的なところですけれども、例えば一旦解消金の請求をしたのだけれども、その後、労使で合意して和解をしたいという場合に、これは一般的には現行でもやっております合意解約という形で、使用者が労働者に金銭を支払って、それによって労働契約を解消するという合意をされることかと思いますが、そうした和解等について、金銭水準が基準を下回るということも当然想定されますが、その合意についてどのように考えるかという論点でございます。
最後、一番右のところで権利行使の期間でございます。今回新たに請求権を創設したとして、その請求権を行使できる期間をどのように考えるかというところでございます。システム検討会のときには、労働者の権利保護という点と迅速な紛争解決に資する観点といったものから検討してはどうかという御提案がなされております。論点のところは、⑬のところで具体的な期間についてどのように考えるかということでございます。
参考として少しデータを載せておりますが、まず1つ目は、2016年に民事訴訟制度研究会。本日御出席いただいています垣内先生もメンバーになっておりますが、民事訴訟法学者の先生方の集まりである研究会において、実際に訴訟をなされた方を対象に調査をされているものであります。裁判の原因発生から訴えの提起までに要した期間につきましては、平均として1.6年というデータがございます。1年以下が32.4%、1~2年が32.2%、2~3年が20.7%となっております。
その下の部分で、あっせんや労働審判、和解につきましては、先ほどごらんいただきました参考資料2の61ページをごらんいただければと思います。参考資料2の61ページにおきまして、これは先ほどの裁判と同じように、原因発生から審判の申し立てまでというデータそのものではないのですけれども、61ページの1行目のところに解決に要した期間というものがありまして、解決に要した期間というのは、紛争の発生から実際に制度を利用されて解決までに要した時間ということになっております。それぞれあっせん、労働審判、和解で少し分布が違いますけれども、あっせんの場合は3カ月未満というのが多くて、期間が短い形でありまして、労働審判につきましては平均しても6カ月ということで、3~6カ月未満で半数ぐらいがあります。和解については平均して17.7カ月。1年以上の期間を要しているというケースが多いという状況にございます。
論点としましては、これは意思表示の方法をどのように設定するかというところともリンクするかと思いますが、こうしたデータも踏まえて具体的な期間について御議論をいただければと思っております。
資料説明が長くなりましたけれども、以上でございます。
○岩村座長 ありがとうございました。
それでは、ただいま御説明いただきました資料2を参照しつつ、議論を進めてまいりたいと思います。今の御説明にもありましたように、検討すべき論点がかなりございます。議論の進め方としましては、資料2で挙げてあります5つの項目、具体的には、対象となる解雇、権利発生要件、解消金の性質等、解消金の算定、権利行使の期間という項目ごとに議論してまいりたいと思います。
それでは、対象となる解雇につきまして、何か御意見あるいは御質問がありましたら、お出しいただければと思います。では、どうぞ。
○中窪座長代理 オレンジの部分、最初の御説明のときに、労働者の請求によってというところで、事前型か事後型かという形で区別という御説明があったように思うのですが、事後型であっても使用者からの請求と労働者の請求と両方あり得るので、ここで検討するのは、事後型であって、かつ労働者の請求による場合だと理解したのですが、それでよろしいでしょうか。
○坂本労働関係法課課長補佐 説明が足らずに申しわけありません。今、御指摘いただいたとおり、事後型であって、かつ労働者の請求に限った場合の御検討をいただきたいというものでございます。
○岩村座長 よろしいでしょうか。
○中窪座長代理 はい。
○岩村座長 ありがとうございます。
それでは、具体的に第1番目の論点であります対象となる解雇についてはいかがでございましょうか。小西委員、どうぞ。
○小西委員 差別的解雇と一定の解雇を対象から除くかどうかという点についてですが、比較法的には、一定の解雇を対象から除くとしている国があるかと思います。それを踏まえた上でどうなるのかというと、これは民訴の話とか、ほかの話とかになって、私はよくわかっていないのかもしれませんが、①の「差別的解雇等を対象から除いたとしても」という形で書かれている文章に関してですが、仮に差別的解雇等を対象から除いたという場合は、両当事者がこの解雇は差別的解雇ではないと主張しなかったら、差別的解雇というふうにはならないのかどうなのかというところが少しわからないところですが、このあたりはどうなのですか。
○岩村座長 では、垣内委員、どうぞ。
○垣内委員 きょうの資料で「権利発生要件」と書かれているようなことが積極的要件として定められていて、ただし、当該解雇が差別的解雇等これこれに該当するときはこの限りでないという規定を置いたときに、差別的解雇かどうかという要件というのは一種の規範的要件というか、どういう意図とかどういう事情のもとでどういう解雇がされたかということを評価して、それは差別的であるとか差別的でないとかいうことになるかと思うのですけれども、そうなると、問題としては、弁論主義の話になるわけですが、弁論主義は、事実と主要事実について弁論主義が妥当するということなので、当事者が主張していない具体的な事実を基礎として、そういう法的評価をすることはできないということになると思います。
したがって、差別的だと言ったかどうかということで、必ずしも差別的と明示的には言っていないけれども、主張されている事実からすると明らかに差別的だというときに、差別的であるという認定は法的には可能なのではないかと思いますけれども、しかし、基礎となる事実そのものが出ていないということになれば、そういう判断はできないということになるかと思うのですが。
○岩村座長 よろしいでしょうか。
○小西委員 はい。
○岩村座長 垣内委員、どうぞ。
○垣内委員 先ほど小西先生から比較法についてお話があったのですけれども、今、御指摘された比較法というのは、労働者申し立てに限っているという前提で考えてよろしいのでしょうか。それとも使用者のイニシアチブでもお金を支払って解消できるということなのか。それによって大分置かれている問題状況が変わってくるのかなと思うのですけれども。
○小西委員 私も確かなところを把握していないのですが、今回検討されているように、労働者請求のみを対象としている国で一定の差別を対象から除いているかと言われると、それは現段階ではすぐには出てこないところであります。ただ、双方からの請求で金銭解決制度を設けているような場合で、労働者側からの申し立ての場合でも一定の解雇を対象から除くという国はあったように記憶しています。
○岩村座長 では、事務局、お願いします。
○五百籏頭労働関係法課調査官 補足させていただきます。今の論点につきましては、システム検討会の報告書におきまして注記、「必ずしも例3の方式ではないが、ドイツ、フランス等の諸外国においては、労働者申立の場合には、法律で禁止されている解雇も、不当解雇と同様に、金銭解決の対象としている国が多い」という記載がされているところでございます。
○岩村座長 ありがとうございます。
細かい法律論を除いて考えると、仮に例えば差別的な解雇とかそういったものを金銭救済というか、解決金による解雇の紛争解決という仕組みから除外したとしても、そうすると、結局、現行法上は地位の確認とバックペイの請求という請求の立て方になって、しかし、訴訟の進行とともに、これは和解で終わりにしようかということに仮になったとすると、この仕組みが新たにできたとしても、除外されている解雇について、裁判上和解することは特に妨げられず、したがって、よく不当労働行為事件でお目にかかるように、一応解雇は撤回する、しかし、その日をもって円満退職して、あとは解決金、これこれを払ってそれで終わりとする。というやり方をとること自体は恐らくそのまま残るということになります。そうだとすると、差別的な解雇とかを除外するということにどこまでメリットがあるかというのは、余り明確ではないなという気はしています。
どうぞ。
○中窪座長代理 確かにおっしゃるとおりだと思います。ただ、差別的解雇をこれから除くというのは、裁判所の判決によって解消金プラス契約関係の解消というものを出す以上、ある意味公序に属するようなものについては、当事者間でやるのは仕方がないにしても、裁判所が公的な判断でそれまで認めるのは、たとえ労働者が請求してもだめだというのは、理屈としては成り立ち得ると思うのです。
そのときに、判決ではない当事者間の合意まで無効にするようなことはできないとすると、おっしゃるとおり、実際上の効果というのは疑わしいのですが、制度としてそういうふうにすべきだという考え方はあり得るのかなと思いました。
ですから、そういう事実が当事者の提出した証拠の中から認められて、裁判所としては、これは差別的な解雇に当たるというふうに心証が出た場合に、そういう形である意味制約をかけるかどうかという、政策的な判断という感じがいたします。
○岩村座長 ありがとうございます。
ほかにはいかがでしょうか。この論点についてはよろしいですか。
そうしましたら、次に権利発生要件のほうに移りたいと思いますけれども、こちらについてはいかがでございましょうか。一番大きい論点は、入り口の議論でして、きょうの論点のところにもありますけれども、上の四角の少し薄い黄色で塗ってあるところですが、意思表示の方法として、特段の限定なしとするかどうかです。要するに、通常の意思表示の原則でいくというのと、それから要式行為にする、つまり裁判外でやる場合でも一定の方式、例えば書面で意思表示をすることを求めることにするのかということです。残り2つは労働審判が入るか入らないかと、裁判上、司法機関での意思表示なり裁判の請求ということに限定するかですけれども、これはいかがでしょうか。では、笹井参事官、どうぞ。
○笹井法務省民事局参事官 オブザーバーが最初に発言するというのはおこがましいのですが、少し御議論いただきたい問題点ということもございますので、最初に発言させていただければと思います。今、岩村座長から御指摘のあった点でございますが、私ども、民法の実体法を所管している立場からいたしますと、今回の御提案、今回の資料に記載されている4つの考え方は、いずれも意思表示をする方法を限定する、あるいは限定しないかということでございまして、特に形成訴訟のような形で仕組むというものではないということなのかなと理解しております。
そういたしますと、この意思表示を訴状の送達をもってする、場合によっては訴え変更の申立書の送達という方法をもってする。実体法上の意思表示の方法がこのような方法に限定されているという例は、余り見かけないのかなと感じておりますけれども、しかし、では、それが理論的に絶対に無理かといいますと、そういうわけでもないのかなと思っております。ただ、そのような方法で限定する必要があるとすれば、そのような必要性につきまして十分な御議論をいただきたいということでございます。
以上を前提といたしまして、③の論点にかかってくるかと思いますが、普通に考えますと、意思表示の方法が限定されているということと、意思表示をする方法としてされた訴状の送達、それに係る訴訟状態がどうなっているかということは別次元の問題でございますので、訴えの提起、訴えの取り下げがされたかどうかということと実体法上の意思表示の撤回がされたかどうかということとは理論的に区別されて議論され得る問題ではないかと考えております。
そういたしますと、実体法上の意思表示は撤回されたけれども、訴訟は継続しているということでありますとか、逆に訴訟は取り下げられたのだけれども、実体法上の意思表示は撤回されていないという状態でありますとか、そういう問題が生じまして、例えば訴えは取り下げられたのだけれども、訴訟外でこの支払いが行われるとか、和解が行われるとか、そういった状態を許すのかどうかということが問題として生じてくるのではないかと思います。
仮に訴えの提起、あるいは労働審判を含むかどうかも論点になるかもしれませんが、そういったものに限定するということになりましても、実体法上の状態と訴訟状態がそごしているという状態が望ましいかどうかということはあろうかと思いますので、訴えの取り下げによって、それ自体を実体法上の意思表示の撤回と見ることができるかというと、通常はそういうふうには解釈し得ないのだと思いますけれども、そのようにみなすとか、そういった方法というのは考えられるのではないかと思います。
少し長くなりますが、あと2点だけ追加させていただきます。先ほどの論点のところで岩村座長のほうからも御指摘がございましたが、仮に訴えの提起によってのみ意思表示をすることができるということにした場合に、例えばそれを裁判上の和解みたいな形で解決することはどの範囲で可能なのかとか、例えばもともとは地位確認のみだったけれども、解消金のような形を含めての和解というのが可能であるかどうか、そういった問題も生じてくるかと思いますので、その辺の理論的な状態の整理だけをお願いしたいということがございます。
以上、理論的にどう整理するかということになってまいりますが、その点がクリアされた上で、あとは政策的にそういう判断をするかどうかということになろうかと思います。私どもは最高裁とも少し意見交換などをしておりまして、最高裁側からの懸念といたしましては、仮に裁判上の請求に限定した場合には、例えば労働審判において事前の十分な交渉というのが可能なのかどうか。すなわち、まだ訴え提起はされていない。したがって、解消金の請求がされていない、そういった段階で解消金を含めたような形での交渉ということが可能なのかどうか。こういったところで実務に無用な混乱をもたらすのではないかといった懸念も運用上の懸念として示されているところでございますので、そういった点につきましても御配慮いただければと考えております。
長くなりましたけれども、私からは以上でございます。
○岩村座長 ありがとうございます。
大変貴重な御指摘をいただいたものと思います。
いかがでございましょうか。では、垣内委員、どうぞ。
○垣内委員 大変難しい問題で、かねてより悩ましいなと感じているところですが、まずこの制度が仮に導入されたときにどう機能するのかという実質から考えたときに、裁判外での意思表示というものを認めることに必要性と合理性があるかと考えますと、恐らくこの制度が仮に裁判外で行使可能だということだとしても、それは実際には金額面について当事者間で合意が形成されるということでなければ、ワークし得ないだろうと思います。
他方、金額面について合意ができるということであれば、この制度が裁判外で利用可能であろうとなかろうと、これは合意によって一定の金銭の支払いを得て、労働関係を終了するということは、私的自治の原則のもとで可能だろうと思われますので、裁判外で同様の処理をするためにこの制度の射程を裁判外でも認めるという必要性は必ずしもないのではないかと考えております。
他方、この制度を裁判外でも意思表示できるとしたときに一番懸念されますのは、金額について折り合いがつかない、あるいはそもそも解雇が有効なのか、無効なのかについて評価が一致しないという場合に、裁判外での意思表示が可能だとしておきますと、意思表示の時点で特定の金額の請求権は実体法上発生するということにならざるを得ませんので、そうなりますと、例えば使用者の側がそれならということで、自分の相当と考える金額を労働者の口座に振り込むということで、労働契約が終了しているのか、していないのかということが問題になり得る。そうなりますと、この制度が導入された際に、裁判外での処理を考えると、労働者の地位が非常に不安定になったり、それをもとにした紛争がかえって生ずる懸念というのもあるのではないかと思われます。そう考えますと、これを裁判外でも認めていいというのは、難しい面も実質的にはあるのかなという感じがするところです。
ただ、ほかに全く同じような例があるのかということは、確かに問題としてあるかと思います。形成権あるいは形成訴訟的なもので、民法ですと詐害行為取消権は訴えでやるということになっており、倒産法上の否認権については訴えか、抗弁か、あるいは否認の請求の決定手続でやるということで、裁判上の行使が要求されているということでありますが、債権者取消権の場合ですと、相手方の地位に重大な影響を与えるということもありますし、第三者、関係者の地位にも影響を及ぼすということがその根拠として指摘されているところかと思われますし、否認につきましても、相手方の地位が不安定になる。裁判外での行使ということになりますと、その行使の結果、どうなっているのかということが不明確になりますので、それは問題ではないかということが一般には指摘されているところかと思われます。
解雇の金銭救済制度の場合ですと、第三者への影響というのは、詐害行為取消権等と比較するとそれほど問題にはならないのかなと思われますが、ただ、この制度は単に金銭の請求権が発生するというだけでなく、当該金銭請求権が履行されるということによって労働契約が終了するという非常に重大な効果をもたらす。そういう新たな法律関係を樹立するということで、そのときに仮にその金額が裁判上わかっていないということになりますと、先ほど申し上げたように、労働契約上の地位が存続しているのか、いないのかということが非常に不明確な状況が出現してしまうということがあります。
かつ、これも冒頭に申しましたように、裁判外で合意ができる場合については、この制度を使わなくても合意による処理は可能ですので、そうこう考えたときに、なかなか裁判外で認めるというのは慎重に考える必要があるのかなと思っております。
先ほど幾つか具体的な問題について御指摘がありましたけれども、実体法上の効果と訴訟法上の取り下げ等は別個の問題であるというのは、御指摘のとおりかと思います。似た問題は、既存のものですと、訴訟上の相殺の抗弁等について、時機におくれた攻撃防御方法として却下されたり、あるいは訴えが取り下げられたりしたという場合に、実体法上の効果がどうなるのかということが従来議論されているところで、これについては明文規定がありませんけれども、学説上の多数説は、訴訟上の相殺の抗弁であれば、取り下げ等でもはやそれについて裁判所が判断する余地がなくなった場合には、実体法上も効果は生じないと解すべきではないかといったような議論が有力なところかと思います。
明文規定を設けることが可能であれば、そのほうが望ましいと思いますが、解釈上もそのような解釈をすることは一応できるのではないかと思われるところです。
また、和解の可否につきましては、合意で処理をするということであれば、一定の金銭の支払いを義務づけて、労働契約は終了するという合意をすることは可能でありますので、裁判上であれば、特に問題なくそれも当然できるということになろうと思われますし、また、労働審判に関しましては、ここで資料では訴えの提起と労働審判の申し立ての双方で認めるという選択肢も挙がっておりますが、訴えだけに限定する必要があるのかと言えば、裁判上の手続として労働審判でも行使を認めていいという立場もあり得るのかなという感じもしておりますので、そういう方向でのさまざまな技術的な点についての検討をさらに続けていく必要もあるのかなと差し当たり考えているところです。
以上です。
○岩村座長 大変詳しく御説明いただきまして、ありがとうございます。
ほかはいかがでございましょうか。では、中窪委員、どうぞ。
○中窪座長代理 本当に専門的な立場のお二人から出していただき、よくわかりました。私も今回新たにこういう制度をつくって、その中で労働者の請求権を与えるというときですから、いろんな可能性はあり得るので、裁判外でも使えるような権利として構成することも技術的には可能だと思うのですけれども、それがいいかと言われると、疑問です。とりあえずは裁判に限って、あるいはプラス労働審判に限って、その中で行使できる権利と構成するほうが、こちらとしても頭の整理がしやすい、無駄な問題が起きないという気がいたします。
それから、労働法的に言えば、労基法上の付加金は、裁判所ができるという書き方になっていて、裁判所の判決が要件になっているわけです。それとの整合性と言うと変ですが、それに似たような形のものとして構成しやすいのではないかと思いました。
○岩村座長 ありがとうございます。
少なくともこの制度を初めて導入するということもあって、いろいろな混乱が想定される中で、それをなるべく防ぐということと、労働者にとっては労働契約の解消という非常に重要な効果が発生するということを考えると、まず裁判上の請求、それに合わせて労働審判の申し立てというところから始めるというのが妥当ではないかと考えています。
もちろん、裁判上の請求なり、労働審判の申し立てでの請求といったところに入る前に、当事者間での話し合いということも当然あり得て、その結果として、解消金の請求というところまで行かずに和解をする、それで一件落着というのは当然あり得ると思います。ただ、そのときにもう一つ考えなければいけない論点は、そもそもこの解消金の請求を裁判上はせずに、必ず合意で解決しますという事前の合意を当事者間でやってしまう、あるいは就業規則などで決めてしまうということが認められるのかどうかという点です。そういった事前の合意を認めるのか、認めないのかというのも裁判外での当事者間での和解ということに若干関係してくるかなと思っています。
取り下げとの関係は、訴訟している間に裁判内で和解をしてしまうというのも、どこまでこの制度に強行性を認めるのかということにも依存すると思いますけれども、そこまでの強行性は認めなくてもいいかなとは思うのですが、労働者の権利保護の観点からどう考えるかというところは残るかという気はします。
済みません。局長が到着されたので。
○坂口労働基準局長 議論の途中で申しわけございません。遅参しまして申しわけございません。7月末付で労働基準局長になりました坂口でございます。貴重な御意見を賜れるように、よろしくお願いいたします。途中で失礼いたしました。
○岩村座長 局長、どうもありがとうございました。
権利発生要件のところ、ほかにはいかがでございましょうか。よろしいでしょうか。
それでは、次に解消金の性質等のところに移りたいと思います。こちらもきょう、A案、B案という形で基本的な考え方が提示されているところでありますけれども、そのほかの論点も提示されているので、ぜひ御意見をいただければと思います。
では、参事官、どうぞ。
○笹井法務省民事局参事官 済みません。こちらもまた口火を切らせていただきます。こちらにつきましても、解消対応部分のところに損害賠償部分を含むか含まないかということ、括弧に入ってございますが、A案もB案も損害賠償部分を含むということでお考えが示されているかと思います。
これはもちろん私どもがそれを含むべきだ、含むべきでないというような立場にはございませんので、政策的な御判断かなと思っておりますけれども、ただ、例えばここに慰謝料的な部分が入ってきた場合に、解消金と別訴との関係になりますが、解消金とは別に損害賠償請求をするということが起こり得るということになった場合に、訴訟物としては理念的には別なのでしょうけれども、しかし、実際には重複している部分があるというときに、どういうふうに判断するかというところが少し難しい問題になってくるのかなという感じがいたしております。
これとは少し違った問題になるかもしれませんけれども、別訴との関係で申しますと、例えば地位確認訴訟だけが先行している。それで敗訴してしまって確定したと。その後に訴訟物が別なのでということで、この解消金の請求訴訟が提起されるということもあり得るかもしれず、こういった場合に、ここに限らない問題で、ほかにもあるかもしれませんが、前の訴訟と後の訴訟との間で矛盾した判決、判断が示されてしまうということもあろうかと思いますので、そういった意味では、なかなか併合を強制するということが難しいということもあろうかと思いますが、できるだけそういった点で訴訟上混乱が生じないようにと申しますか、できるだけ併合を提起していくほうが望ましいという実務が形成されていく、そういう方向に御努力いただくほうがありがたいのかなと思っております。
私からは以上でございます。
○岩村座長 ありがとうございます。
その論点は非常に重要な論点でして、損害賠償部分を含める、含まないというのもありますが、きょうのA案、B案についても同じ問題があります。つまり、バックペイを入れるのか、入れないのかということについても、控訴との関係というのが常に問題になると思います。その辺をどう整理するかというのは、この問題を考える上での非常に重要なポイントかなと思っているところです。
併合を強制する、つまり、地位確認訴訟とバックペイ請求訴訟と解消金請求訴訟を必ず併合せよと併合提起を強制するというのはいかがなのでしょうか。公式見解でなくて結構でございます。
○笹井法務省民事局参事官 なかなか私の立場として難しいところが。今、何か定見というものを持っているわけではございませんで、御質問にお答えするのもあれなのですけれども、例という意味で言うと、幾つかの訴えを必ず強制的に併合を提起しなければならないという例は余り見当たらないのかなと考えておりますし、例えば本当に地位確認だけにこだわりたいというときに、これは全くの個人的な見解でございますが、本当に解消金で金銭的な解決をするのではなくて、地位確認にこだわりたいというときに、しかし、解消金を提起せずに、訴えを一度提起してしまうと、その後の別訴での解消金の請求ができるのか、できないのか。そこも無理だということになると、労働者側にとっては厳しい制度なのかなという感じがいたしますが、これは法務省として申し上げるべきことではなかったかもしれません。
○岩村座長 あくまでも参事官個人の御意見ということで承りたいと思います。
垣内委員、どうぞ。
○垣内委員 併合強制、併合されたほうが合理的だろうというところは多々あるとは思うのですが、強制までできるかというと、なかなかハードルは高いのかなという感じを私自身は率直にしております。ここで併合強制という場合には、例えばバックペイを併合強制ということになりますと、今も御指摘がありましたけれども、後で請求できない、失権するということになるわけですが、実体法上は全く別の請求権について併合しておかないと失権までしてしまうという、労働者にとってはかなり不利益な大きい効果をここで認めてしまうというのが、実質的な矛盾判断の防止といった訴訟政策上の要請によって、できるかと言われると、ここはなかなか難しいかなというところです。そうしますと、併合強制は難しいということを前提に、どのような形で合理的な解決を促していくかというところに知恵を絞らざるを得ないのかなという感じがしております。
○岩村座長 ありがとうございます。
アイデアとしては、訴訟の併合強制とは別途、実体法上の請求権としての整理をしておく、法に規定を置くというアイデアもないわけではない気がするのです。例えばB案であれば、バックペイの部分について、解消金でバックペイ部分も含めて受領したと言う例を考えますと、労働契約が解消された場合、その限りにおいては実体法上のバックペイの請求権は消滅する、というような実体法上の規定を置くということが考えられるかどうかというのが一つ検討の材料としてはあるのかなと思うのです。ただ、問題は、B案で行った場合も、バックペイ部分が実際上含まれる、計算上そこで入れているというだけであって、請求権としてバックペイを立てた上で、それを一緒に構築したというわけではないことです。B案だとバックペイ部分は解消金を計算する要素にすぎないので、それと実体法上のバックペイとの間で、解消金を払ったから、その限りでバックペイの請求権が消滅するという規定を置いていいのかどうかというのは、私もどうなのかなという気はしているのです。
垣内委員、どうぞ。
○垣内委員 B案的なものを考えたときに、単に成立し得る実体法上の請求権との競合を整理する方法の一つとして、御提案のような方法をとるということは一応考えられるのかなと思いますけれども、ただ、先ほど来御指摘もある重複訴訟といった問題を考えるときには、支払いがあるまでは請求権はあるということになってしまいますので、十分な対応にはならないところがあるのかなと思います。
他方、それならということで、解消金の請求をした途端にバックペイ請求権等が消滅するという整理をすれば、別訴を提起したことで、請求棄却ということになるのかと思いますが、そういうことはあり得るのかもしれませんが、しかし、そこまでするべき必要性と合理的な理由もあるのかどうかと考えると、なかなかそこも難しいところはあるのかなと感じます。
あと、先ほど損害賠償請求についての御指摘も法務省からありましたけれども、少なくとも法技術的論点を考える際の出発点としては、一番狭い意味での解消対応部分と、民法上709条でも考えられる損害賠償請求権に対応する部分と、バックペイと対応する部分を3つに分けた上で、これらをどのような形で結びつけることが政策的に望ましいのかということを論じていくということが必要なのかなと感じておりまして、そう考えたときに、B案のように、解消金の中に全てを包括するという考え方というのは、実質的には解消対応部分だけを支払ったのでは労働関係は終了しないという効果を担保する目的が大きいのかなと考えております。
ただ、B案のような考え方をとりますと、既存の他の実体法上の請求権との関係というのは非常に難しいものになるだろうと思われるところで、一つの考え方としては、全額支払われなければ労働関係が終了しないというのは、結局、実質的な問題は一部しか支払われない場合にどう処理するかというところにありまして、これは民法の文脈で言いますと、きょう鹿野先生がおいでであればお聞きしたかったのですが、弁済の充当の問題という捉え方もできるのかなと思います。民法の原則からしますと、債務者のほうで一番有利なものを指定して充当することができるということなので、もしばらばらの請求権ということになると、解消対応部分についてのみ弁済をして、バックペイ等については放置するという対応が可能になり、その場合でも労働契約が終了してしまうではないかという懸念があり得るのかなと思いますが、仮に民法でも、例えば利息等との関係では、弁済、債務者による充当の指定に制限をかけておりますので、この場面で労働者保護のためにそういった使用者側の恣意的な充当指定は許すべきでないという政策判断があり得るのであれば、充当指定に関して労働契約法等で特則を設けるということによって、全額払われない限り解消対応部分には充当されないという規律というものも発想としてはあり得るのかなという感じもいたします。
このように考える場合には、実際上バックペイ等も併合して請求しておかないと、そこに充当されないという仕組みにしておけば、併合提起のインセンティブにもなって、一回的解決に資するということもあるのかなと考えておりますので、そういった選択肢も一応あり得るかなと思っているところです。
○岩村座長 ありがとうございます。
実は私もA案をとりつつ、損害賠償部分を除いて考えて、解消金とバックペイ両方を弁済しないと労働契約解消の効力が発生しないという制度構築はあり得るのかなと思っていまして、そうであれば、B案をとった場合、他の訴訟との関係をどう整理するかとか、そういう問題はかなり解消されるので、そちらの方向を模索するというのもあるのかなと思っているところです。
ほかにいかがでございましょうか。では、先に参事官で、その後、中窪委員。
○笹井法務省民事局参事官 申しわけありません。
弁済の充当についてでございますけれども、もちろん政策的な目的に従って民法の弁済に関するルールを変更するということは、可能であろうと思っておりますので、そういった政策的な目的があれば、そういうルールというのもあろうかと思います。
ただ、これは今、垣内先生のお話を聞きながらの思いつきですので、もしかすると私が何か誤解しているかもしれませんけれども、解消対応部分と解消金部分とバックペイだけの債権がある場合には同じ効果になろうかと思いますが、例えばもう一個債権があった場合に、どういう充当をするかで指定がされれば、その指定の方法をコントロールしていくということがあろうかと思いますけれども、法定充当になった場合に案分計算されますので、その案分計算をこの解消部分とバックペイだけであれば、バックペイに先に充当するという方法があろうかと思いますが、もう一個の債権があった場合に、そちらとの関係をどうするのかという規律のルールなどが必要になってこようかと思いますので、若干複雑なルールになってくるのかなという気もいたします。全くの感想だけでございます。
○岩村座長 ありがとうございます。
そう言われると、確かに2つには限らないかもしれないので、解雇紛争で最終的に未払いのものが何かあって、併合訴訟というときに、退職金債権の問題であるとか、それも一応バックペイではありますけれども、請求権としては別になってしまうとか、ないわけではないので、確かにおっしゃる問題というのは。それにさらに損害賠償がかかったときどうするかという問題はあるように思います。
それでは、中窪委員、どうぞ。
○中窪座長代理 非常に難しい問題で、私もよくわからないのですが、ただ、先ほど垣内先生がおっしゃったように、両方区別して、かつ損害賠償というのは別なものですから、何でここに「(+損害賠償部分)」と書いてあるのか、と思ってしまいます。もともとのシステム検のものもたしかこう書いていたと思いますが、括弧は常に入るという意味なのか、あるいは入れるという考え方もあり得るという意味なのか、そこがどうもわからないのです。
むしろ損害賠償というのは、それ自体ちょっと別の性質があるものですから、労働契約の解消に関しては、解消対応部分プラスバックペイで効果が発生して、それとは別にどうしても人格侵害的なものがあれば、別途そこは賠償を払うということがあってもいいのかなと思ったのですけれども。システム検の考え方自体どういうことなのか、もしおわかりになれば教えていただければと思います。
○坂本労働関係法課課長補佐 御指摘のとおり、損害賠償請求部分につきましては、現行の裁判例におきましても認められているケースも何例かありますが、一般的に不法行為の損害賠償が認められるというわけではないと理解しております。そういう意味では、ここの「(+損害賠償部分)」につきましては、必ずここに含まれるというよりも、発生する場合には含むような考え方なのかと理解しております。いずれにしましても、先ほど来先生方に御指摘いただいているとおり、債権としましては、民法の709条、710条に基づいて、別に発生しているものということかと思いますので、そこをここに含めるのかどうかというところも含めて御議論をいただければと思っております。
○岩村座長 これは次の解消金の算定の話にも結びつくのですが、損害賠償部分も含めるという話になると、次の算定のところで、一定の考慮要素で例として精神的損害というのが入ってしまうと、実体法上の請求権として別途存在する慰謝料請求権と、ここで勘案されている考慮要素である精神的損害に対応する部分がどういう関係に立つかという、先ほど来御議論があった請求権の異動の問題というのは、結局ここで発生してしまうということになります。ですので、私も中窪委員がおっしゃったように、それは分けたほうが整理はしやすいのかなと思いますが、ここはまだメリット、デメリットを考えて検討すべき論点かなという気はいたします。
この論点について、ほかにはいかがでしょうか。バックペイの発生時期、いかがですか。現行だと、通常地位確認訴訟で行って勝った場合は、先ほど御紹介があったように、判決確定時までというところでバックペイの請求権を認めるというのが一般的ではあるのですが、ただ、労働契約の解消を請求するという請求権にせよ、形成権にせよ、請求した時点で契約は解消しますという方向の意思表示はしているので、就労の意思はもうなくなっていると言えなくはないのですが。垣内委員、どうぞ。
○垣内委員 労働者の具体的な意思としてもう就労の意思はないという場合はもちろんあり得て、それは具体的な事案にもよるのかと思うのですが、この制度が解消金の支払いによって労働契約、労働関係を終了するという前提だとしますと、支払われるまでは就労の意思はあると考える労働者がいてもおかしくはないかなと思われまして、そうすると、当然に請求時で終わるということはなかなか言えないのかなという感じもしております。
○岩村座長 ありがとうございます。
私も先ほど言った途端に、そういうふうに考えると、今度は労働者側が金銭請求の時期をできるだけ延ばす、後に送るという可能性もあるので、②という考え方も十分成り立つかなと思います。
小西委員、どうぞ。
○小西委員 先ほどの論点と関係するのかもしれないのですけれども、バックペイの発生期間というのは、裁判所がどう判断するかというところとも関係するのかもしれませんが、例えば訴えの取り下げができなくなった時点という考え方もあり得るのですか。そのあたりはどうなのでしょうか。①②以外の考え方はあるのか、どうなのかという点をよくわかっていないのですけれども。
○岩村座長 ただ、先ほどの議論から言うと、実体法上の請求権の帰趨と訴訟法上の問題というのは、そうリンクするわけではないので、したがって、訴えの取り下げができなくなったからといって就労の意思がなくなったと認められる時期と言えるかというと、そうはならないのではないかという気はします。
では、神吉委員、どうぞ。
○神吉委員 2をとった場合ですが、金銭支払い時までとなると、判決が出た段階では、使用者が幾ら払わなければいけないかがはっきりわからない可能性があるということですね。かつ遅れれば遅延損害金もかかっていく。なので、それが直ちに支払わなければいけない事実上の強制力として働くということでしょうか。
○岩村座長 どう制度設計するかによりますけれども、B案はちょっと微妙ですが、A案のような形で、しかし、仮にバックペイを払わないと労働契約は解消しませんという構成をとったとすると、結局、金銭支払い時まではバックペイが発生するということになるので、使用者側としては、その時点までのバックペイを計算した上で、遅延損害金も含めて、そしてそれを解消金とともに払うということによって契約の解消という効果が発生する。先ほど言ったように、2つを払わなければという要件だとして考えると、恐らくそういうことになると思います。
現実の実務としても、現在裁判所の判決としても、一月当たり幾らの金銭がいくらいくらで、遅延損害金をいついつからの五分で計算して判決確定時まで払えと。そういう主文になるのではないでしょうか。通常はそういう形で、まとめた金額で判決を出していなくて、毎月25日限り25万円を判決確定時まで支払え、遅延損害金は請求時から五分という判決になっているのではないかと思うので、直ちに判決を見た限りで、使用者としても幾ら払わなくてはいけないかというのがわかるわけではないのではないでしょうか。現在の実務はそうではないかと理解しています。そこは余り変わらないのではないかという気がするのです。
○神吉委員 中間収入の控除とかがどうなってくるのかなと。
○岩村座長 それはバックペイでやります、当然控除するということになるのだと思います。それは判決のところで中間収入の額が、幾らで、それを控除した額が幾らという認定のベースをもとに、毎月何日限り幾ら払えとかそういう形になるのではないかと思います。
○神吉委員 判決確定時までだと、過去の話なのでわかるのですが、金銭支払い時までという判決確定時の先のことで未確定な部分を判決の段階では言いづらいのではないかと懸念しています。
○岩村座長 ありがとうございます。
では、垣内委員、どうぞ。
○垣内委員 今の点は、この制度を導入したときに、バックペイを将来請求分について、どこまで将来請求を認めるかという話に関係するのかなと思うのですけれども、この制度を導入したとしても、現在判決確定時までの請求を適法としているという考え方が根本的に変わるということでもないのではないか。つまり、この請求が認められると、その理由として解雇は無効であるという判断がされて、したがって、解消金を払わないと終了しないということになるわけですが、そういう判決が出れば、解雇は無効だったのだなということが裁判ではっきりしたということになるので、それ以降の部分について任意に払うということを一応想定はできるのかなと考えると、判決確定時までのみについて、将来給付の訴えの利益は認められるのだという考え方もあり得るのかなと思いまして、そうすると、いずれにせよ判決においては今と同じような形でバックペイについては判断をする。その後については、もしまだ未払い分があって、それを請求しなければならないということであれば、それは新たに訴えを提起するということになるのではないかと思われますけれども。
○岩村座長 ありがとうございます。
よろしければ、解消金の算定のほうに進んでもよろしいでしょうか。
では、解消金の算定につきまして、御意見、御質問がありましたら、お願いしたいと思います。では、参事官、どうぞよろしくお願いいたします。
○笹井法務省民事局参事官 ここの算定につきましては、私どもは法務省の立場として何かを申し上げるということではございませんので、先生方の御議論で政策的な御判断をいただければと思っております。
ただ、岩村座長のほうから先ほどあったところと重複するのですが、解消金というものの法的な性質と考慮要素というものがリンクしてくるということであろうと思っておりますので、例えば解雇の不当性の程度というものが損害賠償部分を仮に含まないとすれば、なぜこういった不当性みたいなものが考慮要素に入ってくるのかというところの説明も難しくなってくるのかなという感じもいたしておりまして、考慮要素と解消金との法的な性質、その連続性、関連性というものには御配慮いただければと思っております。
と申しますのは、恐らく繰り返し先ほどと同じ問題がここで出てくるということではありますが、損害賠償の控訴が生じたときにどういうふうに考慮されるのかという問題にもかかわってきて、訴訟の運用上、そういった問題が生じてくるのかなと感じているところでございます。
○岩村座長 ありがとうございます。
ただ、通常解雇の不当性ということについては、損害賠償請求でいくとすると、精神的損害しか多分ないので。というのは、通常賃金が払われれば、金銭的損失については全部填補されるというのが判例の考え方なので、解雇の不当性そのものについては余り問題ないのではないかと思います。むしろそれを精神的損害という形で捉えてしまう、結びつけて考えてしまうと先ほどの議論につながっていってしまうと思っております。
違うということがありそうなので、中窪委員、どうぞ。
○中窪座長代理 そこは割り切って、どんな解雇であっても無効は無効なのだと割り切るのも一つの考え方だと思います。他方で、有名な最高裁判決のように、51対49みたいな、労働者もかなりひどいのだけれども、しかし、解雇というのは行き過ぎだという形で解雇無効になった場合と、それからこれは誰が見たってひどい解雇でしょ、明らかに合理的がない解雇というのがあるので、そういうときに、この解消金の中で損害賠償とは別に全く考慮しなくていいのかどうかは、やはり問題だと思うのです。
ただ、そこを一々裁判官が割合的にどのくらいというのを考えて、ここで入れていくというのは、ちょっと負担が大き過ぎるとか、あるいは逆に不合理になってしまうという懸念も当然あるので、ここは割り切るというのは一つの考え方だと思うのですが、損害賠償で全て片づくからこちらには入らないというのは、ちょっと言い過ぎかなと思いました。
○岩村座長 すみません。誤解を与えたみたいですけれども、私自身は解雇の不当性の程度というのは入れていいと考えていまして、ただ、それが精神的損害という形でもってここで考慮する要素として入れられてしまうということになると、それは別の問題を発生させるので、それはしないほうがいいのではないかと考えているという趣旨でした。言い方が悪くて申しわけありません。
幾つか論点がありまして、上下限を設けるのかとかいうのがあるのですが、それはいかがでしょうか。神吉委員、どうぞ。
○神吉委員 上下限を設けるかどうかも、何を考慮要素に入れ込むかと深く関連していると思っています。例えば精神的損害のような、不法行為訴訟の中で損害賠償、慰謝料として認められるべきものを入れると、上限、下限を設けることが正当化されるのかが問題になってくるだろうと思われます。
真ん中のA案、B案となっているところ、なぜ損害部分が括弧なのかを先ほど事務局から説明を伺って、これがある場合とない場合があるから括弧に入っているというお話で納得はいったのですけれども、そうだとすると、ハコは違うはずです。そのハコがある場合があるときとないときがあるだけで、中に含まれるという意味では必ずしもないと思います。
狭義の解消対応部分というのは、違法な解雇によって、本来存続しているはずの契約を将来にわたって解消することの対価であるということを純化してしまって、その理屈の中で考慮要素も上限、下限も考えるべきだと考えています。
精神的損害は外出しで、ある場合もあれば、ない場合もあるという扱いにして、そうであれば、契約を解消することに対応する対価として上限、下限を設けられるかと。それは政策的な配慮として別途考えていけるのではないかと思います。
以上です。
○岩村座長 ありがとうございます。
恐らく予見可能性という観点からすると、上限と下限を置いておいたほうがいいだろうと思いますね。
考慮要素については、特に解雇の不当性の程度については、先ほど中窪委員がおっしゃったことと私も同じような考えでありますが、その他、年齢とか勤続年数とか、いかがでしょうか。例えばフランスなども最近制度を変えましたけれども、一応勤続年数というのは考慮要素として入れているというところでありますし、年齢というのは微妙ですが、例えば雇用保険などの場合だと、一定年齢以上だと基本手当の支給期間がぐっと長くなる。再就職の難易度を考慮してということもあるのですが、そういうのも考慮要素として入るのかどうか。その辺、御意見があればと思いますが。神吉委員、どうぞ。
○神吉委員 参考資料2の53ページのところに補償金の算定方法があって、イギリスの基礎裁定は基本的には勤続年数に週給を掛けるのですけれども、継続契約期間の年齢区分によって掛ける係数が違ってきます。53ページの年齢別の扱いについては、この表現が正確といえるか、ちょっと確認させて下さい。資料2のシートのほうで再就職に要する期間がありますが、これは必ずしも個別個別のケースで損害賠償のように対応するだけではなくて、ある程度類型化することもできるのではないか、その点でイギリスがある程度参考になるかと思います。
年齢別の類型的な扱いによって、ある程度再就職に要する期間、再就職の難しさなどを考慮しつつ、岩村先生がおっしゃったように、予測可能性などを担保するような設計にするという一つの参考になろうかと思います。
○岩村座長 ありがとうございます。
イギリスについてはもう一度精査をお願いします。
○五百籏頭労働関係法課調査官 はい。
○岩村座長 一番難しいのが労使合意等の扱いですが、それについてはいかがでしょうか。どうぞ。
○中窪座長代理 労使合意というのは余りぴんとこないですね。これは裁判所、国としてのスタンダードですから、それについて上限、下限というか、一定の考慮要素を決めるのは仕方ないのですが、労使でそれを上回るとか下回るということで合意するのであれば、むしろ判決とは違う部分でやってもらうということになるのではないでしょうか。あるいは事前にそういうことを個別に決めますと、法の潜脱という問題も出てきますし。
○岩村座長 ありがとうございます。
私も解消金という制度をつくって、その解消金について、算定方法についてある程度基準を決めるというやり方をしたときに、労使合意などで別段の定めをあらかじめ置いておいて、それを変えられるというのは、私も余りぴんとこないところがあって、それは法律の枠組みの中でやってくださいということなのかなと思います。
ただ、問題が最初に戻ってしまって、訴え提起する前に合意をしたときには一体どういうことになるのかということにつながるように思います。和解してしまったら。それはこの制度とは全く関係ない話なので、それは全然外の話ですねという割り切りを他方ではするということなのかどうかです。
ただ、将来的なことを考えると、権利発生要件の意思表示の仕方として、仮に訴えの提起とか労働審判の申し立てに限定して始めてみるということを考えたときには、将来への道筋を考えたときに、訴訟外でのこの問題の解決の仕方についても一定の参照基準になるような形で、和解条項の例とか何かを政策的に提示しておくということはあるのかもしれないという気はします。
神吉委員、どうぞ。
○神吉委員 最初のほうで話題になった意思表示のあり方と密接に関係すると思うのですけれども、こういった労使合意をしたときに、その合意が解雇無効時の金銭救済に係る合意なのかという根本的な疑問があります。「こういうお金が払われた場合には解約もやむを得ない」という合意があったとして、合意解約の条件と区別がつきづらいのではないでしょうか。
権利発生要件のところでも考えたのですが、使用者が解雇の意思表示をする。でも、労働者側としては、その意思表示は濫用的なものであるので無効だと考えるけれども、適切なお金が払われればやめてもいいと言ったら、それは解雇無効時の金銭救済を求めている意思表示なのか、それとも単なる条件つき合意解約ないし辞職の申し入れなのか。そもそもその意思表示が何なのかの判定が難しい以上、制度として訴訟外のどこまでかかっていくのかが非常に不明確になるのではないかと思っています。
○岩村座長 おっしゃるところは御指摘のとおりだなと思います。
もしよろしければ、最後に権利行使の期間というのがありますけれども、そこはいかがでしょうか。垣内委員、どうぞ。
○垣内委員 具体的に何年とか何カ月がいいというのは、なかなか言いづらい問題かと思いますが、ごく一般的に言えば、余り長期にわたって請求ができるということもそれほど望ましいということではないかと思われますので、一定の期間内での解決を労働者にも促していく。それによって再出発を促すということも理由のあることかなと思われますが、他方で、余り短い期間ということになりますと、解雇の意思表示があって、当初はどうしても復職したいと考えてさまざま交渉などしたけれども、らちが明かないので、最終的にはこの制度を使って終了させようということもあり得るとすれば、余りそれを短く区切ってしまうということは労働者の選択肢をふやすという趣旨からすると問題もあるのかなと思いますので、そのあたりでどの辺が最も適切なのかという御判断になるのかなと思います。
○岩村座長 ありがとうございます。
おっしゃるとおり、余り短く設定すると、すぐ裁判所に駆け込むということになって、それはそれで非常に裁判所の負担が大きくなってしまうというのもありますし、他方で、長過ぎると、労働者の方に早い転身をなるべく考えていただくことも必要だと思いますので、そこは妥当なところで権利行使の期間を定めるというところなのだろうと思います。
中窪委員、どうぞ。
○中窪座長代理 おっしゃるとおりだと思います。今だと、とにかく解雇無効というのは、無効である以上、いつまでということはない。ある意味アナーキーな状態なわけですが、その中でこういう金銭救済という制度を設けて、基本的に裁判所の判決によってこういう解消という効果をもたらすわけですから、それについては少なくとも合理的な期間の制限を設けて、その中でちゃんとやっていけるようにと設計するということは重要だと思います。そのときに具体的に何年にするかというのは、いろんな考え方がありますけれども、先ほど御指摘がありましたように、余り短くなってはおかしいですし、他方で余り長くなってもよくない。当たり前のことでありますが、一応私もそういうふうに考えます。○岩村座長 ありがとうございます。
ほかにはいかがでしょうか。
事務局のほうできょうここを議論してほしいというものがあればですが、いかがでしょうか。
○五百籏頭労働関係法課調査官 いろいろな御議論ありがとうございます。
2点ほどもう少し掘り下げてお考えを御教示いただきたい点がございます。まず、金銭の算定の方法についてですけれども、イギリスやドイツのように、算定式のようなものを出して、これに基づいて決める方法と、それからフランスのような上下限を設ける。大別すると2つのやり方があろうかと思いますけれども、それぞれよい点、悪い点があるかと思うのですが、それぞれの方法についてどのように考えたらいいか。特に我が国の実情に合わせてどちらが適切であろうかというところについて、もう少しお考えをいただければと思います。
それから、企業の実情に応じた対応方法。12にかかるところでありますけれども、フランスにおいては、企業規模に応じてこの上下限の中に入れる。要は、あらかじめ基準ということで見せるという形でありますが、それ以外にも、先ほど議論がありましたような労使合意であるとか、あるいは裁判所の判断ということで、ドイツのような形というのもあろうかと思います。こういった企業の実情に応じた配慮をどのような形でやったらよいかというのが2点目であります。
また、ここに関連するところですが、裁判所の裁量に委ねるという考え方をとった場合、これは別に企業の実情に応じたというものだけではなく、例えば解雇の不当性の判断というところについても同じことが言えるのかもしれませんが、裁判所がどのような範囲で事実をもとに勘案してその判断をすればよいのか、あるいは裁判所の裁量の範囲というものは自由に委ねることでよいのか、あるいは一定の範囲というものを定めたほうがよいのか、このあたりについても御意見をいただきたいと思います。
○岩村座長 事務局のほうから3点要望でありますけれども、いかがでしょうか。では、参事官、お願いします。
○笹井法務省民事局参事官 先ほど裁判所の裁量に委ねるということはどうかというお考えが示されたかのように思ったのですが、裁判所の裁量に委ねる可能性があるということなのでしょうか。と申しますのは、冒頭確認させていただきましたように、形成権として仕組んでいるということは、その時点で目に見えるかどうかは別として、少なくとも神様の目から見た場合には、一義的にその金額は決まっているという制度設計をされるのかなと思っておりましたので、もしそこで裁判所の裁量が入ってくるということになると、それは裁判所の裁量によって請求権を形成するということを前提にされているように思えたものですので、そこを確認させていただければと思います。
もしかすると私の誤解かもしれなくて、例えば不法行為に基づく損害賠償請求権というのは、例えば慰謝料などは、その金額というのは裁判所の裁量に委ねられると言われているかもしれないのですが、しかし、不法行為時に客観的には一義的に決まっているはずでありまして、実際に幾ら幾らですということが目に見える形で出てくるのは、それは裁判所の判決を通してであるという意味でおっしゃっていたのであれば、形成権として仕組むことと理論的に矛盾はしないのかなと思うのですけれども、もしそうではなくて、例えば条文上、裁判所の裁量によってこうこうこう定めることができるみたいな形で書かれますと、もしかすると私の誤解があるかもしれませんが、形成権として仕組むという制度設計とやや整合しないように思ったものですから、その点を御教示いただければと思います。
○岩村座長 事務局、お願いします。
○五百籏頭労働関係法課調査官 質問の意図を明確にさせていただきたいと思います。法的な権利の性質と裁判官の裁量との関係においては、専門的なところでもございますので、先生方から御知見もいただきたいと思うのですけれども、私が御質問で投げかけました点につきましては、一つドイツの例で、算定式に基づいて出されたものに裁判官が裁量によって最終的な額を決定するという例がございましたので、こういったものも念頭に置きつつ、先ほど議論の中で、例えば労使の帰責性というのが51対49とか、100対0といったときに、不当性の度合いというところに考慮をする余地があるのではないかという御議論もあったことから、そういったものを踏まえて裁判官の裁量というところをどのように考えたらよいだろうかということを投げかけさせていただいたつもりでございます。
○岩村座長 ありがとうございます。
多分この場では請求権なのか、形成権なのかということについては、そこまで決まった議論になっていないと私は理解しております。
それから、裁判官の裁量というのも、今、参事官がおっしゃったように、例えば慰謝料の場合のようなケースのことを想定しての議論で、行政庁の裁量のような議論ではないと私としては理解しております。
ただ、それでも先ほど議論がありました解雇の不当性のような場合に、最終的に解消金の額を決定する際にそれをどのような形で反映させるかというところは、もしそういう考え方をとればの話ですが、裁判官のほうで事情をしんしゃくした上で決定していただくということになるのかなと思います。49対51のときには3割削るとか、あらかじめそういうふうに規範を決めておくというのはちょっと難しいのかなと感じているところです。
ですので、算定式というのも、やり始めるとけんけんごうごうになってしまって、恐らくすぐには決めにくいところもあるでしょうし、少しアバウトな形での算定式を考えるというやり方はあるのかなと思います。その上で、最終的に解雇の不当性というものを勘案して額を決定するというのは、一つのやり方として考えられるかなと思います。
それでよろしければ、あと中小企業とか企業規模とかそういったものをどう考えるかというのがあるのですけれども、これについてはいかがでございましょうか。
○中窪座長代理 先ほどの上限、下限にするか、一定の算定式にするかもそうですが、そうしてはいけないということは全然ないわけで、企業規模についてもそれを考えるというのも一つのあり方でしょうし、勤めているところによって何で違うのかと言われると、全て一律にすべきだという考えも当然あり得ると思います。私たちがここでどういう議論をすることを期待されているかによるといいますか、技術的にはどちらもあり得るのですけれども、その中でどういうことを適切と考えて、どういう制度設計をするかというのは労政審で議論するのかなと思っていたのですけれども。
○岩村座長 ありがとうございます。
もちろん、最終的には労政審で決めることと思いますが、恐らく技術的に考えたときには、基本的にはある意味で支払い能力ということになるのだと思いますけれども、それと無関係に解消金の決定方式というものを考えたときには、資力のある企業にとっては非常にたやすく解消金が払えてしまうということになる可能性があり、他方で、それほど資力のない企業にとっては、結局のところ解消金を払えないので使えない。労働者が解消金でいいと言っているのに、結局、企業の側がそれには応じられないということになる。そういう現実的な問題がどこかでは発生してしまうということがあるのかなと思います。
しかし、大企業と中小企業とか、仮に資力別で分けたとしても、結局、個別の企業によって状況は違うので、いずれにせよその問題は発生すると言えば発生するということではあるのですが、この制度がワークするような形で、他方で、余り乱用ぎみにならないような形が好ましいわけです。もちろん裁判所の監督のもとでやればその心配はない、可能性は低いかもしれませんけれども、そういう可能性を考えた上での検討なのかなと思っています。
3点目は何でしたか。ど忘れしました。
○五百籏頭労働関係法課調査官 裁判官の裁量というところ、ドイツのような形で入れる場合に、ゼロにするまでの大幅な裁量を委ねるのか、あるいは一定の枠ということでお示しするのかというところと、あと、裁判官が裁量の根拠とする事実の範囲というのをどのぐらいにするのか。解雇に直接関係するようなことなのか、あるいは過去ずっと懲戒解雇などが繰り返されていたような場合、過去にさかのぼった事実も含めて判断をするのかといったような点についてです。
○岩村座長 ありがとうございます。
直感的には例えば何%までという枠をかけるというのは結構難しい。それ自体が議論の的になってしまうかなという気はするのですが、他方で、裁判所からすると、全部フリーハンドに委ねられても困るというのはあるのかもしれませんが、この限度でというふうに言うというのは結構厳しい感じが実際問題としてはします。
他方で、どの程度の要素を考慮できるかというのは、結局、訴訟においてどこまでの主張がなされたか、解雇に関連する事実としてどこまでさかのぼった事実が主張されたかということによって、結局のところは決まるのではないかと思います。
個人的な労働委員会などの経験だと、20年前から始まるということもあるのですけれども、一般の解雇訴訟ではそこまでさかのぼるということは余りなくて、結局、そういう意味では、当事者の主張の中であらわれた限度でもって考慮要素を考えるということなのかなと思います。さすがに裁判官が職権で調べて、こんなものまで考慮するということをする必要はないだろうと思ってはいますが、これはあくまでも私自身の考えなので、ほかの方がどう考えるはわかりませんが。
○中窪座長代理 結局、制度設計をどうするかによると思うのですが、せっかく一定の基準に従って予見可能性を高めるためにやっているわけですから、裁判所の裁量を認めるにしても一定の枠内になるというのは自然かなと思います。
○岩村座長 ありがとうございます。
ほかにはいかがでしょうか。
大体予定している時間にはなっておりまして、まだ議論が足りないところがもしかするとあるかもしれませんけれども、きょうのところはここまでとさせていただければと思います。
事務局のほうできょう出た議論を少し整理していただいて、なお検討課題があれば、次回以降検討を深めるということにさせていただければと思います。
それでは、次回の日程などにつきまして、事務局のほうから御連絡をいただければと思います。
○坂本労働関係法課課長補佐 次回の日程でございますが、先ほど資料1で説明しましたとおり、12月下旬をめどに現在調整中でございますので、確定次第、開催場所とあわせて御連絡をさせていただきます。
○岩村座長 ありがとうございます。
それでは、これをもちまして、第2回「解雇無効時の金銭救済制度に係る法技術的論点に関する検討会」を終わらせていただきたいと思います。委員の皆様におかれましては、お忙しい中を御参集いただきまして、まことにありがとうございました。
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