2018年10月4日 第20回中央訓練協議会議事録

人材開発統括官付訓練企画室

日時

平成30年10月4日(木) 10:00~12:00

場所

中央合同庁舎5号館17階 専用第21会議室

議題

(1)平成31年度ハロートレーニング(公的職業訓練)に係る概算要求について【報告】
(2)平成31年度全国職業訓練実施計画の策定方針について
(3)その他

議事

 

○今野浩一郎名誉教授(学習院大学) ただいまから第20回中央訓練協議会を開催いたします。まず、本日お集まりいただいた方を御紹介したいのですが、時間の都合もありますので、お手元に座席表、参考資料1に名簿がございますので、それを御参照いただければと思います。ただ、今回3名の構成員の方が変更になっておりますので、御紹介させていただきます。まず、日本商工会議所より杉崎産業政策第二部副部長です。次は、全国中小企業団体中央会より佐久間事務局次長・労働政策部長です。最後に、京都府より鈴木商工労働観光部長ですが、本日は代理として小山商工労働観光部雇用政策監が出席されております。なお、連合の村上委員については、代理として雇用対策局の漆原局長に御出席いただいております。
また、事務局に変更がありましたので紹介させていただきます。まず、吉本人材開発統括官です。今回は所用で欠席ですが、山田審議官も変わられました。その次に、青山人材開発総務担当参事官です。相本人材開発政策担当参事官です。立石政策企画室長です。菱谷訓練企画室長です。佐藤特別支援室長です。職業安定局の田畑審議官です。國分訓練受講者支援室長です。御紹介させていただきました。
それでは議事の前に、吉本統括官より御挨拶をいただければと思います。よろしくお願いします。
○吉本人材開発統括官 吉本でございます。委員の皆様方におかれましては、本日は大変お忙しい中を御出席を賜りまして、ありがとうございます。皆様方には、日頃からこの会議をはじめといたしまして、人材開発行政にいろいろな場面で御支援を頂きまして、改めて御礼申し上げたいと思います。
訓練に関する状況ですが、雇用情勢等を反映しまして、離職者訓練については落ち着いた動向という形になっておりますが、一方で在職者訓練、特に生産性向上に関することやITリテラシーの関係などにつきましては、ボリュームが相対的に大きくなっておりますし、私どもも力を入れていかなければならないというように思っているところです。特に昨今の動きとしては、人生100年時代を見据えた「人づくり革命」について、総理の下で関係の会議も立ち上がりまして、「人づくり革命」の基本構想といったものが取りまとめられたりしているところです。
その中で私どもの関係は、幾つになっても学び直しが可能なキャリアチェンジ、キャリアアップが可能な環境をいろいろな面から整えていこうということになっておりまして、後で御紹介申し上げますが、来年度の概算要求におきましても、そうしたメニューを盛り込ませていただいているところです。
また、リカレント教育と言った時に、ターゲットはいろいろあるわけです。事業主向けの人材開発助成金の拡充もそうですし、労働者向けの訓練給付についてもそうですが、特にここで御議論いただきますハロートレーニング(公的職業訓練)といったことについては、やはり基礎的なIT・データスキル等のための教育訓練コースの充実であるとか、在職者が利用しやすいような、夜間や土日も含めた訓練コースの充実といったようなことを掲げているところです。
本日はそうしたことも含めまして、また皆様方がそれぞれのところで把握されている現状や課題もお聞かせいただきながら、忌憚なく御意見を頂ければと考えています。どうぞよろしくお願い申し上げます。
○今野浩一郎名誉教授 それでは、議事に入りたいと思います。お手元に議事次第がありますので、沿っていきたいと思います。今日は2番目の議題の「平成31年度全国職業訓練実施計画の策定方針について」、主に議論をしていただきたいと思っていますが、その前に第1番目の議題の「平成31年度ハロートレーニング(公的職業訓練)に係る概算要求について」説明をしていただいて、少し議論をしたいと思います。それでは、事務局から説明をお願いします。
○菱谷人材開発統括官付訓練企画室長 お手元の資料1「平成31年度概算要求について」を御覧ください。平成31年度の概算要求については、まず公共職業訓練については1,271億円ということで、対前年13億円増、訓練規模としては1,000人増の約32.8万人ということで要求しています。
この内訳を見ていくと、離職者訓練については昨今の雇用情勢などを踏まえまして、4,000人減の17万人ということで要求しております。その中身ですが、まず施設内訓練については訓練規模としては2,000人減の3.3万人、要求額も2億円減の638億円ということで要求しているところです。一方、委託訓練については、訓練規模としては2,000人減ということですが、要求額は15億円増となっております。人数が減って予算が増えているのは、後ほど御説明する長期高度人材育成コースの設定に伴うものです。こちらについては、昨年7月に取りまとまった働き方改革関連の訓練コースの拡充で、非正規雇用労働者等に対して国家資格の取得等をしていただき正規の就労につなげていただくために、従前は3か月から6か月程度の訓練期間となっていましたが、この長期高度人材育成コースについては2年以内のコースの設定が可能としており、委託単価についても月12万円まで認めているというところです。このように、期間が長く単価が高いということもありまして、この関連で委託訓練についてはプラス15億円となっております。
在職者訓練については、昨今は非常に離職者が減少する中で在職中の方に対する訓練に力を入れる企業も増えてきておりますので、そういう実態を踏まえて、対前年4,000人増ということで13.6万人ということで要求しております。学卒者訓練については横置きとなっております。
障害者訓練についても、おおむね横置きとなっています。障害者の在職者訓練についても横置きという状況です。次は、求職者支援訓練についてです。人開統括官部局としては、民間訓練機関に対する奨励金ということで、認定職業訓練奨励金に関する要求をしておりますが、こちらについては昨今の実情を踏まえて、対前年10億円減の73億円の要求としております。訓練規模についても、対前年4,000人減としております。
以上を踏まえて、公共職業訓練(離職者訓練)と求職者支援訓練の訓練規模については、それぞれ4,000人ずつの減ということですので、対前年より8,000人減の20.2万人ということで要求しております。
続いて、予算要求の中身について御説明いたします。3ページを御覧ください。こちらは委託訓練の予算規模が増えている理由の大きなものですが、非正規雇用労働者等は、なかなかこれまで能力開発機会に恵まれなかったということですので、国家資格の取得等を目指して、2年以内の長期離職者の訓練を推進し、正社員就職を目指すというコースを設定していくこととしております。こちらについては、昨年度より1,200人ほど予算枠を増やしているところです。コース例としても、社会福祉士、精神保健福祉士、栄養師、ITSSのレベル3以上のITスキル講座などを対象としていくこととしております。
次ページは、「子育て中の女性のためのリカレント教育の充実」です。予算規模としては、昨年度とほぼ同額となっています。中身は、1日の訓練時間数を短く設定した短時間訓練コース、こちらは、通常委託訓練は1日5時間ということになっていますが、4時間以上でも大丈夫な訓練コースを設定しています。受講の際の託児サービスということで一時預かり等をする場合に月6万6,000円ということで助成を行っているところです。
5ページを御覧ください。「第4次産業革命による技術革新に対応した基礎的ITリテラシー習得のための職業訓練の実施」です。こちらについては昨年6月の未来投資戦略2017において、IT分野のみならず幅広い分野で、今後はITリテラシーが求められるということで、基礎的なIT・データスキルを身に付けるための訓練コースというものをもっと開設していく必要があると指摘をされました。こうした決定を踏まえて、委託訓練の中で連続受講可能なコースとして、基礎的ITリテラシーの訓練コースの開設を検討してきたところです。
その検討内容については6ページを御覧ください。調査研究を行い、2か月間、200時間という形で訓練コースのカリキュラムを設定したところです。これを踏まえて、今年の10月から5,000人規模で今後基礎的ITリテラシーの習得のための訓練コースの開設を全国で進めていくこととしております。
7ページ、委託訓練における「地域レベルのコンソーシアムによる開発等訓練コース」の創設を御覧ください。こちらについては、後ほど御説明いたしますが、離職者訓練の中身を見ると、委託訓練と施設内訓練を比較した場合に、なかなか委託訓練の就職率が上がらないような状況があります。こういった状況を踏まえて、都道府県が主体となって、業界団体、民間教育訓練機関、行政機関等によるコンソーシアムを形成し、より就職可能性を高めるための委託訓練コース(1年未満のもの)を開発した場合に、委託単価を通常6万円のものを委託費単価の上限を9万円に引き上げる形で、3か年間支給するというコース設定です。こういった地域の実情に応じたコース設定の開設を促していくことにより、地域レベルにおいて、より高い就職率の実現、それから地域ニーズに合った人材育成に努めていくこととしております。私からの説明は以上です。
○今野浩一郎名誉教授 予算の説明をしていただきましたので、御質問がありましたらどうぞ。
○関口正雄常任理事総務委員長(全国専修学校各種学校総連合会) 非正規雇用労働者等への長期高度人材育成コースの予算等について質問いたします。これは雇用保険財源の専門実践教育訓練と合わせて、我々専門学校のほうが付帯教育ではなくて本体の事業として取り組めるということと、長期高度人材育成コースについては、特にこれまでいろいろな訓練は地方の専門学校が主として取り組んできたということではあったのですが、これからは東京、大阪等の本科課程において、社会人への学び直し教育ということに本格的に参画できるということで、大変有り難いと思っております。
その上で、平成30年度は379億円、今年度はさらに395億円と増額をしていただいたわけであります。
それから、私どもが把握している状況では、例えば埼玉県の事例では、40人の定員のパティシエ、製菓調理師のコースで、20数名がこの制度で入ってきたという事例があります。これを担当した学校の人間に聞きますと、まず埼玉県の説明会というものについて積極的に参加して、製菓調理部門についての講座設定をお願いすることができたということです。これは、感度のいい学校がそれに反応したということがございます。また、それからその担当者は、埼玉県下のハローワークを全て回って、簡単なパンフレットを置いて、告知に努めたということもあって、先行的にかなりうまくいった事例です。
しかし、これは大変珍しい事例でして、例えば東京ですと、分野の指定が僅か5分野にとどまっています。これは説明会についての情報が周知されていなかったということもあって、専門学校側の参加者が大変少なかったということで、こう言っては何ですが、都のほうも余り積極的に働き掛けようというのは昨年度は見られなかったということです。
第1の実情、現状の質問と併せまして、都道府県に直接こうしろということはできないのでしょうが、都道府県のほうに積極的にこの講座の周知を図っていくということで、何かできることはないのか。あるいはハローワークに対して、それも同様に働き掛けができないかと。「非正規雇用労働者のための長期高度訓練」と名称が非常に長いので、東京都の産業労働局の今回の説明会では、「専門人材育成訓練」というような表現になっていて、私ども全専各から全国の会員に流した訓練の名称と、都道府県単位では名称が違っているというケースもあって、各学校で、案内が来たときに長期高度訓練なのかどうかということを確認しているという実情もありますので、名称も含めて、この訓練自体を周知する、あるいは都道府県の働き掛けということが、どのぐらいおできなのかということを、実情と併せてお聞きしたいと思っています。
○菱谷人材開発統括官付訓練企画室長 御質問いただいた長期高度人材育成コースについて、まずは都道府県ごとの実績ということですが、こちらについては現在集計中ということもありますので、また別途集計できた段階で御説明させていただきたいと思います。
それから、昨年度は東京都で5分野に限定していたような実態があったのではないか、また周知に向けてどういった取組ができるかということですが、東京都は昨年度はそういった実態があったのかもしれないのですが、我々はこのコースについて大切なことは、国家資格の取得、正社員就労につながるコース開設というものをしっかりとやっていただくことが重要だと思っています。そういった観点からの精査はすごく重要だと思うのですが、分野を特定することに意味があると思っているわけではありません。そういう意味では、成果というものをちゃんと聞いていかなくてはいけないと思っておりますけれども、別に5分野に絞ってくださいという話ではないと思っておりますし、東京都とはその他の機会においても意見交換をしていこうと考えております。
それから、都道府県に対する周知については、各種会議などを通じて、せっかくコース設定したものであれば、このコースの利用を通じてより多くの正社員就職につなげていただきたいと思っておりますので、都道府県に対してもしっかりと周知していきたいと思っていますし、そういったことにも努めていきたいと考えています。
○代理出席漆原雇用対策局長(日本労働組合総連合会)) 代理で出席させていただきました漆原です。長期の高度人材育成コースについての質問です。今、正に集計中なのかもしれませんが、非正規が正社員となって安定的に働くということは、労働組合としても是非進めていただきたい施策ですが、実際の資格の取得率、合格率、あるいは正社員としての就職率はどのぐらいかというのが気になるところです。
また、「さらに、フォローアップの支援を行う」というような記載が横にありまして、具体的にどのようなフォローアップをして定着率を向上させているのかというところを、併せて伺えればと思います。
また、新たに今回、PSW、栄養士、ITSSのレベル3以上の講座ということですが、こういった講座についても資格の習得率とか、正社員の就職率についても、併せて出していただければと思うところです。
ITのところで言いますと、1-6の所に「ITリテラシーの習得カリキュラムに関するる調査研究」という所がありまして、そこにモデルカリキュラムの200時間のコースが示されています。人によって、これが全部必要な人もいれば、その一部だけで十分な方もいると思うのですが、このカリキュラムをやるに当たっては、フルセットでこれを全て受講しなければいけないのか。あるいは若干のオーダーメイドが可能なのかということについても、どのような対応ができるのかということについてお聞きしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○菱谷人材開発統括官付訓練企画室長 まず、長期高度人材育成コースの中の実績について、就職率、試験合格率、どのぐらいの方がというお話ですが、もともと長期高度人材育成コースについては資格取得コースという形で、介護福祉士と保育士については、前からコース設定があったところです。これに加えて、精神保健福祉士や栄養士などが加わったのは、働き方改革実行計画が策定されたのは平成29年の7月ですけれども、コースの設定というのは各学校でも年度途中からは難しいという実態がありますので、実質的には今年度から開設した所がほとんどです。
結果として、全国で500人超ぐらいの方が今年入ったと聞いておりますが、現時点においてそういう状況ですので、資格取得とか就職の実績というのは、まだようやく学校に入ったところで分かっていません。このコース設定についての基本的なコンセプトとしては、正社員就職の割合が8割以上ということで組んでおりますので、その実績についてはしっかりとフォローしていきたいと思っておりますし、就職後のフォローアップというところで、どういう状況になっているかをハローワーク職員が尋ねるなどして、フォローアップにも努めていきたいと考えております。
それから、基礎的ITリテラシーの講座設定について、200時間というのは長いのではないかという御意見でした。この訓練カリキュラムの時間については、この間に私もいろいろな方の御意見を聞いたのですが、いかにも長いとおっしゃる方もいらっしゃいましたし、第4次産業革命に対応するための人材育成ということであれば、これぐらいしっかりやらないといけないのではないかという御意見もございました。両方の意見があったところです。JEEDの人にも入っていただいて、PWCという所に委託して作ってもらったカリキュラムの案ですが、まずは今年の10月からの実施ですので、これをしっかり一旦回してみて、その結果を踏まえて、いろいろな意見を踏まえながら柔軟に来年度以降、その意見を聞きながら対応していきたいと考えています。
○今野浩一郎名誉教授 実績については、乞う御期待ということですかね。いつ頃だったら実績のデータは出ますか。
 
○菱谷人材開発統括官付訓練企画室長 高度のほうですと、2年などのコース設定になりますので、すぐにはちょっとまだ。
○今野浩一郎名誉教授 では、当分駄目ですね。ほかにいかがでしょうか。
○関口正雄常任理事総務委員長 500人という話がありましたが、これは全体で講座に入られた方が500人ということでしょうか。
○菱谷人材開発統括官付訓練企画室長 これは介護と保育以外の分野の人数です。
○関口正雄常任理事総務委員長 つまり、長期高度人材育成訓練コースのということですよね。
○菱谷人材開発統括官付訓練企画室長 はい。
○関口正雄常任理事総務委員長 そうすると、単純に月額最大12万円×12か月=144万円にさらに500人ということで掛けてみれば、今年度はどのぐらいの規模になったかというようなことは分かるという計算でよろしいのでしょうか。
○菱谷人材開発統括官付訓練企画室長 介護と保育以外の実績はそうなります。
○今野浩一郎名誉教授 私からですが、ITリテラシーなのですが、これはこの訓練コースが終わったときに、どのような仕事で働くことを想定しているのですか。考えてみれば、リテラシーだからどこでもいいという話でもあるのですが、特にこの分野というのがあったら教えていただきたいなと思います。
○菱谷人材開発統括官付訓練企画室長 そういう意味で申しますと、今年の経済財政白書などにも書かれておりましたのは、日本においてIT人材そのものがOECD諸国の中で若干割合が少ないと。もう1つの特徴は、IT人材というものがどういう企業にいるかということを見たときに、日本は非常にIT企業に偏っているというデータになっていました。
要するに、諸外国においてはIT企業以外においてもIT人材がいて、そういった方々が例えばビッグデータなどの必要性をちゃんと理解していたり、IoT、ITスキルというものを活用した経営判断なり経営戦略なりを取っているということだと認識しています。そういう意味では、この分野でということではありませんが、この基礎的なカリキュラムを習得した後に、それぞれの訓練課程を再度選択していただいて、就職につなげていただければというように考えています。
○今野浩一郎名誉教授 ほかにいかがでしょうか。
○佐久間一浩事務局次長・労働政策部長(全国中小企業団体中央会) 今御説明を賜りまして、長期高度人材育成コースの関係で、これから新しい制度として出来上がるという形なので、これまでの委託訓練コースに加えてこちらのコースも探されると思います。
ただ、1、2年ということで、結構長期になるという形で、このコースの例を見ると、名称独占とか業務独占のような、専門実践教育の関係のかかわりとどう違うかとか、その辺の区分けというのも期間の関係も出てくると思いますので、是非こちらもせっかく設けるコースなので、有益にコース設定等をしていただきたいと思います。
それから、これが終わった後、先ほど会長からも言われましたが、就職後のフォローアップ支援、そして資格はどういうものが取れていくのかとか、そういうことも興味があるところなので、是非ともよろしくお願いしたいと思います。
それから、基礎的なITリテラシー習得型の講座、職業訓練なりの部分になりますが、こちらについてはどちらかと言うと、第4次産業革命というように銘打っていて、ここから進むべき方向というのは、society5.0とか、本当に社会全体がITを付加した、融合した世界に進んでいくのだというものになると。そこで、標題と実際に教育訓練の内容というのは、先ほどもありましたが、モデルカリキュラムを見ていますと、実際にITとはという形の一番最初から入っていくような形で、この2か月ぐらいで、基礎的と言いながらも第4次産業革命の一歩を踏み出すところまで養成できるのかというのも興味があるところです。
期間が長すぎるのではないか、逆に本当にITのところを職業訓練としてやっていくというところでも、期間というのは必要になるという両面があると思うので、その辺のカリキュラムの組み方というのも御検討をお願いしたいと思います。
両方とも、非常にその辺のカリキュラムというのは必要なカリキュラム構成だと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
○今野浩一郎名誉教授 御質問は答える必要がないようなものでしたが、何かコメントはありますか。
○菱谷人材開発統括官付訓練企画室長 御指摘を踏まえまして、長期高度人材育成コースについても基礎的ITリテラシーコースについても、習得の実情であるとか、いろいろな意見を踏まえながら必要に応じて見直し等を検討していきたいと考えております。
○今野浩一郎名誉教授 ほかにいかがですか。
○代理出席小山商工労働観光部雇用政策監(京都府)先ほどもほかの委員からあったのですが、定着のフォローまでするという形になっていて、非常に有り難いと思っているのですが、実は私たちも就職の訓練をしていて送り出した結果、やはり戻ってくるメンバーが相当数おります。それは単に資格があるから就職ができるというわけではなくて、資格があったとしても、実際に現場に出てみれば非常にいろいろな問題にぶち当たって帰ってくるというメンバーがいますので、是非とも、先ほど「定着支援についてはまたハローワーク等を通じて」というお答えがあったと記憶していますが、そこの部分をもう少ししっかりと、どこまでやるのだということも含めて、また私たちとも一緒に協議もさせていただいて、定着支援を半年ぐらいしっかりしてあげないと、せっかく1年、2年は学んだけれども、もう一回戻ってきてしまうというようなことで、また、くじけてしまうメンバーも出てくると思いますので、是非ともそこの充実をお願いしたいと思っています。よろしくお願いいたします。
○菱谷人材開発統括官付訓練企画室長 国家資格の取得というのは就職への即効性という観点で分かりやすいものですが、それだけではなかなか安定した就労につながらないのではないかという御指摘だと受け止めております。御指摘はごもっともだと思っておりますので、我々も人材的にどこまでいけるかというところはありますが、可能な範囲で、職業安定局などとも連携しながら、定着支援に働き掛けていきたいと考えております。
○今野浩一郎名誉教授 関口さんにお聞きしたいのですが、2年間で教育するとなったら、これは一種の専門教育になっていますが、そういう働き方はこうだぞという教育も一緒にするのではないですか。
○関口正雄常任理事総務委員長 既に専門学校の教育というのは就職させて終わりということではなくて、それからキャリアを積み上げていけるようなという部分ですね。これは、大学のようにキャリア教育的なものを別の講座でやるというよりは、専門の教育と不可分に先生が教えていくとか、何よりも知識と技能を統合する現場実習が、ほぼ全ての分野に組み込まれております。その現場実習を通じて職場への適合性だとか、その他を学ぶということも含んでおりますので、この長期高度で入ってくださる方たちに対しても、職場に定着し、なおかつキャリアを積み上げていけるような教育というのを同様にすることができるというように考えています。
○今野浩一郎名誉教授 一般論で言うと、就職後というのは後対応なので、教育の中でしっかりやっていただくというのは非常に重要ですよね。ほかにいかがでしょうか。
○遠藤和夫労働政策本部副本部長(一般社団法人日本経済団体連合会) 非正規雇用労働者等への長期高度人材育成コースに質問が集まっていますが、使側も大変関心を持っているコースです。重複するところは避けまして、1点だけ定着支援に係る部分で申し上げますと、同時並行で進んでいる専門実践教育訓練給付の見直しに際し、受講後のフォローアップについての仕掛けを組み込んでいます。今後、予算あるいはマンパワーとの関係もあるかと思うのですが、コース修了後の方々の対応に向けては、新たな仕掛けを考えていく、あるいは効果の測定について、専門実践教育訓練給付で講じられるようなことも含めて、動きはあるのでしょうか。
○菱谷人材開発統括官付訓練企画室長 事実関係で申しますと、今、長期高度人材育成コースにつきましては、要領の改正自体は既に昨年度にやっていて、実質的には今年度から既に受入れが開始されておりますので、そういう意味で言うと、教育訓練給付の専門実践とかのフォローアップと全く横並びということをものすごく意識されていたわけではありませんが、仰っていること、大切にしたいと思われている視点というのは理解しますので、そこはちょっと、私もどの点についてどうしているかということは確認が必要だとは思っていますけれども、また検討していきたいと思います。
○今野浩一郎名誉教授 ほかにいかがですか。よろしいですか。それでは、次の議題に入りたいと思います。「平成31年度全国職業訓練実施計画の策定方針について」です。それでは説明をお願いします。
○菱谷人材開発統括官付訓練企画室長 資料2「平成31年度全国職業訓練実施計画の策定に当たっての方針(案)」を御覧ください。その際、資料3の「参考データ」がありますので、参考データの2頁、「平成29年度におけるハロートレーニング」の実績も横に置きながら話を進めていければと考えております。まず資料2です。1、公共職業訓練(離職者訓練)については、平成30年度全国職業訓練計画は、施設内訓練は2万5,000人、委託訓練は13万8,942人ということですが、昨今の充足状況等を踏まえて、来年度については、施設内訓練は2万3,500人、委託訓練は13万7,186人と計画を下げております。就職率目標については、施設内訓練80%、委託訓練75%という目標を据え置いているところです。
足元の実績については、資料3の2ページですが、平成29年度におけるハロートレーニングの実績を見てみますと、施設内訓練の入校者については2万1,250人でした。就職率ですが、施設内訓練については87.1%、委託訓練については74.9%ということで、施設内訓練については目標達成ができているのですが、委託訓練については目標をやや下回っている状況です。昨年度からの推移で見ますと、平成28年度の実績は74.6%だったので、少し上がってきてはいるのですが、引き続き75%に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
計画ですが、訓練内容については昨年度と同左とさせていただいております。中身については、4ポツ目ですが、出産・育児を理由とした離職者に対する短時間訓練コース、あるいは託児サービス付き訓練コースの設定の推進であるとか、2ページになりますが、非正規雇用労働者を対象とした国家資格の取得等を目指す長期の訓練コースの新設・拡充、あるいはITリテラシーを習得する訓練コースの実施などを記載させていただいております。
3ページに移りますが、在職者訓練についてです。JEEDが実施する分の在職者訓練については、対象者数を6万2,000人から6万6,000人という形で目標を上げさせていただいております。在職者訓練の入校者数については、資料3を見ますと入校者数6万5,309人ということで、足元6万2,000人よりも大分上回っている状況ですので、こういった状況を踏まえ、計画のほうも6万6,000人という形で上げさせていただいております。3の学卒者訓練については、対象者数は5,800人ということで据置きとさせていただいております。
4ページを御覧ください。4ページは公共職業訓練のうちの障害者訓練です。こちらについては、対象者数は200人減の6,780人とさせていただいております。就職率目標については、施設内訓練が70%、委託訓練が55%とさせていただいておりますが、こちらの目標については据置きとさせていただきたいと思っております。
こちらの実績ですが、資料3です。障害者訓練のデータを見ますと、離職者訓練については、足元で4,834人、受講者数ベースで申しますと5,102人ですので、昨今の景気状況などを踏まえ、障害者訓練についても充足状況でやや苦戦している状況があります。施設内訓練の就職率の状況ですが、こちらについては69.3%、委託訓練については49.8%ということで、目標をやや下回っているところです。正確に申しますと、施設内訓練については、平成29年度の目標については65%ですので、施設内訓練の平成29年度の目標は達成できているのですが、平成30年度以降については、更なる就職率の向上を求められるところです。委託訓練については、この間非常にいろいろな取組をやってきているところですが、まだ若干目標が達成できていないところです。
そうした反省も踏まえ、訓練内容については、来年度いろいろ力を入れていただきたい点を強調しております。障害者訓練の訓練内容ですが、委託訓練の設定については、就職に結び付きやすい実践能力習得訓練コースに重点を置き、つまり座学中心の知識習得コースよりも就職率が高いと言われている実践能力習得訓練コースに重点を置いていくということ。それから、委託元である都道府県が関係機関、典型は障害者就業・生活支援センター、いわゆるナカポツセンターなどが念頭に置かれるわけですが、そういう関係機関と連携を図り、対象障害者の確保、障害者福祉施設などと非常に連携を図って対象障害者を確保し、さらには受託先の新規開拓に取り組むことを強調させていただいております。
さらに、一般の職業能力開発校においても、昨今は精神障害者の方が増えている状況も踏まえ、精神保健福祉士(PSW)の配置を更に進める。こちらは従前週1日だったものを、週2日配置する予算を確保していこうとしておりますが、そういったことを努めていくことにより、精神障害者の受入体制の強化も図っていくことを記載しております。
5ページ、求職者支援訓練です。求職者支援訓練については、これも昨今の充足状況などを踏まえ、訓練機会の提供については3万1,585人とさせていただいており、定員については5万6,400人を上限とすることとさせていただいております。
雇用保険適用就職率については、基礎コースで55%、実践コースで60%ということで、据置きとさせていただいております。こちらの実績については、資料3ですが、基礎コースについては56.7%、実践コースについては64.6%ということで、目標を達成している状況です。なお、こちらは雇用保険適用就職率ということで、従前の就職率、雇用保険の適用事業所でない所も含めた一般的な就職率で見ますと、基礎コースが76.4%、実践コースで82%という実態になっております。
中身について、6ページ、その他です。求職者支援訓練については、昨今、フリーランスの方あるいはダブルワークの方などが増えている状況を踏まえ、記載内容を若干追加しております。「また」という所ですが、短時間労働者等不安定な就労者が増えている状況を踏まえ、平日夜間等ニーズに即した訓練コースの充実に努めていくということで、JEEDなどにも働き掛けを行ってまいりたいと考えております。説明は以上です。
○今野浩一郎名誉教授 ありがとうございました。それでは、御質問、御意見をお願いします。
○関口正雄常任理事総務委員長 2つあり、1つは、障害者訓練ですが、施設内訓練よりも委託訓練のほうが割合がかなり高くなっておりますが、実際に教育訓練の環境とか、設備とか、教員とか、支援スタッフとかを考えると、民間の教育訓練機関への負荷といいますか、それは相当高いと思われるのですが、実際にどのような民間教育訓練機関が、専門学校もあると思いますが、携わっているのかについて、情報がありましたら教えていただきたいことが1つです。
前後してしまいますが、今、求職者支援訓練の就職目標の御説明がありましたが、これは雇用保険内とそうではないのと2つ設定があるということですが、先ほど来の高度長期のほうは80%という数字が先ほど出てきたと思うのですが、これは雇用保険にかかわらずという目標なのかについても、分かりましたら教えてください。
○菱谷人材開発統括官付訓練企画室長 長期高度の関係ですが、長期高度の80%は正社員就職なので、雇用保険適用が基本になると考えております。
求職者支援訓練については、雇用保険適用の事業所に就労してもらうのが、雇用保険からお金を拠出する理由にもなっていると思いますし、一方で、なかなか長期に失業状態にあった方などが対象になっておりますので、一般の正社員就労を目指している方に比べると、やや困難を抱えている層が多いことも事実だと思いますので、そういったことを踏まえた実態として、現在の基礎コース、実践コースの就職率の設定がなされているものと考えております。
○佐藤人材開発統括官付特別支援室長 お答えいたします。障害者訓練についてですが、一応、この割合についてですが、障害者訓練については、NPO法人又は社会福祉法人、大学、専修学校も含めて、こちらのほうがおおよそ2割程度、残り7割程度が一般の民間法人という形になっています。民間法人が多い理由といたしましては、実践型訓練、要は実際に障害をお持ちの方は座学も必要ではあるのですが、実際に現場に出て、どういった仕事をやるか、それで精神的な不安を解消したりとか、実践訓練は就職率に大きく関わってくるのかと思っております。
今、申し上げましたが、民間企業が多い理由としましては、そういった、より障害者のために実践に即した訓練をすることが必要ということでして、各都道府県、自治体の地域情勢も鑑み、協力体制をとっている、ネットワーク等を使っていくのが重要だと考えており、その地場の民間企業の実践訓練が対応されていることにより多くなっているものと考えております。
○関口正雄常任理事総務委員長 障害者訓練のほうはありがとうございました。前のほうの質問で、求職者支援訓練の受講者のプロフィールと、まだ始まったばかりではありますが長期高度の受講者のプロフィールに、大きな違いがあるのであれば、目標の設定も異なっていていいと思うのですが、これからいろいろデータが出てくると思うのですが、どのような方が長期高度に受講されているのかも検討の上で、将来的に就職の目標設定を雇用保険内なのか全部なのかも考えるべきではないかと思います。
○今野浩一郎名誉教授 御意見として伺っておけばよろしいですね。先ほどの障害者訓練の委託先ですが、多くは民間だとおっしゃられたのですが、その中身で、民間というのは何だろうと、よく分からなかったので。
○佐藤人材開発統括官付特別支援室長 申し訳ありません。一番多いのは製造業であったりとか、サービス、販売です。ですから、障害をお持ちになった方が、単純に言いますと、例えばクリーニング屋の折り畳みであったりとか、販売の接客であったりとか、あと、民間企業のオフィスワークに入り、資料セットであるとか、そういったことをOJT的に訓練していくことが多いということです。
○今野浩一郎名誉教授 普通の事業会社ということですね。
○小山商工労働観光部雇用政策監 障害者訓練ですが、特に身体・知的というのは京都府でも経験値があるのですが、実はこれから精神の障害の方々の求職支援をしっかりしていかなくてはいけない状況になっていると思います。その意味でいくと実は何が一番懸念しているかと言いますと、精神の方々の訓練をいかにして行っていくのか、現場で言えば、職業訓練指導員がいるわけですが、経験値がありません。
聞いていると、特に精神の方々を訓練するのに、何か資格があるのかといったら、特にないということがあって、先ほどPSWを配置するとか、そのようなお話もあるのですが、要は訓練生と直に接するのは最前線の指導員ですので、そういう彼らがどのようなノウハウを用い、どのような経験値を用い、また、どのような形でそういう方々をしっかりと訓練させていけるのかが、まだ京都府ではなかなかそこまで手が回ってなくて、非常に問題意識は持っているのですが、どこから手を付けたらいいのか知見がない状況です。
一番大事なことは、受け入れるにしても、しっかりと受け入れる体制をとらないといけないと思っているものですから、その意味でいくと、繰り返しになりますが、訓練指導員の資質をどのような形で高めていくのということがありますので、そういうことについて、厚労省のほうで、例えばこのようなカリキュラムで訓練をするような場があるとか、そういうお考えが今あるのでしたら、お聞かせ願いたいと思います。
○菱谷人材開発統括官付訓練企画室長 今、指導員の資質の向上の話がありましたが、1つは、JEEDでやっている研修カリキュラムの中に、精神障害者向けの指導力向上のための研修コースを結構開設しております。そういったものをもっと受講促進していくことを通じ、まずは指導員の資質向上に努めていくことが第一義的に非常に重要だと思っております。そういった機会をまた作っていきたいと考えております。
○今野浩一郎名誉教授 それは指導員養成コースの中にありますという話ですか。
○菱谷人材開発統括官付訓練企画室長 指導員養成ではなくて、指導員の取得した後の研修コースです。
○今野浩一郎名誉教授 はい。よろしいですか。何かほかにもあるかもしれない。
○遠藤和夫労働政策本部副本部長 関連して。障害者雇用も担当させていただいておりますので、ただ今、京都さんから御指摘がありました点については、経済界としても大変重要なテーマと受け止めています。今後、精神の方々を雇い入れていかない限りは、法定雇用率の達成もおぼつかない状況にあります。精神の方については、御指摘ありましたように、労務管理上も、ノウハウがないです。ないというのは、1対1対応ですので、これまではこうだったものが必ずしも適用できないということであり、これからどうしていけばいいのか、模索中です。そういった中でPSWの方々の重要性も、現場から聞こえてきているところです。ジョブコーチの方々だけでは対応できない状況に至っているので、より高度な人材の育成・確保、これが最重要課題になってきていると思います。
もう1つ、学ばせていただいたことを申し上げれば、精神の方は1年間を通じて状態変化がありますので、状態の良いときはうまくいっているのだけれども、状態が悪くなったときに、休職してしまう、場合によっては離職してしまう。これは専門家がどれだけ知恵、ノウハウを持っていたとしても、一定程度防げないということもあるのかもしれないと思います。精神の方々は1年以内に半数の方が辞めてしまうのが直近のデータですので、現場からの声も拾いながら多くの方々の知恵を集めていきませんと、定着支援にはつながらないというところが、現状の受け止めです。
○今野浩一郎名誉教授 今の点について何かありますか。
○佐藤人材開発統括官付特別支援室長 今、委員のお2人から御指摘を頂いたところです。精神障害の方が増えておりますので、障害者訓練においても京都府さんの御指摘のように現場でも対応に困るということですので、今回、PSWを週1から週2に増やすということで、微々たる支援ではありますが、そういうPSWの配置を増やしたりとか、先ほど当方の菱谷室長からも説明がありましたが、指導技法の体験プログラム等々、支援、現場にいる指導員の方の悩みであるとか接し方、そういったものを技能支援という形でJEEDのほうもやっていると。一歩一歩地道ですが、こういったことの認知を少しずつ広めていかないと、一朝一夕にがばっと改善はなかなか難しいかと考えているところでして、引き続きこういったフォローアップ等については検討してまいりたいと考えておりますので、どうぞ御意見等を頂ければと思っております。
○遠藤和夫労働政策本部副本部長 先ほど申し上げなかったのですが、精神の方々で職場定着にうまくいっている企業の事例を聞いていくと、共通項が1つあります。就職する前に支援していただいた方々と就職後も継続して取り組んでいくことです。例えば、月1回その方に会社に来てもらって、一緒に面談をするなど、会社としても就職前の段階が継続できる状況をつくっています。会社の事例ですが、その部分に着目しています。
一方で、就職の面接の際には、「あなたはどういうサポートを受けてきたのですか」ということを聞きます。その人が得手、不得手の部分について、自分としては客観分析していたところが言える、言えないということが、着眼点と聞いています。
もう1点、先ほどのPSWですが、一企業の中でその人材を雇い入れるのはなかなか難しい状況もあります。その方々を能開校のほうで配置するということであれば、そこを卒業して就職された後も、PSWの方々との関係性を一定程度持てるようなことも模索していただくと、地域の中での支え合いも続いていくのではないかと思います。
○今野浩一郎名誉教授 全体的には、今後、精神は大変だから、しっかりやってねという感じですよね。ほかにいかがですか。
○遠藤和夫労働政策本部副本部長 資料2を拝見いたしまして、離職者なのか在職者なのかという大きな切り口がありますが、実際に受講される側で言えば、属性の部分は見ないのかと思っていたら、最後の頁に「その他」で若干出てきています。何を申し上げたいかと言いますと、ここ数年、65歳以降の方々の雇用者数が大変伸びています。2017年でも、400万人は超えており、そのうち実に100万人の方々が正規で働いているのが実態です。65歳以降の方々については、これまで培ってきた知識、能力、経験を使うのであり、訓練は要らないということであるならば、ここに何も書かれていなくてもいいです。むしろ、65歳以降も働き続けてもらうことを考える必要があり、その方々向けの訓練については、何かお考えや、御検討されていることがあるのであれば教えてください。
○菱谷人材開発統括官付訓練企画室長 今、非常に本質的お話だと思いますが、65歳以上の方々をどういう形で雇用していくか、あるいは継続雇用なのか。つまり、それは離職者なのか在職なのか、離職者訓練としてやるのか在職者訓練としてやるのか、いろいろなパターンがあり得るのだと思っております。かつて、高齢者の方々の訓練キャリキュラムについて、検討したことはあったようですが、ものすごく広まったという実態は余りないように認識しております。
では、そのままでいいのかということですが、人生100年時代を迎えるに当たり、学び直しの機会がもっと求められてくることになるかと思います。65歳以上というくくりがいいのかどうかは分かりませんが、そういった方々に対してどういう訓練、それは在職者なのか離職者なのか、それによってもまた異ってくると思います。必要なのはキャリアコンサルティングなのか、それとも能力開発なのか、そういったことも含めて、ある意味、人開行政としても今後考えていかないといけない重要な課題だと思います。現時点は特に何も起きていないところですが、今後そういった御指摘を踏まえながら、来年度以降また然るべく検討していきたいと考えております。
○遠藤和夫労働政策本部副本部長 ただ今、お答えいただきましたように、これから検討する部分も多々あると思います。御指摘がございましたように、60歳後半層の働き方だけを見るのではなくて、前半層とのセットでどういう選択肢を取り得るのかということをどれだけメニュー化できるか、継続雇用への1つの鍵と思っています。
そして、来年度への概算要求の中で、新たな訓練ニーズを探るための予算を取っているように記憶しております。是非そこでも、属性として定年後の高齢者の方々をターゲットにした場合の必要な訓練とは何か、そのようなことも検討テーマに入れていただき、御検討いただければと思います。
○今野浩一郎名誉教授 ほかにいかがでしょうか。
○杉崎友則産業政策第二部副部長(日本商工会議所) 正に今、遠藤さんがおっしゃったことと同じ質問をしようかと思っていたのですが。資料2を拝見しますと、母子家庭の母、刑務所出所者、定住外国人、育児中の女性という言葉が並んでいるのですが、今、高齢者の雇用についてマスコミでも度々報じられておりますので、高齢者雇用に資するような訓練といったものを是非お考えいただければと思います。その際に、高齢者雇用もいろいろな形態があるかと思うのです。例えば、大企業等で活躍されていた方が、経験、知識を持って中小企業で活躍することは実態として非常に多いと認識しています。そうすると、働き方とか、求められる知識、能力、業務の実態も企業の規模によって随分違ってくる面があるかと思いますので、そういったことは念頭に置いて、今後のこの計画作りとか講座作りをしていただきたいという意見です。
○今野浩一郎名誉教授 ほかに。いずれにしても高齢者のところはボリュームが大きくなってくるし、重要なことは重要で、そこにどうやってアプローチしていくか。最終的にはできないという結論も含めて、いろいろ検討したほうがいいかなということだと思います。ほかにはいかがでしょうか。
○漆原雇用対策局長 資料2の最後の6には、その他の所にいろいろな類型が記載されている中で、最後に「など」ということで記載されているところに、実は自分は、高齢者とか、いろいろな属性の者がこの「など」に含まれているのかなと思ってしまっていました。例えば生活困窮者をターゲットにした場合は、例えば自治体の中の生活保護の窓口の連携とか、そういった細かな連携が必要になると思っているのですが、それは既にやっておられて、それに更なる努力をしていくという理解でよろしいのでしょうか。あと、もし「など」の所にどういう類型があるのかということが分かれば、それについても御説明いただければと思います。
○菱谷人材開発統括官付訓練企画室長 ここで言っているのは求職者支援制度の話です。求職者支援制度の対象という意味でいうと、生活困窮者、あるいは生活保護受給者とか、それから、学生から未就職のままできているような長期失業状態の方とか、そういった方々になると思っておりますので、高齢者は全く含まないということではもちろんございませんが、ここで言っているのは求職者支援制度の中でのお話だと一般的には思っております。高齢者の話についての検討は、来年度の課題にしたいと思っております。
それから、こういった方々の福祉部局などの連携についてですが、それは言わずもがなという部分と、それから、この計画に何をどこまで書かなくてはいけないかというところでもありますが、自治体の福祉部局との連携は非常に重要だと思っておりますし、そういった方々が窓口に行って、就労に向けて取り組めるという段階で求職者支援制度の対象になってくると思っておりますので、そういった連携を進めていきたいと思っております。自治体との連携がもう少し必要だということであれば、来年度以降かもしれませんが、記載に少しポイントを付けていくようなことも考えたいと思います。
○今野浩一郎名誉教授 ほかにいかがですか。
○堀有喜衣主任研究員(労働政策研究・研修機構) 求職者支援訓練についてお尋ねいたします。以前は基礎コースと実践コースの割合が、記憶が定かでないのですが、確か実践コースのほうが割合が高かったところ、基礎コースのニーズが高いので同等にしたような記憶があるのですが、今後も基礎コースと実践コースの割合は1対1のような形で進められるのかどうか、御方針を教えていただけないでしょうか。
○菱谷人材開発統括官付訓練企画室長 やはり就職に向けてということで実践コースを。基礎コースのニーズのほうが高かったということですが、足元の実績を見ますと、資料3の2ページですが、入校者数で見ますと基礎コースは8,126人ということで、実践コースが1万8,696人となっておりまして、一応、実践コースのほうがニーズが多いという状況になっております。確かに、かつての話として基礎コースのほうが人気が高かったような記憶も、すみません、定かではないのですが、確かそんな話もあったような気がするのですが。現状、そういう意味でいうと、実践コースもきちんと割合が増えているというところだと認識しております。
○堀有喜衣主任研究員 もしかして、以前お伺いしたかもしれないのですが、基礎コースと実践コースは基本的に受講指示の段階で相談して決められるということかと思うのですが、属性はかなり違うということで受け止めてよろしいでしょうか。
○菱谷人材開発統括官付訓練企画室長 そうだと認識しています。
○堀有喜衣主任研究員 基礎コースは全然職業経験がない方ということですか。
○菱谷人材開発統括官付訓練企画室長 そういうことです。
○堀有喜衣主任研究員 あと、年齢的には。
○菱谷人材開発統括官付訓練企画室長 年齢で分けているわけではないのです。またその実態、学問的というか、その実態みたいなことについて何らか、もう少し細かなデータがあるかないか。ありましたら、また別途、御報告させていただきます。
○堀有喜衣主任研究員 ありがとうございました。
○今野浩一郎名誉教授 いずれにしても、今、基礎・実践は5対5でしょう。この比率をどのようにしようかというのは、またここで議論することになると思うのです。そのときにそういうデータを出していただければ、例えばここを4対6に変えようかというようなときにもう一度ここで検討しなければいけませんので。
○遠藤和夫労働政策本部副本部長 求職者支援制度につきましては、過去の議論があって今日に至っていると理解しています。そういった中で、いわゆる連続受講という道が切り開かれて、基礎コースの位置付けが変わってきているのではないかと思います。求職者支援制度の中で基礎から実践というのもありますし、求職者支援制度が終わった後に公共職業訓練という形もありますし、そういう連続受講のパターンの中で基礎コースがどのように活かされているのか、また、基礎を終えて就職する方も一定割合います。その辺の実態を直近の形で見せていただくことができれば次の議論への参考になるのではないかと思います。
○今野浩一郎名誉教授 今の遠藤さんの点も含めて、この比率をもう一度検討しなければいけないときにそういう議論や判断の材料になるようなデータをきちんと整理していただいて、それで議論をしていただければと思います。今、データ整理をきちんとしていない段階で議論をしても余り生産的ではないので、そのときには是非ともお願いいたします。ほかにいかがでしょうか。
○小山商工労働観光部雇用政策監 一応、資料2の6ページのその他の所に表現が入っているのです、未就職のまま卒業することとなった新卒者とかコミュニケーションで課題のあるメンバーと。ということで京都の場合もこの辺のメンバーを、課題を非常に思っています。
1つは、全国的に3年以内の早期離職者が非常に多いということがあって、京都も例外なく非常に多いのですが。今回、私たちが持っている京都ジョブパークという所が最前線なのですが、そこで再チャレンジコーナーというものを作りました、9月に開設したのです。何がしたいかというと、そういう、いわゆる若手で一旦就職しても志半ばでミスマッチだったという形で戻ってくるメンバーとか、せっかく正社員になったのだけれども途中で辞めてしまってアルバイトをしているとか、そういうメンバーが非常に多くなってきましたので、そういうメンバーをもう一回訓練してもう一回正社員の道に、若しくは自分たちが本来やりたい仕事を見付けていただいて、そこに送り込んでいこうという取組をしようと思っているのです。
厚労省のほうにそういう大きな塊があると思っていますので、そこに向けた訓練メニューといいますか、何か特化したようなお考えが今、案みたいなものがありましたら教えていただけたらと思うのですが、いかがでしょうか。
○菱谷人材開発統括官付訓練企画室長 離職3年ということで申しますと、これまでも離職3年の方々を新卒扱いにするというような指針などを示したりしてきたところです。訓練コースということで申しますと、昔からあるようなもので言うと、例えばそういった方々のデュアルの利用とかもございますし、新卒応援ハローワークなどによるマッチングの支援というようなことが基本的な中心になっているかと思います。まだ若いので、景気状況にも大分左右されるところはあると思いますが、新卒応援ハローワークあるいは若者ハローワーク等を通じた就労支援というマッチングの支援が中心になると思いますし、そういう中で、例えば就職に向けたマナーであるとか、セミナーなども実施しているような実態があると認識しております。
○今野浩一郎名誉教授 よろしいですか。ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、本日予定していた議題はここまでですが、その他について何かございますか。
○立石人材開発統括官付政策企画室長 それでは、その他の事項につきまして事務局から幾つか御説明させていただきます。恐れ入りますが、参考資料3と4について御説明させていただきます。
最初に、参考資料3を御覧いただければと思います。「公的職業訓練に関する職業訓練サービスガイドライン適合事業所認定」を実施します、というPress Releaseを付けさせていただいております。厚生労働省におきましては、公的職業訓練の訓練内容の質の向上、公的訓練を受託していただいている民間職業訓練機関のマネジメントの質の向上を目的といたしまして、平成23年からガイドラインを策定いたしまして、そのガイドラインを通じて、研修をさせていただいたり、公的職業訓練の選定の際の要件という形にガイドラインの研修の受講を要件としていただいたり、そういった取組を通じて質の向上を図ってきております。
本年度からは、ガイドラインに適合している事業所を認定するという事業を本格的に実施するというお知らせです。10月1日から申請受付を開始するということで、民間の審査機関にお願いいたしまして、認定をやっていただくというところです。事業の詳細、認定の仕組みですとか、審査認定機関につきましては、後ほど資料にお目通しいただければと思っておりますが、平成30年度の事業におきましては、120事業所程度の認定を予定しているというところです。多くの民間職業訓練機関に、質の向上の取組としてこういった認定を御活用いただければというところです。
次に、参考資料4につきまして御報告させていただきます。こちらにつきましては、ハロートレーニング、人材開発施策についての広報についての御報告です。こちらもPress Releaseでして、AKB48チーム8を「ハロートレーニングアンバサダー」に任命しましたというところで資料を付けさせていただいております。
公的職業訓練につきましては、従来御説明申し上げておりますとおり、なかなか知名度が足りないということで、数年前から「ハロートレーニング」という愛称の選定をさせていただいたり、ハロトレくんといったようなマスコットの選定なども通じて周知、広報に努めてきたところです。
今回は、ハロートレーニング、人材開発施策全体の周知・広報という形で、AKB48チーム8の皆さんを「ハロートレーニングアンバサダー」という形で任命いたしまして、去る9月18日に大臣表敬もしていただいたというところです。今後、チーム8の皆さんの発信力を生かしまして、主として若者、女性を中心にハロートレーニングとかキャリアアップに関心を持っていただくというために、全国各地でイベントの出演、それから、メディアの方に職業訓練施設を回っていただくようなメディアツアー、そういったものに参加していただくことを予定しております。その際にSNSでの発信といったようなことも通じて、従来の厚生労働省のチャンネルと違った形での広報というようなこともお願いしていきたいと思っております。
引き続き、様々な手法でハロートレーニングの周知・広報に努めていきたいというところです。御説明は以上です。
○今野浩一郎名誉教授 ありがとうございました。何か御質問はございますか。ガイドラインの認定を受けると、何かいいことがあるのですか。
○立石人材開発統括官付政策企画室長 ガイドラインの中身につきましては、訓練の内容と訓練機関のマネジメントの向上と両方の柱があるところですが、それぞれに取り組んでいただくと、当然、訓練の質、マネジメントの質が向上するというような組織内のメリットもございます。それから、対外的なメリットといたしましては、認定がなされましたということを公表させていただくというような対外的な効果に加えまして、今後、求職者支援訓練の認定申請とか公共職業訓練の選定に当たっての加点要素とするということで予定して、調整させていただいているところです。そういったメリットも含めて周知していきたいと思っております。
○今野浩一郎名誉教授 これが認定されると、その会社の名刺に、何か、この上にこんなロゴをくっつけてもいいとか、そういうのはないのですか。
○立石人材開発統括官付政策企画室長 認定マークにつきましては、まだそこまで至ってはおりませんが、一応、事業所ごとの認定ということで、会社さん丸ごとという形にはならないのですが、当然、こういったきちんとした取組をやっているということはPRの材料にしていただけるものと思っております。
○今野浩一郎名誉教授 せっかくですので、何か御質問はございますか。
○森信介専務理事(一般社団法人全国産業人能力開発団体連合会) その他ということで、資料6で地域訓練協議会、主な意見ということでこちらに関連した所ですけれども。私どもでは毎年、この中央訓練協議会の開催に合わせて、会員に対して職業訓練に関してのアンケートを取っておりまして、毎年私がさせていただいているのですが、4点ほど、会の声があります。1点目は申請手続、2点目は受講生確保、3点目は受講金額、そして、その他ということで、それぞれ、簡単にお話させていただきます。
まず申請手続につきましては、申請の簡素化を是非お願いしたいと。申請に必要な書類が多くて間に合わない場合があると。種類、枚数が非常に多くて、中には前講師が直筆で記入していない帳票もあり、回収に時間が掛かると。申請書類の簡素化や提出期限の見直しを検討いただきたいという声がございます。また、都道府県ごとに手続が違うので、共通して行っていただきたいということです。訓練を受講している会社の中には広域で展開している所もございまして、県ごとに手続が違うと、その対応に時間が掛かるということです。そのような声が挙がっております。
受講生の確保につきましては、訓練コース設定枠の見直し、受講生選考の見直し、一部、ハローワークの方の言動等に注意をいただきたいという3点が挙がっております。まずハローワークの方の言動ですが、一部講座について、その仕事について、給料が安いとか、仕事がハードだとか、残業が多いとか、そういうことを言われたケースが、少ないのですがあったと。ですから、訓練後の仕事の質問についてどのように対応しているのか、回答しているのか、我々にとっては受講生の受講率にも関わることですので、ハローワークの職員の方の言動に留意いただきたいということがあります。求職者支援訓練の受講生の確保が困難になっている中、規定人数に達しないことも多く、やむなく開校中止になるケースがあると。また、就職意欲がない、学習意欲に乏しい訓練生もおり、中途退校になってしまうというケースがあるということです。また、受講希望者が分散するあまり、結果、共倒れになる場合もあるということで、委託訓練の受講生の選考については訓練実施機関も選考に立ち会うことができる等、そういった検討がいただけないかということが挙がっております。
受託金額につきましては、毎年、入札単価が下がっているケースも一部あって職業訓練への参加が困難になっているということで、入札単価の見直しを検討いただきたいという声が挙がっております。応募した求職者に考慮し、少数でも開校できるよう最低保障制度などの設定を希望したいという声も挙がっております。
その他といたしましては、採択決定の透明性の確保ということで、どのような結果で採択決定がされたのかという透明性を確保していただきたいということ、また、ジョブ・カード講習の修了に伴いまして就職支援責任者の要件がキャリア・コンサルタントに限定されるということでキャリア・コンサルタントの雇用も条件になるということになりますと、受託金額の値上げ等も考えていただきたいということも挙がっております。そのような形で、次年度以降の実施に当たって幾つか検討いただきたいという点が1つです。
またこちらの意見の中で、これは私どもの意見ではなくて全般的なことだと思うのですが、資料6-3と6-11に意見が出ておりましたが、資料6-3の産業界の意見の中に、在職者訓練を実施してどの程度、生産性が向上したかなどの効果測定はあるのかと。在職者訓練を実施したことにより生産性が劇的に変わったなどの事例はないのかというような声が挙がっております。資料6-11でも同様に、一番右の行政機関等の所で、訓練を受けた社員が企業の中でどれだけ生産性を上げるかというのは、企業がどれだけのベンチマークを設定して測定するかによるということで。これは全般の次年度以降の検討事項だと思うのですが、先般公開された経済財政白書でも証拠に基づく政策立案の観点から学び直しの効果が実証的に分析されているわけです。これは受けた人の効果ということですが、そうではなくて、受け入れた組織の生産性向上に寄与したとか、そのような効果も示していくと、受けた人と受け入れた側ということで、より一層職業訓練の有効性をアピールできるのではないかということで、次年度以降、検討いただければと思います。
もう1点、同じく資料6-6と6-8に、有識者の方と産業界から指摘がありました外国人労働者のスキルアップについての意見です。資料6-6では、今後、外国人労働者のスキルアップをどう考えるのか。その扱い方も視野に入れて考える必要があるということで。これはこれからの臨時国会で審議予定の法案の1つである入国管理法改正案で、外国人労働者の受入拡大に向けて新たな在留資格の創設が検討されているということで、今後の、次年度以降の課題としてこのような、増えていく外国人労働者の訓練も、今後、検討課題になるのではないかということで、この主な意見に書いてあったことと私どもの会員から寄せられた意見について、併せて御報告させていただきました。以上です。
○今野浩一郎名誉教授 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。
○菱谷人材開発統括官付訓練企画室長 幾つか言われたことの中の申請手続の簡素化の話あるいは委託単価のお話もありましたが、実は国といたしましては、都道府県に提出してくださいと言っている書類は委託訓練の契約書の参考様式を示していることと、就職状況の報告書を出してくれと言っているのみなのです。そういう中で、都道府県が実際には公共調達に当たって要件をかなり厳しく設定している実態があると思いますし、それは、仮に国が何か委託するということであったとしても、それぞれ、調達部門との相談の中で厳しい要件を付けざるを得ないような実態があるのだろうと思います。何が不合理で何が不合理でないかということについては、それぞれ、こだわりもあるところもありますし、国がどこまで自治事務の世界に口を出せるかというところはあると思いますが、何ができるか、不必要なもの、あるいは本当に必要かみたいなところについて国がいちいち書類のチェックをできるというわけではないですが、簡素化の気運に向けた働き掛け、声掛けみたいなことであれば、できる範囲で考えていきたいと考えております。
それから、訓練効果の測定のような話がございましたが、経済財政白書におきまして個人の学び直しの効果について、慶應大学のパネルデータか何かの結果を踏まえて、記載が載っていたものと認識しています。一方で受け入れた企業、その企業規模にもよりますし、1人の人が入ったことの効果についての生産性は、なかなか、そんなにすぐに出るものではないと思うのですが、在職者訓練などについての効果みたいなことについては実例ベースでも何かもう少し拾っていけないかというのは、我々としても問題意識としては持っております。計画の話ではないと思いますが、例えばそういったものをものづくり白書で披露していくとか、そういった生産性向上につながっている実例などをそういった白書等で周知していくことも一つ大切なことではないかと考えております。以上です。
○関口正雄常任理事総務委員長 職業訓練サービスガイドラインの適合認定が始まるということで、専門学校は、付帯教育ではなくて本科授業としてこの職業訓練に携わらせていただくことになった場合に、専門学校、特に新たに出来ました職業実践専門課程等については、第三者評価の導入というようなこともいろいろな形で検討されてきているというようなこともございます。また、当然、自己点検、自己評価とか、一部の外部評価としての学校関係者評価等々も進んでおります。何か別のことをして職業訓練をさせていただくのではなくて、準学校法人として、あるいは大学も併設している所は学校法人として、授業そのものが職業訓練をさせていただくということなので、当然、従来の学校としての外部評価、第三者評価等々を受講してきているというような学校も多いわけです。そうすると、職業教育については、一方でそういう評価を受信する、あるいはしなくてはならないという世界があって、そして、同じことについてもう一度適合認定を受けなくてはいけないと。これは審査機関が別ですから当然のことではあるのですが、しかし、特に教育の中身については共通項も多いはずなのです。今回、私どもの関連財団も審査機関にさせていただいておりますが。そのようなことで、ある種の読み替えとか、共通言語とか、そのようなことを関連省庁を越えて少し話し合うというような可能性もあるのではないか。そのように、できるだけ無駄なことはしないようにできたらいいなと思っております。これは将来への希望です。
○今野浩一郎名誉教授 ありがとうございました。ほかにいかがですか。先ほどの在職者の訓練効果をエビデンスを持って……という。そういう話を聞くと私はいつも思うのですけれども。一番教育訓練の効果を見やすい状況は企業内訓練なのです。これは企業外の訓練なのでちょっと離れるから訓練効果は余計見にくいはずなのですけれども。社内訓練の訓練効果をどう測るかということについては、いまだに定説はない。つまり、そんなものはなかなか測れない。したがって、多くの企業内訓練をやっている所は、アンケートか何かを取って「満足していますか、満足していませんか」という程度にとどまってしまって、生産性まで下りて測ろうとすると、その人に掛かった教育コストと出したパーフォーマンスの比率で測らなければいけないのですが、そんなことをやっている所は見たことがない。
いずれにしても、多分すごく難しい。マクロデータだったらいろいろできるのですが、個別のミクロで考えると非常に難しいというのがいつも私は感じていることです。ただそのようにつぶやいたという形だけですので、いつもそう思っていますということです。ほかにございますか。
それでは、今日はこの辺で終わりたいと思います。今日、いろいろ御意見が出ましたので、来年度の全国職業訓練実施計画を検討するに当たっては参考にしていただきたいと思います。それでは、今日はこれで終了させていただきます。次回は、来年の1月頃を予定しております。それでは終わりたいと思います。ありがとうございました。