医道審議会歯科医師分科会歯科医師臨床研修部会(平成30年度第1回)議事録

担当:医政局歯科保健課 歯科医師臨床研修専門官 山口 聖士

日時

平成30年7月31日(火)13:00~15:00

場所

三田共用会議所3 階D・E会議室 (東京都港区三田2丁目1-8)

出席者

委員(五十音順、敬称略)

議事録

○岩田歯科保健課課長補佐 定刻より若干お時間ございますが、委員の先生方におそろいいただきましたので、ただいまより「医道審議会歯科医師分科会歯科医師臨床研修部会」平成30年度第1回を開催いたします。
委員の皆様におかれましては、お忙しい中、お集まりいただきましてありがとうございます。
本日はオブザーバーとして、文部科学省高等教育局医学教育課より荒木企画官と大久保技術参与に御出席いただいております。
また、本日は丹沢委員、薬師寺委員から御欠席の御連絡を頂戴しております。
続きまして、事務局に異動がございましたので、御紹介いたします。
歯科保健課課長補佐の古田です。
歯科保健課課長補佐の小嶺です。
最後になりましたが、私、歯科保健課の岩田と申します。よろしくお願いいたします。
それでは、事務局を代表いたしまして、田口歯科保健課長より御挨拶申し上げます。
○田口歯科保健課長 皆さん、こんにちは。歯科保健課長の田口でございます。
本日はお忙しい中、当部会に御出席をいただきましてまことにありがとうございます。また、平素より医療行政の推進、特に歯科医師の臨床研修制度に御協力をいただきまして、まことにありがとうございます。
厚生労働省では昨年12月でございますけれども、目指すべき歯科保健医療の提供体制やあるべき歯科医師像を示しました歯科保健医療ビジョンを策定させていただきました。この中で歯科大学や臨床研修施設は、次世代を担う歯科大学の学生や研修歯科医が多様なキャリアパスを描けるよう、カリキュラム、研修内容を工夫することが提言されてございます。
歯科医師及び臨床研修の養成につきましては、以前にも増してその重要性が高まってきていると考えてございます。また、これまでにも卒前・卒後のシームレスな歯科医師の養成に向けた取り組みの必要性も指摘されてございます。医科においても卒前・卒後の一貫した医師養成のあり方が議論されていると聞いております。
一方で、歯科医師の臨床研修制度でございますけれども、平成18年度の必修化以来、5年ごとに制度の改正が行われてまいりました。前回の改正以降、歯科医療を取り巻く状況がさらに変化をしていることなどから、時代のニーズに対応した制度改正が求められていると考えてございます。
こうした状況を踏まえまして、平成33年度の次期の歯科医師の臨床研修制度の改正に向けまして、本日の部会より先生方には御審議をいただく予定としてございます。
質の高い臨床研修の実現に向けまして、大所高所から御議論をいただければありがたいと考えてございますので、どうぞよろしくお願いいたします。
簡単でございますが、御挨拶にかえさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
○岩田歯科保健課課長補佐 今回の審議会につきましては公開となっておりますが、カメラ撮りにつきましてはここまでとさせていただきます。
(カメラ退室)
○岩田歯科保健課課長補佐 続きまして、配付資料の御確認をよろしくお願いいたします。
お手元に議事次第、座席表、名簿のほか、資料は1、2、また、参考資料は1~2、3-1~2、4、5-1~4、6-1~3、7、8をお配りしております。
乱丁・落丁等ございましたらお知らせいただければと思います。
それでは、司会を一戸部会長にお願いいたします。
○一戸部会長 先生方、きょうはお忙しいところ、また、お暑い中をお集まりいただきましてありがとうございます。
今、田口課長からお話がありましたが、平成33年から始まる歯科医師臨床研修の新しい制度に向けて、これから作業をしていくという、きょうは第1回目ということでございますので、現状の問題点等について先生方から御意見いただきながら、今後の方向性を考えていきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
それでは、具体的な議事に移らせていただきますけれども、きょう予定としては2時間ぐらいですので、スムーズに進行し、なるべく議論にたくさんの時間をとらせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
まずは先生方お手元の資料1「歯科医師臨床研修制度を取り巻く状況」と資料2「歯科医師臨床研修制度の次期制度改正に向けた議論のたたき台」という2つの資料をお手元に御用意ください。事務局から内容について御説明をお願いします。
○山口歯科医師臨床研修専門官 資料1から御説明させていただきます。
「歯科医師臨床研修を取り巻く状況」について、スライドの右下にページ番号を振ってございますので、そちらの番号を使って説明させていただきたいと思います。
2ページ目をご覧ください。こちらに示す3つの事項について説明させいただきたいと思います。まず、歯科医師臨床研修の概要及び制度改正について説明をさせていただきたいと思います。なお、お時間の都合上、説明を割愛するスライドもございますが、御了承ください。
3ページ、歯科医師臨床研修の概要について説明いたします。
歯科医師臨床研修につきましては、御存じのように平成18年度より従来の努力義務から必修化する形で導入されました。歯科医師法第16条の2第1項には、診療に従事しようとする歯科医師は、1年以上、臨床研修を受けなければならないと定められてございます。歯学もしくは医学を履修する課程を置く大学に附属する病院(歯科医業を行わない者を除く)または厚生労働大臣の指定する病院もしくは診療所において臨床研修を受けることとしており、研修方式は1年間、同一の施設で研修を行う単独方式と、複数の臨床研修施設と共同で行う臨床研修施設群方式がございます。
4ページ、歯科医師臨床研修制度は、省令に基づき5年以内に所要の検討を加え、必要な措置を講ずることとされております。現在までに歯科医師臨床研修制度は2回、制度改正を行ってきたところです。また、それぞれ改正に先立って検討会あるいはワーキンググループを開催し、おのおのの改正の検討会報告書については、参考資料1、参考資料2でお示ししております。今回は制度自体が必修化から10年以上経過し、歯科医療を取り巻く状況が変化している点や現場から御意見等を踏まえ、次期制度改正に向けて議論を開始したいと考えております。
5ページ、これまでの主な改正内容については、表に示すとおりとなっております。
続きまして、6ページ目からは歯科医師臨床研修の現状についてお示しします。
7ページ、臨床研修施設数の年次推移をお示しします。臨床研修施設数の総数としては、ここ数年、横ばいです。しかし、平成28年度制度改正で指定取消しの制度を設けた影響もあり、平成30年度は大学病院以外の単独型/管理型臨床研修施設数が減少しております。連携型臨床研修施設数は平成25年度に2施設指定されて以来、増加しておりません。
8ページ、研修歯科医の募集人数の総数もここ数年横ばいです。研修歯科医数はここ数年、2,000人前後で推移しております。なお、平成30年度は歯科大学病院のうち2病院が診療所化した影響で、歯科大学病院の募集人数が減り、診療所が増加しております。
9ページ、研修歯科医の臨床研修施設種別割合と勤務地の割合をお示しします。研修歯科医の研修先は医育機関附属の病院に約87%もの研修医が集中し、全体で見ると4人に3人が歯科大学病院にて研修している計算になります。一方、医師・歯科医師・薬剤師調査で見ると、8割以上が診療所にて従事しているということになってございます。
10ページ目からは、歯科医師臨床研修修了者アンケート調査の結果についてお話しいたします。
11ページ目をご覧ください。こちらは国公立大学と私立大学で分けた場合の臨床研修施設先をお示ししております。
12ページ目は、臨床研修施設を選んだ理由について、お示ししております。
13ページ目は、目標達成数の参考状況と達成状況及び経験症例数の自己評価についての結果です。目標症例数について全て達成あるいはほぼ全て達成が7割程度を占め、経験した症例数の自己評価についても「十分」あるいは「やや十分」と考えている方が6割程度を占めております。しかしながら、目標症例数を参考にしている方は全体の3割未満という結果になっております。
14ページ、研修プログラム等の記載のある症例内容について「記載以上」あるいは「記載通り」と回答する方が8割近くいるものの、それを参考にしているという方は3割強という結果になっております。
15ページ、訪問歯科診療・入院手術症例の研修実施割合をお示しします。訪問歯科診療、入院手術症例の研修を実施しているプログラムに属する研修歯科医数を示した表を左に、また、アンケートから実際にそれを行ったかどうかの結果を右にお示ししております。訪問診療、入院手術ともに7割以上の研修医が実施可能な研修プログラムに所属しております。しかしながら、実際は4割以上の研修歯科医が訪問歯科診療を体験できておらず、研修プログラムに記載されていても症例数がまだまだ少ないのではないかということが示唆されます。
16ページ、こちらは臨床研修の到達目標の達成状況についてお示ししております。
17ページ、臨床研修の満足度については、全体的に見て満足あるいはやや満足していると感じている方が多く、特に大学附属病院以外の病院で研修した方でその割合が高い傾向にございます。
18ページ、臨床研修修了後の進路については、歯科診療所が最も多く4割以上という結果になっております。進路先を選んだ理由として、「施設・設備が充実」が最も多く「優れた指導者がいる」「立地条件」「臨床研修を受けた施設である」という理由が続きます。
19ページ、研修修了後に就職・就学する先の所在地の都道府県別の歯科医師数を示したものです。東京都が抜きん出て多く、全体的に歯科大学が所在する都道府県に多い傾向があると言えます。
20ページ、研修を行った後の定着割合という観点で、全国を下に示す9ブロックに分けて出身地、大学、臨床研修においてどの地方にいたかによって、臨床研修修了後に勤務する地方に影響が出るかどうかを調査しました。結論から申し上げますと、出身地、大学、臨床研修が同じ地方である場合は、その後の勤務地も同じである確率が9割を超えて高くなっておりますが、大学、臨床研修において地方に移った場合でも6割強から8割弱の割合で出身地の地方に戻る傾向が見られます。
21ページ、今度は定着割合を都道府県単位で見たものです。歯科大学が全都道府県にございませんので、出身地と研修後の施設所在地のみで比較したものとなっております。全体では定着割合は35%程度となっておりますが、人口の多い都道府県では定着割合が多い傾向があり、多いところでは6割近くありますが、少ないところはゼロのところもあります。
22ページ、こちらは予想する10年後の働き方についてで、「歯科診療所に勤務」あるいは「歯科診療所を開設・管理」が顕著に多い結果となってございます。
23ページ目からは、歯科医師養成課程における卒前・卒後教育の関係について説明いたします。
24ページ、歯科医師の卒前・卒後教育に関する近年の改訂・改正の時期については、お示しの表のとおりとなっております。モデル・コア・カリキュラムについては6年ごと、歯科医師国家試験出題基準については4年ごとの改訂/改定が行われております。歯科医師臨床研修制度については5年ごとに改正を行ってきたところで、次期制度改正は平成33年度の施行を予定しているところです。歯科医師臨床研修の到達目標については、必修化以降の見直しはなされておりません。
25ページは、歯学教育モデル・コア・カリキュラム、歯科医師国家試験出題基準、歯科医師臨床研修の到達目標を比較したもので、歯学教育モデル・コア・カリキュラムの歯科医師として求められる基本的な資質、能力、歯科医師国家試験出題基準の必修の基本的事項においては、例えばプロフェッショナリズムやチーム医療という言葉が含まれるものの、歯科医師臨床研修の到達目標のねらいには含まれておりません。
26ページ、こちらは歯科医師臨床研修の到達目標の基本習熟コース、習得コースについてお示ししております。こちら詳細につきましては参考資料6-3をご覧いただきたいのですが、基本習熟コースは研修歯科医が医療の安全を確保し、かつ、患者に不安を与えずに行うことができる場合に当該項目を達成したと考えるもの。基本習得コースは、臨床研修修了後、早期に習熟すべき項目であり、臨床研修中に頻度高く臨床経験した場合に当該項目を達成したと考えるものとしております。
これらの中に例えば先述したチーム医療という文言自体は入っておりますが、多職種連携や地域包括ケアシステムなどを見据えた記載とはなっておりません。全てを一致させる必要性はないと考えながらも、ある部分では一貫性を図るような改善の余地はあるのかなと考えてございます。
モデル・コア・カリキュラムと歯科医師国家試験出題基準については、近年の改訂/改定で整合性を図ってきたところですので、歯科医師臨床研修の到達目標についても今回の改正で見直しの必要性があると考えております。モデル・コア・カリキュラムに関しましては参考資料3としてつけてございますので、後ほど文部科学省の方から御説明をお願いしたいと思っております。
27ページ、これまでの歯科医師養成課程と今後のイメージについて図示いたしました。歯科医師臨床研修を、一貫性を見据えたものにして、かつ、キャリアパスに応じた研修内容にする必要性はあるかと考え、ひいてはそれが卒前から生涯学習に至る総合的な診療能力を持つ歯科医師のシームレスな養成課程を実現できることになると考えております。
資料1の説明は以上でございます。
これらの現状を踏まえて資料2「歯科医師臨床研修制度の次期制度改正に向けた議論のたたき台」を御用意させていただきました。こちら大きく「研修内容について」、「臨床研修施設について」、「指導体制について」、「その他」に分けてございます。
「1 研修内容について」は、養成課程における教育・研修内容の一貫性を保つ観点から、研修内容についてどのように考えるか。また、歯科医師のキャリアパスに応じた研修内容についてどのように考えるか。全身管理、訪問歯科診療の必要性についてどう考えるかについては、卒前・卒後教育の一貫性を考える上で特に大きな論点になってくるかと考えております。
「2 臨床研修施設について」は、臨床研修施設の施設基準や研修方法について、歯科大学附属病院、歯科診療所、病院歯科で臨床研修を積極的に進めていくための方法について。
「3 指導体制について」は、指導歯科医講習会の内容について、指導歯科医の質を担保するための対応について。
「4 その他」については、1つ目は資料7の一部に関連する内容で、地域医療を確保する観点から、定期的に医師臨床研修制度は見直しが行われているところでございますが、これらの状況を踏まえた対応が必要かについて。2つ目は、歯科診療所等が積極的に臨床研修に参加するための事務手続簡素化等の必要性について、と書かせていただきました。
これらを御議論に当たりましての御参考としていただきながらも、必ずしもこれらにとらわれず、幅広い御意見を賜りたいと思っております。
長くなりましたが、事務局からの説明は以上です。
○一戸座長 ありがとうございました。
委員の皆さんには、後ほど資料2をもとにいろいろな御意見をいただきたいと思っておりますので、また後ほど見ていただければと思います。
それから、資料1は現状こんな状況だということです。後ほどの議論のときにもまたこの資料1について御確認が必要であれば受けたいと思いますが、今どうしてもここで御質問があれば、先にお受けしたいと思います。いかがでしょうか。資料1に関連しまして何かありますか。よろしいですか。では、後ほどまた御議論いただきたいと思います。
続きまして、参考資料3-1を御用意いただきたいと思います。歯学教育モデル・コア・カリキュラムについてということで、これにつきまして文部科学省の方から御説明をお願いします。
○文部科学省大久保技術参与 私から簡単に説明させていただきます。
参考資料3-1をごらんいただきたいと思います。歯科医師養成のための卒前・卒後教育の流れとして、平成12年の歯科医師法改正以降行ってきた取り組みとしては、平成13年にまず歯学教育モデル・コア・カリキュラムを策定したこと。それから、平成17年、CATOによりまして共用試験が正式実施になったことです。また、現在進行中の取り組みとしては、診療参加型臨床実習終了時の技能・態度評価がトライアル実施に向けてと書いてありますが、現在、トライアルを全国でやっておりまして、2020年の正式実施を目指しているところです。歯学教育分野別認証評価も現在進行中ということです。
めくっていただきまして3枚目です。モデル・コア・カリキュラムの改訂は、今回、平成28年度改正で3度目になりますが、そのキャッチフレーズは、医学・歯学共通で「多様なニーズに対応できる医師・歯科医師の養成」としております。
その下に移っていただきまして、入学時から在学中、それから、卒後に向けて一貫した教育を行っていくということが図に示されております。モデル・コア・カリキュラムは学生が卒業時までに身に付けておくべき必須の実践的診療能力を「ねらい」と「学修目標」として明確化し、学修時間数の6割程度を目安としておりますので、残りの4割は各大学の特色ある独自のカリキュラムを合わせていただくということになります。
次をめくっていただきまして概要②になります。今回の改訂では、モデル・コア・カリキュラム、国家試験出題基準、臨床研修の到達目標、生涯教育カリキュラムの縦のつながりの中で、特にモデル・コア・カリキュラムと国家試験出題基準との内容の整合性を図りました。 もう一つ重要なのが横のつながりとして、医学と歯学のモデル・コア・カリキュラムの一部共有化を図っております。こちらは特にAの「歯科医師(医学教育においては医師)として求められる基本的な資質・能力」という部分の中項目までを医学と歯学でそろえるようにしております。
その他、詳細につきましては続きのスライドに詳細が書かれておりますので、お時間のあるときにお目通しいただければと思います。
最後になりますが、一番最後のスライドです。私どもの資料でつけさせていただきましたが、現在、医学教育では臨床研修の到達目標の医師としての基本的事項のところがモデル・コア・カリキュラムと整合性が図られております。卒後の「医師としての基本的価値観」の中「の社会的使命と公衆衛生への寄与」、「利他的な態度」、「人間性の尊重」、「みずからを高める姿勢」、それから、「資質・能力」の中の「医学・医療における倫理性」というところが、モデル・コア・カリキュラムの1の「プロフェッショナリズム」に含まれているということになります。ほかは項目名を合わせてあります。
以上です。
○一戸座長 ありがとうございました。
ただいま文部科学省の大久保技術参与から御説明がありましたように、コア・カリキュラムと国家試験の出題基準につきましては随分と整合を図ったということ、それから、医と歯でも共有できるところは共有しようということです。
お手元に参考資料7というのが一番下のほうにありますが、ごらんいただきたいと思います。これは医師臨床研修制度の改正の要点です。平成32年から実施になりますので、こういうことが固まっていますということで、この間の文科省の医学・歯学教育指導者のためのワークショップでも御紹介をいただいた内容です。こんなものがあるということを横目で見ながら歯科医師の臨床研修についても考えていこうということになるかと思います。
先ほど冒頭で田口課長からお話がありましたが、歯科保健医療ビジョンの中でもこれからの歯科医療はどうあるべきかということで、ただいまの文科省の資料のマル2の5番目にも超高齢社会への対応ということで記載がありまして、実現可能性のことはありますけれども、こんなことを考えながら全体的に動いているということでございます。
文科省の資料についてよろしいでしょうか。羽村委員、どうぞ。
○羽村委員 1点、文科省の資料の2ページ目、歯科医師養成のための卒前・卒後教育の流れのところで、進行中のさらなる取り組みで診療参加型臨床実習終了時の技能、態度評価のトライアル実施に向けての検討と書いてあるのですが、トライアルはもう始まっていますので、トライアルは実施されていて、本格実施に向けての検討ということですので、よろしくお願い申し上げます。
○文部科学省大久保技術参与 はい、そのとおりでございます。
○一戸座長 ありがとうございました。ただいま羽村委員中心にやっていただいているところです。よろしいでしょうか。
続きまして、参考資料4をごらんいただきたいと思います。これは平成28年度、29年度、2年間にわたりまして厚生労働科学研究ということで私、研究代表者をさせていただきまして、本日御参加の、西原先生もこの委員に研究分担者として参加していただきました。「歯科医師の養成及び評価に関する総合的研究」というタイトルで、平成33年からの歯科医師臨床研修制度の見直しという中で、研究報告書を1つのたたき台ということで利用していただきたいということで研究を行わせていただきました。
全体の説明を事細かくやると時間がかかりますので、見ていただきたいのは4ページから5ページにかけて研修結果の部分をごらんいただきたいのですが、「1.歯科医師臨床研修の到達目標見直しのための基礎調査」「2.指導歯科医講習会で取り上げるテーマに関する基礎調査」「3.生涯研修に関する実態調査」この3つが平成28年度に行った研究の内容です。すなわち平成28年度に、その時点で行われていた臨床研修のプログラムあるいは指導歯科医講習会の内容などを確認いたしまして、こんなものが行われている、あるいはこんなものが行われていない、こんなものが必要だろうという御意見をいただいたところです。
それらをもとに5ページ「4.新たな歯科医師臨床研修の到達目標(改訂案)の作成とコース構成の見直し」と「5.臨床研修し同意の資格要件に関する考察」ということで、これが平成29年度に主に行った内容です。
これにつきまして、その資料の後ろのほうをごらんいただきたいのですが、9ページ、10ページの表1というのは、平成28年度、そのプログラムを参考に到達目標を抽出、整理して実際に実施状況を確認した、あるいは必要性についてアンケート調査を行ったという内容です。ですので、この中で実際にここのところはうちは十分やっているよとか、ここはまだ足りないねとか、やったほうがいいねという内容のアンケートをしたものです。
11ページ、表2というのは指導歯科医講習会に必要と思われるテーマ。委員の皆さん御承知かと思いますが、指導歯科医講習会はどうしても研修制度と医療安全、感染予防、この2つのテーマが非常に多く行われていまして、ほかのテーマがなかなかやられないということで、実際にはわずかながらもやられている講習会の内容をピックアップしまして、こういうものはどうだろうかという提案をし、アンケートしたというのが表2です。
その結果、今回のアンケートを踏まえて新たな指導歯科医講習会におけるテーマの例示ということで、こんなものをぜひやったらどうだろうかという内容をまとめたものが表3です。総合研究報告書の中では、これらのテーマについて2年に1回以上は幾つか複数、数を決めているわけではないのですが、受講を義務化して、指導歯科医としての質を担保したらどうだろうかということを報告書の中で提案させていただきました。
一番最後のところに別添ということで、歯科医師の臨床研修制度の到達目標改訂案というものが7ページにわたってございます。今回、新しい1年間の歯科医師臨床研修で総合研究報告書として研究班が提案させていただいたのは、これまでの全てのコースユニットが必修であるというところから離れまして、必修のコース、選択のコースというふうに分けさせていただいたものです。これはあくまでも提案ですが、必修コースは1年間のうちの50~75%ぐらいをやっていただきたい。全て当然必修ですが、従来の基本習熟コース、基本習得コースを合体したような形でユニットとして6つです。基本的な診察、検査、診断、治療の計画。高頻度治療、応急処置、患者管理。患者管理というのはどちらかというと全身管理のことと多職種連携等も含めていますが、そういう全身的なことです。それから、4番目に地域医療、地域包括ケアということで多職種連携というキーワードも入れまして1つのユニットをつくりました。それから、医療管理は5番目。6番目として生涯研修ということでリサーチマインド・問題対応能力。こんな6つのユニットをつくったということです。
これに対して4ページ目、5ページ目に選択コースということで、これは1年の臨床研修の期間のうちの25から最大は50%ぐらいまででもいいのではないかということで、ユニットを8つほどつくりました。最後の特別研修というのは特殊なものですので、1~7の7つのユニットのうちの3つを選択していただいて、将来のキャリアパスを描きながらいろいろな研修をしていただきたいというような提案をさせていただいたわけです。この中には小児、障害者あるいは障害児、要介護者、認知症の患者さん、リハビリテーション、全身管理、周術期管理、このようなものが入っていて、そのほかに特別研修としては終末期医療ですとかペインクリニックですとか、もし興味があれば研修していただいたらいいのかなということで、そのような特別研修という枠をつくりました。
最後の6ページと7ページに、どのような感じで行うかということで例示があります。あくまでこれは例示ですので、必修のコース、選択のコースをこのように振り分けてやったらどうだろうかということで絵を描きました。ただ、この間の文科省のワークショップのときの説明でうまくいかなかったのが、後で誤解をされた先生がいらっしゃったようですけれども、例えば7ページの一番上で選択コースの中に(3)要介護者への対応、(4)認知症患者への対応、(5)リハビリテーションということで各1カ月回るごとにやることになっていますが、1カ月丸々要介護者への対応をするとか、そういうことではなくて、こういうことに積極的に取り組んでいただくというような内容で想定して考えたものです。なので例示としてティピカルなものをここに書かせていただきました。
ということで、これは今後、先生方の御意見をいただきながら、あるいはこの先、次に33年に向けていろいろなことを考えていただく中で、たたき台として利用していただければいいなということで、総合研究報告書でまとめさせていただいたものでございます。
概要はこういうことなのですが、もし西原先生から何かこの件で、よろしいですか。
○西原委員 結構です。
○一戸座長 ありがとうございます。
以上、28年度、29年度の厚生労働科学研究総合研究報告書の概要を御説明させていただきましたが、何か委員の方から御質問、御確認等ありましたら説明できる範囲で説明をさせていただきます。何かございますでしょうか。よろしゅうございますか。ありがとうございました。
それでは、ただいま厚生労働省の歯科医師臨床研修の現状、文部科学省からコアカリ、臨床研修、到達目標の整理等のお話をいただき、厚労科研で行わせていただいた報告書の概要を説明させていただきました。こんなことを踏まえながら先ほどの資料2に戻っていただきたいのですが、次期の制度改正に向けていろいろ先生方から忌憚のない御意見をいただきたいと思います。きょう別に結論を出すわけではありませんので、きょう御意見をいただき、部会の中で検討をして、さらに恐らく作業部会等を設置して具体的な細かい詰めをしていくのだと思いますので、きょうのところはいろいろと御意見をいただくことが目的ですので、ぜひいろいろと御意見をいただければと思います。
テーマが大きく4つありますので、重複する部分もあるのだろうと思いますけれども、まず1番目の研修内容についてということで3つほど項目がありますので、もう一度読ませていただきます。
まずは平成28年度の歯学教育モデル・コア・カリキュラム及び歯科医師国家試験出題基準の同時改訂が行われたが、養成課程における教育・研修内容の一貫性を保つ観点から研修内容についてどう考えるか。先ほどの到達目標をコアカリと国家試験出題基準は整理したわけですが、臨床研修についてはどのように考えていくかということです。
それから、歯科医療を提供する患者層や歯科医師の就業場所が多様化している中で、歯科医師のキャリアパスに応じた研修内容についてどう考えるか。また、全身管理や訪問歯科診療の必要性についてどう考えるかということで、この間の文科省のワークショップのときにもお話をしたのですが、歯科医院に、大学病院に来ることができない患者さんにどうやって対応していくのかということがこれから1つ、大きな問題だろうと考えておりますので、この辺についても御意見をいただければと思います。
そのほか、研修内容について議論すべき課題があれば先生方から御意見をいただきたいと思いますが、実際に御意見をいただく前に資料8をごらんいただけますでしょうか。一番最後のところです。本日、丹沢委員、薬師寺委員、実際に医学部附属病院、総合病院で医師と非常にお付き合いのあるお二方の委員がきょう残念ながら御欠席ですので、その委員からの御意見も参考にしながら先生方から御意見を頂戴したいと思いますので、まずは参考資料8の御欠席の委員からの御意見を事務局のほうで御紹介いただけますか。
○山口歯科医師臨床研修専門官 参考資料8に詳細について記載がございますが、簡単に御説明させていただきたいと思います。
丹沢委員からの御意見として、まず訪問歯科診療についてということで、訪問歯科の実施が困難な場合、病棟への往診も可とするが、全身疾患を有する患者の往診、医科病棟などへの往診が望ましいのではないでしょうかという御意見をいただいております。
また、研修到達目標・ねらいの改正についてというところで、一戸部会長の報告書に基づいた改正を行うことになると思いますが、以下の点の考慮が望まれるというところで、多職種連携の中での歯科医師の役割についての明記、また、実施内容・プログラムのいわゆる心の部分について、もっと記載をしたほうがいいのではないでしょうかという御意見です。あと、歯科診療技術の研鑽について細分化を行い、具体的に記載したほうがよいのではないでしょうか。あと、今後の疾病構造の変化について対策を入れるのはいかがでしょうかという御意見を頂戴しております。
薬師寺委員からの御意見として、文章そのままで少し長くなってしまいます。まず今回の1の研修内容について、必須の診療科というものは作れないでしょうかという御意見をいただいております。医科のほうでは外科や産婦人科などが必須になってきたと言われているところで、歯科においても例えば全身管理、口腔外科での研修というのは必須項目ではないでしょうかという問題提起をされております。
訪問歯科診療につきましては、内科的な疾患を有している患者さんが多いですので、歯科治療の開始前に、限られた資料から患者さんの背景を理解するのには非常に今は時間がかかるのでというところで、訪問診療の雰囲気だけ感じてもらうことになるでしょうが、研修医でしっかり内科的な疾患を勉強していただき、臨床研修修了後の目標にそれがなるのではないでしょうかという御意見をいただいてございます。
臨床研修施設については、次の2のセクションで御紹介させていただこうと思っております。
以上です。
○一戸座長 ありがとうございました。
丹沢委員と薬師寺委員から、このような御意見も頂戴したという、もちろんこれにとらわれる必要はございませんので、まずは研修内容というところでここに記載のことでも結構ですし、そのほかにもこういうことも考えたほうがいい。繰り返しになりますけれども、きょう結論を出すわけではございません。あくまでも今後の検討の課題としてこのようなものも挙げておこう、こんなものも検討してもらいたいということをぜひ御意見をたくさん頂戴したいと思いますので、順不同でどなたでも結構です。恐らく羽村委員がまず最初にお話になりたいかなと。どうぞお願いします。
○羽村委員 最初に御指名いただいてありがとうございます。
今の一戸先生からの御説明、参考資料4を踏まえて研修内容についてというところで、また、丹沢先生、薬師寺先生の御意見を聞いて、私は現在やるべきこと、将来にわたってこれから新しくやらなければいけないことという、2つは絶対に考えていかなければいないと思うのです。
ちょうど一戸先生の出された資料4の中でも、必修コースの中に地域医療、地域包括ケアというものが入っていて、これは非常にやるべきことの1つだと思っています。地域包括ケアの中で歯科医療者のやるべきことというのは、実は治療のほうまで入らなければいけないというのは当然あるので、では対象者は誰だということになると、介護の原因から考えると半数以上が脳血管疾患の後遺症か、もしくは認知症ということになりますので、そうすると資料4の選択コースの中の対象者もそこに入ってきてしまうことになりますので、あえてそこに選択コースで病名といいますか、疾患名を出していく必要があるのかなという感じがしました。
訪問歯科診療の必要性というところで、社会的なシステム、制度的なこともしっかり覚えなければいけないですし、実際のそこでやる我々の歯科医としてのやるべきことというのも2つ並行してやらなければいけないということで、実は地域包括ケアの中にかなりのところが落とし込まれてしまうのではないか。特にこれからの歯科医がやるべきことというのは、非常にここは重点的にやっていいかなと思います。なぜかというと、現状で一次医療で活躍している先生方は、システマティックな教育というのは受けないで実際に世に出ているわけです。それをしっかり歯科医師臨床研修ということで全ての歯科医が同じ知識、同じ医療を持つというのは非常に大事なことだと思いますので、ここら辺は私の専門になるところでありますけれども、しっかりやってもらいたいな、落とし込みたいなというところではありました。
以上です。
○一戸座長 ありがとうございます。
小林委員、どうぞ。
○小林委員 今回この研修制度についていろいろな検討をされるということで非常に楽しみに来まして、本日いろいろな資料を拝見しまして私の思ったところを述べさせていただきたいと思います。
私事ですが、大学の同窓会で学術委員、いわゆる卒後研修を平成10年から20年ぐらい、それから、学術委員会のいわゆる生涯研修に携わって約15年ぐらいになるのですけれども、その中で一番感じることは、研修期間の1年間が全く結果にうまく結びついていないのではないかというのが実感です。
といいますのは非常に誤解がある表現かもしれませんけれども、医師の研修制度がスタートしたときに、何とかそれに追いつこうという形で歯科医師もスタートしたわけですが、どうしても細部の部分での煮詰めが足りなかったのではないかと思います。その後5年ごとの改訂をしましたけれども、その時期ごとの歯科医療の需要に応じた文言は入っていますが、実際の臨床研修の内容にほとんど反映されていないと私は思います。
自分自身を振り返りますと、私のころは5年生で登院しまして、いわゆる卒業試験ケースといって1年間の登院期間中に歯を何本抜歯するか、義歯を何個つくる、歯髄の処置を何本やるというノルマが決まっていました。それを経て卒業していきますので、ある程度の臨床的知識と技術は身につけて卒業していくという状況なのですが、現状のいわゆる卒前教育の中では、なかなかそこまで踏み込んだ教育ができないという状況ですので、私の感覚としては、臨床研修期間が私たちの、5年生の登院期間ではないかと思っております。
そうしますと、1年間の研修期間中の目標を設定されましたけれども、実際にそれを評価するというのはほとんどされていないのではないかと思います。ですからどの程度、歯科医師としての知識と技術を身につけているかという客観的評価が実際にされていないことが懸念されます。実は私の子供は3人おりまして全員歯科大に入りました。1人は臨床研修が終わって今、専門研修コースに入っています。もう1人は、現在臨床研修真っただ中ですが、研修期間中の目標なく過ごしているように見えます。本当に残念というかもったいなく感じます。いろいろと話聞いていても、1年間たてばとりあえず終わるという感覚のようです。ですので、今回いろいろな議論をされる中で、研修目標とその内容を考えていくのであれば、ぜひそのあたりをもう一回踏み込んで考えていただきたいと思います。
確かに地域包括ケアも必要だと思うのですが、羽村先生がおっしゃるように裁量部分で本当にいいと思います。要するに1年間で歯科医師としてちゃんと抜歯が出来て、診断ができて高頻度処置ができる、本当に基本的なことができる歯科医師をつくるようなシステムをしっかり作るべきでしょう。医師の場合は2年間、臨床研修が終わってから専門研修に入っていきますけれども、歯科の場合のキャリアパスを考えるのであれば、臨床研修の1年間、基本的なことをみっちりやるべきと考えます。その後専門医に向かう場合も含めた2年目以降のコースも含めた臨床研修の筋道を立てなければいけないと思います。
そういう意味でも今回、一戸先生から先ほど報告していただきましたワークショップに私も参加したのですけれども、歯科医師の養成及び評価に関する総合的研究の中で本当にやらなければいけないことをしっかりやって、オプション的な部分を1年の中に含むのか、あるいは2年目以降に入っていくのかということもぜひ検討していただきたいと一言だけ述べさせていただきます。よろしくお願いいたします。
○一戸座長 今の御意見は日本歯科医師会全体としても同じような感じなのですか。
○小林委員 現場を申し上げますと、日本歯科医師会はそこまで踏み込んだ考えを議論している場はございません。ただ、現状、組織として日本歯科医師会の中では生涯研修を進めていますので、それとコミットできるような臨床研修のシステムをつくって医療の質を上げていきたいという気持ちは会として持っていると思います。ですから今の部分については、細部にわたっては私の個人的な意見だと思っていただいて構わないと思います。
○一戸座長 先ほど小林委員がおっしゃった臨床研修が終わった後の専門医につきましては、また後ほど話が出るかもしれませんが、日本歯科専門医機構というものができて、これから仮称ですけれども、総合歯科診療専門医みたいなプログラムも検討していこうということなので、多分こういうものとリンクしながら考えないといけないのかなと思っています。ただ、まだ少し先の話です。ありがとうございました。
鴨志田先生、どうぞ。
○鴨志田委員 私は神奈川県歯科医師会で地域保健と地域医療の最前線で県の行政といつも交渉しているのですが、その中で例えばそういう狭い範囲の経験から申し上げるのですが、保健医療計画を策定するだとか、高齢者の保健医療計画を策定するだとか、医療費の適正化の計画をやるとか、そういうところをずっとやっているものですから、その中で先ほど地域包括ケアのお話も出ましたが、歯科医師がどういう社会全体の中で自分たちの役割を占めていくかということをずっと議論したり考えたりする立場で、それを自分のところの会員さんに執行部からお伝えをして、そちらのほうに持っていこうと。現在、神奈川県歯科医師会はオーラルフレイルという概念を入れて、虚弱を何とかしようということを一生懸命やっているのですが、そういう公衆衛生で国のほうもちょっと勉強しますと、地域包括ケアを一生懸命やる。健康日本21を進めよう、医療費適正化もやっていこうと国のほうは厚生省、部門が違うのでしょうが、一生懸命旗を振っているのです。それについて我々歯科医師はどのくらい関心を持ってそれに参画して国に貢献しようとしているのかということを、甚だ私はいつも疑問に感じているのです。
それは我々が力不足かもしれませんが、そういう考えを研修医にある程度お知らせをして、研修をしていただかないと、一生それとは関係ない。リーベルとクラークの1次、2次、3次の予防で言えば、相変わらず2次、3次予防でずっとやっていこうとしている。ただし、今、国の方針を見ますと1次予防に力を入れて何とか国民の健康年齢を延ばそう、健康寿命を延ばそうということをやっている中で、我々歯科医師はどうするんだというところを非常にひしひしと現場で感じながらやっているのです。
ですから先ほど御提案が到達目標の中で幾つか出ていましたが、あの辺をもう少し強化して、きちんと若い先生方にそういう分野もあるんだぞ、あるいは社会がそういうことを必要としているんだぞということを少し御理解いただいて、先々チャンスがあれば臨床も大事ですが、そちらのほうもきちんとわかっている歯科医を育てていきたいというのが私の気持ちです。
もう一つ、別の話になるのですが、資料2の研修内容についての1段落目でわからないのですが、3行目に教育研修内容の一貫性を保つ観点からという言葉があるのですが、この一貫性を保つ観点というのは、これはこれで前提として決め事でいきますか。一貫性は国家試験で終わってしまっている部分もあるかもしれないし、研修になったら新しい部門をやらなければいけないという一貫性でない部分も私はあるような気がするので、全面的にただ一貫性で文部省がやってきたことをそのまま続けてやるというのは、ちょっと疑問が残るような感じがいたしました。
以上です。
○一戸座長 先生、何か具体的なものがあれば。
○鴨志田委員 いや、まだそこまでは考えていません。
○一戸座長 小林委員、鴨志田委員、現場の先生方からかなり御意見をいただきましたが、大学教員を担当される側として西原委員、もしございましたら。
○西原委員 特に資料1の説明を足早に説明していっていただいたのですが、厚生労働省の基本的な考え方を伺いたいのが、最後のパワーポイント原稿の25番目と27番目を比較しながら見させてもらうと、25ページの段階は平成18年、制度設計をするに当たり、ここでは、歯科医師臨床研修の到達目標、卒後で狙いと書いてあります。その一方で、現在の歯学教育はコンピテンスベースになってきて、ある一定の領域が定められて、卒業時までに習熟すべき能力をコンピテンシーとしてあらわして考えるという形になってきています。医学でアウトカム基盤型が必須になってきた中で徐々にではありましょうが、歯科医学教育もコンピテンスベースで、アウトカム基盤型に変化していっている大学が見られるようになってきました。
そうすると、研修で何をするのかという狙いもおのずと変わってきて、コンピテンスベースになっていくのだろうなと思いますが、27ページの最後なのですが、今後のイメージで文言として興味深いのが、研修が1年以上となっているのです。これまで基本的に1年ということで動いてきていましたし、医学部の歯科口腔外科で2年というコースはあったとしても、歯学では、いろいろ原資の問題でもあり、1年間でとどめてきた面があります。さらに今ずっと議論があったように、教育の現場で共用試験あるいは国家試験、医科歯科連携とか多職種連携とか医学の知識を持って訪問ケアをするとか、項目がふえてきている。その一方で小林委員がおっしゃったように、歯科医師としての技量の担保はこれまでどおりに保つんだよといったときに、臨床研修の在り方が問われる時期であると実感しました。現状で手一杯な状況で、それが質および量的増加を果たしてできるのかと考えたときに、1年以上というのは2年を見据えてこの会議で議論が可能なのでしょうか。
もう一点は、モデル・コア・カリキュラムの改訂にもかかわらせてもらいましたし、厚生労働省の歯科医師の働き方ビジョン検討部会で専門医のワーキンググループも参加しました。さらに今、一戸先生からも案内がありましたように2年間、臨床研修の改訂に向けてのワーキングにお付き合いさせていただきました。
トータルで考えると、きょう案内があった以下の資料番号の参考資料の7番の左側の部分の5項目に該当する歯科バージョンをこの部会で練り上げていって、そして実働的なワーキングをする部会に対して各論整理していってもらうわけでしょうから、大きな枠組みで何が問題点だったのかを考えなければなりません。先ほどいろいろデータが出てきています。地域偏在、偏重、県で多いところがあるとか出ています。それが果たして歯科で本当に捉えなければいけない問題なのか。医科の地域偏在というのは定員をふやしている中での問題で、彼ら医科はこんな個表をつくってきたわけでしょうから、歯科にとっての問題は何なのかというのを個別に検討する必要があるのではないでしょうか。今回、事務局の取りまとめた論点整理の資料2の大きな1、2、3、4のアローヘッドを考えるときに、少し医科のパワーポイント原稿みたいなものを見据えながら論点整理していかないと、これからこの部会の議論も雑駁になってしまうのではないかという気がしています。実りのある議論をしてもらうためのポンチ絵は絶対にここでつくっておかないと、新しいものはつくり上げられないと思いますし、しっかりした骨格が必要なのだと思います。
○一戸座長 ありがとうございました。根本的なところもいろいろ提案していただきました。今ここで直ちにどうこうという方向性はないのですが、これについて何か事務局のほうで今の西原委員の御質問に今の段階でコメントできることがあれば。
○山口歯科医師臨床研修専門官 先ほど資料1の27枚目のスライドで今後のイメージ、1年以上というところが興味深いというお話をいただいたところなのですけれども、1年以上というのは現行の法律で1年以上ということになっていて、それを投影したということで、必ずこれは1年以上を前提としたシステムにしていくんだという方向性を今の段階で事務局では持っていないのですが、今後もちろん議論の方向性、必要性において、そういうところを検討していく可能性はあるのかなと感じております。
○西原委員 先ほど教育現場という言葉がありましたけれども、我々私立、公立大学の研修医に払う給与で考えると、1年分しかないわけです。2年目の給与は各々歯科大学で出しなさいよと言われているわけです。そこで、このような書き方をするのであれば、財政的な措置を抜きにしては、改訂はイメージしにくいということを申し上げました。
○一戸座長 ありがとうございます。きょう結論が出る話ではないので、これはそのまま引き続きの話題としたいと思います。
あと大学病院で実際に研修歯科医を指導し、世に送り出している田上委員からコメントをお願いします。
○田上委員 長崎大学病院の田上と申します。
全くの私見になりますけれども、小林委員が先ほどおっしゃっておりましたが、研修医に覇気がないといいますか、達成感とかやる気というか、私たちが1年目のときには朝早くから来て、夜遅くまで仕事をするというのが当たり前の時代だったですけれども、今、研修医は8時45分に来て、5時半に必ず帰っていって、私たちはその間、教員は仕事をしていますので、カンファレンスとかになりますと大体8時からとか夕方6時とかになるのですけれども、強制できないというのもあり、そういうところに研修医はほとんど顔を出すこともありません。
何でそういうことになっているのかというと、具体的な目標が見えていないのではないかという気がしております。例えば矯正医になろうと思って研修医の1年目に入ったときに、エンドの実習とか補綴の実習とかをすごく心を込めて頑張れるかというと、やはりそこは無理なのかなと思ったりすることもありまして、だから選択の幅をフレキシビリティーを上げて彼らの満足のいく研修医のカリキュラム、プログラムの選択肢が多くなるとよいのかなというのがまず1点。
あと、ことし4月から周術期の改訂がありまして、大学は人員配置を変えまして今、周術期に物すごく多くの時間を割いておりまして、周術期に関係する人間はほぼ丸一日、お昼休みもないぐらいに本当に戦場のような感じで働いていますけれども、残念ながら研修医はプログラムが追いつかなかったために、そういう現場には全く顔を見せることもありません。きっとそういう臨場感あふれるところに彼らがいてくれると少しはやる気になったり、全身管理というのは全ての歯科医師に共通するところですので、きっとほとんどの歯科医師が興味を持ってくれると思うのですけれども、何となくずれが生じておりまして、そこを解決できるのかもしれないのですが、そういう余裕も残念ながら私たちにはなかったものですから、そういうところに関しても少しフレキシビリティーといいますか、全身管理は積極的に必要だと思うので、そこをふやしつつ、またそこも保険改正や学生教育とかとも連動させて、うまく三者がそれを一貫性と言うのではないかもしれませんけれども、うまく連動してやれればいいなという感想を持っております。
以上です。
○一戸座長 当初、全身管理を少しでも勉強、研修してもらいたいということで病棟研修というのが入ったけれども、実際には余り実が上がらなくて、あるいは病棟研修をするチャンスがなかなかない人もいて、訪問診療でも代用でもいいよみたいな形で今、訪問診療でも病棟研修でもという形になっていますが、実際にはそれすらなかなかいかないですよね。
先ほどもお話しましたが、大学に来ることができない患者さんは大学の教員はなかなかイメージできない。しかし、先ほど小林委員が言われたように、世の中には幾らでもそういう患者さんがいて、大学の教育だけ受けていると、歯科のニーズはあるけれども、声を上げられない人たちになかなか大学の教員は目が向かない。最近でこそ大学の学生を連れて、あるいは研修歯科医を連れて訪問診療に少しずつ行くように各大学は動き始めましたけれども、まだまだ実が上がっていないということを考えたとき、この後の研修施設の話にもつながるのですけれども、やはり今の研修のプログラムではなかなかそういうところの成果は上がりにくいのかなと。しかも多くの研修歯科医が歯科大の病院にいて、自分の出身の大学にいて、居心地がいいからということが前提となっていると、なかなか研修の根本的な改革はできないのかなというのが素朴に感じるところです。
羽村委員、どうぞ。
○羽村委員 暴論になるかもしれないですけれども、例えば出身校には残っていけないとか、それは必要だと思うのです。私どもは必ず外に出なさいとよく学生たちに言うのです。いずれ帰ってきてもいいけれども、違った水は飲んでこいと。厳しい環境に身を置きなさいというのはあるのと、鴨志田先生が先ほどおっしゃられたことは、臨床研修のときは実はそこに特化してもいいのではないか。歯科医であれば将来的に充填する、抜歯をするというのは飯の種ですから、いずれ自分でも勉強しなければいけないのです。でも地域で、もしくは公衆衛生的なことを身につける、もしくはその場に立つというのは臨床研修のときしかないのではないかというのが実は私は思っていて、そこだけが例えば数カ月でも半年でもいいですから、きちんとその場に立つ。しっかり将来設計も含めてできるような状況というのがあったほうがいいのではないかと思っています。
ですから小林先生とは全く反対の意見で、私は研修が終わってからは自分で伸ばしなさいと。私の場合、各論になって本当に申しわけないのですが、西原先生のように大きな目で見られないので各論になってしまいますけれども、思い切って考えるならば今までと全く違うことをやってもいいのではないかと思います。
○一戸座長 いずれにしても今の続きではなく、いろいろ違ったことをやりましょうということですね。
○羽村委員 はい、そのとおりです。
○一戸座長 ほかにいかがでしょうか。
○鴨志田委員 羽村先生、ありがとうございます。18年の改正のときにその議論がちょっとありまして、自分の大学の卒業生ゼロというのは厳しいので、定員のうち半分とか何割までが自分のところから卒業した学生でよくて、あとは外にしましょうという議論は少しありました。
先ほど言い忘れたのですが、学校歯科医の問題なんかも全然研修時代にやろうという話は出てこないです。ぜひ入れてほしいと思います。
○一戸座長 どうぞ。
○小林委員 持論を繰り返して申しわけないのですが、社会的に臨床研修が終わった歯科医師に国民が何を求めるかというと、歯科医療だと思うのです。ですから確かに公衆衛生とかそういう概念も必要ですけれども、臨床研修が終わったときに歯科医師に知識として、一般的には持っていてほしいのですが、それだけに特化する必要はないと私は思います。要するに国民が何を求めているかということが大事だと思いますし、研修医に何の目標を与えるか、将来的にどういうことをやるという、自分自身で考えて目標設定できるようなコースをつくってあげるほうがより現実的ではないかと思いましたので、追加ということで発言させていただきました。
○一戸座長 ありがとうございます。なかなか先が見えない何となくの1年間というのが現実に結構あるのかもしれません。
ほかに何か研修内容のことで。
○羽村委員 しつこいようですけれども、現在、歯科医師会では歯科医が多いと言っているならば、今の歯科医療は今の歯科医に任せればいいので、将来の歯科医をつくるために医師臨床研修を利用すべきだと思うのです。そのためには国民からの要望ではなくて、国民のために何をすべきかというのは国民におもねってはいけないと思うのです。要望というのはつくるものだと思いますので、国民のために我々がなすべきこと、それから、国民のためにもしっかり教育という言い方は変ですけれども、国民を変えていくというのも我々の仕事だと思いますので、今ある国民の要望だけで歯科医師というのはこういうものだというところだけで研修で制度をつくり上げるというのは、全くこれから先も何も変わらないような気がいたします。思い切ったことは必要かなと思います。
具体的には先ほど言ったようにこの制度とか、先ほどから私は地域包括ケアと言っていますけれども、地域で活躍できる歯科医はどうあるべきか。それは決して充填がうまいとか、抜歯がうまい、もちろんそれはいいことなのですけれども、それ以上に地域のシステムとか、地域の人たちにどういう人たちがいるか。本当に歯科医が必要な人はどういう人がいるかというのは、本当に身をもって体験する場が研修の場であってもいいのではないかと思います。そのために私は参考資料の先ほど一戸先生から出された資料にも、必修ではなくて選択のほうに障害者とか認知症等々の方々が入っているのだろうなと理解したものですから、逆にそちらのほうが大事なのかなと思います。
○一戸座長 1つだけ先に。多分、選択というのはああいうものをさらに積極的にという意味であって、必修コースの中でもぜひ取り組んでもらいたいというニュアンスだと思うのです。だから必修コースは一般、充填と抜歯と入れ歯だけやっていればいいという話では恐らくないと思います。
どうぞ。
○小林委員 日本歯科医師会としては歯科医師が多いとは思っていません。現実的には。将来的に絶対に足りなくなると思っています。それはどういう意味かというと、いわゆるGPの先生方の利用ニーズはだんだん減っていきます。例えば前にお話したかもしれませんが、45歳後半から50歳の歯科医師は、従来のGPと言われる歯科医療を提供していっても、収入を得てゆけると思います。
ただ、それより若い先生方は、スペシャルニーズではないですけれども、専門分野に特化した歯科医師でなければ安定した収入は得られにくいと思います。というのは患者数は減っていきますが、高齢者の医療ニーズはふえていくとなると、全ての歯科医師が同じ技術を持って、オールラウンドに対応はできないと思うのです。ですから高齢者に特化した歯科医師がいたほうが絶対にいいと思います。あるいは障害者に特化してもいいかもしれません。要するに社会ニーズというのは現在ではなくて、将来を見据えて歯科需要を予測して育成していかなければいけないと思っています。すなわち、ニーズに応じた分業制になると歯科医師は足りなくなると考えられますから、そういう特化した歯科医師が必要になってくれば、歯科医師は将来的に決して余ると私は思っていません。日本歯科医師会もそう考えていると思います。
○一戸座長 いずれにせよ研修内容、これからのニーズ、超高齢社会の中での歯科医療がどういう方向に向かっていくかということの一方で、そうは言っても普通の基本的な歯科医師の技術というのも大切なわけで、その辺をどう折り合いをつけるかというのはすごく大事なことなのだろうなと思います。直ちに結論が出るわけではないのですが、研修内容というのはそういうものをしっかり議論していかないといけないと思います。
研修が2年でも3年でも可能だということになれば、ゆったりと考えられるのかもしれません。現行は1年という枠があって、先ほど西原委員からもお話がありましたが、これが何らかの形で1年半とか2年とか延ばすような方策があってということであれば、また考え方も変わってくるのかもしれませんけれども、なかなか難しいのかなというところもあり、その辺は全体を見ながらということで研修内容についてこれから検討していただければと思います。
先ほども少しお話がありましたが、研修施設についてもここのところを読ませていただきますけれども、臨床研修施設は人員体制、研修期間等によって単独型・管理型・協力型・連携型の類型に分類されているが、各々の施設基準、研修方法についてどう考えるのかということと、研修歯科医の多くは歯科大学附属病院に集中しているが、当該病院の負担軽減を図りつつ、当該病院以外(歯科診療所、病院歯科)でも臨床研修を積極的に進めていくためにはどのような方法が考えられるのか。そのほか議論すべき課題がないかということで、これにつきましては薬師寺委員は御欠席ですが、臨床研修施設ということで少し御意見をいただいておりますので、これも紹介していただけますか。
○山口歯科医師臨床研修専門官 事務局でございます。
薬師寺委員から臨床研修施設について御意見をいただいております。病院歯科での研修が確実に減少しているという問題提起をいただいております。マッチング協議会のデータによると、全体のマッチ者数は3,035名いらっしゃったということですが、歯科大学病院2,510名で、その他の施設(管理型、単独型)が525名でありました。そのうち急性期病院にマッチしたのは139名で、そのうちの何名かが国家試験に不合格の方もいらっしゃる。ちなみに薬師寺先生の近畿中央病院では、そのマッチ者が国家試験に不合格になってしまったということで、さらには地方の急性期中核病院の病院歯科から研修医の募集をとりやめる動きというのが昨年度から認められるようになってきましたということで、病院の研修医の撤退ということについて懸念をされております。
以上です。
○一戸座長 ありがとうございます。
圧倒的に歯科大学附属病院に研修歯科医の数が多い、多過ぎる。いろいろな事情があるにせよ、そういう状況です。本当は病院歯科の場合には研修歯科医が常に同じ数いてくれることが現場が動く非常に重要なポイントで、その意味でも彼らは常に例えば3なら3の枠を満たしていてくれると非常に動きやすいというときに、極論ですけれども、歯科大の定員を減らす、全てが外に出るように流れをつくってしまうというのも、1つの考え方ではないかと思うのです。要するに、いかにしてほかの施設、病院歯科や本当はもっと開業の先生方で、いわゆるまさしく地域の医療に貢献されている開業の先生方のところで研修してもらうかというのは、とても大事なことだと思うのです。ただ、現状なかなかその仕組みが変わらないところで、その辺のことで今後の議論のために先生方から、またこれも自由に御意見をいただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。鴨志田先生、どうぞ。
○鴨志田委員 これは研修施設の定員を決めるときに、指導医一人当たり2人であるとかいう計算があったのですが、大学病院をどうするか。私は大学病院の所属ではありませんから平成18年当時、同じようにしてくれと言った覚えがあるのですが、屋根瓦方式だからいいんだと。助手の指導医がいて、講師がいて、准教授がいて、教授がいるから、それを足していくと何人もの指導医になるから定員が100人でも百何人でも大丈夫なんだという理屈で大学病院の定員が決まっていたような気がするので、減らしたほうが制度のためであるということになれば、研修医が所属する科の指導医が何人いるか単純に計算して、一人当たり2人というふうにすればいいのではないですか。
○一戸座長 私の先ほどのお話は極論ではあります。
ほかに今のことに関連して、小林委員、どうぞ。
○小林委員 施設によって研修内容がおのずと決まってくると思います。それは、鴨志田委員がおっしゃったように、指導人員とかのバランスもあり、内容についての検討の時に議論しても良いと思っております。参考に教えていただきたいのですが、臨床研修の活性化推進特別事業という予算が確かあったと思うのですが、今年度の執行はあったのでしょうか。
○山口歯科医師臨床研修専門官 今年も継続して実施する予定でございます。
○小林委員 今年度の実績的にはどうだったのですか。具体的にどういうふうに使ったとか、去年からでしょうか。
○山口歯科医師臨床研修専門官 昨年度からです。
○小林委員 実際にどういうふうに使われたとか、そういうのはわかるのですか。
○山口歯科医師臨床研修専門官 実績で申し上げますと、臨床研修活性化推進特別事業の補助対象施設となったところが9施設ございます。対象となったところでは指導歯科医講習会を開催しておりますので、単純にというわけではないでしょうけれども、その分、指導歯科医を養成する機会は増えているという認識で、こちらに関しては今年度以降も継続していく予定でございます。
○小林委員 もう一点いいですか。実績を上げていくと予算がふえる可能性はあるのでしょうか。
○山口歯科医師臨床研修専門官 今の時点で1施設当たり300万ほどついております。今後、どのように例えば予算を全体的に増やしていくのか、そのあたり実際に選定する施設の数なども含めて考慮していかないといけないのかなと考えております。
○小林委員 わかりました。ありがとうございます。
○一戸座長 小林先生、実際に先生が先ほどお話されましたけれども、研修が終わって機能が伴わない、1年何となく過ごしてきたのではないかみたいな、先生の子供さんではなく、そういう研修歯科医を見るにつけ、大学で1年間臨床研修をしている人たちを病院歯科なり開業の先生のところで研修をするように意図的に誘導するというか、そちらの経験をなるべくふやしてあげるということは、先生はどのようにお考えですか。
○小林委員 大学病院ですと、どうしても総合診療科での診療になるのですけれども、そういう意味では関連施設とか行かれたほうがいろいろな症例とか、現場の熱気にすごく感化されることが多いと思うので有効だと思います。ただ、不適切な発言かもしれませんが、研修医は現状では研修期間中は出来るだけ楽をしたいと思っているようですので、余り忙しいところに行きたくないと考えているようです。ですからある意味、ノルマと言ったら失礼なのかもしれませんけれども、研修医にもう少し努力目標というか目標を明確に決めてあげるべきでしょう。もちろん研修施設によって達成できるかどうかはいろいろ差がありますので難しいかもしれません。しかし、ある程度そうしていかないと、ちゃんとスタートラインに立たないのではないかという気がします。そのあたりを整理してシステムを構築していただければ、研修方式として一戸座長のおっしゃることにとても賛同します。
○一戸座長 医のほうはそんなこと言わなくたってたくさんの症例ができる病院に、一般病院に流れたわけです。それで研修制度が始まった途端に医局が崩壊したわけです。何で歯はそうならないのですか。
○小林委員 それはやはり依然として、大学に残る数が多いからではないですか。医科の場合、大学に残る数を減らし、現実的に制限しましたのでそのようになったと思います。ただ、現実的にどうなのでしょうか。医局が崩壊したことがよかったかどうかは解りません。研修のシステムとして実践的な医師が育つのであればそれはよかったと思います。ただし、医局というのは一種の帰属意識の原点のような感覚があります。医療というのはエビデンスがベースになりますが、大学の講座に所属して研修を積むということで、そこの講座で育った医師の医療人としての姿勢を育てると思うのです。ですからそういう部分での変化が医師の方はあるのではないでしょうか。地域偏在とかそういうものが結局解消されなかったというのは、結局は大学に残ることを制限しても効果が無かっただけだと思います。歯科がどちらがいいかというのは、今後の議論の中で答えが見られればいいかなと思っております。済みません、答えになりませんで。
○一戸座長 いかがでしょう。西原先生。
○西原委員 医学生の研修医に対する考え方と歯学生の研修医に対する考え方が大きく違うような気がします。かなり医学生は早い時期から自分のキャリアパスを考えています。背景には、自分はこんな医師になりたいんだということを思って臨めば、多様な制度設計ができるということになるかもしれません。
先ほど長崎の事例で矯正についての話がありましたけれども、歯科の専門性についてはGPと専門性の区切りというのが、専門性のワーキングをしていても明確に示せないのです。歯科領域で20も30も専門医があるということ自体が今、考えなければいけない問題が真っ先にそこだと思うのですが、機構ができても未だにそういう混沌とした中で歯学生は何をもって選んだらいいかというふうに悩んでいるのだと思います。今回のデータを見させてもらうと、パワーポイントの12で経験できる患者数が多いというのが断トツなのが興味深く見させてもらいました。
そうなるとやはり各大学がどれだけ総診で患者を研修医に診療させているかが、国公立、私立問わず、求められますが、地方に行けば患者は減りますから、東京と関東地区と九州地区を比べると当然おのずと違いを考えねばなりません。結局はみんな患者を診たいんだということであれば都会志向になってしまうかもしれません。その状況で何が言いたいかというと、歯学生の夢、歯学生が歯科医師になったらこんないいことがあるんだよという働き方ビジョンにも非常にかかわってくる訳で、それを教育者である歯科大学の教授陣、教員はアピールしなければいけない。これは学生のみならず、社会に対してアピールしなければいけない。データで疾病構造がすごく変わってきていて、義歯の患者が減っているといったことをとってみても、加えて急性期も減ってきているというのであれば、そういうエビデンスを示しながら、歯学生のキャリアパスを描くのに有効な研修医制度は何かという観点で議論するのも、これは将来、我々の次の世代を育てるシステムとしたときには大事なのではないでしょうか。
ですから先ほど軸をつくらなければだめですよねといったところの大項目に、次世代を担う歯科医師像のイメージもおのずと入れていかなければいけないのだろうなと思います。
○一戸座長 次世代を担う歯科医師というのは、私のイメージでは、患者さんの全てとは言いませんけれども、かなりの患者さんたちは実は大学なんかに来ない。町の中で苦しんでいて、大学なんかに来られない人がいて、その人たちを相手にする必要があると思います。そういう患者さんたちがいるということを大学の教員がどれぐらい知っているか。大学の中で高度な診療だけを提供している人がどれだけそういうことがわかっているか。
○西原委員 いずれにしても、大学としては、こういう大学なら残りたいなというようなイメージも描きながら変えていかないと、先生がおっしゃるように外に出すのも1つなのですけれども、来てもらえるような大学に病院自体が学問と切り離してでもつくっていかなければいけないのかもしれない。そういう時代になったのかもしれないなと今は思っています。
○小林委員 今、西原先生が指摘された、このアンケート結果がまさに現状だと思うのです。ただし、経験できる患者数が多いとか、症例内容が幅広いというのは当たり前の答えだと思います。この設問で本当は選んでほしいのは中段の研修に関する自己研鑽の時間がとれる、高頻度治療が経験できる、症例内容が専門化しているとか、指導医が著名だとか、本当はそこに特化していってほしいし、そういう施設でないと多分、施設の意味がない。ただ単に1年間過ごす場所なのかなと思います。
○西原委員 特徴ですね。その特徴が見える化するといいですね。
○一戸座長 ほかにいかがでしようか。
○田上委員 自分が今、長崎大学におりまして自虐的でもあるかもしれないですけれども、ほかも見ても大学にいるからすばらしい診療ができているかとか、すばらしい指導ができているかというと、私は決してそうではないと思いますし、逆にやはり大学の教員というのは研究もしなければいけない、学生教育もしなければいけないという別のノルマの部分が非常に多いので、研修医に対する適切というか、長時間にわたる適切な指導がしづらいというところは非常に難しい問題だと思いますので、こうやって歯科大学の病院に研修医が集中するのはよくないのではないかと思う一方で、研修医が終わって大学院を志す人にとっては歯科大学病院での研修が非常に心強いものであると思いますので、ただ、例えば長崎大学ですと医歯薬学総合研究科になっておりまして、3科の大学院の枠がありますので、定員が歯学部で何名というわけではありませんので、例えば大学院入学が10名までは研修医を受け入れるとか、そういう聞き方がちょっとできないという難しさはあるのですけれども、大学院を志す人にはできれば歯科大学病院での研修の機会を与えてあげたいなと思っています。
○一戸座長 そうですね。本音で大学院に残りたい人はぜひ大学にいてもらいたいと、それは大学の立場としてあります。
○羽村委員 今の田上先生のお話の大学に残ってもらいたい理由の1つは確かにそのとおりで、新しい教員をつくりたいというのは我々あって、今まで言っていることと反することもあるのですが、そのためにはまずは大きくしておきたい、その中から選びたいというのが実はあることはあるのです。
一方で先ほどから強調しているように、自校以外の医療現場を見てほしい。自分の学校が全てだとは思ってほしくないというのがあるものですから、それはやはり出るべきだというのは私の持論で、逆に出なければ大学に残る価値はないのではないかと思うぐらいです。参考資料7に少し話が飛んでしまうのですが、5のその他に基礎研究の国際競争力の低下というところで、大学病院に基礎研究医養成枠を設置するというのは医科のほうではあるのですが、これは歯科の施設でも必要なのかなと。これは大学病院で唯一、1次医療の開業されている先生たちの診療施設とは異なるところかなと思いますので、これは診療施設の付随事項として歯科でもあるべきかなと思います。
○一戸座長 研修歯科医の本人の気持ちの持ちようだと思うのですが、極めて個人的な個別の話ですけれども、うちの大学院を出て現在、東大で医科麻酔科研修をしている人は、麻酔の大学院に残るからこそ今のうちやれる。将来というか大学院中にできないことをやりたいといって都立病院で1年間、補綴を中心とした研修をして、それから麻酔の大学に入学しました。将来どういうふうになるかわかりませんけれども、本人がその気になっていればいろいろなコースを自分で切り開いていくのかなと思いますが、一方で居心地がいいからといって大学にそのままいる人も結構、現実にはいる。なるべくそういう人たちにいろいろな経験をさせてあげたい。大学の中でただ1年何となくすごすのではなくということは誘導しないといけないのかなという気がするのです。
○羽村委員 プラスですけれども、今の国家試験、3分の1が落ちるという国家試験で学生たちはかなり疲弊するのです。そうすると少し休ませてという気持ちもわからないでもないです。その研修の1年間だけを見ると確かに小林先生おっしゃるように、やる気がないように見えますけれども、その前のことを考えるとそういう時期があってもいいのかなと言うには大学人、教員としてはそういう気持ちもあります。
○一戸座長 あと、ちょっと話が変わりますけれども、連携型の施設が今、2つから全然ふえないのです。本来はあれでいろいろな歯科の先生方に研修に参加していただこうということでつくった仕組みですけれども、これがなかなかうまくいかないということで、ここはぜひ考えていかなければいけないことの1つだと思うのですが、今、抱えている問題点について、何かありますか。
○山口歯科医師臨床研修専門官 実際にそういったヒアリングをしたわけではないので事務局側で考える、予想されることで恐縮なのですけれども、現状で既に研修協力施設というものがあって、1カ月以内の研修期間ということで、これは厚生労働大臣の指定ではなくて登録というプロセスですので、単独型あるいは管理型の施設がそのように申請すれば、容易に登録できる、つまり簡単に言ってしまうと扱い方が楽なのかなと考えております。連携型臨床研修施設は、研修期間5日以上、30日以内ということで研修協力施設と似てはいるのですけれども、指定が必要になります。また、これは協力型臨床研修施設からの出向という言葉が正しいかどうかわからないのですが、協力型臨床研修施設の出向期間に出向くものとしていますので、その取りまとめを代表する協力型臨床研修施設は行うということで、その負担的な問題もあるかと思います。そういったことでなかなか普及していないのではないかと考えております。
○一戸座長 ありがとうございます。1カ月以内しか行かないと、なかなか患者さんの主治医にはなりにくいですよね。行って何となくそばにいて見学してなさいみたいな形になりがちなので、期間をふやすのはなかなか難しいのかもしれませんけれども、そこのところを考えないとなかなか協力してくれる歯科医院が、小林先生、連携型になってねと言われたら。
○小林委員 厳しいです。
○一戸座長 何が厳しいですか。
○小林委員 まず先生おっしゃるように患者さんをちゃんと任せられるというか、ちゃんと診るという姿勢を教える前に研修期間が終わってしまうためです。特に患者に対する姿勢を教えたいと思っていますから、それができないということと、治療をトータルで見ることが臨床研修で一番大事だと思っています。結果的に断片的な治療経過の経験になってしまうので私の診療所だと難しいと思います。ですから何か特色があれば、期間が限られていても良いと思います。在宅で1カ月の内何日間か、あるいは週に1回行くなど、スキルを上げられるようなことが指導できれば非常にいいと思うのですけれども、そういう状況では無いので、受け入れる意味がないということで難しいと思っています。
○一戸座長 そこを何とか積極的にお願いします。結局、医は臨床推論ができればチーム医療に参加して、いろいろなことが1カ月だろうとできると思うのですけれども、歯のほうは手を動かして初めてというところがあるので、なかなか1カ月だけの研修をやって成果が上がりにくいかなというのは正直、思います。
○羽村委員 だからこそ地域に出したい、地域包括ケア等々、口腔機能向上等のプログラムに入り込めば、それは非常に有利かなと思います。
○一戸座長 だからこそ大学でなく地域のいろいろなところで長い期間、研修してくれるといいかなと私も個人的には思うのです。
いろいろ御意見いただいていますが、これは全て今後の議論の参考になると思います。
時間もそろそろなので、3番目の指導体制というところを見ていただきたいと思います。歯科医療を取り巻く状況を踏まえつつ、教育的効果を高める観点から、指導歯科医講習会の内容についてどう考えるか。指導歯科医の質を担保することは効果的な研修を行う上で重要な要素であるが、そのためにはどのような対応が考えられるか。そのほかということです。
協力型研修施設になっていても、研修管理委員会はなかなか来ていただけない。全て委任状で毎年過ごしているみたいな施設が残念ながら現実あります。歯科医師としての技量なり何なりはもちろん問題ないのだと思うのですが、指導歯科医として研修歯科医に向かっていただくに当たっての、研修歯科医は最近こんなことも経験していますよ、勉強していますよということをなかなか指導歯科医が知る機会がないということは現実にあると思うので、指導歯科医の質を担保する、あるいは向上するためにいろいろなことをまたあわせて考えなければいけないのかなというところなのですが、この辺について何か御意見ございましたらいただきたいと思います。
○小林委員 今、日本歯科医師会で指導歯科医講習会というものをやらせていただいているのですけれども、単に指導歯科医という資格が欲しくて来ている方が多分3分の1ぐらいいるのではないかという感じがします。ですから熱意を持って若い臨床研修医を育てるという方がまだ少ないという感じがします。そういう意味では指導歯科医になってしまうと、研修管理委員会に呼んでも来てくれないという開業指導歯科医は余り好ましくないと思います。ある程度の期間内で、1回はそのように参加するとか、そういう規則を今後はつくっていく必要性もあるのではないかと思います。現実的には。
○一戸座長 ありがとうございます。
ほかはいかがでしょうか。鴨志田先生、どうぞ。
○鴨志田委員 今、小林先生が言ったとおりで、資格取得の研修会になってしまっているのです。今後やるかどうかもわからないし、とりあえず7年たったから指導歯科医の資格をとっておこうというニュアンスを受けるのです。私は毎年参加してやっているほうなのですが、例えばある大学でことし協力型なり協力施設で研修医が行くと決まった人たちに対して、その大学のやり方、カリキュラムがあるから、そういう人たちに対して講習会をするとか、もう一工夫しておいたほうが個別性があっていいような気もするのですが、何かそういう工夫は第2回目の指導歯科医になるのかもしれませんが、そういう方策を考えたほうがよろしいような気がします。
以上です。
○一戸座長 ありがとうございます。
ほかいかがですか。
○田上委員 来られる方は必ず毎回いらっしゃるし、来られない方はいつも委任状でいらっしゃるのです。ですので質と言ったら失礼かもしれないですけれども、研修の内容に差があるのは間違いないと思いますので、ある程度の平均値にするには何らかのノルマではないですけれども、必要かなと思っています。
○羽村委員 指導医に関しては更新研修が必要なのだろうなと。必ず更新研修をしないと指導医を続けられないというのはしていくべきかなと思います。指導医が新しいことをまた覚えていかないといけないことも多いと思うのですけれども、言い方は悪いですが、10年一律のことを同じこと、同じやり方というのではいけないかなと思いますので、どうしても更新をするための研修等々が形骸化しがちですけれども、特に臨床研修の指導医については厳しくしてもいいのかなと思っています。
○西原委員 講習会に来ない歯科医師がいますので、今やらないと、歯科全体の地盤沈下につながると思います。踏み込んでやるべきだと思います。方法はわからないのですけれども、やる方向で議論すべきではないかと思います。
○一戸座長 ありがとうございました。
この間の総合研究報告書では、研修を2年に1回ぐらいは受講してくださいというぐらいのことだったのですけれども、今の御意見だと更新制も視野に入れたという御意見もあったぐらいで、そうなるかどうかは別として、そういうことも考えたほうがいいのではないかという御意見もあったということだと思います。いずれにせよ、常に委任状だけの指導歯科医が残念ながらいることは事実なので、ここは何か考えないといけないところです。ありがとうございます。
指導体制についてほかに何かございますか。どうぞ。
○小林委員 大学の先生について、田上先生お話しされましたけれども、大学の先生が一番大変だと思うのです。学生教育しながら臨床や研究をするのは非常に大変です。大学の研修、指導に当たられる先生方に対する、何かもう少し違う形で連携できる仕組みや施設を考えて負担を減らすというのは必要だと思います。どういうシステムをつくったらいいのか今は、頭に浮かんでこないのですが、研修医が病院で診ている患者さんが遠方から来る場合は、患者さんの近隣に協力型施設があれば研修医がそこに行くとか、そういうこともできるのではないかと思います。そういう形で患者さんをうまくシェアというわけではないのですが、開業医の先生と連携すれば指導医の先生の負担が減るのかなという感じがします。そのような方策や意見を集めてみても良いのではと思います。
○一戸座長 何かいいアイデアがあったら教えてください。
ほかいかがでしょうか。そうしたら残された時間はわずかですけれども、その他のところ、最後、地域医療を確保する観点から定期的に医師臨床研修制度は見直しが行われているが、これらの状況を踏まえた対応が必要かということ。それから、歯科診療所等が積極的に臨床研修に参加するために事務手続の簡素等の対応が必要か、そのほか何かあるかということで、先ほども幾つかこのような観点からもお話をいただきましたけれども、何かこれについて御意見があればいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。どうぞ。
○羽村委員 1つ、地域のそれぞれの歯科医師会があるではないですか。例えば研修の施設のためには例えば投資がどのぐらい必要だとか、トレーニングのための部屋が必要だとか云々あるのを、地域ごとに決めるというのは可能性はありますか。小林先生、どうでしょうか。
○小林委員 歯科医師会でも規模がそれぞれ違いますので対応可能か判断しかねます。例えば東京都歯科医師会は二千人以上の会員がいますけれども、島根県は300人弱しかいないわけです。規模が違ってきますと歯科医師会自体の事業の対応力も違うと思いますので、ある程度の規模があればできると思います。
○羽村委員 県単位ではなくて、それこそ市区町村とか小さな単位のところでというのは可能性はありますか。例えばA診療所はB診療所のトレーニング施設を貸してもらうとか、そのような形で、これは連携施設等々になるのかもしれないのですけれども、もっと臨機応変にやってもいいのかなと。ただ、その場合にはきちんと強化されたら、それこそ1年ごとにきちんと確認をしていくとか、そういうものは必要だと思いますけれども、きょうのデータでもありますが、85%の歯科医師は診療所にいるにもかかわらず、研修医の85%が逆に歯科大学にいるというのは本来ならば逆転しなければいけない数字ですから、それについて考えなければいけないのだろうなと思いますし、大体1,700人ぐらい1次医療の場に行くとなると、単純に考えれば1つの診療所で1人ならば1,700人あればいいという、2人入ってくれるならば850件でいいということになりますので、今の日本の診療施設の数からするとそんなには無謀な数字ではないのかなと思いますが、それを促すような何か方略がないと、今のままでは入ってくれ、入ってくれだけではなかなか難しいのだろうなと思います。
○小林委員 羽村先生の御提案ですと、地域包括ケアとかそういう部分は郡市区の歯科医師会で研修されるのがいいと思いますし、鴨志田先生がおっしゃる公衆衛生の部分とか、そういう部分についても歯科医師会がより有効だと思います。
○鴨志田委員 少しずれるのかもしれないのですが、地域偏在の問題なのですけれども、医科のほうで問題になっていますよね。都道府県ごとに定員を決めるとか。歯科医院のほうは余っているからそんな問題はないだろうとずっと思っていたのですが、この間、社会歯科学会で島根県の先生の御発表があったのですが、益田市が今、東京集中で地方がどんどん疲弊して人数が少なくなって人口が減る。歯医者も減るというので、そこの地域の先生がやらなくなってしまうと無歯科医村になってしまうというので、そういう問題があってもう一件引き受けるようになったのだというので、それが40キロ離れているというのです。だからこの臨床研修がそこに寄与できるかどうかわからないのですが、実は今の日本の人口の偏在を考えていくと、そういう過疎地域の問題が実は出てくるような気がして、研修なんかの問題ではどうなのかなという気がして、情報として少し発言させていただきました。
○一戸座長 先ほどの資料の19ページで、ことしは島根県は0.4%ですが、昨年か一昨年はいなかったので、山陰はもともと少ない。研修歯科医だけではなくて例えば歯周病の専門医もゼロなのです。だから例えば島根県は日本歯科医師会としても大変注目している県だと思います。そんなことも踏まえながら、そろそろ3時になりますが、全般を通してきょう御議論いただいて、いろいろな話題を提供していただきましてありがとうございます。これをもとに今後のことを考えていきますが、最後にまた全般を通して何か御意見があれば承りたいと思いますが、鴨志田先生からでも一言ずつ何か最後にあれば。
○鴨志田委員 小林先生のお話で、見方を変えると結局、例えば抜歯の研修では仮に20本抜かないとまあまあうまくならない。その20本をある研修施設では3本しか抜けなかったから、次の17本は就職したところで先生に教えてもらってやりますよというので一人前になっていく。結局、日本全国どこでも新人は20本やるためには、こう言っては失礼だけれども、20本犠牲になる20人の患者さんがいるわけです。だからそれは研修施設でやったほうが安全かもしれませんが、余りこだわらなくても、抜髄では仮に10本やらないとならないとなったら10本できればいいし、3本しかできなかったら残りの7本は次の就職した施設か大学病院でやるという、そのように割り切ってしまったほうがいいような気も私はしたのです。私自身が余りやらないほうですから、そんなことを言って済みません。患者の人、済みません。
○一戸座長 小林先生、どうぞ。
○小林委員 皆さんの御意見をいろいろ聞かせていただきまして、大変勉強になりましたし、私見的な部分が多い発言で大変不適切だったかと思いますけれども、でも現実的な部分を通じてこの場で皆さん知恵を絞ってよりよい臨床研修制度に変えていくということをぜひ進めていただきたいと思います。ただ、抜歯も抜糸もゆっくりできるのが臨床研修期間だと思います。後で聞くと施設によっては結構時間のノルマがありますので、そのあたりも考えていただきたいと思います。
以上です。
○一戸座長 田上先生、どうぞ。
○田上委員 きょうはありがとうございました。
何となく話の流れから歯科大学への、大学病院への一極集中はよくない。かつ、できれば歯科大学のない県での研修がもっともっと推進されればいいのかなという感想を持ちました。
○一戸座長 羽村先生、どうぞ。
○羽村委員 制度をブラッシュアップ、変えていくときに、少し変えてまた様子を見るということもあると思うのですが、私は今回は思い切って変えていいのではないかと思っています。それは先ほどの研修施設のことでもそうですし、内容についても本当に未来を見据えたと、今の歯科医、これから出てくる歯科医について研修医はそういう立場なのですけれども、10年後、20年後にその研修医たちがどうやって社会で活躍していくかということを考えた制度を変えていったほうがいいように思います。今の制度は研修医が終わったらどうかという、1年の研修が終わったらどうかという論議をどうしてもされるのですが、彼らが1年間を研修医で過ごして、その後の10年後にどうなっているか。もしくは20年後にどうなっているかということの目で見てもいいのかなと思います。理由としては先ほど言ったようにどうしても国公私立、どこの学生に限らず6年間のストレスというのはかなり大きいように思います。それが出てきて4月にすぐに頑張れというのは、頑張れる子もいるし、少し時間を置きたいという子もいるだろうなというのは理解できますので、少し長い目で見た制度も必要なのかなと。もちろん税金を使っての制度ですから、そんな悠長なことは言っていられないよと言われるかもしれませんけれども、そういう目も必要かなと思いました。
○一戸座長 西原先生、どうぞ。
○西原委員 法の改定という観点から言うと、これだけ歯学教育から卒後、研修医、そして生涯研修という動きが出始めている今、制度設計の中の整合性をつけて議論が取りまとる方が良いかと思います。
もう一つは、メディカルを見ていると我々デンタルに比べてチーム医療が進んでいます。特に我々歯科医師は歯科衛生士と歯科技工士を含めたオーラルヘルスチームとしての意気込みを持っても今まとまらないと、2025年の地域包括ケアは歯科医師が取り残されるのではないかという思いがあります。ですから各大学、歯学科の場合は歯学生は1年生から6年生まで、口腔保健学科は1年生から4年生までの教育を抜本的にどの大学も今、変えているのだと思いますが、その情報交換が余りに少ないかなという気がします。
○一戸座長 先生方、本当にありがとうございました。いろいろな御意見をいただきまして、今後の改定に向けての準備を進めていきたいと思います。なので次回の審議会で検討すべき課題、議題について、本日の御意見を踏まえましてまとめていきたいと思います。
会議の進め方に関しては事務局と相談をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
事務局から何か最後、御連絡等ありますでしょうか。
○岩田歯科保健課課長補佐 本日は御審議いただき、ありがとうございました。
次回の会議の日程につきましては、8月27日を予定しておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
事務局からは以上です。
○一戸座長 ということでございます。本日、少し時間が過ぎまして申しわけありませんでした。活発にいろいろと御意見をいただきましてありがとうございました。お疲れさまでございました。これで終わらせていただきます。