第6回薬剤耐性ワンヘルス動向調査検討会 議事録

健康局 結核感染症課

日時

平成30年10月22日(月)
14:00~16:00
 

場所

厚生労働省 省議室(9階)

議題

1.薬剤耐性ワンヘルス動向調査年次報告書(2018年度版)について
2.その他

議事

 
○国際感染症対策室長 定刻となりました。ただいまより、第6回「薬剤耐性ワンヘルス動向調査検討会」を開催いたします。
 開会に先立ちまして、事務局側に人事異動がありましたので御報告申し上げます。
 私、10月より結核感染症課国際感染症対策室長を拝命しております井口でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、本日の構成員の出席状況を御報告いたします。
 本日は、早川構成員より御欠席の御連絡をいただいております。
 また、参考人といたしまして、国立国際医療研究センターAMR臨床リファレンスセンター、松永展明先生、東京都健康安全研究センター、小西典子先生、前北海道大学の都築慎也先生、三重大学、田辺正樹先生にそれぞれおいでいただいております。
 続きまして、事務局より資料の確認をさせていただきます。
 議事次第のほか、資料1から資料2、参考資料1から2を御用意してございます。
 今回より、ペーパーレス化ということでタブレットによって資料を御準備してございます。機器のふぐあい、それから、万が一資料が足りない等ございましたら、お申しつけください。
 よろしゅうございますでしょうか。
 そうしましたら、以降の議事運営については渡邉座長にお願いいたします。
○渡邉座長 ありがとうございます。
 このタブレット、なかなか使い慣れないと厄介かもしれません。何か問題がありましたら、その都度言っていただければと思います。
 では、議事次第のほうをごらんいただきまして、そこに書いてありますように、本日は「薬剤耐性ワンヘルス動向調査の年次報告書2018」を主に議論していただきます。そのほかに、その他として用意してありますけれども、資料がページ数としては90ページとなっておりますので、いろんな議論等あるかなと思いますけれども、事前に皆さんのほうからいろいろな御意見も伺っているということでありますので、なるべく簡潔な形で、要点を絞った形での議論を進めていきたいと思います。
 ではまず、資料1について事務局のほうから説明をお願いいたします。
○結核感染症課長補佐 事務局です。
 前回の第5回の薬剤耐性ワンヘルス動向調査検討会で提示させていただきましたたたき台の資料と、そのときの議論を踏まえまして再度修正をしていただきました。それが今回の資料1になります。委員の皆様、ありがとうございました。
 まず資料を開いていただきまして、2ページ目の目次をごらんください。資料1の構成ですけれども、まず1番、前文、2番、略称一覧、3番、抗菌薬・抗菌剤の種類と略号、4番、要旨、5番、アクションプランの成果指標、6番としまして、日本の耐性菌の状況、そして、次のページへいきまして7番、日本における抗菌薬使用量の現状、8番、日本における薬剤耐性に関する国民意識、そして9番、今後の展望の順に記載してございます。
 そして最後、各調査に関しての詳細は巻末の参考資料として記載してございます。
 構成については以上です。
○渡邉座長 ありがとうございます。構成について、何かコメント等ございますか。
 よろしいでしょうか。
 どうぞ。
○結核感染症課専門官 事務局より追加で御報告させていただきます。
 前回の第5回の資料に加えまして、今回、順番に議論する上でごらんいただきたいと思いますが、9ページの「アクションプランの成果指標」の「ヒトに関するアクションプランの成果指標:抗菌薬の使用量・販売量」のところで、2013年との比較を追加しておりまして、ここで2020年の目標に近づいているかどうかというのを一目でごらんいただけるようにしています。
 あと動物分野のところも加えていただいたことと、あと、動物分野さんのほうでは、抗菌薬の使用量で愛玩動物について追加していただきました。
 また、抗菌薬の使用量については、63、64、65ページになりますが、日本における抗菌薬全体の使用量をトンで現状を示していただいています。
 また、最後に第8の国民意識のところですが、そこで農水さんのほうから、家畜飼養者及び臨床獣医師の調査の項目が追加となっています。そちらは71ページになりますが、順番に皆さんに見ていただきますので、そのときにまた御意見などお願いします。
 事務局から追加で以上です。
○渡邉座長 ありがとうございます。具体的にまたそのページ数のところで御意見を伺いたいと思います。
 では、前と同じように、順番に皆さんのほうから御意見を伺いたいと思います。まず、目次のところをごらんいただきまして、1から5まで、前文と略称、あと抗菌薬記号と要旨、アクションプランの成果指標、ここまでを第一弾として御議論したいと思います。
 まず、前文と略称に関していかがでしょうか。
 どうぞ。
○遠藤構成員 略号につきまして、「3.抗菌薬・抗菌剤の種類と略号」の5ページのところにキノロン系というのがございますけれども、ここはキノロン系にフルオロキノロン系とそれ以外のオールドキノロン系が混ざって記載されております。フルオロキノロン系のほうがヒトの医療における重要性が高いということですので、フルオロキノロン系に何かのマークをつけていただくとか、そういうことがあったほうがわかりやすいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○渡邉座長 キノロン系・フルオロキノロン系とかとしたほうがいいということですね。
○遠藤構成員 はい。キノロン系でよろしいのですけれども、フルオロキノロン系には例えば※印をつけて、これはフルオロキノロン系だとわかるように書いていただけたらよろしいと思います。農林水産省のほうではかなりフルオロキノロン系に関して慎重に使用しておりますので、仕分けをしていただいたほうがいいかと思います。
○渡邉座長 わかりました。事務局、よろしいですか。
○結核感染症課専門官 はい、承知いたしました。※印をつけて、フルオロキノロンとそうでないキノロンで分けるようにします。
○渡邉座長 ほかにございますか。
 どうぞ。
○藤本構成員 略称のところにRICSSを挙げていただいたのですが、本文中、RICSSが出てこないのですね。これは現在、J-SIPHEという形で動いておりますので、そちらに何らかの形で書いていただくか消していただくかということでいいと思いますが、ただ、アクションプランの中で、RICSSという名前ではないですが、地域対策、地域連携支援システムというのが繰り返し出てまいりますので、そういった意味では残しておいて、これとJ-SIPHEとの関係をどこかに記していただくのが適当かと思います。
○渡邉座長 ありがとうございます。これは誰にお願いすればいいですかね。
○藤本構成員 J-SIPHEのほうの記載がまだ余り出てきていなくて、JACSのところで1カ所出てきているので、そこのところに括弧して、旧RICSSとか、そんな形で。今度、J-SIPHEのほうの結果が入ってくるようになったらばそこで記していただくのが適当ではないかと考えます。
○渡邉座長 よろしいですか。
○結核感染症課専門官 はい、承知いたしました。ありがとうございます。
○渡邉座長 ありがとうございます。ほかにございますか。
○境構成員 先週、時間がなくて御説明をお聞きする機会がなくて大変申しわけありませんでした。前文のところですけれども、6行目のところにこのモニタリングの目的が書いてあります。「薬剤耐性菌及び抗微生物薬使用量の現状及び動向を把握することを目的に」と書いてあるのですが、要旨のところでは、「現状の施策の評価及び今後の施策の検討に寄与する重要な戦略と位置づけている」と書いてあるように、「動向を把握する」の後に、「動向を把握し、薬剤耐性菌施策の評価を行うとともに課題を明らかにする」とか、そういう形にしたほうがいいのではないかと思うのですね。前から申し上げているように、モニタリングというのは、リスク管理施策を講じる必要があるかどうかの判定、あるいは講じた施策の評価、改善ということが目的ですので、最終的にはそこまで記述する必要があるのではないかという趣旨で御提案しました。
○渡邉座長 ありがとうございます。今の御提案、いかがでしょうか。
 そのほうが確かにいいですね。そうすると前向きな方向性が出てまいりますので。よろしいですか、事務局。
 ほかにございますか。
○藤本構成員 6ページの【参考】のところの原末換算量というのを、前回ちょっとお願いした、遠藤先生に書いていただいたかと思うのですが、ここでもう一つ、JACSから出ている力価換算した重量ベースでの抗菌薬消費量というのがありまして、これとの関係を同じであるということを書いておかないと、結局、最後のところに出てくる表で、ヒトと動物が同じレベルで比較できているということがはっきりしないので、一言それを述べていただければと思います。
○渡邉座長 今の文章をちょっと事務局に送ってもらえますか。
 ほかにございますか。
○遠藤構成員 今、4番の要旨のところもよろしいでしょうか。
○渡邉座長 どうぞ。
○遠藤構成員 4番の要旨のところで、7ページ目の「方法」の中に、家畜飼養者と臨床獣医師への調査を行っているはずですけれども、そこのところの記述があるかと思うのですが。
○渡邉座長 さっき事務局からあった新しく加わった点ですね。
○遠藤構成員 そうです。そこの記述で、追加をしていただいて、動物分野の家畜飼養者及び臨床獣医師への調査については、公益社団法人中央畜産会の調査結果を利用したと書いていただいたらよろしいかと思いますので。後で文章は提案いたしますけれども、そのような形でそういう調査もやったということを書いていただけたらよろしいかと思います。
○渡邉座長 ありがとうございます。では、そこを事務局のほうに送っていただいて。
○遠藤構成員 もう一点、それは「結果」のところで、動物においては、牛、豚及び鶏由来の耐性菌と書いてありますけれども、畜産分野においては、牛、豚、鶏、加えて犬及び猫由来の耐性菌と書いていただいて、愛玩動物のほうも追記させていただきたいと思います。これは8ページの上から5行目のあたりですね。「動物においては、牛、豚及び鶏由来の耐性菌の調査を行った」と書いてありまして、その後、魚の話までは書いてあるのですけれども、愛玩動物の話がないので、そこも、先ほど事務局のほうから追加された新しい調査ということで追記していただけないかと思います。
○渡邉座長 追記箇所を、これはどういう形で送ればいいですか。この紙に書いて送るというわけにはいかないですよね。ペーパーだったらペーパーに上書きして事務局に渡せばいいのだけれども、こういう形になってしまうと、それは。一旦コピーしていただいて、それとも、事務局で紙版を送っていただいて、紙版ではワードかなんかのやつを送っていただいて、ワードに修正事項を書き足して、また事務局に送ってもらうと。そっちのほうがいいですか。間違わないようにしないと。今の、口述で書くというとなかなか間違ってしまいますよね。
○結核感染症課専門官 そうですね。ありがとうございます。また後で修正できるようなファイルを共有しますので、それを農林水産省さんと協議してつくっていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○渡邉座長 そうしたら、今いろいろ御意見を伺っておりますので、その御意見は事務局からワードファイルを送っていただいて、そのワードファイルに朱書きをしていただいて、訂正事項としてもう一回事務局に戻していただくというふうにお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。ほかに何か。
 どうぞ、藤本先生。
○藤本構成員 同じく要旨の「結果」のところですけれども、前回、せっかくヒトと動物と全部トンで出るようになったので、そのことを、事務局から説明ありましたので、巻末のほうにまとめて書いていただきましたが、これは非常に大きなことだと思いますので、要旨のヒトのところも、DIDだけではなくて、一定のものについてはトンで記していただけたらと思います。何か事情があればそれは差し控えるということでよろしいかと思いますが、巻末に出ておりますので、非常に特徴として述べてよいのではないかと考えます。
○渡邉座長 ありがとうございます。具体的にはどこに何が入るのですかね。8ページ目ですよね、今おっしゃっているのは。
○藤本構成員 ええ。8ページ目のところにDIDでの使用量が出ているのですけれども、総使用量としてのトンでの集計が入っていないのです。動物のほうは入っているのです。この報告書の最後の、先ほど説明のあった六十何ページでしたか、そこには表としてヒトも動物も全てトンで出してあるので、かなり大きな成果だと思いますので、要旨にも含めたらいかがかということであります。
○渡邉座長 わかりました。そうすると、8ページ目の1段目のあたりのどこかに今のものを加えていただくということですね。
○藤本構成員 そうです。
○渡邉座長 これは、案は藤本先生のほうから、それとも事務局にやっていただけばいいですか。
○村木構成員 私がここの結果の部分はやります。
○渡邉座長 わかりました。では、今の使用量トンのサマリーをここに記述をお願いいたします。ほかにございますか。
 どうぞ、浅井先生。
○浅井構成員 動物の使用量のところに関する記載で、8ページの下のほうの「考察」のところがいいのかなあと思いますけれども、約80トンぐらいふえているのに関する記述だと思いますが、「増加しているのは主にマクロライド系であり」と書くと、何か全体的にふえてしまっているのかなという印象を受けるのですけれども、よくデータを見ると水産関係だけのようなので、水産ではマクロライドがふえて、多分、家畜のほうではペニシリン系がふえているようなので、そのような具体的な記載をしたほうが全体的な誤解を招かないのではないかなと思います。
○渡邉座長 どこにそれを加えたほうがいいか。
○浅井構成員 「考察」の2パラのほうで、「販売量の増加が認められている。しかし、増加しているのは、水産では主にマクロライド系で」というような、それか、「主に水産用のマクロライド系」と書くか、そのような形がいいのではないかと思います。
○渡邉座長 事務局、よろしいですか。これも、では、浅井先生に書き足したやつものを送っていただけますか。
○結核感染症課専門官 はい。また農林水産省と協議して変更しますので、よろしくお願いします。
○渡邉座長 よろしくお願いします。ほか、いかがでしょうか。
 では、ここは要旨ですので、多分皆さんが一番関心のあるポイントというか、ここしか読まない人もいるかもしれませんので、後で戻って、ここをもう一回見ていただければと思います。
 続いて「アクションプランの成果指標」、ここはいかがでしょうか。
 どうぞ。
○遠藤構成員 動物に関するアクションプランの成果指標のところに2014年の値しか入っておりませんが、2015年の値を入れたいと思いますので。2015年の値というのは、具体的には、大腸菌のテトラサイクリン耐性率が39.9%で、第3世代セファロスポリン耐性率が0.9%で、フルオロキノロン耐性率が3.8%と追記したいと思います。
○渡邉座長 下がっているわけですね。それはいい結果だと思いますので、ぜひ入れていただければと思います。これについて、そうすると、さっきの要旨のところも何か加わるのですか。
○遠藤構成員 要旨のところは特に考えておりませんでしたけれども、追記しましょうか。はい、わかりました。
○渡邉座長 追記しておいたほうがいいかもしれないですね。ほかにございますか。今のアクションプランの成果指標ですね。
 どうぞ。
○田辺参考人 三重大学の田辺です。
 ヒトに関するアクションプランの成果指標のところですけれども、2017から2018にかけて、販売量のほうが、元は同じですけれども、少し換算の方法が変わったので数値が変わっているというところがございまして、今のNDBのところは前回と一緒のものになっております。私たち、ナショナルデータベースを扱うとき、2011から13のデータを前回使わせていただいて、今回、13から16のデータを今分析して、公表に向けた申請中ですので、そういったものが出れば、公開されますので、またアップデートしていただければと思います。
○渡邉座長 それはいつぐらいに公開されるのですか。
○田辺参考人 今、厚生労働省のほうに、ナショナルデータベースは、公表するときに全て許可をいただかないといけないので、今それを出しておりまして、許可を得次第、国立国際のAMRCのウェブサイトに公開される予定で、許可が出れば今月末ぐらいを予定していると聞いております。
○渡邉座長 この報告書には含ませることができますか。それとも別なほうがよろしいですか。
○結核感染症課専門官 今回、一旦御議論いただいた後に座長に持って帰っていただいて、座長のほうで最終的にゴーサインのほうで私たちのほうで把握をという形になります。というので、11月ぐらいを予定しているので、もし間に合うようでしたらぜひそのデータも一緒に入れていただくと、今回、アクションプランのその後のことが示せると思うので、非常に重要なデータだと思っています。
○渡邉座長 では、公表された段階で事務局のほうに連絡をお願いしたいと思います。ほかにございますか。
 どうぞ。
○境構成員 遠藤構成員にはお忙しい中、御苦労されていると思いますけれども、先ほどの遠藤構成員の御発言では、2017年の数字はこの報告書の中には入らないということでしょうか。動物用のほかはヒトのほうは17年が入っていて、この5のアクションプランの成果指標のところにも目標値と17年の比較が書いてありますけれども、動物用のほうは17年は入らないということで理解していいでしょうか。
○遠藤構成員 申しわけありません。現在データの精査等に時間がかかっておりまして、今回は入らないです。
○渡邉座長 本来入ったほうがいいかもしれないですね。15年と17年というのは大分差があるから。徐々に努力をして、ヒトと動物合わせるような形での報告を心がけていただけるようにお願いしたいと思います。ほかにございますか。
 よろしいでしょうか。
 では、時間的な問題もありますので、ちょっと先に進ませていただいて、訂正事項があればまた戻りたいと思います。
 続きまして6番以降について、まず6番の(1)ヒトですね。「日本における耐性菌の現状」、これはJANISのデータですけれども、これに関していかかでしょうか。JANIS側は特に何かありますか。
○柴山構成員 前回の会議で御質問いただいた事項、MRSAについての集計で、参加医療機関数等の御質問をいただきましたので、その辺を追記しております。
 以上です。
○渡邉座長 ありがとうございます。JANISのグラム陰性菌、大腸菌のところの記載と、Klebsiella pneumoniae、それとEnterobacrter、Pseudomonas、Acintobacter、この辺までいかがでしょうか。グラム陰性菌ですけれども。
 傾向としては、グラム陰性菌、少しずつ耐性率は減ってきているのですかね。
○柴山構成員 おおむね減少傾向にあると言っていいと思います。ただ、大腸菌だけは増加傾向が続いているという状況にあります。
○渡邉座長 そうですね。確かに大腸菌は。よろしいでしょうか。
 続いて、グラム陽性菌、➁です。Staphylococcus aureus(MSSA)、それとMRSA。表9-1と表9-2、表9-3、Enterococcus、表10、表11、肺炎球菌。髄液からのやつがかなり、耐性率の推移を見た場合に、ペニシリン系、下がってきていると。これが一つの大きな特徴といえば特徴ですかね。よろしいでしょうか。
 続いて、➂でNESIDの報告で、特に何か追加事項、よろしいでしょうか。
 全数把握疾患、基幹定点疾患、よろしいでしょうか。
 資料の2をちょっとごらんいただいて、このJANISのデータに関して、大きな病院と小さな病院、そことの比較をしていただいたデータを北海道大学の都築先生のほうから紹介していただければと思いますので、お願いいたします。
○都築参考人 御紹介ありがとうございます。都築と申します。
○渡邉座長 タブレットで資料2のほうに戻っていただけますか。
○都築参考人 お手元の資料2のPDFのほうをあけていただきたいのですけれども、「日本の医療機関における薬剤耐性菌(AMR)サーベイランスの現状と傾向」ということでちょっと分析を行わせていただきました。
 分析の都合上、MRSAに絞ってまずは解析させていただいているのですけれども、2ページ目ですね。MRSAの背景的な知識、皆さんもうお詳しいと思うので、ここはさらっと流したいのですけれども、MRSAがAMR対策の評価する指標として使われることもございますので、こちらのほうを分析の対象としました。
 我々が持った研究の一環としてもさせていただいているので、リサーチクエスチョンとしては、2012年診療報酬改定におきまして「感染防止対策加算」というものが新設されたということは皆さんもよく御存じかと思います。これで感染防止対策加算というものが何らかの動機づけとして、医療機関に感染防止対策をより厳重にするということを促しているような所見が見られるのかということをちょっと分析したいなと感じました。
 評価の指標として、MRSAのような耐性菌の出現頻度ですとか絶対数、そういったものにどんな影響が見られたかを見させていただいた次第です。
 次の「データ」というほうにいきまして、JANISの2007から16年までの10年間のデータを使わせてもらっています。これで12年からを後半と考えますと、2007年から2011年が前半5年、改訂後が2012年から16年の後半5年となりますので、そこで前半、後半と分けまして、JANISのデータには毎年毎年データを出してくれている医療機関ばかりではありませんので、7年から11年と、12年から16年、前半、後半それぞれで2回以上データを出してくれている医療施設だけを対象としました。そうすることで傾向が見えてくるかなという期待ですね。
 それですと、基準を満たしたのは391の施設ということになりまして、単に定義の問題として、オキサシリン耐性株をMRSAとしています。
 2種類のモデルで分析させていただいたのですが、まずモデル1の、こちらは全黄色ブドウ球菌中に占めるMRSAの件数割合をモデル分析するとどうなるかという話ですけれども、ロジスティック曲線を考えたときに、式のほう、そんなに深く今日は考えていただく必要はないと思いますが、いただいたデータをロジスティック曲線で近似してあらわす。それで、モデルによくフィットしてくれるようなパラメータの値を各施設ごとに探してみるということです。
 ここでモデル1-(a)では介入の効果を考え、つまり、ずっと一定の割合で減っていくなり増えていくなりするような線を想定しているわけです。モデル1-(b)では介入の効果を考えて、だから、介入の前と後、2012年からは、耐性菌の観察される割合が変わったと考えたモデルを想定しています。
 2番目のモデルは絶対数をそのまま分析させてもらったのですけれども、これも同じことでして、モデル(a)のほうでは介入の効果は考えないことにしまして、ずっと一定の割合で、MRSAの検出数が増えるか減るかするというような想定をしています。
 逆に2-(b)のほうでは、2012年からは係数がちょっと変わる。係数がちょっと変わるというのは、増えたり減ったりする係数がちょっと変化していくことを想定したモデルを考えたということになります。
 それをポアソン分布に従って最尤推定でパラメータ推定を行うというところですけれども、こちらも数式のほうを今回そんなに難しく考えていただく必要はないと思いますが、前の2つのスライドで御紹介したモデルに沿うようなパラメータ、係数と定数を推定した結果、どのようになったかということを見たものです。
 結果の棒グラフが並んでいるところになりますけれども、パラメータ値の分布というのがあります。これは各施設ごとにどのようなパラメータが最も一番よくデータにフィットするかというところを見たものになりますが、モデル1-(a)は割合を見て、介入前も介入後も同じ割合でMRSAの割合が増えるなり減るなりしていくという想定をしてございます。左側が係数ですので、こちらがマイナスになっているということは減少傾向にあるということですね。なので、全体として見ると増加傾向を示す施設もあるのだけれども、パラメータの値が0を超えている施設もありますので、全体としては緩やかに減少している傾向が見られて、それは先ほど資料1のほうで見させていただいた結果と割と合致しているのかなと思います。
 次のスライドへ行きまして、モデル1-(b)です。こちら、2012年から係数が変わったという想定をしているのですけれども、済みません、3枚一遍にスライドに入ってしまって見にくいのですが、右側2枚が係数、真ん中が前半の係数、右端が後半の係数ですね。どちらも、プラスになってしまう施設もあるのですけれども、やはりマイナスになる施設のほうが多いですので、全体としては減少傾向にあって、このヒストグラム、読みにくいですけれども、減少傾向は介入後に変化しているほうがやや低くなっているのですね。
 次は絶対数を検討したほうです。2-(a)、絶対数を検討して、かつ、2012年の介入の効果は考えなかった、ずっと一定の割合で10年間減るなりふえるなりしたと考えた場合、こちらの係数hというのがその傾きになりますので、やはりプラスにふえてしまった施設というのもあるものの、全体としては、やや減少する傾向にあった施設が余程多かったということになります。
 次のスライドにいきまして、2-(b)ですけれども、こちらも係数が2つあるのでちょっと見にくいのですが、左端が前半の係数になっていて、右端のパネルが後半の係数になっています。これも絶対数ですので、前半の係数、これはプラスに出てしまうほうも結構ありますが、やはり係数がマイナスになった施設のほうが多いのですね。介入後、2012年以降の係数を見ますと、やはりマイナスになっている施設のほうが明らかに多いということで、全体としては、どちらのモデルもゆっくりと減少するような傾向を示したということは言えると思います。
 次のパネルですが、「モデルごとのAIC比較」。AICというのは、Akaike Information Criterionですね。各統計モデルがどのぐらいフィットがよいかというものを示す一つの目安といいますか、AICが低いほどモデルとしてよいというふうに一般的には判断されます。こちらの両方の図ですけれども、介入を全く考えない。つまり、10年間一定の割合でふえるなり減るなりすると考えたモデルのAICから、2012年を境に増加や減少の割合が変化したと考えたモデルのほうがどちらも、モデル1と2両方で、若干ですけれども、AICが低い傾向が見られました。
 ということで、全体としては減少傾向にあるのですけれども、どちらかというと、2012年でちょっと変化の傾向に変化が見られたと考えたほうがフィットが多少よくなるということになります。
 ここで若干問題になってくるのが、我々、今回の分析では、200床以上の医療施設に限定して分析に加えましたので、それ以下の小さな病院は除外されているということになります。
 といいますのも、次のスライドにいっていただいて、200床以下の医療機関というのは原則2014年以降の参加と伺っております。なので、今回の分析対象基準には入れておりませんので、JANISのデータ全体として、こういった小さい病院と大きな病院で傾向に差があるのではないかということはちょっと気になるところかなと思いますので、その200床未満の医療機関とそれ以外の医療機関というのを別途分析を行いました。この場合は経時的な変化を追うことができないので、あくまで同年のデータを病床数で比較したものということになります。
 次のスライドにいっていただいて、これは病床数による同年データの比較ですけれども、まず2015年ですね。1枚目のほうはMRSAの報告割合ですが、こちら、ちょっとグラフを見ただけではわかりにくいのですが、若干、200床の病院のほうがMRSAの割合が高目と出ているのですね。それはまた後ほど表でお見せしますが。
 2枚目にいきますと、これはMRSAの病床当たり報告数になります。これもまたちょっと見てわかりにくいですが、病床数当たりになると今度は大きな病院のほうが多くなってしまうのですね。
 2016年のほうも別途比較させていただいて、それが次の2枚のスライドになります。MRSAの報告割合ですが、やはり200床未満の病院のほうが報告割合は高く出るのですね。病床数による比較になりますと、ちょっとこれもわからない。これはそもそも2016年、200床未満の病院にデータを報告してくれていた施設数自体がちょっと少なかったので、ヒストグラム、太くて不格好な感じですが、とにかくこれで何か意味のあることが言えそうかというと、若干難しいかなという気がしました。
 次のページの表で、それぞれの年についてウィルコクソンの順位和検定の結果をお示ししています。先ほど申し上げたように、MRSAの報告割合について言いますと、2015年も2016年も、200床未満の医療施設のほうが若干MRSAの報告割合自体は高いのですね。これが何によるものかというのは今の段階で何とも言えないところですけれども、病床当たり報告数となりますと、2015年については200床以上の病院のほうが明らかに有意に大きくなってしまうのですけれども、一方で2016年のほうが明らかな差は見られないということになって、これも解釈は若干難しいかなというところです。
 結果としましては、200床以上の施設を対象とした分析では、全体としてMRSAの検出割合・検出数ともに緩やかな減少傾向が見られまして、それは資料1で見せていただいた、全体をざっくり分析していただいた数字と傾向としてはあまり変わらなかったのかなと思いました。
 2012年の介入の効果を考慮して、途中で傾きを変えたモデルのほうが若干よい適合を示したというところです。
 今回の分析では、申し上げたように、200床未満の施設は、登録年次というのを考慮して、対象には含めておりません。
 2015年と2016年のデータで200床未満の施設と200床以上の施設を比較しますと、MRSAの報告割合には明らかな差が見られました。200床未満のほうが高かったです。ただ、これが何によるものなのかというのはさらなる分析が必要かなというところですけれども、あとは、MRSAの病床当たり報告数ですね。これについては、明らかな差と言い切るのは難しいかなと感じています。
 まとめますと、200床未満の施設と200床以上の施設では、MRSAの報告だけしかまだ見ていませんが、多少差が見られるのかなというところでして、その傾向、200床未満の施設が今後どのような傾向を示していくかというのはやはり今後もデータを蓄積していく必要があるのかなと感じております。
 私からは以上です。
○渡邉座長 ありがとうございます。今の御報告に関して何か御質問等がありましたら。
 藤本先生。
○藤本構成員 ちょっと基本的なことを教えていただきたいのですけれども、AICの比較で、これはどれとどれを比べるのですか。丸がいっぱい出ている四角。
○都築参考人 済みません。各施設ごとに、391の施設を含めたと申し上げましたが、それぞれの施設について同じモデルを適合しまして、391セットのパラメータの値を出すわけですね。そのとき一緒に各施設ごとにAICの値が出るわけですが、それで介入ありと想定したモデルのAICの値と、介入なしと想定した施設のAICの値を引き算すると。低いほうが、モデルの適合、一般的にいいというふうな解釈になりますので、介入なしから介入ありのAICを引いて、正の数になるということは、AICが介入なしで考えたほうがAICがやや大きいということになりますので、介入ありモデルのほうが若干いいという結果に多くの施設がなっていると。
○藤本構成員 では、これは負のところが出ていないというのがみそ、そういうことでよろしいですか。
○都築参考人 はい。
○藤本構成員 わかりました。ありがとうございます。
 あと、これは12年から何が起きたかというところで、1つはこういうアクションプランのことが起きているというのがありますし、もう一つ、例えばほかの交絡してくるような因子というのを考えなければいけなくて、例えば総医療費というのが上昇が鈍るのはその後のような気がしますけれども、GDPに占める割合で見ると、12年ぐらいを境に上昇が下がってくるのですね。それはふんだんに医療費が使えなくなっている状況というのを反映してくるので、こういうのはすごく難しい。でも、これはすごく大変な研究だと思っているのですけれども、解釈についてはその辺のほかの因子というのをどのように考えていくかというのをディスカッションしていかなければいけないだろうなと考えました。
○松永参考人 AMR臨床リファレンスセンターの松永です。
 どうもありがとうございます。まずは都築先生に、初期から継続的に参加されている施設のMRSAの傾向がどうであったか、200床以上、200床以下の病院で差異があるということを報告していただきました。
 もう一つ、当センターで研究を進めております、施設数の増加、薬剤耐性率にもしくは高齢化率の上昇がが、影響があるのではないか、というところを研究している状況です。それはもう少々お待ちください。
 また、何を国の代表として耐性化率を見ていくかとしましては、来年度に向けて、ワンヘルスプラットフォームを構築しています。JANIS事務局の方々に協力いただきまして、年齢別、65歳以上、成人、小児でどれぐらいの耐性率があるのか、検体別ですと、例えば血液検体であれば保菌かどうかというのは明らかになります。その他、尿検査含めて、それぞれのデータが見られるようなプラットフォームを今考えております。そちらを少々お待ちいただければと思っています。
○渡邉座長 ほかに。
○柴山構成員 私、JANISのほうの事務局を担当しています。非常に貴重な、本当にありがとうございました。JANISのほうでは、ふだん、毎年参加医療機関数がどんどん変わっていますので、こういった解析というのは非常に重要で、私たちも参考になりました。
 ちょっとコメントですけれども、JANISのふだんの集計で見てみますと、黄色ブドウ球菌に占めるMRSAの割合というのが、もともと200床未満の小さい医療機関のほうが高目に出てしまうという傾向があります。大きい病院のほうが低目に出るという。これは本当にそうなのか、見かけ上なのかというのはちょっと難しいところですけれども、1つ考えているのが、大きい医療機関のほうがより頻繁に黄色ブドウ球菌の検査の件数が多いと。ですので、小さい医療機関のほうが割と絞って検査のオーダーを出しているということがあるので、どうしてもMRSAが出やすくなっていると、そういうバイアスがあるのではないかと考えております。
 ですので、先生の今の御説明でも、MRSAの報告割合としては、200床未満のほうが、小さい病院のほうが多い。報告の割合としては多いけれども、病床数にすると逆で、200床以上のほうが数字上は大きいということで、恐らくそのようなことも反映しているのではないかなと感じました。これはあくまで、本当に現場、200床未満の病院はそのように少ないのかといったことはいろんな話を聞いた大体の感覚ですので、その辺がどこまで影響しているかというのはもうちょっと調査が必要だと思います。
○渡邉座長 どうぞ。
○都築参考人 コメントありがとうございます。これは私も、個人の仮説の段階を出ないのですけれども、小さい医療施設ですと細菌検査を外注にしたりということも頻繁にあると思いますので、そういった検査の絶対数自体が少ないというのは十分あり得ることかなと考えています。ありがとうございます。
○藤本構成員 検査しなければ出ないという話になってしまうのですけれども、JANISの場合は、要するに細菌が分離された、されないかにかかわらず検体数がわかりますので、病床当たりの検体数を1つリファレンスにして解析を進められるといいのではないかと考えます。
○都築参考人 コメントありがとうございます。非常に参考になりますので、次回以降の分析では検討したいと思います。
○渡邉座長 ほかにございますか。
 よろしいでしょうか。
 こういう解析、非常に重要だと思います。ただ、病床の母数がどんどん変化というか、参加していくと病院の数が増加していくのと、それら病院の検査の質との関連ですかね。今後重要なのは、どういう対応策をとることによってどのようにそれが効果的に働いているのかという解析が非常に重要なポイントだと思うのですけれども、そういうときにはどういうやり方が一番いいのですかね。
 私、こういう統計の専門家ではないのでよくわからないけれども、普通に考えるとある程度の一定の数をベースにしておいて、そこでいろいろ変動、変数を掛けることによって見ていくというのが一つのやり方なのかなと思うのですけれども、いかがですか。こういう解析の専門家の立場からして。
○都築参考人 御質問ありがとうございます。そこら辺は難しいところも多々ございますが、まずベースラインの値をどこに持っていくかというのは、先ほど松永先生からも指摘あったのですけれども、いろんな、200床から1,000床以上の病院まで全てを含めていますので、どこに代表値を持ってくるのかというのはちょっと難しい問題もありますので、インクルージョンクライテリアをある程度きっちりと定めて、それをちゃんと同じ年数を終えるというふうなサブセットみたいなのをつくるのが現実的かなと思うのですが、そこに先ほど御指摘いただいたようなどんな社会経済学的因子を入れて多変量解析に持っていくかというのはまた議論の必要が、私の一存でどの因子は入れましょうというわけにもいきませんし、あとは、どのようなモデルを使うか、混合効果を想定したモデルにするのかといったいろんな問題が残っておりますので、そういったことが今後の検討課題になるのかなと個人的には頭の中に描いております。
○渡邉座長 ありがとうございます。これは将来の目標値というのがここに決めてあると、それに向かってやはりアクションを、対策をどういう形でやっていくかというのが、2020年だけでなくて、これからずっとこういう目標値に向かってどうするかというのは続いていくはずですので、そのときには、どういう形でそれを評価していくかというその評価と、それを達成する評価を評価するためのモデルというのですかね、そういうものの位置づけが非常に重要になってくるのではないかと思いますので、その辺の検討をぜひ先生方にやっていただけるとこの委員会としても非常に助かるのではないかと思います。よろしくお願いいたします。
 ほかに何かコメント等ありましたら。
 では、もう一度資料のほうに、改訂版のほうに戻っていただいて先ほどの続きをやっていきますので。19ページ、「その他の耐性菌」のカンピロバクター以降を議論していきたいと思います。カンピロバクター等については、東京都健康安全研究センターのほうが中心にやられていますけれども、コメント等、何かつけ加えることがありましたら。
○小西参考人 前回の表と少し変更があります。表16と表17ですけれども、前回までは、エリストロマイシンとキノロン系薬剤ということで2つの耐性率を出していたのですが、御指摘あったこともあり、エリストロマイシンとキノロン系薬剤のところをナルジクス酸等フルオロキノロン系薬剤の耐性率ということで、2つ分けて統計をとることにしました。
 通常、ナルジクス酸、オールドキノロンに耐性ですと、フルオロキノロンも耐性になるパターンが多いのですが、2016年はカンピロバクターのJejuniでナリジクス酸耐性が53.1%、一方でフルオロキノロン系が52.2%と、1株の違いですけれども、差が認められております。
 それから、表17のほうのカンピロバクターcoliのほうですが、これも同じような傾向を示していますが、2016年ではナリジクス酸とフルオロキノロンで差が認められまして、ナリジクス酸のほうが耐性率50%、一方でフルオロキノロン系のほうが35.7%ということになっております。
 今回変更した点は以上です。
○渡邉座長 ありがとうございます。御質問等お願いいたします。
 カンピロバクター、特にcoliのほうですか、NAとフルオロキノロン、耐性値が違っているというか、徐々に下がってきていますよね。これは動物との関係というのはあるのでしたか。ヒト以外というか、家畜等からとれるカンピロバクターの率も下がっているのが反映されているのですか。それとも、ヒトにキノロン系を使わなくなっているとか、そういうデータとパラレルになっているのでしょうか。何か考察ありますか。
○小西参考人 その辺のデータについては特に持ち合わせていない状況です。
○渡邉座長 動物のやつが44ページ目にありますね。カンピロバクター。表42か。これは余り変わらないというデータになっているみたいだけれども、ヒトの場合は下がってきている傾向にあるのですかね。特にcoliの場合、2011年は87だったのが2016年は35と大分下がっている。
○小西参考人 ただ、供試菌株がちょっと少ないというのがありまして、2016年ですと14株、2011年ですと8株ということなので、1株でも耐性になってしまうと大きく耐性率がぶれてしまうということがありますので、それだけではなかなか比較が難しいのかなと思っております。
○渡邉座長 ありがとうございます。確かに株数が少ないとバイアスが大き過ぎますね。よろしいでしょうか。
 それから、19ページ目の共試菌株数の「共」、漢字がちょっと違っているみたいなので、事務局で直していただけますか。
 続いて、サルモネラのほうはいかがでしょうか。
○四宮構成員 サルモネラは19ページからになります。前回の議論で血清型別に書いたほうが幾つかの点でクリアーになるのではないかということで、前回は表18から22までの5つの表でしたけれども、表18から28までの11の表で表が6つふえる結果になっております。
 それから、各論的には、表20で、2017年分離株でセフェム系薬(CTX、CAZ、CFX)の耐性率パーセンテージが、例えばCTXだと、2015年が5.1%が2017年が8.2%で、この3つの抗菌剤とも、2017年では上昇しているように一見見えるのですけれども、この食品由来株の由来の内容が、2017年は外国産鶏肉も積極的に取り上げるという研究班の方針もありましたので、両括弧の中に国産鶏肉のみの耐性率を追加いたしました。
 そうしますと、2017年では、CTX、CAZ、CFXの耐性率が2.6、2.6、2.6%でで、国産鶏肉に限定しますと、2015、2016年と比べて大体同じか、むしろ低下傾向を示しており、逆にいうと、外国産鶏肉の第3セフェム系薬に対する耐性率が非常に高いということを示していると思います。ですので、その括弧の中の数字を加えることといたしました。
 それから、血清型別の表にしたことに伴って、20ページの第2段落、第3段落は全面的に書きかえました。血清型としては、食品由来の上位の2血清型、InfantisとSchwarzengrund、それから、ヒト由来株の上位5血清型、Infantis、Enteritidis、Saintpaul、O4:i:-、Tompson、それぞれの2015、2016、2017年の経時的変化を含めて表23から27に示しております。
 要約しますと、食品由来株のInfantisとSchwarzengrundはお互いにかなり似た傾向があって、部分的に見ると、ある抗菌薬に対する耐性率が違うところもありますけれども、全体としてはよく似ている。それに対してヒト由来株の上位5血清型では、それぞれに特徴的な傾向が見られまして、ヒト由来ということで一くくりの共通性というのをなかなか言えなくて、そういう点では、血清型別の表記にしたほうがより正確かなと思っております。
 それから、最後の表28では、表18にヒト由来株のトップ10と、食品由来株、主にはこれは鶏肉ですけれども、そのトップ5を示しておりますけれども、その上位10位と上位5位の中に、Infantis、Schwarzengrund、Manhattanは共通して出現している血清型ですので、表28で、その3つの血清型についてのヒトと食品を並べて比較する表にしました。
 そうしますと、例えばSchwarzengrundとかManhattanはヒト由来株と食品由来株で非常に似た傾向を示すということがわかりまして、鶏肉が感染源になっている可能性を強く示唆すると思います。
 一方で、Infantisは、アンチバイオグラムのパターンとしては似ているのですけれども、例えばストレプトマイシンやテトラサイクリンという、食品(鶏肉)で高いものが、ヒトでは27.8%、33%と半分以下です。この解釈については幾つかあろうかと思いますけれども、Infantisの場合は鶏肉以外のものを介する感染がヒトのサルモネラ症でかなりの割合としてあるのではないかと、そういうことも示唆されると思います。
 以上です。
○渡邉座長 ありがとうございます。非常に詳しく、かつ、わかりやすいデータになってきているのではないかと思います。前からの指摘がありましたように、サルモネラの場合は血清型によって耐性パターンが大分違うということが、今回の結果からするとそれが如実に明らかにされているのではないかと思います。ありがとうございます。
 同じようなことは、動物のところもやれるのですかね。48にSalmonella spp.が一括でまとめられているのですけれども、47では血清型がSchwarzengrundとInfantis、Manhattanが多いというのが動物のところでも出ているので、多分、ヒトと同じような傾向ではないかと思うので、今後、ヒト等と同じような形での解析をやっていただくとその辺の位置づけがはっきりしてくるのではないかなと思うので、次回以降でも検討していただければと思います。
 ここに、あと、エンテリティディスを動物の場合も入れていただくと、これも今までよく、サルモネラ・エンテリティディスと鶏卵との関係が言われているので、その辺との関係がもっとはっきりと出てくるのではないかと思われますけれども、御質問等がありましたらお願いいたします。
○藤本構成員 これはすごくわかりやすくなったので、ありがとうございました。血清型は、イタリックでなくて、ローマンでいいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。動物のほうもそうですが。多分、事務局のほうで表のほうも気を使って、動物のほうの表もイタリックになっているので、血清型についてはローマンで。
○渡邉座長 ほかにございますか。
 よろしいでしょうか。
 ありがとうございます。では、続いて淋菌、Neisseria gonorrhoeaeのほう、25ページですね。ここはいかがでしょうか。前とほとんど変わっていないかな。
○結核感染症課専門官 こちらにつきましては、国立感染症研究所の大石先生及び、その次のチフスのほうについては泉谷先生のほうに直していただきました。
○渡邉座長 どうぞ。
○藤本委員 淋菌のところですけれども、アジスロマイシンの耐性のことが書いてあって、EUCASTの基準だとこのように上がってくるのだけれども、2とか1とかをとると決して上がっていないということがこの文章に書かれております。それで、このEUCASTのブレークポイントが資料を見ないと実は書いていないのですね。0.5だったと思いますけれども。その資料8を参照しているのはその部分ではないので、例えば表の脚注でよいので、EUCASTの基準(参考資料8)とするか、もう0.5なら0.5と書いていただくのがいいのではないかと考えます。
○渡邉座長 ありがとうございます。確かに、資料戻るのは面倒くさいから、ここに書いていただいたほうがいいですね。これはちょっと事務局のほうから大西先生のほうに言っていただけますか。
○結核感染症課専門官 承知いたしました。そのようにいたします。
○渡邉座長 ほかにございますか。
 よろしいですか。
 Salmonella TyphiとParatyphi、ここはいかがですか。キノロン系とニューキノロン系は依然として高い傾向にあるということですね。
 続いて、結核菌のほう、いかがでしょうか。御手洗先生、何かありますか。
○御手洗構成員 前回と基本的には変わっていないと思いますし、ドラフトの段階でちょっと数字が、2017年がちょっと間違っていましたが、そこは適正に修正されていると思いますので、今回のほうは特にコメントはありません。
○渡邉座長 ありがとうございます。よろしいでしょうか。
 続いて、➅の院内感染症の発生状況、JANISのデータですけれども、各部位からの感染症の状況について、これは特に変わったところはよろしいですか。
○柴山構成員 特にありません。
○渡邉座長 続いて➆で、Clostridium difficile、これは前よりも少し詳しく記述されたのですかね。
○松永参考人 AMR臨床リファレンスセンターの松永です。
 こちら、改訂させていただきました。まず名称のほうですけれども、Clostrideoidesと変わりましたけれども、一般に周知SE面接されるまではClostridiumのほうも括弧内に併記させていただきました。
 最初の4行目までは同じです。最近、日本の疫学的なレビューがありまして、CDIの罹患率と有病率が示されましたので、それぞれ記載しております。10,000患者入院日数当たりのCDI罹患率は0.8から4.7。次のところですけれども、1,000人当たりの有病率は0.8~4.7になっているのですけれども、済みません、0.3~5.5。記載ミスです。こちら、訂正をよろしくお願いします。
 このように幅がありますのは、もともと感度の低いイムノクロマト法から、次は菌を検出するGDH法、その後、PCR法に変わってきました事があります。
 今後、先ほど藤本先生から紹介ありましたJ-SIPHEのほうでCDIの動向調査を行っていく予定です。これはトキシンが陽性になったものを拾っていく予定です。
 以上です。
○渡邉座長 ありがとうございます。何か御質問等ありましたら。
 よろしいでしょうか。
 では続いて、(2)の動物ですね。家畜由来細菌、JVARMのほうのデータに基づいてですけれども、これは。
○遠藤構成員 それでは、JVARMのお話で、追加した一番大きなものは愛玩動物を追加したというところでございます。ちょっと誤記がございましたので、それの訂正を最初にお願いいたします。
 33ページの上から3行目、4行目ですね。2011年から2016年と書いてございますけれども、これは表のところが2012年ですので、2012年の本文中の間違いがございます。申しわけありません。
 それから、33ページの表33の脚注のところですけれども、2015年とあるのが2016年の間違いです。2016年から変わりましたということの間違いです。申しわけありません。
 49ページになりますけれども、養殖水産分野の5行目の病勢鑑定の「勢」の字が間違っております。
 これだけ、後ほど事務局のほうにもお伝えいたしますけれども、修正させていただきたいと思います。
 それで、先ほども境構成員のほうからありましたように、2016年までのデータ、病性鑑定材料のほうしか出ていないとか、若干今年は集計がおくれたこともありまして、と畜場のほうのデータも2015年までしかなくて、もう少しお時間があれば追加できたかと思いますけれども、また来年の報告書においてきちんと報告させていただきたいと思います。
 それと、50ページのところからは、新しく追加いたしました愛玩動物についてのお話です。愛玩動物につきましては、2016年度には農林水産省のほうで愛玩動物の薬剤耐性調査に関してワーキンググループというものを開催いたしまして、そのモニタリングの調査方法に関する有識者の意見をとりまとめまして、事前調査を行いました。
 それを反映させまして、2017年に、病気の犬、猫由来の薬剤耐性菌モニタリング調査を開始いたしましたので、その成績が大腸菌ですとか、クレブシエラですとか、スタフィロコッカスとかいう形で日本で初めての全国的な調査ということで追記をさせていただきました。
 データにつきましては、そこにございますような形でまとめさせていただいておりますので、ごらんいただければと思います。
 以上です。
○渡邉座長 御質問等ありましたら。
 どうぞ、浅井先生。
○浅井構成員 先ほど、要旨のところだったと思いますけれども、マクロライドの使用量がふえているという成績が出ていまして、それで、今回調べているラクトコッカスとかフォトバクテリウムとかでは十分そのふえたことによる影響が見られないような、菌種が原因なのか魚種が原因なのかちょっとよくわからないのですけれども、やはりそういうのが反映できるような対象菌種の選定だとかそういうことを検討したほうがいいのではないかなと思います。
○渡邉座長 よろしいですね、遠藤先生。
○遠藤構成員 はい。
○渡邉座長 ほかにございますか。
○藤本構成員 細かいことですが、38ページのEnterococcus.faeciumのところに「.」が入っているので、これ、とっておいていただくのと、あともう一カ所、46ページの表45のタイトル、faeciumのスペルが違っているので。お願いいたします。
○渡邉座長 ありがとうございます。どうぞ。
○村木構成員 ちょっと教えていただきたいのですけれども、こういった場合、分母、分子の数というのは、そういうデータは必要ないのでしょうか。大体どれも割合が出ているのですけれども、どういった犬の数でとか、どういった猫なのかとか、そういうことがないのですけれども、この数字のパーセントの意味合いをどのように評価していったらいいのかというのがちょっとわかりづらいかなあと思ったので、書けるような情報であれば追記いただいたほうがよろしいのかなと思いましたので、コメントさせていただきました。
○遠藤構成員 例えば表50のところですと、一番下に犬の株数と猫の株数が書いてありますので、それで多分、割合と合わせてみればわかると思います。みんなそういう形で書かせていただいております。
○渡邉座長 そうですね。ヒトの場合には、大腸菌の場合、括弧して書いてあるのはトータルの菌株数ですね。10ページ目のところに書いてあるので、2011年の場合、ABPCに対して47.6というのは、株数11万6,000株のうち47.6が耐性だったという意味ですよね。できれば、動物も同じように、n数がわかるようにしていただくと、今のお話に対して。食品の場合、さっき議論あったときに、n数が少ないから値の信頼度が少し下がるのではないかというお話が出たのと同じように、動物の場合も、nがどのぐらいかによってこの値が、信頼度がどのぐらいかというのが議論になると思うので、そこをちゃんとはっきりさせておいていただければと思います。
○遠藤構成員 先ほど御説明しましたが、nというか、株数が、ヒトの場合は多分、ものによって違うのでしょうけれども、動物の場合はみんな同じ数になっておりますので、株数一括記載ということで。ですから、もし括弧を入れるとしても、全部同じ、アンピシリンもセファロスポリンもみんな同じ形になってしまうので、まとめて記載しております。
○渡邉座長 そうしたら、2012年で、括弧して、n数幾つというふうにどこかに。動物種のところに括弧してn幾つとか、nがわかるようにしていただくということだと思うのです。今の話は。
○遠藤構成員 例えば47ページの表45の一番下に牛が44などと書いてありますので、これは全部上のほうに転記して括弧でもよろしいですけれども、ただ、みんな同じ数なので、ちょっと省略できるかなと思いますが。
○渡邉座長 これは表のつくり方を統一するかどうかという問題になるので、動物、食品、ヒトで、皆それぞれの表のつくり方をしているので、多分、第三者が見た場合にわかりにくいということになると思うのですね。どうしますか。こういう形で表をつくってくださいということをお願いしたほうがいいのですかね。統一させるという意味では。それとも、事務局、どうですか。各フィールドにお任せというふうに。
○結核感染症課専門官 少し検討させてください。データの読み方の間違いがないように、あと、できるだけ全体のワンヘルスとして統一できるような形で考えたいと思っていますので。また皆様からも、後でもいいので御意見をいただけると助かります。よろしくお願いします。
○渡邉座長 ありがとうございます。初めはいろいろ持ち寄りでいいと思うのですけれども、最終的にOne Healthとしてまとめて出すということになると、その辺がばらばらだと統一がとれていないのではないかという話になりかねないので、徐々にその辺は少し改良していかなくてはいけないかなと思います。ありがとうございます。
 ほかによろしいですか。
○藤本構成員 53ページの愛玩動物のところですけれども、コアグラーゼ陽性 Staphylococcus spp.というのがあるのですが、ヒトだと、aureusに限られてしまっているので、実は動物の場合、このS.intermediusというのともう一つ何かあるみたいですね。そのことをちょっと脚注のところに書いておいていただくとヒトの医療の関係の人たちにわかりやすいのではないかと思うのでよろしくお願いいたします。
○渡邉座長 確かにそうですね。よろしくお願いします。ほか、ございますか。
 よろしいですか。
 では、続いて55ページ、食品、環境、ここはいかがですか。食品のところ、四宮先生との兼ね合いがあると思いますが、これは私がまとめてしまっているのですけれども、このデータは、主にサルモネラ以外は都衛研がやったデータを報告書に基づいてまとめてあるのですけれども、先ほど四宮先生のほうのデータで、大腸菌でなくて、国内産と外国産のパーセンテージのやつが出ていましたよね。あれは。
○四宮構成員 あれは食品由来のサルモネラです。
○渡邉座長 サルモネラですね。そうすると、55ページで書いたのは主に大腸菌で、国産と輸入ということでまとめてみましたけれども、小西先生、間違いないですかね。ちょっと後でチェックしてもらえますか。一応小西先生からいただいた報告書のやつをまとめたのですけれども。
○小西参考人 ちょっと細かい数字は今わからないので、帰ってから。
○渡邉座長 チェックをお願いいたします。
 あと食品は、先ほど四宮先生から話がありましたように、今、食品に関してのサーベイを統一的にどのようにするかということが議論されていて、今年度からは地方衛生研究所が母体となって食品の、サルモネラも含め大腸菌、カンピロバクター、その辺のところをやっていくということで一本化するという方向になりつつあります。少し時間がかかるかもしれないのですけれども、そういう方向性で経時的な対応ができるような形を考えておりますので、よろしいですか。その辺、四宮先生、何かコメントがありましたら。
○四宮構成員 それは事業としてやっていくということでしょうか。
○渡邉座長 事業というか、研究班としてですね。将来的にそれがどういう形になるのかは食品安全部との話し合いになるのだと思いますけれども、食品安全部は、今のところ、研究班という形でやってくださいという意向ですね。
○四宮構成員 渡邉先生代表の現在の班で実施しています。
○渡邉座長 少なくとも、30年、31年、32年は。その以降どうするかというのは俎上にこれからなっていくと思います。そこは、研究班でずっと続けていくのか、それとも違う形、どこかが母体となっていくのかはまだはっきりしていないので、食品のほうから、厚労省の方、来ていますか。
 来ていない。そうすると、余り私が勝手に言うと、予算との関係とかいろいろ多分あるので、公的な形で言えないので。食品安全部のほうとの兼ね合いがあるので、調整したいと思います。ほかによろしいでしょうか。
 それとあと、環境もこれからの問題だと思うのですけれども、黒田先生、何かコメントありますか。
○黒田構成員 感染研の黒田です。前回出席できなくて欠席になりまして申しわけありませんでした。
 本年度の分は、昨年度よりも環境のリスクをどのポイントで捉えていけばいいか、水なのか、土壌なのかとかいろいろあるかと思いますが、そのポイントについて少し突っ込んだ形で書いているつもりです。また、国内における耐性菌の分離状況も一つのエビデンスとして引用させていただきました。
 現在のところ、厚労研究班で金森先生代表で3年間の環境調査をすると。その調査は主に下水、放流水対象としておりますが、その放流水を活用する理由としては、そこからレクリエーション等で一般人が触れる場所、または灌漑水として野菜等にも使われる、農業にも使われる可能性があるという観点から選んだということです。また、金森代表のとりまとめによって海外の文献も含めたシステマティックレビューを3年間で用意できればなと考えているところであります。したがって、データは今年度はありません。来年、何かしら出せるかと思います。
 以上です。
○渡邉座長 環境も、今の話ですと、一応研究班という形でデータがつくられていくだろうということですけれども、これも今後の課題になると思いますけれども、環境というと環境省かなと思いますけれども、そこの関与がどのようになるのでしょうか。もしおわかりでしたら。
○環境省水・大気環境局総務課課長補佐 現時点では環境モニタリングというところではなく、厚労省さんのほうで中心になって研究を進めている段階だと私は理解しているところでございます。
○渡邉座長 そうすると、しばらくは研究班でということですね。わかりました。ほかに何か御質問等ありましたら。
 よろしいでしょうか。
 では続いて、7番で「日本における抗菌薬使用量の現状」ということで、この説明は。
○村木構成員 前回のお話から、いま一度全体的な値等を見直しまして、不備のある部分については修正いたしましたが、その他大きな変更等はございません。
 以上です。
○渡邉座長 ありがとうございます。よろしいでしょうか。コメントがありましたら。
 続いて、動物用医薬品で、JVARMのほうからはいかがでしょうか。
○遠藤構成員 JVARMのほうも、追加は特にないと思います。
 ただ、1点だけ、またちょっと誤記の訂正ですけれども、59ページになります。そこの3行目のところだけ、(2)の動物用医薬品の、販売高は749.47トンから832.56トンと、ここの749.47のトンのtだけ削っていただければ。ほかもそういう形で、何とかから何とかの場合は最初のところはtがついていません。それだけ修正です。済みません。
○渡邉座長 ありがとうございます。御質問等ありましたら。
 あと、66ページに「環境」での医薬品、これは使用量でなくて、環境中での抗菌薬の濃度の測定の問題ですね。これは誰が対応するのですかね。田中先生ですか。
○田中構成員 66ページは、昨年、事務局のほうでまとめていただいたものから余り変わっていないと思います。変わっているのは一番下の部分ぐらいかな。環境省で実際に化学物質の黒本調査で動物医薬品の測定が始まったぐらいが。去年も変わったかもわからないですけれども、これが実際に始まっているということぐらいですね。
○渡邉座長 ありがとうございます。御質問ありましたら。
 どうぞ。
○松永参考人 1つ伺っていいですか。
 1つ前の表64になりますけれども、農薬のほうでフルオロキノロンがかなり使用量があると記載がありありますが、教えていただければと思います。
○遠藤構成員 私も修正をしていただきたいと思います。農薬はフルオロキノロンではなくて、オキソリン酸なので、オールドキノロンです。表63と64につきましては、フルオロキノロンと書いてあるところにその他のキノロンがまじっておりますので、そこは修正していただきたいと私たちのほうから申し上げるべきところでした。
 ですので、この表、63と64につきましては、フルオロキノロンからオールドキノロンを除いていただきまして、Othersのところに入れていただくなり、オールドキノロンとフルオロキノロンを分けていただくとか、そういう形で書いていただきたいと思っております。
 私たち、農林水産省のほうでは、ヒト医療で重要なセファロスポリンとフルオロキノロンにつきましては、水産養殖、農薬及び飼料添加物には使っておりませんので、そこはゼロが並ぶはずのところでございまして、これにつきまして後ほど事務局のほうに意見を申し上げたいと思っていました。この表につきましては、ほかにもちょっと違っているところがございまして、例えば表64でございますけれども、畜産動物というところを見ていただきますと、2013年の畜産動物と2014年の畜産動物のところですが、これが全く同じ数字が並んでおりまして、これは多分誤記で、2014年は別の値で入るところなので、済みませんけれども、これは私たちのほうで修正をさせていただきたいと思います。
○渡邉座長 そうですね。表64を見ると、フルオロキノロンがヒトで、動物にも結構使われているみたいな、そういう形に出ていますよね。ここは、普通のキノロンとフルオロキノロンで分けて記載していただいたほうがいいですかね。ヒトの場合は、フルオロキノロンと、あと、普通のキノロン、そんなに使われてないですよね。ほとんどがフルオロキノロンですよね。動物の場合は逆ですか。
○遠藤構成員 フルオロキノロンが少ないです。
○渡邉座長 そこをはっきりさせるように、ここは2つに分けて記載していただくということで。データのほうは、遠藤先生のほうからは動物のほうで、ヒトのほうは事務局、村木先生で。一緒にお願いいたします。
 ほかに、この表で何か、ここはもう少しはっきりわかるようにしたほうがいいというのがありますか。
 どうぞ。
○遠藤構成員 まず、誤記ですけれども、63ページの(5)の2行目の表53、54というのが、多分、63と64の誤記。それから、ここの最後の「ヒトとヒト以外で使用可能な抗菌薬が異なることが影響していると考えられる」という記載ですけれども、私たち農林水産省のほうでは、ヒト医療に重要なものについては水産等に使っていないですとか、それから、動物用医薬品としては第3世代以降のセファロスポリン等につきましては、かなり使用量が少なくて、慎重に使用しているというようなコメントというか、本文に追記したいのですけれども、よろしいでしょうか。
○渡邉座長 今、食品安全委員会でかなりその辺のところの評価が行われていると思うのですけれども、その辺の記述というのはどこかに出てくるのですか。余り出てきていないような気がするのですけれども。今回は、これのデータの中には食品安全委員会からのそういう、今行われている評価の現状というのは、記述はいただいていない。これはもらっておいたほうがいいかもしれないですね。日本はリスクアナリシスをしているのだということを対外的にもわかっていただいたほうがいいのではないかなと思いますけれどもね。
○結核感染症課専門官 承知いたしました。
○渡邉座長 食品安全委員会の人は、誰かきょうは来ていらっしゃる?
○内閣府食品安全委員会評価第二課課長補佐 食品安全委員会でございます。
 食品安全委員会での評価の実績はデータとしてお示しできるのですけれども、ほかの分野との並びなどもあるかと思いますので、記述については事務局と相談させていただきたいと思います。
○渡邉座長 よろしくお願いいたします。
 どうぞ、境先生。
○境構成員 耐性率のほうは前回御指摘させていただいて、この4年間、5年間かの一番最低と最高の耐性率しか書いていなかったのを改善して記載されているのですけれども、この使用量のほうも、例えば60ページから畜産動物はありますが、2013から16年の間のトータルの使用量を一番低い640トン、それから一番多い669トンが書いてありますけれども、余りこの数字があっても意味がないと思うのですね。例えば抗菌剤販売量の全体の推移がどうなったかという記載があったり、あるいは変化が大きかった成分についてどう推移しているとか、それから、重要とされている第3世代のセファロスポリンとか、マクロライドとか、フルオロキノロンとか、これがどうなっているのか、そういう記載のほうが意味あるように思うのですが、もし可能であれば御検討いただきたいと思います。
○遠藤構成員 これは前のほうには書いていないのですけれども、80ページの後ろのほうに、系統別の推移という形で、2001年から2016年までの動物用医薬品ですけれども、推移が図になっておりますので、これが一応の推移というか、かなり昔からの、だんだんどうなってきているかというような値になっています。今、境先がおっしゃられたのは、フルオロキノロンは余りふえていないとか、そういう記載を本文中に追加するということでしょうか。
○境構成員 この企画そのものは動向調査ですので、やはり耐性率の変化、あるいはその使用量の変化ということをきちっと検討すべきではないかと思うのですね。そういった意味では、この4年間の一番多いときと少ないときの数字を書いても余り意味がないのではないかということを申し上げているのですね。変化があれば変化があった、なければなかったと。それから、成分ごとに何か特徴があれば、その特徴があったものについて記載する、あるいは重要な成分について記載したらいかがでしょうかということを申し上げました。
 アクションプラン実施期間の最後に、2020年の成果目標についての評価ということをいずれなされると思いますので、そういった観点からも、耐性率や使用量の推移をやはりきちっと書いたほうがいいのではないかと思います。
○渡邉座長 いかがでしょう。
○遠藤構成員 文案につきましてはまた考えまして、皆様に共有させていただきます。そのような推移や動向がわかるような形で追記させていただきたいと思います。
○渡邉座長 よろしくお願いいたします。
 今、境先生が言われたことは、アクションプランが2016年に日本はつくられたのでしたか、その後5年たった後の評価というのが当然されるべきですので、それに向かっていろんな対応、対策がとられていくわけですけれども、その中間的な状況というのをそろそろ2018年くらいには考えておかなくてはいけないかなと思うので、それに向けて事務局のほうも準備をしていただいて、こういう形で書いてくださいというのを、やはり書式を皆さんに提示したほうがいいと思うのですね。それでないと、動物の世界、食品の世界、みんなばらはらに書いてくる傾向にあるので、ある程度見本で示していただいて、それで整理していくという形をこの1年ぐらいかけて考えていただければと思います。2018年度の報告に向かってですね。よろしくお願いします。
 ほかにありますか。
 次は、国民意識調査のほうで、これはAMRリファレンスセンターのほうからですね。
○松永参考人 一般国民への調査及び医師会の先生方に御協力いただきました医療関係者への調査は、前回の会議と特に変更はありません。よろしくお願いします。
○渡邉座長 ありがとうございます。何かコメントありますか。
 今回新しくというか、71ページですかね、獣医師さんへの調査ということも行われているということで、ここの説明のほうはどちらからいただけますかね。
○農林水産省消費・安全局畜水産安全管理課課長補佐 
 今回、動物分野でもアンケートをいたしましたので、その結果を追記させていただいております。それが71ページからですが、公益社団法人の中央畜産会がこの事業で行った結果についてまとめております。
 まず、アンケートの対象といたしましては家畜飼養者と臨床獣医師になりまして、家畜飼養者につきましては、回答数は320名ということで、飼育畜種は、牛が141名、豚が94名、鶏が85名となっております。
 それで、結果につきましては表78をご覧いただきたいのですが、まず、各項目の認知度というものを調べておりまして、一番上は薬剤耐性対策アクションプランの認知度ということで、全体としては29.4%、牛が22.4%、豚が44.7%、鶏が23.5%ということで、豚の飼養者の方がちょっと認知度が高いという結果になっております。
 次に「産業動物臨床獣医師への調査」ということで、こちらは回答数534名で、畜種別では、乳用牛が362名、肉用牛が346名、豚が131名、鶏が57名となっております。表79で各項目の認知度というものを調べておりますが、こちらでもアクションプランの認知度というものは、全体は44.4%ということで、飼養者の方よりはやはりちょっと認知度は高いという結果になっております。
 以上でございます。
○渡邉座長 ありがとうございます。今の一般国民及び各医療従事者と獣医師等に対してのこの意識調査に関して、何かコメント等ありましたらお願いいたします。
○藤本構成員 飼養者の認知度のところで、例えば牛だと、肉用牛と乳用牛、鶏も採卵鶏と肉用鶏があると思いますが、そういったところの違いというのは特別調べておられませんか。
○農林水産省消費・安全局畜水産安全管理課課長補佐 こちらの表ではないですけれども、恐らくそのアンケートの項目で、肉用牛か乳用牛か、採卵鶏か肉用鶏かという区別はできるのではないかと思います。
○矢野構成員 同じ調査についてですが、中央畜産会が調査されたということですけれども、例えば家畜の規模などによっても随分傾向が違うのではないかと思います。このデータについてもう少し詳細なものは公表されるのでしょうか。
○農林水産省消費・安全局畜水産安全管理課課長補佐 こちら、まだ公表はしていないのですが、今後、中央畜産会のホームページで公表することを予定しておりますが、その公表の仕方についてはこれから検討させていただければと思います。
○矢野構成員 ありがとうございます。
○渡邉座長 どうぞ。
○松永参考人 とてもすばらしい結果をありがとうございます。1つ伺いたいのですけれども、少しヒトと近いようなコンパニオンアニマルに対して、動物病院系の獣医さんとかの意識調査とかは今後されるような予定はございますでしょうか。
○農林水産省消費・安全局畜水産安全管理課課長補佐 この調査につきましては、また家畜飼養者の方と産業動物獣医師の方で同様の調査をもうちょっとこの対象を広げてやることを考えているのですが、やっているところが中央畜産会ということで、対象は産業動物に限られてしまいまして、小動物の獣医師に対する調査をするとなるとまた別の手を考えないといけないですが、それは今のところ計画はないのですが。
○渡邉座長 ほかにございますか。
 リスクコミュニケーションをどのようにやるかという問題と、そのやった結果がどのように反映されるかということがどのようにパラレルに動くのかを見ていかないといけないかなと思います。薬剤耐性に関する人の意識調査を高めるために、AMRリファレンスセンターがリスクコミュニケーションの表舞台に立ってやられていると思いますが、今後どのようにやることによってこれを高めていこうと考えられているのか、ヒト側と動物側からコメントいただければありがたいです。
○松永参考人 1つは、まずネットやスマートフォンが非常に発達していますので、ウェブサイトを通じて国民の皆さんに知っていただくということと、イベントや近くの小学校とか中学校などに一つずつ講義していくという草の根活動というのもとても大切かなと思って、現在実施しております。あとは、メディアの皆様もとても大切な役割を果たしてくださると思いますので、メディアの皆様にも知識を共有して、周知していただきたいなと考えております。
○渡邉座長 ありがとうございます。農水省のほうは農水省本体がやられるのですか。このリスクコミュニケーションというのは。
○農林水産省消費・安全局畜水産安全管理課課長補佐 農林水産省でも、今、中央畜産会の事業で啓発用のポスターとかパンフレットなども作成しておりまして、そういうものを各都道府県の畜産関係の団体を通じて臨床の獣医の方に配布したり、あとは普及啓発用の動画というものを作成しておりまして、それが慎重使用のことであるとか、あとは薬剤感受性試験のやり方だとか、生産者の方々とか獣医師の方々向けの動画を農水省のウェブサイトで公表しております。そのほか、牛とか豚の呼吸器病の治療のガイドラインというものを作成しておりまして、そういうものもウェブサイトで公表しております。
○渡邉座長 ありがとうございます。地道な活動が非常に重要な分野だと思いますので、今後ともよろしくお願いしたいと思います。
 ほかにコメント等がありましたら。
 では、全体を見ていただきましたので、もう一回戻っていただきまして、要旨のところで、今の議論を踏まえてさらに何か追加すべき点がありましたら、コメントのほうをお願いいたします。
 まず背景のところですね。それと方法のところ。さっき最初のときに幾つか追加事項のお願いがあったと思いますので、そこの方法論で使えるべきところがありましたら、後で事務局のほうからワードのファイルが送られると思いますので、そこに赤で記入して戻していただければと思います。あと、結果のところですね。
 ここのところに、さっき、境先生からコメントがあったところで少し、どのように動物等での使用状況とか変化したとか、つけ加えたほうがよろしいですか。
○遠藤構成員 少し検討させていただきまして、何らかの追加をさせていただきます。
○渡邉座長 ヒトの場合には、特に肺炎球菌のペニシリン耐性が髄液で下がっているということが非常に特徴的なポイントなわけですけれども、ただ、ほかのところではそんなでもないという、特に大腸菌が、フルオロキノロン耐性がふえていると。この辺が今後の課題の一つだと思われますけれども、そういう重要なポイントを少し記載していただいて、そこの変化をまとめていくということも必要かと思います。
 それと、抗菌薬の使用状況と実際の耐性率がどのように変化しているかと。ここも重要なポイントですので、この辺、もう一回見直していただいて、もし追加または結果等変えたほうがいい点がありましたらお願いしたいと思います。
 サルモネラは、今回血清型で分けて解析していただきましたけれども、ここのところの結果とか、どこかに入れたほうがよろしいですか。
○四宮構成員 要旨の部分については、前回の2017年のときからJANISとJVARMのことを中心に書かれているなと感じていたので、食品や環境についえももう1年たったので、何がしかの結果があるということであれば、その枠を指示していただければ要旨に記載します。
○渡邉座長 これは別にJANISとJVARMに限られたことではないので、さっきも言いましたように、要旨しか読まない人が世の中にいると思うのです。ですので、ここはぜひ書いていただいたほうがいいかと思いますので、強調すべき点があれば、そこはぜひ記載をお願いしたいと思います。
 あと、考察のところですね。2020年目標値を達成するためにさらなるAMR対策の普及が必要であると。ここは本当は具体的にどうするかということを何か記載あれば一番いいのですけれども、それで、リスクコミュニケーションをどうするかということをお聞きしたのですけれども、なかなか書きづらいかなとは思うので。こういうのを書いたほうがいいという、何かありますか。
 よろしいですか。
 もう一度、皆さんまたお持ち帰りいただいてごらんになっていただいて、きょうかあしたには皆さんのほうにワードのプロファイルが送られますので、1週間以内ぐらいに、つけ加えるべき点または訂正事項がありましたらぜひ赤で記載していただいて、事務局のほうにお戻ししていただければと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 もう時間も差し迫ってきましたので。
○田村構成員 1ついいですか。
○渡邉座長 どうぞ、田村構成員。
○田村構成員 「今後の展望」のところですけれども、最終的に、このワンヘルス動向調査というのは一つの仕組みになるのが一番いい方向だと思うのですね。今は、個々のサーベイランスだとかモニタリングの成績をただ集めているだけなので、一緒になるための課題みたいなことを少し議論したほうがいいのではないかと思いますけれども、いかがですか。
○渡邉座長 非常に重要なポイントで、ワンヘルスという形でやるからには、全体的にどういう方向でやることによって、最終的には人の医療ということが大きなポイントなのかと思いますけれども、ただ、人の医療には動物、環境、そういうものが影響しているというのは世界的にもわかってきていることですので、その辺の一体的な取組としてどういう方向性があるのかというのは本当は一番重要なポイントだと思いますね。
 これは、今後そういうものを話し合う機会というのは設けますか。一度フリーディスカッションみたいなので、まず皆さんの考えをお聞きして、今後対策はもちろん各省庁がやるのでしょうけれども、そこの対策にどういう点が込められればいいのかというのを、皆さんから意見を聞くというのも大きなポイントかなと思うので、ぜひ事務局、ちょっと考えていただければと思います。
○結核感染症課専門官 貴重な御意見ありがとうございます。事務局としましては、これは皆さんからいただいたデータで、ただ集めただけではなくて、このところから、まず2020年のアクションプランの目標に向かって、次に、このデータを見た場合にどういうところにその対策をしないといけないのかというのも今後検討していきますので、その際に、また皆さん、先生方から御意見をいただければと思います。みんなでぜひ2020年まで目標に向かって対応できればなと思っていますので、また今後ともよろしくお願いします。
○渡邉座長 今の田村先生の提案、非常に重要ですので、前向きに考えたいと思いますので、よろしくお願いします。ほかに御意見がありましたら。
 よろしいでしょうか。
 もしないようでしたら、大体時間に近づいてきましたので、これで今回のこの会議は終わらせていただいて、先ほど事務局のほうから、これは11月の中ぐらいまでに何とかまとめたいということですので、皆さんの御意見をいただいて、それを事務局と座長のほうで最終的な形に仕上げて、2018年度版の報告書としたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 では、事務局のほう、お願いします。
○結核感染症課国際感染症対策室長 次回の第7回薬剤耐性ワンヘルス動向調査検討会については、追って連絡をさせていただきます。
○渡邉座長 では、長時間、御議論のほう、ありがとうございました。これをもちまして終了させていただきます。