第7回 国立高度専門医療研究センターの今後の在り方検討会 議事録

日時

平成30年10月26日(金)13:30~15:30

場所

中央合同庁舎第5号館専用第22会議室(18階)

議題

1.国立高度専門医療研究センター(NC)を取り巻く機関との関係について
2.これまでの議論を踏まえた組織の在り方について

議事

 
○太田医療・研究開発独立行政法人管理室長補佐
 定刻となりましたので、ただいまより第7回「国立高度専門医療研究センターの今後の在り方検討会」を開催します。
 構成員の皆様におかれましては、大変お忙しい中、お集まりいただきましてありがとうございます。
 本日の構成員の皆様の出欠状況を報告させていただきます。
 本日は相澤英孝構成員、神崎恒一構成員、田島優子構成員、中山譲治構成員、中野貴司構成員、渡部眞也構成員から御欠席の御連絡をいただいております。
 なお、中山譲治構成員の代理として、国忠聡参考人に御出席をいただいております。
 また、10月14日付で事務局について人事異動があり、公務のため遅れてまいりますが、江浪医療イノベーション企画官が着任しております。
 なお、医政局長の吉田、総務課長の北波は、公務のため遅れてまいります。
 また、大臣官房審議官の迫井でございますが、公務のため途中退席させていただきますこと御容赦ください。
 それでは、カメラの方はここで退室をお願いいたします。
 次に、議事に入ります前に、お手元の資料の確認をさせていただきます。
 お手元に議事次第、座席表のほか資料1から資料3及び参考資料1から参考資料2、前回までの会議資料及び議事録をお配りしております。
 なお、前回の議事録については未定稿となっておりますので、御留意ください。
 不足等ございましたらお知らせください。
 以降の進行につきましては、永井座長にお願いいたします。

○永井座長
 それでは、議事に入ります。
 まず事務局より資料1「NCを取り巻く機関との関係について」の説明をお願いいたします。

○松永政策医療推進官
 事務局でございます。
 資料1について御説明させていただきます。こちらはNCを取り巻く機関との関係について、医療提供、人材育成も含めて事務局の方で整理をさせていただいたものでございます。
 2ページ目は第4回の検討会の資料の再掲でございますが、NCと医療法上位置づけられている特定機能病院、地域医療支援病院、臨床研究中核病院と大学設置基準に基づく大学病院、同じ政策医療の担い手の国立病院機構の比較表で、これらの機関等を含め次ページでNCとの関係の整理を行っております。
 3ページは、NCの役割と取り巻く機関の関係のイメージをあらわしたものでございます。1ポツ、世界に先駆けて少子・超高齢社会を迎えつつある我が国においては、次世代を担う小児への医療の充実と健康長寿社会の実現が喫緊の課題であり、多様化・複雑化する患者に対応できる全人的な医療の提供が重要であります。
 そうした中、NCは政策医療の担い手として、3ポツ、全ての国民が全人的かつ最適な医療を享受できるよう関係機関を牽引かつ下支えするとともに、いまだ社会的損失が多く取り組みが不十分な分野に資源を集中させ、関係機関とともに取り組みを進めていくという役割があるのではないかということで、下半分にイメージ図をおまとめさせていただいております。
 左上、特定機能病院や大学病院とは得られた知見を相互に提供し、双方向で補完し合う関係性。同じ政策医療の担い手であるNHOにつきましては、NCは政策医療の牽引車として研究開発を中心に行い、一方、医療につきましては双方向で補完するような関係性。地域医療支援病院であれば、NCは専門人材育成を行い、先進医療技術の均てん化に貢献する関係性。学会につきましては、NCが例えば事務局機能等を担い、連携の窓口となったり、データ共有を行う関係性。臨床研究中核病院や各研究機関であれば、共同研究開発やデータ共有を。産業界、研究費配分機関、審査機関につきましては、それぞれ共同研究開発、産学連携、データ共有、医薬品、医療機器、医療の適正評価等において相互補完する関係性とイメージとして整理させていただきました。
 4ページ、こちらはNCが関係機関と連携して今後果たすべき役割についてのイメージで、取り組みの三本柱である研究開発、医療提供、人材育成について、それぞれおまとめしております。いずれも国民全体に裨益できるよう、関係機関と双方向に連携して進めていくものでございますが、まず左、研究開発につきましては、疾患横断的なリアルワールド型のデータ共有を進め、多面的な研究を行いイノベーションを創出。政策医療分野の研究開発を主導する役割。
 医療提供につきましては、中ほどになりますが、国民の健康に重大な影響のある疾病について、治療水準の向上が必要とされる中、先進的な医療技術や治療法の開発、一般的な医療というよりは技術的にも他者が取り組みにくい分野へ特に取り組みつつ、全国の均てん化に貢献する役割。
 人材育成につきましては、大学病院とも連携しつつ各拠点病院等から受け入れ、専門人材や各分野横断的な研究力を持った研究者を育成することや、NC間で連携した教育システムを構築するなどの役割が考えられます。
 5ページ目は、総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会からいただいた勧告につきまして、これまでの御議論を踏まえて整理させていただいたものでございます。
 6ページ、まず赤字の1.長寿医療研究センターの機能、2.国立国際医療研究センターに担当させるべき疾患、3.NC間で重複する疾患についての勧告について整理させていただきます。
 7ページ、国立長寿医療研究センターの沿革等についてでございますが、健康長寿社会の実現を目指し取り組みを進めているところでございますが、一番下の箱になりますが、最近ではアルツハイマー病変の早期検出法を血液検査で、企業と共同で開発するなどの取り組みや、介護生活支援ロボットの研究開発などの取り組みを進めているところです。
 8ページ、こちらはこれまでの御議論でいただきました主な御意見と、長寿研のヒアリング時のコメントをおまとめしております。時間が限られておりますので抜粋して御説明させていただきますが、地域は限定的だが、精度の高い臨床情報が含まれたオレンジレジストリや、もの忘れセンターのような先駆的な取り組みを全国展開していくべきではないかといった御意見等を頂戴しております。
 9ページ目に、今後の方向性をたたき台として整理させていただいております。
 まず1点目、超高齢社会を迎える我が国において、健康長寿社会の構築は喫緊であり、2点目、特に国民的健康課題である認知症につきましては、国全体で予防から家族支援に至るまで、総合的な取り組みを進める必要がある状況。3点目、そのような中、国立長寿医療研究センターにおいては、設立以来、高齢者の心と体の自立を目指した研究開発、医療に取り組んでおり、認知症対策においては予防から人生の最終段階までの一貫した地域モデル的取り組みを行っており、このような取り組みの全国への均てん化に資する役割を担うべきではないか。4点目、また、高齢化に伴う合併症により複雑化する患者像に対応するためには、全人的な医療が必要であり、他のNCが取り組む分野についても連携・協力しながら多角的な視点を持って取り組むべきではないか。5点目、総務省から指摘されている疾患の重複ですが、高齢者の心臓病については年齢を問わず、循環器病に特化した研究開発等を国立循環器病研究センターで取り組むとともに、国立長寿医療研究センターにおいては、全人的な医療を提供する観点から、また、認知症については神経変性疾患に伴うものと、主として加齢に伴うものとについて、それぞれ国立精神・神経医療研究センター、国立長寿医療研究センターが強みを生かし、取り組みを進めるとともに、相互に連携強化することにより認知症全体の病態解明を目指すという観点から、引き続き長寿医療研究センターにおいても取り組むべきではないかと整理させていただいております。
 10ページ、こちらは国立国際医療研究センターの沿革を整理したものでございます。
 11ページ、人の生命、健康に著しい影響を及ぼし、国際的協力を必要とする疾患を対象に、高度専門的な医療とあわせて国際協力に関する調査研究等を行ってきたところですが、具体的には国内最多の臨床例を生かしたエイズ治療薬開発に向けた研究や、発展途上国における技術的支援等の国際保健協力等を行ってございます。
 12ページは、これまでにいただきました主な御意見をおまとめしております。具体的には1ポツ、合併症を抱える患者は、国立国際医療研究センターのように合併症にもすぐれた体制が整備されている病院で診るべきではないか。2ポツ、取り組む感染症医療について国家戦略的なミッションを明確にすべきではないか。3ポツ、高度急性期総合病院であることが国際的なミッションにつながる点について整理が必要ではないか。4ポツ、国立感染研や連携大学院との連携、5ポツ、児童精神医学の強化を図るべきといった御意見を頂戴しております。
 そのような御意見を踏まえ、13ページ目に今後の方向性のたたき台を整理させていただきました。1つ目の○、国際的には感染症や生活習慣病は死因の上位であり、我が国の公衆衛上も人間の安全保障による蔓延防止は非常に重要で、2つ目、開発途上国の保健医療水準向上については、日ごろから幅広い疾患分野に対応できる能力を有する機関の協力が不可欠であります。3点目、そうした中、国立国際医療研究センターにおいては総合診療機能を有する強みを生かしつつ、今後も感染症対策を含む健康危機管理や国際保健医療協力で重要な役割をより一層果たしていくべきではないか。4点目、かつ、総合診療を行う上で得た幅広い知識を各分野に特化する他のNCや医療機関においても、全人的な取り組みが行えるよう共有、補完していくとともに、5点目、人材育成についても国際保健人材の育成とともに、多様な診療科や臨床研修プログラムを持つ強みを生かして、関係機関と双方向の取り組みを進めていくべきではないか。6点目、政独委からの指摘については、国際的な課題である感染症対策や国際協力を、総合診療機能を活かして行うほか、関係機関を補完する役割を有することから、担当させるべき疾患については引き続き感染症その他の疾患、医療に関する国際協力とすべきではないか。精神・神経疾患については、国府台病院が国内のモデル的な役割を果たしている現状を踏まえ、国立精神・神経医療研究センター、国立成育医療研究センターとの連携も強化し、引き続き取り組むべきではないかと整理させていただいております。
 14ページ、こちらは国立がん研究センターと国立成育医療研究センターにおける小児がんについてになりますが、下の箱をご覧ください。小児がんは患者数が少なく、治療法が確立されていない部分もあり、治癒率の向上、より合併症の少ない状態での治癒を目指すことが重要であり、引き続き国の医療政策として取り組むべき内容である。
 2点目、さらに全身管理が必要となることが多く、児童・思春期の心のケアや小児特有の合併症の対応も必要となることから、総合的な小児医療を提供できる施設において取り組む必要がある。
 加えて3点目、成人のがんにおける知見を応用した病態解明等が求められることもあることから、小児がんについては引き続き両センターにおいて協働・牽引していくべきではないか。このように整理させていただきました。
 15ページ目からはNCとNHO、感染研との関係性になります。
 17ページ目にNHOの沿革をおまとめしておりますが、統廃合等を経て平成30年現在、141カ所の病院となっております。
 18ページ目はNCとNHOについて業務比較をおまとめしたものでございます。ともに独立行政法人でございますが、NCが研究開発型で6法人8病院、NC法においてそれぞれ主に取り組むべき疾患と定められているところですが、NHOにつきましては中期目標管理型の独立行政法人、1法人141病院であり、主に取り組むべき医療はセーフティーネット分野の医療の確実な実施、災害等における活動、5疾病・5事業とされております。
 19ページ目は、両者がこれまで取り組んできた主な連携内容についておまとめしたものでございます。
 20ページ目、今後の方向性のたたき台でございます。
 1ポツ、NC、NHOは、それぞれ政策医療分野に取り組んでいるところですが、2ポツ、NCはその牽引車として、関係機関等を主導しながら研究開発を中心に取り組んでおり、NHOは全国で地域のニーズに応じた医療を展開していることから、それぞれの役割は異なっていますが、その連携強化に向けた取り組みの必要性が指摘されているところで、3ポツ、NCがNHOの全国規模のネットワークの支援を得ながら、先進的な医療技術や治療法開発を推進。その成果をNHOと共有することで、両者で全国の均てん化を進めていくことが考えられるのではないか。このように整理させていただいております。
 21ページ目、こちらは感染研の沿革になります。
 22ページ目は、NCと感染研の業務比較をおまとめしたものでございます。
 23ページ目は、それぞれの連携と分担の具体例をおまとめしておりまして、最後に24ページ目、こちらの下のところで今後の方向性についておまとめしております。国立国際医療研究センターにおいては臨床研究、感染研は基礎研究を中心としつつ、会議共催やガイドラインの共同作成などの連携を行っているところでございますが、3ポツ、今後も連携をより一層深め、例えば感染研で実施された基礎研究をもとに国立国際医療研究センターで臨床研究、治験を行うなど、実用化に向けた取り組みを加速させるべきではないかと整理させていただいております。
 以上、長くなりましたが、これらをたたき台として各論点につきまして御議論いただけましたら幸いです。

○永井座長
 ありがとうございました。
 では、ただいまの事務局の説明内容につきまして御意見をいただきたいと思います。できれば初めは大きな枠から議論をいただいて、その後に細かい問題について御意見をいただきたいと思います。
 では私から最初に、研究の位置づけです。ナショセンの設立目的には、医療に関し調査研究及び技術の開発並びにこれらの業務に密接に関連する医療の提供とうたわれています。3ページのNCの役割を見ますと医療の向上というのは書いてあるのですが、余りここでは研究を強調していないように思います。4ページでは研究開発ということをうたっていますが、これは基礎研究ではなくて臨床研究ということなのでしょうか。左の緑のところはデータとかリアルワールドのデータが必要だとあり、イノベーションについても書かれていますが、臨床研究という意味では、中核拠点はがんセンターの2つの病院だけです。この辺がちょっと中途半端な感じがするのですけれども、どうでしょうか。この研究開発の位置づけをもう少し強くうたってもいいように思うのですが、そこはどうなのでしょうか。どなたか事務局から。これは前回の議論にも重なるのですけれども、ナショセンにおける研究開発はいかにあるべきかという問題なのですが。

○松永政策医療推進官
 ありがとうございます。NCの独立行政法人としての位置づけが国立研究開発法人というところもございますので、もっと研究について前面に押し出して記載ぶりを見直すということはあり得ることかなと考えております。

○永井座長
 いかがでしょうか。どうぞ。

○祖父江座長代理
 3ページ目の他機関との関係のイメージも含めて、文章も含めてなのですけれども、企業というのは余り最初は入っていなかったのですが、今は企業を入れていただいているのでいいのかなと思ったのですが、もう一つ、海外との関係です。これがいつもほとんど触れられないのですが、ちょっと海外のベンチマークだけとは限らないのですが、いろいろな機関との連携をどうとっていくのかというのは今後、非常に重要な問題ではないかと感じますので、そこは何かの形で入れていただいたほうがいいのではないかと思いました。

○永井座長
 近藤構成員、どうぞ。

○近藤構成員 
 一つ申し上げたいことは、先ず大学とか研究所は、教育機関、研究機関として医療を先進医学の面から推進して医療も行うのに対して、NCは、基本的に医療を社会的な立場からより合理的に改革推進する機関であると思うところです。従って、NCには厚生労働省の基本的な医療行政に直結した現場感覚での政策医療を推進して行く立場にあると思います。
 そうすると国の内外で開発された、特に日本で開発されたような新しい医療技術・施策を合理的に均てん化させるような研究体制や医療現場への普及を縁の下の下支えの役目をやって行くことが求められることになると思います。国力を統一して、日本の中で色々な所での医療における発明・発見を社会に役立たせる機能を持って頂きたいと願うところです。
 日本は、世界の中でかなりオリジナリティーのある発明、発見、医療制度があります。このような世界に対する日本の医学・医療における貢献、たとえば医療制度で言えば国民皆保険制度がありますが、こういう事を国際的に正しく理解してもらう必要があり、国の内外に対する情報の発信の機能も明確に示して欲しいと願うところです。
 日本には6つのNCがあります。そしてそれぞれ異なった専門性で業務を行っていることは理解できますが、これは、これまでの日本に於ける専門医療の推進という要望に基づいて組み立ててきた組織構築であったと思います。しかし、すでに世界の第一級のレベルに達した日本の医学・医療は新しい合理的なNCの役目と位置づけが期待されます。臓器別の研究もさることながら、これからは全人的な統合された新しい医学研究が求められるところであり、NCは、その意味でそれを何らかの形でマクロ的な俯瞰的な役目で推進する機能として再生して頂きたいと願うところです。
 加えて、実践の医療研究では、医療の現場は発明・発見の宝庫であり、従来のトランスレーショナル・リサーチから、逆のリバース・トランスレーショナル・リサーチの必要性が高まっています。臨床現場のクオリティーを高めていくと、好むと好まざるとに関わらず、新しいアイデアが臨床の現場から数多く出て参りますから、そういったものをリバース・トランスレーショナル・リサーチとして改めて拾い上げていく仕組みをしっかり作っておく必要もあるのではないかと思うところです。ちょっと、冒頭に述べさせて頂きました。ありがとうございます。

○永井座長
 もしまだ改訂できるのであれば、ぜひ今のような考え方を盛り込んでいただければと思うのですが、いかがでしょうか。

○末松構成員
 数年内に医療用IDが導入されて、そこから先何年かかるかという問題もあるのですが、このタイミングで今、ナショナルセンターの役割を議論する上で、日本のどこにいてもある特定の患者さんがどういう医療を受けて、最初の健康な状態から病気になられて、どういう治療を受けて、その結果がこういう結果になるんだというような前向きの追跡データを蓄積するまたとないチャンスが来ることになります。これはナショナルセンターの話と直接関係ないように思われますが、3ページの絵は日本をカバーするような仕組みをつくるという絵に見えるわけです。
 人のデータに基づいてリバースTRによる研究開発をやるような体制をつくるためには、一番最初の入り口の人からデータをとるところにICの問題とか、倫理委員会をどうするかということが避けて通れない課題になるかと思います。そこを通って研究開発空間でデータをどういうふうに使っていけるかということで、国民に裨益するような開発をやる一方で、今までなかったような人のデータに基づいた基礎研究というのができて、そこからまた新しいシーズが生まれてくるという可能性もこのフィールドにはあると思っています。        
 そのときにナショナルセンターの役割は結構非常に大きいのではないかと思います。仕組みを全部統一して1個にまとめるのは、結構その意味で私は無理があると思っています。むしろナショナルセンターが一つ一つが個性を発揮できるような仕組みにぜひしてもらいたい。今までも限られた資源の中で、例えば精神・神経センターが、普通の大学ですとレジストリというのは大学教授がリタイアするとそのまま最後になってサイロ化して使われなくなってしまう。しかしながら、そういう中でナショナルセンターが患者さんの貴重なレジストリを何年にもわたって維持し、しかも発展させて世界からも注目されるようなものを公的財産として持っておられます。精神・神経センターと循環器病と成育医療が協力すると、世界に類のない難病の情報のトラッキングシステムは当然できるし、患者さんの実数の把握にも役立つ。患者さんはわざわざ個々のナショナルセンターに行かなくても、そういう幾つかの個性を持ったナショナルセンターが協力して、日本全土から情報を把握できるようにするということは、この3ページの連携の姿が本当にできるのであれば、ぜひそのようにするべきだと思います。
 このページの後、6ページのところに赤い字で各センターが連携するとどういうふうになるのかということが書いてあります。私は総務省からいただいた所見で、総務省のおっしゃっていることに強烈な違和感を持っているのは、なぜ重なりがあるといけないのかというところです。
 例えば小児がんの場合ですと、異なるナショナルセンターが2つないし3つ協力することによって、効果的に情報が集められる。患者さんは自分の住んでいる場所をそう簡単に変えたりすることはできません。認知症もそうなのですが、レジストリをつくると、どうしてもそのセンターの周辺だけの情報になってしまうわけです。それを日本全体で患者さんの実数を把握したり、病気の進行度合いを包括的に把握するような中央機能というのは必要だと思うのですけれども、そのためには幾つかの異なる地域にあるナショセン+病院群、それを私は繰り返しハブ・アンド・スポークと言ってまいりましたが、そういった仕組み、つまりナショセンの個性を殺さないような機能的統合ということに関しては、賛同したいのです。
 この場合、患者さんのそういう利益というか全体でそういう患者さんの登録システムを統一するべきところは統一したりとか、フォーマットはどうしたりとか、そういったことをナショナルセンター間でまとめて考える機能は必要だと思うのです。みんなが意識しなくても同じフォーマットできちんとデータが集められるような仕組みをやらないと、患者さんには利益がもたらされないのではないかと思います。ぜひそういう仕組みにしていただきたいなと考えます。
 以上です。

○永井座長
 ありがとうございます。
 3ページの図は非常に重要なのですが、現実はナショセンが6つあるわけですね。1つではないのです。その6つが連携していないというのをどうするかという問題なのだと思うのです。その辺はこれからだんだん議論をしていく必要があると思います。
 山口構成員、どうぞ。

○山口(育)構成員
 私も、末松構成員がおっしゃったように、総務省の指摘には非常に違和感を覚えていまして、今ますます疾患が複雑になってきている中で、そんなにきれいに役割を分けられることではないと思っています。ですので、特にここに取りまとめがあるように、それぞれのここでしかできないということと、連携してやっていくところは分けていくべきで、そのあたりもう少し強調してもいいのかなと思いました。すごくきれいに書いてあるのですけれども、そのあたりそんなものではないということをもう少し強調してもいいのではないかという気がしました。
 それを踏まえた上で細かいところですけれども、13ページに国立国際医療研究センターについて書いてあるわけですが、一番下から4行目「引き続き『感染症その他の疾患、医療に関する国際協力』とすべきではないか」と書いてあるのですが、その他の疾患というのが幅広過ぎませんか。何を指しているのかというのが感染症その他の疾患と言うと全部入ってしまうような気がしますので、もう少しここはわかりやすく限定したほうがいいのではないかと思いました。
 以上です。

○永井座長
 ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。では、山口構成員、門田構成員、花井構成員。

○山口(俊)構成員
 読ませていただいて、総務省の指摘がかなり厳しいと思うのですけれども、私がちょっとうなずけるのは、9ページのところに国立長寿医療研究センターのことが書いてあるところです。国民の目線から見たら長寿という言葉が物すごく魅力的で幸せで長生きできるようなことを研究してくれることかと思ったら、認知症とか心臓病を一緒にやるんだという話になっており、ちょっと重点が違うのではないかという感じがするのです。こういうセンターが小さな病院を持ったとしても、それを全て解決することにつながるはずがないので、我々の長寿というのは病院で起きているわけではなくて、社会で起きているわけですから、そういうところに突っ込めるような体制にしたほうがいいのではないかと思って読ませていただきました。

○門田構成員
 先ほど総務省からの云々ということで、ダブるところがいいか悪いか、あるいはダブるところがあることがいいことが悪いことかということを考えていますが、私はお二方の意見と少し違います。今回の話の流れがまず個々のナショセンが何をどうするという、個別のナショセンから話がスタートしているというディスカッションの進め方です。ですから今までやってきたことをまとめると、必ず個別の組織から物を見るということを意図的にしてしまうような流れになってしまいます。だけれども、今この時点で総務省が、私は詳しく知りませんが、今までの歴史の中から、今の時点で見直すということをすることになったときに、別々のところでダブりがあるからいいとか悪いというよりは、本質的にどうあるべきかということの検討が優先されるべきではないか。
 ですから先ほど永井座長がお話されたように、6NCの話がここに1つでまとめられていますが、そこの話というのが非常に重要で本来の今回のテーマだろうという気がしております。そういった意味で私は個別の問題もさることながら、全体としてナショセンとは何なんだ。そして個別のものが臓器であったり、少し不明なものがあったり、年齢で構成したりということになっているという問題を抱えている。それをどう考えるかというディスカッションがやはり必要なのではないか。
 私の個人的な見解では、今の我が国の情勢から言って、金もなければ人もいないということははっきりしていると思うので、いかに効率的にすべきことができるのかということを特化して考えるべきだと思います。ですからそういうディスカッションをぜひやっていただきたいと思います。

○永井座長
 非常に重要な御指摘だと思うのです。私も個人的には重複というのはあり得るし、あってもよいと思います。問題は連携があるかということです。連携があって重複があるのだったら、人は重複とは言わないと思うのです。連携がないまま重複があれば、それは重複しているではないかということになるわけで、やはり在り方の問題について、ぜひ御議論いただきたいと思います。

○花井構成員
 4ページで3つの分野に分かれていて、人材育成はひとまず置くとして、研究開発については複数の構成員の方々も述べているとおり、オールジャパンのレジストリのリーダーシップをとっていくというところが非常に重要で、前回、メーカーのヒアリングがあったときに、結局、平たく言えば日本の開発環境は魅力がないという話をされており、これは別にナショセンだけの問題ではなくて、日本全体の問題の中で今、例えば医薬のほうで早期承認をやっているのだけれども、例えばさきがけ制度というのはある種、日本で先に開発してくれたらちょっと優先しますよみたいなことなのですが、それは極めて対症療法的なものを薬事行政まで持ってきてやっているのですが、本質的な開発環境、臨床研究環境も含めてですけれども、それにはならないわけです。
 これでアメリカに逆転できるかというと難しい中で、レジストリの話は唯一、逆転の芽がある重要な話で、これはほかの大学でできるかというとできなくて、すなわちNCでしかできないという唯一無二のところを書き込むべきで、研究開発としては今、議論のとおりです。
 医療提供について、全国に均てん化できるよう知見を共有する関係機関を牽引しつつ下支えと書いてあるのですが、これは実はどこでもできない話なのです。意外に。私どもエイズで昔、20年前に実験をやりまして、実験というのは実際にやったことなのですけれども、結局、国立国際にセンターを置いて、各ブロックに置いて、そのほか拠点病院というのを置いて、ピラミッド構造に急性期医療機関を並べたわけです。それぞれに予算をつけたわけです。ただ、並べただけでは現実にワークしません。
 これは御存じのように急性期医療機関の臨床医の先生方みんな一流なわけで、つまり皆さん自分たちをトップレベルと認識して診療している方も多いし、がんの領域でも多分そうだと思うのです。その中でナショセンが最先端でこれを均てん化しますなんて言ったってうまくいかないので、エイズでも当然同じような、エイズは大学で余り診ていなかったせいでやりやすいところがあったのですけれども、結局、何をしたかというと、横串をつくるのに当時2億円の研究費をつけました。研究費なのだけれども、それは連携のために使う研究費としてブロックとナショセンを結ぶ研究費を1億円つけて、各ブロックと各拠点を結ぶ研究費を1億円つけて、その研究費、研究班ですよね。事実上、昔は研究費は半分事業費みたいだった時代があった90年代のころなので、それを横串するためにやって、ナショセンは何をしてみんなに還元されるかというと、やはり下支えというのはなかなかどこの病院も急性期医療機関は経営が厳しいので余計なことを、お金がもうからないことはできないわけです。
 均てん化とかそういうところに対して助けてくれるというのは非常にウェルカムで、ナショセンは国主導なのだからナショセンがお手伝いしますよというところの仕組みがないと、事実上、均てん化できないと思うのです。絵を描いてピラミッドを並べるのは簡単にできるのですけれども、実は連携はなかなかお医者さんごとは大学の流れの人脈とかいろいろなものが流れていて、そう簡単に図に書いたとおり連携しないというのは明らかなので、ある程度予算をちゃんとつけて、そして下支え的なお手伝いをする。つまりナショセンこそが下手に出て、皆さんのお手伝いをして連携をするというような機能は、なかなか一般の医療機関には余裕がないところなので、ナショセンも現状、機能としてそれをやらなかったら金があるなしの話ではなくて、そういうことをやっていないと要らないのではないか、普通の病院にしたらいいと言われるのであって、下支えと簡単に書いていますが、普通、下支えしないではないですか。そこを実はナショセンにしかできないことがここに書いてあるのですが、実現が一部できているところがあるのですけれども、実現することをやるんだというところでナショセンの存在意義を発揮していただいて、個別にはいろいろ今後テキストに書き起こす段階で意見は述べますが、長寿なんかはそうです。大府市でうまいことやっていますよというシステムを全国にやるのにどうやって、誰がエンジンをつくるのか。人が行ってお手伝いしたりとか、いろいろな連携をするための予算、汗をかく人たちがいなければ連携しないので、その汗をかくのはナショセンが汗をかくという形に国でやっていただかないと、先ほど長い座長が言ったとおり、連携はなかなか難しいということになろうかと思います。
 以上です。

○祖父江座長代理
 今まで議論されたのとちょっと重複しますが、ナショセンは何を目指すかという議論が縦串の問題と横串の問題と両方あると思うのです。その一つとしてこれはもう既に議論に出ていますけれども、ここに書いてあるリアルワールド型の前向きデータを構築していくという、これは目的がないといけないと思います。目的が何かというと、創薬に向けたという、あるいは実態調査、病態解明などでもいいのですが、私は最終的には創薬に向けるということが、ナショセンの非常に大きなミッションになるのではないかと思います。
 今も議論に出ましたけれども、企業の方から見ると日本のリアルワールド、前向きスタディーというのは魅力がなくて、そこに乗っていけない。なぜかというと、クオリティーが非常に低い。それから、5年、10年の前向き型になっていなくて、レジストリされているだけだというようなことがよく言われているのです。
 ナショセンの評価で聞いていますと、1年ごとの評価なものですから、1年ごとに結果が出るものについては非常に一生懸命語られるのですが、こういうロングタームの5年、10年あるいは、20年というようなミッションについては、大学だけではなくてナショセンもなかなか取りかかれていないのではないかと思うのです。
 これをどうやってやるのかというと、組織の中にそういうマシーンを仕込まないと、そういうミッションがあるという形を組織の中に仕込まないと、いつまでたってもお題目でずっと行ってしまう可能性があると思うのです。もう一つは人です。こういうものを運営していく人を私は場合によったら外国から呼んでもいいと思うのです。レジストリの解析には非常に数学が要りますし、いろいろなノウハウが要りますので、そういう人を呼ぶなり何かして横串的に、センター的なものをつくって、各センターが利用するという形でもいいのではないかと思っております。
 そうしないといつまでたっても、現実にはほとんどできていないという状態がずっと続いていくのではないかと思います。その組織論との関係もあるのではないか。また後でこれは議論が出ると思います。

○永井座長
 そういう意味で、ナショセンが研究開発、TRからリバースTR、できれば基礎研究も含めてそういう日本の医学研究の推進力になるというミッションを背負っているということは、確認しておいたほうがよいと思います。
 私は今度の本庶先生のオプジーボは非常に教訓的だと思いました。本庶先生はいろいろな日本の企業に声をかけたけれども、皆断わられてしまった。小野薬品が受けましたが、マーケットは日本と韓国と台湾だけで、世界のマーケットは、製造を依頼した外資が抑えています。せっかくよい研究があっても企業に目がない。それは日本で開発していないと目は養われないと思うのです。外国の情報だけを受けていたら、せっかくの絶好球が飛んできても見逃してしまう。それが本庶先生の今回の研究の教訓ではないかと思います。
 企業も含めて開発研究者、医療研究者、医学研究者が一体になる場がナショセンを中心につくられるべきだろうと思います。そこはぜひ確認をしておきたいと思うのですが、いかがでしょうか。

○近藤構成員 
 永井先生の本庶先生に関するお話は、誠に同感でございます。
 この世の中、発明・発見というのはあちこちで出されていることは間違いないわけです。しかし、ロストディスカバリー、失われて行くディスカバリーとなるのが多々あるわけです。しかしそれを評価するというのは、それなりの英知がなければできません。それは、欧米ではきっと非常に広い考え方を持った研究評価者がいて、それを見つけ出してこれを評価して、将来を見据えて開発して行くわけでありますけれども、このような事を行うのは、レギュラトリーサイエンスなのです。
 レギュラトリーサイエンスというのは、今、私が一生懸命になって社会で理解を深めてもらう努力をしているところですが、評価科学と適正規制科学の2つに分かれています。評価科学というのはそのものをあらゆる角度からみて、その良いところのポイントと悪いところのポイントをしっかり評価して見抜き、それを将来どのように役立てることができるかどうかまで見抜いた上で、それを総合的に評価することです。その次にはそれを実社会に役立たせるために産業化もさせていくわけですが、同時に規制当局もそれを正しく育てて行くための適正な規制を考える適正規制科学があります。これらを総称して、レギュラトリーサイエンスとしておりますが、産官学がそれぞれの立場で社会への貢献を目指した科学です。
 今日、欧米でも発明・発見をどのように探して物にしていくかということで、ホライゾンスキャニングという言葉が急激にこの数年広がっています。これは、まさに発明・発見を拾い上げてものにして行こうという意気込みであります。これは、日米欧の規制当局が力を合せて取り組んで行こうと始めたところで、日本はその中でイニシアチブをとっているところです。
 実を言いますと、PMDAでは薬事戦略相談事業というものを7年前から始めたわけです。これはまさにシーズ開発への薬事的な相談制度です。これはどのようにして始めたかというと、もともとドラッグラグ、デバイスラグを解決するために申請前相談といって、その医薬品、医療機器などが申請されるに当たり、途中で様々な無駄なディスカッションをなくすために、品質、有効性、安全性について前もってしっかり議論をしておくことでした。それにより、両者で十分に納得した上で開発するわけであり、それにより無駄な時間を省略することができ、実は日本が世界で一番早く審査承認できる仕組みになったわけです。これには、相談業務が大きな貢献をしたわけですが、この相談業務は数多くの事例の積み重ねにより、多くの英知の集積が為されます。そこで、薬事相談事業を多くの大学や研究所の先生方にご利用頂き色々なシーズの活性化にお役に立てさせて頂いております。
 昨今、大きな問題になっている「目利き」というのは実は薬事戦略相談、レギュラトリーサイエンス、評価科学を強化することによって可能になると思います。これは、PMDAもそうですが、AMEDもやっていることです。現在6つのNCはそれぞれの専門分野でこの「目利き」というかレギュラトリーサイエンスの「評価科学」を強化して行く必要があります。NCは、統合的に、またそれぞれの分野でのレギュラトリーサイエンスをしっかりできるような組織、人材を育て、運用できる組織になってほしいと願うところです。国民目線で信頼できる俯瞰した統合的な組織であることが望ましいと思います。
 以上です。

○永井座長
 ありがとうございます。
 本田構成員、どうぞ。

○本田構成員
 私も前回休んでしまったのですけれども、前々回のお話にも通じるかなと思って伺っていたのですが、NCの役割とは何なのかということを一番初めに詰めて議論することはないのかなとずっと思っていたので、まさにそのことが大事なのだと思っています。 
 NCにおける研究開発はいかにあるべきか、今、皆さんのお話を伺っていてもっともだと思っているのですけれども、オールジャパンで研究を進めていくためのハブであり、下支え機能、横串を持ったものをきっちり持つことはとても重要だと思っているのですが、一方でそれに関連した医療提供というものはどうあるべきかということを、国民側、受ける側も理解する必要も今後出てくるのかなと。そういう研究開発に協力した医療というか、それだけではない部分もあるかもしれませんけれども、役割を国民も知るというか、そういうことで自分たちもかかわっているんだということを持てるというか、先の話かもしれませんが、そういう視点もぜひ先には入れていただきたいと思いました。

○永井座長
 そこは今までも幾つかは議論していて、情報共有がかなり重要ではないかと思います。

○祖父江座長
 先ほどの話にちょっとだけ追加しますと、永井先生おっしゃったとおりで、これは評価のヒアリングをしているとがんセンターでも国際医療でもどこでも非常にいいシーズが出るのですが、これは前も申し上げたように実装化のフェーズになるとみんな外国に行ってしまうというのが、先ほどの本庶先生の例と同じようにあるのです。企業から言うと、日本のそういうシステムに乗っているとおくれをとるので、アメリカに行ったほうが安くて速く薬になる。そういうことでやっておられるというのはこの間も企業の方から発言がありましたけれども、今後はナショナルセンターを中心にしてどうするのか。ここに切り込むような何か、一つはコホートとかレジストリなのですけれども、それもクオリティーの高いものをつくって、企業が乗ってくるようなものまで持ち上げるにはどうしたらいいのかというような、非常に戦略的なことが今後非常に重要だと思います。見える形にするにはどうしたらいいかというのを、別のところかもしれませんが、議論する必要があるのではないかと思います。

○永井座長
 神庭構成員、どうぞ。

○神庭構成員
 3ページのグランドデザインのイメージを見て、私は印象的に思ったのですけれども、日本全国の各機関・組織とナショセンが本当に双方向で情報共有して、機能が補完されるならば、日本の医学・医療をすごいパワーで推進する力を発揮するのではないかと思うのです。
 ナショセンによってはかなりこのグランドデザインに沿って活動ができているセンターと、不十分なセンターとまちまちあるように思います。そして、その全てのナショセンがこのグランドデザインに沿った活動を目指して進んでいくために何を補強すべきなのか、何を変えていかなければいけないのかという議論も必要なのでなはいかと思います。

○末松構成員
 先ほどからの皆さんの意見を伺っていて思ったことがあるのですけれども、結局、キーワードは医療関係あるいは人に由来する健康の情報あるいは病気の前向きの追跡のデータ、情報をどう把握するかということと、機能を持ち上げるためにどういう効果的なお金の使い方をするか、あるいは何を基準に補助金をどうやって配分していくかというところの基本データがようやくそろいつつあります。3ページを見ていきますと、我々のファンディングエージェンシーは、ナショナルセンター全体で、恐らく10%弱ぐらいのファンディングがナショナルセンターに行っていて、その他は大学病院あるいはごく一部の病院機構、各研究機関に我々はお金を配分している仕事と、それぞれにどういう研究者あるいは医学以外の研究者がいるかというところの情報がようやっと3年ちょっとで集まってきました。それから、学会にお願いして悉皆性のあるデータを集めて、そこからAIを開発したりということを学会にお願いするような仕組みも微力ではありますけれども、つくってきたわけです。
 厚労省が特別の予算を設けて、センターを統一したヘッドクォーター機能を大きなエネルギーを使い、必要な情報をゼロから集めてとやっていくのがどれぐらい効果的なのかということに危惧を感じます。補助金配分期間の立ち上げから3年半でそれなりの苦労をしてやってきたことを、もう一回3ページに示されたプレイヤーでやり直すことに当然なるわけです。一方で既に集積したものをどう生かして、先ほど永井座長がおっしゃられた機能的連携をするかということに関して、我々の機関は厚労省と協力をしてナショナルセンターをどう強化するかということに関しては、非常に関心があります。ナショナルセンターと大学病院の連携でハブ・アンド・スポークをつくったりというところに関しては、我々はごく一部の事業ではありますけれども、そういうものにできる得る限りの協力をしてまいりましたから、そういったものを生かしていただきたいと思います。
 エコシステムをつくるのも、どこに、どの場所にそういうアグリゲートされた異分野のものをつくるのかというストラテジーに関しても、私どもの持っている情報は相当役立つのではないかと考えています。

○永井座長
 ほかにいかがでしょうか。山口構成員、どうぞ。

○山口(俊)構成員
 皆さん創薬が中心であるべきだという御意見が多いようですけれども、私は余り創薬に偏らないほうがいいと思います。というのは、創薬というのは必ずその後、商業ベースの話になってきて、それを国立の機関でメーンのテーマとすべきかというのは難しい問題が多分出てくると思います。むしろ援助するとしたらPMDAみたいな組織を強化したり、末松先生のところのAMEDの資金をもう少し増やさないといけないと思います。私も審査をやっていますけれども、非常に重要な研究でもNCから出てくると、本来は国が支えるべきものだということではねられたりします。やはりこれは予算が少な過ぎるからだと思うのです。ですから、これを機会にぜひそのあたりのサポートできる体制があるわけですから、その資金を強化して、創薬だけに余りこだわらないものにぜひ目を向けていただきたいというのが私の意見です。

○永井座長
 門田構成員、どうぞ。

○門田構成員
 座長が先ほど大きなテーマとしてナショセンの機能、方向性を少なくともどこまで合意できるかということを質問されたと思ったのですが、私もそれが一番大事で、ここでの今回の大きなテーマの中心にそれがないと、枝葉の話をいくらしたところで意味がないと思いますから、ぜひそれはやっていただきたいと思います。それについての意見とすれば、今はいろいろな意見が出ていますし、我が国は不思議といろいろなところにいろいろな核があるのです。それぞれ別々に。それがうまく一体化していかないという難しさを持っているということを感じておりますけれども、今、ナショセンの話を考えていくときに大きなストラテジーをどこでどうするんだと。これは厚労省か、あるいは健康医療戦略室かという話ではなくて、やはりこれこそ現場におるナショセン自体の大きなテーマなはずだと思うのです。
 そうすると、ナショセンが個別のナショセンの話をしていたのでは足りない。大きなナショセンとして本来あるべき姿というディスカッションがあり、そして、それをもとにどういう形に実践できるかというディスカッション。そして、それが6つであろうと、あるいは1つであろうという話になっていくのだと思うのです。ですから座長が言われたように、そこの点だけ早く決めて、方向性を示していくべきではないか。

○永井座長
 今の点いかがでしょうか。どうぞ。

○近藤構成員
 門田先生が仰る内容にまさに同感です。日本全体が一つに纏まって行かなければならない。医療の現場を改革して行かなければならないとなった現在、NCが別々に動くことはあり得ないと思うし、少なくともヘッドクォーターに相当するようなものについては、しっかりと無駄の無い合理的な仕組みを作れば、既に非常に高いレベルにあると思われる日本の医療を、より効果的に国際的にも裨益できるものと考えます。NCのヘッドクォーターの一体化により、それぞれ小さな6つのNCがそれぞれ今までの2倍、3倍にその能力を発揮できるようになり、結果的にはそれぞれのNCの国際的なプレゼンスも高まることになると思うし、そういう頭の切り替えというかパラダイムチェンジが必要かと考えます。

○祖父江座長代理
 私も全く賛成です。ナショセンは世界の中でどうあるべきか、あるいは日本の中でどうあるべきかという議論がどこかで必要と思います。先ほど来、創薬の話にシフトしているという御意見もございましたけれども、やはりナショセンはそれぞれの担った病気の解決をミッションとして担っているというのは、もともとの設立理念ですので、その一つの方策として創薬にコミットすることも一面としてはあり得るのだろうと思います。
 ただ、全体としてどうあって、何をミッションとしていくのかというのは、刻々あるいは5年、10年考えていかなければいけないわけです。そういう司令塔が今ないなというのが全く同感でして、それをどこがやるのかということです。こういう委員会を常設していつもやっているというのは一つの手かもしれませんけれども、恒常的な組織論というものがあるべきではないかと私は思います。

○永井座長
 岡構成員、どうぞ。

○岡構成員
 私は前回、前々回の御議論を欠席させていただいたので、きょうの先生方の御議論を伺いながら考えさせていただいたのですけれども、確かに今、祖父江先生がおっしゃったように、どこが全体を見るかということも確かに必要かなと思います。総務省からの先ほどの資料にあった赤字の御指摘というのも、確かに国民の目から見たらそのような指摘というのはあるのかなと。やはりそこは謙虚に受けとめざるを得ないのかなと思います。
 ただ、もう一方でこれからどちらかというと、この会議の場というのはナショナルセンターの機能を強化していこうというものだと思うのですが、その場合に現場の実情としては、一つ一つの課題がこれだけテーマとして深く掘り下げなければいけない時代になってきていて、決して一つ一つに十分な予算があるわけでもない中で、非常に現場としては苦労をされているという現実は、非常に強く今回ヒアリングを受けて感じました。それこそ例えばがんセンターの研究所でも、こんなに少ない人数でこれだけのことをされているのかと改めて思った次第で、産学連携をどういうふうに入れていくか、本当にそういったことでないとこれはやはり、とてもこれから戦えないなということは、研究所を見せていただいて私も思いました。
 ですので、そういう意味で何か新しいものを一つ、さらにつくるお金があるのだったら、もっと現場にもそういう資金を入れていかなければいけないと強く思いますので、それを一つの何かの機関というふうに考えるよりも、私自身はこのような場あるいは総務省の指摘とか、そういったようなことを柔軟にいつも受けとめながら、ナショナルセンターとして動いていくということでもよろしいのではないかと感じます。
 あと、先ほどのデータベースのことは、本当にそれは必要だと思います。例えば小児の領域で言いますと、小児慢性特定疾患のデータベースというものがもしできれば、これはかなりの部分が解決するわけです。ですけれども、今そちらでも議論をしていただいていますが、個人情報法との関係で非常に難しい。ですけれども、今、成育医療研究センターは小児慢性特定疾病の事務局機能も果たしておりますが、そういったようなところが厚労省を中心として全体としていい方向に行ってくれれば、本当にナショナルセンターが中枢になる。これは予算はそんなにかからないのではないかと思うのですけれども、今いろいろなことに既にかけていますので、それを統合していけば、そのような形でそれぞれの疾患領域でナショナルセンターがデータセンター的な機能を果たす可能性は十分あるのではないか。そのために今、本当に法整備で各御専門の方が苦労されているのではないかと理解しています。
 以上です。

○永井座長
 今の点ですが、データベースをつくるにしても研究費が必要です。また運営費交付金が削減しているわけですから、求心力を持って外部から研究費を集めるだけの力がないといけない。その意味で前回の医機連の資料をご覧になっていただくと非常に興味深いのです。治験以外のナショセンの研究費343億のうち、企業からの研究費が22億。そのうちの9割ががんセンターで、残り2億円を5つのナショセンで分けている。これは明らかにナショセンに求心力がないのです。それをどうするか。どういう形であれ、いかにその機能を高めるか。運営費交付金が増えればよいですけれども、減っていく中では外部資金に頼るしかないのです。そういう問題意識なのですが。

○岡構成員
 その点は十分把握していませんでした。ただ、産学連携のお金が必要なんだというのは、がんセンターに行って私もすごく必要だなと思いました。

○永井座長
 データベースをつくるまでは研究費が出ます。ところが、研究費が終わったらもう維持できないのです。それは何かそこに魅力を持たせて外部と連携していかないと、データベースは崩壊してしまいます。いつまでも研究費に頼れないという現実があります。

○末松構成員
 先ほどお金の話について申し上げた最も大きな理由の一つは、今、座長がおっしゃられたポイントなのです。これはただお金を配ると使われて終わるわけです。補助金等を使っていただくときに、きちんとした縛りがあって、何年後に何をやらないと研究費がとまるんだというルールは、今までファンディングエージェンシーになかったのです。我々はそれをつくって難病の領域でデータを集めたお話は、この前、私の発表のときに、途中で退席しましたけれども、お金に対しては公のお金である以上、要するに利他主義でほかにどういう貢献をしたかということがトラックレコードとして残って、それに基づいて次の年のお金が決まっていくという仕組みが必要です。難病のところに関しては、再三申し上げているとおり精神・神経センターあるいは国立循環器病センターが同じフォーマットで情報を集めたらもっと効果的に事業が進むし、それよりも外国と連携して外国のデータベースを使ったほうがはるかに診断のスピードが速くなるというのは、我々はトラックレコードで持っていますので、そういったことをナショナルセンターの方にもっと意識をしてもらいたいなというのが私たちの思いなのです。
 つまり、お金をきちんとしたレギュレーションで使えるような仕組みを、このナショセンの改革にも適用していくべきだというのがAMEDとしての考え方です。

○永井座長
 では、近藤構成員。

○近藤構成員
 我々国民が求めるところは、医療における品質、有効性、安全性を確保していかなければならないことであります。色々な施設で色々な医療の工夫が為されていることは承知していますが、その医療はビッグデータ等を統合したりすることにより、現実にどの医療が最も適切であるかということを評価して行く必要があり、その仕組みを作って行かなければなりません。NCには、纏まって国民にとってこのような大事な医療の最前線の判断も担って頂きたいものと考えます。

○永井座長
 ありがとうございます。ぜひこの議論はまだ続けたいと思いますし、お気づきの点がありましたらメール等でお寄せいただけばと思います。
 次の議題にまいります。これまでの御意見を踏まえた組織の在り方及びNCが果たすべき役割たたき台について、説明をお願いいたします。

○松永政策医療推進官
 資料2について御説明させていだきます。
 こちらはこれまでの御意見を踏まえた組織の在り方について、おまとめしたものとなります。
 2ページ目は、これまでの検討会でいただきました主な御意見を事務局のほうでまとめさせていただいたものでございます。NCはこれからも世界最高水準の研究開発・医療を目指すべきであり、データ、生体試料等を有機的につないで、新たなイノベーションを創出すべきという理念。複雑化する患者像に対応するためにも、課題解決に向けた機能的連携や各NCの研究はこれまでどおり継続して行うべきだが、研究支援を横断的に行う機能的連携の必要性があるのではないかといった御意見。各NCの専門性を持つメリットを生かしつつ、フォーマットの統一やデータ共有等への対応、そのための人材の確保やレギュラトリーサイエンスの視点からの収集、必要な情報、関係機関と双方向で補完するハブ・アンド・スポーク機能の必要性等、さまざま御意見をいただいております。
 3ページ目、御紹介したようなこれまでの御意見を踏まえた、求められる機能の例についてでございますが、各NCの研究は継続しつつ、新たなイノベーションの創出や複雑化する患者像に対応するため、NC間の機能的連携が必要であり、横断的な支援機能が必要との御意見をいただいており、各NCが連携して取り組むべき課題と求められる機能の例として表に整理してございます。
 求められる機能として具体的には、疾患横断的なデータベースの作成、知財、生命倫理、疫学・コホートの連携強化、関係機関とのクラスター形成やそういった取り組みを進めるためのリサーチ・アドミニストレーター等の確保や、NC分野横断的な研究能力を持った研究者の育成システムの構築等が考えられます。
 4ページ、そうしたこれまでの御意見を踏まえた組織の在り方について整理させていただきました。
 1つ目の○、NCは世界最高水準の研究開発・医療を目指し、ビッグデータ等を有機的につなぎ、新たなイノベーションを創出するものであるということ。
 2つ目、そのため各NCが持つ強みやスピード感を生かしつつ、機能的連携が図られ、新たに多面的・多様な研究が行えるよう、これから行おうとする研究等の支援機能が必要ではないかということ。
 3つ目の○に、その具体的な取り組みとして各NCが持つバイオバンク、ゲノム、診療情報等が含まれる疾患横断的なデータベースの作成、疫学・コホート研究の連携、共通する事務機能の強化、分野横断的な研究能力を持った研究者の育成など、NC間連携強化の支援に取り組むべきではないかということ。
 4点目、そのためには既存の組織を生かし、実現可能性が高く、各NCの意見が反映できるような横断的機能を有する組織とするため、外部の視点によるチェック機能も必要ではないかということ。
 最後に、国内関係機関とも双方向かつ利他的に機能するハブ・アンド・スポークとしての役割を果たすべきではないかということ。このように整理させていただいております。
 続きまして、資料3にはNCが果たすべき役割につきまして、第5回検討会でお示ししましたたたき台に、第5回、第6回で頂戴しました御意見を踏まえて改正案を作成してございます。
 2ページ、いただきました主な御意見を御説明させていただきます。右側をご覧ください。赤字の部分になりますが、臨床情報に基づいたリアルワールド型データの集積が重要との御意見。
 次に3ページ目、各論になりますが、各NCに対して現状の課題と対応策を具体的に盛り込んで提言してはどうかという御意見を踏まえ、6センターについてこれまで頂戴した御意見等を踏まえて、改正案としてまとめてございます。
 4ページ、研究開発についてになりますが、レギュラトリーサイエンスの実践において主要な役割を担うべきとの御意見や、NCが取り組む基盤的な研究を国がしっかり評価し、支えるべきとの御意見。
 5ページ、電子カルテ情報の共有のための取り組みや質の高いデータ構築のためには、ITガバナンスの統一やデータシェアリングポリシーの策定が重要であるとの御意見。データ共有時は公共の利益を優先すべきとの御意見。横断的なデータベースを整備すべきとの御意見。
 次に6ページ目、データ共有においては国内外でイニシアチブを発揮すべき。MID-NETとの連携の検討の必要性に関する御意見。また、関係機関と双方向の情報共有を行い。補完する利他的なハブ・アンド・スポーク機能を果たすべきとの御意見。そのような利他的な取り組みには、機能強化とともに財政支援が必要との御意見を頂戴しております。
 7ページ目は知的財産関係になりますが、COIへの留意の必要性や、その専門家の確保、統一ルールの必要性についての御意見。組織の在り方としましては、NCの専門性が異なるメリットを生かすべきとの御意見や、新たな1法人を立ち上げるというよりは、現実的な落としどころを踏まえて検討すべきとの御意見。データ統合に向けて取り組むには各NCが協調的に取りまとめられる組織、人材等の必要性があるとの御意見。
 8ページ目、研究支援人材の充実の必要性に関する御意見。
 9ページ目は主に人材育成に関するものになりますが、リサーチ・アドミニストレーターの確保や企業との人事交流の必要性等に関する御意見を頂戴しております。これらの御意見を踏まえ、左側に改正案として具体的な記載を赤字で追記してございますので、これらをたたき台として御議論いただけましたら幸いです。
 私からは以上となります。よろしくお願いいたします。

○永井座長
 ありがとうございます。
 それでは、御質問、御意見をお願いいたします。どうぞ。

○釜萢構成員
 前半の部分でさらに多くの先生方からご意見をいただき、議論が深まったと思いますが、ナショナルセンターが果たすべき役割については、きょうの資料2の4ページに整理されているところでかなり合意ができるのではないかと感じます。
 その中で近藤構成員からインテグレーションというお話がありましたが、私の意見としては6あるナショナルセンターをまた統合するためにもう一つ、その上に大きな組織をつくるというのは現実的ではないと思います。したがって、その6あるナショナルセンターがしっかり連携をしていくという中で、全体としての統一感がさらに出てくるということを狙うべきではないかと感じます。
 その中できょうの資料3に役割についていろいろ整理されていまして、この内容については大変賛同するところでありますが、ぜひこの検討会でもう少し優先順位というか、これを全部やれればそれはすばらしいのですけれども、なかなかそうもすぐには取りかかれない部分もあるだろうと思うので、例えばもう皆様の御了解が得られていると思いますが、レジストリの部分で日本全体をカバーするような体制を構築するためにNCは何ができるかということと、そして永井座長からも散々御指摘がありましたけれども、具体的な医療情報を共有化するためには、電子カルテがちゃんとみんなで共通に見えないとだめなので、そこをどういうふうに基盤整備するかというあたりをナショナルセンターの整備を通じて実現できれば、これがもちろん国立病院機構その他の組織にも広がるし、もちろん大学に広がるし、さらに民間の医療機関にも広がっていくのではないかと思いますので、まず取り組むべき優先課題をしっかり明確にわかるように示していって、全体としての枠組みはこれでいいと思うのですが、少し早く取り組むべきところをしっかりうたって、そして、それにはどういう政策が必要なのか。これはよほど国がしっかりと対応しなければだめだし、場合によっては法律の改正が必要だったりということもあるだろうと思いますので、そのような議論が今後、深まっていくことを願っております。
 以上です。

○永井座長
 ありがとうございます。
 どうぞ。

○河村構成員
 今日の議論をいろいろ拝聴させていただきまして、これまでにもたくさん議論が出ているところですけれども、この6つのナショセンについていろいろデータベースの面、その他の面、いろいろな面で連携が必要ということで、本当にそのとおりだなと思っております。ただ、それをどういう形で実現するのかということで、今日いろいろ組織の在り方とかも含めて事務局から御説明があったということだと思うのですけれども、その連携する機能が現実的に今できるところからどういう形で切り出していくかということを考えることが、優先課題として大事かなという感じがいたします。
 新しく6つの法人の連携すべき機能をまとめるために1つの法人をというのは、ちょっと現実的な話ではない。そのとおりだと思いますし、アンブレラ方式という話も過去のこの検討会の中で出たことがありますけれども、私もそう思っていろいろ独立行政法人の通則法とかひっくり返して見てきたのですが、現在の通則法もそういう持ち株会社方式、アンブレラ方式みたいなことを想定した法律の書きぶりにはなっていないように思いますので、別にやってはいけないとは書いていないのですが、なっていないと思いますので、そこまでお願いするとなると、この通則法を所管しているのは総務省の行政管理局かなと思いますけれども、そういうところとか官邸とかと調整が必要になって大変ということにもなってしまうと思うので、長期的にはそういうものを目指してもいいのかなと思うのですが、とりあえずできるところからどういう形でそういう必要な機能の連携できる仕組み、体制を整えることができるかということを考えていくことも必要かなと思います。
 もう一つ、前半の議論との関係なのですけれども、総務省の政独委から勧告というかいろいろ指摘が来ていて、それに答えなければいけないという話なのですが、これについて何でこういう質問が出てきてしまったのかというと、多分いろいろなことがわかっているようで理解してもらえていないのではないかと思うのです。私なんかもまさに一般の立場なのでよくわかるのですが、こうやってこの検討会に何回も出させていただいて、いろいろな御説明とか議論を伺っていて、そのように例えば小児がんだったらがんセンターだけでやればいいとか、成育のほうだけでやればいいということではないんだなということは、私はよくわかりました。
 だけれども、同じだけの情報が、別に総務省の政独委に対してだけではなくて、国民全体に対して提供できているかというと、多分できていないのではないかと思うのです。ですから国民の側にもいろいろな人がいて、本当に自分がたまたま病気にならずに済んでいると、こういう世界と余り関係せずに済んでいると、知らない国民も実はそれなりにいるわけで、でも自分がそういう立場になったり、家族がなったりすると実際に本当にいろいろ調べたり、いろいろ病院でお世話になったりしていろいろなことがわかってくると思うのですけれども、それが国民全員でもないので、もうちょっと一般に向けて説明することも必要なのではないか。
 そういう意味で意見としては、組織の在り方のところでいろいろどういう機能が求められてくるか、連携するためにどういう機能が求められてくるかというところでいろいろ書き出してくださっているのですけれども、できれば私の意見としては横断的な連携を担当してくれるセクションを何らかの形でつくってくださるとしたら、そこにいろいろお忙しくて大変だと思うのですが、対外広報というものを入れていただきたいなと思います。何で連携するのか。何で小児がんをがん研究センターと成育センターで担当しなければいけないのという素朴な国民の質問が来たときに、実はこれは普通のほかの独法がやっているような仕事とは違うんだよ、研究なんだよと。それはそれぞれの局面からいろいろ研究をして連携していくことによって実はこういうことがわかって、こういう成果があって、それが回り回って私たち国民、いつ、誰が、どういう病気になるかわからないのだから、こういう恩恵があるんだよということをもう少し説明していくことも必要なのではないか。そういう機能も持たせていただけたらと。
 あと、総務省に対して答えを返すときには、何で連携云々ということを説明するよりも、この研究開発法人としてなさるお仕事が、ほかの独法の行政執行法人とかになさるものとは違って、どうしてこうやって重複してやることに意味があるのか、連携すれば意味があるのかということを丁寧に説明することが、逆に相手方の理解を得られることにもつながるのではないかと思います。
 以上です。

○永井座長
 今の点は、連携があれば、ある程度の重複も許されるのだと思います。自然にすみ分けもされると思います。

○河村構成員
 理解できると思います。十分できると思います。

○永井座長
 やはり連携がキーワードです。それをどういう仕組みにするかということについて、皆さんから御意見をいただきたいのですが、いかがでしょうか。

○岡構成員
 資料3の7ページのところから、知的財産に関することを書いていただいておりますけれども、私はたまたま大学のほうで利益相反とか、そういったような担当をさせていただいていて、非常にここの部分がこれから本当に大学も難しいなと思っている部分で、恐らくナショナルセンターの方も同じだと思います。
 ここの部分に関しては、本当に専門家が常に親身になって相談していただくという立場の人がいないと、例えば海外の企業との折衝とか、そういったようなときに非常に日本の研究者が不利になる状況がありますので、そういう意味でぜひNCのところでも強化していただく一つのポイントになるのではないかと思います。決して今、例えば大学等でも十分なそこにレギュレーションが効いているというわけではなくて、試行錯誤しながら進めているという状況がありますので、そういう意味で、それも例えば一つのセンターで年間そんなに新しい知財が物すごくいっぱい出るわけではないので、恐らくこれこそ本当にどこか非常に専門家の方が、ナショナルセンターの方からの相談をいつでも受けられるというような部局が必要なのではないかと思います。これは多職種で、特に法律の専門家が絶対に必要ですので、そういう意味では今後考えていただく必要があるのではないかと思いました。

○永井座長
 6つあるところをどういうふうに仕組みとして作るかなのです。今は1つのナショセンではないわけですから、どうしたらそれができるかということをあわせて御提案いただきたいと思います

○岡構成員
 それは一つということを想定してなのですけれども、先ほどお話したように、1つのセンターが特許で年間何十件もというわけではないですので、ですからそれは本当に私は一つでいいのではないかと思います。ですけれども、そこに企業とちゃんと対等に話せる十分なスタッフが必要なのではないか。

○永井座長
 その仕組みですね。それを別につくるのか、どこかに任せるのかとか、そういうことがこれから議論になるわけです。

○大西構成員
 いろいろな議論を聞かせていただきまして、大変感銘を受けましたけれども、今、座長がおっしゃったどういうふうな考え方で整理ができるかということについて、案を出していくというのはいかがでしょうか。つまり、一部の機能を共有化して、どこかのセンターに置くのか、もしくはいずれのセンターにも似たような機能があるのであれば、それを統合したような形でどこかに責任を持たせて運営していくのか。具体的な例としてレジストリ、電子カルテの共通化、また、知財の管理の強化ということがありましたが、また、研究開発のプライオリティーづけといいますか、そういったこともあるのかもしれません。そういったものをどういう形で、別の法人をつくってそこに機能を持たせることが現実的でないのだとすれば、どこが現実的な範囲なのかということについても具体的なアイデアを挙げながら議論できるとよいのではないかと思います。

○永井座長
 本当に別に法人をつくるのが非現実的なのかどうか、余りアプリオリに決めないほうがよいと思うのです。議論の中で決めていく話だと思いますが。

○大西構成員
 そう思います。

○永井座長
 ほかいかがでしょうか。どうぞ。

○花井構成員
 組織論はわからないのですけれども、どこかのセンターにそういう部門をつくるのは非現実的だと思います。というのは、どこかがやると連携しなくなるというのはナショセンと言えども同じで、なのでそれぞれのセンターのデータベースに詳しい人たちが集まって、場所は別にどこかでもいいかもしれませんが、逆に言えばどこかにある法人の中でその機能を担わせるほうが非現実的で、ということは逆算すると本来、新しい法人を、法人をつくるのはお金がかかるからインフラ自体はどこかに、土地とかがあるわけだからいいので、むしろ新しい法人をつくるほうが話はきれいなような気がします。それこそPMDAとかAMEDさんとかいろいろあるのですが、ファンディングするところがそれというのも厳しいだろうし、そういうことを考えるとお金をかけずに新しい法人をつくるほうが、はるかに現実的な気がします。
 もう一点、連携のときに例えばランニングコストの話が出ていましたが、今、近藤理事長も来られているのですが、MID-NETはいろいろお金をかけているわけですけれども、あれは結局、企業の開発にそれを使えるというメリットがあるわけです。開発というのは市販後の安全対策についてMID-NETを使用させてもらうことによって、企業がお医者さんに例えば再審査のためにいろいろなコストをかけたりしたものを、例えばMID-NETを使ってある程度コストダウンできる。そのコストと見合うだけのコストであればMID-NETにお金を払うということにメリットを見出しているわけで、だからもしデータベースそのものを運営するのにある程度企業をということであれば、やはり研究開発の使用に、例えばこのデータベースだったら希少な新薬開発のときにシングルアームで、こちらはコントロールとしてPMDAは認めますよというような形があれば、そのデータベースの使用料を払っても別にコントロール群をリクルートしてやるよりはるかにコストが安いということで、企業もメリットがあるとか、4ページの一番下に利他的という言葉が書いてあって、これは非常にいい言葉だと思うのですけれども、サービスを提供するからみんな一つのエコシステムに集まっているというのは、いろいろな先行成功例の必然で、ナショセンが例えばデータベースなりそういったサービスを提供してあげないと、それに皆さんが協力的にならないので、もし企業の方にするのであれば、その企業がある程度お金を払う価値があるように設計しなければいけないとか、そういうところから考えたほうがいいように思います。
 そういうことから考えると、そういうことも含めてストラテジーがあって、あといろいろタクティカルなことを考えるにしても、新しい革袋というのはそんなに悪い案ではないかなとは思います。

○永井座長
 どうぞ。

○河村構成員
 機能の考え方なのですけれども、新しく1つの法人となると財産的基礎を誰がどう出資するかとか、そういう話もどうしても現実問題、出てきてしまうと思うのです。それはそれで否定するべきではないのかもしれません。それはそれで一つ置いておいて、もう一つあり得るとすれば、6ナショセンの中のどこかの一つのナショセンのところにセクションをつくって、多分ナショセンとしての根拠法の改正などかが必要になるのかもしれませんけれども、例えばデータベースの話とか、知財の話とか、御担当の方がそれぞれのナショセンにいらっしゃるわけです。それぞれのナショセンにいらっしゃる方がどこかの一つのナショセン、どこがいいのかそれはわかりませんけれども、では仮に国際医療研究センターに仮に置くとしますと、そこと兼務できるような形で統合的な、横断的な機能を果たす。人は各ナショセンから出るけれども、そこで兼務できるような形で統一的な機能、横断的な機能を果たす。現状のままもしできるとすれば、でもそこは各ナショセンごとに根拠法がおありになるので、済みません、そこまで私は細かく見ていませんけれども、そこを改正する必要があるのかもしれませんが、比較的制度的には割とやりやすいやり方かなと。

○永井座長
 花井構成員の御意見は、人情的にどこかに任せるとうまくいかないということなのです。

○河村構成員
 そこはちゃんと考えなければいけませんけれども、別につくるとなると財産的基礎をどこから持ってくるのか、そういう横断的な機能を果たす法人というのは、それも国立研究開発法人なのですかと。それは独法に類型は3つありますから、どれにするのかという話も出てきてしまってややこしいというか、ちょっと時間がかかってしまうかなということです。

○花井構成員
 新法人方式といって新しい法人と言うのですけれども、例えば最初に思いつくのはタスクフォースをつくって、各法人からタスクフォースのそれに係る仕事師を集めてきて、給料はそれぞれの法人からもらった人たちが集まってきて、そこで共通の仕事をチームでやるという方式も考えられると思うのです。
 そのときに、ここまで大きい話はともかくとして、今までボスが誰なのかとか、そういうガバナンスとの関係で誰の言うことを聞くかとか、余り外様でスペシャリストばかり集めると、そこが浮いてしまって専門家集団の知能集団が勝手なことをやっているとなったり、いろいろなことがあって、そういったことを乗り越えられるのであれば、もちろんコストダウンという意味ではタスクフォース方式で集めてくるというのもありなのですが、医療機関の場合はそういうものは結構今まで見てきているとボスが誰かとか、ガバナンスのどこの位置にあってとか、その場所においてその人の持つ政治力というか、うまくいろいろな人に協力を得られるような発言力というのはすごく影響してしまって、結局うまくいかないという例も幾つか見ているので、そういう側面は先生方が詳しいと思うのですけれども、そこを考えて組織体制は考えてほしいということで多分、私は法人も一つの案だという提案をしたのです。

○永井座長
 最近、医療法人などではホールディングカンパニーもありますが、それは適用できないのでしょうか。そういう検討も必要だろうと思うのですが。

○本田構成員
 私も組織論という意味ではわからないのですけれども、NC全部を一つにしろというのは壮大過ぎて、見えない感じがするのですが、統一的な機能を果たさなければいけないものを、それぞれが集まってとなっても結局、私は花井さんと同じでスタッフとして、働く側として皆さん割とボスの立場の人が多いと思うのですが、働く側としてはどちらを見て働くかとなってしまうというのが現実で、評価されるところの顔色を見てしまうというものは最終的には絶対に起きることなので、組織論として法的にどうなのかというのは私はわかりませんけれども、そこは統一した何か違う形のもの、どこかに所属で集まってくるというのは、その後、連携という意味でどうなのだろうというのを感じました。

○永井座長
 山口構成員、どうぞ。

○山口(育)構成員
 私も花井構成員と本田構成員とほぼ同じなのですけれども、先ほど河村構成員が兼務でとおっしゃったのですが、今までのヒアリングをお聞きしていると、かなり少ない人数で、ぎりぎりのところでやっているところにさらに兼務ということが現実的なのかなと疑問を覚えました。非現実的なことを議論しても仕方がないので、そのあたりは事務局にお聞きしたいのですけれども、もし兼務というようなことを想定するとしたら、今できる現状にあるのでしょうか。

○樋口医療経営支援課長
 おっしゃるとおり現実的には今、山口構成員がおっしゃったとおり、各センターともぎりぎりの人員でやっているところが事実でございます。したがいまして、共通機能を担う人材をどうするかということになりますと、効率化する部分はある程度、各センターの一部の人員も集める対象になり得ますけれども、それ以外のところ、はるかに今もともとが足りていない状況でございますので、新たに人材確保する必要があろうかと考えているところでございます。

○永井座長
 結局、求心力を高めて研究費を獲得しないと、研究は動かないと思います。

○祖父江座長代理
 私も兼務というやり方で中の人が出て行くということになると、日本のどこの組織でもそうですが、もとの利害で動いてしまっているという関係が見えますので、私は先ほどのビッグデータとかレジストリとか知財とか、そういうものはプロフェッショナルが必要なのだと思うのです。各ナショナルセンターがそこへ物を持ち込んでというか、相談して一緒に研究して利益が得られるという形の組織になれば、皆さんがそこへ相談するということになると思います。兼任で横糸的にやろうとしたことがむしろなかなかうまくいっていないような感じがするのです。
 ですから今回、一度トライ・アンド・エラーではないのですけれども、そういう別組織の要素を入れていったほうが見える形になるのではないかというのは個人的に思っています。恐らくそこはもう少し議論をやっていかないと最終的にはいけないのだろうと思いますけれども、やはり今、ナショナルセンターで非常に不足しているのは、いろいろなものを前に進める人材がいないのです。例えば数学ができる人はどれぐらいいるかというと、ほとんどいないです。外国と対等にいろいろ知財などやりとりできる人がどのぐらいいるかというと、なかなかいないです。ビッグデータもそうです。それからレジストリと言いますけれども、レジストリは非常に高い構想力を持ってやらなければいけない。そういう構築できる人がどれぐらいいるかというと、なかなか難しいところです。
 ですからそういう世界標準あるいはさらに先に進めるような力のある人を、私は外国から呼んできてもいいのではないかと先ほども申し上げたのですが、大学は結構最近、外国の人が、特に数学なんかの人がどんどん入ってきているのですけれども、ナショナルセンターであまり見たことがないのです。ですからそういう開かれた形の枠組みというのも、私は非常に大事ではないかと思っております。

○永井座長
 シニア・リサーチアドミニストレーターが6ナショセンで10人なのです。これだとちょっと無理ですね。1ナショセン2人弱。これで産学連携や共同研究を行うのはまず難しい。多分そういう体制が影響を及ぼしているということは容易に読み取れます。

○釜萢構成員
 先ほど座長が御指摘なさった議論の幅を狭めるべきではないということの中は、今6つある法人を1つの法人にしてやるということも先生としては選択肢とお考えなのですか。

○永井座長
 個人的にはそこまで考えていませんけれども、共同・連携するためのシステムを、どこかにぶら下げてということにこだわるべきではないということです。

○釜萢構成員
 どこかにぶら下げてということは考えられないと思います。ですから、今、議論になっているレジストリだとか、あるいは知財とかのその部分について共通の組織を新たに立ち上げるということについては、別に何も反対ではないと思います。

○永井座長
 組織と言ったときに、どこかにぶら下げるのか、新たにそこは独立させるのかというのは、大きな議論になるだろうと思います。

○釜萢構成員
 そうですね。わかりました。

○末松構成員
 必要なアイテムが予算の確保、どこにどういう人材が要るか、それから、知財のマネジメントをどうやるか。データベースをどういうふうに研究開発の中で研究者の皆さんにつくってもらうか。それから、どことどこの病院がどういう連携をやっているか。一部の疾患でレジストリを統一的フォーマットでつくる努力をした経験のあるところ。今、申し上げたところは、ファンディングエージェンシーとしては我々はお金を配っているだけではなくて、今、申し上げていることを包括的にやらせていただいています。
 それを進めるのに3年かかってようやっと知財のネットワークとか、データベースのノウハウなどが部内でようやく動き始めたところです。つまり300人で始まった新しい法人で今は少し人数が増えましたけれども、それをやるのにもそのぐらいの人数で3年かかって、先ほど祖父江先生から御指摘があったような、当初はあったかもしれませんけれども、省益の引っ張り合いみたいなことは全くないです。はっきり言って。それぐらいの労力がかかって、それをようやっと外の人たちに使ってもらうというところまで来ました。
 私はナショナルセンター6つのそういうサービス、我々がサービスを提供して、サービスを受ける側の体制がさっき永井座長がおっしゃったように人材も確保できないし、運用費の問題もあって、なかなか国のファンディングでもそういうデータベースの構築とか、医師以外の人を恒常的に雇用できるような仕組みがファンディング機関として提供できていないというジレンマが我々のところにはあります。もしそういうものがナショナルセンターの中に機能的な横連携の機能体ができるのであれば、それは我々にとっては大変ありがたいことで、我々とその新しい機能体がインターフェースになれば、ナショセンの機能が非常に強化されるだろうというのは私も全く同意見です。
 ただし、新しくつくった法人は、先ほど法人をつくればいいのではないかという話がありましたけれども、ここの人数を確保したり、予算を確保したりするのがいかに大変かは永井先生が一番御存じではないかなと思います。そんな簡単なことではないと思います。
 一応、コメントということで。

○永井座長
 いかがでしょうか。門田構成員、どうぞ。

○門田構成員
 先ほどから6法人か、あるいは1法人かどうか、別の組織をつくりながら連携ができるようにするかとか、いろいろなディスカッションがあるのですけれども、永井座長はっきりおっしゃらなかったのでお願いなのですが、いろいろなことをばらばらにやっていることの問題はみんな意識しているけれども、それをどうするか。連携という単語で何とかしていこうということも一つですが、これは1法人、本田さんは膨大過ぎてということをおっしゃったのですけれども、今141ある国立病院は1法人です。ですからその方向性も一つの選択肢であって、その利点・欠点をちゃんと整理して、そして1回検討しておくべきではないのかなと思いますので、私は事務局のほうにぜひそういう形の資料を次回に改めてつくってほしいなと思います。

○永井座長
 産総研も昔は別々の研究所を1つにしたわけですね。例がないわけではないようです。

○河村構成員
 今、門田先生がおっしゃられたとおりで、どれがいいと申し上げるつもりはないのですけれども、頭の体操というか整理として考えると多分3つぐらい方式があるのではないかと。ですから制度上まだ想定されていないが、ホールディングスのような形にする、アンブレラ方式にする形が1つです。もう一つがおっしゃられたように国立病院機構のような形で1つヘッドクォーターがあって、その下に141病院ぶら下がっていますけれども、ああいう形に持っていく。1つの国立研究開発法人、その下にナショセンが1つずつという法人格とするかという話が1つ。もう一つは先ほど私が申し上げた、本当にどこかのセンターの中に一つ設けて兼務するような形に持っていくかとか、多分その3つぐらいが大きな、選択肢ではないか。どれがいいかというのはそこで考えなければいけないので、それをもとに例えば事務局のほうで実際に法律上ちゃんと想定されているかどうかとか、そういう現実的なところを考えていただいて、ではどういうふうにやっていくのがいいか議論してもいいのではないかと思います。

○永井座長
 山口構成員、どうぞ。

○山口(俊)構成員
 6つの法人の中で国立国際医療研究センターはあらゆる診療科を持っているということ、それから、理事長が話していましたが、今後はがんの治療についても強化するのだということでした。それから、救急医療もやっていますし、もしどこかに置くとしたらここがふさわしいところで、形式については先ほどおっしゃったようにいろいろな形式があると思いますけれども、どこかが全体をまとめる役割を受け取るとしたらここしかないのではないかと思います。

○祖父江座長代理
 これは最後の形として提案型で両論併記でもいいのですが、形を見せるというところまで。

○永井座長
 どんな形でまとめをするかですね。いろいろな可能性を残してのまとめもあり得るのか、あるいは一本で議論を尽くすか、そこは事務局としてどうお考えでしょうか。

○樋口医療経営支援課長
 最終的にこの在り方検討委員会の場で合意形成できれば、それをもってすべきだという御意見を頂戴いただくのが一番、事務局としてはありがたいことでございます。仮に議論が一部まとまらない部分等ある場合には両論併記という形もあろうかと思いますが、基本的にこの検討会の場で合意いただくのが一番ありがたい形かなと考えております。

○永井座長
 タイムスケジュールはどのようになっていますか。

○樋口医療経営支援課長
 以前も申し上げましたけれども、12月までに取りまとめを行えればと考えておるところでございます。

○永井座長
 大西構成員、どうぞ。

○大西構成員
 いろいろな制約条件がある中での議論になっているということですが、その点については現実問題としてそのとおりだと思います。ただ、新しい組織のイメージをつくるということが求められていることだとすると、その組織がどのような理念で、どのような機能を持っているべきなのかということについては、何とかきちんとした形でまとめるのが良いのではないかと思います。それがある意味、組織の設計の出発点になるのではないかと思います。
 先ほど来、出ているお話から議論の対象になる機能としては、以下があると思います。研究開発についての戦略作りと各研究開発についての評価ができること。それから、レジストリもしくは電子カルテ、ビッグデータといったものの取りまとめができること。さらには知財、そして海外もしくは企業との窓口といった機能。これらの機能が必要とされており、それをどうやって実現するかということが大きなテーマであり、そのことが重点なんだということで、 一旦はきちんとした形にしたほうが前に進むのではないかと思います。

○永井座長
 確かに法律論とか組織論になるといろいろな御意見が出てきて、まとめるのがかなり難しいような気もします。少なくとも今、大西構成員が言われた理念、在り方についてはしっかりまとめる必要があるし、これまでの議論をお聞きしていると大体皆さん、考えていることは同じような気がします。できたら次回、これまでの議論、特に本日の議論を踏まえて理念のところをしっかりたたき台をつくって皆さんにお諮りいただければと思います。組織論についてはまだ2カ月ありますので、もう少し議論を重ねたいと思います。
 他にいかがでしょうか。花井構成員、どうぞ。

○花井構成員
 「べきではないか」と書いてあるではないですか。取りまとめを12月にするのだったら「べきである」にして合意して最終文書の文体で出してもらう。最終ではないということではないですね。12月であれば最終文体でこんな感じという枠組みを示してもらったほうが、こういう書き込み方ができるということを考えていろいろ議論ができるので、そういう資料を出してください。

○樋口医療経営支援課長
 おっしゃるとおりでございまして、次回11月にございますけれども、その際にはそういった形でお示ししたいと思っておりますし、今回、御指摘いただきました整理すべき論点もあわせて整理させていただいた上で、事務局案的なものもお示しできればと考えております。

○永井座長
 よろしいでしょうか。祖父江座長代理、どうぞ。

○祖父江座長代理
 今の議論で最終的には形を示すというところまで持っていければ、それは非常に提案としては国民にも見やすい形になると思うのですが、先ほど来、議論が出ているように、なぜそれが必要なのか、どういう理念のもとでそういう形をとるのがいいのかというところがわからないと、そこの説明なしに形だけ来ると変ですので、その議論はもうちょっとやっておく必要があるのではないか。大体皆さん頭の中ではマチュアになりつつありますけれども、何が必要かということ。ただ、形の議論はまだこれから、今、始めたばかりですので、なぜそういう形をとることがいいのかということを示せるような論理の構築が非常に重要だと思います。

○永井座長
 あと何か御発言ございませんでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、ほぼ予定の時間となりましたので、本日はここまでとしたいと思います。
 次回日程等、事務局から連絡をお願いいたします。

○太田医療・研究開発独立行政法人管理室長補佐
 次回の会議の日程につきましては、11月15日の16時から開催する予定となっております。場所は今回と同じ厚生労働省専用22会議室になります。

○永井座長
 ありがとうございます。
 それでは、以上で本日の在り方検討会は終了いたします。どうもありがとうございました。