第10回労働政策審議会人材開発分科会 議事録

人材開発総務担当参事官室

日時

平成30年9月28日(金)10:00~12:00

場所

厚生労働省共用第6会議室(3階)

議題

1 一般教育訓練給付の拡充に係る対象講座について
2 平成31年度予算概算要求の概要について
3 その他

議事

 
○小杉分科会長 定刻若干前でございますけれども、出席予定の方は皆さんいらっしゃいます。また、定足数にも達しております。
ただいまより、第10回「労働政策審議会人材開発分科会」を開催いたします。
本日は、お忙しい中、御出席いただきまして、大変ありがとうございます。
本日の出欠状況ですけれども、浅井委員、高田委員、臼田委員、美野川委員が御欠席です。また、遠藤委員におかれましては、少しおくれて御参加と伺っております。
議事に入ります前に、7月に人事異動のあった事務局メンバーで8月の前回人材開発分科会では出席できなかったメンバーについて、紹介させていただきます。
毛利能力評価担当参事官です。
平嶋海外人材育成担当参事官です。
菱谷訓練企画室長です。
それでは、議事に移ります。
議題は「一般教育訓練給付の拡充に係る対象講座について」です。
内容につきまして、事務局から説明をお願いいたします。

○伊藤若年者・キャリア形成支援担当参事官 若年・キャリア担当参事官でございます。
議題1にかかわりまして、お手元の資料1-1~1-3に基づきまして御説明申し上げます。
人づくり革命基本構想などを踏まえました一般教育訓練給付の拡充の対象講座のあり方に関しましては、前回の第9回分科会におきまして、現行制度・実態を御確認いただきますとともに、検討の基本的視点などについて幅広く御意見を頂戴したところでございます。ありがとうございます。本日は、前回の御議論も踏まえた上で、今回の見直し、基本コンセプトの御確認をいただくとともに、より具体の制度設計に結びつく方向性などを含め、さらに幅広く御審議いただければと思います。
お手元の資料のうち、資料1-1に関しましては、前回頂戴いたしました主な御意見・今後の課題等を要約し整理させていただいたものでございます。適宜御参照いただければと思います。
次に、お手元の資料1-2でございます。
この御審議いただきたい主な論点についての資料に関しましては、前回御説明申し上げましたような人づくり革命基本構想などに示された本件にかかわる政府方針、また、現行の一般教育訓練給付制度・実態、関連する諸制度なども踏まえ、当然のことながら前回の本分科会で御審議いただきました意見等を反映した上で、本日のこの分科会におきまして事務局として御審議いただきたいもの、と考えております。
主な論点は、大きくは3点ございます。
「1.一般教育訓練給付の拡充の対象講座のコンセプトについて」でございます。それぞれ、この後に御説明いたします資料1-3の関連部分との対応づけもさせていただいております。1に関しましては、人づくり革命基本構想に示された「キャリアアップ効果の高い」という基本コンセプトを、社会的有用性という観点を含め、具体化、差別化すべきという点。また、その際、人手不足分野での人材確保、生産性向上寄与、就職実現に向けた即効性の高さなどを「キャリアアップの高い」という基本コンセプトの具体的視点として位置づけてはという点。さらに、今、申し上げましたような個々の講座の質保証の観点にとどまらず、給付制度全体として、職業分野や能力水準、受講者のターゲットあるいはキャリアアップの類型などの主要な着眼点に鑑みた全体としてのカバレッジ、バリエーションの幅なども点検する必要があるのではないか。さらに、企業が主体となるべき教育訓練と自己啓発の関係性、また、自己啓発の実態・課題などを踏まえた検討とすべきという点。さらに、本制度は雇用保険制度の一環としての位置づけを踏まえて具体の制度設計について検討すべきといった点を整理させていただいております。
「2.具体の対象となりうる各講座類型について」。もとより、ただいま申し上げました1の基本コンセプトにかかわる議論を踏まえた上で、人づくり革命基本構想などに示された方針等々を踏まえるならば、少なくとも以下に掲げる課程類型については、この対象講座としての検討対象になるのではないかという点。次のページでございます。こうした検討を具体化していく上で、対象講座の質保証をわかりやすく、また、確実に行う観点から、専門実践の制度設計も参照し、対象課程をいわゆる「ポジティブリスト方式」で特定することが考えられるのではないかといった点に触れた上で、具体的な検討対象に関しまして、現行一般教育訓練で制度上も実態上も対象となっているもの、現行の一般教育訓練で制度上は対象に位置づけ得るが実態としてはまだ計画段階のもの、大きくはその2つに分けた上で、前者の類型に属するものとしては、ここでは仮にAとさせていただいておりますが、公的職業資格の短期の養成課程や試験合格を目標とする講座など、また、Bとして、情報通信技術、IT試験の合格を目標とする講座という2つの検討対象を掲げさせていただいております。後者の類型に関しましては、新たなITパスポート試験合格目標講座、また、文科大臣が認定する短時間のプログラムを、それぞれここではC・Dということで掲げさせていただき、それぞれ類型ごとの具体的な想定される論点についても触れさせていただいているところでございます。それぞれ関連する制度等については、具体的な資料で補足説明をいたします。
次のページでございます。「3.一般教育訓練給付の拡充の対象講座の訓練効果の評価方法等について」でございます。対象課程類型を特定した上で、講座ごとの指定基準について今後御審議いただくことを想定しているところでございます。その際、対象講座ごとに見込まれる訓練効果の評価方法などに照らして、指定基準のあり方を検討する必要があるのではないか。客観性、紛れのなさが求められるのではないか。専門実践教育訓練の制度設計(指標・水準)も参照しながら検討すべきといった点について、言及させていただいております。
続きまして、資料1-3に基づきまして、ただいま申し上げました論点と関連づけて、実態・関連制度等を御報告申し上げたいと思います。
まず初めに、論点の大きな1に関係する諸資料でございます。前回御提出した資料で特に基本的なものについては、今回、再掲的に提出しておりますが、全く同じ資料については、時間の関係で説明を割愛させていただきます。
最初に、4ページをご覧いただけますでしょうか。先ほども論点1で申し上げました自己啓発の実態・課題等にかかわる資料でございます。能力開発基本調査の中で、自己啓発、職業生活を継続するために行う能力を自発的に開発・向上させるための活動という定義づけでございますが、これにかかわる個人調査、また、企業調査、関連する部分を抜粋したものでございます。自己啓発を行った者の割合は、正社員でも42%強にとどまっております。行わなかった者に関しまして「自己啓発に問題を感じる」者の割合が8割強に上っております。その際の具体的な問題点としては、右側にございますように、大きくは時間の問題、経費の問題という回答が得られているところでございます。教育訓練給付制度は、この経費の問題にかかわる支援制度と整理することが可能ではないかと考えております。
次のページをお繰りください。次に、前回も御指摘がございました費用負担の実態等でございます。自己啓発を行った者の費用負担の分布をグラフで整理しております。この自己啓発は、いわゆる自学自習あるいは無償の講座受講なども含まれ得るということで、前回、既に口頭でも御報告申し上げておりますように、0円あるいは大変廉価なものが多数を占めている状況でございます。例えば、2万円以上という切り口で見た場合には2割強、あるいは10万円以上という切り口でとった場合には1割弱といった実態でございます。教育訓練給付制度に関しましては、このグラフでいいますと右側、少数ではございますけれども、自己啓発に高額負担を行っている部分への支援制度と整理することが可能ではないかと考えております。次に、自己啓発の費用補助の有無でございます。左下でございます。正社員に関しましても何らかの費用補助を受けた者が41%強という実態でございまして、このうち、補助主体の内訳を見た場合には、右側のグラフにございますように、圧倒的多数が勤務先の会社、教育訓練給付は少し古いデータということもございますが、かなり少数にとどまっているところでございます。
次のページでございますが、企業調査、企業の側の自己啓発支援の実態を把握したデータでございます。企業の側に問うた場合、従業員個人の自己啓発に支出を行っている企業の割合が26%強でございます。これを対象として具体的な支出費用を把握したものでございます。総額としては、140万を平均で支出しておりますが、1人当たり平均額という意味では4,000円でございます。したがいまして、アベレージとしてみた場合には、大体350人ぐらいの規模の企業が、1人当たり4,000円、計140万円という実態と整理ができるかと。もちろん分布はございますけれども、アベレージで捉えた場合には、高額の負担を行った自己啓発に対しての企業の今の支援の実態については、一般的には必ずしも十分とは言えないという見方ができるのではないかと思っております。入念に申し上げますと、今、申し上げましたのは、あくまでも個人の自己啓発に対する企業支援でございますので、企業みずからが行う教育訓練についてはこのデータとは別の世界のものであることを付言させていただきたいと思います。
次に、これもまた論点1にかかわる事項でございます。社会的有用性という観点で前回も御質問いただいております人手不足・人材確保への対応という観点で、幾つかの基礎資料を御提示しております。8ページ、9ページが、足元の人手不足の状況にかかわるデータでございます。
8ページは、職業別の有効求人倍率、ハローワークデータをお示ししたものでございます。現行の求人倍率水準に鑑みまして、これを上回る有効求人倍率2.5倍以上、固まりが一定以上、有効求人数が10万件以上、さらに2つの折れ線グラフがございますけれども、×の折れ線グラフ、正社員に限っての有効求人倍率が一定水準以上という捉え方をした場合には、この赤点線にございますような、建設関係、介護関係、自動車運転関係、社会福祉関係といった職業が、今、申し上げたような基準での人手不足該当ということが言えると思っております。ただし、本データはハローワークの業務取扱いに基づくものということで、一般的には人手不足が顕著と言われております情報処理分野については、ハローワークのカバレッジが影響していることもございましょうが、このデータでは比較的低目に出ているといった点については留意が必要であると思っております。
次のページが、産業別の人手不足状況、労働経済動向調査に基づく、いわゆる雇用DIでございます。職業・業種という違いはございますが、大体先ほど申し上げましたようなデータとほぼ同じような傾向が出ていると見てとっているところでございます。
10ページ以下でございます。ただいま申し上げました足元のデータで見た場合に、人手不足が顕著と言われる代表的な業種に関しまして、それぞれの業所管庁で整理しております人手不足の現状、その要因、中期的な需給見通しなどにかかわる公表資料について、建設関係、運輸関係、介護関係、IT関係ということで、それぞれ基礎資料として御提示しているものでございます。それぞれ整理の着眼点は若干異なりますけれども、今後、10年あるいは15年というタームで見た場合でも、それぞれの分野において、一定の人手不足、供給不足が見込まれるといったことが共通的なデータ傾向ではないかと見てとっているところでございます。もとより、こうした人材不足、需給逼迫に係る要因は、この資料にも示されておりますように、労働条件面など、要因は多岐にわたるものでございまして、教育訓練の拡充が唯一の処方箋ではないことは言うまでもないところでございます。同時に、今、申し上げましたような業種については、業務独占等のウエートが高い、あるいは技術水準がパフォーマンスに決定的な影響を及ぼす等の特徴を持っているのではないかともあわせて認識しているところでございまして、そうした意味では、人手不足にかかわる政策手段として、教育訓練、人材育成が有力な政策手段の一つであることは言えるのではないかと思っております。
17ページ以下でございます。これも論点1にかかわりまして、給付制度全体としての幾つかの着眼点のもとでのカバレッジ、バリエーションという観点で整理をさせていただいた資料でございます。
最初に、17ページをお開きいただけますでしょうか。本資料は、前回もこれに大変よく似た資料を御説明申し上げております。若干見直しをした点といたしましては、この中段の茶色の点線の部分が、今回御検討いただく対象の部分でございますけれども、前回の御議論も踏まえた上で、コンセプト案といたしまして、即効性のあるキャリア形成ができる、社会的ニーズが高く就職実現・キャリアアップとの結びつきの強さを客観的に評価できる教育訓練ということで、信頼性・市場価値が高い資格取得に直結、あるいは資格取得に準ずるものとして国が認定という考え方を改めて整理・提示をしているところでございます。また、新しくできるタイプの講座に関しまして、この現行2割の一般教育訓練給付の対象となり得るかという議論を整理し、さらに高率給付の対象になり得るのか。そういう2段構えの議論が必要であるという御意見も先般頂戴しているところでございます。そのことに関連いたしまして、入念的に、後ほど別の資料でも御説明いたします新たな「ITパスポート」試験合格目標講座、あるいは文科大臣認定の大学・専修学校の短時間のプログラムについて、もとよりこれから具体的な立ち上がっていくものでございますが、制度上は、それぞれ計画どおりに立ち上がった場合には、一定の要件を満たす講座については今の一般教育訓練給付制度の対象になり得るという点について触れさせていただいているところでございます。
次の18ページは、前回も御説明申し上げました人づくり革命基本構想等の基本的な考え方に基づきまして、資料1-2、論点2でお示ししております検討対象となり得る課程類型について、改めて1枚紙で整理したものでございますが、その一番下の囲みにございますように、こうした検討対象となる課程類型について、個々の適格性にとどまらず、全体バランスを勘案する上で、専門実践の対象講座との整合性、職業分野・能力水準等々の観点でのカバレッジ・バランス、人づくり革命での学び直し需要ターゲットや、想定されるキャリアアップ類型との適合性等の観点から検証が必要ではないかと一旦整理をさせていただきまして、ただいま申し上げました4つの視点に基づきまして概念図的に整理をしたものが19ページ以下の4ページの資料でございます。
まず、19ページは、専門実践教育訓練の対象講座と、今回御検討いただく一般拡充の検討対象講座の関連性について概念整理をしたものでございます。縦軸は就職・資格取得等のアウトカム評価の軸でございます。横軸は、時間数・学習量等の課程類型の要件に係る軸でございます。こうした軸を設定した場合には、現行の専門実践教育訓練の7つの課程類型と、今回御検討いただきます一般教育訓練給付の拡充検討対象課程類型については、横置きの関係になるのではないか。アウトカム評価についてはおおむね同等の質を満たすものとして、時間数・レベル等の観点で差別化されたものと整理可能ではないかという意図の資料でございます。具体的には、この専門・拡充一般のいわば対置される関係について、3つほどのパターンがあり得ると考えております。1つは、時間数でございます。上の専門でいいますと○1~○4に相当する部分でございますが、業務独占・名称独占の養成課程、専門学校の職業実践専門課程、大学等におけるBPに関しましては、120時間以上かつ一定のパフォーマンスを示すものが専門、それに対しまして、今回御提案申し上げております一般拡充の検討対象については120時間未満、文科省サイドで60時間以上という制度設計が予定されているところでございます。こうした時間数での差別化というパターン。2つ目のパターンとしては、レベルでの差別化。情報通信技術に関しましては、現行の専門はITSSレベル3以上でございます。これに対しまして、今回の一般拡充の中でITSSレベル2相当の講座について御検討いただきたいと考えているところでございます。対置の類型3つ目でございます。「人材としての協働関係」とワーディングとして整理をさせていただいております。第4次産業革命スキル習得講座に関しましては、特に高度先端的なIT利活用を担う情報通信技術者養成のための講座でございます。後ほど別の資料でも御説明申し上げますように、新たなITパスポート試験合格目標講座で養成をしようとしている人材は、こうした第4次産業革命スキル習得講座修了者といった先端情報技術者と協働して、それぞれの企業において事業における高度ITシステム導入・企画・運用等にリーダーシップを発揮する人材という考え方について、経産省からも説明を受けているところでございます。それぞれの具体的な考え方については、またほかの資料で補足をいたします。
次が、職業分野・能力水準等の関係でございます。こちらは、縦軸が到達目標とする能力水準やそれを反映した期間、横軸が対象職業分野でございます。濃い色で表示しておりますのが現行の専門実践の対象でございます。専門実践の対象分野に関しましては、中長期キャリア形成・長期の教育訓練ということで、職業分野で見ると、例えば、車両重機運転、建設・製造といった分野では、個人を対象としたそもそも長期の教育訓練はほとんど存在しないことから、今、いわば空き地が発生している状況でございます。今回御検討いただきたいと考えております一般拡充の検討対象の講座に関しましては、時間数等の観点では専門よりも短いものに関し、職種等の観点でいうとよりバリエーションを持った形での布置が可能というイメージをこの資料で御確認いただければと思っております。
次の21ページ、人づくり革命に基づく学び直しニーズとの対応関係でございます。100年構想の中で、左にございますような非常に多様な学び直しのニーズが課題として確認され、専門実践教育訓練において、典型的には高度先端IT技術者などでございますけれども、既にこうした学び直しニーズに直結対応する課程類型は御整理いただいているわけでございますけれども、なかなか今の専門実践だけでは対応し切れない学び直しニーズあるいは人材像があることも事実でございます。今回御検討対象としていただく拡充一般の課程類型を追加することによって、こうした学び直しニーズにもよりバラエティーを持って対応できるのではないかという考え方でございます。
さらに、今申し上げたことをキャリアアップ類型という観点で見た場合の資料が22ページでございます。類似の資料を専門実践の3年後の見直しでも御提示しておりました。垂直型のレベルアップ、いわば横出しのキャリア拡大、さらにはキャリアチェンジ、こうした4点ほどの能力開発を通じたキャリアアップの類型を想定した上で、このたびの一般教育訓練の拡充によりまして、それ自体が、今、申し上げましたようなキャリアアップ、横出しキャリアチェンジに資することが想定される。あるいは、拡充一般と専門実践教育訓練を段階的に受講することによってこのラダーを上がっていくことが期待されるというイメージを、こちらの資料で御確認いただければと思っているところでございます。
次に、論点2にかかわる資料について、24ページ以下で御説明申し上げます。
まず、国家資格・短期の養成課程等の関係、24ページはほぼ同じような資料を前回御提示しておりますが、今回、御検討いただきたい領域を明確化するということで、赤点線で示しております。国家資格養成課程等で専門の対象になっているもの以外のもの、また、業務独占、名称独占、必置の当該資格取得を目標とする講座でございます。
現行の一般の対象講座に関しまして、前回、一定数以上のものをお示ししておりました。少数のものについても幅広く提示をと御指示いただいておりますので、25ページ、26ページに御提示しております。
また、今後、資格合格率等を講座基準として設定することを念頭に置いているということで、極めて代表的な資格に関しましての現行の受験合格率等の水準を公表資料に基づいて御提示しております。
28ページは、前回と同様の主要な資格ごとの受給実績でございます。
29ページ以下に、これまで余り御説明申し上げておりませんが、先ほど24ページの枠組みの中で御説明した国家資格関係のさまざまな講習のうち、介護職員初任者研修、生活援助従事者研修、また、看護師を対象としたいわゆる特定行為研修の制度の概要についてお示ししているところでございます。それぞれの解説にございますように、当該研修を修了することによりまして、介護分野あるいは医療分野における特定分野への従事が可能になるということで、狭義の業務独占資格ではございませんけれども、それに準ずる効果を持った講習ということで御理解いただければと思っております。
次に、現行の一般教育訓練給付受給者のうち、受講開始時点で離職者であった方の就職状況、32ページは、前回御説明申し上げました全般的な状況でございます。
次の33ページで、この内訳といたしまして、今ほど申し上げました、業務独占、名称独占、必置の取得を目標とする講座に限った場合の就職パフォーマンスがどうなるかということを見た場合に、ここにございますように、雇用保険就職率という観点でも、正社員就職率という観点でも、これ以外の層に比べて明確に高い水準を示していることを御提示しております。
次の34ページが、論点のBにかかわる部分、情報通信技術者にかかわる資格取得を目標とした講座、このレベル2の部分について御審議いただきたいということでございます。
その次の資料に、国家資格、また、いわゆる代表的なベンダー資格ごとのレベル1、レベル2、レベル3、レベル4といった階層性を御提示しているところでございます。この赤点線が今回特に御審議いただきたいと考えておりますレベル2相当、CCNA等の固有名詞についてはお聞きになったことがある方も多いのではないかと思っております。ハローワーク、また、民間の職業紹介などでも、こうした代表的なベンダー資格、レベル2取得が一般的には正社員就職のメルクマールになっていることを確認しているところでございます。
次に、論点2のC、Dにかかわる資料でございます。36ページは、ほぼ同様の資料を前回御提示しているところでございます。ITLSに準拠した新たな「ITパスポート試験」、また、文科省において整備を進めております大学・専門学校等による職業実践的な短期プログラムの関係資料を37ページ以下に提示をしております。
まず、ITLS関係でございますが、38ページ以下が経産省から提供を受けている資料でございます。かなり大部にわたっておりますけれども、前半のほうでは、広くビジネスパーソンが第4次産業革命のもとでITにかかわる知識・技術が求められているという一般的な傾向、また、40ページにおきましては、今、新たに開発作業を進めておりますITLSのコンセプトを示しております。先端ITを使いこなし、企業業務の生産性向上やビジネスチャンスの創出・拡大に結びつけるという観点からの能力の物差し、1級、2級という2段階構想を想定しておりまして、この後、御説明申し上げます拡充ITパスポート試験については、この上のレベル、1級に相当するものということで計画が進んでいるものでございます。
このITパスポート試験の抜本拡充については、42ページにございます。今ほど申し上げましたITLSレベル1に相当する知識・技術を習得していることを確認するために、現行のITパスポート試験を抜本的に、後ほど出てくるように、新たな出題項目を50%程度追加、レベルについても相当な引き上げを行うということで経産省から説明を受けているところでございます。なお、ここで「リテラシー」あるいは「パスポート」という表現が出てまいりまして、私ども厚労省の目線で見ても、こうした用語自体が入門的・基礎的という印象を受ける側面があるという認識は持っておりまして、そうした点について経産省とも議論を行っているところでございます。経産省からは、今、申し上げましたように、抜本拡充であるものの、「ITパスポート試験」という名称そのものが浸透していることなどを踏まえて、こうした名称については引き続き活用したいという意向であるといった説明を受けているところでございます。
また、こうしたITLS、ITパスポート試験の具体的な効果・効能という観点で、例えば、46ページには、畜産業、ハウスメーカーといった幾つかの例示を設定した上で、この新ITパスポート試験合格者がそれぞれの事業運営の中で、どのような付加価値を生むことがイメージをされるのかといった資料。
さらには、次の47ページにおきまして、ロジスティクス、金融、あるいはガスなどのプラント系の実際の業界団体・企業から、このITパスポート試験を積極的に活用していきたいという見解を受けていることについての資料、さらに後半にはこれまでのITパスポート試験の実績などの資料がございます。
以上、経産省から説明があった資料でございますが、全体構造が余りにも大部でわかりにくいということで、37ページにお戻りいただきまして、私どもで、今、申し上げた内容を1枚に総括した資料でございます。この資料を作成するに当たりましては、経産省からの資料提供だけではなく、今ほど申し上げましたITLSの開発のための経産省・IPAの合同のワーキンググループが立ち上がっているところでございまして、私自身、その会議にも出席し議論に接してきたところでございます。技術的な観点だけではなくて、実際の生産活動、ひいては受講者・活用者のキャリアという観点も含めての議論が行われている。あるいは、シラバスと言われるようなITLSのかなり具体的なドラフトができ上がりつつあるという状況については確認したところでございます。今、申し上げましたような内容を構造化いたしますと、左下の部分でございます。情報通信技術を活用する幅広い業種・職種のビジネスパーソンを対象とした、今ほど申し上げたようなレベルでの能力水準見える化ということでのITLS開発、本年内に完成予定ということで聞いております。これに準拠した国家資格、情報処理技術者試験の一環として、来年度当初、来年4月から新たなITパスポート試験が立ち上がる。これに向けて、その合格を目指す講座が年明けから順次立ち上がっていくという全体構造でございます。こうした制度設計に関しましては、この間、専門実践のほうで御審議いただきました、ITSSに準拠した情報処理技術者試験やベンダー試験、その合格を目指しての専門実践に位置づけられております高度情報通信技術資格合格目標講座等の体系と呼応したものでございますので、その対応関係を右側に示しているところでございます。今ほど申し上げましたような講座を受け、試験に合格した者に関しましては、上にございますような役割の発揮が期待されるということで、それがそれぞれキャリアアップに結びついていくという側面は当然あるわけでございますけれども、上の真ん中あたりに書かせていただきましたように、この右側と左側、人材としては別の人材でございますけれども、ITにかかわる共通言語のもとで両者がコラボをすることによって、初めて実践的で効果的な情報通信技術システムを企業・事業運営の中に導入する。それが生産性向上等の付加価値を生む。そういう構図ではないかということを厚労省としても認識をしております。同時に、今、申し上げましたように、ITLSまたはこれに準拠した試験については、今、開発途上でございますので、構想どおりにしっかり立ち上がり、実績が上がっていくのかという点については、左の囲みにございますように、当然のことながら私ども厚労省事務局としてフォローが必要と考えているところでございます。
また、文科大臣認定の新たな教育訓練プログラム等にかかわる資料については、51ページ以下にございます。専修学校におけるキャリア形成促進プログラム、1ページ飛びまして53ページ、大学等の職業実践力育成プログラム、それらの基本的制度設計については、この間、専門実践教育訓練の見直しの中でも御審議いただいておりますので説明は割愛いたしますけれども、社会人、とりわけ在職者が受けやすい環境、また、当該分野において既に相当の職業経験を持ち、また、能力を備えた者が特定スキル、知識にフォーカスをして受講する、効果を高めるという観点から、文科省におきまして履修証明プログラムの制度改正を行い、現行120時間以上としているものを60時間以上ということで時間数の幅を広げていく。この新たに広がってまいります60時間以上120時間未満のゾーンに関しまして、今回の拡充一般の検討対象としてはどうかという御提案でございます。少数ではございますけれども、こうした制度改正によりまして開設が想定される、いわば祖型プログラムといったものが専修学校または大学等において現実に開設・運営されているところでございます。例えば、専修学校関係であれば、建設分野におけるドローン技術活用、ドローンの飛行、また、これによる設計上必要な3Dデータの収集・処理にかかわる能力習得を目標としたものでございます。
また、54ページにございますのは、大学等における理学療法士の知識・技術のスキルアップのための講習、こういった幾つかの典型的な講習について、文科省からも情報提供を受け、幾つかのものについては、私自身、実際にその祖形プログラムの視察などにも行き、実態等を確認しているところでございます。
一番最後の56ページは、今日の論点でいいますと3点目、講座ごとの指定基準にかかわる関連資料、今日は主には1を中心に御審議いただくことを想定しておりまして、このページでは、現行の専門実践教育訓練給付における資格受験合格率、就職・在職率等の講座指定基準を改めて掲示した上で、今回の一般拡充の講座指定基準に関しましては、こうした専門の指定基準、評価項目、あるいは水準などを参照して御検討いただくことが適当ではないかという提案内容をお示ししているところでございます。
一番最後のページは、現行の専門におけます講座母数に対して、今、いかほどの講座が現実に基準を満たして講座指定を受けているかということについての参考資料でございます。
時間の関係で飛ばし飛ばしの説明になってしまいました。また次の中では補足説明したいと思いますが、今ほど御説明した資料等を御参照いただきながら、論点を踏まえた制度設計の方向性等を御議論いただき、それも踏まえて具体的な指定基準案を私ども事務局として整理し、また御審議いただきたいと考えているところでございます。
どうぞよろしくお願い申し上げます。

○小杉分科会長 ありがとうございました。
前回の議論をベースに、新たにきちんと整理をした上で分析され、新たな情報が付け加わったという形で、かなり新しいことがたくさん加わったと思います。
皆様から、御質問、御意見を伺いたいと思います。
上野委員、どうぞ。

○上野委員 他省庁の認定講座を給付率引き上げ対象とすることについて、2点ほど意見を述べさせていただきます。
まず、1点目が、経産省の認定する新ITパスポートについてです。他省庁が認定した講座につきましては、それぞれの所管分野の観点から認定するものであり、必ずしも雇用保険制度としての効果を保障するものではないと考えております。厚労省としても、他省庁の認定を鵜呑みにすることなく、雇用保険制度としての必要な基準を設けて給付引き上げの対象講座の精査を行うべきであり、引き上げ対象講座の例として挙げられているIT分野の講座についても一律で引き上げるべきではないと考えております。例えば、現行のITパスポートにつきましては、文系の学生なども広く受験するなど、IT分野においては基礎の意味合いが強いものと認識しております。新ITパスポートにつきましても、資料1-3の37ページに記載がありますが、どの程度内容レベルの引き上げが行われるのか、この資料ではわかりづらく、ITLS、ITSSと一括して給付率引き上げの対象とすることはいかがなものかと考えております。
2点目が、文科省の認定する短期履修証明プログラムについてですけれども、短期履修証明プログラム講座につきましても、在職者を主な受講対象とするのであれば、就職・在職率での効果検証をすることが難しい上、学校による履修証明の乱発などが生じた場合の対応なども懸念事項として考えられます。例えば、資料の52ページに短期履修証明プログラムの具体例として記載されておりますドローン技術活用講座なども、個人が判断して受講したことが企業でキャリアアップにつながるかどうかはわかりません。業務上の必要性の有無も企業ごとに異なるのではないかと考えております。以上、2点について意見を述べさせていただきました。

○小杉分科会長 ほかの皆様の御意見も伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。
小松委員、どうぞ。

○小松委員 今回、政府の閣議決定に伴って、一般教育訓練給付を拡大しようという中で、ITスキルやキャリアアップ効果の高い講座を対象に給付率を4割にする方針が出ています。それをどこまで拡充するのか。その効果をどのように定義するのか。人手不足分野をどのように決めるのかということが論点の一つになっていると思うのですけれども、今回、こういった資料を出していただいて、キャリアアップの類型の見直しとか、人手不足分野の分析とか、資料を用意していただいており、それは高く評価したいと思っております。しかし具体的に対象講座はITや介護分野とありますけれども、これらに関わる人手不足の分野や公的資格の講座はかなりたくさんあると思うのですね。
問題点としては、4割給付に上げた場合に、訓練を受けた人が実際に就職活動をしないとか、企業が求人活動をして訓練した人を採用しようとしても、実際、採用試験をした結果、合わなくて採れないとか採らないとかといったことになると、せっかく4割給付にしても無駄遣いになってしまう。
企業内ではキャリアアップをすることで給付した成果が出ていることははっきりわかると思います。就職前であれば、これは支給要件に入ってしまうかもしれないですが、最初、2割、3割給付しておいて、企業とも連携して、実際に就職をしたら4割にするとか、ちょっと段階を踏むこともありなのではないかと考えております。ただ、どちらにしても、給付率の拡大がなされた後も効果を検証する方法を構築して継続していくことは必要ではないかと思っております。

○小杉分科会長 ありがとうございます。
ほかに御意見をどうぞ。
大久保委員。

○大久保委員 一番のコンセプトのところについて少し発言をさせていただきたいと思います。キャリアアップ効果が高いという基本コンセプトをどのように改めて考えるかということがテーマになっているところなのですけれども、そのキャリアアップ効果とか、生産性向上とかという前に、もう一つ大事な前提があるのではないでしょうか。
一般教育訓練給付は雇用保険で出しているわけですが、雇用保険に加入している労働者の人たちで自己啓発に取り組んでいる人の比率は低いわけですね。自己啓発に取り組んでいない人たちが、一般教育訓練給付制度を見て、自己啓発に取り組んでみようかという動機づけとかきっかけになるような制度にしていきたいということが前提としてあって、自己啓発が広がることによって、結果的にそれがキャリアアップや生産性向上につながっていくのではないかと思うのですね。なので、そもそもごくごく一部の人しか使いたいと思わない一般教育訓練給付ではいけないと思うのです。
今日示していただいたデータ、例えば、1-3の4ページのところに、仕事が忙しくて自己啓発の余裕がないというものが一番の理由として挙げられているわけです。ここでこのデータをどういうふうに読むのだろうかと考えたときに、多忙感がある中で自己啓発と言われても、一般教育訓練給付に指定されている講座だと、なかなかそこまでは手が届かない、現実的な選択肢になりにくいという問題があるのだろうと思うのです。前回、時間数の問題についてもある程度考慮したほうがいいということを申し上げたのですが、その取り組む時間数の問題とか、あるいは自分がそれを学習するときに効率的にうまく学べるのだろうかといった問題が解決されないと、仕事が忙しくて自己啓発の余裕がないと考えている人たちにとっての新たなきっかけにはなかなかなりにくいということもあると思うので、その辺についても配慮をした上で、なるべく多くの人たちに選択肢となり得る一般教育訓練給付制度をつくるべきではないかと思うのです。
それに関連して、その次に人手不足分野ということもあるのですけれども、この人手不足分野に関する教育訓練に関しては、公共職業訓練や委託訓練などを含めて、これまで取り組んできたわけで、例えば、医療福祉系の分野などを中心にかなりのカバレッジが既にされているところも多いわけであります。一方で、まとまった規模にならないものに関しては、逆に言うと、人手不足分野であっても対象にこれまでなりにくかったところがあって、例えば、このデータでいくと、9ページのところに産業別の人手不足の状況の判断DIがありますけれども、ずっと課題になっている、宿泊業、飲食サービス業に対して、どのぐらいそれにつながるようなものが整備されてきたのだろうかと。これは、ほかの業種からその業種に労働移動する、転職したいと考える人向けのものもそうですし、あるいはその業界で既に働いていて、例えば、ホテル業で働いていて、そのホテル業界の中でステップアップを図っていきたいという人向けにどういった学習ニーズがあるのかということもそうですけれども、そういう個別の問題にきちんとフォーカスをして、一般教育訓練の指定講座にしていくという流れが、これまでに十分にできてこなかったところもあると思うのです。
そういうような、今まではどちらかというと国家資格になっていたりとか、既に教育機関でかなり規模の大きなプログラムとして運営が長く続けられてきたものという、サプライサイドのほうが安定しているものについては比較的認定しやすかったわけであります。これは質保証という観点からどうしてもこっちに寄ってきたのですけれども、もう少し規模の小さい領域については、うまく指定できていなくて、どういう形でそれを質保証と連動させながら対象としていくのかということは考えなくてはいけないのではないかと思うのです。それが十分に効果を生んでいないということであれば、指定講座から取りやめるということも含めて、どういうオペレーションで、どういう基準でそれを回していくのかということも含めての問題になると思うのですけれども、そのあたりの大前提のところについては、今お書きになっていただいているところに加えて、少しコンセプトのところで頭の中を整理したいなという感じを持っております。

○小杉分科会長 ありがとうございます。
今のことは、拡充分野というよりは一般教育全体の話ですね。

○大久保委員 そうです。私自身の視点として、まず、2割から4割というものもあるのですけれども、4割に拡充することを広くやるということ以上に、それよりも私はまず2割のところについてのベースのところをもう一回今回は議論をして、その上で、政府が提供する教育訓練だけではなくて、民間が提供する教育訓練の市場を活性化させることも含めて全体に貢献するような制度をつくることが、ベースとしてあったほうがいいのではないかと思っていますので、別に4割という話ではなくて、どちらかというと2割のベースのところの見直しの話を中心に申し上げました。

○小杉分科会長 ありがとうございます。
どうぞ。

○三村委員 教育訓練経費の支援制度ということで、2割から4割に給付を拡充することは大賛成です。一方、こうした教育訓練を受ける層の中で、なかなか受けづらい人たちは、特に人手不足の深刻な中小企業にいる方だと思います。こういう人たちが2割から4割で動機づけが高まってきた。一方で、中小企業の事業主がこうした制度に対して理解を深め、積極的に訓練に出すといった仕組みを考える必要があります。なぜならば、人手不足分野で訓練をしろというのは一つ矛盾を秘めているからです。制度の拡充と同時にこうした環境をどう解決していくかというのも重要な視点かと思いますので、指摘させていただきます。
以上です。

○小杉分科会長 雇用主のほうに理解を促すというのは、こういう制度によってさらに進めたらいいということですね。

○三村委員 そうです。基本的には賛成です。

○小杉分科会長 どうぞ、松井委員。

○松井委員 資料1-3でいうと、31ページに記載されている特定行為に係る看護師の研修制度を、例として御説明したいのですが、この特定行為に係る看護師の研修制度が今回の2割から4割への給付引き上げ検討対象ということで挙げられておりますけれども、前回も申し上げたのですが、そもそもこの一般教育訓練給付の使われ方についてもう少し検討が必要ではないかと思っております。
この特定行為に係る看護師の研修の目的というか、この特定行為ができる看護師をふやすことは非常に重要なことですし、これを進めていくことはマストだとは思っております。しかし、これをどういうふうに教育訓練で進めていくかというときに、この研修制度の中身を見ていくと、例えば、3番のところで、実習については受講者の所属する医療機関で受けることを可能にするということで、そもそも在職者向けで、しかもその在職する病院で実習を受けられるということを想定しています。さらに、研修の内容についても、講義・演習を含む研修を315時間、プラス実習研修となっており、全体で500~600時間の時間をかけて研修するという内容だと思うのですが、そもそもこういう研修は企業のニーズとして企業が受けさせることのほうが、この特定行為ができる看護師をふやすことにつながるのではないかと思います。今、実際どういうふうにこれが行われているのか、誰が費用負担をして研修をやっているのかということも検証された上で、検討をする必要があります。ですから、今、求職中の看護師の方が新たに就職するときに、こういう4割給付を使ってやるというならイメージとしてはわかるのですけれども、実際こういう看護師の方をふやしていく、支援をしていくために、一般教育訓練給付もあるでしょうし、もう少し企業側への支援ということもあるのだと思うのです。そういう全体像というか、支援の組み合わせについても少し整理をして論議を進める必要があるのではないかと思っておりますので、ぜひ御検討いただければと思います。

○小杉分科会長 幾つか出ましたけれども、事務局から。

○伊藤若年者・キャリア形成支援担当参事官 多くの委員から、この論点にかかわるそれぞれ大変重要な点を御指摘いただきまして、ありがとうございます。全てに答えるということにはなりませんけれども、幾つかの重要な点について、事務局としての現時点での考え方あるいは現状認識を御報告させていただきたいと思います。
初めに、上野委員から、今回御提案申し上げております検討対象、新たなIパス、資格試験取得目標講座、あるいは文科省が整備を進めております短期の履修証明プログラムに関して幾つかの御指摘をいただきました。まず、基本的にはこうした現在整備が進められつつある教育訓練制度に関しては、それぞれの所管省の政策目的、その観点から一義的には整備が進められているというのは全くそのとおりであると思っております。
同時に、このITLS、Iパス、あるいは文科省が整備を進めております短期のプログラムに関しては、今回の検討の前提となります人づくり革命基本構想の中での学び直しの柱の一つとしても位置づけられている事項ということで、業所管あるいは学校教育の見直し・拡充という観点プラス政府方針としての人づくり革命基本構想にも寄与することをあわせて意図しているという、私どもとしての受けとめでございます。
そうした、ある意味、両方の位置づけをあわせ持つ中で、両省とも、今日御提案しております制度設計について、この拡充一般教育訓練給付の位置づけを受けられるのであれば、より多くの雇用保険被保険者あるいは雇用保険被保険者であった者が受講機会を得られるという観点で、それぞれの制度目的あるいは人づくり革命の趣旨にも即するということで、私どもは相談を受けているという部分があることは事実でございます。
鵜呑み、丸のみといった話もございました。これまでの専門実践教育訓練の中でも、他省が制度設計・認定をする仕組みに関しまして、この場で厳正な御審議をいただいた上で対象に位置づけるというプロセスが幾つかあったわけでございます。それぞれの制度設計プロセスの中でも、仮に教育訓練給付制度への位置づけを企図しているならということで、制度設計そのものについても私どもから実質的な注文をつける場面が多々あり、また、同時に、それぞれ認定等を受けたものがオートマチックに教育訓練給付の対象講座ということではなく、それぞれの制度設計の趣旨、広がりを認識した上で、真に本制度にふさわしいものとしての指定基準要件というものをこの場で御審議いただいた上で、いわば絞り込みをかけて位置づけをしてきた。
今回の一般拡充の前提といたしましても、当然のことながら、それぞれの制度が計画どおりに立ちあがったとしても、私どもはそれをオートマチックにこの教育訓練給付に位置づけるべきという考え方は毛頭持っていないところでございまして、それぞれの制度設計の中で想定される講座のバリエーション、本制度のまさに今日御審議いただいているコンセプトに照らして位置づけることが適当という総意が得られた場合に、具体的にどういう指定基準で縛りをかけていくのか。そういった審議が当然必要になってくる。そういった観点で、さらにそれぞれの認定制度等について、それぞれ意図するところの制度設計をわかりやすく御説明できるような資料を両省とも相談しながら引き続き工夫をしていきたいと思っております。
また、今日、例示的に御説明申し上げております、例えば、専修学校にかかわるドローンの講座とか、あるいは、先ほど松井委員から一つの例ということで、看護師に係る特定行為研修制度について、それぞれの教育訓練の有用性は一旦横に置いて、これを教育訓練給付制度あるいは拡充一般教育訓練給付制度に位置づけていくことに関し、在職者、離職者、あるいは企業が主体か本人が主体かという観点からよく整理が必要であるという御趣旨の御指摘も、この御質問をいただいている研修講座に限らず、今回御審議いただく中で大変重要なポイントであると思っております。
実態面で申し上げますと、例えば、お尋ねいただいた特定行為看護師研修に関しましては、資料の一番下の部分にございますように、修了者数が1,000名程度といったデータがございます。ちなみにこの特定行為研修については、既に今の2割一般教育訓練給付の中でも位置づけられているところでございまして、この中で今の一般教育訓練給付を受給して受講している方が30数名程度と、少数ではございますけれども、ネグリジブルというほど少ないわけではない。こういった実態をどう見るのか。いろいろな視点があり得るかと思っております。
私どもも、この特定行為研修の制度・異議などを捉えた場合には、それぞれの医療機関が主体となって当該講習を受講させることがよりふさわしいのではないかという考え方はあわせ持っているところでございます。同時に、それぞれの医療機関等の判断によって、従業員である看護師を受講させる場合の実施の規模、それぞれの経営的な余力、いろいろな要素のもとでその対応方針なり規模なりが決まってくる。そういう中で、本人としては受講したい、それによってキャリアアップを目指していきたいけれども、現実問題としてすぐに受けられないという立場にある方が、今の教育訓練給付制度の実態としても一定数いるという部分に、この教育訓練給付制度上の目的、人手不足対応という観点も含めてどこまで対応していくのか。関連する幾つかの指摘もいただいたところでございますので、次回に向けて、さらに資料なども工夫しながら、御確認・御審議いただければありがたいと思っております。
小松委員から、一つには、人手不足での受講機会拡大支援は重要だけれども、実際に就職等につながっていくのか、キャリア支援に結びついていくのかという、これも重要な点を御指摘いただきました。それぞれの講座ごとのパフォーマンスを点検していくという視点は当然あるかと思っております。また、これは給付制度の設計にもかかわってくる部分でございますが、現行の専門実践であれば、前回の3年後の見直しの審議の中で、訓練前キャリコンを支給要件とすることが適当という方向づけをいただいて、今、これを雇用保険部会のほうにつなげさせていただいているところでございますけれども、そういった点から、例えば、この拡充一般に関しましても、最終的には給付制度マターでございますけれども、こうしたキャリア支援の仕組みとどのように結びつけていくのかといったことも当然重要な視点であろうと思っております。
給付の段階支給については、これは純粋に給付制度設計の問題かと思いますので、こういった御意見があったことは、何らかの形で、雇用保険部会、また、同事務局につないでいきたいと思います。
検証が必要ということは全くそのとおりでございまして、専門のほうも3年後見直しということにさせていただきましたが、一般拡充あるいは一般全体についても、今後とも、しかるべきタイミングで、事務局として検証、また、御報告を申し上げるのは当然のことであると考えているところでございます。
また、大久保委員からは、基本コンセプトにかかわりまして、特にこの自己啓発の課題をどう捉えるのかという観点で御指摘を頂戴したところでございます。今回、資料としては、能開基本調査でそれぞれのいわば調査対象者の言い値として出てきておりますものをそのまま報告を申し上げているところでございますけれども、実態は非常に多様なのだろうなと思っておりまして、単純に時間的制約があるから自己啓発が受けられないという問題だけではなくて、今、申し上げたキャリア支援の問題ともかかわってまいりますけれども、それぞれの受講の意識づけ、講座のバリエーション、受講効果のわかりやすさ、いろいろな複合的なアプローチが必要なのだろうと思っております。時間の部分に関しましては、この後の議題2ともかかわってまいりますけれども、教育訓練給付制度導入企業に対する助成制度について、31年度予算以降、同じく人づくり革命基本構想などを踏まえた取り組みの充実を図っていきたいという考え方もあわせて持っているところでございます。
小ロットの講座についてもしっかり位置づけていくべきで、これに関しましては、どうしても厳格な質保証という観点から、資格にひもづいたものが主体とならざるを得ない部分が専門でも一般でもある。別の場面で大久保委員からいろいろ御指導や御指摘もいただいておりますが、資格の成立要因という観点から、職業分野別に資格が成り立ちやすい分野と成り立ちにくい分野がある。先ほど例示でおっしゃった宿泊レストラン等については、そういった分野の一つであろうと思っております。資格が成立しにくい。ただ、同時に別の場面でも、本分科会でも御報告申し上げておりますように、業界検定方式ということで、こうしたサービス分野も含めまして、業界団体のお力もいただいて能力評価の方法を確立して、その一部が既に指定試験機関方式の技能検定に位置づけられているものもあるところでございます。こうした技能検定に位置づけられたものに関しましては、今日御説明申し上げている枠組みでいうと名称独占ということで、この名称独占資格取得を目指す講座ということで、そこまでの資格領域に入ってきたものについては、今日御提案申し上げているような内容でも対象になり得る。そのあたりも含めて、さらにこのコンセプトなり、また、後半のほうでお話しいただきました、そもそもの2割の部分も含めての一般教育訓練給付制度対象講座のあり方という観点で、引き続き御審議いただけるとありがたいと思っております。
中小企業の労働者、人手不足という観点も含めて、受講しやすい、また、そのことがキャリアアップにつながる等々の観点についても、私どもは当然今回の審議の中での重要な論点であると考えているところでございます。
とりあえず、先ほど多くの委員から御指摘いただいた事項の一部について、事務局としての考え方を申し述べさせていただきました。

○小杉分科会長 ありがとうございます。
さらに今のことについて。

○大久保委員 関連して、1個、確認でお聞きしたいのですけれども、以前にこの分科会の中でも、自己啓発に関して取り組んでいる人の比率は、目標として掲げて何年間かずっと追い続けてきたと思うのですが、なかなかあそこに掲げる目標としてなじみにくいということもあって、今は目標から外しているのだと思いますが、あの目標の考え方自体がなくなったわけではないのですよね。つまり、本分科会で人材開発の政策の中では、自己啓発に取り組む人の比率をふやし続けていくことに関しては、一つのテーマとしては、基本的に存在しているはずだと思いますし、今回御報告いただいたとおり、正社員で42.9%、非正社員で20.2%という数字は、長期的に見てもなかなか上がってこなかったものであり、過去に目標の議論をしたときも、目標を掲げているのだけれども、それを改善していくための政策の具体的なものが余りない中で、なかなか目標管理をしにくいという議論だったと思いますので、そういうことからするとこの一般教育訓練給付制度の改定の議論は、そのことに関連した数少ない貴重なタイミングではないかということもありますので、そのあたりの視界が大前提としてあってもいいのかなと思ったということです。

○小杉分科会長 どうぞ。

○伊藤若年者・キャリア形成支援担当参事官 この自己啓発のいわば普及率に関しまして、私も手元に過去の人開あるいは能開分科会における目標管理項目、経過は、資料がないのでいつまでということはすぐお答えできないのですけれども、分科会におきます目標管理項目に関しましては簡便性も必要ということで、ある程度絞り込みもした上で、例えば、現在であれば、公的職業訓練の離職率とか、こういった主要な項目に絞った形で御提示・御審議いただいているわけでございますけれども、政策的な考え方としては、この自己啓発を行った方の割合が高いことがより望ましいという価値観を人開行政として持っていることは全くそのとおりでございます。
それをこの能開基本調査でフォローすることがふさわしいかどうかというさらにまた別の課題はあろうかと思っております。それに対する政策手段としては、もちろん主要な政策手段は経済的観点からの支援制度である本教育訓練給付制度、また、今後は、先ほど申し上げましたように、人開金の拡充などを通じて、企業側の環境整備を整えていく。あるいは、広い意味でのキャリコン、あるいは企業内におけるキャリアドックなども、いささか間接的ではあるかもしれませんけれども、キャリア支援を通じて学び直しインカレッジという意味では、こうした自己啓発の普及に連なる施策の一つ、そうした関連する施策をパッケージ化しながら、より効果的なキャリアアップに結びついていく自己啓発の機会あるいはその実現・充実ということは、当然人開行政における重要な政策目標の一つであると私どもは認識しておるところでございますので、そういう前提のもとでこの拡充一般教育訓練給付制度のあり方についても御審議いただければありがたいと思っております。

○小杉分科会長 ありがとうございます。
ほかに意見はございますでしょうか。
村上委員、どうぞ。

○村上委員 何点か申し上げます。
今、大久保委員から御指摘があってやりとりをされていたことは、一般教育訓練給付のお話だけではなくて、能力開発施策全体をどのようにデザインするのかということについてのお話だったかと思います。能力開発施策として、誰が行うのかということや、対象者はどんな人なのか、分野はどうなのか、財源やその支援策はどういうふうに組み合わせていくのかということなど全体像が見える中で、一般教育訓練給付をどう位置づけていくのかというお話と思いました。
ただ、そのことを考える上で、能力開発は自己啓発だけではなくて、OJTが基本であると思っておりますし、Off-JTもあって、そのOff-JTとはまた別に自己啓発があって、その支援を専門実践教育訓練と一般教育訓練給付で行ってきているというところでいうと、どのように全体像をデザインするのかという整理をしていくことが必要ではないかと考えました。
三村委員から、中小企業の事業主が労働者を教育訓練に送り出していくことが重要ではないかというお話が出て、それは大変重要だと思ってはいるのですけれども、教育訓練のメニューを、こんな講座もあるよと御紹介していくことは大事なのですが、これを受けなさいと言った途端に多分自己啓発という世界から外れていくところがあるのではないかと思っておりまして、労働時間、業務命令に近いものになっていくというところもありますので、そこは少し整理していくことが必要ではないかとも思います。
資料1-2に、議論いただきたい主な論点についてということで、2ページで、現行の一般教育訓練で制度上も実態上も対象になっている課程類型のA、公的職業資格の養成課程(短期)、試験合格目標講座等が示されております。これに関連して、資料1-3、24ページで公的資格あるいは何らかの民間資格と講座の整理をされているのですが、それを具体的に、今、一般教育訓練給付で、いわゆる公的資格の講座の関係でどんなものがあるのかということを前回出していただきたいということで申し上げたところ、25ページ、26ページに資料を出していただいて、大変ありがたいと思っております。全体を眺めてみたときに、例えば、26ページの専門的サービス関係の公的資格をずっと見てみると、雇用保険の被保険者だった人がキャリアアップのために使っているのかというと、必ずしもそうでないものも含まれているのではないかと思っております。全体を見直すということであれば、そういった観点でも見直していくことが必要ではないかと思っております。
以上です。

○小杉分科会長 事務局、答えは出ますか。
どうぞ。

○伊藤若年者・キャリア形成支援担当参事官 前半のほうで御指摘いただいた点については、先ほどの大久保委員等の指摘とも相重なる点ではないかと思っております。先ほど、次回以降に向けて、また今日の審議を踏まえ指定基準案等を御提示していきたいということを申し上げましたが、それにあわせて、今日御指摘があったような観点から、この教育訓練給付制度と他の人開行政における能力開発支援策の関係、今日お話しいただいております対象層、あるいは企業主体か本人主体の自己啓発か、そういった全体構造の中で教育訓練給付制度あるいは今回御審議いただいている拡充一般、どのようなポジションが想定されるのかといった全体構造については、また御確認いただけるような資料を工夫していきたいと思っているところでございます。
後半のほうで御指摘いただきました、今回検討対象ということで御提示しております国家資格取得を目標とする講座に関して、資料1-3の25ページ以下などもひもときながら、人手不足との関係性、その活用の仕方はよく検証する必要があるという御指摘でございます。今回前半のほうで御説明申し上げております社会的有用性という枠組みの中での一つの重要な視点である人手不足ということだけ捉えた場合、例えば、今も少し御引用されました26ページ、現行一般対象講座のうち、公的資格、専門サービス資格に掲げられている、いわゆる士系の資格について、その前のページにございます運輸・機械関係、医療・福祉関係などと比べて、対応関係が必ずしも明確ではない面があることはそのとおりなのだろうと思っております。こちらの中には、ビルメンテナンス、マンション管理のように、今日は明示的には御説明申し上げておりませんけれども、人手不足分野に直接ひもづいているものも一部ございますが、このあたりの捉え方でございますけれども、今日は前回と同様の資料ということで繰り返し御説明申し上げておりませんけれども、28ページに主要な資格別の受給者数を掲げさせていただいております。今、申し上げました、専門サービス分野に関しましては、離職者の中での受給実績のためには必ずしも最重要ではございませんが、一部の資格に関しましては、在職者ではかなり上位に位置づけられている。今の一般の2割の中でも相当程度活用されている実態はある。
そこの受講の実態あるいは労働政策上の効果をどう見ていくのかという点、先ほど、33ページで御説明申し上げましたように、こうしたいわゆる士系なども含めての業務独占、名称独占、必置、資格取得を目標とする講座の離職者だけに関しての正社員就職パフォーマンスは、これは業務独占等によって資格を取ること自体が社会的効果として明確にあることもあるのだろうと思っておりますけれども、離職者の就職パフォーマンスが全体として高いという側面もあることも、こういうデータで裏づけられている側面もある。こういう幾つかの要素を踏まえた上で、論点の中でもお示ししておりますように、個々の講座の質保証、社会的有用性、全体のバランスという両方の観点で、この国家資格全体を捉えてどう見ていくのかという点については、今日のただいまの村上委員の御指摘も踏まえて、関連する御指摘を踏まえ、また何らかの形で資料を整理しながら、次回、確認的に御審議をいただきたいと事務局としては考えているところでございます。

○小杉分科会長 ほかにございますか。
三村委員はさっきのリプライがしたいのではないかと。

○三村委員 先ほどの私の発言を誤解されているようなのですけれども、中小企業において主体的に労働者が訓練を受けるときに人手不足の中で事業主の理解が得づらい状況にあるので、要はそれを改善してほしいと私は申し上げているのです。事業主が意図的に訓練メニューに誘導することを推奨しているわけではないので、誤解を解きたいと思います。よろしくお願いします。
以上です。

○小杉分科会長 早川委員、どうぞ。

○早川委員 ありがとうございます。
今回、資料1-2の2ページで、ポジティブリスト方式で特定することが考えられるのではないかということで、一つは現行の一般教育訓練で、制度上、既に対象になっている課程類型である、A、Bと、もう一つ、現行制度の一般教育訓練では対象に位置づけられていない計画段階の課程類型ということで、C、Dがあります。
この中のC、Dについて、今回、資料1-2で今後の分科会での議論をする際のコンセプトは示していただいているとは思うのですが、本日の時点での印象を申し上げますと、やや包括的に過ぎると受けとめられます。特にDですね。文科大臣の認定する短期のプログラムについて、専門実践教育訓練とは時間で切り分けをして、60時間以上120時間未満のものとしています。この講座の中身が一体どのようなものか、既に書かれていますが、独自性、有用性について評価方法を今後の分科会の中でしっかり精査していく必要があるでしょう。また、ひるがえってCのITパスポートですけれども、まだ試験制度そのものがなくて構想段階だと伺っています。図で示されたものは理解できるものではありますけれども、まだ制度がない。しかも、先ほど大久保委員からのご発言のように、教育訓練の裾野を広げることが重要であるという点に関しては、このITリテラシーは全産業に係るものになると考えられるので、裾野を広げるという観点では、いきなり一般教育訓練の拡充に位置づけるよりは、まずは一般教育訓練の対象として拾うほうが、より今後の全産業におけるITリテラシー、IT人材の必要性に応えるものになるのではないかと思っております。
ITに関してさらに言いますと、先端技術であるがゆえにその先端のかじ取りが変わると一瞬にして陳腐化してしまうというか、そういうおそれが伴うものではありますので、即戦力は、ある意味、すぐ使えるがすぐ使えなくなるものであるという皮肉なことにもなる。それでも、教育訓練を進めなくてはいけなというのであれば、一般教育訓練で裾野を広げて、いろいろな人が対応できるようにすればよく、これをいきなり一般教育訓練の拡充のほうに持ち上げることについては懸念がございます。

○小杉分科会長 事務局。

○伊藤若年者・キャリア形成支援担当参事官 論点の特にC、Dに係りまして、御指摘いただいたところでございます。
文科大臣認定のプログラムは、これまでの専門に位置づけております120時間以上のものとの差別化、独自性は、今日は一部御提示しているところではございますが、御指摘の趣旨も踏まえ、文科省さんともさらに相談をしながら、次回の資料を検討させていただきたいと思っております。
後半のまだ立ち上がっていないという部分は、既に他の委員からも御指摘いただいているところでございます。裾野という観点、それから、先端的であるがゆえに変わっていくという側面、御指摘の趣旨はそのとおりなのだろうと思っております。
ただ、1点付言をさせていただきますと、先端であるがゆえに変わっていく程度はバリエーションがあるのだろうと我々は考えているところでございまして、例えば、資料1-3の37ページを改めてごらんいただければと思いますが、ITLSの話ではなくて高度情報通信技術の話でございますけれども、とりわけ先端的であるがゆえに変化の度合いが大きく、資格制度化することが物理的・技術的に困難な領域については、この右側で第4次産業革命スキル習得講座ということで、この資料にもございますように、資格とはひもづかない形での講座の経産大臣認定、厚労大臣指定対象という仕組みに整理をしているところでございます。
それとの対比で申し上げますと、この左側のさまざまな業種・職種のビジネスパーソンが事業・部門の立場でシステム、企画、導入、運営にリーダーシップを発揮するという人材像については、そこまでは日進月歩ということではないのだろうなと、ですから、毎月毎年シラバスを変えなければ、抜本改定をしなければいけないということではないのだろうなと、そういう変化の度合いの程度、先ほど来、多くの委員から御指摘いただいております、制度全体としての役割分担という観点について、次回、事務局として整理をしたいと考えております。資料の中でただいまの早川委員の視点も取り入れさせて、また改めて御審議いただければと思います。

○小杉分科会長 ありがとうございます。
そろそろこの問題を終わりにしなければならない時間なのですが、何かございますか。
私から、最後に一言だけ。
先日、OECDから教育政策のレビューが出たのですが、そのレビューの中の一つの図が非常に衝撃的でして、どう衝撃的だったかというと、日本の労働者は世界で一番学ぶ意欲がない。そういう結果が出てしまったのですよね。世界で一番というか、OECD諸国の比較の中で職場で新しいことを学んで何とかしようという意欲が一番低いという国の一つだとされてしまった。すごく衝撃的でした。大久保委員のお話でもありましたが、自己啓発ということに対して取り組んでいない、そういう意欲が非常に低い状況になってしまっているということに非常に危惧を覚えています。
かつ、私は今回のイノベーションは物すごく大きなインパクトがあるもので、これに対して多分日本はかなりおくれをとっている状態だと非常に危惧しております。どんどん変わるからついていけなくなるのではないかではなくて、変わることにどんどんついていかない限りどうしようもないところなので、変化が大きいから学ばないのではなくて、変化が大きいからこそ常に学ばなければならない状態だと私は思います。今回の給付という仕組みは、日本の高等教育は最もリカレント教育に対応してこなかったという部分があるのですね。そういう他省庁の管轄下にある機関をある意味で私たちの人材開発という政策目的に対してうまく活用できるのがこの仕組みだと思いますので、何とかほかの省庁を巻き込んで、日本の人材開発、特に自己啓発がしやすい環境はぜひつくっていただきたいと思います。
一言、感想だけ述べさせていただきました。
どうぞ。

○橋本委員 短い質問なのですけれども、論点案の2ページ目のA、2つ目の○に公的職業資格以外にも民間資格の取得目標講座もこの対象とすることについて考えられないかとありますが、キャリアアップに資するいろいろな民間資格もあると思いますので、この検討は十分考えられると思っているのですけれども、どのような資格が現在候補に挙がっているのか等々、もし事務局で一定程度示されているようであれば、教えていただければと思います。こちらは私のほうでどんな資格があるのかという基本知識も欠けているもので、教えていただければと思います。

○小杉分科会長 事務局、どうぞ。

○伊藤若年者・キャリア形成支援担当参事官 この2ページのAの2つ目の○に関しましては、前回の審議の中で、特に大久保委員から、この拡充一般についての職業等の観点でのバリエーション確保という観点から、必ずしも国家資格限定ということを大前提にせずにという御意見もいただいたことも踏まえまして、ここに資料1-2の4点の中にも記述させていただいたところでございます。
現在、一般教育訓練給付、2割給付の中で、公的資格関係に比べると少数ではございますけれども、民間資格関係で対象講座として位置づけられ、また、一定数のカバレッジを持っているものが存在するところでございます。その資料は今回再掲しておりませんので、大変恐縮でございますけれども、前回の資料もまた必要に応じて次回出したいと思いますが、一例を挙げれば、医療事務検定とか、インテリアプランナーとか、そういった公的資格ではカバーされていないような分野あるいはIT関係に関しましては、先ほど申し上げましたような、いわゆるベンダー系の資格が位置づけられているものがある。これらの位置づけでございますけれども、現在の事務局の考え方としては、あらかじめこの検討上排除することはふさわしくないということで、このように提示させていただいておりますけれども、言うまでもなく、民間資格の場合には、業務独占等の社会的効果が制度上あらかじめ保証されているわけではございませんので、就職キャリアアップ効果に制度的に境界線を引くことは相当難易度が高いと思っておりまして、そういった意味で、現在、私ども民間資格の中で具体的に検討対象ということで御提案申し上げておりますのは、そのすぐ下のBの部分、IT資格合格目標講座のうち、この中には、国家資格、情報処理技術者資格関係のものとベンダーのものがあるわけでございますけれども、このBの中のベンダー資格については今日具体的に御提案しているわけでございますが、それ以外のもので、今、申し上げましたような、今回のコンセプトに即し、かつ、具体的・客観的な基準設定が可能ということで具体的に念頭に置いているものはございません。もし各委員のほうからこうした観点での基準設定が可能ではないかという御提案がございましたら、そうした点も含めて、さらに次回、御審議いただければと考えているところでございます。

○小杉分科会長 よろしゅうございますか。ちょっと時間をオーバーしてしまいまして、申しわけありません。
それでは、この議題についてはここまでとさせていただきます。
次に、議題2です。「平成31年度予算概算要求の概要について」の内容について、事務局から説明をお願いいたします。

○青山人材開発総務担当参事官 総務担当参事官でございます。
資料2を御説明させていただきます。本年8月末に提出しました厚生労働省平成31年度概算要求のうち、人材開発統括官部分について、この資料により御説明いたします。
1ページ目が、金額の総括表でございます。一番下段にありますとおり、平成31年度概算要求額、2,572億円強を要求しているところでございます。なお、真ん中に「推進枠」と囲ってあるところがございます。これは外国人技能実習機構の運営に要する経費を優先課題推進枠で7億ほど要求しているものでございます。
2ページ目でございます。この人材開発統括官の概算要求の柱立てをここで御説明いたします。第1から第3までありまして、第1の柱が生産性向上の推進、第2が人材投資の強化や女性、高齢者、障害者等の多様な人材の活躍促進、第3が外国人材受け入れの環境整備などでございます。具体的には、3ページ以降で御説明させていただきます。
3ページ目が、今の第1の柱の生産性向上の推進に資する概算要求でございます。1にありますとおり、第4次産業革命に対応した人材育成・人材投資の抜本拡充ということで、いわゆるポリテクセンターに設置している「生産性向上人材育成支援センター」におけるオーダーメイド型の在職者訓練や、また、中小企業で働く人向けの基礎的ITリテラシー習得のための訓練講座の開発・実施を計上しております。34億円です。
4ページからが、第2の柱の人材投資の強化や多様な人材活躍促進に資する概算要求で、2,195億円の計上でございます。そのうち4ページの1番がリカレント教育の拡充ということで、かいつまんで御説明しますが、(1)がまさに先ほどまで御議論いただきました教育訓練給付の拡充でございまして、一般教育訓練給付の拡充の今回の御議論分、あとは既に御議論いただきました専門実践の拡充でございます。予算は給付の予算ですので、職業安定局の予算になります。次に、(3)です。これはハロートレーニングにおきまして、保育士等国家資格の取得などにより、正社員就職を実現する長期の訓練の充実を図ること。(4)は、これは事業主によるe-ラーニングを活用した教育訓練を人材開発支援助成金という事業主向けの助成金の対象に入れることであります。
5ページ目ですが、2の学び直しに資する環境整備でございます。(1)が、これも長期の教育訓練休暇を導入した事業主にも人材開発支援助成金を支給するということで拡充するものでございます。(2)が人材育成ニーズに対応したということで、最新かつ実践的な知識・技術の習得に資する教育訓練プログラムの開発を行うものでございます。飛ばしまして(4)ですが、ホワイトカラー職種の能力の見える化を進めるために、職業能力診断ツールの開発、それに向けた調査・研究を行う予算を計上しております。
6ページでございます。(5)でございますけれども、企業が技術・技能に係る評価を賃金にどう反映しているか、職業能力のニーズなどについて調査するものでございます。(6)でございますが、危機管理を含めた企業のマネージメント能力の向上のためのモデルカリキュラムの開発・実施支援の新規事業を計上しております。
「3 技能を尊重する機運の醸成」で、2023年技能五輪国際大会に向けて、我が国日本・愛知県を舞台に招致する運動を既に事実上行っておりますが、その招致に向けた活動、(2)は、それもにらみました大会に出る選手の強化策を強力に行ってまいりたいと思います。
7ページをごらんください。一部飛ばしますが、「6 若者・就職氷河期世代に対する就労支援等」、(1)「学卒全員正社員就職」に向けた支援強化ということで、特別支援チームなどを活用した新規学卒者などの一貫した支援の強化といったことで、大学などとの連携を強化するものでございます。(2)が就職氷河期世代を含む不安定就労者への支援ということで、そういう不安定就労者に対しまして、訓練、助成、ハローワークによる担当者制による相談のほか、特に就職氷河期世代の無業者を対象に地域若者サポートステーションという若者無業者向けのツールでの就労支援と、自治体の福祉支援をワンストップ型で継続的な提供をするための体制整備、モデル事業を行うものでございます。
8ページをごらんください。(3)が、若者無業者等の対策ということで、地域若者サポートステーションへの就労、機能強化や、先ほど言いました就職氷河期世代の無業者対策は、今、申し上げたとおりでございます。この事業全体としてこのように強化を図るものでございます。第2の柱の主なものは以上でございます。
9ページ目が、第3、最後の柱でございます。外国人材受け入れの環境整備等でございます。67億円を計上しております。1は、外国人技能実習生への相談援助、実地検査などに係る体制の強化でございまして、昨年施行されました新しい外国人技能実習制度の適正な運用を図るためにますます重要になってきます実地検査等を実施するための実施機関であります機構の体制を強化する経費でございます。
主なものになりましては、以上が概算要求の概要となります。何か御疑問、御質問がありましたら、忌憚なくお寄せいただければと思います。
以上です。

○小杉分科会長 ありがとうございました。
それでは、この点につきまして、皆様から、御質問、御意見をお受けしたいと思います。
いかがでございますか。
荘司委員、どうぞ。

○荘司委員 6ページの3番の技能五輪の関係なのですけれども、こちらは国際大会の招致ということでの予算なのですが、現在どのような取り組みが進められているのか、可能であればお聞かせいただければと思います。

○毛利能力評価担当参事官 能力評価担当参事官でございます。
2023技能五輪国際大会の招致につきましては、愛知県が手を挙げており、愛知県知事も入った招致委員会を開催しております。その委員会の下に、招致部会、選手強化部会、技能の向上あるいは全体の機運を醸成していく部会の3つの部会を設けまして、それぞれについて専門家もまじえまして取り組みを検討して進めているところでございます。
来月にはアムステルダムで国際大会運営機関の総会がございまして、正式に日本として立候補を表明することにしておりますので、それを踏まえまして、また今後、一生懸命PR、選手強化に取り組んでいくといったことを考えております。
以上でございます。

○小杉分科会長 よろしいですか。
ほかにいかがでしょうか。
小松委員、どうぞ。

○小松委員 5ページ、学び直しに資する環境の整備の中の「(2)人材育成ニーズに対応した教育訓練プログラムの開発」が新規で9.6億円計上されていまして、その内容としては、さまざまな人材育成のニーズに対応し、最新かつ実践的な知識・技術の習得に資する教育訓練プログラムの開発・実証を行うということで、この委員会ともかなりかかわってくると思いますので、実際、教育訓練給付とか、人材開発支援助成金の対象講座として活用できるものを開発していくと認識していいのかということですね。ぜひ労働者と産業界のニーズを踏まえた新たな教育訓練プログラムの構築をしていただきたいという期待もあります。
以上です。

○小杉分科会長 これも質問だったので、お願いします。

○相本人材開発政策担当参事官 人材開発政策担当参事官でございます。
この新規事業でございますけれども、人生100年時代構想の取りまとめにおきましても、この新たな学び直しのツールとして、このような形の教育訓練プログラムをしていくことが打ち出されたことを踏まえて実施していくものでございます。
本事業につきましては、2年間の事業でございまして、2年間で労働者のキャリアアップやキャリアチェンジに必要となります教育訓練プログラムを供給していくという内容にしてございます。
御指摘がございました、この教育訓練給付あるいは人材開発支援助成金の対象講座としても活用できるといったものを目指して、取り組みを進めていくとしているところでございます。

○小杉分科会長 大久保委員、どうぞ。

○大久保委員 去年と同じことを聞いて申しわけないのですが、「第2 人材投資の強化や女性、高齢者、障害者等の多様な人材の活躍促進」という大見出しのところに高齢者は出てくるのですけれども、各論には全く出てこないという、去年も同じ質問をして、また何もないのですよねという確認と、生涯現役社会を提唱している中で、人材開発領域のこの問題について政策的にどういうふうに考えていくのかということをあえてお聞きしたいのです。

○青山人材開発総務担当参事官 ありがとうございます。
まず、今回の概算要求の前提の一つとして申し上げるべきだったのですが、おっしゃるとおり、昨年来、政府においては、人生100年時代構想会議で、高齢者を含めて誰もが幾つになっても学び直しのチャレンジができるように、リカレント教育の拡充をしましょうということで検討してきて、今回、概算要求に盛り込んでいるものでございます。第2の柱は、全て、高齢者の方も含めて、学び直しがいつでもできるということを念頭に置きながら、いろいろ取り組みをしようとしているものでございます。教育訓練給付の拡充、リカレント教育プログラムの開発を初めとしたものでございます。
柱になっているけれども、具体的に、確かに高齢者だけを念頭に置いた事業というのはちょっと見えないのですが、ちなみに、確かになぜこの高齢者の柱があるかというと、これは厚労省全体の概算要求の柱と合っていまして、人材開発特有ではないのですけれども、高齢者雇用の施策は別途職業安定行政でもありまして、他局の政策を紹介して恐縮なのですが、高齢者の生涯現役支援プロジェクトを今回新規に要求していると聞いております。まさにセカンドキャリア設計支援も含めて考えていると聞いていますので、人材開発施策も本来貢献すべきだと思うのですけれども、省全体でそのように取り組んでいくのかなと思いますし、今、省全体と申しましたが、まさに60歳以降の継続雇用のあり方が、働き方実行計画でも、御案内のように、課題となっております。
2040年、高齢者人口がピークになることを見据えた中長期的な高齢者雇用のあり方、キャリア支援のあり方は、人開部分も含めて、労働行政全体で、今、議論しようとしているところでございますので、そういう高齢者の継続雇用などの動きと合わせて、引き続き、高齢者も念頭に置いた施策を何か考えられるかは不断に検討してまいりたいと思います。
以上です。

○小杉分科会長 不断に検討されると。

○大久保委員 今の御返答は、主に職安局で検討するけれども、人材開発統括官室としては特にやらないという意味ですか。

○青山人材開発総務担当参事官 やらないわけではなくて、高齢者雇用とか生涯現役でということは、一部概算要求もされているわけで、今後ますます重要になりますので、人材開発部門も一緒になって何か知恵を出していかなければと思っているところでございます。

○小杉分科会長 いかがでしょうか。
三村委員、どうぞ。

○三村委員 第3の柱について、お伺いしたいと思います。
生産年齢人口の減少の中で、この6月の骨太方針でも、外国人材の受け入れを拡大する方向が示され、今後、この傾向は強まると思います。多くの外国人技能者が、技能実習生等も含めて我が国に入ってくるわけですけれども、基本的に私はこういう人たちが、自国も含めて、日本でももちろんですけれども、キャリア形成が十分に果たせるような環境整備を整えておく必要があると思います。
特にこういう人たちの支援としては、日本語の習得や社会保障制度の周知が大変重要だと思います。それを担っている監理団体の実地検査に入るということですけれども、漏れ聞くには、監理団体には課題が多いところも存在するようなことを伺っております。今後、受け入れ枠が拡大する中で、こうした状況をどう改善し、こうした外国人技能者たちのキャリア形成を十分に果たせる環境をつくるのか、機構の取り組みも含めてお伺いしたいと思います。
以上です。

○小杉分科会長 事務局、どうぞ。

○平嶋海外人材育成担当参事官 ありがとうございます。
監理団体についての御質問がありました。この実地検査の中で、監理団体については年に1回、実習実施者に対しては、3年に1回、しっかり検査をしていくことを考えておりますが、当初、この機構が発足するときと比べますと、大幅に監理団体・実習実施団体はふえておりまして、きちんとこれを実施していくためには、このような予算を組んでしっかり取り組んでいく必要があると思っております。これから財務当局と折衝していくわけですが、十分な予算を確保してしっかりした体制を組んでいきたいと思っております。
日本語の話もありましたが、日本語については、機構にe-ラーニングのようなページを設けて、実習生が入ってくる前や各段階で学習の支援になるようなツールも開発していきたいと思っております。いずれにしましても、人材育成を通じた国際協力という制度でございますので、しっかり取り組んでいきたいと思います。

○三村委員 期待しております。
以上です。

○小杉分科会長 いかがでございましょうか。
よろしいですか。
お2人挙がりました。松井委員から。

○松井委員 5ページの長期の教育訓練休暇制度について質問なのですが、これは長期という場合の期間とか、有給・無給ですとか、今、何か少し具体的なイメージがあるようでしたらお聞かせいただければと思います。

○小杉分科会長 事務局、お願いします。

○伊藤若年者・キャリア形成支援担当参事官 先ほど、議題1の中でも若干触れさせていただいた内容でございます。この助成制度の拡充に関しましても、人生100年時代構想会議の提案を踏まえた取り組みの一環でございます。この長期の意味合いに関しましては、6カ月以上ということで現時点では考えているところでございます。制度導入及び実際に労働者が休暇取得を行った場合に対する助成制度という基本的な考え方のもとで、今後、財政当局などと折衝をしつつ、詳細設計を行っていきたい。これについて、人開金での制度措置を考えている。
ちなみに、この金額で計上しておりますのは、人開金の全体額を計上しておりますので、この取り組みのみのためにこの金額ということではございません。ですから、最終的には雇用保険法施行規則の改正に反映することを予定されている事項でございますので、またそのタイミングで改めて本分科会においても御報告申し上げたいと考えております。

○小杉分科会長 村上委員、どうぞ。

○村上委員 7ページの下のほう、若者・就職氷河期世代に対する就労支援のところです。(2)で就職氷河期世代を含む不安定就労者への支援ということで、これは大変重要な中身だと思っております。就職氷河期世代の方々は、今、40代半ばぐらいになっていらっしゃって、職業人生を考えるとあと20年ぐらい活躍していただかなくてはいけないということで、早く安定的に働く場を得て、力をつけて幸せに暮らして働いていけるように支援していくことが社会的に大変重要だと思っております。雇い入れた事業主への助成について書かれておりますけれども、御本人への対策ということももちろんですが、受け入れる企業への対策ということもしっかりやっていただきたいというお願いであります。かなりのボリュームゾーンの方々がいらっしゃるかと思いますので、そこへの支援は力を入れていっていただきたいと思っております。
関連して、予算は全く関係がないのですけれども、若者の就職で新卒者の問題についてです。若者雇用促進法はこの分科会が主管であるということでもありますので、若干意見を申し上げておきたいと思います。新卒者の採用活動の時期の問題について、これから変更ということで、政府、経済団体の皆さん、学校関係者の皆さんが集まって、ルールの検討が行われると聞いております。皆さん方も御考慮いただいているとは思いますけれども、学業への影響ももちろんですし、職業人生に与える影響も大変大きいものですので、そういった若い人たちへの配慮を十分に御考慮いただいて検討いただきたいと思っております。そのルール変更がいつからどのようになるのかわかりませんけれども、そのときにどんな影響が出たのかということを、もし何か影響が出たとすれば、対策を労政審のこの分科会でも検討する必要があるかと思っておりますので、意見として申し上げておきたいと思います。
以上です。

○小杉分科会長 どうぞ。

○伊藤若年者・キャリア形成支援担当参事官 まず、1点目の就職氷河期世代に対する支援でございます。この取り組みの意義については、今、委員からもお話があったとおり、全く同じ問題意識のもとで、今回、概算要求に拡充を盛り込んだものでございます。困窮者自立支援スキームとの一体型窓口といったことをイメージしての新たな取り組みでございまして、私どもは社会・援護局などとも十分協議をしながら財政当局との接触を、今、鋭意進めておる。
その際には、本人へのきめ細かい支援だけではなくて、受け入れ企業の理解、氷河期世代で、いわば10年、15年、履歴書に書けることがないといった方に対する企業の側の評価、ここをどう乗り越えていくのかというのが大変重要な課題ということで、取り組むメニューの中にも、受け入れ企業開拓的な、そうした視点も盛り込んでいるところでございます。関係者のお知恵もいただきながら、実効性ある取り組みを進めていきたいと考えております。
後半のほうで、いわゆる大卒者の就活ルールに関しても御指摘をいただいたところでございます。現在、この件に関しましては、経済団体あるいは大学関係等において、それぞれの立場でさまざまな議論が行われている状況でございます。私ども厚生労働省としても、このさまざまな議論に関しまして、今、まさに御指摘がございましたように、大学生が不安を抱えることなく円滑な就職活動ができるような環境整備という点、これは厚生労働行政の立場としては大変重要なポイントであると思っておりますので、そうした視点を踏まえて関係者の議論を見守り、また、当然政府全体としても必要な検討をしていかなければいけない、そういう問題意識でございます。
この期日等のルールに関しましては、当事者、経済団体、また、大学等の代表者、この労政審人材分科会にその大学等関係者が直接入っているわけではございませんので、ルールそのものをこの場でということではございませんが、労働政策上の影響という観点から御指摘のとおりであろうと思っておりますので、今後節目で、そうした観点からの就活ルールも含めての、ということになろうかと思いますけれども、大学生の就職環境あるいはそれにかかわる厚労省の取り組みについても御報告申し上げていきたいと考えているところでございます。

○小杉分科会長 それでは、この議題については、この辺でよろしゅうございますか。
最後に、議題3として「その他」です。事務局から、1つ報告がございます。労働政策基本部会の報告です。
事務局から、説明をお願いいたします。

○相本人材開発政策担当参事官 人材開発政策担当参事官でございます。
議題3「その他」といたしまして、労働政策基本部会報告書について御説明いたします。
この報告書でございますけれども、9月5日の労働政策審議会本審において了承されたということで、本分科会でも紹介を申し上げます。
資料につきましては、まず、資料3-1が報告書の本体でございますけれども、資料3-2の概要資料を使って御説明いたします。
まず、労働政策基本部会そのものについて、資料3-2の1ページ、中段にございます。平成28年12月14日の働き方に関する政策決定プロセス有識者会議報告書の考え方を受け、労働政策審議会本審のもとに設置され、働き方を取り巻く新たな中長期的課題について審議が行われたところでございます。
具体的には、1ページの下段にございますとおり、技術革新(AI等)の動向と雇用・労働への影響、労働者のキャリア充実支援や柔軟な労働市場の形成など、働く人全ての活躍を通じた生産性向上等に向けた取り組み、テレワークや副業・兼業、雇用類似の働き方など、時間・空間・企業に縛られない働き方について、現状、今後の課題等について整理がなされたところでございます。労働政策基本部会につきましては、昨年7月から10回にわたり開催されたところでございまして、その議論に基づき取りまとめられたものが本報告書となっております。このうち人材開発行政と関係の深い箇所について、特に御紹介を申し上げます。
資料3-2の2ページ目でございます。
「第1章 技術革新(AI等)の動向と雇用・労働への影響」について記載がございます。現状につきましては、AI等の技術革新が雇用・労働に与える影響は、技術革新の動向や新技術の導入の費用の不確定要素にも左右され、全体像を予測することは困難としつつ、今後の課題といたしまして、AI等の技術革新が進展する中で、人間に優位性があるスキルの習得・向上、働きがいのある人間らしい仕事を確保していくことが非常に重要。AI等の新技術の普及により、働く人全ての活躍や生産性の向上を図ることも必要。特に、AI等を活用できる人材の育成なども検討すべきという指摘がございます。また、AI等の技術革新が雇用労働に与える影響については、労働政策基本部会において具体的な実態の把握と継続的な検証を行うとされているところでございます。
「第2章 働く人全ての活躍を通じた生産性向上等に向けた取組」について、記載がございます。現状といたしましては、働く人全ての活躍を促し、持続的な経済成長を実現するためには、労働生産性の向上が不可欠。労働生産性の向上のためには、人的資本への投資が重要だが、企業による教育訓練費は減少しており、正社員の約8割が自己啓発を行う上での問題を認識。今後、職業人生の長期化やAI等の新技術の導入により、労働移動が一層活発化する可能性、労働者のスキルアップへの支援やマッチング強化が重要との認識が表明されているところでございます。今後の課題につきましては、イノベーション活動の促進や人材育成支援といった労働生産性の向上の支援策については、事業・企業規模別の検討が必要。生産性向上、職業を取り巻く環境の変化、職業生涯の長期化に対応していくため、企業による人材育成の促進に必要な環境整備や、個人による主体的な学び直しへの支援が必要。また、技術革新の進展に対応した教育・能力開発体系の整備の検討が必要。転職が不利にならない柔軟な労働市場の確立を促しつつ、社会全体で質の高い雇用機会を増やし、成長分野への労働移動を促進させていくことも重要などという指摘がございます。
第3章につきましては、人材開発行政との関係が薄いところでございますので、説明につきましては割愛させていただきますが、このような本報告書の内容も踏まえまして、今後の人材開発政策を、引き続き、進めてまいりたいと考えてございます。
以上でございます。

○小杉分科会長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明につきまして、皆様から、御質問、御意見等がございましたら、お願いいたします。
特にないようでしたらこの議題はここまでとさせていただきますが、よろしゅうございますか。
それでは、本日の議題は以上でございますが、委員からほかに何かございますでしょうか。
特にないようでしたら、本日の議論は以上といたします。
また、次回、第11回の日程につきましては、10月18日、朝の10時からの開催を予定しておりますので、よろしくお願いいたします。
本日の議事録の署名人ですけれども、労働者側は小倉委員、使用者側は小松委員にお願いいたします。
それでは、本日はこれで終了いたします。どうも御協力ありがとうございました。