第78回労働政策審議会障害者雇用分科会(議事録)

日時

平成30年9月28日(金) 13:00~15:00

場所

AP新橋虎ノ門 11階B会議室

議事


○阿部分科会長 定刻となりましたので、ただいまから第78回障害者雇用分科会を開催いたします。本日は小原委員、中川委員、長谷川委員、岡本委員、桑原委員、村上委員、塩野委員、阿部委員が欠席でございます。なお、村上委員の代理として、日本労働組合総連合会雇用対策局長の漆原氏にお越しいただいております。本日は議事に入る前に、改めて分科会長代理を指名させていただきたいと存じます。労働政策審議会令第6条第6項により、分科会長に事故があるときは、本分科会に属する公益委員の中から分科会長があらかじめ指名する方に、分科会長を代理することをお願いすることになっております。本分科会におきましては、本日時点で代理の方を指名しておりませんでした。本日、あらためて松為委員を分科会長代理に指名したいと思いますので、よろしくお願いいたします。また、本日はペーパーレス開催となっておりますので、事務局から説明をお願いします。
○吉田障害者雇用対策課課長補佐 事務局でございます。厚生労働省では、審議会等のペーパーレス化の取組を推進しておりまして、本日の分科会は、お手元のタブレットで資料を御覧いただくという形で準備させていただいております。お手元には、タブレットとスタイラスペンを配布しております。使用方法につきましては、お手元に操作説明書を配布しておりますけれども、会議の最中、操作方法等でお悩みの点がございましたら、近くに係の者がおりますので、お声掛けいただければと思っています。以上です。
○阿部分科会長 ここで議事に入る前に事務局から挨拶がございます。お願いします。
○土屋職業安定局長 職業安定局長の土屋でございます。職業安定局長を拝命いたしましてから、本日、初めてこの分科会に出席をさせていただいております。どうぞよろしくお願い申し上げます。議事に先立ちまして、私のほうから一言、御報告を申し上げさせていただきたいと思います。今般、国の機関に関しまして、障害者の任免状況の再点検を行いました。その結果、多数の機関におきまして、通報の対象とした障害者の範囲に誤りが見られまして、障害者の法定雇用率を満たしていないという状況が明らかになったものでございます。障害者雇用促進法の下で、国の機関も事業主として社会連帯の理念に基づきまして、障害者の方々の雇用の確保、あるいは安定を図る責務を有しておりますとともに、民間の事業主の皆さんに対しまして、率先して障害者の方々を雇用すべき立場にありながら、このような事態となりましたことについて、誠に遺憾であり、制度を所管する立場として深くおわびを申し上げたいと思います。
 今般の事態に対応するために、公務部門における障害者雇用に関する関係閣僚会議を設置いたしました。その下に、厚生労働大臣を議長とする公務部門における障害者雇用に関する関係府省連絡会議を設置しております。この連絡会議におきまして検討を進め、10月中を目途に政府一体となった取組について取りまとめを行うこととしております。この検討に際しまして、本日、この後に頂戴いたします御意見を反映させていただくとともに、取りまとめに当たりましても、本分科会で御議論を頂いた上で、最終的な取りまとめを行いたいと考えております。委員の皆様方には忌憚のない御意見、御議論をお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。
○阿部分科会長 ありがとうございました。それでは議事に入りたいと思います。資料1から資料3につきまして、事務局から説明をお願いします。よろしくお願いします。
○吉田障害者雇用対策課課長補佐 事務局でございます。お手元のタブレットに現在、議事次第のほうが表示されているかとは思いますが、まず、資料1に移っていただきたいと思います。それでは、資料1につきまして御説明申し上げたいと思います。まず、資料1につきましては、国の行政機関における平成29年6月1日現在の障害者の任免状況の再点検結果についてというものです。1ページ目、まず、概要です。国の機関は、障害者の雇用の促進等に関する法律第40条に基づき、毎年、障害者である職員の任免に関する状況を、障害者任免状況通報書により厚生労働大臣に対して通報していただくということになっております。この通報に基づいて集計された、平成29年6月1日現在の障害者である職員の任免に関する状況につきましては、民間企業における障害者の雇用の状況と併せまして、「平成29年障害者雇用状況の集計結果」として、平成29年12月12日に公表していたところですけれども、この度、国の行政機関における数値に誤りがあることが判明し、今回、再点検を行い、各機関から改めて数値が通報されたことから、平成30年8月28日に公表させていただいたものです。なお、一部の数値につきまして、先日、平成30年9月21日に訂正がございまして、その数値の訂正も本資料については反映したものとなっております。再点検の結果につきましては、後ほどまた、一覧表で御覧いただきたいと思いますけれども、障害者数につきましては、6,867.5人とあったものが、3,460.5人減少して3,407人と、実雇用率につきましては2.49%から1.19%へと、不足数につきましては2人から3,396.5人となっております。
 経緯につきましては2番で記載のとおりですけれども、○の3つ目です。平成30年6月20日に、厚生労働省障害者雇用対策課長から各機関の人事担当課長に対しまして、平成29年6月1日現在の状況の通報内容について、通報の対象となる障害者の範囲について再点検を行い、通報内容に修正が必要な場合は再提出を行うことを依頼したものです。その再点検の結果を改めて取りまとめまして公表したものです。
 2ページ目、3ページ目です。こちらにつきましては再点検後の結果が2ページ目の数値、再点検前の従来公表していた数値が3ページ目です。これを分かりやすくまとめたものが、ページが少し飛びますけれども6ページ目です。右方に参考1と資料番号を付しておりますけれども、平成29年6月1日現在の障害者の任免状況通報に係る再点検結果(概要)です。改めまして、上に、行政機関につきまして実雇用率2.49%のものが、再点検の結果によりまして1.19%になったと。また、雇用障害者数につきましては6,867.5人であったものが、3,407人になったということが全体の結果です。その上で、その下の一覧表で、各府省庁の現状における再点検の結果について、点検前と点検後の数値を記載しているものです。それぞれ内閣官房から始まりまして、各機関の数値が並んでおります。お時間との兼ね合いもございますので、個別に紹介はいたしませんけれども、全体として厳しい状況にあると受け止めております。
 資料に戻っていただきまして、4ページ目です。今後の取組ということで記載させていただいております。政府一体として今般の事態に対応するため、平成30年の8月28日に「公務部門における障害者雇用に関する関係閣僚会議」、内閣官房長官を議長といたしまして、厚生労働大臣が副議長を務めるものです。こちらを開催いたしまして、その下に「公務部門における障害者雇用に関する関係府省連絡会議」、こちらにつきましては厚生労働大臣が議長を務める形となっております。こちらを設置いたしまして、以下、記載しています4点の事項について、1点目は今般の事態の検証とチェック機能の強化、2点目は法定雇用率の速やかな達成に向けた計画的な取組、3点目は国・地方公共団体における障害者の活躍の場の拡大、4点目は公務員の任用面での対応、こちらの4点の事項につきまして検討を進めることとしております。
 また、今般の事態に係る第三者による検証の場としまして、「国の行政機関における障害者雇用に係る事案に関する検証委員会」、こちらにつきましては、松井巖様を委員長として設置しております。また、地方公共団体に対しましても、総務省の協力を頂きながら、国の機関と同様に再点検を8月31日に依頼しているところでして、独立行政法人等に対しましても国の機関と同様に、9月7日に再点検を依頼しているところです。こうした関係府省連絡会議の検討を踏まえまして、10月中をめどといたしまして、政府一体となった取組について、閣僚会議において取りまとめを行うこととしてまいりたいと考えております。以上が資料1についての御説明です。
 続きまして、資料2です。立法機関及び司法機関における平成29年6月1日現在の障害者の任免状況の再点検結果についてです。1番で概要について触れております。○の1つ目、2つ目につきましては先ほど御説明したものとほぼ同じ内容です。立法機関、司法機関においても通報内容の再点検を行っていただきまして、改めて数値が通報されたことから平成30年の9月7日に公表したものです。1番の概要、○の3つ目です。
 再点検の結果についてですけれども、(1)立法機関の障害者数につきましては84.5人から37.5人減少いたしまして47人、実雇用率につきましては2.36%から1.31%へと。また、不足数につきましては0人から34人という形になっております。
 (2)司法機関につきましては、障害者数が641人から399人減少いたしまして242人。実雇用率につきましては2.58%から0.97%へと。また、不足数につきましては0人から302人になっております。こちらの今、口頭で申し上げた内容につきまして、お手元の資料2ページ目を御覧いただきますと、機関ごとの一覧が出ております。
 2ページ目、障害者任免状況についてということで、立法機関については、衆議院事務局から衆議院法制局、参議院事務局、参議院法制局、国立国会図書館。また、司法につきましては最高裁判所、高等裁判所、地方裁判所、家庭裁判所の状況についてを、上下で再点検後と再点検前の状況について書いたものです。
 資料、飛んで恐縮ですけれども、こちらをまとめたものがお手元の資料4ページ目です。平成29年6月1日現在の障害者の任免状況通報に係る再点検結果(概要)ということで、点検前後の比較ができる形でまとめた資料です。立法機関につきましては先ほど申し上げたように、実雇用率が2.36%から1.31%、雇用障害者数が84.5人から47人となっているもので、その下、各機関ごとの数値の変化について記載しております。
 また、その下、司法機関につきましても実雇用率2.58%が0.97%、雇用障害者数につきまして641人から242人になっていまして、それぞれの機関別の数値につきましてもその下に記載しているところです。資料2につきまして説明は以上です。
 続きまして、資料3です。こちらにつきましては、「第1回公務部門における障害者雇用に関する関係府省連絡会議」でお示しした資料でして、正に先ほど申し上げた、今後検討すべき論点について4点で記したものです。改めて御説明いたしますと、論点につきまして大きく4点、1点目は今般の事態の検証とチェック機能の強化。今般の事態の検証ということで、第三者も参画し、今般の事態について検証を行うとされておりまして、こちらにつきましては先ほども御説明いたしましたけれども、検証委員会が設置されておりまして、そちらで検討していただいている形になっております。また、再発防止のための対策も論点となっております。
 2点目といたしましては、法定雇用率の速やかな達成に向けた計画的な取組。障害者採用計画の策定及び進捗管理。採用計画を着実に進捗させるための支援策の策定。
 3点目につきましては、国・地方公共団体における障害者の活躍の場の拡大。障害者が活躍する場の拡大(障害者が活躍しやすい職場づくりの推進)。また、障害者がいきいきと働きやすい職場環境の整備です。
 4点目といたしまして、公務員の任用面での対応の検討です。
 先ほど申し上げましたように10月中をめどに、政府として方向性を取りまとめさせていただくということを予定しておりまして、その検討の過程におきまして、この本分科会におきましても皆様から御議論を賜り、政府の検討にいかしていきたいという趣旨で、本日、この分科会を開催させていただいたところでございます。本日は是非ともこの論点につきまして、皆様からの忌憚のない御意見を頂きたいと考えております。事務局からは以上です。
○阿部分科会長 ありがとうございました。それでは、質疑応答に入りたいと思います。御質問や御意見がございましたら、視覚・聴覚障害者の方々の皆様への情報保障の観点から、必ず挙手をしていただいて、私が指名した後にお名前を名乗ってから御発言を頂くようにお願いします。それではまず、資料1から資料3について説明がございました。また、事務局から、今日、議論すべき内容についても説明があったと思います。御質問、御意見がございましたら御発言いただきたいと思います。それでは、竹下委員。
○竹下委員 ありがとうございます、竹下です。質問と意見とごちゃごちゃになっていることをお許し願いたいと思います。まず最初の質問は、今から4年前だったと思うのですが、厚労省の出先機関という言い方でいいのでしょうか、独法の労働者健康福祉機構にて水増し問題が起こったことは、皆さん御記憶に新しいと思うのです。そのときに、第三者委員会を確か設置したと思うのです。第三者委員会でどういう調査をして、どういうまとめをしたかについて御説明を頂くか、できれば報告書を配布していただくことをお願いできないだろうか、これが1点目です。
 2点目は、そのときに、私は報道で、実はなまくらで報告書は手に入るかどうか知りませんが読んでいないのですが、報道によると、二度とこうした過ちが起こらないようにすることを、言わば決意したという趣旨のくだりがあったかと思うのです。なぜそのときに、他の府省庁からも名乗り出なかったのでしょうか。あえて言うならば、今回の問題は、4年前との関係で言えば、これは適切な言葉かどうか知りませんが、後出しじゃんけんでしかないと思うのです。そのようなことを許しておいて、果たして今回、チェック体制だ、それから後で質問しますが、第三者委員会だというけれども、その結果をふまえて再発を本当に防げることになるのだろうか。言葉を選ばずにこれも言うなら、二度あることは三度あるわけですよね。であれば、本当に、4年前のをまず検証、それこそ検証して、そのときになぜ今日の状態をその時点で解明し、防ぐことができなかったかというところも、やはり議論されなかったら何も大きな解決に結び付かないのではないかと思うのが、2点目です。
 それから3点目に、私は、今回の問題を水増し問題と呼んでおりますが、先ほど国会でも同じことを言ってきたのだけれど、これは水増し問題なのでしょうか。私はそこでもちょっと言ったのですが、「水増し」というのは、例えば、定員の水増しだの合格者の水増しだのというのは、正に、言わば人数を増やすことが水増しなのでしょう。今回、人数を増やしていないではないですか。すなわち、障害のない人を障害者に仕立てて報告しているだけですから、何も水増ししていないのです。今の報告と、資料1、2でも明らかなように、障害者の数を増やしているわけではないのですよ。水増ししていないのです。障害者ではない人を障害者に仕立てて架空の報告をしているのですから、これは水増しではないと思うのです。私はこれに怒りを感じるのです。いつも私は典型的なのを挙げろと言われたら糖尿病を挙げるのです。糖尿病の公務員の方がそこに数えられているけれども、間違いなくその方は、自分で障害者と言ったのでしょうか。私は絶対に許せない。それは、障害者に対する私は侮辱だと思うのです。障害者でない人が、障害を偽装したと言ったら大変なことになるはずですよ。それを今回、なお水増しという言葉で私はこの問題を命名することは、本質を見えなくしてしまうことになるのが非常に問題だと思っている。これは3点目の、これは意見です。
 それで、この間の、あえて水増しにしておきますが、水増し問題で、私は、府省庁が出てきた、立法機関も出てきた、司法も出てきた、この司法の所が非常に私はショックなのです。と言いますのは、障害者雇用促進法を見ていただけたら分かるように、民間企業において、納付金の問題とは別に、報告書に虚偽があった場合どういう規定がありますか。罰則ですよ。もしも、民間において不正の報告をしていたら罰則によって処罰されるわけでしょう。それで審査するのは裁判所ですよ。その裁判所が偽装していたわけですよ。どうやって裁くのですか。それこそ、これも最高裁、司法に怒られてもいいけど言い切りたいのは、正に泥棒に泥棒を裁かすのですか。それほど、今回の問題は本質に関わる問題であるのに、何で1か月で解決できるのですか。全く理解できない。これが4点目。
 5点目は、今回の問題でどういう報告書が使用されているのか、少し報告を頂きたい。なぜかと言うと、私はずっとこの審議会で、ロクイチ報告において、障害種別ごとの統計とかが分かるような報告をお願いしたいと言ってきた。実際に、民間であろうが役所であろうが、どういう報告書が使用されているのか、私は残念ながら知りません。であれば、あえて絞り込んで、今回の府省庁の報告内容はどういう報告書に基づいて報告されているか、是非、説明いただきたい。なぜならば、何遍も言いますが、糖尿病の人がどういう形でというのか、あえて申し上げれば、どのようにして誤魔化して障害者に仕立てられているのかが、その報告書を見れば分かるのではないかという気がするので、是非、この点を御説明いただきたい。
 それから、もう1つの問題は、第三者機関の設置の問題です。検証委員会が立ち上げられたことは報道で知っています。若干、別の関わりでも私はお聞きしております。そうであれば、第三者機関の委員会の設置目的、何をしてもらうために、何の調査をするためにどういう目的を持って設置されたのか、この説明を頂きたい。それによっては、メンバーというものは、おのずと適正が見えてくるはずであります。何がそこで私は気になるかと言うと、設置目的と委員会の役割、機能もそうなのですが、当事者は入っているのでしょうか。ここでもそうですし、この間の障害者権利条約でもそうですが、当事者を抜きにした監視であろうが運用であろうが決定であろうが、そういう当事者の参画の下でものを進めるということが、この3年、10年の国の有り様だと思うのです。であるならば、この監視委員会の構成というものがどういう目的で設置されたかにも関わりを持ちながら、構成メンバーの選択をどういう形で適正を図ったのか、あえて絞って言えば、当事者が入っているかどうか是非、お聞きしたい。
 最後に、今の説明で、1と2の資料の中で、現行の、何て言えばいいのでしょうか、実際に適正な障害者と言うのでしょうか、現に障害者として雇われていると言うのでしょうか、雇用数とパーセンテージは示されている、国で言うと1.19%。そうであれば、現に1.19%の基礎となっている障害者の種別や、あるいは区分と言うか、部位別と言うか、そういうものがどういう実態になっているかを、是非、御報告を頂きたい。なぜなら、その報告をしなかったら、実態は見えてこないはずですよ。誤魔化しの部分の説明は、ともかく今回調査もやって、どういう形で報告されるかによって、それを待つことでもいいのですが、残されているというか、1.19の基礎となっている実雇用の障害者の実態を是非、御報告を頂きたい。その中で、障害者の雇用に対して、どういう配慮が、あるいは就労に対しての支援というものが行われているのか、この報告も併せてお願いしたいということです。今、申し上げたことのお願いの点がきちっと報告されないままで、ここで議論を交わしても議論が深まらないと思うのです。その点を是非、お願いしたいと思います。以上です。
○阿部分科会長 それでは、御質問、御意見がございましたので、少し整理させていただきたいと思います。まず、質問としては、4年前の独法の水増し問題について、どのような調査・報告があったのかということと、それから、そのときに、今、起きている府省庁の問題がなぜ出てこなかったのかという御質問があったと思います。それから、水増しではなくて、偽証、偽造だというのは、これは御意見で、よろしいですか。
○竹下委員 はい、結構です。
○阿部分科会長 それから、今回の調査について、もともと府省庁での報告書というのが、具体的にどのような内容で調査に当たっているのかという御質問もあったと思います。それから、第三者機関の設置で、目的がどういうものであるのか、それに沿った委員の構成になっているのかという御質問もありました。最後に、今、実際、府省庁にいらっしゃる障害者がどういった種別の方々で、どういった実態になっているのかといった御質問があったと思います。御質問は4点ということでよろしいですか。
○竹下委員 はい、いいです。ありがとうございます。
○阿部分科会長 それでは、事務局からお願いします。
○松下障害者雇用対策課長 厚生労働省の事務局です。まず1点目の、4年前の独立行政法人での事件についてということで御質問があった件です。これは、労働者健康福祉機構によります数字の改ざんと言っていいのかと思いますが、そういう障害者雇用の関係で事件がありました。これは平成26年、平成27年当時のそうした事件があったということで、それを受けまして、先ほど竹下委員から、第三者委員会を設けて検証されたという御発言がありました。この内容については、今、手元に資料がありませんので、後ほどまた分科会長とも相談して、その内容について委員の方々に御提供もさせていただきたいと思っております。この当時、そういう第三者委員会を設けながら、再発防止ということで、独立行政法人に対しての点検、再点検を行っていると承知しております。そうしたことも受けながら、また、その後の取組としましては、厚生労働省のハローワークにおきまして、平成27年から5か年計画で、全ての特殊法人に対して検査を行っていまして、現在で4年目になっているところです。そうした動きがあるということで御報告をさせていただくとともに、先ほどの第三者委員会の報告書の関係については、取扱いはまた御相談させていただきたいと思っております。
 次の点、水増し問題と竹下委員がおっしゃられた点です。我々自身、「水増し」という表現は使っていないところですが、今回、平成29年6月1日現在における障害者の任免状況の再点検をさせていただいて、その結果、障害者の範囲についての取扱いについて誤りがあったということで、今回の8月28日にその状況を公表させていただいたというところです。その中身、どういう内容で、今回6,000人超から3,000人超という形で数字が大きく減少したことになりますが、その内容につきましては、現在、先ほども事務局で説明をしました第三者の検証委員会において、各省に対して、不足した部分の内容について検証されていると承知しているところです。
 また次のお尋ねの件です。報告書についてどのような報告内容であるのかということですが、これは、少し趣旨に沿っているかどうか確認しながら、お答えをしたいと思います。今回、国の行政機関についての再点検を行うに当たりまして、もともと5月の時点で、財務省から障害の要件の取扱いについて、照会が我々厚生労働省にありました。それを受けて、5月16日時点で、各、国の行政機関に対して取扱い、端的に申し上げますと手帳と、そうした我々が示している要件の中で取扱い、カウントがされているかを確認したところです。それが、どうも我々が考えているような取扱いがされていなかったということがありまして、その後の6月時点におきまして、我々6月1日時点で毎年行っているロクイチ調査の中で、通報書というものを各、国の行政機関から出していただいております。その通報書、平成29年6月1日時点の、その時点における通報書の見直しといった観点で6月に依頼を各、国の行政機関にしております。そうした結果の通報書の内容を、訂正等々がある中で、今回取りまとめをして、このような報告を8月28日にしたという流れということになっております。
 次の第三者機関の設置の件です。第三者機関につきましては、先ほど事務局からも少し話があったかと思います。関係府省の連絡会議の中でも、今回、どうしてこのような事案が起きたのかということで、事案の検証が課題、論点として挙げられております。今回どうして起きたかの原因を検証するために検証委員会というものが設置されているところと認識をしております。第三者による検証の場ということです。このメンバーにつきましては、委員長については、松井先生という弁護士で元福岡高検検事長の方、それと、この障害者雇用分科会の元会長であります今野浩一郎先生、元総務省の行政評価局長を経験された福井先生、弁護士の渕上玲子先生、中央大学の教授で、元東京高裁の判事の経験があります村瀬先生、以上の5名の方が検証委員会の委員という形で構成員となっていることを承知しているところです。
 最後の所です。今回、雇用率が1.19%まで下がったということで、その中での種別、部位別の状況です。ここにつきましては、今回の身体障害者の数で言いますと、点検前が6,867.5人ということになりますが、その再点検後の状況で、障害者の数で言いますと3,400人ほどということで、大幅に3,460人ほど減少をしております。そうした中で、身体障害者の数については、これは再点検前が5,964.5人、それが再点検後においては、2,749人という形になっております。知的障害者の数ですが、再点検前が184.5人、再点検後については、187人となっております。あと、精神障害者の数です。再点検前が718.5人ですが、再点検後においては471.5人という形で減少しております。パーセンテージで申し上げますと、身体障害の方の数が、割合として86.9%から80.7%になっております。知的障害の方が2.7%から5.5%という形になっております。精神障害者の数については、10.4%の割合から13.8%ということです。以上、8月28日時点の数字ということで御承知置きいただければと思います。以上です。
○阿部分科会長 ありがとうございました。竹下委員、何か。
○竹下委員 竹下です。私ばかりしゃべったら怒られるので一旦やめますが、今の事務局からの報告でも、皆さんお分かりいただけると思うのですが、私、非常にやはり、この問題の解決に向けていくときに不安と疑問があるのは、例えば、第三者委員会の目的の説明は特になかったかと思うのだけれども、メンバーを見ていると、私は、偶然ですが福井先生以外は多少存じあげている方ばかりです。ですが、それを見ていると余計感じるのは、この委員会は何なのだろう、もっと言えば、当事者がなぜそこに加えてもらっていないのだろうということを、極端なほどにメンバーを見たら感じるわけです。正にここには、例えば審議会で言うならば、経営、労働、あるいは公益、障害者という当事者がきちっと意識されながら構成されているわけですが、検証委員会においては全く、今野先生は、この部会のずっと座長をやっておられたから非常に見識のある方だとは認識しておりますが、それにしても、当事者が全くどこにも影も見えてこない。この状態で、結局、報告書が10月中には出ると私は聞いているのですが、報告書が出て、それで終わってしまうのだろうか。この大きな、本質的な問題を抱えた問題がこの1か月で、10月一杯で、本当に、問題点が整理し尽くされて原因が解明し尽くされて、その結果、それを踏まえた対策が十分なものになるのだろうか。4年前の不祥事の、何て言いますか、二の舞をまたぞろやることにならないのだろうかということを強く感じて、私の発言を一旦終わります。
○阿部分科会長 ありがとうございました。それではほかにいかがでしょうか。
○石田委員 簡単な質問を1つしてから回答を聞き、それから意見を述べたいと思います。まず、本日の資料2「立法機関及び司法機関における平成29年6月1日現在の障害者の任免状況の再点検結果について」を提出された理由について御説明いただけますか。先ほど述べられたと思うのですが、もう一回聞きたいです。
○松下障害者雇用対策課長 国の行政機関で、毎年、先ほども申し上げましたが、6月1日時点で調査を、障害者雇用の任免状況をさせていただいております。その中で、国の行政機関だけではなくて、司法・立法、そうした所も含めて毎年調査をさせていただいております。再点検を依頼するに当たりまして、司法・立法に対しても行って取りまとめをしたわけですが、ただ、8月28日の時点で、司法・立法の状況の取りまとめが至ってなかったということがありまして、9月の時点になって報告をしたという状況です。
○石田委員 ありがとうございます。ではよろしいですか。
○阿部分科会長 どうぞ。
○石田委員 この資料が提出されて大変よかったと思います。特に立法が最初にあるのがよかったと思います。一方、物事の善悪を判断する部署の数字が非常に悪いということは注目に値すると思います。一点に焦点を当て後はぼかすという意図があって立法機関を最初に持ってきたのかと少し気になりました。なぜこうしたことを言うかというと、普通の人はそのように受け取ります。本会議において、普通の感覚で気が付くところをお互い述べていくことが大事だと思っています。例えば、以前、本会議において申し上げましたが、資料として提出された「障害者雇用納付金制度の財政状況について」の表現ぶりは、おかしいと思います。「努力しても採用できなかったので、社会責任として納付金を納めます」という趣旨であれば、「納付金の活用」という考え方が、まず示されるべきです。「活用する」ことは、そのお金はどのように使われて、どういう成果が出たかということが一番大事になってきます。収支状況の数字だけ示されたら収支がプラスでよかったということでお終いになってしまいます。こうした考え方では、なかなか障害者雇用を進めることは難しいと思います。
 それから、立法機関については、せっかく悪い数字が出ているのであれば1つ、2つ原因を見つけて、今後に役立つようにこの会議に提出いただきたいと思います。民間企業でしたら多分行うことです。大企業でしたらなおのことです。
 それから、私は、この件で全く怒りを持っていません。悪いことをするというのはどの世界でもあります。国の機関だからあってはいけないと勝手に我々は思っているだけです。役人たちがしっかり仕事をするかどうかを監視するのは政治だと思います。まず、監視できていない政治を怒るべきで、その次に怒る先は自分自身です。その政治家を選んだのは自分ですから。そこで、「自分がどうしていくか」で私は決まると思います。国しかできないことは、もちろん国がする。しかし、我々にできることは我々がやるべきです。なぜなら、国は我々から納められた税金で行っているからです。我々は、自らやるということについて、もっと虚心になって真剣に取り組んでいくべきです。そういう姿勢があれば、国も政治も変わっていくと思います。ですから、私は、怒りよりもしっかり我々のやるべきことを考えていきたいと思います。
 そこで提案です。先ほど、第三者機関のメンバーをご紹介いただきました。名前ぐらいは知っている程度です。やはり、現場を知らない人は、非常に難しい面があると思います。現場というのは、生身の人間が仕事をしている場所です。腹が痛かったり、家族の心配をしながら、けがをしながらやっているところです。その現場の人たちだからこそ嘘や誤魔化しというのが見えてくると思います。ですから、竹下委員のご発言にもありましたが、幾つかの業界から現場の人を選べばいいと思います。「コンシェルジュ」という言葉を皆さん御存じだと思います。「コンシェルジュ」は、ホテルで一生懸命お客様のご要望に応えている方です。しかし、真のコンシェルジュは、お客様が気付いていないところを気付かせて提案する方です。やはり現場を知る人だからこその気付きがあると思います。是非とも、委員にはそういう人も入れていただきたい。高校生や大学生がふさわしい場合もあるかもしれません。旧態依然とした考えをやめて、行政の在り方や我々の社会的な活動の在り方も含めて考える、新しいステップにするいいチャンスだと思います。障害者との共生は国民全員に共通したことですから、非常にいい事例だと思いますので、取り組んでいただきたいと思います。
 それから、もう1点ご意見いたします。この会議においても、出席者が意見を言って聞いてお終いです。このような会議の問題点は、全員賛成を求めることです。反対者がいてもいいと思います。互いに意見を述べ合うことが大事です。私は、ある別の主体でこのような委員を何回もやりましたが、それを徹底してやらせてもらいました。結果、全体的に認識した上で決まったことは、反対した者もみんなとやりましょうとなっていきます。こうしたことが、ものごとをプラスに転換していく基準になると思います。会議の中で、統一見解を最後にまとめて議事録にして出席者間で承認を得る。これで議事録は済みます。ペーパレス会議で、せっかくITを使っているのですから、この会議のやり方も、従来のやり方と変える新しいチャンスにしていただきたいと思います。
○阿部分科会長 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。
○漆原代理 村上の代理で出席しています、連合の漆原です。御説明、どうもありがとうございました。関係閣僚会議や第三者委員会でどういう議論があったのか、報道は十分にされていませんし、どういうアウトプットが出るのかわからないですが、一言発言させていただきます。例えばこの資料3を拝見すると、第三者委員会の所は「今般の」という記載になっていまして、確かに今般、そういった問題があって、第三者委員会で検証して、再発防止策も検討するということだと思いますが、障害者雇用は、この先もずっと続いていくわけです。先ほど竹下委員から4年前の問題についてお話もありましたが、今後、国・地方公共団体において、また虚偽ですとか、そういった問題があった場合の精査は、果たしてどこで行って、本当の法定雇用率というのはどこでチェックをしていくのでしょうか。あるいは、仮に新たに障害者雇用について計画を定めて、計画どおり達成できなかった場合、そういったところの検証はどこでしていくのでしょうか。例えば、今般の問題の検証が終われば、第三者の委員会は多分解散してしまうと思うのですが、その後のチェックは厚生労働省なのか、あるいは地方公共団体は総務省なのか、あるいは内閣府で取りまとめるのか、あるいはこういった問題を担当する第三者の委員会を別に設置するのかということについて、どうされるのか。まだ第三者委員会の検証が終わっていないので、どのようになるのか分からないのですが、もし現時点で分かることがあればお教えいただきたいのが1点です。
 もう一点、資料3の3ポツの所に、「障害者が活躍しやすい職場作りの推進」という所については、これは公務の職場であっても、民間であっても、進めていかなければならないと思っていますが、国・地方公共団体が法定雇用率を達成するためには、これから3,000名近くというかなりの数の障害者を雇用していくことになると思います。
 これまでも本分科会ですとか、少し前に開催されていた研究会において、公務職場の合理的配慮の実施については、何度か委員から意見が出されましたが、本分科会や研究会の所管外であるということで、検討がされてこなかったかと思います。しかし、既にこういった問題が出てきており、実際に合理的配慮がなされなければ、障害者の職場定着というのは困難であります。また、合理的配慮のない数合わせの採用であれば、労使ともに不幸になってしまうと思いますので、合理的配慮のための予算についても確保することが必要です。実務上は、採用する個々の障害者が決定した後に、必要とされる合理的配慮が決まると思うのですが、その予算確保というのは具体的に、どういうタイミングで、どのようになされるのでしょうか。関係閣僚会議に財務大臣が入っているので、予算確保というのはきちんとなされると思うのですが、今後、法定雇用率の達成に向けて計画を策定するに当たり、新たに雇用する障害者の人件費だけではなくて、合理的配慮に必要な庁舎の営繕ですとか、備品の調達の費用というのは、財務当局の査定により減額されることなく、確実に確保される必要があると思います。こうした予算措置の在り方について、どういう状況であるのか、分かればお教えいただきたいということです。以上です。
○阿部分科会長 では、2点ありましたので、事務局からお願いします。
○松下障害者雇用対策課長 事務局です。まず、1点目の第三者委員会を含めた今般の事態の検証について、今後の再発防止の観点からの御質問であったかと認識しています。今回、ここにお示ししている資料3の1の所にありますように、まず、どうしてこのような事態が生じたのかということで、第三者委員会の検証を受けながら、取りまとめも第三者委員会の中でさせていただくと聞いております。そうした第三者委員会の検証を受けながら、我々政府といたしましても、今後の再発防止といったことが、大変重要な論点・課題になっていると認識しているところです。
 現行におきましては、御承知の委員の方々も多いと思いますが、国の行政機関に対する直接的な調査権限、立入権限といったものが、民間の並びという観点で申し上げますと、国の機関に対しては厚生労働省からできないといったこと等を含めて、今、我々が法制度の中でできること、できないこと等も含めて、第三者委員会の検証結果も受けながら、今後の再発防止について、検討を深めていくことが必要になると思っています。
 また、計画の部分ですが、これは採用につきましては採用計画、今年中に解消できなかった場合については、来年1年間で採用計画を、1月1日から1年間の計画を立てていただくというのが、法令上の立て付けということになっています。その際に、進捗状況が芳しくない等々がありましたら、法令上の整理として厚生労働省が、そうした機関に対して勧告できるといった規定がありますが、そうした規定も含めて、今後そういう再発防止の観点から、どうした形が効果的、効率的な形で、今後二度とこのようなことがないようにということで、議論を深めていくことになるかと思っているところです。
 2点目の合理的配慮に関する対応についての予算確保といった観点で、しっかり対応してほしいといった趣旨での御質問であったかと思います。ここの部分につきましても、先ほどの資料3の3ポツで、漆原代理からも御発言がありましたように、障害のある方が活躍しやすい職場作りの推進というところで、今、関係府省連絡会議の下で、どうした取組が、この環境作りにとってよいのかというのを、今、各府省が検討を進めているところです。
 そうした取組の中で、今、漆原代理から御発言があったようなバリアフリーの観点とか、そうした機器の整備等々といったことも含めて、障害のある方の活躍の場の拡大といったことについて、検討を進めているところですし、予算面の観点で申し上げますと、これは関係閣僚会議の中におきまして、必要な財源面の手当について、財務大臣のほうから必要な財源の手当については責任を持って、しっかりと対応したいといった御発言もありましたので、そうした御発言も受けながら、我々として要求すべき取組については、しっかりと検討していって、考えていきたいと思っているところです。
○阿部分科会長 よろしいですか。それでは三輪委員、お願いします。
○三輪委員 日立製作所の三輪と申します、よろしくお願いします。今、漆原さんがおっしゃったことと少し関連するかもしれないのですが、まず民間企業としましては、今後、国と地方のほうから、3,000名規模の障害者の方の採用が始まるということで、戦々恐々としている部分があります。今現在、民間企業で活躍されている方々が、そちらに大量に移っていくようなことになりますと、こちらとしても雇用率の問題が出てまいりますので、なかなか難しいとは思うのですが、今現在、職に就かれていない方をメインのターゲットとした採用活動を展開いただけるような工夫をお願いできないかなと思っていますというのが、1点です。
 それから、採用する数を達成するということはもちろん重要なのですが、その後、職場に定着していただいて、障害者の皆さんが活躍されるということが、より重要だと考えておりまして、そういう意味で恐らく今後の障害者の方の雇用市場を考えますと、精神障害者の方を大量に採用していくということが、国、地方としても、民間企業としても、必要になってくるのかなと考えています。
 それで、精神障害者の方。我々も実は厚労省さんが2009年に行われた雇用促進モデル事業等をやらせていただいて、それ以降も採用してきて感じているところなのですが、やはり一般的に言って、身体障害者の方ですとか知的障害者の方と比べて、さらに個別の対応ですとか、個別の支援、個別の管理が必要になってきます。
 そういう中で、我々がモデル事業をやらせていただいたときは、それに先立って精神保健福祉士の方を採用して、職場に置いて、モデルで入ってきていただいた精神障害者の方の支援をしていただいたのですが、彼らも非常にその方を頼りにして、これは余談に近いのですが、結果として10年たちまして、モデル事業で参画していただいた精神障害者の方は、ほとんど今は残っておられませんし、精神保健福祉士の方も、一身上の都合でお辞めになったのですが、今でもたまにその当時の人たちが集まって、食事会を開いたりなんていう交流をされているようで、これは障害者の方の社会性を高めるという意味でも、雇用にとどまらないのですが、重要なことかなと思っています。
 そういう意味で、精神保健福祉士ですとか、あるいはジョブコーチですとか、そういう方の人材の確保ですとか、育成についても、国として是非促進していただけるようなこと、そういう取組も併せてお願いできればと思っています。以上です。
○阿部分科会長 ありがとうございました。松為委員、どうぞ。
○松為委員 松為です。今の皆さんの御意見を伺って、3点質問したいと思います。まず1番目に、官庁に関して、ちゃんと計画を立ててやりますよね。民間でやるのと同じように、採用計画というのを立てます。ただ、官庁と違って民間の場合には、採用計画に達していない場合には納付金という格好でお金を払うことになりますよね。官庁はそういった納付金のことがないままで、本当に確実に計画どおり達成してくれるのかどうか。駄目な場合には、例えば公表しますよ。確かに官庁にとって中央官庁、財務省が公表されたって、余り格好よいことではないのですが、でも、本当にそれだけで担保できるのかどうかということが、私はすごく疑問に思います。
 そういう点では、特に未達成、計画どおりいかなかった場合の、それをどういう格好で担保させていくか。その方策について、どういうお考えなのかというのを、第1点にお伺いしたいところです。
 そして2番目は、先ほどのいろいろなノウハウ等とありますが、考えてみたら民間が今まで何10年もかけて、いろいろな機関等を利用して、一緒になって雇用開発を進めてきたわけですよね。官庁がもしそういう格好で、例えば税金等の関係で、例えばジョブコーチとか民間のなかぽつセンターを使えませんということになった場合に、果たして本当にこの後、民間より高い雇用率を達成できるのかどうかということは、すごく疑問に思います。
 言い換えますと、官庁においても民間のいろいろなノウハウを達成できるような、そういった体制を作っていかない限りは、単なる画餅というか、絵に描いた餅に終わる可能性がすごく高いと思うのです。
 だから、そこのところをどういう格好で、先ほどの予算措置にしましても、どういう格好でそれを担保していくのか。つまり民間のノウハウ、そういったものを導入して官庁がやっていけるような、そういった形の体制を作っていかない限りは、実際には難しいかなと思います。それが第2点目です。
 そして第3点目は、先ほど最後のお話では、この後民間から3,000名以上の人間を、場合によっては雇うことになる。民間にとっては非常に圧迫なんですよね。ということは何かというと、民間を含めて全体的な障害者雇用の数をどうやって増やしていくかということが、大きな課題になるはずなんですよね。そのときに、実は雇用の在り方検討会とか、その後にしましても散々問題になってきたのは、どのようにそういった人材を作り上げていくか。障害者に関わる人材を作り上げていくかということは、ここ何10年もずっと大きな問題になってきたわけです。具体的に言いますと、例えばジョブコーチに対して高いとか、それからなかぽつセンターに関して、どういう格好で予算措置を含めて人材を確保していくかという問題です。障害者自身の問題というよりも、障害者を支えていく人材と、障害者自身が職場定着できるための人材をきちんと作っていかない限りは、この後、とにかく上滑りして、民間から官庁が3,000人を取ったら、民間はますますもって疲弊していく。そして、その上、単なるお金を払えという格好になるわけですよね。
 そういった意味では、今回を契機にして、むしろ大事なことは、全体的に障害者雇用を進めていくための、今まで散々問題になってきた、なかぽつセンターを含めた、人材育成を含めた、そのシステムに関して、はっきり言いまして、ちゃんと財務省からお金を出してもらいたい。それは強固に言っておきたいことです。その3点をお願いしたいと思います。
○阿部分科会長 ありがとうございました。その他はいかがでしょうか。
○本條委員 全国精神保健福祉会連合会の本條です。質問と意見があります。質問は当事者、特に当事者団体等から、今回の事案に対して、驚きと憤りを禁じ得ないというところが出されています。驚きというのは、恐らく適正に運用されていると思っていたところが、多くの省庁において、言ってみれば不適切な採用がなされていたと。怒りについては、もちろん多くの水増しということもありますが、民間に対して非常に厳しいチェックをしておきながら、公務員の場合には、直接私が検証したわけではありませんが、新聞報道等によりますと、自己申告によると。それも、従来は手帳の写しをとっていたけれども、個人情報保護の観点からとらなくなったと。ところが民間の場合は、高齢・障害・求職者支援機構から、雇用率については厳しい監査がありまして、一人一人手帳を確認し、チェックしていくわけです。
 例えば所定労働時間が週30時間未満で0.5となるところを1.0と申請していた場合は、厳しくチェックされて報告書を出すとともに、調整金の返還命令まで出されるわけです。それに比べて、余りにも身内に甘いというか、そういうところが現在の法制度では不可能なのか。それとも、現在の法制度では、運用あるいは解釈によって可能なのか。あるいは、少しの法改正によって可能なのか。それを質問したいと思います。
 それから、現在でも法制度で可能であるということを、私は今日頂いた資料で発見しました。資料1の3ページを御覧いただきたいと思います。それの注5の2行目、「特例承認とは、省庁及び当該省庁に置かれる外局の申請に基づき、厚生労働大臣の承認を受けた場合に、当該省庁に置かれる外局に勤務する職員を当該省庁に勤務する職員とみなすものである」と。これは承認を得ようとすれば厚生労働省、厚生労働大臣の承認を得なければならない。恐らくこれは民間で言えば、特例子会社制度に該当すると思うのですが、その特例子会社の承認を得ようとするならば、少なくとも親会社で半数ぐらい、半数より若干少ないですが、自ら雇用していないと特例認定は受けられないと、私は解釈しています。
 それから見ますと、2ページですね。「特例承認あり」の所は総務省で言いますと、120人を雇わないといけないところが、40人で特例承認を受けている。これは明らかに民間と中央省庁との格差があると、このように思うわけです。もちろん今の雇用制度と、それから行政の任免制度というのは違うのでしょうけれど、やはりこれは平等にすべきであると思います。
 後の所を見ましても、文科省が16人しか雇っていないのに、不足数が48人ですから、本来は64人ですから、32人ぐらい雇っていてはじめて、民間であれば特例承認が得られるということですので、これはそれほど難しい法改正は必要ないのではないかなと思います。以上です。
○阿部分科会長 ありがとうございました。では、御質問がありましたので、今の報告の際のチェックのやり方を、現行法でもいろいろチェックするやり方があるのではないかという御質問だったと思いますが、事務局からお願いします。
○松下障害者雇用対策課長 事務局です。何点か御質問、御意見を頂いておりますので、お答えさせていただきたいと思います。まず最初に三輪委員から、民間企業の求人と今回の役所側の求人、3,000人出てくるということでの、障害者の方の取合いにならないようにということの御指摘かと思います。その点について厚労大臣からも、その観点について答弁をさせていただいているところがありますが、これは国においても、民間企業においても、障害者雇用を推進していくというのは当然重要なことであると、我々は認識をしております。
 こうした観点からも、そういう取合いをするということではなくて、厚生労働省としてもしっかり、障害のある方本人はもとより、事業主の方の求人の部分についても、しっかり支援をしていくことが大事であると思っています。そうした観点で、引き続き御指摘、御懸念の点も含めて対応を進めて、考えていきたいと思っているところです。
 あと、何人かの方から、定着支援なども含めた今後の障害者雇用の促進に当たっての支援、なかぽつセンターの体制も含めた御指摘、御質問等がありました。今回、国の行政機関のこういう状況を受けまして、先ほど来申し上げておりますが、関係閣僚会議、またその下の関係府省連絡会議の中で、障害のある方の活躍の場の拡大といったことで、いろいろそうした観点の検討をしているところです。
 そうした中で、今申し上げたような定着の支援。採用したはいいけれど、すぐ離職するということはあってはならないという認識を我々も持っています。そうしたことにならないような取組、ジョブコーチ的な支援といったことも、できる限りのことを考えながら、今、検討を進めています。
 また、一方で松為委員からも就労支援機関、特になかぽつセンターの関係について、御質問もあったかと思います。ここの部分につきましては、これまでもなかぽつセンターの体制増強といったことも、しっかり取り組んできているところですが、来年度の予算要求に向けて、これは先般、8月22日の分科会で報告させていただきましたが、研究会の報告書の中で、地域の就労支援機関の底上げといったことを、しっかりやっていくことが盛り込まれています。そうした報告書の中の提言等も踏まえまして、なかぽつセンターの体制強化を図りながら、他の地域の就労支援機関の、地域における支援の底上げといったことも図っていくということで、予算要求をさせていただいているところです。
 これは今、要求をしている段階ですが、しっかりと財務・財政当局のほうにも働きかけ、説明をして、対応増強を図っていくべく、我々としても頑張っていきたいと思っているところです。
 あと、本條委員からもお話がありました。まず、官と民との違いといいますか、民間にチェック機能があって、役所のほうにチェック機能がないという御指摘の点ですが、これも先ほど来、御指摘が何人かの委員の方からもありました。民間企業に対しては厚生労働大臣が、ハローワークも含めて立入検査等々もできる、報告聴取も求めることができるという法令上の規定がありますが、一方で国の行政機関に対して、地方公共団体に対してもそうですが、法制度上、そうした民間企業にあるような報告を求めるとか、立入検査といった規定がありません。
 こうした点について、納付金制度の在り方の話もありましたが、こういう役所側と民間企業に対しての、制度上の違いといったことも含めて、第三者委員会の検証の報告を受けて、今後の再発防止といった観点の中で、どのように、今、申し上げたような制度面の対応が必要になってくるのかといったことについて、我々厚生労働省としても政府一体となって、対応について考えていきたいと思っているところです。
 そうした中で、先ほど特例承認の話などもありました。こうしたものについても今一度、現状の状況もいろいろと我々としてもしっかり確認しながら、対応についても御指摘の点も含めて、今後考えていくべき点があるのかと思っているところです。以上です。
○阿部分科会長 小出委員、どうぞ。
○小出委員 育成会の小出です。今回のことがありまして、私ども当事者団体として、非常にショックを受けているということはありますが、これが明らかになって、竹下委員をはじめ、皆さんからいろいろな御意見等が出ておりますが、今後、障害者雇用に対して、いろいろなことが出てくると思いますが、この厚労省の中の障害者雇用対策課が、あらゆることについて段取りをするということになっていくと思うのですが、1つ、8月22日も実は約1年間の間に15回ですか、研究会を重ねて、その報告を受けるということがメインの議題でありました。そのときに、こういう問題が起こったということで、何をやってきたんだという。働き方というのは官公庁を含めて、あらゆることに関係すると、私どもは思っておりましたが、1年の間に15回の研究会を重ねていたという中に、当事者というか、関係省庁の人たちが入っていなかったような気がします。
 これは一般企業にしましても、あらゆる省庁に関係する事業所が含まれているわけですので、その中でどういう働き方があるかということが検討される。その、いろいろな法律等を司る所が、そういうことに参画していない、認識を持っていないということが、今回の問題であったと思います。
 もう1つは知的障害、私どもは知的障害の保護者会です。知的障害というのは、生まれつきの障害でありまして、実は障害ということを診断される時期というのが、大体生まれてから3年ぐらいまでには診断をされると。これは、母親にとっては非常につらい医師の診断です。私も娘がおりますが、その診断は自閉症と知的障害が重複しておりましたので、「お母さん、この子は自閉症です。一生治りません」、これが私ども保護者に対する診断です。
 それ以降、いろいろなサービスができてきまして、それに基づいて、そういう支援を受けながら生きていくという、生活する、自立していく。それから、企業へ就職できる人は就職するという、そういうプロセスをたどります。
 ですから、障害というものに対する認識、それが各省庁にとっては曖昧であったという、そのことが1つの原因であったと思います。障害の認定というもの、特に知的障害は、まだ国の法律の中に載る手帳というものがありません。そういう制度がありません。都道府県、あるいは政令市の首長ということになっておりますので、その辺のところも視点に当てながら、しっかりした認識を持って、制度を作っていっていただきたい、それが私どもの要望です。
○阿部分科会長 ありがとうございました。
○松為委員 松為です。やはり最後にどうしても言っておきたいというのが1つありまして、実は資料3にありますように、今回に関しては、この後の関係府省連絡会議でも動いていく話の関連で、今ここで議論されているものが、場合によっては関係府省連絡会議の中で、今後の在り方ということに反映される可能性があるかもしれないということを、先ほど課長から伺いましたので、そうなりますと是非とも最後に言っておきたいことが1つあります。それは官庁においても、同じように納付金制度を是非とも作ってもらいたいということです。
 民間だけが納付金制度をやって、そして雇用義務に関しては当然です。でも、障害者雇用促進法というのは、法の精神からすると、民間が納付金制度をやっているということは、民間がいわゆる共生という格好でお互いにやっている話なのです。その中で、なぜ官庁だけが出てこないのか。考えてみたら、官庁は雇用促進に関して総論賛成。でも、うちは税金を扱うから、各論として納付金制度は難しいですよ。そういう話になってきているのです。
 ただ、私がいろいろ情報を見ていますと、例えばフランスなどでは同じ納付金制度をしながら、完全に官庁も納付金制度を作っていますから、税金が関わるから納付金は難しいというのは、実は駄目なことをむしろ理由として考えているみたいなので、問題なのはそういった方でも民間と同等のレベルに合わせて、そして法の精神であるところの納付金制度、それに伴う障害者の雇用共生という概念を、どのように生かしていくかという方策の中で、官庁でもそういったことができるだろうかという、そのことを是非とも検討してもらいたいと思うのです。
 先ほどありましたように、特にノウハウとか、いろいろなことを考えていったときに、難しいということよりも、民間と肩を並べていく、そのためにはどうすべきか、そのための法制度的なものをどう変えていくか、そういった視点で是非とも議論していただくように、委員会の中では連絡していただきたいと思います。以上です。
○阿部分科会長 ありがとうございました。ほかにいかがですか。
○佐保委員 佐保です。私のほうから、国や地方公共団体が障害者を採用する枠組みについて、お尋ねと、意見を述べさせていただきたいと思っています。地方公共団体の雇用状況の再点検については、既に依頼されていて、今後本分科会にも報告いただけるものというように承知をしておりまして、結果が待たれるところであります。新聞報道などによりますと、少なからず、障害者雇用率を達成していないという公共団体があるということで、私の出身母体であります自治労としても、労働団体として、各地方公共団体における障害者雇用の在り方、それから、今回の原因の究明等、それから、再発防止策というのを労働団体としてやってきたいと考えております。
 地方公共団体の障害者雇用につきましては、正規職員で採用する自治体がある一方で、障害者採用枠で、任期に定めがある臨時非常勤等職員として、雇用されている障害者の方も多くいます。相対的に考えれば、臨時非常勤等職員で雇用されている障害者の方が多いということで認識をしております。現時点で、国の機関では、障害者採用枠は設けられておりませんが、資料3でも、法定雇用率の速やかな達成が記載されていることから、今後そうした障害者採用枠の設定や、臨時非常勤等職員として、障害者の採用を進めることが検討されているのではないかと考えております。
 同じく資料3では、公務員の任用面での対応の検討についても記載がありますが、関係府省連絡会議、関係閣僚会議の中では、どういったような議論がされているのかお尋ねしたいというのが1点です。障害者の方が安定的に公務の職場で働くことができるように、必要な法的整備についても検討していただきたいと考えております。
 一方、地方公共団体では、条令で職員数が定数として定められていることもありまして、正規職員の障害者雇用については、地域間で差があるということも御認識いただければと思います。また、地方公務員における臨時非常勤等職員は1年ごとの任期で、繰り返し任用されても、再任用の期待権が認められていないというのが現状です。また、山間部の小さな村では、障害者枠で職員の募集をしたにもかかわらず、応募がないといったような現状も聞いております。臨時非常勤職員として、多数の障害者の雇用を急ピッチで進めていくことについては、安心して安定的に働けるという環境整備という点で課題があると考えています。以上でございます。
○阿部分科会長 ありがとうございました。では、御質問もございましたのでお願いします。
○松下障害者雇用対課課長 事務局です。今のお尋ねについてお答えをさせていただきます。地方公共団体の状況ですが、冒頭で御説明させていただきましたが、現段階において、再点検を地方公共団体にさせていただき、ちょうど今日が提出期限ということになっておりますので、その出てきた状況について、来月、10月中の取りまとめを目指して、対応を進めていきたいと考えているところです。
 また、任用面の話がありました。これにつきましても、関係府省の連絡会議の課題として大きな課題となっているところです。この件につきましては、内閣官房の人事局、それと人事院が中心となって、この任用面での検討を進めていると承知をしております。その中で、関係府省連絡会議、先般21日に2回目の開催をさせていただきましたけれども、そのときに、人事院、人事局のほうから、その時点での検討状況の報告がありました。1つは障害者の方を対象とした新たな常勤採用枠組みの導入を目指していくということと、もう1つ、これについては非常勤職員として、一旦入って勤務した後、そのまま常勤職員に移っていくということを可能とするステップアップ制度としておりましたが、そうした制度の導入に向けた検討を進めているということです。以上です。
○武石委員 法政大学の武石です。1点は今の非常勤のことを申し上げたかったので重複するのですが、これから3,000人を超える非常に大きな人数を雇わなければいけないということで、多分公務員は定員の枠があるので、一気に増やすのは難しいということで、非常勤の所での雇用というのが予想されるのですが、そこは安直に非常勤の所でも数合わせということでやらないでいただきたいということを申し上げたいと思います。それが1点です。
 それから、先ほど来出ています防止策として、この雇用率をどのようにチェックしていくかということなのですが、やはり今の法律、この障害者雇用促進法は雇用率も確かこの法律で民間、公務両方決めていますよね。ということでは、例えば労基法は公務員というのは別枠になっていますが、民間だけですけれども、障害者雇用促進法に関しては、公務に関してもこの法律がカバーしているので、先ほど納付金の話もありましたが、民間と同じような形での厚労省なのかは分かりませんが、しっかりその雇用率を見ていくような法改正をしていく必要があるのではないか。要は性善説でやってきて失敗したということは、きちんと反省しなくてはいけないかなと思いますので、第三者委員会ということも、是非是非今後の法律の議論として入れていただきたいというのが、2点目です。
 3点目として、これも先ほど来出ているのですが、定着の問題とつながるのですが、障害者の方たちが、どういう所でしっかり活躍してもらえるのかということがイメージできていないと、先ほどの任用についても、何となく数合わせで障害者を雇っていけばいいということになってしまうと思います。例えば、今、私は民間のダイバーシティの研究等をしていますが、ダイバーシティを推薦している企業は、障害者の方を数合わせではなくて、むしろ障害者の特性といいますか、障害を持っているが故に感じられるとか、いろいろな経験をしていることを仕事にいかそうというプラスのところで、障害者の方たちの活躍の場を与えているので、行政の中に、障害者の方たちがしっかり入って、国民サービスなり、国のことを考えるというのはすごく重要なことだと思うので、そういう視点から、これから計画が出てくるときに、何となく国の計画はきれいな作文で出てきそうな気がするのですが、そうではなくて、本当に自分の役所の中で障害者というのはどういう所で活躍できて、それが国民サービスにつながるのか、国の政策につながるのかということを考えていただいて、計画に反映させていただきたいということを申し上げたいと思います。
○阿部分科会長 では、御意見で。ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。
○内田委員 労働側委員の内田です。今回の問題を受けまして、今後は国で障害者雇用を進めるに当たり、障害者手帳などの確認が強化されていくのではないかと思っております。特に精神障害者の方についてですが、採用された後に障害の程度が改善したりですとか、手帳の返納をする方が出たりですとか、取得の要件に当たらない方が出てくることも考えられると思います。そういった方々については、民間では労働契約法を踏まえて、手帳の返納を解雇の理由とは認めないということになっていますが、公務員については、その労働契約法が適用されないということですとか、臨時非常勤の方が多い中、繰り返しの任用への期待権が認められないことを踏まえると、解雇や再任用されない、雇止めという言い方が適切かはわかりませんが、そういった不利益な取扱いが行われるおそれもあるのではないかと危惧をしています。国や地方公共団体が障害者雇用を進めていく上で、障害者手帳の返納や失効で、不利益な取扱いを受ける方が発生しないように、そういったことについても対策を考えていく必要があるのではないかと思いますので、御検討いただければと思います。以上です。
○阿部分科会長 御意見として賜わりたいと思います。それでは、時間もありまして、本日御欠席の日本身体障害者団体連合会会長の阿部委員から意見書が提出されていますので、事務局からまず代読をお願いして、その後、竹下委員と本條委員に御発言があればお願いしたいと思います。それではお願いします。
○吉田障害者雇用対策課課長補佐 事務局です。お手元のタブレットを御覧いただきまして、参考資料として御用意しております。参考資料を阿部委員提出資料ということで御用意しています。よろしいでしょうか。資料を頂いておりますが、読み上げる部分につきまして、日本身体障害者団体連合会様からあらかじめ御指定いただいておりますので、そちらの部分につきまして、私のほうから代読させていただきたいと思います。
 本来、民間企業に率先垂範し障害者雇用を行うべき立場にある行政機関としてあってはならない行為が、長年にわたって行われてきた事実はゆゆしき問題と言わざるをえません。障害者雇用施策の考え方の根底が覆されたばかりか、障害者雇用の促進に真摯に向き合ってきた関係者の信頼をも揺らぐような極めて深刻な事態であることを認識すべきです。今回のことをしっかりと受けとめて、障害者団体だけに限らず、民間企業、労働組合等関係者が長年にわたって議論を重ね、障害者の雇用対策を進めてきた取組が、決して無駄にならないよう、透明性のある改善対策が図られることを切に期待するものです。そうしたことから、今般、関係府省庁連絡会議での議論においては、下記の事項について留意した検討を行っていただけますようお願いいたします。
 1.今般の事態の検証とチェック機能の強化については多面的な検証が求められるとともに、再発防止対策の検討も重要な課題であることから、以下について御検討いただきたい。
 マル1意図的な不正があったのかどうかも含めた今回の事態に関する厳正な検証。マル2障害者手帳を所持していることに関する検証。偏見や差別が存在しうるかについての検証。職務の遂行、昇進などに関して不利益を生じさせるのかどうか、又はそのような意識を障害当事者に抱かせる職場の雰囲気が存在していたのかについての検証。プライバシーに十分配慮した上で手帳所持者の職務内容や昇進に関する実態の検証。マル3手帳所持の有無にかかわらず、職場における障害者に対する合理的配慮の提供が行われていたのか、あるいは行われているのかに関する検証。マル4チャレンジ雇用の実態に関する検証。マル5再発防止及び雇用の継続や定着に向けた障害特性に応じた雇用支援策にかかる専門性を有する職員の配置の検討及び健康管理を含めた合理的配慮について相談できる職業支援専門部署の検討。
 2.法定雇用率の速やかな達成に向けた計画的な取組については、以下について御検討いただきたい。
 マル1障害者特別採用枠についての検討。障害者特別採用枠にのみ重点を置くだけではなく、特別雇用枠以外での採用も重要なことを踏まえた上での検討。マル2国家公務員試験(総合職、一般職、専門職)の選択において障害者特別採用枠への誘導的な行為を含め、障害のあることで国家公務員試験が受験できなかったり、合格に不利が生じない仕組みの構築。マル4採用後の中途障害者や手帳を所持するまでに至らない障害者に対する合理的配慮の提供の促進に向けた検討。マル5バリアフリー等の環境の整備・改善をもとに、省府庁において障害者が当たり前に働いている職場で施策の検討・推進が行える環境整備の検討。
 3.障害者の活躍の場の拡大には、府省庁において障害のある行政官が主体的に関わり、ユニバーサルデザインの視点から施策の作成に関与することは、ともに働く行政官としての意義も大きいと考えることから、職場環境の整備等について、以下のとおり御検討いただきたい。
 マル1中途障害者になった場合における就労の継続。障害を申し出ても不利とならず、適切な配慮のもとに、障害という体験も加えて、十分にその人の能力が発揮できる環境整備(健康管理等を含め)。マル2また、そのような場づくりの検討などを行う場合には、障害当事者の参画を確保。マル4好事例を積み重ね、やがては障害者雇用における手本となるような雇用状況を創出することに向けた検討。
 4、合理的配慮の提供により持てる力を発揮できることが肝要であることから公務員の任用面での対応について、以下について留意して取り組んでいただきたい。
 マル1雇用率を達成するだけではなく、段階的な計画を策定して3年後又は5年後の雇用の在り方についても検討し、より充実した取組を実現することが必要。マル2ユニバーサルデザイン2020行動計画で示されている教育の場等における障害及び障害者理解の促進を図る中で障害のある職員の活躍。
 日本身体障害者団体連合会様から、御指示がありました部分につきましては、以上でございます。
○阿部分科会長 それでは竹下委員、どうぞ。
○竹下委員 竹下です。前にもここで発言したことがあったかと思うのですが、この前、研究会の報告書が出ました。あれはあれで非常に重要なことを指摘してまとめていただいたので、実践に是非結び付けていただきたいと思うわけですが、あの研究会で非常に重要な課題が取り残されたと思うのです。その中には公務員に対するものも指摘した経緯もあります。そういう意味では、障害者が公務員として働きやすい環境を作るためにも、この問題をきっかけにして、そこを十分検討する場所、これがこの審議会の分科会でないならば、そのための審議会を是非設けていただきたいというのが1点です。
 もう一点は、私どもは考え方を府省連絡会議でも意見書を出していますので、そこは繰り返しませんが、どうしても障害者の雇用の場面で、障害のある人が試験に合格しても、残念ながら採用されないという実例もあるということをお聞きしております。それは非常に残念なことと言いますか、やはり省庁が障害のある人を試験に合格しても採用していないというのは、今回の水増しの裏返しとしての現象がそこに出ているのではないかと思うわけです。ですから、もう少し障害のある方を積極的に採用されるために、別枠採用制度もそうなのでしょうけれども、試験においても合理的配慮が十分にされて、かつ積極的に合格した障害者が採用されるような手立ても講じていただきたいと思います。以上でございます。
○阿部分科会長 ありがとうございます。本條委員どうぞ。
○本條委員 みんなねっとの本條でございます。先ほど意見を申し上げたこととちょっと矛盾するかもしれませんが、精神障害者のうち約250名ぐらいですかね。それが手帳がなくて、前回雇用されたことになっていたということになっているわけですが、自己申告にせよ、また雇用者側の判断にせよ、全く病気でないというか、そういう人を出したとは思われませんから、恐らく精神科病院に通って医療を受けていたと。そして、その医療を受けて何回か通っておりますと、自立支援医療の受給者証が頂けるわけです。ですから、精神保健福祉法からいきますと精神障害者で正しいわけです。ただ、障害者雇用促進法からいきますと手帳主義を取っておりますから、障害者にならない。なおのこと、この場合は該当しないと思いますけれども、福祉サービスを受けている場合はまた別の認定によって受けられる。だから、制度といいますか、それによって定義が違うというのは、私は同じ障害の程度であれば同じサービスを受けられるというのが、やはり法の下の平等に当たるわけですから、今回、議論の申し上げるべきところではないかもしれませんが、今後の分科会を進めるに当たって、是非とも障害者の定義の範囲を議論していただきたいと、こういう要望です。
○阿部分科会長 ありがとうございます。石田委員どうぞ。
○石田委員 2点あります。1点は、全企業・全行政団体を含めて、障害者を法定雇用率で採用した場合に、一体何名の障害者が必要なのか。数字を示していただきたいです。
 もう1点は、「障害者」の定義についてです。社会福祉の見地から「障害者」は、やはり障害者手帳で判断ということになると思います。しかし、障害者の判断については、いろいろ意見が出ておりますが、障害者手帳によらず、例えば医師の診断書があればよいとするなど方法がいろいろあると思います。もちろん、どの医者でもいいということではありませんが、こうした検討を是非やるべきだと思うし、実行いただきたい。実施できないとすれば、実施できない理由を明解に示して頂きたい。もし実施する、あるいは検討するということであれば、その結論に至るまでの、一般的にロードマップという言い方をしますが、進め方、手順等について提示をお願いします。
 こうした提案をする理由を述べるために、事例を2つご紹介します。私どもの会社で歩いていてもすぐ転ぶ人がいました。足に障害があるのですが、障害者手帳は持たない。企業としては障害者雇用数に算定できたら助かるのですが、本人の意思で所持していませんから算定していませんでした。もう1つの事例は、今回改めて調査したところ、医師の障害者の診断書を持って障害者雇用数に算定したという報告を地方行政から受けました。こうした事例を踏まえますと、障害者の実態を把握した上で、障害者雇用を推進した方がいいと考えます。
○阿部分科会長 一部御質問もあったと思いますので、事務局からお願いいたします。
○松下障害者雇用対策課長 事務局でございます。法定雇用率を達成した場合のどれぐらいの雇用者数という御質問の件でございますが、出し方等も含めて、分科会長と御相談しながら対応を考えていきたいと思っております。
 2点目のところでございますが、御承知のとおり身体障害者の方で言いますと、身体障害者手帳を持っている方、又は都道府県の指定があるお医者さんの診断書又は産業医の診断書を持っている方について、カウントするという取扱いになっています。今、石田委員からお話があった点についても、どのような方に対応していくのか研究も深めていきたいと思っています。以上です。
○阿部分科会長 では、遠藤委員どうぞ。
○遠藤委員 今日は多くの方々からいろいろな御意見を聞く機会ということであり、大変参考になりました。そのやり取りを聞いていて、先ほど、今後大規模な採用が行われるということになれば、懸念される部分で、いろいろ御指摘があったことについては、そうならないようにしていきたいというコメントがありました。果たしてそうなのかな。なぜこのようなことを申し上げるかというと、地域の状況を見たときに、実は2013年4月の引上げ時に説明にまいりますと、企業側の声として、「どこに行けば障害者を雇い入れることができるんですか」、そういう状況があったわけです。なかなか採用できない状況下で、大規模な採用計画が実施されるということになれば、民間企業の採用計画などに少なからず影響が出るということは、容易に推定できる話かと思っています。先ほども御指摘がございましたけれども、今後、国の進捗状況においては、是非とも障害者における労働市場全体の動きについて、十分な関心を持って取り組んでいただきたい。そして、当初計画どおり進むことばかりではないと思います。そういった場合に、無理やり雇用現場にしわ寄せがくるような形での計画を遂行するということがなきよう、取り組んでいただきたいと思います。例えば民間企業で持っているノウハウは幾つもございますので、そういったものの活用ということがあるのであれば、民間企業にも是非お声掛けしていただければと思います。
○阿部分科会長 ありがとうございました。それ以外で何か御発言はございますでしょうか。特段ないようであれば、本日の議論はここまでとさせていただきたいと思います。本日は皆様から非常に参考になる御意見もありましたし、厳しい御意見もあったと思います。また、今、政府のほうで取りまとめようとしている政府内の検討に、直接反映するようなものもあれば、この審議会での審議にも影響するというか、今後の審議会の中でも考えていくべきような問題もあったと思いますので、事務局でそこを整理していただいて、今、進められている政府内での検討に反映させる部分については、反映させていただければと思いますので、どうぞよろしくお願いします。では、事務局からどうぞ。
○土屋職業案定局長 職業案定局長の土屋でございます。今、分科会長からお話がありましたように、本日様々な御意見を皆様方から頂戴をいたしまして、誠にありがとうございました。御意見の中には、この分科会で引き続き御審議いただくものもあったと思います。会長と御相談しながら、こちらの場で御議論していただきたいと思います。私ども政府の対応について頂いた様々な御意見につきましては、冒頭にも申し上げましたように、10月中の取りまとめに向けた検討を今、政府内で進めているわけですので、こちらに反映をしっかりとさせていただきたいと思います。今後、関係府省連絡会議をまた開催をすることになると思っておりますので、その場に御報告をさせていただき、検討に反映をさせていきたいと思います。どうもありがとうございました。
○阿部分科会長 ありがとうございました。事務局は、今後の政府における対応を取りまとめる段階で、本分科会に報告をお願いしたいと思います。それでは、事務局から次回の日程につきましてお願いいたします。
○吉田障害者雇用対策課課長補佐 事務局でございます。次回の日程につきましては、分科会長と御相談の上、皆様に連絡させていただきたいと考えています。以上でございます。
○阿部分科会長 それでは本日の分科会は終了いたします。本日の会議に関する議事録の署名についてですけれども、労働者代表は内田委員、使用者代表は石田委員、そして障害者代表は小出委員にお願いします。それでは、皆様本日はお忙しい中ありがとうございました。