2018年9月5日 第42回労働政策審議会 議事録

 

 
2018年9月5日 第42回「労働政策審議会」議事録  政策統括官付労働政策担当参事官室
 
1.日時 平成30年9月5日(水) 14:59~17:08
 
2.場所 厚生労働省省議室(9階)
 
3.出席者
  公益代表委員
  樋口会長、阿部委員、奥宮委員、小畑委員、小杉委員、土橋委員、内藤委員、守島委員
  労働者代表委員
  相原委員、永井委員、中川委員、難波委員、野田委員、松谷委員、安河内委員、
  山中委員、山本委員
  使用者代表委員
  市瀬委員、伊藤委員、岡田委員、工藤委員、冨田委員、中野委員、椋田委員、
  渡辺委員
  事務局
  宮川厚生労働審議官、定塚大臣官房長、松村会計管理官、坂口労働基準局長、
  土屋職業安定局長、田畑審議官(職業安定担当)、小林雇用環境・均等局長、
  吉本人材開発統括官、藤澤政策統括官(総合政策担当)、土田政策立案総括審議官、村山労働政策担当参事官
 
4.議題
  (1)平成31年度予算概算要求等について
  (2)分科会及び部会等における審議状況、法案の国会審議結果について
  (3)労働政策基本部会報告書について
  (4)その他
 
5.議 事
○樋口会長 それでは、定刻前でございますが、皆様おそろいですので、ただいまから、第42回「労働政策審議会」を開催いたします。
 カメラ撮りはここまでとさせていただきます。御協力よろしくお願いします。
 議事に入ります前に、本日の審議会の説明はタブレットで行うということでございますので、何かございましたら事務局のほうにお申し出いただきたいと思いますが、まず、事務局から説明をお願いします。
○村山労働政策担当参事官 事務局の労働政策担当参事官でございます。
 厚生労働省では、審議会等のペーパーレス化の取り組みを推進しており、本日の審議会もペーパーレスで実施させていただきます。
お手元にはタブレットを置かせていただいております。使用方法につきましては、操作説明書を机の上に配付しておりますが、ただいま会長からございましたように、委員の皆様におかれましては、御不明な点、また、説明者がどこの資料を使っているかわからない等の御照会がございましたら、近くに職員がおりますので、そちらのほうにお声がけいただければと思います。何とぞよろしくお願い申し上げます。
○樋口会長 続きまして、本年8月1日付で委員の交代がございました。新たに就任された委員を御紹介させていただきます。お手元に資料1として委員名簿が配付されておりますので、御参照いただきたいと思います。
 使用者代表委員の東日本旅客鉄道株式会社取締役会長の冨田委員でございます。
○冨田委員 冨田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○樋口会長 よろしくお願いいたします。
 また、事務局に異動がございましたので、御報告をお願いいたします。
○村山労働政策担当参事官 ただいま会長からございましたように、本年7月31日付で事務局に異動がございました。御報告申し上げます。
 まず、厚生労働審議官の宮川です。
○宮川厚生労働審議官 宮川でございます。よろしくお願いいたします。
○村山労働政策担当参事官 大臣官房長の定塚です。
○定塚大臣官房長 定塚でございます。よろしくお願いいたします。
○村山労働政策担当参事官 労働基準局長の坂口です。
○坂口労働基準局長 坂口でございます。よろしくお願いいたします。
○村山労働政策担当参事官 職業安定局長の土屋です。
○土屋職業安定局長 土屋でございます。よろしくお願いいたします。
○村山労働政策担当参事官 雇用環境・均等局長の小林です。
○小林雇用環境・均等局長 小林です。よろしくお願いいたします。
○村山労働政策担当参事官 人材開発統括官の吉本です。
○吉本人材開発統括官 吉本でございます。よろしくお願いいたします。
○村山労働政策担当参事官 政策立案総括審議官の土田です。
○土田政策立案総括審議官 土田でございます。よろしくお願いいたします。
○村山労働政策担当参事官 会計管理官の村松です。
○村松会計管理官 村松です。よろしくお願いいたします。
○村山労働政策担当参事官 以上でございます。
○樋口会長 それでは、議事に入ります。本日の議題は大きく4つございます。第1に「平成31年度予算概算要求等について」、第2に「分科会及び部会等における審議状況、法案の国会審議結果について」、第3に「労働政策基本部会報告書について」、4つ目に「その他」となっております。
 初めに、議題1、議題2につきまして、事務局から一括して説明をお願いいたします。
○村松会計管理官 会計管理官でございます。
 私から資料2に基づきまして、平成31年度概算要求について御説明を申し上げます。
 資料をお開きいただいて、資料2-1は平成31年度概算要求に係るポンチ絵という形でその目的、位置づけを示したものでございます。今回は人生100年時代を見据え、誰もが活躍できる一億総活躍社会の実現に向けて、全世代型社会保障の基盤強化に取り組むということで、その柱として3つの柱をここに掲げてございます。
 一番左側が「働き方改革・人づくり革命・生産性革命」、真ん中の2番目が「質が高く効率的な保健・医療・介護の提供」、3つ目が「全ての人が安心して暮らせる社会に向けた福祉等の推進」ということで、これら3つの柱を重点として今回取りまとめたところでございます。
 本日は、左側の「働き方改革・人づくり革命・生産性革命」を中心に御説明を申し上げたいと思います。
 資料の構成としては、これ以下、2ページ、3ページがポイントとなっておりまして、さらに4ページ以下につきましては、これを詳細にまとめたものとなっております。ポイントの2枚を用いまして御説明を申し上げたいと思います。本日は新規事業や拡充額が大きなものを重点的に御説明申し上げます。
 2ページ目の左側、「働き方改革に取り組む中小企業・小規模事業者に対する支援」として、前年比285億円増の1222億円を要求しており、具体的には1つ目のポツにございます「働き方改革推進支援センター」、今年度から47都道府県に設置しているものでございますけれども、センターでの相談対応だけでなく、出張相談の強化のために専門の指導員の体制拡充を盛り込んでおります。また、2つ目のポツにおきまして、時間外労働の上限設定、勤務間インターバルの導入、最低賃金・賃金の引き上げ等に取り組む中小企業・小規模事業者への助成金の拡充などを盛り込んでおります。
 同じページの3つ目で、「同一労働同一賃金など雇用形態に関わらない公正な待遇の確保」として、前年比254億円増の1082億円を要求しております。具体的に2つ目のポツですが、非正規雇用労働者の処遇改善等を行う事業主に対する支援として、キャリアアップ助成金により、正社員化や賃金の引き上げ、手当の支給といった措置を行う事業主に対する助成金の支給等を盛り込んでおります。
4つ目の○で「医療従事者の働き方改革の推進」とございます。前年比14.1億円増の21億円を要求しており、医師の業務負担軽減のための他職種へのタスク・シフティング等の勤務環境改善の先進的な取り組みを行う医療機関への補助等を盛り込んでおります。
 2ページの右上ですが、「リカレント教育の拡充等による人材育成の強化」として、前年比256億円増の1191億円を要求しております。具体的に1つ目のポツで、教育訓練給付の拡充といたしまして、一般教育訓練給付について、キャリアアップ効果が高い講座の給付率を2割から4割への引き上げと、3つ目のポツで長期の教育訓練休暇、6カ月以上のものを創設し、労働者がそれを活用して教育訓練を受けた場合の助成制度の創設などを盛り込んでおります。
 2ページ目の右下には、「多様な人材の活躍促進」ということで、女性、若者、高齢者、障害者、外国人等の就労促進等に関してまとめております。特に3つ目の「高齢者の就労促進」につきましては、中高年齢者の採用実績のない企業が初めて中途採用に踏み込む場合の中途採用助成の拡充や、高齢者の就業のきっかけづくりや機運醸成を行う「生涯現役支援プロジェクト(仮称)」の実施、そのほかシルバー人材支援センターの機能強化等で前年比34億円増の302億円を要求しております。
 また、一番下の「外国人材受入れの環境整備」につきましては、前年比42億円増の86億円の要求となっておりまして、1つ目のポツで、現在、政府内で検討を進めております新たな在留資格による外国人材の受け入れに対応した雇用管理体制の強化に関するものに加えて、既存の外国人技能実習について、監理団体の増加や受け入れ人数の増という状況を踏まえて、技能実習機構の体制の大幅な拡充などを盛り込んでおります。
 次の3ページ目でございますが、左側に「生産性向上の推進」とございます。
 1つ目の○が中小企業・小規模事業者に対する支援でありまして、2つ目、3つ目で医療、介護・障害・保育分野といった個別の分野における生産性向上の取り組みをまとめております。
 3つ目の○におきまして、介護・障害・保育分野として、前年比37億円増の74億円の要求となっておりまして、介護事業所、障害者支援施設、保育園等におけるロボット、ICT等の導入支援等を盛り込んでおります。
 続いて、右側の「希望出生率1.8の実現」「介護離職ゼロの実現」につきましては、保育の受け皿拡大や介護施設等の整備、保育人材や介護人材の処遇改善といったものに引き続き取り組むとともに、労働政策関係におきましては、福祉分野の人材確保対策コーナーの拡充や人材確保対策コーディネーターの新規配置等を盛り込んでおります。
 また、本日の資料にはございませんが、受動喫煙対策として、先般の通常国会で成立した改正健康増進法に基づき、中小企業事業主等による喫煙室の設置への支援等で47億円を盛り込んでいるところでございます。
 以上、雑駁でございますが、概算要求の概要でございます。
 引き続きまして、資料3以降で労働政策審議会各分科会・部会の審議状況について、第196回通常国会における法案審議結果、国の行政機関における平成29年6月1日現在の障害者の任免状況の再点検結果について、各局から御説明申し上げます。
○坂口労働基準局長 それでは、労働基準局関係につきまして、まず、分科会の審議状況について御報告いたします。
 資料のほうは、資料3-1が労働基準局関係となります。
 3ページになりますが、労働基準局所管の分科会の審議状況でございます。
 まず、労災保険部会の関係でございますけれども、6月22日から副業・兼業の促進に向けまして、労災補償のあり方等について検討を開始していただいたというものが1つ目の○でございます。
 2つ目の○の関係は、保険関係が一括される有期事業に係る事務につきまして、事業主の手続を簡素化する観点から、一定の措置を講ずるということについて、部会のほうから御答申をいただいたものでございます。
 3つ目の○以降が安全衛生分科会の関係でございます。5月23日に墜落防止用の個人用保護具に関しまして、胴ベルト型でなくフルハーネス型を原則とするといったような内容について諮問し、御答申をいただいたものが(1)でございます。(2)は安衛法に基づきますストレスチェックにつきまして、その実施者の追加を行うということで、これにつきましても7月11日に御答申をいただいたものでございます。
 4ページの(3)でございますが、これは改めて開いていただく必要はございませんけれども、先ほど会計管理官からございましたが、第196回の通常国会における法案の審議結果が資料4にございます。働き方改革法案につきまして、去る6月29日に成立し、7月6日に法律の公布をしたところでございますが、今、お開きいただいている4ページの(3)は安全衛生分科会の関係で、産業医による面接指導等の問題についての必要な事項を定めるということにつきまして、関係の省令につきまして、8月30日に御答申をいただいたものでございます。
 次の○が労働条件分科会でございますけれども、こちらのほうも働き方改革関連法の中で、時間外労働の上限規制、年次有給休暇の時季指定 義務等に係る部分についての政省令、指針についての諮問をいたし、8月27日に御報告をいただいたものでございます。
 各労働基準局所管の分科会におけます目標の評価につきましては、別紙5のとおり評価を行ったところでございます。
 労働基準局関係は以上でございます。
○土屋職業安定局長 続きまして、職業安定局から御報告申し上げます。
 まず、資料3の分科会等の審議状況の御説明に先立ちまして、資料5を御覧いただきたいと思います。
 今般、国の行政機関における障害者の雇用状況に数値の誤りがありました件につきまして、御報告を申し上げたいと思います。
 資料5の1ページ目、「1.概要」のところに記載してございますように、国の行政機関につきましても、民間の企業と同様でございますけれども、毎年6月1日現在の状況を厚生労働大臣に対して通報していただくということになっております。この通報に基づく昨年6月1日現在の状況につきましては、民間企業の状況とあわせまして、昨年12月12日に公表させていただいているところでございますけれども、今般、国の行政機関において数値に誤りがあることが判明いたしまして、全機関に対しまして再点検を依頼し、改めて修正後の通報をいただきましたところ、これを公表させていただいたというものでございます。
 概要の3つ目の○にございますように、再点検の結果として、障害者数が6,867.5人から、3,460人減少いたしまして、3,407.5人となりました。また、実雇用率は2.49%から1.19%、不足数が2.0人から3,396人ということでございます。各機関ごとの数字は次の2ページ、点検前との対比については6ページに資料をおつけしてございますので、御参照いただければと思います。
 本来、国の行政機関につきましては、障害者雇用促進法のもとで、社会連帯の理念に基づきまして、障害者の雇用の確保、安定を図る責務を有しておりますし、また、民間の皆様に対して、率先して障害者を雇用すべき立場にあると考えております。このような立場にありながらこのような事態となったことは誠に遺憾でございまして、また、障害者雇用施策を推進する立場といたしましても、深くお詫びを申し上げる次第でございます。
 今後、国の行政機関が一体となって、再びこのようなことがないように再発防止を徹底していくことはもとより、法定雇用率の達成に向けた計画的な取り組みを速やかに進め、また、障害者の皆さんの活躍の場を公務部門においても拡大してまいりたいと思っております。
 本件につきましては、障害者雇用分科会にこれから御報告も申し上げ、必要な御議論をいただくように考えておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 それでは、資料3に基づきまして、職業安定局所管の分科会等につきましての審議状況を御説明申し上げます。
 資料3-2、13ページを御覧いただければと思います。13ページからが職業安定局で、具体的には15ページからでございます。
 職業安定局関係の項目は6つございます。1つ目は先般の7月の豪雨に関する検討でございます。先般の豪雨の影響に伴います経済上の理由によって休業等を余儀なくされた事業主の皆さんに対する支援といたしまして、雇用調整助成金の助成率を引き上げる等の特例を内容とする省令案を第132回の職業安定分科会において御議論いただきまして、「妥当」との答申をいただきました。この省令につきましては、7月25日に施行しております。
 また、ハローワークなどにおける被災者の皆さんへの対応につきましても、緊急の雇用労働対策ということで、第133回の職業安定分科会において御報告をさせていただいております。
 2番目に障害者雇用対策の関係でございます。7月30日に取りまとめられました「今後の障害者雇用促進制度の在り方に関する研究会」の報告書につきまして、8月22日の障害者雇用分科会に御報告を申し上げ、御議論いただきました。今後とも引き続き議論をしていただく予定でございます。
 3つ目が教育訓練給付の関係でございます。6月13日に開催されました人生100年時代構想会議におきまして決定された「人づくり革命 基本構想」におきまして、専門実践教育訓練給付の対象講座を拡大すること、一般教育訓練給付についてはキャリアアップ効果の高い講座の給付率を引き上げることとされましたことを踏まえまして、人材開発分科会での検討とあわせて、雇用保険部会においてこの給付の見直しについて議論を開始したところでございます。
 4つ目が若者雇用促進法の施行令の改正の関係でございます。先般の通常国会において成立いたしました働き方改革の関連法によりまして、労働基準法が改正されて新たな労働時間の上限規制等が設けられたわけでございますが、これに伴いまして、若者雇用促進法に基づく学卒求人不受理の対象条項の追加等を内容といたします政令案について、雇用対策基本問題部会と職業安定分科会において御議論いただき、「妥当」との答申をいただきました。この政令については、来年4月1日からの施行でございます。
 5つ目が労働政策基本方針に関する検討でございます。こちらも先般成立した働き方改革推進関連法に基づきまして、雇用対策法が改正され、その改正法では国が「基本方針」を定めるということになっております。この基本方針の案を策定するときには、あらかじめ労働政策審議会の意見を聞かなければならないとされております。このため、本審の直下に労働施策基本方針部会を設置させていただき、本日午前中に第1回の部会を開催して、基本方針の骨子案について御議論いただいたところでございます。
 6つ目でございます。年度評価と目標設定につきましては、職業安定分科会、障害者雇用分科会におきまして、それぞれ別紙6の1~3、4~6におつけしていますような形で具体的な数値の状況、評価の動向について御議論いただいたところでございます。
 職業安定局からは以上でございます。よろしくお願いいたします。
○小林雇用環境・均等局長 続きまして、雇用環境・均等局の審議状況について御説明申し上げます。
 大分飛びまして、71ページでございます。71ページから始まっておりますが、73ページに全体概要がございますので、73ページを御覧いただければと思います。
 「雇用環境・均等局所管の分科会等における審議状況」でございます。
 まず、雇用環境・均等分科会でございますが、一番下にございますように、8月27日に開催いたしまして、3点御審議をいただいております。1つ目が2017年度の年度評価及び2018年度の目標設定ということでございまして、詳細は別紙1のとおりでございます。
 2つ目が今後の雇用環境・均等分科会での主な検討事項について御議論いただきまして、具体的には別紙2におつけいたしておりますけれども、今後、女性活躍推進のための対策、あるいはハラスメント対策について御議論いただくということで了解をされておるところでございます。これは女性活躍推進法の施行から3年が経過いたしまして、見直し検討の年に当たっていることが一つの背景でございます。
 3つ目が労働時間等設定改善指針の改正についてということで、別紙3におつけいたしております。こちらは今般の働き方改革推進法の改正等を踏まえまして、労働時間等設定改善指針の改正を行うということでございまして、8月27日は概要を説明させていただいたところでございますが、追って正式に諮問をさせていただくことを予定しております。
 2つ目が同一労働同一賃金部会の関係でございます。働き方改革法が成立、公布をされて後、初めての部会ということになりますが、下にございますように8月30日に開催いたしまして、また議論が再開されたということでございます。同一労働同一賃金に関する省令、あるいは指針の内容についての検討を精力的に進めていくということで、円滑な施行に向けて早目に内容を明らかにできるように、今後積極的に御議論いただくことを予定しております。
 以上でございます。
○吉本人材開発統括官 人材開発統括官関係でございます。
 資料は85ページからでございます。さらに進んでいただきまして、87ページに審議状況を書かせていただいております。
 1つ目は専門実践教育訓練給付の指定基準の見直しについてでございます。詳しくは別紙1につけてございますが、これにつきましては、制度創設時に施行後3年後をめどとして必要な見直しを検討するとされておりましたことを受けまして、2月より審議をお願いしてまいりました。これを受けて7月の第8回分科会におきまして、別紙1にありますような、専門実践教育訓練給付の対象講座に4年以内の課程等を内容とする専門職大学の講座を追加するといった指定基準の見直しを内容といたしました告示案要綱を諮問し、「おおむね妥当」と認めるという答申をいただいたところでございます。
 2点目が一般教育訓練給付の拡充のほうでございます。これにつきましては「人づくり革命 基本構想」であるとか、骨太方針等に対象を拡充するとともに、ITスキルなどキャリアアップ効果の高い講座を対象に、給付率を2割から4割へ倍増するとされたことを受けまして、雇用保険部会の検討とあわせまして、8月28日から人材開発分科会におきましても対象講座についての議論を開始したところでございます。
3点目、キャリアコンサルタントの能力要件の見直し、別紙3にございますが、これについてはキャリアコンサルタントを国家資格化したわけでございますが、その役割を果たすことができる知識、能力の要件の見直し、具体的にはキャリアコンサルタントの養成・更新講習の科目の改正、拡充を内容とする省令案要綱を諮問し「妥当」と認める答申をいただいているところでございます。
 4点目でございます。別紙4にございますが、訓練施設等で訓練を指導いたします職業訓練指導員(テクノインストラクター)の供給が不足しているといったことも踏まえまして、養成を行っております職業能力開発総合大学校の課程の見直しをすることにしております。大変大まかに申し上げますと、これまで4年プラス1年、合計5年の修業が必要だったところを、4年間の修業に並行して新設される「短期養成課程」のコースを受けることによりまして、4年で免許資格が取得できるといった中身の見直しで「妥当」と認める答申を頂戴しております。
 5点目、技能実習制度の監理団体の許可につきましては、監理団体審査部会で随時御審議をいただいておりまして、8月31日時点で合計2,299団体を許可しているところでございます。
 最後に人材開発統括官の年度目標、また、昨年度の実績評価につきましては、別紙6のとおりでございます。
以上でございます。
○藤澤政策統括官(総合政策担当) 政策統括官の藤澤でございます。
 続けまして、労働政策基本部会の審議状況について御説明を申し上げます。この資料の最後、101ページを御覧いただければと思います。
労働政策基本部会でございますけれども、4月以降4回開催をいたしまして、報告書の取りまとめに向けました議論を実施し、きょうこの報告書をこの場に提出してございます。内容につきましては、次の議題3のところで御説明を申し上げる予定でございます。よろしくお願いいたします。
以上が各分科会、部会の審議状況等でございます。厚生労働省といたしましては、労働政策審議会における各分科会、部会の審議を十分踏まえまして、労働行政を推進していきたいと考えております。
 なお、先ほどお手元のiPadの画面が消えてしまいまして申しわけございませんでした。今後はこういうことのないように、審議会の準備を十分注意してまいりたいと思います。
 以上でございます。
○樋口会長 どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明につきまして、御質問、御意見等がございましたら、御発言をお願いしたいと思います。どなたからでも結構ですので、どうぞよろしくお願いします。
 冨田委員、どうぞ。
○冨田委員 冨田でございます。よろしくお願いいたします。
 今、御説明いただきました中で、資料2-1になりますけれども「働き方改革・人づくり革命・生産性革命」ということで御説明いただきました。御指摘のとおり、労働力人口など、大きな時代変化の中で経営環境は大きく変化しておりますし、企業が持続的に成長していく上で、働き方改革は非常に重要なテーマだと思います。何よりも一人一人の働き手が生き生きと自分の力を思い切って発揮できる、そういう働きがいづくりが大事だと思いますし、企業にとりましては、働き方改革を通じて生産性を向上させていくという視点は必要になってまいります。また、社会にとってはこうした働き方改革を通じて新しい価値といいますか、イノベーションを起こしていくということが大変重要なのではないかと思っております。そういう意味では、経団連といたしましても、この改正法の周知は当然でございますけれども、同時に働き方改革に取り組む企業を支援していく活動を加速していきたいと思っております。
 具体的には、長時間労働の削減などの目標につきましては、数値目標を設定して、PDCAを回す企業をふやすという取り組みを行ってまいります。また、経団連が昨年、日商や全国中小企業団体中央会などと取りまとめました、長時間労働につながるいわゆる商慣行の是正に向けた共同宣言についてもきちんと実行していくように、さらに周知を図っていきたいと思っております。
 それから、年休の取得率は70%以上を目指そう、年間の取得日数が5日未満という方をなくしていこう、3日以上の連休をつくるといったことを目的として、早目に計画を立てる。職場の理解を深めていく。そして、しっかり休暇をとっていくということで、「有休My plan 7! 5! 3!」というキャッチフレーズをつくりまして、今、年休の取得促進キャンペーンも展開しております。強力に進めてまいりたいと思っております。
 こうした活動とあわせまして、社員の働きがいを高めるためには、女性、高齢者といった方々、まさにダイバーシティということだと思いますが、多様な人材が柔軟に働くことができる環境づくりが必要だと考えております。特に高齢者雇用につきましては、今後、社会保障費の大幅な増大という中で、官民一体となってこれに取り組んでいかなければいけない。そういう喫緊の課題であるという認識を持っております。
 先ほど、高齢者の就労促進の施策について御説明がございました。現在、地方の企業、特に中小零細企業におけます労働力の不足は大変深刻な状況でもございます。こうした企業につきましても、高齢者の雇用施策について知っていただくことが非常に大切だと思いますので、地域の経済団体などと連携をして、この施策の内容をよく周知させ、確実に就労につなげていただきたいと思っているところでございます。
 今後につきましては、早い段階から65歳を超えて、生涯にわたって活躍できる人材を育てていくという、さらに一歩進んだ視点が必要になってまいると思っております。こうした人材の育成に取り組む企業への御支援、成長産業への人材の円滑な移動、流動性のある労働市場といったものをつくっていく施策につきましても、一層の強化をお願いしたいと考えてございます。
 私のほうからは以上でございます。よろしくお願いいたします。
○樋口会長 どうもありがとうございました。
 高齢者雇用について御指摘がございましたので、事務局で何かありますか。
お願いします。
○田畑審議官(職業安定担当) 土屋局長が所用のため、代理として、職業安定担当の審議官の田畑でございます。
 高齢者の就業促進は人手不足の中で重要な課題ということで認識しております。労使連携での取り組みが欠かせないと考えております。
また、地域で中小零細企業を含めて施策の周知を図っていただくことは大変重要と考えております。65歳を超えての雇用推進助成金等の支援施策は中小零細で既に御活用いただいておりますけれども、こういった支援策、従来の周知方法に加えまして、中小企業等とも連携をしながら、より促進に努めてまいりたいと思っております。
 今年度予算でも高齢者の雇用促進に対する予算措置等を盛り込んでおりますけれども、さらなる充実、支援を図ることにより、転職、再就職支援ということにも取り組んでまいりたいと考えております。
○樋口会長 ほかに御質問はいかがでしょうか。
 どうぞ。
○市瀬委員 私もPDCAの重要性について意見を申し上げます。
 御説明いただきました「働き方改革・人づくり革命・生産性革命」を初めとした各施策につきましては、いずれも重要であると認識しております。しかし、せっかくの施策であっても、事業主の認知度が低く、十分に利用されないようでは意味がありません。各施策は幅広く、かつなるべく専門用語や法令用語を使用しないなど、わかりやすい形で周知していただき、利用を促進していただきたいと思います。
 また、各項目を見ますと、予算額が増減しております。平成30年度から31年度も引き続き実施していく施策につきましては、施策の利用状況や効果を検証するなど、PDCAをしっかりと回していただくことが重要です。その際、予算の増減や効果的な周知方法の検討のみならず、施策を利用して生産性が向上した、または企業にとって最大の経営課題である人手不足を克服したなど、中小企業における好事例を収集していただき、多くの企業に横展開を図っていくことも重要ですので、よろしくお願いいたします。
 2点目は働き方改革関連法に関する周知についてです。中小企業庁の調査では、働き方改革関連法の大きな柱の一つである時間外労働の上限規制の認知度は47%であり、もう一つの大きな柱である同一労働同一賃金ガイドラインの認知度も42%にとどまっていることから、認知度の低さが課題になっております。時間外労働の上限規制、年次有給休暇の取得義務づけにつきましては、過日の労働条件分科会で省令、指針の答申がなされました。一方、同一労働同一賃金に係る省令、指針につきましては、8月末から審議が始まっていると伺っております。企業が具体的な準備を進めていく上で、省令、指針が非常に重要であることは言うまでもありません。厚生労働省におかれましては、商工会議所など関係機関と幅広く連携し、周知に力を入れていただきたいと思います。
 また、参議院附帯決議で規定されているとおり、中小企業に対する行政機関の対応に当たっては、労働時間の動向、人材の確保の状況、取引の実態等を踏まえ、配慮していただきますとともに、長時間労働につながる取引慣行の見直しに向けた取引適正化対策も強化していただきたいと思います。加えて、法令に基づき、働き方改革に取り組む中小企業をきめ細かく支援していただきますよう、よろしくお願いいたします。
私からは以上でございます。
○樋口会長 ありがとうございました。
 PDCAサイクルを回す重要性、ちょうどエビデンス・ベースド・ポリシーの重要性も含めて検討課題に挙がっていると思いますので、よろしくお願いします。
 相原委員、どうぞ。
○相原委員 ありがとうございます。
 今、各委員から働き方改革関連法の周知の関係でお話がありました。同様の観点で1~2点申し上げたいと思います。
 1つ目は、働き方改革関連法の柱の1つである、長時間労働の是正に向けて、労基法関係の指針や省令は、労働条件分科会で深い議論をしてまいりました。申し上げるまでもなく、省令、指針は大変重要なものですので、広くわかりやすく周知徹底するということが基本です。その点をお願い申し上げたいと思います。
 2つ目は、厚生労働省に対する要望ということになりますが、今後とも働き方改革に向けた環境整備や継続的な指導の徹底をお願い申し上げたいということです。今回の改正を契機として、企業レベルでしっかり職場に法の周知、そして正しい運用がなされ、社会に広く実装されていくことが大変大事になってまいります。法の趣旨をよく理解して労使を挙げて適正な運用を行い、一人一人のやりがいと健全な形で生産性を高めていく。こういう形にいかにして持っていけるかということが今後の大変重要なテーマだと思っております。行政から指導されてから初めて取り組むというよりは、その前につくり込んでいくことが大事になりますが、厚生労働省としては、最後の砦でとして、良くないものは良くないということを徹底して、指導などの対応をお願いしたいと思います。
 その観点で、先ほど冨田委員も一言触れられましたが、商習慣の見直しは大変重要な点だと思っております。働き方改革を進める上でどこがボトルネックとなっているのかという諸課題を見つけていく上でも、法の趣旨に基づいて職場をつくり込んでいくことが大事です。その際に商習慣がボトルネックになっているということが挙がってくれば、大企業、中小企業、企業規模にかかわらず、そのネックを取り除いていくことが大事ではないかとも思っているところであります。
 そして、私ども労働の立場で見ても、現在、中小企業は、各地域において人材獲得が大変難しい立場となっております。事業継承問題も含め、人材獲得が喫緊の課題になっています。その中で、ややもすると今回の働き方改革関連法に基づく長時間労働の是正が、中小企業にとって逆風だと受けとめられがちな点もあります。これをどのようにプラスに転換できていくのかということは、地域にある財産を寄せ集めて、地域ならではの働き方改革を根づかせていくことが大変重要であり、経営者団体の皆様の御協力もいただいて進めているところです。幅広く進めていく必要があると思います。
 最後に、医師の働き方についてです。勤務医は紛れもなく労働基準法上の労働者です。したがいまして、医師の長時間労働の是正、労働環境の改善に向けた精力的な論議が必要だと思っております。検討会の中でも、医師会などの皆様方からもさまざまな提言がなされておりますが、深掘りした議論を今後とも期待したいと思います。
 以上です。
○樋口会長 今、医師も含めての長時間労働の問題の御指摘をいただきましたが、この関連で御質問はございますでしょうか。
 なければ、事務局のほうからお願いします。
○坂口労働基準局長 労働基準局長でございます。
 今、労使双方の委員の先生から、働き方改革について周知の点、あるいは中小企業支援等の点について御意見を頂戴しました。
 委員の中からも御指摘がございましたけれども、先ほど御報告申し上げました関連の時間外労働の上限規制、あるいは年休の関係の省令指針を労働条件分科会において御議論いただいたときも、これが公布された後、施行に向けてしっかり周知を、しかもわかりやすくするようにということを、委員各位から御意見を頂戴しました。私どもとしましても、わかりやすいリーフレットを作成するということも含めて当然のことでございますけれども、いろいろな手法で正しく理解していただくということにしっかり努めてまいりたいと思いますので、また労使の皆様にも御協力をいただければと思う次第でございます。
 また、中小企業を含めました施行に向けての環境整備、支援という点についても御意見を頂戴しました。今のわかりやすい周知は当然でございますけれども、労基署において特別チームを通じました支援でございますとか、あるいは中小企業の皆様にも働き方改革推進支援センターを通じた、ここでもいろいろと商工会議所や商工会の皆さんとも連携した取り組みをしながら、わかりやすくきめ細かな支援を行ってまいります。
それから、助成金も先ほど予算のほうでも御紹介しましたような時間外の削減に向けた生産性向上に取り組む中小企業等への助成金もございますし、また、来年も拡充してまいりたいと思っておりますので、そういったものの活用にしっかり努めてまいりたいと思います。
また、労使双方から商慣習や取引慣行の点についても御指摘がございました。この点についても、取引の適正化につきましては、その重要性については理解が得られるように丁寧に周知、助言を行うようにしてまいりたいと思いますし、この点については私ども厚生労働省だけではなくて、政府全体としてそういったことをしっかりやっていかなければ働き方改革というものは進んでいかないということで、政府全体の受けとめとしまして、こういった商慣習の是正について、各所が連携して取り組むようにということとしておりまして、関係省庁とも連携してしっかり取り組んでまいりたいと思います。
 最後に、相原委員のほうから医師の働き方の点についても御指摘がございましたけれども、御紹介がございましたように、医師の働き方関係につきましてはその検討会を設けまして、これまでもことしの2月に医師の労働時間短縮に向けた緊急的な取り組みをまとめるということなどもしたところでございますが、引き続き医師の労働環境の改善に向けて検討会でしっかりと御議論していただきたいと考えております。
私からは以上でございます。
○樋口会長 ありがとうございます。
 商慣習とか取引慣行、狭義の、狭い意味での労働政策としては従来余り扱われてこなかったところを、守備範囲を広げてというようなことになっているかと思いますが、ほかの省庁とも連携して進めていただきたいと思います。
ほかにいかがでしょうか。
永井委員、どうぞ。
○永井委員 ありがとうございます。
 私からは、同一労働同一賃金について申し上げたいと思っております。
こちらも現在、部会で省令やガイドラインの議論が行われているところでございます。省令やガイドラインは、短時間、有期、派遣で働く方と正規雇用労働者間の不合理な待遇差を解消していくという法の趣旨に基づいて、職場で実効ある取り組みを進めていくために重要です。そして、当事者である短時間労働者、有期契約労働者、派遣労働者の声や職場の実態に即した労使の対話を尽くして、職場内で処遇改善をしていくことが重要であると考えております。
 私の所属いたしますUAゼンセンは、組合員の過半数がいわゆる短時間労働者といった組織です。そうした中、傘下の労働組合からは、ガイドラインが出た当初から、「何からどのように取り組めばいいのかわかりづらい」といった声が上がっているところです。我々としても周知に取り組んでいるところでございますが、当事者のパートタイマー等の組合員からもよくわからないという声もあります。しかし、同時に、当事者の皆さんからは処遇改善への大きな期待も上がっているところでございます。
 今回概算要求における重点要求には、マニュアルを活用した相談支援の実施や事業主に対する支援の推進ということが掲げられております。マニュアルについては業種別に策定し、主に中小企業での活用を主眼に置いていると聞いています。中小企業を初め、わかりやすく周知していくことが実効性を高める鍵となると思います。関連助成金等があることも含めて周知をしていただき、現場における取り組みがスムーズに進むような支援をお願いいたします。
 以上です。
○樋口会長 ただいま、同一労働同一賃金についての御質問、御意見をいただきましたが、これに関連してございますか。
○伊藤委員 会長、働き方改革でもよろしいですか。
○樋口会長 働き方改革はいろいろございますが、賃金関係。
○伊藤委員 先ほど、事業者として長年の企業風土であるとか取引慣行を変更していかなければならぬというお話がございましたのですけれども、その点について質問というか、意見を述べさせていただいていいですか。
○樋口会長 どうぞ。
○伊藤委員 これについて、何か罰則規定でもあるのでございましょうか。私どもは質問事項には全く出しておりませんけれども、私どもが取引をいたしております大手企業さんがございますが、365日のうち364日配達してねとおっしゃっていただいております。それに私どもが、私どもの企業としては対応しておりませんけれども、私どもの配送をやってくれている下請企業に全部任せておりますが、それにきちんと対応しております。
今から働き方改革と言いながら、実はそこの工場の倉庫等を見ると、例えば毎日運んでねということを3日に1遍にしてね、1週間に1遍にしてねと言っても、とてもではないけれどもその在庫が積み上がるような倉庫はございません。ということは、もし我々がそういうことを要望すれば、この土地にはいられないから出ていきましょうかという話になるのだと思います。これはある意味で地域の経済にとって大きな痛手になることは間違いありません。雇用も失われます。これを本当にやらざるを得ないのはわかりますけれども、例えば労働時間一つとっても、ひょっとしたら私ども中小企業が罰せられるかもわからない。私どもの下請をしている人間が罰せられるかもしれない。しかし、発注者たる大企業の人間は罰則の対象には絶対にならないと思いますよね。だから、この働き方改革をやらなければならないのは十分わかるのですけれども、どこでどういうふうにコントロールをしながらやっていかれるのかがどうも全く見えない。
 質問というよりは御指摘を申し上げて、意見を終了させていただきます。
○樋口会長 御意見をいただきました。
 これは多分、ほかの府省の法律的な話となるかと思いますが、わかる方、何か。
○坂口労働基準局長 今、手元にそのものがないので正確性に欠けるかもしれませんけれども、先ほど申し上げました、労使委員からもあった商慣行、商取引の是正は、政府全体とするといわゆる短納期の発注であったり、無理な工期設定をしたりというようなことで、そういったものが長時間の残業等につながらないようにというようなことについては、先ほど労使からも御意見があったように、そういったものについては、改めるべくは改めていきましょうというようなことを取り組んでいただきたいということでございます。
 法制的な問題につきましては、いわゆる労働関係法令で直接的に取引の関係を罰するというようなものではございませんで、下請の関係のある取引法ということで、そういったものについての一定の規制がございますので、公正取引委員会等も含めての対応になるということ。あと、建設の関係になりますと、建設の工事の発注等について、一定のガイドラインを今般、政府としてもつくって、そういったものについての無理な工期の設定等をやらないようにしていただきたいというようなことを、ガイドラインを示しながら御理解をいただくような取り組みをしていきたいということで、働き方改革につながるような取り組みを政府全体でしてまいりたいという趣旨でございます。
○樋口会長 ありがとうございます。
 法律だけでは対応できないところも伊藤さんの御指摘の点であるかと思います。企業間での話し合いもあるかと思いますので、そこはうまくほかの省庁等も含めて御検討いただいて。
 冨田委員、どうぞ。
○冨田委員 私から申し上げるのが適当かどうかと思いますが、先ほど私からも申し上げました長時間労働につながる商慣行の是正につきましては、発注者側と受注者側でさまざまな事情の相違とか課題の違いがあるわけでございます。そういった点をできるだけ調整しながら、働きがいのある、そして、長時間労働の是正につながる、そうした商慣行をつくっていくという趣旨で申し上げておりますので、問題意識としては私どもも共有して、経団連としても活動してまいりたいと思います。よろしくお願いいたします。
○樋口会長 そうしましたら、先ほど永井委員から同一労働同一賃金についての御質問、御意見がございましたが、どうぞ。
○小林雇用環境・均等局長 雇用環境・均等局でございます。
 永井委員からお話がございました同一労働同一賃金の関係でございますが、先ほど審議会の状況を御報告申し上げましたように、まずは省令あるいは指針の内容を固めて、それを早目にお示しすることによって現場の議論をちゃんとやっていただくこと、それから、中小・小規模に対して周知に万全を期していくということをしてまいりたいと思っております。
 その上で、それだけだとなかなか現場の取り組みが進まないではないかという話でございまして、これは先ほどお話がございましたような業種別の導入マニュアル、業種横断的な手順書みたいなものもこれからつくりたいと思っておりまして、そういったものを手がかりに取り組んでいただけるようなツールを提供したい。
 それから、働き方改革推進支援センターを全国に設けておりますけれども、これもただ待っているだけではなくて、求めに応じて出向いて積極的な支援を行えるように、体制強化を図ってまいりたいと思っております。
 また、キャリアアップ助成金も来年度要求でまた大幅に充実を図ろうということにしておりまして、特に手当の充実とか手当の共通化みたいなことへの御関心も高まってくると思いますので、そういうものにも対応いたして、現場の取り組みがきちんと行われるようにしてまいります。
以上です。
○樋口会長 ほかにいかがでしょうか。
では、中川さん、どうぞ。
○中川委員 ありがとうございます。中川です。
 私からは資料2の「働き方改革に取り組む中小企業・小規模業者に対する支援」について、要望を述べさせていただきたいと思います。
働き方改革関連法の一つである雇用対策法改正、衆議院厚生労働委員会の附帯決議に基づきまして、地域の実情に即した働き方改革を推進するために、地方自治体、事業主団体、労働者団体などで構成される協議会が設置されることになりました。そもそも働き方は、産業、地域、企業、職場によってさまざまで、現行の働き方を改善していくということに関しましては、職場を熟知している労使の協力が不可欠であると思います。
 また、働き方改革推進支援センターが全国47都道府県に設置されたということですが、私が働き暮らす宮崎県には4月23日に設置されたところです。センターの1年間の目標は72社となりましたが、8月末現在で66社が支援の相談に来られ、4カ月で既に実に目標の91%に達しているということでございます。
 センターは、長時間労働の是正、同一労働同一賃金など非正規雇用労働者の処遇改善、生産性向上による賃金引き上げ、人手不足の解消に向けた雇用管理改善の4つの取り組みをワンストップで支援するという役割を担っていますが、私から「長時間労働の是正が一番相談が多いのではないのですか」と支援センターにお聞きしたところ、人手不足の解消に向けた雇用管理の改善がとても多いというお話でした。
地方では、人手不足が大変深刻な状況です。宮崎県では、高校を卒業した2人に1人は県外で就職します。宮崎県の国立大学でも、7割から8割は県外の学生という状況です。そして、高校生や大学生がアルバイトという形で労働力になっています。こうした地域の実情も踏まえて、全国で設置されております働き方改革推進支援センターについては、ぜひ環境整備、それから安心して相談できる体制も含めて、さらに体制の強化を進めていきたいという要望を申し述べます。
 また、働き方改革推進会議に関しましては、宮崎県にも昨年12月13日に設置されました。長年積み上げてきた、行政と労使の連携の取り組みを進めるという目的のもと、さまざまな団体がこの会議に参画しています。半年に1回開催し、第1回のテーマは中小企業における働き方を推進するための支援、今年5月30日に開催した第2回のテーマは多様な人材、ダイバーシティが活躍できる、人を大切にする会社を目指してということでした。その中では、実際に地元の企業で人を大切にする会社ということで労働者が定着したという取り組みの紹介がありました。第3回は10月に予定されているということですが、ぜひ地域ならではの働き方改革の周知、前進した取り組みの展開も必要だということを述べさせていただきます。
 以上です。
○樋口会長 働き方改革推進支援センターと特に地域における働き方改革の取り組みについてという御質問ですが、これに関連する御質問はございますか。
 よろしければ、これはどこでしょうか。小林さん、どうぞ。
○小林雇用環境・均等局長 まず働き方改革推進支援センターの総合的な機能発揮ということでございまして、お話がございましたように、人手不足が非常に深刻化している中での働き方改革は難しい課題であるわけですけれども、一方で働き方改革を進めないと人材が確保できないという面があることもまた事実でございまして、そういった中で総合的な御支援をできるように機能強化を図ってまいりたいと考えております。
 もう一点、協議会についてのお話がございました。地域の実情に即して働き方改革を推進する上では、御指摘がございましたように地域の労使の御協力が不可欠でございまして、協議会の役割は非常に重要だと思っております。現在、労使にとどまらず幅広い関係者の参画を促しているところでございまして、そういった協議会の場で、ぜひ建設的な御議論をいただければありがたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
○樋口会長 それでは、ほかにいかがでしょうか。
 岡田委員、どうぞ。
○岡田委員 ありがとうございます。岡田でございます。
 私のほうからは、資料2の2ページ目の「人材育成の強化と人材確保対策の推進」の最初の○にあります「リカレント教育の拡充等による人材育成の強化」について申し上げたいと思います。
1ページ目にもありましたとおり、人生100年時代を見据えた一億総活躍社会の実現は、少子高齢化の進行と人手不足の中で、年齢を問わない人材の活躍を首肯していかざるを得ないという現実もありますし、経済界としてもAIやIoTなど技術革新によって市場や産業構造が大きく変化する中で、社員が常に学ぶ姿勢を持ち、学び直し、学び続けることの重要性を意識した上で今後ますます高まっていくものと認識しております。
 また、内閣府実施のアンケートでも、実際に学び直しの実績及び意欲を持った方々が4割弱いるという結果も聞いております。したがって、来年度予算において、労働者の主体性を高めるなど、労働市場や企業のニーズを踏まえた教育訓練給付の拡充に伴って、リカレント教育を充実させていく方向性には賛同しております。ただし、この教育訓練給付は労使が負担する雇用保険料を財源にした給付制度でありまして、就職の実現やキャリアアップなど、訓練事項に係る効果が見込めるよう十分な目配りを求めたいと思っております。
 具体的には、教育訓練給付の拡充に当たり、2点ほど御留意いただきたい事項がございます。1つは、一般教育訓練給付のうち、新たに創設される4割給付については対象講座の選定に当たり、雇用の安定、キャリアアップ効果が発揮されるよう、例えば受講後のアンケート調査など、訓練効果の評価の仕組みを整えることが必要ではないかと思います。
 次に、専門実践教育訓練給付については、企業の人材ニーズを踏まえた専門性、実践性を伴う訓練の受講となるよう、訓練効果を継続的に把握することが重要となります。8月22日の雇用保険部会では、在職者であっても訓練前のキャリアコンサルティング受講を必須とすることや、訓練後の受講効果の報告を給付要件とすること等が提案されました。これらは訓練事項に当たっての受講者本人の適切なキャリア設計や訓練効果の把握という意味で妥当な対応と考えています。
 就労支援機関や教育機関など、関連機関との一層の連携も含め、より有効な活用となるよう、よろしくお願いしたいと思います。
私からは以上です。
○樋口会長 人材育成関連の御質問がございましたらお受けしたいと思います。
 それでは、リカレント教育、特に教育訓練給付の拡充についてお願いいたします。
○吉本人材開発統括官 人材開発統括官でございます。
 御指摘いただきましたとおり、私どもも人生100年時代といった中で、いくつになっても適切な学び直しができるような機会、また、そのための支援を充実させていきたいということで、来年度予算の中でもいろいろなメニューを盛り込ませていただいているところでございます。
 その中で、今、御指摘がありました教育訓練給付でございます。先ほど御報告申し上げましたとおり、専門実践に関しましては、先般、一定の見直しの方向性の結論をいただいたところでございますが、その中でも特に専門職大学院のような在職者の多い講座についての訓練の効果、キャリアアップの効果といったあたりをどのように把握していくのかといったところでの議論がいろいろございまして、そういう観点は今後一般訓練給付の拡充を検討するに当たりましても、その訓練効果の把握をどうするかといったところは非常に重要な論点だと考えております。
 具体的に御指摘いただきました、訓練前キャリアコンサルティングを受けることを必須とするようなこと、あるいは訓練の効果の報告を給付の要件とするといったようなことにつきましても、今後の検討課題だと考えているところでございます。
 よろしくお願いいたします。
○樋口会長 それでは、次の御質問を受けたいと思います。
 どうぞ。
○松谷委員 ありがとうございます。
 私からは資料5に関連し、先ほどもお話がございました、国の行政機関における障害者の任免状況の再点検について発言させていただきます。
 国の障害者雇用率制度では、身体障害者、知的障害者、精神障害者について、一般労働者と同じ水準において常用労働者となり得る機会を与えることとし、それに対して障害者雇用率が設定され、達成義務を課し、それを保証する、というものです。
 障害者雇用促進法に基づきまして障害者雇用政策を進めていく立場にある国や地方公共団体において、不適切な障害者雇用の報告が行われていたということは、我々としては極めて遺憾です。
 先ほど、国の行政機関の再点検の結果の説明がございましたけれども、不足数は3,400名を超える大規模なものであったということでございます。政府として、地方公共団体においても全国的に実態調査を行っているということではございますが、再発防止に向け、このような問題が生じた原因とその背景を根本的に明らかにしていただきたいと思います。
 また、これだけ大規模に問題が発生しているということを考えれば、短期間で解決できる問題ではないとも思っております。国家公務員試験を受けて、正規職員として採用される障害者の方が少ないという実態、予算が確保されていないために設備の整備等を必要とする合理的な配慮を受けられない場合があるということ、過重な労働が前提となっている職場であることなどが指摘されております。そうした問題を解消せず、短期間で法定雇用率の達成を目指す余りに、合理的配慮がなされない職場に、障害者を臨時・非常勤職員等として大量に採用するようなことを安易に実施すべきではないと思っているところです。
 今後、障害者雇用政策を推進するに当たりましては、国の法定雇用率の達成と、この問題の解決に取り組んでいただく必要があると思っております。責任を持って今後の道筋を示していただきたいと思います。
 以上です。
○樋口会長 障害者雇用についての御意見をいただきましたが、使用者側でも何かありますでしょうか。よろしいですか。
 では、事務局、どうぞ。
○田畑審議官(職業安定担当) 今般、多くの国の行政機関において、通報の対象とした障害者の範囲に誤りが見られ、法定雇用率の達成にない状況にあった事態につきましては、先ほど土屋職業安定局長のほうからも御説明申し上げましたとおりですが、このような事態となったことは誠に遺憾であり、障害者雇用施策を推進する立場としても改めて深くお詫びを申し上げます。
 資料5の4ページ目に「4.今後の取組」ということで記載をしております「公務部門における障害者雇用に関する関係閣僚会議」、その下に「公務部門における障害者雇用に関する関係府省連絡会議」が設置されておりまして、今般の事態の検証、法定雇用率の速やかな達成に向けた計画的な取組、国・地方公共団体における障害者の活躍の場の拡大などにつきまして検討を進めるということになっております。関係府省連絡会議の検討を踏まえ、10月中を目途に政府一体となった取組について関係閣僚会議において取りまとめを行うということとされております。国の行政機関が一体となって取り組んでまいりたいと考えております。また、障害者雇用分科会にも御報告をし、必要な御議論をいただく予定としておりますので、障害者雇用分科会の委員の皆様の御意見もお伺いしながら、政府一体となって取り組んでまいりたいと考えております。
○樋口会長 今後、地方公共団体のほうからも報告があるということですか。
○田畑審議官(職業安定担当) 先週末に地方公共団体の再点検について依頼をしておりますので、その状況についてもまた取りまとめて公表する運びになろうかと考えております。
○樋口会長 実りある改善にどうつなげていくかということについては、今後検討するということだろうと思いますが、今、出たような意見もあるということをぜひ御紹介ください。
 ほかにいかがでしょうか。
 どうぞ。
○中野委員 私からは、資料2の「総合的なハラスメント対策の推進」について申し上げたいと思います。
 セクシュアルハラスメントやパワーハラスメントが社会問題となっていることを踏まえまして、経団連はことしの働き方改革の取り組みの一つとしまして、ハラスメント防止キャンペーンを実施しております。具体的な取り組みとして、中西会長名で全会員に対しまして、職場のハラスメント防止に向けたさらなる取り組みの推進を要請するとともに、今月末にはセミナーを開催し、既に200名を超える会員の参加が予定されております。
厚生労働省において、新たに「ハラスメント撲滅月間」を設定して、集中的な周知啓発を行っていただくことは、ハラスメント防止に向けた社会的な機運の醸成にもつながると考えられますので、大変望ましいことと思いますが、ハラスメントは実際にはパワーハラスメント、セクシュアルハラスメントとかがそれぞれ切り離せる場合もあれば、絡み合う場合もあります。その背景にどちらかが関係しているように、個別に起きるとは限りません。それ故に、事業者向けの説明会等におきましては、ハラスメントの事例を多く加えながら、実際にすぐ実践できるような効果的な防止策と事後対策等について周知をお願いしたいと思っています。特に事例につきましては、事業者だけではなく労働者にとってもハラスメント防止に向けた共通認識を深めるために大変効果的です。既にいろいろな判例もあると思いますので、それも活用していただいた上で、事業者、労働者を問わず理解しやすいような周知の工夫をお願いしたいと思います。
 私からは以上でございます。
○樋口会長 ハラスメント関係で。
 どうぞ。
○山中委員 ありがとうございます。電機連合の山中です。
 ただいまハラスメントの件で経団連の取り組み等も御紹介いただきましたけれども、今回の概算要求に盛り込まれた主要施策において、ハラスメントについて、セクシュアルハラスメントやパワーハラスメントと縦割りにするのではなく、総合的なハラスメント対策として対応していくという方向性が示されたことは、歓迎したいと思っております。ハラスメントは、内容の切り分けが難しい面もございますので、全体的な対応としていくことはよいことだと思っております。相談体制の強化につきましては、二次被害防止も含め、被害者の相談が具体的な解決につながるよう、相談員の専門性を高めるための研修や増員などの体制整備をお願いいしたいと思っております。
 また、参考資料2にあるとおり、今年のILO総会では、仕事の世界における暴力とハラスメントに関する条約を策定する方針が確認されました。来年の総会で再度議論を行い、条約採択となれば、ハラスメントに特化した初めての国際労働基準となります。私も労働側のメンバーとして実際に基準設定の委員会に参加してまいりましたけれども、ハラスメント禁止規定を盛り込んだ条約策定に対して、各国政府の熱のこもった議論が毎日交わされました。まさしく暴力とハラスメントは人権侵害であり、決して許されるものではないということが世界の共通の認識であり、国際社会としては暴力とハラスメントの根絶に向けて大きく動き始めているということを感じた次第でございます。
 今後、雇用環境・均等分科会では、パワーハラスメント対策とともにセクシュアルハラスメントの規定がある男女雇用機会均等法の改正が議論されることとなっております。ILO加盟国として、今年の総会で確認された仕事の世界における暴力とハラスメントの基準設定委員会報告も参考にしながら、総合的なハラスメント対策として実効性がある法整備に向けた議論をお願いしたいと思います。
私からは以上となります。
○樋口会長 山中委員、中野委員からハラスメントについて御質問がありました。
 では、続けてどうぞ。
○山本委員 山本でございます。
 今年は男女平等やジェンダーに関する差別やハラスメントが特に頻発していると思います。4月の財務次官のセクシュアルハラスメント、東京医科大学の入学試験における女性差別、性的指向・性自認や子供を産み育てることを「生産性」という観点から論じている国会議員の寄稿など、不適切きわまりないと考えています。日本社会にいまだ根強く残る差別の存在を浮き彫りにしているのではないかと思っています。
 そのような中、先ほど委員からもありましたが、資料3で御説明いただきましたように、女性活躍推進法、男女雇用機会均等法など、男女平等に関する法律の見直しに関する審議が本格的に開始されます。今、申し述べたような事件を通じて、法制度にもさまざまな不備が指摘され、差別や両立支援など、職場の働き方も含めて問われているのではないでしょうか。今後の議論は、こういう一連の事件を経た上での議論になるということを重く受けとめなければならないと思っています。一連の差別問題への社会的な関心の高さは、私たちの議論への関心の高さにもつながるものです。そういう意味で、私たちの責任は重いと思います。ILO総会での議論も先ほど触れましたように、国内のみならず国際的な注目を集めていることも念頭に、労使の精力的な議論のもとで、今の時代に見合った法整備を進める必要があると考えております。
 以上です。
○樋口会長 ほかに関連する御質問、御意見はございますでしょうか。
 よろしければ、どうぞ。
○小林雇用環境・均等局長 まず、中野委員、山中委員から総合的なハラスメント対策についての御意見がございました。
 来年度の概算要求につきましては、先ほど予算のところで御説明申し上げましたように、総合的なハラスメント対策ということで、集中的な啓発、事業主向けの説明会、あるいはハラスメントに遭った方の相談対応などの予算を盛り込んであるところでございますが、中野委員から御指摘がございましたように、実務においてその実践に資するようなものになっていくように、具体的な場面で取り組んでまいりたいと思っております。
 山中委員からも同様のお尋ねがございましたが、雇用環境・均等分科会におきまして、パワハラあるいはセクハラ等の防止対策についての御議論を行うということになったところでございます。ぜひ積極的な御議論をよろしくお願い申し上げたいと思います。
それから、山本委員から女性活躍ということでお話がございました。こちらにつきましても、同様に雇用環境・均等分科会におきまして、女性の活躍の推進のための対策ということで今後御議論いただくことになっております。お話は実効性ある取り組みを進めていくことが大事だという御趣旨だと受けとめましたので、ぜひそういう観点から御提言、御意見を賜れればと思っております。
 以上です。
○樋口会長 ありがとうございます。
 労働関係、あるいは雇用関係以外のところでもいろいろ御意見をいただきましたので、それについてどうするかということはまた相談したいと思いますが、ほかにいかがでしょうか。
 どうぞ。
○安河内委員 JAMの安河内でございます。
 JAMはFWUBC、在日ビルマ人労働組合を長年にわたって支援している観点から、彼らの置かれております厳しい実態を踏まえて、資料2の2ページの右下にあります「外国人材受入れの環境整備」について御意見を申し上げたいと思います。
 いわゆる骨太の方針で、人手不足の対応の観点から即戦力外国人材を広く受け入れるための新たな在留資格の創設の方向性が示されました。これは従来の専門的・技術的分野に限って外国人材を受け入れるとしてきた政府の方針を大転換するものであり、また、本音と建前が混在しております技能実習生の問題を棚上げにしてしまうような動きであろうと思います。この問題は日本社会に大きな影響を及ぼす重要課題であるばかりではなくて、国際社会における日本のヒューマンライツ、倫理規範が問われる。そういった重大な課題です。それにもかかわらず、国民的な議論が全く行われていないのではないかという問題意識を持っております。
 正直、展開が早過ぎて、私も含めてJAMの中での議論がついていけていません。早ければ秋の臨時国会で入管法を改正するということでありますけれども、検討プロセスの透明性を確保し、日本国民の意見をしっかり聞くことは当然として、既に日本で働かれております128万人の外国人労働者の声をしっかり聞くべきです。その上で、外国人技能実習生の問題、留学生のアルバイトの問題、さらには強制送還の非人道性の問題、帯同家族の問題、そして何よりも多文化共生のための日本人、外国人労働者、相互の理解の推進について検討すべきであろうと考えております。
 また、外国人労働者がワーキングプアとして社会の底辺に滞留することがないように、あるいは日本人の長時間労働を外国人労働者に押しつける形で働き方改革が実現することがないように、日本人労働者との同等報酬規定を法律事項として定めた上でその実効性を確保するなど、外国人労働者の権利保護に向けた措置を強く求めたいと思います。
 外国人であろうが日本人であろうが、労働者は労働者であります。入管法の所管は法務省になりますけれども、労働は商品ではないのだという理念のもと、ディーセント・ワークの実現に向けて、厚労省が主体的に対応することをお願い申し上げたいと思います。
そもそも外国人労働者に関しましては、2007年に雇用対策法が改正され、雇用状況届け出の義務化や外国人指針が制定されましたが、指針だけでは権利保護を図るには不十分であるということは、今の実態を見ても明らかだろうと思っております。外国人労働者は言葉の問題、あるいは最も重要なのは文化の問題がございまして、若者や高齢者以上に特別な雇用管理が必要であると考えます。若者には若者雇用促進法、高齢者には高年齢者雇用安定法が整備されていることからすれば、外国人労働者についても雇用管理に関する立法措置が必要ではないかと考えます。まずは現状で外国人を雇用する企業の70%以上で労基法違反が見られるようなこの恥ずべき実態に対応するために、早急に労政審において検討の場を設けるべきであると考えますので、よろしくお願いします。
 以上でございます。
○樋口会長 外国人労働について御意見はございますでしょうか。
 なければ、田畑さん、どうぞ。
○田畑審議官(職業安定担当) 骨太の方針に新たな外国人材の受け入れの点が盛り込まれております。今後、新たな外国人材の受け入れの議論が法務省を中心に進むということになりますけれども、労使の御意見等も十分踏まえながら、適正な受け入れに向けて法務省を初めとする関係省庁とよく調整を図っていきたいと考えております。
 また、外国人労働者の適正な雇用管理の確保は大変重要な課題と考えております。都道府県労働局やハローワークにおいて指導、相談を行っておりますけれども、来年度の体制確保ということで受け入れ機関等に対する指導相談体制の強化を図ることとしております。労働局に専門の外国人雇用担当官を増員する、ハローワークに外国人労働者専門官を増員する、そのための関係の予算等についても確保すべく、今回の概算要求に盛り込んだところでございますので、まずはこの獲得に全力を尽くしてまいりたいと思いますし、ハローワーク、労働局を通じた雇用管理指導に全力を挙げていきたいと考えております。
○樋口会長 それでは、ほかにいかがでしょうか。皆さんからの御意見はよろしいですか。
 どうぞ。
○藤澤政策統括官(総合政策担当) 途中で失礼しますけれども、最初に市瀬委員からPDCAサイクル、あるいは好事例の横展開について御意見をいただきまして、ありがとうございます。厚生労働省の施策でPDCAを回す仕組みといたしましては、政策評価の枠組み、あるいは雇用保険二事業の懇談会、社会復帰促進事業の検討会などがございます。こういった各制度におけるPDCAサイクルを回して、必要な効果検証や見直しを行ってまいりたいと考えております。さらに、会長もEBPMについておっしゃいましたけれども、それについてもこれから十分取り組んでいきたいと考えております。
 また、好事例の収集、横展開についても御意見がございました。事業主の皆さんにとってわかりやすい周知、利用促進に取り組んでいきたいと考えております。
 途中で失礼いたしました。
○樋口会長 ほかに御意見はよろしいでしょうか。
 なければ、厚生労働省におきましては、年末の予算編成や今後の政策立案に関しまして、委員の皆様からいただきました御意見を十分踏まえまして取り組んでいただきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、続きまして、議題3の労働政策基本部会の報告書について御説明をお願いいたします。
○村山労働政策担当参事官 では、ただいま会長からお話がございました労働政策基本部会報告書、資料6のPDFを開いていただきたいと思います。資料6「労働政策基本部会報告書について」という画面が出てまいります。本体がその後ずっとついておりますけれども、若干長い報告書でございますので、大変恐縮ですが20ページちょっとスクロールしていただきますと、最後に事務局のほうで概要をまとめた、右肩に資料6-2と書いてありますポンチ絵が出てまいります。このパワーポイントの資料に即して概要を説明さしあげたいと思います。
 労働政策審議会の労働政策基本部会でございますが、昨年7月に中長期的な課題について横断的な議論をする場として、本審に直属する部会という形で立ち上げられまして、昨年9月の本審議会でその状況について御報告を申し上げるとともに、労使双方から今後の進め方とか論点についてもさまざまな御意見を賜ったところでございます。その後、トータルで10回の調査審議を経まして、報告書が取りまとめられましたので、その内容について御報告を申し上げたいと考えます。
 まず、「はじめに」の内容が資料6-2の1枚目のところでございまして、3つの箱に分かれております。一つが「雇用・労働を取り巻く現状と課題」でございます。最初の○にございますように、一つには労働力供給制約状態が継続することは確実であるということ、「人生100年時代」とも言われるように職業人生も長くなる中で、仕事や学習などさまざまな生き方を柔軟に選択できることへの期待が高まっていること。また、人工知能等の新技術に代表される技術革新とグローバル化の深化等が相まったシェアリングビジネスとかビッグデータといった新たなビジネスモデルが登場しているというような一連の変化が働き方に大きな変化をもたらし得るという現状を捉えております。その上で、こうした変化に伴って働き方の選択肢が拡大することは、意欲ある方の労働参加等を進めるものでございますが、同時に働き方の変化が望ましい影響をもたらすためには、個人の側、また、企業の側にさまざまに新たに求められるものがあるということを記述してございます。
 次の箱でございますが、部会設置に当たっての問題意識といたしましては、先ほど申しましたように、働き方を取り巻く新たな中長期的課題について横断的な審議を進めてきたということでございます。
 その上で、審議事項は3つ目の箱にございますように、黒丸の3つでございます。1つが人工知能等の技術革新の動向と雇用・労働への影響について。2つ目が労働者のキャリア充実支援や柔軟な労働市場の形成など、働く方全ての活躍を通じた生産性向上等に向けた取り組みについて。3つ目がテレワークや副業・兼業、雇用類似の働き方など、いわゆる柔軟な働き方と呼ばれるものについて。それぞれにつきまして現状と今後の課題を取りまとめたのが、いわばこの1年目の報告書ということでございます。
 その概要につきましては、次のページで御説明さしあげたいと思います。今の3つの点について、それぞれ第1章、第2章、第3章となっておりまして、左側の箱が取りまとまっている現状認識、右側が指摘された今後の課題の整理でございます。
 まず第1章の「技術革新(AI等)の動向と雇用・労働への影響」に関しまして、<現状>といたしましては、技術革新が雇用・労働、とりわけ雇用機会にどのような影響を与えるかというところがこれまでも世界的にも議論になっているところでございますが、改めてヒアリング等をしていただきながら御議論を重ねていただいたということでございます。御指摘がありましたのが、1つ目のポツにございますように、やはり新しい技術と代替的なタスクに従事される方の需要が減少するということ。ただ、その一方で2つ目のポツにございますように、そうした新技術を開発・活用できる人材など、新技術と補完的あるいは親和的な労働者の需要が増加するだろうという双方の指摘がございました。
 企業、労働者それぞれの影響といたしまして、まず、企業の影響といたしましては、技術革新に対応できるか否かによって格差が生じる可能性が指摘されたということ。その一方で、人口減少の中での労働力不足の緩和につながる、また、それが期待できるという可能性も指摘されたということでございます。
 働き方への影響といたしましては、こうした新技術に対応できるか否かによって働き方の中での格差が生じる可能性があるということが指摘される一方で、やはり新しい技術によって心身の負荷の軽減の可能性も指摘されているということでございます。
 全体といたしましては、AI等の技術革新が雇用・労働に与える影響に関しましては、さまざまな不確定要素もあり、今、動いているような状況でもありますので、専門家の意見も分かれており、全体像を予測することは困難と言わざるを得ないということが現状の取りまとめということでございます。
 その上での<今後の課題>でございますが、3つの○が書いてございます。1つ目といたしまして、AI等の技術革新は産業現場において非常に速いスピードで実用化されており、その雇用・労働への影響について多面的な角度から速やかに業種、職種ごとに具体的な実態を把握した上で諸外国の議論も参照しながら、継続的に検証する必要があるということが記述されております。
 2つ目の○のところで、AI等の技術革新が進展する中で、人間に優位性があるスキルの習得・向上、あるいは働きがいのある人間らしい仕事を確保していくことが非常に重要になってくるという認識がまとめられております。
 そして、その上で新技術の普及によって働く方全ての活躍、あるいは生産性の向上を図ることが重要であり、そういった意味では、先ほどの課題の裏返しのような話になりますけれども、AI等を活用できる人材の育成でございますとか、AI等の新技術の導入の支援をとりわけ中小企業に対して丁寧に行っていくことも検討するべきだということが今後の課題とされております。
 続きまして、第2章「働く人全ての活躍を通じた生産性向上等に向けた取組」でございます。まず<現状>といたしましては、人口減少の中で持続的経済成長を実現するために、労働生産性の向上が不可欠だということが取りまとめられております。
 そのためには、研究開発等を通じたイノベーションの実現に加えて、生産性を支える人的資本への投資が重要でございますが、我が国における近年の実情といたしまして、企業による教育訓練費が減少しているということ、また、正社員の約8割が仕事の多忙さ等の課題を指摘していることなどを認識する必要があると書かれております。その上で、今後職業人生が長期化し、また、新技術の導入によって労働移動が一層活発化する可能性も見込まれているという一方で、これまでも日本の産業間の労働移動は一定あったし、また、人材育成という観点から長期雇用を評価する声もあることには留意しながら、今後、時代に応じたスキルアップへの支援ですとかマッチングの強化は重要ではないかということがまとめられております。
 そうした現状認識の上での<今後の課題>が右の箱でございます。
 まず、イノベーション活動の促進や人材育成支援といった労働生産性の向上の支援策については、事業・企業規模別の検討が必要であるということ。
 そして、特に中小企業における人手不足状況の改善が喫緊の重要な課題であって、ここは産業所管官庁と連携しながら継続的支援策を講じていく必要があるということ。
 3点目といたしまして、生産性向上のためには、新技術の導入、あるいはそういったものを利活用できる組織・経営改革とともに、良質な労働・職場環境を築き、発展させていくこと。また、危機管理を含む企業のマネジメント力を引き上げていくことが課題になってくるということが書かれております。そして、各企業において良好な集団的労使関係のもとにこうした取り組みを進めていくことが過去の経験に照らしても重要であるという御指摘もございました。
 4つ目の○にございますように、生産性向上、働くことを取り巻く環境の変化、職業生涯の長期化に対応していくために、企業による人材育成の促進に必要な環境整備でございますとか、個人による主体的な学び直しへの支援が必要であるということが書かれ、その上で技術革新の進展に対応した形で教育・能力開発体系の整備の検討が引き続き重要な課題であるということが整理されております。
 最後に、企業内だけではなく企業外、産業間、さまざまなものを含めての労働移動が大きな課題になってくる中で、転職が不利にならないような労働市場の確立を促しながら、社会全体で質の高い雇用機会をふやし、また、成長分野への円滑な労働移動を促進させていくことが重要であるということが今後の課題としてまとめられております。
 その上で3点目の柔軟な働き方に関してでございますが、こちらは「働き方改革実行計画」由来の流れもございますので、それに照らして最近の動向について、報告書のほうでもまず<現状>で整理されております。
 「(1)雇用類似の働き方」についてでございます。自営型のテレワークを初めとする雇用類似の働き方が拡大しているということに鑑みて、「働き方改革実行計画」におきましては、その保護等のあり方について、法的保護の必要性を含めて中長期的に検討するとされ、それを受けて厚生労働省の「雇用類似の働き方に関する検討会」において、実態等の把握・分析、課題整理が行われ、本年3月に報告書が取りまとめられたことは御案内のとおりでございます。
 「(2)テレワーク」に関しましては、時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方と評価されているわけでございますが、よい形での推進、環境整備を図っていくことが必要ということが現状として書かれてございます。
 「(3)副業・兼業」についてでございますが、こうしたことを希望される方は年々増加傾向にございますが、それを行う理由や形態はさまざまであるということが、報告書ではより具体的なデータに基づき記述された上で、他方で、いわゆる正社員的な働き方の方について、就業規則上は副業・兼業の禁止規定が行われている企業も多いということなどが整理されているところでございます。
 その上での<今後の課題>といたしまして、「(1)雇用類似の働き方」の部分では、労働行政においても従来の典型的な労働者像だけではなくて、より幅広く多様な働く方を対象として、必要な施策を考えていくことが必要であるという基本認識で取りまとめられております。その際には、行政がどこまで介入するのか、問題の原因や保護の対象、業種、職種による違いを考え検討を進めることが必要である旨が明記されております。その上で、雇用類似の働き方に関する保護等のあり方につきましては、さまざまな課題について法律、経済学等の専門家による検討に速やかに着手することが必要であるということで、既に先行する検討会において実態等の把握分析は行われましたが、今後はさらにそれを深掘りした検討に着手していくべきだということが今後の課題とされております。
 そして、その際の課題も整理されておりまして、検討に当たっては保護の対象者たる「雇用類似の働き方の者」というのが、どこまでの方々であるのか、契約条件の明示の問題、契約内容の決定・変更・終了のルールの明確化の問題、スキルアップやキャリアアップの問題、出産、子育て、介護等との両立の問題、集団的労使関係のあり方、社会保障等の保護の内容及び保護の方法について、実態把握と並行して検討を進めていくことが必要であるとされているところでございます。
 「(2)テレワーク」に関しましては、まず、雇用型テレワークに関しましては、既に現存するガイドラインの周知・普及が必要であるということと、とりわけその際に長時間労働対策の観点からしっかりした対応が必要であるということが書かれています。そして、自営型テレワークにつきましては、先ほどの雇用類似の働き方の検討の中であわせて検討すべきであるとされております。
 「(3)副業・兼業」に関してでございますが、現行のガイドラインあるいは働き方改革実行計画の決定を受けて改定されましたモデル就業規則との周知がまず先行して求められるということと、先ほど議題の中でも事務局から御説明さしあげました労働時間管理や労災補償のあり方等の副業・兼業に関する制度的な課題についての十分な検討も必要だということなどが書かれているところでございます。
 「おわりに」というところで、これら3つの課題を踏まえまして、「本報告書を踏まえ、労働政策審議会の関係分科会・部会等において検討が深められることを期待するとともに、基本部会においても、引き続き更に本格的な検討を進めていくこととしたい」ということが一つ。そして、基本部会における論点は人材育成のための教育や社会保障制度等多岐にわたるため、雇用・労働分野以外の分野においても適切な検討を期待する旨が明記されているところでございます。
 最後に、委員の先生方のお名前と開催実績をまとめさせていただいたところでございます。
 事務局からの説明は以上でございます。
○樋口会長 ありがとうございました。
 本報告書を取りまとめるに当たりまして、労働政策基本部会がこれを行いましたが、その部会長であります守島委員から一言お願いいたします。
○守島委員 ありがとうございます。部会長を務めさせていただきました、学習院大学の守島でございます。
 基本部会では、企業とか労働者の実情に詳しい労使の方々、あとはロボティクス、AIという専門的な分野に詳しい方々も入っていただいて、それぞれの識見に基づいて精力的に議論がなされました。
 よく労働政策審議会は遅いであるとか分断しているということをよく言われる、そういう批判がよくあるのですけれども、今回この部会では多少中長期的な視点からのテーマを取り上げて、かつ総合的に議論するというスタンスを徹底して貫きました。
 その結果が今、お聞きになった内容になるわけですけれども、ただ、いかんせんテーマがテーマですので、具体的な提案というところにはなかなかまだ行き着いておりません。したがって、先ほどもありましたけれども、本報告書をきょう御議論いただいて、御了承いただいた際には内容を参考にして、各委員の関係する各分科会、部会等でさらに具体的や意見や議論を深めていただき、今後の労働政策の議論に役立てていただければありがたいと思います。
 また、基本部会そのものでは、特にAIの技術革新の動向と雇用・労働への影響など、今回比較的絞り切れなかったような内容について、引き続き議論を進めていきたいと思っております。
以上でございます。
○樋口会長 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明につきまして、御質問、御意見がございましたら、発言をお願いいたします。
 工藤委員、どうぞ。
○工藤委員 経団連で経労委の委員長を務めています、工藤でございます。
 守島委員には今回、報告書を取りまとめていただきまして本当にありがとうございます。
 課題として列挙していただいた点でございますけれども、私どもがことし発表しました経労委報告の中でも課題として取り上げた部分が大半でございまして、問題意識はほとんど一致していると思っております。したがいまして、課題解決に向けまして検討や取り組みをぜひ今後とも進めていただきたいと思っております。
 御案内のとおり、我が国は急速に進行します人口減少、環境やエネルギー制約、大都市への人口集中、地方の過疎化という問題も大変多くございます。同時に、企業は今、グローバル競争の真っただ中にいまして、グローバル競争がますます熾烈になるという状況にございます。そのような中で、グローバル競争を勝ち抜くためには、経団連で推奨していますSociety5.0を推し進めていくことが大変大事だと考えております。Society5.0と言うときはデジタライゼーション並びにAI等の新技術を活用した働き方改革、あるいはイノベーションを創出し、アウトプットを増大して労働生産性を高めていくという点が不可欠でございます。
 確かに労働人口減少となると、日本にとって大きな問題ではございますけれども、今、経団連ではこれを逆手という言い方はおかしいのですが、チャンスと捉えないかということも同時に発信しております。労働人口が足りないわけですから、AIだとかロボットを使ってもっと生産性を高めようと。要するに、人の仕事を奪うのではなくて、人が足りないのだから、これらをロボットやAIを使って労働生産性を高めようじゃないか。労働生産性を高めるということが賃金アップにもつながるわけでございます。ですから、これは労働の皆様にもメリットがあるのだということをうまく発信することが大事だと思います。
 これだけ労働人口が減っていますので、AIやロボットを使っても、全体としては依然人手不足という構造的な問題は変わらないと思います。その点で出てくるのが高齢者、あるいは女性がさらに活躍していただくということはすごく大事だと思います。高齢者もしくは女性の活躍が進みますと、世帯所得や生涯所得というものも改善が見込めると。そうすれば、今の社会保険、社会保障等の将来不安の払拭にもつながるのではないかと経団連では考えて、この点を大事なポイントだというようにみんなでシェアしているところでございます。
今後はとにかくAIに、そうは言いつつもAIに代替されない仕事は何なのだと。人らしい、人がやれる仕事が今後いよいよ大事になってくると思いますので、このあたりを労働の皆様とも一緒に、みんなで整理していくことも重要だと思います。
 一方で、正直言ってビッグデータ、IoTやロボットを使いこなせる人材も不足しております。このあたりの人材をどう確保、育成していくかということが重要な課題でございます。各企業はこういう人材をどうやって育てるかということで、自己啓発や教育、要するに、人に対する投資、賃金の投資、もちろん賃金アップも重要でございますけれども、働く人たちにいかに働きがい、やりがいを感じていただけるかという観点からも人材教育、個々の能力を高めていくということにも投資をしていくということが大事ではないかと思っております。そういうことを取り組む企業に対して支援をいただくという観点もすごく重要かと思いますので、この点をぜひお願いしたいと思います。
 以上でございます。
○樋口会長 ありがとうございました。
 渡辺委員、どうぞ。
○渡辺委員 私から2つほど意見させていただきたいと思います。
 報告書で中長期の政策を検討しております点については、非常に重要な観点であると申し上げたいと思います。人口減少による人手不足の問題はかつてないほどの危機に直面しており、全国の中小企業にとって最大の経営課題になっております。そうした中、少子高齢化によりまして、我が国の生産年齢人口は1995年の8716万人をピークに既に減少しておりまして、将来にわたり減少傾向が続いていくと予想されております。
 一方、IoTやAI、ロボットなどの科学技術の発展によりまして、労働時間の短縮や業務の効率化による労働生産性の向上が期待されていますけれども、これらの先端技術の普及、定着は業種別、職種別の就労者数や労働者に求められるスキルなど、雇用・労働環境に大きな影響を与えることが予想されております。したがいまして、生産年齢の人口の減少や科学技術の発展、さらには産業構造の変化や働き方の変化が雇用・労働環境に与える影響を考慮して、中長期の政策を検討し、今後の施策の立案に生かしていくことが重要だと考えております。こうした点につきまして労働政策基本部会で議論されてまいりましたけれども、今後さらに深掘りして議論されることを期待しております。
次に、副業・兼業について意見を述べたいと思います。
 副業・兼業については、従業員の発想を豊かにし、人脈を広げるといった意義があることは理解いたします。ただし、副業・兼業を取り巻く諸制度が追いついていない現状について、どのように考えていくかが課題であると考えております。例えば、労働基準法第38条では、事業場を異にする場合においても労働時間は通算する旨が規定されておりますけれども、労災保険や雇用保険は就業先が複数であったとしても参入、加入は1社のみとなっております。また、時間外労働の上限規制についても、法第38条の規定は引き続き適用されることになります。副業・兼業を進めること自体に異論はございませんけれども、副業・兼業を取り巻くほかの制度もあわせて見直しをしていかないと、ひずみが生じることが危惧されております。副業・兼業は働き方改革実行計画にも盛り込まれている項目であり、政府は推進の立場をとっておりますけれども、こうした点について見解を伺いたいと思っています。
 以上でございます。
○樋口会長 労働側、野田委員、どうぞ。
○野田委員 ありがとうございます。
 報告書の内容については、雇用や労働を取り巻く今日的な環境の変化を踏まえた貴重な問題提起であり、受け止めたいと思っておりますし、取りまとめいただいたことについて敬意を表したいと思います。その上に立って、前回の本審でも労働側から若干申し上げたところでございますけれども、三者構成原則について、再度要望として申し上げさせていただきたいと思います。
 報告書で記載されている、基本部会設置に当たっての経緯については、問題意識を持っているということです。具体的には、本日の説明はなかったわけでございますけれども、報告書3ページの上段から、「旧来の労使の枠組みに当てはまらないような課題」などを論議するために、「公労使同数の三者構成をとらない体制で議論を行ったほうがよい」という記載がございます。雇用・労働に関する政策の策定・立案に当たりましては、何よりも三者構成原則が遵守されるべきとかねてから申し上げているとおりでございまして、改めて意見を申し上げさせていただきたいと思います。
 労使を抜きにしたプロセスによって策定された雇用・労働政策については、職場実態から乖離し、結果として職場に定着しないという状況も見られるということでございます。また、労使に政府または公益の代表者を入れた「三者構成原則」はグローバルスタンダードでもあります。事務局としても、公労使による社会対話の重要性を再認識していただきたいと思っておりますし、今後、基本部会の枠組みを、雇用・労働政策を立案するに当たってのスタンダードにすべきではないということを要請しておきたいと思います。
以上でございます。
○樋口会長 ほかにいかがでしょうか。
難波委員、どうぞ。
○難波委員 ありがとうございます。
 私からは2点、AI等の技術革新に関する事項と雇用類似に関する事項について発言をさせていただきます。
 1点目のAI等の技術革新につきましては、今ほど守島委員からも、今後基本部会ではこの点を深掘りしていくという整理をいただきました。今後、基本部会での分析を踏まえて、AI等技術革新に対応した労働政策の立案をしていくことになりますが、これは先ほど工藤委員からもお話がありましたが、AI等技術革新が雇用を奪うといったような、AIを脅威論として捉えるのではなく、AI等技術革新と正面から向き合って共存していくための視点を加味した政策論議が必要だと思います。加えて、共存のための論議と並行して、AI等を利活用できない方も一定程度存在するという現実にも留意をしつつ、政策のプラス面、マイナス面、ある意味で光と影かもしれませんが、こういった点に意識を置いた論議を進めることが必要と考えます。
 もう一点ですが、報告書において、雇用類似の働き方の者の保護に向けた検討が今後のテーマとして示された意味合いは大きいと思います。最近の新たな働き方の流れの中で、クラウドワーキング等の注目を集める働き方が示されているわけでありますが、その中にあって、雇用形態は請負契約などであるものの、就業実態は実は雇用労働に近い場合も多くございます。こうした雇用労働に近い働き方をしている者の法的保護をいかにして図っていくべきなのかといった論点は、過去からの課題として残っているのです。
この間、このような働き方をしている者の保護のあり方についての結論は、先送りされてきた経過もあります。しかしながら、働き方が多様化しようとしている今、いわゆる労基法の労働者であるか否かといった二分論で、就労者保護のあり方を論議するのは限界に来ていると思います。報告書でお示ししていただいたように、従来の労働基準法上の労働者だけではなく、より幅広く多様な働く人を対象として、必要な施策を考えるといった観点で、厚生労働省として法的保護に向けた検討を進めるよう要請申し上げます。
 以上です。
○樋口会長 ほかにございますでしょうか。
 よろしければ事務局にお答えいただきたいと思いますが、一つは技術革新とか経済社会構造の変化に伴った新しい働き方といいますか、従来とは違った働き方に対する対応について、この報告書で御議論いただきましたが、幾つか御質問があったかと思います。一つは部会の構成についての話、もう一つは内容の話、さらにその中でも副業・兼業、これは基本部会の問題だけではなく、働き方改革全般に関するところがございますので、それぞれについてお答えいただければと思います。
○村山労働政策担当参事官 ありがとうございます。
 今、樋口会長にまとめていただきましたように、工藤委員、渡辺委員、難波委員から、グローバル化の中でもデジタライゼーション対応は生産性を上げていく中で大きな課題であるというお話について、まさにそのとおりだと思います。
本日、先ほどの議題で概算要求の中でもリカレント教育でありますとか、IT対応ということにつきまして、人材育成の観点を中心として、また、地域の中小企業や各業種業態の業界にも十分配慮しながら、連携を深めながら対応していくということも御説明さしあげたところでございますが、こうした年々の政策の対応とあわせまして、中長期的な対応の中におきましても、今、会長におまとめいただきましたような点についてしっかりと取り組んでいくという問題意識を改めて申し上げておきたいと思います。
 また、渡辺委員から、そもそも中長期の政策を検討していくこと自体がこの労働政策審議会として必要だという御指摘、これは昨年のこの場でもいただいた御指摘でございまして、先ほど守島先生からもコメントをいただきましたように、例えばAIが働く現場にどういう影響を及ぼすかということは、なかなか1年で全てを見通すということは簡単な問題ではございませんけれども、その端緒となるような御報告をおまとめいただいたのではないかと考えているところでございます。今後ともこうしたラインに沿って部会の議論を深めていただき、また、私ども事務局としてもそれをお手伝いさしあげていきたいと考えているところでございます。
 その中で、渡辺先生から副業・兼業についての御提起がございました。これに関しましては、資料の18ページまでお戻りいただきますと、基本部会の報告書における副業・兼業の取りまとめの部分になってございます。前提として一言申し上げておきたいのは、働き方改革実行計画においても副業・兼業の積極的な側面というものは、オープンイノベーションとか競争力の向上とか人材の育成に資する面もあるが、それが長時間労働にわたって健康を損なうようなことになってはならないということは、基本認識として働き方改革実行計画も取りまとめられていたという点であります。
 その上で、この報告書におきましても、先ほど渡辺委員から御指摘がございましたように、労働時間管理のあり方や労災補償のあり方等の副業・兼業に関する制度的課題について、労働者の健康確保、その一方で企業の予見可能性の双方に配慮しつつ、十分な検討を進めるべきであるとされているところでございます。
 先ほど資料3について労働基準局長からの説明にもございましたとおり、既に労災保険部会においてはこうしたことについて議論もスタートしておりますし、また、労働時間制度でございますとか雇用保険制度、先ほど御言及のあった点に関しましては、それぞれ専門の先生方を参集した検討の場が立ち上がっているところでございます。その中では、審議会の場合は当然公労使各側に御議論いただきますし、また、有識者を集めた検討会の場においても、労使のヒアリング等を重ねていく中で実情を承りながらしっかり検討を深めていくということが重要です。その際にはそこに書いてございますように労働者の健康確保と企業の予見可能性というような点が一つの大きな課題であると私どもも受けとめているところであるということは御理解いただければありがたいと考えております。
 それから、野田委員から報告書の3ページを引用しての御発言を頂戴したところでございます。この3ページは、この基本部会自体の文書というよりは、それに先立っての政策決定プロセス有識者会議の引用の部分ではあろうかと思いますが、そういった記述がなされているという事実を踏まえての御発言であったかと思います。昨年のこの場で、私ども統括官からもお答えさしあげていますとおり、事務局といたしましては、職業紹介ですとか訓練、最低賃金制度の運用といったILO条約で要請されている事項はもとより、労働時間ですとか労働安全衛生といった中央レベルでの労使交渉的な側面があるような職場の労働条件にかかわるような問題、現実に働いていらっしゃる方、企業の方を規律するルールの問題につきましては、そのルールの制定、改廃、法律であれ政令であれ、省令であれ告示であれ、そういったものについては公労使三者構成の各分科会・部会で御議論いただく必要があるだろうと思っています。それとともに、御指摘にありましたとおり、やはり三者構成のもとで取りまとめたルールであるからこそ、労使のイニシアチブで職場に根づいていくということに関しましても、改めて私どもとしても想起しておきたいと思います。
その上で、先ほど守島先生からもございましたが、必ずしも従来労政審の枠組みに入っていらっしゃらなかったような専門家の方々にも御参集いただいて中長期的な課題を取り扱ったこの基本部会の報告書については、本日、積極的な御評価もいただいたところでございます。
 今後とも、こうした中長期的課題を取り扱う基本部会と個別の政策課題、とりわけルールの問題について扱われる各分科会・部会との役割分担と緊密な連携のもとに、労政審全体が先ほどのお話にもございましたように、労使、ひいては国民の支持や理解を得られることが重要であり、それが得られるときに初めてそこで決められたルールが定着していくということなのだろうと思いますので、労政審全体の中でこの基本部会の位置づけについても御理解を賜っていくことができればと考えているところでございます。
 最後に、難波委員のほうから、雇用類似の働き方に関する保護等のあり方について御指摘をいただきました。この点につきましては、基本部会での議論も踏まえて引き続き所管部局においてさらなる本格的な検討に向かっていくものと考えておりますし、同時に難波委員からはAI等の技術革新が雇用や労働に与える影響についての御発言もいただきました。格差への懸念を払拭する必要性に係る御指摘も踏まえまして、今後の基本部会での検討の中で、ぜひまた先生方に御議論を深めていただけるように我々としても努力してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○樋口会長 ありがとうございました。
 副業・兼業、あるいは雇用類似の働き方、一つの部会ではなく多岐の部会に関連するような扱いをしていかなければいけないというようなこともございます。今回設置されました基本政策部会も本来そういった方向性を出していくというようなことで、横の連携を十分にとりながら進めていただきたいと思います。
 また、この基本部会におけるいろいろな扱い、1年間という限られた時間でここまでまとめていただきまして、誠にありがとうございます。敬意を表したいと思います。
 本日、いろいろな委員から御指摘がございました。その指摘事項を踏まえて、引き続き労働政策基本部会では中長期的な労働政策の課題について、御検討をお願いしたいと思っております。
 予定した時間も来ておりますが、皆様から何かございますでしょうか。
 守島先生のほうからお話がありました今の報告書について、労働政策審議会令の第9条に基づき、労働政策審議会として了承し、今後の報告書の内容について関係する分科会・部会において御検討いただくというように思っておりますが、それでよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○樋口会長 それでは、御承認いただいたということにしたいと思います。
 最後になりますが、皆様から何か御意見がございましたらお願いしたいと思います。
○伊藤委員 委員長、お礼でもいいですか。
○樋口会長 どうぞ。
○伊藤委員 広島から参りました。7月の西日本豪雨による被災に対しまして、雇用調整金に関する支給要件の特例や、労働局等における特別 相談窓口の設置による相談体制の整備など、速やかな措置を準備していただきまして、大変ありがとうございました。
以上でございます。
○樋口会長 ありがとうございました。
 それでは、本日はこのあたりで閉会とさせていただきたいと思います。
 本日の会議の議事録につきましては、本審議会の運営規程により、私、会長のほか2人の委員に署名をいただくことになっております。つきましては、労働者代表の野田委員、使用者代表の工藤委員に署名人になっていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
以上で、本日の会議は終了したいと思います。どうもありがとうございました。
                                                                                      
                                                                                   (了)
 



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