2018年10月10日 指定難病患者データ及び小児慢性特定疾患児童等データの提供に関する有識者会議(第2回) 議事録

日時

平成30年10月10日(水)10:00~12:00

場所

TKP新橋カンファレンスセンターホール5B(5階)

議事

 
○田中課長補佐 それでは、定刻となりましたので、ただいまから第2回「指定難病患者データ及び小児慢性特定疾病児童等データの提供に関する有識者会議」を開会いたします。
委員の皆様には大変お忙しい中、お集まりをいただきまして、まことにありがとうございます。
本日の出席状況について御報告させていただきます。三谷委員、千葉委員から欠席の御連絡をいただいております。
なお、お手元にお配りしてございます座席表につきましては、千葉委員からの御欠席の御連絡が急だったこともございまして、反映されていない部分がございますが、その点、御了承いただきたく存じます。
また、前回御欠席をされていた森まどか委員、今回御出席いただいておりますので、一言御挨拶をお願いいたします。
○森構成員 今回初めて出席させていただきます、国立精神・神経医療研究センターで神経内科医をしております森まどかと申します。私は、この難病や小慢のデータを提供するというか、記載して出すとともに、臨床研究もやっておりまして、利用と双方、非常に興味があり、自分の利害にもかかわることと思って関心を持っておりました。どうもありがとうございます。
○田中課長補佐 また、前回の会議において山本座長より御提案いただきました、本会議から参考人として日本難病・疾病団体協議会代表理事、森幸子様に御参加いただいております。
森様、一言御挨拶をお願い申し上げます。
○森参考人 ありがとうございます。ただいま御紹介いただきました森幸子です。
私どもは、難病、そして長期慢性疾患の中央団体として活動いたしております。患者としての立場で出席させていただいております。どうかよろしくお願いいたします。
○田中課長補佐 ありがとうございました。
カメラの撮影はここまでとさせていただきます。
それでは、以降の議事進行につきましては、山本座長にお願いいたします。
○山本座長 本題に入る前に、本日の会議では厚生労働省が取り組んでいる会議のペーパーレス化の一環としてタブレットを使用して議事を進めてまいりますので、お手元のタブレットの使用方法等について、事務局から説明をお願いいたします。
○田中課長補佐 簡単ではございますが、使用方法について御説明をさせていただきます。既に先生方のお手元にあるタブレットには「My private files」というファイルが開かれていることと存じます。ファイルのフォルダの中に資料一覧が表示されております。資料のタイトルをタップしていただきますと、本体資料が表示されます。例えば議事次第等を開いていただきまして、2本の指を広げたり、縮めたりすると資料の拡大、縮小が可能になります。また、ページをめくる際には、指を置いて上下に動かしていただければ、1ページずつページをめくることが可能となっております。
また、資料全体を閲覧したい場合には、机上配付の操作説明書2(2)に記してあるとおり、左下の3本の線のマークをタップしていただき、「ファイル/印刷に注釈をつける」というところをタップしていただきますと、画面下部にページが小さく表示をされると思いますが、こちらで指を動かしていただいて、閲覧したいページを選択すると、1ページ目から5ページ目とかという形でページを飛んで表示をすることが可能になります。
先ほど申し上げましたとおり、お手元のブルーのタブレット操作説明書をお配りしておりますので、そちらをごらんいただきながら、使用方法に御不明な点や機器のふぐあい等がございましたら、御遠慮なく挙手をお願いいたします。会議の途中でも事務局が個別に御説明に伺わせていただきます。
なお、タブレット、タッチペン、スタンドに関しましては、会議終了後回収いたしますので、持ち帰らず、机の上に置いたままにしていただきますようお願いいたします。
何か御質問等ございますでしょうか。よろしいでしょうか。
では、事務局からのタブレットの説明は以上になります。
○山本座長 ありがとうございました。
また操作の点で御不明な点がありましたら、事務局のほうに合図をしていただければと思います。
それでは、早速会議を始めてまいります。まず初めに資料の確認をお願いします。
○田中課長補佐 では、タブレットのフォルダの中の資料一覧をごらんください。机上配付しているのは、構成員名簿、座席表、そのほかタブレット内の本体資料といたしまして、上から順番に申し上げます。
議事次第
資料1 前回の会議における主な御意見
資料2-1 指定難病患者データベース及び小児慢性特定疾病児童等データベースについて
資料2-2 データベースにおける過去の研究利用の事例
資料3 前回の御指摘事項を踏まえたデータ提供に係るガイドラインの方向性について(案)
資料4 指定難病患者データベース及び小児慢性特定疾病児童等データベースにおけるNDB、介護DBとの連結解析への対応について(案)
参考資料1 指定難病患者データベース及び小児慢性特定疾病児童等データベースの研究利用にかかる同意書の現行の様式(ひな形)
参考資料2 調査票情報のオンサイト利用ガイド
を御用意しております。
本体資料をタップしても資料を閲覧できない場合は、その都度挙手をお願いいたします。
○山本座長 ありがとうございます。
紙と違って過不足は多分ないと思いますので。
それでは、早速議事次第に従って議事に入りたいと思います。まず「(1)前回の会議における主な御意見」でございます。事務局から資料の説明をお願いいたします。
○田中課長補佐 それでは、前回の会議で委員の先生方よりいただきました御意見について、各論点ごとに事務局で整理したものを御説明させていただきます。
資料1「前回の会議における主な御意見」をごらんください。
論点1「提供先の範囲」といたしまして、
提供先を厚生労働省が補助を行う研究事業から広げる場合、希少な難病のデータの機微性を勘案した事務局案を提示していただきたい。
NDBでも企業への提供は認められていないところ、難病DB等のデータを企業に提供するのは難しいのではないか。
学会や企業への提供について、合同委員会においても議論があった。将来的には基本方針にあるように、薬剤開発などに資する研究であれば広く提供することが重要だろうが、現時点では企業への提供については難しいのではないか。
という御意見をいただいております。
また、前回の会議では論点2から4につきましてまとめて皆様に御議論いただいたところでございまして、論点2「提供にかかる審査方法・基準」、論点3「難病の特性を踏まえた匿名加工の方法」、論点4「データの管理方法」につきましては、まとめて御意見を記載させていただいております。
NDBにおいて整備されているオンサイトセンターを、難病・小慢のデータにおいても活用できないか。
「匿名加工」という表現は、個人情報保護法上の「匿名加工」等と同義と捉えられ、誤解を招くおそれがあるため、「匿名化」など、法律に規定する用語とは別の表現にしたほうがよいのではないか。
個人が特定されるリスクが大きいことを理由に研究のための提供を不可能とすることは、難病の調査研究の促進を願う患者の思いを無にしており、同意があるのであれば、提供範囲をNDBより広げてもいいのではないか。
臨床医学の視点からどんな研究ができるか、登録項目について確認したい。
臨床研究を行うにあたり、インフオームド・コンセントをどのようにとるかが重要である。特に、数の少ない病気に関しては、厳重に審査した上で提供するということにしておかないと、実際に研究ができないのではないか。
統計法におけるオンサイトセンターについて、次回資料を提出いただきたい。
データの提供先・提供方法を考える際に、NDBと同様に、データの匿名性を高めて提供する一方で、個別性の高いデータを提供する方策も残し、それは利用者を限定する等、明確にしたほうがいいのではないか。
続きまして、論点5「公表にかかる審査方法・基準」。
公表に当たって患者の同意を得る必要がある研究が出てくると思われるため、指定医を介し、改めて公表の同意をとる方法について検討する必要があるのではないか。
論点6「中間生成物」。
指定難病患者データベースと小児慢性特定疾病児童等データベースに登録されているデータは、保存可能な分量と考えられるため、削除するかわりに厚生労働省で保存することを検討してはどうか。
以上が最初の合同委員会取りまとめと本会議における主な論点に対する御意見でございました。
もう一点、「指定難病患者データベースと小児慢性特定疾病児童等データベースにおけるNDB、介護DBとの連結解析について」に関する御意見でございます。難病のデータベースとレセプトのデータベースを連結解析することによって、さまざまな治療のバリエーションや、予後の検証が可能となるのではないかという御意見をいただいております。
資料1についての説明は以上になります。
○山本座長 ありがとうございました。
ただいまの御説明に関しまして御意見、御質問ございますでしょうか。森まどか先生は前回御欠席でしたので、もしこれにつけ加えること、あるいはわかりにくい点がありましたら、どうぞ遠慮なくお願いいたします。
○森構成員 大丈夫です。
○山本座長 いかがでしょうか。
大体前回の議論は入っていると考えてよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○山本座長 わかりました。それでは、もし後で何か気づいたら、そのときに御意見を言っていただいても結構ですので。
続いて、議事の「(2)データベースの現状と過去の研究利用の事例」に移ります。
まず初めに、前回の御意見にもありました各データベースの内容、例えば登録されているデータの項目や現行の同意書について確認をしたいと思います。次に、各データベースの研究利用の事例について確認したいと思っております。
それでは、まず事務局から各データベースの内容について資料の説明をお願いいたします。
○田中課長補佐 では、各データベースについて御説明させていただきます。
資料2-1をごらんください。まず最初に、指定難病患者データベースについて、資料をまとめさせていただいております。このデータベースは、難病の患者に対する医療等に関する法律の基本方針の中に記載がございます。3枚目にこの法律についての概要が出ております。
4枚目をごらんいただきますと、この基本方針の中のデータベースに関する記述について抜粋させていただいております。まず、下線を引いてある部分がこのデータベースに関する記述になっております。
法に基づく医療費助成制度の目的が、難病の患者に対する経済的支援を行うとともに、難病に関する調査及び研究の推進に資することであることに鑑み、国は、指定難病患者データの収集を行うため、医療費助成の対象とならない指定難病の患者を含む指定難病患者データに係るデータベースを構築する。指定難病患者データベースの構築及び運用に当たっては、国及び都道府県は、個人情報の保護等に万全を期す
と記載がございます。
今後の取組の方向性について。
国は、指定難病患者データベースを構築し、医薬品及び再生医療等製品の開発を含めた難病の研究に有効活用できる体制に整備する。指定難病患者データベースの構築に当たっては、小児慢性特定疾病のデータベースや欧米等の希少疾病データベース等、他のデータベースとの連携について検討する。
研究者及び製薬企業等は、指定難病患者データベースに集められた指定難病患者データ等を活用しつつ、医薬品、医療機器及び再生医療等製品に関する研究開発、副作用等の安全性情報収集に積極的に取り組む。
このような形でデータベースについては基本方針の中に書いております。御確認をいただければと思います。
5ページには指定難病患者データベースの概要について、ポンチ絵を登録しております。まず、患者様は、今回難病の指定医を受診し、そこから医師が記載した臨床調査個人票。患者様はお医者様が書いた臨個票を認定の申請に持参いたします。この際にはそれ以外にもさまざまな申請のための書類が必要となってございますが、それを都道府県の窓口に提出していただきまして、さまざまな審査を経て、医療証の受給がされる。この臨床調査個人票につきましては、疾病登録センターに送付され、ここでデータベース化され、現在データベースの中に情報が蓄積されているところでございます。ここは厚生労働省から業務委託をしているところになっておりまして、厚労省からデータの抽出や提供依頼をし、データを提供していただくというのが大まかな流れになります。
6ページに指定難病患者データベースに登録される項目というものの一覧がございます。まずは基本情報。医療費支給審査項目。これは大きく分けて診断基準と重症度分類の2つになってございます。また、これとは別に、各研究班が研究のために必要と申し出た調査項目についても一部この臨床調査個人票の中に含まれております。また、それ以外に人工呼吸器装着の有無、医療機関情報、行政欄というものの記載がございます。
では、このデータベースの研究利用に関する同意書でございますが、参考資料のほうに同意書のひな形がございますが、一部抜粋をしてこちらのほうに記載しております。赤字になっている「厚生労働省の研究事業等の基礎資料として使用する」ということが明記をされているということ。
「なお、この同意は、添付された臨床調査個人票を疾病研究の基礎資料として活用することに対する同意であり、臨床調査研究班で行われる臨床研究調査等の実施に関して協力を求める場合は、改めてそれぞれの研究者から指定医を介して説明が行われ、同意を得ることとされています」と記載がございます。
8ページ以降は、小児慢性特定疾病児童等データベースについて記載をさせていただいております。こちらは児童福祉法に基づく施策でございます。この中でも同じように基本方針の中にデータベースに関する記述がございます。
9ページのほうには児童福祉法の法律概要。
10ページにこの基本方針におけるデータベースに関する記述について、指定難病と同様に下線を引いて記載してございます。書き方としてはほぼ同じになります。
小児慢性特定疾病医療費の支給の目的が、小児慢性特定疾病児童等の健全な育成の観点から、患児の家庭に対する経済的支援を行うとともに、小児慢性特定疾病に関する調査及び研究の推進に資することであることに鑑み、国は、小児慢性特定疾病医療費の支給の申請に係る小児慢性特定疾病児童等についての臨床データを収集し、管理及び活用を行うため、小児慢性特定疾病児童等に係る医学的データベースを構築する。小児慢性特定疾病児童等データベースの構築及び運用に当たっては、国及び都道府県等は、個人情報の保護に万全を期す。
国は、指定難病患者データベースの構築と連携しながら、小児慢性特定疾病児童等データベースを構築する。
国は、小児慢性特定疾病児童等データベースを構築し、小児慢性特定疾病に関する調査及び研究に有効活用できる体制に整備する。
国及び都道府県等は、小児慢性特定疾病に関する研究への活用のため、小児慢性特定疾病児童等のデータを研究機関に提供するに当たっては、個人情報の保護に十分配慮するよう努める。
と基本方針の中には記載がございます。
続きまして、11ページには小児慢性特定疾病児童等データベースの概要が記載してございます。基本的には難病の申請と同じような形でございますが、小児慢性特定疾病では、医療費申請のためには医療意見書というものを臨床調査個人票のかわり都道府県のほうに御申請をいただくという形になっております。
12ページにはこのデータベースに登録されている項目について記載をしております。まず、1、基本情報、2、臨床所見、3、検査所見、4、その他の所見、5、経過、6、今後の療法方針(自由記載)。7、医療機関情報。8、行政欄となっております。
若干難病と登録される項目が異なるのは、小児慢性特定疾病においては患者様の重症度というのを必ずしも導入していないということがございまして、医療費助成のために必要な情報が異なるために、登録される項目が異なっている状況でございます。
13ページに、このデータベースの研究利用に係る医療意見書にくっついている同意書について抜粋をさせていただいております。「提出した医療意見書データが、小児慢性特定疾病等の治療研究等、慢性疾病にかかっている児童等の健全育成に資する調査及び研究を推進するための基礎資料として、研究に利用されることに同意します」という文章に対し、御同意をいただいているものになります。
現在の両データベースについての概要については以上になります。
○山本座長 今の資料2-1の説明に関しまして、御意見、御質問ございますでしょうか。どうぞ。
○樋口構成員 細かな点で言うと本当は幾つでもあるのですけれども、2つにしましょう。これが何ページで見たかがすぐに出てこないのだな。残念だな。
今の説明も十分理解していなかったのかもしれませんけれども、細かな点から言うと同意書の問題があります。2つのデータベースがある。難病のほうは、一種こういう記録を残しますというか、これについてのデータについてのある種の同意書というのがある。しかし、改めて個別の研究のときにはもう一回同意をとりますよというのがありましたね。小児のほうはそれがないと理解していいのですか。どういう区別でそういう区別をつけたのですか。それは何の意味もないということなのでしょうか。
○田中課長補佐 そもそも難病の法律ができる前には、特定疾患治療研究事業というものでこのデータを集めておりまして、その当時の同意書のまま、特に変えることなく今まで来ております。それを作成する際に、小児慢性特定疾病児童等データに使う同意書と横並びでなかなかできていなかったという現状でございまして、今いただいた御意見については合同委員会のほうでも御指摘をいただいております。
指定難病のほうは、経年的なデータを追えるという記載がない一方で、参考資料の小児慢性特定疾病のひな形をごらんいただければと思うのですが、小児慢性特定疾病のデータのひな形の中には、「個人情報保護について」という項目の中に「患者さんの経過(どのような治療を受けてどうなったか等を把握することはあります)」というふうに記載がございます。ただ、これも研究利用についての説明というところには入っていなくて、「個人情報保護について」という項目の中に入っておりますが、これをお読みいただくと、自分のデータが経年的に利用されることについては御理解いただける文面が入っている一方、難病にはそういうものが入っていない。そこが先生が御指摘いただいた点と2つのデータベースの同意書が大きく異なる点で、これについてはきちんと統一化していくべきだという御意見はいただいているところでございます。
○樋口構成員 とりあえずはもう一点だけにします。最初のほうの説明で、医療費助成の対象となると否等問わずこのデータベースに入れますと。実際には難病の方などは全員対象になっているものなのですか。それともこの項目にあるように対象になっていないけれども、データベースの中へ入れているというのもあるということなのですか。
○田中課長補佐 難病法に基づいて医療費助成を行う対象は、厚生労働大臣が定めるある一定の程度とされておりまして、簡単に言うと、軽症な方に対しては医療費助成はされないということになっています。ただ、軽症の中でも治療にかかる金額が高額な方においては、たとえ軽症でもその負担を勘案して医療費助成をするという制度になっているところでございます。ただ、こういった軽症の方でも臨床調査個人票を御提出いただいて申請をしていただければ、データベースとしてはそのデータがきちんと格納されるということになっております。なので、医療費助成をされている方以外のデータもこのデータベースには入っているという意味です。
○山本座長 どうぞ。
○樋口構成員 追加で。その場合にはどういう形で同意をとっているのですか。医療費助成をするときに同意をとるというのが一つ機会としてはあるから、そちらのほうはよくわかるのですけれども、そうでない場合には、申請をしてだめだったからという過程を経て、その中でデータだけはという、そういう話になっているのですか。
○田中課長補佐 基本的には医療費助成の申請をしていただくという形になります。その結果、医療費助成の対象ではないという通知が患者様の手元には行きますが、一方で、治療費が高額になる可能性があるので、申請をぜひしていただくように患者様にはお伝えをしているところでございます。
○樋口構成員 わかりました。ありがとうございます。
○山本座長 森先生、どうぞ。
○森構成員 実際に制度を使っている者からなのですが、軽症の方は認定をされないと、そもそも基本的には出さないです。というのは、そのための受診あるいは診断書代というコストがかかってしまって、余り患者さんのメリットにならない。それを押して患者さんとして登録したいという御希望は、私は受けたことがないです。
軽症認定も領収書を集めたり、何カ月も自己負担が多い時期を待ったりということが多いので、こんなことをここで言うのはあれですけれども、認定されるようにちょっと重症に加工して書いてしまうようなことが実際には多いのではないかなと思います。それなので、網羅的なデータにはなっていないと考えています。
○山本座長 ありがとうございます。それはこのデータベースの問題点の一つとして以前から認識はされていますけれども。
ほか、御質問いかがでしょうか。よろしゅうございますか。
それでは、また後でここに触れていただいても結構ですので、引き続きまして、データベースの過去の研究利用の事例について、事務局から説明をお願いいたします。
○田中課長補佐 それでは、データベースにおける過去の研究利用の事例。資料2-2をごらんください。
現在構築されているデータベースは、平成27年度から新たな難病法に基づいて収集されたデータをデータベース化しているところでございます。それ以前、特定疾患治療研究事業、平成26年度までのデータについて活用した事例をこちらにお示しさせていただいております。こちらのほうを簡単に御説明させていただくのですが、6つの事例について、今回研究者の先生から御提出をいただいたものになります。一つはパーキンソン病の実態及び療養状況調査ということで、研究事例の1としてお示しさせていただいておりますが、これは進行期のパーキンソン病の患者様の療養において、どういった認知機能障害があったり、栄養手段とか、社会制度をどのように活用しているかということを調査したものになります。
研究利用の事例2としましては、多発性筋炎/皮膚筋炎の臨床的特徴を把握したものになっておりますが、これは臨床調査個人票を利用し疫学調査を行い、患者の臨床的特徴を明らかにしたものになります。
研究利用の事例3といたしまして、日本における再生不良性貧血の罹患率の調査をされております。これは2004年から2013年の臨床調査個人票のデータを用いた研究と伺っております。この罹患率を他国と比較しているというものになります。
研究利用の事例4は、臨床調査個人票から得られる難病の発病年齢について、横断的に研究をしたものになります。特定疾患治療研究事業対象疾患について、その発病年齢分布を明らかにするというものになっておりまして、2003年度の臨床調査個人票を利用することによって、それぞれの特定疾病の中の疾患ごとに好発年齢や発病年齢の分布を解析したという研究になっております。
研究利用の事例5といたしましては、先天性ミオパチー・筋ジストロフィーの疫学調査ということです。2002年以降の先天性ミオパチーまたは筋ジストロフィーとして登録されている患者様について、登録数と人工呼吸器装着者の割合について検討をされております。
最後、若年性特発性関節炎患者の治療状況とその結果というものを事例6として挙げさせていただいております。若年性特発性関節炎に対し、2008年に生物学的製剤が保険適応となり、臨床病態と予後が一変したという背景を踏まえて、この病態がどのように変化したかということを調査されております。この製剤の導入率、寛解維持に製剤がどの程度必要かということなどについて考察をされている。こちらに6個挙げさせていただいておりますが、疫学調査が主であるということと、疾患については横断的にも調査が可能ということをお示しさせていただいております。こちらのデータは、今、入っているデータベースと違って、自治体から入力をしていただいたデータになりまして、全国的な平均としては、受給者証をとっている方たちの約半分ぐらいのデータとお考えいただければと思います。
簡単ではございますが、過去の研究利用についてこちらのほうにお示しさせていただきました。なお、入っている項目については、難病法成立とともに重症度分類が導入されたり、医療費助成のために必要な情報が変わりましたので、これまでのデータベースとは登録されている項目が若干異なるということをつけ加えさせていただきます。
以上になります。
○山本座長 ありがとうございました。
これまでの研究例ということで御報告をいただきましたけれども、中身のことは別として、何か御質問、御意見ございますでしょうか。康永先生、どうぞ。
○康永構成員 研究事例はこれが全てですか。
○田中課長補佐 全てではないです。まだほかにもあるのですが、我々として比較的お見せしやすい形で御提出いただいたものについて、こちらにお示しさせていただいております。
○康永構成員 数で言うとどれぐらい出ているのですか。大体でいいですけれども。
○田中課長補佐 近年3年間分ぐらいのデータを確認させていただいたのですが、平均して10ぐらいです。
○康永構成員 個々の研究は大変意義深い内容で、非常に有用な研究の内容だと思うのですけれども、大変申し上げにくいのですが、アウトプットが少ない気がするのです。もちろん、個々の先生の研究は非常に意義があると思うのですけれども、もう少し有効活用という点で。それはまた今後の課題だと思うのですが、現状アウトプットが余りないというところは、どこがボトルネックになっているのかというところが少し気になった。恐らくデータ申請のプロセスが少しハードルになっていて、なかなか利用しづらいという環境がもしかしてあるのかというのが一つのボトルネック。あとは、データそのものが扱いにくくて、なかなか研究につながっていない。つまり、研究者側の問題なのかというところにちょっと懸念があります。
その意味では、資料2-1のスライド6、データベースに登録されている項目というのがあって、これはデータがどういった形式で保存されているのかとか、これは本当に研究利用できるような形できちんと整理されているのかどうかというのがちょっと気になった。
1つ前の5番目のスライドにある臨個票というのは、もともと紙ですね。それをOCRで読み込んでやるということですけれども、一応これはデジタル化されているということですね。
○田中課長補佐 はい。
○康永構成員 デジタル化されたデータの中に、例えばスライド6の「研究班の調査項目」の中で臨床所見とか検査所見とか治療の履歴、重症度とか入っているので、うまく利用すれば、私はまだ中身を見たことがないので無責任なことを言っているかもしれませんが、もっといい研究ができそうな気がしてしようがないというところなので、その辺はいかがでしょうか。
○田中課長補佐 御意見ありがとうございます。やはりアウトプットが少ないというのは御指摘のとおりと思っております。先ほど樋口先生のほうからもお話がございましたが、まず申請のプロセスにおいて軽症者の方たちがデータに入っていないということは、一つ問題点として今までも御意見をいただいているところでございます。
データが扱いにくいのではないかという御指摘がございますが、例えば診断基準や重症度分類というものがございますが、これは厚生労働省のほうで定めて、局長通知として皆様に周知しているのですけれども、御存じのとおり、世界的に、特に難病の領域などはどんどん新しい概念が入ってきたり、新しい診断基準ができたり、検査が変わったりということが日々かなりアップデートされていっているところが、この臨床調査個人票に反映するまでに時間がかかる。これは行政がプロセスを踏まないと変更することが難しいという観点もあるかなと思います。
あとは、重症度分類なども、難病の特性に配慮して、半年の中で一番状態の悪いところを勘案して申請をしてくださいとお伝えをしているのです。なので、自然歴を追いにくいような形になっているというのが現実で、実際に研究者の先生方からは研究に利用しにくいという御意見がある一方で、医療費助成を考える際に、患者様の疾患の難病という特性というものを勘案しての登録内容ということはお伝えをさせていただいております。
また、先ほど森先生のほうから御指摘ございましたが、医療費助成と結びついているので、そのデータの信頼性というものがなかなか担保できないのではないかということも、今までの合同委員会の中でも御指摘をいただいているところでございます。
○山本座長 森先生、どうぞ。
○森構成員 アウトプットという意味では、もちろん医療費支給という点で非常にリミテーションはあるものの、私からすると興味深いものが非常に眠っていると思うのですけれども、どうやってアクセスしていいかよくわからないというところがあります。私も研究班等に所属していて、班長の先生にもお伺いしてみたのですが、班を通じてできるようだという不確かな情報で、そのまま放置されてしまったという経緯がありまして、使いたい人が使えるような仕組みが公表されていればわかりやすいかなと思っています。
臨床医のほうは、先ほど申し上げましたような医療費を患者に支給するための方便としか思っていなかったところも非常にあって、項目がこれ以上細かくなるのは御免こうむりたいという点もございまして、そのあたりを実際に研究班等でずっと議論しながら、可能であれば研究班がある程度アウトプットを持ち出すような強制力というとあれですが、方向に行けばよいのではないかと思っています。
○山本座長 ありがとうございます。
確認ですけれども、資料2-1の仕組みというのは、動き始めてまだ間がないわけですね。
○田中課長補佐 そうです。
○山本座長 ですから、この資料2-2の研究というのは、資料2-1のデータベースそのものを使った研究ではないですね。
○田中課長補佐 ないです。その前の特定疾患治療研究事業のときのデータを使っているものになります。これは各自治体の専門家でない職員が臨床調査個人票を手で入力したものになっておりまして、データの信頼性、それから実際には入力をしている自治体と余り入力が進んでいない自治体でかなり大きな差があって、登録をしている患者さんがゼロという自治体もある中で、なかなか悉皆性のあるデータになっていなかったという問題点がございまして、この難病法ができるときに、国がこのデータベースを整えるべきという議論になったという流れでございます。
○山本座長 したがって、資料2-2の研究は、研究としてはあれですけれども、これからこういったことがどういうふうにできやすくなるのかということを検討するのがこの会議でございまして、森先生おっしゃったように、どうやって申請すればよくて、どう審査して、どう提供されるのかというのを御検討いただくということが主体になります。
私から少し質問があるのですけれども、2-1に戻って、これはどちらもOCRで読み込んでいるということですね。そうすると、幾つかに自由記載というのがあるのですが、そこは入っていないと考えたほうがいいですか。
○田中課長補佐 はい。現時点ではOCRになっているので、自由記載のところはデータベースの中には入っていません。読み込んではいるけれども、提供はなかなか。今後検討ということです。
○山本座長 画像としては入っているとか、そういう意味ですか。
○平石主査 OCRでその項目自体を読み込んではおるのですが、ただ、実際文字のものでございますので、読み込みの精度等は今後確認をさせていただいて、提供等は御議論いただきたいと思っているところでございます。
○山本座長 わかりました。
ほかに何か。どうぞ。
○五十嵐構成員 確認ですけれども、指定難病の患者データベースの場合は経年的な振り返りはできないのですね。小慢のほうはそれはできると理解してよろしいですね。
○田中課長補佐 同意書の文言から、患者様が自分のデータがどう使われるかを想像しにくいという状況でございます。この点については合同委員会でも御指摘がございまして、同意書の変更も含めて、やはり経年的なデータを追えるようにするべきであるということは御指摘いただいておりますので、その点についても次回以降こちらの有識者会議でぜひ御議論をいただきたいと思います。経年的な変更を追うことで明らかになる点というのもあろうかと思いますので、その点については次回以降、同意書の書きかえについて、また議題を御提示させていただければと思います。
○山本座長 康永先生、どうぞ。
○康永構成員 同意書の書きかえは次回以降議論するということで、もしそれが実現したらという前提で、ちょっと先の話になるかもしれませんが、データベースの中には基本情報として姓名、住所、生年月日があるので、データベースの中で経年的に各患者をリンクさせてというのは、技術的には全然可能ということですね。
○田中課長補佐 はい。基本的受給者番号というのは行政欄の中にあるのですが、これはお引っ越しをされると変わってしまうのですが、例えば今、先生からお話のあった幾つかの情報をもとに、100%ではないにしろ経年的に結びつけることは可能ではないかと聞いております。
○康永構成員 そうすると、指定難病のデータで臨床所見、検査所見、治療履歴というのがあって、それは経年で追っていくと、できる臨床研究の幅というのが全然違ってくると思いますので。
以上です。
○山本座長 ありがとうございます。
ほか、いかがでしょうか。どうぞ。
○神里構成員 また同意書のところになるのですけれども、指定難病のほうに関しては、特定医療費の支給認定を申請する場合には、データが研究利用されることについて自動的に同意をするという形式になっていて、小慢のほうを見ると、任意性の担保の項目があって、そこも違うという認識でよろしいですか。
○田中課長補佐 一応、最後の同意については任意でありというのが、小慢のほうには記載があるのですが、難病のほうについては、こちらの記載が、過去にはあったのですけれども、現状ではスペースの関係で少し落ちているということも聞いています。この任意性の担保は、御指摘のとおり、医療費助成とこの同意は関係がないということを明示する必要があるだろうということは事務局のほうでも認識してございますので、その点についても次回以降御確認をいただきたいというのが1点。
合同委員会のほうでは、同意の撤回についても同意書の中に記載がないということは問題ではないかということが提起をされております。例えば大きく小児慢性特定疾病と指定難病のデータベースをつなげますということは今後長期的に検討すると。ただ、一方で、現在のこの同意書では不十分なところが幾つか見られるので、その点について御議論をいただき、修正すべきは修正をしたいと考えているところです。
○神里構成員 もう一点確認したいのですけれども、指定難病のほうは経年的に追えるということをこの文章からは読み取れないので難しいだろうという解釈だったと思います。他方で、指定難病のほうには、臨床研究を実施するに当たっては再度アクセスさせてくださいということが入っているけれども、小慢のほうは入っていない。入っていないということは、アクセスはできないという理解でよろしいですか。
○田中課長補佐 その認識です。
○山本座長 同意書の問題は次回以降御検討いただくということで、こう違っているとまずいことはまずい。間違いありませんので。
ほか、いかがでしょうか。どうぞ。
○樋口構成員 先ほど山本さんからもこの会議の目的についてきちんと言及があって、もう一回自分の中で確認しておきたい。本当に基本的なことです。そうすると、後でちゃんと案として出てくると思いますけれども、難病患者と小児慢性患者について、データ研究ですね。データはそれぞれの法律に基づいてつくっておくことになっているわけで、それをできるだけ生かしてこれから研究を進めていくために、ガイドラインもまだできていないから、それぞれについてガイドラインをきちんとつくろう。そのための審議をする。そういうための会議だと思っていいですね。
そうすると、問題が2つあって、研究利用の促進という方向性をはっきりさせないといかぬですね。やめさせるためではないということです。そうすると、その中でいろんな障害がある。先ほど康永さんが専門家の立場からおっしゃってくださいましたが、データのほうに、今のデータではちょっと問題があるかもしれないし、データをとるときのアクセスの仕方であるとか、そういう形が割にオープンになっていなくてとか、いろんな問題があるのは、きょうも幾つか指摘があったと思いますけれども、ほかの会議を含めて、今の状況には幾つか問題があるねということはいろんなところでもう指摘されているわけですね。それだったら、それを一覧表にしてくださったほうが。
私が思いついたように指摘するまでもなく、やってくれて、その上でこれを一つ一つ解決するようなガイドライン。解決して前へ進めるためのガイドラインをみんなで考えようというか、もちろん事務局が中心になって考えてくださると思いますけれども、そういう理解で共有されているのかもしれないのだけれども、私自身の頭が整理されていないものだから、それをそうですよと言ってくださると、あ、よしよしという感じで、また次の発言が出る。
次の発言は、そうですよと言ってもらってからにしましょうか。
○山本座長 そうですね。
○田中課長補佐 先生の御指摘のとおりでございます。課題については、この有識者会議をつくって議論をするべしとされましたもともとの合同委員会のほうで、中長期的に検討すべき事項として問題の項目についてはまとめを少しさせていただいておりまして、前回の資料にその取りまとめの報告書がございますので、また改めて先生のほうにお送りさせていただきたいと思います。
そこに中長期的な検討すべき事項というのが問題点としてあるのですが、一方で、すぐに解決するべき話として、先ほど申し上げた同意書の問題であるとか、そういったことをこちらの委員会ですぐに御議論をいただければと思っています。なので、まず同意書の今、御指摘のあったような点についての解決と、研究を促進するためのガイドライン、審査会の基準の作成がこのデータベースの大きな目標になっております。この課題については、報告書の中の中長期的な取りまとめというところにまとめさせていただいておりますので、それも次回改めて一覧にしてお示しさせていただければと思います。
なので、先生の認識でお間違いはないということで、よろしいでしょうか。
○樋口構成員 わかりました。
その上で、これも基本的な点の確認、2点だけ。先回やってきて、私が誤解していたのがわかった。幾つも誤解はあるのですけれども。今回2つのデータベースを取り扱っているのだという話ですね。ほかの会議と頭がごっちゃになっていて、連結する話なのかと思ったのです。しかし、連結はしませんということですね。それが長期的な、あるいは中期的な話として、単体のものについての研究開発のあり方というのをきちんとルール化するのですというので、何事も順番は必要なのですが、難病患者のデータと小児慢性病患者のデータを連結することには意味があるのですね。
○田中課長補佐 意味はあります。
○樋口構成員 しかし、そう簡単にはやれないので、とりあえず先送りですか。
しかし、データベースのあり方や何かをできるだけ共通にしておいて、ここでガイドラインも同じようなものをつくっておいて、それで将来の連結に備える、そのための一歩だと考えればいいですか。
○田中課長補佐 そのようにお考えいただければと思います。技術的にも少し解決すべき課題があろうかと思います。今回の取りまとめの中では同意書の大枠は変えないという議論になっておりまして、足りない部分を補足するような変更というふうに取りまとめの中ではさせていただいたところでございます。ただ、一方で、この連結については中長期的とは言っていますが、中期的ぐらいな感じで議論をしていただければなと。その議論がより前に進むような提供の方法とガイドラインというのをお考えいただければ、我々としては非常にありがたいところでございます。
○山本座長 どうぞ。
○樋口構成員 もう一つだけ。もう一つでやめますから。
前回の発言の中で、この研究データベースの利用対象を広げていきたい。その中に企業というのが2カ所出てきていて、当面の間、現状の間はなかなか難しいですねと。これは暗黙の知で、企業はとりあえずは無理だよねと言われてしまうと、私もそうだとすぐ思うのですけれども、一方で、きょうの資料で難病法のところにはちゃんと研究者及び製薬企業等はデータベースに集められた何とかを活用して、それで医薬品、医療機器及び再生医療等製品に関する研究開発というのがちゃんと明示してあるわけです。そういう基本的な法律でそう書いてあるのに、企業はとりあえずという話が、当然だよと言えば当然なのですが、これから出てくるガイドラインの中では公益性に配慮しつつという形で、審査の仕組みなどもつくるはずなので、企業はという話をしていていいのだろうかという気がするのですけれども、これについては、企業はこういうところが心配ですということ、どこまで言えるのかどうかもわからないのですが、少し説明を補足していただけたらいいような気がするのです。この前の議事ではこういう話で、企業は当面というのでみんなまとまっているような意見になるのはちょっとどうかなと思ったものですから。
○田中課長補佐 ありがとうございます。
企業についての考え方は、こういった基本方針があっても、現状では企業は難しいだろうというのは前段の合同会議でもあった御意見ですが、一方で、皆様に今回この資料をお示ししたのは、基本方針の中にはここまで先のことも念頭に置いて書かれているということをお示しした上で、では、現時点では難しくても、企業に今後どういう点を配慮していけばそういったところにまで到達できて、かつ患者様の、企業も参加しにくい領域にできる限り参加していただいて、開発などに積極的にかかわっていただくための第一歩として御活用いただけるかということをぜひ考えたいという我々の思いがちょっと詰まっているところではございます。
○山本座長 短くね。
○康永構成員 NDBデータも企業は排除しているという形なのですけれども、全く排除というわけではなくて、例えば個人データはだめですが、NDBオープンデータという形で、集計表でアクセスできるという形ですので、それだと全然問題ないと思いますが。
○山本座長 今、そちらも全体的に見直しの途中で、先生がおっしゃった公益性に配慮するというのが非常に重要なのですけれども、では、どうやって公益性を判断するのだというところが、今、特にNDBと介護総合データベースの結合のところでは議論が始まろうとしているところです。厚生労働省のどのデータベースにも違いがあってはいけないと思いますから、そこは全体として、では、公益性はどう判断するのだということをしっかりした時点で、それがちゃんとしていれば、別に企業だって排除する理由は何もない。
NDBの場合は、どちらかというと早かったので、いわゆるデータの提供者、医療機関等にかなり配慮してガイドラインを決めてきたので、まずは安全な方法でスタートして、それから徐々に広げていこうという方針でやってきましたので、いまだにオープンデータ以外が企業には行っていないのですけれども、最初から例えば何とかの総合研究所とかそういったところは、企業とはいえ相当公益性の高い研究をしているところがあることは皆さんわかっているわけですから、では、そういったところにどういう基準でお出ししたらいいのだろうというのを全体で考えていきたいというところがあるのだろうと思います。
時間が随分たってしまいましたので、次の議題に進めさせていただきたいと思います。
それでは、「(3)前回の御指摘事項を踏まえたデータ提供に関するガイドラインの方向性について」を議論したいと思います。
まず、前回の会議において論点ごとにいただいた指摘事項を踏まえた対応方針(案)について、事務局からの説明をしていただき、その後、先生方に御議論いただきたいと思っております。
それでは、事務局から説明をお願いいたします。
○田中課長補佐 前回の会議で委員の先生方より各論点ごとにいただいた御指摘等や合同委員会での御意見を踏まえ、事務局で整理をさせていただいた対応(案)を作成しております。資料3「前回の御指摘事項を踏まえたデータ提供に係るガイドラインの方向性について(案)」をごらんください。資料3の項目のうち「1.前回の論点及び御指摘事項を踏まえた検討内容」と「2.御指摘事項を踏まえた対応方針(案)」について、御説明をさせていただきます。
まず、前回の御指摘事項を踏まえたデータ提供に係るガイドラインの方向性について。1枚目は、前回の資料に少し補足をさせていただいております。左側に「研究者からの申請」から「データの削除」までのデータの流れ、それから「論点」「ご指摘を踏まえた検討」という表を1枚つくらせていただいております。提供先の範囲についてはデータ提供先にかかる事務局案の提示。論点2から4につきましては、オンサイトセンターの活用の検討、「匿名加工」という評価の見直し、臨床研究の実施の際の提供基準の検討。論点5については希少事例の公表の方法。論点6については中間生成物の保存について、いただいた御意見をもとにまとめをさせていただいております。
1、データ提供先にかかる事務局案の提示ということで、前回いただいた御意見をもとに、対応(案)は「原則として、提供先は厚生労働省又は厚生労働省が補助を行う研究事業を実施する研究機関とするが、難病・小児慢性特定疾病の研究を目的とした公益性の高い研究を行う者については、審査会で目的の妥当性・公益性を含めて審査の上、提供を行うこととしてはどうか」とさせていただいております。特に今回データ提供先を決定する際の審査基準について、具体的な要件について御議論をいただきたいと考えております。
続きまして、オンサイトセンターの活用の検討ということで、前回統計法におけるオンサイトセンターについて、資料を御提出いただきたいという御意見をいただいておりますが、参考資料といたしまして、調査票情報のオンサイト利用ガイド(平成30年9月統計データ利活用センター)の資料を添付しておりますので、こちらを御参考にしていただければと思います。
対応(案)といたしましては、現在、NDBのオンサイトセンターについては、試行運用中であり、本各運用については、今後検討していくところである。仮に、NDBで構築しているオンサイトセンターを活用する場合には、セキュリティを確保するための仕組みや運用、利用者負担を含めた費用面等の検討をする必要があり、関係局と調整の上、中期的に検討することとしてはどうか。統計法におけるオンサイトセンターにて取り扱う対象は、統計法に基づく統計調査に係る調査票情報であり、難病・小慢データベースの情報については、対象外となっているところでございます。
続きまして、「匿名加工」という表現の見直しについて。こちらは先ほど前回の御意見、資料1で述べさせていただいております。これについての対応(案)として、「個人情報の保護に関する法律」に規定する「匿名加工」及び「行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律」に規定する「非識別加工」は、いずれも「特定の個人を識別することができず、個人情報を復元できない」状態に加工することと定義されております。
他方、難病・小慢データベースに登録された情報を提供する際に行うことを想定している加工は、個別に同意を取得していることから、研究に利用する情報(患者の年代、病名等)は残した上で、氏名・住所等個人が直接特定される情報を削除する程度と考えており、「個人情報の保護に関する法律」に規定する「匿名加工」及び「行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律」に規定する「非識別加工」には必ずしも該当しないものと認識。
そのため、加工方法に関する誤解を避けるため、難病・小慢データベースにおける情報提供時の加工については、「匿名加工」「非識別加工」という表現を避けることとし、前回の議論を踏まえ単に「匿名化」とすることとしてはどうか。
続きまして、臨床研究の実施の際の提供基準の検討についてでございます。「臨床研究を行うに当たり、インフオームド・コンセントをどのようにとるかが重要である。特に、数の少ない病気に関しては、厳重に審査した上で提供することが必要ではないか」という御意見をいただきまして、これに対し、「臨床研究等の実施に関して協力を求める際には、審査会で審査の上、厚生労働省が臨床研究を行う研究者に対し、再同意の取得に必要となる指定医療機関等の情報を提供することとしてはどうか」としております。こちらは、先ほど神里委員からも御指摘がございましたが、現在難病のほうには規定をされている事項でございますが、小児慢性特定疾病児童等データの同意書にはこういった内容は規定されていないことをつけ加えさせていただきます。
また、希少事例の公表の方法につきましては、個人が特定されることのないよう特段の配慮が必要であるという御指摘をいただいて、今回、我々としては、「研究の成果の公表に当たっては、公表される研究の成果によって特定の個人又は医療機関等が第三者に識別されないようにするという原則にのっとり、NDB同様10未満になる集計単位が含まれていないものに限ることとしてはどうか。その上で、集計単位が10未満であっても、個別の同意の取得を行った場合には、公表を認めることとしてはどうか」とさせていただいております。
最後に、中間生成物の保存については、「データベースについては、登録時点での送付状況及び同意の撤回等の要因により、登録しているデータが変わる場合があるため、対応を検討する必要がある」と考えております。
具体的な対応(案)といたしましては、「暫定的な運用としては、光学メデイアにて、正副ご用意いただき、お預かりすることとしてはどうか。中長期的には、光学メディアの劣化の問題があるため、専用の保管する機能を検討してはどうか」とさせていただいております。
1と2についての方向性の説明は以上になります。
○山本座長 わかりました。ありがとうございました。
指摘に対してこういう対応をしてはどうかという御説明をいただきまして、この後、実際のガイドラインの方向性について議論をしたいと思いますが、今までの御説明に関しまして御質問、御意見ございますでしょうか。どうぞ。
○森構成員 1番の提供先、先ほどの企業がという話ともリンクすると思うのですけれども、公益性というのをどのように定義するのか。例えば企業が治療研究をして、薬をつくってほしいとかいうのが患者さんが一番望んでいて、それは誰もそう思うのではないかと思うので、例えば治療研究とかそういうのもいいのではないかなと思ったりするのですが、具体的に公益性というのはどういうことを想定しておられますか。
○平石主査 そこにつきましても、現時点で事務局のほうが具体的な案を持っているわけではないのですけれども、できれば具体的な要件というところについて御議論いただきたいなと思っておるところでございます。
○山本座長 加藤先生、どうぞ。
○加藤構成員 私も同じく1番のところが気になったのですが、これは前回も少しお話ししたかもしれないのですが、公益性と言い出すと、これから事務局で検討いただくと思うのですけれども、簡単には答えが出ないと思います。もし公益性の定義を急ぐというのであれば、なおのこと生煮えのまま進んでしまうような感じがするのですね。なので、結局、NDBでも要件、その人の立場とか、今のお仕事とかそういうので利用条件を縛っています。そういう方向の議論は今後出てくるのでしょうか。というのは、今の森先生からのお話にもありましたけれども、恐らくNDBで議論されているところでの公益性と難病のデータベースで議論される公益性というのが必ずしも同一でないのかなと話を聞いていて思ったりしているのです。なので、NDBの先例に倣って、公益性の定義を突き詰めるよりも申出者の立場のところから固めていったほうがいいのかなと思いました。
そのあたりで何か検討されていることがあったら教えていただけたらと思います。
○田中課長補佐 御意見をいただきたいという感じであって、御指摘のとおり、公益性のところは非常に難しい問題かなと思っておりまして、NDBと大きく違う同意ベースに基づいている点とかそういうことも含めて、この点について皆様の御意見をいただければと思っております。
○山本座長 今後の議論ということで。
ほか、いかがでしょうか。康永先生、どうぞ。
○康永構成員 逆に公益性のない研究というのはどういう研究かというと、例えばNDBはいろんな病院名とか書いてあって、その病院で使われたお薬の名前とか書いてあるので、例えば企業がそれを使ってマーケッティングの材料にしたりするということが可能になってしまうので、それは公益性がないです。ですから、そういう研究をなるべく認めない方向にしないといけない。でも、難病のデータにそんなデータはないかもしれないので、またちょっと違った見方をしなければいけないかもしれないということですね。
○山本座長 なかなか難しいですね。難病などの場合、例えばお薬を開発しても、使える患者数が一体どれくらいあるのかということによって企業がかけるコストが変わってきますから、そのことを知ること自体も、マーケティングではなくて、ある意味開発のインセンティブになるか、ならないかというところがあって、これを公益と言わないのかというのもちょっと難しいので、この辺はじっくりと議論をしていただいて、それなりの基準をつくっていければと思っています。
ほか、いかがでしょうか。よろしゅうございますか。
それでは、データ提供に係るガイドラインの方向性について、御説明をお願いいたします。
○田中課長補佐 では、同じ資料の「3.データ提供に係るガイドラインの方向性(案)」を御説明させていただきます。
まず、データ提供に係るガイドラインの方向性としては、指定難病データベース及び小児慢性特定疾病児童等データベースにおけるデータベース提供に係るガイドラインについては、前回の議論を踏まえ、同じく医療情報の提供について規定している「ルセプト情報・特定健診等情報の提供に関するガイドライン」をベースにすることとしてはどうか。他方、前回御指摘をいただいた用語の定義、提供先、利用目的及び利用方法、希少事例の公表、中間生成物の保存等については、難病・小慢の希少性・特殊性に鑑み、今回提案した対応方針案に沿う形で、ガイドラインに盛り込むこととしてはどうかとさせていただいております。
参考としまして、次のページの左側に前回御指摘いただいた事項、右側にこのガイドラインの目次案とさせていただいておりますが、もともとの黒字、青字はNDBのガイドラインをもとにしておりまして、そこに今回御指摘いただいた事項を追加するもしくは追記する部分については赤字で記載させていただいております。
これ以外にもNDBのガイドラインにつけ加えるべき項目などございましたら、御意見をいただきたいと思いますが、前回、一からつくるのではなく、既存のものがあるので、そういったものを活用しながら進めるべきという御意見をもとに、今回このような方向性をお示しさせていただいたところでございます。
○山本座長 ありがとうございます。
では、御意見ございますでしょうか。
加藤先生はよく御承知のように、これは一から書くのは大変ですね。ですから、そういう意味では、下敷きとしてこのガイドラインを使って指定難病・小児慢性特定疾患情報のデータベースにうまくアプライをしていくというのが合理的な方法だろうと思います。NDBで最初のバージョンをつくるのに1年半かかりましたから、そんなことをしていると誰も研究ができなくなりますので、少し効率を上げてやろうとすると、この方法がいいのではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
それでは、編集の方針案としてはこれでいいとして、先ほどの前回の意見に基づいた方針も含めて、もし御意見があればお聞きしたいと思います。康永先生、どうぞ。
○康永構成員 やはりオンサイトは無理そうな感じでしょうか。
○平石主査 保険局で検討中のところでございますので、そういった状況を踏まえて活用できるようであれば活用のほうはさせていただく方向で調整のほうをさせていただければと思いますので、そこは前向きに検討させていただきたいと思っております。
○康永構成員 でも、対応(案)としては短期的ではなく、あくまで中期的という感じでしょうか。
○平石主査 本格稼働のめどが立っていないというところでございますので、今すぐに短期的に使えるかというと、そこは難しいと伺っております。
○康永構成員 オンサイトセンターは試行運用中とは言っていますが、一応東大と京大で稼働はしていますので、中期的と短期的の間ぐらいで検討いただければ。
○山本座長 オンサイトセンターというのは、箱があって、それを運用する入退室管理、利用申請受付とかという事務作業があって、それからオンサイトセンターの中で動かせるツールがあるのですけれども、オンサイトセンターの中で動かすツールというのは、実はオンサイトセンターの特徴としてデータベース側にあるのです。だから、そこから先を切りかえるという運用を考えないといけないので、あれだけのためにあれを使うのはもったいないので、いろんなことに使えるほうがいいとは思うのですが、最初はとにかくNDBを使うように設計しましたので、ちょっと考える必要があると思うのです。
これから先いろんなデータベースのアクセスにそういう問題が全部出てきますから、幸いいろんなところに絡んでいるので、そこは検討していきたいと思っています。要するに、今、運用上の負荷がすごく問題で、東大にいつまでもお世話になっていていいのかということもありますので、そういうことも検討した上で、使えるようになると結構早いと思うのです。つまり、箱と接続先を分離できれば、環境をそんなに変える必要はないので、できるとは思うのですけれども、もう少し検討が要るのだろうと思います。
○康永構成員 はい。
○山本座長 ほか、いかがでしょうか。
先ほど後半で御説明いただいた中の2番目の黒ポチ、前回御指摘をいただいた用語の定義、提供先、利用目的、利用方法、希少事例の公表、中間生成物の保存等については、これをガイドラインに組み込んでいくと。ベースの骨組みはNDBのガイドラインをベースにして進めていくということでよろしゅうございますか。宇賀先生、どうぞ。
○宇賀構成員 用語を「匿名加工」「非識別加工」でなくて、「匿名化」にしていただくというのは適当なことだと思います。ただ、言葉を変えても、今、「匿名加工」という言葉が、法律ができて非常に普及しているので、「匿名化」と言っても「匿名加工」というふうに誤解してしまう方が出ると思うので、ガイドラインの中で一言、ここで言っている「匿名化」と「匿名加工」の違いというのを断っていただくといいのではないかと思います。
以上です。
○田中課長補佐 はい。
○山本座長 ありがとうございます。
加藤先生、どうぞ。
○加藤構成員 これも繰り返しになってしまうのと、樋口先生が言っておられたこととも重なるかもしれないのですが、NDBのガイドラインとか運用のひな形を持ってくると、それはどちらかというと難病研究にこれまで関わられてきた人たち以外のユーザーを意識したガイドラインや利用形態、利用要件になっていくのですけれども、第1回目で千葉先生が言っておられたように、難病研究にこれまで関わってこられた人からすると、もしかしたらこのガイドラインでいくと物足りないとか、当初の思いと違うというのが出てくるかもしれません。ですが、難病研究に関わってこられた方々の利用についても議論して盛り込もうとされているのか、その議論をやると時間がないから、まずNDBで想定されている利用形態のみで開放を行って、後からアドオンしていこうというのか、どちらですか。
○田中課長補佐 基本的にはNDBのたたき台に対して、難病の要素をしっかり入れていきたいと思っています。今回この有識者会議を立てるに至った経緯については、難病や小慢の特性を踏まえたものをつくるということで、合同会議ではなく、有識者の先生方にお集まりをいただいたところでございます。千葉先生やきょう御出席いただいている森先生など、現場の先生方にも御参加いただいて、データベースの専門家と難病領域の専門家の先生方の御議論を踏まえてつくっていきたいというのがこの有識者会議の趣旨でございます。
○加藤構成員 ということは、これでもしガイドラインなり何なりができたら、難病領域の方々の考える利用形態が含まれている必要があるとともに、我々もそれを目標として検討を進めていかなければいけないという理解でいいですね。
○田中課長補佐 はい。
○加藤構成員 わかりました。では、そのつもりで意識をして臨むようにいたします。
○山本座長 ほか、いかがでしょうか。どうぞ。
○樋口構成員 また長くなって山本さんに怒られるかもしれないのですけれども、できるだけ自制的に。
NDBのほうではこういうデータヘルスのデータの利用について3種類の形態がありますよという話があります。一つはオンサイト。それからオープンデータの提供。それから第三者提供でこういう研究者を限って、審査した上で提供する。先ほどオンサイトはできるだけ中期的にぐらいの話でしたが、難病の場合はオープンデータというのは考えられないものですか。これは単なる質問です。
2つ目は、すぐ答えてもらえる話だと思うのですが、今、加藤さんがおっしゃったことと関係があって、とにかくデータヘルスを全体として推進していこうというわけだから、ガイドラインも基本は一緒になるのは当たり前ですね。これで全然別々の話をつくるということもないし、それから役所も。私などもそうですが、ある種の先例というのがあれば、それに依拠してというのが効率的でもあるのだから、それは当たり前だと思うのですけれども、ここにあるような難病・小慢の希少性、特殊性を考えたガイドラインにしたい。研究を進行させていくためですけれども。そのときに希少性、特殊性というのが壁になって、NDB以上に研究が進まないような難しい手続をどんどんふやすのは愚作だと思うのです。
難病患者になってみると、私も含めてですけれども。私の周りにも先週1人難病の人が出ましたが、つまり、難病とか小児慢性もそうでしょうけれども、相対的には数が少ないのです。非常に少ないところに一種隔離感がある。それがいろんな形で個人情報の識別性がわかりやすいとかなんとかという話で、マイナスのほうだけを捉えていますが、逆転の発想がむしろ必要で、そういうことまできっと考えておられると思いますけれども、数が少ないということは個別同意もとりやすいということなのです。
先ほどの医療費助成のための何とかというのもそのためにとるのだから、申請書、記録自体にどうしてもある種のバイアスがかかる。それは当たり前の話なのだけれども、指定医がおられるのだから、本当はこれに影響を与えない関係で、指定医のほうからもデータをとることはかえってしやすいと思うのです。NDBだと、数の上からそんなことをできるわけがない。
それから、企業に関係しても、この前ノーベル賞をとった人も言っていたではないですか。個別のところで物すごい基礎研究をやっていると、何百万人、何千万人を対象とするようなものに結びつく可能性があるわけですよ。だから、私はこの部分の研究者でもないのに言うのは全く間違っているのかもしれないのですけれども、難病の仕組みというのを調べたりすることが、実はほかの大きな病全体、もっと大きなものにつながる可能性が絶対あると思うのです。どうしてこういう難病が起こるのかということ。
言いたいことは一つに限るのですけれども、ガイドラインで難しくするという話ではない。もちろん、難しくしなくてはいけない部分はあると思いますが、同意のとり方などについてチェックをしたり、工夫したりということがあるかもしれないのだけれども、かえって個別同意をきちんととった上で、きちんとしたデータを出していただくような、そういう道がNDBと違って出てきてもいい。逆転の発想でこれをプラスに変える。むしろ難病患者の多くかどうかわからない。統計も何もないから。自分たちの病気について、企業を含めて、先ほどのようなマーケティングは別かもしれないのですが、関心を持ってもらって、とにかく研究対象にしていただくということを望んでいる人が多いのではないかと思うのです。だから、その思いに応えるようなガイドラインをつくっていかないといけないのではないだろうかと思います。きょうは難病の代表の方もいらっしゃるので、もし私の言うことが間違っていれば訂正していただきたいと思うのですけれども。
○山本座長 森さん、何か御意見ありますか。
○森参考人 ありがとうございます。全くそのとおりだと思っておりまして、私たちは、私たちが経験したことが生かされて調査研究が進み、本当に難病の克服ができるというところを目指していただきたいと思っております。非常に難しい課題がたくさんあることは承知の上なのですが、こうした会議の中で一つ一つ、専門性を持った御意見をいただきながら解決していけることが一番の望みです。
○山本座長 ありがとうございます。
○樋口構成員 オープンデータというのは、こういうものではあり得ないものですか。
○田中課長補佐 それについては一度検討させていただければと思います。
○山本座長 難病といっても、パーキンソンみたいにすごく数のあるやつがありますから、そういうものに関してはオープンデータももちろんあり得る話だと思いますけれども。
どうぞ。
○五十嵐構成員 小児慢性特定疾病の場合はセンターがありまして、毎年ある一定の情報をほぼオープンな形で出しておりまして、それは時間的な経緯、経年的な経緯もわかるように、毎年データを出すだけでなくて、解析も加えて出しているところがあります。
ただ、前回も申し上げましたように、小慢のほうは前例がそれに入らない。つまり、医療費の助成のある地方公共団体の場合にはそちらのほうを利用するために、小慢のほうに登録が必ずしも行っていないというところがデータ上の不備というか、不完全さという点はあると思います。
○山本座長 どうぞ。
○森構成員 厚生労働白書の後ろにつくような形で、誰が何人いるとか、男女はどのぐらいでということぐらいはオープンにして出してしまうのはだめでしょうか。マンパワーとか予算とかいろいろリミテーションはあるのかなと思うのですけれども。
そういうふうに研究として結果がきちんと公表されない。私の聞いたうわさでは、どこかに積んであると聞いたのですが、では、真面目に書くのもばかばかしいから、先ほどの自由記載欄は、私、いつも白紙でして、どんなにぐあいが悪くなっても、診断基準が通っていれば前の年のコピペで出していましたので。ちゃんと使ってくださるということがわかれば、私のような不届き者でもこれはきちんと書かないとなと思えるのではないかと思うので、きちんと出していただきたいということをお願いしたいかなと。
○山本座長 大事なことですね。国の事業としてする以上は国民に必ず返さないといけませんので、そういう意味では厚労科研でやっているのとちょっとわけが違って、公開性が求められると理解しておりますし、そのように進めていきたいと思います。
ほか、御意見ございませんでしょうか。どうぞ。
○康永構成員 少し具体的なお話ですけれども、データの規模がNDBに比べるとかなり小さいデータになると思いますので、例えばNDBの場合は、利用希望者に研究計画書を書いていただいて、その研究計画書に沿って必要なデータだけ切り出してくるということをやられると思うのです。今回も同様の、例えばパーキンソン病についてある研究をしたいから、パーキンソン病の患者さんだけ引っ張ってきてくださいというやり方をするのか。あるいはデータ自体がDVD1枚で提供できるようなサイズ感であれば、それを丸ごと提供して、もう少し幅広く探索的にデータを見ていただいて、そこからいろんな研究をやっていただくというアプローチもあると思うのですが、その辺は恐らく審査基準にもかかわってくる話だと思いますが。
○山本座長 これから先議論する同意の問題があって、NDBの場合は全く非同意、同意をとっていない。制度上集めたデータですから、あれを探索的に使うというのは相当ハードルが高いのですけれども、今回は小慢にしても指定難病にしても同意がありますので、その同意の書き方によっては、それなりに探索的に使えるデータセットになるのではないかと思いますが、さすがに全部一遍にみんなに渡すというのは、患者数1とか2とかという病気がありますので、そういう意味では、それを全員というのはちょっとないのではないかなと思いますけれども。
ほか、よろしゅうございますか。
それでは、次回の会議においては、きょうの方針に従ったガイドライン案の御提示をいただこうと思いますけれども、事務局のほうは大丈夫でしょうか。
○田中課長補佐 はい。
○山本座長 それでは、そのようにしていただいて、次回実際のガイドライン案をもとにまた御議論を深めていただこうと思いますので、それでよろしゅうございますか。
(「はい」と声あり)
○山本座長 それでは、次の議事「(4)指定難病患者データベースと小児慢性特定疾病児童等データベースにおけるNDB、介護DBとの連結解析への対応について」ということで、事務局から資料の説明をお願いいたします。
○田中課長補佐 前回御説明をさせていただきましたが、現在医療、介護データ等の解析基盤に関する有識者会議において、匿名での連結解析を行うことを前提に、NDBと介護DBの連結解析に係る基盤の構築等について検討が行われているところでございます。
保険医療分野におけるほかの公的データベースの関係についても、本年秋を目途に検討を行うこととされていることから、前回こちらの連結解析について御議論を少しいただいたところでございます。
今回はその議論を踏まえ、指定難病患者データベース及び小児慢性特定疾病児童等データベースにおけるNDB、介護DBとの連結解析の対応について、あらかじめ専門家の先生方に御意見を伺い、事務局としてまとめたものが資料4となってございます。
1、対応方針(案)としましては、
難病患者データベース(以下「難病DB」という。)及び小児慢性特定疾病児童等データベース(以下「小慢DB」という。)をNDBと連結することにより、治療法及び処方と患者の症状の関連を分析することが可能となり、新薬の開発や治療法の確立につながる可能性がある。
また、介護DBとの連結により、早期の積極的な介入の有用性等を難病患者の症状から評価することで、症状軽減につながる可能性がある。
一方で、難病・小慢DBと他のDBを連結させるに当たっては、それぞれのDBの目的及び扱う情報の違いに十分配慮するとともに、未だ難病・小慢DBが連結されていないことに留意する必要がある。また、難病の希少性に鑑み、個人情報保護や情報セキュリティの観点からも、連結のあり方を慎重に検討する必要がある。
そのため、難病・小慢DBとNDB、介護DBとの連結解析については、今後、難病法・児童福祉法の見直しの検討を行う際に、厚生科学審議会疾病対策部会難病対策委員会と社会保障審議会児童部会小児慢性特定疾患児への支援の在り方に関する専門委員会との合同委員会において、まずは難病DBと小慢DBの連結の具体的な方法等を整理した上で対応する方向で議論することとしてはどうか。
としております。
個別の論点といたしましては、NDB、介護DBとの連結解析の具体的なニーズについて、関係者間で共有されることが必要とされておりますが、具体的なニーズについては、以下のとおりと考えられる。
NDBとの連結におけるニーズ
難病患者の症状軽減と関連する本来の適応とは異なる処方(例:ある種の降圧薬がある難病の症状軽減と関連する等)について分析が可能となり、難病に関連した新規創薬が行われる可能性がある。
各指定難病に対する早期の積極的な介入の有用性等について、評価することが可能となり、効果的な治療法の確立につながる可能性がある。
介護DBとの連結におけるニーズ
早期の積極的な介入の有用性等を難病患者の症状から評価することで、症状軽減につながる可能性がある。
NDB・介護DBの両方との連結におけるニーズ
患者の受けている医療及び福祉の全体像の把握(医療費は低いが介護負担が重い等)が可能となり、患者が抱える問題をより俯瞰的に把握できる。
長期の療養を要する難病患者に対して早期の積極的な治療介入等を行うことで、要介護認定にどのような影響があるか検証することが可能となる。
とさせていただいております。
また、(2)収集・利用目的が法令等で明確に定められ、連結解析の根拠についても位置付けることが可能であること。(3)第三者提供の枠組みが法令等で定められ、連結解析に係る第三者提供の根拠についても位置付けることが可能であること、これが保険局のほうから求められている点でございますが、これについては以下とさせていただいております。
指定難病患者データベース及び小児慢性特定疾病児童等データベースにおける収集・利用目的・第三者提供の枠組み等について、現状、法令では定めてはおらず、難病の患者に対する医療等の総合的な推進を図るための基本方針及び「小児慢性特定疾病その他の疾病にかかっていることにより長期にわたり療養を必要とする児童等の健全な育成に係る施策の推進を図るための基本的な方針」にて利用目的等を定めている。
指定難病患者データベースと小児慢性特定疾病児童等データベースについては、患者の同意に基づき情報提供を受けているが、現在のところ他のデータベースとの連結解析については明示的に同意を得ていない。
NDB、介護DB等のデータベースの目的と難病法及び児童福祉法に基づく難病・小慢DBの目的との整合性に留意し、提供先の範囲や研究目的について、難病・小慢DBの目的を踏まえ、慎重に検討する必要がある。
難病・小慢DBで保有する情報は、希少な疾病に関するものであり、遺伝子検査の内容や家族歴など、患者本人以外にも家族に影響を与える情報も含まれている。そのため、個人が特定されるリスクに配慮した厳正な運用を確保することが必要である。
「(4)NDB、介護DBとの匿名での連結解析が技術的に可能であること(共通の識別子の生成に必要な情報が収集されていること、システム面の対応が可能であること等)」については、
指定難病及び小児慢性特定疾患については、患者数が少ないため、個々の確実な連結が必要不可欠であり、氏名・生年月日等の情報による結合ではなく、確実に結合できる識別子により連結解析を行うことが必要である。
他のDBとの連結を前提としていないため、連結へ向けて必要な項目を取得するなど、臨個票等の様式の変更等を検討する必要がある。
とさせていただいております。
こちらは事務局案として、今後保険局のほうに連結に関する対応について回答をさせていただく案として御提示させていただきました。
○山本座長 ありがとうございました。
資料4の文章に関しましては今回の最終審議ということになります。これの提出先の会議が10月25日か何かに開かれまして、そこに出すということになっていますので、きょうの御議論が最後になりますので、何かありましたら積極的に御発言いただければと思います。いかがでございましょうか。どうぞ。
○康永構成員 細かいことですが、「2.個別の論点」の(1)のところで「NDBとの連結におけるニーズ」というところがあって、○の最初のほうですが、これは本来の適応とは異なる処方をやっている場合があって、それがたまたまうまくいっているというのが現象として捉えられる可能性があるのですね。それは新規創薬にもつながるのですけれども、要は、既存薬の適応拡大ですね。だから、「難病に関連した新規創薬が行われる可能性がある」というところは、「難病に関連した既存薬の適応拡大及び新規創薬が行われる可能性がある」ということなので、むしろ既存薬の適応拡大のほうがいろいろチャンスがあるのではないか。それがひいては新規創薬につながるかもしれませんけれども、ダイレクトに何か新しい創薬ができるというわけでないと思いますので。
あともう一個、細かい点ですが、最後の(4)の「NDB、介護DBとの匿名での連結解析が技術的に可能であること」。こんなのは技術的に可能ですね。
○山本座長 例えばNDBと介護DBも100%一致するという可能性はないですね。この「技術的」というのがどういう意味かによるのですけれども。難病・小慢のほうは症例数が少ないので、例えば偶然一致してしまう他人みたいなのがあると物すごく影響が大きくなるので、そういう意味では、今、検討されている仮名氏名と生年月日と性別だけでハッシュをとって一致を見るというのは、ちょっと危なっかしいというところがあるのではないかと思うのです。それが1つ目の○に書いてあることです。
○康永構成員 ここの文言で、確かに氏名・生年月日等の情報だけで結合してしまうと、間違ってくっつけてしまうということがあり得ると思うのですが、そしたら、その情報量をふやして、例えば氏名、生年月日、入院日とか受診日というのを入れると、マッチしなくなる患者がふえてしまうということですけれども。
○山本座長 例えば受診日を入れればマッチが厳密になるのですが、今度指定難病と小慢のデータベースに受診日が入っていないとか、そういう意味では、現状のデータベースの構造上、若干まだ問題があるということです。
○康永構成員 そうすると、確実に結合できる識別子などというのは存在しないということになってしまいますね。
○山本座長 一応、2020年から1人1番号化された被保険者番号が導入されますので、直接使うかどうかは別として、2020年以降は少なくとも個人を確実に特定できる。履歴のデータベースにアクセスしないとだめなのですけれども、それをすることによって、できるIDが1つ入ってきますので、そのIDに結びつく識別子をこちらのデータベースにも入れておいて、それで接続すると1対1で合うと。
○康永構成員 そうすると、過去にさかのぼってはできないと。
○山本座長 過去にさかのぼっても大丈夫。それぞれのデータベースで過去にさかのぼれるのだったら連結も大丈夫ですね。
○康永構成員 その辺について、この文言はこの文言のままで大丈夫ですか。若干不安があるのですけれども。
○山本座長 私はこれで大丈夫だと思っているのですけれども。
○康永構成員 そうですか。では、山本先生がよければ。
○山本座長 もしも向こうの会議で変な質問が出れば、私のほうから。樋口先生が何か質問するかもわからないので、私のほうから説明いたします。
どうぞ。
○加藤構成員 確認です。2番、個別の論点の少し上のところで、「まずは難病DBと小慢DBの連結の具体的な方法等を整理した上で」とありますが、これは結局、何と何の連結のことを指していますでしょうか。下のほう読んでいると、難病とNDB、介護DBなのか、難病・小慢とNDB、介護DBなのかがわかりにくいと思います。ちょっと散っている感じがするので、どういうことをイメージしておられるのかをもう一回教えていただけますか。
○田中課長補佐 イメージ的には、今、議論しているのは、今回それぞれのデータベースの利用の審査基準などをつくっていただくことになっていて、それぞれのデータベースと結合するということを考えているのですが、一方で、難病と小慢もまだつながっていない現状の中で、それぞれについて難病とNDBとか、難病と介護DBを議論するのではなく、まず難病と小慢がくっついた上で、そのデータベースとNDBなり介護DBとくっつくことが必要なのではないかというのが、事務局のほうで考えているところでございまして、そこはわかりにくいという御指摘、もっともかなとは思うのですけれども、そこについては一個一個の議論ではなくて、まずは難病と小慢がくっつくという中長期的にも検討すべきとされた項目を先にやりたいというところでございます。
○加藤構成員 そうすると、個別の論点は、難病と小慢のDBはつながったという前提で話をするということですか。難病と小慢の個別の論点ではないということですか。
○田中課長補佐 基本的にそういうことです。
○加藤構成員 わかりました。
○山本座長 ほか、いかがでしょうか。
1の一番最後は少し冗長になるかもしれないですけれども、「整理した上で」の後に「NDB、介護DBとの連結解析について」というのを書くとわかりやすいかもしれませんね。
○田中課長補佐 はい。
○山本座長 ほか、いかがでしょうか。よろしゅうございますか。
それでは、きょういただいた御意見を修正したものを本会議の結論としたいと思いますが、よろしゅうございますか。
それでは、修正結果については私にお任せいただくということで、よろしゅうございますか。
(「はい」と声あり)
○山本座長 それでは、間違いなく確認をして、これをこの有識者会議の意見として出していくようにしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
これは合同委員会に出してということですね。
○田中課長補佐 はい。
○山本座長 これを合同委員会に出して、それから片方のNDB、介護DBの委員会の有識者会議のほうに報告をするということになります。
それでは、事務局のほうでこれを合同委員会に出せるように、まずは修正案をお送りいただいて、確認をして進めていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
一応、こちらで用意した議事は1から4までで以上ですけれども、全体を通じて先生方のほうから発言があればお聞きしたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしゅうございますか。
それでは、本日の議事は以上になります。
最後に事務局から何かございますでしょうか。
○田中課長補佐 次回第3回有識者会議の日程につきましては、決まり次第御連絡をさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
事務局からは以上となります。
委員の皆様方におかれましては、御多忙のところ御出席を賜り、また活発な御議論をいただきまして、まことにありがとうございました。
○山本座長 それでは、第2回有識者会議は終了といたします。どうも皆様、ありがとうございました。