第6回 国立高度専門医療研究センターの今後の在り方検討会 議事録

日時

平成30年10月12日(金)17:00~19:00

場所

中央合同庁舎第5号館専用第22会議室(18階)

議題

国立高度専門医療研究センター(NC)が果たすべき役割について (ヒアリング)

議事

 
○太田医療・研究開発独立行政法人管理室長補佐
 それでは、定刻でございますので、ただいまより第6回「国立高度専門医療研究センターの今後の在り方検討会」を開催いたします。
 構成員の皆様におかれましては、大変お忙しい中、お集まりいただきまして、ありがとうございます。
 初めに構成員の皆様の出欠状況を報告させていただきます。
 本日は、岡明構成員、神庭重信構成員、神崎恒一構成員、田島優子構成員、本田麻由美構成員から御欠席の連絡をいただいております。花井構成員におかれては、後ほどの参加となられます。
 また、末松構成員におかれましては、途中退席される旨の御連絡をいただいております。
 医政局長の吉田でございますが、公務により、遅れての参加となります。
 それでは、カメラの方はここで御退室をお願いいたします。

(報道関係者退室)

○太田医療・研究開発独立行政法人管理室長補佐
 それでは、議事に入る前に、お手元の資料の確認をさせていただきます。
 お手元に、議事次第、座席表、資料1から4、参考資料1と参考資料2、前回までの会議資料及び議事録をお配りしております。
 なお、前回の議事録については、未定稿となっておりますので、御留意ください。
 資料に御不足等がございましたら、事務局までお知らせください。
 本日は、国立高度専門医療研究センターが果たすべき役割についてのヒアリングということで、日本医療研究開発機構、医薬品医療機器総合機構、日本製薬工業協会、日本医療機器産業連合会の4団体から御説明いただきます。
 以降の進行は永井座長にお願いいたします。

○永井座長
 ありがとうございます。
 委員の皆様には、お忙しい中をお集まりいただきまして、ありがとうございます。
 本日は、国立高度専門医療研究センター、ナショセンの果たすべき役割についてのヒアリングを行います。
 早速始めさせていただきます。最初に、日本医療研究開発機構の末松理事長からお願いいたします。

○末松構成員
 それでは、資料1を、お手元または正面のパワーポイントに従って御説明申し上げます。
(PP)
 我々ファンディングエージェンシーの立場から、ナショナルセンターに期待することとして1分1秒でも患者さんに早く医療研究開発の成果を届けたいというところは恐らく共通ではないかと思います。私どものファンディングエージェンシーでは、そのために必要な3つの戦略を挙げております。ぜひこのナショナルセンターにも、特に(1)データシェアリング、(2)医療研究開発に資する人材育成、(3)横断的医療研究開発のための基盤整備。これも恐らく3つとも共通ではないかと考えております。なぜこれが必要かということについて、以下述べさせていただきます。2ページをごらんください。
(PP)
 これまで、AMEDができる前からの長いゲノム研究の事業があるわけですけれども、その中で、青い丸の部分が、主に文部科学省でサポートされたものです。それから、御存じのように、大きな地震の後に、岩手、宮城、福島も含まれるのだろうと思いますけれども、東北地方の方々の健常人の前向きコホートを行っている東北メディカルメガバンク等がございます。オレンジ色の少し濃いところですけれども、これは国立長寿研が中心になって行っている認知症のコホートであります。このコホートは全部が同じ目的で動いているわけではなくて、健常人を前向きにフォローアップして、どういう病気になっていくかということを見ていく事業もありますし、初めから認知症を意識してつくったものもございます。
 ここで指摘したいことは、この丸の大きさがコホートの大きさなのですけれども、何らかの形でゲノム情報ですとか、臨床情報をとって、集積して前向きに見ているものが日本全体でどのぐらいの数があるかということなのですが、参加者の数はおよそ36万人に及びます。しかしながら、これらはコホート間の連携が非常にうまくいっているとは到底言えないわけでありまして、フォーマットも違いますし、標準化されていないという問題があります。
 もしこれらのものがきちんと連携してデータが使えるということになると、世界中が注目しているのは、恐らく日本の医療の水準ですとか、Comparabilityを考えていくと、例えば認知症のTrial Ready Cohortというものをつくる場合に、日本が最もいい場所であるに違いないわけであります。認知症のごく早期のところを捉まえて、創薬研究の対象者を
モニターするしくみです。つまり、コホートは動的に変わっていきます。
 そういったものを全国レベルできちんと追いかけていくために、それでは、長寿研はそれが全部できるかというと、現在のところ、長寿研のコホートは、ここで見てわかるように、名古屋の近くにとどまります。患者さんの居住地がそこにあるので当然の結果です。つまり、患者さんの住まわれている場所、患者さんのためにやっていることだというのが非常に重要なポイントでありまして、何らかの戦略をもって国中の情報がつながって、全体が把握できるような仕組みがないと、こういったコホートの事業はうまくいかないのだということです。ただ100万人のゲノムコホートを集めたりとかしても、なかなかいい成果は出てこないだろうと考えています。
(PP)
 こういった広域にわたるデータの共有システムが全くうまくいっていないかというと、実はそうではありません。今、AMEDで扱っているプログラムの中では、きょうは詳細は省きますけれども、がんのゲノムの情報を集めて、それをコンソーシアムでコントロールして製薬企業からも資金をいただき、データベースの維持にかかわるコストも供給しながら、患者さんにちゃんとベネフィットを返せる。そういう仕組みを持っているのがSCRUM-Japanであります。これもデータシェアリングの一つの方法です。
 Initiative on Rare and Undiagnosed Disease(IRUD)というものがあります。これは精神・神経センターが今、中心的なセンターをやっています。
 MGenDとは、臨床的な意味づけをつけた病的バリアントのデータベースで、これは現在、構築中なのですが、こういったものは業界にも使ってもらわなければいけない。それから、国外の研究者にも使ってもらわなければいけない。後ほどお話ししますけれども、こういったデータはアジアのデータが意外と少なくて、世界のデータベースのネットワークに集積されているデータはほとんどアングロサクソンのデータです。
(PP)
 なぜこういったことを我々は意識として持っているかというと、難病のところに関しまして言うと、ナショナルセンターでは非常に重要な役割を果たしているのは成育医療センター、精神・神経センター、それから、国立循環器病研究センター。ここも心臓系の難病が集まります。これらのセンター間でデータ共有ができませんと、特に稀少疾患の場合には、大変困ったことになります。
 このPatient 1とPatient 2がいますけれども、Patient 1は東京在住の19歳の女性、Patient 2は大阪在住の患者さんです。両方の主治医がこれをお互いに初めから知っているわけではなくて、このIRUDのプログラムでデータの共有を行った結果、偶然これが一致し、両方の主治医がすぐにこれはゲノムを調べようということで、CDC42という分子の異常であるということが世界で初めて見つかった例です。実は、これが発見されてから2年たってどうなったかといいますと、このデータをグローバルに共有した結果、今は世界全体で10数名の同じ疾患の患者さんがいるということがわかり患者会も結成されたそうです。
 つまり、データをどのように共有するのかというのは、やはり国として、自分の国だけではなくて、ほかの国にも協力を求めていく。あるいはほかの国のデータを使って自国の患者さんが救われる。こういうことが非常に重要ではないかと思います。
(PP)
 今までこのIRUDプログラムは、成育医療センターが主に小児科、それから、精神・神経センターが成人のUndiagnosed Disease、未診断疾患の患者さん、これは非常に診断が難しいのですが、そのほかにも全国で5つの解析拠点と438の、これは県にそれぞれあります子供病院ですとか、一部個人のクリニックも含みますが、こういう非常にたくさんの協力病院の中で、診断の難しい方を拾い上げてきました。図の真ん中のちょっと右下に書いてありますIRUD Diagnosis Committeeというものがありますが、そういったところに情報を集積し、これを東北大学に設置していただいているセントラルIRBで、一括でELSIのマネジメントを行っています。
 それから、東北大学は、この事業に対して東北メディカルメガバンクから4,000人の健常人のレアバリアントのデータを既にシェアしています。これのデータシェアです。これを行うことによって、診断が急速に進み、我々は約3年たちましたが、現在、エントリー当時は未診断だった方1020名が、6カ月以内に診断がついたという実績も出てきています。つまり、このように、国全体で情報共有をすることによって診断が加速し、かつ、正確な患者さんの数がわかることになりますと、幾つかの疾患はR&Dにつながっていく。このようなスキームができるわけです。
(PP)
 私は、難病のところのことだけをお話ししているのではなくて、こういう患者さんと御家族に資する協力体制をナショナルセンターが先頭に立ってイニシアチブを発揮していくことが絶対に必要だろうと考えています。これはファンディングの面から見ますと、赤丸で示していたのはAMED以前に比較的よくファンディングされていた研究機関であります。青丸は何かというと、IRUDで新たに加わった医療機関です。この両方がうまくかみ合うことによって、そして、セントラルIRBですとか「データシェアの仕組みをやらないと、研究費がつきませんよ」といった強力なルールを一緒に動かしていくと、このような効果が出るというように考えています。
(PP)
 Privacy Issueというのは非常に大事なのですけれども、ここもナショナルセンターが率先して、どうやったらそのPrivacy Issueで、インフォームド・コンセントをとりつつデータの共有をほかの国とどのようにやっていくかというのは非常に難しい問題なのです。皆さんも御存じのように、この5月の末からGeneral Data Protection Regulation、(GDPR)という法律がEUで施行されています。日本の個人情報保護法もこれに準じた方法で動いていくのだと思いますけれども、こういった中で、実はEUの国とEUの外にデータを出してはいけないというルールなのですが、実際には、今、ファンディングエージェンシーとファンディングエージェンシーの間の協定を結んで、学術研究に限るのであればICのとれたデータの共有は全く可能であるというしくみを根気よく積み重ねることが大切だと思います。
(PP)
 このファンディングエージェンシー同士のアライアンスをナショナルセンターはもっときちんとうまく利用してほしい。我々もそういう広報が必ずしも十分ではないのですが、ナショナルセンターも、我々のようなファンディング機関も、1人の研究者では解決できない課題への取り組みがまだまだ足りないのではないか。自分のセンターあるいは研究所の利益を考えるのではなくて、パブリックな利益を利他主義に基づいてしっかり考えてもらうのがやはりナショナルセンターの取り組むべき方向ではないかと思います。
 そういう見地から考えて、研究者の皆さんの努力で集めていただいたアジアのレアバリアントを、世界のデータベースネットワークと共有することはきわめて重要です。そのようなNetworkにMatchmaker exchangeがあります。そこにアジアで初めてIRUD Exchangeのデータが今年から入るようになりました。中国は非常に大きい国です。データシェアという概念がありません。日本は、やはりそういうところできちんととるべき姿勢をとるべきではないかと考えています。
(PP)
 そういったことで、ナショナルセンターに要望することは、世界の中でプレゼンスをちゃんと示す。そのために、データシェアというのは、リスペクトされるべきものの一つではないかと考えていますし、Non Competitive Phaseでデータを共有することが結果としてR&Dの加速につながると我々は確信を持っています。
(PP)
 これまでナショナルセンターの貢献と研究基盤の重要性ということで、これは時間のあるときにぜひお読みいただきたいと思います。これまでのこの委員会でも、NCへの運営費交付金のうち研究事業の金額がどのぐらいあるかとか、NCが競争的研究資金をどのぐらい獲得しているか。これは平成29年度のデータで、AMEDから103億というお話をしましたら、永井座長のほうから、ちょうど運営費交付金が減った分ですねという御意見があったデータです。
 そういうことで、ちょっと見ていただきたいのは、下のほうにあります支援人材の配置状況というところなのですが、結論は非常に少ない。脆弱であるということです。ここを例えばナショナルセンター全体で、まとまって人材育成のしくみを作って相当充実させないと、R&Dを支えるのは難しいのではないだろうか。このように考えています。
(PP)
 それから、医療研究開発の推進の観点から、ナショナルセンターにもっと頑張っていただくためには、高度な診療と研究機能を持つ施設がやはり必要だと私は強く感じておりますが、一方で、重要なことは、そういった投資の結果、利他的なハブとしてほかの研究機関にどのぐらい貢献できるのかというところが、評価の軸の中の一番重要なところに入るべきだろうということで、前回の委員会でお話しさせていただきました。その中には、人材の育成の問題ですとか、コホートの基盤整備あるいは多施設共同研究で必ずしもナショセンが真ん中にいなくても、ハブとして働いてほかの大学の臨床研究に貢献するという姿があってもいいのではないか。
 そして、日本では非常に決定的におくれているリバースTR、これは患者さんの情報をまずは集めて、それを場合によっては基礎研究に展開していく、あるいはTRに戻していく。そのような研究活動をもっと推進するためには、ぜひ厚労省としても高度な診療プラス研究機能を充実させてほしいというような強い願いがございます。
(PP)
 そういった強みを発揮するための障害が真ん中に書いています。詳しくは申しません。
 期待される取り組みとして、一番下の段にまとめさせていただいた次第であります。
(PP)
 そういうことで、最後に参考資料をつけております。これはAMEDで、この3年半の間にいろいろな国際的な枠組みに参加してまいりました。我々の広報が、ナショナルセンターの関係者の方々に十分伝わっていない部分もあるかもしれません。我々としては、ナショナルセンターの機能が充実するために、ぜひこういう枠組みを利用していただきたいなということで、最後に参考資料としてつけさせていただいた次第です。
 私のほうからは以上です。

○永井座長
 ありがとうございました。
 それでは、10分ほど議論の時間がございます。いかがでしょうか。
 最後にデータシェアリングのことを強調されましたが、ナショセンのほうは受け皿としていかがなのでしょうか。AMEDがファンドをする場合、ナショセンはそれを受け皿というのは、どんな形が望まれるかです。

○末松構成員
 ありがとうございます。今、私どものところでは、特にゲノム関係のデータ、がんも難病も含めてですけれども、ノーシェア・ノーバジェットと、こういう考え方で、契約書の中に、シェアをしない機関に対しては、ファンディングはふやすことはないと。減らすことはあったり、カットすることはあるけれども、減らしますよと。ちゃんとシェアしてくださいねということを言っているのですが、重要なことはナショナルセンター自身がデータシェアリングポリシーを持っているべきだと思います。NIHですとかNIHRのような、研究をやりながら国をどう束ねていくかという機関には、この考え方は絶対に必要です。全部オープンにしろと言っているのではなくて、オープン・アンド・クローズド戦略でいいわけです。つまり、権利を行使したい部分はクローズドで結構なのだけれども、公共の利益のほうが上回る場合にどんどんオープンにしていくという姿勢をナショナルセンターが積極的に、アクティブに示すべきであると。
 恐らく6ナショセンでデータシェアリングポリシー、オープン・アンド・クローズド戦略等をホームページで明文化しているセンターは一個でもありますでしょうか。これはファンディングエージェンシーから言われて嫌々やることではなくて、今、地球の中の喫緊の問題、感染症の問題とか、いろいろなところでデータシェアが進んでいる中で、ナショセンがそれをちゃんと持っていることが必要ではないかと思います。
 もう一個の視点は、人様からいただいたデータですから、倫理的にきちんと担保されたデータでないと、我々は研究には使えません。そのためには、例えば今、イギリスで進みつつあるようなナショナル・オプトアウト・プロジェクトというものがあるのです。自分のデータを臨床研究等で使うときに、「私はやはり対象から外れたいですということがいつでも言える仕組み。これを国としてつくろうとしています。これは恐らく患者さんと、我々のようなファンディングエージェンシーと、研究者の間でトラストが成立しないとデータシェアができないからです。信用している者同士でないとシェアができない。信用の担保として、しっかりしたオプトアウトの仕組みとかを整備すべきなのだけれども、それが国としてまだ我々のところは整備ができていないのではないかと考えております。要は「NCと国民の間の信頼関係」の問題です。

○永井座長
 少なくとも今は、6つのナショセンに対して、個別にそのあたりの打ち合わせをしていかないといけないという状況があるということですね。

○末松構成員
 おっしゃるとおりです。

○永井座長
 どうぞ、山口育子構成員。

○山口(育)構成員
 御説明ありがとうございました。
 きょうの資料の中にも、10ページに支援人材の配置状況ということで、不足していると書かれていて、12ページのナショナルセンターの強み発揮の障害というところに研究支援人材の不足とありますけれども、これを解決していくために必要なことはどのようにお考えでしょうか。

○末松構成員
 ありがとうございます。我々ならどうするという意見として聞いていただきたいのですけれども、これはまだ実現はしておりませんが、これもイギリスに非常にいい例があるのですが、バイオメディカルリサーチセンターという基礎研究のファンディングを、2006年からだったと思いますが、10年間にわたってイギリスはやりました。5年で2回やりました。
 やったことは、たくさんいるデータサイエンティスト、そんなに最初はいなかったのですけれども、Ph.D.の人たちに病院で働いてもらうテニュアの枠をふやしたら補助金がつく。それを5年で2タームやって、イギリスの中の約30拠点のコアホスピタルにデータサイエンティストのポストを10年間で少しずつふやしていった。10年間の間に大体250だか300人ぐらいのデータサイエンティストが実際に病院で職を持つようになり、一部は大学のプロフェッサーになった人も出てきています。
 重要なところは、1人の人材がデータサイエンスを理解するだけではなくて、ELSIを理解していたりとか、最低でも2つのスペシャリティーをカバーして、しっかり5年とか10年とか実地で、オンザジョブトレーニングで勉強していった若者がそういう形で育って、プロモーションができている。臨床データを解析して、医学のクオリティーをよくしていこうという、それが目的のファンディングだったのですが、それをやったことによって、病院にデータサイエンティストがちゃんと定着して、インフォームド・コンセントを確認しながら研究開発に使うという仕組みを10年かけて彼らはつくって、今、非常にそれがうまく動いていると思います。そういうファンディングの仕組みが必要だろうと。

○山口(育)構成員
 研究を支援するという体制が日本はすごくおくれていると思うのです。そもそもどういう専門職があるかということも一般的に知られていない。そうすると、そういう職につこうという人すらいないし、ポストもないということが問題ではないかと思うのですが、それこそナショナルセンターでというようなお考えだということですか。

○末松構成員
 ナショナルセンターが非常に重要な役割を果たしていただければと思います。

○山口(育)構成員
 ありがとうございました。

○永井座長
 山口俊晴構成員、どうぞ。

○山口(俊)構成員
 資料の7ページに、ファンディングエージェンシー同士の協力、インターナショナルコラボレーション、学術研究についてはタッグできるというお話ですけれども、学術研究とそれ以外の研究の振り分けというか、例えば先生がイメージされているアカデミックなものに限ると、なかなか進歩は進まないと思うのですね。ですから、そのあたりの切り分けはどのように考えたほうがよろしいのですか。

○末松構成員
 ありがとうございます。これは非常に議論の激しいところです。ただし、企業が関与していても学術研究の色彩が強いものと、企業が完全にコミットしていて、しかし、学術の部分がないと成り立たない部分というのは、そこはグレーゾーンなのですね。そこの議論は、先ほど申し上げたEUのレギュレーションが5月に発効してから、結構いろいろな研究がとまった状態になっていて、水面下でいろいろな議論がなされている。日本も同じような議論がありまして、そこの学術研究の領域をもう少し広めるべきだという声がたくさん集まってきつつあります。まだオンゴーイングだというのが答えでございます。

○永井座長
 ほかにいかがでしょうか。

○祖父江座長代理
 どうもありがとうございました。非常にすばらしいお話を聞かせていただいて、感銘を受けました。
 まさにこれはナショナルセンターがやるべき仕事かなと思ってお聞きしていたのですけれども、1つだけちょっとお伺いしたいのですが、データシェアリングはいろいろな領域で非常に重要性が高まっているわけですが、それをやることによって、例えば創薬に結びついたとか、何か次のステップの実例でもいいのですが、それがあると皆さん、やはり成功体験に乗ろうということになってくると思うのです。何かそういう、IRUDなども診断としてはすばらしいのですが、その先のさらに創薬みたいなことについてはいかがでしょうか。もし、先生のお考えがあれば。

○末松構成員
 ありがとうございます。今のところ、AMEDの範囲の中のことだけ申しますと、ドラッグライブラリーを会社同士がシェアするというのはあり得なかったのですけれども、それをシェアして当たりを早くつけようと。これはPre-Competitive Phaseになります。その中で、ようやっと3年ちょっとで導出案件が1件出ました。
 あるいは、国内7社、8社だったでしょうか、国内数社が非臨床の毒性でドロップアウトした化合物、こちらのほうが多いわけですね。それを「反面教師データ」にして、AIをつくって、これから入ってくる薬で危なそうなものを先にスクリーニングしてしまうというプロジェクトが昨年から始まっています。これがうまくいくかどうかはこれからです。薬の領域ではそういったところが始まったばかりですが成果が期待できると考えています。

○永井座長
 よろしいでしょうか。
 それでは、時間になりましたので、末松先生、どうもありがとうございました。
 続きまして、医薬品医療機器総合機構からお願いいたします。

○医薬品医療機器総合機構(新井)
 それでは、始めさせていただきます。
 私は、医薬品医療機器総合機構でレギュラトリーサイエンスセンター長をしております新井と申します。医薬品医療機器総合機構は略称でPMDAと呼ばれておりますので、これからPMDAと呼ばせていただきますけれども、PMDAの立場からナショナルセンターに期待することについてお話しさせていただきたいと思います。
(PP)
 まず、PMDAについて簡単に御紹介から始めさせていただきます。
 PMDAは、大きく分けて3つの業務を行っております。1つ目は医薬品の副作用や生物由来の製品による感染等の健康被害に対する救済業務。2つ目は医薬品・医療機器・再生医療等製品の品質、有効性、安全性につきまして、治験前の指導・助言から承認までを一貫して実施する承認審査業務。3つ目は医薬品等の市販後における安全性に関する情報の収集、分析、提供を行う安全対策業務であります。
(PP)
 今、申し上げましたように、PMDAは医薬品等が市販される前に承認審査を行い、市販後は安全対策、市販後に医薬品などの使用によって健康被害が発生すれば、これの救済を行うということで、市販前から市販後まで一貫した安全対策を行っており、私たちはこれら3つで国民の安全を守る、世界に誇るシステムとして、セイフティ・トライアングルというように呼んでおります。
(PP)
 PMDAはその理念にも示しておりますように、より有効で安全な医療製品をより早く医療現場に届けることによって、患者にとっての医療と先進技術をつなぐ希望のかけ橋となりたいと考えております。このために、最新の専門知識と英知を持った人材を育て、レギュラトリーサイエンスという科学的な視点で製品の有効性、安全性に関して判断を行っているところであります。ナショナルセンターはPMDAとともに厚生労働省所管の国立研究開発法人、独立行政法人として理念を共有するところもございますので、今後の一層の協力関係の進展を支援して、具体的に期待するところを述べさせていただきたいと思います。
(PP)
 まず、1つ目ですが、ナショナルセンターに対しまして、医療の質の向上に資する標準医療となるべき診断・治療法の開発と確立に向けてのより積極的な取り組みを期待しております。具体的には、新たな医薬品等の開発への関与だけではなく、現在、承認されている医薬品等をどのように使用すればよいのか。合理的な医療を推進するために標準治療や診断及びレジメンの確立という点において、国内の大学、研究医療機関と連携して、主導的な役割を担っていただくことを期待しております。
(PP)
 例えば現在、国立がん研究センターがJCOGと呼ばれる多施設共同研究グループを組織して、がん患者さんに対しまして全国的に展開した臨床研究を先導し、エビデンスに基づいたがん標準治療の確立を目指した取り組みをされております。これはがんの例でございますが、他の疾患も含めてこのような標準治療法確立に向けた取り組みをナショナルセンターが主導していただくことを期待しておるところであります。
(PP)
 また、これもがんの例でございますが、がん医療の分野では、バイオバンクの試料の解析により新しい治療標的の発見やがんの発生機構を解明する取り組みをされています。その成果を生かすために、SCRUM-Japanという大規模な遺伝子異常のスクリーニングを行うことによって、日本のがん患者さんの遺伝子異常に合った治療薬や診断薬の開発を目指す最先端のプロジェクトを展開されておられます。
 また、ことし6月に、がんゲノム情報管理センターを開設されまして、全国のゲノム医療情報を集約・保管しまして、その情報を創薬、個別化医療など、新たな医療を創出するための仕組みを構築するという取り組みを開始しておられます。
 このような日本人に最適な治療法の確立に向けたオールジャパンでの取り組みも、国内での大学や他の先進的な医療機関との連携によって、ナショナルセンターとして中心的にやっていただいている事例かと思います。
(PP)
 次に、期待することの2つ目ですが、治療法の普及と情報発信により、世界にさらに評価されるような機関になっていただきたいという点であります。具体的には、ナショナルセンター全体で標準治療を含む治療の開発・普及に対する戦略を立てまして、オールジャパンで臨めるように国内を主導していただければ、これによって世界に対しても日本の治療法をより多く発信できるようになると思います。
 そのためにも、ナショナルセンターもより一体的な体制を形成されることを期待しております。このために、臨床研究等を推進する体制はもとより、マクロな視点で患者さんを救うための仕事をする意識を持ち、医療・薬事の規制に精通した人材の育成や登用ができる体制を率先して構築していただくことを期待しております。
(PP)
 今、ナショナルセンター全体での一体的な体制と申しましたが、既に取り組まれているナショナルセンター・バイオバンクネットワークのような取り組みもその一つかと思いますので、このような取り組みをより積極的に展開していただきたいと考えております。
(PP)
 次に期待することの3つ目ですが、私は冒頭で、PMDAはレギュラトリーサイエンスの理念を業務のよりどころにしていると申し上げましたが、レギュラトリーサイエンスは、医療分野における研究開発の成果の実用化の際に、その品質、有効性、安全性を科学的な知見に基づき適正かつ迅速に予測、評価、判断するために必要な科学であります。ぜひナショナルセンターにも治療法開発の一環として、レギュラトリーサイエンスの実践により一層力を入れていただきたいと思っております。
 具体的に申しますと、新規の治療法の開発には、医薬品・医療機器・再生医療等製品の開発を伴うと思いますが、臨床研究や治験の実施と橋渡し研究として非臨床試験研究を含めた臨床開発の基盤整備を大いに期待しています。
 特に日本がその領域をリードできる製品開発において、新たな評価指標の確立等に主要な役割を担っていただくことを期待しているところであります。がんゲノムも含め、日本発のバイオマーカーを臨床試験の主要評価項目に設定できるようなことなど、日本の存在感を世界に示せる機関になっていただきたいと思っております。
(PP)
 これも既に取り組まれておられるがんゲノム医療推進コンソーシアムの例ですが、このような臨床開発の基盤整備も積極的に進めていただきたいと思っております。
(PP)
 今、申し上げましたレギュラトリーサイエンスに関してもう一つありまして、それはレギュラトリーサイエンス人材の育成を期待しております。臨床開発基盤を支える薬事規制や医療行政に精通した医療職は不可欠なものであります。PMDAとしても、ぜひ人材の育成に協力したいと考えております。また、最新の医学的な知見をPMDAの規制側にも提供していただき、合理的な医療に資するレギュラトリーサイエンスを推進する環境整備に向けて、ナショナルセンターと協働したいと考えています。
 ナショナルセンターでの人材育成が医療職の新たなキャリアパスのモデルとなり、将来的にはそこから関連病院、大学等への人材を展開し、そのことによって国内の医薬品等の開発や安全対策が世界水準に迅速にレベルアップするということを期待しております。
(PP)
 今、レギュラトリーサイエンスを推進する環境整備に向けたPMDAとの協働という御提案をいたしましたが、ここから何枚かはPMDAのレギュラトリーサイエンスへの取り組みについて御説明させていただきます。PMDAは第3期中期計画で、審査・相談の高度化と基盤となるレギュラトリーサイエンス研究・人材育成の強化を掲げておりまして、この4月にレギュラトリーサイエンスセンターを設置いたしました。
(PP)
 これまでPMDA内のレギュラトリーサイエンスに係る活動は、いろいろな部署に分かれておりましたけれども、それをレギュラトリーサイエンスセンターとして統一して、組織的に一元化することで、科学的な課題へ対応を強化する。効率化を図るということを目指しております。
(PP)
 レギュラトリーサイエンスセンターでは、ナショナルデータベース、MID-NET等の電子化された医療情報を活用した薬剤疫学調査あるいは安全対策手法の研究、科学委員会やアカデミアとの包括連携協定活動などを通じまして、レギュラトリーサイエンス研究の推進を図っております。このようなレギュラトリーサイエンスの推進により、審査・安全対策の質の向上、革新的医薬品等の開発に資するガイドラインを作成し、積極的に発信していきたいと考えています。
(PP)
 今、申し上げましたMID-NETというのは、ここにありますように、電子カルテ、レセプトデータ、DPCデータ、検査データ等の医療情報を大規模に収集・解析できる医療情報データベースでありまして、これをPMDAに構築しております。ことしから行政、製薬企業、アカデミア等にこれを利活用していただく本格的な運用が開始しております。全国10拠点、23病院で400万人以上の規模のデータが解析可能となっております。これにより、これまでの副作用報告制度では把握できなかった副作用の発現頻度を評価できるようになりますし、リアルワールドを反映した副作用、投与実態等を迅速、低コストかつ能動的に収集できるようになると期待しております。
(PP)
 これもレギュラトリーサイエンスセンターで行っている活動ですが、包括的連携協定に関する活動について、簡単に説明します。レギュラトリーサイエンスセンターの推進を行うには、大学やナショナルセンター等のアカデミアとの連携が必須でありますが、包括的連携協定の枠組みをそのために平成28年2月に立ち上げました。包括的連携協定の中身は、アカデミアとの人材交流を必須事項として盛り込んでおりまして、人材育成のための研修、情報交換、共同研究などを行っております。これまでナショナルセンターにつきましては、5施設と協定を結んでおりまして、このような取り組みによって、PMDAとしてナショナルセンターにおけるレギュラトリーサイエンスの推進と人材育成の面で協働してきておりますし、今後、さらにその面を発展させたいと考えております。
(PP)
 これがナショナルセンターに期待することの最後となりますが、患者レジストリ等の医療情報の標準化への積極的な貢献を期待するところであります。具体的に申しますと、臨床研究や医薬品開発を促進するためにも、ナショナルセンターの保有する患者レジストリ等の電子的な診療情報やバンク等のデータを国民全体のためにオープンに活用できるようにしていただきたいと考えております。先ほどPMDAとの協働と申しましたが、例えばPMDAのMID-NETとの連携・協力を介して、電子的な医療情報を利活用するために必要な品質管理やデータの標準化の今後のあるべき姿、モデルを示せたらというように思っております。
 大学病院等ともさらに連携しまして、世界に類を見ないオールジャパンの医療情報標準化の基盤を構築するということを大きく期待しております。
 MID-NETは電子カルテ情報を二次利用、統計解析できるよう、データ構造を標準化したMID-NET規格というものを使用しております。ナショナルセンターとの協働においても、このMID-NET規格のデータ利活用基盤を共有して、データ基盤を拡大し、質の高い臨床研究等に資するようなオールジャパンの医療情報標準化の基盤の構築に向けて、前進させていきたいと考えております。
(PP)
 以上、PMDAがナショナルセンターに期待することについてお話しさせていただきました。PMDAは今後、さらにナショナルセンターとの交流を深め、ともに国民の健康、安全の向上に貢献したいと思っております。
 以上です。御清聴ありがとうございます。

○永井座長
 ありがとうございました。
 それでは、同じく10分間ほど、山口俊晴先生。

○山口(俊)構成員
 どうもありがとうございました。PMDAの3つの大きな使命の中に、特に審査とか事前相談、これは非常に有効に活用されていて、例えば先進医療などの審査のときにも極めて重要な意見として活用させてもらって、大変感謝しています。
 PMDAから見て、ほかの施設に比べてナショナルセンター、がんセンターはわかったのですけれども、6つのセンターが審査とか事前相談についてどれほど活用されていて、それがどのような成果を上げているというのは、そういう資料はないでしょうか。感想でも結構です。

○医薬品医療機器総合機構(新井)
 今、資料はございません。

○山口(俊)構成員
 つまり、頻繁に利用されていて活発に研究が行われているかどうかということはどうでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構(新井)
 それは余りないということですね。

○医薬品医療機器総合機構(佐藤)
 結構利用いただいています。済みません。補足をさせていただきます。PMDAの審議役の佐藤でございます。
 ナショナルセンターの包括連携協定もございますけれども、薬事戦略相談等においては非常に御活用いただいておりまして、ぜひともまた引き続き御活用いただきたいとは思っております。

○山口(俊)構成員
 新薬を中心に、がんセンターはいいのですけれども、例えば機器の開発とか、そういうものについてはどうでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構(佐藤)
 医療機器の開発等においては、特に国立循環器病研究センター等を中心にいろいろなプロジェクトを進めていただいて、そういう中で、最近はAMEDのグラントをいただくのにPMDAの相談を受けたということが必須になっていたりとか、そういうこともございまして、相談事業のほうも非常に役に立っているのではないかと思ってございます。

○永井座長
 ほかに、花井構成員。

○花井構成員
 ありがとうございます。やはり一番気になるのはMID-NETなのですけれども、いろいろなデータベースがある中で、MID-NETはまさに医薬品の市販後安全対策等々に活用するために、かなりデータの品質に注力されて、かなり品質の高いデータをしているがゆえに、いまだ400万人とはいえ10拠点23病院にとどまっている。この力仕事の部分が結構多いと思うのですけれども、例えば6ナショセンの場合、これはまだ入っていないですね。
 そうすると、6ナショセンの場合、今まで苦労してつくっているのだけれども、6ナショセンをまたこのMID-NETでやろうと思うと、6つの別々の病院に対応するようなことになってしまうのか、6ナショセンは一定程度同じプラットホームがあるから、ここに徳洲会とありますけれども、徳洲会は恐らく同じようなインフラを使っているから、10拠点の、病院数は多くて1つとかそういうものがあるかもしれませんが、もしMID-NETに6ナショセンを入れようとすると、それは何かメリットがあるのか、もしくは現状6ナショセンが入りにくい障害があるかとか、そういうことはどうなのですか。

○医薬品医療機器総合機構(佐藤)
 大変いい質問をありがとうございます。私のほうから補足をさせていただきますけれども、現状ナショセンについてはMID-NETには入ってございません。現状は400万人以上のデータと申しましたけれども、各病院のデータの品質管理に非常に手間をかけて、データがきちんとそろうようにということで、PMDAの職員がそこを一個一個管理しながらやっているという状況ではあるのですが、そういうデータの品質を管理するノウハウをPMDAだけで持っているのではなくて、ナショセンとか大学病院の方々に、その品質管理のノウハウを少しずつ移転をしていって、彼らに我々PMDAが今、人手をかけてやっているのと同じような形での品質管理ができるようになっていただくようなことを目指しておりまして、それをやっていくことによって、MID-NETもさまざまな外部の医療情報のデータベースと連携を図っていけるような形に発展できるのではないかと思っているところでございます。

○花井構成員
 ありがとうございます。まさにMID-NETはある種、国が後押しをしているオフィシャルな信頼できるデータベースということで構築されていると思うので、本来は6ナショセンは同じ標準的なことを共有しているぐらいでいいような感じだとは思うので、今後、6ナショセンに対してそのようにデータの品質管理法とかを規定して、6ナショセンは標準的に同じだという形になるように御尽力をいただけたらいいかなと思いました。ありがとうございます。

○医薬品医療機器総合機構(新井)
 おっしゃるとおりで、いろいろな、似たような企業も出てきたりもしていて、競争も激しいところがあるのですけれども、時間と人とはかかっているのですが、少なくとも質的には最も自慢できるデータベースではないかと思っています。やはり国立病院全体が、それこそ一体となって協力していただいて、御協力をいただかないと、なかなかデータベースの構築にも時間がかかるしお金もかかる、人もかかるということになりますので、私の申した中では、やはりそれは1つの大きなPMDAからのナショナルセンターへの要望であります。

○永井座長
 ほかにいかがでしょうか。
 どうぞ。

○中野構成員
 ナショナルセンターに期待することということで挙げていただいた、例えば新たな治療法の開発とか標準医療となるべき診断・治療法の開発、それと安全対策のファーマコビジランスも含めてですけれども、希少疾病とか難病はもちろんなのですが、やはり日本の国民の皆さん全部の医療ということであると、コモンディジーズも含めて入ってくるような気がするのです。
 先ほどの御質問、御回答と少し関係するかもしれませんが、何らかの形でネットワークを組まないと、ナショセンだけでは難しい気がするのですね。その場合、PMDAからごらんになられて、ネットワークを組む率先をするのはナショセンなのか、ほかのどこかからの力が働かないとネットワークが組みにくいのか、どのようにお考えをお持ちでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構(佐藤)
 難しいですね。ナショセンが率先してやってくれればそれにこしたことはないと思いますけれどもね。

○医薬品医療機器総合機構(新井)
 そうですね。もちろんナショセンだけで、今おっしゃっていましたコモンディジーズをカバーできるかというと難しいとは思うのですが、先ほど前の発表でもありましたように、中心となっていただいて、そこでより多くの病院とか大学とかを束ねていただく役割をしていただければ、我々はやはりナショセンを中心に考えていきたいと思っています。

○中野構成員
 ありがとうございます。私は自分自身も国立病院にいたり国立病院機構の病院に結構長かったので、当時、今のナショナルセンターが中心となっていろいろなネットワークを組んでいたりしていましたが、今、そのネットワークは形としてはないと思うのです。ただ、それは国立病院機構とか国立病院だけで組んでいいのかどうかという問題もあると思いますし、そこで何かヒントがあればと思ってお尋ねさせていただきました。ありがとうございます。

○永井座長
 どうぞ。

○祖父江座長代理
 どうもありがとうございました。MID-NETとも関係するかもしれませんが、これはやはり、私はナショセンが入って、ナショセンがこういう形のところを分担するという形が非常にいいのではないかと思うのですが、先ほどの話とも絡むのですけれども、レアディジーズとか、特に我々の領域の神経、認知症とか神経変性疾患ですね。このようなもの、特に慢性型の疾患のDisease Modifying Therapyなどは、リアルワールド型の非常に長期のフォローアップをしていかないと、なかなか今後、治験そのものが成り立たないのではないかと思っております。
 今までほとんど失敗していますので、そういう新しい治験のパラダイムをつくるといいますか、そういう研究的役割の拠点を、今もあるみたいですが、ぜひPMDAの中につくっていただいて、新しい知見のパラダイム構築というのか、これは日本から世界に発信する内容が当然含まれてくると私は思うのですが、それをナショセンなどと一緒にやる。人材交流にも絡むと思うのですが、そういう形をぜひつくっていただけるとありがたいと思います。リアルワールド、リアルワールドと言いながら、なかなか創薬にどうやって使ったらいいのだというところは、ちょっと距離があるのですね。そこはナショセンも交えて研究の拠点みたいなものをぜひつくっていただけるといいなと思っているのです。

○医薬品医療機器総合機構(新井)
 現在でもクリニカル・イノベーション・ネットワーク等で、そういう活動もしていますし、今後、患者レジストリ等のデータも含めたMID-NETのような大きな情報データが自分のところにあるというのは最大限利用して、先生のおっしゃるような方向も考えていきたいと思います。

○医薬品医療機器総合機構(佐藤)
 ちょっと1点補足をさせていただきますけれども、ナショナルセンターを中心にCINのネットワークをつくっていただいていまして、まさに神経疾患を含めてレアディジーズに対して、例えばレジストリを、臨床試験をするときのコントロールアームに使えるようにするとか、そういう取り組みをPMDAのレギュラトリーサイエンスセンターとナショセンとの間でやっているところでございまして、それがきちんとできるようになっていくというのは、臨床開発にとっても非常に効果があることですし、そこを目指していきたいということで、もう既にナショセンとの共同をそういう意味では始めているところでございます。

○永井座長
 相澤構成員。

○相澤構成員
 先ほどからデータシェアリングの問題が出ています。これには、2つ課題があって、1つは技術的な問題です。コンピューターのソフトウエアは非常に繊細でして、データがあるのだからそれは共有できるかというと、そう簡単にはいかないという問題があります。もう一つは、先ほど末松先生が指摘された制度的な問題です。オプトアウトにどうやってするかという法制度的な問題です。この2つの課題を解決しないと、データシェアリングはうまくいかないのではないかと思います。

○永井座長 
 ほかにいかがでしょうか。
 先ほど議論になったMID-NETになぜナショセンが入っていないかということなのですが、実際、担当した方に聞くと、かなり大変な作業だったようですね。そういう意味では、医療情報に従事するマンパワーの余裕がないと、なかなかMID-NETに参加するのは難しいということのように思うのですが、いかがでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構(新井)
 確かに今、まさにこちらで話されたように、統一化するというのは、そんなに口で言うほど簡単ではないというのが実態のところなのですけれども、ただ、だんだん問題点とかも経験を積むごとに整理されて、もちろん問題はまだ発生していますけれども、昔といいますか、以前に比べては大分問題点も整理されてきていて、そこはもう少し以前と同じというようには思っていただかなくて、期待していただきたい。少し人、マンパワーは必要ですけれども、そのように我々は思っています。ぜひ参加していただきたいなと。

○永井座長
 よろしいでしょうか。
 それでは、どうもありがとうございました。
 続きまして、日本製薬工業協会からお願いいたします。

○中山構成員
 製薬協の中山でございます。今から、製薬協の立場でナショセンに期待することを申し上げたいと思います。
 最初は私のほうから全体感やスタンスを申し上げて、各論は左におります医薬品評価委員会委員長の国忠から説明させていただきます。
(PP)
 製薬協のメンバーにとりましては、やはり新薬をつくるというのが何よりのミッションでございまして、新薬を生み出すイノベーションなくしては、我々は存在価値がないと思っていますので、患者さんを救うためのイノベーションを起こしていく上で、アカデミアも必要ですけれども、ナショセンを含む研究機関、医療機関との連携はもちろん不可欠になっております。
 今まで製薬協では、例えば生物統計家育成事業などは、研究開発のための人材育成としてAMEDと一緒に共同事業をさせていただきました。特にナショセンでは多くの機能があると思っていますので、新たな治療法の創生あるいは有効性、安全性等をどう評価するかということの研究、特にクリニカル・イノベーション・ネットワークやレジストリ、バイオバンクなどの研究基盤の整備について、特にMID-NETの活用、リアルワールドデータの活用、トランスレーショナルリサーチやリバーストランスレーショナルリサーチ、この辺は特にナショセンとAMED、PMDAが連携して一緒になってやっていただくということを大いに期待しているところでございます。
 各論は国忠から説明します。

○日本製薬工業協会(国忠)
 医薬品評価委員会の国忠と申します。私からは製薬企業からナショセンへの期待ということで、数枚のスライドを使って御説明したいと思います。
(PP)
 このページは割と大きな考えかたを記載しておりますが、ナショナルセンターの役割あるいは理念は国民の健康の維持にとって重要であるということについては全く同意しておりまして、以下の5つのポイントからナショナルセンターはしっかりと運営していっていただきたいと常々思っております。
 1つ目は研究の最大化を主たる業務とする国立研究開発法人であるということ。2番目に、疾患領域ごとに高度専門的な医療機関と研究所、ですから、病院と研究所が一体となっているという点で、大学にはありますけれども、ほかの医療機関にはない特徴を有するということ。それから、時代とともにいろいろ疾病構造等も変わってまいりますので、やはり製薬会社としては、今、ほとんどの会社ががんに特化したような状態にはありますけれども、かつての生活習慣病あるいは感染症、そういうものは必ずどこかでしっかりとやっていかなくてはいけない領域だと思っておりますので、6ナショセンがそれぞれの専門性を国内で持っているということは不可欠であろうと思っております。
 そういう意味でも、持続可能と書いてありますけれども、サステーナビリティーという言葉でしょうか、国立の研究開発法人として重要疾患の診療・研究を両輪とするナショセンが存在すること自体に大きな意義があると考えております。
 もっと言うと、各領域の専門病院としての最後の砦といいますか、どうしようもなくなった場合にそこへ駆け込めば何とかしてくれるのではないかという期待を国民は持っているという面で、ナショナルセンターの意義は大きいものだと思っております。
(PP)
 実際に製薬企業からナショセンへの期待ということで、ここには2つ書かせていただきました。クリニカル・イノベーション・ネットワークの活用・強化ということで、ナショナルセンターの現在動いている活動をうまく私たちの創薬活動にも生かせないかと常に考えております。革新的医療・治療薬の創生のためにCINは絶対に必須でありますし、先ほど祖父江先生の御質問に対する議論の中で既に出ていましたけれども、CINとMID-NETの融合による新薬の臨床開発が、私たちが今、一番期待しているところでございまして、実際にどうやったらそれができるのかよくわかりません。
 先ほど花井さんから御質問があった、ナショセンがMID-NETに参加する必要は、必ずしもないのではないかと私は思っております。むしろ現在ある二十数施設の非常に質の高いデータをそろえられているPMDAのMID-NETを使いながら、ナショセンがクリニカル・イノベーション・ネットワークを中心になって動いている、どうやったらいいかわからないのでお願いしたいところなのですが、それをうまく組み合わせることによって、新しい治療薬、革新的医薬品の創生に使えるのであれば、これはすごい武器になっていくのだろうと期待しております。
 もう一つは、これも既に出てきているお話ですけれども、疾患レジストリをしっかり構築していただけることで、リアルワールドデータを実際のリアルワールドエビデンスに進化させていくということも可能なのだろうと思います。Trial Ready Cohortと書いてありますけれども、精神・神経系の難病でありますとか成育の小児の難病、そういう患者さんのコホートが既に存在するということで、そのコホートを使って将来的に何か治療薬の開発の過程で種が出てきたときに、シングルアームのトライアルも可能になるような状態になっているということが、こういう実際のレジストリを使う上でも生かせるのではないかと思っております。
(PP)
 次のページはちょっと細かい話になりますけれども、実際に私たちからの要望として、領域の専門性を最大限に発揮した日本の医薬品研究開発を推進するとき、ナショナルセンターの中で研究を実施する推進体制として、ここに3つ書いてあります専門領域の研究立案、取りまとめ、あるいは疾患レジストリ構築、専門領域に特化した診断技術、個別化医療の進展などを進めていただけないかということ。
 2つ目の大きなところで、国内の専門領域医療機関の研究協力体制として、セントラルIRBなど、専門性を生かした研究をナショセンが中心になって動かしていただければ大変ありがたいと思っておりますし、治験ネットワーク等、稀少疾患に対しても貢献できる協力体制を組んでいただけるのではないかと思っております。
 さらに、将来に向けた、研究推進バックアップ体制として、専門性を生かした関連医療機関への教育でありますとか、疾患特異性のある領域での同意説明文書・評価スケールなどの開発でありますとか、こういうことをやっていただけるのではないかと期待しております。これは少し、開発の実務者から集めた意見をまとめたものです。
(PP)
 製薬協で研究を担当する幹部からは、バイオバンク情報からプレシジョン・メディシンへつないでいっていただける中核になるのがナショナルセンターであり、先ほど中山からもありましたトランスレーショナルリサーチ、あるいはリバーストランスレーショナルリサーチを動かす日本の中核となっていただけるのではないかと思っております。ちょっと勝手な希望を書かせていただいているのは、疾患コホート統合データベース(仮称)です。この様なものをもし6つのナショセンが連携して構築していただければ、疾病の病態解明でありますとか治療・予防法の開発あるいはレジストリ、臨床情報などについて産業界も利用できる疾患コホート研究ができるのではないかと考えておりまして、そういうこともナショナルセンターでやっていただきたいと思っております。
(PP)
 少し具体的に各ナショナルセンターに対する要望を分けて書いてみました。
 まず、1つ目が国際医療研究センターですけれども、やはりここでは、感染症の専門性の維持拡充、あるいは耐性菌に対する対応などをやっていただきたいのはもちろん、将来パンデミックが起こったときに即応できる医療体制の整備、研究レベルの維持をやっていただきたいと思っております。
 循環器病センターでは、今、聞くところによりますと、企業からの治験も余り来ないし、臨床研究も余り来ず、むしろ医療機器のほうが進んでいるようなことも聞きますが、決してそうではなくて、やはりまだ解明されていない、解決されていないアンメットメディカルニーズとして、心不全へのニーズは絶対あるはずですから、そこでの革新的な治療法の開発あるいは治療薬の開発などに先導を切っていただきたいと思っています。先ほど中山からもありましたように、AMEDのプロジェクトに製薬協も参加して、生物統計家の育成事業ということをやっておりますけれども、生物統計家育成事業は京都大学が講座を持っていますが、実際にオンザジョブトレーニングをする場所としては、京都大学の附属病院と循環器病センターの2つが挙げられております。ですから、そこで分担機関Aとしてのプログラムを充実していただきたいと考えております。
 長寿医療センターについては、先ほど末松先生のお話にもありましたアルツハイマーの前臨床状態のコホートを構築する牽引力になっていただけないかと思っています。長寿医療センターが中心となって、認知症に関する精神・神経医療研究センターあるいは国際医療研究センターの国府台病院、そういうものを束ねて、ナショセンだけでもしっかりと束ねられると思いますし、さらにそれが全国的に発展すれば、日本としてコホートができてくるわけでございますので、そういうことをやっていただけないかと思っております。
(PP)
 成育医療センターに関しては、やはり小児稀少疾患/難病の診断・治療の中核になっていただくのはもちろんなのですけれども、成育医療センターが小児科学会を巻き込んで、小児用医薬品開発の産官学連携を進めようとしています。これについては、製薬協もできるだけ協力しようという気持ちはあるものの、産業界は小児の医薬品の開発は経済的な面でなかなか手を出しにくいところもあるのですけれども、必要性については十分わかっております。手を出しにくいというのは、経済的に出しにくいのと、実際に試験を運営できない、つまり患者さんをリクルートできないという面でも手を出しにくいのですが、そこは成育医療センターと小児科学会がタイになって、患者さんを集めてくれるという非常にいい状況にありますから、そことうまく我々は組んでいきたいと思っております。
 精神・神経医療センターでは、神経難病患者のパネルの整備、先ほどもありましたTrial Ready Cohortを構築していただく。実際にREMUDYなどではデュシェンヌ型の筋ジストロフィーの患者さんを登録されている。私たちも使わせていただいているという実績も既にありますので、そういうプロジェクトを多くやっていただきたいと思っております。
 がんセンターについては、SCRUM-Japan、MASTER-KEYというプロジェクトに製薬会社も既に参加させていただいております。これのさらなる充実と、やはりここも生物統計家育成事業、東京大学にある講座のOJT病院が東京大学附属病院とがんセンターでありますので、ここでも分担機関Aとしてのプログラムを充実して、生物統計家を毎年各大学から10人ずつ出していただきたいと考えております。
(PP)
 以上が大体私たち製薬業界からの期待ということで、まとめといたしまして、6つのナショナルセンターが独立を維持しながら、全体として医療・創薬エコシステムを構築していただけることを期待します。それに対して、製薬業界も積極的に協力していきたいと考えております。
 以上でございます。ありがとうございます。

○永井座長
 ありがとうございました。
 いかがでしょうか。
 どうぞ、山口育子構成員。

○山口(育)構成員
 どうもありがとうございました。2つ質問がございます。
 まず、1つはMID-NETにナショナルセンターが入る必要はないのではないかと思っているとおっしゃったのですけれども、その理由がちょっとよくわからなかったので、具体的にもう少し教えていただきたいということ。もう一つが、6ページの2番目の提案の中に、セントラルIRBのことが書いてあるのですけれども、IRBも、倫理審査委員会も乱立していて、数が多過ぎてということに私は問題を感じて、整理をしないといけないのではないかと思っているのですが、ここでセントラルIRB制度などというのは、具体的にナショナルセンターがどのような役割を担ったらいいと思い描いていらっしゃるのか。具体的に教えていただけますでしょうか。

○日本製薬工業協会(国忠)
 ありがとうございます。MID-NETにナショセンが入る必要がないと言ったのは、ちょっと勝手な言い方かもしれませんけれども、MID-NETは、26病院でしたか、そこで物すごく信頼性の高いデータをつくるために非常に大変な努力をされたと聞いております。最初、私は何故たったの二十数病院なのか、もっと全国規模に広げればいい、地域のクリニックなども入れたらいいのではないかと思っておりましたが、実際、そういうところのデータを入れると雑音が多く入ってしまい、せっかくきれいなデータをそろえているのに邪魔になる可能性があります。そのためにナショセンがさらに努力をしなくてはいけないというのは、ちょっと気の毒なのかなと思って、入る必要はないのではないかと申し上げました。別の観点で、クリニカルイノベーションネットワークを推進するような方向への努力のほうが重要なのではないかと思って言った次第でございます。
 セントラルIRBについては、おっしゃるとおり乱立している、あるいは臨床研究法が通ってさらにたくさんできなくてはいけなくなっているのはわかるのです。臨床研究法を出すと、セントラルIRB化は割と自由といいますか、やりやすい状況にあると思うのですけれども、治験の場合にセントラルIRBを使ってはだめとはどこにも書いてありませんし、使えばいいのですが、なかなかそれがうまく進まないのですね。それを進むモデルとしてナショセンがネットワークの中心になっていただけないかと考えて書いた次第でございます。

○山口(育)構成員
 わかりました。ありがとうございます。

○永井座長
 今のMID-NETですけれども、もしナショセンの足腰が弱いがために参加できないということであれば、私は問題だと思うのです。私は決して必要がないことはないと思います。それは最先端の治療をしているわけですから、そこの副作用を把握するということは非常に重要だと思うのですが。むしろ私の懸念は、ナショセンのそうした体制がまだとれなくて、参加したくてもできないという面がないだろうかという、その視点はいつも持っている必要があると思います。
 それと、いろいろとナショセンへの期待をお書きいただいて、これは非常に大事なことだと思うのですが、そうであれば、製薬業界がナショセンと一緒にどうしてなさらないのかと思います。外部資金はもっとナショセンも欲しいはずです。いろいろな事情があると思うのですが、逆に足腰が弱くて、お金を出してもしようがないと思っておられるのかどうかです。期待はいっぱいあって、協力したいとも書いてあるのですが、まだ協力していないということですね。その辺はどうなのでしょうか。

○日本製薬工業協会(国忠)
 実際には、SCRUM-Japanでありますと、がん研のプロジェクトには多くの企業が参加しておりますし、かつては循環器病センターあるいは感染症センターのプロジェクトにもいろいろ参加していました。もちろん今も参加している部分はありますけれども、決して単に期待しているだけで一緒に入っていないというわけではございません。

○永井座長
 ですから、参加するプロジェクトとしないプロジェクトを製薬協としては見ておられるのだと思うのです。それは何が合格で何が物足りないのか、そこはやはりストレートにおっしゃっていただいて改善を求め、また、必要であれば御支援もしていただくという、お互いウイン・ウインの関係をどうやってつくるかということがより大事だと思いますが、いかがでしょうか。

○日本製薬工業協会(国忠)
 前回のこの場でも、ナショナルセンターの評価するポイントは治験の数とかそういうものではないという議論があったと思います。そういう意味で、ナショナルセンターは治験を中心に動かしてくれているわけではないというのが1つあると思うのです。ですから、製薬業界の入りがちょっと悪いというのはあると思います。
 ただし、クリニカル・イノベーション・ネットワークをこれからぐいぐいと動かしていくような状況になれば、私たちもそこにはぜひ参加しなくては、企業としてもお金がなくなってきているわけなので、そういう意味では、ナショセンにCINをしっかり動かして、それに入っていきたいとは考えています。

○永井座長
 やはり製薬業界にとって、何が魅力的なのかということが大事だと思います。実際、製薬業界で企業が、外国の大学にはたくさん支援していて、ナショセンにはしていない、そういうケースがたくさんあると思うのですね。そこでナショセンに何を求めるか、どのように機能を上げてほしいのか、そういう話し合いはなさったほうがよろしいように思いますけれども、いかがでしょうか。

○中山構成員
 企業側として申し上げますと、本日はナショセンの議論なのですけれども、企業が意思決定を行う上では世界で見ておりまして、その比較では、圧倒的にアメリカの医療施設が治験の受け入れ体制は進んでいます。アメリカと比較すると日本は劣後している部分が随分あり、そこをぜひ底上げしていただかないと本格的に日本に来ないと思います。例えばアメリカでがんのデータ収集・分析を行う場合、単に患者の治療中のデータだけではなく、患者が回復してからのデータまできちんと揃えている施設があります。その様な施設とコラボレーションするともっと新たな知見を効率的に入手できます。全体的な治験体制という意味では、日本はコストもかなり高いということも含めて検討していかないといけないのではないかと思います。ですから、ナショセンだけがどうという問題ではなく、全体のベースを上げていかないと、ここから先、活発な治験は難しいのではないかというのが率直な印象です。

○永井座長
 ですから、きょうのスライドの最後のまとめですが、独立を維持しながら期待し、協力したいというのは、率直な意見として、私はちょっとずれているように思うのです。

○中山構成員
 なるほど。期待の中に多く込め過ぎていました。

○永井座長
 やはりそこはストレートにおっしゃっていただいたほうが、日本全体のためになると思います。いかがでしょうか。

○山口(俊)構成員
 日本製薬工業協会と書いてありますけれども、会員の中には外資系の会社もたくさんありますね。今、おっしゃったことにちょっと関連するのですが、ここで希望されていることは、グローバルな視点からの希望なのか、あるいはオールジャパンとしての希望なのか、どちらなのですか。

○中山構成員
 オールジャパンという意識は持っておらず、特に日本で研究開発を行おうとしている会社の意見としてお考えいただけたらと思います。我々も他の企業も、日本で研究開発を行い、患者さんに新薬を早く届けたいと思っていますが、日本の治験環境・市場環境が余りにも劣後すると海外での治験が先行するというのが現実だと思います。資料にエコシステムと書きましたが、日本での薬価がどんどん切り下がっていく状況ですから国のシステムも絡んだエコシステムが構築され、創薬環境が向上しないと開発のモチベーションは保てないと思います。アメリカと比べるとエコシステムが弱いと思っていますので、そこの一環として、例えばナショセンは非常にポテンシャルがあると思っております。単に治験だけで比較すると弱い点が随分あるので、それは個別に必要であれば申し上げていきたいと思っています。

○山口(俊)構成員
 オールジャパンという言葉が好きな方もいますけれども、私もオールジャパンでは研究開発がなかなか進まないという現状があると思うのです。今回はグローバルな視点からのアドバイスと理解してよろしいですか。

○中山構成員
 そのつもりで申し上げています。

○永井座長
 どうぞ。

○祖父江座長代理
 どうもありがとうございました。今の議論をお聞きしていると、先ほど海外のほうがはるかにレベルは高くていろいろなものがそろっていて、非常にストレートフォワードに治験が進むというお話だったと思うのですけれども、先回もちょっと議論になったのですが、日本でいいシーズができても、実装的なフェーズになると、どうしても海外へ行ってしまうというのは、今の点はやはりあるのかと思います。しかしこれをこのまま海外に頼って、このままずっとやっていいかという疑問もあるのですね。製薬メーカーとしては、恐らく海外に打って出ないと、存続自体が危ないとかいろいろなことがあるのだと思うのですが、そこをナショセンと組んで何かできないかというところを、将来に向けては考えていただけるとありがたいと思います。先ほどの議論に戻りますけれどもね。
 私が先ほどお聞きしていた、臨床データとか患者のデータとか、生体試料などを企業と例えばナショセンがシェアしていくというのは非常に重要なミッションだと思うのですけれども、やはりベースになるのは、ひょっとすると、私は人事交流かなと思っているのです。製薬のほうから人がきて、かつ、またナショセンのほうからも製薬と一緒に人事が動くというのが非常に重要かなと思っているのです。余りそういうことは聞かないのですが、その辺はどうお考えなのでしょうか。

○中山構成員
 まず、なぜ日本のアセットが特にアメリカで開花するのかというと、新薬の開発のシーズがどこで生まれたかを比較しますと、アメリカの場合は6割が大企業の外、つまりベンチャーなのです。それだけエコシステムが進んでおり、エコシステムというのは単にベンチャーだけではなくて、ベンチャーに付いてくるエンジェルファンドや評価者を含めたシステムが非常に出来上がっているのです。アメリカは、医療は投資分野であって、日欧の様にコストセンターではないというのが大きな違いだと思います。その裏返しとして、アメリカでは人口の15%位は保険に入っておらず、恩恵を受けられない面もある厳しい社会です。ですから、アメリカを全部真似しようと思わないほうがいいと思っています。
 私が特に期待していますのは、この様な状況でも日本がアメリカに伍して良いアセットが多く日本で開発されるには、最大のポイントはデータベースだと思っています。遺伝的に均質性の高い日本人でしっかりとしたデータベースがゲノムを含めて出来ていけば非常に大きな力になります。ナショセンだけではないのですが、ナショセンも含めて統一され、しかも確立された医療IDによるデータベース、できれば患者さんだけではなく健常人あるいは回復段階以降のデータまで入っていれば非常に大きなパワーになるので、私としてはそこが一番期待しているところです。

○永井座長
 いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、どうもありがとうございました。
 最後に、日本医療機器産業連合会からお願いいたします。

○渡部構成員
 医療機器産業連合会から、ナショセンの今後のあり方、期待ということで、医療機器産業の立場から御説明をさせていただきます。
(PP)
 まず、ナショセンは高度専門医療センターということで、日本を研究、医療、人材育成ということでリードしておられるわけでありますけれども、今後、医療機器産業として期待していることを3つということで、1つはグローバルなプレゼンスを一緒に上げていきたいということ。それから、新しいイノベーション、データであったりデジタル技術はしっかりと拾っていくということ。これによってよりよい医療をつくっていくということ。ナショセンの経営基盤あるいは研究基盤のより一体的な運営によってシナジーを出していくということを期待しております。
 そういった中で、きょうは2つのポイントに絞って御説明をさせていただきたいのですけれども、1番目はデータが新たなイノベーションを牽引していく時代だということで、そういった中で、これをどう実現するかということで、6NCのデータ基盤あるいはITガバナンスのあり方。2つ目がグローバル優位な医療機器開発とイノベーション創出に向けて医工連携がどうあるべきか。この2つについてきょうはお話しさせていただきたいと思います。
(PP)
 まず、最初のデータ基盤・ITガバナンスのあり方でございます
(PP)
 ここまでの検討会での議論あるいはきょうの議論の中で、データが新しいイノベーションをつくっていくということは皆さんの共通認識であるということで、この期待は非常に多様なものがある。レジストリであったり、あるいはナショセン間で患者情報を共有して、医療分野の拠点として日本全体をリードしていく、グローバルな中に入っていく、あるいは臨床と研究をあわせて横断的なデータをつくっていくということであります。
 この中で、次はこれをどのように実現していくのがいいのかということでありまして、それに対してもう少し6ナショナルセンターのデータ基盤・ITガバナンスを一体化するということを少しお話しさせていただきたいと思います。
(PP)
 こういったデータ基盤・ITガバナンスが統合される、あるいは一体化されるというときに、非常にいろいろなレイヤーがありまして、ITシステムだとかデータシステムが一体化される、統合されるというソフトウエアであったりハードウエアのレイヤーがありますけれども、それに加えていろいろなプロセス、研究のプロセスであったり業務のプロセスであったり、あるいは質の高いデータ基盤をつくっていくということが必要だと思っております。
 下に絵がありますけれども、例えばデータフォーマットを標準化していく、インフォームド・コンセントの取得、匿名化の手順、情報提供のポリシーであったり名寄せであったり、外部との連携というようなところでございます。
 今、サイバーセキュリティーが非常に大事な課題になっていまして、日本は少しおくれているという認識のもとでこういったものへの対応、それから、新しい人材ということで、データサイエンティストであったりバイオインフォマティシャンであったり、そこの人材を確保する、育成する、プール化をしていくということ。ITコスト全体を下げていくことによって、ナショセンの経営の改善を図っていく。こんな視点があるのだというように捉えてございます。
(PP)
 こういった中で、先行事例ということで、これは国立病院機構の例でもう皆さん御承知のことかと思いますけれども、組織ガバナンスとして本部があるということで、その中に情報システム統括部が国立病院のいろいろな情報システムについてはリードをしているという形になってございます。ですから、ナショセンと比較すると6つのナショセンがそれぞれ独立してあるというところに加えて、統括のファンクションが明示的にあるというところであります。
 こういった中で、2016年からNCDAということで、診療情報の基盤を整備していこうということが始まっておりまして、今、41病院がこれに入っていると理解をしております。右にあるように、いろいろなカルテの情報を、これはSS-MIX経由で集めたり、あるいは診療情報DBであったり、レセプトであったりということで、これを活用していくということが進んでいるということであります。ですから、ガバナンスを一体化して、実際のシステムは個別にやっていくという形になっているということであります。
(PP)
 もう一つの例が、民間の病院でありますけれども、これも63の病院がある病院グループでありますが、2010年から組織を1つにして、実際のカルテのシステムなども一体化する。そこのデータについても標準化をしているという大変強いガバナンスを効かせているという例であります。この会社の例は、グループの中にIT会社を持っていて、かなりのことを自分でやっていけるという形になっておりますし、結果として7年間で1000万人のデータを集積しているということで、疫学統計の分析であったり、あるいは一人一人の個別のデータを活用していく、治験の絞り込みができる、MID-NETに情報提供をしていくという形になっております。さらに、次のステップで、人材育成ということで、データサイエンティストを育てていこうだとか、あるいは新しいデータ構造をつくっていこうということで、大変意欲的に取り組んでおられるということでありまして、こういった先行事例があるということが1つの示唆ではないかと思っております。
(PP)
 先ほど議論がありましたが、データを統合するというのはみんなやりたいのだけれども実際にやるのは大変だということで、これは本当に大変です。私ども日立グループの経験ということでお話をしますと、2010年より前は約1000社があって、それぞればらばらのITを使っていた。ばらばらのデータがあったということでありましたけれども、5年間をかけて世界中のITを統合したということであります。ですから、かかったお金も100億以上のお金をかけて、相当のリソースをかけないとやれないことでありますが、その結果としては、グローバルな経営環境に対応できる基盤ができたのではないかと思っております。
 例えばどんなことができるようになったかといいますと、今、30万人の従業員がいるのですけれども、そこの人材が全て見える化をしていって、積極的に活用していけるだとか、今、5兆円ぐらいの物の調達をやっていますけれども、その中の4兆円ぐらいは共通だということで集中的に購買するだとか、随分経営の質が改善したということでありまして、本当にこういうことをやろうと思ったら、それなりの覚悟を持ってやらないとできないということでありますが、それなりの効果、リターンはあると捉えています。
(PP)
 こういった形ができたときに、データ利活用は皆様から、いろいろな側面、またがり研究であったり安全性の向上であったり経営改善であったり、あるいは行政へのデータであったり、産業界で活用していくと、いろいろな形の基盤ができ上がるのだと思っております。それから、これからは難病であったり未診断の症例データ、レジストリを集めていくだとか、新しいテーマにも取り組んでいきやすい基盤になっていくということで、こういったデータ利活用の基盤ということで、大きな前進になるのではないかと捉えています。
(PP)
 もう一つの論点として、グローバル優位な医療機器開発とイノベーション創出に向けた医工連携のあり方ということでお話しさせていただきたいと思います。
(PP)
 10ページでございますけれども、今までの議論ということで、各NCそれぞれ医療機器に関しても医工連携の仕組みをつくって、診療領域の特徴を生かしたテーマに取り組んでおられるということで、世界最先端の医療機器開発あるいは新興国ニーズへ対応していく、もう少し現場のニーズを拾っていくというオープンイノベーションに取り組んでおられるということであります。確実に医療スタッフが起点になって開発や治験をしていこうという意識は高まっていると思っておりますが、一方で、産業全体としては輸入超過だということで、もっと世界をリードするものをつくっていきたいということであります。そういった視点で、産業界とNCの連携であったり、NC共通の基盤を要望するということでのお話をしたいと思います。
(PP)
 このページは、各ナショセンの中で取り組んでおられる医工連携の仕組み、あるいはそこから出てきている成果ということで、詳細については省略をさせていただきます。
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 この活性化ということで、研究費の拠出ということで、先ほど永井先生からお話がありましたけれども、2016年度で言えば、全体343億円の研究費の中で、22億円が企業から出ている。この中の9割ががん研究センターに向かっている。これは薬と機器を合わせた分解をしていないのですけれども、恐らく薬のほうが、製薬のほうが多いのではないかと推測しています。現状、企業の側から見てみますと、ナショセンというものも一緒に研究をしていく相手ではありますけれども、研究のパートナーという意味では多様化をしているということ、グローバルな連携も非常に多いということであります。
 22億が多い、少ないというのはわからないのですけれども、今後はこれをもう少し活性化していくということで、幾つか大手企業の意見をヒアリングいたしております。まず、A社の例ですと、研究領域、診断でありますが、日本が世界トップにあると。産業としても非常にシェアが高いということで、ナショセンの中にラボをつくってやってきているということで、連携をしていきたいというような意見でございます。
 B社は対照的でありまして、かなりの開発をアメリカにシフトしているということ。そういった中で、ナショセンとは製品の評価であったり改良だとか、そういったところを一緒にやっているということ。
 C社については、これから医療機器はどんどんソリューション化をしていくということで、単独ではなくなってくるわけでありまして、ぜひ臨床起点での課題探索をやられればいいというような意見を持っているということであります。
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 もう一つが、イノベーションのエコシステムということで、中核としての役割をナショセンには期待しているわけでありますけれども、やはりアメリカのトップ病院の活動は先を行っているのではないかと思っております。下にCleveland ClinicだとかMayo Clinicの取り組みの事例がありますけれども、メディカルイノベーションサミットを非常に大規模に開催しているということで、いろいろなイノベーションの種を積極的に出していく。それから、病院側はそれを拾っていって、事業化の支援をしていく。そんな仕組みができ上がっているということであります。
 これに参加している日本の企業は非常に数が少なくて、ハードルが高いということでありまして、こういったことも含めてナショセンが少し、中長期の課題ではありますけれども、日本のイノベーションエコシステムの中核になっていただくということを期待してございます。
(PP)
 次のポイントが、研究推進・支援基盤のあり方ということで、皆様から不足感があるということでお話がございますけれども、少しデータを整理してみますと、全部を足し合わせるとかなりの人がいるのではないかというように見えます。これは2行ありまして、ナショセンの6センターを合わせた数字、東大を比較対照としてやってございますけれども、リサーチアシスタントの数などで言いますと、全部合わせるとそれなりの人数がいるのではないかということでありまして、もう少しこういったところでは一緒になってやっていくと効率化ができる。IRBなども同じようにやっていけるのだろうということで、企業からも非常にアクセスをしやすくなると思っております。
 以上、2つのポイント、データシェアリングの話と医工連携ということで御説明させていただきました。

○永井座長
 どうもありがとうございました。
 それでは、御質問をお願いいたします。
 先ほどのMID-NETの話ですが、ある民間病院グループとしては、相当人材あるいは予算を投入して情報基盤をつくっているということなのでしょうか。それがなかなかナショセンでは難しいとお聞きしたのですが、そういう解釈でよろしいでしょうか。

○渡部構成員
 ナショセンでは、まず、民間で言うとそれなりの投資はしている。IT会社ということで、数十人のIT人材を抱えているということで、ナショセンでもそういったリソースの確保というのですか、それなりの人をかけてやる必要があると思っております。

○永井座長
 それができてくると、業界としても魅力のあるナショセンになり得るということでしょうか。

○渡部構成員
 そういうことによってデータの基盤ができる。質の高いデータが共有されていく。それの活用について、研究レベルと産業界がかかわるレベルはいろいろなハードルがあるわけですが、そういった問題についても前に進みやすくなる。ベースができるというふうに捉えています。

○永井座長
 いかがでしょうか。それで全部解決するわけではないのでしょうけれども、先ほどからお話が出ている研究のエコシステムという中で、情報基盤ということがかなり重要であるということでよろしいでしょうか。
 あと、22億円が6ナショセン全体での企業出資の共同研究費であるということですが、9割はがん研究センターで、1割が5つのナショセンに渡っているということですが、そんなに魅力がないのか。なぜそうなのか、何かお考えはおありでしょうか。

○渡部構成員
 1つは研究、我々企業の側からしていくと、グローバルにリードしていく形にしていきたいということで、それぞれの分野の研究の位置づけは一つあるのと、やはりこれまでがんというのは非常に大きなテーマでかなりのお金が向かっていたという背景があって、これからもう少し課題がいろいろとありますので、変わっていくのかなと思っています。

○永井座長
 どうぞ。

○門田構成員
 きょう、全体のお話を伺っていて、皆さんはデータにしろ、いろいろな情報にしろ統合という方向のお話の重要性をおっしゃっておられます。7ページに書いておられるように、2010年から2015年、わずか5年の間で全世界のITサービスを、こういう状況まで統合された日立グループの立場から見て、6つのナショセンが、またさらにそれを広げていったネットワーク化などとあると思いますが、それを進めていくことを考えていくとするならば、企業側から見れば、これは大したことはないというような感じで見られるのかどうなのか。一般企業の立場からしたらどうなのですか。

○渡部構成員
 データの統合は、量の問題、規模の問題もありますけれども、質的な難しさがあります。ですから、そういったところが技術で解決できる部分もありますし、あるそれなりのリソース、お金で、開発費であったり、人材であったり、そういうものをかけないとできないというところがありますので、それが前提になるということで、例えば行動を統一するというのも実は大変で、同じ部品でも1,000社が全然違うコードをつけていて、ばかみたいな仕事なのですが、物すごい時間がかかるのですね。ですから、非常に地道な泥臭い部分がありますけれども、それはやったらやっただけの価値というかリターン、成果があるのではないかと思っています。

○永井座長
 どうぞ。

○中山構成員
 業界は少し違いますが、私から見て大きな違いは、日立グループの場合はトップが命令を出して皆が従ったという点です。指揮命令系統やマネジメントのスタイルが異なるナショセンでこれをやるのは大変かと思います。そういう意味では、政策や経営方針、それぞれのナショセンの活動のリソース配分までを含めた統合、協調をどこかでやっておかないと、最終的に結果が出るように何かをやるというのはかなり難しいのではないかと思うのです。

○永井座長
 そうしますと、先ほどの製薬協のまとめの独立を維持しながら指揮命令系統を一本化するというのは、具体的にはどういうことが可能でしょうか。

○中山構成員
 そこまではわかりかねますが、ただ、独立した法人として特徴を生かすというのは非常に大事ですし、もし今からゼロベースでやり直すのならまたやり方は違うでしょうけれども、せっかく今までの歴史と伝統があるので、何とかそれぞれの機関がある特定の方向についてはがちっと手を握って揺るがないようにする、例えばデータベースならデータベースで統一した考えのもとでしっかり予算配分を行い構築していくのだということが重要だと思います。予算の出元が違う可能性があるので余り乱暴なことは言えませんが、そこに踏み込まないとなかなか難しいだろうというのが率直な気持ちで、単なるテクニカルな問題というよりは、背後にそういうリソース配分の方針の様なものが必要ではないかと思うのです。それは人も含めてです。

○渡部構成員
 やはり1つは、CIOという6つのナショセンの中で、チーフインフォメーションオフィサーであったりデータオフィサーであったり、ある意味しっかりとグリップできる人がいる、あるいはスタッフがいるという、割と緩やかにリードしていくというのは考えやすいステップではないかと思います。

○永井座長
 どうぞ。

○門田構成員
 これはわずか5年、先ほどの話では5年でしたけれども、今、我々がディスカッションしているのは10年、20年あるいは50年先までどうやっていくかという方向性を見ていっているとするならば、大変だということを幾ら言っていても仕方なくて、そちらの方向に向かうのであれば、そういう方向のある決断が必要なのだろうと。要するに、簡単にできるかどうかは別として、そのような方向性を示す必要があるのではないでしょうか。

○渡部構成員
 ですから、これまでの議論の中で、皆さんの中で重要性だとかありたい姿というのは、非常にあるわけで、それをどう実現するかというところの中で、我々の、私どもの経験が一つの参考になればと思っています。

○永井座長
 いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、どうもありがとうございました。
 ほぼ予定の終了時刻になりましたので、本日はここまでといたしたいと思いますが、やはりデータの統合、それを通じた研究エコシステムあるいは指揮命令系統、こういうところが今後、さらに検討が必要のように感じました。
 次回以降につきましては、事務局からまた連絡等をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○太田医療・研究開発独立行政法人管理室長補佐
 次回の会議につきましては、10月26日金曜日の13時半から開催する予定となっております。場所は今回と同じ厚生労働省専用会議室22会議室になります。

○永井座長
 ありがとうございました。
 では、以上をもちまして第6回「国立高度専門医療研究センターの今後の在り方検討会」を終了いたします。どうもありがとうございました