2018年9月13日 指定難病患者データ及び小児慢性特定疾患児童等データの提供に関する有識者会議(第1回) 議事録

日時

平成30年9月13日(木)10:00~12:00

場所

労働委員会会館講堂(7階)

議事

 
○田中課長補佐 それでは、定刻となりましたので、ただいまから第1回「指定難病患者データ及び小児慢性特定疾病児童等データの提供に関する有識者会議」を開会いたします。
委員の皆様におかれましては、お忙しい中、お集まりをいただきまして、まことにありがとうございます。
本有識者会議開催に際し、宇都宮健康局長より御挨拶申し上げます。それでは、お願いいたします。
○宇都宮健康局長 皆さん、おはようございます。7月31日付で健康局長に着任いたしました宇都宮と申します。よろしくお願いいたします。
本日は、大変お忙しい中、お集まりいただきまして、まことにありがとうございます。また、日ごろより健康行政の推進に御協力いただいておりますことをこの場をおかりしまして厚く御礼申し上げます。
さて、実は私は健康局の仕事をするのは17年ぶりでございまして、その前、若いときに難病も担当したことがありますが、そのときから数えると22年ぶりということになります。その間に難病に関する法律もできまして、また、対象疾患の数が非常にふえました。さらに、小児慢性特定疾病も健康局に来たということで、非常に時代の変化というものを感じております。
そういう中で、今、法律のお話をしましたが、平成27年1月に施行されました「難病の患者に対する医療等に関する法律」、その基本方針では、国は、難病患者のデータベースを医薬品等の開発を含めた難病研究に有効活用できる体制を整備することとされているところでございます。
これも御存じのように同じ年に改正されました児童福祉法の基本方針でも、国は、小児慢性特定疾病児童等のデータベースをこういった疾病に関する調査研究に有効活用できる体制を整備することと決められているところでございます。
この基本方針を踏まえて、この6月に「指定難病患者データベースと小児慢性特定疾病児童等データベースの当面の利活用の在り方について」が取りまとめられたということで、今後、この取りまとめに基づいて両者のデータベースをいかに有効活用していくか、研究開発に結びつけるか、進めていくということだと思っております。
ただ、御存じのように、一言でデータベースと言っても、成り立ちも違えば、それぞれのもとの趣旨が違っていたり、さまざまな問題、課題があると思います。そういったところを一つ一つ解決していただいて、今後の新しい薬の開発等につなげていただいて、治療など患者さんのために有効に使われるように、ぜひ闊達な御議論をいただければと思います。よろしくお願いいたします。
○田中課長補佐 カメラの撮影はここまでとさせていただきます。
(報道関係者退室)
○田中課長補佐 傍聴される皆様におかれましては、傍聴時の注意事項の遵守をよろしくお願いいたします。
また、宇都宮健康局長におかれましては、公務のため、ここで退席させていただきます。
(宇都宮健康局長退室)
○田中課長補佐 まず、座長でございますが、資料1の開催要綱におきまして「構成員の中から厚生労働省健康局長が指名した者とする」とされております。健康局長の指名により座長を山本構成員にお願いしたいと思います。恐れ入りますが、座長席への移動をお願いいたします。
(山本構成員、座長席へ移動)
○田中課長補佐 次に、本日の出席状況について報告いたします。三谷委員、森委員から欠席の御連絡をいただいております。
最初の会議でございますので、まずは皆様から簡単な自己紹介を兼ねて御挨拶をいただければ幸いでございます。
それでは、構成員名簿の順に五十嵐構成員より一言ずつお願いいたします。
○五十嵐構成員 国立成育医療研究センター理事長の五十嵐と申します。私、小児慢性特定疾病の委員会の委員長をさせていただいております。どうぞよろしくお願いいたします。
○宇賀構成員 東京大学の宇賀と申します。専攻は行政法ですが、最近は特にその中で情報法を中心に研究しております。どうぞよろしくお願いいたします。
○加藤構成員 京都大学の加藤です。私は、保険局のレセプトデータ、NDBと言われているものですが、NDBで例えばオープンデータの素案構成の際に検討会に参加させていただいた経歴がございます。そういうところでお役に立てればと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○神里構成員 東京大学医科学研究所の神里と申します。私は、研究倫理に関する研究を行っておりますので、何か倫理面でお役に立てればと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
○千葉構成員 関西電力病院の千葉と申します。厚労省の難病対策委員会の委員長をさせていただいております。どうぞよろしくお願いいたします。
○樋口構成員 武蔵野大学の樋口と申します。私は、データヘルスの行く末に期待も寄せ、関心も持っておりますので、参加しております。よろしくお願いいたします。
○康永構成員 東京大学の康永と申します。私は、DPCやNDBというビッグデータを用いた臨床疫学研究ですので、臨床疫学という立場で御協力できればと考えております。よろしくお願いします。
○山本構成員 医療情報システム開発センターの山本でございます。私は、加藤構成員と一緒にNDB発足当初から有識者会議のお世話をさせていただいて、最近はそれとの関連で介護保険総合データベースなどのさまざまなところのお世話をさせていただいております。きょう、そういう関係で座長を拝命いたしました。非常に高名な先生方の中で座長を行うのは心苦しいのですが、どうぞよろしくお願いいたします。
○田中課長補佐 以降の議事進行につきましては、山本座長にお願いいたします。
○山本座長 では、どうぞよろしくお願いいたします。
初めに、資料の確認を事務局からお願いいたします。
○田中課長補佐 それでは、お手元の資料をごらんください。
1枚目、議事次第、2枚目、構成員名簿、3枚目、座席表、それ以降が本体資料となっております。
まず、資料1「『指定難病患者データ及び小児慢性特定疾病児童等データの提供に関する有識者会議』開催要綱」
資料2-1「データ提供に係る各工程において想定される主なリスクとそれに対する論点・検討事項」
資料2-2「合同委員会取りまとめと本会議における主な論点」
資料3「今後の進め方について(案)」
資料4「指定難病患者データベースと小児慢性特定疾病児童等データベースにおけるNDB、介護DBとの連結解析について」
参考資料1「指定難病患者データベースと小児慢性特定疾病児童等データベースの当面の利活用の在り方について」
参考資料2「指定難病データベース・小児慢性特定疾病児童等データベースの概要」
参考資料3「指定難病受給者証所持者数」
参考資料4「レセプト情報・特定健診等情報の提供に関するガイドライン」
以上を御用意しております。不足等ございましたら挙手いただければと思います。
○山本座長 資料はよろしいでしょうか。
それでは、早速、議事次第に従って議事を進めてまいりたいと思います。
最初に「(1)本会議について」ということで、本有識者会議の設置の経緯、前提等について事務局から御説明をお願いいたします。
○田中課長補佐 それでは、指定難病患者データ及び小児慢性特定疾病児童等データの提供に関する有識者会議の設置経緯、前提等について御説明させていただきます。資料1の開催要綱をごらんください。
まず、平成30年2月より4回にわたって厚生科学審議会疾病対策部会難病対策委員会及び社会保障審議会児童部会小児慢性特定疾患児への支援の在り方に関する専門委員会の合同委員会において、指定難病患者データベースと小児慢性特定疾病児童等データベースの当面の利活用のあり方について御議論いただきました。
その結果、本年6月にこの合同委員会において、指定難病患者データベース及び小児慢性特定疾病児童等データベースの利活用の運用に係る詳細について、臨床データの利活用、個人情報保護等の有識者で構成される検討会を立ち上げ、検討することとされました。
これを踏まえ、指定難病患者データ及び小児慢性特定疾病児童等データの提供に関する有識者会議は、以下、会議とさせていただきますが、厚生労働省健康局長が参集を求める有識者により、指定難病患者データベース及び小児慢性特定疾病児童等データベースの利活用の運用に関し、専門的な観点から検討を行うことを目的として開催するとさせていただいております。
検討事項でございます。
「(1)データ提供の可否に係る審査基準」は、主な項目といたしまして、データの提供先、データ利用の目的・必要性、提供する情報の範囲、データの管理方法(個人情報管理に係る安全確保措置を含む)、データの分析結果の公表方法等が想定されております。
「(2)審査会(合同委員会取りまとめ6に掲げる審査会をいう。)の運営方法」は、特に指定難病患者データベース及び小児慢性特定疾病児童等データベースの利活用の推進を図るとともに、個人情報の保護に万全を期すため、有識者で構成される審査会を設置し、個々の利活用の申請ごとに、情報の提供先、提供する情報の範囲、利活用の目的、公表の方法、個人情報の安全確保のための措置等を総合的に審査し、情報提供の可否を判断するものとしております。審査会の運営方法においては、審査会の位置づけ、開催回数、審査の具体的な流れなど、審査を行うために必要な事項をこの会議で検討していただきたいと思います。
「(3)その他データベースの利活用の運用に関する専門的事項」、この3つを検討事項とさせていただいております。
1枚おめくりいただきまして、構成員といたしまして、会議は、厚生労働省健康局長が参集を求める有識者により構成する。会議を構成する有識者は、難病医療、統計分析、臨床研究倫理、個人情報保護等の各分野に関する学識を有する者、関係団体の代表者とする。座長は、構成員の中から厚生労働省健康局長が指名した者とする。会議の任期は2年とする。会議は、必要に応じて、補充的に、構成員以外の専門家からの意見陳述、関係資料または意見書の提出等を求めることができる。
その他として、会議の庶務は、厚生労働省健康局難病対策課において処理する。会議は、原則公開とする。ただし、公開することにより、個人情報の保護に支障を及ぼすおそれがある場合、知的財産権その他個人もしくは団体の権利利益が不当に侵害されるおそれがある場合、または公平・公正・中立な議論に影響を及ぼし、構成員の意見交換や議論に支障を来す可能性がある場合は、座長は会議を非公開とすることができる。この要綱に定めるもののほか、会議の開催に関し必要な事項は、座長が厚生労働省健康局長と協議の上、これを定めるものとする。会議は必要に応じ、ワーキンググループを開催することができるとさせていただいております。
資料1の説明については以上です。
○山本座長 ありがとうございました。
ただいまの御説明に関しまして、御質問、御意見等ございますか。よろしゅうございますか。
それでは、この開催要綱に従ってこれから会議を進めてまいりたいと思います。
続いて「(2)合同委員会取りまとめと本会議における主な論点」に移りたいと思います。合同委員会取りまとめから考えられる主な論点を事務局に準備していただいておりますので、まずはその説明をしていただいて、その後、各論点について議論に入ってまいりたいと思います。それではまず、事務局から資料について説明をお願いいたします。
○田中課長補佐 主な論点について御説明させていただきます。資料2-1と資料2-2をごらんください。また、お手元に参考資料1も御準備いただければと思います。
まず、資料2-1「データ提供に係る各工程において想定される主なリスクとそれに対する論点・検討事項」について御説明させていただきます。
一番左側が実際のデータ提供に関する手続の流れになっております。この手続に対してそれぞれ想定される主なリスク、リスク回避・低減策、論点・検討事項と右側に進んで項目を記載しております。
まず、実際に提供する際には、研究者からの申請がございます。その場合に想定される主なリスクとしては研究目的以外での利用、リスク回避のための策といたしましては、提供先は原則として厚生労働省が補助を行う研究事業を実施する研究機関に限定することとしております。この場合の論点・検討事項としては「提供先の範囲」、判断基準になろうかと思います。
次に、研究者からの申請に基づき審査会における審査が行われます。この際の「提供にかかる審査方法・基準」が論点2となっております。
次に、その審査によって認められた場合には厚生労働省における匿名加工というプロセスがございます。「難病の特性を踏まえた匿名加工の方法」を論点3とさせていただいております。
また、厚生労働省から研究者への匿名データの提供の際には、まず提供した媒体の盗難などがリスクとして考えられます。これについては暗号化等の処理を行った上で提供するということでリスクを回避させていただきたい。
その後、研究の実施、特に匿名データの適正な管理という段階では、適切に管理が行われないことによる盗難や情報漏えいがリスクとして考えられます。これについては実地監査により管理状況の確認などを行うことでリスクの回避をしたい。この2つについては「データの管理方法」を論点4として挙げさせていただいております。
これら研究が適切に実施された後は、審査会における審査の2ということでプロセスを踏んでいきたい。研究したデータを公表する際に「公表にかかる審査方法・基準」を論点5とさせていただいております。
研究成果の公表に当たって、個人が特定できる状態で公表されることがリスクとして考えられますが、公表前に審査会で審査することでリスクの回避をしたいということにしております。
また、研究成果が公表された後のデータの取り扱いについては、データを削除していただく。これについて想定される主なリスクとしては削除されずに保持されることですが、削除状況の報告を求めることで回避策とさせていただいております。これら研究を進めていく段階で得られる「中間生成物の管理」を論点6とさせていただいております。
資料2-1について御説明させていただきました。
続きまして、資料2-2「合同委員会取りまとめと本会議における主な論点」のペーパーでございます。
左側に、先ほど御説明させていただきました難病対策委員会と小児慢性特定疾患児への支援の在り方に関する専門委員会の合同委員会で取りまとめられた参考資料1の文言が書いてあります。その中で想定される主な論点が先ほどの資料2-1の右側に書いてある論点と、参考として、レセプト情報・特定健診等情報の提供に関するガイドラインではこれらの論点に対してどのように答えているかという資料を作成させていただいております。
まず、情報の提供先につきましては、太字の下線部のところが今回の主なところになっていますので、そちらを確認していただきたいと思いますが、参考資料1の3ページに情報の提供先という本文がございますので、適宜、御参照をお願いいたします。
情報の提供先としては「その利用・提供先は、原則として、厚生労働省又は厚生労働省が補助を行う研究事業を実施する研究機関に限定すべきである。ただし、上記以外の者が実施する研究であって、その目的が難病の研究の推進に寄与すると考えられる場合は、個々の利活用の申請ごとに、研究目的、個人情報の安全管理のための措置等について、6)の審査会において厳正に審査した上、情報の提供の可否を決定することが適当である」とされております。
例えば、学会等でデータを利用したいという御意見が合同委員会の中で御発言としてございました。ただ、現在、我々のほうで、このデータ提供に関する同意書には、前段にございます厚生労働省が補助を行う研究事業を実施する研究機関に限定するとされておりますので、追加としてこの項目を入れているところでございます。
論点1の「提供先の範囲」は、今、申し上げた厚生労働省または厚生労働省が補助を行う研究事業を実施する研究機関、それ以外の申請を認めるものの範囲がどこなのかということをぜひ御議論いただきたい。
論点2の「提供にかかる審査方法・基準」は、提供の可否を決定するに当たっての研究目的や安全管理のための措置等についての審査方法・基準、臨床研究等の実施に関して協力を求める際の審査方法・基準、2つに分けております。これについては、参考資料1の4ページの利活用の目的の4)にございますが、この中で「臨床研究等の実施に関して協力を求めるなど、現在の申請書又は同意書により同意を得た目的以外の目的で情報を利用する場合は、改めて、当該臨床研究を行う研究者から指定医を介して患者に説明を行い、同意を得ることが必要である」と明記されております。これについては、先ほど申し上げた論点2の臨床研究等の実施に関して協力を求める際の審査基準もあわせて御議論いただきたいと考えております。
論点4の「データの管理方法」としては、個人情報の安全確保のための措置の一環としてのデータ提供後のデータ管理方法について御議論いただきたいと思います。
論点6は、安全管理の中で中間生成物の取り扱いについて、個人情報の安全確保のための措置の一環としてデータ利用終了後の中間生成物の管理方法についても御議論いただきたいというふうにまとめております。
提供する情報の範囲でございますが、合同委員会の取りまとめの中では「希少な疾病であることにより個人が特定されやすいという難病特有の性質に配慮しつつ、必要な匿名加工を行った上で研究に有益な情報を提供することが望ましい。そのため、原則として、名前や住所の削除など容易に個人が特定されないよう必要な匿名加工を行った上で、個々の利活用の申請ごとに、匿名加工の方法、研究成果の開示方法等を厳正に審査した上、情報提供の可否を決定することが適当である。その際、特に、遺伝子検査の内容や家族歴などについては、本人以外にも家族に与える影響も考慮する必要がある」と取りまとめております。これについて論点3として「難病の特性を踏まえた匿名加工の方法」を御議論いただきたい。研究におけるデータの有意性を担保しつつ、容易に個人が特定されないよう難病特有の性質に配慮した匿名加工の方法をぜひ御議論いただきたいと思います。
続きまして、研究成果等の公表の方法につきましては「本データベースの情報が要配慮個人情報を含み、個人が特定されることのないよう特段の配慮が必要である」となっておりまして、論点5として「公表にかかる審査方法・基準」ということで、研究成果の公表に際して個人が特定されないようにするための留意点、公表に際しての審査基準を別途御議論いただきたいと考えております。
資料につきましては、以上でございます。
○山本座長 ありがとうございました。
これから各論点について一つずつ検討を進めていきたいと思っておりますが、その前に、今、事務局から御説明がありました論点1から論点6以外に追加すべき論点等ございますか。ありましたら御意見をいただければと思いますが、いかがでしょうか。この会議の中でも、もちろん後で追加も結構ですけれども、今の時点であればと思いますが、よろしゅうございますか。どうぞ。
○樋口構成員 ほかの論点というものでもないのですが、私、きょう、初めてこの問題にかかわってということなので、ほかの委員の方は重々承知の上でという話かもしれないのですけれども、確認をとっておきたいというか、知っておきたいことがあります。余りしゃべり過ぎるとよくないので、2つだけにします。
1つ目は、従来のことですが、この2つのデータベースについて今後いろんな研究に利用してもらおうという趣旨で、しかも連結した上でという話だと思いますけれども、単体でそれぞれのところでこういうデータベースは今までつくっているわけですから、それについてどのような利用がなされてきて、それでは足りないから連結という話なのか。つまり、従来のものを何らかの形で広げようという話だと私は理解していますので、その広げる前の状態が、例えばナショナルデータベースでは、私の記憶に間違いがなければ、数字について間違いが多いのであれですが、とにかく徐々にナショナルデータベースで有識者会議を経て研究に利用される数がふえてきた。それでもこの8年ぐらいで157件という話があるわけですね。今まで全くゼロからここはスタートするのかというようなことです。しかし、何らかの形で行政利用はしていたと思いますが、教えてもらいたいというのが1つ目です。単体で、しかも連結の意味みたいなことですね。
2つ目は、きょうのお話で合同委員会というのが既にあって、そこで大きな方向性は決まっているわけですね。それにのっとってここで議論するという話だと理解しましたので、上で決まっていることだから、余り逸脱はできないなと、まず自戒しました。その上で、御存じのように、介護のデータベースと連結した上でというか、ナショナルデータベースのところでこういう研究利用の仕組みというのが既に走っているわけですね。そうすると、そっちのほうで一応先例ができていて、ここでそれをまた一から議論するという話はないような気がするわけです。ナショナルデータベースのほうでこういう仕組みをとっているのだけれども、このデータベースについてはそれとは違う要素があるから何かプラスアルファの仕組みをつくらなければいけないということがむしろはっきり論点で出てきてくださったほうが、ほかとの比較という点でありがたい。
2点、まとまらなかったですけれども、わかっていただければ幸いです。
○山本座長 ありがとうございます。
事務局からございますか。
○田中課長補佐 御意見ありがとうございました。
まず、前提として、今、樋口先生から御意見をいただきましたが、今回の議論については単体のデータベースの利活用を御議論いただきます。それぞれでございます。この2つを連結する必要性は今後中長期的に議論するというふうに合同委員会で整理されているところでございます。まず、単体で利活用をどうするかというところを御議論いただくということです。
それぞれの利活用の例につきましては、合同委員会の2月の会議でそれぞれのデータベースの事業を委託しているところから御説明していただいております。具体的には、難病のデータベースについては、同意書上、経年的変化が追えないので、主にその疾病の疫学調査などが今までされてきたところでございます。データベースが構築されたのは難病法ができた後でございますので、その前の研究事業の際のデータというのは、実は都道府県の担当者がシステムに入力して、個人情報を含まないような情報を入力していただいたものを厚生労働省のほうで研究者に御提供していました。そこに入ってくる情報は個人情報が入っていないようなものでございますので、提供につきましては、研究の妥当性、そういったことを我々難病対策課のほうで審査を行って御提供してきたというところがございます。
一方で、入力に関しては法律も特に何もなかったものですから、なかなか入力していただけない都道府県があって、実際にはデータにかなり穴があいていたという現実がございます。やはりそれを改善する必要があるだろうということで、難病法ができた際にデータベースを新たに構築するというふうにさせていただいております。少し欠けているデータはあるけれども、日本における各研究を進められていた疾病についての疫学の情報等をそれぞれの研究班に対して申請に応じて御提供していたというのが一つです。
一方、小児慢性特定疾病のデータベースについては、同意書上、経年的な変化が追えるとなっておりますので、合同委員会のほうでも2つのデータベースの同意書に違いがあるのがそもそもおかしいではないかという御議論は当然いただいておりまして、これについては改善していきたいとお答えさせていただいております。その中では、経年的な変化が追えるので、患者の数の推移や重症度等を勘案した症状の推移を実際には追えてきている。寿命がどれぐらい延びているか、そういったことを小慢のほうでは実際にはされています。今まではそういったほとんどが疫学情報という形で研究者の方から研究いただいているという状況でございます。
2点目の問いについてはまさに先生の御指摘のとおりで、NDBについては既にガイドラインが何回も改正されて、しっかりしたものができています。それを踏まえて、今回の資料2-2の右側にNDBのガイドラインにはどんなことが書いてあるかということを参考でつけています。
先ほどから論点で申し上げているとおり、一つは、完全な匿名化情報のNDBとは違って、このデータベースは個人情報を含んでいるところが大きく異なる点ですので、匿名加工の方法が大きく議論すべき点として挙げられるだろうと思います。
それから、やはりNDBにおいても数が少ないものについては公表しないという規定がございますが、参考資料3「指定難病受給者証所持者数」に全国のそれぞれの受給者の数が出ています。総数というのが全国の受給者の数になっておりますが、例えばシュワルツ・ヤンペル症候群などは総数が1となっております。こういったデータの取り扱いをどうするかというのは、患者数が非常に少ない疾患を含む難病のデータベース特有のものであろうと考えております。今回の論点の中で問題になる、論点3の「難病の特性を踏まえた匿名加工の方法」、論点5の「公表にかかる審査方法・基準」といったところ、匿名化の方法については論点2、3、5、それに伴うデータの管理方法というところは、NDBとは異なる議論が必要な部分と考えているところでございます。先生の御指摘を踏まえて、事務局のほうでそこのところを次回までにもう少し明確にさせていただきたいと思います。
○山本座長 樋口先生、よろしいですか。
ほか、特に全体を通しての御意見はございますか。
それでは、論点ごとに御議論いただいて進めてまいりたいと思います。論点ごとに今回この会議で御議論いただきまして、御意見を事務局に整理していただいて、次回報告していただくという形で議論を進めたいと思います。各論点について一通り御議論いただいた後、進め方についても御議論いただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
それでは、論点1「提供先の範囲」の議論に入りたいと思います。先ほど事務局から御説明がありましたが、何かこの点に関して御意見ございますか。どうぞ。
○加藤構成員 論点1に関しまして、先ほど事務局からもお話がありましたように、私はNDBのほうにかかわっておりましたので、そのときの話も踏まえてお聞きしたいのですが、NDBの当初の前提というのは、本来目的というのがありまして、それとは別建てで、例えば公益性の高い研究や、保健医療行政なり、その他のエビデンスを導き出すために重要な研究であればという前提でオープンにしたという経緯があったと記憶しております。
こちらの合同委員会でのコメントを見ていますと「難病の研究の推進に寄与すると考えられる場合」とあり、文言は違うのですが、やはり世の中の役に立つ研究であればオープンにすることも考えていいのではないかというふうに大まかに読み取れます。ただ、その文言だけで言うと、ではNDBと同じような感じで広げていいかという議論になると思います。
一方で、今、事務局がおっしゃったように、このデータというのはNDBやレセプトのようなかなり広範なデータ、かつ匿名化されたデータというよりは非常に個別性の高いデータであるので、同じように適用しようとすると、そこで恐らく議論が揺れてしまうと思います。
提供先を厚生労働省が補助を行う研究事業に対して提供するというのは納得がいきますが、提供先を広げるというときに、NDBを比較対象とするばかりでは、特に留保を付けない限りNDBのようになってしまいます。でも今のお話からすると、このデータについてはNDBのようにいきなり広げるのはデータの機微性が懸念される、という議論があるので、提供対象についていきなりここで議論してください、というだけでは議論をまとめるのが苦しいように思います。何か腹案か素案がおありだったら教えていただきたいと思います。もしなかったらここで詰めればいいのですが、お願いいたします。
○山本座長 事務局に腹案があるかとの御質問ですが、いかがでしょうか。
○田中課長補佐 事務局としてはそれも含めて御議論をと思ったのですけれども、素案については、申しわけございませんが、私どものほうで次回までに御提示できればとは思っています。
実際、今までは完全な研究班にだけ提供させていただいてきておりまして、今後どういったニーズが出てくるのかというところですが、合同委員会の取りまとめの中の議論においては、一つは学会を明示してはどうかという議論がありましたところ、学会も非常にさまざまございまして、そこを学会と書くことは難しいのではないかという意見があったのは事実でございます。
また、企業に対する提供ということは、今、基本方針の中に企業への提供も、におわせるというといけないのですが、そういったことも読み込めるようにはなっていますが、治療開発に資するような研究についてというような書き方をしておりますので、企業への提供も読めるではないかという意見がある一方、そこについては非常に慎重な意見が合同委員会の中では出ておりました。
そういったことを踏まえて、例えば企業については慎重に議論すべきであるとか、学会といったときの難病の研究の推進はどこまで見るかという話かとは思うので、皆様、何か御意見があれば、ぜひここでいただいた上で、次回、我々のほうで御指摘いただいた素案のようなものをお出しできればと考えております。
○山本座長 よろしいですか。
康永先生、どうぞ。
○康永構成員 合同委員会で取りまとめられた意見でほぼいいのではないかと私は思います。まず、厚労科研費を申請して認められたものだけだと現状と変わらないのではないかという感じがして、せっかくデータベースを使って研究利用を広げるという趣旨からは範囲を限り過ぎているという感じがあります。ただ、何でもかんでも広げてはしようがないと思いますので、やはり研究目的以外での利用というリスクを考えると、合同委員会でも述べられているように、難病の研究の推進に寄与するというところがキーになってくると思います。例えばNDBですら企業はだめという状況であって、難病のこのデータを企業に提供するということは全く想像できないと思いますね。
○山本座長 ほか、御意見いかがでしょうか。千葉先生、どうぞ。
○千葉構成員 合同委員会に参加していた者として、私も論点1のところについては、今、見てみてもはっきりしないのですが、補助を行う研究事業を実施する研究機関というのは、その補助を行っている研究班等についてという意味ではなくて、厚労省が補助を行う研究事業を実施するという点は、そういう研究ができる研究機関という意味で私は理解していました。大学とか、研究費を申請できる研究所、そういうふうに広く捉えていたのですが、そこはいかがですか。
○田中課長補佐 想定としては、ナショナルセンターや、先生がお話しいただいたような機関に限定するというふうにさせていただいております。あとは、現在、厚生労働省のほうではAMEDに対しても補助を行っておりますので、そちらのほうの研究班ということも広く含んでいるところでございます。政策研究班、厚労省が直接しているものだけではなくて、そういったものも含むという意味も含めたものになります。
それ以外にも、例えばナショナルセンターにはそういった研究費の補助も行っておりますので、そういったものも含めて、難病領域のみならず、比較的厚生労働省が補助を行う研究事業を実施する研究機関ということで、難病課が今まで提供してきた厚生労働省の難病の研究班よりも広く読むという形にしているところでございます。
○千葉構成員 ありがとうございます。私もそのように認識しておりましたが、さっきお話があったように、プラス学会、これをどう扱うのかという問題と、企業のことについてはディスカッションがありまして、将来的には当然、薬剤開発などに資するところまで持っていくというのが方向性としては重要だろうと、しかし、現時点ではという議論があったように記憶しております。
○山本座長 ありがとうございます。
ほか、御意見、いかがでしょうか。どうぞ。
○神里構成員 質問になってしまうのですが、医療費助成の申請時に同意をいただいているあの同意書の文言自体は今回は変えないという前提で議論を進めていくということでよろしいですか。
○田中課長補佐 基本的には変えないということで議論を進めたいと思います。ただ一方で、合同委員会でも御指摘がございましたが、小児慢性特定疾病については経年的なデータの解析が可能である一方、難病についてはそこが同意書に含まれていないということで経年的なデータが追えないという現状がございまして、これについてはやはり研究の推進という観点から不備ではないかという御意見を非常に多くいただいております。その点につきましても、基本的な同意書の文言は変えませんが、小児慢性特定疾病でできていることが難病でできていない、この点については一部同意書をどのように変更するかということを御議論いただきたいと思っております。
もう一点、同意書については、同意の撤回についての明示がございません。この点も合同委員会で御指摘いただいております。本日は、今後の論点ということで進めさせていただいておりますが、次回以降、合同委員会で出た2つの同意書にかかわる点についても御議論いただきたいと思っているところでございます。
○神里構成員 わかりました。
○山本座長 ほか、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、きょう、いただいた御意見、御質問等を次回引き続き検討させていただきたいと思います。とりあえず先に進めてまいりたいと思います。
論点2「提供にかかる審査方法・基準」について御意見がございましたら、どうぞよろしくお願いいたします。
NDBのガイドラインにそれなりの基準が書かれているわけですが、難病、小慢の場合は同意書があるというのはやはり大きな違いで、NDBは同意書がない、法律に基づいて収集される情報であること、そこがかなり違ってきます。このあたりも次回以降、同意のあり方について検討することと取り合わせて考えていかなければいけないのではないかという気がします。ほかに何か御意見ございますか。どうぞ、康永先生。
○康永構成員 論点2、3、4は個別にというよりは一まとめにというコメント、よろしいでしょうか。既存のデータベース、NDBにしろ、いろんな審査方法、匿名加工の方法というのは、ある意味、技術的にも方法論上も議論が大分進んでおりますね。今回についても特に一番キーになってくるのが、論点2、論点3は考え尽くされているような感じで、例えば論点3につきましては、先ほど参考資料3を見せていただきましたが、これは縦横二次元のテーブルになっていますけれども、既に1とか2とか3、そういうセルがあるので、NDBの基準でいうとこれはだめというテーマですね。そういった基準で考えていくべきだと思います。行政目的でこうやって公表されるのは別にあれだと思いますが、例えば論文で公表するとき、この公表の仕方はまずいという形になろうかと思います。
論点2、3、4において最も重要なのが論点4だと思います。データの管理方法で、例えば、現状、NDBにおいては、いわゆる特別抽出という形で研究目的ごとにデータを切り出して、各研究者に生データを提供する。その生データの管理を研究者に任せてしまうというスキームが特別抽出ですが、それだとやはりデータ漏出のリスクは非常に大きくて、逆に研究者側にデータ管理のコストの負担を非常に与えてしまっている。つまり、研究者が自分の研究室でがちがちのセキュリティーの高い空間を自分でコストをかけて用意しなければいけないということになっております。
NDBにおきましては、そこでオンサイトセンターを厚労省、東大、京大につくって、生データは提供しないのだけれども、遠隔でアクセスできる形にしています。そういった枠組みで管理のコストとリスクを非常に下げています。既にNDBにおいてそのようなインフラが整備されておりますので、この難病、小慢のデータにおいてもそういった枠組みを検討できないかどうかということを御提案させていただきたいと思います。
○山本座長 ありがとうございます。
論点2、3、4を一緒に議論したほうがいいですか。では、2、3、4まとめてということで議論を進めていきたいと思います。
先ほど言いましたように、小慢、難病、両方とも一応同意いただいているデータベースですので、必ず本人がわからないようにしなければいけないのかどうかというのは議論があるところです。一方で、不要な個人情報の漏出は避けなければいけない。そういう意味では、安全管理の一つとしての匿名化というのはかなり意味が大きいことですね。
ただ、例えば病気の方が1名の場合でも、この病気の研究に対して自分のデータを使ってほしいという、いわゆる患者さんの善意に対して、何か妙なルールでそれができないと決めてしまうのも、せっかくの患者さんの善意を無にしてしまうことになりますから、その辺はNDBのような法律で集めて全く何の同意も得ていないデータベースとは違うというところを御認識して御議論いただければと思います。
論点2、3、4、まとめて結構ですが、御意見ございますか。
言葉の問題で匿名加工というのがこれでいいのか、制度上のテクニカルな問題かもしれませんが、厚生労働省が管理するデータベースですから、匿名加工という言葉が行政機関個人情報保護法には多分ないと思います。例えば匿名化という抽象的な言葉だったら何の問題もないのですが、いかがですか、宇賀先生、言葉としてはやはりそこですか。
○宇賀構成員 おっしゃるとおり、個人情報保護法では匿名加工という言葉を使っております。行政機関個人情報保護法と独立行政法人等個人情報保護法のほうでは非識別加工という言葉を使っています。ただ、非識別加工情報が事業者に渡されますと、それがまた匿名加工情報になって個人情報保護法の適用を受ける、そういうことになっています。ただ、おっしゃるとおり、国の行政機関、独立行政法人等が行うときには非識別加工という言葉を一般法では使っています。
○山本座長 ありがとうございます。
その場合は個人が識別できない情報にすることになるわけですが、この2つのデータベースの場合は全く個人が識別できないと使えないのかというと、これらは同意ベースのデータベースなので、そうとも言い切れないとすると、ここで議論する匿名化は、安全管理措置としての、リスク低減措置としての匿名化というふうに考えたほうがいいのか。最終的に公表するときに、患者さんの意図と、これで患者さんへ御迷惑がかからないかの観点から、そこは最終的に判断すべきで、法律の言葉どおりの非識別加工にそこまでこだわらなくてもいいのではと考えます。ですから、ここは匿名化ぐらいがいいのではないかという御提案でございます。これはまた次回以降も御検討いただければと思います。
どうぞ。
○宇賀構成員 今、山本座長がおっしゃったとおり、匿名加工、非識別加工というのは法律で定義が決まっていまして、2つ要件があります。特定の個人が識別できないように加工するということ、及び元の個人情報が復元できないようにする、この2つが要件になっています。ですから、もしここで議論されるのがそこまで念頭に置いていないものであるとすれば、まさに座長がおっしゃったとおり、法律の言葉とは違う言葉を使ったほうがいいと思います。
○山本座長 ありがとうございます。
ほかに、論点2、3、4に関しまして御議論いただければと思います。いかがでしょうか。
どうぞ、樋口先生。
○樋口構成員 幾つかキーワードがあって、個人情報、匿名化、非識別加工、いろんな言葉がある中で、同意という言葉もあり、こういう専門家の前で生半可な、知識でもないものを、受け売りを申し上げるのもどうなのかと思いますが、私が読んでいる英文のビッグデータに関するようなものでは、個人特定化というのがビッグデータ、つまりナショナルデータベースみたいなもの単体ではだめかもしれませんが、ほかの情報と組み合わせることによってリ・アイデンティフィケーション(再匿名化)は可能なのだという話になっています。
それが正しいとすると、今回の難病の人たちはごく少数だから特定が容易だというのは、相対的な程度は違うかもしれませんけれども、片方は特定が非常にしやすいから別の処理をしないといけない、片方は匿名加工がちゃんとできるのだからという前提でやっているというのが、もしかしたらテクノロジカルにはうそなのかもしれないのです。法律のほうはそれがおくれてもしかしたら意味のない区別をするという話になっているから、相対的な違いにすぎなくて、逆に、今のような同意原則をもとにしてデータをもらっているということのほうがある意味では強みになって、私が代弁することはできないかもしれませんが、本当を言うと、一人の患者は、その人がどういう人か知らないからわからないけれども、一人でも二人でもそういう希少な難病の患者こそ、ぜひとも自分たちの病気に目を向けて、何で経年変化を追わないのだというぐらいの感じだと思います。まさに自分が生きた実例で、自分は一人かもしれないけれども、また別の人がなるかもしれませんね。まさにそれを追いかけてもらって、これがどうして起きてということを研究してもらいたい。
それをどこか別のほうの考慮で、そういうリスクが大きいからそもそも研究できないというのは、本当を言うと患者の願いを無にしているようなことで、同意をとるときにそういう話で納得性だけあれば、逆にこの研究の可能性をむしろナショナルデータベースより広げていいぐらいの発想があっていいかもしれない。もちろん個々の患者さんに聞いた上でということになるのかもしれませんが、一般論としてそういう考え方に立つというのもあっていいかなと逆に思っています。
○山本座長 ありがとうございます。
ほか、いかがでしょうか。関連した御意見でも結構です。どうぞ、加藤先生。
○加藤構成員 少し技術的な話になりますが、このデータを例えば先ほど康永先生が言われたようにNDBの特別抽出、すなわちデータをそのまま研究者に渡すみたいなスキームでやるときに、匿名処理は結構されるという理解でよろしいのですか。同意はあるけれども、しっかり匿名化して渡すことは前提であるという理解でよろしいのですか。
○田中課長補佐 基本的にはその点も御議論と思っているところはあるのですが、我々としては、数の少ない難病こそこういったデータベースが活用できることもあるのではないかと考えています。今、ある患者さんの名前、出生地や住所といった完全に個人が特定できるような、それでいて研究には必ずしも必要のない、そういう情報については落としていくことを考えています。
それ以外、例えばNDBなどでは年齢については区分していると認識しておりますが、5歳区分ですか、そこについては、例えば新生児の病気について5歳で区分してしまうと、0歳から1カ月、2カ月という何カ月みたいなものや、1歳、2歳といった年齢が非常に重要な研究というのもあろうかと想像しております。年齢についても本当に研究に必要なものであれば、そこは区分するのが適当なのかということも含めてぜひ御議論いただきたい。病気によっては多少違いがあるので、そこについては基準を一律に求めるものではなくて、対象とする研究に真に必要なのかというところで審査会などで御議論いただく必要があるのではないかということを事務局としては考えております。
○加藤構成員 ということは、ここでそのあたりもかなり実利用を見据えて具体的に決めていくぐらいのつもりで我々は臨んでいけばいいという理解になるのですね。
○田中課長補佐 さようでございます。
○加藤構成員 わかりました。
○山本座長 ほか、いかがでしょうか。どうぞ、五十嵐先生。
○五十嵐構成員 小児慢性特定疾病のデータにつきまして、少しお話をさせていただきたいと思います。厚労省の小児慢性特定疾病患者支援事業では医療費等の支援が非常に大きな柱になっており、その際に様々なデータが集積されます。しかしながら、現実には都道府県単位で乳幼児の医療費の無料化が行われているため、小児慢性特定疾病事業によるデータは全ての患者さんをカバーできていないという問題点が一つございます。
もう一つは、今までは厚生労働省から委託を受けまして、私どものところの政策科学研究部でデータの取りまとめを研究費をいただきながらやってまいりました。ですので、政策研究という形で公表はしていたわけですが、研究班に具体的なデータをお示しするということは現実にはなかなか行われておりませんでした。そのため、他の施設の研究者からなぜ自分たちには詳しいデータをいただけないのかと不満を戴いたことがあります。今回このように学会も含めて、データをある一定のルールのもとで研究者にとって利用できる形にしていただけるということは、非常に多くの方たちからの要望でもありますので、今のお話の中でもございましたけれども、ぜひとも研究のために、あるいは医療施策の考案に役立つ情報が入っているデータをできるだけ出していただきたい。ただし、患者さんへのプライバシーは十分に配慮する。その両方を考えた提供の仕方をぜひこの委員会で基本的な骨子として出していただければと願っております。
○山本座長 ありがとうございます。そのように頑張りたいと思います。
ほか、康永先生。
○康永構成員 質問です。難病データや小慢のデータを私、じかに見たことがなくて、入っているデータの内容、つまり、どんな研究ができるかという臨床医学の視点から、例えば病名はもちろん入っていると思いますが、病気の重症度、臨床的な症状、検査データ、治療内容、どんな薬を使った、どんな手術をやったというところまで入っているのでしょうか。
○田中課長補佐 それについては合同委員会のほうでは説明させていただいているのですが、難病に関しましては、まず基本情報というものと医療費を支給するために必要な項目、診断基準を満たしているかというデータ、これは疾病によって診断基準が異なるので、診断基準に遺伝学的な検査が入っているものについては遺伝学的な遺伝子の異常などが入ることもございますし、一方で、何か生化学検査の血液の検査のデータがこれ以上であるとか、そういった診断基準についてはそれに必要なデータが入っています。同時に、重症度分類というのも医療費の支給に必要な項目ですので、診断のための項目と、重症度分類のための項目というのは疾患ごとに、内容は異なりますが、入っております。
一方で、それプラス、研究班がこの情報が欲しいといったものも、研究を目的としておりますので、項目として入っています。その中には、先生からお話がございましたような、例えば検査の所見、臨床所見、治療の履歴、現在の治療、そういった研究班がこのデータが欲しいといったものは入っています。難病は今なかなか治療法がないというのが前提になっているので、治療法について研究班から申し出がなければ入ってない病気もあるので、そこは正直申し上げて、ばらばらです。
それに加えて、人工呼吸器装着の有無、医療機関の情報、難病の申請は指定医が記載することになっておりまして、指定医の番号、指定医療機関で治療することになっていることもあって医療機関の電話番号、記載年月日が入っています。あと、行政欄ということで行政のほうで記載する事項が入っているところでございます。
小慢についても基本的には変わらないのですが、法律の目的が違うので書きぶりについては少し異なるところはあります。重症度や診断基準のところが小慢のほうが広くとっているところがございますので、検査の結果を難病ほど細かく聞いていない領域もあるということです。主にそのような項目が入っております。
○加藤構成員 ありがとうございます。伺いまして、NDBとは比較にならないぐらい非常に臨床データに富んだデータです。非常に有用なデータだと思いますので、臨床研究というか、いろんな研究を推進できると思います。そういった意味では、なるべく研究者に幅広く提供するという形が望ましいと思います。
一点だけ気にかかったのは、医療機関のデータを提供するかどうかというところだと思います。そこはちょっと難しいのかなという印象は持ちました。
○田中課長補佐 資料2-2の論点2の2ポツ目が「臨床研究等の実施に関して協力を求める際の審査方法・基準」となっております。これについては、現在の指定難病の同意書において、同意書では読めない、いわゆる臨床研究等の実施に関して協力を求めるなど現在の申請書または同意書により同意を得た目的外の目的で情報を利用する場合は、改めて研究を行う研究者から指定医を介して患者に説明を行い、もう一度同意をとってくださいということが実は同意書に明記してあります。この際のプロセスについてやはり特出しをして御議論いただく必要があるだろうと思います。
つまり、指定医の情報というのは、今、個人情報としては扱いに注意すべき情報である一方で、この同意書では読めないような臨床研究などをする場合には、例えば医師主導治験も含めてと思いますが、そういった場合には指定医の情報を提供できるかというところだと思っています。その先生を通じて患者さんに再同意をとる方法を、今の同意書では、それをやればいいと簡単に書いてありますが、実際にはそういった指定医の情報をどう扱うかというところで論点2の2ポツ目がその内容になっています。
簡単に申し上げれば、いわゆる患者リクルートとなるのかと思いますが、その際の指定医の情報の扱いについて論点として今回挙げております。通常の同意書で読める目的外、先ほど加藤先生のほうからもお話がありましたが、目的を読めない部分についての情報提供のあり方というところが一つ論点になるかと思います。
○山本座長 ありがとうございます。
結構、深い問題ですね。難病、要するに数の少ない病気に関してはインフォームド・コンセントが非常に重要ですから、そういう意味では、インフォームド・コンセントをとる手段というのは臨床研究にとってはかなり重要です。厳重に審査した上で提供できるという形にしておかないと実際に研究ができないということになりますね。
この話をすると面倒ですが、医師にとって職業上行っていることに関してのプライバシー保護というのは、私は余り考えていないのですけれども、どうでしょうか。業務独占が認められている以上、やはりかなり公的な部分があって、そういう意味では、医療自体を進める、それに深くつながってくる臨床研究に関してまで配慮しなくてはいけないのかという気がしないでもないです。樋口先生、宇賀先生、神里構成員等に御意見を伺えればと思いますが、いかがでしょうか。
また、次回以降、御議論いただけると思いますが、資料2-2の2)の情報の提供先の下に書いてある「難病の研究の推進に寄与すると考えられる場合」という文章、ここは大抵の場合これでいけるというふうにしておかないと、審査自体は難しくなると思いますけれども、進まないような気がします。
○樋口構成員 せっかくですので。すぐに宇賀さんにバトンを渡します。2点、また2点と言ってしまったのですが、すぐ一つのことを忘れてしまうので、今のバトンの話だけしましょう。
私は細かい人間ではないので、宇賀さんがすぐ訂正してくださると思いますが、個人情報保護法の関係で何らかの業務、資格等の、例えば今のケースはお医者さん等で、そのお医者さんのプライバシーという話が業務に関連してあるかというと、条文上は競争上の地位に何か悪影響を及ぼすような話だとちょっとまずいという話であって、例えば精神保健指定医であるとか、私は難病の指定医というのがあるのは知りませんでしたが、そういうものがプライバシーだというふうには考えられないのですけれども、いかがでしょうか。
○宇賀構成員 個人に関する情報の中で、個人が事業を行っている場合の情報については、これは行政機関情報公開法、情報公開条例もそうですし、行政機関個人情報保護法、個人情報保護条例の開示請求があったときの不開示情報でもそうなのですが、実は分けているのです。
個人に関する情報の中で、事業として行っているものの公開の判断基準というのは、実は法人等その他の団体と同じになっています。個人の事業に関する情報は、個人に関する情報の不開示情報から除かれて、法人等その他の団体と同じ基準で判断されます。
個人の事業に関する情報についての公開の基準は、法人その他の団体の場合と同じ基準で判断されることになりますので、その場合の不開示の基準は、先ほど樋口先生もおっしゃったように、競争上の地位その他の正当な利益という言葉を使っているのですが、それを侵害するおそれがあるかどうかという基準になってきます。そうすると、自分が事業を行っているときの業務上の資格というのは、一般的に言えばそれには該当しないということになるのだろうと思います。
○山本座長 ありがとうございます。安心しました。
それでは、ほかの観点はいかがでしょうか。どうぞ。
○宇賀構成員 先ほど康永構成員のほうからオンサイトセンターのお話が出まして、私も、この方法は非常にセキュリティが高いし、外に持ち出せませんので、利用する側の管理の負担もなくてなかなかいい方法だと思っています。統計の分野で統計法が2007年に全部改正されまして、それまでの行政のための統計から社会の情報基盤としての統計というパラダイムシフトをして、統計データの利用の範囲を広げたのですが、今年、また統計法及び独立行政法人統計センター法の一部を改正する法律が成立しまして、さらに利用範囲が広がったのです。統計の分野ではオンサイトセンターの利用が有効な方法としてこれまでも使われてきましたし、さらに活用を広げていこうということですので、事務局のほうで、統計法の分野でのオンサイトセンターについて資料を次回にでも出していただけるといいのではないかと思います。
○山本座長 ありがとうございます。
どうぞ、康永先生。
○康永構成員 NDBのオンサイトセンターは既にあって、そのリソースが、多分、局が違うので、調整は大変だと思いますが、そういったことができないかどうかというところを。
○田中課長補佐 その点につきましては、事務局で担当部局に確認させていただきます。そういったことも踏まえて、すぐにできるかというところは難しい可能性がありますが、長期的に見てそういった利用をできる限り推進するということでお願いさせていただきたいと思います。
○千葉構成員 ちょっと別な話になりますが、小児もそうかもしれませんけれども、難病という観点からは、患者さんの数が少ないというのは非常に大きなポイントです。実は331疾患、指定難病がありますが、大きく分けて、非常に患者さんの多い難病と、今お話がありましたように1人とか5人とか10人というような希少疾患とで、多少考え方が違ってくると思います。私の考えとしては、難病や小児慢性ということになりますと、むしろそういう少数の患者さんのところをどうするのかということが非常に重要な論点かと思います。一方で1万人から10万人という難病患者さんもおられますし、5人、1人もおられます。
想定されることとしては、例えば、ある研究班がある難病の研究をしている。そういう研究班では難病患者さんを把握しておられるのですが、自分ところの研究班では10人の患者さんを把握して、その方に個人的にといいますか、大学等で倫理審査を通して同意いただいて研究しているわけですけれども、ここに上がってくる数を見ると、10人フォローしていたけれども、20人この中にいらっしゃるという場合、そういう研究班としては、20人おられるのであればそこのデータは研究に使わせていただきたい。今あるデータをそのまま使うという観点が一つと、それはそんなに大きな問題ではないと思いますが、できればさらに調べたいということで個人的にアプローチしていいのかどうかというあたりがもう一つの論点で、その際に研究者が残りの患者さんにアプローチする、しないというところの問題は非常に大きいと思います。
その場合に、検査データ、家族歴、そういったものを含めて調べたいという論点と、最終的には今ちょっと出ましたが、医師主導臨床試験といったようなところにいきますと、これは企業ではないわけですけれども、かなりの介入の研究になりますので、そこら辺が具体的な話としてはのってくるかと思います。
○山本座長 ありがとうございます。そのような観点でこれから検討を進めてまいりたいと思います。
ほかに、どうぞ、加藤先生。
○加藤構成員 1つだけ追加です。今の千葉先生の話にもあったのですが、私はずっとNDBの仕事をやっていたので、NDBを例として出していただく分には馴染みのある議論ができますが、その反面、難病の話をこの1時間少々勉強させていただいた印象では、少なくともNDBについては個別性の高いものに対しては公開しない、触れないという議論をしておりますが、難病データに関してはそこにもしっかり踏み込んでいかなければいけないという要請があって、この2つは明確に分けておかないといけないと思っています。
NDBを参考にして、そこを少しいじるというだけだと、合同委員会の先生方が議論されていたニーズをいま一つ満たせないままできてしまうのではないかと懸念します。具体的には、例えばNDBのような使い方を考えるのであれば、データの匿名性を著しく高めて制限する。一方で、個別性の高いデータを提供する枠組みも残して、それは本当に利用者をかなり絞って実施する。そういう両者の区分けをかなり明確にしたほうがいいのではないかと思います。
NDBにしても、例えば1カ月分のデータを匿名化したサンプリングデータセットはもう少しセキュリティー環境を緩くして提供しているとか、アメリカだったら民間企業が使えるような仕組みもあるけれども、それはVPN接続で一部のデータにしかアクセスできないとか、データ提供を行う枠組みの中でもグラデーションをつけています。難病の場合は、これをかなりしっかり明確に打ち出して、ある意味、両極にあるニーズを見ながら、ガイドラインなり提供の仕組みなりをつくっていく必要があるのではないかと思ったので、今後そういう議論をぜひ深めていただければと思っております。
○山本座長 ありがとうございます。
この後、公表にかかわるところが出てくるのですが、NDB的な安全性を確保することが非常に難しい公表が起こり得るわけですね。そうすると、公表に関する同意が必要になってくる研究が当然ながら出てくると思います。そういう意味でも、先ほどの指定医への道というのは改めて追加の公表の同意をとるという意味でも非常に重要になってくる場合があると思います。特に希少例の場合は必ず必要になってくると思います。そうすると、指定医に到達できる方法というのも、これからつくるような、例えばガイドライン等の中でしっかりと考察しておかないといけない、その道を閉ざしてはいけないと思います。
ほか、いかがでしょうか。よろしいですか。
それでは、論点5「公表にかかる審査方法・基準」についてです。NDBでも公表のときに再審査を行っています。本質的なところでは、一応研究者を信用している。データを提供する方は変なことをしないと信用しているので、その研究者のもとでは、たとえ1名に特定されても構わない。ただし、公表されると全くコントロールできなくなりますので、その直前でもう一度点検させてもらうという趣旨でNDBでは公表時の審査というのがあります。さっき申し上げたように、難病、小慢に関してはそれがかなり厳しい条件になり得ると思いますので、この辺に関しても今後、御議論をよろしくお願いしたいと思います。何か御意見ございますか。全体の流れの中でまた後で議論を進めていくということでよろしいでしょうか。
それでは、論点6です。学術論文を出すと、それなりの期間、根拠を求められることがあるという意味では、データ提供した、あるいはオンサイトセンターで使っていただいた、それから先何年間かは根拠となるデータを示すように求められることが最近は非常に多いですね。そういう意味では、削除をどういうふうにしたらいいのかは結構難しい問題ではあります。何か御意見ございますか。どうぞ。
○康永構成員 結果を公表します。公表というか、論文として、例えばジャーナルに投稿します。必ず査読者がついて、修正を求められることがあります。そのときにもとのデータがないと困ってしまうことがありますが、データは大きなデータベースの中にあって、消えることはないわけです。データベースから個別のデータを抽出するプログラミングのアルゴリズムを書いておけば、データベースからいつでも抽出できるというスキームが残っていればいいという意見もあります。ただ、前と同じアルゴリズムを書いてデータ抽出しているのに数が違う、そういうことが時々ありまして、困ってしまうことがあります。それは純粋に技術的な問題なのですが、とにかくずっとデータをとっておくのがリスクだということであれば、そういう方法もあるのではないかと思います。
○田中課長補佐 その点について、もともとのデータが永続的に変わらないというところが担保できない可能性があることをお伝えしたい。というのは、今、このデータベースについては、各都道府県で得られた臨床調査個人票を事業を委託しているところに送付いただいています。その先生が研究した年度には何々県から実は送付がなかったけれども、数年たってその県から実際に送付がありましたといったときには、当然そのデータをデータベースに入れていくわけです。そうなると、そのデータを後から抜くことはできないだろうと思いますので、研究をしたその時点のデータから少し症例数がふえる、もしくは同意の撤回によってそのデータが削除される、そういうことが事例としては考えられるのではないかと思っています。その前提で、今、先生から御指摘いただいた点を御議論いただきたいと思います。
○山本座長 ありがとうございます。
NDBみたいな巨大なデータベースでない限り、ある程度トラックバックできる形で更新は可能ですので、この時点で抽出した場合のデータというのは多分できるのだろうと思います。幸い、このデータベースはそれほど大きくはないので、技術的にはかなり後ろに戻ることができる形になるかと思います。NDBは大きすぎて無理ですから、戻れないデータベースになってしまっています。逆に言うと、中間生成物の形で多少多くの研究者からお預かりしても多分保存できるぐらいの分量なので、削除するかわりに厚生労働省のほうで5年間お預かりするとか何とかいうのはできない程ではないと思います。結局、盗まれた場合のことが心配なわけで、研究者のところでリクエストがなかったら使わないデータを5年も10年も置いておくといつの間にかなくなっているということがあり得るので、そういう意味では、こちらで保管してあげるという手段も考慮してもいいのではないかという気がします。
ほか、論点6について御意見ございませんか。よろしいでしょうか。次回もこの論点について議論を続けていくということにさせていただきたいと思います。
それでは、議事(3)の「今後の進め方について」事務局から説明をお願いいたします。
○田中課長補佐 それでは、資料3「今後の進め方について(案)」をお示しさせていただいております。
本日、第1回の会議について今後の進め方まで議論が進んでいるところでございます。
第2回には、今、山本先生のほうからもいただきましたが、各論点に対する対応の方向性について、データ提供に係るガイドライン(案)について、このデータ提供に係るガイドラインは以下の内容を想定しております。データ提供の可否に係る審査基準、審査会の運営方法、その他データベースの利活用の運用に関する専門的事項、あと、その他といたしましては、先ほど申し上げた同意撤回の方法や難病の同意書の一部変更についての御議論もあわせてお願いしたいと思います。
続きまして、第3回にもデータ提供に係るガイドライン(案)の修正案についてさらに議論を深めていただき、第4回には取りまとめを想定しているところでございます。ただ、これはあくまで案でございまして、今後の議論に沿って少し修正が出るところは御了承いただきたいと考えております。
○山本座長 ありがとうございます。
ただいまの今後の進め方の御説明について何か御意見、御質問ございますか。あくまでも理想的に進んだ場合でありますが、これを目指して頑張りたいと思います。よろしいでしょうか。
それでは、議事(4)の「その他」に関しまして、事務局から御説明をお願いいたします。
○田中課長補佐 それでは、資料4をお願いいたします。
NDBにつきましては、構成員の先生はおかかわりがあったということで、その他でぜひ御意見をいただきたいところでございます。
まず、本データベースとレセプトデータベース(NDB)等との連結解析について、その他の項目で御議論をいただきたいと考えております。これについては、資料4と参考資料1をごらんいただきたいと思います。
参考資料1は取りまとめの部分になっておりますが、5ページの「その他(中長期的に検討が必要な課題)」として、他のデータベースとの連結については中長期的に検討していくことというふうにこの取りまとめの委員会では整理させていただいておりました。
一方で、先ほども少し御意見がございましたが、保険局において現在、NDBと介護DBとの連結以外に、ほかの公的データベースとの連結を本年秋を目途に検討することとする中で、本データベースとの連結についての検討依頼があり、難病対策委員会及び小児慢性特定疾患児への支援の在り方に関する専門委員会の合同委員会の両委員長にお伺いしたところ、当該有識者会議において検討することとしてはどうかという御意見をいただきました。つきましては、当会議において、NDB、介護DBとの連結解析について御議論いただきたいと思っております。
資料4にお移りいただきまして、まず経緯でございます。今、簡単に申し上げましたが、現在「医療・介護データ等の解析基盤に関する有識者会議」において、匿名での連結解析を行うことを前提にNDBと介護DBの連結解析に係る基盤の構築等について検討が行われているところでございます。保健医療分野におけるほかの公的データベースとの関係についても本年秋を目途に検討を行うこととされております。
一方、指定難病患者データベースと小児慢性特定疾病児童等データベースについては、先ほど申し上げた合同委員会において中長期的に検討が必要な課題として「医療等IDなどを用いて、難病に関連する各種データベースを連結する方策を検討してはどうか」が挙げられており、今後、合同委員会において適宜検討を行っていくこととしておりました。
これに関しまして、本有識者会議においても、連結解析により期待される利活用の方法や、連結解析の実施に当たっての課題、実施時期等を御審議いただきたいと思っております。本日、御議論いただいて、その意見を次回まとめてお示しさせていただきたい。
その下にございます四角の中については、先ほど申し上げた「医療・介護データ等の解析基盤に関する有識者会議」においての今までの議論の整理でございます。御参考にしていただければと思います。
1枚おめくりいただきまして、連結解析のニーズや利活用の方法については、NDBとの連結解析により具体的にはどのようなニーズ、利活用の方法が期待されるかということについて、想定される利活用の例を事務局で簡単にお示しさせていただいております。
NDBは、レセプトデータ及び特定健診・保健指導データを収載しており、データを連結することができれば、指定難病・小児慢性特定疾患の患者の治療の状況について匿名性を維持しつつも分析することが可能である。
また、匿名での連結解析の実施に当たっての課題ということで、指定難病患者データベース及び小児慢性特定疾病児童等データベースの保有する情報は希少な疾病に関するものであり、遺伝子検査の内容や家族歴など、患者本人以外にも家族に影響を与える点も考慮する必要があることを踏まえれば、個人が特定されるリスクに配慮した厳正な運用を確保することが必要となる。こうした性質を踏まえ、NDB、介護DB等と匿名で連結解析を行う場合、具体的にどのような課題があるかということについてもあわせて御議論いただきたいと思っております。
先ほど康永構成員からいただきましたが、治療法については難病のデータベースや小慢のデータベースに入っているものと入っていないものが実際にはございます。また、難病は治療がないということが明記されておりますので、基本的に決まった治療が記載されているものが少ない。対症療法などをベースにしている病気が多いという現状がございまして、そういったところから治療法について細かく記載する欄は余り入っていないということがございます。補足させていただきました。治療以外にもほかに利活用のメリットというような点もぜひ皆様から御意見をいただきたいと思っております。
○山本座長 ありがとうございます。
ただいまの資料4の説明に関しまして、御意見、御質問ございますか。どうぞ、五十嵐先生。
○五十嵐構成員 介護といいますと皆さんは高齢者ばかり想定されると思います。しかしながら、医療の進歩で以前でしたら生存できなかったお子さんたちがかなり生存して、大人にもなっていくということで、実は小児期から既に介護が必要な子供たちがふえております。従来の小児慢性特定疾病の事業からはそうした姿がなかなか見えてきませんので、NDBあるいは介護DBと連結することによって、そこから得られる情報というのは非常にたくさんあるのではないかと思っております。小児の面からも、連結解析ができるようになりますと、今まで知り得なかったいろんな情報が得られる可能性があると考えておりまして、大変期待しております。
○山本座長 ありがとうございます。
ほかはいかがでしょうか。どうぞ、康永先生。
○康永構成員 レセプトのデータは細かい治療履歴ですね。それも抗生剤をどれぐらい使ったとか、そういうのを日ごとに、しかも量も記載されています。特に難病の場合、治療法がないという場合に、いろんな対症療法などで現場の先生たちが本当に手探りでやられている治療法、それがまさに生のデータの記録として残っています。
ただ、現場の先生たちがその治療をやった結果が正しいかどうかというのも後でなかなか検証できないような形で治療を進められている実態も一部あって、こういう難病のデータベースとレセプトのデータベースをくっつけることによって、全国の先生がやられたリアルワールドのデータで、治療の効果までは検証できないかもしれませんが、いろんな治療のバリエーションや、それによる予後の検証ができると思います。どんな課題について研究するのか、それは何ぼでもできるというか、非常に有用な研究ができると思います。
これは中長期的なというふうにおっしゃっていたと思いますが、現状は難病のデータベース自体が経年で追跡できない形になっていますね。まず、そこが何とかならないと、そこがだめな状態でもしレセプトデータにくっつけたらレセプトデータで追跡可能になりますので、追跡してはいけないものが追跡可能になりますから、まずそこをクリアしなければいけないということになろうかと思います。
○山本座長 ありがとうございます。
ほか、御意見ございますか。
これは一応、中長期的には進めるべきだという御意見だと思います。現実にはどうやって結びつけるのかとか、先ほど康永先生が言われた難病に関しては経年的に今のところ追う同意になっていないとか、そのあたりを一個ずつ修正していかないと難しいと思いますが、少なくともその方向でポジティブに検討を進めていく、本日のところはそういう御意見ということでよろしいでしょうか。
それでは、また事務局に整理していただいて、次回このような議論を進めていければと思います。
あと、全体を通じて何か御意見ございますか。どうぞ。
○樋口構成員 最初に申し上げたことの繰り返しみたいになりますが、資料2-1にこの会議で何を論ずるのか、検討するのかというのがまとめられていますね。この書き方の問題ですけれども、まず、こういう段階でいろんなリスクがある、そのリスク回避、低減策はこういうものがあるということなのですが、何であれ、まずマイナスから入っているでしょう。何か始めるとこういう危ないことがあって、それに対してはどういうことが考えられるかと。
でも、私などは、やはり初めは夢を語ってもらいたい。難病の患者、小児慢性であれ、やはり夢を持つこと自体が大変なので、データヘルスというのはある種の夢で、本当に実現するかどうかはこれからの課題だと思いますが、五十嵐さんや千葉さん、そういう難病患者や小児の患者にずっと対応してこられた人たちから、こういうことが可能になるとこういうことが可能になるかもしれないという、それこそ中長期的な話でもいいのです。そういう話があって、しかし、それを始めるとこういうリスクがあるという話に落としてもらったほうが順番としてはいいような気がします。
その関連では、きょうのお話だと、今までももちろんデータベースはぼやっと構築していたわけではないので、厚労省の研究班等でいろんな形で使っていたわけですね。それこそ、この会議で開示できるのがどういう範囲なのか、私はよくわかりませんが、今までの経験はあるわけですから、その中でもう少し具体的にこういう研究がなされていて、データがこういうところが足りないので成果としてもここまでいかなかったとか、あるいは後でデータの削除の問題なんかも出てきますね。私なんかは素人だから、公文書の削除と同じで、削除してしまうと、科学研究というのは検証可能でないといけないのに基礎となるデータもありませんから、これがそのまま通ってしまうみたいな話になりかねない。
ちょっと話がほかに行くかもしれませんが、オンサイトセンターというところで何らかの形で記録が残っているというほうが科学研究という意味でもいいのではないかと思ったりもするわけです。もとに戻って、今まで研究班の担当者の方がおられるわけでしょうから、その人たちがこういうデータを使っていてどうだったのかという話も何らかの形で資料化するようなことが、面倒でない限りはですけれども、出てきたほうが今後の検討にまさに役に立つエビデンスになるのではないかと感じました。
○山本座長 ありがとうございます。
ほか、全体を通しての御意見ございますか。
それでは、本日の御議論は事務局に整理をしていただいて、次回の議論の資料にさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(委員首肯)
○山本座長 ありがとうございます。
本日の議事は以上でございます。
一点、御提案ですが、この有識者会議でもできれば患者さんの立場からの御意見もぜひお聞きしたいと思いますので、次回の有識者会議から、日本難病・疾病団体協議会(JPA)の代表の方に参考人として来ていただくことにしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(委員首肯)
○山本座長 それでは、事務局から事務手続等をよろしくお願いいたします。
最後に事務局から何かございますか。
○田中課長補佐 次回の第2回有識者会議の日程につきましては、決まり次第、御連絡させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
委員の皆様におかれましては、御多忙のところ、御出席いただき、また活発な御議論をいただきまして、ありがとうございました。
次回までに事務局のほうで資料を用意して、お示しさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
○山本座長 それでは、これで第1回有識者会議は終了といたします。皆様方には積極的な御議論、どうもありがとうございました。次回以降もよろしくお願いいたします。