第2回 副業・兼業の場合の労働時間管理の在り方に関する検討会(議事録)

労働基準局監督課

日時

平成30年10月2日(火)17:30~19:30

場所

専用第15会議室
(東京都千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎第5号館12階)

議題

・労働時間法制の改正経緯と現行制度の概要について
・諸外国の制度について
・その他(副業・兼業の現状に係る補足資料)

議事

 

○守島座長
 それでは、定刻になりましたので、ただいまより第2回「副業・兼業の場合の労働時間管理の在り方に関する検討会」を開催いたしたいと思います。
 委員の皆様方におかれましては、御多忙のところお集まりいただき、まことにありがとうございます。
 本日は、水島先生と島貫先生が御欠席です。荒木先生が18時半ごろに退席をされます。
 まず、本日の議題に入る前に、前回当検討会を開催してから事務局に異動がございました。事務局より説明をお願いいたします。
 
○岸田監督課長補佐
 事務局に異動がございましたので、御紹介させていただきます。
 労働基準局長の坂口でございます。
 
○坂口労働基準局長
 坂口です。どうぞよろしくお願いいたします。
 
○岸田監督課長補佐
 大臣官房審議官(労働条件政策担当)の田中でございます。
 
○田中審議官
 田中です。よろしくお願いいたします。
 
○岸田監督課長補佐
 労働基準局長総務課長の富田でございます。
 
○富田総務課長
 富田です。どうぞよろしくお願いします。
 
○岸田監督課長補佐
 監督課長の石垣でございます。
 
○石垣監督課長
 石垣でございます。よろしくお願いします。
 
○岸田監督課長補佐
 労働条件政策課長の黒澤でございます。
 
○黒澤労働条件政策課長
 黒澤でございます。よろしくお願いいたします。
 
○岸田監督課長補佐
 どうぞよろしくお願いいたします。
 
○守島座長
 カメラは入っていませんね、ここまでとしたいと思います。
 それでは、本日の議題に入りたいと思います。資料について事務局から御説明をいただきます。
 
○岸田監督課長補佐
 今回の検討会からペーパーレスで行わせていただきます。まず、資料の御確認をお願いいたします。資料としてタブレットの中に入っておりますが、資料1~資料6、そして参考資料1とございます。
 資料1 労働時間法制の主な改正経緯について
 資料2 現行の労働時間制度の概要
 資料3 労働時間通算の規定について
 資料4 諸外国の制度について
 資料5 副業・兼業の現状マル1(前回の資料のリバイス)
 資料6 副業・兼業の現状マル2(複数就業者についての実態調査(JILPT調査))
 参考資料1 第1回検討会における委員の主なご意見
 その他、座席表も入っているかと思います。
 うまく見られないなど操作に何か不都合がございましたら、事務局までお申しつけいだたければと思います。よろしくお願いいたします。
 では、早速、資料1~4につきまして、御説明させていただきます。資料がとても多くなっておりますので、下線の部分を中心にポイントを絞って説明させていただければと思います。
 まず、資料1をお開きください。1ページ目は概要ですので飛ばさせていただきまして、2ページ目から御説明いたします。
 資料1は労働基準法の制定時から労働時間法制の主な改正経緯について振り返っております。
 まず、基準法の制定時、昭和22年でございますが、社会的背景といたしまして、1919年以来の国際労働会議で最低基準として採択され、今日広く我が国においても理解されている8時間労働制等の基本的な制度を一応の基準として、この法律の最低労働条件を定めたとございます。
 当時の労働時間法制の主な内容を3つ書いておりますが、(1)1日8時間、週48時間の労働時間制。(2)割増賃金は、時間外、深夜、休日労働について法定で2割5分以上となっておりました。(3)4週単位の変形労働時間制もございました。
 3ページ、昭和62年の改正でございます。当時の社会的背景といたしまして、労働時間の短縮が労働者の生活の質的向上、長期的に見た雇用機会の確保、内需拡大等の観点から重要な課題となること。そして、国際社会における我が国の地位にふさわしい労働時間の水準とする必要性が増大したこと。また、労働基準法制定当時に比して第三次産業の占める比重が著しく増大したこと等が掲げられております。
 その時の改正の主な内容でございますけれども、(1)マル1、週40時間労働制を本則に定めました。当分の間、週法定労働時間については、段階的に短縮されるよう政令で定めることとされておりました。
 (2)変形労働時間制の導入でございます。マル1、もともと4週単位だったところ1か月単位としております。マル2、フレックスタイム制の採用を書いております。当時、それまで運用上認められてきたものでございますけれども、ワーク・ライフ・バランスの観点等から今後望ましい勤務形態の一つと考えられ、新たに条文が設けられたところでございます。
 4ページでございます。(2)マル3で、3か月単位の変形労働時間制を採用できることとしております。マル4、1週間単位の非定型的変形労働時間制も採用できることとしております。
 (3)事業場外及び裁量労働についての労働時間の算定に関する規定の整備が書かれております。マル1、事業場外については、かつては施行規則により規定されていたところでございますけれども、所定労働時間を超えて労働することが必要な場合も含めて、法整備がされたものです。マル2として、研究開発等の専門業務型の裁量労働制について、この時に法整備がされております。
 続きまして5ページでございます。平成5年の改正でございますけれども、先ほど御説明しました昭和62年の改正法の施行から3年が経過した後から検討されたものでございます。
 この時の主な内容といたしまして、(1)週40時間労働制を平成6年4月1日から実施するとし、一定のものについては平成9年3月31日まで猶予措置を設けることといたしました。
 (2)3か月単位となっていた変形労働時間制を最長1年単位の変形労働時間制に改正しております。
 (3)割増賃金率ですが、これまで法本則に定められていた時間外と休日労働の割増賃金率については政令で定めることといたしまして、休日労働につきましては、この時から3割5分以上とされております。
 (4)裁量労働制の規定の整備でございます。それまで通達で例示列挙していた対象業務を具体的に労働省令での限定列挙に変更しております。
 6ページ、平成10年の改正でございます。背景といたしましては、経済活動のグローバル化や情報化社会の到来、終身雇用制や年功序列制などにも変革の兆しが見えたこと。また、労働者側にも自己の専門的能力を生かした働き方を求めるなど、働き方や就業意識の多様化が見られるようになったこと、こういったことを背景としております。
 この時の主な内容としましては、(1)限度基準告示を定め、関係労使は労使協定を定めるに当たり、これに適合したものとなるようにしなければならないこと等、一連の関連の規定をこの時に設けております。
 (2)企画業務型裁量労働制につきましては、この時に条文化されております。背景としましては、※のところにございますけれども、経済社会の構造変化や労働者の就業意識の変化等が進む中で、活力ある経済社会を実現していくためには、事業活動の中枢にある労働者が創造的な能力を十分に発揮し得る環境づくりをすることが必要ということ。また、労働者の側にも自らの知識・技術や創造的な能力を生かし、仕事の進め方や時間配分に関し、主体性を持って働きたいという意識が高まったということがございます。
 続きまして7ページ、平成15年の改正でございます。この時の背景といたしましては、今後、少子高齢化が進み労働力人口が減少する一方、経済のグローバル化、情報化等の進展による産業構造の変化や労働市場の変化が進むといった中で、労働者の就業意識の変化に対応しつつ、その主体性を尊重し、個人が持てる力を発揮できる社会を実現していくことが必要になっておりました。このため、労働者が主体的に多様な働き方を選択できる可能性を拡大することといったことが背景となっております。
 この時は裁量労働制に関する改正を行っておりまして、(1)専門業務型裁量労働制で、健康・福祉確保措置や苦情処理措置を導入することとされております。
 (2)企画業務型裁量労働制でございますが、こちらは導入・運用の要件・手続について緩和したものでございます。
 続きまして8ページ、平成20年の改正でございます。背景といたしましては、少子高齢化が進行し、労働力人口が減少する中で、子育て世代の男性を中心に長時間労働をする割合が高い水準で推移していること等に対応して、ワーク・ライフ・バランスを確保して働くことができるよう労働環境を整備することが重要な課題となっておりました。
 この時の主な改正内容としましては、時間外労働に関する改正がございました。(1)1か月に60時間を超える時間外労働をさせた場合の割増賃金率を5割以上としております。そして、その他関連の規定の整備もあわせて行っているところでございます。
 続きまして9ページ、平成30年、今年の改正でございます。背景といたしましては、労働者がそれぞれの実情に応じた多様な働き方を選択できる社会を実現する働き方改革を推進するといった観点で、長時間労働の是正、多様で柔軟な働き方の実現等の措置が講じられております。
 中身といたしましては、(1)マル1、時間外労働の上限規制の導入。マル2、中小企業に猶予されておりました月60時間超の時間外労働に対する割増賃金の見直しでございます。
 (2)マル1、フレックスタイム制の見直しをし、清算期間を延長しております。マル2、高度プロフェッショナル制度の創設がされているところでございます。
 参考として10ページでございます。今、御説明してきたとおり、週40時間制へ段階的に移行してきたところでございますけれども、その移行期の関連する閣議決定等についての御紹介でございます。
 一番上は新前川レポートと呼ばれているものでございまして、昭和62年に出されたものでございますけれども、(3)の2000年に向けて、できるだけ早期に現在のアメリカやイギリスの水準を下回る1800時間程度を目指すことが必要と掲げられております。
 その翌年、昭和63年の経済計画でございます。最後の下線部ですけれども、おおむね計画期間中に週40時間制の実現を期し、年間総労働時間を計画期間中に、1800時間程度に向けできる限り短縮するとされております。
 さらに、その5年後の平成4年にも、計画期間中に年間総労働時間1800時間を達成することを目標とされているところでございます。
 続きまして、資料2を御覧ください。資料1で御説明したとおり、労働時間関係の法改正がされておりますけれども、現行の労働時間制度ではどうなっているかということで御紹介させていただきます。
 1ページを御覧ください。まず、法定労働時間のところでございますけれども、週40時間、1日8時間ということが原則として書かれているところでございます。
 弾力的な取扱いについては次ページ以降で御紹介いたします。
 続いて、時間外、休日労働でございますけれども、時間外・休日労働をさせる時には、労使協定を締結して届け出ることが必要だということになっております。
 次に、時間外、休日労働、深夜労働の割増賃金でございます。時間外、深夜は通常の賃金の2割5分以上、休日労働の場合は通常の賃金の3割5分以上となっているところでございます。
 割増賃金の意義でございますけれども、下の枠囲いに書いておりますので御紹介いたします。割増賃金を支払うべきことを使用者に義務づけることによって、労働基準法が規定する法定労働時間制及び週休制の原則の維持を図るとともに、過重な労働に対する労働者への補填を行おうとするものということで整理されております。
 続きまして、弾力的な取扱いについての御紹介です。2ページ以降、変形労働時間制から書いてございます。
 まず、1か月単位の変形労働時間制、1年単位の変形労働時間制でございますが、これらの対象としましては、期間を平均して法定労働時間を超えない範囲で、特定の日又は週で法定労働時間を超えて労働させることができる制度でございますが、対象業務や労働者に関する制限はございません。ただ、手続のところにもございますけれども、あらかじめ各日・週の労働時間等を定める等の手続が必要になるものでございます。
 労働時間の枠を御覧いただければと思いますけれども、適用労働者といたしましては両方ともそれぞれ2割程度となっているところでございます。
 1週単位の非定型的変形労働時間制ですが、こちらは30人未満の小売業等に限定されておりまして、労働時間の部分でございますが、1週40時間以内の範囲で、1日10時間を上限として、その枠内で働くこととされているところでございます。
 3ページ、フレックスタイム制でございます。こちらは先ほどの変形労働時間制との大きな違いとしまして、対象のところにあるとおり、労働者が各日の始業や終業時刻を自らの意思で決めて働くことができる制度となっております。同じように、対象業務や対象労働者に関する制限はないところでございます。
 労働時間の枠にございますけれども、適用労働者につきましては7.9%となっているところでございます。
 続きまして4ページです。事業場外みなし労働時間制でございます。こちらは、事業場外で業務に従事した場合において、労働時間の算定が困難な時に対象になります。
 労働時間のところにございますけれども、原則として所定労働時間労働したものとみなします。また、マル2、当該業務を遂行するために所定労働時間を超えて労働することが必要である場合には、当該業務の遂行に通常必要な時間労働したものとみなされます。適用労働者の割合は6.7%となっているところでございます。
 続きまして5ページ、裁量労働制でございます。こちらは専門業務型と企画業務型がございますが、専門業務型は研究開発など専門性が高い業務に従事する労働者でございます。企画業務型は事業の運営に関する事項についての企画、立案、調査及び分析の業務に従事する労働者でございます。
 労働時間のところを御覧いただければと思いますが、それぞれ専門業務型については労使協定で定めた時間、企画業務型については労使委員会の決議で定めた時間労働したものとみなされます。適用労働者の割合は、専門業務型で1.4%、企画業務型で0.4%となっております。
 資料2は以上でございます。
 続きまして、資料3でございます。労働時間通算の規定につきまして、歴史的に振り返ってまいりたいと思います。
 1ページを御覧いただければと思いますが、明治44年にできた工場法の第3条第3項、下線部でございますけれども、「就業時間ハ工場ヲ異ニスル場合ト雖前二項ノ規定ノ適用ニ付テハ之ヲ通算ス」とされていたところでございます。
 当時の解釈本というべき岡氏の本でございますけれども、下線部から御覧いただきますと「尚数工業主ノ使用シタル時間ヲ合算シ法規違反ヲ構成スル場合ハ其の処罰ニ付稍困難ナル問題ヲ生スル場合アルヘシ」と続いておりますけれども、数工業主に分かれていたとしても通算するということを言っていることが読み取れるかと思います。
 続きまして2ページ、労働基準法制定時でございます。労働基準法第38条は前回御紹介しましたとおり、「労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算する」と制定当時のままとなっております。
 そして、通達で、「「事業場を異にする場合」とは事業主を異にする場合をも含む」ということで示されているところでございます。
 労働基準法を制定した時の解釈本と言うべき寺本氏の本でございますけれども、「事業場を異にする場合は使用者が同一であっても又別人であっても、本法の労働時間制の適用についてはこれを通算する」ということで整理されております。
 続きまして、3ページを御覧いただければと思います。これまでさまざまな検討会で、この労働時間通算の規定について示されているものがございますので、御紹介いたします。
 上の部分が労働契約法制定の時の今後の労働契約法制の在り方に関する研究会の報告書、平成17年のものでございます。下線部でございますけれども、「他の企業において労働者が就業することについて使用者の管理が及ばなくなることとの関係から、労働基準法第38条第1項については、使用者の命令による複数事業場での労働等の場合を除き、複数就業労働者の健康確保に配慮しつつ、これを適用しないこととすることが必要となると考えられる」とされております。
 そして、「労働者の過重労働を招き、結果として社会的なコストが増大するのではないかとの指摘も考えられるが、個々の使用者に労働時間を通算することの責任を問うのではなく、国、使用者の集団が労働者の過重労働を招かないよう配慮し、労働者自身の健康に対する意識も涵養していくことがより妥当ではないかと考えられる」ということで整理されております。
 そして、柔軟な働き方に関する検討会、昨年末のとりまとめでございます。こちらについて労働時間・健康管理の部分ですけれども、労働時間通算の在り方については、通達発出時と社会の状況や労働時間法制が異なっているという社会の変化を踏まえて、見直すべきであるという意見があったところであり、別途検討を行うことが必要であるとされております。なお、ヒアリングにおいて労働時間通算規定等の現行の労働時間ルールを遵守すべきであるという意見もあったということで紹介されています。
 資料3につきましては、以上でございます。
 続きまして、資料4まで御説明させていただきます。諸外国の制度について、我々が今ある調査で分かる範囲でとりまとめさせていただいているものでございます。ドイツ、フランス、オランダ、イギリス、アメリカについてまとめております。それぞれ各国につきまして、副業・兼業の可否ですとか、労働時間規制がどうなっているか、割増賃金がどうか、通算規定かどうか、労働時間の上限を超えた場合の責任はどうか、副業・兼業をどうやって使用者が把握するのかといったことをまとめてございます。
 まず、1ページのドイツからですが、副業・兼業の可否につきましては、雇用契約等での制限は見られますけれども、一律の全面禁止は認められていないということでございます。
 1日8時間を超えてはならないという形で上限規制があるところでございます。
 割増賃金については、法定はなく労働協約等によります。
 労働時間通算については、通算すると法律上規定がございます。
 上限を超えた場合の責任関係については、諸説あるとされておりまして、マル1、マル2、マル3とございますが、本業の使用者が責任を負うとするもの、後から契約を締結した使用者が責任を負うとするもの、労働時間の順序に関係なく労働時間を違法に超過した場面の使用者が責任を追うという3つに分けられております。
 使用者は労働者に対して副業の有無ですとか、労働時間について申告を求める権利を有しており、労働者は回答する義務を負うということになっております。
 続きまして、フランスです。フランスも労働協約や雇用契約で副業を禁止することは可能となっております。
 1日10時間等の上限規制がございます。
 割増賃金につきましては、各雇用契約の所定労働時間を超過した場合に支払われるとされております。
 通算については、通算することとなっております。
 責任につきましては、法定の最長労働時間を超えて労働した場合、雇用労働者、雇用主の両方が罰則の対象となるということでございます。
 事実の把握ですが、雇用主は、従業員に対して労働時間に関する規定を遵守していることを明らかにする書面での証明書を求めることができることとされております。
 続きまして、2ページのオランダでございます。企業レベルで就業規則・協約等で禁止する傾向があるとのことでございます。
 労働時間規制につきましては、こちらも1日12時間等の上限規制がございます。
 割増賃金は、法定はなく労働協約等によります。
 通算については、法律上通算することとされております。
 上限を超えた場合の責任につきましては、法定Rぴ労働時間を超過させた使用者だけでなく、双方の使用者が責任を負うこととされております。
 事実の把握ですけれども、労働者は、それぞれの使用者に対し、自主的にかつ時機に応じて使用者が労働時間規制を遵守するために必要な情報を報告する義務があるとされております。
 続きまして、イギリスでございます。イギリスも雇用契約等に禁止や制限の条項を盛り込むことができることになっております。
 こちらも最長労働時間等の上限規制がございます。
 割増賃金については、法定はなく労働協約等によります。
 通算についても、通算することとされております。
 上限を超えた場合の責任につきましては、雇用主には労働者の健康と安全に配慮して、上限の遵守のために必要なあらゆる合理的措置を講ずることが義務づけられておりますけれども、下の事実の把握も併せて御覧いただければと思いますが、上限を超える場合には労働時間の制限など、合理的な手段を講じて、これを防止するか、またオプトアウトへの合意により上限を適用除外とすることも認められることになっているようでございます。
 続きまして、3ページはアメリカです。副業・兼業の可否については法的な規制はございません。
 労働時間規制につきましては、上限規制はございません。
 割増賃金につきましては、週40時間を超える労働に対して通常の賃金の1.5倍以上の割増賃金を支払わなければならないとされております。
 通算につきましては、共同使用と判断されるような場合のみ通算することとされております。
 続きまして、3ページの下の枠囲いを御覧いただければと思います。2017年4月に欧州委員会の報告書が出されておりまして、そこで労働時間通算が各国どうなっているかについて整理されております。
 3つに分類されておりまして、まず通算する国、すなわち労働者ごとに時間規制を適用する国としまして、先ほど御紹介しましたフランス、ドイツ、オランダを含めたこれらの国々が挙げられているところでございます。
 続いて、通算しない、すなわち契約ごとに時間規制を適用するとして、これらの国々が掲げられております。
 その他といたしまして、同一事業主であれば労働者ごとに時間規制を適用し、異なる事業主であれば契約ごとに時間規制を適用するとして、この3か国が掲げられているところでございます。
 この報告書によると、欧州委員会は労働者の健康と安全を向上させるために、労働者ごとに労働時間規制を適用させることが望ましいと考えているようではございますけれども、こういった各国の状況を踏まえて、EUの労働時間指令には通算するということは明示されておらず、欧州裁判所でも特段裁定等はされていない現状であるようでございます。
 資料4までの説明は以上でございます。

○守島座長
 ありがとうございました。
 一度長くなるので切りたいと思います。全体の議論については、後でまた時間をとりますけれども、まず、ここまでのところで事務局への御質問等があればお願いいたします。
 特にございませんでしょうか。どうぞ。
 
○荒木委員
 詳細な説明ありがとうございました。
 資料4で諸外国の制度を見てみますと、制度としては通算するということになっているのですけれども、通算するといっても別の使用者のもとでの労働時間をどう把握して、どう法を適用するのかというのが非常に課題になるところだと思います。諸外国で通算するという制度が実際にどう運用されているのかという点については、文献では労働者が申告するとか、使用者が照会できるとなっているのですけれども、それが実際にどう運用され、法が適用されているのかという実態を解明しておくことが必要ではないかと考えます。
 この点は守島座長とも相談させていただきまして、諸外国の実態を調査して、法制度はこうなっている、実態としてはどう運用されているというあたりも踏まえた上で、検討するのが適切だと思っています。そこで、海外の実態調査を踏まえた検討を行うことについて事務局と相談させていただいておりますので、その調査結果についてはこの検討会にも反映させていければと考えております。
 
○守島座長
 ありがとうございました。どうぞ気をつけていらしてください。
 何かほかにございますか。大丈夫ですか。
 それでは、残りの資料について御説明いただきたいと思います。
 
○岸田監督課長補佐
 続きまして、残りの資料5と資料6について御紹介させていただきます。
 まず、資料5を御覧ください。副業・兼業の現状についての御紹介です。
 前回の資料で、就業構造基本調査に基づいて分析したものをお出ししたのですけれども、その時口頭で少し補足させていただきましたが、前回の検討会の直前に新しい2017年のデータが出ましたので、そちらについて反映させたものをお配りさせていただいております。
 1ページを御覧ください。まず、副業・兼業を希望している人が左側のグラフでございます。副業を希望している雇用者数につきましては、前回の資料でも増加傾向ということでお示ししましたけれども、今回もやはり増加傾向となっております。
 右側が実際に副業している方、本業雇用・副業雇用の方ですけれども、そちらも増加傾向にあります。
 続きまして2ページです。副業・兼業の現状につきまして、本業の年収ベースで見てみたものです。前回の検討会でも、年収で二極化しているという御指摘をいただいたところでございますけれども、最新の2017年のデータを見ても、左側の折れ線グラフが本業の所得階層別で見た雇用者総数に対する割合ということですけれども、年収の比較的低い層と高い層で副業している方が多くなっているのが現状でございます。
 右側の円グラフを御覧いただければと思います。こちらは本業の年収ベースで分類したものでございます。299万円以下の方が67.3%になっておりますが、前回の検討会で、この方々というのがどういう就業形態かということが分かるといいのではないかという御指摘もいただきましたので、小さくて恐縮ですが、円グラフの中の※の部分でございます。所得が299万円以下の雇用者を見ていきますと、正規の職員・従業員は15.7%、非正規の職員・従業員は77.8%となっております。
 正規・非正規の観点で3ページと4ページも資料を作っております。まず、3ページを御覧いただければと思います。こちらは正規の職員・従業員に限って見ているものでございます。左側の折れ線グラフを御覧いただければと思いますが、全体の時と同様に年収の比較的低い層と高い層で副業している方が多くなっているのが現状でございます。
 一方、4ページを御覧いただければと思いますが、非正規の方に限って見た場合は、そういった二極化のような傾向ではなくて、全体に比べて副業している方の割合が高くなっているという状況でございます。
 5ページにつきましては、一番右側の緑色の棒グラフを追加しております。例えば、正社員について下の棒グラフで御覧いただきますと、オレンジ色の2012年部分に比べまして、2017年につきましては正社員自体も4.2%増えているところではございますけれども、上の棒グラフを御覧いただきますと、副業している方というのは2012年に比べて26.2%増えておりまして、全体の変化に比べて大きな変化になっていることが分かります。
 続きまして、資料6について御紹介いたします。複数就業者についての実態調査としまして、JILPTの方で調査されたものでございます。
 1ページを御覧いただきますと、右肩に書いてございますけれども、複数の事業所で雇用される者に対する雇用保険の適用に関する検討会で示された資料に加えて、我々の方で少し労働時間関係の分析などを追加してお出ししているものでございます。
 左上の調査方法を御覧いただきますと、インターネット調査でございます。調査期間は昨年のちょうど今頃でございます。
 全体像につきましては飛ばさせていただきまして、2ページ、3ページが、先ほど御紹介した就業構造基本調査と回答者総数の比較でございますけれども、御参考でございます。
 実際の内容につきましては、4ページを御覧ください。上の表でございますが、副業している人のうち、副業2つまでの割合が男女計で全体の94.1%を占めるような状況でございます。黄色いセルの部分でございます。
 下の表ですが、年代別で見てみますと、副業している方は30~50代が多くなっております。
 5ページです。今回の調査で副業している人というのが左下でございますが、全部で9299人でございます。続きまして、副業している人について本業が雇用の方で区切ってみますと、真ん中の下の部分ですが6576人でございます。
 続きまして、本業が雇用で、さらに副業も雇用の方に区切ってみますと4494人になります。ただし、副業が雇用という方は、副業を複数持っていらっしゃる方もいらっしゃいますので、複数ある副業のうち1つでも雇用である方を対象にしております。副業で1つでも雇用であれば本業が雇用の場合、通算規定の対象になろうかと思います。
 続きまして6ページでございます。副業の業種でございますけれども、多いところが黄色いセルになっておりますが、その他のサービス業、教育・学習支援業、生活関連サービス業、娯楽業、学術研究、専門・技術サービス業の割合が高くなっております。
 また、収入の最も多い副業では卸売業・小売業も多くなっているところでございます。
 続きまして7ページを御覧ください。本業の業種と副業の業種をともに雇用の方について御覧いただいております。斜めの部分が黄色くなっておりますが、本業と副業とが同じ業種の方の割合が高くなっております。
 一方、副業の業種だけ見てみますと縦のラインでございますけれども、卸売業・小売業や宿泊業、飲食サービス業、又は生活関連サービス業、娯楽業等が多くなっているところでございます。
 続いて8ページです。副業の仕事の内容で見ています。専門的・技術的職業やサービス職業の割合がどの副業でも多くなっておりますが、事務や販売については、収入の最も多い副業のところで多くなっております。
 続きまして、9ページでございます。副業の理由について見ております。こちらは複数回答でございますけれども、こちらを見ると「収入を増やしたいから」や「1つの仕事だけでは収入が少なくて、生活自体ができないから」ということが多くなっておりまして、それらに続きまして「自分が活躍できる場を広げたいから」と回答する割合が高くなっております。
 続きまして、10ページでございます。副業の理由として最も当てはまるものを男女別で見ております。男女ともに最も当てはまるものということで絞りますと、「収入を増やしたいから」ですとか、「1つの仕事だけでは収入が少なくて、生活自体ができないから」と回答する割合が高くなっております。
 続きまして、11ページでございます。副業する理由で最も当てはまるものと、本業の収入(月収)を掛け合わせているものでございますけれども、一番上でございますが「1つの仕事だけでは収入が少なくて、生活自体ができないから」と回答した方につきましては、本業の収入が10~20万円未満の割合が高く、38.2%となっております。
 続きまして12ページ、世帯の状況でございます。副業している人につきまして世帯上の地位を見てみますと、上の表の右上の薄い水色になっているセル、5762とございますが、ここが一番多くなって、世帯主が一番多くなっております。
 下の方を御覧いただきますと、世帯主と回答した方について扶養家族の数を見ておりますけれども、そちらは0人や1人の割合が多くなっているところでございます。
 続きまして、13ページでございます。就業形態について見ております。仕事は1つだけで本業のみの人と、仕事は2つ以上で副業もしている方とそれぞれ見ておりますけれども、上の部分、仕事は1つだけの方につきましては、正社員の割合が高くなっております。
 一方、仕事2つ以上の人、副業をしている人を見ますと、正社員に加えてパート・アルバイトの方ですとか、自営業主、自由業・フリーランス・個人請負の割合も高くなっております。男女別で見ても同様の傾向になっているかと思います。
 続きまして、14ページでございます。副業の就業形態でございます。パート・アルバイト、自由業・フリーランス・個人請負の割合が高くなっております。こちらは何番目かの副業に関わらず、割合としては高くなっているかと思います。
 続きまして、15ページでございます。本業の就業形態と副業の就業形態を掛け合わせております。本業の就業形態別に副業の就業形態を見ると、本業がどの形態であったとしもて、副業でパート・アルバイトや自由業・フリーランス・個人請負の割合が高くなっております。
 また、本業と副業で同じ就業形態の方、斜めの部分ですけれども、そこも比較的高くなっております。
 また、実数を御覧いただければと思いますけれども、本業がパートの方で副業もパートの方は1534人いらっしゃって、本業が正社員で、副業がパートの方も1194人いらっしゃいますので、このあたりが実数としては多くなっているところかと思います。
 続きまして16ページ、収入の状況でございます。主たる仕事の月収を見てみますと、副業をしている人としていない人でそれぞれ見ていますが、仕事は1つだけの人、副業をしていない人につきましては、20~30万円未満の割合が高くなっております。
 一方、仕事が2つ以上の人、副業をしている人は、主な仕事の月収は10~20万円未満、20~30万円未満の割合が高くなっております。
 また、男女別に見ますと、仕事1つ、仕事2つ以上ともに男性は20~30万円未満、30~40万円未満の割合が高く、女性は5~10万円未満、10~20万円未満の割合が高くなっているところでございます。なお、女性については仕事1つの場合で20~30万円未満の割合も高くなっております。
 続きまして17ページは、世帯上の地位と本業の収入を見ているものですけれども、18ページに男女別のものが載っておりますので、そちらを御覧いただければと思います。副業している方につきまして世帯上の地位と本業の収入の関係を見ますと、男性で最も多い世帯主は、20~30万円未満と30~40万円未満が多くなっております。女性で最も多い世帯主の配偶者につきましては、5~10万円未満と10~20万円未満が多くなっております。
 続きまして、19ページ以降でございます。先ほども少し御紹介しましたけれども、前回の検討会で副業している方につきましては、年収が二極化しているということがございましたけれども、就業構造基本調査の方ではさらなる分析がなかなか難しかったものですから、こちらの調査で副業をしている人の収入と就業形態などいろいろなものと分析しているところでございます。
 まず、19ページは、副業をしている人の本業の収入(月収)と本業の就業形態を見ております。本業の収入が20万円未満の階層を見ますと、パート・アルバイトの割合が高くなっておりまして、収入が20万円以上の所得階層では、正社員や自営業主などの割合が高くなっているところでございます。
 続いて、20ページでございます。同じく副業している人につきまして、本業の収入と本業の業種を見ております。収入が比較的低い所得階層では、卸売業・小売業、宿泊業、飲食サービス業などの割合が高くなっておりまして、収入が比較的高い所得階層では、製造業の割合が高くなっているところでございます。
 その他、教育・学習支援業や医療・福祉につきましては、低所得層でも、高所得層でも比較的多くなっているという状況でございます。
 続きまして、21ページ、企業規模で見るとどうかというお話もございましたので、副業をしている人について本業の収入と本業の企業規模で見ております。これにつきましては、月収が低い層でどこの企業規模が多いといった傾向は見られませんでしたが、黄色い部分のところが多くなっている状況でございます。
 続きまして、副業している人について本業の収入と本業の仕事内容を見たものが22ページでございます。副業している人の収入別に仕事内容を見ますと、収入が比較的高い所得階層では管理的職業の割合が高く、収入が比較的低い所得階層では販売、サービス職業の割合が高くなっております。また、専門的・技術的職業や事務につきましては、低所得層から高所得層にかけて割合が高くなっているところでございます。
 続きまして、23ページからは労働時間について見ております。まず、上の部分でございますけれども、副業をしている人としていない人それぞれについて本業の平均労働時間を見ているものでございます。上2つが副業をしている人で、本業雇用の人と本業・副業ともに雇用の人です。下が副業をしていない人です。一番右の本業の平均実労働時間を御覧いただきますと、副業をしていない人の方が本業の平均実労働時間が長くなっております。
 続きまして、下の表でございますけれども、本業の残業頻度を見ております。副業をしている人の方が、本業で残業をほとんどしていない人の割合が高くなっております。
 続きまして24ページの上の部分では、副業の労働時間について見ております。副業雇用のみでございますが、平均労働時間を御覧いただきますと、例えば副業1番目、一番収入の多いものでございますが、平均の実労働時間で平均13.11時間となっており、2番目、3番目になるにつれ少なくなっているという傾向でございます。
 下の表が本業と副業を合計した平均労働時間でございます。こちらも本業・副業ともに雇用としておりますけれども、本業と副業を通算した平均実労働時間については週47.68時間になっております。
 副業1つの方ですと44.91時間、副業が3つ以上の方で66.66時間となっております。
 続きまして25ページでございます。副業をしている人について本業の就業形態と本業・副業の合計した労働時間を掛け合わせております。例えば、本業の就業形態が正社員の方の本業と副業の合計した平均実労働時間を見ますと、57.31時間になっております。また、本業がパート・アルバイトの場合、本業・副業を合計した平均実労働時間を見ますと37.17時間となっているところでございます。
 続きまして、最後26ページでございます。副業をしている人について本業の収入別に本業・副業を合計した労働時間を見ているものでございます。例えば、本業の収入が10~20万円未満の方の平均実労働時間を御覧いただきますと47.17時間となっておりまして、20~30万円未満ですと54.16時間、だんだん高くなる傾向にあって70万円以上の方ですと60.87時間という状況になっております。
 私からの説明は以上でございます。
 
○守島座長
 ありがとうございました。
 それでは、今の事務局の説明も踏まえて議論に入りたいと思います。事務局への質問含めて委員の皆さんから御意見等がありましたら、ぜひお願いしたいと思います。
 石崎委員。
 
○石崎委員
 御説明いただき、ありがとうございました。若干の感想めいたコメントと、1点御質問させていただければと思っております。
 資料6の10ページ、11ページ、副業の理由を大変興味深く伺いました。こちらを拝見しますと、確かに金銭的な理由で副業されている方の割合が非常に高いなということが分かるわけですけれども、その反面、実は「自分が活躍できる場を広げたいから」「様々な分野の人とつながりができるから」「現在の仕事で必要な能力を活用・向上させるため」、あるいは「時間のゆとりがあるから」「副業のほうが本当に好きな仕事だから」といった、ポジティブな理由によって副業されている方の割合も、合計すると二十数パーセントにはなると思います。また、転職・独立や、もともと本来の仕事が副業を想定しているといった、ある種労働者自身がそういった働き方を選んでいると評価できるものを加えると、かなり多いのだなという印象を持ちました。
 それとの関係で少し気になりましたのは、最後に御紹介いただいた26ページで労働時間と年収のクロスをしていただいているのですが、こちらを拝見しますと、本業の収入が30万円以上の方がかなり長い時間、週60時間程度働いているといったような感じですが、このあたりの層の方がどういった理由で働いているのかということです。11ページの表とあわせて見ますと、例えば収入が高いと「本業の仕事の性格上、別の仕事をもつことが自然だから」の割合が高かったりして、推測はつく気もするのですが、11ページの表につきまして、今は横軸で100%となっているものを縦の100%の割合を見ることはできるのでしょうかというのが質問でございます。
 
○岸田監督課長補佐
 この場ですぐに御紹介はできませんけれども、恐らくできるのではないかと思いますので、戻って分析させていただきたいと思います。
 
○石崎委員
 ありがとうございました。
 
○守島座長
 ほかにどなたか。どうぞ。
 
○松浦委員
 私も感想のようになってしまうのですけれども、資料6の25ページで御説明いただいた雇用形態別の合計の平均実労働時間を見ると、本業が正社員で副業をしている人たちの労働時間は週57時間ということで、若干長いという印象を受けたのですけれども、それ以外の人たちについては、週40時間は超えているものの48時間以内には大体おさまっているというのが一つ印象深かった点です。もう少し長いのではないかと思っていたものですから、思ったより短いという印象を持ちました。
 もう一つ、24ページで副業の数別に平均実労働時間を出してくださっているのですが、副業を3つ以上やっていらっしゃる方が、週60時間を超える平均実労働時間になっているという点は気になったところです。ただ、もう少し詳しく、収入の高い人たちが自発的に成長機会などを得るためにいろいろな仕事をしていらっしゃるケースがこの3つ以上の中にどれくらい入っているのかは把握しておきたいと思います。つまり、この3つ以上の人たちの収入分布、副業の数別で収入と三重クロスをした時に、どういう分布になっているのかが少し気になったところです。
 以上です。
 
○岸田監督課長補佐
 戻って分析してみたいと思います。
 
○守島座長
 ありがとうございました。ほかにございますか。
 では、私から。直接データの結果というよりは、JILPTの調査がどの程度代表性があるのか。つまり、母集団の状況を示しているのかということについては、就調との比較はされているのですけれども、それ以上何かJILPTから言えること、母集団と同じなんです、もしくは近いですというデータというか証拠はあるのですか。
 
○岸田監督課長補佐
 JILPTの担当者に確認いたします。
 
○守島座長
 武林委員。
 
○武林委員
 今の点について、ぜひもう少し精査していただきたいと思いますが、例えば、先ほどあった資料6の26ページの労働時間がどうかというところですが、本業の収入の分布みたいな数字が載っていますが、例えばこれを大元の調査と比べるとか、何となく予想するとインターネット調査なので、本当に収入が高ければインターネットへのアクセスもいいと思いますし、比較的参加すると思いますけれども、比較的収入が厳しくて長く働いている人はインターネット調査に乗ってこないということは十分ある気がしますので、もう少しいろいろ具体的な観点からの比較性をお示しいただけると、調査のバイアスみたいなことが評価できるのかなと思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。
 
○守島座長
 ありがとうございました。
 非常にシンプルに言ってしまうと、15万7000人中の副業しているのが9000人という割合が、母集団から見た場合果たして正しいのかどうか。極端な言い方をすると、正しくないんですよ。インターネット調査というのは、そういう状況にある人間が答えてしまう傾向があるので、そういう割合は出されていないのですけれども、そこのところをもう少し今、武林委員もおっしゃったように精査していただくといいのではないかという感じはしました。
 
○岸田監督課長補佐
 今の点で申し上げますと、資料5の1ページにございますけれども、就業構造基本調査ですと雇用・雇用で副業している方というのが全体の2.2%となっております。こちらは雇用だけに限っていて、資料6の調査につきましては雇用だけに限っていない数字でございますけれども、それが7.2%になっておりますので、2.2%と7.2%で違う部分もあるのかもしれません。ただ、これは雇用だけに区切って見ると、もしかしたらもう少し近づくのかもしれませんので、御指摘の点を踏まえて分析したいと思います。
 
○松浦委員
 戻ってもよろしいですか。資料2で御説明いただいた、現行の労働時間制度の概要で、確認しておきたい点がございます。1ページの四角囲みのところ、割増賃金を支払うべきことを使用者に義務づけることの意味について御説明があったかと思います。法定労働時間制及び週休制の原則の維持を図ることと、過重な労働を防ぐという意味合いで割増賃金が求められているという御説明だったと思いますけれども、これは法律の条文の中に書かれているわけではなくて、コンメンタールの中で書かれているという理解でよろしいですか。
 
○岸田監督課長補佐
 おっしゃるとおりでございます。ほかの部分でも引用しております労働基準法のコンメンタールの趣旨の部分にこういった記載がございますので、御参考として書かせていただいたところでございます。
 
○松浦委員
 ありがとうございました。副業における割増賃金の通算を議論する上で、割増賃金の意味合い、位置づけが重要だということで、このような資料をご用意いただいたということでしょうか。
 
○岸田監督課長補佐
 現行の制度の御説明でございますので、現行労働基準法第38条で労働時間が通算されて割増賃金が支払われるという流れがございますので、それぞれどういう考え方のもとに今行われているのかを先生方にお示ししたほうがよろしいのではという趣旨で載せさせていただきました。
 
○松浦委員
 ありがとうございました。
 
○守島座長
 ありがとうございました。ほかにどなたかございますか。
 武林委員。
 
○武林委員
 資料3について教えていただきたいのですが、3ページですが、「これまでの検討会の報告書」の平成17年の御説明をいただいところで健康に係る部分ですが、「労働者の過重労働を招き、結果として社会的コスト」云々の後に「個々の使用者に労働時間を通算することの責任を問うのではなく、国、使用者の集団が労働者の過重労働を招かないよう配慮し、労働者自身の健康に対する意識も涵養していくことがより妥当」と書いてありますが、ここで言う「使用者の集団」というのが何を意味しているのかということと、ここに書かれている検討会の報告書が、その後何か行政上のルールを含めて反映されているような話なのか、それともあくまでも指摘にとどまっているかということを、まず教えていただければと思います。
 
○岸田監督課長補佐
 こちらの研究会のメンバーにもいらっしゃいました荒木先生に直接お伺いできればよかったところですが、退席された後ですので、今になって見ると、ということで御説明するしかないのですけれども、恐らく使用者の集団として考えられるものは、使用者団体などがあるかと思います。
 この研究会の報告書については、労働契約法制の検討時にとりまとめられたものでございますけれども、内容の全てが今の契約法になっているわけではなく、この後、労働政策審議会の方で御議論いただいて法制化されていると承知しておりますので、この指摘はこの後、法制化は特にされていないのが現状であろうと思います。
 
○武林委員
 もう一つ、資料について伺いたいのが、資料4の諸外国の制度のイギリスについて、これからまた調査に行かれるということですので、もし分かればということで調査の中でも御検討いただきたいと思いますが、イギリスについては特に健康の問題に関しては、基本的にはあらゆる合理的な措置ということが、労働時間に限らずそういう表現が出てくるわけですが、ここで言うオプトアウトがどういうものであって、それが特に健康に対して、健康診断の制度も含めて全く違うのでアプローチは違うと思いますけれども、どういう仕組みになっているのかを、今というよりはこの後調査に行くことも踏まえて少し整理していただければと思います。
 
○岸田監督課長補佐
 イギリスにつきまして、実際に行くかどうかはまた別のことかと思いますけれども、今の御指摘を踏まえて調べられる範囲で調べて、お示しできればと思います。
 
○武林委員
 あとはコメントとして、またお聞かせいただければと思いますが、先ほどのいろいろな調査のデータを見ていると、収入の低い側の人数もボリュームも大きいということと、企業規模を考えると結局30人未満のところが、あの調査で見ても3割ぐらいのボリュームがあることを考えた時に、時間を通算する通算しないという議論とともに、そこに対してどういう措置が合理的かということを考えざるを得ないと思いますので、そういう意味で過去からの法制の積み重ねの考え方と、外国を含めた特に現行、安全配慮上の義務に関して、さっきの検討会を見れば、必ずしも使用者に全て責任を持たせるのではなくて、もう少し全体的な本人の責任ということも含めて考えると書いてありますので、それを含めてどう考えるのかということを何か今後の議論で参考になるものがあれば、少し整理をいただければと思います。
 
○守島座長
 ありがとうございます。
 ほかにございますか。石崎委員、お願いいたします。
 
○石崎委員
 先ほど松浦委員からも御指摘のあった、割増賃金規制の趣旨ですけれども、こちらを改めて読んでみますと、規制の趣旨が割増賃金を支払うべきことを使用者に義務づけることによって、そういった経済的負荷を課すことによって法定労働時間制の維持を図ることを狙いとしているわけですけれども、この趣旨から考えると、兼業を進めていくということとその調整がどうしても難しくなってくるということもあるのかなと思いながら拝見していたところでございます。
 あと、若干補足的な話としましては、こちらの表現についてはコンメンタールから引かれたということかと思いますが、最高裁判決などにおいてもこれと同じような趣旨が述べられているところかと思います。
 私からも資料4の関係で諸外国の制度、これも今後海外調査において明らかになればいいなということでの発言ですけれども、興味深く拝見しましたのは、副業・兼業の把握方法としてドイツ、オランダなどでは労働者に回答義務であったり報告義務を課していたり、フランスでは証明を求めることができるとされているようでありまして、そうすると、副業というのはある面では本業ではない部分での時間の過ごし方ということで、プライバシーにかかわるところもあるのかなと思っていたのですけれども、これらの国々においては、どうもそのあたりは余り重視していない、あるいはプライバシーととらえていないのか、それよりも労働時間規制の遵守を尊重すべき価値と見ているのか分からないですけれども、そのように考えているように伺えるところです。そのこととの関係で、申告の具体的な内容や証明書において記載すべき事項も確認できたらいいなと思っています。
 あと、こうした義務があるということですけれども、労働者がこうした義務を果たさなかった場合には、使用者は責任を免れることができるのかといったあたりが非常に気になるところかなと思っているところです。
 
○守島座長
 ありがとうございます。
 松浦委員。
 
○松浦委員
 諸外国の制度のところで1点気になるのが、そもそもこういった国々でどれくらい副業が実施されているかということです。これらの国々で副業がどの程度広がっているのか、本日でなくても結構ですが、どこかでお示しいただければと思います。
 
○岸田監督課長補佐
 JILPTの同じ調査で、分かるところと分からないところがあったと思いますので、各国の副業者の割合についても整理してお示しできればと思います。
 また、現地に調査に行く時に、そういった基礎的なことについても先生方に聞いていただくことになろうかと思います。
 
○松浦委員
 ありがとうございます。例えば通算するという国では、背景として副業者が少ないからワークするという面もあるかもしれませんし、ある程度副業が普及している国では普及を前提とした事務フローが考えられているかもしれません。ですので、実態とあわせてどういう運用がなされているかを調査いただければと思うのと、運用上の課題のようなことがあれば、それもあわせて御確認いただければと思います。
 
○守島座長
 小畑委員どうぞ。
 
○小畑委員
 私も、今のお話と非常に関係するのですが、おっしゃったようにどれくらいの副業がそもそもあるのかということとともに、例えば、雇用労働者、雇用主の両方が罰則の対象となるというフランスの記述などを見ますと、実際に罰則を発動している例はどれくらいあるのかということなども含めまして、実態を明らかにしていきつつ検討していくことが肝要かなと思っております。よろしくお願いいたします。
 
○守島座長
 ありがとうございました。ほかにございますか。
 それでは、またあったら、あとで事務局に送っていただいても構わないと思いますけれども、一応このくらいで今回出された資料についてのコメントは終わりということでよろしいでしょうか。
 それでは、本日の議論は早いですけれども、ここまでとさせていただきたいと思います。
 次回の日程について、お願いいたします。
 
○岸田監督課長補佐
 次回の日程については、開催場所とあわせまして、また先生方に御連絡させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 
○守島座長
 ありがとうございました。これにて第2回「副業・兼業の場合の労働時間管理の在り方に関する検討会」を終了いたしたいと思います。本日は、お忙しい中お集まりいただき、大変ありがとうございました。