第2回労働政策審議会労働施策基本方針部会 議事録

日時

平成30年9月13日(木) 10:00~12:00

場所

厚生労働省 省議室(9階)
(東京都千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎第5号館)

議事

 
○樋口部会長 定刻になりましたので、ただいまから第2回労働政策審議会労働施策基本方針部会を開催いたします。本日の委員の出欠状況ですが、公益代表の荒木委員、奥宮委員、労働者代表の中川委員、山中委員、使用者代表の小林委員が御欠席です。なお、小林委員の代理として、日本商工会議所産業政策第二部副部長の杉崎様に御出席いただいております。また、今回が初回の御出席となる委員を御紹介いたします。公益代表の阿部委員です。小杉委員です。労働者代表の相原委員です。使用者代表の今木委員です。どうぞよろしくお願いいたします。事務局から定足数の報告を頂きます。
 
○職業安定局総務課長 本日の御出席委員につきましては、労働政策審議会令第9条で定める「委員全体の3分の2以上の出席、又は公労使各側委員の3分の1以上の出席」が満たされておりますので、定足数は満たされておりますことを御報告申し上げます。
 
○樋口部会長 それではカメラ撮りはないと思いますので、よろしいでしょうか。議事に入る前に本日の部会の説明は、これまでと同様にタブレットで行います。事務局から何か説明がございましたらお願いします。
 
○職業安定局総務課長 第1回の部会に引き続きまして、本日もペーパーレスで開催させていただきたいと思っております。お手元にタブレットを配布しておりまして、使用方法については操作説明書を机上に配布しております。御不明の点などがございましたら、何なりと事務局職員にお申し付けください。
 
○樋口部会長 それでは議事に入ります。本日の議題は「労働施策基本方針(仮称)(案)について」となっております。議題について、まず事務局から説明をお願いいたします。
 
○職業安定局雇用政策課長 まず、ファイルの資料No.1「労働施策基本方針(仮称)骨子(案)」をお開きください。前回(第1回)の会議において、骨子(案)について御議論いただいたところです。本文中に下線が引いてある箇所がありますが、こちらは前回御提示させていただいた骨子(案)からの変更箇所で、御議論を踏まえて変更した部分です。こちらを中心に御説明いたします。
第3章についても後ほど御説明しますが、まず第1章です。「タイトルが分かりにくい」という御指摘を頂きまして、もっと簡潔な表現にするようにという御指摘でした。法律上の規定との関係がありまして、多少ですが簡潔な表現にしたところです。また、第1章の2、3の所については、趣旨を明確化するということで表現を変更して、「推進に向けた」等の表現が入ったところです。
第2章の1の(3)業界ごとの取組の推進です。こちらは従前は「取引環境の改善等の」という文言が入っておりました。こちらについても、「第3章との重複感がある」という御指摘を頂きました。実際の中身の記載内容を踏まえて内容を整理し、このようなタイトルにしております。(5)最低賃金・賃金引上げと労働生産性向上ですが、「労働生産性の向上もタイトルに入れ込むべきである」という御指摘を頂いておりまして、こちらに入れ込んでおります。
少し下のほうにいきます。3「多様な人材の活躍促進」があります。こちらの位置として、もともともとは5に記載していたものですが、現行の4の「育児・介護等」についてに合わせて、こちらは「実行計画にも盛り込まれている事項でもあるので、前のほうに持ってくるべきである」という御指摘を頂いたところで、順番を入れ替えております。3を「多様な人材の活躍促進」、4を「育児・介護・治療と仕事の両立支援」としています。
2ページを御覧ください。5「人的資本の質の向上と職業能力評価の充実」の(1)ですが、「中身が分かりやすいタイトルとしてはいかがか」という御指摘を頂きました。もともとは「人的資本の質の向上」という、上のタイトルと一部同じタイトルを使っていたのですが、こちらを「リカレント教育等による人材育成の推進」に修正しております。
6の「転職・再就職支援等」の位置については、もともと3であったものを6に順番を変えています。
第3章についても、若干ですがタイトルを簡潔にしたところです。また、1は「商慣行の見直しや取引環境の改善など下請取引対策の強化」ということで後ほど御説明いたしますが、記載内容を踏まえてタイトルを変更しています。
続いて、本文の労働施策基本方針(仮称)(案)について御説明いたします。資料No.2を御覧ください。こちらについてはポイントを述べさせていただきます。
まず「はじめに」において、前段については経済・社会情勢についての記載をしているところです。景気の回復による雇用情勢の改善などから始まりまして、人口の減少、一方で就業者数の増加、人手不足感、中長期的な少子高齢化・生産年齢人口の減少といったことを記載しています。
中段の所で、「こうした問題を克服し」という段落がございます。ここからは「実行計画」の策定についての記載をしております。その下の段落には、今般の「働き方改革関連法」の成立、また「労働施策総合推進法」の改正といった事項について記載しております。
「はじめに」の下から2段落目において、「労働施策推進法においては」ということで、法において基本方針を策定する旨が規定されていることを御紹介しています。一番最後の段落の「本方針は当該規定に基づき」という所については、「国の施策に関する基本的な事項等について示すものである」ということを記載しています。
第1章が、1ページの下の所から始まっています。第1章は「労働者が能力を有効に発揮できるようにすることの意義」です。1の「働き方改革の必要性」では、「誰もが生きがいを持って、その能力を最大限に発揮することができる社会を作るためには」といった形で、働く人の視点に立ち我が国の労働制度の改革を行い、企業文化や風土を変え、働く一人一人が、より良い将来の展望を持ち得るようにすることが必要であるといった必要性を記載しております。また、次の段落には、最後の一文を御紹介しますが、「人々が豊かに生きていく社会の実現のためには働き方改革を着実に推進することが求められる」といった必要性について記載しております。
2「働き方改革の推進に向けた基本的な考え方」です。まず、最初の段落は、課題について記載しております。次の段落の「働き方改革は」の所においては、「成長と分配の好循環」を実現し、国民一人一人の生活の向上を目指すものであるということを記載しております。その下の「労働施策総合推進法においては」の所は、法律に規定されている目的の内容を記載しています。「また」以下の段落において、法律にある「基本的理念」を抜き出す形で紹介しております。
次の「このような労働施策総合推進法」という段落は、目的、基本理念を踏まえて、また関係省庁とか都道府県等とも連携を図りつつ、労働施策を総合的に推進するということです。
最後の段落ですが、こちらは「労働施策の推進や各企業における働き方改革の実施においては、労使の十分なコミュニケーションをその基盤とするとともに、働く人の視点に立つことが重要である」ということで、コミュニケーションや働く人の視点の重要性について記載しています。
3「労働施策基本方針に基づく働き方改革の推進」として、まず、この基本方針に基づいて労働施策を総合的かつ継続的に推進するということです。次の段落ですが、経済、雇用情勢、また働き方改革のフォローアップや基本方針の施策の実施状況に応じて、基本方針についても見直しを行うということを記載しています。
第2章「労働施策に関する基本的な事項」について御説明いたします。1「労働時間の短縮等の労働環境の整備」です。(1)長時間労働の是正となっています。最初の段落では、長時間労働を是正し、働く人々が健康の不安なく、働くモチベーションを高め、最大限に能力を発揮することを促進することの重要性について書いています。次の段落は「まず」で始まっていますが、こちらについては時間外労働の上限規制及び年次有給休暇の時季指定、また労働時間の状況把握及び産業医・産業保健機能の強化のための仕組みなどについて、周知徹底及び履行確保に努めるということを記載しています。時間外労働については、必要な助言・指導を行うということ、年次有給休暇については、取得に向けた環境整備に向けた取組を行うということ、さらには勤務間インターバル制度の普及促進に向けた取組の推進について記載しております。
「具体的には」からの段落は、都道府県労働局から企業や団体への働き掛け、労働基準監督機関における監督指導の徹底についての記載、「また」の段落では、監督指導の実施に際しての手続のより一層の明確化についての記載となっています。(1)の最後の段落は、最後の一文を御紹介しますと、「監督指導の適正な実施及び公正かつ斉一的な権限行使の徹底」についての記載となっています。
(2)過労死等の防止です。過労死等防止対策推進法及び勤務間インターバル制度の周知や導入に関する数値目標等を新たに設けている「過労死等の防止のための対策に関する大綱」に基づいて、長時間労働の削減に向けた取組を推進することとしています。
(3)業界ごとの取組の推進です。2段落目から御紹介しますと、自動車運送事業や建設業の業界において、政府の行動計画や建設工事等のガイドラインに基づいて、環境整備を推進するということ、医師については、時間外労働の上限規制の在り方や労働時間の短縮等に関する検討を行うということ、鹿児島・沖縄の砂糖製造業については、人材確保等に向けた支援に関係省庁が取り組むことを記載しています。
(4)中小企業・小規模事業者に対する支援・監督指導です。人手不足感の強い中小企業、小規模事業者においては、働き方改革による魅力ある職場作りが重要ということです。「特に」ということで第2段落目からですが、中小企業・小規模事業者における労務管理等について困難な課題を抱えているということを記載しており、こちらに対して「丁寧に支援することが必要」という記載をしております。
次の段落で「具体的には」とありますが、中身としては、ワンストップで相談できる体制の整備です。「また」として、働き方改革推進支援センターについて記載しています。商工会・商工会議所・中小企業団体中央会等の経営支援機関と連携しながら、丁寧な相談・支援を行うとしています。「さらに」として、中小企業の従業員の福祉の増進及び中小企業の振興等のための取組を記載しています。
次の段落の「事業者において」からは、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合における労働者の過半数を代表する者との協定について、適正な選出手続等に関する周知などについての記載をしています。同じ段落の中段の「また」の所に安全衛生の関係が書いてあります。全ての労働者の労働時間の状況把握に向けた助言などの対応について記載しています。次の段落は「監督指導に当たっては」ということで、中小企業の事情を踏まえ、使用者に対し自主的な改善を促していく。ただし、重ねて改善を促しても是正されないという場合においては、最後の文章ですが、重大・悪質な場合は書類送検を行うなど厳正に対処するとしています。
(5)最低賃金・賃金引上げと労働生産性向上です。2段落目から御紹介しますと、最低賃金については、年率3%程度を目途として、名目GDP成長率にも配慮しつつ引き上げていくということで、これによっての全国加重平均1,000円となることを目指すということ、また生産性向上等のための支援や取引条件の改善について記載しております。
(6)産業医・産業保健機能の強化です。こちらは改正労働安全衛生法に基づいて、産業医等による長時間労働者に対する面接指導や健康相談ですが、こちらが着実に実施されるようにということで、「また」以下で書いていますが、労働者50人未満の小規模事業場における産業保健機能の強化などの推進等について検討し、必要な支援の充実を図るということです。
(7)安全な労働環境の整備です。労働災害防止計画を関係事業主団体等との密接な連携を図りつつの推進、「また」以下に書いているのは、発生した労働災害に対しては、原因究明及び再発防止に努めるとともに、迅速かつ公正な保護を図ることとしています。
(8)職場のハラスメント対策、多様性を受け入れる環境整備です。2段落目からですが、企業等におけるパワーハラスメント対策の周知啓発及び自主的な取組の支援、防止対策とその強化に向けた検討を進めることを記載しています。「加えて」という段落ですが、セクシュアルハラスメントについて、方針の明確化及び周知、相談窓口の設置等の措置が講じられるようにする。また、適切な事後の対応についての指導などを記載しています。「また」以下の段落ですが、多様性を受け入れる職場環境の整備を進めるため、職場における性的指向・性自認に関する正しい理解を促進するとしています。
6ページを御覧ください。2「雇用形態又は就業形態の異なる労働者の間の均衡のとれた待遇の確保、多様な就業形態の普及、雇用・就業形態の改善」です。(1)雇用形態に関わらない公正な待遇の確保など非正規雇用労働者の待遇改善として、まずは同一労働同一賃金の実現、また多様な働き方を自由に選択できるようにするための今般の短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律、また派遣法等の周知の徹底を記載しているところです。また、マニュアルの整備、労使双方への丁寧な対応も記載しています。「また」以下において、有期雇用労働者、短時間労働者又は派遣労働者として働き続けることを希望する方に関しての希望に応じたキャリアアップを図ることができるような支援について記載しています。
(2)柔軟な働き方がしやすい環境の整備です。最初の段落は、雇用型テレワークについてのガイドラインの周知啓発です。「また」の段落から記載しているのは、自営型テレワークに関するガイドラインの周知啓発、また雇用類似の働き方に関する法的保護の必要性を含めた検討、「さらに」の段落で、副業・兼業のガイドラインについての周知を記載しています。一番下の段落は、裁量労働制や高度プロフェッショナル制度について、制度の内容の理解促進や監督指導による履行確保についての記載となっています。
(3)正規雇用を希望しながら非正規で働く者に対する正社員転換等の支援です。正社員転換等の推進として、無期転換ルールへの対応について周知徹底や相談支援を行うこととしております。
3「多様な人材の活躍促進」です。(1)女性の活躍推進です。均等法の履行確保やその実効性を確保するための検討についての記載です。「さらに」以下については、女性活躍推進法における取組の促進、後段のほうの「また」と書いているのは、子育て中の女性等に対する丁寧な就職支援や育児休業や介護休業の取得促進、男性による育児の促進、保育の受皿の整備等についての取組を記載しています。
(2)若者の活躍促進です。若者について、学卒者に対する職場への円滑な移行や定着を促すということ、フリーター等から正社員就職を希望する方への支援、また地域若者サポートステーションにおける職業的自立の促進などについての記載です。
(3)高齢者の活躍促進です。最初の段落の最後の所ですが、継続雇用年齢等の引上げを進めるための環境整備ということで、「また」以下には、具体的な施策について、「生涯現役支援窓口」の拡充、シルバー人材センターによる就業支援の強化等、「さらに」として、高年齢の労働者の身体特性に応じた職場環境の整備の推進を行うこととしています。
(4)障害者の活躍促進です。障害者の特性に応じて活躍することが普通の社会、障害者とともに働くことが当たり前の社会を目指していくということで、「このため」以下で、就労支援や相談支援を通じて、雇用率の上昇や雇用者数の増加といった雇用拡大に取り組みたいと考えています。次の段落では、こうした観点に加えて、個別性の高い障害特性を有する就労希望者の増加に対応して、7ページの一番下の所からになりますが、一人一人の状況に応じた就労環境の整備等を図るといったこと、「併せて」として、中小企業等における障害者雇用の促進や職場への定着に向けた支援を行うこととしています。
(5)外国人材の受入環境の整備です。3行目からの途中ですが、一定の専門性・技能を有し、促戦力となる外国人材を幅広く受け入れていく仕組みの構築、「さらに」として、新たに受け入れる外国人材の保護や円滑な受入れを可能とするため、受入企業等に対する指導・相談体制の整備を図りつつ、適正な労働条件の確保をはじめ、外国人労働者の雇用管理の改善に取り組むということ、「加えて」以下は、外国人留学生の就職・定着について、必要な支援の実施、「また」以下に書いているのは、日本語能力の改善を図る研修や職業訓練についての記載となっています。
(6)様々な事情・困難を抱える人の活躍支援です。母子世帯の母など、ひとり親家庭の親の就労機会の確保に努めるということ、2段落目以降ですが、生活保護受給世帯数の増加への対応ということ、「また」として刑務所出所者、ホームレス等に対する就労支援や職場への定着支援を行うこととしています。
4「育児・介護、治療と仕事の両立支援」です。(1)育児や介護と仕事の両立支援です。育児や介護と両立しながら働き続けることができるようにすること、また離職した場合には再就職できるようにするということで、「具体的には」以下に書いているのは、育介法等に基づく措置の確実な履行確保ということ、また育児・介護と仕事を両立しやすい職場環境の整備を進めることとなっています。
(2)治療と仕事の両立支援です。疾病や負傷等の治療により、就業の継続等に支障のある労働者については、企業における雇用環境の整備、医療機関などの保健医療施策や福祉施策等との連携を含めた対応、横断的な対策を実施することとしています。また、治療を受けながらの就職を希望する方に対する就職支援についても記載しています。
5「人的資本の質の向上と職業能力評価の充実」です。(1)リカレント教育等による人材育成の推進です。3行目の所からの御紹介ですが、人生100年時代における職業人生の長期化やAI等の新技術等による働き方を取り巻く環境の変化を見据えて、誰もが幾つになってもリカレント教育を受けられる環境の整備を関係省庁が連携して推進することとしています。次の段落においては、企業内の人材育成に対する支援やキャリアコンサルティングの普及、また意欲ある個人に対する経済的支援、産業界・大学等と連携した取組を推進することとしています。最後の段落については、雇用のセーフティネットとしての公的職業訓練の適切な実施等を記載しています。
(2)職業能力評価の充実です。職業能力の見える化として、職業能力の「ものさし」の整備の必要性について記載しています。「このため」以下の段落においては、ジョブ・カードの活用等における主体的なキャリア形成支援や適切なマッチングをつなげていく旨を記載しています。
6「転職・再就職支援、職業紹介等に関する施策の充実」で、(1)成長分野等への労働移動の支援です。2段落目の2行目からですが、「年齢にかかわりない転職・再就職者の受入れ促進のための指針」を策定しております。こちらを活用した機運の醸成を促進していきたいと思います。10ページに「また」以降に書いてありますが、産業雇用安定センターにおけるキャリアアップやキャリアチェンジを希望する労働者を対象とした出向・移籍等の支援といったことでのマッチングの推進を行うこととしています。「加えて」として、キャリアコンサルティング、職業訓練の実施による技能のミスマッチの解消及び雇用関係助成金の適切な活用ということを述べています。
(2)職場情報・職業情報の見える化です。2段落目からですが、「えるぼし」、「くるみん」、「ユースエール」といった企業の職場情報を求職者がワンストップで閲覧できるサイトの構築、「また」の所に書いているのは、職業情報提供サイトの構築についての記載です。(3)求人・求職情報の効果的な提供、地域の雇用機会の確保です。まずは、公共職業安定所をはじめ、民間人材ビジネス、学校、地方公共団体等の関係機関の連携、それぞれの役割を果たすことにより外部労働市場としての機能、マッチング機能の最大化の重要性を述べています。この中で、公共職業安定所については、ハローワークインターネットサービスの充実などについての記載となっています。「また」以下が地方についての記載で、下のほうの3行目から御紹介しますと、地方公共団体との連携による地域の実情に応じた雇用対策を推進し、地域の産業施策と雇用施策との調和を図ることとしています。
7「働き方改革の円滑な実施に向けた取組」です。(1)地域の実情に即した働き方改革を進めるための協議会の設置その他の連携体制の整備として、地方公共団体、中小企業者を構成員とする団体その他の事業主団体、労働者団体その他の関係者を構成員とする協議会の設置、連携体制の整備を図る旨を記載しています。
第3章「労働者が能力を有効に発揮できるようにすることに関するその他の重要事項」です。1が「商慣行の見直しや取引環境の改善など下請取引対策の強化」となっています。商慣行の見直しと取引条件の適正化を進めるために、関係省庁が連携して必要な取組を推進する。「また」以下に記載しているのは、下請取引法等の違反が疑われる事案については、公正取引委員会や中小企業庁に通報する制度の強化を行うこととしています。
2「労働条件の改善に向けた生産性の向上支援」で、2行目の後半ですが、賃金引上げや経営力の向上につながるような生産性向上に資する設備投資に対する支援を行うこととしています。「また」以下では、働き方改革推進支援センターにおける連携について記載しています。
3「能力の有効発揮に向けた教育環境の整備」です。一番下の行ですが、誰もが能力を身につけることができる教育環境の整備に取り組んでいくこととしており、教育の無償化等についての記載をしています。
4「学校教育段階における就業意識の啓発、労働法制等に関する教育の推進」です。「このため」以下ですが、インターンシップ等の職場体験とか、職業意識啓発等の取組、「また」以下では、労働法制や社会保障制度に関する教育の推進を行うこととしているところです。以上です。
 
○樋口部会長 それでは、皆様から御質問、御意見を頂きたいと思います。ただいまの説明で労働施策基本方針の骨子(案)については、前回お示しして、皆様から御意見を頂きました。これに沿って事務局と相談し、修文あるいは内容的な変更も含めて行ったものを今回、提示しております。一方、具体的な本文については、今回初めて御覧いただいたということになるかと思いますが、まず最初に、概要の所から何かありましたら御意見を頂きたいと思いますが、いかがですか。骨子案で、特にアンダーラインを引いているのが、今回修正された部分ということですが。
 
○小杉委員 前回出席していなかったのでトンチンカンかもしれませんが、第2章の業界ごとの取組という表現になっている所が、何の取組なのだろうと、すごく疑問に思ってしまうところが1つあります。中を読んでみると、最初に「中小企業では」という話が出てきて、これは、中小企業全般は(4)であると、順番も何となく不都合な感じがして、中小企業という話が先に来て、その中小企業の中でも特に、歴史的に背景のあるような業界について、多分、業界改革の取組をもっと推進させなければならないという順番ではないかと思われます。骨子(案)を見た限りでは、業界ごとの取組が先にあることが何か変な感じがしますし、更に何の取組かが分からないところも少し奇異に感じたのです。前回の議論を踏まえていないので、当を得てないかもしれませんが、パッと見た感じでは少し変だなと思いました。
 
○樋口部会長 概要と本文と照らし合わせて、これは照らし合わせることが難しいのですが、何か事務局でありますか。
 
○労働基準局総務課長 小杉委員から御指摘のあった第2章の1の(3)と(4)ですが、これは前回と表現が実は変わっております。従前は、取引環境みたいなことを(3)で書いていて第3章と重複感があるという御指摘がありました。(3)で書いてある中身は、本文が離れているので見にくいのですが、要するに、建設業や自動車運転業の話とか、具体的な業界ごとの話なので、端的に「業界ごとの取組の推進」と書こうということで、中身については、第2章の1を見ますと、「労働時間の短縮等の労働環境の整備」と書いておりますので、その取組が分かるだろうということで、事務局としては端的に「業界ごとの取組の推進」と書いております。ここは、委員の皆様が、これでは分かりにくいということであれば、また考えたいと思いますが、趣旨としてはそういうことです。
(4)の中小企業の支援の所ですが、これは別に順番にこだわっているわけでは全くないのですが、業界ごとの取組というのは、必ずしも中小企業に限定した話ではありません。例えば運送業では、やはり荷主の力が強いということがあって、大企業であろうと、中小企業であろうと、出待ち時間が発生しているということがあって、包含関係にあるわけではないということで、(3)で「業界ごと」と書いて、(4)で「中小企業」と書いております。これは私どもとしては別にこだわるわけではないので、皆様で、小杉委員の御意見のほうがいいというのであれば、また検討したいと思います。
 
○樋口部会長 内容のほうを見ていただいて、逆に「業界ごとの取組の推進」という表現が、内容を示しているかというところが論点になるかと思います。いかがですか。むしろ代替案を出していただくと有り難いです。
 
○中西委員 本日は2点御提案をさせていただきたいと思います。まず、1点目は、中長期の政策を検討していく必要性についてです。人口の減少による人手不足問題は、かつてないほどの危機に直面しており、全国の中小企業にとりましては最大の経営課題となっております。そうした中、少子高齢化により、我が国の生産年齢人口は、1995年の8,716万人をピークに既に減少しており、将来にわたり減少傾向が続いていくことが予想されております。また一方、IOTやAI、ロボットなど、科学技術の進歩発展により、労働時間の短縮や業務の効率化による労働生産性の向上が期待されていますが、これらの先端技術の普及・定着は業種別、職種別の就業者数や労働者に求められるスキルなど、雇用労働環境に大きな影響を与えることが予測されます。したがいまして、生産年齢人口の減少や科学技術の進歩発展、更には産業構造の変化や、働き方の変化が雇用労働環境に与える影響を考慮して、中長期の政策を調査検討し、今後の施策の立案にいかしていくことが重要だと考えます。こうした点については、労働政策基本部会におきまして議論されてきたと伺っております。例えば、労働施策基本方針の「はじめに」の部分に追記していただくことを提案します。
2点目は、災害時における雇用労働施策のあり方についてです。皆様も御承知のとおり、今年は西日本豪雨災害、関西地方を中心とした地震・台風被害、更には先日の北海道での地震など、全国で大規模な災害が発生しました。一方、南海トラフ地震や首都直下地震、首都圏における水害など、今後、大規模災害の発生が予想されていることから、官民を上げて、防災、減災対策を推進していくことが求められております。災害時に雇用保険や雇用調整助成金をはじめとした特令措置が講じられておりますが、被災した企業が災害から一刻も早く立ち直り、通常の操業に戻るとともに、被災された方々の雇用が確保され、安心して生活できるようにするためには、各省庁が実施する施策が極めて重要となってまいります。したがいまして、災害時における施策の周知・活用の促進や災害時に必要な雇用労働施策を検討していく必要性を、第3章に追記していただくことを御提案します。以上です。
 
○樋口部会長 まず最初の御指摘は、中長期的な取組、特に人口減少、労働力減少に対する対策の必要性を「はじめに」の所に加筆するという御提案ですが、この点はいかがですか。
 
○職業安定局雇用政策課長 本文の「はじめに」を御覧いただくと、人口減少社会の問題性のところは、第2段落目の「また」以下で書いております。また「中長期的に見ると」という段落では、生産年齢人口等の減少や、生産低迷の問題との問題意識は書いております。それを踏まえて、イノベーションの促進等といった付加価値生産性の向上などについても記載しておりますが、もう少し記載内容について工夫ができないかという検討をさせていただきたいと思います。第1点目については以上です。
 
○樋口部会長 具体的にどういう施策を考えていくかということも、「はじめに」ということであれば、中長期的な視点として加えていくことになるかと思いますので、その点も含めて検討させていただくということで、また皆様にお諮りしたいと思います。
もう一点は、災害に対する対応、特に、労働施策としての対応ということを、第3章に書き込むべきではないかという御指摘ですが、これも加筆になると思いますが、この点はいかがですか。
 
○職業安定局雇用政策課長 今般については、働き方改革を大きなテーマとして、そういった項目について入れ込んでいるところです。今回のターゲットにそういった文言が、災害対応の重要性については我々も十分認識しておりまして、当然そちらについては推進しているところですが、今般の枠組みの中で、記載として当てはまるような事項があるのかどうかというのは確認させていただいて、その記載の有無も含めて検討させていただければ幸いです。
 
○樋口部会長 今のようなことですが、具体的に第3章に何かを書けというのはありますか。
 
○中西委員 本当に今般の北海道における地震の災害はまだ回復の見込み等々が立たないほどに甚大な被害が発生しております。将来におきましても、自然災害はいつ発生するか分からないという、非常に不確実な側面は確かに持ってはおりますが、しかし、雇用及び労働環境に関して多大なる影響があることは間違いないので、この点についても更なる検討を加えていただきたい。そして、記載事項としても御検討をよろしくお願いいたします。
 
○樋口部会長 これも検討させてください。
 
○職業安定局雇用政策課長 検討させていただきます。
 
○樋口部会長 多分、災害というのも最大の問題になるかと思いますが、景気の思わぬ悪化に対する対応というのも現れてくるかと思いますので、それも含めて検討させていただきたいと思います。ほかにいかがですか。
 
○安河内委員 JAMの安河内です。私のほうからは1点、2ページの2の働き方改革の推進に向けた基本的な考え方について意見を述べさせていただきます。ここには、我が国の労働制度と働き方における問題点として、長時間労働、非正規の問題、女性や高齢者等の労働参加、子育てや介護等と仕事の両立、中高年齢者等の転職・再就職などの課題が具体的に挙げられておりますが、企業の規模間格差も非常に重要な課題です。第2章、第3章におきましては、中小企業・小規模事業者への取組に対する記載が幾つも掲げられております。また、前回の部会でも、この点について幾つか意見が述べられたと思っております。
そこで、この基本的な考え方の中に、企業の規模間格差における問題点についてもしっかり記載すべきだと思いますので、御検討をお願いします。以上です。
 
○樋口部会長 これについてはいかがですか。
 
○職業安定局雇用政策課長 検討させていただきます。
 
○樋口部会長 中小企業と言うと、法律によって定義をどうするかというのが問題になってきて、それを超えて多分、規模間の格差は中小企業に限らずというところでもあるのかと思いますので、それも含めて検討させていただきたいと思います。
 
○佐久間委員 全国中央会の佐久間です。よろしくお願いします。全体の骨子については、総論的には特段このまま、また前回の委員会からは、かなり文面なども修正を頂いておりますので、この方向でよろしいのではないかと思います。
ただ、第2章の「労働時間の短縮等の労働環境の整備」の中について、まず長時間労働の是正、過労死等防止のためにも労働時間を短縮していきましょうとする流れの法律の趣旨からいけば、まず長時間労働の是正があって、その後、法では、骨子案の(3)にみられる労働時間の多い業界ごとの取組を推進していく必要があると思います。流れとすれば(1)長時間労働の是正があって、業界ごとの取組の推進がある。しかし、ここに書かれている業種が全てではないと思います。そのほかに、過大な長時間労働を強いられている可能性のある業種もありますので、まず(1)は長時間労働の是正、その次が業界ごとの取組を推進、(2)の「過労死等の防止」が、大綱にも書かれているように、業種が増えてくる可能性がありますから、(2)と(3)を逆にしていただくのがいいのかなと私は考えております。ここに掲載されている業種だけではなく、例えば宿泊とか、そういう業種もありますし、医療全般ということもありますし、総じて、過労死防止に努めていくるということで(2)と(3)を逆にしたほうがいいかと思います。
また、(4)の中小企業の支援策などが、今の発言の中で見られましたが、私とすれば、中小企業・小規模事業者に対する支援・監督指導は、是非入れていただきたい項目だと思います。これは助成金などの支援策の展開についても、基本方針の中の項目や文面に入れていただければ、重点的に支援のお願いをできるのではないかということです。
なお、中小企業・小規模事業者に対する支援・監督指導の中で、1点だけ、これは本文中に「事業者」という表記があえてなされているのかと思います。本文では4ページ、(4)中小企業・小規模事業者の支援・監督指導の中に、「また」「さらに」「事業者において」というパラグラフがあります。そこが今までは「中小企業・小規模事業者」としながら、ここで「事業者において」というのは、これは中小企業だけではなく事業者全般を指しているのか。あるいは中小企業・小規模事業者のことを言っているのか、もし文字を統一するなら、「中小企業・小規模事業者」の方がいいのかなと思います。以上です。
 
○樋口部会長 概要と同時に、今、具体的な本文の内容について御指摘がありましたが、御質問がありましたので、それについてお願いします。「さらに」「事業者」という所の解釈ということです。
 
○労働基準局総務課長 骨子の順番については、小杉委員からも御指摘がありまして、どちらのほうが良いのかというのは事務局でも考えて、またお示ししたいと思います。
御質問の「事業者において」とありますが、ここの表題が(4)中小企業・小規模事業者に対する支援・監督指導の事業者ですので、私どもが念頭に置いていたのは、中小企業の事業者の皆様のことを念頭に置いていたところですが、より明確にしたほうがいいということかもしれませんので、表記については検討したいと思います。
一方で、中小企業・小規模事業者という「事業者」という言葉でいいのかどうかということの中小企業の表記についても少し統一感が取れるように検討したいと思います。
 
○樋口部会長 これは小杉委員の御指摘にもあって、「業界ごとの取組」というところで、実は本文で具体的なのは中小企業と自動車運送、建設、医療の3つしか記述されていないのです。ですから、もう少し業界ごとにやるということであれば、それは具体的イメージを、どういうふうに業界を通じて個別、事業主に働き方改革の促進をサポートしていくのかということが欲しいという、今の御指摘もそういったことかと思います。何か具体的に書け込めますか。
 
○労働基準局総務課長 基本方針という方針をどこまで具体的に書くかというのは考えなければいけないかと思いますが、御指摘にもありましたので、更に具体的に書けないかということについては、もう少し検討したいと思います。
 
○樋口部会長 それでよろしいですか。ほかにいかがですか。中身でも結構です。
 
○柴田委員 6ページの2の(2)の柔軟な働き方がしやすい環境整備の整備について、確認の意味でお聞きします。雇用類似の働き方に関する保護のあり方について、「中長期的に検討する」と書いてあるのですが、もともとこのような流れできているのであれば、それでいいとは思いますが、「中長期的」と書く必要があるのかどうかについて、確認も含めて教えていただきたいと思います。保護に向けた検討は、早いほうがいいのではないかという意味です。
 
○雇用環境・均等局総務課長 御指摘ありがとうございました。雇用類似の部分の書き方については、これまで働き方改革実行計画などで記載され、その内容を踏まえて、厚生労働省の中でも検討会をし、そして、この3月に報告書を取りまとめて、また、その中身を踏まえて労働政策審議会の基本部会で御報告をし、更に専門的な検討という経過を経ておりますので、その実行計画等の記載を踏まえて、このような形で書かせていただいております。
 
○樋口部会長 「中長期」というのを、あえて出す必要があるのかと。逆に、中長期的と書くと、来年はやらないよと思われてしまうという趣旨ですよね。
 
○柴田委員 この下の「副業・兼業」は今も検討されているので検討を進めると書いてありますが、その上は中長期的と書かれているため、「兼業・副業」よりも検討期間が長くなる印象を受けます。もう計画に書いてあれば必要性がないかもしれませんが、そういう問題意識を持ったところです。
 
○樋口部会長 役所の用語だと中期は5年、長期は10年というのが大体どこの省でもそういうふうになっているのですが、5年間、あるいは10年間をかけてやるという文章になってしまうと、確かに困るなということだと思います。
 
○雇用環境・均等局総務課長 分かりました。ただ、今申し上げたように検討をずっと時間を掛けてやっているとか、今、全然やっていないということではなく、ただこの問題については我が国だけではなく諸外国においても、いろいろ議論されたり、いろいろな法的な論点があって、正にそういったことを踏まえての検討を求められているということもありますので、御指摘のような形でするために、こういう文言にしているということではなく、あくまでこれまでの決定などに基づいてということで御理解いただければと思います。
 
○樋口部会長 いかがですか。
 
○柴田委員 納得とはいきませんが、分かりましたと言わざるを得ないかもしれません。
 
○樋口部会長 「中長期」を取ると、まずいのですか。含めて検討するという。いつまでに検討するというのは入っていないわけだから。
 
○雇用環境・均等局総務課長 ちょっと検討してみたいとは思いますが。
 
○樋口部会長 それでは、御検討いただきたいと思います。
 
○雇用環境・均等局総務課長 分かりました。
 
○椋田委員 2点ほど意見を言わせてください。1つは3ページの(2)過労死等の防止の部分ですが、この文書を見ますと、「過労死等の防止のための対策に関する大綱」の代表例示のような形で、勤務間インターバルの周知や導入というのがあります。この大綱では、むしろ長時間労働の是正とか、あるいはメンタルヘルス対策とか、結構重要な話が、より多く書かれているにもかかわらず、大綱の代表事例であるかのような書き方になっているので、少し違和感もありますし、誤解を招きかねないと思います。例示を必要とするのであれば、もう少し代表的な項目を幾つか書いていくことが、より重要かと思います。
もう1つは5ページの最低賃金のところですが、前回も申し上げましたが、国の労働施策の基本方針として、最低賃金や賃金引上げそのものが目的と受け取れる記述になっていることについて、表題は少し直していただいたのですが、やはり内容としては違和感がまだ残っております。
国として、まず、最低賃金法があり、その最低賃金法の中で示された、例えば企業の賃金支払い能力等を考慮するという大原則がまずあって、その下で生産性や収益の向上、支援策を通じて環境整備を図って、その結果として、最低賃金が引き上がっていくという、そういったロジックが労働施策としては、より適切ではないかと思います。
ですから、最低賃金について、もし数値を入れるということであれば、例えば、「年率3%を目途として」の前に、「最低賃金法第9条第2項に沿った上で」ということを入れたほうが、より法律の目的に沿っているのではないかと思います。以上、2点です。
 
○樋口部会長 それでは、1つ目の点、過労死等の防止について、もう少し具体的なものを書き込めないかという点ですが、これはいかがですか。
 
○労働基準局総務課長 2点まとめて私からお答えいたします。過労死等防止対策推進法の、今回は大綱の見直しを、先般、7月に行っておりまして、労使の皆様には御参加いただいて御議論いただいたわけです。この勤務間インターバルを例示に入れた理由としては、今回、大綱で新たに設定した目標としては一番初めに出てきているもので、私どもとしても勤務間インターバルを導入している企業がまだ非常に少ないので、これから周知をしていかなければならないということから、これは国の重要方針として基本方針にも書いてやるべきではないかと考えたということで、代表例として書いております。
私どもが今回の大綱の見直しをしましたという広報をしている場合においても、勤務間インターバルというのは、労使の皆様で非常に激しい御議論でしたが、周知していこうということで御議論いただいたので書いております。
もう1つは、5ページ、(5)最低賃金のところで、表題については前回、椋田委員から、働き方改革実行計画等の表現がずれているという御指摘がありまして、実行計画の表現自体は、賃金引上げと労働生産性の向上という表題になっているわけですが、中身に、最低賃金のことも書いてありましたので、最低賃金・賃金引上げと労働生産性向上と書いております。本文のほうでも、できる限り実行計画に沿って書かせていただいたほうがいいということで、このような表現としておりますが、椋田委員がおっしゃっていることについては、私どもとしては当然のことだと思いますので、それを踏まえた上で行政を進めていくことは間違いないと申し添えておきたいと思います。
 
○樋口部会長 そうしますと、(5)最低賃金に関しては、御指摘いただいた文言を加筆するかどうかという形で、最低賃金法の話の、趣旨に沿ってという話、それも含めて検討をさせていただきたいということでよろしいですか。
 
○労働基準局総務課長 ここは個別に御相談させていただきたいと思います。
 
○樋口部会長 もう1つの過労死については、加筆について、ほかにも重要なポイントがあるはずですから、インターバルだけが書かれていますがという話ですが。
 
○労働基準局総務課長 インターバル以外も追加しようということであれば、それは検討したいと思います。
 
○樋口部会長 という趣旨だと、私は理解しましたが、それでよろしいですか。
 
○椋田委員 よろしくお願いします。
 
○今木委員 少し細かな話で恐縮ですが、11ページの第3章の1の「商慣行の見直しや取引環境の改善など下請取引対策の強化」について、一言意見を申し上げます。
長時間労働につながる商慣行を見直すために、1企業だけでなく、サプライチェーンに関わる全ての関係者で問題を共有して取組を進めていくことが重要であるという認識は、皆さんがお持ちだと思います。昨年の9月に、経団連でも、長時間労働につながる商慣行の是正に向けて共同宣言を取りまとめておりまして、本文の内容については、全体として賛同できると思っております。
しかしながら、ここで挙げられている長時間労働につながる発注元というのは、民間企業を想定したものになっているのではないかと思います。取引環境の改善というのは、国も一体となって政策を推し進めていく必要があると思っておりますので、例えば、1行目の「発注企業」という部分を、「国・地方を含む発注者」という形に変更いただけないかということを御検討いただきたいということで意見を申し上げました。以上です。
 
○樋口部会長 これはいかがですか。
 
○相原委員 今木委員からあった所と同じ所ですが、私も同様の観点です。少し表現の仕方が違うかもしれませんが、もちろんB TO Bのところもあれば、委員がおっしゃったように、国との契約があるわけで、発注者としての公共機関をしっかり含めていくということは、全体としての取引環境を引上げていくことで、企業全体、若しくは国全体の生産性を上げるという点については大変重要だと思います。
産業単位で見れば、少し濃淡はありますが、公契約の関係も、労働条件や受注など、様々な所に関係してくることは確かですので、働き方の改革を進めていくという意味では、公契約の適正化という観点も取り入れた表現が望ましいのではないかと思います。
今木委員の話と少し話が変わりますが、先回、労働側の委員からも申し上げたとおり、働き方という面で見ると、民間も公務も、大企業も中小企業も全体で、オールジャパンで働き方の改革をしていくことが通底していることだと思いますので、さらに、公務員の働き方改革についても是非入れていかないと、これはなかなか民間だけというわけにはいかないのではないかと思いまして、公務の働き方という点についても触れざるを得ないのではないかと思いまして、御意見なり、御回答があれば頂きたいと思います。
 
○樋口部会長 まず最初は、「発注企業」という文言に変更を加えられないかという点ですが。
 
○労働基準局総務課長 全体に関わる話もあるかと思いますが、商慣行の見直しの観点で、労働基準局の観点から、まず申し上げたいと思います。ここの表現で、今木委員と相原委員がおっしゃっていることは非常にそのとおりで、全く異論はありませんが、この手法で書いてあるところが、11ページの3行目から書いてありますが、労働時間等の設定改善に関する特別措置法のことがツールとして書いております。実は私どもが責任を持って対応できるのが、労働時間等の設定改善法のところです。この設定改善法の射程は、民間事業者に限定されているのです。そういうことがありますので、このツールで言わせていただくということであれば、なかなか官の発注については言及できないという部分があります。それを踏まえて、このツールを超えてどうするかという点については、また全体で御議論いただきたいとは思います。
 
○樋口部会長 今の御指摘は、公務員の働き方改革に関するという意味ですか。
 
○労働基準局総務課長 発注関係の話です。
 
○樋口部会長 発注のほうも、ここに国を入れるのは、できないと。
 
○職業安定局雇用政策課長 発注元の話になりますと、国の発注業務を所管している省庁との調整が必要かと思っておりまして、具体的に何か書けるのかどうか、今般記載しているのは、既に決定事項等におきまして何か記載できる内容がある場合には記載させていただくという形で、関係省庁とも協議させていただいているところですが、御指摘を踏まえて、何か記載できる事項があるのかどうかの確認をさせていただければと思います。また併せて、先ほど公務員の働き方改革についての御意見がありましたが、そちらについても述べさせていただきます。先般の御議論でも御指摘を頂きまして、説明が漏れておりまして申し訳ありません。こちらについても、所管官庁と協議をさせていただくと、先般申し上げたところです。まだ、協議の途中ということで、また関係省庁との協議を続けてまいりたいと考えております。
 
○樋口部会長 まず、前者の事業発注企業については、企業とは限らない、個人もあるのですよね。
 
○職業安定局長 私から補足させていただきます。今、今木委員、相原委員からお話があった件については、私もそのとおりで、官の発注の問題もあると思っております。ですから、表現は、例えば「発注企業」と書いてあるのを「発注者」とすることによって、そこを含んでいると読めるように書くということはあると思います。一方で、富田のほうから申し上げたように、受ける施策があるかというところについて、私どもの設定改善法では、民間同士の話として射程がそこになっているというのはありますが、例えば中企庁が、中小企業対策としてやっている中で、官の発注について、なにがしか対応している部分があったように記憶しておりますので、そのことをよく確認しながら、そのことも含めて記述ができるということであれば、官のことも含めて記載をさせていただきたいと思いますので、そこはお時間を頂ければと思います。
 
○樋口部会長 少し検討をしたいということですが、第3章は厚労省の施策に限定していないことですから、そこに書いていくというのはあり得ることかなとも思いますが。
 
○職業安定局長 おっしゃるとおりです。
 
○樋口部会長 ほかにありますか。
 
○柴委員 私からは、8ページの(5)「外国人材の受入環境の整備」について申し上げたいと思います。記載されている内容については、6月の骨太方針に基づいているものと認識しておりますが、働き方改革実行計画では、外国人材の受入れについて、国民的コンセンサスを踏まえつつ検討すべき問題とされていることから、本基本方針にも「国民的コンセンサス」の必要性について、その旨を記載していただきたいと思います。
また、この項においては、人手不足の深刻化を理由に外国人材を幅広く受入れることが第一義されており、量的拡大に軸足が置かれているように見えます。外国人労働者の雇用管理については、十分な配慮が必要であり、示されたこの案にも、「指導・相談体制の整理、雇用管理の改善等に取組む」とされていますが、これまでも外国人労働者の雇用管理指針を定めて対応を図ってきているものの、外国人技能実習生の問題をはじめ、労働関係法令違反の事案は後を絶ちません。そのような現状を踏まえると、受入環境の整備としては、まずは、業種・企業規模を問わず、入管法と労働関係法令の遵守、人権侵害が発生しない職場環境の実現が先決であり、そのための現行ルールを徹底するよう監督指導体制の強化と同時に、外国人労働者に対する国内法の丁寧な説明が必要だと考えます。外国人労働者を単に労働力としてではなく、人として日本に来日させるものであり、安価で便利な労働力とされないような権利保護の視点を是非重視していただきたいと思います。以上です。
 
○樋口部会長 外国人労働者に関して、どうぞ。
 
○小林委員代理 日本商工会議所の杉崎です。ただいまの外国人材の件について、日本商工会議所で、今非常に地方の中小企業を中心に人手不足が深刻化しているという観点から、昨年の11月、また本年の4月に外国人材の、一定の技能を有した外国人材の受入れ促進について政府に意見書を提出させていただいております。
そうした観点から申し上げますが、外国人材の件について、ただいま御指摘、御意見があった点については非常に重要な点であると認識しております。
一方で、先般6月の骨太の方針、また最近政府におきましても、新たな会議体が設置されて、外国人材の新たな受入制度の構築に向けた議論が、より具体化してまいります。様々な件がありますが、外国人材の受入れについては、人手不足対策、人手不足に困っている中小企業の原点として議論が始まったと認識しております。書きぶりとしては、現在の骨太の方針や政府のいろいろな計画に基づいた書きぶりということでよろしいかと思います。以上です。
 
○樋口部会長 労使、それぞれから御意見を頂きましたが、この点についていかがですか。
 
○職業安定局雇用政策課長 委員御指摘のとおり、外国人材におきましては、様々な配慮を行っていくことが重要ということは、私どもも認識しております。基本方針の文言における国民的コンセンサスについては、「専門的・技術的分野とは評価されない外国人の受入れに関する検討に当たっては」という、かなり広い概念として述べられていると思います。
今般、その後の骨太の方針におきまして、一定の専門性技能を有する方に対する受入れについては、まだ大枠が示されている段階ですが、こういった対応が記載されているところです。また関係省庁においては、法務省等におきましては検討会を設置するなどの動きもあるところですが、現時点におきまして、骨太における記載を踏まえて、また受入れにおける雇用管理の改善などの配慮について厚く記載することで、このような記載をさせていただいたということで御理解を頂ければと思います。
 
○樋口部会長 いかがでしょうか。
 
○柴委員 それぞれ、骨太方針に記載されている「一定の専門性・技能」と働き方改革実行計画の中に書かれている「専門的・技術的分野とは評価されない分野」というところが、何を意味するかというのがはっきりしてないと思っています。私たちとしては、外国人材を受け入れて広げていくことについては、やはり国民的コンセンサスが必要ではないかと認識しているので、再考いただきたいと思います。
 
○佐久間委員 外国人材の受入関係の問題です。働き方改革の施策の方針として今、外国人材の受入れという形で進んでいると思うのです。この外国人材の受入れの中で「人材」と言っていいのか、技能実習の関係をどこまで見ていくのか。働き方改革のほうでは直接的に「技能実習」という表現はないものの、技能実習生というのは、立派な「人材」として役立ってきています。また、「専門的」とか「技術を有する」という意味であれば、2号を受けた方たちは、十分対応が可能になってくると思います。ですから技能実習というものについて、この部分で全然触れないのではなく、単語だけでも意識して入れたほうがいいのではないかと私は思っています。
併せて「職業訓練等」となっていますけれども、技能検定に合格することが一つの目標にもなりますので、ここでは「職業訓練」とか「技能検定」という言葉を、技能実習の制度と同じような形で入れていただくのも、よろしいのではないかと思っています。
それから、先ほど椋田委員から発言があった最低賃金の関係です。ここの部分は前回の部会でも、一応、定量的な目標は示さないということをお聞きしたと思っています。でも、ここでは全国加重平均が1,000円という数値が出ております。今後の方向性としては、こういう方向性に進めようとしていると骨太の方針においても示されてきていると思うのです。しかし、これでは定量的な目的というか、目標になってしまいます。もし、この文面を入れるのであれば、骨太の方針を経済戦略でも明記されたという表現にしていただくとか、あくまでも機械的に決められたものではなく、やはり話合いによって決めていくのだということを明記していただきたいと思います。ここの1,000円が定量的な数値目標として、目立ってしまうという感覚がするので、何か注釈というか、出典のようなものを入れていただくと、うれしいと思っております。
 
○樋口部会長 2点ありますので、まず外国人材のほうからお話をしておきたいと思います。正に今、INGで、政府の施策も動いている最中です。この時間的な軸を考えたときに、これを取りまとめるタイミングまでにも何らかの環境の変化があるかもしれないということで、この点も含めて事務局と検討させていただけますか。
技能実習生についてのもう1つの問題は、どこまでが雇用政策の労働方針、基本方針として扱えるのかということです。この問題は、それを超えたところもかなりあります。両方から出ているものがあります。ということで、どこまで方針として、労働施策として書き込めるかについても御検討させていただきたいと思います。事務局からどうぞ。
 
○人材開発統括官付人材開発総務担当参事官 技能実習制度を所掌しておりますので申し上げます。外国人受入れの方針の在り方については、先ほど御説明したとおりですし、今、部会長がお話したとおりの検討をさせていただくことになるかと思います。おっしゃるとおり、技能実習生というのは今、非常に増えております。技能移転を通じた国際協力という趣旨で制度があり、それを前提に法令違反等の問題、不正行為等がこれ以上起こらないようにということで法律を整備し、昨年11月に施行しているところです。あくまでも技能を身に付けて帰っていただくという、海外への貢献ということであり、その趣旨の範囲内で適正化を図ります。そのために技能検定等の仕組みも絡んでいるわけです。今回の骨太の仕組みというのは、技能実習生がいることは当然認識されているとは思うのですが、それとは別に、人手不足ということを踏まえていると思います。政策上は、技能実習の適正化を図るのはもちろんですけれども、この文脈に入れるかというと、そこはちょっと違うかと思います。
 
○労働基準局総務課長 最低賃金のところです。目標は目標として、実際に目指していくのは労使の丁寧な話合いによって決めていくというのは、佐久間委員のおっしゃるとおりです。ただ、裸で使わずに、いろいろな所で決まったものを引用すべきではないかというような御指摘ですが、加重平均1,000円を目指すというのは、一億総活躍から始まり、働き方改革実行計画、政府の骨太の方針等、いろいろな引用文献がありますので、どれを使うかについては、また検討させていただきたいと思います。
 
○樋口部会長 ほかにいかがでしょうか。
 
○水本委員 まず最初に前回の骨子で私のほうから、一般の方にも分かりやすいものにしていただきたいというお願いをして、今回、小項目に番号を付けていただいたり、第2章の並べ方を変えていただいたりということで、反映していただいたことを感謝申し上げます。
今回の内容に関してですけれども、5ページの(8)「多様性を受け入れる環境整備」について、一言申し上げたいと思います。最後の行で「多様性を受け入れる職場環境の整備を進めるために、職場における性的指向・性自認に関する正しい理解を促進する」という文章になっております。これは企業としても重々進めていこうというところで、例えばこれは私の従業員証です。この後ろに「We are LGBT-Ally IHI」というカードを入れることで努力をしております。職場環境の整備ということでは、先ほどから「オールジャパン」とか「国民的コンセンサス」という言葉が皆様の中から出てきたように、やはり職場において理解が進むためには、まず社会全体で正しい理解を促すという文言が先にこの中に入ってもよろしいのではないかと感じました。
 
○雇用環境・均等局総務課長 御指摘、ありがとうございます。こちらの部分は、「多様性を受け入れる職場環境の整備を進めるため」というのが前に出ていて、「正しい理解」というところについては、御指摘いただいた点も踏まえて検討してみたいという部分もあるのですが、もう1つの御指摘として、やはり職場で進めるためには、社会全体で進めていくことが必要だろうということです。私自身も本当にそうだと思います。
それで1点、今年6月15日に閣議決定された「経済財政運営等改革の基本方針」、いわゆる骨太の中で、この点に関して読み上げさせていただきます。「性的指向・性自認に関する正しい理解を促進するとともに、社会全体が多様性を受け入れる環境作りを進める」という、正に今、御指摘のあった記述があります。多分、委員が御指摘の点は、こういったことも踏まえて閣議決定に基づき、国全体としてやっていくということかと。そういう意味では、関係省庁が本当に多岐にわたると思います。この基本方針自体が労働施策に関わる部分であるという前提と、他省庁の部分が第3章に入るとはいっても、やはりもっと広い形で社会全体というのが既に閣議決定の中に入っていますので、こういったことと相まって、全体として進めていくということになろうかと思います。
 
○樋口部会長 ほかの省庁に対する要綱は第3章という形ですが、いろいろな施策がうまくいくために社会に対してやらなくてはいけないことというのは、具体的には言いませんけれども、ここのところ目立っているのです。雇用施策では、あるいは労働法では対応できないことについて、社会的にその問題を考えていかなくてはいけないということは、施策としてもかなり多くなってきているのです。それをどうするかというのは、また相談させていただきたいと思います。
 
○小林委員代理 3点申し上げたいと思います。まず6ページから7ページにかけて記載されている(1)女性の活躍推進についてです。女性の活躍推進というのは、非常に重要な政策テーマであると認識しております。ここの書きぶりで、保育の受皿整備等に取り組んでいくというのがあります。保育の受皿整備は非常に重要ですが、放課後児童クラブの整備についても、非常に重要だと認識しております。放課後子供総合プランに基づき、保育のほかに放課後児童クラブも大事であるという旨を、是非記載していただきたいと思います。
2点目が、4ページに出てくるのですが、働き方改革推進支援センターについてです。前回の会議でも話題に上がったところではあるのですが、現在、商工会議所がセンターと緊密に連携し、法の周知に取り組んでいるところです。この法の施行が間近になるに連れて、中小企業の皆様の相談ニーズが増えていくかと思っておりますので、必要に応じて相談員の人数をはじめとした機能強化をしていく旨も、是非、記載をお願いしたいと思います。
最後、5ページにある最低賃金についてです。最低賃金については、中西委員や佐久間委員にも中央最低賃金審議会委員をお務めいただいているのですが、今年度の最低賃金については目安の金額も、さることながら、各地方最低賃金審議会の結果が目安を非常に上回った県が多くなり、最低賃金の大幅な引上げに悲鳴に近い中小企業の皆様からの声が、日本商工会議所に大変多く届いているというのが実態です。そうした中で、最低賃金の記載としては、「中小・小規模事業者の生産性向上等のための支援や取引条件の改善を図る」という記載がなされていますが、支援の強化や助成金等の利用の促進など、是非もう一歩踏み込んで記載していただきたいと思います。と言うのも、最低賃金の大幅な引上げに対する支援策としての助成金については、なかなか利用状況が進んでいないと認識しております。中小企業に対する支援については、是非もう一歩踏み込んだ形で記載をお願いしたいと思います。
 
○樋口部会長 これは検討するということでよろしいですか。
 
○職業安定局雇用政策課長 放課後児童クラブの御指摘についても、関係省庁の問題がありますので、検討させていただければと思います。
 
○雇用環境・均等局総務課長 私からは、働き方改革の推進支援センターの部分についてです。今、杉崎委員代理からお話があったように、推進支援センターに関しては商工会議所をはじめ、各経済団体をはじめ、多大な御協力を頂いております。せっかくの機会なので、この場を借りて、まずお礼を申し上げたいと思います。周知に当たっても、多大な御協力をありがとうございます。
一方で、正に全国津々浦々に対し、働き方改革推進支援センターをはじめとして周知の手を届け、その後のいろいろな取組の支援もするということで進めております。平成31年度の概算要求においても、派遣型の体制強化を考えております。ですので御指摘いただいた形で、書きぶりは、また持ち帰って検討したいと思いますが、何らかの形で記載については検討したいと思います。
 
○相原委員 4ページの(4)の「中小企業・小規模事業者に対する支援・監督指導」の所です。結構ボリュームがあるのですけれども、4ページの下から2つ目のパラグラフです。下から2つ目のパラグラフに、先ほど議論になった「事業者において」があります。その「事業者において」のパラグラフの4行目以降に、「とりわけ」という部分があります。ここは記載のとおり、「労働者の過半数で組織する労働組合がない場合は労働者の過半数を代表する者との協定を行うことも可能であることや過半数を代表する者の適正な選出手続についての周知など」については適切な表現になっていると承知します。一方で、前の第2章でも記載のとおり、今回の働き方改革を職場や社会に実相していくためには、職場単位や社会でよくコミュニケーションをして、前に進めましょうということがあるので、結構なことだと思っています。
そこを引き付けて考えると、「過半数を代表する者の適正な選出手続についての周知」とあるのですが、選出はもちろん、選出されて以後、正しく運用されることが大変重要な点です。選出した以降の適切な運用について、「運用」や「運用実態の改善」という文言を具体的に入れていただくほうが、周知する際に補強されてよろしいのではないかと思いますので、御検討いただきたいと思います。
 
○樋口部会長 これを検討するということですね。
 
○労働基準局総務課長 先ほど杉崎委員から最低賃金の御指摘があり、回答が抜け落ちておりましたので、そこから先に申し上げたいと思います。先に椋田委員からもありましたけれども、できるだけ実行計画に沿った形では書いているのです。ただ、確かに支援の強化について書けないかという部分は重要な御指摘だと思いますので、先ほどの椋田委員の御指摘と併せて検討したいと思っております。
それから「監督指導」の部分は、今回、働き方改革の関連法を国会等で御議論いただくために、特に中小企業に対する丁寧な説明や周知などが必要であるということを踏まえて書いてある所です。相原委員から御指摘のあった部分もどうやって反映できるかについては、事務局でもう少し考えてみたいと思います。
 
○樋口部会長 こちらの自主性を持ってどうするかについては、御検討させていただきたいと思います。
 
○阿部委員 1つが質問で、1つが意見です。質問は、この基本方針がいつまで有効なのかというところです。なぜこれを質問しているかというと、先ほどの最低賃金の所には、1,000円という数字が載せてあると思うのです。これがいつまでにどうするかということになると思うのです。ですので、有効期限がいつまでなのかということです。
もう1つは、1,000円にこだわるわけではないのですが、ここにこういう数字を書くということは、ある程度目標数値になっているようにも見えます。そうすると、各政策のKPIがどうなっていくのだろうという話になっていくのではないかと思います。これは意見ですが、基本方針のKPIの設定及びPDCAサイクルを回すような政策評価については、基本方針の中に一言もないのです。ここを是非加えていただいて、この基本方針がしっかりと施策として回っていくような仕組み作りまで基本方針の中に書くべきではないかと思います。
 
○小杉委員 私も申し上げたかったのは、PDCAを回すようなことを、1章の3の「改革の推進」の中にも書いていただけないかということです。改革の推進に当たっては、きちんとエビデンスベースで調査研究をしてPDCAを回していくというような文章を盛り込んでいただけないかということを申し上げたかったのです。
もう1つは細かい質問です。阿部委員とは違って、すごく軽い質問ですが、4ページの3つ目のパラグラフの中の「具体的には関連省庁が連携して、前記の取引」うんぬんとある所です。この「前記」というのは何を指しているのだろうというのが、とても分からなくて。「取引環境改善」というのはみんな後ろに行ってしまったのではないか、これは後述かなと不安に思ったので、そこの所がこれでいいかどうか読んでみてくださいということです。
 
○樋口部会長 今、お2人から出たことで、有効期限の御質問についてありましたらどうぞ。
 
○職業安定局雇用政策課長 有効期限等についての御質問を頂きました。今般の基本方針については、そもそも経済情勢等の変化に応じて見直すという形で、明確な有効期限自体を、この方針の中には定めていないのですが、今般の働き方改革推進の法律の中で検討事項として、施行後5年において法律の見直しを検討するという規定があります。そういったことから、経済情勢や雇用情勢が大きく変化した場合には、当然、基本方針自体の見直しを行わなければならないと思っております。また、検討事項に基づき、働き方改革の推進自体の枠組みが大きく変わる場合には基本方針を見直すということを考えます。そうしますと、「おおむね5年」が施策のターゲットの目途となるかと思っています。
また、PDCAの記載について、もう少し厚く書くようにという御指摘を頂きました。記載については検討させていただければと思います。一方で、実行計画等についてもフォローアップが実施されているところで、そちらとも余り重複感がないような形にしたいと思っております。実質的な実施状況の把握を行いながら、必要に応じて施策の推進をしていくという方向性で検討できればと思っているところです。
 
○樋口部会長 雇対計画のときには、年限がありましたよね。
 
○職業安定局雇用政策課長 10年という形で書いていたかと思います。そのときによってですね。失礼しました。
 
○樋口部会長 ただ、今回はそれに代わってということですが、いつまでというのは明記されてないと。働き方改革実現会議のほうは1年で終わって、その後はフォローアップ会議という形で続いているのですが、こちらの部会が用意されて部会自身は継続して開いているわけですから、恐らく手続上の話としては、皆さんから変えるべきだという御意見が出たときに検討し直すということになるのでしょうね。
 
○職業安定局雇用政策課長 当然フォローアップ会議の中での御議論で、全体としての枠組みの見直しがある場合も、1つの見直しのきっかけになると思っております。また、そうでなくても、こちらの規定自体に経済情勢と雇用情勢という規定がありますので、そちらが著しく悪化した場合などにおいても、見直しのきっかけになるものと思っております。
 
○樋口部会長 ということは、KPIとの関連もあるのですが、この後、この部会としては方針を掲げて終わりではなくて、方針が実現しているかどうかというチェックをしていく機能が、この部会には課されているということでよろしいのですか。それとも方針を作るところまでですか。
 
○政策統括官(総合政策)付労働政策担当参事官 今、部会長から、働き方改革実現会議のフォローアップ等の観点も含めての御提示がありましたので、議論を少し整理させていただければと思います。働き方改革実現会議で政労使のトップが合意された実行計画は、本文の、後ろに工程表が付いております。こちらが10年間のかなり細目にわたるものです。例えば、今日深められた議論の中でも公務員の働き方改革の話とか、そういった他省庁の話も含めて様々なことについて、どう進めていくのかということ、あるいは目標の数値、ある意味KPIとして御提起されたところなども、可能な限り掲げているところです。
そちらについては先ほど部会長から整理していただいたように、これには他省庁のものもありますので、政府全体として、もちろん策定された労使をはじめ有識者の方も入って、総合的にフォローアップ会議を、基本的に1年に1回ということになっていくかもしれませんけれども、一億総活躍プランと同様に、フォローアップされていくことになります。
それに対して、先ほど来お話がありますように、基本方針に関しては、もちろん働き方改革実行計画や、働き方改革法の関係がベースになりつつも、正にこの場で様々な御議論で深めていただいた論点も追加すればいいじゃないかということで、今回も追加したものを皆さんにお示ししています。今日もまた公労使各側から出た様々なものについては、次回にお示ししていきます。これは正に、この場でオートノミーにどのようにフォローアップをしていくのか、また先ほど、雇用政策課長から申し上げたように、経済情勢や雇用情勢の変化に伴う対応をどうしていくのかというのは、政府全体の議論と別に、正に労政審の公労使三者構成の場で深めていただくべき問題ではないかと、事務局一同、考えているところです。
 
○職業安定局総務課長 補足させていただきます。前回、この部会の運営規程をお諮りいたしました。その中で、この部会の所掌事務や開催手続を定めております。それとの関連で申し上げますと、基本方針については、今回は何年という年限は設けておりません。それは逆に言うと、今の長期的な人口構成の変化の見通しとか、雇用情勢といったものを前提に見通せる範囲を書いているのです。したがって、その前提が変われば見通していくべき内容も変わってくるので、方針を見直さなければいけないということになると思います。それが明確に何年と決まるものでもないけれども、かといって未来永劫のものでもないということです。
それについて、私ども事務局が、状況変化が生じたので基本方針の変更についてお諮りしたいというようにやる場合もありますし、逆に運営規程の中でも委員の先生方のほうから開催の必要を感じて、手続的には会長に開催の請求をしていただくということになりますが、部会のほうから今が開催すべきタイミングではないかということを提起いただくという手続もありますので、どちらからでも見直しの議論は開始できる手続となっております。
 
○樋口部会長 期限についてはそういうことですが、もう1つ、KPIの御議論が出ました。
 
○職業安定局総務課長 KPIやPDCAについての御指摘を頂いております。当然どのような施策でも、そういった視点は重要だと思っております。これについては仕組みとして、どう仕組むかという問題だと思うのです。この基本方針は、労働施策の総合的な推進を担保するために1つの文書で、雇用政策から、労働条件政策から、様々な労働政策の分野の方向性を定めようというものです。これを受けて各施策があって、その各施策について御議論を頂くそれぞれの分科会があります。今の仕組みではそれぞれの分科会において所管事項に関する重要KPIを定め、それを年に1回、御審議いただく場を設けています。それで労政審全体として、各分科会別にPDCAを見ていくという仕組みになっております。それと、この基本方針部会で基本方針に書かれている事項のPDCAというようにやっていくと、そことの重複感は生じるかもしれないと思います。そこは労政審全体としての労働施策の進行管理と言いますか、労政審からPDCAのチェックを頂く仕組みが、どういった形が合理的かについては考えさせていただきたいと思います。
 
○樋口部会長 そうしますと、現行を考えたときに各部会でKPIを作り、それについて検証しているということですよね。それを書けないかということですよね。KPIを設け、「各部会」と書くかどうかは分かりませんけれども、労政審の場において、検証していくということですよね。
 
○職業安定局総務課長 これはこの場での思い付きですので、また事務局でよく検討したいと思いますが、そういう意味では、基本方針として、ここに書かれている施策について必要なKPIを定めてPDCAサイクルを回していくということを書くと。実際にそれを回すのは各分科会にお諮りするという形にすることは可能かと思います。
 
○樋口部会長 いかがでしょうか。そうすれば、こちらにも報告という形であるでしょうから、それに基づいて、また基本方針を検討するということですね。皆さん、それでよろしいですか。
では、その点も含めて検討させていただくことにしたいと思います。それと、御指摘のあった前記ですが。
 
○労働基準局総務課長 小杉委員から御指摘のあった資料の4ページの3段落目、「前記の取引環境の改善等」という所ですが、非常に申し訳ありません。実は前回、第1回のこの部会で提案した骨子のこの前の項目に出てくるタイトルとして、「取引環境の改善等の推進」というのがあり、そこでは取引環境の改善のことを書いておりました。それが第3章と重複感があるということで、第3章に持ってきたので前記というのがなくなってしまったのです。ですから、記載ぶりについては修正させていただきたいと思います。
 
○樋口部会長 ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。たくさんの御意見、御質問を頂きました。この点については次回までに事務局と検討し、またお示ししたいと思います。皆様から何かありますか。なければ、本日の議論は以上としたいと思います。事務局は、本日出た各委員からの御意見を踏まえ、次回の部会に修正案の提示をお願いいたします。最後に、次回の日程についてお話ください。
 
○職業安定局総務課長 次回の日程ですが、10月1日を予定しております。場所などの詳細については、追って事務局から御連絡申し上げます。よろしくお願いいたします。
 
○樋口部会長 本日の会議に関する議事録については、労働政策審議会運営規程第6条により、部会長のほか、2人の委員に署名を頂くことになっております。つきましては労働者代表の柴田委員、使用者代表の中西委員にお願いしたいと思います。本日はどうもありがとうございました。

照会先

 

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係 長 :山﨑 珠美
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