第15回 地域医療構想に関するワーキンググループー議事録

日時

平成30年7月20日(金)14:00~16:00

場所

三田共用会議所 講堂(1階)
東京都港区三田二丁目1番8号

議事

○横山課長補佐 ただいまから、第15回「地域医療構想に関するワーキンググループ」を開会させていただきます。
構成員の皆様方におかれましては、お忙しい中、御出席くださいまして、まことにありがとうございます。
議事に入ります前に、新たに構成員になられた方の御紹介をいたします。邉見公雄構成員にかわりまして、全国自治体病院協議会会長の小熊豊構成員です。
○小熊構成員 小熊です。よろしくお願いします。
○横山課長補佐 本日、医政局長の武田、審議官の伊原、医政局総務課長の榎本、保険局医療介護連携政策課長の黒田につきましては、別の公務のために欠席とさせていただきます。また、審議官の椎葉につきましては、都合により途中退席させていただきます。
また、本日は、地域医療構想調整会議における議論の進捗状況等を御報告していただくため、参考人として沖縄県保健医療部医療政策課諸見里真課長、静岡県健康福祉部医療健康局医療政策課鈴木宏幸課長、浜松医科大学医療福祉支援センター小林利彦センター長をお呼びしています。
オブザーバーとして、総務省自治財政局公営企業課準公営企業室より、桑原健課長補佐に御出席いただいております。
続いて、前回のワーキンググループ以降、事務局に人事異動がありましたので、御報告させていただきます。医政局地域医療計画課課長補佐の松本でございます。
○松本課長補佐 よろしくお願いいたします。
○横山課長補佐 議事に入ります前に、お手元の資料の確認をさせていただきます。お手元に、議事次第、座席表、構成員名簿のほか、資料1-1、資料1-2、資料2-1、資料2-2、資料2-3、参考資料1、参考資料2、参考資料3、参考資料4、参考資料5をお配りしております。なお、参考資料3につきましては、枚数が多いため、机上での配付のみとさせていただいています。傍聴の方につきましては、簡略版をお配りしております。資料の不足や御不明点がございましたら、お知らせください。
それでは、以降の進行は尾形座長にお願いします。
もし報道の方で冒頭カメラ撮り等をしておられる方がおりましたら、ここまででお願いいたします。
(冒頭カメラ撮り終了)
○尾形座長 皆様、大変お暑い中をお集まりいただきまして、ありがとうございます。
それでは、早速、議事に入りたいと思います。
まず、議題の1つ目でございます。「地域医療構想調整会議における議論の進捗状況(その6)」を議論したいと思います。資料1-1の説明を事務局から、資料1-2の説明を諸見里参考人から、それぞれお願いいたします。
○鶴田課長補佐 事務局です。資料1-1を用いて説明させていただきます。「地域医療構想調整会議における議論の進捗状況について(その6)」になります。
1枚おめくりいただいて、こちらはいつもの地域医療構想調整会議の概要をまとめた資料になります。
2枚目ですが、これも既存の資料になりますけれども、地域医療構想調整会議の進め方の資料になります。
1枚おめくりいただいて、3ページ目からが新たな資料になりますけれども、今回、平成30年6月末時点での議論の状況について、全339構想区域の状況をまとめた概要になります。
こちらの資料の左側を見ていただきますとわかりますように、新公立病院改革プラン対象病院でプランを策定した医療機関に関しましては、昨年度末の816から820とふえております。議論を開始している医療機関に関しましても、650から707と、ふえている状況となっております。病床数で換算しますと、約88%で議論が開始されている状況となっております。
真ん中が公的医療機関等2025プラン対象病院の議論の状況ですが、策定済みの医療機関が813から820へと増加しており、議論を開始している医療機関が617から711へとふえております。ベッド数ベースで見ますと、86%において議論がスタートしている状況となっております。
全ての医療機関で見てみますと、全体の40%が議論を開始している状況となっております。
続きまして、1枚おめくりいただきまして、4枚目の資料ですけれども、開設主体別、また4機能別に議論がどのぐらいスタートしているのかというものを整理した資料になります。高度急性期に着目しますと83%、急性期に着目しますと46%、回復期については27%、慢性期については16%、いずれも病床数で換算した割合になりますけれども、このような状況で議論が開始されている状況となっております。
1枚おめくりいただきまして、5ページ目が今年度の地域医療構想調整会議の第1クール目の実績と第2クール目以降の予定を取りまとめた資料となっております。全国で見ますと、現時点で3回強は調整会議をする予定となっております。
1枚おめくりいただきまして、6ページ目は、平成29年度の病床機能報告の報告状況を整理した資料になりますが、昨年度末の時点から、各都道府県、督促等をして報告状況自体が改善しております。全国ベースで見ますと89.7%の報告状況となっております。
未報告の医療機関の施設数については、下段で整理してお示しさせていただいております。
1枚おめくりいただきまして、今度は7ページ目の資料ですけれども、非稼働病棟の病床数が各都道府県、どのような状況になっているのかを整理した資料になります。病院で見ますと、全国計が約1万6,000、診療所ですと、全国で約8,000、非稼働の病床があるということになっております。
非稼働の病棟につきましては、地域医療構想調整会議において議論する対象となっておるわけですけれども、実際、議論が開始されている割合というものを下段で整理しております。全て議論をしている都道府県もある一方で、全く議論していない都道府県もあるといった状況となっております。
8ページ目が新公立病院改革プラン、公的医療機関等2025プランの議論の状況を都道府県別に整理したものです。昨年度末からの違いを濃い色で表記しているわけですけれども、大阪府につきましては、昨年度末、ゼロ%であったものが、6月末時点で全ての医療機関において議論が開始されているといった状況となっております。秋田県、福島県、京都府、沖縄県においては、6月末時点においても調整会議の議論がまだ開始されていない状況となっております。
こちらの県におきましては、1枚おめくりいただきまして、9ページになりますが、今後の予定、また議論を開始していない理由について確認させていただいております。いずれの県も、今年度中には議論を開始するということで確認させていただいております。本日は、沖縄県の方に来ていただいておりますので、どういったところに調整会議をする上で課題があるのかといったことを皆様方と共有しながら、どうやって調整会議を進めていくのがいいのかといったこともしっかりと意見交換させていただければと考えております。
1枚おめくりいただきまして、10ページ目が具体的対応方針のとりまとめ状況になりますけれども、協議を開始し、合意に至った医療機関がどの程度あるのかというものを整理した表になるわけですが、新公立病院改革プランにつきましては、昨年度末時点で38の病院が合意に至っていたものが、6月末時点では92病院となっております。
2025プランについては、70であったのが176病院となっております。
全ての医療機関で見ますと、117であったのが280となっている状況です。
いずれも病床数で換算して見てみますと、公立病院は14%、公的医療機関は20%、全ての医療機関で見ますと7%が合意済みの状況となっています。
1枚おめくりいただきまして、11ページ目は、今の合意に至った医療機関が、各都道府県別で見たときにどうなっているのかを整理した資料になります。
12ページ目以降は、昨年度末までに合意した事例のうち、再編・統合の事例等について一定程度整理しましたので、参考資料としておつけしております。
事務局からの説明は以上です。
○尾形座長 ありがとうございました。
それでは、引き続き、諸見里参考人、どうぞよろしくお願いします。
○諸見里参考人 沖縄県医療政策課長をしています諸見里です。よろしくお願いいたします。
それでは、私のほうから、資料1-2に基づきまして、沖縄県における地域医療構想調整会議の協議状況について御説明させていただきます。
まず、1枚目でございます。沖縄県の構想区域と医療資源についてでございますが、右のほうの医療資源の表をごらんになっていただいて、区域が5つございます。沖縄本島の北部、中部、南部、それと、離島の宮古と八重山、5圏域でございます。人口は、以下のとおり、北部から八重山までございまして、140万近く、多くが中部、南部に集中している状況でございます。病院数も、同じように中部と南部に集中している。当然、診療所も含めて、そういう状況でございます。
続いて、2ページ、沖縄県の人口の推移でございますが、1番目、本県の人口につきましては、2020年まで増加する見込みでございます。それ以降は、緩やかに減少傾向ということで、本県については、他県と少し違いまして、人口についてはまだ伸びている状況でございます。生産年齢人口につきましては、これまで一貫して増加してきたのですが、2015年から減少に転じております。高齢者につきましては、昭和30年からずっと増加傾向で来ているところです。
2つ目、2025年には4人に1人が高齢者という状況でございます。本県につきましては、特に高齢者人口の伸び率が全国一高い状況でございます。表のほうで、2010年を100とした場合、本県と全国を比べた場合、伸び率がすごく高くなっている状況でございます。
続きまして、3ページ、よろしいでしょうか。基準病床数と病床機能報告による病床数、それと2025年の病床数の必要量を少し比較した表でございます。北部、中部、南部、宮古、八重山という5圏域を並べておりまして、表の見方としましては、左側に基準病床数、真ん中に平成27年の病床機能報告の病床数、右側に2025年の病床数の必要量という形で並べております。
傾向としましては、左側の(1)ですけれども、中部、南部圏域では、将来に向けても病床が不足するだろうという推計でございます。
2つ目、北部、宮古、八重山圏域については、将来に向けて病床が過剰になっていくだろう。北部、宮古、八重山については、僻地、離島という形に位置づけられているところでございます。
現在、全圏域が病床過剰地域という状況になっているところでございます。原則、病院の開設、増床が制限されている状況でございます。
続きまして、4ページ、地域医療構想調整会議の開催状況でございますが、実は本県は、構想が策定されたのが昨年の3月ということで、全国的にも遅いほうでございます。したがいまして、昨年度1年間というのは、構想の周知、理解、促進に力点を置いて圏域会議を運営してきたところでございます。計4回開いておりまして、5月、6月が最初ですので、全ての医療機関、市町村、医療団体を圏域で呼びかけをしまして、地域医療構想について御説明し、在宅・医療をあわせて、在宅と介護の連携の状況についても説明したところです。
2回目、8月、9月につきましては、医療機関だけに呼びかけをしまして、医療機関対象とした基準病床制度であるとか、報告の留意事項、機能の分化と連携を医療機関同士で話し合う場を持っております。
3回目、9月は市町村のみを集めまして、介護保険事業計画策定の進め方であるとか、介護と在宅の連携等について話し合いをしております。
最後、4回目につきましては、1月から2月、ちょうど平成29年度が医療計画の策定でございましたので、その計画の案を全ての関係者に声かけをしまして、御説明したところでございます。
以上4回の調整会議を開いたところでございます。
続きまして、5ページでございます。新公立病院改革プランと公的医療機関のプランの策定状況でございますが、本県は、プラン策定対象、16医療機関ございます。北部から八重山、5圏域で、公立病院、左側ですが、7つ。公的医療機関が9つ、計16という形になっております。
真ん中の表ですが、平成28年病床機能報告病床数ということで、機能ごとに圏域ごとに病床を並べております。合計で5,126床ということで、病床機能報告全体が1万3,779床でしたので、全病床の約37%近くを16医療機関が占めているという状況でございます。
次、右の表ですが、2025年の各医療機関の病床の計画と、28年の機能報告を照らし合わせまして、機能ごとに並べました。北部で言えば、高度急性期が6ふえる。急性期が61減る。回復期は55ふえる。これは、構想におおむね沿っている状況でございます。同じように、中部につきましては、慢性期が構想とは少し逆行していますので、そこの協議を重点的にしていく必要がある。南部は、急性期。宮古、八重山につきましては、現状維持という報告でございますので、この圏域につきましては、急性期は減っていく方向、回復期はふえていく方向で今、構想がつくられていますので、その辺の協議を重点的にしていく必要があると考えているところでございます。
続きまして、6ページでございます。会議での協議を進める上での課題でございますが、大きく3つございます。
まず、1点目が、参加者が多いために、一人一人の発言機会がどうしても限られてきます。ということで、なかなか活発な議論ができなかったというのが1つございます。
2つ目、この辺が少し大きいところですが、ほかの医療機関の経営方針、構想、計画の考え方について、公の場でなかなか意見を言いにくいという状況がございました。終了後に個別の医療機関が寄ってきて、こういう場ではなかなか言いにくいのだがという形で、個別には意見を言ってくる状況はございました。
3つ目、人口の増加が本県では2020年まで続いております。医療機関の病床稼働率も高い水準で続いている状況でございます。全国が75.5%に比べて、沖縄県は84.7%ということで、非常に高い状況でございますので、医療機能の分化・連携の必要性、この構想の必要性を医療機関に十分に伝えていくのは、なかなか難しい状況でございます。
最後ですが、7ページ、今後の方針です。今年度、30年度ですが、まず1つ目、協議の進め方でございます。
アとして、会議のテーマ、例えば急性期と回復期の連携とか、在宅医療の充実というテーマに沿って参加者を個別に集めまして、そこで集中した議論をテーマごとにやっていく必要がある。当然、本体の会議は3回、4回開催する予定ですが、それとは別に個別に協議を進めていく必要があるなと感じているところです。
イとして、今、16プランの策定が終わっていますので、個別に医療機関のヒアリングをする予定にしておりまして、医療機関が抱える課題とか今後の方針などを確認して、圏域で説明する場合、医療機関から当然説明していただくのですが、今月上旬に九州の医療政策の担当課長会議の場でも、地域医療構想の進め方について、いろいろ議論が出たのですが、実施して終わっている県においても医療機関からプランの説明はするのですが、それに対して議論がなかなか低調だったという御意見もありました。
ですので、そういうものも踏まえて、本県では、ただ説明していただくだけではなくて、県がヒアリングし、その辺のさばきというのですか、コーディネートを少しやっていかないとなかなか進まないのではないかということで、そのために個別の病院の16、全てヒアリングをしているところでございます。
ウとして、県から客観的なデータのほか、具体的な論点。今、申し上げたように、説明だけではなかなか進展しないと思われますので、県のほうで論点を少し整理した上で、例えば医療機関同士の重複している部分も提示しながら議論できる状況ができないか、今、検討して模索しているところでございます。
2つ目、協議の内容でございます。
アとして、本県は少しおくれましたが、8月から5圏域で16医療機関に全て説明して、協議を始める予定としております。
イとしまして、急性期病院の退院待ち長期入院患者の数や、回復期病床の運用状況等を調査していきたいと思っています。それを含めて、不足する医療機能、主に回復期になるかと思いますが、確保について協議していきたい。
ウとしまして、公的医療機関等以外の医療機関についても、複雑なものではないのですが、簡易なプランみたいなものをつくって、協議する材料にしていきたいなと考えています。
エとしまして、非稼働病床を有する医療機関に対する調査。これも、なぜ非稼働なのかを掘り下げて調査して、それを踏まえて、今年度、協議を開始する予定にしております。現在、634床、非稼働でございます。病棟単位でいきますと193床が対象になるかと思います。
オとしまして、専門的治療を行う医療の集約など、急性期病院間での役割分担についても協議していきたい。先ほどの個別のという部分で、幾つかの医療機関、関連するところを集めまして協議していきたいと考えています。
最後でございますが、これは少し大きい話でございます。県立病院等の再編・統合について検討していきたいということで、現在、県立北部病院と北部地区の医師会立の病院の統合に向けて、昨年度から協議を進めております。県と両病院、関係市町村を集めまして、今、4回ほど協議しまして、今年度中に基本的な枠組みの合意に向けて、鋭意、取り組んでいるところでございます。それが順調に行けば、平成35年以降、1つの基幹病院、北部にできる方向で、最短ですけれども、その合意に向けて取り組んでいるところです。
それ以外にも、本県の場合、5圏域で中核をなすのは、実は県立病院です。5カ所に置いていますが、特に宮古、八重山では1つ県立病院がありまして、ほぼそこが急性期医療を中心に担っておりますので、そこの機能、周産期とか精神科医療の再編に向けても、今月から県立病院事業局のほうで検討、協議を始めているところでございます。
以上でございます。
○尾形座長 ありがとうございました。
それでは、ただいま御説明がありました資料1-1及び資料1-2につきまして、御質問、御意見をお願いします。
中川構成員、どうぞ。
○中川構成員 資料1-1の4ページ。開設主体別に分けて、かつ4つの病床機能ごとに議論を開始したかどうかと整理していますが、病床機能ごとに議論を開始したかどうかを見ることの意味が余りわからないです。病院単位で、例えば都道府県立、市町村立病院の病院ごとに新改革プランを出して、そこで調整会議で議論を開始したというならわかるけれども、病床機能ごとに開始したかどうかと整理しているのは意味がわからないのですけれども、どういうことでしょう。
○尾形座長 事務局、お願いします。
○鶴田課長補佐 事務局です。
こちらは、病床機能報告で各医療機関が、高度急性期、急性期、回復期、慢性期、それぞれ自主的な選択で報告していただいているわけですけれども、それを分母に、開設主体ごとに議論した割合を出しているのが、この資料のつくり方ということになるわけです。現状、どこの機能から重点的に議論されているかということをわかりやすく示すという観点から、このような資料を整理し、提示させていただきました。
○尾形座長 中川構成員。
○中川構成員 ある病院が、例えば高度急性期病棟を持っている、急性期病棟を持っている、回復期病棟を持っているとしますね。では、きょうはA病院の急性期病棟について議論しましょう。次は、回復期病棟について議論しましょうということを言っているのですか。
○鶴田課長補佐 そういった趣旨で出しているわけではありません。あくまでも、運用自体は、調整会議の議論の仕方は、都道府県ごとにさまざまであると思いますけれども、今回は、どこの機能を持っているところが、その議論をスタートされているのかということを見える化することによって、今の進捗状況がわかりやすくなるのではないかといった趣旨で、こういった資料をまとめさせていただきました。
○中川構成員 ということは、各病院が持っている病棟の種類が違うから、自動的に出るということですね。
○鶴田課長補佐 自動的につくれます。
○中川構成員 わかりました。これは余り意味ないですね。余り重きを置かないほうがいいかなと思いますね。
それと、10ページの新公立病院改革プランと2025プランの中の議論継続中というところの中身。どのような理由で継続中なのか。合意済みというところもあるけれども、私が聞いている情報では、プランを出して、何の議論もなく、すっと承認されてしまうというのが結構あるという懸念を聞くのですよ。先ほどの沖縄の方も言ったけれども、意見が言いづらいということもあって。ですから、議論が継続という中身を掘り下げることが、調整会議の機能を上げる、機能アップするためには大事だと思います。いかがですか。
○尾形座長 事務局、いかがですか。
○鶴田課長補佐 現時点で継続協議をしていることの理由については、調べているわけではないですので、今、手元の情報でお答えすることはできないですけれども、先生、御指摘のように、地域医療構想調整会議を活性化する観点から、各地域の議論がまずどのような状況かというのを、全国網羅的に調べるのはなかなか難しい面もあるかと思いますけれども、サンプルでもそれぞれの議論をちゃんと分析しながら、そこでの課題を解決するために何をすべきかということはとても大事な観点だと思いますので、そういったことは引き続き事務局としても受けとめさせていただいて、対応を検討していきたいと思います。
○尾形座長 よろしいですか。はい。
ほかにいかがでしょう。
今村構成員、どうぞ。
○今村構成員 沖縄県の資料1-2の4ページ目について、もうちょっと詳しく教えていただきたいのですけれども、地域医療調整会議の参加人数が回によって随分違っていて、南部で言えば118から34までということで、地域調整会議のメンバーというのは固定しているわけではなくて、毎回、集まった人で調整会議を開いているということなのでしょうか。その辺のところ、もう少し詳しく教えてください。
○尾形座長 諸見里参考人、お願いします。
○諸見里参考人 本県の地域医療構想調整会議は、括弧書きで沖縄県地域医療対策会議という形でして、地域医療構想のみではなくて、医療計画、構想、基金、医師確保も含めて、トータルで圏域で話ができるような構造にしております。そういう中で、参加者も臨機応変にその都度、テーマに応じて通知で呼びかけております。ですから、1回目は構想の説明でしたので、全てに係るということで、医療機関、市町村、医療関係の団体、全てに声をかけた。
圏域間のばらつきは、当然、人口を含めて、そこにある市町村とか医療機関の数によって全然違いますので、その凹凸が出ている形で、2回目以降は、テーマによって、市町村のみとかいう形で、その都度選びながら声かけをしている状況でございます。
○今村構成員 すると、調整会議で合意形成というステップを踏むと思うのですけれども、合意形成というのは参加者によって変わる形ですか。それとも、合意形成のルールのようなものが何かつくられているのでしょうか。
○諸見里参考人 要領みたいなものを今、策定中ですが、基本的には、当然、医療機関と医療関係の団体を中心に合意形成を図っていくと思います。ただ、計画とか構想も知らしめるという意味では、市町村を含めた関係者、当然、保険者協議会を含めて、そういうところに呼びかけて話をします。ただ、最終的な医療機関同士の話し合いのときには、そこを集めて、そこで話し合いを集中的にやっていくということを考えているところです。
○尾形座長 今村構成員。
○今村構成員 周知としてはいい方法だと思いますけれども、合意形成という意味では、メンバーが変わるとひっくり返ったり、入れかえたりということは、ちょっと危険なことのように思うので、そこの部分はもう少し明確化していったほうがいいのではないかと思います。
以上です。
○尾形座長 ほか、いかがでしょう。
中川構成員。
○中川構成員 今の沖縄のことについて、3ページ。ここで5つの圏域ごとに基準病床数と病床機能報告病床数と2025年の病床数の必要量をそれぞれ並べていますが、病床機能報告の病床数が既存病床数とほぼ同じと考えていいのですか。報告していないところはないということですか。
○尾形座長 諸見里参考人、お願いします。
○諸見里参考人 おっしゃるように、機械的にそのまま並べてはいるのですが、報告していない病院も一部ございます。
○中川構成員 それで、確認ですが、病床機能報告の病床数と2025年病床数の必要量を比較してはいけないと言い続けているのですが、先ほどの説明ではほとんど比較していないのですね。意識的にそうしているのだったら、私は高く評価したいと思います。
ただ、構想区域ごとにこういう感じといいますか、傾向を把握するために並べるのは、私は差し支えないと思うので、そうですか。
○諸見里参考人 実は、圏域で昨年度、いろいろ説明していく中で、医療機関のほうから、本当に回復期がこれだけ将来、不足するのか。実態と少し違うのではないかという意見が幾つもございました。ですから、先ほど言ったように、今年度、議論する前に医療機関にヒアリングもして、少し調査したいと思います。それを踏まえて、将来の2025年が、推計値ということでつくってありますので、その方向性は示しますが、本当にそれを確定的な表現として使っていいのかどうか。本県では少し異議がありますので、そういう実態も確認しながら、ただ、そういう方向性という形では進めていきたいと考えています。
○中川構成員 ありがとうございます。
7ページ、お願いします。先ほどの説明を聞いていると、県単位の調整会議に相当するものは設置しているのですか。
○諸見里参考人 先ほど4回開催しているということで、圏域の地域医療構想の会議は設置しております。それを相手、対象者を変えながら、その都度テーマに応じて開催しているという形でございます。
○中川構成員 例えば7ページの1ポツのイのところで、個別に医療機関のヒアリングを実施しと書いてありますけれども、この主語は調整会議ですか、それとも県ですか。
○諸見里参考人 これは、主語は県でございます。調整会議を置いて、2回、3回と開いて、しっかりプランを説明していただいて、協議する予定でございます。
○中川構成員 それは、5つの圏域の5つの調整会議に県が出ていって、個別に医療機関のヒアリングをしたということですか。
○諸見里参考人 ではございません。これとは別のものでございます。圏域は3回、4回、開いております。それとは別に、今年度は個別にプランをつくった医療機関の内容について、少しヒアリングをさせていただいて、それを踏まえて5圏域で開催していきたいと考えております。
○中川構成員 では、これは新改革プランと2025プランの公的医療機関等に対してですか。民間じゃないですね。
○諸見里参考人 そういうことでございます。
○中川構成員 そうすると、その下のウのところですが、県から、客観的なデータのほか、具体的な論点を提示して議論の活性化を図るというのは、公民の区別はないのですか。
○諸見里参考人 この辺が難しいところで、我々も少し悩んでいるところでして、圏域の会議を開催し、医療機関からそういうプラン等を説明していただくと。そこで自由に意見が活発に出れば、それにこしたことはないのですが、議論が活性化するか、少し他県の状況も聞いたり、あと、昨年度、我々が開いた会議の状況を見ていても、なかなか活発化しないものですから、何か県として整理して、こういう状況になっていますよとか、そういう提案も少ししながらできないのかなという模索をしているところでございます。
○中川構成員 済みません、その下の2ポツの協議の内容のイのところですが、先ほど比較していないと褒めましたけれども、不足する医療機能(主に回復期)の確保について協議するとありますけれども、回復期が不足する機能というのはどういう根拠ですか。
○諸見里参考人 先ほど言ったように、必要量という形でつくってはあるのですが、程度の問題はあるのでしょうが、回復期がある程度必要であるという認識は持っていますので、そういう議論は必要だろう。当然、急性期が少し多いというのがありますので、その分も含めて、量的なものというよりは、そういう議論が中心になっていくのではないかということで書かせていただいているところでございます。
○中川構成員 例えば、3ページの5つの圏域を見て、どの辺、どの圏域は回復期が不足すると見ているのですか。
○諸見里参考人 今、3ページの各圏域、報告と右側の2025、緑の部分になるのですが、それが今の計画・構想では、各圏域、数字的には大きく出ております。ですから、その方向性としては、それに向けて協議が必要かなと考えているところです。
○中川構成員 毎回、言っていますけれども、これは単純に比較してはだめなのです。例えば、現場感覚で回復期病棟、特にリハビリテーションが足りないという実感がある。現場で回復期病床が足りないと実感しているなら、回復期が不足していると整理していいと思いますけれども、我々の使命として、単純に比較して足りないというのは違うよということを言い続けなければならないと思っているのです。その辺のところはどうでしょう。
○諸見里参考人 説明の冒頭でも少し言ったのですが、同じことが各圏域の医療機関の方々からありました。実態と違うのではないかということで、先ほども言いましたように、我々としては少し調査をして、そういう実態を確認した上で協議を進めていく必要があるという形で今年度、考えているところです。現場の意見を聞いていきたいと思っています。
○中川構成員 わかりました。
○尾形座長 ほか、いかがでしょう。
岡留構成員。
○岡留構成員 沖縄県の方にちょっとお聞きしたいのですが、6ページ。これは、地域医療構想調整会議で、どの圏域でも大変な問題だと思うのですが、(2)他の医療機関の経営方針等について、意見を述べにくい(本音を言いづらい)と書いてありますが、それに対応して、その次のページに、協議の進め方、イに、先ほど中川構成員がおっしゃったように、ヒアリングを開始すると。こういう方法で、実際、各都道府県の調整会議が進行するのかなと、僕は少し懸念を持っているのですが、その辺については何かお考えがおありでしょうか。
○諸見里参考人 今、おっしゃっているように、今、プランを16医療機関でつくっております。それを8月に各圏域で説明していただくことにしているのですが、恐らくそれを説明しても、各圏域の医療機関から集まっている方々が、それに対して意見が出れば非常にありがたいのですが、活発な意見がなかなか出しにくい状況になるのではないかということで、そのときにはプランの考え方、各医療機関の考え方を県としても少し補足しながら、議論が深まるような形でサポートできないかということで、そのためにはプランの内容、考え方を少し確認しておこうという程度でございます。
ですので、県が何か具体的に案をつくって強制的にやるということではなくて、医療機関が説明している部分を補足したり、考え方を説明したりという形で支援できないのかなという意味でのヒアリングでございます。基本的には、医療機関に説明していただくという形で協議を進めていく予定でございます。
○岡留構成員 調整会議で、恐らくここのところがずっと残っていくだろうと思うのです。みんな平場では本音を絶対言わないはずですから。ですから、ここの対応策というものを、厚労省、事務方も含めて、何とかいいアイデアを出していかないと、ただおざなりな調整会議に終わるだろうと、僕はそこを心配しているものですから、ちょっと御質問させていただきました。
○尾形座長 ありがとうございました。
ほか、いかがでしょう。
伊藤構成員、どうぞ。
○伊藤構成員 沖縄県の参考人の方にお尋ねしたいのですが、同じような質問でありますけれども、最後の7ページに書かれている協議の内容のアというところで、公的医療機関等2025プランの説明と協議を始めるということですが、この地域医療構想の基本方針と重要課題のところでは、過去何回も、公立・公的病院は、地域の医療需要を踏まえつつ、地域の民間医療機関では担うことができない機能を重点化して行うことになっております。
今のお話を伺っていますと、どうも公立・公的のところの機能に関してはプランを提出し、それをベースにいろいろな機能の整理をしていきたいというお話に聞こえまして、御議論申し上げたような、基本方針から見ると、むしろその地域で行われている民間の医療機関の持っている機能、それから将来、整備していく機能を中心に議論された上で、それが足りない部分、あるいは将来、不足すると思われる部分に関して、公立・公的が補完していくという考え方が基本だと思いますが、今のお話だと、民間病院の計画上の関与がどうなっているのか、さっぱり見えてこないので、ぜひそこを教えていただければと思います。
○尾形座長 諸見里参考人、お願いします。
○諸見里参考人 プランの対象になっている16医療機関を中心にのみということではなくて、当然、圏域の民間病院、クリニックを含めた議論は昨年からやっておりまして、今年度も当然それは同じようなウエートでやります。
ただ、今、プランについて、圏域で、我々で言えば16医療機関をちゃんと説明するようにということでございますので、それが我々はまだ実施されていない状況でございますので、まず1回目は、そこの医療機関から説明していただくことを8月には実施したい。それ以降、そこを中心にということでは、必ずしもございません。まずは、実施できていないところを8月はやらないといけないということでございます。
○尾形座長 よろしいですか。
○伊藤構成員 まずは、16の医療機関、公立・公的のところを重点的にというお話でありましたけれども、むしろそれと並行して、64の民間医療機関にきちんとプランを出してもらうように、県からしっかりと要請していきながら、この話を進めていくべきではないかと考えます。そういう形でお考えいただいてよろしいでしょうか。
○諸見里参考人 先ほど言ったように、それ以外の病院についても、こういうプランみたいな大層なものではないのですが、書きやすい形で書いた上で、それをもとに圏域で協議していきたいと思っているところでございます。
○尾形座長 関連するのですが、ここに簡易なプランの策定と書いてあるのですけれども、どの程度のものを考えておられるのですか。
○諸見里参考人 まさしく試行錯誤中でございます。ただ、この16のプランと同様のレベルを全てに求めるというのは少し無理があるかなと思いますので、その辺の負担がないような形で、なおかつ協議がある程度できるような形を考えているところでございます。
○尾形座長 ありがとうございました。
中川構成員。
○中川構成員 今の時点では、このワーキンググループで、民間医療機関については、機能が大きく転換する場合、変わる場合にこういうものを出すということになっていて、大きく変わらなければこのままでいいということになっているのですけれども、その範囲をこれは超えていますか。
○諸見里参考人 実は、今、どこまで本当にプランというか、書いていただくのかというのは、出すかどうかも含めて検討中です。
○中川構成員 地域医療構想を進めるということは、これも繰り返し申し上げていますが、不足する病床機能を手当てすることで、過剰病床機能を削減するとか、行政の力で何かをするという仕組みでは全くありませんので、大きく変わらない民間医療機関に対してプランを出せというのは非常に危険があると思います。ぜひ、極めて慎重に対応してください。
○諸見里参考人 プランという名前を使ってしまったのですが、そういうかちっとしたものではなくて、協議をするに当たっての病院の状況がわからないと、なかなか協議ができませんので、協議を加速化するための材料として、どういうものを出すかというのを検討しているという理解でお願いしたいと思います。
○尾形座長 ありがとうございました。
ほか、よろしいでしょうか。ありがとうございました。
それでは、本日、いろいろ御意見も頂戴しましたので、それも踏まえまして、事務局においては、引き続き地域医療構想調整会議の進捗状況の確認をお願いしたいと思います。
続きまして、2つ目の議題であります「地域医療構想調整会議の活性化に向けた方策について」を議論したいと思います。
まず、資料2-1の説明を事務局から、続きまして、資料2-2の説明を鈴木参考人から、そして、資料2-3の説明を小林参考人から、それぞれお願いいたします。
○鶴田課長補佐 事務局です。
資料2-1を用いまして説明させていただきます。「地域医療構想調整会議の活性化に向けた方策(その3)」になります。
1枚おめくりいただきまして、議論としては2つお願いしたいと思っております。公立・公的病院等を中心とした機能分化・連携の推進について。もう一つは、地元に密着した「地域医療構想アドバイザー」についてになります。
1つ目から行きますが、1枚おめくりいただきまして、2ページ目になります。今年の6月15日に閣議決定されております、いわゆる骨太の方針において、下線を引かせていただいておりますけれども、公立・公的医療機関については、地域の医療需要等を踏まえつつ、地域の民間医療機関では担うことができない高度急性期・急性期医療や不採算部門、過疎地等の医療提供等に重点化するよう医療機能を見直し、これを達成するための再編・統合の議論を進めると明記されているところです。
1枚おめくりいただきまして、3ページ目ですが、こちらは今年の2月に発出させていただいております通知の概要になりますけれども、この中でも、公立病院、公的医療機関等については、「新公立病院改革プラン」「公的医療機関等2025プラン」を策定し、平成29年度中に協議すること。協議の際は、構想区域の医療需要や現状の病床稼働率、民間医療機関との役割分担などを踏まえ、公立病院、公的病院でなければ担えない分野へ重点化されているかどうかについて確認することと示させていただいているところです。
また、これ以外に、非稼働の病棟を持っている医療機関、新たな病床整備をする予定の医療機関については、調整会議に出席し、説明していただくよう求めているところです。
1枚おめくりいただきまして、4ページ目ですが、これは2回前のワーキングでお示しさせていただいた論点です。赤枠のところですけれども、公立・公的病院等を中心とした機能分化・連携の推進に向けて、この構想ワーキングにおいて構想区域ごとの取組状況の分析をしてはどうかということを御提案させていただいたところです。
1枚おめくりいただきまして、具体的な分析の方針について、今回、整理させていただいておりますので、その内容について御説明させていただきたいと思います。
1つ目の○ですが、経済財政運営と改革の基本方針2018では、先ほど御説明した内容が求められております。このため、公立・公的病院等の策定した具体的対応方針が、公立・公的病院等でなければ担えない分野へ重点化された内容になっているかどうかを含めて、また先ほど御説明した課長通知の内容を踏まえた内容になっているかどうかを確認できるように、構想区域ごとの取組状況の分析を以下の枠囲みのように実施してはどうかという御提案となります。
構想区域の特徴としましては、地理の概要、人口の推移、基本情報、具体的対応方針の取りまとめ状況、再編統合事例の協議の状況。
また、個別の医療機関ごとの具体的対応方針の協議の状況につきましては、現状と2025年の役割、2025年の病床機能、協議の状況、こういったことを可視化してはどうか。
また、※印のところにありますが、以下に該当する医療機関は、調整会議での議論を促す観点から強調してはどうか。非稼働病棟を有している医療機関、新たな病床整備を予定している医療機関。また、公立・公的病院については、回復期・慢性期への機能転換を図る予定の医療機関。こういったものに関しては強調してはどうか。
分析した内容ですけれども、本日、参考資料3という形でお手元に配付させていただいております。メインテーブルにつきましては、こちらのブルーの冊子のほうでお示しさせていただいておりますけれども、「構想区域の公立・公的病院等を中心とした機能分化・連携の状況」という資料になります。
1枚おめくりいただきますと、今回、整理するに当たって、どういったデータを用いているか。また、データを解析する上での留意点というものを1ページ目、2ページ目に整理させていただいております。
1ページおめくりいただきますと、北海道のある構想区域の状況をお示しさせていただいておりますが、このような見せ方で339の構想区域、全て整理させていただいて提示させていただいておりますので、こういった内容を踏まえながら、地域医療構想調整会議においての議論をしっかりと進めていただくことが重要ではないか。本日の議論としましては、もしほかにこういった情報も付加したほうがいいといった御提案等ありましたら、御意見いただけると非常にありがたく思います。
事務局からの説明は以上です。
○尾形座長 ありがとうございました。
それでは、引き続き、鈴木参考人、よろしくお願いします。
○鶴田課長補佐 座長、済みません。1つ目の論点は説明したのですが、2つ目の論点を私、説明し忘れておりましたので、そちらのほうを説明させていただきます。
○尾形座長 どうぞ。
○鶴田課長補佐 大変失礼しました。
資料2-1の6ページ目ですけれども、2つ目の論点として、地元に密着した「地域医療構想アドバイザー」についてという内容です。
1枚おめくりいただきまして、7ページ目になりますが、こちらも2回前のワーキングにおいて提示した論点になりますが、地元に密着した「地域医療構想アドバイザー」の育成というものを提案させていただきました。
1枚おめくりいただきまして、8ページ目になりますが、地域医療構想アドバイザーについてということで、位置付け、役割、活動内容、選定方法、選定要件。こちらは、以前、議論した内容を踏まえて整理させていただいたものになります。こちらの内容を踏まえて、今、各都道府県に対して地域医療構想アドバイザーの推薦依頼をしております。その内容自体は、本日、参考資料5でつけさせていただいております。
本日は、その地域医療構想アドバイザーを提案するに当たって、参考にさせていただいた静岡県の取組をヒアリングという形で皆様方と共有できればと考えております。
事務局からの説明は以上です。
○尾形座長 ありがとうございました。
それでは、失礼いたしました。鈴木参考人、お願いします。
○鈴木参考人 静岡県医療政策課の鈴木と申します。よろしくお願いいたします。
私のほうから、資料2-2で説明させていただきます。今、ちょうど厚生労働省からお話がありました地域医療構想アドバイザーのパートに、まさにマッチングしている内容かと思いますけれども、まず、本県の地域医療構想の策定の状況ですけれども、28年3月に策定いたしました。その後、調整会議を9カ所。本県は二次医療圏が8カ所ございますけれども、1カ所のエリアが非常に広いということで、9つの調整会議に分けてやっております。
各調整会議につきましては、郡市の医師会長に議長をお願いしているという状況でやっております。
開催の状況は、28年度に3回、昨年度は4回という形で開催いたしました。また、今年度も4回の開催を予定しているという形になっております。
特に、今回のテーマとなっております学識経験者との関わりということでございますけれども、この地域医療構想を策定する段階から、本日お見えになっている小林先生にいろいろな御協力をいただいて、御助言いただいたという経緯になっております。本県の場合、民間のコンサルを使わずに、先ほど厚生労働省のアドバイザーの選定要件が幾つか書いてありますけれども、この全ての要件を結果として満たしているような人材が非常に近くにいたということで、幸いだったのですけれども、小林先生にアドバイザーというか、御助言をお願いしてやってきたということになっております。
先生には、第三者的な立場から、また専門的な見地から御助言をいただくということで、当初、地域医療構想そのものの内容がよくわからなかったということもありましたので、地域医療構想そのものについて御説明いただいたり、我々としてどういうデータを出して御議論していただいたらいいかということで、データの見せ方とかつくり方の御助言をいただいて、できるだけ同じ方向で議論が進むように、議論が間違った方向に行かないように御助言をいただいたということになっております。
また、直接、各調整会議にもできる限り御出席いただくということで、29年度は非常に御多忙の中、19回、各圏域の中で出席いただいたという状況になっております。
また、昨年度、医療計画の策定がございましたけれども、この策定部会のほうにもメンバーに入っていただきまして、こちらについては全ての策定部会、審議会のほうに御出席いただいて、いろいろ御助言いただいたという形になっております。
また、地域医療構想そのものが、先ほども言いましたように理解がなかなか難しいところがございまして、各保健所、特に地域の中で勉強会というか、講演会を開きたいというお話がありましたので、こちらにつきましても講師として小林先生にお願いして、地域での説明をしていただいたということで、3ページに概要を書いてございますけれども、お話しいただいたことで、構想の中身がどういうものかという理解ができたということで、反応が非常によかったということでございます。
それから、今年度の調整会議の議論の進め方ですけれども、4回の開催を予定しておりますけれども、主として、全県共通テーマと各圏域の個別のテーマという形でできないかなと考えておりまして、全県共通のテーマとしては、1回目、2回目あたりで、非稼働病床あるいは病床の稼働率が低い。稼働していると言っているけれども、稼働率が低いということも含めて、圏域の中でどういうふうに活用していくのか、していかないのかという御議論を進めていただければなと考えております。一応、4回の会議の中で、それぞれテーマを決めてやっていければなと思っております。
私からは以上です。
○尾形座長 ありがとうございました。
それでは、引き続き、小林参考人、よろしくお願いします。
○小林参考人 お願いします。
まず、私の立ち位置ですけれども、浜松医大58年卒の外科医ですが、10年ほど前にしばらく副院長をやっておりました。その流れの中で、今、地域連携室の室長という形で専従をしていますけれども、対外的な活動をしております。
10年前に浜松市医師会の理事になりまして、その後、5年前に県医師会の理事になりました。それから間もなく、当時の県医師会長に推薦いただきまして、日医の地域医療対策委員会のほうに出させていただきました。ガイドラインができる前から、それこそ中川先生からもいろいろレクチャーいただいて、全国の状況が非常に早くからわかっていました。それを見ながら、いわゆる地域医療構想ができる前から静岡県の学識経験者という立場で、県、医師会と大学をつなぐような形でこれまでやってきました。
資料を見ていただければと思いますけれども、1ページは、今、厚労省が言っているアドバイザーの要件で、先ほど言われたように、自分が大体当たっているのかなと思います。
それから、2ページ以降、静岡県では地域医療構想が非常に早くから議論され、1年弱早くできたこともありまして、できる前後での研修会とか、保健医療計画も含めてずっと参加してまいりました。
3ページを見ていただきますと、静岡県の特徴というのは、370万人の人口で非常に横に長く、南北には交通の便が悪いところです。そういう中で8つの二次医療圏があって、駿東田方というのは非常に縦に長いので、ここを2つに分けて9つの調整会議ということで、それが年間約4回ですので、大体36回開かれています。可能な範囲で、私は、全部出るようにしていますが、自治体病院が非常に多いということが静岡県の特徴だと思います。民間病院が比較的少ないということです。自治体は自治体のルールというか、なかなか難しい問題があります。
私は、同時に、各自治体病院の将来構想のいろいろな委員会とか、5つ6つの自治体病院の会に入っていますので、なるべく現場感覚で状況を理解した上で、県および県医師会など、いろいろなところに反映できるような形でやってきました。
4ページに、私が学識経験者として考えてきたことが書いてあります。地域医療構想ができ上がる前からずっと思っていたことですが、これは一定の仮説でつくられた、ある意味目安的なものだろうということが先ずあります。2013年の受療率という部分で、現状の受療率とも当然ギャップがありますので、そこにあまりがちっと数字合わせをしていくと、案外うまくいかないこともあるのではないかということです。現実を見ながら、歩きながら考える部分も必要だろうということです。
それから、先ほど来、議論になっていますけれども、回復期の数が典型的ですが、病棟単位での病床数を積み重ねたグラフと、いわゆる患者数で推測した病床の必要量を、どうしても単純に比較しがちで、静岡県内の医療圏でも、回復期が少ないということで、回復期リハをとりに行っている自治体病院が幾つかあって、その自治体の状況を見ると、人口10万人当たりの回復期リハの数からすると、むしろオーバーというところも出てきて、ちょっと問題だろうという事例があり、そういうところにはなるべく意見を言うようにしています。
ただ、現実、診療報酬改定のこともありますので、余り強烈なことを私は言えませんけれども、なるべく客観的に見て、いろいろな助言はするようにしております。
それから、何よりも医療需要の話が出ていますけれども、2040年以降のことを考えると介護需要のことが大きな問題です。医療者環境に関して、実は静岡県は人口当たりの医師数が下から4番目、5番目の都道府県だということと、今回、専門医制度で多くの若手医師が関東へ流れたとか、いろいろなことで話題になっております。医師のキャリアパスというものをしっかり考えていかないといけません。皆が、いわゆる急性期の医療というわけではないと思いますので、そういったところも含めて、慢性期・介護系のところも含めてデータを拾って、なるべく可視化して情報提供していきたいというのが私のスタンスです。
それから、私は、DPCが動きだしたころからDPCのデータ分析をずっとやっていたのですが、今回は、病床機能報告が始まった2013、2014年頃からデータを自分なりに分析して、グラフ化したり、いろいろなことに活用していました。今は、厚労省から県にいただけているローデータがありますので、そのデータも使って、なるべく現場感覚でわかる形での翻訳に努めています。後で述べますけれども、国から来るローデータと、一部、ピボットテーブルのが入っていますけれども、県の方々がそれをうまく使えていないなというのが本音です。2次加工して、使いやすいデータベースにするということが案外必要なのだろうと思います。それは、私が割とやっていることかなと思います。
それから、県の医師会の担当理事になって一番よかったことは、国から県に来た最初の情報がすぐ県医師会に来ることです。実際、非常に早期に中央の情報をキャッチアップできるので、それを拾って、大学、県、医師会、民間も含めて、いろいろな関係団体に情報を翻訳して伝えていくというのが私の役割だと思います。
下に書いてありますが、地域医療構想のアドバイザーという言葉が今出ていますけれども、私自身、地域医療構想のアドバイザーをずっとやってきたつもりですが、むしろ、これからは医師確保対策とか働き方といった、3つの歯車を全部動かすような地域医療のアドバイザーでありたいと、個人的には思っております。
5ページは、そういったことで、地域医療構想の策定が始まったばかりのころから、こういった形で周知の場を設けたり、Q&A的なお話しをしたりしてきた状況を示しています。
それから、7ページには、これは県の基金をいただいていたこともあるのですが、地域医療構想のパンフレットをつくって、こういったものを関係者に配って理解に努めたりしました。
それから、8ページにありますように、病床機能報告の2次活用という部分を、こういうふうに使ったらいいよという形でいろいろ提案しています。
9ページにありますが、真ん中あたりにありますけれども、病床機能分化の理想比率という言葉は適切ではないと思いますが、いわゆるパーセント合わせ的なものをしようとすると、いろいろなやり方が実際、あると思います。奈良県的な形で、いわゆる急性期から軽症急性期を取り出し、それを併せれば回復期に大体合うだろうとか、埼玉県のように一定の「しきい値」みたいなものをつくれば、そこに大体合わせるということは難しくないです。全体の病床数は、当然ある程度整理されるべきですが、おおむね一般病床の総数を決めて、あとは機能別に数合わせをすることに、どこまで意味があるのかというところがあります。
ですので、そのあたりも踏まえて、現場感覚で現状を聞きながら対応していくことが大切です。私自身は、病院管理学もやってきましたし、経営もやってきましたし、情報もある程度いじれますので、そういうところで現場と意見交換という形で、ある程度リーダーシップ的な部分も含めてやっていければいいかなと思っています。
10ページは、県から出てきた病床機能報告データを私が二次加工したものです。元データはホームページでWeb上にアップされていますので、各エクセルを単に合算すれば、これぐらいのものは簡単にすぐつくれるので、2次活用へとつなげられます。
11ページの資料は中医協からいただいていますが、埼玉県から先日来、出ていたものです。特定入院料だけを先に決めて、それ以外の高度急性期と急性期、急性期と回復期のところにしきい値を設ける。それが1ベッド当たり、一月当たりの、例えば手術の件数とか化学療法の件数ということになります。12ページにありますように、うちの某二次医療圏で計算すれば、こんな感じですぐできます。この中で、黄色がそれに相当するものです。すなわち、黄色が高度急性期で、緑色も特定入院料で高度急性期、青色は急性期じゃないということは言えますけれども、あとは自分たちで考えてくださいという形でしかないのかなと今は思っています。
それから、13ページのように、平成29年度の速報値で平均在棟日数がこういうふうに出ますと、高度急性期、急性期の中央値に関して、14ページにもありますように、静岡県で高度急性期と自己申告している病棟ではこんなぐあいであることが見せられます。
それから、15ページ。今、オープンデータベースのいいものがたくさんあります。これは、日医のJMAPですが、将来人口の予測や医療・介護需要などがわかりやすく示されています。16ページにもあるように、静岡県の志太榛原二次医療圏という静岡市の隣の地域について少し検討してみました。介護は30%近く需要が上がるけれども、医療は2020年以降、上がっていかないということなど、現場に見せたりしています。
それから、17ページにありますが、この志太榛原二次医療圏には4つの市と2町があって、川根本町のように75歳以上の人口も減って、医療の需要も介護の需要も減っていくというところから、しばらくは医療需要が一定数有る所まであります。こういったものを、各市町の方々に冷静に考えていただくための材料として見せていくことが私の仕事かなと思っています。
18ページにありますが、今回、地域医療構想の議論の段階で思ったことは、二次医療圏を構想区域にそのまましたところが多いかと思うのですが、いわゆるトリプルトゥエンティと言うのですか、人口が20万人以下のもそのまま残して構想区域としてたことで、小さな単位での議論をすることが既に無理になってきている状況があります。
その一方で、大学のように、医療圏外から30%以上の患者を引っ張ってきている、いわゆる広域急性期という形の病院が少なからずあるので、そういったことを考えると、調整区域内での議論だけでは話がおさまらない状況がよくあります。今、浜松医大は613床で全部高度急性期と報告しています。正直、その是非もちょっとあるとは思いますが、逆に言うと、613床で高度急性期をやろうとすると、最低でも60万から100万ぐらいの患者圏域をマーケティングエリアとして持っていないと成り立ちません。そういうことも踏まえて、広域急性期ということを考えると、19ページにあるように、今後の方向性として、都道府県調整会議というものが必要なのだろうと思います。
今、静岡県の現状としては、既存の委員会や、協議会の中に「都道府県調整会議」を設置してもよいということが一応うたわれているようなので、まだはっきりしていませんけれども、医対協とか、一部の県の委員会の中に、この機能を設けようかなというのが1つの案としてあります。
それから、実は静岡県の医師会は、前々から都道府県調整会議的な議論を行っていまして、県医師会の中に「地域医療体制検討委員会」を置き、静岡県の各調整会議の座長である郡市医師会長をメンバーに加えていました。その他のメンバーとして、各種団体、大学、その他、行政の方も入っていただいて検討委員会というものを開いていますので、これをある程度諮問的な場所として、県に都道府県調整会議を開いていただき、それとリンクする形を考えています。
20ページにありますが、私自身が先ほどちょっと主張したように、地域医療構想のアドバイザーは確かに大事だと思いますが、箱だけの話をしていても、現場の方々はなかなか納得してくれない。医者がいないという話がすぐに出ますので、医者を集めてくれないかと。医師確保に向けた支援を一緒にしていかないといけないので、私は現在、県医師会の中で屋根瓦塾というのをやっているのですけれども、地元の医師が研修医たちを育てるような場をつくっています。現状として、関東を中心に、あちらこちらに多くの医者が流れていきますが、静岡県でも十分に専門医になれるという形のものをイベントとして示していくことに非常に力を入れています。
と同時に、勤務環境の支援ということもやっていかないといけません。このあたりになると、大学病院と都道府県をつないでいくことが非常に大事で、その真ん中のところを県医師会とうまくリンクしていきたいと、この色が塗ってある真ん中のあたりが、「地域医療アドバイザー」の役割じゃないかなと思っております。
最後に、こういうものを書いて良いのかどうかわからないですけれども、アドバイザーとしての心構えです。私自身、基本的には大学人という肩書きと県医師会の理事という役職を両方持っていますが、あくまで中立的でありたいと思っています。実際には、それぞれ微妙なところはありますが、あくまで中立的に意見を言いたいなと思っています。
それから、皆さん、それぞれが主観的にいろいろな思いを訴えますが、定量的な見地で、いろいろデータを見せるというのが私の仕事かなと思っています。俯瞰的にものを見る「鳥の目」とか、現場の感覚の「虫の目」とか、時代の流れを見る「魚の目」というか、こういったものをうまく使えないと、アドバイザーというのはうまくできないだろうと思います。
それから、私は調整会議の中では、基本的にはアドバイザーという形で座っています。本来、アドバイザーというのはしゃべっちゃいけないのだろうとは思いながら、会議がなかなか進まないと我慢していられなくなります。結局、今まで黙っていたことは1回もありませんし、何か議論が盛り上がるように情報提供をすることになります。それが、恐らくファシリテートということになるのでしょうが、余りしゃべり過ぎるのもだめですし、オブザーバーとして、そこにただぽんと座っているだけでもきっとだめだろうというところで、このあたりがアドバイザーの役割かなと思います。
また、厚労省のデータを、私はいつもキャッチアップしているつもりですが、全国あちらこちらでやっていることを標準化して、全国共通の万能的な指標ができるとはちょっと思えません。地域、地域でアカデミズムも使いながら、その地域の特性に合った分析をしつつ、顔の見える関係もうまく使い、個別の相談にも応じるというのが良いアドバイザーの姿ではないかなと思います。
とりあえず、以上です。
○尾形座長 ありがとうございました。
それでは、ただいま御説明がありました資料2-1、資料2-2及び資料2-3につきまして、御質問、御意見をお願いいたします。
中川構成員。
○中川構成員 小林先生、ありがとうございます。
先生、重要な指摘をされたと思いますけれども、例えばある構想区域において、回リハ病棟・病床が人口当たり多いのに、これは公的医療機関が回復期病床を増床しようとしているということですか。
○小林参考人 そのとおりです。
○中川構成員 これは、調整会議マターとして、ノーと言える仕組みに今はなっていると思うのですよ。ただ、なかなか言いづらいということがあるのです。だから、佐々木課長、そこのところです。これを何とか調整会議の機能を上げて、違うよと言えるような仕組みにしなければならないのだろうなと思います。
それと、先生の資料の最後の21ページでちょっと気になるのですが、中立的立場。何が中立か。地域医療構想を進めるに当たって、例えばこういうワーキンググループとか医療部会とか、いろいろなところで議論を進めていますが、例えば国の審議会・検討会で決まったことと違う意見を言うことは中立的なのかどうか。国の決めたとおりにやるのが中立なのかという、いろいろな問題が出てきますね。
私は、何度も出てきますが、ある構想区域で公的医療機関等と民間が競合した場合、公的医療機関は公的医療機関でなければ担えない医療に特化すべきだ。競合した場合は公的が引くべきだということを言い続けているのです。これも、毎回、言っているのですが、年間5,000億円以上の税金が投入されている公立は引くべきだと信念を持って言っているのですが、この主張が中立かというと、私は中立ではないと思っています。中立ではないけれども、私は正しいと思っているのです。だから、その辺のところ、小林先生に確認したいなと思いまして、お聞きしました。
○小林参考人 とても難しい質問です。静岡県は幸か不幸か、自治体病院が非常に多いです。民間病院の大きなものは、聖隷病院など一部ありますが、その種の問題は比較的生じにくいように思います。比較的中小の病院が東部のほうにあって、どちらかというと稼働率が低くて、医師数がちょっと少な目という状況下で、大きな市町で民間と公立がぶつかっているところは余りないので、先生が言われるような形のものは、現実、余りないと思います。
ただ、中立という言葉をどう捉えていいのか、ちょっとわからないのですけれども、それぞれの立場の意見は十分聞く耳は持っています、その一方で、国が定めたルール、例えば、先ほど言われた公立・公的と民間の役割の違いということなども含めて、割と国からのメッセージは理解しているつもりですので、それについては冷静にというか、客観的にお話しをするということです。
幸いにも静岡県は、総ベッド数で考えると、そんなに大きな劇的な統合といったものは要らない。県全体で言うと、人口当たりの医者数も少ないですが、ベッド数も少ないところで、医師数当たりのベッド数が本当に平均的というところで、劇的なことはしなくて良いと考えています。ただ、地域、地域に応じて非常に足りないものがあるところがあって、そういったものはなるべく応援できるようなメッセージを送りたいと思います。それは、公的にかかわらず、市立にかかわらずです。一例をあげれば、東部のほうの公的・公立病院などで、これから病床返還をするといううわさも聞いていますけれども、本当にこの地域でなくなって良いのというところなどもあります。
ですから、今は、劇的というか、過激なことはせず、現場の納得感が得られるように、なおかつ私の立場からは、アカデミズムというか、客観的な数字を出して主張していきたいなと思います。正直、中立かどうかは、ちょっとよくわからないです。
○尾形座長 よろしいですか。
ほか、いかがでしょうか。
小熊構成員、どうぞ。
○小熊構成員 きょうから参加させていただいた小熊ですけれども、中川先生にまた怒られそうな気がするのですけれども、きょう初めて来たので確認させていただきたいのですけれども、資料の5ページ。公立・公的病院が民間が担えない分野へ重点化された内容になっているかというのが、基本的に今まで議論されてきたと思うのですけれども、この重点化という意味が僕には十分に理解できていない。と言いますのは、私ども公的の立場から言いますと。
○尾形座長 資料2-1ですね。
○小熊構成員 2-1の5ページです。閣議決定で、不採算部門や過疎地、高度急性期や民間で担うことができないものを公的病院はしなさいと言われているわけですけれども、不採算部門や過疎地の医療だけをやれば、それは決して経営的には成り立たない。今の診療報酬と人員体制から言うと、いかに公的といえども、もっと赤字になりますよ。それから、ベッドが余るので、ベッドを大幅に縮小しなければいけないでしょう。縮小すると、なおさら医療スタッフは集まりません。これは、中小の都市のことを言っているのですけれども、崩壊しますということを我々は危惧しなければいけない。
政令指定都市とか地域の都道府県の拠点都市で、民間医療機関もたくさんあって、例えば一般的な急性期医療で公的と競合しているときは、それこそ地域医療構想調整会議で協議するのではないでしょうかと思っていたのですけれども、そうじゃないのですか。中川先生が先ほど、民間と競合するときは公的が引くべきだという話をされましたけれども、引くにしても、調整会議である程度話し合いをして、公的もそれなりに経営的に成り立つようなレベルぐらいまでで抑えていただかないとならないのではないかと私は思っていたのですけれどもね。
○尾形座長 これは中川構成員に対する質問ですね。
中川構成員。
○中川構成員 公的と民間が両方ある構想区域の話です。そこにおいて、具体的に言って申しわけないですけれども、砂川市立病院がある地域は、競合する民間医療機関がないですから、全部やってくださいということです。ですから、公立・公的医療機関でないと担えない医療だけでなくて、その他の医療もやって、経営も考えて採算に合うような医療を進めるということは、それは何の問題もない。ただ、競合する場合にはということです。公立、イコール、だめで、民間、イコール、オーケーということを言っているわけではないのです。
○小熊構成員 そうではないので、調整会議の場で将来の。
○中川構成員 もちろん公的が引く場合も調整会議で。だから、今回、新改革プランが出たときに、これはもう民間と競合しているプランでしょうと。そこで、調整会議で公的の病院の方、お引きくださいということを言えるようにしましょうねというのが今の仕組みです。なかなか言いづらくて、現実的には言えませんけれどもね。
○小熊構成員 協議の上でということですね。
○中川構成員 そうです。
○小熊構成員 実は、ある民間病院の大先生に、公的と自治体病院が先にプランを出してしまって、その地域の急性期医療のベッドをとってしまう。その残りを民間で分けろと言われているのだと僕は言われたのですよ。それはないのではないですかと逆にお答えしたのですけれども。民間という言い方が正しいかどうかわかりませんけれども、そういうふうに受けとめている方もいますし、公的の院長は、プランを出して調整会議で協議はするけれども、公的が競合する場合は、どんどん一方的に減らしていくという見方をしている人もいるので、それも違うのではないかという話を僕はしたのですけれども、それで先生、よろしいのですね。
○中川構成員 はい。その民間の先生、間違っていますよ。ただ、ベッドを先にとってしまうという考えも、とれませんから。ただプランを出しているだけですから。もし、それと競合する民間医療機関があれば、その公的医療機関と同じレベルの医療を提供できるなら、頑張ればいいわけです。そこで調整会議の出番になるわけですから、それは先生がおっしゃるとおりですよ。
○小熊構成員 済みません、ありがとうございます。
○尾形座長 よろしいですか。
織田構成員。
○織田構成員 小林先生、非常にいいお話を聞かせていただきました。
先ほどの中立的立場というのは、我々民間病院からしますと、官公立とのバランスですね。それぞれの地域で公的と民間と役割分担する機能が違っていますから、その辺をちゃんとわかった上で調整してもらう、アドバイスしてもらうことが必要なのだろうと思います。
先生は、オープンデータを活用するということですが、これはデータを変に加工するよりも、オープンデータをそのまま見ていただくことになりますか。
○小林参考人 病床機能報告制度に関しては、国から県にデータがおりてきます。私は何とか使えますけれども、実際、ピボットテーブルで幾つかのサンプルがある程度で、正直、なかなかうまく使われていない気がします。先ほど資料にもちょっと出してありますが、10ページにありますように、いろいろなロジックを使って、在院日数とか稼働率とか、いろいろな指標を分かりやすくつくっていくことで、使いやすい表にすれば、グラフ化も非常に楽だと思います。
それと、確かに病床機能報告制度も大事なのですけれども、それ以外にもDPCのオープンデータとか、先ほど言った医師会のJMAPみたいなものも含めて、今、結構たくさんのものが出ています。それをなるべく引っ張ってきて、現場の関係者にうまく翻訳してというか、可視化して見せるというのが私の立場かなと思います。
それから、もう一つ、今のまさに民間の話に関連しますが、私のところは大学病院なのですけれども、例えば、大学病院でオペ室をさらに2つふやそうとか新病棟をつくろうとかいった話がよくあります。私が副院長になったときは、稼働率が75%で、全国で稼働率が一番低い大学病院であったことから、誰もやらないので副院長をしたのですけれども、当時、在院日数が20日だったのが、今は11日で稼働率も90%超えとなっています。現在、患者がどんどん来るということで、これからオペ室をふやすことを考えているわけですが、それが過ぎれば、周りの病院は困ってしまいます。それはおかしいだろうと思います。
私は、地域連携室でまさに門番をやっているのですが、何でも大学病院に来るのはおかしい。できれば、入り口でトリアージをして、この患者さんは地域の民間の病院でやるから送るということを同時にやっていかないと、周りが潰れてしまいます。周りの中小病院が潰れた時、そこの患者を大学病院が診るかというと、きっと診られないと思うのです。だから、そういうことを踏まえて、中立という立場なのかどうかは分かりませんが、冷静に、地域の医療が潰れない、地域医療体制が維持できるための議論、意見を言うのが、今、私の立場かなと思っています。
○織田構成員 あと、先生、一つよろしいですか。
○尾形座長 どうぞ。
○織田構成員 静岡県には、小林先生みたいな先生は先生だけですか。それとも何人か養成してほかにおられるのですか。
○小林参考人 資料の19ページに、県医師会にある、先ほど言った検討委員会というところに、浜松医科大学の地域医療支援学講座の先生をメンバーに入れています。もともと保健所長をやられていた竹内先生という方がおられるのですけれども、彼を県の寄附講座として雇い、大学の学識経験者という形で入れてあります。静岡県としては、アドバイザーは、私は県医師会と大学の両方に足を突っ込んでいますけれども、竹内先生は大学の立場で、2人でやっていこうかなと思っています。
また、私は、国立大学病院の地域医療プロジェクトチームのコアメンバーをしているのですけれども、全国にこの話をしてみると、そんな人、なかなかいないよと言われます。確かに、松田先生とか藤森先生みたいなレベルで考えると、そもそもそんな人はいないし、そんな人を求めたら無理だと思います。きっと、もっと現場感覚に近い人たちで育てていかないといけないのだろう。従って、先日、国立大学の関係者の中で意見が出たのは、比較的若くてもいいから、少しマインドのある人たちをそこに入れて育てていかないといけない。どちらかというと、今は、そういう流れにあるのかなと思います。
○尾形座長 よろしいですか。非常に参考になるお話だと思います。
○織田構成員 非常に参考になりました。アドバイザーという話が出たとき、我々の話の中では、どういう方たちがなられるのだろうか。非常に不安な声が多かったのはたしかです。それは、民間病院の立場とか経営とか、その辺も含めて御理解いただけるのだろうかということです。これは厚生労働省としては、小林先生みたいな形で教育というか、そういう人たちを育成していくという提案なのですね。
○尾形座長 事務局。
○鶴田課長補佐 事務局です。
もともと提案させていただいた論点のときも、地域医療構想アドバイザーの育成として提案させていただいておりますので、まさにマインドのある方々を育成していくという視点で、このアドバイザーというものを活用していくということが大事ではないかなと思っております。
○織田構成員 これは、県から推薦があったら、数的には特に制限なくという形ですか。
○鶴田課長補佐 1人で全ての役割を果たすのもなかなかしんどいところもあろうかと思いますので、複数、推薦していただいても構いません。
○織田構成員 あと1つ。たしか任期が1年というのがあったと思いますけれども、これは何か根拠があるのですか。
○鶴田課長補佐 毎年、推薦していただいて、それに基づいてやっていくということで、県によって、場合によっては、アドバイザーに違う人を立てたいという場合もあり得るかと思いますので、形式的に1年という形で更新というか、同じ人がずっと続ける場合も想定されますし、変わる場合も想定されるということで、1年ということを決めとして置かせていただいております。
○織田構成員 わかりました。どうもありがとうございます。
○尾形座長 中川構成員。
○中川構成員 このアドバイザーですけれども、さっきからお話が出ていますけれども、小林先生みたいな方は、余りいませんから。だから、どの県も小林先生みたいな方を探すのは無理ですよ。ですから、一番大事なことは、地域医療構想を正しく理解している人なのです。そして、足場がその県にある人。そうなると、わかりやすく言うと、都道府県医師会の事務局の担当課長でもいいのです。例えば沖縄の御説明、私、非常に正しい理解をしているなと思ったけれども、あなたでもいいのですよ。ということで、医系の人に限らないというふうに、私は柔軟に選んだらいいと思います。事務局、そうですね。
○鶴田課長補佐 医者であるということではなく、事務系の方でもそこは問題ありません。
○中川構成員 ということです。
○尾形座長 今村構成員。
○今村構成員 小林先生に質問というか、同じ学識の立場から、どう対応されたか、ぜひ教えてほしいことがあるのですけれども、各地域別の将来推計とか、医療でやっていくと、どうしても医療の中で介護のほうに行く人が出てくると思うのですけれども、その介護のほうの受け皿ができないままで医療の計画をつくると、宙に浮いてしまう人たちが出てくると思います。当然、介護のほうにも何か物を申さないと動かないわけですし、そのとおり動いてくれるはずもない。
その中で医療計画のほうを、そちらが動かないことを前提につくるようなアドバイスをするのか、それとも医療は医療で、介護のほうがその責任をとるようにアドバイスするのか、非常に難しいことが起こってくると思うのです。そういう場面で、先生、どういうふうに対応されているか、御教示いただければ。
○小林参考人 私は、地域医療構想にかかわって最初からずっと思っているのですが、急性期医療では議論するといっても、数合わせの話ばかりで不毛だなというのがあって、むしろ介護の需要を、今後しっかり見ていくことが一番大事かなと考えています。ただ、介護のデータベースで使えるものがほとんどないのです。実際、もともと地域医療構想のガイドラインでは、介護需要を十分につかんでいないというのがあります。慢性期のところで、外出し需要や医療部分の訪問診療需要などの議論はありましたが、十分ではありません。外出しの部分に関しては、いわゆる介護医療院というのが、今回出てきて、今、静岡県でもどんどん増えています。
ただ、それは現在進行形で動いていますので、定期的にアンケートなども含めて、しっかり調査して、一体そこで何が行われているかということを見ていくことが大切です。正直、今の時点ですぐに介護の需要と供給というところの議論がなかなか進みません。日慢協の県の関係者ともよく話をするのですけれども、今、本当に流動的に動いているので、そこは、2025年の病床必要量という議論とは別に見ていかないといけない。
それと同時に、在宅医療に関して、県医師会としては、在宅医療の推進事業を多くやっていますけれども、実際の現場の先生たちに聞くと、そんなに在宅医療は増えていないよとか、いわゆる落下傘的におりてきて在宅医療を専門にやる人たちがどんどんやっているということがあります。当初、思っていたような在宅医療の需要に関して、漠然と数値化させていたものが本当に正しいのかどうかよくわからない状況です。そこで、在宅医療、介護の領域は、これから現場の状況をしっかり見ていくことが一番大事かなと思っています。
答えになっていないかもしれません。すみません。
○今村構成員 もう一つ。今の関係で言うと、介護のほうは市町村が推計していますね。市町村が推計したものを県が全部足し合わせているということで、合計すると合わなくなる。では、県がそれを調整する機能があるかというと、ないわけで、市町村ごとに言っていかなければいけない。そっち側が数字として合っていなかったら、こちらが医療側にアドバイスする内容と、全体としてそごが出てくると思います。それに非常に苦労しているのですけれども、先生、そういうことは。
○小林参考人 全く同じです。市町村に投げた結果、市町村が勝手な数字を上げてきて、それを足し算したものと、医療のほうから出したもののギャップが案外あります。
ですので、確かに、介護は市町なのですけれども、市町に、あまりそこの部分の数字的なものを出させても、根拠のない数字が出てくるので、そこは全体的に冷静に見ながら、現場の動向をしっかり短期的に捉えていかないといけない。今の時点で、2025年の介護がこれぐらいだから、何年までにこの数にしないといけないということで、市町にプレッシャーを与えても、市町は老健も特養ももうなかなかつくらないでしょうから議論がかみ合いません。その一方で、さっき言ったような在宅の落下傘もおりてくるので、その辺も含めて冷静でいたいなと思います。
○尾形座長 野原構成員。
○野原構成員 1点、確認でございます。地域医療構想アドバイザーについては、各都道府県の推薦により選定ということですので、活動する地域は当該都道府県ということで理解してよろしいでしょうか。
○鶴田課長補佐 その理解で正しいです。
○野原構成員 岩手県では、毎年、産業医大の松田晋哉先生をお招きした地域医療構想に関する研修会なども開催されております。ここでは、専門家の視点から、全国各地域と岩手の比較なども御講演いただいておりまして、客観的に地域の状況について理解するよい機会となっております。地域に密着した、そして地域医療構想をきちんと理解した地域医療構想アドバイザーの選任というのは、大変有効だと思っておりますけれども、加えて、全国的かつ広域的な視点で各地域を支援していくというニーズもあるのではないかと考えております。したがいまして、例えば国としてもアドバイザーを選任するなど、より積極的な関与をお願いしたいと思います。
○尾形座長 中川構成員。
○中川構成員 野原さんの前半はそのとおりですけれども、福岡のあの先生は地域医療構想アドバイザーとは言いません。全国的な視点をもってある県にアドバイスするのは、それは十分役割を果たしていてすばらしいですけれども、地域医療構想のアドバイザーの趣旨はそうではないのです。地元に根をおろして、本当に現場感覚をもってアドバイスするというのが地域医療構想アドバイザーなので、一線を画していただきたいということで、あえてこういう定義にしているわけですから、ぜひよろしくお願いします。
○野原構成員 中川先生がおっしゃる趣旨は全くそのとおりで、我々もその趣旨については賛同するところでございます。
一方で、先ほど中川先生もおっしゃられたとおり、前回のワーキンググループでも申し上げましたけれども、各地域で社会保障や医療政策について精通している人材がそろっているかというと、なかなか難しい面もございます。そうした意味では、都道府県をまたいだたすきがけじゃないですけれども、地域医療構想アドバイザーの視点に立って、広域的かつ客観的な御助言をいただける制度というのも必要ではないかという趣旨で発言させていただきました。
○尾形座長 この厚労省の通知では、育成ということも含めてということになっていますので、ぜひ地域で育成も含めて考えていただければと思います。
ほかに。
織田構成員。
○織田構成員 小林先生のアドバイザーの心構えで、ファシリテーターという3番がこれでなくてはいけないなと思って見たところです。あくまでもファシリテーターとして、自分の意見は抑えつつ、いかに会議を活性化させるかというのが非常に大きなポイントになるだろうと思いますけれども、その辺、先生、御意見ございますか。
○小林参考人 私は、県内のほとんどの地域の状況は理解しているつもりですが、それでも地域は地域で、地域のステークホルダーが守るべきだと思うのです。だから、そこの人たちが積極的に議論しないとうまくいかない。
ただ、そこでなかなか議論が盛り上がらない、意見が出ないときに、起爆剤的なものをぽんぽんと放り投げるというのが、ファシリテートというところに当たるのではないか。どうしても、静岡県人だけじゃないですけれども、皆さんおとなしくて何も言わない。アクションプランを読み上げても、その後、大して議論も出ずにさっと時間が過ぎていくときにこそ、何か一言、ぼそっと、ここ、どうですかということを言える人がきっと必要なのではないかと思います。
○織田構成員 わかりました。ここにしゃべり過ぎ、×と書いてあったのですが、会議が進まないときにそこで活性化させるために一言言うということですね。
あと、アドバイザー、1年ごとということだったのですけれども、先生みたいな人は余りおられないですね。長いスパンで教育もしていかなくてはいけないのではないかと思うので、その辺も考えていただければと思います。
○尾形座長 連続しても妨げないということのようです。
岡留構成員、お待たせしました。
○岡留構成員 小林先生、きょう、来ておられるので、お名前はかねがねお聞きしていたのですが、先生の資料の18ページ、静岡のデータの一番下のところ、*の2つ目、浜松医大附属病院の入院患者は30%以上が二次医療圏外から。よって、より広域の医療圏での議論が必要と書いてあります。
実は、地域医療構想を打ち立てるに当たって、二次医療圏がベースになっていますね。それでいいのかなという疑問が日本病院会でもかなり出ているのです。例えば二次医療圏外からのイン、アウト、それから県境をまたいで来る、そういう本当に正確なデータがまだ出ていない。私たちはそういうことで、二次医療圏というのが地域医療構想のベースとして本当にいいのかどうか、先生のお考えをお聞きしたいのですが。
○小林参考人 もともと二次医療圏の再構築がなかなか進まなかったことが根本にありますが、それは仕方がなかったのだろうなと思います。二次医療圏をまたいで来る患者は、多くが高度急性期、急性期ではないかと思います。そういう意味で、「広域急性期」という言葉があるのだと思います。その部分は、以前からDPCのデータ分析を、私はやっていじっていたのですけれども、DPCデータには郵便番号がついていて、どこからその患者さんが来たのかということが簡単にわかるのです。だから、少なくともDPCの基幹病院データであれば、全ての病院で、患者がどこから来ているかということは比較的容易にわかります。
そうやって見ると、実際、静岡県で言うと、名前を出していいかどうかわからないですけれども、浜松医大とか聖隷浜松とか、静岡の県立総合とか静岡がんセンターとか、順天堂静岡病院というところは、本当に圏域外からたくさんの患者が来ています。そういうところを圏域内で議論すると、どうしても高度急性期の数が病床の必要量よりふえてしまうのです。それはおかしいのではないかという議論のときに、外から引っ張ってきているからという話になると思うのです。
そういう意味では、地域の狭いところでの議論も大事ですし、広い範囲での議論も必要です。ただし、どこまで広げるのか、オール静岡という単位にしてしまうのかどうかです。私は、静岡県では、東部、中部、西部の3つでいいと思っているのですけれども、それぐらいであれば、一定の患者移動域を含めた議論ができるはずです。○岡留構成員 先生、地域医療構想の一番プリンシプルのところですね。二次医療圏に基づくデータでいいのかどうかということです。
○小林参考人 いわゆる「入りと出」がほとんどないぐらいの大きな医療圏をつくっていくと、恐らく二次医療圏ベースではなくなってくると思います。その地域での完結というか、医療圏での完結ということになれば、今、言った、東部、中部、西部ぐらいの3つにしてしまえば、恐らく出入りの部分がある程度片がつく。ただ、それで良いのかということも、よくわかりません。地域医療構想の議論は、私自身は、その部分の数合わせだけじゃないと思っていて、もっと言えば、地域包括ケアシステムとか、もっと現場に近いミクロのレベルの議論も同時にしないといけないと思っています。従って、私は両方のスタンスで見ていくことが必要じゃないかなと思っています。
○尾形座長 今の件ですか。中川構成員。
○中川構成員 岡留先生の御心配はわかります。わかりますが、地域医療構想区域ごとの病床の必要量を出すときの前提の医療需要は、各医療機関の患者住所地と医療機関住所地で出したものを調整して、流入・流出を加味した上での医療需要を推定供給数として、それを病床稼働率で割り戻して出した病床の必要量ですから、それは流入・流出は十分考えているのです。かといって、例えば特定機能病院が他の圏域から患者さんが、例えばこの浜松医大のように30%以上も来るということも十分ありだという地域医療構想なのです。ですから、構想区域、ほとんど二次医療圏ですけれども、二次医療圏ごとで議論しているから、何か支障があるかというと、私はないと思います。
むしろ、これから議論するべきは、構想区域内に特定機能病院、特に大学病院本院があって、それが民間医療機関でも治療できる患者さんをどんどん吸収して、稼働率を上げて、経営に寄与しているということが全国で多発しているのです。これは大変な問題です。何十回も言いますが、これは小泉政権以降に、運営費交付金、私学助成金を減らしまくって、自分で診療報酬で稼ぎなさいといったゆがみなのです。これが地域医療提供体制を議論する医政局の次の重大な論点だと思います。ちょっと先走って言いましたけれども、事務局、よろしくお願いします。
○尾形座長 本多構成員。
○本多構成員 公立・公的病院等の機能分化・連携の推進に関する論点ですが、先ほどからいろいろ議論が出ていますけれども、参考資料3を見ますと、構想区域ごとの年齢階級別の人口推移などの基本情報とともに、公立・公的病院等の医療計画における役割とか、2025年の病床数の必要量をわかりやすく俯瞰できる資料となっております。こういうものを構想区域ごとに提供する意義は大きいと思いますので、ぜひとも進めていただければと思っております。
また、先般、公立・公的病院が将来プランの策定に当たりまして、事前に地域の民間病院と協議・合意した上で調整会議に報告されているという、茨城県の事例が報告されたと思います。地域によっては、同様な議論が必要なケースも想定されますので、そういった意味でも民間病院の情報も含めて提示することは、機能分化・連携の推進にも寄与するのではないかと思います。今回の資料でも、391ページの滋賀県のデータを見ますと、その他の民間病院等が入っておりますが、こういった形で出していただくと非常に議論が進むのではないかと思っております。
この資料、わかりやすく作成されていますが、都道府県の受けとめ方によっては、単に調整会議に提示するだけになることも危惧されます。例えば329ページの賀茂構想区域を見させていただきますと、公立・公的等の3病院ありますが、心血管疾患は、7次医療計画における役割に丸が入っていなくて、右側の330ページの2025年における役割のところでも、同様に空欄になっている。周産期のほうも7時医療計画と2025年の双方で役割を担う予定がないという状況ですので、こういうものは住民側からすると非常に心配な部分だと思います。
ですので、その辺の課題がどうなっているかもわかりやすく調整会議に示されるよう、都道府県に提供する際は工夫していただく必要があると思います。
○尾形座長 ありがとうございました。
ほか、いかがでしょう。
伊藤構成員。
○伊藤構成員 今、お話しいただいたことに関連するわけでありますけれども、ここに出てきている民間病院といいますか、私立病院は、公的と言われる地域医療支援病院等の病院が出てきているだけで、実は民間病院の実態が全然反映されていないところが1つ、大きな問題だろうと私ども現場では捉えています。特に、現場での対応、地域医療構想会議の中で議論といいますか、協議を進めていく中で、公的と公立に関してはプランの提出が義務づけられているわけでありますが、民間に関して、それが義務づけられていないということです。
これの問題点は、地域医療構想に関する考え方として、今、随分、二極化していると思います。1つは、非常に過疎地で医療の資源が乏しくて、公立を中心に再編しなければいけないというところが先行事例として随分たくさん出てまいりました。これは、実にうまく成果を出していると私どもも考えているところであります。
一方で、人口の減少も割と穏やかで、スタッフの確保も比較的難しくないという地域で、公と私の競合が非常に激しい地域というのは、数はそんなに多くないのですが、幾つかあるわけであります。
そんな中で、プランを出さなければいけないのは公立と公的だけですから、その出てきたデータを中心に話し合いをしますと、先ほど小熊構成員からも出た御発言ですけれども、民間病院と公立病院の民と公の役割の問題で、民ができることで同じクオリティーが保障されるのであれば、それは民に任せるべきであるというのが基本的な国の考え方であるというのが、ここで公表されていますけれども、その中で民が一体何ができて、何ができていないかということをきちんと提出させなければ、公立が出したプラン、公的が出したプランだけを中心に議論しても何も生まれてこないというのが現実になってきているわけであります。
したがって、1つは非常に過疎地の問題と、それから競合地域の問題と、問題の本質が異なる中で、この制度を一本化で進めるのはもう無理があるのではないかと、私は現場で議論しながら思っているところであります。したがって、民間病院でもきちんとしたプランを出すような仕掛けづくりを、国が主導で周知していただくことが必要ではないかと思っています。これに対して何かお考えがあれば、ぜひ教えていただきたいと思います。
○尾形座長 事務局に対する質問ですか。事務局、お願いします。
○鶴田課長補佐 事務局です。
2月に出した通知の中では、役割を大きく変更する病院等の場合には、今後の事業計画を策定してくださいということを求めているところですので、「等」という形で書いていますけれども、その地域で民間の医療機関の方が自主的に今後の事業計画を策定してはいけませんということを書いているわけではありませんので、つくりたいところはつくっていただければと思います。
○伊藤構成員 そういうことではなくて、自主的にそういうものを出しましょうということで議論が進まないので、したがって、そういうところをきちんと進めるためにも、民間の情報提供、何ができるか、何ができないか、そのベースがないことには公立病院がそれを補完するという議論が進まないわけで、そこを明確にするために何らかの工夫がないかということをお尋ね申し上げている次第です。
○尾形座長 中川構成員。
○中川構成員 今の伊藤構成員のお話についてですが、ある構想区域で公的医療機関が担う医療機能と、民間医療機関が担う医療機能が競合している場合、調整会議において競合しているというエビデンスを出せるかということだと思います。そのときに、全ての民間医療機関が一律に出すのではなくて、この構想区域では、あの何々市民病院でやっていることは全部うちの病院でやっている。十分できているというデータを出すのは、これは調整会議の定例開催会議ではなくて、臨時開催会議です。そういうところでもむべきです。そういうときには、もちろん主体的に民間がデータを出さなければ、公的医療機関が引きなさいということは言えませんので、それは先生おっしゃるとおり。
だから、逆に言うと、民間全てが出しなさいと言うと、これは大変なことになるので、それはちょっと違うかなと思います。事務局、そうですね。
○鶴田課長補佐 その認識で我々も受けとめております。実際、そのような運用をしている調整区域もあるかと思いますので、そのように理解していただくのがいいと事務局としては思っております。
○尾形座長 どうぞ。
○伊藤構成員 ぜひそういう方針をきちんと都道府県にお伝えいただいて、機能を大きく変更させるケースは届け出をしなさいということではなくて、現実に行っている医療の内容、医療のクオリティーも含めて、そういうものをきちんとデータを出しながら協議していくということを、通知といいますか、通達をお願いしたいということであります。
○鶴田課長補佐 御指摘も踏まえつつ、実際、そういった運用をしている調整会議がどこにあるかということも我々として見ながら、そういったことを踏まえて、都道府県の研修会といった機会を通じて事例の周知ということを考えていきたいと思います。
○尾形座長 よろしいですか。
ほか、よろしいでしょうか。ありがとうございました。
それでは、本日、大変貴重な情報を御提供いただきましたし、またいろいろな御意見も賜りましたので、事務局におきましては、引き続き地域医療構想調整会議の議論の活性化に向けた方策の検討をお願いいたします。
そろそろ予定の時間でございますけれども、最後に全体を通して、何かございますでしょうか。よろしいですか。
それでは、本日の議論はこれまでとさせていただきたいと思います。
最後に事務局から何かありますか。
○横山課長補佐 次回のワーキンググループについては、詳細が決まり次第、御連絡いたします。よろしくお願いいたします。
○尾形座長 それでは、本日のワーキンググループは以上とさせていただきます。
本日は、大変熱心な御議論、どうもありがとうございました。
 

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