第75回労働政策審議会障害者雇用分科会

日時

平成30年2月5日(月)13:00~14:30

場所

中央労働委員会 労働委員会館 講堂

議事

○阿部分科会長 皆さん、こんにちは。定刻より若干早いのですが、御出席の委員の皆様がおそろいですので、ただいまから第75回「労働政策審議会障害者雇用分科会」を開始いたします。
議事に入る前に、出欠についてですが、本日は、小原委員、武石委員、石田委員、岡本委員、内田委員、阿部一彦委員、竹下委員が御欠席です。
なお、竹下委員の代理として日盲連名古屋市視覚障害者協会会長の田中伸明氏が御出席されております。
また、本日は、小川職業安定局長が別の公務のため欠席と伺っております。
それでは、議事に入ります。いつもお願いしていることではございますが、発言をされるときは手を挙げて、名前を先に言っていただき、それから、発言をしていただきたいと思います。
本日の議題ですが「障害者雇用対策基本方針の改正について」と「その他」となっております。
まず、議題(1)「障害者雇用対策基本方針の改正について」で、事務局から説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○障害者雇用対策課長補佐 事務局でございます。本日もよろしくお願いいたします。
資料1-1をごらんいただきたいと思いますが、今回、議論をお願いしたいと考えておりますのは、障害者雇用対策基本方針というものでございます。これは概要にも書いておりますが、障害者雇用促進法で、障害者雇用促進及び職業安定に資する施策の基本となるべき方針について厚生労働大臣が策定するものとなっておりまして、また、策定に当たっては、都道府県にも協議をすることになっております。
具体的な事項、第1から第4という項目については、既に法律でどういった形にするかということが定義されておりまして、ここに書いてありますとおり、就業の動向に関する事項から基本的な事項、あるいは事業主が雇用管理を行うに当たって指針となるべき事項、国が行うに当たっての個別の事項についてそれぞれ定めるということになっております。
方針の運営期間については、1次方針が平成5年に定められましたが、原則5年ということで、これまで運営を図ってきているところでございます。ただ、若干、一部4年のところとか、1年延長というところがございます。これは、基本的には法改正の事情によって1年延長、あるいはもともと4年とか5年ということで定めているところでございまして、特段、即座に何年後に法改正といった事情が現時点ではまだ見えていないということもございますので、今回は5年ということで、定める方向で議論を進めたいと思っております。
いずれにしましても、今回は、事前に委員の皆様にもお知らせしておりますとおり、あくまでも議論をいただく場でございまして、次回以降、諮問答申という手続に入ってまいりたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
あわせて申し上げますが、パブリックコメントとか都道府県の協議についても、時間の都合等もございますので、場合によっては皆様への御相談と同時並行で進めることもございますので、その点は御了承いただければと思ってございます。よろしくお願いいたします。
それでは、資料1-2の新旧対照表をごらんいただけますでしょうか。こちらも委員の皆様には事前にお送りしておりますので、簡単に説明をしたいと思ってございますが、一応1ページから説明したいと思っております。
1ページ目の「はじめに」でございますが「2 方針のねらい」ということで、障害者雇用対策基本方針の狙いについて書いているところでございます。こちらはこれまでも昨今の流れについて書いているところがございますので、今回、新しいバージョンにするに当たっては、平成25年の法改正において、合理的配慮、差別禁止等が規定された旨について記載しているものでございます。
2ページについても、最初の4行目以降ですが「また、平成25年の法改正により」というところは、まさにこの4月から法定雇用率が引き上げられる点について記載をしております。したがって、ここまでは所定といいますか、既に決定している事項について記載しているものでございます。
その下に「このような状況下において」というところがございますが、内閣府で御議論いただいています障害者基本計画、障害者施策全般について方向性を決めているものでございますが、そちらについては、ことし3月には来年度分からの計画が決定することになっておりますが、まだ最終的に決定しておりませんので、●月と書かせていただいております。その下に「この計画においては、平成34年度に」というところがありますが、こちらは43.5人以上ということで、既に3年未満で引き上げることが決まっております。2.3%に法定雇用率が引き上げられた場合に、実雇用率においても2.3%を達成した場合には58.5万人程度の雇用者数が生まれるだろうという推計に基づいて目標を立てております。したがって、43.5人以上の規模の企業で雇用される障害者数を58.5万人とするという意味としては、実雇用率についても2.3%に引き上げる、達成するという趣旨のものでございます。
加えまして、障害者の就職件数についても、同様に現行のペースで改善していった場合の目標数値で53.5万人ということを、これは障害者基本計画にそれぞれ盛り込んでいるという状況でございます。
また、その下の「一方で」というところでございますが、これは働き方改革実行計画でも既に盛り込んでおりますが、障害者の方の雇用環境を改善するに当たっては、いわゆる未達成企業を減らしていくというだけではなくて、その中でも、特に雇用義務のある会社のうちの約3割が障害者の方を全く雇用していないという状況。すなわち障害者雇用ゼロ企業が3割あるという状況について改善していくべきだと。それに当たっては、経営トップを含む社内理解であるとか作業内容の改善など、これまでのボトムアップ的な取り組みだけではなくて、トップダウン的な取り組みについてもよりしっかりと進めていく必要があるであろうということを方向性として示しているものでございます。
その下は「このため」ということで、アウトリーチ型の相談支援というものを盛り込んでおりますが、これは来年度予算に現状盛り込んでいるものでございます。ハローワークの相談支援に当たって、特に未達成の企業であるとかゼロ人雇用の会社に直接訪問しまして、会社の事情であるとか置かれている課題に応じて、どういったことを取り組んでくのがいいかを一から雇用に至るまで包括的に支援していくような体制を整備してまいりたいと思っておりまして、そういったことを盛り込んだ趣旨でございます。
ページをめくっていただきまして、3ページでございますが、こちらは「特に」というところがございますけれども、教育を追加しております。これまでも教育については入っている趣旨でありましたが、雇用、福祉、医療ということで、教育という文言が入っておりませんでしたので、そこは明示的に教育も含むということで入れたというものでございます。
その下の「3 方針の運営期間」でございますが、こちらは先ほどお話ししましたとおり、基本的には、基本方針は5年ということで運営しておりますので、今回も5年間ということで運営期間を設定したいと思っております。
ここまでが「はじめに」でございます。
続きまして「第1 障害者の就業の動向に関する事項」でございますが、下の「1 障害者人口の動向」については、現状、平成23年以降、新しい推計数値がまだ出ていないという状況がございますので、それぞれ5年前の基本方針の数字をそのまま継承する形で載せております。
4ページ目ですが、したがって、人口の動向については、現状新しい数字がまだ把握できていない状況ではございますけれども、身体障害者手帳所持者については、それぞれについて、直近の動向を簡単に載せておりまして、身体障害者の方については、身体障害者手帳交付台帳登載数で見た場合に、直近では減少傾向となっているという事項について盛り込んでおります。
「(2)知的障害者人口の動向」についても、同様に平成23年の数字が直近となっておりますので、特に数字は更新をしておりませんが「なお」のところで、療育手帳の所持者については、直近では増加しているという事実とか、以前に比べて知的障害に対する認知度が高くなっているといったことが事情として考えられるのではないかという背景を書いております。
「(3)精神障害者人口の動向」については、最新の数字が出ておりますので、最新の数字を盛り込んでいるところでございます。
続きまして、5ページでございますが「(1)障害者の就業状況」についてでございますけれども、直近のデータについては、こちらも就業率については平成23年が最新の数字になっておりますので、元案を維持しております。その下で、直近の傾向としては、雇用者数であるとか就労系障害福祉サービスの利用者がそれぞれ増加しているという傾向について盛り込んでおります。
その下の「(2)障害者の雇用状況」ですが、こちらについては最新の数字を盛り込んでおりますが、オープンにされているデータについて盛り込んでいるといったものでございますので、特段説明は省略させていただきたいと思ってございます。
続きまして「第2 職業リハビリテーションの措置の総合的かつ効果的な実施を図るため講じようとする施策の基本となるべき事項」についてでございますが、6ページをごらんいただきますと、若年性認知症、各種依存症ということで追加しております。ハローワークを利用されるそれぞれの障害の方は、数としてはそれほど多いわけではございませんけれども、個別に支援が必要な方がふえているという状況でございます。各種依存症についても、精神の手帳を取得される方も一定数おられるという事情がございますので、こちらについても、今後、必要に応じて施策の推進を図っていきたいというところで、前文といますか、枕言葉のところに入れているということがございます。
「1 障害の種類及び程度に応じたきめ細かな支援技法等の開発、推進」についても同様に、若年性認知症、各種依存症についても必要に応じて技法の開発等に努めるということで盛り込んでおります。
「2 きめ細かな支援が必要な障害者に対する職業リハビリテーションの推進」につきましては、「また」以降で順番を入れかえておりますが、これはもともと、施策的にはハローワークのチーム支援を中心にしてジョブコーチであるとか、なかぽつセンター等が連携して行っていくというものでございましたので、施策の考え方にそぐうような形で順番を入れかえるという趣旨でございます。
6ページの最後の行ですが「特に」のところで大学を追加しております。特に最近は、身体障害の方とか、あるいは発達障害、精神障害の方で大学進学をされる方もふえています。大学からの就職がハローワーク等のニーズとして高まっているという事情がございますので、そうした文言を盛り込んでいるものでございます。
「3 職業能力開発の推進」についてでございますけれども「あわせて」以降の「障害者の職業能力開発を効果的に行うため、地域における雇用、福祉、教育等の関係機関が連携の強化を図りながら」というところを削除しております。もとより地域における連携が必要であるということは当然言うまでもないわけでございますけれども、能力開発局において進めておりました取り組み、この文章の前提として取り組んでいた事項について、新たには実施していかない方針となったということがございますので、この文章は削除ということにしております。
「4 実施体制の整備」についてですが、8ページをごらんいただきたいと思います。4行目の「このため」以降ですが、趣旨としましては、これまでより専門性の高い支援が必要な方に対する相談援助を特に集中的に行っていくということは変わらないわけでございますが、特に障害者で就労希望をされる方がふえているという事情を踏まえますと、ハローワークとか地域センターだけでこれからも支援を行うというのはなかなか難しいという事情がございますので、より個別性の高い支援を必要とする方に対しては、地域センター等においてより集中的な支援を実施するということとあわせて、地域の支援機関に対する助言・援助を広く実施することによって、地域のさまざまな民間の就労支援機関等も活用しながら、地域全体で就職できるような環境を整えていくことを考えております。
その下ですが「特に、地域レベルでは」ということで、なかぽつセンターについて書いておりますが、障害者就業・生活支援センターについては、現状332カ所まで拡大してきている中にありまして、ほぼ全障害保健福祉圏域への設置が進んできている状況でございます。一部未設置の圏域もございますが、これは主に離島とか、それぞれ設置に当たっての諸事情があって設置されていないというところがあるのに対して、一方、都市部においては、2つ目以降の設置を求められているケースもふえておりますので、障害保健福祉圏域の設置ではなく、地域のニーズを踏まえながら、必要に応じて設置していくということを記載しております。
その下の「5 専門的知識を有する人材の育成」についてですが、こちらも最後の「また」ですけれども、ジョブコーチについては、ここにも書いておりますとおり、事例検討。ジョブコーチといったら、これまで基本的には育成段階ともう一段階の2段階の研修しかございませんでしたが、もう少し階層分化していきまして、事例検討等によって効果的な支援方法を提供するという、より経験値の高い方に対する研修を実施することによって、ジョブコーチの質的な向上を図るということ。あわせて、特に大都市部においては、受講機会を拡充するために定数の倍増を図っていくということを盛り込んでおります。
9ページですけれども「6 進展するITの積極的活用」ということで、ITの利用・活用を推進するために、高度化するIT機器の活用であるとか、テレワークを初めとする働き方などの各種事例、あるいはそうした取り組みに当たって活用できる支援策はどういったものがあるのかといったことを含めて周知をしていくことによって、ITの積極的活用による雇用を積極的に進めていきたいと考えております。
「第3 事業主が行うべき雇用管理に関して指針となるべき事項」でございます。それほど大きくは変わっておりませんが、平成25年に制定した当時から、障害者雇用促進法における差別禁止及び合理的配慮の提供が義務として課されておりますので、そうした文言を入れております。そちらは「法の規定に基づき」というところの趣旨でございます。
その後ですけれども、10ページ、11ページと進んでいきますが、こちらについては、それぞれ事業主が行うべき取り組みについて書いてあるところでございますので、特段大きな変更点はございませんので、説明については省略申し上げたいと思います。
最後に13ページからですけれども「第4 障害者の雇用の促進及びその職業の安定を図るため講じようとする施策の基本となるべき事項」ということで、それぞれ国等が実施すべき障害者雇用促進施策について列記しているところでございます。13ページの「また、精神障害者をはじめとして、個別性の高い支援が必要な者に重点を置きつつ」というのは、これまでと特段方向性が大きく変わるわけではございませんが、より明確に記したというものでございます。
続きまして、14ページでございますが「1 障害者雇用率制度の達成指導の強化」については、平成34年度までに全ての機関における雇用率達成を図るということを目標としてまいりたいと思っております。民間企業については、特に先ほども申し上げましたけれども、障害者雇用義務があるにもかかわらず全く障害者を雇用していないという会社が3割近く残っているということがございますので、通常行ってまいりました達成指導に加えて、特にそうした全く雇用していない会社に対しても、より重点的な指導を行っていくことをやってまいりたいと思っております。
「2 精神障害者の雇用対策の推進」ということで、これは施策の近年の重要度といますか、緊要度ということで、精神障害者の雇用対策の推進を前に持って来ております。その中で、昨年より実施しています、精神・発達障害者しごとサポーターの養成講座などについて、記載を新たにしているということでございます。
15ページをごらんいただければと思いますが、最初の行の「この他」というところで、精神障害者の方の就労支援に当たって、特に最近、取り組んでいる新たな取り組みとしまして、医療機関と公共職業安定所の連携による就労支援の取り組みといったものがございます。こうした取り組みを、これまでは38都道府県において実施しておりましたが、来年度からは全都道府県において実施することを予定しておりますので、医療機関と公共職業安定所の連携が、民間企業に対してどういった支援を可能にしてきたのかというところを、ノウハウを蓄積することによって、地域の他の医療機関においても同様の取り組みが実施できるような普及を図ってまいりたいと思っております。
「3 発達障害者、難病患者等に対する支援」ということで、こちらももともと後ろに入ってきたものを直近の取り組みの中での重要度ということで前に持って来ているというものです。こちらについては、来年度から、従来配置されておりました精神障害者雇用トータルサポーターに加えて、発達障害者雇用トータルサポーターについても、来年度からハローワークへの配置を予定しておりますので、そうした文言を盛り込んでいるというものでございます。
その下の「4 事業主に対する援助・指導の充実等」については、こちらについても、これまでも申し上げてきたところが載っているものでありますが、真ん中あたりの「さらに」というところで、障害者雇用ゼロ企業へのアウトリーチによる提言型「チーム支援」の実施、障害者雇用に知見を有する者による専門的な雇用管理に係る援助というものがございます。前段の「チーム支援」については、ハローワークにアウトリーチによる提言型の相談を行うようなスタッフを配置するということを予定しているものでございます。後段については、JEED、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構のセンターに、例えば特例子会社での経営経験がある企業OBといった方を、人材をプールするような形で配置しまして、各企業からの相談内容に応じてそれぞれ必要とされるような人材を無料で派遣して相談に応じるようなことを事業として取り組んでいくことを考えております。
16ページ、17ページは特に修正がございませんので、18ページに進んでいただければと思います。18ページの上のところです。「8 適切な雇用管理の確保等」でございますけれども、ここに書いてあります「加えて、中央障害者雇用情報センターにおいて」というものがございますが、これがまさに、今、御説明した企業OB等の派遣ということで、それぞれの会社のニーズに応じて必要とされる人材を派遣・紹介していくということを独立行政法人の事業として実施してまいりたいと考えております。「また」以降については、合理的配慮について記載したものでございます。
最後は、ページを飛んでいただきまして、19ページですけれども「11 研究開発等の推進」で、統計データの収集・整理を計画的に推進するということを盛り込んでおります。こちらは当分科会あるいは研究会においても、さまざまな統計データの収集・整理が必要であるという御意見をいただいております。実際にどういったものをこれから実施していけるのか、あるいはどれぐらいの頻度で実施するのかは、これから御議論いただく中で進めていくことでありますが、いずれにしましても、今後、5年間の方向性としては、こういった方向性も必要だろうということで、統計データの収集・整理を盛り込んでおります。
最後に「12 国際交流、国際的な取組への対応等」ということで、現行、政府において行っている取り組みについて修正した上で盛り込んでいるというものでございます。
事務局からの説明は以上でございます。
○阿部分科会長 ありがとうございました。
それでは、ただいまから、御説明いただきました基本方針について、委員の皆様から御質問、御意見等を頂戴したいと思いますが、まずは「はじめに」の箇所について、もし御質問、御意見があれば御発言いただきたいと思います。
桑原委員、どうぞ。
○桑原委員 労働側の桑原であります。「はじめに」の部分で、3点意見がございます。
2ページの上の赤字になりますが、ここに法定雇用率が2.3になる旨の記載がされておりますが、先ほど第4のところでも、精神障害の方の部分を前に持ってきたみたいな話もありましたし、この間の一つの大きなポイントは、精神障害者の雇用義務化だと思っておりますので、この部分に、あわせて、先般改正いたしました短時間勤務の精神障害者に対する雇用促進措置についても記載をしておくべきではないかと思っております。それが1点目です。
2点目ですが、同じ2ページで、先ほどからも一人も雇っていない会社が3割あるというような話があって、この旨、ここには「約3割」と記載があるのです。14ページでも同じ記載があるのですが、14ページのほうは「3割近く」というように表現が微妙に異なっていますので、これは統一してもいいのではないかという意見であります。ただ、もしこの微妙な違いに意味があるのであれば、質問ということになると思いますが、意見としては合わせてもいいのではないかということになります。
最後、3点目になるのですが、3ページになります。上のほうの空白のすぐ下の段落になるわけですが、障害者の高齢化については別途検討されているということは承知をしておりますけれども、ここの「特に」の後ろの部分です。ここについて「働く意欲のある障害者が」という後ろに「年齢にかかわりなく」という文言を追記してはどうかと思っております。
以上が「はじめに」についての3点であります。よろしくお願いいたします。
○阿部分科会長 ありがとうございました。
2ページ目の下のほうで約3割、14ページの3割近くでしたか、これは何か意味があるのでしょうかという御質問がありました。
○障害者雇用対策課長補佐 大変申しわけございません。確認の上ですが、いずれにしても、どちらかに合わせられる文言だと思いますので、どちらかに統一したいと思います。ありがとうございます。
○阿部分科会長 それでは、そのほかに、今のことも含めて3点、御意見を頂戴したということで、ほかにいかがでしょうか。
小出委員、お願いします。
○小出委員 育成会の小出です。先ほどのことに関連しますけれども、2ページのアウトリーチ型相談支援で、後のほうにも出てくると思うのですが「はじめに」ということで、具体的なことを質問して申しわけないのですが、ハローワークが行うというような御説明がありました。実質的に、アウトリーチということになりますと、カウンターから、あるいはハローワークから外に出て、実際に企業を回るということになりますけれども、そのようなことがハローワークで実現可能なのか。ここに載せていいのか。その辺が心配なものですから。
○阿部分科会長 御質問ですので、お願いします。
○障害者雇用対策課長補佐 ありがとうございます。まさにハローワークで可能なのですかというようなことが、恐らく現状の取り組みをあらわしているのかなと思いますけれども、そういう意味では、実際に会社を訪問して、会社が置かれている状況を把握するということが必要だと思っています。雇いたいのだけれどもあと一歩というところの会社もあれば、全くそういう気持ちがないという会社もあると思います。そういったところは実際に現地に行ってみないとわからないところがありますので、そういったことをやりたいと思っておりますし、そのための人員を配置したというものでございますので、アウトリーチということで間違いないと思っております。
○阿部分科会長 よろしいですか。その他はいかがでしょうか。
本條委員、どうぞ。
○本條委員 全国精神保健福祉会連合会の本條でございます。先ほど一人も雇用していない企業が3割という問題が出ておりましたけれども、御確認のついでに、この3割というのは、一人も雇用していないということになりますと、現在で言いますと、2%とすると100人未満の会社が1人採用するわけですから、そこの1人を採用すべきところが採用していないところが比較的多いのではないかと思いますので、今でなくてもいいのですけれども、規模別に数を教えていただきたいと思います。
もう一つ、関連ですけれども、今度は意見といいますか、提案なのですが、雇用率が上がることによって、2%から2.2%に上がるということもありますが、逆に人数が少ない企業、今まで56人に1人というものが50人になり、2.2%になりますと、45人以上になるのでしょうか。そのように幅が広くなっていきますから、それによって、雇用数もふえてくるわけで、ですから、焦点としては、そういう今まで採用しなくてもよかった、義務がなかったところに対する指導といいますか、アドバイスが必要になってくるのではないか。このように思いますので、これは質問というよりも提案をしたいと思います。
○阿部分科会長 規模別に数が知りたいということが第1点目にありましたので、後段の雇用率が上がることによって、これまで、規模の小さい企業にどのように取り組んでいくかということだろうと思うのですが、何かあれば事務局からお願いします。
○障害者雇用対策課長補佐 後半は御意見として承ります。
○阿部分科会長 後半は意見としてお伺いします。
○障害者雇用対策課長補佐 前半ですけれども、数字については、2万6,000社のうちの2万社近くはおっしゃるとおり100人未満の会社ですが、一方で言えば、6,000社程度は100人以上の会社になっているという状況でございます。
○阿部分科会長 ほかによろしいでしょうか。
松為委員、お願いします。
○松為委員 文京学院大学の松為でございます。根本的なことでちょっとお聞きしたいので、雇用対策の基本方針がかかわるかどうかはわかりませんけれども、私が一つ疑問に思うのは、この後、5年間における雇用対策の中で、障害を持った人たちを支えていくためには、人材の確保という意味では、福祉領域の側からいかにして人材を動かすかということが非常に大きな課題だと思うのです。例えば、現在、A型事業にしましても、B型事業にしましても、そういった人たちからどのようにして雇用のほうへ進めていくか。そういった政策展開とか中身は、基本方針とか具体的な方針の中では書かなくていいのだろうかという疑問を持ちます。
もちろん雇用対策の基本ですから雇用の場面ですけれども、でも、雇用を進めていくためには人材をどうやって確保していくかということが大きな課題だと思うのです。これに関して、今までの、前回の方針につきましても余り触れていないのだけれども、これから先、そういうことに言及しなくていいのかなという疑問を持ちますので、ちょっと事務局から御説明いただきたいと思います。
○阿部分科会長 それでは、御質問ですので、お願いいたします。
○障害者雇用対策課長補佐 お答えいたします。おっしゃるとおり、障害者雇用対策基本方針の中には入っていませんけれども、当然にして、来年度から見直す障害報酬改定等においても、A型、B型あるいは就労移行支援事業所から一般雇用にどう移行していくかという方向性としては、いろいろ盛り込んでいるというものがございますし、中身としては、当課といいますか、職業安定局も参画する形で障害の報酬については決定しておりますので、そうした中で、相互に連携しながら決定しているというところで御理解いただければと思っております。
○松為委員 基本方針の文書の中には、そういった福祉からの移行とか、人材をそういった分野から確保する、そのための方策として具体的にどうするかとか、そこには特に触れないということなのですか。
○障害者雇用対策課長補佐 少なくとも具体的には、現状盛り込むことは考えておりませんが、5年スパンで必ずしも、まず障害福祉のほうが動いていないということもありますから、この中に入れ込むのはちょっと難しいと思っておりますが、実質的には当然議論はしていくべきものだと思っております。
○松為委員 わかりました。
○阿部分科会長 その他はよろしいでしょうか。また後で何かあればお戻りいただいて結構かと思います。
それでは、次の第1、あわせて第2まで行きたいと思います。「第1 障害者の就業の動向に関する事項」と「第2 職業リハビリテーションの措置の総合的かつ効果的な実施を図るため講じようとする施策の基本となるべき事項」について、御意見、御質問があれば御発言ください。
田中代理、お願いします。
○田中代理 日盲連の代理出席をしております田中です。これはお願いなのですけれども、第1の「1 障害者人口の動向」のほうは、さまざまな数字の後に脚注などがあって、こういうデータをもとにしてこういう数字が挙がっていますということが大変わかりやすいのですが「2 障害者の就業の動向」以下になってくると、どういうデータをもとにこういう数字が挙がっているのかがわかりづらいところがあります。先ほど事務局からも最新の数字がまだわからないからだという御説明もありましたが、可能な限りで構いませんので、このあたりの数字と出典を明らかにしていただけたらと思います。これは要望です。
以上です。
○阿部分科会長 ありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。
佐保委員、お願いします。
○佐保委員 労働側委員の佐保であります。私が今から申し上げる依存症についての記載は、第2、第3、第4にそれぞれ出てくるのですが、最初に第2の6ページに出てきますので、追記された各種依存症について、このタイミングで発言をさせていただきたいと思います。
最初に確認をしたい点でありますが、依存症の医学的定義については、ある特定の物質の使用に関してほどほどにできない状態に陥る状態と定義をされていると思います。この基本方針においては、さらにギャンブルとか買い物、リストカットなどの自傷行為、放火、窃盗などのいわゆるプロセス依存も含めて、記載の依存症という言葉の理解でよいのかどうか。ここで言う各種依存症の範囲について確認をしておきたいと思っております。
その上で、意見でありますが、依存症に関する正しい知識については、まだまだ世の中に広く知られているとは言えず、誤解とか偏見も多いのが実情であると言えます。医学的には、依存症未満であっても、こうした生活上でトラブルが発生し得る場合は、依存症と同じように対応を考えていく必要があり、障害者職業総合センターの取り組みをより一層推進していくことが重要と考えております。こうした取り組みについては、その周知、広報をより一層強化するとともに、できるだけ多くの依存症の方がスムーズに職場復帰して就労を継続できるように対応していただきたいと考えております。
以上です。
○阿部分科会長 まず、各種依存症の範囲について御質問がございましたので、お願いいたします。
○障害者雇用対策課長補佐 お答えいたします。まず、ここで書いてあるのは、依存症そのものが対象というよりは、正確に言えば、依存症で精神障害の手帳を持っているとか、手帳を持っていなくてもいいのでしょうけれども、精神障害の方ということになりますので、依存症の方があまねく必ずしもその対象というわけではないのかもしれませんが、いずれにしても、おっしゃったような依存症も含めて、場合によっては対象になり得るものと考えております。ただ、現状、メーンというか、主な対象者としては、ギャンブル依存症であるとか、アルコール依存症、薬物依存症を考えておりますけれども、そのほかの依存症も含めて、その依存症だからというよりは、その依存症的な傾向が精神障害によって持たれているという場合は、当然支援の対象になるということかと思います。
○阿部分科会長 よろしいですか。その他、いかがでしょうか。
佐渡委員、どうぞ。
○佐渡委員 愛媛県ビル管理協同組合から参りました佐渡と申します。7ページ目の削除項目についてなのですけれども、削除をする必要性があるのかなと思うのですが、いかがでしょうか。
○障害者雇用対策課長補佐 お答えいたします。担当部局は、厳密には私ではないのですが、一応担当部局から確認しているところでは、方向性としては全くやめるわけではないものの、この文言自体が前提としていた取り組みを現状は行っていないということと、あとはこの計画の上位にあるわけではないのですが、障害者基本計画のほうもこの文言を削除しているという事情がありまして、できればこの文言を削除する方向で御議論いただけないかということでお願いしているものでございます。
○阿部分科会長 佐渡委員、よろしいでしょうか。
その他、いかがでしょうか。
小出委員、お願いします。
○小出委員 育成会の小出です。今、労働のほうがどういうかかわり合いを持つかというところで、6ページの一番下に、特別支援学校、高等学校及び大学、いろいろな教育関係のところでも、精神的、発達障害を含めた子供たちが多くなったということで、その連携ということを書いてあります。実は、義務教育において、特別支援学級というものがあります。特別支援学級の中にも、非常にグレーというか、幅が広くなりまして、そこに従来知的障害のクラスと自閉・情緒クラスという2つの種類のクラスがありまして、自閉・情緒クラスのほうは、近年、知的を伴わないという子たちが多くなって、特別支援学級、これは先生1人に児童生徒8人という学級の制度があります。そういうところで勉強しまして、中学を卒業する段になって、その中で勉強していますと、通常学級のカリキュラムと違ったカリキュラムで勉強しているものですから、その上の進学、例えば特別支援学校の知的の特別支援学校には、知的ではないということで、入学を拒否されます。
ただ、そういう学級で中学、義務教育を終えて進学している。そうすると、その子たちがどこに行くかというと、通常の学級でカリキュラムを受けていないものですから、通常の高等学校の入学試験の内申がないということで入れない。私立あるいは通信制の高校に行く、進路をとるという道がありますけれども、そこでは特別支援学校のような実習とか、そういうカリキュラムがありませんので、社会対応力をつけるような訓練をその学校では受けない。通常の高校と同じです。
そういう子たちが知的障害ではなくて発達障害ということで、多くの学級を卒業した、中学校を卒業した子供たちが高校へ進学ということで行っているということなのですけれども、対応的に非常に困っているというところもあります。高校に行けないものですから、中学校から、今、福祉施設は三障害とも入れるものですから、そちらに進路をとる。そういう子も出てきておりますので、そのところを労働的な、社会人にするために、大人になるまでにある程度訓練というか、社会対応訓練、そういう仕組みを、教育制度がそういう硬直した状態にあるものですから、その辺もちょっとさかのぼって労働側も連携をとっていただけないか。そのように思っている次第です。これは保護者として子供たちの大きな悩みになっておりますので、よろしくお願いします。
○阿部分科会長 ありがとうございました。
御意見として承りたいと思います。
桑原委員の前に遠藤委員。
○遠藤委員 失礼します。ただ今、御指摘がございましたように、向こう5年間ということであれば、一つ、教育機関の中で次のステージへ円滑に関係者間の協力を集めて実効ある形とするのかが、より一層大切になってくると思います。先ほど松為先生からお話がありましたように、就労系の福祉サービスの後、どういう形で対応していくのかは大変重要かと思います。
少し細かい話に入って恐縮ですが、今回、6ページ、7ページで、特別支援学校、高等学校等の後に大学を加えていき、あとは特段そのまま続けるという形になっているのですが、少しここの書きぶりについては注意すべきことがあるのではないかと、若干発言をさせていただければと思います。
1つは、ここに書いてありますように、教育支援計画ですけれども、大学という場を考えたときに、果たしてそこで計画自体が策定されているかということです。必ずしも高等教育機関としてその作成がお願いできる状況にあるのかというところは十分慎重に見ていく必要があると思います。大学サイドの自主的な対応で取り組んでいる一方で、まだまだそこまで行っていないというような実態も多くあるようです。さらには、活用という部分につきましては、現場の方から聞いたお話なのですが、例えば特別支援学校でつくった計画を上の段階で使うかというと、これは個人情報の関係で、安易な形では使えないというのが現場の実態なのだそうです。
こういう形で対応を図っていく方向性については、何ら異論を挟むつもりはございませんけれども、現状、教育機関が抱えている状況等も十分踏まえたときに、この書きぶりをそのまま5年計画で書いていくことについては若干疑問を持っています。文科省を始め、関係者の方々と調整をお願いできればと思います。
以上です。
○阿部分科会長 ありがとうございました。
それでは、桑原委員、お願いします。
○桑原委員 労働側の桑原です。第2の職業リハビリテーションの7ページ「3 職業能力開発の推進」についてですが、障害者の方が就業するに当たり、就業前の技術取得だけではなくて、就業後も技術のさらなる向上に向けた能力開発が重要だと考えております。3のところは、大きな変化は今回、ないわけでありますが、その中で、2段落目の上から3行目に「関係機関との密接な連携の下に」という部分があるのです。これは過去から変わっていませんが、ここに関して、関係機関とは、主にどのようなところがあるのか。具体的に教えていただきたい。それから、これは過去からずっと続けているのであれば、どのような実績があるのかということが1点目の質問です。
2点目の質問ですが、これは3の最後の行にあります、「事業主や国民の理解を高めるための啓発に努める」について、ここもずっと変わってきていないということであれば、どのような具体的な事例を実施してきたのかを教えていただきたいということが2つ目の質問であります。
最後、もう一点、これは意見になります。その下の「4 実施体制の整備」が8ページまで続いておりますけれども、この中に書いてある地域レベルの連携は重要だと思っておりますので、ぜひ充実していただきたいということでありまして、質問が2点と意見が1点です。
○阿部分科会長 それでは、御質問がありましたので、お願いいたします。
○障害者雇用対策課長補佐 お答えいたします。お尋ねの関係機関というところについては、教育機関とか地域の就労支援機関など、具体にというよりは、そういった関係するものと、あまねくというか、広く連携していくという趣旨だと確認はしております。ただ、具体的な内容については、担当部局も来てはおりますけれども、持ち合わせがないようなので、改めて個別に御報告したいと思っております。よろしくお願いします。
○阿部分科会長 よろしいですか。
○桑原委員 もう一点の事業主や国民の理解を高めるための啓発というのは、具体的にどういうことでしょうか。
○阿部分科会長 もう一点、具体的な例ですね。
○障害者雇用対策課長補佐 啓発についてですか。こちらも同様に担当部局からお答えいたします。
○桑原委員 わかりました。
○阿部分科会長 そのほかはいかがですか。
長谷川委員、お願いします。
○長谷川委員 福島大学の長谷川です。話が戻ってしまうのですけれども、3ページから4ページにかけて障害者の数等が書かれておりますが、精神障害者の場合は手帳を所持している者の数字が非常に具体的に書かれている中で、身体障害者と知的障害者については数字等が出ていないようですので、できれば数字を載せていただきたいと思いました。あとは直近という言葉が使われておりますが、ほかのところだと、直近のデータが平成23年になっているので、直近とは何を指すのかがもう少しわかるような形で書いていただきたいと思います。
○阿部分科会長 御意見として、私から、阿部です。今、長谷川委員が御指摘のところで気がついたのですが、4ページに2カ所出てくる「台帳搭載数」の「搭」で、これだと機械とか何かに載せる方になってしまうので、本とかに載せるということだと、多分「登」という字でいいのではないかと思いますので、適宜御修正ください。
○障害者雇用対策課長補佐 ありがとうございます。
○阿部分科会長 それでは、第3、第4についてお願いいたします。
田中代理、お願いします。
○田中代理 日本盲人会連合の代理出席の田中です。第3について、2点ほど意見を申し上げたいと思います。
今後、5年間の基本方針ということになってきますと、職場定着が一つの柱として取り上げられるべきではないかと私は思っております。その観点から2つ意見を申し上げるのですが、1点目は、職場の定着ということになりますと、やはり身近な職場の同僚の理解が重要になってくると思います。障害者も職場の仲間だという意識がないと、どうしても孤立して長く続かないということがよくあると思うのです。
この点について、基本方針でも指摘がされていまして、第3の「2 障害の種類別の配慮事項」の「(4)その他障害者」というところには、同僚の理解を図るようにするのだという文章が出てきます。ただ、これは、実はその他障害者のみの話ではなくて、全ての障害者に共通することでもありますので、私の意見としましては、この点は、基本的な留意事項という数字の1のほうの項目に挙げていただきたいと考えております。
2点目ですけれども、中途障害者の問題です。中途障害者は、どうしても離職につながることが非常に多いという実感を持っています。そういう意味で、この基本方針を見てみますと、中途障害者については1カ所だけ指摘があります。第3の2の(1)です。「(1)身体障害者」の「ヘ」に中途障害者についての記述が出てまいります。
ここだけですと、少し姿勢として弱いのではないかと思っています。中途障害者の場合、例えばずっと障害のない時代を生きてきた人が、急に事故とか病気とかで障害を背負う。そうなると、まず、自分で障害を背負って歩いていくのだというところまでいくのにしばらく時間もかかりますし、自分が背負ってしまった障害を持って、いろいろなサポート機器の訓練とか、そういったものも必要になってきます。そうすると、一定の時間がどうしても必要になるわけです。職場復帰までの一定の時間的な猶予を十分に与えていただけないと離職につながってしまう。そういう意味で、これは例えばですけれども「十分な休職期間を付与する」などとか、そういった文言を追加することを検討いただきたい。そのように思います。
同じく中途障害者の関係で申し上げると、第4になりますが「5 障害者の雇用の維持、解雇の防止と再就職対策の強化」という項目があります。読んでいきますと「在職中の障害者の状況の把握・確認に基づき、離職に至ることを未然に防止する」という文言があります。中途障害を負った労働者に対しては、こういったことをぜひ行っていただきたいと考えておりまして、この項目については、中途障害者もしっかりと該当するのだというところを明記していただきたいと思います。この点は、定着という意味で重要だと思いますので、ぜひお願いしたいと思います。
以上です。
○阿部分科会長 ありがとうございました。
その他はいかがでしょうか。
村上委員、どうぞ。
○村上委員 労働側の連合の村上です。何点かございます。まず、第3の10ページについて、先ほど田中様からお話があった部分と共通するのですが、こういう形で障害者雇用を進めていくに当たって、重要なのは定着であって、職場の理解であるという御指摘はごもっともだと思っております。田中様の御指摘の部分とは少々違うのですが、10ページに「(6)障害及び障害者についての理解の促進」とありますが、この中で、職場全体での理解の促進という文言を補っていただけると、全体に広がっていくのではないかという意見を持っておりますので、御検討いただければと思います。
第4の部分でありますが、15ページの冒頭で、精神障害者の雇用対策として、就労支援の取り組みを医療機関と連携してきちんとやっていくのだということを書かれておりますが、ここでいう就労支援の範囲については、働き始めるところまでではなくて、定着も含めたものだと理解しておりますので、そういったことがわかるほうがよいのではないかということを、意見として申し上げておきたいと思います。
同じ15ページの「4 事業主に対する援助・指導の充実等」の部分でありますが、まず、文言の確認なのですが「中小企業等における」で「等」が今回つけられているのですが、これは何を意味しているのかということを確認したいと思います。また、文章をよく読むとわからない部分がありまして、「中小企業等における職場実習や企業、就労移行支援事業所、特別支援学校等の見学をする機会」とあるのですが、この企業とは、どういうところを意味しているのかというと、恐らく障害者を雇用されている企業ということだと思いますので、言葉を補ったほうがよいのではないかという気がいたしました。
ここは全体を通じて、障害者雇用促進を特に中小企業などへ拡大していくということは大変重要なことだと思っておりまして、先ほど本條委員からもありましたように、障害者雇用のやる気のない事業主へのアプローチはぜひ強めていただきたいと思っておりますが、ここでそのための取り組みとして、アウトリーチ型とか雇用管理に係る援助というものがありますけれども、もう少し直接的な、資金的な支援や助成は考えられないのか。そういったニーズはないのかということについても、意見として申し上げたいと思います。
初めて障害者の方を雇用するということに当たっては、そのときに合理的配慮も必要となってまいります。それなりに体力がある、ないということで考えると、体力がない企業においては、新たな支援も必要ではないかと考えておりますので、そういったことも視野に入れて御検討いただければと思っております。
以上です。
○阿部分科会長 まずは15ページの一番上の医療機関と公共職業安定所の連携による就労支援について具体的に書いてほしいという御意見です。御質問は「中小企業等」の「等」とはどういう意味なのかということと、もう一点が「中小企業等における職場実習や」の次ですね。その企業とはどのようになっているのか。ちょっとわかりにくいということで、御質問がありましたので、お願いいたします。
○障害者雇用対策課長補佐 御意見は承知いたしました。
御質問をいただいた件ですけれども、これはもともと中小企業における職場実習や企業などと書いてあったのですが、普通に考えて、職場実習は別に必ずしも中小企業に限定される話ではないので「等」を入れたということと、企業については、もともとどういう趣旨だったかというところがありますが、おっしゃるとおり、普通に考えれば、まさに現状障害者雇用を一定程度というか熱心に進めていただいたりとか、あるいはノウハウが構築されているような会社の前例を見ることによって、自分の会社でもやれるのではないかということをイメージしてもらう機会だと思いますので、そうしたことを取り組んでまいりたいと思いますし、わかりづらいという御指摘もありますので、企業について、表現ぶりは検討したいと思います。
先ほど桑原委員から御質問をいただいた周知、啓発ですけれども、いろいろ細かく言えばあると思うのですが、主に一つ念頭に置いているということで言えば、去年は宇都宮でやりましたが、アビリンピックとか、そうしたことを含めて障害者の方の訓練に関する周知、啓発等は実施するということだと思います。ただ、そのほかにも細かくいろいろあると思いますので、あわせて御報告したいとは思います。よろしくお願いいたします。
○阿部 その他はいかがでしょうか。
塩野委員、佐渡委員で順番にお願いいたします。
○塩野委員 使用者側の塩野です。第3の1の事業主の雇用管理に係る留意事項で、ここでは採用及び配置については、障害者個々人の適性と能力を考慮した配置とありますが、実際、企業現場におきましては、採用段階における障害者の適性や能力の把握が難しいという状況がこのところずっと続いています。施策の方向性として、例えば就労の困難度合いを見きわめるような判断基準の整備に向けた取り組み等について加筆できるかどうか、御検討いただければと思います。
以上です。
○阿部分科会長 ありがとうございました。
それでは、佐渡委員、お願いします。
○佐渡委員 使用者側の佐渡でございます。これは御検討いただきたいという意味からですけれども、第4の16ページの「5 障害者の雇用の維持、解雇の防止と再就職対策の強化」で、中ほどに優先調達法に関してございますように、私どもの業界では、発注案件としては民間と官公需がございまして、官公需におきましては、ある程度の基準でインセンティブ発注がございます。
私どもの組合でもそうなのですけれども、積極的な障害者の雇用活動等々、出前授業、実習受け入れ、組合に関しましては、一昨年、算定特例の取得も行っております。こういった中小企業の団体に関して、ある程度評価をいただけるような制度をぜひおつくりいただけたら、新しい雇用、障害者の方の雇用継続に結びつくのではないかと考えておりますので、ぜひとも御検討をよろしくお願いいたします。
○阿部分科会長 ありがとうございました。
その他、小出委員、どうぞ。
○小出委員 第3、第4に関連することになるかもわかりませんけれども、14ページの一番下のほうに、リワーク支援というところがあります。リワーク支援について、先ほど松為先生も言われたように、実は、障害者雇用対策で言いますと労働ということで、リワークをするにしても、例えば精神の方が医療保険、病院に行ったりなどしてリワークに努めるという、そちらのほうのあれはありますが、今後、法定雇用率がこれだけ上がっていきますと、職場内で、例えば物理的な対応で障害の克服ということだけではなくて、精神的なところ、あるいは知的障害者、発達障害者等もふえてくるということが現実的ですので、もう少し福祉的な要素が職場の中に必要になってくるのではないか。
そういうことを見ますと、リワークも、今度、4月から始まる定着支援という、これは私、余り十分ではないというところがありますが、職場内でリワークが必要になってくると、そうしたときに、例えば就労移行支援の福祉のところである程度の期間いて、カームダウンというか、クールダウンをしまして、仕事をできる状況になったらまた戻ってくるというような福祉との連携。今、これはありませんので、そういうところも、今後、積極的にリワーク支援等を考えていく場合に必要になってくるのではないかということで、今後、5年の間でいろいろ検討していただきたいと思いますけれども、福祉と労働のほうの連携ということをより強く具体的に進めていっていただきたい。これは私どもの意見、要望でございます。
○阿部分科会長 ありがとうございます。
本條委員、どうぞ。
○本條委員 全国精神保健福祉会連合会の本條でございます。14ページの「2 精神障害者の雇用対策の推進」でございますが、精神障害者の雇用義務が施行になるということで、上位に挙げていただいたこと及び赤字の部分、下のほうの「さらに、職場の同僚や上司が精神障害について正しく理解し、企業内において温かく見守り支援する応援者を養成するための精神・発達障害者しごとサポーター養成講座を開催する」と入れていただいたことには、心から感謝をいたします。
ただし、ここからはちょっと要望といいますか、意見なのですけれども、これに該当する旧基本方針、17ページの5行目ぐらいの「精神障害者に関する好事例の収集・提供等により、積極的に啓発・広報を行い、事業主の理解の促進を図るとともに、福祉及び医療の関係者等に対しても、精神障害者の雇用に関する取組を促すための啓発を行う」というところが消えておりますので、これは非常に大事になってくると思いますので、入れていただくか、もしくは18ページの「10 障害者雇用に関する啓発、広報」に特に精神障害者、発達障害者等について、好事例の収集・提供等のところの文言を入れていただくか。いずれにしても、啓発・広報、事業主に対する理解促進は、定着あるいは雇用の促進にとって欠かすことのできないものでありますので、御検討いただきたいと思っております。
以上です。
○阿部分科会長 ありがとうございました。
その他はいかがですか。
では、全体を通して何か追加で御質問、御意見があればお願いしたいと思います。
松為委員、お願いします。
○松為委員 全体を通してということなので、先ほどの意見をもう一回ぶり返すようで申しわけないのですけれども、改めて言わせてもらいます。小出委員のお話もあったように、全体項目を見ますと、学校教育との関係に関しては丁寧に書いてあるのです。でも、学校教育等と比肩しても、恐らく福祉から雇用の流れとか、福祉と雇用との連携は、学校教育以上に大事な、大きな基本課題になると思うのです。でも、それを少しも見出しにしていないということなので、これはやはり今後、5年間の雇用対策基本方針の、企業にとっても学校というよりも福祉との連携をどうつなげていくかが非常に大きな課題になると思います。どういう格好で見出しにするかはわかりませんけれども、そこに少し注意して、項目立てを新たにつくるかどうかを考えていただけるといいと思います。要望でございます。
○阿部分科会長 重要な御指摘ではあると思いますので、ぜひ御検討いただければと思います。よろしくお願いいたします。
その他はいかがでしょうか。
それでは、現段階でないようですので、本日、皆様からいただいた御意見、きょう御欠席の委員の皆様からも御意見をいただきまして、私と事務局で皆様からの御意見を集約した形で、再度修正案を作成しまして、次回の分科会で再度お示ししたいと思いますので、またよろしくお願いいたします。
議題(2)「その他」とありますが、特に準備はしていないようですので、皆様のほうから何かあれば、御発言をいただきたいと思いますが、特によろしいでしょうか。
なければ、本日の分科会はこれで終わりにしたいと思います。
最後に、今後の分科会の日程につきまして、事務局から説明をお願いします。
○障害者雇用対策課長補佐 次回開催は3月を予定しております。詳細については、改めて御連絡申し上げますので、よろしくお願いいたします。
○阿部分科会長 そういうことですので、よろしくお願いします。
それでは、本日の分科会は終わります。本日もお忙しい中、熱心に御議論いただきまして、ありがとうございました。