第74回労働政策審議会障害者雇用分科会(議事録)

日時

平成30年12月22日(金)10:00~12:00

場所

厚生労働省専用第21会議室(17階)
東京都千代田区霞が関1-2-2

議事

○障害者雇用対策課長補佐 それでは、定刻になりましたので、本日の会議を始めさせていただきたいと思います。
委員の皆様方には、お忙しいところ御参集いただきまして、まことにありがとうございます。
第74回「労働政策審議会障害者雇用分科会」の開始の時刻ではございますが、本日の議事に入る前に、事務局より分科会関係での新しいメンバーの方について御紹介申し上げたいと思います。
11月24日付で吉住正男委員が退任されたことに伴い、日本労働組合総連合会総合労働局長、村上陽子委員に新たに御就任いただきました。同じく11月24日付で駒井由美委員が退任されたことに伴い、全日本自治団体労働組合社会福祉局長の佐保昌一委員に新たに御就任いただきました。
村上委員、佐保委員は、どうぞよろしくお願い申し上げます。
また、ほかの委員の皆様におかれましても、引き続きよろしくお願い申し上げます。
○阿部分科会長 では、本日の議事に入りたいと思います。
議事に入ります前に、本日の出欠状況についてです。本日は、武石委員、桑原委員、塩野委員、三輪委員、石田委員が御欠席です。
それでは、議事に入ります。発言をされるときには、手を挙げてお名前を言っていただいて、それから発言をしていただきたいと思います。よろしくお願いします。
本日の議題ですが、「障害者の雇用の促進等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱について」、これは諮問です。それから、「障害者雇用対策の政策目標について」、最後に「その他」となって思います。
資料の確認をいたします。資料1-1、1-2、資料2-1、2-2、2-3、参考資料が合計6種類お手元にあるかと思いますが、御確認ください。よろしいでしょうか。
それでは、議題(1)「障害者の雇用の促進等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱について」に入りたいと思います。
事務局から説明をお願いいたします。
○障害者雇用対策課長補佐 事務局でございます。お手元の資料に基づきまして御説明申し上げます。まず資料1-1をごらんください。
本日、お諮りする内容でございますが、「障害者雇用の促進等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱について」でございます。こちらを最初に読み上げた上で、背景等もあわせて御説明申し上げたいと思います。
1ページおめくりいただいて、縦置きの資料をごらんいただければと思います。「障害者の雇用の促進等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱」でございます。
「一 雇用義務等に関する規定の適用に当たっては、次の1及び2のいずれにも該当する者については、その一人をもって一人とみなすものとすること。」というものでございます。
まず1つ目としては、精神障害者である短時間労働者、その方であって、かつ、その雇い入れの日または精神障害者保健福祉手帳の交付の日、なおということで発達障害により知的障害があると判定されていた方がその発達障害によって精神障害者保健福祉手帳の交付を受けた場合は当該判定の日、知的障害があると判定された日ということでございますが、その雇い入れの日か手帳の交付を受けた日のいずれか遅い日から起算して3年を経過するまでの間にある方について、その両方の要件を満たす方は一人をもって一人とみなすものとするということで、いわゆる1カウントにするという案でございます。
なお書きということで括弧の中に書いてございますのは、雇い入れの日前3年以内に当該事業主の事業を退職した者を除くということで、同じ会社に3年以内に雇われていた方であるとか、あるいは特例子会社等の各種特例要件のグループに入る会社に雇われていた方も含めて、同じグループないし同じ会社に雇われていた方が改めて3年以内に雇われた場合には、この「一人をもって一人とみなす」という特例の対象にはしないという趣旨でございます。
その次の二については、「一の措置については、平成35年3月31日までに一の1及び2のいずれにも該当することとなった者について適用すること。」でございまして、当面5年間の措置とするというものでございます。
三は、その他所要の規定の整備を行うというものでございまして、次のページの四ですが、この省令は平成30年4月1日から施行するものとしております。
背景等については、資料1-2をごらんいただければと思います。
まず、このペーパーには書いてございませんが、今般お諮り申し上げております精神障害者である短時間労働者の方のカウントにつきましては、先般、5月に法定雇用率についての御議論を当分科会でお願いした際にも、複数の団体代表者の皆様から、精神障害者である短時間労働者について配慮が必要なのではないかとか、あるいは精神障害者の方は働き始めてからも就業時間に波があるので、あらかじめある程度波がカバーできるような制度にしておくべきなのではないかという御意見をいただいたところでございます。
その後、9月から進めております今後の障害者雇用促進制度の在り方に関する研究会においても、当事者団体、あるいは支援機関、事業主団体、各種皆様から同様に、精神障害者である短時間労働者のカウントについて、幾つか御意見をいただいたところでございます。
そうした状況もありまして、私どものほうでデータを整理していたところでございまして、まずその関係で3ページをごらんいただければと思います。
3ページはこれまでも御承知おきのこととは思いますが、精神障害者の職業紹介状況を見ていきますと、この10年間で新規の求職者が3.8倍、就職者数は4.9倍ということで、労働市場における精神障害者の方の雇用は着実に増加しているという状況にございます。
そうした中で、雇用自体は大変進んでいるわけでございますが、4ページを見ていただきますと、これも日ごろより言われていることでございますが、障害者の方の職場定着状況について見ていきますと、知的障害あるいは発達障害の方は比較的安定しているのに対して、特に精神障害の方については定着困難な方が多いという状況が見てとれるわけでございます。実際、グラフを見ていただきますと、1年間で半分以上の方がおやめになっているということで、もちろんこれはいろいろな事情がございますが、やはり一つには精神障害の方が症状が安定しなかったり、職場定着においてさまざまな困難を抱えているということがあるのではないかと考えられるわけでございます。
ただ、そういう中でございますが、5ページを見ていただきますと、精神障害の方の職場定着率については、就業時間によって実際にはかなり大きな差が出てくるというところもございます。左側のグラフをごらんいただきますと、20~30時間程度、いわゆる現状で言うところの雇用率制度上の短時間に該当する働き方をされている場合には6割程度定着率があるのに対して、それ以上の場合は下がる傾向にありますし、あるいはそれ以下の場合も、それ以下の場合にはもともと症状が難しい方も含まれているという事情はあるかと思いますが、結果として定着率が低いということで、いわば20~30時間程度の働き方を中心が最も高くて、それ以上とそれ以下は定着率が低いという状況が見てとれるわけであります。
加えて、右側で、20~30時間で働き始めた方がどういうふうになっているかという点を見ていきますと、障害者就業・生活支援センターのほうにお願いして、5年前に就職された方の現状について調査をしたところで申し上げれば、当初20~30時間ということで働き始めた方のうち、これは残っている方という限定がかかりますが、残っている方について見ていますと、4分の1の方は現状週30時間以上の勤務にシフトしているというところが見てとれます。比較対象としては知的障害の方しかございませんが、5.6%ということで、その4倍以上の割合で20~30時間の方がフルタイムのほうに移行していっている様子も見てとれるということでございます。
そうしたあたりのデータを見ていきますと、精神障害の方については、やはり定着は難しいという課題が言われているとおりではあるものの、就業時間が一定程度から徐々にならしていくような形で、20~30時間ぐらいで働き始めるというのが、定着のしやすさを探っていく上での鍵になるのではないか。
一方で、20~30時間で始めてしまうと、それで固定化してしまうのではないかという懸念も一般的にはあり得るわけですが、精神障害の方の実情を見る限りにおいては、相当程度の方がキャリアアップが可能になっているものもございますので、少なくとも御本人が望むような場合には20~30時間というところから始めていくような選択肢がより一層広がっていくことが望ましいのではないかと思っております。
他方で、事業主あるいは支援機関の立場の方々からの御意見も踏まえますれば、そういった方たちの意見としては、精神障害の方を雇用する上で、20~30時間であっても、30時間以上であっても、離職のリスクであるとかジョブコーチの派遣等々を踏まえると、定着に対するさまざまな対応の必要性というのはそれほど変わらないという部分もあるということで、事業主、支援機関、当事者、それぞれの方から20~30時間ぐらいで働き始めるような仕組みを模索したほうがいいのではないかという御意見が出ているということは、まさにデータの上でもそういうことが言えるのかなと思っております。
そうした状況を踏まえていきますと、先ほどの御説明に戻るわけですが、1ページ目に戻っていただきますと、同じ内容が書いてありますが、精神障害の方について短時間で働き始めた場合に、当面1カウントとするということはやはり速やかな対応が必要なのではないかということで、今回お諮り申し上げたわけでございます。
なお、2点追加で申し上げますと、一つの要件としては、新規雇い入れまたは手帳の取得から3年以内と限っておりますが、これは本日データとしてお示ししておりませんが、これも5年前に就職された方の定着状況を見ていきますと、精神障害の方については、当初2~3年ぐらいは大幅にやめられる傾向が見られるわけですが、3年を過ぎたあたりからは、残った方についてということで申し上げれば、大分定着もしやすくなってくる状況が見られる。それは、知的障害との関係で言っても、3年後ぐらいだけを見ていくと、同じぐらいになってくるということで、事業主からしても3年程度経過した後についてはそれほど負担感がないという言い方もできるのではないかということと、当事者の方からした場合に、ずっと1カウントということになってしまうと、20~30時間というところからステップアップを図るチャンスが阻害される可能性もあるということもございますので、雇い入れから3年に限定して1カウントとするというものを考えております。
なおということで申し上げれば、ジョブコーチの支援等についても2年8カ月が最大の期間となっておりますので、公的な支援ということでも3年程度というのが一つのめどになっているのではないかと思っております。
加えて、今回の措置については平成35年3月31日までに雇い入れられた者についてということでございますが、こちらも今回、来年の4月からこうした措置を講ずるに当たって、短時間を1カウントにすることでどういった影響が出てくるのかというのがまだまだ十分には見えないところもございますので、この措置を導入して数年経過した時点で一度振り返りまして、こうした措置が精神障害者の方の定着状況にどういった影響を与えているのか、あるいはキャリア形成にどういう影響を与えるのかというところを見た上で、改めてさらなる延長を講ずるのかどうかということなどについて見ていくということにしたいと思ってございます。
そうした内容について、今回お諮り申し上げたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○阿部分科会長 ありがとうございました。
本件は、本日付で厚生労働大臣から労働政策審議会に対して、「障害者の雇用の促進等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱」についての諮問となっております。
当分科会としては、本件について議論を行った結果を労働政策審議会に報告したいと考えております。
それでは、ただいまの説明に対して御質問、御意見がございましたら、よろしくお願いいたします。いかがでしょうか。
竹下委員、どうぞ。
○竹下委員 竹下です。
疑問と質問と一緒になって申しわけないのですけれども、今回のこの措置というものには、少し逆転現象があるように思うのです。今、事務局から説明があったように、精神障害者については定着率が簡単に言えばよくないと。そのためにそういう人たちに対する配慮が必要だというのであれば、そういう人たちが定着できるような支援、すなわち合理的配慮であったり、その他の雇用環境の整備というところに話が進むのならいいけれども、その話が一つも出てこなくて、雇用率のカウントだけの変更が出てくるというのは何か逆転しているように思います。この点は、どういう考えからこの案が出てくるのかということについて御説明いただきたいというのが1点目です。
もう一点は、本来、短時間労働について0.5でカウントするというのは、事業主にとってみても、障害者にとってみても、働く機会をふやすといいますか、就労のチャンスを広げるという要素があったと思うのです。ところが、そのことは全く説明にも出てこなくて、カウントだけ0.5を1にするというと、従来の重度障害者のダブルカウントとどうしても似てくる部分があると思うのです。
すなわち、重度障害者についてダブルカウントをする、その理由は、今さら釈迦に説法ですから言いませんが、それが本来の趣旨であったとするならば、短時間労働の精神障害者を0.5を1にするというのは、変な言い方で言うけれども、短時間労働だから重度だということになって、それは事業主に負担だから0.5を1にするというふうに多分構造上なっていると思うのだけれども、果たしてそうなのかなと。
少なくとも、先ほど申し上げたように、雇用管理とか合理的配慮の環境整備のところでいろいろな負担が出てくるならばわかるのだけれども、短時間労働者の精神障害者を0.5を1にするというのは、言葉が不適切かもしれませんが、雇用率の数字合わせというか、雇用率をアップすることだけしか見えてこない。そのこと自身に反対するというよりも、考え方が少し違うのではないかというのが2点目です。
最後に、精神障害者だけをそういう扱いをするということはなぜなのか。さっき定着率のことを言ったけれども、そことどうも結びついているように思えないからなのですけれども、では、身体障害者なんかではそういう配慮は要らないのか。逆に言うならば、これから先のことを考えた場合に、本来、重度の方に対する支援ということを意識するのであれば、障害種別それぞれについての雇用率の考え方を今後は意識するのかということまで疑問になってくるので、その点の考え方についても御説明いただければと思います。
以上です。
○阿部分科会長 では、御質問でしたので、事務局からお願いします。
○障害者雇用対策課長補佐 事務局でございます。御質問ありがとうございます。
まず、最初に御質問いただきました、どういった環境整備を整えるかというのが先にあるべきなのではないかということについては、それはおっしゃるとおりだと思います。本日はあくまでも省令案の諮問ということでございますので、内容については省令案の内容に絞って御説明申し上げたわけでありますけれども、当然、仕組みとしましては、まず合理的配慮があっての話であると思いますし、来年度予算においても、まだ時間的に現状予算案という段階かもしれませんが、精神障害の方が定着できるような仕組みを構築していくということでは、合理的配慮をどう広めていくかということであるとか、職場内において、これまでであれば、例えばいわゆる上司、職場管理者の理解を促すというだけでしたけれども、その周辺にいる方の理解をどう促すかとか、あるいはこれまで障害者の方を雇用してこなかったような、いわゆる障害者雇用ゼロ企業と言われるような残り3割の会社にも理解を促した上で雇用される環境をつくっていくとか、そういった取り組みをまず前提として、その上で今回お諮りしたような内容について、こういった措置を講ずれば精神障害の方の定着率が上がるのではないかという考えでございます。
重度障害の方のカウントの方法ということで申し上げれば、法制度的に申し上げれば、短時間労働の方のカウントについては重度障害とは別に省令委任されている部分でございますので、当然、法律上は重度障害の方を何カウントにするのかという政令委任の問題とは別の問題として省令に委任されているということであろうと思っております。
したがって、必ずしも重度障害の考え方と全く同じでなければ同じようなカウントができないかというと、そういうことではなくて、あくまでも短時間労働については短時間労働者のカウントをどうするかということを別途講ずるということが法律上は予定されていると認識しているところでございます。
その上で、こちらの説明も若干誤解があったのかもしれませんが、当然、精神障害の方の数合わせということではなくて、定着の措置を講ずる上で、事業主の方からもある意味20~30時間の方へのかなり手厚い配慮が求められているということもあります。それは現場で伺ってもそうですし、いろいろアンケート調査をしてもそういった実態が見えてきたというところもございますので、ある意味では手厚い配慮をお願いする必要があるだろうということでダブルカウントにするという観点もありますし、それによって精神障害の方を採用される場合に、事業主が20~30時間ということでも働く場がふえていくということになれば、精神障害の方の雇用の拡大にもつながるという点。
あとは、精神障害の当事者の方でとか、あるいは支援機関からも、本来であれば抑制的な時間から始めていったほうが定着しやすい人でも無理して30時間以上にする場合が多いというお話もありましたので、そういったところについて、それぞれの御事情はあろうかと思いますけれども、それぞれの御希望の時間であるとか、今後のキャリア形成の考え方という中で、選択肢がそれぞれの御希望に沿う形で提示できるような一つの仕組みということで、20~30時間を今回ダブルカウントにするというものでございます。
おっしゃるとおり、身体障害の方とか知的障害の方についても時間別の対応について今後どう考えていくかということは一つあろうかと思いますが、これまで分科会とか研究会を進めてくる中でも、特に精神障害の方については御要望が非常に大きかったという点もございますし、定着の程度についても、やはり精神障害の方が圧倒的に難しい状況にあるという点であるとか、あるいは短時間の場合と、フルタイムというか、30時間以上の場合の事業主のさまざまな取り組みの対応状況を見た場合に、やはり精神障害の方はほかの障害の方と比べても20~30時間と30時間以上というところで差がないといいますか、ほかの障害の場合には少し差があるのかなというところもありましたので、今回、速やかな措置ということでは、精神障害の方に限定してお諮り申し上げたところでございます。
ただ、あえて申し上げれば、現状、今後の障害者雇用促進制度の在り方に関する研究会も開催しているところでございますし、その中でもさまざまなカウントの仕組みについて御意見をいただいているところでもございますので、今回、精神障害の方について措置を講ずるわけでございますが、今後の雇用率カウント全体のあり方については、そうした研究会などの御意見も踏まえながら、制度のあり方については引き続き検討していって、適宜対応をとっていくということかと考えております。
以上でございます。
○阿部分科会長 ありがとうございます。
竹下委員、よろしいですか。
○竹下委員 どうもありがとうございました。繰り返しませんが、これを答申する前提として、あるいは附帯的なお願いとして、障害種別ごとの定着率であったり、あるいは支援のあり方を考えることはごもっともだと思うので、そうであればあるほど、障害種別ごとの定着に向けた支援というものについて十分に実施するということも、あわせてお願いしておきたいと思います。
以上です。
○阿部分科会長 ありがとうございました。
内田委員は今のに関連しますか。違いますか。
それでは、松為委員、どうぞ。
○松為委員 今のに関連したことでお願いなのですけれども、竹下委員と同じように、今回に関しては非常に唐突に感じます。今は別に研究会を開いていますから、研究会の全体の議論の中身とか方向性を見た上で変えていって時期的には悪いのですかということがまず一つ疑問点であるのです。
そういう点では、今、御回答がありましたように、研究会の全体の議論をもとに、さっきの附帯決議でもいいですけれども、そういったものを丁寧に書いてもらう。それが1点目の意見です。
2点目は、そもそも雇用率制度そのものというよりも、むしろ問題点は障害者雇用制度のあり方ですよね。例えば、いろいろ問題になってくるのは、果たして障害種類別に今までやってきたことがこのとおりいくかどうかという根本的な議論になるかもしれないのです。
よく昔言いましたね。職業的な重度、軽度という格好で、全く新たに体制をつくり直していくか。そうすることによって、例えば発達障害とか難病という格好で手帳問題をどうクリアするかどうかと。そういったのを含めた議論も本来なら前提としてやっていただきたい感じがするのです。それは言いかえますと、研究会のほうでどこまで議論を広げていただけるかどうか。それを踏まえた上で、こちらの審議会に対しての答申をもう一回検討し直すという形があっていいかなという感じがいたします。
あくまで2つとも意見ですけれども、関連したことで意見を述べさせてもらいました。
○阿部分科会長 ありがとうございます。
では、遠藤委員、どうぞ。
○遠藤委員 済みません。先に失礼いたします。
冒頭、竹下委員からお話がありましたとおり、今回の施策というのは、これからどういう形で障害者雇用が展開していくのか、第1ページの第1項目であると思っております。
今般、ヒアリングがペーパーでの提出も含めて15団体でよろしかったですか、約半数の団体が、精神障害者の短時間労働の取り扱いについてはこれまでと異なる形のものを要望してきたという実態がございます。
そういう中で、18年4月に向け、2.0%に上げてからわずか5年という準備期間で次のステージに上げていこうという段階にあって、労働市場の状況を見たときに、雇用政策として必要性を判断いただいたのだと理解しているところです。
この政策を考える上で2つの視点があると思っています。1つは、雇用機会の拡大であり、もう一つは、雇用継続の促進ということだと思っております。まさに雇用機会の拡大、入り口部分については、先ほどの事務局からの御説明で、かなりの説得力ある説明ができているのではないかと思います。しかし、私どもが提案させていただいたことから申し上げると、雇用継続の促進という意味で3年という期限を区切ったことが、果たして意図すべき方向に行くのかということについては、大いに疑問を持っているところです。
先ほどデータの紹介がございましたが、職場に残っている方を見てみるということだけではなく、私どもは残っていない方々がなぜやめていかれたのか、その方々がどうすれば雇用継続という形でその職場に残れたのかということを考えたときに、精神障害者の方は症状が多様であるだけではなくて、症状が安定していない、それは3年という期限ではなくて、もっと長い期間をもってしても不安定な状況は出てくるということです。
本来のありようとしては、3年という期限を区切ることなく、必要に応じて。「必要な」の意味合いは、当該障害者の症状の変化があれば、その変化に伴って柔軟な就業環境を整えるという意味です。それは合理的な配慮ということだけではなくて、それをも超えて展開していくということを考えれば、多少の隔たりがある内容だと受けとめています。
○阿部分科会長 ありがとうございました。
では、松為委員、遠藤委員から御意見があったということで、今後、いろいろと研究会のほうでも議論がなされると思いますので、全体として今後どのように障害者雇用のあり方を考えていくのかというのは研究会でも議論をされていった上で、この審議会でも報告並びに議論があるかと思いますので、その際にまた包括的に議論させていただければと思います。ありがとうございます。
また、遠藤委員から御意見がございましたが、今回の省令案は平成35年3月31日までという5年区切りになっていて、その間でPDCAサイクルを回していって、短時間雇用を0.5から1にカウントするということがどのような効果があったのかというのを評価しながら、今後の対策に向けて検討していくということでございますので、まずは0.5から1にしてどのような効果があったのか、それから、その他さまざまな施策、定着率に向けての支援等をした上でどのような効果があったのかということも見ながら、今後のあり方も検討していただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは、内田委員、お願いします。
○内田委員 内田です。
今ご説明いただいた20時間、30時間の定着率の問題もあるのですが、5ページ目にあります定着率の表を見ると、40時間以上の方の職場定着率は1年で42.4%となっています。こちらにつきましても対応が必要ではないかと思います。何らかの対応をお願いしたいという意見です。
○阿部分科会長 ありがとうございます。
40時間以上に対しての対応をしていただきたいと。具体的にはどういう対応ということでしょうか。特にいいですか。
○内田委員 はい。
○阿部分科会長 では、対応するということです。事務局、どうぞ。
○障害者雇用対策課長補佐 おっしゃるとおり、40時間以上となっていますが、基本的には40時間ということだと思いますけれども、特に精神の方は非常に疲労を感じやすいということもありますから、フルタイムで働く場合の配慮は当然必要だということはそのとおりかと思います。
今年度からスタートしました助成金でも、これは精神障害者の方に限りませんけれども、障害のある方が例えば通院をするための通院休暇であるとか、フレックスタイム制の導入であるとか、そういった措置を講ずることに対しても一定の助成措置を講じるということも、今年度からスタートしておりますので、そういった取り組みの中で、またいろいろ事例が見えてきましたら、さらなる制度といいますか、さらなる取り組みの充実にもつなげていきたいと思っております。
○阿部分科会長 ほかにいかがでしょうか。
では、本條委員、どうぞ。
○本條委員 全国精神保健福祉会連合会の本條でございます。
今回の措置については、基本的に評価しておりますし、進むようにお願いしたいと思っております。
ただ、1点、私どもが要望していたのは、そういう期限を切ってということではなく、精神障害の特性として、先ほどの事務局からの説明がありましたように、変化するということでありますが、ここのところをもう少し御認識いただきたいと思うのです。
変化するというのは、訓練とかリハビリによってだんだん上昇していくのがとまるというだけではなくて、低下していくという場合も多々あるわけで、むしろ全体的に見ますと、加齢などによって労働能力というのは低下するのが当たり前だという認識に立っていただきたいのです。
もちろん、長時間労働に耐える人もおりますけれども、割合から言うとどのぐらいになるかはわかりませんけれども、長時間労働は疲れやすいとか、障害、疾病からそういう特質を持つものでありますから、短時間であっでも一人前の雇用として見ていただきたい。そのために期限をとるということであれば私は賛成しますけれども、その間にどれだけの効果があったかというのとともに、先ほど遠藤委員からもお話がありましたように、短期間でやめていかれる人も非常に多いわけですから、そこらあたりの分析もお願いしたいと思っております。
もう一点は、資料1-2の1、留意事項でありますけれども、説明によりましてよくわかったのですが、もう少し書きぶりをわかりやすくしたほうがいいのではないか。要するに、普通の親会社、子会社であれば、お互いに独立した別の法人ですから、いいわけですよね。要するに、特例子会社とかそういうものだから、雇用率を一体に見ているから、同じ事業主と見なすという意味だと思うのですね。そこら辺をもう少し明確にわかりやすく書いていただきたいとともに、特定事業主というのが普通の人にはちょっとわかりにくいのではないかと思うのですね。そこら辺を法律そのものにそんな細かいことは書く必要はないと思うのですけれども、説明をわかりやすく書いていただきたいという要望です。
○阿部分科会長 ありがとうございました。
では、御意見が2つということで賜りました
事務局から何かありますか。
○障害者雇用対策課長補佐 御意見ありがとうございます。
御指摘については、まさに雇用率の同一の主体として見る中で、雇用主を変えるようなことはカウントとして特例を認めないというものでございますので、御質問いただいたとおりの趣旨でございます。
確かに、省令の書き方はともかく、説明資料についてはもう少し工夫の余地はあるのかなと思いますので、今後の特に一般の皆様に周知していくに当たっては、そういったところも念頭に置いた上で資料を作成していきたいと思っております。
○阿部分科会長 村上委員、どうぞ。
○村上委員 連合の村上です。先ほど分科会長にまとめていただいた上で、重ねて申し上げたいと思います。
先ほど、竹下委員や松為委員からありましたように、今回の雇用率カウント見直しにはやや唐突感があるというのは、私どもも同様の感想を持っております。ただ、障害者雇用促進制度の在り方に関する研究会においても、団体の皆様からのヒアリングの中で要望が出されたということも承知しているところです。
今回、カウントの見直しをするということはありつつも、20時間未満をどうするのかであるとか、ほかの障害種別の方をどうしていくのかであるとか、あるいは障害種別だけで考えていって良いのかということについては、研究会の中でしっかり議論していただきたいと思っております。それも踏まえて、この分科会で制度のあり方についてさらに考えていくべきだと考えております。
2点目で、今も御指摘がありましたけれども、省令を改正した後の広報のあり方についてですが、定着率を向上させることは重要ですが、カウントを見直すだけで定着率の向上が達成できるというものではなく、やはり合理的配慮のあり方であるとか、受け入れる側の労働者も含めた職場の意識の向上ということもあわせて必要であるかと思います。そういったことも重要であるということを、省令改正を周知する際にはあわせて広く訴えていただきたいと思っております。
以上です。
○阿部分科会長 ありがとうございました。
その他、いかがでしょうか。
小出委員、どうぞ。
○小出委員 育成会の小出です。
私も今回の諮問については唐突な感がしておりますけれども、以前から雇用者数、実雇用者数との比較をしますと、知的、身体の雇用者数は実雇用者数に対して非常に多いという傾向がずっとあります。
ただ、精神障害の場合はその逆でありまして、実雇用者数のほうが多いという数値がずっと以前からあります。ただ、実数について比較しますと、身体と知的に対して大きさとしてはまだ小さいのですけれども、今後それがふえるというところもありまして、いずれこのカウントについては検討の余地はあるかなと感じておりました。
もう一つ御説明していただきたい点は、留意事項のところのポツの2つ目でありますけれども、発達障害により知的障害があると判定されていた者がということがありますけれども、発達障害というのは、自閉症スペクトラムといいまして非常に連続性があるということですけれども、知的障害の場合は、多くの場合はIQで線引きされているところがありまして、この文言ですと、発達障害により知的障害があるというよりも、重複で、どちらかというとIQで判定しますと、知的障害という判定になってくると思います。
自閉・情緒という分類ありますけれども、発達障害により知的障害があるという捉え方はどういう意味があるのかと思います。ですから、知的障害の団体である私どもとしましては、ここのところにちょっと違和感があるなと思っておりますので、御説明をお願いしたいと思います。
○阿部分科会長 それでは、事務局からお願いします。
○障害者雇用対策課長補佐 御質問ありがとうございます。
おっしゃるとおり、障害の認定といいますか、障害の区分からいうと、少し違和感のある文言だというのはよくわかるのですが、省令上の用語ということで御理解いただければと思います。
趣旨としては、発達障害により知的障害があると判定されたというよりは、発達障害の方が療育手帳を持っている場合というのが多くあるわけですが、療育手帳を持っているというのが法律上に用語としてございませんで、少なくとも障害者雇用促進法の場合には、知的障害があると判定されたかどうかという規定ぶりになっている関係でそういう書き方になっているものでございます。趣旨としては、発達障害によって療育手帳を持っていた方が、通常であれば、わざわざ精神障害者保健福祉手帳を取得するということは余りないのだと思いますけれども、今回の特例を講ずるに当たって、事業主のほうから精神障害者保健福祉手帳も取れるのであれば取ってほしいと。そうしてもらえれば1カウントになるからということで取得をするということも考えられないではありませんので、そういうケース、要は新たに雇い入れたわけでもなければ、新たに何か症状が発生したということでもない状況において、あえて手帳をもう一つ取るという行為によって1カウントにするということを制度としてあらかじめ防止するための措置でして、繰り返しになりますが、この文言については省令上、療育手帳の取得という文言があくまでこういう書き方がされている事情からこういう書き方になっているということを御理解いただければと思います。
○阿部分科会長 小出委員、どうぞ。
○小出委員 今の中で、救済的な措置というふうな説明にとれますけれども、例えば知的で勤めていて、勤務時間が30時間未満であって知的障害の判定を受けた人も0.5カウントされているのですけれども、そこのところを精神障害に置きかえることによって、発達障害と重複している場合は1カウントになる、そういう救済的な意味合いがあるということです。
○障害者雇用対策課長補佐 なるということではなくて、そういう措置を事業主にとらせないようにするということです。そういうことを認めないという趣旨です。なので、1にしますということではなくて、その場合はあくまでも0.5のままですということですので、救済ではなくて逆です。
○小出委員 わかりました。
○阿部分科会長 ほかにいかがですか。
では、岡本委員、どうぞ。
○岡本委員 サービス連合の岡本でございます。
今回のカウントの見直しについては、障害者の方から短時間での勤務についても配慮していただきたいという要望が背景にあることは、職場の感覚からいっても理解ができるところではあります。とはいえ、今回の短時間勤務のカウント見直しが実際の定着率の向上にどれくらい寄与するのかをどのように検証していくのかはすごく大切だと思っています。今後は、法定雇用率も変わりますし、精神障害者が義務の対象になるという、これまでとは違う背景の中で、障害者雇用のデータがとり直されるということになるわけで、なかなか難しいとはおもいますけれども、見直しが一体どれくらい効果があったのかについては、検証する必要があると思います。データの取り方なりをきちっとやっていただきたい。
1点質問もありまして、資料の4ページの障害種別の精神障害者は1,206名となっています。5ページの20~30時間未満の人は1,264人となっています。これは就労継続支援A型の施設などで働く方が含まれた数字を使っておられるのではないか。一般企業のみですと53.6%という資料も手元にあるのですが、果たしてこれほどの効果があるのかどうかについてちょっと疑問をもっています。数字のとり方やアンケートなどのデータのとり方ですので、難しいということは承知していますけれども、定着率の向上を促進するという大きな目的に対して、どのように効果検証をしていこうとされているのか。もともと出されている資料が、いいとこどりをしているのではないかという懸念も少しあり、データのことを御説明いただきたいということと、今後、これを進めていった際の検証の仕方についてどうお考えなのかをお聞かせいただきたい。
○阿部分科会長 では、事務局、お願いします。
○障害者雇用対策課長補佐 事務局でございます。
この2つのデータについては、大もとの調査自体は同じなのですが、就労継続支援A型を入れる入れないというよりは、さまざまな要件で除外している場合があるので、それは別にいいとこどりということではなくて、今にわかには説明できませんけれども、情報がなかったり、いろいろな場合があって、それで取捨選択を行っている関係で人数が違うということでございます。これは両方ともA型は入っておりますが、A型を除いてもそれほど結果は変わらなかったということは、目視でありますけれども、確認をしているところでございます。
加えて、今後どういった形でデータを検証していくかということについては、それはまさにこれから5年間ということで今回お願いしているところでございますので、検証方法なども考えながら、あるいは研究会でもさまざまな御意見をいただきながら、今後、どういった形で実証していくのか、あるいは成果について見ていくのかということについては考えていきたいと思っております。
○阿部分科会長 岡本委員、よろしいですか。
○岡本委員 一般企業ですと53.6という数字があることは御承知をされていますか。
○障害者雇用対策課長補佐 53.6というのは何の数字でしょうか。
○岡本委員 資料の出典とされているJEEDの2017年「障害者の就業状況等に関する調査研究」では、週労働時間20~30時間の労働の種別での1年間の定着率は53.6%となっています。
○障害者雇用対策課長補佐 1年間の定着率ですか。
○岡本委員 そうです。
○障害者雇用対策課長補佐 済みません。その数字は今持ち合わせておりせんが、そういうものは当然あると思います。
○岡本委員 それと60.4の差は何なのかなと。
○障害者雇用対策課長補佐 それは改めて確認してお答えしたいと思います。
○阿部分科会長 ちなみに、岡本委員、ほかの時間の一般企業というのは、どのような数字になりますでしょうか。
○岡本委員 20時間未満が45.9、20~30が53.6、30~40が51.0、40時間以上が42.4です。
○阿部分科会長 ありがとうございます。
30~40時間未満が51.0で、20~30時間が53.6ということですね。一般企業に特定した場合でも、統計的に有意かどうかは別にして、やや高いということは言えるということでしょう。
○岡本委員 この資料も有意性は見られたというふうに書かれていますので、有意性がないということではないと思いますけれども、それほど極端だったのかというのが気になったところです。
○障害者雇用対策課長補佐 JEEDの研究については、一般企業の場合でもまさに障害者求人に限定して見るとどうかとか、データ自体がかなり複雑で、どれをとるかというのはおっしゃるとおりいろいろな意見があるかと思いますけれども、一般求人の場合でも障害者求人に限定する場合、クローズについて見る場合などでいろいろ変わってきますが、どういうデータを見ていっても、一定程度、20~30が高い結果が出るというのはそのとおりですが、確かにどの数字をとるかによって、差がどれぐらい出るかというのは御意見のとおりかもしれないと思います。
○阿部分科会長 岡本委員から開陳いただいたデータの件ですけれども、統計的に2.6%程度有意に差があるということでありますので、一応高くはなるというのは事実だろうと、今のところ私は理解しています。
また、これの検証方法については、今後考えていきたいと思いますが、岡本委員が最初に言ったところですが、こうしたカウント1をすることによってどれだけ定着が図られるかということは、多分入り口のところで30時間を超えて働いてくれと経営側が言うのか、あるいは1カウントだから30時間未満でも働いても大丈夫というふうに経営側が思うのかで、入り口のところで大きな差があるような気がします。
今の段階では、カウント1にするためには30時間以上働いてもらわないといけないと経営側は思うでしょうし、新しい制度のもとでは、症状によっては30時間未満でも1カウントになるのであれば、ではそういう形で就業してもらおうということも可能になるということであれば、効果としてはあるのではないかと考えるところです。
いずれにしても、この後、どういうふうにこの制度そのものを評価していくかについては、岡本委員がお話ししたとおり、検討していくべき課題ではないかと思います。
よろしいでしょうか。
その他はいかがでしょうか。長谷川委員、どうぞ。
○長谷川委員 福島大学の長谷川です。1つ意見で、2つ質問があります。
まず1つ目ですが、最初のほうに竹下委員がおっしゃっていた、重度障害者のダブルカウントと短時間精神障害者の1カウントとの整合性のようなことをどう考えるかというご質問に対して、それぞれ別の条文によって省令に委任されているので、必ずしも同じ趣旨である必要はないというお答えでしたが、本当にその理解でよいのかは、疑問があります。
そもそも雇用率制度や雇用義務制度がどういう趣旨でできていて、そのためにカウントがどうあるべきなのかというのは、基本的には同じ考えのもとでなされるべきだと思うので、そういったところは今後より制度が複雑になっていく可能性がある中では、もう少し議論を深めておく必要があると思います。
ただ、私自身は、だから短時間の正社員の人を1カウントすることがおかしいと思っているわけではなくて、就労の困難さというところに着目するのであれば、今回の改正案のような形もあり得ると思っております。
質問の1つ目ですが、先ほども御質問にありましたけれども、資料1-2で発達障害により知的障害があると判定された者が、その発達障害により精神障害者保健福祉手帳を取得した場合は、知的障害があると判定された日を、精神保健福祉手帳取得の日とみなすとの部分に関連する質問です。ある特例子会社の方にお伺いしたところ、知的障害者の方がもともと発達障害だったのか、そうではなくて知的障害者と判定されていたのかというところまでは私は把握していないのですけれども、その特例子会社で働いていた知的障害者が、さまざまな就労経験などを積む中で、障害の状態が改善して、IQが高くなったために、療育手帳を更新できなかったところ、その場合に精神障害者保健福祉手帳のほうを取ってくださいというふうに言われたと。でも、そういったやり方はおかしいのではないかということをおっしゃっていて、その対応自体にも、疑問があります。加えて、今回の改正のところとの関係で質問するならば、そのような場面において、精神障害者保健福祉手帳を取得した場合、起算点はどこになると考えるのかというのが1つ目の質問です。
続けて質問させていただきます。差別禁止の話と絡んでくると思うのですけれども、今回、精神障害者は短時間労働の人でも1カウントできるということから、事業主が精神障害者については短時間労働でしか採用しないというような採用条件を出してきた場合に、これは促進法34条の採用の場面の差別禁止規定に違反するのかどうかということについてはどう考えればよいのか、教えていただければと思います。
○阿部分科会長 それでは2つ質問がありましたので、事務局、お願いします。
○障害者雇用対策課長補佐 事務局でございます。
まず、1点目について、療育手帳の場合、通常は更新制ということではないと思いますので、どういうケースなのかがにわかには想定できないのですが、いずれにしても基本的には今回の制度を前提に事業主があえてもう一つ取らせるということを避けるための仕組みではありますので、その前提でケース・バイ・ケースについては考えていきたいということ。あとは、そういった疑義もありますので、要領といいますか、QA的なものはできる限り早く周知した上で、各ハローワークなり支援機関の皆さん、あるいは事業主の皆さんからの問い合わせについて対応していく中で、おっしゃるような特殊ケースについてもどういった対応するのかということは考えていく必要があるかと思っております。
2点目をもう一回よろしいですか。
○長谷川委員 長谷川です。
今回、精神障害者の短時間労働の方が1カウントになるということで、フルタイムでは雇いたくない、短時間労働でしか雇いたくないと事業主が考えて、そのような採用条件を設ける場合です。身体、知的はそういう条件はつけない。精神障害者だけ20時間労働でしか採用しませんよといったときに、これは差別禁止規定に違反するのかどうか、どう考えたらいいのかなと思って質問しました。
○障害者雇用対策課長補佐 採用の場面において、精神障害者の方だけは短時間で募集される場合ということですよね。それは難しいというか、まさに応募のされ方にもよるのかなと思うのですが、仮に精神障害の方を募集するというような募集の仕方で短時間ということであれば、それは合理的配慮、差別禁止に当たらないと思いますが、障害者求人のなかで精神障害の方だけは短時間しかだめですということをやった場合には、それは差別禁止に該当するのではないかと思います。なので、それはかなりケース・バイ・ケースになってしまうと思いますが、基本的には障害全体を募集しながら精神障害の方だけを短時間だけというやり方は認められないのではないかと思います。
○阿部分科会長 よろしいですか。
○長谷川委員 はい。ありがとうございます。
○阿部分科会長 その他はいかがでしょう。
中川委員、どうぞ。
○中川委員 今回のことは、部分的なダブルカウントという見方もできると思います。施策として私は賛成なのですが、これは精神障害者の雇用支援のグランドデザインの一つという捉え方をぜひしていただきたいと思います。
1つは、定着支援の問題。先ほどから出ている、精神障害者の定着は3障害の中でも一番悪いという問題があります。もう一つは、障害とともに疾病がございますので、障害と疾病の共存ということで、職場は障害配慮に加えて疾病配慮、健康配慮も必要になってくる。企業側の負担も大きいので、今回は部分的なダブルカウントというふうに考えられますけれども、全体的な精神障害者のダブルカウントも必要と考えます。今、知的、身体があって、精神はございませんので、そのあたりもあわせて今後検討をしていくということをぜひ考えていただきたいというのが意見でございます。
○阿部分科会長 ありがとうございました。
その他、いかがでしょうか。
それでは、委員の皆様からは意見をそれぞれ表明していただきました。多少懸念点はあるものの、基本的な方向性としてはお認めいただいているのではないかと認識しているところです。
そこで、当分科会としては、事務局から説明があった厚生労働省案を妥当と認めて、その旨を労働政策審議会会長宛てに報告したいと考えておりますが、よろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○阿部分科会長 ありがとうございます。それでは、そのようにさせていただきます。
では、事務局から案を配付してください。
(報告書案配付)
○障害者雇用対策課長補佐 それでは、今、お配りした資料について読み上げます。
平成29年12月22日
労働政策審議会
会長 樋口 美雄 殿
障害者雇用分科会
分科会長 阿部 正浩

「障害者の雇用の促進等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱」
について

平成29年12月22日付け厚生労働省発職雇1222第1号をもって労働政策審議会に諮問のあった標記については、本分科会は、下記のとおり報告する。

厚生労働省案は、妥当と認める。

以上です。
○阿部分科会長 それでは、このとおりでよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○阿部分科会長 ありがとうございます。
では、この文案どおりとして、今後この内容を労働政策審議会会長宛てに報告し、労働政策審議会会長から厚生労働大臣宛てで答申するということになります。
これで、本日の1つ目の議題を終わりにさせていただきます。
2つ目の議題、「障害者雇用対策の政策目標について」です。
事務局から資料について御説明ください。
○障害者雇用対策課長補佐 事務局でございます。
それでは、お手元の資料について御説明申し上げます。本日は、資料2-1に基づいて御説明いたしますが、「障害者雇用分科会で検証すべき2017年度目標(案)」というものでございます。2017年度の目標ですので、年度に入りまして大分時間がたってございますが、この3つについてお諮りしたいというものでございます。
左側の項目をごらんいただきますと、年度目標項目としては3つございまして、ハローワークにおける障害者の就職件数、障害者の雇用率達成企業割合、精神障害者雇用トータルサポーターの相談支援を終了した者のうち、就職実現に向けた次の段階へ移行した者の割合という3点を毎年目標として掲げさせていただいておるわけでございます。
1点目ですが、ハローワークにおける障害者の就職件数につきましては、毎年度、前年度以上の数字を掲げておりまして、2016年度においては前年度、すなわち2015年度が9万191件でしたので、それ以上ということを掲げまして、昨年度の実績は9万3,229件でございました。したがって、目標は達成しているという状況かと思います。加えまして、今年度につきましても、前年度以上ということで、9万3,229件というところを一つの目標としてハローワークにおいて職業紹介を進めていきたいと思っております。
2点目については、障害者の雇用率達成企業割合でございます。毎年度、例えば2016年度の実績を翌年度の2017年度の6月1日で見るということになりますので、1年度ずつおくれて見えるような形になりますが、毎年1.5ポイント以上の上昇という目標を掲げてきておりました。
2016年度の年度目標ということで申し上げると、これは2016年6月1日調査よりも1.5ポイント以上上昇させるということで、昨年の6.1調査の数字は、達成企業割合が48.8%でしたので、目標としては1.5ポイント以上上昇ということで50.3%ということでございましたが、つい先日公表いたしました2017年6月1日調査によれば50.0%という結果でございました。そういう意味では、目標水準ということで申し上げれば、数字上は達成できていないということでございますので、行政としてもさらなる支援をしていくということが必要かと思います。
参考までに申し上げると、知的障害者の方を法定の雇用義務化をする直前の平成10年が最後に50%を超えた年であったということを考えますと、約20年ぶりということでもございますので、障害者雇用が、特に法定雇用率が上がる中においても、一定程度、事業主の方の御理解とか、就労意欲の増進ということも含めて成果につながってきているということではないかと思っております。
そういった中で、2017年度の年度目標、すなわち来年の6.1調査については46.5%以上というところを数字として書かせていただいております。もちろん、本来であれば、少なくともということかもしれませんが、現状の50%という水準をできる限り維持していくということが望まれる水準ではございますが、来年度より法定雇用率が2.2%に引き上げられるというような実情も考えますと、現実としてはなかなかその水準が難しいということもございますし、さらに障害者雇用を進めていったとしても、50%というのは相当高い数字になるというのもございますので、今回、46.5%としております。
考え方としましては、前回、5年前に法定雇用率を引き上げた際に、引き上げる直前と引き上げた後で4.1ポイント下がっているという事情などを考えまして、計算をした結果として46.5%ということで、前回4.1ポイント下がっていますが、少なくともそのときよりも一定程度さらなる推進を図るということで、3.5%減の水準ということで46.5%というのを水準として掲げさせていただいております。
もう一つが、精神障害者雇用トータルサポーター相談支援を終了した者のうち、就職実現に向けた次の段階へ移行した者の割合ということで、こちらについては目標を掲げている当初から、精神障害者雇用トータルサポーターの支援対象になる方が、現実にはなかなかすぐに就職できないという方であったり、就職活動には移行しないで、そのほかの福祉機関等に支援の中心を移されるという方もいらっしゃるという実情がございますので、目標としては就職実現に向けた次の段階ということで、例えば訓練とか職業紹介というような、さまざまな移行を含めた割合としております。
2016年度の目標は68%ということでございましたが、昨年度の実績は74.6%ということで、目標を達成した状況でございます。今年度については、これは雇用保険二事業のほうの目標でも既に掲げている目標でございますが、70%以上ということを掲げておりまして、精神障害の方の就職状況については、全体としては当然一定程度平準化するわけですが、お一人お一人を見ると、まだまださまざまな特別な個別事情があるとか、数字についても毎年度、例えば前年度実績以上というところを掲げるというのが現実に難しいというところもございますので、基本的には過去3年間の平均を見ながら、おおむね7割以上の方については移行していただけるようにするということを前提に今回の数字目標を定めてございます。
最後に、こういった時期になった事情でございますが、毎年度、目標については昨年度の目標実績が見えた段階で掲げているという事情などもありまして、年度に入ってからの分科会の中で目標設定するということになっておりますが、今年度については5月に行われた分科会において、法定雇用率を来年度分から決定したという事情もありまして、特に真ん中の障害者の雇用率達成企業割合について、5月の分科会の段階で来年度の目標を掲げるということが非常に難しいという状況もございましたので、12月現在での御報告という形になりましたところを最後に御説明申し上げたいと思っております。
○阿部分科会長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明に対して御質問、御意見等があれば、御発言ください。
竹下委員。
○竹下委員 ありがとうございます。竹下です。3点について発言させていただきます。
まず1つは、この間、障害者の雇用率が上昇していることについてとは、企業あるいは行政の努力に対して敬意を表したいわけですけれども、非常に気になるのは雇用継続型Aの割合が4分の1になっているという部分です。本来、形上は雇用継続型と言われていますけれども、実質的には福祉就労といいますか、障害者福祉サービスの一環としてやられていることを考えれば、果たしてそこが4分の1を占めているという実態を正常と見ていいのかどうか。逆に言えば、雇用率であったり、雇用率の達成率を考える上で実態と合わない部分が出ているのではないか。とりわけ、例えば4分の1がA型とすれば、それをのけた4分の3の雇用率達成率はどうなっているのかということを出さないといけないのではないかというのが1点目であります。
2点目につきましては、6.1調査が基本になっていることはよくわかるのですけれども、毎回私は申し上げているのですが、精神障害者、知的障害者、身体障害者という種別は出てくるのだけれども、その中で身体障害者についてだけは障害種別は出てこないわけですね。ハローワークでの求職者数とか求人者数、あるいは就職した種別は出てくるわけですけれども、この6.1調査についてもアンケート項目の一つに加えれば済むわけですから、それは現実には必要性のあるデータであると思いますので、これを必ずどこかで実現をしていただきたい。これが2点目です。
最後に、そういうデータを分析することは、私は余り得意ではありませんけれども、今、基礎となっているデータは全て公開されているのかどうかについて教えてください。
以上です。
○阿部分科会長 それでは、御質問もありましたので、事務局、お願いします。
○障害者雇用対策課長補佐 御質問、ありがとうございます。
御指摘のとおり、就職件数についてはA型の就職のケースというのが4分の1程度を占めているという実情にはなってございます。
昨年度分よりハローワークにおける障害者の就職件数につきましては、A型の就職者の人数というものを公表しているところでございまして、それ以前については把握をしていないという状況でもございますので、今後、毎年度を見ていく中で、実際にA型での就職がどうなっているのか、あるいはA型以外での就職はどうなっているのかということも、実績を把握する上での一つの重要な要因だと考えておりますので、また今年度についても数字を見た上で、どういった形になっているかというところを見ていきたいと思っております。
また、障害種別の把握につきましては、かねてより御意見をいただいているところではございますが、6.1調査については事業主の皆さんに対する義務ということでお願いしている調査でもあるということとの兼ね合いを考えながら、今後どういったデータをとるかというのは考えていく必要があろうかと思っております。
ただ、先ほど来、何度かお話に出ておりますが、研究会においてもさまざまなデータをより精緻にとっていく必要というのは御意見をいただいているところでございますので、そういった研究会での御議論であるとか、他方でアンケートにお答えいただく事業主の皆さんの御負担もいろいろ考えながら、より政策を検討していく上で必要なデータのとり方については考えていく必要があろうかと思っております。
また、データについては基本的には公表していると思います。
以上でございます。
○阿部分科会長 竹下委員、よろしいですか。
○竹下委員 はい。
○阿部分科会長 ありがとうございます。
では、松為委員、どうぞ。
○松為委員 松為でございます。
最後のデータの公表ですごくお願いしておきたいのは、素データで公表できませんか。特に労働経済の方々は素データをもとに自分で新たに分析していきたいというのがすごくあるのです。今の公表というのは、あくまでこちらで集計したデータなのですけれども、素データをもとに公表して、いろいろなところがいろいろな形でいろいろな視点から角度を変えて分析できるような、そのことをぜひお願いしたいのです。よろしくお願いいたします。
○阿部分科会長 御意見として賜りたいと思います。ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。
阿部委員、どうぞ。
○阿部委員 日身連の阿部です。
今、6.1調査の内容についての議論があったと思いますけれども、障害者雇用実態調査のときには十分な票数で根拠をもって検討できるような実態調査にしていただきたいと思います。これは間もなくですよね。その辺のところをよろしくお願いいたします。
○阿部分科会長 では、御意見として賜りたいと思います。ありがとうございます。
その他、いかがでしょうか。
それでは、皆様から御意見がありましたが、本分科会としては今回の障害者雇用対策の政策目標については了承したいと思いますが、よろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○阿部分科会長 ありがとうございます。
それでは、最後の議題は「その他」となっております。委員の皆様から御意見等があれば承りたいと思いますが、いかがでしょうか。
佐保委員、どうぞ。
○佐保委員 自治労の佐保です。
国土交通省の御担当と思いますが、バリアフリー法の改正について、来年の通常国会でという報道があります。その中で、市町村に整備構想づくりを促す方法を検討し盛り込むということで聞いております。
そこで、厚生労働省としても、施設的な合理的配慮など、より多くの働く障害者の通勤が改善される取り組みを推進していただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
以上です。
○阿部分科会長 御意見として賜りたいと思います。ありがとうございました。
その他、いかがでしょうか。
竹下委員、どうぞ。
○竹下委員 竹下です。お願いです。
先ほど何人かの委員の方々から出ていた、あり方を考える研究会のことですが、ここでせっかく一定の時間とエネルギーをかけて研究しているわけですから、テーマは事務局から示された限定された範囲でやるのではなくて、きょうもたくさんの議論が出ていることを踏まえて、より障害者雇用のあるべき姿といいますか、今後の行政の進め方や、あるいは制度改正など、さらに言うならば合理的配慮のあり方等をも十分に議論できる、そういう充実した研究会の議論をお願いしたいと思います。
以上です。
○阿部分科会長 ありがとうございます。
松為委員、どうぞ。
○松為委員 審議会というものが、これに関しては分科会ですけれども、実はすごく前々から思っていたのは、もはや障害者問題というのは雇用だけでおさまらない話なのですね。トータルの格好で議論しなければいけない。ですから、審議会のあり方としては、本当は例えば福祉関係と教育関係、そのあたりの審議会の委員の先生方と合同で議論できるような、そういった場を今後いろいろなところで検討していただけるとありがたいと思います。
以上でございます。
○阿部分科会長 ありがとうございます。
その他はいかがでしょうか。
それでは、皆様から御意見をいただきましたので、それは事務局で御検討いただければと思います。
これにて本日の分科会の議事は全て終了いたしました。
最後に、次回の日程等について、事務局から説明をお願いしたいと思います。
○障害者雇用対策課長補佐 次回の日程については現在未定で、今後改めて分科会長と御相談の上で決定してまいりたいと思っております。
○阿部分科会長 それでは、年末のお忙しい中、御参集いただきましてありがとうございました。
最後に、議事録の署名についてですが、労働者代表の岡本委員、使用者代表の佐渡委員、障害者代表の本條委員にお願いしたく思いますので、よろしくお願いいたします。
本日はこれで終了したいと思います。ありがとうございました。