第3回免疫アレルギー疾患研究戦略検討会 議事録

厚生労働省健康局がん・疾病対策課

日時

平成30年9月28日(金)14:00-16:00

場所

厚生労働省中央労働委員会7階講堂

議事

  
○貝沼がん・疾病対策課長補佐 それでは定刻となりましたので、ただいまより第3回免疫アレルギー疾患研究戦略検討会を開会いたします。構成員の皆様におかれましては、お忙しい中お集まりいただき、誠にありがとうございます。事務局を務めさせていただきます厚生労働省健康局がん・疾病対策課の貝沼と申します。どうぞよろしくお願いします。
まず、本日の出席状況について御報告いたします。本日は、足立構成員、天谷構成員、海老澤構成員、藤枝構成員から欠席の御連絡を頂いております。なお、健康局長の宇都宮は公務のため遅れておりますことを御容赦ください。
厚生労働省では審議会等でのペーパーレス化を推進しており、本検討会もペーパーレスで実施いたします。お手元には、タブレット、スタンド、操作説明書を配布しております。会議終了後、持ち帰らず、机の上に置いたままにしていただきますよう、お願いいたします。なお、タブレットの操作は指で行います。操作説明書を参照しながら、一度操作をお試しください。もし御不明の点がありましたら、お近くの職員に御質問ください。よろしいでしょうか。それではここからは、山本座長に議事をお願いいたします。
○山本座長 まず事務局より資料の確認をお願いいたします。
○貝沼がん・疾病対策課長補佐 よろしくお願いします。それでは資料を御確認ください。議事次第、座席表、構成員名簿、資料1として「研究戦略検討会報告書(案)」、資料2として「研究10か年戦略案のポイントについて」と示しました。なお、資料1については、メモ用ペーパーを用意しましたので、適宜御活用ください。また、委員のお手元には、第1回及び第2回検討会の資料を配布しております。こちらは会議終了後、机の上に置いたまま、お持ち帰りなさりませぬよう、よろしくお願いいたします。以上です。資料に不足、落丁等がありましたら、事務局までお申し付けください。それでは、以上をもちまして、カメラを納めていただきますよう、御協力のほど、よろしくお願いいたします。
○山本座長 本検討会では、本年7月の第1回検討会以降、厚生科学研究玉利研究班報告書を踏まえて、免疫アレルギー疾患における研究10か年戦略の策定に向けた議論を行ってまいりました。本日は、これまでの議論を踏まえまして、免疫アレルギー疾患研究戦略検討会報告書の取りまとめを行いたいと考えております。
それでは、議論(1)の「免疫アレルギー疾患研究戦略検討会報告書(案)について」に、入らせていただきます。まず、それぞれの項目に関して議論を追加すべき点があれば検討して、最後に免疫アレルギー疾患研究戦略検討会報告書全体に対して追加すべき点と、それから最初の表紙にありますけれども、報告書のキャッチフレーズを付けるかどうかということについても検討したいと思います。
まず資料1の「Ⅰ はじめに」及び「Ⅱ 対象とする疾患」についての説明を事務局よりお願いいたします。
○貝沼がん・疾病対策課長補佐 よろしくお願いいたします。それでは皆様、資料1の1ページを御覧ください。Ⅰの「はじめに」ですが、これまで骨子で示した内容を文章にしております。1つ目の段落においては、「アレルギー疾患対策基本法」と「アレルギー疾患対策の推進に関する基本的な指針」に基づいて、この研究戦略が作られているということ。そして第2段落としては、この検討会の予備検討を行う場として、今後の方向性と具体的な研究事項を明示する免疫アレルギー疾患の研究戦略の策定に向けた予備検討を行うため、厚生労働科学特別研究事業「アレルギー疾患対策に関する研究基盤の構築」という研究班を立てて検討していただいたこと。さらには3段落目には、平成30年7月より、「免疫アレルギー疾患研究戦略検討会」を開催し、3回にわたり検討を重ね、本報告書として取りまとめたということ。4段落目としては、発症予防・重症化予防及び症状の軽減や生活実態の「見える化」を通じてQOLの維持向上を実現し、「免疫アレルギー疾患に対して、安心して生活できる社会の構築」が行われることを期待すると述べさせていただきました。
次のページ、先ほどの最初の段落にありましたアレルギー疾患患者の動向についての表、さらには、アレルギー疾患対策における本研究10か年戦略の位置付けについての表を示しております。この図1については、これまで私どもが平成17年及び平成23年に発出いたしました「リウマチ・アレルギー対策委員会報告書」の中で使われた様々な研究データを基に、アレルギー疾患患者というのは、我が国の全人口の約3人に1人が何らかのアレルギー疾患に罹患していると述べた平成17年のもの、さらにその後の平成23年には、我が国の全人口の約2人に1人が何らかのアレルギー疾患に罹患していることを示しております。
さらに図2の研究戦略の位置付けとしては、法律と基本指針で述べております免疫アレルギー疾患に対して安心して生活できる社会の構築に向けて、平成29年7月に発出した「アレルギー疾患医療提供体制に関する在り方検討会報告書」に基づく医療提供体制の整備や本研究戦略による医療の均てん化、さらには発症予防・重症化予防及び症状の軽減、生活の質の維持向上、これらがあいまって安心して生活できる社会の構築を目指すということを示しております。
続いて3ページ、Ⅱの「対象とする疾患」です。第1段落については、法律に掲げている条文を載せておりますが、2段落目に、「10か年戦略においては、法で規定される6疾患を中心に、薬剤等のアレルゲンや、そのほかに起因する人体に有害な局所的又は全身的反応に関わる疾患、及び関節リウマチや皮膚・粘膜臓器の異常に起因する疾患など、何らかの免疫反応が関与する疾患を対象とする」と記載しました。以上です。
○山本座長 まず、資料1の1ページから2ページの「はじめに」の本文と図について、もし追加できる議論がありましたらお願いします。これらは議論の背景となる内容ですので、特段の意見がなければ次に進みたいと思いますが、どうでしょうか。よろしいですか。
1ページ目の4番目の段落として「本報告書により」という所から1行目の「発症予防・重症化予防及び症状の軽減や生活実態の『見える化』」という所で、「見える化」というのが初めてここで出てくるので、最後に議論するとしても、この「見える化」というのを今回の報告書のキャッチフレーズにするかどうかということを含めまして、注目しておいて頂きたいと思います。
天谷先生が最初に言われたときから、「何となく合っているね」ということで使ってきましたが、実は「見える化」というのは、こういう生活実態の「見える化」というのも重要なのだけれど、でもアレルギー反応、それからアレルギーの病態というものが、まだ我々には見えていないというのが基本的なスタンスだったと思います。ですから、そこを「見える化」しようと、だから10年掛かるのだというところが重要かと思います。
ですから、生活実態の「見える化」は重要なのですが、その前にアレルギー動態の詳細な理解なども、ここは「はじめに」なので、まずそこに入れておいて、もちろん生活実態の「見える化」も通して、これらは全部が「見える化」だというところとして、扱っていただくともう少し「見える化」というものが、最初からそういう意味なのだと読む方には分かっていただけるかなとも思うのですが、どうでしょう。
○玉利構成員 やはり研究戦略ですので、そういう病態を明らかにするということは、非常に重要で最優先課題だと思います。ですから最後の章に、研究基盤が充実し、の後に“免疫アレルギー疾患の病態の「見える化」”を追加して、生活実態の「見える化」と、2回繰り返すのもいいのかなと思います。
○山本座長 そこに入るといいですね、確かに。ありがとうございます。ちょっと後ろかなと思ったのですが、「充実し」の後ろに、アレルギー病態の詳細な「見える化」、それと発症予防・重症化予防及び症状の軽減や生活実態の「見える化」と、「見える化」を2度出すのもいいかもしれませんね、確かにね。やはり違う意味ですよね。だけど「見える化」ということで、市民の方にも分かる言葉として病態も分かる、それから生活実態も分かると、両方という意味では、やはり2度出すことは非常にいいことかと思いますね。もし大きな反対がなければ、ここはこういう形でいきたいと思います。
2ページ目の、今までそうだろうなと思っていたのですが、平成17年と23年というのは8年の違いしかないのに、簡単に言うとこれだけ2分の1から3分の1になった。それから実際のデータとしては、そこの患者さんも400万人が800万人になっていると。もちろん社会の情勢も変わってきているし、アレルギーが急激に増えているのも間違いないですが、これは実態よりは方法論の違いもあったということですかね。
そこのところは平成17年から23年でこれだけ増えたのかというのが、よく見ると当然なかったアレルギーがこれだけ増えてきたのですから、すごく増えているのは間違いないけれど、8年でこれだけというのは、ちょっとおかしいなと。データとしてあるのは間違いないので、これはいいのでしょうけれど、納得する言葉が1行か2行、少しこれのどこか本文に入っているといいかもしれませんね。
実際には、このことについては、本文では書いていないですよね、「平成17年から23年へ」というのは。ですから、実際に増えていたのでしょうが、公式な文章として、これを出すものの参考の図としては、ちょっと誤解を生むかもしれない。ただ、表現としてこれがパッと見たときに、平成17年から23年というのが少しいかがかなと。よろしいでしょうか。そのほか御意見ありますでしょうか。
○玉利構成員 正に今の点は疫学調査が重要だと何度も何度もこの会でも言われていると思うのですが、そういうモニタリングのシステムをきちんと確立していくというのは、こういったところからも非常に重要と思います。
○山本座長 逆に、これが事実だとして、だけどこれが8年間でこれだけ増えたということは、やはり疫学の問題点でもあるのかもしれないと。そういうことをどこかに書くということにしましょうか。むしろ、そちらのほうが、この問題点というか、これを踏まえてもっとポジティブに考えるという意味では、そうだと思いますね。
○玉利構成員 私は、そう思います。
○佐々木がん・疾病対策課長 今の点で言うと、1ページの本文にも記載するし、図1でもどこか脚注で、それぞれ算出の根拠が上と下で異なるものもありますので、そこを引用する際は注意として、図1のほうにも脚注で入れるようにいたします。
○山本座長 そうですね、ありがとうございます。では、そこの所はそういう形で、最後にはそうしたいと思います。それでは、もしなければ次に3ページに移りまして、Ⅱの「対象とする疾患」についてということで、2つのパラグラフですが、何かここで議論すべきものがあったらよろしくお願いします。
前回は議論になりましたが、心因性の疾患をどのように、今回は直接の対象にしないということは分かっていただきたいというところも含めてなのですが、それを直接は書く必要はないだろうということで、こういう表現にしたということだと思いますが、どうでしょうか。この程度で余り書き過ぎても、心因というものがアレルギーに重要であることは間違いないので、それを前面に出すと対象が外れてしまうということでよろしいですか。もし御意見がなければ、進めさせていただきたいと思います。
それでは次に、3ページと4ページ、Ⅲの「我が国の免疫アレルギー疾患研究において推進すべき研究」の中の1の「我が国における問題点と独自性・優位性」につきまして、事務局より、よろしくお願いします。
○貝沼がん・疾病対策課長補佐 よろしくお願いいたします。それでは資料1の3ページを御覧ください。Ⅲ「我が国の免疫アレルギー疾患研究において推進すべき研究」。1の我が国における独自性・優位性についてです。まず、問題点については、これまでお話してきましたように、3つの課題、横断的問題、垂直的問題、そして国際的な連携の問題という点から記載しております。特に3段落目になりますが、垂直的問題の4行目、「疾患対策の基盤となる疫学研究などが不連続な状況となり、その結果、新たな研究課題の創出が難しい状況となっている」と記載しました。
続いて「独自性・優位性」は、4ページを御確認ください。まず1段落目、「まず」という所からですが、その最後に「層別化医療(Precision Medicine)」という言葉、さらに次の段落ですが、「予防的・先制的治療(Preemptive Treatment)」という言葉があります。これら2つの用語については、その下の脚注で、それぞれの単語に対して「層別化医療」、「予防的・先制的治療」と記載しました。この点についても御議論を頂ければと思います。
さらに最後の段落ですが、以上より、免疫アレルギー疾患における層別化医療及び予防的・先制的治療の実現を通じて、患者数減少、QOLの改善及び医療費の適正化等に資するエビデンスの創出を推進する上で、極めて大きな優位性があると考えると示しました。よろしくお願いします。
○山本座長 それでは、3ページから4ページの所につきまして、追加すべき議論がありましたら、よろしくお願いします。
○玉利構成員 今、Precision Medicineというのは、層別化医療及び一部個別化医療も含まれると思いますので、その脚注の所にその辺の説明を、個別化医療を除くというような感じではなくて、一部個別化医療も含むような表現も入れておくのもいいのかなと思いました。
○山本座長 これは訳が難しいですが、精密医療と訳している所もあるし、個別化医療と訳している所もあるし、ここではそれよりも、我々のスタンスとしてはもう少し、層別化医療ということですが、そういうのもあるということは、ここでは脚注なので、本文ではないので。脚注だったら、そういうのがあるのだというのは入れておいてもいいですよね。そうすると誤解が防げますから。ですから、精密化医療、また一部個別化医療も含まれるというようなことを、ちょっとここに入れておくといいかもしれません。そのほかどうでしょうか。
○吉本構成員 先ほど議論のあった疫学調査の問題というのは、ここに入ってくるのでしょうか、あるいは先ほど通り過ぎた所に入ってくると理解するのか。
○山本座長 「はじめに」に入れられなければ、ここに入れるかという感じですかね。
○吉本構成員 せっかく議論になったので、この問題点の中に入れられれば。
○山本座長 そうですね、問題点の中に入れてもいいかもしれませんね。
○吉本構成員 そう思います。あと、細かい点ですが、誤植と思われる表現が。
○山本座長 そうですね、国際的なところの。
○吉本構成員 そうですね、「いおいて」は、「において」だろうと思われるという。
○山本座長 「において」ですね。
○吉本構成員 以上です。
○山本座長 ありがとうございます。そのほかいかがですか。
○園部構成員 確認です。その脚注の所に「予防的・先制的治療」と書いてありますが、むしろ単語で言うと「Treatment」と書いてあるので、Medicineではない、医療とは違う保健指導なども入ってくると受け止めていいのでしょうか。
○山本座長 当然、それも含めてでしょうね。だけれど、そうすると予防的・先制的医療でもいいのですかね。
○園部構成員 予防ということは、公衆衛生の方々のお仕事でもあるので、医療だけではない部分が入ってくるのだろうと思ってお伺いしました。
○山本座長 医療だけではない、治療だけではもっとないということですかね。治療よりも医療よりも、もう少し大きな予防的・先制的、しかし医療が抜けてしまうと、Treatmentの意味が抜けてしまいますから、分からなくなってしまうかな。どうでしょうね。
○佐々木がん・疾病対策課長 実際に、ここで用いられている趣旨に、園部構成員御指摘の保健指導が入るのであれば、例えば医師法の中での用例でも保健指導という、1条で、保健指導をもってという書き方をしているので、実際に保健指導を伴った中身であれば、ちょっと表現ぶりは工夫しますが、その趣旨は記載可能だと思っております。
○山本座長 なるほど。でも保健指導というのも一応、医療の中ですか。医療とは外して考えたほうがよろしいのですか。
○佐々木がん・疾病対策課長 医師法1条での書き方が、医師は、ちょっと治療か診療、どちらかはすぐには思い浮かばないのですけれども、「及び保健指導により」ということで、そこは並列の書き方をしております。
○山本座長 そうすると、予防的・先制的医療及び保健指導、保健的。
○佐々木がん・疾病対策課長 多分、言葉そのものが長くなるので、この脚注の中で反映させると。
○山本座長 それが入っているということでいいですかね。本文の中に突然下のほうに、1)と2)が入っているので、ここは「注」と言葉を入れたほうがいいのではないですか。
○佐々木がん・疾病対策課長 そうですね、そこは分かりました。
○山本座長 これは「注」だと。
○新井構成員 ……相談したのですけれども、この文章だと発症リスクが高い人と限定されていると、公衆衛生ともちょっと違うかなという感じが。ですから逆に言うと治療でいいのかなと。ある程度もう予見される臨床データがあった上での、この文章になっているような、発症リスクの高い人に対してということなので、ただコレステロールが高い人に何もまだ起きていないけれど、低下薬を飲ませるようなことをイメージしているのかなと思ったのですけれども、ここはどうなのですか。もうちょっと手前の所から介入するかということでしょうか。
○山本座長 でも、リスクがない方にまで全部やるのがいいのかというのは。
○新井構成員 そうですね。
○山本座長 ですから、ここはここでもいいのかな。
○園部構成員 実際に乳児湿疹がこじれたときに、アトピーか食アレかという診断を受けても、どちらかよく分からないままこじれていく患者さんたちが現実にはたくさんいる、その人たちもやはり救われる対象であってほしいと思います。
○山本座長 もちろんそうですね、ここは本文ではないので、なるべくこの言葉をさっと分かりやすく、全部ここで包含するのは無理だと思いますが、分かりやすい言葉で説明するというのが趣旨だと思いますので、どうしましょう、今回はこの所の治療というのは一応文中に入れるとして、予防的・先制的、ここは医療にして、保健指導は文中に入れるとして、そこでとどめておいていいですか。
もう1つの議論としては、「発症リスクが高い」という言葉を抜くかどうかですが、やはりリスクが高い方を。
○玉利構成員 それも大事ですし、全国民が恩恵を受けるような方策がいいかなとも思います。リスクを限定するのはまだ難しいかなと思いますので。
○山本座長 なるほど、では、これは別にここで。
○玉利構成員 抜かしてもいいのかなという気はいたしました。
○山本座長 抜かしても全然、いいということですね。ここでそれを強調するわけではないので。
○玉利構成員 はい。
○山本座長 それでは、ここは抜くということでいいですかね。そのほかに何か。私もちょっと読んでいて、我が国の問題点として、大きく3つ、横断的、垂直的、国際的というのが、なぜ。国際的は何となく分かるのですが、なぜ我が国の問題点なのだというのが分からない、批判的に読むとですが。恐らくこの横断的垂直的な問題というのは他の国にもあるのでしょうけれど、我が国で一応「見える化」というか、こうなっているのはやはり診療体制の問題であろうと思われます。国際的というのは、やはり地理的な問題があるだろうと。そこを入れるなら、診療体制の問題、地理的な問題などに起因する問題があってということを、我が国はこういう問題があると。別に我が国だけではないですが、そういうと特性が見えてくるということかなと思います。もし書き込めたら、そのように入れていただいて。
○吉本構成員 念のため、確認をよろしいですか。先ほどの予防的・先制的治療のところなのですが。
○山本座長 いや、そこは「医療」にすると。
○吉本構成員 これは「医療」にするということでよいと。
○山本座長 「医療」のほうが、「治療」よりは広いですよね。予防なのに治療なのかと言われると、確かに医療のほうがいいだろうと。このぐらいでよろしいでしょうか。このぐらいという言い方もおかしいけれど。
後でも出てくるのですが、ここで出てきたから触れますが、4ページの段落2の所の、我が国の研究で、乳児期からのアトピー性皮膚炎の治療の結果、卵アレルギーの発症が8割減少した等の報告、これ自体は間違いなくあるのでしょうが、例えばどういうスキンケアをしたという言葉を一言入れていただくと、理解がさっとできるとか、それから8割というのはどういうことなのか、このコホートの中では8割なのか、日本の中の卵アレルギーは全体8割で減ったわけではないので、この辺は正確に、行数は余り増やさないで、だけどこれがどういうことなのかというのが分かるようなことをちょっと書いていただくと、誤解が少ないかなと思います。では、このぐらいでよろしいでしょうか。どうもありがとうございます。
それでは、その次の10年のビジョンというのは、先ほども言いましたように最後に議論したいと思いますので、資料の6ページから8ページ、戦略1の「本態解明」について、事務局より説明をお願いします。
○貝沼がん・疾病対策課長補佐 それでは、資料1の6ページを御覧ください。3の戦略1、本態解明、(先制的治療等を目指す免疫アレルギーの本態解明に関する基盤研究)です。目標1として、「革新的な医療技術に基づく層別化医療及び予防的・先制的治療」の実現に向けて、基盤となる基礎研究・疫学研究・臨床研究を推進することで、免疫アレルギー疾患の根源的な本態解明を行い、患者数減少とQOL改善を目指すと示させていただきました。(1)免疫アレルギー疾患の多様性の理解と層別化に資する基盤研究としては、第1段落目の3行目ですが、遺伝学的・分子生物学的な解析を行い、詳細な病態を含めた総合的な観点から、患者を層別化し、最適な医療を導入していくことが求められている。つまり、こうした取組を通じて免疫アレルギー応答を「見える化」していくことが必要であると示させていただきました。
第2段落においては、層別化医療を進める上で必要となるデータベースや、バイオバンクの利活用について言及しております。
第3段落の5行目ですが、標準的な診療での治療が困難な場合は、層別化医療が必要となってくる場合も多く、このような病態の相違に対して、アレルギー免疫療法や開発が進んでいる抗体医薬等を組み合わせる治療法の検討及び臨床研究が必要である。それに続いて、共通の症状や病態を呈するモデル生物を利活用する研究のみならず、これまで本研究領域に関連していなかった基礎研究者なども含めた基盤的な基礎研究の推進も必要であると示させていただきました。
7ページ、(2)将来の予防的先制的治療の実用化を目指す研究開発の中では、前回まで次世代シーケンサーなどの言葉を用いておりましたが、その辺りは1段落目の2行目、医療技術の進歩により、個人の遺伝学的情報等が精密かつ迅速に分析され、原因や発症過程の一部については詳細に理解されつつあり、患者及び健常者の層別化が可能となったと示させていただきました。
この部分では、最後の部分ですが、こうした予防的先制的治療に資する研究を推進し、実際に発症や重症化を防ぐ方法を開発することが必要である。さらに、(1)の研究で層別化された対象となる集団を明らかにし、モデル生物等を用いたメカニズムの解析等も行う必要があると示させていただきました。
(3)免疫アレルギー疾患における宿主因子と外的因子の関係に着目した基盤研究では、1段落目の3行目ですが、こうした宿主因子・外的因子の相関は免疫アレルギー疾患の発症だけでなく、疾患自体の経過にも影響を与えると考えられているということを、前回の議論を踏まえて付け加えさせていただきました。
第2段落の3行目も、それに続くところですが、また免疫アレルギー疾患の経過自体を制御するためにも、新たな外的因子の同定や対処方法を検討していく必要がある。さらに、より簡便な環境要因の測定法の開発によって、環境モニタリングと適切な環境整備により、免疫アレルギー疾患の予防法や治療法を開発し、普及させる必要があると示させていただきました。
(4)臓器連関/異分野融合に関する免疫アレルギー研究開発のところでは、前回の御意見を踏まえて、最後のところですが、特に、これまで本領域以外と考えられていたような異分野との融合により免疫アレルギー研究の裾野を広げることが大切であると示させていただきました。以上でございます。
○山本座長 それでは、6~8ページの戦略1の所で追加すべき議論があれば、よろしくお願いいたします。ここで先ほども「見える化」で少し議論しましたけれども、(1)の第1パラグラフの最後の所ですが、アレルギー応答を「見える化」していくということで、ここが一番我々が言いたかったところであって、これで十分でしょうか。でも、いいですかね。これがストレートに、この反応自体を、応答を「見える化」するのだというところです。ほかにいかがでしょうか。
(2)の所でも、アトピー性皮膚炎の治療の結果、卵アレルギーの発症が8割減少したということが、先ほどと同じ表現が出てきますけれども、先ほどの表現に加えてならば、これはこれでよろしいと思います。玉利構成員、どうぞ。
○玉利構成員 この部分に関しては、アトピー性皮膚炎治療のもと、乳児期からの鶏卵の早期摂取によって卵アレルギーの発症が約8割減少ということだと思います。
○山本座長 アトピー性皮膚炎を治療しながら、早期から。
○玉利構成員 早期摂取によって。
○山本座長 抗原にチャレンジしているということですね。
○玉利構成員 ということですね。
○山本座長 では、そこのところは。それで8割というのは、そのコホートというか。
○玉利構成員 そうです。
○山本座長 そのグループが減った。
○玉利構成員 成育のお仕事と思います。
○松本構成員 介入研究ですね、コホートではなくて。
○山本座長 介入研究ですか。なるほど。
○松本構成員 ですので、皮膚をきれいに治した上で、2群に分けて、片方のグループは6か月から微量の加熱卵の経口摂取を開始してしまうということを行ったところ、コントロールが、要するに、始めなかったグループに比べて、早く離乳食を始めたほうが卵アレルギーが8割減ったという結果のようです。
○山本座長 その結果では、やはり原因というのは早期抗原にチャレンジしたということが重要であって。
○松本構成員 と皮膚を治したという、両方が必要ということです。
○山本座長 両群とも皮膚は治しているわけですよね。
○松本構成員 はい。
○山本座長 そうすると、皮膚を治している群だけの検討なので、治していない群は検討していないので、それが原因かどうか分からないということですね。
○松本構成員 はい。
○山本座長 これは誤解すると思うので、我々も全部知っていなければいけないのですが、すみません。だけれども、松本先生におっしゃっていただいて、ありがとうございます。この前後で、その上のパラグラフに、国際プロジェクトの現在進行中とか、それから、7ページの一番下のほうのパラグラフにも現在進行中が書いてありますが、これは実際に動いているという、大丈夫ですね。期待しているだけではなく。
○貝沼がん・疾病対策課長補佐 大丈夫でございます。
○山本座長 大丈夫。AMEDでとか何とかというのがあると、もう少し具体的に調べたりもできるのかもしれませんけれども、もし分かれば、ほかはどうでしょうか。
○吉本構成員 ここでも「「見える化」」がまた出てきたのですが、大事な言葉で繰り返されていくので、先ほども少しだけ議論がありましたが、「見える化」とはどういうことかというのを、できれば最初で一言、詳細な解明でもいいのですけれども、「見える化」という言葉としては分かりやすいようですけれども、具体的に何を示しているかというのがちょっとイメージしにくいので、私たちはこういうものを目指す。つまり「「見える化」」であるというのをどこかで1か所入れていただくのがいいのではないでしょうか。
○山本座長 それを「はじめに」の所で、病態の「見える化」、それと、発症予防・重症化の予防及び生活実態の「見える化」、そういうように一応書こうと。今は書いていないですけれども、書こうという。
○吉本構成員 はい、ただ「「見える化」」というのではなくて、「見える化」というのは、つまり、こういうことを解明することなのだと。その説明があったほうがいいのではないかと、見ながら思っていました。分かったような、分からないような気のまま先に進んでいってしまう感じがあります。
○山本座長 確かに国民みんながよく使っている言葉ではなくて、一部の人たちがずっと、ここ20年ぐらい使っている言葉ですよね。どうなのですか、ジャナリスティックな意味では、余り「見える化」というのは。
○吉本構成員 イメージとしては分かるのです、「見える化」は。ただ、アレルギーの文脈で「見える化」というのは何を示すのかなと立ち止まって考えたときに、ちょっと分かりにくいので。
○山本座長 アレルギー特異的な言葉ではないので、どこでも行政でも使っていますよね、「見える化」は。だから、そういう言葉として、どうなのでしょう、透明化なのか。
○佐々木がん・疾病対策課長 恐らく吉本構成員のおっしゃるのは、多分、「見える化」もこの文章の中でも何箇所か出てきている中で、違う意味で。例えば、実態を明らかにするというのと、メカニズムを明らかにするという場合でも、同じ「見える化」という言葉を使っていても意味合いが違うので、「見える化」は結局、今、できていない何がどうなることによって「見える化」という言葉を使っているのか、そこが分かるような言葉の補いが必要だということです。「見える化」という言葉はOKだけれども、何が達成されれば「見える化」と言えるのかということですよね。そこは、できるだけ。
○山本座長 そうしますかね。
○佐々木がん・疾病対策課長 はい。
○山本座長 そうすると、何か「見える化」を使う意味が全くなくなってしまうというか。
○吉本構成員 いや、そのようなことはないと思います。
○山本座長 「見える化」というのを象徴的に使って、これはみんなが了解しているワードということで、それを違う意味でも使っていくということにしたのですが、では、そこは丁寧に説明するということにしましょうか。
○吉本構成員 最初に概念的な定義というか、「見える化」で、こういうことを目指すのだと。つまり、「見える化」であるということが最初にうたわれていれば、あとでいろいろなところの「見える化」が出てきたときも、なるほどという感じになるのではないかと思います。
○山本座長 ありがとうございます。そうすると、「はじめに」の所できちんとやりますか。「はじめに」は、やはり重要ですよね。そうすると、「はじめに」の所で、先ほどのワンセンテンスを足すだけではなくて、もう少し、ここでの「見える化」はこういう形でこういうことであるということを2行ぐらい追加するということにしましょうか。そうすると、恐らく理解できるのではないかと。
○佐々木がん・疾病対策課長 1ページ目で書いて、各パートで出てきたときも、可能な限り、そこで使っている意味合いを補足的に書くということで対応したいと思います。
○山本座長 「はじめに」に入れてみて、くどくなったら後ろのほうに持っていくということにしましょうか。
○吉本構成員 そうですね。
○山本座長 重要な御指摘、ありがとうございます。ほかはどうでしょうか。
○新井構成員 今の点ですけれども、私の理解では、メカニズムのほうは科学的な話なので分かりやすい。ほかのものは要素を抽出して、それを数値化していくということが基本的に「見える化」ということかと理解していたのですけれども、そのようなことですよね。
○山本座長 方法論は余り詳しくは議論していないのですけれども、天谷先生が最初に言われたときは、例えば、アレルギー疾患の患者さんの数の減少というのを目標にするわけですが、アレルギー疾患の本当の定義というのは何かというのは分かっていないではないかと。そこをきちんと分からせるために「見える化」しようと、そういうことでしたね。だから、そこのところにはいろいろな数値も入ってくるでしょうし、患者さんの症状を数値化することもあるし、例えば遺伝子の動きを数値化することもあるのでしょう。そういうところを含めたものが「見える化」であるというところが一応の議論で、それを何で限定しようかという議論はしていなかったと思います。ですから、そういう意味では、サイエンティフィックな「見える化」と、それから、研究者が持っているサイエンティフィックなものを国民の方に知っていただく「見える化」と、今は2つの表現に、同じ「見える化」を使いながら言っているので、そこが分からなくなるというところについて吉本構成員からも指摘があったのです。そういう意味で2つあるということも言ってしまってもいいかもしれません。それが少しくどくなりすぎたらあれですけれども、できる限りそういう形でいきましょう。
次は、資料1の9~11ページの戦略2について、事務局よりお願いします。
○貝沼がん・疾病対策課長補佐 資料1の9ページ、4.戦略2です。社会の構築(免疫アレルギー研究の効果的な推進と社会の構築に関する横断研究)です。目標2として、国民一人一人の貢献を重要視し、国内外の産学官民のあらゆる力を結集して国際的な研究開発を進められる仕組みづくりを行い、かつ患者を含む国民が参画する研究成果の社会への効果的な還元を目指すと示しました。(1)臨床試験への患者・市民参画の推進に関する研究においては、2段落目の5行目の「このように」からですが、我が国においても、患者・市民が臨床試験等に主体的に参画する上で何が必要なのか、検討を行う必要がある。その上で、疾患の経過、治療効果に関する患者の全国調査や臨床検体の収集を行い、介入を伴う臨床試験等のデザイン、実施、報告書作成に対して、患者・市民の参加を進める必要がある。こうした経験を通じて、患者・市民の理解が深まり、より双方向性の研究推進が可能となり、その結果として、社会が医療を育てることにつながるものと考えられると記載させていただきました。
(2)免疫アレルギー研究におけるアンメットメディカルニーズ等の調査研究開発についてです。3行目、アンメットメディカルニーズについて、「未だに解決されていない医療に求められるニーズ」という形で示させていただきました。10ページの3行目、長期の疾患管理を必要とするなどの理由により、治療満足度や生活満足度が低いことが多い。さらに、医療に求められるニーズだけではなく、社会に対してのニーズ等も収集・評価も不十分であると書いております。次の行ですが、そのため、国民の理解が参画に基づいて疫学研究が実施され、遺伝学的要因・環境要因に関する情報収集と、患者ニーズの両者を包括的に調査・評価を行い、その上で患者ニーズの克服に重要な基礎研究及び臨床研究を実施する必要がある。さらに、それらの研究成果を社会実装していくための政策的な研究も必要となると記載させていただきました。
続く段落ですが、こちらも「見える化」に関するところですけれども、免疫アレルギー疾患の研究成果を評価することが難しい理由として、疾患活動性や生活満足度を客観的に評価する指標が乏しいということが指摘されている。今後の取組による効果を検証するためにも、疾患活動性や生活満足度を「見える化」する指標を創出する必要があると示させていただきました。
(3)免疫アレルギー研究に係る臨床研究基盤構築に関する開発研究の中では、2段落目ですが、こちらは先ほど図2の説明でもいたしましたように、我が国の免疫アレルギー疾患対策においては、平成29年7月に発出された「アレルギー疾患医療提供体制の在り方について」に沿って、各都道府県において、都道府県アレルギー疾患医療拠点病院の設置など、医療提供体制の整備が進められていると記載させていただきました。こういった体制を通じて、その段落の最後の行ですが、この拠点病院が連携することによって、全国的に有意義な調査研究及び臨床研究が可能となると示させていただきました。
(4)免疫アレルギー研究における国際連携、人材育成に関する基盤構築研究です。こちらのほうは、これまでの骨子案を基調にさせていただいております。1段落目の最後ですが、今後、国際競争力を高めるためには、年齢・性別・人種等の偏りなく国際的な研究者を国内で育成することが必要であり、こうした人材育成の基盤を構築することが必要となる。その上で、2段落目では、人材を育成するためにはどうすればいいのか。3段落目は、国際連携を進めるにはどうしたらいいのかといったことが記載されています。以上でございます。
○山本座長 それでは、今の9~11ページの所の戦略2、社会の構築について議論すべき部分があったら、よろしくお願いいたします。
○園部構成員 まず、(1)の見出しの所ですが、「臨床試験への患者・市民参画の推進に関する研究」という、このタイトルですと、患者は手段かと誤解されてしまう嫌いがあるので、内容は非常に重要なことを書いてくださっているので、タイトルを提案させていただきたいと思います。「患者・市民の参画を通じた患者ニーズに基づく双方向性の研究の推進」のような、ちょっと長くて、すみません。これを通じて何をしようとしているかタイトルを見ただけで分かるようにと思うと、「患者・市民の参画を通じた患者ニーズに基づく双方向性の研究の推進」という感じかなとちょっと思ったのですけれども、社会が医療を育てるというところにつながっていくということが感じられるようなタイトルにしていただけると有り難いと思います。
○山本座長 確かに、双方向性というのをきちんとタイトルに入れるといいですよね。ただ、ちょっと長いので、「双方向」を入れながら少し短くしてみてください。ほかにありますでしょうか。
この研究というのに当てはまるかどうか分かりませんが、患者・市民の参画の所の(1)の第3段落目で、食品関連をはじめとするいろいろな商品開発とかサービスと言っている中で、一部に不適切な情報があってとありますが。こういうことに対して、例えばチェック機構をどうするか、これは行政的になってしまいますけれども、こういうのがあると言っているだけで終わってしまっているので、正しい情報の発信に努める必要があるとは言っていますけれども、逆に、不適切な情報というのはそのまま置いておけばいいというものでもないので、これに対しては、できたら積極的に訂正するというか、やはりおかしいと思ったら、おかしいというような体制をつくったほうがいいと思います。
○園部構成員 食品安全情報のシステムの中でも、やはり間違ったものは間違っているというように明記されて、そういう情報を確認できるのは非常に有り難いので、やっていただけたらうれしいです。
○山本座長 そうですね。ちょっと行政的になってしまうので、余りここで書きすぎると問題になってしまうけれども、でも、悪いものは悪いと分かるようなシステムを作るということを少しでも書けたら、いいという気がします。ほかはどうでしょうか。
アンメットメディカルニーズは、いい言葉で書いてくれましたね、これは。これで分かるように思います。再び、ここで「見える化」の違う意味、すなわち、患活動性や生活満足度の「見える化」と、ちょっとこれも違う。これも研究の非常にいい資料になるわけですけれども、どうですか。園部構成員、どうぞ。
○園部構成員 長期の疾患管理を必要とするのがアレルギー疾患なのですが、世間一般では、アレルギーが慢性疾患であるという認識がなくて、良くなると薬をすぐにやめてしまうところがあるので、その辺のことを含めて研究していただいて、どう啓発していったらいいかということにつなげていただけると有り難いです。
○山本座長 先ほどのは言い過ぎたかもしれませんけれども、啓発活動になってくると、少しまた社会的なことになってくるので、研究だけの範囲ではないのですが、確かに国民の、十分な理解でないということは問題ですね。だから、「見える化」を含めてそれを発信していくということだと思います。書き込めるところがあったら、そのように検討してください。
○佐々木がん・疾病対策課長 よろしいですか。先ほどの吉本構成員の御指摘の確認の意味も兼ねますが、先ほど山本座長に言及していただいた10ページの「また」の段落の3行目の「検証するためにも疾患活動性や生活満足度を「見える化」する」、ここの間に、疾患活動性や生活満足度に関してうんぬんすることにより「見える化」と、そういう「見える化」が何かということが分かるようにということですか。
○山本座長 そうですね。ここで数値化としてしまうと、一方向だけになってしまうので。
○吉本構成員 ここの段落は、余り何を意味するか分からないということはないと思います。事前に説明もあるので。把握する手段が今までないから、それを「見える化」するのだと。把握する手段をつくるのだということが読めるので。ほかのところでは突然「見える化」という言葉が出てくるので、「見える化」とは何だろうと、立ち止まってしまうということがあると。だから、もう少し大きな広い意味でもいいのですけれども、今までつかみどころがないものを目に見えるようにする、要するに数値化などで目に見えるようにするといった例示をして、その「見える化」を目指すのだというような概念の規定をしていただければ、後を読み進んでいきやすいのではないかと。
○佐々木がん・疾病対策課長 分かりました。
○山本座長 ここは疾患活動性や生活満足度を十分に把握し、それを「見える化」するとかというように言うと、しつこいですかね。
○吉本構成員 丁寧に言うのであれば、それはいいと思います。ここは事前に前提があるので。
○山本座長 分かるということですね。
○吉本構成員 はい。
○山本座長 分かりました。ここに限らず、そこのところを少し追加していただくということですね。ほかはどうでしょうか。
○吉本構成員 もう1つは、それの少し上で、10ページの1段落目の最後の終わりのほうに、「患者ニーズの克服」という言葉があるのですが、ニーズは一般に満たすことを目指すので、「克服」は、もしかしたら反対の意味に理解されてしまうかもしれないので、検討が必要かと思いました。
○山本座長 なるほど。ここをアンメットにすればいいのですか。アンメットニーズを克服する。それもおかしいかな。
○佐々木がん・疾病対策課長 今のは確かに。その上で、「患者ニーズの充足」で確かに置き換えられます。この場合のニーズは「満たす」でしょうか。
○山本座長 「満たす」でいいですね、普通に。
○佐々木がん・疾病対策課長 それを漢字で、文字にすると「充足」。
○山本座長 はい。では、「満たす」にしましょう。ありがとうございます。ほかはどうでしょうか。
これは、くだらないことですが、11ページの国際連携の所の一番最後の段落ですが、国際会議における共催シンポジウムの開催というのが、共催というのは、では、厚労省が共催すると書くのか、「共催」はどういう意味ですか。分からないですね。主催でもいいわけだし、だから、ここは、もう切って。国際医学会におけるシンポジウムだけだと何のことだか分からないから共催と書いたのかな。でも、共催の意味も余りないですよね。正確には、これは取ってしまったほうがいい。「国際医学会におけるシンポジウム等の開催」でよろしいと思います。ほかにどうでしょうか。
○新井構成員 先ほど10ページ目の上のほうの「また」の所で、疾患活動性というのは、ちょっと素人には分かりにくい言葉かと思ったのですが。
○山本座長 疾患活動性は、これよりも前に出てきていますけれども。
○新井構成員 はい。
○玉利構成員 症状としたほうが分かりやすいです。
○新井構成員 それだったら問題なくて、分かりやすいですね。
○山本座長 ただ疾患活動性が正確に把握できないから「見える化」するということもあるのですよね。疾患が活動して、症状と疾患が1対1対応しないということもあって、その本体を解明するために戦略1があるというところではあるので。
○玉利構成員 出てこないような症状をきちんと活動性として捉えて治していくということが非常に重要ではあるので、「活動性」というのが一番正確に表現しているかもしれません。
○山本座長 そこがやはり疾患も正確には把握できていないし、病態も把握できていないし、最終的な症状もなかなか難しいという中での「見える化」というところがあるので、疾患活動性を一言で定義ということは、なかなかここでは難しいかもしれません。そこのところも、一番始めの所で、もし書けたら。
○佐々木がん・疾病対策課長 初出が5ページの、まだ議論前ですが、図の上のほうが初出の場所なので、いずれにせよ、この検討会を通してずっと指摘されているのが、言葉が分からないのが多いということからすると、言葉の定義はできるだけこまめにしようと思います。
○山本座長 そうですね、疾患活動性というのは、最初に出てきた所を、今ここで探すのは難しいですが、探して、そこのところで、なるべくそこを分かりやすいように説明しましょう。園部構成員、どうぞ。
○園部構成員 10ページの下のほうですが、拠点病院が各自治体で決められて、ここが疫学調査等の協力をしていく、全国的なきちんとした疫学調査をしていくということなのですが、往々にして、院長が代わるたびに、又は専門医の先生が移動されるたびに、その病院の力が落ちてしまうと、これが継続不可能になってしまうので、定期的に拠点病院がきちんと機能できるかどうかの評価体制みたいなのはどこで検討されるのでしょうか。
○貝沼がん・疾病対策課長補佐 そちらについては、平成29年7月に発出させていただきました医療提供体制の報告書の中にも、これらの拠点病院を評価するシステムについて検討を進めると書いてありましたので、今日の議論とは別の所でお願いしたいと思います。
○山本座長 研究を支える重要なところではあるけれども、それは別の体制でいっているということですね。ありがとうございます。よろしいでしょうか。では、「見える化」も含めて、ここのところでは、このようにしたいと思います。
次に、資料12~14ページ、戦略3の「疾患の特性」について、事務局からお願いします。
○貝沼がん・疾病対策課長補佐 資料1の12ページを御覧ください。5の戦略3は、疾患特性(ライフステージ等免疫アレルギー疾患の特性に注目した重点研究)です。目標3として、ライフステージ等の疾患特性に応じた医療の最適化や、一部の重症免疫アレルギー疾患における「防ぎ得る死」をゼロにするために、各疾患の特性に基づく予防法や治療法を、広く社会に普及させることを目指すと示させていただきました。
(1)母子関連を含めた小児及び移行期の免疫アレルギー疾患研究です。第1段落目は、基本的なことが書いてあります。第2段落目は、こうした状況において、既存又は新規のコホート研究のデータ・サンプルを活用し、免疫アレルギー疾患の発症に関与する遺伝学的要因及び環境要因を可能な限り、母体情報を含めて統合的に解析する研究と、適切なモデル生物等を用いた病態解明研究を並行して推進する。さらに、それらの情報を基に抽出された発症リスクが高い親子を対象として、前向き介入研究を推進する。その上で、研究成果から生活の中で実施可能な免疫アレルギー疾患の発症予防・重症化予防及び症状の軽減についての教育資材等を開発し、社会全体に普及させることで国民全体の免疫アレルギー疾患の有症率低下につなげる必要があると示させていただきました。
(2)高齢者を含めた成人発症免疫アレルギー疾患研究においては、第1段落の5行目からですが、小児に比較して成人で重症化や致死性が高まること、再燃を繰り返すといった特徴を持つことからも対策が必要である。加齢や老化に関する研究は国内外で推進されているものの、成人発症アレルギーを包括的に解析した検討は、国内外を問わず少ないために今後取り組む必要があると示させていただきました。
(3)重症・難治性・治療抵抗性の免疫アレルギー疾患研究です。最初の段落では、まず重症・難治性・治療抵抗性に至る前に何をすべきかということが書いてあります。多くの免疫アレルギー疾患は、発症前や発症初期において、科学的知見に基づく適切な予防や医療を受けることで、発症及び重症化を防ぐことが可能であるが、適切な医療や情報を得ることができないことにより、難治性・治療抵抗性に至る例が少なからず存在する。標準的医療の普及や教育資材での啓発を通じて、発症予防・重症化予防を進めていく必要があると記載しました。その後に、例えば、重症化予防という点では、気管支喘息において、気道のリモデリングと呼ばれる非可逆的な構造変化によってという例示をしております。第2段落では、食物や蜂、薬剤などに対するアナフィラキシーにおいては、急速かつ重篤な症状を来たし、死に至ることも希ではない。また、アナフィラキシーでなくても重篤な症状を呈するアレルギーは社会問題となっており、薬剤性過敏症症候群や中毒性表皮壊死症といった一部の薬剤アレルギーは、高い致死率を有する疾患として知られていると示させていただきました。
4段落目です。こうした状況に対して、長期的な重症・難治性・治療抵抗性の免疫アレルギー疾患における病態解析及びその病態が各ライフステージに与える影響などは、これまでに評価されていない。また、予防可能な併発病変の解明と治療薬の長期使用による影響を評価していくことも必要であると示させていただきました。2行飛んで、致死的な経過を辿る一部の重症免疫アレルギー疾患に対しては、救急科、麻酔科など関連する診療科との連携や、発症機序に関する解析なども行い、「防ぎ得る死」をゼロにするための方針とその具体化が必要であると示させていただきました。
5段落目においては、現在開発が進められている抗体医薬について記載してあります。抗体医薬については、医療費の観点からも、効果や副作用などを詳細に検討し、効果判定可能な予測方法の確立や重症例に複数の抗体薬を併用するランダム化比較試験などを既存基盤や企業連携の下に実施し、適切な患者に適切な薬剤が用いられるようにすることが必要であると示させていただきました。
次のページです。(4)希少疾患と関連する免疫アレルギー疾患研究です。こちらについては、これまでの成果を踏まえて3行目で、厚生労働省や医薬医療機器総合機構においても、早期の実用化が可能となるよう、承認審査制度での対応を進めている。また、PMDAの枠組みづくりなどについて示させていただいております。
2段落目においては、希少疾患領域における診断等の方法についての現状を少し記載させていただきました。希少疾患領域においては、診断がつかない患者に対して遺伝子診断などにより希少疾患や、これまでに知られていない新しい疾患を診断することを目的とした未診断疾患イニシアチブというAMEDの取組を示しています。
3段落目です。こうした状況において、研究者、企業、開発推進者などが連携し、希少疾患領域での検討を含め、現在の研究開発状況を整理することが必要である。その中で、特に、単一遺伝子変異に起因する希少疾患の中には、免疫アレルギー疾患症状を呈するものがあり、その遺伝子の機能や病態の解析をすることによって、免疫アレルギー疾患の治療対象となる分子が判明する可能性がある。その遺伝子変異を持つモデル生物などを用いて、新規の創薬につなげることも期待できると示させていただきました。以上です。
○山本座長 少し長いですけれども、12ページから14ページの「戦略3」について議論すべき点がありましたらお願いいたします。
○園部構成員 (1)の一番下のほうの「その上で」という所からです。「研究成果から生活の中で実施可能な免疫アレルギー疾患の発症予防・重症化予防及び症状の軽減についての教育資材等」を開発していただくのは非常に有り難いです。社会全体に普及させるためには、提案なのですが、ここに成果を普及させる意味で、そして政策的な方向を示す意味で是非、「母子保健、健康増進等公衆衛生の取組を通じて」と。誰がやるのか期待されるところも、具体的に政策が推進していけるように一言盛り込んでいただくといいのかと思いました。
○山本座長 一番最後の(1)の最後の段落ですね。
○園部構成員 一番最後の下から2行目の「開発し」の後に、「母子保健、健康増進等公衆衛生の取組を通じて」という言葉が入ると、より分かりやすいかと思いました。
○山本座長 なるほど。それは入れても全然、大丈夫ですよね。母子保健と何でしたっけ。
○園部構成員 「母子保健と、健康増進等の公衆衛生」なのかなと思ったのです。ここはお任せします。「適切な所が取り組んで普及させる」と書いていただくと、(3)の上の所で、やはり「標準的医療の普及や、教育資材での啓発」と。ホームページができても、普及する人がいないと広がっていかないので、ここも実際に担い手は誰なのかと思うと、こういう情報提供をするのは母子保健や健康増進の方々、公衆衛生に関わる方々が担い手になっていくのかなと思いました。
○山本座長 研究をした結果としての社会への還元ですので、どこまで書けるかは、既に発しているものとのバランスがありますので、そこを見ながら考えていただいて文章を作っていただきたいと思います。その他にはいかがでしょうか。
○松本構成員 13ページの(3)の重症・難治性・抵抗性の免疫アレルギー疾患の最初の行です。「多くの免疫アレルギー疾患は、適切な予防や医療で発症及び重症化を防ぐことが可能である」と書いてあります。少なくとも、これは多くのアレルギー疾患ではない。現在、発症予防ができるというエビデンスがあるのは、アトピー性皮膚炎が30%減るというのと、食物アレルギーの中のピーナツアレルギーと卵アレルギーのみであります。他のものに関しては全くないと理解しております。また、発症初期からの、喘息に対する吸入ステロイドの長期治療が予後を変えるという方法もありますが、11年後にもう一回調べたら何も効いていなかったと。これは、11年後には早期介入の効果はなくなったというのが既に出ています。ですから、ここの文章はミスリーディングを誘導する気がいたします。
○山本座長 そうですね。
○松本構成員 最初の「多くの」は「一部の」だと思います。「一部の免疫アレルギー疾患は」、次の行で「発症及び重症化を防ぐことが可能であるが、発症は完全には予防できない。また、適切な医療の状況にもより」と。「発症及び重症化を防ぐことは可能であるが」の後に、「発症を完全に防ぐことは、まだできない」と書くべきだと思います。
○山本座長 発症を防ぐことが目標なのでしょうけれども、ここで書きすぎてしまって、現時点でこうだということになってくると、それでは医療体制がおかしいだろうということになってしまいますので、ここで多くのものがこうだと書くのはちょっとミスリーディングであるというのは確かにそうですね。
だけど最後には、一部の疾患でこうであることを、なるべく多くの疾患に持っていきたいと書かないと、研究としては不完全になってしまいますので、是非そこまで持っていっていただきたいと思います。このパラグラフの中で書けると思いますので、是非それをお願いします。御指摘をありがとうございました。
○松本構成員 もう1つは、4つ目のパラグラフの、「こうした状況に対して、長期的な重症・難治性・治療抵抗性の免疫アレルギー疾患における病態解析及びその病態が各ライフステージに与える影響」また、「予防可能な併発病態の解明と治療薬の長期使用による影響」とあります。この「長期治療」というのを、是非とも枠を広げてほしいと思います。何を言いたいかというと、生物学的製剤は、現在は重症の病態に対して症状の軽減を目的として使われるということですが、将来的には喘息を含めてアレルギー疾患の自然歴というか、経過自体を変える可能性があるものだと思いますので、そういうものを長期使用する患者さんに対しては、実際に長期使用が副作用どうとかではなくて、逆に今度は、次のアレルギー疾患へのマーチを防ぐというような観点での経過を見るというようなことができれば是非ともしてもらいたいと思います。もちろん全例で可能ではないと思いますが。その意味で、ここの治療薬の所に、括弧でもいいのですが、治療薬、特に生物学的製剤の長期使用ということをできれば書き込んでいただきたいと思います。
○山本座長 なるほど。ここでは「生物学的製剤の抗体医薬」が後段に来ているので、これを前に持っていくのは難しいので、できれば、後段の「抗体医薬については」というところに、「現在開発を進められている抗体医薬については」というところで、ランダム化比較試験で用いられるようにすることと、それから長期使用によって疾患の克服が可能になるかどうかのところまで行けるかどうかというところを、書くとしたら、ここで書いたほうがいいかもしれませんね。
○松本構成員 はい。
○山本座長 アレルギー疾患に使うということは、経済的に大丈夫かどうかというのはありますので、余り抗体医薬を長期に多くの患者さんに使うというのは難しいと思います。ただ、ここは研究の段階での方向性ですから、確かにそれはあり得るかもしれません。リウマチ性疾患では自然歴を変えることは難しいと言われていますけれども、アレルギーだと可能かもしれませんので、それは疾患ごとに違う特性があると思うので、チャレンジする可能性はあると思います。余り書きすぎるといけないので、この抗体医薬のところについて、長期使用での予防調査とか、その辺のところを少し書いていただくのはいいかと思います。
○佐々木がん・疾病対策課長 今のは、13ページの一番下の段落の「また」から始まる所で、「また現在開発が進められる抗体医薬については」の締めの部分に当たる下から2行目からの、「適切な患者に適切な薬剤が適切な使用法で用いられる」ということなのですか。つまり、必要であれば投与期間も長くなるわけですし、そうでなかったら当然使わないということに向けて、単にこれだと、患者さんと薬のことだけなので、加えて「適切な使用法で」ということで松本構成員の指摘を受けられるのかと思いましたけれども、そういう趣旨で、座長、松本構成員、よろしいのでしょうか。
○山本座長 そこの「適切な使用」という所を、「治療を目指せる使用」とか何かに少しチャレンジングしてみますか。「長期」という言葉を入れてしまうと、「長期」という言葉が独り歩きしてしまう。だけれども、自然歴を変えることができるということは、疾患治療では、ものすごく重要なので。
○佐々木がん・疾病対策課長 ある意味で、その研究なり開発を進めた結果、長期使用が妥当ということなので、今の段階で本当に長期が良いかというのは、まだ結論が出ていないのです。
○山本座長 そうなのです。だから、長期というのが目標ではなくて、自然歴を変えるというか、究極的には治癒まで持っていけるかどうかというのが重要な点で、一般的に膠原病は現時点の治療では治癒に持っていけないというように今は考えているのですけれども、アレルギーではそれが持っていける、あるいは持っていけるかもしれないというのが、期待としてはあって、それを生物製剤に求めることは不可能ではないかもしれない。だから、「長期」という言葉よりも、「治癒まで持っていけるかどうか」という言葉を少しここに入れるのか、入れてもいいかもしれない。「治癒まで持っていけるための適切な使用」とか、どうでしょうか。
○玉利構成員 「治癒まで」は、やはり、私も、自己免疫疾患と同じような感覚です。環境が病因というか、環境がかなり影響しますので再発もあり、アレルギー疾患で治癒と言い切るのは難しいのかなという気がしています。
○松本構成員 治癒というより、具体的に言うとアトピー性皮膚炎の重症の方に現在、IL-13とIL-4をブロックするデュピルマブの使用が承認されました。例えばあれを使った人が、その後アレルギーマーチの喘息の発症が防げるみたいなことが恐らく可能性として見えるのではないかと思うのです。そのようなことは、ある程度そういうことを考えて経過を見なければいけないと。
○山本座長 治癒という言葉はちょっと言いすぎだけれども、重症化を防ぐとか。
○松本構成員 はい。他のアレルギーにマーチというのが。
○山本座長 アレルギーマーチを防ぐとか。
○松本構成員 はい。そういう意味で自然歴が変わるかもしれない。自然経過が変わるかもしれないという意味でお話しました。ですから、アトピー性皮膚炎がそれだけで完全に治るというのは、ちょっと夢物語だと思うのですが。
○山本座長 そうなのです。入れれば効くという薬は結構あるけれども、やめたらまた戻るという、この「いたちごっこ」を断ち切るというのが次のステップとしては重要なのです。それで「自然歴を変える」という言葉はちょっと聞き慣れない言葉かもしれないけれども、我々としては重要な表現なのです。だから、薬を使わなくても、結局同じだった、というところまで戻ってはいけないので、薬を使ったために良い方向に何とか持っていくというのはものすごく重要なので、そこを書き込みたいと。でも、書くとすれば、この抗体医薬の所が一番、現在の期待が持てるところなのです。ここは、どのぐらいまで書けるかを検討するということでよろしいでしょうか。
○松本構成員 はい。
○山本座長 大事な御指摘をありがとうございました。言葉の問題になってしまいますけれども、(3)の食物、蜂、薬剤等のアナフィラキシーではないかというところの3行目で、薬剤性過敏症症候群と中毒性表皮壊死症の2つですけれども、一応これにはスティーブンス・ジョンソンが抜けていますが、確かに外国語をここで入れるのが適切かどうか。3大重症薬疹というのがあって、1個ないではないかと言われるかもしれませんけれども、教科書ではないから、いいですか。もう一つ急性汎発性発疹性膿疱症もあるので、「等」と入れておけばいいのかもしれませんけれども。
○山本座長 「等」でいいですかね。「中毒性表皮壊死症等の一部の」にしましょう。ここでは、13ページの下から2段落目の「防ぎ得る死」という言葉についてですが、最初は「防ぎ得た死」となっていましたけれども、それを「防ぎ得る死」というように、少しポジティブに予感を含めてこの言葉にしたということですが、それでよろしいかどうかというところです。「防ぎ得た死」というよりは、「防ぎ得る死」にしたほうがよいですよね。この検討会としては、この言葉を使っていくということで、ありがとうございます。
その他にありますか。いつでも、また元に戻ってできますので、ここで5ページに戻って「10年後のビジョン」について事務局より説明をお願いします。
○貝沼がん・疾病対策課長補佐 資料1の5ページを御確認ください。2「10年後のビジョンとそれらの達成に求められる3つの戦略と目標(図3)」のところです。この中で10年後に目指すべきビジョンの文章を御紹介させていただきます。産学官民の連携に基づいて、免疫アレルギー疾患に対して「発症予防・重症化予防によるQOL改善」と、「防ぎ得る死の根絶」のために、「疾患活動性の見える化」や、「層別化医療及び予防的先制的治療の実現等に資する医薬品や医療機器の研究開発」を通じて、ライフステージに応じて、安全して生活できる社会を構築すると示させていただきました。
その下の図3は、前回提示させていただきました図から文章を変えているだけです。今回の議論に基づいて、また修正を加えていきたいと思います。以上です。
○山本座長 ここのところは短いですけれども、これの議論をよろしくお願いいたします。10年後に目指すものは、なるべくここに全部入れたいと思います。ここに「疾患活動性の「見える化」」というのが出てきて、ここでは「見える化」がここだけになってしまっていますけれども、もう少し市民への啓発も入れますか。市民へのアレルギー病態の「見える化」、というような形を入れるのならここで入れてもいい。「見える化」はこっちが主だという意味ではこのままでもいいかなという気がします。ここは全体の集約ですので、10年後はここを目指すのだというところに、これは欠けていたと言うとあれですけれども。先ほどの治癒とまではいかないけれども、「自然歴を変えられる」とか、何かの言葉を入れますか。ちょっと説明が難しくなりますかね。
○玉利構成員 そうですね、10年でできるかっていうことですね。
○山本座長 まあまあそうですね。治癒ではないけれども、自然歴を変えるということぐらいまではできる可能性は多くあるのではないか。特に、アトピー性皮膚炎のバイオなどは恐らくいくのではないかという気がしますが。でも、確かに書きすぎてはいけないので、どうでしょうか。これは、このぐらいで10年としては十分かなという考え方もありますね。「見える化」も、ほどほど、このぐらいの「見える化」でよろしいですかね。ここではこうだと。ちゃんと他で書いてありますので。
○松本構成員 「層別化医療及び予防的先制的治療の実現等に資する医薬品や医療機器の研究開発」という、ここがメインになってしまうとか、新たな薬を創る、あるいは機械を作ることがメインになるように読めてしまうのです。もちろん、これも1つの手段かもしれませんが、これでないこともあるのではないかと思うのです。医薬品などの研究開発。
○山本座長 環境の。
○松本構成員 研究開発。
○山本座長 「環境因子の改善」ですか。
○松本構成員 ちょっと待ってください。
○玉利構成員 今ある治療法を工夫するというようなこともあるということですね。
○松本構成員 あるいは、もしかしたら何らかの環境の介入だけではなくて保健介入かもしれません。ですから、この研究開発というのが薬だけに限らないようにするために、例えば「基礎研究」なり何なりというようなことを入れてもらったほうが分かりやすいかなと。「研究開発、基礎研究」とか。
○山本座長 「基礎研究」は、入れるとすれば、「疾患活動性」の前に入れてということになると思います。
○松本構成員 はい。
○佐々木がん・疾病対策課長 先ほどの御指摘を頂きまして、確かに「層別化医療及び予防的先制的治療の実現等に資する医薬品や医療機器の研究開発」の中で、先ほど一番最初に「予防的先制的治療」というものの定義の話の中で、環境を含めた話だったり、公衆衛生的なものを含むというお話を頂戴しましたので、ここは「実現を通じて」というのでいいのかと思ったのですが、いかがでしょうか。
○山本座長 もう一度お願いします。
○佐々木がん・疾病対策課長 「に資する医薬品や医療機器の研究開発」というのは落として、「層別化医療及び予防的先制的治療の実現を通じて」というのではいかがでしょうか。
○山本座長 そこで切ってしまうわけね。
○佐々木がん・疾病対策課長 それをするには、もう1つの「見える化」という言葉をここに付け加えるというのも1つの方法かと思いましたが、いかがでしょうか。
○山本座長 もう「予防的先制的医療の実現」と書いてあるのだから、「医薬品」など書かなくてもいいだろうということですね。
○佐々木がん・疾病対策課長 そうです。
○山本座長 もう1つの「見える化」、要するに、市民への還元をここで書くということですね、それも1つかもしれません。そういう形で書いてみて、どうなのかを見てみましょう。その他にはどうでしょうか。10年後を目指すべきビジョンですのでね。それでは、また最後に振り返ってもいいので、ここはこれにしておいて、次に、また進んでいただいて15ページの「おわりに」を事務局からお願いします。
○貝沼がん・疾病対策課長補佐 資料1の15ページを御覧ください。Ⅳ「おわりに」です。今回策定した10か年戦略は、各研究において得られた成果を臨床現場に届けるには、一定期間が必要となる。10年という長期間の中で、その進捗状況や、国内外の免疫アレルギー研究の全体像や、患者をはじめとする国民のニーズ等を正確に継続的に把握し、10か年戦略の中間評価と見直しを行うことで持続性を担保することが必要である。
ライフサイエンス立国を目指す我が国の10年後を見据えたビジョン及び目標と戦略は、免疫アレルギー疾患に悩む患者だけでなく全疾患領域、さらには全国民に貢献し得るものと考えている。今後、産学官民が一体となり、免疫アレルギーの本態解明や疾患特性に着目した研究を推進させ、疫学研究、基礎研究、治療開発及び臨床研究が有機的に結びつき、エビデンスを有する研究成果等が社会実装し、免疫アレルギー疾患に対して、安心して生活できる社会の構築が総合的かつ計画的に推進されることが必要であると示させていただきました。以上です。
○山本座長 ここも、先ほどの10年後のビジョンだけでなくて、「おわりに」ですから、これも重要ですね。どうでしょうか。言葉だけですけれども、最後から3行目の「エビデンスを有する研究成果等が社会実装し」というのは、「社会実装され」ですね。やはり、主語は我々ですから「され」と。英語だと「implementation」ですね。だからまあ、いいでしょうね、「され」。ここは、余り文章をぐちゅぐちゅ書いても、これだけ完成した言葉であるから、良いとは思いますけれども、どうですかね。ただ、この言葉は入れてほしいというのがあれば。まだ時間はありますので、もしお気付きがあればと思います。
最後に、このキャッチフレーズをどうするかということで、一番最初のページに戻っていただいて、事務局より説明をお願いします。
○貝沼がん・疾病対策課長補佐 資料1の表紙です。私ども、前回、天谷構成員から本検討会報告書のキャッチフレーズを定めると、国民の皆様が、この報告書をより読んでくれるのではないかという御発言を頂きました。私どものほうで、これまでの議論を拝聴させていただく中で、今回も先ほどから様々議論されておりますが、この「見える化」というフレーズを出していければと考えております。その中で非常に簡単に、免疫アレルギー疾患の「見える化」と書いているところですが、こちらについて御議論を頂ければと思います。
○山本座長 今まで議論をしてきた後にこれを読むと、「見える化」の重さが分かってくるので、なんとなくしっくりするのですが、最初にこれを見ると、免疫アレルギー疾患の「見える化」だけだと、10年かかって「見える化」にするのかと言われてしまう。それは誤解ですと、ちゃんと説明すればいいのだけれども、この表紙に書いてある言葉ですので、そういう意味で、市民に対して今、分かっているアレルギーについてきちっと分かっていただくということをするというのはものすごく重要なことなのですが、それをやるのなら10年は要らないだろう、もっと早くやれということにもなります。
それは重要なのだけれども、もっと難しいものがあって、それはアレルギー疾患を我々としてきちっと把握する。病因を把握し、活動性を把握しということをして、それによってということで、キャッチフレーズを入れるとしたらそこまでしないと、何かキャッチフレーズだけが独り歩きすると、ちょっとという気はします。
ここで「免疫アレルギー」というのが最初にありますので、「免疫アレルギー疾患の「見える化」」をこのまま使うとすれば、「を通した明確な制御」とか、そういうところまで、要するに治療のところまで行くのだぞと。市民に分かってもらうだけが「見える化」ではないぞというところを明らかにしたいなというのが感想です。
どうでしょうか。いやいや、キャッチフレーズはもっと簡単なほうがいいというのは確かです。これだったら初めのほうに移してもいいぐらいのことですけれども、そうするとキャッチフレーズが長くなってしまいます。キャッチフレーズが必要かという議論もあるのですけれども、あったほうが確かに、何をやりたいかということがよく分かるので、それこそ、この報告書の「見える化」です。そうだからこそ、誤解は避けたほうがいい。
○玉利構成員 先ほど佐々木課長がおっしゃったような、病態と実態という2点を入れるのも1つの手かと思います。
○山本座長 病態と実態ですか。
○玉利構成員 はい。
○山本座長 アレルギー疾患の病態と実態の「見える化」。
○玉利構成員 はい。簡単にという観点からは離れてしまいます。簡単なほうだと、「見える化」を通した、安心して暮らせる社会の実現とか、そちらの方が簡単に寄る方向かと思います。なかなか一長一短があり難しいと思います。
○山本座長 疾患の制御まで入れなくても、もっと、それを包含した安心できる社会の実現。
○玉利構成員 簡単なほうに行くなら。
○山本座長 うん、確かに。
○新井構成員 「見える化」は良い言葉なのですけれども、実態の把握というイメージで、治療法の向上というイメージは余り伝わってこないかなという感じがするのです。
○園部構成員 10年後のアレルギー患者さんの希望的イメージは、アレルギー体質があっても、必要な治療や情報を入手して、コントロール良好に社会で十分活躍できる人材でありたいと思うと、その辺を考えながらテーマを考えたらいいのかなと思います。希望が持てる。ここの動きを見ていくと、どんどん病態改善が進んで、治療法もどんどん進歩していくのだという希望が持てるようなタイトルが出てくるといいなと思います。
○山本座長 これは、研究者をどうするかということが主なので、そこに希望と入れてしまうと、ちょっと言い過ぎてしまう。それは、もちろん研究者の最終的な希望でもあって、社会全体がアレルギーをコントロールできる。なくせばいいのだけれども、コントロールできるというのがあったらいいなというのを夢見ながらなのだけれども、ここに入れてしまうと、だから、少なくとも「見える化」というのは、これが1つの手段であって、最終的には、より良い社会の実現でもいいし、アレルギー疾患のコントロールでもいいし、ちょっと制圧はきついので制御でもいいし、そういう何かの結果を、このキャッチフレーズの中に入れたほうがいいと思います。
もちろん最終的には、事務局と座長と副座長ぐらいで責任を持ちますけれども、構成員の先生方の御意見で、キャッチフレーズですから、なるべく皆さんの御意見があったほうがいいので、今の議論を基に、こういうキャッチフレーズがいいというものがあったら、ここ1週間ぐらいオープンにしておくということにしますか。
○佐々木がん・疾病対策課長 ここまで出かかっているという感じですね。
○山本座長 ここまで出かかっているけれども、やはり自分で書いてみて、これだという一発を入れていただいてもいいのですけれども。
○吉本構成員 短いのができないのですけれども、今のお話を聞いて自分でも考えると、「見える化」というのは手段であるというわけですよね。
○山本座長 そうです。
○吉本構成員 そうすると、アレルギーの「見える化」を通じた、アレルギーについて安心できる社会の実現だということですよね。
○山本座長 そうです。
○吉本構成員 ちょっと、アレルギーが重なるとか、言葉使いの技術的な問題があるので。
○山本座長 最終的に、社会の実現というように持っていったほうがいいのか、もう少し病態の制御というように少し狭くしてしまうのかなのです。社会的な方策については別に既に発出したものがあるので、それとの兼ね合いがあります。ここは研究ということだったら、やはり疾患の制御というのも1つの書きぶりではあります。でも、やはり最終的には社会の実現というのはやはり大きい、そういう意味では、そちらのほうが大きいですね。キャッチフレーズですので、本日お帰りになる電車の中で、ふっとひらめくかもしれませんが、今の大体の方向性としてはこういうことなので、言葉の組み合わせをちょっと考えていただきながら、これが良いというのがあったら出していただけますか。そんな形でよろしいでしょうか。
最終的に決まらないところが幾つかありましたが、しかしながら最後まで行きました。最後に、これだけはということがありましたら、全体を通じて少し議論したいと思います。よろしいでしょうか。もしないようでしたら、本日の議論を含め、事務局とともに整理し、免疫アレルギー疾患戦略検討会の報告書を取りまとめたいと思います。大体、全体的な方向としては、余り意見が集約しなかったということではなく、方向性はほぼ御了解いただけたと思いますので、字句の修正等は、座長である私と、副座長もいらっしゃいますし、それから事務局に御一任という形でよろしいでしょうか。もちろん最終的には先生方に完成版をお送りしてということになると思います。完了し次第、構成員の先生方には目を通していただくという作業は行いますが、取りあえず完成形まで持っていくというところは一任していただければと思いますが、よろしいですか。ありがとうございます。
予定をしておりました議事は全て終了いたしました。本日の検討会を終了するに当たり、健康局長より一言御挨拶をお願いいたします。
○宇都宮健康局長 7月31日付けで健康局長に着任いたしました宇都宮です。よろしくお願いいたします。本日をもって免疫アレルギー疾患研究戦略検討会の報告書を取りまとめて終了ということですので、一言御挨拶させていただきます。
先生方には大変お忙しいところ、この取りまとめに向けて様々御議論を頂きまして本当にありがとうございました。御存じのように平成26年にアレルギー疾患対策基本法が制定されて、昨年その基本方針が作られたということです。それを踏まえて、医療と研究ということですが、その研究の分野について戦略を作るということで、先生方に精力的に御議論いただいたということです。3本の柱である本態解明、社会の構築、疾患特性に基づいて、様々御意見を頂いたと伺っております。
最後に、「見える化」というお話が出てまいりましたけれども、御議論を踏まえて様々な課題、それから目指すべき方向性というものがいろいろと示されたのではないかと感じております。我々としても、今回取りまとめられましたこの戦略に基づいて、できるだけ速やかに、そして着実に、この研究戦略を実行してまいりたいと考えておりますので、今後とも引き続き、先生方の御指導、御協力をお願いできればと思います。本当に重ね重ねどうもありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします。
○山本座長 構成員の皆様方には、検討会の開始以来、熱心に御議論を頂きまして本当にありがとうございました。これを持ちまして本日の検討会を終了させていただきます。ありがとうございました。