院内感染対策サーベイランス運営会議

健康局 結核感染症課

日時

平成30年3月22日(木)10:00~11:37

場所

国立感染症研究所共用第2会議室

議題

1.検査部門公開情報について
2.検査部門判定基準等について
3.報告事例:臨床4部門の状況について
4.その他

議事

 
○髙倉課長補佐 それでは、定刻となりましたので、ただいまより「院内感染対策サーベイランス運営会議」を始めさせていただきます。
 本日は御多用のところ本会議に御出席いただきまして、まことにありがとうございます。
 まず初めに、本日お集まりいただきました構成員の皆様の御紹介をさせていただきます。
 私から右手の前方から、まず、荒川構成員でございます。
 岩田構成員でございます。
 柴山構成員でございます。
 大曲構成員でございます。
 長沢構成員でございます。
 針原構成員でございます。
 続いて、左手前方より、村上構成員でございます。
 菅井構成員でございます。
 早川構成員でございます。
 なお、本日は、山岸構成員より御欠席の御連絡をいただいております。
 また、本日の議題に関連いたしまして、参考人として、院内感染対策サーベイランス(JANIS)事務局の国立感染症研究所から、筒井参考人と矢原参考人の両名にお越しいただいております。
 次に、資料等の確認をいたします。お手元の資料を御確認ください。議事次第、配付資料一覧が1ページ目で、次いで、委員名簿、座席図のほか、資料1から資料12、参考資料1から2を御用意しております。御確認いただきまして、不足の資料がございましたら、事務局にお申しつけください。
 参考資料1を御確認いただきたいのですが、本院内感染対策サーベイランス運営会議は、従来は厚生労働省医政局で院内感染対策中央会議の下部に位置しておりましたが、このたび本会議の所管が健康局に変更されましたのに伴いまして、開催要綱を参考資料1のように変更しております。厚生労働省健康局結核感染症課長が招集する会議として、今回、初回の開催となります。どうぞよろしくお願いいたします。
 申しわけございませんが、冒頭のカメラ撮りにつきましては、ここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。
 次いで、会長の推選に入ります。当会議の会長は、構成員の互選ということになっておりますが、いかがでしょうか。
 荒川構成員、お願いします。
○荒川構成員 前回も会長をやられた感染研の柴山部長がよろしいと思います。
○髙倉課長補佐 ただいま柴山構成員をというお声がかかりましたけれども、御異議はございませんでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○髙倉課長補佐 それでは、柴山構成員に会長をお願いいたします。では、議長席のほうにお願いいたします。
(柴山構成員、議長席へ移動)
○髙倉課長補佐 それでは、柴山会長が議長を行うことになっておりますので、柴山議長には以降の進行をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○柴山座長 国立感染研の柴山でございます。議長を務めさせてきます。よろしくお願いいたします。
 それでは、早速、議事のほうに入りたいと思います。本日は、議題といたしまして、事務局より配付いただいております議事次第にあります検査部門公開情報について、検査部門判定基準等について、報告事項といたしまして臨床4部門の状況について、その他ということで用意されております。よろしくお願いいたします。
 まず、議題1、検査部門公開情報についてということで、事務局から、資料1から5について御説明をよろしくお願いいたします。
○髙倉課長補佐 それでは、資料1から順に御説明させていただきます。
 まず、資料1は、外来検体の集計結果の公表についてでございます。
 現状は、JANIS検査部門では、外来検体を含めて、各参加施設の細菌検査全検体のデータを収集しておりますが、現在公表しているのは入院検体についてのみとなっております。
 課題といたしまして、2016年4月に作成されました薬剤耐性(AMR)対策アクションプランでは、外来検体における薬剤耐性の動向の把握に努めるという旨が記載されておりますけれども、現状このJANISでは外来検体の集計結果は公表していないという状況にございました。
 そこで、対処方針の案といたしまして、外来検体の集計結果、まずは抗菌薬感受性図(アンチバイオグラム)をあわせて公開するという対応をすることを提案したいと考えております。
 続きまして、2番目ですが、呼吸器系検体及び尿検体の集計結果の公表についてでございます。
 現状は、検査部門公開情報の中の「検査材料別分離菌数割合」については、血液検体及び髄液検体の集計結果のみを検査材料別ということで公表しております。
 課題といたしまして、参考の部分の下の棒グラフに示しておりますように、呼吸器系検体や尿検体などは比較的、割合が多い状況ではありますけれども、これらのデータを収集してはいるものの、公表していないという状況にあります。
 そこで、対処方針の案といたしまして、従来までの血液、髄液に加えまして、呼吸器系検体及び尿検体の集約結果、分離菌数割合というのをあわせて公表するという対処方針を案として提案させていただきたいと考えております。
 3番目が、資料3ですが、抗菌薬感受性図(アンチバイオグラム)における公表内容の追加についてでございます。
 現状は、検査部門公開情報の「主要菌の抗菌薬感受性」の中で、メチシリン感性Staphylococcus aureusMSSA)及びメチシリン耐性Staphylococcus aureusMRSA)の集計結果、要するに、MSSAMRSAの2つを分けて抗菌薬感受性図(アンチバイオグラム)を公表している状況であります。
 課題といたしまして、CLSIの基準によりますと、S.aureus全体とMSSAMRSAの3つのくくりのアンチバイオグラムの作成を推奨しておりますが、先ほど申し上げたように、現状としてはMSSAMRSAのみが公表対象になっておりまして、S.aureus全体の集計結果は公表していない状況にあります。
 そこで、対処方針案といたしまして、従来のMSSAMRSAに加える形で、S.aureus全体の集計結果をあわせて公表するということを提案させていただきたいと考えております。
 続いて、資料4をごらんください。こちらは抗菌薬感受性図(アンチバイオグラム)の非作成の条件についてでございます。
 現状といたしましては、検査部門公開情報の「主要菌の抗菌薬感受性」の中で、集計菌株数が少ない場合にも集計結果を公表しております。
 課題といたしまして、特に四半期報においては、例えば、検体数の少ない髄液検体のStreptococcus pneumoniaeや参加医療機関数の少ない都道府県においては集計株数が少ないことがございます。なお、CLSIでは、集計株数が30株以下の場合にアンチバイオグラムを作成しないことを推奨しております。
 そこで、対処方針案といたしましては、集計株数が30株以下の場合には集計結果は公表しないということを御提案させていただきたいと思います。
 続いて、資料5です。こちらは公表する主要菌の変更についてでございます。
 検査部門公開情報報「主要菌分離患者数と医療機関の分離率分布」において公表する「主要菌」といたしまして11菌種が選択されております。S.aureusS.epidermidisS.pneumoniaeE.faecalisE.faeciumE.coliK.pneumoniaeEnterobacter spp.S.marcescensP.aeruginosaAcinetobacter spp.の11菌種ということでございます。
 課題といたしまして、2013年以前は、「特定の耐性菌」としてカルバペネム耐性セラチアを集計していたために、「主要菌」の中にこのSerratia marcescensが入っていたという状況でしたが、2014年以降はカルバペネム耐性セラチアにかわりまして、カルバペネム耐性腸内細菌科細菌(CRE)が集計対象になっております。このため2014年以降において「特定の耐性菌」において腸内細菌科細菌の分離患者数におけるカルバペネム耐性腸内細菌科細菌(CRE)の分離患者数の割合を算出するために、腸内細菌科細菌の分離患者数の集計を別途実施しているという状況にございます。
 そこで、今回の対処案といたしましては、「特定の耐性菌」がCREに変わっているという状況を踏まえまして、公表する「主要菌」よりSerratia marcescensを削除いたしまして、腸内細菌科細菌(Enterobacteriaceae)を追加するというふうに考えております。
 以上5つが、検査部門公開情報についての現状、課題及び対処方針案となります。
 事務局からは以上です。
○柴山座長 どうもありがとうございました。
 以上について、皆様より御質問、御意見をお願いしたいと思いますが、まずは資料1から始めていくのがよろしいですかね。資料1、外来検体の集計結果の公表についてということで、外来を始めるということなのですが、皆様、いかがでございましょうか。
 荒川先生、よろしくお願いします。
○荒川構成員 外来検体のデータの集計は非常に重要だと思うのですけれども、これはJANISに届け出をされているのはかなり過去からで、かなりの量のデータが蓄積されていると思うので、何年ぐらいまで過去にさかのぼって集計してデータを公開する計画なのか、決まっていたら教えてください。
○柴山座長 これはJANISの事務局のほうから。
○髙倉課長補佐 まず、2017年のデータから作成して公開するというふうに考えておりますが、技術的に以前のものが可能かにつきましては、現状では決めてはございませんので、これはまた検討させていただきたいと思います。
 筒井参考人のほうから、補足があれば、お願いいたします。
○筒井参考人 今、2017年のデータの精度管理をしておりまして、それは入院検体だけではなくて、今回、外来検体も含めているのです。ただ、2016年以前のものは精度管理をしていないデータになりますので、公開するのは少し難しい面があるのかなと考えています。
○荒川構成員 確かに精度管理は大変な作業だと思うのですけれども、例えば、この間の動向とか、何か日本の特殊性みたいなものがわかる上では、過去のデータも、せっかくあるのであれば、可能な範囲でデータの精度管理をしながら、過去、例えば3年とか5年とか。10年とは言わないから、集計できると良いですね。
○筒井参考人 2016年のデータを試集計してみましたところ、やはりVRSAとかが含まれてしまっているのですね。なので、そのデータは出したくないというところがあります。やはり精度管理をきちんとした上で公開したほうがよろしいかと考えています。
○柴山座長 昔のデータですと、精度管理でお問い合わせをしても、なかなか昔のことはわからないといったこともあるかと思います。どこまでできるかというのはJANIS事務局のほうで検討ということになるかと思いますが、差し当たり2017年の集計から公開していくと。ですので、実際に2017年の集計が公開されるのが2018年、ことしの半ばぐらいということになりましょうか。まずはそういう計画で行きたいということでございます。
 針原先生、お願いいたします。
○針原構成員 単純な質問ですが、外来部門に関しては今までデータをいただいていて、集計してこなかった理由というのがあるのですよね。
○筒井参考人 「院内感染対策サーベイランス」ということで、入院検体に絞って還元情報と公開情報を作成してきたというのがあります。
○柴山座長 それは院内感染対策ということで始まったという経緯でということだと思います。
○針原構成員 今までも自動的に、コンピューターシステムだから外来の検体はそのまま送られてきたけれども。
○柴山座長 データとしては収集をしていたけれども、集計をしていなかったということだと思います。
○筒井参考人 データを収集するに当たっては、入院検体と外来検体を分けてというよりも、一括して送ったほうが医療機関にとっては便利というか、やりやすい面があったということで、外来検体もあわせて収集していたという背景があります。
○針原構成員 ありがとうございます。
○柴山座長 では、資料1に関しまして、事務局の御提案どおりに進めさせていただくということで、よろしいでしょうか
 では、そのように進めたいと思います。
 続きまして、資料2に移りたいと思いますが、呼吸器系検体及び尿検体の集計結果を公表していくということに関して、御意見はいかがでしょうか。
 村上先生、お願いいたします。
○村上構成員 これ(JANIS)を初めにつくったときは、両者(血液・髄液)とも無菌的な検体であり、検出菌がそのまま起炎菌と解釈すること等につながってもほぼ問題ないということでこの2つを選んだと思うのです。喀痰や尿などの細菌検出状況を公開することに関しては異存ありませんけれども、検出された細菌が全て起炎菌ではないかと誤解される方も中にはいらっしゃる可能性があるので、ただし書き等をつけで誤解が生じないようにすることを提案したいと思います。
○柴山座長 ありがとうございます。
 これについて、事務局のほうから。
○髙倉課長補佐 御指摘はそのとおりだとこちらも認識しておりまして、実際、現在の血液や髄液検体においても、いわゆるコンタミネーションのものかどうかという判断はできないので、そのまま公開されているような状況にございますが、呼吸器や尿検体は、またそれと違う意味で起炎菌か否かという判断は、特に分離菌種の割合と完全に異なるということはそのとおりでございますので、そこは公開する上でのただし書きあるいは解説文等で調整するように事務局内で検討したいと思います。
○村上構成員 ありがとうございます。
○柴山座長 必ずしも感染症を起こしたものばかりではないということがわかるように公開情報に記載していくということです。
 ほかに何かございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、先ほどの村上先生の御意見を踏まえた上で、資料2の事務局案を了承いただくということでよろしいでしょうか。
 はい。
○荒川構成員 確認ですけれども、これは外来検体についても、呼吸器系検体の集計を行うという理解でいいのですね。
○柴山座長 これは事務局のほうからよろしいですか。
○髙倉課長補佐 外来検体についての集計項目は、まずは、アンチバイオグラムのところからと考えております。ただ、このあたりはシステム上、プログラム上集計が可能になっていけば、外来のほうも同様なことは現実的には可能になっていきます。ただ、全く入院に合わせるかどうかはまた別途議論が必要かと思いますので、それはまた今後の課題とさせていただければと思います。
○岩田構成員 そうすると、外来検体は検体別ではなくて全部一緒にして公表するということなのですか。
○髙倉課長補佐 まず初めに出すのは、アンチバイオグラムからという形で考えていただければと思います。
○柴山座長 ほかによろしいでしょうか。
 では、以上のような形を踏まえて進めさせていただくということで、了承していただいたということで進めたいと思います。ありがとうございました。
 続きまして、資料3に移りたいと思います。抗菌薬感受性図における公表内容の追加についてということで、MRSA関係ですね。こちらについてはいかがでしょうか。黄色ブドウ球菌全体のアンチバイオグラムを加えるということなのですが、これは今までなかったので、私も外国の方等から、何でこれがないのだということをよく言われたものでありますが、これはこの形で。
○荒川構成員 これも2017年から始めるのですか。
○柴山座長 これも2017年の集計分からということでよろしいでしょうか。
○髙倉課長補佐 対応可能な範囲ということになってきますけれども、先ほど申し上げた精度管理の問題がございますので、それによって決まってくるところがございます。
○矢原参考人 まだプログラムはないので、2018年からになると思います。
○柴山座長 2018年の集計分からということですね。
○矢原参考人 そうです。
○柴山座長 そういう技術的なところの準備ができ次第以降、始めるということですね。
○矢原参考人 マインドプログラムをつくって。
○柴山座長 プログラムをつくってということですね。
○荒川構成員 S.aureus全体となると、外来のデータも分離株も含めた全体の集計という理解でいいのですか。
○柴山座長 こちらの入院、外来で、それはどのようになりますでしょうか。
○髙倉課長補佐 こちらのアンチバイオグラムは、今まで入院で出していましたので、それといわば継続性のあるところが必要かと思いますので、全体というのは、検査部門の入院部門において、MSSAMRSAS.aureus全体を加えるという形になりますし、外来は外来で同じように3種類になる。入院、外来を一緒にあわせてというのは想定していないです。
○荒川構成員 入院全体と外来全体が比較できるようになるということですね。わかりました。
○早川構成員 外来というのは、病院ごとに外来というかフラグを利用してやるということですか。外来提出検体のことですが。
○髙倉課長補佐 恐らくそこまで厳密には分別できないので、検査情報として上げていただいている中でのフラグの分別になります。
○柴山座長 よろしいでしょうか。
 では、そのような形で進めさせていただきたいと思います。
 続きまして、資料4に移りたいと思います。抗菌薬感受性図の非作成の条件についてということで、分母が少ない場合には、これをつくらないようにしたいということでありますが、この点について、皆様のほうからいかがでしょうか。
 岩田先生、お願いします。
○岩田構成員 これは四半期だと少ないけれども、1年まとめれば多くなる場合は、1年まとめた分では抗菌薬感受性図が作成されるということですか。
○髙倉課長補佐 もちろんそのとおりでございます。
○岩田構成員 あと、30株に足りない場合の感受性情報というのはどのような感じで出されることになりますか。
○髙倉課長補佐 今、岩田構成員から御指摘があったように、それは要するに年の単位にすれば出てくるわけですので、ある意味、そちらを待つと申しますか、年報なら年報のみのデータになるという形です。
○岩田構成員 年間でも30株に満たないものは公表しないということになりますか。
○髙倉課長補佐 そのように考えております。
○柴山座長 いかがでしょうか。余り数が少ないと、こういうもので比較していっても非常にぶれたりするということもありますので、あえて出さないほうがいいのではないかということだと思いますが、よろしいでしょうか。
○荒川構成員 これも外来はどうなのでしょうか。外来のデータの場合も検査件数が30に及ばないものは集計しないという理解で良いですか。
○柴山座長 基本的に30株に満たないものは出さないという、これは全部共通したことでよろしいですね。
○髙倉課長補佐 はい。
○柴山座長 いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 では、この形で進めさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
 次は、資料5に移りたいと思いますが、公表する主要菌の変更についてということで、腸内細菌科細菌分離患者数の集計を追加するということだと思いますが、いかがでしょうか。
 岩田先生。
○岩田構成員 CREを追加するのは賛成なのですけれども、この場合CREの中をさらに菌種別に分けて再掲で出されるとか、そういう予定は特にないのですか。
○柴山座長 事務局のほうはいかがでしょうか。
○髙倉課長補佐 こちらはCREの「特定の耐性菌」の項目で既にあるわけなのですけれども、要するに、それの分母に当たる腸内細菌科細菌全体のはなかったというのが現状的な問題になっておりまして、腸内細菌科細菌というのは多数ございますので、それらを全て主要菌として出すというのは現実的ではないですから、今回の対応としては、以前のカルバペネム耐性セラチアに対応していた主要菌としてのセラチアがCREに合わせた形になると理解していただければと思います。
○柴山座長 CRE、いわゆるカルバペネム耐性腸内細菌科細菌ということで、分母は腸内細菌科細菌、分子はCREという集計を、当面はこういう形で進めさせていただいて、ただ、今、岩田先生がおっしゃいましたように、CREの内訳の菌種ということは非常に関心も高いと思いますので、これは技術的なこともあると思いますので、今後の検討課題とさせていただければと思いますが、今後、皆様の御意見等もいただければと思います。
○筒井参考人 補足ですけれども、CREの菌種別内訳というのは、今、お手元にある資料の3ページの5、特定の耐性菌分離患者数の2段落目に、クロアカが一番多いとか、アエロゲネスが次いで多いというような情報は記載していまして、苦肉の策として、この中に表を入れるかわりに、こういった文章として表記しています。わかりづらくて済みません。どうやって表として出すかとかは、今後また御相談させていただきたいと思います。
○岩田構成員 どこかに出ていたような気がしたので・・・・・・、ありがとうございました。
○柴山座長 図として出ているとわかりやすいというのは確かにあると思いますが、これはJANIS事務局のほうでも検討をしていただきたいと思います。
 はい。
○荒川構成員 ちょっと確認ですけれども、例えば、全体的にはセラチアのCREはそれほど多くはないですけれども、セラチアが入ったいきさつは、IMP-1が最初に見つかったのがセラチアだったということで、さらに、当時、海外でSMEタイプのカルバペネマーゼがセラチアで報告されていたので、そういうものの動向をやはり把握したほうがいいということでセラチアを最初に入れたという経緯があると思うのだけれども、我々が危惧していたようにそんなに増えていないので、今回削るのは構わないと思うのですけれども、例えば、特定の病院でセラチアのCREが増えているような場合、そのようなことが起きた場合は、その病院に対しての個別に返す集計結果からもセラチアが除外されてしまうのかどうかということです。
○柴山座長 還元情報のことですね。
○荒川構成員 そうです。特定の病院、個別の病院に返す還元情報の中で、例えばセラチアのCREが10%も15%もいるようなことが起きた場合は。
○柴山座長 この場合、還元情報にも同じような形でセラチアの部分が腸内細菌科細菌になるのかということですけれども、これは事務局。
○髙倉課長補佐 還元情報の件は、今回、議題には上げていないのですが、現在のところCREそのものが各病院のレベルではまだそれほど多くはない状況でございますので、CREそのものがふえてきているという中で、菌種の情報というのは、それが指摘されれば各施設としても判断といいますか、各自施設の状況は認識しやすいのではないかと思っております。
 全般的な検出数や検出率が上がってくるような側面においては、特定の菌種に着目していないと増加の傾向を見逃すみたいな問題がより大きくなってくるかとは思いますので、今、荒川構成員から御指摘のあったような対応が必要になってくるかとは思いますが、現状で対応が可能かどうかに関しては、筒井参考人に補足いただければと思います。
○筒井参考人 基本的には、還元情報は公開情報の箱ひげ図をもとに自分の施設の成績を比較しているものなので、公開情報の菌種そのものを還元情報で集計しています。なので、今のところ、還元情報でもセラチアのかわりに腸内細菌科細菌を分離患者数として集計する予定です。
○髙倉課長補佐 補足かもわかりませんが、いわゆる届け出のほうにおいては、当然、菌種も把握できるわけですので、今、荒川構成員が示された御意見に関しては、感染症発生動向調査のほうで保健所等を通じた対応が考えられるかと思いますので、そういう対処もできるということで、つけ加えさせていただきます。
○柴山座長 CRE自体が一つの病院でそんなにたくさん出るというのは、もともとそれが異常な事態だと認識されると思いますので、セラチアも含めて、その辺は病院のほうでも認識されるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 では、資料5も、事務局のほうの資料のとおりお認めいただいたということで、進めさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
 続きまして、議題2、検査部門判定基準等についてということで、資料6から10について、事務局から御説明をお願いいたします。
○髙倉課長補佐 では、5項目ございますが、事務局より御説明させていただきます。
 まず、資料6をごらんください。MRSAの判定基準の変更についてでございます。
 現状といたしましては、MRSAの判定基準は、S.aureusに対してオキサシリンが微量液体希釈法もしくはディスク法で耐性と判定されたもの、または、セフォキシチンがディスク拡散法で耐性とされたもの、または、選択培地でMRSAと確認された場合ということになっております。
 課題といたしまして、MRSAの判定基準としてCLSIにおいては、微量液体希釈法によるセフォキシチン耐性、mecA遺伝子またはPBP2'が確認された場合というものも、MRSAとして取り扱うことになっております。ということで、現状とこのCLSIの示す基準にギャップがございますので、それが臨床現場での判定基準の間に若干のそごが生じているという状況にございます。
 そこで、対処方針の案といたしまして、MRSAに微量液体希釈法によるセフォキシチン耐性、mecA遺伝子またはPBP2'の検出が確認されたものをMRSAとして取り扱うように変更するという対応をとりたいと考えております。
 続きまして、資料7についてでございますが、こちらはキノロン耐性に係る判定基準の変更についてでございます。
 薬剤耐性菌の判定基準及び検査部門特定の耐性菌判定基準において、多剤耐性緑膿菌、多剤耐性アシネトバクター属及びフルオロキノロン耐性大腸菌のキノロン耐性の判定に用いる薬剤としてガチフロキサシンが含まれております。
 課題といたしまして、現在、臨床現場では、ガチフロキサシンは点眼薬以外では使用されていないという状況にあります。
 そこで、対処方針といたしまして、このMDRPMDRA、フルオロキノロン耐性大腸菌のキノロン耐性の判定に用いる薬剤よりガチフロキサシンを削除するという対処をとりたいと考えておりますので、提案させていただきます。
 続いて、資料8は、第3世代セファロスポリン耐性に係る判定基準の変更についてでございます。
 現状といたしましては、第3世代セファロスポリン耐性大腸菌及び同肺炎桿菌において、セフォタキシム及びセフタジジムの2剤を判定基準に用いる薬剤としております。
 課題といたしましては、近年、セフトリアキソンに対する感受性を測定している医療機関がふえている状況にございます。
 そこで、対処方針といたしまして、第3世代セファロスポリン耐性大腸菌及び同肺炎桿菌の判定基準に、従来のセフォタキシム、セフタジジムに加える形で、セフトリアキソン耐性を追加するということを提案させていただきます。
 続きまして、資料9は、国内で過去に報告がない耐性菌(カテゴリーA)の変更についてでございます。
 現状は、国内で過去に報告がない耐性菌(カテゴリーA)につきまして、JANISではデータを受信後1~2時間以内に各医療機関の検査部門担当者及び責任者に対して「問題菌警告通知メール」を送信するとともに、「提出状況一覧」に「特殊な耐性菌」として警告表示を記載しております。
 課題といたしまして、カテゴリーAには含まれていないものの、国内で過去に報告がないCTXにおいてMICが1以上と報告されたStreptococcus pyogenesの株が2016年には11株報告されておりまして、その後の検証の結果、11株中10株は再検不能、1株は再検後に0.12μg/mLで、結果的に当初のMIC 1以上は誤りであり、最終的に感性と判定されているという状況でございまして、報告があった場合には早急な確認が必要になってくるものであります。
 そこで、対処方針といたしまして、CTXにおいてMICが1以上のStreptococcus pyogenesをカテゴリーAに追加するという対応をとりたいと考えております。
 最後に資料10でございますが、こちらは国内で報告が比較的まれな薬剤耐性菌(カテゴリーB)の変更についてでございます。
 現状は、国内での報告が比較的まれな薬剤耐性菌(カテゴリーB)につきましては、各医療機関の「提出状況一覧」に「特殊な耐性菌」として警告表示を記載しております。
 課題として、2016年には髄液検体分離のS.pneumoniaeに対するCTX非感性が6株、メロペネム非感性が11株報告されておりまして、その後の検証の結果、おのおの3株及び9株に修正されております。このように「特殊な耐性菌」としての警告表示が必要な状況であります。また、S.aureusに対するバンコマイシンが「I」、中間感受性ですね。MICが4または8μg/mLといったものが41株報告されております。
 そこで、対処方針案といたしまして、セフォタキシムまたはメロペネムにおいて「I」及び「R」に判定された髄液検体分離のS.pneumoniae及びバンコマイシンにおいて「I」の判定であったS.aureusをカテゴリーBに追加するという対処方針をとりたいと考えております。
 資料10の下に参考として現在のカテゴリーBの薬剤耐性菌を示しておりまして、おのおの菌名、抗菌薬名、MIC、SIR、集計対象株数といったものが記載されております。
 こちらの表、上から2番目の菌名が抜けておりますが、ここはStaphylococcus aureusでございます。
 今、御説明しましたように、このカテゴリーBの中にCTXまたはメロペネムの非感性の髄液検体分離S.pneumoniaeが入っていない、及び、S.aureusのバンコマイシンの判定基準が入っていないという状況にありますので、この2つをカテゴリーBに追加したいというのが、この対処方針案でございます。
 事務局からは以上です。
○柴山座長 ありがとうございました。
 皆様に、以上について御質問や御意見をお願いしたいと思いますが、こちらについても順番に、まずは資料6のほうから進めたいと思います。
 まず、資料6、MRSAの判定基準の変更についてということで、今回、セフォキシチンの微量液体希釈法、それから、mecA遺伝子またはPBP2'をMRSAの判定基準に追加したいという事務局からの提案でありますが、これについてはいかがでしょうか。
 荒川先生。
○荒川構成員 皆さんから余り質問が出ないので代表で質問しますけれども、まず、CLSIと食い違うので、JANISとCLSIのほうとを合わせたほうがいいという、基本的にはそういう方針はいいかと思いますけれども、日常的に日本の検査室の現場では、恐らくセフォキシチンを4μg/mLぐらい含んだスクリーニング培地で検査をして、生えてきたものをMRSAと判定して、報告しているのが結構多いのではないかと思うのです。
 逆に言うと、mecA遺伝子とか、最近はmecCとか、あとはPBP2'、こういうもののPCR検査は通常では健康保険ではできないので、大学病院とかそういうことに関心のあるドクターとか検査技師の方がおられるようなところはやっているところもあると思うのですけれども、この遺伝子の解析というのは余り一般的に行われていないし、現時点では保険がきかない一般的なPCR検査について、こういうところに書き込むのは、病院のほうから、では検査の経費を出してくれとか言われる可能性もないとは言えないと思うのです。もし聞かれた場合は、感染対策防止加算で実施してもらっても構わないというようなことを明記するとか何かして、遺伝子の検査を健康保険でやれというふうに現場が勘違いしないように、そこら辺の説明をきちんとした上でこのような基準を加えるのはいいかと思うのですけれども、一律に遺伝子の検査をJANISの報告基準の中に入れてしまうと、ちょっと現場は困るかもしれませんね。
 逆に言うと、先ほどの選択培地を外してしまうと報告件数がかなり減るのではないかと思うのですけれども、どうでしょうか。
○柴山座長 これは、まずは事務局のほうから。
○髙倉課長補佐 選択培地を外すということは想定しておりませんで、今まで判定の基準に入っていない微量液体希釈法のCTX耐性と、mecAまたはPBP2'の確認といったものを追加するということで考えている状況であります。
○荒川構成員 追加ということですか。わかりました。
○髙倉課長補佐 ただ、今、荒川構成員から御指摘がありましたように、mecA遺伝子、PBP2'の実施というのは、実際に医療現場の中でそれほど多数のところがやっているようなものではもちろんございませんので、こちらに関しては、もし加える場合には、これをしなければならないような基準ということではないということですね。
 ただ、実際にやっている施設がないわけではないのでして、それをMRSAに入れないという中にも、それでよいのかという疑問がございましたので、今回のような提案になっております。
○柴山座長 長沢先生、お願いします。
○長沢構成員 今までの基準は、おそらく菌株を想定しているものだと思うのです。今回、mecAとかPBP2'は血液培養から直接遺伝子を検出する方法ということで、分離菌を対象としていないと思うのです。菌株を使ってmecAまでの検査は、おそらく研究以外はやっていないと思うのです。
 要するに、今までは菌として分離されたものを検査していた。ただ、今回これを入れてしまうと、血液培養から、別に菌を分離しなくても遺伝子検査でmecAが出れば報告してしまう。もちろん、臨床では間違いなく報告していると思うのです。これは迅速加算としても必要ですが、それがそのままデータとして出てきてしまって、菌株は存在しない。例えば、mecAが本当に出ましたかといったときに、いや、うちは血液から直接分離までしていないので菌株はありませんという、今までとちょっと違う感じになる可能性があるのかと思うので、その辺はどう分けるのか。
○髙倉課長補佐 こちらはそこまで想定は残念ながらしておりませんで、基本的に臨床の現場でS.aureusが出たときにmecAやPBP2'を確認している、あるいは感受性試験の中での基準のいわゆるボーダーラインに近い株を確認しているといったような形が現場で現在行われている状況だと想定しております。
○長沢構成員 あくまでも分離菌株を用いたmecA遺伝子、PBP2'の検査ということですね。
○髙倉課長補佐 それはそういうことです。
○長沢構成員 あくまでも臨床検体の場合は、mecA遺伝子は陽性だけれども、実際には分離していなくて、それは除外するということなのですか。
○髙倉課長補佐 こちらはそのように考えております。
○長沢構成員 その辺がちょっと難しいのではないでしょうか。
○岩田構成員 確認ですが、先ほどの荒川先生のお話で、保険収載されていないということだったのですが、たしかVerigeneシステムを用いた遺伝子診断検査では、このmecA遺伝子の検出によるMRSAの同定が保険収載されていますよね。普通は培養もするからわかると思うのですけれども。
○長沢構成員 ただ、理論的には分離培養までしなくてもいいことになってしまっているのです。
○髙倉課長補佐 そうすると、mecAならmecAがどの菌種かというのは確認がとれない形になってしまいますので。
○長沢構成員 S.aureusも同時に検出できるようになっています。
○岩田構成員 VerigeneシステムではmecAの検出はS.aureusしか報告されなかったように思いますが。
○早川構成員 菌種と耐性因子は別々に判定していますので。
○長沢構成員 別々だけれども、あわせればMRSAとわかるようになっているのです。ただ、分離はもちろんしなければいけないし、100%していると思うのですけれども、もししなくても報告してしまっていいのかどうか。その辺をどうするかは難しい。
○早川構成員 Verigeneは血液培養なので、培養しないということは通常ないと思うのですけれども、今後、呼吸器検体などの迅速診断法がマーケットに出ていくと、もしかしたら少し問題になるのかなと思いますが。
○髙倉課長補佐 いずれにしろ、従来の判定基準に追加するということで考えておりますので、仮にmecAやPBP2'を加える場合は、菌株に対してということで限定して考えておりますので、そこは誤解のないような形の表現になるようにということはこちらで調整できると思います。
○柴山座長 菌株に対してということですと、例えば、血液培養、それから直接そのmecA遺伝子を検出して陽性と出た場合、そういうものはJANISのほうには報告しないと。あくまで菌株を分離して調べたものについてのみでmecAが陽性であれば、それを報告するということですね。
 もし、菌株を分離した場合は、オキサシリンあるいはセフォキシチンの薬剤感受性試験をやらないということは多分あり得ないとは思うのですが。
○岩田構成員 たまにですが、遺伝子診断では陽性だけれども、培養したら分離されなかったという場合が多分出てくると思いますが、そういうのは一応今回は除外するということでよろしいのでしょうか。
○髙倉課長補佐 分離されなかった場合は、それは入らないということですね。
○岩田構成員 わかりました。
○荒川構成員 ちょっと質問をいいですか。そうすると、外来の検査の場合は、外注検査などを出している病院が多いですね。外注で検査センターが検体からいきなりmecAを陽性と出した場合は、JANISの報告対象にはならないという理解でいいのですか。
○柴山座長 培養をしていなくて、検体から直接遺伝子を検出した結果については集計対象としないと。
○髙倉課長補佐 そうですね。
○荒川構成員 さらに言うと、遺伝子の検査と培養検査をダブルで検査センターにやってもらったほうがいいという政策誘導的なことがJANISの効果として起きるのかどうかということですね。
○髙倉課長補佐 そこまではこちらの議論の範疇ではないかと思いますが。
○荒川構成員 そうですね。その辺はちょっと検討して、どういう対象を報告してもらうか。遺伝子の検査をした場合は報告してもらう基準などをよく検討したほうが良いでしょうね。
○長沢構成員 外注した場合には迅速診断加算を何時間だとかが内規的にありませんでしたか。ですから、普通の検査センターでは多分できない。本当に契約を結んでいる数少ないところはできると思うのですけれども、一般的な大手のセンターがやるときには、多分、迅速診断加算に該当しなくて保険も通らないので、出ていないのではないかという気がするのです。
○早川構成員 加えようと思ったのは、やはりそういう問い合わせが多かったのですか。
○柴山座長 実はJANIS事務局のほうに参加医療機関から、遺伝子を調べた結果もあるのだけれども、これは報告対象になるのかと、そういったお問い合わせがあったと思いますが、この辺ちょっとJANIS事務局から何かありますか。
○筒井参考人 実は、オキサシリンの感受性結果がSだけれども、MRSAという菌名で報告している医療機関に対してアラートを出すようにしたのです。そうすると結構報告が最近ふえてきているということがあるので、オキサシリンの感受性結果Sのものの扱いをどうしようかというのはずっと事務局でも議論してきたところなのです。ただ、CLSIでもいろいろなほかの検査法が普及してきている、記載がされている中で、mecAとかPBP2'を入れていく方向も一つ検討しなければいけないのかなと。
 ただ、多くの医療機関では、恐らく検査パネルを使って、そこにオキサシリンとセフォキシチンの2剤が入っていて、そのディスクレパンシーを見て問い合わせたり、あとはmecAを追加したりということを実際にされているのではないかと思うのですけれども、そういった場合のMRSA、感度を上げるためにそういった報告をきちんと拾ってあげていく必要があるのかなと思っているのですが、荒川先生がおっしゃるように、保険適用が限られているところもあったり、血液から直接の検体をどのように扱うかというまだ議論が多いところがあるのであれば、例えばセフォキシチン耐性の基準だけでも少なくとも入れるとかという方向でもいいのかもしれないです。
○菅井構成員 追加してよろしいですか。
○柴山座長 はい。
○菅井構成員 長沢先生にお聞きしたいのですけれども、今、OS-MRSAといって、特に外来でオキサシリン感受性でセフォキシチン耐性のものがちょっと出てきているように思うのです。そういうものを、そこでセフォキチンを入れるとそれが多分あぶり出されてきてひっかかると思うのですけれども、プラスアルファでmecAを調べているところと調べていないところがあると思うのですが、そういうことから後ろを入れるほうがいいのか、あるいはそこまで書かなくてもセフォキチンで十分でしょうということになるのか。臨床検査のほうではどのようにお考えに。
○長沢構成員 私も何施設かわかりませんが、そんなに数はないのだけれども、やっている施設は当然あると思います。今、言ったように、例えばmecAとかPBP2'が感受性の一個として入っているのなら感染研で判断できると思うのです。でも、入っていないのだったら、結局、問い合わせは同じように続くわけです。MRSAが何であったかというカテゴリーがどこかに入っていればいいけれども、今のところないですね。ですから、感受性の一つと同じような形でmecA遺伝子という、あとはそこが陽性とか何かと来れば自動的にオキサシリンが感受性だけれども、MRSAで判断できると思うのですが、結局、問い合わせは続くわけですね。
 もちろん、MRSAの判断基準はCLSIで多くの施設が行っているわけだから、当然入っていてしかるべきだと私は思うのです。だから、特にここで入れてあっても問題ないのではないかという気がするけれどもね。
○柴山座長 それはセフォキシチン、遺伝子の話。
○長沢構成員 遺伝子のこと。セフォキシチンに関してはそれでいいと思います。これは今、自動的にできるものもありますので。遺伝子に関しては、いずれにしろ、そういう問い合わせは続くだろうと思うのです。mecAとか項目が新しくカテゴリーを追加して陽性だった場合はここにプラスを入れてくださいとかというシステムに変わるならいいですけれども、結局は変わらないのだろうと。
 あくまでもMRSAの判断基準は各施設で決めることなので、それは我々が言うことではないのではないかという気もしますけれども、先ほど言ったように、検体とごちゃごちゃになるのだけはちゃんと整理しておかなければいけないのではないかと思います。
○柴山座長 あくまで菌株と。
○長沢構成員 そうです。菌株でやる分には全く問題ないと思います。
○岩田構成員 長沢先生に教えていただきたいのですが、セフォキシチンは通常のグラム陽性菌パネルに今は必ず入っていますか。
○長沢構成員 必ずではないと思います。パネルの種類によってではないですか。私も全部調べていないので、最新のバージョンはわかりませんが。
○岩田構成員 選択培地を使っているところが多いと思うのですけれども、パネルではかる薬剤感受性試験にセフォキシチンは必ずしも入っていないような気がします。
○長沢構成員 全てのパネルには入っていないと思うのですけれども、どのメーカーに幾つ入っているかというのは、私もそこまで把握していない。
 今、把握していますか。
○筒井参考人 マイクロスキャンの説明書を見ると、一応入っていますね。
○長沢構成員 全てに入っているかどうかは私もよくわからないのですけれども。
○柴山座長 恐らく、セフォキシチンをやらずにmecAの遺伝子を調べるということは、多分ない。
○長沢構成員 多分ないですね。行っている施設は、ルーチンというよりは、研究的な形で興味があってやっている施設だろうと思うのです。やはりお金がかかることで、荒川先生ではないけれども、日常業務でこれを全部やるというのは、人の問題、お金の問題があって、多分、日常業務ではやっていないと思います。
○柴山座長 関連して、私、ちょっと気になるのですけれども、オキサシリンがSですと。セフォキシチンもSと。もし仮にこれでmecAが陽性などというのは。
○長沢構成員 あり得るでしょうね。
○柴山座長 そういうものは、Sであれば余り検査はしないかもしれないですが。
○長沢構成員 普通はしないです。確率的には、本当に研究室でやって何千株に1個あるかないかだと思うのです。
○柴山座長 もしそういうのが出てしまったら、これを報告対象にするかどうかというのは。
○長沢構成員 それは各施設でMRSAと決めたのだったらMRSAとして集計するしか、これは間違いではないと思うのです。ただ、それを集計から外すかどうかは別としてね。
○柴山座長 各施設でMRSAと判定するかどうかは各施設で決めることだと思うのですが、我々JANISとしては、それをMRSAとするかしないかというのは、ここで。
○長沢構成員 要するに、集計対象とするかしないかだろうと思うのです。だから、オキサシリンが感受性のものは集計から除外するとか、それはそれで定義すれば、誤解を与えないためにはそれでもいいのかもしれないです。
○柴山座長 もしmecAを判定基準に加えるのであれば、そこはあらかじめ決めておかないといけないかと思うのですが。
○長沢構成員 例えば、MRSAのうちオキサシリンが1%感受性だとしたら、99%は見つけられるけれども、1%は見つけられないと考えるわけですね。MRSAが間違いないという条件のもとに考えるとね。でも、中には、オキサシリンが感受性なのにMRSAというのはおかしいではないかと。先ほどの問い合わせもしているだけですから、その辺があるので、集計対象に入れるか入れないかの議論になるのではないかと思うのです。学問的には多分、MRSAは先ほど言ったように学問的には私はそれでいいと思うのですけれども、集計で表に出すときに国民に誤解を与えないためには工夫が必要かと思います。
○柴山座長 現状ですと、オキサシリン、セフォキシチンは基本的にはやっているはずだと。mecAというのは、それにプラスしてさらにやっているところが若干あるという形だと思うのです。
 mecAについてですけれども、CLSIの基準には入っているのですが、我々JANISとして集計対象にするかどうかということなのですけれども、若干まだ決めなければいけないこと、届け出対象とするかどうかといったこともあるかと思うので、検討課題が若干残っているような感じもするのですが。
○村上構成員 mecAを用いた判定で情報を出してくるところは、MRSAで確かに正しいと思うのです。でも、全国を眺めてみるとそういうところは少ないので、全体の集計としては、その病院とその他の病院と判定基準が異なることになりますから、集計対象にしないほうがいいのではないですか。
○柴山座長 ここはむしろ集計対象として、当面の間はそのほうがよろしいでしょうか。いかがでしょうか。
○長沢構成員 これは区別がつかないですよね。検査法か何かでまた違うカテゴリーをつくればいいのですが、何でやったかというのは多分、集めたデータからは区別がつかないと思うのです。
○矢原参考人 区別はつかないです。
○長沢構成員 だから、そこをどうするかだと思うのです。
○矢原参考人 集計対象から除外するということはできない。100%除外する方法はないのです。
○長沢構成員 そうです。だから、先ほどみたくオキサシリンとかの感受性だと問い合わせを一回して、わかりましたというので、それはどちらにしても外すしかないのではないかという気がするのです。
○筒井参考人 今、「(MRSA)」という菌名コードは、感受性結果の報告なしに全てそれをMRSAとして集計できるということになってしまっているので、実際にmecA陽性で報告しているところは少なからず含まれていると思います。そういうところで報告を自己判断でしていただいているのを許していいかというのが一つあって、それでこの判定基準を変えたほうがいいのかなというところだったのです。
 もう一つは、今、システムのほうではオキサシリンのMICだけを見てMRSAかどうかを集計しているのですけれども、今度、オキサシリンSでセフォキシチンの微量液体希釈法でRというものを入れなければいけないのかなと思うのですが、その集計については、そのような形でよろしいですか。ディスクレパンシーがあるときに、今はオキサシリンSならそれはMSSAに含まれてしまうのですけれども、セフォキシチンがRだったらMRSAのほうに集計するという形でよろしいですか。
○岩田構成員 アンチバイオグラムもセフォキシチンが入るようになるからということですね。
○筒井参考人 はい。もし微量液体希釈法の判定基準を入れるのであればですね。今まではディスクのところだけしか入れていなかったので、ディスクの集計はアンチバイオグラムに入れていないので問題はなかったのですけれども。
○柴山座長 セフォキシチンについては、加えるということでよろしいですか。
 あとは遺伝子のほうですけれども、基本的に遺伝子だけやってということは多分ないかとは思うのですが。
○早川構成員 mecAだけではなくて、ほかの耐性遺伝子、例えばCTX-Mなども検体ダイレクトという話もあります。(MRSAmecAに関しては)CLSIに書いてあるからということなのですかね。菌株と書いてあれば大丈夫なような気もするのですけれども、一方で遺伝子検査が最近はすごく進んできているので、いろいろな菌で線引きの話が出てくるのかもしれない。
○筒井参考人 今、JANISでMRSAが問題になるのは、感受性の結果報告なしに報告できる菌名コードがあるからであって、ほかのESBLとかは菌名コードがないので生じてこない問題ではあるのです。あくまでもJANISは感受性結果でしか判定できないシステムなのですけれども、MRSAVREに限っては、遺伝子を見て報告できるような抜け道があるということですね。
○柴山座長 その場合、技術的なところなのですけれども、菌株ではなくて、例えば血液培養、血液から直接mecA遺伝子を検出したという場合も、それだけでMRSAとして報告されてきてしまうということは想定されますか。JANIS事務局のほうから、いかがですか。そういうのを除外することは。
○筒井参考人 それは除外できる仕組みがないですね。
○矢原参考人 除外できないですね。医療機関のほうで菌名コードでMRSAと指定したデータをアップロードされてきた場合は、JANISとしては受け入れるしかないです。
○柴山座長 あくまでこちらからは菌株で調べてくださいということをお願いするしかないと。向こうから、遺伝子だけで、GeneXpertとかそういうものの結果だけで返してきてしまっても、こちらとしてはわからないということになりますかね。
○矢原参考人 わからないです。
○岩田構成員 実際には既にそういうものが報告されてきている可能性もあるということですか。
○筒井参考人 可能性もあるということですね。
○柴山座長 もう一つ、関連して懸念なのですけれども、血液培養からの遺伝子検査が陽性になりました、報告します、一方で当然培養はやるでしょうから、培養をやって、それで菌株のほうでMRSAになりましたと。それが重複して報告されてくる可能性というのはあるのですか。
○筒井参考人 検体番号が別々だと、二重にカウントされる可能性はあります。
○柴山座長 長沢先生、この辺はいかがでしょうか。
○長沢構成員 JANISは名前で区別していませんでしたか。
○矢原参考人 重複処理をしているので。
○長沢構成員 重複処理のところで多分はじかれる可能性はありますね。
○矢原参考人 はじかれるはずです。
○長沢構成員 所属と名前が同じはずですから。
○筒井参考人 ただ、検体数としてカウントするときには検体番号を見ていますので、もし違う検体番号を振られていたら、二重にカウントされます。
○長沢構成員 検体番号は基本的には同じだと思いますけれどもね。陽性で、培養と遺伝子と両方同時に進めるはずですから、報告は多分1つとしてしか上がってこないと思う。あくまで迅速報告という形でいってしまうと思うので。ただ、いずれは、保険適用になれば、呼吸器検体などもふえてくると、培養はほとんどやらない方向に行くだろうと思うのです。そのときどうするか。まだnの数は相当少ないと思うので、集計しても多分誤差範囲で終わってしまうと思うのですけれども、いずれはどんどん増えてくるだろうと想定します。
○柴山座長 今後、ふえてくる方向にあるし、あるいは保険対応とかも恐らく出てくる可能性がある。
○長沢構成員 そうですね。多分、呼吸器も間もなく出てくるだろうと思うのです。呼吸器の場合は特に、血液培養の場合は陽性の培養ボトルを使ってやっていくから、これは基本的には生えるのですけれども、呼吸器の場合は、喀痰を培養しても発育してこない可能性があるのです。だから、遺伝子は見つけるけれども、培養しても陰性ということは、これからは多分相当数出てくるだろうと思うので、そのときどうするかという問題が出てくると思うのです。
○柴山座長 今後、遺伝子の検査もふえてくるということで、基本的にはそういうものを取り込んで集計対象にしていくという方向に行くべきではないかと思うのですけれども、現状ではいかがでしょうか。課題もちょっと。
○長沢構成員 現状はまだ要らないと思います。将来的には検査法の一つとして、ディスク法とか液体法、遺伝子法という方法論として別に集計していくという時代が間もなく来ると思うのです。そんなに遠い将来ではないと思うのですけれども、現時点ではまだそこまでは要らないと思います。
○柴山座長 今、長沢先生がおっしゃったような形になりそうなときに、JANISとしてもどう対応するか。例えば、届け出の菌株コード、菌種名とかをどういうコードにするかとか、そういったことも含めて整備していく。いかがでしょうか。
○筒井参考人 そもそもデータフォーマット自体、今、遺伝子を入れるところがないので、そこを追加しなければいけない時代は来るかと思うのですけれども、現時点で移行期のところでは、遺伝子検査の結果をあえて明記しないほうがいいのかなというところでしょうか。
○荒川構成員 セフォキシチンを含んだ微量液体希釈法の結果で菌が耐性と判定された場合はMRSAと報告してもらうというのを加えるのと、あと、遺伝子の検査をやっている施設でmecAとかPBP2'が検出された場合も、MRSAとして菌株から分離された場合は報告できるというふうにしておいて、アディショナルに追加で分離菌株から遺伝子検査で陽性になったものはMRSAとして報告できるというぐらいに当面はしておいて、それでいいのではないかな。
○柴山座長 菌株からmecAを検出された場合。
○荒川構成員 いきなり検体からというものは、例えば、Streptococcus属の中にmecAに非常に似た遺伝子を持っているものがあったりするので、そういうものもどの程度ひっかかってくるか知らないのだけれども、遺伝子だけだとコンタミのこともあるし不安というか、研究ではないので、日本の臨床現場で見出される菌の概要の動向が把握できるようなことであればいいので、研究でやる場合はもう少し細かく、詳しくいろいろ定義を決めなければいけないけれども、サーベイランス、動向監視なので、その点を考慮した検査や報告の基準の設定が必要と思います。
○柴山座長 ちょっと繰り返しになってしまうのですが、mecA遺伝子が分離菌株で検出された場合も報告できるというふうにすると、例えば、オキサシリンもセフォキシチンも感性で、たまたまmecAを検査してしまったら陽性に出ましたと。そういうことがあるかどうかわからないですけれども、そういうケースはどうするかというのをあらかじめ決めておかないといけないと思うのです。
○荒川構成員 それは頻度としては非常に低いので、そういうものがあって報告されても、全体の動向にはほとんど影響しないと思うのです。
○柴山座長 そういうケースはないかもしれないですけれども、入れるのか入れないのかということは、どちらか決めておかないといけないと思うのです。
 あと、現段階ではmecAというのをあえて入れなくても、集計にはほとんど影響しないのではないかと。ほとんどオキサシリンまたはセフォキシチンの試験はやっているでしょうから、そういう決めなければいけない、検討しなければいけないことが幾つかあるので、mecA遺伝子あるいはPBP2'のたんぱくというのをあえてここで入れなくても集計としてはそんなに大きな問題はないのではないかと、私、個人的には、一委員としては思うのですが。
○村上構成員 ですから、その課題感が各病院に伝わるように説明をして、そういう形で報告していただいても結構ですけれども、当面の間、集計は感受性だけでいきますよというふうにわかっていただければ、事務局からの問い合わせしていただく件数も減るかも。
○矢原参考人 でも、当面の間だけ感受性で集計するというのはできないですね。
○村上構成員 そうなのですか。
○矢原参考人 はい。遺伝子検査をしたレコードであるという記録をする仕組みが今はないので。
○筒井参考人 「(MRSA)」というのは選択培地で検出されたものも含むし、遺伝子でひっかかってきたものも恐らく入っているというものなので。
○村上構成員 病院がMRSAと報告してしまえば、MRSAの数として集計に入ってしまうのですね。
○筒井参考人 そうです。
○長沢構成員 これは2種類統計があるのですね。分離菌だけの統計と、感受性の統計というのを分けているからそうなるのですね。MRSAだけにしてしまうと、分離菌のほうはそのまま信じてやってしまっているわけですね。ところが、こちらの感受性の統計はちゃんと感受性を見ているからということで、MRSAだけの報告に関しては、mecAをそれぞれの施設で判定していることだから、それは逆に入れてもいいと思うのですが、感受性のほうでそごが生じてしまうということですね。全てこの検出菌も感受性から判定しているのだったらどうしようかという問題はいろいろあるけれども、こちらはダイレクトで来たものをそのままただ集計しただけですね。
○筒井参考人 こちらはMRSAに含まれていて、こちらでMSSAで含まれるという株が出てくる。
○長沢構成員 あくまでもそういうことですね。
○早川構成員 もともとMRSAだけ別立てしてつくったのは何か理由があったのですか。
○柴山座長 長沢先生、この点はいかがでしょうか。
○長沢構成員 多分、感受性をやっていないところもあって、あくまでも検出状況を見たいから別にしたのです。要するに感受性の結果が入っていないものもあるわけですね。
○筒井参考人 やはり選択培地が普及している菌種ということでMRSAと。
○長沢構成員 小さいところから拾い上げるという感じだったと記憶していますが。
○筒井参考人 JANISはスクリーニング検体も全て集計に含めますので、なおさらそれを入れているわけです。
○柴山座長 いかがでしょうか。なかなか議論がまとまらないところではございますが。
○早川構成員 CLSIでは、オキサシリンがSで、セフォキシチンがSで、mecAが陽性だった場合には、MRSAと判定するというふうに読める。
○柴山座長 その書きぶりからしますと。
○筒井参考人 今、私の手元にあるCLSIの2017年版ですけれども、mecAが陰性またはPBP2'が陰性またはセフォキシチンが感性は、オキサシリン感性と報告する。なので、どれか1つが感性と報告されるとMSSAになる。
○早川構成員 mecAのみがRだったとすると。
○筒井参考人 なので、その記述はあるのですけれども、mecAのみ陽性の場合の記述はないですね。
○早川構成員 何か(判定に関し)よりどころがあるといいのかなと。
○筒井参考人 済みません。
○柴山座長 CLSIの記載も、その辺がはっきりと書いていない。
○筒井参考人 mecAがポジティブまたはPB2aが陽性ならオキサシリンレジスタントと書いてあるので、多分、mecAが陽性というのが一番のキーとなる検査ということですね。
○柴山座長 ただ、mecA陽性のMRSAというそのものの定義が、セフォキシチンがRのものをmecA陽性のMRSAとすると、そのような書き方もしているのですね。CLSIの記載はちょっとわかりにくいので、私も随分悩んでいるのです。
○荒川構成員 では、当面は微量液体希釈法でセフォキシチン耐性のあったものはMRSAとして報告してもらう。遺伝子については継続審議か、あるいは事務局のほうで座長も含めて案をつくってもらって、後で持ち回りで、どれがいいかみんなに決めてもらうという形にしたらどうですか。
○柴山座長 そうですね。時間も大分押しておりますし、なかなか議論もまとまらないところもございますので。
 ただ、遺伝子検査を今後判定基準に加えていく方向性としては、そういう方向性なのだと思いますが、現時点ではなかなか話がまとまらない状況にございますので、今回は、事務局の御提案の中のセフォキシチンの微量液体希釈法については追加すると。ただ、mecA以下の遺伝子が確認された場合というのは、今回は入れないということでよろしいでしょうか。遺伝子に関しては引き続き、事務局のほうでも検討させていただくということでよろしいでしょうか。
 ありがとうございます。随分時間が押してしまいまして、申しわけございません。
 続きまして、資料7のキノロン耐性に係る判定基準の変更についてということで、こちらについては多剤耐性緑膿菌、多剤耐性アシネトバクターのガチフロキサシンを判定基準より削除するということですが、いかがでしょうか。
 こちらは実際、ガチフロキサシンでの判定されている件数がどれぐらいあるかという数字を事務局のほうで出していただきましたが、その辺を紹介していただけますでしょうか。
○矢原参考人 MDRAに関しては、除外しても全く変わりませんでした。MDRPについては、患者数が3変わるだけです。
○柴山座長 3件、ガチフロキサシンでRと判定されて。
○荒川構成員 今でも薬剤感受性試験の中にガチフロは入っているのですか。
○筒井参考人 パネルの中には入っていないですけれども、恐らくオーダーメードで出されているところとかがあって。
○矢原参考人 カスタムパネルではないかという。
○荒川構成員 感受性試験用の薬も販売されていないですしね。
○筒井参考人 そうですね。販売中止になっていますので、それで外そうという方向で考えています。
○柴山座長 実際に使われていないということと、パネルでも基本的にはないということなので、外してもいいのではないかということですけれども、よろしいでしょうか。
 では、この形で進めさせていただきたいと思います。
 続きまして、資料8、第3世代セファロスポリン耐性に係る判定基準の変更についてということで、セフトリアキソンを追加するということなのですけれども、これはいかがでしょうか。
○岩田構成員 3つのうちどれかが耐性だったら耐性にするという意味ですね。
○柴山座長 セフトリアキソンはこのごろ測定している医療機関が非常にふえているということで、こちらについてはよろしいでしょうか。
 では、事務局の提案の形で進めさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 続きまして、資料9、国内で過去に報告がない耐性菌(カテゴリーA)の変更についてということで、Streptococcus pyogenesでセフォタキシムのMICが1以上というものがJANIS事務局のほうの集計で結構あったということで、これをカテゴリーAに含めてはどうかという事務局からの提案ですけれども、いかがでしょうか。
 これについては特によろしいでしょうか。精度管理の意味もあり、カテゴリーAとして参加医療機関のほうにお伝えするという意味もあり、カテゴリーAに含めるということなのですが、特によろしいでしょうか。
 それでは、このような形で進めさせていただきたいと思います。ありがとうございます。
○筒井参考人 1点だけ補足ですが、今、お手元の2016年のデータの22ページにS.pyogenesのセフォタキシムNS1と報告があるのが再検後感性になったものですので、本来は集計前にこれを除ければよかったのですけれども、後から判明したので、含まれてしまっているというところだけ補足です。
○柴山座長 よろしいですかね。
 続きまして、資料10、国内で報告が比較的まれな薬剤耐性菌(カテゴリーB)の変更についてということで、こちらは髄液検体分離の肺炎球菌です。こちらのセフォタキシムあるいはメロペネムにおいて中間または耐性並びに黄色ブドウ球菌のバンコマイシンが中間という報告があったものについて、これをカテゴリーBに追加するという事務局からの提案ですが、いかがでしょうか。これらも結構報告が上がってきているということなのですが。
 カテゴリーBについては、下の表にありますものに肺炎球菌と黄色ブドウ球菌のそれぞれのセフォタキシム、メロペネムあるいはバンコマイシンのものを追加するという提案なのですけれども。
○長沢構成員 1つだけ確認ですが、髄液検体だけにするというのは、ほかのものをやると件数が膨大になるからということですね。あくまでもそういうことですね。髄液だからどうのこうのというのではなくて、無菌材料であるし、臨床的に重要だからということで、ほかのものだったらIとRでもいいとか、そういう見解ではないですね。
○筒井参考人 ではないです。
○長沢構成員 あくまでも膨大なn数になってしまうからということですね。
○筒井参考人 はい。ほかの検体ですとメロペネム耐性で2,000件ほどありますので、ちょっと現実的ではない。
○長沢構成員 わかりました。
○柴山座長 髄液に限るということなのですけれども、特によろしいですかね。
 そうしましたら、この形で進めさせていただきたいと思います。ありがとうございます。
 これまでのところ、審議事項は以上になると思うのですが、全体を通じてよろしいでしょうかね。
 ありがとうございました。
 それでは、議題3、報告事項ですけれども、臨床4部門の状況についてということで、事務局から報告のほうをよろしくお願いいたします。
○髙倉課長補佐 資料11をごらんください。JANISの臨床4部門の状況についての御報告になりますが、1ページ目、JANISにおける参加医療機関の推移についてでございます。主に200床以上の医療機関をサーベイランス対象としてきたところではありましたが、2014年より200床未満の医療機関の参加を可能といたしまして、さらにその後、感染防止加算の算定要件に検査部門への参加が加えられたという状況もございまして、下のグラフにありますように、検査部門を中心に参加医療機関数がかなり増加しているという状況であります。
 さらに、手術部位感染(SSI)部門あるいは全入院患者部門というのは、グラフで言うと赤線と薄緑の線で示しておりますけれども、少しずつふえている状況で、集中治療室(ICU)部門及び新生児集中治療室(NICU)部門では横ばいという状況にあります。
 2ページ目の項目2、全入院患者部門というものは、JANIS全入院患者部門では、感染症発生動向調査(NESID)と同様に7つの薬剤耐性菌感染症の情報を収集しているという状況で、933施設が現在参加している形になっております。
 その下、手術部位感染(SSI)部門については、2012年以降、日本環境感染学会JHAIS委員会が行っておりますSSIサーベイランスと同じ手術手技コードやSSI判定基準を使用しておりまして、手術手技別のSSIの発生率等を公開しているという状況にございます。参加施設数は、現在、859施設となっております。
 3ページ目、集中治療室(ICU)部門でございますけれども、ICUで主に発生する3種類の院内感染症のデータで、人工呼吸器関連肺炎、カテーテル関連血流感染症、尿路感染症、この3つの感染症のサーベイランスを実施しております。日本環境感染学会JHAIS委員会では、医療器具感染サーベイランスを行っておりまして、その中にクリティカルケア、ICUやHCUだけでなくて、急性期や一般病棟のデータも解析、還元しているという差がございます。現在、JANISのICU部門は191施設が参加いただいている状況にあります。
 3ページ目の下、NICU部門です。こちらの部門では、NICUで発生する院内感染症の発生率とその病因菌に関するデータを収集するものでございます。こちらは日本環境感染学会でもサーベイランスが開始されておるということですが、データの公開は現時点では確認されておりません。このJANISのほうのNICU部門には、現在、118施設が参加いただいている状況であります。
 このように、JANISの臨床4部門は、部門によっては少しずつ参加施設がふえてきている状況であるということです。日本環境感染学会のJHAIS委員会の行っているサーベイランスが国内にはもう一つ別の形として存在しているということで、対象にしているものであるとか参加施設数などには違いがあって、おのおのの存在意義というものがあるのかと思われる状況であります。
 資料12をごらんください。こちらは薬剤耐性ワンヘルス動向調査年次報告書の公表についてであります。報告書作成の目的と経緯ですけれども、こちらは薬剤耐性対策アクションプランに基づきまして、ヒト・動物・食品・環境に関する各サーベイランスのデータを分析して、成果指標を評価する目的でこのような動向調査を行い、年次報告書にまとめるという作業をこの検討会を開催して行っておりまして、昨年10月18日に初回の年次報告書、参考資料2でございますけれども、こちらを公表したという状況にあります。
 この要旨を資料12の下に示しておりますけれども、この動向調査年次報告書におきましては、各分野に関する国を代表するデータを採用して年次報告書に掲載するという形で行っておりまして、日本の医療分野、院内感染に関するデータは、現在、JANISのデータを採用して掲載している状況にあるということであります。
 以上が現状の臨床4部門の状況、それと、その情報あるいは検査部門の情報も踏まえまして、JANISのデータが薬剤耐性ワンヘルス動向調査年次報告書に掲載されているという状況の報告でございました。
 事務局からは以上です。
○柴山座長 ありがとうございました。
 報告事項ということですけれども、皆様のほうから何かございますでしょうか。
 まず、資料11のほうは、臨床4部門の現状について御説明いただきまして、臨床のサーベイランスに関しては、医療センターのほうでも新しくいろいろなサーベイランスを立ち上げているということで、大曲先生、早川先生にも委員に入っていただいて、今後、全体としてJANISともうまく連携しながらいい形でいければと思いますが、よろしいでしょうか。
 資料12については、ワンヘルス動向調査年次報告書ということで、JANISというのが国として非常に重要なデータとして使われているということで、非常に重要な調査になっているということだと思いますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうかね。
 それでは、次の議題、その他ですけれども、その他で皆様のほうから何かございますでしょうか。特にございませんでしょうか。よろしいですか。
 荒川先生。
○荒川構成員 ちょっと戻っていいですか。今の資料11なのだけれども、この中でJANISと学会が同じような内容、若干は違うと思うのですけれども、参加施設数とか、あとは感染症法に伴う全数把握とか五類定点の把握。両方でやられているようなものは、将来的には、多分、病院側からすると両方にデータを出さなくてはいけないということがあるし、もし2つのサーベイランスで違うようなデータが出た場合に、なぜ違うかという説明が必要になってくることもあるかもしれないので、将来的にはJANISに残すものと、学会あるいは感染症法による把握のほうに移していくということを検討してもいいのかもしれないと思います。
○柴山座長 今、荒川先生がおっしゃいました、まさにそのとおりでありまして、JANISそれから感染症法に基づく発生動向調査があり、あるいは国際医療センターのほうでは臨床のサーベイランスが行われ、あるいは学会のほうでもそういうサーベイランスが行われているという状況で、それを今、厚生労働省を中心に全体がうまくまとまるといいますか、うまく動く形でいろいろな議論が進められているところだと思いますので、引き続き、この運営会議でもそういった議論をしていければと思います。
 いかがでしょうか。
○荒川構成員 あと、もう一点教えてもらいたいのですが、2~3年前にこのAMRが国際的な関心事になってきて、JANISとJVARMを統合したサーベイランス体制を構築するというような、あるいは統合までいかないけれども連携したようなシステムにしていくという話もあったと思うのですが、それの進捗状況はどうなっているのですか。
○柴山座長 こちらのほうにつきましては、私たちが、農林水産省が実施している家畜の薬剤耐性のサーベイランスと、これまで研究プロジェクトとしてお互いが連携体制をずっと構築してきたところです。その結果については、一部の菌種につきましては薬剤耐性の動向を比較するようなデータを今つくっておりまして、これは近々、国際医療センターのほうでホームページが公開されると思うのですけれども、そちらのほうにデータを掲載していただくということで、今、準備を進めているところです。今後、これは継続していくものだと思いますので、国民に対してもこういう情報発信がよりわかりやすくできるのではないかと思います。
 はい。
○髙倉課長補佐 今、御指摘のありましたJANISとJVARMの統合的な解析というのは、いわゆるワンヘルスのアプローチという観点から、こちらも大変重視しているところでありまして、このワンヘルス動向調査検討会というのは、毎年、検討会を数回開きながら年次報告書をまとめています。この中にもJANISとJVARMの関係といいますか、今後の統合的なデータが出せるようにということの議論は継続されていきますので、今、御指摘のあったような点に関しましても、今後、年次報告書の中にも触れたり取り上げたりしていく方向で考えていきたいと思います。ありがとうございます。
○野田室長 国際感染症対策室長でございます。つけ加えさせていただきますと、やはりAMRの関係で世界的に話題になっているというところもございまして、年次報告書も毎年出していくという形で委員会も別途開いているところでございます。いろいろなサーベイランスもございますので、それは今までやってきたものもございますし、また、いろいろとこれから研究ベースで始めていこうとしているものもございます。そこを多角的に見ていくということで、日本の薬剤耐性の状況について、より明確に見ていこうというところが目的でございますので、それぞれのサーベイランスの特色、得意不得意はあると思いますので、そこを組み合わせて見ていくことによって、日本の状況を正確に見ていくということを引き続きやっていきたいと考えております。
○柴山座長 そこら辺のところは私たち研究者と厚生労働省のほう、あるいは私たち感染研と国際医療センター、あるいは農水省の研究所等とも連携して、ワンヘルスという立場で薬剤耐性に関するサーベイランスを引き続き、進めていきたいと思います。
 ほかはいかがでしょうか。
 特になければ、そうしましたら、あとは事務局のほうからお願いいたします。
○髙倉課長補佐 次回の会議につきましては、追って事務局のほうで日程調整をさせていただきます。
 本日は御出席いただきまして、ありがとうございました。
 事務局からは以上でございます。
○柴山座長 これをもちまして、本会議を終了させていただきます。どうもありがとうございました。