第2回免疫アレルギー疾患研究戦略検討会 議事録

厚生労働省健康局がん・疾病対策課

日時

平成30年8月23日(木)14:00-16:00

場所

三田共用会議所 3階 大会議室

議事

  

○貝沼がん・疾病対策課長補佐 それでは定刻となりましたので、ただいまより第2回免疫アレルギー疾患研究戦略検討会を開会いたします。構成員の皆様におかれましてはお忙しい中、お集まりいただき誠にありがとうございます。事務局を務めさせていただきます厚生労働省健康局がん・疾病対策課の貝沼と申します。どうぞよろしくお願いします。 まず、本日の出席状況について報告いたします。本日は玉利構成員から欠席の御連絡を頂いております。それでは、ここからは山本座長に議事の進行をお願いいたします。

○山本座長 暑い中、お集まりいただきましてありがとうございます。今回も座長をさせていただきます理化学研究所の山本でございます。まずは事務局より資料の確認をお願いします。

○貝沼がん・疾病対策課長補佐 それでは、お手元の資料を御確認ください。まず、議事次第、座席表、構成員名簿、そして、資料1としまして「免疫アレルギー疾患研究10カ年戦略の方向性について」、資料2「免疫アレルギー疾患研究10カ年戦略骨子()」、参考資料「免疫アレルギー疾患研究10カ年戦略策定に資する報告書」、以上です。また、委員のお手元には第1回検討会の資料を配布させていただいております。こちらは会議終了後、机の上に置いたまま、お持ち帰りになりませぬよう、よろしくお願いいたします。以上です。資料に不足、落丁等がありましたら事務局までお申し出ください。

 以上をもちまして、カメラを収めていただきますよう、御協力のほどよろしくお願いいたします。なお、本日の三田共用会議所内は原則、撮影禁止となっております。御協力のほどよろしくお願いいたします。

○山本座長 ありがとうございます。第1回目の検討会の資料というのはこのピンクのものですね。これは持ち帰ってはいけないというものです。ありがとうございます。

 それでは、議事に入らせていただきたいと思います。議事の(1)アレルギー対策における免疫アレルギー疾患研究10カ年戦略の位置付けについて、資料1「免疫アレルギー疾患研究10カ年戦略の方向性について」の説明を事務局よりお願いします。

○貝沼がん・疾病対策課長補佐 よろしくお願いします。それでは資料1を確認ください。まず、こちらの2ページ目ですが、最初に前回、第1回検討会におきまして皆様より頂戴しました主な意見をまとめさせていただきました。まず、1つ目のポツですが、本研究戦略の期間は10年とする。そしてまた、厚生労働科学特別研究事業の玉利班の報告書を基に研究戦略を策定していく。更には第1回の検討会でこの玉利班報告書に更に追加すべきこと、特に重視することについて、以下のように箇条書きにさせていただきました。

 続きまして3ページ目です。上の図です。まずはこちらでアレルギー疾患対策におきます本研究10カ年戦略の位置付けについて御説明したいと思います。平成266月に公布されましたアレルギー疾患対策基本法及び平成293月に告示されましたアレルギー疾患対策の推進に関する基本的な指針の中で、それぞれ下の四角に囲ませていただきましたような基本的施策、基本理念のそれぞれが示されました。

 これらを基に下の緑の所ですが、目指すべきものとしまして、免疫アレルギー疾患を有する者が安心して生活できる社会の構築というものを目標に、それぞれどんなことをしていくべきかということが書かれています。その中で医療という点に関しましては、医療の均てん化や重症化の予防及び症状の軽減、更には生活の質の維持向上といったところが大きく注目されるところですが、それらにつきまして、その下のオレンジ色の所です。

 平成297月に発出されましたアレルギー疾患医療提供体制に関する在り方検討会報告書、これを基に現在、行政そして学会、そして国民の皆様によって、この医療提供体制の推進が今、進められているところです。更には今回、御議論いただいております免疫アレルギー疾患研究10カ年戦略の中で、それぞれその戦略1、戦略2、戦略3を基に、これらに資する研究の土台を作っていくことを念頭においており、そういった点からこの免疫アレルギー疾患研究10カ年戦略がアレルギー疾患対策において、どういったところにあるのかということをもう一度、御検討いただければと思います。

 続きまして、下のページです。免疫アレルギー疾患研究10カ年戦略の全体像()としまして、このように示させていただきました。まず、免疫アレルギー疾患が有する特徴としまして、まず1つは、多くの場合、慢性の経過をたどり、改善や悪化を繰り返すことがあるために長期的に生活の質を著しく損なっていること。もう一点は、アナフィラキシーや一部の薬剤アレルギーなどの突然の増悪によって致死的な転機をたどる場合もある。

 これらの二面性をカバーしていくためにも10年後に目指すべきビジョンとしましては、免疫アレルギー疾患におけるコントロールの改善と、更には防ぎ得た死の根絶。さらに、これら研究成果等を社会実装し、安心して生活できる社会を構築していくこと。また、コントロール改善というものをより評価していくためには、国民の皆様に協力・参画していただく疫学研究等によって、疾患状況や生活実態を見える化するということ。更には層別化医療、先制医療の実現によって、また、産学官民連携による医薬品・医療機器開発の推進によって、防ぎ得た死の根絶も目指していくということ。ライフステージ別の医療や社会支援の最適化、こういった辺りをキーワードとして10年後に目指すべきビジョンを作っていければと考えております。

 さらに、そのビジョンの実現化に必要とされる3つの目標と戦略としまして、玉利班の報告書を基にそれぞれ下から、戦略1の本態解明、戦略2の社会の構築、戦略3の疾患特性、それぞれから目標1、目標2、目標3という形でビジョンの実現に向けた取組を進めていきたいと考えているところです。以上です。

○山本座長 ありがとうございました。一個一個、細かく説明すると時間がないので概略について御説明を頂きました。これについてこれから約10分ぐらいを考えておりますけれども、討論しなくてはいけないことはいっぱいありますので少しずつですが、まず、この裏表について議論したいと思います。まずは1枚目の第1回検討会における主な意見という所で、ここで何か御意見ございますでしょうか。10年というものの議論は今日はしなくてもいいのかなと思いますけれども、恐らく、この追加すべき、重視すべき事項というところで幾つか挙げていただきましたので、これについて、この言葉でいいのかどうかということも含めて何かございますでしょうか。

 特に「見える化」という言葉を天谷先生からも頂いて、この辺、それ以外にも少し発展させて「見える化」を使っていますけれども、でも、基本的なコンセプトは、この間の議論としては、患者さんの病態を今の尺度でいいのかというようなところが中心でしたよね。そこのところはサイエンス的にもものすごく重要だと思います。少し見える化を違う意味で表現するときもあるけれども、この「見える化」というのを新たにここに入れさせていただいたというのは非常に重要だと思います。特になければ、もちろんこのまま残していくというところでよろしいでしょうか。

 基礎研究、国際化、患者さんの参画、社会の構築。社会の構築について、研究のための社会の構築ということもこの間、議論しましたけれども、それだけでなく、社会全体がアレルギーの患者さんに対して、安心して生活できる場の提供という意味を含めたものに考えていくといいかなというふうに思います。生活の維持向上、国際共同研究、人材育成、国際交流、国際発信、小児期から成人期、それから最後の、既存システムを活用した新規薬剤等への評価。既存システムといったら少し分かりにくいかなとも思いますけれども、事務局から、これ、実際には我々が発言したのでしょうけれども、どういうことでしたか、誰か覚えていらっしゃいますか。

○足立構成員 恐らくこの点については、市販後調査の情報等を活用していく点、若しくは既に副作用等の情報が集まっているようなもの、このようなものが研究開発の中で参考情報として活用できるかどうかを検討していくというところが、この戦略の中でも加わっていくとよいのではないか、そのような意見があったと記憶しております。

○山本座長 ありがとうございます。それが分かるような所に文章を少しだけ、数語入れると分かりやすくなるかもしれませんね。どうですかね、松本先生。

○松本構成員 既存のシステムでは確かに副作用を調査していますが、効く対象と効かない対象を見分けるということを私は是非ともしていただきたいと思いまして前回、提案させていただきました。すなわち、副作用ではなくて、実際に使ったけれども効かなかったという症例が、やはり34割あるという、それを是非ともゼロにするためにも、効く症例と効かない症例を、できれば本当は投与前の、それこそ何らかの血清なり、何らかのマーカーになるようなものを検討することを、もちろん全ての患者さんには無理かもしれませんが、やはり研究として、是非とも行っていくべきだろうと思っております。

○山本座長 それは非常に重要な御指摘で、プレシジョンメディスンにつながるものだと思います。それと、既存のシステムという言葉自体が何か少しわかりにくい、ですよね。だからそれを、明らかに効く方と効かない方、効果あるなしを見分ける方向性ですかね、そういうこととして別立てで作ったほうがいいかもしれませんね、ここは。既存のシステムと言うと、先ほどの副作用も含めてのことになるかもしれないし、そこはそれで分かる言葉でもう少し言葉を加えると。よろしいですかね。どういうふうに具体的な言葉がいいかというのはもう少しもんでいただきたいと思います。

○海老澤構成員 この間、「見える化」に関連して文部科学省でやっている学童期の調査のことについて言及しました。2004年と2013年に今まで行われてきていて、ただ、研究戦略というこの中にうまく入り込むかどうか分からないのですけれども、そういう学童期の全国の1,200万人とか900万人の子供たちの調査を定期的にやっていくということが今、基本的には行われるようにはなっていないですね。それが調布での事故があって、前回、たまたま行われて初めて疾患の変遷みたいなのが分かったものですから、そういうものも少し厚生労働省が例えば、文部科学省に働き掛けて、そういうものが日本で定期的に行われて、正にアレルギーの、そういう大きな分母を持った喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、結膜炎、食物アレルギー、アナフィラキシーのデータが今までパーセンテージで出ていますから、そういうものを定期的にモニターしていくというのも、そういうことを含んだようなことにしていただけるといいかなと思います。

○山本座長 ありがとうございます。重要な点だと思うのですが、恐らく、今の御指摘、海老澤先生の御指摘は少し数の問題、疫学に結び付く問題で、そこのところについてと、それから天谷先生が指摘したのは恐らくそうではなくて、もう少しミクロの問題ですかね。もう少し細かく、患者さんの中で起こっていることを把握しようという、2つを少し一緒にして見える化にしましょうと言うと、何を言っているのか分からなくなってしまいますので、ミクロとマクロ、どういうふうに分けるかという、ミクロのほうだと少し疫学という言葉は恐らく入ってこないと思いますので、そこのところの表現の仕方を少し考えて、両方とも重要なので、どちらかをという重い軽いはないのですけれども、今回、最初に天谷先生から指摘していただいたのは、どういう手段か別にしても、免疫的なメカニズムを含めたものをもう少し我々は把握しなければいけないというところで、アレルギー状態というのをまだ把握し切れてないという議論だったのですね。海老澤先生の御指摘はそれだけではなくて、国民全体としての数としての調査がほとんど十分でないという両方の面。両方ですから、そこは両方、分かるような言葉で、よろしいでしょうか。

○海老澤構成員 それで、目標1の「見える化」に基づく患者数の減少と書いてあるので、そこについて。

○山本座長 そうなのですね。でも、その減少の所からこの間、天谷先生が議論を始めたのですよね。本当に減少しているのですかという議論だったので、そこのところを含めて。

○天谷構成員 患者数だけではなく、成果が見えにくくなってはいないか。

○園部構成員 すみません。当事者の立場で、緊張の極みで参加させていただいています。よく分からない所がたくさんあるのですが、今後、この10カ年戦略のことも公表されることを考えると、素人である国民の誰が見ても分かりやすいことが大事だと思いますので、マルポツの2番目の「基礎研究の充実」と書いてあると、10年間は基礎研究だけが特出しなのかと誤解を招きかねないので、是非ここに、臨床研究と疫学研究も含めて、3つとも充実していくのだと書いていただくのがふさわしいかと思いました。

○山本座長 なるほど。そうですね。基礎研究が特段十分でないことを意識したのでしょうが、そこを出しながらも、やはり臨床研究は重要だと。それから、疫学をどちらに入れるか難しいでしょうけども。研究が重要というだけでは何を主体にしているかが分からないということがあるので、そこのところは少し表現の仕方を考えていきたいと思います。そのほか、どうでしょうか。

○松本構成員 先制医療の一部になるかもしれませんが、プライマリープリベンションを是非とも、発症予防というのを入れていただきたいと思います。発症していない人はこの戦略の対象にならないことになりますので。

○山本座長 そうですね。また後で議論したいと思いますが、先制医療という言葉がどういうふうに。園部さんが言われたように、誰もが分かる言葉としてなっているかどうか。そうすると、プレシジョンメディスンというのはどうか。でも、プレシジョンメディスンというのは少しずつパブリックに、皆さんも分かっていただくような言葉になりつつあるかもしれないのですが、分からない言葉をポンと提示して、ホイッとやって、何も説明しないと、ほとんど失礼なことになってしまいますよね。だから、読んだ方がなるべく分かる言葉にするのに、プリエンプティブセラピーというのがどれぐらい意味があるかですよね。なるべく分かりやすい日本語にしたいと思います。ありがとうございます。そのほか、どうでしょうか。

○足立構成員 患者の参画の所は非常に重要な点になってくると思いますので、ここの部分の記載も同様に非常に重要なものになってくると思います。恐らく患者団体がしっかりされている疾患ばかりではなく、そうでない疾患で、どのような方に御意見を聞けばいいのかが分からないような疾患もあると思われますので、そのような方の声を代替するものとして、市民という言葉がここに加わってくると非常によいかと思います。Patient and Public Involvementという言葉もありますので、患者参画というよりは患者・市民参画という文言で、幅広い御意見を伺うことができるような記載が望まれるかと思いました。

 先ほど、基礎研究の充実の所、この文脈が出てきたのは、もともとの記載の中で、臨床研究やほかの研究の所はもう十分読めるけれども、基礎研究の所が記載がちゃんとなっていないので、そこの部分の記載を少し強化しましょうという、恐らくそのような文脈であったかと思いますので、そこだけを特出しにするというよりは、この「充実」の文言が少し忘れられているというような文脈であったと、議論の経緯を記憶しております。以上になります。

○山本座長 ありがとうございます。もし、例えば基礎研究についてだったら今までは十分でなかった基礎研究とか何とかというふうにすれば分かりますかね。その辺について、それでまた臨床研究の項目を別に作っておけばいいわけで。

○足立構成員 そうですね。

○山本座長 あと、患者・市民参画でよろしいですか。言葉として、患者・社会よりは市民のほうがもうちょっと具体的でいいですけどね。

○足立構成員 患者・市民という言葉がどのように患者団体の方に受け取られるのか、聞いてみたいと思います。

○園部構成員 そうですね。研究のために市民や患者がいるのではなく、治すために研究していただくわけなので、配慮するためにもというよりは、配慮した研究への患者・市民参画ですかね。やはり似通ってしまいますが。

○山本座長 ここについては、研究の参画は重要ですが、研究の参画だけではないというところを別に出したいわけですよね。

○園部構成員 患者さんたちは、実際に現場でインフォームドコンセントを受けているはずなのですが、どうしてもその説明が少なくて、傷ついたという声も結構来ているので、十分に配慮していただくことが大事だと思います。

○山本座長 そこでも市民の方たちは、別に患者さんでもない方も含めてなので、その方たちのことも理解して研究をしないと、モルモットという言葉なんてもうないでしょうが、昔は何か話があると、モルモットなんですねという言葉だったけど、そういうことよりも、それを少しでもステップアップした理解に持っていきたいですね。

 ここはどうしますか。研究への参画というのもあったほうがいいと。今までは余りこういうことを言ったことがない。言葉として、これから10カ年、どういうふうに考えるかという中で、研究への参画を大きく謳い上げたというのは余りないと思いますが、入れるかどうか。研究への参画というのではなくて、患者・市民を含めた何かとかいう表現にするか、どうしますか。社会を含めた、社会構築とかいう言葉にするか。そこの御意見を入れながら、全体として文章をどうするかを考えていただきたいと思います。ありがとうございます。ここでずっとやっていると、あっという間に1時間経ってしまいます。ちょっとこのぐらいにして、また進んでから、もし重要であればまた引き返しましょう。

 それでは、裏のページにいって、まず上のほう、本研究10カ年の位置付けで、先ほど御説明があったような形で、ブルー、グリーン、オレンジについて、特に医療の均てん化は重要なのですが、そこについては既に平成29年の報告書がありますので、それで行政や学会などが動いています。そこのことはこちらが強調する必要はないので、別立てだけども一緒に共同でやるという体制を理解していただくということです。何か御意見はございますか。ここで予防をもう少し分かるような言葉としてみますか。この中だと本態解明の中に入れていくことになると思いますが、後で出せばいいことであるかもしれませんね。医療の均てん化、重症化の予防、症状の軽減、生活の維持向上、これでよろしいですか。

○吉本構成員 松本先生が言われた発症予防は、多分、多くの人の関心事だと思いますが、ここでの議論の中では先制医療という文脈で論じられていて、法律もどちらかというと、患者さんになってからのことが法律になっていて、本当の意味での発症予防はこの外にあるのかと思って。この図で位置付けすると、発症予防とは、普通の人が思うのは、先制医療ではなくてアレルギーにならないという文脈で考えるのですが、それをうまく入れる方法があれば、そうしたほうがいいと思います。

○山本座長 そうですね。確かに。難しいのですけど。アレルギーと今まで気が付かない方が、アレルギーと気が付いたときにはもう発症しているわけですから。

○吉本構成員 はい。

○山本座長 だから、そこのところで、それこそ見える化、先ほど天谷先生が言われたところで、発症していない方でも今はどのぐらいのステージ、発症前のステージがあるかが見えてくるともっといいですよね。

○吉本構成員 多分、予防には2通りありまして、素因がある人は何かを一生避け続ければ発症しないという、そういう意味で生活の制約を受けながらの発症予防と、あとは、そういった制約がない発症予防と、求めるのは制約がない発症予防だと思いますが、その辺が割とぼやっとしているというか、もし書くのであれば、そこをある程度分かるように書いたほうがいいと思います。

○山本座長 なるほど。

○足立構成員 今の吉本構成員の御指摘は非常に重要な点で、一番上の行に書かれている「免疫アレルギー疾患を有する者が」という単語にかかってくるものだと思います。これが「有する者」だけに限定をしてしまうと、恐らくこれから発症してくる方が研究のターゲットになってこないことになるので、恐らく潜在的患者さんが、見える化することによって見えてくる、これから発症してくるような方も対象にしていくという記載が望まれるかと考えられました。

○山本座長 そうですね。その辺をそういうことにしましょうか。前文かどこかに、ほとんどの方はアレルギーなのだと言ってしまっていいのかもしれませんけどね。何らかのアレルギーを持っているので。重症の病態はものすごく重症だから、そこは重点的にやるのだということも意識しながら、誰もが持っているアレルギーという言葉も分かるようなことにしたほうがいい。だから、境というのはないのでしょうけどね。天谷先生、何かありますか。

○天谷構成員 今お聞きした予防の定義ですが、制約を伴う予防と制約を伴わない予防と、普通の人がアレルギー疾患にならない予防というのがあるので、そこを意識しながら言葉に落としていったほうがいいと思います。アレルギー疾患は、抗原が自分を悪くする要因があったらそれを避けるということもありますが、メカニズムが分かってくると、どういう行為をするとそのアレルギーになりやすいということが分かってくるので、そういう行為をしないような、そうすることによって発症者を減らせますから。だから、そういう意味の、予防といっても幾つかの段階に分かれていることを意識しながら言葉に落としていくといいのではないかと思います。

○山本座長 だから、そのときにもイメージとして、花粉症を意識しての記述と、また、食物アレルギーを意識しての記述と、喘息を意識しての記述と、ちょっと違ってきてしまうので、そこを全体的にうまく、総合的に書くのは結構難しいですけどね。それから、書くときは具体的に書くこともいとわずに書いていくことにしておかないと、何を言っているのか分からないことになってしまいますね。その辺を考えましょう。

○園部構成員 保健指導にアレルギーのことが入ってくるわけですが、そこには正に赤ちゃんで、乳児湿疹がこじれたときに、アトピーか食物アレルギーかと悩んだお母さんたちに皮膚のケアなどを教えて、発症予防になっていくことも、これから入っていくことを考えると、最初の「重症化の予防及び症状の軽減」の前に、発症予防みたいなことが一言入るといいのかと思いました。

○足立構成員 この下の項目の、医療の均てん化、重症化、生活の質の所で書かれている内容で、少し質の異なるものが記載されているような感じがしましたので、その点についてコメントさせていただければ幸いです。左側の医療提供体制の整備、普及等は、恐らく実際に推進を行った結果として達成されるべきものである一方で、右側の開発や研究というのは、四角の中に実際に行う内容が書かれていて、研究や開発はむしろ下の国内外の産官学民。

○山本座長 今、どこですか。

○足立構成員 緑の四角の中で、真ん中の白い所で、さらにその中に四角で、医薬品開発や疫学研究とかが書かれているのですが、この開発や研究はむしろ10カ年戦略の実践の中に含まれるべきものになるかと思います。上に記載すべきものをもしレベルをそろえるのであれば、新しい医薬品・医療機器になるかと思いますし、生活実態を含む疾患の見える化が恐らく同じレベルになってくるかと思いますので、そのレベル感を少し合わせていただくと理解しやすい図になるかと思います。ありがとうございます。

○山本座長 これは記述の問題として考えてよろしいですか。

○足立構成員 はい。

○山本座長 議論するよりも御指摘があったということですね。そこの位置付けはちょっと置いておきまして、下のほうの10カ年戦略の全体像を含めて議論してみたいと思います。ここでは、慢性と急性の二面性があるという指摘の後、10年後に目指すべきビジョンのキーワードの中で、それに対応して、コントロール改善と防ぎ得た死の根絶と。この防ぎ得た死の根絶というのは言葉としていいのかという感じもあるのですが、どうでしょうか。防ぎ得たというと、亡くなった方を見ながら、本当は救えたのにというよりは、もう少しポジティブな感じのほうがいいのかな。防ぎ得るべきか、防ぎ得る死の根絶とか、ちょっと言葉の問題ですけどね。言葉としてはこれで表に出ますので。言葉も重要な表現の一部ですから。少なくとも「防ぎ得た」より「得る」にしたほうがいいかな。防ぎ得る死の根絶というところかなと思いますけれども、その辺も少し。ここで最終決定ではありません。次回が最終決定になると思いますけども。そういうことを含めて、先制医療、ここでは先制治療ですね。オレンジの所の下から2番目、層別化医療、先制治療、これでいいのか。後では、報告書の中には、先制攻撃的治療という言葉も出てきますので、それも含めて、この言葉をどう使うかも意識しながら、今でもいいし、後で御意見を頂いても結構だと思います。

○園部構成員 ここにふさわしいかどうか分かりませんが、ドクターだけのかかわりで、患者さんはなかなか健康を回復できませんので、チーム医療で取り組むことを入れていただきたいと思います。

○山本座長 患者さん、市民だけではなくて、その前に医師とその間を結ぶコメディカルな方ですね。どこに書くことにしますか。コメディカルを目標2の中に入れ込みますか。

○足立構成員 恐らく産学官民連携が非常に重要になると思います。実際に医療を提供する上でのチーム医療だけでなく、基礎研究の方、実用化研究の方や研究を支えられる方も含めたチーム研究というものも、この産学官民で非常に重要になってくると思いますので、この部分に記載が加えられると良いと考えられました。先ほど座長がおっしゃられた「見える化」の所で、疫学研究等のレベルと、あとは一つ一つの疾患をしっかりと見ていく、若しくは情報を収集していく、2つの異なる視点が見える化で重要とおっしゃられていましたので、このビジョンのキーワードにおいても同様の視点が加えられると良いのではないかと思われました。

○山本座長 どういうふうにそれを表現するかというのは、ミクロとマクロと表現してもいいし、もう少し違う言葉で表現したほうがいいのかもしれません。今、経済もミクロの経済とマクロの経済に分けますが、それで病気について説明するのが良いのかどうかというのは、また違うことですよね。ですから、疫学研究、それと病態のメカニズムにのっとった見える化とか、そういうことでもいいと思います。

○海老澤構成員 先ほどの「防ぎ得た死の根絶」という言葉ですが、以前の戦略では、喘息死ゼロ作戦というのがあったと思います。今回、例えば、これは重症のアレルギー疾患による死を防ぎ得るという意味だと思います。事務局が非常に言葉の使い方に努力されているかと思いましたが、アレルギー関連死というのは、もう少し幅広い言葉で、喘息アナフィラキシー、例えばアレルギーを持っていることを苦にして自殺したりとか昔はあったりもしましたし、少し幅広くそういう言葉を使っても良いのかなと思いました。

○山本座長 ありがとうございました。「アレルギー関連死」は余り使っていませんが、これがポジティブに出てくるといいですが、ネガティブに出てくるとちょっと問題ですが、それに対する御意見はどうですか。

○吉本構成員 「防ぎ得た死の根絶」よりは、受け止める側としてはいいと思います。

○山本座長 そうですか、なるほど。

○吉本構成員 それに、書くときには、こういう定義をする場所もあるわけですよね。あくまで一非専門家としての意見です。あと、隣にある「コントロール改善」の「コントロール」についてですが、これも患者さんや当事者であると、コントロールとは何かというのが割とイメージしやすいと思いますが、自分がアレルギー疾患を持っていない場合、コントロールとは何だろうと、ピンとこない用語だと思います。何かを防ぐとか、こういう状態を達成するとか言ってくれれば分かりますが、コントロールと言うとちょっと分からないと思います。

○山本座長 なるほど。

○園部構成員 本当にコントロールについては、アトピー症状がこの程度なら我慢しておくべきと考えている患者さんと、症状がゼロになる状態を考える患者さんもいるので、解説が必要だと思います。

○山本座長 個別の疾患のコントロールを解説するのはやさしいのですが、コントロールという言葉で全部の疾患を説明するのは確かに簡単ではないのですが、コントロールとだけ言い放つのはよくないということですよね。もう少し分かりやすく、免疫アレルギー状態のコントロールだけでも不十分ですか。何か御意見はありますか。後で事務局が頑張っていただければいいのですが。御意見があれば今のうちに入れていただくと非常に参考にはなります。コントロールという言葉自体は本当は良いですよね。何をコントロールするかちゃんと書いてあればいいということですよね。症状のコントロールだけでもいいのかもしれませんが、症状、病態、何とかのコントロールとか、そういう言葉を入れていけばいいですかね。

○吉本構成員 園部さんが言われたように、コントロールというのは見る主体によって、これはコントロールできている、できていないという受け止め方の差が生じるので、何か尺度を示すことができるなら、それも1つだと思います。患者の満足度を上げるとか、それが絶対になるとまた難しい問題ですが。

○山本座長 確かにこれは非常に重要な問題です。例えば、高血圧というのは血圧を14080にしましょうということで、それはコントロールでいいわけですよね。糖尿病のヘモグロビンA1c6以下にしましょうというのは非常に良い言葉ですが、免疫が関与する疾患になってくると途端に数値がないのです。ですから、言葉としての表現でしかないのですが、確かにそれを受け止める側からはどう考えるかというと難しいのです。

○天谷構成員 これは、やはり見える化と絡んでくるのです。結局、症状がもう少し重症度とか、悩んでいる程度がスケーリングできたり、それを簡単にできる指標ができると、それを改善するということだと思いますので、その辺を考えながら言葉に落としていくしかないと思います。

○山本座長 例えばビジュアルアナログスケールというのがあって、10cmの中で今日はどれぐらいかというのは非常に良い指標ですが、それもその方その方によってかなり、全ての症状がないはずなのに、いつまでたっても10に近い方もいらっしゃるので、完璧な数値化は難しいのです。恐らく免疫的な指標も含めて、もう少しそんなにお金は掛けなくても、今は分かりやすいアレルギーの指標を見つなければいけない時期というのは間違いないと思います。単に自分のフィーリングだけではないが、それも入れながら、幾つかのスケールを総合した数値ということだと思います。そこは少し書き込めるような、例えば関節リウマチではそういうのがあるのです。ですから、そういうことも含めてアレルギーでもあってもいいし、全く同じものではあり得ないので、目標としては、血圧や糖尿病の目標と同じようなことがアレルギーの領域でも使えたらいいなというところです。ものすごく重要な点です。

 そうすると、確かにコントロールというのは分かりやすいですよね。非常に重要な課題を頂きましたが、その辺を意識しながら、それが何かというのを今回は言う必要はないのです。それは10年間の研究で、その後、これが正しいというのを持っていくわけですから、そこに向けた10年間が分かればいいわけです。ありがとうございます。このぐらいで、次の報告書に入ります。資料2、アレルギーの疾患の検討会報告書について、事務局からよろしくお願いします。

○貝沼がん・疾病対策課長補佐 資料21ページ、骨子()の目次を示します。まず、「はじめに」があり、Ⅱ「対象とする疾患」について前回御議論いただきました。Ⅲ「我が国の免疫アレルギー疾患研究において推進すべき研究」の345の中で戦略1、戦略2、戦略3という書き方をしていますが、その中で、これまでにはなかった部分で、戦略1は「本態解明」、戦略2は「社会の構築」、戦略3は「疾患特性」と少しキーワード的なものを前に出して、分かりやすくすることができるかと考えております。中身については、玉利班の報告書から頂いているものを、おおむね順番は変えていませんので、ここでは説明は割愛します。

 2ページ、Ⅰ「はじめに」については、これまでのアレルギー疾患対策基本法を整備してきた経過の中で、どうして研究戦略というものが作られてきたのか。その研究戦略を作る経過はどうであったのかということを御紹介したいと思います。さらに、Ⅱ「対象とする疾患」については、法律においては6疾患、こちらに書いてあるものが規定されております。この本研究10カ年戦略においては、基本法で規定される6疾患を中心に、それ以外の周辺の疾患についても分かるような形にしていきたいと思います。Ⅲ「我が国の免疫アレルギー疾患研究において推進すべき研究」については、問題点、独自性・優位性について示しております。こちらも玉利班の報告書を骨子として策定することと、更に行政的な課題について付け加えております。

 4ページ、210年後のビジョンと3つの目標及びそれらの達成に求められる戦略」として、先ほどの資料1で御議論いただいたキーワードを基に、10年後のビジョンとして、産学官民の連携に基づいて、免疫アレルギー疾患に対してコントロール改善と防ぎ得た死の根絶のために、疾患コントロールの見える化や層別化医療・先制治療の実現に資する医薬品や医療機器の開発を通じて、免疫アレルギー疾患を有する者がライフステージに応じて、安心して生活できる社会を構築するというように案文を作らせていただきました。

○山本座長 少し長いですが、ここがある程度メインの所で、あとは個別になります。1ページは目次ですが、「はじめに」、Ⅱ「対象とする疾患」、Ⅲ「我が国の免疫アレルギー疾患研究において推進すべき研究」「10年後のビジョン」、ここまでを議論したいと思います。目次はいいですか。これはいいですよね。

 それでは、「はじめに」についてです。基本法と指針が決まって、医療の均てん化の医療提供体制は既に始めていて、特別研究班の玉利班ができて、疫学調査、基礎病態解明、治療開発、臨床研究等々について、安心して生活できる社会を構築するということと、国際的、こういうところが前文で書いてあります。ここは何か付け加えたほうがいいというものがありましたら、御指摘いただきたいと思います。ここはいいですかね。これは前文だからいいと。次にⅡ、対象とする6疾患と、それ以外にもあるというところですが、ここはどうですか。

○天谷構成員 ここで対象とする疾患ですが、6疾患は基本法の中に書かれていますが、この中に重症の薬疹やアナフィラキシーとかいろいろなものが入ってきていますが、それが6疾患とは必ずしも一致してはいないので、それをきちんと書き込むことが大切ということです。

 それから、一般の市民から見ると、アレルギーという言葉がかなり様々に定義されてしまうのです。極端な話、男性アレルギーとか。アレルギーというのが、ここで持つアレルギーの、きちんとした疾患の定義を何らか取得するべきではないかと。混乱しないためです。逆に言えば、もう一歩進むのでしたら、対象としない疾患みたいなものを入れておいてもぶれないのかなと思います。今、私たちが考えているアレルギーは何らかのきちんとしたアレルゲンがあって、それに対して免疫的な反応が起こって症状が出るものですが、心因的なもののアレルギーというのは今のところ対象にしていないので、そういうことをはっきりしておかないと、心因的なものや、原因として現時点としては同定されていない疾患が入ってくると混乱してしまわないかという懸念です。

○山本座長 非常に重要な指摘です。まず、なるべく明らかにしたいというのはいいのですが、確かに心因的アレルギー反応を入れないというのを言いたいところですが。

○天谷構成員 例えばアトピーでも心因的な理由で悪くなることがあるので、それを除外するということを言っているのではなくて、発症の原因が物質に落とせない様なものを対象にしてしまっていいのかなという疑問があるということです。

○山本座長 そうなのです。それはごもっともですが、例えば免疫的な研究で神経免疫連関が出てくると、アレルギーのベースの中に神経的なファクターが入ってきてしまうので、そこを意識的に定義して入れないという考え方と、それから、それはあるけれど、分からない領域なので書かないという考え方と2つあるかなと、何となくフィーリングがするのですがどうですかね。そこを意識しなければ、心因的なものを議論し出すと、ないものもあるものとして記載してしまうことになりますから、そういうのが全うな記載だと思います。ベースとして免疫系と神経系は今までよりも密接に結び付いていることが、後のアトピーの心因的なもので増悪することもそうなのでしょうね。ですから、そこのところの区別をどうするか。

○天谷構成員 そうですね。増悪とか、そういうものには心因的なことは完全に関与しているので、それを除外するということではないのです。疾患も6個の疾患、重度のアナフィラキシーも薬剤アレルギーも全て何らかの現存する物質が最初の一歩になっているので、私たちが今回考えているアレルギー疾患というのは、そういうものがきちんと想定される疾患が対象であって、それ以外のものは今の時点では対象ではないことをはっきりしておかなくていいかなという点です。

○山本座長 そこで除外をするというよりは、定義としてポジティブに、ここでのアレルギーの定義。

○天谷構成員 10カ年の研究の対象とする疾患にはこういうものが必須ですよと。

○山本座長 それは、例えば、アレルゲンの存在と、それに対する免疫応答を基盤としたアレルギー反応という定義だけで置いておけば、そこに心因が入ってくるか入ってこないかは後の議論なので、そこで止めていいですかね。

○松本構成員 中高年発症の喘息の6割ぐらいは抗原がはっきりしない、いわゆる非アトピー性喘息ですので、抗原が同定できないものを除外してしまうというのは当たらないのではないかと思います。

○山本座長 それは抗原をもう特定したという意味ではなくて、想定できないアレルゲンと、それに対する免疫応答が想定できるメカニズム。

○松本構成員 例えば、ノンアトピックのアトピー性皮膚炎の場合もありますよね。

○山本座長 しかし、それは炎症反応が明らかにあるわけでしょう。

○松本構成員 もちろん、免疫応答はあります。

○山本座長 免疫応答で、今アレルゲンに依存しない免疫応答というのは、確かに自然リンパ球などを介した。

○松本構成員 いわゆる自然免疫系によって起こる炎症もありますから。

○山本座長 そうすると、アレルゲンは消しますか。

○天谷構成員 そうですね、アレルゲンではないかもしれないですね。

○山本座長 かもしれないか。なるほど。そうすると、「免疫応答を基盤としたアレルギー性炎症反応を有する疾患」でいいですか。

○藤枝構成員 このままでいいのではないでしょうか。6つの疾患もちゃんとあるし、下に薬剤アレルギーもありますので、これでいいような気がしますけど。

○海老澤構成員 基本指針を作るときにその議論があったのですが、結局、こういう記載になったということです。

○山本座長 合意したのですか、なるほど。

○園部構成員 法律にあるとおりでいいと思います。「この法律においてアレルギー疾患とは、気管支ぜん息、アトピー性皮膚炎、鼻炎、アレルギー性結膜炎、花粉症、食物アレルギーその他アレルゲンに起因する免疫反応による人の生体に有害な局所的又は全身的反応に係る疾患であって政令で定めるものをいう」と書いてあるので、シンプルにそれでいいのではないでしょうか。

○山本座長 いいですか。どうしますか。

○天谷構成員 ここは行政的な判断でもあるのですが、基本法は、基本的に獲得免疫に対することしか書いていないのです。免疫学がどんどん進んでくると必ずしもそうではないので、例えばアナフィラキシーに関しても、今アナフィラキシーの本当のメカニズムは分かっていないのです。ところが、今思っているようなアナフィラキシー以外の免疫が関与していることはあって、別にそれをここに反映させろという意味ではないのですが、全く関係ないアレルギー疾患が入ってきてしまうと、全体を混乱させることがないかなという懸念がもう一方であったので、それを除外しないでもいいのかなということです。

○山本座長 ここに入れ込まないで、どこかに表現するようにしますか。

○天谷構成員 混乱がなければそれでいいと思います。

○吉本構成員 特定の疾患を除くというのは、読んでいてなかなか読みづらいところは、正直あるかと思います。法律の規定に加えて、例えばWHOとか、今、医学の研究や診療で基盤となっている定義をしている国際学会とかそういう所があれば、その範囲を引いてくるのも一つの方法だと思います。

○山本座長 法があって、法プラスWHOにもしアディショナルなものがあればということですね。

○吉本構成員 WHOかどうかは知りませんが、結局、私どもは、これがどうやって線引きされているか分からないところがあります。専門家がこういった理由で線引きをしていて、これは、日本の法律だけが特殊なのではないということが示されていてほしいと思います。

○山本座長 そんなに日本の法律はおかしくないですよ。

○吉本構成員 それはつまり知る手段がないということで、ここにそれが書いてあれば安心して読めるという趣旨です。

○山本座長 それと、天谷先生の議論はどうしましょうか。ただ、これだけ書き込んでいるので、そこの心因性のアレルギーはそんなに入り込む余地はないのですが、どこかには入れておきたい感じもしますが。

○足立構成員 吉本構成員は、恐らくICD-10等に関連する話を言及されましたが、もともとICD-10自体も免疫に関連する疾患群に関しては、十分な記載がなされていない。これがICD-11に今ちょうど移り変わるタイミングで、1つ議論のテーマになっていたところでもあります。恐らく、日本だけではなく、世界的にもこのような免疫アレルギーの疾患群を一つ一つ定義していくところに関しては、皆さん悩まれているところがあるのではないかと推察します。その点では一個一個の疾患をどれがターゲットで、どれがターゲットではないかというのをこの項目で限定するのは、なかなか困難な状況があるとも考えられます。

 あとは最後の点ですが、「これら6疾患の病態解明等に資する疾患を対象とする」という文言が追記されるような形になっていると思いますが、この部分の線引きもなかなか難しく感じられるところではあるので、この記載がこのまま使用されるのが良いのかどうかという点については、少し検討が必要ではないかとも考えられました。以上です。

○山本座長 ここは随分広くなって、例えば、関節リウマチも含めて、免疫反応が関与する疾患等含めて、そういうものの解明がアレルギーにも役立つ可能性があるということで含めているわけです。ですから、これは疾患の定義からではなく、これは研究の定義として包含しているということです。今の議論も含めて、どういうふうにここを書くのか、少し議論していただきたいと思います。次はⅢ「我が国の免疫アレルギー疾患研究において推進すべき研究」ということで、問題点と独立性・優位性を含めて、何か御指摘はありますか。ここでは横断的問題、垂直的問題、国際連携の大きな3つがあります。

○園部構成員 患者の視点から問題点として1つ付け加えていただきたいのが、国民や患者が古い考えにとらわれて、進歩した正しい疾患理解が不足しているという問題がとても大きいと思いますので、記載いただけたらと思います。

○山本座長 古い考えしかない方に、言葉は悪いですが、新しい教育とかそういう意味ですね。

○園部構成員 はい。

○山本座長 分かりました。戦略2でかなり社会との関係、Patient and Public Involvementがありますので、その所でいいですか。

○園部構成員 はい。

○山本座長 ここで入れなくても、もう少し分かりやすい戦略2に入れ込んでいいのかなという感じがします。ここは重要な点です。ここでもう一度議論したいのは、攻撃的治療(Preemptive Treatment)、精密医療(Precision Medicine)という言葉で、この辺は本来網掛けをして、言葉の説明を後で書くということですが、Preemptive Treatmentを先制攻撃的治療にするのか、先ほどの先制治療にするのかとか、精密医療はこのままでいくしかないと思います。これはすでにいろいろなところで歩いていますから、変えられないです。しかし、先制攻撃的治療これを入れるのかということについて、もしコメントがあればお願いします。これは、攻撃的ではないですよね。先制治療。「先制・予防治療」にしますか。「予防」は入れなくてもいいか。この辺はどうでしょうか。プリエンプティブトリートメントは、既に欧米ではよく使われている言葉になりつつあるので、これはいかしたほうがいいかと思います。しかし、そこに対する日本語をどうするか、「攻撃」は入れなくてもいいと思います。どうでしょうか。取りあえず、よろしいですか。「精密医療」は、このままでいくことになります。その他ありますか。

○吉本構成員 問題点の所に入れるのかなと考えていたのですが、取材などで一番苦労するのが、この疫学調査、疫学データの入手です。今、日本がどうなっているのかというデータの入手が大変難しい。先ほど海老澤構成員から御指摘がありましたが、現状としてどうなっているのか説明が可能であれば、そして問題があるのであればここに書くべきかと思います。

○山本座長 そうですね。海老澤先生、何か御意見はございますか。どうですか。

○海老澤構成員 特に正確な分母を明らかにしてのデータは、先ほど話したように学童期のデータしか日本にはないのです。成人期のデータというのは皆無で、例えば自衛隊といった所で調べようかと、昔、研究班のときに考えたことがありますけれども、なかなか特定のグループで、今、個人情報の問題とかいろいろあって成人の疫学データは全くないのが実情です。

○山本座長 今、東北メディカル・メガバンクとか京都のほうのながはまコホートとかはアレルギーは入っていないですか。

○藤枝構成員 ながはまとかは入ったのを読みました。

○山本座長 入っていますか、なるほど。そういう所で、要するにある集団を経時的に見ていく中ではアレルギーは頻度が高いので、項目に入っていればデータとしては出てくる可能性はありますね。

○海老澤構成員 それと問題点は、自己申告によるものと診断によるものと、一番正確な診断方法によるものとの乖離が、かなりアレルギーの場合はあるというところが大きな問題です。

○山本座長 そこを突き詰めると、先ほどの見える化がまだ十分でないので、そこを目指して10年間やっていくことになると思いますが、それと別立ての、要するに先ほどのミクロとマクロです。ミクロの細かいアレルギーの定義というかアレルギーの把握と、もう少し集団としてのアレルギーがどうなっているかという疫学ですね。ここは疫学の重要性というのはもう一度書き込んでもいいかもしれません。日本でもやっと動き始めたものはあるけれども、アレルギーとして特化したものはないので、恐らく十分かどうか分かりませんね。だから、そこのところをもう一度強調して、もちろんお金が掛かることですけれども、なるべくアレルギーとして、例えば先ほどお話があった学童の2004年と2013年ですか。

○海老澤構成員 そうですね。

○山本座長 それに次ぐものを、また次に作るべきだと。少なくとも学童に関しては、それをやらないと増えているか減っているか分からないから、それプラス今度は成人をやるというぐらいは記述してもいいですね。ここは政策決定ではないので具体的なことではないでしょうけれども、疫学を充実させるということについては、ここで指摘をすることは全く真っ当な御意見だと思います。

○足立構成員 この問題点の所の序文ですが、この研究戦略の中で考える上で恐らく免疫アレルギー疾患研究においての問題点を、しっかりと抽出すべきところだと思います。ここで我が国のアレルギー対策、しかもアレルギーに限定した状況での問題点を抽出してしまうと、恐らくこの研究戦略においての問題点としては、異なる質のものが加わってきかねないということがありますので、ここでは免疫アレルギー疾患研究においての問題点をしっかりと抽出することを、序文で明記していただくのが望まれるかと思いました。

○山本座長 実際には、序文というと問題点、次の「我が国のアレルギー対策は」という所に、もう少し。

○足立構成員 そうですね。

○山本座長 免疫アレルギー疾患研究は。

○足立構成員 3つの問題点を有する。

○山本座長 3つの問題点ですね。

○足立構成員 この観点を入れますと、➂の国際連携における問題の所は、データ等の標準化についての言及のみなのですが、恐らく研究者や研究内容の国際連携の記載が不十分です。また、一番初めの患者連携での国際化の所の記載が十分ではない点も、前回、議論に挙がったかと思います。

○山本座長 そうですね。

○足立構成員 このような連携若しくは国際的な情報発信、これらの点も恐らく➂の所での問題点として記載されるべき内容かと考えました。

○山本座長 ありがとうございます。

○園部構成員 ここで発言するのは、ふさわしいことなのかどうか分からないのですが、本当に重症の患者さんと、見た目は重症だけど要するに治療がきちんとしていない患者さんもいる。そういう問題は研究対象になりますか。

○山本座長 それは両方とも対象になると思いますね。だけれども、それは違う視点で見ていかないといけないと思います。片一方が抜けることはないと思います。ただ、ここで書くかどうかは表現が難しいかもしれません。最初のほうの重症化というのは、まず急性に起こって生命の予後に関係するものも、言葉としては十分に入っていますね。さっきの2つの慢性疾患と急性病態と両方が含まれると思いますが、その両方はメインの対象になると思います。取りあえずこのぐらいで、次の4ページ目に行きます。10年後のビジョンという所で、どうでしょうか。ここで防ぎ得るかについて、もう一度もんでいただきながら、見える化、層別化・先制治療、医薬品や医療機器の開発、ライフステージが出てきていますけれども。

○松本構成員 是非ともここに、発症した人でなく発症する前の。

○山本座長 発症前。

○松本構成員 「疾患の発症機序の解明に基づく発症予防法の開発」というふうなことを入れていただきたい。

○山本座長 はい。ここに入れることにしましょう、10年間ですもんね。そのほか、御意見、どうでしょうか。

○新井構成員 「はじめに」にもあったのですが、「はじめに」の最後の「目的は」という所で、「推進し、免疫アレルギー疾患を有する者が安心して生活できる」とあり、今回も10年後のビジョンが、「有する者が安心して生活できる」ですけれども、本当は有しない人を増やす言葉が最初にあるべきなのではないか。

○山本座長 どこかにありましたよね。見える化の原点が患者数の減少を目指すということなのですが、どこにありましたか。

○新井構成員 目的と、このビジョン。

○山本座長 目的にも、もう一度書いたほうがいいということですね、確かにね。

○新井構成員 書いたほうが。これだと、減らそうとする所がどこにも見えてこない、文章としてですね。

○天谷構成員 さっきも議論になっている発症する前の人、発症させないような人を増やすという視点が、多分、この文章の中だと対象が「有する人」になってしまっているので。

○山本座長 そうですね。

○天谷構成員 省かれてしまっているので、そういう人を入れるような文言設定が必要です。

○山本座長 そうですね。減少については、ビジョンの目標1のほうには「減少」と書いてあるのですが、もう少し「はじめに」の中にも入れ込む、確かにね。

○天谷構成員 前文で、そういう意識を持って書くと統一性が取れる。

○山本座長 そうですね。まずは予防を含めて、患者さんの数を減らすということを書き込むことが重要だと思います。

○足立構成員 2点、よろしいですか。1点目はPrecision Medicineの訳についての点です。恐らくこの戦略全体としては層別化医療をどのようにグループ分けをして、その人たちを対象にしていくかというところを、我が国の免疫アレルギー疾患研究においてのPrecision Medicineで非常に重要なものと考えてきたと思います。一方で、先ほどの単語の訳の所では精密医療という文言が、一番初めに出てきやすくなると思いますから、恐らく初めのキーワード抽出若しくは説明の段階で精密医療と、この研究戦略の中で使用されるであろう層別化医療との関係性についての説明があると、中で読んでいく際に分かりやすいのではないかと考えました。

○山本座長 精密医療はものすごく重要なワードですが、例えば3ページ目に「多因子疾患における精密医療」とあって、ここで多因子疾患というまた分からない言葉が出てくるよりは、多因子はものすごく重要ですけれども、ここで分からせるのはそれではなく、グループ化による医療などの精密医療とか、そういうふうに分かりやすくしたほうがいいかもしれません。

○足立構成員 はい。

○山本座長 層別化があるから、「グループ・層別化に基づく医療などの精密医療」としましょうか。言葉は後でもんでいただきます。

○足立構成員 ありがとうございます。2点目ですけれども、一番初めの言葉の「産学官民の連携に基づいて」、これは一番初めにビジョンでくる一番重要な単語になってくると思います。AMEDでもそうですけれども、参加していただいている方、一人一人の貢献というものをどのように捉えていくか。これが参加していただいているだけでなく、参加して貢献していただいたことを適切に評価したり、その貢献がすばらしいということが分かる文言が入ってくると、多くの方に参加していただきやすいものになってくると思いますので、連携だけでなく貢献という文言や、その貢献の適切な評価であったり、そのような観点が加わってくるとよいのではないかと考えました。

○山本座長 ありがとうございます。評価はなかなか難しいですけれども、別に評価してくれなくてもいいよという人の参画も重要で、そこに適切なという言葉を入れると、ちゃんとした適切な意味になってくるかもしれないので、それを含めて考えてみていただきたいと思います。

○海老澤構成員 アレルギー疾患対策における本研究10カ年戦略の位置付け、という全体的なテーマの所を見ていくと、上の緑の所の医療の均てん化で医療提供体制の整備という所が、研究とは関係ない所に位置付けられていますね。

○山本座長 これは最初に言ったように、平成29年に発出しているアレルギー疾患医療供給体制の在り方に関する検討会の報告書があるので、そっちをメインにしていただきながら、でも医療の均てん化も、今回、一応、意識しながらというところなので、ちょっとここは分けていただいたほうがいいかもしれません。

○海老澤構成員 そうなのですが、下のほうの目標2、戦略2の社会の構築という所に、多分、医療体制とか、アレルギーの医療体制というのが実際に、直接、患者さんのいろいろなことに関係してくるので、今の研究費とかのほうが、そういう医療体制をどういうふうにしていくかとか、そういうほうに余り行かなくなってしまっているところも少し、何かここで書けないかなと、社会の構築という所でちょっと思ったのです。以前、厚労省が研究費を持って政策医療的なところで動かしていくときは、そういう研究が結構行われていたのですが、最近、アレルギーだけでなく他の疾患もそうですけれども、余りそっちのほうができなくなっているのかなと。

○海老澤構成員(←これは明らかに間違いと思われます) こっちの行政とか学会に関係している、この報告書に基づくアクティビティは、今回、これがメインではないですけれども、どうなっていますか。今、海老澤先生が言われたようなところについて行われていないのかという議論ですけど。

○丹藤がん対策推進官 確かに御指摘のとおり、政策的な研究はこれまでどおり厚生労働科学研究費補助金で、AMED研究では、よりエビデンスとか本態解明など、直接、そういう医療を良くするための研究にと分類されてはいますけれども、その辺りはどういうふうに配分するかは、当然、こちらのほうで差配できる問題だと思っていますので、他の主管も含めて必要に応じて行政的な研究が必要な部分については、そういうコントロールは可能だと思っています。ですから、先生が御指摘のとおり、そういった心配も確かに一部であるのですが、そうならないような形で研究のほうは進めていきたいと思っています。

○山本座長 主に今回の我々の書き込む所というのはAMED寄りの内容なので、行政的なものは少し離していただくと。ただ、全く触れるなということではないので必要に応じて、どうしても必要であれば書き込んでいいと思いますけれども、そんなところです。

○園部構成員 アレルギー疾患だけで他の疾患にはないことかもしれないのですが、アレルギー疾患で、今、受けている医療に対する医療不信とか薬不信の患者さんはとても多い印象を、20年間にわたって相談を受けていてとても思っています。無駄な医療費を省く研究としても大事なことだと思いますし、医療の均てん化とは別に、さっき申し上げた見た目重症の患者さん、軽症中等症の患者さんですと、ある程度良くなると、それ以上良くしようという意欲を持ってドクターと関わる人は、ちょっと減ってしまうのです。チーム医療でとか、この法律の骨子をしっかり読んでいただくと患者の視点で書かれているので、社会的に正しい知識を普及していくということが、10カ年戦略の柱になってほしいぐらいに患者さんたちは期待していますので、是非、今、海老澤先生が指摘してくださったようにしっかりと10カ年の中でも、要するに良いことをきちんとやっていく。政策的に進めることなのかもしれませんけれども、どうしたら効果的であるかという研究がない限りは、良い対策が普及していくことはあり得ないと思っています。

○山本座長 ありがとうございます。そしたら海老澤先生の御指摘、園田さんの御指摘も含めて、社会に対する啓発活動でいいですかね、啓発活動を含めたものだけを進めるというのでなく、それをいかにしたら、より効率化した研究ということですね。そういう研究が重要かもしれない。

○足立構成員 園部構成員の御意見は非常に重要で、海外の研究者や海外の患者の方とお話をしていると、日本でやっていることが分からないと。日本で一体、何をやっているのか全然分からないと、よくお話を伺います。その点で、こういう情報発信というのが国内にとどまらず、海外との連携も含めた観点で、しっかりとなされるというのは非常に重要な点になると思います。研究成果若しくは研究をやられている内容を連携するということ自体が、研究の推進につながるという観点もありますので、この点が加わると非常にいいかと思いました。

○藤枝構成員 10年のビジョン、この文章ですが、ここで「免疫アレルギー疾患に対して『コントロール改善』」という所は、どちらかというと「免疫アレルギー疾患を有する者」に対して、「患者満足度の向上」という語句に変更した方が良いと思います。一方で2ページ目の所は「免疫アレルギー疾患を有する者が」というより、「免疫アレルギー疾患に対して安心して」としたいところですが、語尾がして、してでおかしいので、「免疫アレルギー疾患に対して恐れることなく生活できる」といったように、二つの文書を変更したほうがよいのではないかと思います。

○山本座長 そうですね。「恐れることなく」と「安心して」というのが、どっちに書くかですけれども、安心してという言葉の良さというのはありますよね。

○藤枝構成員 免疫アレルギー疾患に対して、安心してと繰り返すのでおかしく感じますから。

○山本座長 恐れることなく、違う意味で両方とも重要ですね。そこは検討していただきながら、どうしましょうか。ここはそれでいいですね。あと、要するに「有する者」だけでなく、アレルギー患者さんの減少というのもきちっと入れ込むということで、ここはそういう形にしたいと思います。少し時間が押してきましたので、次の5ページ目、戦略1についてよろしくお願いします。

○貝沼がん・疾病対策課長補佐 5ページ、3、戦略1、本態解明(先制治療等を目指す免疫アレルギーの本態解明に関する基盤研究)という所です。この部分につきましては、どちらかというと本態解明、基礎的な部分を重視して書かせていただいています。その基礎的な研究を生かし、その上で、(1)のような免疫アレルギー疾患の多様性の理解と層別化に資する基盤研究の中では、患者さんを層別し、それぞれに最適な医療を導入したり、さらにはアレルギー免疫療法や抗体医薬等、患者さんの状態に応じた治療を組み合わせる臨床研究を推進したりといったことが書いてあります。(2)では、将来の先制治療の実用化を目指す研究開発ということで、これまでにも述べられていたような発症を予防していくといったところも含めて記載しています。そうしたものを行っていくためには、(3)(4)のような宿主因子と外的因子の相関だったり、臓器連関や異分野融合に関する研究といったことが必要であるということを記載しました。以上です。

○山本座長 ありがとうございます。それでは、この戦略1について、天谷先生、どうぞ。

○天谷構成員 ここも本当に基盤研究に関して重要な項目が書いてあるので、10年を考えるときに、今、研究者が想定している研究に対することが書いてありますけれども、想定していないような展開があったときに、そういう人たちが、この領域に入りたいと思うような視点の書き込み方も必要かなと感じました。そういう意味で、例えば(4)の所で基礎研究をやっている人に、アレルギーをやろうと思わせるようなものを考えたとき、そういう意味では記載が少し弱いと思ったのです。(4)にモデル生物とあるのですが、その前に、「アレルギー疾患における免疫炎症反応に対する基盤的研究・モデル生物やヒトでの免疫現象との比較等の基礎的研究」として、この「基礎的研究」の球出しが、もう少しバリエーションに富んでくれるといいのかなと感じました。

 もう一点は、先ほどから出ているチーム医療とか領域を越えた、専門性を越えたという観点からですけれども、(4)1番目に「各診療科の垣根」と書いてあります。これは診療科に限らず、要するに医看薬のチーム医療とか診療領域、基礎の人にとってみれば自分の基礎の専門領域、そういうものを越えた融合的研究を、1番目の所に入れ込めたらいいかなと思います。

○山本座長 たくさんありましたけれども、最初に、各診療科でなく幅広い領域間のということですね。全部書き込めるかどうか分かりませんが、産官学ですか、先生は医看薬。

○天谷構成員 そうです。医療チームという意識だったら、今、診療科はお医者さんだけなので、診療科のみならず他の専門診療領域、あるいは基礎も意識して基礎の専門領域の融合みたいなことで、ここで融合をもう少し具体的に落とし込めて文言を。

○山本座長 具体的なものを入れながら、分かりました。

○天谷構成員 そうですね。そうすると、読み手に、基礎研究者なんだけど門が開いているんだと思わせるような書き込み方が必要かなと思います。

○山本座長 (4)の臓器連関/異分野融合というのは、臓器連関という考え方がものすごく重要で、異分野融合というのも重要ですが、スラッシュで結ぶようなことなのかなという気もしますね。スラッと読んでしまうと「ああ」と納得してしまうのですが、これは違うことを言っているかもしれない。臓器連関というのは、1つの個体の中での今まで分かっていなかった連関があるということで、さっきの神経も含めて重要です。それと異分野融合というのは、また違う意味で研究領域の、例えばこの中にAIが入ってきていないとか、そこを意識するような異研究分野、研究領域の違う所ですね、そういうものをどんどん入れ込むという意味での垣根をなくすと。いろいろな意味で書き込んでいただくほうがいいかもしれませんね。ありがとうございます。そのほか、どうでしょうか。

○松本構成員 最初の目標1の文章で、2行目に「実現に向けて、新規治療につなげるための」とありますが、この「新規治療につなげるための」という言葉を私は是非ともなくしたいと思います。新規治療につながらないかもしれませんが、研究としてはするべきだと思いますので、「基盤となる疫学研究、基礎研究、臨床研究を推進」というふうに。

○山本座長 新規治療は残してよろしいですね。

○松本構成員 いや、基礎研究は新規治療につながらなくても、別に必要なものはたくさんあると思います。ですから、ここにわざわざ新規治療という言葉を書く意味合いがあるのかなと私は疑問に。

○山本座長 ただ、実際的に、その患者さんの疾病に結び付くものの1つの有力なものが新規治療ですよね。だから、これを殊更消すこともないと思います。

○松本構成員 その言葉は、その前の部分の「治療や先制治療の実現に向けて」という言葉に既にありますので、わざわざここに新規治療という言葉が本当に要るのかなというのを私は疑問に感じたのです。ですから、「新規治療につながるための」というのをなしにして、「基盤となる疫学研究、基礎研究、臨床研究を推進」という言葉のほうが、いいのではないかというふうに思います。

○山本座長 これは新規治療薬だけではないので、例えば診断も含めて全てが新規治療なのですが、それでもなしに。

○松本構成員 いや、別に絶対いけないというわけではないのですが、考え方として先ほどの見える化という所は疫学研究だし、あるいは「基礎研究」という言葉を入れていただきたいと考えたときに、そういう文言がいいのではないかと思いました。

○園部構成員 今のことに関連して、新規治療と書かれると、今ある治療は駄目なんだという誤解を受けかねないということがあるから、是非、そうしていただくほうがいいと思います。

○松本構成員 ありがとうございます。

○山本座長 より良い医療の方向というのが医療従事者としてはあるので、新規治療薬と言うと薬だけになるけれども、治療自体をステップアップするということについては、それが目標というふうに考える研究者は多いと思います。でも、こだわって入れる必要はないですけれども、どうでしょう、御意見はございますか。

○佐々木がん・疾病対策課長 今、松本委員から御指摘いただいた読点の前の長々とある「何々の実現に向けて」の所に、新規治療も含めての趣旨のことを書いて、そしたら目的は何か。何々の実現に向けてです。そのためにどういう研究をするのか、基礎、疫学、臨床といった。

○山本座長 要するに松本先生がおっしゃりたいのは、ここに研究の内容で基礎研究の重要性を書き込めということだと思いますので、確かにそうですよね。だから新規治療を含めたものを先制治療の中にも入れながら。

○佐々木がん・疾病対策課長 そこを整理したいと思います。

○山本座長 最初のほう、前段でそこを書き込んで、後半の基礎となる研究を推進というのを、もう少し具体的に膨らませろということですね、確かにそうですね。そういうふうにしましょう。

○松本構成員 もう一点、(2)の「将来の先制治療の」という所ですが、これは「将来の先制治療・発症予防法」という言葉にしていただければと思います。

○山本座長 そうですね、分かりやすく。先制治療という言葉は残したいという考えもあるので、それプラス発症予防と。

○松本構成員 3つ目の中ポチになりますが、「実際に症状が出現する前の対処や、治療抵抗性に至ることを未然に防ぐ発症予防法や治療法を開発」という文言にして、「発症予防」という言葉を使っていただきたいと思います。

○山本座長 発症予防ですね、そうですね。アレルギーの1つの治療目標としては予防ですね、確かにね。そのほか、どうでしょうか。戦略1はよろしいですか。次は、6ページ目の戦略2、社会の構築について御説明をよろしくお願いします。

○貝沼がん・疾病対策課長補佐 6ページをお開きください。4、戦略2は「社会の構築」というキーワードで、免疫アレルギー研究の効果的な推進と社会の構築に関する横断研究としています。これまで、玉利班の研究報告の中でも研究の推進に資する基盤研究といった観点を重要視して書いていただきましたが、それに加えて少し政策的な面も含めまして、例えば前回の議論を踏まえて(1)の臨床試験への患者・市民参画の推進に関する研究の中では、2つ目のポツの、患者意見を取り入れることで人権保護や研究の質の向上を実現すること。更には(2)のようなアンメットメディカルニーズの調査研究開発の中で、これも2つ目のポツの、国民の理解と参画に基づく疫学や遺伝因子、環境因子の評価及び患者ニーズの評価が必要といったことを通じて、4つ目のポツのとおり、産学官民の連携によりエビデンスを有する研究成果等を社会実装し、疾患を有する者が職業生活・学校生活等を安心して行える社会全体を構築していきたい、といったことを書かせていただきました。(3)(4)につきましては、記載としては前回から変えていませんが、先ほど海老澤先生も少しおっしゃったように、資料1の緑色の所の、医療の提供体制なども生かした研究はしていくべきだと思いますので、これらの政策的な部分も研究戦略の中で書いていきたいと思っております。

○山本座長 では、6ページの戦略2について御意見をお願いします。

○園部構成員 (1)の臨床試験への患者・市民参画の推進に関する研究、ここは患者さんの誤解を招かないためにも、是非、患者ニーズと人権を踏まえた研究の取組とある、そちらを先に持ってくるような言葉で表していただけると有難いと思います。

○山本座長 (1)の最初の文章にありますが。

○園部構成員 ポツで出ているのですけれども、タイトルの所にもそのようにうたっていただくことが大事なのではないかと。なぜ、何のために参加するのかというのは、解説ではなくタイトルに反映されていると分かりやすいと思います。

○山本座長 なるほど。そうすると、臨床試験へのニーズに基づく患者・市民参画と、そのような感じですか、ちょっとおかしいですね。

○園部構成員 ニーズと人権を踏まえた。

○山本座長 ニーズと人権ですね。

○園部構成員 はい。

○山本座長 はい、言葉はまた後で少し調整しますが。

○園部構成員 素人なので、アンメットメディカルニーズの意味を教えてください。

○山本座長 アンメットメディカルニーズですね、確かに。満たされない医学的必要性、でしょうか。ですから、まだまだ必要なところがたくさんあるのだということでしょうか。

○園部構成員 もう1つだけお願いします。(2)に、「現状の治療法では患者満足度が低く」とありますが、そうではないのですね。20年間にわたり患者さんの相談に乗ってみますと、治療法に問題があるのではなくて、十分に患者さんが納得できる、分かる説明、関わりに欠けているところが、実は大きな課題としてあると思います。前回も申し上げましたが、今の治療でも適切な医療を受けると健康を回復する患者さんたちはたくさんいらっしゃるのです。もっと患者とのコミュニケーションというか、そこに関する研究を。薬を処方すれば終わりではなく、アドヒアランスよくコントロールできるようにしていくには何をすることが大事なのか。先ほど申し上げたチーム医療など、ドクターだけではなく、コメディカル、パラメディカルの協力を得て、どういう関わりが大事なのかをしっかり研究していただきたいと思っています。

○山本座長 これを2つに分けてよろしいですか。今の治療も十分ではないのは間違いないので、特に重症化されている病態についてはそうですから。そこは削ることはできないと思います。それを入れながら、治療法の開発だけではなくて、患者さんとのインターフェイス、お互いの情報交換を含めたものが不十分だという御指摘は非常に重要なので、そこを2つ違うものだと。

○園部構成員 重症化する方は一部で、大半の方が軽症・中等症、それから、見た目重症化している人ということだと思うので、是非お願いします。

○足立構成員 今の園部構成員の御指摘、特にPatient and Public Involvementのところについて非常に重要な点を御指摘されたと思います。被験者保護の観点と、患者さんがデザイン等から含まれて構成された研究の質の向上というのは、通常異なるレベルで考えられるべきという点は、各国で非常に気を付けて議論がなされているところです。特に、2ポツ目の、患者意見を取り入れることで人権の保護を実現するというよりも、人権保護の観点を踏まえた上で研究デザインに患者意見を取り入れて研究の質の向上を達成する、というふうにしていただくのが望まれると思います。適切な御指摘を頂きましてありがとうございました。

 2点目です。アンメットメディカルニーズの調査研究開発の項目は、恐らく多くの情報を集めていく点で、見える化の観点でも重要になってくると思います。この(2)の中ではアンメットメディカルニーズに限定した記載になっていますが、疾患の見える化につながるような情報収集もこの部分で少し読めるようにすると、加わったより新しい視点が実際の研究項目として入りやすいものになり得ると思います。その部分も少し記載を追記されるとよいと考えました。

○山本座長 よろしいですか。ここの所はもう少し丁寧にというか、項目を分かりやすく記載していただくということにしたいと思います。そのほか、いかがでしょうか。

○新井構成員 細かい話で申し訳ありません。戦略2になったら急に「~が必要」とか「~が重要」とか、そういう言葉が最後に付くようになったのですが、そういうものは前には余りなく、しかも「必要」と「重要」とはどこが違うのか。そういうものはほとんど取ってしまってもよさそうな感じです。次の7ページも含めてそういうものが結構あります。

○山本座長 7ページは「必要」が多いですね。

○新井構成員 実施するのなら、「実施する」と。

○山本座長 「実施する」ですか、なるほど。

○新井構成員 「することが必要」と、なぜわざわざ。その辺は、意味があって書いたのか。

○山本座長 文章として最終的な統一感はないかもしれないので、最初から最後まで読んで違う人が書いたと思われないような形で、よろしくお願いします。そのほか、よろしいですか。戦略2はここまでにしておいて、戦略3に行きましょう。

○貝沼がん・疾病対策課長補佐 7ページの5、戦略3です。こちらは、「疾患特性」をキーワードとして挙げており、ライフステージ等免疫・アレルギー疾患の特性に注目した重点研究ということで、一つ一つの疾患を対象としていく臨床寄りの項目です。(1)は母子関連を含めた小児期及び移行期の免疫アレルギー疾患研究。ここにつきましては、1つ目のポツにありますように、出生前後の環境などにも着目することで免疫アレルギー疾患とその発症に影響を与える可能性も示唆ということで、これまで御議論いただいています発症予防についても言及しています。さらに、(2)の高齢者を含めた成人発症免疫アレルギー疾患研究等の所では、発症などの特徴が異なるという特徴をしっかりと把握していくことが大事なのではないかと示しております。(3)の重症・難治性・治療抵抗性の免疫アレルギー疾患研究では、先ほどから議論があります一部の劇烈な症状・経過をたどる致死性疾患などに対してどういった取組ができるのかということを書いています。

 (4)には、希少疾患と関連する免疫アレルギー疾患研究で、他の領域ではありますが、こういった希少疾患領域の研究によって、これまで新規薬剤の開発などの成功例もあり、PMDAや厚生労働省としても推進しているところで、引き続き取り組んでいきたいと考えています。

○山本座長 戦略3について御意見を頂きたいと思います。いかがですか。母子関連、高齢者を含めた成人発症、重症・難治性・治療抵抗性、それから、希少疾患というところです。

○園部構成員 防ぎ得た死亡をゼロにするというところの中には、患者教育的な視点というか。喘息死した患者さんやアナフィラキシー死した患者さんの症例に関わったことがあるのですが、患者さんに十分な疾病理解ができるようにという、臨床的な視点での研究も是非入れていただきたいと思っています。

○山本座長 ここでも、やはり、いかに情報を知っていただくかということですね。これは複数の所に入ってもよいと思いますので、入れていただくということで。

○海老澤構成員 (3)で、「難治性アレルギー疾患には、小児発症IgE関連群や成人発症好酸球関連群」とある、こういう言葉は余り一般的ではないのではないか。言いたいことは分かるのですが。例えばIgE依存性アレルギー疾患とか、好酸球の場合には、副鼻腔炎や腸炎や食道炎など、その辺のことを書きたかったのだろうなという。

○山本座長 これはアトピーとノンアトピーというようなことだけではなく、もう少し違う意味もあるのですか。

○海老澤構成員 違います。小児のIgE関連群という言葉が一般的かなと。もう少し言葉を工夫したほうがいいのではないかと思います。

○山本座長 では、複数の方に聞いていただきながらお願いします。何と表現したらよいでしょうか。

○海老澤構成員 正確に表現すると言葉が長くなってしまうのは十分に分かっているのですが。

○山本座長 昔のアトピーとノンアトピーですね。

○海老澤構成員 そうですね。

○山本座長 でも、それがイコール重症化ではないので、どうしましょうか。

○藤枝構成員 成人発症好酸球関連群と書いてあるものを「各臓器の成人発症好酸球炎症疾患」とかでしょうか。これも苦しいかもしれませんけれども。

○山本座長 なるほど。重症アレルギーというのはたくさんあるので、むしろ書かなくてもよいと言えばよいかな。ここだけ教科書的にならなくてもよいかもしれません。

○藤枝構成員 「成人における好酸球炎症」などの書き方でいいのではないかと思います。

○山本座長 「成人における好酸球炎症」という言葉であれば、それはそれで。ではそうしましょう。小児は別に入れなくてもよいかもしれません。例えば「成人における好酸球炎症」などがあると。

 ここで、Rare DiseaseCommon Diseaseなどというのは、よろしいですか。レア・ディジーズ、コモン・ディジーズというのは、この言葉自体は我々は全く違和感なく受け入れますが、これを一般の方が聞いて。

○足立構成員 Common Diseaseという言葉の日本語訳の適切なものが見当たらないかもしれませんね。恐らく事務局の方も苦労されたのではないかと推察しますが。

○山本座長 全く意味が違うけれども、ありふれた疾患という訳も結構あるのですね。でも、もう少しサイエンティフィックに言うと、多因子疾患になってしまうのですね。ここをコモン・ディジーズというのは。それに対してレア・ディジーズというのが、これは希少疾患なのでしょうけれども。

○足立構成員 きっと、コモン・ディジーズの訳がないから、ここがレア・ディジーズになっているのではないかと推測します。

○吉本構成員 なるべくやめたほうがよいと思います。

○山本座長 そうですね。やめられたらやめましょう。入れなくても分かるわけですから。そういうことにしましょう。ここで急に「PMDA」と出てきて、PMDAとは何かということはよろしいですよね。

○貝沼がん・疾病対策課長補佐 きちんと付けるようにいたします。

○山本座長 付けましょうか。

○天谷構成員 最初の定義のときに「薬剤アレルギー」という言葉が出てきましたが、後半でどこかに「薬剤」と書いてありましたか。入るとしたら、この重症のアレルギーの所だと思ったのですが。先ほど難治アレルギー疾患をこのように定義してしまうと、除かれてしまうイメージがあります。

○山本座長 「などがある」ですからよいのですが、除きはしないけれども、あったほうがいいですね、重症は。

○天谷構成員 はい。本当に重症の薬剤アレルギーで悩んでいる人はかなり多くて。ただ、行政的に、救済機構の問題とか、いろいろとあるので、何かそういう意図があるのかどうか私は分かりませんが。

○山本座長 入れてよいのでしょう。非常に重要な御指摘ですね。Stevens Johnsonですね。

○天谷構成員 はい。

○山本座長 TENなども重要なので。

○吉本構成員 戻って恐縮ですが。先ほど話題になっていた、(3)の小児IgE関連群うんぬんというところですが、これは例示することに意味があるのでしょうか。この10年を見渡してやるときに、こういうものがあると例示することがプラスに働くのであれば分かりにくくても入れておけばいいと思います。私などは読んでも全く何のために書いてあるかがはっきり分からないので、10年を見渡して難治性疾患というときに、何か特定のことを入れたほうがいいのかいけないのかは考えたほうがよいのではないかと思いました。

○山本座長 例示することによって具体的なイメージをつかんで理解していただくことが目的なのだから、分からないというのであれば書かないほうがよいというのは確かに御指摘のとおりですが。そういう意味では、薬剤アレルギーの重症系などという言葉だけでもあれば、それはもう少し現実的にこういうものがあるのだということを、読んでいただく方も分かるので、そういう言葉にしますか。確かに好酸球性炎症と言われても分からないといえば、確かにそうですね。

○海老澤構成員 小児のアレルギー疾患の大多数はIgE依存性の疾患が多いのです。その中で難治性の、非常に治りにくい、アナフィラキシーを呈するような食物アレルギーで、特に牛乳アレルギーなどは非常に今問題になっているのです。ですから、多分、厚生労働省ではそういうことを意図してここに書かれたのかなと私は理解していたのです。ただ、そのように書くと非常に長いので、それで簡単に小児発症IgE関連群と書かれたのではないかと思います。上の、「一方でアナフィラキシー等は」という所に、例えば「遷延する小児期発症の一部の重篤なアレルギーは」とか、何かそのような書き方をしていただければ、小児の部分はそこに入ってくるのではないかと思います。

○山本座長 ここの所は全部をカバーしなくても、今の例示の薬剤も含めて。そうすると確かに、好酸球と言われた途端に分かりにくいものになってしまうかもしれないので、一般の方が読んでも分かる言葉として落とし込めるものは落とし込むということにしましょうか。ここにStevens Johnsonと言葉を入れても仕方ないですよね、やはり重症アレルギー、薬剤アレルギーが入っていればいい。薬剤については、やはり注意喚起が重要なので、そういうことにしましょう。

○松本構成員 (3)の一番下ですが、「異なる抗体医薬の効果と副作用等」と書いてありますが、抗体医薬は効く人には本当に効くわけです。私が前回ここで提案しましたのは、効かない人に本当は投与しないようにしたいということですので、有効例・無効例を投与前に見極めることができれば一番よい。ですから、10カ年後を考えれば、無効例・有効例を前もって知れるようなマーカーを検索するとか、そのようなことを私は意図して言っていますので、できればそのような意図が入るような形にしていただきたいと思います。

○山本座長 これはもう重要な研究項目で、国民の医療費の問題も含めて、なかなか難しいというのも事実かもしれませんが、でもそれを達成することが重要だと思います。是非入れ込んでください。

○足立構成員 次のページに移っていて少し尻切れトンボになっていた、8ページの一番上の所についてです。研究班では、単一遺伝子変異に起因する免疫アレルギー疾患の病態解明を実施するというよりは、むしろ、このような研究を通じて上がってきたシーズを、より他のところにもつなげていくようなプラットフォームの基盤構築を推進するようなところに重点が置かれた議論がなされていたように記憶しています。実際に病態解明をこの中で実施していくというのももちろん重要であるとは思いますが、「つなげていくようなプラットフォーム」の文言がなくなってしまわないようにするのがよいのではないかと考えました。

○山本座長 これは、こういう文章であればなくてもよいので、これを残すなら先生が言われたように、単一遺伝子の変異に起因する疾患を治すことが今回の主な目的ではないので、それと、いわゆるコモン・ディジーズとをどうつなげるかというところを書き込んだほうがよいですね。単一遺伝子変異に基づく疾患で罹患された方については別のところでがっちりと研究していただくことで、今回のアレルギー全体としては、それを多因子疾患、コモン・ディジーズに持っていくという点に焦点を置いたほうがよいかもしれません。そのほかは大丈夫でしょうか。では、「おわりに」にいきたいと思います。

○貝沼がん・疾病対策課長補佐 8ページ、一番最後の「おわりに」です。今回策定しました免疫アレルギー疾患研究10カ年戦略は、各研究で得られた成果を臨床現場に届けるには、ある程度の時間が必要であるということ。10年という長期的な方向性の中では、その進捗状況や国内外の免疫アレルギー研究の推進状況の全体像、及び患者さんをはじめとする国民のニーズ等を把握して、中間評価などをしていくことが必要である。さらに、ライフサイエンス立国を目指す我が国の10年後を見据えたビジョン及び目標と戦略は、免疫アレルギー疾患に悩まされる患者さんだけでなく全疾患領域、全国民の皆様に貢献できるものであること、産学官民が一体となり免疫アレルギーの本態解明を推進していくこと、基礎研究、臨床・公衆衛生研究、政策研究を有機的に結び付けて、エビデンスを有する研究成果などが社会実装されることにより、国民の生活の質が高まる社会が構築されることを期待していく。このようなことを書きたいと考えています。

○山本座長 短いですが、「おわりに」は重要なことなので。我々が普通に話すときには「患者」ではなく「患者さん」と言いますが、文書に落とし込むときは「さん」は要らないですね。3ポツ目の「患者さん」の「さん」は取ってください。そのほか、ございますか。

○海老澤構成員 以前のアレルギーの研究戦略のときに、喘息死ゼロ作戦ということがコアだったのです。そのコアを実現していくためには、研究費、厚労科研のほうでそういう課題を募集して、実際に3年ごとに研究が進められていったという背景があります。ただ、行政の方は担当された方が2年で交替していかれるので、その辺の継続性というのが、最初の4年間ぐらいは何とか続くのですけれども、その後になってくると段々と薄まっていったような、これは私の印象ですがそういう気がします。その辺のことについて、今回の研究10カ年戦略、大体、中間評価5年というようにしますね、そういったところの具体性を持って、研究課題の募集やそういうことに、どのように実際に具体的に反映していくかについて少し触れておくとよいのではないかと思ったのですが、その辺はいかがでしょうか。

○山本座長 全体で担当の方々が替わっていくことをここで議論するのは難しいと思います。

○海老澤構成員 もちろん難しいのですけれども。

○山本座長 人が替わっても変わらない政策をここに書き込めるかということですね

○海老澤構成員 この辺ぐらいしかそういうものを書く所がないのではないかと思いまして。

○山本座長 10年と言い放つだけではなく、きちんとした評価を中間で入れるという文言辺りでしょうか。「10年の長期的」と書いてあるのですから、長期的の中に少し。中間評価というのはここに書いてあるので、中間評価の見直し。どうしましょうか。

○海老澤構成員 行政の継続性というようなことで、きちんとこの研究戦略が遂行されていくことをここに明記しておいていただきたいと思います。

○山本座長 では、中間評価だけではなくて、行政の継続性でしょうか。双方向の中間評価にしましょうか、国民から見た。でも重要な御指摘ですね。では、少し分かるように、研究者だけの中間評価ではないような書き込みをお願いします。そのほかはいかがでしょうか。

○天谷構成員 少しブレーンストームでアトランダムになりますが。今、海老澤さんの話を聞いていて、思ったことは、キャッチフレーズというか、この10カ年をやるためのキャッチコピーのような、広く国民に聞いていただくようなものを制定しなくてもよいのかなと思ったのですが。何がよいかは難しいのですが、やはり広く皆さんに分かるには、何か短いメッセージがあったほうが今の時代ではよいのではないかと感じました。

○山本座長 余り軽い内容はよくないと思うので、きちんと分かるものでしょうか。考えていても10分では出ないので、次回までに良い案があればそれぞれ構成員の方々を含めて、キャッチコピーがあれば。絶対にキャッチコピーありきではなくて、あれば何か考えていただくことにしましょう。そのほか、いかがでしょうか。

○吉本構成員 少し前に戻ります。患者減少について今はまだ「X%」となっているのですが、疫学調査がない中でこれを規定するのは大丈夫だろうかということです。

○山本座長 恐らく、見える化ということを含めてだと10年たったときには違う数値になってくるので、書かないほうがよいかもしれませんね、%は。

○吉本構成員 何か魅力的な数字だなというのは分かるのですが。

○山本座長 数字が一人歩きしてしまいますよね、恐らく。今は指標がないのですから。指標がないというか、今では不十分だということから発して、見える化で10年たったら良い評価にしようということを目標にしているので。ここで何%減などとすると、それはどういう意味なのでしょうということになるから、減少はとにかく減少を目指す、それはそうですが、何%と書かないほうがよいような気がしますけれども。どうでしょうね。そのほかに、いかがでしょうか。

○足立構成員 このタイミングで10カ年という非常に長いスパンでの研究戦略を策定していく意義が、恐らく「おわりに」の所に書かれていると非常にまとまりがよくなるのではないかという観点から、やはり世界に先駆けた日本の免疫アレルギー研究がどのように進んでいくかという、野心的な、若しくは、これが夢のある研究を進めていくものだという観点を、終わりの所に付け加えると、最終的にそれに向かってこの研究戦略を皆でやっていこうという士気も上がるのではないかと思います。この部分が「おわりに」に加わっているとよいのではないかと考えました。

○山本座長 なかなか難しい宿題ですね。世界に先駆けて。どうでしょう、IgEの発見等を含めた日本人による世界に先駆けた研究に端を発して、ここ10年でまた、ということでしょうか。それはそれで1つのメッセージですが、余りまた国粋主義というか、日本だけがというのは良くなくて、世界的に皆さんで手を携えながら一緒に上がっていくのだということも強調しないといけないと思います。

○園部構成員 医療不信を持っている患者さんがたくさんいる中で、日本が一番世界に先駆けてと言われても。

○山本座長 これは研究なので。

○園部構成員 そうですよね。

○山本座長 研究ですから、そこはそれで違うところだと思いますが、確かに余り自分たちだけで舞い上がってはいけない。

○園部構成員 逆に反感を買ってしまわないように、着実に地道に堅実に研究してくださるというイメージの持てる戦略のネーミングのほうがよいと思います。

○山本座長 ネーミングではなく、キャッチではなく。実を言えば、免疫研究、アレルギー研究は、例えば20年前、10年前は世界でトップだと言われていましたが、今は必ずしもトップではないというのは、残念ながら、研究費を含めてですが。そういうことを含めて、この10年間で再び世界に十分貢献できる免疫アレルギー研究というのは、やはり課題だと思います。これは何も患者さんとの関係とは違って、研究というのは頑張らなければいけない領域ですから、そこはそれで行きましょうというのは重要だと思います。それと、患者さんに対する理解度を深めるというのは、別の次元で重要なので、そこは併記しながら書いていく。ここのところについては、まず、今までそこは余り触れていなかったので、簡単に言えば、輝かしかった日本の貢献が少なくなっているからまた頑張りましょうということがあってもよいのではないかという御意見だと思います。余り書き過ぎないほうがよいと思いますが、あるところまでは書いてもよいと思いますね、確かに。そこは検討してみてください。公平な相互の中間評価をするということを含めてですね。大体こんなところでしょうか。もし何かあれば。

 今回の議論を基にして、まだもう一回、最終的な報告書に作り上げるのが次回だと思います。本日の議論はここまでということですが、最後に事務局からお願いします。

○貝沼がん・疾病対策課長補佐 構成員の皆様、長時間にわたり熱心な御議論を本当にありがとうございました。これまでの議論を基にして、次回、私どもから報告書案を作成させていただきたいと思います。次回の検討会日程は9月下旬を予定しています。詳細につきましては追って御連絡いたしますので、よろしくお願いいたします。本日はお忙しい中をどうもありがとうございました。

○山本座長 長時間にわたって御議論をありがとうございました。これをもちまして本日の検討会を終了させていただきます。ありがとうございました。