第70回がん対策推進協議会(議事録)

健康局がん・疾病対策課

日時

平成30年8月30日(木)13:00~15:00

場所

全国都市会館 3階 第2会議室

議題

(1)がん診療連携拠点病院等の整備について
(2)治療と仕事の両立支援に関する報告
・働き方改革関連法について
(3)がん予防分野に関する報告
・健康増進法の一部を改正する法律について
・がん検診の実情について
(4)中間評価について①
・がん予防分野の指標について
・中間評価に用いる調査について
(ア)患者体験調査
 (イ)緩和ケアに関する医療従事者調査・施設調査
(5)その他

議事

 

○事務局 それでは、定刻となりましたので、ただいまより第70回「がん対策推進協議会」を開催いたします。
委員の皆様方におかれましては、お忙しい中、お集まりいただきまして、まことにありがとうございます。事務局を務めさせていただきます、厚生労働省健康局がん・疾病対策課、久保田と申します。
それでは、まず初めに、厚生労働健康局長より御挨拶を申し上げます。
○健康局長 皆様、こんにちは。この7月31日付で健康局長を拝命しました宇都宮と申します。よろしくお願いいたします。
本日は、皆様方、大変御多忙のところ、またお暑い中、参集いただきまして、まことにありがとうございます。また、平素より健康行政の推進に御協力いただいておりますこと、この場をおかりしまして厚く御礼申し上げます。
さて、この協議会でございますが、がん対策推進基本計画の策定や評価等について御議論いただく、大変重要な会議であると存じてございますが、前回より、山口会長を初めとしまして、新しい委員の先生方で御議論を開始いただいたと伺っております。ぜひよろしくお願いいたします。
さて、本年3月に閣議決定されました第3期のがん対策基本計画に基づいて、今後、さらに施策を推進していくということでございますけれども、前回の6月27日の協議会以降、大きく3つほど動きがございましたので、簡単に御報告させていただきます。
まず、第1点は、御存じのように、健康増進法改正法案、それから働き方改革関連法案が可決・成立したということで、今後、こういった法律に基づきまして、受動喫煙対策、それから、がんを含めました疾病を持たれた方々の治療と仕事の両立支援ということについて、さらに取組を進めてまいることになるということでございます。
それから、2点目でございますが、7月に新たながん診療連携拠点病院等の整備に関する指針、それから、小児がん拠点病院等の整備に関する指針、この2つの通知の発出を行ったところでございますが、これを踏まえまして、さらにがん医療の均てん化というものを進めてまいるということでございます。
そして、3点目でございますが、8月1日に開催されました第1回がんゲノム医療推進コンソーシアム運営会議におきまして、ゲノム医療に関します進捗状況の確認と方向性について、各界の関係者と認識共有を行ったということでございまして、今後、こういった取組を進めまして、さらにがんゲノム医療というものを推進してまいるということでございます。
さて、本日の会議、がん予防に関する分野を中心に、中間評価の指標等について御議論いただくこととしているところでございますが、いただいた御意見を踏まえまして、さらにがんにかかわる調査を実施して、がん対策の御評価をいただくこととしているところでございます。本日、ぜひ忌憚のない御意見をいただきまして、実りある会にしていただければと考えてございます。
ぜひ今後ともよろしくお願いいたします。
○事務局 ありがとうございました。
続きまして、前回、御不在、または改選のあった委員の方々を御紹介させていただきます。お名前を呼ばれた際に御起立いただき、自己紹介及び今後のがん対策に関する抱負を一言よろしくお願い申し上げます。
公益社団法人日本看護協会常任理事、川本利恵子委員。
○川本委員 日本看護協会の川本でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
日本看護協会は、看護職の職能団体として、第1期がん対策推進基本計画策定から、この協議会の委員を務めさせていただいております。私は委員となりまして6年目でございます。
私ども看護職は、第1期、そして第2期がん対策推進基本計画が実行に移される中で、チーム医療の推進とがん医療に携わる専門的な医療従事者の育成、がんと診断されたときからの緩和ケアの推進に向けて活動してまいりました。特に緩和ケアの推進に関しましては、協会のほうでも研修事業等をさせていただいて、支援させていただいているところでございます。さらに、地域の医療・介護サービス提供体制の構築、がん患者さんの就労を含めた社会的な問題への対策などで一定の役割を果たさせていただきました。
さらに、現在、動き始めている第3期がん対策基本計画においても、看護職が果たすべき役割は大きいものと自覚しておりますので、私どもの立場からは、がん診療連携拠点病院と地域包括ケアをつなぐ、より具体的な方策の明確化、がん患者さんの就労と治療の両立に向けた支援の充実、さらに、がんと認知症をあわせ持つ方への適切な医療提供の推進といった点で発言させていただきたいと思っております。
どうぞよろしくお願いいたします。
○事務局 特定非営利活動法人日本緩和医療学会理事長、国立大学法人神戸大学医学部附属病院緩和支持治療科特命教授、木澤義之委員。
○木澤委員 日本緩和医療学会及び神戸大学の木澤と申します。日本緩和医療学会を代表して、少しお話しをさせていただきたいと思います。
がん対策について緩和ケアができることを、常に学会としても考えてきているわけですけれども、1つは、診断時からと言われていますけれども、もちろん診断時も含めてなのですけれども、時期を問わずに必要な人に緩和ケアがきちんと届けられることが最も重要かなと思っているので、その点から見ていきたいということ。
2つ目は、とにかくがん患者のエンド・オブ・ライフケアの質を高めることが非常に重要だと思っています。高齢化社会を迎えて、病気を持って生きる。そして、多死社会を迎えますので、デス・アンド・ダイイングもきちんと視点において、どのようにがん患者さんのグッドデスを考えられるのかということも、私たち、考えていかなければいけないなと思っています。
3つ目は、専門的緩和ケアの質の維持向上を図ることであります。今まで、この10年間で緩和ケアチーム、緩和ケア病棟、在宅、さまざまな施策が打たれて、量的に緩和ケアをやるものがふえてきているのですけれども、恥ずかしながら、質の維持向上というものがきちんとできていないというのが現状にありますので、それをどう図っていくかということも大きな課題と考えています。そのような点で課題は山積していますけれども、頑張っていきたいと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。
○事務局 一般社団法人日本癌治療学会理事長、慶應義塾大学病院病院長、北川雄光委員。
○北川委員 北川でございます。この会には、前期から参加させていただいております。
私自身は外科医でございますが、日本癌治療学会は職種横断的な学会でございまして、医師のみならず、看護師の皆様、薬剤師の皆様、さまざまな医療関係者と一緒に活動しております。日本癌治療学会では、特にがん教育、あるいは正確な情報を患者さんに提供するためのがん医療ネットワークナビゲーターの育成などに力を入れております。この会では、日本癌学会あるいは日本臨床腫瘍学会などのがん関連学会の皆様と一緒に活動してまいりたいと思います。
よろしくお願い申し上げます。
○事務局 公益社団法人日本医師会常任理事、羽鳥裕委員。
○羽鳥委員 皆さん、こんにちは。日本医師会の羽鳥です。
私は、日本医師会の担当は、学術、生涯教育、公衆衛生、がん対策、禁煙そして日本専門医機構理事で、総合診療対策委員会委員長をしております。
日本医師会の構成は、開業医、勤務医の先生も半数ずつという構成です。また私は、日本医師会の中では、在宅医療、A.C.P終末期医療を担当としています。その反対に人工知能、医療機器開発支援という先端的な部門も担当していますので。
よろしくお願いいたします。
○事務局 一般社団法人日本消化器がん検診学会理事、公益財団法人福井県健康管理協会副理事長、松田一夫委員。
○松田委員 福井県健康管理協会の松田でございます。前回は欠席をしまして、申しわけございませんでした。
私は、卒業後7年余り消化器外科をやっていまして、その後は専らがん検診に30年ほどかかわっております。日本においては、特に職域のがん検診に法的な裏づけがないということで、受診率がなかなか正確に把握できないということがあろうと思います。もう一つは、精度管理に問題があるということも言われています。
さらに、職域で当たり前のようにがん検診を受けられる人たちがいる一方で、全くその機会に恵まれない人がいる、経済的な理由でがん検診を受けられない人たちもいるということが問題だと思っております。私が専門にしております大腸がんに関して言いますと、例えばイギリスやアメリカでは、大腸がん検診が奏功して大腸がんによる死亡者数が着実に減っています。この点が、大腸がん死亡者数が増え続ける日本とは非常に大きく違うということでありまして、この日本においても、効果のある正しいがん検診を全ての人たちに提供できる体制が必要だと思っております。
私はがん検診が専門なのですが、実際、自分ががんになり、家族ががんになり、そして知人ががんになったときに、どのような医療が必要なのかということも踏まえ、希望も踏まえて発言させていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
○事務局 京都府健康福祉部長、松村淳子委員。
○松村委員 失礼します。前回、欠席して申しわけございませんでした。京都府で健康福祉部長をしております松村と申します。私は、前回の第3期の基本計画策定のときから委員を務めさせていただいております。都道府県の衛生部長会の代表で出席させていただいております
昨年度、国の基本計画とあわせて、私どももがん対策の基本計画、都道府県版を策定いたしまして、保健医療計画の中にしっかりと位置づけて、これから取り組んでいこうとしているところでございます。計画策定のときもそうですし、また、今回、評価のところもそうですけれども、都道府県として地域医療、予防から治療のところまで一貫して担っておりますので、そういった観点から、私どもとして発言し、また地域のほうに持ち帰って展開できるような方策に努めていきたいと思っております。
 
どうぞよろしくお願いいたします。
○事務局 ありがとうございました。
本日の委員の出欠状況について御報告いたします。本日は、委員全員に御出席いただいております。ありがとうございます。
なお、がん・疾病対策課長、佐々木は、前の用務にておくれて参ります。
続きまして、本日は参考人としまして、公益財団法人日本対がん協会がん検診研究グループマネージャー、小西宏参考人。
国立がん研究センターがん対策情報センターがん臨床情報部・がん登録センター、東尚弘参考人。
国立がん研究センターがん対策情報センターがん医療支援部長、加藤雅志参考人にお越しいただいております。
事務局及び関係省庁からの出席者については、座席表を御参照ください。
なお、宇都宮局長は、この後、公務にて退席させていただきます。
続きまして、資料の確認をさせていただきます。
まず、座席表と議事次第。
資料1 がん対策推進協議会委員名簿
資料2 第69回がん対策推進協議会での主な御意見
資料3 がん診療連携拠点病院の整備指針の見直しについて
資料4 雇用対策法の改正による治療と仕事の両立支援の位置づけについて
資料5 健康増進法の一部を改正する法律概要
資料6 がん検診の実情(小西参考人提出資料)
資料7 中間評価について
資料8 「科学的な根拠に基づくがん予防・がん検診の充実」の中間評価指標について
資料9 がん対策の進捗管理のための患者体験調査について(東参考人提出資料)
資料10 患者体験調査アンケート(案)(東参考人提出資料)
資料11 がん医療における緩和ケアに関する医療従事者調査・施設調査について(加藤
参考人提出資料)
資料12 がん医療における緩和ケアに関する調査(案)(加藤参考人提出資料)
参考資料1 がん診療連携拠点病院等の整備について
参考資料2 小児がん拠点病院等の整備について
参考資料3 都道府県別の平均寿命(2015年)のデータから読み取れる禁煙活動の効果
について
参考資料4 がんゲノム医療推進に向けた取組(第1回がんゲノム医療推進コンソーシ
アム運営会議資料1
なお、机上資料としまして、第3期がん対策推進基本計画、第1期・第2期がん対策推進基本計画中間評価報告書を準備しております。
資料に不足、落丁等がございましたら、事務局までお申し出ください。
以上をもちましてカメラをおさめていただきますよう、御協力のほどよろしくお願いします。
この後の進行は山口会長にお願いいたします。
○山口会長 それでは、皆様、きょうはどうぞよろしくお願いいたします。
きょうの会議のキーワード、今後の何回かは中間評価ということになりますけれども、実は、本日は会場に本協議会の元会長の垣添先生がいらっしゃっております。私自身も評価されているのではないかと思って緊張してやらせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、事務局より議題1並びに議題2について御報告いただいた後で、がん予防分野の報告、それから中間評価に関する議論など、順番に議事を進めていきたいと思います。
議題1「がん診療連携拠点病院等の整備について」、議題2「治療と仕事の両立支援に関する報告・働き方改革関連法について」を、資料3並びに4を用いて、事務局より御説明をお願いいたします。どうぞよろしくお願いします。
○事務局 事務局になります。
では、資料3をごらんください。こちらにつきましては、参考資料1及び参考資料2の概要となっておりまして、7月31日に新たに通知されました、がん診療連携拠点病院等の整備指針の見直しに関する資料となります。
スライド2枚目をごらんください。今回のがん診療連携拠点病院整備指針について、見直しのポイントを4つの矢印でまとめたものになります。3つ目の矢印の医療安全の更なる推進については、今回、新しく設置された要件となっております。
スライド3枚目をごらんください。こちらにつきましては、小児がん拠点病院の指定要件の見直しのポイントになります。3つ目の矢印については、成人と同様に医療安全の推進について追加され、また1つ目の矢印については、小児がん診療・支援のさらなるネットワーク化を進めるための小児がん連携病院の指定や、2つ目の矢印のAYA世代への対応の強化などを図ってまいります。
スライド4枚目をごらんください。こちらは、拠点病院の今後の予定について記載しております。10月、11月に各拠点病院の申請を締め切った後、指定に関する検討会を開催し、2019年4月からは新整備指針に基づく拠点病院制度が開始されます。
続きまして、議題2について御報告させていただきます。
○労働基準局安全衛生部労働衛生課 治療と仕事の両立支援について説明させていただきます。資料は4になります。
何らかの疾病を治療しながら仕事をされている方は、労働人口の約3割を占めているところでございまして、疾病を理由に仕事をやめざるを得ない方々や、仕事を続けていても職場の理解が乏しいケースなど、治療と仕事の両立が困難な状況に直面している方々も多いところでございます。これに対応するために、平成29年3月に策定されました働き方改革実行計画に基づきまして、会社の意識改革と受入れ体制の整備を促すということに加えまして、企業・医療機関及び両立支援コーディネーターによるトライアングル型サポート体制の構築など、社会的な基盤づくりを厚生労働省では進めてきたところでございます。
これに加えまして、今般成立しました働き方改革関連法におきまして、雇用対策法が改正されたところでございます。この改正によりまして、治療と仕事の両立支援にかかる理念規定が新たに盛り込まれたというところでございます。資料の裏側をごらんください。参照条文をつけてございます。
第4条1項の9に、疾病、負傷その他の理由により治療を受ける者の職業の安定を図るため、雇用の継続、離職を余儀なくされる労働者の円滑な再就職の促進その他の治療の状況に応じた就業を促進するために必要な施策を充実すること。この条文が加えられたところでございます。
具体的にどういうことをしていくかということにつきましては、その下の第2章の基本方針の10条に、今後は施策の総合的な推進に関する基本的な方針を定めるということとしてございます。この基本方針におきまして、治療と仕事の両立支援に係る基本的な事項を明らかにした上で、企業における支援体制の整備など、社会的な基盤づくりをさらに進めていくということとしてございます。引き続き、治療と仕事の両立支援の推進につきまして、皆様の御理解と御協力を賜りますよう、よろしくお願いいたします。
私からは以上でございます。
○山口会長 ありがとうございました。
今の2つの御報告について、何か御質問等がございましたらお受けしたいと思いますが、どうぞ。
○村本委員 村本です。
議題2に関して確認です。今回の雇用対策法改正は理念規定とおっしゃいましたが、具体的な両立支援の対策やあり方については、今後も別途検討、あるいはこの協議会においても別途議論していくという理解でよろしいでしょうか。
○山口会長 今の御説明の方、いかがですか。あるいは、事務局の御意見を聞きたいと思います。
○労働基準局安全衛生部労働衛生課 具体的な進め方につきましては、基本方針の中で詳細に決めていくこととしてございます。
○山口会長 事務局、いかがですか。
○事務局 事務局になります。
就労支援に関することに関しましては、がんとの共生の分野の中で御協議いただきたいと考えておりますので、今回はがん予防分野を特に中心にしておりますが、また、今後の協議会にて議論いただきたいと考えております。
○山口会長 村本委員、それでよろしゅうございますか。
○村本委員 はい。
○山口会長 どうぞ。
○轟委員 私からは2点御質問させていただきたいのですけれども、まず、がん診療連携のことに関して、AYA世代への取組の充実ということがありますが、私がやっておりますスキルス胃がん患者会には、AYA世代の方もたくさんいらっしゃいます。AYA世代はAYA世代の問題があると思いますが、もう一方では、診断とか治療に関しての難治性がんとしての難しさもありまして、そちらのほうも集約化されるという動きが基本計画の中にあったと思うのですけれども、この部分のAYA世代と、それから病気そのものの連携ということに関しては、どのようにお考えなのかということをお伺いしたいということが1点です。
もう一つは、治療と仕事の両立に関してですが、私自身も夫が難治がんだということで、役職をまず外されて離職を余儀なくされた経験があります。また、私がやっております患者会の中でも、配置がえ、その他において精神的に参ってしまいまして、もちろん治療の難しいがんですから、職場としてのお考えもあると思うのですが、その場合、このトライアングル型サポート体制というのはとてもいいと思うのですが、それをどの職場でも十分にやっていけるだけの体制が今、整っているのか。職場ごとのことなのか、それとも治療をしている病院のほうからのサポートがあるのかということの両方、2点のことについて御質問させていただければと思います。
○山口会長 ありがとうございました。
それでは、それぞれの説明をされた方から、まず回答していただけますでしょうか。
○事務局 事務局でございます。
拠点病院に関しましては、まずAYA世代の対応としましては、1つは、今回、小児がんの拠点病院と成人の拠点病院、お互いに連携していくというところと、適切な医療機関へつなぐということで、全ての437の拠点病院で同じようにAYA世代のがんとか難治性がんへの対応というのは難しいかと考えておりますけれども、今回のポイントとしまして、1つ、資料3のスライド2枚目になりますけれども、病院完結型から地域完結・循環型医療へというところで、専門的な施設へ「繋ぐ」ということも、指針の改正の中で意識して改正しているところでございます。
こういった形で、拠点病院間でも連携しながら、また拠点病院以外の専門施設とも連携しながら、がん医療の均てん化及び集約化を図っていきたいと考えております。
○山口会長 また、この点については、医療の実態のところでの議論になると思うのです。難治がん、例えばスキルス胃がんについての連携とか、そのときの議論に任せるということでよろしいですね。
もう一つ、両立支援に関して、お願いします。
○労働基準局安全衛生部労働衛生課 両立支援には、会社と医療機関の連携ということが非常に重要になると考えております。その連携の役割を果たすのが両立支援コーディネーター。患者に寄り添いながら、企業と病院をつなぐ役割として両立支援コーディネーターというものを考えてございます。現在、両立支援コーディネーターの研修を実施しているところでございまして、企業の人事担当の方でありますとか医療機関の看護師、MSWの方々に受講をお願いしているところでございまして、両立支援コーディネーターの数がふえていけば、どういう場面であっても連携がうまくいくのではないかと考えているところでございます。
○山口会長 ありがとうございました。
事務局、あわせて何かコメントございますか。どうぞ。
○羽鳥委員 日本医師会の羽鳥です。
両立支援について、トライアングル型ということで、主治医の先生は診療報酬上、1000点という加点、1万円がつくのですけれども、トライアングルの一つの産業医の先生にはまだメリットがないのです。産業医関係でいうとの、特に事業主の方も、両立支援には関心が低いし、産業医から積極的に声をかけていかなければいけないと思いますが、行政からも産業医活動を支援する文書が欲しいです。僕が産業医をしているところでも、そういう方がおられても、事業主から見ると、全く知らない方もおられるので、事業主の方への教育も大事ですし、産業医の具体的な文言をぜひ書き込んでいただきたいなと思います。
よろしくお願いします。
○山口会長 事務局から追加で何かございませんか。大丈夫ですか。はい。
その他、御質問。それでは、ここまでにさせていただきます。
では、引き続き、議題3「がん予防分野に関する報告」に移っていきたいと思います。中間評価に関する議論に入っていきますけれども、まずは予防分野の取組、それから検診に関して、現状を含めながら、委員の皆さんと共有していきたいと思いますけれども、事務局から、まず「健康増進法の一部を改正する法律」、多分、1次予防が中心になるかもしれません。それから、小西参考人より「がん検診の実情」を御説明いただきたいと思います。
まず、事務局側からでしょうか。どうぞよろしくお願いします。
○健康局健康課 健康局健康課でございます。よろしくお願いいたします。
資料5をごらんいただければと思います。受動喫煙対策の法案についての概要でございます。昨年、この協議会におきましても、受動喫煙による健康影響が明らかな中で、対策をしっかり講ずるべきではないかという御議論をいただいたところでございます。それも踏まえまして、政府・与党内で調整を重ねまして、ことしの通常国会に法案という形で提出させていただき、可決・成立いたしまして、7月25日に公布させていただいたところでございます。
それでは、内容について御説明させていただきます。
まず、1ページ目、ごらんください。改正の趣旨のところでございますが、今回の法律につきましては、基本的な考え方、3つ定めまして、これに基づいて法律を作成いたしました。
まずは、「望まない受動喫煙」をなくすということでございます。
考え方の2つ目といたしましては、受動喫煙による健康影響が大きい子どもさん、患者さん。あと、「等」と書いてございますが、これは妊婦さんでございます。そういった方々に特に配慮するということで、こうした方々が主たる利用者となる施設や、また屋外につきまして受動喫煙対策を一層推進することとしてございます。
考え方の3つ目といたしましては、施設の類型・場所ごとに対策を実施するということで、こちらは基本的な考え方の2番目とも関連いたしますが、施設の場所ごとに、主たる利用者の違い、また受動喫煙が他人に与える健康影響の程度に応じまして、禁煙もくしは喫煙場所の特定を行うとともに、掲示の義務づけなどの対策を講ずることとしてございます。
また、その際ですけれども、既存の飲食店。「既存の」と言いますのは、施行の際に現に存在する飲食店ということでございますが、そのうち、経営規模が小さい事業者が運営するものにつきましては、直ちに喫煙専用室等の設置を求めることが事業継続に影響を与え得ることも考えられますので、事業の継続に配慮いたしまして必要な措置を講ずることとしてございます。
以上の考え方に基づきまして、具体的な法の内容が1ページ目の下から2ページ目にかけて記載させていただいてございます。
まず、1つ目でございますが、国及び地方公共団体の責務ということでございます。
まず、受動喫煙対策につきましては、国あるいは地方公共団体といった行政部門が率先して行うことが、当然ながら必要でございます。法律におきましても、国・地方公共団体が総合的かつ効果的に推進する責務があるということを明記してございます。
(2)でございますが、行政機関だけではなく、さまざまな関係者の皆様が受動喫煙対策を連携、また協力しながら進めるということも重要でございます。このため、法律の中でも連携・協力の規定を盛り込んでございます。これに基づきまして、例えば事業主団体等を通じまして、受動喫煙を望まない方を喫煙場所に連れていくことは望ましくないといいったことを、しっかりと周知啓発してまいりたいと思っております。
また、(3)でございます。受動喫煙の防止に必要な調査研究を引き続き推進するとしております。具体的には、加熱式たばこにつきまして、しっかりと研究を推進していくことを想定してございます。
2ページ目をごらんください。上の青い色がついている図をごらんいただければと思います。今回の法案におけるルールを記載したものでございます。今回の法律におきましては、多数の方が利用する全ての施設につきまして、屋内を原則禁煙ということにしてございます。その上で、施設の類型ごとに喫煙場所を設ける場合に、どういったルールになるのかということをこの図でお示ししてございます。
具体的に申し上げますと、上の色が濃いところでございますが、先ほど申し上げた、受動喫煙による健康影響が大きい子どもさんとか患者さんなどが主たる利用者となる学校ですとか病院、またみずからが対策を推進する責務がある行政機関につきましては、敷地内を禁煙としてございます。敷地内といいますのは、屋内だけではなく屋外、庭のようなところも禁煙ということにしてございます。
ただし、※1をごらんいただければと思いますが、屋外で受動喫煙を防止するために必要な措置がとられた場所であれば、喫煙場所を設置することができることとしてございます。これは、敷地内を完全に禁煙にした場合に、例えばその敷地の外に行って、隣の敷地で吸ってしまうということがありまして、近隣の施設とトラブルとか摩擦が生じるという御意見もございました。それも踏まえまして、屋外でしっかり措置をとったところであれば、喫煙場所を設置することができるということとしたものでございます。
その他の施設、下のBと書いてあるところにつきましては、原則屋内禁煙といたしまして、喫煙する場合には喫煙専用室でのみ喫煙可能という取り扱いとしてございます。喫煙専用室といいますのは、喫煙だけする部屋でございますので、例えば飲食をしながら喫煙するということは、専用室では認められないということになります。
以上は全国統一的なルールを定めるものでございますので、それぞれの施設ごとに管理権限者の判断によって、法律以上の取組を行うことは問題がないということになります。
次に、右側に2つ、経過措置を規定してございます。
まず、薄い青のところでございますが、加熱式たばこについてでございます。加熱式たばこにつきましては、ニコチンですとか発がん性物質といった有害物質が煙の中に入っているということは明らかにされておりますけれども、まだ販売されて間もないということもございまして、受動喫煙を受けた場合に将来的に健康影響が出るかどうかということは、まだ不明という状況でございます。こうしたことも踏まえまして、当分の間の措置として、紙巻きたばこ、普通のたばことは異なる規制を設けたものでございます。具体的には、煙の流出防止措置がとられた喫煙室におきまして喫煙を可能としておりますが、部屋の中では先ほどの喫煙専用室とは異なり、飲食等も可能という扱いとしてございます。
もう一つ右側にございますのが、先ほど基本的な考え方のところで申し上げました、既存の飲食店に対する経過措置でございます。既存の飲食店のうち、個人または中小企業が運営する店舗であって、かつ客席の面積が100m2以下の飲食店につきましては、別に法律で定める日までの間の措置といたしまして、標識の掲示によって喫煙できることとしてございます。
続きまして、(4)の部分をごらんいただければと思います。今回、全ての施設におきまして、喫煙をすることができる場所、今、説明させていただきました喫煙専用室ですとか加熱式たばこの喫煙室でございますが、そこに20歳未満の方は立ち入らせてはならないこととしてございます。20歳未満の方につきましては、受動喫煙からしっかりと守ってまいります。
また、(5)でございますが、屋外とか家庭等につきましては、今回、禁煙という措置は講じてございませんが、そうしたところで喫煙する際にも、周囲に望まない受動喫煙を生じさせることがないよう配慮しなければならないこととしてございます。屋外、屋内にわたって、こうした規制を設けまして、受動喫煙を生じないように対応してまいりたいと思います。
最後に、施行期日でございますが、2020年4月1日を全面的な施行としてございます。その他、段階的に施行することとしてございますが、後ほどまた御説明させていただきます。
続きまして、3ページ目を御参照ください。今回の法律を受けまして、現状がどのように変わるのかということをお示しさせていただきました。先ほどの説明と多少重複いたしますが、今回の法律のポイントといたしましては、学校・病院だけではなく、飲食店を含めて、全ての施設について、原則、屋内は禁煙とするものでございます。
また、一番下にございますように、既存の経営規模の小さな飲食店につきましては経過措置を講じてございますが、新たに開設する店舗につきましては、原則のルールが適用されますので、原則屋内を禁煙ということになります。したがいまして、法施行後も、新たに開設した店舗は、原則屋内禁煙となりますので、対策が段階的かつ実効的に進んでいくという法律になっているかと思います。
また、経営規模が小さい飲食店につきましても、予算ですとか、喫煙専用室を設ける場合の助成、あとは税制上の支援も行ってまいりまして、しっかりと対策が進むように支援してまいりたいと思います。
続きまして、4ページ目、ここは個別の論点の説明でございます。
4ページ目は、先ほど申し上げました国・地方公共団体の責務でございますので、割愛させていただきます。
また、5ページ目、御参照ください。既存の飲食店に対する経過措置の考え方及び範囲についてでございます。
右上のところをごらんいただければと思いますが、既存のデータをもとに大まかに推計したものでございますが、経過措置の対象となる飲食店は、施行の段階で最大で飲食店の約5.5割程度という推計をしてございます。ただし、2つ目の○で書きましたが、飲食店のうち、新たに出店した店舗は、2年で約2割弱、5年で約3割強というデータもございますので、繰り返しになりますが、対策は段階的に進んでいくことになろうかと思います。
続きまして、6ページ目でございます。今回の法律における義務の内容と、義務違反時の対応についてということでございます。
今回の法律におきましては、全ての方に対して喫煙禁止場所で喫煙してはならないという義務を課してございます。また、それぞれの施設を管理する方につきまして、禁煙の場所に灰皿等を設けて利用者に喫煙させてはならないという義務も課してございます。
義務違反があった場合の対応につきましては、赤く四角で囲っているところでございますが、都道府県等、具体的には保健所が事務を担うことになりますが、相談の窓口を設置いたしまして、情報に対応してまいります。また、違反が発覚した場合につきましては、それぞれ義務の内容ごとに、下のようなフローになってございますが、まずは都道府県知事と保健所職員が指導なり勧告をしていただきまして、それでも従っていただけない場合につきましては、最終的には過料ということで罰則を適用することとしてございます。これまで健康増進法におきましては努力義務で対策を進めてまいりましたが、今後はこうした罰則つきの義務ということになります。
続きまして、7ページ目でございます。従業員に対して受動喫煙対策をどのように行っていくのかということをまとめさせていただきました。
まず、1つ目でございますが、先ほど申し上げましたとおり、20歳未満の方は喫煙可能な場所には立入禁止ということにしておりますので、これをもって20歳未満の従業員につきましては、しっかりと守っていくということでございます。
さらに、2つ目でございますが、従業員の望まない受動喫煙を防止するという観点から、法律上の努力義務に基づきまして、どういった対応をそれぞれの事業者でやっていただければよいのかというところをガイドラインでお示しいたしまして、助言・指導を行ってまいりたいと思います。
また、今後、従業員の募集を行う場合には、どのような受動喫煙対策を職場で講じているか、募集の段階、また求人申込みの際に明示するという義務を別途課すこととしてございます。こうした措置に基づきまして、従業員につきましてもしっかりと受動喫煙の対策を進めていくこととしてございます。
最後になりますが、8ページ目、今回の法律の施行のスケジュールでございます。先ほど申し上げましたとおり、全面的な施行は2020年の4月1日としてございますが、まず、国・地方公共団体の責務につきましては、公布後6月以内で政令で定める日ということで、早目に施行して対策を進めてまいりたいと思います。また、学校・病院、また行政機関といった敷地内禁煙になる施設につきましては、来年夏ごろ。来年、ラグビーワールドカップがございます。その前に施行することとしてございます。それぞれの施設類型ごとに段階的に施行を進めてまいりたいと思います。
また、この法案を閣議決定した際に、がん対策推進基本計画におきましても、受動喫煙対策の目標につきまして、望まない受動喫煙のない社会をできるだけ早期に実現するということを目標として閣議決定させていただきました。今後、この法律の円滑な施行に向けて、またこの目標をしっかりと達成できるように、政府といたしましても受動喫煙対策をさらに徹底してまいりたいと思います。
以上でございます。
○山口会長 ありがとうございました。
1次予防と検診を少し分けて議論をさせていただこうと思います。いろいろ御質問あるかもしれませんけれども、まず、秋山委員から、関連して参考資料3が出ていますので、まず御説明あるいは御意見を賜りたいと思います。
○秋山委員 発言の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。
参考資料3の「都道府県別の平均寿命(2015年)のデータから読み取れる禁煙活動の効果について」ということですが、本当に研究的にエビデンスに基づいたということではないのですけれども、滋賀県が健康長寿の長野県の1位を、特に男子が抜いて、平均寿命長寿県になった。その背景をさまざまなこれまでのデータというか、厚労省が出しておられるデータから読み取ると、男性の喫煙率が、実は2000年には非常に高くて、全国平均より8.8ポイント高い56.2%。このことに滋賀県自体がとても危機感を覚えた。
そして、2001年には県の健康施策として、喫煙率56.2%を半減させることが望ましいと努力目標を立てて、「健康しが たばこ対策指針」を策定し、十数年かけて具体的な対策、特に受動喫煙ゼロのお店として登録して、罰則ではなく褒めるほうの制度を設けて、息の長い活動をした結果、2016年には全国平均より9.1ポイント低い20.6%で、全国一低い県となった。そこと健康寿命が連動していくのではないかということで、後ろに表を載せておりますので、ちょっと見ていただきますと、特に都道府県別平均寿命、男性、2015年には、滋賀が長野を抜いて1位になった。
そして、男性の喫煙率が2000年には一番高い、人口10万対56.1だったのが、2016年、16年かけてですが、20.6で男性の喫煙率を非常に下げている。これがイコールではないかもしれませんけれども、平均寿命まで変えていく事実がこうやって見えていくことに、とても参考になるのではないかということで、ちょっと提出させていただきました。
ありがとうございます。
○山口会長 ありがとうございました。
ほかの委員の皆様から、特に健康増進法に関して、これは報告ですので、御質問があったらお受けしたいと思います。いろいろ議論があったところですけれども、どうぞ。
○轟委員 この議論に関しては、私、参考人招致も含めて、国会の議論をずっと傍聴させていただきました。
まず、努力義務であったものに罰則がついたということに関しては、大きな進歩であったと思いますし、その議論の中で大変じくじくたる思いというか、がんの予防ということが大切だと言いながら、大きく抜けているところがあるなというのを正直に思ったのですね。それで、施行して5年たってから改正みたいなことになっていますが、その間に、今から6年以上あるのではないかと思いまして、例えば未成年に対する受動喫煙の影響の大きさをうたっておきながら、学校の敷地内では吸えるという例がありますし。また、世界では屋内原則禁煙というところが多いのに、ホテルの中では、それを居住地として認めてしまう。
さらに、加熱式たばこに関しては、体に対して、これは有害ではないと決して言い切れるわけではないということを、多分ほとんどの人がわかっていると思いますが、有害だと言い切れないから、それは紙巻きたばこと違うようにしているということを、この後、何年間も改正しないで進めていっていいのかなと思ったので、これは厚生労働省としては、今後どのようにお考えになっているのかなということをお聞きしたいなと思いました。
○山口会長 では、お答えいただけますか。
○健康局健康課 ありがとうございます。
まさに、今いただいたような御意見、国会の中でもいろいろ御指摘いただいたところでございます。厚生労働省といたしましては、今回、法律の中で、施行後5年を経過した場合を目途として検討を加えて、必要があれば必要な措置を講ずることとしてございますので、まず、しっかり対策を施行して、その施行の状況を調査・把握いたしまして、その結果を見て、5年後の見直しの中でさらなる対策が必要となるのか否かというところを検討させていただければと考えてございます。
一方で、今、御指摘いただきました、例えば学校の屋外の隅で吸えるのはおかしいのではないかという御意見もございます。ここは、今回の法律は、屋外で喫煙場所を設置することは可能としてございますが、これは何もその設置を推奨するものでは全くございませんし、また、既に禁煙となっているところにそうした喫煙場所を置いてほしいということでもございませんので、そうした法律の趣旨につきましては、文科省さんともよく連携させていただいて、しっかりと周知してまいりたいと思っております。
○山口会長 ほかにいかがでしょうか。どうぞ。
○南委員 ありがとうございます。
冒頭の基本的な考え方の2番目で、受動喫煙による影響が大きい子ども、患者等の中には妊婦も含むという御説明いただいたと思うのですが、後半の従業員に対する受動喫煙対策に関しましては、喫煙のできる部屋には、従業員を含んで20歳未満の立ち入りを禁止する。この中には、従業員の中にも20歳を超えて妊娠されている方がいると思うのですが、妊婦さんはこれに含むのか含まないのか。法律上、無理でも、実際の指導として妊婦さんは立ち入らないということが必要ではないかと考えるのですが、いかがでしょうか。
○山口会長 どうぞ。
○健康局健康課 ありがとうございます。
法律上の義務といたしましては、今回、喫煙場所に立ち入らせてはならない対象といたしましては、20歳以下の方のみとなってございます。もともと20歳未満の方につきましては、そもそも喫煙も禁止されているということも踏まえまして、そうした措置としてございます。
一方で、御指摘いただきましたとおり、妊婦の方、また妊婦さんだけではなくて、患者の方、あるいは健康な方であっても、自分は煙を浴びるのが嫌だという方は当然ながらいらっしゃると思います。そうした方々につきましても、職場でどのような対策を講じるか。例えば、シフトを工夫して、煙を浴びるのが嫌な方につきましては、そうしたところに入らないで済むようにするとか、いろいろな工夫があろうかと思いますので、そういった工夫についてガイドラインでまとめまして、お示しして周知してまいりたいと思います。
○山口会長 どうぞ。
○南委員 ありがとうございます。
これは、お客さんもそうだと思います。妊婦さんもいらっしゃると思いますので、喫煙できる部屋に20歳未満立入禁止。これは法律で禁止されているので当たり前と、一般の方は考えると思うのです。そうではなくて、法律で禁止されている20歳未満ではなくて、健康のためなのでということがわかるように、表示として妊婦さんとかいう表示もそこに入れるような指導をぜひお願いできればと思います。
○山口会長 ありがとうございました。
どうぞ。
○坂下委員 このようなたばこに対するいろいろな法律が定まっていくというのは、非常にありがたいことだと思っているのですけれども、WHOの定めるところのたばこの枠組み条約の中で、全世界的なランクづけの中で、日本が今どの立ち位置にあって、この改正案によって、どれぐらいのところが改善されると考えられているのかということをお聞きしたいのが1点と。
最近は、分煙ももちろん大事なのですけれども、喫煙されている方の呼気とか衣服といったところから、2次的に揮発して有害物質が出るということもだんだん言われてきている。その中で、分煙しさえすればいいのかということは、ちょっと違和感があるところです。ですので、そういったところの対策もきちんとするのであれば、喫煙室をつくるということではなく、いっそ禁煙という形に持っていったほうが。目指すところがどこなのかということも考えた上で、そういう形にしていっていただけたらよかったかなと思っています。
もう一つは、子どもが通学する通学路に喫煙する場所が実際ある状況ですので、そういうものはどこがカバーする、法律でどこがなくしてもらえるようなところに当たるのかというのも、ちょっとお伺いしたいと思います。
○山口会長 どうぞ。
○健康局健康課 御質問ありがとうございます。
まず初めの、世界的に見てどうなのかというところでございますが、WHOにおきまして、各国の受動喫煙対策についてランキングづけをしてございます。公共の場所というのをWHOが8カ所に分けてございまして、飲食店とか学校・病院、それぞれ8個類型がありまして、その幾つについて屋内が完全に禁煙になっているか。屋内完全禁煙と言いますのは、喫煙専用室もだめで、全く吸えないというものが幾つになるかというのをカウントしてランキングしてございます。現状、日本は屋内禁煙にするという法律はまだございませんので、ランクは一番下でございましたが、そのランキングにつきましては、この法律が施行された後は、1つですけれども、上がることとなってございます。
また、喫煙の呼気ですとか、いわゆる3次喫煙というところかと思います。そういったことも踏まえれば、そもそも禁煙にすればいいのではないかという御指摘だったかと思います。まず、3次喫煙につきましては、それが直ちに健康影響を及ぼすかというところまではわかっていないというのが現状でございますので、研究を引き続き進めてまいりたいと思ってございます。
我が国もFCTCと言いまして、たばこの条約について批准してございます。その中では、喫煙専用の部屋を設けるべきではなくて、屋内完全禁煙にすべきという文言がうたわれているということは、当然ながら我が国も批准しておりますので、承知しているところでございます。そうしたことも踏まえて、今後、対策を進めていくということかと思います。
また、通学路につきましては、先ほど法案の概要の中で、屋外で吸う場合につきましても、周囲に望まない受動喫煙が生じることがないように、周囲の状況に配慮しなければならないという配慮義務を課したと申し上げました。これに基づきまして、それぞれ喫煙される方に、喫煙する場合に近くに子どもがいる場合には、できるだけやめましょうといったところも、国としてしっかりと周知していきたいと思います。
また、通学路とはちょっと違うかもしれませんが、例えば駅前とか屋外で人がたくさん集まるところがございます。そうしたところにつきまして、屋外の分煙施設、わかりやすい言葉で言えば公衆喫煙所ということになろうかと思いますが、そうしたところを自治体が今、設置して、吸うのであればそこで吸っていただくという対策を講じている自治体さんもございます。今後は、自治体がそうした屋外の分煙施設を設ける場合には、政府といたしましても地方財政措置等で支援をして対策が進むようにしてまいりたいと考えてございます。
○山口会長 ありがとうございました。
簡単にお願いします。
○田中委員 ありがとうございます。
受動喫煙対策は、確かに一歩前進ではありますけれども、世界的なレベルに比べると日本のレベルは低いと思います。受動喫煙ゼロとは言えないかわりに、望まない受動喫煙をなくす社会ということになりましたけれども、ゼロということとは、実際の政策目標としては違うと思うのです。数値目標としてゼロを目指すべきだと思うのですけれども、そこで伺いたいのは、当分の間の措置とか、別に法律で定めるまでの措置と言うのは、具体的にはどういうことなのかということです。
別の資料で、新たに出店する店は2年間で2割弱だから、放っておいても、いずれ新しい店に変わるからいいのではないかと言いたいのかなという気もするのですけれども、経過措置というのはなるべく早期にやめるべきだと思います。これについてはどうお考えなのかをお聞きします。
○山口会長 では、お願いします。
○健康局健康課 まず、1点御説明させていただければと思います。受動喫煙対策の目標につきまして、望まない受動喫煙のない社会を早期に実現する、目指すということで入れさせていただきました。「ない」と「ゼロ」は違うのではないかという御指摘でございましたが、受動喫煙がないというのは、すなわちゼロであると考えておりますので、それに向けて対策を進めていきたいと思います。
御質問いただきました当分の間ですとか、別に法律で定める日、いつまでなのかということでございます。まず、当分の間につきましては、加熱式たばこの経過措置を当分の間ということにしてございます。こちらは、受動喫煙への健康影響が現時点では将来、どうなるかということはまだわからないということでございますので、その研究を進めて、それがわかった段階で、その結果に基づいて必要な措置を講ずるということになろうかと思います。
また、別に法律で定める日までの間の措置は、既存の飲食店に対する経過措置でございます。こちらにつきましては、法律上も実は条文で明記させていただいているところではありますが、法施行後に国民の皆様の意識ですとか、あとは既存の小規模の飲食店、経過措置の対象となっている施設におきます受動喫煙防止のための取組の状況といったことを勘案いたしまして、必要に応じて、今後、別に法律と書いてあるとおり、新たに別の法律を出して、それがいつまでというのを、そういうものを踏まえて検討していくことになろうかと思います。
○山口会長 ありがとうございました。
この問題に関しては、垣添先生、それから門田先生に引き継がれてきましたが、協議会としてまとめた意見は、最終的に政府決定の段階で後退しがちで、今回もその感は否めないように思います。ただ、法律というのは最低限の要求、ミニマムリクワイアメントなので、そこはともかく法律として決まった。
そこで、次のステップとして、今、皆様から意見があったように、指導のところをしっかりやってくださいと、これは協議会としてはぜひお願いをしなければいけないと思うのですが、もう一つ、都道府県の多くが条例を定め始めていると思います。例えば、東京都は法律よりさらに厳しい条例をつくってきています。このような動きを積極的にサポートするというのが、もう一つできることなのかなと思います。厚労省におかれましても、その点を各都道府県に推奨するようにお願いしていくことが、この段階でやれることかなと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、引き続き、がん検診のほうに移りたいと思うのですが、まず小西参考人から「がん検診の実情について」、対がん協会の状況をお話しいただきます。よろしくお願いします。
○小西参考人 日本対がん協会の小西です。きょうは、このような機会をいただきまして、ありがとうございます。では、座って説明させていただきます。よろしくお願いいたします。
「がん検診の実情」の2枚目のスライドですけれども、日本対がん協会は1958年に設立されて、ことし60周年を迎えております。全国46道府県の検診機関等と本部・支部関係を結びまして、その支部が検診を行っています。ただ、東京並びに神奈川、大阪、岐阜、静岡は検診を行っておりませんので、きょう、お示ししていますデータは、大都市部は含まれていないということをお含みおきください。
スライド番号13枚目以降は、資料として添えています。
支部のがん検診ですけれども、主に市町村から委託を受けて住民検診を行っています。検診車は計1066台を保有し、巡回検診を行っています。
次のスライド3枚目ですけれども、厚生労働省が指針を設けて進める5つのがん検診につきまして、2015年度の検診の実績をお示ししました。受診者は、胃がんで230万人、子宮頸がんで130万人といったところで、この5つのがん検診では延べ820万人の検診を行っていて、1万3000人のがんが見つかっています。右側には健康増進事業報告、これは全国で行われている住民検診の、厚生労働省が取りまとめられているデータです。日本対がん協会支部がどれくらいの規模感かという、参考としてお示しさせていただきました。
日本対がん協会が行っている検診の職域並びに住民の割合を4枚目のスライドに示しています。
住民検診は、健康増進法に基づいて、市町村事業として実施されています。国が指針を設けて、その手法等についてガイドラインをつくっている。
一方で、職域検診、10%から30%ぐらい、対がん協会は受託していますけれども、こちらにつきましては、法律的裏づけがない。今般、職域におけるがん検診のマニュアルというものを厚生労働省がつくられましたけれども、法律的裏づけがありませんので、現状では、検査方法とか対象年齢とか結果の把握等、いわゆる精度管理につながるところにつきましても、実情がよくわかっていないというのが現状です。
日本対がん協会支部が受託する職域検診におきましても、住民検診のような形で管理している地域もあれば、一方で検診結果だけを返してくれれば、それでいいという形で、フォローが全然できていないところもございます。
5枚目のスライドの表は、日本対がん協会支部が職域も含んで行っている検診の方法を、国の指針と照らし合わせて示したものです。これは2015年度のものですけれども、16年度も傾向はほぼ変わっておりません。
胃がんにつきましては、指針以外のところで言いますと、ABCリスク評価も行われている。これは、全てX線検査もしくは内視鏡検査との併用です。ABCリスク評価につきましては、単独では実施しないようにということを各支部に伝えています。
私どもが大きな課題と思っているところは乳がん検診です。検診手段の組み合わせによって7つの方法で行われているというのが実情です。最近は、対策型検診として導入するかどうかについてはエビデンスがないという位置付けの超音波検査を導入するところが、自治体を含め、ふえている傾向にあります。
それと、対象年齢も幅広く、時には20代から乳がん検診を行っているところもあります。
6枚目のスライドは、私どもが各支部で実施したがん検診で見つかったがんが、どのぐらいの進行度かというところを調査したものであります。これは、医療機関の皆様の御協力を得て、調査票に回答してもらったものを集計したものです。もちろん、胃がんと大腸がんの消化器のがんは、高齢になるにつれて発見率が上がっていきます。一方で、男女別やがん種により発見率に差があるところです。
大腸がん、日本では死亡者が男女とも非常にふえていますけれども、これにつきましては、早期で見つかる割合が胃がんに比べるとやや少ない。特に、女性において低い傾向が見てとれます。
7枚目のスライドは、肺がんです。肺がんにつきましては、女性に比べまして、男性で早期の発見割合が非常に低い。ここは大きな問題かと認識しております。
7枚目のスライドの右側、50歳未満男性の発見数の推移を、2014年から15年、16年と抜き出してみたものです。男性の場合、50歳未満の肺がんの発見数が非常に減っているという傾向が見てとれましたので、現在、過去25年間の発見の推移を国立がん研究センター、社会と健康研究センターの先生と一緒に調査しているところであります。20代での男性の喫煙率が近年ずっと減少していますが、これと関係があるのかどうかというところも少し考察したいと考えています。
8枚目のスライドは、乳がんの状況であります。乳がんは、先ほども申し上げましたように、少し検査方法がばらついております。それによって、発見率も少しばらつきがあります。
それと、発見がん中の早期の割合、ビジーなグラフで申しわけありませんけれども、非常にばらついているというところがあります。特に、標準とされるマンモグラフィーに超音波検査を加えますと、40代では発見率が高くなる。それも、早期がんの割合が高くなるという傾向があります。
9枚目のスライドでは精度管理について紹介しています。
がん検診の基本は、科学的根拠のある方法を適切な精度管理のもとで多くの人に実施するということですけれども、対がん協会の各支部では、都道府県の生活習慣病等指導者協議会の各がん部会の先生方、並びに学会等の指導を受けながら、読影の研修を行ったり、撮像技術の講習等を行ったりしています。そうした中で、乳がん研修では要精検率を2%前後に抑えているところもございます。ただ、これも支部によって若干ばらつきがありますので、何らかの研修会を重ねてできる限り統一化していきたいと思っております。
今般、精検受診率の目標90%ということが示されましたけれども、2015年度の対がん協会の実績を見ますと、90%に達しているのは乳がんのみという状況です。特に、大腸がんは70%と、非常に低い状況であって、そこはどういう対策をとろうか、非常に苦慮しているところです。便鮮血検査という1次検診の手法と、それで要精密検査と言われたときに受ける下部消化管内視鏡検査の負担の開きが大きく、受診者が避ける傾向にあるのかなというところも感じとれます。特に女性の受診率向上について何らかの工夫をしていかなければいけないなと思っています。
精度管理を考える上での注意を10枚目のスライドで示させていただきました。要精検率、がん発見率が年齢によって随分変わってきていますので、そのあたりを考慮していく必要がある。加えて、定期受診。欠かさず検診を受けていらっしゃる方と、そうではなくて、3年以上あいたり、全く受けていなかったりといった方々の間で、発見率に大きな差があります。特に、高齢者になりますと要精検率もかなり変わってきます。このように年齢や受診回数による差も何らかの形で精度管理に反映させていきたいと考えております。
がん検診の大きな課題であります受診率につきまして、11枚目のスライドで、国民生活基礎調査の2016年の数字を提示しました。現在、国保特別会計から補助金で特定健診の受診率を上げようと活動を行っております。それにあわせて、特定健診を受けに来られたたくさんの方々にもがん検診を勧めるというものです。今年度から幾つかの支部で取り組んでいますが、一部支部では少し受診率がふえる傾向にあると聞いております。
まとめです。検診の種類。まず、住民検診と職域検診で管理のあり方に大きな差がある。職域の検診のマニュアルができて、これが一体どの程度浸透して、どの程度守られるのかといったところを調査していかなければいけないかなと考えております。
それと、がん発見率。これは、男女・年齢並びに検診の方法によって差がある。全て統一してしまうのは難しいかもしれませんけれども、ある程度の統一が必要ではないかと思います。超高齢化社会を反映して、検診受診者においても高齢者の受診がふえております。90歳以上とか100歳を超えても検診を受けに来られる方が、実際いらっしゃいます。そういった方の検診、高齢者におきましては早期で見つかる割合が高い傾向にあります。また別途の機会で検討されるとのことですけれども、こういったところも少し考慮していかなければいけないかなと思っております。
精度管理に関しては、低い精検受診率、特に大腸がんを何とか引き上げていきたい。これも皆様の御指導のもとで、またいろいろ工夫を重ねていきたいと思います。
受診率の目標も、第1期のがん対策基本計画が設けられてから10年以上たちますが、まだ一部を除いて達成されていない状況ですので、私どももぜひともふやしていくよう頑張っていきたい。それと、職域も含めて、検診の実情、今回は私どもの対がん協会だけのデータですけれども、全体をもっと見える化する必要があるのではないかと思います。マイナンバー等を利用する形で、検診登録といったものも必要ではないかなと考えております。
以上、ちょっと雑駁でしたけれども、説明させていただきました。ありがとうございました。
○山口会長 どうもありがとうございました。
評価の詳細については、後ほど議論がもう一度ございますけれども、ここで小西参考人にどうしても御質問したい方、いらっしゃったら。どうぞ。
○轟委員 検診について、常々思っていることは、検診に関する理解と限界を知ることだと思っているのですね。それで、うちの胃がんの場合にも、毎年検診を受けていたからということで安心してしまって、不調を感じているのに診断に行かなかったというケースが結構あります。また、医療者側のほうも、毎年やっているのだから大丈夫みたいなこともあったのです。そのことに対する理解というのも必要だと思っています。
また、先ほど乳がんの検診で7つ方法があるとありましたけれども、例えば年齢によって、若い方がマンモグラフィーなどを積極的に何回も受けると、被曝のほうのリスクが大きいということもあると思うのですね。
また、胃がんの場合にも、バリウムがいいのか、それとも内視鏡がいいのかということも理解としては必要だと思うのですが、胃がんの検診の場合は、例えばバリウムで引っかかったときに、胃カメラが怖いから行かないという声も多くありまして、今は昔と違って、胃カメラもかなり負担少なく受けられるのだということへの啓蒙がもう少しあるといいのかなと思います。
それは、大腸がんに関してもそうだと思いまして、精神的に負担を感じる部分があるにしても、例えば40代とか50代のときにそういうものを女性の方が受けていれば、早期に見つかって、その後に大きなことにはならないのだということが知られれば、それを天秤にかけて、皆さん行くと思うのですね。ですから、行きやすいということよりは、検診によって防げることと。また、もう一つ予防という意味では、検診では防げないことがあるということは必要だと思います。
最後に1点。私、地方を回ったときに、卵巣がんになった方が、これだけ毎年検診を受けていたのに、なぜ私は卵巣がんになったのかという質問を受けたことがありまして、これがもしかしたら一般の方の多くの誤解なのではないかと思っておりますので、受けやすさとともに、その知識ということを広めていくことが大事なのではないかなと思っております。
○山口会長 では、今の御意見は参考にして、どうぞ。
○羽鳥委員 日本医師会、羽鳥です。貴重な御発表ありがとうございました。
最近、別の検討会ですけれども、がん検診の対策型検診では年齢制限、70歳を超えたら検診はなしでもいいのではないかということも議論されています。
もう一つ、職域のがん検診について、松田先生もこの会に出ていらっしゃいましたけれども、職域のがん検診は事業主は福利厚生として行っています。福利厚生で行っていると、例えばがんの検診受診券は渡す。あるいは補助に検診費用の10万円差し上げるから、やっていらっしゃいという。だけれども、検診の結果を受け取ると、会社が精度管理などの責任が生じるのは嫌だという会社もあるので、これは国が職域のがん検診の仕組みを変えない限り、前進しません。ここは思い切って、こういう協議会から声を挙げて、職域のがん検診といえども仕組みは同じにしていく。統計のとり方を対象型検診と職域のがん検診で同じにするということをぜひ声を挙げてください。もちろんPSAなど任意型検診を否定するつもりはありません。 せっかく事業主の方があれだけのお金を投じてやってくださっているのですから、事業主の検診であっても、データについては国が統計としてとりますということを言ってくれない限り、がん検診の受診率の数字がいつまでたっても変わることはないのではないかと思います。その辺をぜひ検討していただきたいと思います。
3つ目。先ほど大腸がんの話あるいは胃がんの話がありましたけれども、多分、ここにいらっしゃる方は、みんな大腸がん検診も大腸内視鏡も受けていらっしゃると思うのですが、昔のつらい検査とは全く違うし、恥ずかしさもないし、率先して受診してください。女性の方であっても受けなさいというぐらいのつもりで、ここにいる先生たちは、特に率先してやっていかれてもいい。今、大腸をされている先生は本当にお上手になっているので、それはお勧めだと思います。
○山口会長 ありがとうございました。
では、簡単に。
○中釜委員 簡単に。
年間1000万人近い例数で、こういうデータを出されて敬意を表したいと思います。確認したい点は、先ほどの説明の中に、精度管理されたところと、そうでもない部分が混在しているとおっしゃったのですけれども、このデータをそういうふうに分けてまとめること、あるいは早期がんのほかにステージごとでデータをとることは、現状で可能なのですか。
○小西参考人 可能です。
○山口会長 それでは、ちょっと時間が押していますので、参考人の関係もございますので、少し順番を変えさせていただきます。「がん予防分野の指標」は少し後回しにさせていただいて、「患者体験調査」並びに「緩和ケアの調査」を先に進めたいと思います。まず、事務局から先に少しお話がありますか。
○事務局 直接、東参考人から御説明いただければと思っております。
○山口会長 それでは、東参考人より、詳細について御説明いただきます。
○東参考人 ありがとうございます。
資料9のスライドで説明させていただきまして、資料10が、現在、考えている患者体験調査のアンケートの案になっておりますので、まず資料9を見ながら、患者体験調査についての御説明をさしあげたいと考えております。どうぞよろしくお願いします。
まず、2枚目のスライドから申し上げます。この患者体験調査というものの位置づけでありますけれども、がん対策推進基本計画の評価指標の測定のためのデータ源の一つという位置づけです。ほかにもがん診療連携拠点病院の現況報告であるとか、研究班の報告書、政府統計など、さまざまなデータを通して評価が行われますので、全ての指標を患者体験調査で測定するわけではなくて、指標によって適切なデータ源を選ぶことが必要となるということを1つ、確認として申し上げます。
おめくりいただきまして、3枚目のスライドですけれども、患者体験調査の特徴ということで、少しお話しをします。これは、何と言っても、患者さんたちにこれまでの体験を直接お聞きするということで、がん対策のアウトカムとしての事項を捉えることができるというのが大きな利点と言えるかと思います。
一方で、多くの患者さんの意見を回答しやすいように配慮しなければいけないということがありまして、その負担を最小限にするために、質問肢が長くならないように質問事項を厳選する必要があります。
さらには、がん対策の評価という位置づけがありますので、結果ががん患者全体の代表となるようにすることも必要となります。そのため、これまでは院内がん登録を利用いたしまして母集団を決定し、多段階無作為抽出という手法を用いてサンプルを決めるということをしてまいりました。
さらには、がん診療連携拠点病院を初めとして、施設の協力を得て調査を行うということをしておりますので、施設の負担が過大にならないようにという配慮も必要と考えております。
下の4枚目ですけれども、前回、患者体験調査を行わせていただいたのは平成27年でありますが、134施設の協力を得まして、2012年に診断された患者さん、7404人の御回答をいただいております。調査結果からは、セカンドオピニオンや妊孕性等についての説明が必ずしも十分ではないということや、身体的・精神的な苦痛を持つ方々も一定数存在するということ、また、家族へ負担をかけていると感じていたり、家族への支援が不足しているのではないかと感じている方々が少なくないといったことがわかりました。
また、がん相談支援センター等についても、認知は必ずしも十分ではないですけれども、利用された方の満足度は高いということもわかっております。
これらの結果を第2期がん対策推進基本計画の中間評価で御活用いただきまして、引用されました。
次のスライドに行きますけれども、この患者体験調査、質問項目の作成につきましては、前回が初めての試みということもありましたので、厚生労働科学研究班で、当時のがん対策推進基本協議会のメンバーの方々と、あと、医療・研究・社会、それぞれの分野の専門家を対象といたしまして、デルファイ法という方法を用いまして、指標の提案をいただいて評価をいただくということを3回繰り返すということを行いました。
そうして指標はできるわけですが、その中から、患者体験調査として、患者さんにお尋ねするのが最適というものを選んで調査の質問紙を構成するということを行っております。
この調査方法についてですけれども、先に7枚目のスライドに行っていただきまして、日本地図が描いてあるスライドです。前回の調査のデザインというのは、先ほど多段階無作為抽出と申し上げましたけれども、一言で申し上げますと、病院を抽出して、その病院を受診された患者さんを、またランダムにサンプルして調査するということを行っております。
もう少し申し上げますと、病院のほうでは、都道府県ごとに都道府県拠点は全施設、地域がん診療連携拠点病院は各県で2施設を無作為に選びまして、その病院で治療を受けた患者さんの中で、希少がん、若年者、その他に3つのグループに分けて、それぞれ15人、15人、70人という形で無作為抽出。さらには、比較のために、がん以外のそこの病院を受診された患者さんを5名、任意で選んでいただくという形でサンプルを構成するということを行いました。
この無作為抽出に関しましては、乱数を割りつけて抽出するといった、非常に複雑な手順が必要になりますので、こちらのほうは事務局で院内がん登録の匿名化データを利用して、無作為抽出の支援をするということをしました。さらに今回に関しましては、対象年よりも少し前の患者さんであるとか、また施設に関しましても、地域がん診療病院であるとか、それ以外の国の指定を受けていない病院についても新しく調査を行うことを予定しております。
こういった形で行ってきたのですけれども、6枚目のスライドに戻りますけれども、前回調査の反省点というのが幾つか挙げられております。
前回は研究の枠組みということで、協力施設に全て承諾をいただくことがなかなかできなかったということで反省がありましたので、今回は厚生労働省の委託事業ということになっております。
また、いろいろ細かいところでありますけれども、質問紙を、例えば経済的な負担の指標ということについては、治療の変更がありましたかということを聞いたのですけれども、それは余りにも厳し過ぎるということで、もう少し詳細な段階を踏んだ質問に改訂するなど、いろいろなところで今回、改訂を進めている次第です。
おめくりいただきまして、その内容のさわりの部分を少し説明します。8枚目のスライドです。ここでは、少し細かい表が書いてありますけれども、研究班のほうで、今回、第3期のがん対策推進基本計画の目次を使いまして、その目次のところから各施策と捉えて、中間アウトカム、分野アウトカムを設定して、そこから指標を検討する。この中から、既にあるものについては既にあるものを使って、新しいものについては、さらに追加するということをしております。
次のスライドに行っていただきまして、このような作業を行っている中で、今後の流れということを1枚にまとめてあります。
このワーキンググループの作業以外にも、平成29年12月から30年、ことしの1月までには、最初に指標をつくっていただいた専門家委員の方々に御意見を聞いて、いろいろな指標を追加する、もしくは既存のものはもう要らないのではないかという削除・整理をしております。
さらには、今、8月でありますが、これをもとに案はできていますので、御意見を伺いながら、国立がん研究センターにおいて倫理委員会を通して、それが恐らく9月中には許可がおりると期待していますが、許可がおり次第、施設のほうにお願いして、施設のほうの手続を経て進めていこうと。それが恐らく10月ごろになるのではないかと考えておりますけれども、今、進めているところであります。
さまざまなことを申し上げましたけれども、まとめといたしましては、患者体験調査は、患者さんの直接の体験というものをお聞きするということで、がん対策のアウトカムを捉えることを目指して行っております。そのための質問肢を前回のものから今回のものまで、改訂作業を進めているところですし、それについて、この場をおかりして御意見をいただきたいと。より適切な評価につなげられればと期待している次第であります。
11枚目のスライドは、都道府県の値を出すために、都道府県とも協力しながらやっていきたいということを少し示したもので、追加ということで御参考までにつけております。
あと、資料10に関しましてはアンケート用紙になっていますので、問6の選択肢が問7と少し違うとか、指摘をいただいておるのですけれども、だんだん固めつつ、ここのパイロットをして倫理委員会を通して使っていきたいと考えている次第であります。
簡単ですけれども、以上です。
○山口会長 ありがとうございました。
このアンケート調査の内容については、既に委員の皆様方には送付され、チェックされ、多くの方から御意見いただいていますので、それも参考にしていただこうと思いますが、議論は少し後にさせていただいて、先に緩和ケアのほうを加藤参考人から御説明いただきます。
○加藤参考人 よろしくお願いいたします。
私のほうから、資料11を使って説明していきたいと思います。今、東先生のほうから患者調査の御説明がありましたが、私のほうは緩和ケアについて、医療従事者がどのように認識しているのか、また知識がどうなのかということを聞いていく、アウトカムに対して、がん対策のプロセスの部分についての評価になっていくのかと思いますが、どのようなことを計画しているのか説明していきたいと思います。
スライドの2枚目になりますが、がん対策が進んでいく中、緩和ケアも推進されてきました。その中で、緩和ケアの進捗状況はどうなのかということで、医療従事者に関する調査を2008年、2015年に行っております。
おめくりいただいて、スライド3枚目になります。これまでやってきた医療従事者の調査ですが、拠点病院と拠点病院以外の施設で2008年、2015年に医師と看護師を対象にやってきております。
調査内容としましては、医療従事者の知識・困難感、そして緩和ケアの提供体制の認識や変化の認識といったものを聞いています。
4枚目のほうに、一部結果の抜粋ですが、例えば上の表の一部になりますが、医師の知識であれば、拠点病院の医師は2008年、2015年の間に百点満点で換算すると80から83に改善していて、一般病院では74から78に改善したという形で、このような変化を見ることができております。
下のほうにまとめがありますが、全国的な変化は見られるけれども、施設別に見ると、拠点病院に比べると一般病院の医師・看護師の緩和ケアの知識はまだ不十分で、困難をより感じていたなどがわかりました。このようなことから、一般病院の医師・看護師は、拠点病院に比べると緩和ケアはまだまだ不十分なのではないかといった結果が得られております。
また、5枚目のほうを見ていただきたいのですが、緩和ケアの変化を感じている医療従事者などを対象に、広くインタビューをしていき、緩和ケアの変化が生じている要因について質的に検討してみると、広く推進してきた緩和ケアの研修会の効果があったのではないかということが、調査委結果から明らかになりました。
実際に緩和ケア研修会の受講の有無が与える影響について検討したのが5枚目になります。医療従事者調査の中で、緩和ケア研修会を受けているか、受けていないかということについて背景要因を調整して比較すると、緩和ケアの知識や困難感で違いがあり、緩和ケアの研修会の受講の有無が知識・困難感に関連しているということを明らかにすることができました。こういったことも従事者調査では示していくことができます。
6枚目ですが、これまでの医療従事者調査の結果として、2008年と2015年を比較すると、医師・看護師の緩和ケアの知識・困難感は改善しているわけですが、3つ目の項目にありますように、その要因として、これまでのがん対策の効果が考えられるわけです。
ただ、課題もありまして、拠点病院以外では、専門家の支援とか緩和ケアの提供体制がまだ十分ではないということも示されてきております。
7枚目を見ていただきたいのですが、そういったことをまとめた中間評価の結果を受けて、第3期の計画の中では、拠点病院以外の緩和ケアの提供体制・実態を把握していくということが書かれております。
そういったことを踏まえて、8枚目になりますが、我々が厚労科研のほうで計画しているものとしましては、これまでの結果、全国的な変化はあるが、都道府県別の緩和ケアの状況について明らかにしていくことや、拠点病院以外の一般病院での緩和ケアの提供体制を十分に把握していきたいということを、目的として3つ掲げています。
1つ目としては、医療従事者の調査によって、できれば都道府県別の状況、施設の背景別の緩和ケアの実施状況を明確にしたい。
2つ目として、医療従事者の調査以外に、病院としてどういう状況なのかというのを聞く施設調査によって、拠点病院と非拠点病院の緩和ケア提供体制を比較しまして、施設の状況に応じた緩和ケアの課題といったものを明らかにしたいということ。
こういった結果をまとめて、今後の具体的ながん対策、緩和ケア推進のための施策へ何らかの提案をしていきたいと思っています。
9枚目ですが、今、進めている医療従事者調査の状況です。こちらのほうを厚労科研の取組として進めておりますが、予算の関係などもあり、昨年度は拠点病院を対象とした調査を行ってまいりました。今年度、拠点病院以外の病院を対象とした調査を行うということで、既に進めてきております。調査対象として、既に拠点病院の医師・看護師などは行っておりますが、今年度中に拠点病院以外の医師・看護師を対象とした調査を始めていくための準備を進めています。
医療従事者の調査に関しては、全国の病院のリストから都道府県別に一定の数が集まるように無作為抽出するということで、調査項目としては、これまでやってきた緩和ケアに関する知識・困難感に加えて、診療の状況というものも今回、初めて聞いていきます。
さらに、がん対策の中でも重要な事項として掲げられております、就労支援や妊孕性に関する取組の状況。また、今、アドバンス・ケア・プランニングなどを初めとする、終末期における患者さんとの話し合いといったものが重要視されてきておりますが、そのようなことについても聞けるようにしております。
具体的な内容ですが、例えば10枚目のスライドにありますが、ガイドラインなどに準拠する診療の状況などについて、医師を対象に自分で答えるというアンケート方式ではありますが、標準的な診療の実践状況を可能な限り把握したいといったことで、こういった項目を入れております。
こういったものを含めまして、資料12のほうに具体的なアンケートの内容をつけております。
資料11の11枚目ですが、先ほどより説明をしてきました医療従事者調査というのは医師・看護師が自分の状況を答えるものですが、それ以外に施設調査というものも同時に行います。こちらは、全病院を対象として行うもので、2017年度、既に拠点病院を対象とした調査を行っており、2018年度、拠点病院以外の一般病院はおよそ7400あるのですが、その7400を対象とした調査を行うための準備を進めております。アンケートの対象は病院長や緩和ケアを担当している者を対象としておりますが、緩和ケアの実施状況はそれぞれの病院でさまざまな状況だと思うので、その病院の中で緩和ケアを担当している方が答えるようなアンケートを行う予定です。
12枚目が最後のまとめになります。今回の調査のポイントです。
全国の医師・看護師の緩和ケアに関する知識・困難感を把握するのですが、これまでもやってきたように、経年的な変化に加えて、できれば都道府県別の実態を把握したいということで、調査を進めています。
また、全国の医師の症状緩和に関する標準診療の遵守状況や、終末期の話し合い。また、就労支援・妊孕性といった部分も新たに聞くというところがポイントだと思っています。回収状況によりますが、施設調査もできるだけ都道府県別のデータも出していけるように実施していきたいと考えております。
以上になります。
○山口会長 ありがとうございました。
それでは、今の2つのアンケート調査に関して、御質問をお受けしたいと思います。
まず、村本委員。
○村本委員 患者体験調査に関しまして、事前に一部質問等を申し上げておりますが、がんなどに関する知識が十分でない一般の患者にとっての答えやすさの点で2点、それ以外で1点、あわせて3点申し上げます。
1点目は、アンケートの問18です。一般の患者レベルでは、そもそもゲノム情報を活用したがん医療というものを知らない人も多いのではないかと思います。そうした人の答えが選択肢bとcに分散しないように、ゲノム情報を活用したがん医療は知らなかったという選択肢をもう一つつくるか、cの「わからない」に一緒に併記すべきと思います。
2点目は、同じく問36です。選択肢1の「身体の苦痛」と選択肢2の「痛みがある」の違いがわかりづらく、何らかの痛みがあれば、ぱっと両方に丸をつけるのではないかと思います。例えば、選択肢1は痛いという字を使わずに、身体の苦しさがある(身体の苦しさとは、吐き気、息苦しさ、だるさ、しびれ、かゆみなどの痛み以外の体のつらさを言います)とすれば、2との違いがはっきりするのではないでしょうか。
それから、3点目ですが、資料9の6ページ、前回調査の反省点・意見で、進行期の患者の意見をもっと捉えてほしい(追加)とありまして、大変重要かつ切実な声だと思います。この部分が患者体験調査のどの設問に反映されているかを確認させてください。
よろしくお願いします。
○山口会長 それでは、どうぞ。
○轟委員 済みません、3点です。
問6のb3に「免疫療法を含む」という言葉がありまして、これが指しているのは化学療法ということですか。免疫チェックポイント阻害剤のことなのではないかと思うのですけれども、一般的にあれが科学的根拠のある免疫療法なのだというお話を、どれほど一般の方が理解しているかということで、ここの免疫療法という言葉に関しては、もう少し変えてもいいのかなと思います。
あと、問15の1と2は似ているようなことなのではないかと思っていまして、実際、患者会をしておりまして感じているのは、まず、病気に関しての理解ができていなかったということも大きいのですね。ですから、病気に関して理解できるような十分な説明を受けたかということと。そして、治療に関して納得できるような十分な情報を得られたかという2つにしてはいかがかなと思いました。
もう一つ、3点目、問19で、治療を変更・断念したことがあるかとありまして、b1の公的医療保険外の治療(先進医療を含む)ということ。これは、それこそ一般的に考えたときに、免疫療法だったら治るみたいな思いを持っている方が多かったりするので、この諦めたということは、何を諦めたのか。これはb1とb2、それぞれに関して、何を諦めたのかという具体例から、必要なものであれば諦めないように制度を変えていけることだと思いますので、何か具体例を書ける部分があるといいのではないかと思いました。
以上です。
○山口会長 どうぞ。
○鈴木委員 患者体験調査の位置づけについて、伺いたいのですけれども、資料7の10ページ。今回、主に「がん医療の充実」、「がんとの共生」ということが調査の主な対象とされていて、3期の対策の基本計画の一つの柱の基盤整備、例えば社会啓発は調査に含まれていません。
がんとの共生という観点で考えると、患者・家族が切実に願うのは、自分の病気を周りの人にわかってほしい、自分の苦しみ、悲しみを知ってほしいという思いです。それは社会に対して、がんという病気を正しく理解してもらう、がん患者の抱えている問題とか課題をみんなが共有していくという、社会啓発のメッセージです。がん患者になったからこそ、望む社会啓発、こうしてほしいということが、まさにがんとの共生の前提になるのではないかと思います。
いろいろな調査において、対象をフォーカスしなければいけないというのもよくわかります。ただ、調査をどんな形でするかというのは、ある意味では、この調査に携わる人たちの課題認識とかまなざしが周りの人にとって見えるようなことでもあるかもしれないのです。社会啓発というものをがんとの共生とリンクして、今回、対象にしなかった理由を教えていただきたいというが1つ。
もう一つは、調査として対象になる、ならないは私も必要だと思いますので、今回、対象になっていないことについて、今後、患者が社会啓発について、こうしてほしいという生の声を、中間評価に向けてどういうふうに吸い上げて具体化していくか。これは、もしかしたら東さんの担当じゃないかもしれませんけれども、事務局でも結構ですので、そのあたりを少し教えていただきたいなと思います。
以上です。
○山口会長 これについては、お答えいただきましょうか。
○東参考人 私から、少し個人的な意見になるかもしれませんけれども、社会啓発ということに関して、何が必要なのか、こういうことをしてほしいということについての意見をいただく場というのは、恐らくいろいろなところでありますし、今回の患者体験調査の中では、自由記載欄のところにいろいろなことを書いていただければアイデアをいただけるということになります。そこでアイデアをもらって、次の施策に反映していけばいいのかなと考えておりまして、設問の中に1つ含めて、何%の人がこう言っているという実態把握の目的とは、ちょっとずれることになるのかなと、その考えで少し分けているところがあります。
一方で、社会啓発が今、どこまでできているのかということの実態評価に関しましては、患者さんに限った調査ではなくて、恐らく世論調査であるとか、ほかの一般の方々を対象とした調査で実態把握ができると思っていますし、そちらのほうがより社会啓発が進んでいるかどうかの反映になるのではないかと思っています。そこを分けているというのが今回の整理の仕方になっています。
○山口会長 今後の課題になるかもしれませんが、それを事務局のほうも受けとめておいてください。
ほかに御質問。まず。
○檜山委員 ありがとうございます。
少し基本的なところを。患者体験調査の回収率が前回53%とお示しいただいて、この指標のところには、第2期の作成に少しかかわらせていただいた経緯もあるのですが、実際、患者調査に選定されている方は、恐らく公平に選ばれているのではないかと思っているのですが、返答されている方に何かバイアスがかかっているかということを調査されたことがおありでしょうか。
うまく治療が行った方で、さっき御質問がありましたが、治療内容をきちんと把握されている方は回答しやすいのではないかと思いますが、そうではなくて、質問自体が理解しにくいとか、そういう治療を受けたことがなくて全くわからない人は、恐らく回答しにくくて諦めてしまうことがないのかなという疑問があって、そういうことを少し御検討いただければいいかなと思っております。
もう一つは、施設のほうの調査について質問ですが、これは実態把握された後の、いわゆる調査を都道府県別に返されるとか、フィードバックされるようなことをお考えなのかどうか、その2点を教えていただければいいかなと思います。
○山口会長 では、お答えください。
○東参考人 前回の回答のバイアスということでしたけれども、確かに回答しやすい人だけが回答しているということはあり得なくはないかもしれません。現状としては、そういったことがないように、回答のしやすさということについてはパイロットをして、面談で十数名の実際の患者さんの方々に実際一人一人、目の前で回答していただいて、どういうことを考えて、これに回答していただいたのかということも聴取した上で改訂を繰りかえし、回答しにくいところを潰してから出すということをしております。
結果としてのバイアスについては、院内がん登録を使って選定しましたので、院内がん登録全体と回答者のプロフィールの差というものを見ることができました。年齢に関しては、平均年齢はほとんど差がないのですけれども、若年者に関しては少し回答率が低いところは見られております。男女比は、ほとんど変わりありませんでした。
○加藤参考人 施設調査のほうの御質問の件ですが、まさにおっしゃっていたように、都道府県別にフィードバックしたいというのが第1にあって、このような形にしております。ただ、まだ拠点病院対象の部分だけしか行われておらず、これから非拠点病院などを対象に行いますが、都道府県ごとに回収状況はかなり違うだろうということを感じております。十分な数が回収できる県はしっかりとフィードバックできますが、一部の県は回収状況が悪いために、参考値なのか、それすらも出せるかどうかわからないというぐらい回収状況が悪いところは、場合によってはフィードバックできないということもあり得るかもしれないと考えており、現在の回収状況はそのような状況になっています。
○山口会長 ありがとうございます。
間野委員。
○間野委員 ありがとうございます。
緩和ケアに関する医療従事者の調査に関して、少しコメントですけれども、2008年、2015年、それぞれ数万人の調査を行って、その結果、例えば緩和ケア研修会を受講した人としない人の間で、統計的有意に知識や困難感に差が出ています。この後、また対象人数を広げて再調査するというのはもちろん意味があるのですけれども、こういうデータが出たのなら、介入を少ししてもいいのではないかという感じがします。
e-ラーニングは多分されていると思うのですけれども、例えば、一般病院の先生方にこういう知識を広めたければ、医師会と一緒に活動していくことが大事だと思いますし、地区医師会とどういうプログラムを組んだらいいかということを、それがe-ラーニングになるのか、どういう形になるのかわかりませんけれども、もうそういうことを発信して良いのではないかという印象を持ちました。
以上です。
○山口会長 地域では動いていると思いますが、加藤参考人。
○加藤参考人 ありがとうございます。
おっしゃるとおり、まず行政の対策として進められてきた研修会が、実際にどのような効果あったのかということを検証してまいりましたがもしかしたら教育の方法とかやり方によって、より効果的な学習のありかたについもまだまだ検討できるかもしれません。重要な研究の課題だと私は認識いたしましたし、また、きょう、緩和医療学会の理事長の木澤先生もいらっしゃるので、あわせて一緒に検討できたらいいのではないかと思いました。
○山口会長 どうぞ。
○太田委員 ありがとうございます。
本協議会の前にアンケート項目をお送りいただき、意見を述べたことが、本日、改訂したものとしてお示しいただいた意見を申し上げれば改訂していただけると実感を持たせていただきました。
がん相談支援センターについて問われている問32ですが、前回の調査の結果の概要の中でも、がん相談支援センターの認知が低いということは、全国どこに行っても、県レベルでも同様なのです。認知度をどのように上げていくかということの参考にするためには、どのようにがん相談支援センターにたどり着かれたのかということを、ぜひお聞きいただけたらと個人的には思っています。もし、その強みがあれば、そこを伸ばしていきたいし、不足なところは、その対策を打っていくということを考えていただくとよいと思います。項目がふえることは難しいところもあるかもしれませんが、少し工夫していただきたいと思っています。
あと、もう一点、問34ですが、「臨床試験」とは何かという設問ですけれども、アスタリスク等で臨床試験とはを簡単に御説明いただいてもいいのかなと思いました。
以上です。
○山口会長 では、それは参考にしてください。
最後に、私から1点だけ。資料9のスライド7。このアンケート調査を実施する仕組み上のことですけれども、ここに書かれている手法で実施した場合、患者さんの立場から考えると、ある日突然、アンケート用紙が自宅に舞い込むという形になりますね。それが個人情報の固まりのようなお話と、患者さんの気持ちから考えて、かなりの困難を伴うような印象があります。各施設の倫理審査委員会にかかることになりますので、そこで厳しい意見が多分出るだろうと思いますけれども、その点を少し改善する余地はあるかどうか、またお考えいただければと思います。それだけコメントさせていただきます。
この点に関しては、東先生、国立がんセンターのほうで進めていたことになりますので、きょうの意見等を参考にしていただいて御検討いただければと思います。
ちょっと時間が押して大変申しわけないのですが、ここで最後に、予防の細目等については、今後、議論を進めていくことにして、資料7の中間評価とは一体何ぞやというところだけは、きょう、皆さんに説明していただくことがよろしいのではないかなと思いますので、事務局からお願いします。
○事務局 事務局になります。
では、資料7をごらんください。「中間評価について」、御説明させていただきます。
スライドの2枚目は、平成30年3月に閣議決定されました第3期がん対策推進基本計画の概要になっておりまして、スライド3枚目をお願いします。こちらは、前回の協議会で御了承いただきました今後の協議会の進め方で、これから一番左の枠の中にあります中間評価指標の議論を行っていただくこととしております。
なお、会長からも御説明ありましたように、基本計画の柱に沿って、順次進めてまいりたいと思っています。
スライドの4枚目になります。下線部にありますように、中間評価とは、個々の取り組むべき施策が個別目標の達成に向けて、どれだけの効果をもたらしているか、施策全体として効果を発揮しているかという観点から、科学的・総合的な評価を行うこととしております。
スライドの5枚目から7枚目につきましては、第2期がん対策推進基本計画の概要及び中間評価について示しております。御参照ください。
スライドの8枚目をお願いします。こちらは、中間評価指標に用いる調査について、第2期基本計画に用いた調査をもとに例示しております。上の四角内にありますようなさまざまな調査によりまして、第3期基本計画の全体及び個別の進捗や達成度を評価することとしております。
調査におきましては、一番左の医療に関する調査では、拠点病院の現況報告などにより、拠点病院の数や配置されている医師数などの医療の実態に関する調査となります。
また、中央のがんに関する調査は、がん登録などを用いて算出される、がんの死亡率といったがんの疫学などに関する調査となります。
一番右、患者や家族の調査については、患者体験調査、遺族調査などの患者・家族に対して直接行った調査等となります。
スライドの9枚目をごらんください。こちらは、がん予防分野を例に中間評価を実施することによる、各施策への反映をイメージしたものとなります。基本計画におきましてもPDCAサイクルを回しておりますので、一番左の個別目標がP、右下にあります各個別施策がD、右上の目標達成の評価がC、Aとなっております。中間評価におきましては、こちらの目標達成の評価、C、Aの部分の一つとなっておりまして、評価には中間評価指標を用いることとしております。
この中では、第2期に用いた指標が幾つかあります。机上資料の2をおあけいただきまして、57ページをお開きください。こちらは、がん対策推進基本計画の進捗管理の指標一覧として、第2期基本計画で用いられました指標が記載されております。第3期基本計画におきましても、この基本計画にあわせた指標一覧が完成できるように、今後の協議会で議論してまいりたいと考えております。指標を策定するに当たっては、全てを新しいものにするわけではなく、第2期基本計画で用いた資料に、取捨選択しながら新しく指標を追加していきたいと考えております。
もとの資料に戻りまして、スライドの10枚目、11枚目が、先ほど御説明いただきました患者体験調査、また緩和ケアに関する医療従事者・施設調査における位置づけについてを示しております。中間評価につきましては、このような考え方のもと、行ってまいりたいと思います。
事務局、以上になります。
○山口会長 ありがとうございました。
先ほど御説明があった机上資料の2を完成させることが、当面の協議会の活動ということになりますので、ぜひ参考にしていただければと思います。本日は、積み残した形になったのですが、予防、医療体制、共生、基盤整備といった順番で、今後2回ぐらいにわたって、この協議会の中で議論し、指標を確認していくという作業が待っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
最後に、その他のところでの御報告を事務局からお願いします。
○事務局 今回は、その他についての御報告はありません。よろしくお願いします。
○山口会長 ゲノムはなかったのでしたか。
○事務局 今回はありません。
○山口会長 では、ここで終了ということなので、事務局にお返しいたします。
○事務局 ありがとうございます。
次回の協議会の日程につきましては、追って御連絡を申し上げます。お忙しい中、恐縮ではありますが、また日程の御調整、よろしくお願いします。
なお、机上資料として御用意しております緑のファイルについては、事務局にて回収いたしますので、お持ち帰りにならないようお願いします。
また、ペットボトルにつきましては、どうぞお持ち帰りいただければと思いますので、お願いします。
どうもありがとうございました。
○山口会長 それでは、皆さん、どうもありがとうございました。

照会先

健康局がん・疾病対策課

代表03-5253-1111(内線3826)