平成30年度第1回トンネル建設工事の切羽付近における作業環境等の改善のための技術的事項に関する検討会

厚生労働省労働基準局安全衛生部化学物質対策課環境改善室

日時

平成30年8月8日 14:00~16:00

場所

経済産業省別館1階 114各省庁共用会議室

議題

1.作業環境に関するヒアリングについて
2.切羽付近の粉じん濃度測定結果について
3.その他

議事

議事
○寺島環境改善室長補佐 本日は大変お忙しい中、御参集いただきまして誠にありがとうございます。定刻となりましたので、ただいまから「平成30年度第1回トンネル建設工事の切羽付近における作業環境等の改善のための技術的事項に関する検討会」を開催いたします。本日の検討会ですが、委員に交代がございますので御紹介させていただきます。
大野委員の後任として諏訪委員、吉住委員の後任として漆原委員に御参加いただいております。また、独立行政法人労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所からオブザーバーとして中村様に御参加いただいております。
それでは、会議の開催に当たりまして、奥村の後任として7月31日付けで着任いたしました化学物質対策課長の塚本から一言御挨拶させていただきます。
○塚本化学物質対策課長 こんにちは。ただいま御紹介いただきました、7月31日付けで奥村の後任として化学物質対策課に着任いたしました塚本です。十数年ぶりの当課の勤務となりますがよろしくお願いいたします。本日は大変お忙しい中、また台風が近づく悪天候の中、この検討会にお集まりいただきまして誠にありがとうございます。また日頃から、厚生労働行政、特に安全衛生行政の推進に御理解また御指導を賜わりまして厚く御礼申したいと思います。この検討会ですが、昨年4月から1年余り経過しての開催となりましたが、その間、前回の検討会において合意されました方法に基づき、労働安全衛生総合研究所におきまして5か所のトンネル建設現場において、切羽付近の粉じん濃度の測定調査を実施いたしました。本日は、その測定調査結果について報告していただくとともに、トンネル建設工事の経験をお持ちの4名の方々から現場の声をお聞きし、測定方法などについて具体的な意見交換及び検討をお願いしたいと考えております。
本検討会の目的でございますが、開催要綱にもございますように、「トンネル建設工事の作業環境を将来にわたって、より良いものとする観点から、最新の技術的な知見などに基づき、簡便かつ負担の少ないトンネル切羽付近の粉じん濃度の測定・評価方法について検討し、作業環境を把握するためのより適切な手法の選択肢を広げ、確立することにより、作業環境管理及び健康障害の防止につなげること」を目的としております。この目的のため、本日はそれぞれのお立場から忌憚のない御意見、また活発な意見交換をお願いいたしまして、冒頭の挨拶とさせていただきます。本日はよろしくお願いいたします。
○寺島環境改善室長補佐 続きまして、配布資料の確認をさせていただきます。本日お手許にお配りしております資料は両面印刷で、紙面下の中央部分に通しのページ番号を示しています。1枚目、議事次第の下に配付資料の一覧があります。そちらを御覧の上、御確認ください。
一綴りの資料で、2ページは資料4-1「本日の検討会の議事のポイント」、3ページ目は、資料4-2「アンケート(まとめ)」、別冊として、資料4-3「トンネル建設工事の切羽付近における粉じん濃度測定に関する研究」の報告書です。参考資料4-1として、検討会の開催要綱と参集者名簿を付けています。
委員の皆様には、このほかに、資料4-3の報告書につきまして個別現場ごとのデータを配付しています。なお、こちらは現場の特定の可能性などがありますので非公開とさせていただきます。検討会後に回収させていただきますので机上に残しておいていただきますよう、お願いします。また、後ほど現場の写真を委員に回覧いたします。追加で、井上委員の提出資料として経歴書はお手元にありますでしょうか。資料の不足や落丁などがありましたら事務局までお申し付けください。
ここで、傍聴されている方々にお伝えいたします。カメラ撮影はここまでとさせていただきますので、御協力のほどよろしくお願いいたします。それでは、議事に入らせていただきます。以降の議事進行につきましては、小山座長にお願いいたします。
○小山座長 それでは、議事進行をさせていただきます。今日の議題は、ただ今塚本課長からの御挨拶にもありましたように、現場経験の豊富な方々から作業環境に関してヒアリングをさせていただくということと、安衛研で切羽の測定をやった結果を報告していただく。それらに基づき、どういう測定方法が適切かということを御議論いただくことになっております。よろしくお願いします。それでは、事務局から、今日の会議の進め方について御説明をお願いします。
○寺島環境改善室長補佐 初めに、留意事項をお伝えいたします。先ほど課長の塚本からもございましたが、本検討会では的確かつ安全で、簡便かつ負担の少ない粉じん濃度測定の方法について取りまとめることを目的としており、個別のトンネル建設工事現場の作業環境管理状況の善し悪しを評価するというものではありませんので、この点を御留意いただきまして、委員及び、ヒアリングに御協力いただく皆様におかれましては、個別の建設現場が特定されないように御発言や御質問内容に御注意をお願いいたします。
資料4-1の2ページです。本日の議事のポイントとして大きく2項目を記載しております。まず項目1の現場作業員からの意見聴取等ですが、本日4名のトンネル建設工事現場の御経験をお持ちの方にお越しいただいておりますので、お手元のメモ用紙に基づき、作業管理や作業環境管理などについての御意見をお伺いいたします。その後、昨年度、労働安全衛生総合研究所が5現場で切羽付近の粉じん濃度の測定調査を実施いたしましたが、うち4現場でアンケートを実施いたしました。その結果をまとめておりますので、資料4-2で御報告いたします。
次に項目2の切羽付近の粉じん濃度測定方法についての検討ですが、お手元の資料4-3の報告書につきまして安全衛生総合研究所から報告していただきます。それらを踏まえ、ポイントの2-マル1、マル2につきまして御議論いただいきたいと思っております。以上です。
○小山座長 ありがとうございました。それでは、最初の議題(1)作業環境に関するヒアリングについてお願いしたいと思います。ヒアリングをさせていただく方々は、工藤様、森川様、城野様、成田様の4名です。順に、お手元のヒアリングメモの項目について、1人5分程度で御発言をお願いします。その後、委員の皆様から御質問等があれば発言者を御指名の上、質問をしていただければと思います。最初に工藤様からお願いいたします。
○工藤様 工藤です、ヒアリング項目に沿って答えていきます。
まず作業従事年数ですが、トータルで23年です。うち切羽作業は13年で、その後は管理職を行っております。直近の現場は4年、ちょうど丸4年ですね。
作業環境の管理につきまして、トンネル内の換気の状況を確認するための測定方法などですが、元請けさんが基本的に月に2回、吹付け作業時に測定を行っております。粉じん測定機器にて行っているのですが、大体、立米当たり2.6mg程度です。
換気方法ですが、送気は約2,000m3の送風機と、吸気は2,400m3の集じん機で対応しております。
作業環境につきまして、マスク等の着用方法は、粉じん月間が年に一度ありますが、その他の安全教育や正しい装着方法の仕方のポスター等を活用して、作業担当の職員が随時、点検状況を確認し、個人で確認するのですが、個人で点検している状況を担当職員が確認するような方法を取っております。
その他の要望ですが、今回は粉じんのことで、この場に来させていただいたのですが、粉じんだけに関わらず、やはりトンネルの作業というのは結構、劣悪な状況での作業が多く、坑内の切羽作業をしている場所では42、43度とかの非常に高温の作業になるので、その辺も検討していただければと思っております。以上です。
○小山座長 ありがとうございました。続いて森川様、お願いいたします。
○森川様 森川です、私は元請けの建設会社に勤務しております。今日はうちの現場の従事者のほうがちょっと都合が悪く、私が参加させていただいております。
ずい道等の建設作業の従事年数は10年になります。今、直近で建設の工事を担当しております。
作業環境の管理につきまして、今の現場の換気設備が2,000m3の送風機と2,400m3の集じん機、伸縮風管を採用しております。切羽の換気を確認するための測定については、決められたとおり月2回、プラス今この現場では自動で測定できる装置を用いております。切羽の50メートル後ろぐらいにも、自動測定装置を1つ用いて、リアルタイムに坑内の状況を測定しております。
続きまして作業管理についてですが、マスクの装着方法に関しては安全教育、あとポスター関係で写真を用いて、このように装着しなさいということの教育も含めてやっております。保守、点検、ろ過材の交換頻度に関しては、記録を取って保管しております。また着用状況の監視についても、日常の現場の巡視・点検時に確認・監視をしております。
最後に、その他として、自分の経験を踏まえて切羽付近で作業環境に関する意見ですが、測定するのも1つの方法なのですが、できるだけ環境を整えられる設備を元請けとしても、例えば吹付け作業に関してなるべくばく露されないような技術的なものができたらいいなということは考えております。以上です。
○小山座長 ありがとうございました。次に城野様ですが、井上委員から城野様に関する略歴・経歴書を提出していただきましたが、何か御説明とかはないですか。
○井上委員 いや、特に必要ありません。
○小山座長 それでは城野様、お願いいたします。
○城野様 城野と言います、よろしくお願いします。私は坑夫を平成3年から大体13年までやって、それから24年まで管理職として作業を行ってきました。その間、管理職をしていた間も、ずい道の中ではいろいろと指導したり、そういう環境の下で作業をしてきました。
環境ですが、私が入った当時から、ほとんど送風機が主な換気でした。集じん機を使い出したのが大体、私が管理職を始めるぐらいだったと思います。多分、平成13年とか14年とか、そのぐらいだったと思います。長大トンネルというか、長いトンネルでは使っていたのですが、地方に行って200メートルとか300メートルの短いトンネルに関しては、ほとんど集じん機は使っていません。今現在でも、多分そうだと思います。ブランクフィルターを付けて切羽の間隔が狭いのに、そこに集じん機を置いて作業をするということなど多分できないと思いますので、今現在も「使っています」という声は聞いたことはありません。
マスクなのですが、教育というものは確かに過去に数回受けたことがあります。新しいタイプが出たとか、そういう時にはありました。保守点検というものは、もうほとんど個人管理で、これを指導する者には今まで現場で会ったことはありません。フィルターの交換なのですが、これも個人差があり、指導というか、会社側は換えなさいという話をしますが、これも個人任せです。ただ、一応閲覧するものがありまして、交換したかしないかを本人に書かせて、それが本当かどうかという確認は取らなかったです。
使用・着用状況なのですが、これも個人差がありまして、マスク自体がラバーでできていて、それを直に口に当てると、かぶれるとか、汗で真っ赤っ赤になるとか、いろいろあったり、それで面体を使いなさいとか、布製のもので保護するような感じで使わせていました。それをやれば、結局エアーが吐き出す場合には多少なりとも防げるのかもしれませんが、昔のものというのはそのまま吸っていたので、そこに空間というか隙間ができて、やはり粉じん等はよく吸っていたと思います。これも着用状況に関しては本人がどれだけやるかという問題です。中で作業していて、ちょっとものを頼むとか、不安全行動をやっていたら、そこでちょっと注意するとか、マスク越しに話をしても聞こえないというのが実情です。やはり外してものを言う、相手に伝えるというのが結構頻繁にあったと思います。
これからの環境改善に対する意見なのですが、先ほどもちょっと言いましたけれども、大手ゼネコンさんと地方ゼネコンさんとは違うと思います。大手ゼネコンさんというのは、それなりの長いトンネルというか、金額的にもそれなりのものを受けられて作業されると思いますが、地方ゼネコンさんというのはやはり短いトンネルを扱うわけです。そこで、そういう設備や運用管理というものができるかどうか。その辺もよく考えてもらって、これからやっていってもらえればいいかと思います。以上です。
○小山座長 ありがとうございました、最後に成田様、お願いいたします。
○成田様 成田と言います。私は33年間、掘削に従事してきましたが、後の15年ぐらいは掘削と管理職を兼務してやっていました。直近のずい道は平成21年を最後に退職して現在に至っています。
実際、集じん機等を使用したのは平成13年から平成17年まで、延長1,800メートルぐらいの96㎡の断面のトンネルだったのですが、集じん機は直径1,200ミリの伸縮風管、送気式換気は直径1,200ミリのコントラファンでインバータ付きのものを使用していました。掘削・ずり出し・吹付け中は100%稼働していました。建込やロックボルトの打設作業時は、粉じんの発生が少ないため、自動センサーを取り付けていたのでほとんど停止していました。粉じんが少ないということだろうと思います。風量測定や風向検査は、元請けさんもやっていたのですが、7割ぐらいは下請けのほうで管理して記帳はしていました。
2番目の作業管理について、マスクの着用方法等ですが、月一回安全教育日を設け、保護具メーカー等に依頼して、マスクの点検、清掃、保管方法も含めて教育をしてもらっていました。フィルターの交換は毎朝、朝礼の時、5分ぐらいの時間を取って、職長立会いの下、陰圧の検査をして、フィルターの詰まり具合を見て交換をします、交換記録帳というものを作って実際に自筆でサインをしていました。それは現場単位で、現場終了ごとに電子データとして残して保管していました。
その他の切羽付近の作業環境の改善ということなのですが、実際に発生した粉じんを抑制したり、なくしたりするのではなく、その前段階の掘削時も粉じんを発生さない方法があると思うのです。吹付けに関しても、粉じん低減剤など、いろいろお金の掛かることをやったことがありますが、結局はお金が掛かるということで廃止になって、ほとんど試験的で終わったものが多々あります。発注者側も掘削方法や換気方式等を設計段階でもっと勘案してもらいたいと思います。実際、集じん機を使っていた現場で、平成10年以前は設計書や仕様書の中に粉じんを採るための集じん機の設置などいろいろあったのですが、ほとんど会計検査対策のような使い方として設置した部分があって、会計検査期間の1週間ぐらいで撤去して返納していた現場が多かったですね。以上です。
○小山座長 ありがとうございました。ただいま、4名の方の御意見を伺いました。ここで少し時間を取りまして、委員の方から、ただいまのヒアリングの中身について、質問があればお願いしたいと思います。
○熊谷委員 熊谷です。工藤さんにお聞きします。月2回、吹付け時間の時に作業環境測定をやっているということなのですが、それは切羽からどのぐらいの位置でやっていましたか。
○工藤様 切羽から30メートル以内です。
○熊谷委員 30メートル以内ですか、作業のすぐ横とかいうのではないですね。
○工藤様 ええ、やはり機械が動いていて危ないので、機械より後ろということで。
○熊谷委員 一番近い場合はどれぐらいでやっていましたか。
○工藤様 20メートルぐらいです。
○熊谷委員 20メートルから30メートルぐらいでデジタル粉じん計みたいなもので、空気を吸引してフィルターで取るみたいなことはやっていなかったですか。
○工藤様 それもやっていました。
○熊谷委員 それは何箇所で。
○工藤様 一応、3か所。両サイドと真ん中で。
○熊谷委員 両サイドと真ん中でやっていたと、分かりました。ありがとうございます。
引き続き、工藤さんにお聞きするのですが、ろ過材、フィルターを換える頻度というのはどれぐらいでしたか。
○工藤様 フィルターを点検する器具があります、フィルターに当てて。自動で、回すと球が上がるような。それが低い場合は、吸引していないという意味なので、交換するという方法です。元請さんからの指示でやっていました。
○熊谷委員 すごいですね。そういうことを普通でやられるのですね。
○工藤様 はい。
○熊谷委員 分かりました。ありがとうございます。
続いて、森川さんも、同じように月2回測定されていたということなのですが、位置はどのようなところでやられていたのですか。
○森川様 同じく、大体50メートル以内のところで測っていました。
○熊谷委員 一番近いのはどれぐらいでしたか。
○森川様 一番近いのは、重機の後ろですので、それでもやはり20メートルから30メートルぐらい後ろになります。
○熊谷委員 何箇所ぐらい測定されていましたか。
○森川様 3か所です。
○熊谷委員 やはり3か所なのですね。フィルターで取るとかもやっていましたか。
○森川様 いいえ、デジタル粉じん計だけです。
○熊谷委員 自動で、リアルタイムというのは、いつも現場でやられているのですか。
○森川様 いいえ、この現場で、ちょっと試みてやっているような状況です。
○熊谷委員 高ければ何か、送風量を増やすとか。
○森川様 高ければ回転灯が点滅して、送気を上げたり、能力を上げたりするような形で計画しております。
○熊谷委員 分かりました。もう1つ、フィルターの交換は記録されているということだったのですが、交換の頻度というか、それはどのようなものでしたか。
○森川様 交換の頻度は、毎日の点検で、個人の感覚によるのですが、最低でも1週間に1回は交換しましょうということに。
○熊谷委員 先ほどおっしゃったみたいに、引っ張って負圧だからということで、そういうことはやっていないですか。
○森川様 そこまではやっていないです。
○熊谷委員 あと引き続き、城野さんにも同じような質問なのですが、環境測定はやっていましたか。
○城野様 いや、私が現役時代にやったことは、最後の現場で、二、三度見たことはありますけれども、普通の状況でやるという感じではなかったです。ロックボルトとかをやっているときに、元請けさんが来てチラチラッと測っているのは見たことがあります。
○熊谷委員 分かりました。
○城野様 それも切羽から50メートルとか60メートルとか。
○熊谷委員 一番近いところでも。
○城野様 そうですね。
○熊谷委員 もう1つ、フィルターの交換ですけれども、個人任せということなのですが、実態としてはどれぐらいの頻度で換えられていましたか。
○城野様 多分2、3日に1回ぐらいで換えていたのではないかな。
○熊谷委員 2、3日ですか、ありがとうございます。
成田さん、お願いします。同じように作業環境測定はありましたか。
○成田様 ありました。
○熊谷委員 どのような感じでやられていましたか。
○成田様 その時の地質によるのですが、ミドルベンチで50メートルぐらいの、ベンチで50メートル後ろに設置します。
○熊谷委員 50メートルだけをするのですか。
○成田様 そうです、そこだけです。
○熊谷委員 それは、いわゆる環境を見るというあれですか、いわゆる作業環境ではないのですか。月に2回。
○成田様 いや、それは24時間やっていましたね。半年ぐらいやっていました、測定は。
○熊谷委員 50メートルのところで何点取られていましたか。
○成田様 1点です。ただ、ポンプに吸引するホース自体は移動できるのです。ポンプ本体を固定して、ホース自体は出来るだけ切羽の近くまで移動したりできます。その場合前者が発言したように、2.6mg/㎥という数値は出るのです。ただ、それが正確なのかどうかということが分からないです。測定する位置を変えられますから。
○熊谷委員 分かりました。あとろ過材の頻度、交換頻度ですけれども、フィルターの詰まり具合で見るとおっしゃっていたのですが、実際にはどのぐらいの頻度なのですか。
○成田様 2日に1回ぐらいですね。切羽からの出水があるときや、吹付けの水分補正によって粉じんの発生が大分違いますから、2日に1回位だと思います。
○熊谷委員 もう1つだけ、会計検査対策で何を引き上げるとおっしゃったのですか。
○成田様 会計検査が終わると設置した集塵機を撤去するのです。そのような現場もありましたね。特に小断面のトンネルは一切使ってなかったです。
○熊谷委員 送風はやっているのですか。
○成田様 送気式換気はやっています。
○熊谷委員 送風はやっているけれども集じん機だけを。
○成田様 集じん機は撤去して返納します。
○熊谷委員 分かりました。
○成田様 付いていなかったですね、会計検査の時以外は。
○熊谷委員 ありがとうございました。
○小山座長 ほかはいかがでしょうか。
○明星委員 どなたでもよろしいのですが、今、呼吸用保護具は電動ファンですか。皆さん全員、電動ファンですか。その場合、電動ファンで直接付いていますか、それともホースで付いていますか。
○成田様 当初はダクト方式(ファンユニット式)だったのですが、今は、ほとんどマスクにバッテリーも装着出来るような一体型です。
○明星委員 では、大体同じ型ですね。その場合、バッテリーの管理も個人ですか。
○成田様 個人です、現場の休憩所の方で保管しています。
○明星委員 バッテリーを置いて並べている場所があるということですか。
○城野様 充電器を取り付けまして、そこに本人の名前を書いて一応、挿します。ただ、それを忘れて帰る人がいて、反対番が来たときに、自分のバッテリーがないからといって他人のものを持っていったりとか、よくありましたね。バッテリーがないという騒ぎはよくありました。
○明星委員 何か、バッテリーの管理で大体管理されているのかなと思って。いや、昔、炭鉱などだと、キャップランプ等で管理をしていたように思うのですが、そういうわけでもないということですか。
○城野様 そうですね。一応、更衣室で大体そういうものを設備して、そこで保管するようにはしています。
○成田様 休憩所の方で保管しています。
○明星委員 大体、マスクの数だけもらえるはずだから。
○城野様 一応はありますよ。あるのですが、やはりバッテリーが弱くなったりするのです。
○明星委員 では、充電器もマスクの数だけあると。
○成田様 あります。
○城野様 あります。
○明星委員 ありますよね。もう少し、その辺の管理をうまくやれるといいのですが。
○城野様 やはり、バッテリー自体に当たり外れがありまして、悪ければ、会社が言うのか元請けさんが言うのかは分からないですが、人のものをそのまま持っていたりします。
○明星委員 先ほど城野さんがおっしゃられたように、肌がかぶれるのですか。
○城野様 やはりラバーでできているので、結局それを密着させるわけです。密着しないと意味ないですから。そうすると、そこに汗がたまったりして、それで皮膚の弱い人というのは、かぶれて真っ赤っ赤になりますよね。
○明星委員 私の見た狭い範囲ですが、あれ、結構汚いですよね。
○城野様 汚いですよね、はい。やはり汗が付けば、埃も付けば粉じんも付きますよね。
○明星委員 土とかも付いていますよね。
○成田様 密着性を良くするために、又かぶれ防止もあるのですが、皮膚に直に接する面にはワセリンを塗って、そうしたら漏気もなく。かぶれ防止にもなりましたね、ワセリンは。
○明星委員 分かりました。どうもありがとうございました。
○小山座長 ほかにいかがでしょうか。
○小西委員 皆さんにお聞きしますが、先ほどから測定の件で質問があったと思います。まず工藤さんのところで、切羽から20~30mぐらいの所に3箇所ぐらい測定されていたということなのですが、それは作業環境測定というような測定ではなくて換気指針に基づく測定ですか。従来から出ている換気指針に基づく測定を20~30mぐらいのところでおやりになっていたということですか。
○工藤様 そうです。
○小西委員 はい、分かりました。同じ質問なのですが、森川さんの所は。
○森川様 同じです。
○小西委員 同じですか。換気指針に基づく測定ですね。分かりました。はい、分かりました。
それから、成田さんの所は余りやっていなかった、50mぐらいの所でしたか。
○成田様 やっています。
○小西委員 換気指針の測定というのは。
○成田様 本体は、50mの所に設置して、先端のホースは30m、20mぐらいとか、いろいろやっていました。
○小西委員 なるほど。それで、城野さんのところは余りやっていなかったということですか。
○城野様 そうですね、報告用にちょっと作るような感じだったですね。デジタルの、携帯用のものを持ってきて、自分がうろうろ歩いてやっていただけです。
○小西委員 それから、もう一点なのですが、工藤さんの所と成田さんの所は、いわゆる風管そのものは伸縮風管ではないということですか。先ほど、森川さんの所は伸縮風管とお話になっていましたが、皆さんも伸縮風管ですか。
○工藤様 そうです、伸縮風管です。集じん機から切羽の間は伸縮風管です。
○小西委員 ありがとうございました。以上です。
○小山座長 ほかにいかがでしょうか。
○外山委員 皆さんにお聞きします。見た目で、これはすごい粉じんだなと思われる場合というのは、作業でもいいのですが、どのようなときでしょうか。工藤さんからお願いします。
○工藤様 やはり吹付け作業、それから当現場のほうは今、機械掘削なので、ちょっと硬めの転石等が出てくると、ロードヘッダーで掘削しているのですが、それで粉じんが出たりするので、そういう作業のときは、見た目で明らかにすごいなという感じにはなります。
○外山委員 森川さんは。
○森川様 うちの現場では、やはり吹付けの最初のときですかね、特に。粉体急結剤を使っていますので、その吹き始めのときが粉じんが一番多いかなという感覚はあります。
○外山委員 ありがとうございます。城野さんは、いかがでしょうか。
○城野様 多分、粉じんって見えないものだからよく分からないのですが、ほこりっぽいのは発破をかけた後とか、積み込みです。あとはあたり取り、吹付け、ダンプが走れば、やはり水撒きしなければ路面からほこりが立ちますよね。パッと見た目は、発破の後というのは一番すごいかもしれません。だけど、作業していればやはり積み込みとかのときのほうがすごい場合もありますね。
○外山委員 分かりました、成田さんはどうでしょうか。
○成田様 一番多く出るのが恐らく発破工法よりは機械掘削だと思いますね、平成3年以前はロードヘッダーという機械も、90kwが一番大きいモーターだったのですが、今は200kwとか300kw、中硬岩まで掘削できるような機械を使っているのです。発破工法を極力抑えるため、機械工法を採用しているのですが、中硬岩まで機械掘削できるということは、それだけ粉じんが発生すると言う事です。○外山委員 分かりました、ありがとうございます。
○橋本委員 城野さんのお話の中で、しゃべるときにマスクを外すことがあると言われたのですけれども、トンネルの中では、ほぼ常時マスクを付けられているのかどうか、そこをちょっとお尋ねしたいのですが。
○城野様 一応、安衛法には付けろということになっています。だけど機械が動いていて、ちょっと何かしていて、ものを言うときにマスクをしていたままでは相手に届かないのです。それで、どうしてもマスクを外して、ものを言うことがあります。
○橋本委員 ほかの方にも確認したいのですが、例えば吹付けや掘削とか、粉じんがひどいというような作業のときは付けているけれども、それ以外のときは外すことはあるのでしょうか。例えば工藤さん、いかがですか。
○工藤様 今、城野さんがおっしゃったとおり、やはり作業間で話をしたりするときにはちょっとの間外して話をして、また装着してという形です。
○橋本委員 それぐらいですか、森川さん、いかがですか。
○森川様 同じく、基本的に、付けることが義務化されていますが、例えば危ないときとか、そういうときでも付けているとは正直言えないです。そういうときは、しゃべるときに外す場合もあるということはあります。
○小山座長 成田さん、いかがですか。
○成田様 掘削時以外、ロックボルトや支保工建込時は、8割方面体は外していると思いますね。班長の作業指示や、切羽監視員という人がいるのですが。肌落ち等の兆候がある場合、作業員に注意喚起したりするので。監視員は、粉じんの発生が少ない作業時はほとんどマスクをしていない状況の方が多いです。
○橋本委員 すぐ声が出せるように。
○成田様 そうです。
○橋本委員 なるほど。
○成田様 作業員の人は耳栓も外なければ聞こえない事が多いです、それでも油圧ジャンボの油圧モーターは常時回っているので、ものすごく大きい騒音は出ていますね。
○橋本委員 ありがとうございました。
○熊谷委員 今の話に関連してなのですが、マスクを付けていると、どうしても視野が狭くなりますよね、この辺が見えにくいとか。そういうことでヒヤリ・ハットみたいな、危なかった経験とかはおありですか。工藤さんから順番にお願いしたいのですが。
○工藤様 いや、別に、現場のほうからは、そういうことがあったという報告はないです。自分も切羽のほうで作業をしていたこともありましたけれども、確かに視野が狭くなるのですが、それが邪魔とかという話はなかったという記憶です。
○森川様 特に、そういうヒヤリ・ハットという報告はございません。
○熊谷委員 城野さんはいかがですか。
○城野様 今の形のマスクではないですが、前の形のマスクで、バックホーのレバーに引っ掛けて、旋回に入って、人に当たったという事故がありました。
○熊谷委員 どういう事故ですか。
○城野様 自分が現場で作業しているときに、バックホーのオペレーターがバックホーの操作レバーにマスクのバッテリーコードがからみバックホーが旋回して横で作業していた作業員に当たる事故がありました。
○熊谷委員 成田さんはどうですか。
○成田様 面体の大きさ自体はそう変わっていないですね、フィルターが2個付きタイプのものと。昔の豚マスクというのは小さかったですが、今の電動マスクのフィルターが2個入っているものは、面体自体がそんなに大きくなっていないですので、死角っていうほどのものではないと思います。
○熊谷委員 分かりました。ありがとうございます。
○明星委員 皆さんは経験が長いと思うのですが、昔に比べて最近のほうが粉じんは減っているのですか、それとも余り昔と変わらないのですか。
○城野様 変わらないと思います。
○明星委員 皆さん、大体変わらないですか。吹付けとかでも結構、昔と違う印象が、この間見ていてありました。もっと派手に、要するに全部付いていなくて周りに飛び散っているような感じがあったのですが最近は見ていると、割とうまく。
○成田様 昔は吹付け作業も手作業で、吹付け面に対して直角にノズルを向けるので、切羽直下では大変だったのですが、今は遠隔ロボットを使っているので、切羽から離れています。しかもモニターが付いています。ただ、粉じんで見えなくなる部分もあるのですが、切羽から3、4メートル離れた位置で操作できます。
○明星委員 リモコンみたいに。
○成田様 リモコン操作でやっています。ただ、切羽の粉じん自体は減っている感じはします。昔は集じん機がなかったですから、今はコントラファンの性能もよくなっていますから。
ただ、二次覆工(セントル)の覆工班は昔とほとんど作業環境は変わっていないと思います、粉じんの量は、切羽ばかり重視していますが、一番ひどいのは覆工班だと思います。
○明星委員 覆工班は余り見ませんものね。あっちは誰も。はい、ありがとうございました。
○熊谷委員 その覆工班というのは何ですか。
○成田様 開通したトンネルを通ると、きれいなコンクリートの仕上がり面をしていますよね。施工中はあれを二次覆工と言います。一次覆工は吹付コンクリートのことを言うのですが、二次覆工は最終的なきれいな仕上がりのコンクリート面の事を、二次覆工と言います。
○熊谷委員 それが、粉じんが一番出るのですか。
○城野様 二次覆工するための型枠、セントラルフォームという型枠が入っているのですが、そこでほとんどトンネルの断面の4割ぐらいは閉塞しているのです、鉄骨で。そこに、ものすごく切羽からの粉じんが滞っていますね。
○熊谷委員 つまり狭いということですか。
○成田様 狭いですね。だから粉じんも、そこで滞ってそこでの測定は元請けさんでもやらなかったです。二次覆工付近は粉じんがあるのが分かっているからだと思います。
○熊谷委員 それはどのぐらいの期間が掛かるのですか。
○成田様 大体掘削が400メートルぐらい進捗すれば、後方400メートルぐらいの距離をおいて、二次覆工を施工してきます、貫通するまでです。
○熊谷委員 その400メートルをするのにどれぐらい掛かるのですか、期間的には。1日で終わるとかというのではないのでしょう。
○成田様 違います。大体2日に1度コンクリート打設をするので、1回10.5mづつ二次覆工はコンクリートを仕上げていきます。
○熊谷委員 ああ、結構かかるのですね。(
○成田様 1か月、多くても10~11回とか。100メートルちょっとくらいです。
○明星委員 粉じんの出所というのは掘削の粉じんが来るのですか。
○城野様 切羽で掘削したのが流れていって、その辺で定着して。
○明星委員 出てきたのが、そこまでたどり着いていって。
○城野様 それと、その間にもう一個、インバートという作業をやります。このインバートに関しては、ただ、もう絞りみたいなものですから、そこにそういう集じん機もなければ送風機も何もないわけです。それがほこりもあって、それがそのまま、ここで閉塞されている所で落ちてしまうので、ここが一番多いですよね。
○成田様 実際に掘削が終わって、後方から施工してくるインバートや、二次覆工施工時に、一番邪魔になるのが集じん機なのです。だから撤去してしまうのです。
○明星委員 このほかに、吐き出すファンが付いているのですよね。
○成田様 付いていますけれども、やはり追い付かない部分がありますね。そこを通行すると粉じんが漂っています。
平成12年に粉じん対策に関するガイドラインが出ましたよね、あれ以降は何年かは指導する時期があったのですが、あのころはまだガイドラインができたというだけでした。
○小山座長 ほかにいかがでしょうか、大体よろしいでしょうか。よろしければ、ただいまのヒアリングに御協力いただきました4名の方、ありがとうございました。
それでは、次の議題に進みたいと思います。次の議題について事務局から説明をお願いします。
○西田環境改善室長 まず、4名の皆様方、ヒアリングに御協力いただきまして、誠にありがとうございます。このまま、お席で傍聴していただいても結構ですし、お忙しいところお越しいただいておりますので、台風が近付いている中、適宜、御都合のよいところで御退席いただいても結構でございます。
それでは、資料4-2、先ほどの論点のポイントの次ページにホチキス留めにしておりますが、アンケート調査結果についてポイントの御説明をさせていただきます。
まず、こちらのアンケートですが、今般、現場調査を行ったうちの4現場、30人の方の切羽作業を経験されている方、主に10年以上の切羽作業を経験されている方に御回答いただいております。3ページに属性が書いてありますが、これらの方々に3つの測定方法、「個人サンプラーの装着」「切羽周辺の定点」「重機上への設置」の3種類の測定方法について、「作業への影響・負担等」「測定可否、頻度」「口径大小による影響」についてお聞きしております。簡単に紹介させていただきます。
4ページ、個人サンプラーの装着についてです。4~6ページに出ていますが、まずは4ページ目、作業等への影響については、「重すぎる」「邪魔である」「機器の破損のおそれがある」との回答が多くを占めております。本日、安衛研の協力により測定に使用した個人サンプラーの実物をそちらに置いております。会議が終わった際に持ってみていただければと思いますが、1kgぐらいあるということです。そういった意見が多くを占めているということです。
資料5ページ目、測定時間は1日中、あるいは常用の着用については、否定的な意見が多い状況でした。「長すぎる」「難しい」といったようなところです。ほかに、反射ベストに装着とはいえ、凹凸が気になるとかといった作業性への影響ということで、長時間の測定は大変であると。
ただ一方、6ページ目の4番ですが、トンネル口径の大小への影響ということですが、影響はないというのは、個人で動かれるということだと思いますが、変わらないというのは22件ということで、多くを占めています。これは定点の測定とは大きな違いと言えるかと思います。
7ページ、マル2測定機器を切羽周辺に設置する方法です。まず、作業への影響について、重機との接触、破損するおそれといった影響があるという意見がある一方で、中ほどの下のほうの3分の1の所ですが、配管上なら可能と、側面の配管ですが、そういった意見が4件ほど出ております。
8、9ページ、測定の頻度については、今のガイドラインの「半月に1回」の現状で問題がないという意見が多い一方、トンネル口径が小さいと、いろいろ影響が出てくるという意見が多数を占めている状況です。
さらに10、11ページですが、マル3測定機器の重機上への設置についてです。作業への影響については、「特に問題なし」と、壊れなければ良いという肯定的な意見が多い状況です。一部、小石が落ちる可能性があるとか、破損するおそれ、キャビン内は難しいという意見も若干出ていると、振動などにより落下する可能性が高く支障があるということも出ております。
測定頻度については、11ページですが、「問題なし」が多い。こちらは、いつでも可能とか、月2回程度は、特に問題ないのではないかという意見が多く占めています。トンネル口径の大小については、「重機の大きさによる」としながらも「影響なし」が、やや多い状況になっています。
最後、12ページです。測定機器の装着による緊急時への影響については懸念する声が多数あり、とっさの場合は邪魔だというような話、作業効率の低下、装着は危ないといった意見がある一方、更なる軽量化については、もう少しできないかという意見も頂いております。以上、簡単ですが、4現場におけるアンケート結果を紹介させていただきました。
○小山座長 それでは、続いて安衛研の鷹屋委員から、報告書について御説明をお願いしたいと思います。
○鷹屋委員 よろしくお願いします。資料4-3は2分冊になっております。これに従って、昨年度、私ども労働安全衛生総合研究所が5か所で、実際に切羽付近の粉じん測定を行いました。それはどのようなやり方でやったのかということと、どのような結果が得られたということについて御説明したいと思います。まず、何をやったか。最初のほうは、これは報告書形式なので、一応、前書きで目的等々がありますので、それは割愛させていただきます。
実際にどのような測定をしたかということでは、基本的には、定点と個人ばく露と、重機に付けて測定する。それで、NATMの1サイクルを、できる限り通しでデータを取るために分けて測りたいということで、最初、かなり細分化を試みたのですが、実際には時間が短くて粉じん発生が少ない作業等もありましたので、5か所を測りながら、私たちも走りながら、ある程度考えている面がありまして、最終的には岩をいじる、掘削、あるいは、ずり出しというような岩の粉じんが出る作業と、吹付け、つまりコンクリートの粉体が出る吹付けの作業に二分化して測定するように収斂していきました。
定点と重機に乗せるのと、個人ばく露ですけれども、具体的にどういった形をやりましたかということで、こちらのほうに、本日、せっかく装置を持ってきておりますので、少しそれを使って説明させていただきます。
まず、定点ですが、これは標準的な粉じん計と、それから、ポンプを使って粉じんの重さを測って、いわゆるK値を求めるための並行測定をやりました。これが基本的には、この定点、こういった粉じん計、それから、サンプラーの組み合わせでやりましたが、基本的には切羽に近い側に関しては、もう一台の粉じん計を付けております。資料の5ページ目に粉じん計が2つ付いているような写真があります。これは何かというと、1年前ですけれども、前回の検討会で御指摘があったと思いますが、粉じん計というのは、基本的に光学的な原理で、大きな粉じんに関して余り感度がないということで、粉じん計のセンサーの部分の特性で吸入性粉じんを測定しているのですが、現実にトンネルのように粉じんの濃度が高いと、じん肺対策として測る本来の目的ではない大きな粉じんの影響も出るのではないかということで、粉じん計に関しては今回、分級装置を付けています。今、中村が手で持っている部分で、もう少し先のほうのプラスチックの部分がサイクロンという分級装置です。このサイクロンを付けて、この粉じん計のデータを取り、それから、横に小さい白いプラスチックの塊がありますが、やはり分級器が付いていて、吸入性粉じんだけを取る粉じんのサンプラーとなっており、これで並行測定をするということをやっております。ただし、この写真の粉じん計が2つ付いているものと、何も付けていない普通の標準の粉じん計も置いていまして、結局、サイクロンの影響そのものも見るというデータも取っております。ただし、それは全ての定点でそれをやりきるには装置の数も足りないということがありまして、それは一部の代表的なデータをやるにとどめまして、基本的には粉じん計には分級器を付けて、ポンプのサンプラーを付けてというやり方でした。
もう1つは、今回、定点においても私どもは個人ばく露と同じ装置を使っております。それは別に個人ばく露と厳密に比べたいという意図ではありません。やはり水が出るとか、重機等が動くので、定点の設置そのものが装置が大きいと難しいという声があらかじめありましたので、なるべく小さな装置で済ませたいということで、基本的にはポンプも個人ばく露と同じものを使いました。定点においても個人ばく露と同じような装置を行うという方針でやらせていただきました。
次に、個人ばく露はどのような形でやったかというと、今、付けていますけれども、粉じん計が個人ばく露用の装置を使っているということが違うだけで、基本的には同じものです。このベストを使って、これに粉じん計を取り付けるというのは、平成8年に小西先生がやられたときと同じやり方を踏襲させていただいております。ただし、小西先生がやられたときには、粉じん計の型が1つ前のLD-2という型の粉じん計だったのですが、今の時代はLD-6N、それから、一番新しいLD-6N2という世代になっています。私どもも、一番新しい世代のLD-6NとLD-6N2を使ってやりました。その頃と何が違うかというと、昔のLD-2のときは粉じん計自体が一体となっていたのですが、今のものは粉じんのセンサーの部分、ちょうど中村が今持っている部分と、それから、データや電源などのコントローラーの部分が分かれていまして電線でつながっています。実は、個人の粉じん計そのものは、これで閉じています。ただし、今回はK値を求めるために併行測定をしたいということと、それから、やはり個人ばく露においても、分級器、大きな粉じんが入らないための分級器を付けるということで、結局、ここが先ほどの個人のサンプラーと全く同じものなのですが、ここの部分に大粒形の粒子を取り除くヘッドが付いた形をしています。それで、かつ一番後ろに、ここに、今、中村が手で持っている部分にフィルターが入るようになっていまして、これで粉じん計の測定データとともに粉じんの実際のサンプリングも可能になっております。それで重さを測ってK値を求めるということと、後ほど申し上げますが、遊離けい酸の測定などにも、このフィルターを使うという形になっております。その結果として、ポンプが必要になります。実は粉じん計だけですと、特に粉じん計の中にはファンが付いている粉じんを吸い込むようになっていてポンプは要らないのですが、分級器を付けるということでポンプを付けざるを得ませんでした。それが、やはり作業者の方の負担感につながったのではないかという気はしております。
もう1つは、一番最初のアンケートのほうですが、資料4-2の個人サンプラーの写真と、実際の、今、中村が付けているものが少し違うのですが、一番最初の現場で言われたのが、ポンプも、粉じん計のコントローラーも後ろのほうに付けていました。私どもの今までの経験上でも、例えば重機に乗ったりするような人は、背中側に機械があったら不都合だろうという気はしていたのですが、今回、全面的に、後ろに機械があったら駄目だと。なぜかというと、バックプロテクターの着脱に非常に問題があるので、とにかく前に付けろというオーダーが現場のほうから出ました。その結果として、こういった形になっています。前に付けた結果、実は不都合が1つあります。後ろに付ける場合は、パイプも電線も完全に付けた状態でベストを脱いだり、着たりができます。ですが、結局、前に付けることによって、ベストを脱いだり着たりするときに、実は電線とかパイプを付けたり外したりする必要がありました。その結果、何がありましたかというと、実はパイプを外さなくていいのなら、例えば、パイプ自身を留め具でしっかり留めて少々の作業ではちぎれないようにとか、そういった細工ができたのですが、結局この結果でやりまして、実は、個人ばく露データで実際に切羽のほうに上がってきて、最後に回収に来ていただいた時点で、もうパイプが外れていて、データが取れなかったとか、そういった事例が実は幾つか出ております。
それから、今日はベストの上にバックプロテクターを付けた状態ですが、1つの現場では、とにかくバックプロテクターにそのまま装置を付ければいいのではないかという御提案を受けまして、小さな写真しかありませんけれども、資料4-2の個人サンプラーの写真の一番右側の2つの小さな白黒写真がそれです。あと、資料4-3の7ページに、これも本来、バックプロテクターのベルトを利用しているので本来の付け方ではないのですが、バックプロテクターに直接付けて測定を行った例があります。これは5現場へ行きましたが、やはり現場によって、その山の状態によってバックプロテクターも必要な最小限のときしか付けないというような現場であったり、逆に、最後のバックプロテクターに付けていればいいという御提案を受けた現場は、切羽の付近にずっと入る作業者の方は、最初から最後までバックプロテクターを着ているというような現場でした。それですと、バックプロテクターに付けるというやり方が可能でした。ただし、本来このベストと違いまして、バックプロテクターの測定機器を付けるように改造してありませんので、そういった意味合いでは作業性に少し問題があったかもしれません。
最後に、重機はどのように付けたかというと、今日は重機のサンプルがなくて恐縮ですが、重機に乗せたいといったときに、必ず問題点として指摘されたのは振動の問題です。振動の問題が出るということで、私たちはプラスチックのコンテナーに防振材を詰め込みまして、その中に、ちょうど三脚に付いているような同じセットの粉じん計を入れた形で重機に乗せました。その重機はもうオペレーターの方に操作の邪魔にならないところでも、置ける所を指定した所で構いませんという形で置きましたので、物によっては必ずしも空気の取り入れ口がいろいろな重機の陰になったりしていて、正しいデータを取りきれなかったような事例もあるかと思います。
それから、多分、回覧している写真の中では1か所だけあるかと思いますが、1か所だけ逆にブレーカーのボンネットの上に重機を付けていいと言われた事例がありまして、それに関しては、非常にこちらとしても、もし落ちたらどうしようと、結構ドキドキしたのですけれども、ベルトで絞め上げてボンネットの上に付けてデータを取ることができました。そのような形で重機の上、それから、作業者の身体、定点という形でデータを取りました。
実際の結果に入る前に、定点はどのように置いたのかについて、中村主任研究員のほうから、簡単に御説明させていただきます。
○オブザーバー((独)安全衛生研究所) 安衛研の中村です。よろしくお願いいたします。定点の設置に関しては、報告書の3ページから説明があります。簡単に説明させていただきます。
もともと、建災防指針の方式に準じた方法ということで、それに従うということが可能かどうかということも含めての検証と考えました。4ページのほうに図がありますように、標準と考えたのが、切羽から5mの所でトンネルの両サイドに等間隔で置いておくということです。ただ。やはりこれは難しいだろうということを、当初から考えましたので、もし仮に5mに置けなかった場合は、それを先頭の位置を後ろにずらして等間隔で取るようにする。また、測定はこの場所は駄目だと言われても、1点、2点欠けることがあったら、それ以外の点で取るというような形で考えていました。実際に、こういう形で現場で説明させていただきましたけれども、そもそも今回の目的としては、1サイクル全部取るということもありましたので、1サイクルを全部取れる点がどこまで一番前まで行けますかといったときに、もともとは25mという所までを考えていたのですが、25mよりも前に置けるという現場が、実はなかったということもありまして、少し考え方を変えました。それが、3ページのマル2の所から以下になります。6点設定することが困難な場合は、まず、1サイクルを通して置いていい場所というのを一番切羽に近い所では、どこで設定できるかということで、そこを、まず現場の方と御相談して決めました。ですので、現場ごとにその距離が違いますので、それは各委員の机上資料の所に各現場のがありますが、その中でいうと、例えば、机上資料のほうで、現場Aのマル1と書いてある所があります。マル1と書いてあるのが1サイクル通して置ける所です。それが、現場の方が一番近くで1サイクルを置けると言っていただいた所をマル1としております。
次に考えたのが、トンネルの両サイドということがありましたので、そのマル1と同じ距離で、反対側のサイドに定点を設定することで2点目を考えました。
それから、縦方向のということで、後ろのほうで3点目を考えているのですが、それ以外に、今回、切羽からどうしても遠くなってしまったので、作業によっては切羽の近くに置いてもいいよと言っていただいた所に関しては、特定の作業、具体的に言うと、ずり出しのときは、どうしても重機が前のほうで動き回っているので置けない。ただ、吹付けであれば重機自体はそれほど動かないので、その時間帯であれば置いていいよという現場がありましたので、その場合、その作業だけ定点を設置させていただくと。この場合は、1サイクルをその点では取れないのですが、やはり切羽に近い所で測定をして、今回の趣旨が切羽の所での粉じん測定ですので、そういった形で切羽の近くに置けるという場合はどういう場合であるかということも検証するということを含めて、この場合でいうと、現場Aでは4と6の点が、ずり出しが終わった所で設置させていただいて、そこから、それ以降の作業を測定させていただいた点となります。それ以降の現場も、同じような考えで設置させていただいていますが、現場B、C、Dに関しては、この前方に、ずり出しが終わったところで置かせていただいたものが1つになっています。両サイドではなくて、片方になっています。これは我々の測定機器の数の制限もありましたので、1か所となっています。
それから、現場Eに関しては、現場Eの方から提案していただいたのですが、配管の上に置くのであれば、1サイクル置いていいということを言っていただきました。ですので、現場Eは39ページに写真がありますが、そういう形で配管の上に、先ほどは三脚で置いたものをお見せしましたが、現場Eのみ、こういう台を作って乗せる。この場合は、最初から最後までそこに置いておいて大丈夫だと言っていただきましたので、1サイクルその位置で取っているということになります。以上、定点をどういう形で設定したかということについて説明いたしました。
○鷹屋委員 それでは、結果に入る前に、話が前後しますが、どのようなトンネルに行ったかということで、まず、10ページに各トンネルの資料があります。個別のデータは、今、中村のほうから申し上げましたように、吸排気とか、定点の位置関係等に関しては、委員のみ配付の個別資料に詳しいデータが載っております。今回、5つのトンネルに入りました。2つが発破でした。残り3つが機械掘削という形です。それから、トンネルの用途としては、4つが道路のトンネルで、最後の1つが鉄道のトンネルです。
実際に断面の大きさからいうと、一番最初に行った現場Aのトンネルが一番小さい断面でした。どれぐらい小さいかというと、ダンプのすれ違いが邪魔になるので、先ほど、中村が申しましたように、ずり出しのときにダンプが動くような所では、三脚を置いては困るというぐらい小さい状態でした。それから、現場Bは、最終的には歩道が付く状態の断面のトンネルで、比較的これは余裕がありました。現場A、現場Bも発破の所で、ずり出しはダンプを使ったトンネルでした。次に現場C、現場Dは、これは機械掘削ですが、現場Cに関しては、ずり出しがベルトコンベアーということで、切羽面からベルトコンベアーの所まで再度、ダンプで、ズリを運んで、そこからベルトコンベアーの所にクラッシャーがあって、ベルトコンベアーで運ぶという形です。現場Dは、ズリをそのままダンプで最後まで外に排出するという形です。それから、鉄道のトンネルの現場Eに関しては、ズリはベルトコンベアーで出す状態です。換気方向に関しては、現場Dだけが送気のみですが、あとは送気と集じん機が付いているトンネルでした。それから、いずれも、この現場については当然、換気指針の50m点よりも手前で、切羽でどうなっているかという測定の目的があるので、ある程度長いトンネル、それから、作業の進捗状況がありまして、最低限、坑口から1km以上を掘っている状態のものを選択しております。
結果については、13ページから結果のグラフが出ております。基本的に、こういった形で、それぞれ作業ごとに粉じんの濃度とか、そういったものをやっております。現場A、B、C、Eと現場Dを分けたのは、先ほど言いましたように集じんとか、送気方向がちょっと違うので、1か所だけ別のグラフにしております。
それから、今回の現場の測定に関しては、突発的に高くても8mg/m3という、その程度の濃度しか出ておりませんので、10mg/m3を超えるような高い濃度は、穴を掘っているときも吹付けのときも、今回の全ての工程の定常状態ではありませんでした。現実に吹付け機を回すときに、ミキサー車から排気ガスがガーッと出て、瞬間的に高いデータが出るような所はあったのですが、基本的にトンネルの本来の作業においては、あるいはきちんと時間を均してみたときには高い粉じん濃度が出ているという状態のものはありませんでした。
14ページに、定点と個人で差が出るかどうかということに関して比べております。それについても、おおむね定点だから特に低いという結果ではないと私たちは考えております。違う所で測っておりますので、全く同じデータになっていないのは事実だと思います。幾つかそういった形で、作業ごとに粉じんの濃度について出ておりますけれども、粉じんの濃度は、ある種、現場に依存しますので、測定装置の評価としてどうだったかというような結果については、まず、20ページ以降を見ていただければと思います。
20ページに、個人サンプラーの写真が載っています。極端に高い濃度はなかったのですが、それでも分級器、吸入性ではないじん肺の原因ではない大きな粉じんをカットする装置に関して、粉じん濃度が高すぎたために必ずしも、これはインパクター型と言って、この左側の板の上に空気をぶつけて大きな粉じんを取って、小さな粉じんだけ後ろのフィルターで取るというものなのですけれども、後ろの小さなフィルターのほうにも大きな粉じんが流れていて、必ずしも分級がうまくいっていないということがあると、最終的に、例えばK値の測定値とかそういったものにも、粉じんの濃度測定そのものもそうですけれども、正しく測れないという状態があって、そこら辺は難しいところがあるのかなという気がしています。次ページに、もっと極端な例が出ておりますけれども、こういった形のデータもあります。
次に、粉じん計がどうだろうということの観点からでは、やはりK値がどうなっているかというデータですが、23ページぐらいからK値について載せています。現場Aで吹き付けしているときに、これは先ほどの粉じんの濃度のところで、現場Aで少し高いデータが出ておりましたが、その高いデータが、やはりK値がちょっと動いている部分がありますけれども、それ以外はおおむね0.002~0.003の範囲内で各作業が収まっているのではないかと考えております。いろいろな観点でグラフを取り直しているので、同じ点がいろいろなグラフで出てきていますけれども、とにかく、ポッと他の塊から違うところに見える点というのは、先ほど言いました高濃度のデータが出た部分です。それ以外は、基本的にK値は大体一致しているのではないだろうかと。
今回は分級器を付けたから一致しているのかどうかという点ですが、26ページに分級器を付けたものと、付けていないものだけに関してデータを取って、かつ、切羽からの距離でプロットしたデータを用意してあります。基本的には、分級器を付けると、当然粉じんをカットしますので、粉じん計のセンサーの部分に入る粉じんの絶対量というのは減りますので、K値そのものは当然動きます。同じにはなりません。同じにはなりませんが、特にこれは距離別にやると、どうしてこれは距離別をやっているかという関係がひっくり返っていたりとか、そういったデータがあるかどうかを見るために、26ページは各同時に取った点に関してプロットしているのですけれども、基本的には粉じんの一部をカットすることによって、分級器を付けている粉じん計に関してK値が少し低めに出るという傾向にありますけれども、逆にそれが逆転したりとか、その比が大きく変わったりといった異常なデータはなかったのではないかと考えております。
引き続き、最後に遊離けい酸のお話をさせていただきます。今回、先ほど来、その測定方法ということでお話しましたように、電源を要求しない小さな装置で、なるべく細かく取ろうということがありましたので、粉じんの絶対量としてそれほど取れていません。それから思ったより、粉じんのもともとの濃度が低かったということもありまして、粉じんの濃度を測るには十分な粉じん量が取れるのですが、実際に遊離けい酸をきちんと測ろうというときに、実際に電源を使わないようなサンプラーで取るのは難しかったというのが結論です。
ずっとX線に関して、いろいろ生のデータをお示ししておりましたが、現実的に遊離けい酸がきちんと測れたデータというのは、34ページに、現場A、Bの遊離けい酸定量というグラフがあり、各現場で遊離けい酸定量に石英のX線の回折線のデータを拡大したものをお示ししております。目視で見えていなくても計算上はちゃんと出せるというレベルではあるのですが、これで御覧になれますように、実際に個人用のサンプラーで粉じんが取れるという現実的なサンプリングで取った場合で、遊離けい酸の濃度がきちんと測れたのは現場A、ほかのものもある程度測かれていますが、明確に測れたのは現場Aだけのデータだけでした。36ページに表がありますけれども、ほかのものは全部、厳密に定量下限を計算すると、全て見た目の数字が出るのですが、本当に定量できたというものは現場Bだけでして、現場Bは逆に言うと、たまたま岩質の関係で非常に遊離けい酸の濃度が高い現場でした。それでなければ遊離けい酸はきちんと出すのは難しいといった私たちの測定結果ではそういったものが出ております。以上、駆け足になって、話も前後して恐縮ですけれども、私どもの測定結果について御説明いたしました。
○小山座長 ありがとうございます。それでは、先ほどのヒアリング、それと、ただいまの報告、両方の話を聞いたわけですが、これに基づいて切羽の粉じん測定はどうあるべきかということについて、いろいろ御意見を頂きたいと思います。
○熊谷委員 確認ですが、報告書13ページに図がありますけれども、事務局には前にお願いしていたのですが、調査員が付けていた個人ばく露のデータがありますよね、調査員は切羽からかなり離れて、作業者からも離れているので、低くなっているので、それは外してくださいということで、私は外したデータを頂いたのですが、この場では配られていないのですか。
例えば14ページを見てください。個人ばく露と定点を比較しているのですが、上の図の中で個人ばく露の方の赤い点がありますけれども、これは低いのですが、これは全部調査員です。それから、個人の中に4つがあって、一番左側の薄い青のものの一番下は調査員です。だから、私はこれを見て個人ばく露のほうがちょっと高めに出ているなという印象を持ちました。現場Aは明らかに高いですし、現場Bは比較的できない、現場Cは高い傾向、現場Eはどちらともいえない。それから、下の図を見ると、現場Dも高い傾向があるということです。調査員のデータが入っていると、図がよく分からないという印象をすごく受けるのです。そこを言っておきたいと思います。だから、次回また、これを皆さんに配ってもらったら有り難いです。お願いします。
続きですが、ヒアリングのほうですけれども、個人ばく露が非常に人気が悪いですね。個人ばく露は私的にはやってほしいなと思っているのですが、いろいろ動きにくいとか、邪魔だとか、当然な意見だと思います。1つは、今回付けていただいているのは、すごくたくさん付けてますよね。これは、我々の委員会でこうしてくれと言ったから、こうなっているのですが、実際にはあそこまで付けないで、個人ばく露は、私もいろいろ測定しましたけれども、1つだけポンプを付けて、ここに分粒装置の付いたものを付けるというのが普通の測り方だと思うのです。そういう測り方をした所もあるのですか。
○鷹屋委員 今回は全て粉じん計付きのものでということで。
○熊谷委員 今、見ると、どう考えても、これは作業はやりにくいし、引っ掛かるなというのは誰が考えても思うし、そこら辺がこのアンケートは当然だなと思うのです、結果は。だから、もっとコンパクトで簡単なものがどうなのかというのが、それでも、もちろん動きにくいし、作業の邪魔になるというのは当然あると思います。というのが1つです。
もう1つは、測定の頻度として1か月に2回という頭で皆さん答えていないかなと。他のが月2回というのが、ずっと定点の場合は書いてあったのです。私が個人的に思っていたのは、例えば半年に1回とか、年に1回だけ個人ばく露をするというイメージで言っていたので、そこがこのアンケートの結果に反映されているのかなというのがすごく気になりました。だから、自分たちが働いている環境の濃度を知りたいというのは多分、皆さん思っていると思うのです。そのときに、もうちょっと動きやすくて、小さくて、それを1年に1回やったら付けてもいいなという人もおられると思うのですね。だから、そこが私的には、すごい疑問でした。
○西田環境改善室長 今、熊谷委員から御指摘のありました後半のアンケートの関係ですが、確かに個人サンプラーについては、今回の現場以外で、普段デジタルだけを付けた現場があれば、そういう所からも取りたかったわけですが、現実問題として、実際やられているのが今回の現地調査の現場だけということで、こういう結果になったということを御理解いただければと思います。
もう1つの調査の頻度については、特に当方から作業環境測定であるとか、ガイドラインだとかということは明示したわけではなく、恐らく現場サイドでは換気のガイドラインの「月2回」ということが頭にあり、このように書かれたのかなということで、そこは、このアンケートの中に「注書き」とかはしていなかったということをお伝えしております。
○熊谷委員 私も個人ばく露をいろいろな現場でやってきたので、もちろん動きにくいという声は聞くのですが、半年に1回ぐらいだったらやってもらえていたので、ただ、トンネルなので、随分また状況は違うのはよく分かるのですが、個人的には、1年に1回ぐらいとかは可能ではないかなと思います。もちろん、今回のように多くの危機を装着した状態でサンプリングということだと無理だと思いますが、もっと簡単な形にすれば可能ではないかと。
○鷹屋委員 個人ばく露装置の負担感について、粉じん計ではなくてポンプだけにすれば軽いだろうという熊谷先生のおっしゃることは、そのとおりだと思います。ただ、今回行ったときに、もう1つは、作業者の方に負担感を感じているのは、私たちはどうしても作業ごとに知りたかったので、細分化するということで、何度も付けたり外したりしたということも負担感につながったのではないかと思います。
ただ一方で、それで測ってみた結果として、では、通してやれば大丈夫かというと、通してやると、多分、粉じん計のサンプラーが詰まって、結局は頻繁に取り替えるという、つまり、物が軽くなっても作業中断して取り替えてくださいというような話が出てくるのではないか。それから、取り替えるとなると、では、やはり作業者自分ではなくて、専門家が、ある程度現場で介在する必要があるのではないかという、それは私たちが5か所を巡った感想ですけれども、そういった感触は持っております。
○小山座長 漆原委員、どうぞ。
○漆原委員 資料4-2の5ページの所に、「機器の破損が多く」という記載があるのですが、この破損というのはパイプ回りの破損なのか、もっと致命的な破損なのかというところが分かれば、お教えいただきたいと思います。
○西田環境改善室長 アンケートの結果だけでは致命的なものなのかどうかというところは分からない状況で、申し訳ございません。もし現場サイドで何かそういうことを把握されていたら、教えていただければと思います。
○鷹屋委員 御質問の趣旨に正しく答えられていないかもしれませんが、現場に行って作業者の方が非常に気にされるのは、実際の重さとか作業性だけではなくて、この高い機械を壊したら弁償しなければいけない。この回覧した写真の中であったと思いますが、実際にセメントミルクがかぶったりといった破損はありますし、それから、定点に関しては、やはり重機で引っ掛けて壊すのではないかということで、基本的に建設現場に持ち込む機器として測定機を見られた第一印象は非常に華奢な物で、かつ値段が高いのではないかということで、そういった意味で物理的な重さ以外に、それを装着しているということに関しての精神的な負担感ですね。私たちは、茶化すわけでもなくて、これは壊れたら壊れたで、この測定が難しいというデータなので、気にせずに使ってくださいと必ず言っているのですが、それでも作業者の方はやはり。逆に私たちとしても非常に心配で、つまり、変な話、数十万の機械を壊すことをおそれて、現場の方が、けがをしたらどうしようということが、5回の測定で私たちが一番緊張したのがその点で、こういった測定器を持ち込むということに関して壊すのではないかというような負担、気にされるということは現場の作業者の方は多かったように感じます。すみません、お答えになっていないかもしれませんけれども。
○小西委員 今まで御説明いただいた中で、いろいろ考えなければいけないことの1つは、今回は最低1サイクルは測りましょう、いろいろな測定法を比較しましょうということで、その目的に合わせてやっていただいたので、先ほどの機械もいろいろな装置を使うことになってしまったのです。この結果から、実際に、いつ測るのかはすごく大事なポイントになってくるわけです。1サイクル測ると、先ほどあったように、慣性衝突式分粒装置型のものだと、グリスの所が満杯になって再飛散してしまう、これは結果的にはデータとしては使えないわけです。
そうすると、ある時間の測定機器の制約から計測そのものの時間制約が出てくるわけです。1日付けっぱなしでいいというものではないわけです。いつ、その工事の1サイクル中のどこで測るのかというのは非常に重要なポイントになります。換気指針のときは、なぜ吹付けにしているかというと、粉じん濃度が一番高くなる所で、その濃度で管理しましょうという形で検討していたわけです。そういう面でいくと、一番劣悪になる所できちんと管理をすることが必要だという気はしています。そうすると、1サイクルではなく、それに限定した計測も考えなければいけないのではないかという気はします。
先ほど御説明いただきましたように、個人サンプラーでやると、今の使っているサンプラーでいろいろなことをやらなければいけないということで、我々が使ったLD-2Nというサンプラーですが、6Nのタイプのサンプラーは当時もあったのですが、なぜそれを使ったかというと、ケーブルが嫌だったのです。結局、LD-2Nは自己完結型の粉じん計の小さいものです。それで我々は、その中のファンを取って分粒して吸入性粉じんを作るためにドールオリバーのサイクロン(Dorr-Oliver cyclone)を付けて、1.7Lで吸引してやるという、ものすごくシンプルなのです。
新しい6N型は、センサー部とロガー部とポンプとの3つがあります。測定器自体がものすごく複雑になって、それに対して配管がいっぱい出てくる。先ほどの電動ファンのマスクが、最初はケーブルの付いたマスクを使っていたけれども、それが邪魔だと先ほどもお話がありましたが、今はケーブルがなくなってきて電動ファンの使い方も変わってきているということがあるので、先ほど言いましたように、コンパクトにしてどうするかということに対しては、そういうことも考えなければいけないということです。
もう1点は、いろいろな方法をやってみたけれども、私の受けた印象では、方法論的には余り変わらないという印象です。大体で見ると、どのような測り方をしてもそう変わらないのではないかと。恐らく変わらない理由は、送風をして切羽に当たって戻ってくる風、これはどこのトンネルでも共通しますが、距離による減衰はもちろんあると思いますが、粉じんがある程度拡散して飽和状態のものが続いてきているので、個人で測る、個人といってもこれはあくまでも環境濃度を測っているわけですから、作業者の呼吸域に近い環境濃度を測っているので、そんなに差はない気はします。
先ほどもありましたが、吹付け作業の場合は、吹付けの重機自体は動きません。ノズルが動くだけなので、それだったら、できるだけ切羽の近い所で、粉じん計を使って測定することは可能だと思うのです。ただ、ズリに関して言うと難しいです。先ほどもありましたが、固定点で測定するのは難しいです。作業の内容で、いつ、どんな作業に対して測定をするのかということと、測定方法をうまく組み合わせることが大事だと思います。
K値に関しても、大体この幅で収束しているという説明だったのですが、前回もお話がありましたが、今まで粉じん計で換気指針の測定を実際には現場の方がやってきているわけです。ですから、そういうものを今度の管理の中にうまく入れてあげたほうが現場の方たちが計測する上においては扱い慣れている部分があると思います。できるだけ、そういう形でやっていくためにK値を測定していただいたのです。粉じんの普通の測定のときに、相対濃度計を使うときもK値の出し方は2通りあります。これは通達で出ていますが、その測定器に関しての与えられたK値を使うのか、あるいは、自分の所で測定して何回も積み上げたデータからK値を出してもいいことになっています。そういったものを現場でできる状況に応じて、適宜入れると定点で測定できます。例えば、吹付けであれば、重機が動かないのでK値を取ろうと思えば取れるわけです。そういう所で取って自分の所で何回かやったものを平均値のK値を使い、その後は自分の所の地山に応じた状態のK値を掘削までずっと使っていくことも可能なのではないかという気がします。
実際には、ずい道の中は、通常の労働環境の製造現場とは少し様子が違います。先ほど熊谷委員から、半年に1回に軽減するとあったのですが、この地山の質が変わっていく、ずい道そのものの距離が変わっていくということがあるので、やはり半年に1回よりはむしろ、今の換気指針では月に2回ぐらいになっていますが、これはそれぞれの状況で月1回なり、地山の状況が変わっていったときには、きちんと頻度を掛けて測定していくことが必要なのではないかと思います。そのためには、測定の簡便化と、いつ測るのかを明確に出すことが必要だと思います。以上です。
○熊谷委員 今の意見に関してです。私が半年に1回や1年に1回と言ったのは、そういうかっちりしたものは半年に1回か1年に1回やって、それでK値が定まったら、あとはおっしゃったように、1月に2回などの簡易測定を入れていくというイメージで言ったのです。
○小西委員 今は、吹付けですと、別に月1回でもK値は取れるわけです。重機が動かないからです。
○熊谷委員 できるのだったらいいのですが、個人ばく露の話をずっとしていたので、重たいということだったので、どちらでも選択できるようにしておいて、個人ばく露を年に1回ぐらいだったらできるのではないかという意味で言ったのです。
○小西委員 分かりました。
○熊谷委員 それから、もう1つ、今、小西委員から、1サイクル全部は難しいという話がありましたが、もしそうだとしたら、分け方としては、掘削と、ずり出しの1つと、吹付けとロックボルトの1つというように、2種類でいいのかなと。1つは、遊離けい酸の関係で言うと、掘削と、ずり出しは同じような岩石の所からきており、吹付けとロックボルトは、岩石というよりも吹付けているものからの影響なので、そういう意味で、そのような大雑把な分け方だと何とかならないかなと思っております。
○井上委員 今のに少し関連しているのですが、できれば1サイクルずっと通して測定できれば個人ばく露はどれだけ粉じんにばく露しているかが端的に分かるので、一番いいと思いましたが、いろいろな問題点があるということで、小西委員もおっしゃるように、最も粉じんの出る作業を幾つかピックアップし、そこで管理していくという方法もあります。それも一理あると思います。
そうなってくると、先ほども出ていましたが、粉じんが一番ひどいと私が思うのは吹付けと機械掘削とズリ積みです。今の機械では通常のジャンボでの掘削ではそんなに粉じんは出ないと思います。少なくとも、この3つを測定対象にすると。それぞれサンプルを取る人を分ければ、いちいち作業ごとに脱着することがなくなるので、そういう問題もなくなる。機械掘削の測定をするのはAさん、ズリ積みはBさん、吹付けはCさんと、人を分けてしまえば、そのときに付けて作業が終わったら外すだけですから、いちいち脱着する必要もないのでクリアできるのではないかと思います。
○明星委員 私が、吸入性粉じんを測定してほしいと言ったことで、随分とお手間を掛けさせてしまいました。2つありまして、1つはその粉じん計に吸入性粉じんの分粒装置が付いていないということは、全ての粉じん計に吸入性粉じんの分粒装置が付いていないということを意味しているわけではなく、その粉じん計の都合です。
もう1つは、今、吸入性粉じんの分粒装置として付いているインパクターが、割と早々に破綻するのですが、これが世の中全体の吸入性粉じんの測定器の標準かというと、そうでもなくて。要するに、そこに付いている白いドールオリバーのサイクロンなら、もう少しは持つかなと思います。最後いつかは破綻するのですが。
ということで、私のお願いは、吸入性粉じんを測ってほしいということです。必ずしも、今ある装置に限定しなくても、吸入性粉じんを測るということに意味がある。先ほどベテランの方が言われたように、粉じんは見えない、基本的に見える粉じんが、じん肺を起こしているわけでもないということです。どちらかというと、この間行って見たのですが、今の現場の一番前(切羽近く)にいるときはみんなマスクをしていますが、後ろのほうはみんな適当です。
しかし、その50mぐらいの区間は、毎分2,000m3ぐらい送気するのです。断面が70㎡ぐらいで、空気は切羽まで行って返って来るだけなのです。返って来る時間は、切羽から排気の辺りまで出るのに数分、もう3分から5分くらいです。そこで、吸入性粉じん濃度がどれぐらい減衰するかといえば大してしないのです。私が言いたいのは、そこで吸入性粉じんぐらいの小さいものは、どこで測ってもそんなに大きくは変わらない。ただ、排気口より後ろで測ったら、また話は別だと思います。今は切羽から50mの測定をしていますが、それより前に集じん装置を出したら、やはりそれは違うと思うのです。
前回も同じことしか言っていないのですが、私が言いたいのは、とにかく吸入性粉じんを切羽から出口までの間に、それほど濃度は変わらないので、命掛けて測るようなことをせず、いつも管理できるような測定を吸入性粉じんでしてほしいと思います。個人で作れるぐらいのものなら作ればいいし、壁に置いて固定して測り、むしろ、1日中測れるものなら測ればいいのですが、ただ、割と早くにインパクターやサイクロンが(粉じんが溜まって)吸入性粉じんではない状態になってしまうのは写真で見ていただいたとおりなので、それを解決する方法を、別に考える必要があるのかと思います。私の意見です。
○小西委員 今回の測定でドールオリバーのサイクロンを使いましたね。それは中の汚染はどのような状態でしたか。意外とドールオリバーは、外して清掃も簡単にできるし、意外と取り扱いはしやすいのです。とんとんと叩けばすぐきれいになって、またすぐ使えるということがあるので、今、明星先生が言われたように、私も、そのサイクロンがいいのではないかと思います。
もう1点は、折衷案のようになってしまいますが、今の粉じん計だと、1サイクルずっと引っ掛けておく場所で、坑外でずっとデータを取ることは可能なわけです。重機でも何でもいいのですから、1サイクル可能な場所、重機だと入れ替わってしまうのであれかもしれませんが、そういう所で継続してデータを取るということも、今の小型の粉じん計には、皆データロガー機能が入っているので、ずっと連続で、何時にどういう作業があったかということは追い掛けられます。
そういったことでやっていくと、個人サンプラーも、もっとシンプルな形にしてやると、これは逆に言いますと、厚生労働省から出ている屋外測定のガイドラインは個人サンプラーを付けて、作業者を測定点にするというやり方も過去にやっているわけですから、そういう意味でいくと、個人サンプラーで、もう少し使いやすいもの、先ほども提案があったように、例えば、ズリのときだけは運転手さんなどに付けてもらうとか、工程によって使い方をうまく分けることも1つの方法だと思います。
もう1つ、粉じんの所で、この現場Cの所の図面で抜けているのは、恐らくクラッシャーも発じん源です。コンベアで出すときに岩を砕くためのクラッシャー自体も発じん源になるので、もちろんクラッシャーの所には近付けませんが、先ほどのようなずり出しの一貫の中でクラッシャーの部分などからも発じんしてくるとは思います。以上です。
○熊谷委員 質問ですが、私はそのサイクロンを使ったことがないのですが、サイクロンとインパクターでは、サイクロンのほうがいいのですか。どれぐらい違うのですか。
○小西委員 扱いやすいということです。
○熊谷委員 というか、粒径の大きなものがインパクターだったら、先ほど見たように、漏れてしまうみたいなことがありましたよね。
○小西委員 ええ。
○熊谷委員 それはサイクロンでは起こりにくいのですか。
○小西委員 サイクロンは、大きい粒子だけが一番底の所に溜まるのです。それで小さい粒子だけが行くので、一番下の所に溜まったらポンポンと落とせばいいわけです。
○熊谷委員 かなり持ちますか。
○小西委員 多分、持つのではないかという気はします。それで、もし、見たときに真っ黒になったり、入口が汚れているようだったら、そこは拭けば、また元に戻ります。
○熊谷委員 1サイクルぐらいは持ちそうですか。
○小西委員 それは粉じんの濃度にもよるでしょうね。
○熊谷委員 分かりました。
○小西委員 恐らく、インパクターよりはいいと思います。
○熊谷委員 分かりました。
○オブザーバー((独)安全衛生研究所) 今回の調査の結果で言うと、ドールオリバーのサイクロンに関しては、途中で詰まったりしてデータが取れないということはなかったです。毎回、終わった後に掃除して次に。
○小西委員 掃除も割と、しやすいです。
○オブザーバー((独)安全衛生研究所) そういう意味では、毎回グリースを塗るという手間もないので、扱いはしやすいです。
○鷹屋委員 結果的には大丈夫でしたが、今回、あらかじめ少し怖いと思っていたのは、セメントミルクが付いて口が詰まったらどうしようという心配はしていたのですが、結果的にはそれもなかったです。
○オブザーバー((独)安全衛生研究所) 基本的には定点などで置いているので、作業者よりはそこまで近付いていないということも1つの要因かと思います。作業者の方に付けていただいた測定器にはセメントミルクが、ドカッと落ちていたものも、確か写真にも載っていますが、そうなってしまえば多分、どんな測定器でもそうだとは思うのです。
○小西委員 吹付けの場合だと、作業者はノズルマンですよね。ノズルマンに付けると、そんなことが起こる可能性はあるかもしれません。セメントですから、付いたら固まってしまうんです。昔は多段型の分粒装置を使ってトンネルの中で併行測定などもやっていましたが、やはり、分粒板の所に飛び込んだりセメントが固まってしまったりとか、それは確かにそのとおりなのです。跳ね返りなどが飛んできて詰まることも確かにあります。
○鷹屋委員 熊谷先生がおっしゃっている粉じん計ではなく、シンプルなサンプリングだけですと、当然、諸外国の鉱山などで使われているサイクロン型の分粒装置と粉じん用のフィルターのセットはあり得ますので、きちんとISOの吸入性粉じんのカーブで取れるサイクロンとフィルターのセットを実は私どもは持っており、今回、それを使うかどうかを少し迷ったのですが、結局、今のLD-6Nを使う限り更に大きくなってしまうので、LD-6Nをコンパクトにまとめるためには、本来のLD-6Nの正式なオプションであるインパクターの分級機を付けたほうが最終的にはコンパクトになるということで、今回はこの形で測定いたしました。
○熊谷委員 今、そのサイクロンでやるとして、一番軽いポンプは何gぐらいですか。1kgあるのですか。
○鷹屋委員 ありません、それはないです。今回のポンプだけですと、電池も入れて500gもないです。
○オブザーバー((独)安全衛生研究所) このタイプのは多分、かなり小さいほうだと思うのですが、これで恐らく500gあるかないかぐらいだと思います。
○小西委員 もし仮に後で遊離けい酸をやるのであれば、25mmのスリーピースのカセットの先にサイクロンを付けて、今おっしゃったのはそのことだと思うのです。それでやると、そのポンプだけを背負えば、吸入性のもので、フィルターで取って、後で遊離けい酸分析もできるということです。そういうやり方で、もう少し簡便にすることは可能だと思います。
○橋本委員 データで確認したいのは、16ページの上の図で、先ほど熊谷先生が少し言われましたが、個人の現場Bです。オレンジ色の点が3つありますが、これは調査員ですか。
○オブザーバー((独)安全衛生研究所) そうです。現場Bに関しては全て調査員です。作業員の方に付けていただけなかったので、全て調査員が背負っているということになります。
○橋本委員 分かりました。そういう目で見て、この定点と個人を比較すると、個人のほうが定点と同じか、やや高いと見られると思います。14ページの上の図で、これは1サイクルですが、こちらも現場Bの個人のオレンジを除いて考えれば、いずれの現場も個人のほうが定点と同じか、やや高いということになると思います。
本来は個人で測定するのがいいと思いますが、作業員にとっても負担があるということで、半年か1年に1回、そういうことはしてもいいかもしれません。ただし、定常的には定点測定を用いることとし、今回得られたデータをもとに、例えば、定点と個人は同じ値と考えて定点測定の値はそのまま評価するか、それとも、定点よりも個人のほうが何割か高いとして定点の値を評価するか、そこはどちらかの方法が取れると思います。このよう定点の値を基本にして測定して評価することはいかがでしょうか。
あとは、現場Eでしたか、配管の上に乗せるという案もあったのですが、それは作業上も邪魔にならず、かなり受け入れられそうで、この方法も利用していいと思います。
○熊谷委員 もう1つ、遊離けい酸ですが、X線のチャートを見ていると、何かよく分からないピークみたいなものが、どうしても読まざるを得ないので読んでいるという状況になっています。確かに難しいと思うので、例えば、現場の岩石中のSiO2を測ってやるとか、いわゆる堆積粉じんです。それで先ほど言ったように、掘削と、ずり出しのときと吹付け、ロックボルトを分けて、そういう堆積粉じん、あるいは、吹付けだったら吹付けている材料そのもの、そういうやり方もあるとは思いましたが、どうでしょうか。
○鷹屋委員 その辺は私たちも議論したのですが、多分、今だけの堆積粉じんが取れるのかという話です。本当に1時間たったら、もうすぐ吹付けが始まるという状態で、岩だけの堆積粉じんが取れるのかということで、堆積粉じんの代表性はどうなのかということになると、すみません、回答ではなくて悩ましいねというところです。
○熊谷委員 だから、堆積粉じんだというと、そうなってしまうので、もう岩石そのものを粉砕してやるとか、結局、岩石を粉砕した粉が出ているわけですから、吹付けのときは、もう吹付けをしているものが散っているわけですから、それを測定するのだったらできると思うのですが。
○鷹屋委員 吹付けについては、できると思います。岩石については、石をラボで砕いたのと発破で砕いたもので厳密に遊離けい酸がどうのこうの、合うかどうかについては、すみません、私たちはデータを持っていません。
○オブザーバー((独)安全衛生研究所) 可能性はあると思いますが、やってみないと分からない部分も大きいので、粉砕の仕方が、ラボでやるのと、現場でも、いろいろな掘削の方法がありますので、それに合わせたものができるかどうかによると思います。
○外山委員 大分やっぱり、それはかなり変わってくると思います。粉砕の仕方によって、X線ですので、データはかなりばらつくと思います。粉砕で粒度分布は変わってくると思います。それと遊離けい酸の話が出ていますが、やはり遊離けい酸の評価は大事だと思っています。36ページに、濃度、遊離けい酸含有率が書いてありますが、一番高いのが37.5%で、吹付け剤だとセメントだけですから多分0%です。管理濃度を計算すると、0%のときは3mg/m3ですが、37.5だと0.07ぐらいになります。そうすると、もう40倍ぐらい、リスク的には違ってくるということなので遊離けい酸含有率はかなり微妙ですし、リスクに効いてくる部分なので、やはりきちんと測っておく必要があると思います。
報告書の13ページの一番上のグラフに、掘削・ずり出しと、吹付けと比較をしていますが、例えば、吹付けを管理濃度3mg/m3だとすると、高くても数倍ぐらいの濃度です。掘削・ずり出しは、それよりずっと低いように見えますが、この現場Bはオレンジですが、0.07だとすると、もう1.4になっていますから、実は20倍ぐらい出ているということなので、こちらのほうがずっとリスクは高いということです。先ほど、作業者の方へのヒアリングでも聞きましたが、見た目で吹付けがすごい濃度だということで、確かに粉じん濃度はそうかもしれませんが、実際のリスクはそれとは違ってくるので、遊離けい酸含有率は重要だと思います。
○小山座長 ありがとうございます。大体予定の時間になってしまいましたが、何か特に御発言があれば頂きたいと思います。
○熊谷委員 では1つだけ。13ページの図で、Dの現場は、吹付け・ロックボルトが他の現場と比べて明らかに低く、これは工法が違うと書いてあったのです。工法をそのようにすればかなり下がるというのは、すごく重要な情報の1つだと見ていました。そのような工法を広げていけたらいいのではないかと思いました。
○鷹屋委員 今回、現場との関係で公表して挙げていませんが、例えば、国交省の新技術の所(国交省ホームページの新技術紹介ページの意)で、こういう技術があると、載っているやり方です。
○小山座長 ほかによろしいでしょうか。
○井上委員 2014年9月の名古屋先生の報告では、測定場所に依存して粉じんの粒径のばらつきが大きいため、科学的な安定した標準的なK値を求めることができないことが大きな問題だと指摘されていたと思うのですが、今回、報告書の25ページによると、K値は切羽から距離に対して大きな変動はなく、どちらも粉じん計も同じような挙動であったということですが、名古屋先生が指摘した、ばらつきが起きてK値を算出することができないというような問題は、今回の測定では特に問題にならなかったのでしょうか。
○鷹屋委員 5現場はいろいろあったのですが、結局、今回の5現場では出なかったということで、名古屋先生が測った結果とは、例えば、装置が違うなどというよりは現場が違うからで、それ以上のことは分からないです。
○井上委員 今回の結果を踏まえると、ある程度K値を求めることは可能だということになるのでしょうか。
○鷹屋委員 名古屋先生の報告書と私たちの所のものと違うのは、今回は数十ミリグラムという高い粉じん濃度が出ている現場ではなかったということもあるのかなと思っています。それ以上のことは、5現場を見たので普遍的と言いたいのですが、そんなに時代が変わっていないデータと結構違うデータになったので、科学的にこうだと私たちも今言える状況ではありません、すみません。
○西田環境改善室長 補足です。今、非常に重要な御指摘かと思いますが、やはり、この辺りは、名古屋先生のレポートで測られた方法、鷹屋委員がやられた方法、そこを比較しつつ、引き続き検証も必要なのではないかと思っているところです。その辺りを事務局でも整理し、専門の委員の先生方の御協力も得ながら、きちんと将来的に制度を変えていくなどの場合、整合性が取れるような形での検証が必要なのではないかと考えております。
○橋本委員 遊離けい酸を、現実、各現場で測定するのは、結構手間の掛かる作業で、かつ専門家が必要な作業です。今までいろいろな山で以前の検討会のデータや今回のデータがあり、そういう遊離けい酸濃度がいろいろあります。乱暴なことを言うようですが、例えば、それらの分布の上から80%ぐらいの所を一律の遊離けい酸含有率とすることが考えられます。例えば、遊離けい酸を仮に多めの25%とすると、その吸入性粉じんの管理すべき濃度というのは、約0.1mg/m3になります。電動ファン付きマスクを付けている場合、防護係数が100とすると、環境の濃度はその100倍ですから10mg/m3以下に管理すれば良しということになります。そうすると、今回、測定した現場というのは、いずれもOKということになります。このように現実的かつ合理的に見た考え方もあるのではないでしょうか。
併せて、K値についても、いろいろなK値がありますが、例えば、分布の上のほうの80%の値で決めたとしても、現実にはほぼ十分な管理ができるのではないかと思います。
○小山座長 ありがとうございます。よろしいでしょうか。時間も過ぎていますが、今日いろいろと御意見を頂きましたので、次回、どうするか御議論いただくわけですが、大分いろいろと御指摘を頂きましたので、事務局でいろいろ調整していただいき、次回に向けて作業していただければと思います。ということで、少し延びてしまいましたが、私の進行はここまでで終わらせていただきます。
○西田環境改善室長 座長、ありがとうございました。また各委員におかれましては、精力的に御議論いただきまして、ありがとうございます。事務局から提示いたしました議事のポイントについても、おおむね御指摘いただけたのではないかと思っております。今後の予定は、本日頂戴しました貴重な御意見を事務局で集約、整理し、各検討項目について、これまでいろいろ調査もしております。そういったことも踏まえ、必要な課題について検証を行うとともに、次回の検討会で測定方法について遊離けい酸含有率も含め、御議論させていただきたいと考えております。それについては、できれば年内にとは思っておりますが、いろいろな検証や作業も掛かるということも考え、また別途、後日、調整の上、御連絡させていただきたいと思います。それでは本日は、お忙しい中、御参集いただき誠にありがとうございました。