第9回労働政策審議会人材開発分科会 議事録

人材開発総務担当参事官室

日時

平成30年8月28日(火) 13:00~15:00

場所

厚生労働省共用第6会議室(3階)

議題

1 一般教育訓練給付の拡充に係る対象講座について

議事

 
○小杉分科会長 では、定刻よりちょっと前ですが、皆様おそろいですので、ただいまから、第9回労働政策審議会人材開発分科会を開催いたします。本日は、お忙しい中お集まりいただきまして、大変ありがとうございます。
本日の出欠状況ですが、三村委員、髙田委員、美野川委員が御欠席です。
議事に入る前に、事務局に人事異動がありましたので、紹介させていただきます。吉本人材開発統括官、山田審議官、青山人材開発総務担当参事官です。
では、事務局を代表いたしまして、吉本人材開発統括官より御挨拶をお願いいたします。
 
○吉本人材開発統括官 改めまして、恐れ入ります。人材開発統括官を拝命いたしました吉本です。私は、前身の職業能力開発局には何回かいたことがあるのですが、前回勤務から5年ほどたっております。そのときからの先生方もいらっしゃいますが、引き続きどうぞよろしくお願い申し上げます。
この間、人材開発に対する要請もいろいろな形で変わってきているかと思いますが、働き方改革を始めとし、人づくり革命、人生100年時代といったようなことで、それぞれ人材開発が密接に関わる流れだと考えております。この分科会でも、ここ当面の間は教育訓練給付の専門実践のほうの御審議を頂いたと聞いておりますが、本日からは一般教育訓練給付の拡充についての御審議ということで、これを始めとして分科会の皆様にはいろいろな分野について御審議を賜ることになろうかと思いますけれども、引き続きどうぞよろしくお願い申し上げます。
 
○小杉分科会長 どうもありがとうございます。それでは、議事に入ります。本日の議題ですが、「一般教育訓練給付の拡充に係る対象講座について」です。内容について事務局から説明をお願いいたします。
 
○伊藤若年者・キャリア形成支援担当参事官 若年者・キャリア担当参事官です。それでは議題に関わりまして、お手元の資料1-1~1-3及び参考資料2を用いて、私のほうからまず御説明を申し上げます。今、統括官から申し上げたように、教育訓練給付制度に関しては専門実践教育訓練を対象に、制度創設から3年後の見直しという位置付けで本年2月以降、本分科会で集中的に御審議を頂き、前回の第8回分科会において告示、改正案の諮問・答申に至ったところです。改めて御礼申し上げます。
本日からは、「人づくり革命基本構想」等の政府方針を踏まえ、一般教育訓練給付の拡充に係る対象講座の在り方について御審議いただきたく考えているところです。本日は初回ということで、改めて一般教育訓練及び同給付制度、指定講座、受講・受給者の実態、関連する制度あるいは想定される論点などについて、まずは事務局から御説明申し上げて、それを踏まえて幅広く御審議いただければと考えているところです。
まずは、資料1-1に基づいて順次御説明したいと思います。1ページが今回、御審議いただく前提となる一般教育訓練給付の拡充に関する各種の政府決定の概要です。本年6月の第7回分科会においても、人づくり革命基本構想等については概要を御説明申し上げたところです。この約半年間にわたる人生100年時代構想会議における審議を踏まえて、去る6月に人づくり革命基本構想が取りまとめられ、その大きな柱の1つとしてリカレント教育が位置付けられています。
この教育訓練給付の拡充に関しては、大きく2点あります。1つは、この間に御審議を頂いた専門実践教育訓練給付の対象講座の拡大という方針です。講座の「また」書きが今回御審議を頂く前提に属する部分です。一般教育訓練給付については、対象を拡大するとともに、ITスキルなどキャリアアップ効果の高い講座を対象に、給付率を2割から4割へ倍増すると。この一般教育訓練給付の給付率引上げの対象にふさわしいITスキルなど、キャリアアップ効果の高い講座の考え方に係る指定基準等について、本分科会において御審議を頂きたいという考え方です。
ちなみに、これに関連する事項として、文科大臣が認定した講座について、社会人が通いやすいよう講座の最低時間を120時間から60時間に緩和する、併せて受講者の大幅増加のための対策を検討するといった内容も盛り込まれているところです。人づくり基本構想に盛り込まれた内容がその下にある、いわゆる「骨太2018」、また「未来投資戦略2018」、いずれも6月15日に閣議決定されたものですが、ほぼそのまま反映されているという構図です。
続いて、2ページ以降の資料に基づき、現行の一般教育訓練給付制度の概要等について御説明いたします。2ページが給付制度そのものの概要です。平成10年に創設された制度です。現行、この給付金に関しては、当該教育訓練に要した費用の20%相当、上限10万円という給付水準になっているところです。近年の受給者数、支給金額等の実績についても下表に掲げさせていただいているところです。近年の受給者数の微減傾向に関しては、専門実践教育訓練に一部移行したものもあること等が影響していると見立てているところです。
3ページは、この給付の対象講座の指定基準の概要です。次ページにはその変遷がありますが、3ページにある内容が現行の指定基準です。ポイントだけかいつまんで申し上げると、訓練内容については、公的職業資格等の取得を訓練目標とするもの、ないしはこれに準じ、訓練効果の客観的な測定が可能であるものを対象とし、趣味的、入門的水準の訓練は除くという考え方です。訓練期間に関しては、通学制を例に取りますと、訓練時間が50時間以上というジェネラルルールを設定した上で、公的職業資格を取得できる課程等に関しては、この下限を適用しないといった基準設定になっております。
訓練実績ですが、○3の資格取得を目標とするものに関しては、当該資格の受験率が50%以上、ちなみに専門実践については同じ基準について80%以上という基準を設定しております。合格率については、全体の平均合格率の80%以上、同じく専門に関しては平均合格率そのものの水準以上となっています。このような基準を設定しているというところです。
4ページでは、一般の対象講座数等の推移をお示ししています。平成10年の制度創設時からの推移で、下の赤線が教育訓練施設数の推移でして、こちらについては比較的コンスタントな推移になっております。これに対して、紺の線で示している指定講座数については、かなり大きなアップダウンを示しています。平成10年の創設時は3,000強であったものが、平成13年には一時2万2,000強になり、その後、平成21年にかけて約5,000講座にダウンし、その後少しずつ伸びて、直近の状況として1万1,000余りということです。
講座数の増減に関しては、制度そのものの普及という観点以外に大きくは2つの要素が影響しているものと解しているところです。1つは指定基準の改正で、その主なポイントだけ下の表に掲げさせていただいたところです。制度創設時から平成13年にかけて、大学院修士課程の指定対象への追加等、幾つかの対象講座の拡充、拡大の方向での指定基準の見直しを行いました。その後、本制度に係る様々な議論を踏まえ、4行目以降ですけれども、語学関係の講座についての基準の引上げ等の厳格化の方向性での見直しを数次にわたり実施したところです。平成21年には、先ほど申し上げた公的資格取得を目標とするものについての下限時間数の撤廃等の、これは緩和の方向と申し上げてよろしいかと思いますが、見直しを行っております。こうした指定基準の厳格化や緩和が1つには影響を及ぼしていると思います。
それから、今回の資料には、明確にはお示ししておりませんが、給付率、額に関しても本制度に係る様々な議論や実績等を踏まえ、見直しをしてきた経過があります。今日は口頭で大枠だけ御説明申し上げます。制度創設時は給付率80%で上限は20万円という制度設計でしたが、平成13年には同じ80%で、上限額を30万円に引上げをしたところです。その後、平成15年に被保険者期間によって20%で10万円、若しくは40%で20万円という引下げを行い、更に、平成19年には20%で10万円に一本化ということで、ただいま申し上げた給付率、額の見直しと、先ほど申し上げた指定基準の変遷が、この講座数と、この後申し上げる受給者数にもダイレクトに影響を及ぼす構造であるということです。
具体的な対象講座の内訳に関しては、5ページを用いて説明いたします。ただいま申し上げた基準の下で、現在1万1,000余りの講座が指定されているところです。分野別に見た場合には、輸送・機械運転関係が6,000ということで半分強を占めている状況です。その内訳としては、ここにあります大型一種、中型一種、あるいは普通二種など、自動車運転免許系がその中でも多数を占め、いわゆる重機運転に係る技能講習等がそれに次いでいるという状況です。
大きな分野別で見てこれに次ぐのは、その下の医療・社会福祉・保健衛生関係、これが2,700余り、介護職員初任者研修等です。これに次いで専門的サービス関係が600余り、いわゆる「士」資格取得を目標としたものが多数を占めている状況です。次いで、情報通信関係が300余り、ここにありますようなMOSあるいは情報通信技術者に関わる資格取得を目標としたものが一定数を占めている状況です。さらに、右側にある技術・製造関係、事務・語学関係等がこれに次ぐという構造です。
続いて、これら講座ごとの受講・受給者数に関して6ページの表にお示ししております。下の注書が若干不正確ですので補足を申し上げると、受講開始時点で離職中であった者、在職中であった者別に、右側にあるような時点の定義のもので資格等別にそれぞれ上位のものを掲示しているということです。在職者に関してはこちらにありますように、大型一種、介護職員初任者研修、中型一種等が上位に位置しています。これら資格、講座の種別に関しては、右側にあります離職者についてもおおむね同等上位に付けられているものです。
これに対して、在職者、離職者で少し特徴の異なる資格等分野もあります。TOEICは在職者の第2位、あるいは第5、6位の宅建、社労士といった資格に関しては在職者では最上位ですが、離職者ではそれほど上位には位置付けられていないと。逆に、離職者のほうを御覧いただくと、2位のフォークリフト、4、5位の大型二種、大型特殊といったものに関しては離職者では最上位ですが、在職者ではそれほど上位には位置付けられていないということで、在職者と離職者で目標資格別の受講者数の多寡は、共通する部分と少し特徴的な部分が見られるというところです。いずれにしても、トータルで見ると1万1,000余りの講座数に関して、10万人弱の受講・受給者ということですので、1講座当たりの平均受講・受給者に関しては10人弱ということで御理解いただければと思います。
続いて7ページ以降で、雇用保険データを用いた一般教育訓練給付の受給者の属性について分析をしております。8ページの専門実践の受給者プロフィールと適宜対比しながら御覧いただければと思います。まず性別ですが、一般の男女比で見るとほぼ同数です。ちなみに専門に関しては、看護師資格が多数を占めるなどの影響もあり、女性が6割弱、それと比較すると男女ほぼ同数ということが一般の特徴です。
受講開始時の就業状態に関しては、在職が84%で離職が15%強という状況でして、こちらも専門実践は離職者が4割を占めるのに対し、在職者の比率がより高いと。専門の場合は、訓練期間が長期にわたるということで、離職者でなければ物理的、時間的に受講が困難な講座も含まれることなどが影響していると理解しております。
年齢分布ですが、一般については20~50代まで年代ごとに比較的同じ比率で利用しているという状況が見て取れるところです。こちらも専門と比較しますと、専門の場合は50代が8%ということで、40代からがくんと減るわけですけれども、長期のあるいは高額な教育訓練受講の職業生涯の中での回収可能性等の観点から選好がされているのではないかという見立てもしているところです。
続いて、同じ雇用保険データに基づいて、一般教育訓練給付受給者の修了後の就職状況に関わるデータをお示ししています。平成28年度に訓練を修了し、翌年度に一般教育訓練給付を受給した者の平成29年度末時点の就職状況という捉え方です。雇用保険適用就職率という観点では72%余りで、うち正社員就職に限ると40%余りという水準です。右側にありますように、専門との比較という観点で申し上げると、時点の比較の可能性は完全イコールフィッティングではありませんけれども、専門受給者のうち離職者に関しては、雇用保険適用就職率が76%余りで、うち正社員就職率が54%余りでしたので、一般の就職パフォーマンスはそれよりは若干低いと。他方で、教育訓練給付を受給していない雇用保険被保険者であった離職者の一般的な就職率に比べると、一般の受給者が高いという比較的常識的な結果が出ているのではないかという見立てをしているところです。
10ページ以降の資料に基づき、関連する諸制度に関して御説明を申し上げます。先ほど来、資格とのひも付けという観点での説明を申し上げているわけですけれども、国家資格などの資格制度と教育訓練給付対象講座の関連性を概観した資料です。横軸にありますのが資格の種類、公的資格で上の囲みにあるように、業務独占資格、名称独占資格、必置資格、その他というふうに分類可能で、右側に民間資格を掲げております。
縦軸にありますのは、課程と資格の関係です。上にある養成課程というのは、当該課程修了により、資格そのものを取得あるいは資格の受験資格が得られるものです。養成課程以外のものというのは、一般的には試験対策講座等と称されているものということで御理解いただければと思います。このうち、斜線が入っているものが専門実践教育訓練の対象になっているものです。業務独占、名称独占の養成課程のうち、長期でかつ講座ごとに一定の要件を満たすもののみが、この国家資格の関連課程の中で専門に位置付けられているものです。それ以外の白地の部分、例えば業務独占の養成課程で、先ほど申し上げた大型一種等の教習であるとか、あるいは必置の自動車整備士養成課程、さらに、下の養成課程以外の資格取得を目標とした講座、これらに関しては、先ほど申し上げた試験受験・合格率等、一定の要件を満たすものが現在、一般の対象にはなっていると。こうした白抜きの部分を今回の審議の中でどのように評価をしていくのかという1つの論点があろうかと思っております。
右側の民間資格に関しては、高度なIT資格取得を目標とする講座で一定のパフォーマンスを満たすもののみ、これも同じく斜線で表示していますが、ここのみが専門実践教育訓練の対象で、それ以外で同じく一定の基準を満たすものが現在、一般の対象になっているものです。
11ページの資料で、IT関係の資格の構造について別の観点から整理をしているところです。情報通信関係の資格に関しては、経産省、IPA等が開発、メンテナンスをしているITスキルスタンダードによってそのレベルが客観化されているという構造になっております。このうちレベル3、要求された作業を全て独力で遂行できるレベル以上の資格取得を目標とする一定の要件を満たす講座が、先ほど申し上げたように専門実践の第5類型として位置付けられているところです。
他方で、一番下のレベル1、当該分野に関わる最低限必要な基礎知識を有する、いわゆるエントリーレベルのものに関しては、先ほど入門的、基礎的なものについては対象外と御説明申し上げましたが、その考え方により現在、一般も含めて教育訓練給付の対象外という取扱いになっているところでして、その間のゾーンのレベル2の部分の合格率等の一定の要件を満たすものが一般教育訓練給付の対象になっているところです。このITスキル習得に資する講座についての今般の拡充、一般の中での位置付けということも論点の1つになり得るかと考えております。
12ページは、冒頭に御説明申し上げたように、人づくり革命基本構想の中で教育訓練給付拡充以外に、各種の様々な取組についても同じ構想の中に位置付けられているところです。ここでは2つ掲げさせていただいています。1つは、経産省が中心となって現在、開発作業を進めているITリテラシースタンダード及び「ITパスポート試験」の抜本拡充に関してということです。人づくり革命基本構想あるいは未来投資戦略等の中でもAI、IoT等の新技術の急速な進展のもとで、これら新技術を各企業、産業界全体として活用していくことが生産性向上等に大きく貢献する。こうしたいわゆるITリテラシーをIT技術者のみならず、あらゆるビジネスパーソンが身に付けることが必要なのだという観点から、様々な政府方針が策定されているところです。
ちなみに、この政府方針の中で「リテラシー」という言葉が使われておりますので、本資料上も同じ言葉を用いさせていただいていますけれども、リテラシーといった場合には、基礎的能力という一般的な概念もあるのではと個人的に思っていますが、ここで用いているリテラシーというのは、むしろ共通的に求められる実践的な知識、技術という意味合いで使われているものと理解しているところです。こうした意味でのITリテラシーに着目して、その習得の物差しとして「ITリテラシースタンダード(ITLS)」という評価基準を今、経産省において開発途上にあると。
また、このITLSについては1級、2級という2つのレベル設定を想定しているということで説明を受けているところですが、このうち上級レベル、1級レベルのリテラシーを評価する具体的な試験制度として、情報処理技術者試験の枠組みの中で、「ITパスポート試験」を来年度当初から抜本拡充をするという計画で、これについても現在、関係者の協力を得て順次その整備作業が進められており、本試験が立ち上がった暁には、この資格の取得を目標とする試験対策講座の多数開講が見込まれるという説明を受けているところです。
文科省においては、大学、専門学校それぞれをプロバイダーとする社会人向けの職業実践的な短期プログラムを文科大臣が認定をするという仕組みについて整備を進めているところです。既に専門実践教育訓練の対象課程類型に位置付けられている「職業実践力育成プログラム(BP)」は、大学等高等教育機関がプロバイダーとなるところです。
また、先の専門実践教育訓練の3年後の見直し審議の中で御説明を申し上げた専修学校がプロバイダーとなる「キャリア形成促進プログラム」は、それぞれ教育訓練プログラム内容の職業実践性について、様々な基準の下で文科大臣が認定をするという仕組みですけれども、これら大学、専修学校等がプロバイダーとなった職業実践的なプログラムについて、在職者が物理的に受けやすいという観点プラス、一定分野で既に相当な職業経験なり資格なりを有する方を対象に、更に先進的な知識、技術というものをコンパクトに受講する機会を提供する等の観点から、これまでの職業実践力育成プログラムに関して120時間以上といった時間数の下限を設定していたところですが、この時間数下限に関して60時間以上に緩和をするという計画です。こうしたより短時間の職業実践的なプログラム等に関しても、今回の審議の中でどのように評価をしていくのかという論点があろうかと思っております。
ただいま申し上げた一般教育訓練給付制度の下での指定講座や受講・受給者の実態、関連する諸制度の説明なども踏まえて、13~15ページに、今回事務局として本分科会において御審議を頂きたいと考えております論点(案)というものを整理させていただいています。
13ページでは、冒頭に申し上げた人づくり革命基本構想の中で、教育訓練給付に関わる課題のポイントを改めてお示しするとともに、(1)の3つ目の○ですけれども、専門実践3年後見直しの本分科会の審議の中で、人手不足分野での就職に直結する訓練など、社会的に人材確保・育成の要請が高い分野の受講支援を拡充すべきという御議論を頂いたということで、この点についても論点の中で触れさせていただいているところです。その上で、14、15ページにかけて、こうした政府方針に基づくリカレント教育ニーズに対応する上で最も手厚い支援制度である専門実践教育訓練については、中長期キャリア形成に資するという制度目的に鑑みて、特に専門性の高い長期のものに基本的には限定ということで、教育訓練給付制度全体の中で就職、キャリアアップに結び付く可能性の高い訓練について支援を行うということが考えられるのではないかといった点について、論点(案)として触れさせていただいているところです。
(2)が特に具体的に御審議いただきたいと考えているポイントです。2つ目の○の中で、人づくり革命基本構想あるいはこの間の本分科会での御審議を踏まえ、求められる訓練受講ニーズへの対応という観点から、教育訓練の目標と、取得を目指すべき資格の性質あるいは教育訓練そのものの質確保の仕組み等に照らして、就職、キャリアアップへの結び付きがより高いもの、また、教育訓練のパフォーマンス、先ほど来御説明申し上げているような、例えば合格率、就職率などの観点から一定水準以上のものをキャリアアップ効果の高い講座と捉えるということが考えられるのではないかといった点をお示しした上で、更に次の15ページですけれども、例えばということで、資格の社会的効果が客観化、明確化されている国家資格の取得を目標とする教育訓練、当然、専門の対象外ということですが、こういったものを対象として検討することが考えられるのではないか。あるいは人づくり革命基本構想等を踏まえ、社会人の学び直し機会として整備が計画をされている教育訓練についても、対象として検討することが考えられるのではないかといった対象課程類型についての幾つかの試案を御提示しているところです。
講座ごとの評価基準という観点では、次の○ですけれども、対象とする教育訓練の目的、実態などに応じて時間数等の要件、また、教育訓練のパフォーマンスを評価する指標や評価の水準の在り方などについて検討する必要があるのではないかといった論点を提示しております。
さらに、次の○です。専門実践教育訓練に関して、適宜16ページの概念図も御参照いただければと思います。御案内のように、中長期キャリア形成に資するという観点をより確実に保障するという観点で、現在の専門実践教育訓練に関しては、先の審議の中で追加が予定されているものも含めると7つの課程類型を対象としていると、いわゆる「ポジティブリスト方式」です。この拡充一般の質を保障していく、紛れが発生しないという観点から今回、御審議いただく拡充対象の一般教育訓練プログラムについても、課程類型を専門と同じような考え方の下で、ポジティブリスト方式で明確化をする形態が考えられるのではないかといった点についても併せて御提示しているところです。
さらに、「その他」ということで、当然のことながら教育訓練給付制度の中で専門、今あります一般2割、それとの対比の中で拡充4割を想定しております一般教育訓練給付、3つの制度について全体整合的な整理が必要ではないかという視点。さらには、専門の審議の中でも御検討いただいたキャリアアップ効果を高めるという観点からの訓練前キャリアコンサルティングの活用の在り方といった点についても論点(案)として御提示しております。
16ページの資料は、今ほど申し上げた論点(案)を概念図に落とし込んだものです。うち右側の専門実践教育訓練に関しては、先の3年後の見直しの審議を通じてまとめていただいたものを要約したものです。左側にありますのが現行の2割給付の対象の一般教育訓練です。それとの比較で申し上げると、今回、給付率2割から4割に引上げの対象となる教育訓練については、雇用の安定、就職促進に資する教育訓練であると。当然、専門実践教育訓練制度、中長期キャリア形成に資するような特に専門性が高い、あるいは特に長期というものには該当しないのだけれども、この太字で表示している特に就職実現、キャリアアップとの結び付きの強さを客観的に評価できる、少し平たい言葉で申し上げると、就職即効性あるいはキャリアアップ即効性が高い講座という言い方もできるのではないかと考えております。
これは、あくまでも事務局としての試案として御説明を申し上げているわけですが、そういったものを保障する具体的な仕組みとして、その下にあります信頼性、市場価値が特に高い資格の取得に結び付くもの、あるいは就職、キャリアアップへの結び付き等の観点から、資格取得に準ずるものとして国が認定等を行うものなどが検討の対象として考えられるのではないかという1つの考え方をお示ししたものです。
なお、この度の一般教育訓練給付の拡充に関わる議論のうち、給付制度の設計そのものに関しては、申し上げるまでもなく労政審の中でも雇用保険部会で御審議いただく事項です。資料1-2ですけれども、雇用保険部会においては去る8月22日に本議題に関わる審議が既にスタートしているところでして、本資料は雇用保険部会における論点(案)です。今回、特に御紹介しなければいけないのは、下半分の一般教育訓練給付についてということで、人づくり革命基本構想等を踏まえ、給付率引上げの対象とすべき「キャリアアップ効果の高い講座」として、どのようなものが考えられるかを人材開発分科会において議論していただくこととしてはどうか。また、高率の一般教育訓練給付の詳細な制度設計について、現行の一般教育訓練給付制度を基礎としつつ、議論すべき点はあるかという論点提示の下で、雇用保険部会での議論がスタートしているところです。
この際の審議において、雇用保険部会長より、同部会での議論のうち人材開発分科会においても共有すべき議論については、人材開発分科会においてもしっかり報告をされたい旨の御指示を頂いているところです。その御指示を踏まえまして、本日の一番最後の参考資料2ですが、先の雇用保険部会における意見、ただいま申し上げた部会長の指示の趣旨を踏まえ、事務局雇用保険課の責任において整理したのが参考資料2です。
大きくは3点です。ポイントだけ申し上げると、1つは一般教育訓練給付の給付率引上げの対象となる「キャリアアップ効果の高い講座」について、本分科会においてキャリアアップ効果の定義や、公平性、納得性のある判断指標の策定をお願いしたいといった点。また、それと関連する内容ですけれども、できるだけ客観的なものを設定していく、雇用保険財源であることにも鑑み、より納得性の高い、公平性の高い、社会的に必要とされているものを含めてキャリアアップ効果の高い講座についての指定に向けた議論をしていただきたいと。3つ目の○ですけれども、今後ますます人手不足になることが想定される中で、生産性向上という観点が重要である、あるいは地域経済への寄与、具体的には、人手不足の業種、地域への対応、そうした観点にも配慮した上で人材開発分科会で議論していただきたい、といった御議論が雇用保険部会においてなされているということを御紹介、御報告申し上げたいと思います。
なお、1つ飛ばしてしまいましたが、資料1-3に関しては、いつも本分科会でも御説明申し上げております一般、専門も含めた教育訓練制度の概要に関して、前回の3年後の見直しの中で御議論いただいた平成31年4月適用予定の内容も踏まえまして、制度全体の整合性という観点から適宜御参照いただくために、参考資料として御提示したところです。
資料説明は以上ですが、時間の関係で雑駁あるいは若干分かりにくい説明もあったのではないかと思っております。そうした部分については、適宜この後の質疑の中で補充をさせていただければと考えているところです。御審議のほど、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
 
○小杉分科会長 ありがとうございました。それでは、皆様からの御質門、御意見という時間になりますが、今回、一般教育訓練給付金の拡充について初めての議論でもありますし、論点案も初めて示されたところですので、少し分けて議論したいと思います。まず最初に、全般的な質問という形のものをお聞きして、その上で、論点案に沿ってパートを分けて議論していくほうがいいかと思うのですが、よろしいですか。まず質問ということで、今の説明の中で分かりにくかった所などありましたら、最初にお聞きしておきたいのですが、いかがでしょうか。
 
○松井委員 最初に、確認です。キャリアアップ効果の高い講座の給付率を2割から4割に拡充という御説明がありましたが、給付上限額の10万円についてはどうされるのかを確認させてください。
 
○伊藤若年者・キャリア形成支援担当参事官 この点に関しましては、この人づくり革命基本構想及びこれを踏まえた閣議決定の中では、2割から4割倍増という政府方針が示されているところです。上限額については、これら基本の政府方針の中で明確化されているものではありませんので、ただいま、委員から御質問のあった点については、正に給付制度の設計そのものに係る議論ということで、もちろん、人材開発分科会における審議等、今日も雇用保険部会の御意見について御報告を申し上げましたように、適宜連携を図りつつということではありますが、基本的には雇用保険部会において審議がされる事項であると人開事務局としては理解をしているところです。
 
○小杉分科会長 よろしいですか。ほかに、御質問というレベルのものはありますか。ないのでしたら、御意見を伺うというパートに入りたいと思います。基本的には、この論点案に沿ってやりたいと思いますが、よろしいですか。この論点案を外れたものがある場合には、最後の「その他」の所でお願いしたいと思います。では、資料13ページから論点案というのが出てまいりますが、最初の(1)の部分までです。基本的な考え方という所ですが、この考え方に関して御意見等ありますでしょうか。
 
○上野委員 給付の考え方についてです。給付に関しては、今後、雇用保険部会の中で議論されますが、一般教育訓練給付は雇用保険制度の一部であり、財源は労使の雇用保険料にあります。第4次産業革命の中で、日本のものづくり産業をしっかりと世界の中で輝かせていくためにも、ITスキル向上の取組については、国が責任を持って推進していく必要があると考えております。また、ものづくりから出てくる様々なデータを、ビッグデータとして日本の産業界全体で共有し、AIなどで磨きをかけていくことで日本のものづくりのレベルを上げていかなくてはなりません。こうしたことは、国の政策としても大変重要であり、広くITスキルなどの向上を目指すのであれば、本来は雇用情勢の影響を受けやすい雇用保険を財源とするのではなく、安定的な財源を確保するべきではないかと考えております。
したがって、一般教育訓練として給付拡充を検討するのであれば、あくまでも雇用保険制度の観点から、高いアウトプットを出している受講講座に限定したものでなければならないことを申し付けさせていただきます。以上です。
 
○小杉分科会長 基本的な考え方の御意見です。よろしいですか。ほかにございますか。
 
○小松委員 16ページの資料によると、本日議論しております4割給付の対象は、リカレント教育を推進するという方式に沿うことから、IT関係の訓練が中心と見受けられます。一方で先ほどの論点案の中で見ると、人手不足の分野の就職に結び付く訓練も拡充すべきではないかと書かれておりますので、この観点は、重要な点の1つと考えております。しかしながら、人手不足の業種は経済動向や産業構造の変化や地域特性によって変化しますので、4割に上げたとしても、その変化に対して柔軟な見直しをすることを前提に、4割給付の引き上げを行う必要があると考えます。
 
○小杉分科会長 分かりました。この書き方だと、人手不足分野がちょっとクローズアップされていないので、もっとそこをきちんと書き込んでくれということですね。ほかに、考え方全般についてはいかがでしょう。
 
○大久保委員 一般教育訓練の給付に関しての議論は本当に久しぶりで、最初にこれのルールの議論をした当時と現状とでは、大分、政策のもともとの意図も変わってきていると思うのです。これはデータで先ほどお示しいただいたとおり、離職者は15%ぐらい、在職者が85%を占めていて、今回、100年構想会議に出ているものも、基本的に社会人のリカレント教育のほうに視界を持った形で、かつ専門実践でやったことが一方である中で、どういうバランスで一般教育訓練を位置付けていくのかという議論になっていると思うのです。そういう目で、もう一回この講座全体の考え方を見たときに、実際に行われている自己学習、自己啓発の実態と、このポジティブリスト化されている一般教育訓練給付の対象講座との間には、私はやはりそこそこのギャップがあるのではないかと。一般の個人が求めているニーズ等と、これの間の差をちゃんと見たほうがいいのではないかと思うのです。
それは具体的にどういう話かと言うと、例えば、能力開発基本調査を見ると、個人が取り組んでいる自己啓発に掛けているお金は、大体1万円とか2万円ぐらいのレベルで、それに対象として掛けている時間数とかも含めても、この対象講座のような、例えば離職者が本格的に何かを一から学んで、その学習をそのまま自分の職業にしていくという感じのものよりも、どちらかと言うと、現状に就いている職業に対してもう少しレベルアップをしていったりとか、あるいは、新しい環境の変化とか技術の変化に適応していくために自己学習をするというもののほうが実際の個人の学習の実態なのです。
ですので、在職者向けにリカレント教育といった場合については、もう少し対象講座の裾野が広くならないと、実際の個人のニーズとの間には少しギャップが存在しているのではないかと思うのです。例えば、その中で、これを一番最初に決めたときには、確かに基礎的講座については対象外ですよとしているのですが、何か自分が担当している職務の中で、そのことのレベルアップを図るために、例えば周辺的なことも含めてもうちょっと学習しようとか、そういう自己学習の動機ができたときに、対象となるものが余りにもそれ単独で収入を得るような職業のものであったりとか、あるいは、かなり長時間にわたって学習しなければ履修が完了しないようなものばかりだと、実際に個人の自己啓発ニーズとはちょっと離れてしまうのではないかと思うのです。
それに関連して、私の所でも、個人の学習行動のパネル調査を使った分析などをやりましたが、社会人はそれほど学習習慣が身に付いているわけではありません。延々学習し続けるみたいな行動は取れない。もう少し簡易なものでないと途中で挫折してしまう人たちが多い中で、下限をかなり上の所で切っているのですが、本当にそれでいいかどうかは、改めて、現在のニーズとの関係の中で考え直したほうがいいのではないかと思っています。
あと、人生100年の中で言えば、当然ながら、若年の人たちに対するニーズだけではなくて、もう少し年齢が高い人のニーズもあるわけで、以前にこの場でも申し上げましたが、ある程度経験を積んだシニア層、例えば50代ぐらいの人になってくると、定年前学習は、それまでやってきた経験と全く違うことをゼロからやるというよりは、現在までに培ってきたスキルに少しプラスアルファすることで自分の活躍の場を作っていくような追加的な学習が主体になりますから、そういう場合も、全くゼロから始めて、一からプロになるという感じのものとちょっとニーズも違うのです。そういうところまで見た上での講座指定の考え方を作るというように検討してみてはどうかということを、意見として言っておきたいと思います。
 
○小杉分科会長 20%から40%という話よりは、もっと本格的に基本的なニーズに対応しているかどうかから考え直すべきということですね。
 
○大久保委員 対象講座の拡大についての意見です。
 
○伊藤若年者・キャリア形成支援担当参事官 この度の検討の前提となる重要な点について、御指摘、御意見を頂いたものと承っております。私ども事務局として把握をしております自己啓発の実態なり課題ですが、年に1回の能力開発基本調査の中でも報告をしているところですけれども、自己啓発、能力開発基本調査上も多義的ではありますが、正社員に関しても、大体、この自己啓発実施率というのは40%台にとどまっている状況です。この自己啓発が困難という方に関しては、多くの方が、時間的、経済的理由を抱えている。その他の調査では、少しまた違う傾向の報告もあると聞いておりますが、能開基本調査上は、そのような結果が出ております。また、費用を掛けた実態についても、もう既に大久保委員からお話がありました。実は、この自己啓発の中には、費用を掛けていないゼロ円というものも含めての、先ほど申しました40%台でして、ゼロ円というものが大体30%、それから、お金は掛けているけれど2万円未満というのは、大久保委員からも御指摘がありました40数%と、自己啓発の中での分布を見た場合には、比較的費用を掛けていない自己啓発が多いと。
その中で、教育訓練給付制度については、今日、資料の中でも御説明申し上げましたように、一般が約10万人、専門のほうが今、かなり伸びてきておりますが、年間3万人強。ですから、労働者全体の自己啓発の中で、一般、専門も含めた教育訓練給付制度は、比較的高額、長期、あるいは本格的な教育訓練受講に関わる支援制度として現在機能しているというのが、まず全体的な見立てではないか。
したがいまして、労働者の自己啓発の環境整備という観点では、もちろんその中心的な仕組みとしてはこの教育訓練給付制度。経済的な理由によって、必要とする、希望する教育訓練受講がかなわない方に対する支援制度としてのこの制度の重要性というものは、当然あるわけですが、より幅広いアプローチが必要であることは当然であろうと。1つの例を挙げれば、同じ人づくり革命基本構想を踏まえまして、在職中の方で、時間的な制約によって教育訓練受講が難しい方を対象とした、それぞれの企業における教育訓練休暇制度の普及などの取組も、今、並行して進めているところです。
また、学びの機会、あるいは、私ども人材開発統括行政の政策手段という意味では、例えば離職者の方向けには、当然、公的職業訓練があったりということで、環境整備の部分、それから対象層に応じた教育訓練受講の支援、あるいは、教育訓練の機会の直接な提供、幾つかの手法があって、この全てを精緻に整理をするというのは、率直に言って、非常に難易度の高い話ですが、今回、自己啓発の実態、課題に関わっての御指摘もあったところですので、本日、御説明を申し上げましたような自己啓発の実態、課題に関わる資料とか、それから、自己啓発に関わる受講ニーズ、課題に、教育訓練給付制度で全て対応していくという考え方では、私どもはもとよりありませんが、その中で、教育訓練給付制度が、さらに、今回中心的に御審議を頂く拡充、4割給付を予定しております一般教育訓練給付制度で、どのようなニーズ、それに対応した教育訓練、その中には、今、御意見を頂きました教育訓練のレベルであるとか、分野であるとか、幾つかの切り口があるのではないかと考えております。
これはまた、こうしたニーズの構造を簡潔に示すことは、なかなか技術的に難しい部分もありますが、ただいまの大久保委員の御指摘、あるいは今後の各委員の御意見も踏まえた上で、そうした全体構造、あるいは、拡充一般教育訓練給付制度周りの部分も少し俯瞰できるような材料について、事務局としても資料整備を工夫をしながら更に御審議いただければと、ただいまの意見を踏まえて考えているところです。
 
○大久保委員 ちょっと補足的によろしいですか。もともと、一般教育訓練給付の議論をしたときにはこれしかなかったので、この1つの制度でなるべく幅広くいろいろなものをカバーしようとして制度設計をしてきた。ただ、その後に、専門実践教育訓練給付の制度が出来て、中長期的なキャリア形成に資する本格的な教育訓練に関しては、かなりこれで賄えるような構造を作ってきたということなのです。この一般と専門のすみ分けをするためには、一般のほうが、もう少し教育訓練について慣れていない、自己啓発についての行動を余り習慣に身に付けていない人、下側をちょっと拾いに行って広くニーズに応えるという観点が大事だと思いますので、一般と専門というものを、どうやってこれをすみ分けて、両側でそれぞれのニーズに対応するかというバランスを是非見ていただきたいと思います。
 
○伊藤若年者・キャリア形成支援担当参事官 そういう観点も含めて、工夫を試みてみたいと思います。
 
○松井委員 今の関連ですが、一般教育訓練は、御指摘のとおり在職者の割合が非常に高いということで、教育内容等を見ていった場合、自己啓発としてというお話でしたが、本来、企業が企業負担で受講させるような講座、喀痰吸引ですとか危険物取扱いですとか、そうしたものも含まれているような気がします。実際、自己啓発と言いながら企業が一部負担している部分もあるのではないかと思いますし、同じ講座について、同じ在職者でも、企業が費用を払って受けている方もいれば、個人で受けている方もいるのではないかと思います。
その場合、一般教育訓練給付の効果を考えたときに、仮に企業が負担をしている割合が高ければ、結果的にそこの部分を置き換えてしまうだけになりますし、今回の2割から4割への引き上げについても、仮にそうした講座が対象ということであれば、結果的には、給付を増やした部分も、企業が負担していた部分が軽減されるだけに終わる可能性もあるかと思いますので、そうした、実際に費用負担をどうしているのかということについて、もう少し何か調査なり、資料があればお示しいただければということです。
もし企業が負担する場合が多いのであれば、受講促進に向けた支援として、一般教育訓練給付の給付増加ということだけではなくて、先ほど参事官からもお話しがあった、時間面での企業への支援ですとか、別の面での企業への支援ということも考えられるのではないかと思いますので、そういう意味で、幅広く検討する必要があるのではないかと思います。
 
○伊藤若年者・キャリア形成支援担当参事官 御指摘ありがとうございます。教育訓練給付制度の運営の中では、それに付帯をしての、企業費用補助の実態について直接補足をすることはできませんが、先ほど大久保委員のお尋ねの中で御紹介しました能力開発基本調査の中では、「自己啓発にかかった費用の補助の実態」という調査項目もあり、その中では、教育訓練給付制度による補助以外に、勤務先の会社による補助といった回答項目もあります。能開基本調査の中では、一定、実態把握が可能な部分ですので、こういったデータも次回に御提示したいと思っております。
簡潔に傾向だけ申し上げますと、何らかの企業支援を受けているというケースは相当程度ありますが、金額に関しては、一般教育訓練給付受講講座を念頭に置いた場合、一般教育訓練給付の平均的な受講費用に関しては、今日の資料でダイレクトには出ておりませんが、2ページに、平均支給額ということで、これはほぼ横ばいでして、4万円弱という水準の実績になっております。支給率については2割ですので、逆算をして、受講料としては20万円弱が平均的な水準というのが今の教育訓練の実態です。こうした受講料の水準との関わりで言いますと、能開基本調査から一部見える企業費用負担の実態はごく一部にとどまっていることなのかと認識しています。そうした点も含めまして、次回また資料の御説明をしたいと考えております。
 
○村上委員 先ほど大久保委員から、一般教育訓練給付の全体像を見直すという際には、働く人のニーズというものも十分酌み取って議論すべきではないかというご意見があったことについては、そのとおりだと思って聞いておりました。そうしたことを考える場合には、多分、次回以降に出していただけるのかとは思いますが、5ページと6ページに現在の一般教育訓練の対象講座の例がありますが、やはりこれは抜粋したものなので、講座全体について検討をするのであれば対象講座の全体像と、それぞれどのぐらいの方が受けているのかも拝見しながら、多分、受講やがとても少ない、ニーズが余りないような講座もあるのではないかと思いますので、そうしたことも併せて検討していくべきではないかと思います。
それから、教育訓練の話になると、やはり人材育成はこれからとても重要だという総論は皆さんおっしゃっていて一致するのですが、念頭に置いている労働者像や、どれぐらいの方々を受講対象として思い描いているのか、若い人なのか中高年なのかということもありますが、どのくらいのレベルの技能、技術の人を念頭に置いているのかということで議論のイメージがかなり変わってくるので、そうしたことも意識しながらの議論にしていかないと、なかなか具体的なイメージがつかめないことになってしまうのではないかと懸念をしているところです。
また、13、14ページの論点案の考え方についての議論をという座長からのお話でしたが、多分、13ページまでは、現状、ほかの文書で述べられているところまでを抜粋されているので、14ページからが論点かと思います。受講インセンティブを強化していく必要があるということと、○の2つ目の所で、給付拡充の対象とする講座について「次のようなニーズに応じた教育訓練の受講とすることとしてはどうか」として3点書かれておりますが、現在、議論をスタートする段階で、ここまで対象を絞って議論をする状況ではなく、この点については、引き続きの議論行うべきではないかと考えているところです。以上です。
 
○小杉分科会長 ありがとうございます。話が(2)のほうにも移っていますので、こちらのほうにも話を膨らませて、どうぞ皆さん御議論ください。今、事務局から、パフォーマンス、○1○2と基準の考え方が示されていますが、まだ○2まで議論をする状況ではないのではないかと、そういう御意見です。
 
○河本委員 先ほどからの議論の中にも少しあったと思うのですが、やはり情報社会から、今度AIとかによって、無くなるというか、求められるものが変わってくる。かつてもそうだったと思うのですが、仕事がなくなるわけではなくて、その構造が変化をしていく。その構造が変化したときに、企業とか会社で働く人たちにどういうスキルが求められるのかを少し洗い出した中で、そこに必要なものを、資格の取得とかと話をしないと、現状からの必要な資格、スキルということとはちょっと違うアプローチが必要なのではないかと感じます。そしてそれが、大久保委員がおっしゃるように、個々人のニーズ等もそうだし、社会の要請等も変わる。それはAIによって人間が切り捨てられるのではなくて、仕事の仕方、働き方が変わっていくという、今、Society 5.0などの中でなされている議論とうまく合致していくような見付け方をしないといけないのかと。
そうでないと、やはりもともとこの財源が雇用保険を使っているということとの関係性が分からなくなってくるのではないかと思っていますので、そういったアプローチもより強めていただくのがいいのではないか。ですので、人手不足、人手不足という、その人手不足とされるところも構造が変わってくると思いますので、やはりそこを見据えた議論が必要ではないかと感じます。以上です。
 
○小杉分科会長 ほかにいかがですか。考え方、全体というよりはもう具体的な考え方の所でお願いします。大きな基準は、やはり今、おっしゃられたようなSociety 5.0対応という所が正に日本が今、求められているところですが、それを踏まえて、人手不足分野という所ももちろん含めて、新しい技術の方向性みたいなものも見据えながら、今、何をすべきかを考えるべきだと、本当にそうだと思います。
 
○大久保委員 15ページの所に、一番最初に「国家資格の取得を目標とする教育訓練を対象とすることが考えられるのではないか」というポイントや○の4つ目の所に「課程類型をポジティブリスト方式で明確化する形態がふさわしいのではないか」と書いてあるわけです。これは、国家資格を中心に講座の指定を行っているという現状のそのものだと思うのですが、逆に言うと、この10年ぐらいの人材開発に関連した施策の動きを見たときに、様々な取組をしてきたと思うのです。つまり、例えば技能検定に関しても業界検定を作って推進してきた。それを学習することが、訓練を受けることが、その後実際の仕事に直接的に結び付くものだからこそ、業界が検定化していたりしているわけで、そういったものは国家資格ではないのですが、例えば対象にならないのかというようなことも、検討してみる必要はあるような感じはします。
もう1つは、そこにキャリアコンサルティングの活用についても論点に書いてあって、一般教育訓練給付を受ける事前のキャリアコンサルティングの話をしているのですが、一方でちょっと引いて考えると、いずれにしても何かの学習行動を取ってやるということは、自分のキャリア形成というものと非常に密接に結び付いているわけで、例えばキャリアコンサルティングを事前に受けるだけではなくて、そもそもキャリアプランニングとかキャリアデザインに関して、個人が受ける講座みたいなものも1つの課程類型としては対象であってもいいのかもしれないと私は思っていて、どうやったら全体的にこれを有効にして、生産性を上げられるのかという、効率を上げられるのかという観点なのですが、そういった課程類型の考え方もあると思います。例えばとして2つ申し上げましたが、国家資格だけを中心としたものがほとんどのシェアになってしまうと、実態としてリカレント教育の主要な目的とも重ならないところが出てきてしまうので、その辺りのところについても一工夫する必要があるのではないかと思っております。
 
○小杉分科会長 今、具体に対象講座に対する考え方の例が出されました。1つは、IoT、IT等のこれからの必要なものということで、先ほど経産省のITパスポート試験の、あの類の話。それから、かなり範囲が広かったですね、キャリアに対するキャリアプランニング能力のような話ですね。
 
○大久保委員 あと1つは業界検定的な。
 
○小杉分科会長 今進められている業界検定の分野というのを、どれだけ入れていくのか。
 
○伊藤若年者・キャリア形成支援担当参事官 現状についてだけ少しお答え申し上げたいと思います。今、大久保委員からの、国家資格に限定しない、例えば業界検定取得を目標としたようなものなども含めてということに関して申し上げますと、この間の人材開発分科会においても、その都度御報告差し上げていますように、業界検定に関わって予算事業の中での開発を進め、一定の要件を満たしたものに関しては技能検定を指定試験機関方式に移行という大きな流れの中で、現在、技能検定職種は130職種が対象になっていると。その中で、業界検定型、指定機関型のものは少数ですが、今日の資料の5ページに、現行の一般の対象講座をお示ししているわけです。
その中で、例えばこの5ページの資料の真ん中の上段の専門的サービスに、ファイナンシャルプランニング技能検定、これも指定試験機関方式による、私どもは「知的専門職系技能検定」と言うこともあるわけですが、こういったものが20講座余り指定の対象になっています。
先ほど村上委員から御指摘がありましたが、これよりも指定講座数が少ないもののリストというのは、当然業務上ございますので、これはまた次回以降にお示ししていきたいと思いますが、こうした業界検定型の技能検定職種について、その取得を目標とするものが、数としては多くはありませんが、現在一定の対象になっている実態があると。
それをより幅広く捉えるということになった場合に、論点でお示ししている、「例えば、国家資格の取得を目標」の「例えば」の意味としては、国家資格であれば教育訓練そのものの目標と、それから取得をした場合の社会的効果が明確であるという観点で、例示として掲げているわけですが、国家資格以外のものを対象とする場合に、教育訓練の取得目標とか、あるいは教育訓練の質について、どのような観点での評価が言えるのか、私ども事務局としても本日の委員の御指摘も踏まえながら検討したいと思いますし、そうした観点から、またいろいろなお考えで、この場でも御意見いただければ有り難いと思います。
また、キャリアプランニングに関わる各種の研修、個別のキャリコンではない研修形態でのキャリア意識向上のための取組ですが、それぞれの学校のキャリア教育の中で行われたり、あるいは在職者に関しては、これも予算事業の中でしばしば御説明申し上げているセルフ・キャリアドックといった枠組みの中で、企業内で自社従業員を対象としたキャリア研修については、体系的に行われているような事例というものも少しずつ生まれてきているところです。
教育訓練給付の対象というように捉えた場合には、企業内完結ということではなく、当然のことながら所属企業にかかわらず受講できるようなキャリアプランニング講座ということになってくると思います。現状で申し上げますと、そういうものは皆無ではありませんが、教育訓練給付の対象として検討の俎上に乗ってくるような一定の時間数の塊のものについては、まだまだ少ないのかなというのが、キャリア施策も担当している立場で、今、大久保委員から御指摘のあった点についての現状認識として思っているところですが、今日「例えば」ということで御提案を頂いたところですので、これについてまた次回に向けて、実態等の整理を試みてみたいと思っております。
 
○小杉分科会長 ほかにはいかがでしょうか。
 
○松井委員 私の理解が不足しているところがあるのですが、当初の人づくり革命基本構想で示されている、一般教育訓練については対象を拡大するとともに、一定のものについては2割から4割に倍増するということなので、議論の仕方として、対象を拡大する場合の論点ということと、そこから絞り込んで2割から4割にする場合の論点を分けて議論しないと、聞いていてどちらのことを検討しているのかというのが分かりづらくなってしまうので、是非それをお願いできればと思います。
ですから、ある意味では、既存の指定講座でまず2割から4割に上げるものはどういうものなのかということで整理した上で、仮に新しい講座を追加したときに、引き上げの基準に該当しているなら2割から4割にすればいいと思いますし、そこの整理をして議論を進めていただければなと思います。
 
○小杉分科会長 おっしゃるとおりです。今、対象拡大の論点というのが急激に広がったところで、2割から4割については皆さんまだ何もおっしゃっていないと私は理解しています。
 
○伊藤若年者・キャリア形成支援担当参事官 今の松井委員の御指摘、あるいはこの間の御意見の中でも、言わば全体構造整理に属するようないろいろな御意見も頂戴しておりますので、そうした構造整理の中で、今、委員から御指摘いただいた点についても整理を試みてみたいと思いますが、今の一般教育訓練給付の指定基準については、先ほども御説明申し上げましたように、いわゆるポジティブリスト方式ではございませんので、ここで掲げられた一定の基準を満たすものであれば、制度上対象になり得る。ですから、その対象を拡大というのもいろいろな捉え方があり得るわけですが、仕組みとして新しい社会人の学び直しに資する教育訓練プログラムというものを、この人づくり革命基本構想などを踏まえて開発していくという意味では、現時点で視野に入っているもの、あるいは既に計画として具体化しているものとしては、今日文科省又は経産省が今進めている新たな資格あるいはプログラム認定制度、具体的にはその2つぐらいというところです。こういったものを含めての対象拡大の議論と、当然のことながらキャリアアップ効果の高い講座を対象に4割ということです。それが、今の委員の御発言の中で言えば「絞り込み」ということに属する部分なのかなと。この関係性もできるだけ分かりやすい形での整理を試みてみたいと思います。
 
○小杉分科会長 今のところは対象拡大の議論が中心だったわけですが、やはり重要な論点で、どういうものがキャリアアップ効果が高いと認めるのか、その議論について、できれば御意見を頂きたいのですがいかがでしょうか。
 
○荘司委員 (2)の部分についての発言でもよいですか。
 
○小杉分科会長 はい。
 
○荘司委員 幾つか意見があるのですが、まず1つは、「キャリアアップ効果の高い」という部分についてです。この点をどのように担保していくのかというのが課題になっていくのだろうと思います。受講生に占める在職者が多いという場合になると、就職・在職率を見ても、受講効果をそれで測るというのは難しいのかと思います。例示されているITスキルという部分も、民間の資格が多くなるのだろうと思いますが、資格取得がどの程度キャリアアップにつながったたかというのも、個々の資格によってばらつきがあるのだろうと思います。そうした点からすると、例えば求人票に条件として、どのような資格が表記されているのかですとか、そういった部分を踏まえて、必要な指標というものをお示しいただければなと思います。
もう1点です。まずは、対象講座の拡大の検討ということになるのですが、給付率の拡充についても今後検討していくのだろうと思います。そうした中で、専門実践教育訓練には、就職・在職率とか定員充足率というような、具体的な数値目標があると思うのですが、できれば一般教育訓練の中でもそういった指標を検討いただければなと思います。以上です。
 
○小杉分科会長 客観的な数値目標は必要だという御意見ですね。
 
○角島委員 13ページの「教育訓練ニーズの考え方」の○についてです。少し違和感を感じるのが、「人生100年時代で、いつでも学び直しができる」というものが一番最初にくるのかどうか。考えるに、当然、企業として65歳までの雇用というのはほぼ定着しつつあると思っています。それ以降、70歳がいいのか75歳がいいのかというのはあるのですが、そこで言うと、企業なり行政の受け皿というところが非常に不足していると思っています。そのために、もちろん65歳以上の雇用助成金というのがあるのですが、もう1つは公的年金の受給開始の問題等があります。ただ、今回のこの教育訓練のニーズで、引上げ支援というのが一番最初に出てくるのかどうかという疑問だけです。
 
○小杉分科会長 おっしゃるとおりだと思います。事務局からありませんか。
 
○伊藤若年者・キャリア形成支援担当参事官 ただいま御指摘いただいた点に関しまして、今回のこの一般教育訓練給付の拡充そのものの御審議に関して、冒頭に申し上げましたように、人づくり革命基本構想に示された方針にかかわる具体的な制度設計の審議をお願い申し上げたいと。その人づくり革命基本構想の一番の理念として一番最初に出てくるのはという御指摘を頂いた、「人生100年時代における長いスパンでの学び直し」がこの基本構想自体のある種主題であるということで、この論点整理上もそのような編集構成にさせていただいていると。
冒頭の御指摘ではありませんが、その上で具体的な雇用保険制度としての教育訓練給付制度の一環である拡充一般教育訓練については、雇用保険被保険者としての就職あるいはキャリアアップを目指す制度としての在り様、具体的な指定基準の在り方ということで御審議いただきたい。そういう意味では、総論、方向性ということを1つ申し述べた上で、具体的な制度設計議論については、それとは若干仕分けをした上で御審議いただく事項なのかなと。ただ、こういった論点そのものについて誤解を招く余地があるということであれば、更に工夫をしてみたいと思っています。
 
○小杉分科会長 大元がどこかという話のためだけなので、上のほうに焦点を当てた話ではないということですね。そのほかはいかがでしょうか。15ページに掛かって、具体的な論点案が提示されていますが。この議論のためにもっと整理してほしい情報がある、先ほど村上委員から出ていましたが、それ以外にも必要だと思われる情報等がございましたら挙げていただきますと、次の論点までにできる範囲では整理してくれると思います。
 
○村上委員 15ページではないのですが、今後、人づくり革命を踏まえた新たな教育訓練の整備計画として、12ページに経産省、文科省がそれぞれ準備しているITリテラシースタンダード(ITLS)の策定や、「ITパスポート試験」を新しくするといったこと、あるいは文科省による、大学・専門学校による職業実践的な短期プログラムを作っていくのだということが書かれております。しかし、専門実践でも似たような話があったのですが、経産省の進めているITリテラシースタンダードも2019年度の開始ですし、ITパスポートも新ITパスポートとの違いについて、ここで拝見する限りはまだよく分からない部分があります。また、文科省のプログラムのについてほうも受講の効果とか受講ニーズなど、まだ不明な部分が多いのではないかと思っております。
一般教育訓練給付の給付率引上げの対象の候補として記載されているのではないかと思うのですが、本分科会で議論していく際に、どこかの時点で、一度、経産省や文科省の方から御説明いただく機会を是非設けていただきたいと考えております。説明を受ける中で、こういった内容であれば拡充の対象にしていくべきだといったような整理ができるのではないかと思っておりますので、是非そうしたことを御検討いただければと思っております。
 
○小杉分科会長 16ページの所で見ますと、赤い四角の中ですが、今後、給付率の引上げの対象となる訓練の例示の中で、ITリテラシースタンダードとか文科省のプログラムというのも挙がっていますし、おっしゃるとおり、これについてまだ具体的によく分かっていないので、何らかの形できちんと分かるような機会がほしいという御意見ですね。
 
○青山人材開発総務担当参事官 総務参事官の青山です。経産省等に来ていただいてという話もありましたので、審議会の運営等の関係もありまして、私からお答えさせていただきます。確かに、12ページに挙げられているような経産省、文科省で検討されているものにつきましては、今後議論の対象になり得るということで御参考として御提示していますが、もちろん、まずは我々厚労省のほうできちんと内容を確認して、教育訓練給付、特に一般教育訓練給付の対象として、それの考え方、制度の趣旨に合うかどうかを当然検証しなければいけないと思っております。それをきちんと整理できるかを確認しながら、この分科会でも御議論いただきたいというのが基本です。
審議会の運営上、関係者ヒアリングということは排除されていないと思うのですが、当分科会で前例はないのかなというもので、分科会長ともよく御相談して、慎重に考えていかなければと思っております。
先ほど言いましたように、あくまでも教育訓練給付対象講座としての検討ですので、我々で咀嚼して、きちんとこの分科会に提示する責任がある、我々人材開発統括官のほうで御説明差し上げるのが基本かなと思っているところです。他省庁からは、きちんと意見交換をして聞き取りたいと思っております。
 
○村上委員 今のような御説明であれば、制度自体が検討途中で、全体が見えない中で拡充の議論の対象とするということは、やや技術的に無理があるのではないかと思います。制度の中身が決まった段階で検討の俎上に上げていただきたいというリクエストです。
 
○青山人材開発総務担当参事官 もちろん、見えないまま御判断いただくわけにはいかないと思いますので、見えるべく、きちんと他省庁に詳細に聞き取り、我々の中でちゃんと制度の趣旨との関係を十分に検証したいと思いますので、今日の時点では何もお示しできませんけれども、鋭意、スピード感をもって聞き取りながら、御説明できるように努力したいと思っております。
 
○伊藤若年者・キャリア形成支援担当参事官 この一般教育訓練給付拡充に係りまして、想定をされる論点という観点からは、経産省、文科省とも、既にそれぞれこれら制度を所管する部局とのやり取りというのが当然のことながら数次にわたり行っているところであり、本日も今回のこの一般拡充に係る重要な視点について幾つかの御意見を頂いているところですので、そういった視点も踏まえた上で、当然それぞれの制度、もう相当程度今の時点でもう具体化しつつあるものと我々は理解しておりますが、次の分科会において両省の協力を得て、また青山からも御説明申し上げましたように、私どものこの教育訓練給付制度を所管する目線での分析、評価といったものも加えた上で、制度設計なり、あるいは専門実践の際にも「祖型」という言葉もしばしば使わせていただいているところですが、祖型の実態等も含めて、まずはしっかりと御報告申し上げたいと思っております。
 
○小杉分科会長 この2つの話は、20%から40%にという、キャリアアップ効果の高いものの例として考えたらどうかというように挙げられているところですので、どういうものを指定していくのかという、こちらの考え方もしっかりとまとめた上で、両省の制度について、むしろこちらがチェックする、我々の基準に合っているかどうかをチェックするというスタンスが必要ではないかと思います。
 
○大久保委員 「2割4割問題」なのですが、キャリアアップ効果の高い講座というのは極めて分かりにくい表現になっていて、そもそも専門実践のときに、ここでも長期的キャリア形成に資するものとはどうやって測るのだという議論はされていて、なかなか答えが見付からなかったと思うのです「キャリアアップ効果の高い講座」と言っているものを一旦翻訳して、ブレイクダウンして考えてみる必要があるのではないかと思うのです。
参考資料2の中にも、「キャリアアップというよりも、個人の生産性をどのように高めるかという考え方をすべきではないか」というコメントもありますし、もともとの人づくり革命の基本構想の中でも「ITスキルなどキャリアアップ効果の高い講座を対象に」と書いているように、どちらかと言うとキャリアアップ効果の前にITスキルというのが先んじて例示的に挙げられているということもあるので、本来、何を4割支給にするべきなのかというところで、余り「キャリアアップ効果の高い」という言葉に引きづられすぎずにきちんと議論した上でフレームを作ったほうがいいのではないかと思っています。
 
○小杉分科会長 ほかにいかがでしょうか。
 
○松井委員 先ほどの繰り返しになるかもしれませんが、新しい経産省と文科省のものについても、いきなり2割から4割の講座の対象なのですという話と、一般教育訓練給付に入れるのかどうかという話でレベルが違うと思いますので、新しいものがいきなり2割から4割の給付引き上げの対象ですと説明されると、非常に混乱してしまうのではないかと思いますので、是非そこの手順をしっかりと踏まえて議論を進めていければなと思いますので、よろしくお願いいたします。
 
○小杉分科会長 「キャリアアップ効果の高い」ということをもう少し分かりやすくすると、今の議論に応えられることになるのではないかと思います。
 
○伊藤若年者・キャリア形成支援担当参事官 念のために現行制度の説明という観点で申し上げますと、例えば文科省が想定をしているプログラムに関しては、いわゆる学校教育法上の履修証明プログラムという位置付けで、そこに更に文科大臣認定という付加価値を付けようということですが、履修証明プログラムに関しては、現行の一般教育訓練給付の対象講座としても排除はされていないというところですので、今の一般の指定基準を更に厳格にするということであれば別ですが、文科省が開発するプログラムでも、一定の要件を満たすものは今の対象になり得るという構造になっているということです。一応、念のために御報告させていただきたいと思います。
 
○小杉分科会長 今日は最初ですので、思い付いたことはお話しいただいたほうがいいかと思うのですが、いかがでしょうか。
 
○遠藤委員 的確に論点に対してお答えするということではないのですが、感想めいたことを発言させてください。専門実践の施行3年後の見直しが一定の結論を得たということでありますから、今後は専門があって、一般がまた2つに分かれるということになると、それぞれをどういう形で組み合わせていくのかということも視野に入れていかなければいけません。
そう考えたときに、サラリーマン人生が長くなり、単純に10年で3等分したときに、最初の10年の専門実践の位置付けと次の10年にあたる専門実践の位置付けというのは自ずと異なってくると思います。
では新設の4割給付の役割は何か。例えば専門実践を受け終わった者が、フォローアップ的なものとして4割給付を捉えるのだとすれば、そういう組合せで講座を作っていく必要があるでしょう。
一方で、専門実践を考えないで4割給付を考えると、2割給付の階段を駆け上がっても、いきなり専門実践の階段には上がらずに、その中間地点としての4割給付というところで、違う講座を見ていこうという考え方も、成り立ちます。
そうなったときに、残念ですが、測りようがないので、例えば講座の時間数がより長くなれば効果がより高くなるであろうというように擬制するというのも致し方ないと思います。分かりやすい客観的な指標としてキャリアアップを測るものを選び、ある程度組み合わせた形で議論していく必要があると思います。
今足元で一番拾える講座のグループとは何なのか。専門実践の議論の中で高い要件を満たさなかったけれども効果があるという講座が残っていますので、そこのところを4割給付でまずカバーしていきましょう。足元としては一番安易かもしれないけれども、あり得ると思います。 そもそも論としてこうあるべきだという議論も大変いいとは思うのですが、そういう考え方で最後まで絵を描ききれるかどうかというのは、私はクエスチョンだと思っています。むしろ、現在取り得る選択肢の中で、組合せとしてなるべく早くカバーリングしていって、ある程度の絵が埋まったところで、もう少し高次の議論をしませんかというのであれば、更にまた議論が出てくるのかなと思います。
 
○小杉分科会長 なかなか難しい、事務局に課された課題が大きいような気がしますが。
 
○早川委員 今回、資料の論点整理の最後に「全体整合的に整理すべきではないか」というのが、最後に挙がっていましたが、こういうことも給付の拡充、あるいは対象の拡大や、現行制度にはないなど今後の分科会で議論されることになるのかと思います。
それに関連して、前回指摘したほうがよかったのですが、委員から専門職大学院に関して、特に一定水準以上の所得のある在職者が、雇用保険から多額の訓練給付を受給するということは適当ではないというご意見についてです。それについては前回の段階で、職業安定分科会の雇用保険部会のほうに検討が預けられたかと思いますが、今回、その部会からまたこちらの部会にも検討課題としての意見が回ってきたこともありますので、お互いの間の議論として申し上げたいのですが、教育訓練給付は、その財源となる保険料は労使折半であり、国庫の負担なしで行われているので、このキャリアアップのチャンスに関する教育訓練給付に関しては、資産とか年収による一定の給付制限というのは、むしろそぐわないのかという考え方もあり、それを議論として取り上げておきたいと思います。なるべく多くの方がキャリア形成できるようにする流れの中で、この教育訓練給付が使われていくべきではないかということで、前回言ったほうがよかったのかもしれないのですが、全体の整合性整理という際に、1つ論点として挙げさせていただきたいと思います。
 
○小杉分科会長 基本的な給付の考え方についての御意見ですね。ほかにございますか。
 
○浅井委員 先ほど遠藤委員の御指摘を聞いて改めて思ったのですが、7ページと8ページのデータの違いを見ていて、御指摘のように、20代で専門実践教育訓練給付を受ける方の意識と、40代の方では、その後の人生設計に求めるものが違うと考えられます。一般教育訓練給付を見ると、20代、30代、40代、50代が、大体バランスを取れる形で受けていらっしゃいます。この分布がどのような形になるか、シミュレーションが全然違ってくると思います。人生100年時代、日本の持続的成長、産業構造のドラスティックな変化の中で、全ての労働者が学び続ける必要がある。技術変化に伴い対応して継続的な教育を受け続ける必要があるなかで、この2割、4割、7割の給付を、どのような制度設計にしていくの、データを取りながらどういう属性になっていくのかというのを議論していく必要があると思います。
また、人工知能やIoTの進展の中で、特に製造業の現場などですと、人間が関与しないほうが、あるいは関与を減らす方向にある部分も顕在化している。例えばHuman Errorを考慮すると人工知能に期待したほうがいい、あるいは人間が恣意的に操作してしまうようなことを避けるために、人間が関与しないようなプロセスにしたほうがいい側面もあり、そうした技術変化も踏まえて、この3段階をデータを取りながら制度設計していくということを改めて議論する必要があると思います。
 
○小杉分科会長 ほかにはいかがでしょうか。
 
○大久保委員 先ほど「キャリアアップ効果の高い講座という言葉の分かりにくさをどうするのか」という話をしたのですが、それに追加的なコメントをします。キャリアアップ効果が高いということについて、参考資料2の○の2つ目の所にも出てくるのですが、「社会的に必要とされているもの」という言い方をしているものもあるのです。つまり、先ほどの人手不足の話ではありませんが、実際に市場の中で大変重要なスキルであるということで求められているのだけれども、なかなかそのスキルを持っている人が少ないと。その需給のギャップがある。社会的に必要とされているスキルなのだけれども、それを持っている人が少ないというところに関しては、仮にそういうものをこの給付金を使って身に付けることができれば、当然ながらキャリアアップに資するわけでして、キャリアアップ効果が高いということを、社会的に求められている、現在必要なスキルなのだけれども、それを十分に所有している労働者がいないという形に言い換えると、もう少し分かりやすく1つの基準設定ができるのかもしれません。
 
○橋本委員 初回なので問題提起ということで、当然の大前提とされていることかもしれないのですが、可能であれば議論していただければと思うことがあります。雇用保険の財源を使った給付ということで、キャリアアップ効果が当然高いものが対象だということになっているのかと思いますが、そこで要件としては、趣味的、教養的、入門的な講座は除くということが当初からの前提になっているかと思いますが、専門実践教育訓練給付が設けられて、一般教育訓練給付とのすみ分けが議論になってくる中で、先ほど大久保委員が最初におっしゃったように、社会人の学習が意外にされていないという御指摘もありましたように、入門的な講座であっても、今回広げていく可能性はあるのかどうかということも、可能であれば議論できればと思っています。以上です。
 
○小杉分科会長 もう皆様、御意見はよろしゅうございますか。私も、現在の日本の状況は世界から見ても、職業人の学びというものの制度が整っていない国の筆頭だと思っています。何としても職業人が学べる環境を、そのためには、やはりこの教育訓練給付金というのは非常に大きなインパクトを持つ制度ですので、いい形で改善していければなと、この数箇月の議論に期待しているところです。では、今日の議論はここまでとさせていただきます。
その他、これに限らずこの際に何かございますか。
 
○遠藤委員 入門的、趣味的な講座を排除してきたのは、過去の経緯からすると、重い意味のあることであって、今回、対象講座の拡大議論の中で、2割10万円上限の枠で拾っていくというのでは、果たしてどうなのかなという思いがどうしても出てきてしまいます。かつて濫給と言われてどのような事態になったのかということを考えると、効果がないとは申し上げないのですが、やはり一定程度の制約を伴う形でのメニューにしておくということが、雇用保険の考え方としては、なかなか崩せないというか、そこは重きを置いて見ていきたいと思います。ただ、今後の状況を考えたときに、そういう効果も踏まえながら見ていこうというお考え自体は理解をしています。
 
○小杉分科会長 もちろん「何でも」とおっしゃっているわけではないので、かつてのことをよく踏まえた上で議論しなければならないということだと思います。
では、よろしゅうございますか。これ以上ないようでしたら、本日の議論はここまでとさせていただきます。また次回の第10回の日程については、9月28日(金)の10時よりの開催を予定しておりますので、よろしくお願いいたします。また、本日の議事録署名人ですが、労働者側は松井委員、使用者側は角島委員にお願いしたいと思います。それでは、本日はこれにて終了いたします。皆さん、ありがとうございました。